御殿場市議会 > 2017-12-14 >
平成29年12月定例会(第3号12月14日)

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  1. 御殿場市議会 2017-12-14
    平成29年12月定例会(第3号12月14日)


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    平成29年12月定例会(第3号12月14日)       平成29年御殿場市議会12月定例会会議録(第3号)                          平成29年12月14日(木曜日)     平成29年12月14日午前10時00分 開議  日程第  1 一般質問   21番  橋 利 典 議 員      * 当市における観光戦略について          (一問一答方式)   10番 高 木 理 文 議 員      1 国保都道府県化後の加入者負担について  (一括質問一括答弁方式)      2 里山資源としての間伐・未利用材の活用について  (一問一答方式)   13番 神 野 義 孝 議 員      * 信仰・文学と富士山眺望保存について       (一問一答方式)    3番 土 屋 光 行 議 員      * 学校・保護者・地域一体のコミュニティ・スクール構想について                            (一括質問一括答弁方式) 〇本日の会議に付した事件   議事日程に同じ 〇出席議員(20名)   1番  杉 山   護 君           2番  芹 沢 修 治 君   3番  土 屋 光 行 君           4番  本 多 丞 次 君
      5番  長 田 文 明 君           6番   橋 靖 銘 君   7番  大 窪 民 主 君           9番  杉 山 章 夫 君  10番  高 木 理 文 君          11番  黒 澤 佳壽子 君  12番  辻 川 公 子 君          13番  神 野 義 孝 君  14番  田 代 耕 一 君          15番  小 林 恵美子 君  16番  勝間田 博 文 君          17番  勝間田 幹 也 君  18番  勝 亦   功 君          19番  菅 沼 芳 コ 君  20番  平 松 忠 司 君          21番   橋 利 典 君 〇欠席議員(1名)   8番  稲 葉 元 也 君 〇説明のため出席した者  市長                  若 林 洋 平 君  副市長                 瀧 口 達 也 君  副市長                 勝 又 正 美 君  教育長                 勝 又 將 雄 君  企画部長                志 水 政 満 君  総務部長                近 藤 雅 信 君  市民部長                田 代 吉 久 君  健康福祉部長              村 松 亮 子 君  環境部長                勝間田 安 彦 君  産業スポーツ部長            勝 俣   昇 君  都市建設部長              小 林 龍 也 君  危機管理監               田 代 一 樹 君  会計管理者               勝 亦 敏 文 君  教育部長                杉 本 哲 哉 君  消防長                 田 代 佳 丸 君  総務部次長兼総務課長          村 松 哲 哉 君  秘書課長                芹 沢   徹 君 〇議会事務局職員  事務局長                田 原 陽之介  議事課長                三 輪   徹  副参事                 佐 藤 歌 愛  主任                  藤 曲 幸 子  主事                  荒 井 祥 太  主事                  滝 口 拓 樹 ○議長(勝間田博文君)  出席議員が法定数に達しておりますので、会議は成立いたしました。 ○議長(勝間田博文君)  ただいまから、平成29年御殿場市議会12月定例会を再開いたします。 ○議長(勝間田博文君)  直ちに、本日の会議を開きます。                          午前10時00分 開議 ○議長(勝間田博文君)  本日の会議は、お手元に配付してあります日程により運営いたしますので、御了承願います。 ○議長(勝間田博文君)  この際、諸般の報告を行います。  8番 稲葉元也議員から、所用のため本日の会議を欠席する旨の届け出がありました。御了承願います。 ○議長(勝間田博文君)  日程第1 「一般質問」を行います。  最初に、21番 橋利典議員の質問を許します。  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  おはようございます。私は、当市の観光戦略について、通告に従い、一般質問いたします。  平成18年12月に観光立国推進基本法が議員立法により成立いたしました。観光は、我が国の力強い経済を取り戻すための極めて重要な分野だとして、経済波及効果の大きい観光は、急速に成長するアジアをはじめとする世界の観光需要を取り込むことにより、地域の活性化、雇用機会の増大などの効果が期待でき、さらには、世界じゅうの人々が日本の魅力を発見し、伝播することにより諸外国との相互理解の増進も同時に期待ができます。  訪日観光の振興と同時に、国内旅行振興も重要で、そのため、地域が一丸となって個性あふれる観光地域をつくり上げ、その魅力をみずから積極的に発信していくことで、広く観光客を呼び込み、地域の経済を潤し、ひいては住民にとって誇りと愛着の持てる活気にあふれた地域社会を築いていくことが観光立国には不可欠だとして、強く訴える内容となっております。  また、静岡県においても平成23年度から平成25年度までの3か年を計画期間として「ふじのくに観光アクションプラン」を策定し、アジアの経済成長、国内外の観光地間の競争激化、観光形態やニーズの変化などに的確に対応するための施策を展開してきましたが、平成26年度から新たに「ふじのくに観光躍進基本計画」を策定し、観光施策に取り組んでいます。  当市では、平成20年度から平成27年度の8年間、第3次御殿場市総合計画との整合性を図り、観光戦略プランを策定いたしました。  その後、平成23年度から平成27年度までの5年間、御殿場市観光ハブ都市構想が策定され、観光ハブ都市宣言をしてきました。  さらには、平成28年度からは、御殿場市第4次総合計画の中で、前期5年・後期5年の10年後の当市の将来都市像が示され、新たな御殿場市観光戦略プランが策定されました。  私は、大きく3点、平成20年度に作成された観光戦略プランについて、2点目は観光ハブ都市構想について、3点目は新たな観光戦略プランについて、質問いたします。  最初に、平成20年度に策定された観光戦略プランについて質問いたします。  富士山の恵みを生かし、富士山の姿とともに、心に残る観光振興として、大きく3つの基本戦略で構成され、1つ目は、観光推進体制の充実、これは、関係者や地域の主体的な取り組みと、観光の振興を推進する体制・仕組みづくりであり、2つ目は、観光資源の魅力の向上で、御殿場ならではに磨きをかける、本物の魅力づくり、3つ目は、もてなしの心の普及・育成で、住民の地域に対する誇りや愛着の醸成、共に楽しむ心と、もてなしの心の育成であります。  この3つの基本戦略に基づき、当市の観光振興を戦略的に展開していくために必要な施策を整理し、短期・中長期の2つの区分に分類し、中心となる取り組み主体は、産・学・民・公の4区分となっています。  すばらしい戦略プランでありましたが、平成20年からの取り組みを検証する意味と今後に期待するために質問いたします。  この柱となっている主要3項目基本戦略について、達成度や課題をどのように捉えているのか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  御殿場市観光戦略プランでは、本市の観光振興の目指す方向性を、「富士山の恵みを満喫、御殿場」とし、観光推進体制の充実、観光資源の魅力の向上、もてなしの心の普及、育成の3つの基本戦略を軸に、各施策を展開し、このプランの最終年度に当たる平成27年度に庁内で評価を行い、結果を御殿場市観光懇話会において報告を行っております。  基本戦略1、観光推進体制の充実の達成状況につきましては、多様なメディアの活用による情報発信や広域圏組織との連携による広域連携の推進が図られ、課題としましては、外国人、来訪者の受け入れ体制の整備等でありました。  基本戦略2、観光資源の魅力の向上につきましては、富士山眺望遺産の認定、景観条例の制定、マウントフジトレイルステーションの設置等、富士山を生かした観光の整備及びスポーツツーリズムの推進等が図られた一方、課題としましては、富士山樹空の森のさらなる活用の促進等でありました。  基本戦略3のもてなしの心の普及・育成につきましては、地域の魅力を学ぶ学習機会の充実等が図られている一方で、課題としましては、観光事業者や市民に対するもてなしの心の醸成が必要である等でありました。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  それでは、再質問いたします。  成果や課題や必要性をしっかり認識されていますが、基本戦略1の課題として、外国人の受け入れの整備について、どのような対策を実施してきたのか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  外国人の受け入れ体制の整備として、平成26年度から観光アプリおもてなしナビを導入し、御殿場市周辺の観光案内や生活情報の発信を行っております。このアプリは、日本語はもちろん、英語、韓国語、中国語に対応しており、多言語での情報発信に加え、緊急時、避難ナビの機能も備えており、災害発生時の避難誘導も行うものであります。  また、平成25年度から富士山の開山期間中に御殿場口新五合目に設置するマウントフジトレイルステーションに、外国語対応のナビゲーターを配置し、外国人登山客に対し、登山指導や観光案内等の実施や、平成26年度からは御厨おもてなしクラブに委託して、8月のお盆の期間に実施しています御殿場駅前でのおもてなし事業において、外国語を学んでいる高校生をはじめとしたボランティア通訳により、観光案内やおもてなしを実施しております。  これ以外にも御殿場市国際交流協会では、通訳ボランティアの登録を行っており、英語を中心に約100名の登録をいただいております。さらに、国際交流協会の事務局の運営体制を強化するなど、増加する外国人観光客受け入れ体制の整備を進めております。  加えて、平成27年度には御殿場市観光協会が運営いたします駅前観光案内所日本政府観光局が認定します外国人観光案内所カテゴリー1の認定を受け、英語対応が可能なスタッフがJR御殿場線や高速バスで御殿場を訪れる外国人観光客に対する観光情報の提供を行っております。  なお、当案内所は、つい先日、さらにランクが上となるカテゴリー2の認定を受け、英語対応可能なスタッフが常駐するほか、英語以外の言語にも対応できる体制を整えております。  この外国人観光案内所カテゴリーにつきましては、4段階がありまして、現時点で県内では49か所の案内所が認定をされており、認定区分につきましては、最上級のカテゴリー3は、御殿場プレミアムアウトレットの1か所、カテゴリー2は、御殿場市駅前観光案内所を含めた8か所のみとなっており、カテゴリー1は36か所となっております。このような形で、外国人観光客受け入れ体制につきましては、先進的な取り組みを行っておる状況です。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  再質問いたしますが、基本戦略2のスポーツツーリズムの推進にはマウントフジトレイルステーションのほか、どのようなものを推進してきたのか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  基本戦略2のスポーツツーリズムの推進のうち、マウントフジトレイルステーションのほかの具体的な取り組みといたしましては、従前から実施しています三井住友VISA太平洋マスターズ御殿場協力会事業などのほか、平成26年度からは、モータースポーツイベントを盛り上げ、御殿場市域の活性化につなげるための御殿場小山モータースポーツパークの開催など、大型スポーツイベントの支援、また平成23年度からは小山町と協力し、ゴルフ振興事業を実施しています。  また、平成20年度からナショナルトレーニングセンターに指定された馬術・スポーツセンターを会場としまして、全日本高等学校馬術競技大会など、全国規模の大会が開催されており、来年度には福井国体の馬術大会が本市を会場に開催される予定であります。
