港区議会 2008-02-21
平成20年第1回定例会−02月21日-01号
平成20年第1回定例会−02月21日-01号平成20年第1回定例会
平成二十年 港区
議会議事速記録 第一号
平成二十年二月二十一日(木曜日)午後一時開会
一 出席議員(三十四名)
一 番 大 滝 実 君 二 番 小 斉 太 郎 君
三 番 杉 浦 のりお 君 四 番 山 本 閉留巳 君
五 番 近 藤 まさ子 君 六 番 ゆうき くみこ 君
七 番 二 島 豊 司 君 八 番 赤坂 だいすけ 君
九 番 池 田 こうじ 君 十 番 いのくま 正一 君
十 一番 なかまえ 由紀 君 十 二番 七 戸 淳 君
十 三番 阿 部 浩 子 君 十 四番 杉本 とよひろ 君
十 五番 清 原 和 幸 君 十 六番 うかい 雅 彦 君
十 七番 森 野 弘司郎 君 十 八番 水野 むねひろ 君
十 九番 熊 田 ちづ子 君 二 十番 星 野 喬 君
二十一番 樋 渡 紀和子 君 二十二番 古 川 伸 一 君
二十三番 達 下 マサ子 君 二十四番 菅 野 弘 一 君
二十五番 杉 原 としお 君 二十六番 鈴 木 洋 一 君
二十七番 風 見 利 男 君 二十八番 沖 島 えみ子 君
二十九番 渡 辺 専太郎 君 三 十番 林 田 和 雄 君
三十一番 藤 本 潔 君 三十二番 井 筒 宣 弘 君
三十三番 鈴 木 たけし 君 三十四番 島 田 幸 雄 君
一 欠席議員 な し
一 説明員
港 区 長 武 井 雅 昭 君 同 副 区 長 野 村 茂 君
同 副 区 長 山 田 憲 司 君 同 収 入 役 渋 川 典 昭 君
芝地区総合支所長
同 教 育 長 高 橋 良 祐 君 同 井 伊 俊 夫 君
子ども支援部長兼務
赤坂地区総合支所長 高輪地区総合支所長
同 小 林 進 君 同 区役所改革・人材 家 入 数 彦 君
産業・
地域振興支援部長兼務 育成担当部長兼務
芝浦港南地区総合支所長
同 田 中 秀 司 君 同
みなと保健所長 青 山 キヨミ 君
保健福祉支援部長兼務
環境・
街づくり支援部長
同 藤 塚 仁 君 同
総合経営部長 大 木 進 君
特定事業担当部長兼務
用地活用・区有
同 安 藤 康 宏 君 同
教育委員会事務局次長 川 畑 青 史 君
施設整備担当部長
一
出席事務局職員
事 務 局 長 花 角 正 英 君 事務局次長 内 田 聡 君
議 事 係 長 高 山 比呂子 君
他五名
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議 事 日 程
平成二十年二月二十一日 午後一時
日程第 一 区長報告第 一 号 専決処分について(損害賠償額の決定)
日程第 二 議 案 第 一 号 港区
職員定数条例等の一部を改正する等の条例
日程第 三 議 案 第 二 号 港区減債基金条例を廃止する条例
日程第 四 議 案 第 三 号 港区
事務手数料条例の一部を改正する条例
日程第 五 議 案 第 四 号 港区
街づくり推進事務手数料条例の一部を改正する条例
日程第 六 議 案 第 五 号 港区
道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
日程第 七 議 案 第 六 号
港区立公園条例の一部を改正する条例
日程第 八 議 案 第 七 号
港区立上下水道施設上部利用公園条例の一部を改正する条例
日程第 九 議 案 第 八 号
港区立区民センター条例の一部を改正する条例
日程第 十 議 案 第 九 号
港区立男女平等参画センター条例の一部を改正する条例
日程第十 一 議 案 第 十 号 港区
高齢者定住化基金条例の一部を改正する条例
日程第十 二 議 案 第十 一号 港区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
日程第十 三 議 案 第十 二号 港区
後期高齢者医療に関する条例
日程第十 四 議 案 第十 三号 港区
介護保険条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
日程第十 五 議 案 第十 四号 港区奨学資金に関する条例の一部を改正する条例
日程第十 六 議 案 第十 五号 港区立生涯
学習センター条例の一部を改正する条例
日程第十 七 議 案 第十 六号
港区立運動場条例の一部を改正する条例
日程第十 八 議 案 第十 七号 港区
スポーツセンター条例の一部を改正する条例
日程第十 九 議 案 第十 八号 平成十九年度港区
一般会計補正予算(第四号)
日程第二 十 議 案 第十 九号 平成十九年度港区
国民健康保険事業会計補正予算(第一号)
日程第二十一 議 案 第二 十号 平成二十年度港区
一般会計予算
日程第二十二 議 案 第二十一号 平成二十年度港区
国民健康保険事業会計予算
日程第二十三 議 案 第二十二号 平成二十年度港区
老人保健医療会計予算
日程第二十四 議 案 第二十三号 平成二十年度港区
後期高齢者医療会計予算
日程第二十五 議 案 第二十四号 平成二十年度港区
介護保険会計予算
日程第二十六 議 案 第二十五号 工事委託契約の変更について(浜松町二丁目
南地区電線共同溝整備工事)
日程第二十七 議 案 第二十六号 建物の購入について(
特定公共賃貸住宅シティハイツ神明及びエコプラザ)
日程第二十八 議 案 第二十七号 和解について
日程第二十九 議 案 第二十八号 特別区道路線の廃止について(新橋三丁目、新橋四丁目)
日程第三 十 議 案 第二十九号 特別区道路線の認定について(新橋三丁目、新橋四丁目)
日程第三十一 議 案 第三 十号 指定管理者の指定について(港区
特定公共賃貸住宅シティハイツ神明)
日程第三十二 議 案 第三十一号
包括外部監査契約の締結について
日程第三十三 議 案 第三十二号 特別区人事及び
厚生事務組合規約の変更に関する協議について
日程第三十四 議 案 第三十三号 東京都
後期高齢者医療広域連合規約の変更に関する協議について
○議長(井筒宣弘君) ただいまより平成二十年第一回港区議会定例会を開会いたします。
今回の応招議員はただいま三十四名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。
お諮りいたします。今期定例会の会期は、本二月二十一日から三月十一日までの二十日間といたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井筒宣弘君) ご異議なきものと認め、さよう決定いたしました。
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○議長(井筒宣弘君) これより本日の会議を開会いたします。
ただいまの出席議員は三十四名であります。
会議録署名議員をご指名いたします。二十五番杉原としお議員、二十六番鈴木洋一議員にお願いいたします。
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○議長(井筒宣弘君) 報告事項がありますので、ご報告いたします。
まず、職員に定例会招集の報告をさせます。
〔
内田事務局次長朗読〕
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十九港総総第千四百六十六号
平成二十年二月八日
港区議会議長 井 筒 宣 弘 様
港区長 武 井 雅 昭
平成二十年第一回港区議会定例会の招集について(通知)
本日別紙告示写しのとおり、標記定例会を二月二十一日(木)に招集しましたので通知します。
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港区告示第二十三号
平成二十年第一回港区議会定例会を二月二十一日に招集します。
平成二十年二月八日
港区長 武 井 雅 昭
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○議長(井筒宣弘君) 次に、平成十九年十一月、十二月及び平成二十年一月の
例月出納検査の結果について、過誤のないことを確認した旨の報告書がそれぞれ監査委員から議長の手元に提出されております。
十一月の
例月出納検査の結果について、その概要を職員に朗読させます。
〔
内田事務局次長朗読〕
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十九港監第三百七十七号
平成十九年十二月十日
港区議会議長 井 筒 宣 弘 様
港区監査委員 高 橋 元 彰
同 川 野 貴 清
同 鈴 木 たけし
平成十九年十一月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、
結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検 査 の 範 囲
(一) 検 査 対 象 区一般会計、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検 査 場 所 港区監査事務局
(三) 検 査 期 間 平成十九年十一月二十二日から十一月二十七日まで
二 検 査 の 結 果
本検査においては、収入役から提出された平成十九年十一月(平成十九年十月分)
例月出納報告書の計数につい
て、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結
果、過誤のないことを確認しました。
(参 考)
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十九港監第四百十八号
平成二十年一月十日
港区議会議長 井 筒 宣 弘 様
港区監査委員 高 橋 元 彰
同 川 野 貴 清
同 鈴 木 たけし
平成十九年十二月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、
結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検 査 の 範 囲
(一) 検 査 対 象 区一般会計、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検 査 場 所 港区監査事務局
(三) 検 査 期 間 平成十九年十二月二十日から十二月二十五日まで
二 検 査 の 結 果
本検査においては、収入役から提出された平成十九年十二月(平成十九年十一月分)
例月出納報告書の計数につ
いて、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した
結果、過誤のないことを確認しました。
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十九港監第四百五十八号
平成二十年二月七日
港区議会議長 井 筒 宣 弘 様
港区監査委員 高 橋 元 彰
同 川 野 貴 清
同 鈴 木 たけし
平成二十年一月
例月出納検査の結果について
地方自治法第二百三十五条の二第一項の規定に基づき
例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、
結果に関する報告を下記のとおり提出します。
記
一 検 査 の 範 囲
(一) 検 査 対 象 区一般会計、
国民健康保険事業会計、
老人保健医療会計、
介護保険会計、雑部金、基金
(二) 検 査 場 所 港区監査事務局
(三) 検 査 期 間 平成二十年一月二十四日から一月二十八日まで
二 検 査 の 結 果
本検査においては、収入役から提出された平成二十年一月(平成十九年十二月分)
例月出納報告書の計数につい
て、出納関係諸帳簿及び諸票、
指定金融機関提出の収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結
果、過誤のないことを確認しました。
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○議長(井筒宣弘君) なお、十二月、一月の結果については、ただいまの報告と同様の内容でありますので、朗読を省略し、詳細については、これを速記録に登載することにいたしたいと思いますので、ご了承願います。
また、報告書は議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。
以上にて報告を終わります。
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○議長(井筒宣弘君) この際、区長から所信表明のため、発言を求められておりますので、これをお許しいたします。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) 平成二十年第一回港区議会定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し述べ、区民の皆様と区議会の皆様のご理解、ご協力をいただきたいと存じます。
昨年は、世界各地が、干ばつや大規模森林火災、また、局地的な洪水など、異常気象に伴う多くの異変に見舞われた年となりました。地球からの警告とも思えるこのような自然の猛威と痛ましい被害に接し、私は、今こそ地球規模で温暖化対策に取り組んでいくことが必要であると感じています。
また、昨年は世相を表わす漢字に「偽」の文字が選ばれたように、社会保険庁の年金記録問題や民間事業者による介護報酬の不正請求が表面化するなど、行政や企業の倫理が問われ続けた一年でした。食品偽装も頻発し、食に対する信頼が大きく揺らぐ中、今年に入って、中国製の一部食品から有害物質が検出され、深刻な健康被害が発生しています。改めて、消費者や生活者の視点に立って考え、行政も企業も法令遵守の徹底や透明性を高めていくことなどが求められています。
今年は、アジアでは二十年ぶりとなる
夏季オリンピック及びパラリンピックが北京で開催されます。世界の
トップアスリートたちの活躍は、暗く低迷した世相を明るく照らすとともに、世界中の人々に感動と勇気をもたらすことでしょう。
顧みますと、私が区長に就任した平成十六年にも、
オリンピック発祥の地ギリシャで
アテネオリンピックが開催されました。一つの目標に向かって真摯に情熱を傾け競技に挑む各国の選手たちを見て、改めて、区民の皆さんと区との距離をなくし、固い信頼の絆を結び、誠意と情熱を持って区政運営に邁進する思いを強くしたことを思い出します。
私は、この四年間、区民並びに区議会をはじめ、多くの皆様のご理解とご協力をいただきながら、区政の諸課題に迅速に取り組み、着実に成果を挙げてまいりました。
それでは、これまでの四年間の区政に対する取組みと成果の一端を申し上げます。
まず、「区役所・支所改革」の推進と総合支所の主な取組みについてです。
私は、四年前の施政方針で、地域の課題を地域で解決し、区民の皆さんが身近な場所で様々な行政サービスを受けられる区政の実現をお約束し、「区役所・支所改革」に着手いたしました。
平成十八年四月に開設した五つの総合支所を中心に、現在、町会・自治会、企業などが連携して取り組む
放置自転車対策や
防犯パトロール、清掃などの生活安全・環境美化活動が活発化し、地域の主体的な取組みとして、さらに、広がりを見せております。また、従来から地域に住んでいる人と新しく住みはじめた人との交流を目的にしたイベントや、大学と連携した事業などの取組みをとおして、地域の連帯感が着実に高まりを見せております。人と人との交流やまちの活性化などをめざして発行を開始した地域情報誌は、各地区の区民参画組織の皆さんの手によって編集され、今では地域の個性や特色を掘り起こし、まちへの興味や関心を高めるものとなっています。
昨年から、新たな港区基本計画の策定に合わせ、各地区における独自の
計画書づくりに向けた検討を開始しました。今後も、様々な取組みを通じて、区民の皆さんとともに、地域の課題を把握し、お互いに議論を深め、解決に向けた方策を検討してまいります。
区民の皆さんによる自主的、主体的な活動の場に職員が参加する機会が増え、その結果、地域と区との距離が近づき、課題認識の共有化が進み、相互の信頼が深まったことは、「区役所・支所改革」の確実な成果です。各地区の住民自治の基盤がより一層強化され、私がめざす都心における望ましい地域自治の実現に大きな道筋をつけるものと考えております。
次に、施政方針で最重要課題として掲げた、安全で安心して暮らせる
地域社会づくりの取組みについてです。
私は、安全で安心して暮らせる地域社会の実現をお約束するとともに、平成十八年に起きた
シティハイツ竹芝の痛ましい事故を尊い教訓とし、区民の皆さんの安全・安心の確保を区政の最優先課題と位置づけ、様々な取組みを進めてきました。
「港区
安全安心施設対策基金」を創設し、安全総点検に基づく区有施設の迅速な補修と、より詳細な
アスベスト調査を実施しました。さらに、施設を所管する職員の意識改革を図るため、新たに
安全管理講習会を実施するなど、区民や利用者の安全を常に意識した施設の管理運営の徹底に取り組みました。
平成十八年度には港区地域防災計画を見直し、区役所・支所改革を踏まえた
災害対策本部機能の強化を図りました。防災住民組織を中心とする
地域防災ネットワークを区内全域に整備するとともに、
家具転倒防止器具等の設置に対する新たな助成制度を創設しました。さらに、大規模災害発生時における情報通信機能の改善を図るとともに、民間事業者及び他自治体と協定を締結し、災害時の応急対策及び復旧対策を効果的に遂行する体制を整えました。あわせて、
マンホールトイレの整備、食糧をはじめとする生活必需品や理容サービスを提供する仕組みの構築など、長期化が予想される避難生活に備えた総合的な対策の充実に努めてまいりました。
また、港区
生活安全行動計画を策定し、総合支所を中心として、
夜間パトロールや通学路の安全点検に取り組むとともに、児童登下校時に地域で行われている見守り活動を支援してまいりました。さらに、住まいの防犯対策や
住宅用火災警報器の設置に対する助成を行うなど、区民の皆さんをはじめ関係機関との連携・協力により、地域の安全・安心の実現に向けて積極的に取り組みました。
次に、施政方針の五つの主要課題に関わるこれまでの主な成果についてです。
最初に、「いきいき健やかに」を中心とした取組みについてです。
私は、超高齢社会を迎える中で、高齢者も障害のある方も、誰もが、いきいきと健やかに暮らせる港区を創造していくことをお約束しました。
平成十八年に新橋六丁目に開設した「
福祉プラザさくら川」は、長い間待ち望まれてきた知的障害者のための入所機能を備えるとともに、就任時、区政の最重要課題の一つであった
特別養護老人ホームの入所待機状態を大幅に改善する
複合福祉施設です。また、南麻布四丁目の国有地を取得し、平成二十一年度の開設をめざして準備を進めている
高齢者保健福祉施設は、
個室ユニットケア二百床からなる
特別養護老人ホームを中心に、
介護老人保健施設、
認知症高齢者グループホームなど、幅広い機能を備えて運営する予定です。
虎ノ門一丁目には、健康福祉館を中心とした新しい高齢者施設である「とらトピア」を開設したほか、高齢者及び障害者向けの
グループホームの整備に向けて、民間事業者を積極的に支援してまいりました。さらに、精神障害者とその家族の皆さんに対して日常生活全般にわたる支援を行う
地域生活支援事業を開始しました。
社会的な課題である
一人暮らし高齢者の孤独死や、介護に伴う虐待などを防止する
セーフティネットワークを構築するため、町会・自治会、民生・児童委員や医師会など地域の関係機関の連携により、地域で見守り支えていく「港区
高齢者地域支援連絡協議会」を設置し、今年度一部地域でモデル事業を開始しました。
また、食生活の乱れや生活習慣病、心の健康問題などを喫緊の課題と捉え、昨年三月に、港区の健康づくりの行動指針である「健康みなと」を改定するとともに、がん検診や歯科健康診査をはじめとする健診事業を大幅に充実させ、生活習慣病をはじめとする様々な疾病予防対策に積極的に取り組みました。
次に、「すくすく伸びやかに」を中心とした取組みについてです。
私は、子どもの教育環境を整え、働く親と家庭で子育てをする親への支援を充実し、次代の港区を担う子どもたちが、すくすく伸びやかに育つ港区を創造することをお約束しました。
他の自治体に先駆けて実施した、出産費用の助成や
子ども医療費助成の対象範囲の拡大などを通じて、安心して子どもを産み育てられる環境を整えました。
働く親への子育て支援として、
保育園待機児童の解消をめざし、「
芝浦アイランドこども園」を新たに整備したほか、改築時における保育園規模の拡大、認証保育所の誘致などによって、就任以来現在までに、従来の受入定員の三割以上に当たる約六百五十人増という大幅な定員拡大を図りました。今年度も
緊急暫定保育施設の開設や、入園が困難な短時間就労の家庭を優先的に受け入れる新たな一時保育事業の開始など、引き続き待機児童解消の取組みを進めています。また、
先駆型子ども家庭支援センターを開設するとともに、家庭で子育てをする親を身近な保育園で支援する仕組みを構築することによって、虐待防止、子育ての不安や悩みの解消など、子どもと家庭に対する支援を充実してまいりました。
さらに、
認可保育園入所待機者が認証保育所を利用する際の保育料助成や私立幼稚園の保育料負担に対する補助金を拡充することによって、保護者の負担軽減を図りました。
学校教育では、学習発表会や公開授業など、学習意欲や学力の向上のための各学校の取組みを支援してまいりました。特別な支援を必要とする子どもへの指導や支援体制の充実を図るとともに、区立小・中学校における少人数指導を一層充実し、きめ細かな指導による学習内容の着実な定着に努めてまいりました。また、保育園や幼稚園、区立小・中学校等の図書を大幅に充実し、児童・生徒の読書活動の増進と感性豊かな子どもの育成を図ってまいりました。学校施設については、安全・安心を確保するため、計画的な改築を進め、すべての区立小・中学校に校内LANを整備し、情報教育を推進するなど、港区ならではの質の高い教育環境、子育て環境の充実に努めてまいりました。
平成十七年七月に「国際人育成を目指す教育特区」の認定を受けて以来、区立小・中学校における英語教育カリキュラムの充実を図ってまいりました。特に、昨年実施した小・中学生の海外派遣は、子どもたちの国際協調精神やコミュニケーション能力を醸成するうえで、この上ない貴重な機会を提供できたと自負しております。
次に、「やさしく快適に」を中心とした取組みについてです。
私は、都心ならではの活発な土地利用による、まち並みの変化の中にあっても、港区が、住み、働き、学び、憩う生活の場として、人にやさしく、誰もが快適に暮らすことができるまちとなるよう、区民の視点に立ったまちづくりを進めることをお約束しました。
昨年、検討の初期の段階から多くの区民の皆さんの参画を得て、新たなまちづくりマスタープランを策定しました。このマスタープランがめざす区民発意のまちづくりの実現に向けて、まちづくり条例を改正し、区民の皆さんが主体的にまちづくりに取り組むことのできる仕組みを整備いたしました。
国有地の取得により「港南緑水公園」や「白金台どんぐり児童遊園」の整備を進めるなど、公園・児童遊園の拡充に努めたほか、民間施設も含めた屋上や壁面の緑化など、緑あふれるまちづくりに取り組んでまいりました。
平成十八年度に「港区地球温暖化等対策基金」を創設し、地球温暖化の防止とヒートアイランド現象の緩和に積極的に取り組むとともに、「みなと環境にやさしい事業者会議」を設立し、事業者、NPO、区が一体となった、都心区ならではの環境保全活動を展開しました。昨年は、あきる野市から借り受けた二十ヘクタールの森林を、区民の皆さんの自然体験や環境学習の場として整備し、あわせて二酸化炭素吸収林として再生するという、全国的にも先駆的な施策「みなと区民の森づくり」事業を開始しました。
ごみ減量等に関わる数値目標等を効果的に達成するため、「港区3R推進行動会議」を設置し、区民・事業者・区の三者が連携・協働して、「ごみの発生抑制」「再使用」「再生利用」に総合的に取り組みました。さらに、すべてのプラスチックを平成二十年度から資源として回収する方針を決定し、既に一部の地域でモデル事業を開始しております。
こうした取組みを通じて、区民の皆さんが、地球の温暖化を身近な問題として認識し、一人ひとりができることから実践するという環境意識のより一層の浸透に努めてまいりました。
次に、「にぎわい華やかに」を中心とした取組みについてです。
私は、区民の交流と地域活動がいきいきと展開し、産業の活性化とまちのにぎわいが華やかに創出される港区を創造していくことをお約束しました。
地域経済の一翼を担う中小企業を取り巻く厳しい環境を踏まえ、新たに事業の承継に向けた融資枠を設け、信用保証料の補助対象範囲を拡大するなど、融資制度の充実に努めました。自社製品の独自性やブランド力を保護するための知的財産権の取得を積極的に支援するとともに、中小企業グループへのアドバイザー派遣、中小企業同士の交流促進などの事業を展開し、新たな製品開発や受注機会の拡大につなげ、経営の安定化を図ってまいりました。
また、商店街が自ら戦略的に変身をめざす計画を支援いたしました。街路整備やオリジナル商品開発など計画事業の実施により、商店街が、魅力的・個性的に生まれ変わり、多くの区民が足を運ぶという成果を生んでいます。さらに、企業・NPOの協力を得て、新たな観光情報誌の発行や観光インフォメーション施設の整備に取り組み、まちのにぎわいを創出する事業や観光をとおした地域交流を活性化しました。
地域社会で重要な役割を果たしている町会・自治会に対しては、総合支所を中心としてその活動を積極的に支援するとともに、補助金制度の充実に取り組みました。さらに、新たな住民が転入する際に加入を呼びかけるなど、町会・自治会が、継続的に活動ができるよう、支援を充実してまいりました。また、東京都内で最も多くのNPO法人が活動しているという港区の地域特性を踏まえ、区とNPOとの協働を推進するため、NPOの特性を生かした協働のあり方や新たな支援策について検討する懇談会を設置しました。
