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平成30年第 3回定例会−09月06日-03号
平成30年第 3回定例会−09月06日-03号

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  1. 熊本市議会 2018-09-06
    平成30年第 3回定例会−09月06日-03号


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    最終取得日: 2022-11-22
    平成30年第 3回定例会−09月06日-03号平成30年第 3回定例会   平成30年9月6日(木曜) ┌─────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第3号                         │ │ 平成30年9月6日(木曜)午前10時開議                │ │ 第  1 一般質問                           │ └─────────────────────────────────────┘                             午前10時00分 開議 ○くつき信哉 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ──────────────────────────── ○くつき信哉 議長  日程第1「一般質問」を行います。  順次発言を許します。上野美恵子議員。          〔34番 上野美恵子議員 登壇 拍手〕 ◆上野美恵子 議員  皆さん、おはようございます。日本共産党熊本市議団上野美恵子でございます。  本日は、朝から北海道で大地震が発生いたしました。改めて、大阪地震、西日本豪雨災害を含めまして、一連の災害で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様方にお見舞い申し上げます。  本日は、災害の問題からお尋ねしてまいります。  8月中旬から市内全域で取り組んでまいりました市民アンケートにもたくさんの御意見をいただいておりますので、その声も紹介しながらお尋ねいたしますので、市長並びに執行部の皆様方にはその声をしっかりと受けとめる気持ちで御答弁いただくようにお願いいたしておきます。  初めに、熊本地震からの復旧です。  熊本地震の発災から2年がたちました。ごく最近お聞きした事例を紹介いたします。
     南区に住むAさんのお宅は、大規模半壊で公費解体が終わっています。しかし、家屋に加えて地盤の復旧も必要なために、支援金だけでは到底足りずに復旧には進みません。地盤復旧は、宅地復旧支援事業を活用しても、かなりの自己負担が必要、自営業なので、家屋の店舗部分にはグループ補助金が活用できるはずでしたが、検討しようと思ったら第5次受け付けが既に終了していました。地盤と家屋の両方を復旧するにはかなりの費用が必要であり、いつになったら復旧に足を踏み出せるのか頭を抱えておられます。  中央区に住む80代のBさんも大規模半壊、自宅を修理して再建するということで、義援金はもらったものの、修理費用には足りずに修繕がストップ。屋根が大きく損傷していたために、地震から2年4カ月たつ今も2階から上を見上げると青空が見えます。その後の風雨、台風等で家の損傷はひどくなるばかりです。高齢のために借金もできず、復旧のめどは全く立ちません。  西区に住むCさんは半壊でしたが、仕事が住宅関係であったために、仕事に没頭して、自分のことは後回しに。気づいたら自分はみなし仮設の申し込みもすることができなかったと言われていました。  地震からはや2年4カ月、プレハブ仮設、みなし仮設に入居されている方は、7月末時点で6,600世帯。いまだ多くの方が復旧道半ばであり、先ほど紹介した3人の方は仮設等も利用されていないために、住まいの復旧道半ばの人にもカウントされていません。  そこでお尋ねいたします。  第1に、市の支援メニューというのは限られてきました。各区役所ごとに総合窓口は開設され、一般相談を初め融資や法律相談も行われていますが、ことし5月には罹災証明の申請受け付けが全て終了、弔慰金、見舞金、義援金、生活支援金等の支給以外で今後受けられる支援は、自宅再建利子補給リバースモーゲージ利子補給民間賃貸住宅入居支援助成転居費用助成宅地復旧支援伴走型住まい確保支援などで、現行支援が不十分なために置き去りにされている方々は前に進むことができません。  市長は、市内全域に13万6,000世帯、4割を超える世帯の方々が罹災判定を受けるような未曽有の災害発生に対し、まだまだ復旧に至らない方々が多数いらっしゃることをどのように受けとめておられますか。  また、全ての被災者がもとの生活に戻っていかれるような支援が必要であるとお考えでしょうか。  第2に、先ほどの事例にありましたように、いまだに事業所の復旧もままならず、仮事務所でなりわいを続けている方もおられます。事業再建のためのグループ補助金は、第5次分がことし5月で締め切られています。第6次の補助が行われるよう、県や国に働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  また、必要とする人の状況を把握していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  第3に、私どもの市民アンケートには、「一部損壊と判定され、これまで修復費用が80万円かかったが、未修理箇所がある。年金生活で費用負担に苦慮している。一部損壊世帯への支援を切望する。」との声がありました。  西日本豪雨災害被災地の広島市では、床上浸水以上、一部損壊世帯も含め、全ての被災者に一律5万円の第1次義援金を支給しています。何の支援もなくて立ち往生している被災者のためにも、本市でも全ての一部損壊世帯への何らかの支援を実施すべきではないでしょうか。  また、一部損壊、半壊も対象とし、大規模半壊以上についても、抜本的な拡充となる支援金制度の拡充を国・県へと求めるべきではないでしょうか。  以上、市長に伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  被災者の生活再建につきましては、これまで約5,000世帯を超える方々が仮設住宅から退去されるなど、住まいの再建が進む一方で、いまだ再建のめどが立たない方々が多数いらっしゃることを認識しております。被災者の支援につきましては、これまで罹災証明発行世帯を対象としたアンケート調査を随時行っておりまして、被災者の生活再建や住まい再建の状況を把握し、これに基づいてさまざまな対応を行ってまいりました。  それぞれ課題を抱えておられる世帯につきましては、各区の総合相談窓口や区ごとに開催いたします個別相談会の実施、さらには伴走型住まい確保支援事業などによりまして、個々の事情に応じた生活再建や住まいの相談など、きめ細かな対応を行っているところでございます。  引き続き全ての被災者が一日も早く震災前の暮らしを取り戻すため、被災者一人一人に寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、グループ補助金についてのお尋ねでございますが、グループ補助金については、これまでも制度継続を国へ要望してきたところでございますが、今後も商工会議所を初め経済団体や金融機関等への聞き取り調査等により、現状把握に努めますとともに、国・県へ要望してまいりたいと考えております。  3点目の一部損壊世帯に対する支援についてのお尋ねでございますけれども、一部損壊世帯に対して、災害義援金を活用しまして、住家の修理費に100万円以上を要した世帯に10万円を配分することに加えまして、本市独自で経済的な支援を要する非課税世帯ひとり親世帯に3万円を配分するなど、大規模半壊以上を対象とした法に基づく生活再建支援金の対象とならない被災者の方々への独自支援も実施してまいりました。  これまで国に対しましては、生活再建支援金等の拡充について、一部損壊世帯を含めた対象世帯の拡大や支援金の増額等について要望してきておりまして、これからもさまざまな機会を捉えて要望してまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  国への要望はよしといたしまして、一部損壊世帯への支援をやってきたと答弁されました。3万円、10万円の義援金を支給されているのは2万8,000世帯で3人にお一人です。圧倒的多数の世帯に何の支援もありません。私たちのアンケートには、「一部損壊には何もなく、言葉すらない。」という悲しい声もありました。  私たち日本共産党市議団は、8月29日に西日本豪雨災害の被災地となった広島市を視察してきました。先ほど紹介した一部損壊も含めて、全ての被災世帯へ義援金を支給するなどのような被災者の立場に立った対応を市長はどのように思われますか。  先ほどの答弁では、全ての被災者が一日も早く震災前の暮らしを取り戻すため、被災者一人一人に寄り添った支援を行うと答弁されましたが、市長の言われる被災者に一部損壊世帯は入っていないのでしょうか、伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  被災者の生活再建につきましては、これまでもさまざまな状況を捉えまして、いろいろな御意見を聞きながら支援を行ってきたところでございます。一部損壊世帯に対しても、災害義援金を活用しまして住家の修理費に100万円以上を要した世帯に10万円を配分することに加えまして、本市独自で経済的な支援を要する非課税世帯、あるいはひとり親世帯の方々、そういう厳しい状況の方々に対しましても支援を行ってきたところです。  