委 員 小 形 香 織 委 員 池 田 由 美
委 員 田 中 啓 介 委 員 松 浦 忠
委 員 石 川 佐和子 委 員 中 山 真 一
――
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開 議 午後0時59分
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○
小須田悟士 委員長 ただいまから、第二部
議案審査特別委員会を開会いたします。
報告事項は、特にございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第7号 平成27年度札幌市
高速電車事業会計補正予算(第1号)の質疑を行います。
◆松浦忠 委員 この補正予算で計上している内容について、子細に説明いただきたいと思います。
◎菱谷
事業管理部長 今回の議案にありますとおり、私
ども交通局といたしましても、札幌駅交流拠点の
まちづくり整備事業に協力しながらやっていくというものでございます。まず、今回の事業の大きな考え方は、JR札幌駅と
地下歩行空間の南北をつなぐ動線の歩行者は、1日当たり5万人、朝のラッシュ時のピークは1時間当たり大体8,000人になります。また、東豊線とつなぐ連絡通路も、柵の内外を合わせて1日約1万7,000人、通勤時間では毎時4,500人が通行しております。そのため、連絡通路の利用者と横断者が接触することなく安全に通行できるよう、限定的でなく、広い空間を確保するというものでございます。そこで、
地下歩行空間ネットワークの充実強化や新たなにぎわい、回遊性の創出を目的としまして、
東豊線通路部分におきまして通路柵の撤去や改札機等の
システム改修を行うとともに、
南北線コンコースの歩行空間や
案内サインの整備を行うというものでございます。
そのために、交通局の一つの大きな仕組みとして
輸送管理システムというものがございまして、その
輸送管理システムを改修しようとしております。これはどんな
システムかと申しますと、地下鉄、路面電車の精算、また、
バス事業者等の
乗り継ぎ計算などを行う交通局の
システムの中でも重要かつ複雑な
システムでございまして、地下鉄の改札機とか、駅や路面電車の機器から膨大なデータを収集、集計し、精算する大規模な仕組みでございます。
輸送管理システムは、乗車にかかわる全てのデータの集計と精算を担っているため、乗車のあり方が変更になった場合に改修することになりますが、特に、この事業は、乗りかえ時間の概念を新たに導入いたしまして、札幌駅の南北線と東豊線の改札機を通ってから30分以内であれば乗りかえを可能にするものでございまして、乗りかえを認めるか否かの
ルート判定、時間判定等によって場合分けは多岐にわたります。そのように、
システム改修を中心とした私
ども交通局の事業となっているものでございます。
◆松浦忠 委員 この
システムを導入したときにかかった費用は幾らでしたか。
◎菱谷
事業管理部長 輸送管理システムの初期の導入にかかった費用でございますが、これは、昭和63年に
料金精算機能として構築した大変古い
システムでして、当時、幾らで契約したという資料が手元になく、把握していない状況でございます。
◆松浦忠 委員 これは、事前に説明を受けましたら、3年にわたってこの仕組みを変えていって総額は1億9,000万円と私は説明を受けております。
そして、1億9,000万円のお金というのは、人件費にしたら、例えば札幌市の職員の給与が年間1人900万円だとすると、20人が1年間従事することになります。会社の経費もありますから、半分を会社の経費と見たとして、10人が1年間従事しなかったらこれを改修できないということになるわけですよ。
私は、なぜ最初に契約したときの総価が幾らだったか聞いたかというと、
電気計算機の記憶装置、いわゆる
システムという言葉を使っていますけれども、日本語で言うと記憶装置ですね。これをつくった段階で、もう既に開発にかかった経費などを含めて、全部、値段として提示して回収しているのです。これらの改修は、途中でやったかどうかは知りませんが、昭和63年以来になるのですか。つまり、これらの会社は、あとは回路を変更するのにかかった手間賃だけで済むのです。それから、今の会社の手間賃に対する
管理経費分が上乗せされて、これで済む話です。
それが、どういう経緯の中で1億9,000万円という予算を計上されたのか。そして、1億9,000万円を
交通事業管理者が認めたことについて、どういう検証、根拠の中でこれを認めて議案として出してきたのか、この点についてお尋ねします。
◎菱谷
事業管理部長 先ほど答弁いたしましたように、
輸送管理システムは、昭和63年に
料金精算機能として構築した大変古い
システムですが、その後、運賃改定とか路線の追加、変更など、また、制度の変更のたびに改修、増設と継ぎ足しでいろいろやってきたものでございます。直近で申しますと、例えば、消費税の導入で料金を改定しなければいけなくなったとか、また、SAPICAを導入したときにも改修しまして、古い
システムに専門的な工夫、改修を重ねながらいろいろ構築しているものでございます。
今回の1億9,100万円というのはトータルの経費でございまして、平成27年度は5,500万円の予算を計上してご提案を申し上げておりますが、予算額の見積もりに当たりましては、
輸送管理システムの
開発メーカーである日立製作所に対しまして、この事業を実現するために必要となる要件を私どもから提示いたしまして、見積もりを徴収し、それを参考としているところでございます。その金額は、
システム改修を所管する
セクションの職員におきまして、過去の実績などによって徴収した見積もりを精査、チェックし、計上しているものでございます。
◆松浦忠 委員 市長、実は、こういう
電気計算機によって人手を省く仕組みというのは、昭和37〜38年ころ、かつての
日本国有鉄道では給与計算などに既に導入されていまして、私はそのときから
仕組みそのものについて熟知していました。これは、ご承知だと思いますけれども、値段があってないのです。なぜかといったら、人間の脳が考えることですから、何時間働いて、手作業で何本の線を配線して、1本当たり何分で何時間だという積算ではないのです。したがって、人によって個人差もありましょう。しかし、平均的なものがあるのです。なぜ、私はさっき総価が幾らか聞いたのかといったら、
電気計算機で計算する仕組みは、最初の価格設定のときにそれが全て入っているのです。あとは部分的な改良なのです。この仕組みは、根本的にこれをこう変えることによって新しいものをつくっても安くできますとなったら提案するはずなのです。提案していないということは、既存の仕組みで対応できるから提案していないのです。
そこで、例えば、今から10年ぐらい前になりましょうか、私は委員会で西宮市に視察に行ったことがあります。私は視察地に西宮市を入れてもらいましたが、なぜかといったら、西宮市は、全国でただ1カ所、いわゆる
電気計算機の仕組み、ソフトを組むのも職員、動かすのも職員、
電気計算機も業者から直接購入しているのです。物すごく安くできています。
私は、直接購入だとか、そこの仕組みのことは今言いませんけれども、せめて価格交渉をやるぐらいのことは何も難しくありません。これをきちんとしないと、この程度のことをやるのに1億9,000万円、3年に分けて6,000万円余をかけていくというのは、ちょっと言いなりだと思います。
市長も記憶があるかと思いますが、かつて、広島市の水道局が
電気計算機を導入するということで入札をやりました。あの当時は、
最低制限価格もなく、基本的な
一般競争入札でした。富士通が1円入札したのです。なぜかといったら、1回とって、これは俺の縄張りだと決めたら、あとは、今のようなことで何ぼでも高くとっていって元を回収していける、こういうことで1円入札したのです。その後、いろいろな経過があって、今のような電算機に関する入札の条件もつくられてきました。
したがって、市長、札幌市として、西宮市などに聞けばすぐわかることです。職員を派遣して調査すればすぐわかります。ですから、少なくとも
製作メーカーから出てきたものについてはきちんと検証して、これはこの程度でいかがなものかという話し合いができなければいけません。先ほど資料を提出してもらいましたら、札幌市の地下鉄の1人1回の乗車運賃は平均何ぼかといったら、定期を除いて188円だそうです。200円足らずです。そうしたら、1億9,000万円を運賃で払っていくとなったらどうなるか、すぐ計算が出ますね。したがって、
高速電車会計そのものは一般会計から繰り入れなければまだまだ経営が成り立っていかない状況の中で、今、
電気計算機にかかわる問題というのは全くの
ノーチェックでざるですから、今、私が言ったようなことをきちんとしなければ交通局の会計は正常になっていきません。
私は資料を持っていますが、きょうは質疑者がたくさんいますからやめます。しかし、交通局は、開業以来、
