2点目に、公共施設20%削減という全体の方針の中、
市立こども園も例外なく毎年2から3園選定し、統廃合、民営化しようとしています。公立園をなくし、民間に委ねて
待機児童解決はできるのか。保育需要に応えられるのか。30年後、平成55年の保育、教育の需要に対し、供給量をどのように見通しているのかを伺います。
3点目に、公的保育の果たしている役割について、伺います。
子育て家庭を取り巻く状況は、核家族化、
ひとり親世帯による子育て不安、虐待、子供の貧困など、さまざまな問題を抱えています。公的保育は、
子育て不安解消、
障害児保育など、
子育て支援の拠点として地域に密着し、
子育て世帯から常に頼られています。
公的保育施設の役割と今後の継続、拡充の必要性について、認識と方針を伺います。
4点目に、民間の保育園の実態について、伺います。
今、
保育士不足は深刻です。保育士が確保できない、定着できない、その背景にあるのは低賃金、理不尽な処遇、そして専門性に合う処遇ではないのに、責任だけは重いというものです。
民間保育園は、
保育士確保が困難なことや経営上の問題から、正規、臨時、パートなど、多様な雇用形態で切り盛りし、保育士さんたちは懸命に保育を担っています。当局はこのような実態と原因をどう分析し、改善方針をどう持っているのか、伺います。
2つ目の項目、
小中一貫教育について、質問します。
1点目に、7、8月に実施した
小中一貫教育に関する
パブリックコメントの件数、主な意見の内容、また、意見に対する教育局の受けとめ、感想をお聞きします。
2点目に、
小中一貫教育について、目的、理念が抽象的で、あえて小中一貫にする必要性が見えてこないことです。
他市の先進事例では、教職員増員がされておりません。そのため、疲労、多忙感が大きい。9年間で子供をどう育てるのか、じっくり話し合う時間がとれない。小中学校間を生徒児童が移動する際の交通手段、時間確保が困難など、施設一体型も分離型も、それぞれ問題が山積しています。
当局は、小中一貫の必要性を、6・3制では小学校から中学校への接続がスムーズでないとか、
中1ギャップがあるなどの課題を掲げますが、小中一貫になっても、現行の6・3制は変えず、小1から中3までの9年間を一続きの
カリキュラムの中で、前期、中期、後期と区切りをつけ、
乗り入れ授業や
小中学校研修を行う方針のようです。
質問の2点目に、学校によって6・3制、4・3・2制など、選択は自由なのか。そして、その選択によって学校や地域間に格差が生じないのか。
また、
小中一貫教育カリキュラムに9年間を見通した
系統的指導を入れたり、小中学校の教職員が共同して取り組むなどの項目が入っておりますが、大変抽象的でわかりにくい。これが今、地域住民や保護者、教職員を悩ませています。
この
カリキュラムは、9年間を見通した
系統的指導だと言いますけれども、どういう内容を
カリキュラムに取り込むのか、目的や理念がはっきりしないまま進んでいっては、ますます混乱を生じかねません。
この
カリキュラムに盛り込む内容をお聞きいたします。
以上、1回目です。
4 ◯教育長(高木雅宏君)
小中一貫教育に関する御質問にお答えしたいと思います。
小中一貫教育により、
学校間格差が生じるのではないかという御質問です。
6・3制とは、6年間の
小学校課程、3年間の
中学校課程の修業年数について、
学校教育法で定めているものでございます。そのため、
小中一貫教育の導入後も、引き続きこの制度のもとで教育を行ってまいります。
一方、
小中一貫教育における学年段階の区切りとは、これまでの小学校における低学年、中学年、高学年といった学年のまとまりに相当するものでございます。
小中一貫教育では、指導の一貫性を強化するために、9年間を、例えば4、3、2などのまとまりに分けて、それぞれの目標を設定し、系統的な指導をしてまいります。これにより、教科指導や生徒指導がより効果的に推進されるものと思っております。
小中一貫教育の導入により、各学年の学習内容が変更されるものではないため、学校ごとに学習内容や進度に違いが生じるとは考えておりません。
次に、
小中一貫教育カリキュラムについての御質問でございます。
本年7月に、静岡市
小中一貫教育教育課程等協議会を設置し、策定を進めております。
現在、第2回協議会の開催に向け、
カリキュラムの基本的な考え方について、検討を行っております。その主な内容は4つあります。
1つ目は、全ての学校で、小中学校の教育目標を共有すること。2つ目は、9年間を見通した教育課程を編成すること。3つ目は、児童生徒の交流や教職員の協働があること。そして、4つ目は、地域との連携を進めることなどであります。
