「夫は毎日残業、残業で何時に帰ってくるかわからない。ひとりの子育ては不安でつらいのに、2人目はとても考えられない。しかも去年までもらっていた児童手当や
乳幼児医療費の助成も対象から外されてしまって、残業代でちょっと上がっただけなのに、とっても大変になってしまった。」市内に住む30代の女性から寄せられた声です。
現在、児童手当は2004年度より所得制限を設け、月額5,000円、3人目以降は1万円を小学校3年生まで支給されていますが、同時期に年金、医療など社会保障の負担を増やし、
年少扶養控除、
配偶者特別控除、
定率減税縮減が行われ、年収400万円で子ども1人の世帯では20万円を超える負担増となりました。
児童手当は
ヨーロッパ並みに引き上げることが必要です。しかし、財源をどうするのかが問題です。
政府税政調査会が6月21日に発表した報告では、財源と言われております
定率減税廃止、
給与所得控除半減、
配偶者控除廃止、
扶養控除廃止などの所得税、住民税を増税すると述べています。差し引きするとどうなるのでしょうか。
2つ目に、
乳幼児医療費の無料化・妊娠中の健診費補助・不妊治療の補助の実施についてです。
子どもの医療費については、先進諸国はイギリス、イタリア、ドイツ、カナダなどは子どもも成人も無料となっております。スウェーデンは20歳未満が無料となっております。フランスは全額払い、同額払い戻されております。国の施策としての医療費の無料化は、ヨーロッパの先進諸国では当たり前になっております。
日本では、
乳幼児医療費助成が1972年、当時約500市町村で実施されておりましたが、今では全国すべての自治体で実施され、昨年12月より焼津市も就学前まで拡充しました。安心して医療にかかれるように早く所得制限をなくし、熱海市や湖西市、静岡市のように無料化の実現を求めたいと思います。
妊娠中の健診費補助は、前期・後期は国の負担が廃止され、焼津市は単独補助を出しておるようですが、毎月、そして臨月には毎週の健診にも補助を求めたいと思います。
不妊治療では200万円くらいかかると言われておりますが、県の補助は6万円で、苦痛を伴う上に、わざわざ県に行かなければなりません。市としても補助制度をつくること、手続を市の窓口とすることなど改善が求められますがどうか、伺います。
3つ目は
保育所関係予算についてです。
「ポストの数ほど保育所を」、この運動により国と自治体の保育の役割が明確にされ、保育所の運営費は国と自治体の公費と保護者が負担する保育料で賄うことになりました。そして、1985年度までは国が公費の8割を負担し、86年度以降は5割に削減されました。そして2004年、小泉改革の三位一体のもとで
公立保育所運営費が一般財源化され、2005年度から保育所の施設整備への国庫補助のシステムを変えて、2002年度の366億円の予算ベースから半分以下の167億円に減らされ、さらに実際の交付金は119億円に削られて、認可園の建設費が大幅に減額されました。このような影響と本市の対策はどのように考えているか伺いたいと思います。
4つ目は、子育てや家庭と両立できる働き方についてです。
子育て世代の30代は、男性の4人に1人が週60時間以上働くなど最も労働時間が長い世代となっております。また、厚生労働省2004年度
女性雇用管理基本調査では、出産を機に仕事をやめる女性は4人のうち3人に上っています。仕事か、出産か育児かという二者択一しか選択できない現実は、女性の自立や
キャリア形成、収入を考えた場合、結婚に対する消極的な姿勢を生み出すと、同調査では分析しております。
育児休業制度の取得率は、女性が70.6%、男性0.56%です。この背景には、男性の
育児休業取得に対し
マイナス評価をする雰囲気がある企業も少なくないことや、育児休業中の所得保障の低さもあると言えます。2005年の21
世紀職業財団の調査では、育児や介護のための労働時間面の配慮と男女均等な待遇と公正な人事評価の徹底を求める意見が3割を超え、ことし8月22日の毎日新聞の調査では、今と何が変わったら子どもを産みたいか、この質問に、子どもがいても働きやすい職場になることが最も多くありました。本市でも、女性が安心して働き、子育てと両立できる労働環境をどのように実現していくのか、その対策を伺いたいと思います。
5つ目は、
羽根木プレイパークなど冒険広場の遊び場の促進について申し上げます。
冒険遊び広場といいますのは、遊具の固定された、子どもがお客様の遊び場ではなくて、子ども自身が創造していく遊び場のことです。小屋づくりや動物飼育、野外料理など、自分がしたいと思うことのできる遊び場です。
羽根木プレイパ-クではその条件として、子どもの遊びを助ける年上の友達、プレイリーダーを配置しています。
世界で最初の冒険遊び場は、1943年、第2次世界大戦のさなか、デンマークのコペンハーゲンに、造園家であります
ソーレンセン教授がつくったそうです。造園家である教授がつくった小ぎれいな遊び場より、がらくたの転がっている空き地や資材置き場で子どもが大喜びで遊んでいるという長年の観察に基づいて、
エンドラップ廃材遊び場がつくられたそうです。その後、北欧、
ヨーロッパじゅうに広まりました。
日本では、1975年、東京都世田谷区経堂で地域住民が中心となり、夏の間だけ
経堂冒険遊び場が開かれ、その後、
児童センター予定地に実践をして、1979年、区と住民が協力して
羽根木プレイパークができました。現在、都市部を中心に、東京、青森、横浜、福岡、兵庫など全国に広がっております。現代の子どもは制約が多過ぎている環境となっております。だからこそ伸び伸び遊んで創造力を発揮することのできる冒険遊び場が必要だと思いますがどうか、伺います。
一般質問の最後に、教育問題について伺います。
少人数学級は全国45道府県に広がり、焼津市でも今年度より焼津中学校、豊田中学校で1年生で35人学級が実現しました。国会では、2月に
中山文部科学大臣が初めて少人数学級を進めないといけないと答弁しております。しかし、
小泉構造改革のもとで、公務員が増えるからやめようと押し戻されようとしております。少人数学級を検討していた
文部科学者会議も8月23日、40人学級制維持の中間報告を出さざるを得ない事態となっております。子どもの現状は一刻も早く手厚い教育を必要としております。
学力世界一で注目を集めておりますフィンランドでは、24人以下など30人以下学級は当たり前の流れとなっています。日本では31人以上の学級が小学校で48%、中学校で81%も残されております。焼津市では35人以下の達成率が計算されているそうなのでお聞きしましたところ、小学校で53.8%、中学校で50%となっているようです。
このような流れの中で、少人数の
習熟度別学習を低学年から、ヒョウ組、キリン組、ゾウ組、またはイルカ組、金魚組など差別をして競争心を求め、子どもたちを追い込み、親を不安にさせている現実があります。こうした
差別選別教育よりも、国の文部科学省も認めた30人学級・少人数学級が急がれますが、本市はどのように進めていくのか伺いたいと思います。
2つ目は、完全学校5日制に加えて、地球温暖化や異常気象の影響により夏季授業が増加し、午後になると35度を超す日もあり、
蒸しぶろ状態の授業となる日もあります。焼津市の学校現場では、
環境衛生基準に照らしてどうでしょうか。空調整備が求められているのではないでしょうか、伺いたいと思います。
3つ目に、中高生のための児童館整備を促進することですが、市は既存の施設利用を求める方針です。しかし、中高生は消費社会にじかにさらされているのが現実です。お金がかからないで自由に遊べる居場所を再度要望します。
最後に、高校・大学の学費無償化を促進することについてですが、2005年度
版国民生活白書に、1人の子どもを育てる費用を集計しております。ここには、0歳から21歳まで仕送り抜きで1,302万円かかり、その中でも教育費は528万円と、一番多くなっております。こういう中で、私学との格差是正を理由に、2年に1度、国立大学の授業料は値上げされております。学生の8割が通う私立大学では、国庫補助金は減らされ続けています。文部科学省の2004年度の
初年度納付金で比べてみますと、日本の国立大学は80万3,000円、私立は129万3,000円です。それに比べてフランスは1万4,000円、ドイツ1万6,000円、イギリスは20万7,000円と、うんと安くなっております。日本はOECD(
経済開発協力機構)の中でも最低となっているのです。やはり日本の高学費を改善させていくことが求められているのではないでしょうか。
以上伺いまして、一般質問とさせていただきます。(降壇)
(市長 戸本隆雄君登壇)
3 ◯市長(戸本隆雄君) おはようございます。ただいまの深田議員の御質問にお答えをいたします。教育関係につきましては教育長よりお答えを申し上げます。
まず、
介護保険法改悪による
ホテルコスト・食費の導入による負担増の影響と市の対応についてというお尋ねでございます。
居住費・食費が自己負担となることなど、
介護保険制度見直しの具体的内容・利用者の負担はどうなるのかというお尋ねでございますが、現在、施設に入所している人は、居住費、
短期入所サービスでは滞在費でございますが、居住費や食費の大部分を介護保険から給付されています。しかし、在宅で
介護サービスを利用している人は、居住費や食費にかかる費用を自分で負担しているため、施設に入所している人に比べて負担が大きくなっております。そこで、施設に入所している人と
在宅サービスを利用している人の
利用者負担の公平性を図るため、
介護保険制度は見直されました。これにより、平成17年10月から施設給付のうち、居住費と食費は保険給付の対象外となり、利用者が
全額自己負担することになります。
利用者への迅速な制度変更の説明と40歳以上の対象者への説明・情報公開が求められるがどうかというお尋ねでございます。
施設給付の見直しは本年10月1日から施行されることとなっておりますが、これに先立ち、市では認定者に施設の
利用者負担改正についてのお知らせ、パンフレットでございますが、3,500人分用意をしてございますが、8月中旬に送付するなど、制度改正の周知及び
特定入所者介護サービス費、
特定入所者支援サービス費に関する勧奨等を行ってまいりました。また、認定者以外の一般市民に対しても「広報やいづ」9月15日号を活用し、制度改正の周知徹底を図っているところであります。
低所得者への
負担軽減措置の対応はどうかというお尋ねでございますが、見直しに当たっては、居住費・食費の負担が低所得者の方にとって過重な負担とならないよう、