     これらのほかにも、今年度43回目を迎えました富士登山駅伝競走大会など、既に開催されている大型スポーツ大会への支援など、さまざまな競技について、数え切れない事業を実施しており、民間においても、スポーツ合宿が活発に行われるなど、官民のさまざまなアプローチから、スポーツツーリズムを推進いたしました。  このように積極的に推進してきた結果、御殿場市を訪れる方々が非常に増えており、また、滞留人口も飛躍的に伸び、大きな成果を上げることができたと考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  再質問をいたしますが、8年間を振り返り、十分な成果を上げたと評価するか、見解を伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  先ほど申し上げた取り組みをはじめ、平成20年度から平成27年度までの観光戦略プランの計画期間8年間に実施した3項目の基本戦略に基づく数々の取り組みにより、計画期間中の観光交流客数は約140万人増加しており、本プランが目指した「富士山の恵みを満喫、御殿場」を実現し、大きな成果を上げることができたものと自負をいたしております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  1点目の質問は終わります。  次に2点目、平成23年度から平成27年度の5年間の当市の観光ハブ都市構想について、質問をいたします。  本市は首都圏に近く、富士箱根伊豆交流圏の中心に位置し、交通の要所にあるため、地理的優位性・交通の利便性の強みを生かしながら、本市の恵まれた観光資源を活用した魅力の創出により、当市を訪れた観光客が周辺地域へ足を延ばす際の出発地、中継地、目的地として、立ち寄って観光する都市を目指す、として「滞留観光の推進と中継基地機能の強化」を観光ハブ都市構想としています。  実現による効果として、地域経済の活性化・郷土愛の進展・まちおこし・地域における諸課題の解決には、農業振興・商業振興・環境保全・スポーツ振興・健康増進・高齢者問題を、また、推進体制及び手法については、民間の自発的な事業活動・連携と、行政によるインフラ整備等の関係施策が相まって観光ハブ都市づくりを推進するとしていますが、以下質問いたします。  観光ハブ都市推進構想をどのように評価するのか、伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  観光ハブ都市づくり推進構想の評価につきましては、計画期間中、新東名高速道路御殿場ジャンクション以西の開通など、交通インフラの整備、富士山世界文化遺産の登録、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定など、本市を取り巻く社会環境において追い風が吹く状況の中、同構想の推進施策として、おもてなしナビの整備やエフエム御殿場の開局、総合景観条例の制定、スポーツツーリズムをはじめグリーンツーリズムやエコツーリズムなど、各ツーリズムの推進、御殿場わらじ祭りの復活など、さまざまな取り組みを実施し、さらに広域連携として表富士観光キャラバン富士箱根国道138号沿線、観光広域連携協議会などの既存の広域連携組織との連携強化を図るとともに、新たに熱海市及び伊豆市との観光交流協定の締結、並びに浜松市との観光連携協定の締結など、県内外の自治体との連携を深めてまいりました。  その結果、同推進構想策定の前年度である平成22年度の観光交流客数は1,259万人、宿泊客数は60万人でありましたが、構想期間後の平成28年度には、観光交流客数は1,443万人、宿泊客数は96万人と、大変大きく増加しており、構想期間の本市におけるさまざまな取り組みの相乗効果が図られ、観光ハブ都市づくりが大きく推進したものと評価をいたしております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  観光客数や宿泊客数が大きく増加し、推進したとの評価ですが、再質問いたします。  恵まれた観光資源を活用した魅力創出はどのようなものがあったのか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  恵まれた観光資源を活用した例といたしましては、富士山の麓の恵まれた環境を生かした馬術・スポーツセンターナショナルトレーニングセンターとして、ウルトラトレイルマウントフジの実施、サイクルステーションの整備、毎回多くの参加をいただいているさわやかウォーキング富士山観光では、登山客をはじめ約6万人の集客のあるマウントフジトレイルステーションなどのスポーツツーリズムの推進や、冬の御殿場駅前を彩るイルミネーションなどがありました。また、富士山の眺望につきましても、平成27年度に市内で特に富士山の眺望がよい5か所を富士山眺望遺産として認定を行っております。これら全ての事業効果により、着実に来訪者が増加しております。  恵まれた自然に育まれた資源を活用した魅力創出といたしましては、平成23年度に古くから本市の各家庭に受け継がれてきたみくりやそばを全国に紹介する振舞隊が発足し、平成24年度から富士山麓の豊かな自然に育まれた御殿場コシヒカリ、ハム、ソーセージ、お茶などの食品を御殿場こだわり推奨品として認定し、ふるさと納税の返礼品としても大変好評をいただいております。  このふるさと納税返礼品につきましては、現在、100品目あり、食品にとどまらず、宿泊、日帰り温泉、ゴルフ場などの参加型など、多岐にわたり飛躍的に人気が上がっております。  また、本市の魅力を発信するために、市内の民間大型集客施設2か所と魅力発信に関する連携協定を締結し、相互に連携することで、観光交流客数の増加につなげております。  このような取り組みにより、観光ハブ都市づくり推進構想の計画期間5年間にあらゆる分野の観光資源を活用し、数え切れないほどの本市の魅力が創出できたと自負をいたしております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  再質問いたします。  観光資源・地場産品販売施設・飲食店・各種商店・体験スポット・宿泊施設を充実し、地域経済の活性化を図るとしているが、主な実績はどのようなものがあったか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  観光資源の同構想期間中の主な取り組みといたしましては、平成23年度に富士山樹空の森がオープンし、観光の中核拠点とし、さまざまな観光イベントや地場産品の販売なども実施し、現在までに240万人以上の方に来園をいただいております。商店等につきましては、平成27年度から環境美化経済対策助成事業を実施し、現在までに全部で232件の申請があり、当事業を活用し、市内商店街の来客に対するおもてなし効果を高めていただいております。  宿泊施設につきましては、平成20年度から平成27年度の間に積極的な誘致の結果、市内では6つのホテルが新築、増築され、ホテルの稼働率は非常に高い状況にあり、宿泊客の受け入れ体制が強化するとともに、施設の増加に伴い、市内の観光事業における雇用も増加しております。  一方、平成27年度には、本市と裾野市、小山町で構成する表富士観光キャラバン体験プログラム及び見学施設紹介用のパンフレットを作成するなど、観光資源を活用した商品開発など、施策の充実を図ってまいりました。  こうした取り組みにより、先ほど答弁の中にもございましたが、同推進構想策定の前年度の平成22年度から、構想期間後の平成28年度には、観光交流客数は約200万人、宿泊客数は約40万人増加しており、また、平成22年度から平成28年度の間に市内での年間の旅行消費額は、少なく見積もっても400億円以上増加したと推計され、それぞれの分野においては確実にプラスとなり、地域経済の活性化は飛躍的に図られたものと考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  地域経済の活性化は飛躍的に図られたとの答弁ですが、再質問いたします。  手法の中に民間の自発的な事業活動とありますが、実績と評価はいかがか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  本市の観光事業推進の中心である観光協会には、市内の大型集客施設をはじめ、多くの観光事業者が会員となり、協会の実施する観光PR等に御協力をいただいております。特に主要な集客施設であります御殿場プレミアムアウトレット、時之栖、キリンディスティラリーなどから協会の理事を選出していただき、協会の中心となり、事業実施に御尽力をいただいております。  さらに、市内の多くの民間企業や事業者の皆様とともに観光キャラバンでの本市PRなど、官民が一体となった事業にも積極的に取り組んでいただき、多くの観光協会会員の皆様の平素からの御努力と行政との協働の中で、本市の魅力発信が図られているものと評価をいたしております。  また、御殿場駅前イルミネーションの実施においては、時之栖様の多大なる御協力をいただき、毎年、冬の駅前のにぎわいづくりを行っております。  また、キリンディスティラリーの見学コースのリニューアルや、御殿場口新五合目に大きな集客の実績があるマウントフジトレイルステーションの取り組みなどをはじめとした民間事業者のノウハウを生かした、それぞれの活動が地域の魅力を高め、結果として地域振興に貢献しているものと考えております。  このような民間事業者の自発的な切り目のない活動に加え、民間と行政のふだんからの密な連携が観光振興推進の大きな力となり、本市の観光振興に多大な貢献をしているものと大きく評価をしております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  再質問いたします。  観光ハブ都市づくりの方向性として、通過型観光から滞留型観光へ転換するために、基本政策として地域ブランド商品の育成・新たな創出、新たな観光商品・体験型観光メニューづくり、滞在環境の整備、観光情報の発信や道路ネットワーク等の構築となっていますが、滞在環境の整備について、近隣の町では2つのホテルが工事着工をしております。さらに3つのホテルが工事着工予定と聞いていますが、当市ではアウトレット以外の予定はあるのかお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  当市では、都市計画法第34条第2号の運用基準を平成26年度に策定し、市が観光資源として指定した施設に関連するホテルなど、観光関連施設についても、市街化調整区域において、一定の要件を満たすことで開発許可を取得し、建設することを可能としました。  当市に対するホテル業界の関心度は、県下でも非常に高く、理由としましては、恵まれた立地条件はさることながら、行政の各種施策の取り組みが実を結んだ結果であると考えております。先ほど申し上げましたホテルの高い稼働率や、これまでのホテルの建設にその結果が反映されていると考えております。  御質問がありました、御殿場プレミアムアウトレットの第4期増設店舗及び小田急電鉄が新たに建設するホテルも、この基準に適合し、建設されるものですが、当ホテルは180室の客室以外にも日帰り温泉施設が併設されるなど、リゾートホテルとして質の高い施設となります。  それ以外の宿泊施設の開発予定ですが、先日、新聞報道がありました箱根小涌園やワシントンホテルを経営する藤田観光が、秩父宮記念公園近くで約5,000坪の敷地にグランピング型宿泊施設20棟を建設いたします。グランピングとは、豪華なキャンプ施設を指す名称ですが、藤田観光でも新規分野となり、この最初の施設を当市へ立地していただくことになりました。その他、橋議員にも絶大な御協力をいただいた農家民宿なども予定をされております。  それ以外にも、今の段階では公表できませんが、市内の観光施設でホテル増設計画があり、さらに、新規の建設計画も複数進んでいるなど、当市へのホテル立地事業は根強いものがあり、さらなる需要に応えるべく、次々と施設が建設される予定であります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  着実に推進しているとの答弁、早期実現を期待して、この項の質問を終わり、次の質問に移ります。  平成28年度に作成された新たな観光戦略プランについて質問いたします。  富士山麓御殿場リゾートの3つの柱、御殿場らしい観光スタイルの確立・観光ハブ都市機能の強化・人が集まる受け入れ体制の充実をどのように推進するのか、また行動計画はどのようになっているのか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  平成28年度から平成32年度までを計画期間とします新しい観光戦略プランは、御殿場らしい観光スタイルの確立、観光ハブ都市機能の強化、人が集まる受け入れ体制の充実の3つを基本戦略とし、それぞれの戦略ごとに3つから7つの政策を掲げ、さらに各施策を達成するため、合計49の具体的施策を示しております。  観光産業の担い手である観光関連事業者、関係する有識者、専門家、地域づくりの主体となる市民、行政がそれぞれ役割を果たしながら、相互に連携し、官民一体となってこの具体的施策に取り組むことにより、推進を図っていくものであります。  この戦略プランに示した49の具体的施策を行動計画として位置づけ、当市の観光懇話会等で各施策の達成度や課題等を評価、検証し、次年度以降の事業の進捗を図ってまいります。