御質問にありますとおり、十分な支援が行われてきていないのではないかということでありますけれども、これは全壊を初め一部損壊に至るまで、多くの被害を受けた熊本地震による被災者の皆様にとって、当然全ての皆様方が完全に満足のいくような状況になっていないと、もちろん私は認識しておりますけれども、その中でも私たちはでき得る限りの対応を誠心誠意させていただいているところでございまして、当然被災された全ての皆様方、罹災証明を受けていない方々の中にも、さまざまな困難をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。  ですから、そういう方々のためにも、しっかり寄り添って、各区の相談窓口でも十分に対応させていただいているところでございますし、多くのアンケート調査等々も行いながら、皆さん方の声を聞きながら、また私自身も各地域のまちづくりセンターに出向きまして、ドンドン語ろうということで、直接対話をする中でいろいろお話を聞かせていただいて、丁寧に対応させていただいているところでございます。  これからも議会からもいろいろな御提案、御質問といったものを受けまして、被災された皆さん方の一日も早い復旧・復興に向けて全力を挙げてまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  やっているとは言われましても、3分の2の一部損壊世帯に何もないということについて大変認識がないと思います。災害の規模に大小はあっても、一人一人の被災者の痛みや苦難は同じです。他県ではできる一部損壊への支援に背を向けて、一人一人に寄り添うというのは、まさに詭弁ではないでしょうか。辞書を引き直していただきたいと思います。全ての被災者の復興にさらなる支援をお願いしておきます。  引き続きお尋ねしてまいります。  第1に、昨年9月に締め切られた医療費減免・免除については、8月にその復活を願って、熊本市内での医療関係者によるシンポジウムが開催されました。熊本地震の対応に奔走された益城町と熊本市中央区の医療機関の方及び阪神大震災に取り組まれた神戸市の病院の報告がありました。  阪神大震災の報告では、震災後に仮設住宅の住民を対象にした調査で、高血圧、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、肝臓病、膝関節症、腰痛症などの疾患の発症率が上がり、原因として、震災後のストレスの多い生活環境が指摘されていました。  一方で、震災前から病気を持っていた人で、診療を中断した人の割合は3割近くに上り、その理由としては、病院が遠くなった、自己負担がきつい、医療費減免の打ち切りなどが挙げられていました。また、仮設住民の通院率は、一般家庭の1.6倍ということも指摘され、震災後の医療支援の重要性を述べられていました。  熊本でも各種調査データとして、医療費減免中止後の受診抑制が報告されています。市民アンケートには、「半壊です。家族5人全員が病気で、お金がないときは病院に行けません。減免・免除の復活を願っています。」との声もあり、現在、仮設住宅の自治会や医療機関の方々が中心となって、医療費免除の復活を求める署名活動も行われています。  このように復活を求める被災者の思いをどのように受けとめられておられるでしょうか。  また、被災者の思いに応え、苦労しながら復興に向かう人々の健康維持のためにも、医療費の減免・免除を復活すべきではないでしょうか。  第2に、熊本市内には、中央区、東区、西区、北区に1カ所、南区に2カ所の6カ所の地震計が設置されています。しかし、北区、南区では旧合併町への設置であり、人口の大半が暮らす旧市内部分に設置されていないために、以前から設置の拡充を求める声がありました。  地域住民の多くが感じた震度を報道できちんと知ることができるように設置を拡充していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  第3に、熊本地震復旧では、大規模な工事から中小のものまで、多くの工事が行われています。その多くが重層請負構造であり、公共単価で契約されているはずの工事の末端で働く労働者はかなりの低賃金という状況があります。  現場労働者の雇用状況を改善し、質の高い工事が行われていくためにも、今や公契約条例の制定は重要な課題です。熊本県弁護士会は、2012年に会長声明を出し、県下全ての自治体で公契約条例が制定されるようにと呼びかけています。  本市においても速やかに公契約条例の制定を進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  以上、市長並びに政策局長に伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  医療費の減免・免除の復活についてお答えいたします。  被災者の方々のさまざまな御意見につきましては、仮設住宅等の訪問を通じて承知しているところでございます。医療費の一部負担金免除措置につきましては、国・県及び熊本県後期高齢者医療広域連合からも特別な財政支援が終了したことから、県内全市町村保険者と同様に平成29年9月をもって終了と判断したものでございます。  本市独自の一部負担金免除措置等の実施は、国が8割補助を行ったとしましても、本市が2割を負担いたしますことから、国民健康保険料率の引き上げや一般会計からの繰り入れが必要となりまして、一部負担金免除要件に該当しない国保被保険者や国保被保険者以外の市民も含めて広く負担していただくことになりますため、一部負担金免除措置の実施は困難であると考えております。  これまでも地域支え合いセンターによる仮設住宅等への戸別訪問を通じ、被災者の個々の状況を踏まえた生活相談や健康相談等の丁寧な対応を行ってきたところでございますが、今後も引き続き被災者の皆様に寄り添った支援をしてまいりたいと考えております。  続けて、私の方から公契約条例の制定に関するお尋ねについてお答えいたします。  公契約条例につきましては、これまで千葉県野田市など条例を制定しております他都市の調査のほか、熊本都市建設業協会などの事業者団体や連合熊本などの労働者団体に対してアンケート調査を行っております。  これらの調査結果では、「条例を制定した場合、条例の対象となる労働者の賃金や雇用が安定することにより、人材の確保や技術の継承が可能となる。」といった意見があります一方で、「賃金は労働者の経験や能力、技術等によって決定されるものであり、公契約に係る業務か否かによって決定されるものではなく、公平性を欠く。」、さらには、「行政による検査の実施に伴って、事業者、行政ともに業務量、コストがかかる。」など、幾つかの課題が明らかとなっております。  以上のことから、現時点において条例制定に向けての取り組みは難しいと考えているところでございますが、労働者保護の問題は大変重要であると認識しております。このことから、実効性を含め、引き続き他都市の動向を注意してまいりたいと考えております。          〔古庄修治政策局長 登壇〕 ◎古庄修治 政策局長  私からは、地震計の設置についてお答え申し上げます。  地震計は、地震発生時の迅速かつ正確な震度情報を収集しまして、防災関係機関の初動体制の早期確立を図ることを目的に設置しているものでございます。国の配置基準では、市区町村ごとに少なくとも1カ所は整備することとなっております。  本市におきましては、春日、佐土原、大江、城南、富合、植木地域の6カ所に設置しておりまして、市域のバランスも図れていることから、今のところ増設については予定しておりません。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  医療費の復活の問題では、被災者に寄り添う姿勢が全く見られません。国民健康保険や財政がどうのと言うのであれば、東日本の国保や自治体財政はどうなっているのでしょうか。桜町再開発・熊本城ホールには500億円もの事業費をつぎ込む熊本市が、どうして被災者支援にお金を惜しむのか、私には理解できません。必死な思いで復興に向き合っておられる方々への医療費減免復活を強く要望いたしておきます。  公契約条例につきましては、他都市の動向ではなく、現場労働者の実態こそ重要です。現状の放置は、人材不足の時代に人材確保と技術の継承にも逆行するもので、そういう対応は許されません。現場の声に応えて、条例制定に向けて速やかに動き出していくことを要望いたしておきます。  地震計の答弁では、質問のオウム返しで指摘の点に答えられていません。これでは南区、北区の住民は到底納得されないと思います。区に1カ所以上となっているのですから、積極的に対応すべきです。どうぞよろしくお願いいたします。  地震の問題では、さまざまな課題がありますけれども、今後とも真摯に取り組んでいただきますようお願いしておきます。  それでは続いて立野ダムの問題について伺ってまいります。  立野ダムの建設は、8月5日に本体工事の起工式が行われて、本体工事が着手されました。しかし、起工式当日は工事現場入り口でダムの安全性、必要性に疑問を持つ県民が集まり、抗議集会も開かれました。大西市長がこれまで市民への説明責任も果たさないまま、ダム推進の立場をとられていることは大変残念で問題でもあります。本体工事は着工されましたが、7月に発生した西日本豪雨災害でダム建設を取り巻く状況も大きく変わっています。  市議会として、被災自治体をお見舞いいたしましたように、7月に発生した西日本の豪雨災害は14府県に200人を超える死者、行方不明者を出す大惨事となりました。今回の豪雨災害では、全国558の治水ダムのうち、213のダムで下流へ流れる水量を調節する洪水調節が行われました。  愛媛県肱川の野村ダムを初め、愛媛県の鹿野川ダム、広島県の野呂川ダム、京都府の日吉ダムなど、6府県の8ダムの水量が当時満杯に近づいたために、流入量と同じ規模の量を緊急的に放流する異常洪水時防災操作による大量放水が行われました。  7月7日朝から昼過ぎまで異常洪水時防災操作が行われた野村ダム下流域の愛媛県西予市では、堤防が決壊し、氾濫による浸水被害で5人が死亡するという痛ましい事態となりました。鹿野川ダム、野呂川ダムの下流域でも大規模な浸水被害が出ました。  