特定入所者介護サ-ビス費、
特定入所者支援サービス費を創設し、所得に応じた定額の負担限度額を設けることにより、低所得者の負担の軽減を図ることとしております。また、このほかにも所得の低い方に対する施策として、1つには
高額介護サービス費の見直し、1つには
社会福祉法人による
利用者負担軽減制度の運用改善、1つには
高齢者夫婦世帯等の居住費・食費の軽減、1つには旧措置入所者の負担軽減、1つには利用料を支払った場合に生活保護の適用となる方の負担軽減などがあります。
従来型個室の利用者の場合は居住費だけで月5万円の負担増となるが、負担できない場合はどうなるのかというお尋ねでございます。
従来型個室に入所、あるいは入院されている方などについては、
利用者負担が急増しないよう経過措置を講ずることとしております。具体的には、従来型個室に既に入所されている方のうち特別な室料を、部屋料を支払っていない方について、一定期間、多床室、これは相部屋でございますが、と同額の報酬を適用し、
利用者負担については
光熱水費相当とすることとされております。また、新規入所者で感染症や治療上の必要など施設側の事情により一定期間、30日以内でございますが、個室への入所が必要な場合や、居住する居室の面積が一定以下であるもの、または著しい精神症状等により多床室、相部屋でございますが──では同居者の心身の状況に重大な影響を及ぼすおそれが高く、個室以外での対応が不可能であるものについても同様の措置が講じられます。
次に、子育て真っ最中の家庭に望む「
子育て支援」についてのお尋ねでございます。
児童手当増額の財源と言われる所得税・住民税の控除廃止で差し引きどうなるのかと、税政改革されれば児童手当の受給者以外の影響が大きく、受給者以外からの税金を財源に充てることは本末転倒であるというお尋ねでございます。
児童手当の拡充につきましては、今回の総選挙での政党の公約で児童手当の拡充を訴えておりますが、まだ国として検討をしているとは聞いておりません。なお、税政調査会の
個人所得課税に関する論点整理において、
各種所得控除の見直し等について報告はされておりますけれども、これから決定していくことになるというふうに現在考えております。このような状況の中で、お尋ねの件についてはお答えができかねます。
次に、
乳幼児医療費の無料化・妊娠中の健診費補助・
不妊治療費の補助の実施をというお尋ねでございます。
乳幼児医療費助成制度につきましては、昨年12月より
通院対象年齢を4歳未満から6歳以下の未就学児に拡大し、入院・通院とも6歳以下の未就学児を対象に助成を行っているところであります。小学校や中学校の児童・生徒になりますと、免疫力も高まり、体力的にも充実しつつあることから、一般的には疾病による受診は乳幼児に比較して減少してきます。全国的には小学校卒業まで、あるいは中学校卒業までは医療費を無料としている自治体があり、さらには高校卒業までを対象として医療費の無料化を実施している自治体もあることは承知をしております。一方、県内では
県費補助制度に準じて、全自治体が6歳以下の未就学児を対象としており、児童・生徒まで助成対象を拡大している自治体は現在のところありません。また、自己負担金を無料としている自治体としましては、平成17年5月現在で24市中、一部年齢差の無料化を含め、6市となっておるところであります。
このような中で、当市では児童・生徒につきましては、現在、
小児慢性特定疾患治療研究事業や
重度心身障害者医療費助成制度など、特定の疾病や重度の障害を有する方々に対して助成を行っているところでありますが、今後も引き続きこれらの制度を維持し、特に支援を必要とするものを対象に重点的に支援をしていきたいと考えております。したがいまして、学齢児以上への一般的な医療に対して助成対象を拡大し、医療費の無料化を導入することは現在のところ考えておりませんが、
県費補助制度の内容や他市の状況を見つつ研究していきたいというふうに考えております。
次に、現行の妊婦健診の補助について拡大する考えはないかというお尋ねでございます。
妊婦健康診査は、母親と胎児の疾病の早期発見及び障害の防止等からも非常に重要なことと認識しております。本市では
妊婦健康診査票を
母子健康手帳交付時に発行し、妊娠前期に1回、6,720円かかります。後期に1回、6,220円、1人合計1万2,940円を公費で負担をしております。なお、35歳以上の方には超音波検査、5,000円かかりますが──についても助成をしているところであります。今後とも
妊婦健康診査につきましては、
母子健康手帳交付時における保健指導や
パパママ教室等により
妊婦健康診査票を利用するよう周知徹底を図り、良好な分娩が行われるよう、引き続き実施してまいります。
妊婦健康診査の補助制度につきましては、この制度を今後も研究していきたいというふうに考えております。
次に、
不妊治療費の補助制度を焼津市でも実施してほしいということでございますが、不妊治療につきましては、現在、県による相談事業、
治療費助成事業を中心に実施されており、本市におきましては、これらの事業の啓発や紹介及び電話や面接による対応を行っているところであります。また、
不妊治療医療機関として
焼津市立総合病院が指定されております。県の
治療費助成事業では、
指定医療機関での治療に要する経費について、1夫婦1年度当たり10万円を限度とし、通算2年間を目途に助成するというものであります。焼津市民の助成事業の利用状況としましては、平成16年度11件、平成17年7月末現在6件の計17件となっております。現在、静岡県では総合的な少子化対策の一環として、
不妊専門相談センターを開設しております。本市ではこのセンターを市民に周知すると同時に、補助制度の他市での状況等を把握しながら、今後の研究課題としていきたいというふうに考えております。
次に、
子育て支援に逆行する国の保育所の運営・施設整備等の連続的な減額に対する影響と市の対策についてのお尋ねでございます。
国の保育所に対する補助制度は、平成16、17年度に大きく変わってきております。平成16年度には公立保育所の
運営費負担金が一般財源化され、平成17年度にはこれまでの
特別保育事業費等補助金が税源移譲されるもの、
次世代育成支援対策交付金として交付金化されるもの、
保育対策等促進事業費補助金として補助金のまま残るものに再編されております。また、保育所の施設整備に対する補助金も、平成17年度より
次世代育成支援対策施設整備交付金として交付金化されております。
これに伴う影響と対策ということでありますが、まず、ソフト事業に対しては、
次世代育成支援対策交付金、
保育対策等促進事業費補助金ともに、現時点ではまだ国の交付決定、内示を受けておりませんので、実際の交付額がどの程度になるのか、その影響をはかりかねている状況であります。
一方、保育所の施設整備に係る
ハード交付金につきましては、県の試算によると、昨年度までの
補助金制度と比較して4ないし5%の減額になっているのではないかとのことであります。特に、
補助金制度のときには国の補助額の2分の1を県が補助していたものが、交付金化に伴い、従来の県の補助金分を市が負担することになり、今議会に上程した9月補正予算にも計上させていただいたところであります。いずれにしても市の負担が大きくなりますが、
次世代育成支援、少子化対策として十分検討していかなければならない問題というふうに考えております。
子育てや家庭と両立できる職場環境の整備をどう進めるのか、
市内中小企業に職場環境の整備を進めさせるための市としての取り組みはあるのかというお尋ねでございます。
国は、平成15年7月に、
次世代育成支援対策推進法を制定し、
次世代育成支援に関する計画的な取り組みを推進していくこととしております。本市におきましても、平成17年3月、焼津市
次世代育成支援行動計画を策定し、市民・地域・行政が連携し、地域社会全体で次世代の育成に取り組んでいくための指針としたところであります。
この行動計画では、仕事と子育ての両立、子育てしやすい
就労環境づくりの促進を掲げ、ニーズ調査を行うとともに、具体的な取り組みとして、企業等が行う
男女共同参画推進等の研修に対しアドバイザーを派遣する事業や、国、県、21
世紀職業財団から寄せられる情報を提供するとともに、育児、介護休暇等の制度の周知、普及を図るなどの、労働者と事業主の意識改革について取り組むことといたしました。男女を問わないすべての市民、地域、そして事業主が、ともに次世代の育成に取り組む環境を実現するための第一歩として、行政として次世代育成への深い理解を粘り強く求めていく考えであります。
羽根木パークなど冒険広場の遊び場の、これは造成の促進ということだろうと思いますが、市といたしましても今後、子どもの心身ともに健やかな成長を支援するため、さまざまな遊びやふれあい、体験の機会、居場所などを与える地域環境を整備するための方策ということで、この研究をしてまいりたいというふうに思っております。
以上、私の方からお答えをし、教育関係につきましては教育長の方からお答えをさせていただきます。(降壇)
(教育長 永田實治君登壇)
4 ◯教育長(永田實治君) それでは教育関係につきまして、深田議員の御質問に私の方からお答え申し上げます。
第一点は、今こそ教育基本法の精神を生かし、競争・管理の教育から子どもの発達と成長を中心にした教育の推進を、中でも国も認めた30人学級・少人数学級が急がれるが、本市はどのように進めるのかと、こういう御質問でございます。
平成17年8月、今年の8月でございますが、文部科学省の教職員配置等のあり方に関する調査研究協力会議では、学級編成の標準を全国一律に35人などの学級に引き下げる方式をとらず、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取り組みが可能な措置を講ずるといった素案を示す中で、今後の学級編成及び教職員配置についての審議を進めているところだと承知をしております。
教育委員会といたしましては、今後の審議の動向を把握しながら、教育基本法の基本的な精神や理念を大切にし、基礎・基本を重視し、個性を生かす教育に心がけ、みずから学ぶ意欲と創造的で主体的に活動する子どもの育成を目指した教育が推進できる方向で、編制や配置について考えていきたいと思っております。また、人的配置を前提とした少人数学級等の早期実現に向けて、従来どおり国や県に要望をしてまいります。