自動改札機から始まって、こういった設備改良にどれほどの金を投じてきたか。ここのところを考えたら、これはもう喫緊の課題です。こんなもの、別に難しいことを言わないから、できれば議決を保留して秋の決算議会に延ばして、そして、西宮市に行って聞いて、日立ときちんと協議して、この辺がいいところではないかという折り合いを見つけて価格を設定すべきだと思いますけれども、市長、いかがですか。
◎秋元 市長 松浦委員がおっしゃることはよくわかります。交通局のみならず、最少限の費用で効果を出していかなければならないというのは行政の役割です。そういう意味で、今の
システム開発については、これまでも、まさに競争性をどうするのかとか、提示されている
システムの金額が現実的に妥当なのかどうか、そういうことはきっちりチェックしていかなければなりません。例えば、今、
情報化推進部で行っております
基幹システムは、特定の企業と随意契約していくことがないようにオープン化していくという仕組みをとりました。そのためにさまざまな
システムを改築しています。交通局の
システムについては、
輸送管理システムはかなり古い
システムですから、継ぎ足し、継ぎ足しで来ているのだろうというふうに思いますので、どこか1カ所を直すためにいろいろなところを直していかなければなりません。古い
システムはそうなっています。ですから、チェックに物すごく時間がかかる、いわゆる人手がかかっているということもある程度は想像がつきます。
そこで、今、手元にあるのかどうかわかりませんが、見積もりをいただくときには、どのぐらいの工程が必要になって、どういう仕事をするのかということ、先ほど松浦委員がおっしゃったように何人工かかるかということがステップで必ず議論されています。それが妥当かどうかというのは、
情報化セクションと必ず協議しているはずで、それは、交通局の職員だけではなく、札幌市としてチェックしている状況にあると私は思っています。つまり、1億9,000万円の中身の妥当性を出せとなれば、今のようなお話は、例えば、何人工かかってどうだから2年かかるというような状況があるはずですので、それはご説明できるというふうに思っております。
◆松浦忠 委員 市長、私は、札幌市の
コンピューターにかかわる専門職員だという方と今まで随分話してきました。わかっていないのです。なぜかといったら、札幌市の仕組みからいって、人事異動があるものですから、専門的にならないのです。
西宮市は、
コンピューター部門に配置になったら、ずっとそこで仕事をやっています。専門的にずっといろいろなことを勉強しながらやっています。だから、西宮市の職員はわかるのです。メーカーも同じで、そのように専門的にやっていきます。1カ所の場所に4年とか5年はいて、そして、実際に
システムの設計を手がけなかったらわからないのです。そういう意味で、私は以前から札幌市に言っています。あなたが市長になる前からずっと言っています。そういう仕組みをつくっていかないといけません。これは、
人事運用制度と密接にかかわるのですが、そこでずっとやって、ある程度になって、同期のみんなが課長になったら課長にしてあげるとか、専門性のある専任職として給与保障と階級保障をきちんとしてあげる、そうやっていかないとできない仕事なのです。ただ、それをやることによって、物すごいお金が節約されていきます。
西宮市は、その当時、国が指定する
コンピューター部門の
モデル都市になりました。そこで、委員会での視察に組み入れてちょうだいと委員長に頼んで私は行ってきました。もう退職されましたが、ずっと中心になってきたヨシダさんという方に会いましたよ。
ですから、市長、私が言っているのは、ありきたりな話を聞いて、そうですかという今のような話ではなくて、私は、昭和37〜38年から
コンピューターの仕組みの変遷をずっと見てきていまして、手ではいじらないけれども、理論的なことはきちんと押さえていますから、したがって、ぜひそういうことに取り組んでください。
私は、できればこの議案を保留して、職員を西宮市へ派遣して、それを持っていってちょっと点検を手伝ってもらうとか、西宮ではそんなことはすぐにできます。ですから、私は全部をやれとは言いませんが、特に交通局はにっちもさっちもいかぬぐらいの収支の状況でしょう。そういうことについてちゃんとやらないと、どこかの赤字の線は、それこそ車両ももっと短くしてどうするかとか、運行本数だとか、そういうことももっともっと考えていかなきゃいかぬ。
私が見ている限りは、かつて、伊与部議員が電車の耐用年数を延ばしなさいということを議会で提案して、それを受けて耐用年数を延ばしました。編成も少なくしました。しかし、それ以上の努力は全くしていない。したがって、私は、これについて、きちんとした対応をすべきだということを市長に申し上げたいのです。市長、これ以上の答弁はもういいです。そこで、これを受けて、決算議会までにそのことをしっかりと調べて対応できるようにしていただきたいということを求めて、終わります。
○
小須田悟士 委員長 以上で、
高速電車事業会計の質疑を終了いたします。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時20分
再 開 午後1時22分
――――――――――――――
○
小須田悟士 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第5款 労働費 第1項 労働費の質疑を行います。
◆
池田由美 委員 私は、
若年層職場定着支援事業について、4点ほど質問いたします。
若者の入社後3年間での離職率は全国平均に比べて北海道が高いということで、札幌の若者の早期離職の防止と職場への定着を目的に、若手社員と企業に向けての研修や講座を開くということで、2008年から取り組まれていると聞いております。今回の予算は487万円、ことしで8年目となる事業ですが、これまで講演や講座に参加した若者がどのように企業に定着してきているのか、企業は若者の定着に向けてどのような取り組みをされているのか、最初にお聞きいたします。
◎花田
雇用推進部長 若年層職場定着支援事業の参加者に対する定着状況の調査についてでございます。
これは、これまで行っておりませんでしたが、各年度において、事業終了後、参加者に
アンケート調査を行い、いただいた意見も参考にしながら、
グループ討議や意見交換をふやすなど、事業内容を改善してきたところでございます。
◆
池田由美 委員 参加された若者がどのように企業に定着されているのか、調査されてこなかったというご答弁だったと思います。
487万円という予算は多くはないかもしれませんが、市民の税金を使っての事業ですから、私は、本来やるべき追跡調査などをして検証していくことが必要だったのではないかというふうに感じています。委託者の仕事をつくってやっただけではないかというふうに市民から言われることがあっても仕方がない状況ではないかという気もしています。今後は、企業で働く人たちの処遇条件をよくしていく取り組みの調査も行っていくつもりでいるのかなというふうに思うのですが、若者の定着についてどのような形で追跡調査などを進めようとしているのか、お聞きしたいと思います。
◎花田
雇用推進部長 今回予定している定着調査につきましては、これまで札幌市が実施してまいりました若者の
就職支援事業につきまして、就職だけではなくて、就職後の
職場定着状況を調査することが今後の事業構築に必要と考えて実施するものでございます。
若年層職場定着支援事業につきましては、セミナーや講座の実施を通じて、若者の
職場定着に向けた意識づけを主な目的とした啓発事業でございます。この事業に係る調査につきましては、企業の
職場定着に資する取り組みを中心に、離職した若者がいた場合にはその離職理由なども調査することを予定しております。
◆
池田由美 委員 今後は、離職した若者に対して理由なども追跡して調査を行っていくというご答弁だったと思います。ぜひ、充実した調査を行い、今後の事業に生かしていただければということを強く求めておきたいと思います。
この事業は、札幌市の若者の早期離職の防止と企業への定着が目的であります。2点目の質問は、若者が早期に仕事をやめてしまう原因をどのように認識されているのか、伺いたいと思います。
◎花田
雇用推進部長 若者が早期に離職する理由についてでございます。
昨年、
厚生労働省が発表した調査結果によりますと、
若年労働者が会社をやめた主な理由といたしましては、労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったこと、あるいは、人間関係がよくなかったこと、そして仕事が自分に合わなかったというものが上位となっております。ただ、この中には、これまで私どもがさまざまな若年層の
就職支援事業を実施してきた中で、若者や企業に対する聞き取り調査などを行ってきた経験から、仕事に対する心構えや基本的な考え方などを十分に持たずに就職した若者も内在しているのではないかというふうに考えているところでございます。
◆
池田由美 委員 労働時間などの労働条件がよくなかったことや、人間関係、仕事が合わなかったなどの理由があったということでした。また、聞き取り調査を行った中では、心構えとか基本的な考えができていなかったということも含まれているというご答弁もいただきました。私も、今、若い人たちは、自分が何をしたいのか、そういうことをしっかりと持つことができない状況もあるのではないかと、同じ思いでおります。
