静岡市議会 2022-11-05
令和4年11月定例会(第5日目) 本文
基本構想では、世界に輝くは、「市民(ひと)が輝く」と「都市(まち)が輝く」の2つの要件を兼ね備えたまちであると改めて定義づけられました。定義づけされたことはよいことだと率直に思います。人とまちが世界に輝くためには、静岡市政が世界に輝く水準にならなければならないと思います。果たして提案されている4次総がそれにふさわしいものになっているのかを見極める必要があります。
私たちの市長への提言で最初に掲げたのは、平和の課題です。
憲法を暮らしに生かす市政を進めることは、地方自治の基本です。4次総にはこのことが全く触れられておりません。
基本計画第2章では、SDGsの推進をうたっております。その16番目の目標として「平和と公正をすべての人に」が掲げられております。これまでの私たち市議団の代表質問において、憲法擁護、あるいは核兵器禁止条約の課題について意見を申し述べてきましたけれども、これに対しては国の専管事項ということで答弁を拒否されたということであります。これは誰一人取り残さないSDGsの推進と明らかに矛盾していると言わざるを得ません。
ちなみに、私たちは広島、長崎両市の
総合計画を見てみました。広島市では、国際平和文化都市の実現に向けた
まちづくりを目指す3本の柱の第1に世界に輝く、ここは似ていますけれども、平和のまちというふうに掲げております。世界の平和を脅かす核兵器の存在の解決に取り組むとしております。長崎市では、目指す2030年の姿の4つの柱の1つに平和な世界、持続可能な世界の実現に貢献する、そして
まちづくりの方針、基本施策に平和と
核兵器廃絶の実現をうたっております。
国の専管事項などと言わずに地方自治体として平和の実現や
核兵器廃絶を
総合計画の上位に掲げている両市。被爆地だから言えるということでは決してないと思います。そういうふうに片づけるわけにはいきません。本市との落差に驚くわけであります。
3次総では、全ての施策が
定住人口70万人維持に集約されましたが、4次総では、国立社会保障・人口問題研究所の推計を上回る
定住人口を目指すとし、数値目標を事実上、下ろしてしまいました。交流人口、
関係人口を増やすことで
人口活力を高めて、まちと暮らしを豊かにと言っておりますけれども、市のあらゆる施策は、
定住人口を基礎に決まってくると言っても過言ではありません。改めて
定住人口の目標を掲げることを提案いたします。
少子化をいかに食い止めるかは、人口維持に関わる重要な要素です。2人目、3人目の子どもを産み育てることをためらう理由は、子育てにお金がかかり過ぎるということであります。子どもは社会の宝と言われながら、子育てと教育にかかる多額の費用がお父さん、お母さん、
保護者のところにかかっているということであります。小中学校は義務教育といいながら、教材費用、修学旅行、給食費、制服、PTA会費など多額の負担を強いられております。高校、大学に至っては言うまでもないわけであります。子育て、教育の費用は社会的な負担とすることが先進諸国の常識です。学校給食の無償化や子供の医療費の完全無償化は、必ずしも財政力が豊かとは言えない多くの自治体が実施していることを考えれば、本市もすぐにでも実現可能ではないでしょうか。4次総ではこのような方向が見えません。
市民から大規模箱物建設に批判が高まっております。大規模な箱物をたくさん造って、そこに人を呼んでまちの
活性化を図り、交流人口を増やそうというのは一昔、二昔前、日本の高度経済成長期の時代の発想だと言わざるを得ません。既に具体化が進んでいる計画もあるわけですけれども、本市の
財政状況をしっかり見据えれば、安易な箱物めじろ押しとも言える計画は、中止を含めて大幅な見直しを求めます。
本議会でも議論になった市民満足度調査によれば、静岡市は子育てしやすいまちか、高齢者や障害者に優しいまちか、歴史や文化を身近に感じるまちかなどの問いに、そう思うと答えられた市民は、9年前と比較して低下している状況です。その他の項目についても、多少の高低はありますけれども、ほぼ横ばいの状況です。この期間は3次総とちょうど重なる期間でありまして、3次総の成果が試された満足度調査とも言えるわけであります。市民が真に願う静岡市政はどうあるべきか、改めて問われるべきであると強調したいと思います。
議案第186号は、議員
報酬引上げの条例案であります。私たち議員団は、現在の
議員報酬の2割減をこれまで提案してまいりました。
