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令和 3年第 1回定例会−03月08日-05号
令和 3年第 1回定例会−03月08日-05号

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  1. 熊本市議会 2021-03-08
    令和 3年第 1回定例会−03月08日-05号


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    令和 3年第 1回定例会−03月08日-05号令和 3年第 1回定例会   令和3年3月8日(月曜) ┌─────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第5号                         │ │ 令和3年3月8日(月曜)午前10時開議                 │ │ 第  1 一般質問                           │ └─────────────────────────────────────┘                             午前10時00分 開議 ○紫垣正仁 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ──────────────────────────── ○紫垣正仁 議長  日程第1「一般質問」を行います。  順次発言を許します。村上博議員。          〔34番 村上博議員 登壇 拍手〕 ◆村上博 議員  皆さん、おはようございます。市民連合の村上博です。  3月、まだ肌寒い日もありますけれども、同僚議員、先輩議員に今回の機会を頂きましたことを感謝申し上げます。  また、その前に先日、先月、福島県沖において震度6強の地震が発生いたしまして、福島県、宮城県、大変多くの被害が出たということで、心からお見舞いを申し上げたいと思います。東北大地震からの余震ということで、10年目ということでしたけれども、このことを聞きまして、熊本地震においてもまだまだ油断ができないんだなということを改めて思いました。自然災害ということが、本当にいろいろな意味で私たちの身に降りかかってくるということを思いながら、今日は一般質問をさせていただきますので、よろしくお付き合いのほどいただきたいと思います。  まず、新型コロナへの対応策についてということで、安定した介護サービスの提供についてお伺いいたします。  重度訪問介護福祉サービスを利用しながら地域で生活している重度の障がい者の方たちは、介護事業所から派遣されるヘルパーさんの介護で毎日の生活が維持されています。食事介助にしても入浴介助にしても、そのほとんどが濃厚に接触する内容です。  昨年、訪問介護サービスの利用者の方からお尋ねがありました。もし新型コロナに感染した場合に、重度訪問介護サービスは継続して利用できるのかというものでした。入院時も服薬であったり、寝返り、排尿、排便など介護が必要です。果たして医療機関の状況がせっぱ詰まっているときに介護が受けられるのだろうかとの心配、不安なのです。さらに、退院したとき介護サービスはそのまま継続され、退院のその日から利用できるのだろうかという内容でした。医療機関が逼迫したときでも重度訪問介護サービスは継続的に利用できるのでしょうか。
     また、優先順位、トリアージについてお尋ねいたします。  熊本市の病床稼働率が9割を超えた時期がありました。医療体制が逼迫している状況を伝えるためでしょうか、1月15日の地元の新聞には「医療現場綱渡り」とか「コロナ急増 命の選別も」という大きな見出しが1面を飾りました。  こうした医療体制の逼迫状況は、現在の時点では落ち着いておりますけれども、重度障がい者の人たちは、自分たちがコロナに感染した場合、後回しになるのではないかとの心配があります。いざとなった場合、重度障がい者に限らずリスクが高い人たちは大変に心配な状況です。こうした心配や不安を抱く人たちに対する本市の取組をお尋ねいたします。  今後、医療機関が逼迫したとき、重度障がい者の人で無症状の場合に、宿泊施設を利用するケースがあるのでしょうか。その際の介護体制はどうなるのでしょうか。  以上、3点についてお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  1点目の、障がい者重度訪問介護サービスの利用についてでございますが、重度の障がいのある方の生活を居宅でサポートする重度訪問介護利用者のうち、最も支援の度合いの高い障害支援区分6に該当する方につきましては、平成30年4月より医療機関への入院期間中もヘルパーの利用が可能となっております。コロナ禍におきましても、障がいのある方が不安なく治療に専念できるよう、医療機関に対し制度の周知を徹底してまいります。  また、緊急事態宣言時などにおきましては介護に対する不安も大きいと考えられるため、重度訪問介護事業所等に対し新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や情報を伝えるとともに、訪問介護事業の継続が必要であり重要であるということをしっかりと伝えてまいります。  2点目の、優先順位、トリアージにつきましては、新型コロナウイルス感染が確認された場合、検査を行った医師からの届出を基に患者本人、保護者等から熱や呼吸状態などの症状、重症化リスクとなる持病の有無などを聞き取った上で、医師の意見を基に保健所で判断しております。  重度障がい者のトリアージにつきましては、宿泊療養施設は運営管理上、居室での自立した生活ができることを前提としておりますため、入院か自宅療養のどちらかで判断することとなります。当然ながら重度障がいがあるとの理由で入院が後回しになるなどの不利益が生じることはございません。  以上のような状況を踏まえ、重度の障がいのある方が新型コロナウイルスに感染された場合には、その方の症状や重症化リスク、生活環境、介護サービス等を勘案し、患者本人や家族に寄り添いながら個々のケースに応じた適切な対応をしてまいります。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  症状による優先順位とかはあるそうですけれども、入院が後回しになるなどの不利益はないということであり、障がい者の人たちも安心されると思います。そうした本市の取組方針については、あらゆる機会を通して何度でも情報として伝えていただくことを要望しておきます。  続いて、ワクチン接種についてとワクチン接種の課題について、まとめてお尋ねいたします。  先日、日本国内での新型コロナワクチン接種が始まりました。諸外国の対応に比べると遅いとの指摘もあります。しかし、医療従事者への接種が始まったことで、次の段階に移ってきています。接種年齢が16歳以上であったり妊婦はワクチン接種の努力義務から外されたり、またワクチンの確保が不確定だったり、様々な課題も残っております。  そこで、以下の点についてお尋ねいたします。  ワクチン接種までの流れです。今後、本市におけるワクチン接種はどのような流れで進められるのでしょうか。  また、接種時期と対象者の順番です。まずは医療従事者から始まったワクチン接種ですが、本市では接種時期や順番などマスコミで報じられておりますが、改めて分かる範囲でお知らせください。  次に、接種の方法です。接種の方法として、当初集団接種方式が大々的に伝えられておりましたが、本市では350か所のかかりつけ医を中心とする個別接種で行うとのことです。16歳以上の本市の対象者は63万人とのことですが、大変な人数のワクチン接種が混乱なくできるのでしょうか、お尋ねいたします。  続いてワクチン接種の課題ですが、妊婦へのワクチン接種の考え方と対応策として、妊婦への安全性が十分に確認されていないことから、妊婦への接種は努力義務から除外されました。しかし、アメリカ在住日本人医師の方で妊娠中の方がインタビューに答え、ワクチンを接種する場合と接種しなかった場合のリスクを考えた結果、自分は接種するとその方は答えていました。本市としては、妊婦の方への説明など対応はどうされるのでしょうか。  続いて、広がるワクチン詐欺への対応策についてです。ワクチン接種で気にかかるのが、ワクチン接種に伴う詐欺事件です。昨年、特別定額給付金の給付の際にも、本市の職員の名前をかたり高齢者の方への詐欺未遂事件が発生いたしました。特に高齢者世帯独り暮らし世帯など、情報が少ない人たちを狙って仕掛けてくる悪質な詐欺事件の被害から市民を守る必要があります。どんな対応策を考えていらっしゃるでしょうか。  そして、3番目です。重度障がい者への接種の準備状況です。ワクチン接種は希望者へクーポン券が送付され予約制とのことです。そして、地域のかかりつけ医による個別接種を中心に行われるとのことですが、自分一人での衣服の着脱が難しい障がい者へのサポート体制、また視覚障がい者、聴覚障がい者の人たちへもきちんとした情報提供などのサポート体制が必要と思いますが、どうなっているのでしょうか。こうしたきめ細かいサポート体制が準備されないと、現場において様々な混乱の原因となりかねません。サポート体制についてもお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  ワクチン接種とその課題につきまして、順次お答えいたします。  まず、1点目のワクチン接種までの流れについてでございますが、接種を希望する方は接種券を受け取った後、熊本市新型コロナワクチンコールセンターへお電話を頂き、接種の予約をしていただくことになります。そのほか、インターネットやLINE等を活用した予約につきましても準備を進めております。なお、予約開始の時期は改めてお知らせさせていただきます。  また、接種券につきましては、現時点では、まずは高齢者の方へ4月中の発送を予定しております。  次に、2点目の接種時期と対象者についてでございますが、接種順位は、まずは医療従事者等の接種が開始されており、続いて高齢者と高齢者施設に従事する方、次に基礎疾患を有する方と障がい者施設等に従事する方、その次にその他一般の方となっております。  接種時期は、4月5日の週に975人分のワクチンが本市へ配分予定であり、4月中旬から高齢者施設の入所者等の接種が開始できるよう準備を進めております。  3点目の接種の実施体制でございますが、本市の特徴である豊富な医療資源を最大限活用し、市民の皆様にとって身近で安心な医療機関での個別接種を中心とした体制を確保しております。あわせて、かかりつけ医を持たない方や、国からのワクチン供給量や時期に柔軟に対応するために、市有施設及び商業施設を合わせた6か所を集団接種会場の候補として選定し、準備を進めております。  4点目の妊婦の方へのワクチン接種でございますが、議員御案内のとおり、妊娠中の方は安全性に関するデータが限られていることから、努力義務の対象外とされております。妊娠中の方で接種を検討されている場合は、主治医とも御相談の上、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方についてよく検討し、接種の判断をしていただくこととなります。  5点目のワクチン詐欺への対応についてでございますが、自治体職員や医療機関を名のり、接種料等の振込を求めたり、あるいは住所など個人情報の照会を行ったりする詐欺の情報が本市にも寄せられているため、消費者センターや熊本県警へも随時情報を提供しております。  また、そのような詐欺を防止するため、新型コロナワクチン接種は無料であることや予約から接種までの手順等を、接種券へのチラシ同封はもとよりテレビ、市政だより、ホームページ、SNS等を活用し、積極的な情報発信を行ってまいります。  最後に、6点目の重度障がい者への接種の準備状況についてでございますが、障がい者や高齢者へのサポートにつきましては、障がい者相談支援センターや高齢者支援センターささえりあ等の関係機関と連携し、接種を希望する方が確実に接種できるよう取り組んでまいります。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  接種時期についてはワクチンの供給量との関係で明確にはできないそうです。また、接種については身近で安心な地域でのかかりつけ医による個別接種とのことです。また、かかりつけ医を持たない方たちには、市有の施設など6か所での集団接種も準備されるそうです。  妊婦の人たちには安全が確認されておらず個人の判断とのことですが、基本はそうであっても、既往症があるのかなど御本人が判断しやすい情報提供など、寄り添ったアドバイスをお願いいたします。  また、詐欺をたくらむ犯人たちは、ワクチン接種の仕組みを分析して巧みに仕掛けてきます。例えば、ワクチン接種は国の負担ということで無料ということなんですけれども、有料ですと言ってきたときに、いや無料と聞いたと。そうなんです、1回目は無料なんですけれども2回目は有料なんですよとか、いろいろ巧妙な手口で情報が少ない人たちへ、特に高齢者の人たちあたりを狙ってくるというようなことも聞いておりますので、いろいろなそういった手口、いろいろな場面でこういう手口がありますというようなことも、1つの情報として伝えていただきたいというふうに思います。  日本中が新型コロナで多大な影響を被っているときに、よりによって高齢者など情報が少ない人をターゲットにする卑劣な詐欺犯には、近くにいる私たちも気をかける必要があるのではないかなというふうに思います。  また、障がい者の接種に関しては、関係団体の人たちと連絡を取り合い連携しながらワクチン接種を進められるということですので、一安心といいますか、ぜひよろしくお願いいたします。  続いて、里親フォスタリング里親委託率ということでお尋ねいたします。  本市では4月1日から里親のフォスタリング機関が外部委託として事業開始します。フォスタリング機関は、社会的養護を推進する上でどんな役割を果たすのでしょうか。また、事業開始によりどんな効果が期待できるのでしょうか。  ちなみに、本市は平成30年度において都道府県、政令市などの69の児童相談所里親委託率において10.8%で、全国順位で最下位でした。その年度に里親に委託されていた児童は32人、児童養護施設入所の児童は241人、乳児院に入所していた乳児が22人でした。里親に委託された子供たちの実に8.2倍強に当たる子供たちが施設で暮らしていたわけです。また、当時の登録里親は76世帯でした。こうした状況を踏まえて、具体的な数値目標も併せてお示しください。  続いて、直接的な事業はフォスタリング機関に外部委託されるわけですが、本市にとって子供支援の側面から、ほかにも何らかの連携を考えておられるのでしょうか、お示しください。  3点目、熊本県は昨年11月に、県の児童相談所管内を担当する2つのフォスタリング機関と事業委託をしております。県及び県のフォスタリング機関との連携はどんなことを考えておられますか、お尋ねいたします。  4点目、先ほど平成30年度の数字を紹介しましたが、本市において、この10年間で児童養護施設と乳児院で暮らす子供たちが300人を超えた年度が4年あり、一番多かったのは平成22年度の326人でした。直近10年間の平均は285人です。  私は、フォスタリング機関の事業開始を大いに喜び期待しておりますが、一方で家庭的養護を必要とする子供たちがこれだけ多いことを、私たちは片時も忘れてはいけないというふうに思います。必要とする子供たちの多さを考えると、今後さらにフォスタリング機関を増やす必要があると思いますが、いかがでしょうか。  以上、フォスタリング機関里親委託率に関する4点についてお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  フォスタリング機関では、広く市民の皆様に里親制度の普及啓発を図るとともに、里親の新規開拓、研修、子供と里親家庭のマッチング、里親への支援などを行うこととしておりまして、それにより子供にとって必要な、安定した質の高い里親養育が促進され、地域社会の理解が深まるものと考えております。  里親の委託率の目標値につきましては、本市は熊本県と令和2年3月に、熊本県社会的養育推進計画を策定し、10年後の令和11年度の里親委託率を38%としております。  フォスタリング機関児童相談所におきましては、定期的に対応方針や役割分担などについて協議し、児童相談所フォスタリング業務全体のマネジメントを行うこととしております。  また、県や県のフォスタリング機関との連携につきましては、これまで県・市の児童相談所を中心に、児童養護施設里親支援専門相談員及び里親関係機関とともに、広域的に里親の委託を実施しているところでございまして、今後、このフォスタリング機関も含めまして、情報共有やさらなる連携の強化を図ってまいりたいと考えております。  フォスタリング機関の増設につきましては、まずはフォスタリング機関との連携体制を構築し、着実な里親の推進に取り組んでまいりたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  本市がフォスタリング機関を持ち活動が始まるというのは、本市にとっては大変大きなニュースであります。状況が確実に変わることを大いに期待するわけですが、質問の中でも言いましたように、これまで毎年250人前後の子供たちが児童養護施設で暮らさざるを得なかったという現実です。この現実の前では、今後フォスタリング機関と行政の取組が試されることでもあり、確実な成果が求められています。支援を必要として待っている子供たちの存在をしっかり認識して取り組んでいただきますように、強く要望しておきます。  県と市の目標というのは38%ということですけれども、国はもっと大きい数字、75%という数字を出しております。現実的な数字ということで、目標値ということで、本市、本県は38%ということでしょうけれども、先ほども申しましたように、待っている子供たちが250人前後もいるということをいっときも忘れてはならないんだろうというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  続いて、児童家庭支援センター児童虐待対応件数についてお尋ねいたします。  全国統計によると、児童虐待対応件数は2018年、15万9,838件、2019年、19万3,780件です。厚生労働省が統計を取り始めて、実に30年間連続の増加です。本市でも児童相談所が対応した児童虐待対応件数は2017年度、570件、2018年度は703件、2019年度にはとうとう1,000件を超えて1,114件となりました。この3年間だけを見ても544件の増加であり、率にして95.4%の増と、残念ながら大幅に増加の一途をたどっております。このような状況に対応するために、本市ではフォスタリング機関同様、児童家庭支援センターが4月1日から外部に事業委託されます。  そこでお尋ねいたします。児童家庭支援センターが果たす役割と期待されるものは何でしょうか。そして、本市と児童家庭支援センターはどのように連携されるのでしょうか。  続いて、児童虐待防止への取組についてもお尋ねいたします。  児童虐待防止への取組について、虐待の疑いがあるとして警察から児童相談所に通告された件数が、警察庁が統計を取り始めた2004年以降で初めて10万人を超えたそうです。また、DV被害の通報や相談も過去最多の8万2,000件余りを越えたそうです。子供の目の前でのDVは面前DVとして、れっきとした児童虐待となります。  さらに、児童相談所への直接の通報も増えており、厚労省の統計によると2000年度、およそ2万件だった児童虐待対応件数が、この20年間で10倍以上である20万件を超えています。本市の児童相談所が対応した児童虐待対応件数は、先ほども御紹介したように2019年度は1,000件超えの1,114件でした。児童虐待の対応件数は過去30年間連続して増加しており、行政の取組がこれまで追いついていないと言えます。  こうした社会的な状況や背景を基に、平成28年6月に改正された児童福祉法では、権利の主体は子供にあると位置づけられ、あらゆる児童福祉施策の大原則となりました。こうした観点からも児童虐待防止の取組は、早急かつあらゆる対応策が求められております。本市としての児童虐待防止について取り組む姿勢と対応策について、健康福祉局長にお尋ねいたします。  さらに、児童虐待防止のためのあらゆる事業が着実に成果を上げるためには、多くの財政的支援、人的支援が不可欠であり、市長にも御見解をお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  まず、児童家庭支援センター児童虐待対応件数についてでございますが、児童家庭支援センターは専門的な知識、技術により地域で生活する児童や家庭に対する相談支援を行うほか、要保護児童等への支援に関する関係機関との連絡調整や、児童相談所からの委託による保護者等への指導などを行うこととしております。  