大田市議会 2024-03-05
令和 6年第 2回定例会(第3日 3月 5日)
令和 6年第 2回定例会(第3日 3月 5日)
令和6年3月定例会
大田市議会会議録
令和6年3月5日(火曜日)
――――――――――――――――――――
議事日程(第3号)
令和6年3月5日(火)午前9時開議
第1
一般質問
~~~~~~~~~~~~~~~~
会議に付した事件
日程第1
~~~~~~~~~~~~~~~~
出 席 議 員 (17名)
1番 塩 谷 裕 志 2番 伊 藤 康 浩
3番 柿 田 賢 次 4番 清 水 好
5番 宮 脇 康 郎 6番 和 田 章一郎
7番 亀 谷 優 子 8番 根 冝 和 之
9番 森 山 幸 太 10番 胡摩田 弘 孝
11番 小 川 和 也 12番 石 田 洋 治
13番 松 村 信 之 14番 河 村 賢 治
15番 月 森 和 弘 16番 石 橋 秀 利
17番 清 水 勝
~~~~~~~~~~~~~~~~
欠 席 議 員 (1名)
18番 小 林 太
~~~~~~~~~~~~~~~~
地方自治法第121条による出席者
市長 楫 野 弘 和 副市長 船 木 三紀夫
政策企画部長 尾 田 英 夫
総務部長 上 西 宏
健康福祉部長 布 野 英 彦
環境生活部長 藤 原 和 弘
産業振興部長 郷 原 寿 夫
建設部長 尾 畑 哲 格
上下水道部長 田 中 明
消防部長 幸 村 卓 己
財政課長 中 祖 伸 宏
政策企画課長 田 中 政 和
市立病院事務部長 糸 賀 晴 樹
教育部長 森 博 之
~~~~~~~~~~~~~~~~
事務局職員出席者
事務局長 川 上 浩 史
事務局次長 大久保 広 志
庶務係長 北 村 裕 子
主任主事 森 脇 満
午前9時00分 開議
○副議長(
塩谷裕志) おはようございます。
これより本日の会議を開きます。
ただいまの出席は17名であります。定足数に達しておりますので、会議は成立しております。
本日の
議事日程は……。
17番、清水 勝議員。
○17番(清水 勝) 3分前まで
小林議長、控室におったんですよね。なぜ副議長が議長席におられるのか、
議長欠席だから副議長が議長席にいるんですよ。先ほどまで議長おったんですよ、控室に。なぜですか。
○副議長(
塩谷裕志) 本日は公務のため欠席でございます。
○17番(清水 勝) 欠席でしたらね、控室にたった前までおられたんですよ。そんな行為はするべきではないと思いますよ。しっかりと整理してください。
○副議長(
塩谷裕志) 進行させてください。よろしくお願いいたします。
○17番(清水 勝) 分かりましたか。
○副議長(
塩谷裕志) はい、分かりました。
本日の
議事日程はタブレットに掲載のとおりでございます。
◎日程第1
一般質問
○副議長(
塩谷裕志) 日程第1、昨日に引き続き
一般質問を行います。
なお、質問者におかれましては、質問の初めで、
質問形式が
一括質問一括答弁方式であるのか、あるいは一問一答方式であるのかのいずれかを告げられまして質問に入られますよう、お願いしておきます。
それでは、順序に従い、発言を許します。
初めに、8番、
根冝和之議員。
[8番
根冝和之 登壇]
○8番(
根冝和之) 皆さん、おはようございます。8番議員の
根冝和之でございます。
早朝から爽やかな出だしとなりましたので、私のほうからさきに通告したとおり、大きく分けて2つの項目、彼岸市と
再生可能エネルギーについて一問一答方式にて質問をいたします。執行部におかれましては、ぜひとも前向きな答弁をお願いいたします。
初めに、大きく分けた1つ目の項目、大田市の彼岸市について質問いたします。
大田市民なら誰もが中日っつぁんと呼ばれる彼岸市のことは御存じかと思います。私も
子供時代には大田市駅前から第一中学校まで何往復も歩き、楽しみました。また、社会人になってからは、
商工会議所青年部の一員として飲食や
射的ブースのお手伝いをしたこともよき思い出となっております。本日お聞きの皆さんにもそれぞれよい思い出があるのではないでしょうか。
この彼岸市を少し調べてみますと、寺社の彼岸の縁日に境内で物々交換したのが始まりとなっており、大田市では円応寺の薬師市、代官山の
稲荷神社の稲荷市などが
寛永年間に統合されたものが原形ではないかとも言われています。
昔は鍬市・竹市とも言いまして、春の彼岸には備後、伯耆、
出雲方面から農機具を売りに来て、大田からは竹製の日用品や牛馬を出したと言われております。
また、400年以上の歴史を持つ大田の彼岸市は、
露店商人の間では昔から高市と書いて「こういち」と呼ばれ、
出雲大社、松江の
武内神社の例祭とともに、
年間予定に組み入れるほど重要視されております。
時代の変遷により市の形態、場所、取引される品物も大きくさま変わりしておりますが、この日を楽しみにしている人が多いことには変わりないと思います。
昨年春の彼岸市は久しぶりの開催でありまして、コロナ前同様とはいかないものの、露店は遠く関西、九州からもあり、約180の出店、約3万人の人出でにぎわったと聞いております。
この誰もが知っている彼岸市ですが、今後の
開催継続に対して大きな懸念があり、そのことを皆さんに知っていただきたく本日質問をしております。
その懸案とは、彼岸市の
開催経費の負担が非常に大きくなっていることです。その要因は、他の祭りと違って彼岸市の
事業主体が
大田商工会議所であること、会議所の会員数が時代の流れとともに減少し、
会費収入が大幅に減少していること、彼岸市で露店数の減少による
出店料収入が減少していること、警備員の
人件費上昇、
仮設トイレの
設置数増加や
感染症対策費、
ごみ処理費などが増加したことなどが上げられます。こうした要因により、現在、
大田商工会議所事業費の約3分の1が彼岸市
開催経費が占めるまでとなっており、財政的に大きな負担となっております。
もちろん
大田商工会議所も会員、露天商、警察と協力しながら、
開催距離や時間、
イベント会場を工夫し、昨年からは出店料の値上げも行うなどして開催されていますが、根本的な
問題解決には至っておりません。
開催当日の
テレビニュースで紹介され、市外でも有名な大田の彼岸市は重要な
地域資源の一つでもあります。歴史や
伝統文化を守るため、まちの
にぎわいの創出、市外からの
観光誘客のためにも、今後の安定的な
開催継続を願っております。
以上のことから、今後の彼岸市開催に対する大田市からの支援をもう少し充実させることはできないものなのか、伺います。
次に、大きく分けた2つ目の項目、
再生可能エネルギーについての質問に移ります。
なお、ここで言う
再生可能エネルギーとは、政令で定められている太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、その他自然界に存在する
熱バイオマスでありますが、範囲が広くなりますので、主に太陽光について質問しております。
地球温暖化問題は1980年代から国際的に認識され、日本でも平成9年の
京都議定書によって知った方も多いのではないでしょうか。その
地球温暖化の要因と言われる
温室効果ガスの
排出削減で注目されたのが、
再生可能エネルギーでの発電でありました。しかし、コストの問題もあるのか、平成28年度までの日本の
発電電力量に占める
再生可能エネルギー発電電力の割合は、以前からある
水力発電も入れても僅か10.4%であり、順調に普及しているとは言えない状況にありました。
しかし、平成28年の
東日本大震災で原発が休止したことにより、いわゆる
再生エネ特措法が制定され、平成28年には
再生可能エネルギーからつくられる電力を
電力会社が買い取ることを義務づける固定価格買取り制度が導入され、
再生可能エネルギーの普及が急進しました。
令和2年度の
国内発電電力量に占める
再生可能エネルギーの
発電電力の割合は、平成28年度の約2倍の19.8%となり、その中で最も増加したのが
太陽光発電であり、
国内発電電力量の7.9%にも達しました。SDGsや脱炭素の流れもあり、今後も設置数は伸びていくのではないかと予想されます。
しかし、設置数の増加とともに、
再生可能エネルギー発電設備の設置を規制する
条例制定が増えていることにも着目する必要があると思いますので、その状況について少しお話をします。
太陽光発電設備等の設置を規制する
単独条例だけ取り上げてみますと、制定時期は平成26年の大分県の由布市と岩手県遠野市で制定されたのが最初でありまして、平成27年には5件、その後も年々増加し、特に令和に入ってから
条例制定の動きが活発化し、令和5年には40の条例が制定されます。トータルでは現在272の条例が全国の自治体で制定されております。
また、地域的には、
首都圏周辺の自治体で多く制定されますが、その動きは現在全国の自治体に拡大しております。
次に、主な
条例制定の理由を見てみると、
土砂流出や濁水の発生、景観への影響、動植物の生息・
生育環境の悪化などの問題が懸念されることなどとなっております。国も事業中の
維持管理の不良や
事業終了後の廃棄問題、パネルの飛散や
周辺住民への説明が不十分などの問題点を把握し、固定価格買取り制度の法改正で必要な条例を含む
関係法令の規定を遵守するものであることを明記し、地域の実情に合った
再生可能エネルギーの普及を目指しています。
こうしたことから、大田市でも
地滑り防止区域、急
傾斜地崩落危険区域、
土砂災害特別警戒区域など、災害が発生する可能性が高い土地や、
発電設備の破損や
管理不全によって
地元住民への被害が及ぶ可能性がある土地への設置、そのほかには国立公園や
世界遺産2か所の重伝建築や
日本遺産構成箇所など、大田市
景観条例があるものの
発電設備設置に関しては何らかの規制を行うなど、配慮が必要ではないでしょうか。
私は、市内の
再生可能エネルギー普及による
エネルギー自給率の向上は、
地域内経済循環の面から見て促進すべきものと捉えております。事業者にとっても投資しやすい明確な
設置基準を明示し、場合によっては設置を促進する地区などを定めるとともに、住民の安全や
生活環境維持のため、規制すべき基準や地区を定めることを検討してもよいと考えております。
以上のことから、1点目の質問として、
大田市内における
再生可能エネルギー設置状況と今後の見通しについて伺います。
2点目として、
再生可能エネルギー発電設備に関する基準は現在どのようになっているのか、伺います。
3点目として、
再生可能エネルギー発電設備の適切な設置に関する
条例制定を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
以上、登壇しての質問とします。
○副議長(
塩谷裕志)
郷原産業振興部長。
[
産業振興部長 郷原寿夫 登壇]
○
産業振興部長(
郷原寿夫) おはようございます。
議員御質問の大きな1点目、彼岸市の開催に対する支援についてお答えいたします。
当市におきましては、地域の
にぎわい創出と活性化を図るため、これまで彼岸市の運営に対する補助を行い、長い歴史を持つ市の代表的な
伝統行事の継承に努めてきたところでございます。
市内で実施される様々な
イベントにおきまして、開催に係る経費の増加や収入の確保などといった大きな課題が生じており、主催者の皆様が苦慮しておられることは私どもも承知をいたしております。
御指摘の彼岸市におきましても、近年、
ごみ処理や警備員の配置等に係る経費が増加をしており、安全面・衛生面からも欠かせない経費であること、また、露店数の減少などにより収入の確保も困難な状況となっていることなどから、
開催経費の負担が増大している状況にあると伺っております。
市といたしましては、
事業主体である
大田商工会議所を中心に、引き続き
関係機関と連携しながら、彼岸市を継続・発展していくための手法等について一緒になって考え、取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
[
環境生活部長 藤原和弘 登壇]
○
環境生活部長(
藤原和弘) おはようございます。
