港区議会 2019-09-24
令和元年度決算特別委員会−09月24日
令和元
年度決算特別委員会−09月24日令和元
年度決算特別委員会
令和元
年度決算特別委員会記録(第3号)
令和2年9月24日(木) 午後1時開会
場 所 第3・4委員会室
〇出席委員(33名)
委 員 長 杉 浦 のりお
副委員長 黒崎 ゆういち 熊 田 ちづ子
理 事 小 倉 りえこ 丸山 たかのり
土 屋 準 清 家 あ い
なかまえ 由紀 ゆうき くみこ
近 藤 まさ子
委 員 マック 赤 坂 玉 木 まこと
石 渡 ゆきこ 榎 本 あゆみ
なかね 大 琴 尾 みさと
山野井 つよし 兵 藤 ゆうこ
横 尾 俊 成 やなざわ 亜紀
鈴 木 たかや 福 島 宏 子
榎 本 茂 池 田 たけし
二 島 豊 司 池 田 こうじ
風 見 利 男 阿 部 浩 子
七 戸 じゅん 杉本 とよひろ
清 原 和 幸 うかい 雅 彦
井 筒 宣 弘
〇欠席委員(1名)
赤 坂 大 輔
〇出席説明員
副区長 小柳津 明 副区長 青 木 康 平
芝地区総合支所副総合支所長
芝地区総合支所管理課長兼務 高 嶋 慶 一
芝地区総合支所
区民課長 井 上 茂
赤坂地区総合支所長
子ども家庭支援部長兼務 中 島 博 子
赤坂地区総合支所
協働推進課長 中 島 由美子
高輪地区総合支所長
産業・
地域振興支援部長兼務 森 信 二
芝浦港南地区総合支所長
環境リサイクル支援部長兼務 新 井 樹 夫
芝浦港南地区総合支所副総合支所長
芝浦港南地区総合支所管理課長兼務 山 本 隆 司
地域振興課長 櫻 庭 靖 之 国際化・
文化芸術担当課長 宮 本 裕 介
企画経営部長 大 澤 鉄 也
企画課長 大 浦 昇
区役所改革担当課長
特別定額給付金担当課長兼務 加 藤 豊
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長
全国連携推進担当課長
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務 白 石 直 也 区長室長 横 尾 恵理子
財政課長 若 杉 健 次
防災危機管理室長 長谷川 浩 義
防災課長 鈴 木 健 危機管理・
生活安全担当課長 金 田 幸 大
総務部長 新 宮 弘 章
総務課長 荒 川 正 行 人権・
男女平等参画担当課長 中 村 ゆかり
情報政策課長 西 川 杉 菜 人事課長
人材育成推進担当課長兼務 太 田 貴 二
会計管理者
(
会計室長事務取扱) 亀 田 賢 治
〇
出席事務局職員
区議会事務局長 佐 藤 雅 志 次長 小野口 敬 一
ほか
午後 1時00分 開会
○委員長(杉浦のりお君) ただいまから本日の委員会を開会いたします。本日の署名委員を御指名いたします。なかね大委員、黒崎ゆういち副委員長にお願いいたします。
本日の審議は、総務費の途中までを考えております。終了時刻は午後5時30分頃を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
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○委員長(杉浦のりお君) これより審議に入ります。前日に引き続き、歳出第2款総務費の質疑を行います。
初めに杉本委員。
○委員(杉本とよひろ君) 初めに、昨日声帯を痛めまして、大変お聞きづらいかとは思いますけれど、頑張って質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。
総務部では6つのテーマにわたって質問させていただきます。
初めに、予算の
執行管理状況と予算編成の観点から、令和元
年度一般会計歳入歳出決算における執行率や不用額について質問いたします。
令和元
年度一般会計歳入歳出決算によりますと、予算現額に対して、総務費をはじめとした各款において、それぞれ差異はあるものの不用額が生じております。これまで過去の推移を見ていくと、不用額は、平成23年度から27年度までは50億円台から60億円台が続いており、執行率も93%から95%で推移していたものが、平成28年度には、不用額が約41億円、翌平成29年度には執行率も97%台に向上するなど、予算への執行体制が改善されました。
しかし、平成30年度からはまた執行率が低下し、令和元年度においても、0.1ポイントながら前年度比で低下しております。令和元年度決算では、予算現額1,551億4,609万円余に対して、支出済額は1,500億20万円余、執行率96.7%、不用額50億3,436万円余となり、前年度比で5億8,382万円余増加しております。
歳出決算額が前年度比で増加しているというものの、執行率で見てみますと、例えば総務費においては、一般管理費での3億3,928万円余など、不用額が10億1,104万円余最も額が大きく、執行率が96.8%。産業経済費では、商工振興費での3億7,780万円余など、不用額が4億1,074万円余、執行率は85.7%。衛生費や土木費では、いずれも執行率が95%を下回っております。
不用額の増加や執行率の低下は年ごとに様々な要因があるとは思いますが、予算の積算、執行管理の観点から、執行率や不用額についてどのように分析されているのか、まず初めにお伺いいたします。
○財政課長(若杉健次君) 予算の執行において不用額が生じ、執行率に影響を与える要因としては、契約時の落差によるもののほか、実績により執行状況が変動する補助金や光熱水費のようなものがあります。また、事業を地域や民間事業者との協働により実施するなど、執行段階での工夫をすることで事務を効率化し、不用額が生じる場合もあります。そのほかにも、今年度経験することになりましたが、
新型コロナウイルス感染症に代表されるような外部からの突発的な要因により、事業の一部または全部が執行できない状況が生じることがございます。
○委員(杉本とよひろ君) これまで毎年度ごとに、決算審議で不用額、執行率を注視して見ています。特に今年は、今、課長からお話がありましたが、
新型コロナウイルス感染症というこれまでにない新たな感染症ということで、当然来年度行われる決算審議、今年度の決算を見ても、恐らく執行率、不用額が生じるかとは思います。私が言いたかったのは、実は平時に執行率をどういうふうに向上させていくのか。また、不用額をどれだけ少なくしていくのか。これは、基本的にはやはり予算編成のとき、大いに参考にしながらしてもらいたいという意味で、今、質問させていただきました。執行率の向上に向けて、どのように今後取り組んでいくのか。また、来年度予算編成にどう反映していくのか。その点、お答え願います。
○財政課長(若杉健次君) 配当された予算につきましては、各所管において、全ての事業について定期的に執行状況の調査を行っています。未執行のものを中心にいたしまして、その理由を1つ1つ明らかにし、所管と財政課とともにこれも1つ1つリスト化して、把握、認識することで、計画的かつ適切な執行に努めております。
また、次の年度の予算編成に先立っては、改めて不用額の分析調査を行います。真に必要な予算を要求することにつなげてございます。要求された経費については、各事業の前年度、前々年度の執行実績とそれぞれ照らし合わせまして精査し、無駄のない効率的な予算をつくり上げてまいります。
○委員(杉本とよひろ君) ぜひともよろしくお願いいたします。
次に、今
定例会代表質問でも取り上げましたが、高齢者・障がい者施設などへの公費による
PCR検査体制の構築について、お伺いいたします。
東京都が18日に開会いたしました東京都議会第3回定例会において、第9次補正予算案として、高齢者・障がい者施設等における
新型コロナウイルス感染症対策強化事業として、30億円の費用が計上されております。その内容は、感染者が発生した場合に影響が大きい
特別養護老人ホームや障がい者施設等を対象として、施設利用者と職員に対して、東京都独自で全額補助としてPCR検査をいたします。その規模は約860施設、15万人になるとされております。実施時期については、
東京都議会定例会で補正予算が可決され次第、事業をスタートさせる方針と伺っております。
そこで、これが実施された場合、補助金のスキーム、流れとしては、それぞれの施設に補助されるのか、それとも検査を受けた人に補助されるのか。また、検査費用の補助対象となる基準や、その場合、区内でどれだけの施設が対象になると見込んでいるのか。現在明らかになっている点について、お伺いいたします。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 東京都福祉保健局に直接確認したところ、高齢者施設では、
広域型特別養護老人ホームや
介護老人保健施設、介護医療院を対象とし、障害者施設では、障害者・児入所施設や
医療型障害児入所施設長を対象にする予定とのことでございます。
このため、区内施設では、
特別養護老人ホーム9か所、
障害者入所施設2か所が対象施設の候補になると考えられます。また、
補助スキームにつきましては、対象の各施設から東京都に対し直接申請すること、補助内容につきましては、施設規模に応じて上限額の設定があるものの、
PCR検査費用などの
感染症対策費用を幅広く対象とすること、PCR検査の補助対象につきましては、職員や新規入所者などを予定していることを確認しております。
○委員(杉本とよひろ君) 区内の
特別養護老人ホーム9か所や障がい者入所施設ということは、区が設置した特に
特別養護老人ホームについては全ての施設が対象になることは大変いいことなのですが、そこに漏れた高齢者施設や障がい者施設、また介護施設などについては、区としても早急に検査体制の構築を図るべきと考えますが、担当課長としては、いかがお考えでしょうか。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 高齢者や基礎疾患のある方は特に重症化するリスクが高いとされており、区では、こうした
高齢者施設等が主体的に実施するPCR検査の費用を助成するなど、東京都の補助対象外とされる予定の範囲を含め、効果的な支援策について現在検討を進めております。
PCR検査の実施主体は各施設となることから、専門家の知見や施設運営者の意見もお聞きしながら、東京都の補助事業の効果的な活用方法、施設やサービスを維持できる手法など、各施設の実態に即した支援ができるよう、早期に検討してまいります。
○委員(杉本とよひろ君) 今、御答弁にもございましたが、特に
重症化リスクの高い高齢者や障がい者への公費によるPCR検査は、極めて重要であります。当然、区としてもクラスターの発生を防ぐために、積極的な取組を強化していただくことを強く要望いたします。
もし早急に進めていくということであれば、区としても当然施設の意見も聴くことはもちろんですが、積極的ということであると、問題は財源です。財源に関してはいろいろな方策があるかとは思いますが、早急に進めるのであれば、例えば予備費を活用するといった方策も十分検討していただきたいと望みます。よろしくお願いします。
続いて、3点目は防災関連について、3項目お伺いいたします。
初めに、避難所の確保についての質問でございます。
新型コロナウイルス感染症拡大防止を踏まえた避難所の在り方として、密を避けるため、
レイアウト変更や定員の見直し、追加の避難先の確保に取り組むことが求められております。今月発生いたしました台風10号では、九州を中心に避難指示や勧告が出されましたが、避難所には満員で入れないという事態が相次ぎました。
新型コロナウイルス感染症の影響で避難先の定員を減らしたこともありますが、もともと自治体の設けている避難所では、避難を求めている全ての住民を受け入れることは不可能であったわけです。
港区においても同様で、感染防止を踏まえ、区はこれまでの避難所での居住スペースを1人当たり1.65平米としていましたが、感染防止のため約4倍近くとなる6平米に広げていくとのことであります。感染予防のためにスペースを広げることは大事なことでありますが、一方で避難所には限りがあります。このような基準を現状に当てはめると、避難所にはどのぐらいの方が避難できることになるのか、まずその点をお答え願います。
○防災課長(鈴木健君) これまで区では、1人当たりの
避難スペースを1.65平方メートルで換算し、57か所の区民避難所全体で4万2,202人の収容人数を予定しておりましたが、感染症対策として、1人当たりのスペースを6平方メートルに拡大した場合、収容人数は約1万2,000人となります。
○委員(杉本とよひろ君) 約4分の1になります。今後、可能な限り親類・知人宅や宿泊施設への避難の呼びかけもしていくとともに、避難所確保については、あらゆる施設に協力を要請し、協定を結んでいくことが必要であります。本年、第1回定例会の代表質問でも取り上げてまいりましたが、既存の施設以外に、区内にある都立高校などにも協力を要請して、避難所の拡大を図るよう質問してまいりました。都立施設などの活用について、現在の協議、調整状況をまずお聞かせください。
○防災課長(鈴木健君) 区では、収容人数の見直しに伴い新たな避難所を確保していくため、現在、
区内都立高校3校の活用について東京都と、6か所のホテルの活用について各事業者と協議をしております。協議においては、それぞれの施設で提供可能な
避難スペースや、避難所となった場合の運営方法、備蓄物資等の配備方法などについて調整を進めております。今後できる限り早期に協議を取りまとめるとともに、さらに必要十分な避難所を確保できるよう、取り組んでまいります。
○委員(杉本とよひろ君) よろしくお願いいたします。
また、第2回定例会では、避難所、避難場所の情報提供について質問させていただきました。区長からは、特定の避難所に避難者が集中し、密な状態となることを避けるための仕組みを検討されるとの御答弁がございました。さらに、本定例会でも先日の質疑で、港区
避難所開設状況システムを構築し、9月30日から運用が開始されるということであります。そこで、お伺いいたします。在宅することができないなどの理由で、避難所に避難するしかない区民にとって、密を避けるための混雑状況を事前に知ることができる仕組みは大変重要であります。今もなお台風が来ようとする中、どのようなシステムで、どのように活用していくのか、お聞かせ願いたいと思います。
○防災課長(鈴木健君) 港区
避難所開設状況システムは、大雨や台風などの災害時に、
区ホームページ上で避難所の開設状況や混雑具合等を区民にお知らせするものです。具体的には、どこの避難所が開設されているかをお知らせするとともに、混雑具合を避難者数に応じて6段階の色ゲージで分かりやすくお示しします。また、
スマートフォンやタブレットを使用している場合には、GPS機能により、現在地から避難所までのルートを表示することで、的確な避難誘導につなげていきます。当システムの導入により、特定の避難所が密になることを防ぎ、避難者が混乱なく避難できるよう努めてまいります。
○委員(杉本とよひろ君) よろしくお願いいたします。特に避難情報については、正確さもそうですが、的確かつ迅速な情報提供と同時に、
先ほど避難所確保についても質問いたしました。今、区の方は協議・調整に進んでいると思いますが、やはりこれも拡大に向けて、特に都立施設については早急に進めていただきたいと思っております。
続きまして、
防災行政無線難聴対策についてお伺いいたします。これまでも
防災行政無線難聴対策として、区は280メガヘルツ
帯防災ラジオを配布していますが、令和元年度決算では7,978万6,257円、配布台数1,816台。予算額から支出額を差し引くと、35万3,743円が不用額として計上されております。区民に対して命を守る防災情報を届けるためにも、まだまだ多くの区民に推進していく必要があると感じるわけであります。そこで、今年度に入ってまだ年度途中でありますが、現在までどのぐらいの台数が配布されているのか、お伺いいたします。
○防災課長(鈴木健君) 今年度は、令和2年9月23日時点で、一般向けが959台、
文字表示つきが260台、合計1,219台を配布しております。なお、事業開始時からの累計では、一般向けが5,429台、
文字表示つきが306台、合計5,735台となっております。
○委員(杉本とよひろ君) 今年度は、予算額も2億135万2,000円と、令和元年度と比べると大幅に拡大されておりますが、希望する全ての世帯に
防災行政無線ラジオが行き渡るよう、今後もしっかりと周知・啓発を図りながら推進していただきたいと思います。そのあたりの取組については、どのようにお考えでしょうか。
○防災課長(鈴木健君) 区では、これまでも広報みなとや
区ホームページへの掲載、区有施設等でのチラシ配布に加え、各
地域防災協議会の会合でのPRなど様々な機会を捉え、港区防災ラジオの普及に努めてまいりました。今年度は
新型コロナウイルス感染症の影響で、外出を控えがちな高齢者に向けて、
高齢者支援課が困り事の相談窓口等についての御案内を送付した際に、防災ラジオについても御案内し、多くの方からお申込みがありました。
今後、災害時避難行動要
支援者登録事業のお知らせの際にも案内チラシを同封する予定です。また、お申込みされる方が申請書を提出したその場で受け取ることができるよう、各
地区総合支所及び台場分室において特設窓口を設置します。引き続きSNSを含めた広報媒体を効果的に活用するとともに、様々な機会を捉えて周知・啓発を行い、港区防災ラジオの一層の普及に取り組んでまいります。
○委員(杉本とよひろ君) 続いてマイ・
タイムラインの推進について、お伺いいたします。台風や豪雨などによる水害への備えとして、事前に行動計画を立てておくマイ・
タイムラインの周知と活用を進めるよう、昨年の
決算特別委員会で申し上げてまいりました。マイ・
タイムラインとは、いつ、誰が、何をするのかを前もって時系列に整理し、あらかじめ避難の取組などを決めておくものであります。
災害が起きてから動くのでは、適切な行動が取れません。そこで、東京都は昨年6月に東京防災の一環として
東京マイ・タイムラインを作成し、各自治体に配付しました。これが、昨年配布された
東京マイ・タイムラインです。区にも配布されまして、これを活用して、今、私が担当している地域で、区政報告の中で行政に成り代わってこの
東京マイ・タイムラインの重要性と使い方を説明させていただきました。
改めて説明するまでもありませんが、こういったシートが2枚入っていまして、3種類の
避難行動計画が作成されるようになっています。大雨が長く続くパターン、台風が近づいているパターン、短時間の急激な豪雨が発生するときといった3つのパターンのシートが用意されております。手でも当然書けますが、シールもついております。これが事前防災としては非常に有効ということで、先日もNHKのテレビでもこのことが紹介されておりました。
まず区民が実際にこれを自分の手で受け取って、自分の行動計画を始めることから自助の第1歩が始まるのかなと私は思っております。港区も昨年、東京都から2,000部の配布があり、区は積極的に活用するため、さらに1,000部の追加を申し入れたことを、昨年の私の質問に対してお答えいただきました。これまで、この
東京マイ・タイムラインを区民にどのぐらい配布されたのか、数が分かれば教えていただきたいと思います。
○防災課長(鈴木健君)
東京マイ・タイムラインについては、防災課及び各
地区総合支所協働推進課での窓口配布や、昨年度の
総合防災訓練等のイベントなどにおいて、これまでに約1,300部を配布しております。
○委員(杉本とよひろ君) 1,300部ということは、当然まだ在庫もあるし、今後足らなくなったら、また東京都に追加申請をしていただきたいのですが、今年も大型台風や豪雨による災害が多く発生しており、事前に自らの行動計画を作成し、自助の取組として広く区民に周知と活用を勧めていくことが重要と考えます。まだまだこういった
東京マイ・タイムラインというシートが配布されていることを知らない区民が大勢いらっしゃいます。今後の周知・活用への取組について、どのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○防災課長(鈴木健君)
東京マイ・タイムラインは、風水害に関する基礎的知識を学びながら、いざというときに取るべき行動を事前に整理することができ、風水害から自分や家族を守る備えとして有効な取組です。現在は、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、職員による出前講座や地域のイベント等での啓発活動を縮小せざるを得ない状況ですが、
区ホームページやツイッターでの情報発信、
東京マイ・タイムラインの
作成ガイドDVDの活用など、現状で取り得る様々な手段により、広く
東京マイ・タイムラインの活用を語りかけてまいります。
○委員(杉本とよひろ君) 年々こうして多発しているゲリラ豪雨などによる建物内への浸水を防ぐため、区の防災課では、一般的な土のうのほかに止水板を一部の区有施設へ試行的に取り付ける準備が進められていると伺っております。こうした区の浸水対策への取組は大変有効的であり、今後様々な区有施設に展開されることを期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
最後になります。共同住宅の
防犯対策助成事業の見直しについて、お伺いいたします。この問題は昨年の
決算特別委員会でも取り上げてきたわけでありますが、さらに今年に入って、3月に行われた
予算特別委員会でも質問させていただきました。この助成制度は、共同住宅の共用部分に防犯機器を設置する場合、かかった費用の一部を助成するものであり、具体的には
防犯カメラ一式、
センサーつきライトやアラーム、
オートロックシステムなどが助成の対象となっております。
しかしながら、この制度は、1対象者につき1回限りとなっております。昨年、私は芝地区の都営住宅の自治会の役員からの要望を受けました。この助成制度を利用して防犯カメラを設置して以来、現在まで10年以上の歳月が経過し、機器の老朽化に伴い、映像の映りや不具合などによって、防犯機能が果たせなくなっているとの声が寄せられました。機器には寿命があり、老朽化によって10年以上経過し不具合が生じた場合、再度助成が受けられるよう、制度の見直しが求められております。私もこうした声を受け、これまで2回にわたって質問して、取り上げてまいりました。
昨年の
決算特別委員会では、危機管理・
生活安全担当課長からは、犯罪の防止等の効果的な事業となるよう、利用回数の制限の在り方を含め、制度の見直しについて検討していくとの答弁をいただきました。また、今年の3月の
予算特別委員会では、機器の老朽化に伴う更新には対応できない制度となっていることから、制度の見直しについて検討を進めていると、前向きの答弁をいただいております。その後、制度の見直しに向け、どのように検討されてきたのか、お聞かせ願いたいと思います。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 防犯カメラ等の防犯機器の設置に対する区の助成制度には、マンション管理組合等がマンションの共用部分に設置する防犯機器を対象とした、共同住宅
防犯対策助成事業のほか、区民が自宅に設置する防犯機器を対象とした、住まいの
防犯対策助成事業があります。現在この2つの制度を利用して設置した防犯機器については、経年劣化に伴う更新には対応しておらず、また、これまでの助成対象機器に加え、新たに防犯効果が見込める機器が流通していることから、助成の対象とする防犯機器の拡充を含めて、見直しの検討を進めております。
○委員(杉本とよひろ君) 現在検討を進められているということですが、特に防犯カメラや
オートロックシステムなどは、居住者の安全と安心を守るため、極めて重要な防犯対策となっております。ぜひとも利用回数の制限など、制度の見直しについては早急に検討を進め、来年度予算に反映されるよう強く望むところであります。この点いかがでしょうか。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 早急に制度内容の検討を進め、より利用しやすい制度となるよう、取り組んでまいります。
○委員(杉本とよひろ君) 同じ答弁ですが、いずれにしても来年度予算に反映されることを強く期待しておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○委員長(杉浦のりお君) 杉本委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に風見委員。
○委員(風見利男君) 旧都営青山北町アパート、通称北三団地内の14号棟、旧青山保育園の前に郵便ポストがあります。都営住宅は建て替えで善光寺側に移転しました。郵便ポスト側には、居住者は誰もいません。日本郵便株式会社と東京都に対して、新しい都営住宅に近いところにポストを移設するよう要請するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○赤坂