また、児童虐待の再発を防止するための保護者向けプログラムの実施、長期にわたる専門的な支援などを丁寧に行うことにより、区役所と児童相談所の機能を補完し、虐待の未然防止を図る効果が期待されております。  今後は児童家庭支援センター児童相談所、各区役所がそれぞれの機能を生かし、役割を分担した上で緊密に連携し情報を共有しながら、重層的できめ細かに支援を行う体制を構築し、複雑多様化する子供や家庭をめぐる問題の解決に向けて取り組んでまいります。  次に、児童虐待防止への取組についてでございますが、児童虐待の通告件数の増加は保育所、学校のほか警察や医療機関等との連携強化が進み、子供を見守るネットワーク化が進んできたことに加え、とりわけ児童虐待に対する市民の皆様の意識の高まりによると考えております。  御案内のとおり、本年4月に設置します児童家庭支援センターが家庭や地域からの相談を24時間体制で受け、専門性が高い支援に継続的に取り組み児童相談所業務を補完することにより、児童相談所はより重篤な虐待事案に迅速に対応することが可能となります。  児童虐待を防止するためには、関係機関と連係した早期発見と早期対応が重要であり、今後も保健福祉のサービスを活用しながら児童や家庭が抱える課題の解決に取り組み、切れ目のない支援を展開することにより子供の命と健やかな育ちを支えてまいります。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  児童虐待防止につきましては、早期対応から発生時の迅速な対応、虐待を受けた子供の自立支援等に至るまで、切れ目のない支援体制を構築する必要がありますことから、国が平成30年度に定めた児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づきまして、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。  また、児童虐待相談対応件数が増加している状況から本年1月、国からプランを1年前倒しして来年度までに児童福祉司児童心理司を増員し、人員体制の確保を目指すこと等が示されたところでありまして、これらを踏まえ本市においても適切な人員の確保に取り組んでまいります。  さらに、令和4年度から義務づけられます医師や弁護士の配置についても、できる限り早期の配置ができるよう努めているところです。  児童虐待に対する支援体制を強化するため、民間委託による児童家庭支援センターの設置やフォスタリング機関による里親養育の推進などに来年度から取り組むこととしておりまして、児童相談所体制強化に伴います人員配置や専門性向上に係る財政措置については、国の支援策も活用しながら取り組みますとともに、虐待防止のためのあらゆる対策を講じながら、安心して暮らせるまちの実現を目指してまいりたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  児童家庭支援センターの役割は、専門的な知識、技術で児童や家庭への相談支援を行い、関係機関との連絡調整と保護者への指導を行い、また保護者向けプログラム実施などで虐待の未然防止を図る効果が期待できるとのことです。  確かに保護者へのプログラム実施で児童虐待が大幅に減れば、それに越したことはありませんが、虐待を行うのは8割以上が保護者と言われており、保護者への虐待防止策と同時に被虐待児童のあまりの多さを考えると、まだまだ虐待を受けている子供たちの発見を同時に行わないといけない状況です。児童福祉法では第25条の規定に基づき、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合、全ての国民に通告する義務が定められています。  とにかく、30年間連続の増加というこうした危機的状況に対して、市長の認識からは本気の取組が伝わってきたというふうに感じております。児童相談所の体制強化のため、児童福祉司児童心理司の専門職の人員増員や、医師や弁護士も早期の配置に努めるとのことです。また、そのための財政措置についても、国の支援策を活用しながら虐待防止のためのあらゆる対策を講じるとの、誠に力強い決意を聞かせていただきました。本当に頼もしい限りであり、今後とも権利の主体者である子供たちが生き生きと育つ環境の整備への取組をよろしくお願いいたします。  続いて、教育問題について、学校施設のバリアフリー化についてお尋ねいたします。  令和2年12月、文部科学省から学校施設バリアフリー化推進指針が示されました。さらに、国、文科省はバリアフリー化の国庫補助率を現行の3分の1から2分の1に引き上げるとともに、2021年度から2025年度までの5年間に緊急かつ集中的にバリアフリー化を進めるため、全ての学校の段差解消や障がいのある子供、教職員のいる全ての学校でのエレベーター整備等の整備目標を設定いたしました。  このように、インクルーシブ教育を実践するための環境整備として、また避難所等地域コミュニティの拠点としての学校のバリアフリー化が進められようとしており、全国の障がい者団体が大変大きな期待を持って、その推移を注目しております。  バリアフリー法では2018年に、当事者参画をより一層重視する改正が行われました。学校施設バリアフリー化推進指針においても、文科省はその趣旨を酌み取り、障がい当事者の参画についても明記されてあります。  そこで、以下の2点についてお尋ねいたします。  まず、文部科学省は全国の公立の小中学校のバリアフリー状況を調査しましたので、本市でも回答されたと思います。その全国調査を基に文科省は学校のバリアフリー化について、昨年12月25日付で加速化通知と推進通知を出しております。文科省の2つの通知により、全国の教育委員会に対して整備計画の策定を求めていますが、本市においては現在どんな状況でしょうか。  続いて、さらに文科省は、整備計画を策定するに当たっては学校施設を利用する地域の障がい者、高齢者、妊産婦等の意見を聞き検討することが有効であると明記されております。本市には小学校が92校、中学校42校、市立高校2校、ビジネス専門学校1校、合わせて137校があります。これら全てのバリアフリー化を進めるにはかなりの期間が必要になると思います。例えば手すりの高さを例に取ると、小学生、中学生、高校生によって手すりの最適な高さは違ってきます。もちろん正解はありませんが、利用者の立場に立ってどのくらい真剣な検討が行われたのかが重要です。  このように、これらのバリアフリー化を確実に進めるためには、進捗状況の確認や整備内容を確認する第三者の検討委員会の設置が、より利用しやすいバリアフリーの実現の上では必要だと思いますが、いかがでしょうか。  続いて、医療的ケアを必要とする児童・生徒に対する教育環境の整備についてお尋ねいたします。  たんの吸引や医療が必要な医療的ケア児童がいます。胃ろうとは、口から食事をすることが困難であり、胃から直接栄養を接種するために胃に管を挿入し、そこから栄養剤を直接注入するという方法であり、医療行為となります。  本市として医療的ケアを必要とする児童を地域の小学校で初めて受け入れたのは、2009年の託麻南小学校でした。医療的ケアを必要とすることから、当初学校は受入れをちゅうちょしておりましたが、状況が一変したのは、相談を受けた私の先輩議員だった東すみよさんの一言でした。「看護師を配置すればいいのでは」というこの一言から、熊本市での医療的ケア児童の地域の学校への道が開けたのです。その相談に共に関わったことは、私にとって大変に貴重な経験となりました。  そこでお尋ねいたします。現在、本市の小学校、中学校にはこうした医療的ケアを必要とする児童・生徒はどのくらい在籍しているのでしょうか。  また、今後、地域の学校への入学を希望する場合に、看護師の配置など保護者の負担を伴わずに学校生活を送れるように環境整備、条件整備をさらに進めてほしいのですが、いかがでしょうか。教育長にお尋ねいたします。  さらに3点目、SSWの相談体制確立についてお尋ねいたします。  SSWの問題について、私はこれまでにも何度となく質問してまいりました。また、昨年の12月議会では古川議員がSSWの相談体制について、ベテランのSSWの人たちが一度に大量に辞める事態になった原因など、様々な問題点を指摘されました。教育長は古川議員の指摘に対して、SSWの人たちとの意見交換を基に改善に向けた前向きな答弁をされました。  さらに、大西市長は古川議員の指摘に対して、子供たちが抱える課題は児童虐待、貧困問題等多岐にわたっているとの認識から、SSWの役割は大変重要であること、しかしながら現在の人員体制ではSSWの一人一人の負担が大きく、SSWが成果を出すためには適正な人材確保、人材育成、SSWを支える体制作りに加え教育と福祉の連携も必要と、現状に対して大変踏み込んだ認識を示した上で、市長は指定都市市長会の要望活動や様々な機会を通じて国に要望していること、さらには子供たちが抱える課題の解決のため、総合的な視点を持ち相談体制の整備に努めるとの力強い答弁をされました。  これらの教育長、市長の答弁は、私にとっても大変に心強いものでした。私が長年にわたりSSWの問題に取り組んできた最大の理由は、市長が示された認識と全く同じであり、様々な課題を抱え支援を必要としている子供たちが存在し、しかも増え続けてきているという本市の実情からです。  そこで、市長と教育長の認識を受け、4月からのSSWの体制をお示しください。  また、人材確保が大変に重要です。福祉の専門職であるSSWの人たちが、働きがいがあり活動しやすく、SSWの人たちに対する支援体制をどのように整備し構築されるのか、今後の人材確保も含め教育長にお尋ねいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕
    ◎遠藤洋路 教育長  学校関係の3点のお尋ねに順次お答えいたします。  1点目の学校施設のバリアフリー化ですが、本市においては、ハートビル法等バリアフリーに関する法律の制定前に建設された学校が多いことから、バリアフリー化が遅れている状況です。しかし、配慮が必要な児童・生徒が在籍する学校については、実情に合わせてスロープを設置するなど、個別に対応しているところです。  議員お尋ねの整備計画については、技術職員による詳細な調査を行い、段差の有無等、学校ごとの状況を把握した上で早期の策定を目指してまいります。          〔議長退席、副議長着席〕  また、第三者の検討委員会の設置については、より良いバリアフリー化を進めるために、どういった方々の意見をどのような形で取り入れるのかについて検討してまいりたいと考えております。  2点目の医療的ケア児童の受入れ体制の推進ですが、本市の学校において医療的ケアを必要とする児童・生徒は、令和3年2月1日現在、小学校11名、中学校3名、特別支援学校小学部1名の計15名が在籍しております。  医療的ケアが必要な児童・生徒が安全に学校生活を送るため、環境や条件の整備が重要であると考えており、議員御案内のとおり医療的ケアが必要な児童・生徒が在籍する学校に、看護師資格を有する学級支援員を派遣しております。現在、学校における医療的ケアは学校、保護者、学級支援員、主治医が連携しながら、主治医からの医療指示書に基づき実施しているところです。  さらに、医療的ケアが必要な幼児、児童・生徒の安全で安心できる学習環境の整備や適正な看護師の配置に関することなど、総括的な管理体制について協議をする市立学校における医療的ケア運営協議会を設置するため、熊本市附属機関設置条例の改正案を本定例会に提出しているところです。今後も医療的ケアが必要な幼児、児童・生徒の安全確保を最優先に、受入れ体制の整備を進めてまいります。  3点目のスクールソーシャルワーカーについてですが、スクールソーシャルワーカー、いわゆるSSWにつきましては、令和3年度の当初予算案で10名から16名に拡充するということにしております。また、3つの学校を拠点校として、そこにSSWが集まる場所を確保することで、情報交換したり相談したりできる体制を計画しております。  支援体制については、柔軟な勤務形態や配置型と派遣型の併用、研修や人材育成の充実等についてSSWの意見を十分に反映させながら見直しを進めているところです。  これらの方策によってSSW一人一人の負担軽減を図り、支援を必要とする児童・生徒や保護者のニーズに十分応えられ、働きがいのある仕事につながるものと考えております。また、新たな人材確保のため、SSW養成課程がある大学や関係機関へ本市の取組を説明する機会を設けるなど、幅広く求人を行ってまいります。  今後はSSWとさらに情報交換を図りながら課題等の改善を図るとともに、担当課に福祉の知識を有する職員を配置するなど、SSWがより活動しやすくなるよう支援体制の構築に取り組んでまいります。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  バリアフリーへの最初の法律はハートビル法という名称でしたけれども、その当時は学校は対象から外れておりました。その後、バリアフリー法でも学校が対象となり、学校のバリアフリー化はかなり進んできておりますが、当事者の体験を基に意見を取り入れながら、今後さらにバリアフリー化が進むことを期待しております。  また、医療的ケア児童が地域の小中学校に15名も在籍しているそうです。託麻南小学校への最初の入学のお子さんの様子を見に、私は何度か訪問したことがあります。小学校の何年生だったでしょうか、給食当番ということで、車椅子の下のスペースに鍋を置いて、ほかの子供たちがその車椅子を押す、そういうことで給食当番の役目を果たしているとか、あるいは運動会のときにクラス対抗リレーで、男の子がその子の車椅子を押して、物すごいスピードで押して回るんですね。はらはらもしましたけれども、当の本人は喜んでいるということで、クラス全体に溶け込んでいるということをその様子を見て実感しました。まさにそういうことが必要だという思いでいましたので、私にとっては大変うれしい光景でした。  15名の児童・生徒が地域にいるというのは、まさに隔世の感がありますけれども、まさに多様性を体現しているというふうに思います。今後とも受入れ体制の条件整備をよろしくお願いいたします。  また、SSWの相談体制については、新年度からは10名から16名に増員されるということで、これまで文科省が期待するSSWの活用事業が、本市においては必ずしも活用されてこなかったとの厳しい指摘が外部からありました。そのため支援を必要とする児童・生徒たちに支援が十分に届かなかったり、SSWの人たちが消耗して辞めてしまうという悪循環に陥ったりもしていました。しかし、教育長のリーダーシップもあり、変わりそうな予感がいたします。どうか後戻りしないよう、今度こそ相談体制として構築されることを切にお願いし要望しておきます。  次に、教育問題の4番目として、学校の働き方改革の進捗状況について、4点についてお尋ねいたします。  過労死ラインの時間外の在校時間、月80時間を超える教職員数ゼロの目標達成はということで、教育長は「学校改革!教職員の時間創造プログラム」を策定され、3か年にわたり17項目について具体的な取組をされてきました。その中でも私が一番気になっていたのが、過労死ラインと言われる時間外の在校時間が月に80時間を超える教職員の存在でした。教育長はこうした月80時間を超える教職員数をゼロにすると言われましたが、現場からは80時間の達成どころか、新たに設定された45時間はさらに厳しいとの声が聞こえてきます。そういった実態に対して、現状をどのように把握されているのかをお尋ねいたします。  さらに、教育長の時間外の在校時間80時間を超える教職員数ゼロへの取組に対して、サービス残業がいまだに行われているのが事実です。教育長の取組を達成するために教職員の意識も変える必要があります。その取組についてはどのようにお考えでしょうか。  続いて、2点目として、給食費の公会計化と給食費の徴収、未納者への対応についてお尋ねいたします。  給食費の徴収に関しては、公会計化の実現により、徴収や未納者への対応については教職員の負担となることはないとのことでしたが、現状の具体的な取組とその成果が現在どうなっているのかをお尋ねいたします。  3点目、介護、育児休暇等の臨時的任用職員の確保について。  教職員にとって親の介護や育児、病気のときの休暇がとても取得しにくいという現場からの声があります。長期の休暇を取るときの最大のネックは、代わりの教職員の確保です。  臨時的職員の採用は、年度途中においては難しい側面がありますが、教職員にとって様々な業務の多さも加わり、学校現場がブラックな職場との印象にもつながり、先生を志望する若い人たちの応募が少なくなっているという現状にもつながっていると感じます。こうした点からも劇的な改善策が必要だと感じますが、取組をお伝えください。  続いて4点目、スクールサポートスタッフの継続的活用についてお尋ねいたします。  学校現場で教職員の負担感を軽くするものとしてスクールサポートスタッフ、SSSと略しますが、このSSSの働きがあり、教職員からはとても好評です。SSSの役割は、本市においては教室内の消毒作業や牛乳パックの洗浄、回収作業などとのことです。  そこでお尋ねします。この事業は国の事業として始まったものであり、期間は限定的とのことですが、教職員の負担感を減らすものとして現場からは要望と継続の期待も強く、それらの期待に応えて本市としてぜひとも続けてほしいと思いますが、いかがでしょうか。  以上、教育長にお尋ねいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  働き方改革についての4点のお尋ねに順次お答えいたします。  1点目の時間外の在校時間が月80時間を超える教職員ですが、プログラム策定前の平成29年12月には791人だったものが、昨年12月には265人と7割近く減少しておりますが、力及ばずゼロにするという目標は達成しておりません。  月80時間を超過する教職員の半数以上は中学校の教諭であり、その主な要因は休日を含めた部活動の指導によるものと考えております。また、小中学校の教頭が約2割を占めているなど、職種による偏りが見られるところです。  今月末に策定する2期目のプログラムにおいては、部活動の運営体制の見直しや教頭業務の軽減等に取り組むとともに、教員と児童・生徒に1人1台のタブレットが付与されるICT環境を活用し、さらなる業務の効率化と負担軽減を進めてまいります。  さらに、2期目のプログラムにおきましては、在校時間の正確な把握のため出退勤打刻の徹底を位置づけるとともに、時間外の在校時間が月45時間を超えて長くなるほど健康障害のリスクが高まることについて周知し、教職員の意識改革も図ってまいります。  2点目の給食費の公会計化に当たっては、給食費徴収システムを導入するとともに、健康教育課内に給食費収納班を編成し、体制整備等を行ったところです。体制の整備に当たり、未納者への対応として熊本市学校給食費納付相談員を雇用し、相談員による納付勧奨を行うとともに個別の事情に沿った納付相談に応じております。給食費の公会計化により、教職員の負担軽減が図られたと認識しております。  3点目の臨時的任用教員の確保ですが、教員の大量退職に備えて採用者数を増やす中、困難な状況が続いております。その対応として、昨年度から教員採用試験の1次試験の一部免除の条件のうち、臨時的任用教員としての任用期間を3年から1年に短縮するなどの取組を行っております。  また、毎年、大学訪問の際に、本市の充実した研修制度やICTを活用した教材の共有化など、魅力ある職場環境の情報発信に努めております。  4点目のスクールサポートスタッフについては、学校における感染症対策による教員の負担軽減策として令和2年度、国の補正予算により補助金が拡充されたため、本市の財政負担を伴うことなく配置しております。  一方で、令和3年度については国による補助金の拡充がなく、引き続き配置することが厳しい状況であり、国に対しては財政支援の拡充を要望しているところです。今後も国の補正予算等の財政的支援の動向を注視し、スクールサポートスタッフの配置について引き続き検討を行ってまいります。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  時間外の在校時間が月80時間を超える教職員は、3年間でゼロにこそなりませんでしたが、791人から265人へと7割も減少したそうです。