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  1. 静岡市議会 2019-09-20
    令和元年 総合交通政策特別委員会 本文 2019-09-20


    取得元: 静岡市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                 午前10時46分開議 ◯山梨委員長 ただいまから、総合交通政策特別委員会を開会します。      ────────────────────────────── 2 ◯山梨委員長 本日は、今年度最初の委員会でありますので、委員長として一言御挨拶を申し上げます。  本特別委員会は3年目に入るわけでございますが、委員の顔ぶれも大分変わりまして、改めてスタートという形でございます。  交通弱者対策を初め、さまざまな目的を持った本委員会でございますけれども、本年度、高齢ドライバーの運転による痛ましい事故等もございまして、市民のこの委員会に対する関心は非常に高いものと認識しております。市民の思いに応えるよう、負託に応えるよう委員の皆さんにはぜひ議論を活発にしていただいて、進めてまいりたいと思いますので、本年度1年間よろしくお願いいたします。  それでは、続きまして、副委員長から御挨拶をお願いします。 3 ◯島副委員長 皆様、改めましておはようございます。  今年度から副委員長を務めさせていただきます島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今、委員長からお話がございましたように、全国で痛ましい事故等が起こっている中、この静岡市もそういった課題に正面から取り組んで、市民が安心して生活できる、そんなまちをつくっていきたいと思っております。  各議員、そして会派等でも視察に行かれていることも多いと思いますので、ぜひ皆様のそうしたお知恵をかりながら、よりよい施策につなげていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 4 ◯山梨委員長 ありがとうございました。  それでは、皆さん1年間よろしくお願いいたします。  協議に入る前にお手元の資料をごらんください。  当委員会は、平成29年度の改選後に設置された委員会で、設置目的は交通弱者への対応及び交通網の整備による地域活性化のため、各地域の実情に合わせた総合交通体系のあり方に関する協議・討議・提言等を行うこととしております。  調査項目等の詳細やこれまでの経過等につきましては、記載のとおりでありますので、改めて御確認いただきたいと思います。      ────────────────────────────── 5 ◯山梨委員長 それでは、協議に入りたいと思います。  お手元の会議順序に従いまして、進めてまいります。  初めに、1のMaaSと2のヘルシンキ視察の報告を一括して議題とします。なお、1のMaaSについては一般的な概念の説明を受けることとします。また、2のヘルシンキ視察報告については、視察報告に対する質問にとどめていただくようお願いします。
     それでは、当局から順次、説明、報告をお願いします。 6 ◯安本交通政策課長 静岡市が目指すMaaSについて、概略の説明を申し上げます。  まずは、きょうは4つの項目に分けて説明を申し上げたいと思ってございます。  MaaSの説明に入ります前に、公共交通がおかれている現在の状況について簡単に触れたいと思います。  まず、スライド資料の3ページ、一番上段ですね、人口減少・少子高齢化の進展と路線バス・タクシー運転士不足という現状があり、これとあわせて乗車人員が減少し事業収入も減っている。しかし、路線は維持しなければいけないということになります。これに対して、維持費もかかってしまう。結果、減便や路線の廃止等々につながる。そして、近年では高齢者の痛ましい事故も発生している。今、公共交通に求められているものとして、最下段にございますが、持続性とサービスの高度化の両立ということになろうかと思います。  そういった中で静岡市では、立地適正化計画地域公共交通網形成計画のコンパクト・プラス・ネットワークという形で、2つの計画を定めてございます。  きょうは、右側のオレンジ色の冊子になりますけれども、地域公共交通網形成計画の中身であるMaaSについて説明させていただきます。  資料4ページの真ん中にお茶っ葉型の都市構造とありますが、まず、滴の部分はまちの中心として、それから葉の主脈が東西の鉄道、測脈がいわゆるバス、それから葉肉全体が機動性の高いタクシーで回していこうというようなところでございます。  この地域公共交通網形成計画の中にMaaSという言葉は直接記載されておりません。しかしながら、いわゆる公共交通の利用促進というところでは、誰もがわかりやすい運行状況の提供、黄色で示した新たな運行システムの検討やタクシー料金につきましては、アプリを活用したタクシーの乗り合わせ、料金の見える化などについて検討していきます。いわゆるこれがMaaSというものでございます。  それから、特別委員会からも提言書をいただいてございます。この提言書の中には、提言3、タクシーの公共的な活用について、それから提言4、公共交通を取り巻く環境の整備について、これがMaaSというところに大いにかかわりがあるという内容でございます。  そこで、本題のMaaSの説明になります。  大きいスクリーンをごらんください。まず、静岡市には御存じのように市街地、郊外部、山間地というふうな大きな特徴があります。  先ほどの網計画を形成していくためには3つのポイントが必要と考えてございます。  一番左の上にございますけれども、1つ目のポイントであります公共交通の全体最適化と、その右の赤く囲ってあるところですけれども、これは主にハード面による要素が強いものと考えられます。  このハード面ということでは、公共交通サービスの高度化と運転士不足に対する対応の両面からのアプローチが必要ではないかと考えております。  鉄道、バス、タクシー、地域自主運行などの公共交通相互の役割を明確にするということ、それからバスの路線はめり張りをつけ、選択と集中によって、幹線バスのサービスをきちんと向上させること、それからいわゆる幹線バスのすき間を補完する、そういったラストワンマイル、端末交通としてのシェアサイクルであったり、あるいは、後から説明する相乗りタクシーであったり、こういった端末交通をしっかり導入していくことが求められていると考えています。  そして、ポイントの2つ目です。  2つ目のポイントとして、いわゆるソフト面に分類されると考えてございますが、乗り継ぎの抵抗をいかに軽減していくかということ。  3つ目のポイントは、都市の活性化も踏まえた上で、移動と活動の目的をどう絡めるのか、どう相乗効果を発揮していくのかということが大変重要かなというふうに考えています。  これにつきましては、右上のオレンジ色の部分になろうかと思います。こうしたソフト面では、公共交通のサービス、目的、活動に関するサービスの一体化が大変重要になってくると考えております。移動と移動目的、活動がセットになったわかりやすい運行の情報提供などがこれに当たるものと考えています。具体的には、移動の時間、料金、こういったものがその人のニーズによって見えることになろうかと思います。  そうしたことができれば、車を2台所有している方々が1台は手放してもいいというふうに思えるのかもしれないし、単なる交通、移動だけではなくて、それが都市の生産性の向上、あるいは地域経済の好循環、活性化につながって、ひいては静岡の質の向上、クオリティーの向上にもつながるのではないかと考えているところでございます。  さて、次のMaaSとはというところなんですけれども、MaaSとはどんなものかというところになります。