     以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  再質問いたします。  御殿場らしい観光スタイルの確立の中で、スポーツ環境を生かした地域の魅力を高めるとしていますが、具体的にはどのようなものか伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  先ほど答弁させていただいたように、御殿場市では参加するため、観戦するための大会、イベントを数多く増やし、先に紹介したもののほかには、全国少年少女剣道大会や中学生の野球大会の御殿場招待試合に加え、今年度は壮年のバレーボール大会である全国ヴィンテージ8'sバレーボール大会が開催され、県内外から1,000人規模の集客があるほか、民間スポーツ合宿施設や、ゴルフ場に代表される個人が楽しむためのスポーツ施設環境にも恵まれております。  これに加え、現在は2019年ラグビーワールドカップの開催や、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催など、全国的にスポーツに注目が集まっている時期であるため、自然豊かで雄大な富士山に抱かれた環境、首都圏からのアクセスがよい立地などの好条件を生かし、スポーツツーリズムを推進する好機と考えております。  具体的には、富士山や箱根山系の自然環境、景観を生かした自転車、ランニングのほか、アウトドアスポーツの振興と体験型スポーツイベントの創出や、既に実施されている大型スポーツイベントをさらに魅力的にするための支援、欲しい情報がわかりやすく、魅力的に伝わるウエブ情報の提供にも取り組むほか、体育館、また体育館改修や玉穂地区市民の森・クロスカントリーコース整備などハード事業も進め、スポーツをキーとした御殿場の魅力を高めてまいります。  加えて2020年東京オリンピックのホストタウン事業も推進しており、韓国は昨年度、ウエイトリフティングのキャンプを実施し、台湾とは先般、台湾サッカー協会と御殿場市でのナショナルチーム強化キャンプ支援に関する覚書を交わしたところであります。また、イタリア空手ナショナルチームの強化合宿誘致では、11月に御殿場西高等学校の空手部に協力をいただき、10日間の受け入れを実施し、同国とは年が明けた1月、オリンピック事前合宿についての覚書締結を目指しております。  いずれにしても、今後、さらにスポーツツーリズムを推進するためには、スポーツ関係者だけではなく、多くの市民にスポーツツーリズムの理解者になっていただき、スポーツ来訪者を温かく迎えていただくことが重要となります。施設や大会だけではなく、市民の温かい迎え入れが御殿場市の魅力となるよう、より多くの方に事業にかかわっていただき、理解される事業展開にも注力してまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  それでは、質問いたします。  観光ハブ都市機能の強化についての見解をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  基本戦略に観光ハブ都市機能の強化については、広域連携の推進、観光資源のネットワーク形成、観光地域情報の収集、発信機能の強化の3つの政策を掲げ、広範囲の市町村との相互連携強化や情報発信、プロモーション活動の強化など、10の具体的施策を行動計画として推進いたします。  具体的な取り組みといたしましては、昨年度、箱根町との協力により作成をしました御箱マップを効果的に利用するほか、来年1月には観光交流協定を締結しています熱海市で開催される日本一早い桜まつりや梅まつりに参加し、御殿場桜まつりのPRを行うなど、広域連携をさらに深めてまいります。  本市が富士箱根伊豆観光交流圏において地理的に中心にあり、交通の要衝であるという位置づけを明確にし、県境も越えた広域での観光の連携を密にしつつ、本市だけではなく、全体的な底上げをしていくことにより、観光ハブ都市御殿場の力をさらに発揮できるものと考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  それでは、質問いたします。  人が集まる受け入れ体制の充実の中で、国際性のある対応力と受け入れ体制の充実に取り組むとしていますが、具体的な方策について伺います。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  国際性のある対応力と受け入れ体制の充実につきましては、御殿場市国際交流協会御厨おもてなしクラブが協力して、「街かどガイドボランティア養成講座」を開催していただいております。この講座では、外国人に対する案内の仕方や富士山についての知識をはじめとするガイドボランティアの心得を学んでいただきます。この講座の受講者には、御厨おもてなしクラブが夏季に御殿場駅前で実施する観光案内などで御活躍をいただいております。  また、ボランティアガイドには高校生などの学生にも参加いただいており、次世代を担う人材育成にも取り組んでおります。  また、観光協会においても、会員をはじめとする観光事業者向けにインバウンド対応の研修会を開催するなど、市としても観光協会と常に連携、協力しながら、受け入れ体制の充実に向けた取り組みもさらに進めてまいります。  いずれにしましても、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け、増加が見込まれる外国人観光客はもちろん、新たなニーズとして県が進める清水港に寄港するクルーズ船の誘致においても、富士山周辺が寄港地観光の目的地となっておりますので、観光協会や近隣の市町村とも連携をしながら、このような新たな客層も含め、外国人観光客への対応力と受け入れ体制の充実に取り組み、一層の観光交流客の増加と観光振興を図ってまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  21番 橋利典議員。 ○21番(橋利典君)  最後に市長に伺います。  市民にわかりやすい実績を期待する意味から、2期8年の観光戦略の振り返りと、3期目の取り組みはここが違うぞと、市民がわくわくするような施策をお聞かせ願いたいと思います。 ○議長(勝間田博文君)  市長。 ○市長(若林洋平君)  それでは、橋議員の御質問に私のほうでお答えをさせていただきます。  私は、市長就任当初から、本市の観光は世界に誇る富士山や恵まれた自然など、地域資源を有効に活用することで、地域経済を活性化する大きな産業の柱になると、絶対的な確信を持っておりました。そのため、平成23年度には、本市が富士箱根伊豆地域の広域観光圏域の中で中心に位置する地理的優位性に着眼をし、観光ハブ都市宣言のもと、観光ハブ都市づくり推進構想を策定し、他の自治体と観光交流協定を積極的に進めるなど、あらゆる分野にわたり数え切れない多くの施策を観光協会、商工会をはじめとする関係団体と連携し、戦略的に展開をしてきたところでございます。  また、行政の施策展開に呼応し、民間での観光施設や宿泊施設におきましても、質・量ともに充実したことによりまして、2期8年の間に年間宿泊客数は市長就任前の約2倍に、また観光交流客数も就任前と比べまして年間約200万人増加をし、今では1,400万人を優に超え、静岡市、浜松市に次ぐ交流人口を誇り、静岡県内有数の観光地となっているところでございます。  2期8年を振り返りますと、私が市長に就任して以来、まだまだ道半ばではございますが、本市の観光振興が大きく進展したものと自負しておるところでございます。  御質問の3期目を迎えた今後の取り組みについてでございますが、2020年の供用開始を目指します新東名高速道路御殿場ジャンクション以東の整備や、国道138号バイパス等の整備、また、駒門や足柄サービスエリア内でのスマートインターチェンジの整備や、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、スポーツツーリズム等の機運の高まりなどを追い風に、御殿場プレミアムアウトレットの第4期の施設拡張が進められており、また、新たな宿泊施設の建設につきましても、小田急電鉄によります日帰り温泉つきのホテル建設や藤田観光によりますグランピング型宿泊施設の建設、また、時之栖の新規ホテル建設計画等、民間投資による施設整備がメジロ押しとなっている状況でございます。  また、何と申しましても、橋利典議員御自身が熱心に取り組んで進めております農家民宿につきましても、体験型宿泊施設として来年1月にはオープンが予定されているなど、本市の魅力を発信していく施設として非常に大きな期待を寄せているところでございます。  そのほか、現状においては公表ができませんが、新たなホテル計画の相談も数多く寄せられておりますなど、今後、当市には観光客のニーズに応じたさまざまなスタイルの宿泊施設が数多く誕生してまいります。  このように2期8年で観光振興の結果を受け、民間による事業展開がさらに勢いを増しております。また、特に力を入れておりますスポーツツーリズムにつきましても、富士山等、眺望にすぐれました箱根山系の地域資源を活用し、サイクリングやウォーキングなど、それぞれの趣向に合わせた楽しみの場の創出を官民連携により推進してまいります。  3期目の取り組みといたしましては、こうした流れを受けて、民間資本による投資活動をより活発化させてまいります。そのことで御殿場のブランド力を高め、世界じゅうの誰もが訪れたくなるまち、誰からも愛されるまちづくりを推進し、交流人口や滞留人口のさらなる増加、ひいては移住・定住の推進を図り、人口が増え続けるまち、夢と誇りのある御殿場、心躍る御殿場を実現してまいりたいと考えております。  以上、答弁とさせていただきます。  (「了解して終わります。」と橋利典君) ○議長(勝間田博文君)  以上で、21番 橋利典議員の質問は終了いたしました。 ○議長(勝間田博文君)  この際、10分間休憩いたします。                           午前10時44分 ○議長(勝間田博文君)  休憩前に引き続き会議を開きます。                           午前10時54分 ○議長(勝間田博文君)  日程第1 「一般質問」を継続いたします。  次に、10番 高木理文議員の質問を許します。  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  私は「国保都道府県化後の加入者負担について」と「里山資源としての間伐・未利用材の活用について」一般質問を行います。  最初に、「国保都道府県化後の加入者負担について」一括質問一括答弁方式にて質問をいたします。  2015年度の厚生労働省「国民健康保険実態調査」によりますと、国保加入者の44.1%が無職の方です。次いで被用者が34.1%、自営業が14.5%、農林水産業2.5%などとなっております。加入者の変化は「むかし自営業、いま無職と被用者」となっているのが実態です。  年間所得をもとに算定した保険料(税)を他の被用者保険と比較すると、所得に占める一人当たりの保険料負担は国保が9.9%、協会けんぽ7.6%、組合健保は5.3%となります。組合健保の約42%の平均所得しかない国保加入者が、組合健保加入者の約2倍の保険料を負担していることとなり、大きな負担を加入者に強いているといえます。  当市は今年度、国保都道府県化を前に、国保税の引き上げを行いました。これ以上の負担は耐えられないというのが、今の加入者の率直な声です。  2018年4月から国民健康保険制度は、これまでの市町村と国保組合による運営から都道府県を加えた運営に変わります。今後、共同運営化されることで国保の歴史は大きな転換を迎えます。実質的な国保の実務は引き続き市町村が行うものの、国保財政、これを握った都道府県が大きな権限を持つことになります。  各都道府県はこれまで事業費納付金・標準保険料率に加え、激変緩和も含めて3回の試算を行ってまいりました。静岡県でも国保運営方針(案)に対する県国保運営協議会の答申が出され、本格実施まで4か月を切りました。国保都道府県化後、この制度は何が変わるのか、そして加入者負担はどうなるのか、以下、お伺いいたします。  大きな1点目は、今週、県国保運営協議会から県に答申書が提出された静岡県国保運営方針(案)の内容について以下、伺います。  1つ目は、赤字解消・削減の取り組みとその目標年次について伺います。  2つ目は、納付金、この算定方法について伺います。  3つ目は、標準保険料率についてお伺いします。  そして4つ目は、医療費適正化や収納率向上の取り組みについて伺います。  大きな2点目は、ことし8月末に厚生労働省に集約され、公表をされている国保事業費納付金・標準保険料率の試算結果について、当局の見解をお伺いいたします。  以上、1回目の質問といたします。 ○議長(勝間田博文君)  市民部長。 ○市民部長(田代吉久君)  質問事項1の国保都道府県化後の加入者負担について順次お答えします。  質問1の静岡県国保運営方針(案)の内容についてお答えします。  初めに、都道府県国民健康保険運営方針とは、平成27年5月に公布された持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律に基づいて都道府県が策定するもので、その内容には1、国民健康保険の医療に要する費用及び財政の見通し、2、当該都道府県内の市町村における保険料の標準的な算定方法に関する事項、3、当該都道府県内の市町村における保険料の徴収の適正な実施に関する事項、4、当該都道府県内の市町村における保険給付の適正な実施に関する事項の4つの事項を定めるものとされています。  また、このほかにおおむね定めるものとして、医療に要する費用の適正化の取り組みに関する事項や、都道府県内市町村の広域的及び効率的な運営の推進に関する事項などがあります。  加えて、この運営方針は、このたびの国民健康保険制度改革の施行日である平成30年4月1日の前日までに定めるものとされています。  静岡県国民健康保険運営方針(案)、これからは県方針案と省略させていただきますが、この県方針案は、平成28年4月から県と市町が協議を重ねて骨子案をまとめ、平成29年2月に被保険者、保険医または保険薬剤師、大学教授等の広域活動を行う者、被用者保険といった各層を代表する委員で構成される静岡県国民健康保険運営協議会に諮問、8月中旬から9月中旬までのパブリックコメントを経て、去る11月27日に平成29年度第2回静岡県国民健康保険運営協議会において審議され、12月11日に県方針案を適当であるとして、県知事に答申しております。  1回目の方針案における赤字解消・削減の取り組みとその目標年次についてお答えします。  赤字解消・削減とは、市町村国民健康保険、これからは国保と省略させていただきますが、国保の財政運営を行っていく上で、加入者負担である保険料や保険税及び国や県並びに市町村一般会計からの法定繰入金といった公費等の収入分だけでは、保険給付費等の支出分を賄えない場合に、その不足分を市町村一般会計から国保特別会計へ繰り入れるという赤字補填の行為を解消・削減することです。