西日本豪雨災害は、ダムの許容量を超える深刻な豪雨であったこと、また許容量を超える豪雨が発生すれば、ダムの緊急放流によって、下流域で甚大な浸水被害が発生することも明らかになりました。  今回の異常洪水時防災操作実施で、下流域に大きな浸水被害が発生した野呂川ダムや椋梨ダム、福富ダムについて、広島県は浸水の発生要因やダム操作を検証し、今後の対策や管理のあり方を検討するとし、平成30年7月豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害のあり方検討会を設置し、検証作業を始めています。その中では、貯水池への大量の土砂が流入してきたこと、浸水被害の発生要因、シミュレーションやダムの効果や課題の影響等について検証を行うこととなっています。  今やダムの建設は、流域住民の命を脅かす問題となっています。ダム下流域で発生した被害は、国の責任ということでは済まされない、流域自治体の責任が問われます。私ども日本共産党には、議会だよりを見た市民の方々から「まだダムを建設しようとしているのか。」「立野ダムに関する情報が少な過ぎる。」と疑問や抗議の声が相次いで寄せられています。  その点を踏まえて答弁をお願いいたします。  第1に、西日本豪雨災害では、許容量を超える豪雨は現実的に発生し得るということが明らかになりました。そして、ダムの容量は無限ではないために、降水量が甚大かつ長期化すれば、ダムの洪水調節はできなくなってしまうということです。このような西日本豪雨災害で実際に起こったダムの危険性について、市長はどのように認識されていますでしょうか。  第2に、西日本豪雨災害を大切な教訓とするならば、とうとい人命が犠牲になるような事態を回避するためにも、立野ダムの場合も許容量を超える豪雨が発生すれば、ダムは満水となってあふれ出し、ダム津波を引き起こす危険性があるということを流域住民である市民に説明すべきではないでしょうか。少なくとも今回の西日本豪雨と同規模の豪雨が発生した場合の状況を立野ダムに当てはめ、シミュレーション、検証し、市民に説明すべきではないでしょうか。  現行の立野ダム建設計画において、どの程度の豪雨を想定して、ダムが安全に機能していくということを確認されているのでしょうか。  第3に、今回の西日本豪雨災害は、ダムがあることによって一定規模以上の豪雨が発生した場合は、むしろダムの存在が流域に大きな被害をもたらすことがわかりました。ダムの安全性について再検証することはもちろん、広島県が行うダムの検証が終わるまで、ダム建設は一旦中止することを国に求め、流域住民の不安と疑問に応える市民への説明の機会をつくるべきではないでしょうか。原発事故でもダム事故でも、根拠のない安全神話が最も危険です。  以上、市長に伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  立野ダムに関しますお尋ねにつきまして順次お答えしてまいります。  まず、甚大な降雨量によるダムの危険性に対する私の認識についてというお尋ねでございますが、今回の平成30年7月豪雨を踏まえたダムへの認識につきましては、ダムは洪水の一部を一時的に貯留することで放流量を減らし、河川の水位を低減することにより、洪水被害を軽減させるとともに、洪水ピーク時間をおくらせ、住民に対する避難指示や避難行動の時間確保にも寄与するもので、今回の平成30年7月豪雨においても一定の効果があったものと推察しております。  しかしながら、近年災害が頻発する中においては、ダムや河川整備など、ハード整備を着実に進めることに加えまして、災害の発生が予想される場合においては、ダム管理者流域自治体が連携を強化し、住民の方々へ的確な避難指示等の情報伝達を徹底すること、さらに避難指示等を受けた住民の方々が迅速に避難行動をとっていただくことが極めて重要であると考えておりまして、本市におきましては、避難指示発令前に早目に避難行動をとっていただく予防的避難を推奨しているところでございます。  次に、許容量を超える豪雨時の安全性の確認についてでございますが、立野ダムは昭和28年6月26日の白川大水害と同規模の流量に対して洪水調節を行い、下流域の洪水被害を軽減するよう計画されております。仮に白川大水害を超える洪水により、立野ダムが満水になった場合は、ダム上部から流入量とほぼ同量の水量を放流することとなりますが、その場合もダム下流に設置されました施設によりまして、洪水の勢いを減らして、下流に流すことから、ダムからの放流により被害を拡大することはないと伺っております。  最後に、今回の豪雨被害を踏まえた立野ダムの安全性の再検証や市民への説明についてでございますが、流域住民の疑問や不安の声に対して、流域住民の理解を深める取り組みを引き続き丁寧に行っていただくとともに、立野ダムを含めた白川の治水対策を着実に推進していただくよう、先日も期成会を通じて国土交通省に要望を行ったところでございます。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  市長は、国土交通省の出先のような答弁をされましたけれども、想定外と言われる豪雨災害時の状況に対する認識が大変甘いと思います。迅速に避難するというのは当たり前です。しかし、それが異常な条件のもとでできなかったから、人命が失われるような重篤な事態となったのではありませんか。  当市議団では、8月に広島県呉市の野呂川下流の被災地も視察してきました。住民からの聞き取りでは、「サイレンは鳴ったそうだが、そんなのは聞こえなかった。一挙に水位が上がって、気づいたときには濁流は家の中まで押し寄せてきた。」と言われました。  そのお宅の前の川は、ふだんはアシの生い茂る川だそうですが、土砂と岩石に埋め尽くされ、1メートルを超えるような大きな岩もあちこちに見られました。ダムから押し寄せてくる激流のすさまじさを目の当たりにしました。  市民アンケートには、「西日本豪雨災害の教訓を踏まえて再調査を行い、必要な措置を行うべき。」「現地を見れば、立野ダム建設はだめだということははっきり断定できる。無駄な税金を使わないでほしい。」などの声がありました。  西日本豪雨災害だけでなく、今、世界中で災害の激甚化が進み、大災害が相次いでいます。ことし8月、インド南部のケララ州では、100年に一度の豪雨により、39カ所のダムのうち33カ所が貯水能力の限界に近づき放流を開始したために、下流で洪水被害が相次ぎ、106人もの死者が出たと報道されています。  河川工学の専門家である新潟大学名誉教授の大熊孝氏は、熊本市で開かれた学習会で、「地震があったからやめるとなぜ言えないのか。ダムは想定どおりの雨には対応できるが、想定外の雨には対応できないことが西日本豪雨災害でわかった。ダムを守るために放流しているが、人とダムとどっちが大事か。治水の王道は堤防にある。」と言われました。  阿蘇地域で想定外の豪雨が発生することは十分に考えられます。貯水能力の限界を超えれば、ダムは決壊するので、緊急放流が行われますが、立野ダムの場合は、流水ダムであるために、貯水量を調節する機能を持ちません。一たび穴が詰まれば、たちまちダムは満水になって決壊することになります。そのとき被害を受けるのは熊本市民ですから、市長の責任は重大です。そのことを肝に銘じて、市民の安全第一の立場で臨んでいただきたいと思います。  続きまして、市民病院の開設に関して小児循環器内科の標榜についてお尋ねいたします。  熊本地震の被災で病院機能の大部分を休止せざるを得なくなった市民病院ですが、移転建てかえでの再建が決まり、建設が進んでいます。来年度の開院に向けて、市民の願いに沿った医療が提供できる病院としてスタートできるよう、準備されていかなければならないと思います。  ことし7月、患者家族から市民病院に対して小児循環器内科を診療科としてきちんと残すことを求める要望書が提出されました。  要望書には、私たちの子供は心疾患と闘いながら、人生を歩んでいます。リスクの高い手術を受けなければならないこと、健康な子のように生きられないこと、生きられても制限を強いる生活しかできないことなど、多くの厳しい現実を前に、親である私たちは小さな体で心臓の手術を受け、泣きながら苦しい治療を受ける我が子を支えることしかできません。日常の体調管理、診断や治療、手術が必要な子の術後をフォローしてくださっている小児循環器内科の先生方、手術をしてくださった小児心臓外科の先生方や専門的な知見の深い看護師の皆さんに助けられ、今この命がつながっていると心から感謝しております。その切なる思いがつづられていました。  そこでお尋ねいたします。  第1に、要望書を拝見して、日夜奮闘しておられる現場職員の皆さんの健闘、そして子供たちを温かく見守って育てる御家族の必死な思いが、市民病院という一つの医療機関の中で結び合って、幼い命が守られていることに深い感銘を受けました。私も4人の子供を生み育ててきた母親として、熊本市と市民病院には要望されている患者家族の方々の思いをしっかり受けとめ、応えていくべきではないかと思いました。市長はどのように思われますか。  第2に、要望にありましたように、心疾患を持つ子供たちの闘病は、周産期母子医療でフォローされる新生児期で終わるのではなく、手術後も生涯にわたり、投薬治療や検査、体調管理が必要であり、成長につれて起こる他の臓器への影響等もあり、子供たちとその家族の長い闘病生活が続きます。  そして、周産期母子医療と小児心臓外科、小児循環器内科という診療科が一つの病院に一体となっており、連携しているということは、心疾患という重い病気を抱える子供たちと御家族にとって何よりの強い味方です。  市民病院は、2004年に総合周産期母子医療センターに指定され、小児心臓外科、小児循環器内科を持ち、日本小児外科学会の認定施設であり、日本小児循環器学会の修練施設となっています。熊本県下における総合周産期母子医療センターは、熊大病院と市民病院の2カ所、日本小児循環器学会が指定する小児循環器の専門医が在籍し、修練施設となっているのは市民病院だけです。