職種による偏りがあるということですけれども、時間外の在校時間45時間など教育長も十分認識されているようであり、教職員の健康障害に直結する問題でもあり、今後さらなる取組をお願いしたいと思います。  学校での給食費の徴収と未納者への対応は、先生たちにとって、お金を扱うだけでなく様々な家庭の事情に踏み込むことになり、これまで精神的にも大きな負担となってきました。給食費納付相談員による対応はかなりの成果を出しているとのこと、本当によかったと思っています。しかし、給食費を払えない、あるいは未納になる家庭には様々な事情がある場合が多く、福祉との連携も視野に入れた相談、支援につながる相談体制として、決して事務的な相談にならないように改めてお願いいたします。先生たちの負担感がゼロになれば、それだけ子供たちへ向き合えることとなります。  郡部でSSWをしている方とお話をしたことがあったんですけれども、SSWの大きな役割というのは、問題を抱えた子供たちをいかに発見するかということをおっしゃったんです。この相談員の方も、ちょくちょく未納になるとか払えないとかという情報をそういったSSWの人たちと連携することで、ほかの福祉制度と連携しつなげるかもしれませんので、ただ単に未納、遅れていますよということではなくて、そういった福祉的な視点での連携につなげるような形で今後お願いできればなというふうに思います。  続いて、教育問題について。高校進学における学区外枠増加の影響についてということでお尋ねします。  県教育委員会高校魅力化推進室が毎年5月1日の時点で調査する資料によりますと、昨年3月に熊本市内の中学校を卒業した生徒は全部で7,003人とのことです。資料によると7,003人の生徒のうち熊本市内の県立高校に入学した生徒が2,505人、2つの市立高校に入学した生徒が465人、私立高校に入学した生徒が2,890人です。高専への入学者が59人と県外への進学者が213人、全部合わせると6,132人です。  ところで、熊本県教育委員会は2010年から高校再編を進め、県内の4学級未満の20の高校を9つに、大幅な統廃合を行いました。この結果どんなことが起きているかというと、高校再編以前、熊本市外から熊本市内の県立高校へ入学する生徒の割合は6.5%でしたが、県教委が学区を県北、県央、県南の3学区に編成すると同時に、熊本市以外からの入学割合を6.5%から倍に当たる13%へと増員させました。その比率は今後20%まで増員させる可能性があるということです。  その結果、気になる数字があります。熊本市内の中学校を卒業した生徒のうち6%に当たる422人の生徒たちが、熊本市外の県立高校に通学しています。熊本市内から市外の県立高校へ、また逆に熊本市外から市内の県立高校に通学する生徒たちのことを新聞社が、逆流と表現いたしました。  私は、この422人という数字の多さに驚きました。問題は、422人の生徒たちが、進路先として熊本市内から熊本市外の県立高校に通学することを果たして納得しているのかどうかということです。納得していればよいのですが、もしも不本意な気持ちで通学していれば、これは大きな問題です。というのも、熊本市外に通学するこれらの生徒たちの就学意欲の低下を危惧する話をよく聞くからです。そのことにより、受入れ側である熊本市外の県立高校の先生たちも、その対応に大変苦慮されているとも聞きます。  高校再編に関しては県教育委員会の取組ですが、熊本市外の生徒たちが熊本市内の県立高校に入学することで、押し出されるように熊本市民の子供たちが422人も市外の高校に通い、就学意欲の低下が心配される状況があるとすれば、これは教育的な課題と捉えるべきではないでしょうか。  逆流現象を生み出すこうした状況は高校再編が始まった2010年から続いており、令和2年度だけではないということです。当面はないということですが、熊本市外の生徒の入学割合が今後、仮に20%に増員されれば、さらに多くの生徒たちが押し出されるように熊本市外の県立高校へ通学することになります。こうした状況が今後もずっと続くことについて、市長はどのように感じられるでしょうか。見解をお伺いいたします。  続いて、熊本市立高校・専門学校の改革方針についてお尋ねいたします。  市立高校・専門学校の改革のため、令和元年に検討委員会が設置され、議論の上、令和2年3月に答申され、市立高等学校・専門学校改革基本計画として素案が策定されました。策定された基本計画の素案について、幾つかお尋ねいたします。  明治44年に開校し平成13年に市立高校から校名を変更した必由館高校と、昭和34年に開校し平成12年に市立商業高校から校名を変更した千原台高校と、昭和24年に開校し平成3年に校名を変更した総合ビジネス専門学校の3校の改革は、熊本市第7次総合計画及び熊本市教育大綱の理念を踏まえて策定されたそうです。  素案の第3章に掲げられた改革の基本理念として、自ら考え主体的に行動し多様な人々と協働しながら、自らの人生とよりよい社会を創造する力を育てる学校へ改革するとあります。さらに、3校に共通する3つの特色として、市立ならではの特色ある学校として幾つもの特徴が示されています。  その中で特に私の目を引いたものが幾つかあります。まず、第1点、必由館高校に附属中学校を設置し、中高一貫した系統的な教育を実施とあります。次に、少人数クラス編制では、高校では30人学級編制を実施、附属中学校は25人学級編制を実施とあります。  そこで何点かお尋ねいたします。この素案の中で、必由館高校の附属中学校設置についてですが、県内でも県立の中高一貫校がありますが、今回計画されている必由館高校に附属中学校を設置し系統的な教育を実施するということですが、中高一貫校の設置が果たす教育的意味を改めてお尋ねいたします。  次に、少人数クラス編制、高校30人学級、附属中学校25人学級についてですが、今回の改革方針の中で市立高校の学級編制を1クラス30人、附属中学校を1クラス25人となっております。全国的には義務制の1クラス35人の学級編制の実現が必死に取り組まれている中では、かなりの先駆的な方針だと思います。30人学級を実現することで得られる教育的効果と、課題がないのか、お知らせください。  3点目として、多様な生徒の受入れとして外国ルーツの生徒、LGBTQの生徒への支援があります。熊本市民の中にも外国にルーツを持つ多くの子供たちが暮らしています。日本は人口減少時代に既に突入しており、外国人労働者抜きには今後存続さえできないとも言われております。そうした時代が進む中で、外国ルーツの生徒への支援と併せLGBTQの生徒への支援は大いに評価できる改革方針です。方針は実にすばらしいと思いますが、学校全体に教育方針として定着させるためには、外国の文化に対する深い理解や多様性の根底として、教師を含め学校全体にしっかりとした人権意識があることがとても重要となります。  改革の基本計画全体を通して重要になるのが人権意識の醸成だと思います。人権意識を育むための教育方針が、改革基本計画からはまだ十分には伝わってきません。この点についてはどのように考えておられるのでしょうか。  続いて、外部人材の登用についてお尋ねします。  改革基本計画を確実に実行する上で、校長のリーダーシップは特に重要であり、外部からの人材登用は重要なポイントだと私も思います。ただ、外国ルーツの生徒たちやLGBTQの生徒または障害児を含めマイノリティーの生徒たちへの支援を実行するには、校長だけにとどまらず、広範囲に大胆な人材確保も考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  続いて、ICT教育の今後についてもお尋ねいたします。  本年1月末までに小学1年生から中学3年生の約6万人に1人1台のタブレットが行き渡り、また本年度中には高校生全員にもノート型パソコンが行き渡ると伺っています。いよいよICT教育推進の環境が整ってきているようです。  このようにタブレットやノート型パソコンの端末機が行き渡ることで、今後はICT教育は一気に推進されると思いますが、以下の4点についてお尋ねいたします。  まず、ICT教育の中心的役割を担うのはICT支援員ですが、国の配置基準では4校に1人とのことです。本市の新年度のICT支援員の配置人数は何人でしょうか。  2点目、ICT支援員の主な役割とは、先生に対するタブレットやノート型パソコンの使い方の研修を行うということでしょうか。そして、ICT支援員は期間限定の役割で、将来的には必要でなくなる役割なのでしょうか。  3点目、昨今、先生たちの働き方改革が求められていますが、ICT教育の推進により先生たちにとって新たな負担が増えるということはないのでしょうか。先生たちにとってのメリットとしてはどんなことが考えられるのでしょうか。  4点目、また今後のICT教育の進展により、児童・生徒たちが受ける教育的効果にはどんなことが考えられるのでしょうか。  以上、高校進学における学区外枠増加の影響について、市立高校・専門学校の改革方針について、ICT支援教育についてのそれぞれについて、市長と教育長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  県立高校の適正な配置につきましては、県教育委員会で判断されるものと理解しております。  本市の中学校から市外の県立高校へ進学する生徒は、平成21年度の合併時には8.3%だったものが、令和元年度には6.0%と減少傾向にあると認識しております。  いずれにいたしましても、本市の子供たちが将来の夢や希望、目的意識を持って中学卒業後の生活を送ることができるよう、中学校における進路指導の充実を図る等、本市教育委員会とともに取り組んでまいりたいと考えております。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  私からは、市立高校・専門学校の改革とICTについてお答えいたします。  まず、市立高校及び専門学校の改革については、昨年度設置しました検討委員会の答申を踏まえ民間事業者の知見も活用しながら、このたび基本計画の素案を取りまとめたところです。この素案は市立高校及び専門学校を、現在の特色をさらに発展させ新たな時代に対応した魅力ある教育機関へと改革するものです。  1点目の必由館高校における附属中学校の設置についてですが、同高校についてはグローバルリーダーの育成に取り組む学校と位置づけ、グローバル教育と探究学習を系統的に実施するため、新たに附属中学校を設置することといたしました。中学校段階から国際的な視野と課題意識を持った生徒を育成し、高校での探究学習のリーダーとすることで、高校段階における学校全体の学びの向上を目指しております。  2点目の少人数学級編制の教育的効果についてですが、多様な生徒へのきめ細かな指導や支援が可能になることから、探究的な学びや体験活動の充実が期待でき、今後の少子化時代におけるモデルケースとしたいと考えております。その効果を最大化するために、先進事例の研究や教員研修の充実が今後の課題であると考えております。  3点目の多様な生徒の受入れについてですが、市立学校として多様な生徒を受け入れ支援することを重要な役割と位置づけ、通信制過程の設置や選抜方法の変更などを素案に示したところです。多様性を尊重し合う学校を実現するには、個性や違いを認め合う豊かな人権文化を醸成する必要があることから、多様な生徒が活躍できる学校行事の実施など、生徒一人一人が主体的に学校づくりに関わる機会を充実し、学校全体として人権意識の高揚に取り組んでまいります。  4点目の外部人材の登用についてですが、多様な生徒への支援をはじめ改革を確実に実行するためには、議員御指摘のとおり、校長だけではなく幅広く人材を活用することが必要であると認識しております。具体的には、特別支援教育等の専門の人材を配置するほか、市役所や企業、地域住民など様々な人材を積極的に活用し、教育活動全体の充実に努めてまいります。  次に、ICTの支援についてですが、1点目のICT支援員の配置人数については、国の基準としては、平成30年度からの教育のICT化に向けた環境整備5か年計画において、4校に1人と示されております。現在本市では19人のICT支援員を配置しており、令和3年度には3人増員し22人とする予定です。  2点目のICT支援員の主な役割についてですが、教員に対するタブレット端末等の使い方の研修だけでなく、授業に向けたICT機器の準備、教員や子供への授業中のサポート、行事の配信や機材設定の支援、障害への対応、教材作成、実践事例の共有、タブレット端末の管理運用など多岐にわたっております。これらの役割のうち授業の支援や研修の支援は教員のICTスキルの向上によって縮小が見込まれますが、障害対応や管理運用、教材作成、実践事例の共有などは縮小が見込まれない業務です。ICT支援員がこれらの業務を担うことで教員の働き方改革にもつながるため、ICT支援員は将来的にも必要な役割であると考えております。  3点目の教員の新たな負担についてですが、ICT機器の導入初期においては、操作方法に慣れるために教員の負担が一時的に増加したということは事実だと認識しております。現在は活用が進んで、ファイルや教材の共有、ビデオ会議による移動時間の削減、会議や家庭とのやり取りのペーパーレス化などにより時間が生み出され、働き方改革に寄与していると考えております。  最後に、今後のICT教育の役割ですが、子供がICTを活用し、教員が教える授業から子供が学び取る授業へ転換することで、自ら考え主体的に行動できる力、他者と協働しながら主体的に課題を解決する力を育成することであると考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  必由館高校への附属中学校設置については、中学校段階から国際的な視野と課題意識を持った生徒の育成、学校全体の学びの向上を目指すとのことです。また、少人数クラス編制については、きめ細やかな指導や支援により今後の少子化時代のモデルケースとしたいとのこと。また、多様な生徒の受入れについては多様性を尊重し合う学校の実現と個性や違いを認め合う人権文化の醸成、多様な生徒が活躍する学校全体の人権意識高揚に取り組むとのことです。かつてない改革方針であり、多方面から注目されていくと思いますので、新たな時代の新たな人材の輩出につながるように取り組んでいただきたいと思います。  また、ICTに関しては先生たちの負担になるというのではなく、逆に先生たちの負担を軽減するということにもつながるというようなことでありました。私にとってはなかなか疎い分野であるものですから、どうなるのかなというふうに思っておりましたが、今後の子供たちにとっては必要不可欠の、そういった知識になるのではないかなというふうに思っております。  続きまして、バリアフリーのまちづくりについてということで、電停のバリアフリーについてお尋ねいたします。  私は長年にわたって、障がい者の地域での自立生活の実現を目指して取り組んできております。その場合に、住むところのバリアフリーは前提条件ですが、同じくらい重要なのが、移動の自由を保障する公共交通機関のバリアフリーであり、整備です。日本で最初に低床電車を導入した本市交通局ですが、導入された1997年8月以降、全国の多くの自治体からの視察が相次ぎました。  さて、本市にある35の電停のうち、現在車椅子でも利用できる電停は20か所とのことです。全体の6割未満でしかありません。電停のバリアフリー化については、電停改良計画に基づいてバリアフリー化工事が進められているそうですが、低床電車が日本で1番に導入された1997年から既に24年目です。実に四半世紀近くは経過しようとしています。  富山市の路面電車を活用したまちづくりで驚くのは、そのスピード感です。路面電車を活用し、車がなくても暮らし続けられるまちづくりとして、そのことが実感できる施策が進められてきました。この車がなくても暮らし続けられるまちづくりの中には、一言も路面電車という文字が入っておりませんけれども、中身は路面電車を活用してのまちづくりということなんです。  2004年に開業した第三セクターの富山港線は昨年3月、富山駅の高架化工事で南北が接続され、中心部へ乗り入れられるようになったことから役目を終わり、市内を中心に走っていました富山地方鉄道に吸収合併されました。さらに、市内中心部は高架化よりもずっと前に環状線化され、利便性が飛躍的に良くなり、乗降客も大幅に増えたそうです。外部から見ていても分かるほどのスピード感です。  本市の狭小電停の改良についての難しさは理解できますが、電停のバリアフリー化にはまさにスピード感が求められております。  そこで、電停のバリアフリーについての取組状況と進捗状況についてお尋ねいたします。  現在取り組んでいる電停のうち通町筋電停のバリアフリー化は、下通り側は既に完成しておりますが、上通り側は地下埋設物との兼ね合いで工事が遅れています。そのほかの電停のバリアフリー化工事と併せてその進捗状況を教えてください。  続いて、狭小電停のバリアフリー化です。  電動車椅子でも利用できる電停の広さは、バリアフリー法では幅1.5メートル以上とされております。1メーターにも満たない狭小の電停は全体で何か所あるのでしょうか。  狭小の電停では車椅子での利用が制限されるだけでなく、高齢者の利用者にとっても危険です。それら狭小の電停を解消するためのバリアフリー化については、本気で取り組まなければ、解消までに今後さらに四半世紀を要することにもなりかねません。  都市建設局長と市長にお尋ねいたします。
             〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕 ◎田中隆臣 都市建設局長  私からは、電停のバリアフリー化の進捗状況についてお答えいたします。  本市では、高齢者や車椅子利用者の方々などが市電を円滑に御利用いただけるよう、平成21年度に作成した電停改良計画に基づき、電停の拡幅やスロープの設置などバリアフリー化に取り組んでおります。  本年度は通町筋電停上通り側に加え辛島町、動植物園入口におきまして電停改良に向けた道路工事の設計、施工等を行っており、これら3電停につきましては来年度中にバリアフリー化が完了する見込みとなっております。  また、商業高校前、健軍校前のバリアフリー化に向け、現地の測量や設計を来年度実施することとしており、関係機関との協議等が調い次第、速やかに改良工事に着手したいと考えております。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  市電の電停につきましては、現在計画的にバリアフリー化を実施しておりますが、車椅子での利用が困難な幅員1メーター未満の電停が、全35か所のうち15か所も存在いたします。全ての方々が安全で快適に移動するためには、これら電停のバリアフリー化は喫緊の課題と認識しております。  今後も電停のバリアフリー化を着実に進めていくものの、電停の多くは道路幅員に十分な余裕がなく地下埋設物がふくそうするなど、関係機関との協議や工事の施工が長期に及ぶなどの課題がございます。そこで、市電と路線バス相互の連携を強化しノンステップバスの導入を促進するなど公共交通全体で、高齢者や車椅子利用者の方など誰もが安心して移動できる環境を早期に実現してまいりたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  電停のバリアフリー化工事を行っている通町筋上通り側、辛島町、動植物園入口については、来年度中には完了するとのことです。また、幅1メートル未満の狭小電停は15か所とのことです。様々な地下埋設物など問題があり、関係機関との協議などで課題があるとのことですが、そうした中でも商業高校前と健軍校前の2つの狭小電停のバリアフリー化に向けた現地測量や設計が、新年度には実施されるとのことです。これまでからすると大きな前進と考えます。ぜひスピード感を持って取り組んでほしいと思います。  続きまして、バリアフリーのまちづくりについてということで、路線の延伸化についてお尋ねいたします。  富山市のまちづくりのコンセプトは、車がなくても暮らし続けられるまちづくりです。そのために路面電車によるコンパクトシティづくりが進められてきました。民間の地鉄路線を環状線にして利便性を向上させ、また一方では廃止されたJR線を第三セクター方式で低床電車を導入し、路面電車やバスによる公共交通網はまちづくりとともに成功しており、見学者が絶えない状況です。  そこでお尋ねいたします。熊本市民病院は自治体病院として、また総合病院として、これまで障がい者の人たちにとって大きな頼りとされてきました。障がい者の人たちにとって、地域の医療機関は必ずしもバリアフリーではなく、受診は難しいのです。複数の診療科を受診することが多いだけに、総合病院でバリアフリーな市民病院にはとても安心感があります。こうした安心感を感じているのは高齢者の皆さんも同じです。