中央にございますけれども、直訳すると移動のサービス化ということになります。単に移動や移動手段、車や自転車の所有というようなモノとして提供するのではなく、サービスとして提供するという概念になろうかと思います。  このMaaSは自動車の業界でも大変注目されているところでございます。新しい技術の導入によって、自動車業界はいわゆる100年に一度の大変革の時代というふうに言われています。車に対するニーズは、いわゆる所有から利用にシフトするため、自動車というモノを販売するだけではなくて、自動車による移動サービスを提供する、こういった環境を整えなければ、長期的な収益が見込めないのではないかということで、ソフトバンクとトヨタが手を組んでMaaSの新会社を設立したり、いろいろな動きが活発に行われているというような状況であります。  そこで、次に中央に赤字で示してございますMaaSの定義ということになります。  出発地から目的地までの移動ニーズに対して、最適な移動手段をシームレスに提供するなど、移動全体を一つのサービスとして捉え、利用者にとって一元的なサービスとして提供する考え方によるものでございます。  典型的な例として、スマホアプリを使って、出発地から目的地までを最適な移動手段でシームレスにつないで、検索や決済を一括して行うということで定義をされているものでございます。  さて、そういった中で、現在の使われ方、移動がどのように行われているかと申しますと、今、ジョルダンとかいろいろな検索システムがあろうかと思います。しかしながら、出発地から目的地までの検索はできても、個々の乗り物に乗るためには、そのつど検索をして支払い、決済をしているというような状況でございます。それから新幹線や飛行機のチケットが宿泊とセットになって販売されているものはありますけれども、やはり端末交通であるシェアサイクルのようなところまで対応できていないというところが現状であると思っています。  将来は、車のようにドア・ツー・ドアで目的地まで移動できるように、このMaaSアプリを使って、検索、予約、決済といったものまで一括的にできるようにして、目的地からバス停までのラストワンマイルシェアサイクル相乗りタクシーなどで移動できるようになれば、ドア・ツー・ドアの移動が実現できるかもしれないということでございます。  また、これを一連のサービスとして捉えているので、単体で支払うよりも安く、乗りかえがシームレスにできるようになろうかと思います。早く便利になることが期待されているところです。  ここで、将来の移動ということになりますけれども、MaaSについては何も交通の分野に限ったものではありません。  例えば車で移動するところをシェアサイクルのような乗り物で移動すれば、健康や環境にいい移動を選択したということになって、例えばそれによってポイントが付与されるとか、そういったことにもつながるとか、後ほどまた改めて説明を申し上げますけれども、例えば医療や福祉、それから食事の割引、観光とか、いろいろなところに使える要素があるということで、そういったところで外出の機会がふえることにもつながっていくと考えられます。  それから、MaaSによって、自家用車と同じレベルの移動サービスが提供できれば、先ほども申し上げましたように、自動車から公共交通への転換が図られて、一家で複数持っていた車の台数が減らせる、場合によっては高齢者も免許返納をしやすくなるということが考えられます。自家用車に過度に依存しなくても、誰もが移動できる持続可能な社会が構築できるのではないかと考えているところでございます。イメージとしては車の鍵がスマートフォンになるというような感じで、その社会がすぐそこまで来ていると。今から準備をする必要があるのではないかと思っているところでございます。  次に、交通事業者にとってMaaSというものがどんな意味を持つのかということでございます。  最初に申し上げましたとおり、人口減少・少子高齢化ということで、サービスの低下、利用者が減少して収益も減って、個々のバスやタクシー単体では限界が見えてきているというところが現状だと思います。こういったものを電車、バスといった個々のサービスを提供するのではなくて、MaaSによって一体で提供していくことになれば、利用の増加が見込めて、事業者の方々も何とかこの苦境を乗り越えることができるのではないかということでございます。  ここから後は、議題の2で、フィンランドの視察の報告がございます。詳しく報告がございますので、この辺は割愛させていただきます。  次に、MaaSによる暮らしの変化について説明させていただきます。  これは、何も都市部だけの話ではなくて、郊外、それから山間部にも波及させていきたいと考えているところでございます。  例えば、両河内地区で運営している「ココバス」がございますけれども、配車と予約を少ない人数でやっています。人が欠けては非常に大変になります。大変なのは、オペレーターさんがいろいろと配車をやっているのですけれども、そういったところにこのMaaSの技術を取り入れて、AIを活用することによって、配車、予約、運行管理の手間が軽減されて、うまく運行されれば、ほかの地区にもそういった取り組みが波及するかもしれない。そういったことが可能になってくるというふうに考えています。  それから、先ほど申しましたMaaSが交通の分野だけではなく、ほかの分野にも大きな影響を与え、これからは連携が大変重要になってくるということを説明させていただきます。  例えば、移動と医療の分野との連携ができるようになれば、後ほど説明させていただきますが、相乗りタクシーによって安く移動できるようになることで、家族に負担をかけないで行きたいところに行ける。あるいは病院と連携するということになれば、予約システムを導入することで、病院の予約と一緒にそれに合わせた配車ができて、待ち時間も短縮できると、そんな使い方、可能性もあるのではないかと考えてございます。  それから、ドア・ツー・ドア移動サービスによって自家用車並みのサービスが提供できれば、いわゆる免許返納にもつながっていくと考えます。  高齢者の方はスマホが使えないのではないかとか、皆さん持っているのかという意見もあるかもしれませんけれども、例えば、らくらくホンや、あるいは色がついているテレビの4色のリモコンですね、ああいったものや、アレクサのようなAIスピーカーなら、いろいろな操作をしなくても話すだけで予約ができるというようなシステムでございます。ICTの進歩はかなりスピードが速いですから、こういったものが対応できるようになってくると思っています。  それから、子育ての分野については、相乗りタクシーで安く移動ができれば、例えば習い事の送迎で、現在、親に負担がかかっているところでございます。到着時刻やいつ帰宅するのかが把握できれば、それが移動の安心感にもつながっていくのではないかと考えています。場合によっては、運転に自信のないお母さんもいらっしゃいます。夫がいないときや突然のときに、病院と連携した相乗りサービスで予約も移動も決済もできるということになれば、非常に便利なものになっていくであろうと考えられます。  次に観光というところです。これはもう伊豆で観光MaaSが始まっていますけれども、観光分野との連携ということになれば、例えば、全ての市内の交通がパッケージされて、移動手段が複数選択できるのなら、シェアサイクルで風を感じて走りたいという人もいれば、相乗りタクシーで安く気軽に移動したいと、その人のニーズに合ったものが提供できる。それから、旅行先や観光地でも金額は幾らなのかという不安もなくなる。それから多言語で案内ができる、さらにアプリを使えば入場券の購入も一括、お土産や食事などのクーポンがついて安くなるということもできるのではないかという可能性があります。  