議員御質問の大きな項目の2点目の1点目、
大田市内における
再生可能エネルギー設置状況と今後の見通しについてお答えいたします。
市内に設置されている
再生可能エネルギー発電設備は、太陽光、風力、水力の3種類となっております。国の固定価格買取り制度の開始以降、資源エネルギー庁が
再生エネルギー発電設備の
導入状況等を公表しており、
市内太陽光につきましては、平成26年4月時点で
導入件数が545件、容量は4,789キロワットでしたが、令和5年9月時点では
導入件数が969件、容量は2万2,925キロワットになるなど、当市においても設置が増大しているところでございます。
今後は大田市
環境総合計画に掲げる
再生可能エネルギー導入によるCO2
削減目標13万7,000トンの達成に向け、
太陽光発電設備や
木質燃料活用機器等の
設置費用補助などを行いながら、導入を促進してまいりたいと考えております。
続いて、御質問の2点目、
再生可能エネルギー発電設備の
設置基準についてお答えいたします。
当市では、
再生可能エネルギー設備の設置を行う事業者に対し、平成31年4月に策定した大田市
再生可能エネルギー設備の設置等に関する
ガイドラインを遵守するよう求めております。
この
ガイドラインには、事業者に対して
関係法令を遵守し、再
エネ設備を設置する地域の自治会や
近隣住民及び地権者へ計画の概要を明らかにすることや、設備の設置に当たり配慮すべきこと、さらには適切な管理に努めることなどについて定めているものでございます。
また、対象となる設備の設置が
開発事業に該当する場合には、大田市
民間開発事業指導要綱に基づいた対応を行うことといたしております。
続いて、御質問の3点目、
再生可能エネルギー発電設備の適切な設置に関する
条例制定についてお答えいたします。
地球温暖化対策において、
再生可能エネルギーは必要不可欠であり、国としても最大限の導入を促進いたしております。一方で、
土砂流出や濁水の発生、景観への影響、
生活環境への影響も懸念されることから、国では環境と調和した形での
事業実施を目的に、
各種ガイドラインを策定しているところでございます。
当市といたしましては、現時点で
条例制定までは考えておりませんが、事業者に対し、適切に事業が行われるよう、
関係法令や国及び市の
ガイドラインの遵守を求めてまいります。
なお、市の
ガイドラインにつきましては、国の
ガイドラインを参考に見直しを検討してまいります。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) まずは、
楫野市長、新年度の予算、彼岸市への前年と変わらない支援いただきましてありがとうございます。楽しみにしております市民の一人として、また現行を大幅に変えずに済んだことに感謝申し上げまして、再質問に移りたいと思います。
登壇で述べましたように、彼岸市、3つの高市と言われるものがありまして、非常に重視されております。そのうち2つは神社で、
商工会議所が
事業主体になっているというのが非常に珍しい形態ということで、私も例えば鳥取県溝口の彼岸市をお聞きしたり、また江の川祭、会議所さんも関与しているということでお聞きしたんですけれども、なかなか
事業主体でやっているというパターン珍しくて、ありませんでした。
そういったところから見ても、
商工会議所の
開催負担の増大を理解していただいているんでしたら、もう少し財政的な支援を充実させることができないものなのか伺います。
○副議長(
塩谷裕志)
郷原産業振興部長。
○
産業振興部長(
郷原寿夫) 現在、彼岸市に関しましては、春と秋の年2回の
開催経費に対しまして30万円の補助を行っているところでございます。
登壇して申し上げましたとおり、近年
イベントの開催に当たりまして、経費の増加に加えて収入の確保も困難となるなど、大変厳しい状況が続いておりまして、主催者の皆様の負担が大きくなっているということは承知をしております。
市内では様々な祭りですとか
イベントが開催されておりまして、他の地域で取り組まれている行事等に対する
支援状況ですとか、当市の
財政状況などを鑑みますと、彼岸市の開催に係ります補助金の充実、増額といったところは難しいものというふうに考えておるところでございます。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 補助金の増額が難しいようです、そういうお答えだったんですけれども、彼岸市の決算書を見ると、
仮設トイレの設置に結構経費かかっております。
公衆トイレが減少したこと、また駅前の商業施設がなくなったことも理由としてありますので、全部とは言わないんですけれども、一部でも市が設置していただけないものなのか、再度支援について伺います。
○副議長(
塩谷裕志)
郷原産業振興部長。
○
産業振興部長(
郷原寿夫) 彼岸市におきましては、
事業主体の
大田商工会議所によりまして、現在
仮設トイレを10基設置をされているというふうに伺っております。
市といたしましては、
イベントの開催に当たりまして、衛生面等々から考えますと、
仮設トイレが必要だということは認識はしておりますけれども、個別の行事に係ります
仮設トイレの設置を市で行うということは難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) トイレ、難しいようでしたら、では、2001年の明石の
花火大会事故でも報道されましたけれども、
リスクマネジメントが非常に問われる時代となっておりまして、警備に最も経費がかかるんですよね。その中でも、一部でも警備員の配置、市のほうからしていただけないのか、
再々度支援について伺います。
○副議長(
塩谷裕志)
郷原産業振興部長。
○
産業振興部長(
郷原寿夫) 毎回、市内外から3万人以上の多くの皆様にお越しをいただいております彼岸市におきましては、人員整理や誘導・案内を行い、議員からも出ましたけれども、事故を防止して
イベントを安全に開催するために
警備体制を整えるということは非常に重要であろうというふうに認識はいたしております。
全国的にも警備員の人件費、これが高騰しているということから、
開催経費の負担が増大をしているという状況にございますけれども、市といたしましては、厳しい
財政状況の中、先ほどの御質問にもございました
仮設トイレの設置同様、個別の行事に係ります警備員の配置を市で行うということは難しいというふうに考えております。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) なかなか支援が難しいということなんですけれども、
歩行者天国の範囲内でも、例えば危険な老朽化した建物が何か所かあって心配する声も挙がっておりますし、昨年
ごみ処理も産廃扱いで、処理場への持込みで非常に混乱したということで、いろいろ御苦労がありますので、もう少し支援していただいてもいいのではないかなと思うんですけれども、
商工会議所自体、商工業の発展を図る、そういった事業を行うのが本来の目的でありまして、しかしながら同時に営利を目的としない強い公共性を持った公益法人でもありますので、
伝統文化を守るためであったり、まちの
にぎわいを考えてこういう事業を行っていることをぜひとも御理解していただきたいと思います。
答弁にありました彼岸市を継続、発展していくための手法等について一緒になって考え取り組みたいとは何であるのか、改めて伺いたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
郷原産業振興部長。
○
産業振興部長(
郷原寿夫) 登壇してお答えをいたしましたとおり、彼岸市は長い歴史を持つ市の代表的な
伝統行事でございまして、この
伝統行事を継承していくということは非常に大切なことだというふうに考えております。
市といたしましては、先ほど来、申し上げておりますけれども、これまで以上の
財政支援を行うということは難しいというふうに考えておりますけれども、彼岸市の開催に当たりまして、より多くの収入を確保するための方法や取組、例えばクラウドファンディングなどによって寄附を募るなど、財源を確保していくための手法等につきまして、主催者である
大田商工会議所を中心に
関係機関と連携をしながら、彼岸市の継続、発展に向けた情報共有や意見交換、こういったことを行ってまいりたいというふうに考えております。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之)
先ほど答弁で収入ということがあったんですけれども、新たな収入を確保するということは非常に重要でありまして、今日は彼岸市取り上げましたけれども、他の
伝統行事であったり祭りを見ると、やはり同じように、今後も継続していくためにそういった財政的な懸念があるのには変わりないのかなと思います。
そこで、例えば
ふるさと納税の
寄附活用メニューに祭りや
伝統行事への支援をプラスして、例えば返礼品であれば彼岸市の買物券をプラスするなどして工夫しながら、できれば新たに基金もつくって開催の支援ができないものなのか、伺います。
○副議長(
塩谷裕志)
郷原産業振興部長。
○
産業振興部長(
郷原寿夫) ただいま議員さんのほうからございました
ふるさと納税の活用というところでございます。
現在、当市におきましては、
ふるさと納税を活用する
モデルメニューというものを設けまして、皆様からの寄附により財源確保を図っているというところでございます。
ふるさと納税を活用する事業につきましては、市で実施をしております様々な施策の中から、重要度や
優先順位などを勘案して現在9つの
メニューを設定しているところでございます。
新たな
メニューを設ける際には、大田市を応援してくださる市内外の多くの皆様のお気持ちにお応えをしていくということが必要だと考えておりますけれども、その際には、事業の
優先順位などを踏まえる中で慎重に考えていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 慎重に考える必要があるということなんですけれども、
大田商工会議所さん、今回
ディスカバー農山漁村(むら)の
宝グランプリ受賞など、非常に結果も出しておりますので、彼岸市の負担でほかの事業に支障がないように、今後も継続的な支援の検討をお願いしたいと思います。
次に、
再生可能エネルギーのほうの再質問に移りたいと思います。
大田市においても
設置件数が増えている
太陽光発電について、これまで市内で設置したことによる苦情や問題があったのか、伺いたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘)
太陽光パネルを設置するに当たり、山林を伐採することによる
土砂災害の発生や、また反射光を心配される方からの相談は数件ございました。
市では、
太陽光パネル設置計画の情報を入手した時点で、事業者に対しまして市の
ガイドラインを送付し、
ガイドラインに沿った
事業実施となるよう周知をいたしているところでございます。
なお、
太陽光パネルが設置されて以降、問題が起こったというような情報はこちらのほうに入ってきておりません。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 私のほうでも、例えば大田町なんかでも、濁水や土砂が流れて側溝にたまるなどの心配する声もお聞きはしました。私が聞いた範囲では、地元事業者さんがきちんと対応されて、その後、問題にはなっていないんですけれども、今後も全くないとは言い切れないと思うんですよ。
そういった状況となることも考えて、そもそも大田市として事業者による
太陽光発電の設置について把握ができているのか、伺いたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) 事業者等が設置いたしております
太陽光発電設備につきましては、資源エネルギー庁が公開をしておりますウェブサイト、なっとく!