次に、完全学校5日制に加え、地球温暖化や異常気象の影響により夏季授業が増加しているが、
環境衛生基準に照らしてどうか、空調整備が求められているのではないかという御質問でございます。
最初に、
環境衛生基準に照らしてどうかという御質問に答えさせていただきますが、平成16年2月に文部科学省は、近年の社会環境の変化等を踏まえ、学校環境衛生の基準を改定しました。その基準には、教室内の温度は冬季では10℃以上、夏季では30℃以下であることが望ましいと示されております。確かに以前に比べ授業日数が増加したり、年によって気象の変化等により基準を超えるような暑い日が続いたり、寒い日が続いたりすることもございます。そこで、子どもたちに空調が整備された快適な環境の中で学習をさせてあげたいという思いを持たれる方がおられることも承知をいたしております。
しかし私は、今の子どもたちに、多少の暑さや寒さに耐えられるような耐性を身につけたたくましい子どもに育ってほしいと、そういう願いを強く持っております。現在、近隣の市町の学校におきましても、普通教室には特別な事情がない限り空調が整備されておりません。したがいまして現在のところ、普通教室への空調整備の計画は持っておりません。
次に、中高生のための児童館の整備促進についてというお尋ねでございます。
茅野市の例も先般伺いました。平成17年2月議会で答弁をさせていただきましたが、教育委員会では、公民館やふれあいホール等、幼児から高齢者まで幅広い人たちを対象とした施設の充実、改善を目指して努力をしているところでございます。現在、公民館は老朽化等により順次改築を進めており、その中でできるだけの工夫をしているところでございます。御質問のような中高校生という特定の年齢層を対象とした新たな施設の整備は、財政的にも困難です。既存の施設の改造、改築の折には、一層幅広い年齢層の人たちが集える施設になるよう進めてまいります。
現在、公民館では軽スポーツができる大集会室を、予約利用者がない時間帯に、小学生を初め中高校生に卓球用具などとともに無料で開放している館もございます。ふれあいホール「エコリオ」においても、ミーティングコーナーを中高生が友達との会合の場、あるいは勉強の場として自由に利用していただいております。
また、平成17年4月に完成した東益津公民館、現在建築中の大村公民館では、地域の人たちが自由に活用できるコミュニティルームを設置しています。中高生も自由に活用していただきたいと思います。また、図書室の環境も整備され、より利用しやすくなりました。中高生には積極的に利用してもらいたいと思います。今後も公民館の改築に伴い、一層施設とソフト事業を充実していきたいと考えております。
焼津市はディスカバリーパーク焼津、文化会館、図書館、スポーツ広場など多くの文化・体育施設がありまして、また自然にも恵まれ、青少年が集い、学び、遊ぶ環境としては恵まれた地域であると考えております。中高生も、この恵まれた環境を積極的に活用してほしいものと考えているところでございます。
次に、高校・大学の学費無償化を促進することについてでございます。
欧米の水準に近づくためにどのような努力をするのかと、こういうことでございますが、フランス、ドイツでは、議員御指摘のように、国立大学の授業料の徴収はございません。イギリスでは給与奨学金制度により授業料分が国から支給されます。アメリカでは、州立、公立大学に州は多くの負担をしており、また、給与奨学金制度が充実しているため、実質的な授業料負担は少ない状況にあります。制度の違いにより、これらの国の高等教育に対する公の財政支出の割合は高い状況にあり、これに比べ、日本における割合はまだ低い状況にあるのが現状であります。これは、公的財政支出全体が小さいこともありますが、我が国の大学教育が私学中心に普及しているという事情もあると思います。高等教育の学費無料化も重要ではありますが、今は三位一体改革による義務教育費国庫負担金分の財源を確保することが重要な課題となっており、その実現に向け、市と県が一丸となって国に要望しているところでございます。
以上、答弁とさせていただきます。(降壇)
5 ◯18番(
深田百合子議員) 再質疑させていただきます。
初めに介護保険の問題ですが、まず、居住費と食費の10月からの導入に当たりまして、市としては8月から低所得者への
負担軽減措置とか、広報でも掲載をすると、その申請手続の手順を済んでいるということなんですけれども、この低所得者への負担軽減の対応というのは迅速にできたかと思うんですが、ただ、その用紙を見ただけでわかるのかなというのは疑問になります。きのういただいたのでは、サービス利用者が居宅サービス、これ、6月分ですが2,142人、施設サービスの利用者が692人で、合わせて2,834人いるということです。このうちの食費や居住費の自己負担が軽減される方が、サービス未利用者を含むとしておりますが1,202人で、9月20日現在で申請が出ているのが764人ということですね。そうしますと、まだやっぱりわからないという方が、戸惑っているというのか、そういう方も半分ぐらいいらっしゃると思いますので、その方たちへの対応をどうしていくのか。
それから、やはり低所得者以外の方の普通の基準以上、課税世帯の方ですね、その方には、先ほど市長から御答弁ありました9月15日号の「広報やいづ」に、私も見させていただきましたけれども、これ、計算しますと標準的なケースで月に2万5,000円増えることになるんですよね。そうしますと、年間ですと30万じゃないですか。この金額というのはすごく重いと思うんですが、この認識は市長、どうでしょうか、お伺いしたいと思います。
今、年金が下がって医療費は上がるということで、大変高齢者の方は負担が増えて困っているところに、さらにこういう負担増というのは重いと思います。私、ほかの全国でこの
ホテルコスト負担に独自で何か施策をやっている自治体はないかと調べましたら、千代田区が全国初めてやっているんですね。ここでは、10月からの法改正で食費の助成を課税世帯にもすべての方に法改正を適用しても助成をするということで、従来どおりの
利用者負担以上のものがないように、事業者の経営努力と区の食費助成を設けたそうです。これはやはり10月から突然増えるのは、負担が増えるのは、それは負担増に対しては本当にかわいそうだろうという、そういう市の姿勢が示されていると思うんです。これは激変緩和措置ということで設けられたそうです。全国初めて9月13日に決定して議会に上程するということで、ホームページにも載っておりますので、ぜひ参考にしていただけたらと思いますので御紹介させていただきました。
それから、
子育て支援につきましては、3番目の保育所の運営費とか県の補助がなくなって市がその分補助を出したということで、この建設費の補助の問題につきましては、やはり市の福祉を守る、保育所を守るという姿勢で、私は評価をさせていただきたいと思います。
しかし、国の、政府の方で幼保一元化とか、保育園の調理室を民営化するとか、福祉の切り捨てがどんどん押しつけられておりますので、そういうところにもやはり子どもたちの健全な成長のために福祉を守るという立場で、今後もやはり保育所運営費、そして公立保育園と私立保育園が共同して共存できるような市の施策を望んでいきたいと思います。
それから、仕事と子育ての両立の問題では、市長は
次世代育成支援計画に基づいて、労働者と事業者の意識改革、これを粘り強く求めていくということで図れるんではないかということで御答弁があったと思うんですけれども、ここのところが今一番問題になっていると思うんです。それは、何でこの
次世代育成支援計画ができたかというのをちょっと振り返ってみたいと思うんですけれども、1989年、出生率が1.57、これ記録して1.57ショックと言われました。これは、この原因は政府は少子化は晩婚化の進行などによる未婚率の上昇が原因だということで、子育てと仕事の両立の負担感の増大がある、こういうふうに分析しました。そして、少子化対策のエンゼルプランというのをつくったんですね。これが95年から99年の間です。焼津市でも緊急保育対策5カ年事業エンゼルプランとして、延長保育や学童保育の設置や多様なニーズにこたえるとして進めてきました。
しかしですね、少子化傾向に歯どめがかからなかったんです。政府は国立社会保障人口問題研究所の指摘を受けまして、2002年度に「少子化対策プラスワン」というのをまとめて、そして2003年度に
次世代育成支援対策推進法、これ、10年間の時限立法だそうですけれども、これをつくって、焼津市でも、各自治体に
次世代育成支援行動計画を策定して、それに沿って
子育て支援をするようにということなんですけれども、これと同時に2003年度に少子化社会対策基本法、これ、議員立法だそうですが、これが成立して、2004年度に少子化社会対策大綱が閣議決定されたということです。また新たに2005年、今年度から2009年度の計画で、子ども子育て応援プランというのを国の方では策定しましたね。そうしますと、これまで、ついこの間つくった
次世代育成支援行動計画、これどうなるかといいますと、これをもとに国の方は数値目標を掲げて、28項目あるそうですけれども、これを市の行動計画に実現を支援していくっていうことなんですよ。
しかしですね、この子ども子育て応援プランというのは、必要な財政保証や人的保証っていうのは全くないんですね。こういう仕組みがないので、とにかく推進しろ、普及しなさい、定着しなさいっていう、こういうことばかりで、やはり施策の実施が自治体任せになっているっていうのが大きな問題なんです。
ですから、やはりこの労働問題1つとっても国の法律を変えていかなければならない、そういうところまで来ているんです。だから、労働者と事業者の意識改革を粘り強くやっても無理なんですね。実際には長時間労働は野放しになって、そして若者の2人に1人は不安定雇用、大企業はリストラをどんどん進めて、その減税でもうけもありますから、大企業がどんどん人減らしをしています。こういうところに長時間労働をやめさせて労働基準法を守るとか、男女雇用機会均等法を守らせるとか、そういう意識に変えていかないと、ただ事業者と本人だけの意識を変えただけでは解決できない問題が根深くあると思うんです。やはりここの認識を市長にぜひ持っていただきたいと思います。
それから、私はこういう子育て支援を考えるときに、やはりヨーロッパっていうのはこういう子育て支援というか、福祉がすごく進んでいるんだなということを、今回いろいろ調べてみてわかりました。ヨーロッパと比べてみましても、日本では政府が