地区総合支所協働推進課長(中島由美子君) 旧都営青山北町アパート敷地内の郵便ポストの移設については、ポストを管理している赤坂郵便局に確認したところ、当該ポストは都営住宅地内に設置されているため、東京都からの申請が必要との回答でした。地域住民の皆さんの利便性を考慮し、新しい建物に近い場所へ早期に移転できるよう、東京都及び赤坂郵便局へ要望してまいります。
○委員(風見利男君) 私も東京都住宅供給公社の方には既に電話をしてありますので、早急に対応をお願いしておきたいと思います。
次に、北青山三丁目団地の25号棟跡地の活用についてです。旧集会所の隣にあった防災資器材倉庫がこちらに移設されました。また、東京電力の変圧器が置かれています。しかし、敷地には余裕があります。赤坂消防団からも要望が出されているようですが、消防団の詰所のような施設の建設が可能だと思います。赤坂消防団と協力し、東京都に要請すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○防災課長(鈴木健君) 都営青山北町アパートの跡地には、現在、赤坂消防団第3分団の防災資器材置場が設置されています。これに加え、赤坂消防署が、赤坂消防団から要望を受け、同跡地に消防団施設を建設する方向で東京消防庁が準備を進めていると聞いております。消防団施設の整備については引き続き情報収集に努め、必要に応じ、区としても東京都に要望することを検討してまいります。
○委員(風見利男君) ぜひ一日も早い実現をお願いしておきたいと思います。
次に、PCR検査について伺います。高齢者や障害者施設・訪問介護事業所で働く人に定期的なPCR検査を行うことは、施設等での感染拡大防止、
重症化リスクの高い高齢者や障害者を感染から守ることにつながります。代表質問に対し、区長は、高齢者や基礎疾患のある方は特に重症化するリスクが高い。高齢者や障害者施設等において、各施設が主体的に実施するPCR検査の費用を助成するなど、効果的な支援策を検討するとの答弁でした。
特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護事業所、障害者施設、保育園、学校などで働く職員、全ての出入り業者に対し、港区の責任でPCR検査を実施することが必要だと考えていますが、区長が支援するとしている各施設とはどこなのでしょうか。
併せて、定期的な検査が必要と考えますが、どのようなやり方で検査をするのか。
3番目、各施設が主体的に実施するPCR検査の費用を助成するとのことですが、当然全額支給すると思いますが、3点についてお答えいただきたい。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) まず、区が支援する対象施設の範囲についてです。区は専門家の知見や各施設の実態等を踏まえ、サービスの性質上、感染のリスクが高い方、また、特に重症化するリスクが高いとされている高齢者などが利用する施設を中心に、現在、支援の対象とする具体的な範囲の検討を進めております。
次に、定期的な検査の必要性についてです。PCR検査については、各施設の運営者の判断によって実施するものと考えておりますが、その手法や頻度など、検査の仕組みや区としての支援の在り方につきましては、現在検討を進めております。
最後に検査費用の全額支援についてです。検査費用の助成率や上限額などは、現在検討を進めているところでございます。区は、各施設の主体的な取組を支援するとともに、効果的な感染予防対策につながる仕組みとなるよう、工夫してまいります。
○委員(風見利男君) ですから、区長が答弁したのは、
特別養護老人ホーム、障害者の宿泊施設、訪問介護事業者が高齢者の居宅を訪ねる場合、その居宅など、そういうところも当然含まれるという理解でいいのかどうか。
それと、事業者が主体的にやるところについて支援するということですが、そこはやはり区民の命と健康に関わることですので、区が全額助成するということも当然視野に入れて検討すべきだと思います。その2点、いかがでしょう。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) まず、対象施設の検討の範囲についてでございます。本件につきましては、現在、幅広い対象を考えております。一方、やはり高齢者、基礎疾患のある方と比べまして、子どもに関する施設といったところにつきましては、感染した場合の重症化、感染を拡大する可能性が低いとされているというところもございますので、そういった観点も踏まえまして、今、委員御提案の介護訪問事業所といったところも視野に入れながら、幅広く検討を進めてまいりたいと思います。
続きまして、主体的な支援についてです。こちらについては全額支援すべきだということでございますが、本件につきましても、現時点では、補助の範囲、また具体的な補助率、上限額等は決定してございません。引き続き施設が利用しやすい制度となるよう、工夫をしてまいります。
○委員(風見利男君) 保育園などもクラスター化する可能性があります。事業者の主体的な検査を支援するということなので、事業者がやるとなった場合には、そういうところも支援する方向にぜひ加えていただいて、検討していただきたい。それはお願いしておきたいと思います。
次に特別給付金について伺います。港区独自の給付金については、共産党区議団も何度も提案してきました。多くの会派から、港区独自の給付金の提案がありました。港区ならではの特別給付金の支給については、大至急検討するように要望しておきたいと思います。
4月28日以降に生まれた新生児への特別定額給付金の支給についてです。これも区議会事務局を通じての要望で提出してきました。金額、基準日などの違いはありますが、既に23区でも9区が支給を決めています。2019年度予算の重点施策として、全ての子どもたちを健やかに育むまちを実現する取組と位置づけています。同じ年に誕生する同学年になることなどから、4月28日以降2021年4月1日までに生まれた新生児に特別定額給付金を支給すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 国の特別定額給付金は国が要件を定めており、区はスピードと確実性を重視して対応するため、本年4月27日までに生まれた子どもを対象に実施いたしました。一方、区民に最も身近な自治体である区は、2万円分の商品券を妊婦に配布するみなとプレママ応援事業など、子育て世帯を支援するための独自の取組を実施しております。区の子育て支援といたしましては、国による給付金の対象を拡充し、区独自の費用負担で新生児に給付金を支給する手法ではなく、妊娠・出産・育児等の各場面において必要とされる支援を的確に実施し、きめ細かな切れ目のない支援を充実してまいります。
○委員(風見利男君) 引き続きこのことは、実現まで質問していきたいと思います。
次に職員の健康管理について伺います。頂いた資料によると、今年のメンタルヘルスの不調による20日以上の病気休暇取得者と20日以上の休職取得者とを合わせると、4月32人、5月36人、4月40人、7月42人、8月41人です。昨年1年間を見ると、40名以上の月が、7月40名、8月44名、9月41名、10月44名、11月43名、12月45名、1月44名、2月43名と、8か月がこういう状況です。職員数が2,000名弱ですから40名は非常に多いと思いますが、職員の健康管理を担当する部署として、異常な事態とは思いませんでしょうか。いかがでしょうか。
○人事課長・
人材育成推進担当課長兼務(太田貴二君) 職員が、職務に応じて持てる力を発揮していくためには、心身の健康と安心して働くことができる職場環境の確保が必要です。職員の健康と安全を確保する観点から、現在の病気休暇、休職者の状況は、重要な課題であると認識しております。
○委員(風見利男君) 重大な課題だと。私は、やはり仕事が忙し過ぎるのに、人員が補充されないことの積み重ねの結果だと思うのです。頂いた同じ資料の中に、時間外勤務の実態も紹介していました。100時間以上の職員が、5月14名、6月10名です。ここ2か月だけですが。80時間以上の職員が、5月13名、6月12名。45時間以上の職員は、5月が108名、6月126名です。5月を見ると、毎日2時間15分以上残業をやらざるを得ない人が135人、毎日5時間以上残業する職員が14名、慢性的な人手不足です。
区長は、区長選挙後の施政方針で、
新型コロナウイルス感染症対策で多忙を極めていたみなと保健所に触れて、保健師を含めた105名を増員し、と述べました。当区議団がこの105名を調べたところ、一部、東京都からの派遣職員と人材派遣会社からの職員を除くと、圧倒的な部分が兼務を指示された職員です。兼務というのは、本来自分の所属する部署の仕事を持ちながらの応援ですから、大変です。兼務全てを否定はしませんが、どの部署も人員補充なしで仕事をしているのですから、余裕がありません。必要な仕事については、新規に人員を増やすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○人事課長・
人材育成推進担当課長兼務(太田貴二君) 区は、毎年度、繁忙となる期間や超過勤務の実績も考慮した上で、見込まれる業務量に応じた人員を適正に配置しております。また、今回の感染症対応のように、緊急的、臨時的な対応が必要な場合は、年度途中の人事異動や関係部門からの応援体制により対応しております。委員御指摘の現状におきましては、
新型コロナウイルス感染症の次の流行に備えて、引き続き全庁からの兼務職員を確保するとともに、保健師や事務の人材派遣を活用し、さらなる体制強化を図ってまいります。
なお、兼務職員の本来の所属においては、病気休暇や休職により欠員が生じた場合と同様、必要に応じて会計年度任用職員等を配置することで、円滑な事務執行体制を確保しております。
○委員(風見利男君) 兼務というのは、やはりあくまでも兼務なのです。主たる仕事ではなくなるわけで、そこはしっかり人員を補充すべきだと思います。
いろいろ調べていただいたら、10年前に2,382人いた職員が現在2,158名と、200名以上減っています。区民からの要求も多様化して仕事も大変になっています。人員が減ることで、大災害が発生した際に、区民の命と暮らしを支えることができなくなります。若手の人材確保の点からも、計画的に人員を補充していくべきだと思います。今、どんどん平均年齢が高まっているようですから、ぜひ若手をたくさん入れて、働き手をどんどん担っていく人を増やしていくことが必要だと思いますが、その辺はいかがでしょう。
○人事課長・
人材育成推進担当課長兼務(太田貴二君) 区は、これまで職員定数を計画的に削減し、簡素で効率的な執行体制を実現してまいりました。この過程におきましては、指定管理者制度の導入と民間の力を積極的に活用し、区民サービスの質の向上を図ってまいりました。今後も、区が直接担うべき業務や、区の重点課題に取り組むべき分野には職員を計画的に配置し、複雑化・高度化する行政需要に対応してまいります。
○委員(風見利男君) 指定管理者制度については、常任委員会でもそうですし、この委員会の中でも指摘しました。区が責任を持ってやる仕事は、やはり区が直接やる。これが区民に対する責任だと思います。そうしないと人材も育ちませんし、これから20年30年と仕事を指定管理者にやらせると、区にノウハウがなくなってしまいます。そういうやり方はぜひなくしていただいて、必要なところはやはり人材確保していくと。こういうことに対して税金を使うことについては、区民が文句を言うはずありません。そういう点での人員配置は課長の責務ですから、ぜひ各部・課からの要望を聴いて、しっかり対応していただきたいと強くお願いしておきたいと思います。
○委員長(杉浦のりお君) 風見委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に琴尾委員。
○委員(琴尾みさと君) 私からは、客引き防止プロジェクトについてです。昨日、玉木委員からも質問がありましたが、私からも質問させていただきたいと思います。本事業は、公共の場所における客引き行為等を防止するための巡回指導などを実施する事業として、平成29年4月より開始した事業です。令和元年度決算額は、約3億3,000万円を計上しています。令和元年度においては、六本木地区で新たに早朝の巡回指導を開始するとともに、新橋地区においては、条例の違反に対して過料を2件、公表処分を2件実施されております。
港区客引き行為等の防止に関する条例では、違反者には指導、勧告、命令の3段階の措置に加え、是正されない場合は5万円以下の過料を課し、命令の内容その他必要な事項を公表することができるものとなっています。前年度の実績状況を見ると、第1段階の指導書数は、平成29年度は150件、平成30年度は360件、令和元年度は608件と年々倍増しております。また、第2段階の勧告書数で見ると、平成29年度は9件、平成30年度は11件と横ばいでしたが、令和元年度は30件とこれも実施数がおよそ3倍となっています。第3段階の命令書では、平成29年度が0件、平成30年度が1件、令和元年度1件と横ばいではありますが、残念ながら命令書をもってしても是正されず、過料並びに公表した件数は、平成29年度が0件、平成30年度が0件、令和元年度2件と微増傾向でありました。
これら数字から、指導書数が年々倍増し600件を超える中、命令書数は、令和元年度も1件と横ばいであることから、トータルで見て、指導書の段階で抑制されていることは明らかであり、客引きに対する抑止力になっているものと捉えております。まちなかで活動をお見かけいたしますが、存在感もあり、客引きに対して抑止力となり、港区内の歓楽街の治安維持に貢献し、大変喜ばしく思っております。
一方、本年2月頃より、
新型コロナウイルス感染症の発生により、感染拡大防止を目的とした外出自粛や営業自粛に伴って、まちなかの客足が遠のくに合わせ、客引きも大分減ったのではないかと思っております。コロナ禍以前と比べても、大分まちの中の様子が変わってきたと思いますが、ここで質問させていただきます。
まず1点。令和元年度の成果は、区としてどう受け止めているのか、お聞かせください。2点目は、
新型コロナウイルス感染症の影響によって変化した状況を受け、その変化に対応して本事業をどのように対応していくのか。あるいは契約内容の見直しを図られていくのか、お聞かせ願います。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 区は、令和元年度に港区客引き行為等の防止に関する条例に基づき、新橋地区において、5万円の過料処分と違反者の氏名・住所等の公表をそれぞれ2件ずつ実施しました。過料、公表は、条例施行後、初の適用となります。
過料、公表の適用後、新橋地区及びその他の地区においても客引き行為等が減少するなど、一定の抑止効果が認められました。また、警察官OBを非常勤職員として任用し、生活安全パトロール隊を避けながら客引き行為を繰り返す者や、指導に反発する違反者に対しても、これまでの職務経験を生かした効果的な指導を行っています。生活安全パトロール隊による客引き行為等の指導や、路上喫煙等の迷惑行為に対する啓発活動に対しては、地域の皆さんからも激励や感謝の言葉をいただいており、繁華街における安全・安心の確保に向け、着実に成果を上げていると認識しております。
次に、生活安全パトロール隊は、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言が発出されていた期間において、客引きに対する指導とともに、外来者等に不要不急の外出の自粛を呼びかけました。宣言解除後は、密閉された空間、密集する場所、密接する場面の3つの密を避けるよう、広報を行っています。また、路上でビラ配りを行っている者等に対しては、マスクの着用を呼びかけるなど、感染拡大防止の取組への協力を求めています。
一方、東京2020
オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間は、六本木地区における生活安全パトロール隊の体制を拡充する予定でしたが、東京2020大会の延期を受け、契約内容を見直し、通常の体制としています。引き続き、客引き行為等の違反の状況はもとより、社会情勢の変化を踏まえ、実情に即した効果的な対策となるよう、体制や業務内容について柔軟に対応してまいります。
○委員(琴尾みさと君) ありがとうございます。マスクの着用の呼びかけ、3密回避の呼びかけなど、
新型コロナウイルス感染症の感染者増加に合わせて対応していただけているということなので、大変安心いたしました。10年前の六本木などは歩くのがとても怖かったのですが、今、本当に歩きやすくなったなと実感しております。まだまだ先の見えない状況ではございますが、その状況を見ながら、時代に合った事業運営をお願いしたいと思っております。
また、防犯にちなんでですが、落書き防止対策の事業について、少し触れたいなと思っております。本事業は、落書きのないまちづくりの実現のため、消去事業者の派遣や、区民と連携した消去キャンペーンを実施するとともに、再発防止の落書き対策防犯カメラを貸し出すものであり、決算成果報告によりますと、消去件数が185件、落書き対策防犯カメラは7件の貸出しがあったとのことでした。港区は、年々落書きの少ないまちへと変化してまいりました。都市開発が進んできたことが要因の一つにあると思いますが、20年前を思い返してみると、本当に落書きの少ないまちになったと実感しております。これは、本事業による成果でもあるかと大変喜ばしく思っております。
改めてですが、この落書き対策は、直接的には、景観・美観がよくなるということではございますが、間接的には非常に重要な意味を持った事業だと理解しています。割れ窓理論というのを御存じの方もいらっしゃるかと思います。アメリカの防犯学者ジョージ・ケリングが考案したものです。建物の窓が割れているのをそのままにしておくと、誰も地域に関心を持っていないというサインになり、犯罪が起きやすい環境を生み出してしまう。そして、やがてごみのポイ捨てなどモラルを欠いた行為が増え、最終的に凶悪犯罪につながっていくという理論です。
アメリカ、ニューヨーク市の事例は皆さんも御存じかと思いますが、ニューヨーク市は、1980年代からアメリカの中でも有数の犯罪多発都市でしたが、94年に治安回復を公約として当選した、当時のジュリアーニ市長が、そのケリング氏を顧問に招きました。この理論を応用し、治安対策を実行しました。落書きをはじめとした軽犯罪を徹底的に取り締まった結果、治安が劇的に回復し、中心街も活気を取り戻し、住民や観光客が戻ってきたというものです。
日本国内各地においても、同様の事例が多数挙がっています。他方で、昨今あまり好ましくないニュースも増えてきています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済の悪化のほか、在宅勤務や外出自粛で家に籠もる時間が長くなったり、生活環境の大幅な変化によるストレスが要因なのか、各地で
新型コロナウイルス感染症に関する落書きが見つかっているとのことです。意味のない文字やイラストのようなものがある一方、感染者を差別したり誹謗中傷したりと、看過できない内容もあるとのことです。落書きは、放置すると治安の悪化につながっていきます。観光心理学の専門家は、速やかに対処する必要があると、警鐘を鳴らしています。
落書きと一口に言っても、港区内でも発見されました正体不明の路上芸術家バンクシーの作品のように、芸術性が高いものもあります。一方で、大半は意味が分からず、住民にとって迷惑行為以外の何ものでもないと思います。落書きは消さないと多くの人が目にすることになり、周りの悪影響を受け続けてしまいます。内容次第では、差別意識を助長する結果になってしまうこともあります。
このように、
治安悪化の徴候と思われるようなことから徐々に目に見える形で出現してきていますので、今後も
治安悪化につながらないよう、
新型コロナウイルス感染症の影響も注視しながら、引き続き本事業を継続していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○委員長(杉浦のりお君) 琴尾委員の発言は終わりました。
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○委員長(杉浦のりお君) 次にやなざわ委員。
○委員(やなざわ亜紀君) お願いします。
行政のデジタル化についてお伺いします。昨日からほかの委員の方々も述べられていますように、このコロナ禍を経験して、議会を含めて、区政のさらなるデジタル化はもはや必須です。代表質問でも積極的なデジタル行政の導入について、今後の区のデジタル化の進め方を質問し、区長より御答弁をいただきました。今年度中に住民票の交付請求をはじめとする各種手続を電子申請により可能とするとともに、区役所、各
地区総合支所の窓口において、電子マネーによるキャッシュレス決済が可能となるように環境を整備する。今後、令和4年度までを集中的取組期間として、行政手続の原則オンライン化及びキャッシュレス化を主軸に、行政のデジタル化を強力に推進してまいると、力強い御答弁をいただきました。
総務常任委員会でも、対面レス、ペーパーレス、判こレス、混雑レス、キャッシュレスの5つのレスを推進していくと、報告がありました。誰もが来庁せずに、いつでも、どこでも必要な行政手続を行うことができるようになると、大変便利だと期待しております。そこで、どういったことができるようになるのか、より具体的にお聞かせください。また、業務が膨大になってくると思いますので、気になるのが、港区の中の組織体制がどういうふうになっていくのかなというところです。港区においてデジタル化を強力に推進していくために、どのような体制で取り組んでいるのか、現状をお伺いいたします。
○
区役所改革担当課長・
特別定額給付金担当課長兼務(加藤豊君) 行政のデジタル化により、利用者である区民や事業者は、来庁するための移動時間や移動コスト、窓口対応に要する時間を削減することができ、区民、職員双方の時間の有効活用が可能となります。また、キャッシュレス決済の導入は、会計に要する時間の削減や、釣銭の渡し間違いを防ぐことができるとともに、現金の受渡しによる感染症の感染リスクの回避にもつながるものでございます。
行政のデジタル化の実現に向け、本年6月には、区役所改革会議の下に行政手続等改革部会を設置し、全庁的、横断的に検討を進めております。既に情報政策課と連携しまして、利用者が多い手続を中心に、電子申請の拡充に向けた作業に取り組んでおります。キャッシュレス化については、行政では導入事例が少ないということから、効率的な内部手続手法を区として確立していく必要があります。関係所管と連携して作業を進めております。
今後も区民等の利便性向上や、区の業務の効率化、感染症の感染拡大防止の観点から、行政のデジタル化の早期実現に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。
○委員(やなざわ亜紀君) 全庁一丸となってということで、心強いなと思います。国の方では、デジタル化を強力に推進していくために、デジタル庁が設置されることになりました。国から区への新たな指示というのはとても増えてくると思います。その動きや流れに後れを取らないように、また、区が先進的自治体となり国をリードしていけるよう、組織体制を構築して、部署の垣根を超えた連携の下、デジタル化に向けた取組をしっかりと進めていただきたいと思います。
また、これから教育分野においては、GIGAスクール構想も始まります。学校や教師の負担が明らかに増えてしまうことがないよう、特に通信速度が遅いとか、システムエラーが発生したとか、トラブルが出てくるのではないかなと思います。そんなときに行政側の強力なサポートが必要だと思いますので、教育委員会との一層の連携もお願いしたいと思います。
また、窓口の混雑を発生させない工夫として、窓口の混雑状況が確認できるシステムを導入するとのことです。これは、窓口の待ち人数をウェブ上で随時確認できるシステムとのことですが、区の窓口上に表示されるのでしょうか。それとも、自分が持っている
スマートフォンなどのアプリやメールなどで確認できるものなのでしょうか。また、混雑状況を確認できることも重要ですが、例えば予約システムなども導入すればよいかと思いますが、いかがでしょうか。お聞かせください。
○
芝地区総合支所区民課長(井上茂君) 各
地区総合支所区民課窓口の混雑状況をウェブ上で確認できる仕組みにつきましては、今年の12月中の運用開始を目指して準備を進めています。仕組みとしましては、窓口に設置している番号発券機の発券データを活用して、お手持ちの
スマートフォンやパソコンから区のホームページにアクセスしていただき、現在の待ち人数を確認することができるというものです。また、来庁者が集中する
