港区議会 2012-02-23
平成24年第1回定例会−02月23日-02号
平成24年第1回定例会−02月23日-02号平成24年第1回定例会
平成二十四年 港区議会議事速記録 第二号(第一回定例会)
平成二十四年二月二十三日(木曜日)午後一時開会
一 出席議員(三十四名)
一 番 うどう 巧 君 二 番 益 満 寛 志 君
三 番 小 田 あ き 君 四 番 清 家 あ い 君
五 番 横 尾 俊 成 君 六 番 ちほぎ みき子 君
七 番 鈴 木 たかや 君 八 番 土 屋 準 君
九 番 錦 織 淳 二 君 十 番 榎 本 茂 君
十 一番 杉 浦 のりお 君 十 二番 なかまえ 由紀 君
十 三番 近 藤 まさ子 君 十 四番 杉本 とよひろ 君
十 五番 ゆうき くみこ 君 十 六番 二 島 豊 司 君
十 七番 赤 坂 大 輔 君 十 八番 大 滝 実 君
十 九番 熊 田 ちづ子 君 二 十番 七 戸 淳 君
二十一番 阿 部 浩 子 君 二十二番 古 川 伸 一 君
二十三番 たてしたマサ子 君 二十四番 池 田 こうじ 君
二十五番 清 原 和 幸 君 二十六番 うかい 雅 彦 君
二十七番 風 見 利 男 君 二十八番 沖 島 えみ子 君
二十九番 樋 渡 紀和子 君 三 十番 渡 辺 専太郎 君
三十一番 林 田 和 雄 君 三十二番 菅 野 弘 一 君
三十三番 井 筒 宣 弘 君 三十四番 鈴 木 たけし 君
一 欠席議員 な し
一 説明員
港 区 長 武 井 雅 昭 君 同 副 区 長 野 村 茂 君
同 副 区 長 内 藤 克 彦 君 同 教 育 長 高 橋 良 祐 君
芝地区総合支所長
麻布地区総合支所長
同 益 口 清 美 君 同 渡 邊 正 信 君
環境リサイクル支援部長兼務 産業・
地域振興支援部長兼務
赤坂地区総合支所長 高輪地区総合支所長
同 杉 本 隆 君 同 家 入 数 彦 君
子ども家庭支援部長兼務 保健福祉支援部長兼務
芝浦港南地区総合支所長
同 安 田 雅 俊 君 同 みなと保健所長 大久保 さつき 君
街づくり支援部長兼務
企画経営部長
同 特定事業担当部長 新 村 和 彦 君 同 田 中 秀 司 君
大震災緊急対策担当部長兼務
用地活用・区
有施設整備担当部長
同 安 藤 康 宏 君 同 防災危機管理室長 滝 川 豊 美 君
芝浦港南地区施設整備担当部長兼務
会計管理者
同 総 務 部 長 小 池 眞喜夫 君 同 横 山 大地郎 君
会計室長事務取扱
同
教育委員会事務局次長 小柳津 明 君
一 出席事務局職員
事 務 局 長 塚 田 浩 一 君 事務局次長 日 詰 由 三 君
議 事 係 長 鈴 木 良 君
他五名
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平成二十四年第一回港区
議会定例会議事日程
平成二十四年二月二十三日 午後一時
日程第 一 会議録署名議員の指名
日程第 二 代表質問・一般質問
鈴 木 たけし 議員(自民党議員団)
近 藤 まさ子 議員(公明党議員団)
七 戸 淳 議員(みなと政策クラブ)
大 滝 実 議員(共産党議員団)
うどう 巧 議員(みんなの党)
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○議長(菅野弘一君) これより本日の会議を開会いたします。
ただいまの出席議員は三十四名であります。
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○議長(菅野弘一君) これより日程に入ります。
日程第一、会議録署名議員をご指名いたします。二十五番清原和幸議員、二十六番うかい雅彦議員にお願いいたします。
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○議長(菅野弘一君) 日程第二を議題といたします。区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。三十四番鈴木たけし議員。
〔三十四番(鈴木たけし君)登壇、拍手〕
○三十四番(鈴木たけし君) 平成二十四年第一回港区議会定例会にあたり、
自由民主党議員団を代表し、当面する港区政に対し、武井区長、高橋教育長に質問をさせていただきます。
まず初めに、天皇陛下におかれましては、去る十八日、
東京大学医学部附属病院において四時間にも及ぶ心臓の冠動脈のバイパス手術を受けられました。皇居坂下門近くに設けられましたお見舞いの記帳所には、ご無事を祈り、多くの方が記帳に訪れました。手術は、医師団の連携もよく、大変順調に終了いたしました。その後、二十日には集中治療室を出られ、特別病室に移られました。術後の経過も大変順調で安堵しております。一日も早いご快癒を心からお祈り申し上げます。
次に、昨日二月二十二日、武井雅昭区長の所信表明の最後に、「二期目を終わるにあたり、区民の審判を仰ぎ、区政に携わってまいりたい。どうぞよろしくお願いします」との発言がありました。私どもは三期目の立候補宣言ととらえ、
自由民主党議員団は、武井区長が今まで力を発揮してきた港区政のかじ取りを支持する方々と協力し、再び当選を目指し、全力を挙げて応援してまいることを表明いたします。
質問に入る前、少々の時間をいただき、3・11、東日本大震災以降の日本の再生について、自民党の意見を申し述べます。東日本大震災より、もう間もなく一年がたとうとしております。震災に遭われた方々は仮設住宅で寒い新年を迎え、燃料の値上がりを気にしながら、寒さに耐えているテレビ映像を見るたび、現政権に対する責任のなさにあきれるばかりです。平成二十三年度第四次補正予算まで成立しましたが、現地には何もしていないのが現状で、被災地の方々は労働保険における特例措置の期限が目前に迫り、全然先の見えない日々を過ごしているのが現状ではないでしょうか。
福島県の原発被害地域はともかく、岩手県、宮城県の海岸地の漁港は、仮設の市場、仮設の漁業関係設備等があれば、漁業関係者は仕事ができるのではないでしょうか。仮設住宅で生活し、収入がなし。これでは自分のまちで生活することさえできなくなり、故郷を去らざるを得ません。高齢者だけが残り、若者が去り、まちの再生などできなくなるのではないでしょうか。今、必要なのは仮設の仕事場ではないでしょうか。収入を得ながら生活できる環境づくりこそ急務であり、最低限の設備が故郷再生の原動力と私どもは考えています。
一年になろうとしているのに収入のない生活、これは政府の責任です。サンマもカツオも水揚げされました。ただ、製氷工場が流され、氷が足りなくて、地方発送できないとのことですから、少量しか水揚げできないとのことです。製氷工場をつくるとか、氷を確保できれば、魚の水揚げができるのであれば仕事ができるし、生活も成り立つのではないでしょうか。今、漁業関係者はそれを望んでいるのではないでしょうか。働く職場ができ、その人たちを補佐する物販店など、生活を支援する商店や飲食店なども必要になり、多くの人々が暮らせるようになるのではないでしょうか。漁港の一例を挙げましたが、このくらいの支援は、やる気がありさえすれば、政府の責任でできるのではないでしょうか。
津波で塩害を受けた田畑にハウスを設置し、水耕栽培システムを設備し、トマトの生産を始めた農家の方々を報道で知りました。当面は塩害の農地をメーカーに貸し、その施設で働き、技術を習得し、資金ができたら自分たちで独立するそうです。これは、民間業者が設備をし、塩害の農地を活用した例です。このような支援がなぜ政府はできないのか。実に嘆かわしい次第であります。政府の支援で一刻も早い復旧・復興を期待する次第であります。
宮城県女川町災害廃棄物の受け入れ説明会が、去る二月十七日午後七時から
男女平等参画センター、リーブラで開催されました。須田女川町長のビデオレターのお願いから始まり、今の女川町には百十五年分の焼却ごみが処分できない、町の復興もできないとのことでした。廃棄物の搬送にあたっては、現地で放射能線量の測定を行い、基準を超える場合は、そもそも搬出しない仕組みで、また搬出も機密性の高い鉄道コンテナで行い、このコンテナはあらかじめ清掃工場に直接持ち込める仕様のものを用意して、途中開封することなく工場に持ち込み処理するものです。以上の点から、安全性は十分確認されるものと判断し受け入れる。試験焼却は大田清掃工場と品川清掃工場であり、いずれも基準値以下であったと報告されました。特別区として共同で運営している東京二十三区清掃一部事務組合のすべての清掃工場で分担し、焼却するとのことです。受け入れ期間は、平成二十四年三月から順次受け入れ、一日平均百五十トンで通常ごみとの混合比率、災害廃棄物は通常ごみに対して一〇%以下、平成二十五年三月までとしております。
東日本大震災についてるる述べてまいりましたが、テレビ等で見るあの瓦れきが片づかなければ復旧できない被災地に東京二十三区が支援して、一日も早い復旧・復興を期待するものです。東日本大震災に対し何もできない政府に苦言を呈してまいりましたが、首都直下型地震について質問をしてまいります。
マグニチュード七級の首都直下型地震が、今から四年以内に約七〇%の確率で発生するという試算を、
東京大学地震研究所の研究チームがまとめたと、ことし一月二十一日の新聞各紙が報道しました。首都直下を含む南関東の地震発生確率を三十年以内に七〇%程度としている政府の
地震調査研究推進本部の評価に比べ、切迫性の高い予測です。一月二十八日には富士五湖を震源とするマグニチュード五の地震があり、翌二十九日にかけて同規模の地震が相次いで四回起き、富士山が噴火するのではないかと心配する方もおられるなど、にわかに関東地方でも地震に対する心配が増しております。
東京大学地震研究所によりますと、昨年三月十一日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によりますと、十二月までにマグニチュード三から六の地震が平均一日当たり一・四八回発生しており、大震災前の五倍に上がっているそうです。
東京大学地震研究所の平田直教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが一上がるごとに地震の発生頻度が十分の一になるという地震学の経験則を活用し、今後、起こり得るマグニチュード七の発生率を計算しました。
首都圏では、一九二三年の関東大震災のほか、茨城県南部から浦賀水道にかけてのマグニチュード七級の地震が約百二十年間に五回起きている。
地震調査研究推進本部が公表しています発生確率は、こうした過去の地震の発生間隔に基づき計算しており、東日本大震災後の地震活動の活発化は考慮していない。首都圏の地震活動の活発化は、東日本大震災によって地殻の動きが変化したためと考えており、平田教授らは「地震活動が活発な状況は、数年から十年間は続くと考えられる。その間にマグニチュード七級の直下地震が起きる可能性は高い」と話している、と報じられておりました。
港区内には昭和四十年代から五十年代にかけてべた基礎の建物があったと承知している。大半の建物は改築されたと思うが、まだ改築されないものがあると思う。平成二十三年第二回港区議会定例会でも支援要請の質問をしましたが、来年度予算に建築物建替等促進事業、
建築物耐震改修等促進事業など新規事業、レベルアップ事業など五億三千万円余が震災対策ほか、
ひとり暮らし高齢者等防災用品あっせん事業として二千二百万円余が計上されている。防災用品も大事だと思うが、震災時に救助・救援が大事だと考えるが、高齢者の救助・救援は、港区に登録しておいて、緊急の場合、近隣の方、消防団員等が救助・救出する手はずになっている。現在の手はずどおりで大丈夫か。再度確認する必要があるのではないか、伺うものであります。
次に、二月三日の新聞報道では、二十三区のうち十一区で、避難所の収容が大幅に足りないことがわかった。都心が震源の場合、住宅が被災すると予測される都民の一割以上にあたる二十七万人が避難所不足になり、帰宅困難者を含めると百三十万人分以上の避難先確保が必要になる。既に公共施設の収容力は限界で、各区は今後、企業や商業施設、ホテルなど受け入れ協力を求めると報道されておりました。
港区は、3・11東日本大震災の教訓で、その後にも訓練し、各企業にも協力要請してきましたが、港区防災対策基本条例を周知徹底して、企業の自助をお願いして努力をしてまいりました。港区には企業が多く、また企業に出入りする人が多いと理解している。そのほか、買い物客、観光客などの来街者も多い。六本木ヒルズは震災の場合、逃げ込める施設と言いながら、一月十七日、これは阪神・淡路大震災のあった日でございますが、毎年訓練をしているわけでございます。今までの訓練で、企業がいざ震災というときに企業社員を守る義務を果たせると思うか、区長の考えを伺うものであります。
次に、港区には竹芝ふ頭、日の出ふ頭、芝浦ふ頭があります。鉄道、陸路が震災の影響で使用不能、通行できない場合、船舶等水上での輸送を考慮するのも一つの方法ではないか。千代田区、中央区、港区など都心三区が協力し、時間帯にもよるが、都心の昼間人口を横浜方面に海上輸送するとか、千葉方面に輸送するとか、埼玉方面に輸送するなど考えられるのではないか。今後の課題と思うが、都心三区の区長として検討しておく必要があるのではないかと考えるがいかがか。この問題には東京都も関係すると考える。区長の考えを伺うものであります。
次に、孤独死などについて伺います。
港区政策創造研究所から平成二十三年十二月、港区における
ひとり暮らし高齢者の生活と意識に関する調査報告書が提出され、平成二十四年一月十七日に港区議会でも早速、河合克義所長他を迎えて勉強会が開かれました。
平成二十二年七月、足立区の生きていれば百十一歳の男性が自宅で白骨化した状態で発見された。約三十年前からこの状態だったとのことである。その後、同じようなケースが他の地域でも起こっていることが明らかになった。
厚生労働省は、平成二十二年年八月二十七日に百歳以上で所在不明者は二百七十一人、八十五歳以上では八百人以上に上るということを発表している。他方、UR都市機構は、全国の同機構の賃貸住宅の中で孤独死した人の数を公表している。平成二十年には全体で六百十三人、うち六十五歳以上の者が四百二十六人となっている。
また、東京都監察医務院の事業報告によれば、東京二十三区で六十五歳以上の者の孤独死の数は、平成十四年は千三百六十四人、平成十七年は千八百六十人、平成十九年は二千三百六十一人、平成二十一年は二千百九十一人と、最近は二千人を超えております。
無縁死、孤独死の背景には高齢者の孤立問題がある。所在不明高齢者問題に示されているように、高齢者の孤立問題は、高齢者世帯に限らず、同居世帯にまで広がっているのである。このように高齢者の孤立問題が深刻化しており、この問題を解決するための社会的方策を探ることが求められている。
港区の今年度事業では、
ひとり暮らし高齢者等見守り推進事業がある。総合支所のエリアごとに一地区二名のふれあい相談員を配置して、地域の高齢者支援の拠点である
高齢者相談センターとの強い連携のもと、地域高齢者に出向き積極的に手を差し伸べていくなど、ひとり暮らしはもちろん、地域で暮らす高齢者等を訪問し、生活実態に即した支援につなげるとしている。
また、ふれあい相談員が直接高齢者からの相談を受け、必要な支援やサービスにつなげることにより、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう見守る等すべきと考える。そして、孤独死等を極力なくすべきと考える。ふれあい相談員にはご苦労と考えるが、そのほかに何か連絡方法など孤独死に対する考えを伺うものです。
次に、保育園待機児童解消問題についてお尋ねいたします。
港区の新生児誕生は平成十八年以降、二千名を超す誕生が続いている。港区の行政は待機児童解消のため努力をしてまいりました。しかし、予想以上の新生児誕生でうれしい悲鳴を上げているのが実情ではなかろうかと思います。港区の待機児童は、平成二十四年一月時点で二百五十五名と聞いている。しかし、今年度開所予定の区立神明保育園、区立たかはま保育園が開園すると、待機児童が解消することになります。この二園のほかに南青山、六本木等の開設も予定されている。平成十七年には千四百人まで落ち込んだが、芝浦港南地区の人口増加で新生児も増加している。
今年度、神明保育園が暫定で四月に百二十一名、九月の開園に四十九名で合計百七十名。たかはま保育園は、平成二十四年十二月、百六十三名で開園する予定で工事を進めております。このほか、
私立認可保育所南青山が四月に五十名でオープン、六本木一丁目で十二月、五十名でオープン。これらにより現在予定されている定員の拡大は四百三十三名です。このままですと百七十八名のあきが出るわけですが、潜在的に希望者がいるため、また新生児が誕生すれば、待機児童ができるものと考えます。区は待機児童を出さないために保育園の増設に努力してきたが、本年度はいかがか。また、待機児童が出た場合はどのように対処し対応するのか。武井区長のお考えをお聞かせください。
次に、
アジアヘッドクォーター特区構想の対応について伺います。
田町・品川駅間に新たな駅を開設するとの報道以来、国は国際戦略総合特区に指定し、特区で働く外国人の入国審査などに関する規制緩和、東京都は特区内の企業法人内の減免などで外資系企業の誘致を図っていく。新たに東京都は
アジアヘッドクォーター特区構想及び
特定都市再生緊急整備地区に指定した。東京都のプロジェクト構想によれば、アジア地区の業務統括・研究開発拠点となる外国企業五十社以上を誘致、その他の外国企業五百社以上を誘致するとしている。国に大胆な規制緩和や税制優遇を求めるとともに、依然として進む日本離れを食いとめ、都市再生の一体活用により、災害に強い戦略都市づくりと外国企業の誘致を進め、外国企業と東京が誇る高い技術力を有する中小企業が刺激し合うことで新技術・新サービスを創造する魅力的な市場を形成し、東京をアジアのヘッドクォーターへ進化をさせることを目的としている。
アジアの拠点として世界の先端技術を東京に集め、外国企業と中小企業やベンチャー企業が連携して国内外に打って出ることで、再び日本の産業が世界に大きな展望を開いていくことができるのではないかと思う。港区では、新橋地区、赤坂・青山地区、六本木地区、田町・品川駅周辺、台場地区と多くの地区が特区のエリアに含まれている。また、田町・品川駅間には新駅を開設するとの報道もあった。リーマン・ショック以降、依然として厳しい状況が続いている港区の地域経済の観点からも、
アジアヘッドクォーター特区構想に対し、どのように対処していくつもりなのか、武井区長の考えをお聞かせいただきたい。
次に、港区の芝五丁目用地、(仮称)港区
産業振興センター構想についてもアジアヘッドクォータープロジェクト内にあり、連携しやすい環境と考える。(仮称)港区
産業振興センターについて協力することにも十分チャンスができるのではないかと思う。港区内の中小企業も大きなチャンスが生まれるのではないかと考えるが、
アジアヘッドクォーター構想の動向を踏まえた(仮称)港区
産業振興センターの整備について、武井区長の考えを伺う次第です。
最後に、教育長にお尋ねいたします。
戦後の教育環境は我慢強さや忍耐力が損なわれ、さらには隣人愛や社会愛、両親に対する感謝の気持ち、社会に貢献しようとする使命感の欠落など、さまざまな弊害をもたらしています。他人を思いやる心が壊れ始め、特に家庭内の幼児虐待は目立つようになっています。逃げ場のない子どもが虐待され、虐待した大人はしつけのためと言いわけしていますが、抵抗できない子どもが死ぬまでしつけと称して虐待され、親は子どもの衰弱を知り、救急車などで病院に向かうのです。家庭により事情はいろいろありますが、不景気がもたらす影響ばかりとは言えないのではないかと考えます。すべてに対し我慢強さや、子どもをしつける忍耐力等が不足しているからではないでしょうか。
また、学校には時々モンスターペアレンツがあらわれ、学校、担任などを執拗に抗議し、家庭での子どものしつけを正当化してしまうなど聞いております。
昨年の東日本大震災の折、海外では、水、食料などの配給に行列をつくる写真を載せ、被災地での日本人を礼儀正しい日本人として報道されたと国内でも報道されました。雪の中、行方不明者を捜索する警察官、自衛隊員、消防隊員、その姿は皆必死でした。そのような日本人を全国民が見ていたのです。戦後六十六年たち、戦後教育を受けた人々の時代です。だが、最近問題が余りにも多いのです。前段で申し述べました親が死んで三十年も知らん顔して年金を受け取っていたり、仕事をしないで親に注意されて親を殺す。また、暴行して親、兄弟を亡くすなど、最近は異常としか言いようのない問題が多過ぎます。日本の伝統文化が失われた感があり、道徳や日本の歴史、歴史上の人物など、今以上に教えることが必要ではないかと考えますが、高橋教育長の考えを伺う次第です。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表しての鈴木たけし議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、首都直下地震についてのお尋ねです。