次に、「うるおい心豊かに」を中心とした取組みについてです。
私は、区民が生涯をとおして学び、スポーツに親しむことのできる機会や場を拡充し、身近なところで文化芸術活動を体験できる環境を整え、心豊かに過ごせる港区を創造していくことをお約束しました。
平成十八年度に港区文化芸術振興条例を定め、本年度に創設した「港区文化芸術振興基金」を活用して、港区の地域特性を生かした取組みを総合的に推進してまいりました。現在、子どもたちや若者が、音楽などの芸術活動に直接触れる機会を設けるとともに、地域で行われる芸術活動や国際文化交流事業に対する支援を行うなど、区民の鑑賞機会の拡大と、活動の担い手の育成に努めております。また、区内に数多くある美術館や芸術関係の団体等による文化ネットワークを構築し、文化芸術団体相互の連携を促進してまいりました。さらに、港区スポーツふれあい文化健康財団への支援を通じて、長い間受け継がれてきた落語や文楽などの伝統芸能を広く紹介し、鑑賞の機会を拡充してまいりました。
新たな屋外スポーツ施設の確保や港区スポーツセンターの全面的な改築に向けた検討を進めたほか、芝公園に多目的運動場「アクアフィールド芝公園」を開設するなど、区民のスポーツ環境の充実を図ってまいりました。また、昨年十一月、港区で初めて六本木地区に設立された総合型地域スポーツ・文化クラブの活動を支援するなど、あらゆる世代の区民が年齢や健康状態に応じてスポーツ活動を継続して行えるよう、様々な支援をしてまいりました。
以上、この四年間の主な施策の達成状況について申し上げました。
私は、「区民の誰もが誇りに思えるまち・港区」の実現に向けた、これらひとつひとつの施策に、区民本位の姿勢から積極的に取り組み、着実に成果をあげてきたと自負しております。
続いて、平成二十年度における区政の方向性について、新しい施策を中心に、順次申し上げます。
まず、区政の最優先課題と位置づけた、生活安全、災害対策、救急医療など、区民生活の安全・安心の確保に関わる重点的な取組みについてです。
大規模な地震が発生する可能性の拡大や、より悪質化の傾向をたどる犯罪の被害拡大など、いま私たちの生活は、様々な危険にさらされています。私は、地域の多様な担い手の力を活用し、関係機関との十分な連携のもと、区民の皆さんが直面する様々な生活上の危険に迅速かつ効果的に対処してまいります。
地域での防犯活動の自主的な取組みを積極的に支援するため、青色回転灯を装備した車両を増やし、区内をくまなく巡回する仕組みを強化します。また、専門知識を持った防犯設備士による共同住宅の防犯診断や防犯対策に要する費用の助成に取り組み、犯罪発生の抑止力を高めてまいります。
地震の発生や規模などの緊急地震速報を受信できる仕組みを、全国で初めてすべての区有施設に整備し、四月から稼動するとともに、大規模テロ等区民の安全・安心に関わる緊急情報を、広く迅速に地域へお伝えするため、防災行政無線を活用した新たな情報伝達システムを整備してまいります。
国土交通省の協力を得て、国道一号線、白金高輪駅付近の広大な地下空間を活用し、大規模防災備蓄倉庫を設置することにより、区民が必要とする備蓄物資の大幅な充実を実現するとともに、災害発生時に予測される多くの帰宅困難者への対応を図ります。また、本年度中に策定する「港区耐震改修促進計画」に基づき、耐震化率の目標を定めたうえで、引き続き区内建築物の耐震診断・耐震改修を促進します。
アスベストの飛散による健康被害を防止するため、民間建築物の解体工事の際、調査報告書の提出を工事施工者に義務づけ、必要な立入調査を行うなど取組みを強化します。
さらに、一人暮らしの高齢者や障害のある方々が、緊急事態においても迅速に救命措置を受けることができるよう、東京消防庁と連携し、かかりつけ医師や服薬などに関する救急医療情報を自宅の決められた場所に保管する「救急情報の活用支援事業」を全国で初めて実施します。
次に、各総合支所が地域特性を生かして区民参画・区民協働により推進する主な取組みに関してです。
私は、地域の特色に彩られた活力に満ちたまちを創造していくため、地域の個性を生かし、魅力を高める事業を一層推進するとともに、区民の皆さんの自主的・主体的な活動や課題解決の取組みを支援してまいります。
芝地区では、子どもの見守りや
一人暮らし高齢者の訪問などを通じて、人と人とのつながりを新たな形で創造するため、地域の方々や大学、NPOなどとの協働により、「昭和の地域力再発見事業」を展開します。
麻布地区では、安全・安心の啓発と音楽祭を融合した新しい地域のまつりを実施し、区民相互の交流を深めるとともに、区内唯一の釣り堀を活用して都心における自然とのふれあいを通じ、子どもの豊かな育ちを支援する事業を実施します。
赤坂地区では、子どもたちが日本の伝統芸能を体験する事業をとおして世代を超えた交流を図るとともに、団塊の世代を含めた経験豊かな高齢者が、学校では学べない知識や遊びを子どもたちに伝承する事業に取り組みます。
高輪地区では、公園や児童遊園に健康増進器具を整備するとともに、樹齢とともに生命力が衰えてきた桜の木に回復治療を施す取組みを計画的に進め、人々が集い、ふれあい、健康増進の拠点となるような公園・児童遊園づくりを進めてまいります。
芝浦港南地区では、大規模な転入による乳幼児や子育て世代の急増に対応するため、保健師、助産師及び栄養士がチームを組んで地域を巡回し、子育ての不安解消や悩みの相談に応じるとともに、地域における仲間づくりを進め、安心して子育てができる環境を整えてまいります。
次に、総合支所を支える各支援部等の主な取組みを各分野に沿って申し上げます。
まず、地域に根づいた産業活力、豊かな国際性及びスポーツ・文化芸術資源を活用し、活性化する取組みについてです。
原油価格の高騰や建築確認の厳格化に伴う建築着工件数の減少は、中小企業の経営に大きな打撃を与える事態となっています。また、産業構造等の急激な変化や経営者の高齢化による後継者不足の問題から、事業の継続が困難となる中小企業も多くなっております。私は、港区の産業構造とその特性を踏まえた振興施策の方向性を示す、新たな産業振興プランを策定し、こうした区内の産業を取り巻く課題に迅速に対応してまいります。
また、産業情報の提供機能や経営支援等の相談機能を備え、中小企業事業者を総合的に支援する拠点施設「(仮称)港区産業振興センター」の開設をめざし、既存施設の活用を含めた調査に着手します。事業承継者不足や地価高騰など、中小企業を取り巻く課題解決のため、法律や経営に関わる専門家集団を組織し、訪問調査のうえ支援計画を策定する仕組みを構築するとともに、全国でもトップレベルの融資制度を維持してまいります。
在留外国人の全国的な増加傾向を受けて、国レベルで外国人に対する行政のあり方が議論されています。外国人登録者数が二万人を超え、七十五か国の大使館が存在する港区は、多様な言語や文化に身近に接することができる、他に類を見ない国際色豊かな地域社会を形成しています。私は、このことを貴重な地域特性と捉え、港区に住む外国人が、地域社会を構成する区民として行政サービスの提供を受けられる環境を整えてまいります。外国人の声を区政に反映する仕組みを整え、多言語によるラジオ広報活動を展開するとともに、平成二十一年度に向けて、国際交流活動の拠点となる「(仮称)港区国際交流センター」の開設準備を進めます。さらに、本年四月に新設する国際化推進の専管組織において、民間からの人材の登用により、多様な外国人ニーズを反映した港区独自の国際化施策を検討してまいります。
港区文化芸術振興条例では、すべての区民が文化芸術を鑑賞し、参加し、創造できる環境の整備を基本理念としています。若手の音楽家を対象として、音楽の専門家による指導方法の講習会を実施し、地域社会で音楽の普及活動を支える人材を育成します。また、良質な文化芸術を鑑賞する機会を充実するため、区民の皆さんのご意見を伺いながら、田町駅東口北地区における専用ホールの整備計画に着手します。
スポーツ施設は、健康増進に寄与するだけではなく、住民相互の交流を深める場として大変重要な施設です。新しいスポーツセンターの整備計画を区民の皆さんとともに策定し、いよいよ平成二十年度は具体的な設計に着手します。また、サッカーや少年野球が楽しめる屋外施設として、本年七月を目途に、「芝浦南ふ頭公園運動広場」を開設するとともに、新たに台場地区において、港陽中学校の屋内プールを一般開放します。
次に、区民の誰もが住み慣れたまちで、ともに連帯していきいきと暮らせるための取組みについてです。
少子化の進行や団塊の世代の高齢化などを原因とした社会保障の抜本的見直し、食に対する安全の確保など、人々が健やかな暮らしを保ち続けていくうえで、今、様々な課題が顕在化しています。私は、これらの課題に積極果敢に立ち向かい、区民の誰もが安心していきいきと暮らしていける地域社会の実現をめざし、保健福祉施策を充実させてまいります。
都心区特有の地域特性を踏まえながら、区民の暮らしを取り巻く環境変化に的確に対応していくため、各施策を総合的に体系化した新たな地域保健福祉計画を区民の参画を得て策定します。
高齢者がいつまでも元気で自立した生活を送ることができるよう、身近な場所で行える筋力向上トレーニングや認知症予防などの事業を充実するとともに、介護予防に関わる施策を総合的かつ多面的に展開するため、区民の皆さんのご意見を踏まえ田町駅東口北地区における拠点施設の整備計画に着手します。
本年一月に策定した「港区団塊世代応援プラン」に基づき、団塊の世代の方々が地域活動に参加する様々な機会を提供するとともに、その高い就業意欲に応えるため、仕事に関する相談や情報提供、あっせんなど、多様な働き方を応援する就業支援窓口を新たに開設します。
障害保健福祉センターへの指定管理者制度の導入にあたっては、障害の重度化・多様化に、迅速かつ柔軟に対応できる施設とするため、利用者の声を十分踏まえ、準備を進めてまいります。また、十八歳以上の重度の心身障害者に日中活動の場を提供するため、「新橋はつらつ太陽」において医療的ケアを備えた新たな通所サービスを開始します。
生涯にわたって歯の健康を保つことは、食事や会話を楽しみ健康で豊かな人生を送るために重要です。成人期の早期から口腔疾患の効果的な予防と口腔衛生の自己管理を支援するため、成人歯科健康診査の対象者を二十歳以上の全区民に拡大するとともに、受診回数を充実します。この事業は、東京都内で初めてであり、全国的にも先駆的な取組みです。
医療制度改革により、平成二十年度から新しい健診制度が始まります。生活習慣病の予防を主眼として行う特定健診は区独自に検査項目を拡大し、保健指導が必要な対象者には無料できめの細かい指導を実施してまいります。
がん対策については、早期発見、予防に重点をおいて検診の充実に取り組んでまいりましたが、患者の多くは、がんと診断されたときから身体的・精神的な苦痛を抱くとともに、家族にとっても患者を支える心理的な負担は大きいものです。患者とその家族の痛みやつらさをサポートし、住み慣れた地域や家で、自分らしい療養生活を安心して送ることができる環境の整備に向けて、区としての基本的な方針を策定いたします。また、「(仮称)在宅緩和ケア・ホスピスケア支援センター」の整備計画を平成二十年度中にまとめ、具体的な支援体制の構築や事業の準備に踏み出します。
なお、田町駅東口北地区に整備する医療施設については、厚生労働省及び東京都並びに港区医師会と十分連携を図り、周辺の皆さんの期待に応えられるよう調整を進めてまいります。
次に、次代の地域社会の担い手であり、地域の活力の源でもある子どもたちを健やかに育成する総合的な取組みについてです。
全国的に加速する少子化の流れの中で、港区では、出生数が平成十八年以降急激な増加傾向にあります。年少人口も、昨年八月、十六年ぶりに二万人を超え、保育園や学校などの施設需要をはじめ、子育てと教育に関わるニーズは、ますます多様化し急速に拡大しています。私は、子どもの元気な声が飛び交う活気あるまちの姿は、何ものにも代え難いものと考え、港区で生まれ、育つ子どもたちの健全育成と子育てをする親への支援に全力で取り組み、「子育てするなら港区」「教育の港区」を実現してまいります。
緊急の課題である
保育園待機児童の早期解消の取組みにつきましては、高輪保育園の改築にあたり仮施設の段階から定員拡大を図るとともに、今後の保育需要の拡大も見据えて、浜松町一丁目、田町駅東口北地区、港南四丁目地区で、新たな保育施設の整備計画に着手します。また、本年、
緊急暫定保育施設として三田三丁目に保育室を開設するほか、認証保育所の積極的な誘致を引き続き進めます。これらの取組みに合わせ、保育施設全体の整備計画を早期にお示しするなど、待機児童の解消策を総合的に推進してまいります。
児童のショートステイ、夜間預かり等のサービスと子育てひろばの事業を合わせて実施する子育て支援施設を芝五丁目に開設するとともに、新たに麻布地区と台場地区でも子育てひろば事業を展開し、保育や子育てに関する幅広いニーズに積極的に対応します。
また、子ども中高生プラザについては、新たに芝地区と高輪地区で具体的な設計に入るとともに、麻布地区、さらには、芝浦港南地区の本格施設についても整備基本構想に着手します。
すべての児童の健全育成の観点から、これまで母子家庭のみを対象としてきた児童扶養手当及び就労支援のための給付事業を、東京都内で初めて、区独自に父子家庭にも拡大します。
妊婦健康診査については、公費負担回数の大幅な拡大に加え、健診内容を充実し、母体や胎児の健康を確保するとともに経済的不安を軽減します。
幼児教育のより一層の充実を図るため、本年四月から、台場地区・にじのはし幼稚園において三年保育を開始いたします。さらに、白金台幼稚園、港南幼稚園においても、今後の園舎の改築に合わせ、実施いたします。
児童・生徒の学習意欲や学力の向上を積極的に支援するため、区立小・中学校で活用する補助教材を全額公費で購入するとともに、漢字や英語等の各種検定料の助成の充実を図ります。また、奨学金制度を、大学等への進学希望者に拡大し、経済的理由により進学が困難な方の教育の機会を確保します。
現在、区立小学校十校で実施している
放課後児童育成事業を新たに三つの小学校で実施するとともに、今後さらに実施校の拡大に努め、児童が放課後、安全・安心に過ごすことができ、かつ学習・遊びやスポーツなどの体験活動を行う場を確保してまいります。
すべての区立図書館にICタグに対応した自動貸出機を設置するとともに、図書室機能を備えた台場区民センター及び男女平等参画センターにもICタグを導入し、図書館同様、貸出・返却ができるサービスを開始します。区民の皆さんが気軽に本に親しみ、幅広い教養を身に付けることのできる地域の情報拠点となるよう、更なる利便性の向上に努めてまいります。
最後に、地域特性を踏まえた、人にやさしく魅力と活力に満ちたまちづくりの取組みについてです。
港区は、良好な住宅地や歴史的・文化的資源に加え、先端的な業務・商業機能や多くの人々が集う観光スポット、運河をはじめとする水辺空間など多様な魅力を持つまちです。私は、この魅力あふれるまちをより一層輝かせ未来に伝えていくため、多様化するまちづくりの課題を解決し、良質な都市空間・居住環境の維持と創造に引き続き取り組んでまいります。
まちづくりマスタープランでは、まちの将来像を「やさしさとかがやきの生活都心」と掲げました。その実現に向けた、まちづくり条例に基づく取組みとして、区民を主体としたまちづくり組織に対する助成制度を創設し、区民の発意と合意によるまちのルールづくりを支援してまいります。
また、緑や水辺空間、歴史的建造物や近代的なまち並みなど、港区固有の景観資源を生かし、自然や歴史、文化を感じることができる調和のとれた都市景観の実現に向けて、景観計画の策定とその実現を図る条例の制定に取り組んでまいります。
都心回帰による急速な人口の増加や社会経済情勢の変化などを踏まえ、住宅基本計画の改定を行い、良質で誰もが暮らしやすい住環境の形成や住宅困窮者に対するセーフティネットの構築など、区民の皆さんの住生活を支援してまいります。
本年一月から温室効果ガスの排出削減を義務付けた京都議定書の約束期間がいよいよ始まりました。
都心・港区における地球温暖化対策を総合的に推進するため、「地球温暖化対策地域推進計画」を策定します。本年六月には、浜松町一丁目に「エコプラザ」を本格開設し、区民、事業者、NPO、行政が協働して、多様な環境保全活動を継続的に進めるための拠点とします。また、引き続き公園・児童遊園の整備拡充に努めるとともに、保護樹木・保護樹林に対する助成を充実し、緑の保全拡大を図ります。
昨年モデル地区で開始したすべてのプラスチックの資源回収は、本年十月を目途にいよいよ区内全域に展開します。私は、二十三区で唯一となるすべてのプラスチックの資源回収によって、将来を見据えたごみの減量、資源の有効利用を積極的に促進し、環境にやさしい循環型社会の実現をめざします。
田町駅東口北地区のまちづくりにあたっては、芝浦地区の特色である運河や水辺空間などを最大限に活用するとともに、関係地権者などと連携し、道路の混雑や橋の老朽化など当地区における課題の解決に努めます。防災拠点としての機能を持ち、地域の憩いの核となる緑豊かなオープンスペースの創出に積極的に取り組み、港区ならではと評価をいただけるような、人と環境にやさしい、複合市街地の形成をめざしてまいります。
以上、平成二十年度に取り組む主な課題、施策について、今後の方向性を申し上げました。
ここで、区が直面する特に重要な三つの変化と対応の方向性について、私の課題認識を申し上げます。
第一に、区財政を取り巻く環境の変化と、行財政改革の推進についてです。
特別区民税の好調な伸びに加え、他の自治体に先駆けて取り組んだ財政の健全化及びこれまで積極的かつ継続的に進めてきた行財政改革の成果により、港区の財政の弾力性を示す経常収支比率は、依然、良好な状況を維持しています。
しかし、歳入の根幹を成す特別区民税収入は、人口や景気の動向に左右されやすいという不安定な性格を有しており、今後の区財政を取り巻く環境は、不透明な状況にあると言わざるを得ません。平成十九年度における港区の特別区民税収入は、国の三位一体改革の影響により八年ぶりに減収に転じる見込みであり、来年度においても、平成十八年度のレベルに回復することは、難しいと考えております。また、国は、地域間の財政力格差の縮小をめざし、都市部から地方へ財源を再配分する地方税制改革に取り組むこととしています。
一方、都心区特有の需要に加え、区民生活に必要な新たな施設の建設や区民の安全・安心の確保を目的とした施設の改築・改修など、区は膨大な財政需要を抱えています。私は、こうした状況を踏まえると、財源の確保を図ることに加え、今後、より一層、行財政改革を進め、不断の努力により磐石な財政基盤を維持する必要があると考えております。
施設の管理運営にあたっては、区民の皆さんの安全・安心に十分配慮したうえで、指定管理者制度を導入するほか、施設の整備にあたって民間の能力やノウハウを積極的に活用するなど、港区にふさわしい「官」と「民」の役割分担を追求し続けてまいります。また、平成十九年七月に決定した「外郭団体改革プラン」に基づき、各団体が進める改革の努力を継続的に支援いたします。
職員の能力開発及び人材育成に引き続き取り組むとともに、「第二次港区職員定数配置計画」に基づき、職員定数の適正化を着実に推進します。
さらに、積極的な区政情報の提供や徹底した情報公開に加え、区全体の財務状況をよりわかりやすく、かつ精緻に公表し、区民の皆さんへの説明責任を果たすため、新たな公会計制度の導入を検討してまいります。
港区は、バブル経済崩壊後に経験した財政危機を区民や区議会の皆様のご理解、ご協力を得て、ともに乗り越えてまいりました。私は、これからの財政を取り巻く環境変化にも、これまでの経験と蓄積を生かし、より一層リーダーシップを発揮して適切に対応してまいります。
第二に、区民参画の状況の変化と、新たな基本計画の策定についてです。
港区は、積極的に地域へ貢献したいと考える区民や団体、高い見識や幅広い知識を持った多彩な人材に恵まれ、こうした方々は地域のために様々な活動をしてこられました。区役所・支所改革に取り組む前には、地域の課題や将来について区民と語り合い、ともに取り組んでいく仕組みを整備・充実することが、長年の課題となっていました。
私は、就任以来、区民の皆さんと手を携えて地域の実情に合った施策を話し合い実行する、新しい地域自治の仕組みの構築に取り組んでまいりました。平成十八年度の区役所・支所改革以降、各地区で、これまでにはなかった区民参画組織が誕生し、新たにこうした取組みに関心を持った方々も交えて、自分たちのまちの課題や将来像について、主体的な検討が始まっています。
このたびの新たな港区基本計画の策定にあたっては、従来の分野別の計画を基本としつつ、各地区の区民参画組織とともに地区版の計画書を作成するという、これまでにない新しい取組みを行うことといたしました。既に各地区では、地域の実情や特有の課題、その解決に向けた方策などを盛り込んだ地区版の
計画書づくりに向けた検討が進んでいます。三月には合同の発表会形式で中間的な提言をいただく予定です。二十一世紀の港区政の礎とも位置づける、未来を見据えた計画を区民の皆さんとともにつくりあげてまいります。
第三に、都区のあり方の変化と、「区役所・支所改革」の推進による地域自治の確立についてです。
現在、特別区と東京都は、具体的な事務配分を中心として、都区のあり方に関する検討を行っています。実現すれば、平成十二年の都区制度改革を上回る規模の改革となり、区民生活にも大きな影響を与えることが予想されます。現在、大都市の一体性を強く主張する東京都と、自治の精神から基礎自治体本来のあり方を実現しようとする特別区との間には大きな隔たりがあります。私は、平成十二年から論議を重ね確認した事務移管の方針を踏まえ、『住民に身近な事務は特別区が担う』という基本的考え方を堅持し、基礎自治体としての役割と責任を果たしていく決意であり、このことは、『区民に身近なサービスは総合支所が担う』という「区役所・支所改革」と方向性を一にするものと考えております。
区役所・支所改革は平成二十年度で、導入からひとつの節目と位置づけた三年目を迎えます。区役所・支所改革の仕組みを活用し、区民の皆さんと知恵を出し合いながら、地域のことは地域で考え決定し解決していくことをめざして、一歩一歩着実に、そしてより大胆に、都心における望ましい地域自治を実現するものとして「区役所・支所改革」を、全国の自治体にも誇れる取組みへと発展させてまいります。
私は、区長に就任以来、区民の身近にある区政運営を行っていくためには、職員がもっとまちへ出る必要があると考え、あらゆる機会を捉え、職員に語り続けてきました。現場の実情をつぶさに知り、地域の皆さんの率直な意見に接し、ともに解決策を見出そうとする活動こそが、区民の皆さんとの信頼関係を築く根本であると確信しております。
都心港区の地域特性を生かした取組みを一層推進することにより、地域の皆さんによる自主的・主体的な活動の輪が幾重にも広がり、地域コミュニティの基盤がより強固なものとなって個性豊かな光を放っていくことが私の強い願いです。
今、私は、改めて、常に区民の目線から地域社会を考え、区民とともに汗をかき、区民の気持ちがわかる区政運営に全身全霊で取り組み、確かな成果として結実させていきたいとの思いを新たにしております。
六月には、区長としての任期が満了いたします。この四年間の区民、並びに区議会をはじめ、多くの皆様のご協力に感謝いたしますとともに、私は、再び区民の審判を仰ぎ、港区政に責任を持つ決意であります。
区民の皆様、並びに、区議会の皆様のご理解とご協力を、心からお願い申し上げます。
これをもちまして、私の所信とさせていただきます。
─────────────────────────────
○議長(井筒宣弘君) 区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。二十四菅野弘一議員。
〔二十四番(菅野弘一君)登壇、拍手〕
○二十四番(菅野弘一君) 平成二十年第一回港区議会定例会にあたり、私は港区自由民主党議員団を代表して、港区のこれからの重要課題を中心に、区長並びに教育長に質問させていただきます。
質問に入ります前に、一言申し上げます。
早いもので、本年の六月には、武井区長も四年間の任期を迎えます。先ほどの所信表明は、武井区長が四年前の施政方針で述べられ、そして実現してこられた、区役所・支所改革をはじめとした、この間に手がけてこられた数多くの施策の実績とその評価、そして、区長ご自身の課題認識と港区の将来展望などが凝縮した内容となって、まさに武井区政四年間の総集編とも言えるものでした。武井区長の区政に取り組む強い熱意がしっかりと伝わるものです。
私が言うまでもないことですが、武井区長のこの四年間の実績は、本当に多くの区民が高く評価をするものであります。そして、それは同時に、今後もさらに多くの課題解決に挑んでいただきたいとの大きな期待を持つものであります。
我が会派の所属議員全員はもちろんのこと、会派を超えて、多くの議員からも武井区長の再度出馬を期待する声が上がっています。また、私の知っている多くの区民の中にも、そのような声があることが伝わってきています。そして今、区長ご自身から出馬の表明と受け取れる発言がございました。我々も全力でのご支援をお約束いたします。
そこで、一言で結構ですから、答弁の際に、出馬を表明された今の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
それでは、武井区長が再度、区政に挑戦されるということを前提に、質問をさせていただきたいと思います。
まず、これからの財政運営に関して伺います。
平成二十年度当初予算案は、
一般会計予算で対前年度十二億円、一・一%の増となり、過去最大の規模となっています。都心の地域自治の先進的な取り組みをさらに推進させるために、『区民が「地域のちから」をより実感できる予算』として編成され、各分野において、区民の目線でのきめ細やかな港区ならではの施策の構築に、知恵を出していただいたと評価しています。
