御承知のとおり、熊本市において
就業別労働人口で比較しますと、卸売、小売、医療、福祉などを中心に、サービス産業である第三次産業が全体の8割を占めていることから、労働者の最低賃金を底上げし地域での消費マインドを向上させることは、当然ながら地域経済全体の活性化に大きく寄与します。そして、そのことでまた労働者の賃金上昇につながる。まさに理想的な資金循環が形成されるものと考えます。
そこでお尋ねします。今回の予算編成において、特に地域経済の活性化や市民所得の向上につながる政策をどのように盛り込み進めようとされているのでしょうか。大西市長のお考えを、わかりやすくお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 地域経済の活性化と市民所得の向上については密接不可分の関係にありまして、賃金の底上げや個人消費の拡大、生産性の向上による企業収益の増加、さらには交流人口の増加による消費喚起などにより、
地域経済活性化の好循環がもたらされ、そのことが市民所得の向上につながっていくものと考えております。
これまでも、熊本市しごと・ひと・
まち創生総合戦略に基づいて、経済活性化、市民所得の向上につながるさまざまな
具体的取り組みを展開してきたところでございます。新年度におきましては、人材の還流、確保をさらに進めますため、就業や創業支援とセットとなった東京圏からの移住促進事業の展開や、創業時からの一定期間に助成を行う起業家支援など、新たな取り組みを進めてまいります。
また、10月以降、2つの
国際スポーツ大会や
熊本城特別公開、
熊本城ホールの開業と続くこの機会を交流人口増加への好機と捉え、熊本城を中心に据えた
誘客プロジェクトの展開など、本市の持つ観光資源を生かしたにぎわいを創出してまいりたいと考えております。
このような視点から今回、必要な予算を計上したところでございまして、これらの取り組みを将来へ向けて強化、継続していくことで、地域経済のさらなる活性化、市民所得の向上につなげてまいりたいと考えております。
〔28番 倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 ありがとうございました。市長の
マニフェストにも掲載されています。市民生活の向上のために努力を重ねていただけるという御答弁でしたので、少し安心した次第であります。
次に、
国内プロモーション経費についてお尋ねさせていただきます。
これまで大西市長が、議会冒頭での提案理由説明や全員協議会での提出議案の概況説明、さらには記者会見などで再三再四述べられているように、市制施行130周年に当たる新年度は、
ラグビーワールドカップや
女子ハンドボール世界選手権などの
国際スポーツ大会の開催、桜町再開発事業や
熊本城天守閣の外観復旧の完成、新しい市民病院や
熊本城ホールのオープンなど、本当に
ビッグイベントがめじろ押しであります。また、その後に控えている熊本の陸の玄関口である熊本駅前広場の整備やJR九州による駅ビルの建設、
全国都市緑化フェアや
アジア太平洋水サミットなどの準備も本格的に着手していかねばなりません。まさに新年度の取り組みの成否が将来の熊本市を左右する極めて重要な年度となると言っても過言ではありません。
私は、これらの
ビッグイベントや重要事業の完成を、一過性のものではなく将来の本市の発展につなげていけるかどうかは、ひとえに今後の
プロモーション活動、そこにかかっていると考えています。
これまでの本市の
プロモーション活動を拝見しますと、観光部門、環境部門、農水・産業部門など部署ごとに、それぞれの素材、内容でアピールしており、正直言って熊本市として、何に重点を置いて発信したいのか、全くばらばらで意図がわかりません。熊本市が全国から、そして世界から選ばれる都市となるには、その豊かな素材を生かす発信力の強化と
トータルコーディネートが必要不可欠のはずであります。
多くの地方都市が、人口減少、産業衰退、広げ過ぎた市街地の縮小などに悩んでいます。そのような中、福岡市はというと、人口増加、産業集積、密度の高い都市機能を実現している希有な都市であります。どのようにして福岡市は地方最強と呼ばれる都市になったのか、私なりに調査させていただきました。そして、戦略的な情報発信、それを担うことができる市役所の組織体制、そこに熊本市との大きな違いがあるとの結論に至りました。