さらに、静岡市の人的資源と物的資源の活用をどのように図るかや、静岡市らしい総合的な学習の時間をどのように進めるかなど、全ての小中学校で実施する共通の教育内容などについても検討を行ってまいります。
今後は、公教育における教育の機会均等を保障し、本市の教育の質を高めるため、
小中一貫教育の取り組みをさらに進めてまいります。
5
◯教育局長(望月 久君) 小中学校の適正規模・
適正配置方針の
パブリックコメントについて、お答えいたします。
45人から55件の御意見が寄せられております。
寄せられた御意見のうち、主なものは、子供たちのために取り組みを早く進めてほしいという教育的な視点に立ったものや、地域活動の場や避難所としての学校は必要であるという、地域の核の確保の視点に立ったものがありました。また、地域住民や保護者の納得が欠かせないので、丁寧な説明をお願いしたいなどの、十分な意見交換の視点に立った意見などがございました。
今回の
パブリックコメントの結果から、取り組みを進めるに当たっては、保護者の方の声を重視しつつ、地域住民の理解と協力を得ながら進めていく必要があると再認識したところでありますが、
方針そのものについては、おおむね御理解いただけたものと受けとめております。
6
◯子ども未来局長(
平松以津子君)
市立こども園の
配置適正化方針についての4点の御質問にお答えします。
まず、
市立こども園の
配置適正化方針案に対する
パブリックコメントについてです。
パブリックコメントは本年7月から8月にかけて実施しましたが、総数で1,996件と想定以上の御意見をいただき、改めて、この問題についての市民の皆様の関心の高さを実感した次第です。
内容としては、待機児童の解消や発達支援の体制強化のため、現在の市立園の規模を維持すべきという意見が多数ありました。こうした御意見は、待機児童の早期解消や発達支援の取り組みに対する期待のあらわれと理解しております。
待機児童については、現在、平成30年度に年間を通じての解消を実現することを目標とし、民間の施設整備を集中的に進めているところです。
また、発達支援については、今後、公私立の園で支援を要する子供の受け入れが進むよう、支援体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、平成55年度における教育・保育の需要と供給の見通しについてです。
核家族化の進展や
共働き家庭の増加などを背景として、今後も保育利用の増加が見込まれる一方、人口減少による影響があると考えられることから、現時点で平成55年度の状況を見通すことは困難です。
したがって、今回の
配置適正化方針では、まずは平成28年度から34年度までの7年間を計画期間とし、当面の
待機児童解消の取り組みと整合を図りつつ、特に老朽化の著しい園を対象として、建てかえ、民営化や統廃合を進めることとしております。
また、平成35年度以降の
配置適正化の取り組みについては、
配置適正化の取り組みの進捗状況、
待機児童解消の状況、
社会経済情勢の変化などを踏まえ、必要な方針の見直しを行い、計画的かつ柔軟に取り組みを進めてまいります。
次に、市立園の役割についてです。
これまでの
市立保育園・幼稚園の取り組みを受け継ぐ
市立こども園は、私立園とともに幼児期の教育・保育を担い、地域の
子育て支援の中核としての役割を果たしてまいりました。
さらに、山間地域における教育・保育の提供や、特別な支援を要する児童の受け入れなど、民間だけでは対応が困難なニーズへの対応も積極的に行い、民間の取り組みを支援・推進しております。
今後も、こうした
市立こども園の役割を引き続き果たしていくため、一定程度の体制を市立園で確保できるよう、
配置適正化の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
最後に、民間の
保育士不足及び多様な形態の職員で保育を担っていることの実態と原因についてです。
本年8月に実施した
施設アンケートによりますと、私立園100園のうち約半数の園で、
基準保育士は確保されているものの、朝夕の配置など、加配の保育士が不足し、時間外等で対応していました。
原因としては、急速な保育の定員拡大に対し保育士が不足していることや、就労時間や給与面での雇用のミスマッチが生じていることなどが挙げられます。また、私立園でも、多くの非正規職員が雇用されておりますが、保育園等は11時間以上開所しているため、正規職員のほか短時間勤務の職員を雇用する必要があることが主な理由です。
改善の方針ですが、保育士の確保策として、静岡市保育士・
