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令和 2年第 4回定例会−12月04日-04号
令和 2年第 4回定例会−12月04日-04号

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  1. 熊本市議会 2020-12-04
    令和 2年第 4回定例会−12月04日-04号


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    最終取得日: 2022-11-22
    令和 2年第 4回定例会−12月04日-04号令和 2年第 4回定例会   令和2年12月4日(金曜) ┌─────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第4号                         │ │ 令和2年12月4日(金曜)午前10時開議                │ │ 第  1 一般質問                           │ └─────────────────────────────────────┘                             午前10時00分 開議 ○紫垣正仁 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ──────────────────────────── ○紫垣正仁 議長  日程第1「一般質問」を行います。  順次発言を許します。那須円議員。          〔35番 那須円議員 登壇 拍手〕 ◆那須円 議員  皆さん、おはようございます。日本共産党熊本市議団の那須円です。  全国各地で新型コロナウイルスの感染者が急増し、第3波とも言うべき深刻な事態が広がっています。本市においても中心市街地を中心にクラスターが発生するなど、予断を許さない状況です。  本日は、感染拡大を防止するために直ちに実施すべき点、さらには市民の命や健康、そして暮らしや営業を守るために取り組む点などを中心にお尋ねいたします。  まずは、新型コロナ関連でお尋ねいたします。  春の第1波、7月から8月の第2波に続く、第3波の感染拡大が起こっています。過去最高の感染者の更新が続き、予断を許さない状況が続いています。今行うべき大切な政策の柱は2つあると考えています。  1つは、でき得る限りの取組を行い、これ以上の感染拡大を防ぐこと、そして市民の暮らしと営業を守るために、実態を正確に把握し、生活と営業が維持できる適切な支援を行うことであります。
     まずは、感染拡大防止対策についてお尋ねいたします。  コロナウイルスは、感染した後症状を発するケースがあるほか、ウイルスに感染しても症状が発生せず、感染をさせた側も感染した側も自覚のないままに感染が拡大し得る特徴を持っています。こうした中で、症状が発生した段階で検査を行い、接触者をたどっていくという現在の方法に加えて、感染拡大が起こりやすい地域や業種に面的なPCR検査を行い、無症状の感染者を保護し、ケアを行うということが極めて重要になってくると考えます。  まずは、中心市街地の飲食や接待を伴う事業者への面的調査についてお尋ねいたします。  11月10日の政府のコロナ対策本部会議に提出された資料では、新宿区歌舞伎町において大規模・地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになりましたと、面的検査の効果を政府も認めております。  現在、リンクあり感染者の感染機会を見てみると、10月当初に6割強あった接待を伴う飲食店の割合が直近では減少する一方で、会食を介しての感染者が増加しています。また、リンクなし感染者が11月末には5割近くに上るなど依然多い中、人と人の交流機会が多い中心市街地の飲食や接待を伴う事業者に対して、大規模・地域集中的なPCR検査を実施するべきだと考えます。  これまで、市と県が連携しながら、感染対策推奨PCR検査の実施など対策を行っていますけれども、中心市街地の約数万人にも上る従業員のうち、検査に応じた方は11月19日の段階で延べ809名となっており、検査推奨が進んでいるとは言えない状況であります。  店舗関係者に聞き取りを行いました。本来ならば、従業員やお客さんのことを考えれば、積極的にPCR検査を受けるべきだと思うが、もし自分の店から感染者が出れば、休業による減収、消毒などの出費、誹謗や中傷などの批判を受けること、感染店舗として知られることになり休業明けの売上げの減少など、多くの心配があって検査に踏み出すことが難しいとの声も出されました。  今、この中心市街地において、市がイニシアチブを発揮し、面的、地域的、集中的なPCR検査を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、こうした検査を進めるためには、営業補償を可能な限り行うなど、業者に寄り添った対応を取りながら検査推進の抜本強化を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。大西市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  中心市街地における面的、地域集中的なPCR検査についてお答えいたします。  本市では、飲食店に起因する感染の早期発見と拡大を防止するため、中心市街地飲食店従業員の皆様を対象とした無料のPCR検査を実施しており、市民の皆様が安心して飲食店を利用できる環境整備に取り組んでおります。  この中心市街地飲食店従業員PCR検査を広く飲食店に周知するため、熊本県と連携いたしまして、これまでに3回、接待を伴う飲食店を中心に戸別訪問いたしまして、積極的に受診勧奨を行ってきたところでございます。  さらに、熊本市中心部歓楽街でのクラスターの発生防止を図るため、県市合同の対策チームを立ち上げ、事業者等との信頼関係を構築し、事業者や従業員の真意を聞き取り、新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報を共有するとともに、受診勧奨の強化を進めているところでございます。  また、飲食店従業員に陽性が確認された場合は、早期の営業再開と経営継続へのフォローとして、現在、全ての店舗を訪問し感染防止対策の助言を行うなど、事業者に寄り添った対応に取り組んでいるところでございます。  今後、中心市街地飲食店従業員PCR検査の推進に当たっては、関係者と継続的に意見交換や勉強会を開催し、信頼関係を構築し、SNSなども活用して正しい知識の伝達と理解の促進を図るとともに、基本的な衛生管理や感染拡大防止対策について丁寧に説明するなど、引き続き、事業者等に寄り添った対応に努めてまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  関係者と継続的に意見を交換しながら信頼関係を構築し、進めていくとの答弁でありました。  引き続き寄り添うということでありましたけれども、その寄り添い方をやはり一歩踏み出す必要があるのではないかと考えます。業者の不安や心配をどう解消していくのか。現実的には経営の問題もあるわけですから、全ての営業補償というのはなかなか難しい課題かもしれません。しかし、でき得る独自の支援も真剣に検討し、今、面的な調査を実施し、無症状の感染者をしっかり把握しケアすること、ぜひ一歩踏み込んだ寄り添い方を検討していただくようにお願いいたします。  次に、高齢者施設等の面的な調査についてお尋ねいたします。  全国的に高齢者施設、医療施設、教育施設でのクラスターが発生しています。厚生労働省によれば、全国の医療機関での院内感染は386件、福祉施設、高齢者や障がい者や児童の施設での施設内感染は452件で、合計838件に達しております。  大阪府では、第2波以降に発生したクラスターのうち、医療機関と高齢者施設等で発生したクラスターが7割を占めました。とりわけ、既に疾患を持っている患者がいる医療施設、抵抗力や体力が弱い高齢者が入所する施設など、こうした施設でコロナ感染が発生すれば、重症化や死亡に至りかねない大変深刻な事態が発生いたします。  私自身も医療関係者、そして高齢者施設の職員の方々に聞き取りを行いました。施設内でのクラスター発生に対しての不安も語られているのはもちろんでありますけれども、勤務時間、そして勤務時間外においても最大限注意をしているものの、どこで感染するか分からないコロナ禍の下で、自分自身が感染を知らないまま業務に当たり、感染を広げてしまうのではないかとの不安は毎日のように感じるとの意見が少なくありませんでした。  こうした中、厚生労働省は、先月11月26日に医療機関、高齢者施設等の検査についてとの通知を出し、特に、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のためには、医療機関、高齢者施設等の入院・入所者は重症化リスクが高いことから、施設内感染対策の強化が重要とし、こうした観点から、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、その期間、医療機関や高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、言わば一斉・定期的な検査の実施を行うようにお願いするとの指示を出しました。  また、重症化リスクが高い入院・入所者の方々に加え、重症化リスクの高い集団に接する医療従事者介護従事者で、発熱、呼吸器症状、頭痛、全身倦怠感など症状が出ている方々については、検査の実施に向け、とりわけ積極的な対応を取るようにとも通知は呼びかけております。  東京都世田谷区は、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、区内の介護施設職員や保育園、幼稚園の職員など計約2万3,000人を対象に、無料でPCR検査の実施を始めました。介護施設職員約1万2,000人、続いて、保育園と幼稚園の職員約1万1,000人を対象に実施、並行して、特別養護老人ホームなどの入所予定の高齢者も検査の対象としています。さらに、11月下旬より、また感染防止対策の一環で取り組む無症状者へのPCR検査の中で、小中学校の教職員、学童保育の職員らを検査対象に追加しています。  世田谷区の保坂展人区長は、集団への大量検査は、アメリカのニューヨーク州などで、感染者数や死者数が減少する効果を上げていると指摘し、コロナで亡くなる人には医療や介護などの施設内感染者が多いとし、症状がない人を症状が深刻になる前にピックアップして、クラスター化や地域への拡大を防ぐ効果があると話しておられます。  世田谷区の取組を参考にするとともに、厚労省の呼びかけに従い、本市においても医療機関、高齢者施設に勤務する方や入院・入所者全員を対象に、一斉・定期的な検査の実施を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。あわせて、教育施設、保育所などについても同様の面的調査を実施するべきだと考えますが、いかがでしょうか。大西市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  高齢者施設等については、これまで施設職員に向けた感染防止に関する動画を作成し啓発を行うほか、県内で感染者が増加した際には施設への注意喚起を行うなど、入所者や職員に対する感染防止対策の徹底に取り組んでおり、全国的な感染の拡大を踏まえ、11月20日には発熱等の症状がある入所者等への検査の徹底について通知を行ったところです。  また、高齢者施設をはじめ学校や保育施設など、クラスター発生リスクが高い施設において感染者が発生した場合には、感染拡大を最小化するために、積極的疫学調査に基づく濃厚接触者のみならず、接触者等についても可能な限り把握を行った上で、関係者全員に対して、保健所の判断により積極的に行政検査を実施しております。  厚生労働省通知による感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域における高齢者施設等への一斉・定期的な検査の実施については、今後の感染者の状況等を踏まえ、対象エリア実施手法等を含め、検討を行ってまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  今後の感染者の状況等を踏まえ、対象エリア実施手法等の検討を行うという答弁でありましたが、感染者が発生した後に、感染が増えた後に面的調査を行うのでは、クラスター発生を抑えることはできません。  北九州市の北橋健治市長は、11月7日の記者会見で、今後、一層のクラスター対策を講じて感染防止に積極的に取り組むために、重症化リスクの高い介護施設や障がい者・障がい児の施設が自主的に検査したいと希望する場合には支援を行う。実施対象は、介護施設、障がい者施設で、検査を希望する施設内の入所者・従事者とし、対象施設は約340施設、約2万9,000人の対象者には費用は無償で実施するとし、12月議会に補正予算を提出することを明らかにしました。必要な予算は、北九州市で1億8,000万円を見込んでいるそうです。  人口96万人の北九州市、そして人口94万人の世田谷区で実施できて、熊本市で実施できない理由はありません。人の命に関わる取組ですので、市長の決断次第であり、ぜひとも面的調査の早期実施を要望いたします。  次に、感染追跡を行うトレーサーの体制強化についてお尋ねいたします。  現在、急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握、保護していくためには、感染追跡を専門に行うトレーサーが不可欠です。  トレーサーは、検査で陽性となった人を保護して、行動履歴や健康状態を把握したり接触歴をたどって感染が疑われる人を見つけ出すなど、感染追跡を専門に行う人であります。この間、欧米で感染の再拡大が起こっている要因の一つに、この陽性者の追跡、コンタクトトレーシングが十分にできていないことが指摘されていることからも、トレーサーの確保は急務であります。感染者らと接触した人の追跡、隔離が感染症対策の基本でありますし、これを担う保健所の体制強化が急務であると考えます。  アメリカのニューヨーク州では、接触者追跡を行うトレーサーの配置基準を人口10万人当たり最低30人と定めております。この基準だと熊本市は210人というふうになりますけれども、現在、本市の保健所では、保健師も含め15名から20名ほどの体制で取組が行われているとのことであります。また、感染者の発生次第では、過労死ラインの80時間を超える時間外労働も発生しています。  そこでお尋ねいたしますけれども、本市において陽性者追跡の状況はどのようになっているでしょうか。保健所体制を強化し、トレーサーの体制強化に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。現場は過労死ラインを超える長時間労働が常態化していないでしょうか。応援職員の受入れで保健所が3密になっているなどの実態はないでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  陽性者の調査に係る2点のお尋ねについてお答えいたします。  1点目の新型コロナウイルス感染症の患者に対します調査につきましては、国立感染症研究所が示しております新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領に基づき実施しております。  具体的には、電話にて直接患者御本人から詳細な行動歴等について聞き取りを行うことで、感染源の推定や濃厚接触者の把握を行っております。その際は、特に、接待を伴う飲食店等の不特定多数が利用する店舗や感染した際に重症化のリスクが高い高齢者施設等との関わりなどについて詳細に聞き取りを行うことで、クラスターの発生防止に取り組んでいるところでございます。  2点目の保健所の体制強化につきましては、本市では、3月末から新型コロナウイルス感染症新規感染者が連続して発生するなど急激に感染が拡大したことから、4月13日に相談対応や疫学調査、患者支援を専門的かつ重点的に取り組む新型コロナウイルス感染症対策課を新設し、保健所の組織体制を強化したところであり、調査班の保健師を中心に、患者からの聞き取りを行っております。また、感染が急拡大した場合におきましても、疫学調査等を迅速に実施するため、全庁的な応援体制の整備を行ったところでございます。  現在、感染が全国的に急拡大し、予断を許さない状況にございますことから、引き続き、丁寧な調査等によるクラスター対策をはじめ、感染拡大防止に全力で取り組んでまいります。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  全庁的な応援体制の整備を行ったとの答弁がありました。  感染者のうちリンクなし、つまり感染経路が分からない感染者が11月末で5割にも上っております。感染経路が分からなければ、どこに手を打っていけばいいのか明確にならず、実効性のある防止対策を取ることができません。トレーシングの抜本強化、そして現場で働く職員の健康を守る立場でも、保健師の確保も含めた体制強化を強く要望いたします。  次に、医療機関への支援についてお尋ねいたします。  各地で感染者が急増する中で、既に病床の逼迫や宿泊療養施設の不足が起こり始めております。北海道、首都圏、中部圏、大阪などでは重症患者の増大が病院のベッド(病床)やマンパワー(人的資源)の限界を超えて、医療体制が機能不全になる医療崩壊の瀬戸際に陥る地域も出てきております。熊本市においても第3波に対応する体制を早急に整備する必要があるのではないかというふうに考えております。  こうした中で、菅首相は、医療機関への支援のために3兆円の予算を投入したと発言しておりますが、実際に今医療現場に届いているのは、計上された予算の2割程度しかないことが明らかになっております。この間、多くの病院、診療所が患者の受診抑制などによる大幅減収でコロナ経営危機に直面し、医療従事者コロナ賃下げが起こっております。  そこでお尋ねいたしますけれども、医療機関支援のための財政措置は、市内医療機関にどれほど届いているのでしょうか。また、医療機関への実態把握に努めるとともに、減収補填はしないという今の国の姿勢に対して、地域医療を支える全ての病院、診療所に減収補填を行い、医療体制を全力で守ることを強く求めるべきではないでしょうか。また、市独自の財政支援を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  医療機関への支援について、まとめてお答えさせていただきます。  国の緊急包括支援事業におきましては、診療報酬の引上げを初め、空床確保補助額の増額や医療従事者への慰労金の支給などの支援策が講じられているところでございます。これらの事業につきましては、主に県が支給事務を行っており、例えば慰労金の場合、現在、熊本市内の医療機関の約8割が申請され、その全てに交付がなされており、その他の支援メニューにおいても必要な手続を経て、順次交付を行っていると伺っております。  新型コロナウイルス感染症流行の長期化に伴う受入れ病床の確保や受診控えなどにより、患者を受け入れる医療機関を初め、多くの医療機関の経営状況に影響を及ぼしていることは十分認識しており、今後も国の具体的な施策を注視しながら、医療機関をしっかりと守るため、国に対して手厚い支援を求めてまいります。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  国に対して手厚い支援を求めていくという答弁もありました。そのためには、現場の実態を市としても自主的、主体的に把握することに努めていただきたいというふうに思います。  もちろん、支給事務は県が行っているにせよ、先ほどの答弁であった診療報酬の引上げで経営がしっかりと維持されているのか、空床確保補助金が現場が求めている水準にあるのか、重症者が増えた場合、人的資源は足りているのか、現場の生の声を基に国に要望できるように、市としてもしっかりと実態把握に努めていただきますようによろしくお願いいたします。  次に、コロナ禍での中小業者への支援についてお尋ねいたします。  