まず、高齢者の救助・救援についてです。東日本大震災を教訓として、現在、高齢者や障害者など災害時要援護者の支援体制の確立に向け、改めて要援護者登録名簿を精査するとともに、要援護者一人ひとりの状況に応じたきめ細かな対応ができる方策などについて検討しております。
具体的には、災害時にいち早く高齢者等の安否確認を行うために、情報提供に同意いただいた高齢者等の住居、身体状況、ご家族の状況、ブロック塀など避難時の危険個所や避難先などを地図上で確認できる要援護者マップの作成と、個別避難計画の策定を進めております。また、要援護者対策を推進するために、地域の民生・児童委員、防災住民組織、消防団やケアマネージャーなどとの連携の強化策についても検討しております。今後とも、より実効性のある高齢者の救助・救援制度の構築に努めてまいります。
次に、港区防災対策基本条例の周知等についてのお尋ねです。
昨年十月に策定した港区防災対策基本条例は、災害発生時に区民の生命と財産を守るため、区の防災対策を総合的に推進する上で根幹をなす条例です。条例施行後は、条例の周知徹底を図るため説明用の概要版を作成し、区民や事業者を対象とした防災講演会、事業者団体が主催する研修会、各総合支所主催の区長と区政を語る会など、あらゆる機会を通じて、条例の制定趣旨や都心港区の特有の課題である高層住宅対策、そして帰宅困難者対策などを説明してまいりました。また、条例に規定しております区民、事業者の責務と、区の防災対策や支援の内容などをわかりやすく解説した冊子を作成中です。この冊子は、区民や事業者に広く周知を図るため、来週早々にも新聞折り込みや地域防災協議会、各事業者団体を通じて配布する予定です。今後もあらゆる機会を通じて、港区防災対策基本条例の周知に努めてまいります。
次に、船舶を活用した帰宅困難者の海上輸送についてのお尋ねです。
船舶を活用した帰宅困難者の海上輸送手段の確保については、広域的な対応が必要であることから、東京都地域防災計画において、東京都の役割となっております。一方、区は、区内の船舶会社、漁業協同組合、釣り船、船宿、民間桟橋の所有者の方々と、災害時に船舶を活用した人員の輸送について協力協定を締結しております。このことから、今後、協定締結先との連携を視野に入れて、東京都や隣接都心区と調整を図りながら、船舶を活用した帰宅困難者の海上輸送について検討を進めてまいります。
次に、高齢者の孤独死の防止についてのお尋ねです。
区はこれまでも、緊急通報システムなどのサービスを実施するとともに、民生・児童委員、町会・自治会など地域の活動主体との連携や情報の共有化により、高齢者の見守り体制を強化してまいりました。また、年末年始における
ひとり暮らし高齢者等への支援として、いきいきプラザにおいて年越しそばの提供や箱根駅伝の観戦など、地区ごとに特色を出した交流事業を実施いたしました。
昨年六月から芝浦地区と高輪地区に配置いたしましたふれあい相談員が、
高齢者相談センターなどの関係機関と連携を密にし、
ひとり暮らし高齢者等を積極的に訪問し、介護保険の認定申請や家事援助サービスにつなげるなど、きめ細かく生活状況に即した支援を進めております。本年四月からは、ふれあい相談員を区内全域に配置するとともに、港区政策創造研究所が実施した
ひとり暮らし高齢者の生活と意識に関する調査を踏まえ、地域の中での
ひとり暮らし高齢者等の孤独死防止の取り組みを一層充実してまいります。
次に、保育園の待機児童解消についてのお尋ねです。
区はこれまで、港区独自の待機児童解消対策として、緊急暫定保育施設の整備や私立認可保育所の誘致など、さまざまな手法により積極的に定員拡大に取り組んでまいりました。私が区長に就任した平成十六年度以降二千二百四十九名の定員の拡大を図り、総定員は二倍強の四千二百二十七名と大幅な定員拡大を実現いたしました。平成二十四年四月には、定員百二十一名の緊急暫定保育施設神明保育室の新設、既存の青南保育室の定員二十名の拡大、南青山に定員五十名の私立認可保育所を誘致いたします。九月には定員百七十名の本格施設となる区立神明保育園の開設、十二月には定員百六十三名の区立たかはま保育園を開設するとともに、六本木に定員五十名の私立認可保育所を誘致します。
さらに、新たな事業として、パートタイム勤務や育児短時間勤務等の保護者の保育需要に対応するため、四月から定期的保育を行うみなと保育サポート事業を白金三丁目で実施します。平成二十五年度以降も田町駅東口北地区に区立保育園を新設し、また区立保育園五園の改築に合わせて定員拡大を行います。今後とも、待機児童解消に向け、多様な手法により定員拡大を図ってまいります。
次に、
アジアヘッドクォーター特区構想等についてのお尋ねです。
まず、区としての対応についてです。アジアヘッドクォーター特区は、外国企業の誘致を進め、外国企業と東京が誇る高い技術力を有する中小企業が互いに刺激し合うことで、新たな技術やサービスを創造する魅力的な市場を形成し、日本全体の経済成長を牽引することを目的とするものです。
区は、特区の区域を含めた区民が夢と希望に満ち、安全で安心して生活ができる良好なまちづくりの実現に向けて取り組む必要があります。今後、特区計画の策定に向け、区民サービスの向上及び区内産業の振興につながるよう、東京都の地域協議会などを通じ、区としての必要な主張を行ってまいります。
最後に、(仮称)港区
産業振興センターの整備についてのお尋ねです。
産業振興の拠点施設と位置づけます(仮称)港区
産業振興センターにつきましては、インキュベーション支援機能や展示会の開催、企業間交流の場の確保など、整備すべき機能について検討を行っております。今後、
アジアヘッドクォーター特区構想の具体化の動きを見据え、また、東日本大震災を踏まえた安全・安心の確保を重視し、産業関係団体や学識経験者等で構成する港区中小企業審議会でのご意見を伺いながら、引き続き検討を進めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまの自民党議員団を代表しての鈴木たけし議員のご質問にお答えいたします。
道徳及び歴史教育についてのお尋ねです。
このところの報道でも、地域や家庭において、人と人との結びつきが弱まり、道徳性や規範意識等の低下に起因すると思われる事件、事故が多く、私自身大変憂慮しております。学校は、地域・家庭と協力し、家族愛や規範意識、公徳心などの道徳性を涵養する責任があり、その改善を図っているところです。道徳心に限らず、人が学んだことを規範や知恵として身につけるためには実社会での体験が必要です。そこで、道徳授業を公開した後の保護者や地域の方を交えた意見交換会を通して共通理解を図りながら、地域清掃活動や募金活動、福祉施設での体験活動などを重視し取り組んでおります。
また、歴史の授業では、歴史上の優れた人物や先人の知恵や業績を学び、我が国の伝統や文化を尊重する態度を育成し、日本人としての自覚と誇りを高めるよう指導の改善を図っております。今後も、地域・保護者の皆様のご理解とご協力をいただきながら、郷土を愛し、日本の伝統と文化を尊重し、国際社会の平和と発展に貢献できる児童・生徒の育成に全力で努めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○議長(菅野弘一君) 十三番近藤まさ子議員。
〔十三番(近藤まさ子君)登壇、拍手〕
○十三番(近藤まさ子君) 平成二十四年第一回港区議会定例会にあたり、公明党議員団を代表して、区長並びに教育長に質問いたします。明快にして積極的な答弁を期待いたします。
質問に入ります前に、一言申し述べさせていただきます。区長は、昨日の所信表明で六月の区長選挙に立候補することを力強く表明されました。私が区議会議員として初めて質問したのは、平成十九年第二回定例会でした。私自身の体験を通して、重度障がい者の福祉施策について武井区長に質問いたしました。武井区長は一年生議員である私の質問を真摯に受けとめてくださり、誠実に大変丁寧に答弁をしてくださいました。初めてということもあり、答弁を伺っていて思わず目頭が熱くなり、込み上げてくるものを必死に抑えていたことが思い出されます。私たち公明党議員団は、港区民のため、全力で武井区長を支援することを申し添え、質問に入ります。
初めに、昨日の区長所信表明の柱となる今後の財政運営についてお伺いいたします。
平成二十四年度の予算は、予算編成の基本方針に述べられたとおり、「東日本大震災を教訓として、災害に強いまちと安全・安心な区民生活を実現するための予算」と言われるように、東日本大震災の影響による諸課題を防災対策に反映させた予算であると感じております。また、リーマン・ショック以後の世界経済の低迷や長期間にわたる円高の影響などによる特別区民税の大幅な減収を視野に入れた予算編成になっています。
特別区民税は四年連続で減少し、平成二十四年度予算においても、平成二十三年度予算と比較して約二十億円の減収となっています。さらには財政の弾力性をあらわす経常収支比率は、平成二十一年度に比べ、平成二十二年度では八・八ポイントも悪化しています。こうした状況にあっても、港区基本計画(後期三年)見直し後に計上した事業の着実な推進、さらには平成二十年六月、区長就任二期目に掲げられた区政運営に関する基本方針の総仕上げを目指さねばなりません。武井区長二期目の集大成となる重要な予算編成です。
予算案の概要を拝見すると、事業の見直しを図った結果、予算額は縮小されたものの、災害対策に二十七億円計上、新規事業数は、平成二十三年度に比べ十五事業の増加、六十六事業となっています。さらには、各総合支所の新規地域事業は十九事業に拡大されています。一般会計における各款の目的別歳出の構成比は、民生費、教育費とも平成二十三年度予算に比べ手厚い構成比となっており、区民サービスの質は落とさないという強い意志を感じております。
さて、このように平成二十四年度予算はめり張りのある積極的な予算編成であると思いますが、さきに述べたように、歳入の先行きは不透明であり、今後もますます厳しい財政運営を強いられるのではないでしょうか。行政評価制度を活用した事業内容の見直しと予算規模の適正化、人件費の着実な削減、さらには都区協議における事務事業の見直しと財源の譲渡など解決すべき課題は数多くあります。また、新たな歳入確保も重要です。先行き不透明な社会経済情勢を踏まえると、今後も厳しい財政状況が続くと考えられます。港区後期基本計画の初年度となる平成二十四年度を迎えようとしている今、新たに策定した財政計画における財政フレームをどのように堅持していかれるのか、今後の財政運営について、区長の見解をお伺いいたします。
次に、災害時のホームページ掲載を遠隔地の自治体と連携することについてお伺いいたします。
平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災は多くの教訓を与えてくれました。その一つに被災した各自治体が掲載していたホームページの更新や被災者に対するホームページを使用した被災状況などの情報発信が不可能になったことが挙げられます。原因は更新用サーバが損壊したことにあります。実際、被災した岩手県、福島県、宮城県では発災直後から閲覧できない状況が続きました。こうした状況下で宮城県大崎市では、姉妹都市の一つである北海道当別町にウェブサイト上への大崎市災害情報ページの開設を依頼し、震災当日から被害の状況、避難所の情報、ライフラインに関する情報を毎日途絶えることなく発信し続けることができました。
区は、いわき市、郡上市などと災害時に協力・連携すると聞いておりますが、都市直下型地震が想定される現在、大規模災害では遠隔地にある姉妹都市などと相互の情報発信協定を結ぶことが重要と考えます。所信表明では、地方分権改革への取り組みとして、自治体間の連携を一層強化し、基礎的自治体の力量をいかんなく発揮すると述べられています。
そこで質問は、発信情報の内容や情報の受け渡し方法など平時における準備が重要と考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、女性の視点を生かした防災対策について質問いたします。
我が会派は、平成二十三年第四回港区議会定例会で地域防災計画に女性の視点を盛り込むことを提案いたしました。区長からは、「女性の視点からの意見聴取に努め、港区地域防災計画に反映していく」との答弁をいただきましたが、その内容は、女性に必要な備蓄品や避難所の環境整備に視点があるように感じられます。しかし、最も重要視すべきは、むしろ災害直後の日々の生活を担う生活者の視点ではないかと考えます。
我が党は昨年十月、「女性の視点からの災害対策」と題して、公明党女性防災会議を開催し、そこでは兵庫県の清原桂子理事の講演もありました。清原理事は、阪神・淡路大震災以降、兵庫県で行政的な指揮官として地域防災会議にも所属し、復興支援に取り組んでこられた方です。清原理事は、阪神・淡路大震災直後、国は地震による「個人補償はできない」との方針を打ち出しましたが、生活者の視点から「個人への補償は不可欠」との結論に達し、ついに「生活再建支援金」の給付が実現したとのお話がありました。
さらに、清原理事は、生活復興に向けた女性の強みを三点挙げられました。第一に、女性の日々の暮らしの現場を担う生活者であること。日々の生活は待ったなしですから、生活者であることが何よりの強みとなる。第二に、女性は肩書にとらわれない横の人間関係をつくっていけること。相手がだれであろうと、しっかり言いたいことが言えるおばさんトークが重要となる。第三に、女性は議論の堂々めぐりより、まず、行動という行動力を持っていると指摘されています。しかし、復興に向けて方針を決める場になると、一気に女性が意見を言う場が減ってしまうそうです。今回の東日本大震災復興構想会議でも女性の数が大変に少ないと話されていました。
翻って港区では、港区男女平等参画条例及び条例に基づく行動計画において、政策方針決定過程への女性の参画を促進するために、審議会等の女性委員比率を五〇%にするという高い目標を掲げていると聞いています。
そこで質問は、港区防災対策会議や、今後策定する港区地域防災計画に女性の視点を取り入れる仕組みづくりが重要であり、女性の参画が不可欠と考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、障がい者への災害時や不測の事態に対応できる環境整備についてお伺いいたします。
昨年七月に、障がい者支援の基本原則などを定めた「改正障害者基本法」が成立し、八月に施行されました。本改正法では、障がい者も健常者もお互いに尊重し合いながら共生できる社会を目指すことを目的としております。中でも特筆すべきは、国や自治体に障がいの程度や生活の事情に応じた防災・防犯施策を講じることが義務づけられたことです。これは東日本大震災で、耳が不自由な人が防災無線を聞けず逃げおくれるなど、障がい者への情報伝達がうまくいかなかったことなどを踏まえて盛り込まれたものです。
我が会派は、生活弱者に対する支援が社会に組み込まれていることが、障がい者とその家族の不安を取り除く上で大切であるとの視点に立ち、平成二十二年第一回港区議会定例会において、「障がい者用ヘルプカード」の導入を提案いたしました。これは日常生活における意思伝達手段としても、さらに災害発生時や不測の事故等による緊急時にも適切な支援が得られる大変重要なものであると考えます。今後、障がい者の自立や社会参加を広く推進する意味からも、周囲の人に気づいてもらい、支援してもらいやすい環境を整えていくことが重要であり、家族や地域はもとより、広域的な支援を受けやすい環境をつくることは行政の務めであると考えます。
東京都は、平成二十四年度の新規事業として、「ヘルプカード」の標準様式や支援のためのガイドラインを作成するため、当初予算として三千万円を計上いたしました。
そこで最初の質問は、障がい者用ヘルプカードは、これまでも幾つかの区市町村や民間団体で独自のカードを作成していますが、個々に取り組むより、広域的に認識を広めることが重要です。東京都の動向を踏まえ、区として共通の「障がい者用ヘルプカード」の導入を積極的に進めていくべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
第二点目は、災害時における視覚、聴覚障がい者対策についてお伺いいたします。
東日本大震災では、被災地で聴覚障がい者が必要とする手話通訳者が不足しました。障害者基本法の改正では、言語としての手話が法律の中に初めて盛り込まれ、意思疎通の手段として手話を選択できる機会の確保と拡充が図られました。今回の改正法も踏まえ、聴覚障がい者に対する災害時の情報バリアフリーの取り組みをさらに推進すべきと考えます。
一方、視覚障がい者に対する対応としては、音声による案内装置の積極的な活用が有効です。現在、区役所・議会棟内の「だれでもトイレ」では、障がい者への情報伝達として音声案内装置が設置されていますが、他の区有施設にはこのような情報伝達装置が設置されていません。区立公園や学校をはじめとした区有施設は、大規模災害時には防災避難場所にも位置づけられています。そこで、他の区有施設等においても、このような情報伝達装置が必要と考えますが、情報バリアフリーの取り組みとあわせて、区長の見解をお伺いいたします。
次に、品川駅周辺のまちづくりと新駅についてお伺いいたします。
品川駅周辺は、羽田空港のさらなる国際化や平成二十七年のリニア新幹線の開業など、国内外の玄関口として一層の発展が期待されています。国は、再開発エリアとして、昨年末、港区を含む都心の広いエリアを国際的なビジネスを目指す「国際戦略総合特区」に指定。さらに、本年一月二十日には、ほぼ同様のエリアを国際競争力強化のために重点開発を行う「特定都市再生緊急整備地域」にも指定いたしました。同じく一月には、新駅についての記事が新聞やマスコミに大きく報道され、周辺地域ではこれからのまちづくりに大きな関心が寄せられています。
そこで初めに、この地域のまちづくりについてお伺いいたします。品川周辺地域は、地域経済の活性化や区民生活にも大きな影響を与える地域となっています。しかし、品川駅の玄関とも言える高輪口は、いまだ手狭なロータリーや歩道に歩行者で混雑する状況にあります。また、JR東西のアクセスの向上や連絡強化のための基盤施設の整備、生活利便性のための整備などが求められており、港区にとって重要な課題の一つでもあります。
これまでも、品川周辺のまちづくりについては、平成十六年八月に国土交通省が都市構造再編の観点から、都市基盤施設の整備が必要不可欠な地域として「都市・居住環境整備重点地域」に指定。これを受け、東京都では平成十八年九月に「品川周辺地域都市・居住環境整備基本計画」を策定し、優先的に整備を進める地区の一つとして位置づけています。さらに、平成十九年十一月に都が策定した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」では、周辺地域全体の穏やかな誘導の方向性と地域整備を進める地区の詳細な整備の方向性を示しています。
そこで初めに、区の策定したまちづくりマスタープランの課題も踏まえ、国際戦略総合特区や特定都市再生緊急整備地域に指定されたこの地域のまちづくりについて、区長はどのようにお考えかお伺いいたします。
第二点目は、新駅についてお伺いいたします。
JR東日本は、新駅構想については、いまだ正式に公表していません。しかしながら、昨年七月より都が設置した品川駅周辺基盤整備・まちづくり検討委員会にて、基盤整備の基本方針に関することなどを検討し、品川駅周辺のまちづくりについても検討されていると伺っています。
そこで質問ですが、新駅構想については正式な発表はいまだされておりませんが、区長は、本年一月の品川・田町間の新駅に関する報道について、どのような所見をお持ちになっているのかお伺いいたします。
また、この地域のまちづくりの課題解決の観点からも、JR東日本に対して、新駅構想を早急にまとめ、地元自治体である港区に協議することを求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、新駅の駅名についてはJRが決めることですが、地元高輪では非常に関心が高まってきています。こうした地元の声を反映できるようJRと調整していくことを要望いたします。
次に、省エネ対策についてお伺いいたします。
港区は、これまでも区有施設など関係機関の省エネ対策を進めていることは高く評価いたします。また、昨年夏の節電対策では国の要請以上の節電目標を掲げるとともに、区民に啓発活動を実施するなど不断の努力をなされていると思います。
さて、港区は都心区でもあり、多くの事業所、企業が集中しています。こうした各事業所、企業が省エネの意識を持ち続け、取り組みを実践することで大きな成果が得られると考えます。平成二十四年度の重点施策事業の一つとして、テナントの省エネ取り組みの推進事業があります。この事業は、テナントビルを対象にテナントが自分のエネルギー使用状況を確認できるようにするとともに、オーナーの協力のもと、効果的に省エネ対策に取り組めるようにすることを目的としていると思われます。電力不足を背景に、国も電力使用のピークカットやピークシフトを事業者の省エネ努力の一つとして認める検討をしています。