保育所支援センターによる求職と求人のマッチングの取り組みを強化するほか、本年度から
保育士資格修学資金等貸付事業を開始し、
資格取得支援や
潜在保育士の掘り起こしを進めてまいります。
また、保育士の給与については、国が処遇改善に向け、公定価格上の加算のさらなる見直しの方針を示しているところですが、本市としても、引き続き
上乗せ補助を実施するなど、処遇改善に努めてまいります。
〔25番鈴木節子君登壇〕
7 ◯25番(鈴木節子君) 今、お答えいただきましたけれども、2回目の質問です。
まず、
市立こども園です。現在、平成30年に向けて教育・保育の量の見込みと確保策を改定し、
認定こども園の新設を、例えば、6カ所510人から、16カ所1,270人へ、
小規模保育事業の新設を15カ所270人から、32カ所570人へなど、具体的な数字を掲げて、
受け皿確保策の見直しを行っています。3年間で、短期間の計画ですので、出生数を見ながら需要と供給のバランスは予想できます。
しかし、
配置適正化方針は、平成55年までの約30年間で、長いスパンです。少子化、人口減少を前提として、毎年2園から3園の統廃合、民営化を繰り返し、将来的には、市内、現在14区域に60園ある
市立こども園を1区域1園から2園に絞り、結果的には全体で14園から28園へという計算です。
現在の4分の1から2分の1に極端に減らす削減計画です。30年後、14区域それぞれで、
保育ニーズに見合った保育の確保ができるのでしょうか。今でも
待機児解消は喫緊の課題です。これが30年後、需要と供給のバランスがとれ、
待機児解消ができるという見通しはあるのか。計画を掲げるのであれば、そこまで見通した、根拠ある数字を示すべきです。
2点目に、
少子化対策の観点から伺います。
本市は、子育てしやすい
まちランキングナンバー1に輝いたばかりです。しかし、人口減少による
財政規模縮小、老朽化する
インフラ維持・更新費用の増大を理由に、民営化、統廃合を推し進め、
子育て支援の核となる
市立保育施設が削減されれば、どういう現象が起こるでしょうか。
民間で補うと言っても、
子育て支援のかなめが地域になければ、人は移住してこようとか、子供をこの地域で産み育てようと思うでしょうか。かえって出生率は減り、少子化をさらに推し進める要因をつくってしまうのではないか。問題意識を伺います。
次に、
小中一貫教育について、伺います。
静岡式35人学級は、効果が実証されている取り組みですが、第2期
教育振興計画には平成24年度からの35人学級の効果、デメリットを整理し、29年度以降の継続の是非を検討すると書かれています。
確認の意味で質問しますが、35人学級編制をどのように評価し、来年度以降も存続させるのか、方針を伺います。
2点目に、30年後、本市の人口は70万人から56万人に減少し、
児童生徒数は平成52年には4割も減少する。だから、
学校床面積も2割削減という数値目標が掲げられています。施設一体型か、当面は分離型か、財政事情が絡むことですので、安易に学校数は想定できることではありません。
しかし、
アセットマネジメント基本方針の30年後総床面積20%カットが規定路線です。
学校施設統廃合がこの方針に組み込まれ、そのための小中一貫だとしたら、子供たちの成長や学力保障について、誰が責任をとるのでしょうか。机上の論理だけで教育を語ることはできないはずです。30年後の学校数、学級数、
児童生徒数について、一定数を見通した上での計画なのか、想定数をお示しください。
以上、2回目です。
8
◯子ども未来局長(
平松以津子君)
市立こども園の
配置適正化についての、2点の御質問にお答えします。
まず、
配置適正化を進めるに当たり、周辺の
保育ニーズに見合った供給量が確保できるのかについてですが、民営化や統廃合を進めるに当たっては、対象園の周辺の
保育ニーズを踏まえ、施設の利用定員を調整しながら、
保育ニーズに見合った供給量を確保してまいります。
次に、
配置適正化が少子化の促進の要因になるのではないかについてですが、
配置適正化の取り組みは、市立園がその役割を果たせるよう、一定数を残しつつ民営化や統廃合を進め、その過程で生まれる人材、施設、財源を、多様化する子供・
子育て支援のニーズに対応するために活用しようとするものです。
このような、子供をより産み育てやすいまちの実現に向けた取り組みは、
人口減少対策に寄与するものであり、少子化を促進するものとは考えておりません。
9
◯教育局長(望月 久君) まず、静岡式35人学級編制についてですけれども、制度の導入により、学習環境や生徒指導の充実、子供と教師が触れ合う時間の確保など、きめ細やかな指導の実践に成果を上げてきております。