     それだけに小児循環器の分野で市民病院の果たす役割は大きく、周産期母子医療の分野とその後に続く小児循環器内科が連携して継続的に診療に当たっていくという強みを生かすこと、小児循環器内科を診療科として標榜していくことは、他の病院ではできない、市民病院にとっての大きな特徴であり、メリットではないでしょうか。  第3に、小児循環器学会が指定する修練施設となるためには、学会が定める基準等をクリアしていかなければなりません。小児循環器専門医が1名以上常勤し研修医を指導できる体制にあること、心エコー、CT、MRI、運動負荷試験、ホルター心電図、心臓カテーテル検査の設備があること、小児循環器の入院患者が100例以上あることのほか、5つの条件です。  小児循環器専門医が市民病院に在籍されていることを考えれば、その修練施設としての役割を市民病院が担っていくことは大事なことだと思います。幸いにも本年4月より新たに病院事業管理者を迎えていますので、今後、医局体制の強化・充実に力を発揮していただくことは間違いありません。  小児循環器の修練施設としての条件を満たす基準を備え、専門医の体制を堅持していくことについて、今後の方向性と取り組みを御紹介ください。  以上、市長並びに病院事業管理者にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  まず、小児循環器内科に対する要望書に対する私の認識についてでございますが、去る7月18日に熊本の小児循環器医療の発展を願う会の皆様から病院長に対しまして要望書が提出されました。  さらに、7月25日に開催いたしました市長とドンドン語ろうin龍田におきましては、私に対しまして直接家族の方から要望書をいただきました。その際、患者の皆さんやその御家族の皆様方の大変な御苦労や市民病院における小児循環器医療の継続に対する御不安、あるいはこの要望というものを私自身、真摯に受けとめさせていただいたところでございます。  小児循環器医療は、ほかに診療を行える施設が大変少なく、また市民病院は県内で唯一の小児心臓手術が行える施設でありまして、これまで大変重要な役割を果たしてまいりました。新病院におきましても、その役割を十分に担ってまいりたいと考えております。  次に、周産期医療とそれに続く小児循環器内科の連携及び診療科としての標榜についての考えでございますが、新しい病院では、子供と女性に優しい病院として、周産期医療、小児医療を充実させ、質の高い医療を提供してまいりたいと考えております。  このため、関連する診療科では、患者の皆様方の成長過程において、緊密に連携をとり、継続的な診療を行っていくことは当然のことでございまして、これは市民病院の特徴的な取り組みとして、今後とも十分に取り組んでまいりたいと考えております。  また、標榜につきましては、現在、新病院について、医師の確保も含め、全体の診療科の体制を検討しているところでございまして、患者の皆様やその御家族の皆様からいただいた御意見を踏まえて十分な検討を行うよう指示を出しているところでございます。          〔水田博志病院事業管理者 登壇〕 ◎水田博志 病院事業管理者  日本小児循環器学会が指定する修練施設についてお答えいたします。  御指摘のように、小児循環器専門医の修練が可能な施設の基準といたしましては、小児循環器専門医が1名以上常勤し修練医を指導できる体制にあること、心エコー、CT、MRI、運動負荷試験、ホルター心電図、心臓カテーテル検査の設備があること、また小児循環器関連の入院患者数や検査の施行数が一定数以上あることなどが定められております。  熊本市民病院におきましては、熊本地震前には、これらの条件を満たし、県内唯一の小児循環器医療における修練施設として専門医の育成に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、現在は診療体制が縮小しているため、MRIなどの設備や入院患者数などが基準を満たしていないことから、熊本大学医学部附属病院との共同による修練施設群との位置づけのもとで、専門医の修練を行っているところでございます。          〔議長退席、副議長着席〕  今後、新病院におきましては、熊本地震前と同じく小児循環器専門医の常勤を初め他の施設基準を満たす体制を整え、改めて学会が指定する修練施設として医師の育成を進め、市民病院の果たす役割として小児循環器医療の充実に寄与してまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  議会が決定して、基本実施設計まで済ませていた市民病院の現地建てかえが、市民や議会に相談なく、市長の判断によって白紙撤回されていた中で、市民病院は熊本地震に被災し、大きな被害を受けました。  移動が難しい患者も他の病院への搬送を余儀なくされ、命まで失われるような状況もありました。南館だけでも、もとの計画で建てかわっていたならばと思ったのは私だけでしょうか。その時々の判断が将来どのような結果を生んでいくのか、重く受けとめなければならない教訓であったと思います。  市民病院の新たな開設に向けて、どのような特徴を打ち出し、そのための診療体制をどうつくっていくのか、それが将来病院の財産になっていくようなあり方が必要だと思います。小児循環器内科の問題は、市民病院で命を守られている子供たちとその家族の思いが受けとめられ、賢明な判断をしていただきたいと思います。  小児循環器内科の標榜は、市長も患者と家族の皆様の意見を踏まえて検討するようにとの指示を出されているようですので、どうぞよろしくお願いいたします。  続けて国民健康保険についてお尋ねいたします。  ことし4月、医療、介護、生活保護など社会保障の各制度が見直され、高齢者を中心としたさまざまな負担増が押しつけられました。医療では、紹介状なしで大病院を受診した場合に、窓口負担とは別に負担が徴収される病院の対象範囲が広げられたことや、入院時の食事負担が1食360円から460円へと値上げされ、医療療養病床に入院している重症者の水光熱費が200円から370円へと引き上げられました。  後期高齢者医療保険では低所得者のための保険料軽減特例が昨年度に続き縮小され、保険料がさらに値上げとなりました。8月からは高額療養費制度の自己負担額も引き上げられました。  国民健康保険では財政主体が都道府県へと移行した中で、全国約4割の市町村で保険料が値上げとなりました。  介護保険では3年ぶりの保険料改定で、全国平均で6,000円を超える保険料となりました。利用料も介護報酬改定によって負担増となりました。  年金は据え置きですが、医療、介護等年金天引きの負担がふえたために実質的な引き下げとなりました。10月からは最後のセーフティーネットとなっている生活保護の生活扶助費が最大で5%引き下げられ、加えて母子加算や3歳未満の児童養育加算が減額されます。  本来住民の暮らしを守るべき社会保障制度が次々と改悪されて、暮らしを追い詰めています。中でも熊本市の市民所得は、全国でも最低水準、最低賃金も政令市最下位です。  私ども日本共産党市議団が行った市民アンケートでも、以前に比べて生活が悪くなったと答えられた人が6割を超えている一方で、よくなったと回答されたのはわずか6%でした。  同じく市民アンケートで、今、熊本市に一番力を入れて取り組んでほしいことのトップは、国民健康保険料の引き下げで、次に熊本地震被災者支援、貧困対策、介護保険料の負担軽減・サービス拡充と続きます。  そういう中で熊本市はことし4月に国民健康保険料を1人平均で4,300円も引き上げました。総額で7億円の負担増です。市民の痛みを市長は感じられないのかと疑問でなりません。  そこでお尋ねいたします。  第1に、大西市長就任前の10年間、国保健全化10カ年計画に取り組まれ、累積赤字の解消が行われました。結果的に最高時で82億円に膨れ上がった累積赤字は20億円にまでなりました。火の車の国保財政の中、保険料率の改定が行われたのは10年間で2回でした。  一方、大西市長は、一般会計繰り入れ赤字補填分を大幅に減額し、1期目の4年間に2回も保険料を引き上げました。熊本地震の発生した2016年度の値上げ総額は5億円、そして今年度が7億円の負担増です。政令市で一番負担の重い国民健康保険料を4年で二度も値上げをされて、市民の痛みをどのようにお感じでしょうか。負担の限界を超えた保険料引き上げを避けるような手だては考えられなかったのでしょうか。  第2に、制度上も問題の多い国民健康保険制度の矛盾を改善するためにと2015年度から拡充された国の保険者支援制度拡充分の本市への交付額は約10億円です。これがさらに今年度から新たに拡充され、約11億円分配分される予定です。この支援制度拡充分を本来の目的に沿って、保険料の抑制に使うべきではないでしょうか。  第3に、市長は6月議会の一般質問で、本市の医療費は他の指定都市と比較して高いので、保険料の引き下げは困難と答弁されました。  そこで、国民健康保険に係る1人当たりの医療費給付額の政令市比較データを見てみました。昨年度実績で熊本市が33万6,899円、それよりも医療費額が多い市が岡山市、広島市、北九州市の3市です。  一方、4人世帯の保険料モデルケースで比較した場合、この3市はいずれも熊本市より保険料が低く、広島市は9万1,000円も低く、差の少ない岡山市でも4万4,000円も低くなっています。  医療費が高いから保険料も高いという理屈は通用しません。市が努力して一般会計繰り入れを増額し、保険料を引き下げるべきではないでしょうか。  以上、市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  国民健康保険についてお答えいたします。  国民健康保険につきましては、被保険者の年齢層が高く、医療費が高くなる一方、低所得者が多いという構造上の課題がございまして、本市の国民健康保険の保険料の負担感は大変重いものがあると認識しております。  平成28年度と30年度に保険料の改定を行っておりますが、本市の国保財政は多額の累積赤字を抱えておりまして、なおかつ医療費が伸び続けていたことから、必要な保険料の改定を行ったものでございます。  