今回の一般質問を準備するに当たり、中小零細業者の方々を中心に、今どのようなことでお困りなのか、可能な範囲で聞き取りを行いました。そこで最も多かった御意見が経営を維持するための追加の給付金とのことでありました。今年の春から広がったコロナ感染の下で売上げが減少し、営業そのものもですが、生活そのものが行き詰まる直前との業者の方も多くいらっしゃいました。  当初は、売上げの50%減があった業者への持続化給付金の支給、対象とならなかった業者への県独自の給付金などがありました。最大100万円の給付がなされましたが、営業を維持するための固定費などに補填され、既に第1弾の給付金についてはほとんどの業者の手元には残っておりません。一時的に今しのいでいる、この状況が長引けば経営の継続が難しい、第2、第3の給付金が必要だとの声は大変切実であります。  朝日新聞が9月14日に報じた記事では、新型コロナウイルス関連の倒産が11日で474件に達したと。様々な給付金や資金繰り支援策で落ち着きつつあるが、支援が切れると再び増えそうである。コロナ関連以外も含めた倒産件数は、今年6年ぶりに9,000件を突破するおそれがあると、地域経済を支えている業者の深刻な実態を報道いたしました。  全国中小企業団体中央会の森洋会長は、中小企業は、資金繰り支援で何とか耐えている状況で、倒産や廃業の予備軍は多い。取引関係のある企業が相次いで倒れる連鎖倒産の可能性もあるとの見解を示しています。実際の聞き取りの中で、稼ぎ時の年末に売上げが低迷していること、そして仕事請負の中で支払いを年末に持ち越して、いよいよこの年末には、この売掛金の清算をしなければならないけれども、それができずに事業を畳まなければならないなど、こうした年末倒産に追い込まれる危険性、心配を持っている業者の方がたくさんいらっしゃいました。年末倒産、廃業などに直面する業者に対して、この時期にどのような対策を講じるのかが重要となっています。  そこでお尋ねいたします。  今、一部の声を紹介しましたが、市内中小零細業者の経営状況、コロナによる影響はどのように把握されているでしょうか。具体的にお答えいただきたいと思います。  また、業者の置かれている現状は刻々と変わっています。市内業者の実態や現状を把握するための聞き取り調査を実施するべきではないでしょうか。  さらに、少なくとも年末に向けた給付金の支給が必要だと考えます。お隣の御船町や甲佐町では、国の持続化給付金の支給者に対して、町独自で10万円の追加、県の事業継続支援金の支給者に対して、これも町独自で5万円の追加など、独自の支給を行っています。  本市でも、年を越すことができない、こうした中小零細業者へ最大限の給付金を独自に支給する制度を創設するべきだと考えますが、いかがでしょうか。  引き続き、中小零細業者に対する切れ目のない支援の必要性に関してお尋ねいたします。  この間、コロナウイルス感染拡大の影響を受けた業者に対して、様々な支援が行われてまいりました。しかし、経済の好転が見込めずに、売上げが低迷する中で、既存の支援策の期限を迎え、不安を持っておられる方も多くいらっしゃいます。ある業者の方は、家賃支援、テナント代の支援を受けておられますけれども、その支援期間が最大で6か月となっているために、この年末にも期限を迎え、不安を抱いている状況であります。  緊急融資についても、最大返済までの期間5年間の猶予期間が設けられていますけれども、5年後の予測もできないことを理由に、猶予期間を1年として申請される業者も多くいらっしゃるようです。こうした業者は、先の見通しが持てない中で、来年度初めからの返済に不安を募らせておられました。こうした声を市としても具体的に把握し、支援につなげる必要があると考えます。また、家賃支援など期限付の助成制度については、延長を国に求めると同時に、市独自の対策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。  経済観光局長にお尋ねいたします。          〔田上聖子経済観光局長 登壇〕 ◎田上聖子 経済観光局長  中小零細企業への支援につきまして順次お答えいたします。  中小零細企業の経営状況やコロナによる影響につきましては、本年3月に様々な企業や団体を直接訪問し生の声を聞かせていただき、また、4月以降も熊本市経済再建・市民生活安心プランの策定を進める中で、71の企業等からのヒアリング、そして市民の皆様に対しましてもアンケート調査をそれぞれ2回実施させていただき、意見、要望や実態を把握してきたところでございます。  具体的に申し上げますと、感染拡大防止対策に加え、事業継続に係る助成金等の拡充、消費喚起や新たな事業展開に向けた支援などの御要望があり、また先般、西岡議員にお答えいたしましたように、8月時点の市内企業の業況判断がマイナス51となるなど、多くの企業が厳しい状況であると認識しております。  次に、実態把握のための聞き取り調査につきましては、さらに11月にも市民アンケート及び景況調査を実施し、現在集計しているところでございまして、今後も定期的な企業へのヒアリング等を行い、実態把握に努めてまいります。また、国への要望につきましては、11月16日に指定都市市長会におきまして各種給付金・助成金、家賃の負担軽減支援など、既存支援策の期間延長を含め、支援策をより一層充実強化することを既に要望したところでございます。  本市では、制度融資に係る3年間の利子補給を初め、緊急家賃支援金、プレミアム付き商品券、宿泊クーポンなど独自の給付金制度を創設してきたところであり、継続して実施いたしております融資制度やプレミアム付き商品券等について御活用いただきたいというふうに考えております。  今後は、地域経済を再建し、市民が安心して生活できるよう、10月末に策定した熊本市経済再建・市民生活安心プランに基づき、事業者等のニーズ把握に努めながら、必要な対策を適時的確に実施していくものでございます。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  11月のアンケートの集計中であり、必要な対策を適時的確に実施していくとのことでありました。  私の実家も中小業者、お弁当屋さんをしておりましたけれども、本当に売上げが低迷する中小業者の方々の不安や切実さはしっかり職員の皆さんに伝わっているでしょうか。店を畳む危機に直面している業者の方々は、生きていくすべを失うことや借金の返済、収入が途絶えた今後をどのように生きるのか、本当にあしたが来るのが怖い、不安が増えるばかりと、こうした声があります。ぜひその切実さに寄り添った対応をお願いいたします。  次に、新型コロナにより失業を余儀なくされた方々への支援についてお尋ねいたします。  先月、厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響で仕事や住まいを失う人が増えるおそれがあるとして、年末年始の期間中、臨時の窓口を開くなど、全国の自治体に支援体制を確保するように通知いたしました。同省によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した企業などから解雇されたり、契約を更新されない雇い止めにされたりした人は、見込みも含めて7万3,000人を超えております。こうした中で出された通知では、年末にかけて仕事や住まいを失う人が増えるおそれがあるとして、都道府県や中核市などに対して支援体制を確保するように求めました。  私自身もこの間、コロナによる業務の縮小により失業された方や勤務日数の大幅減少で給与が3割ほどに落ち込んだ方などの相談を受けてまいりました。住居確保支援制度につなぐなど対応を行いましたけれども、この支援制度も最大9か月間という制度の下で、相談された方はこれからの生活に不安を抱いておられました。  そこでお尋ねいたしますけれども、本市のコロナによる失業状況及びその支援についてはどのようになっているでしょうか。また、年末年始の期間中、福祉事務所などで臨時の窓口を開くことや電話での相談体制の確保、それに仕事を失うなどして生活に不安がある人には、事前の相談を呼びかけて、支援が途切れることのないような対応が必要だと考えますが、いかがでしょうか。  さらに、コロナにより失業を余儀なくされた市民に対して、家賃支援など追加実施をするべきだと考えますが、いかがでしょうか。  次に、学生への支援についてお尋ねいたします。  コロナ禍の影響で、全国の国公私立大学のうち少なくとも190の大学が経済的理由による退学・休学者が今年度末に増えると予想していることが、朝日新聞と河合塾の合同調査で明らかになりました。  不況で家計が苦しくなり、学費を払えない学生が増えると見る大学が大変多い状況です。退学・休学の増加の割合は、緊急調査時の7月に9%だったのが、10月には15%、来年3月には30%に急増する見込みとの結果も出ています。特に、国公立より学費が高い私立大学は35%に達するとの報告もあります。さらには、大学ごとに緊急の給付金などを行っていることは承知していますが、一度きりであったり、最大2か月の支援にとどまるなど、まだまだ不十分であるとの認識を私自身は持っています。  また、先日の国会では学生の深刻な実態が紹介されました。食べることに事欠く学生が広がっている、住居費や学費の確保をする一方で食費を極限まで削って、食事に支障が出ている、こうした実態が示されました。青年団体である日本民主青年同盟が食料支援活動を33都道府県で300回以上実施しましたけれども、利用者は1万人を超えたそうであります。1日1食、パン1個で済ますこともあるとの学生の声も紹介されていました。  そこでお尋ねいたしますけれども、本市の学生の現状をどのように把握しておられるでしょうか。大学、県などと連携し、実態把握に努め、市としてもコロナ禍の下で苦難に直面している学生への多面的な支援を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。  また、本市において緊急奨学金や返済猶予の対応を取られているということでありますけれども、十分に利活用されているのか疑問を持っています。さらなる周知に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  健康福祉局長、そして教育長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
    ◎石櫃仁美 健康福祉局長  私からは、失業者や学生に対します支援についての4点の御質問にまとめてお答えさせていただきます。  新型コロナウイルス感染症の影響による失業者につきましては、11月27日現在、厚生労働省新型コロナウイルスに起因する雇用への影響に関する情報についてによりますと、熊本県の解雇等見込み労働者数は、5月29日からの累計で360人となっているところでございます。  このような解雇になった方を含めて、支援が必要な方につきましては、自立支援センターにおいて相談を受けており、貸付け支援、就労支援、住居確保給付金の支給などを行っております。また、年末年始を迎えるに当たっては、ホームページやSNS等を活用し、生活に不安のある方に早めの相談を促すとともに、連休中の相談につきましては、緊急連絡網を整備し、福祉関係窓口及び自立支援センターが連携し、適切に支援できるよう取り組んでいるところでございます。  なお、国におきましては、住居確保給付金の支給期間の延長について検討されているところでございます。給付期間終了後、生活に困窮することがないよう関係窓口と緊密に連携し、必要な支援につなげてまいります。  最後に、大学生を含む若者の不安や様々な悩みにつきましては、子ども・若者総合相談センターやこころの健康センター等で相談に応じているところでございます。  これまで、学校の休校やオンライン授業により友人ができないなどの相談はあっておりますが、経済的な状況についての相談は寄せられておりませんが、まずは市内にあります大学等に学生の現状について情報収集を行うとともに、相談窓口の周知に努めてまいりたいと考えております。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  私からは、奨学金についてお答えいたします。  本市では、毎年、家計の急変等における奨学生の募集を実施しており、今年度も8月から募集を開始しております。募集においては、ホームページを初め、市政だより、県内の高校や周辺の大学への周知、各区役所やまちづくりセンターへの申請書の配布を行っております。また、事前に学生の現状等の調査を行ったわけではありませんが、社会情勢等から判断いたしまして、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う熊本市奨学金の返還猶予を今年4月から実施しております。  今後、再度、本市の奨学生制度について、大学等と協力し周知を徹底するとともに、本市に相談があった場合にも寄り添った対応ができるよう心がけてまいります。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  失業者に対しては、相談窓口にいつでもつながるよう周知、支援の強化をお願いいたします。  また、学生の実態については、まず情報収集という答弁でありました。  私もそうでしたけれども、学生時代、本当に経済的に厳しいときは、家賃はまず確保しなければなりませんので確保して、学費を確保して、食費を極限まで削るという生活を送っておりました。国の給付金から漏れてしまった方、バイトのシフトも減って、経済的に大変厳しい状況に置かれている学生の方も多くいらっしゃいます。将来、この熊本市の発展に寄与してくれる学生に対して、でき得る支援を行っていただきたいと思います。  次に、コロナ禍の下での自殺対策についてお尋ねいたします。  国会での超党派でつくる自殺対策を推進する議員の会は、今年10月22日、国会内で総会を開き、7月から9月の女性自殺者の急増を巡って、厚労省や文部科学省などから聞き取りを行っております。  その中で、厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センターの清水代表理事は、同センターの緊急リポート「コロナ禍における自殺の動向に関する分析」を基に、コロナ危機の下で女性の非正規雇用就業者の著しい減少やDV被害の増加など、自殺の要因になりかねない問題が深刻化し、女性の自殺者数の増加に影響を与えている可能性があると指摘しています。さらに、女性の自殺の背景には、経済・生活問題や勤務問題、DVなど様々な問題が潜んでいる。コロナ禍においてこうした自殺の要因になりかねない問題が深刻化しており、これらが女性の自殺者増加に影響を与えている可能性があると報告をいたしました。  また、筑波大学の研究者の調査では、出産後の母親の産後うつが新型コロナウイルス感染症の影響で以前の2倍以上に増えているとの報告があるなど、コロナ禍で人と接する機会や場が少なくなり、経済的にも不安定な生活を強いられている方が増えている中で、今後の女性の自殺リスクがさらに高まっていくことが懸念されると指摘されております。  また、自殺対策SNS相談生きづらびっとには、女子中高生から、休校明けでクラスが変わり、なじめなくてつらいという声や、母親がずっと家にいていらいらしており、自分がストレスのはけ口にされている、オンライン授業についていけず高校を辞めたいといった相談が日々寄せられており、コロナ禍で多くの児童・生徒が様々な問題を抱え込んでいる状況が明らかになっています。  こうした深刻な実態が報告される一方で、いのち支える自殺対策推進センターの報告では、緊急小口資金や住居確保給付金、総合支援資金など、コロナ危機に伴う政府の財政支援策には自殺増加を抑制する可能性があると述べて、今ある施策をやめてしまえば、それによる自殺増加の懸念もあると警鐘を鳴らしました。こうした各調査や分析については、本市の自殺対策を進める上でも重要な示唆を与えているものと思います。  本市では、電話やSNSを活用した相談窓口の開設などの取組を行っていますけれども、どのような声が寄せられ、そして本市の自殺対策に生かされているのでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  本市では、電話や窓口での相談のほか、SNSを活用し、熊本連携中枢都市圏の6市町村と共にこころの相談事業を実施し、11月末までに800件を超える相談が寄せられているところでございます。  相談内容は、職場の人間関係が苦痛である、外出できなくて家庭内でのストレスがたまる、新型コロナウイルス感染症に感染しないか不安であるなど様々であり、心理士等の相談員が相談者の不安な気持ちを酌み取り、必要に応じて関係機関を紹介するとともに、緊急な場合には警察等の支援機関に要請を行うなど、適切に対応いたしております。  こうした相談には、相談者に寄り添い、不安や悩みについて傾聴し、しっかりと受け止めることが何よりも大切であることから、相談員の確保や養成に努め、支援体制のさらなる充実に取り組んでまいります。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  かなり多くの相談が寄せられていることが分かりました。  私は、さっき紹介した報告の中で、様々な支援策が自殺抑制の効果を発揮しているとの見解が出される下で、自殺の温床となっている社会的な原因をしっかりと分析し、本市の様々な施策に反映させていくことが大切であると考えますので、御尽力をよろしくお願いいたします。  コロナ対策の最後に要望しますけれども、この間、経営危機に直面した業者に対して融資制度などが実施されてきました。市や県による利子補給、補償金の助成など、多くの業者が同制度を活用しています。しかし、中には、例えば親族が自己破産をしていたとの理由で融資を受けられなかった業者など、必要な融資につながらない、そして経営破綻に直面している業者も少なくありません。また、返す見通しが持てない業者は、融資制度そのものが選択肢に入っておりません。  生存権を保障する最後のとりでが生活保護制度ですが、生活相談などを続けてきて思っていることは、少なくない方が生活保護制度を受けることに後ろめたさを感じているということです。自助、自己責任という言葉の下で、法制度に頼るわけにはいかないと拒む方もいらっしゃいます。親族に保護を受けていることが分かれば、恥ずかしい、気まずいなどで申請をためらう方もいらっしゃいます。  日本の場合は、生活保護を受けるべき所得水準の方でも保護を受けている方は2割程度と、ヨーロッパなどと比べて捕捉率は非常に少なく、同制度への偏見や壁があるように思います。憲法に保障された権利として生活保護制度があることなども分かりやすく伝えながら、コロナ禍で困難に直面している方の支援を最大限進めていただくようにお願いいたします。  では、次に、国保と介護の問題について質問いたします。  コロナ禍の下で、経営や暮らしの打撃に加えて、熊本市民は、政令指定都市の中でも極めて負担の重い国民健康保険料や介護保険料の負担に苦しんでいる状況です。  モデル世帯、両親2人、子供2人の例をよく示しますけれども、200万円の所得で40万円の国保料というのは指定都市でも最も高く、負担が重過ぎます。保険料滞納世帯も昨年度では27.4%と、引き続き10世帯に約3世帯が滞納している状況であります。また、中小零細業者は、コロナによる売上げの減少と併せて、この負担の重い国保料の二重の苦しみが強いられている状況です。  この状況をいつまで放置するのでしょうか。直ちに国民健康保険料の引下げを実施するべきだと考えますが、いかがでしょうか。引下げの是非とともに、その理由もお答えください。  また、保険料滞納世帯が多い要因の一つに、所得に応じた保険料とは別に、1人当たりにかかる均等割の保険料があまりにも高過ぎることが挙げられます。つまりは、収入がゼロであっても、子供1人当たり4万4,700円、40歳以上の大人1人につき6万100円がかかることになり、例えば両親2人子供2人の世帯では、所得がなしでも均等割だけで20万9,600円の保険料が発生します。もちろん法定減免はありますけれども、それでも6万円の保険料負担が所得なしの世帯に発生することになります。所得階層ごとの収納率を見ても、所得の低い方ほど収納率が低くなっているのも、こうした均等割による負担の重さが大きな原因となっていることは間違いありません。  仙台市では、均等割について、18歳未満の均等割額の3割を減免する独自の軽減策を講じております。