芝地区総合支所区民課では、番号発券機から発券後にウェブメールやLINE等で順番が近くなったことをお知らせする、呼出し通知機能も付加する予定でいます。
予約システムの導入につきましては、手続によって受付時間が大きく違うことや、予約時間を超過した場合など課題はありますが、予約制になじみやすい手続は何か。また、受付時間にロスが生じない時間設定など、他自治体の運用も調査し、当区に合う方法を検討してまいります。
○委員(やなざわ亜紀君) ありがとうございます。コロナ禍で殺到した中小企業の融資申請とか、毎年混雑する保育園の相談といった部分が予約ができたらいいなと思います。
続いて、サイバーセキュリティーについてお伺いします。デジタル化を進めていく上では、区は大前提として、区民の名前や住所、金融機関などの個人情報が流出しないようにしなければなりません。また、区民の方が、安全が確保されていない区の二次サイトへのアクセスやフィッシング詐欺に遭ってしまう可能性も高まるのではないかなと懸念しています。安全をどのように確保していくのでしょうか。お聞かせください。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 区は、警視庁が進めている東京中小企業サイバーセキュリティー支援ネットワークの推進に協力しており、当該ネットワークには、情報技術の研究機関や企業も参画しております。当該ネットワークが発信する最新の情報やセキュリティー対策について、みんなと安全安心メールや青色防犯パトロール、ツイッター等を活用して積極的に情報発信し、区民への注意喚起を行っております。
○委員(やなざわ亜紀君) 前回の
決算特別委員会で、防御を重要視するサイバーセキュリティーから、攻撃手法の把握をするサイバーインテリジェンスというものが米国では主流であり、脅威となり得る情報を収集・分析・抽出するサイバーインテリジェンス企業と連携してはどうかという質問を私はいたしました。そのときに紹介した企業のケラ社によりますと、この8月、東京
オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるはずだった東京都は、ハッカーからの攻撃が飛び抜けて多かったようです。
そこで、区がデジタル化をさらに進めていくに当たっては、区民をサイバーの脅威から守る取組、啓発を今されているということでしたが、より強めていく必要があると思いますので、やはりサイバーインテリジェンス企業と連携すべきだと思います。いかがでしょうか。お聞かせください。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 区は、東京中小企業サイバーセキュリティー支援ネットワークの一環として、区内警察署、東京商工会議所港支部と港区サイバーセキュリティーに関する協定書を締結しております。今年度は、結果として
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため中止となりましたが、東京
オリンピック・パラリンピック競技大会開催前までに、協定に基づき中小事業者向けのサイバー攻撃対策セミナーを実施する予定としておりました。今後も関係機関と連携し、サイバー犯罪の脅威から区民等の安全・安心を確保する取組を推進してまいります。
○委員(やなざわ亜紀君) どんどんいろいろなところがデジタル化を進めていくということで、サイバーセキュリティーというのは、とにかく強化していくにこしたことはないと思いますし、いろいろ新たな脅威というのが生まれてくると思いますので、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
続いて、代表質問でも伺いました自動消毒ロボットについてです。ぜひ実施してほしいです、と質問をしたときに区長からは、ほかの機関が実施している実証実験の結果を確認して、導入可能な施設等の検討を進めてまいりますと、御答弁いただきました。地方公共団体の庁舎、駅、病院など、現在様々なところで行われています。私は代表質問のときも述べましたように、保育園や学校で早く導入して、少しでも先生方の負荷を減らして、子どもたちに向き合う時間を増やしてあげたいなと思います。難しいようであれば、まずは港区の庁舎からでもと思うのですが、どういった可能性がありますか。お聞かせください。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 消毒用ロボットの導入を検討するに当たり、当課において、早速実証実験をしている複数の事業者に確認したところ、対象物の高さによっては、消毒できない場合があること、階をまたぐ移動や通路の狭い施設、精密機器がある場所での移動が困難なことなど、本格運用に向けて複数の課題が生じていることを確認しております。引き続き区有施設の消毒の実施状況や他の実証実験の状況の把握に努め、区役所分庁舎に限らず、自動消毒ロボットの区有施設への導入の可能性について、検討してまいります。
○委員(やなざわ亜紀君) ありがとうございます。早速いろいろな会社で確認していただいたようで、感謝いたします。私が代表質問で紹介した会社の自動消毒ロボットは、自立歩行ができて、自分でエレベーターなどを上っていって、手すりなども細かく消毒してくれるようです。ぜひそういったところも一緒に視察に行けたらいいなと思います。よろしくお願いします。
最後の質問です。コロナ禍における区民調査についてという点でお伺いします。今定例会でも、何名かの議員より、独自の一律給付金について質疑がありました。私のところにも区民から要望が来ていましたので、声を届けるためにということでこの場で読み上げます。
今こそ港区でもコロナ対策の給付金をお願いします。在宅ワークでのコストや子どもの保育園登園自粛にも真面目に協力し、いろいろなコストがかかっています。教育費など支出も多いです。ボーナスは減りますが、塾代は変わりません。全ての区民、とりわけ子育て世帯に手厚い支援をお願いします。とのことです。
また、港区は、国や東京都の支援の窓口となっているものはもちろん多いのですが、自民党の山田美樹衆議院議員が作成している国と東京都と港区の主な
新型コロナウイルス感染症対策支援の表を見ましたら、港区独自の個人・世帯向けの支援というのは、エンジョイ・ディナー事業しかありません。その表によるとなので、現段階で違っていたらちょっと申し訳ありませんが、個人世帯向けの支援がもう少しあってもよいのではないかなと思いますし、恐らく区政に対し、我々の下にも支援が届いていないという声が、ほかにもたくさんあるかと思います。まずはそれを知る必要があるかと思います。
区長は、4月に75歳以上の高齢者約2万3,000人に対し、お困り事を相談いただくためのはがきを送付しました。これまで、それから得た声を対策や施策として結びつけてこられましたが、はがきやインターネット等で全世帯、全世帯が無理なら抽出するなどして、高齢者だけではなく子育て世帯も含む全世代の声を聴くなど、幅広く調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お聞かせください。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 区の
新型コロナウイルス感染症対策は、区民が求めている声と合致することが重要であり、そのためには、感染症対策で区民が何を求めているか、丁寧に聴くことが大切です。現在、区は、広聴制度や窓口、区政モニターアンケート、各種計画策定のための基礎調査におけるアンケート、港区政策創造研究所による調査などを実施し、多様な手段を用いて幅広い世代の区民からの御意見をお聴きした上で、そうした御意見の集約や分析を進めるなど、区として、より効果的な施策に反映できるよう検討を進めております。今後、委員御提案のはがきやインターネット等を用いた区民意識調査を含め、これまで以上に区民等が抱える課題や求めているニーズを把握できる仕組みについて、検討してまいります。
○委員(やなざわ亜紀君) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
質問を終わります。
○委員長(杉浦のりお君) やなざわ委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に榎本あゆみ委員。
○委員(榎本あゆみ君) まず、指定管理者制度について伺います。2003年の地方自治法の改正により、指定管理者制度が改正されました。港区においても現在210施設で指定管理者制度を導入しています。指定管理者制度については、私自身もこれまで質問を何度かしてまいりました。指定管理者制度そのものは、民間事業者の活力やノウハウを活用することで、経費の縮減や利用者のニーズに対応したきめ細かな質の高いサービスを提供することができるため、メリットが大きい反面、公平性、公正性、透明性に考慮した制度運用が求められます。利用者が安心して利用できるようにと、指定管理者制度が10年になった施設もあります。また、今回の
新型コロナウイルス感染症の影響により、指定期間が1年延びるなど、イレギュラーな対応もありました。
まずは、過去5年間で指定管理者選考をした件数のうち、新設された施設、要は新規の施設の数。これまで運営してきた事業者がそのまま継続した数。これまでとは違う新しい事業者が選定された、変更された数。それぞれの数、そして割合について伺います。
○
区役所改革担当課長・
特別定額給付金担当課長兼務(加藤豊君) 過去5年間の指定管理者の選考数と継続した事業者数、変更となった事業者数、新たに指定管理者制度を導入した施設の事業者数の割合は、選考数59件のうち、継続が47件、変更が3件、新規が9件。割合といたしましては、継続が80%、変更が5%、新規が15%となっております。
○委員(榎本あゆみ君) ありがとうございます。今、読み上げていただいたとおり、継続が80%、誰が見ても明らかに多いだろうというような数が出てきています。安定してサービスを提供するという意味において、継続が悪いと言っているわけではありませんが、あまりに新規参入の障壁が高くなっているように感じます。新しい業者に替わることが、今大変少ない。5%ということでありましたが、この現状について、区としてはどのように捉えているのか、伺います。
○
区役所改革担当課長・
特別定額給付金担当課長兼務(加藤豊君) 新しい事業者に替わることが少ない状況であることは事実でございますが、施設の適正な管理及び安定的な区民サービスの提供という観点から、公平・公正な選考過程を経て、従前の事業者が結果として選考されたものと考えております。ただし、事業者間の競争の下、様々な提案をいただくことは区民サービスのさらなる向上にもつながることから、施設所管課と情報共有を図りながら、多くの事業者が公募選考に参加していただけるよう、働きかけてまいります。
○委員(榎本あゆみ君) 施設の課題や地域特性など、内部のことや詳細などは、現在運営している事業者と新しくこれから応募してくる新規の事業者では、持っている情報格差がかなり大きいのではないかということは容易に想像できます。質問があれば、適宜資料などを区から提供しているということですが、より積極的に区から情報を提供していくべきだと思っています。以前、私が質問したときの答弁といたしまして、指定管理者を公募する際の情報提供については、応募者が実態を踏まえた具体的な提案ができるよう努めていると。さらに情報提供を工夫していくと。そういった答弁をいただいています。
やはり、どのような提案がされるか。これは利用者にそのままサービス向上として直結していくわけでございますから、事業者同士が切磋琢磨するためにも、新規事業者が受注できるというか、新規事業者がよい提案をできるような仕組みにしていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○
区役所改革担当課長・
特別定額給付金担当課長兼務(加藤豊君) 今年度公募いたしました精神障害者支援センターでは、公募要綱で施設の課題を提示した上で、公募説明会や施設見学会を開催して、施設や実施している事業の現状や、新たな施設で区が求めるべき事項について、情報提供を行っております。また、説明会や見学会を踏まえ、応募者から受けた質問と回答は公開して、共有しております。指定管理者の公募に当たっては、事業者同士が切磋琢磨し、新たな事業者であっても実態を踏まえた具体的提案ができるよう、引き続き丁寧な情報提供に努めてまいります。
○委員(榎本あゆみ君) 指定管理者制度は大変いい制度だとは思いますが、なるべくいい提案ができるようなものを、ぜひ進めていただきたいと思います。
続きまして、公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団が指定管理者となっている区有施設について、伺います。本財団への助成金として、2019年度の決算額は5億3,640万5,184円となりました。2016年の補助金を見てみますと、約3億9,930万円でした。その翌年、2017年が約4億2,226万円、2018年は約5億2,163万円と年々高くなっています。増額した理由の大きな1つは、2018年からMINATOシティハーフマラソンが開催されたということです。このハーフマラソンの決算額を見てみますと、2018年度そして2019年度も予算額が1億円、執行額も1億円と、ここの事業だけ1億円という非常にきれいな数字が並んでいたことを指摘しておきたいと思います。
まず初めに公益財団法人の情報公開について伺います。財団のホームページには、情報公開資料というページがあります。誰もが財団の財務状況や事業報告を見ることができるといった状況にあるべきなのですが、事業報告書は2018年度がアップされており、2019年度の報告書はまだ掲載されていません。また、第三者評価については、2012年以降は区が実施しているということですが、財団のホームページには2011年しか掲載されておらず、第三者評価がなされているのかどうか分かりづらい状況となっています。
さらに、今回質問をつくるに当たりまして財団の様々な資料の調査していたところ、2019年の事業報告書と決算書の収入の額が全然違っていることに気がつきました。指定管理事業の収入と事業費の数字が間違っていたということです。こういったことが起きていますが、これは本当は起きてはいけないことだと思っています。財団というのは、外郭団体であるものの、やはり区がきちんと管理していくべきであると思います。区として、この管理についてどうしているのか、伺います。
○
地域振興課長(櫻庭靖之君) このたびは、財団の不手際で財団のホームページで公開する資料が最新版に更新されておらず、誠に申し訳ございませんでした。区と財団は日頃から連携して、適正な事業運営に努めておりますが、財団のホームページで公開する資料については認識が不足しておりました。財団の情報公開規程においては、財団は、財団運営について区民等に説明する責任を果たし、財団経営に関する情報提供に誠実に対応しなければならないと規定されております。区としても、その情報は常に最新のものを公開しなければならないと認識しております。
今回の件は、区としても重大に受け止めております。今回、委員の御指摘を受けまして、区は財団に対し直ちにホームページの情報を更新するよう、申入れを行いました。今、委員からも御指摘がありましたが、分かりにくい情報も含めて、資料については既に更新させていただきました。今後は、このようなことがないよう財団を指導してまいります。
○委員(榎本あゆみ君) 財団が指定管理者となっているところがたくさんあります。区民センター、生涯学習センター、青山生涯学習館、これらの指定管理者として管理運営をしておりますが、今回、総務費ということで、区民センターについて質問させていただきます。財政レポートには、5つの施設合計における利用者1人当たりの区民税と一般財源額が計算されております。2016年から2019年度まで全部調べましたが、毎年上がり続けています。1人当たり1,167円から1,233円に、1294円に、そして2019年度は1,661円に上がっています。また、2019年決算でも、5施設の指定管理委託費合計は2億5,880万3,000円です。それに対し利用者合計は37万2,682人です。単純に利用者1人当たりの財源額は694.43円となり、こちらも2016年、17年、18年度は400円台だったことから見ると、経費が上がっていることは明らかです。
これは利用者数が減ってきているからなのですが、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、本年度も来年度以降どこまで利用人数が戻るかは未知数になっています。
新型コロナウイルス感染症の影響については触れましたが、そもそもこの区民センターの利用者数は減り続けています。2014年から2019年度まで、5つ全ての施設の利用者数について調べました。2014年は、5つの区民センターの利用人数合計が56万人を超えていました。そこから53万台、48万人台、46万人台、46万人台、そして39万人台と、この6年間で17万人以上も利用者が減っています。しかし、それに対し管理運営費は、指定管理料のほか、各
地区総合支所管理課による工事費を含むものの、2014年には2億3,317万2,500円でしたが、2019年には3億7,477万2,987円と、6年間で1.6倍となっています。
このように利用人数と管理運営費が比例しておらず、利用人数が減っても管理運営費が増額しています。区民センターの管理運営費について区が一括して管理しておらず、各支所の管理課が管轄しており、統一的な基準が特にありません。利用人数が減っている中、管理運営費が上がっていることは適正だと区は考えているのでしょうか。また、適正な管理運営費について、どう考えているのか、伺います。
○
芝浦港南地区総合支所副総合支所長・
芝浦港南地区総合支所管理課長兼務(山本隆司君) 各区民センターでは、施設を安全に維持管理するため、築年数や設備等の状況に応じて各種の改修工事を実施し、その経費を管理運営費として計上しています。例えば、芝浦港南地区の区民センターでは、令和元年度に長期保全計画等に伴う劣化改修工事として、天井の耐震化改修工事を実施しております。また、空調設備の改修工事や防災監視盤の更新工事も実施しており、これらの工事だけでも、指定管理料とは別に1億円を超える経費がかかっております。最近では区民センターの利用者数は減少しておりますが、管理運営経費は区有施設の経年劣化等により、逆に増加傾向にあります。
今後は、区民の皆さんに施設の改修工事の必要性等について御理解をいただけるよう、より適正な管理運営を進めるとともに、さらに多くの皆さんに御利用いただくため、施設管理者とともに創意工夫し、より一層魅力ある区民センターづくりに努めてまいります。
○委員(榎本あゆみ君) もちろん工事費というのは必要ですが、6年間で17万人以上も利用者が減っているということは、これはもう明らかに減っている。これはもっと工夫の余地があるのかもしれないですし、この区民センター自体を見直さなくてはいけないと私は思っています。
最後に、新年あいさつ交歓会について、伺います。新年あいさつ交歓会、これを質問しようと思いました。それに当たり、一体これはいつから始まったのか、今年で何回目なのかといったことを知りたいと思いました。調べてほしいとお願いしたところ、昭和31年に開催していたことは広報誌を通じて確認できたが、いつからスタートしたのか、どのような運営をしてきたのかなどといった資料は一切残っていなそうであるといった回答が来て、非常に驚きました。
質問です。千代田区では、全町会長懇談会の在り方について問題視され、ニュースでも報道されています。これは町会長や区職員らが、地域活動に関する情報を共有する目的で、研修と合わせて毎年1度実施。会場は区内のホテルで、予算規模は1回約350万円。参加者の飲食費が、1人9,000円から1万2,000円、会場費などを含めると、1人当たり約1万5,000円かかり、さらに町会長だけでなく配偶者も招いたこともあり、問題視されています。
港区でも毎年1月に新年あいさつ交歓会をホテルで開催しており、2019年は2,375人を招待、940人が出席しました。決算額は、千代田区のおよそ倍に当たる616万7,745円で、うち約550万円をプリンスホテルに業務委託しています。業務委託費の内訳は、およそ会場費と飲食費が占めているということです。
まず、効果についてです。千代田区では、支出額や御夫婦での参加が問題視されていました。千代田区では、町会長という顔が分かる方のみの出席ですが、港区では、招待状を受け取った人が誰か別な人にその招待状を譲ることが可能であり、実際に誰が出席しているのか把握が難しい状況となっています。そのような中で、区として、どこまで効果があると考えているのか、伺います。
○総務課長(荒川正行君) 新年あいさつ交歓会は、区政に御協力いただいている町会・自治会、商店会を中心とした団体の代表者の方々をはじめ、民生委員・児童委員や消防団など、各分野で活躍されている方や外国の大使の方など、900名以上が一堂に集まる貴重な機会でございます。皆さんで新年を祝うとともに、区長をはじめ特別職、部長など幹部職員が出席者の意見を伺うことができ、地域や分野を超えた参加者相互の交流や親睦も図られていることから、大変有意義であると考えてございます。
○委員(榎本あゆみ君) 次に出席者の毎年の重複について、伺います。新年あいさつ交歓会は、今、課長がおっしゃいましたが、区が日頃からお世話になっている方々を招待して感謝を伝える場、そして交流などをする場であるということですが、個人を招待するのではなく、各種団体の方々を招待しているため、参加者をきちんと把握することが十分にできていません。町会・自治会から273人、社会福祉協議会や明るい選挙推進協議会など協議会から246人、防災会議や男女平等参画推進会議など会議体からは235人、交通安全協会や防犯協会など協会からが160人、民生委員・児童委員が148人と、ここまでの招待者で約45%、約半分を占めています。
各種団体を紹介しているわけですが、多くはトップの方、またはナンバー2など役員の方が参加されており、多くは同じ方が参加しているのではないでしょうか。毎年、新しく招待している方の比率がどれぐらいいるのか。また、同じ方を毎年招待し続けていることに関しての見解を伺います。
○総務課長(荒川正行君) 新たな招待者につきましては、平成29年度は前の年度と比べ約50団体の増、平成30年度は前の年度と比べ約100団体の増、令和元年度につきましてはMINATOシティハーフマラソンの協賛企業をはじめ、前の年度と比べ約80団体が増加しており、新たな招待者は、おおむね毎年招待者全体の2%から4%を占めている状況でございます。また、同じ招待者を毎年招待することにつきましては、役員の方の交代があることや、新しい方も参加することなどから、本事業の目的の参加者相互の親睦を深め、協力関係の強化のためには必要であると考えてございます。
○委員(榎本あゆみ君) 今、新しい団体が全体の2から4%であるということで、これが多いか少ないかというのは難しい判断ではありますが、私は少ないと思っています。
今後の招待者の見直しについて、最後に伺います。個人として区に貢献している方というのはたくさんいらっしゃるかと思います。団体に所属していなくても個人で貢献してくださっている方はたくさんいらっしゃると思います。例えば私からの提案としましては、今後は、毎年1年ごとにいろいろなテーマを持って、こういう方を招待したいということを所管ごとに探していただいたり、より多く区に携わっている方たち、いろいろな方に出席していただけるような交歓会というのもあり得るのではないかなと思います。招待者の見直しといったところについて、見解を伺います。
○総務課長(荒川正行君) 現在、招待者は毎年度、各部署に関わりの深い団体や個人を調査し、各部署の推薦を受けて招待してございます。今後も地域で活躍されている方や区のために御尽力いただいている方々に、より多く御参加いただけるよう各部署に働きかけてまいります。
○委員(榎本あゆみ君) また、民生費の方でも、高齢者の集いとの重複といったところも質問したいとは思っています。新年あいさつ交歓会という特定の方たちが参加するもので、参加者を把握していない、できていないといったことも非常に大きな問題かなと思っています。
千代田区でもこれだけ問題視されている中で、港区は、今後どういう在り方をしていくのかというのは、きちんと考えて指針を出すべきだと思っています。そして、これはいつスタートして、今回何回目なのか。こういったことを把握する必要がないという区の姿勢なのかもしれませんが、やはりどういった経緯でこれをやってきたものなのかといったものは、きちんと何か資料があるべきなのかなと思っています。