ただ、総務省の
労働力調査の詳細結果から、今、非
正規労働者の数が本当にふえてきています。非
正規労働者は、2014年1月から3月の平均で1,970万人と、2,000万人に迫ろうとしていて、その割合は37.9%と4割に近づいてきています。そして、若者の半分が非
正規雇用になっている実態も承知のことだと思います。それに加えて、200万円以下の給与収入の方たちが1,000万人を超えて4人に1人の割合になっていることも現実の状況ではないかと思います。長時間労働、
サービス残業、休みがとれないなど、先ほどの答弁にあったことも加え、今は低賃金、
不安定雇用が広がっているのではないかと思います。若者を中心に労働者を使い潰していく
ブラック企業の問題も本当に深刻だと思いますが、このような雇用のルールの破壊も早期離職の原因の一つではないかと考えます。
そこで、このことが共通の認識でいるのか、伺います。
◎花田
雇用推進部長 離職の要因といたしましては、そのときの経済状況や雇用状況など、さまざまな社会情勢も影響しているものと認識しております。非
正規雇用の増加が離職率にどの程度影響を与えているかは定かでありませんけれども、影響はあるものと認識しているところでございます。
◆
池田由美 委員 共通の思いでいるということだと思います。
質問の三つ目ですが、この事業は、中小企業の正社員を対象とした事業となっております。先ほどもお話ししましたが、現在、若者の半分が正社員になれない状況が広がっております。若者が札幌で正社員として働いて住み続けることができる。これは、納税者がふえて札幌市を支える力になっていくというふうに思います。少子化にも歯どめがかかり、子どもの貧困の解決にも効果が広がっていくのではないかと考えています。
そこで、質問ですが、この事業の対象を正社員だけではなくて非
正規雇用の若者も参加しやすい中身にしていくお考えはないか、伺いたいと思います。
◎花田
雇用推進部長 非
正規雇用職員のこの事業への参加についてでございますけれども、これまでも非
正規雇用の職員の参加も可能としてございました。今後も、非
正規雇用職員であっても参加しやすいような事業内容を検討していきたいと考えております。
◆
池田由美 委員 非
正規雇用の若者の皆さんも参加しやすいようにというご答弁でございました。ただ、休みの関係などで本当に難しいことでもあろうかと思います。ぜひ、そういう部分も研究していただいて、多くの若者にこの事業に参加していただけるように心を配っていただければと求めたいと思います。
今回の若年層の
職場定着支援事業ですが、札幌で働く人たちの働き方というのは、人間らしく正社員が当たり前ということが基本として保障されていくことが一番大切なのではないかと考えます。働き方を整備していくための取り組みとあわせて、若者の働く意識啓発の取り組みを進めていくことが大切だと思います。そのためには、いろいろな連携が必要ではないかというふうに思うのですが、ハローワークや
労働基準監督署などとの連携をとりながら情報を共有していくことが大切だと感じております。
説明を受けた中で、
雇用推進懇談会というものを数回持っているとお聞きしました。この
雇用推進懇談会の中身についてですが、今、経済的に本当に厳しい折、働く問題のところでもすごく厳しい状況にあると思いますけれども、どのような団体が参加して、どんなことが話題になっているのかということもお聞きしたいと思います。
◎花田
雇用推進部長 札幌市
雇用推進懇談会についてでございます。
これにつきましては、従来から、雇用推進施策の検討を行うために、学識経験者、学校関係者、経済団体、行政機関のほか、労働団体からも委員として入っていただいております。懇談会では、例年、さまざまな立場からご意見やアドバイスをいただいているところでございまして、昨年度につきましては、札幌市の雇用推進施策へのご意見のほか、離職率の高さや若年層への就職支援などについてご議論いただいて、アドバイス等をいただいたところでございます。
◆
池田由美 委員 さまざまな団体の参加者がいらっしゃって、特に、労働団体も加わっているというところでは、働く側と企業の側が同じテーブルで話されていることを確認できました。私は、札幌市が主導して定期的に懇談の場を持ち、指導力を発揮していただくことを強く求めたいと思います。
その際に、労働運動を研究されている研究者も入れてみると、ますます話が充実していくのではないかというふうに考えています。労働運動の研究者の参加は考えておられないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
◎花田
雇用推進部長 現在、労働団体については、二つの団体から2名に参加いただいております。労働団体は、労働者の権利を守る立場柄、さまざまな労働者からの相談等を受けて労働基準関係の法令にも知識と経験がございますので、労働団体からのご意見も尊重してまいりたいと思っております。
そのほかの専門家については、必要に応じて参加していただくことも検討させていただきたいと思います。
◆
池田由美 委員 必要に応じてということですが、これから議論をする中で、こういう研究者も必要ではないかというご意見を言わせていただく機会があればと思っていますので、その際にはお願いしたいと思います。
最後になりますが、札幌で働く人の賃金は暮らしていける賃金であること、人間らしく働ける労働環境を守っていくためには、札幌市がさまざまな形で民間に委託する事業での働き方をよくしていくことが必要ではないかと思っています。今後、企業や労働問題の研究者、ハローワーク、労働基準局など、その時々で必要な皆さんと連携をとりながら、企業の側も働く側も協働の立場で公契約条例の理解を進めていくようになればすばらしいのではないかというふうに思います。札幌市として、雇用を守る立場を明確にしながら、若者の企業への定着が進み、また、企業が若者をしっかりと受けとめて処遇の改善などが進んでいくように、改めてこの事業を充実していただくことを強く求めて、質問を終わります。
◆村上ゆうこ 委員 私からは、女性社員の活躍応援事業についてお伺いいたします。
少子高齢社会が急速に進展する中、札幌市でも労働力人口の減少による経済規模の縮小が懸念されております。不足する労働力を補い、経済発展を持続していくために、女性が一層活躍する社会を築いていくことが不可欠とも言われております。しかし、札幌市は、全国的に見て女性の有業率が低く、政令市20市中では18番目とのことですが、特に、子育て世代にある30歳代を中心にさらに低い状況となっております。子育て期に仕事を中断してしまう要因としては、中小企業が多くて育児休業をとりにくい環境にあること、さらには、男性の労働時間が大変長く、育児などの分担が難しいことも背景にあると推測されます。女性が働き続けながら、結婚、妊娠、出産、そして子育てを円滑に両立させていくために、行政のサポートはもちろんのこと、あわせて、職場の理解と協力など、社会や職場の環境整備が今後ますます重要なポイントになってまいります。
こうした中で、本市の女性社員の活躍応援事業は、昨年度に新規事業としてスタートしましたが、子育てと仕事の両立に不安や悩みを抱えながらも働くことを望む女性に対する支援ということで、セミナーや企業への出前講座などを開催して一定の効果があったとお聞きしております。本当に、大変意義ある事業だと考えております。
そこで、質問ですが、昨年度実施した女性社員の活躍応援事業の評価と課題、それを踏まえて、これからどのように改善していくつもりか、お伺いいたします。
◎花田
雇用推進部長 女性社員の活躍応援事業の評価と課題、それを踏まえた改善方法についてでございます。
本事業は、働き続けることを希望する女性を支援することで女性の有業率の向上につなげるものでございまして、従来の退職後の再就職支援から一歩進め、女性と企業の双方に就労継続を促す新たな取り組みでございます。昨年度は、女性向けセミナーに397名、企業向けセミナーに73社、353名がそれぞれ参加していただき、アンケート結果では総じて高い評価を得ているところでございます。本事業を通じて、女性社員には、キャリアプランの立て方や保育所の利用方法などさまざまな情報を提供し、また、企業には、女性の多様な働き方について認識を深めていただいたところであり、意義があったものと考えているところでございます。
一方で、女性向けセミナーの一部で、休日に比べ、平日、夜間の参加率が低かったことが課題となっておりますので、今年度は、開催日を休日の昼間の時間帯にするほか、参加者が受講したい内容をある程度柔軟に選択できるようにするなど、より参加しやすいものにしたいと考えております。さらに、広報についても、病院、美容室、子育てサロン会場へのポスター掲示、フェイスブック等の活用により、幅広く事業の周知に努めてまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 今年度は2年目の事業となりますので、私も内容がさらに深まるものと期待しております。