再生可能エネルギーで市内20キロワット以上の
太陽光発電設備の事業計画認定情報で把握をいたしております。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 計画認定、国のホームページで把握しているというんですけれども、ホームページ、これ誰でも見れるので、大田市で把握しているというのはちょっと微妙なラインかなとは思うんですけれども、それを百歩譲ったとしても、この計画認定、20キロワット未満は除くとなっております。大田市の
ガイドラインは10キロ以上を対象にしているようですけれども、10キロ以上で20キロワット未満の設置状況の把握はどうなっているのか、伺いたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) 議員御指摘のとおり、市の
ガイドラインでは10キロワット以上の
太陽光発電設備の設置を行う事業者に対しまして、事業計画、説明会の内容、住民の理解について報告を求めております。
しかしながら、報告を行っていない事業者もございまして、十分な把握ができている状況にはございません。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 発電能力によっては十分な把握ができていないということなんですけれども、次に、区域について確認をしたいと思います。
大田市の景観計画にあります自然環境保全や、石見銀山景観保全地域には事業用の
太陽光発電設備の設置はできるのか、伺いたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) 石見銀山景観保全区域での
太陽光パネル設置につきましては、周辺環境へ調和させるなど、歴史的景観への配慮が必要となってございます。石見銀山景観保全審議会での審議が必要となります。
次に、環境保全地域では、大田市環境保全条例により一定基準を超える行為に対しまして届出を義務づけているところでございます。
なお、自然公園区域では、工作物の新築や増改築に当たりましては、環境大臣の許可が必要となっております。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 基準内の設置であれば規制はないということなんですけれども、現在こうした地域に
発電設備は実際に設置されているのか、少しお聞きしたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) まず、石見銀山景観保全地域につきましては、面積が1,000平米を超えないものであれば、石見銀山景観保全審議会の意見を基に市が許可を行った場合に設置が可能でございます。実際に設置された事例もございます。
ちなみに、重要伝統建造物群に指定されるよりも以前に
太陽光パネルが設置された事例がございますが、指定後、現状変更届が必要となったため、
太陽光パネルを設置された事例はございません。
また、自然環境保全地域につきましては、個人の屋根に設置されている
太陽光発電は10件程度ございますけれども、20キロワット以上につきましては、
太陽光発電についてはございません。風力発電が1件あるという状況にございます。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) よく理解できましたけれども、そもそもこの
発電設備の設置に関しまして、大田市は条例ではなく
ガイドラインを遵守していただくとか、
開発事業指導要綱による対応を行うという答弁ありましたけれども、こういったものの強制力というのはどこまであるのか、お聞きしたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) 大田市
再生可能エネルギー設備の設置等に関する
ガイドラインでは、
近隣住民等に計画概要を明らかにすることや、設備の設置に当たり配慮すべきこと、適切な管理に努めることなどをお願いするものでございまして、強制力まではございません。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 強制力はないということで、まさにポイントがそこでありまして、全国の自治体で
ガイドラインや開発指導要綱では必ずしも対応できなかったという現実があって条例を制定されているわけですよね。
いろいろな自治体担当者に電話してお話をお聞きはしたんですけれども、その条例を見た限り、危険なところに設置させないと
周辺住民の理解を得るという、大きく分けてこの2つがポイントかと思います。こういった当たり前のことを促すためにもやはり
条例制定が必要ではないかと思います。再度伺います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) 登壇で申しましたけれども、現時点では
条例制定までは考えておりませんが、今、国のほうでも特措法改正など、それから
ガイドラインの見直しを行っておりますので、そういったことを参考にしながら進めていきたいと考えております。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) 最後になりますけれども、私がお電話して聞いた中で、また条例を参照した中では、千葉県の野田市さんが非常に詳細なというか、詰めた
条例制定しておりまして、災害時や
事業終了後の撤去等も考えて、例えば損害保険の加入の義務化を
条例制定するとか、空き家の略式執行のところでも少し問題になったんですけれども、上物と底地の所有者が違うというところで、土地の所有者の責務を条例にきちっと明示して、なおかつ届出のときに同意していただくとか、そういった工夫をしながら設置を促しているんですね。せめて
再生可能エネルギーの事業用発電の設置状況、今後は市がしっかりと把握して、関与する余地をつくって、そういったことに努めていただきたいと思います。
最後、何か御所見がありましたら伺いたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志)
藤原環境生活部長。
○
環境生活部長(
藤原和弘) 設置、うちのほう今なかなかできていない状況でもございますので、これからは把握に努めて、できるだけ事業者さんに対して市の
ガイドライン、国の
ガイドライン、法令を遵守していただくようにお願いしながらやっていきたいと思っております。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 8番、
根冝和之議員。
○8番(
根冝和之) ぜひ、ぜひというか、切に
条例制定を願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○副議長(
塩谷裕志) 続いて、13番、松村信之議員。
[13番 松村信之 登壇]
○13番(松村信之) 13番議員の松村でございます。
私は、さきに通告しておりますとおり、令和6年度の施政方針について一括質問答弁方式での質問をいたしますので、
楫野市長をはじめ、関係部長におかれましては、しっかりと思いの丈を述べていただきたいと思います。
来年度の予算概要を見ますと、241億5,000万円の大型予算が組まれております。そこで、1点目の質問ですが、施政方針を開きますと、「はじめに」として、大田市駅周辺のまちづくりとJR大田市駅前周辺東側土地区画整理事業の着実な推進、行政のデジタル化や公共施設の適正化を含む行財政改革などに取り組む。また、老朽化施設の改修を検討する中で、新庁舎の整備、子育てに係る総合支援拠点施設整備、小・中学校の再編などに着手すると掲げてあります。
その中でも、私は新庁舎整備についての、長年の課題であり、財政が厳しい中でも避けて通れないものと思いますので、お聞きいたします。
振り返ってみますと、
楫野市長が就任する前の平成25年に本庁舎の耐震診断をしたところ、耐震性が不足し、建物の崩壊の危険性があると診断されました。
そこで、平成30年3月には、大田市公共施設適正化計画を策定し、本庁舎については早急かつ最優先で耐震化、または必要規模での建て替えが必要と位置づけた矢先の4月に、皆さんも御記憶にあるでしょうが、島根県西部地震が発生したのです。そのときこの庁舎は外壁材の剥離、内壁に無数のクラック、屋外階段や敷地擁壁の破損等が発生しました。あのような地震災害が起これば、この庁舎では市民を守ることができない。早急な災害処置もできないとの思いから、市庁舎耐震化等整備検討委員会を設置し、令和3年からは建設に対する基金の創設もされました。
そして、その年の12月には、我々市議会へ本庁舎整備の進め方案、つまりは大まかなスケジュールと基本構想の基となる案を示されました。その内容は新庁舎の建設場所の位置や選定、新庁舎の規模、事業費の考え方などについて説明しながら取り組んでこられました。そのときの概算事業費は、昨日も話に出ておりますが、約30億円でした。翌、令和4年度には、「市長と語ろう~大田市役所本庁舎の整備について~」と題して市民へ説明もされてきました。
先月の新庁舎建設特別委員会で示された概算での庁舎建設が、この物価高騰で約倍増、60億円と聞いたところでございます。この金額を聞きますと、立ち止まったがよい、今建て替える必要があるのか、なぜ以前に耐震化をしていなかったのかなどの声が聞こえていますが、10年も前から練りに練ったこの計画でございます。市民を守るには絶対に必要な核となる施設だと私は思っております。
また、昨年12月議会では、中期財政計画も聞いたところでございますが、改めてこのような大型公共施設の整備を計画しておられますので、この庁舎建設に対する
楫野市長の強い思いと、この核となる建設を通してのこれからの大田駅前開発も含め、大田市の将来についてお聞きいたします。
また、これから予想される大型投資時代に向けての財政の見通しについてもお聞きいたします。
次に、新年度における主要な項目より1点お聞きいたします。
市政運営に大きな影響を及ぼす人口減少への対策は、当市だけでなく、全国的な最重要課題です。昨年の3月議会においても、私は加速する人口減少にどのように具体的に対処するのか、質問いたしました。昨年の答弁では、大田市の魅力を発信し、総合的な人口減少対策を令和6年、今年度からですが、具体的な事業に取り組むと答弁されました。
それでは、今年度、着手される総合的な人口減少対策事業は、様々な統計データの分析、市民アンケートや子育て支援団体などにもヒアリングを実施し、また各種
関係機関や子育ての世代の方々で構成する調査検討委員会で協議を重ねてきたと記述してありますが、統計分析結果からどのようなことが分かったのか、市民アンケートの結果から得られたものは、調査検討委員会ではどんな話や問題提起がなされたのか、また、3月30日に開催予定されている市民フォーラムの内容についてお聞きいたします。
以上、登壇しての質問といたします。
○副議長(
塩谷裕志)
楫野市長。
[市長 楫野弘和 登壇]
○市長(楫野弘和) 皆さん、おはようございます。松村議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、市役所新庁舎について、私の思いを改めて述べさせていただきます。
現在の本庁舎は建築後、既に42年が経過しており、平成25年度の耐震診断では現在の耐震基準を満たしていないと診断をされています。
また、経年による老朽化に加え、平成30年4月の島根県西部地震により建物全体に大きなダメージを受け、雨漏りや外壁の剥落などの劣化が至るところで見受けられることから、躯体そのものの劣化も想定され、もう一度大きな地震が来た場合には倒壊する危険性が高いと考えております。