そして、MaaSによって、時刻、経路、料金、最適な移動手段が選択できて、自家用車並みのサービスが提供でき、車の過度な利用がなくなれば、道路の混雑緩和とか駐車場の縮小など、車から人のための空間がより創出できて、ひいてはまちのにぎわいにもつながっていく、あるいはCO2削減という地球環境の改善にも最終的にはつながっていくと考えられます。  ここからは、MaaSの実現に向けた今年度の取り組みについて、簡単に触れたいと思います。  今回、このMaaSにいち早く取り組むことができたことは、やはり大都市に比べてステークホルダーが限られている、比較的少なくて調整がスムーズであったということが大きな理由の1つとして考えられます。  もう1点は、官民連携による協議体制であるMaaSコンソーシアムをことしの5月に設立したことが大いに協議がスムーズにいっているというようなところになります。  この静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクト、いわゆるMaaSコンソーシアムは、ことしの5月に設立され、市、企業、団体、分野間の垣根を越えて、オープンイノベーションを目指したものでございます。これがいろいろなところと絡むものですから、拡張性を持った体制として考えてございまして、代表幹事を静岡鉄道株式会社代表幹事代理に静岡市とその他に銀行、タクシー協会等々のメンバーで構成されているところでございます。  それから、こういった取り組みがスマートモビリティーチャレンジとして、静岡市が国の地域事業に選定されたという内容でございます。これは、経産省、国交省で新しいモビリティーサービスにチャレンジする社会実装を通じた移動課題の解決、地域の活性化に挑戦する地域、企業を応援する新しいプロジェクトでございまして、青と赤が経産省の採択で13事業ございます。それから、緑と赤が国交省の採択で19事業ございます。それから、赤が国交省と経産省のダブル認定で、全国で4都市の中に静岡市が含まれているものでございます。  次は、その採択があった6月21日に東京ミッドタウン日比谷キックオフシンポジウムが開催され、石井国土交通大臣、石川経産省政務官らによる新しいプロジェクトの説明がございました。本市の美濃部副市長が静岡市のプレゼンを行っているところでございます。  それから、今年度の取り組みとしては、AIによる相乗りタクシーの実証実験、社会実験を行いたいと考えております。このAIによる相乗りタクシーとは、まず要求に対してタクシーと路線バスの長所を融合して、時間やルートを固定せずに、乗り合い車両と配車決定を行うサービスをAIによりリアルタイムに対応する乗り合い移動サービスということになります。  次に、どういったものかということを簡単に御説明申し上げます。  手前のほうに簡単な模式を書いてございます。例えば親御さんがタクシーを要求すると、ここまでは通常のタクシーということになります。ここで、タクシーが親子のところに向かっているときに、第三者の女性から新たに自宅から病院に行きたいという要求があったときに、ここでAIが走行距離、乗車の待ち時間を考慮して最適な乗り合いの配車をリアルタイムで計算して、最も効率的なタクシーに指令を出して、お客さんを目的地まで届けるといったサービスになります。こういった社会実験を行いたいと考えているところです。  今年度の社会実験はどんなところで実証実験するのかということになりますが、今年度は葵区の約21平方キロメートルを対象に営業運行による実験を予定しています。目標としては1,000人のモニターを集めたいと考えていまして、実験期間が11月1日から11月30日までの30日間の実施を予定しています。朝の8時から21時までを予定しています。  これは相乗りタクシーが静岡市でも対応できるのかを探る社会需要性、それから運賃、採算性などの事業性、車両やソフト面の操作性といったところを検証してまいりたいと考えています。  本来であれば、目的地までの移動を一つのサービスとして一括して決済をしたいところでございますけれども、今回は相乗りタクシーの決済についてのみ事前に登録したクレジットカードで行うことにしています。実際にタクシーの車内での決済というものはございません。  料金は有料で考えていて、タクシー単体での利用から現在25%オフというところで調整しています。相乗りタクシーをチョイスした時点で料金が通常よりも25%引きになるということでございます。  なお、前回、2月にプレ実験をやっておりますが、このとき実際にマッチングした率は2割程度という結果でございました。  今回、改めての検証ですけれども、まずはやっぱり運賃での満足度ですね。それからMaaSサービスとしての継続の意向、こういったものをそのままずっとやっていきたいですかというような継続の需要性を検証してまいりたいと考えているところでございます。  次に、MaaSに関する情報の共有ということでございます。  これについては、庁内で同じ情報を共有するために勉強会を開催しています。この勉強会はMaaSの本を執筆されています牧村講師を招いて、議員の皆様方にもお声をかけさせていただきまして、全体で約160人を超える多くの方に参加をしていただいたところでございます。あわせて、8月にはシンポジウムを開催させていただいたところでございます。これがこその様子でございますけれども、3連休の暑い中、400人を超える皆様の参加していただいたところでございます。  最後になりますけれども、これから公共交通の移動手段というものがなくなって、本当に困ってしまうのは市民であるというところを肝に銘じております。MaaSは人口減少・少子高齢化にあって、持続可能なまちづくり、いわゆる住み続けられるまちに大いに寄与するものと考えておりまして、先ほど申しましたように、単に交通だけにとどまらない大きな社会的な意義のあるものだと確信しております。  こういったピンチをチャンスにかえるという絶好の機会と捉えていますので、議員の皆様におかれましては、今後ともいろいろと情報提供をさせていただきますので、御理解と御協力をお願いいたします。 7 ◯山梨委員長 次に、交通政策担当部長、お願いします。 8 ◯八木交通政策担当部長 交通政策担当部長の八木でございます。  今回、このような御報告の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  きょう、お手元に資料はございませんので、前の画面で見ていただきたいと思います。というのは、実は今回の団長である市長が10月3日に記者会見で正式に発表させてもらうものですから、それに先立ちまして、皆さん方には、もっと細かいことをいろいろとお話しするものですから、資料が御入り用の場合は、後で言っていただければ、すぐにお届けいたしますので、今回は、画面で見ていただきたいと思います。  MaaS先進地視察報告ということで、今回、私ども職員が市長を含めまして6名で行かせていただきました。議員からも4名参加していただいて、当特別委員会や皆様方の御理解をいただきまして、派遣させていただきました。  今回、MaaS先進地ヘルシンキということで、なぜヘルシンキかということですけれども、先ほどのお話にもありましたMaaSという概念を実践しているのは世界各国でやっています。ですけれども、MaaSのレベルというのは、実は1から4までありまして、このヘルシンキというところは3.5ぐらいまでいっていると。というのは、先ほど言いましたアプリで決済までできるのと、もう1つ、ここに出ていますWhim(ウィム)というアプリ、MaaSグローバル社が運営しているんですけれども、これは定額制、サブスクリプションという全て乗り放題のシステムを使っています。  