     これは本来、加入者の負担によるべき国保を安易に一般会計繰入金で赤字補填して運営することが、国保の被保険者以外の他の社会保険の被保険者の税金で国保事業の費用が賄われることになり、被保険者の相互扶助の上に成り立つ国保制度の基本にそぐわないことが根底にあります。  現に策定中の県方針案においては、赤字の削減取組として、県は赤字補填を行っている市町に取組方針案を提示して、それらの市町は制度改革初年度の平成30年度の状況を踏まえて、赤字繰り入れの要因分析を県へ報告することになります。県では平成31年度から32年度にかけ、その分析結果と制度移行後の市町の決算状況を踏まえて、解消削減の目標年次を示した取組方針を決定し、これを受けて市町は解消削減計画を策定することとされています。  続きまして、2点目の納付金の算定方法についてお答えします。  国保事業費納付金とは、今回の制度改革に伴い、市町村国民健康保険の保険者に都道府県が加わり、その財政運営の責任主体となって、新たに国庫特別会計を設置することで、各市町村における保険給付費相当分を都道府県が負担することになりますが、その負担分である保険給付費等交付金の交付に要する経費に充てるために、市町村が都道府県に納める納付金のことです。  国保事業費納付金の算定に当たり、都道府県はそれぞれ全体の医療給付費等の見込みを立てた上で、公費等の拠出で賄える部分を除いた額を国保事業費納付金の額として所管する市町村ごとに決定します。  納付金の額を決定する際には、市町村ごとの被保険者数のほかに、年齢調整後の医療費水準と所得水準が考慮されて算定されます。この仕組みでは、市町村の所得水準が同じ場合は、年齢調整後の医療費水準が高いほど納付金負担が大きくなり、年齢調整後の医療費水準が同じ場合では、所得水準が高いほど納付金負担が大きくなるという性質があります。  制度改革においても、保険給付を行う主体は市町村のままで変更はありませんが、各年度において市町村は、この納付金を都道府県に納付すれば、保険給付に必要な額は全て都道府県が賄うことになり、年度内の安定的な国保財政運営を図られるという今回の制度改革の最大のメリットを市町村は得ることができます。  続きまして、3点目の標準保険料率についてお答えします。  新たな財政運営の仕組みでは、都道府県は市町村から納付金を徴収するとともに、それを賄うために参考となる標準的な保険料率を示すこととされました。これは都道府県が毎年度、厚生労働省令で定めるところに算定した2つの保険料率のことで、1つは統一に向けた都道府県内の市町村の保険料率と、2つ目は、現在の賦課状況を踏まえた市町村ごとの保険料算定方式による保険料率のことです。この2つの標準保険料率を示すことで、各市町村は他との比較を含め、その市町村のあるべき保険料率とその理由を把握することが可能となるとされています。  県方針案では、統一を目指す標準保険料率の算定に用いる賦課方針については、医療給付費分及び後期高齢者支援分は所得割と被保険者均等割と世帯別平等割の3方式に、介護納付金分は所得割と被保険者均等割の2方式で算定するとされ、さらに、算定に用いる収納率は実態に合わせた収納率とするため、県内保険者規模別過去5か年間の平均収納率とするとされています。  各市町は、示された標準保険料率を参考に、現行の保険料水準が適正であるか否かを検討し、その他の財源等を総合的に勘案し、予算編成を行うこととなります。現在、策定中の県方針案における保険料水準の統一、標準保険料率の一本化につきましては、統一する目標時期を、制度施行後、施行3年後の平成32年度までに、県と市町で十分に協議を行うものとされてます。  続きまして、4点目の医療費適正化や収納率向上の取り組みについてお答えします。  医療費の適正化につきましては、制度改革前の現在、各市町において特定健康診査及び特定保健指導の実施等を中心とした医療費の適正化のための取り組みを行っております。しかし、医療費適正化の取組の差や医療体制の違いなどさまざまな要因が重なり合い、医療費水準にもかなりの差があるのが現状でございます。  現行の制度では、財政単位を小規模な市町単位としていることに起因して、財政運営が不安定となりやすいといった構造的な問題も存在します。また、医療費水準の差等から生じる保険料や保険税が市町ごとに大きく異なり、不公平感があることも事実です。今回の制度改革は、こうした問題を根本的に解決することを目的に行われるものです。制度開始における現状では、医療費水準にばらつきがあるため、県方針案に医療に要する費用の適正化に関する事項を定め、医療費水準の平準化のための取り組みを各市町で行うものとしています。  次に、収納率の向上の取り組みについてお答えします。  国保税収入の確保と収納率の向上は、国保の安定的な財政運営の前提となるものです。県方針案では、当市が属する保険者規模1万人以上5万人未満における一般被保険者の現年分の収納目標率は91.00%とされております。これに対し、当市の平成28年度決算における一般被保険者現年分の収納率は91.82%で、この収納率目標を上回っている状況ではありますが、県方針案では、さらに制度移行後の市町の運営状況を確認した上で、収納率目標を上げていくよう、県と市町の協議を行うとされています。  また、収納対策の取り組みとして、県は静岡県国民健康保険団体連合会とともに、引き続き収納率向上対策研修会を開催するほか、収納率目標を達成していない市町に対し、必要な助言、指導を行うこととされています。  一方で、市町が口座振替の促進、コンビニ収納や休日、夜間の納付相談の実施など、収納率の向上に資する取り組みを行うこととされています。  次に、質問2の国保事業費納付金の標準保険料率の試算結果についてお答えします。  今回の国保事業費納付金の試算は、新制度の施行準備として、国から都道府県に示された各種の仮係数のもとに行われました。  制度改革による市町村の負担の急激な増加を抑えるための激変緩和等を考慮した国全体の追加国費として財源1,700億円のうち、約1,500億円が国保事業費納付金の算定に盛り込まれ、年末における診療報酬の改定等による係数の変更以外の変動要因がほぼ加味された仮係数での算定を行ったとして、最終試算としての県内の市町村の国保事業費納付金額が、このたびの静岡県国民健康保険運営協議会及び市町に県から示されました。  確定係数による国保事業費納付金の本算定の算定結果は、平成30年1月下旬から2月上旬に各市町に通知される予定とされておりますが、標準保険料率の正式な公表時期は4月ごろの予定とされております。当市の仮係数による国保事業費納付金の今回の試算結果からは、何とか御殿場市国民健康保険特別会計の財政運営を賄える見込みであるという状況でありました。  実際の国保事業費納付金の額は、今後示される確定係数による算定結果で確定となるため、不透明な部分は残りますが、各市町とも日程等の関係上、今回の試算結果により予算編成を進めることとなります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  再質問いたします。  まず、1点目の静岡県国保運営方針(案)の内容について伺います。  1つ目の赤字解消・削減の取り組みとその目標年次についてです。  ただいまの答弁の中で国保は被保険者の相互扶助の上に成り立つ制度だと言われましたが、1958年に改正されました新法におきましては、相互扶助、この文言はありません。  第1条には国保が「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記をされています。当市も実施をしておりました法定外繰入金は社会保障制度を支える意味があると考えますが、法定外繰入金について、今後の対応についてお伺いいたします。  2つ目の納付金の算定方式についてです。  納付金の算定には、これまで市町村に配分されていた前期高齢者交付金、財政調整交付金や、新たに創設をされる保険者努力支援制度が影響すると考えられます。当市における影響についてお伺いいたします。  また、国保事業費納付金は県に100%完納が前提と言われております。今後の保険料率の増大に対応するための対応が求められています。当市ではこれまでの保険給付費等支払準備基金、この運用については今後どのような方針をお持ちなのか、お伺いいたします。  3つ目の標準保険料率についてです。  当市における標準保険料率の算定に用いる賦課方式は、次年度以降、どのように対応をされていくのかお伺いします。  4つ目の医療費適正化や収納率向上の取り組みについてです。  保険者努力支援制度が設けられているわけですけれども、この制度内容と当市の対応について伺います。  次に、大きな2点目の国保事業費納付金・標準保険料率の試算結果について再質問いたします。  国保事業費納付金の試算結果からは、平成28年度との比較で1人当たりの納付金、これを見ますと6,996円増額をされております。4つのパターンの激変緩和の試算も行われているわけですが、それでも2,345円から5,042円まで、いずれも増額されています。この数値には法定外繰入金は考慮されていないわけですが、次年度以降の激変、すなわち保険税の引き上げ、これはあるのか、当局の見通しをお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  市民部長。 ○市民部長(田代吉久君)  再質問にお答えします。  1点目の法定外繰入金の今後の対応についてお答えします。  国民健康保険制度は、国民皆保険制度の礎として市町村が相互扶助の精神にのっとり、市町村住民を対象として、病気、けが、出産及び死亡の場合に保険給付を行う社会保険制度です。全てを国等からの公費で賄うのではなく、ある一定の国保料や国保税を負担していくところに、相互扶助の上に成り立つと言えるゆえんがあると言えます。  今回の国民健康保険の制度改革は、県と市町が共同で運営に当たり、規模を大きくすることで、財政運営を安定させ、また、多額の国費を投入することで、持続可能な制度とすることを目指したものです。  既に平成27年度からは、低所得者対策の強化のための財政支援が拡大され、一般会計からの法定繰入金が大幅に増額されました。加えて平成30年度には、さらに1,700億円の国費が投入される予定で、制度改革後も一定期間は市町村国保の急激な負担増加を抑える措置である激変緩和のための国費投入等、さまざまな措置が講じられます。このような制度改革に立っての状況や、不安定な財政運営を解消するという本来の改革の目的である国や県の方針を踏まえ、現在、赤字補填として法定外繰り入れを行っている当市といたしましては、被保険者の負担が急激に増加しないよう、また、年度間の平準化も図りつつ、県の定める赤字補填の解消・削減の取組方針を基本とした当市の計画を策定し、赤字補填を目的とした法定外繰り入れの解消、削減に向けた財政運営に取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、2点目の市町村に配分されてきた前期高齢者交付金や財政調整交付金及び創設される保険者、努力支援制度の影響についてお答えします。  平成30年度からは、市町に交付されてきた国からの療養給付費等負担金や財政調整交付金並びに社会保険診療報酬支払基金からの前期高齢者交付金や療養給付費等交付金などが直接県の国保特別会計に交付されることになりますが、それらは市町が各年度支払うべき保険給付費に充てる県からの保険給付費等交付金の財源に充てるためにあって、歳出の部分でも県が直接管理を行うためです。  制度改正前の当市の現状では、国の財政調整交付金は財政調整機能が働き、当市にとって厳しい配分となっておりました。これらのことから、現時点における国保事業費納付金の試算結果からは、御殿場市国保特別会計の財政運営を賄える見込みでありますので、今後の財政運営に大きな影響は出ないものと想定しております。  また、保険者の医療費の適正化に向けた取り組み等に対する支援として創設された保険者努力支援制度に係る歳入への影響につきましては、県の国保特別会計に交付される保険者努力支援金は、県全体の国保事業費納付金の算定の際の財源として利用されるため、各市町の負担を抑制する働きがあります。市町に直接交付される保険者努力支援金につきましては、事業実施における配点等により交付金額が変更されます。  続きまして、2点目の2つ目、国保の基金の運用の方針についてお答えします。  基金の運用につきましては、これまでの御殿場市国民健康保険給付等支払準備基金条例では、保険給付等が急激に上昇し、予算に不足が生じたとき等に処分が限定されておりました。今回の制度改革に伴い、御殿場市国民健康保険事業全般における健全な財政運営を図るために処分できるよう、現在条例改正に向けての準備を進めております。  これからは保険給付に対する費用は、県からの保険給付費等交付金で賄うことができますので、今後まずは制度移行に伴う被保険者への激変緩和の財源として、適正かつ有効に基金を運用してまいりたいと考えております。  続きまして、3点目の標準保険料率に用いる賦課方式についてお答えします。  標準保険料率の一本化に向けて、県方針案の策定に当たり、各市町で賦課方式がばらばらであるという現状や、統一の目標時期などの課題があり、県と市町の間で時間をかけて議論されてきました。当市では、平成30年度は現行どおりの賦課方式で課税を行う予定で、平成31年度以降の賦課方式につきましては、先ほども答弁させていただきましたが、県や各市町と十分に協議を行っていくこととなっているため、それらを踏まえて検討していきたいと考えております。  続きまして、4点目の保険者努力支援制度の内容と当市の対応についてお答えします。  この制度は平成28年度から前倒しで実施されております。平成30年度からは国から県や市町に配分される予算総額が1,000億円程度となり、本格的に取組指標や配点が示され、達成状況や前年度比の伸び率を合わせて総合的に評価し、その評価点に応じて予算が配分されることになります。主な指標として、特定健診の受診率、重症化予防の取り組み、個人へのインセンティブ、これは意欲向上や目標達成のための支援策のことですが、個人へのインセンティブ提供、収納率向上等があり、これらの指標は県方針案にも反映されています。  当市といたしましては、市全体の健康課題への取り組みとして、また健全な財政運営を図っていくためにも、この制度を活用し、事業を展開してまいります。  最後の御質問、試算結果による平成28年度比較で1人当たりの納付金の数値から、次年度以降の激変、保険税の引き上げ、負担の増の見通しについてお答えします。  まず、現時点で平成30年度におきましては、現行の税率での課税を予定しております。平成31年度以降の税率につきましては、被保険者の減少や医療費の伸び等を見込んで、年度ごとに国保事業費納付金が県から示され、それによって税率改定を行うかどうか検討を行うことになります。  まずは、今後の税収入見込みと、県が示す標準保険料率、またこの国保事業費納付金の額との比較を重ね、被保険者の負担増が急激なものとならないよう、基金を適正かつ有効に活用し、財政運営を行ってまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  ただいま、加入者にとって最も関心のある次年度の値上げはないと御答弁をいただいたわけですけども、一般会計法定外繰入金の解消の方向が県の方針では示されております。