次に、再質問に入りますが、今度は、出産、子育てなどにより職場を退職した後に再就職を希望する女性への支援についてお伺いしていきます。
先ほどもお話ししましたけれども、札幌市は、特に育児中に仕事を中断してしまう女性が多く、有業率が著しく低くなっております。我が会派では、今議会の代表質問で、子育て女性に対する就労支援を取り上げております。その中でも触れたように、子育て中の女性の多くは、短時間勤務で、土・日の休みを確保できる仕事を求めていますが、条件に合う求人が少ないのが現実であります。企業側の多くはフルタイムでの雇用を前提とした採用活動を行っており、子育て女性と企業との間で働き方のミスマッチが生じているのではないでしょうか。
また、就職を希望している子育て中の女性のうち、実際に求職活動をしている方々は2割弱とも言われております。仕事のブランクによる不安から、求職活動に踏み切れない方も多いと思われますが、そうした女性たちの不安を取り除くことも必要です。企業側は、これからも、一人一人のライフスタイルに応じた柔軟で多様な働き方を受け入れるなど、まさに社会全体として子育て女性の就労を支援する環境づくりや改革が求められてくるのではないかと感じているところです。
そこで、質問です。
子育て中の女性が活躍できる社会の実現に向けてどのようなことが必要と考えているのか、また、子育て女性と企業との働き方のミスマッチ解消や再就職の不安を取り除くための取り組みとして今後どのようなことを検討していくのか、お伺いいたします。
◎花田
雇用推進部長 最初に、子育て女性が活躍できる社会の実現についてでございます。
子育て女性が活躍するためには、一人一人の状況に応じて多様な働き方ができることが重要であり、そのためには、企業側にも女性の雇用に関する十分な理解が必要だろうと考えております。このため、正社員やフルタイム勤務を前提とした働き方だけではなく、短時間勤務の正社員制度や在宅ワークの普及などにより、社会全体で子育て女性が働きやすい環境づくりを目指していくことが必要であると認識しております。
次に、ミスマッチの解消や再就職の不安を取り除くための取り組みについてでございます。
札幌市では、これまでも、就業サポートセンターを通じ、子育て女性の希望に応じた求人の開拓を行うなどの支援をしてきたところでございます。しかし、多くの企業では、子育て女性が希望する短時間勤務の正社員の採用実績がないことや、仕事や育児の両立の難しさからすぐに退職してしまうのではないか等の心配があり、まだまだ採用には消極的な状況にございます。今後は、企業が雇用する際の懸念と子育て女性が再就職する際の不安、これら双方の抵抗感を取り除くため、セミナーの開催などに加えて、企業での職場体験の実施なども検討してまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 企業での職場体験の実施ということで、受け入れ企業等を見つけていかなければならないと思いますけれども、そこはよろしくお願いいたします。
子育て中であっても、社会に出てはつらつと働きたいという女性の希望に応えていただくためにも、女性社員の活躍応援事業をさらにこれからもレベルアップして、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
また、企業は、女性活躍推進の必要性を理解しつつも、具体的な取り組みがわからない現状なのではないでしょうか。これからも、女性向けの合同企業説明会の開催、また、実際に子育て女性を雇用した企業の事例やノウハウを広めるなど、企業が子育て女性を受け入れる土壌づくりとなる取り組みを進めることを要望します。
最後に、女性の職業生活における活躍の推進に対する法律案、女性活躍推進法案が今国会で成立していくということで、大変喜ばしいと思っておりますが、この法律を実効あるものとするためにも、地方自治体である札幌市が果たす役割は大変重要です。秋元市長は、所信表明の中で、女性の割合が高いまち札幌が一層発展していくためには、女性がその持てる能力を存分に発揮できる環境をさらに整えていくことが重要であると話されておりました。札幌市には、女性対策にかかわる部局として、ここ経済局、市民まちづくり局、子ども未来局などがございます。個別にはそれぞれしっかりと取り組まれておりますが、今後は、横断的な対応といいますか、全市一丸となって女性活躍の推進に取り組んでいただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
◆竹内孝代 委員 私からも、女性社員の活躍応援事業、補正予算額1,270万円の案件についてお伺いいたします。
民間がまとめた意識調査によりますと、女性の約46%が結婚、出産後も働き続けたい、男性の約63%が妻に働いてほしいと願っておりますけれども、実際には、国の調査で第1子の出産を契機に退職する女性は約6割にも上っています。その背景には、先ほどほかの委員からもありましたが、仕事と育児の両立が難しいという現実があります。
私は、保育現場に勤務していた際、子育てをしながら働くお母さん方からさまざまな声を聞いてきました。出産、育児を契機に退職した多くの方は、子育てが一段落し、いざ再就職を考えたときには、さまざまな障壁により就職を諦めたり、また、キャリアを生かせずに他業種に再就職せざるを得ないケースが多々あります。
国では、公明党の提案で昨年設置したすべての女性が輝く社会づくり本部が、先月、政府として初めて女性政策に特化した方針をまとめ、女性活躍加速のための重点方針2015を発表いたしました。ここには、女性が仕事、育児、介護の両立を実現するワーク・ライフ・バランスを充実させる施策が盛り込まれており、本市が展開するこの事業には、まさに女性社員の仕事と子育てを両立できるように支援するという意味で期待を寄せております。
そこで、本市がこの事業を進める上では、女性が働く企業側の理解を深めることがとても重要となります。企業にとっても、出産や子育てを理由に優秀な人材を失うことはデメリットで、女性の継続雇用は企業にとっても大変大きな経営効果につながることを理解しているものの、経営面の観点、さまざまな視点からなかなか思うように環境の改善に着手できないという実態でございます。先ほどの答弁で、昨年、企業向けセミナーを開催して、女性の継続雇用の先進事例、また、活用できる助成金についても周知し、理解につながる取り組みを行ったと聞いております。
そこで、質問ですが、企業が女性を継続雇用するために取り組んだ先進事例にはどのようなものがあるのか、また、企業が継続雇用する際に活用できる助成金の概要について、あわせてお伺いいたします。
◎花田
雇用推進部長 最初に、企業が女性を継続雇用するために取り組んだ先進事例についてでございます。
札幌商工会議所では、女性が活躍できる機会を積極的に提供している企業の取り組みを広めるため、昨年度から札幌なでしこ表彰という制度を設け、市内の企業3社を表彰しております。表彰内容の主なものといたしましては、法律で定める勤務時間の短縮期間を延長し、子どもが小学校に就学するまで認めている例や、ノートパソコンを支給し、在宅勤務を大幅にふやした例、そのほか、学校行事に対応しやすいようにフレックスタイム制度を導入した事例などがございます。いずれの企業も、女性の継続雇用に取り組んだ結果、事業の業績も伸ばしていると聞いております。
次に、女性の継続雇用に活用できる助成金についてでございますが、札幌市では、初めて育児休業の取得者が出た場合、それから男性の育児休暇の取得に対して助成金を設けているところでございます。また、国においては、事業所内保育所の設置と運営のための経費や、短時間勤務制度などの導入に伴う両立支援助成金、復職後の女性の能力アップのためのキャリア形成促進助成金など、さまざまな助成金が設けられているところでございます。これらの先進事例と助成金につきましては、今後も女性社員の活躍応援事業の中で積極的に取り上げていきたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 働き続けたいと考える女性が一人でも多くその思いを実現するためには、今ご答弁いただきました、なでしこ表彰を受けられた先進事例や助成金について、多くの企業が理解し、実際に取り入れていくことが不可欠かと思います。そのためにも、今後は、女性の継続雇用に意識が向いていない、このようなセミナーにも参加してこない企業への啓発が特に重要な課題になるのではないでしょうか。
そこで、再質問ですが、女性の継続雇用に十分意識が向いていない企業に対し、本事業への参加をどのように促していくのか、お伺いいたします。
◎花田
雇用推進部長 企業にこの事業への参加をどのように促していくかということでございます。
