合併協議会の過程で策定された
新市グランドデザインの中では、目指す都市像という表題のもと、新市を築いていく主役は市民であり、自立した市民一人一人が、それぞれに応じた役割と責任を担い、このまちを発展進化させていくのだということが明記されております。
また、新市の
まちづくりの基本理念である
人間躍動都市の具体的なイメージとしては、5つのまちの姿が描かれておりますが、その具体的なイメージの第一に挙げられているのは「協働、共創して地域の可能性を最大限に引き出し、創造を発揮するまち」というまちの姿であります。そして、その説明としてはこのように示されております。「
まちづくりは市民みずからが行うことを自覚し、市民や団体、企業が
地域づくりに積極的に参加し、それぞれの役割を担い、連携して地域の問題を自主的な判断と責任に基づいて主体的に解決する」という考え方であります。
しかし、これらのようにだれにとっても
大変耳ざわりのよい抽象的な理想論を具体的な静岡市の政策に反映させていくためのシステムが構築されなければ、こうした抽象的なフレーズは、単なるスローガンとして置き去りにされてしまいかねません。市民がこのまちを築いていくのだという基本的な考え方を、言葉で言うことは簡単でありますけれども、これを本気で実現するためには、本当に非常に難しい問題が幾つもあるのだということを、行政は十分に認識しておく必要があるだろうと思います。そして実現に向けて取り組むには、私はそれなりの覚悟が必要だと思いますし、いささか大げさに聞こえるかもしれませんけれども、市民と行政をつなぐための思想、そうしたものが必要なのだろうと私は思います。
今回の議会においても、多くの議員が市民と行政のかかわりについて言及されています。ある方は、市民の声を聞くことが大事だと言い、そしてある方は、市民との協調という表現を使われました。また、市長は
施政方針演説や御答弁の中で、市民参画、そして市民との協働という言葉を使われました。また、先ほど御紹介した
新市建設計画の中などでは、共に創るという文字を使って辞書には載っていない共創という言葉で表現されております。どれもよく似ている言葉ではありますが、どれも同じではないようであります。私は、ここで国語論を論じようとは思いませんけれども、言葉があいまいであるというのは、思想があいまいだからだと私は思います。昨日の風間議員が、
コラボレーションという外来語を使われたのは、きっとそういう言葉のあいまいさから脱するためだったのだろうと、私なりに理解しております。しかし、静岡市の
まちづくりにおいて、市民と行政とをつなぐための言葉が不明確であるというのは、残念なことだと感じます。
いずれにしても、行政の立場としては、さまざまな言葉を不用意に使って、その雰囲気に満足してしまうのではなく、一体、
市民活動とは何なのか、行政とは何なのか、また、それをつなぐものとは何なのかということを真剣に考える必要があると私は思っております。
そのように真剣に考えれば、実際の各事業に取り組むに当たっては、問い直さなければならない幾つかの課題が明らかになってくるはずであります。例えば、行政と市民はどのような立場に立って
まちづくりに取り組むのか。つまり、機能と責任の問題であります。また、行政と市民は、それぞれどのような形で力を合わせることができるのか。つまり、
具体的手法の問題であります。このことは、つまり、新市誕生に当たって掲げられた基本理念を、今後、どのように具体的な
まちづくりに落とし込んでいくのか、そういう問題であると思います。これらの問題を明らかにしない限りは、
人間躍動都市の具体的なイメージが喚起されないのであります。
そこで、まずは市長にお伺いをいたします。
市長はこれからの
まちづくりにおいて、行政と市民はそれぞれどのような立場に立ち、どのような形で力を合わせていくことが望ましいとお考えなのでしょうか。市長が理想とする市民参画とは、一体どういうものであるのかをお聞かせください。
さて、続きまして、現在の行政が市民参画というものをどのように認識されているのかについて確認するためにも、実際の事務事業について、まずは現状での取り組みをお伺いをいたします。今回の限られた時間の中では、行政全般について詳しく御説明をいただくことは難しいでしょうから、ここでは3つの行政分野についてのみお伺いをいたします。
まず最初に、都市政策の分野における市民参画についてお伺いをいたします。
都市政策の政策決定、事業展開の過程において、現段階ではどのような市民参画の手法が用いられているのか、その具体的な内容について御説明をください。
続いて、環境政策の分野と