子育て支援としてやろうとしているのは、児童手当でも増税と引きかえにします。
乳幼児医療費も自治体任せにします。教育、30人学級・少人数学級も公務員が増えるからだめだ、まだもたもたしてそのまま40人学級のままでいこうとしている、働き方も今述べたとおりです。やはりこういうやり方では、ますます少子化は、私は進んでいくと思うんです。根本的な問題点にやはり言及していかなければならない、自治体の姿勢が今こそ問われているのではないかと思います。その点について市長にお伺いしたいと思います。
(市長 戸本隆雄君登壇)
6 ◯市長(戸本隆雄君) 深田議員の再質問にお答えをしたいと思います。
まず1点目の介護についてでございます。
御指摘のように、居住費と食費が月2万5,000円となると、これが大変もない額になるわけでありまして、負担増、それをどうするかということでありますが、一応国の方でも法を改正していろいろ考えておるわけでありますが、今、たまたま例として千代田区がその対応についていろいろ研究しているというふうなお話もございました。まだ担当部局にはその辺のことは確認をしておりませんけれども、そういう1つの例があるということを十分考えた上で、これはいろいろ研究をしていく必要があるだろうというふうに思っておりますので、担当部局はその辺を考えてくれていくと思います。
子育てについてでございますが、やはり仕事と子育ての両立というのは、これはなかなか日本の社会で、特に男性、父親が育児休暇を取ってというようなことになると、これはなかなかもう今理解できない、今までの日本の社会の動きからすればできないと思うんですが、その辺のことを意識改革をするということは、これは必要だろうと思います。ですから、労働者と事業者との間の意識改革を粘り強く考えていかないと、やはりなかなか今度取る側も思い切ったことができないだろうというふうに思っておりますので、まずそういうところから手がけていかなければいけないというふうに思っております。
また、ヨーロッパとの比較ということでお話がありましたけれども、ヨーロッパも長い1つの歴史がございますので、例えば高福祉低負担という考え方ばっかりではいかないだろうと、やはりある程度の負担もしていただかないと、高福祉にはなかなかならないだろうと、そういう社会の違いもあるわけでございますので、そういうことなども含めていろいろ研究をしていく必要があるというふうに思っておるところであります。
以上、お答えをさせていただきます。(降壇)
7 ◯18番(
深田百合子議員) 介護保険の基準費の、私、2万5,000円というのは市長は高いと思いませんかっていうのをお聞きしたんですけれども、ちょっとどういうふうにお答えになったかよくわからなかったんですけども、やはり
介護保険制度が変わる、私、6月議会のときに、負担が増えるから大変なことになるから、焼津市の介護保険を利用している人たちの実態調査をして意見を聞いてほしいということを一般質問でも言わせていただきましたが、そういうことをなさらずに、やはり国が示されたときにそれに従って動いている、それではやはり遅いんではないでしょうか。本当に、申しわけないんですけども、この「広報やいづ」の「
介護保険制度が変わります」っていう大見出しなんですけども、これよりも一番やっぱり心配で変わる内容は、施設での居住費と食費が
全額自己負担、これが今回の大きく変わる影響ではないかと思うので、どう変わるのか、一番の心配のところが小さくなっておりますので、私はこれですと、いざ介護保険を利用しようと思ったらこんな高かったのかっていう、そういう心配の声がまた増えるのではないかと思うんですね。やはりこういう利用者の負担増に対しては、もう半年前から国の方はそういう計画を準備段階として促しておりますので、市としてもそういう対策は考えていかなければならないんじゃないかなと思いますので、今後の対応をぜひ検討していただきたいと思います。
少子化対策にかかわる
子育て支援の問題ですけれども、市長は育児休業を男性が取れるように、そういう意識改革も必要だというお話でしたけれども、それも大切かと思うんですが、私たちは日本共産党として、少子化白書が初めて2003年度に国でできたときから、やはりこういう問題点を解決すれば少子化傾向は食いとめられるだろうということで提案をしております。
ちょっと御紹介をさせていただきますが、1つは長時間労働をなくして家庭生活との両立ができる働き方にすること、これはやはり長時間労働と不安定雇用をなくしていく、国の法律の問題にかかわってくると思います。2番目に、若者に安定した仕事をつくっていくこと。3番目に、男女差別・格差をなくして女性が働き続けられる、力を生かせる社会にしていくこと。4つ目に、出産、育児と仕事の両立を応援して、すべての子どもに豊かな乳幼児期を保障していく、こういうやはり私たちが言っておりますのは、ただ単に押しつけて言っているわけではなくて、国の少子化白書をもとにして分析をして、そして子育て真っ最中のお母さん、若い方のいろんな御意見を聞いて、そして、こういうことでやはり先進国、どこでも今、少子化が問題になっております。こういうところで福祉を充実させてきているという施策が進んでいるのが、私、ヨーロッパの国々だと思うんです。歴史の問題もあるかと思いますけれども、先進諸国がそういう少子化を何とか食いとめなければならないということで、いろんな福祉の
乳幼児医療費の問題や教育費を無料にしていくという問題が出てきていると思います。ですから私も、焼津市としても国の待ちという姿勢ではなくて、子育て家庭の要望に従って施策を講じていくということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
8 ◯議長(
中野行雄議員) 次に、1番 尾石昭夫議員。
(1番 尾石昭夫議員登壇)
9 ◯1番(尾石昭夫議員) 通告に従いまして、表題に掲げました障害者の就業支援について一般質問を行います。
最初は、当市で取り組んでいる障害者のための就業支援事業について、唯一の取り組みとして掲げている整理番号5218の進捗状況、問題点、課題にはどんなものがあるかお伺いします。また、障害者には知的障害者だけではなく、身体、あるいは精神障害者の方もおられるわけで、これらの人々に対する就業支援について、今後、どう取り組んでいかれるのか伺いたいと思います。
毎年9月は、障害者の就業支援月間に制定されております。法律でも、数値目標は掲げられてはいるものの、一向に改善されない現実があります。去る9月15日、静岡新聞の夕刊で、県の障害者の就職が7月末現在で大幅に改善されていると報じられていました。本年度の目標であった前年比2%増の目標を6倍の12%増に上方修正するというもの、そのままうのみにすると問題は解決したのかと見間違うほどの改善ぶりが掲載されていましたが、調べてみると現実は手放しで喜べるほどではありません。
10年前の平成7年の雇用率1.64%は、平成11年の1.65%をピークに5年間毎年減り続け、昨年は1.47%と最悪の状態になりました。かつて大きく上回っていた全国平均との差もわずか0.01ポイントに縮まるなど、障害者にとって大変厳しい環境が続いたのです。危機感を感じた静岡県は、障害者の雇用対策を最重要施策に位置づけ、ハローワーク職員が障害者に同行して企業を訪ねたり、試用期間を経て雇用の拡大をお願いするなどして取り組んだ支援活動が功を奏したわけで、若干の景気回復の追い風も手伝って大きな成果に結びついたものでした。しかし、来年もこの勢いがキープされる保証はありません。
働くという意義は、好きなものを買いたいとか、生活を楽にしたいとか、親を安心させたいとか、社会に貢献したいとか、人さまざまな意味合いを持っております。私も経済的に独立するという意味合いと同時に、この世に人として生きたあかしを残す自己実現の場が仕事であろうととらえています。
しかし、一度障害を抱える身になってしまうと、キャンパスそのものが極端に狭められてしまいます。働きたいという意欲は持っていても障害者任せ、家族任せ、企業任せになってしまい、社会からドロップアウトするという不安を余儀なくされるのです。今は健常者の私たちでさえ、交通事故やスポーツ事故、加齢などによって、いつ障害を抱えることになるか、一寸先はわかりません。障害者になってから、支援する仕組みができていないといって世間や行政を批判しても遅いのです。人間の尊厳が守られる社会の構築、つまり障害を抱える人を支援する仕組みができていない現実をもっと知っていく必要があるのではないでしょうか。こうした課題に真正面から取り組み、改善することが本来の政治の目的であると信じております。
また、自分がこの問題に取り組んでいますのは、単に社会的弱者を救済するというのではなく、障害者は健常者の覚せいを促す使命を持つ人だと信じているからです。桜は桜、梅は梅、桃は桃、梨は梨、桜梅桃梨の原則で、多少の能力や表面的な機能の違いはあっても、その人でなければならない花を必ず咲かせる使命があると信じて疑いません。最近、アメリカでも障害者のことを「チャレンジド」と呼んでいるようです。これは日本から輸出された言葉で、「自分の宿命にチャレンジする使命を天から与えられた人々」の意味が込められているそうですが、毎年8月に放映される24時間テレビなどを見ると、いかに障害者が生きるために努力しているか、人に感動を与えられる使命を持つ人であるかが御理解いただけると思います。
国連も、「障害者を締め出す社会はもろくて弱い社会だ」と言っております。最近、社会福祉関係で語られる「エンパワーメント」という概念は、障害者には本来一人の人間として高い能力が備わっている、社会的な抑圧のもとで人間としての生き方が保証されてこなかった障害者自身の能力をどのように引き出し、開花させるかが重要と訴えています。自分自身が人生の主人公になれるようにという観点から、本人だけではなく支えている家族、ボランティア、企業、また地域の人々などあらゆる社会資源を再検討して条件整備を行っていこうという考え方でございます。エンパワーメントの日本語の適切な語訳を見つけることは難しい概念ですが、英語における反対的な概念は「パターナリズム」、温情主義といいます。ただ単にお金だけで支援するという発想は、もはや過去のものになりつつあるのです。