我が自民党としても、多くの新たな取り組みについて提案をしています。小・中学校の教材費補助の無料化や大学生までの奨学金制度の創設、新たな成人歯科健診事業、フッ素塗布事業の充実、中小企業の事業再生等への支援、街路灯補助の拡大などでありますが、多くの提案を予算化し、区民の福祉向上に最大限努めてくれたと思います。その結果、新規事業六十七事業、臨時事業百九事業、レベルアップ六十六事業、合計で二百四十二事業と大変多くの新規事業の創設、既存事業の拡充に取り組んでいます。その中には、全国で初めて、東京都、二十三区で初めてといった事業も数多く含まれ、積極的に先進的な取り組みに努めている姿勢がうかがえます。
しかし、一方で、冷静に区の長期的な視野に立った財政運営というところにも視点を当てなければなりません。区財政は、平成十八年度までは確かに良好な状況を維持してきました。しかし、平成十九年度に国の三位一体改革による個人住民税フラット化の影響により、区の歳入の根幹をなす特別区民税が八年ぶりに減収となり、その規模は百四十億円のマイナス、その他三位一体改革による国庫補助負担金の削減などと合わせると約二百億円規模の減収になるということです。特別区民税収入については、人口の増加に伴う税収増により相殺される部分があるものの、平成二十年度においても、フラット化以前の平成十八年度決算額のレベルには戻らない状況にあります。
そのような中で、基金の活用などにより財政運営を行っているところですが、大きく貢献しているのは、特別区民税減税分の補てんとして暫定措置をされている特別交付金六十八億円です。しかし、それもいつまで交付されるかわからない状況にあります。また、国の税制改正の動向も注視しなければなりません。地方税制に関しては、地方自治体間の財政力格差の是正を目的として、都心から地方へと財源を移行させる地方税制改正を行うとしています。来年度は地方法人特別税を創設することで、法人二税の見直しをするとされていますが、それにより東京都は一年で約三千億円の減収となるそうです。特別区への影響は今回はありませんでしたが、今後の国の改革は予断を許さない状況であります。
さらに区では、今後多くの区有施設が更新時期を迎えるなど、大幅な行政需要の増加が見込まれています。義務教育施設など、子どもたちが安全で安心して学校生活を過ごせる場の提供は何をおいても優先していかなくてはなりません。あわせて、田町駅東口北地区や港南四丁目地区の公共公益施設等整備などの大型プロジェクトも控え、財政への長期的負担にしっかりと耐え得る財政計画を今のうちから立てておくべきです。区長のお考えをお伺いいたします。
次に、区民参加型の区債の発行についてです。
今後の中長期的な区財政を考えた場合、従来のような内部努力による歳出抑制だけでは不十分ではないでしょうか。
田町駅東口北地区をはじめ、多くの公共施設整備を進める上で、今まで蓄えてきた基金を有効活用することも必要です。あわせて、区債の発行など歳入の確保についても視野に入れ、財政運営を考える必要があります。その際、区民にも、そういった区の財政状況に対する問題意識を持ってもらうことも重要なことから、区民債の発行を検討するべきだと思いますが、区長のお考えはいかがでしょうか。
次に、区役所・支所改革について伺います。
武井区長は、所信表明において、「現在、特別区と東京都は、具体的な事務配分を中心として、都区のあり方に関する検討を行っています」、「現在、大都市の一体性を強く主張する東京都と、自治の精神から基礎自治体本来のあり方を実現しようとする特別区との間には大きな隔たりがあります。私は、平成十二年から議論を重ね確認した事務移管の方針を踏まえ、『住民に身近な事務は特別区が担う』という基本的考え方を堅持し、基礎自治体としての役割と責任を果たしていく決意であり、このことは、『区民に身近なサービスは総合支所が担う』という「区役所・支所改革」と方向性を一にするものと考えております」と述べておられます。武井区長が四年前の施政方針で約束し実現された総合支所に権限を移し、それを担う職員を増やし、地域の課題に積極的に取り組む区役所・支所改革は、区民に最も身近なところが区民サービスを担い完結させるという分権型自治を二十三区の中で先取りして行っていると言えるものです。基礎的自治の最大の理解者とも言える武井区長には、引き続き、都心における望ましい地域自治の実現に向けて、強い決意で臨んでいただきたいと思います。
そこで、これまでの区役所・支所改革の取り組みは、区役所と地域との距離を縮めるなど、確かに一定の効果を生み、それはとても高く評価できるものであります。しかし、まだまだ改善すべき点があり、これでゴールとするわけにはいかないはずです。
現状の課題としては、総合支所の機能が高まるにつれ、本庁支援部との取り組み姿勢に食い違いが生じ、その調整に手間取ることが多くなり、サービスの推進が足踏みしてしまい、区民の側にもそうした食い違いに戸惑う事例が多いようにも感じています。武井区長の目指す「都心における望ましい地域自治」の実現に向け、区長が導入から一つの節目と位置づけた三年目としている平成二十年度中には、区役所・支所改革のさらなる到達目標を明示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。
次に、国際化施策の推進について伺います。
まず、武井区長が所信表明の中で述べられていました、港区に住む外国人が、地域社会を構成する区民として行政サービスの提供を受けられる国際的に開かれた環境を整えることに関連してお聞きしたいと思います。
区は、来年度、国際化推進のための新たな組織を設置し、さらに初の民間人登用による管理職を配置し、港区独自の国際化施策を検討されるようですが、これは、まさに港区が名実ともに国際都市となれる第一歩になるものと大いに期待をしているものであります。しかも、このことへの関心の高さを示すものとして、先日行われた、国際化推進のための民間からの管理職募集には、豊かな国際経験・知識等をお持ちになる六十五名の応募があったと聞いています。これなども、まさに港区の持つ可能性の高さ、いわゆるブランドがうかがえます。このような取り組みを推進しようとする背景には、港区における外国人登録者数が、既に区内人口の一割を超える二万千人以上に達しており、七十五カ国の大使館の存在とともに、他に類を見ない国際色豊かな地域社会になっているということがあります。
まさに今後の区行政のあり方や、区民サービス等を考えていく上においては、外国人を対象から外すことはできない状況になっていると言えますが、これからは、むしろ、区長の言葉にもあったように、区内に暮らす外国人を地域の一員としてしっかりととらえるべきであります。そして、地域の一員ということであれば、外国人を対象に、いわゆるゆりかごから墓場までをカバーする行き届いた行政サービスをいかに構築するのかはとても大きな課題であります。出産・子育て支援、教育の場の確保などは重要でありますし、高齢者への対応も必要です。また、逆に外国人にも地域の力になってもらえる仕組みづくりも必要であります。
そこで、まず、区が取り組もうとしている国際化推進について、区長のお考えをお聞かせください。
そして、地域の一員としてとらえる以上、外国人の方にもしっかりとした教育を受けてもらうための教育の場の確保は、区の役割としてとても重要であります。区立学校での本格的な受け入れについての検討も必要かと思いますが、既に港区内にあるインターナショナルスクールなども生徒の半数以上が区内在住であると聞いていますので、そういう意味では、区民である外国人の教育の場としてのインターナショナルスクールの活用も重要であると思います。この際、本格的な連携や支援も検討すべきと考えます。
そこで、このような外国人への教育の場・機会の確保について、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
次に、国際化の推進における各総合支所の役割・立場についてお聞きしたいと思います。
区内の外国人登録者数の各総合支所単位の分布割合を見ると、麻布地区が四三・六%と半数近くを占めており、続く赤坂地区、高輪地区がそれぞれ一六%程度ということからも、麻布地区に外国人が集中していることがわかります。
そこで、こうした外国人登録者数の分布状況からも、今後の国際化推進に当たり、各地域におけるサービスの拠点としてのそれぞれの総合支所の立場と役割はどのようになるのでしょうか。区民サービスの窓口である総合支所には地域の国際化への重要な役割もあると思います。
しかし、先ほど述べたように、区内各地域の外国人比率は、総合支所ごとに、かなり異なっているという状況があります。であれば、やはり地域ごとにその特徴を生かし、めり張りをきかせた外国人向けサービスの展開をすべきでありますし、それに伴う各総合支所の役割は明確にすべきであります。例えば、外国人比率が最も高い麻布地区総合支所は、やはり国際交流のかなめとしての役割を担うことになるかと思います。
そこで、国際化推進における総合支所の立場と役割について、区長はどのようにお考えになりますでしょうか。
次に、安全・安心のための区内建物耐震化推進についてお聞きしたいと思います。
私の昨年の第二回定例会における代表質問や我が会派からの平成二十年度予算要望において、それぞれ区内建物の耐震化助成事業の拡充について要望してきました。その際、武井区長のお答えは、「耐震改修の実施における要望や意向調査を行っており、その結果をもとに耐震改修支援制度の充実に向けた検討を進める」とのことでありましたので、おそらく早い時期に実現されるものと思っていました。しかしながら、先ほどの所信表明の中でも、余り多くは触れておらず、残念ながら検討は進んでいないように感じました。
また、このたび示された平成二十年度予算案にも、建物の耐震化助成事業の充実についての記載がありません。区民の安全・安心のためにも早期実施を望むものとして、再度お聞きしたいと思います。区内建物等の耐震化支援制度の拡充は、実施への具体案を早急に示すべきであります。ここでぜひ区長の決意を示していただきたいと思います。
次に、区が主導するまちづくりについて伺います。
区は、最近では、港南四丁目においては道路の付け替えを含めた国有地の取得、田町駅東口においては民間企業との土地交換など、自らがまちづくりの方向性を主導する立場として積極的な取り組みを進めています。こういった地域全体のまちづくりビジョンを具現化するために、区自らが行動を起こしたことは大いに評価できるものであります。
しかしながら一方で、区内の大規模開発の多くは、どちらかといえば、開発事業者である民間企業主導で、進められてきたように感じることがあります。決して区が主導してこなかったというわけではありませんが、そこには残念ながら港区が目指す地域全体のまちづくりの姿が明確には見えてこないものもあります。先ほどの港南四丁目や田町駅東口北地区のように、区が主導して、地域全体のまちづくりを考え、構築していくことは、もっと積極的に行われてよいと考えるべきであります。また、昨年十月に制定された新しいまちづくり条例は、区民が主体となって区民発意のまちづくりを実現させる有用なツールと言えるものですが、反面、その条例を制定したことで、区は逆に区民から声が上がるのを待つ、いわば待ちの姿勢になってはいないかと危惧するものであります。
住民発意のまちづくりを進める上での主体となる、肝心のまちづくり組織の登録がいまだ二、三件であるということを聞き、今後、区側がもっと主導的に組織を増やす努力をして、住民が主体となるまちづくり条例のさらなる浸透を図る必要があると思います。例えば、現在、鞆絵小学校跡地の利用について、国との間で気象庁の移転先としての調整が行われていることと思いますが、このことについても、単に気象庁と教育委員会が検討している教育センターの整備だけを考えればよいものでしょうか。鞆絵小学校跡地の活用には、虎ノ門地区の面的開発の大切な一角を占める大きな役割があるはずです。虎ノ門地区全体の、あるいは港区全体のまちづくりの視点で、地権者でもある区が主体的に青写真を示して、貴重な区有地を有効に活用し、区民に還元することはもとより、地域住民主体のまちづくり組織を誘導したり、周辺において開発を進める民間企業等との調整を行うなど、しっかりと取り組むべきかと思います。港区のまちづくり、ビジョンの達成のためにも、区には、今以上に主導的役割を発揮してもらいたいと考えますが、いがかでしょうか。区長のお考えをお聞きしたいと思います。
次に、定住促進指導要綱の見直しについて伺います。
定住促進指導要綱は、いわゆる住宅付置義務と言われるもので、かつてのバブル経済期に、商業ビル化による住民流出を抑える目的で制定されたものであります。一方、港区の現状はといえば、超高層を中心とした大規模集合住宅等の建設が相次ぎ、人口はまもなく二十万人に達するところまで増加、回復しています。そして人口の増加により、保育園や生活利便施設、学校施設などが不足する状況になっています。もちろん、これまでも大規模開発や大型マンション建設の際には、それらの施設整備について行政指導を行ってきたことは承知しています。しかし、保育施設などのように増え続ける需要に整備が追いつかず、緊急的な整備が望まれている現状等を考えた場合、今のように住宅が増加し、人口が増え続ける中で、いつまでも住宅を付置義務化する必要があるのか、真剣に検討すべきであります。
この際、住宅付置義務を見直し、一定の制限があるかもしれませんが、それでも本当にその地域に望まれている施設整備の義務化に置き換えるべきであります。そこで、定住促進指導要綱の見直しについて、区長の見解をお聞かせください。
次に、団塊の世代の支援施策について伺います。
まず、団塊の世代応援プランについてです。平成二十年一月に港区団塊世代応援プランが策定されました。このプランの目的として、港区は、コミュニティの再生や地域の課題解決に向け、団塊の世代の方々に地域の担い手として活躍していただくことに大きな期待を寄せていることを挙げ、団塊世代が積極的に社会に参加し、地域で活躍することができるような仕組みや基盤の整備に向けた施策及び事業を総合的・体系的に示し、計画的に推進するものとしています。
団塊世代応援プランを机上のものに終わらせず着実に実現するためには、誰がその実現の担い手になり、かつ進行管理するのかが重要であります。それには、従来どおりの区役所内だけの進行管理では十分とは言えません。地域の団塊世代の方も一緒になってプランの実現に着手し、あわせて進行管理を行う、そのような体制づくりが必要と思いますが、いかがでしょうか。
平成十八年度に行われた港区団塊の世代等意識調査の結果を見ると、「今後も収入のある仕事がしたい」が七九・二%と就業意欲は非常に高いと言えます。また、今後も仕事をしたいと思う方のうち、「週に何日ぐらい働きたいか」という問いには、四一・二%が「週五日程度」、四七%が「週三日から四日程度」ということで、合わせると九割近くの方が週三日以上仕事をしたいと回答しています。
勤労形態についても、「企業や団体などに雇用される」が三七・八%と最も多く、「自営業・自由業を続ける」三三・八%、「起業する」が六%、「シルバー人材センターで働く」が四・五%と、自営業・自由業以外では、企業や団体に雇用される形態を望む傾向にあるようです。一方、シルバー人材センターにおける就業の性格は、請負・委任を前提に雇用関係に立たない、そして能力と希望に応じた補助的・短期的な就業を確保・提供するというものです。
平成十六年の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律、いわゆる高齢者雇用安定法の改正により、シルバー人材センターに一般労働者派遣事業制度が導入され、シルバー人材センター事業の働き方に、雇用という概念が取り入れられましたが、あくまでも「臨時的かつ短期的な就業又はその他の軽易な業務」の枠内で実施されるものとのことであります。臨時的かつ短期的な就業といえば、おおむね月十日程度であり、軽易な就業とは、一週間当たりの就業時間がおおむね二十時間を超えない業務であることからも、意識調査に見られる団塊の世代の望む働き方との間には距離が感じられます。もちろん、相互の連携は当然のことでありますが、多様な就業を支援し、区民の選択肢を増やすという意味においても、応援プランに示されているアクティブシニア就業支援センターにおいては、シルバー人材センターとの役割分担を考慮して、団塊世代が持っている専門性・高度な技術・知識・経験が伝承・継承され、地域社会に生かしていけるような就業支援の仕組みとして運営されることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
ここで、田町駅東口北地区に整備される医療施設について、要望させていただきたいと思います。地域の区民にとっても、医療機関の整備は待ち望まれています。どのような機能を持つ医療機関が整備されるのかは大きな関心があるところでありますが、いずれにしても、整備に当たっては、港区医師会や東京都、国及び日本医師会の理解と協力のもとに進めるべきであります。よろしくお願いいたします。
次に、
保育園待機児童の解消についてお伺いいたします。
平成二十年度の主要事業では、仮称芝五丁目子育て支援施設整備、ひとり親家庭支援事業など積極的な子育て支援策の充実が図られています。特に芝五丁目の施設は閉館した芝児童館跡を活用し、多様化する子育てニーズに速やかにかつ発想豊かに取り組んだものと言えます。区長の子どもの元気な声が飛び交う活気あるまちの姿は、何ものにも代え難いものと考え、子育てへの支援に全力で取り組むという姿勢を高く評価するものであります。
一方、近年の人口急増に伴う保育需要は急激に増加しており、これへの対応は、まさに喫緊の課題であると言えます。
保育園待機児童の解消に向けて区が懸命に取り組んでいることは承知していますが、従来どおりの整備手法では需要に供給が追いつかない状況であると考えます。
そこで、既存の区有施設の積極的な転用など自助努力はもとより、国や東京都などにも協力を得て、区内の公的施設について、施設の一部でも一時的に用途転換をお願いし、緊急的・暫定的に保育の場の確保を図る必要があるものと考えます。あわせて、民間企業に対して企業内保育所を整備するための支援策を充実し、その分、区民の受け入れに協力してもらうことも有効な施策だと思います。区長のお考えをお伺いしたいと思います。
また、急増する保育需要にこたえる上で、これまで港区が大規模集合住宅建設の際に民間保育施設の併設を指導・実現してきた成果などを踏まえ、民間の認可保育園や認証保育所の誘致をはじめとした民間の力をもっと活用する必要があると考えます。区長は、所信表明の中で、「保育施設全体の整備計画を早期にお示しする」とされていますが、この計画はこうしたさまざまな形での民間の能力活用を含めた保育施設の総合的な計画とするべきと思います。区長のお考えをお伺いしたいと思います。
次に、環境対策について伺います。
まず、みなと区民の森についてです。森は豊かな水を涵養し、清らかな大気を生み出しています。また、土砂の流出防止やCO2の吸収林として地球温暖化の防止にも貢献しています。京都議定書で定められた日本が担う温室効果ガスの削減目標の六%を達成するためには、そのうちの三・八%を森林整備で対応するとしています。東京の中心部に位置する港区と、豊かな自然を持つあきる野市の環境に関する交流から始まり、森林整備という温暖化対策にまで広がったみなと区民の森の事業は、森林を育てることが地球環境の保全や子どもたちの未来を守ることにつながる事業として大変意義のあるものです。
あきる野市をはじとする多摩地区では、海外からの安い輸入木材に押されて森林整備が行き届かず、このみなと区民の森事業が起爆剤となって都市部との交流が広がり、観光への関心も高まることに大きな期待を寄せているとお聞きしています。みなと区民の森は、子どもたちはもとより、幅広い区民の環境学習にふさわしい場所であると同時に、CO2削減のためのカーボンオフセットの考え方を取り入れた先駆的な取り組みとして、広く内外、さらには世界へと示すべきであります。そのためには、さらなる森の拡大も検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、みなとタバコルールについてです。
みなとタバコルールは、区外から入ってくる膨大な来訪者等に徹底することが大きなかぎとなっています。正直なところ、一億円超もの血税を注いでいる割には、まだまだ十分な効果が得られているとは言えません。歩いてみると、罰金を取り入れた千代田区と比べて、明らかに港区の方が歩行喫煙者が目立つようにも感じます。しかし、このことで千代田区方式の方がよいということにはなりません。罰金を取られるからやらないのではなくて、大人のモラルやマナーに訴える港区方式の方が社会通念からも理想的な施策であると言えるからです。しかし、千代田区方式は罰金という非常にインパクトのある手法のため、マスコミが当初から大々的に扱うことにより、勝手にPRをしてくれたことで、あっという間に全国的に知れ渡ったという違いがあります。港区でももっとPR効果の高まる話題を提供する必要があります。本当にこのまま、こうしたマナー・モラルが無視される社会でよいのでしょうか。そして、このことをいつまでも自治体の狭い枠内で進めることには限界があるのではないでしょうか。
そこで、健康増進法のかかわりでとらえ、タクシーの禁煙化も進んできているこの時期をとらえ、東京都全域、さらには国レベルの問題として扱うべきと思います。周辺自治体を巻き込んで広範にタバコルールの展開を図ることや、かつて制度上の改善すべき項目を提起した介護保険白書のような手法を用いて、国や東京都へタバコルールの必要性を訴えるなど、港区から全国的にマナーが守られずに、環境美化の面、そして何よりも健康面でのさまざまな影響が懸念される深刻さを前面に出した情報を発信すべきときではないかと思いますが、いかがでしょうか。
最後は、教育施設に関しての質問です。
箱根ニコニコ高原学園は、箱根仙石原という都心からもさほど遠くない場所にあり、広い敷地とすばらしい建物、恵まれた自然環境にある教育施設であります。しかし、利用のほとんどは区内小学校の夏季に集中しており、年間を通じての利用率は高くありません。また、施設、設備の活用も十分ではないようでありますが、例えば、せっかくの陶芸がまなども、三泊四日の小学生の利用においては利用のされようがないようであります。これなども小学生以外への利用者の拡大によっては有効に利用されるものと思われます。社会教育団体に対象を広げ、施設の有効活用に努めてはいますが、この施設が教育施設とはいえ、公共施設であることを踏まえれば、年間を通じて多くの区民に利用されるよう、さらに有効活用を図る視点も必要なのではないでしょうか。教育長のお考えをお聞かせください。
最後に、学校改築に伴う仮校舎の確保について伺います。
旧芝浜中学校の跡地については、既に土地交換の予定があり、赤羽小学校の仮設利用が最後となります。しかしながら、今後も予定される学校の改築需要に教育委員会としてどうこたえていくのかを検討しているのでしょうか。子どもの教育環境に配慮した上で、さらに、仮設用地の借り上げに巨額の税金を投入するようなことが今後は起きないように、今のうちからしっかりと先を読んだ計画的な改築に伴う、そうした仮設校舎の整備の考え方を早急にまとめるべきと思いますが、いかがでしょうか。
私の質問は以上です。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表しての菅野弘一議員のご質問に順次お答えいたします。
まず、ご質問にお答えする前に、今の決意についてというお尋ねでありました。
私は、四年前に区長に就任したときに、区政運営に臨む基本姿勢として、「区民に信頼される区政運営」、「区民の身近にある区政運営」、「区民の誇りを創造する区政運営」の三つの基本姿勢を掲げました。この姿勢は今も変わるものではありません。引き続き区民本位の区政を進め、区民の皆さんとともに、港区の諸課題の解決のため全力を傾けていく決意です。よろしくお願いいたします。
それでは、順次ご質問にお答えしたいと思います。
最初に、これからの財政運営についてのお尋ねです。
まず、長期的視点に立った財政運営についてです。私は、これまでも、港区ならではの質の高い行政サービスを安定的に供給することができるよう、平成十九年三月に港区財政運営方針を策定し、計画的な財政運営を行ってまいりました。ご指摘のとおり、今後の区財政は、景気や国の税制改正の動向などにより、歳入面に不透明な要素を抱えるとともに、安全・安心確保の観点からの区有施設の改築、田町駅東口北地区公共公益施設整備事業などの大規模なプロジェクト等、大幅な歳出増が見込まれます。
このような状況においても、財源の確保とより一層の行財政改革に努め、将来世代に過度な負担を残すことなく、先進的・先駆的な施策を積極的に行うことができるよう、来年度策定する新たな基本計画において、長期的な視野に立った財政計画を策定してまいります。
次に、区民参加型の区債の発行についてのお尋ねです。
区がさまざまな事業を展開する際は、計画段階から区民の皆さんとともに考え、ともに進めていくことが重要なことであり、財政運営においても例外ではないと考えております。区民参加型の区債の発行につきましては、区民の皆さんが、区の事業へ自ら投資をすることにより、事業への関心や愛着を深めていただく効果が期待できるとともに、区の財政状況への理解を深めていただくためにも有用な手段であると考えております。今後、公園や公共施設の整備に当たり、特に区民にわかりやすく最も親しまれる事業を選定するなど、港区にふさわしい区民参加型の区債の発行について検討してまいります。
次に、今後の区役所・支所改革の取り組みについてのお尋ねです。
区民の皆さんと協働し、地域の課題を地域で解決することを目指した区役所・支所改革は、身近な区民サービス全般の提供、地域の安全・安心への取り組みや、地域コミュニティの活性化等で着実な成果を上げています。しかしなから一方で、総合支所と支援部の連携強化等に加え、地域住民の発意によるまちづくりへの技術的支援や地域の商店会振興へのきめ細かな支援など、充実すべき点も残されています。