そんなところを含めまして、視察先としましては、ビジネスフィンランド、MaaSグローバル社、運輸通信省、ヘルシンキ市、Kyyti(キーティ)社、それから乗車体験も含めて、すごく大きい成果は、ヘルシンキでMaaSを実際に運営しているMaaSグローバル社とKyyti社の2社を視察したいと言いますか、打ち合わせを持ちたいということで、実は大使館を通して両者にアポイントをとりましたが、両者ともCEOに会っていただけたということで、これは大変珍しいということでした。こちらも市長を団長として行きましたし、一番のポイントは各利害関係者、ここにも出ておりますが、民間のモビリティー会社──交通事業者、それから市議会の皆様を含めて行っているということで、かなり向こうのほうにも手厚い対応をしていただきました。  MaaSをやるに当たって、画面左の縦の青いところがありますけれども、国から一番下の交通事業者がうまくかかわりながらお互いの協定といいますか、どんな関係を保ちながらやっているのかというところを、視察の目的としては一番に持っていきました。  交通事業者では静岡鉄道とタクシーの会社も行っておりますし、議会、それから私ども行政とすると、国の対応がどんなふうになっているのか、その辺がすごく視察のポイントになってきました。  次の画面でいきますと、上がヘルシンキで今、実装に至っている関係性をあらわしています。  これも視察に行ってはっきり確認ができたことですけれども、やはり国の支援、関与がすごく大きく、法律も変えています、規制緩和もしています。その辺も含めて、今、金銭的な支援は、MaaSオペレーターという、先ほど言いましたMaaSグローバル社、Kyyti社には実際にはないということなんですが、それに至るまでの支援がすごく手厚い支援になっていたということです。  こういう関係性を見て先ほど安本課長の説明にもありましたように、国がやっと動き出したと、それで静岡市、ないし地方自治体を含めた交通事業者等のコンソーシアムの社会実験への支援みたいなところで、情報を集めようとしているところでございます。  次に、ヘルシンキ市には実は全世界から視察団が集まっています。大体1時間弱ぐらいのスケジュールでアポイントをとれるんですけれども、うちのところは1時間30分ぐらいとっていただいて、大変密な議論を交わしてきました。実はこれには静岡市から提供する資料がありまして、これを英文化いたしまして、静岡市の立ち位置といいますか、取り組みを各団体からプレゼンテーションさせていただきました。英文化はコンソーシアムで一緒にやっております静岡鉄道のメンバーが市と打ち合わせをしながら、何をしようということで、プレゼンテーションしてきました。  ヘルシンキというのは皆様御存じだと思うんですが、北欧の4カ国、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークというバルト海に面した国の中の1つの都市です。フィンランド自体は人口が約550万人、国土面積が33万8,424平方キロメートルです。国の面積は、日本と比較するとちょうど九州がなくなったぐらいの面積で、ヘルシンキ市につきましては、人口61万人ぐらいで面積は約158平方キロメートル。人口規模、商圏の規模も静岡市と同じぐらいでございます。ただし、ヘルシンキ市は首都でございます。ここにありますように、私どもとしましては、ヘルシンキ市に行くことによって、将来の静岡市の交通ビジョン、特に静岡型MaaSの目指すべきイメージ、それから実現に向けた体制のあり方、各ステークホルダーの役割やモチベーション、その辺を実際に確認しながら、イメージを共有化する、それとMaaSの実体験をしてくるというところがポイントでございます。  右のほうにWhimと出ておりますが、サンポ・ヒータネンさん。この方は、世界的に、業界ではもうかなり有名人で、分刻みのスケジュールで動いている方ですけれども、この方と実際に会ってお話をさせていただきました。  次の、これは簡単な年表になっていますけれども、左がMaaSアプリのWhimというもので、MaaSの実装に至るまでの簡単な経過でございます。一番初めは2014年にヘルシンキ市が課題を出して、ヘルシンキ市の将来の交通システムが抱える課題への対応ということで、大学生のソンジャ・ヘイッキラさんという人が論文を書いた。そこに初めてMaaSという言葉が出てきた。それから、実際には、一番下の2016年、先ほど言いましたサンポ・ヒータネンさんが立ち上げたベンチャー企業ですけれども、そこでWhimというアプリを使ってサービス提供を開始した。  ただし、右側を見ていただくと、実際には、EU、フィンランド、自治体の動きというのがありますけれども、2009年ぐらいから動き始めたと。約10年間かかっています。EUとしましては、これはITの取り組みに対するアメリカ、それから中国へのヨーロッパの対応策みたいなところが大きく働いております。皆さん御存じのようにGAFAということで、中国のアリババであるとか、巨大IT企業に対してのヨーロッパの生きる道みたいなところがモチベーションとしてEUにあって、それがこの移動の変革、移動の改革を推し進めていくところで、EUの指令といいますか、全加盟国に対してMaaSみたいなものをやっていきましょうというところから始まっています。  そんなところを含めて、呼応した形でヘルシンキ市、いろいろな背景が後で出てきますが、ベンチャー企業の構成等を含めまして、最終的には、いろいろな支援を行いながら、左側のMaaSアプリのWhimにたどり着いているということでございます。  次の写真が視察メンバーで、場所はフィンランド運輸通信省のプレゼンテーションルームです。なかなか全員で撮れるところがなかったんですが、大変広いところでやらせていただいて、右に書いてありますけれども、今回の参加者は15名で行政、議会、民間で行きましたけれども、やはり民間の静岡鉄道さん、千代田タクシーさんという、実際に交通に携わっている会社さんが行っているということがすごく大きいところです。それと行政と議会が一緒に行っているところが、向こう側からとすると、これだけ本気度を見せてくれたところはないと。日本も含めてかなり民間企業が情報収集のために行っているところはあったようです。こういう形で来て、こちらからプレゼンテーションを行ったところが向こう側にかなりの好印象といいますか、議論を深めたというところでございます。  視察の行程ですけれども、26日から30日、基本的には中3日が視察の大まかなスケジュールになっています。特に1日目、2日目は午前、午後を含めて1時間半ぐらいの視察をやってきました。  ただし、6番のヘルシンキ交通局、それから7番のフィンランド交通安全局というところは最終的にドタキャンになりまして、行けなかったんですけれども、あとの5者には行ってきました。  そして、最終的に3日目は自動運転を体験してきました。後で写真も出てくるので見ていただければと思います。  まず、1日目のビジネスフィンランドというところですけれども、一言で言いますと、ここは日本でいうとジェトロみたいなところです。いろいろと対外的な仲介、コーディネートをする役で、ただしジェトロと違うのは独自の予算をかなり持っていて、いろいろな事業をやっています。貸付事業であるとかコーディネート事業。フィンランドの企業に対しての外国からのアポイントメントについてコーディネートをやったり、マッチングをやっていたりして、この方はミッコさんというんですけれども、大変、お世話になりました。  特に、説明を受けたのは、フィンランドは政府を含めてどういう体制で、国民性はどうなんだというところですけれども、基本的に言うと、フィンランド自体は皆さん御存じだと思いますけれども、我が国のように自動車産業が軸になっておりません。自動車はつくっていません。隣国のスウェーデンはボルボとかサーブがあるんですけれども、全くありません。何で外貨を獲得しているのかと言うと、もともとは森林であるとか、農業の国だったんですけれども、大変勤勉で、特にIT関係の技術的なものがすごく進んでいると。