このような本庁舎の状況を受けまして、万が一大きな地震が発生し、甚大な被害を受けることになれば、来庁者や職員の安全が確保できないだけでなく、災害対応の司令塔となるべき市役所が機能不全に陥り、防災拠点の役割が十分に果たせない、行政サービスが停止し、混乱を招くといった深刻な事態が想定されることから、新庁舎の整備が必要であると判断したものでございます。
さらに、大田市駅前に新築することで、これからの行政サービスの多様化やデジタル化への対応、公共交通機関の活用、大田市駅周辺の
にぎわいづくりにも寄与できるものと考えております。
少し詳しく申し上げさせていただきます。大規模災害時の他市の事例を見ますと、平成28年度の熊本地震で最大震度7を観測し、甚大な被害を受けられた熊本県益城町の震災記録によれば、町本庁舎が被災したため、本庁舎駐車場、保健福祉センターの間で災害対策本部の移転を繰り返すなど、混乱が生じ、災害対策本部の事務局はその機能を果たすことができず、その結果、災害対策本部機能は麻痺したとあり、大変な御苦労をされた様子がうかがえます。
一方で、本年1月1日の能登半島地震で最大震度6強を観測した石川県能登町では、先般大田市からも職員を派遣いたしましたが、派遣職員の報告によりますと、令和元年に新築した町役場には被害がなく、速やかに災害対応ができたようでございます。
このように、庁舎が健全である場合とない場合とでは、被災後の災害対応や通常の行政サービスの提供に大きな差が出てまいります。他市の事例、過去の教訓に学び生かすことが健全な市政の運営につながるものと考えます。
新庁舎整備の検討につきましては、これまで市民や市議会への説明や意見交換を行うなど、段階を踏んで検討、議論、方針決定し、進めてまいりました。
経過を申し上げますと、まず現庁舎の耐震化か建て替えかを選択するために、庁舎規模や建築単価を当時の他市の状況から仮設定の上、比較検討し、建て替えをするほうが単年度当たりの財政負担が軽くなることから、建て替えが有利と判断いたしました。
次に、1か所集約型か分庁舎型か、整備場所はどこがよいかなど、利用者の利便性や業務効率、行政サービスの向上や
にぎわい創出といった効果も見据え、市議会議員の皆様はもとより、市長と語る会等で市民と意見交換をし、ここでの意見でも多く見られた、大田市駅前周辺東側土地区画整備事業地内へ集約して整備する方針を立て、昨年度末に基本構想を策定いたしました。
そして、このたびこの方針に基づき直近の情報を基に庁舎規模や概算事業費を試算し、基本計画案としてまとめたところでございます。
このように新庁舎整備に当たって選択を迫られた場面ごとに1つずつ議論し、最適と思われる手法をもって方針決定し、着実に進めてまいりました。
これまでの検討状況については、市のホームページの情報発信はもとより、市長と語る会や先般の検討状況報告会等により市民の皆さんへの説明や意見交換をし、また市議会においても特別委員会や全員協議会を通して、その都度報告をしていたところでございます。
このたびの基本計画の中で、概算事業費を81億円から85億円と見込んだところでありますが、これは現段階での計画であり、今後の設計において施設規模や事業費、財源等の検討・精査を進め、財政負担の縮減につながる工夫をしていきたいと考えております。
財政状況が厳しい中ではありますが、新庁舎整備は避けては通れないものであり、適正な整備に向けて着実に事業を進めていきたいと強く思っております。
次に、今後予定しております大型建設事業の実施に向けての財政見通しについてお答えを申し上げます。
初めに、昨年12月に公表いたしました中期財政見通しの内容につきまして、改めて説明をさせていただきます。
今回の財政見通しにつきましては、令和5年度決算見込額及び今後の事業計画を基に、令和6年度から令和10年度の今後5年間における財政収支を推計したものでございます。その歳入につきましては、将来の国に財政対策や県の補助制度に不確定な要素が多いことから、厳しく見積りを行っております。
一方で、その歳出につきましては、現時点で必要と考える事業、また想定される事業を全て見込むこととし、特に市役所新庁舎やこども家庭総合支援拠点施設、大田小学校新校舎等の大型建設事業につきましては、他自治体の先行事例等を参考としつつ、資材価格等の高騰による建設物価の上昇傾向を踏まえ、概算事業費として計上したものでございます。
その結果、令和7年度には財政調整基金が枯渇し、令和8年度以降は毎年10億円を超える収支不足が発生する大変厳しい財政見通しになったところでございます。しかしながら、これまでの財政見通しにおきましても、試算上は3年後に財政調整基金が枯渇し、収支不足が発生するとなっていたものが、予算の編成段階における財源確保、また執行段階における経費節減等により、各年度の決算ではそうならないように努めてきております。
例えば令和4年度の結果について申し上げますと、令和3年度に推計した財政見通しにおいては、財政調整基金から3億7,000万円、減債基金から3億円を取り崩した結果、年度末の基金残高については37億7,000万円になると見込んでいたものが、年度中の財源確保や経費節減等の取組により、最終的な決算では財政調整基金や減債基金を取り崩すことなく、さらには減債基金や公共施設総合管理基金などの基金に7億8,000万円の積立てを行うことができました。この結果、基金残高は、前年度に比べ逆に3億3,000万円増額の56億円余りの残高を確保することができております。
毎年度このような結果となるわけではありませんが、今後とも不断の取組を進めてまいります。
また、今後の大型建設事業につきましては、施設の老朽化や耐震性の問題から早急な対応が必要であると判断しており、人口減少、少子化対策等を含め、様々な重要課題に対処していくためには、各事業の財源確保はもちろんのこと、収支改善の取組をこれまで以上に強化する必要があるものと考えております。
そのため、令和7年度までの財政運営の指針であります中期財政運営方針につきまして、当初の予定から1年前倒しして見直しを行うこととしており、総人件費の抑制や公共施設の適正化を図るとともに、当初の目的を達している既存事業の廃止や見直しを重点的に実施するなど、行政サービスの抜本的な見直しを進めてまいりたいと考えております。
これらの取組を通じて、先送りできない大型建設事業を進めつつ、今後とも持続可能で健全な行財政運営を行ってまいりますので、何とぞ御理解賜りますようお願い申し上げます。
○副議長(
塩谷裕志) 尾田
政策企画部長。
[
政策企画部長 尾田英夫 登壇]
○
政策企画部長(尾田英夫) 御質問の2点目、総合的な人口減少対策事業についてお答えいたします。
本市では、加速する人口減少に対し、定住支援、多様な働き場の確保、結婚相談支援、子育て支援、教育環境の整備など、様々な取組を進めてまいりましたが、10年前におおむね240人前後で推移していた年間出生数が、昨年は159人にまで減少するなど、人口減少に歯止めがかかっていない状況でございます。そのため、今年度は総合的な人口減少対策事業に着手し、改めて現状の調査・分析に取り組んでまいりました。
調査により、10代後半から20代の流出超過が著しく、その後のU・Iターンでは流出を補い切れていないことに加え、特に女性においてその特徴が顕著であることのほか、人口動態や状況は市内一律ではなく、地域により特徴が異なることも見えてまいりました。
市民アンケートや子育て支援団体へのヒアリングでは、パートナーとの出会いのきっかけとなる場が職場以外には極めて少ないことや、公的な子育て支援に対する満足度は高いものの、子供と遊びに行ける場所や同年代の子供同士を遊ばせる機会がない、そして就学に係る援助などを求める声も聞かれました。
これらの状況は、
関係機関や子育て世代の方々で構成する大田市総合的な人口減少対策調査検討委員会において確認、審議され、今後の具体的な対策の検討に向けて4点のキーワードが浮かび上がってきました。
1点目は、仕事と家庭の両立を安心して実現できる働く場、2点目は、地域を超えて異なる背景や価値観を持つ人が集まる交流の場、3点目は、地域の文化や歴史を守り、次世代に伝える役割を果たし、住民同士のつながりを強化する地元の場、4点目は、安全で快適な生活を実現するための基盤となる居住の場でございます。
これらのキーワードを踏まえ、市及び調査検討委員会では、3月30日に男女共同参画センターあすてらすにおいて大田市未来展望フォーラムを開催いたします。
このフォーラムは3部構成としており、第1部では、各種統計データやアンケートなどの調査分析結果を報告し、第2部では、調査分析結果を踏まえた調査検討委員会での検討状況報告、そして地域での取組を想定したアクションプランの提案を予定しております。そして、第3部のパネルディスカッションでは、子育て世帯、高校生、Ⅰターンの方々をパネラーとして、人口減少対策に対する考え方や未来に向けた提言などをいただきたいと考えております。
ぜひ多くの市民の皆様にお出かけいただき、人口減少対策について共に考えるきっかけとなるよう、開催の周知にも努めてまいります。
○副議長(
塩谷裕志) 13番、松村信之議員。
○13番(松村信之) それでは、再質問をさせていただきます。
先ほど熊本の地震等々、市長のほうから言われておりました。私も実際に熊本に行って、益城のほう、大変な状態だなと思ったことを今思い浮かべているところでございます。
また、この質問をするに対して、能登半島の輪島市、珠洲市等々、庁舎はどうなっておるんかなとの思いからネットで調べたところ、あそこは20年前ぐらいに両方とも耐震化をきちっとされている、びくともしていない、その様子がインターネットで絵になって映っているところでございます。
大田市は、それではなぜ耐震化ができなかった、そのときに、過去を振り返ってみますと、
大田市民会館の耐震化、大田一中の耐震化、この2つの耐震化をしております。また、次には大田市立病院の建設があるから、この庁舎については何も手をかけていないというような状態ではなかったかなと今想像しているところです。先ほど過去の教訓に学べということですので、少しその辺のところを思い出しながら質問席に座っていたところでございます。
それでは、まず、1点目の再質問のほうにいきたいと思います。
市庁舎や学校施設をはじめ、大田市の抱える公共施設の大半が老朽化しております。
財政状況が厳しい中、いかにして今ある施設を有効活用していくのか、我々みんなが知恵を絞りながら考えないといけないと思います。
また、人口減少や社会の変化に応じながら、対応しながら、今後も残す施設、統合する施設、そして廃止する施設の精査も行わないといけません。1つだけの公共施設ではなく、総合的にあの施設もこの施設も、また総合的にあの事業もこの事業も進めていかなくてはいけないと私は思っております。
しかし、施設はいつか必ず壊れます。残さないといけない施設であれば、いつかは建て替えの時期がやってくるのです。市長は真正面からこの難しい課題に立ち向かおうとされております。私たち市議も市民の皆様も、その課題に対し、難しい判断をしないといけないときです。
これから先、これまで以上に公共施設の適正化を推進していく必要があります。市長は適正化にいかにして取り組んでいくのか、市長のお考えを聞きます。
次に、2点目につきましては、昨日石田議員の質問に対し、当初予算で概要で示されております婚活活動につながるメタバースについて説明を受け、さらには市長の思いもお聞きいたしましたので、改めての再質はいたしません。
そこで、尾田部長におかれましては、長年部長を務められておられましたが、今月で退職とのことをお聞きいたしました。本当に長年大田市のため御尽力をいただき、誠にありがとうございました。今後は大田市のため、地域のため、一市民としてさらに支えていただきますようお願いいたします。本当にありがとうございました。御苦労さまでございました。