熊本市でも、この仙台市が行っている18歳未満の均等割の減免など、均等割の引下げをするため、独自の減免制度を創設するべきだと考えますが、いかがでしょうか。  次に、コロナによる国保料の減免についてお尋ねいたします。  コロナ禍の下で収入が減少した市民に対して、国保料の減免制度が実施されています。しかし、実際に商売をされている方に話を聞いたところ、この減免の条件、売上げの3割減少という減免要件については、材料の調達などができなくなり、商売が立ち行かないぐらいのレベルで、非常に厳しい条件であるとの声が出されました。減免要件の緩和を実施してほしいとの声が多く寄せられました。  そこでお尋ねいたしますけれども、このコロナ禍の下での国民健康保険料の周知徹底とともに、減免要件を緩和するべきだと思いますが、いかがでしょうか。  大西市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  国民健康保険制度は、保険料収入と公費によって必要な保険給付費を賄う制度となっておりまして、熊本県が示す国民健康保険事業費納付金等を踏まえ、本市の保険料を決定しているところでございます。また、国民健康保険は、被保険者の年齢層が高く、医療費が高くなる一方、低所得者の方が多いという構造上の課題があり、本市の医療費が政令指定都市の中で高い水準にあること等から、現時点では保険料の引下げは困難であると考えております。  保険料均等割の減免につきましては、本市独自の保険料減免として、低所得者世帯及び多子世帯を含めた子育て世帯を支援するため、被保険者が3名以上で基準総所得が100万円以下の世帯については、保険料の1割減免を実施しております。また、全国市長会等を通じ、子供に係る均等割保険料を軽減する支援制度の創設等について国に対して要望しておりまして、実現に向け、今後も要望してまいりたいと考えております。  次に、新型コロナウイルス感染症に伴う国民健康保険料の減免についてでございますが、国が財政支援を行う基準に基づき実施しておりまして、主たる生計維持者が新型コロナウイルス感染症により死亡または重篤な傷病を負った場合や、事業収入等が前年に比べて3割以上減少した場合を対象としております。この制度を周知するため、国民健康保険全世帯に送付する保険料納付通知書に制度案内を同封しますとともに、ホームページや市政だよりのほか、窓口での手続や保険料納付相談等において案内を行っているところでございます。今後は、全世帯に送付いたします医療費通知にも掲載を予定しております。  減免要件の緩和についてでございますが、国の財政支援の基準を超えて本市独自に減免要件を緩和することは、本市の国民健康保険の財政状況を踏まえますと、実現は困難であると考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  保険料の引下げや均等割の軽減については、これまでと一緒のような答弁でありました。負担の限界に来ているというような市民の方々の声に向き合ってほしいというふうに本当に思います。  コロナ禍の下での国保料減免の緩和要件は、今、市長の答弁によると、財政状況を考えると実現は困難という答弁でありました。しかし、この間、大西市長になって国保会計への一般会計からの繰入れ、赤字補填額が激減しております。幸山市長時代は最大28億円、その後、20億円台の水準であったのに対して、大西市長になって赤字補填額は8億円、翌年は7億3,000万円、さらに翌年は6億6,000万円と、国保会計への財政支援を減らしてきたのは市長であり、財政状況を考えると実現は困難などという答えは到底納得ができるものではありません。  確かに、国の方針は、一般会計からの繰入れをなくしていくという方針があります。しかし、一般会計の原資、主には税金になりますけれども、税金というのは所得の再配分という大事な機能を持っております。当然、その使い道、使途は、例えば国保は所得200万円以下の加入者が8割を占めている状況で、他の医療保険と比べても圧倒的に高い保険料が課せられているわけです。国保加入者への支援に、こうした一般会計の繰入れでしっかりと税金が充てられるべきではないかというふうに考えます。  国の言うがままに繰入額を減らして、国保加入者の厳しい現状を放置することはやめてほしいというふうに率直に思います。新年度に向け、ぜひ改善に向けた予算措置をお願いするものです。  次に、国保加入者の中の事業主に対しての傷病手当金の支給についてお尋ねいたします。  本来、社会保険と違って、国保には、被保険者が病気、またけがのために仕事ができない場合に支給する傷病金を支給する制度はありませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染症に感染し、また発熱等の症状があり感染が疑われる人で、仕事を休んだ従業員に国民健康保険からも傷病手当金の支給が可能となりました。このことは大きな前進でありますが、あくまで従業員が対象であり、例えば、家族経営をしている事業者の事業主である方は支給対象となりません。家族経営などのケースでは、事業主であろうとも従業員と一緒に働いている場合がほとんどで、事業主に対しても傷病手当の支給を求める声が上がっています。  高知県黒潮町は、コロナ対策の一環として、国民健康保険制度に加入している個人事業主に傷病手当を支給することを6月議会で決めております。商工団体が同町と懇談した際に住民課長が応対し、新型コロナウイルスに感染した事業主やフリーランスも安心して仕事を休めるような環境を整備するために創設したと説明しています。新型コロナウイルスに感染または疑いで休業した場合、1日5,000円、給与所得者と同じ要件で個人事業主へ支給されます。また、同様の条例が岐阜県飛騨市や鳥取県岩美町でも創設されています。  本市においても、中小企業には家族経営で頑張っておられる事業所もありますので、被用者のみならず、個人事業主、フリーランスにも傷病手当金が支給できるよう条例改正をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。  続いて、介護保険料の軽減についてもお尋ねいたします。  介護保険料については、皆さん御存じのとおり、年金受給開始の年齢である65歳以上の方は、年間18万円以上、月に換算すると1万5,000円になりますけれども、この年間18万円以上の年金を受給している場合には、基本的に年金からの天引き、特別徴収での支払いになります。年金が年々減る一方で、介護保険料は期を重ねるごとに値上げが実施されております。あらかじめ年金から天引きされるので、食費の確保すらできない、光熱費が払えないなど、切実な声が寄せられております。  高齢者が増え、介護サービスの需要が増えています。介護給付費が増えれば、保険料もそれにつられて上がっていく。一方、年金は下がっていくということでは、制度的矛盾が顕著になっているのではないかと指摘をせざるを得ません。介護保険料についても、熊本市は、政令指定都市の中で非常に負担が重くなっております。  そこでお尋ねいたしますけれども、熊本市の介護保険料、政令指定都市の中でどのような水準となっていますでしょうか。また、保険料については引下げを実施するべきだと考えますが、いかがでしょうか。  健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  まず、個人事業主に対します傷病手当金の支給についてでございますが、傷病手当金は、労働者が療養のため労務に服することができないとき、当該期間について支給されるものであり、主に健康保険等の被用者保険において支給されております。  今回の傷病手当金は、労働者が休みやすい環境を整備することで感染拡大を防止することを目的としており、健康保険等と同様に被用者を支給対象としているものでございます。自営業者の方に対しましては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い収入が減少する際の国民健康保険料の減免を行っているところでございます。  次に、本市の介護保険料の水準と軽減措置の検討についてでございますが、第7期介護保険事業計画期間におけます本市の介護保険料は、政令指定都市の中で2番目に高くなっております。  本市におきましては、低所得者の負担軽減を図るため、生活困窮者に対する独自の軽減制度を実施しているほか、所得段階について国基準の9段階を上回る13段階に細分化し、低所得者の保険料負担割合が低くなるよう配慮いたしております。さらに、指定都市市長会等におきまして国に対し、第1号被保険者の保険料につきまして負担軽減の実施を要望しているところでございます。  第8期においても引き続き、介護予防や自立支援、重度化防止に取り組み、保険料の上昇の抑制に努めてまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  事業者への傷病手当金支給については、対象はそんなに多くはありません。主に家族経営をされているような業者の方が対象になります。さらに、コロナ感染で仕事ができなくなるというケースに絞れば、対象者が大きく広がるものでもありません。  傷病手当金については、社会保険のサラリーマン、そして共済に入っておられる公務員の皆さんには支給されます。国保加入者も従業員ならば支給されるようになりました。唯一制度の網目にかからない国保加入の事業主に対して、支援を行ってほしいと思います。予算などもどれほどかかるのか、しっかり検証して、自治体の独自の判断でできることですので、前向きな検討をよろしくお願いいたします。  また、介護保険料については、介護給付の増加に伴い保険料も上がり続ける、国保と似たような制度的な破綻とも言うべき状況に至っているのではないかと危惧しています。国に対する要望とともに、本市としても国保同様の財政支援を実施するなど、踏み込んだ対応を求めておきたいと思います。  熊本地震からの復興、水害等への対応、コロナ対応など、大変な状況が続いております。この質問の最後に、要望・指摘をしたいというふうに思いますけれども、必要な財源をどう確保するかという点も大事な課題になってきます。財政の課題を考えたときに思い出す一般質問でのやり取りがあります。  それは、平成27年第1回定例会の一般質問にて、私たちの会派に所属していた益田議員が桜町の再開発の問題を取り上げ、保留床取得経費や桜町再開発会社への補助金、市債の返還額などを示しながら、MICE施設を最優先で進めて市民生活に影響を与えないと断言ができますかと大西市長にただしたことに対して、大西市長は、影響は与えないと断言をされました。しかし、今、財政の収支不足が発生する下で、コロナの独自支援であったり国保加入者への負担軽減であったり、財政的な理由で支援制度が実施できないなど、市民生活に影響が出ている状況です。  大きな公共事業は、その後、長きにわたり財政的な影響を及ぼします。私は今、様々な財源が必要な中で、例えば、渋滞の課題などもありますけれども、西環状道路など予算規模の大きな事業については、聖域とせずに、凍結も含めた決断を行って財源を確保するなど、思い切った決断が必要であると考えます。  暮らしや営業、市民の健康を守ることを最優先として、ワクチンの開発など、通常の生活が戻れば、また地域経済の活性化に向けた動きが広がります。そのことを願い、次の質問に移りたいと思います。  白川の治水対策と立野ダムについてお尋ねいたします。  今年7月3日未明から4日にかけて、熊本県南部地域に長時間にわたり線状降水帯が発生し、記録的な大雨が降りました。人吉市、球磨村など流域自治体は、球磨川支流の越水、球磨川本流の越水や氾濫などにより、甚大な被害が生じております。京都大学防災研究所の角哲也教授らは人吉市の地点で毎秒7,600トン、今本京大名誉教授は人吉地点で毎秒8,500トンの流量が流れたと推測するなど、過去に経験したことのない流量が球磨川及び支流に流れ込んだことになります。こうした事態を受けて、改めて白川の流域の治水について検証、対策を講じる必要があるというふうに考えます。  立野ダムの治水効果については、これまでも、市長とも幾度となく議論してまいりました。四方5メートルの3か所の穴に流木が詰まる可能性なども指摘してきました。市長は、国の検証により、穴が詰まることはないという認識を示されてきましたけれども、今回の南部の豪雨災害、人吉市などの橋の欄干には無数に流木が絡み合っている状況でした。  国交省の言うように、水位が上がれば流木も上がっていく、水位が下がれば流木も下がっていく、こういうふうにスムーズに浮き沈みすると考えたときに、なぜ人吉市では、川の水位が下がったときに欄干にあれだけの流木が絡んでいるのか。立野ダムに置き換えたときに、国交省の穴は詰まらないとの論調に大きな疑問が生じたことも事実であります。  御存じのとおり、ダムは、想定を超える雨量や豪雨では治水効果を発揮することはできません。仮に、流木が穴のスクリーンに絡んで正常に機能しなければ、今回の南部豪雨並みの雨が降れば、僅か20分程度で立野ダムは満水となります。今必要なことは、白川流域において対策が可能である、あらゆる治水対策を講じることであると考えます。  国交省が2012年の立野ダム事業検証で立野ダムを検証した際に、ダム以外に14の治水対策案を検討し、提示しておりました。中流部の遊水地、黒川の遊水地、雨水貯留施設、雨水浸透施設や水田の保全、輪中堤や遊水機能を有する土地の保全など、流域治水に生かすべき様々な治水対策は、このとき検討されています。それらを全て今回の流域治水協議会でも検討の対象とするべきだと思います。特に、水田の保全案では、流域の水田55平方キロメートルに20センチメートルの雨水をため込むようにあぜを高くするだけで約1,100万トンの容量が確保でき、立野ダムの総貯水量1,000万トンを超えることになります。  さらに、流域の水田は、ざる田と言われるように高い浸透能力を持つために、それ以上の水害防止効果があり、熊本の地下水涵養にもつながります。ところが、こうした水田の保全案については、球磨川の流域治水策については盛り込まれているものの、白川の流域治水策については盛り込まれておりません。5メートル四方の穴に阿蘇のカルデラ内に降った雨が流木と同時に集中する立野ダムと比較しても、中流域に広がる水田の保全策、安全性においても優位なものとなっています。  そこでお尋ねいたしますけれども、改めて、7月豪雨相当の雨量で立野ダムの治水機能は発揮されるのか、検証を国に求めると同時に、こうした水田を活用した治水対策についても白川の流域治水対策に加えて、総合的な治水対策を検討するべきだと考えますが、いかがでしょうか。大西市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  白川の治水対策については、国による立野ダム検証の過程で、水田活用を含む様々な方策の組合せについて、安全性、経済性など総合的評価が行われ、最も優位と評価されました治水対策として現在の整備が進められていると認識しております。  総合的な治水対策につきましては、現在、流域全体で行う持続可能な治水対策の推進に向け、白川水系流域治水プロジェクトの策定が進められております。本市といたしましても、市民の皆様の生命と財産を守るための取組を国や県、流域市町村とともに推進してまいりたいと考えております。  令和2年7月豪雨など深刻な水害が頻発している中、河川整備計画に基づく治水対策の一日も早い実現が極めて重要であると考えておりまして、引き続き、国に対し強く働きかけてまいりますとともに、本日いただきました議員の御懸念や御意見についても、事業主体である国にお伝えしてまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  今、私の懸念や意見についても国に伝えますというような答弁がありました。  市民の方は、様々なダムに代わる治水対策など提案を行っております。そういった例えばさっき紹介した水田の活用なども含めて、国に対して、しっかり対象に入れるよう要望してほしいというふうに思います。  次に、気候非常事態宣言についてお尋ねいたします。  この治水の課題を考える際には、その大規模災害の大本になっている気候変動についての対応を避けて通ることはできないというふうに考えています。近年の洪水、台風災害など、過去に例を見なかった大規模かつ深刻な災害が全国各地で発生しています。地球温暖化による海面水温の上昇が大きな原因の一つだと言えます。  地球温暖化については、時期については説は種々ありますけれども、温暖化を抑えようと努力しても戻ることができないポイント、いわゆるティッピングポイントというのがあることは御存じのとおりです。このポイントを超えてしまえば、植物が生育できなくなり森林面積が激減することや、海水表面温度が上がって、それが混ざりにくくなるために海水面から二酸化炭素を吸収することができなくなることなど、それによってさらに温暖化が進む負の循環を止めることができない、こうした局面を絶対に迎えないように対策していかなければならないと考えています。  今、地球的規模のこうした環境問題にどう向き合い、対策を取るかが問われております。こうした中、県内では、小国町がSDGs未来都市として、気候変動の現状に危機感を示し、地球温暖化対策に取り組む決意を表明するために、令和2年3月18日、気候非常事態を宣言いたしました。小国町は、宣言により環境問題に正面から向き合って、SDGs未来都市として、かけがえのない地域資源である地熱と森林資源を生かしながら、循環型の社会と多様な産業を創出し、社会、経済、環境の3側面の総合的取組の中で、将来にわたって持続可能な町を目指していくとしています。  国内では、同じSDGs未来都市の壱岐市が2019年9月に初めて宣言したのを機に、全国的に今広がっております。  そこでお尋ねいたしますけれども、本市としても気候非常事態宣言を行い、あらゆる政策に反映させるべきだと考えますが、いかがでしょうか。お尋ね申し上げます。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  本年6月に閣議決定されました令和2年版環境白書では、温室効果ガスの増加により、今後、豪雨災害等のさらなる頻発化、激甚化が予想されている状況について、もはや単なる気候変動ではなく、人類や全ての生物の生存基盤を揺るがす気候危機とも言われていると明記され、これを踏まえて小泉環境大臣が気候危機宣言を行いました。  本市としましても、近年の異常気象による災害が多発している現状について、気候危機とも言うべき状況にあると認識しております。このような中、熊本連携中枢都市圏の18市町村においては、本年1月、2050年における温室効果ガス排出実質ゼロの宣言を行ったところでございます。  現在、その具体化に向けた地球温暖化対策実行計画の策定について各市町村との協議を進めておりまして、その協議の中で、気候非常事態宣言について検討してまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕
    ◆那須円 議員  気候非常事態宣言については検討との答弁でありました。  白川の治水を考えた際に、大規模災害の大本になっているこの課題にどう向き合うのかも問われていると思います。大事なことは、もちろん宣言することも大事なんですけれども、この宣言を基に実効性のある政策へとつなげていくことであります。  治水のための立野ダムについては、ダム躯体そのものが自然を破壊しますし、ダムの水漏れがないか、ためる試験湛水が数か月続く間に、水没した植物は大きな被害を受けます。記録的な豪雨の下で、ダムの満水時に大規模な土砂崩れが起こらないように、ダム周辺の山肌には崩落防止の対策が取られるとのことでありますけれども、山肌がコンクリートに覆われるような可能性も否定できません。治水のはずのダム建設が気候変動や地球温暖化という視点で見たときに、温室効果ガス排出抑制に逆行することにもなります。ぜひこうした視点で、立野ダム問題についても検証していただきたいと思います。  次に、洪水時のタイムラインについてお尋ねいたします。  経験したことがない豪雨、自然災害が起こった際に、例えば、現行の河川整備計画が想定している以上の洪水があった際の対応の具体化を進めるという点では、タイムラインの早期制定、そして住民への周知と具体的な行動ができる準備を進める必要があると考えます。  タイムラインとは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して、災害時に発生する状況をあらかじめ想定し、共有した上で、いつ、誰が、何をするのかに着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画であります。  今回の南部豪雨の水害において発生した洪水被害は、例えば数日前から進路等が予想できる台風と違って、急激に発達した低気圧による線状降水帯が大きな原因となりました。こうした線状降水帯が白川上流の阿蘇地域で生じた場合などのタイムラインの策定が必要であるというふうに考えます。  とりわけ、この線状降水帯については、どこに発生するのか予想が非常に難しい中で、大量の雨に対してどう避難するのか、行動の具体化を図ることは急務だと考えています。阿蘇地域や白川中流域での線状降水帯による豪雨に対応するタイムラインの策定、住民への周知とともに、訓練の実施をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、タイムラインと連動した熊本市市街地地下空間の防水対策及び避難対策が急務であります。人吉市で被災された方の話を聞いたところ、今回の豪雨による川の氾濫で、30分前後の間に水位は2メートルに迫り、1階が水没したとのことでありました。想定外の洪水により、白川の氾濫で中心市街地、特に地下店舗や地下街などの利用者の命をどのように守るのか、早急な対策を図ることが求められます。  私は、この課題を2年前の一般質問でも取り上げましたが、当時の古庄政策局長からは、商店街等を含めた面的な取組については、熊本地震の影響でいまだ着手していない。熊本県での水防法等の改正に伴う新たな浸水区域の設定を行うことになっており、これと連動しながら、現行の地下避難確保・浸水防止計画の見直しに取り組む。浸水防止対策、情報提供の在り方、避難訓練等の実施など、商店街等を含めた中心市街地の地下空間の防水、浸水対策について、関係者、関係機関と連携して取り組むとの答弁がありました。  この答弁に対して、私は、行政から緊急のときに各商店街にファクス送信で情報が伝わることやアーケード内のアナウンス、そしてエリアメールなどの活用で本当に大丈夫なのか、例えば深夜に中心部付近で白川の氾濫があった場合に、地下空間の店舗にいる方々に的確に情報が伝わるのか、アーケード内のアナウンスは聞こえるのか、ファクスの確認はすぐできるようになっているのか、メールが届くように、例えば電波の弱い店舗にはWi−Fi施設の整備がなされているのか、止水板をどれほどの施設で備えているのかなどなど、こうした課題を洗い出して、中心市街地の浸水防止計画を策定して、想定外の災害への備えに万全を期してほしいと要望いたしました。  そこでお尋ねいたしますけれども、熊本市市街地地下空間の防水対策及び避難対策、その後の対応についてお尋ねいたします。  政策局長の答弁をお願いいたします。          〔田中俊実政策局長 登壇〕 ◎田中俊実 政策局長  白川の治水に関する2点の御質問にお答えします。  まず、1点目のタイムラインにつきましては、現在、熊本県が公表している大雨に関する熊本県版タイムラインに熊本市も組み込まれております。一方、令和2年7月豪雨のように線状降水帯による豪雨は、急激な河川の水位上昇を引き起こしますため、現在のタイムラインの有効性について、国や県と改めて検討することとしております。また、市民へのタイムラインの周知や訓練につきましては、これまでも、国や県と連携しながら、洪水を想定した避難訓練や出前講座等での情報提供を行っております。  今後は、統合型ハザードマップと組み合わせて活用することで、市民の積極的な避難行動につながるように取り組んでまいります。  次に、中心市街地の地下空間の浸水防災対策につきましては、現在、水防法で地下避難確保・浸水防止計画の策定を義務づけられた鶴屋百貨店など、不特定多数の人が集まる市内6施設につきまして、熊本県が昨年度見直した新たな浸水想定区域に対応した計画であることを確認しております。  一方、策定義務がない建物などについては、商店街組合等を通じて、ファクスなどで洪水予報を速やかにお知らせしておりまして、また昨年度からは、イベントの場を活用して、白川大水害時の浸水深の確認や避難行動の啓発等にも取り組んでいるところでございます。  今後、近年の豪雨の特性等を踏まえた多様な情報提供の在り方や避難訓練等について、中心市街地の関係者の皆様や関係機関と協議し連携を図りながら、浸水対策に取り組んでまいります。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  今、答弁を聞いて、2年前に指摘した具体的な懸念点や私の質問に対しての具体的な答弁はありませんでしたので、まだまだ取り組み途中ではないかなというふうに思いました。いつ来るか分からないような災害に対して、早急な対応をお願いしたいというふうに思います。  次に、コロナ感染拡大防止と教育環境の改善の観点から、少人数学級についてお尋ねいたします。  文科省が策定している9月3日改訂版学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルでは、新型コロナ禍における新しい生活様式として、人との間隔をできるだけ2メートル、最低でも1メートル空けることを推奨し、レベル1、レベル2の地域では、児童・生徒の間隔を1メートルを目安に、学級内で最大限の間隔を取る。現在の熊本市は今この段階でありますけれども、さらに感染が広がったレベル3の地域では、児童・生徒の間隔を可能な限り2メートル、最低でも1メートル確保するようにするとして、20人の座席配置の例示をしております。  7月2日の全国知事会・市長会・町村長会の緊急提言でも、今後予想される感染症の再拡大時にあっても必要な教育活動を継続して、子供たちの学びを保障するためには、少人数学級により児童・生徒間の十分な距離を保つことができるよう、教員の確保がぜひとも必要であるというふうに述べられております。  文科省も、来年度の予算概算要求にて、少人数学級について要望しておりますけれども、来年度にどの程度の取組が可能となるか、今の時点では明確になっておりません。熊本県においては、先日、リスクレベル4(特別警報)と、リスクレベルが引き上げられました。これ以上感染が広がる事態になれば、国が定める最低1メートルを確保するとの基準を満たせない教室が生まれます。  そこでお尋ねいたしますけれども、学校におけるコロナウイルス感染対策の観点から、まずは全学年で30人以下の少人数学級を早急に実現する必要があるかと思いますが、大西市長の認識をお尋ねいたします。  さらに、子供たちは今現在も適切な距離をなかなか保てない、そういう状況の下で、教室での授業を受けている状況です。国が予算を要望して、予算がついて、それから人員確保やスペース確保のための改修工事ということでは、数年間こうした状況を放置することになりかねません。子供が安心して学校で生活を送ることができるよう、市独自の少人数学級を国に先駆けて取組を進める一歩を踏み出してほしいと考えますが、いかがでしょうか。大西市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  学校における身体的距離の確保につきましては、国が示した行動基準に沿って、適切な対応を行っております。また、文部科学省の令和3年度予算の概算要求において、新型コロナウイルス感染症対策として、少人数学級関連予算が盛り込まれているところでございます。  少人数学級のさらなる拡充には、学級増に伴い、教員及び教室が新たに必要となります。また、人件費やプレハブ経費の財源確保に加え、新たに採用する教員の質の確保も課題となりますことから、国の動向を注視しますとともに、拡充に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  国の動向を注視するとともに、拡充に向け働きかけるとの答弁でありましたけれども、少人数学級については、熊本市はかつて全国に先駆けて導入して、多くの教育関係者や保護者、子供たちからも喜ばれました。例えば30人に一気に下げるということは難しいにしても、全学年に35人学級を実現するためには、必要な初期経費が約5億円、年間経費は約7億円、決して少ない額ではありませんけれども、少なくとも安心して学ぶことができる環境を整備することは、今のコロナ禍の中で優先すべき課題ではないかと考えております。  国の動向を待って数年かけるのではなくて、現時点から取組を始めることを求めて、次の質問に入ります。  次に、文部科学省が全国の小中学校と高校に配布した昨年10月改訂の放射線副読本についてお尋ねいたします。  同副読本については、滋賀県野洲市の教育委員会が副読本の内容を精査した結果、放射線の安全性を強調するような印象を受ける記述が多いこと、被災者の生の声が少ないこと、小中学生にとっては内容が高度など理由を挙げ、東京電力福島第一原発事故の被災者への配慮がなされておらず、放射線が安全との印象を受ける記述が多いと判断し、回収を決めました。  副読本は小学校・中高生向けの2種類があり、私も読んでみました。副読本には、内部被曝による放射線の量を測定する検査を受けた全員が健康に影響が及ぶ数値ではなかったとされていますとの記載があります。しかし、100万人に1人とされる小児の甲状腺がんの患者が原発事故後38万人中240人と、小児も甲状腺がんの疑いの報告がなされております。現実に出ている健康被害の因果関係を無視しているのではないかとの印象を受けました。  また、福島第一原発事故で放出された放射性物質の量はチェルノブイリ原発事故の約7分の1で、福島県が実施した検査結果によれば、全員が健康に影響を及ぼす数値ではなかったとの記載があります。しかし、原発事故の国際評価尺度では過去最悪のレベル7となっていることや、海洋中、大気中にどれほど放射性物質が放出されたかなど、正確な情報が乏しいとの感想を持ちました。  疑問は様々ありますけれども、この副読本について、市内の学校にどれほど配布され活用されているのか、実態をお示しください。  加えて、滋賀県野洲市がこの放射線の安全性を強調するような印象を受ける記述が多い、被災者の生の声が少ない、小中学生にとって内容が高度などと分析した内容についても、本市教育委員会において、まずはしっかりと検証するべきだと考えますが、いかがでしょうか。教育長にお尋ねいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  放射線に関する副読本については、小中学校、高校及び特別支援学校に新入学児童・生徒分を配布しております。  また、活用状況については、昨年12月に実施した抽出校による調査で、約5割の小中学校が社会科や理科、総合的な学習の時間において修学旅行の事前学習や人権学習の資料として、副読本を活用していると確認しております。また、副読本には、放射線の安全性、危険性、有用性の記述や被災者の声が様々なデータ等を基に記載されております。  教育委員会としては、児童・生徒の発達段階に応じた副読本の活用について検討してまいります。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  御答弁ありがとうございました。副読本の活用については検討していくという答弁でありました。  質問を準備するに当たって、いろいろやり取りをする中で、教育委員の方の中にも、この副読本を御覧になっていらっしゃらない方もいるというふうなことをおっしゃっておりましたが、まずは教育委員の方に、この副読本を見ていない方にはお渡しして率直な意見を伺うなど、検証していただきたいというふうに思います。  続いて、市庁舎建て替えについてお尋ねいたします。  この市庁舎建て替え問題については、庁舎整備に関する特別委員会で議論がなされている途中ですが、11月2日に開催された直近の特別委員会では、今年度行われた基礎杭と地下連続壁の効果等に関する耐震性能の検証の結果について、議論がされておりました。市庁舎建て替えは一旦凍結となっていますけれども、報告された検証結果に関連して伺いたいと思います。  1点目は、調査の妥当性であります。  特別委員会で明らかになったように、杭の耐震性能を評価するに当たって、2017年の安井設計の委託調査には本庁舎の設計図が使われておりました。一方で、2020年の山下設計の委託では竣工図が使われておりました。特別委員会後のテレビ報道で、特別委員会で参考人として意見を述べられた齋藤幸雄氏がコメントされていましたけれども、設計図での検証は建設されなかった建物の検証になるので、既に建設されている建物は竣工図での検証を行うべきと指摘されておりました。  1回目の調査、市は、架空のいわゆる設計の段階での建物の耐震性の評価を行っていることになりますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。評価の妥当性を欠いていると思われないでしょうか。  2点目は、今年度の調査結果の検証についてですが、今年度行った山下設計による評価、連成系時刻歴応答解析というのは、複雑な解析方法であまり行われておらず、高度な判断が必要となるので、解析結果の妥当性の検証が重要であり、妥当性が検証されなければ、結果そのものの信頼性が担保できないとの専門家意見を聞いております。検証はされているのでしょうか。  3点目は、市役所近隣建物の危険性についてです。  熊本地震で無傷だった本庁舎の地下杭が、極めてまれに発生する地震で全て損傷するという今年度の調査結果には、私自身も大変驚きました。特別委員会の議論も聞きましたけれども、熊本市役所の地下杭が大きな地震で全て損傷するような状態であれば、市役所近隣の高層ビルの安全性も心配されます。この点についてどのようにお考えでしょうか。  4点目は、今年度調査についての評価機関の意見についてであります。  2か所の評価機関に意見聴取を行うというふうには説明していなかったと、執行部の答弁がありましたけれども、今回、1回目、日本建築センターの意見があったのに、なぜ2か所目の意見を聴いたのでしょうか。  5点目は、財政面からの質問です。  本市2021年度の予算編成方針では、政策的経費を20%削減するという、近年例を見ない大幅な予算の縮減方針になっています。新型コロナの感染拡大が続く中で、熊本地震同様に、新型コロナ対策については特段の予算措置が必要であります。そうしなければコロナ危機は乗り越えていくことができないと考えます。そんなときに、莫大な費用のかかる市庁舎建設を進めることは到底考えることはできません。新型コロナで凍結している市庁舎整備は、新型コロナが収束するまで凍結を続けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。  以上、大西市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  まず、平成29年度の耐震性能評価についてでありますが、その調査においては、基本的な構造条件を精査しながら、長寿命化と耐震性能の検討を行うために、超高層建築物の大臣認定を受けた段階の設計図を基に実施したと、受託業者の安井建築設計事務所から報告を受けております。一方、今回の調査では、本庁舎の地下連続壁の効果や基礎杭の密集効果を検証するために、それらの実態を詳細に反映させる必要があることから、竣工図を基に解析を行ったと、今回の受託業者である山下設計から報告を受けており、それぞれの調査の目的に沿って、受託業者が適切な図面を選択したものと認識しております。  次に、今回の耐震性能評価の検証は、特別委員会での齋藤参考人からの意見を受けて実施したものであり、本庁舎は耐震性能が不足するという解析結果について、評価機関の一つである日本ERIから解析の手法は一定の妥当性を有するという見解が出されており、前回調査と同様の結果となったことは大変重く受け止めております。  次に、市役所近隣のビルの耐震化につきましては、平成26年度から耐震対策緊急促進事業によって、民間事業者の対応を支援し、安全性を高めているところでございます。  一方、本庁舎のような60メートルを超える超高層ビルは、そもそもそれ以下の高層ビルよりも同じ地震の揺れに対して大きな影響を受けるため、厳しい耐震基準が設定されております。さらに、防災拠点施設である本庁舎は、災害対応の要として機能を維持する必要があることから、民間ビルとは異なり、高い耐震性能を確保しなければならないと考えております。  次に、山下設計が2つの評価機関へ意見聴取した理由でございますが、日本建築センターは公的部門において、また日本ERIは民間部門において、それぞれ国内最大手の指定性能評価機関であり、これらから得た見解は他の機関を含めた代表的なものとして取り扱えるという判断から、今回の見解聴取の相手方として選定したと報告を受けております。  最後に、本庁舎整備については、本年5月の市議会新型コロナウイルス感染症対策会議において表明をいたしましたとおり、何よりも感染症対策に注力するため、議会での議論の中断をお願いしているところでございます。  このような状況でございますが、近年、熊本地震や令和2年7月豪雨のような自然災害が多発する中、重要な防災拠点である本庁舎が2度の耐震性能調査において耐震性能を有していないという結果となったことを重く受け止め、この問題について早急に結論を出さなければならないと考えております。そのため、防災、まちづくり、建物の経済性、財政など各分野における専門家の皆様から客観的な御意見を伺うこととし、その準備に入ったところでございます。加えて、この庁舎整備は地域に与える影響も大きいことから、市民の皆様や各種団体からも幅広く御意見を伺ってまいりたいと考えております。  今後、これまでの議会での議論はもとより、このような点も含め様々な御意見を伺った上で、本庁舎整備の在り方について市長として総合的に判断してまいりたいと考えておりまして、適切な時期に議会での議論の再開をお願いしたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  議会が参考人として招致した齋藤幸雄氏から、議会と執行部に対し、繰り返し専門家の立場からの御意見を頂いております。11月2日の特別委員会には基礎杭及び地下連続壁の効果等に関する耐震性能検証業務報告書に関する見解が出されて、今月1日にも庁舎の耐震性能に対する意見が特別委員会に提出されております。  私もそれを見せていただきましたけれども、これらの齋藤先生の見解では、例えば設計図を用いた検証ですけれども、2017年調査報告書における杭の検討は幻の検討であると指摘され、加えて、2020年の杭の耐震性の評価の手法では、精度よく検証することができないため、検討結果は信頼できないなどと厳しい意見が述べられております。  日本でも超高層の構造設計の第一人者である齋藤氏の意見を踏まえるならば、先ほどの答弁のように、2回の調査を違った図面で行った、こうした検証をしても問題がないんだということや検討結果の妥当性が明確でない調査結果を重く受け止めるという答弁は、責任ある答弁とは言えないのではないかと考えます。庁舎の地下杭が全て致命的に損傷するならば、市内の超高層建築物がどうなるのか、誰でも心配しています。防災拠点だからという問題ではなくて、市民の命に関わる問題であると考えます。  今回の調査結果については、特別委員会で上野議員が指摘したように、2つの評価機関に意見を聴く必要はなかったわけであります。超高層では筆頭の評価機関である日本建築センターが、審査をお受けすることはできないと回答したことをもって、評価機関の意見とすべきだったのではないでしょうか。しかし、ERIにさらに意見を求めたということは、何が何でも建て替えを進めていこうという熊本市の姿勢を示すものではないかというふうに考えます。  市長は、適切な時期に議会での議論の再開をお願いしたいと答弁されましたけれども、コロナ禍の中で検査体制の強化、様々な支援が必要なときに、建て替えを前に進めていくということは許されないことと指摘しておきたいと思います。  次に、中心市街地の景観の問題について伺います。  昨年8月、中心市街地の建物の高さ制限が緩和されました。これまで海抜55メートルとしていた高さの基準を、建物周辺にオープンスペースを設けるなど一定の条件を満たせば、70メートル程度まで可能とするものであります。