障害者の自立支援法は、今回、衆議院の解散によって廃案になりました。当事者の意見がどれだけ反映されているか、もっと議論しなければならないところは多々ありますが、障害者の居住する地域での生活と就労を進めている点、3障害を一元化し、自立支援に目を向かわしめたところなど、ようやく真の障害者支援の改革へと本格的に動き出したと評価しております。ただ、個人的には応益負担を求める前に就業支援対策を拡充すべきだと考えますが、現実には大変困難なプロセスを経なければならないことも承知しております。
(2番 塚本 大議員登壇)
25 ◯2番(塚本 大議員) 凌雲の会の塚本です。よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず最初に、郵政民営化による焼津市への影響についてお伺いいたします。
小泉首相が最重要課題と位置づけた郵政民営化関連法案が、8月8日、参議院で否決され、小泉首相は郵政民営化に賛成か反対か国民に問いたいと、衆議院を解散いたしました。国会議員の中には、参議院で否決されて衆議院の解散はないだろうという甘い考えもありましたが、ニュースで報じられる小泉首相の表情や発言からは、参議院で否決されれば絶対に衆議院を解散するという気迫が感じられました。その後も、郵政民営化に反対した議員には自民党の公認は与えないという厳しい姿勢を示すとともに、郵政民営化の是非を問うため、全選挙区に郵政民営化賛成の候補者を立て、選挙の争点を郵政民営化に絞り、非常にわかりやすい選挙の図式をつくり上げました。その結果、郵政民営化推進を訴えた自民党、公明党は、与党で過半数の議席を確保するという目標を大きく上回り、3分の2を超える議席を獲得して歴史的な大勝利をおさめ、郵政民営化関連法案は特別国会に再提出されることになりました。選挙で国民から郵政民営化賛成という審判を受け、今後の国会での議論が注目されるところでありますが、それと同時に、郵政民営化による地方への影響も考えなければなりません。
そこで、郵政事業が民営化された場合、地域経済や市民の皆様へどのような影響が考えられるのかお伺いいたします。
また、今回の選挙において、自民党、公明党が国民の支持を得られたのは、改革を断行すると訴えたことだと私は思っております。そして、選挙で圧勝したことにより、今まで以上に改革が進み、地方分権の体制が整ってくることが期待されます。そこで、焼津市においては、これから迎える地方分権の時代に、この地域の特性をどのように生かし、地域経済の活性化に結びつけていくのか、具体的な取り組み方をお伺いいたします。
次に、焼津市内の河川の整備状況についてお伺いいたします。
昨年は、6月30日の大雨、台風22号、23号の影響により、焼津市内でも多くの市民が床上、床下浸水などの被害を受けました。今年もこれから台風のシーズンを迎え、海に接し、すべての河川の下流域に位置する焼津市としては、昨年の教訓を生かし、台風などの大雨による被害に備えなければなりません。つまり、河川の整備は、焼津市の位置する場所を考えれば、重要かつ急を要する課題であります。
そこで、焼津市内の河川の現在の整備状況はどのような状況かお伺いいたします。この河川の整備につきましては、皆様御承知のように、各河川の下流側から整備をしていくことになります。焼津市内を通る河川は、2級河川、準用河川、普通河川に分類され、準用河川、普通河川は焼津市が整備をし、2級河川については県に整備をお願いしているわけでありますが、中には思うように整備の進まない2級河川も存在いたします。
このときに問題となるのが、下流部分で2級河川と合流している準用河川の整備であります。先ほどもお話しいたしましたとおり、河川の整備につきましては下流側から整備をしていくことになりますので、下流側の2級河川が整備をされていないと、その上流の準用河川や普通河川の整備に取り組めないという事態が発生いたします。この問題を解決するためにも、2級河川の整備は一刻も早く取り組んでいただかなければならないわけでありますが、県との交渉状況、今後の整備計画はどのようになっているのか、そして、いつごろ2級河川の整備は終わるのか、お伺いいたします。
また、焼津市が管理する準用河川、普通河川の整備状況につきましても、いろいろな理由により、その進捗状況に差があるわけでありますが、多くの市民は、当然未整備区間を早く整備してほしいと思っております。特に、大雨が降るたびに河川の水があふれる場所付近にお住まいの方はその気持ちは強く、水が出た後、何の対策も講じてもらえない場合には、市に見捨てられたという気持ちに変わってまいります。こうした大雨の際に水の出る未整備区間につきましては、根本的な改修をすることが一番望ましいわけでありますが、財政的な問題や、近隣住民の理解が得られないなど、何らかの理由によりそれができないのであれば、一時的な対策を講じることにより、その被害を少なくする努力が必要となってまいります。
例えば、私が見たところでは、川底に砂利が5、60センチたまっているところもあり、近隣にお住まいの方も、「この砂利をかき出してくれれば、少しは水のあふれる量が少なくて済むのに」と言われている場所もあります。こうした市民の声にこたえることは、最低限やらなければならない行政の役割だと私は思います。そこで、大雨のとき水害が発生する場所において、今までどのような応急措置を講じてきたか、また今後、砂利のかき出しなどの応急的な措置はできないか、お伺いいたします。
次に、「だれもが安心して暮らせるまち」の実現に向けての取り組みについて、以下の3点についてお伺いいたします。
まず1つ目として、浜岡原発、つまり放射能に対する安全対策についてお伺いいたします。
焼津市は、浜岡原発から約30キロの範囲に位置しております。原発は絶対安全ということはあり得ず、今年の6月末にも浜岡原発で火災が発生いたしました。その際に問題となったのが、調査中であるにもかかわらず、外部への放射能の影響はないという誤った記載のある広報文を報道各社にファックスで送信したことや、住民に対する情報発信が一報から確定情報までに1時間を要したことの2点が挙げられております。この点について中電は、事故の報告が不適切であったとの認識を示し、今後、情報発信のルールを改善する考えを明らかにしておりますが、人の判断に頼る部分がある以上、ミスはつきものであります。
また、中電は今月の13日に、浜岡原発の4号機で2010年度から原子力発電所で使用済み燃料を再処理利用するプルサーマルについて実施する計画を県に報告いたしました。このプルサーマル計画につきましては、ウラン資源の有効利用の観点や、資源の少ない日本の実情を考えれば仕方ないという声がある一方で、新しい技術で未知の部分があり、危険過ぎるとの声もあります。
こうした事実を踏まえ、焼津市としても万が一の際の備えをしなければなりません。そして、放射能による被害を最小限にするために重要なことは、いかに早く放射能を検知できるかということであります。つまり、仮に中電からの情報が誤っていても、あるいは情報発信が遅れていても、独自に放射能を検知することができれば、その被害は最小限に抑えることができます。
そこで、以下の点についてお伺いいたします。焼津市の放射能に対する安全対策はどのようになっているのか。また、放射能を検知する設備は整っているのか、お伺いいたします。
次に2つ目として、アスベスト対策についてお伺いいたします。
静岡県の教育委員会は、静岡市内の小学校体育館でアスベスト使用が確認されたことを受け、7月14日、県内の公立全校に対し、アスベストの使用状況を再調査する方針を固めました。また、磐田市、掛川市、富士宮市など県内の幾つかの自治体でも、公共施設でアスベストが使用されているかどうかを調査、あるいは撤去の方針を7月中に固め、その内容をすぐに公表いたしました。これらの背景には、アスベストが原因と見られる健康被害が全国で確認されていることが挙げられます。
1950年代から建材などに使われたアスベストは「静かな時限爆弾」とも呼ばれ、アスベストを吸い込んでから発症するまでに20年から40年かかると言われております。その被害は、今突然急増しているわけではありませんが、相次ぐ健康被害の報告に不安が広がっております。そして、今後はアスベストを使用した建物の老朽化による解体が増え、その対策が問題となっております。そこで、以下の点についてお伺いいたします。
焼津市では、7月21日から公共施設についてアスベスト含有吹きつけ材の使用状況の調査を実施し、焼津市の公共施設ではアスベストの飛散の危険はないということを8月8日にマスコミに公表いたしました。結果的にアスベストの飛散の危険がなかったのでよかったわけでありますが、市民の皆様の中には、8月9日の新聞を見るまで、焼津市がアスベストについてどのような対応をしているのかもわからず、心配をされていた方も多かったと思います。本来であれば、第1段階として7月21日の調査を実施した時点で、その事実を公表することにより、焼津市においてもアスベストについて調査をしているんだという安心感を市民の皆様に持っていただき、第2段階として、8月8日のアスベストの飛散の危険がないという結果を公表することにより、焼津市の公共施設は安全だという認識を市民の皆様に持っていただくという手順を踏むことが大切であったと思います。
そこで、焼津市では、調査の実施時点でなぜその事実を公表しなかったのか、また、今後類似の事態が起きた際、つまり科学技術や調査研究活動の進展により、現在は使用が認められている物質が、将来人体に有害であるということが判明した場合、今回のアスベストのように、その物質の使用状況の調査が必要となるわけでありますが、その際には、その調査を開始するとき、そして調査に時間がかかりそうなときにはその経過、さらにはその結果が出たときというように、きめ細かな情報を市民の皆様に公表することはできないか、お伺いいたします。
最後に3つ目として、防犯対策についてお伺いいたします。
今年の4月から6月の間に、県内で発生した不審者の子どもへの声かけやつきまといなどの警察への届け出は305件で、昨年の同じ時期に比べて2倍近くに達しており、地区別では志太榛原地区が一番多くなっております。この件につき県警は、「保護者や地域住民の子どもを守ろうとする意識が高まっていることが届け出の増加につながっているのでは」と話しております。県警の言うように、子どもを守ろうとする意識が高まっているということ自体は非常にいいことでありますが、それ以前に問題視しなければならないのが、県内で不審者による被害が増えているということであります。
こうした事実を踏まえて、何か対策を講じなければならないわけでありますが、最近幾つかの自治体では、公用車に青色回転灯をつけ、防犯に取り組んでいるようであります。また焼津市でも、今後青色回転灯を活用していく予定だと聞いております。そこで、以下の点についてお伺いいたします。