それでは、これで再質問といたしますので、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
○副議長(
塩谷裕志)
楫野市長。
○市長(楫野弘和) 松村議員御指摘のとおり、大田市の抱えております公共施設につきましては、その多くは建設から相当年数が経過しております。大規模改修や建て替えが同時期に集中し、財政が逼迫することが見込まれましたことから、平成27年3月に大田市公共施設白書、平成28年3月に大田市公共施設総合管理計画、そして平成30年3月には大田市公共施設適正化計画をそれぞれ策定いたしまして、令和27年には施設面積を30%以上削減する目標を立てて、公共施設の適正化に取り組んでいるところでございます。
この適正化計画の中では、当時の全ての公共施設をそのまま維持したと仮定した場合、試算では更新するための投資額が30年間で668億円、年平均で約23億8,000万円が必要としており、財政に大きな負担を強いることを指摘しています。このような状況を改善し、財政の健全化を図るためには、公共施設適正化計画の推進が欠かせないものであると考えております。
市役所新庁舎や子育て支援拠点施設、また学校再編に伴う校舎整備など、現在進めております施設だけでなく、例えば
大田市民会館やまちづくりセンターなど、現段階ではまだまだ具体的な整備方針の作成に至っていない施設も当然老朽化が進み、将来的には改修、あるいは建て替えが必要となってまいります。
これらの大田市にとって必要な施設を整備するためにも、目的を終えた施設は廃止、民間や地域で利用できる施設は移管、同様の施設は統合や複合化、そして必要不可欠な施設に絞り、改修や建て替えを行うという基本方針の下、公共施設適正化計画を実現させていく必要がございます。施設を利用されている皆様には御不便をおかけすることもあると思いますが、何とぞ御理解と御協力をいただきますよう、お願いしたいと思います。
大田市の未来に向け、引き続き公共施設適正化計画の推進に取り組んでまいりたいと思います。
施政方針でも述べましたが、2期目の市長就任に当たりまして、今後10年を見据えた市政運営を目標に掲げております。市役所新庁舎及び子育て支援拠点施設の整備を含め、中心市街地の整備を進めることでまちの活性化も期待できると考えております。
また、学校の整備を進めることは、将来の大田市を担う子供たちにとってよりよい教育環境を確保していくものでございます。
これらの取組は明るい未来をつくるための礎となるものと思っております。
一方、新しい時代をつくるには、産みの苦しみが伴います。そのため、現在を生きる私たちの世代は一定の我慢を受け入れざるを得ないと思います。
大田市の将来を考えますと、極めて難しい行財政運営を強いられることになりますが、課題を未来へ先送りすることはできません。物価高騰など、市民生活も大変な中ではございますが、時には市民負担の増加やサービスの低下につながることもお願いさせていただく必要もあると思っております。
今だからこそ市民の皆様、事業者の皆様、関係される皆様と対話をし、共に考え、共に行動する共創のまちづくりが求められていると考えております。
市議会議員の皆様をはじめ、多くの市民の皆様の御理解と御協力を切にお願いするものでございます。
○副議長(
塩谷裕志) 13番、松村信之議員。
○13番(松村信之) 答弁で先ほど産みの苦しみ、我慢だよというようなことも聞かれたわけですが、これが私の今回最後の質問となります。
先日、こんなインタビュー記事がネットに上がっておりましたので、御紹介いたします。何もしなければ批判されない。しかし、何か企画すれば批判をされる。これが失われた30年、日本を支配している空気だと、この言葉は元東京都知事の猪瀬直樹さんが新聞社のインタビューに答えておられたものです。
私は全くそうだよなあなんて読んだのですが、やろうとしてもできなかった事情もありますし、しかし、今新庁舎建設には、練りに練って建設しようと企画されております。先ほども答弁で、先送りできない大型建設事業を進めつつ持続可能で健全な財政運営に努めると述べられました。そうなると、何もかも一昔のままでよい、ばら色の世界というわけにはいかないと私は思います。
そこで、先ほど市長も言われたように、キーワードになるのが我慢ではないかなと私も思います。批判されるのも我慢して、我慢して、これからの未来の大田市に何かをしっかりと残していかなくてはいけない。このような思いで私は現在おりますが、市長さん、何かこのことについて所見がありましたらお願いして私の最後の質問といたします。
○副議長(
塩谷裕志)
楫野市長。
○市長(楫野弘和) 先ほど我慢のお話もさせていただきましたが、実は人間は我慢だけでは生きられない。やっぱり明るい未来を信じられるかどうかが我々政治、行政に携わる者の努めだと思っております。
今回の新庁舎の整備につきましても、将来の明るい未来に期するものでなければならないと私は信じているところでございます。ややもすると、今回のたくさんの建設事業は、箱物、昔よく言われました箱物行政だというふうな批判を受けることは承知の上でございますが、今整備しようとしている箱物は、未来の
大田市民、子供たちも含めて
大田市民にとって必要不可欠なものであるからこそ今やらなければならない、そういう思いで私は批判を覚悟で推進させていただいているところでございます。私に対する批判はしっかり甘んじて受けますが、市民にとって、大田市の未来にとって必要不可欠なものだろうと思っています。
一方で、先ほど我慢と申し上げましたけれども、一定の、我々が我慢して、今使っている施設が使えなくなる、今回のサンレディーの問題、大変利用者の皆様には非常に苦しい思いをさせてしまったのは私も本当につらい思いでございますが、こういうこともこれからも生じてくるということは御理解していただきたいと思います。
これもやはり大田市を持続可能なまちにしていくための取組であることを重ねて御理解をお願いを申し上げまして、私の答弁といたします。
○副議長(
塩谷裕志) 13番、松村信之議員。
○13番(松村信之) これで私の質問を終了いたします。ありがとうございました。
○副議長(
塩谷裕志) ここで10分間休憩いたします。
午前10時13分 休憩
午前10時23分 再開
○副議長(
塩谷裕志) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
2番、伊藤康浩議員。
[2番 伊藤康浩 登壇]
○2番(伊藤康浩) 皆さん、おはようございます。2番議員の伊藤康浩でございます。
まず、このたびの令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、余震が続く中、被害を受けられた皆様の安全と、一日でも早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈り申し上げます。
さて、私はさきに通告をさせていただきましたとおり、大田市における障がい者支援の取組状況と課題について、一問一答方式で質問をさせていただきます。
障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、障害者総合支援法は、法に基づく日常生活、社会生活の支援が共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることをこの法律の基本理念として掲げています。
大田市においても、障がいのあるなしにかかわらず、だれもが住みよく、安心・安らぎを感じるまちづくりを基本理念に据え、現在第2次障がい者計画・第6期障がい者福祉計画・第2期障がい児福祉計画を策定され、障がい者自立支援協議会を立ち上げ、障がい者就労施設等からの物品等の調達等、様々な取組を実施されております。
そこで、次の3点について伺います。
まず、1点目ですが、公共交通機関のバリアフリー化の状況についてです。車椅子使用者の市内公共施設や公共バスの乗降、また大田市駅の車椅子の使用者への利便性について、大田市の現状をお聞かせください。
2点目は、障がいのある方への就労支援についてです。障がいのある方への就労支援について、現在どのように取り組んでおられるのか、お聞かせをください。
3点目は、先ほど申し上げました障がい者就労施設等からの物品等の調達についてです。
ここに私が大田市のホームページからつくった過去10年間の調達状況のデータがあります。大田市では、この障がい者就労施設等からの物品等の調達について、毎年目標金額を設定されておられます。
しかし、私の作成データを見ると、平成29年度までは目標達成率は100%を超えておりました。しかし、平成30年度以降、恐らく新型コロナの影響だとは思いますが、下降の一途をたどっており、昨年度は目標達成率が73.38%と最も低い数値になっております。新型コロナも昨年5月には5類感染症に移行し、今では町なかでも新型コロナの影響は感じられなくなってまいりました。
そこで、障がい者就労施設等からの物品等の調達について、取組状況をお聞かせください。6年ぶりの目標達成を心から願っています。
以上、登壇しての質問とさせていただきますので、御答弁よろしくお願いいたします。
○副議長(
塩谷裕志) 尾田
政策企画部長。
[
政策企画部長 尾田英夫 登壇]
○
政策企画部長(尾田英夫) 御質問の1点目、公共バス及びJR大田市駅など、公共交通機関における車椅子利用者への状況についてお答えいたします。
まず、公共バスにつきましては、石見交通大田営業所に問い合わせたところ、所有車両28台のうち26台が乗降口に段差のないノンステップバス車両となっており、介助の必要はございますが、ほとんどの便で御利用いただけるようになっています。
次に、JR大田市駅につきましても、大田市駅に問い合わせたところ、車椅子利用の方がおられた場合、駅員が乗降の介助を行うとともに、降車駅を伺ってその駅に連絡を行い、目的駅でもスムーズな対応が取れるようにしているとのことでございました。
なお、無人駅につきましては、十分な対応ができていないのが現状とのことでございます。
○副議長(
塩谷裕志) 布野
健康福祉部長。
[
健康福祉部長 布野英彦 登壇]
○
健康福祉部長(布野英彦) おはようございます。
御質問の2点目、障がいのある人の就労支援の取組状況についてお答えいたします。
障がいのある人がやりがいを持って安定して仕事を続けていくためには、本人の希望や適正を踏まえた職場とのマッチングを行い、職場の理解を得ながら伴走的な支援を行うことが求められます。
当市では、大田市障がい者自立支援協議会の就労支援部会において、大田市障がい者就業生活支援センターや石見大田公共職業安定所などの
関係機関と連絡し、障がいのある人の希望や適正を把握した上で、職場実習を通じ一般就労の促進に取り組んでおります。
実習の受入れ事業所につきましては、毎年従業員数3人以上の市内の全事業所を対象にアンケートを行い、障がい者雇用や職場実習の受入れなどの意向を確認し、例年22の事業所で職場実習の受入れを行っていただき、過去3年間で合計14人の障がいのある人が一般就労されています。
また、一般就労を目指している障がいのある人の就労意欲の向上を図ることを目的に、一般就労をしている障がいのある人の就労体験や、実習の受入れを行っておられる事業所の障がい者雇用の取組を発表する障がい者一般就労体験発表会を毎年開催しています。
そのほか、特別支援学校における進路相談会への参加や、身体に障がいのある人の通勤に対する支援として、自動車改造費用助成や運転免許取得費用助成などにも取り組んでおります。
当市といたしましては、障がいのある人がお住まいの地域で豊かな生活を送るためには、就労を通じて精神的、経済的に自立していくことが必要であると考えております。
引き続き