昨年10月には、辛島町と新市街に建設を予定する民間ビルについて景観審議会が開かれ、2つの建設計画の特例が承認されました。  一方、11月に開かれた特別史跡熊本城跡保存活用委員会では、熊本市が中心市街地の建物の高さ制限を緩和したことに対し、熊本城と城下町の景観を守ってほしいという声が相次いでおりました。11月の景観審議会では、10月に承認されたビルのうち、新市街に予定されているホテルの高さをさらに3.7メートル高くする修正案が了承されております。  このような状況を見れば、熊本市の景観規制がなし崩し的に拡大されていくのではと危惧するのは、私だけではないと思います。しかも、それを証明するかのように、新年度予算案には、中心市街地の老朽化したビルの建て替えを支援する予算10棟分が計上され、今後、さらに高層ビルが建設されていくであろうということは考えられます。  都市の景観は、経済活動に資するということだけでなく、そこに暮らす住民にとってかけがえのない財産です。昨年、熊本市が行った景観に関わる高さの規制の見直しについては、市民の意見が十分に聞かれていたのか。熊本城がシンボルの熊本市のまちづくりと高さ規制の緩和に整合性があるのかが問われているのではないでしょうか。  そこでお尋ねいたします。  第1に、中心市街地の高さ規制の見直しについて、あるいは中心市街地の景観、眺望を守っていくことについて、専門家はもちろん、市民の声をどのように調査してこられたのでしょうか。どのような声があったのでしょうか。  第2に、いよいよ来年4月には熊本城天守閣の公開が始まります。城下町熊本のシンボルとして、今後一層熊本城の景観、展望を重視したまちづくりが必要となります。観光都市京都、世界遺産姫路城のある姫路市など、景観を守るために厳しい規制を行っています。本市でも、眺望を遮る高い建物が熊本城周辺の中心市街地にこれ以上乱立しないように、規制を厳しくするべきではないでしょうか。  1点目は都市建設局長に、2点目は大西市長にお尋ねいたします。          〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕 ◎田中隆臣 都市建設局長  私からは、高さ規制の見直しに関する意見聴取についてお答えいたします。  中心市街地では、旧耐震建築物である築40年以上の建築物が約3割を占めているなど、熊本地震からの再生と防災力の向上が喫緊の課題でございます。今後、建築物の建て替え等に併せ、町なかの防災機能や歩行環境の向上を図り、災害に強く魅力と活力ある中心市街地の創造を目指して、まちなか再生プロジェクトを立ち上げたところでございます。本プロジェクトでは、公共貢献に応じた容積率の割増しや高さ基準に関する特例承認対象建築物の拡充、さらには財政支援の3つの支援策を講じております。  今回の高さに係る取組は、景観審議会に諮ることができる対象建築物を明確にしたものでございまして、景観審議会における審査基準についてはこれまでと変更はございません。この取組を進めるに当たりましては、景観審議会の専門家や一般公募で選ばれた市民の方々から御意見をお聴きしているところでございます。  専門家等からは、民間の公共性のある取組を評価する御意見や取組を通じ統一した町並み形成に対する期待の声などがあり、取組自体に反対される意見はなかったと認識しております。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  熊本城は、本市のシンボルかつ市民共有の財産であり、熊本城を中心とした都市景観を将来にわたって守り育てながらまちづくりを進めていくことは、我々の責務でございます。  現在進めておりますまちなか再生プロジェクトは、単に建築物の高さを緩和するものではなく、熊本城を中心とした都市景観を守ることを前提に、民間の老朽建築物の建て替え等を促進し、まちの防災力の向上とにぎわい創出を図るものでございます。推進に当たっては、公共貢献を行う建築物に対し、景観審議会で高さや色彩、デザイン、周囲の町並みとの調和などを十分審議した上で進めているところでございます。  今後とも、まちなか再生プロジェクトを通じて、中心市街地の防災機能の向上を図りますとともに、熊本城を中心とした本市の上質な都市景観を未来に引き継いでまいりたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  御答弁ありがとうございました。  熊本市が目指す中心市街地のまちづくり、その大本にあるのは、地元経済界が中心となってまとめた熊本市中心市街地グランドデザイン2050であります。確かに景観をどう保全するかというのは大事ですけれども、老朽化した建物をいかに収益の上がる容積率の多い建物とできるか、こうした観点・視点から規制が次々と外されることが本当に熊本市の景観を守ることにつながるのか、大いに疑問であります。  ぜひ市民からの意見聴取も、景観審議会の2名の公募委員からのみということになっていますので、広く意見を聞いてほしいと思います。  最後に、核兵器禁止条約に対する市長の認識についてお尋ねいたします。  2017年7月に国連会議で採択された核兵器禁止条約が今年10月25日に批准国50に達して、条例の規定により90日後に発効することが確定いたしました。歴史上、初めて核兵器を違法化する国際条約は、2021年1月に始動することになります。しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府に対しては、核兵器禁止条約の批准に背を向けている、こうした状況に国内外からの失望と批判の声が上がっていることも事実です。  市長の核兵器禁止条約の発効についての認識はいかがでしょうか。また、政府に対して、条例の批准を強く求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。見解をお尋ねいたします。
             〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  戦後75年が過ぎ、戦争を体験した方々が減少していく中、戦争の悲惨さや平和の尊さについて、次の世代へ確実に引き継いでいくことは、私たちに課された重大な責務であると認識しております。特に、唯一の被爆国として、平和主義の理念を掲げる憲法を持つ我が国は、核兵器廃絶を世界の人々に訴え続けていかなければならない責務があると考えております。  私自身、平和都市宣言を行った自治体の長として、核兵器廃絶に大いに賛同しますことから、平成27年2月に核兵器全面禁止のアピール、平成29年3月にヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名に署名しております。このような中、核兵器の使用や開発、実験、製造、保有等を禁止する核兵器禁止条約が来年1月に発効することとなったことは、大変意義深いものであり、核兵器のない世界の実現に大きく寄与するものと考えております。  核兵器禁止条約への批准については、最終的には国において判断されるものと考えますが、本市も加盟しております平和首長会議においては、先月、政府に対し、核兵器廃絶に向けた取組の推進についての要請文を提出しております。  私としては、政府に対し、核兵器保有国と非保有国の橋渡し役を果たすなど、核兵器廃絶に向けた強いリーダーシップを求めたいと考えております。          〔35番 那須円議員 登壇〕 ◆那須円 議員  平和への思いと併せて核兵器廃絶についての思いを答えていただき、ありがとうございました。  政府への働きかけについても、さらに強めていただければというふうに思います。核兵器廃絶に向けたリーダーシップを政府に求めるということでありますけれども、戦争被爆国の日本が条約を批准することが、この動きを大きく進める原動力となると思います。  以上で、私の一般質問を終わりたいと思います。  前回は時間切れで、最後に登壇できずに残念な思いをしましたけれども、今回は無事登壇できました。傍聴いただいた皆様、御清聴いただいた議員各位、また質問に関して尽力いただいた職員の方々に対し感謝を申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○上田芳裕 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                             午後 0時01分 休憩                             ───────────                             午後 2時00分 再開 ○紫垣正仁 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ──────────────────────────── ○紫垣正仁 議長  一般質問を続行いたします。緒方夕佳議員。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇 拍手〕 ◆緒方夕佳 議員  こんにちは、緒方夕佳です。  今日は、日本社会において絶対的少数者になってしまった子育て世代、子供たち、そして女性の声を代弁することにより、より一人一人が幸せで豊かに暮らせる熊本市を目指して、質問させていただきます。  まず、市民の方からの御意見を入力、管理する市民の声データベースの運用状況についてお尋ねします。  昨年の質疑において、市民ニーズを的確に把握して市政へ反映させるという目的を達するために、市民の声データベースシステムの利用を促進すべきではないかと問うたところ、データベースの改善と入力の徹底を図るというお答えでした。  その後の取組内容と入力件数の推移をお示しください。政策局長にお尋ねいたします。          〔田中俊実政策局長 登壇〕 ◎田中俊実 政策局長  市民の声データベースシステムは、市民の皆様から寄せられた御意見・御要望を全庁的に共有し、市民ニーズを的確に把握することで、本市における施策の形成などに生かす大変重要なものでございます。  これまでの取組としましては、市民の声データベースシステムの機能及び利便性の向上を図るための改修を行ったところでございます。また、各課に寄せられた市民からの御意見を積極的に共有し、業務改善や施策への反映を行うことを目的に、職員の意識向上やその活用方法について、全庁的な研修を行ったところでございます。しかしながら、データベースへの要望相談記録の入力件数は、平成30年度の43件から令和元年度は60件、令和2年度上半期においては26件にとどまっておりまして、市民の意見・要望の一元化がまだ進んでいない状況にございます。  そこで、これまでの取組に加えまして、より一層の促進を図ることで、市民の声データベースシステムに市民の皆様の御意見を集約し、本市の施策に反映させてまいります。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  既に課題を把握され、鋭意取り組んでおられるということですので、今後を見守りたいと思います。総合計画策定の折など、全庁的に把握された市民ニーズに基づいて、本当に市民が必要としている政策立案ができるように、今後の取組に大いに期待しております。  次に、加勢川流域の水質と湧水量についてお尋ねします。  熊本市は、都市部にもかかわらず、山奥でしか手に入らないような冷たい湧水が湧き出ている恵まれた地域です。地球温暖化は深刻化し、今年の夏も酷暑でしたが、そのような中でも日々子供たちは湧水に戯れ、涼を取り、健やかに過ごすことができました。これも上質な生活都市の一面ではないでしょうか。しかし、近年、井戸水の汚染や湧水量が減るなど心配なことも起きています。  そこでお尋ねいたします。  加勢川流域、特に水前寺公園かいわいから下江津湖にかけての湧水量と、その水質の経年変化を教えてください。環境局長にお尋ねいたします。          〔三島健一環境局長 登壇〕 ◎三島健一 環境局長  江津湖の湧水量及び水質についてお答えいたします。  まず、湧水量につきましては、昭和37年に日量約86万トンであったものが平成17年には約35万トンまで減少したものの、近年は増加傾向にありまして、令和元年は日量約50万トンでございました。  湧水量が近年増加傾向にありますのは、平成15年度から大津町、菊陽町で行っております水田湛水事業や白川、緑川の上流域における水源涵養林事業など、地域連携で取り組んでいる事業の効果が表れているものでございまして、今後も引き続き、これらの地下水涵養対策に取り組み、地下水量の保全に取り組んでまいります。  次に、水質につきましては、熊本県において河川ごとに測定地点や測定回数が定められておりまして、江津湖を含む加勢川については、砂取橋、江津斉藤橋、秋津橋の3地点において年4回調査を実施しております。  その結果、水の汚濁状況を示す指標である生物化学的酸素要求量、いわゆるBODでございますが、基準値2ミリグラムパーリットル以下に対しまして、砂取橋において、昭和58年度に4.0ミリグラムパーリットルだったものが令和元年度には0.5ミリグラムパーリットル未満、同じく江津斉藤橋では、3.1ミリグラムパーリットルが0.5ミリグラムパーリットル未満、秋津橋では、4.7ミリグラムパーリットルが1.6ミリグラムパーリットルと大きく改善しております。  水質が改善した理由は、本市の下水道普及率が昭和58年度の41.2%から令和元年度に89.9%と大幅に上昇し、生活排水の流入が少なくなったためでございます。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  86万トンあった湧水量が一度はその4割まで落ち込み、近年は田んぼに水を張ったり木を植える事業などに取り組んだ結果、上昇傾向にあるということでした。  今後も、かけがえのない水資源を守るために、取組の継続をお願いいたします。  水質については、下水道の普及に伴い水質が改善したということでしたが、下水道の普及率は89.9%ということでした。  水前寺江津湖公園周辺6校区における生活排水未処理のところ、いわゆる一般的には垂れ流しとも言われる状態の家屋はまだあるのでしょうか。もしある場合、その件数と対応状況を御説明ください。上下水道事業管理者にお願いいたします。          〔萱野晃上下水道事業管理者 登壇〕 ◎萱野晃 上下水道事業管理者  お尋ねの江津湖周辺6校区において、生活排水のうち、し尿を除いた台所、洗濯、風呂などから出される生活雑排水未処理の数は、一部下水道整備が完了していない地域がありますことから、428件となっております。  本市では、生活環境の向上及び公共用水域の水質保全を図るため、下水道の整備を進め、完了した地域では下水道への接続を、また、下水道計画区域外の地域では合併処理浄化槽の設置をお願いしているところでありますが、一部においては適正処理に至っていない状況もございます。  その対策といたしまして、これまでも戸別訪問等により下水道接続指導を実施しており、引き続き、戸別訪問、広報活動に努め、下水道への早期の接続を促すことで、水質保全に取り組んでまいりたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  子供たちが大勢遊んでいる江津湖周辺では、いまだ428件もの家屋が未処理水をそのまま流しているということです。川や湖で直接触れたり海産物を食すことにより、私たちの健康を害すことになります。生活雑排水の未処理の家屋がなくなるように、今後とも鋭意取り組まれるようにお願いいたします。  次に、新学習指導要領について、教育長にお尋ねしていきます。  自分で判断し、周りの人と協力しながら新しいものを創り出す力を伸ばすために、主体的・対話的で深い学びを実現する新学習指導要領による実践が、小学校では今年の4月から始まり、中学校では来年の4月から始まります。  新学習指導要領では、教師が教えるスタイルから、生徒に考えさせ学び取らせる授業へと変化させなくてはなりません。このような学習、授業の実践をするに当たり、現在直面している課題は何でしょうか。そして、その課題にどのように取り組んでいかれますでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  新学習指導要領移行に当たっての課題は、いまだ教員が一方的に教える授業が散見され、一部の教員において授業観が変わらず、授業改善のノウハウも共有できていないことと考えております。  そのため、新学習指導要領の実施に先だって、タブレットや電子黒板等を導入し、子供がICTを活用することを通して、子供が主役の授業への転換を目指しております。また、授業改善のポイントを示したリーフレットを全ての教員、児童・生徒及び保護者に配布し、授業イメージを共有できるようにしております。さらに、指導主事が校内研修に参加し、新しく授業づくりの在り方を指導助言してまいります。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  本来、子供は好奇心旺盛で、学ぶことに意欲的です。そんな子供たちが、面白い、取り組みたいと思えるような内容に全ての授業が早くなることを期待しております。  先ほど、校内研修に参加し、指導助言していくとおっしゃいましたが、次に研修についてお尋ねします。  教員が義務として全員が受ける研修は、初任者研修に始まり、本市独自の取組である15年目経験者研修までです。16年目以上の教師には免許更新講習や校内研修はありますが、教師の全てがほかの教師から授業を見てもらい、意見をもらったりできているわけではありません。ベテランになるほど、授業スタイルが固定化して変化させにくいと思われるため、16年目以降の全ての教師も研修や支援が受けられる仕組みづくりが必要ではないでしょうか。  部活指導などにおいて若手教師の暴力なども散見されるものの、体罰や不適切な指導を行ってしまうのは年齢の高い教師である傾向が見受けられます。これらを減らす意味でも有効なのではないでしょうか。教育長にお尋ねします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  本市においては、教育センターで様々なニーズに応じた研修の機会を設けており、特に今年度からは、オンラインやオンデマンドを活用した研修をさらに充実させるなど、参加しやすい工夫を行ってまいります。  また、教育委員会が学校を訪問する回数をこれまでの3年から4年に1回から2年に1回に増やすとともに、各指導主事が毎月学校訪問を行い指導することで、全ての教員が授業に対する指導を直接受けられる機会を増やしてまいります。これを授業力向上研修と位置づけ、ベテランの教員も学級経営や教科指導、生徒指導の在り方を見直し、教師力の向上を目指すきっかけとしたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  教育委員会から月ごとに訪問を行う、授業力向上研修を始めるということでした。非常に良い取組だと思います。  次に、児童・生徒からのフィードバックの必要性についてお尋ねします。  主体的・対話的で深い学びへ転換するに当たり、児童・生徒が自身の理解度などを振り返るとともに、教師に対してもフィードバックした方が授業はより良くなります。もっとこうした方が良いのではないかというような意見を、教科ごとに毎学期の終了時などに必ず取るという仕組みがあってもいいのではないでしょうか。また、タブレットを使って、先生の通信簿として、各生徒が無記名で先生を評価し、教員評価の参考にするということもあっていいと思いますが、いかがでしょうか。教育長、お願いします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  授業に対する児童・生徒からのフィードバックについては、あなたは進んで授業を受けていますかや、授業は分かりやすく楽しいですかなど、学習に関する質問を含めた学校評価を各学校で年1回実施しております。また、これは幾つかの学校ですが、単元の終わりや学期末に児童・生徒が学びの振り返りを行う際、授業の分かりやすさ等のアンケートを取っている学校もあります。  