この新年あいさつ交歓会がクローズドではなく、もっとオープンな、区民の方の誰もがここに参加できるようなものになるべきだと私は思っていますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○委員長(杉浦のりお君) 榎本あゆみ委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次になかね委員。
○委員(なかね大君) よろしくお願いいたします。
私からは、防災士の育成について質問させていただきます。区では、平成27年度から防災士の育成事業に取り組んでこられ、6年間の事業計画が令和2年度で終了いたします。頻発する風水害や首都直下地震などの大震災が起こる懸念がある中、区民の間では防災・減災への意識が高まっていると感じております。地域では、防災訓練が地区防災協議会や町会・自治会など様々な単位で行われ、防災への意識啓発や情報への周知に取り組んでおられますが、取組が進むにつれ、課題も出てきていると感じております。
例えば避難所の運営の仕方や、避難行動の周知、災害時要配慮者の避難支援、マンション防災、帰宅困難者対策など多岐にわたっており、こうした諸課題を解決するためにも、地域の防災リーダーとして区が育成に取り組んでこられた防災士の存在がますます大きくなっていると思います。そこで初めにお伺いします。令和2年度で1,000名の防災士の育成を目標とされておりましたが、これまでの進捗状況をまず教えてください。
○防災課長(鈴木健君) 令和2年3月31日までの防災士資格取得者は、874名となっております。今年度に約130人を対象とした防災士養成講座を予定しており、累計で1,000名となる見込みです。
○委員(なかね大君) ありがとうございます。今年の初めから養成講座がある予定の中、
新型コロナウイルス感染症の影響で試験自体がなかなか行われていないという状況の中で、1,000名の達成がどうかということが心配されておりました。ぜひ、この1,000名の達成を目指して進めていただきたいなと感じております。
昨年9月の平成30
年度決算特別委員会でも、私はこの防災士の育成について質問させていただきました。その中で、1,000名の防災士の誕生を目標とされた根拠と、防災士と地域とのマッチングが課題であると考えておりまして、そのことについて質問させていただきます。防災士1,000名を目指す根拠として、地域の防災消防関連の251団体にそれぞれ3名から4名の防災士が参加し、各地域で防災リーダーとして活躍していただくことを目指していると、お答えいただきました。また、防災士が地域の防災組織とマッチングを図るため、年2回開催の防災士有資格者向けの研修会のワークショップで、防災士資格取得者の居住する地域ごとにグループ分けを行い、同じ地域の町会・自治会や
地域防災協議会からの参加者に活動紹介をしてもらい情報交換するなど、研修会をきっかけに各地域との関わりを持つことができるよう取り組んでいきますという御答弁をいただいております。
実際、これまでこの研修会に参加した方が、地域の防災組織の方とマッチングができたケースもあり、大変評価できる取組ではあります。しかし、現在、
新型コロナウイルス感染症に伴い、研修会の形も変わってまいりました。今年の8月に行われました研修会は、オンラインを活用しての開催となりました。そのためにワークショップが行えず、マッチングを図るのも大変難しい状況にあるのではないかと思っております。また、
新型コロナウイルス感染症が終息した後も、オンラインでの開催が主流になるということも考えられます。こうした状況の中で、防災士と地域とのマッチングを今後どのように取り組んでいこうと考えていらっしゃるか教えてください。
○防災課長(鈴木健君) 令和2年9月に開催した防災講演会では、オンラインツールを活用したワークショップを実施し、それぞれが作成したワークシートの内容について、グループごとに分かれて活発な意見交換をすることができました。今後、防災士有資格者向け研修会についても、オンラインツールの使用を予定しております。遠隔でも交流を図れるオンラインの長所を活用し、防災士と防災組織がつながる機会を設けられるよう、工夫してまいります。
○委員(なかね大君) オンラインでもワークショップができるということで、大変驚きました。今回、私もオンラインでの研修会に参加させていただきましたが、新しい発見がありました。今までは、スクール型で研修を受けていたのですが、研修に参加すると、前の方は背中しか見えません。ただ、今回画面上で受けていると、参加者の顔が対面で見られるということが新しいなと思いました。今回参加していて、地域の方で、この方も防災士なんだということを新たに発見することができました。そういう新たな発見もあるということもありますし、今後そういうことをチャンスに捉えて、ぜひ、地域と防災士とのマッチングを図っていただきたいなと考えております。
先ほど述べました平成30年度の
決算特別委員会の質疑の中で、御答弁では、目標達成後についてお話をいただいております。目標値達成後の取組については、1,000名の防災士の地域の防災活動への積極的な参加を促進するほか、さらなる防災士の養成も含め、地域の防災力向上につながる施策・事業を検討してまいりますと、御答弁をいただいています。これまで目標とされてきた1,000名の防災士は、特に地域の防災組織への配置を想定して取り組まれておりますが、今定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたように、高齢者・障がい者等の福祉施設の防災力強化が新たな課題ではないかと考えております。そうした施設管理者への防災士資格の取得を促すなど、さらなる防災士育成に区が積極的に取り組む必要があると考えます。
また、港区の防災対策の中で大きな課題は、やはりマンション防災ではないかと考えております。住宅総数の約9割が集合住宅であり、そのうち46.2%が11階以上にお住まいの方であるのが港区の特性であると思います。マンション住民は町会や自治会との関わりが大変薄く、防災に対する取組にもギャップがあります。先日、私が住むマンションの住民の方から、避難所でマンションの住民を受け入れてくれないと聞いたが、どういうことかという問合せがありました。
それに対して、港区では、基本的にはマンションの住民には在宅避難が推奨されており、倒壊の危険がない場合は、不自由な避難所よりも慣れた自宅での生活の方が安心であること。また、そのためには、食料の備蓄、簡易トイレの備蓄や、代替電力やガスコンロなどの必要性をお話しし、納得していただきました。しかし、こういうことからも、まだまだこういったことの周知が足りていないなと感じた次第であります。
港区では、区の職員や防災アドバイザーを派遣し、マンションの防災組織の設置等、防災力向上のための取組を進めておられます。その中で、現在のマンション防災に関する課題も見えてきているのではないでしょうか。防災士の中にはマンションに居住している方も多くいらっしゃると思います。例えばそうした防災士に対し、防災アドバイザーがマンションを見て回ったときの課題や必要な取組などを研修会を通して発信し、マンションに住む防災士の意識啓発につなげ、マンションの防災組織設置に関わっていただくような啓蒙を行っていくことも必要ではないかと考えます。
質問は、新たな港区基本計画がスタートする来年度以降、今後、防災士の育成に対してどのような施策を考えていらっしゃるか、教えてください。
○防災課長(鈴木健君) 令和元年度に防災士向けに実施した活動状況等に関するアンケート調査では、防災士としての活動が難しい理由として、多忙である、機会がないといった時間的制約を理由とする声がありました。一方、防災士の資格を活用している場面として、防災住民組織や
地域防災協議会、区と協定を締結している事業者内で知識等を還元しているという声がありました。これらアンケート結果を基に、今、防災士が置かれている状況を踏まえ、オンラインを活用した研修会の開催や、地域の防災訓練、防災関連のイベントへの橋渡しなど、育成した1,000名の防災士を実践の場で生かしていくための取組を推進してまいります。
○委員(なかね大君) ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいなと思います。
最後になりますが、言うまでもなく防災の基本は、自助と共助の力にあります。それは、いざというときに自分には何ができるのかという意識の変革の中に現れるものであると思います。一人一人の意識変革を地道に進めていくところに防災力を向上させる鍵があると信じてやみません。そうした意識啓発のためにも、防災士の存在は非常に大きいと思います。むしろ、区が積極的に防災士の存在意義を広く周知すべきだと思います。ぜひ港区の防災力向上のためにも、今後も引き続き防災士の育成に注力いただきたいことを要望申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(杉浦のりお君) なかね委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に鈴木委員。
○委員(鈴木たかや君) よろしくお願いいたします。
コロナ禍での情報発信について、お伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症が区民生活に大きな影響を与えたことは承知のとおりです。厚生労働省からも自分に合ったそれぞれの新しい生活様式を実践するよう発表されるなど、これまでの当たり前が通用しなくなりました。今回のウイルスの怖さは、本当のところどうなのか。正解が分からないことが大きいと思います。こうすれば大丈夫という解決方法がないために、もし感染してしまったらどうなるのか分からない。また、症状がなくても感染していて、ほかの人への被害を与えてしまったらどうしようなど、不安な要素ばかりが語られて、結局他人との接触をしないでじっとしているしかないという判断になってしまうケースが少なくないのだと思います。
自民党議員団の代表質問でも取り上げていますが、感染を恐れるあまり、ずっと家に籠もってワイドショーばかり見ていると、恐怖ばかりが大きくなってしまいます。その結果、情報弱者と言われる、特に独り暮らしの高齢者への影響は大きなものがあると考えます。
港区として、
新型コロナウイルス感染症対策として、広報みなとの臨時号の全戸配付や、最近では区長自らユーチューブの発信をしたり、みなと保健所の感染症専門アドバイザーの方の講座など様々取り組んできておられます。今回の対策として、日本全国の各自治体が、それぞれの考えの下で取組をしてきています。それらの中には学ぶべき良いところがたくさんあるだろうと思います。各自治体の動きも検証しながら、次なる一歩を踏み出していただきたいと考えますが、区としてのお考えをお聞かせください。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 区は、これまで広報みなとのみならずデジタルサイネージやツイッター等の多様な広報媒体を活用するほか、ふれあい相談員による独り暮らし高齢者等への電話相談の際、感染症に関する相談に応じるなど、区民等に向けた正しい情報を丁寧かつ積極的に発信してまいりました。区民等が、感染症に関する正しい情報を得ることによって、生活への不安が少しでも払拭できるよう、委員御提案の様々な工夫を凝らしている他自治体の情報発信の手法を研究するとともに、今後、広報やPRに知見のある専門家をアドバイザーとして設置する準備を進めるなど、区の感染症専門アドバイザーの意見も踏まえながら、より効果的に情報発信できる手法について、検討してまいります。
○委員(鈴木たかや君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。今の答弁を聞いていても思うのですが、
新型コロナウイルス感染症対策については、自治体によって温度差があったり、取組に違いがあったりしています。例えば、緊急事態宣言が出た直後に、市長自らユーチューブに出て、現状はどういうことなのかと語られる方もいました。それぞれ得手不得手があるのでいろいろあるのでしょうけれども、1つ思うのは、おじいちゃんやおばあちゃんのところには、やはりユーチューブというのはなかなか届かないかなと思っております。人間が人と触れ合うことができない、一人でいると不安になってくる部分というのはとても大きいのだと、改めて思いました。
オンライン会議で顔が見えるようにするというのは非常に大切なことなのですが、接触することができないことのリスクというのはあります。やはり実際に会って話すことができないというのはどうなのだろうなということだと思うのです。
今後いろいろなことを研究していかなければいけないのだろうと思いますが、私の町会では、この9月に敬老祭がございました。氏神様のところで毎年やっているのですが、町内のおじいちゃん、おばあちゃんにお祝いを届けるという行為について、コロナ禍だからどうしようという議論がいろいろありました。祭礼はどこも軒並み中止しているのですが、うちの氏神はすぐそこにある芝大神宮ですが、敬老祭だけはとにかく何があってもやろうということになりました。そこにもちろん賛同して、町会全員で、町会のおじいちゃんやおばあちゃんのところにお祝いの品を届けました。やはり実際に会って話をする中で、このときはこんなに不安だったとか、いろいろな話があったろうと思います。
そういうことの大切さをどうやってつくり出していくかというのはなかなか難しいのだと思います。区長さんがツイッターを始められて、ユーチューブで配信をされるというのも、それをどう届けるかということがやはり大切なことなのだろうと思います。ワイドショーの感染者数だけを見ていたり、こんなに怖いんだ、今日は何人死んでしまったといったことばかり聞いていたら、おかしなふうになってしまうのだなと改めて思いました。そこを解消できるのは、やはり信頼できる情報を発信できる区しかないのだという気概を持ってやっていってもらいたいと思います。
少し余談になりますが、議会費でもタブレットの話をしましたが、うちの町会は、役員会が半年ぐらいできませんでした。先日の役員会では、この間をどうやってしのごうかということで、町会の役員さんでタブレットを共有して、オンラインで役員会をやったらいいのではないかという話も出ています。港区が町会・自治会活動応援個別プログラムというのをやってくださっています。うちは手を挙げてやっていますが、そこでいろいろなことを話し合って検討していく中で出てきたテーマというか、これからやっていこうかなという試みです。
恐らく区にはそういうことは届かないので、町会・自治会活動応援個別プログラムというのが、何をしていて、どんな結果が出ているのだというのは、事業者さんの結果の報告にあるのでしょうけれど、そこに出てこなくても、いろいろな付随して生まれていることがあって、何かをやるということがやはり大事なんだなと、今、改めて思っています。
話がまとまらなくなっていってしまっていますが、ぜひ、いろいろなことを港区から発信していっていただきたい。みんなを孤立させないような努力をしていただきたいと思います。それに町会なども合わせて動いていますので、いろいろな声を聴いていただいて、さらに協力をしていただければありがたいと考えております。
次は、公文書の管理と活用について質問させていただきます。今年も台風シーズンを迎えて、9月の上旬に九州地方に接近した台風10号は、記録的な暴風雨で各地に被害をもたらしました。事前の気象省からの警戒の呼びかけが話題になりましたが、厳重な警戒があったからこそ、被害が食い止められたことも考えられると思います。備えあれば憂いなし。積極的に事前の備えをしていかなければならないと、改めて思っております。
今回、質問に取り上げさせていただきたいと考えた公文書の管理と活用については、議会費でも取り上げました。公文書などの重要な書類の電子化を含めた保管についてでございます。近年、大型の台風やゲリラ豪雨などで浸水被害が大きく起こる中、昨年10月には、首都圏に接近した台風19号は、世田谷区、大田区などに大きな浸水被害をもたらしました。港区においては、令和元年9月に浸水ハザードマップを改定しましたが、これによると、港区役所本庁舎があるこの芝公園エリアは、浸水の被害が及ぶおそれがあると考えられています。
私は、この区議会議員の仕事を始めて間もない頃、東日本大震災の直後ということもあって、大船渡市役所に伺ったことがございます。その際に市の大切な書類を含めたデータが、津波の被害に遭って流されてしまって大変だというお話を聞きました。港区においては既に対策を始めておって、区有施設の浸水対策強化が始まっていると聞いております。有事の際に区の機能が止まることのないように万全の備えをしていただきたいと思います。一方で、本庁舎地下の書庫に保管されている重要書類は、浸水対策が完了するまでの間、場所を移動するようにしているということです。この際これらの活用やデータの安全の確保も考えて、文書の電子化を含めた検討をするべきと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
○総務課長(荒川正行君) 区では、効率的に文書を管理するため、文書の起案、決裁など、一連の処理を電化した文書管理システムを平成18年度に導入し、文書管理の大半を電子化しております。一方で、証拠書類として保存しておく必要がある補助金の申請書や契約書などの一部の文書については、紙で保管している状況でございます。今後このような紙の文書について、国の動向なども踏まえ、有効活用や安全性の確保の観点から、電子化を含めた適切な管理方法を検討してまいります。
○委員(鈴木たかや君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。大船渡市の人がすごく困った顔で話されていたので、強く記憶に残っています。と同時に、議員という仕事をいただいて何も知らなかったときでしたので、そんなに簡単になくなってしまうものなのかと。役所の情報というのは、みんな横のつながりがあって共有されているものだと勝手に思っていたので、ここの役所が被害に遭ったら全部なくなってしまうということに、正直ちょっとびっくりしました。
クラウドなどが進んで、デジタルで保存するということのコストも非常に下がってきております。ただ、1つ懸念されることは、そうはいっても、やはり書類を電子化するというのは大変なお金がかかるということです。議会が持っている書類を電子化するだけでも、こんなにかかってしまうのというぐらいのお金がかかるのだということが、この間、質問するに当たって調べていて分かりました。なので、港区役所全般のことをやろうと思ったら、とても大変なことなのだろうと思いますが、だからといって、被害は待ってくれないわけですから、どのタイミングでやるかということ、何を大事にしてやっていくか。今、大半のデータは電子化されているということです。順番をつけてやっていくことが正しいのかどうかはお任せしますが、残りのデータは大切な順番にデジタル化して、保存できるようにしていただきたいと思います。
浸水ハザードマップは1,000年に1度の被害を想定しているものだから大丈夫という声もありますが、1,000年に1度でも、やはりあるかもしれないことには備えをしていかなければいけないと思います。昨日も防災協議会でやはりそんな議論になって、やれることはやっておこうという流れでみんな動くわけですから、ぜひやっていただきたいなと思います。
質問は以上です。よろしくお願いいたします。
○委員長(杉浦のりお君) 鈴木委員の発言は終わりました。
議事の運営上、暫時休憩といたします。再開予定は、3時15分といたします。
午後 2時54分 休憩
午後 3時15分 再開
○委員長(杉浦のりお君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。歳出第2款総務費の質疑を続行いたします。
初めに山野井委員。
○委員(山野井つよし君) 区民協働スペースの改善について、質問させていただきたいと思います。これまで、区民協働スペースは利用率の向上が課題となっていました。平成29年度は、全体の利用率は42.9%だったのに対し、平成30年度は45.6%、令和元年度は47.2%と、徐々にですが上がってきています。さらなる利用率の向上を目指して質問させていただきます。
まず、区民協働スペース内のWi−Fi環境の整備についてです。議会費から私も含め、様々な委員の方がICTの推進を取り上げていらっしゃるように、インターネットの普及に伴いWi−Fi環境の整備が急務であるということで、区はMINATO City Wi−Fiを平成28年9月からスタート、昨年の11月には、新たに3か所アクセスポイントを追加するなど、順次拡大していただいております。
しかし残念ながら、総合支所内の区民協働スペースはMINATO City Wi−Fiが入るのですが、その支所内の区民協働スペースを除いて、いまだ多くの区民協働スペースにはWi−Fi環境の整備がされていない実情があります。特にコロナ禍でウェブ会議などの需要も高まる中、Wi−Fi環境の整備は必要です。区民協働スペース内へのWi−Fi環境の整備を御検討いただきたいと思いますが、区のお考えをお聞かせください。
○
地域振興課長(櫻庭靖之君) 区では、防災や観光等の情報を提供するため、平成28年9月から公衆無線LANのMINATO City Wi−Fiを開始し、その後、区有施設においても実施可能な施設から、順次Wi−Fiの整備を進めてまいりました。委員からの御質問のとおり、コロナ禍においては、区民協働スペースでもオンライン会議等が快適に行える環境整備を行うことは、ウイルスの感染拡大を防止し、今後の新しい生活様式に合ったものと考えております。また、利用団体からの要望等も出されていることから、今後、区民協働スペースへのMINATO City Wi−Fiの導入を検討してまいります。
○委員(山野井つよし君) よろしくお願いいたします。
また、区民協働スペースの利用率に関してですが、中でも利用率が著しく低い施設、例えば高輪
地区総合支所内の区民協働スペースなどは、平成30年度が1.2%、昨年度が3.3%と極めて低い状況にあります。こうしたところは、もはや一定の役割は終えつつあるのかなと考えてよろしいのではないかと思います。もちろん地域の方々、利用者の方々と相談した上で、必要ないということであれば整理をしていくということも考えていく必要があるのかなと思いますので、併せてよろしくお願いいたします。
次に、区民協働スペースの中でも、愛宕区民協働スペースと芝区民協働スペースの利便性の向上について、お伺いいたします。現在14か所ある区民協働スペースのうち、愛宕区民協働スペースと芝区民協働スペースの2か所は、建物内に管理している方が常駐していないため、利用者は鍵を事前に
芝地区総合支所管理課へ取りに行かなければなりません。特に土日祝日の利用となりますと、前日もしくは近い日の平日の開庁時間に
芝地区総合支所管理課に取りに行かなければならず、一日では事が足りないといった状況があります。区民協働スペース近くの区有施設で鍵の管理をするなど工夫をしていただければ、より利用者の利便性は向上するのではないかと思います。区のお考えをお聞かせください。
○
芝地区総合支所副総合支所長・
芝地区総合支所管理課長兼務(高嶋慶一君) 現在、区民協働スペースの存在が広く周知されてきた結果、区と協働している団体の利用が広がっており、鍵の受渡しなどについて、一部の施設で御利用団体にお手間を取らせる状況は承知してございます。委員御指摘の愛宕と芝の区民協働スペースは民間ビルに設置しているため、現在管理人を置いてございません。そのような区民協働スペースの利用に係る鍵の受渡しにつきましては、御利用団体の利便性向上の面から、改善の余地があると考えてございます。委員御提案のように、例えば週休日でも開館してございます近隣の施設で鍵の受渡しができないかなど、今後、改善策を検討してまいります。
○委員(山野井つよし君) よろしくお願いいたします。
次に、避難所の施設内でのテントの活用について、伺います。避難所となっている学校、とりわけ体育館の多くは断熱構造にはなっておらず、冬は大変寒くなってしまいます。体育館は空間が広いために、空気がその中を動いてしまい、断熱になかなかならないからです。そのため、例えばイタリアなどでは、テントが運ばれてくるとともに、体育館などの室内にもこのテントを張ります。熱伝導率が低いので、テント外部からの冷気も遮るとともに、テントの内部の空気は動きにくくなるので、テント内にもある空気も断熱材になり、暖かさを維持することができるということです。また、テントはプライバシーの確保にも役立ちます。
そこで、テントを避難所に導入してほしいと、昨年の