それだけに、通院のための交通手段としての路面電車が市民病院まで延伸されることは大変重要です。  前回の延伸についての質問で市長は、基本設計で整備形態を検討し、整備費やスケジュール、費用対効果も含め早く示し、できるだけ早く実現に取り組むとの答弁をされました。その後の市電延伸の進捗状況について市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  本市が目指す多核連携都市の実現のためには、定時制、速達性、輸送力など優れた機能を有した基幹公共交通の充実を図ることが重要との考えから、これまで市電延伸を検討してまいりました。検討を進めております自衛隊ルートは、沿線に市民病院や東区役所など多くの公共施設が立地しており、高齢者や車椅子利用者の移動利便性向上にも大きく寄与するものでございます。  今年度実施しております基本設計においては、移動時間の短縮、自動車交通の減少、温室効果ガスの削減等の効果が確認されるなど、市電延伸は多核連携都市及び脱炭素に向けたまちづくりに不可欠な施策と改めて認識いたしました。  引き続き課題整理や関係機関との協議を進める中で、昨年5月に一旦中断を表明いたしました実施設計につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえ、議会等にも説明を行いながら、着手時期を総合的に判断してまいりたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  ぜひスピード感を持って延伸の実現に備えてほしいと、改めてお願いしておきます。  続きまして、バリアフリーのまちづくりについてということで、辛島公園地下駐車場の問題についてお尋ねいたします。  城南町にお住まいの女性の方から、辛島公園地下駐車場のことで御指摘いただきました。その女性が熊本市民会館での催しに参加するため、ボランティアの方に送迎を頼み辛島公園地下駐車場を利用されたそうです。案内標識に従い市民会館に近いエリアの地下2階に駐車されました。すぐ近くにエレベーターの案内標識がありエレベーターに乗ったところ、地下1階までしかなかったそうです。仕方なくボランティアの方が車椅子を抱え、御自身は階段をはって上がったそうです。とても情けなく惨めだった、こんな中途半端な造り方があるのを御存じでしたかという内容でした。声は穏やかで私を責める調子ではなかったものの、私は体全体がかっと熱くなり、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。  私がまだ市内に転入する前、私も辛島公園の地下駐車場を利用しておりましたが、市民会館に用がある場合には、障がい者用駐車スペースがある地下3階に車を止め、エレベーターで辛島公園の脇に上がり、そこから松葉づえで市民会館へ向かっておりました。そのため、女性の方が利用された地下2階の市民会館方面の駐車スペースを私はほとんど利用していなかったため、うかつにも地上まで通じていないエレベーターのことを完全に忘れておりました。聞けば、地下駐車場は建築から既に27年が経過しているとのことです。地下駐車場が建設されるとき、なぜ地下2階から地下1階までという中途半端なエレベーターが計画されたのでしょうか。今となっては恐らく誰も分からないと思います。  現在では花畑広場の工事が着々と進み完成間近です。花畑広場として一体的に整備されていますが、地下2階から利用できるエレベーターの設置は検討されているのでしょうか。  建設された27年前、まだバリアフリーの意識がなく出来上がった結果、長期間にわたって利用しづらい状態が固定され、今回の事態につながったと思います。今回の出来事は市の施設、民間施設を問わずあらゆる公共的な建物の計画、建築に関してのバリアフリーの重要性を物語っており、今回の出来事を通し市長が感じられたこと並びに思いをお聞かせください。          〔深水政彦総務局長 登壇〕 ◎深水政彦 総務局長  辛島公園地下駐車場の市民会館側のエレベーターは、平成5年の供用開始当時から地下2階と地下1階をつなげているだけでございまして、地上部には達していないという特殊な状況となっております。その理由や経緯につきましては、建設当時の資料等も確認いたしましたけれども、残念ながら記録が残っておりませんでした。  現在、地下2階から直接地上まで行くことができるエレベーターは辛島公園側に1基しかございませんことから、花畑広場の整備や全国都市緑化くまもとフェアの開催に併せ、利便性の向上に向けた方策を検討しているところでございます。  具体的には、地下1階にございますサクラマチクマモトとの出入口を、現状の手動式から自動ドアに改修いたしますとともに、地下通路のエスカレーターに車椅子用昇降機を新設するなど、地上への新たな動線を確保する予定でございます。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  先ほど総務局長が答弁で申し上げましたとおり、辛島公園地下駐車場の市民会館側のエレベーターは特殊な状況となっておりますことから、車椅子を利用されている方に大変御不便をおかけしているところでございます。  今後、車椅子利用者をはじめ多くの方々にとって使いやすい施設となりますよう、辛島公園地下駐車場の整備、改善に努めますとともに、熊本市内全域のいろいろな建築物においても、やはり誰もが安心して暮らせるバリアフリーのまちづくりという視点を重視しながら取り組んでまいりたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  バリアフリーが大変重要だということを分かっていただくためにも、皆さんも地下2階のエレベーター、一度御利用されてみてください。  続きまして、バリアフリーのまちづくりについてということで、まちづくり条例についてお尋ねいたします。  成熟国家としてバリアフリーは国の品格を示す、これは赤羽国土交通大臣がよく話される言葉とのことです。さらに赤羽大臣は昨年8月に開催された、第2回新幹線のバリアフリー対策検討会の挨拶の中で、バリアフリー政策は高齢者や障がい者などの社会的弱者のための福祉政策ではなく、全ての人がお互いの尊厳や人権を尊重し合い、誰もが積極的に社会参加することにより、生き生きとした人生を享受することのできる成熟国家としてふさわしい真の共生社会実現のための政策であると挨拶をされています。  私は、この会議に参加した障がい者団体の知人から、この発言内容を最近教えてもらいました。政治家の言葉として久しぶりに大変感動いたしました。まさにバリアフリーは、真の共生のまちづくりを実現させるための政策と言えます。本市においても、これらの観点が盛り込まれ、将来的なまちづくりの方向性を示す理念である、熊本市のまちづくり条例が必要です。  さらに、具体的なまちづくりの計画として、バリアフリー法では25条において、施設が集積する地区などにおいて、市町村はバリアフリー基本構想を作成することができると明記されております。また、市町村が面的、一体的にバリアフリー化の方針を示す、バリアフリーマスタープランを作成するというまちづくりの手法があります。  施設が集積する地域を選定し、障がい当事者も参加して、具体的かつ早急に本市のバリアフリー基本構想、バリアフリーマスタープランを制定、作成すべきだと思います。まちづくり条例の制定と併せて、市長と関係局長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  本市においては全ての人が、障がいの有無によって分け隔てられることなく地域社会の一員として安心して暮らし、相互に個性と人格を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指しております。  本市施策全般においても、合理的配慮の提供など障害者差別解消法の理念に基づき総合的に取り組んでおりますが、社会全体の理解や行動がいまだ十分とは言えず、障がい者の社会参加にとって依然として高い壁となって存在しております。その解消のためには、引き続き合理的配慮に基づくきめ細かな政策を行いますとともに、市民の皆様や事業者等社会全体へ、意識を変えるための働きかけを行うことが極めて重要であると考えております。  議員お尋ねの、まちづくり条例やバリアフリー基本構想等についてでございますが、バリアフリー政策を早期に具体化するために、まずはバリアフリーマスタープランを作成してまいりたいと考えております。また、将来的なまちづくりの方向性を示す理念としての条例についても、併せて検討を行ってまいります。          〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕 ◎田中隆臣 都市建設局長  私からは、バリアフリー基本構想及びバリアフリーマスタープランに関する今後の取組についてお答えいたします。  本市ではこれまでバリアフリー法ややさしいまちづくり条例に基づき、ハード面の整備や民間建築の指導等を行ってきたところでございます。議員御案内のバリアフリーマスタープラン、移動等円滑化促進方針は、平成30年の高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法の改正によって新設されたものであり、全国で8市町村において策定されているところでございます。  このバリアフリーマスタープランについては、建築物や道路等の連続性を確保した面的、一体的なバリアフリー化を図るために有効とされているものでございます。また、令和2年におけるバリアフリー法の改正により、このプランの策定におきましては、ハード面の整備のみならず心のバリアフリーについて記載することとなっており、バリアフリーのまちづくりの基本理念となるものと考えております。  先ほど市長からの答弁にありましたとおり、今後、本市におきましてもバリアフリーマスタープランの早期作成に向け、庁内関係部局とも連携しながら、来年度の早い段階で作業に着手してまいりたいと考えております。  また、議員御案内のとおり策定に際しましては、市民や関係団体の皆様など広く参画していただきたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  大変うれしい答弁を頂きました。私から言わせるとパーフェクトではないかというような内容でした。今後の取組について、よろしくお願いいたします。  続きまして、公共交通機関の体系整備についてということで、バス会社5社の共同経営についてお尋ねいたします。  先月報道で、県内の路線バス5社が、将来の路線の維持に向けた共同経営をスタートさせると報道がなされました。3月2日に計画を国に認可申請し、4月運行を目指すとのことです。これらバス会社5社は、いずれも深刻化する利用者の減少と乗務員不足で経営が悪化する中、生き残りをかけて事業者間の垣根を越えた共同経営という事業形態を選択したとあります。  朝夕のラッシュ時に、少ない利用客を奪い合うかのようなバスが団子状に連なっている様子は現在も変わりありませんが、本市交通局はバス路線を民間移譲したものの、公共交通政策としてのバス交通が重要であることには変わりありません。共同経営に向けた準備室が立ち上げられているそうです。  こうしたバス会社5社の共同経営の動きに対して、本市としての関わり方についてお尋ねします。  まず、公共交通体制を維持する上で、本市として未来に対するビジョンを今後どのように描くのでしょうか。また、路面電車を有する本市交通局は、市電を活用しての関わりを持つことも含め、政策的にどのような方向性を持って検討されるのでしょうか。市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  路線バスの共同経営につきましては、3月2日にバス事業者より国に対し認可申請が行われまして、認可後4月1日から共同経営に移行する予定であります。  本市は引き続きこの取組に対し積極的に関与いたしますとともに、県と連携いたしまして様々な支援を講じてまいりたいと考えております。  本市では、人口減少、超高齢社会、新しい生活様式など社会情勢の変化に対応しつつ、目指すまちの姿であります上質な生活都市を実現するため、地域の特性に応じたまちづくりと交通政策を一体的に進めていかなければならないと考えております。  このようなことから、これまで桜町バスターミナルや熊本駅白川口駅前広場の整備など、まちづくりと一体となった取組を進めてきたところです。加えて、今般の共同経営を機に様々な施策を展開し、公共交通の利用促進を図ることで、将来にわたり持続可能で利便性の高い公共交通体系の構築を進めてまいりたいと考えております。  また、重要な基幹公共交通であります市電を有する本市といたしましては、路線バスなどの他の公共交通機関との連携強化を図りまして、公共交通全体の利便性向上や効率化を率先して進めていきたいと考えております。令和3年度にはバスと市電が連携した電車通りの最適化について検討を進める予定であります。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  積極的に関与し県と連携して支援されるということです。市電とバスの連携を強化し、電車通りの最適化の検討を進めるとの答弁でした。  車を運転できなくても生き生きと社会参加できるための公共交通体系の構築が必要ですし、交通弱者という言葉がなくなるような交通政策を今後もよろしくお願いいたします。  最後になりました。ミャンマーとの草の根交流についてお尋ねいたします。  先月2月1日に、ミャンマーで軍事クーデターが発生しました。それ以前も軍政が続き政情が不安定だったミャンマーですが、2011年から民政に移行し2度の民主的な総選挙が実施され、確実に民主国家への建設が進んでいたものと私は思っていました。特に昨年11月に行われた総選挙では、8割の議席を獲得した実質的な指導者であるアウンサンスーチーさんの下で、民主的な国家が作られていくだろうと世界中が注目していただけに、私は個人的にも今回の軍事クーデターの発生には大変驚き、残念な気持ちでいっぱいです。  本来であれば市政にそぐわないテーマでしょうが、私はミャンマーと本市との関わりを強く感じており、大西市長にもその点を御理解いただき、思いをお聞かせいただければありがたく思います。  私はボランティアで、社会教育団体の熊本みなみYMCAの運営委員をしております。熊本みなみYMCAはミャンマーのモガウンYMCAと2011年から交流があり、モガウンYMCAが運営する孤児院の運営に対して、ジャガイモファンドによる寄附金で支援を行ったことをきっかけに、現在でも交流が続いております。  さらに、2014年にはモガウンYMCAからヌーヌーさんという女性スタッフを1年間受け入れ、様々な市民との交流が行われました。ヌーヌーさんの帰国後も交流が続き、市民から募った寄附金をメンバーが現地に赴いて手渡しするなど、孤児院の運営にも深く関わってきたという経緯があります。  このように草の根の交流が10年間にわたり続き、また本市には国際交流会館で日本語を学び生活されているミャンマー出身の人たちもおられます。熊本で生活しているミャンマー人やミャンマーとの草の根交流を続けてきた熊本市民が、今回の軍事クーデターに大変心を痛めております。国と国との外交関係とはまた別に市民レベルでの交流が行われ、私も関わってきたからこそ現地の様子がとても気になります。  先ほど紹介したモガウンのヌーヌーさんからのLINEの情報によると、夜中は携帯の電波が遮断され、現地では一定の時間しかSNSのやり取りができないため、情報が通じにくいそうです。ヤンゴン市内にも軍人の見張りが多く住民はおびえており、夜もなかなか眠れないとのことです。  果たして大西市長は、ミャンマーの現在の状況をどのように受け止めておられるでしょうか。民間レベルの草の根交流の観点から考えをお聞かせください。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  ミャンマーにおける軍事クーデターにつきましては、連日報道される内容に接して、現地の状況を大変憂慮しております。  本市においては、現在約60名のミャンマーの方々が居住されております。本市に住んでおられる方々は国籍にかかわらず熊本市民であり、これまでも必要に応じて支援を行ってきております。  今のところ、本市にお住まいのミャンマーの方々から具体的な相談はなされておりませんが、引き続き国際交流会館や大学コンソーシアム等の関係団体を通じて、状況把握に努めたいと考えております。  また、民間団体による草の根交流につきましては、国と国との関係や政治情勢にかかわらず人と人との関係を紡いでいくことができる、まさに貴重な市民外交であると認識しております。本市といたしましては今後の動向を見守りつつ、熊本で暮らすミャンマーの方々が少しでも安心して生活や学びを続けられるよう、国際交流会館等を中心に、寄り添いながら必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。          〔34番 村上博議員 登壇〕 ◆村上博 議員  熊本市内でいろいろな外国の人たちが自転車に乗って通られる姿を見かけられたりということは、ほとんどの人があるかと思いますけれども、実際に話をしたり現地の様子を聞いたりということになると、今回のミャンマーのことも、普通のよそでの出来事ということにはならないですね。やはり私、そのニュースを見たときに、市長もおっしゃられたように、本当にどきどきしましたし、今現在若い人たちを中心に何十人も、54人ですか、命が奪われているというような報道もあり、どういう状況になるのか分からないような、そういうことが連日ニュースで報道されております。  私たちは市民として、そういった世界各国の人たちと交流をしながら平和を目指しているわけですけれども、こういったアジアのミャンマーという国で起こった出来事ですけれども、今後もしっかり関心を持ち続けていきたいなというふうに思っております。  今日の私の原稿は、これで全てです。ちょっと時間配分を間違えましたので、後半大変気が気ではなく、早足になってしまいましたけれども、最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。  これで私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○上田芳裕 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                             午前11時59分 休憩                             ───────────                             午後 2時00分 再開 ○紫垣正仁 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ──────────────────────────── ○紫垣正仁 議長  一般質問を続行いたします。井本正広議員。          〔26番 井本正広議員 登壇 拍手〕 ◆井本正広 議員  皆さん、こんにちは。公明党熊本市議団の井本正広でございます。  昨年の第1回定例会にて代表質問をさせていただく予定でありましたが、2月21日に本市で初めてとなる新型コロナウイルス感染症の感染者が確認され、感染拡大防止を最優先とした対応が求められたことにより、第1回定例会の質問は中止いたしました。よって2年ぶりの一般質問になります。まずは登壇の機会を頂いた先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。  質問に入ります前に、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、感染された皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、新型コロナウイルス感染症によって命の危険にさらされた人々に対し、その最前線で灯台のような崇高な使命を担い、来る日も来る日も献身的な行動を続けておられる医療従事者の皆さんはじめ保健所の職員の皆様等、全てのエッセンシャルワーカーの皆様に対して心から感謝を申し上げます。  新型コロナウイルス感染症は瞬く間に全世界に広がり、今もなお人々の命と暮らしを脅かし続けています。経済への影響も深刻を極め、世界大恐慌以来で最悪の景気後退に陥るとの見通しが示されています。また、感染拡大によって、今日の社会が抱える課題や、未曽有の危機に際して十分対応できていない現行制度の脆弱性が改めて浮き彫りとなりました。従来からの課題である人口減少や少子高齢化、格差拡大、気候変動に伴う災害の激甚化、先行き不透明な国際情勢なども重なり、これまで以上に将来不安が高まっています。  こうした中で今求められていることは、現下の厳しい経済状況を踏まえ支援策をさらに継続、拡充を行うとともにこうした課題に立ち向かい、コロナ禍を契機として、感染症や災害はもとよりあらゆる状況に直面しても強靭で持続可能な社会の構築であります。今回の教訓を踏まえ、次なる社会変革の強固な基盤を作ることによって新たな成長と活力を生み出し、市民生活の質の向上や豊かさの実現へつなげていくべきであります。  公明党熊本市議団はウィズコロナ、ポストコロナを見据えて、希望と安心の未来を開き、誰一人取り残さない、孤立させない、つながり支え合う社会をつくることが必要と考えます。2021年はこれまでに得た教訓や知見を生かしながら反転攻勢の年とし、日常を取り戻さなければなりません。新型コロナウイルス感染症の克服と経済回復や生活再建への対策を果敢に実行し、安心と希望を隅々まで届ける一年にしたいと思います。  4月で熊本地震の発生から丸5年となりますが、いまだ仮設住宅等で不自由な生活をされていらっしゃる方がおられます。全ての方が一日も早く元の生活に戻れるように、きめ細やかな支援を継続してお願いいたします。