福岡市役所の組織体制は、市長直轄の市長室の中に広報戦略室があり、この広報戦略室は、広報戦略課、広報課、報道課の3つの課で構成され、市が保有するさまざまな情報を総合的に企画調整しつつ、戦略的に発信できる充実した組織体制となっています。一方で熊本市は、観光政策課の中に
シティプロモーション担当がありますが、熊本市全体をプロモートするような役割が果たせていません。
また、広報課は、
市長記者会見や報道対応、あるいは市政だより、ホームページなどを担当していますが、これも残念ながら市民向けに市政の情報を伝えるにとどまっています。新年度予算において
国内プロモーション経費が計上され、政策局で担当されるようですが、私は福岡市の例のように、まずは熊本市全体の広報戦略を立て、これに基づいてそれぞれの部局で熊本市を売り出していくといった、いわば
プロモーション活動の
総合プロデュースを行う部署を明確に設置することこそが必要であると考えます。そして、その任を担うのは、広報課はもとより、東京事務所や国際課を所管し、また市の政策を総合調整している政策局が所管すべきではないのかと考えています。
そこでお尋ねいたします。市全体の広報戦略の策定と
プロモーション活動の
総合プロデュースについてどのように考えられますか。また、新年度予算に盛り込まれている
国内プロモーション経費に関しては、市長が
マニフェストで、在京の熊本出身者とのつながりによる情報収集に努め、先進的かつ独創的な取り組みを展開し、東京事務所を中心に熊本と東京の
ネットワークを強化するのだと、その意気込みを掲げられておりますが、ぜひこの事業の具体的内容についてお聞かせください。
この2点については、あえて政策局長に答弁をお願いいたします。
〔
古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 平成31年度当初予算に関連しまして、
国内プロモーション経費に関連した2点のお尋ねにお答え申し上げます。
まず、1点目の市全体の
広報戦略策定と
プロモーション活動の
総合プロデュースについてでございます。本市では、今年度から全庁的な広報広聴改革に取り組み、先進地視察を初め本格的な検討を行ったところでございます。その結果、全国では
政令指定都市の半数以上が専門の担当部署を置き戦略的な
自治体PR活動に取り組んでおり、議員がお述べになりましたように、本市においても、そのような戦略的な
プロモーション活動をリードしていくセクションの必要性を痛感したところでございます。そこで、各課が所管します地域資源や取り組み等を発掘、収集し、本市ならではの魅力や優位性を分析して、戦略的な
プロモーション活動を展開していくために、平成31年度から広報課に広報戦略の担当を置きたいと考えております。
その上で、今後、市全体の情報発信の指針となる広報戦略を策定しまして、広報課、国際課、
東京事務所等を所管しております政策局が中心となって、各局の
プロモーション活動を調整し、戦略的な広報に努めてまいる所存でございます。
次に、新年度予算で計上しております
国内プロモーション経費の具体的な内容についてお答え申し上げます。
平成31年度は、
熊本城天守閣大天守の外観復旧を初め、
国際スポーツ大会の開催や
熊本城ホールの開業など、熊本地震から復興しつつある熊本を首都圏にアピールする絶好の機会であると考えております。このようなことから、今後開催予定のイベントや
レセプション等で広く本市の紹介に活用するため、復興が進んだ現状と本市の魅力を融合した
プロモーション動画制作の経費を計上しているところでございます。また、CM制作やテレビ番組など、首都圏のメディアを活用した
プロモーション活動も積極的に行ってまいります。
加えて、本市の政策を首都圏において広くアピールするとともに、新たな
ネットワークの構築やさらなる企業誘致等を推進するために、東京銀座の
シェアオフィス内に熊本市の
サテライトオフィスを設置する経費、また、首都圏の熊本市出身者の
ネットワークの強化、拡充を図るための経費等を盛り込んでおります。これらの取り組みをきっかけとしまして、東京2020オリンピック・
パラリンピック競技大会を初めとする将来の
国内ビッグイベントをも見据えて、本市のさらなる
国内プロモーションにつなげてまいりたいと考えております。