スマートフォンなどの普及率も90何%で、おばあちゃんまでも持っているということです。ノキアという携帯電話、皆さん御存じだと思います。かつてはノキアが世界の携帯電話のシェアの50%以上を持っていたんですけれども、これも実はアップルとアンドロイドに取ってかわられたと。要は、タッチフォンの技術に対してノキアはずっと携帯電話の違う機能を追い求めていったら、世界から取り残されたということで、実はノキアはもうございません。そういう主要産業が衰退してきた中で、これからどうやって世界で生きていこうということで、モビリティー革命の中で、MaaSというITのアプリを使って全世界に打って出ようじゃないかというようなところです。  なぜMaaSリーダーなのか、なぜMaaSが必要だったのかという、先ほど課長からも言いましたけれども、同じような状態です。ただし、向こうは、人口は減少していません。まだまだふえるということです。ただし、交通については、自動車との関係性をしっかり明確にしていこうと。二酸化炭素問題、環境問題ですね、その辺が国として一番のモチベーションになっているということです。  次に行ったのが、本丸のWhimというアプリを展開するMaaSグローバル社でございます。特に、サンポさんというCEOから全て説明をしていただきましたが、一番のポイントが右の図にあります。一番下の赤で囲んであるところですけれども、全ての公共交通、タクシー、レンタカー、シェアサイクル、カーシェアが定額制で乗り放題。日本円で言うと6万1,000円です。この辺が一番のポイントになっていると。  何でサンポさんがこれをやり始めたかということに対しては、先ほどの説明にも出てきましたけれども、要は車にかえられる交通サービスがないかということで、これは統合するしかないのではないかということでした。実際にどういう効果を期待してWhimを出したのかと言いますと、これは、サンポさんの志によるところが大きいと思います。それと、先ほど言いましたMaaSという論文を書いた学生も含めて、そこら辺の革新的なイノベーションに対して、政府が呼応してきたというところです。  このMaaSグローバル社は政府御用達、どちらかというと大都市のMaaSという感じですけれども、ともかく自動車にかわる交通、移動のサービスということで、すごく突っ込んだ話もさせていただきました。皆さんは車をお持ちですかと、もちろん私どもも車を一家に1台か2台はあるんですけれども、いや、車を持っていると維持費がかかる。その維持費をほかに使ったらいいんだと、例えばスーパーカーと言いますか、フェラーリやベンツというような車を持っていますかと聞かれる、それは持っていませんと。もしそれがこういう定額制で使えるようになったら、カーシェアの中で、フェラーリを借りられるようになれば、それでいいんじゃないですかとか。  要は車を所有することに対して、二酸化炭素の問題もありますから、そういう大きなフィンランドのモチベーションの中での動きではありますが、そんなところを志としているベンチャー企業です。今言うスタートアップ企業というところで、実際にここが全世界から投資を受けて、全世界に打って出ているというところです。  我が国でもトヨタ、ソフトバンク、生命保険会社、デンソーとか、その辺が億単位でここに投資している。どちらかというと今、日本はお客さんですね。ですから先ほどのビジネスフィンランドみたいなところが一生懸命にやってくれているんです。そんなところで、実際にうちのほうのプレゼンテーションもさせていただいて、今の映像は、ちょうどプレゼンテーションをしているところで、サンポさんが見ているところです。  それで、視察を終わって帰るときには宿題をもらいました。もうちょっと議論するようにということで、紙をもらって、帰ったらこのメンバーで飲みながらでもいいからということで、ワークショップみたいなものをやって、うちに出してくれということでした。行っていたときにはなかなかできなかったものですから、帰ってきてからしっかりやって、まだ送っていないと思うんですけれども、その辺のやり取りもしてきました。  次に、フィンランド運輸通信省です。MaaSの市場環境を整えている一番のポイントは何かというと、MaaSで収集できるビッグデータの取り扱い。それからMaaSを推進していくに当たって何が一番のポイントだったのか。やはり運輸通信省に行っていますから、そのデータの取り扱いですね。オープンデータ化と言っていましたけれども、日本も各企業、それから行政も含めてデータはそれぞれ囲い込んでいます。  特に交通の会社は、静岡市でいきますと、静鉄さんがルルカというカードを持っていて移動のデータを持っています。JRではスイカであるとか、ICカードのデータを個々で持っています。それぞれ囲い込んでいて、なかなかオープン化ができていない。そういうことが先ほど言いましたけれども、EUからフィンランドということで、まずはオープン化しようじゃないかというところの始まりでございます。それからフィンランドにつきましては、先ほど言いましたMaaSを推進していくには、我が国もやっているように、社会実験への国の投資、それから実際にベンチャー企業が事業を立ち上げるときに国がお金を出していたようです──その辺ははっきりおっしゃっておりませんでしたが、後は法律の改正です。  交通サービス法という法律の大きな改正をしまして、交通に関する個別法、例えば日本ですと、鉄道法であるとか自動車運送事業法であるとか、それを包括した交通サービス法をつくって、縦割りをなくして、規制緩和に入っていったと。特に規制緩和は先ほど言いましたように、おのおのが持っているデータをオープンにしなさいという法律であるとか、すごく大きかったのは、うちで言う二種免許、営業用のタクシー免許を、実はフィンランドも以前は総量規制をして、ある程度コントロールをしていたのを、それを取り払いまして、誰でもタクシーの運転ができるようにして、供給側を多くするということです。これは先ほど言いましたように静岡市でもそうですが、要は運転者がいないということのあらわれになると思います。こういうところを国としてどんどん推進していったということでございます。  次は2日目になりますけれども、ヘルシンキ市です。ヘルシンキ市として、今、どういう立ち位置でMaaSのオペレーターや国などと対応しているのかという話を聞いてきました。向こうとしては、すごく自分たちの推している政策、施策を説明してくれました。それが実際にはMaaSにつながるんですけれども、スマートシティと、これも皆さん聞いたことがあると思うんですけれども、情報駆動型のまちをつくろうであるとか、いろいろな最新の技術を生かした地区をつくろうということで、ここにカサラタマ地区とありますけれども、そこの説明、それからカーボンニュートラル、一番のよりどころになった二酸化炭素の抑制、その辺がMaaSのよりどころになっていると。そういう上位計画があった中で、やはり車とのつき合い方を考えていこうというところがヘルシンキ市の上位計画といいますか、そういうことになっています。  次に、2日目のKyyti社です。これはMaaSグローバル社がヘルシンキ市内などの大都市でアプリを展開しているのに対して、Kyyti社は地方、ローカルのオペレーターです。これが実はすごく参考になったところですけれども、実際にこのKyyti社はオンデマンドのタクシー、それからバスと乗用車の中間のワゴン車みたいなものも使って、モビリティーの会社も一緒にやっている。ですから現場から出てきたニーズをしっかりこのMaaSのアプリに反映をしているというところです。皆さん方もよく心配されている、アプリといってもスマートフォンがなければできないんじゃないかというような話が出るんですけれども、この会社はスマートフォンじゃなくても、先ほど課長がお話ししたように、要は違うインターフェース、インターフェースというのはユーザーがMaaSのオペレーターにアクセスする道具ですけれども、電話もあるよと、何でもやっています。ユーザー目線のMaaS開発に取り組んでいる。ローカルの会社ですから、うちの抱えている交通弱者、公共交通空白地みたいなところで対応をやっている。フィンランドとは補助金の体制が違いますけれども、その辺が大変参考になったところでございます。