平成29年4月の、県からの権限移譲後も、学校現場において、子供一人一人に配慮の行き届いた教育を実現し、それぞれの課題に適切に対応できるよう、35人学級編制の維持・継続に努めてまいります。
次に、平成55年度の
小中学校等の想定数についてですけれども、小中学校の適正規模・
適正配置方針は、小中学校で知識や技能を習得するだけでなく、思考力や
問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身につけさせる教育を十分に行うために必要な学校規模の確保を目的に策定いたしました。
適正規模・適正配置の対象となる学校は、国の手引きで、今後の教育環境のあり方を検討する必要があるとされております、1校当たり11学級までの学校としております。平成55年度までの
小中学校数や学級数の想定を行うことは困難なため、適正規模・
適正配置方針では、現時点では推計が可能な平成34年度までの学級数を推計しております。
〔25番鈴木節子君登壇〕
10 ◯25番(鈴木節子君) では、3回目です。質問いたします。
歴代政権が
公立保育所の廃止、民営化を進め、この間、全国で1999年以降、4分の1が減らされてきました。
待機児童対策は一層深刻です。本市は、民でできることは民にと、公の責任を後退させようとしていますが、
民間保育園の抱える問題、低賃金、長時間、過重労働により、保育士が確保できない、定着できないという悪循環は解決してはいません。また、無資格の職員配置を認める基準緩和では、子供の命を預かる保育の質は保たれません。
真の対策のためには、全産業平均より月10万円も低い保育士の賃上げと有資格者による
保育士配置基準の引き上げこそ、早急に取り組むべきです。市立園の民営化の前に、
民間保育園の運営を支援する抜本的な解決をすべきですが、その認識と方針を伺います。
2点目に、各区域1、2園に
公的保育施設を削減するのは、
子育て支援に逆行するのではないでしょうか。公立も民間も、それぞれの役割をしっかり認識し、
子育て支援策を拡充させることが将来の本市の発展のかなめとなります。
先ごろ、ブログにありました「保育園落ちたの私だ」のメッセージにある、安心して子育てしたい、安心して働きたいと願う、若い
子育て世帯の信頼を受ける行政であり続けるべきです。そのためには、
公的保育施設の増設、拡充こそ、子育てしやすいまちと自他ともに明言することができます。いかがお考えか、見解を伺います。
次に、
小中一貫教育についてです。
山間地は、早急に施設を一体化させる方針で、学校は廃校、跡地は売却となります。避難施設、地域のコミュニティの拠点がなくなれば、地域住民は住み続けられません。人が減り、集落がなくなり、過疎化が進み、ますます深刻な事態をつくります。少子化に歯どめをかけるどころか、かえって少子化を推進する要因をつくり出すのではないか、見解を伺います。
2点目に、人口が減るから
施設一体化、統廃合と言いますが、視点を変えることです。先ほどは、静岡式35人学級は維持するというお答えをいただきましたが、それをさらに発展させることです。
今、子供たちを巡る状況は深刻です。いじめや不登校、複雑な友達関係、子供の貧困、学力の差など、子供の世界は複雑です。子供一人一人に寄り添った丁寧な指導が、今求められており、そのためには少人数学級が最適です。
児童生徒数が減るのなら、少人数学級を軸に進めるべきですが、見解を伺います。
最後に、
市立こども園の統廃合や民営化、そして
小中一貫教育には、市民や保護者、教職員、
保育士たちから……
11 ◯議長(栗田裕之君) あと1分です。
12 ◯25番(鈴木節子君)(続) 疑問や不安の声が日増しに大きく広がっています。そして、内容が大変わかりにくい。
小中一貫教育については大変わかりにくいまま進んでいっていいのかという疑問が広がっています。
当局がやるべきは、懇切丁寧な説明を、当局がみずから出向いて、全
自治体規模で行う。全市民的な議論を当局の責任で実施し、市民的合意が得られるまでは、強引な執行はしてはなりません。この姿勢をまず当局が示す。そして
市民レベルで公共施設のあり方、今後のあり方も含めて、市民が納得できるまで議論を尽くす。その姿勢を示すべきです。その立場を求め、質問を終わります。
13
◯子ども未来局長(
平松以津子君)
市立こども園の
配置適正化方針についての、2点の御質問にお答えします。
まず、民営化、統廃合より先に
民間保育士の処遇改善と有資格者の配置を充実すべきとの点についてです。