〔28番 倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 熊本市もいよいよ震災からの復興、そして新たな道へと発展していくタイミングであるかと思います。市長も2期目がスタートされたわけでありますし、市長の手腕が問われる時期でもあると思いますので、ぜひ
プロモーション活動を活発にやっていただきまして、福岡に追いつき、追い越せ、北九州に追いつき、追い越せ、九州3番目の政令市としてさらなる発展を遂げますように、御尽力を願いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
引き続き、新年度予算に関連しまして、市長が特に重点的に進めていこうとされている3つの分野に関してお伺いします。ただ、これらの分野については、代表質問でも数多く取り上げられていますので、私は視点を変え、内容を絞ってお伺いさせていただきます。
まず、人材育成についてですが、次代の熊本を担う人材の育成は、新しい熊本の礎づくりの中でも特に重要なポイントであることは、言をまたないことと思います。大西市長も市長就任以来、
子供医療費助成の拡大、待機児童対策の推進、小中学校へのエアコン設置、学校教育へのICTの導入など、子育て環境や子供たちの教育環境の整備に特に力を入れてこられたことは、高く評価されているところであります。これらについては、今後も引き続き尽力されるものと大いに期待しているところでもあります。
ところで、新年度予算で
高校改革関連経費が計上されています。御承知のとおり現在の熊本では、いや、熊本だけではないかもしれませんが、大学受験をにらんで高校がランク化され、中学の成績によって受験する高校を決めているというのが現状なのではないでしょうか。少し過激に申し上げますと、
高校そのものが大学の予備校化しているのが現状で、市立高校もその渦中にあるような気がしてならないのであります。
しかしながら、AIなどに代表される情報技術の進展など、現代社会は目まぐるしく移り変わっており、このように変化の厳しい時代を生きる子供たちには、社会情勢や技術の変化に惑わされず、みずから考え理解し、そして応用できる能力を身につけていくことが求められているのではないでしょうか。
私の情報では、小学校では2020年から、また中学校では2021年から、それぞれ10年ぶりに
学習指導要領が改訂されると伺っています。これまでの
学習指導要領が、学んだことをきちんと理解しているかという知識を学ぶことを目的としていたものに対し、新たに改訂される
学習指導要領では、これに加えて、知識を活用する能力を身につけることも目的にするとのことです。
また、同じく2020年から、大学入試も、これまでのセンター試験が
大学入学共通テストへと変わり、従来の
マークシート式の問題に加え、記述式の問題も出題されることになります。これによって、これからの大学受験では、知識をもとに解答を選択肢の中から選ぶだけではなく、複数の情報からみずからの考えをまとめ、相手が正確に理解できるよう論述する力が求められるようになります。このように、今後の社会において子供たちに求められる能力は変わってきており、それに合わせて学校教育も変革する必要があると考えます。
その一方で、現在の高校の対象となる16歳から18歳の年代は徐々に減少しており、県立高校では既に統廃合が進んでいるように、このまま県立高校と同じような流れで進めば、今後、市立高校も同じような統廃合の波にさらされていくおそれがあります。
私は、このようなことから、市立高校の将来を考える際には、これまでの高校という定義の枠を超えて検討する必要があるのではと考えます。一例を挙げれば、これから先の時代においては、社会人の教育、いわゆる
リカレント教育も大変重要になってくるのかもしれません。
私は、御存じのように、人と動物の共生をライフワークの1つとしておりますが、動物の社会では、寿命が延びるほど一人前になるまでの期間が長くなるという傾向があります。これは人間社会にも当てはまります。戦後すぐの我が国の社会は、平均寿命が65歳から67歳であり、生産人口と言われる者も15歳から60歳でした。しかし、現在、我が国の平均寿命は85歳前後で、生産人口も実質的には23歳から65歳、これを70歳まで引き上げようという動きさえあります。私自身、ことしで還暦を迎えますが、私たちの年代ではあと30年、90歳まで生きるようになるのかもしれませんし、今の10代、20代の若者は、普通に100歳まで生きるようになるのかもしれません。