     次に、3日目に行ったカサラタマ地区というスマートシティの構築中のところで、静岡市で言うと清水港の埋め立てをしたところみたいなところです。袖師埠頭みたいな規模のところに新しいまちをつくっています。そこの真ん中にちょっと見えているのが地下鉄の駅ですけれども、そこのエリアから出ていくのが自動運転車です。今は周遊しているだけですけれども、自動運転バスに実際に試乗させていただいて、見させていただきました。  もう1つおもしろいのが、その右側の下にありますけれども、この地区は、ごみの自動収集をやっています。ですから、この地区にはごみの収集車は来ない。そこにちょっと見えていますけれども、ホースをつなげるようなところにゴミのビニール袋ごとぽんと入れると収集してくれる。ここに参入した民間企業主導でやっていると。ある1カ所に集めて、それを収集車が持っていくんですけれども、そういうシステムをやっているというところで、これは大変おもしろいかなと思いました。  そんなところで、先ほど言いましたフィンランドの国民性といたしましては、ITとかそういうものがすごく好きなんですね。それで、細かいことをやって、いろいろ革新的な研究をしたりするのが好きだということで、イノベーション、スタートアップ企業、それからベンチャー企業がすごく繁栄して、それに対しての支援も国を挙げてやっているというところです。先ほど言いましたノキアという企業が13万人ぐらいを雇用していたそうです。こういうIT関係の職員といいますか、職能がある人たちも含めて、その人たちが結局、一遍にぽっと出たものですから、その辺の皆さんがベンチャー企業で世界に向けて新しい技術を進めていこうと。皆さんは御存じないかと思うんですが、スマホですごく人気があるゲームがありまして、アングリーバードとかというのもそうです。結局、ノキアの技術が今それをもって再度世界に挑戦していくというようなところみたいです。  次に、国として目指すビジョンとありますけれども、環境問題にすごく力を入れています。カーボンニュートラル2035だとか、プラス・ワン・アワー/デイとありますけれども、目指す姿が明確に書いてあります。これ、プラス・ワン・アワー/デイというのは、技術革新とか効率的なことをして、1日のうちにあと1時間自由な時間をつくりましょうという、そういう標語と言いますか、キャッチフレーズの中でやっています。そういうものも含めて、ここにあります自動車製造産業がないというところも含めて、自動車とのつき合い方を考えようみたいな、そういうところがMaaSのシステムを生み出してきたところでございます。  それと、ヘルシンキに行った感想としましては、モビリティーと言いますか、移動手段がたくさんあって選べる、それを使うのにバリアフリーと言いますか、もうストレスフリーなんですね。ここの真ん中に絵があるんですけれども、実はヘルシンキ中央駅と言って、日本でいうと東京駅みたいなものですけれども、改札も全くないんです。後で大きい写真を見ていただくとわかるんですけれども、自転車まで入ってきている。  それと、ヘルシンキ市内にあった多様なモビリティーですけれども、鉄道、トラム、路線バス、自転車、クルーズ船、車、バイクと、それともう1つeスクーターとあるんですけれども、これは今、世界ではやり始めていますけど、電動のキックバイクもかなり走っていました。  それと、鉄道とWhimを使って、みんなで乗ったんですけれども、下にカードの写真がありますけれども、これは既にWhimが始まる前から80分乗り放題、1日乗り放題、それから定期券というカード自体もいろいろな種類があって選べるんですね。移動することに対して選べるというところが日本との違うポイントになっています。  なぜMaaSの発想が生まれたかということで、先ほど来、話してきましたが、自動車をつくっていない、自動車産業がないというところ、自動車を保有する金額に対して、車を使わない移動手段があるというところが、すごく大きなモチベーションになっているということでございます。  それと、先ほどありましたWhimとKyytiの違いということで、左のWhimは大都市圏のアプリ、それから右側のKyytiはローカルのMaaSみたいな感じです。  静岡市はここをうまく融合したみたいなところで吸収していこうかなと思っています。  ヘルシンキ市のスマートシティビジョンは、ワン・モア・アワー・ア・デイとありますけれども、ヘルシンキ市自体がそういうところを掲げて、市民生活のQOLを上げていこうというようなところ、それがカーボンニュートラルを含めて、MaaSのよりどころになっているというところです。  それから、先ほどお話ししました鉄道、トラム、路線バス、自転車、eスクーター、これらがヘルシンキの市内にはあふれておりまして、バリアフリー、ストレスフリーで乗れるというところです。  特にトラムから鉄道に乗りかえるところや最後のワンマイルと言っていますけれども、その辺はこのeスクーターであるとか、自転車であるとか、その辺を皆さんうまく使いこなしているというところです。  というようなところで雑駁になりましたけれども、視察先も含めて、なぜフィンランドでMaaSが普及していったのかというところをわかってもらえたらなと思っています。 9 ◯山梨委員長 御説明ありがとうございました。  ただいまの報告について質問があるようでしたら、時間もございますので、特別ありましたら、先ほど申し上げた範囲でお願いしたいと思います。  何かございますか。 10 ◯松谷委員 聞きたいことはたくさんありますけれども、1つだけ教えてください。  ビックデータをどういう形で、アプリで活用していくのかというか、静岡のことは聞いてはいけないというからあれだけれども、静鉄のビックデータを活用するというんだけれども、どういう状態でそれが活用されていくのか、そこだけ教えてください。 11 ◯八木交通政策担当部長 先ほどもお話ししましたけれども、基本的に各交通事業者がICカードであるとか、静鉄の場合はルルカカードということで、移動データがもう既に蓄積されています。そのデータが蓄積されてくると、先ほど乗り合いタクシーのAIというのがありましたけれども、今までどんな時期に、どんな人が、どのタイミングで移動しているんだというデータが蓄積されています。そうすると、要は交通の状態、需要を予測できるということですね。そうしますと、交通政策的にはそのデータを活用して、例えばここのバス路線は将来的にはもうちょっと本数をふやせるんじゃないかとか、ここはもう少し削ったほうがいいんじゃないかとか、交通政策的には、今、ヘルシンキでやり始めているダイナミック・プライシングという需要と供給に合わせて料金を変更できる。例えばすごく需要が集まっているときは高いけれども、そうでないときは安くするとか。要は、交通政策的に言えば、交通に対しての将来予測に直接使える。  ビックデータですのでいろいろなデータが入ってきますから、先ほども課長の説明にありましたけれども、例えば福祉に使えたり、商業の活性化に使えたり、ポイントとしては、移動のデータが蓄積されるということです。誰がどこへどんな時間にどれくらい移動したかという、そこら辺がきょうの新聞に出ていましたけれども、国としてもデジタルのIT規制への法整備の議論ということで、個人データも入ってきますから、未来投資会議の中で、その辺の規制と使い方みたいなものがしっかりしていくよと。  