民間保育士の処遇改善や有資格者の配置の充実は重要なことと認識しており、国が処遇改善に向け、公定価格上の加算のさらなる見直しの方針を示しているところですが、本市としましても、引き続き、処遇改善の
上乗せ補助や、
加配保育士の配置のための補助を継続してまいります。
一方、
配置適正化における市立園の民営化や統廃合の取り組みは、将来にわたって充実した
子育て環境を確保するための取り組みであり、同時並行で進める必要があると考えております。
次に、
市立こども園を各区域1から2園程度とするのではなく、増設することこそ子育てしやすい
まちづくりと言えるのではないかという点についてです。
幼児期の教育・保育の分野では、これまでも民間の園において、市との協力のもと、それぞれの創意工夫により十分なノウハウが蓄積され、適切な運営、質の高い教育・保育の提供がなされていることから、今後も、民間活力の活用による効果的・効率的なサービスの提供が期待できるものと考えております。
一方で、市立園の役割として、特別な支援を要する子供への支援、子育て困難家庭への支援など、民間だけでは対応が難しいニーズへの対応を積極的に担い、民間の取り組みを支援、推進していくことや、山間地など民間事業者の参入が見込まれない地域への対応が求められています。
配置適正化の取り組みは、こうした市立園の役割を果たすために必要な体制を確保した上で、民間でできることは民間に委ね、それにより生まれる人材、施設、財源を、多様化する子供・
子育て支援のニーズへの対応に活用することにより、子供をより産み育てやすいまちを実現するものでございます。
14
◯教育局長(望月 久君) まず、学校統廃合による少子化への影響について、お答えいたします。
小中学校は、子供たちの教育のための施設であるだけでなく、その学校が存在する地域のコミュニティの核として、防災や地域の交流の場など、地域の
まちづくりとは切り離せないという性格も持っております。
このため、適正規模・適正配置の取り組みを進めるに当たっては、行政が一方的に進めるのではなく、保護者の方の声を重視しつつ、地域住民の十分な理解と協力を得るなど、丁寧な議論を行ってまいります。
次に、少人数学級こそ進めるべきではないかについてでございます。
本市は、清流である安倍川や興津川など豊かな自然環境に恵まれ、清らかな水を市民の皆さんにお届けできるよう、昭和初期の時代から上水道供給事業を開始し、現在に至るまで、主に都市部となる給水区域において着実な拡張・整備を進めてまいりました。
その一方、中山間地においては、急峻な地形を擁している地勢的な条件が上水道事業の拡張を阻んできました。そのことから、個人、あるいはその地域にお住まいの市民の皆さんが共同で飲料水の供給施設を設置し、水の確保を歴史的に行ってこられました。
しかしながら、ときの経過とともに、これまで住民の皆さんの懸命な努力によって支えてこられた施設そのものの老朽化が進み、そして、何よりもそれを支えている住民の方々の高齢化も進み、その施設の維持管理もままならない、そういう状況が現実となっております。
このことから、全ての市民の方が快適で豊かな生活を送るために、水の安定供給体制を確保することは、市民の安心・安全な暮らしを守るという3次総のビジョンに向けて、私の重要な使命だと考えております。
そして、今回の問題提起は大変な契機になりました。調べてみたところ、飲料水供給施設で起こった今回の渇水案件は、潜在的に同様の問題を抱える地区が静岡市内に多数存在することがわかりました。ですから、今後、ますますこのことについて深刻化することが懸念をされる、大きな行政課題であり、この対応につきまして、広く全庁的な取り組みが必要であるという認識に至りました。
そこで、まずもって、今回の件を今後の施策に生かすため、私と副市長がみずから現地現場主義という理念のもと、現地に赴いて、この問題の確認をしてまいりたいと思っております。
一方、本市としては、この水問題に対してスピード感をもって取り組むべく、過日、関係部署による庁内検討会議も発足させました。私からは、この庁内検討会議の使命として、まず、現在の静岡市内における民間簡易水道、飲料水供給施設の実情を早急に把握することとし、その分析結果から、行政が具体的に何を支援できるのか、それを検討し、二役に提案するように指示いたしました。
水問題で不安を抱えておられる市民の皆さんの、この不安を安心に変えていくために、初動として、このような取り組みを進めていくことに着手してまいります。
なお、具体的な進め方につきましては、この後、副市長から答弁させます。
43 ◯副市長(小長谷重之君) 私からは、水運用にかかわる計画の策定、及び全庁的な体制づくりに関する考え方につきまして、お答えさせていただきます。