また、エネルギーの使用状況を確認することができるサービスは、テナントにとって、今後魅力的なサービスになる可能性があると考えます。こうした事業は話題性を大きく宣伝するとともに、実例の紹介や削減効果など事業者側にとって得になることを実感してもらうことが重要です。そこで、本事業を区が実施することの意義と、オーナー・事業者へ取り組みを広げていくための今後の事業の進め方について、区の見解をお伺いいたします。
次に、障がい者に対する虐待防止策についてお伺いいたします。
ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDV被害者の支援が進む中、障がい者に対する虐待が大きな社会問題となっています。自分の状況を相手に伝えられない、虐待を受けていることを証明できないなど多くの課題があり、障がい者への虐待は年々増加していると言われています。こうした虐待の予防を目指し、平成二十三年六月に「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」、いわゆる障害者虐待防止法が成立いたしました。本年十月の法律施行に向けて体制整備が進められていますが、障がい者施策の中でも喫緊の課題とされています。虐待の主なものは、身体的・心理的虐待のほか、財産を奪う、お金を渡さないなどの経済的虐待や、着替え・入浴・食事などの介護放棄が挙げられています。
港区の基本計画後期三年の福祉事業にも障害者虐待防止センターの設置が計上され、虐待予防の取り組みが開始されます。現在、港区において表面化している件数はわずかですが、相談窓口が開設されることで、相談件数の増加や潜在化していた深刻な障がい者虐待の現実が明らかになる可能性もあると考えます。
そこで質問は、障害者虐待防止センターの設置とともに、どのように虐待防止策を講じるお考えか、区の見解をお伺いいたします。
次に、精神障がい者の日中活動及び就労支援についてお伺いいたします。
平成二十四年度新規事業に「生活保護受給者等メンタルケア支援事業」が計画されています。我が会派は、生活保護受給者で精神疾患に悩む方が増加傾向にある中、各総合支所の担当ケースワーカーの資質向上、専門職配置によるケースワーカーの負担軽減など事業の充実を提案してまいりました。
さて、このメンタルケア支援員は自立を支援するとのことですが、その自立を支えることになる社会資源についてお伺いいたします。すなわち、日中活動と就労支援についてです。生活保護受給者に限らず、精神を病む方は区内でも増加傾向にありますので、早急な対応が必要と考えます。精神障がい者の日中活動の場である地域生活支援センターは、現在区内には一カ所「あいはーと・みなと」だけです。ここでは、地域で生活する精神障がい者の日常生活の支援や相談、社会復帰や社会参加の促進を図る自立のための支援を行っています。社会に出て人と接することを苦手としていた人たちが理解者と出会い、同じ悩みを抱える仲間たちと話せるようになり、次第に社会とつながっていくことができるようになります。
「あいはーと・みなと」の平成十七年四月開始時の登録者数は七十一人、翌平成十八年度末は百十九人、そして、本年一月現在の登録者数は二百九十七人です。事業開始当初から実に四倍増となっています。そこで、精神障がい者の自立促進への第一歩となる日中活動の場の拡充について、区の見解をお伺いいたします。
また、こうした生活訓練を経て社会参加が可能になると、次に就労支援となります。障害者自立支援法に基づいた就労移行支援や就労継続支援も区内数カ所で行われていますが、需要にこたえられないところや、また逆に十分に利用されていない現状もあるように思います。本格就労へ確実につなげていくためにも、就労支援事業のあり方の検討も必要と考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、女性の健康支援策についてお伺いいたします。
女性が生涯を通じて、健康で明るく充実した日々を自立して過ごすためには、家庭・地域・職場・学校などの生活の場を通して、女性のさまざまな健康問題を社会全体で総合的に支援する必要があります。そうした観点から平成十九年四月、厚生労働省は「新健康フロンティア戦略」を策定し、その中で、「女性の健康力」を柱の一つに位置づけています。女性の健康についての普及啓発を推進するため、平成二十年より毎年三月一日から八日までを「女性の健康週間」と定め、女性の健康づくりを国民運動として展開しています。世の中が経済不況や先行き不透明である中で、とりわけ女性が健康であることが一番重要であり、女性の活力が日本再生に大きな活力を与えるものと確信いたします。
アメリカのシーファー前駐日大使は、「日本には、まだ未開拓のすばらしい人間資源があります。それは女性です」とある会合で述べられています。女性の知恵や力といった「女性力」が十分発揮できる社会こそ、発展性のある成熟した社会と言えるのではないでしょうか。そのためにも女性の抱える、例えばダイエットのトラブル、性感染症、妊娠、出産、がん、更年期障害や骨粗しょう症など、思春期から高齢期までのライフステージに応じて変化する女性特有の健康問題に、女性自身が認識を深め、積極的に取り組む必要があると思います。
そこで質問は、「女性の健康週間」についてです。この健康週間は平成二十年からスタートして四年目を迎え、国民運動化を目指しているものです。この週間を女性の健康チェック、検診の推進など、女性の健康づくりの意識啓発週間として発信することも重要と考えます。また、区民の中から運動を盛り上げるような、地域の核となる人材育成も必要ではないでしょうか。そこで質問は、区ではこの週間をどのような認識で、どのような具体的な事業展開をされるおつもりかお伺いいたします。
次に、健康手帳の活用についてです。
港区では、自分の健康管理記録のできる健康手帳を配布しています。この手帳は、特定健康診査やがん検診、お口の健診記録、血圧や自分の健康チェックなど記入できるようになっています。母子手帳と学校での保健記録とあわせると生涯にわたって健康手帳として使うことができる便利な手帳です。健康づくりは自分自身が健康について強く関心を持つことであり、正確な自身の情報をつかむことが重要です。例えば、この手帳を利用して、予防接種や病歴、妊娠、出産、健康診断、アレルギーの有無、さらには安全な出産や女性特有の病気の予防に役立つ健康チェックの手引きとして使うという工夫もできるのではないでしょうか。
そこで質問は、このように便利な健康手帳を多くの区民に配布し活用することについてです。各総合支所の相談窓口や保健所での配布、ホームページや公共施設の掲示など、あらゆる機会をとらえた啓発活動を通じて、健康への意識啓発を恒常的にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、若い女性への配布についてです。二十歳代から三十歳代に増加傾向にある子宮頸がん予防に対する意識啓発も含め、健康相談等あらゆる機会をとらえた配布が必要と思いますが、あわせてお伺いいたします。
次に、子宮頸がん予防についてです。
多くの国民の声に押されて、昨年四月から子宮頸がん予防ワクチン接種の無料実施が開始されております。子宮頸がんはワクチン接種とがん検診の併用で唯一予防できるがんと言われています。このように条件がやっとそろったところで、子宮頸がん撲滅を目指し、ワクチン接種率と検診受診率の向上を図ることが重要であると思います。
そこで質問は、子宮頸がん撲滅を目指すために、区は、今後どのような取り組みをされるのかお伺いいたします。
次に、在宅緩和ケア支援についてお伺いいたします。
現在日本では、生涯のうちでがんにかかる割合が二人に一人と推計され、だれでもがんにかかる可能性があると言われています。がんと診断されると、不治の病と本人はもとより、家族も非常に落胆され、動揺してしまうケースが多くあります。そうした状況を医学的にも精神心理的にも緩和するケアが注目されてきました。緩和ケアは、がんと診断された初期段階から行うべきものとされており、がんの痛みや治療に伴う痛み、心の不安や苦痛まで含めたトータルペインの緩和をサポートしていくものとされています。
港区では、平成二十年に区内のがん患者さんの在宅療養の実態調査を実施。その結果、介護経験者の約五割が自宅で終末期を迎えたいと望んでいること。しかし、約六割の方が「介護してくれる家族がいない」、「家族に負担がかかる」という状況であることがわかりました。患者や家族が望む場所で、どこにあっても一定レベル以上の緩和ケアや在宅療養を受けることができることを目的に、区内の医療、看護、福祉関係者で協議会を設置、検討を重ね基本方針を作成。平成二十二年十月協議会より「在宅緩和ケアに関する提言」が区長に提出され、平成二十三年六月に基本方針(改訂版)が作成されました。現在、基本方針(改訂版)にのっとり精力的に整備を進めているところであり、東京都認定がん診療病院など各関係機関が連携し、都心区初となる画期的事業が他自治体や関係機関から注目されていると聞いております。
そこで質問は、在宅緩和ケア支援は多くの専門機関のネットワークで支えられていますが、地域によって在宅療養支援診療所の医師や看護、介護などのマンパワーの偏りが懸念されています。地域による格差解消をどのように図るのか、区の取り組みをお伺いいたします。
次に、緩和ケアや在宅療養の区民への普及啓発についてです。
先日二月十一日に「地域で支える緩和ケア」と題する講演会がありました。大変わかりやすく、港区の取り組みに感心いたしました。しかし、まだ区民の多くは港区の在宅緩和ケアの取り組みを知りません。ホームページや公的施設でのパンフレットの掲示や配布、みなとチャンネルでの放映など、あらゆる機会を通じて普及啓発を図るべきと考えますが、区のお考えをお伺いいたします。
次に、住宅施策についてお伺いいたします。
港区は、平成五年「港区住宅基本計画」、平成十四年には「第二次港区住宅基本計画」を策定し、定住人口の確保を中心として住宅施策を推進してきました。そして、平成十八年「住生活基本法」が施行され、住宅の「量」の確保から住生活の「質」の向上へ住宅政策が転換されました。平成十九年には低額所得者や高齢者、障がい者、子育て世帯が安心して住めるための「住宅セーフティネット法」も施行されました。
区では、このような状況の中、第三次港区住宅基本計画(二〇〇九年〜二〇一八年)を策定し、推進しているところです。一方、区の高齢化率を見ると、平成二十二年度では一七・六%、平成二十六年度には一九・二%に達すると推計されています。
また、昨年の港区政策創造研究所の「
ひとり暮らし高齢者の調査」によると、前期高齢者は三六・八%、後期高齢者は六一・四%と、過去の調査と比較すると後期高齢者が増加しています。住宅の種類では、戸建てと分譲マンションを合わせた持ち家率が五二・八%であり、経済状況は年収二百万円未満が四八・一%で生活の苦しさを感じています。また、健康状態がよくない人ほど買い物が困難と感じ、五五・六%は日常生活上の困り事を抱えています。さらに、緊急時の支援者がいない人は一六・七%であり、近所づき合いが希薄な人は五七・六%と社会とのつながりの希薄化も浮き彫りとなりました。
このように高齢化の一層の進行、世帯規模の縮小と単身世帯の増加、先行き不透明な経済状況、収入や就業状況の変化、老朽化したマンションの増加など、住宅政策を取り巻く環境は変化しています。さらに、昨年の東日本大震災では、震源から遠く離れた区内でも被害が及び、災害時における都市の脆弱性を改めて認識することとなりました。
そして、災害やエネルギー政策への意識が変化する中、住生活に求める価値や役割は多様化し、さまざまな取り組みが行われています。このような状況を踏まえ、東京都では、社会経済情勢の変化に即した住宅のあり方、既存ストックへの適切な対応、高齢者向け住宅供給・子育て世帯支援・住み替え支援など住宅市場機能の充実・強化、セーフティネット機能の再構築を含む住宅施策を幅広く展開する東京都住宅マスタープラン(二〇一一年〜二〇二〇年)の素案を発表いたしました。
そこで質問は、前述の状況を踏まえ、港区の世帯構成、生活スタイルと住宅状況、雇用や経済状況、防災やエネルギー政策なども含めた調査研究を行い、街づくり部門、福祉部門などの各関係部門が全庁的にかかわり、新たな住宅施策をすべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、区の政策創造研究所の調査でも明らかなように、高齢者の住まいの安定と日常生活の支援は喫緊の課題であります。後期基本計画にも高齢者向け住宅の確保と民間住宅あっせん事業・自立支援住宅改修費助成事業が計画されています。しかし、買い物などの生活支援や医療・介護・見守りなどを含めたセーフティネット機能構築の住宅確保策も整備するべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、自転車安全対策についてお伺いいたします。
自転車は通勤や通学、買い物など近場の移動には最適な乗り物として多くの方に利用されています。また、健康増進をはじめ、二酸化炭素排出量の削減による環境面への効果が期待されますので、これからの街づくりにも欠かせない乗り物となっています。その一方で、自転車による事故も増加しており、死傷者が後を絶たない現状があります。その要因として、車両としての自転車の位置づけが極めてあいまいなため、飲酒運転、夜間無灯火走行、猛スピード走行などマナーの欠落や、安全な走行空間が確保されていないという課題があり、一日も早く解消することが何よりも重要であると考えます。
警察庁は昨年十月二十五日、自転車交通に関する総合対策を打ち出し、車道走行を促す対策に乗り出しましたが、港区内の車道の多くは自転車が走行することを考慮に入れた設計・構造になっていないため、だれもが安心して自転車で走行できる環境整備がなされていないのが実情です。自転車に関する安全対策は警察主導で解決できる問題では到底なく、行政、民間を巻き込んだ自主的な取り組みが不可欠であると考えます。
そこで、具体的に四点質問いたします。
第一点目は、自転車の走行空間の確保についてです。自転車事故の七〇%は交差点で発生しています。したがって、交差点をはじめ、車道における自転車の走行空間の拡充が急務となりますが、自転車走行空間の整備について、今後どのように取り組まれるのか、区長の見解をお伺いいたします。
第二点目は、障がい者の自転車利用についてです。障がいのある方が安全に走行できるよう何らかの手だてが必要と考えます。そのために自動車と同じような障がい者認定マークを自転車に設置して歩道を走行できるなど、例外的な取り扱いをしていくことが必要と考えますが、区長の見解をお聞かせください。
第三点目は、交通安全教育についてです。小・中学校などの教育現場で子どもたちに交通安全、マナー教育を積極的に実施するとともに、子育て中の母親や高齢者などを対象にした各種交通安全教育も各地域ごとで実施できるよう、総合支所、町会・自治会、警察などが連携を図れるようにすべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。
第四点目は、自転車条例の策定についてです。自転車交通違反の取り締まりをはじめ、自転車走行空間の整備、マナー向上への啓発活動、健康増進、エコ化の推進などいずれも時宜を得た対策です。自転車施策は単なる交通政策の問題ではなく、環境、まちづくり、教育、被害救済など、あらゆる政策手段を動員した政策体系をつくることが必要です。そして、持続可能な都市づくりを踏まえた総合的な政策へと転換するときが来ていると考えます。
国が取り組むべき課題もありますが、港区においても、これまで述べてきた点も踏まえ、自転車の利用環境整備やルール化といった取り組みを進めていくために「自転車条例」を制定していくべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
最後に、情緒障がい特別支援教育についてお伺いいたします。
情緒障がいとは、情緒のあらわれ方が偏っていたり、そのあらわれ方が激しかったりする状態を、自分の意思ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態を言います。港区では、平成二十二年四月から赤坂中学校において、固定学級としての情緒障害特別支援学級が開始されました。情緒障害学級を在籍校から週一回程度通う通級としている自治体が多い中、固定学級とした理由については、「生徒にとって安定した居場所が確保されることで情緒の安定とコミュニケーション能力が向上する。さらに、小集団という特性を生かしながら、一貫した進路指導の中で落ち着いた学習環境を整えることができる」としています。そして、昨年はこの学級から第一希望の高校進学を果たした生徒もおり、確実に実績が積まれ、全国からも問い合わせが多いと聞いています。
私たちもこの学級の様子を視察してまいりましたが、その実績だけではなく、きめ細やかな適切な指導で、生徒一人ひとりが自信を持ち、輝いて学んでいる姿に感激をいたしました。と同時に、課題も浮かび上がりました。それは対象となる生徒の増加が予想される中、現状ではそれにこたえることが難しいということです。
一方、小学校では固定学級ではなく、通級という形をとっています。現在は在籍する学校から東町小学校の情緒障害等通級指導学級に通い、専門的な指導のもと、主に社会性やコミュニケーション能力を身につけていきます。この学級の視察もさせていただきましたが、これまで自己肯定感を持てなかった児童が、環境を変え、通級学級で適切な指導、また、グループ活動を行うことで、集中して学習に臨み、明るく発言する姿に感動いたしました。
また、港区では現在、四校で特別支援教室を小学校内に設置し、主に発達障がいのある児童の特性に応じた個別指導を行っています。支援教室と通級と併用しながら、成果の上がっている事例も伺いました。このように現在さまざまな手法で発達障がいや情緒障がいの特別支援教育を実施している港区ですが、今後、増加が見込まれる児童・生徒のために教師の資質向上、そして、特別支援学級の増設が将来の課題であると考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの公明党議員団を代表しての近藤まさ子議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、今後の財政運営についてのお尋ねです。
私は、本年一月、あらゆる世代が将来にわたって安心できる財政運営を目指し、平成二十四年度から平成二十九年度までの六年間を対象期間とする新たな港区財政運営方針を策定しました。方針の中では、「磐石な財政基盤の確立」など三つの基本方針と、「次世代に過度な負担を残さない取組」など五つの取り組みを掲げております。
具体的には、平成二十六年度末の財政調整基金の残高を標準財政規模の四〇%程度確保した上での基金の効率的な活用や、公債費比率を三%以内に維持した上での区債の適切な活用などを定めております。今後の財政運営にあたっては、財政運営方針のもと、財政収支を的確に見極め、経常経費のより一層の節減などの行財政改革に取り組むことで、新たな財政計画のフレームを堅持してまいります。今後とも、社会経済情勢や、国・東京都の動向など区財政への影響を的確に把握するとともに、常に中・長期的観点に立ち、限られた財源を最大限効果的に活用することを基本に据え、必要な区民サービスの安定的供給や磐石な財政基盤の確立に努めてまいります。
次に、震災対策の取り組みについてのお尋ねです。
まず、自治体間連携によるホームページ掲載についてです。東日本大震災では、各自治体のホームページの更新用サーバの損壊により、被災後の重要な情報の伝達手段が途絶え、大きな問題となりました。区はこの教訓を踏まえ、被災による更新用サーバの損壊を想定して、本年三月末から運用を開始する新たなホームページの検討の中で、緊急情報の専用サーバを西日本地域に設置することとしております。
このことにより、区の更新用サーバが損壊した場合でも、専用サーバを経由することで緊急情報を発信できる体制が整うことになります。こうした区の備えに加え、被災自治体を支援する観点からも、災害時におけるホームページを活用した情報発信の仕組みを自治体相互間で構築することは、さらなる区民の安全・安心を確保するために重要なことです。今後、自治体間連携によるホームページを活用した災害情報発信について検討してまいります。
次に、港区防災会議や港区地域防災計画の改定に女性の視点を取り入れる仕組みづくりについてのお尋ねです。
港区地域防災計画の改定作業にあたっては、素案を作成する段階で被災地支援を体験した女性や
男女平等参画センターで活動する区民団体などの意見を伺ってまいります。また、地区ごとの説明会や地域の防災住民組織との意見交換会、区内事業団体への説明会の実施などを考えております。港区地域防災計画の改定に際しては、こうした中で女性の視点を取り入れ、反映させることができるよう努めてまいります。
次に、障害者への不測の事態に対応できる環境整備についてのお尋ねです。