議員報酬は特別職報酬等審議会で改めて審議することが必要です。人事委員会の勧告に基づいて一般職員の賃金が今回の条例で決まるわけですけれども、これは
議員報酬とは趣旨が異なる、本来の趣旨を逸脱するものではないかということで、これは実施すべきではありません。
以上、反対申し上げまして、反対討論といたします。
18
◯議長(
望月俊明君) 次に、松谷 清君。
〔松谷 清君登壇〕
19 ◯松谷 清君 討論を行います。やじられても冷静にということでございますので。
ただいま上程されております議案第167号、第168号、第186号、第187号について、緑の党として反対討論を行います。
まず、第167
号静岡市基本構想、第168
号静岡市
基本計画についてであります。
基本構想と
基本計画は一体のものであり、田辺市長が第3次
総合計画を引継ぎ、発展させるものとして、市民の声を幅広く聞く中で形づくられたものであります。
反対理由の第1は、田辺市長は12月2日の繁田和三議員の自民党代表質問で次期市長選への不出馬を表明されており、次期市長がこの基本構想を引き継ぐか否かは現段階においては不明であり、提案の第4次
総合計画──基本構想、
基本計画を棚上げし、次期市長の政治理念に委ねる必要があるとの観点からであります。
不出馬表明では、市政継続の意欲と災害対応の責任との間で葛藤の日々を過ごした。自問自答を繰り返し、本日の決断に至ったと発言されました。ある意味で台風15号の被災対策をめぐる引責辞任とも理解されるような答弁で驚きました。私は、ぜひとも出馬して、市民の前で新たに挑戦される候補者との政策論争をきちんとしていただきたかったという思いであります。非常に残念であります。不出馬ということであれば、基本構想、
基本計画の棚上げはもとより、創生静岡代表の白鳥 実議員の質問にもありましたように、2023年度予算は骨格予算にすべきと私も考えます。
反対理由の第2は、基本構想に示された成長・拡大から成熟・持続可能な時代への転換について、この8年間、田辺市長の所信表明を問いただす中で何度となく議論し、賛同の意思を示してきましたけれども、実際の
基本計画、
実施計画になると成長・拡大そのものであり、アベノミクスの成長戦略に賛意を示し、民間活力、PFI事業を多用してきました。成長・拡大から成熟・持続可能な時代への転換は、京都大学の広井良典教授が提唱されたものであり、コロナパンデミックを経験したことにより、都市集中から分散型社会への転換を前提に、ポスト情報化、生命経済ビジョンを掲げ、基盤としてのローカル、地域の循環型経済を示しております。経済についても基本構想には触れられておりまして、量から質を示しておりますけれども、ローカルにおける循環型経済の方向性は示されておりません。田辺市長に賛同できることはたくさんあるわけでありますけれども、なぜ具体的な政策や施策になると中央政府に追随するかのような形になるのか、ここがこの基本構想、3次総においても常に疑問に思った点であります。
反対理由の第3は、
基本計画において、時代の潮流の後にSDGsの推進、横断的な視点、
人口活力の向上と10の分野別政策につなぐ戦略用語を並べておりますけれども、この
基本計画の欠陥は、この戦略的用語の概念にプラスして分権と自治という概念が示されていない点であります。中央政府と地方政府の対等な関係、自治体は市民の政府である、この基本的認識の欠如、これが第3次
総合計画、第4次
総合計画の中に貫かれていないのではないだろうかということであります。それが意見の違う、合意の手法、方法の違う市民との対話を実現できなかった理由ではないかと私は思います。
自治基本条例をないがしろにし、市民対話を避け続け、そのことは新清水庁舎をめぐる住民投票条例制定に対して反対の態度をつくり出したと認識せざるを得ません。住民投票運動という新たな民主主義をつくる市民の動きをこうした基本構想、
基本計画に反映できない、そこに問題があります。
成長・拡大から成熟・持続可能な時代への転換にグローバルな経済の在り方、成長主義経済に対する変革の主体がローカルガバメント──地方政府が担うという新たな時代認識──ミュニシパリズムを示す必要があると私は考えております。
反対理由の第4は、
基本計画の10の分野別政策が具体的な展開となるときに、時代の先端を示す先進的な取組につながらない点であります。分野はたくさんありますけれども、3つだけ挙げれば、第1に脱炭素社会への転換。環境省の脱炭素先行地域に選ばれながら、現在、パブコメにかけている2030年温室効果ガス削減目標値は51%と、政府目標の49%とほとんど変わらない。その斬新さが欠如しています。