社会福祉政策の分野についても、それぞれ同様にお伺いをいたします。政策の決定過程、事業展開において、現段階ではどのような市民参画の手法が用いられているのか。また、今後の課題とするところがあれば、その内容をお聞かせください。特に、社会福祉の分野では、
市民活動との接点は多岐にわたると思いますので、ここでは、
社会福祉関係の
行政計画策定を例に挙げてお答えいただけたらと思います。
それぞれ御答弁をお願いします。1回目の質問とさせていただきます。
4 ◯市長(小嶋善吉君) お答えいたします。
私が理想とする市民参画についての考え方ということでありますが、実は、けさも大体30歳ぐらいの職員100数十名ですか、朝、定期的にずっと講話をするんですけれども、そこでも分権のことだとか、これからの政令市に向けての職員としての心構えとか、私の期待とか、いろいろ申し上げてきましたが、まさに、これからいかに市民と協働して
まちづくりをしていくように、職員一人一人がなるかということも、きょうは30分の講話の一部の中で話をしてきたところであります。そういう話をしますと目が輝いて、ちゃんと理解してくれているなという実感をきょうは持って帰ってきました。
これからの分権時代におきまして、地域のことは地域で考え、地域で実行していくという自立した都市を築き上げていくためには、主体性を持った市民がみずからの責任のもとに意思形成の段階から行政に積極的に参画をし、協働して
まちづくりを行っていくことが理想だというふうに認識しております。そういう考え方でいけば、行政の策が非常に効果が出るということも、けさ申し上げたと思います。
そのためには、今まで以上に行政の透明性を高めて、そして開かれた行政を展開する必要があると考えます。現在、本市におきましては、審議会の委員定数の20%以上を公募とするなどの指針を定めて、市民の行政への参画を図っておりますが、今後は、本市の
都市経営理念を掲げる条例や、行政の参画の具体的なルールを定める条例などを制定し、市民が行政に参画しやすい環境を整え、情報をともに共有しながら、協働というのは
コラボレーションですけれども、協働して行政を運営していくという考え方でいきたいというふうに思っております。
5
◯都市計画部長(澤入信宏君)
都市計画部門におきます計画立案の段階で、これまでも市民参画はやってきましたけれども、
具体的事例といたしましては、平成10年度に
都市計画マスタープランを策定する際、市内10地区で
ワークショップ形式を取り入れ、延べ67回、約1,100人の市民に参画いただきながら
地域別構想をまとめ上げました。
また、身近な生活環境、地域に密着したところでは、
船越北矢部地区、
興津八木間地区、
東静岡地区などにおいて、地域住民がみずからまち並みのルールを定めました地区計画が決められておりまして、市民と行政とが協力して
まちづくりに取り組んでおります。
これらのほかにも、諮問機関、附属機関の委員を市民公募で選ぶなど、できるだけ多くの場面で市民の皆様の参画をいただきながら計画の策定を進めております。
以上でございます。
6
◯生活環境部長(栗本 裕君) 環境政策における市民参画でございますが、広く市民の意見を十分に取り入れるため、仮称静岡市
環境基本条例や、仮称静岡市清流条例の
環境関連条例策定懇話会及び巴川、庵原川などの水質の改善を図る
水環境パートナーシップ検討委員会の設置において、委員の2割に相当する市民を一般公募いたします。これらの
策定懇話会及び
検討委員会では、新市にふさわしい施策の推進のために、市民の立場からの提言をいただきたいと考えております。
さらに、市民の多様な意見をより的確に反映するために、インターネットなどを活用した意見の募集を図るとともに、その他、市民団体、自治会等への市政ふれあい講座など、随時、市民参画の機会を設けてまいりたいと考えております。
以上でございます。
7
◯保健福祉部長(
渡辺鍵次郎君) 福祉部門における
行政計画策定時の市民参画についての御質問にお答えをいたします。
福祉関係の計画の策定に当たりましては、
学識経験者、
福祉関係団体の代表などのほか、公募による市民代表で構成する
保健福祉総合政策懇話会を設置して、市民各層からさまざまな御意見を集約し、これを計画に反映させております。
また、現在策定中の
障害者福祉計画におきましては、
団体ヒアリングや
障害当事者との
意見交換会を通して、その意見を計画に反映させてきております。
今後の計画の策定に際しましても、公募による市民や各種団体あるいは専門家など、さまざまな立場の方々との共同作業を通しまして、課題の抽出や合意の形成を図る
ワークショップを開催するなど、各種の市民参画の手法を取り入れ、