平成二十年度以降、地域の課題を地域で確実に解決するために、必要な役割や権限を一層総合支所に移し、各総合支所と支援部が相互に連携し、地域の方々とともに、都心における望ましい地域自治の実現に向けて改革をさらに進めてまいります。
次に、国際化施策の推進についてのお尋ねです。
まず、国際化施策の総合的展開についてです。区内に住み、働き、訪れる外国人の方の増加、また国際化の進展に対応し、外国人が暮らしやすいまちを実現するため、来年度、国際化推進の専管組織を設けます。区では、外国人も区民の一員として行政サービスを公平に受けられるよう、多言語によるラジオやホームページによる広報活動を展開するなど情報提供の充実を図ります。
また、アンケートやインタビューによる調査やモニターによる会議を設置して直接意見を聞く場を設けるなど、外国人のニーズを的確に把握します。そして、そのニーズを踏まえ、子育て、教育から福祉まで幅広い分野にわたって施策に反映し、行政サービスの充実を図ってまいります。
そのほか、区内の大使館やNPOなどの間にネットワークづくりを積極的に行い、情報交換や相互交流を深めてまいります。また、外国人も日本人と同じように地域社会の一員としての役割を担うことができるよう、地域への参加を支援する仕組みを検討してまいります。
次に、国際化の推進における総合支所の役割についてのお尋ねです。
国際化を推進するためには、まず、外国人住民も地域社会の一員として、行政サービスを受けられるようにする必要があります。そのためには、各地区総合支所は、外国人が暮らしやすいまちを実現するための身近な拠点として重要な役割を担うことが求められます。区内に住み、働き、訪れる外国人に地域のさまざまな生活情報を提供することは、特に大切であり、外国人の多い麻布地区総合支所では、試みとして平成二十年度に外国語版地域情報誌の発行を行います。今後、各地区総合支所は、外国人住民も地域社会の一員として、地域の防災訓練やお祭り、イベント等に参加し、コミュニティの担い手となれるような、地域の実情を踏まえた取り組みを充実させてまいります。
例えば、赤坂地区総合支所では、三月にウエディングをテーマにしたイベントを関係企業が集積している青山で大使館と商店街、産業・地域振興支援部が協同して開催いたします。また、新しい国際化専管組織においても、各地区総合支所が地域特性やニーズに応じた外国人への行政サービスが展開できるように支援をしてまいります。
次に、建築物の耐震化の推進についてのお尋ねです。
昨年行った耐震改修の実施における意向調査の結果では、建物を補強してできるだけ長く使用したいという意向が強く寄せられました。耐震改修工事を実施する課題として、木造戸建て住宅では、高齢のために工事費用の負担が大きくなること、また、分譲マンションでは、工事費用の負担などから区分所有者の合意形成が難しいとの意見が多く寄せられました。耐震改修工事費用の負担を軽減し、建築物の耐震化の推進を図るため、現在、対象建築物や対象者の要件及び手続きに関する詳細な内容を検討しており、年内に分譲マンションも含めて、現行の住宅耐震改修助成制度の拡充を図ってまいります。
次に、まちづくりの推進についてのお尋ねです。
まず、区主導のまちづくりについてです。区はこれまで、港区まちづくりマスタープランを策定し、区のまちづくりの基本方針を示すとともに、その実現に向けて、開発事業者を指導・誘導し、民間活力による都市基盤整備を促進してまいりました。札の辻交差点周辺地区や六本木・虎ノ門地区など、今後大きな土地利用の更新が見込まれる地域では、地区別のまちづくり方針を検討し、これらも踏まえて、民間開発事業を適切に誘導してまいります。また、港区まちづくり条例に基づく区民参画の仕組みがより一層活用されるよう、積極的に周知を図るとともに、まちづくりの活動に対して、これまでの技術的支援に加え、新たに資金的支援についても実施してまいります。
次に、定住促進指導要綱の見直しについてのお尋ねです。
区はこれまで、社会・経済情勢が大きく変化する中で、定住促進指導要綱を運用し、汐留地区や芝浦・港南地区などの大規模開発におきまして、保育所など地域に必要な生活利便施設の整備を適切に指導してまいりました。今後は、地域特性や居住環境に応じた生活利便施設の整備方針を明確にし、地域に必要な施設整備の推進を図るため、来年度に予定している第二次住宅基本計画の改訂にあわせ、要綱を大幅に見直してまいります。
次に、団塊の世代の支援施策についてのお尋ねです。
まず、港区団塊世代応援プランの推進体制についてです。港区団塊世代応援プランの推進体制は、庁内組織を中心に、新規事業等の進行管理を行うこととしております。今後、プランの推進に当たっては、事業がより効果的に実行できるよう、ご提案の趣旨を踏まえ、地域の団塊の世代の方々の参加を得ながら取り組んでまいります。
次に、団塊の世代の就業支援のあり方についてのお尋ねです。
就業支援については、団塊世代のニーズにこたえることが重要です。アクティブシニア就業支援センターは、高年齢者の就業支援のため無料職業紹介を行う窓口として開設するものです。センターは、ハローワークなどと連携し、多様な求人情報の提供やきめ細やかな就業相談を行うことにより、団塊世代の持つ専門性・豊富な知識や経験を生かした就業の機会を拡大するものです。今後、センター運営に当たっては、ご提案の趣旨を踏まえ、地域社会の中で団塊世代の知識や経験を生かし、その就業意欲にこたえるよう取り組んでまいります。
次に、
保育園待機児童の解消についてのお尋ねです。
まず、新たな発想による保育施設の確保についてです。区では、今年度、旧飯倉小学校校舎を活用して、「東麻布保育室」を開設し、さらに三田三丁目民有地に、二つ目の
緊急暫定保育施設の整備を進めております。芝浦・港南地区については、昨年末から区有施設等で保育サービスを提供できる施設はないか検討し、認証保育所についても、事業者公募を継続しておりますが、具体化に至っていないのが現状です。また、これまでにも土地の提供について東京都への働きかけを行いましたが、今後、国も含め、再度働きかけを行ってまいります。
また、民間施設で保育施設として活用できるものはないか、現在、情報の収集に努めているところです。さらに、ご提案のありました企業内保育所の整備につきましては、平成十六年度から実施している企業内保育所支援補助制度があります。このPRも含め、この制度の充実について検討を進めてまいります。
次に、保育施設全体の整備計画についてです。
整備計画の基本となる今後の保育需要については、本年度に行う人口推計をもとに、十分精査し検討してまいります。現在、着手している計画としては、浜松町一丁目の芝地区子ども中高生プラザ等建設、田町駅東口北地区公共公益施設整備及び港南四丁目地区公共公益施設整備での保育施設があります。これに加えて既存園の改築を含めた整備計画とするとともに、保育施設の設置に当たっては、多様な事業主体を視野に入れ検討してまいります。さらに、区が保育施設を整備するだけではなく、認証保育所の誘致を含めた総合的な整備計画として早急にまとめ、年内にはお示しいたします。
次に、環境対策についてのお尋ねです。
まず、みなと区民の森の拡大についてです。みなと区民の森づくり事業は、平成十九年五月にあきる野市から約二十ヘクタールの森林を借り受け、本年度は、約五キロメートルの作業用道路、間伐、枝打ち、植樹などの整備を行っております。都心にある港区が多摩地区の森林を環境学習フィールドとして整備し、あわせて森林吸収による二酸化炭素の削減を図ることは、先駆的な取り組みとして全国的に注目を集めています。
この事業の紹介につきましては、昨年十一月「森と水会議2007」を開催し、区民の皆さんをはじめ、森に関心を持つ多くの方々にご来場をいただきました。本年三月にはケーブルテレビで区民の森の紹介番組を放映いたします。
また、森の整備とあわせて、区民の皆さんを対象に、間伐などの森林ボランティア、巣箱づくりとバードウォッチングなどの環境学習も実施しており、来月三月二十九日には広葉樹の植樹祭も実施する予定です。
本年六月にオープン予定の新しいエコプラザなどを活用して、今後とも広くこの事業の紹介に努めてまいります。
平成二十年度には、これらの環境学習事業をさらに拡充する予定であり、あきる野市との環境をテーマとした交流を発展させながら、森林整備の拡大について検討してまいります。
最後に、みなとタバコルールについてのお尋ねです。
区は、公共の場での分煙化と喫煙者のマナー・モラルの向上を目指し、罰則によらない区独自のみなとタバコルールを推進してまいりました。平成十八年四月からは各総合支所を中心に、地元区民の皆さんや企業等と連携・協働して啓発・美化活動を展開しております。しかしながら、いまだに歩行喫煙やたばこのポイ捨てへの苦情が多く寄せられております。ご指摘のように、港区は区外からの来訪者も多く、喫煙者のマナー・モラルにかかわる問題については、一つの地方公共団体の取り組みだけでは解決できないため、広域的な取り組みも必要と考えております。したがいまして、他区や東京都とも連携した取り組みを行うとともに、東京都を通じて近隣の都市へも働きかけてまいります。
また、禁煙支援や受動喫煙対策とも連携し、在勤者等へのみなとタバコルールの啓発活動として、駅前等での注意活動を定期的に行うとともに、より効果的なポスター・ステッカーの貼付、あるいは企業向けのPRなど、さまざまな創意工夫を凝らし、周知徹底に努めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題につきましては、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまの自民党議員団を代表しての菅野弘一議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、国際化施策の推進についてのお尋ねです。
外国人が教育を受ける場の確保についてです。現在、笄小学校に日本語教室を設置し、二十九名の外国人の子どもが日本での教育に適応できるように学んでいます。また、その他の小・中学校においては、本年度来日した五十名の外国人の児童・生徒を対象に、日本語適応指導員を派遣し、日本語の指導や心理面のケアも行っております。一方、インターナショナルスクールと区立小学校では、合同の国際音楽祭の開催や異文化交流をはじめ、さまざまな学習を行っており、貴重な国際交流を学ぶ機会となっております。
教育委員会で、現在、集計中の外国人の保護者アンケートでは、国際的な基準に基づくカリキュラムやコミュニケーション面でのサポートなどに関するご意見をいただいております。それらを踏まえ、来年度は学識経験者などを交えた懇談会を設置し、外国人の子どもに対する教育面での支援について検討してまいります。
次に、教育施設についてのお尋ねです。
まず、箱根ニコニコ高原学園の活用の拡大についてです。箱根ニコニコ高原学園は、旧協和銀行の創始者、牧野元次郎氏からの寄付により、昭和十五年、旧麻布区の教育会が現在地に児童のための園舎を建設いたしました。昭和三十一年に寄付者の意志と学園設立の趣旨にかんがみ麻布教育会から寄贈され、以来、区立学校の校外学習の施設として多くの子どもたちに愛されてまいりました。
こうした歴史的な経緯及び寄贈者の意志を踏まえ、小学校の移動教室及び夏季学園の体験学習の場として利用するほか、教員の宿泊研修等に活用されております。春から秋にかけては、主に学校の使用でほとんど埋まっている状況ですが、それ以外の時期及び空きのある日には、社会教育団体が教育活動の場として利用しております。確かに寒さが厳しい冬の季節等については、利用が限られております。今後、施設設置の趣旨を踏まえる中で、引き続き施設の有効活用を検討してまいります。
最後に、学校改築に伴う仮設校舎の確保についてのお尋ねです。
学校の改築に当たっては、他の地域に比べて狭い校地の中でも、創意工夫によって子どもたちに豊かな教育環境を提供できるよう、知恵を絞りながら事業を推進しております。仮設校舎を計画する場合でも、学校の置かれた環境や学区域の特性に十分配慮しながら、さまざまな工夫を凝らすことにより課題解決に向けて努力しております。今後とも、廃校となった施設や区有地の有効利用を見据え、行財政の効率的運用を念頭に置いた上で、区長部局との連携を密にしながら学校施設の改築を進めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○議長(井筒宣弘君) 二十九番渡辺専太郎議員。
〔二十九番(渡辺専太郎君)登壇、拍手〕
○二十九番(渡辺専太郎君) 平成二十年第一回港区議会定例会にあたり、みなとフォーラム・民主を代表して、区長に質問いたします。区長の明快なご答弁をお願いいたします。
実に早いもので、ことしの六月には武井区政誕生から四年を迎えます。一区切りということになるわけであります。かつて平成十六年第二回港区議会定例会の私の質問を読み直しました。この年は武井区長が当選し、初めての議会答弁でした。そのときの区長答弁の一部を読み上げます。
「港区民クラブの渡辺議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、積極的な区政運営の取り組みについてのお尋ねです。
まず、区政運営の基本的な考え方についてです。
私は、『最少の経費で最大の効果』という基本原則を踏まえつつ、良好な財政状況を最大限活用したいと考えております。高齢者、子育て世代、次代を担う子どもたちなど、港区に住み、暮らすすべての人々が安全に安心して都心生活を享受できるよう、コミュニティ振興、福祉、まちづくりなど、それぞれの分野で港区ならではの質の高い行政サービスを提供してまいります。
私は、『区民の誰もが誇りに思えるまち・港区』を目指し、リーダーシップを発揮し、その実現に向け全力で取り組んでまいります。
次に、大胆な区役所改革についてのお尋ねです。
私は、区民の皆さんに区役所をより身近に感じていただき、身近な場所でサービスを受けていただけるよう、区役所の仕組みを改革する必要があると考えています。私は、その観点から、区役所改革を推進してまいります。
最後に、職員の意識改革についてのお尋ねです。
職員一人ひとりが地域に出て、区民の声を肌で感じ、区民の立場に立って考えることはとても大切なことです。それは、職員の意識改革を行う上でも有効であると考えます」と述べられております。
また、今回の所信表明を聞き、今までの努力がよくわかります。
さて、「区民の誰もが誇りに思えるまち・港区」という、武井区政による「都心区における新たな地域自治・区民自治」を目指す政策が一区切りを迎え、引き続く第二幕において、武井区長がこれまで推し進めてきた政策を、今後さらに発展・充実させ、次の新しい政策を生み出してこられるのか、区民に何を訴え、実行なさろうとしているのか、大いに期待しているところであります。
区役所・支所改革に代表されますように、先駆的な政策を公約として掲げ、就任後、公約実現に向けて不退転の姿勢で取り組んでこられた武井区長に敬意を表するとともに、今後の活動に期待をしつつ、武井区長が港区の将来について、どのように考え、新たな政策を打ち出し、取り組んでいかれるお考えか、現時点における率直なお考えをお尋ねしたいと思います。
最初に、港区の魅力あるまちづくりについてお尋ねいたします。
芝浦・港南地区に代表されるように、港区は今、非常に人口が増えています。また、麻布地区の六本木に象徴されるように、美術館や新しい商業・業務施設が完成し、多くの人々でにぎわっております。これは歓迎すべきことと私は思うわけでありますが、港区に長く住んでいる住民の方々からは、街並みが大きく変化していることについて気にかかるとの声を聞きます。
平成十九年六月に制定された改正まちづくり条例では、地域に暮らす区民自らがまちづくり活動を行うことを区が支援する姿勢が示されております。これは区長が常日頃唱えている、区民参画・区民協働によるまちづくりを具体化したものだと評価できます。しかし、昼間、区内を歩いていても青空がビルにさえぎられて見えないようなまちばかりではいかがなものかと考えます。また、区内あちこちにある歴史を感じさせ、たたずまいが非常によい場所がどんどんなくなっていくことは、とても残念でなりません。
そこで区長にお尋ねいたします。都心港区の地形を考えれば、土地の高度有効活用も理解はできないことはありませんが、魅力あるまちづくりのためには、良好な街並みを保全することも重要であります。港区ならではの歴史的な街並み、生け垣とか塀や運河など、良好な景観やまちの雰囲気を今後、どのように保全・発展されるお考えか、お尋ねいたします。
さて、冒頭に申し上げましたように、平成二十年度予算案は、武井区政が次のステップへ躍進するための政策、新たな取り組みを具体的に示した、いわば区長の姿勢、意欲を表明したものであると考えます。さまざまな税・財政制度の改革などによって、厳しい財政状況が見込まれる中にあっても、活力ある地域社会や豊かな区民生活を守る視点から、過去最大規模の積極的な予算になったことは、私どもとして大きな評価をさせていただきます。
この平成二十年度予算の特徴の一つに、「明るく健やかな将来を築く」という重点項目に、相当の経費が割り振られていることです。全国初となるプラスチックごみの完全リサイクル事業や、みなと区民の森のレベルアップなどの環境を切り口にした「地球の健康」。成人歯科健診や肝炎ウイルス検診、特定健康診査などのきめ細やかな健康診断の実施による「区民の健康」。そして、旧芝児童館を活用して子育て家庭への多様な支援を行うことや、魅力ある校舎等の整備など、実に武井区長らしいあらゆる面からの「健やかさ」の実現を目指すという姿勢があらわされた予算の特徴となっています。私はこの施策に最大限のエールを送るとともに、すべての人の健康のために協力してまいりたいと思います。
そこで区長にお尋ねします。まず、区民の健康に対しての新しい取り組みについてであります。健康みなとは、政策のあらゆる視点から区民の健康に関する取り組みを抽出し目標を設定しましたが、その効果はなかなか見えてこない状況であります。いたずらに項目を増やしてそれでおしまいと言うのではなく、計画の検証やその後のフォロー体制や改善に向けての取り組みなど、区民の健康づくりにも区民参加や協働した取り組みを確保すべきと感じるところです。区長は、今後の取り組みについて、何か具体策はお持ちでしょうか。お答えをお願いいたします。
あわせて、子育て支援の充実についてお尋ねいたします。旧芝児童館を活用した子育て支援事業についてです。この計画は今までにない施設の活用方法ととらえています。事業をどのように展開し、どう広げていく考えなのかお尋ねいたします。
次に、冒頭に述べたことに関連しますが、これまで四年間の区政を振り返って、区長ご自身の達成感などについて、何点かお尋ねしたいと思います。
まず、港区として全国に先駆けて断行された自治体内分権であります。すなわち区役所・支所改革に関してお尋ねいたします。
最初は、区民の区政への積極的な参画についてです。武井区長は、区長就任直後から、「職員はもっとまちに出て区民の声を聞き、区民にもっと区政に入ってきてもらう」とのわかりやすい表現で、区政の主人公である区民が行政サービスをただ受けるだけでなく、行政側の視点で新しい仕組みづくりに積極的に参加できるように改革することを明言されました。この区民参画こそは、区役所・支所改革を支える基礎中の基礎だと考えます。私はこれまで、定例会などで質問してまいりましたが、その都度、「総じてよくなった」とか、「まち場の声は歓迎している」などの答弁をいただいているところであります。
そこで改めて、第一幕の締めくくりの現時点で、当初、区長が思い描いておられた区民参画の理想像に照らして現状はどうなのか、区長はどのようにとらえておられるのかお尋ねしたいと思います。花開いているのか、それともつぼみなのか。そして今後、どのように大きく根づかせていかれるつもりなのか。方策等があれば、あわせてお答えをお願いいたします。
次に、区役所職員の意識改革についてお尋ねいたします。
国レベルでは、市町村の統廃合が推し進められ、また、過去三十年、いや四十年以上の間、どの自治体も簡素で効率的な自治体運営が求められ、港区においても、そうした流れの中で、本庁集権・集約化が進められてきたことは事実であります。しかし、区役所・支所改革は、これとは全く正反対の、地域の課題解決のためには総合支所を地域における区政の中核とした、文字どおり分権、権限の移譲だったわけであります。もともと、区役所の仕事というのは区民の生活に密着した幅の広い業務を担っています。支所を総合支所に改め、組織や機構、事務分担のしくみを変えてみても、それはしょせん、器の話ではないかと感じることもあります。区長の強力な指導力によって、区役所・支所改革が実現されたわけでありますが、その目標を共有し、区民に直接伝える役割は区役所職員の一人ひとりにあります。区長の目的・目標を共有化し、同じ意気込みを感じていなければ区民には伝わりません。
総合支所制度では三課体制となり、保育園や児童館、福祉会館の職員なども総合支所の一員になりました。人数が増えれば増えただけ、職員間の情報の共有化であるとか、支援部との連携であるとか、総合支所間の調整であるとか、処理スピードの迅速化であるとか、職員と職員とを結びつけ、かつ意識を一つにまとめ上げることが難しく、重要な課題となるのではないでしょうか。
そこでお尋ねいたします。職員がこの区役所・支所改革について目的意識を共有化し、一丸となって取り組んでいくことが可能となるための取り組みとして、どのような対策をとられてきたのか、お答え願います。また、区民から見た職員の意識変化などについて、区長のご意見をお聞かせいただきたいと思います。
区役所・支所改革の三点目の質問は、総合支所と本庁支援部の連携のあり方についてです。総合支所制度によって、区民に身近なところで区政運営がなされるということで、地域住民にとっての利便性は格段と向上しました。行きやすさ、相談のしやすさに加え、予算も地域特性を踏まえて独自事業の枠が設けられたことから、多くの区民にとっては、区役所・支所改革によって区役所がより身近になったと認識しているのではないかと思います。
しかし、これまで私が何度も指摘してきましたように、五つの地域に五つの小区役所ができてしまう危険性を常にはらんでいると思われるのです。区長のお考えでは、区を五分割するものではないということも基本線であると聞いておりますが、そのためにも総合支所と本庁支援部との連携、役割分担の明確化が必要不可欠であります。また、法令の適用や全体の調整に関することは支援部、特定の地域に限定したことは総合支所と、建前はこのように役割分担されているようですが、総合支所と支援部との連携強化と役割分担の明確化について、区長はどのように考えているのか、また現在、具体的に進めておられる方策がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
区役所・支所改革に関しての四点目の質問は、支援部長と総合支所長の兼任のあり方や問題点についてです。私は総合支所長と部長の兼務は次の点で問題があると指摘せざるを得ません。第一に、まちの皆さんからの疑問ですが、やはり、本庁部長が形だけの総合支所長になっているのではないかという声を多く聞きます。例えば、総合支所長に用事があってもなかなかつかまらないという声に代表されていると思います。第二に、職員にとって、職務上どうなのかという疑問です。それこそ決裁とか事前説明などが必要なとき、支援部の職員も総合支所の職員も部長、支所長をつかまえるのが非常に難しいという話はよく聞きます。第三に、区役所・支所改革を今後さらに推し進めていく上で、総合支所長の強力な政策立案やリーダーシップが欠かせないことです。しかし、物理的な限界があることは事実です。三課長に任せっきりなどということは決してないと思いますけれども、区長は、この兼務体制についてどのように考えているのか。今後どのようにされるお考えか、お答えをお願いいたします。
最後の質問でありますが、武井区長は港区の将来をどのように考えているのか。未来に向かって武井区長は今後どのような政策を打ち出していくお考えか、現時点における区長のお考えを中心に質問いたします。
最初に、今後、自治体内分権をどのように進め、区役所・支所改革の拡充を図っていくかについてお尋ねいたします。武井区長は、区役所・支所改革により、新しい行政サービスの手法を実践して三年目を迎えようとしています。初年度以降二年間の課題や職員の意識改革を図りつつ、現在三年目を迎えているわけであります。したがって、現時点での一定程度の総括ができると思います。「地域の課題は地域で解決」というキーワードのもと、地域と行政が協働した事業が明らかに増えたのも事実です。
そこで区長にお尋ねいたします。区役所・支所改革はまだ緒についたばかりとは思いますが、港区ならではのこの改革をどのように広げていくのか。例えば、当初の区役所・支所改革では対象にしていなかった教育関係についてはどうされるつもりなのか。今後の区役所・支所改革の中長期的ビジョンをお示しいただきたいと思います。
最後に、区民がもっと区政や地域コミュニティに参画する「しくみ」をどのように構築されるお考えかをお尋ねします。「地域の課題を地域で解決する仕組みづくり」が進められ、そうした具体的な事業が格段と増えてきております。例えば、地域主体の防災訓練などにも数多くの区民の参加がありました。参加した区民からは「多くの総合支所の職員が参加してくれた」、「職員との距離が近づいた」など区役所・支所改革への評価や、「初めて参加したけれども、楽しかった」、「ぜひまた参加したい」など地域の交流やコミュニティの必要性などについても高い評価が示されたところです。
ただ、私はこれらの声に満足してはいけないと思います。実際に参加した区民からは、区役所・支所改革の効果を実感され、またこうした事業に対して評価をいただいているようですが、その裏返しに参加していない区民がまだまだ大多数存在しているということであります。地域に暮らす区民たちがもっともっと区政や地域活動に参加して、自分たちのまちを自分たちでつくり上げていくことが、武井区長の描いた港区であると思っています。武井区長は、より多くの区民が積極的に区政に参加できる「しくみ」を今後どのように構築されるお考えなのか、お答えをお願いいたします。