次に、国からの支援制度拡充分の活用についてのお尋ねでございますが、平成30年度から拡充されました公費につきましては、既に平成30年度の保険料抑制に用いておりまして、年額で1人当たり平均約6,500円の抑制につながったものと考えております。  次に、保険料の引き下げについてでございますが、国民健康保険制度は、保険料収入と公費によって必要な保険給付費を賄う制度となっております。平成30年度に実施されました国保制度改革に伴いまして、熊本県が示す標準保険料率を参考に本市の保険料を決定しているところでございます。  また、保険料の負担緩和等を目的とする法定外一般会計繰り入れにつきましては、国の通知により解消、削減すべきものと位置づけられております。  保険料につきましては、議員御案内の事例もございますが、本市には医療費が指定都市の中で高い水準にありますこと等から、現時点では保険料の引き下げは困難であり、引き続き医療費適正化に向けた取り組みや収納率向上対策の強化などに努めてまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  毎回かわりばえのしない答弁ですけれども、るる申し上げました市民の厳しい暮らしの実感が市長の胸には届かないのでしょうか。市民の暮らしに思いをいたすならば、政令市で一番負担の重い国民健康保険料を相次ぎ値上げをするなどできないはずです。しかも、今年度の値上げは、所得割を減らして、均等割、平等割を上げるという低所得者に負担を押しつけるやり方です。  市民アンケートには、「国民健康保険が低所得者に大変な負担だということを市長は知っていますか。」「低年金者の生活基盤を揺るがす容赦ない値上げは到底容認できない。為政者の神経を疑う。」との声がありました。結局は、国民健康保険にお金は出したくないという考えだとしか思えません。  岡山市、広島市、北九州市のように、医療費が高くても、保険料を抑えている市があることをいま一度御確認し、その姿勢に学んでいただきたいと思います。市民感覚を欠いたやり方は市長としての資格が問われる問題です。  次に、さくらカードの見直しについて伺います。  ことし4月より、さくらカードの見直しを目的にした高齢者及び障がい者の社会参加促進等に関する検討会が開催されています。8月に第3回目の検討会が開かれ、7月末には幅広く市民の意見を聴取する機会として、ワークショップも行われました。  一方、さくらカード制度の見直しが始まったということで、制度の後退を懸念する市民の方々によって、さくらカードをよくする会が立ち上げられ、さくらカードは市民の宝ということで高齢者の現行制度を後退させないこと、障がい者については無料化とバス券の復活を求めて署名活動も取り組まれています。  そこで伺います。  第1に、23年間市民に大変喜ばれて利用されてきたさくらカード制度の果たしてきた役割と、今後も市民に喜ばれる制度として運用していく上での課題についてお考えをお聞かせください。  第2に、高齢者及び障がい者の社会参加促進等に関する検討会は、高齢者及び障がい者の社会参加促進や高齢者の健康づくり等に関することを検討するとともに、あわせてさくらカード制度のあり方について検討するとなっています。  わずか5回の開催で方向が取りまとめられることになっていますが、検討過程の中で市民・利用者の意見を聞く場は、7月28日に開催されたワークショップと6月、7月に開かれた障がい者の社会参加促進に関する部会だけです。  8月20日の検討会に報告された内容は、障がい者の部会ではさくらカードについて一定の意見が聴取されているものの、ワークショップではさくらカードについて意見は聞かれていません。今のままでは、市民の意見が十分に聞かれないまま検討が進むことになります。  さくらカードの見直しを正面から掲げた市民意見聴取の場を設け、きちんと意見を聞くべきではないでしょうか。  第3に、さくらカードの見直しによって、どういう影響が出てくるのか詳細な調査と検討が必要です。現在、検討委員会では、漠然と社会参加ということでの論議が行われていますが、さくらカードの効果そして制度を見直したら、公共交通の利用にどのような影響が出てくるのか具体的な検証を行い、そのデータをもとによりよい見直しを検討していくべきではないでしょうか。そのことなしには、軽々に見直しの方向性を出すべきではないと思いますが、いかがでしょうか。  第4に、障がい者部会では、社会参加促進等に関する検討会が発足されたが、本当にさくらカード制度をよくしたいのかどうか、市の姿勢がわからないという意見がありました。公共交通の利用状況は、市電については利用者数が微増ですが、バス事業については10年間で約30%もの利用減という状況です。  そういう中で、さくらカードの存在が公共交通機関の利用を促進しているということは間違いありません。その制度が、制度対象の範囲や所得制限、利用額の設定などによって、利用が抑制されることになれば、公共交通の利用促進にも逆行するのではないでしょうか。  昨今、高齢者による重大な自動車事故の発生がふえていることからも、条件があれば、高齢者の免許の返納を促進し、公共交通の利用促進へと切りかえていくことも必要ではないかと思います。交通事業者の経営の面とともに、高齢者の自動車事故抑制のためにも、さくらカード制度の利用によって、公共交通が高齢者の移動手段の基幹となる必要があると考えます。  あわせて、2012年に市が行った調査では、さくらカードの経済波及効果が30億円となっています。これも利用が促進されてこそ、効果がふえていくものであり、利用促進が効果増となります。  以上を踏まえるならば、さくらカードは利用促進の方向での見直しが必要だと考えますが、いかがでしょうか。市長に伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  さくらカード制度の果たしてきた役割と今後運用していく上での課題についてのお尋ねについてお答えいたします。  さくらカードにつきましては、制度の目的でございます高齢者及び障がい者の社会参加促進等に一定の役割を果たしていると考えております。ただ、制度開始から20年以上が経過しておりまして、急激な高齢化の進展など、高齢者等を取り巻く環境も大きく変化しておりますことから、改めて制度のあり方についても検討を行っているところでございます。  また、運用上の課題といたしましては、特に障がい者の方々の利用に当たり、ICカードへのチャージの手間や市境をまたぐ際の手続の煩雑さなど、利便性等の課題があると考えております。  検討会におきましては、さくらカード制度に限定した議論を行っているわけではございませんで、高齢者等の積極的な社会参加のあり方について、幅広く検討を行っているものでありますことから、ワークショップにおいても、このような趣旨から御意見を伺っているところでございます。  次に、さくらカード制度の見直しに伴う影響についてでございますが、昨年度実施いたしました市民アンケート調査やICカード利用履歴データ調査の結果等をもとに、今後さらに詳細な分析を行ってまいりたいと考えております。  そして、障がい者部会での御意見に対しましては、先ほど述べました障がい者の利用に伴う利便性の向上策等について検討したいと考えております。  また、制度のあり方を検討するに当たっては、さくらカードのみならず、他の施策も含め総合的に検討を行って、高齢者等の社会参加の促進につなげてまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  障がい者の部分については、ICカードへのチャージの手間や市境をまたぐ際の手続の煩雑さなど、利便性等の課題があると御認識いただいております。そしてまた、利便性の向上にお努めいただくとの答弁ですので、すぐに改善していただくようにお願いしておきます。  ただ、高齢者に関しましては、課題について御答弁がありませんでしたので、制度の何が課題なのか、高齢者、利用者にわかるような具体的な説明をお願いいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  先ほどお答えいたしましたとおり、この制度が開始いたしましてから20年以上が経過しております。制度がスタートした時点の20年前とは、高齢者の状況、あるいは高齢化の進展というものが大きく変化している状況でございます。  こうした中で逆に言えば、さくらカードの利用者が減っているという状況も伺っているところでございまして、本来であれば、社会参加の促進ということで、こういう制度も使われなければならないのですが、そうした幾つかの課題もございますし、またこの制度創設のときと現在とでは大きく社会環境が変わっている。  ですから、多くの皆さんからの御意見、そして先ほど申しましたとおり市民アンケートだけでなく、利用履歴のデータがきちんと残って結果がわかる、ICカードの分析をしっかりし、そうした課題をもう少し抽出していく必要があると考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  いろいろ長々言われましたけれども、さくらカードはもっと使われるようにしなければならないともおっしゃったかと思いますけれども、大変曖昧な点なので、1点確認したいのですが、市長はさくらカード制度を社会参加促進のために利用を促進しようと思っていらっしゃるのかお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  このさくらカードも含めて、さまざまな制度を大きく今の現状に合うように見直しながら、高齢者の方の社会参加の促進が必要だと思っておりますので、さくらカードだけが全てとも思っていませんし、逆に言えば、さくらカードを利用して、社会参加の促進につながっている方もたくさんいらっしゃるわけでありますので、そうした状況もよく踏まえながら、今の高齢化の現状を踏まえて、そして持続可能な制度をつくっていくことが重要だと認識しているところでございます。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  さくらカードも含めていろいろあるとおっしゃいましたけれども、私は、さくらカードについて利用を促進しようと思っているのかとお尋ねしたんです。