決算特別委員会で質問させていただいたところ、調査・研究をしていくとの御答弁でした。その後、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、避難所の施設内へのテントの設置は断熱対策やプライバシーの確保だけではなく、こういった新型コロナウイルスなどの各種感染症対策にも有効であるということが分かりました。こうした感染症対策から出水時の避難所の室内にテントを配備しているとお聞きしております。そこで、お伺いいたします。出水時の避難所だけでなく、震災時の避難所、区民避難所や福祉避難所にもテントの設置を御検討いただきたいと思いますが、改めて区のお考えをお聞かせください。
○防災課長(鈴木健君) 区は、避難所の環境改善を図るため、暑さ対策としての冷風機等の配備や、プライバシー確保のための間仕切りパーティションの確保に取り組んでおります。また、今年度は、感染症対策として、風水害時に区民避難所を開設するいきいきプラザ等19施設に室内用テントを配備し、専用スペースを設けることで、発熱等の症状がある避難者や、避難中に発熱等の症状が出た避難者と一般の避難者との間で、動線が交わらないように運営することとしております。今後は、震災等の大規模災害が発生した場合を想定し、福祉避難所を含む全ての避難所に、感染症対策としてテントを配備していく必要があると考えております。引き続き避難所における環境改善及び感染症対策に取り組んでまいります。
○委員(山野井つよし君) ぜひよろしくお願いいたします。また、感染症対策としてということでしたが、感染症対策だけではなく、断熱といった寒さ対策にもなるということがございますので、そういったことも併せて御検討いただければなと思っております。
また、ここ数年、皆さん御存じでしょうか。キャンプブームでございます。特に
新型コロナウイルス感染症の感染拡大後は野外でということで、注目を集めております。そういった中で、様々なキャンプ用品も販売されております。袋から出すだけでぽんと立ち上がるポップアップタイプのテントや、傘のように簡単に開くことのできるワンタッチタイプのテントなどが、1万円以下で購入できるようでございます。こういったものも参考にしながら、場所の確保という問題もあろうかと思いますが、1つでも多く整備していっていただければなと思います。
以上で質問を終わります。
○委員長(杉浦のりお君) 山野井委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に丸山委員。
○委員(丸山たかのり君) 初めに、地域未来構想20を踏まえた区の取組について、2点伺います。
1点目として、予算編成の方向性についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた新しい生活様式への転換が示されております。内閣府は、国の第2次補正予算で確保した地方創生臨時交付金2兆円のうち、新しい生活様式等への対応分について、都道府県別4,000億円、区市町村別6,000億円の計1兆円を上限に交付することとしております。交付金の活用においては、地域の社会経済構造そのものを将来の感染症リスクに対しても強靱なものへと変革する観点から、20の重点政策分野、地域未来構想20を提示しており、行政IT化やキャッシュレス、新たな暮らしのスタイルの確立などが示されております。
港区ではこうした取組の基礎となるICTの活用について、今回の令和元年度決算でも成果を上げられており、また、この交付金についても、学校におけるタブレット利用等の取組に活用するとのことです。そこで初めに、これまでの取組や地域未来構想20が示す新たな生活様式への対応も踏まえ、今後の予算編成にどのように取り組んでいくのか、方向性をお伺いいたします。
○財政課長(若杉健次君) 区は、これまでAIやRPAなどICT活用を全国自治体に先駆けて進めてまいりました。令和3年度予算編制に当たりましては、これまでのICT活用による成果や、委員御紹介の地域未来構想20が示す新しい生活様式への対応も含め、いち早く導入いたしましたマイナポータルの活用もきっかけとした行政手続のオンライン化やキャッシュレス決済の拡充、オンライン教育の推進に取り組んでまいります。
Society5.0やデジタルトランスフォーメーションといった社会変革の流れを意識しつつ、ICTの導入を積極的に進める港区らしいこうした施策についても、新しい時代に対応した区民サービスへの転換として重点施策と定め、区民とともに明るい未来を築き上げる予算として、予算編成を進めてまいります。
○委員(丸山たかのり君) 先駆的に取り組んでこられて、今後もしかるべく推進されていくということがよく分かりました。ぜひよろしくお願いいたします。
2点目として、専門人材の活用による行政のデジタル化について、お伺いいたします。地域未来構想20の中で、特にキャッシュレスや行政手続のオンライン化など行政のデジタル化は、行政サービスの効率化や質の向上を図るために大変重要です。マイナンバーカードを通じた行政手続の拡充なども予定されており、区としてもさらなるデジタル化に取り組むべきです。
内閣府は、地域未来構想20の取組を強力に推進するため、地域未来構想20オープンラボを設置いたしました。オープンラボでは、地方公共団体が取り組みたい分野を登録すると、当該分野の専門家と提供可能な技術、ノウハウ、当該分野の関係省庁と活用可能な支援策をマッチングしてくれます。港区ではこのオープンラボには登録しておりませんが、質問は、区としてどのような専門人材等を活用し、地域未来構想20における行政のデジタル化に取り組むつもりか、お伺いいたします。
○
情報政策課長(西川杉菜君) 区は、情報政策を統轄する区長を補佐する役職としまして、情報通信技術の専門人材である情報政策監を登用してございます。情報政策監には、港区情報化計画策定に係る助言、システム調達の際の技術的助言、情報通信技術を担う職員の育成に関する助言等の役割を担っていただきながら、区は全庁挙げてICT施策を推進しております。また、区は、昨年度実施いたしました港区オープンデータアプリコンテストや、今年度から始まりました5Gカンファレンス等の取組におきまして、ICT事業者や教育機関等から助言や提案を受けるなど、各分野における専門人材の知見も活用してございます。
今後も区内のICT事業者や教育機関が数多く立地する港区の強みを生かしまして、ICTエンジニア、ICTスキルを持つ区民や学生、さらに他の自治体等と連携しながら、地域未来構想20に掲げるキャッシュレスや行政IT化をはじめとする行政のデジタル化に向け、積極的に取り組んでまいります。
○委員(丸山たかのり君) 分かりました。本当に港区はそういった専門人材が大変多いという特徴のある区でありますので、その区内の人材をぜひ活用していただいて、力強く進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、被災者アセスメント調査票について、お伺いいたします。区民の約9割がマンション住まいの港区では、避難所だけでなく、自宅など避難所以外の避難者の状況も把握することが大変重要です。厚生労働省と内閣府のワーキンググループは、被災者支援に関わる現場関係者の経験と知恵が凝縮した被災者アセスメント調査票を作成し、本年5月7日に各自治体に対し情報提供いたしました。この調査票を用いることで、在宅避難者を含め、避難者全体の状況が大まかではあるものの把握できるようになり、避難者の受付窓口、災害時要配慮者名簿などを基にした家庭訪問、見守り活動をする際に活用することが想定されております。併せて、今までばらばらだった帳票が1つになり、効果的な支援や事務負担軽減にもつながります。港区でも、この被災者アセスメント調査票を積極的に活用すべきと考えますが、区のお考えをお伺いいたします。
○防災課長(鈴木健君) 国から示された被災者アセスメント調査票は、避難所での受付や家庭訪問、見守り活動等、医療、保健、福祉関係者が被災者支援に携わる際に、統一様式で横断的に被災状況を把握できる有効なツールです。今後、被災者アセスメント調査票の活用については、個人情報の調査方法や支援体制の構築、支援者間での共有方法など、実際の運用に向けた課題を整理しながら、効果的に活用できるよう検討してまいります。
○委員(丸山たかのり君) 分かりました。
今回紹介したのは被災者アセスメント調査票ですが、同じく厚生労働省と内閣府のワーキンググループは、このように避難所についても統一の様式でのアセスメント調査票も公開しております。ラピッド調査票となっております。OCRに対応しており、最終的にはインターネットを活用して集約することも検討されているようです。今まで避難所ごとやマンションごとに、情報の集約をしたものがばらばらだったというところがあります。被災者の情報を同じ形式で統一することで、集約して情報を的確に効率的に把握してもらうように、ぜひ調査・研究をよろしくお願いいたします。
最後に災害ボランティアセンターの運営支援について、お伺いいたします。近年災害が頻発化・激甚化する中、災害ボランティアは不可欠の存在であり、災害ボランティアと被災者のニーズをつなぐ災害ボランティアセンターは、被災者支援にとって重要です。しかし、従前この運営費用を支援する公的な仕組みがなく、安定的な運営に支障を来す事例が全国でも見られました。そこで内閣府は、本年8月28日に都道府県または事務の委任を受けた市区町村が、ボランティア活動と救助の調整事務を、市区町村の社会福祉協議会が設置する災害ボランティアセンターに委託して実施する場合、災害救助法の国庫負担の対象とすることができるとする事務連絡を発出いたしました。区としてもこの補助を積極的に活用できるように取り組んでいただきたいと思いますが、区として災害ボランティアセンターの運営支援にどのように取り組むつもりか、お伺いいたします。
○防災課長(鈴木健君) 元来、災害ボランティアセンターの運営は、被災者を支援する共助の取組として行われていますが、近年激甚化する災害においてボランティア活動が活発化する中で、災害ボランティアセンターでは、ボランティア活動の調整が過大な負担となっております。国は、こうした状況を踏まえ、災害ボランティアセンターがボランティア活動の調整を自治体からの業務委託により行う場合には、公助による救助の一環と位置づけ、災害救助法の国庫負担の対象とすることとしました。今後、災害救助法の国庫負担適用も含めて、港区社会福祉協議会と協議しながら、港区における災害ボランティアセンターの在り方について、検討してまいります。
○委員(丸山たかのり君) ぜひ、よろしくお願いいたします。
質問は以上です。
○委員長(杉浦のりお君) 丸山委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に土屋委員。
○委員(土屋準君) 総務費におきましては、初めにPCR検査の推進による安全の確保について、お伺いいたします。PCR検査の拡大につきましては、これまでもいろいろな質疑等で取り上げられてきたところでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、PCR検査を積極的に行えるようにするべきではないかという意見をよく聞きます。しかし、PCR検査を公費で行えるケースは限られており、自費で行う場合は、費用が多額であると言われております。そこで、まず質問です。現在PCR検査を公費で行うのは、どのような場合でしょうか。また、その他の場合、費用の助成はどのようにしていますでしょうか。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 区は、
新型コロナウイルス感染症患者を早期に発見し、必要な医療へ速やかにつなぐため、感染症が疑われる方や濃厚接触者などに対して、感染症法に基づく行政検査としてPCR検査を公費で実施しております。現在こうした行政検査に基づかない
PCR検査費用に対する助成制度はございませんが、高齢者や基礎疾患のある方は、特に重症化するリスクが高いとされております。区では、こうした
高齢者施設等が主体的に実施するPCR検査の費用を助成するなど、効果的な支援策についての検討を進めております。
○委員(土屋準君) 行政検査以外、公費での助成というのは、今のところないということでございます。今ありましたように、これに関しては、重症化することが多いとされる高齢者の施設関係はもちろんですが、保育園など子ども関連施設でも検討されるようですが、一層の拡大を検討していただければと思います。
例えば乳児院というのがあります。産後の子育てが困難な場合も含め、精神的・身体的虐待、ネグレクト、母親の疾病等により、家庭で育てられない乳幼児を多く抱える乳児院でありますが、児童相談所からの入所の依頼も多いとのことです。入所受入れに際し、子どものPCR検査を依頼しても自費扱いになるということで、なかなか対応してもらえず。入所を受け入れられていないということでございます。そうすると児童相談所の業務も滞ってしまい、他の分野にも影響を及ぼすことになるのではないかと思います。そこで質問です。このような乳児院の入所時などでのPCR検査の費用助成など、効果的な支援策も検討していただければと思いますが、どのように考えますでしょうか。
○
オリンピック・
パラリンピック推進担当課長・
全国連携推進担当課長・
新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 国によれば、子どもは、高齢者や基礎疾患のある方と比べて、感染した場合に重症化するリスクは低いとされております。委員御質問の乳児院入所時における
PCR検査費用の支援につきましては、その効果や必要性など、特に重症化するリスクが高いとされている高齢者等とも比較しながら、専門家の知見や東京都などの他の支援策、感染症の流行状況も見極め、検討してまいります。
○委員(土屋準君) ぜひ検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、民間団体との協働について、お伺いいたします。区長は、今年の2月の所信表明におきまして、皆さんとともに港区の輝かしい未来を実現する、企業の持つ先端技術やアイデアを募集し、区の課題解決につなげる仕組みをつくると述べられました。区内には多くの企業が集積しており、それは港区が持つ強みであります。その強みを区政に生かしていくことは、港区の魅力をさらに高めることにつながると思います。また、企業、事業者も、区と連携することにより社会的信頼性も得られるというメリットもあり、それが企業価値の向上につながっていくことになると考えますので、こうした区の取組には大変期待しております。
区では、平成30年9月に港区企業連携推進方針を策定しまして、SDGsの普及・啓発やがん闘病者の啓発イベントなど、民間の創意工夫を凝らした事業を創出してきました。そして、このたび港区企業連携推進方針に掲げる、企業と区が共に地域を支え、地域社会のさらなる発展につなげるという、目指すべき姿を実現する具体的な取組として、港区民間協創制度を創設しました。これは、企業だけでなく大学、NPO法人等の民間団体の持つ知識、ノウハウ、先端技術等の強みを最大限生かした取組を民間との協働によりつくり上げ、区の課題解決や民間の新たな価値の向上につなげることで、地域社会のさらなる発展を目指すことを目的とするものということでございます。
これは初めて創設する事業であるため、事業構築は手探りであったと思います。この事業は、区と事業者の共同作業で進めるものであるため、事業者側に立った視点での制度構築も必要ではないかと思います。そこで、お伺いします。事業構築に当たり、重視した点はどのようなものがあるか、お伺いいたします。
○企画課長(大浦昇君) 事業の構築に当たっては、多くの企業にとって活用しやすい制度にするという視点を重視し、金融機関、メーカー、IT等の複数の分野の企業にヒアリングを行いました。企業からは、区役所は敷居が高いイメージがあるため、気軽に相談しやすい仕組みがあればいいという御意見や、漠然と提案を募集するよりも、課題を明示した方が応募しやすいといった声をいただきました。こうした御意見を踏まえ、企業が簡易に申し込めるようにするため、区のホームページ上に専用申込みフォームを開設するとともに、提案の募集に当たっては、区の課題を明示するテーマ指定型と、自由な提案を募るフリー型の2類型で提案を募集することとしました。
○委員(土屋準君) 事業者側から提案しやすい工夫をしていると思います。
8月からの開始でまだ日がたっていませんが、これまでの提案実績はどのようなものがあるか。また、成果としてはどのようなものがあるか、お伺いいたします。
○企画課長(大浦昇君) 事業開始から1か月半の間に、企業からの問合せや提案は17件寄せられております。例えば、これまで区と関わりのなかった、港区を題材にしたお菓子を販売する企業から、商品を用いて区の魅力向上に貢献できないかという提案があり、区のシティプロモーションシンボルマークの活用につなげた事例や、全区の複数の自治体から派遣者を受け入れている広告関係の企業からは、人材交流など区の全国連携の取組とのコラボレーションに関する企画が寄せられております。このほかにも協議を進めている提案もあり、引き続き企業との対話を重視し、区の課題解決や企業の新たな価値の向上につなげることで、地域社会のさらなる発展を目指してまいります。
○委員(土屋準君) まだ始めて間もないのですが、いろいろな提案が寄せられていると感じています。民間団体との協働は港区の強みだと思いますし、共に価値をつくり上げていくことは、地域社会のさらなる発展につながると思いますので、今度ともよろしくお願いいたします。
次に、広報戦略の工夫について、お伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、国や東京都が取り組んでいることはテレビで放送するので目にするが、港区がどういう対策を取っているのかは目にしないという声を、区民の方からよく聞きます。そんなときは、広報みなとに掲載していますと伝えますが、新聞を取っていないので見ないという方もいらっしゃいます。そこで、まず質問は、広報みなとは新聞折り込みで区民の方に届けていますが、現在どれくらいの世帯の方に新聞折り込みで届いていますでしょうか。また、新聞を購読していない方には、どのような対応をしていますでしょうか。
○区長室長(横尾恵理子君) 広報みなとは月に3回発行しており、1回当たり9万8,000部発行しております。新聞への折り込みによって広報みなとを受け取っているのは、約7万8,400世帯の方々です。新聞を購読していない方で広報みなとの配布を希望する方には、御自宅への配送も行っており、1回当たり約3,000人の方にお届けしております。広報みなとの紙面には、自宅配送に関する御案内記事を掲載し、いつでも御利用いただけるよう周知を図っております。このほか区有施設での配布や、区内の郵便局、区内のJRや地下鉄、公衆浴場やスーパーマーケットなどでも配布しているほか、広報みなとのデータは港
区ホームページに掲載しており、月3回の発行日には、それぞれツイッターやフェイスブックで発行のお知らせとリンクを張った御案内を行っております。
○委員(土屋準君) いろいろな工夫もされていると思いますし、新聞を購読していない方には、申請すれば配達するということですが、そういう方法があるということも知らない区民も多いのではないかと思います。広報は、ただ発信しておけばいいというわけではなく、必要な人に必要な情報が効果的に届くということも重要なことだと思います。
ホームページも開設しているということですが、自分が必要な内容がどこに載っているのか分かりにくいという声もよく聞きます。施策を発表したときにタイミングよく必要な人がそれを見るということは、なかなかありません。最近各部署で、ツイッターを始めましたが、ツイッターをしていない人も多くいます。している人でも、港区の各部署でツイッターを始めたということを知らない人も多いと思います。広報戦略には、効果的に届く工夫が必要ではないかと思います。そこで質問は、これからの広報戦略の工夫について、どのように考えているのか、お伺いいたします。
○区長室長(横尾恵理子君) 区は、広報みなとをはじめとする各種刊行物、区のホームページ、ケーブルテレビ及びSNSなどの様々な媒体で、区民生活に必要な情報を発信しております。本年10月1日から、LINEを活用し、事前登録の上、欲しい情報をあらかじめ選択した利用者に対して、利用者が自分で別途検索することなく、必要とする情報を適切なタイミングで自動的に届けるプッシュ型の情報発信を開始いたします。併せてLINEのほか、区民の方に広く周知したい情報が一目で分かりやすいよう、区のホームページのトップページにLINEのマークのボタンを表示するなど、デザインを変更いたします。今後は、SNSになじみがない方にも周知が行き届くよう、現状での周知方法に加えて、デジタルサイネージや区設掲示板でのポスターの掲示など、広く、きめ細かな情報の提供を徹底し、効果的な広報戦略の工夫を重ねてまいります。
○委員(土屋準君) LINEを活用した仕組みは、このような観点からは適した方法だと思います。区がこのような取組をしているということが、どこまで伝わるかということもありますし、どれだけの人が活用するかという課題もあるのではないかと思います。まだまだ広報戦略は工夫しなければならないと思いますので、さらなる工夫をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、性的少数者に関する課題について、お伺いいたします。性的少数者に関する課題については、これまで何度か取り上げてきました。今回は、この春に導入されましたみなとマリアージュ制度について、取り上げてみたいと思います。全国に類似の同性パートナーシップ制度がありますが、港区の特徴は、条例で設けていること、公正証書の作成を要件としていることだと思います。そこでまずお伺いします。同性パートナーシップ制度については、現在、全国でどれくらいの自治体が導入しているのでしょうか。そして、その中で条例により実施している自治体、公正証書の作成を要件としている自治体はどれくらいありますでしょうか。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) 9月1日現在、制度導入自治体は59自治体でございます。そのうち、根拠規定が条例によるものは、港区をはじめ、渋谷区、豊島区、岡山県総社市の4自治体です。また、公正証書または私文書認証を受けた契約書などを必要書類としている自治体は、都内の4自治体となっております。
○委員(土屋準君) 全国でそれだけの自治体が導入しているということであります。条例により実施している、あるいは公正証書の作成を要件にしているというところは結構少ないのだなと思っております。
この制度については、婚姻制度とどのように違うのかということをよく聞かれます。そこでお伺いします。例えば一方が亡くなった場合、その人の財産はどうなるのかという問題です。もう一方に財産を残すためには、公正証書の作成で足りるのでしょうか。また、民事信託と言われる制度があります。信託は用い方によっては柔軟に財産を残すことができると言われております。遺言以外に、信託制度を利用するという方法もあるかと思いますが、どのように考えますでしょうか。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) 相手の方に財産を残したい場合には、みなとマリアージュ制度で確認する公正証書や私文書認証の契約のほかに、遺言書を作成する必要がございます。また、民事信託は、本人の特定の財産を信託財産として、本人を受益者とし、本人死亡後は相手方を受益者に指定しておくもので、財産の継承の方法の一つとなっています。こちらも信託契約を結ぶための書類の作成が必要です。お二人で事業を営んでいる場合にも、この仕組みを利用して継承することが可能となっております。
○委員(土屋準君) 要するに、他人同士の関係と同じことが必要とされるということだと思います。
もう一点、同性パートナー同士では生物学的には子どもを設けることは不可能ですが、このみなとマリアージュ制度では、2人が養子を迎えるということはできるのでしょうか。また、連れ子養子のように、2人が親権を持つということはできるのでしょうか。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) みなとマリアージュ制度を利用するお二人で養子を迎えることはできますが、養子を迎える場合、どちらかが親権を持つことになり、お二人で親権を持つことはできません。もし、一方が相手方の連れ子と養子縁組をすれば、実の親である相手方は、子どもの親権者ではなくなるということになります。
○委員(土屋準君) ここでもやはり他人同士の関係と同じという前提で考えなければならないということではないかと思います。