まさに、将来の港区のビジョンについて、未来の区政を担う武井区長の明快なご答弁を期待して、私の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまのフォーラム民主を代表しての渡辺専太郎議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、港区の魅力あるまちづくりについてのお尋ねです。
良好な街並み景観を形成するためには、区内の歴史的な建物や起伏のある地形など、多様な資源を生かし、区民参画により景観づくりの方針を示すことが重要です。景観づくりの方針を示す景観計画と、その実現に取り組むための実効性を持った景観条例の検討を進めるとともに、地区計画等による景観形成を目指した地域のまちづくり活動を一層支援してまいります。
次に、区民の健康に対しての新しい取り組みについてのお尋ねです。
健康みなとは、計画の中間評価を踏まえ、昨年三月に改定いたしました。その中で、区民を主体とする地域に根ざした健康づくりを支援する環境整備の重要性を示しております。そこで、地域で主体的に自主的に活動している個人や団体が、健康づくりの核となるよう、昨年十一月から新たな取り組みとして、健康づくりサポーター事業を始めました。サポーター同士が相互に交流し合うことで、活動をさらに活性化させ、また、区と協働して健康づくりを目指してまいります。区は、専門的知識や技術の講習会の開催等を含め、その活動を支援してまいります。
次に、旧芝児童館を活用した子育て支援事業についてのお尋ねです。
区では、旧芝児童館を活用して、誰もが安心して子育てができるように、さまざまなニーズにこたえ、サービスを提供するための施設を整備し、本年十月に開設する予定です。事業としては、保護者の仕事や出産、入院等で育児ができないときに短期間お子さんをお預かりするショートステイ事業や夜間十時までお預かりするトワイライトステイ事業があります。いずれの事業も対象を〇歳から十二歳までと幅広くしており、区の施設を活用して行うのは、都内でも例をみません。また、乳幼児の一時預かり事業、子育てひろば事業も実施します。これら四つの事業を一カ所で実施するのは、二十三区で初めてであります。施設の整備や事業運営については、事業者の創意工夫を生かし、効率的で魅力ある施設やサービスを提供いたします。
次に、区役所・支所改革についてのお尋ねです。
まず、区民の区政への積極的な参画についてです。地域の課題は区民とともに地域で解決していくという区役所・支所改革に基づき、現在、全庁を挙げて区民参画・区民協働の取り組みを積極的に進めております。具体的には、各地区の総合支所では、区民参画・区民協働の組織が、地域コミュニティの活性化などを目的としたイベントの開催や地域情報誌の発行などに積極的に取り組んでおります。また今年度は、次期基本計画における地区版の基本
計画書づくりに向けての区民参画の取り組みもスタートしました。
さらに、田町駅東口北地区公共公益施設の整備においては、基本構想・基本計画策定に向けての区民参画組織が、八十七名というかつてない大きな規模で運営されています。いずれの取り組みも比較的新しく港区民になった方の参加も多く、自分たちのまちを自分たちの手でよりよくしていくという、まちづくりの担い手としての強い意気込みが感じられます。私の考える区民参画の理想は、着実に地域に根を下ろしつつあるものと認識しております。今後、区民参画・区民協働の成果を区民の皆さんにわかりやすくお伝えすることを通じて、さらなる定着に取り組んでまいります。
次に、区役所職員の意識改革についてのお尋ねです。
私は、区役所・支所改革の準備段階から、職員に直接、改革の目的と意義について繰り返し説明をしてまいりました。また、係長昇任時研修等あらゆる研修機会を活用し、職員がこの改革を理解し、自らが実践できるよう、職員の意識改革に継続して取り組んできました。加えて、職員自身が改革の趣旨を実践する取り組みとして、区民の目線からサービスのあり方等を見直す「窓口サービスアップ実践活動」にも、全庁を挙げて取り組んできたところです。今後とも、区役所・支所改革の目的がすべての職員に浸透するよう、意識改革に継続して取り組んでまいります。
なお、区民の皆様からは、こうした取り組みにより、「区民の立場に立って区民とともに、地域の課題解決に汗をかく職員が増えてきた」との声をいただいております。
次に、総合支所と本庁支援部の連携のあり方についてのお尋ねです。
総合支所は、区民サービス全般を完結し、地域の課題を地域で解決する役割を担います。一方、支援部等は、総合調整と分野別の政策調整機能を担い、幅広い視点から総合支所をバックアップする役割があります。現在、各総合支所と支援部等が効果的、効率的にそれぞれの機能を果たすことを目的に、相互の連携を強化するための総合支所・支援部等連携強化検討部会を設置し、さまざまな課題の検討、調整を行っております。今後とも、区民と職員が「ともに改革し、ともに担う新しい区役所」の実現に向け、予算措置も含めた総合支所の権限充実など、積極的な区役所・支所改革に取り組んでまいります。
次に、総合支所長の兼務のあり方についてのお尋ねです。
総合支所長の兼務体制については、総合支所と支援部等の連携強化を図るほか、「より地域の視点を、分野別の施策に反映させる」ことを目的としています。現在、各総合支所では、総合支所長のリーダーシップのもと、それぞれの課長が所管する課の担当業務に責任を持って対応しており、対外的にも地域の皆さんとの協働を積極的に行っています。委員ご指摘の点も踏まえ、総合支所長の支援部長等との兼務の現況、支援部等の所掌事務のあり方等を検証し、区役所・支所改革の一層の推進を目指してまいります。
次に、区役所・支所改革の拡充についてのお尋ねです。
五つの総合支所を中心とし、区民の皆さんと連携した
放置自転車対策や
防犯パトロール、清掃などの生活安全・環境美化活動の地域の主体的な取り組みが進んでいます。また、区民の皆さんによるさまざまな地域の活動の場に職員が参加する機会が増え、区民と職員との距離が近づき、相互の信頼が深まってきています。今後とも、総合支所が区民とともに「地域の課題を地域で解決する」という基本的な考え方のもとに、すべての分野を改めて検証の上、総合支所に必要な役割や権限を強化し、支援部との連携により、都心における望ましい地域自治の実現を目指してまいります。
最後に、区民参画の「しくみ」をどのように構築するかについてのお尋ねです。
現在、各総合支所では、区民参画・区民協働組織により、地域情報誌の発行、地域イベントの開催などが積極的に行われています。特に田町駅東口北地区公共公益施設の整備においては、基本構想等の策定に向けて意見を聞くための区民参画組織に多くの方々に参画していただいております。今後、こうした成果を踏まえ、より多くの方々に参画いただけるよう、参画の「しくみ」づくりに精力的に取り組んでまいります。
よろしくご理解のほどお願い申し上げます。
○議長(井筒宣弘君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時三十分再開
○副議長(風見利男君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
一般質問を続けます。一番大滝実議員。
〔一番(大滝 実君)登壇、拍手〕
○一番(大滝実君) 二〇〇八年第一回港区議会定例会にあたり、日本共産党港区議員団を代表して、区長及び教育長に質問いたします。
武井区長のこの四年間の政治姿勢と今後の区政のあり方について質問いたします。
六月十五日投票で区長選挙が実施されます。この四年間の区政運営が区民から問われることになります。区民の暮らしと営業は、この間何度も指摘してきたように、深刻さがさらに増しております。区民の命と暮らし、福祉、教育、営業を守るべき役割を持っている港区が、この間何をしてきたか。今後求められる区政運営などについて質問・提案を行います。
まず、区民負担増から暮らしを守る問題について質問します。
この間、自民・公明政権による国民負担増と増税が次々と押し寄せました。高齢者へは老年者控除の廃止などにより住民税非課税が課税になり、国保料、介護保険料も連動し、引き上がりました。区民の多くが定率減税の廃止で増税されております。私たちはこの間、区長に対して、痛みやわらげ手当、住民税減税、国保料の独自減免の実施などを要求してきましたが、区長は冷たく拒否しています。
区長は、新年会のあいさつなどで、区民に対して「安心・安全な港区をつくる」と発言しています。安心・安全の一番のかなめは、安心して生活できる、普通に暮らせることだと思います。ところが、実態は安心して普通に暮らせない深刻さなのです。少しでも暮らしを応援し、負担を軽減するため、さきに挙げた各種軽減対策を決断すべきです。答弁を求めます。
次に、まち壊しをやめ、住みつづけられるまちづくりに関して質問します。
区内には超高層ビルが建て続けられています。百メートルを超える建築物は、現在計画進行中を含めると百四棟にも及びます。六十メートルを超える建物は二百四十棟で、都内の超高層ビルの三分の一という異常さです。超高層ビルがこれ以上建てられたら、環境も悪化するし、住民も住めなくなり、コミュニティも破壊され、「もう超高層ビルは要らない」が区民の圧倒的な声です。新宿区や千代田区など都心区でも絶対高さ制限を定める自治体も増えています。港区でも区民合意のもとに、絶対高さ制限設定を決断すべきです。答弁を求めます。
区内では、森ビルなどの再開発が次々行われています。再開発事業というのは、再開発は嫌という方も、再開発が法的に進んでしまえば、「私は嫌」とは言えずに再開発に巻き込まれ、再開発ビルに入るか、転居するかが迫られるのです。最近では、立ち退きを断れば、強制撤去の事例が出ています。港区は、六本木ヒルズに六十六億円の補助金を出すなど、巨大ビル建設、再開発に対しては莫大な税金を投入しています。来年度予算でも三十一億円、今後百九十億円も出そうとしています。区民の負担軽減策を冷たく拒否しながら、森ビルなどの事業には莫大な税金をつぎ込む姿勢はきっぱりと改め、中止すべきです。答弁を求めます。
次に、「何でも民間へ」を改めるよう質問します。
この間、区長は、区が責任を持って運営管理してきた施設を、指定管理者制度などにより民間企業などに管理させ、区の責任を放棄する区政運営に切りかえてきました。
特別養護老人ホームやスポーツセンター、
芝浦アイランドこども園等々です。そして障害保健福祉センターも指定管理に移行を決めてしまったのです。保育や介護、高齢者、障害者施設などの福祉分野は特に人が支えるサービスです。区がサービスを提供することで、利用者と家族が安心できるのです。この間の特徴的な例としては、「新橋さくらの園」での入所問題がありました。認定の確認訪問作業や受け入れ態勢が不十分で、当初計画より三カ月おくれでようやく入所が終了するといった状況でした。施設建設や運営管理を受けた法人が準備段階で人の手配を十分に整えなかったことに原因があります。結局は事前準備になるべく資金をかけないような意識が働いた結果だと思われます。
区長、「官から民へ」の政策を改め、区が責任を持って区民サービスを提供すべきです。指定管理者制度を見直すべきです。答弁を求めます。
次に、子育て支援について質問します。
子育て支援で一番求められているのが保育園の待機児童解消です。ことし一月一日現在の実際の待機児童数は七百五十七人に及んでいます。特に芝浦港南地域には新しい住宅が次々と建てられ、子育て世代もたくさん増えました。「保育園に申し込んでも入れない。このままだと仕事をやめざるを得ない」など、涙を流して保育園入園を願う保護者がたくさんいるのです。港区は待機児童解消を口にしてはいますが、現実は解消へはほど遠い状況です。しかも、基本方向は公立保育園を増やそうとせず、東京都が推奨する認証保育所や民間任せの姿勢です。区長は、「待機児童ゼロ」、「子育てするなら港区で」と公言しています。本気でその言葉を使うなら、保護者が一番望んでいる公立保育園を急いで増設すべきです。答弁を求めます。
次に、高齢者や障害者の介護・福祉サービスの人材確保について質問します。
介護施設や訪問介護の事業所に働く人は、一年間で五人に一人が離職しています。「仕事がきつい上に給料が安い」「夜勤が多く、腰痛などの苦しみがある」など、希望を持って就職した青年も働き続けられないのが現実の姿です。区内の事業所から「正月でも休みがとれなかった」「事業を開始して二年になるが、定員がそろった月が一度もない」「つぶすことも考えてしまう」など、人材不足の悲鳴が上がっています。
高齢化が進む中、今後、全国では十年間に約六十万人の介護職員の確保が必要と見込まれ、障害者福祉関連職員も大幅な増員が必要となっています。このままでは
特別養護老人ホーム、訪問介護、障害者支援の体制が崩壊しかねない状況です。介護・福祉職員は、命を守る事業にふさわしい働きがいと身分保障を求めています。劣悪な待遇を改善するために、事業所や職員への報酬支援が不可欠です。
千代田区は、人材確保支援策として介護保険施設に労働環境の改善、職員の手当改善、人材育成に対する助成制度を創設し、府中市でも障害者施設への運営補助を行っています。
人材の確保、育成、定着のため、次の対策を求めます。1)国に対して緊急に、介護関連職員の賃金に一定額の上乗せができるよう「賃金特別加算措置」を講ずるよう求めること。2)区として、障害施設への運営費補助を行うこと。3)夜間長時間勤務を減らすための職員増員に対する資金を助成すること。4)「住宅手当」などの助成をすること。5)職員のメンタルヘルス、資格取得への助成をすること。6)職員採用後に十分な研修を行うとともに、有給の「介護職員基礎研修」を保障するための助成をすること。
以上、答弁を求めます。
次は、
後期高齢者医療制度の中止を求める質問です。
政府が四月実施を決めている
後期高齢者医療制度の第一の問題点は、国の医療負担を減らすため、七十五歳以上の高齢者を一まとめにし、受けられる医療を制限するなど、医療に年齢による差別を持ち込んでいることです。高齢者だけの医療保険制度を設けたのは、世界でも例がないと首相自身も認めています。
問題点の第二は、七十五歳以上の全員が保険料を支払うことになり、月額一万五千円以上の年金の人は年金から天引きされ、保険料は二年ごとに改定、負担が自動的に引き上がる仕組みとなっています。国民の批判を前に、政府・与党は保険料徴収を一部先送りしましたが、その対象はごく一部で、二年後には全額払うことになります。
問題点の第三は、医療機関に支払われる診療報酬を別立てにし、診療報酬を包括払いにすることです。一月の港区国民健康保険運営協議会では、医師の委員から「包括払いは必要な医療を患者に施すことができない。手抜きにつながるかもしれない」との発言がありました。医療問題を扱ったテレビ報道では、著名な医師が「
後期高齢者医療制度の施行が理解できない」と政府を痛烈に批判しています。問題の多い制度だからこそ、中止や見直しを求める意見書が全国で五百五議会にも上っているのです。
区民や医師からも大きな不安が寄せられているこの制度を、区長はどのように認識されているのか見解を求めます。この制度の四月実施の中止を国に求めるべきです。答弁を求めます。
また、港区議会でも
後期高齢者医療制度の四月実施の中止を求める意見書を提出すべきです。議長に強く要望します。
この間、広域連合議会、区市町村長会、我が党などが東京都に対して低所得者対策の保険料軽減や、健診事業への補助などを求めて要請行動を行ってきました。さらに都民の大きな運動が広がり、年金収入二百八万円以下の保険料軽減措置へとつながりました。このこと自体は評価するものです。しかし、東京都は低所得者の保険料軽減を拒否し、この軽減費用は各市町村が負担します。しかも、所得割負担がない年金収入百五十三万円以下の人は、この軽減策の対象になりません。低所得者の保険料軽減のため、国や東京都に財政負担を増やすよう求めるべきです。答弁を求めます。
「高齢者の医療の確保に関する法律」第百三条は、地方自治体が保険料を引き下げるため、一般財源投入を可能としています。港区の場合、二〇〇八年度の後期高齢者支援金と二〇〇七年度の老人保健拠出金とを比較した場合、十一月十六日現在の試算では、前年度比で十三億三千二百万円も減額となります。このお金を軽減策に活用すべきです。1)一般財源を投入し、保険料を引き下げること。2)港区独自の減免制度を創設し、被災の場合だけでなく、生活困窮も対象とすること。答弁を求めます。
「高齢者の医療の確保に関する法律」第六十二条は、「
後期高齢者医療給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」と規定。この趣旨は、いつでも、どこでも、だれもが医療を受けられる権利がある国民皆保険制度を保障するものです。区長、保険証の取り上げはしない、資格証明書は発行しないと述べていただきたい。答弁を求めます。
所得の低い人に均等割額の軽減措置があります。この軽減措置は世帯単位です。保険料の徴収の方は個人の収入で決められるが、軽減は世帯主の収入を基準にするのでは、制度上矛盾しています。国に改善を求めるべきです。答弁を求めます。
厚生労働省は地方自治体に圧力をかけてきています。健診を申し込む七十五歳以上の方たちのうち、1)血圧を下げる薬、2)インシュリン注射または血糖を下げる薬、3)コレステロールを下げる薬のいずれかを使用している人たちを、健診の対象から除外するよう通達を出してきたのです。薬の服用だけで治療していると機械的に判断することは、他の疾病を見落とす危険があり、早期発見・予防に逆行します。
1)高齢者の健康に直結する健診の改悪は、中止するよう国に求めるべきです。2)仮に国が通達を撤回しないのであれば、港区は、独自の判断で希望者全員に健診を受けさせるべきです。答弁を求めます。
次に、
特別養護老人ホームの建設について質問します。
特別養護老人ホームの待機者は一月末時点で三百九十七名です。南麻布の二百床の施設ができても二百名の方が待機しなければなりません。高齢化が進むなかで、
特別養護老人ホームの入所希望者は増えています。「
特別養護老人ホームに申し込んでも入れず、家族の介護はもう限界」、「介護している方が倒れしまう」など在宅での介護には限界があります。南麻布の施設に続く
特別養護老人ホームの建設を急ぐべきです。答弁を求めます。
次に、生活保護行政について質問します。
生活保護法は、「日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」と国民の生存権の理念に基づいて制定されています。病気や失業がたちまち家庭崩壊やホームレスにつながりかねず、貧困問題は一層深刻化しているなか、早期の自立を促す上で生活保護行政の役割はますます重要となっています。
厚生労働省は二〇〇六年四月に「生活保護行政を適正に運営するための手引」を作成、これが全国各地で生活保護の抑制、排除を生んでいます。北九州市をはじめ各地で餓死、孤独死が相次ぎ、市民運動が広がるなかで、厚生労働省は二〇〇八年度政府予算案の生活保護法の適正な実施のなかで、「生活保護を受けられるべき者が受給できるよう、漏給の防止について徹底を図る対策を強化する」と明記しました。さらに、漏給の防止対策として、「生活保護の申請があった場合、申請を受け付け、申請権を侵さないこと」、「辞退届けは本人の収入や生活状況など、自立のめどを調査し、一方的な保護打ち切りはしない」と明記しました。港区でも、「窓口に行ったが、人格を否定するようなひどいことを言われた」、「狭い部屋で二人から一時間以上も打ち切りをちらつかせる話をされ、恐怖を感じた」との苦情が我が党議員団に寄せられています。
区長は、生活保護行政が憲法第二十五条に基づく施策であるという認識をお持ちか、見解を伺います。また、厚生労働省の指示に基づいて、漏給の防止対策を徹底することを明言できますか。それぞれ答弁を求めます。
その具体策として、1)担当する職員だけでなく全職員に、憲法と生活保護法に基づいた行政対応を行うよう、再度徹底すること。2)すべての総合支所の窓口に申請者がわかるように生活保護の案内・申請書を置き、気兼ねなく申請手続きができるようにすること。3)北海道深川市が発行している「憲法二十五条で、あなたの生存権は保障されています」というパンフレットや、区長にはお渡ししてありますけれども、ポスターを参考に、生活保護制度の本来の姿を周知すること。4)一方的に辞退を迫ることや打ち切りをするようなことは直ちにやめるべきです。答弁を求めます。
次に、孤独死をなくすために質問します。
区内のひとり暮らしの高齢者は急増しており、二〇〇七年度で約五千三百人となっています。これは十年前に比べ一・五倍という数字です。昨年十二月に港南の都営アパートで、六十歳代の男性が死亡しているのが発見されました。十五日以上経過してからの発見と見られています。港区内では昨年一年間で、高齢者の孤独死は十二人ありました。死後何日もたってから発見されるというのは、尊い生命の最期としては余りにも痛ましいことです。孤独死が起きやすい特徴として、高齢者、独身男性、親族が近くに住んでいない、無職、慢性疾患を持つ、賃貸住宅に在住などが挙げられています。独居者の死因を調査したところ、倒れてから数時間から数日にわたって生存していたと考えられる事例も少なからずあり、早期に発見できれば救うことができたケースもあるということです。
ひとり暮らしの高齢者支援として、港区には緊急通報システムや訪問電話制度がありますが、緊急通報システムの利用者は約七百名、訪問電話の登録者は百五十一名で、合わせた利用者は一六%にすぎません。また、孤独死をなくす対策として、地域でのつながりを生かした「面」の対策も必要です。これから先、団塊の世代が高齢期を迎え、孤立問題はさらに深刻化することが予想され、この問題をこのまま放置することは許されません。
孤独死をなくす対策を一刻も早くとるべきです。1)ひとり暮らしの高齢者生活や、孤独死の実態を把握する部署を設置すること。2)緊急通報システムの普及を、ケアマネジャー、地域包括支援センター、民生委員、町会、自治会などの協力を得ながら促進すること。3)賃貸の集合住宅で自治会、ボランティアなどの協力による郵便物のたまりぐあいなどを確認する「見守り隊」など、地域住民相互間のつながりを生かしたネットワークづくりに取り組むこと。以上、答弁を求めます。
次に、障害者へのタクシー利用券の給付制度改善に関して質問します。
昨年末からタクシーの料金が一斉値上げとなりました。初乗り運賃だけでなく、距離加算も引き上がりました。私たち議員団へも「外出を減らさざるを得ない」などの声が寄せられています。港区は、歩行困難な障害者の生活圏の拡大と経済的負担の軽減を図るためタクシー利用券を給付していますが、今回の料金値上げにより、歩行困難な障害者の生活圏の拡大に支障を来すとともに、経済的負担も増えています。この数年間のタクシー券給付実績は二千百人程度を推移していましたが、二〇〇六年度は二千三百八十九人と増えています。タクシー利用券の増額を図るべきです。答弁を求めます。
次は、障害者自立支援法についての質問です。
二〇〇六年四月に実施された障害者自立支援法に対して、「作業所に通っているのに利用者負担では、手元に残る年金額も少なく、親が援助している」、「ヘルパーの回数を減らした」、「外出を控えている」等々多くの問題点が指摘されています。事業者からも財政逼迫で職員を削減しているなど、障害者や関係者を中心に、障害者自立支援法の廃止を求める運動が広がっています。この運動が政府を動かし、二〇〇六年十二月の特別対策に続いて、二〇〇八年度の予算案に総額百三十億円の緊急措置が盛り込まれました。今回の緊急措置では、利用者負担を低所得Iの上限額を三千七百五十円から千五百円に、低所得IIを六千百五十円から三千円に引き下げ、事業所支援を拡大、負担上限額を決める所得区分を世帯単位から個人単位に変更する等、障害者や家族の要求が一部受け入れられ、改善に向けて一歩前進しました。
しかし、自立支援医療や補装具は軽減の対象外です。障害者や事業所を苦しめている応益負担や通所施設などの事業所への日払い方式を見直さない限り、根本的な解決にはなりません。関係者を苦しめる最大の原因である応益負担の廃止、事業所への日払い方式を月払い方式に切り替えるよう国に求めるべきです。答弁を求めます。
港区は独自の軽減策としてホームヘルプサービスの負担上限額を半額にし、三種類のサービスの統合上限額を決めています。ホームヘルプサービスの利用者負担は、低所得I・IIで国の緊急措置が区の負担上限額を下回りました。区の軽減策として、すべてのサービス利用負担を三%に軽減すべきです。答弁を求めます。
次に、
福祉プラザさくら川の福祉喫茶での障害者の就労支援についての質問です。
昨年十月からさくら川の福祉喫茶で、明治学院大学の学生さんがボランティアを始めたと報道されました。この施設は、当初から施設内喫茶の手伝いとして障害者を雇用するという事業者提案がされています。当初の約束どおり、喫茶室での障害者の雇用の機会、または就労訓練の場としての本来の活用となるよう指導すべきです。答弁を求めます。
次は、住宅施策について五点質問します。
最初は、区営住宅の建て替えの促進についてです。二〇〇六年度、二〇〇七年度の区営住宅と都営住宅の地元割り当ての応募状況は、三十九・三倍から百七倍というすごい倍率です。低廉な家賃住宅を必要とする人がたくさんいます。先日、シティハイツ神明住宅の募集がありました。我が党議員団に「区がつくる住宅で所得の低い人が入れないのはおかしい」と、怒りの声が何人からも寄せられました。中堅所得者対象というシティハイツ神明住宅でも、区民の応募は三・二倍から十三・二倍という状況です。区は住宅供給をこれ以上やらないとしていますが、都営住宅やシティハイツ神明住宅の応募状況を見れば、住宅の必要性は明らかです。当面の対策として、一九七三年から一九七五年に建設され老朽化の進んでいるシティハイツ六本木・白金・芝浦の建て替え計画を早急に具体化すべきです。その際、バリアフリー化を進めること。また、障害者用住宅も併設すべきです。答弁を求めます。