先ほどお話ししましたフィンランドでは、運輸通信省というところが、EUのレベルからコントロールをしているということでございます。 12 ◯松谷委員 フィンランドの場合はノキアが解体して、そういういろいろなベンチャーに変化したということだけれども、結局、静岡でいうと静鉄がそういうビックデータをどういう形で出してくれるかということにかかわるんですけれども、逆に言うと、静鉄自体がビックデータを既に社内の中で本来なら活用していなきゃいけない立場にあるにもかかわらず、こういう形でいくということで、気持ちが変わるのかもしれないけれども。  我々は静鉄に2年間、この委員会に来てくれと言ってきたけれども、一度も来なかった。静鉄の本気度がどこまであるのか、私は非常に疑いがあるんだけれども、だから、どこまでそのビックデータを提示してくれるのか。フィンランドではそこがどういう形になっているか、具体的にやっていかないと、国の関与があったから大きく変わったじゃなくて、下から変わっていると思うんですけれども、そういう点で、静鉄の姿勢について、私はぜひこういう場で議論したいというところで終わります。 13 ◯山梨委員長 ほかに質問のある方はいらっしゃいますか。 14 ◯加藤委員 1点だけ質問させてください。  今回、11月から実証実験をやられるということで、先ほどの説明の中にあったのかもしれませんが、このアプリというのか、このSAVS(サブス)と言うんですかね、SAVSという会社がつくっているようなアプリを使って実証実験をやるという理解でよろしいでしょうか。 15 ◯安本交通政策課長 アプリというよりは、いわゆるシステムということですね。アプリはこれから一体になって考えていくというものですから、まずは既存のシステムをいろいろいじって、有効に活用して提供していく。その集大成がいわゆる全体のアプリになろうかと思います。現在はそのシステムを使わせていただくというところです。 16 ◯牧田委員 大変いい事例を見て、体験してきていただいたなと思います。あそこはあそこでいろいろな環境、都会の中での環境、あるいは産業面での背景みたいなもの、いろいろなものに基づいた仕組みが構築されてきているんだろうなと思うわけです。私たちのここの場でいうと、目的が多方面にわたっていますよね。交通弱者とか、少子高齢化だとかいろいろな流れがある中で、都会の部分もあるし、山のほうのへんぴなところもあるし、そういう面でいうと、この見られてきたシステムが都心部だけではなくて、山のほうといいますか、そういうような部分での活用については、どのような状況になっているのか、フィンランドでの状況をお聞かせください。 17 ◯八木交通政策担当部長 そういうところがこれから一番のポイントになると思います。今回、実験をやるところはどちらかというと都心部の話になりますが、郊外部、それから山間部の移動に対して、どういうふうにMaaSを活用していくかというところがポイントになると思います。  先ほど静鉄の話もありましたが、静鉄も含めて、今、静岡市内のいろいろな業者がモビリティーと言いますか、交通に携わっています。そういうところも含めて、一番の課題がやはり交通の担い手が少なくなっている。要は供給する側ですね。ですから静岡鉄道もバスがもうからなくなったところは、やめたいと、しかも人手不足だという話があるものですから、今回これから私どもがやっていくのは、フィンランドのように選べる手段をたくさんつくらなければならないということで、その1つが相乗りタクシー、間を埋めるという意味です。  郊外部、山間部につきましては、MaaSのIT部分をうまく生かして、両河内の「ココバス」みたいなところ、これはマンパワーでやっていますけれども、その部分をある程度はITにかえられるのか。それと、「ココバス」でも問題になっているのはドライバーの手配が難しくなっている。そうすると、やはり供給側をどれだけ伸ばしていくか、それともちろん供給する側でも車というハードも供給しなきゃならないというところが、このMaaSのシステムが都市部のMaaSのシステムと山間部、それから郊外部のMaaSのシステムがお互いに乗り入れ、共通で利用できるようにするのはもちろんです。その辺がフィンランドの例で参考になったのはMaaSグローバル社の都会のMaaSとKyyti社というローカルでやっているMaaS、そこはお互い乗り入れ、アプリ上の整合もとれているという、静岡市では別に2つつくらなくても一緒にしてつくればいいものですから、先ほどの実験でやっているSAVSというシステムをベースとするなら、それをどういうふうにグレードアップしてくかということになると思います。  次の段階として、今後4年間は、先ほどありました国土交通省と経産省の指定を受けているものですから、段階的に郊外部、山間部へも社会実験を広げて、そこで検証していきたいと思っております。 18 ◯牧田委員 フィンランドと日本の社会的な背景とかがいろいろ違う中で、ここでの新しい仕組みをつくらなきゃならない。まるっきりそのものを持ってきていいということじゃないと思うんです。そうするとやはりここでベストなものをつくり出す知恵の出し方みたいなものがすごく問われるんだと思うんです。  宿題ももらってきたと言われましたけれども、そういうことをぜひこれから一緒になって議論させてもらって、いいものに仕上げてもらいたいと思っています。静岡市としてのタイムスケジュールは、いつごろまでにどういう姿にしていきたいというものがあったら、教えてもらえますか。 19 ◯八木交通政策担当部長 先ほどお話ししたように、4年間は実験を段階的に進めていこうと、静岡もいろいろなパターンが出てくるものですから、4年間はともかく実証実験を進めながら、先ほど言いましたように、MaaSのオペレーターをどうしようか、アプリをどうしようかみたいなことを一緒に考えていきます。  それで、今のところ4年後に掲げているのは実装、何かしらの形でMaaSといいますか、そういうシステムを導入していこうということを考えています。それが全域になるか、ある程度限られたところになるかというのがあるんですけれども、ただし、先ほど言われましたように静岡鉄道と組んでおりますから、静岡鉄道も先ほど松谷委員も心配されていたデータも今回の場合は全て出すという話をしております。ただ、先ほど言いましたように、国の流れもあるものですから、その辺を見ながらということになりますけれども、ともかく4年後を見越して、目標は何かしらの形でMaaSの実装というところで考えています。  実は庁内的にも宿題が出ておりまして、もうちょっとビジョンとタイムスケジュールを明確にということで、今、その辺を進めております。  それと、先ほど言いましたように、コンソーシアムということで、静岡鉄道を含めて静岡銀行であるとかいろいろな民間企業も入っているものですから、将来ビジョンやアクションプラン、それからロードマップも作成しているところです。  今言えるのは、4年間は実験を進めながら、実装に向けての準備を進める。それにつきましては、いろいろと国の支援もあるんですけれども、予算的なものもあるので、また皆様方にもお願いしたいと思っております。御理解のほどよろしくお願いします。 20 ◯安本交通政策課長 先ほど部長から4年間ということを申し上げましたけれども、まさにそのとおりだと思っています。  しかしながら、先ほどのスモールMaaSとビッグMaaS。スモールMaaSは移動というものです。ビッグMaaSはそれに付随する観光、商業、病院、医療などの大きい視点だと思っています。  まずは、スタートアップは交通政策からの移動という観点で進めるということを考えれば、その4年間の中で、移動に特化したものから、順次できたところから始めていく。全てが4年後に一斉にスタートするものではないというところを御理解いただければと考えています。 