まず、「障害者用ヘルプカード」の導入についてです。区は、障害者が、災害時等に自己の障害に対する理解や必要な支援を周囲に求めることができるよう、「障害者用ヘルプカード」の活用について、障害者団体と意見交換をしてまいりました。今後は、港区でのヘルプカードの導入について、引き続き障害者団体のご意見を伺うとともに、東京都におけるヘルプカードの標準様式の検討内容も考慮し、検討してまいります。
次に、災害時における視覚、聴覚障害者対策についてのお尋ねです。
区は、聴覚障害の方への情報提供では、本年三月末からホームページで防災行政無線放送の内容を文字で表示するとともに、防災情報メールでも同じ内容を提供するサービスを開始いたします。また、視覚障害の方への情報提供では、区役所本庁舎に設置した「だれでもトイレ」の音声案内装置の効果を検証するとともに、障害者団体のご意見を伺い、区有施設への設置を検討します。引き続き障害者への音声及び文字情報などを通じ、平常時はもとより災害時の情報バリアフリー化の実現に向け努めてまいります。
次に、品川駅周辺のまちづくりと新駅についてのお尋ねです。
まず、品川駅周辺のまちづくりについてです。区は、「まちづくりマスタープラン」において、駅前広場などの都市基盤整備や快適に移動できる交通環境の実現、落ち着いた住環境の保全などを品川駅周辺におけるまちづくりの方向性としております。このたびの特定都市再生緊急整備地域の指定が、東京の南の玄関口としてふさわしい風格のある水辺景観や緑化空間の形成、環境に配慮した住環境の充実、さらには未整備の都市計画道路やJR駅周辺の交通施設の整備などに寄与する良好なまちづくりにつながるよう、区として必要な主張を行ってまいります。
次に、新駅についてのお尋ねです。
報道にあったとおり新駅ができることになりますと、品川・田町両駅の混雑が緩和されること、区民の通勤・通学などの利便性が向上すること、さらには、駅周辺の道路など都市基盤の整備が行われることにより、駅前としてのにぎわいの創出や地域活性化につながることなどが期待されます。区といたしましては、当該地区のまちづくりにあたり、東西連絡道路などの道路ネットワークの整備、風の道の確保や自然エネルギーの活用など周辺環境への配慮、帰宅困難者対策をはじめとする防災対策などが課題であると認識しております。このようなまちづくりの課題解決の観点から、JR東日本が車両基地跡地の活用構想をまとめるにあたり、区として要望してまいります。
次に、テナントの省エネ取り組みの推進についてのお尋ねです。
区は民間建築物の低炭素化を誘導するなど、業務部門の地球温暖化対策を進めておりますが、港区の建築物の大きな割合を占めるテナントビルについては、専用部の省エネ対策がおくれているのが現状です。そのため、区は、来年度からテナントごとのエネルギーの使用に関するデータや具体的な取り組み手法などの情報を提供して省エネを促すモデル事業を実施します。テナントの省エネ対策を進めることで区の温室効果ガスを大きく削減することができると考えています。モデル事業を通して把握した省エネ効果や光熱費の節減効果等を関係団体等の協力も得て広く周知することで、より多くの事業者に取り組みを促します。また、モデル事業を踏まえてテナントの省エネ対策を検討してまいります。
次に、障害者施策についてのお尋ねです。
まず、障害者の虐待防止策についてです。区は、本年十月から「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」の施行にあわせて、障害者虐待を防止することを目的とする「障害者虐待防止センター」を障害者福祉課に設置いたします。センターでは、区民に対して幅広く障害者虐待防止についての周知や啓発を行うとともに、民生・児童委員や社会福祉協議会などとも連携して、障害者に対する介護放棄などあらゆる虐待に対応いたします。
また、きめ細かな相談対応により、わずかな兆候も見逃さず、潜在的な虐待についての早期発見などにも努めてまいります。さらに、緊急対応が必要な障害者に対しては、避難場所を用意して安全を確保いたします。今後も、障害者が地域において、安全・安心な生活ができるように支援してまいります。
次に、精神障害者の日中活動の場の拡充についてのお尋ねです。
区は、地域生活支援センター「あいはーと・みなと」において、精神障害者やその家族が地域で安心して暮らせるように、日常生活上の相談や支援員による訪問活動など、きめ細かな支援を行うとともに、円滑に社会生活を送れるように就労勉強会などのさまざまな事業を実施しております。こうしたことが評価され、「あいはーと・みなと」の認知度は高まっており、利用登録者数が平成十七年度の事業開始当初と比較して約四倍増となっております。来所者数も増加しておりますが、まだ余裕があり、各事業への参加希望者は希望どおりに参加できております。今後も、「あいはーと・みなと」での相談や事業を通して、精神障害者が安定してその力を発揮し、意欲を持って社会参加ができるよう、就労支援や活動の場及び機会の充実に取り組んでまいります。
次に、精神障害者の就労支援事業のあり方についてのお尋ねです。
区は、精神障害者の自立を促進するため、就労に向けた訓練を行っているみなと障がい者福祉事業団などと連携して、障害者の就労支援を行っております。その結果、民間企業の就労につながった精神障害者は、平成二十二年度に九名となっており、着実に増加しております。
また、高輪コミュニティーぷらざ内の福祉売店「ろぜはーと」や、本年三月一日にみなと保健所内に開設する喫茶・軽食コーナー「カフェフェリーチェ」といった精神障害者の就労の場を提供しております。さらに、障害者を積極的に雇用している民間企業などには感謝状を贈呈するなど、精神障害者の就労について、より一層の理解と協力を働きかけております。今後も、精神障害者の就労に充実に向けて、みなと障がい者福祉事業団、ハローワークなどの関係機関と連携してまいります。
次に、女性の健康にかかわる支援策についてのお尋ねです。
まず、「女性の健康週間」の取り組みについてです。区では、「健康みなと21に関する意識調査」の調査結果を踏まえ、港区地域保健福祉計画後期三年の新たな取り組みとして「女性の健康づくりの推進」を掲げました。三月一日からの「女性の健康週間」は、女性の健康意識を啓発する絶好の機会であり、女性向けの検診や相談事業を広報みなとで紹介するほか、三月七日には子宮がんをテーマにした講演会の開催を予定しております。
次に、健康手帳の活用についてのお尋ねです。
健康手帳は、健康増進法の定めにより四十歳以上の方に対し、特定健診・保健指導等の記録、その他健康の保持のために必要な事項を記載し、自らの健康管理と適切な医療に資することを目的に作成されたものです。現在、区では、その趣旨にのっとり、骨粗しょう症検診時や、特定保健指導の対象者に配布しております。また、四十歳未満の若い世代で希望する区民には、みなと保健所や国保年金課、各総合支所の窓口で配布しております。さらに今後、健康相談の機会等に健康手帳を配布することで、引き続き健康への意識啓発を高めてまいります。
次に、子宮頸がん予防についてのお尋ねです。
子宮頸がんを予防するには、ワクチン接種や成人後の子宮頸がん検診、対象者及びその保護者への教育機関との連携による啓発が重要です。ワクチン接種につきましては、中学一年生から高校一年生相当の対象者全員に接種票を発送し、接種率の向上に努めております。また、子宮頸がん検診については、二十歳以上の女性全員を対象として無料で実施しており、二十歳になった全員に個別通知をして周知しております。さらに、その後の五歳ごとの節目年齢、四十歳以上の全員に個別通知をして受診勧奨を行っております。また、検診を受けやすい環境を整えるため、検診の土・日実施の拡大や夜間の時間延長、医療機関数の増大に努めております。今後も、ワクチン接種率及び検診受診率の向上に努め、子宮頸がん予防に取り組んでまいります。
次に、在宅緩和ケアについてのお尋ねです。
まず、在宅緩和ケアの地域による格差解消についてです。区は協議会等を開催し、医療・看護・福祉の各職種が地域を超えて互いに連携できる体制づくりに努めております。あわせて、他区との隣接地域の区民に配慮して、近隣区との連携も図り、地域による格差解消に努めております。今後も区内のどこにあっても一定レベル以上の緩和ケアが受けられる体制づくりを推進してまいります。
次に、在宅緩和ケア事業の普及啓発についてのお尋ねです。
区は、がんに関する相談会の案内を広報に掲載するとともに、講演会の開催や区民まつりで緩和ケア事業の周知を図っております。あわせて、がんにかかわる医療・看護・介護事業者や相談機関などの人的資源や社会資源が一目でわかる緩和ケアパンフレットを作成し、配布しております。さらに三月からは、この緩和ケアパンフレットがホームページから入手できるようにいたします。今後は、民生・児童委員などへの事業の周知や、みなとチャンネルでの放映なども活用し、積極的に普及啓発に取り組んでまいります。
次に、住宅施策についてのお尋ねです。
まず、全庁的に関係部門がかかわる住宅施策への取り組みです。区では、庁内各部門が連携して、住宅、住環境、生活サービス、暮らし方の四つの側面から、区の目指すべき住まい像を総合的に検討し、平成二十一年三月に第三次港区住宅基本計画を策定しました。現在、この計画に沿って都心港区にふさわしい良好な住まいの形成を着実に推進しております。また、近年公営住宅を社会福祉事業等に積極的に活用する国の考え方が示されたことや、庁内の検討においても高齢者や障害者の住まい、地域の課題解決に資する施設、防災機能の強化に対する強い要望があることを踏まえ、区営住宅の建て替えにも取り組んでいるところです。その成果の一つとして、障害者ケアホームを併設する区営住宅として、シティハイツ芝浦を本年着工いたします。今後も、さまざまな人が地域に安心して住み続けられるよう、住宅施策に取り組んでまいります。
次に、高齢者の住宅施策についてのお尋ねです。
今後も高齢者の増加が見込まれることから、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくことができる高齢者集合住宅、グループホームなど多様な住まいの確保が必要です。区としては、区民向け住宅の積極的な活用や民間のノウハウを活用し、安否確認や生活相談を提供するサービス付き高齢者向け住宅、高齢者集合住宅、グループホームなどハード面での整備を進めるとともに、ふれあい相談員の訪問活動、二十四時間訪問介護サービス、商店街と連携した買い物支援など、地域における重層的なセーフティネットの充実に努めてまいります。
次に、自転車に関する安全対策についてのお尋ねです。
まず、自転車走行空間の整備についてです。現在、区は、歩行者、自転車利用者が安全・安心に道路を通行できるよう、広い歩道において歩行者と自転車を舗装の色分けなどにより区分する自転車歩行者道や車道内を青色で着色し区分する自転車専用通行帯の整備を進めております。区が、港南地区において自転車の安全な走行空間の整備に取り組んでいる中、昨年十二月に警視庁は「自転車通行環境の整備手法を検討するモデル地区」として、同地区を指定いたしました。今後、東京都や警視庁と連携を図りながら、港南地区の自転車走行空間の整備を優先的に進めるとともに、区内全域における計画的な自転車走行ネットワークの構築に取り組んでまいります。
次に、障害者の自転車利用についてのお尋ねです。
区は、障害のある方が自転車で安全に走行できるさまざまな環境を整備することを重要であると考えております。一方、自転車の歩道走行を含めた走行環境の整備のあり方については、統一的な交通規制の観点からの検討が必要です。現在、国や警視庁で進められている検討状況を情報収集するとともに、ご提案の障害のある方の歩道走行についてのご意見を国等に伝えてまいります。
次に、交通安全教育についてのお尋ねです。
学校、家庭、地域、関係機関が相互に有機的な連携を深め、交通安全教育の充実は図ることは重要であり、一月に策定した第九次港区交通安全計画の施策に位置づけております。従来から、中学校におけるスタントマンによる事故の再現や、保育園における巡回交通安全教室、幼稚園での幼児二人同乗用自転車教室、高齢者を対象とした交通安全教室を警察の協力を得ながら実施してまいりました。今後とも、関係機関と連携し、身近な地域での効果的な交通安全教育をより一層充実してまいります。
最後に、自転車条例の制定についてのお尋ねです。
通勤・通学や趣味としての自転車利用の拡大とともに自転車事故が増え続ける状況を踏まえると、自転車にかかわる政策は単に交通政策の問題としてだけではなく、安全・安心、環境、まちづくり、福祉、教育等、総合的にとらえていく必要があります。区では、港区自転車等総合基本計画及び港区交通安全計画等に基づき、駐車場の整備や放置自転車対策とともに、警察等関係機関と連携した安全教育の推進や指導取り締まり等を総合的に推進しております。今後、区内での自転車の利用の実態や事故発生にかかわる環境変化などの検証とあわせ、規定の整備の必要性についても検討してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまの公明党議員団を代表しての近藤まさ子議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、情緒障害特別支援教育の充実についてのお尋ねです。
まず、教員の資質向上についてです。特別支援教育は、幼児・児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な支援を行うことが必要であり、教員の専門性向上が不可欠です。そのため、全教職員を対象とした教員研修大学講座や特別支援教育講演会、特別支援教育コーディネーターを対象とした育成研修等を計画的に実施し、教員の資質向上に努めております。
また、来年度からは、原則三年間を期限とし、区市町村立小・中学校教員を都立特別支援学校へ、特別支援学校教員を小・中学校に異動させる人事交流制度が始まります。こうした制度を積極的に活用することも、教員の専門性向上に資するものと考えております。今後とも、日々の教育実践の中で、発達障害の特性と一人ひとりの障害の程度に応じた具体的な支援ができる教員を育成してまいります。
最後に、特別支援学級の増設についてのお尋ねです。
教育委員会では、発達障害のある児童・生徒に対し、小学校においては通級指導学級を設置し、在籍学級と連携を密にとりながら、対人関係や行動上の問題の改善のための指導を行っております。中学校においては固定学級を設置し、社会的自立に向けて、日々の生活の中で円滑な対人関係を築くための支援をしながら、進学を視野に入れた学習を行っております。また、通常の学級においては、学習への意欲を高め、他の児童・生徒とのかかわりを通じて学び合う喜びが得られるよう学習支援員を配置しております。今後とも、発達障害のある児童・生徒の教育的ニーズを把握し、一人ひとりの持てる力を高められるよう、特別支援学級の増設を含め、教育環境の整備・充実に努めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○副議長(林田和雄君) 続いて、二十番七戸淳議員。
〔二十番(七戸 淳君)登壇、拍手〕
○二十番(七戸淳君) 平成二十四年第一回港区議会定例会にあたり、みなと政策クラブを代表して、武井区長並びに高橋教育長に区政全般について質問いたします。
区民が夢と希望にあふれ、誰もが安心して暮らし、働き、学び、集える港区を実現するため、区長、教育長がどのように取り組んでおられるかお聞きいたします。
本日から十八日で三月十一日を迎えます。一年前のこの日、午後二時四十六分、私どもはこの議会棟の中で、平成二十三年度予算特別委員会、新たな年度の予算案並びに政策審議を繰り広げておりました。全議員、区長や多くの理事者の方々と一緒にこの災害発生時を迎えました。忘れることはできません。この一年、我々にとっても国民にとってもつらく厳しい時を過ごしてきたと思います。改めて、東日本大震災で多くの犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、いまだに避難所生活を余儀なくされている多くの方々、まちや生活の再建のために全力で取り組んでおられる方々にお見舞いを申し上げます。被災地の復興のために、区民、国民が一丸となって、できる限りの支援を続けていかなければならないと、今、改めてお誓い申し上げる次第であります。
私も、こうした事態を受け、被害の実態はどうか。何ができるのだろうか。同年五月、水戸市、六月にいわき市に行ってまいりました。現地の大きな被害に言葉を失うとともに、今後、被災地と被災された方々を強力に支援するためには、経済や商業、情報の中心地であり、幸いにして大きな被害を免れた東京・港区が一日も早く機能を取り戻し、活性化する東京、元気な港区を復活させ、被災地復興支援に当たらなければならないと当時思って帰ってきたことを思い出します。
武井区長は、国や東京都の調整を待たずに、いち早く区民とともに福島県いわき市をはじめ、被災地に物的・人的支援を開始いたしました。支援物資の提供、義援金のみならず、これまでに延べ二百七名もの区の職員を被災地に派遣し、復旧活動のお手伝いを続けております。こうした取り組みは、被災地の自治体や市民の皆様との絆を深め、いずれは港区に何かがあったとき、いざというときの相互協力にもつながると同時に、派遣された職員の方々が災害対応力を学び取ることにも役に立つものと考えております。
区民の安全・安心に大きな成果をもたらす結果となっているものと考えております。そうした武井区長の被災地復興支援の取り組みを支持するとともに、私ども自らも、引き続き全力で被災地に対する支援を継続してまいることをお誓いし、質問に入りたいと思います。
私は、一昨年の第三回定例会の代表質問で、政府の成長戦略と区の経済対策について質問いたしました。我が国の経済は、バブル崩壊後、約二十年以上にわたり低成長が続き、平成二十年の世界同時不況とそれに伴う日本経済の後退、不況と雇用情勢の悪化、財政の危機、さらには深刻な社会保障問題、これらが相互に関連して我が国の社会経済状況は先行きの見えない不安定な状況が続いております。
そうした中で、政府は、平成二十二年六月に「「元気な日本」復活のシナリオ」と題しまして、二〇二〇年度を目標に、特に環境・健康・アジア・観光の分野で百二十三兆円の新規需要と五百万人の雇用を生み出し、また過去十年間平均で一%を下回っているGDPを名目三%、実質で二%の成長を目指すための「新成長戦略」を発表いたしました。私はこのプロジェクトに注目し、中でも特に、アジア展開における戦略プロジェクトと観光立国・地域活性化における戦略プロジェクトについて、港区としてもこうした政府の動きに呼応した形で創設される総合特区制度に何らかの形でかかわり、牽引役を果たすべきではないかと質問いたしました。
港区は、国際化、企業集積、観光資源など経済戦略の拠点地域にふさわしい立地条件を備えており、また、多様な技術や情報、人材を持った中小企業、情報産業、さらには教育機関、高度な医療機関など、まさに今発展するアジア経済をリードし、ヒト・モノ・カネの流通の結節点、アジアのハブとなり得る立地要件を備えた地域です。また、港区はベンチャー企業も多く、創業率は二十三区でも群を抜いています。
私は、こうした港区が持つ好条件の立地や特性、港区の強みを生かし、政府の新たな成長戦略プロジェクトに呼応した形で不況対策や地域経済の活性化を考えていくべき、今、そうした時代が来ているのではないかとの考えをお示しし、計画されている(仮称)港区
産業振興センターの機能と緊急不況対策やベンチャー企業に対する創業支援などについて区の見解をお伺いし、前向きなご答弁をいただきました。
総合特区制度は、この政府の新成長戦略「「元気な日本」復活のシナリオ」に基づき、長引く景気の低迷、産業構造の変化や国際競争力の強化、急速な少子高齢化の進展などの社会経済状況の大きな変化に対応して、日本経済のさらなる発展と国民の生活の継続的な向上を目指すもので、また、国と地域を通じた規制・制度の改革を基軸として、地域の主体的な取り組みを国が支援することで、地域主権改革を一層加速することで地域活性化を図る。この二つが大きな眼目であり、国際戦略総合特区と地域活性化総合特区の二つのパターンが創造されたものです。
政府の新成長戦略に基づいて、昨年八月に施行されました総合特別区域法に基づき募集が行われ、東京都は自立・分散型のエネルギーのネットワーク、高度な防災機能の整備、海外企業のアジア拠点やR&D拠点(研究開発機能)を戦略的に東京に誘致し、都心を中心にした地域をアジアのヘッドクォーターへと進化させる国際戦略総合特区の指定の申請を行いました。
また、港区でも「人にやさしい創造的な環境未来都市みなと構想」として、環境対策強化、超高齢化への対応、防災力の向上を柱としたものを申請いたしました。残念ながら区の提案は今回は採用されませんでしたが、募集事業の環境未来都市構想は、まさに今、区が取り組む先進的な取り組みと趣旨や事業内容が合致しており、次の機会を期待しているところであります。