第二は、家賃助成事業の復活についての質問です。芝浦港南地域を中心に大規模マンション建設が進み、子育て世代の転入によって人口の回復、子どもの人口が増えています。しかし、最近の地価の値上がりなどによって、賃貸物件にもその影響が出ています。依然として港区で子育てするのは大変です。さまざまな子育て支援策を行っていますが、家賃面での支援を行うべきです。また、高齢者をめぐる住宅事情も深刻です。安い家賃の住宅がどんどん姿を消し、家賃面での支援をしないと、住み慣れたところで生活することができなくなっています。当面、切実となっている新婚、子育て世代、高齢者の家賃助成を復活させるべきです。答弁を求めます。
家賃助成と関連し、子育て世代のマンション購入の利子補給など支援策を検討すべきです。答弁を求めます。
第三は、区民向け住宅家賃の引き下げ、凍結の継続についての質問です。党区議団の質問・提案が実って、傾斜家賃の凍結、一部住宅の家賃引き下げが行われました。貧困と格差、ワーキングプアが大きな社会問題になっています。非正規雇用で年収二百万円以下の人が一千万人を超えるという状況です。区立住宅、特定公共賃貸住宅など家賃の引き下げを行うべきです。また、傾斜家賃の凍結を引き続き継続すべきです。答弁を求めます。
第四は、都営住宅の早期建て替えについての質問です。昨年の第四回都議会定例会で、東京都は老朽化した住宅は、スーパーリフォームでなく、建て替えする方向であることを明らかにしました。青山北町アパートは昭和三十二年から昭和四十三年に建てられ、一部住戸改善がされてはいますが、早急に建て替えが必要な団地です。先ほど都営住宅の応募状況を示しましたが、建て替えは住戸数も増え、低廉な家賃の住宅を希望する多くの人たちに大歓迎されます。東京都に対し、早急に建て替え計画に着手するよう要請すべきです。答弁を求めます。
第五は、都市再生機構(UR)の住宅再生・再編計画についての質問です。昨年末、URは「賃貸住宅ストック再生・再編方針」を発表しました。現在の七十七万戸の賃貸住宅のうち、十年後に約十万戸を再編、約五万戸を削減、さらに将来は三割を削減するというのが大筋のシナリオです。この再編方針は居住者不在の密室で決められたもので、居住者から怒りの声が沸き起こり、反対運動が展開されています。規制改革会議の財界代表によって「UR賃貸住宅事業は廃止し、民間に任せよ」、「空いた土地は民間に売却せよ」などの理不尽な要求を丸飲みする形で再編方針がつくられたのです。民営化のねらいは十七兆五千億円に及ぶ資産にあり、なかでも財界・大企業は、都心の一等地に建つ団地を民間再開発のタネ地にしようとしています。日々生活している賃貸住宅とその用地を、居住者を全く無視して、勝手に再編や処分を決めるなどあってはならないことです。港区には青山地域、港南地域などに二十団地、三千九百十五戸のUR賃貸住宅があります。ここに住む人たちにとって居住がどうなるのかは大問題であり、区民生活の守り手である港区にとっても放置できない問題です。
港区として、URに対し、耐震補強等が必要であれば、必要な改修・補強等を実施し、居住者が引き続き安心して住み続けられるよう、責任を持つよう要請すべきです。また、居住者、当該自治体を無視した再生・再編方針は撤回するよう要請すべきです。それぞれ答弁を求めます。
次に、一日も早くちぃばす路線の新設・拡大のため質問します。
地下鉄の開通・延伸に伴って、都バス路線の廃止・縮小が行われ、区民から生活に便利なバス路線の確保、コミュニティバスの早期運行を求める請願が、二〇〇二年三月から二〇〇七年二月までの間に七件区議会に提出されて、すべて全会一致で採択されています。区は、この間七回にわたって「港区地域交通のあり方検討委員会」を開きました。委員会では、区民公募の委員から「ちぃばすの運行拡大の具体化を検討すべき」との発言がたびたびあったにもかかわらず、具体的検討をせずに、調査を改めて行う必要があるとの報告書がまとめられました。区民からは「何のための委員会だったのか」との批判の声が上がりました。
昨年十月に実施された「地域交通サービス向上のための基礎調査」の結果では、新路線の導入について、「導入した方がよい」が三六・八%、「しなくてよい」が九・四%。地域交通に求めるものとして、第一位が高齢者、障害者の移動、二位が総合支所、区民センター、病院への移動、三位が自家用車をやめ混雑緩和、環境への配慮となっています。また、ちぃばすの継続・導入の際の判断基準として、五〇%の方が「運行に必要な費用の半分程度の運賃収入が見込めればよい」、「余り見込まなくてよい」と答え、経費がかかっても路線の拡大を望んでいます。区民の願いは明らかです。一日も早く路線拡大の具体化に踏み切るべきです。答弁を求めます。
最後は、学校給食についての質問です。
ガソリンの高騰と小麦などの原材料が値上がりしています。政府の小麦売り渡し価格が四月から三〇%値上げされることが決まり、さらに食品、食用品の値上げに拍車がかかります。電気・ガス料金も四月から値上げされます。学校や保育園の給食の食材への影響が懸念されます。諸物価値上げの影響で、成長期の子どもたちの給食内容にしわ寄せをしてはなりません。食材の変更、デザートの変更などによって給食内容が後退しないよう、諸物価高騰に見合う財政支出を予定すべきです。区長、教育長の答弁を求めます。
以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問いたします。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、税制改正等による区民生活への影響についてのお尋ねです。
まず、痛みやわらげ手当の実施についてです。区は、既に平成十八年度当初から国民健康保険や介護保険を中心に激変緩和策を講じております。また、高齢者サービスを利用している方のうち、利用者負担額が増える方につきましては、平成十九年度、二十年度の二年間、負担軽減を行ってまいります。したがいまして、区は手当の実施については考えておりません。
次に、住民税減税についてのお尋ねです。
区独自の税制度を検討するには、税制度の原則である公平性の確保をはじめ、その他さまざまな面からの検討が必要です。住民税は基礎的自治体にとって基本的な税であり、全国的に制度の均衡も必要であるものと考えております。区の歳入の根幹をなす特別区民税収入は、人口や景気の動向に左右されやすいこと、また、減税を実施した場合には、納税者間の公平性に問題を伴う可能性があることなどから、減税の実施は困難と考えております。
次に、国民健康保険料の独自減免の実施についてのお尋ねです。
保険料の減免については、特別区統一保険料方式のもとでの共通基準によって、自然災害、疾病及び事業の破産等一時的に生活が困難な状況となった場合において、減免をするかどうかを決定しております。現在、区においては、生活困窮などが認められる方に対しては、保険料の軽減措置の適用や、きめ細かい相談に応じるとともに、減免の趣旨に沿い適切な制度の運営に努めております。今後とも、この制度のお知らせの充実や、よりきめの細かい運営に努め、さらに適切に対処してまいります。
次に、住みつづけられるまちづくりについてのお尋ねです。
まず、絶対高さ制限の設定についてです。絶対高さ制限は、景観に配慮し、スカイラインをそろえるために地区計画等の都市計画で定めるものであり、地域住民の発意と合意が重要と考えております。今後、地区計画等の策定が地域住民の参画により促進されるよう、地域のまちづくり活動を一層支援してまいりますとともに、良好な景観形成に向けて、地区特性に応じた建築物の高さの基準など、景観計画の検討に取り組んでまいります。
次に、再開発事業への税金投入の中止についてのお尋ねです。
市街地再開発事業は、地域の大小さまざまな権利者が計画段階から、権利変換、管理運営までかかわることのできる共同事業です。また、住宅の供給や道路、広場、緑地など都市基盤を整備することにより、災害に強い、安全で安心なまちづくりを実現する都市計画事業でもあります。このため、補助金につきましては、事業を推進する再開発組合などに対し、事業の規模や地権者の権利の大小を問わず、事業の内容などを適切に評価した上で執行してまいります。
次に、指定管理者制度の見直しについてのお尋ねです。
区では、平成十八年四月から指定管理者制度を導入し、現在六十九施設について指定管理者による管理運営を行っています。導入した施設では、利用者の大幅な増加や事業内容の拡大などの効果が現れています。一方で、区は毎月のモニタリングにより、指定管理者の管理運営状況を確認し、施設の適正な管理と質の高い区民サービスの提供の確保に努めています。区は、昨年十一月に決定した「指定管理者制度に関する基本的考え方」に基づき、民間事業者等が持つノウハウやアイデア、専門性などを活用することにより、効率的で効果的な区民サービスの提供が可能となる施設については、積極的に指定管理者制度の導入を進めてまいります。今後とも区は、指定管理者制度の導入いかんにかかわらず、施設の安全・安心の確保など公の施設の設置者として、責任を果たしてまいります。
次に、公立保育園の増設についてのお尋ねです。
芝浦港南地区を中心として、既に新たな保育施設の設置に向け取り組んでおります。さらに、区全体にかかる保育施設の整備計画は、本年度に行う人口推計をもとに、保育需要を十分に精査し、保育施設の整備と認証保育所の誘致等について、既存園の改築も含め、早急にまとめてまいります。
次に、高齢者や障害者の介護・福祉サービスの人材確保についてのお尋ねです。
まず、介護職員の賃金を改善するように国に求めることについてです。拡大する介護サービス需要への対応と質の高い介護サービスの安定的かつ継続的な提供を図るためには、人材確保と介護従事者の労働環境の整備が必要です。
一方、国は現在、介護サービス事業者や介護従事者の実態を調査し、人材確保を踏まえた介護報酬の設定について検討しております。区は、今後とも国の動向を注視しつつ、介護報酬の設定に当たっては、特別区の物価水準などの実情を踏まえるよう、東京都や特別区区長会等を通じて、国に対して要望してまいります。
次に、区として障害者施設への運営費補助を行うことについてのお尋ねです。
区では、平成二十年度から、障害者自立支援法に基づく事業者に移行する施設に対し、現行の収入水準を維持できるよう支援してまいります。また、国では、平成十九年四月から、法内施設について、障害者自立支援法の施行以前の報酬の九〇%を保障しております。さらに、平成二十年四月から通所サービスの報酬単価が引き上げられるとともに、平成二十一年四月には、障害福祉サービスの質の向上、良質な人材の確保と事業者の経営基盤の安定のために、サービスの額について見直されることとなっております。これらの内容は大きな見直しであり、区は、国の今後の具体化の動きを注視し、適切に対応してまいります。
次に、夜間長時間勤務を減らすための職員増員に対する資金助成についてのお尋ねです。
区では、区立
特別養護老人ホームに対し、看護職員及び介護職員の夜間勤務の体制強化にかかる費用についても指定管理料の中に含めております。ご指摘の事業者に対する助成については、今後、予定されております国の介護報酬改定の動向を見据えながら、慎重に検討してまいります。
次に、住宅手当などの助成についてのお尋ねです。
区は、現在、
特別養護老人ホームに対する運営費補助や民間デイサービスセンターへの食事提供補助などを実施しております。今後、住宅手当の支給につきましては、介護報酬の改定などの動向を踏まえ慎重に検討してまいります。
次に、職員のメンタルヘルス、資格取得への助成についてのお尋ねです。
介護サービスを支える人材の技術向上を図り、人材確保を積極的に進めていくためには、介護事業者に対する支援が必要です。そのため、区では、平成二十年度から優良事業者に対する表彰制度の創設や、各種研修会の充実等に取り組み、介護サービス事業者の質の向上を推進してまいります。なお、職員のメンタルヘルスや資格取得への助成につきましては、現在のところ考えておりません。
次に、職員採用後の十分な研修と有給の「介護職員基礎研修」を保障するための助成についてのお尋ねです。
区は、従来から介護サービスの質の向上を図るため、採用後の職員を対象としてケアマネジャー研修会や訪問介護員現任研修会等を実施しております。今後とも、現場の介護従事者の技術向上を図るとともに、研修参加者の意見・要望等を踏まえた研修会を実施してまいります。有給の「介護職員基礎研修」を保障するための助成については、現在のところ考えておりません。
次に、
後期高齢者医療制度についてのお尋ねです。
まず、
後期高齢者医療制度への認識についてです。ご承知のとおり、我が国は世界最長の平均寿命と高い医療水準を達成してきております。こうした中で、今回の医療制度改革における
後期高齢者医療制度の創設は、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現のための仕組みづくりとして、必要であると考えております。
次に、四月実施の中止を国に求めることについてのお尋ねです。
後期高齢者医療制度の実施に当たって、国においては七十五歳以上の被扶養者の保険料についての激変緩和措置を実施いたします。さらに、東京都
後期高齢者医療広域連合においても、保険料についての特別対策や低所得者対策を実施いたします。このように
後期高齢者医療制度の実施に当たっては、高齢者の立場に立ったきめ細かな対応に努め実施してまいります。したがいまして、四月実施の中止を国に求めることは考えておりません。
次に、国や東京都に財政負担を増やすよう求めることについてのお尋ねです。
東京都
後期高齢者医療広域連合では、低所得者対策として年金収入二百八万円以下の方に対して、所得割を減額する措置を講じることとしました。このような低所得者対策などに必要な財政支援につきましては、特別区区長会、東京都市長会及び東京都町村会の合同で東京都に要望してまいりました。これに対して、東京都からは保健事業及び制度立ち上げ経費として約十七億円の財政支援が行われることになりました。また、国に対しては、一都三県の広域連合長から調整交付金の別枠化などを要望してきているところです。引き続き、特別区区長会などを通じて、粘り強く要望してまいります。
次に、一般財源を投入し保険料を下げることについてのお尋ねです。
東京都広域連合の保険料算定においては、保険料を抑制するための各種施策を実施することになっております。具体的には、葬祭事業を区市町村の政策判断として保険料算定から除いたほか、審査支払手数料、財政安定化基金拠出金及び保険料未収金補てん分について、区市町村が一般財源を投入することにより保険料を軽減しております。さらに、年金収入二百八万円以下の人に対する保険料軽減措置なども行ってまいります。これらの施策に対して、六十二区市町村で総額約百億円の一般財源を投入して保険料軽減を行いました。保険料につきましては、このような経過の上で、東京都
後期高齢者医療広域連合で定めた算定方式を遵守してまいります。
次に、区独自の減免制度の創設についてのお尋ねです。
後期高齢者医療制度におきましては、後期高齢者広域連合が条例で定めるところによって保険料を減免し、またはその徴収を猶予することができるとしています。この条例では、世帯主の死亡や長期入院などによる収入の減少、事業の休廃止や失業等による収入の減少の場合も減免の対象と規定されています。区といたしましては、生活困窮が認められる人も含めまして、きめ細かい相談に応じるとともに、減免の趣旨に沿い適切な制度の運営に努めてまいります。
次に、被保険者証の取り上げや資格証明書を発行しないことについてのお尋ねです。
資格証明書は、特別な事情があると認められる場合を除いて、一定期間にわたり保険料を滞納した場合に交付するものです。低所得の被保険者につきましては、保険料を所得に応じて軽減するほか、保険料の減免や分納のご相談など、きめの細かい対応をしてまいります。広域連合では、各区市町村で統一した対応が図れるよう、資格証明書取扱い要綱及び発行基準を作成することとしております。資格証明書の発行に当たっては、支払い能力など総合的に勘案して最終的には広域連合が決定することになります。しかしながら、区としても、適正な運用が図られるよう、注視していくとともに、広域連合と連携して慎重な運用に努めてまいります。
次に、均等割額の軽減措置の改善を国に求めることについてのお尋ねです。
保険料の賦課に当たって、
後期高齢者医療制度においては、介護保険と同様に被保険者個人単位で保険料を賦課します。しかしながら、保険料の軽減判定所得は世帯単位となっております。このことは、制度の対象者の大半が住民税非課税であることや、社会実態として生計の単位が世帯単位であることを考慮し、世帯単位が適当と考えているものです。したがいまして、均等割の軽減措置の改善を国に求めることは考えておりません。
次に、健康診査の対象除外中止を国に求め、希望者全員を受診させることについてのお尋ねです。
東京都広域連合では、後期高齢者の健康診査については、特定健康診査の必須項目を健診項目として実施することとしております。また、区としても健康診査の受託に当たっては、現在行っている成人健康診査と同様に、希望する方が全員受診できるよう配慮してまいります。したがって、健康診査の対象外中止を国に求めることは考えておりません。
次に、
特別養護老人ホームの建設についてのお尋ねです。
区は、平成二十一年度に開設予定の南麻布四丁目の
特別養護老人ホームに二百床を整備することで、大幅な待機者の減少を目指しております。また、同施設には
介護老人保健施設、介護対応型のケアハウス、
認知症高齢者グループホームなど定員百名を超える入所、入居施設を整備します。その後の施設整備計画につきましては、高齢者人口及び要介護認定者数の推移や総合的な介護予防の効果等を見据えながら、平成二十年度に策定予定の高齢者保健福祉計画において検討してまいります。
次に、生活保護行政についてのお尋ねです。
まず、生活保護行政が憲法第二十五条に基づく施策であるとの認識についてです。生活保護制度は、ご指摘のとおり、憲法第二十五条に規定する理念に基づき、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的として行われていると承知しております。
次に、厚生労働省の指示による漏給防止対策の徹底についてのお尋ねです。
生活保護は、国民生活のセーフティーネットとなる制度です。保護を受けるべき人が受けられるよう、相談・申請時における適切な窓口対応や保護廃止時の取り扱い等、国の指導や法令等を遵守し、漏給防止のための対策を徹底してまいります。
次に、全職員に憲法と生活保護法に基づいた対応を行うよう徹底することについてのお尋ねです。
生活保護行政に従事する職員はもちろん、すべての職員が憲法や生活保護法の理念を理解し、行政の対応に生かしていくことは大切なことです。したがいまして、区としては、生活にお困りの方が、必要な保護を受けることができるように、職員に対して生活保護制度を周知してまいります。
次に、総合支所窓口での生活保護の申請手続きについてのお尋ねです。
生活保護の申請は、申請者の重要なプライバシーにかかわるものです。また、区は、生活に困窮して相談のため来所された方に対し、理解と納得が得られるよう丁寧に説明する必要があります。窓口には申請書等は置いておりませんが、緊急に保護が必要な場合には即時に開始するなど、迅速な対応を行っております。
次に、生活保護制度の周知を図ることについてのお尋ねです。
区では、暮らしのガイドやホームページ等を通じて、生活保護制度の周知を図っております。また、相談に訪れた方には、生活保護についてわかりやすく記載した「生活保護のしおり」をお渡しし、生活保護の内容についてご理解をいただけるよう努めております。今後も、生活保護制度の周知に努めてまいります。
次に、被保護者への指導や廃止決定の方法についてのお尋ねです。
生活保護制度は、保護受給者にとって重要な生活のセーフティーネットであることを認識し、保護を受ける権利と、あわせて生活上の義務について粘り強く説明しております。現在も一方的打ち切り等は行っておりませんが、今後も、被保護者の事情をよく把握し、適切な運用を図ってまいります。
次に、孤独死の防止対策についてのお尋ねです。
まず、ひとり暮らし高齢者の生活や孤独死の実態を把握する部署の設置についてです。区は、現在、各総合支所や地域包括支援センターに寄せられている高齢者の生活や孤独死の情報などを高齢者支援課において把握し、孤独死防止の体制づくりの取り組みを行っております。今後も、高齢者の孤独死防止のため、積極的に取り組んでまいります。
次に、緊急通報システムの普及の促進についてのお尋ねです。
高齢者緊急通報システムは、六十五歳以上のひとり暮らし高齢者または世帯全員が六十五歳以上の方を対象に実施しております。区では、これまでも、広報みなと等により事業の普及に努めておりますが、緊急時の対応には、自宅のかぎを事業者に預けることが必要であることなど、本事業内容について、さらに丁寧にご理解を求めていくことが大切です。今後も、民生・児童委員や関係機関と協力し、PR用リーフレットをひとり暮らし高齢者のすべての世帯に配布することなど、事業の普及促進に取り組んでまいります。
次に、地域住民相互間のつながりを生かしたネットワークづくりに取り組むことについてのお尋ねです。
高齢者の孤独死防止のためには地域住民相互のつながりが大切です。そのため、区は、今年度から青山地域においてモデル事業として、地域の実情に合わせた高齢者セーフティーネットワークの構築に取り組んでおります。あわせて、町会・自治会、民生・児童委員や医師会など地域関係機関の連携により、平成十九年十一月に「
高齢者地域支援連絡協議会」を設置いたしました。また、本年一月には多くの方の参加を得てシンポジウムを開催したところです。今後も、地元町会・自治会を中心に、民生・児童委員などと連携し、高齢者を細やかに見守り支えていく地域ネットワークづくりに取り組んでまいります。
次に、障害者への「タクシー利用券の給付制度」改善についてのお尋ねです。
区は、障害者福祉施策の一つとして、障害者の生活圏の拡大と経済的負担の軽減を図ることを目的にタクシー利用券を給付し、乗車料金の一部を補助しております。タクシー利用券の給付額につきましては、平成十八年度に一万円増額し、現在、年額四万円としております。現時点で増額することは考えておりませんが、今後、さまざまな状況を見ながら適切に対応してまいります。
次に、障害者自立支援法についてのお尋ねです。
まず、応益負担の廃止、事業者への日払い方式の月払い方式への切り替えを国に求めることについてです。国において、昨年十二月「障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた緊急措置」が示されました。これにより、本年四月には、通所サービスの報酬単価が引き上げられます。また、七月には、月額負担上限額をさらに引き下げるとともに、十八歳以上の障害者の所得区分を個人単位で判定することや、軽減措置を受けられる障害児世帯の拡大などの措置がなされます。これらの内容は大きな見直しであり、区は、今後の国の具体化の動きを注視し、適切に対応してまいります。
次に、区の軽減策としてすべてのサービス利用料負担を三%に軽減することについてのお尋ねです。
区は、重度の障害があり、多くのサービスを利用する方に対し、利用ごとの負担率の軽減ではなく、月額の負担上限を抑える軽減策をとっております。国からも特別対策の実施に加え、さらなる利用者負担軽減のために緊急措置が示されております。区独自にサービス利用負担を三%に軽減することにつきましては、現在のところ考えておりません。
次に、
福祉プラザさくら川の福祉喫茶での障害者の就労支援についてのお尋ねです。
平成十八年五月に開設した
福祉プラザさくら川の喫茶室は、現在、
特別養護老人ホーム「新橋さくらの園」の地域交流事業として、学生ボランティアがその運営を手伝い、施設利用者やその家族などが集う場として活用されております。今後、喫茶室の運営については、障害者による手づくりパンを販売するなど、知的障害者施設利用者の訓練の場として活用していきたいと聞いております。区といたしましても、早期に就労訓練の場としての活用がなされるよう、連携・協力してまいります。
次に、住宅施策についてのお尋ねです。
まず、区営住宅の建て替えの促進についてです。区営住宅につきましては、耐震性能や劣化状況などの建物の現状を十分勘案し、工事期間中の仮住居の確保等の課題も踏まえ、平成二十年度の「第二次港区住宅基本計画」の改定にあわせ、改修や建て替え計画を検討してまいります。建て替えに際しては、高齢者や障害者等の入居に配慮したバリアフリー化を進めてまいります。
次に、家賃助成事業の復活と子育て世代への支援策についてのお尋ねです。
区は、人口が順調に回復していることや、事業効果が時限的なことから、家賃助成事業の復活は考えておりませんが、本年四月に開設する特定公共賃貸住宅「シティハイツ神明」において、高齢者や子育て世帯などを対象として、家賃を低廉化する支援を行ってまいります。今後、子育て世代への支援策も含め、区民が安心して住み続けられる住宅施策について、「第二次港区住宅基本計画」の見直しの中で幅広く検討してまいります。
次に、区民向け住宅家賃の引き下げ、凍結の継続についてのお尋ねです。
区は、平成十九年四月から一部の特定公共賃貸住宅の家賃を引き下げるとともに、平成十六年十二月から実施してまいりました特定公共賃貸住宅及び区立住宅の傾斜家賃の凍結を平成二十一年三月まで延長しております。今後は、平成二十一年四月に施行される公営住宅法令等の一部改正による収入基準等の見直しにあわせ、区民向け住宅の家賃等について検討してまいります。
次に都営住宅の早期建て替えについてのお尋ねです。
都営住宅青山北町アパートの将来計画につきましては、区としても大きな関心を持っており、これまでも情報の収集に努めてまいりました。しかしながら、現時点で具体的な計画はないと東京都から聞いております。区は、今後も東京都に対し、早期の情報提供を要望してまいります。