女性の継続雇用のためには、女性がしっかりとしたキャリアプランを持つことも重要でございますが、企業側の理解や、そのための社内における取り組みも重要と考えております。したがって、今後は、札幌商工会議所や中小企業家同友会など経済団体のネットワークを通じ、この事業のより一層の周知を図っていくほか、セミナーに加えまして、出前講座などを積極的に活用することで多くの企業の参加を促してまいりたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 事業の周知を図るとともに、今ご答弁いただきました出前講座も活用して、一つでも多くの企業に理解していただくよう取り組みをお願いいたします。
一方、女性が働き続ける上で、働き先である企業の協力のほかに、家庭での男性の理解を深めるための取り組みが必要不可欠な存在であると思います。
厚生労働省の調査では、6歳未満の子どもがいるご家庭で男性の家事や育児に充てられる時間は1日1時間程度となっておりまして、これは、アメリカやドイツ等の諸外国の約3分の1という低水準であることがわかっております。
その調査の中では、女性が妊娠や出産に関して重要視していることの第1位は夫やパートナーの家事や育児への参加であり、約7割の方が求めております。札幌市の女性の有業率は、先ほどほかの委員からもありましたように、政令都市の中でも低い状況にあります。特に、20代から30代の子育て女性については、就職を希望する方が6割いるにもかかわらず、実際に働いている方は3割程度と、働きたくても働けずにいる方が3人に1人いらっしゃるのが現状です。男性の家事や育児に関する意識を高める、また、女性の継続就業を実現することは重要な課題と言えるのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、女性が働き続ける上で不可欠な家庭での男性の理解について、本事業を通じて今後どのように促進していくつもりなのか、お伺いいたします。
◎花田
雇用推進部長 女性が結婚や出産後も働き続けるためには、家庭や職場における男性の理解と協力が必要であるというふうに考えておりまして、これまでも、札幌市男女共同参画センターにおきましては、家事や育児に対する男性の理解を深めるためのセミナーやイベントなどを開催しているところでございます。
女性社員の活躍応援事業におきましては、女性向けセミナーに配偶者の参加も促すほか、セミナーのカリキュラムを工夫し、受講後、家庭で仕事と育児の両立について話し合えるような内容も設けていきたいと考えております。また、企業向けセミナーでは、管理職や女性だけでなく、多くの男性社員にも参加をいただいておりますので、今後は男性の理解を促すような内容も積極的に取り入れていきたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 早速取り組んでいただけるということで、よろしくお願いいたします。
現段階で想定される取り組みについてはわかりました。まだまだ十分とは言えない状況ですが、この事業を契機として、女性が働き続ける上で不可欠な家庭での男性の理解を深められるよう、さらに積極的に取り組んでいただくよう求めます。また、企業側の理解を深めて協力体制を整備するために、現在の助成金制度では、中小企業が直面するようなさまざま課題に対応できているとはまだまだ言いがたい状況です。多くの企業が助成金を利用できるように制度の拡充と周知の強化について国に求め、女性が仕事と子育てを両立できるよう支援するという本事業の目的を遂げられるよう力を注いでいただくことを要望して、私の質問を終わります。
○
小須田悟士 委員長 以上で、第1項 労働費の質疑を終了いたします。
次に、第6款 経済費 第1項 商工費のうち経済局関係分の質疑を行います。
◆松井隆文 委員 私からは、商店街の支援制度について質問させていただきます。
経済局では、本年度より、これまでの商店街向けの支援事業を再構築して、新たに地域商店街支援事業を実施すると伺っております。今年度の地域商店街支援事業には、当初予算に計上されているにぎわいづくり型の補助金及びファシリテーター派遣のほか、今回の補正予算に計上されております地域課題解決型補助がございます。
そこで、質問ですが、本年度実施する地域商店街支援事業のうち、地域課題解決型補助について、これは従前の支援事業と比較してどのような内容になっているのか、お伺いいたします。
◎小野 産業振興部長 地域課題解決型補助の内容についてでございます。
人口減少や高齢化の状況など商店街を取り巻く環境や課題はさまざまであり、これまでも、商店街から、こうした課題に対応して活性化を図るため、もっと柔軟な支援制度に変えることができないかというような声も寄せられてきたところでございます。
そこで、それぞれの商店街で異なる地域課題に幅広く対応できますよう、これまで事案ごとに細分化しておりました支援メニューを統合し、商店街が取り組む地域課題の解決を通した商店街の活性化を支援するものにしたいというふうに考えております。例えば、これまでは、商店街による空き店舗活用はコミュニティカフェに限定しておりましたけれども、新たな支援事業におきましては、空き店舗に限らず、地域の歴史ある建物を改修したレストランの運営なども支援対象となるものと考えております。
補助内容といたしましては、補助率は3分の2で補助限度額は200万円としておりますが、他の商店街のモデルとなるような先進的な取り組みで、特に地域課題解決に資する事業につきましては、補助率4分の3で補助限度額を300万円に引き上げることも考えているところでございます。
◆松井隆文 委員 ただいまの答弁によりますと、新しい支援事業となる地域課題解決型の補助は、商店街がそれぞれの地域の課題を踏まえて、その解決に向けて考えたアイデアや課題といった企画を支援するものであります。その支援の趣旨は理解いたしましたけれども、この支援事業が多くの商店街に有効に活用されるために、さらに私から2点お伺いいたします。
一つ目は、マンパワーの問題であります。
例えば、私の地元の手稲本町商店街のように、将来に向けた計画づくりをしっかりとやっている商店街は一部にとどまっております。全ての商店街が将来ビジョンや課題解決に向けた具体的な方策を持っているわけではなくて、商店街によっては事務的な機能を果たす人材、例えば常勤の事務員などが極めて不足しているところも多く見られます。そうしますと、商店街の場合、商売をする傍らで申請書類などの手続を進めなければならず、これは作成自体がなかなか難しいということも聞いております。
また、この支援事業を有効に活用するためにも、商店街みずからが活性化に向けた企画を考えて提案するということですが、それができれば非常にいいですけれども、先ほど言いましたように人が非常に不足している状態の中では、企画を考えて提案するマンパワー自体が不足していることも実情であると私は考えております。商店街が地域課題の解決というものを通して活性化事業に取り組むには、補助金のような財政的な支援だけではなくて、そこにあわせて、そもそも企画や提案といった人的な支援も必要ではないかというふうに考えています。
そこで、1点目の質問ですが、商店街に対する支援として、札幌市として財政面以外に人的な面でどのような支援を考えているのか。
2点目は、支援期間でありますが、従前の経済局の補助制度ですと、その支援期間はほとんど3年間となっておりました。しかし、商店街が取り組む活性化事業は、千差万別でそれぞれの商店街の事情があり、一律3年間としている支援期間が商店街のニーズに合わないという声も聞いております。新しい支援事業の趣旨が商店街みずから考えて実施するものに対してということであれば、支援期間についても柔軟に設定するべきではないかと思います。
そこで、地域課題解決型の補助において、札幌市として支援期間をどのように考えているのか、2点あわせて伺います。
◎小野 産業振興部長 1点目の商店街に対する人的な支援についてでございます。
地域商店街支援事業におきましては、商店街の企画づくりを支援するファシリテーター派遣がございます。ファシリテーターとは、ワークショップ等におきまして運営や進行を通して参加者の意見やアイデアを引き出す人材のことでございますが、本制度では、経験豊富なファシリテーターを商店街に派遣し、地域課題の共有や課題解決に向けたアイデアなどを話し合い、具体的な事業を企画することを支援するものでございます。また、経済局においても、それぞれの商店街ごとに担当者を決め、当然のことではございますが、日ごろから相談に応じたりアドバイスを行うなど、きめ細やかな支援にも努めているところでございます。
次に、2点目の支援の対象期間についてでございます。
商店街への補助は、基本的に事業のスタートアップを支援するものでございます。最終的には、自立して取り組んでいただく必要がありますことから、一定の期間を設けることが必要というふうに認識しております。