中山間地における水の安定供給は、本市にとりまして今後ますます深刻化することが懸念され、ただいまの市長の答弁のとおり、全庁的な対応が必要な問題であると認識しているところであります。
これまで本市では、施設整備への助成制度による対応を行ってまいりましたが、このたびの由比入山地区の水不足の事案を受け、これまでの助成制度に加え、地域の実情を踏まえた支援策を検討していくことが必要であると考えております。
このため、関係部署による庁内検討会議を、去る9月13日に発足させました。この検討会議は、局間連携により、保健所を初め、関係する上下水道局、各区役所、経済局などの関係課職員をメンバーとして構成しております。
この中では、まず、スピード感を持って取り組まなければならないものとして、市内の民間簡易水道や飲料水供給施設の利用者の皆様から声のあった、緊急時における市の対応体制を早期に確立することを議題とし、年内を目途に対応体制を整えていくことといたしました。
次に、議員御指摘の水運用に係る計画の策定など、総合的な施策を計画的に進めていくためには、市内に多数の対象施設があり、なおかつ、多様なニーズが存在することも考えられますので、その実情を早期に把握するため、速やかに実態調査をしてまいります。
その上で、中山間地にお住まいの皆様の安心・安全のための水の安定供給について、全庁的で、迅速かつ十分な議論を重ね、庁内体制を含めた総合的な施策を検討してまいりたいと考えております。
44 ◯保健福祉長寿局長(松永秀昭君) 民営簡易水道、飲料水供給施設に関する3点の御質問にお答えいたします。
まず、民営簡易水道、飲料水供給施設の課題についてですが、民営簡易水道につきましては、過疎化による利用者の減少や施設の老朽化が進み、利用者みずから整備を行っている施設では、高齢化により施設の維持管理が難しくなってきていることが挙げられます。
次に、飲料水供給施設の課題につきましては、簡易水道と同様に、施設の老朽化などが挙げられます。さらに、簡易水道に比べ、水源の規模が小さいため、渇水や大雨による水源の濁りなど、天候の影響を受けやすいという課題もございます。
次に、民営と公営の簡易水道が整備された経緯についてですが、民営簡易水道につきましては、住民みずからにより整備したもの、あるいは開発行為の際に、開発事業者により整備されたものでございます。
また、公営簡易水道につきましては、昭和32年の水道法の成立後、主に住民からの水道整備の要望を受け、市が国庫補助の制度を活用しながら整備したものでございます。
最後になりますが、現在の経営的に脆弱な民営簡易水道、飲料水供給施設の安定供給に対する市の助成についてですが、昭和63年度から飲料水供給施設等の整備に対して助成を行っております。
現在の対象施設は、給水区域外の民営簡易水道と、3世帯または10人以上の規模の飲料水供給施設でありまして、施設の新設、改造、修繕に要する経費の7割を助成しております。
また、実績といたしましては、平成27年度末までに延べ142件、約1億6,000万円の助成をしており、26年度は10件、約1,800万円、27年度は10件、約2,800万円を助成いたしました。
今後とも、助成制度運用などを通じまして、安心・安全な生活環境の確保に努めてまいります。
〔19番望月俊明君登壇〕
45 ◯19番(望月俊明君) 御答弁ありがとうございました。
私も質問の組み立て上、1回で一気に質問させていただいたわけでありますけれども、市長、副市長からは大変前向きに、しかも丁寧に御答弁いただき、感謝いたします。
特に、市長からは、今回の事案を強く受けとめていただき、地域の住民が高齢化によって大変苦労しているという難しさも十分理解していますよと、だから、早速、全庁挙げてこれに取り組むべき指示をしたという答弁をいただいたと思っております。ありがとうございました。
また、市長の政治姿勢であります現地現場主義、そうした信念から、市長みずからが槍野の現場を訪れると。そこで確認して、今後の施策に生かすという御答弁をされました。私はびっくりしております。
本当に、中山間地の生活に困っているところへ出向いていただき、水源地まで結構歩かなければいけない、もしかしたらイノシシとかクマが出るかもわかりませんが、来ていただけるということでありますので、期待しております。
2回目は、意見・要望とさせていただきます。
さて、ゲリラ豪雨や、たび重なる台風の襲来によります災害が、全国各地で発生しております。また、想定外という言葉が世間で話題になったように、今後も予測できない災害が発生することは、当然考えられることでありましょう。