婚姻といいますのは個人の権利であって、当事者同士が合意すれば認められるということは共通して言えることだと思います。一方で、法律は婚姻関係だけを特別に保護していますが、そこには子どもの福祉という観点があるからだと思います。例えば民法には、生物的な婚姻障害が設けられております。当事者の合意だけで認められるのであれば、兄弟で結婚してもいいことになります。また、女性を対象にした再婚禁止期間が設けられています。これも生まれてくる子どもの福祉のために父子関係を法的に明確にする必要性から定められたものだと言われております。同性カップル関係は、男女の婚姻関係と同じ権利を得られないのかという意見もありますが、このような立法趣旨も理解されていけばと思います。
以上で質問を終わります。
○委員長(杉浦のりお君) 土屋委員の発言は終わりました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次に兵藤委員。
○委員(兵藤ゆうこ君) よろしくお願いいたします。
コロナ禍での区の防災対策についてです。現在、かつて経験のない、目に見えない恐怖、感染症という災害に襲われています。コロナ禍でも地震等の災害は起こり得ます。政府の地震調査委員会によると、我が国では、首都直下型地震、南海トラフ地震の発生する確率は、今後30年以内に70%と高い確率で起こるとされています。また、毎年どこかで集中豪雨や台風による被害が発生しています。コロナ禍での防災対策を打つべきです。
現在、各地域の総合防災訓練が中止となっています。8月22日に防災課主催で、防災士、関係者向けにオンラインにおいて「災害ボランティア活動を知る」と題して、防災研修が開催されました。参加した防災士の方からの感想では、集合しなくても考えられることはたくさんある。非常に勉強になった。企画してくださった防災課に対して感謝しますと、私のところには感謝の声が寄せられました。また、9月12日には、防災士在勤・在住対象に、「コロナ禍で自然災害が発生したときに起きそうなこと」と題して、オンライン講習会が開催されました。先が見えないコロナ禍において、これまで以上に部局間、組織間の連携が必要とされており、この講習を通じて、今後の課題が多く提示されたと考えます。
コロナ禍において、地域の方々も一緒に参加できるオンライン講習会は有効的ですが、今後の区の防災訓練等における活用の方向性をお伺いいたします。また、9月30日から運用開始になる港区
避難所開設状況システムですが、コロナ禍で避難所の3密を防ぎ、避難所が混乱なく安全に避難できるよう、きめ細やかな情報提供をしていただけることになりました。避難所の開設状況の表示、混雑状況、避難所までの経路の案内について、区のホームページ上で区民に発信するとして、非常に優れたシステムだと考えます。実際に区民が活用できるようにするための取組をお伺いいたします。
○防災課長(鈴木健君) まず、防災訓練等におけるオンラインの活用についてのお尋ねです。現在は
新型コロナウイルス感染症の影響により、大勢の人を集めた防災訓練等を開催することは困難な状況です。オンラインを活用した防災訓練等は、3つの密を回避することで
新型コロナウイルス感染症の拡大防止につながるとともに、場所を問わずに御自宅や外出先からでも参加できるメリットがあります。
今回のオンライン講習会での参加者の意見を参考としながら、今後は、より実践的な訓練への活用として、参加者が同時刻にそれぞれの場所で一斉に身を守る訓練を行う、いわゆるシェイクアウト訓練や三角巾等を用いる複数会場での応急救護訓練など、オンラインによる防災訓練等の実施について検討してまいります。
次に港区
避難所開設状況システムが区民に活用されるための取組についてです。本システムは、大雨や台風などの災害時に特定の避難所が密になることを防ぎ、避難者が混乱なく避難できるよう、避難者の開設状況や混雑具合を適時区民にお知らせするものです。今後、より多くの区民に認知され、活用されるよう、防災アプリやチラシ等による活用方法の紹介や、SNSを含めた広報媒体の活用など、様々な機会を捉えて、より一層の普及に取り組んでまいります。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。オンライン防災訓練も、フェイスブックで私が上げたときに、とても盛り上がりました。防災士の方から、本当に防災課に感謝ですという声もありとても盛り上がったので、非常に好評だったと思います。港区
避難所開設状況システムも非常に優れていると思いますので、今後もよろしくお願いいたします。
続きまして、ブラックアウト対策とポータブル発電機についてです。昨年、総務常任委員会の視察において、北海道胆振東部地震の際のブラックアウト対策を札幌市役所でお聞きすることができましたが、事前の対策が大切です。港区では、災害応急対策の拠点となる本庁舎や各
地区総合支所において、必要な電力を72時間以上供給することができる非常用電源を備えているとのことです。ブラックアウトに対する区の現在の備えをお伺いいたします。
また、先日、ポータブル発電機を屋内で使用した90歳の女性が、一酸化炭素中毒で死亡した事件が報道されていました。港区マンション震災対策ハンドブックには、高層住宅の資機材の準備で、非常用発電機の確認をしましょうということで、非常用発電機とポータブル発電機の紹介がされています。ポータブル発電機については、屋内で使用できないなど使用環境に注意する必要がありますと記載されています。死亡事故が伴う事例については、使用方法について周知徹底する必要があると考えます。区の見解をお伺いいたします。
○防災課長(鈴木健君) まず、ブラックアウトに対する区の備えについてのお尋ねです。災害時の電力確保は、区が災害応急対策を実施していく上で極めて重要です。災害応急対策の拠点となる本庁舎や各
地区総合支所では、災害により停電が発生した場合に、必要な電力を72時間以上供給することができる非常用電源装置を備えております。また、各避難所においては、炊き出しや夜間の照明、暑さ対策のための冷風機等の電力を確保するため、携帯発電機、
スマートフォン充電用の蓄電池、さらに医療救護所を設置する避難所においては、精密機器を使用するための空気亜鉛電池についても備蓄しております。
次にポータブル発電機の使用方法の周知徹底についてです。携帯発電機を安全に使用するための注意事項については、港区マンション震災対策ハンドブックに加え、防災資器材を紹介するリーフレットやチラシ等を使用し、広く啓発してまいります。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。一般的にポータブル発電機も通常は屋外と考えますが、やはり高齢の方々に対しても徹底して周知する必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、ペットの同行避難と備蓄品についてです。ペットと暮らせる高層住宅が増え、もはやペットは家族という認識でいる方が多い中、災害時にもペットと一緒に避難することを前提にしている方が多いのが現状です。しかし、避難所には動物アレルギーの人や、猫や犬などが嫌いな人がいることも考えられます。港区は、地域防災計画において、災害時におけるペット同行避難の取組が進んでいますが、ペット同行避難した際の避難所運営の仕方について、区の見解をお伺いいたします。
また、避難所でのペット用の備蓄品はどのくらいあるのか、お伺いいたします。
○防災課長(鈴木健君) 区は、ペット同行避難の基準となるペット対策マニュアルを作成し、ペットの受入れができるよう、避難所運営の主体となる
地域防災協議会等と具体的な手順の確認を進めております。マニュアルでは、避難者の居住スペースと分けて、屋外に設置する飼育場所の選定方法や、受付体制、自主的な飼育管理を行うためのペット飼育班の立ち上げ等を定めております。また、ペット用の備蓄としては、小・中学校等31施設を中心に、中型ペット3頭分、小型ペット7頭分、いきいきプラザ等18施設には、中型ペット1頭分、小型ペット2頭分のケージや餌、リード、トイレ等を備蓄しております。引き続き
地域防災協議会等と連携し、避難所でのペット対策を推進してまいります。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。コロナが落ち着いたら、総合防災訓練でもペット同行の訓練ができることを期待いたします。
続きまして、港区業務継続計画BCPについてです。港区業務継続計画BCPは、災害が発生した際に、限られた人員や資器材などの資源を有効的に導入し、業務の継続と平常時の業務レベルへの早期復旧を図るため、区として最優先に行うべき業務を事前に定め、区民の生命、身体、財産を保護することに、区民の生活に必要な都市機能を維持することを目的として、平成21年度に策定した港区業務継続計画BCPに基づき、非常時における即時対応を構築し、BCPのマネジメントを推進していくとしています。
平成21年度から、震災編と新型インフルエンザ編を策定し、地震発災後や感染症発生後から、経過時間に応じて、参集する職員により行う緊急時の優先業務を効果的に運用するために編集しており、必要に応じて改定していきますとしています。そこでお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症に対応していくため、港区業務継続計画BCPの新型インフルエンザ編の見直しが必要だと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 港区業務継続計画新型インフルエンザ編は、多くの職員が感染症に罹患した場合において、区の業務を継続するための体制や手段を定めたものです。一方、今回の
新型コロナウイルス感染症においては、職員に感染が広がっていない中で、感染拡大防止の観点から、新たな対応として職員の出勤を抑制しました。今後は、今回の区の対応を検証し、課題を整理した上で、的確な感染拡大防止施策の実施とともに、区民サービスを継続するための体制や手段を見直し、港区業務継続計画新型インフルエンザ編を改定いたします。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。やはり様々なことが起こり得る。今回は、新型コロナウイルスという災害なのですが、これからも様々な災害起こり得るということも考えられますので、それに応じて対応していただければと思います。
続きまして、文化芸術団体への区の支援策についてです。文化芸術、演劇、ダンスチーム等の活動をしている団体は、ようやく区民セセンター等でも活動ができる体制が整ってきたと感謝しております。しかし、コロナ禍の中では、区民センターでの公演が中止されて、本来のチケット収入がなくなり、赤字となっているのが現状です。今後挽回したいところですが、赤字を抱えながら活動を増やすことは困難です。文化芸術団体への区の支援策について、お伺いいたします。
○国際化・
文化芸術担当課長(宮本裕介君) 活動機会が減少した文化芸術団体や企業を支援するため、今年度、公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団と連携し、事業の制作や動画配信をはじめとした感染症拡大防止などに必要な経費の補助に緊急的に取り組み、財団が1団体当たり50万円の助成を9団体に決定いたしました。本年7月に、文化芸術団体などで構成する港区文化芸術ネットワーク会議のメンバー145団体に対して区がアンケートを行ったところ、イベントの中止による収入の減少や、感染症対策によるコストの増加の状況から、助成金など金銭面の支援を求める声が上がっております。こうした状況を踏まえ、文化芸術団体に対する活動の維持・継続への支援について検討してまいります。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。本当に多くの団体からお声が上がっておりますので、御検討をお願いいたします。
続きまして、性犯罪被害に向けた取組についてです。性犯罪は、強制わいせつや強制性交等であり、重要犯罪の6割を占めるという統計が警察庁の犯罪白書で出ています。重要犯罪とは、刑法犯のうち個人の生命、身体及び財産を侵害する度合いが高く、国民の脅威となっている殺人、放火、強制性交等の4凶悪犯に、略取・誘拐、人身売買、強制わいせつを加えたものです。2019年には、重要犯罪総数9,809件のうち、強制わいせつが4,900件で50%、強制性交等が1,405件で14.3%、合わせて64.3%となっています。
しかし、2017年3月、内閣府男女共同参画局の男女間における暴力に関する調査において、異性から無理やり性交された経験は15人に1人、率にして6.5%のうち、「誰にも相談しなかった」が7割を占めたとされています。また、2019年法務省の第5回犯罪被害実態(暗数)調査によると、性的事件の被害に遭った人のうち、捜査機関に届け出た割合は僅か14%となっています。届け出なかった理由の1位は相談機関の不足及び周知不足。2位が自責の念。恥ずかしい、自分が悪かったなどや、被害者非難、なぜ逃げなかった、なぜ抵抗しなかった、合意を取らなかった側より合意があると思わせた側がより非難されるなどが挙げられています。
日本における性暴力との闘いを追ってみると、1989年に全国初、福岡セクハラ訴訟。1997年、男女雇用機会均等法改正、企業のセクハラ防止が配慮義務に。2006年、男女雇用機会均等法改正、企業のセクハラ防止が措置義務に。2017年、刑法改正して性犯罪を厳罰化。2019年5月、パワハラ防止対策関連法成立。大企業は2020年6月施行、中小企業は2022年6月施行、セクハラ行為について禁止規定するとしています。
自治体では、福岡県を例にすると、全国7番目にワンストップセンター、性暴力被害者支援センター・ふくおかを開設。現在では、47都道府県全てに開設されています。また、24時間体制になっており、現在18都道府県で24時間開設です。福岡県内約30か所の協力医療機関と連携するとしています。その後、福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例が策定されました。2019年2月に福岡県議会で可決・成立し、3月1日公布、一部施行。2020年5月1日、全面施行となっています。全国初の先進性として、被害者の対象に大人も含み、子どもに限定していないこと。また、条例の対象は性暴力全体であり、配偶者などの性暴力、セクシャルハラスメント、ストーカーなどを含み、性犯罪に限定していないということです。
また、日本で初めて性暴力の定義を定めたとしました。2014年8月発効の女性に対する暴力及びドメスティックバイオレンス防止条約(イスタンブール条約)などを踏まえたもの、アイスランドの事例も参考にされています。また、性犯罪に厳しいイギリスでは、あなたは悪くないと支援を受けるように市民が勧めるということで、性暴力被害者に対して様々な支援策が用意され、肉体的、精神的にダメージを受けた被害者に配慮され、地域や警察、司法、医療、心理面の専門家のニーズに対しての支援が受けられるようになっています。
我が国においては、令和2年6月11日、都道府県知事宛てに性犯罪、性暴力対策の強化の方針の決定について、令和2年度から3年間を性犯罪、性暴力対策の集中強化期間とするとしており、実地行程も記されています。そこでお伺いいたします。港区では、性犯罪被害者等の相談窓口はどのようになっているのか。相談件数はどのくらいなのか。また、24時間体制になっているかなどを教えてください。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) 相談窓口については、性犯罪被害に特化しておりませんが、男女平等参画センターのリーブラ相談室心のサポートルームを御案内しております。令和元年度の相談実績は、一般相談が1,563件、法律相談が32件で、計1,595件でございましたが、性犯罪被害に係る相談はありませんでした。リーブラ相談室では24時間体制ではございませんが、火曜日と金曜日は21時まで開設し、相談者の気持ちに寄り添った対応を丁寧に行い、必要に応じて性暴力救援センターSARC東京や警察署などにつなげております。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。リーブラに行ってお手洗いに入ると、サポートルームのリーフレットがあって、こういうところにも配慮していただいているということを、以前からもとてもありがたいと感じております。せっぱ詰まっている方たちにとっては心の駆け込み寺のような形で、本当にありがたく感じられると思います。性犯罪に関しては今のところないということではありますが、今後も続けていただけるということで、よろしくお願いいたします。
最後にSNSの誹謗中傷等の対応についてです。昨今、芸能人がSNS上で激しく誹謗中傷されたことを理由として、自ら命を絶つという悲しい事件が起こりました。いつか自分自身に被害が降りかかってくる可能性もあり、他人事ではないのが現状です。インターネット上での誹謗中傷は、個人に対するもの、企業に対するものなど様々あるとのことです。
対処例として、ネット上での書き込みの対応は、まず発信者、書き込んだ人の特定をするところから始まります。特定の手続はプロバイダ責任制限法、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律に沿って行うことが一般的だということです。インターネット上の書き込みによって自己の権利が損害されている場合に、当該書き込みの削除や発信者情報の開示を、インターネットでサービスを提供している事業者であるプロバイダーに対して請求できるとのことです。
海外でのSNSの誹謗中傷での事件は、韓国でも被害が深刻です。日本でも大ヒットした元KARAのメンバーが、自ら命を絶ったことも記憶に新しいところです。韓国放送通信委員会と情報化振興院が発表した2019年、サイバー暴力被害実態調査によると、調査対象となった9,025人のうち、3人に1人が、ネット上での加害者または被害者の経験があると回答しているそうです。中でも学生等は減少しているのに対し、成人は54.7%で前年比11.6%も増加。特に30代から40代の加害者・被害者経験率が、前年比19.3%と大幅に上昇しているとのこと。社会の多様性が乏しく、同調圧力が日本以上である点を考慮すべきでありますが、韓国は、その分サイバー暴力のダメージ回復についての研究も進んでいるそうです。
また、SNSだけではなく、誹謗中傷では、証拠を集めれば名誉毀損や侮辱罪、経済的損傷を受ける信用毀損罪などで処罰されるケースがあります。書き込んだ側はあまり深く考えずに書き込んだ可能性もありますが、受けた側がどのような感情になるのか。結果として命を落としてしまった事例もあるので、行政側としてもサポートが必要です。港区では、SNSの誹謗中傷等についての相談窓口はどのようになっているのか。相談件数、区の対応を教えてください。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) SNSやインターネットによる誹謗中傷に特化した相談窓口については、東京都人権プラザで実施しているインターネットにおける人権侵害に関する法律相談を御案内しております。また、人権に関する相談につきましては、区の人権擁護委員による人権身の上相談や東京都人権プラザの一般相談や法律相談、東京法務局で実施しているみんなの人権110番、子どもの人権110番、女性の人権ホットライン、外国語人権相談ダイヤル、インターネット人権相談を御案内しています。
なお、令和元年度において、SNSの誹謗中傷等についての相談実績はございませんが、リーブラの心のサポートルームにおいても、様々な相談に対応しております。引き続きSNSによる誹謗中傷につきましては、広報みなとの人権コラムで啓発記事を掲載するほか、毎年1月に開催している人権啓発パネル展で啓発を行ってまいります。
○委員(兵藤ゆうこ君) ありがとうございます。区では心のサポートルームもありますし、東京都と連携して、このまま続けていただきたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(杉浦のりお君) 兵藤委員の発言は終わりました。
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○委員長(杉浦のりお君) 次に池田たけし委員。
○委員(池田たけし君) 特殊詐欺の対策についてお伺いいたします。報道によりますと、特殊詐欺を働く犯罪集団などが、家庭での現金の保管状況や家族構成などを電話によって聞き出し、その後犯罪に及ぶといったアポイントメント電話、アポ電が、2019年4月から12月で、全国において9万1,798件確認され、最多は東京の2万5,558件でありました。続く埼玉県が9,242件、千葉県が7,553件、神奈川県が6,790件、大阪府が6,730件であり、この5都府県で全体の約6割を占めているということでございます。全国の警察が確認した特殊詐欺の認知件数は、前年比5.6%減の1万6,836件で、被害額は同21.3%減の301億5,000万円でありました。被害額は5年連続で減ったものの、300億円超えは8年連続であり、依然として深刻な情勢と分析されています。
アポ電は、自宅に保管している現金の額やその保管場所、家族構成などを探る電話であり、国民生活センターによると、テレビの制作会社を名のる者が、所得は500万円より上ですかと電話で尋ねたり、消防職員と称する人物が、独り暮らしかと聞いたりした事例があったとのことです。いわゆるオレオレ詐欺へとつながる前兆でもあり、そのまま高齢者宅への強盗事件に発展する事例や、命を奪われるといったことまで発生しており、コロナ禍の中で在宅の機会が増えたことと相まって、最近では詐欺犯罪件数が増加しています。警視庁は、手口として急速にアポ電が広がっているとし、資産などを尋ねる電話はすぐに切るよう呼びかけています。
また、以前から発生しているいわゆるオレオレ詐欺だけでなく、法務省管轄支局民事訴訟告知センターといった団体名のはがきを送り、財産の差押えが迫っているなどといって不安をあおり架空請求を働く者や、警察官や銀行員を装い、口座が犯罪に利用されているためキャッシュカードを交換すると言って暗証番号を聞き出したり、カードや通帳をだまし取る預貯金詐欺などが横行、増加しています。
オレオレ詐欺の多くは固定電話にかけられますが、IP電話などは携帯電話不正利用防止法の適用外であり、本人確認の必要がないこと。また、格安携帯の中には、本人確認が甘いものがあるなどが問題となっています。さらに最近では、手に入れた口座番号や暗証番号を基に、違法に開設した決済サービスと銀行口座をひもづけ、現金や商品を奪うといったIT社会の隙を逆手に取ったような犯罪も現れてきております。まず伺いますが、オレオレ詐欺などの特殊詐欺について、区ではどのような対応を行っているでしょうか。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 区では、特殊詐欺被害防止対策として、自動通話録音機を、おおむね65歳以上の高齢者のいる世帯等に無料で貸し出す自動通話録音機対応事業を実施しており、令和2年8月末現在、累計で1,316台を貸与しております。これまで自動通話録音機を貸与した世帯で詐偽の被害に遭ったという報告はなく、被害防止の効果が認められております。また、
区ホームページや広報みなと、安全安心メール、青色防犯パトロール等により、被害を防止するための注意喚起を行っております。
○委員(池田たけし君) ありがとうございます。録音機はまさに特効薬と言ってもいいかなと思います。自分が気がつかないうちに、詐欺の被害に遭わずにそのまま済んでしまう。しかし、給付金の詐欺であるとか国勢調査であるとか、手を変え品を変え、何でも詐欺に利用するという時代になってまいりました。詐欺グループが捜査の手が及びにくい海外に拠点を置いたり、マンションの空き部屋を現金の郵便受取場所にしたりなど、大変に手口は巧妙になってきております。
警察庁では、詐欺被害に遭った方から聞き取り調査を行い、そのときの意識や置かれた状況を分析し、被害防止の参考としています。調査結果によると、詐欺電話の相手は息子や孫を名のるというのが多く、合わせて90%でありました。そして、オレオレ詐欺を事前に認知、知っていたという方は96.9%で、認知度は高いと言えるのではないでしょうか。そして、自分は被害に遭わない、または、どちらかといえば遭わないと思っていた方は、合わせて95%でありました。詐欺のことはもちろん知っている。それでも自分は遭わないと思っていたと。
しかし、詐欺の話を信じてしまったタイミングは、トラブルなどの話を聞く前が70.3%と、オレオレと言葉をかけられた瞬間に息子だと思い込んでしまうという傾向で、さらにお金を払えば親族を救えると思った方は96%となっております。そして、詐欺電話を受けた後に誰かに相談したという方は、24%ほどでありました。