関係機関と連携し、障がいのある人への就労支援に取り組んでまいります。
御質問の3点目、大田市の障がい者支援施設への物品購入等の支援の状況についてお答えいたします。
当市では、平成25年4月1日に施行されました、国等による障害者就労支援施設等からの物品等の調達の推進に関する法律にのっとり、毎年度大田市障がい者就労支援施設等からの物品等の調達方針を策定し、障がい者就労支援施設等からの優先的な調達に取り組むことで、作業工賃の向上を図り、障がいのある人の自立に向けた支援をしています。
過去の調達実績につきましては、初年度である平成25年度の実績は約281万円でしたが、令和元年度の実績では約594万円まで増加いたしました。その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により実績額が減少し、令和4年度の実績は約367万円となっております。
調達実績額の減少は大きな課題であるというふうに考えておりまして、大田市障がい者自立支援協議会の工賃向上部会において対応を協議し、庁内部局と障がい者就労支援施設とのマッチングを強化するため、施設ごとに対応可能な業務を取りまとめ、庁内部局に対して周知を行い、障がい者就労支援施設等への優先的な発注に取り組んでいるところでございます。
障がいのある人のお住まいの地域での豊かな暮らしと経済的な自立の促進に向け、引き続き障がい者就労支援施設等に対する物品等の調達実績の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 2番、伊藤康浩議員。
○2番(伊藤康浩) 非常に御丁寧な答弁ありがとうございました。
それでは、再質問のほうに入らせていただきます。
まず、1点目の市内公共交通で車椅子利用をされている方の現状ですけれども、石見交通大田営業所さんが所有されている車両については、車椅子利用者が容易に利用できることがよく分かりました。
ですが、JR西日本さんの大田市駅も、結局朝夕、朝、早朝と夕方以降、無人駅になります。そのほかの駅についても、現在無人駅ですので、結局大田市においては車椅子利用をされる方の列車の利用というのが非常に難しいということがよく分かりました。
この3月補正から、教育部から車椅子利用する児童の学校施設の利便性向上のための施設改修の補正予算が提案されていますが、車椅子を利用しなければならない児童生徒さんへのフォローが大田市ではまだちょっと不十分だなというふうに正直驚いています。
平成12年ですかね、大田市が建設をした三瓶浄水場、こちらのほうにも自動の階段の昇降機が施設の見学者の皆さんの配慮のために設置をされています。私としては、教育施設については当然体制はしっかり取っておられるというふうに思っていましたが、平成25年に定められた障害者差別解消法が令和3年5月に改正されております。その際、新設をされた第3条には、国及び地方公共団体は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の効率的かつ効果的な実施が促進されるよう適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図りながら協力しなければならないと、それまで努力義務だったものが義務化をされております。また、来月の令和6年の4月1日からは、これは市内の事業所さんにも義務化をされるというふうにされております。
この件を所管される部署として、ほかの公共施設を所管する部署や市内事業所の皆さんに対して、障がいのある方への利便性向上について、これまで以上に配慮を求めなければいけない時代になっております。
そこで、伺いたいと思いますが、これまで障がいのある方への配慮について、所管される部署や市内の事業所の皆さんに対してどのような助言や協議をされ、今後またどのような指導や協議を進めていかれる御予定でしょうか、お聞かせください。
○副議長(
塩谷裕志) 布野
健康福祉部長。
○
健康福祉部長(布野英彦) 御質問の障がいのある人の利便性向上に係る大田市の公共施設所管部署や市内事業所への指導・協議をどうしているかということについてお答えをさせていただきます。
当市におきましては、第2次大田市障がい者計画におきまして、バリアフリー化の推進に係る施策を掲げております。公共施設の新設や大規模改修の際には、バリアフリー法、正式には高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律や、島根県ひとにやさしいまちづくり条例の整備基準などを遵守し、公共施設の整備を行っているところでございます。
また、障害者差別解消法によりまして、令和6年4月1日から事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されることに伴いまして、市報を通じて市内の事業者などへ普及啓発を行うとともに、当市の職員を対象に障害者差別解消法とあいサポート研修に取り組んでおります。
個別の施設整備や改修につきましては、関係部署において法律や条例などに沿った対応をしており、公共施設のバリアフリー化の推進が図られつつあるものと認識をしております。
伊藤御指摘のとおり、障がいを理由とする差別の解消に向けて、より効果的かつ効率的な施策の実施が求められていると承知しております。関係部署と連携しながら、施設の整備や改修の際には障害者差別解消法に定められる合理的配慮に努め、バリアフリー化を推進していきたいと考えております。
今後も公共施設の現状の把握に努め、障がいのある人に配慮した環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 2番、伊藤康浩議員。
○2番(伊藤康浩) ありがとうございます。恐らくこの法律が改正されることを市内の事業所の皆さんも御存じないと思いますし、また、市役所の職員の皆さんもこのことを御存じない方もいらっしゃると思いますので、引き続き啓発活動を進めていただきたいと思います。
それでは、先ほど御回答いただいた中で、障がいがある方の一般就労支援について、市内事業所の皆さんや関係各所の御協力をいただきながら積極的に取り組んでいただいているということはよく分かりました。聞いたところによりますと、市内におられる障がいをお持ちの方は約2,200名いらっしゃるようですので、一人でも多くの一般就労者が増えるように、引き続き御努力をお願いを申し上げます。
続きまして、第2次障がい者計画の14ページに、民間に率先して、市及び教育委員会において積極的に障がい者雇用を進め、障がい者雇用率の維持向上に努めますとあります。市の雇用状況について、この計画を策定された平成30年以降の雇用状況と推移についてお聞かせをください。
○副議長(
塩谷裕志) 布野
健康福祉部長。
○
健康福祉部長(布野英彦) 御質問の市及び教育委員会の障がい者雇用状況についてお答えいたします。
当市の毎年6月1日現在における障がい者雇用率は、平成30年度から令和2年度までの障がい者法定雇用率2.5%に対しまして、平成30年度は1.9%、令和元年度は2.5%、令和2年度は2.11%となっております。令和3年度から令和5年度までの障がい者法定雇用率は2.6%でございます。これに対しまして、令和3年度は2.43%、令和4年度は2.57%、令和5年度は2.43%でございます。
次に、大田市教育委員会の毎年6月現在における障がい者雇用率は、平成30年度から令和2年度までの障がい者法定雇用率が2.4%でございます。これに対しまして、平成30年度は4.27%、令和元年度は2.06%、令和2年度は1.96%となっております。令和3年度から令和5年度までの障がい者法定雇用率は2.5%となっておりまして、令和3年度は2.07%、令和4年度は2.11%、令和5年度は0.75%でございます。
国及び地方公共団体の障がい者雇用率につきましては、障がい者の雇用の促進等に関する法律施行令によりまして、令和5年度時点で2.6%以上とするよう努めなければならないと規定され、令和6年度は2.8%に引き上げられる予定となっております。
また、教育委員会の障がい者雇用率につきましては、令和5年度時点で2.5%以上とするよう努めなければならないと規定され、令和6年度は2.7%に引き上げられる予定となっております。
地方公共団体は民間に率先して障がい者雇用の促進に努めるべき立場であるということから、引き続き障がいのある人の雇用の増加に向けて、障がい者法定雇用率の達成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 2番、伊藤康浩議員。
○2番(伊藤康浩) 非常に丁寧で、本当に細部に至るまでの説明ありがとうございました。
新型コロナの影響もあるとは思いますけれども、目標の数値というのはやっぱり達成して初めて成功だというふうに私は考えています。ぜひ関係各所の皆さんと協力しながら、引き続き障がい者支援施設の皆さんともしっかりとコミュニケーションを取っていただいて、対応を取っていただきたいと思います。
続きまして、障がい者就労支援施設等からの物品等の調達について伺います。
私が作成した過去10年間のデータを見ると、物品調達については平成27年度、28年度を除いて目標達成率は100%を超えておられます。問題は役務の部分で、平成25年から平成29年度までは袋詰めだとか印刷だとか清掃業務という3つの業務がありました。それが平成30年度から令和2年度については、印刷、清掃業務の2つで、袋詰めがそこから削除をされています。現在は清掃業務等と1つの記載になっていて、目標達成率についても、平成25年度は148.76%でした。それが昨年は59.24%と非常に下がっております。コロナの影響が非常に大きいということは理解はしておりますけれども、障がい者支援施設の皆さんと今後はしっかりコミュニケーションを取っていただいて、個人個人異なる障がいの特性を十分に理解をいただいた上で、早急に目標の達成をお願いをしたいと思います。
これで最後の質問となりますけれども、先ほど庁内部局と障がい者就労支援施設とのマッチングを強化するため、施設ごとに対応可能な業務を取りまとめ、庁内部局に対して周知を行い、障がい者就労支援施設等への優先的な発注に取り組んでいるところだと御回答をいただきました。
私も、市内事業者の皆さんと日頃からつながりのある産業振興部の皆さんが連携をして、市内市外問わず企業の皆さんにも御協力をいただいて、障がいのある方の特性に沿った業務の掘り起こしや業務委託等について検討、実行することが重要だと考えております。
企業だけではなくて、これからはますます高齢化が進む農業分野、中でも加工品製造の一部を障がい者支援施設が受託できれば、新たな障がい者支援施設の受託業務の掘り起こしにつながるとともに、農業従事者の高齢化が進む中、お互いがウィン・ウィンの関係になれるのではないかと考えております。
これまで農業分野とのマッチングについて、何か取り組んだことがあればお聞かせください。
○副議長(
塩谷裕志) 布野
健康福祉部長。
○
健康福祉部長(布野英彦) 御質問の障がい支援施設と農業分野とのマッチングについてお答えいたします。
障がい者支援施設と農業者などが連携して作業の委託を行うことは、当該施設で就労している障がいある人の作業内容の選択肢が増えるとともに、作業工賃の向上につながります。また、高齢化により担い手が減少している農業生産者の皆さんの負担の軽減が期待できることから、効果的な取組であるというふうに考えております。
ただ、これまで当市が主導してマッチングを達成した実績というのはございません。ですが、必要に応じまして島根県障がい者就労事業振興センターと連携しながら、障がい者支援施設への情報提供を行ってまいっております。