今後、児童・生徒に1人1台のタブレット端末を配備することにより、各学校で、よりきめ細かく、適時に児童・生徒の感想等を教員にフィードバックすることができると考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  1年に一度のアンケートの中で、授業は分かりやすく楽しいですかという問いがあるということですが、その問いは、私が教育長に一般質問は分かりやすく楽しいですかと問うようなものです。恐らくその答えは、それは質問する人やその質問の内容によりますよというお答えになると思います。  個別に取組を行っている学校もあるそうですので、それぞれの先生の評価や授業づくりの参考になるように、生徒がフィードバックできる仕組みをタブレット導入を機に、考えていただければと存じます。何らかの授業があるときには、その利用者へアンケートなどをしてフィードバックを得ます。教育の享受者は児童・生徒ですから、ぜひ児童・生徒がフィードバックできるようにお願いいたします。  家庭学習については割愛して、教育にかかる経済的負担の軽減についてお尋ねいたします。  義務教育において、学校が子供の教育に必要であるとして、保護者にそろえることを求める物品が多数あります。例えば、宿題などに用いる補助教材、標準服、鍵盤ハーモニカ、リコーダー、書道セット、絵の具セット、粘土、算数セット、彫刻刀、定規、コンパス、その他、上靴入れ、体操服入れ、ランドセル、かばん、様々あります。  文部科学省からの通知にも、熊本市立小中学校の管理運営に関する規則にも、留意事項の最も大切なものとして、保護者等の経済的負担が過重なものとならないよう留意することとあります。  小中学校が保護者に準備を求める学用品、補助教材の全体像と保護者負担が幾らくらいになっているのかを把握していらっしゃいますでしょうか。把握している場合、一体幾らぐらいになっているのでしょうか。教育長にお尋ねします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  文部科学省が行いました平成30年度子供の学習費調査によりますと、公立小学校の学校教育費の全国平均は6万3,102円、公立中学校は13万8,961円となっております。  本市の状況については、現在、把握しておりません。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  把握していないというのは残念なことです。鍵盤ハーモニカを各自用意してくださいと言えば、多くの家庭に5,000円以上の負担になります。うちの学校は標準服ですと言えば、洗い替えも含め、最低でも3万円ほどの負担になります。複数の子供がいれば、さらに増えます。現在の状況では、家計に大きな負担です。もっと学校が家庭の経済状況に与える影響について関心を払い、今後、把握していっていただきたいものです。  日本を広く見てみますと、鍵盤ハーモニカや算数セットを使用しない学校も多いです。本当に使う必要があるのか、絶対に個人購入しないといけないものなのか、備品として学校にそろえることができないかなどの観点から吟味し直し、保護者の負担の軽減をお願いしておきます。  次に、補助教材についてお尋ねします。  各学校では教科書以外の図書などの教材が使用でき、これは補助教材と呼ばれています。保護者の過度な負担とならないよう基準額が定められており、今年度の中学校1年生の補助教材の基準額は8,000円でした。購入費が基準額を上回っている学校で、教育委員会が承認した学校は何校あるのでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  各小中学校の補助教材購入費の平均については、中学校1年生以外は全て基準額を下回っております。中学校1年生で基準を上回っている学校は42校中26校あり、全て教育委員会で承認をしております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  中学校42校中、半数以上の26校が基準値を上回っているということです。過去3年間の変化を見てみましたが、平成30年度に基準値を超えていた学校のうち、3校のみが基準値以下になっており、そのうち9校は上がっており、上がり幅は4,000円以上の学校もありました。小学校も別途調べましたが、基準値の2倍以上の1万円以上のところもありました。こちらも同様に、絶対に必要なものなのか吟味し、負担軽減をお願いいたします。  次に、制服、校則、生徒指導等の見直しについてお尋ねしていきます。  先般、大規模な校則、生徒指導の在り方の見直しに係るアンケートを行われましたが、結果をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。教育長にお尋ねいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  今年8月から10月にかけて実施したアンケート調査では、市立学校の教職員や児童・生徒とその保護者約5万人に回答いただきまして、大変感謝しております。  アンケートの結果から、今の校則や生徒指導の問題点のほか、見直しの方向性が見えてきたと考えております。学校全体の校則を児童・生徒で作ったり、考えたりする場が必要かとの問いに対し、児童・生徒の83.5%、教職員の89.8%、保護者の91.3%が必要であると回答しております。このことから、児童・生徒が自分たちでルールを決め、それを守り、学校を作っていくといった仕組みづくりの必要性を改めて認識したところです。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  自分たちで考え、作る、とても大切だと思います。私自身は、記述式の部分も含めて、詳しく読ませていただきましたが、校則や生徒指導に関して強く疑問に思っている生徒や保護者がこんなにも大勢いらっしゃったのだということが分かりました。今、回答された方々は、変化が起こることに大きな期待を寄せていると思われます。
     そこでお尋ねいたしますが、今後、見直しの取組をどのように進めていかれるのでしょうか。教育長にお尋ねします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  先ほど申し上げたアンケートを実施した後の今年の10月には、私と5人の教育委員が中高生や保護者及び教職員と校則や生徒指導について直接対話する広聴事業を実施いたしました。その対話の中で、見直しに当たっては、児童・生徒に加え、保護者を交えた協議の必要性や人権侵害に当たる校則について積極的に見直しをしていくということが挙げられました。  今後は、このアンケートや広聴事業での意見を踏まえて検討を進めまして、今年度中には見直しの方針を示したいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  今年度中には見直しの方針を示すということで、その速さは高く評価いたしたいと思いますが、何を判断基準、道しるべとして見直していくのかによって、結果も大きく変わると思います。見直しの議論に当たり、見直しに関わる大人や子供たちが子供の人権とは何かをいま一度学習する必要もあるかと思います。何を基準にして見直しを進めていこうとお考えになっていますでしょうか。教育長にお尋ねいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  見直しの基準ということですが、文部科学省は、生徒指導の3機能を、1つは児童・生徒に自己存在感を与えること、2つ目が共感的な人間関係を育成すること、3つ目が、自己決定の場を与え、自己の可能性の開発を援助すること、この3つとしており、校則や生徒指導がそれらに沿ったものになっているかを基準として、見直しを行いたいと考えております。  現在検討している見直しの方針については、児童・生徒と保護者が関与する仕組みづくりのほか、人権の制限に関わる規定についての考え方の提示や生徒指導についてのチェックリストの作成等を検討しております。  今後、各学校において校則や生徒指導の見直しを進めていく過程で、教職員、児童・生徒や保護者が人権について主体的に学び、理解を深めていくことができると考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  自己決定は自分で決めて実行する、自己存在感は自分は価値ある存在であることを実感する、共感的な人間関係とは相互に人間として無条件に尊重し合う態度だそうです。これらを基準に見直しがなされれば間違いなさそうです。これらが何を意味するのか理解を深めながら、見直しが進むことを期待しています。  次に、アンケートの回答にも複数あったのですが、校則等の見直しに当たっては、これまでのように教師が作り生徒に守らせるというような一方的なものではなく、教師、生徒、保護者など、学校に関わる全ての人が守るものであるという視点があってもいいのではないでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  先ほどから申し上げていることとも少し重なりますが、自分たちの決まりは自分たちで作って自分たちで守る、これが民主主義の基本であり、自ら判断し行動できる児童・生徒の育成につながると考えております。アンケートにおいては、校則で禁止されている事項を教員が守っていないという回答が複数あったところです。  熊本市立桜山中学校のドリーム委員会では、生徒10名、保護者5名、教員5名で構成される会議の中で、全生徒や保護者及び教職員からのアンケートを基に、学校行事や校則の見直しについて協議しているということです。このような先進事例を参考にしながら、全市的な仕組みづくりを検討しているところでありますが、今後、各学校での見直しに当たっては、議員御提案のように、子供たちだけでなく、大人も含めて守る校則という視点を取り入れるのも面白い取組ではないかと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  ただいま教育長が面白いのではないかとおっしゃった、大人も子供も皆が守る3つの心得を作った学校があります。お聞きになったことのある方も大勢いらっしゃると思いますが、世田谷区立桜丘中学校です。この学校では、靴下や制服といったものに関する決まりの見直しから始めて、全ての校則をなくし、生徒手帳には子どもの権利条約とこの3つの心得を記しました。  熊本市教育委員会もその事例を研究していらっしゃると思いますが、桜丘中学校では、そもそもなぜ校則の見直しが必要であると校長が考えたのでしょうか。そして、その結果、子供、教師はどのように変化し、学校ではどのような変化が起きたのでしょうか。保護者や地域住民からは生徒はどのように見えているのでしょうか。教育委員、教育委員会職員、教職員の皆さんには様々な先進例を視察していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。教育長にお尋ねいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  世田谷区立桜丘中学校の事例ということで、これはあくまでも私から紹介させていただくという形になりますけれども、2010年に赴任した当時の校長が、生徒には校則を判断基準とするのではなく、自分でものを考える力をつけてほしいという思いから、議論に議論を重ねた結果、2016年に校則が廃止になったとのことであります。また、生徒は、10年前に比べて落ち着いており、学校全体の雰囲気も良くなった上、生徒と教職員の信頼関係も徐々に深まった、また、いじめについても減ったということです。  さらに、子供たちが学校が楽しいと帰宅するので、保護者からの苦情はほとんどなく、地域住民からも子供たちは活発で見た目が元気で生き生きしているという評判のようだということです。  なお、同校につきましては、昨年10月に、教育市民委員の皆様が世田谷区教育委員会を視察し調査を行っていただいたところですが、他の先進校も含めて、情報を収集してまいりたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  いじめが減り、子供たちが生き生きとして学校が楽しい、そして私も調べたところ、学力も高いということです。この実践は、体罰やいじめで子供の自殺が起きている、そのほか多くの日本の学校の在り方に大きな示唆を与えてくれているのではないでしょうか。  再びアンケート結果に戻りますが、アンケートの中で、放課後になるまで電源は切っておいてもいいので、キッズケータイやスマートフォンを学校に持っていかせたいという保護者の希望が非常に多かったです。この要望にどのように対応されていきますでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  今回のアンケートにおける保護者からの御意見では、登下校時の安全確保の面から、スマートフォン等の学校への持込みを認めてほしいという声が寄せられております。  文部科学省の通知によりますと、中学校においては原則持込み禁止としながら、一定の条件を満たし、学校と生徒、保護者との間で合意がなされ、必要な環境整備や措置が講じられている場合には、学校または教育委員会は持込みを認めるべきであるというふうにしております。  学校における携帯電話の取扱い等についても、今後進められていく校則の見直しの中で、教職員と児童・生徒、保護者との間で協議し、それぞれの学校において見直しを進めていただきたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  しっかりと話し合い、環境整備がなされれば、学校や教育委員会はスマートフォンの持込みを認めるべきであるという方針が既に出ているということでした。電磁波が様々な健康被害を起こすという調査結果もありますので、この点も配慮しながら、話合いを進めていただければと思います。  次に、今回の見直しの動きを受け、市内の高校生から市にメールが届きました。以下のような内容です。  「私は、中学生のとき、LGBTについて知りました。当時、仲のよかった友達から打ち明けられたことがきっかけです。本人いわく、私の心は男性なのに、毎日スカートを履いて学校に行かなければならない。鏡に映った自分の姿が死ぬほど気持ち悪い。学校に行くことが本当につらいとのことでした。私自身も、スカートを履かなければならない、女子であることを強調するような格好をさせられるのが嫌で、どうにかならないものかと悩んでいました。やはり周りを見ても、女子でスラックスを履いている人はいませんでした。実際、声を上げるのは本当に怖いです、周りから差別されたり、ばかにされたりするのではないかと。それで結局、誰にも相談できずに今に至ります。私は、皆さんに校則の在り方の中でも、制服の選択について話し合っていただきたいです。」とあります。  このように、子供たちが大人が作ったルールによって苦しんでいることがはっきりした今、この事実をしっかりと受け止め、新年度からは性別問わず着られるようなものにできるように、今年度中にも見直すべきではないでしょうか。そのほかにも、不登校の原因となるような決まりの見直しから早急な取組をお願いしたいと思います。教育長にお尋ねします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  本来、校則は、児童・生徒が健全な学校生活を過ごし、より良く成長していくためのルールであるため、校則が原因で苦しんだり不登校になることがあってはならないと考えます。  議員がおっしゃった制服の選択については、現在、各学校において個別の対応を行っているところです。市全体の方針については、人権の制限に関わる規定の校則の見直しの中で検討し、今年度中に方針を示したいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  鏡に映った自分の姿が死ぬほど気持ち悪いというのは、教育の目的の一つでもある自己肯定感を抱けていない状態です。反対に、全く自分を認めてもらえていない、自身を否定されているように感じている状態です。  今年度中に方針を示すということですが、少数派の性のアイデンティティーを持つ子供たちの中で、カミングアウトできる子供はごく僅かです。今後示す方針がアウティングにならないように、そして性別問わず着られるものがあるように、重ねてお願いしておきます。  また、アンケートから明らかになりましたが、いまだに小学校はランドセルでないといけないと思っている保護者が複数いらっしゃいました。高価なランドセル購入前である就学前の周知の徹底を重ねてお願いしておきます。  次に、PTAについて、教育長にお尋ねしていきます。  本来、子供たちのために無理なく楽しんで行われるべきボランティア活動であるPTA活動が、1家庭1役という言葉に象徴されるように、家庭の事情にかかわらず、強制的にしなければならない仕事のようになってしまっています。全国的にPTA活動に関する問題・課題は似ており、改善に取り組み始めている教育委員会やPTAもあるところです。  本市ではどのように取り組んでいるのか、教育長にお尋ねしていきます。  まず、大原則を確認させてください。PTAの活動対象は誰なのでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  PTAの活動対象ということですが、これはPTAへの加入、非加入にかかわらず、全ての児童・生徒、保護者、教職員等に関すること、また、学校を含めた教育環境に関することだと認識しております。  また、小中学校の校長に対しては、PTA加入の有無にかかわらず、児童・生徒へは平等に対応するように指導しております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  次に、PTAは、本来、任意加入のボランティア団体なのですが、これまで、学校徴収金と一緒に、特に断りもなくPTA会費が引き落とされるなど、強制的に加入させられるということが起きてきました。  去年2月には、熊本市教育委員会から入会が任意であることを保護者に知らせるように依頼する文書が発出されました。今年度、保護者に対し、PTAへの入会は任意であることを知らせたところ、知らせなかったところは、何校あったのでしょうか。小中学校別にお願いします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  PTAの任意加入に関し、本年8月に調査を実施したところ、保護者に対してPTAの入会は任意であることを知らせた学校は、小学校66校、中学校28校、合計94校でありました。また、知らせていない学校は、小学校26校、中学校14校、計40校となっております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  小中学校合わせ、周知したところが95校で、していないところは40校もあったそうです。  次に、これも全国で起きてきた問題ですが、保護者から同意を得ずに、学校がPTAに住所や名前などの個人情報を提供してきた問題です。  熊本市では、学校からPTAに対して個人情報を提供することについて、保護者から同意を得ている学校、同意を得ていない学校は何校あるのでしょうか。同意を得ている学校のうち、PTAに提供することを書面やメールなど確認できる形で得た学校は何校あるのでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  学校からPTAに対して個人情報を提供している97校のうち、保護者から同意を得ている学校は29校、同意を得ていない学校は68校でした。  なお、同意を得ている29校のうち、書面など確認できる形で同意を得た学校は16校でありました。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  熊本市では、いまだ同意を得ていない学校が多いということです。ゆゆしき事態ではないでしょうか。  現在は、グーグルフォームなど、申し込みたい人がそれぞれ入力すれば自動で一覧を作成してくれる非常に便利な道具があります。これをPTAが使い、安心メールや各自のタブレットに流してもらい、加入したい方に記入してもらえば、強制加入と個人情報提供の問題は解決します。学校現場の負担も大幅に軽減します。  次に、金銭面の問題についてお尋ねします。  今回、調べられたPTAの中だけでも、70万円から260万円と非常に大きい繰越金の額を持っております。