公費負担の拡充がいつまで行われるのかわからない中で、安易に法定外繰入金を解消すべきではありません。「高い保険税」「高い窓口負担」につながらない対応を市長には求めます。  市長の御見解をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  市長。 ○市長(若林洋平君)  それでは、ただいまの高木議員の御質問に対しまして、私のほうからお答えをさせていただきます。  平成30年度からの国保の制度改革が、被保険者の急激な負担増につながるようなものであってはならないということを私自身も十分に認識をしているところでございます。これまでも赤字補填の法定外繰り入れにつきましては、税負担の激変緩和や税の不足分を補うことを目的とし、また、法定繰入金が増額された年度には減額するなど、年度ごとに必要があれば増額し、必要がないときには減額するといったように、国保財政の状況に応じた対応を行ってまいったところでございます。今後も、その状況に応じた支援を続けていくことは重要である、そのように考えております。  一方、県方針案におきましては、医療費の適正化や健康づくりに向けたインセンティブの提供など、健康増進の項目も重点的な取り組みとして挙げております。安定的な財政運営と同様に、そもそも医療費をなるべく必要としないようなまちづくりをしていくこと、市民誰もが健康で生きがいを持って生活ができること、それこそが何より大切であると考えます。  この改革を推進していくに当たり、国保財政を安定させ、将来にわたり持続可能な制度としていくという趣旨を見失うことなく、赤字繰り入れについては、当市の制度改革後の収支状況や他市町の動向に注視し、当然のことながら、被保険者の負担が急激に増加につながるようなことがない、そういった配慮のもと、引き続き慎重に対応してまいりたいと考えております。  以上、答弁とさせていただきます。  (「終わります。」と高木理文君) ○議長(勝間田博文君)  それでは、2問目の質問を許します。  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  2点目は、里山資源としての間伐・未利用材の活用について、一問一答方式で質問をいたします。  日本の森林は、戦後造成されてきた人工林の半数以上が主伐期を迎え、森林資源の有効活用と計画的な再造成を進める段階を迎えております。しかし、現状は、国内需要の7割を輸入材が占め、国産の木材価格は長期低迷し、林業経営の悪化が深刻化しております。  何より外材依存の加工流通体制を改め、その上で国産材の生産・加工・流通体制を構築し、国産材の価格の安定を図るなどの国内林業の再生こそが必要であります。  当市の森林面積は1万998haで、全域面積の56%を占めています。その内訳は民有林が8,345ha、国有林が2,653haです。市内の森林は林齢的には伐採時期を迎えていますが間伐が実施されていない森林が多く過密状態となっております。  第四次御殿場市総合計画の中でも「農業・林業経営体の強化・多様化」この施策の中で林業については、森林組合の経営体としての強化や森林整備の担い手等、多様な事業主体の参入の推進が示され、「地場産材の有効活用・多面的利用」の施策では地産地消を目的とした地場産材の積極的な活用推進とともに、間伐による産出材を木質バイオマスの燃料等として活用できる施設整備の支援、こうしたものが示されております。  全国的にも利用間伐が推進されるようになり枝、葉などの未利用材についてもバイオマス事業などへの利活用が進められてきております。こうした背景を受け、以下質問をいたします。  1点目です。最初に市内の間伐・未利用材の現状と課題についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  当市の森林面積は1万998haで、そのうち森林整備計画により、計画的管理を行うこととする5条森林は、3,652haで、杉、ヒノキなどの人工林が多数となっております。それら人工林の多くは、戦後一斉に植林され、40年以上経過しており、伐採時期を迎えております。  市内の森林の間伐事業につきましては、国の公共造林補助制度を活用して、森林を集約化し、一体的に整備を行うものと、市の補助金を活用して市街地など、小規模な森林の整備を行うものがあり、間伐で発生した木材は搬出して有効利用する利用間伐が主流となっており、その他、未利用材につきましては、林地内に残しているのが現状でありました。  このようなことから、未利用材の有効利用につきましては、平成26年度から平成28年度にかけ行いました富士岡地区森林整備推進モデル事業において検討いたしまして、建築用材として使用するほか、木質バイオマスなどの燃料用としての利用が図られるようになりました。  また、枝葉につきましても、チップ化し、林地内での作業道の路盤材などに活用を図っており、より活用の範囲を拡大して、有効的な地産地消の推進を新たな目標として取り組んでまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)
     10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  ただいまの答弁で、対象となる面積はわかりましたけども、どのくらいの量が利用可能なのかと、この点は把握できるのかお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  計画的管理を行うこととする5条森林、3,652haにつきましては、静岡県森林計画課にて森林に関する情報を管理しております森林簿において、航空写真をもとに樹齢及び樹種調査により、森林の総在積量は把握されております。しかし、所有者が不明であったり、間伐事業に御理解いただけない所有者及び急傾斜等の地形条件などの問題によりまして、全ての木材が利用できるとは限らない状況でございます。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  ただいまの答弁で、この分野の解決すべき課題の一端も理解できました。  次に、こうした森林整備事業の担い手の現状と課題についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  当市の森林につきましては、大きく分けて財産区、法人が所有する山林と個人が所有する山林がございまして、財産区、法人の所有林につきましては、森林組合との連携により、継続的に整備されております。  箱根山系の森林につきましては、個人所有が多く、過密状態で、整備を行いづらい状況ではありますが、徐々に整備を進めているところでございます。  現在、当市には、林業主体の事業体が民間事業体と、今年度認定を受けた特定非営利活動法人地域活力創造センターの2団体あり、市内の間伐などの森林整備事業は近隣地区の事業体とともに行っております。  一方で、林業主体の事業体のほかにも、林業にかかわる団体はございますが、林業経営が主な事業ではなく、設備不足や高齢化、専門技術者の減少などによる人員不足により、業務の拡大ができないことから、利用間伐等の大規模な森林整備事業の請け負いが困難な状況となっております。  林業の担い手や林業事業体の育成のために、森林組合と木材協同組合と綿密な連携をとり、林業従事者の確保、森林整備などの林業事業の充実を進めてまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  先の富士岡地区森林整備推進モデル事業、これにおきましては、御殿場市森林組合はもちろんですが御殿場総合サービス株式会社とNPO法人地域活力創造センターが大きな役割を果たしたと私も認識をしております。  NPO法人地域活力創造センターは、私が9月議会でただした木質チップを搬出した団体ではありますが、NPO法人ながらハーベスタなどの大型重機を数台所有して林道事業を行っております。森林整備事業を担うこの2つの団体は、事務所の所在地が同じで、御殿場総合サービス株式会社の取締役がNPO法人の理事を兼ねております。この御殿場総合サービス株式会社とNPO法人、この関係につきまして、当局の御認識をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  市がお答えする立場かどうかわかりかねますが、富士岡地区森林整備推進モデル事業におきましては、NPO法人地域活力創造センターは、御殿場森林組合から間伐事業を請け負い、施業いたしました。御殿場総合サービス株式会社は、里山資源を有効活用する産学官の共同体制を構築するために、大学研究者との橋渡しをしていただいたり、富士岡地区森林整備推進モデル事業が成功するために協力をいただいたものであります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  この問題はなかなか明確な御答弁をいただけないようですので、次の質問に移ります。  私は、先に震災からの復興に取り組む「気仙沼地域エネルギー開発」の取り組みについてお話を伺う機会がありました。そこでは山はあるけれども木が切れない山主と林業従事希望者のマッチングに取り組んでおりました。地域おこし協力隊を導入して、若い人材を登用し、チェーンソー研修や作業道研修、軽架線研修などをこれまで48回行い、600名が受講したそうです。こうした取り組みの中で、林業従事希望者をグループ化し、森林整備の援助体制をつくったそうです。  2013年からはバイオマス燃料材の買い取り制度をスタートさせ、2014年3月から熱電併給のバイオマスプラントを稼働させています。  私はこうした地域で雇用が生まれ、経済循環がある森の活用が今後求められてくると思いますが、当局はこうした事業主体となる団体に何を期待しておられるのかお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  各自治体により現状や条件は異なるとは思いますが、議員がただいま上げられました取り組み事例につきましては、若者に林業の知識、技術、能力を習得してもらい、地域おこしに取り組む体制として、当市の林業事業におきましても、事業拡大と担い手の創出に大きな手本となるものと認識をしております。  当市といたしましては、5条森林の森林整備事業を推進していただくため、林業事業体の増加と経営強化を図るとともに、従来どおりの森林整備、林業振興にとどまらず、里山資源としての森林の利活用を推進していただき、さまざまな角度から検討することにより、さらなる雇用創出とPRにつなげることに期待をしております。  いずれにしましても、富士岡地区森林整備推進モデル事業の成果を、今後の市内の森林整備に展開していくために、森林組合のさらなる体制強化と林業関係従事者の中心となる木材協同組合と深い連携をとってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  それでは、3点目ですけれども、この事業の今後の方向性について、当市の御見解をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  間伐材や未利用材につきましては、富士岡地区森林整備推進モデル事業の検証結果を受け、地産地消への取り組みの継続と拡大を図るとともに、担い手の増加、及び作業性の向上など、森林整備に伴い搬出量も増加することから、従来の主目的であります建築用材や木質バイオマスなどの燃料用としての活用などのほか、より有効な利活用拡大の検討を進めてまいります。  また、採算性等費用対効果の低い枝葉の未利用材につきましては、富士岡地区森林整備推進モデル事業で検証した、作業性向上を目的とした作業道の路盤材として活用する方法のほか、より範囲を拡大して、有効な地産地消を進めてまいります。  いずれにいたしましても、森林整備事業により算出される間伐・未利用材の里山資源につきましては、市といたしましても森林組合を中心に、木材協同組合と一体となってさまざまな角度から利活用について検討を行ってまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  御答弁にありました木質バイオマスについては、ぜひ研究もし、推進をしていただきたいと思います。当局は総合計画の中で、「間伐による産出材を木質バイオマスの燃料等として活用できる施設整備の支援」、これを示されております。このたび、秩父宮記念公園内に木質バイオマスボイラーが設置されますが、これは当局の方向性を受けたテストなのか、お伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(勝俣 昇君)  お答えします。  秩父宮記念公園に設置されました木質バイオマスボイラーにつきましては、里山資源の有効活用の観点から、当市の目的と方向性は合致しているものでございます。設置につきましては、御殿場総合サービス株式会社が自主事業として独自に取り組んでいただいたもので、市からテストを依頼したものではございません。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  10番 高木理文議員。 ○10番(高木理文君)  御殿場総合サービス株式会社では現在は木質チップの販売を行っていると私は認識をしております。当市の目的と方向性は合致しているとはいえ、みずからが指定管理者をしている施設に自主事業として、木質バイオマスボイラーを設置して、そこで消費する木質チップは御殿場総合サービスから買い入れる、こうしたことになりますと、利益相反、こうした状況も生まれかねません。  間伐・未利用材の活用事業、これは私は大いに期待をしているだけに、物やお金の流れは市民誰が見てもわかりやすいものにしていただきたいのです。そういう意味で、最後にこの事業を進めていく市長の決意をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  市長。 ○市長(若林洋平君)  それでは、私のほうからお答えをさせていただきます。  