これまでの支援事業におきましては、一律3年間という期間を設けてきたところでございますが、委員のご指摘のとおり、商店街の取り組みの中には3年を超えるような支援を必要とされる場合もありますことから、地域課題解決型補助の支援期間につきましては、基本的には3年間としながらも、必要に応じて柔軟に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆松井隆文 委員 現在、人口減少社会を迎えまして、これからの商店街というのは、まさに地域のコミュニティーの重要な担い手の一つとして地域に深く根づいていく必要があると考えています。ただいまの答弁にありましたファシリテーターの派遣とか経済局職員による対応も非常に重要でありますけれども、地域のまちづくりを担う一員である商店街をさらに活性化させるためには、人的な支援がより一層必要であるというふうに考えています。そこで、例えば、地域において最も身近な存在であって、地域の課題などの実情を把握している区役所などにおいても、町内会を初めとする地域のまちづくり団体との連携を促進するとか、あるいは、地域全体の活性化の観点から商店街とより一層かかわっていくということも検討してはどうかというふうに私は考えております。
最後に、商店街のにぎわいづくりはとても重要であり、にぎわいづくり型の補助制度が今年度の骨格予算に盛り込まれているというのは、切れ目なく支援する必要があるという考えによるものだというふうに私も思っております。しかし、こうしたにぎわいが必ずしも商店街の加盟店舗の売り上げ、利益に結びついていないという事実も、また一方であることも懸念しております。にぎわいを売り上げに結びつけるというのは、最終的には各店舗が行うことであり、そこで行政が個別の店舗に対して直接支援するのは難しいかもしれませんが、例えば、商店街の中ににぎわいを売り上げに結びつけた店舗があるとか、札幌市として把握している優良事例があれば積極的に紹介するなど、商店街の支援においては最終的に店舗利益につなげていくといった観点も持って取り組んでもらいたいということを私の要望として述べまして、質問を終わらせていただきます。
◆小口智久 委員 私からは、IT産業の成長促進について伺います。
札幌市に集積するIT産業を活性化して安定した成長を促すためには、他産業との異業種連携が必要でございます。IT産業以外のさまざまな産業においては、IT技術、つまり情報化技術によって、効率的な経営管理、見える化による新しいサービスの創出、また、ビッグデータの解析やシミュレーション、計算技術を駆使した新製品開発等が促されており、IT産業と他産業の両者がメリットを得ることができるといった効果が期待されております。そのため、IT産業と他産業との連携によって創出される事業が技術的に実現可能なのか、可能であっても、自己満足ではなく、他社に負けない競争力があって事業展開ができるのか、そして、中長期的にしっかりともうかるのかといった観点から、事業の可能性や効果の評価を行い、重点的に連携を図ろうとする産業分野を抽出して両者の相乗効果を生み出していく必要があります。札幌市では、IT産業と連携を進める重点分野として、バイオ産業を対象とし、2年前から連携に向けた取り組みを始めたと聞いております。
そこで、質問ですが、この事業はどのようなことを狙いとして進めているのか、また、これまでに具体的にはどのような取り組みをなさってきたのか、伺います。
◎小野 産業振興部長 事業の狙いとこれまでの具体的な取り組みについてのお尋ねでございます。
まず、事業の狙いにつきましては、本市には、バイオクラスター形成への取り組みなどを通じてこれまでバイオ系企業が一定程度集積しており、その売上高はこの15年間で約5倍となるなど、バイオ産業は本市における成長産業の一つとなっているところでございます。また、バイオ産業においては、膨大かつ複雑なデータ処理や画像解析技術を用いた細胞観察などIT技術を活用できる部分も多く、両産業が連携することによる相乗効果は高いものというふうに想定しております。これらのことから、バイオ産業の研究開発や経営の効率化、IT産業の技術向上や販路拡大などが図られることで両産業が一層成長することを期待して、本市では両産業の連携促進に向けた取り組みを進めてきたところでございます。
次に、具体的な取り組みについてですが、平成25年度以降、IT企業のバイオ産業に対する理解を図り、両産業の関係づくりを促進するため、バイオの基本から最近のトピックスまでを学べる入門講座や、先進的な連携事例を紹介するITバイオセミナーを開催したほか、IT企業がバイオ企業の現場を視察し、互いの交流を図るマッチング交流会などを開催してきたところでございます。
◆小口智久 委員 私自身、民間で研究開発を行ってきた経験から申しますと、異業種と連携していく上でとても大事なことは、異業種の方と切磋琢磨し合い、技術革新を行う中で、夢、希望を持つこと、また、連携による社会的・経済的メリットをイメージできることがとても重要でございます。さらに、このような連携の話を社内に持ち帰ったときによく言われる話としては、それはどのような事業計画になるのかとか、ビジネスとして採算性はあるのかとか、企業のニーズ等のさまざまな情報が外部に漏れてしまうのではないかというような不安の声も受けた経験が多々ございます。他企業と連携する上では、このようなハードルが存在いたします。このように考えますと、普及啓発セミナー等は当初の動機づけには効果的でありますけれども、連携を実行する段階になると、もう一歩踏み込んだ支援が求められるのではないかと考えております。
そこで、質問ですが、これまでの取り組みの結果をどのように評価しているか、また、それを踏まえて、今後、具体的な連携の促進に向けてどのように取り組んでいくのか、教えてください。
◎小野 産業振興部長 まず、これまでの取り組みの評価についてでありますが、昨年度までに実施したセミナーやマッチング交流会を通じて事業化に向けた話し合いを行っている企業も出てきており、現状では、具体的な成果を上げるまでには至っていないものの、連携の土台が築かれつつあるものと考えているところでございます。
次に、今後の取り組みについてでありますが、IT、バイオ産業ともに、技術的、学術的な専門性が高いことから、相互の理解を深めるための取り組みを引き続き行う必要があるとともに、さらに、その上で、具体的な連携に向け、企業同士がパートナーとして協働できる関係を築いていくための支援が重要であると認識しているところでございます。そこで、今後は、セミナーについて、互いの言葉、言語や考え方を理解できるよう、テーマ設定、講演内容などを工夫するとともに、マッチング交流会については、企業間での対話の継続につながる人的な信頼関係を構築できる場とし、さらに、専門家による継続的なフォローにつなげるなど、具体的な連携の実現に向け、より効果的に事業を実施してまいりたいと考えているところでございます。
◆小口智久 委員 最後に、要望になります。
今現在、異業種間の連携によるイノベーションの創出、つまり技術革新が他産業でもかなり注目されておりますけれども、産業で当たり前に使われている常識的な技術でも、ほかの産業では意外と知られていなくて、その技術が鍵となって画期的な成果、つまり価値が創造されることを期待されているところでございます。異業種間では、相互の理解が難しいからこそ連携の効果が高いとも言えて、特にIT技術との親和性が高いとされるバイオ産業に大きな可能性があると考えられますし、ほかにもそうした分野があるものと考えております。
先ほどの答弁にあったように、バイオ分野については、これまでの取り組みが少しずつ実を結んできているとのことですが、決して現状に満足することなく、両産業のさらなる成長の実現に向けて取り組んでほしいと思います。また、バイオ産業との連携促進のみならず、さらにITとの親和性のある産業の抽出に努め、IT産業と他産業との連携が広がりのある取り組みとなるように要望して、私からの質問を終わります。
◆坂本きょう子 委員 私からは、大きく2点質問します。
企業立地促進事業にかかわって1億3,000万円が計上されており、大谷地流通業務団地高度化・効率化調査検討事業については1,000万円が計上されておりますので、それぞれ質問したいと思います。
この際、順次、質問させていただきたいので、委員長、よろしくお願いいたします。
まず、企業立地促進事業についてですけれども、今回の補正予算で1億3,000万円が計上されております。いただいた資料では、この補正予算に対して、コールセンター本社機能で3件、IT・コンテンツ・バイオの分野では9件という補助の目標を立てております。当初予算と合わせると5億6,000万円余りということですから、平年並みの金額だと思うのですけれども、今回、秋元新市長のもとでの公約である雇用を生み出す力強い街の実現の一つとして企業の誘致を進めていくということです。
私ども日本共産党としても、この間、企業誘致にかかわって、安定雇用につながるものにしていかなければならないという立場で、パンフレットの改善等、いろいろと質疑してまいりました。今年度ももう上四半期ですから、企業誘致は3件、9件とそれぞれ具体的に進んでいるというふうに思うのですが、今現在の誘致状況についてはどのようになっているのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 今年度の誘致活動の進捗状況についてでございます。
本市では、コールセンターやIT・コンテンツ企業などを対象として誘致活動を継続的に行っており、今年度の状況といたしましては、現時点において、コールセンターで4件、IT・コンテンツ企業で3件の立地が見込まれる状況となっております。