何回聞いても同じ答弁しかされないと思いますので、これ以上は言いませんけれども、一番問題なのは、さくらカードを見直すという検討を始めながら、高齢者の分野については、課題が大変曖昧なまま検討委員会での見直しを進められているのではないかと懸念しておりますし、そういうことは許されないと考えております。  市民アンケートには、こんな意見がありました。「あと半年で70歳です。40年勤めて、年金は減り、近所に知り合いもなく、毎日家にいます。さくらカードで出かけるのを楽しみにしています。これからの楽しみを奪わないで。」という声でした。このような声に応えていくことこそが心ある市政と言えるのではないでしょうか。現行制度を絶対に後退させないよう強く要望しておきます。  それでは、教育施設の改善について2点お尋ねいたします。  第1は、プレハブ教室の解消です。  現在、市内には震災関連で一時的なものを除き、小学校で66、中学校で33のプレハブ教室があります。文部科学省も教室等が子供たちにとって大切な空間であるという視点から、豊かな人間性を育むのにふさわしい快適で十分な安全性、防犯性の確保、衛生面、バリアフリー、環境との共生等にも配慮されたものでなければならないとし、過去にはふえ続けるプレハブ教室の解消に向けて、文部科学省でも特段の予算措置を行っていた時期もありました。  本来、一時的、応急的なものでなければならないプレハブ教室ですが、本市の場合は10年以上のものが15教室、5年以上のものが18教室あり、3分の1を占めています。これらの長期に及んでいるプレハブ教室の解消見通しはどのようになっているでしょうか。速やかに解消すべきと考えますが、いかがでしょうか。  第2は、体育館の改修です。  地震等の災害時には避難所となる学校体育館ですが、市内には建設から40年を超えている体育館が小学校30カ所のうち1カ所は建設中で実際は29校、中学校9カ所のうち2カ所が建設中で7カ所もあります。熊本地震発災時には、建設から31年を経ていた体育館のうち、小学校16校、中学校8校が避難所として使用することができませんでした。  学校耐震化の関係もあって、この10年間、全く改修しなかった年度が4カ年もありました。学校施設課題は、その時々にいろいろあると思いますが、災害対応にもつながることは欠かさずにやるべきです。今年度中に学校施設長寿命化計画策定の予定ではありますが、施設の長寿命化はもちろん、50年近くたつ老朽体育館の改修は速やかに行うべきです。  来年度には築50年となる帯山小学校、清水小学校、既に50年を超えている花陵中、城西中、吉野中、二岡中、河内中の改修、今後いつまでにどういう計画で実施する見通しでしょうか。  以上2点、教育長に伺います。
             〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  教育施設の改善について2点お答えいたします。  まず、長期間設置されているプレハブ教室の解消見通しについてですが、本市の小中学校の現状として、少子化が進んでいる中においても、地域によっては人口流入による児童・生徒数の増加、35人の学級編制や特別支援学級の増加によって、教室数が不足しており、震災関連を除いて、現在30校に99教室のプレハブ教室を設置しています。  御指摘のとおり、プレハブ教室はあくまでも仮設のものであり、長期にわたるものは好ましいものではないと考えておりますが、児童・生徒数の将来推計や学校の敷地の建物の配置及び国庫補助の採択状況などから、校舎の増改築が難しく、やむを得ず長期にわたって設置せざるを得ない状況もあります。  プレハブ教室解消の現時点での見通しについては、今後6年間で児童数の減少、校舎増築やパソコン室の転用等によって、半数以上は解消すると見込んでいます。  今後とも児童・生徒数の推移を注視し、全体の優先順位の中で計画的に校舎の増改築を行うことにより、良好な学習環境の確保に努めてまいります。  続いて、老朽化した体育館の建てかえについてですが、耐力度調査を実施して、国庫補助の採択基準を満たすかどうか、またその中で劣化の状況や安全性などを総合的に判断し実施しております。  今年度は、既に二岡中学校の設計に着手しており、今後の計画では、当面ですが、来年度に1校、その後は各年度に2校のペースで建てかえを実施していきたいと考えております。ただし、小中学校の施設整備については、今後も多くの学校で改修や建てかえの時期を迎え、総事業費もこれまで以上に大きくなることから、建てかえだけでなく、個別の施設の状況に応じて、大規模改修などの手法も取り入れながら計画的に整備してまいります。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  プレハブ教室の答弁で、6年間で半数以上は解消される見通しということでありましたが、今でも10年以上たっているプレハブ教室の残った半数はどうなるのでしょうか。20年近くも使い続けることになりますので、きちんと解消する計画をつくるべきではないでしょうか。答弁をお願いします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  プレハブ教室についてですが、学校当たり例えば1教室、あるいは2教室のみプレハブという場合には、その1教室、2教室だけで校舎を増改築するのは難しい場合もありますので、どうしても当面残ってしまうというところがございますけれども、できる限り早急に解消したいと思っております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  どうぞよろしくお願いいたします。熊本地震が発生したときには、私も駆けつけた帯山小学校の体育館が避難所として使えなかったことは、地域住民にとって大変ショックでした。古い体育館にはトイレもありません。こういう状況が早く解消されるように、プレハブ教室の解消、体育館の改修ともに予算をきちんと確保して、スムーズに進めていかれるようお願いしておきます。  それでは続いて、暑さ対策についてお尋ねいたします。  地球温暖化もあり、年々気温は上昇していますが、ことしは熱中症による死者が5、6月の前年対比で2倍以上にふえたほか、消防庁のまとめでも、ことし夏、熱中症で搬送された人は全国で7万人を超え、過去最高を記録しました。  異常な高温状態が続く中、心配されるのは、経済的理由からエアコンが設置できない世帯や、電気代を気にして冷房使用をためらう方々がいらっしゃることです。そういう中で起こったのが、札幌市でのクーラーや扇風機がありながら、電気がとめられて60代の女性が熱中症で死亡するという事件でした。  今や高温状態は、命の危険に直結する問題として放置することはできません。経済的な困難を抱える世帯の生活状況を把握し、命を守ることは、国と自治体の重大な責任であると言わなければなりません。そういう中で、厚生労働省はことし4月以降に生活保護を受給した人、あるいは転居した世帯を対象にエアコン設置費を生活扶助費として認める措置をとりました。  しかし、せっかくの措置ではありますが、なぜ4月以降なのか極めて不十分と言わなければなりません。9月になったとはいえ、厳しい残暑が続いています。今後のことも踏まえ、暑さ対策について伺います。  第1に、生活保護のエアコン設置については、4月以前から生活保護を受給していた世帯で、エアコンのない方々が置き去りにされています。保護世帯でエアコンのない世帯の実態調査と、そういう世帯へのエアコン設置を扶助費で認めるよう国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  また、今回の厚生労働省の措置によって、エアコンを設置された世帯はどの程度あるのでしょうか、制度の周知はどのようにされていますでしょうか。  第2に、ことしは熱中症対策の周知によって、エアコンの稼働が進み、電気代が高騰しています。市として、生活保護世帯への電気代相当分の夏季加算を実施していただけないでしょうか。高齢世帯や低所得世帯、母子世帯等への電気代補助を検討していただけないでしょうか。  第3に、東京都荒川区では、一般世帯も対象としたエアコン購入助成をいち早く実施しました。本市においてもぜひ実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  以上、健康福祉局長にお尋ねいたします。          〔池田泰紀健康福祉局長 登壇〕 ◎池田泰紀 健康福祉局長  エアコンの設置に関しまして順次お答え申し上げます。  まず、生活保護世帯に対するエアコン設置費用の補助についてでございますが、生活保護受給世帯で日ごろの家庭訪問等の中でエアコンが設置されておらず、設置費用の持ち合わせがない場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金の貸し付け利用を御案内するなど、個別に相談に応じているところでございます。  議員御案内のとおり、今回の制度改正では、ことし3月以前から生活保護を受給している世帯は対象となっておりません。これは4月以降に生活保護が開始となった世帯は、期間が短く、生活費のやりくり等によるエアコンの設置費用の捻出が難しいためと考えられます。  しかしながら、実際には3月以前に生活保護が開始になった世帯であっても、真にやむを得ない事情等により、エアコン設置費用の持ち合わせがないこともありますことから、国に対して弾力的な運用を求めてまいりたいと考えております。  なお、今回の制度改正でエアコンが設置できた世帯数は20世帯となっており、本制度の周知につきましては、チラシを作成し、戸別訪問、郵送、電話などにより、全ての対象者に周知いたしております。  次に、エアコンの稼働による電気代の高騰についてでございますが、まず夏季の電気代相当額につきましては、生活保護基準額に含まれており、保護費のやりくりで賄うべきものと考えております。  しかしながら、夏季における電気代は地域に格差がありますことから、他都市とも協議してまいりたいと考えております。