そこで、今回は、東京都として指定された国際戦略総合特別区域、アジアヘッドクォーター特区への区の取り組みについて質問いたします。国際戦略総合特区は、税制優遇や規制緩和を通じて、国内外の投資や企業を呼び込み、日本の国際競争力を牽引する拠点づくりを目指すもので、今回、全国で七地域が名乗りを上げました。東京都は、高い防災対応力やエネルギーの自立・分散型の都市再生のためのさまざまな優遇措置が可能となる特定都市再生緊急整備地域制度と一体的に、東京の強みである外国企業の集積などを背景としながら、さらに大胆な規制緩和や税優遇措置を行い、海外からの投資や企業を戦略的に呼び込み、都市の持続的成長を目指すためアジアヘッドクォーター特区の指定申請を行いました。
今、ビジネスの世界では、思っている以上に国際化が進んでおります。楽天やユニクロでは、二〇一二年から社内で英語を公用語化することを打ち出しています。ユニクロでは、一人でも母国語が異なる参加者がいる会議では英語で行うということです。また、グローバルに事業展開するメーカー系の企業では、日立製作所やNECが二〇一二年の採用から新卒者に占める外国人の比率を一〇%に引き上げる方針です。日立製作所は若手社員二千人を新興国に一カ月から三カ月派遣し、国際感覚を身につけさせる取り組み方針を打ち出しています。
また、日本企業のトップが外国人という事例も珍しくなくなりつつあります。日本の会社だから、商社じゃないから国際化とは関係ないという考え方はもう通用する時代ではなくなりました。上司や同僚は外国人というケースは当たり前で、外国人との有効なコミュニケーション形成能力は必須です。外国人の登録者数が人口の一割近くも占め、外国人納税義務者が人口の五・八四%を占め、港区全体の納税額の一五・七六%を納めるこの港区では、行政課題としても国際化への対応は重要な取り組みではないでしょうか。
また、ビジネスの世界における国際化の背景に、東アジア諸国の目覚ましい経済成長が挙げられます。二〇一〇年の中国のGDPは、日本を抜き、世界の第二位になりました。中国は二〇〇四年に世界第六位でしたが、二〇〇五年にフランスを、二〇〇六年にイギリス、二〇〇七年にはドイツを抜いて第三位に、まさにゴボウ抜きの成長を続けています。二〇〇〇年以降、直近の十年間で東アジア諸国の実質経済成長率を見ると、中国ではGDPの約二・七倍(年平均成長率一〇・五%)、シンガポールが一・七倍(年五・六%)、韓国が一・五倍(年四・一%)、香港が一・五倍(年四・〇%)、台湾も一・五倍(年三・九%)と、いずれもリーマン・ショックを克服し、高い成長率を示していますが、日本は十年間で一・一倍、年平均成長率は〇・七%と低迷しています。
一人当たりのGDPも二〇〇〇年からの十年間で見ると、日本が三万六千八百ドルから四万二千八百二十ドルで一六%の伸びにとどまっているのに対し、中国は九百四十六ドルから四千三百八十二ドルと四・六倍に、韓国は一万千三百四十七ドルから二万五百九十一ドルと一・八倍、シンガポールは二万二千七百九十一ドルから四万三千百十一ドルと一・九倍に、各国が高い伸びを示しており、シンガポールは日本を抜きました。各国は経済のグローバル化の進展、企業立地の国際流動性の時代到来を前提として、外資誘致や高度な人材獲得などターゲットを絞った産業政策、企業誘致競争を積極的に展開し、持続的な成長を遂げてきたと言われています。
過去、国際企業のアジア地域の拠点は日本に置くケースが多かったわけですが、国際化の進展や東アジア諸国の経済成長を背景としつつ、経済状況の変化や各国の経済政策や企業誘致の優遇策に応じて、外国企業はアジアの本社機能やR&D(研究開発機能)をどこの国に置くか。最も有利な条件の立地点を見極めて国や都市を選ぶようになり、企業立地の国際流動性の時代が到来したわけです。
特にアジア諸国は法人税率の引き下げにより、外国企業の積極的な誘致合戦を進めております。日本は法人税率四〇・六九%に対し、香港は一六・五%、シンガポールは一七%、台湾は一七%、韓国は二四・二%、中国は二五%となっております。さらに低い法人税率の適用だけではなく、例えばシンガポールでは、技術革新企業には最長十五年間法人税を免除する特典や研究開発を行う企業がエンジニア育成を行う場合などに補助金を支給したり、ビザ等の入国管理面で外国人乳母の受け入れを緩和するなど、大胆なインセンティブを与えています。韓国でも外国人高度技術者は三年で永住権を取得できる優遇措置や所得税の減税、一定の条件を満たす外国企業への誘致補助金支給支援制度を設けています。
こうした中、アメリカの医療機器メーカーのメドトロニック社は、二〇〇九年にアジア本社を東京からシンガポールに、また、日用品メーカーのP&G社も二〇〇九年にアジア本社を神戸からシンガポールに移転いたしました。また、二〇〇八年にスイスの製薬会社ノバルティスファーマ社はR&D(研究開発機能)のつくば研究所を閉鎖して上海を強化しました。携帯電話のノキアも二〇〇九年、開発拠点を東京からシンガポールに移しました。外国企業のみならず、コスト削減や円高対策として、日本企業自体も生産機能や研究開発機能を海外にシフトする動きがますます加速しています。日本経済の空洞化が進んでいるとも言われています。
今、アジアの中で我が国の状況は、これまで経済の拠点、R&D(研究開発機能)の拠点として常にトップを走っていた地位から、中国、インドの台頭、好調なシンガポール経済などに押され、存在感が薄くなり、急速に日本の競争力は低下してきました。これが日本経済の状況です。
さらに東日本大震災で大量な帰宅困難者の発生や原子力発電所の事故による計画停電などの混乱、放射能による汚染の問題など、災害に対する都市機能の脆弱さへの外国人や外国企業などによる東京の防災リスクに対する懸念など、多くの課題を抱えています。
当然、我が国経済の国際競争の拠点としては、都市機能が最も集積した東京の強化は欠かせませんが、現状、急激な東アジア諸国の成長の中で、東京がアジアの一地方都市に転落する。そうした危機が目の前に迫っているとの危機意識が、さらに日本への
投資意識を衰退させているのが現状ではないでしょうか。
しかし、東京はこうした状況を指をくわえて見ているわけにはいきません。今、日本の経済のさらなる発展と国民の生活の継続的な向上、国民や区民がより安心して豊かに暮らせる社会をつくり上げるためにも、我が国の経済成長のエンジンを強化していかなければなりません。そのためには東京がこのようにグローバル化した経済社会状況に対応し、国際競争を勝ち抜く必要があるのではないでしょうか。
総合特区のメニューの一つである国際戦略総合特区は、まさに国際競争力強化のための産業・機能集積拠点形成を目指すもので、成長戦略の一環となる重要な政策の柱となってくるものです。まさに日本の将来にとってかぎになる、あるいは指定地域の発展にとって大きな期待が寄せられるものと思います。
アジアヘッドクォーター特区申請では、欧米の多国籍企業やアジアの成長企業の事業統括部門や研究開発部門を東京に誘致し、そのためにも高い防災対応力や自立・分散型のエネルギーネットワークの構築、そして誘致した外国企業と国内企業が刺激し合って高い付加価値を生み出すという環境を整え、新技術・新サービスを創出する魅力ある成長市場をつくり上げることを目標としています。
しかし、一方では、都市の競争力は、経済や研究開発だけではなく、住居、生活環境、文化・交流、環境、交通アクセスなど、人や投資、情報を引きつける都市の魅力は総合的な要因で決まるのではないかと思います。港区にある財団法人森記念財団都市戦略研究所では、毎年世界の都市総合ランキングを発表していますが、二〇一〇年のランキングでは東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリに次いで四位。シンガポールは五位、ソウルは八位、香港は九位とアジア諸国のランクが上がる傾向にあります。東京の順位を分野別に見ると、経済と研究・開発は二位ですが、文化・交流は四位、環境は五位、交通アクセスは六位、住居は九位となっており、住居コストの高さや国際空港の利便性などの評価が低いとされています。今後、東京の強みを生かしつつ、弱みを改善するのが必要です。
そこで、新橋、虎ノ門、赤坂などの都心地域・臨海地域、田町・品川駅周辺などアジアヘッドクォーター特区の区域の範囲に多くが含まれる港区では、今後、どのようなまちづくり、まちの再生がなされていくのか、非常に関心が寄せられています。港区は、冒頭申し上げましたように、国際化、企業集積、観光資源など、経済戦略の拠点地域にふさわしい立地条件、資源を備えており、また、多様な技術、情報、人材を持った中小企業、情報産業、さらには教育機関、高度な医療機関など、アジア経済をリードするアジア拠点となる要件を十分備えた地域です。
港区の資源・地域特性を生かした東京の国際競争力強化の一翼を担う拠点として積極的な取り組みが求められる一方で、まちづくりマスタープランで示された基本理念である住みつづけられるまち、個性的で多様な魅力があるまち、安全・安心なまち、持続可能なまち、こうした港区の将来像を実現するためにも、国際戦略総合特区の制度を生かして、区として積極的にかかわっていく必要があると思います。
また、昨年六月に都市再生特別措置法が改正され、新たな都市再生の取り組みの制度が創設されました。港区は、都市再生緊急整備地域の拡大とあわせ、新たな特定都市再生緊急整備地域の指定を受けました。この制度は、大都市部の国際競争力を高めることとあわせて、都市の魅力向上を図ること、これを目標に民間都市開発プロジェクトなどと連携し、開発事業などの円滑かつ迅速な施行によって緊急かつ重点的に市街地整備を進める地域を定めるものです。アジアヘッドクォーター特区の指定の範囲とほぼ一致しており、相乗的な効果も期待できるのではないかと考えます。
そこで質問ですが、東京都のアジアヘッドクォーター特区について、区としてどのように関係していくのか、お考えをお伺いいたします。
また、港区が指定を受けた都市再生緊急整備地域と特定都市再生緊急整備地域について、区は今後どのような都市再生を図っていくつもりなのかお伺いいたします。
さらに、新年度予算に臨時・新規事業として千五百万円の予算が計上されていますが、平成二十四年度の区の取り組み内容についてお伺いいたします。
また、区では、「人にやさしい創造的な環境未来都市みなと構想」を申請しましたが、残念ながら指定を逃しました。しかし、港区は、地域の重要課題として、防災対策、環境対策の強化、少子高齢化の対策等にまさに地域の特性を生かし、産学官民一体で、さらに自治体間連携により先駆的に取り組んでおり、総合特区の趣旨に合致した内容です。指定に漏れたのが不思議なくらいです。聞くところによりますと、意見の中に、「港区に元気がないと日本の経済に大きく影響もあり、何らかの形で提案をつくり直して実施してもらいたい」という意見もあったようです。区長は、この構想を今後どのように進めていくお考えなのか、次の機会に再度チャレンジするお考えなのか、区として独自に実施していくお考えなのかお伺いいたします。
次に、産業振興についてお伺いします。
まず、(仮称)港区
産業振興センターの整備計画についてお伺いいたします。
国際戦略総合特区の申請に先立ち、都では政策課題を検討するにあたり、日本に進出している外国企業などに日本への進出時、また進出後、日本でビジネスを展開する上で困難な事例や改善の希望などについて事前の調査を行っています。その中で明らかになった課題として、日本では外国企業等のビジネス環境の整備がおくれていることが明らかになっています。外国企業等にとって、日本の法体系や商習慣に対する理解が難しい。各種行政手続きなどに時間がかかること、ビジネスに関する情報の提供、理解するための支援や専門的なサービス機関や相談窓口がないことが大きな障壁になっていると指摘されています。
また、中小企業も含め日本企業の高い技術力や要求レベルの高い消費者の存在などが日本進出の魅力である一方、ビジネスパートナーの発掘や販路の開拓、拡大など、ビジネスに関する環境整備がおくれ、外国企業の企業活動を支援する機関、窓口がないという問題が指摘され、現時点ではこうした外国企業のニーズに十分こたえられないのが現状です。
そこで、都のアジアヘッドクォーター特区では、外国企業の東京への進出、日本で円滑にビジネスが展開できるよう、会社設立への専門的な指南、ワンストップで日本の商習慣を含む総合相談、ビジネスマッチング、技術交流などの支援を行うためのビジネスコンシェルジュを設置する計画が示されています。私は、今計画されている(仮称)港区
産業振興センターの整備にあたり、当然、地元中小企業、工業振興やインキュベーション機能、ベンチャー企業支援なども視野に入れながら、こうしたアジアヘッドクォーター特区の指定地域内に位置するこの施設を、まさに特区で構成されているビジネスコンシェルジュとして位置づけ、制度を活用した整備を実現することを提案したいと思います。
そこでは、外国企業の誘致、アジア経済の拠点としての位置づけだけではなく、外国企業が国内企業、さらには地元企業と交流、連携を深め、互いに情報交換や交流ができる交流の場の整備、企業を立ち上げるための相談や販路の開拓・拡大を図るための支援ができる機能を持たせ、外国企業誘致のみならず、地域の中小企業、産業の活性化につなげていくことが可能になるものと考えます。国際企業を交えた産学官連携が図られ、新技術・新製品の開発や市場の発掘など、区の産業振興に大きなメリットが生まれるものと確信しています。人が集うことで国際文化交流の拠点として、また観光振興ビジョンが目指す目標実現に大きな成果も期待できるのではないかと思います。
そこで、まず一つ目の質問は、(仮称)港区
産業振興センター整備計画は、現在どのようになっているのか、お伺いいたします。
また、国際戦略総合特区として指定を受け、区としても制度活用が期待できる今、アジアヘッドクォーター特区の政策課題として掲げられるビジネスコンシェルジュの実現など、アジアヘッドクォーター特区の動向を踏まえた産業振興の取り組みについて、区長の見解をお聞かせください。
次に、二〇二〇年東京オリンピックの誘致についてお伺いいたします。
二〇二〇年夏季オリンピックの東京招致実現に向け、東京招致委員会からIOCに申請ファイルが提出されました。大会は、二〇二〇年七月二十四日から八月九日までの十七日間で、東京都内三十一カ所の競技会場を予定し、そのうち二十八カ所が都心を中心に半径八キロ以内にまとめ、メインスタジアムは、一九六四年の東京オリンピックで使用した国立競技場を改修で使用するなど、既存施設をできるだけ有効に活用。前回の二〇一六年招致の計画を大幅に見直し、究極のコンパクト五輪として大きな負担をできるだけ減らし、実現可能性の高い計画案が提示されました。
今回招致の理念は「日本復活」、東日本大震災の被災地復興のための取り組みも含め、大きな災害に見舞われた我が国がスポーツの力をかり、被災への支援を寄せた世界各国への感謝と、今、貧困や災害に苦しむ世界の人々をスポーツで勇気づける祭典と位置づけるものです。今、我が国が取り組んでいる復興と、それを支える東京の都市力、都市機能を世界に発信するとしています。
オリンピック・パラリンピックは、平和を望み、人類に感動や夢と希望、勇気をもたらす、すばらしいスポーツの祭典です。震災で多くの方々が傷つき、つらい生活を生き抜いている今の日本国民、子どもたちが、少しでも人間の計り知れない可能性を発見し、感動、あすへの希望を取り戻すための絶好の機会になると考えます。私どもは、東京都が推し進める二〇二〇年夏季五輪誘致に惜しみない協力をしてまいりたいと考えています。
二〇一六年の誘致では、ブラジルのリオデジャネイロに敗れました。東京の敗因は、都民の関心の低さ、世論の支持率が五五・五%と、立候補四都市の中で最も低かったことと言われています。一方、スペイン・マドリードは敗れたものの、支持率が八四・九とトップで、これほどまでの支持率に上げていかなければならないことだと思います。東日本大震災の復興に向けた取り組みを進めている国としては、なおさらにオリンピック開催に向けた国民世論の動向が重要なかぎとなることは間違いないと思います。
東日本大震災と震災復興に向け、日本が元気になるためにも今回の誘致は何としても成功させなければならない。二〇二〇年夏季オリンピックを東京で実現しなければならないと思っております。まさに開催地の範囲に含まれる港区として、区も議会も一丸となって招致運動を展開し、世論を盛り上げていかなければならないと考えます。区長と議長のお考えをお聞かせ願います。
次に、高齢者買い物支援事業についてお伺いします。
さきに港区政策創造研究所が発表した
ひとり暮らし高齢者社会調査報告によりますと、二〇一〇年の調査で、港区の六十五歳以上の方々三万四千八百二十三人のうち、一万百十六人の方がお一人で暮らしており、率では二九%の方々です。世帯では二万五千百六十一世帯のうち一万百十六世帯ですから、四〇・二%が高齢者単身世帯ということになります。実態を知り、我が国の少子高齢化の進行、核家族化が改めて実感させられる報告でした。
ひとり暮らしの出現率は、大都市、過疎地によってさまざまで、大都市が必ずしも高いと言えるかはわかりませんが、港区は全国的にも高い出現率であることがわかりました。まして、過疎地や島嶼地域と違い、コミュニティの希薄化が言われている都心区では、同じ出現率であったとしても、他の地域と違う都心区特有の問題、課題が浮き上がってくるのではないかと思います。
こうした中で、研究所では、港区の
ひとり暮らし高齢者の生活と意識に関する調査を行い、困り事や生活状況などを調査し、今後の保健福祉政策のあり方に資するとしています。それに応じて新年度から、芝地区総合支所では、高齢者の買い物支援事業をスタートします。これは高齢化の進む芝地区において、特に身近な生活用品や生鮮品などのお店が少なく、お年寄りが重い荷物を持って遠くまで買い物に行く、そのことが困り事として多く寄られたということがきっかけと聞いています。商店街などと連携し、注文を受け、いきいきプラザなどの施設で受け渡すサービスや、一緒に自宅まで運ぶサービスなどを行い、高齢者の買い物の不便さを助けるとともに、高齢者の外出の機会、コミュニケーションを深める機会とすることを目的としています。
そこで、区長にお伺いします。このサービスは、単に商品を自宅に届けることが目的ではないところが重要なポイントだと思いますが、この事業の具体的な内容、期待する効果はどのようなものなのかをお伺いいたします。
区内で高齢化が最も進む赤坂地区や比較的若い世帯が多い芝浦港南地区など、地域によって実情が異なります。実施にあたっては一律ではなく、地域の実情に即した取り組みが必要と考えます。特に赤坂地区は、港区政策創造研究所が発表した調査では、芝地区と並んで高齢者にとって買い物が不便な地区として報告されています。赤坂地区の特徴は、商業地域と住宅地域が比較的明確に分かれています。その住宅が集合している地域の中に、都有地などで利用されていない土地がありますが、そうした敷地を活用して生鮮魚や野菜の出前販売などを求める声があります。特に赤坂七丁目にある都営赤坂台町アパート跡地は、青山通りから奥に入り込んだ住宅集合地域であり、東京都に問い合わせたところ、当面活用の見込みはないとのことでした。こうした敷地を近隣住民の生活の利便向上のために利用することも考えられます。今後、利用ニーズ予測や事業効果の検証をもとに、赤坂地区をはじめ各地区においても、高齢者買い物支援事業を実施していただきたいと思います。区長のお考えをお尋ねいたします。
次に、東町小学校の国際学級の状況と成果についてお伺いいたします。
昨年四月から、東町小学校で国際学級の試行がスタートいたしました。区長の所信表明でも試行の結果を踏まえて、本年四月から本格実施とすることになりました。東町小学校国際学級は、国際理解教育を推進すると同時に、通常の学級として外国人児童を積極的に受け入れ、教科の指導を英語で受けることにより、外国人児童も学力の維持・向上、英語能力の保持を図ることが可能となると同時に、日本の子どもたちにとっても国際的な多様な文化や価値観に触れる機会を確保し、さらに英語でのコミュニケーションを図る機会を増大することができます。小学校低学年のうちから国際理解を深め、将来、国際人として感覚を身につけ、世界で活躍する能力を養う、そうした港区ならではの意味深い取り組みです。
冒頭に申したとおり、今、国は産業の国際競争力の強化に向けた取り組みをしており、国際戦略総合特区制度をスタートしました。東京都は港区を地域範囲に含めたアジアヘッドクォーター特区の申請を行い、外国企業の誘致、活力ある地域経済の再生に向け、さまざまな政策課題に取り組んでおります。その中の一つに、東京に企業の拠点を置くことを選考するにあたって、従業員や家族、子どもたちにとってよりよい生活環境が整備されているかが大きなポイントになります。東京は、世界各国の中では治安面での安心、清潔な生活環境は高く評価されていますが、英語をはじめとする母国語が通じないこと、外国人向けの教育機関への支援、医療機関の整備がおくれていると言われています。こうしたことは日常生活のストレスにもなり、なかなか東京が選ばれない大きな理由にもなっています。