また、一部の農業者などにおかれましては、障がい者支援施設に農作物の加工や袋詰めの作業を委託されるなど、独自に農福連携が進められているという実態もあります。
引き続き障がい者支援施設と農業者などのニーズの把握に努め、情報共有を行いながら、障がいのある人が農業分野で活躍することで自信や生きがいを持って社会参画を実現する農福連携にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 2番、伊藤康浩議員。
○2番(伊藤康浩) 非常に前向きな御答弁ありがとうございました。
大田市も高齢化が進んでいる中、市民皆さんが年齢や障がいのあるなしにかかわらず、それぞれのニーズや特性に合った柔軟な働き方を可能にする制度の設計が今後は必要になってくるのではないかと考えております。
今後も障がいのある方が自信や生きがいを持って社会参加を実現する農福連携に取り組み続けていただきたいと思います。
最後になりますけれども、今日私がこの質問をしようと考えたときに、もう皆さん覚えている方はすごい少ないかもしれませんが、今から14年、15年ほど前になると思います。大田市の経済部、現在の産業振興部が恐らく日本の地方自治体の中では一番最初の取組だったと思います。それは障がいのある方が楽しんで大田市に旅行に来ていただく事業、それを当時の経済部は企画をして実行されました。
私も実はそのときに宮根誠司君から電話をいただいて、大田市と協力して同級生の中村君と観光大使の平田さんと介護のツアー番組を作るから手伝ってくれということを連絡があって、たしか3日ですかね、私も臨時休暇をいただいて、今、私がよく見る「オモウマい店」という番組があるんですけれども、この中京テレビですね。この中京テレビのスタッフと一緒に、大田市でも放送されました「秒ヨミ!」という番組の中で介護ツアー、その裏方として全行程に参加をさせていただきました。
当時は、先ほど御答弁の中にもありましたけれども、乗降口、それのノンステップバスというものはまだ存在をしなかったです。ですので、介護のスタッフ、これは今でもしておられる市内の介護スタッフの皆さんと連携をして、どうやったら安心して安全にバスに乗れるのかということを、仕事が終わってから皆さんで打合せをしながら番組を作ったことを覚えています。
そのとき、家族の中、家族とそれから車椅子の方に私が言われた言葉が、二度と旅行なんてできないと思っていた、本当にありがとうございましたというすごくうれしいお言葉をいただきました。思えばそのことが今日のこの質問をしなきゃいけないなというふうに考えさせてくれたんだなと思います。
大田市が障がいのあるなしにかかわらず、みんなが笑顔があふれるまちになることを本当に心から願っています。
ユーチューブのほうで「宮根誠司介護ツアー」、それから「介護ツアー秒ヨミ!」というふうに検索をしていただければ今でも動画は残っておりますので、日本の中で恐らく物すごい最先端の取組をされたことだと思いますので、御興味のある方はぜひ御覧をいただければと思います。
最後になりますけれども、私の同級生で、
政策企画部長の尾田部長がこの3月をもって退職をされます。長い間、40年近く一緒におりますが、本当にありがとうございました。お世話になりました。
以上をもって私の質問を終わります。
○副議長(
塩谷裕志) 続いて、7番、亀谷優子議員。
[7番 亀谷優子 登壇]
○7番(亀谷優子) 日本共産党の亀谷優子です。
私は今回介護保険について
一括質問一括答弁方式にて質問を行います。前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
介護保険制度は、社会で支える介護を掲げて2000年に導入されましたが、実際には要介護度に応じてサービス内容や支給額が制限されるなど、スタート当初から保険あって介護なしと言われてきました。
社会保障予算の自然増分を毎年数値目標を決めて削減する政治の下で、介護報酬の連続削減、1割負担の利用料の2割、3割への引上げ、介護施設の食費、居住費の負担増、要支援1、2の訪問通所介護の保険給付外し、要介護1、2の特養入所からの締め出しなど、この間改悪が続けられてきました。これでは介護の基盤が脆弱になるのは当然です。自己責任の名で社会保障を切り捨てる政治を終わらせて、現役世代も高齢者も安心できる公的介護制度にしていくことが重要です。
大田市においては、当初2,800円だった保険料基準額が、第8期計画では6,900円、第9期計画では7,300円と上がり続け、少ない年金から引き落とされる保険料負担は既に限界に達しています。物価の高騰が続いている生活は、より苦しくなっていることから、第9期の介護保険料は引下げの決断をすべきと考えますが、所見を伺います。
そして、利用料負担が重いために、必要なサービスが受けられない事態ともなっています。利用料は所得に応じて基本1割、一定の所得がある人は2割、3割になっています。国民年金のみで暮らしはぎりぎり、本来はもっとサービスを使いたいなどの声が寄せられています。
利用料の減免制度を実施して、必要な介護サービスが利用できるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
さらに、施設介護や在宅介護において必要なサービスを提供できる施設、事業者の確保も緊急の課題となっています。とりわけ施設介護では、低所得者の方が安心して入所できる特養ホームの確保は重要な問題です。
既存の特養ホームの空き室への入居を促進するとともに、待機者を受け入れる施設の新増設を計画すべきと考えますが、所見を伺います。
そして、介護サービスを支える介護職員不足は深刻です。これまで国は月額6,000円の引上げなどを行っていますが、これが実施されても全産業との格差は月約7万円もあります。これでは職員不足が加速し、介護業界が崩壊してしまうと、現場から落胆と批判が広がっています。
大田市として事業者に支援すべきと考えますが、答弁を求めます。
そして、厚生労働省によると、介護職員の必要数は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年度は全国で243万人となっており、約32万人の介護職員を追加確保する必要があるとされています。様々な介護施設では、人手不足に悩んでいる実態が多く見られます。従事する職員が苛酷な労働と低賃金に耐え切れず退職し、残された職員にそのしわ寄せが行き、さらに厳しい状況となる。こうした悪循環に悩む施設が少なくない状況です。
スタッフが少なく、職員一人で10人前後の利用者を見守らないといけない。そんな状況だと休みが取れない、介護労働者は賃金が低過ぎる、こうした切実な訴えがあります。
大田市で今後考えられる介護人材不足の人数はどれぐらいか、また、介護従事者の人手確保の政策についてその効果はどうかを伺います。
以上、登壇しての質問を終わります。
○副議長(
塩谷裕志) 布野
健康福祉部長。
[
健康福祉部長 布野英彦 登壇]
○
健康福祉部長(布野英彦) 御質問の1点目、第9期介護保険事業計画期間の介護保険料についてお答えします。
今年度は第8期事業計画の最終年度でありますので、現在事業計画策定委員会であります大田市生涯現役・いぶし銀が支えるまちづくり推進協議会で御審議いただきながら、第9期計画の策定作業を進めているところでございます。
この計画の策定に伴い、令和6年度から向こう3年間の65歳以上の方の保険料、いわゆる第1号被保険者の保険料を算定することとなります。
第1号被保険者の保険料は、介護サービス見込み量などを推計して、3年間の保険給付費に第1号被保険者の負担割合23%を掛け、3年間の第1号被保険者の見込み人数で割ったものになります。したがいまして、介護サービスの利用が進むほど保険給付費が増加することとなり、その結果、保険料は上昇するということとなります。
保険料の上昇を抑えるため、介護給付費準備基金の取崩しによる対応も行います。ですが、上昇分全てを基金で賄うことはできないこと、保険料算定の基礎となる介護報酬が1.59%のプラス改定となること、第1号被保険者の全体の数としては減少いたしますけれども、75歳以上の方の人口は増加し、要介護認定者数はほとんど減少しない見込みであるということから、介護サービス事業者の皆さんへ支払う介護給付費は増加する見込みである。これらのことから、介護保険料を引き上げなければ介護給付費の原資が確保できず、介護保険制度を維持していくことも難しい状況でございます。
また、大田市の在宅サービスの第1号被保険者1人当たりの給付額は、県内で最も高くなっております。その主な要因は、特に通所系サービスの要介護認定者1人当たりの定員数が県内でも多いということにあります。ただ、これは、言い換えればサービスが利用しやすく充実している状況にあると言えますが、ただ、その反面、給付費が高くなっているということでございます。
このような状況から、現状では、第10期以降の保険料についても引上げを考えなければならない可能性が高いと考えているところでございます。
次に、御質問の2点目、利用料の減免制度についてお答えいたします。
現在、当市では低所得者への利用料の減免として、施設サービスを利用した際の食費や居住費の軽減を行う特定入所者介護サービス費の給付や、一月に利用したサービスの利用負担合計額が一定の額を超えた場合に支給される高額介護サービス費等の給付、社会福祉法人が行う利用者負担軽減制度、認知症対応型共同生活介護事業所等の利用者負担軽減制度を実施しております。
このうち、認知症対応型共同生活介護事業所等への利用者負担軽減制度は市単独で実施しております。この制度は、事業者が利用者の負担額の一部を軽減し、その軽減額の一部を市が補助する制度で、財源の一部に65歳以上の方の介護保険料を充てております。
新たな制度の創設や既存制度の拡充は、介護保険料の増額や事業者負担の増額、市の財源も新たに必要になることや、軽減負担を行うことで介護サービスの利用促進され、介護給付費の増加につながる可能性もあるということから、慎重に考えなければならないと考えております。
当面は、既存の制度を継続して実施してまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。
御質問の3点目、入所施設の待機者を受け入れる施設の新増設についてお答えいたします。
まず、待機者の状況についてでございます。特別養護老人ホームの入所申込者数の実態把握のため、県による調査が年1回、4月1日を基準日として行われます。この調査は、県民への情報提供、各施設における入所判定のための情報把握と適切な実施、各市町村保険者における中長期的な介護保険事業運営の基礎資料とすることを目的として実施され、その調査結果を県が公表しています。
令和5年度の調査では、特別養護老人ホームの入所の対象である要介護3から5の待機者は290人で、この中には入院中の方や既にほかの施設に入所されている方も含まれており、在宅の方のみの待機者数は約70人になります。
現在、大田市の特別養護老人ホームの定員は350人ですが、常にほぼ満床の状態となっています。施設の退所者数の月の平均数は約11人で、待機されている方それぞれの要介護状態や緊急度、新たな申込者数の状況により異なる上、あくまで計算上の目安ということになりますけれども、入所までの待機期間はおよそ1年というふうに見込まれます。
また、本年度に策定いたします第9期介護保険事業計画における今後の大田市の人口推計と介護需要等の将来推計では、総人口や高齢者人口は減少すると見込んでおり、介護需要については当面は緩やかに減少していきますが、団塊ジュニア世代が75歳に到達する2050年以降は大きく減少すると推計しています。
これらのことから、施設の新増設は行わず、現行の定員を維持することといたしております。
次に、御質問の4点目、介護職員の処遇改善についてお答えします。