調査から読み取れるのは、息子を名のる者からの電話をそのまま本人だと思い込んでしまい、トラブルの話に、何とか助けなくてはと心が傾き、誰にも相談せずに金品を渡してしまうといったことが多いとの傾向が見てとれます。電話の最初で、声が違うと見破った方は53.3%。また、詐欺ではないかと声をかけてくれたのが金融機関の職員であったという方が90.8%と、どこかのタイミングで見破る、思いとどまることができれば、未然に防ぐことの可能性が格段に高まると思います。
警察も詐欺被害防止のため、犯人グループから押収した名簿などから、今後被害が予想される方に訪問やはがきなどでの注意喚起を行っております。自動通話録音機の無料貸与は、さらに推進していただきたいと思います。息子からのお金の話は詐欺と思えなど、高齢者へ物心両面での詐欺被害防止の備えは大切であります。しかし、記憶力や判断力に陰りが現れる高齢者の方のためには、家族や周囲の方からの声がけや的確な関わりがなされる、守り合う社会を築くことが求められております。現在のコロナ禍の中で、人のつながりが希薄となっている今、一層の対応が求められるところであります。
特殊詐欺防止のための地域関係者への啓蒙や、高齢者が関わる場所での従事者への通知、ITの活用など、高齢者を守るための取組について、区の考えをお伺いいたします。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 区では、多くの高齢者が利用するいきいきプラザに自動通話録音機の効果を分かりやすく記載したチラシを備えるとともに、職員が施設へ出向いて、録音機をその場で貸与する取組を進めております。今後もこれまでの広報の手段に加えてツイッター等も活用し、特殊詐偽に関する情報を積極的に発信するとともに、区内警察署とも連携し、特殊詐欺の被害防止を街頭で呼びかけるなど、あらゆる機会を通じて、特殊詐欺被害の防止に取り組んでまいります。
○委員(池田たけし君) ありがとうございます。ぜひ、また力を入れてよろしくお願いいたします。
次に、偏見や差別に対する対応について、伺います。先ほど兵藤委員からもございました。本年急速に蔓延した
新型コロナウイルス感染症は、罹患者の状態から、若い人の症状は比較的軽微である傾向が多く、反対に高齢者や生活習慣病などの基礎疾患をお持ちの方は重篤な症状に陥りやすいといった病態が理解をされてきました。しかし、また、感染しても無症状で、本人でさえ感染したことに気づきにくく、また、発症前に感染力があるなど、感染し、感染させたのかが分かりにくいといった不安要素があり、このウイルスがどのような病であるのか、まだ全体像は解明されておりません。
この分からないもの、未知のもの、見えないものによって、自身や家族の生存や生活が脅かされ、奪われるかもしれないといった暗い影が社会を覆い、不安感や閉塞感が人の心に感染していきます。また、感染防止のためのステイホームや自粛の要請によって交流が狭められた中で、家族だけといった限られた人間関係の中に陥りました。人々は情報を求め、開くインターネットやSNSの情報に敏感になり、その影響を受けやすくなっていきます。さらに、専門家やコメンテーター、あるいは一般人からの様々な発言・発信に対し、それが正しいものなのか、より信頼できるのか、判断できないままに迷います。そして、自身の考え方や価値観に添うものの方を選択し、取り入れるなど、情報の受取方や取扱い方に偏りが生まれていきます。
先行きの見えない不安と恐れから生まれる自己防衛が、さらに自己中心的な正義となります。自粛警察などといった形で他人へ振りかざしたり、鬱屈が増幅され、爆破予告といった犯罪行為にまで及んでいることは残念でなりません。そこまでいかずとも、感染者や医療従事者に対する偏見、差別は日常で散見されるようであります。まず伺いますが、区は、現下の状況の中で起こる差別、偏見に対して、どのような対応をされていますでしょうか。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君)
新型コロナウイルス感染症に関する差別等への対応につきましては、広報みなと5月21日号の人権コラムや、8月11日号の感染症のお知らせの中で、
新型コロナウイルス感染症に関連した偏見や不当な差別、いじめ等の行為があってはならない旨の啓発記事を掲載いたしました。8月下旬には、このことに合わせて差別や偏見に関する相談先を案内した啓発ポスターを作成し、区設掲示板をはじめ庁内各課や区有施設で掲示いたしました。また、
区ホームページやツイッターにおいても、偏見や差別をなくすための取組を呼びかけております。
○委員(池田たけし君) ありがとうございます。今お話がございました区の掲示板にポスター、といっても、A4のかわいい小さな黄色い暖かみのある1枚の紙ではありますが、でも、これを貼り出していただいたというのは、大変に心強いなと私は思います。こんなただの紙っていうと申し訳ないですけど、差別や偏見をなくしましょうという紙がまちなかに貼られていたというのは、本当に心強いなと思うわけでございます。
新型コロナウイルス感染症に関連しての感染者、濃厚接触者、また医療従事者やその家族に対しての心ない差別、偏見やいじめ、中傷に対して、具体的で目に見える形で対応し反応することは大切であります。実際に被害を受けている方への支えとなることはもちろん、偏見や差別を他人事と見過ごすことや無関心でいることは危ういことであるとのメッセージであり、人権意識の呼び覚ましをもたらすものであります。
呼び覚ましといえば、港区を含め各自治体で行われております路上喫煙防止事業、区ではみなとタバコルールがあります。屋外の公共の場所で、路上歩行喫煙や吸い殻のポイ捨てをしないことで、喫煙による迷惑の防止と環境美化の推進を図るものとされ、港区では、このルールから外れたとしても、過料、罰則といったものは設定されていません。大人としての当たり前のマナーを守っていただくことを目指すマナーアップの取組となっています。それは手ぬるいのではないかとの声もいただきますが、誰が見ていようがいまいが、ルールを守ることが当たり前であると、一人一人が自ら主体者として行動することが、持続性があり、公正が保たれるものと思います。巡回指導員の方が黙々とたばこの吸い殻を拾う姿は、私にはその啓蒙運動であるとさえ思えます。その振る舞いをどのように見るのかが、喫煙者だけでなく問われるのではないでしょうか。
また、港区では、無断で描かれた落書きへの対策として、落書きを消すために必要な用品や業者への委託など、消去支援を行っています。ほかにも、駐輪場を整理しながらの放置自転車対策といった事業があります。
たばこのポイ捨て、落書き、放置自転車対策といった事業は、まちの美観のためといった目の前のことだけにとどまりません。先ほど琴尾委員がおっしゃっておられましたが。そのままにしておけばいつか犯罪へとつながってしまう心の隙や闇を放置せずに、迅速に摘むことがまちを守り、人々の安心・安全な生活につながるものと思います。マナーアップの取組で人の心を整え、秩序を保つこと。そのありようは大変に港区らしいなと、私は思います。
しかし、またSNSやインターネットにおいて、容赦のない誹謗中傷といった攻撃が日々送信・拡散され、それにさらされて自らの命を絶つといった事例も起こっております。そのような事案を受け、総務省はインターネット上の誹謗中傷の対策として、官民で取り組む政策集をまとめました。相談窓口の体制強化、周知徹底をすることや、被害者が投稿者の身元を特定しやすくするため制度を見直すことが柱で、悪質な投稿の抑止や被害者の早期救済につなげることを目指しています。総務省の違法・有害情報相談センターでは、寄せられる相談件数の増加に対応し、相談員の増員などを行う。ネット企業でつくるセーファーインターネット協会でも、被害者が投稿削除を依頼できる窓口を6月に設置しており、総務省はこうした相談機関との意見交換を通じて、連携を深めるとの報道がありました。
さらに、総務省は9月1日、インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージを公表し、人権の保護のために司法救済の強化を打ち出しました。ネット上で誹謗中傷を受けた被害者が相手を特定しようとすると、まずSNS業者に対し発信者のIPアドレスの開示を求め、次にインターネット接続業者に発信者の氏名、住所を開示させるという2段階の手続を取らねばならず、誰なのかが判明するまでに半年から1年かかり、その後、訴訟の手続が始まることになります。そこで、被害者からの申立てに裁判所が開示妥当と判断した場合、接続事業者に命じて発信者の氏名、住所を開示させることができるよう、主体的で新たな裁判手続を検討しています。
また、
新型コロナウイルス感染症に感染した方に関するデマや誹謗中傷がネット上で独り歩きしている状況に、対策を講じている自治体もあります。岩手県、鳥取県、長野県、徳島県などでは、問題があると認めた書き込みをスクリーンショットで画像として保存、被害者が提訴するといった際に、証拠として活用してもらうために備えています。また、相談窓口の開設や注意喚起を行い、地元の大学と協力して
新型コロナウイルス感染症に感染した個人を特定、攻撃したりする書き込みを監視し、悪質な書き込みがあれば、サイト運営者に依頼して削除につなげた例もあります。
指先で入力できる気軽さ、手軽さが便利な
スマートフォンは、心の思いをそのまま世界に発信してしまい、使い方次第では人を簡単に傷つけてしまう危うさも併せ持っています。発信、受信での情報の取扱い、リテラシーといったものも向上させていくべきでしょう。
ここで、区のホームページについて伺います。港区の人権に関するホームページには、様々な内容の情報が混在しており、ホームページのコンテンツの整理、年代や状況に合わせて分かりやすく明確な人権擁護の発信を行うべきと考えますが、どのようにお考えでしょう。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君)
区ホームページの人権の取組には、様々な人権課題についての啓発や各種調査報告、各種事業や関係機関の御案内など、たくさんの情報を掲載しております。委員御指摘のとおり、現在の内容は情報が混在し分かりにくい状況であることから、テーマや性質ごとに整理するなど、誰もが分かりやすい情報発信に努めてまいります。
○委員(池田たけし君) ありがとうございます。人権と一言に言っても、大変に幅が広いわけでございます。よく整理をしていただきますよう、お願いいたします。
いじめや誹謗中傷といった人権の侵害は、子ども、女性、障がい者、性的マイノリティーなどといった方々にあって、問題として多く扱われていますが、人と人の間であれば誰にも起こり得ることであります。社会に不安が広がり心に移ろいが生じるときに、心ない書き込みが顕著となりました。みなとタバコルールや落書きの対応のように、ともすれば弱くなる心に働きかけ、啓蒙をたゆまず続けていくことも、公として基礎自治体のなすべき大切なことと思います。
最後に伺いますが、インターネットやSNSでの非難、中傷などを押しとどめ、人権擁護、プライバシー保護のための情報収集、相談体制の拡充や各機関との連携に取り組むべきと思いますが、区のお考えをお伺いいたします。
○人権・
男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) 不当な差別や偏見など、人権に関する相談につきましては、区の人権擁護委員による人権身の上相談や、東京都人権プラザの一般相談や法律相談、東京法務局で実施しているみんなの人権110番、子どもの人権110番、女性の人権ホットライン、外国語人権相談ダイヤル、インターネット人権相談を御案内しております。また、プライバシー保護のための情報収集や各機関の連携などに対する対策につきましては、今御紹介いただきました先進的に取り組んでいる自治体の情報を収集するなど調査し、今後の取組に生かしてまいります。
○委員(池田たけし君) ありがとうございます。続けて、たゆまずに進めていただきたい。どうぞよろしくお願いいたします。
質問を終わります。
○委員長(杉浦のりお君) 池田たけし委員の発言は終わりました。
この際お諮りいたします。議事の運営上、時間を延長したいと思いますが、御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(杉浦のりお君) 御異議なきものと認め、時間は延長されました。
……………………………………………………………………………………………
○委員長(杉浦のりお君) 次にゆうき委員。
○委員(ゆうきくみこ君) まずは、コロナ禍における犯罪についてお伺いします。コロナ禍での犯罪の傾向について、
新型コロナウイルス感染症の影響でステイホームとなり、人々のストレスがたまっていた中、コロナ禍における犯罪の傾向というのは、港区ではどんなものがあるか。また、区の対応について、お伺いします。
○危機管理・
生活安全担当課長(金田幸大君) 警視庁犯罪抑止対策本部によると、
新型コロナウイルス感染症に関連して増加した犯罪は、特に認められないとのことです。なお、区には新型コロナウイルス対策特別給付金に関する不審な電話があったとの相談や、テレワークなどで在宅時間が長くなり、インターネットを使用する機会が増えたことに伴い、不正アクセスなどのインターネット犯罪の被害に遭うことが心配だといった相談が寄せられております。
次に、区では、安全安心メールにより、新型コロナウイルス対策特別給付金に関する詐欺への注意を呼びかけております。また、青色防犯パトロール、生活安全パトロール隊においても、被害防止に向けた注意喚起を行っております。今後も、区民が
新型コロナウイルス感染症に関連した犯罪の被害に遭うことのないよう、警察との連携を密にして情報収集を行い、ツイッター等の情報媒体も効果的に活用して、分かりやすく情報を発信し、注意を呼びかけてまいります。
○委員(ゆうきくみこ君) ありがとうございます。特に何か数字というか、オフィシャルでは変化がないということですが、報道などを見ると、感覚的にそれこそ詐欺や性犯罪に関することが、何かいつもとちょっと違うトーンで報道されているからなのかもしれないのですが、増えているような気がします。
私が子どものときの話です。性犯罪に関してです。忘れもしない、私がまだこのぐらいのときのことで、映像をくっきり覚えています。北青山の団地にある公園で、男の人に呼ばれて、行為を見せられたことがあるのです。なのだけれども、子ども過ぎて、恐怖というより、何だろう、これというような記憶でずっと残っています。それを特に誰に言うこともなく、記憶だけ何となく残っていて、忘れていました。
私は、小学校のときから電車に乗って一人で学校に通っていたのですが、電車の中で大人の男の人にいろいろなところを触られたり、何かかけられたりしました。私はありませんでしたが、ほかのところから通っている子が、制服のプリーツスカートを刃物で切られました。このようなことが、結構日常的にありました。でも、若過ぎて、子ども過ぎて、それが恐怖というよりは、比較的日常になっていました。友達同士では、「またやられたよ」などというやり取りはありましたが、実際それが何だったかというのも分からずに、何かかけられたとか、また触られたとか、見せられたとか、犯罪という感覚ではなかったという認識でした。大人になって、あのとき危なかったなと気づきましたが、このような記憶が残っているというのが実情なのです。
なので、多分小さい子どもたちなどは、特に聞かないと分からないというか、それはおかしいということにも気づいていない子も多いのではないかなと思っています。例えば、ヒアリングというか、聞かれて初めて、いや、ありましたよとかいうようなことももしかしたらあるかもしれない。埋もれている常習犯もいるかもしれないなと、いつも思っています。
それをわざわざ公の場所で言うことはなかったのですが、でも、ヒアリングのようなことを、それがいいのかどうか分かりませんが、当初は結構みんなあっけらかんと、周りが当たり前のように受けていたことだったので。先生も聞いていたのですが、先生が特に対応していたかどうか。とても広いエリアから通っていた学校だったので、集中的にここだということはできなかったのかもしれませんが、でも、そういう情報収集というのは、実は埋もれている部分があるのではないかなと思います。
どういう手法がいいか分かりません。教育をする方がいいのか。でも、小さ過ぎる子たちに、そういうことを教えた方がいいのかどうか分かりません。でも、それをちょっと気に留めていただけたらなと思います。こういうふうにストレスがたまっていると件数も多くなっていると思うので、ぜひ港区の関連する小さい子たちがなるべくそういう被害に遭わないようにしていただけたらと思います。
次の質問です。ワークスタイル改革について伺います。経営力強化と諸対策の着実な推進についてです。平成29年、みなとワークスタイル宣言を行ってから、区は働き方改革として、テレワーク制度の構築と課題解決を図ってきました。東京2020大会の都市部への出勤抑制を行うためにも、本格実施を今年度からと調整をされていましたが、
新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が発令されたことにより、テレワーク区分を特例的に全職員に拡大するなどして、全庁挙げて出勤抑制に取り組んでいました。今は、
新型コロナウイルス感染症を契機として培った経験を生かした職員の新しい働き方の確立に向けて、アンケートなどのヒアリングを行っていると聞いています。改めて、コロナ禍でのテレワークの様子や改善策などを教えてください。
○人事課長・
人材育成推進担当課長兼務(太田貴二君) 緊急事態宣言の発令を受けまして、これまで対象外としていました保育園や児童館等の職員をテレワークの対象者に加え、保育園職員の指導計画の作成をテレワークで行うなどして、出勤抑制に取り組んでまいりました。その結果、令和2年4月23日には、テレワークを実施した職員が492人おり、年次有給休暇の取得等を含めた出勤抑制率は40.1%に達しました。
委員お尋ねの改善策といたしましては、テレワークを1日単位だけでなく、時間単位でも実施可能といたしました。例えばテレワークを数時間行った後、職場に出勤することで、通勤混雑時の移動を避けたり、職場での密を避けたりするためにもテレワークを活用いたしました。さらに、テレワークの際に、区民や事業者との連絡に使用できる
スマートフォンの導入を11月に予定しております。
スマートフォンの導入は、職員からの要望を受けて実現したものでありまして、今後も職員の声を聴きながら改善を図ってまいります。
○委員(ゆうきくみこ君) ありがとうございます。今までテストしてみたり、何か皆さん遠慮がちにテレワークを始めていたという印象でしたが、今回のコロナ禍で、やらなくてはいけないという状況に追い込まれて、皆さんが同時にいろいろなチャレンジをしていた様子は、本当にやり取りさせていただく中で、とても興味深いことでした。
私は出産を経験しながら思ったのですが、産休を取りたい気持ちと同時に、子どもとの幸せを感じつつも、妊娠・出産の間に取り残されているという不安感や、もっと仕事をやりたいのにという気持ちのはざまで結構悩みました。それは多分介護などをやっていらっしゃる人も同じ、似たようなものがあると思います。ぜひ、その方々のライフステージに合わせていただきたい。ちょっとスローダウンして、在宅でできる、テレワークでできる、週に数回オフィスに行って、その範囲内だったら休まずにやりたいという人たちが、実はたくさんいるのではないかなと予想します。
それはそれで、気持ちのバランスを取る難しさ、スイッチの切替えをする難しさがありますが、人材育成という意味でも、違うライフステージでちょっと諦めてしまっている方々にもテレワークが浸透することによって、できるかもしれないと、モチベーションの維持につながるといいなと思っております。ぜひ、いろいろな角度で、皆さんが仕事に今までとは違った形で関わっていかれる環境というのが増えていったらいいなと思います。期待しております。
最後に大平台みなと荘の利用促進について、伺います。
まずはファミリー層の利用促進について伺います。大平台みなと荘は、平成28年度まで9割強の高い利用率を維持していましたが、利用料の改定を機に利用者数が減少しています。去年の台風19号や
新型コロナウイルス感染症の影響で、利用状況の低迷に追い打ちをかけている状態です。また、ここ数年、利用状況をすると、65歳以上の利用者数が半数以上を占めていて、35歳から50歳までが2割程度と、委員会の中でもいろいろ指摘をされていたことですが、いわゆるファミリー層の利用が少ないというのが、まだ現状として続いています。
私自身は絶対泊まることはないなと思っていました。というのは、リラックスできない、緊張して泊まらなくてはいけないような気がしていたからです。大平台みなと荘だけは泊まるまいという感じで、一回も泊まったことがありませんでした。ところが、先日、母に誘われまして、4歳、6歳の息子と、3歳の子どもがいる妹の家族と初めて利用させていただきました。仕事では何回か視察で数時間滞在したことはありましたが、ゆっくり泊まるのは初めてでした。
20年ぐらい前の建物で、木質感満載の建物や建築スタイルなど、本当にすてきなところだなと、改めて気づかなかったよい面を感じて帰ってきました。今まで意識していなかった分、大変いい施設だな、すてきな場所だなと思って帰ってきました。卓球台やゲームコーナーやキッズルームなど家族で楽しめる施設や、有料ですがオプショナルツアーも用意されています。料金改定後の金額を見ると、大人数での割引、子ども料金の引下げという特徴があります。大人数で泊まると安くなって、子ども料金も今までよりは安くなりました。
これから地元の事業者さんたちと連携して、子どもたちが喜ぶイベントなど、大平台みなと荘がファミリー層を取り込むための体験学習などの企画の実施も進めていっていただきたいなと思いますが、お考えをお伺いします。
○
地域振興課長(櫻庭靖之君) まずは、大平台みなと荘を御利用いただきまして、ありがとうございました。
さて、大平台みなと荘では、希望者にオプショナルツアーを提供するほか、昨年度は、子どもの宿泊が多い日を中心に、指定管理者によるスライムづくりや、夏祭りとして射的、スーパーボールすくいなど子ども向けイベントを実施しております。利用者からは、スライムやスーパーボールがもらえてうれしかったとか、また実施してほしいなどの好評の声も寄せられております。委員御提案のファミリー層を取り込むための体験学習等の企画についても、ファミリー荘の利用率の向上が図れるよう、利用者ニーズを踏まえて、事業実施について指定管理者と協議してまいります。
○委員(ゆうきくみこ君) ありがとうございます。課長もおっしゃっていましたが、なかなか子どもたちが集中する時期というのが難しいというところが課題ということで、長期の子どもの休みのときなどにファミリー層枠をつくっていただければ、そこに今までやっていたイベントを充てることもできるのかなと思いますので、いろいろと工夫していただければと思います。
最後の質問です。区民料金の設定についてです。利用促進のため、大平台みなと荘は、今年の4月から土曜日などの休前日を引き上げ、先ほど言いましたが、ニーズの低い平日の料金を引き下げました。
新型コロナウイルス感染症の影響でその効果は検証されていませんが、これはニーズを踏まえた妥当な判断、いい工夫で、効果を見ていきたいなと思っていますが、もう一押しのお願いがあります。今回の見直しでは実現されていませんが、区民と在勤者の利用料金の設定も検討してもらいたいと思います。新宿区や渋谷区では、在勤者より安く区民料金を設定しています。大平台みなと荘の宿泊事業は区民税で賄われておりますので、区民の利用料金を安く設定した方が納得感が得られて、区民の利用促進につながると考えます。新たな利用区分を設けて、区民と在勤者の料金の設定の工夫をしていただきたいと思いますが、お考えを教えてください。
○
地域振興課長(櫻庭靖之君) 昨年6月、区民保養施設の利用促進策を検討するため、外部有識者を含めた港区区民保養施設事業検討委員会において、検討項目の一つとして、区民と在勤者の利用料金を設けるかについても検討いたしました。在勤者は一月前から空き室申込みができますが、いわゆる抽せん申込みができません。また、区民の利用率は現状として約7割で、区民が優先的に利用されている現状を踏まえ、検討委員会においては、今回の令和2年4月の料金改定では区民と在勤者との利用料金に差を設けることは見合わせることとしました。引き続き検討項目ということで位置づけされております。委員御提案の区民と在勤者の料金区分を設定することについては、今後の利用状況等も踏まえて、調査・研究してまいります。
○委員(ゆうきくみこ君) よろしくお願いします。大規模修繕も待っているということで、なるべく利用率を上げながら、大規模修繕に向けて区の負担割合を減らしていけるような収支が取れることを期待して、質問を終わります。ありがとうございます。
○委員長(杉浦のりお君) ゆうき委員の発言は終わりました。