計画づくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔2番丹沢卓久君登壇〕
8 ◯2番(丹沢卓久君) 御答弁ありがとうございました。
さて、1回目の質問では、行政と市民参画のあり方について市長と、現在の行政における市長の考え方と、それから、現在の行政におけるそれぞれの取り組みについてお伺いをいたしました。
2回目の質問では、市民による
まちづくりの活動と行政の関係について、去る5月30日に市長に対して示された静岡市
市民活動懇話会の提言に沿って、さらに具体的に質問を続けてまいりたいと思います。
静岡市
市民活動懇話会は、昨年4月に設置されて以来、1年を通して継続的な議論を繰り返してきました。その設置要綱の第1条には「市民との協働により地域の特性を生かした独自の
まちづくりを実現するために」という文言をもって、設置の根拠を明らかにしております。静岡市
市民活動懇話会では、まさしくこの目的に沿って、非常に熱心な議論が展開されてきたようであります。現在、静岡市には民間代表や
学識経験者などを委員とする審議会や協議会など附属機関が50ほどもあり、その議事内容などは、静岡市の
ホームページ上でほとんどすべて公開されております。
私は、今回の質問に当たり、これらの静岡市の
ホームページ上に公開されている各附属機関の議事録、これらをすべて目を通してみましたけれども、とかく形式的な議論に陥りやすい附属機関の議論の中で、この静岡市
市民活動懇話会の議事録は、まさに異色を放つ存在でありました。
実際に、公式の懇話会が1年間のうち9回も開催されたばかりではなく、昨年の秋からは提言項目の検討のための
グループ会議が10回以上、ことしになってからは、提言書の作成のための
ライター会議が6回も開催されたと聞いております。また、委員相互による
電子メールの意見交換などは数え切れないほど行われたと聞き及んでおります。1冊の提言書を作成するに当たり、これだけの時間と労力を注いだ附属機関は、実にまれであると言えるでしょう。そして事務局の原案にイエスと言うだけの議論ではなく、全く白紙の状態から委員一人一人がペンを握り、提言書を取りまとめたことには、
市民活動懇話会の名にまさにふさわしい努力であったと評価されるべきだと私は思います。そして、この懇話会の運営を担当された
市民生活政策課の職員さんも非常に熱心にこの議論に向き合い、そして、側面的な支援に力を尽くされたと聞いております。
この提言書のプロローグには、私たちは何をしてきたのか、また、何をしないできてしまったのかという散文体の文章によって、行政と市民それぞれへの自己検証と反省を促し、同時に、市民が当事者、主体者としての自立意識を持つべきこと、静岡市行政が真摯な改革に挑戦し実現すべきことを、誠実に訴えているのであります。そして6章11節をもって静岡市における
市民活動と行政のかかわりについて、斬新な提言をまとめておられます。
私が一読したところでは、正直申し上げて、用語のあいまいさや
主張的内容の裏づけの弱さなどが、幾らか感じられました。しかし、あえて用いられている向こう見ずなまでのラディカルな表現や、行政の誘導によって作成された提言などにはあり得ない斬新でユニークな発想は、まさしく
文字どおり市民の声なのであり、委員の皆さんが、いかにこの提言を真摯な態度で作成されたのかということが伝わってくる内容であります。また、それだけに、問題の核心を突いた指摘が数多く見受けられました。
私は、市民代表らによって構成された
行政附属機関からの提言とは、本来こうあるべきだと思います。もし、そこに行政の認識度の相違点があったとしても、行政はそのこと自体を恐れず、真剣に向かい合うべきであります。そうであってこそ相互の信頼に足る市民と行政の関係が築き上げられていくのだろうと私は考えております。
さて、個別の具体的な内容につきましては、後ほど質問を通じて明らかにしたいと思っておりますが、まずは市長、静岡市
市民活動懇話会による提言をどのように受けとめられたのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
質問を続けます。
今回の提言は、先ほども申しましたように、非常に示唆に富んだ内容のものでありましたが、その
提言そのものは今後の行政運営にどのような意義をもたらすものなのでしょうか。今回の
懇話会提言をもとに近く基本指針が策定され、行く行くは条例化されていく方向にあるのだろうと思われます。しかし、私はそのようにオーソライズされていくことを待つまでもなく、現段階から
懇話会提言の趣旨を十分に理解し、