第2は、南アルプスエコパークという世界の公共財産を抱えながら、リニア中央新幹線をめぐるJR東海に対する毅然とした態度が見られません。南アルプスリニアトンネル工事は、大井川の水、地質構造から生態系の保存に変わりつつありますけれども、COP15も現在、開催されております。そこの議論を深めようという視点が見当たらず、東京、名古屋、大阪を結ぶスーパー・メガリージョン構想に流されているわけであります。
第3は、防災分野において、大規模自然災害に備え、市民の安全を守る環境を整えるとありますけれども、台風15号の被害対応における現実はここに示されている言葉とはほど遠く、大きく違ったことは明らかであります。
反対理由の第5は、5大重点政策の中に「港町の海洋文化を磨き上げるまちの推進」とありますが、その具体的な事業は、さきに入札結果が出ました仮称静岡市海洋・地球総合ミュージアム整備運営事業であります。公募による参加
事業者は1グループ、株式会社乃村工藝社を代表とするSPCの入札額が約154億1,818万円ということでありまして、240億円の額は若干下がるんでしょうけれども、この事業につきましては議会の中で賛否が分かれてきたテーマであります。この件については凍結し、次期市長の判断に委ねるとしてもおかしくない案件であります。
反対理由の第6は、分権と自治に重なる自治体は二元代表制、大統領制であり、首長と議会は対等であり、その民主主義的役割についての認識が示されていない点であります。
基本計画の第8章の4つの項目にプラスして組み入れるべきものであります。
具体的には、例えば、総括質問における議員質問に対する答弁は、ある意味制度的に義務付けられているにもかかわらず、多数会派への配慮なのか、恣意的に答弁するかしないかを決める議会対応となってきました。それらを前提に今回の議案提案になっている点であります。県議会議員を経験されている市長でありますから、県議会はそうなっていないことは十分に認識されているわけであります。この原理原則に関しての曖昧さが結局のところ、大きな時代の潮流を捉えると言いながら、私も賛同する部分が多々あるんですけれども、実際には、実施の場面において、中央政府の政治路線に従属する、議会の多数派への配慮となり、市民と向き合うリーダーシップの弱さとなっているのではないかと推察するところであります。
以上が第167号、第168号についての反対理由であります。
続いて、第186号
議員報酬の引上げ、第187号特別職の職員の給与の引上げに関して反対討論を行います。
議員は4年ごとの選挙により市民から評価、判断を受けるわけであります。その4年の間に
議員報酬を引き上げるとなれば、特別職報酬等審議会の開催によって方向性が提示されることになっているわけであります。
私は、期末手当の引上げについても、人事委員会勧告ではなく、特別職報酬等審議会で審議されるべきであるという理由でこの間、反対してまいりましたが、今回も同様の理由で反対であります。
さらに、今日の原油高・物価高が化石燃料に過度に依存するエネルギー構造や低金利政策といった政治の側の責任が大きく影響しているこの時期のこのような形の引上げに反対であります。自ら議決によって
議員報酬や期末手当が決定される制度において、反対する以上は引上げ分を受け取らず、法務省に供託したいと考えます。
次に、第187
号静岡市特別職の職員の給与に関する条例の一部改正についてであります。
これまで、議決する側の議会の責任を重く考えたことから、特別職の引上げについては言及してきませんでした。しかし、今回は台風15号を経験し、市長自ら不出馬表明において、台風15号の被害対応における自らの責任を明確に表明しました。それが不出馬という重い決断に影響しているならば、被害対応の責任を問う意味で、自らこの引上げ分を返上すべきであります。本来なら、責任を取るというなら、減給処分を提案してもいいわけでございます。そうした意味において反対したいと思います。
以上、4議案について反対を述べて討論を終わります。
20
◯議長(
望月俊明君) 次に、市川 正君。
〔市川 正君登壇〕
21 ◯市川 正君 日本共産党市議団を代表して、議題となっております請願第3
号国民健康保険料の引き下げを求める請願、請願第4
号子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願について、一括して賛成討論を行います。
まず、請願第3