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○委員長(杉浦のりお君) 次に横尾委員。
○委員(横尾俊成君) 初めに、AIを活用したコロナ禍の避難所運営についてです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進む中、自然災害などが起こる可能性は十分に考えられます。内閣府の調査によると、直近30年以内に大規模の首都直下型地震が起きる可能性は70%を超えると言われています。コロナ禍における避難所には、これまでとは異なる発想の対策が求められています。そのような中、区は避難所における
新型コロナウイルス感染症のリスクを減らすため、3つの密を回避する対策を行い、避難者同士のスペースを区切るためのパーティションのほか、マスクやアルコール消毒液、空気清浄機、体温計等、必要な用品を備蓄物資として用意しました。一方、実際に避難所を運営するのは、その地域に住む区民です。避難所運営組織の役に立つよう、科学的知見に基づいた避難所運営マニュアルの整備、並びに避難所運営訓練を早期に実施する必要があります。
熊本県では震災の経験等を踏まえ、避難所における3密の防止、高齢者・障害者など要配慮者への適切な対応、車中泊者など避難所外避難者への対応の3つのポイントから避難所運営方法の見直しを行い、マニュアルを整備しています。
また、川崎市では、国立大学法人東北大学災害科学国際研究所、東京大学地震研究所、富士通株式会社とともに、
新型コロナウイルス感染症流行下での自然災害を想定した避難所運営の実証実験を8月に実施いたしました。4者は2017年よりプロジェクトを進めており、本実証実験はその一環として行われました。当日は避難所の3密による
新型コロナウイルス感染症への感染リスクを低減した、より安全な避難に向け、感染を考慮した人流シミュレーション技術とAI画像解析ソリューションを活用した実証実験を行ったということです。
避難所付近に設置したカメラ映像から避難者の数や属性などの情報をAI画像解析ソリューションで自動収集し、避難所の混雑状況を把握しました。また、計測された情報は、リアルタイムに災害対策本部に転送されました。人流シミュレーション技術で可視化された人の流れの違いによって異なる感染リスクを、より適切な避難所運営計画に役立てるということです。そこで、港区でもこのようなシミュレーションを行い、それを今後のマニュアル改定、避難所整備等に反映させるべきだと考えますが、お考えをお聞かせください。
○防災課長(鈴木健君) 区では、
新型コロナウイルス感染症等の感染拡大時の災害対策として、避難所での感染リスクを減らすため、国の通知や都のガイドラインを参考に、避難所における感染症対策マニュアルを8月に策定し、5地区で実地訓練を実施しております。また、今月30日からは、特定の避難所に避難者が集中し、密な状態となることを防ぐため、避難所の開設状況や混雑具合等を適時発信していく港区
避難所開設状況システムを運用してまいります。AIを活用したシミュレーションについては、他自治体の実践事例や科学的知見などを参考に、今後、調査・研究してまいります。
○委員(横尾俊成君) 国や東京都のマニュアルもありますが、避難所ごとに、それぞれどう感染リスクがあるのか。あるいはどうした避難経路が適切なのかということに関しては避難所ごとに異なるということですので、ぜひ、そうした知見も参考にしていただきながら、また、区の感染症専門アドバイザーの方にもぜひ協力いただきながら、一つ一つの検証をしていただければと思っております。
また大阪狭山市では、従来の避難所運営との相違点を確認するため、
新型コロナウイルス感染症がいまだ終息していない状況の中、災害が発生した場合における避難所開設などについての対応を進めています。そこで港区でも、修正された避難所運営マニュアルを使用し、早期に避難所運営訓練を全区的に行うべきだと思います。そこでは、運営者が
新型コロナウイルス感染症対策をする以前の避難所運営とはどのような点が異なるかをしっかりと把握すること。また、新たに作成したマニュアルが有効なのか、さらに修正するべき点はないかを検証することが必要だと考えます。区のお考えをお聞かせください。
○防災課長(鈴木健君) 先ほどお話ししました感染症対策マニュアルは、今、委員のお話にもありました、みなと保健所の感染症専門アドバイザーの意見とともに、また、昨年の台風第19号の接近に伴い避難所を開設した際に、実際に避難所運営に携わった職員の意見も取り入れ、区の実情を踏まえて策定しているものです。また、今年度は、各地区防災協議会による、感染症対策を踏まえた避難所運営訓練の実施を予定しております。感染症対策マニュアルや各地区防災協議会が策定している避難所運営マニュアルについては、こうした訓練等の中で明らかとなった課題に対応して速やかに見直しを行い、より実効性あるものとしてまいります。
○委員(横尾俊成君) そうした訓練の結果を踏まえて、適宜マニュアルも改定していくということで進めていただければと思います。
次に、事業者と協力して避難所への避難可能者数を増やすことについてです。昼間人口が90万人を超えている港区では、以前より災害時の帰宅困難者への対応が課題となっておりました。一方、区民避難所についても、コロナ禍で感染症対策を踏まえたスペースの確保が必要となり、在宅避難を推奨しつつも、避難所を新たに確保することが喫緊の課題となっております。そこでまず、現在、区民避難所において、感染症対策後の収容人数は全体で何人分足りなくなってしまったのか。また、不足分を今後どのように確保するつもりなのか。さらに、現時点で確保できない分については、どのような対策で補う予定なのか、お聞きします。
○防災課長(鈴木健君) これまで区では、避難想定人数3万3,353人に対し、区民避難所全体で4万2,202人の収容人数を予定しておりましたが、感染症対策として1人当たりのスペースを6平方メートルに拡大した場合の収容人数は約1万2,000人となり、避難想定人数に対し、約2万1,000人分の不足が生じている状況です。このため、区民避難所に指定した施設で、これまで使用を想定していなかったスペースの最大の活用を図るとともに、
区内都立高校3校の活用について東京都と、6か所のホテルの活用について各事業所と協議を行っております。また、自社や帰宅困難者対策における一時滞在施設の協力を取り交わしている事業者に対しても、区民避難所の確保のための協力を働きかけております。
今後、区民避難所の確保に向けた協議を進めるとともに、災害時には、避難所への避難のみならず、自宅に被害がない場合の在宅避難や、親戚・友人宅への縁故避難等、災害時に区民が適切に避難行動を行えるよう、より一層の普及啓発に努めてまいります。
○委員(横尾俊成君) よろしくお願いします。避難所の新たな確保のためには、事業者にも御協力いただき、場所を確保していくことが必要です。今おっしゃいましたが、区では、ホテルや宿泊施設に対してこれまでも協力を求めてきたと思いますが、現在どれくらいの数がそれによって確保できているのか、お聞きします。また、確保に当たり困難な点があれば、お聞きします。
○防災課長(鈴木健君) 東京都やホテル事業者との協議においては、それぞれの施設で提供可能な
避難スペースや、避難所となった場合の運営方法、備蓄物資等の配備方法などについて調整を進めておりますが、具体的な提供可能人数までは、合意が整っておりません。また、これまでの協議においては、避難所とするスペースの区画の管理やそのための人員配置など、災害時を想定した運営体制の整備が実現に向けての課題と考えております。
○委員(横尾俊成君) 公表の問題等もあって、なかなか確保できないということは聞いております。ぜひ引き続きアプローチしていただければと思います。
一方、福岡市では、
新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、いち早く事業者に施設の提供の依頼を進めています。ここでは事業者に具体的な場所や物資の提供、受入れ体制などを詳細に求めており、それらの状況が市民にも公開されています。また、宇部市では、被災者の状況に応じた施設を案内できるよう対策をしています。具体的には、障害者や高齢者、妊産婦、体調不良者などの個室対応が必要な方々には、従来の避難所等に加え、民間施設など新たな避難先の確保も進めています。実際に被災した状況を想定して、民間施設を利用した訓練や職員の説明会などを行っているほか、民間宿泊施設の活用についても協議を進めています。
港区でもコロナ禍での想定避難者数と収容人数を改めて見直した上で、どれぐらい確保できるのか検討した上で、事業所等の協力体制を早急につくる必要があると考えます。また、区民避難所については、現時点で全体としてどれくらい足りていないかを区民に公表すれば、より区民や事業者からの協力も得られやすくなると考えます。こうした取組について、区の見解を伺います。
○防災課長(鈴木健君) 今後も避難所の確保のため、事業者へ働きかけを行っていく中で、公表については、不足している状況について、しっかり発信し、協力を求めてまいります。
○委員(横尾俊成君)
新型コロナウイルス感染症は、本当に多くの人々に影響を与えています。私たち議員にも日々たくさんの要望が寄せられて、区民の方の苦しさ、そして私たちのできることの少なさに心を痛めています。ただ、私たちが区民の方の声を丁寧に聴いていくと、実はほとんどの原因が不安であり、丁寧に聴いてそれを解決する姿勢を示す、あるいは既にある情報を提供すると、ほとんどは解決する、解消するということが多いのです。私はやはり不安に対しては、基本的には公表だと思っています。やはり何か漠然とどうすればいいか分からないということに関しては、積極的に公表していく。区が、これができていないということに対しては、積極的に公表した上で、さらに協力を求めていく。そういう姿勢が非常に大事だと思います。それで初めて自助の対策もできるのではないかなと考えています。透明化、情報発信をぜひ引き続き行っていただければと思っております。
次に、区民協働の推進についてです。区では、新しく港区民間協創制度を導入しました。これは、企業と区が共に地域を支え、地域社会の発展につなげることを目標として、区が課題解決に当たり民間団体に様々な協働を呼びかけるものです。制度はフリー型提案とテーマ指定型提案の2つに分かれており、今後多くの企業、NPO、大学が持つ専門的な知見を港区に生かしてもらうことが期待できます。
こうした制度については、私も平成28年第1回定例会等において、浦安市の協働事業提案制度などの例を引き、度々提案してきましたので、とてもうれしく思っております。平成26年3月に区が公表した区民協働ガイドラインには、区と課題解決を図ることができる人材や経験を有するパートナーが多数存在します。地域の課題解決に取り組むためには、区や各活動主体が協力し合って連携を進めることが重要ですと記されており、こうした理念を今後さらに進めるべく、様々な施策を展開することを望みます。
以前、私は渋谷区の企業、行政、NPOなどの組織の垣根を超えたクロスセクターによるまちづくりプロジェクト、渋谷をつなげる30人を御紹介しました。ここでは、渋谷区の課題を解消するため、組織を超えた様々な人たちが、1年間かけてフューチャーセッション方式で議論を重ねます。このプロジェクトの特徴は、区の職員が、事業者、NPOなどとフラットな関係で議論を重ね、それまでにないソリューションを模索しようとするところです。港区民間協創制度によい提案を集めるためには、区からの課題の提示力も必要となります。この制度に渋谷をつなげる30人のような仕組みを組み合わせることにより、民間団体による提案の質がより上がると思いますが、御意見をお聞かせください。
○企画課長(大浦昇君) 区では、様々な団体に属する社会人や学生、高齢者、障害者、また子育て中の方や外国籍の方など、幅広い構成によるみなとタウンフォーラムから多くの声や提言をいただいており、港区基本計画の策定や事業立案などに活用しています。15年以上にわたるこの取組は、渋谷をつなげる30人とは異なる制度ではありますが、多様な属性の方の意見を反映できる、十分効果のある仕組みであると考えております。
また、港区民間協創制度において、企業が区の課題を理解し、自らの強みを生かした提案につなげていただくため、現在、職員が多様な分野のベンチャー企業の集まる場に出向き、区の現状や課題等について、幅広く意見交換を行っております。本制度における課題の提示に当たっては、こうした取組を通じて出された意見も参考にするなど、今後も多様な区民や企業等と連携している港区の強みを生かし、質の高い提案につなげてまいります。
○委員(横尾俊成君) この質問をすると、大体いつもみなとタウンフォーラムの例を出されます。それ自体には私も賛同しているということを、いつも申し伝えておりますが、例えば渋谷をつなげる30人とどこが違うかというと、それを一緒にプロジェクト化していく、あるいは一緒に政策をつくっていく、あるいはその企画を実際に実施する。そこまで一気通貫しているところです。今回、協働提案事業制度をつくられたということで、そこのつなぎ込みができると思っています。なので、タウンフォーラムに参加した人たち、あるいは事業者さんたちと一緒に、どうやってそれを一緒にできるかということを考える。それに対して、提案制度に応募してもらうよう勧めるだとか。そういうことをぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
さて、区民協働を進める場所として、区では区民協働スペースを整備しています。港区区民協働スペースの設置及び管理運営に関する要綱に基づき、区内の課題解決を行う団体が利用できるスペースとして存在しておりますが、以前より当会派の清家議員、また、本委員会では山野井委員なども度々指摘しているとおり、その利用率の低さは問題になってきました。これはひとえに利用可能な団体の範囲の狭さによるものだと思います。現状では利用可能な活動例は、町会・自治会、商店街活動、防犯防災関連活動、地域清掃活動、環境美化活動、民生・児童委員活動、保護司活動、青少年委員活動などとされています。
そこで、港区民間協創制度の導入を契機に、一定の条件を満たせば、区のまちづくりに協力してくださる様々な団体に広くこのスペースを開放するべきだと思いますが、改めて区の考えをお聞かせください。また、このスペースについても、区の施設予約システムに入れ、インターネットからも予約できるようにしてほしいと考えますが、御意見をお聞かせください。
○
地域振興課長(櫻庭靖之君) 初めに、区民協働スペースの利用可能団体についてです。区民協働スペースは、地域の皆さんが地域課題を解決する活動拠点として設置しており、今、委員御指摘のとおり、町会・自治会や防災協議会など、主に区と協働して活動している地域の方々に御利用いただいております。委員御質問の区のまちづくりで協働している団体についても、その活動の場として、区民協働スペースを利用することができると考えております。御利用の際には、各総合支所管理課または地域振興課の方に御相談いただければと思います。
次に、施設予約システムの導入についてです。区民協働スペースは、当初、区有施設の余剰スペースを活用して、地域課題を区と協働して解決するために、申込みが簡単で無料で利用できる利便性の高い施設として設置し、利用団体に活用されております。そのため、区民協働スペースよりも優先する利用目的が生じた場合については他に転用することができるなど、区民ニーズに、より柔軟に対応できる施設であります。今後も、各団体の利便性を向上させるため、引き続き柔軟に対応するよう、努めてまいります。
○委員(横尾俊成君) ぜひ、この新しいすばらしい制度ができたので、これを機に様々なことを見直していただければと思います。
次に、DX、デジタルトランスフォーメーションの推進についてです。
新型コロナウイルス感染症は、行政のデジタル化の遅れを改めて浮き彫りにしました。特に1人当たり10万円の特別定額給付金支給においては、多くの自治体で混乱が生じ、政府から迅速な支給が可能と推奨されたオンライン申請は、全国の28の自治体で中止もしくは休止となりました。
そのような中、今回の区の給付金への対応は有効に機能したと認識しておりますし、これまでのRPAの導入などの取組は高く評価するものです。また、私も以前からその必要性を訴えてきており、全庁的なあらゆる業務のデジタル化について、
新型コロナウイルス感染症を契機に区も重い腰を上げたことは、一定の評価をするべきです。ここでまた、優先順位をつけて実行などとは言わず、また、東京都や国のシステムが影響するところは区が積極的に声を上げ、連携して取り組むなどして、区が主導し、あらゆる行政手続を早急にデジタル化していってほしいと考えています。
その際大切なのは、カスタマーサービスデザインの視点です。例えば転入・転出あるいは死亡届の提出などの各種手続において、カスタマーである区民は、役所の窓口にいらした際、現状では様々な部署に出向き、何度も基本的な情報を記入する必要があります。また、個人情報の観点もありますが、多くの手続は来庁しなければ完結することができず、区民にとっては手続のために余計な時間とコストがかかってしまいます。そこで、これを契機に区民目線で全てのサービスを見直し、窓口での待ち時間や手間の短縮、さらには自宅でのオンラインによる手続の完結を目指し、様々な行政サービスが迅速に提供される体制を整えていただきたいと思いますが、区のお考えをお聞かせください。
○
区役所改革担当課長・
特別定額給付金担当課長兼務(加藤豊君) 区では、場所や時間にとらわれず、あらゆる行政手続を行うことができる区役所を目指し、行政手続の原則オンライン化や、使用料・手数料のキャッシュレス化を中心とした行政のデジタル化を推進しています。令和4年度までを集中取組期間として、行政手続全体の7割に当たる手続のオンライン化を図り、法令の改正等が必要なものを含め、将来的には全ての手続のオンライン化を目指します。
そのために、現在まずは本年10月から電子申請が可能となる手続を拡充するための作業を情報政策課と連携して進めており、その取組手順をガイドラインにまとめ、さらなるスピードアップを図ってまいります。また、令和4年8月には、転入などのときに窓口で行う必要が各種手続について、区民の状況に応じて必要となる手続を画面で案内し、複数の申請書を一括で作成できる窓口総合支援システムを稼働させる予定です。行政のデジタル化を進めるに当たっては、求める書類等の必要性や手続のしやすさといった利用者目線に立ち、オンラインでも窓口でも行政サービスを迅速に提供できる体制を整えてまいります。
○委員(横尾俊成君) ぜひ、強力に進めていただければと思います。部署間で情報を共有していただき、どこにつなぎ込みが必要な部分があるのか、ぜひ検討していただければと思います。
また、同じくカスタマーサービスデザインの観点から言えば、サービスの重複も区民にとっては余計な手間や混乱の原因となります。区は、10月1日からLINEでのプッシュ通知で、必要な人に必要な情報を届ける取組を始めます。また、将来的には、渋谷区や海老名市のようにチャットボット機能を組み入れ、ユーザーから送られたメッセージに対して、AIを使って自動で返信するシステムも実装していくとのことです。
そのような中、例えば区が既に提供しているごみ分別アプリは、果たして必要でしょうか。地域別の収集日の検索機能、出し忘れ防止のアラーム機能等があるこのごみ分別アプリは、もしLINEを使ったシステムの運用が始まれば、不要となります。ごみの収集日はLINEを使って聞けばいいのに、また必要な人にはプッシュ通知でごみの収集日を伝える機能をつければいいのに、わざわざ区民がアプリをダウンロードする必要はありません。DXの推進に当たっては、アプリなど既に開発してしまったものについても再度検証を行い、必要な機能については新たなシステムに統合していくことも必要かと思います。こちらは要望です。
最後に、行政システムのアジャイル開発についてです。近年のソフトウエア開発のトレンドは、ウオーターフォールからアジャイルモデルにシフトしています。ウオーターフォールとは従来のソフトウエア開発の在り方であり、途中の修正をあまり想定しておらず、計画段階で全体的な機能を綿密に計画し、完成度の高いシステムを導入するというものです。システムを変更しようとすると、もしくはOSに合わせたアップデートをしようとすると、多大な時間と労力、コストがかかります。一方アジャイルとは、直訳すると素早い、機敏なという意味であり、アジャイル開発とは、小さい単位で実装とテストを繰り返す中で、運用段階でシステムの精度を高めていく方式です。
また、人がプログラミングを行う領域をできるだけ少なくして、ソフトウエアの開発を行うことができるノーコード、もしくはローコードと呼ばれる開発方式もあります。このうちノーコードとは、プログラミングをせずにウェブサイトやアプリ開発をする手法のことです。同様に、ローコードは、ある程度プログラミング知識がある職員が、最低限のプログラミングと僅かなコーディング作業のみでシステム開発ができるプラットフォームを指します。
この手法を採用すれば、例えばシステムに問題や改善点が見つかったとき、あるいは要件が変わったときなどに、職員自らシステムを素早く改修することができます。行政でのローコードの採用には、高山市における死去に伴う各種手続のシステム開発例があります。一般に市民の死去に伴う各種手続は、自治体側の多くの部署が関わります。届出は1回で終わらず、何度も役所を訪れなければ完了しないこともあります。そこで高山市では、サイボウズ株式会社の開発するkintoneを活用して、ローコードで全ての手続を一括で済ませるシステム構築をしました。これにより手続はワンストップで済み、市民の待ち時間を最大40%削減することに成功しました。この事業では、市のエンジニアではない職員が、2か月という短期間でシステムの構築に成功したことが話題になりました。
また、市川市では、LINEとローコード開発を組み合わせて、行政書類のオンラインの申請を実現しています。具体的には、市が運営する公式LINEを各種オンライン申請の窓口とし、申請を受理するデータベースをローコード開発で行いました。市民の手続を容易にしただけでなく、作業を内製化できたため、開発を外部委託した場合と比べて大幅なコストダウンを図ることにも成功しました。現在では、罹災証明書交付申請、道路公園等の損傷を発見した市民からの情報提供などもLINEで申請できるようになっています。さらに
新型コロナウイルス感染症の流行によって、市民からの電話相談が大量に発生した際、神戸市では、ある程度の知識を持った職員が、情報共有と集計のためのシステムを自ら作成したといいます。自分たちでいつでも改修ができるというローコードの特性を生かし、素早く運用を開始し、走りながら修正を重ねるというアプローチによって、変化への弾力的な対応を行ったと言えます。
現在行政システムの多くはウオーターフォール開発でできており、一度作ってしまうと容易に修正やリプレースができず、更新には莫大な労力とコストがかかってしまいます。これだけでは日々変化する区民サービスの需要に迅速に応えられません。そこで区でもこうした取組を参考に、ローコードでのシステム開発の手法を研究されてはいかがでしょうか。御意見を伺います。
○
情報政策課長(西川杉菜君) 最低限のプログラムを書きながらも、比較的シンプルな手順で開発が可能であるローコードでのシステム開発は、素早く運用を開始し、弾力的な対応ができるというメリットがあり、区では保育施設入所選考における業務など、16業務で導入しております。ローコード開発は、視覚的に簡単に操作できる画面で、あらかじめ設定された設計やプログラミングを用いて開発するものです。そのため、経験とプログラミングスキルのある開発者が必要となる税務システムや財務会計システムといった大規模かつ複雑なシステムにおきましては、従来の開発手法、いわゆるウオーターフォール型の開発が向いている場合もございます。今後もローコードで可能なシステム開発につきまして、他の自治体における導入状況等も踏まえて検討してまいります。
○委員(横尾俊成君) ローコードの開発を目指して、ぜひ区職員のリカレント教育というか、改めてプログラミング教育を皆さんの人材育成に取り入れていくなど取組を進めていただきながら、どういったところがローコードできるのか、あるいはウオーターフォールできるのか、そういったところをぜひ見極めていただければと思います。以上です。
○委員長(杉浦のりお君) 横尾委員の発言は終わりました。
歳出第2款総務費の質疑の途中ではありますが、以上にて本日の審議を終了いたします。
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○委員長(杉浦のりお君) これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。お疲れさまでした。
午後 5時28分 閉会...