市民活動についての認識を深め、順次各事業に反映させていく必要があろうと考えております。なぜなら、現在の行政に求められているのは、そうした手続ではなく改革だからであります。
つまり、今回の
懇話会提言を単なる読み物に終わらせてしまうことなく、今からでも現実の行政事業に反映していく努力をスタートさせることが何より必要であろうと考えております。私はそのように思うのですが、行政は、今後の行政運営の中で、今回の
懇話会提言をどのように位置づけられるのかについて、当局のお考えをお聞かせください。
さて、
懇話会提言そのものの受けとめ方、そして位置づけなどを伺ってまいりましたが、以下、その具体的な内容について幾つかお伺いをいたします。
今回の
懇話会提言の第6章では、行政が直ちに取り組むべき施策の方向性として、4節19項目の個別の
改革プログラムを示しております。ここでは、3項目のみ取り上げて質問させていただきたいと思います。
まず第1に、市民の意識啓発ためのバックアップについてであります。
提言の中では、より多くの市民がそれぞれ自立意識を持って
まちづくりに参画していくことを行政としても支援すべきだという認識から、生涯学習などを通じて、
ライフステージ別に市民参画の機会を創出するべきだということが示されております。そして、特に青少年が市民参画する機会を創出することを通じて、市民としての自立意識を早い時期から涵養していくべきだということが示されているのであります。
もちろん、教育行政上のみの試みに限らず、例えば環境政策上の施策や
社会福祉政策上の施策でも、児童生徒のための社会参画の機会創出は可能であろうと思いますが、今回は、静岡市の教育行政上、この提言内容についてどのようにお考えか、現状と今後の取り組みについてお伺いをいたします。教育長の御答弁をお願いいたします。
続いて、お伺いをいたします。
意識啓発が必要であるのは、児童生徒を含む市民の側ばかりではありません。当然、行政職員に対しても、
市民活動について正しく認識し、信頼関係を築いていくことが等しく求められてくるものであります。提言の中では、市職員の意識啓発のための
市民活動の実践者による職員研修や、
市民活動団体へのインターンシップなどの実施がうたわれております。市職員による
市民活動への理解は、市長が朝の講話の中でお話をされたりしているようでありますけれども、もう少しの理解が求められてくるのではないかと私は思っております。
実際に、昨年9月に
市民活動懇話会によって実施された旧静岡・清水両市の全職員に対する
市民活動に関する意識調査の中では、
市民活動への参加の意欲は約66%の職員が持っているものの、実際の活動参加については約39%の職員にしか経験がない、そうした結果が示されているのであります。
市民活動との接点がなければ、
市民活動団体への活動の理解も問題点も、あるいは行政との連携の可能性も、なかなか理解されにくいのではないかと私は考えております。
なお、こうした現状については、既に行政の内部にも認識されつつあるようであります。つい先ごろ、行政各部門の若手職員らによって静岡市
情報化推進アクションプログラムが策定され、公表されました。この中には、非常に率直かつ大胆な現状の分析と建設的で大変ユニークな表現をもって示されたさまざまな提案がなされております。このうち、市民参画に関連しては、二足の
わらじプロジェクトという、そのように題された提案が記載されております。この
アクションプログラムの中では、行政はともすると市民の視点からではなく、行政独自の視点や論議で計画や施策を実施してしまう傾向があるという現状認識が示され、市職員が
ボランティアやNPOなどの
市民活動に参加することで、みずからの立場と役割を認識するべきだということが示されております。
既に若手の職員からは、こうした真摯な現状認識と前向きな対応策が提案されているのでありますが、この
アクションプログラム自体は、現段階では、まだ行政全体の意思として浸透しているわけではないようであります。
そこでお伺いをいたします。
市民活動懇話会の提言に示されている内容に従い、行政職員の
市民活動に関する意識啓発についてはどのようにお考えでしょうか。現在の取り組みと今後の対応について、当局のお考えをお聞かせください。
さて、市民と行政の意識啓発について2点の質問をいたしましたけれども、懇話会の提言では、6章第2節において、市民団体と双方向のコミュニケーションを築くために5項目の改革案が示されております。
今回の質問では、このうちの1つ、補助金制度の改革について取り上げ、質問をさせていただきます。