この人生100年時代における教育というものを考えたとき、20歳代は社会人になる訓練の期間として捉え、就職を体験し、また学業に戻ることを繰り返し、みずからの適性を見きわめ、30歳になって本格的に社会人として活躍するようなキャリア形成が当たり前の社会になるのではないかと考えます。そう考えると、市立高校のあり方を検討するに当たっては、従来の16歳から18歳を対象とした高等学校の枠を超えた改革も視野に入れるべきではないのでしょうか。
そこでお尋ねしますが、今後、
市教育委員会では検討委員会などを立ち上げ、
市立高等学校のあり方について議論を進められると聞いていますが、改革の方向性についてはどのように考えておられるのでしょうか。昨日の藤岡議員の質問に対し教育長は、既存の発想にとらわれず、将来の進路や生き方、働き方を含め新たな価値を生み出し、県立、市立にもない特色ある人材育成のための教育の場づくりに取り組むと答えられました。
私は、今後の社会変化などを踏まえ、生涯を通じた教育を見据えて、現行の6・3・3の学制にとらわれず大胆に改革を進めるべきではないのかと考えています。このことについて、教育長は現段階でどのような見解を持っておられるのかお聞かせください。またあわせて、今後の具体的な検討の進め方やスケジュールなどについてもお願いいたします。当意即妙との誉れ高き遠藤教育長にお伺いさせていただきます。
〔
遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 高校や専門学校が時代のニーズに応えるためには、既存の枠にとらわれない抜本的な改革が必要であると考えております。
高校改革等については、先般開催されました
復興アドバイザー会議でも、生涯学習や
キャリア教育、
リカレント教育等の視点を持って取り組むべきとの助言もいただいたところです。改革を通じて、偏差値だけが尺度になる高校選択ではなく、学校の教育内容等、魅力ある教育の場として選ばれるような
高校づくり等に取り組んでまいります。検討の進め方やスケジュールについては、本年4月に、学識経験者や産業界の関係者、保護者、学校関係者など10名程度で構成する
市立高校等改革検討委員会を立ち上げ、年4回開催する予定です。委員の任期は2年を予定しており、市立高校や
総合ビジネス専門学校のあり方について、現状と課題の分析等を踏まえ、多角的な視点から御意見をいただくこととしております。
〔28番 倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 さすがは当意即妙との誉れ高き遠藤教育長でありまして、私の意見とほぼ同調していただいて、とてもありがたいと思います。子供たちが本当に学びやすい教育環境をつくっていただきますととともに、この熊本市にとってすばらしい次世代が育ちますように、教育委員会としても取り組んでいただきますように、心から祈念申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、本市の交通問題についてお伺いいたします。
平成24年3月、本市の将来に向かって最も望ましいと考えられる公共交通網を描いた熊本市
公共交通グランドデザインが策定されました。この中で、鉄軌道を中心とした8軸の
基幹公共交通軸の定時性、速達性、輸送力などの機能強化、基幹軸につながる
フィーダー路線との結節や乗りかえなどの利便性強化、
交通不便地域などへの新たなサービスの提供が掲げられており、これを、市民、事業者、行政、三者がそれぞれの役割分担のもとで実現していくために、平成25年3月には、公共交通に特化した条例として、我が国初となる熊本市
公共交通基本条例が制定されました。その後、この基本条例に基づき、
交通空白地域などへの
デマンドタクシーの導入やバス路線のフィーダー化に向けたイオンモールクレアでの乗りかえの社会実験、さらには熊本市とバス事業者が連携し、バス路線再編に向けたプログラムが策定され、このプログラムに基づく取り組みも幾つか進められました。
しかしながら、抜本的なバス路線網の再編までには至っていないということで、市長は2期目の
マニフェストで、今後は利用者がわかりやすく利用しやすい、そして持続可能なバス路線を再編するため、バス会社の統合も視野に入れて行政が積極的にリードしていくとの並々ならぬ決意を示されました。
そこで、市長が言われる自家用車や公共交通などとの