     それでは質問に入ります。市長並びに執行部の皆様、どうか明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。  初めに、ウィズコロナ、ポストコロナに向けての市長の決意をお伺いします。  国内で初めて新型コロナウイルス感染症が確認されて1年が経過しました。改めて、私たちは今、これまでの人類が経験したことがない切迫した危機に直面しています。異常気象の増加に見られるような年々悪化の一途をたどる気候変動の問題に加えて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが襲いかかり、それに伴う社会的、経済的な混乱が続いています。長い歴史の中で、人類は様々な危機に遭ってきましたが、世界中がこれだけ一斉に打撃を受け、あらゆる国の人々が生命と尊厳と生活を急激に脅かされ、切実に助けを必要とする状態に陥ることは初めてではないでしょうか。  僅か1年余りの間に、新型コロナウイルス感染症の感染者数は世界で1億1,600万人を超えました。亡くなった人々も258万人に達し、その数は過去20年間に起きた大規模な自然災害の犠牲者をはるかに上回っています。本市でも感染者数は1,800人を超え、33名の方がお亡くなりになられました。改めて衷心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。  かけがえのない大切な存在を予期せぬ形で失った人たちの悲しみがどれだけ深いものか、計り知れません。とりわけ胸が痛むのは、感染防止のために最後の時間を共に過ごすこともかなわなかった家族が少なくないことです。この行き場のない喪失感が至るところで広がっている上に、経済活動の寸断で倒産や失業が急増し、数え切れないほどの人が突然の困窮にさらされる事態が生じています。このような危機の日常化が進む中で、孤立したまま困難を深めている人々を置き去りにしているかもしれません。  危機の日常化に伴って懸念されるのは、各自の努力で身を守ることが求められ、社会の重心がその一点に傾いていく中で、弱い立場にある人々の窮状が見過ごされがちになることです。社会の表面から埋没しがちになっている様々な困難を抱えた人たちの存在に目を向け、その苦しみと生きづらさを取り除くことを、社会を立て直す急所として位置づけていくことであります。  国連防災機関は、数多くの命と健康の痛ましい喪失と経済的、社会的な困窮を防ぐための対応の重要性を指摘しながら、次のように述べています。「雇用の喪失と収入の途絶による影響も加えると、これまで人類が経験してきたどの災害よりも、新型コロナウイルス感染症という単一の災禍によって被害を受けた人が多いと言えるでしょう」と述べています。  新規感染者数は市民の皆様の御協力で減少していますが、社会経済への影響は深刻を増しております。感染拡大防止と社会経済活動の両立という極めて困難な課題に挑戦しているところではありますが、新型コロナウイルス感染症とどう向き合っていくのか、市長の決意を伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  新型コロナウイルス感染症は全世界で猛威を振るい、多くの貴い命を奪い、社会経済活動を縮小させ孤立や分断を招くなど、私たちは厳しい状況に直面しております。本市においても平成28年熊本地震以来の最大の危機と認識しておりまして、市民の生命と健康、暮らしを守るため、全力で立ち向かっていかなければならないと考えております。  このような中、本市では昨年2月の感染者の初確認後、市民の生命と健康を守ることを第一に、翌3月には保健所や検査体制を拡充するとともに市独自の専門家会議を立ち上げるなど、先手先手の感染拡大防止策に取り組んでまいりました。  また、昨年4月には、必要な対策を総合的に推進していくため経済・市民生活再建プロジェクトチームを立ち上げ、市民生活や地域経済への影響を科学的に分析しながら、熊本市経済再建・市民生活安心プランを策定し、これまで12弾にわたる様々な緊急対策を講じてまいりました。  御案内のとおり新型コロナウイルス感染症の影響は深刻かつ長期化しており、加えてワクチンの安定的供給への懸念やウイルスの変異株が蔓延するリスクもあるなど、依然として先行きは厳しい状況にあります。今後とも刻々と変化する感染状況や市民ニーズを的確に把握、分析しながら、予期せぬ事態への備えを万全とし、必要な対策を迅速に講じることで、74万市民の生命と健康、暮らしを全力で守り抜く覚悟でございます。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  市長、ありがとうございました。  いまだ感染症の終息も見通せない状況であり、感染拡大を防止し、危機に直面している市民生活や地域経済を第一に考え、私たち議員も力を合わせて知恵を出し合い、直面している危機に全力で立ち向かってまいりたいと思います。  また、職員の皆様も大変御苦労されていると思いますが、社会全体への奉仕者として、共に頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。  それでは、新型コロナウイルス感染症関連支援制度の申請相談についてお伺いいたします。  我々公明党熊本市議団では、全議員が昨年春より、その時点その時点での新型コロナウイルス感染症関連の支援制度をまとめ、地域の皆様にお伝えしてまいりました。回ってみますと、制度をそもそも知らない方、知っていても自分で申請することができない方、国の相談窓口に電話してもつながらずに諦めた方、電話がつながってもうまく自分の状況を伝えられずに申請を諦めている方もおられました。  あるカラオケ店のケースです。コロナ禍でさっぱりお客様の来店がなくなりました。いろいろな支援制度はあるようだが、パソコンが使えない、詳しい情報が分かりません。国の機関が行う制度、県が行う制度、市が行う制度、様々な制度があります。店の存続に関わりますので必死に探されますが、それでも申請までたどり着きません。それぞれの制度に該当するかどうか、申請時期は間に合うのか、準備する申請に必要な書類が分からない、そもそもパソコンでの申請は初めからできない、行き詰っておられました。それぞれの申請方法が複雑過ぎて自分一人では申請書類の作成ができず、対面で一つ一つ確認しながらの手助けがないと、申請までとてもたどり着けません。支援制度はありがたいが利用できないと意味がありませんと言われていました。  このお店の場合は、国の持続化給付金、国の家賃支援給付金、熊本県時短要請協力金、熊本市時短協力緊急家賃支援金、熊本市飲食店取引事業者等緊急支援金等が、制度に当てはまる事業主さんです。本市には、くまもと森都心プラザと市役所14階に、中小企業者用の新型コロナウイルス感染症に関する総合相談窓口は設置されていますが、その方の場合は御存じありませんでした。  そこで経済観光局長にお伺いします。  市の総合相談窓口は、これまでどのくらいの利用があったのでしょうか。利用実績をお伺いします。          〔田上聖子経済観光局長 登壇〕 ◎田上聖子 経済観光局長  新型コロナウイルス感染症関連の支援制度の申請相談につきましてお答えいたします。  昨年3月に本庁舎及びくまもと森都心プラザに設置した総合相談窓口の利用実績につきましては、本年2月末現在、コールセンターへの電話相談が4,245件、中小企業診断士等への専門家への相談が1,059件となっております。  総合相談窓口におきましては、中小企業者等の経営、雇用、金融、国・県・市の支援策等に関し、電話による相談のほか専門家による面談や申請書記載に関するアドバイスなど、様々な相談にワンストップで解決が図られるよう対応しているところでございます。  また、より多くの方々に御利用いただけるよう、本年1月から相談窓口の開設時間を午後7時まで延長するとともに、今月からオンラインによる相談も開始したところでございます。  今後ともホームページや市政だより、中小企業者向けのガイドブックへの掲載をはじめ経済団体等とも連携した、事業者へのさらなる周知に努めてまいります。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  電話相談の件数を答弁いただきましたが、対面での窓口相談件数は、くまもと森都心のビジネス支援センターでは昨年3月、40件、4月、90件、5月、10件で、6月以降は毎月零件から4件の僅かな相談件数でした。市役所14階ロビーでの窓口相談件数は昨年3月、16件、4月、79件、5月、40件、6月、26件で、それ以降は月8件から15件であり、2か所合わせて2月末までの1年間での窓口相談件数は402件でした。  コロナ禍でもあり、電話相談だけで済まされた方が多かったのかもしれませんが、国・県・市、様々な種類の制度があり、それぞれ申請手続の複雑さから考えますと、1年間で402件という窓口での相談件数は少なかったのではないかと感じております。窓口で相談ができることの認知度が少なかったのではないかということではないでしょうか。  これからも支援制度は続きます。総合相談窓口の設置数、場所、周知方法と利用実績をよく分析、調査していただき、誰一人取り残さないとの思いで、申請者の目線に立ってきめ細かくサポートをしていただきたいと思います。  次に、生活困窮者の方への追加の支援制度についてお伺いします。  2月17日で熊本県緊急事態宣言が解除されました。しかし、昨年からの新型コロナウイルス感染症の日常生活への影響は長期化しており、感染収束が見通せない中、生活に困窮される方々への支援は今後も重要となっています。  これまでも私たちは様々な声を国・県・市に届け、支援の要望をしてまいりました。その中で、支援制度の申請期間が終了したものもありますが、拡充されたもの、期限延長したもの、要件緩和したもの等、状況に合わせ支援が追加されたものもあります。  そこでお伺いします。  1、新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で生活資金にお悩みの皆様への一時的な資金が必要な方に、緊急小口資金の特例貸付制度があります。この制度は、私も使い勝手に問題点があるたびに国に指摘してまいりました。取扱いについては、これまで数回にわたり見直しが行われ、Q&Aが何度も発行され、使いやすい制度になっております。この制度の内容とこれまでの申請件数をお示しください。  また、新規申請受付期限の延長と返済開始時期の延長が決定したと聞いています。延長内容と償還免除の要件をお伺いします。  2つ目に、さらに生活の立て直しが必要な方には、総合支援資金の特例貸付制度があります。制度の内容とこれまでの申請件数をお示しください。また、再貸付けが始まったと聞いています。再貸付けの条件をお示しください。  3、住居を失うおそれのある方への住居確保給付金の再支給が可能になったと聞いています。再支給の手続についてお伺いします。  4、生活保護の弾力的な運用についてお伺いします。厚労省より、コロナ禍の状況における生活保護の弾力的な運用の周知徹底が示されました。しかし、市のホームページを見ても、弾力的な運用の中身が見えません。厚労省のホームページを見ても、探すのは至難の業です。保護課に相談に行けば丁寧に対応していただけるのでしょうが、そもそも弾力的な運用がされていること自体が伝わっていないのではないかと思います。  ニュース等で話題となりました扶養義務者に対する扶養照会に係る取扱いについて、または通勤用の自動車を持ちながら求職している場合及び自営用資産の保有、保険の取扱いについて等、通常とは違うコロナ禍の中での弾力的運用がされると聞いております。詳細内容とその周知方法を健康福祉局長にお伺いします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  生活困窮者への追加支援について、順次お答えいたします。  まず、1点目の緊急小口資金の特例貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付けを必要とする世帯に対しまして、最大20万円を貸し付ける制度でございます。令和3年1月末時点での申請件数は7,433件となっております。  新規申請受付期限につきましては、令和3年3月末まで延長されており、返済開始時期につきましては特例により据置期間が令和4年3月末まで延長されたため、令和4年4月からの償還開始となります。  償還免除につきましては、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができるとされており、今般、令和3年度または令和4年度の住民税非課税を確認することにより償還免除とする方針が厚生労働省より示されたところでございます。  次に、2点目の総合支援資金の特例貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対し、一月当たり最大20万円を最長6か月間貸し付ける制度でございます。加えて今般、追加で3か月間の再貸付けが可能となりました。申請件数は令和3年1月末時点で3,953件となっております。  再貸付けの条件としましては、特例貸付開始から令和3年3月末までの間に、緊急小口資金及び総合支援資金の貸付けが終了した世帯となっており、再貸付け申請以前に生活自立支援センターによる自立相談支援を受ける必要がございます。  3点目の住居確保給付金につきましては、これまで再支給は受給終了後に雇用主の都合で解雇された方が対象となっておりました。今回、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、2月の制度改正では特例措置として、受給終了後に雇用主の解雇以外の離職、廃業、休業等で減収した方も対象となり、最長3か月の再支給が可能となりました。特例措置による申請期限は令和3年3月末となっており、生活自立支援センターで申請受付を実施しているところでございます。  最後に、生活保護の弾力的な運用の内容は、例えば扶養義務者への扶養照会は一律に直接照会するということではなく、家族間の関係性や感情問題などデリケートな側面があることを認識した上で、個々の状況に応じて行うことができることとなっております。  通勤用自動車や自営用資産、保険につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に収入が減って生活保護が必要となる方は、状況が収束した後には収入が元に戻る方も多いと考えられることから、保有期限の延長や処分指導の保留など弾力的に運用できることとなっております。しかし、判断の目安は個々のケースによって違ってきますことから、詳細につきましては窓口での御相談をお願いしております。  生活保護の申請は国民の権利であり、必要とする方へ制度について正しく伝わるよう、今後はホームページやSNS等による情報発信などにより周知を進めてまいります。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  コロナで仕事がなくなったある方が大病を患われ、急遽お金が必要になり、緊急小口貸付、総合支援資金が受けられ、何とか生活が続けられ助かったと言われていました。また、感染拡大が続く中、仕事がなく返済と言われても返せないというお声も頂いています。  特例貸付を昨年の3月に受けた方は、本来であれば今月にも返済を求められることとなっていましたが、返済開始時期については特例により据置期間が令和4年3月末まで延長されました。さらに緊急小口貸付については、令和3年度または4年度の住民税非課税を確認することにより償還免除となります。執行部に頂いた緊急小口貸付、総合支援資金の申請数の推移を見てみますと、昨年の5月6月をピークに少なくはなってきておりますが、毎月一定程度の申請件数は続いております。感染症の影響が長期化する中、これまでは貯金で何とかつないでこられた方が、ここに来て生活が困窮し、これから必要とされる方もおられます。総合支援資金の再貸付け等、支援を必要とされる方々にきちんと支援が届くように、さらなる周知徹底をお願いいたします。  住宅確保給付金の再貸付けについては、受給終了後に雇用主の都合により新たに解雇された方のみの対象から、2月に制度が改正され、雇用主の解雇以外の離職、廃業、休業等により減収された方についても対象となり、最長3か月間の再支給が可能となったとのことであります。ただし、申請期限は今月末までとなっております。支給漏れがされないように、急ぎの周知徹底をお願いします。  生活保護の弾力的な運用につきましては、先ほども申し上げましたが、弾力的な運用があることは市のホームページ、厚労省のホームページでも分かりますが、その内容について調べるのは至難の業であります。一時的な運用かもしれませんが、今困窮され必要とされている方に届かなければ、せっかくの緩和措置も意味がありません。区役所に相談に来れば説明するのにと思われている方もおられるかもしれませんが、相談に行く人はいいのです。相談に行く前に緩和措置があることが分からず諦めている人がいることであります。自ら相談に行けない人でも、様々な手段を用いて、できるだけ分かりやすい周知を行っていただき、必要な人にはためらわず生活保護を受給できるようにお願いいたします。  次に、雇用維持・創出のための追加支援についてお伺いします。  コロナ禍が長期化していることにより、雇用情勢も大変厳しくなっています。厚生労働省は新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めは、見込みを含めて2月26日時点で累積9万人を超えたと明らかにしました。さらに、年度末のタイミングで人員整理に踏み切る企業もあり、解雇や雇い止めが顕在化する可能性もあるとのことです。そういう中で、コロナ収束を目指し、必死になって雇用を守ろうと努力されておられる事業主もいらっしゃいます。  そこで、社会経済を守るために、新たに特例措置が加わったり拡充されている制度についてお伺いします。  1、雇用調整助成金の特例措置についてお伺いします。  2、休業手当を受け取れない労働者に支給する休業支援金が、新たにシフトが減るなどした大企業の非正規労働者へ、昨年に遡って支給されると伺っています。内容をお伺いします。  3、失業手当の給付が終わった長期間の失業者や雇用保険に加入していない非正規労働者の方たちが、月10万円の給付金を受給しながら職業訓練を受けられる求職者支援制度について、要件を緩和されていると伺っていますが、内容をお示しください。  これらのいずれの制度も、まだ必要とされる方に行き渡っていないと思われますし、期限が迫っているものもあります。さらなる周知が必要ではないかと思います。経済観光局長にお伺いします。          〔田上聖子経済観光局長 登壇〕 ◎田上聖子 経済観光局長  雇用維持・創出のための追加支援につきましてお答えいたします。  雇用調整助成金につきましては、本年4月30日までは日額上限1万5,000円、助成率最大10分の10などの現行の特例措置が継続されることとなっております。その後の取扱いにつきましては、5月、6月は感染拡大地域や特に業況が厳しい企業に対する特例を設けた上で日額上限、助成率が段階的に縮減され、7月以降は雇用情勢が大きく悪化しない限り、さらに縮減するとの方針が示されているところでございます。  次に、休業支援金・給付金についてでございます。