平成15年度予算において一般会計上に計上されている民間団体などへの補助金の総額は、一体幾らなのでしょうか。公開されているデータが見つかりませんでしたので、私なりに事項別明細書に補助金として記載されている項目をすべて抜き出して計算してみたのですが、補助金メニューは、一般会計中で341項目、総額としては約170億円でありました。このうち、民間の特別養護老人ホームなどへの建設補助金、そうした国や県の補助を受けているもの、そして病院事業会計など企業会計に繰り出しされている補助金などを除いた総額としては約30億円、項目数にして280項目ほどありました。内容も目的も実に多岐にわたります。
さて、これらの行政による民間団体などへの補助金については、全国的に幾つかの自治体において、交付制度そのものの見直しが進められております。
先進的な例としては、千葉県我孫子市が挙げられます。我孫子市では、平成11年よりすべての市単独の補助金を一たん白紙に戻し、交付対象の一般公募と第三者機関による審査によって、交付対象を選定することを柱とする内容の改革が進められております。その目的とするところは、それぞれの事業目的にとって、最も効果的な事業を選び、前例にとらわれることなく適正金額を公平に補助していこうというものであります。補助金交付の公募は毎年行われ、3年に1度は、必ずすべての補助金が一たん白紙に戻され、再検討されるとのことであります。また、民間代表らによって組織される補助金等
検討委員会においては、独自の審査基準を設け、交付すべきか否かの審査に当たるとのことであります。
なお、審査基準とされるのは、時代性に合致しているかどうか、補助による目的の実現可能性はどれほどのものがあるのか、事業の創造性・独創性といったものはどうか、我孫子市の魅力を発揮するものであるのかどうかの4項目であるそうです。それぞれ3段階の評価がなされ、判定の基準とされるそうであります。
ちなみに、平成12年の見直しの結果としては、58件の公募に対する応募があったわけなんですが、採択されたのは40件、このうちには新規の応募が11件含まれ、既存の補助金の約4割は不採択となったそうであります。これによって、補助金の交付を受ける団体や事業の新陳代謝が大きく進んだばかりでなく、前年度比では約1,458万円の削減という行政上の負担軽減も実現されたとのことであります。
まちづくりに貢献し得る活動を行いたいとする市民は、この静岡市にたくさんおられます。そして、新しいアイデアやノウハウを持つ
市民活動団体も数多く存在しております。
しかし、公益的な事業の新規の実施に当たって、行政による資金的な支援を受けようにも、いつ、どこで、どこの窓口に相談に行き、どういう手続をもって申請すれば適正な審査や判断を受け補助金を得ることができるのか、全くわからないというのが現状であります。また、例えば森林事業を通じて子供たたちの健全育成を図るとか、文化事業を通じてお年寄りの健康増進を図るとか、そういう場合に、所管はいずれの課になるのかなどという、市民には余り関係のない行政の縦割り機構の弊害によって、
まちづくりにとっても有効な
市民活動がうまく進められないということもあり得るでしょう。そうした弊害をなくし、市民による自主的・先駆的な活動を推進し、静岡らしい
まちづくりを進めていくためには、現行の補助金制度を改革し、手続の透明性と公平性を確保するべきであります。こうした改革に取り組むことが、市長が
施政方針演説の中でも述べておられた市民一人一人に力を発揮してもらえる舞台をつくり、市民のエネルギーが満ちあふれ、自由闊達で人が輝くまち、住むことに誇りと幸せを実感できるまち、そうしたことではないでしょうか。
このことは、私個人の意見ばかりではなく、今回の懇話会の提言に盛り込まれている内容であります。そこでお伺いをいたします。この提言について、当局はどのようにお考えでしょうか、御答弁をお願いいたします。
以上、2回目の質問とさせていただきます。
9 ◯市長(小嶋善吉君)
市民活動懇話会からの提言について、市長はどのように受けとめるのかという御質問でありますが、先月か先々月でしたか、懇話会の方々が10人ぐらいいらっしゃいまして、私、1年間の成果をお受け取りをさせていただきました。非常に皆さん、1年間の活動に対して自己満足していらっしゃいまして、自己満足というか、担当職員を物すごくほめてくれまして、それで本当に1年間やりがいがあったと。これからこれをどういうふうに生かしていくかだけれども、自分たちの反省にもなったし、いわゆる行政と市民との関係とか、市民として今までやるべきことをやってこなかったこととか、いろんな話がありまして、すばらしい1年間の活動だったなということを感じまして、また、皆さんにもちょっと多めですけれども、あれをちゃんと読んでいただくと皆さんたちの熱意が伝わってくるんではないかなというふうに思います。これからの、合併した直後ですし、あの精神をこれから行政に生かしていけば、必ずいいまちができるという感じがいたしております。