焼津市では、今まで防犯対策についてどのように取り組んできているのか。また、公用車に青色回転灯をつけることの効果をどのように考え、どのように活用していくのかお伺いいたします。
最後に、公民館の今後の改築予定についてお伺いいたします。
この内容につきましては、平成17年の2月定例会でも一般質問させていただき、その改築時期につきましては、平成17年度中に財政的な問題や区画整理の進捗状況など、いろいろな事柄との整合性をとりながら、当面の公民館の改築計画を作成したいという御答弁をいただいております。そこで、いろいろな事柄との整合性について私の考えを述べさせていただき、市長の見解をお伺いいたします。
まず、平成2年に建築された焼津公民館、平成16年度に改築をした東益津公民館、現在改築中の大村公民館を除く残りの5つの公民館が、今後の改築予定を考える対象となります。この中で小川公民館につきましては、南部土地区画整理事業との関連で、その進捗状況に合わせて改築をしなければなりません。そこで問題となってくるのが、南部土地区画整理事業の進捗状況であります。
私が、平成17年2月定例会のとき、委員会の中で確認いたしましたところ、南部土地区画整理事業の進捗状況から考えて、平成21年にならなければ小川公民館建設予定地はさら地にならないとのことであります。そうしますと、小川公民館の改築は平成22年から23年ごろが考えられます。現在改築中の大村公民館が平成17年度に完成いたしますので、小川公民館の改築前、つまり平成19、20、21年度にどこか1つ公民館が改築できる可能性があります。逆に、平成19、20、21年度に公民館の改築をしないということになれば、現在の財政状況から考えて、1つの年度に2つの公民館の同時改築は難しいと思われますので、大富、和田、豊田、港の4つの公民館の改築時期は平成24年から25年以降になってしまいます。
大富、和田の公民館につきましては、現在既に、簡単な補修をしたくらいでは雨漏りを防ぐことのできない状況であり、さらにつけ足すならば、大富公民館につきましては1階の事務室でも雨漏りをしております。昨年には、1階の事務室で雨漏りをした際、天井にビニールを張って防いでいたところ、この状況を見た市民の方から、「大富公民館のひどい状況を多くの人に見てもらうため、そのビニールはしばらく張っておけ」と言われるほど、公民館利用者の怒りも相当なものでありました。こういう状態の公民館も、小川公民館の改築が終わると思われる平成22年から23年以降まで市民の皆様に利用していただくことはできないと私は考えます。
また、雨漏りをしている2つの公民館につきましては、大富公民館は昭和49年建築、和田公民館は昭和54年建築と、地区年数には5年の差があります。このように地区年数の差から考えられる老朽化の状態、現在の雨漏りの状況、そして、区画整理の進捗状況などを総合的に考えてみますと、平成21年度までに大富公民館を改築し、平成22年から23年に小川公民館を改築、そして平成24年から25年に和田公民館の改築というのが、整合性のとれた公民館の今後の改築計画であると私は思いますが、市長はどのようにお考えか、お伺いいたします。
さらに、大富公民館の改築を早くしてほしい理由は、ほかにもあります。大富地区では、平成15年5月、大富地区スポーツクラブ準備委員会を開催して以来、来月の総合型地域スポーツクラブの設立に向けて準備活動をしてまいりました。この総合型地域スポーツクラブ、地域住民による運営が基本であり、その準備委員会の運営も地元の方々を中心に進めてまいりました。ただ、実際の運営は簡単なものではなく、地元の方々にかなりの御負担をおかけして、やっとここまでこれたというのが実情であります。
その地元の方々におかけした御負担の1つに、事務所的なスペースの確保というものがありました。現在の大富公民館には、スポーツクラブを運営していく上でのスペースはなく、地元の方々はその活動を、豊田にあるシーガルドームの一室を利用して行ってまいりました。来月の総合型地域スポーツクラブの設立後も、この状況に変わりはありません。地元からは、以前からクラブハウス的な機能を持った施設が欲しいという要望があります。ただ現在、財政的な面を考えれば、クラブハウスのようなものを単独でつくることは難しいと思われます。
そこでお願いしたいのが、大富公民館の改築の際に、その一角にクラブハウス的な機能を持ったスペースをつくっていただきたいということであります。それも総合型地域スポーツクラブの設立後、できるだけ早くお願いしたいと思っております。公民館の築年数、雨漏りの状況、総合型地域スポーツクラブの設立のタイミングなどを考えても、平成19、20、21年度に大富公民館を改築するのがベストの時期ではないかと私は思っておりますが、ここでは改築の時期は別といたしまして、今度大富公民館の改築をするときに、その一角にクラブハウス的な機能を持ったスペースをつくることはできないか、市長のお考えをお伺いいたします。
以上、一般質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。(降壇)
(市長 戸本隆雄君登壇)
26 ◯市長(戸本隆雄君) 塚本議員の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、郵政民営化による焼津市への影響ということでございますが、郵政民営化法案が、御承知のようにさきの参議院における否決を受けまして、8月8日に衆議院が解散され、今月11日に衆議院議員選挙が行われたわけでありますが、その結果につきましては御承知のとおりでございます。政府はこの結果を踏まえ、昨日召集された特別国会会期中に改めて郵政民営化法案を提出するというふうに聞いておりますけれども、現時点では、この法案による影響につきましては予想しかねるところでございます。いずれにいたしましても、その動向を注視しているところでありますが、郵政民営化がなされる場合であっても、地域経済や、特に市民の皆さんへの影響につきまして、郵便局ネットワークが維持され、これまで以上の利便性が確保されることを望んでいるところであります。
次に、地域経済の活性化についてであります。
古くから水産業を基幹産業とし、自然環境に恵まれた焼津市には、海や山、そして日本最大級の漁港や、そこに水揚げされる新鮮な海産物はもちろん、富士山や駿河湾を望む眺望など、多くの地域資源が存在をしております。焼津市の発展は、漁港を中心に漁業者と水産加工業者の先人たちが一体となって積み上げてきた基盤により形成されてきたものでありまして、今後も漁港を核として焼津市の活性化を図っていかなければならないというふうに認識をしております。
このような中で、平成16年度を初年度とする第4次焼津市総合計画では、焼津らしさを生かしたまちづくりの取り組みを「焼津みらい海道」として取りまとめ、海に関連する重要性、優先性が高い施策を効果的に展開していくこととしております。また、水産業のみならず、工業、商業、観光業、農業の各産業分野におきましても、地域の特性を生かした施策の方向性を示しているところであります。
この総合計画に従って焼津市経済の活性化を図っていかなければならないと考えておりますが、特に、平成18年7月にタラソテラピー施設、愛称「アクアスやいづ」でございますが、オープンを予定しておりますので、これを1つの契機として、新港の利活用とその背後に広がる中心市街地の活性化を図っていくことが喫緊の課題であるというふうに考えておるところであります。幾つかのまちづくりグループにおきまして中心市街地のにぎわいの創出を図る活動が芽生えてきておりますので、これらの活動がさらに活発なものになるよう、期待をしているところでございます。
また、地域経済の活性化を図る上で、平成17年度の重点化事業の1つとしても位置づけております企業誘致、産業の集約化及び新規産業の創出を推進することも重要な施策と考えておるところでございます。
焼津水産加工団地及び焼津和田産業団地への企業誘致は、制度面の充実を図り、積極的に推進してきたところであります。新規産業の創出の取り組みといたしましては、静岡県中部地区・都市エリア産学官連携促進事業への参画によりますフーズ・サイエンス・ヒルズにおける研究開発が挙げられ、さらに、タラソテラピー施設を使って深層水の新たな効用の検証も進めてまいりたいというふうに考えております。これらの研究の中で、駿河湾深層水の効果が科学的に検証され、新製品や新技術の開発が活発になり、既存の産業の活性化に加え、新たな分野への進出をねらう企業の市場開拓などに、焼津ブランドを期待しているところであります。いずれにいたしましても、焼津市の特性と地域資源が有するポテンシャル、優位性を生かしつつ、各産業間相互の連携を促進し、産業振興を図り、地域力の向上に努めてまいります。
次に、河川の整備状況についてのお尋ねでございます。
焼津市内には、県が管理する2級河川が4水系10河川あります。このうち瀬戸川水系における整備状況は、瀬戸川、朝比奈川、梅田川及び石脇川上流工区が整備されてまいりました。現在、石脇川下流工区の整備が実施されております。なお、未改修河川につきましては、瀬戸川水系河川整備計画に基づき整備を図っていくと聞いております。栃山川水系においては、栃山川の暫定改修は終了しておりますけれども、黒石川、木屋川、成案寺川については未整備な状況であります。また、小石川水系、高草川水系についても整備計画は策定されておらず、未整備な状況であります。
なお、市が管理する準用河川は10河川あります。このうち六間川につきましては整備が完了しております。前の川は小川漁港から整備が進められ、現在は南部土地区画整理区域内の整備が行われておるところであります。一色横須賀川と泓の川は現在改修を進めております。なお、花沢川、石脇川、栄田川については一部整備が完了しておりますが、高草川、小石川、黒石川の3河川は未整備な状況でございます。
その他の普通河川の整備につきましては、都市小河川整備事業として、台風や大雨による浸水状況などを考慮し、整備を進めるとともに、道路事業等による道路拡幅計画とあわせた改修を行っております。また、公共下水道事業による雨水幹線、都市下水路についても計画的に整備を進めております。
2級河川について県に整備をお願いしているわけだが、県との交渉状況、今後の整備計画はどのようになっているのか、また、いつごろ2級河川の整備は終わるのかというお尋ねでございます。