次に、独立行政法人都市再生機構に耐震改修を実施するよう要請することについてのお尋ねです。
耐震改修促進法では、一定規模以上の賃貸住宅について、所有者が耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならないことを規定しております。区は、都市再生機構に対して、耐震改修促進法に基づき、耐震診断及び耐震改修について必要な指導及び助言を行ってまいります。
次に、都市再生機構に住宅再生・再編方針を撤回するよう要請することについてのお尋ねです。
「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」の中で示された団地別整備方針につきましては、都市再生機構としての案であり、順次、団地自治会や地方自治体に対し、説明や意見交換等を行った上で決定するとしています。区は今後、具体的な内容ついて説明を受けた上で適切に対応してまいります。
次に、ちぃばす路線の新設・拡大についてのお尋ねです。
区は、港区地区交通のあり方検討委員会から、ちぃばす運行開始後の区民の移動ニーズ等を把握する必要があるとの提言を受け、平成十九年十月にアンケート調査等を実施しました。現在、アンケート結果を踏まえ、区としての地域交通サービスの取り組み方針をまとめているところです。平成二十年度には都バスやちぃばす等、現在の交通手段の運行改善や新たなサービスの導入等の具体的な実施計画を定め、平成二十一年度から地域交通サービスの改善に取り組んでまいります。
最後に、保育園の給食についてのお尋ねです。
子どもたちの健やかな成長にとって食も重要です。したがいまして、食材の値上がりがあったとしても、給食内容が後退しないよう適切に対応してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員のご質問にお答えいたします。
学校給食についてのお尋ねです。
現在、区では、食材料の安全に配慮した学校給食を実施しております。また、安全で安心な食材の確保のため、減農薬や有機栽培の野菜や米を公費で購入するなど、エコ給食ネット事業の拡充にさらに努めております。したがいまして、大豆、小麦など、食材料の購入単価が上昇ぎみではありますが、現在の給食費の中で、従来どおりの給食を提供できるものと考えております。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
〔一番(大滝 実君)登壇〕
○一番(大滝実君) 幾つか再質問をさせていただきます。
区長は、四年前の施政方針で「安全で安心して暮らせる
地域社会づくり」というのが最重要課題というふうに掲げたわけでありますけれども、確かに「安全で安心して暮らせる
地域社会づくり」というのは、防災や防犯、こういう面も大事ではありますけれども、何よりも安心して住み続けられる、このことが大事ではないでしょうか。莫大な税金を使って区民を追い出すことがやられており、平穏に暮らしていた家庭が再開発の名で追い出されて壊されていく。そういう実態があるわけで、これでなぜ安全・安心と言えるのでありましょうか。そういう意味では、再開発の税金投入は絶対にやめるべきです。答弁を求めます。
それからもう一つは、「安全で安心して暮らせる
地域社会づくり」には、港区に希望を持って移り住んでこられた若い世代が安心して子育てができる、そういう環境づくりを行う。こういう点が大事ではないでしょうか。
区長は、四年前の施政方針で五つのアクションプランということを掲げていました。その中に保育園の待機児童の解消というのが述べられているわけですけれども、実際上は、先ほども申し上げましたように、四年前よりも待機児童は増えているわけであります。ここには人口推計の誤りや、あるいは日本共産党の区議団が何度もこれまで要求してきましたけれども、そういう声を聞かなかった。そういう問題があるわけであります。そしてまた、認証保育所や民間に任せる、そういったところにあるわけで、そういう意味では、区が責任を持って保育所をつくって待機児童を解消していく。そういう具体的な計画を示していただきたい。待機児童が増加しているということは、そういう意味では、公約違反のそしりも免れないということを申し上げたいと思います。
もう一つは、高齢者や障害者の介護福祉サービスの人材確保について質問いたしますけれども、私も幾つかの事業所に聞いたところ、今、人材確保が大変な状況になっているわけです。募集をかけても、ハローワークからも、あるいは民間のリクルートなどからも全く来ないというような状況があったり、そのためにさまざまなつてを頼って人集めをするというような状況もあるわけです。ですから、遠くから人を雇うと、その交通費だけで赤字になってしまう、そういうような実態もあるわけです。そういう意味で事業所への助成などもさらに強めていただきたい。特に四月からのガスや電気の値上げによって介護施設の事業所は一層大変な状況になるわけでありますから、そういう意味では、さらに助成を増やすことや、先ほどの住宅手当については、ぜひとも実施をお願いしたいと思います。
それから三つ目には、生活保護行政の問題について質問します。
北九州市で生活保護を受けられなかったり、打ち切られたりして、男性三人が相次いで孤独死した事例の検証が行われたわけですけれども、先日、最終報告が出されましたけれども、その中では、生活保護の打ち切り、あるいは申請を受け付けない、そういった問題が指摘されました。申請した人が窓口に来ても、相談に来たということだけで処理をする。これを水際作戦と言うのだそうですけれども、そうやって相談ということで、実際上は申請させない、そういう取り組みをしているわけであります。
それに対して、先ほどもご紹介しました深川市の場合は、「憲法二十五条であなたの生存権は保障されています」、こういうことでこれが憲法で守られている、当然の権利である、こういうことを徹底しているわけです。先ほど港区のしおりがありますと言われましたけれども、ここにはどう書いてありますか。「生活保護について相談なさりたい方は、生活福祉係までお問い合わせください」、こういうふうになっております。相談をしたい方は、こういうことで、結局は相談でとどめるというふうになっていく、こういうことにつながっていくわけであります。そのためにも、ぜひとも申請がすぐ受けられるように申請書を窓口に置くなり、あるいは憲法で保障されている当然の権利である、こういったことを徹底するということをお願いしたい。
それからもう一つは、生活保護の辞退をしつこく迫るというのが北九州市の生活保護を削減していくもう一つのやり方であるわけですけれども、これは港区でも幾つか、これまでも苦情が私どもにも寄せられております。先ほど紹介しましたけれども、狭い部屋で二人がかりで辞退を迫る。まるでテレビドラマの警察での取り調べ、ああいったことを想像されるような、いわば容疑者的な扱いみたいな、そういったようなことで辞退を迫る。そういうことをされたということや、あるいは病院に行きたいということで窓口に行ったら、「どこに行きたいんだ」とか、あるいは「だれが悪いんだ」とか、大声でどなりつける。そういった事態も起きているということが寄せられています。区長の言うように意識改革を進めてきたというのであれば、この内容を見れば、意識改革は実行されていないということが言えるのではないでしょうか。憲法と生活保護法に基づいた行政を進めるというのであるならば、提案した具体的な改善策を実施すべきであると思います。明確な答弁をお願いいたします。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての大滝実議員の再質問に順次お答えいたします。
まず、再開発事業への補助金についてです。
補助金につきましては、今後も地権者の保護や公共施設の整備のために支援を行う必要があり、抜本的見直しは考えておりません。市街地再開発事業は、道路、公園、広場などの公共公益施設を十分に設けることにより、防災性や居住環境に配慮した一体的な整備手法として今後も有効に活用していく必要があります。
次に、保育施設の増設についてのお尋ねです。
新たな保育施設を早期に設置する整備計画に着手しております。区全体の保育施設の整備について、保育需要を十分精査した上で、検討し、お示しいたします。
次に、介護事業者への助成についてのお尋ねです。
現在、
特別養護老人ホームに対する運営費補助や民間デイサービスセンターへの食事提供補助などを実施しております。今後、介護報酬の改定などの動向を踏まえ、慎重に検討してまいります。
最後に、生活保護についてのお尋ねです。
港区は、法の目的や国の実施要領等を遵守して生活保護行政を行っております。生活保護の相談において、法律上認められている申請権を侵害しないよう、また、申請権の侵害を疑われることがないよう適切な窓口対応を行ってまいります。また、区民に接する職員には、丁寧に話を伺い、必要な窓口へご案内するよう接遇技術の向上を図っております。特に生活に困窮する方へは、必要な保護を受けられるよう連携を適切に図り、また、十分な説明を行ってまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○一番(大滝実君) 時間もありませんので、自席から一言申し上げます。
武井区長は、所信表明で六月の区長選挙に出馬する意志を明らかにしましたけれども、私は、質問の中で区民の深刻な暮らしの実態を紹介し、区長に対して、区民の暮らしを守るための提案を行いましたけれども、冷たい答弁に終始しております。私ども日本共産党は、再開発事業などへの莫大な税金投入を中止し、区民のための区政へ転換させるため、多くの区民との協働を広げ、全力で奮闘する決意を表明して、質問を終わります。
○副議長(風見利男君) お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(風見利男君) ご異議なきものと認め、時間は延長されました。
二十二番古川伸一議員。
〔二十二番(古川伸一君)登壇〕
○二十二番(古川伸一君) 平成二十年第一回港区議会定例会にあたり、公明党議員団を代表して、区政運営の諸課題について、武井区長並びに教育長に質問いたします。
具体的な質問に入る前に、所信表明で述べられた区長在任四年間の実績並びに平成二十年度の区政の方向性について意見を述べさせていただくとともに、質問させていただきます。
先ほど区長は、区役所・支所改革の推進など七項目にわたる取り組みと成果を述べられました。区長は、最重要課題として掲げた「安全で安心して暮らせる
地域社会づくり」の中で、「
安全安心施設対策基金」の創設や区有施設の迅速な補修の実施、
アスベスト調査の実施とともに、施設を所管する職員の意識改革を図るため安全講習会の実施を通じて、安全を常に意識した施設の管理運営の徹底に取り組んだとしております。
平成十八年に起きた
シティハイツ竹芝でのエレベーター事故が教訓となっておりますが、そこで浮き彫りになったことは、エレベーター製造業者やメンテナンス事業者の危機管理の意識の欠如、また、区有施設にあって、緊急連絡体制の不備等が指摘されたところであります。こうした危機管理体制の欠如は、仕事への慣れや対応力の低下が事故原因の一つと思われます。
平成二十年度の区政の方向性では、最優先課題と位置づけた、生活安全、災害対策、救急医療をはじめ、地域特性を踏まえた人にやさしい魅力と活力に満ちたまちづくりの取り組みまで六項目にわたって具体的な取り組みを掲げられました。どの施策も区民生活に直結する事業であり、確かな成果として結実させていただきたいと思います。
私は、エレベーター事故を通して、危機管理体制の欠如とともに、仕事への慣れ、対応力の低下を挙げましたが、施策展開に当たって、事業にかかわる人の総合的な対応力の向上が必要と考えます。どんな組織も次代の人材が育ち、全体として対応力を持った組織でなければなりません。団塊の世代が退職を迎える今、次の時代を支える組織のありようを考えるときと考えます。
区の事業は、地方分権の流れの中で今後も複雑多岐にわたることになります。専門的な職能を持った人の確保、人材の育成、力を結集できる組織編成が今こそ求められるときと考えます。こうしたそれぞれの視点について、冒頭、区長の見解をお伺いしたいと思います。
次に、港区の平成二十年度に向けた予算編成と今後の財政運営についてお伺いいたします。
平成二十年度は、港区基本計画「やすらぎある世界都心・MINATO」に掲げる、「区民の誰もが誇りに思えるまち・港区」のまちづくりを着実に進めるために策定した計画事業の総仕上げをする重要な年であります。また、誰もが安心して働き、暮らし、未来を担う子どもたちをはぐくむ地域社会の構築を目指し、地域の課題は地域で解決することを目標に、先駆的な取り組みとして区役所・支所改革を推進し、現在では着実に定着しつつあります。区民に身近な総合支所を拠点に、区民が主体となって地域の力を発揮し、将来に向けての先駆的な施策、前向きな取り組みについては評価するところであります。
一方、地方分権改革については、国の三位一体改革による国庫補助負担金の削減と税源移譲や税制改正などの影響、さらには国の関与が一部残るなど、改革には不十分、不透明さが残っております。さらに、特別区においては、都区間の事務配分や税財源配分の考え方には大きな隔たりがあり、今後の財政運営の影響については、引き続き注視するところであります。
そこで、港区の平成二十年度の予算と財政運営について何点か質問いたします。
第一点は、道路特定財源の暫定税率についてであります。現在、国会では平成二十年度予算案や関連法案の取り扱いについて論議されております。中でも、ガソリンなどの揮発油税の暫定税率をめぐり、本格論議が展開されておりますが、もし暫定税率が廃止された場合、地方へ与える影響は大変大きいものがあります。例えば、現在取り組んでいる事業の縮小や凍結が余儀なくされ、さらには来年度予算への影響が懸念されるところです。地方全体の影響額は、現在の試算で、地方への税収減が約九千億円、暫定税率分を財源としている臨時交付金と合わせると約一兆六千億円の減収。東京都では約千二百四十億円の減収。港区においては、道路特定財源による譲与税や国庫補助金等を合わせて、平成十八年度決算から試算すると、約十一億円余の減収が見込まれています。こうした事態を避けるため、地方六団体は暫定税率維持の緊急声明を発表。また、全国千七百九十四の自治体をはじめ、東京二十三区特別区区長会においても維持を求める要請がなされたところであります。
今後、国の税財政改革の動向が大変注目されるところでありますが、こうした状況を踏まえ、道路特定財源の暫定税率について、区長はどのようにお考えなのかお伺いいたします。
第二点は、平成二十年度の予算の評価についてであります。港区の一般会計の予算規模は千八十九億円余と前年度当初予算対比で十二億円、一・一%の増で、内容的には、子育て環境の充実をはじめ、環境・教育施策、区民の誰もが安全・安心で暮らせる実現に向けての新規事業が六十七、臨時・レベルアップなどを含め合計二百四十二事業、三百六十七億円余を計上するなど積極的な予算となっています。
歳入面では、財政基盤を支えている特別区民税収入も、平成十一年度以降、人口の増加傾向が好調な伸びを示してきましたが、国の三位一体改革の影響により、平成十九年度は八年ぶりの減収になります。平成二十年度は、人口増加の伸びにより、平成十九年度当初予算と比較して六十八億円の増収が見込まれているものの、改革前の特別区民税収入には及ばない状況であります。
歳出面では、資源プラスチック回収の本格実施や喫緊の課題であります待機児童解消特別事業、芝五丁目子育て支援施設及び南麻布四丁目
高齢者保健福祉施設の整備事業、妊産婦健康診査の拡充、区独自に父子家庭を対象とした児童扶養手当の拡充、さらに二十三区で初めての小・中学校の補助教材に公費負担を導入するなど、基本計画・実施計画の総仕上げにふさわしい予算編成として大いに評価したいと思います。
そこで、武井区長の平成二十年度予算に対する基本的な考えについてお伺いいたします。
第三点は、今後の区の財政運営についてお伺いいたします。区財政は、国の三位一体改革による影響を二年連続受け、改革前のレベルにまで回復しない見込みであるものの、他の自治体と比較すれば良好な状況にあると言えます。しかし、東京富裕論による地域間の財政力格差の縮小を目指す地方税制改革など、今後の区財政を取り巻く環境は不透明な状況にあります。そのような中で、港区は、膨大な昼間人口を抱える都心区特有の行政機能に加え、近年における人口の回帰への対応や、都心区ならではの行政需要の増加、さらには老朽化による区有施設の改築に伴う大幅な歳出増が予測されています。このような状況を踏まえたとき、今後、新たな基本計画の策定が進められていく上で、港区ならではの質の高い行政サービスの提供に向け、どのような財政運営を進めていくお考えなのかお伺いいたします。
次に、区長が考えておられる都心における地域自治についてお伺いいたします。
一九九〇年代後半から本格的に行われている国と地方公共団体の関係を再構築する地方分権改革の中で、二〇〇〇年に地方分権一括法が施行されました。この地方分権一括法によって機関委任事務が廃止され、さまざまな課題はあるものの、戦後日本の中央と地方との関係が上下・主従から対等・平等へとシステムが構築されました。さらに、現在、国と地方公共団体の間の税財源配分をめぐる三位一体改革が行われておりますが、財源だけでなく人と物を含めた地方への移譲として「新分権一括法案」も浮上していると聞いております。
港区でも、区長は四年前、平成十六年第二回港区議会定例会の施政方針で「地域の課題を地域で解決し、区民発意と区民参画を基本とし、身近な場所でさまざまなサービスが受けられる地域自治の姿を実現したい」と区政運営に臨む基本姿勢を述べられ、平成十八年四月に五つの総合支所がスタートいたしました。
その結果、区長の今定例会の所信表明にもありますように、総合支所の方々が積極的に地域に入り、企業や町会・自治会、地域との連携が密になったおかげで、地域が必要としている行政サービスが身近で素早く提供、まちづくりなどのワークショップを通して具体的な政策提案をしながら地域自治に携わり、地域特性に合った地区ごとの特色ある取り組み、保健福祉部門でも身近な地域での総合的な相談やサービス申請ができ、さらに緊急的なケースに素早く対応することができるなどの評価が挙げられます。
しかし、一方、機能性、有効性の観点からさまざまな課題があります。支援部と総合支所との役割分担。区民ニーズを的確に把握し、計画的、迅速に施策にどのように反映させるのか。支援部が事業の実態を正確に把握する仕組みづくり。新たな地域行政推進においては、利便性、コスト、協働の視点から、最も効果的で効率的な機能はどうあるべきかなどが挙げられます。
そこで質問いたしますが、区役所・支所改革も二年が経過いたしました。三年目で見直しすると聞いておりますが、具体的な問題点の解決に向け、検討していく段階に来ていると考えます。区長は、現段階で総合支所及び支援部に対してどのような課題認識お持ちなのか。また、どのようなスケジュールで検討結果を出すおつもりなのかお伺いいたします。
また、平成二十年度は、新たな港区基本計画の策定の年になります。少子高齢化や人間関係の希薄化、区民意識の多様化が指摘される現在、区民が安全で安心して暮らせるための都心・港区にふさわしい地域自治行政の今後について、区長はどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
次に、がん対策についてお伺いいたします。
がんは、遺伝子(DNA)の異常が蓄積していくことで発症する細胞の病気で、最近の研究では、がん細胞は健康な人の身体でも一日に五千個も発症し、その都度、リンパ球ががん細胞を攻撃して死滅させているそうです。しかし、長寿とともにDNAの突然変異が蓄積され、免疫力も落ちてがん細胞が増えていくと言われています。今でも一生涯のうちに日本人の二人に一人ががんにかかり、三人に一人ががんで亡くなっています。十年後には三人に二人ががんにかかり、二人に一人ががんで亡くなると言われています。
平成十三年頃から、がん患者などによるがん対策の請願運動が活発化し、全国規模で展開されています。それを受け、国においても「がん対策基本法」が平成十九年四月に施行され、六月には「がん対策推進基本計画」が策定されました。具体的な内容は、放射線療法及び化学療法の推進と、これらを専門的に行う医師等の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の実施、がん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促進、がんに関する研究の推進であります。
今回、在宅緩和ケアとホスピスケアについて、岩手県北上市緩和ケア支援事業と広島県緩和ケア支援センターに視察に行ってまいりました。日本で先進的と言われている広島県緩和ケア支援センターでは、二〇〇四年から実施されている緩和ケア支援室を拠点に事業展開がなされていました。支援室では四つの事業を通して、患者や家族のニーズ、希望に応じて緩和ケアサービスが受けられるように関係機関との連携体制を支援するものです。具体的には、ホームページ、図書館、見学会等で情報提供を行う。緩和ケアダイヤルで相談、時には面談も行う。医師研修、ナース育成研修、ヘルパー研修、地域連携研修を行う。がんの治療後、自宅で療養している方を対象に癒しや交流の場の提供を行うデイホスピス、緩和ケアに関する症例検討会、研修会、その他会議における講師・助言者等アドバイザー派遣などを行っています。
今回、広島県の緩和ケア支援センターを訪問して衝撃的だったことは、病気と向き合っている人が、自分の意思で、自分の好きなところで過ごせる仕組みを本当に求めているということでした。事例として、在宅ケアを決めた方が病院から家に帰ったとき、いつもの古いソファに腰かけ、「ああ、家は気持ちいい。小さくて汚いけれども、自分の家はいい」と言いながら、病院では体が痛くてほとんど眠れなかったのが、家に帰ってきただけで痛みが和らぎ、自然体でつくろげたということです。そして、家族みんなで支え合いながら、病気と向き合えたということです。
今定例会の区長の所信表明にも、がん対策として「(仮称)在宅緩和ケア・ホスピスケア支援センター」の整備計画を平成二十年度中にまとめ、具体的な支援体制の構築や事業の準備に踏み出すとあります。その実現に向けて、現在、区内の中核病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会、在宅支援診療所、訪問看護ステーションに加えて、国立がんセンターや癌研究会有明病院等がメンバーとなっている「在宅緩和ケア・ホスピスケア支援推進協議会」を立ち上げ、基本方針の検討に入っていると聞いております。
そこで質問いたしますが、国はがん対策推進基本計画において、在宅緩和ケアの推進をどのように位置づけているのか。また、港区の緩和ケア・ホスピスケアの現在の提供体制とその課題をどのように認識されているのか。また、港区健康づくり行動指針である健康みなとに基づいて、基本健診、がん検診等を通じて健康づくりが行われているところですが、がんの予防と早期発見はこれからも重要課題と考えます。港区として、今後どのように取り組まれるのか、あわせてお伺いいたします。
次に、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児(者)への支援について質問いたします。
平成十八年二月に東京都で策定した「福祉・健康都市 東京ビジョン」では、「知的障害分野や身体障害分野に比べて、必ずしも十分でない現状にある精神障害者施策や、重症心身障害児(者)及び発達障害児(者)等への支援について、多様な施策展開により充実・強化を図ります」とあります。このビジョンのもと、東京都では、区市町村においても既存の施設を活用した通所事業を実施できるよう、東京都重症心身障害児(者)通所事業実施要綱を整備いたしました。
我が会派は、平成十九年第二回港区議会定例会において、医療的ケアの方々も含めた重度障がい児・者のライフステージでのサポート体制について質問いたしましたが、区長からは前向きなご答弁をいただき、さらにこのたびの所信表明では、「十八歳以上の重度の心身障害者に日中活動の場を提供するため、『新橋はつらつ太陽』において医療的ケアを備えた新たな通所サービスを開始します」とありました。この通所サービスは、東京都重症心身障害児(者)通所事業実施要綱に基づいて行われますが、八王子市や練馬区に次ぎ、多くの区に先立って本事業に取り組まれることにつきましては、大いに評価したいと思います。
医療的ケアをされているご家族、さらに重症心身障がい児(者)のご家族からは、「長年の要望が一歩前進した」と喜びの声を伺っております。現在、医療的ケアを必要としていない重症心身障がいの方々も、体調の悪化により医療的ケアが必要になる可能性が大いにあるからです。医療や科学技術の進歩により、医療的ケアを要する在宅の子どもたちも、この港区においても増えてきております。今後、ますますこのような施設の需要は増えるものと容易に予測できますし、施設の充実ととともに、一人ひとりの命の輝きを増すことができるような支援を切に希望するものであります。
そこで、来年度から始まるこの通所サービスにつきましては、区としても重度の障がい者の方への新たな取り組みであり、課題は多いとは思いますが、どのような事業展開を考えておられるのか、区長にお伺いいたします。
一方、就学前の医療的ケアを必要とする幼児につきましては、さきにも述べましたが、医療制度が変わったこともあり、急性期を脱し、状態が落ち着くと、家族の二十四時間の医療的ケアのもと、在宅を余儀なくされる子どもたちが増えております。病院とは違って、家族の愛情やさまざまな刺激により著しい発育を示す時期でもあり、このころの養育の必要性は言うまでもありません。しかし、障がい児のための子どもの療育事業は、港区の障害保健福祉センターで行われているものの、医療的ケアについては実施されておりません。
そこで、質問は、子ども療育事業におきましても、医療的ケアを実施すべきと思いますが、区長のご見解をお伺いいたします。