号国民健康保険料の引き下げを求める請願についてであります。
令和4年度における本市の国民健康保険加入者は13万5,520人となっております。加入者の多くは年金生活者、非正規労働者、無職の方などで、年所得200万円以下が全体の70.7%、そして100万円以下は全体の49.09%という統計となっております。加入者の所得水準は依然として低いのですけれども、収入ゼロの世帯であっても
保険料負担が出てまいります。以前から全国知事会、全国市長会などは、今の国保制度には被保険者の所得水準が低く、
保険料の負担率が高いという構造問題があるとして、公費投入増による抜本的な
保険料引下げを国に求めてきたところであります。市民団体も毎年のように引下げを求める請願を続けてきたところであります。負担が増える要因は均等割にあるとして廃止を求める声が全国的に強まり、国もやっと今年4月から、就学前の子供の均等割の5割軽減に踏み出しました。しかし、国保料は、世帯の加入者が多いほど高くなる仕組みでありまして、低所得者へ負担が重くのしかかってくるということに変わりはありません。
静岡県は、今後、県内市町の
保険料水準を統一させるとしております。そのため、静岡市は、
保険料率の段階的引上げは避けられないというふうに言っていますけれども、さらなる負担の押しつけは到底容認できないのではないでしょうか。
今年4月から年金が0.4%引下げとなり、9月は台風15号の
豪雨災害、そして長引く円安による
物価高騰など、国保加入者の生活苦は計り知れません。静岡市の国保会計は、令和3年度の基金残高34億円、繰越金は約19億円、合計53億円となっております。
請願の趣旨で、
保険料の
負担軽減、特に世帯人数によって負担が増える均等割の減免が必要と訴えているのは当然であり、基金を活用して均等割減免の対象を18歳まで拡充することは十分可能であります。今こそ国保料を引下げ、誰もが安心して医療を受けられるようにしていくことが求められております。
よって、請願第3
号国民健康保険料の引き下げを求める請願に賛成いたします。
次に、請願第4
号子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願についてであります。
請願趣旨は、子供たちが人間として大切にされ、命を最優先にしながら、どの子にも学ぶ権利を保障し、行き届いた教育の実現を、と求めています。豊かな学びと元気に伸び伸びとした子供たちを育てることは、国の責務であると同時に、地方自治体の大切な役割です。
日本教育新聞に、小学校6割で教員不足、こういった記事がございました。静岡市でも、4月の新学期に19人、5月には23人の教員不足という状況でありました。新型コロナ感染拡大は第8波に入り、2年以上も続く
コロナ禍を経て、子供たちの命と健康を守り、学びを保障するには少人数学級が有効との知見があります。静岡型35人学級を早い段階で30人から20人学級への移行を目指すことは、
保護者の願いであり、子供たちの豊かな情操を育み、いじめや不登校をなくすことにつながると同時に、教職員の
負担軽減につながってまいります。
また、全ての学校に特別支援学級を設置し、支援を必要とする全ての子供たちが安心して学べる機会を保障することも自治体の大切な仕事であります。
昨今の急激な物価高に
保護者や市民の生活が圧迫されています。子育て世帯の
負担軽減の観点から、給食費は無償化してほしいという声が全国的に高まっています。日本共産党自治体局の調査によれば、2022年に小中学校とも給食費を無償化した自治体は224となり、2017年比で3倍に増えております。大きな自治体も無償化に踏み出しました。青森市や山口県岩国市、来年度からは東京都葛飾区や千葉県市川市で実施いたします。県内では小山町、御前崎市が既に実施しております。給食費を市の裁量で無償化することは可能であり、本市も実施に踏み出すべきであります。
小中一貫教育を一律に進めないこと、学童保育支援員の2人体制を維持し、さらに増員を進めて支援員の労働条件の改善に努めるなど、子供たちに豊かな放課後を保障する施策を積極的に行うことが必要です。
同時に、市内全校の全トイレの洋式化、特別教室や体育館へのエアコン設置など、教育環境、施設を整えるのも喫緊の課題となっております。次の世代に豊かな教育を保障するためにも、子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願に賛成いたします。
以上、議員各位の賛同をお願いし、請願第3号、第4号の賛成討論といたします。