保護者負担を軽減するためにも、PTAと保護者との信頼関係を築くためにも、過度な繰越金を持たない、活動内容に合わせて会費を毎年見直す等の方針を持つように依頼していくべきではないでしょうか。  また、PTAから学校への寄附について、不適切だと思われる事案があります。  学校運営に関わる経費については、地方公共団体が負担すると学校教育法や地方財政法で定められております。しかし、SSW(スクールソーシャルワーカー)やスクールカウンセラーが児童と話すときに使う教育相談室へのエアコン設置、子供たちの暑さ対策用の大型扇風機、プロジェクター、100万円以上もするトロフィーケースなど、様々な品物を学校に寄附しております。中には、運動会の数日前に屋外放送機材が壊れていることに気づき、PTAに相談して45万円を出してもらったなどというものもありました。しかも、2018年、2019年にPTAから寄附された物品について、まずは市教委から予算を獲得しようと市教委に要望した学校は一つもありませんでした。  今後、実態を把握して、適切に対処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  2点のお尋ねにお答えいたします。  1点目、繰越金と会費に関する方針ですが、PTAの会計は、会員数や活動内容がPTAごとに異なるため、会費や繰越金の妥当性を教育委員会が判断し、方針を持つよう依頼することは難しいと考えておりますが、熊本市PTA協議会において適切な会計事務に関する研修会が主催され、丁寧な説明をしていただいているところです。  次に、PTAからの寄附についてですが、学校運営に関わる経費については、地方公共団体が負担するものと考えております。学校に必要な予算の確保については、今後も努めてまいります。  なお、PTA等からの寄附の申出があった場合は、寄附者から学校へ寄附の申請をしていただき、学校が教育委員会に対し承認願を提出し、承認を受ける、寄附採納の手順により適切に処理しているところです。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  手続が適切とおっしゃいましたが、手続だけが適切でも、内容が本来市が負担すべきものであれば法令に違反し、適切とは言えません。  これまで述べてきたような課題に対して、今後、市教委はどのように取り組んでいかれますでしょうか。教育長にお尋ねします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  今後の取組についてのお尋ねですが、今後、教育委員会では、任意加入や個人情報の保護等に関し、PTAへの対応をまとめた学校向けのQ&Aやチェックリストを作成し、誰もが参加したくなる魅力的なPTA活動が推進されるよう取り組んでまいります。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  皆さんの努力により、各PTAが運営を真摯に見直して、子供たちのために入りたくなる、魅力あるPTA活動になるように心から願っております。  次に、学校生活に関連する子供の健康について、教育長にお尋ねしていきます。  まず、タブレット使用による子供の視力への影響についてお尋ねします。  現在、教育委員会では、タブレット使用に関して、健康面に関する注意喚起は行っていますでしょうか。行っている場合、どのような内容なのでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  タブレット使用に関する健康面の注意喚起についてお答えいたします。  学校では、教科書やノート等の使用において、目との距離を30センチメートル以上離して正しい姿勢で使用するよう、以前から注意喚起をしており、タブレットの使用においても同様に指導を行っております。  さらに、教育委員会から学校に対しても、タブレットを学習のツールとして効果的な場面で使用し、長時間の使用にならないよう配慮を求めております。  家庭でのタブレットの使用については、使用上の約束として、保護者と同意書を取り交わしており、その中で、健康面への配慮から、時間を決めて使用する旨の確認をしております。特に使用が長時間にわたる場合には、学校から家庭に個別に連絡するなど、きめ細かい指導をしているところです。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  国立成育医療研究センターの眼科医長、仁科幸子氏によると、裸眼視力1.0未満の小学生、中学生、高校生が急速に増えており、令和元年には過去最高になったそうです。その原因の多くは近視で、デジタル製品を30センチメートル未満の近距離で30分以上続けて見ることが近視の進行につながると言われております。  最近では、タブレット、スマートフォンなど、近くを見ることにより、本来はまれな病気であるはずの急性内斜視の増加が報告されるようになったということです。急性内斜視は手術を要しますので、十分な配慮や情報提供をお願いいたします。  次に、子供の視力向上の取組の必要性についてお尋ねいたします。  近年、近視を予防する研究が進んできました。20歳以下のおよそ8割が近視の台湾では、全ての小学校を対象に、屋外にいる時間を増やすという政策を進めております。台湾での研究により、明るさ1,000ルクス以上の光を週11時間以上浴びた子供は、近視になりにくいことが分かりました。1,000ルクスは、屋外でなければなかなか達成できません。一般的に屋内では300ルクス程度、窓際でも800ルクス程度です。一方、屋外では日陰でも数千ルクスに達します。  台湾では、1日最低2時間は授業を屋外で過ごす取組を始めてから、視力0.8未満の小学生の割合が5ポイント以上減少しています。オーストラリアやシンガポールなどの諸外国でも、子供の目の健全な発達のため、屋外での授業や昼食を屋外で取る、宿題を管理するなどのカリキュラム、学校生活にして、近視対策に取り組んでいます。  このような事例も研究し、子供の目の健全な発達に努めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  学校生活における子供の目の健全な発達に関する取組についてお答えいたします。  これまで、体力向上という視点から外遊びの推奨に取り組んできましたが、視力低下の抑制につなげているという諸外国の事例も踏まえ、外遊び等のさらなる推奨に努めてまいります。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕
    ◆緒方夕佳 議員  そのようにお願いいたします。将来的には、しっかりと時間の確保もお願いいたします。  次に、熊本市では、どれくらいの子供が電磁波過敏症、化学物質過敏症なのか、把握しておられますでしょうか。把握している場合、人数を教えてください。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  電磁波過敏症と化学物質過敏症についてのお尋ねにお答えいたします。  電磁波過敏症については、現時点では、学校や保護者から相談は受けておりませんが、今後、相談があった場合は個別に対応してまいります。  化学物質過敏症については、令和元年度に本市が実施した健康教育実態調査において、小学校では2名、中学校ではゼロ名であるということを把握しております。各学校において実態を把握し、個別相談と個別対応マニュアルの作成を行っているところです。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  化学物質過敏症の子供は、柔軟剤や芳香剤、洗剤、インクの臭いなどでも具合が悪くなってしまいます。電磁波過敏症の子供は、幸いまだ報告されていないそうですが、ほかのアレルギーや化学物質過敏症とも併発しやすいそうですので、情報を収集するなどアンテナを伸ばしておいていただけたらと思います。  しかし、電磁波に影響を受けるのは、何も過敏症の方々だけではありません。私たちの体は、全ての神経伝達を微弱な電流で行っているため、電磁波の影響を受けてしまいます。Wi−Fiルーターを設置すると強い電磁波が飛びますが、幸い熊本市はLTE方式を採用しております。  九州大学の近藤加代子教授が、携帯基地局に近接する小学校における子供たちの健康調査を行っておりますが、その結果、基地局に近いほど強い電磁波にさらされているおり、記憶力低下、注意力散漫、頭痛、皮膚炎、口内炎などの症状が強く出ていることが分かっています。残念ながら、有害な物質は私たちの身近に増えております。子供たちを守れるように予防原則でお願いいたします。  次に、市電の女性専用車両についてお尋ねいたします。  現在、市電に女性専用車両を設けるという画期的な取組が試験的に行われております。  近年、市電内で発生している痴漢、わいせつ、盗撮などの件数はどれくらい把握されているのでしょうか。これらの行為は犯罪であるという認識はもちろんお持ちだと思いますが、いま一度確認させてください。管理者にお尋ねいたします。          〔古庄修治交通事業管理者 登壇〕 ◎古庄修治 交通事業管理者  お答え申し上げます。  市電の車内における痴漢、わいせつ、盗撮などの迷惑行為の発生件数は、令和元年度7件、令和2年度では11月末現在で10件発生しております。これらの迷惑行為は、刑法、軽犯罪法及び県迷惑行為等防止条例などの規定に反する行為であると認識しております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  犯罪の悪質さや被害者が受ける精神的影響を鑑みると予防が欠かせませんが、現在、どのような予防対策を取っておられるのでしょうか。また、このような行為をする者は常習性があるとも聞きますが、犯人逮捕のための警察への協力はどのように行っているのでしょうか。管理者にお尋ねします。          〔古庄修治交通事業管理者 登壇〕 ◎古庄修治 交通事業管理者  お答え申し上げます。  市電内における迷惑行為等の予防策としましては、乗務員や車内カメラでの監視を行っておりまして、また、事案が発生した場合には、迅速に警察に連絡するとともに、関係者の確保、車内カメラの映像等の提供及び乗務員等の事情聴取等、捜査への協力を行っているところでございます。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  女性専用車両の試験運用開始後、電車の2両あるうちの半分を女性専用にするのはおかしいというような意見が、市電の直接の利用者ではない県外の方々から多数寄せられたと聞きます。  実際の実施状況はどうなっているのでしょうか。また、分かれば、利用者の反応と今後の実施予定を教えてください。事業管理者にお尋ねします。          〔古庄修治交通事業管理者 登壇〕 ◎古庄修治 交通事業管理者  お答え申し上げます。  1点目の実際の実施状況としましては、交通局では、女性が安心して市電を御利用いただけますよう、本年9月14日から、最も車内混雑度が高い平日の7時から9時までの間に運行する市電57本のうち、2編成車両が運行する8本の後部車両を女性専用車両として試験的に走らせているものでございます。  議員御案内のとおり、主に県外の在住の方からメールや電話など195件の意見が寄せられておりますが、反対意見が83%でありまして、その理由としては、男女差別に当たる、任意協力なのに女性専用という表記はおかしいというようなものが多かったところでございます。  お尋ねの実際の利用者の反応としましては、試験導入期間中にアンケート調査を実施し、700名を超える利用者から御回答を頂きました。その結果、女性専用車両の導入に賛成された方が男性50%、女性66%、全体で61%となっており、また、男性47%、女性67%、全体で60%の方が女性専用車両を導入することで安心して市電を利用できると回答されております。一方、男性30%、女性11%、全体で17%の方が導入に反対と回答されており、理由として他の車両が混雑するということを挙げられた方が最も多かったところでございます。  しかしながら、実際の車両混雑度については、2編成車両の場合はもともと先頭車両の乗車率が高く、試験導入の前後で比較しても、その割合そのものにはほとんど変化が見られませんでした。  これらの結果を踏まえて、今後の予定でございますが、今後は女性専用車両を女性優先車両と表現を改めた上で、来年1月からの本格導入に向けて準備を進めていきたいと考えております。  加えて、この取組だけで迷惑行為等を防止することは困難でありますので、車内カメラの搭載について、利用者に強く認識してもらえるよう分かりやすい表示に努め、抑止効果をさらに引き上げますとともに、車内放送等を活用した防犯啓発に取り組むなど、誰もが安心して市電を利用できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  700名もの回答があったことは、関心の高さがうかがえます。また、7割近くの女性が、そして男女合わせて6割の回答者が女性専用車両に賛成だったということです。車内放送等を活用した防犯啓発も効果がありそうです。  毎日市電を利用する際に痴漢を受ける心配がないというのは、大きな大きな安心です。1月からの本格導入ということになり、安堵している女性は多いのではないでしょうか。行政の取組次第で人々の暮らしを安全なものに大きく変えることができる、良い例ではないかと思います。  次に、子育て支援の強化による児童虐待の防止についてお尋ねしていきます。  私がこのやり取りの中でお伝えしたいことは、大きく2点あります。  1つは、子供たちと子育てを知っていただきたいということです。欲を言えば、知るだけでなく、どの子も慈しんでいただきたいと思います。  第2に、子育てを助けていただきたい。  助ける方法として、2つあります。  1つは、必要な支援を制度として整えることです。これは市長にしかできません。ですから、市長にお願いします。  もう一つは、市長以外の市民の方々お一人お一人に子育て中の人に温かいまなざしを向け、お手を貸していただきたい。  この2点を念頭に次の質問をお聞きください。  近年、児童虐待に対する意識が高まり、通告する人が増えましたが、間違いの通告、誤通告が増えています。  2018年度、2019年度、2020年度の泣き声がする、虐待かもしれないとして児童相談所に連絡が来た、いわゆる泣き声通告の件数と、そのうち初動対応ですぐに虐待でないと判断された件数を教えてください。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  泣き声通告件数と、そのうち継続指導の必要がなかった件数は、平成30年度44件中42件、令和元年度32件中29件、令和2年度4月から9月までは34件中33件であり、現在調査中のものが1件でございます。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  44件中42件、32件中29件と、泣き声通告のうち即座に虐待でないと判断されているものがほとんどです。今年度は34件中33件で、残りの1件は調査中ですので、もしかしたら今のところ全て間違いかもしれません。  虐待を見つけるためだったら、どれだけ誤通告があってもいいのでしょうか。虐待は犯罪ですから、児童相談所などの訪問を受けるということは、受ける側にとっては、隣人が自分を犯罪者であると見ているということを意味し、大きなショックを受けます。児童精神科医の滝川一廣医師は、誤通告は通告された児童やその家族への権利侵害を生み得ることを忘れるべきでないと警鐘を鳴らしています。  実際に、急激な誤通告の増加は、子育て世代に深刻な影響を与えています。去る10月23日には、NHKで「“泣き声通報”がこわい〜虐待を疑われて〜」という特集が組まれました。小学校2年生と年長の子供がいる女性が虐待などしていないのに子供の泣き声で通報され、夜中の2時に警察の訪問を受けました。そのときの出来事をSNSに投稿すると、数日のうちに6万7,000ものいいねが集まり、1万回以上リツイートされました。  この投稿には、泣き声通報を恐れる母親たちから多くの共感のコメントが寄せられました。「手足口病で子供が泣き叫んで、児童相談所や警察が来ました。」「赤ちゃんのとき夜泣きがひどく、四六時中だっこしていましたが、あるとき警察が来て、あざがないか調べられました。」「アトピーがひどく、夜中に泣くのは当たり前でした。」「肌をかきむしった跡があざのように見えていたので、通告されそうになりました。」   子供が泣き叫んだりけんかしたりすると、虐待で間違われるのではないかとおびえ、子供に懇願したり、強く言ったりして静かにさせようとする親が激増しているのです。当然、このような親にのしかかるプレッシャーは、子供の心理にプラスに働くわけはありません。民間の子育て電話相談には、泣き声で通報されないかを心配する母親の相談が多くなっており、実際に通報されることで、親が子供を泣かせてはいけないと追い詰められたり、親失格と非難されたように感じたりする様子がうかがえるということです。  それでは、なぜ誤通告が増えているのでしょうか。  1つは、子供や子育ての実情を知らない市民が多いことだと思います。  熊本市の市民アンケートによりますと、現在の熊本市において子育てしている家庭の割合は約2割です。子供がいない家庭は約8割という圧倒的多数を占めます。赤ちゃんや子供は、どのような育て方をしても泣くものであり、激しく夜泣きをする期間もあれば、お風呂で髪を洗われるのが嫌で、たとえぬるま湯を使ってあげても、「熱い、やめて、お願い」などと毎日泣き叫ぶこともありますし、そのほかにも無数の泣きわめく場面があることを知らない家庭がとても多くあるということです。  現代の子育て世代を取り巻く環境は、地域のつながりの希薄化や核家族化など、子育て世帯が孤立化し非常に厳しいものになっていると、昨年、健康福祉局長が答弁しているように、そのような現代の子育て世代の厳しい現状を知らせたり、日常的に子供が激しく泣いたりにぎやかなのは子供が元気な証拠であることや、泣き声だけで判断せずに何度か話しかけてみることなど、子供や子育ての実情や、より実態に即した虐待に関する情報について社会的な理解を広める必要があるのではないでしょうか。  増加する間違った泣き声通告によって、児童相談所に不必要な負荷をかけないためにも、子育て世代の子育てにまつわるストレスを増大させないためにも、必要だと思いますが、どのような取組ができますでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  子育て世代の心配事や孤独感は、周囲の方々との関わりを持つことで取り除けることもございます。子育ては、保護者だけで抱え込まず、周囲が声かけやサポートを行って、社会全体で支えていくことが重要でございます。そのため、市政だよりやラジオでの広報、オレンジリボンキャンペーンにおけるパネル展示等で、子育て中の保護者への周囲の温かいまなざしや手助けが大切であることをお伝えしております。  社会の一人一人が子供だけでなく保護者も見守り、子育て世代への理解と支援が深まるよう、さらに啓発に努めてまいります。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  毎年、国から配布される通告を促すポスターをまちじゅうに貼ってきたことは、通告制度を隅々まで知らせるのに功を奏したと思います。同様に、またそれ以上に、子供や子育てへの手助けをお願いする啓発をお願いいたします。  誤通告が増えているもう一つの理由は、通告が匿名でも受け付けられるからです。  最初にお尋ねした質問と同じ年度の泣き声通告の件数のうち、通告した人が匿名であった件数と割合の推移を教えてください。また、昨年度と今年度の児童相談所の職員数も教えてください。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  泣き声通告件数のうち、通告者が匿名であった件数と割合は、平成30年度が44件中11件の25%、令和元年度は32件中4件の12.5%、令和2年度4月から9月までは34件中15件の44.1%でございます。  また、児童相談所の正職員数は、平成31年4月1日現在が50人、令和2年4月1日現在は55人でございます。