これまで中小企業の労働者のみを対象とされていたものが、大企業で働くシフト制の労働者につきましても、昨年4月から6月及び本年1月の緊急事態宣言の期間に遡って対象とされることになっております。  最後に、休職者支援制度につきましては、9月までの時限措置として、収入要件を月の収入8万円以下から12万円以下へ引き上げる特例措置や、訓練実施日と勤務日が重なり訓練を欠席せざるを得ない場合、やむを得ない欠席とするなどの出席要件の緩和がなされているところでございます。  このような特例措置や対象の拡充等につきまして、本市においても市政だよりやホームページ、ガイドブックへの掲載や経済団体等への周知等を通じて、より多くの事業者、求職者に御利用いただけるよう努めてまいります。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  雇用調整助成金は4月30日まで現行の特例措置が継続されますし、5月6月も段階的に縮減はされますが継続されます。昨年申請した人も引き続いて申請できることの周知が必要です。  ただ、雇用調整助成金は資金繰りや事業所の事務能力の問題で活用していない事業者も少なくないと聞いています。何の手当もなく我慢されている労働者の方も多くおられます。そのために休業支援金が創設されましたが、野村総合研究所が昨年12月に行った調査では、コロナ禍でシフトが減少したパート、アルバイトの女性の59.2%が休業支援金を知らなかったと回答しています。また、制度を知っていた人も約9割は申請せず、理由は自分が申請対象になるのか分からなかったからとのことです。そして、申請しようとした方でも事業所の理解が十分でないことから協力金が得られないケースもあります。  今回新たに大企業で働く非正規雇用のシフト制、登録型派遣など一部の方も休業支援金の対象に加わりました。要件を満たす方にはきちんと支援金が届くよう、積極的な周知と丁寧な対応を求めます。  休業支援金の申請期限は、雇用形態や休業期間によって異なりますが、3月末で期限が来るものがあります。対象者はすぐにコールセンターやハローワークに相談し、せっかくの休業支援金が必要とされる方に行き届くよう、また求職者支援制度についても9月までの時限措置として収入要件を引き上げる特例措置が取られています。できるだけ工夫して周知が行き届くよう、徹底をお願いいたします。  続いて、事業再構築補助金についてお伺いします。  先日の地元紙によりますと、「東京商工リサーチ熊本支店がまとめた2020年の県内企業の休廃業・解散件数は前年比2.7%増の482件と2年ぶりに増加した。新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響が休廃業・解散の決断を促す契機となった」との記事でした。  全国的にも昨年9月以降、月100件前後のペースでコロナ関連倒産が増加しているようです。特に5人未満の事業者の倒産が6割近くに上り、中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。家賃支援給付金を受けながら経営を続けるものの、現状のままでは店を畳まざるを得ないと言います。  こうした中、事業の起死回生策として、国の第3次補正予算で事業再構築補助金が創設されました。コロナ禍で一定程度売上げが減少した中小企業・小規模事業者が新分野開拓や業務転換を進める際の新たな設備資金などの支援です。補助金が採択される前に結ばれた設備購入契約なども補助対象とする事前着手や、補助額のうち早めに確定したものを事前に受け取ることができる概算払いも可能と伺っています。  事業再構築補助金の事業目的、申請要件をお示しください。  また、事業再構築の事例が分かると公募しやすいと思います。再構築の事例をお示しください。  利用促進に向けて、市として積極的に周知して取り組んでいくべきではないかと考えます。経済観光局長にお伺いします。          〔田上聖子経済観光局長 登壇〕 ◎田上聖子 経済観光局長  事業再構築補助金につきましてお答えいたします。  事業再構築補助金は、ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新分野展開や業態転換などの事業再構築に取り組む中小企業及び中堅企業を支援する国の事業であり、今月から公募開始が予定されております。  主な申請要件といたしましては、コロナ以前と比較して10%以上売上げが減少していること、商工会議所、商工会等の認定機関や金融機関と事業計画を策定することなどとされております。  再構築の事例といたしましては、経済産業省のホームページにおいて、弁当販売を営む飲食業の方が、新たに高齢者向けの食事宅配事業を開始されるケースなど、様々な具体的な活用イメージが紹介されております。  本市といたしましても、主催セミナーやホームページ等において補助金の案内を行うなど周知広報に取り組むことにより、事業再構築補助金の活用促進に努めてまいります。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  事業再構築補助金は、ポストコロナ、ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業及び中堅企業が取り組む事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とした事業とのことであります。  活用イメージとして中小企業庁の資料を見ますと、居酒屋を経営していたところコロナの影響で売上げが減少し、店舗での営業を廃止、オンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始したところ、紳士服販売業を営んでいたところコロナの影響で売上げが減少、店舗での営業を縮小し、紳士服ネット販売事業やレンタル事業に業態を転換したところ、喫茶店経営で飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施したところ、レストラン経営での店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施したところ、ガソリン販売で新規にフィットネスジムの運営を開始、地域の健康増進ニーズに対応したところ、タクシー事業で新たに一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、食料等の宅配サービスを開始したところ等、具体的な活用例が紹介されています。  中小企業向けには通常枠として最大で6,000万円、資本金や従業員を増やすなどして中堅企業を目指す場合には、卒業枠として400社限定で最大1億円を支援します。中堅企業向けには最大8,000万円の通常枠と、事業のグローバル展開などを条件に100社限定で最大1億円を補助する別枠を設けています。最大で1億円という補助額は、中堅・中小企業向けとしては異例の規模であります。コロナ禍によるピンチを新たな成長のチャンスにしようとする中堅・中小企業にとって、大変力強い支援であります。  事業計画の策定には時間がかかります。早めに現在の企業の強み・弱み分析、新しい事業の市場分析、優位性の確保に向けた課題設定及び解決方法、実施体制、資金計画等の検討等が必要になります。国の予算内の枠であります。市としても情報の周知と丁寧な説明に努めていただき、積極的に地元企業を応援していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  続いて、重層的支援体制整備事業についてお伺いします。  地域共生社会の実現に向け、貧困や介護、孤立などに対応する相談支援体制を強化する社会福祉法などの一部改正法が昨年国会で成立しました。断らない相談支援、伴走型支援など公明党が訴えてきた主張が盛り込まれています。誰も置き去りにしない社会を目指した法改正です。  これまでの福祉制度は、1980年代後半以降、高齢、障がい、子供など属性別、対象者別に制度が整備されてきました。一方、昨今は人口減少など社会構造の変化に加え、個人の価値観の変化、従来の血縁、地縁、社縁の希薄化などにより、いわゆる8050問題や社会的孤立、介護と育児を同時に担うダブルケア、就職氷河期世代やひきこもり問題など、制度、分野を超えた複合的な課題が浮かび上がってきています。複合的な課題を抱えている人は、これまでの法制度、支援の枠組みに当てはまらないため、相談に行ってもたらい回しに遭ったり、適切な支援につながらないケースが多くあります。  こうした状況を改善するため、複合的な課題を抱えている一人一人の状況を相談で把握し、その状況に合わせて必要な支援につないでいく生活困窮者自立支援制度が2015年度からスタートし、包括的支援の仕組み作りが進められてきました。  そこでお伺いいたします。
     1点目、今回の社会福祉法の改正により進められる重層的支援体制整備事業とはどういうものでしょうか。  2点目、市民にとってのメリットはどのようなことでしょうか。  3点目、この整備事業は実施を希望する市町村の手挙げに基づく任意事業であると伺っています。本市の検討状況と今後のスケジュールをお示しください。健康福祉局長に伺います。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  重層的支援体制整備事業とは、市町村において高齢者や障がい者、子供、生活困窮といった世代、属性を超えた様々な方々への支援に柔軟に対応できる仕組みを、行政のみならず地域や各支援機関と一体となって構築する事業でございます。  具体的なメリットといたしましては、相談を受け付けた各窓口において、担当分野以外の相談事項につきましても適切な支援機関につなぐことができるなど、市民サービスを向上させることができるとともに地域とも連携を深め、住民同士の顔の見える関係性を築くことにも資するものと考えております。  本市ではこれまでも、例えば熊本地震の被災者の方へ地域支え合いセンターが中心となって、地域や各支援機関、関係部局と連携した支援を行ってまいりました。重層的支援体制整備事業の開始に向けましてはこの経験を生かし、地域や関係部局、各支援機関との連携をさらに強化する必要があり、先日、区役所職員とのワークショップを開催し意見交換を行ったところでございます。  国は令和5年度までの開始を各市町村に呼びかけているところであり、本市といたしましては各地域における支援体制につきまして関係部局、地域や関係機関との協議を丁寧に進めてまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  少子高齢化、人口減少が進み地域社会の担い手も不足し、地域の支え合いの力が低下しています。こうした中で、市と地域住民や民間団体等と連携、協働して地域づくりを推進することは、誰も置き去りにしない、誰も孤立させないという地域共生社会の実現、全世代型社会保障の実現につながるものです。  専門職や地域住民が職員とともに継続して伴走できる体制を構築していただき、必要な人に必要な支援を届けるために、支援を利用するに当たって本人からの申請を前提とする申請主義を見直すことも必要であります。訪問型の支援体制を強化するとともに、一人一人に合った制度をプッシュ型でお知らせするなど、確実に対象となる方に支援情報を届ける取組をお願いいたします。  今回のコロナ禍の中、重層的支援体制はさらに必要性と重要性が高まっています。市を挙げてぜひとも取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  続いて、社会的孤立防止対策についてお伺いします。  新型コロナウイルス感染症拡大の中、DVや児童虐待、性暴力や予期せぬ妊娠、自殺、孤立死等が増え、社会的孤立状況がより一層深刻化していると言われています。社会的孤立は個人の問題ではなく、医療・社会保障費の増大、労働力の減少、貧困の拡大、社会連帯の困難などの莫大な負担を発生させる問題であり、社会全体で取り組むべき重要な課題です。  こうした認識に立って社会的孤立を防ぐ施策の実施について、関係行政機関相互間の緊密な連携を図り、総合的かつ効果的な推進を図るため、社会的孤立の状態にある方々の実態の把握、社会的孤立を防ぐための方策等について検討する連絡会議を立ち上げるべきと考えますが、大西市長の見解を求めます。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  地域社会において誰ともつながりがなく孤立してしまうことは、議員御案内のとおり社会的に多くの問題を引き起こす要因になると考えます。  こうした社会的孤立を防ぐためには、一人一人が社会の中で誰かとつながっていることが大切でありまして、これまでまちづくりセンターや高齢者支援センターささえりあにおいて、人と人との関わりを深めるような取組を進めてまいりました。特に熊本地震以降は、地域支え合いセンターを中心として、地域での交流会を定期的に開催するなど被災者の孤立防止に力を注いでまいりました。  先般、熊本県選出の坂本哲志内閣府特命担当大臣が、孤独・孤立対策担当大臣に就任されたところでございます。国において孤独や社会的孤立の問題に取り組んでいくという政府の姿勢を大いに評価し期待しているということや、私自身もこの問題に強い関心を持っているということなどを大臣に直接お伝えしたところでございます。  この孤立問題は簡単には解消できない問題であるとは思いますが、本市においてもこの問題について協議するため、関係部局による庁内連絡会を設置いたしますとともに、国の提言や情報も入手しながら、国と強く連携して取り組んでまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  ありがとうございました。  まちづくりセンターや高齢者支援センターささえりあ、地域支え合いセンターなど日頃より大変お世話になり感謝しております。その上で、多岐にわたる孤独・孤立問題について協議するため、関係部局による庁内連絡会を設置し、様々な観点から一歩踏み込んだ対応を検討していただきたいと思います。  一つ一つの案件が大変難しい内容になると思われます。関係部局の連携をしっかりと取っていただき、対応を推進していただくようにお願いいたします。  次に、SDGs、持続可能な開発目標の達成に向けてお伺いします。  世界では今、地球温暖化の影響で異常気象による深刻な被害が相次いでいます。日本でも昨年は年平均気温が1898年の統計開始以降で最も高い値となり、日本の年平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年当たり1.26℃の割合で上昇しています。このまま温暖化が進むとさらに被害が拡大するとの懸念が高まっています。  2015年、150を超える国連加盟国首脳の参加の下、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され5年が経過し、SDGs自体の認知は国際的にある程度高まり、地球の状態に対する危機感も世界的に共有されてきていますが、このままでは目標達成は難しいという認識が一般的です。そうした危機感から具体的な取組を加速させるために、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、2030年までに実現を目指す持続可能な開発目標「行動の10年」を提唱しました。SDGsをめぐる状況が大きく変化し、国際社会が新たな課題や一段と深刻化した課題に直面する中、気候変動や貧困、格差の拡大による社会の分断、不安定化などの地球規模課題に対して、経済、社会、環境の3側面から統合的に取り組み、持続可能な世界の実現を目指すSDGsの役割は、これまで以上に重要になっています。特に2020年は、目標達成に向けた行動の10年のスタートの年でした。  しかし、新型コロナウイルスという新たな感染症に見舞われました。アメリカの慈善団体ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は、SDGsのほぼ全ての指標で進捗が後退していると分析しています。重要なのは、コロナ禍によってSDGsの必要性が一層高まったことではないでしょうか。社会経済活動が被った打撃は、経済格差の拡大や貧困層の増加をはじめ様々な問題を深刻化させています。だからこそ、誰一人取り残さないとの理念に基づくSDGsの取組を一段と強力に進めなければならないと思います。  また、国連では2019年9月、各国首脳による気候行動サミットに先駆けて、ユース気候サミットが開催されました。これは新しい国連の姿と言われます。そこには大きな特徴がありました。1点目に、140か国・地域以上から集った青年たちが、各国を代表する立場というよりも同世代の一員として参加していたこと。2点目に、様々な討議における議事進行の多くを国連の関係者ではなく青年たちが担ったこと。3点目に、登壇者が順番にスピーチをすることが中心となっている国連の一般的な会議とは異なり、活発な議論が重視されたことです。  そして、何といっても象徴的だったのは、グテーレス事務総長が青年たちの声を真正面から受け止めながら議論を支える役割を務めたとのことです。青年たちの意見に各国首脳が耳を傾けるきっかけが、このユース気候サミットにあったような気がします。  その国連の気候行動サミットの開催に合わせて世界的な動きとして注目されたのが、グローバル気候ストライキです。サミットが開催されたときにも温暖化防止の緊急行動を求める行進が185か国で実施され、760万人以上が参加しました。  運動の発端となったのは、スウェーデンの高校生であるグレタ・トゥーンベリさんが気候変動の対策強化を訴えて3年前の夏に始めたストライキで、その後瞬く間に若い世代の間で共感を呼び起こす中で、あらゆる世代の人々が参加するようになったと聞きます。  サミットの開催に尽力したクリスティアナ・フィゲレス、気候変動枠組条約の前事務局長は、青年たちが怒りを示しているのは明確な理由があるとして、こう述べました。「ストライキに参加している人々、特に青年たちは、科学を理解し、気候変動が自分たちの人生に及ぼす影響を理解するとともに、気候変動の問題に対処することは可能であることを知っているからだ」と。このことは、青年たちが変革を不可能と考えていないからこそ温暖化防止の遅れに怒りを示しているのであり、今後この怒りと楽観主義が結びつく中で、より大きな力が生まれることに期待を寄せられています。まさに青年の行動は、多くの人々や団体の行動を加速させる波動を広げています。  青年を中心に気候変動問題の解決策を共に生み出す挑戦を力強く進めることは、大変に重要であると考えます。本市でも昨年の成人式では、SDGsへの取組として、新成人によるキックオフ宣言を行いました。すばらしい取組と思っております。  そこで伺います。SDGsの取組を地方創生にどうつなげていくのか、また青年の行動に対する大西市長の見解を求めます。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  国は地方創生を一層促進するために、優れた取組を提案する自治体をSDGs未来都市として選定しており、本市はSDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業に選定されました。このモデル事業では、経済、社会、環境の3側面をつなぐ統合的な取組として、ごみ焼却施設で発電した電力を市施設に供給する自立分散型エネルギーシステムの構築や、災害時を想定したEVの電力供給に係る官民連携事業等に取り組んでおります。  SDGsをさらに推進するためには、本市のみならず近隣市町村も含め、市民、地域、事業者などのあらゆるステークホルダーが、温暖化対策をはじめ経済、社会、環境面の様々な地域課題の解決に取り組む必要があり、こうした取組が地方創生にも寄与すると考えております。  そこで、現在、熊本連携中枢都市圏18市町村において共同策定中の、連携中枢都市圏として全国初となる地球温暖化対策実行計画においては、再生可能エネルギーの地産地消など、圏域全体で地域循環共生圏の実現を目指すこととしております。  また、第2期熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略においては、各基本目標とSDGsの17のゴールとの関係性を明確化しており、本戦略に掲げた各施策を推進することで、持続可能なまちづくりと地域活性化を実現してまいりたいと考えております。  次に、ユース気候サミットなどに代表される青年の行動については、将来を担う世界の数多くの若い世代の方々が地球温暖化の現状に危機感を持ち、世界のリーダーに対して緊急行動を求めた極めて影響力のある出来事であり、これらの若い世代の行動には、我々世代を含めた大人が学ぶべきものが多いと感じております。