地域社会のニーズの多様化や分権型社会の進展の中で、地域の課題について市民がみずから考え、サービスを提供し、そして解決をしていくという
ボランティアやNPOなどとの協働が、今、行政に求められていると思います。そのような社会的な要求に対し、市の基本的な考え方や方向性、施策の展開などを示す
市民活動の基本指針の策定が急務となってきております。そこで、平成14年度に
学識経験者、
市民活動団体の代表者、公募委員の15名で構成する
市民活動懇話会を立ち上げ、年間20数回の検討を重ね、今回、基本指針策定に向けた提言書が提出されたところであります。
たしか、この15名の中に清水の方は2、3名いましたよね。なかなか既にいろんな活動をされている方々だと思います。
市といたしましては、提言に込められた思いを十分に尊重し、NPOなどとの協働による
まちづくりの推進に努めていきたいというふうに考えております。
10
◯生活環境部長(栗本 裕君) 今後の行政運営の中で、この提言をどのように位置づけるかということでございますが、本提言の趣旨は、まず、行政も市民もこれまで何をし、何をしてこなかったのかという点を省みた上で、市民と行政おのおのの意識変革を求めております。そして、目指すべきビジョンを市民都市と定め、それぞれの活動領域を尊重した協働のあり方についてうたっております。
本市としては、このような提言の内容を十分尊重し、
市民活動に対する施策にとって基本的な考え方や展開の方針の基礎であると位置づけ、今後の行政運営に役立ててまいりたいと考えております。
以上でございます。
11 ◯教育部長(荒木貞夫君)
市民活動に参加できる機会を
ライフステージ別に創出するという御提言に関する教育行政上の現状と今後の対応についての御質問でございますが、青少年に対する施策の一つとして、中学2年生を対象に、梅ヶ島での野外活動体験や東海自然歩道の草刈り作業などの中学生体験講座を実施しております。これは、子供たちがリーダーとなり、企画から運営までを主体的に行うもので、この講座を通しまして、将来を担う郷土愛に満ちた人間性豊かな青少年リーダーの育成を図ろうとするものでございます。
また、生涯学習の拠点施設であります公民館では、さまざまな現代的課題にかかわる講座などを市民団体と共同で企画、実施したりするなど、自立的な青少年の育成や市民の創意を生かす試みを展開をしております。
今後、この提言をもとに指針を策定することになりますので、その趣旨に沿った施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
12 ◯総務部長(海野 洋君) 職員の意識啓発についての2点の御質問にお答えします。
まず1点目の、職員の意識啓発に関する現在の取り組み状況でございますが、その代表的なものとして、市政ふれあい講座を実施しております。これは、職員が市民の求めに応じ、学習会等で市政に関する解説を行うものですが、単に一方的な情報提供に終わらせることではなく、市民と双方向のコミュニケーションを図ることによりまして、職員の意識啓発に努めております。
また、NPO、
ボランティアに関する職員向けの講演会等、これを11年度から開催しておりまして、今年度も県との共催でNPO代表者を講師として招きまして、NPOと行政のパートナーシップをテーマとした職員向けの研修会を実施いたしました。
2点目の今後の対応についてでございますが、今回の
市民活動懇話会の提言に基づき策定される静岡市
市民活動基本指針の中に、職員の意識啓発に関するさまざまな施策を盛り込んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
13 ◯財務部長(竹内良昭君)
市民活動団体への補助制度に関しての市民懇話会の提言に対する考え方についてお答えをいたします。
これから一層厳しさを増す行政運営の中、行財政改革は避けて通れないものでございます。御提言の行政改革の中での補助制度を改革することに関しましては、補助金が公益性、それから必要性、効果など総合的な判断のもとに支出されるものであることを考え、提言の内容についても、行財政改革の推進の中で研究をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔2番丹沢卓久君登壇〕
14 ◯2番(丹沢卓久君) 御答弁ありがとうございました。
市長からは、懇話会のメンバーの皆さんが大変自己満足されていたということでした。自分たちのお仕事に、やってきた務めに対して十分満足しているけれども、行政の状況については不満足だと、そういう理解でいいんでしょうか。