介護サービス事業所職員の処遇改善につきましては、これまで国におきまして3年に一度の報酬改定に加え、過去に何度か臨時報酬改定が実施されてきました。
今回の改定では、一定の処遇改善が国において実施されますけれども、これに先駆けて2月から4か月間、事業所職員の処遇改善のため、常勤の職員換算で介護職員1人当たり平均月額6,000円を国から事業者へ支給するということとされています。
処遇改善は一時的なものではなく、改善された額を負担し続ける必要があり、継続的な支援が必要となります。市単独で処遇改善を実施することは、財政負担が大きいため、困難であると考えております。
最後に、5点目の人材確保についてお答えします。
第9期介護保険事業計画策定に合わせて実施した事業者アンケートでも、介護人材の不足を訴える声は多くあり、特に介護職員や看護職員、介護支援専門員について不足しているという声が多くありました。
当市では、65歳以上の高齢者人口はピークを越え、既に減少に転じていますけれども、生産年齢人口も減少していることから、介護事業所の人材不足は今後も続く深刻な課題と認識しております。
介護サービスを実施するためには、県や市が条例で定めた介護サービスごとに必要な介護従業者などの人員配置基準を満たす必要があります。現在、市内で介護サービスを提供している施設、事業所はこの人員配置基準を満たした上で事業を実施しておられますが、事業所によっては管理者が介護従業者を兼務しているといった実態もございます。
介護人材確保対策として、市では介護福祉士や介護支援専門員の資格取得に係る受験料や受講料の一部の助成を行う人材育成支援事業や、市内で働く介護職員の働く姿や仕事へのやりがいを映像化して発信する介護の魅力発信動画作成事業などの人材確保に関する事業を引き続き実施することとしております。
なお、介護人材の確保は当市に限らず、全国的に非常に厳しい状態となっており、当市において本年度に策定いたします第9期介護保険事業計画では、介護人材の確保に関する今後の方向性を、ICT機器や介護ロボットの導入に係る国、県の補助制度についての情報提供や、外国人介護人材の活用などと示したところでございます。
今後も県内外のほかの自治体の例も参考にしながら、介護サービス事業者の皆様の御意見も踏まえ、県とも連携し、介護人材確保対策を実施してまいります。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 7番、亀谷優子議員。
○7番(亀谷優子) それでは、一括質問の2回目の発言をします。
登壇しての説明ありがとうございました。それでは、介護保険の滞納の実態、まず伺いたいと思います。
そして、保険料を滞納した場合、原則1割の利用料負担が一旦全額自己負担になるなどの、こうした苛酷な罰則があり、経済的な困難にある人が必要な介護を受けられないという仕組み、こうした仕組みは見直さなければいけないと考えます。
利用料負担も収入によっては最大3割まで引き上げられましたけれども、保険料、利用料の双方に苦しんでいるのが実態ではないでしょうか。負担を増やすのではなくて、減免制度の拡充、創設も緊急に必要だと思いますが、その点について伺います。
○副議長(
塩谷裕志) まだ続きますか。
○7番(亀谷優子) すみません、失礼しました。
○副議長(
塩谷裕志) 続けてください。
○7番(亀谷優子) 失礼しました。続けます。
介護分野は特に深刻な人手不足ということ続いていますけれども、その対策として一番重要なのはやはり処遇の改善、これが一番です。市が行っている受験料の補助、または介護の魅力的な部分をアピールするだけではなくて、抜本的な経済支援こそが重要だと思いますが、その点についても伺います。
そして、介護保険の財源の根本的な問題を解決して、利用料、保険料負担に跳ね返らないためにも、介護保険導入前の高齢者福祉制度のように、国庫負担を今の25%から段階的に50%まで引き上げて、財源を確保するためにも国に国庫負担の増額を要請するべきだと考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
そして、政府の社会保障審議会の介護保険部会というところでは、利用料の2割負担の対象者の拡大や、一定収入のある高齢者の介護保険料の引上げ、老人保健施設の多床室の有料化など、負担増を今後強めようとしています。連続する介護保険制度の後退が問題となっていて、大きな批判が広がっています。このまま進めていけば、利用控えが進み、家族介護の負担が増えることは明らかではないでしょうか。利用控えによってかえって自立度が下がり、給付が増えること、身体機能の悪化によって医療費も増える、こうした悪循環になることが十分考えられます。
高齢者に痛みを押しつける制度改革は問題だと考えますけれども、その点についても伺います。
○副議長(
塩谷裕志) 布野
健康福祉部長。
○
健康福祉部長(布野英彦) まず、御質問の介護保険料の滞納状況についてお答えいたします。
滞納状況でございますが、令和5年12月末現在の状況を申しますと、現年分の未納者数は116名、件数は446件、金額は371万5,000円、過年度分の人数は144名、件数は1,749件、金額は1,199万5,000円でございます。
また、保険料を滞納された方への対応といたしましては、保険料の滞納期間に応じて保険給付の制限を行うことがございます。これは滞納期間が1年以上の場合には、介護サービスを利用した際の利用者負担を一旦本人が全額支払っていただき、後から市に対し7割から9割の払戻し手続を行う償還払いの措置や、保険料の滞納期間が2年以上ある場合には、介護サービスを利用した際の利用者負担割合を、通常1割または2割負担の方は3割に、通常3割負担の方は4割に引き上げる給付額の軽減の措置などを行うことでございます。
令和6年1月末現在、給付額の減額の対象者は4名おられます。
続きまして、介護保険料の減免についてお答えします。
保険料につきましては、今回の制度の改正の中で、保険料上昇の抑制を図るため、所得段階を13段階から17段階へ多段階化し、保険料基準額から最大で7.05割を軽減することにより、収入や所得の低い方に配慮することといたしております。
保険料の減免といたしましては、介護保険条例等の規定により、災害などで被災された際の減免のほか、前年と比較して所得が著しく減少した場合など、一定の要件を満たした方について減免を行うことができるということとなっております。
この減免は、納付義務者または世帯の生計を主として維持する方の所得の見込額が、前年中の所得金額の5割以下に減少し、資産、預貯金などの活用を行ったにもかかわらず生活が困難となった方を対象としており、この要件に該当する方は前年の所得状況によりまして、保険料の4割から7割を減額をするということでございます。
新たな制度の創設や既存制度の拡充につきましては、低所得者以外の方の負担が増額するということとなることから、現状では難しいというふうに考えております。
それから、次の御質問、人材不足の対策としての抜本的な経済支援についてお答えをいたします。
登壇してお答えいたしましたように、介護職員の処遇改善につきましては、国においてこれまでも何度か定期報酬改定や臨時報酬改定により実施されており、一定の賃金改善が進んでいるものと考えておりますが、まだまだ介護職員の賃金は全産業との格差があるということも認識しているところでございます。
処遇改善は、一時的なものではなく、継続的な支援が必要となることから、経済的な支援を市で単独で実施するということは、財政負担が大きいため困難であるというふうに考えているところでございます。
また、多くの職種がある中で、介護関係者のみに職種を限定して経済支援を行うということも、全体的には公平性を欠くということになるのではないかというふうに考えるところでございます。
それから、御質問の国庫負担の増額と制度改正についてお答えいたします。
保険給付費の財源のうち、5割は国、県、市の負担とするよう、これは介護保険法で定められているところでございます。
亀谷議員の御提案の国の負担率の引上げにつきましては、介護保険制度の持続的で安定的な運営のため、将来にわたって自治体の財政負担や被保険者の保険料負担が過重なものにならないよう、今後も全国市長会などを通じて要望してまいりたいというふうに考えております。
また、制度改正や報酬改定につきましては、人材確保の面からも必要な施策であります。報酬改定が実施されることで職員の賃金も改善されるということになりますが、その分、給付費や個人負担となる保険料やサービス料金が上昇するということもありますので、給付と負担のバランスを考えながら国において改定作業が行われているというふうに承知をしておるところでございます。
市といたしましては、これまでも介護予防教室や各種検診、講座などを通じ、健康づくりに推進するなどに取り組んでおりますが、高齢期に限らず、それぞれのライフステージに応じた健康づくりをしていくことが重要であるというふうに考えております。
市民の皆様にも、健康寿命の延伸を目指して、若いうちから健康を意識した生活をしていただけるように、啓発活動を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。
○副議長(
塩谷裕志) 7番、亀谷優子議員。
○7番(亀谷優子) 3回目の発言をします。
かつて介護保険ができるまでは、介護イコール家族の責任であり、自助努力という意識が強かったと思います。この介護保険は、こうして、かつては介護、特にその中でも女性によって担われてきた高齢者の介護をこれからは社会で支えるという目的を掲げて導入されてきたものです。しかし、2005年には要介護1を要支援1に格下げする、2006年は在宅や施設でのサービスの報酬減額をする、個室ユニット型の特養で居住費、食費が原則自己負担になる。2014年の改定では、特養の入所資格が要介護3以上、一定所得以上の人は利用料が1割から2割に引き上げられる。2018年は、その利用料が最大3割までに引き上げられる。こうして国の社会保障予算を毎年度数値目標を決めて削減するという方針の下で、医療や年金、介護、福祉などの制度改悪が繰り返されてきました。
さらには、介護サービスの公定価格である介護報酬の総額の削減を繰り返してきた。それによって事業所の経営の逼迫、低賃金、長時間過密労働、そうしたことで介護人材不足につながっているという、本当に最悪の状況になっていると思います。
介護報酬が初期から低く設定されていることや、生産性向上という名の下に訪問でのサービスについて時間を短縮するなど、どんどん細切れのサービスにしてきた。こうしたことが今の制度の問題点の一つでもあり、こうしたことの抜本的な改善が求められると思います。
介護を家族ではなく社会によって支えるという目的で始まった今の介護保険の制度、このままでは再び介護の再家族化になってしまいます。必要なケアを受けながら自分で望む形の人生の最期を選択できるというようになったのは、本当に日本の財産でもあると思いますので、これを支える介護現場の人たちが誇りを持って働ける制度にしていく必要があると思っています。
今の介護保険の制度ですと、サービスを増やすと保険料に跳ね返る。保険料を下げるとほかの部分に影響が出るなど、あっちを立てればこっちが立たず状態になっていますので、やはり抜本的な制度の改善を求めて質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(
塩谷裕志) 以上で通告のありました質問は全て終了しましたので、これをもって
一般質問を終結いたします。
明日は定刻に会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午前11時18分 散会...