そのようなとき、まず必要なことは、住民みずからの自助であり、互いに助け合う共助であります。そして、何よりも公助、行政の手が必要になってくるのであります。
現在は市民活動も活発化し、NPOなどもありますが、やはり公助は私たち市民の命、行政の使命なのであります。先ほども言いましたが、困ったときに役立つところ、私たち静岡市役所は常にそのような場所であり続けるべきであります。また、困ったときに役立つ市役所には、市民の立場に立って物事を考えられる、市民に寄り添える、そんな役どころにふさわしい職員がいなければならないのであります。
そのような考え方を念頭に、私は次のことを要望いたします。
まず、1点目でありますが、今回の槍野地区の問題のように、他の中山間地域においても、渇水災害が発生することが懸念されております。そのようなとき、もし公助の手が差し伸べられない状態では、市民は生活に不安を持つどころか、行政に対する不信感も発生してくるわけであります。
そこで、まずは、先ほども答弁していただきましたけれども、今からそのような問題を想定して、民営簡易水道、飲料水供給施設の渇水問題に対して、行政としてはどのように支援できるか、どんな対応ができるか、早期に応急対応マニュアルをしっかりと整備していくことを要望いたします。
次に、2点目でありますが、監査でも指摘されておりますとおり、水に関する上下水道局と保健所との仕事の事務分担が不明確であり、問題があった場合の指示系統や、責任体制がいまだ確立されていないと感じております。
指示系統や責任体制を明確にするためには、民営簡易水道及び飲料水供給施設の水に関する市の組織機構の体制づくりに関して、その対策と整備を早急に講じるよう、強く要望するところであります。
そして、できることでありますれば、近い将来、こうした民営簡易水道が公営企業管理者の責任ある管理のもとに、こうした上下水道局の給水区域となるための研究を、大変ですけれどもしていただきたい。そういう調査研究をぜひきょうから行い、何とかしてこういう地域を上水道給水区域に入れてあげることはできないかも含めて、御検討いただけるとありがたいと思っております。
最後に、3点目ですが、田辺市長が作成した3次総最大の目標であります人口70万の維持は、中山間地の振興なくして、私はあり得ないと思っております。
なぜならば、やはり都市部の生活を支えているのは中山間地。中山間地が輝いていてこそ都市部があるという考えであります。今は経済局にある中山間地振興課でありますが、田舎みがきを推進し、総合的諸問題を、より確実に事業の実行性を高めていくためには、組織の横のつながりを意識して、中山間地振興課を一つのもっと大きな部局、大きなセクションに位置づけて、それを核とした、庁内での横断的な体制づくりに発展させていただきますことを、強く要望するところであります。
私たち議会にも、中山間地活性化調査特別委員会もあり、また、議員の中には、中山間地を抱え、山積する課題に奔走している議員も相当多いと思っております。
そんなことから、港湾議員連盟はあるんですけれども、私はこうした中山間地を活性化する議員連盟を立ち上げていく必要があるのではないかと感じるわけであります。
緑豊かな台地が広がり、その恩恵は水、食料、環境と私たちの市民生活に欠かせないものばかりであります。我々はその恩恵を受けるだけではなく、その貴重な財産を大切に保全し、次世代に生きる若者たちに確実につないでいくためには、今、みずからが意識して行動し、この中山間地をいかにして活性化すればよいか、いかにしたら里を守り暮らしている住民の負担を軽くしてあげることができるのか、真剣に考えていかなければならないと、私は感じている次第であります。
子供たちの未来のために、中山間地を総合的な立場に立って振興する努力をお願い申し上げまして、質問の全てを終わらせていただきます。
ありがとうございました。
46 ◯議長(栗田裕之君) 以上で総括質問を終了いたします。
ただいま議題となっております認定第1号外32件は、既に配布した議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
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47 ◯議長(栗田裕之君) 以上で本日の日程は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前1時48分散会
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