また、高齢世帯や低所得世帯、母子世帯等への電気代補助につきましても、本来は生活費のやりくりで賄うべきものと考えております。  最後に、一般世帯を対象としたエアコン購入助成の実施についてでございますが、東京都荒川区の助成制度につきましては、当該区の地域事情等による特別な制度と考えておりまして、生活費のやりくりにより購入している世帯との公平性や均衡性を十分考慮する必要があると考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  厚生労働省の措置でエアコンを設置されたのは、わずか20世帯とのことですが、該当する世帯はもっと多いはずです。それを把握し、必要な世帯への設置を進めていただきたいと思います。  電気代の夏季加算では、相当額が基準額に含まれていると言われましたが、ことしのように1日中エアコンをつけっ放しにするような電気代を想定していないと思います。  荒川区の配慮ある措置に学ばず、エアコンのない、使えない世帯を放置するから死亡事件が起こるのではないでしょうか。エアコンすらつけられない、あっても使えない世帯の事情をきちんと把握し、適切な措置を講じることこそ福祉です。  高齢世帯や低所得世帯、母子世帯への電気代補助については、命を軽んじるような自己責任論では済まされない問題であることを指摘しておきます。指摘した点を踏まえて、生活保護世帯及び一般世帯のエアコン設置、光熱費補助について、真剣な検討をお願いしておきます。  引き続き暑さ対策で、学校給食調理場へのエアコン設置について伺います。  熱中症の発生は、屋内が70%となっていますが、職場における発生率は12.4%、ことし4月から7月までの4カ月間に7,163人もの方が職場で救急搬送されています。昨年度から厚生労働省は、STOP!熱中症クールワークキャンペーンを実施し、各防災団体等と連携して、熱中症予防対策に取り組んできましたが、昨年度の職場における熱中症の発生状況速報値を見ると、死亡者数は7月に10人、8月に6人で、平成28年度の発生状況の確定値と比較して、4人増加する結果となっていたために、今年度も5月1日から9月30日までを期間として、STOP!熱中症クールワークキャンペーンに取り組まれています。  学校給食の現場は、火を使用するために必然的に温度が上がります。いつ誰が倒れてもおかしくないような状況で仕事をされていますが、調理場にはエアコンがありません。この夏、調理場に勤務する方から私どもの方に、どうにかしてほしい。9月に給食が始まったら、倒れる人が出てしまうとの声が複数寄せられてきました。  そこでお尋ねいたします。  1、学校給食の調理現場の暑さをどのように把握されているでしょうか。  WBGT値(暑さ指数)は把握されていますか。その評価はどうなっているでしょうか。  2、WBGT値の低減対策、作業管理、健康管理、労働衛生教育、異常時の措置はどのようになっているでしょうか。  3、救急搬送という事態が発生してからでは遅過ぎます。県下でも甲佐町などは共同調理場に冷房設備があります。本市でも2007年に建設された植木共同調理場にはエアコンが設置してあります。  昨今の猛暑を考慮するならば、速やかに調理場へのエアコン設置を行うべきではないでしょうか。せめて着がえや手洗い、水分補給の場となっている前室には大至急エアコンを設置すべきではないかと思います。  以上、教育長に伺います。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  学校給食調理場の暑さ対策についてお答えいたします。  まず、1点目のWBGT値の把握についてですが、学校給食の調理現場においては、毎日調理前と調理中に室温と湿度を計測しておりますが、WBGT値という形での把握はしておりません。しかしながら、夏の調理現場においては、室温35度、湿度50%を超える状況も見られることから、WBGT値にしますと厳重警戒または危険の分類に相当すると認識しております。  2点目のWBGT値の低減対策等についてですが、夏場の作業においては水分や塩分を小まめに補給するだけでなく、作業工程が多い献立を避ける、揚げ物の調理など熱源に近い作業の場合は交代しながら実施するなどの対策をとるよう日ごろより周知しています。  また、体感温度の低減を図るべく天井扇の活用を促すとともに、体調不良者が出ないようにエアコンが設置されている休憩室等に移動するように指導しています。  3点目のエアコンの設置についてですが、学校給食調理場は熱や水蒸気が多く発生する環境下にあるなどの問題があるため、甲佐町や植木共同調理場のように調理場の建設時にエアコンを設置するのではなく、後づけでエアコンを設置しても、室温全体を下げる効果が望めないといった課題もあることから、先ほど述べました運用面での対策に加えて、先行市などの情報を収集しながら対応を検討してまいります。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  教育長は、調理現場の実情が厳重警戒または危険の分類に相当するという認識をしていると答弁されました。紹介しましたように、職場からの救急搬送が相次いでいる状況があります。職員がいつ熱中症に倒れてもおかしくない厳重警戒または危険な状況と認識しながら放置していていいのでしょうか。エアコン設置は情報収集や検討というのではなく、直ちに手を打つべき課題ではないでしょうか。答弁をお願いいたします。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  直ちに手を打つべきということですけれども、現在、御指摘のありました前室へのエアコンの設置、あるいは空調服の導入またはスポットクーラーの導入など、方策を検討しておりますので、何とかしてほしいということでしたが、来年の夏までには何とかしたいと思っております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  ただいまの答弁では、調理場の暑さ指数は下がりません。学校現場の冷房の問題では、私たちは小中学校へのエアコン設置を長く要望してきて、前市長の時代からしてまいりましたけれども、今回で供用開始となったことは本当によかったと思っています。  しかし、災害時には避難所となる体育館や家庭科室、理科室等の特別教室へのエアコン設置は、まだ今後の課題として残されています。調理場もまた同じであります。費用の試算等もきちんとやって、国へも要望して、速やかにこれらの対応がなされるように要望しておきます。  では引き続き、中心市街地の整備についてお尋ねしてまいります。  初めに、桜町再開発と熊本城ホールです。  桜町再開発ビルと熊本城ホールの開業まで1年余りとなりました。管理運営の指定管理者との協定が本年4月に締結され、開業準備も本格化しています。莫大な投資に見合う利用が確保できるのか注視する必要があります。ことし7月から仮予約の受け付けが始まり、来年4月が本予約開始です。  そこで伺います。  第1に、熊本城ホールのメーンホール、多目的ホール、展示、イベントホール、それぞれの2019年度、2020年度の仮予約受け付け済みは何件でしょうか。あわせて手続中、誘致中はあるのか。以上、2020年度のコンベンション系、コンサート系別にお示しください。  第2に、ホールごとの稼働率の目標とその達成状況を御説明ください。  第3に、管理運営に係る指定管理料はゼロ円ですが、採算ベースとなる稼働率は何%でしょうか。  第4に、熊本城ホール運営戦略検討報告書に記載されている想定催事件数、コンベンション、イベント合わせて年間284件は、メーンホール、多目的ホール、展示、イベントホール、それぞれに何日間利用されることを想定しているのでしょうか。  第5に、コンベンション誘致のために開催助成金も含めどのような方策や支援が予定されているのでしょうか。その事業費はどのくらいになりますか。  第6に、桜町再開発ビルの商業スペースについて、予定されている150店舗のうちどれくらい決まっているのでしょうか。そのうち、地場企業の入居、元県民百貨店、センタープラザのテナントの入居については、3月と変わっていないでしょうか。地元の雇用はどの程度見込まれるのでしょうか。  市長はマニフェストに、県民百貨店の従業員の雇用問題も忘れてはなりません。再就職支援、新規雇用について配慮するよう再開発会社に求めていくことが必要と書かれていましたが、再開発会社にはどのように求められて、その結果、どう雇用に結びついているのか御説明ください。  以上、市長並びに経済観光局長にお尋ねいたします。          〔平井英虎経済観光局長 登壇〕 ◎平井英虎 経済観光局長  私の方からは熊本城ホールに関する5点の質問にお答えいたします。  まず、1点目の仮受け付け件数でございますが、8月末で2019年度5件、2020年度9件であります。また、同様に手続中が8件と15件、誘致中が14件と11件で、合計で2019年度27件、2020年度35件の問い合わせを受けているところでございます。催事別では、コンベンションが51件、コンサートやイベントが11件でございます。  2点目の稼働率の目標及び達成率でございますが、稼働率は全体で約73%でございまして、内訳はメーンホール60%、多目的ホール82%、イベント、展示ホール78%としております。  また、開業前でありますことから、達成率としてお示しすることはできませんが、問い合わせ件数は2019年度の目標に対しまして全体の7割程度であり、今後も誘致活動に努めてまいります。  3点目の採算ベースの稼働率及び4点目の年間利用想定日数でございますが、稼働率は、先ほども述べましたように全体で約73%、年間利用日数はメーンホール210日、多目的ホール285日、イベント、展示ホール272日としておりまして、指定管理者からはこの想定を踏まえ提案がなされているところでございます。  