特に子どもたちの教育環境を重視して、住む場所さえも変えてしまうと言われています。そのため特区構想では、外国人や家族が東京に住みたいと感じることができるよう、外国人等の生活環境の整備を政策課題に掲げています。外国人医師による診療機会を確保すること、外国人子弟が公立小学校・中学校でも母国語で授業を受けられるような環境整備を今後進めるため、国際学級の整備を行う考え方が示されました。まさに港区の東町小学校国際学級は、こうした取り組みを全国で初めて実施した先駆けでもあります。
そこで、東町小学校で試行実施した国際学級の現状と成果についてお伺いいたします。また、今後、他の区立小学校への拡大はどのように考えているのかをお伺いいたします。
最後に、総合支所と教育委員会、特に区立小・中学校の連携についてお伺いいたします。
教育委員会、区立学校は、魅力ある学校教育の推進を基本方針として掲げ、子どもたちの学力向上、生涯を通じて自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力等の資質・能力の育成、個性と想像力をはぐくむ教育、特色ある学校づくりに努力しています。また、健全な心と体を育成するため、人間性の豊かな心の教育、心身の健康保持や健康づくり・体力づくりを推進しています。そのために学校は、子どもたちをはぐくむための城であり、教育の殿堂でもあります。
一方、昔から学校は地域コミュニティの中心であり、地域の最大限の交流の場でもあります。多くの地域の方々のつながりは、同級生や子どもたちを通じた親のつながり、卒業生や同窓生のつながりによって地域コミュニティが形成されているケースが多いと言われています。
また、港区でも、区立小・中学校は災害時の避難場所としても指定されていますが、いざ災害が発生したときに、小・中学校は防災の、区民の身の安全を守るための拠点にもなる施設です。三月十一日に発生した大災害の際にも、区民のみならず、多くの帰宅困難者が最寄りの小・中学校を目指して避難してきました。各区立小・中学校は総合支所や地元町会・自治会の方々と協力して避難場所を開設し、区民や帰宅困難者への支援にもあたりました。そうしたことから、私は改めて、区立小・中学校は子どもたちの教育、健全育成の場とあわせて、地域住民の安全・安心、コミュニティ形成の重要な拠点施設であることを実感いたしました。
平成十八年の区役所・支所改革の当時、教育委員会並びに区立小・中学校は、総合支所制度とはかかわらない、権限の及ばないものと理解していましたが、区役所・支所改革がスタートして六年が経過する中で、現実には総合支所と地元区立小・中学校のかかわりは深まり、協働でさまざまな取り組みが行われています。例えば、避難所設営や運営訓練、防災訓練を取り入れた赤坂地区委員会で主催するいも煮会、また、お台場防災ジュニアチームの活躍は子どもたちによる地域への支援として評判になりました。区立小・中学生が参加する社会を明るくする運動や環境美化活動など、総合支所と小・中学校が協働して地域の課題解決にあたっているケースも大いに増えています。一方で、区役所・支所改革の位置づけとして、こうした取り組みが明確化されていないことから、総合支所の担当者の判断、または学校側の意識にそれぞれの温度差があり、三月十一日の時点でも、総合支所によって、学校によって対応がまちまちであったという話も聞こえています。
そこで、教育長にお伺いします。区立小・中学校と総合支所との連携についてのお考えと、今ある課題について、どのようにお考えなのかお伺いいたします。今後、総合支所制度のさらなる改革の中で、区立小・中学校と総合支所との連携強化策について、お考えをお伺いいたします。
以上で終了いたします。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまのみなと政策クラブを代表しての七戸淳議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、アジアヘッドクォーター特区についてのお尋ねです。
まず、区としての対応についてです。アジアヘッドクォーター特区は、外国企業の誘致を進め、外国企業と東京が誇る高い技術力を有する中小企業が互いに刺激し合うことで、新たな技術やサービスを創造する魅力的な市場を形成し、日本全体の経済成長を牽引することを目的とするものです。区は、特区の区域を含めた区民が夢と希望に満ち、安全で安心して生活ができる良好なまちづくりの実現に向けて取り組む必要があります。今後、特区計画の策定に向け、区民サービスの向上及び区内産業の振興につながるよう、東京都の地域協議会などを通じ、区として必要な主張を行ってまいります。
次に、区の都市再生についてのお尋ねです。今回の指定により、民間都市開発プロジェクトを適切に誘導することで、防災機能の強化や都市基盤の整備、良質な居住環境の創造など、区の課題解決に結びつくまちづくりの進展が期待されます。港区の課題解決に貢献する地域特性を踏まえた良好なまちづくりが行われるよう、国及び東京都と連携し取り組んでまいります。
次に、平成二十四年度の区としての取り組みについてのお尋ねです。
昨年十二月、国際戦略総合特別区域として、東京都のアジアヘッドクォーター特区が指定を受け、また、区内の複数の地区が特定都市再生緊急整備地域の指定を受けました。こうした指定を踏まえ、平成二十四年度は、区の課題解決に結びつく取り組みとなるよう、また緊急整備地域内で地域特性に応じた良好なまちづくりが行われるよう基礎調査を実施し、必要な検討を行ってまいります。
次に、環境未来都市への再度のチャレンジについてのお尋ねです。
昨年九月に国に応募した区の環境未来都市提案は、最終的に選定はされなかったものの、環境・防災面の提案について高い評価を受けました。環境に配慮したまちづくりについて、国では低炭素まちづくり促進法や、さまざまな先進事業に対する補助制度などが検討されております。来年度の環境未来都市への再応募については、これらの状況を十分把握した上で検討してまいります。区は、今年度策定した港区後期基本計画でも、実現を目指す港区の姿の一つとして、さらなる低炭素社会の実現を掲げております。環境未来都市の提案内容を生かし、共同提案を行った民間事業者とも連携しながら、今後も環境負荷の少ない都心づくりを目指して先進的な地球温暖化対策を進めてまいります。
次に、産業振興についてのお尋ねです。
まず、(仮称)港区
産業振興センターの整備についてです。産業振興の拠点施設と位置づけます(仮称)港区
産業振興センターにつきましては、インキュベーション支援機能や展示会の開催、企業間交流の場の確保など、整備すべき機能について検討を行っております。今後、
アジアヘッドクォーター特区構想の具体化の動きを見据え、また、東日本大震災を踏まえた安全・安心の確保を重視し、産業関連団体や学識経験者等で構成する港区中小企業審議会でのご意見を伺いながら、引き続き検討を進めてまいります。
次に、
アジアヘッドクォーター特区構想の動向を踏まえた産業振興の取り組みについてのお尋ねです。
アジアヘッドクォーター特区構想では、情報通信、電子・精密機械など、東京の成長を促す業種の外国企業を特区エリア全体で五百五十社以上誘致することとされております。こうした企業の進出は、港区に集積する法務、財務、デザイン等の企業経営をサポートする産業のサービス需要を創出するとともに、進出する企業の社員や家族の生活から生まれる消費も含め、区内中小企業がさらに活性化する好機となると考えられます。今後も、
アジアヘッドクォーター特区構想の動向を見極めながら、区内中小企業に対する支援の充実に努め、産業振興の取り組みを推進してまいります。
次に、二〇二〇年東京オリンピックの招致についてのお尋ねです。
私は、オリンピック・パラリンピックとは、スポーツを通じて国際理解を深め、国際平和に貢献するとともに、障害者を含むすべての人々が結びつき、互いに支え合う社会を実現する世界最大の祭典であると考えております。本年二月十三日に国際オリンピック委員会に提出されたオリンピック招致の申請ファイルには、「震災からの復興」とともに、「スポーツには困難に直面した人々を励まし、勇気づける力があることを世界の人々に示す」とのビジョンが示されております。日本国民のみならず、世界の人々にとっても、多くの意義を持つ大会となる二〇二〇年東京オリンピックの開催に向け、私は、区議会の皆様とともに、東京都が推進する招致活動を支援し、協力してまいります。
次に、高齢者の買い物支援事業についてのお尋ねです。
まず、芝地区での取り組みと期待する効果についてです。芝地区総合支所では、来年度から地域の実情を踏まえて、高齢者の買い物支援をモデル事業として実施いたします。この事業は、六十五歳以上の
ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯を対象に、シルバー人材センターに委託して実施いたします。具体的な内容については、現在検討中ですが、月に二回程度、注文票で受け付けた野菜や米などの商品を区内商店街に発注し、拠点とするいきいきプラザにおいて、利用者に引き渡すサービスです。さらに希望者には、購入品を自宅まで一緒に運ぶ同行支援も実施いたします。この事業を通して、高齢者の安否確認や商店街の活性化につなげるとともに、利用者がいきいきプラザに足を運ぶことによって、外出の機会を増やし、高齢者同士や世代間のコミュニケーションを深める効果を期待しております。
最後に、各地区での実施についてのお尋ねです。
港区政策創造研究所が実施した、
ひとり暮らし高齢者の生活と意識に関する調査では、特に芝地区と赤坂地区において、高齢者の買い物に不便を感じている方の割合が多いことがわかりました。重い物を持ち歩けないなど高齢者の買い物に対する困り事を解消するため、平成二十四年度に芝地区で高齢者の買い物支援をモデル事業として実施いたします。今後、芝地区での取り組みの成果や利用者ニーズの把握も踏まえ、地域それぞれの実情に即した買い物支援事業を検討してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまのみなと政策クラブを代表しての七戸淳議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、東町小学校の国際学級の状況と成果についてのお尋ねです。
まず、現状と成果についてです。本年度、学識経験者を交えた開設準備委員会を設置し、国際学級開設の準備に努めてまいりました。学習指導では、国際学級講師による一部英語を使っての教科指導を試行し、その効果的な指導のあり方等の研究を深め、本格実施に向けての準備を進めております。音楽の授業では、当初は英語で歌うことに戸惑っていた子どもたちが、現在は歌うことを楽しみ、授業以外の時間でも学習した曲を歌う姿が見られるなど、英語への関心が高まってきております。また、外国籍児童を円滑に迎え入れるため、学校要覧、年間学習指導計画等、入学に際して必要な書類を英訳し、外国人保護者・児童向けの資料も整えております。今後は、本年度の試行実施の成果を踏まえ、外国籍児童の受け入れ体制を一層整備するとともに、外国籍児童と日本人児童とがともに学び、ともに高め合う指導体制の充実に努めてまいります。
次に、他の学校への拡大についてのお尋ねです。
教育委員会では、これまでも笄小学校での日本語学級の設置や、日本語適応指導員を派遣するなど、外国籍児童に対しては積極的に支援してまいりました。また、今回、東町小学校に国際学級を開設し、英語を活用する機会を充実させる中で、外国籍児童と日本人児童の双方がともに高め合える学習環境の整備に取り組んでおります。今後は、東町小学校での成果と課題の検証を進めるとともに、外国籍児童・保護者等のニーズも把握しながら、他校への拡大について研究してまいります。
次に、総合支所と区立小・中学校との連携についてのお尋ねです。
まず、総合支所との連携と現状の課題についてです。私は、機会あるごとに、園長、校長や教職員に対し、区民に信頼される学校、区民とともにある学校、子どもたちが誇れる学校の三つの基本姿勢のもとに学校づくりを進めること、あわせて、これを実現するためには、地域や総合支所との密接な連携が重要であることを話しております。さきの東日本大震災に際しましては、お台場学園の防災ジュニアチームが活躍し、中学生が地域の力となることを実証してくれました。
これを踏まえて、今年度からは、すべての中学校が地域や総合支所と連携し、教育課程に位置づけ授業として防災訓練を実施しておりますが、地域防災協議会の見直しや訓練内容の充実と改善などの課題があります。また、震災当日、避難所となった学校においては、総合支所と連携し、初動対応に全力で当たりましたが、情報連絡体制などに課題が残りました。教育委員会は、こうした課題について、防災部門並びに総合支所と十分協議し、学校が地域の一員として地域や総合支所と一体となって活動できるよう、環境整備をしてまいります。
最後に、連携強化策についてのお尋ねです。
教育委員会は、三つの基本姿勢に基づく学校づくりを進める上で、学校と地域及び総合支所との連携が不可欠であると考えており、各幼稚園、学校は従前にも増して連携の重要性を認識し、諸課題に主体的に取り組んでおります。今後は、各幼稚園、学校と地域や総合支所、それぞれが情報を共有する中で、連携の質や実効性をさらに高めていくとともに、事業実施などに際して調整が必要な場合は、教育委員会が積極的に関与してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○議長(菅野弘一君) ただいまのみなと政策クラブを代表しての七戸淳議員のご質問にお答えいたします。
二〇二〇年の東京オリンピックの招致についてのお尋ねです。
私は、オリンピック、パラリンピック競技大会は、スポーツを通じて人類の相互理解と国際平和の実現に大きく貢献するとともに、世界の人々に大きな感動を呼び起こす世界最大のスポーツ、文化の祭典であると考えております。
区議会においても、昨年十二月九日の第四回定例会におきまして、第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に関する決議を議決し、東京都の招致活動を全面的に支援、協力することを表明いたしました。
とりわけ、東京において、再びオリンピック、パラリンピック競技大会を開催することは、我が国が東日本大震災からの復興と再生を成し遂げるため、国民の心を一つにする象徴となり意義ある大事業と考えています。区議会としての招致活動については、行政側とも足並みをそろえ、連携した取り組みが必要と考えますので、具体的なことにつきましては、今後、各会派の皆さんにご相談してまいりたいと考えております。
よろしくご理解いただきたいと思います。
議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後三時三十九分休憩
午後四時十分再開
○議長(菅野弘一君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(菅野弘一君) ご異議なきものと認め、時間は延長されました。
一般質問を続けます。十八番大滝実議員。
〔十八番(大滝 実君)登壇、拍手〕
○十八番(大滝実君) 二〇一二年第一回港区議会定例会にあたり、日本共産党港区議員団を代表して、区長、教育長、議長に質問いたします。
区長は、昨日の所信表明で「保育園の待機児童解消を区政の最重要課題ととらえ、全力で取り組んできた」と述べましたが、保育園に申し込んでも四月に認可保育園に入れない児童は八百人を超えようとしています。特別養護老人ホームの待機者は二百二十五名。区民生活が大変で滞納者が三割を超えているのに、国民健康保険料をまた値上げしようとしています。さらに、介護保険料、後期高齢者医療保険料も値上げしようとしています。港区の財政は特別区民税収入が四年連続で減収となり、今後も厳しい状況が続くと予想されていますが、それだけ区民の収入が減り、暮らしが大変になっているからです。国の悪政言いなりの区長の姿勢では、区民の暮らし、営業を守ることはできません。住民追い出しにつながる大企業奉仕の再開発事業などへの多額の税金投入をやめ、福祉、暮らし重視の区政への転換が必要です。区民が主人公の区政実現のため奮闘する決意です。
初めに、税と社会保障の一体改革について質問します。
野田政権は、最重要課題として、消費税の大増税と社会保障の大改悪を進めようとしています。消費税の大増税が区民の暮らしにとっても、中小商工業者の営業にとっても深刻な打撃となることは明らかです。日本商工会議所などの調査によれば、現状でも消費税を価格に「転嫁することができない」事業者は、売上高一千万円から千五百万円の事業者の六四%、消費税をこれ以上引き上げたら「転嫁できない」と回答した事業者は七一%になります。区内の中小や個人の事業者、商店から、「消費税分は自腹を切っている」「わずかな年金収入も消費税納入分に消えている」との声があり、「昨年末で店を閉めた」「ことしいっぱいで店をやめようと借り手を探している」など切実です。八百屋、肉屋、魚屋、酒屋など区内の小売商店は、この十年間で三割から五割減っています。消費税が現在の五%に引き上げられた一九九七年当時と比べ、会社員の年収は平均で約五十五万円も減りました。
さらにこの間、非正規労働者が雇用者全体の三五・二%で過去最高になり、年収二百万円未満の労働者は千六百万人を超えています。貧困の広がりは少子高齢化を加速させています。消費税導入からの二十四年間で税収は二百五十一兆円、一方で、この間の法人三税などの引き下げによって二百三十三兆円の減税がされ、結果的には大企業などの減税の穴埋めに使われ、社会保障は切り捨てられてきたのが実態です。消費税一〇%への増税と社会保障の改悪によって、新たな国民負担は総額十六兆円にも上ります。現状でさえ冷え込み続けている家計を直撃し、個人消費を落ち込ませ、日本の経済をどん底に突き落とし、税収はますます減って国の借金を増やすことになります。社会保障拡充と財政危機打開のための財源は、むだ遣いの一掃と富裕層・大企業への応分の負担を求めること。さらに、国民の暮らしと権利を守るルールある経済社会への改革を進めることで消費税に頼らなくても確保できます。区長は、区民の暮らしを守り、地域経済を守り、財源確保のため「社会保障と税の一体改革」の名で進めようとする消費税増税と社会保障の切り捨てをやめるよう国に申し入れるべきです。答弁を求めます。
次に、災害時にすべての区民に正確な情報提供することについての質問です。
防災無線が聞きづらく、わからないと多くの区民から苦情が寄せられています。災害が発生したときに、何を言っているのかわからなければ、かえって混乱を招きます。防災無線の改善も必要ですが、抜本的な対策が必要です。
中央区では、地域コミュニティFM「中央エフエム」で災害情報を受信できる緊急告知ラジオの購入費の九割補助を始めました。家庭の負担は千円です。緊急告知ラジオは、大きな地震や水害、緊急を要する災害発生時に自動的に電源が入り、緊急地震速報、区の防災行政無線などが最大音量で流されます。通常は、中央エフエムのほか五局の放送が受信できます。緊急時には放送受信中でも災害情報が割り込んで優先的に放送されます。
また、品川区などでは、NTTドコモの緊急速報「エリアメール」を活用しています。これは気象庁が配信する緊急地震速報や、国や地方公共団体が配信する災害・避難情報などを特定エリアへ一斉送信するシステムです。いろいろ課題はあるようですが、auでも導入するようです。大きな災害が発生した場合、正確な情報をすべての区民、滞在者に漏れなく知らせることが重要です。そのためには一つでなく、幾つかの活用も必要です。可及的速やかに対応すべきです。答弁を求めます。
次に、避難所についての質問です。
1)発電機だけに頼らず、太陽光発電など自然エネルギーを活用した発電を導入し、照明などの電気の確保を進めるべきです。
2)マンホールトイレの増設について。阪神・淡路大震災を教訓にマンホールトイレの設置を提案してきました。設置が進んでいますが、避難所の規模に見合ったものではありません。来年度の予定は港陽小・中学校の十基で、今後三年間で五十基にすぎません。避難所の受け入れ人数にふさわしいマンホールトイレを設置すべきです。高齢者や障害者が利用しやすいトイレの設置を行うべきです。
3)水道管直結式貯水槽設置について。避難所での飲料水の確保については、東京都の給水施設などから水を運ぶことになっていますが、道路や車両の確保などを考えたとき、避難所で飲料水の確保対策を行うことが必要です。シティハイツ桂坂や都立青山公園に設置されているような水道管直結式の貯水槽を設置可能な避難所に設置すべきです。
4)簡易ベッドの確保について。新潟大学大学院の榛沢医師が、中越地震など四つの震災後の血栓症検査の共通点から、「窮屈、長時間の同じ姿勢、心的ストレスなどが血栓症の発症を高めていた」と指摘。「簡易ベッドなら安心して眠れ、血栓症ばかりでなく、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞の予防にもなる」と強調しています。
日本共産党港区議員団は、この間、避難所に簡易ベッドの設置を提案してきました。来年度予算では、避難所での高齢者のための簡易ベッドを五百十台設置する計画です。歓迎すべきことです。しかし、避難所の規模からすれば、とても足りません。三カ年計画で避難所の規模に見合う簡易ベッドを備えるべきです。それぞれ答弁を求めます。