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  昨年までは泣き声通告の4分の1ほどだった匿名の通告が、今年は半数近くに増えています。そして、そのほとんどが即座に虐待でないと判断されるケースなので、児童相談所にとっては多大な負担です。  匿名の通告制度が悪用されるケースも明るみに出ています。はるかぜちゃんこと春名風花さんは、虐待を受けていないのにもかかわらず、虐待を受けているとして、何者かより何度も児童相談所に通告されています。通告は執拗に行われており、通告されるたびに児童相談所による家庭訪問及び所属事務所へ確認なども行われるため、児童相談所職員が振り回されてしまっているそうです。  春名さんは、嫌がらせ目的で児童相談所に通告するのはやめてくださいとSNS上で呼びかけてきました。このように通告が匿名であることを悪用しているケースが現に存在します。児童相談所は通告を受けたら、子供の安全を確認する義務があるため、このような悪質なケースでも対応せざるを得ません。これでは貴重な児童相談所のリソースが無駄に使われ、深刻なケースの対応が手薄になる原因にもなりかねません。  悪質な通告を防止するために、匿名での通告を受けるのをやめるべきではないでしょうか。児童相談所には守秘義務があるため、誰にも誰が通告したかは漏れることはありません。匿名でないといけない理由があるのでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  虐待通告につきましては、児童虐待防止法において、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかに児童相談所へ通告しなければならないとされており、その通告・相談は匿名で行うこともでき、通告・相談をした人、その内容に関する秘密は守られることとなっております。  泣き声通告者は、近隣住民からがほとんどであり、近所の方のプライバシーに踏み込むような印象もあることから、氏名等を明かすことにちゅうちょされる場合もありますが、できるだけ氏名等の把握に努め、児童相談所の対応につなげているところでございます。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  通告者の秘密は守られるため、匿名でないといけない理由はないと理解しました。ほとんどの方は善意の方ではあるものの、中には少数の悪用する方もいます。そのような悪質なケースに振り回されないように、匿名での受理をやめるべきだと思います。  私がこれまで泣き声通告など2桁という小さい単位の数字を使っていることに違和感を覚えていらっしゃる方がいるかもしれません。さきの議会でも提示されたように、昨年度の児童虐待相談対応件数は1,114件でした。その中には、私が先ほど述べた誤通告も含まれています。通告があった1,114件中、実際に児童相談所の支援が必要と判断されたのは168件でした。これは兄弟も1人として数えた数であり、実際の件数はさらに少なくなります。虐待を過小評価しようとしているなどと誤解なきようにお願いいたします。事実を正確に把握しないと、現在のように、無用に児童相談所を振り回し、深刻なケースの支援の時間を削り、虐待のない多くの子育て世代を傷つけるということになってしまいます。  では、なぜ相談件数が増えているのか。これは、警察からの面前DVによる心理的虐待の通告が激増しているからです。熊本市でも、警察からの通告は、2013年には5件だったのが、昨年度は440件にまで増加しています。これは、児童に直接的な虐待がない場合、面前DVという名前ではありますが、面前にいない場合でも警察は報告しております。これが現在の増加の大きな要因です。  なぜ厚労省は、虐待の実数を把握しているのに公表せず、間違いも多く含む相談件数のみを公表するのでしょうか。テレビで報道されるような深刻な虐待は一体どれくらいあるのか、その推移はどうなっているのかを調査した滝川一廣医師の論文「は増えているのか」によると、日本では、1980年代以降からずっと減り続け、2005年以降、おおむね年間50件ほどで推移しており、有意な増加も減少も見られない。また、ユニセフのデータもこれを裏づけており、1990年代には日本の虐待発生率はアメリカの2.4に対し1.0で、近年の平均の50件では0.3で、やはり以前より減少しているということです。  次に、お尋ねいたします。  去る11月12日、実母が双子の次女を傷つけてしまったという悲しい事件が起きました。市長の記者会見によると、子供は未熟児の赤ちゃんであったそうです。未熟児でない新生児でも、育児は睡眠を取ることもままならず、大変なものです。それをこの方は2人も面倒を見て、かつ難しい時期の2歳の男の子まで抱えていました。眠ることも、食べることも、お風呂に入ることも、トイレに行くことさえままならずに、心身ともに極限状態であったであろうことは、子育てした者には容易に想像することができます。  この家庭のように子育ての負担が一人に偏っていることは、虐待の起こりやすさとどのような関連があると捉えていらっしゃいますでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕 ◎石櫃仁美 健康福祉局長  子育てに関する虐待のリスク要因につきましては、少子化や核家族化が進み、子育てを支援する家族等の援助が得られないため、産後うつや子育てへの負担感、また経済的困窮や一人で家庭のことを抱え込んでしまうなど、様々な問題が絡み合っております。身近に相談する相手や支援者もなく、育児を一人で担うことは、心身ともに大きな負担となり、虐待のリスクを高めることにもつながるものと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  その悲しい事件の報道の翌日に、「育児で孤立…支援の手を」という記事が熊日新聞に掲載されました。4人の子供を一人で育児し、無理をして体重が20キログラム減っていたが、それでもいい母親でなければと頑張り、自分を追い詰めてしまっていた女性について書かれておりました。  この方の場合は、幸い近くに両親がいらっしゃり、両親が気づくことができ、実家に引っ越すという子育ての負担軽減の理想的な形を手に入れることができました。理想的な形とは、日常的に子育ての負担を3人もの大人で分担でき、かつ、子育ての喜びを共有して、幸福感は倍増するという形です。  しかし、近年、団塊の世代が定年期を迎え、経済的・時間的余裕のある高齢者は増えている一方で、周囲から子育ての手助けを受けられていない子育て中の家庭の孤立化も深刻化し、子育ての負担感から子供の数は減少し続けています。つまり、社会として支え合う仕組みづくりができておりません。  こんにちは赤ちゃん事業、産後ホームヘルプ、ファミリーサポートなど、いい事業はありますが、状況が改善しないのは支援が不足しているからです。その証拠に、日本の子育て世代は、希望する子供の数を持てておりません。また、少子化社会対策大綱を作成するために内閣府が行った調査によると、安心して妊娠・出産できるような社会ですかという質問に対して、実に4.6%しかそう思うと答えた方はいませんでした。  ほかの霊長類に目を転じますと、母親が単独で子供を育てるオランウータンやチンパンジーは、1人を自立させてから次子を出産するため、出産間隔は6年から9年と長くなっております。一方で、人は出産間隔が短く、年子の子供やほかの霊長類では極めてまれである双子や三つ子も高い確率で生まれます。また、人の子は自立についても長い歳月を要します。  このため、人は、血縁や共同体で共同して子育てをするという方法を進化の過程で獲得してきました。つまり、人は生物学的に見ても一人で子育てするようにはできていないのです。慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センター連携研究者の佐藤一磨拓殖大学准教授による専業主婦が本当に一番幸せなのかという調査からも、子供の数が多いほど妻の幸福度が低下する傾向が見られました。  日本以外の先進国では、様々な子育て支援制度を整え、出生率を維持しています。  オランダには健康保険料以外の自己負担は必要ないクラームゾルフというすばらしい制度があり、産後8から10日間、1日当たり3時間から8時間のケアが行われます。トータルにすると49時間のケアを受ける権利が保障され、兄弟がいるなど、状況によっては80時間までのケアを受けることができます。赤ちゃんのお世話の指導から料理や掃除など簡単な家事もしてくれます。  イギリスでは、産後直後から助産師が訪問し、その後もヘルスビジターという看護師か助産師が5歳まで子供とその家族をサポートします。授乳にトラブルがあれば、母乳育児のエキスパートの面接の予約を取ってくれるなど、産後の悩みを何でも相談し、迅速に解決してくれます。  これらの制度は、これらの国で出産した外国人も利用することができ、日本人の利用者の声を聞くと、「何かあったらすぐに電話するのよ、夜中でもと言われ、絶大な安心を感じた。」「この国で子供を産むことができて幸福感を感じる。」というものでした。これらの制度は、産後の家庭を実質的にしっかり支えております。このような制度こそ、少子化対策になります。  市長に大胆な予算措置をお願いします。市長に答弁をお願いします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  本年3月、熊本市子ども輝き未来プラン2020を策定し、待機児童解消のための保育サービスの充実や地域子育て支援拠点事業、病後児保育事業の推進など、各種子ども・子育て支援事業の取組に加え、喫緊の課題である児童虐待や子供の貧困等の対策にも重点的に取り組んでおります。
     今後も、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向け、子育て世帯の心理的不安の解消や経済的負担感の軽減を図るため、妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援と児童虐待への対応やひとり親家庭への自立支援等に取り組んでまいります。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  しっかりと取り組んでまいるというのがお題目ではなく、本心であれば、産後の女性と家族に人を派遣し、支援する制度に予算措置をお願いします。  大西市長、市長には、先日のような悲しい事件を起こさないようにできる力があります。命をかけて子供を産んだ女性と生まれてきてくれた赤ちゃんを支える仕組みに、もっと予算配分をお願いします。それがなければ、不妊治療により多胎児が増えている今、このような悲しい事件は増えていく一方の可能性があります。  次に、政治分野における男女共同参画についてお尋ねしていきます。  先般から取り上げられておりますが、もし少子化に私たちの社会が本気で取り組むのであれば、子育てにまつわる課題を最も熟知しており、社会の半数以上を占める女性が政策決定の場に携わる必要があります。政治分野における男女共同参画の推進に関する法律において、地方公共団体は、1、実態の調査及び情報の収集、2、啓発活動、3、環境整備、4、人材の育成等を行うよう努めると明記されています。  今年の3月には、内閣府男女共同参画局が地方公共団体・地方議会の政治分野における男女共同参画の推進に向けた取組事例をまとめております。その取組として、女性模擬議会を開催したところが多数あります。熊本市のウィメンズカレッジの取組も紹介されております。神奈川県においては、議員へのアンケート結果やクオータ制に関する有識者の意見を取りまとめて公表したということです。  そこで市長にお尋ねいたします。  政治分野での男女共同参画について、政治分野での男女共同参画が達成された状態をどのように捉え、何を目標として取り組んでいかれますでしょうか。また、政治分野での男女共同参画を実現する必要性について、市長の見解をお聞かせください。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  市民の代表である市議会や市政に対し幅広く意見を聴取するための審議会等、市の政策・方針決定などの重要な場面に、女性を初め多様な視点が反映されることは大変重要であると考えております。  私としては、平成30年5月に成立いたしました政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が多様な声を政治に反映させ、より暮らしやすい社会を目指していることからも、市民の代表である議員の候補者数ができる限り男女均等となるよう目指すことが望ましいと考えております。  議員お尋ねの政治分野における男女共同参画の目標を設定することは困難ではございますが、市の審議会における女性委員の割合については、本市第2次男女共同参画基本計画の中で目標を40%と設定しておりまして、今年度からは20%に満たない審議会について改善計画書の提出を求めるなど、目標達成に向け、取組を強化しているところでございます。  今後も、市の政策・方針決定などの重要な場面に、女性を初め多様な視点が反映されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  熊本市、そして日本の将来がかかっている出来事でもあります。しっかりとした取組をお願いいたします。  候補者ができる限り男女均等となるよう目指すことが望ましいと考えていらっしゃるということですが、台湾や韓国などはクオータ制を導入し、女性の政治家を増やしております。具体的に実現する方法としてクオータ制は有効だと思いますが、市長のクオータ制に関する考えをお聞かせください。  また、子ども議会を開催しているように、ぜひ女性模擬議会の開催を求めたいと思います。市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  男女が政治的意思決定過程に積極的に参画し、共に責任を担うことは、多様な考え方が市政の方針決定に公平公正に反映されるためにも大変重要であると考えておりまして、政治分野における女性の参画促進につながるクオータ制の導入は、有効な手段の一つとなるものと認識しております。  また、女性模擬議会につきましては、近年、全国の約40の自治体で実施されており、女性の視点から住民の声を反映させることや地域における女性リーダーを育成する目的で開催されているものと認識しております。私といたしましても、市の政策・方針決定などの過程に女性がもっと参画することが望ましいと考えております。  本市としては、政治分野における男女共同参画について検討する中で、まずは現在行っておりますウィメンズカレッジなどの取組を進めることにより、機運の醸成を図っております。  今後も、あらゆる場面で活躍する女性人材の育成に全庁一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。          〔16番 緒方夕佳議員 登壇〕 ◆緒方夕佳 議員  熊本市のウィメンズカレッジの取組は、私も参加し、高く評価しております。ウィメンズカレッジのOGたちが取組を進めております。ウィメンズカレッジが大学だとすれば、女性議会は大学院と言っては言い過ぎかもしれませんが、実習と学びを組み合わせたものと位置づけられるかもしれません。ウィメンズカレッジ開催と併せて相乗効果を生むのではないかと思っていますので、今後も提案し続けたいと思います。  時間が足りないかと思って駆け足で議場を走り回っておりましたが、そのかいあって、時間がたくさん余りました。今日の一般質問を通して、日本社会で少数者になってしまった子育て中の当事者の目線が少しでも伝わったなら幸いです。  今日は本当にありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○上田芳裕 副議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。  この際、お諮りいたします。  12月5日、6日の両日は、休日のため休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。          (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○上田芳裕 副議長  御異議なしと認めます。  よって、12月5日、6日の両日は、休会することに決定いたしました。  次会は、12月7日(月曜日)定刻に開きます。       ──────────────────────────── ○上田芳裕 副議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                             午後 3時31分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 令和2年12月4日 出席議員 48名       1番   紫 垣 正 仁        2番   上 田 芳 裕       3番   山 本 浩 之        4番   北 川   哉       5番   古 川 智 子        6番   島 津 哲 也       7番   吉 田 健 一        8番   伊 藤 和 仁       9番   平 江   透       10番   荒 川 慎太郎      11番   齊 藤   博       12番   田 島 幸 治      13番   日 隈   忍       14番   吉 村 健 治      15番   山 内 勝 志       16番   緒 方 夕 佳      17番   高 瀬 千鶴子       18番   三 森 至 加      19番   大 嶌 澄 雄       20番   光 永 邦 保      21番   高 本 一 臣       22番   福 永 洋 一      23番   西 岡 誠 也       24番   田 上 辰 也      25番   浜 田 大 介       26番   井 本 正 広      27番   藤 永   弘       28番   原 口 亮 志      29番   田 中 敦 朗       30番   小佐井 賀瑞宜      31番   寺 本 義 勝       32番   原     亨      33番   大 石 浩 文       34番   村 上   博      35番   那 須   円       36番   園 川 良 二      37番   澤 田 昌 作       38番   田 尻 善 裕      39番   満 永 寿 博       40番   田 中 誠 一      41番   津 田 征士郎       43番   藤 山 英 美      44番   落 水 清 弘       45番   倉 重   徹      46番   三 島 良 之       47番   坂 田 誠 二      48番   白河部 貞 志       49番   上 野 美恵子 説明のため出席した者   市長       大 西 一 史    副市長      多 野 春 光   副市長      中 村   賢    政策局長     田 中 俊 実   総務局長     深 水 政 彦    財政局長     田 中 陽 礼   文化市民局長   井 上   学    健康福祉局長   石 櫃 仁 美   環境局長     三 島 健 一    経済観光局長   田 上 聖 子   農水局長     西 嶋 英 樹    都市建設局長   田 中 隆 臣   消防局長     西 岡 哲 弘    交通事業管理者  古 庄 修 治   上下水道事業管理者萱 野   晃    教育長      遠 藤 洋 路   中央区長     横 田 健 一    東区長      宮 崎 裕 章   西区長      甲 斐 嗣 敏    南区長      村 上 誠 也   北区長      小 崎 昭 也 職務のため出席した事務局職員   事務局長     富 永 健 之    事務局次長    和 田   仁   議事課長     池 福 史 弘    調査課長     下錦田 英 夫...