また、報道でも大きく取り上げられたことから、日本をはじめ世界中の人々が気候変動の問題について改めて考える機会にもなったと思います。今後、SDGsの理念である、誰一人取り残されない持続可能な社会を実現するためには、将来を担う若い世代の行動が極めて重要であると考えます。  このようなことから、昨年の成人式の中で新成人の方々とともにSDGsキックオフ宣言を行ったところであり、今後とも学校における持続可能な開発のための教育、いわゆるESDの推進をはじめ若い世代を対象に環境教育の機会を提供し、自発的な行動の実践につながるよう支援してまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  連携中枢都市圏として全国初となる地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーの地産地消など、圏域全体での地域循環共生圏の実現に期待いたします。  また、将来を担う青年たちの行動が世界のリーダーを動かし、多くの人々や団体の行動を加速させる波動を広げました。青年を中心に気候変動問題の解決策を共に考え、青年たちの自発的な行動の実践につながるように支援してまいりたいと思います。  誰一人取り残さない、この理念に基づく取組を一段と強力に進め、SDGs行動の10年の歩みをしっかりと進んでまいりたいと思います。  続きまして、熊本市国土強靭化地域計画についてお伺いします。  我が国は平成23年3月、東日本大震災により未曽有の甚大な被害を経験し、これを踏まえて平成25年12月に国土強靭化基本法が施行され、同法に基づき平成26年6月に国土強靭化基本計画が策定され、熊本県においては平成29年10月に熊本県国土強靭化地域計画が策定されました。  熊本市においては、平成24年九州北部豪雨、平成28年熊本地震による被災自治体としての教訓を最大限に反映させ、令和2年3月に熊本市国土強靭化地域計画を策定しました。計画はおおむね10年程度を見通して作成し、計画の進捗状況を毎年把握するとともに、必要に応じ見直すものとするとのことです。  本市の強靭化の基本目標は、1、人命の保護が最大限図られること、2、市及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること、3、市民の財産及び公共施設に係る被害を最小化すること、4、被災した場合も迅速な復旧復興を可能にするとともに被災された方々の精神的ケアを充実すること、5、九州の中央に位置する指定都市として経済、物流、交通の拠点としての機能が維持されること。  この5つの基本目標を達成するために、あらゆるリスクを見据えつつ、どのようなことが起ころうとも最悪な事態に陥ることが避けられるような強靭な行政機能や地域社会、地域経済を作り上げるため、8項目の事前に備えるべき目標を設定しています。さらに、その8項目の事前に備えるべき目標の達成の妨げとなる44項目の、起きてはならない最悪の事態、リスクシナリオを設定して対応方法を立てています。その上で、限られた資源で効率的、効果的に本市の強靭化を進めるため、重点化と優先順位づけが必要とのことで、影響の大きさ、緊急度、本市の特性を踏まえ44項目のうち17項目の重点化するプログラムを選定しています。  17項目の重点化すべきプログラムに係る、起きてはならない最悪の事態とはどのようなことでしょうか。政策局長にお伺いします。          〔田中俊実政策局長 登壇〕 ◎田中俊実 政策局長  本市は平成28年熊本地震で被災した自治体として、その教訓を踏まえ想定し得るリスクに対して最大限備えることを目指し、昨年3月に第7次総合計画の中間見直しと併せまして熊本市国土強靭化地域計画を策定しました。          〔議長退席、副議長着席〕  本計画は、今後起こり得る災害リスクとして、日奈久断層等の活断層や南海トラフによる地震、豪雨や台風等による風水害、さらに複合災害を想定しております。そして、災害を最小限に抑えるために、あってはならない44のリスクシナリオを設定し、平時からのハード、ソフトの取組を幅広く位置づけたものでございます。  そのうち、人命を守り市民生活を維持するために、特に17のリスクシナリオを選定し、緊急輸送機能確保のための橋梁の耐震化や無電柱化、防火水槽等の整備、通学路等の危険ブロック塀の撤去、上下水道施設の耐震化、さらには統合型ハザードマップの作成等に重点的に取り組んできたところでございます。  今後はさらに、昨年末に国が示しました防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策も踏まえまして、防災・減災対策を着実に推進してまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  17の重点化プログラムの中から、これまで一般質問でも取り上げてきました4点について、続けてお伺いいたします。  1点目、大規模地震による建物、交通施設等の複合的大規模倒壊や、不特定多数が集まる施設の倒壊による多数の死傷者の発生のリスクシナリオの中から、危険なブロック塀への対策についてお伺いいたします。  平成30年6月、大阪北部地震でコンクリートブロックが倒れ、小学4年生が死亡する痛ましい事故が発生しました。本市ではすぐに一斉調査し、市の施設については既に対策は終わっているようですが、民間所有のブロック塀については安全確認が終わっておらず、特に通学路でも確認ができていないようです。これまでの本市の取組状況と今後の対応についてお伺いいたします。  2点目、台風や集中豪雨等の大規模水害等による広域かつ長期的な宅地等の浸水による死傷者の発生のリスクシナリオの中から、洪水対策の状況について伺います。  近年は1日で1か月分以上の雨が各地で降り、河川の氾濫、堤防の決壊等による甚大な被害が発生していることを踏まえた河川の整備が必要であるとしています。本市における洪水対策の推進状況についてお伺いします。  3点目、本市の橋梁の状況、無電柱化、路面下空洞調査について、これまでの進捗状況と今後の対応スケジュールについてお伺いします。  4点目、大規模な土砂災害等による多数の死傷者の発生、後年度にわたり脆弱な状況が継続のリスクシナリオの中から、危険住宅の状況についてお伺いします。  土砂災害警戒区域内及びそれ以外にも、崖地等の災害危険区域内に危険住宅が存在し、移転等に対する補助事業を推進するとのことであります。県の土砂災害危険住宅移転促進事業と熊本市がけ地近接等危険住宅移転事業があります。それぞれの制度の内容をお伺いします。  1点目、2点目、3点目は都市建設局長に、4点目は政策局長にお伺いします。          〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕 ◎田中隆臣 都市建設局長  私からは、ブロック塀及び河川、道路に関するリスクシナリオについて順次お答えいたします。  まず、危険なブロック塀への対策についてでございますが、平成30年6月の大阪北部地震での事故を受け、本市では同年7月に自治会の皆様の協力を得て行いました緊急点検を基に、9月からは専門家による現地調査を実施し、安全性の確認できない約7,000件のブロック塀を確認したところでございます。  その後、本市ではブロック塀撤去補助を開始し、危険箇所へのカラーコーン設置などの安全対策を行ってきたところです。また、個別相談での対応、新たな建築確認申請時の是正指導などを行い、現在約1,400件の安全性を確認しております。  さらに、塀の高さが2.2メーターを超えるなど、特に安全性が危惧される約700件を特定し追跡調査を行い、是正指導等によりこれまでに約140件の安全性を確認したところでございます。  引き続き通学路沿いを含む残りの約560件につきましては、職員による個別訪問を行い、塀の安全性の確保を呼びかけますとともに維持管理の責任について周知し、除却または改修を所有者等に強く促してまいりたいと考えております。  併せまして、残りのブロック塀約5,000件につきましても、市ホームページや市政だより等により周知を図りますとともに、各区役所をはじめ関係部署と連携し、所有者に対し適切な維持管理を働きかけてまいります。  次に、本市の洪水対策についてでございますが、本市管理河川につきましては主に健軍川、藻器堀川、鶯川、旧天明新川において河道掘削や貯留施設の整備などを実施しているところでございます。令和2年3月末時点における河川延長に対する整備率については、健軍川で約80%、藻器堀川で保田窪放水路を含めて約57%、鶯川で約59%、旧天明新川で約30%となっております。  また、国及び県が管理する河川につきましては、各流域の自治体と構成しております白川改修・立野ダム建設促進期成会や浜戸川改修促進期成会などにより、各河川の治水安全度を高める取組を進めるよう、事業主体である国及び県に要望しているところでございます。  今後も本市管理河川の計画的な改修に取り組みますとともに、国及び県管理河川の改修を促進することで、河川の氾濫、堤防の決壊等による甚大な被害が軽減されるよう、治水対策を推進してまいります。  次に、本市の橋梁についてでございますが、本市では令和元年2月に熊本市橋梁耐震補強計画を改定し、高速道路や直轄国道をまたぐ橋梁並びに緊急輸送道路にかかる橋梁の耐震化を優先的に実施しております。  対象となる23橋につきましては、これまでに11橋の耐震化が完了し、現在8橋の設計及び工事を実施しており、早期完成を目指しているところでございます。残り4橋についても令和3年度以降、順次設計に着手してまいります。  次に、無電柱化事業につきましては、本市は昭和61年より整備に着手し、約55キロの無電柱化が完了しております。現在、防災・減災や安全・円滑な交通確保等の観点から、緊急輸送道路や都市計画道路など10路線10.4キロの無電柱化を実施しているところでございます。これまでに1路線が完了し、現在事業中の9路線につきましても、今後とも計画的に整備を図ってまいります。  最後に、路面下空洞調査の実施状況についてでございますが、平成28年度から2か年で、緊急輸送道路及び熊本地震を受け陥没被害の多い県道及び1、2級幹線市道を対象に、延べ634キロの調査を実施いたしました。  調査の結果対応が必要な144か所につきましては、今年度末の復旧工事完了を予定しております。今後とも定期的な調査を実施しますとともに、それに伴う必要な対策を講じてまいります。          〔田中俊実政策局長 登壇〕 ◎田中俊実 政策局長  私からは、土砂災害警戒区域等からの住宅移転に対する補助事業についてお答えいたします。  本市では、熊本県が指定している土砂災害特別警戒区域内に居住する方々の安全な区域への住宅移転を促進しております。この区域内に区域指定前から居住し、土砂災害のおそれがある区域外に移転する住民に対し、住宅の除却費や移転先住宅の購入費、移転経費等に最大300万円の補助金を交付しております。  また、崖崩れ等の危険から住民の生命を守るため、急傾斜地崩壊危険区域等に居住する方々の安全な区域への移転を促進するため、危険住宅移転事業を実施しております。区域外に移転する住民に対し、住宅の除却費最大97万5,000円と移転購入資金借入金の利子相当額の補助金を交付しております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  危険なブロック塀への対応についてですが、約7,000件の安全性の確認できないブロック塀のうち安全性が確認されたのは約1,400件で、まだ約5,600件についての確認ができておりません。特に高さ、傾きにより安全性が危惧される約700件のうち確認できていない残りの560件、そのうち通学路沿い約450件あるとのことであります。  安全性が危惧されているのであれば、倒壊した場合の責任、重要性を何度も伝えるとともに応急措置の提案など早急に対応を行い、児童・生徒が絶対に近寄らない対応をよろしくお願いいたします。  洪水対策の状況についてですが、3月末時点で河川延長に対する整備率は健軍川で約80%、藻器堀川で保田窪放水路を含めて約57%、鶯川で約59%、旧天明新川で約30%とのことです。こちらはできるだけスピード感を持って整備をお願いいたします。  橋梁の耐震化、無電柱化、路面下空洞調査については、着実に推進をお願いいたします。  危険住宅の状況ですが、土砂災害警戒区域、いわゆるレッドゾーンにお住まいの方が区域外へ住宅移転を促進するため最大300万円の補助金と、熊本市のがけ地近接等危険住宅移転事業での住宅除去費、最大97万5,000円、そして移転購入資金借入金の利子相当額の補助金だけでは、実際に引っ越しすることはできません。レッドゾーンですので、土地の買い手を見つけることは不可能に近く、引っ越して家を建てることは断念され、その場で今、危険を感じながらも生活されています。安全な区域への引っ越しができるような支援の拡充か、崖地の改修の検討をぜひともお願いいたします。  続いて、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策についてお伺いします。  近年の気候変動の影響により気象災害が激甚化、頻発化し、また南海トラフ地震、首都直下地震などの大規模地震の発生も切迫しています。さらに、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化することから、適切な対応をしなければ負担の増大のみならず社会経済システムが機能不全に陥るおそれがあります。  国民の生命、財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、さらに防災・減災、国土強靭化の取組の加速化、深化を図る必要があり、このため政府は今年度までの3か年緊急対策に続き、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策を閣議決定しました。  重点的に取り組む対策は、1、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、2、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策、3、国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進を柱として、令和7年度までの5か年に重点的、集中的に対策を講じることとしています。  公明党は、防災・減災、復興を社会の主流にしなければいけないと主張し、国土強靭化の加速化を訴えてきました。現時点で本市ではどのような取組をお考えでしょうか。政策局長にお伺いします。          〔田中俊実政策局長 登壇〕 ◎田中俊実 政策局長  昨年12月に閣議決定された防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策は、現在の3か年緊急対策に示されました人命、財産を守るための対策に加え、災害時の交通ネットワーク等の強化やインフラの老朽化対策、さらには施策を効率的に進めるためのデジタル化の推進など、事業期間や対象が大きく拡充されたところでございます。
     今回、国の第3次補正予算に位置づけた事業につきまして項目ごとに申し上げますと、まず1つ目の激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策につきましては、流域治水対策として旧天明新川などの河川の改修、災害時の交通ネットワーク確保のための西環状道路の整備等を行うこととしております。  2つ目の予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策につきましては、橋梁や歩道橋などの道路施設をはじめ教育施設や市営住宅の長寿命化等を行うこととしております。  3つ目の国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進につきましては、国の直轄事業が対象となっておりまして、遠隔操作技術を用いた道路管理や線状降水帯の予測精度向上等に取り組むこととされております。  先ほども答弁しましたように、今回示されました5か年加速化対策も踏まえ、熊本市国土強靭化地域計画の見直しは適宜行いながら、防災・減災対策を着実に推進してまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  今回の防災・減災、国土強靭化5か年加速化対策で、事業期間や対象が大きく拡充されています。特に流域治水対策や交通ネットワークの強化、予防保全型インフラメンテナンスの転換に向けた老朽化対策は重要と考えます。重点的、集中的に対策をお願いいたします。  続いて、流域治水についてお伺いします。  昨年の令和2年7月豪雨による球磨川の氾濫被害、一昨年の令和元年東日本台風による浸水被害等、近年毎年のように全国各地で浸水被害が発生しています。気候変動の影響を受けて激甚化、頻発化する水災害等への防災対策は最重要になっています。  抜本的な治水対策として、集水域と河川区域のみならず、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、ハード、ソフトの両面から流域治水を推進していかなければなりません。また、水田、校庭、民間施設、国有地の機能連携を進めるなど、官民が連携したあらゆる対策の充実を図ることがポイントとも言われています。  そこでお伺いします。  1、国、県、流域自治体で検討を進めている被害軽減、早期復旧・復興のための流域治水の方向性についてお伺いします。  2、白川では激特事業が完了し、令和2年1月に変更した河川整備計画に沿って今後整備が進められます。中長期的にどのように市民の安全安心を確保していく考えでしょうか。大西市長にお伺いします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  流域治水については国や県、流域市町村と構成する水系ごとの流域治水協議会において、流域治水プロジェクトの策定に向けた検討を進めております。  この流域治水プロジェクトでは、氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策、被害対象を減少させるための対策、被害の軽減、早期復旧・復興のための対策を柱とし、流域一体となった防災・減災対策を推進していくこととなります。  白川につきましては、白川激甚災害対策特別緊急事業による河川改修が完了いたしまして、国の管理区間となる小碩橋から下流においては、令和4年度未完成予定の立野ダムなど上流域の整備が今後なされることで、治水安全度は20分の1から30分の1が確保される見込みであります。  また、令和2年1月に変更されました白川水系河川整備計画では、おおむね30年後を目途に、同区間の治水安全度を60分の1まで引き上げることを目標として、今後国により計画的な河川改修が進められることとなっております。  本市といたしましても市民の皆様の生命と財産を守るため、河川整備計画に基づく治水対策の一日も早い実現を国などに強く働きかけるとともに、市民の皆様の防災意識の向上を図るなど白川の防災・減災対策を推進してまいります。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  立野ダムなど上流域の整備がなされることで、治水安全度20分の1から30分の1、これは平成24年九州北部豪雨の規模で、安全が確保される見通しでありますが、おおむね30年後を目途に、さらに60分の1まで引き上げることを目標としているとのことであります。  着実に進めていただくとともに、熊本市内には1級河川が31河川、2級河川が14河川あります。国、県で管理している河川改修についても、中小河川の改修についても、連携を強化して事業の推進をしていただき、市民の生命と財産を守るとの観点から総合的な流域治水対策の推進を強く求めます。  また、昨年7月、豪雨災害が発生した翌日、人吉市に向かいました。球磨川沿いの国道219号線は通行不可能でありましたが高速道路は通行でき、人吉市にたどり着くことができました。坂本町に行く際も、高速道路上の坂本パーキングエリアからしか行くことができず、高速道路がもしなかったら坂本町は陸の孤島でありました。改めて災害時に高架道路の有意性を感じました。まさに命の道路であります。  熊本市内中心部においても、被災時の物流確保、人命のネットワーク道路として流域治水対策とともに、都市高のような高架道路の早期整備の検討を前に進めていただくように要望いたします。  