次に、中小企業の事業承継の円滑化に向けた支援についてお伺いいたします。
区内の中小企業においても、経営者や技術者の高齢化が急速に進んでいます。長年、港区で誇りを持ち、情熱を傾け、高い地価などの不利な条件のもとで努力を重ねてこられた経営者・技術者の多くが世代交代の時期を迎えています。中小企業白書二〇〇六年版によれば、全国で年間平均二十九万社が廃業し、そのうち約二五%が適切な後継者が見当たらないことを理由としています。後継者不足を理由として廃業する企業は年間平均七万社、それにより失われる雇用は二十万人から三十万人に及ぶとされています。
また、二〇〇七年版の中小企業白書では、企業規模が小さくなるほど社長の交代が進まない傾向にあり、一九九一年以降、廃業率が開業率を上回る状況が続いています。区内の中小企業経営者の方から、適切な後継者や技術者が見つからない、子どもなどに土地や建物、自社株式といった事業用資産を譲る場合、相続等の問題があり困難を来しているなどの声を聞きます。事業そのものは継続可能であるにもかかわらず、廃業を考えている経営者も少なくありません。長年港区で頑張ってこられた方が事業を円滑に引き継ぐことは、雇用の確保や地域経済の持続的な発展に欠かせないものと考えます。
そこでお尋ねしますが、区は、事業承継に課題を抱えている中小企業に対し、円滑な事業承継に向けた支援を早急に検討し、実施すべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
中小企業の実情を踏まえ、我が党は、これまで事業承継の円滑化に向けた総合的支援の重要性を主張してまいりました。このたび、税制改正大綱に中小企業の後継者の相続税を大幅に軽減する事業承継税制の抜本拡充が盛り込まれ、二〇〇九年度の税制改正で整備されることになりました。
また、経済産業省の来年度予算案では、中小企業の事業承継に向けた総合的支援窓口として、「事業承継支援センター」が全国に約百カ所開設されることが予定されています。事業承継支援センターでは、廃業の危機にある中小企業と開業希望者を引き合わせ、事業引き継ぎの促進を図るほか、事業承継に関するさまざまな問題ついて、弁護士、税理士、公認会計士等の専門家による相談窓口の設置が予定されています。
そこで、次の質問ですが、区内中小企業の事業承継を円滑に進めるため、区は事業承継支援センターとのネットワークを築き、情報交換・情報の共有化を図りながら、事業承継の円滑化に向けた取り組みを一層強化していくことが必要と考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、港区シルバー人材センターへの支援についてお伺いいたします。
社団法人港区シルバー人材センターは、一般雇用になじまないが働く意欲を持っている健康な高齢者のために、地域社会と連携を保ちながら、その知識、経験及び希望に沿った就業機会を確保し、生活感の充実及び福祉の増進を図るとともに、高齢者の能力を生かした活力のある
地域社会づくりに寄与することを目的とし、地域の自主的な公益団体として発展してきました。仕事をリタイアした人が、一般の雇用は望まないが、就業を通して社会への参加、生きがいを希望する高齢者を対象とし、自主・独立の理念に基づき事業展開をしてきました。設立以来、バブルの到来と崩壊など紆余曲折をたどりながら現在に至っております。
最近、ようやく景気が回復しつつある中で、一方では、戦後生まれの団塊の世代が定年を迎えることにより、いまだ経験したことのない雇用環境を生み出そうとしております。また、行政改革の一環として「官から民へ」の考え方のもとに、公益法人の見直し、法制化された指定管理者制度の活用、市場化テストの導入などが注目されております。シルバー人材センターを取り巻く雇用環境は厳しいものがあります。港区シルバー人材センター中期計画の中でも、「指定管理者制度の導入は、センターと民間事業者等との競争が避けられない状態になります。これまで以上にコストの見直しやサービスの質の向上など民間との比較優位を発揮していくことが求められています。加えてNPOやSOHOなどの出現で、センター会員の就業機会が奪われることにもなりかねません」として危機感を募らせております。
シルバー人材センターは、現在大きな転換期を迎えているという認識に立っております。そのような状況の中で、平成十六年十一月の地方自治法施行令の改正により、シルバー人材センターに対し、政策目的による随意契約が可能になりました。本年一月十五日に「政策目的随意契約の対象となる施設(シルバー人材センター)への事務事業の発注について」という依頼書が財団法人東京しごと財団から各シルバー人材センター所管課長に届きました。依頼書の内容は、シルバー人材センターが厳しい状況にさらされる中で、センターにふさわしい受注機会が確保されるよう地方公共団体への特段の配慮を求める要請書であります。
現在、港区シルバー人材センターは、環境の変化や高齢者のニーズに対するため、収入確保や経費削減による財政基盤の強化に取り組みながら、会員の就業率を高めるなど、センターの魅力向上に取り組んでいます。
そこで伺いますが、港区としてもシルバー人材センターの設立の趣旨を踏まえ、これらの取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
次に、地域バス運行拡大についてお伺いいたします。
少子高齢化社会を本格的に迎え、まちの変化もそれに対応していかなくてはなりません。人口の増加とともに、高齢者も若い世代の人も、障がいのある人もない人も、区民の誰もが生き生きと安全・安心に暮らせる都心生活の支えとして、区の果たす役割と使命に大きな期待が寄せられております。
平成十八年にスタートした区役所・支所改革により、地域の拠点として総合支所機能がますます多様化し、地域住民にとってのサービス提供の場として期待されているところであります。また、福祉会館をはじめとした区内の区有施設や公共施設整備も進められ、社会進出への場が多く提供されます。しかし、こうしたサービスが公平に受けられるためにも、各総合支所や公共施設へのアクセスが今課題となっております。
施設整備が充実しても、特に高齢者や障がいのある方、また妊産婦や小さい子を連れた親子など、いわゆる交通弱者の施設へのアクセスを確保しないと、せっかくの区役所・支所改革の完成度も高まらないのではないかと思います。これまでも、交通不便地域の区民から、移動交通手段として地域バス拡充の期待の声が多く寄せられています。また、議会におきましても、既に各地域からの請願が全会一致で採択されております。
区では、今年度、地域交通サービスの向上の取り組みに向けたアンケート調査を実施、先日、その基礎調査結果の速報版が出ました。調査結果では、回答者の年齢は六十五歳以上の高齢者が四分の一を占めており、六十歳以上で見ると、約半数を占めていることから、特に高齢者の地域交通サービスに対する高い関心が伺えます。
また、日常生活における移動に不便を感じている地域のデータが出ています。中でも地域交通サービスに求められているのは、「高齢者、障害者等の移動の負担が大きい人の移動を助ける」が最も多く、次いで「地区総合支所、区民センター、病院、スーパーといった施設への移動を便利にする」が多くありました。現在、まちづくりの視点では、日常生活の中の徒歩圏については、港区バリアフリー基本構想により、ユニバーサルデザインを取り入れた具体的なメニューもそろいつつありますが、バスなどに乗って、もう少し遠くに移動する場合の地域交通サービスに対する区の具体的な取り組み方針については示されていません。こうした数多くの区民アンケートの調査結果を踏まえて、区はどのように地域交通サービスの改善に向けていこうとしていくのか、地域交通に対する区の役割や立場について、区長の基本的な考えをお伺いいたします。あわせて、今後、実施に向けて、どのような計画で進めていくお考えなのかお伺いいたします。
次に、JR田町駅西口の
放置自転車対策についてお伺いいたします。
JR田町駅西口の第一京浜国道沿いやその周辺の放置自転車については、これまでもその解決策についてたびたび質問してまいりましたが、そのたびに用地確保の問題などから、抜本的解決が困難な状況との答弁でありました。
現在、田町駅西口は、国道の道路整備にあわせて歩道がきれいになりましたが、依然として多くの自転車が放置されており、もはや対応が困難と言い続けられるような状況ではありません。車いすや視覚障がい者等の日常通行の安全確保はもとより、いざ災害というときの避難通路の確保すら心配な状況であります。
ところで、区は、品川駅東口のこうなん星の公園に千台規模の機械式自転車駐車場を早期に整備するため、平成十九年第四回港区議会定例会で補正予算を組み、現在は調査・設計作業中と聞いております。既存の自転車等駐車場が満杯な品川駅東口地区で新たに自転車駐車場の早期整備に向けた今回の区の取り組みは、高く評価するところであります。しかし、既に長い期間、田町駅西口周辺には八百台以上の放置自転車が存在し、著しく交通障害となっております。田町駅西口の放置自転車の抜本的対策は、何よりも優先して解決すべき課題であると考えます。
江戸川区は四月から、東京メトロ東西線葛西駅の
放置自転車対策のため、駅前地下にICタグやカードにより自動的に出し入れができる入出庫システムを備えた駐輪場を設置し、運営を始めます。先日、私は、これと同様のハイテク装置を駆使した地下機械式の自転車駐車施設を視察し、体験してきました。この機械は、自転車の収納庫が地下にあり、地上部には入庫するための比較的小さい施設を設置するだけで、一台十秒から二十秒程度で出し入れができます。これならば、公園や広場に設置しても影響は小さく、区がこうなん星の公園にこの方式を採用した理由がわかりました。特に高齢者等も地下まで自転車を運ぶ必要がないなど大変使いやすく、さらにICタグの活用により、効率的で充実した管理運営も可能となります。田町駅西口周辺には、小規模ですが都の交通局用地や田町駅西口から三、四分のところには本芝公園があります。
そこで質問しますが、これらの公有地を有効利用して、早期に地下機械式の自転車駐車施設を設置すべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。
最後に、学校教育についてお伺いいたします。
児童・生徒の学力向上の課題が、社会的な問題として関心を集めるようになって久しくなります。政府の教育再生会議では、通称PISA(ピザ)と呼ばれている国際学習到達度調査の二〇〇六年の実施結果において、日本が理数系で前回調査の成績より下回ったことや、昨年四月に実施された全国学力・学習状況調査で応用力に課題が見られることなどから、日本の児童・生徒の学力低下に危機感を強めているようです。
区では、この学力に関する課題を克服するためにさまざまな取り組みを進めていることは認識しております。区費で採用している多くの講師をはじめ、学校図書館と国語教育の充実を図るためのリーディングアドバイザリースタッフの配置、そして先ほど挙げた理数系の課題に対応するための理科教育支援補助指導員(サイエンスアドバイザー)の配置など多岐にわたっています。また、土曜日における生徒の自主的学習を支援する事業として、土曜特別講座を開講し、生徒や保護者から好評を得ているようです。これらの取り組みの成果として、学力調査の成果がよい数値としてあらわれることが期待されるところです。
しかし、一方では、その数値の変動に一喜一憂するばかりではなく、改訂される学習指導要領にも引き続き盛り込まれる予定である「生きる力」としての資質・能力の育成にじっくりと取り組むことも大事であります。また、学び得た知識・技能を十分に活用し、豊かな社会づくりに貢献する人材、国際社会で活躍する人材の育成も必要と考えます。
そこで、二点について質問します。一点目は、これまでの学力向上のための施策の成果はどのようにあらわれているのか。二点目は、「生きる力」としての資質・能力の育成に向け、具体的に実施している施策について、教育長のお考えをお伺いいたします。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
○区長(武井雅昭君) ただいまの公明党議員団を代表しての古川伸一議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、次の時代を支える組織のあり方についてのお尋ねです。
これまで区では、複雑、高度化する行政課題に的確に対応するため、執行体制を常に見直し、専門性を有し総合的な対応力を持つ職員の育成に力を入れてまいりました。団塊世代が大量に退職する時期を迎える中、今後は、これらの世代のノウハウや技術を確実に継承するため、仕事を通じた後輩職員への指導をこれまで以上に徹底してまいります。
また、新たな取り組みとして、経験者や任期付きの管理職採用などを行い、豊富な経験や能力を持った人材の確保も行ってまいります。今後とも区は、こうした有用な人材を最大限に活用できる機動性に富んだ組織を編成し、区民の安全・安心の確保をはじめ、区のさまざまな課題に迅速に対応し、区民サービスの一層の向上に努めてまいります。
次に、財政についてのお尋ねです。
まず、道路特定財源の暫定税率についてです。道路特定財源は、区民の生活に密着した生活道路、都市計画道路や子どもたちの通学路、ガードレール等の交通安全施設の整備をはじめ、橋りょうの耐震補強工事や電線類地中化事業などを推進するための貴重な区の財源です。私は、区民の皆さんの日々の暮らしに必要な道路整備等に係る財源が、今までと同様に確保されることを特別区区長会として要請しております。
次に、平成二十年度予算の評価についてのお尋ねです。
平成二十年度予算は、都心における地域自治の先進的な取り組みを着実に定着させ、真に区民に身近な区政を実現するため、地域特性に根ざした地区政策の構築に区民とともに取り組む、『区民が「地域のちから」をより実感できる予算』として編成いたしました。また、区民の安全・安心を引き続き最優先事項とするとともに、区の将来を見据え、先進性や独自性にあふれた新たな事業の創出に積極的に取り組んでおります。
そのうち特に、「明るく健やかな将来を築く」、「都心区ならではの活力に満ちた地域社会の実現」、「区民の安全で快適なくらしの創造」の三つを最重点施策と位置づけ、他の自治体の取り組みに先駆けた港区ならではの、区民生活の隅々にまで行き届いた行政サービスを盛り込んだ、積極的な予算になったと考えております。
次に、今後の財政運営についてのお尋ねです。
区の歳入の根幹をなす特別区民税収入は景気の動向に左右されやすいことや、今後の国の税制改正の動向などにより、区財政を取り巻く状況は不透明なものとなっております。このような中においても、私は、区の将来を見据え、区民の健康増進や子育て支援をはじめ、高齢者福祉、環境対策、まちづくりなど、あらゆる課題解決に積極的に取り組み、すべての区民の安全・安心な暮らしを守れるよう、港区ならではの質の高い行政サービスを提供してまいります。とりわけ、区民の安全確保のための区有施設の改築や、区民生活に必要な新たな施設建設などについて、今後、膨大な財政需要を見込んでおります。
そのため、港区財政運営方針に基づき、事業手法の改善、経常経費や人件費の圧縮など、徹底した不断の内部努力に努めるとともに、財源確保へのさらなる取り組みや、基金、区債の効果的な活用などにより、引き続き磐石な財政基盤の確立を目指してまいります。
次に、都心における地域自治についてのお尋ねです。
まず、区役所・支所改革の現段階での課題と今後のスケジュールについてです。区役所・支所改革の推進のためには、総合支所では、地域の課題を地域で確実に解決するための総合支所の役割や権限の一層の充実が重要と考えております。支援部では、全庁的な施策等に、区民のニーズや地域の視点を的確に反映し、総合支所を十分にバックアップする仕組みづくりの強化が必要と認識しております。あわせて、職員の意識改革への継続的な取り組みも必要です。区役所・支所改革をさらに推進するため、三年目の節目を迎える平成二十年度に、これらの課題解決に積極的に取り組んでまいります。
次に、今後の地域自治行政についてのお尋ねです。
私は、「区役所・支所改革」による区民参画・区民協働の取り組みこそが、都心における望ましい地域自治を実現するために最も有効な方策であると考えております。平成十八年度の区役所・支所改革以降、各地区で、生活安全活動など地域の主体的な取り組みが広がりを見せています。また、各地区に誕生した区民参画組織では、まちの課題や将来像についての検討が進められ、今後、港区基本計画の策定に合わせて、地区版の
計画書づくりを行うなど、地域の実情を踏まえた、より主体的な取り組みが予定されています。
私は、区民の皆さんともに、「区役所・支所改革」を推進することによって、全国の自治体にも誇れる地域自治の実現に引き続き取り組んでまいります。
次に、がん対策についてのお尋ねです。
まず、国における在宅緩和ケアの位置づけについてです。国は、がん対策基本法に基づいて、昨年六月、がん対策推進基本計画を策定いたしました。その中で、がん患者の意向を踏まえ、住み慣れた家庭や地域での療養を選択できるよう、在宅医療の充実を図ることが求められており、在宅療養支援診療所と訪問看護ステーション、薬局との連携など、療養支援を適切に行うために必要な体制を整備していくとしています。
次に、在宅緩和ケア・ホスピスケアの提供体制と課題についてのお尋ねです。
区内の在宅医療は、在宅療養支援診療所や、訪問看護ステーションが中心になって、二十四時間体制で担っています。しかし、急変時の病床の確保や、家庭での介護力などの課題があり、本人や家族が希望するにもかかわらず、実際に在宅で緩和ケアを受けることができない方が多いのが現状です。区内で在宅緩和ケアを進めていくためには、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの協力を得て、在宅療養、在宅生活を支える医療・看護・福祉等のネットワークをつくるとともに、中核病院を中心とした二十四時間対応の病床確保を含む支援機能の充実がぜひとも必要です。
港区在宅緩和ケア・ホスピスケア支援推進協議会において、現場で医療に携わっている委員からさまざまな意見をいただきながら、システムづくりに必要な連携・協力の具体的内容や(仮称)在宅緩和ケア・ホスピスケア支援センターの備えるべき機能などについて検討し、早期に決定してまいります。
次に、がんの予防と早期発見の推進についてのお尋ねです。
がんは、望ましい生活習慣を体得することによって、ある程度予防することができます。そこで、国立がんセンターの提唱している緑黄色野菜の摂取や、禁煙、適度な運動など、がんを防ぐための十二か条に基づいた情報提供を行っております。今後さらに、区民一人ひとりが日常生活の中で予防に取り組めるように健康診断の機会や健康教育、広報みなと等を通じて普及啓発を強化し、生活習慣の改善を促してまいります。
また、がんの早期発見には、検診が最も有効です。区はこれまで、積極的にがん検診の充実、強化を図ってまいりました。さらに、来年度から四十歳以上のすべての区民に受診券を送付し、受診率の向上に努めてまいります。今後は、がん検診の精度を一層高めるための検討を行うなど、引き続きがんの早期発見に努めてまいります。
次に、医療的ケアを必要とする重症心身障がい児(者)への支援についてのお尋ねです。
区では、平成二十年度に予定しております、医療的ケアが必要な十八歳以上の重度心身障害者の通所サービス事業を、知的障害者の更生施設である「新橋はつらつ太陽」において実施してまいります。今後、募集等の手続きを進め、本年六月の開始を目指してまいります。
次に、子ども療育事業における医療的ケアの実施についてのお尋ねです。
現在、障害保健福祉センターでは、子ども療育事業において、医療的ケアが必要な乳幼児に対する相談や各家庭への訪問指導を中心に事業を行っております。センターの通園児に対する医療的ケアの実施については、一人ひとりの身体状況などを適切に把握しつつ、安全な体制を確保する必要があります。平成二十年度実施予定の「新橋はつらつ太陽」での通所サービス事業の状況を踏まえつつ、今後検討してまいります。
次に、中小企業の事業継承の円滑化に向けた支援についてのお尋ねです。
経営者の高齢化に伴い、円滑に代がわりを果たし、区内で事業を継承することに課題を抱える中小企業は増加しています。そのため、区は、平成十九年十月、事業承継時の資金を低利であっせんする「事業承継融資制度」を設けました。さらに平成二十年度には、事業承継をはじめ、多種多様な課題を抱える区内中小企業を支援する「中小企業リフレッシュ出前相談プロジェクト」を立ち上げます。このプロジェクトは、弁護士、税理士、中小企業診断士などの専門家がチームで中小企業を訪問し、適切なアドバイスを行うことによって、企業が経営力や事業の持続力を高めることを後押しするものです。実施に当たっては、企業の課題を把握するため訪問調査を実施するとともに、専門家チームによる相談体制を構築するための検討を行ってまいります。
次に、「事業承継支援センター」とのネットワークを築くことについてのお尋ねです。
後継者問題に悩む中小企業にとって、事業を引き継ぐ希望者との出会いの場は、大変有意義なものと考えます。国が計画する「事業承継支援センター」については、現在、詳細な内容は明らかではありませんが、今後、動向を注視するとともに、同センターと区とのネットワークを築くための方法などを検討してまいります。
次に、シルバー人材センターの支援についてのお尋ねです。
港区シルバー人材センターは、働く意欲のある高齢者の就業機会の確保や、高齢者の能力を生かした活力ある
地域社会づくりに寄与することを目的として事業を展開しております。しかしながら、団塊の世代の大量退職等により、センターを取り巻く環境や区民ニーズは変化しつつあると認識しております。区はこれまでも、センターに対して運営経費等の補助を行うとともに、さまざまな事業の業務委託等を行い支援しております。今後も、センター設立の趣旨を踏まえ、平成十八年度から三カ年の施策の方向性を示した、センターの中期計画に基づく事業の推進を積極的に支援してまいります。
次に、地域バスの運行拡大についてのお尋ねです。
区は、区民の移動手段を確保して、日常生活の利便性や福祉の向上、地域の活性化を図っていくために、地域交通サービス改善の中心的な役割を果たしていくべきと考えております。区は、平成十九年十月に区民の移動に関する実態を把握するためにアンケート調査等を実施しました。現在、アンケート結果を踏まえ、区としての地域交通サービスの取組方針をまとめているところです。平成二十年度には、都バスや「ちぃばす」等、現在の交通手段の運行改善や新たなサービスの導入等の具体的な実施計画を定め、平成二十一年度から地域交通サービスの改善に取り組んでまいります。
最後に、JR田町駅西口の
放置自転車対策についてのお尋ねです。
区は、本年二月に浜松町駅北口自転車等駐車場を新規オープンするなど、これまでの品川駅東口や田町駅東口等を含め、合計で二千八百台規模の区立自転車等駐車場を整備してまいりました。田町駅西口の
放置自転車対策は、区も早急に取り組むべき重要な課題と認識しております。ご提案の周辺公有地を活用した地下機械式の自転車駐車施設の設置は、有効な手段のひとつと考えます。東京都交通局用地は規模が小さく設置は困難ですが、区立公園は敷地も広いことから、施設利用者への影響や周辺状況等を見極めながら、整備効果や実現の可能性等について早期に検討してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
○教育長(高橋良祐君) ただいまの公明党議員団を代表しての古川伸一議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、学校教育についてのお尋ねです。
まず、学力向上のための施策の成果についてです。昨年行われた全国学力・学習状況調査や東京都の学力調査において、小学校では、どの教科の正答率も全国並びに、東京都を上回っております。中学校では、全国・東京都とほぼ同等の正答率となっております。
かけがえのない子どもたちが確かな学力を身につけることは、学校教育の重要な責務です。また、学び得た知識や技能を生かして世界の平和に貢献し、豊かな社会を築く人材を育成することも大切な使命です。これらの結果に基づき、今後とも各学校と協力し、調査結果を分析するとともに、個に応じた指導の充実と、さらなる授業改善に努めてまいります。
次に、「生きる力」の育成についてのお尋ねです。
ルソーは、「生まれたときに私たちがもっていなかったもので、大人になって必要となるものは、すべて教育によってあたえられる」と、「生きる力」の育成と教育との関連について、その著作「エミール」の中で述べています。
区では、「生きる力」としての資質・能力の育成に向け、日常の教育活動はもとより、さまざまな取り組みを行っております。例えば、宿泊学習での仲間や自然とのふれあい、あるいは芸術鑑賞教室での本物の音楽、ミュージカルなどの鑑賞を通して、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性を養うことに努めております。また、連合運動会・体育大会や水泳記録会を通して、健やかな心と体の成長を促す活動を推進しております。
これらの教育活動は、児童・生徒が弱さや困難なことにつまずきながらも、それを克服することによって、人間として生きる喜びや自信、あるいは勇気を持つことにもつながります。今後も一人ひとりの児童・生徒をしっかりと導き、見守りながら、「生きる力」をはぐくむ学校教育の充実に努めてまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
○議長(井筒宣弘君) お諮りいたします。本日の会議はこれをもって延会いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井筒宣弘君) ご異議なきものと認め、本日の会議は、これをもって延会いたします。
午後五時三十六分延会...