ベストミックスという視点でお尋ねしたいと思います。
高度成長期のモータリゼーションの発達により、各家庭における自家用車の保有台数は増加の一途をたどり、全国の
主要幹線道路における交通渋滞は深刻な状況となっているのが現状です。それは本市においても例外ではなく、熊本市の商業地域における混雑時旅行速度は、平成27年の国土交通省の調査データによると、
政令指定都市の中でワーストワンとなっており、平成25年の九州内における
主要渋滞箇所数も熊本県が最も多くなっているなど、他都市と比較しても交通渋滞はひどい状況です。これは、本市の道路網が中心部から放射線状に広がっていることに大きく起因していると考えられます。特に渋滞がひどい東部方面の道路網を見ますと、市中心部から東部方面に向かって
県民運動公園方面に向かう供合線、東バイパスから熊本空港に向かう第一空港線や戸島線、産業道路、国体道路、競輪場前を通り戸島方面に延びる新外線、そして放射線状に伸びている第二空港線と、6本の
主要幹線道路、いずれの路線も本市を南北に貫く東バイパスを横断しており、その交差点周辺においては慢性的な渋滞を引き起こしています。雨天時や曜日によっては中心市街地まで1時間を超える状況であり、東部方面には
阿蘇くまもと空港もあることから、さまざまな物資の配送に時間を要したり、大事な会議に支障を来したりするなど、社会的損失ははかり知れないものです。
熊本地震の際には、道路の損傷に加えて、物資搬入や瓦れきの撤去、復旧工事のため、県内外から多くの車両が入ってきたことから交通渋滞に拍車がかかり、復旧作業に追われる市民生活にも多大な混乱をもたらしたことは記憶に新しいところであります。
私は、公共交通と自家用車の
ベストミックスの望ましい将来像としては、立体交差化など主要交差点の改良を進め、通過交通を円滑に流すとともに、
バス専用レーンや
公共交通優先信号の設置などにより、中心部へは極力公共交通の活用を促進することこそが必要であると考えます。
大西市長は、渋滞解消のための道路整備について、国道57号線東バイパスの部分立体化、国道3号線
植木バイパスの
早期全線開通、熊本都市圏の環状道路の整備、そして既存の概念にとらわれない主要交差点の改良に取り組むと言っておられますのでお尋ねしますが、公共交通と自動車交通の
ベストミックスについて、大西市長が考えるその将来像とはどのようなものでしょうか。また、そのためにどのような取り組みを進めていかれますか。お伺いします。
また、先日、
自民党熊本市議団として、平成31年度政策及び予算に関する要望大綱を市長に直接要望させていただいていますが、先ほども述べましたように、市長の
マニフェストにも掲げられている国道57号線東バイパスの部分立体化、国道3号線
植木バイパスの
早期全線開通、熊本都市圏の環状道路の整備、主要交差点の改良については、熊本都市圏の交通渋滞解消には必要不可欠です。これまでも国との協議はもちろん、市長みずからも要望活動を続けておられることは十分に承知しておりますが、具体的な進捗状況はどうなっていますか。先日の代表質問におきましても、我が党の津田団長から質疑があっております。また、その整備状況については、私は前回も質問させていただいております。前回から3年半が経過しているということもありますので、改めて確認させていただきたいと思います。
加えて、平成30年3月の道路法等の一部改正による重要物流道路制度創設に関し、お尋ねをいたします。
これまで本市では、道路整備について、都市マスタープランにも掲げる2環状11放射道路網を核として、道路整備プログラムに基づき順次整備を行ってこられたかと思いますが、より広域的な新たな道路の
ネットワーク形成が必要となり、その検討に当たっては、国県市で構成される熊本県幹線道路協議会において、新たな広域道路交通計画、ビジョンの策定を進めていると聞いております。現在までの協議の状況、スケジュールなどについて、またこのビジョンを踏まえた熊本市としての今後の取り組みについて教えてください。
以上、本市の交通問題について、関係者の御答弁をお願い申し上げます。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市において、慢性的な渋滞対策のため、継続的に道路整備を実施し、都市計画道路の整備率は63%となっておりますが、この15年間で自家用車の利用が約1割増加し、市中心部を初めとした市街地部における渋滞解消には至っていない状況でございます。