次に、熊本市行政サービスデジタルトランスフォーメーション、DXアクションプランについてお伺いします。  熊本市は昨年11月、行政サービスのトランスフォーメーションの推進に向けてアクションプランを策定しました。トランスフォーメーションという言葉は最近よく耳にすることが増えてきましたが、単なるデジタル技術の導入ではなく、行政サービスや組織の体制を改革することであります。  推進に当たって必要な6つの横断的視点は、1、国・地方の情報システムの標準化、共同化の視点でデジタル化に取り組む、2、マイナンバーシステムを活用する、3、行政サービスの強靭化や新しい働き方によるクラウドサービスやモバイル端末の活用、4、誰もが分かりやすく簡便かつ手軽にデジタル技術を利用でき、情報格差是正を図るためのデジタルデバイド対策、5、高度なセキュリティーリスクマネジメントを確立、6、デジタル人材の育成です。  アクションプランの推進期間は、令和4年3月末までを集中的な改革期間と位置づけ、目指す姿の実現に向けた9つの具体的な取組を推進するとのことであり、国の情報化戦略やデジタル庁の動向を先取りし、新たなデジタル化の方向性を令和3年度中に検討することとしています。  一方、総務省は本市より1か月遅く、昨年12月に自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画を発表しました。推進計画の対象期間は令和3年1月から令和8年3月までです。国の施策展開を踏まえつつ、業務改革を含めた標準化等の進め方について、(仮称)自治体デジタル・トランスフォーメーション推進手順書として21年夏をめどに提示するとなっています。また、政府が行政デジタル改革の一環として構築するクラウド基盤(仮称)ガバメントクラウドは、本年9月に発足する(仮称)デジタル庁が構築、運用を担当し、令和3年度に実証実験や設計に着手するとも聞いています。  そこで、総務局長にお伺いします。  1、熊本市と総務省の計画を見比べますと、熊本市の計画が先取りしているように見えます。整合性は取れるのでしょうか。  2、基幹系業務システムの標準化は17業務になるのでしょうか。  3、これまでシステム改修のたびに多額の費用がかかっていましたが、業務の効率化とともにシステム改修コストの大幅な削減は可能となるのでしょうか。  以上3点お伺いします。          〔深水政彦総務局長 登壇〕 ◎深水政彦 総務局長  多様化する市民ニーズに対応するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症拡大のような危機事象下においても、付加価値の高い市民サービスを効果的、効率的に提供するためには、行政のデジタル化を早急に進める必要がございます。  そこで、国の動きを先取りする形で昨年11月に、熊本市行政サービスデジタルトランスフォーメーションアクションプランを策定し、鋭意取組を進めているところでございます。  本アクションプランは、これまでの国の動向を踏まえ、令和3年度末までの短期間で集中的に改革すべき取組を取りまとめたものでございまして、今後は新たに示されます国のデジタル・トランスフォーメーション推進手順書を参考としながら、社会情勢の変化、技術革新の動向などを的確に捉え、スピード感を持って対応してまいりたいと考えております。  次に、情報システムの標準化の対象につきましては、昨年12月に閣議決定されましたデジタル・ガバメント実行計画におきまして、住民基本台帳や固定資産税など17業務が示されているところでございます。今後、これらの業務について自治体間の共同利用やクラウド化が進むことで、コスト減につながることが想定されているところでございます。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  今般の新型コロナウイルス感染症拡大は、パラダイムシフトともいうべき大きな変化を引き起こしており、テレワークやオンライン会議などデジタル技術の活用が活発になりました。私も1年前はやったこともなかったオンライン会議を日常的に行うようになりました。ウィズコロナの時代における様々な変化を変革の契機と捉え、通常であれば10年かかる変革を一気に進め、新たな日常の実現に向けて集中的に改革を進めていただき、市民目線のデジタル改革を進めていただきたいと思います。  また、災害時に職員の応援交流が多くなりました。現地ですぐに動けるように被災者支援システムの標準化も必要ではないかと考えます。  そして、総務省の推進計画によりますと標準化、クラウドの効果を踏まえ、地方公共団体の情報システムの運用経費等については、標準準拠システムへの移行完了予定後の令和8年度までに、平成30年度比で少なくとも3割のコスト削減を目指すとなっています。国の詳細な内容もこれからのようですが、市民サービスの向上と大幅なコスト削減に努めていただくことを大いに期待しております。  次に、特別自治市についてお伺いします。  地元紙によりますと、2月4日の指定都市市長会にて、多様な大都市制度の実現に向けたプロジェクト会議で、政令市の権限を強化する特別自治市の法制化を国に提言する方針を確認したとありました。  特別自治市は県と政令市の二重行政を解消するのが狙いであり、横浜市や神戸市のような大都市が創設を訴えており、昨年11月、熊本市など16政令市が参加するプロジェクトを設置したとのことであります。  そして、国への提言に向け、1、区の在り方、2、警察事務、3、移行要件などを整理する必要があるとしたとの記事でした。このことは住民にとって大変大きな影響がある制度改革であります。  そこでお伺いします。  1、16政令市がプロジェクトに参加しているそうですが、参加していない4政令市はどこでしょうか。  2、特別自治市への移行をした場合にどうなるのか、新たな役割分担に応じた税財政制度、住民の利便性の向上、行政全体のコスト削減、二重行政の解消等、どのような意味を持つのか説明いただきたいと思います。  3、本市にとってのメリットとは。  4、また、大阪で話題になっている都構想、総合区との違いをお示しください。  政策局長にお伺いします。  次に、大西市長は「プロジェクトの趣旨には大いに賛同する。指定都市の機能が高まることで災害時のリスク分散や経済成長につながる」との記事でありました。大西市長の特別自治市についての見解をお伺いします。          〔田中俊実政策局長 登壇〕 ◎田中俊実 政策局長  特別自治市の概要についての4点のお尋ねに順次お答えいたします。  議員御紹介のとおり、昨年11月に指定都市市長会に設置されました多様な大都市制度実現プロジェクトには16市が参加しておりまして、参加していない指定都市は札幌市、新潟市、大阪市、堺市の4市でございます。  特別自治市は平成23年度より指定都市市長会において提案されている大都市制度でございまして、道府県に包括されない自治体として特別自治市を創設し、地方が行うべき事務の全てを特別自治市が一元的に担うものであります。  指定都市市長会からの提案においては、特別自治市に移行することによって住民サービスの実施主体が一元化されるとともに、新たな役割分担に応じた税財政制度が構築されることで、住民の利便性の向上や行政全体のコスト削減等が期待できるとされているところでございます。  次に、都構想、総合区との違いについてでございますが、いわゆる都構想は平成24年に成立した大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づきまして、道府県内にある指定都市等を廃止して特別区を新たに設置することにより、二重行政を解消しようとするものでございます。  特別自治市は地方が行うべき事務の全てを一元的に担うのに対して、都構想は特別区とこれを包括する道府県で事務を分担することとされております。そして、特別区が処理する事務以外については道府県において一元的に処理するという点において主な違いがございます。  また、総合区でございますが、平成26年の地方自治法の改正により制度化されたものでございまして、政策立案を含め住民に身近なところで住民に身近な行政を包括的に行えるように、議会の同意を得て選任される特別職の総合区長を置くことができる制度でございます。  特別自治市が現行の指定都市の在り方そのものを道府県に包括されない自治体として位置づけるのに対しまして、総合区は現行の指定都市制度における区の役割を拡充させるものであるという点について、主な違いがあります。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  東京一極集中、人口減少、少子高齢化の進行や地方分権に伴い都道府県の役割に変化が生じる中、本市を含めた指定都市は国全体の成長を牽引し、各地域の中枢的な役割を果たす必要があると考えております。  また、いわゆる大阪都構想の是非をめぐる住民投票の実施や、感染症対策に係る都道府県と指定都市の役割分担の議論など、昨今、地方自治制度の在り方が問われていると認識しております。  このような中、多様な大都市制度を実現するための一つの選択肢として、特別自治市について具体的な検討を進めていくことは大変意義深いものであり、大いに賛同するところでございます。  私は、適切な大都市制度を構築することは、大都市の住民がより暮らしやすい都市を実現するとともに、多様な地域による成長の牽引やリスクの分散、相互補完を果たし、国全体の発展に寄与するものと考えております。  また、大都市制度につきましては全国一律の制度ではなく、地域の実情に応じて検討していく必要があると考えており、今後本市としても指定都市市長会における議論を踏まえながら、大都市制度の研究を深めてまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  人口375万人の横浜市と74万人の本市では状況が大きく違います。市長がおっしゃられたとおり、大都市制度については全国一律の制度ではなく、国、県、市の役割分担や権限の在り方を含め、地域の実情に応じて検討していくべきであると考えます。  そこでお伺いします。一度に特別自治市へ移行との考え方は、本市にとってはハードルが高いような気もいたします。そこで、二重行政の解消という点から、県と市で重複している公共施設の統合を県と調整できませんでしょうか。例えば公営住宅、図書館、博物館、体育館等の一本化です。公共施設の効率化、資産の総コストの抑制につながるのではないかと考えますが、市長の見解を伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  本市は市営住宅をはじめ市立の図書館、美術館、体育館などの公共施設を保有している一方で、県立図書館や県立美術館、さらには県立体育館などの県有施設も市内に多数所在している状況にあります。  このような中、平成29年3月に策定いたしました公共施設等総合管理計画においては、県、市の役割分担の明確化について検討することとしており、公共施設の統合についてはそれぞれの施設の設置経緯や役割、さらには県の資産マネジメントの観点を踏まえた検討が必要であると認識しております。  今後は県有施設のみならず、熊本連携中枢都市圏の市町村が保有する施設や民間施設も含め、広域的な役割の観点に加え公民連携による整備や施設運営などの視点で検討することも必要であると考えております。  公共施設の在り方につきましては、公共施設等総合管理計画の3つの基本方針である資産総量の適正化、施設の長寿命化の推進及び施設運営に要する総コストの削減が重要であり、市民、県民の皆様の利便性向上に向けて、他都市の事例等も参考にしながら、県などの関係機関と協力して研究してまいりたいと考えております。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  ありがとうございました。  住民の利便性がどのように向上するのか、コスト削減がどのくらいできるのか、ウィズコロナの時代に合う新しい行政の姿を議論してまいりたいと思います。  先週の熊本自由民主党市議団藤山議員の代表質問の中で、学校プールの再編について、21年度は課題や効果を整理し、22年度よりモデル事業を開始したいとの答弁がありました。私が平成29年第4回定例会で学校プールの統合を提案した際は、施設数を削減できるといったメリットの反面、児童・生徒の移動に要する時間のロスに伴う授業時数の確保や学校間の利用調整が難しいとのデメリットを強調された答弁でしたので、今回調査検討に入っていただけることをうれしく感じました。と同時に、今後ますます厳しくなる財政状況の中で、公共施設の効率的な運用については大胆な、様々な可能性を検討していくべきであると考えます。市長が言われたように、県の施設のみならず連携中枢都市間や公民連携による整備や施設運営も視点に入れ、市民サービスの向上とともに総コストの削減を目指して検討をお願いいたします。  次に、市有施設照明LED化事業についてお伺いします。  事業の目的は、従来型の照明に関しては将来的にLED照明への転換が見込まれる中、可能な限り早期に市施設にLED照明を導入することで、省エネルギー化による電力コストと温室効果ガス排出量の削減を図るとあります。  本市の公共建築物の照明総数は18万8,000台余りあります。計画的に行われていると理解していますが、これまでの進捗状況と来年度以降のLED化事業計画についてお伺いします。特に市営住宅の階段等、通路等、外灯等の共有部分のLED化変更時期について、環境局長にお伺いします。          〔三島健一環境局長 登壇〕 ◎三島健一 環境局長  市有施設照明LED化事業の進捗状況につきましては、まず本年度事業として、学校143施設及び消防16施設の直管蛍光灯及び水銀灯などのLED照明への交換について2月に契約を締結したところであり、令和3年度末までに完了いたします。  来年度以降の事業といたしましては、統廃合や建て替え、改修等の予定のある施設を除く公共建築物の照明について、令和3年度に調査を行うとともに、学校及び消防施設への導入効果を検証した上で、順次LED照明への交換を行ってまいります。  議員お尋ねの市営住宅の共有部分につきましても、令和3年度に調査を行うこととしており、今後計画的にLED化を進めてまいります。          〔26番 井本正広議員 登壇〕 ◆井本正広 議員  令和3年度末までに、学校143施設及び消防16施設の交換を行うとのことです。そして、市営住宅の共有部分については令和3年度に調査を行うこととしており、今後計画的にLED化を進めるとのことでありました。  市営団地の階段、通路、外灯等共有部分の電球は高い位置にあるものも多く、脚立を使わなければ電球の交換ができない危険な場所も少なくありません。そして、取替え等お世話をされる方に高齢者が多くなっております。LED電球になれば交換頻度も少なくなり、脚立での危険な作業が少なくなります。また、電気代を抑え共益費が安く見込めます。市営住宅の共有部分については、ぜひ早めの交換を検討していただきますよう要望いたします。  最後に、要望を1点申し上げます。  電気を使わない自動ドアの設置についてであります。  東日本大震災のときに停電のために自動ドアが開かず、建物から出ることができなくて災害に巻き込まれた方がおられました。そこから考えられたのが、電気を使わない自動ドアです。  特徴は、1、電気に頼らず体重による、てこの原理を応用して開閉することから、停電時でも自動ドアとして作動します。  2、電気による強制的な開閉をしませんので、挟まれ事故の危険性はありません。  3、モーター、センサーがなく消費電力ゼロであり、CO2発生ゼロです。  4、電磁波を出さないため病院等でも使用できます。  最近、公共施設の入り口や高速道路のサービスエリア、介護施設、自治体の授乳室、ベビールーム、また防災センター、避難所等で導入されているようであります。  停電時、自動ドアを開けるのには大きな力が必要です。力が弱い女性の方でも車椅子の方でも停電時、手を触れることなく開閉できる、電気を使わない自動ドアを災害時対策、また環境負荷の面でも検討していただきたいと要望いたします。  今回準備した質問は全て終わりました。感染症や災害対策はもとよりあらゆる課題に立ち向かい、市民生活の質の向上や豊かさの実感あるまちへ、誰一人取り残さない、孤立させない、つながり支え合う社会を目指し、これからも頑張ってまいります。
     お忙しい中、傍聴へ来ていただいた皆様、そして最後まで長時間御清聴していただいた全員の皆様に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。  以上で終わります。(拍手)       ──────────────────────────── ○上田芳裕 副議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。  次会は、明9日(火曜日)定刻に開きます。       ──────────────────────────── ○上田芳裕 副議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                             午後 3時54分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 令和3年3月8日 出席議員 48名       1番   紫 垣 正 仁        2番   上 田 芳 裕       3番   山 本 浩 之        4番   北 川   哉       5番   古 川 智 子        6番   島 津 哲 也       7番   吉 田 健 一        8番   伊 藤 和 仁       9番   平 江   透       10番   荒 川 慎太郎      11番   齊 藤   博       12番   田 島 幸 治      13番   日 隈   忍       14番   吉 村 健 治      15番   山 内 勝 志       16番   緒 方 夕 佳      17番   高 瀬 千鶴子       18番   三 森 至 加      19番   大 嶌 澄 雄       20番   光 永 邦 保      21番   高 本 一 臣       22番   福 永 洋 一      23番   西 岡 誠 也       24番   田 上 辰 也      25番   浜 田 大 介       26番   井 本 正 広      27番   藤 永   弘       28番   原 口 亮 志      29番   田 中 敦 朗       30番   小佐井 賀瑞宜      31番   寺 本 義 勝       32番   原     亨      33番   大 石 浩 文       34番   村 上   博      35番   那 須   円       36番   園 川 良 二      37番   澤 田 昌 作       38番   田 尻 善 裕      39番   満 永 寿 博       40番   田 中 誠 一      41番   津 田 征士郎       43番   藤 山 英 美      44番   落 水 清 弘       45番   倉 重   徹      46番   三 島 良 之       47番   坂 田 誠 二      48番   白河部 貞 志       49番   上 野 美恵子 説明のため出席した者   市長       大 西 一 史    副市長      多 野 春 光   副市長      中 村   賢    政策局長     田 中 俊 実   総務局長     深 水 政 彦    財政局長     田 中 陽 礼   文化市民局長   井 上   学    健康福祉局長   石 櫃 仁 美   環境局長     三 島 健 一    経済観光局長   田 上 聖 子   農水局長     西 嶋 英 樹    都市建設局長   田 中 隆 臣   消防局長     西 岡 哲 弘    交通事業管理者  古 庄 修 治   教育長      遠 藤 洋 路    中央区長     横 田 健 一   東区長      宮 崎 裕 章    西区長      甲 斐 嗣 敏   南区長      村 上 誠 也    北区長      小 崎 昭 也 職務のため出席した事務局職員   事務局長     富 永 健 之    事務局次長    和 田   仁   議事課長     池 福 史 弘    調査課長     下錦田 英 夫...