県に対しましては、瀬戸川・朝比奈川及び栃山川改修促進期成同盟会での要望及び年度当初の島田土木事務所との打ち合わせの中で、事業の促進をお願いしているところであります。また、県では、瀬戸川水系河川整備計画に基づいて、石脇川下流工区の整備のため用地買収、物件補償が進められており、平成18年度には工事に着手する予定と聞いております。高草川につきましては、石脇川を含めた石脇川・高草川流域総合的治水対策推進協議会が、本年9月2日に、県、岡部町の関係職員が集まり、焼津市において開催され、治水対策について総合的な検討をしてまいっているところであります。
未整備であります2級河川の整備につきましては、今後、水系ごとの整備計画を立てる中で検討されていくものであります。いずれにしましても、これらの2級河川の整備につきましては、県の財政事情も大変厳しく、事業の早期着手は大変困難であり、すべての河川改修はいつごろまでに完了するかは、現時点では予測できないと聞いておりますが、市といたしましては、より一層の治水安全度が確保されるよう、今後も引き続き事業の促進を要望してまいります。
大雨のときに水があふれる場所において、今までどのような応急措置を講じてきたのか、また今後、砂利のかき出しなどの応急的な措置はできないかというお尋ねでございます。
平成16年6月30日の豪雨、10月の台風22号、23号による浸水被害がありました箇所について、平成16年度債務負担行為及び今年度予算を確保し、浸水解消対策に努めております。具体的には、東益津地区の斎場会館周辺については、暫定対策としてポンプによる強制排水設備の工事に着手し、今年度中の稼働を予定しております。また応急対策として、石脇上地区の高草川においては護岸のかさ上げ及び周辺水路の改良を行っており、豊田地区の小石川についても、護岸のかさ上げ工事を実施しております。また、石津港町地区の浸水解消対策として、本年度、ポンプ場施設の設計委託業務を発注しておるところであります。その他、高草川、花沢川、小石川等の土砂堆積が発生した河川については、土砂の撤去を順次対応しております。また、栄田川等においても、河川の土砂堆積が確認されておりますので、これらの土砂しゅんせつについても順次実施してまいります。なお、2級河川につきましては、現地を確認し、県と現場立ち会いを行い、しゅんせつを要望してまいりました。
次に、「だれもが安心して暮らせるまち」の実現に向けての取り組みについてであります。
焼津市の放射能に対する安全対策はどのようになっているのか、また、放射能を検知する設備は整っているのかと御質問でございます。
浜岡原子力発電所の廃棄物処理建屋の地下で起きた火災は、大変遺憾な事態と認識しております。また、かつて起きました配管破断と炉水漏れなど、市民が不安を持つことも当然のことと考えます。
焼津市の放射能に対する安全対策は、静岡県地域防災計画の原子力対策編によりますと、国の原子力安全委員会の防災指針の趣旨を厳密に踏まえ、半径10キロを目安として、御前崎市、相良町、菊川市及び掛川市において、浜岡原子力発電所から半径10キロ以内の範囲に全部または一部が存する自治区等の区域を合わせた地域を、防災対策重点地域とされているところであります。
この防災対策重点地域の10キロメートル圏外の地域には、原子力緊急時に考慮すべき放射性物質、ガス状、あるいは粒子状でありますが放射能物質による被曝の影響は起こり得ないとされております。万が一最悪な事態が起きた場合は、原子力災害対策特別措置法に従い、国が直接原子力災害現地本部を設置し、主導的に対応することとされております。放射能を測定する環境放射能調査は、原子力発電所周辺の14カ所のモニタリングステーションで、環境放射線を24時間常時監視しております。測定結果は、発電所周辺の3市1町や県のホームページで公開をされておるところであります。また中部電力は、発電所周辺の環境放射能調査の結果を公開しているところであります。
現在、市が保有する放射線量計は5基、放射能防護服は5着装備をしております。放射能観測装置の設置につきましては、国の原子力安全委員会の防災指針による防災対策重点地域内で常時観測、監視されていることから、放射能観測装置の導入は現在考えておりません。市としては、国、県から正確な情報を取りつつ、原子力発電所の動向に注視してまいりたいと考えております。
次に、今回のアスベスト対策の対応について、市が、調査の実施時点でなぜ事実を公表しなかったのか、あるいは今後、類似の事態が起きた際には、その調査を開始するとき、調査に時間がかかりそうなときにはその経過、そして結果が出たときというように、きめ細かな情報を市民の皆様に公表することはできないのかという御質問でございます。
アスベストによる健康被害の問題を受けまして、7月21日に各課に対し、管理する施設にアスベストが使用されているかどうかの調査を指示しました。この時点では、112施設のうち、どの程度の施設にアスベストが使用されているか見当もつきませんでしたし、その公表で、かえって市民の皆様に不安を与えてしまわないか危惧し、公表はしませんでした。その後、8月1日に、助役を委員長とする庁内対策委員会を発足させ、対策等について検討を重ねております。8月8日の第3回委員会で、分析調査をする施設、立入禁止の措置をとる施設、直ちに除去作業を実施する施設などの方向性が決まりましたので、同日、議会運営委員会で報告させていただき、報道各社にもその内容を発表いたしました。また、市民の皆様には「広報やいづ」9月1日号に掲載をし、お知らせをしたところでございます。
市民の皆様には、公共施設におけるアスベストの使用状況や今後の対応等について、ある程度目途が立った段階でお知らせすべきであると考え、7月21日の調査開始ではなく、8月8日に発表し、議員御指摘のように8月の9日、新聞で公表されました。今後、市民の皆様の健康や安全に影響を及ぼすような事態が発生した場合は、市民の皆様が安全・安心して暮らせるまちづくりのために、その内容に応じて、途中経過も含め、きめ細かな情報を積極的に公表していく所存であります。
次に、焼津市では防犯対策についてどのように取り組んでいるのか、あるいは公用車に青色回転灯をつけることの効果をどのように考え、どのように活用していくのかということでございます。
市では、各種団体代表により組織されております焼津地区防犯協会と緊密な連携をとり、防犯思想の普及や地域安全活動の推進を図ることにより、各種防犯対策の推進に努めております。なお、この防犯協会の会長は私で、事務局は焼津警察署内にあります。
防犯協会と連絡をとっている防犯対策の1つ目としましては、地域ボランティアにより結成された防犯パトロール隊が、夜間防犯パトロールを毎週実施しております。具体的には、八楠地区及び第23自治会で行っておりまして、住民の安全・安心の確保に努めておるところでございます。
2つ目といたしましては、1家1灯運動があります。これは御存じのとおり、夜間、各家の玄関灯や門灯などを点灯しておき、家屋周辺を明るくすることによって犯罪を抑止しようとするものであります。平成15年度より第20自治会がモデル地区となって実施しており、成果が上がっているというふうに聞いております。
3つ目といたしましては、各地区ごとに地域安全推進委員を委嘱し、犯罪や事故の未然防止のための諸活動を実施していただいておりまして、現在、約90名の方に委嘱をしているところでございます。
4つ目といたしましては、市子連を中心に実施している「こどもをまもる家」という制度がございます。これは不審者から子どもを守るため、子どもが助けを求めてきたとき、地域住民が子どもを保護し、場合によっては警察等に通報するというものであります。現在、市内に約1,000軒設置をされておるところであります。
連携を実施しているものの最後に、市の公用車に、現在、防犯マグネットシートを張っております。これは平成16年5月から試行的に行っているもので、「子ども110番パトロール実施中」という表示になっております。公用車を、「移動するこどもをまもる家」にしようとするものであります。
なお、市独自の事業といたしましては、防犯灯設置に係る費用に対しての一部助成及びこれにかかる電気料に対して60%分を助成をしております。そして今回、地区の補導員の皆様を中心に、各公民館ごと実施している夜間パトロールの際、市の公用車に青色回転灯をつけ、パトロールを行おうとするものであります。この事業は、地域防犯活動の一環として、広範囲での活動が可能であること、市全域にわたってでありますが、暑さや寒さに関係なく一年じゅう活動できることなどにより、不審者への心理的な犯罪抑止効果が図られること、また、地域住民の連帯感や防犯意識の向上が図られるものであることなど、その効果は大いに期待しているところでございます。なお今後、青色回転灯を全公用車に装着することについては、地区ごとの夜間パトロールの実施結果を見て調整していきたいというふうに考えております。
いずれにしましても、地域住民一人一人の皆様の防犯意識の高揚を図ること、また、関係各団体との連携を図りながら防犯活動を展開していく必要があることは言をまたないところであり、これからも犯罪のないまちづくりを目指して、積極的に防犯対策に取り組んでまいる所存であります。
公民館の今後の改築計画について、大富公民館の改築時期を明らかにされたいという御質問でございますが、現大富公民館は、昭和49年に開館し、本年、建築後31年目を迎え、市内8公民館のうち最も古く、老朽化も進んでいることは承知をしております。施設内外の老朽化に伴い、台風は言うまでもなく、梅雨どきなどにおいての雨漏り箇所も増えており、その修繕に苦心している状況であります。東益津、大村、焼津公民館を除く5館について、平成16年度に耐震診断を実施した結果、大富公民館の耐震性は低いという結果が出ております。具体的な耐震性能については、本年中に他の公共施設とともに公表する予定であります。
以上の点から、公民館の改築基準となる施設の安全性の確保、老朽化の観点から、小川公民館を含めた他館に比べ、大富公民館は早期に改築する必要があるというふうに考えております。具体的改築年につきましては、他の教育施設整備計画及び南部土地区画整理事業の進捗状況及び市の財政状況と整合性を図りながら検討してまいります。
最後に、総合型地域スポーツクラブの設立に関連して、大富公民館の改築時に、その一角にクラブハウス的な機能を持ったスペースをつくることはできないかという御質問でございます。