また、今後の超高齢社会の進展に対応していくためには、過度に自家用車に依存しない、誰もが移動しやすく暮らしやすい都市の形成を目指していく必要があると考えております。
このような中、引き続き、2環状11放射道路網といった都市圏内外の人流・物流、災害時活動を支援する骨格幹線道路網の形成に取り組んでまいりますが、周辺市町村から本市中心部に集中する交通特性を鑑みますと、道路整備と並行して自家用車から公共交通への転換を進めていくことが不可欠であると考えております。
そのため、市電延伸を初めとした基幹公共交通の機能強化やバス路線網の再編、それらにコミュニティ交通を接続することで、わかりやすく利便性の高い公共交通
ネットワークを形成してまいりたいと考えております。
加えて、市街地部におきましては、道路空間の再配分による公共交通の定時性、速達性の向上を進めることで、公共交通と自家用車を効率的かつ利便性高く組み合わせた都市交通の最適化、いわゆる
ベストミックスを構築してまいりたいと考えております。例えば、諸外国においても、自動車交通から公共交通へ転換する取り組みが積極的に進められておりまして、例えば自動車大国であります米国シアトルでは、市民にわかりやすい公共交通
ネットワークの構築や、バス高速輸送システムでございますバス・ラピッド・トランジット、いわゆるBRTの積極的な導入によりまして、2010年から2017年の7年間で1人乗りマイカー通勤が約10%減少していると伺っておりまして、このような都市の事例も研究しながら、
ベストミックスの構築に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕
◎田中隆臣 都市建設局長 私からは、幹線道路の整備状況並びに新たな広域道路交通計画、ビジョン等に関しお答えいたします。
熊本都市圏の慢性的な渋滞を解消するには、先ほど市長が述べられましたように、現在進めております幹線道路等の事業の早期実現が喫緊の課題であると考えております。その進捗についてですが、まず国直轄である熊本北バイパスについては、橋梁工事など全線4車線化の整備に向け鋭意進められており、
植木バイパスについても国道3号部分の橋梁架設工事を進められるなど、着実な事業進捗が図られているところでございます。特に
植木バイパスの整備においては、早期完成に向けた地元の熱意や期待を国も十分に認識されており、本市においても、事業進捗をより加速させるために用地国債を活用した用地取得などに協力しているところでございます。
また、熊本環状道路の一翼を担う熊本東バイパスの部分立体化については、早期実現化に向け、市長みずから先頭に立ち、国への要望活動等を通じ、強力に働きかけを行っているところでございます。
次に、本市事業の進捗でありますが、熊本西環状道路については、現在、池上インターから花園インター間でトンネルや橋梁などの工事を進めており、事業費ベースで約50%の進捗となっております。
主要交差点については、主要渋滞箇所である浄行寺や薬園町交差点について、2020年代半ばの完成を目指し、鋭意事業を進めております。
そのほかの交差点についても、新外一丁目交差点など4カ所について、現在、交通管理者と協議に入り、早期事業化に向け検討しているところでございます。
以上が現在の進捗状況ですが、今後とも熊本都市圏の交通渋滞解消に向け、環状道路の早期完成や交通の円滑を図るための交差点改良などに引き続き取り組んでまいります。
次に、新たな広域道路交通計画、ビジョンについてお答えします。
新広域道路交通計画は、1998年の改定以来20年ぶりに改定されるもので、まず地域の将来像を踏まえた広域的な道路交通の今後の方向性を示す新広域道路交通ビジョンを策定し、このビジョンを踏まえながら、広域的な道路
ネットワークの現状課題に対し、平常時、災害時及び物流、人流の観点を踏まえた
ネットワークの計画を策定するものでございます。
現在、国県市で構成する熊本県幹線道路協議会において議論を進めており、有識者に意見を伺いながら、ビジョン策定に向けての取りまとめを行っているところで、その後、新広域道路交通計画策定に向けた検討を進める予定となっております。策定に当たりましては、さきに市長が述べました本市が目指す
ベストミックスの将来像を踏まえつつ、新たな社会、経済の要請にも応えられる計画となるように努めてまいります。