21 ◯井上委員 いろいろありがとうございました。  ヘルシンキ市と静岡市とは違うんじゃないかな。特にこの実証実験案の36ページ、37ページ、38ページ、この辺を見させてもらいますと、静岡市でこれを考えて、スタートしようという一番のところは中山間地の足がないとか、あるいは高齢者が病院へ行くときの足がないとか、要するに困っているものを何とかしようという発想からであって、ヘルシンキ市の発想とはちょっと根本が違うような感じがしてならない。  向こうは中国系でEUの関係との政治的な問題があったり、ノキアのそういうのがあったりして、国を挙げて何とか方向性を探していこうということでスタートしているものですから、根底のところが違っているんだなという気がします。実証実験もまずは相乗り、それから次はこの利用のフロー等が出ていますけれども、先ほどヘルシンキに行ったときの、いろいろな人の質問項目を見ましたけれども、その中に書いてあったように、向こうにはノキアというメーカーがあって、国民のほとんどがスマホにしろ、いわゆるタッチしてそういう情報を持っていると。  ところが今、団塊の世代が75歳になって、うちの家内もそれに近いところですけれども、つい先日らくらくスマホを買いました。買ったけれども、インターネットをどうして見るとか、ただ電話がわりに使っているだけで、37ページのようにぱっと送るという操作はとても今の団塊の人たちにはできない。  それを考えると、この36ページ、37ページ、38ページのところの実証実験の中にもその辺を考えていただきたい。当然考えていると思っていますが。そこだけお願いしたいと思っております。 22 ◯安本交通政策課長 今年度の社会実験ですけれども、技術革新に伴って、例えばAIスピーカーとかアレクサとか申し上げましたけれども、今回の社会実験の中では、いわゆる一般の電話による対応ですね、オペレーターによるものをやろうと思っています。  先ほど示したAIスピーカーだったら技術革新がいろいろありますけれども、言葉でやり取りをしていくんですよね。そこで向こうがやってくれる。ところが、それよりも電話の相手先にオペレーターがいて、そこに何時何分に予約をしたいとか、そのほうが早いんですよね。  ですから、今回の実験は電話によるオペレーターを設けて、スマホがない方でもオペレーターを通して対応できるという内容にさせていただきます。             〔「使い方の説明はあるんですか」〕 23 ◯安本交通政策課長(続) 済みません、今はないので、改めて今後、そういうことも課題の1つとして対応していきます。ありがとうございます。 24 ◯八木交通政策担当部長 その辺はすごく心配しておりまして、最終的に使い勝手がよくないとまずいものですから、実はヘルシンキでもその辺の話をしましたら、MaaSグローバル社もKyyti社も会社で使い方のレクチャーをもう300回、何百回と行ったそうです。ですからうちのところも多分この実験の中でそういう話が出てきたら、それこそスマホの使い方はこうするんですよということをやっていくことになると思います。 25 ◯山梨委員長 次の議題がありますので、それではよろしいでしょうか。  それでは質問はないようでございますので、質問を終了いたします。      ────────────────────────────── 26 ◯山梨委員長 次に、3の今年度の特別委員会の進め方について、御協議をお願いしたいと思います。  お手元の資料、総合交通政策特別委員会の経過の1ページの下段をごらんください。  (1)バス路線関連として、バス路線の維持・見直し、自主運行バスの活用等による、地域の実情に合った円滑な移動手段の確保策に関することと、(2)高齢者、障害者等のための福祉的交通のあり方に関することを中心にこれまで取り組んでまいりました。  具体的には、バス路線の問題点の把握のため、当局から現状について報告を受けたほか、タクシー業界の現状及び課題について静岡県タクシー協会の代表者と地域の実情に合わせた総合交通体系のあり方に関する意見交換を行いました。また、自主運行バスに取り組んでいる両河内地区自主運行バス、「ココバス」の現地視察と意見交換を実施するなど積極的に活動をしてまいりました。  これらの経過を踏まえて、今年度の調査項目や委員会の進め方などについて、皆さんから具体的な御意見、提案等がありますようでしたら、お願いをいたします。             〔発言する者なし〕 27 ◯山梨委員長 特に皆さんのほうからはないようでございますので、正副委員長に御一任をいただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。  この4つの調査項目の中で、1、2についてはこの2年間で集中的にやってまいりました。ただし、3、4については当初、調査項目として上げておきましたが、具体的な議論は進んでおりませんので、この3、4を中心に、それに関する1、2も含めて進めてまいりたいと考えております。  それでは、皆さんからまた御意見がありましたらお願いします。 28 ◯井上委員 今のまとめ方で結構ですが、せっかく当局から説明をいただきまして、4年間かけてスタートするよということであるならば、この委員会もその後押しをするような企画で動くのが一番正解ではないかなと、そんなような気持ちがありますので、また、皆さんにかけてまとめてみてください。正副委員長でまとめてくれても結構です。 29 ◯山梨委員長 具体的な御意見ありがとうございます。 30 ◯松谷委員 私も今の井上委員に賛成です。この2年間で乗り合いタクシーについては、柏市と宇都宮市に行って、実際に我々もそれを見てきて、彼らは別にこのMaaSじゃなくて、いろいろなアプリをつくる中で努力しているんですけれども、その議論もしてきたんだけれども、それについては提言でも一言だけ書いてあります。MaaSを実際にやろうというわけだから、それは項目としてはぜひ入れていただきたいと思います。 31 ◯山梨委員長 ありがとうございます。  4番の新都市交通関連という中に、このMaaSも含まれるという認識をしておりますので、きょう御説明いただいたMaaSのことについて、しっかり今後の議論の中で生かしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、正副委員長で協議をして進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  なお、次回の開催日等については、正副委員長で日程を調整し、皆さんに御提示したいと思いますので、今しばらくお時間をいただきたいと思います。      ────────────────────────────── 32 ◯山梨委員長 次に、その他の視察日程についてです。  既にお知らせをしたとおり、日程については10月23日の水曜日から24日の木曜日までの1泊2日で実施したいと考えております。  視察先については豊田市と岐阜市を予定しております。  視察に関して、委員会条例で規定している手続等は委員長において行いますので、御承知おき願います。      ────────────────────────────── 33 ◯山梨委員長 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。  これをもちまして、第1回総合交通政策特別委員会を散会いたします。                 午後0時11分散会      ────────────────────────────── 総合交通政策特別委員長  山梨 渉 Copyright © Shizuoka City, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...