22
◯議長(
望月俊明君) 以上で討論を終了いたします。
これより議案第167号、議案第168号及び議案第186号の3件を一括して採決いたします。
これら3件に対する
委員長の報告は、可決すべきものとされております。
これら3件は、原案のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
23
◯議長(
望月俊明君) 起立多数。よって、議案第167号外2件は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
これより議案第187号を採決いたします。
本件に対する
委員長の報告は、可決すべきものとされております。
本件は、原案のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
24
◯議長(
望月俊明君) 起立多数。よって、議案第187号は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
これより議案第158号から議案第166号まで、議案第169号から議案第185号まで及び議案第188号から議案第190号までの29件を一括して採決いたします。
これら29件に対する
委員長の報告は、可決すべきものとされております。
これら29件は、原案のとおり可決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」〕
25
◯議長(
望月俊明君) 御異議なしと認め、議案第158号外28件は、原案のとおり可決することに決定いたしました。
これより請願第3号及び請願第4号の2件を一括して採決いたします。
これら2件に対する
委員長の報告は、不採択とすべきものとされておりますので、改めて可をもってお諮りいたします。
これら2件は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
26
◯議長(
望月俊明君) 起立少数。よって、請願第3号外1件は、不採択とすることに決定いたしました。
───────────────────
日程第36 発議第7号 選択的夫婦別姓につ
いての議論を求める意見書
27
◯議長(
望月俊明君) 日程第36、発議第7
号選択的夫婦別姓についての議論を求める意見書を議題といたします。
杉本 護君から提案理由の説明を求めます。
〔杉本 護君登壇〕
28 ◯杉本 護君 それでは、日本共産党静岡市議会議員団を代表して、発議第7
号選択的夫婦別姓についての議論を求める意見書について、提案理由説明を行います。
御覧のとおり、この意見書は残念ながら日本共産党市議団の4人だけの発議となっています。こうした下で改めて訴えたいと思います。
この意見書にあるとおり、現在の民法は婚姻に際して、夫婦いずれか一方に改氏し同氏でなければならないとしています。
これに対して、令和3年度に内閣府が行った家族の法制に関する世論調査の結果では、選択的夫婦別姓についての法整備として、導入したほうがよいが28.9%、今のままでよいとしたのが27%で、ほぼ拮抗しています。そして、現在の制度である夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい、これが42.2%あり、夫婦が別姓を選択することに理解を示す国民が大きく広がっていると言えるのではないでしょうか。
さらに、この調査によると、婚姻による名字、姓の変更により、何らかの不便、不利益があると思う、これは52.1%と半数を超え、双方がともに名字、姓を変えたくないという理由で婚姻の届出をしない人がいると思いますか、こういった問いには、いると思うが実に81.7%に達しています。このように、結婚で同一姓を強制されることによる様々な弊害が危惧されています。実際、同一姓を強制されることを拒み、婚姻の届出をしていないカップルがいることも報じられています。
少子化が進む中で、本市も4次総で
子育て支援を5大重点政策に掲げ、本格的に取り組んでいこうとしている下で、見過ごすことのできないことではないでしょうか。
今から20年以上も前の平成8年2月の法制審議会は、民法の一部を改正する法律案要綱を答申し、同要綱では、選択的夫婦別氏制度、いわゆる選択的夫婦別姓制度の導入を提言しています。