◆坂本きょう子 委員 既に動き出しているということですね。
1億3,000万円の補正予算で、平年ベースでは5億円から6億円ですが、本州から企業を誘致するに当たって、先ほども申し上げましたけれども、安定雇用ということが何よりだと思います。先ほど、私ども日本共産党の池田委員からの指摘もありました。若年層を中心とした非
正規労働者の労働条件は極めて劣悪と言わなければならない、この改善には一刻の猶予もないと考えます。労働条件の改善はもちろんのこと、正社員化による安定した雇用と賃金水準の向上は、札幌、北海道のみならず、日本経済全体の好循環をつくる大変重要なキーワードになってくるというふうに考えております。札幌市として、この課題に最優先に取り組むべきだと思うわけでございます。
そして、今、コールセンターで4件、IT・コンテンツで3件の誘致の実績ということであります。この4年間に限って補助金額を見てみますと、10億円余りの補助金が支出されておりますが、その6割以上がコールセンター、バックオフィスの誘致に使われております。その一方で、どのように雇用が創出されているか。この4年間で見ますと、2010年は、1万8,000人だったコールセンターの雇用者が、今、3万人に広がっております。しかし、正社員の比率は、2010年では1,500人、2014年では3,260人で、正社員の率は8.3%からいまだ10.9%という状況になっております。
2013年、当時は上田文雄市長でしたけれども、議会に出席いただいて、そのときはパンフレットの改善を求める質問をいたしました。コストが安いということが札幌の魅力とパンフレットに書かれておりまして、オフィスの賃料などと並んで人件費が安いことが札幌市の一つの魅力、売りだということでした。しかし、そういうことではなくて、正社員、そして安定した賃金状況をしっかりつくっていくべきだということで、パンフレットも若干改善していただいたようであります。
当時、上田市長は、安定した雇用を求める方に対して
正規雇用がふえるようにしていきたいと答弁されています。先ほど数字を述べましたが、誘致企業に関して正社員の雇用状況に変化があるとお考えなのか、現に改善が図られているのか、各企業の取り組みなどもあろうかと思いますが、その状況なども含めてお伺いしたいと思います。
◎小野 産業振興部長 誘致企業における正社員の雇用状況についてのお尋ねでございます。
まず、IT・コンテンツ企業につきましては、専門技術を有する人材確保を必要とする状況を踏まえ、正社員のみを企業誘致の対象としております。その上で、全ての雇用状況を把握しているわけではございませんが、立地企業に確認できた範囲で申しますと、昨年12月現在で常用雇用者の8割以上が正社員となっているところでございます。一方、コールセンターにつきましては、勤務する時間数や曜日、時間、時間帯の希望に応じた多様な働き方の受け皿となっている面もございまして、先ほど委員からもお話がございましたが、全雇用者に占める正社員の割合は、昨年12月現在で10.9%となっているところでございます。
次に、ここ数年の改善の状況でございますが、平成24年から26年までの推移で見ますと、コールセンターの雇用者数が全体で3,300人増加したのに対しまして、正社員の増加数は雇用者増加数の3割近くとなる860人でありまして、一定程度の改善が図られていると言えると考えております。具体例で申しますと、会計ソフト大手の弥生株式会社が、有能な人材の確保と技能の蓄積を進めるために、市内のコールセンターの契約社員と派遣社員の正社員登用を平成26年度から始めているなど、近年、各社で正社員化の動きが見られるようになっているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 一部ですが、契約、派遣から正社員の動きもあるということでした。しかし、コールセンターで申しますと、今、部長からも答弁がありましたが、10.9%しか正社員がいない状況ですから、やはり、これは改善していく必要があるだろうと思います。本来、
正規雇用となるべき労働者が契約社員あるいは派遣社員に置きかえられているという実態は、とりわけコールセンターの中では顕著にあるというふうに思います。全国や札幌市などで正規、非正規の割合がだんだんと縮まってきて半々のような状態になっていますが、コールセンターで言いますと、これが相変わらず9対1と、圧倒的に非正規の働き方をせざるを得ないということですから、ここはしっかりと打開していかなければならないと思います。
とりわけ、先ほども申し上げましたように、かなりの税金が企業誘致のために使われていますから、やはり、札幌市が正社員化するための支援を進める取り組みを積極的に行うことが求められていると思います。そして、企業に対しても正社員化の動きをもっと促進させていく、あるいは、正社員を求めて札幌に進出してくるような企業の誘致、ターゲットをつくっていくべきではないかというふうに思います。
今現在も、コールセンターなどでは常用雇用と正社員で雇用する場合の新規雇用の補助金に対して若干の差をつけている状況がございます。そういう中で、先ほど、新たな雇用が生まれた3,300人のうち、860名が正社員だったということで、4分の1から3割近くがそういうふうになってきているというお話も部長からありましたので、そこはもっとスピード感を持って加速させていかなければなりません。そのためには、企業誘致の補助金で一定割合の正社員を雇用した場合にはもっと優遇措置をするというような条件を追加するとか、あるいは、正社員に着目した補助金額の単価についても、先ほど申し上げたように若干の差がついておりますので、そこにもっとめり張りをつけるといった補助制度の改善を通じて、一定の
正規雇用をしっかりと確保できるような誘致活動に変えていくべきだと思いますけれども、そこら辺はどのようにお考えになっていますでしょうか。
◎小野 産業振興部長
正規雇用の拡大に向けた取り組みについてでございます。
企業誘致に当たっては、正社員雇用の受け皿を広げるという視点を持つことが大変重要であると認識しているところでございます。そのような視点から、現行の補助制度では正社員1人当たりの雇用補助額を高めて運用しておりますが、正社員雇用を後押しするために、補助制度でさらにどのような工夫ができるか、働く方々のニーズとか企業の動向なども見ながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
一方、近年、社員の離職防止や勤務条件の向上を目的に正社員化を進める企業も札幌であらわれていることから、私どもとしては、こうした流れがほかのコールセンターにも波及していくような働きかけや工夫ができないか検討してまいりたいと考えております。例えば、人員確保策の参考として正社員雇用の動きを積極的に企業に情報提供することや、社員の能力向上を目的とした研修を支援し、将来の正社員化につなげることなどの取り組みがあり得ると考えております。また、コールセンターにおける取り組みに加えまして、多くの正社員雇用が見込まれる本社機能やIT・コンテンツ企業などの誘致に引き続き取り組むことにより、正社員雇用の受け皿拡大を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 後押しのための工夫で何ができるのかということで、いろいろと具体例も挙げていただきましたし、また、スピード感を持って将来の正社員化というようなご答弁でございました。やはり、若い方たち、あるいは、女性の社会進出ということが先ほども議論になっておりましたが、こういう方たちが、自分のスキルを持ちながら、あるいはスキルアップを図りながら、きちんと安定雇用につながっていく職場環境、企業誘致を進めていっていただきたいと思います。
間違っても
ブラック企業などが企業誘致の対象にはならないというふうに思いますけれども、私どもは、代表質問でブラックバイトの問題について質問いたしました。実態調査すべきという質問に対して、法令違反が疑われる企業の調査については、監督権限を持つ国が取り組んでいくものと認識しているという答弁でした。誘致企業に対しては札幌市が補助を出しているわけですから、調査・監督権限は札幌市が有していると言えると思います。そういう意味では、誘致した企業の労働実態、賃金の状態をつぶさに見きわめながら、必要な指導・助言、支援をしていっていただきたいということで、この企業立地促進事業については質問を終わりたいと思います。
引き続き、大谷地流通業務団地高度化・効率化調査検討事業について質問いたします。
大谷地流通団地ですが、1967年の開設ですから、既に50年近く経過していて、中には更新の時期を迎える施設も多くなってきています。ここは、特別な都市計画になっていて、卸、運送、倉庫、トラックターミナルという流通系の業務のみを取り扱う団地ですけれども、約70社が操業して札幌都市圏の5分の1、市内の4分の1の取扱量になっており、この50年の北海道の流通経済基地にふさわしい役割を担ってきているというふうに私は考えております。