現在の森林は、戦後、一斉の植林により伐採の時期を迎える中、外国産材の流入や木材価格の低下等により、全国的に伐採による森林整備が遅れてきているのが現状で、伐採したとしても建築用材として利用できる木材のみを搬出し、価値のない未利用材は山へ放置するなど、整備の遅れや、林地残材により環境問題や自然災害に対する脆弱さが課題となっております。  本市では、こうした全国的な課題を市独自の工夫で解消をするため、平成26年度から大学研究室や民間事業者等の連携のもと、モデルフォレスト事業として里山資源の活用について検討を重ね、現在、御殿場市エコガーデンシティ推進協議会の取り組みとして、新エネルギーや地域資源の活用、環境への負荷軽減等を推進しているところでございます。  御質問の今後における事業の展開につきましては、本市の面積の約6割を占める森林が里山資源として有効に活用が図られ、森林整備の推進が図られるよう、御殿場市エコガーデンシティ推進協議会の取り組みを引き続き官民連携で推進をし、合わせて森林整備の事業主体となります事業体の育成強化につきましても、森林組合や木材協同組合を中心に、民間事業者等とも連携を図りながら推進をしてまいります。  いずれにいたしましても、里山資源の活用については、全国的にも先進的な取り組みであります御殿場モデルフォレストとしてスタートいたしました。今後も森林整備事業の促進を図るため、モデル事業の検証による木質バイオマスの推進と普及に努め、公共施設への木質バイオマス設備の導入など、調査研究について進めてまいります。  御殿場総合サービス株式会社におきましては、当市の方向性に合致した取り組みとして、木質バイオマスボイラーを秩父宮記念公園に自主事業として設置したものでございます。本事業により得られた結果につきましては、今後、市の本庁舎や御胎内温泉などのほか、公共施設などでの利活用の参考とさせていただきたいと考えております。  なお、御殿場総合サービス株式会社の自主事業につきましては、未利用材の需要の掘り起こしとして、企業努力により取り組んでいただいたものであり、何ら問題がないと、そのように認識をしております。  以上でございます。  (「終わります。」と高木理文君) ○議長(勝間田博文君)  以上で、10番 高木理文議員の質問は終了いたしました。  次に、13番 神野義孝議員の質問を許します。  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  私は、「信仰・文学と富士山眺望保存について」一問一答方式により、一般質問いたします。  平成25年6月、富士山が世界文化遺産に登録されました。市内では、須山口登山道、現御殿場口登山道が構成遺産の一つになりました。  富士山は、日本人の自然に対する信仰と芸術文化を育んできました。  深田久彌氏の随筆「日本百名山」を引用しますと、「世界各国にはそれぞれ名山がある。しかし富士山ほど一国を代表し、国民の精神的資産となった山はほかにないだろう。「語りつぎ言ひつぎゆかむ」と詠まれた万葉の昔から、我々日本人はどれほど豊かな情操を富士によって養われてきたことであろう。もしこの山がなかったら、日本の歴史はもっと別な道を辿っていたかもしれない。」と表現されています。  当市では平成27年11月、富士山の良好な眺望ポイントとして、富士山眺望遺産を認定しました。また、当市は、富士山に関する多くの文学作品とともに、古くから箱根山系には、富士山を仰ぎ見ることによる信仰の場所、遥拝所がありました。  箱根山系、乙女峠からの富士山の眺望は、歌人若山牧水の紀行文から引用しますと、「清らかに美しく、天地にただ獨り寂しく聳えて四方の山河を統ぶるに似た偉大な山嶽を讃めたたふることが出来るであらう。乙女峠の富士は普通いふ富士の美しさの、山の半ば以上を仰いでいふのと違っているのを私は感じた。雪を被った山巓も無論いい。がこの峠から見る富士は寧ろ山の麓、即ち富士の裾野全帯を下に置いての山の美しさであると思った。」とあります。今は、樹木により視界が狭まり、この美しさは見られません。
     また、長尾峠の眺望について、随筆家白洲正子は、「白洲正子自伝」の中で、「長尾峠のトンネルを出たとたん、突如として目の前に現れる富士山の全貌は、何度見てもその度ごとに胸のとどろく風景であった。南の方の愛鷹山から御前岳へとつづく連山が切れたところから、長い裾を引いてすっくとそびえ立つ孤峰は、まこと神山の名にそむかぬ崇高さをたたえていた。すぐ目の下の御殿場からは真直ぐに登山道が通っており、西の富士の宮から来る表参道と途中でいっしょになって頂上へ向かってのびて行く。」と記述しています。  郷土史研究家の長田登雄氏は「嶽麓の名勝史蹟」で「長尾峠の展望は富士が第一である。裾野大高原を透して秀麗なる霊峰富士を見上げた壮大な景色は、乙女峠の富士と共に双璧といってよい。箱根に遊ぶ内外人は必ずここに杖を曳いて富士の眺望を恣にする。大正11年7月英国皇太子殿下御来朝の節、摂政宮殿下にましました、今上天皇陛下には国賓殿下をここに御案内あらせられ、共に富士を御眺望遊ばされた。今も立っている眺望臺は其の時の記念物である。その後瑞典皇太子殿下、英国グロスター公殿下、シャム国皇帝皇后両陛下のここにご来遊あらせられた事は、記憶に新たな所である。」と記しています。  英国王室の日本の印象は、「一に富士山、二に(京都の)保津川下り」と語られていたと言われます。  また、「大いなるかな富士の心 豊かなるかな富士の姿」で始まる「御殿場市歌」は、ここからの富士の大観がもととなり、歌人佐々木信綱により作詞されております。  現在のこの地は眺望臺はなく、閑散として荒廃し、昔の面影はありません。  駿河台は二の岡神社の裏山に当たり、富士山を御神体とする遥拝場所であり、鳥居と狛犬が建立されております。  富士山全体と裾野一帯、南の方に駿河湾と天城山系、愛鷹山、北の方に丹沢山系、北東の方に箱根山系が見渡せる観光の名所でもありました。  歌人佐々木信綱の門下、歌人石榑千亦が詠んだ富士山百人一首にあります「萬のものみなひそまりて天地はひとつの不二となりにけるかも」の文学碑があります。  また、岸信介元総理大臣、石原慎太郎元東京都知事、鈴木勝己元御殿場市長の書かれた碑もあります。  以前は御殿場市観光12選に選ばれておりましたが、現在は、樹木により視界が遮られて市街地は見えづらく、外されております。  秩父宮別邸は、井上準之助元蔵相の別荘であったことから、城山三郎著「男子の本懐」に、また、秩父宮勢津子妃殿下が書かれた「銀のボンボニエール」に富士山の眺望がよいため選定されたことが描かれております。  箱根外輪山から見る富士山の眺望は、交通アクセスの変化や戦後植林した樹木により視界が遮られ、以前の輝きを失っております。  箱根山(乙女峠、丸岳、長尾峠、名勝駿河台、県道401号線)からの富士山眺望は、観光行政及び植林、樹木との調整を要し、森林行政上難しい面がありますが、今後の課題であると思います。  眺望遺産と並び、信仰・文学等にかかわる富士山の眺望映像と由緒を記録遺産として残し、将来に継承していくことは、大きな意義があります。  御殿場市は、平成25年12月、景観計画を策定し、景観政策による豊かな郷土づくりを目指しています。計画には、市民の意見に対し、箱根外輪山からの富士山眺望について、国道138号線や県境のハイキングコースからの富士山眺望を確保するため、現在の人工林から自然林へ植生転換を図る方針が示されております。着実に実現していただきたいと思います。  そこで、当市における信仰・文学と富士山眺望保存についてお伺いいたします。  質問の1つ目として、富士山の眺望映像と由緒記録の状況についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えいたします。  富士山の眺望につきましては、教育委員会として眺望という観点から調査研究を行い、集積した古写真や映像はございません。ただし、近年実施いたしました徳川氏御殿の歴史調査や富士山の世界文化遺産登録を契機とした御殿場周辺の街道や御殿場口登山道の調査の中で、幕末から明治時代にかけての御殿場周辺や富士山の写った古写真が多数存在することがわかりました。その中には仙石原側からかごに乗って乙女峠など箱根外輪山の稜線まで登った人や、富士山が写ったものがありました。また、雲の伯爵として知られる阿部正直博士が残した昭和初期の膨大な写真や映像の中には、研究目的、あるいは家族の記録として撮影したものではありますが、箱根外輪山から見た富士山が写ったものが存在いたします。  教育委員会では、これら写真や映像について存在を把握しており、幕末から昭和初期の御殿場の姿を今に伝える資料として、眺望という観点ではありませんが、御厨の御殿調査報告書等の書籍や阿部正直博士没後50周年記念展等の企画展示において、一部を紹介しております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  御答弁ありがとうございました。  了解して、質問2に移ります。  富士山の眺望映像と由緒を記録遺産として残すことへの見解をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えします。  先の答弁で申し上げたとおり、教育委員会では幕末から昭和初期における御殿場の姿を今に伝える資料として、この時代の御殿場周辺や富士山が写った古写真、昭和初期の映像の存在を把握しております。  現在、富士山の展望地としても有名になっている乙女峠や長尾峠は、かつては御厨地方と箱根、小田原を結ぶ峠道として、人々や物資が行き交い、郷土の歴史を後世に伝えるために調査研究を行う対象であると考えます。  一方、近代以降は長尾峠、乙女峠をトンネルで越える自動車道の開通や、箱根の観光開発が富士山の眺望を求めて、箱根外輪山の稜線上まで達したという出来事は、郷土の歴史の一コマであるだけでなく、現在の観光行政や景観行政にもつながる重要な歴史です。  眺望映像や由緒に関しての情報収集や調査研究については、文化財という枠におさめず、関係各課と連携して進め、資料館等の設置に併せ、記録遺産として残すことは当然として、さらにそれぞれの施策に反映していきたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  御答弁では、富士山の眺望映像と由緒を資料館の設置に併せ、記録遺産として残し、それぞれの施策に反映していきたいとのことでした。  そこで、再質問いたします。  当市からの富士山の眺望にかかわる文学作品は、当時の世相や歴史背景、著者の思いが反映されています。眺望遺産のように、富士山の眺望と文学を含めた由緒を記録遺産に制定して残すことについて見解をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えします。  古来よりの文学作品には、御殿場市域からの富士山の眺望につきまして、さまざまに取り上げられております。教育委員会では、現在も巡礼路の調査などを行っていますが、富士山と文学作品とのかかわりや由緒等に関しましても、さまざまな角度から知見を積み重ねており、教育委員会が発行している文化財のしおりのシリーズや企画展示などの折に、一部を紹介しているところです。  御質問にもございましたとおり、当市では従前より魅力ある富士山の眺望を世界に発信していく中で、富士見12景の選定や眺望遺産の制定を実施してきました。また、文学作品に取り上げられた眺望の場所は、眺望遺産等の候補地となった場所と重なるポイントが多くあります。今後、これらの眺望ポイントが整備され、眺望遺産等に制定されることも考えられます。したがいまして、眺望遺産等の拡大に合わせて、文学的、由緒等に係る情報があるポイントが制定される場合、情報提供などの面から担当課に協力していくことを考えています。  また、先ほどお答えいたしましたとおり、これら情報につきましては、将来的には資料館等に登録していくことも考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  文学作品に取り上げられた場所及び由緒ある眺望の場所が整備され、教育文化・観光面で活用されることを期待してこの項を終わります。  質問3に移ります。  東海道線開通前の乙女峠の状況をお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えします。  東海道線は、明治22年に御殿場回りで箱根山を大きく迂回して越える経路で開通し、御殿場停車場も開設されました。東海道線開通以前、御殿場周辺は東海道の裏街道であった足柄街道が南北に縦断する主要な交通路であり、足柄峠を通る箱根越えが一般的なルートでした。それに対して乙女峠は、文献によると御殿の御という字に留めると書いて「御留峠」とも表記したように、通行が制限されていて、小田原藩の公用や御厨、箱根の人々などに限られた人々が通行するルートでした。  しかし、幕末から明治時代になると、箱根まで来ていた外国人が富士山の眺望を求めて乙女峠など箱根外輪山の稜線まで足を延ばすようになり、その延長線沿いにあったのが、後に一大別荘地となった二の岡や東山であります。古老の証言によると、昭和10から20年代のことと思われますが、御殿場から徒歩で乙女峠を越えて箱根のゴルフ場へ通勤したり、荷を担いで米などを売りに行く人もいたそうです。  自動車道については、トンネルで乙女峠を越える道路の計画が明治41年に持ち上がりましたが、開通したのは昭和39年のことです。ちなみにトンネルで長尾峠を越える道路は大正2年に開通しております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  御答弁により、乙女峠の歴史的状況がわかりました。  再質問いたします。  現在の乙女峠の眺望を含んだ地形的状況についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えします。  乙女峠は、箱根外輪山の稜線上に位置する峠で、標高1,005mに位置しております。富士見三峠に数えられる絶景の地であり、箱根外輪山の峠付近からの眺望は、富士山を正面に見ることができるため、当市の富士見12景に含まれており、眺望のよさを市内外に紹介しています。  峠部分を含む遊歩道は、金時山などにも通じるハイキング道として当市が整備しており、峠には展望台を設置しております。  また、ハイキング道の整備に併せ、富士山の眺望ポイントにつきましても、定期的に巡回を行い、地権者等の了解を得て、樹木の剪定や伐採を行い、良好な眺望の確保に努めております。  これからも市といたしましては、本市の魅力の一つである雄大な富士山の姿を楽しむことができる状態を継続できるように、現状の把握に努めるとともに、眺望を楽しむ環境の保全に努めてまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  植生転換によるさらなる眺望の確保を期待してこの項を終わり、質問4に移ります。  長尾峠、駿河台の説明看板の設置及び眺望等の整備の考えをお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えします。  当市では、本市の富士山の眺望を楽しむことができる場所として、眺望遺産を含む富士見12景を看板やパンフレットにより案内しており、いずれの眺望ポイントについても、定期的に巡回を実施し、眺望の維持に努めております。  雄大な富士山の姿を楽しむことができる眺望ポイントは、本市の大きな魅力の一つであり、これに歴史的な観点からの位置づけができれば、さらに魅力が増すと考えます。  教育委員会といたしましては、世界遺産に登録された富士山について、ユネスコから課されている巡礼路の把握に対応するため、市内の古道の調査を継続しています。  説明看板の設置などにつきましては、関係課と調整、検討してまいります。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  御答弁では、眺望ポイントに歴史的な観点からの位置づけができれば、さらに魅力が増すとのことでした。