その一方で、この間の最高裁判決では、民法の夫婦同姓規定を合憲としながらも、制度の在り方については国会で論ぜられ判断されるべきであるとされ、国会での積極的な議論を求めています。三権分立の下で司法の要請を真摯に受け止めるべきところ、国会においては議論が進んでいるとは言いがたい状況が続いています。
選択的夫婦別姓制度の法整備や議論を進めることへの意見書は、36都道府県357件に上り、そのうち政令市では、既に12市が採択しており、政令市議会の過半数の意見ともなっています。
本市議会の議員の中にも様々な意見があることは承知しています。しかし、この意見書は議論を求めるものです。様々な意見があるからこそ、議論することが必要ではないでしょうか。立法の府である国会にはその責務があります。
ここで本市議会が国に対して選択的夫婦別姓制度についての議論を求めることは、静岡市議会としての良識を表明し、国においての議論を進める力ともなります。
改めて議場にいる皆さんへの賛同を求めて、提案理由説明とします。
29
◯議長(
望月俊明君) 質疑の通告はありません。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております発議第7号は委員会への付託を省略したいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」〕
30
◯議長(
望月俊明君) 御異議なしと認め、発議第7号は委員会への付託を省略することに決定いたしました。
これより討論に入ります。
討論の通告がありますので、発言を許します。
松谷 清君。
〔松谷 清君登壇〕
31 ◯松谷 清君 短い時間に二度登壇で恐縮しておりますけれども、ただいま日本共産党静岡市議会議員団から提案されました発議第7
号選択的夫婦別姓についての議論を求める意見書について、賛成の立場で討論を行います。
趣旨につきまして、今、杉本議員から詳しく丁寧に説明がありました。
賛成理由の第1は、私自身が松谷という旧姓を使い、議員活動をしている立場にあり、一日も早い選択的夫婦別姓制度の実現を待ち焦がれているからであります。戸籍上は高島籍、妻方姓に入り、養子縁組はしませんでした。1980年に長女が誕生しようとしていた時期、戸籍をどうするかをめぐり、我が妻から、今までどおり高島を名乗りたい、社会を変えようとかいろいろ男の人たちは言うけれども、みんな自分の姓を名乗っている、おかしくないかと主張されました。確かに95%が男性籍なんです。我が実家では大問題となり、いろいろ考え、悩みましたが、妻方姓を選ぶことになりました。皆さんにはいろいろ説明が難しいので、ジャンケンで負けましたと話してきているわけであります。免許証、パスポートは高島です。免許証、住民票では旧姓表記は認められるようになりました。議員の身分証明書は松谷となっておりまして、戸籍名と違うので証明書にならず、10年ほど前に議長、議会事務局と協議して、一応戸籍名表記も実現しました。「松谷 清」では銀行で通帳は作れません。ということで、
日常生活においては大変不便を強いられております。
賛成理由の第2は、選択的夫婦別姓制度は、国連の女子差別撤廃条約を1985年に日本政府が批准したことに始まり、1996年の法制審議会の選択的夫婦別姓制度の提言があり、何度も制度化の機会がありましたが、その都度、反対派によって阻まれてきた長い歴史があるからであります。一番実現の
可能性があったのは、2010年の民主党政権の千葉景子法務大臣のときでありましたが、実現できませんでした。30年、40年もの間変わらない、反対のロビー活動を熱心にやってきたのが旧統一教会などの右派宗教勢力の方々でありました。今、ようやくこの旧統一教会の霊感商法や高額寄附などをめぐる救済法案が成立することをきっかけに、改めてこの議論をするちょうどいい時期ではないかということであります。
賛成理由の第3は、12月13日に市議会と雙葉高校の皆さんとの意見交換会があり、選ばれた4つのテーマ──人口減少、ジェンダー平等、パートナーシップ宣誓制度、静岡市基本構想があったわけですけれども、この中にジェンダー平等、パートナーシップ宣誓制度が含まれていたことに時代の変化を感じたからであります。
パートナーシップ制度は、これまでの古い、伝統的な家族形態と異なり、個人の自由な生き方、多様な生き方、家族形態を示す制度であることは、議員の皆さんにおいては
共通認識となっているところであります。問題提起をされた女子生徒からは、憲法第24条の両性の合意という条項の改正の必要がある、またこの条項がLGBTQの方々への差別をつくり出しているのではないかとの指摘がありました。こうしたリベラルな考え方は授業で学習したことがきっかけであることも話されておりました。