〔28番 倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 公共交通と自動車交通の
ベストミックス、まさに耳に心地いい言葉でありますし、これこそ市民、県民の願いであります。どうぞ一日も早い渋滞解消に向け、さらなる取り組みをよろしくお願いしたいと思いますし、我々ももちろんチーム熊本で、全員で協力させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、健康づくりについて、特に健康ポイント事業についてお尋ねいたします。
改めて言うまでもなく、高齢化の進展に伴う社会保障費の漸増は、持続可能な自治体運営を行う上で重要な課題です。本市の国民健康保険会計は、目標としている単年度黒字化がなかなか達成されず、一般会計から約87億円もの繰り入れを行っているものの、累積では24億円もの赤字を抱えています。これまでにも、医療費適正化や保険料改定、収納率向上対策のほか、一般会計からの支援の拡充など赤字解消への努力は認めますが、今後も被保険者数の減少による保険料収入の減少に加え、1人当たりの医療給付費の増加が見込まれるなど、大変厳しい状況が長く続くと考えられます。
本市の国民健康保険料は、20
政令指定都市の中で最も高くなっていますが、最大の要因は1人当たりの医療費が高いことにあります。平成28年度における厚労省のデータによると、熊本市の1人当たりの医療費は年額約36万6,000円で、
政令指定都市の中で最も安いと言われる千葉市と比べて4万円以上も高いのが現状です。
このデータに関連して、特定健診受診率やがん検診受診率についても、熊本市は
政令指定都市の平均には遠く及ばず、軒並み低くなっています。医療費と受診率の間には相関関係があって、医療費削減にはその受診率の向上策が求められていることは明白であり、さまざまな場面で予防医療の必然性が問われているのが現状です。国会でも予防医療の重要性が議論されており、日本医師会の横倉会長も、医療費削減ありきでなく、健康増進を目的とした政策の結果として削減につながるよう、地域で取り組みを進めることが重要であると述べられるなど、予防医療の有用性については疑いのないところです。
このようなことから、国保財政を健全化していくためには、健診の受診率を向上させる取り組みや、市民の一人一人の健康づくりを推進する仕掛けが必要と考えます。市長も、病気予防のためのさまざまな行動に対しポイントを付与するなど、健康に対するインセンティブ制度の導入を掲げ、市民の自主的な健康づくりや福祉活動を支援するとされています。そこで、新年度予算で計上されている健康ポイント事業の具体的な内容と、その手法を選択した根拠や見込まれる効果についてお尋ねします。
加えて、今回健康ポイント事業では、アプリなどのICTツールを活用していくとのことですが、これまで熊本市には、LINEアプリを活用した市政情報の提供を初め、防災情報、ごみ出し情報などさまざまなアプリが存在しています。申しわけないのですが、市民の視点に立ってみますと、いろいろなアプリをダウンロードすることの煩わしさ、またICT技術に詳しくない方に対するアプローチなど幾つもの課題があるかと思います。これらの課題に対する対応についてもあわせてお聞かせください。
以上、健康福祉局長にお伺いします。
〔池田泰紀健康福祉局長 登壇〕
◎池田泰紀 健康福祉局長 健康ポイント事業に関してお答え申し上げます。
本市におきましては、特定健診及びがん検診の受診率が低いことから、市民が健診受診行動等の健康的生活習慣を確立することは、人生100年時代を迎える中、生活習慣病予防や介護予防におきまして、非常に重要であると考えております。
まず、1点目の健康ポイント事業の内容とその手法を選択した根拠や期待する効果についてでございますが、市民の皆様に気軽に楽しく、また継続的に健康づくりに取り組んでいただくために、スマートフォン専用アプリを用いました健康ポイント事業を構築するものでございます。具体的には、特定健診やがん検診を受診することによる健診ポイント、ウオーキングなどの毎日ポイント、健康に関するイベント参加などのお出かけポイントの3つのカテゴリーにおきまして、一定以上のポイントをためることでインセンティブを付与する仕組みでございまして、2019年度にアプリの開発と試行運用を行い、2020年度から本格運用したいと考えているところでございます。