     そこで、再質問いたします。  戦後植林した樹木により視界が遮られ、荒廃している駿河台及び「白洲正子自伝」に描かれている長尾峠の今後の整備の予定についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育部長。 ○教育部長(杉本哲哉君)  お答えします。  駿河台につきましては、かつては観光12選に選ばれ、長尾峠に通じる県道沿いの景勝地となっています。また、長尾峠は富士見12景の一つとして内外にPRしています。  駿河台や長尾峠から見た富士山の眺望が大変すばらしいことは言うまでもありません。しかしながら、御質問の駿河台は民有地でありますことから、その整備につきましては現時点では行政としての介入が難しい状況にあります。  また、長尾トンネルの御殿場側となる白洲正子氏が見られた場所からの眺望は、樹木の成長に伴い、当時とは異なっております。眺望を確保していくためには、樹木の伐採等が必要となりますが、この場所は国有林や民有地となりますので、簡単に手を入れることができません。  いずれにいたしましても、御質問の場所の整備の予定につきましては、現在のところございませんが、教育委員会及び関係各課で検討した上で、関係者等に対しましてアプローチしていきたいと考えております。  また、将来的には富士山の眺望を含む文学作品や由緒・由来等があるポイントを案内できるよう、マップづくりなども検討していきます。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  御答弁にありました関係者等へのアプローチ、文学作品や由緒等案内のマップづくりなどを期待して、この項を終わり、質問5に移ります。  秩父宮記念公園は、昭和16年当時は富士山全体、裾野一帯、市街地、愛鷹山が眺望できましたが、前面の植林したヒノキや樹木が大きくなったため視界が悪くなり、現在は、富士山の上層部しか見えません。秩父宮記念公園の富士山の眺望をよくする対応についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  都市建設部長。 ○都市建設部長(小林龍也君)  お答えいたします。  秩父宮妃殿下がお書きになった「銀のボンボニエール」などでは、御殿場での生活の様子や富士山への思いなどを伺うことができます。秩父宮記念公園では、少し高台となっている母屋、秩父宮殿下の銅像付近から富士山を臨むことができますが、現在も御別邸や庭、周辺の樹木などと調和し、穏やかな気分になることができます。  富士山の眺望ですが、昭和初期と比べれば時間の経過とともに庭木や周辺の樹木の成長、また市街地の形成などにより変化はありますが、現在も公園と調和した良好な眺望が確保されていると考えております。  今後も勢津子妃殿下からの御遺贈時の御意思に基づき、極力、樹木の伐採などを行わず、公園自体の崇高な雰囲気を守ることで、富士山との調和を図り、このよい眺望を確保していきたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(勝間田博文君)  13番 神野義孝議員。 ○13番(神野義孝君)  再質問いたします。  秩父宮勢津子妃殿下自伝「銀のボンボニエール」によりますと、「御殿場に別邸を求めるに当たって、私が最も重点を置きましたのは、前にもお話しいたしましたように、宮さまがお休みになったままでも富士山がよくご覧になれるということでございました。ところが、ここにお住みになって、毎日富士山をご覧になっているうちに、これまで想像もしなかったいろいろなものが見えてきた、とおっしゃるのです。四季折々の山の姿、一日のうちでも時々刻々に変わっていく山の色や雲の動き。それらは幾ら見ていても見飽きることがない。しかも静かに超然とそびえている姿には、近づきがたいものさえ感じるようになった、ともおっしゃるのでした。それをお伺いしたとき、本当によかったと心から思いました。」と妃殿下は書かれておられます。  現在は、最もよく富士山が見える母屋の銅像付近から富士山の上層部が見えますが、徐々に眺望が失われつつあります。秩父宮両殿下の富士山への御心を大切にしたいと思います。  今後の眺望を確保する方策についてお伺いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  都市建設部長。 ○都市建設部長(小林龍也君)  お答えいたします。  ただいまの御質問は、公園正門からの砂利道付近両側に広がるヒノキ林が、富士山の裾野や周辺の山々まで見渡した昭和初期の眺望を阻害しているとのことかと思います。このヒノキ林は秩父宮記念公園ではお客様を歓迎する森のエントランスとして位置づけられ、その神秘的雰囲気から多くの来園者の方々から好評をいただき、当公園を代表する施設の一つとなっております。  仮にこのヒノキ林がなくなり、富士山が裾野まで見渡せるようになったとしても、時の流れとともに周辺も変わったことから、昭和初期の眺望には戻ることができないと考えております。  しかしながら、当公園のある東山二の岡地区におきましては、仏舎利塔や東山湖、富士松展望台など、富士山の裾野や周辺の山々を見渡すことができる場所も多く、秩父宮様が宮邸におられたときにごらんになった富士山をしのばせる眺望もまだまだ残されております。秩父宮記念公園そのものではないものの、これらを守っていくことも有効な手段の一つであると考えております。  このことから、先ほどの質問でもお答えいたしましたが、秩父宮記念公園からの樹木と調和した富士山の眺望はすぐれたものであると来園者の方々より高評価を得ていることから、御遺贈された妃殿下の御意思に従い、今後も必要以上の伐採や樹種転換は行わず、当公園の持つ崇高な雰囲気と富士山との調和を守り、現在の眺望の保全に努めていきたいと考えております。  以上でございます。  (「富士山眺望・由緒等の保存を期待して終わります。」と神野義孝君) ○議長(勝間田博文君)  以上で、13番 神野義孝議員の質問は終了いたしました。 ○議長(勝間田博文君)  この際、午後1時まで休憩いたします。                            午後0時12分 ○議長(勝間田博文君)  休憩前に引き続き会議を開きます。                            午後1時00分 ○議長(勝間田博文君)  日程第1 「一般質問」を継続いたします。  次に、3番 土屋光行議員の質問を許します。  3番 土屋光行議員。 ○3番(土屋光行君)  それでは通告に従い、私の一般質問を、一括質問一括答弁方式で行いますので、よろしくお願いいたします。  質問事項は1件です。  学校・保護者・地域一体のコミュニティ・スクール構想について、教育行政の当局にお伺いしますので、よろしくお願いいたします。  まず、このコミュニティ・スクールについては、日本の教育制度の課題として、以前より全国的に関心が持たれ、先進的な取り組みも見られていましたが、大事なことは、近年に至りこの課題に対して政府が本格的に取り組んで、既に文部科学省の政策として全国の全ての公立学校をコミュニティ・スクール化しようと、その推進が図られているということを、今述べさせていただきます。  コミュニティ・スクールとは、「学校運営協議会制度」を導入した学校と言われますが、この学校運営協議会の主な役割や、そこで活動する委員のことなどについて簡単にまとめてみますと、学校と保護者・地域が、子どもたちの未来に対して、それぞれの立場で責任あるパートナーとして連携・協働し、学校の支援に関する総合的な企画・立案を行い、関係者が一体となって学校運営に取り組んでいくことが、この学校運営協議会の役割であるようです。  特に、きのうも質問でいじめ等の課題が出ておりましたけども、特にいじめや暴力、児童虐待、子どもの貧困、子どもの規範意識や社会性の問題、さらには、地域のつながりと支え合いの希薄化や、核家族化が進む中から起こる問題、また複雑・多様化した学校の課題に伴う教職員の過重な勤務実態など、子どもたちの教育・子育ての環境を取り巻くさまざまな現代の根深い問題や課題に対して、社会総がかりで取り組んでいくために、その核となってこの学校運営協議会が取り組んでいくことが求められているようです。  また、この学校運営協議会の法律上の役割、例えば校長が作成する学校運営の基本方針を承認することとか、学校運営について、校長や教育委員会に意見を述べることができるなどのこともあるようですけれども、とにかく今述べましたような、現代の教育・子育ての環境を取り巻くさまざまな問題や課題に対して、この学校運営協議会が、社会総がかりの取り組みの核となって、課せられた役割を果たしていくことに、大きく期待されているところのものであると思います。  さらに、この学校運営協議会の地域からの役員は、保護者代表や地域のさまざまな組織の代表であり、またこの協議会は、一定の権限を持つ合議制の機関であって、今まで学校に置かれてきました学校評議委員制度による組織とは異なり、もっと次元の違う積極的な組織機関であるということです。  私たち市議会福祉文教委員会においても、去る10月16日に、このコミュニティ・スクールのことについて、文部科学省の初等中等教育局を訪問し、制度の全体について調査をしてきたところですが、いずれにしても、政府の政策として文部科学省が展開している、このコミュニティ・スクールの事業は、現政権が目指す一億総活躍社会の実現と、地方創生推進の根幹にかかわる事業として取り組まれている状況であるため、当市の教育委員会においては、このコミュニティ・スクールについてどのようにお考えか、御答弁いただき、広く市民にお知らせしていただきたい。また同時に当局の考えを、今後の議会活動にしっかりと生かしていきたいと考えています。  以上、前置きをいたしましたけれども、以下、大きく3つのことについて質問しますので、当局のお考えについて、御答弁をお願いいたします。  まず、第1の質問ですが、文部科学省が推進しているこのコミュニティ・スクール政策の全体像と、その推進状況を、当市の教育委員会はどのように認識、把握されていられるのか、次の2つの点でお伺いいたします。  1つ目は、「コミュニティ・スクール政策の全体像についての認識」に関して、中央教育審議会の、平成27年12月の答申、すなわち「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた、学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」という答申ですが、これを受け、文部科学省が翌年28年1月に、一億総活躍社会の実現と地方創生の推進のために、次世代の学校・地域創生プラン、これは平成28から32年度の5年間を計画期間としておりますが、これを策定しましたが、この答申とプランの内容をどのように認識されていられるのか。  特に、答申とプランの中心になっているコミュニティ・スクール政策の具体的な内容を、教育委員会ではどのように認識、把握されているのか、お伺いいたします。  2つ目は、文部科学省のコミュニティ・スクール政策の推進体制や都道府県・市町村の取り組みの現状について、どのように承知されていられるのかお伺いいたします。  次に、第2番目の質問に入ります。  当市でのコミュニティ・スクール構想の必要性について、特に文部科学省の政策や、当市の社会総がかりの子ども条例行動計画の実際化などの観点よりお伺いいたします。  続いて、第3の質問ですが、当市がコミュニティ・スクールを構想する場合、その型、いろんな型があるようですが、その型や課題などについて伺います。  特にこのことは、コミュニティ・スクールは、全国の例として中学校区を単位とした型や、小中一貫教育を重視した型など、地域の実情に合わせてさまざまあるようですけれども、当市として考えられる型についてお伺いしたいと思います。  また、コミュニティ・スクール構想をする場合、予想される課題や事前の対応などについてもお伺いしますので、よろしくお願いいたします。  以上、学校・保護者・地域一体のコミュニティ・スクール構想について、一括してお伺いいたしますので、御答弁をよろしくお願いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育長。 ○教育長(勝又將雄君)  それでは、大きく3点の御質問をいただきましたので、順次、お答えいたします。  