大富地区スポーツクラブの設立総会が10月2日に行われることになっておりまして、いよいよ正式に活動が始まります。この先、スポーツクラブ活動の推進のためにも、事務室、シャワー室や談話室などを持ったクラブハウスの必要性は十分に認識をしているところであります。今後、大富公民館の改築に当たり、このような機能を取り組むことを検討していきたいというふうに考えております。私自身、文部省から委嘱されて、総合型地域スポーツクラブの原案をいろいろ検討した経験がございまして、その折にヨーロッパのスポーツクラブを参照していろいろ考えたところでございます。ただ、クラブハウスを単独で建てるということについては、スペースの問題等々もございますので、この公民館の一角にそのような機能を持ったスペースをつくるということは十分考えられるというふうに思いますので、今申し上げたように、具体的内容につきましては今後、公民館改築計画と十分調整をしながら考えてまいりたい、このように思っておるところであります。
以上、お答えにさせていただきます。(降壇)
27 ◯2番(塚本 大議員) 御答弁ありがとうございました。要望と再質問をさせていただきます。
まず、地域経済の活性化についてでありますが、これからの少子高齢化の時代を考えてみますと、医療や福祉、そして教育、こうしたものの市民の皆様の要求もだんだん高まってくることが予想されますし、また、最近の全国的な災害など、こうした状況が新聞とかニュースなどで報じられるのを見てみますと、市民の皆様の防災に対する意識も今後高まってくることが考えられます。そうした医療や福祉、教育、防災、こういうものの充実を図りたいという気持ちは、市長初め我々議員も持っているわけでありますが、その財源となる部分が限りがあるというのが現状であります。そういう意味で、きょうお伺いさせていただきました地域経済の活性化、これが医療、福祉、教育、防災を充実させていく上での財源の確保につながるという意味で、私は非常に重要な部分ではないかな、そのように思っております。
そこで、今、市長の方からお話を聞かせていただいたわけでありますが、この地域経済を活性化させるということは、しつこいようでありますけども、医療、福祉、教育、防災の充実を図っていく上での財源の確保という意味で重要なものでありますので、地域経済の活性化に取り組んでいただいております福島経済部長のお考えも聞きたいなと、そのように思っております。といいますのも、福島部長におかれましては、今年の3月まで農林水産省の消費・安全局や総合食料局に勤務をされ、食にかかわる地域ブランドの保護育成の制度構築などに携わってきたというようにお伺いしております。
焼津市におきましては、前経済部長の三野部長も農林水産省から来られ、在任中の3年間には焼津漁港の将来像を県に提案する利用方針報告書をまとめたほか、タラソテラピー施設構想の実現、脱塩施設の整備、そして水産加工団地進出企業への助成制度導入などの産業振興にも取り組んでいただきました。
こうした実績を残された三野部長と同じ農林水産省出身の福島部長に対する期待は非常に大きく、在任中にどのような取り組みをしていただけるか、私自身も非常に楽しみにしております。本来であれば6月定例会でお伺いしたい気持ちでありましたが、着任直後で、ありきたりの御答弁をいただいてもつまらないと思いまして、9月定例会まで待つことにいたしました。また、福島部長には、地域経済の活性化のためにどのような取り組みをするつもりか9月定例会でお伺いしますということを、6月9日の時点でお話しさせていただいております。今後の焼津市の発展のために、経済部長という立場から、市長に対してどのような提案をしていくつもりか、きょうは具体的な御答弁を伺えるものと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、河川の整備についてでありますが、特に大雨の際、水の出る場所の対応についてでありますが、今後、順次、砂利のかき出しなどの応急的な措置をしていただけるということで、本当にありがとうございます。
先ほどもお話しいたしましたように、水の被害に遭われた方、あるいは大雨のたびにその危険にさらされている方の苦悩というものは相当なものであります。最終的には根本的な河川の改修をしていただかなければならないわけでありますが、現時点では応急的な措置をしていただけるだけでかなり助かります。今後、水の被害を心配されている方には、機会あるごとに、きょう市長からいただいた御答弁の内容をお話しさせていただきまして、市民の皆様の御理解がいただけるよう、私自身も努力をしてまいりたいと思っております。
最後に、公民館の改築計画についてでありますが、おおむね市長も私の考えと同じであるというように受け取らせていただきました。もし考え方が余り違うようでありましたら、もっといろいろ言わせていただこうと思いまして原稿の方もつくってまいりましたが、考えがほぼ同じであるということでありますので、話を先に進めさせていただきたいと思います。
この後、市長にお願いしたいことは、できるだけ早く具体的な改築時期を明確にしていただきまして、その時期が決まった後、すぐにでも地元の方々、特に公民館利用者の意見を聞く場を設けていただきたいと思っております。といいますのも、大富公民館につきましては、公民館利用者の方々でつくられております「大富趣味の会」という組織がありまして、その大富趣味の会の総会のとき、ある方が、「今度公民館が改築される際には、ぜひ公民館利用者の意見を聞いていただいて、利用者にとって使いやすい公民館にしてほしい」と言っておりました。この方の言っていることは当たり前のことで、当然、市としてもそのぐらいの取り組みはしていただいていると思いますが、恐らくは公民館利用者からこういう発言があるということは、市と公民館利用者との意見交換が十分でないということを意味していると思います。
100%利用者の思いどおりの機能を持った公民館というわけにはいかないわけでありますが、十分に意見交換をしていただいて、利用者の思いどおりにできない部分の理由をしっかりと説明することによって、満足度の高い公民館になるものと私は思っております。そのためには、地元の方々との意見交換の時間をできるだけ多く取ることが重要でありますし、また、そうした時間を多く確保するためにも、改築時期を早く明確にする必要があると思います。せっかく市長の頭の中ではある程度改築時期が考えられているわけでありますから、できるだけ早くその改築時期を明確にしていただきまして、次のステップに話が進められるようお願いをいたします。
また、公民館の改築時に、その一角にクラブハウス的な機能をつくっていただけるかどうかという質問の内容につきまして、検討していただける、十分そうしたことは考えられるという前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。地域の皆様には、来月の総合型地域スポーツクラブの設立に向けて、日々本当に一生懸命取り組んでいただいているところであります。地域の皆様の努力が少しでも早く報われるよう、公民館の改築時期を早期に明確にすることとあわせてよろしくお願いをいたします。
以上、幾つか要望させていただきましたが、再質問につきましては福島部長の1点だけお願いをいたします。
(経済部長 福島 央君登壇)
28 ◯経済部長(福島 央君) 塚本議員の再質問にお答えをいたします。
私自身、4月の就任からおよそ半年弱たつわけでございますが、まず、この半年弱の率直な印象を述べさせていただきたいと思います。
ここ焼津は、温暖で豊かな自然環境、JRや東名高速といった交通の便のよさと、首都圏、中京圏へのアクセスのよさ、日本最大級の漁港とそこから生じる日本一の水揚げ、さらには駿河湾深層水のような新たな資源といったように、非常に恵まれた土地であると思います。このことは、私自身のふるさとと比較しても非常に明白であると思っております。一方で、これほど恵まれた環境にありながら、どことなく外部に対して焼津のよさを自慢することを潔しとしない風潮があるのではないか、そのことで損をしている部分があるのではないかということが、率直な感想です。
これから我が国の人口は減少に転じ、パイが縮小すると見通されている中で経済活性化を図っていくためには、有する資源を最大限に生かしつつ地域間競争を戦っていかなければならないと考えております。そのためには、改めて焼津市民が自分たちの町、焼津のよさを再認識して堂々と外に対して主張することが必要であり、それがいわゆる焼津ブランドによる経済活性化につながるのではないかということを考えております。
まずそのための1つの契機となりますのが、先ほど市長が答弁いたしましたとおり、来年7月にオープンする予定の「アクアスやいづ」になると考えております。市民の健康維持増進を大きな目的としているのはもちろんですが、この施設に多くの周辺住民、都市住民を呼び寄せ、市内に滞留させることもそれに劣らず重要であると考えております。
焼津に人を呼ぶことを考えますと、焼津をもっとよくしたいという情熱を持って、自分たちのアイデアでまちづくりに取り組んでくださっているグループがあちこちにあることは、大変心強く思っております。しかし、これらのグループが互いに連絡、協調し合うネットワークを構築することで、もっと大きな効果が得られるのではないかということを考えております。
例えば、現在、焼津まちづくり推進委員会により、「まちの駅」の立ち上げが進められております。この取り組みは非常に期待しておるのですが、単に扉を開き、のぼりを立てて待っているというだけでは、観光客から見て敷居が低くなるとは思えません。一観光客として焼津駅に降り立った場合を想定いたしますと、「アクアスやいづ」までは歩くにはちょっとした道のりですので、うまくまちの駅を経由してもらえるように仕向けなければならないと考えております。駅前に移転しました観光協会ともタイアップして、3時間コース、半日コースといったモデルの提示や、健康志向も兼ねた自転車で回る仕掛け、あるいは先日のオータムフェストで青年会議所が焼津シャツの表彰式を行いましたが、夏ならば、そういった魚河岸シャツで訪れるとちょっとしたサービスを受けられるキャンペーンなど、展開の仕方はいろいろと考えられるところです。
また、市長からフーズ・サイエンス・ヒルズの話がありましたが、同事業も、昨年度までの基礎的研究の段階から、実用化を目指した段階へと入ってきております。焼津の資源を生かした焼津ならではの新たな商品の開発に向けて、産業サイドと学術サイドを円滑につなぐのは行政の役割と認識しております。