この取り組みによりまして、広く市民の健康意識の醸成を図りますとともに、健診受診率の向上によります疾病の予防及び医療費削減に寄与できるものと考えているところでございます。
次に、アプリ導入の課題についてでございますが、議員御指摘のとおり、さまざまなアプリが乱立することによる煩雑さを軽減し、いかにわかりやすく気軽に活用いただけるかが肝要であると考えておりまして、そのため、将来的には、汎用性が高く利用者が操作しやすいアプリの構築が不可欠であるものと考えているところでございます。
なお、アプリの使用方法等につきましては、市民にとってわかりやすいものとなるよう、丁寧な周知広報に努めてまいりたいと考えております。
これまでの健康増進に向けたさまざまな施策に加え、新たに健康ポイント事業を展開することによりまして、市民の皆様の健康づくりの底上げを図り、生涯を通じて健やかで生き生きと暮らせるよう、一層の健康づくりを推進してまいりたいと考えております。
〔28番 倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 医療費の削減のためにも、また市民の健康づくり増進のためにも、ぜひ健康ポイント事業をさらに続けていただきたいと思いますが、がん検診についても、あるいはさまざまな健診についても、もっともっと啓発していただきたいんです。まだなかなか受診率が上がらない。そして、これはいかに健診が大事で、がんに対しては早期発見がいかに大切なことであるかということを、もっと我々も訴えるべきでありますし、行政側ももっと市民に訴えていく必要性があるのではないかと思っています。
どうぞ健診率をさらに上げていただいて、熊本市民が健康で長寿でありますように、どうか努力を続けていただきますように、心からお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、私のライフワークでもあります。またかと思われる方もおられるかもしれませんが、市議会議員としての16年間を合わせると二十数年来、継続して取り組んできた問題であり、人と動物の共生社会についてお尋ねさせていただきます。
まずは、前回の平成30年第4回定例会において採択されました、熊本市内における捨て犬と捨て猫の防止を官民が連携して取り組むための請願に関連してお伺いいたします。
本市は、平成19年にガスによる殺処分を中止、平成24年には熊本市動物の愛護及び管理に関する条例の施行、平成26年には譲渡専用及び動物愛護の拠点となる愛護棟が完成、平成27年3月には犬の殺処分ゼロも達成され、現在では全国的にその取り組みは注目されています。これまで殺処分ゼロに向けた取り組みについては、事あるごとに質問、提案をさせていただき、市民啓発の充実やワンニャン相談コーナーの開設、緊急災害時における薬剤メーカーや獣医師会との優先治療契約の締結など、皆様方の協力のおかげで多くの取り組みが実施につながっており、本市の皆様方の命を大切にする考え方を、実に喜ばしく誇らしく思っています。
しかしながら、皮肉なもので、この殺処分ゼロを掲げたことによりまして、殺されないから捨てても大丈夫などという考えを持つ方があらわれたことは、非常に残念でなりません。また、熊本地震で迷子になった犬猫が数日間徘徊していたために迷子札が取れてしまい、飼い主のもとへ帰れなかったのも悲しい事実であります。熊本市内における捨て犬と捨て猫の防止を官民が連携して取り組むための請願は、そのようなことから取りまとめたものです。
そこで、2点お尋ねさせていただきます。
1点目は、飼い主の飼養責任を明確にし、捨ててしまうことの防止策として、環境省が推奨するマイクロチップの導入を飼い主の努力義務とする条例を制定してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。このマイクロチップは、ペットの飼い主を特定するもので、ペットを捨てた際にはその飼い主が判明することで、動物愛護法の処罰対象となるものです。捨て犬や捨て猫の抑止効果が期待でき、殺処分ゼロに向けての取り組みに不可欠であると考えています。
2点目は、条例を制定するなどマイクロチップの導入促進に取り組んだとしましても、最初の段階ではなかなか進みにくいことが予想されます。そこで、期間限定でも結構ですので、費用の一部を助成するような制度を設け、マイクロチップ導入の促進につなげてはいかがでしょうか。