次に、白金二丁目の旧東京都職員住宅跡地を、防災機能を備えた防災公園として活用することについてです。
三月十一日の東日本大震災で大量の帰宅困難者を見たとき、広域避難場所の整備の緊急性を痛感いたしました。最適の場所があります。白金二丁目の旧東京都職員住宅跡地について、東京都と協議・協力して、防災機能を備えた防災公園として整備すべきです。答弁を求めます。
次に、放射能から子どもたちを守るための質問です。
放射能については、これ以下なら安心という閾値はありません。その立場から質問します。
第一は、検出限界値についてです。父母たちの運動と日本共産党港区議員団の提案で放射能汚染について給食のサンプル検査、牛乳の検査を実施しています。しかし、検出限界値が十ベクレルでは子どもの健全な成長を願う父母からすると安心できるものではありません。既に幾つかの市や町、生協などでもっと低い限界値を設定したり、測定結果を発表しています。港区でも検出限界値を下げるとともに、今公表している「検出されず」ではなく、何ベクレルなのか公表すべきです。答弁を求めます。
第二は、除染についてです。区は、「放射性物質除染実施ガイドライン」で環境省の基準を参考に、区有地、区施設については〇・二三マイクロシーベルト以上について除染するとしています。しかし、屋内効果〇・四というのは実態に合っていません。除染基準をもっと引き下げるべきです。当面、〇・一九マイクロシーベルト以上とすべきです。また、個人宅は個人の責任でといいますが、福島原発事故による放射能汚染の責任は、東京電力と安全神話にしがみついてきた歴代政府にあるわけです。個人には何の責任もないことです。区民から要請があれば、港区が責任を持って除染すべきです。それぞれ答弁を求めます。
次に、原発から撤退し、自然エネルギーへの転換を進めることについて質問します。
福島原発事故は、原発と人間社会は共存できないことが事実をもって示されました。現在、稼働している原発は二基となり、四月までにすべての原発が停止します。今こそ自然エネルギーの本格的導入へと急速な転換を図っていくことが求められています。日本の自然エネルギーは、太陽光、中小水力、地熱、風力だけでも二十億キロワット以上と推定され、現在日本にある原発五十四基の発電能力の約四十倍です。七月からの固定価格買い取り制度が、企業の発電した電気を電力会社がすべて買い取るため、大企業から中小企業、NPO法人まで多様な事業者が自然エネルギー事業に参入する動きが急速に広がっています。しかし、供給する側の特定規模電気事業者に申し込みが殺到しており、供給不足を解消するために大規模な太陽光発電施設の建設が計画され、地方自治体も参入しています。
また、自然エネルギーの活用に向け、太陽光パネルの普及が進められていますが、設置費用は助成制度を利用しても、なお多額の費用がかかります。このため、促進させるねらいから、経済産業相は発電会社が家庭の屋根を借りて太陽光発電事業ができるようにする屋根貸し制度を夏までに新設する方針との報道がありました。さらに、太陽光発電以外でも、水道や下水道を使った発電施設が増えています。さいたま市大宮配水場をはじめ、関東地方で三十カ所近い施設にマイクロ水力発電が導入されています。区でも、自然エネルギーへの流れを促進するため、あらゆる施策を行うべきです。
1)区内外の区有施設、区有地を見直し、条件のあるところに太陽光発電を整備し、積極的に自然エネルギーの導入を図るべきです。2)公園や広域避難場所にはハイブリッド型の街灯や太陽光発電を設置すべきです。3)上下水道を活用した小水力発電の導入を図るよう、東京都に働きかけるべきです。答弁を求めます。
次に、特定規模電気事業者(PPS)の活用で、原発に依存しない社会の構築と電気代節約について質問します。
東京電力は、企業など事業者向け電気料金を四月に平均一七%値上げすると発表しました。家庭向けも値上げの方針です。政府も認める方向です。とんでもありません。東京電力は原発事故を人災と認めず、被害者への賠償はおくれにおくれています。それを放置したまま、広く国民の負担で復旧・復興するというもので、東京電力を免罪することになります。電気料金は発電所の建設費や人件費、燃料費など、すべての費用に一定の利益を乗せる総括原価方式という特殊な計算式で定められ、電力会社は絶対に損をしない仕組みです。東京電力の電気料金には原発への設備投資や交付金まで含まれています。
昨年の四月から電気料金に太陽光発電促進付加金が加算されました。これは一般の家庭が太陽光パネルでつくった電力の余剰分を、電力会社が買い取る費用までも利用者に転嫁しています。電気の購入先をPPSに切りかえれば、経費の節減になります。世田谷区では、区施設百十一カ所を東京電力以外のPPSとの契約に踏み切りました。これによって年九千万円の節減になるとのことです。ほかにも実施する区が増えています。港区も原発に依存しない社会の構築と電気代節約のため、区の施設についてPPSの導入を進めるべきです。答弁を求めます。
次は、保育園の待機児童解消について質問します。
来年度の入園希望児童は、一月十日締め切り時点で、八百五名の定員に対して千七百六十六名の申し込みとなりました。昨年と比べて約百名の増です。多くの待機児童が出るのは避けられません。特に多いゼロ歳、一歳、二歳児で見ると、一番高い倍率が二歳児で五・五倍、一歳児が三・八倍です。この時期、子育て世代にとって保育園の入所ができるかどうか、本当に深刻です。若い子育て中の方の多くは、二人で働かないと生活ができない状況です。子育て世代が安心して住み続けられるためにも保育園の整備・拡大は緊急の課題です。
昨日の所信表明で、区長就任以来二千二百四十九名の定員を拡大したと述べました。緊急暫定保育室の設置など、我が党の提案を受け拡大していることは認めますが、増え続ける保育園の入園希望者の願いにこたえることにはなりません。区長の公約でもある待機児童ゼロを実現するためにも、早急に認可保育園、緊急暫定保育室を増やすべきです。答弁を求めます。
次に、「子ども・子育て新システム」についての質問です。
民主党政権は公的保育の解体につながる「子ども・子育て支援法案(仮称)」「総合こども園法案(仮称)」を三月中旬に国会に提出する考えです。幼稚園と保育所を一体化して二重行政や待機児童を解消することを目的にしていましたが、二重行政どころか三重行政になります。一体化する総合こども園のほか、幼稚園と保育所の三種類の施設ができ、所管する官庁も内閣府、文部科学省、厚生労働省となります。一体化の売りだった待機児童解消もほとんど見込めません。待機児童の八割以上を占めるのは三歳未満児ですが、一体化する総合こども園には三歳未満児の受け入れを義務づけていないからです。政府の作業部会が新システムの最終案をまとめましたが、幾つかの問題点が明らかになっています。
市区町村の保育実施義務を明記した児童福祉法第二十四条が変えられ、保護者と施設とが直接契約を結ぶことになり、保育園に入所を希望する人たちは、毎日保育所探しに奔走しなければなりません。当面、施設が不足している間は市区町村が利用調整し、保護者に利用可能施設をあっせんするとしています。しかし、市区町村にその子の保育を確保する責任があるかどうかはあいまいで、責任が後退する危険があります。施設が足りなくても市区町村は保育所を建設せず、民間頼みということになりかねません。保育する時間は、保護者がフルタイムかパートかによって月単位で長時間、短時間の二区分で認定を受けます。長時間と認定された場合は、今までのように朝から夕方まで一週間通して保育が受けられます。しかし、短時間の場合、月何時間の保育が受けられるのか、まだ決められていません。長時間の認定を受けられない人が時間外の利用をした場合には、超過分は全額自己負担になる可能性もあります。施設では短時間利用で、日によって登園する児童が変わったり、在園する児童が細切れに変わったりすることにもなり、園児の安全確保、保育計画に沿った保育、行事などにも支障を来します。保育士の確保、待遇にも影響し、園の運営にも大きな影響を及ぼしかねません。問題の多い新システム関連法案を今国会に提出しようとするのは、保育分野を営利目的に市場化しようとするねらいがあるからです。最終案には株式会社の参入を促進し、運営費からの株主配当や利用料の徴収を認めています。子育て施策の充実を一番に掲げる区長として、国や自治体の保育への責任を放棄し、保育と子育てを一層困難にする新システム関係法案を提出しないよう国に求めるべきです。
議会としても、国に意見書を提出すべきです。それぞれ答弁を求めます。
次に、公契約条例について質問します。
公共工事、公共サービスの品質確保と生活できる賃金への底上げを定める公契約条例を制定する自治体が広がっています。昨年十二月に都内初の公契約条例が多摩市議会で全会一致で可決成立し、四月から施行されます。条例では、労働者等の生活の安定を図り、公共工事及び公共サービスの質の向上に資するとともに、地域経済及び地域社会の活性化に寄与するとしています。一人親方も対象になり、違反した事業者には制裁措置をとることができます。また、運用検証へ公契約審議会を設置し、市長への提言などを行うとしています。
既に野田市や川崎市などで制定され、さらに都内でも国分寺市で審議中、世田谷区では検討委員会で制定に向けた作業が始まっています。低入札価格でしわ寄せされ、低賃金に苦しむ下請業者や労働者を地方自治体がつくり出すことがないよう、区でも早期に公契約条例を制定すべきです。答弁を求めます。
国際的にはILOにより国際労働基準として公契約条例を定めています。公契約法を早期に制定するよう国に求めるべきです。答弁を求めます。
次は、住宅リフォーム助成制度の実施についてです。
地元業者に住宅リフォームを発注した住民に費用の一定割合を助成する住宅リフォーム助成制度は、助成を受けた住民が喜ぶだけでなく、地元事業者も仕事が入って喜び、地域活性化になるとして実施する自治体が広がっています。全建総連などの調査によれば、昨年八月末現在で四県と三百九十六市区町村になっています。
区長はこれまで、災害、高齢者、環境対策を重点に施策を推進しているので、地域経済の活性化を目的とした住宅リフォーム制度の創設は考えていないとの答弁でした。しかし、区内の中小事業者の実態は、「地震による被害修復や補強工事は昨年中にほとんど終わり、ことしに入り仕事がない」「仕事のない職人がたくさんいて、一日仕事などを分け合っている」など深刻さを増しています。こうした実態も知らず、区内事業者の苦しみに耳もかさずに冷たくあしらうことは許されません。マンションのリフォームも含めて、早急に制度の実施をすべきです。答弁を求めます。
四月から始まる武道必修・柔道についての質問です。
武道の必修化を前に、新聞、テレビで安全をなおざりにして、四月実施でいいのかと問題を指摘する特集が行われています。ある新聞は、安全対策が不十分なら、必修化の実施は先送りすべきだというものです。日本ではそれだけ死亡事故が多発しているからです。日本の三倍近い競技人口を持つフランスは、近年、重大な事故が起きていません。柔道指導者は国家資格で、医学的知識も含め三百八十時間以上の研修が義務づけられています。体育教師任せにせず、専門家を配置すべきです。その際、安全対策を最優先すべきです。そのための財源を国に求めるべきです。それぞれ答弁を求めます。
中学に入学する際、制服からかばん、体育着やトレーナー、上履き等々、多額な費用がかかります。その上、武道の必修化によって柔道着を購入しなければなりません。文部科学省の責任で予算措置すべきです。国に予算要求すること。予算措置されるまでの間、教育委員会で備品としてそろえること。または購入費用を助成すること。それぞれ答弁を求めます。
以上で質問を終わります。答弁によっては再質問をいたします。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、税と社会保障の一体改革をやめるよう国に申し入れることについてのお尋ねです。
本年二月、税と社会保障の一体改革の内容を具体化した社会保障・税一体改革大綱が閣議決定されました。社会保障・税一体改革は、社会保障の充実を図ることを目的としており、その安定財源の確保と財政健全化の同時達成のために、消費税率の引き上げが必要だとしております。消費税や年金などは国民生活に身近な問題であり、多くの国民の理解が得られることが重要です。区として、国に申し入れることは考えておりませんが、今後も国の動向を注視してまいります。
次に、災害時の情報提供についてのお尋ねです。
災害時における情報は、正確かつ迅速に伝わることが重要です。区は、東日本大震災の教訓を踏まえ、広報みなとかわら版、ツイッターなどを導入してまいりました。また、防災行政無線放送が聞き取りにくいという課題解決のため、三月三十日から防災情報メールや区のホームページで、防災行政無線の放送内容の提供を開始いたします。防災ラジオや地域コミュニティFM、エリアメールなどの活用については、課題を整理し、他自治体の状況を踏まえながら検討を進めております。引き続き、防災情報が区民等に漏れなく伝わる方策の充実に努めてまいります。
次に、避難所の整備についてのお尋ねです。
まず、自然エネルギーを活用した電気の確保についてです。東日本大震災の教訓から、避難所において自然エネルギーを活用した電気の確保は必要であると考えておりますが、避難所となる小・中学校などへの太陽光発電システムの設置につきましては、設置場所などの課題もあります。引き続き、現在進めている地域防災計画の改定作業の中で、石油や液化天然ガスなどを燃料とする発電機の活用とあわせ、総合的に検討してまいります。
次に、マンホールトイレの増設についてのお尋ねです。
区は、避難所に指定している小・中学校等を対象に、マンホールトイレの設置の可能性について現地調査を実施しながら、順次整備を進めてまいりました。その結果、平成二十四年度に整備を予定している港陽小・中学校の十基の整備により、すべての小・中学校におけるマンホールトイレの整備は終了します。区立小・中学校を含めた区有施設全体のマンホールトイレは、現在二百七十八基であり、平成二十四年度は三十三基、平成二十五年度は十基、平成二十六年度は二十五基を整備する予定です。引き続き、区有施設の新築や改築にあわせ、マンホールトイレの増設に努めてまいります。
また、災害時にはマンホールトイレに加え、高齢者・障害者が利用しやすいトイレとして、手すりつきの組み立て式や車いすでの使用も可能なトイレの備蓄を進めております。
次に、水道管直結式貯水槽の設置についてのお尋ねです。
災害時における飲料水の確保は、救援救護活動の中でも、人命尊重の見地から特に重要な対策の一つです。区はこれまで、水道管直結式による東京都の応急給水槽の誘致や大規模井戸の設置、民間施設との飲料水使用協定に基づく確保、ペットボトルの備蓄などに努めてまいりました。避難所に水道管直結式貯水槽を設置することにつきましては、貯留した水は飲料水としての衛生基準を満たすことが重要であること、また、設置場所となる避難所の前面道路における水道本管の有無などの設置条件などの課題があります。今後、東京都と設置について協議をしてまいります。
次に、簡易ベッドの備蓄についてのお尋ねです。
簡易ベッドの備蓄につきましては、備蓄場所の確保が課題となっておりましたが、圧縮毛布の導入などの工夫により、一定のスペースを確保し、実施をするものです。簡易ベッドのさらなる備蓄については、備蓄倉庫の新たな確保や、東日本大震災の教訓を踏まえて充実が必要である物資の備蓄など、総合的に検討してまいります。
次に、旧東京都職員住宅の跡地活用についてのお尋ねです。
旧東京都職員住宅・白金住宅跡地は、面積約二ヘクタールと広大で、貴重な公有地であることから、東京都に対して問い合わせをしておりますが、現在のところ、建物解体後の利活用に関する回答は得られておりません。地域の方々の関心が大変高い土地であると認識をしており、地域の活性化や安全・安心の確保、景観・緑地の保全などの観点から、区としても、引き続き東京都の動向を注視してまいります。
次に、放射能から子どもたちを守ることについてのお尋ねです。
まず、検出限界値についてです。区立保育園や区立小学校、中学校等の調理済みの給食及び牛乳の放射能測定は、検出限界値を一キログラム当たり十ベクレルとして実施をしております。現在の食品に関する暫定規制値については、本年四月から食品衛生法に基づく食品一般の成分規格として基準値が設定される予定です。それによりますと、牛乳及び乳児用食品の放射性セシウムの新たな基準値は、一キログラム当たり五十ベクレルとされることから、現在の十ベクレルという検出限界値は適切であると考えております。現在の検出限界値以上の値が測定された場合については、引き続きベクレル数を公表してまいります。
次に、除染基準を引き下げることについてのお尋ねです。
区は、昨年十一月「港区放射性物質除染実施ガイドライン」を策定し、区有地・区有施設における区独自の除染の目安を地表から五センチメートルの高さで毎時〇・二三マイクロシーベルト以上と定めました。この値は、国際放射線防護委員会の平常時の追加被曝線量は、年間一ミリシーベルト以下に抑えるとの勧告をもとに、環境省が公表している、追加被曝線量年間一ミリシーベルトの考え方と同様になります。区としては、除染について、国の考え方に基づく対応をしており、現在のところ、除染基準を引き下げる必要はないものと考えております。
次に、個人宅を区が除染することについてのお尋ねです。
区は、個人宅等の除染対象については、「港区放射性物質除染実施ガイドライン」に基づき、地表から一メートルの高さの放射線量が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い箇所としており、その場合、国と連携して最優先で除染を行うこととしております。また、毎時〇・二三マイクロシーベルト以上の値が測定された場合については、所有者の責任において除染することをお願いしております。この場合、区が個人宅を除染することは考えておりませんが、落ち葉等の除去や、土壌の上下入れかえなど、状況に応じた除染方法等をお知らせするなどの支援をしております。
次に、自然エネルギーへの転換についてのお尋ねです。
まず、区有施設等での太陽光発電などの整備についてです。区はこれまでも、区有施設を新築・改築する際はもとより、既存の施設についても設置の条件が整う施設に、太陽光発電や太陽熱利用設備等を順次設置してまいりました。区では現在、区有施設の環境配慮の取り組みを建築から運用まで一貫して進めるためのガイドラインを策定しております。今後は、そのガイドラインに沿って、すべての区有施設の整備にあたって自然エネルギーの導入を検討してまいります。引き続き、区有施設への自然エネルギーの積極的な導入に取り組んでまいります。
次に、公園や広域避難場所へのハイブリッド型街灯等の設置についてのお尋ねです。
これまで区立公園では、防災と環境教育の観点からハイブリッド型の街灯や太陽光発電を試験的に設置してまいりました。しかし、ハイブリッド型の街灯は、照度の確保が十分でないなどの課題があり、また、太陽光発電につきましては、発電効率や設置スペースなどに課題があります。今後、技術革新による機器の性能向上の推移を見極めながら、公園や広域避難場所への自然エネルギーの活用について検討してまいります。
次に、小水力発電の導入を東京都に働きかけることについてのお尋ねです。
小水力発電の導入についてのご意見を東京都に伝えてまいります。
次に、特定規模電気事業者の活用による電気代節約についてのお尋ねです。
電力小売事業の自由化により、特別高圧または高圧受電で、契約電力が原則として五十キロワット以上の施設については、特定規模電気事業者から電力供給を受けることが可能となっております。区では現在、区立小・中学校の五校において、清掃工場の熱エネルギーを利用した電気の供給を受けております。現状では、特定規模電気事業者において供給できる電力量に限りがあること、発電の形態により二酸化炭素排出量を多く発生させ、環境負荷の観点から問題があるなどの課題もあります。こうしたことから、特定規模電気事業者による電力供給については、区有施設ごとの経費節減効果などを踏まえ、検討してまいります。
次に、保育園の待機児童解消についてのお尋ねです。
区はこれまで、港区独自の待機児童解消対策として、緊急暫定保育施設の整備や私立認可保育所の誘致など、さまざまな手法により積極的に定員拡大に取り組んでまいりました。私が区長に就任した平成十六年度以降二千二百四十九名の定員拡大を図り、総定員は二倍強の四千二百二十七名と大幅な定員拡大を実現いたしました。平成二十四年四月には定員百二十一名の緊急暫定保育施設神明保育室の新設、既存の青南保育室の定員二十名の拡大、南青山に定員五十名の私立認可保育所を誘致します。九月には定員百七十名の本格施設である区立神明保育園の開設、十二月には定員百六十三名の区立たかはま保育園を開設するとともに、六本木に定員五十名の私立認可保育所を誘致します。