そこで、これまで果たしてきた役割をどのように認識しているのか、改めて伺いたいと思います。
また、この検討事業費については、今回、1,000万円が計上されておりますが、昨年度は500万円が計上されて、これが執行されております。各事業所で
アンケート調査を行っているということでしたが、それも踏まえて、本市として今後検討すべき課題をどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 初めに、大谷地流通業務団地が果たしている役割についてでございます。
昨年度に実施した調査において、団地を起点、終点とする大型トラックの台数を検証したところ、市内を走行するトラックの約10%を占めており、次点でありました東雁来地区の3%を大きく上回って最多となっているなど、依然として重要な物流拠点としての役割を担っていると考えております。また、道路交通センサスなどのデータを分析したところ、物流の圏域が道内全体に広がっていることがわかっており、札幌都市圏のみならず、北海道全体の物流にとっても重要な拠点となっていると言えます。
次に、検討すべき課題についてでございます。
委員のご指摘にもありましたように、団地の開設から50年近くが経過し、老朽化した施設も見られますが、団地内に代替地がないため、操業を続けながらの建てかえが困難であることとか、貨物車両が増加傾向にあることによる交通環境の悪化等が挙げられます。そのほかの課題といたしましては、倉庫業、卸売業など業種別の集積を促すために設定している土地利用計画が事業の多角化の妨げになっているというような声も聞かれているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 団地については、まだまだ重要な役割を担っているというご認識があること、施設の老朽化とか交通環境の課題があるということでした。やはり札幌市の物流拠点として大変大きな役割を持っている、そして、多くの企業が立地していることから、先ほども企業立地のことで触れましたが、雇用の確保という役割も担っています。昨年、アンケートを行った中では、組合や業種によって、老朽化した建物は種地を用意して建てかえを検討しているとか、共同上屋のために建てかえ時には入居企業相互の合意形成が必要というようなことも言われているようです。
そういう中で、団地の協議会があるのですね。ただ、それは、年に1回、総会を行う程度のものだというふうにも聞いております。大きな企業から小規模な事業所を含めておよそ150から170社あるということですから、それぞれの企業の温度差、あるいは、業界によっては、今の景気の動向によって左右されている面などもあると思います。
そこで、今年度、大谷地流通業務団地の高度化、効率化に向けた調査検討費として1,000万円の予算が上程されておりますが、団地の現状と課題を踏まえて具体的にどのような事業を実施していこうと考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 今年度に行う事業の具体的な内容についてのお尋ねでございます。
団地の高度化、効率化に取り組んでいくに当たっては、入居企業が流通団地の課題を共有しながら、企業の創意工夫や設備投資が団地全体にとってより大きな相乗効果となるような将来ビジョンを描き、同じ方向に向かって進んでいく機運を醸成していく必要がございます。そこで、今年度は、立地企業のほか、学識経験者や関係行政機関、専門的な知識やノウハウを有するコンサルタントやデベロッパーなどを集め、団地の将来像を考えるための検討会を立ち上げていきたいと考えております。
こうした検討の場を通じまして、関係者間のネットワークを構築すると同時に、高度化に向けたビジョンの策定とその共有を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆坂本きょう子 委員 予算の概要ですが、18ページに事業内容、イメージ図が掲載されております。今、部長からご答弁があったように、立地企業、コンサルタント、有識者、デベロッパー、そして札幌市、行政機関が入って検討会を立ち上げていくというイメージ図があり、そこで課題、将来像の共有を図っていきたいということが載せられております。
実は、この流通団地は、札幌市の土地は一つもないということです。ですから、企業とかそれぞれの事業者によって、今後どういうふうに経営展開していくのかといったところで、すぐにでも建てかえをしたいところもあるなど、思惑もいろいろあるでしょう。先ほど、昨年行ったアンケートのお話をしましたが、なかなか全体合意がとれない中で、課題意識、将来像の共有と言っても、そこを一致させていくこと自体がまだ難しい状況にあるのかなというふうにも思っています。
そういう意味では、札幌市は、底地を持っていないけれども、例えば、改築をするときに一定条件の種地を用意するなど、建てかえ、更新に向けてさまざまな提案をしながら一定程度の役割を担っていくことがとても重要なことだと思います。そこで、本市の役割として、経済の底上げを図って雇用を維持・継続、生み出すという立場から、ここにどういうふうにかかわっていこうとしているのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
◎小野 産業振興部長 団地の高度化、効率化に向けて市が担う役割についてでございます。
市といたしましては、立地企業などの関係者が高度化、効率化に向けて協力し、検討を進めることができるよう、他地域の事例やノウハウ等を紹介したり、関係者間における人的な信頼関係の構築を行うなど、側面的な支援を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
また、市が主体的に検討を進める必要のある事柄が生じた場合には、関係者の意見も聞きながら取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 側面的な支援ということで、必要があればということですけれども、まちづくり戦略ビジョン<戦略編>の中で、大谷地の団地について、物流・交通拠点の高度利用の促進というところに高度化の方向性について検討を進めていくこと、それからまた、高次機能交流拠点ということで、都市機能を高める取り組みを推進するという中で活力や都市文化を高める機能の集積・高度化という項目がございます。これは、活力ある産業の育成や豊かな都市文化の醸成などのため、それらを先導する高次な都市機能が集積する拠点として次の12カ所を位置づけ、その機能集積や高度化に向けた取り組みを推進していくと書かれておりまして、12カ所のうちの一つが大谷地流通業務団地となります。「団地の機能更新や高度化などにより物流の効率化を進め、交通混雑の緩和、環境への負荷や物流コストの低減に資する拠点としての役割の向上を図ります」ということで、これは、今後10年間でやっていく戦略ビジョンの戦略編の中に書かれているものです。
今回は1,000万円のお金を使って側面的な支援をしていくということですが、このまちづくり戦略ビジョンでいきますと、かなり大規模な事業計画になるのではないかというふうに思います。それから、10年をめどで計画をつくり、検討を進めていくということですから、今後、どのようなスケジューリングでこれが進められていくのか、その点を伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 今後、どの程度まで進めるかというようなお尋ねでございます。
先ほども委員がご指摘のとおり、本市は、この団地内に市有地をほとんど保有していないことから、具体的な事業の構築につきましては土地や施設を保有する立地企業の意向などを踏まえて検討していく必要がございます。また、これから課題や将来ビジョンの共有を進めるところでございまして、現段階では具体的な検討スケジュールや事業の青写真といったものをお示しすることは難しい状況にございます。しかし、老朽化等による施設更新が喫緊の課題となっている企業もありますことから、本市としまして可能な取り組みについては優先的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 過大な計画、再開発ということにならないようにしていただきたいなと思います。企業によって温度差があると思いますので、十分にヒアリングを行いながら、部長がまさにおっしゃいましたけれども、急いで個別対応しなければならないところについては必要な手当てをしていっていただくことは求めたいと思います。
先ほどは、企業誘致に関して安定雇用ということを求めました。しかし、大谷地流通業務団地というところは、一定程度の事業所、雇用がもう既に集積されているわけです。団地で言いますと北広島の輪厚や石狩湾新港などの団地がありますが、そういうところに流出、分散させずに、大谷地でその機能をしっかりと守っていく、現にある企業とか事業者、雇用をしっかりと守り、支え、そして発展させていくという立場を堅持して検討していっていただきたい、計画を立てていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。