若い世代がこのように柔軟に受入れていく時代が始まっており、選択的夫婦別姓制度も社会に受入れられていく時期にあることを痛感いたしました。私のグループでは、白濱議員が高校生の発言を非常にうまく促す司会ぶりがすばらしかったんですけれども、世代が近いということで感心もしました。
賛成理由の第4は、自民党の重鎮である菅元首相が8月23日の通信制高校でのネットイベントで女子生徒から選択的夫婦別姓について質問されて、これ以上、先送りしないで政治の責任で議論し、方向性をつくっていく時期だ。与党で責任を持って方向性をリードしていく、と明言されているからであります。実は、菅氏は2001年の制度導入を求める有志議員に名前も連ねておりますし、2020年の首相在任中にも、制度の早期実現のために議員連名が設立される際にも前向きでありましたが、旧統一教会と関係の深い安倍派グループの反対の議員連盟も立ち上がって先送りとなったわけであります。
反対の理由としては、別姓が何で必要か分からない、通称で十分、家族の一体感が失われる、姓、氏は家族のもので、個人のものではない、日本の伝統が失われる、こうした主張になるわけであります。日本伝統の家族制度とよく言われますが、夫婦同姓が制度的に確立したのは1898年の旧民法改正をきっかけにしたもので、120年の歴史しかないわけであります。
議会の中で、我が静岡も若い世代によって子育てをめぐる議論も大きく変わってまいりました。この議会の総括質問において、島議員の子供を産み育てやすい
まちづくりの質問を聞いていましても、出産や子育て、家族の中で感じたものを公の場できちんと発言できる男性議員の登場に、私は時代の変化を感じて大変感動しました。
時代は変わりつつあります。ぜひともこの発議第7号に賛同していただき、ジェンダー平等の流れを静岡からつくり出していただきたい、このことを要請しまして、賛成討論とします。
32
◯議長(
望月俊明君) 以上で討論を終了いたします。
これより発議第7号を採決いたします。
本件は、原案のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
33
◯議長(
望月俊明君) 起立少数。よって、発議第7号は、否決することに決定いたしました。
───────────────────
34
◯議長(
望月俊明君) 以上で本日の日程は終了いたしました。
この際、市長から発言を求められておりますので、これを許します。
〔市長田辺信宏君登壇〕
35 ◯市長(田辺信宏君) 11月定例会の閉会に当たりまして、御挨拶申し上げます。
本日は、令和4年度
一般会計補正予算をはじめ、諸議案について、原案どおり可決をいただきまして誠にありがとうございました。
また、私にとりまして考えひとしおなのは、来年度から2030年度までの8年間を計画期間とする4次総における本市の都市目標である世界に輝く静岡の実現を掲げた基本構想とその目標を実現するための
基本計画を先ほど、無事に可決いただいたことであります。
今朝、清水エスパルス所属の権田修一選手がサッカーワールドカップの報告で市長室を訪れてくださいました。私は、選手の数々の好セーブ、スーパープレーで世界に輝く静岡を体現してくれたとお礼を申し上げました。まさに世界に輝く権田選手の姿にエネルギーをもらって、私たちの都市、静岡市もより一層高みを目指していかなければなりません。
今回、論戦を通じて議員の皆様からいただきました貴重な御意見、御提言を踏まえ、4次総に向けた5大構想をはじめとする3次総の総仕上げなど、残された任期の市政運営に職員共々全力で取り組んでまいりますので、議員各位におかれましても、より一層の御協力とさらなる連携を賜りますようお願い申し上げ、閉会の御挨拶といたします。
ありがとうございました。
───────────────────
36
◯議長(
望月俊明君) これにて令和4年11月静岡市議会定例会を閉会いたします。
午前11時17分閉会
───────────────────
地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。
令和4年12月16日
議 長 望 月 俊 明
副議長 佐 藤 成 子
議 員 山 梨 渉
議 員 大 石 直 樹
議 員 栗 田 裕 之
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