さらに新たな事業として、パートタイム勤務や育児短時間勤務等の保護者の保育需要に対応するため、四月から定期的保育を行う「みなと保育サポート事業」を白金三丁目で実施します。平成二十五年度以降も田町駅東口北地区に区立保育園を新設し、区立保育園五園の改築に合わせ定員拡大を行います。今後とも、待機児童解消に向け、多様な手法により定員拡大を図ってまいります。
次に、子ども・子育て新システムについてのお尋ねです。
平成二十四年二月十三日、国から「多様な事業主体の参入」や「学校教育・保育を一体的に提供する(仮称)総合こども園の創設」などを内容とする「子ども・子育て新システムに関する基本制度とりまとめ」が示されました。国はこのとりまとめをもとに、関連法案を国会に提出する予定です。法案成立後、地方公共団体のほか、子育てに関する団体などと丁寧に意見交換を行い、段階的に可能なものから実施することになっております。
区としては、多様な就労形態や核家族化の進行など、都心港区ならではの特徴を踏まえた子育て支援策の構築を検討し、実施をしてまいりました。国に対し、関係法案を提出しないよう求めることは考えておりませんが、引き続き、国の動向を注視してまいります。
次に、公契約条例についてのお尋ねです。
まず、早期の公契約条例制定についてです。区が発注する契約においては、工事等の適正な履行を確保するためにも、下請けを含め、労働者の労働条件が守られることが重要であり、区では、工事発注者に対して、労働関係法令を守ること、また、下請契約の際に代金を適正に払うことなどを文書で周知し、指導しております。公契約条例については、条例を制定した自治体や制定を検討中の自治体の取り組みについて情報収集するなど、引き続き研究をしてまいります。
次に、公契約法の早期制定を国に求めることについてのお尋ねです。
労働条件は、本来、事業主と労働者との間で決められることが基本であり、最低賃金法や労働基準法等、国全体の法制度の中で整理されているものです。区といたしましては、現在、国に対して公契約法の制定を求めていくことは考えておりません。
最後に、住宅リフォーム助成制度の実施についてのお尋ねです。
区では、平成二十年度に策定した「第三次港区住宅基本計画」に基づき、災害に強い安全・安心なまちの実現、高齢者の方が暮らしやすい住まいの確保、環境負荷を低減する暮らしの実現の支援などに重点を置き、これらの施策を着実に推進することが重要と考えております。
また、建物の耐震化や高齢者住宅のバリアフリー化、高反射率塗装や地球温暖化対策機器の設置などの支援制度を活用し住宅改修を行っていくことは、一般的なリフォームとは形が違いますが、結果的に住宅リフォーム事業者を含めたさまざまな建築関係事業者の活性化につながるものと考えております。このため、現時点では地域経済の活性化を主な目的とする住宅リフォームへの助成制度を実施することは考えておりませんが、区では、建設業を含めた区内中小企業を対象とした融資相談や、経営基盤を強化し事業活動の継続・拡大を実現するための経営相談などを実施して、中小企業の支援に取り組んでおります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、武道の必修化についてのお尋ねです。
まず、専門家の配置についてです。今年度、港区の中学校では、港区柔道会のご協力により、柔道の専門家を外部指導員としてお招きし、ご指導いただき、安全を最優先とした授業が実施できました。来年度以降も生徒の安全を第一に考え、受け身など基本的な指導を基盤に、一人ひとりの生徒の体力や技術などの実態を見極めた安全な柔道の授業が実施できるよう、外部指導員を適切に配置してまいります。
なお、外部指導員の財源措置につきましては、国へ要望することは考えておりません。
最後に、柔道着購入費用の助成等についてのお尋ねです。
現在、体育の授業で必要な体操着等は各自の負担で用意することとなっており、柔道着につきましても同様と考えております。教育委員会では、経済的理由により就学が困難な保護者に対しましては、負担を軽減するため、就学援助費により柔道着の購入費を助成しております。
なお、柔道着購入費用の財源措置につきましては、国へ要望することは考えておりません。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○議長(菅野弘一君) ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員のご質問にお答えいたします。
政府に対して「子ども・子育て新システム」の関係法案を国会に提出しないよう求める、国への意見書提出についてのお尋ねです。
意見書の提出につきましては、各会派の皆さんにご相談をしてまいります。
よろしくご理解いただきたいと思います。
○十八番(大滝実君) 時間がないので、引き続き予算特別委員会で質問させていただくことを申し添えて、終わります。
○議長(菅野弘一君) 続いて、一番うどう巧議員。
〔一番(うどう巧君)登壇、拍手〕
○一番(うどう巧君) 平成二十四年第一回港区議会定例会において、港区議会みんなの党を代表して、武井区長並びに高橋教育長に質問させていただきます。
昨年三月十一日に起きた東日本大震災で多くの犠牲者を出した被災地は、築き上げた故郷、コミュニティを失い、雇用不安におびえ、それでもなお、深い悲しみから立ち上がろうと懸命に自分たちを奮い立たせ頑張っています。
一方、私たち港区は、日本の基礎自治体の中で特別区民税が四年連続で減少し、平成二十年度から約百二十億円という大幅な減収になっていようとも、富める誇りを失わずにいる基礎自治体であることは言うまでもありません。しかし、それはすべて私たちの努力だけによって得られた果実と言えるのでしょうか。日本の中での地政学的利点、インフラ、歴史的経緯、私たち港区民は、その構造的利点に全く甘えてこなかったと言えるのでしょうか。富める税収を背景に、行政への盲目的な事後的な受け身の追認に終始してしまい、自分たちが公共を担い、未来への投資のために今の決断に責任を果たすことを怠ってきた側面があるのではないでしょうか。
私たちみんなの党は、区民を信頼するがゆえに厳しい要求を、さらに上のステージを一緒に目指すべきだと思っています。しかし、現在、富が集積していると言われる我が港区の税収も多様化が進む今、一人ひとりの生活に潤いを満たす、幸福を感じさせる税収の維持が難しい水準に達してきているのかもしれません。公共性とは、閉鎖性と同質性を求めない共同性、排除と同化に抗する連帯である。現在、提起されている公共性の理念は異質な声に閉ざされ、他者を排除してはいないだろうか、とある学者は懸念を述べています。
公共とは、だれが担うのか。港区の総力を結集するためにもよりオープンなシステム、統治が今こそ求められているのではないでしょうか。民主主義研究の大家、イェール大学のロバート・ダール名誉教授は、私たちに一つの示唆を与えてくれます。デモクラシーというものが多少不安定で危ういものであることは明らかである。しかし、それがうまくいくかどうかは、私たち自身が何をするかにかかっているということも事実である。たとえデモクラシーに適した都合のよい歴史的な推進力を当てにできなくても、私たちはそのままコントロールのできない正体不明の力の単なる犠牲者になってしまうわけにはいかない。デモクラシーには何が必要になるかを正しく理解し、その要求にこたえようとする意思があれば、私たちは民主的な理念と実践を保持し続けることができるだけではなく、さらにそれらをもっと前進させることもできるのである。港区を開く行政の情報開示は区民との相互理解につながり、とても有意義であると考えます。
まず初めに、財政情報の情報開示についてお伺いいたします。
港区は、平成二十二年度決算港区財政レポートが、早稲田大学のグッド・パブリック・ディスクロージャー賞に選ばれました。この賞は、神野直彦・東京大学名誉教授が審査委員長を務める賞で、地方自治体における財政情報を積極的、かつ、適切に開示しようと取り組んでいる団体を表彰するものです。
港区財政レポートの事業別活動報告書では、福祉会館、保育園、清掃事業など各分野での行政コストや状況の推移が表やグラフなどを使ってわかりやすく示されていたと思います。施設別行政コスト計算書も、一般区民にはこれまで余りなじみのない、施設ごとの行政コストがわかりやすいつくりになっています。このような一般の区民に財政状況をわかりやすく示そうとする区の姿勢は、大いに評価したいと思います。ただ、こうした開示の姿勢が継続的、かつ、改善しながら今後も発展していくことが重要になってきます。
そこでお伺いします。今後もこうした第三者機関の評価制度に積極的に応募していくつもりがあるかどうか、方針をお尋ねします。
また、一番の課題は、実際の区政において無駄を削減し、効率的な運営を実現するために、この取り組みをどのように反映させられるかにあります。財政運営について、いかに多くの区民に関心を持って知ってもらい、区民からの建設的な意見を吸い上げるための仕組みづくりについては、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。区として、こういった財政情報開示を具体的にどのように区政運営に役立てて結びつけていくのか、考えをお伺いします。
次に、公共の担い手についてお尋ねします。
現在、区内でも少子高齢化によるコミュニティの弱体化、単身高齢者の増加、孤育てとも言われる孤立的な育児環境、児童虐待、雇用不安、治安・防災への不安など、さまざまな課題が発生しております。公共に求められるニーズが質・量ともに多様化、拡大する中、行政だけが公共を担うという仕組みは難しくなってきている現実があります。地域主権が進められる中で、地域住民、NPO、企業、大学などさまざまな主体が参画し、協働する新しい公共の概念を区としても持つことが重要だと考えますが、武井区長の考えをお伺いしたいと思います。
公共政策についても、行政の領域のみではなく、地域住民、NPO、企業、大学などさまざまな主体による公益活動も対象としていかなければならず、それに適した公共政策形成システムを構築する必要があると思います。区は、新しい公共をまとめる先導役を担う役割があると言えるでしょう。
そこで、昨年二月に設置したシンクタンクである港区政策創造研究所についてお伺いします。区が進めてきた総合支所制度は地域との結びつきを強め、参画と協働を定着させてきたとのことですが、そこで得た地域情報、問題点に対し、港区政策創造研究所はどのような役割を果たしてきたのでしょうか。お聞かせください。各地域間の公正・公平性の担保の観点からも、情報収集・分析過程を区民から見えやすくする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
区長は、昨日の所信表明で、港区政策創造研究所について、総合的な政策研究を行うことで、各支援部、総合支所を支援するとともに、職員の人材育成を目的として設けたと語っています。新しい公共とは、多様な主体が協働のもとに公共をつくり担える社会や、その中での協働関係、さらに、そうした社会を実現するための公共のパラダイムシフトであります。現段階の港区の公共政策形成システムは、行政以外の各セクターが政策決定過程に主体的にかかわれない、行政のアウトリーチに重きを置いたもので、旧来のガバナンスの域を出ないものと言えるのでしょう。
総合支所制度というアウトリーチの強化により、例えば雇用不安の中、懸命に働き、地域活動に参画できないサラリーマン層などに対して、どう対応できるというのでしょうか。このようなシステムでは、どのような資源の分配状況に問題が発生しているのか把握することは難しく、公共へのアクセスは非対称になっていると言えます。その非対称を対称なものにしていくため、現在と未来の不均衡を是正するため、どう対処していこうとしているのか見えません。アウトリーチで収集してきたものを政策形成に結びつける過程がブラックボックスとなっていて区民に見えない。見せないシステムが残る限り、そこにいる職員たちは内向きに思考、行動するという十字架から抜け切れないのは否めないでしょう。
かつてマックス・ウェーバーが近代官僚制の合理的な側面を強調し、自律的にすぐれた組織形態であると言いました。しかし、ロバート・キング・マートンはセクショナリズムが権威主義、責任の回避、秘密主義につながるなどと官僚制の逆機能を解説しました。シリル・ノースコート・パーキンソンは、官僚制の拡大化、複雑化が腐敗を呼ぶ官僚制の非合理性を指摘しました。このような官僚制の弊害を排除しようと、武井区長は総合支所制度を進め、職員がまちに出てアウトリーチ活動を通じてマイナス面を払拭し、改善しようと試みられたのだと理解します。
ただ、果たしてその官僚の持つ無謬性、一貫性への固執を区民の利益に優先させる内在的論理、弊害は果たして払拭し切れたのでしょうか。そのような側面を改善するには、さまざまなセクターを政策決定過程に引き込むガバナンスをシステム化することが有効であると思います。行政を支える当事者としての区民の自立性、各セクターの有意な活動、志の高い区役所職員の能力の発揮という意味などにおいても、ガバナンスの再検討、再構築は必要であると思われます。新しい公共の概念を導入するためには行政中心の公共政策形成システムを転換し、地域住民、企業、大学、NPOなど新たな担い手の政策提案力を強化していくことが重要であると思います。
そこで、行政主導で計画立案する自治体シンクタンクではなく、自治体から独立した民間非営利組織として各セクターが協働して政策を形成、実行していくドゥタンクの取り組みを提案します。ドゥタンクとは、各セクターが出会う場をつくり、そこでの議論を政策に結びつけていくというプラットフォーム、枠組みです。自治体の計画立案、つまりシンクの機能だけではなく、多様化する社会に対応するための実行力、つまり、ドゥの機能を強化するためにも有効ではないかと考えます。このような各セクター参画による公共政策形成システムを導入すべきと考えますが、区長はいかがお考えでしょうか。
最後に、幼稚園の教育カリキュラムについて、高橋教育長にお伺いします。
港区の教育委員会教育目標では、学校教育において、公共性・創造性・責任感・自立性などの習得を目標に掲げています。こどものための哲学という研究があるのをご存じでしょうか。コロンビア大学のマシュー・リップマン教授によって一九六〇年代に発表されたもので、子どもたちがもともと持っている考える力を話し合うことでさらに高め、学習力や生きる知恵につながっていくという研究です。
フランスのある幼稚園では、三歳から哲学の授業を設けたそうです。教師が子どもたちに問い、子どもたちが考え、議論する。このことを通じて、家庭の意識も変わっていく。家庭に対話をもたらす。今、日本の教育に問われている考える力をはぐくむ取り組みと言えるでしょう。相手の話を聞き、自分の考えを論じ、思考する力は、今後、国際社会で活躍する優秀な人材を輩出するためにも、さらに重要になってくるでしょう。
そこで、教育長にお伺いします。創造的思考、論理的・批判的思考、コミュニケーション能力を伸ばす教育の導入についていかがお考えでしょうか。具体的方策に乗り出す考えはあるでしょうか。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまのみんなの党を代表してのうどう巧議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、財政情報の情報開示についてのお尋ねです。
まず、第三者機関の評価制度への応募についてです。区では、平成十一年度決算から、他の自治体に先駆けて、官庁会計ではなく、企業会計手法の分析に基づいた港区財政レポートを作成し、広報みなとやホームページなどで積極的に区民の皆さんにお知らせをしてまいりました。
昨年、港区財政レポートについて、区政運営の透明性や説明責任のレベルがどの程度であるかを把握するため、初めて第三者機関にその評価をゆだねました。その結果、事業別活動報告書など、区民にとって有益で身近な財政情報が提供されているとして高い評価をいただきました。今後も、区財政の情報をわかりやすく提供できるよう取り組むとともに、港区財政レポートについて、引き続き第三者機関に客観的な評価をいただくことで、区財政への区民への一層の信頼確保に役立ててまいります。
次に、区政運営への活用についてのお尋ねです。
区はこれまでも、広報みなと、ホームページなどを活用し、港区財政レポートをはじめ、当初予算の概要や予算の執行状況など、さまざまな区財政の情報を区民の皆さんに提供し、ご意見をいただいております。本年一月に策定した新たな財政運営方針は、広報みなとやホームページで素案をお示しするとともに、職員が地域に出向いて説明する出前講座を活用し、区民の皆さんのご意見を伺った上で策定いたしました。今後も、さまざまな機会を通して、区財政の情報をわかりやすく提供し、区民の皆さんからのご意見を予算編成に活用するなど、簡素で効率的な区政運営の実現に取り組んでまいります。
次に、公共の担い手についてのお尋ねです。
まず、新しい公共についてです。新しい公共とは、従来は行政のみが担ってきた領域や、行政だけでは実施できなかった領域を官民協働で担うなど、住民、NPO、企業、大学等が公的なサービスの提供にかかわっていくという考え方とされています。このことは、私が区長就任以来、参画と協働を区政運営の基本姿勢として取り組んでいることと方向性は同じものと考えております。
平成十八年四月に、地域の課題は地域で解決する仕組みとしての区役所・支所改革を実行し、現在、各総合支所において防犯パトロールや環境美化の取り組みなど、地域の課題解決に地域の方々が主体的に取り組み、成果を上げております。今後も、地域の課題を地域で解決する区役所・支所改革の基本理念のもと、区民の皆さんをはじめ、NPOや企業、大学などの多様な主体と協働し、人にやさしい創造的な地域社会の実現に取り組んでまいります。
次に、港区政策創造研究所の役割についてのお尋ねです。
港区政策創造研究所は、区内で何が起きているのかを的確にとらえ、区民生活への影響を分析し、将来顕在化する課題を予測することで、先見性のある政策を創造できるよう、各総合支所・支援部を政策形成面から支援する役割を担っております。本年度、研究所において実施した港区における
ひとり暮らし高齢者の生活と意識に関する調査の内容には、日ごろから各総合支所の職員がまちに出て多くの区民と接することで把握できた、高齢者の買い物困難や、災害への備えに関することなどを反映しております。この結果、芝地区総合支所の地域事業として、高齢者の買い物支援について、平成二十四年度当初予算へ反映することといたしました。
調査を通じて得られた情報や分析については報告書の中で記載しており、広報みなとやホームページへの掲載などにより、広く区民へ周知しております。さらに、シンポジウムの開催を通して、来場者との意見交換も行いました。また、現在進行中でございますけれども、港区政策創造研究所では庁内の若手職員とともに、区の課題解決に向けて、各部門の政策形成に役立つよう、政策形成支援データ集を本年三月に作成し、公表していく予定です。今後も、地域で何が起きているのか、起きつつあるのかを的確に把握するとともに、各総合支所・支援部の政策形成を支援してまいります。
最後に、多様な主体の参画による公共政策形成についてのお尋ねです。
区はこれまでも、福祉・教育・街づくり分野などを対象とする港区基本計画の策定にあたり、分野別や地区版計画において、みなとタウンフォーラムや各地区区民参画組織の皆さんの参画を得ながら進めております。また、港区基本計画の実現や、地域の課題解決に向けて、区民の皆さん、NPO、企業等の参画と協働による取り組みも進めています。今後も、区民の皆さんをはじめ多様な主体の参画と協働により、先見性のある政策創造に取り組み、実行してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまのみんなの党を代表してのうどう巧議員のご質問にお答えいたします。
幼稚園のカリキュラムについてのお尋ねです。
子どもは、好きな遊びに出会うと夢中になります。夢中になると次々に遊びの発想が広がり、遊びはさらに発展・深化していきます。子どもたちは遊びの過程で、知らず知らずのうちに仲間とのコミュニケーション力や社会的、科学的、数理的、そして芸術的な気づきや好奇心が芽生えていきます。とりわけ幼児の育ちにとって、遊びは必要不可欠なものであることから、遊びが幼児の仕事と言われるゆえんであります。これまでも区立幼稚園では、遊びを通して友達とかかわり、言葉に対する感覚を養い、言葉で表現することを楽しみながら、コミュニケーション能力の基礎を培っております。
また、教師は、幼児が興味・関心を持って進んで遊びたくなるような環境を構成し、さまざまな発見や気づきにつながるような働きかけを工夫しております。今後も、教育委員会では、幼稚園教育を義務教育九年間の学びの土台となる重要な教育の機会であるととらえ、幼稚園教育の充実に努めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○議長(菅野弘一君) 以上にて、本日の日程は全部終了いたしました。
本日の会議は、これをもって散会いたします。
午後五時十七分散会...