最初に、1番目の御質問、コミュニティ・スクール政策の全体像と、その推進状況の認識についてでございますが、平成27年12月に中教審から、「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の答申が出されました。この答申は、地域社会のつながりや支え合いの希薄化等により、地域の教育力の低下や学校が抱える課題の複雑化や困難化を背景に出されたものであります。そして、学校と地域はパートナーとして相互に連携・協働していく必要があり、社会総がかりでの教育の実現を図る必要があるという考え方が示されております。  また、これからの学校と地域の目指す連携・協働の姿として、地域とともにある学校への転換、子どもも大人も学び合い、育ち合う教育体制の構築、学校を核とした地域づくりの推進が上げられております。これらを実現するツールとして、コミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進施策が提言されました。  平成28年1月に文部科学省から出された「次世代の学校・地域」創生プランは、この答申の内容の具体化を強力に推進するために策定され、平成32年までに取り組むべき具体的な取り組み施策と改革の工程表が明示されております。この答申プランでは、将来的には全ての公立学校がコミュニティ・スクールを目指すべきであり、教育委員会が積極的にコミュニティ・スクールの推進に努めていくように制度的位置づけを検討するように求められております。  コミュニティ・スクールは、保護者や地域住民等を委員とする学校運営協議会が、学校運営や学校に必要な支援などを協議し、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組む学校であります。  平成29年度4月現在の小中学校、義務教育学校におけるコミュニティ・スクールの導入状況は3,398校で、これは全体の11.7%に当たります。静岡県においては、磐田市、御前崎市、袋井市、清水町の全小中学校で、静岡市、富士市では一部の小中学校で導入をしております。  次に、2番目の御質問、コミュニティ・スクール構想の必要性について、文部科学省の政策や当市の子ども条例行動計画の実際化等の観点より伺う、このことについてお答えいたします。  この4月に出されました御殿場市子ども条例行動計画は、社会総がかりで子どもを育成するために、私たち大人が具体的にどのような考えのもとで、どのような行動をしていくべきなのかを取りまとめたものであります。文部科学省で推進しているコミュニティ・スクールの推進は、地域住民等の協力を得て、社会総がかりで教育の実現を図っていくことが重要という考えがもととなっておりますので、まさに子どもを健全に育成する上で、本市の考え方と理念を同じくするものであります。  本市では、全ての中学校区において幼稚園・保育園・こども園、そして小中学校全体の一貫連携教育が進められてきました。それぞれの講師の接続を大切にするとともに、中学校区で目指す子ども像を共有し、12年間のスパンで子どもの成長を考えております。この12年間の成長の過程は、常に教育の地域の力で支えられております。コミュニティ・スクールを導入することで、学校と地域住民等が目指す子ども像や学校運営の方針を共有し、地域住民が当事者意識を持ち、学校運営や子どもたちの教育活動に積極的に参画してもらえることができます。  また、法律に基づく制度でありますので、今まで以上に学校と地域の連携・協働体制が組織的、継続的に確立され、地域の特性を生かした学校づくりや課題解決の取り組みができることが予想されます。  次に、3番目の御質問、コミュニティ・スクールを構想する場合の型や課題等についてお答えいたします。  コミュニティ・スクールの導入については、現時点では調査・研究の段階であります。本年3月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正され、複数校で一つの学校運営協議会を設置することが可能となりましたが、当市ではコミュニティ・スクールを導入する場合、現在、各学校で特色ある学校運営が行われている現状を鑑みますと、まずは各学校で学校運営協議会を設置することが望ましいと考えております。現在、子どもや保護者、地域の意見を学校運営に反映させ、適正な教育活動が行われているかを評価をするために、学校評価委員会が各学校に設置されております。この組織を拡大して、学校運営協議会に移行するなどの方法が考えられます。  また、予想される課題といたしましては、学校運営協議会を設置することで、教職員の負担が増えるのではないかという心配があります。コミュニティ・スクールを先行的に導入した学校の意識調査の結果が、県のコミュニティ・スクール推進会議で報告されております。その中で、課題として一番多かったものが、管理職や教職員の負担感が増える、とのことでありました。この意識は導入前と導入後で比較しても払拭されていませんでした。  コミュニティ・スクールを取り入れ、継続的、安定的な学校運営をしていくためには、教職員体制を整備して、教職員の負担を増やさない工夫が不可欠となります。と同時に、人材面、財政面の支援を県に要望していく必要があると認識しております。  当市は、地域と学校の連携・協働の意識が大変に高い地区であります。今までに培ってきた地域との連携・協働という財産をさらに学校運営に生かすために、現在ある組織や活動を新しい視点で見直し、再構築することで、地域と共にある学校が具現化できるようにしていきたいと考えております。  答弁とさせていただきます。 ○議長(勝間田博文君)  3番 土屋光行議員。 ○3番(土屋光行君)  御答弁ありがとうございました。駿東の教育の先頭になって頑張ってこられた御殿場市の教育委員会のお答えとして、私は十分納得できます。ありがとうございました。  それではただいま3つの大きな質問へ御答弁をいただきましたが、さらに深めてみたところで再質問を3点行いたいと思います。よろしくお願いいたします。  1点目は、国のコミュニティ・スクール政策の社会的な意義や重要性、これを当市の教育委員会としてはどのように考えていられるのかをお伺いいたします。先ほどは必要性等についてを中心にお伺いいたしました。今回はここで意義や重要性について特にお伺いしたいと思います。
     なお、この質問は、具体的には次の内容でお伺いさせていただきます。  まずは、国の一億総活躍社会の実現と地方創生の推進のための重要なプランとして、文部科学省が、「次世代の学校・地域」創生プランを策定しましたが、このプランの中心をなすコミュニティ・スクール政策の意義と重要性、そして地方教育行政の役割についてお伺いいたします。  特に、学校教育について、単なる支援や協力というレベルを超えた、学校と地域のさまざまな立場の人々の連携・協働、さらに個別の活動から総合化・ネットワーク化された活動を基盤として、地域社会が公教育に大きく参加していく、いわば本当の社会総がかりの教育や子育て環境を目指して次世代を建設していこうとしている、この大きな動きをどう意義づけられるか。  さらに、時代の状況の中で策定されたこのプランは、戦後の公教育の在り方に関する大きな節目、転換点となる改革でもあるように思います。この点での意義について当局のお考えをお伺いいたします。  次に、2つ目についてですが、文部科学省は、全国の全ての公立学校をコミュニティ・スクールにしようとして、平成28年度から平成32年度までの5年間を対象としたこのプランを策定し推進しておりますが、当市は今後どのように具体的に取り組んでいくのか。現状のままか、特に社会総がかりで取り組もうとしている、当市の子ども条例行動計画の推進との関連において、どうされていくのか、お伺いしたいと思います。  3点目ですが、文部科学省は、コミュニティ・スクール推進のために、全国の教育委員会などへの支援をさまざまな形で行っておりますが、この支援を受けて調査や研究に取り組んでいかれることについて、どのように考えられるか、お伺いいたします。  以上、御答弁をお願いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育長。 ○教育長(勝又將雄君)  それでは、3点の御質問をいただきましたので、お答えいたします。  まず、1番目の国のコミュニティ・スクール政策の社会的な意義や重要性を教育委員会はどのように考えているかについてですが、コミュニティ・スクール政策の背景には、地域社会のつながりや支え合いの希薄化等による地域の教育力の低下や、学校が抱える課題の複雑化や困難化があります。本市においては、学校と地域との連携はさまざまな形で行われており、地域の教育力を学校運営にうまく取り入れてきました。学校のためなら協力しようという地域の意識を常に感じております。  このような状況の中、地域社会のつながりや支え合いの希薄化等の心配はないかのように思います。しかし、近年の社会情勢は大きく変化しております。ここ数年の人口知能の進化などは著しく、今後、どのような社会になっていくかを予想することが難しい時代に突入しております。他市町に誇ることができる御殿場市の地域の教育力も社会情勢の変化の影響を受けることが予想されますので、引き続き地域との連携に必要な取り組みを進めてまいります。  今まで学校は地域と連携し、協力を得てきました。しかし、その連携は学校から地域へ協力をお願いすることが主であり、一方的になりがちでありました。コミュニティ・スクールでは、保護者や地域住民が学校運営や教育活動に参画する仕組みとなっており、そのことにより参画された方の生きがいにつながるとともに、子どもたちの学びや体験が充実してきます。学校を核とした地域社会のつながりの広がりなど、これまでの学校と地域の連携・協働の形を再構築していくものであると認識しております。  次に、2番目の今後どのように具体的な取り組みをするのか、現状のままなのか、特に子ども条例行動計画の推進との関連についてどのように考えるかという御質問でありますが、御殿場市子ども条例行動計画は、子どもの育成にかかわる保護者や地域団体、市民等にそれぞれの立場から取り組んでいただくための行動指針と、市が推進する行動計画からつくられております。コミュニティ・スクールを推進する上では、特に地域団体や市民の方とのかかわりが大切となります。行動指針にある子どものさまざまな活動を支援することで、子どもの心を豊かにすることや、地域で子どもを見守ることで、子どもの成長に大きな役割を果たすなど、地域住民の支援は子どもの健全な育成にはなくてはならないものであります。社会総がかりで子どもを育成するという理念を同じにするコミュニティ・スクールは、子ども条例行動計画が市民全体に浸透し、活動が推進されていくことにより、設置への土壌が醸成されるものと考えております。  続いて、3点目のコミュニティ・スクール化のための支援を受け、調査・研究をどのように取り組んでいくかについてですが、文部科学省はコミュニティ・スクールを推進していくためにさまざまな取り組みを行っています。地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正、コミュニティ・スクール先進地区の元校長や教育長、学校運営協議会会長などの文部科学省から任命されたコミュニティ・スクール推進委員の派遣、学校運営協議会ハンドブックの作成や学校運営協議会設置の手引などの改定であります。  コミュニティ・スクールを進めていく上では、学校現場の教職員がコミュニティ・スクールの基本組織である学校運営協議会の設置について納得感を持つことが必要となります。まずは、各学校に配布されているハンドブックや手引を活用し、教職員が制度の理解を深めていきます。次の段階として、教育委員会と校長会が連携し、設置に向けて検討・協議を行う予定ですが、そこにコミュニティ・スクール推進委員の派遣を要請し、協議を深めていきたいと考えております。  お答えといたします。 ○議長(勝間田博文君)  3番 土屋光行議員。 ○3番(土屋光行君)  御答弁ありがとうございました。  それでは、最後にもう一つ質問させていただきます。  当市の教育委員会は、コミュニティ・スクールの具体化のための協議を進めることについてどう考えられるか。また、本件は教育総合会議での重要案件になっていくものと考えられる中で、今後の教育委員会としての取り組みの展望、できればタイムスケジュールなどをお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。 ○議長(勝間田博文君)  教育長。 ○教育長(勝又將雄君)  それでは、お答えいたします。  今までの答弁でも触れましたが、文部科学省では全ての公立学校のコミュニティ・スクール化を目指して、法の改正や促進のための支援を行っております。法の改正により、学校運営協議会の設置が努力義務化されたこともあり、教育委員会としても具現化について前向きに捉えております。  まずは、校長会と連携して、設置に向けての検討・協議を、御殿場市の特色でもあります幼・保・こ、小・中の一貫連携教育で長年培ってきた地域とかかわりを生かすなど、今ある仕組みのよさを生かしながら、御殿場型コミュニティ・スクールの実現に向け、時間をかけながら、丁寧に、そして着実に取り組みを進めていく所存であります。  そして、本市で進めていくコミュニティ・スクールの方向性への共通理解が図られた段階で、総合教育会議へ提案し、市長と教育委員の思いや考えを一にして、コミュニティ・スクールの導入を推進していきたいと考えております。  答弁とさせていただきます。  (「ありがとうございました。今後の取り組みに期待申し上げて終わります。」と土屋光行君) ○議長(勝間田博文君)  以上で、3番 土屋光行議員の質問は終了いたしました。 ○議長(勝間田博文君)  以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 ○議長(勝間田博文君)  この際、本席より定例会再開のお知らせをいたします。  次週12月20日午前10時から12月定例会を再開いたしますので、定刻までに議場に御参集願います。  本日は、これにて散会いたします。                           午後1時27分 散会...