いずれにしても、懇話会の皆さんが提言された内容、あの提言したことが実現されて本当によかったなと思われるような施策を展開していただきたい。本当にそう思います。御答弁ありがとうございました。
3回目の質問をさせていただきます。
先ほどは、市民と行政それぞれの意識啓発、それから、補助金に関する質問をさせていただきました。3回目の質問では、システムの整備についてお伺いをいたしたいと思います。
市民と行政が、あるいは市民団体相互が、今後の
まちづくりについて協働して進めていくためには、それぞれの情報を公開し、共有し、そして検証を評価していくことが重要であるのは言うまでもありません。そのための具体的な方法が
懇話会提言の第6章第3節と4節に掲載されております。全部で11項目あります。
例えば、市内に数多く存在する
市民活動団体のデータベースを作成し、その内容をすべて公開すること。各地域の公民館など、既存の公の施設などと情報のネットワーク化を進めること。そして事業達成目標を評価するシステムをつくって、絶えず検証を繰り返していくことなどであります。
これらの取り組みが必要であるのは、決して行政のためだけでも、
市民活動団体のためだけでもありません。私は、市民全体のためであると思います。情報ネットワークの構築などという表現では、むしろイメージされにくいかもしれませんので、あえて単純な例で申し上げましたら、それまでの数十年間ずっと仕事一筋にお勤めをされてきた人物がいよいよ定年を迎え、自分がこれまでに培った能力を何かの形でこのまちのために注いでいこうと、そんなふうに思い立ったときに、一体、どこで、どういう団体が、どのような活動をしているのか、それがはっきりわかるようにしてくれと、そういう内容だと私は考えております。この情報の共有化についての提言、そして、これに続く検証と評価のシステムづくりの提言は、
懇話会提言の中ではいわば核心の部分であると私は思っております。
しかし、今回は時間の限りもありますので、まず、目に見える環境整備、つまり、拠点施設づくりのことを取り上げさせていただきます。情報を神経の部分とするなら、活動拠点は大脳に相当する部分だと私は思います。
市民活動の拠点施設については、設置している自治体ごとによって名称はさまざまですけれども、身近なところでは、県のNPO推進室が呉服町に開設しているふじの国NPOセンター・パレットがございます。御利用されたことのある方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、平日は夜10時まで開館しており、無料で利用できるオープンスペースでは、毎晩遅い時間まで
まちづくりに熱心な市民が集い、打ち合わせや資料づくりなどが行われております。
実は私も、昨晩遅くまで、このふじの国NPOセンターで行われた
まちづくりを進める市民有志のある会議に参加をしておりました。ちなみに、その内容というのは、現在使用されていない旧静岡市の本会議場を、今後、行政との共同によって、市民が有効利用できる方法はないだろうかという検討会でございました。また、余談とはなりますけれども、旧静岡市の本館のドーム屋根の展望台、あれを広く市民に一般公開する方法はないかと、そうしたことも検討してまいりましたところであります。
さて、このように多くの市民に親しまれている県のNPOセンターでありますけれども、運営主体は静岡県、対象となるのは全県であります。静岡市としても独自の
まちづくりを進めるための……
15 ◯議長(剣持邦昭君) 30分になりました。質問を終了してください。
16 ◯2番(丹沢卓久君)(続) この拠点整備についてのお答え、それから、今後の活動のプログラムについてお聞かせをください。お願いします。
17
◯生活環境部長(栗本 裕君)
市民活動拠点の整備についてどのように考えるかということでございますが、
市民活動の側面支援として、活動の場の提供は、
市民活動の環境整備を進める上で有効なものであり、平成13年度に実施した
市民活動団体へのアンケートの中でも、
市民活動センター、
ボランティアセンター等を整備するというのが最も高い値を示しております。
また、
新市建設計画の中で、静岡・清水の市役所を総合支所とし、中枢機能の移転に伴うスペースの活用による
市民活動団体等の拠点等の整備が位置づけられております。市としては、これらのことを考慮し、
市民活動基本指針を作成する中で検討してまいりたいと考えております。
午後4時35分延会
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