最後に、5点目の誘致支援の方策につきましては、コンベンション開催助成金のほか、MICE誘致の各種イベント出展経費や誘致戦略策定及び国際会議キーパーソン招聘経費など、平成30年度予算で約7,000万円を計上しておりますが、現在、熊本城ホールの開業を見据え、さらなるMICE誘致に向けた支援策の検討を行っているところでございます。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  私の方からは、桜町再開発ビルの店舗及び雇用関連について一括してお答えさせていただきます。  まず、商業スペースにおける入居状況につきましては、再開発事業者の方からは8月末時点で総数151店舗中、約130店舗が決定しており、そのうち地場企業は30店舗ほど、県民百貨店やセンタープラザからの再出店が20店舗ほどであると伺っております。  次に、県民百貨店従業員の再就職支援に関して、本市では相談窓口を設置するとともに、再開発事業者にも配慮いただくよう、これまで求めてきたところでございますが、現在、元従業員の方からの再就職に関する御相談等もないことから、再就職への配慮が適切になされているものと認識しております。  また、商業スペースにおける雇用につきましては約1,200人を予定されておりまして、今後も機会を捉えて、地元からより多くの雇用をしていただけるよう継続してお願いしてまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  稼働率なんですけれども、採算ベースとなる稼働率が指定管理者から提案されているとのことですけれども、その具体的な数字をお示し願いたいと思います。経済観光局長にお尋ねします。          〔平井英虎経済観光局長 登壇〕 ◎平井英虎 経済観光局長  ただいま年間の想定利用日数ということでございますけれども資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお答えさせていただきます。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  この点は大変大事であります。指定管理料がゼロで引き受けているコンベンションリンゲージ等の共同体が設定している採算ベースに現状の稼働率で採算がとれていくのか、極めて重要です。市民の税金を450億円もつぎ込んだ施設の運営見通しを示すのは、事業者としても当然、市としても当然だと思いますので、これはきちんと数字を示して、議会の方に御説明いただきたいと思います。  先ほど答弁されました稼働率の目標とその達成率から計算しますと、現在、初年度の4カ月間に利用される各ホールは、月半分の約14日程度が利用される見通しであります。稼働率にならすと約50%です。市の目標は73%という答弁ですので、全く届いておりませんし、さらに指定管理者が提案されている採算ベースの稼働率を確保しなければ、熊本城ホールは成り立っていきません。現状の利用見通しには、市民の皆さんも納得されないのではないでしょうか。常に状況を明らかにし取り組んでいただきたいと存じます。  ここで1点、先ほどの市長の答弁にお尋ねさせていただきます。先ほど雇用について、新しく約1,200人を確保されるという答弁がございましたけれども、それは正規社員であるのか、非正規であるのか、おわかりであればお答えいただきたいと思います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  先ほど御答弁いたしました新たな商業スペースにおける雇用につきまして、約1,200人と伺っております。これは正規雇用であるか、あるいは雇用形態が非正規であるのか、どういう形であるのかということについては、今、確認しておりません。ただ私の認識としては、新たに雇用される新規の雇用の方が1,200人ということで今現状お答えさせていただきました。  今後、その内容等についても再開発会社に確認させていただきまして、きちんとした地元からの雇用、そして正規雇用につながっていくようにまた求めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  雇用につきましては、桜町の再開発実施によって、約1,000人の従業員の方が働かれていた県民百貨店、あるいは100店舗以上が営業されていたセンタープラザなどが閉鎖になっております。市長は元従業員からの再就職相談がないから、配慮が適切になされていると答弁されました。  しかし、再就職への相談のあるなしという問題だけでなく、失われた雇用と地元企業の営業が桜町再開発の中でどのように引き継がれていくかということが大事な点だと思います。雇用についても、1,200人の大部分は多分非正規雇用であろうと思います。そして、センタープラザだけでも100店舗あったものが30店舗と聞けば、やはり桜町再開発は誰のための事業であったのかと思うのは私だけではないと思います。  真に地元に貢献していると言えるような店舗の誘致や従業員の雇用でなければならないと思いますし、再開発事業者としましても、事業費の大部分は税金で賄われているという自覚のもとに取り組まれ、必要な情報を提供していただくように改めて市として求めていただきたいと思います。
     続けてお尋ねいたします。  第1に、一昨年3月に策定された熊本城ホール運営戦略検討報告書の想定催事件数では、ホールの催事件数見通しをコンベンション、イベント合わせて年間284件と想定されています。しかし、よくよく見ますと、展示、イベントの79件は展示、イベントホールの利用が見込まれること、450人から750人規模の文化催事、講演会等は700席の多目的ホールの利用となる可能性が大です。そうなれば、メーンホールの利用は想定催事件数で135件程度となります。  コンベンション、コンサートを合わせて、月10件程度では、稼働目標に届かないとともに、もともとの想定催事件数自体にも問題があるのではないかと思いますけれども、御意見を伺います。  第2に、市長は交流人口増加のために必要だということで、桜町再開発と熊本城ホール整備を強行に推進してこられました。稼働率が目標値に至っていないことをどのように評価されていますか。また今後どのように改善していかれるおつもりでしょうか。  第3に、3月議会で指摘しましたように、1年半ないし2年程度の準備期間が必要となるコンベンションの誘致は、初年度かなり難しい時期となっています。今後はコンサート誘致も進められると思いますが、コンベンションとコンサートでは、経済波及効果が大きく違います。年間170億円と試算されていた経済波及効果が現状の利用見通しからどう変わってくるのか御説明いただきたいと思います。  以上、市長に伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  3点のお尋ねについて順次お答えしてまいります。  まず、1点目の熊本城ホール運営戦略検討報告書に記載されました想定催事件数についてでございますが、興行関係者や文化関係者等に対するヒアリング等を行い、ホールの立地や特性を踏まえて試算しているものでございます。  また、現時点の仮受け付け件数は国際会議や全館使用の大規模催事等を対象に先行的に行っているものでございますが、今後、イベントでありますとか、コンサート等の誘致が本格化することや、一般受け付けが開始されますことから、想定催事件数は達成されるものと考えております。  2点目の費用対効果及び3点目の経済波及効果の見通しについてのお尋ねでございますが、想定催事件数をもとに1年間の経済波及効果を先ほど議員述べられましたとおり約170億円と試算しておりまして、費用対効果は十分この点で見込まれるものと考えております。  今後も指定管理者及び熊本国際観光コンベンション協会等の関係機関と連携いたしまして、この経済波及効果の達成はもとより、市民の皆様が上質な文化に触れる機会がふえることによりまして、文化レベルの向上、あるいは満足度の向上など、数値でははかれない効果も発揮できるようにさらに努めてまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  いろいろ答えられましたけれども、その程度の説明では、私も含めて多くの市民の皆さんはよくおわかりにならない、納得できないのではないかと思います。  3点目の経済波及効果の170億円の点につきましては、達成したいというお気持ちはわかりましたけれども、コンサートとコンベンションでは経済波及効果が大きく違ってくるという点についてどのようにお考えなのか、現状にあわせてこれをきちんと検証する必要があると思いますけれども、この点の答弁をお願いいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  経済波及効果も含めてですけれども、まだ仮受け付けの状態で、今、議論させていただいております。ただ、仮受け付けの状況であっても、これだけの反応があって、これから一般受け付けをするとなりますと、相当なニーズがあるものと、期待値が高いものと私自身は現時点では考えているところでございます。  なお、約170億円と試算しております中で、例えばコンベンションで言いますと、学術会議でありますとか、こうしたものが既に引き合いもございまして、こうしたものはかなり大きな宿泊でありますとか、飲食が伴うということがあります。ですから、その分の1回当たりの単価というもの、あるいは経済に与える影響というのは非常に大きいものがあるということで認識しております。  一方で、例えばコンサートでありますとか、そういうエンターテインメントというものは、そうしたものと比較しますと若干単価というものは変わってくる、あるいは経済波及効果というものは変わってくるかもしれませんけれども、しかし県外から多くのお客さんが見える、あるいは今まで熊本では開催されていなかったもので、福岡の方に行かざるを得なかったような人たちが、逆に交通費を使わずに熊本の方でコンサートを見ることができるなど、そういう意味では非常に経済波及効果という意味では、目に見えないものも含めてですけれども、かなり大きいものがあると考えておりますので、これは今後本格的に受け付けがスタートして、そして今後の誘致等々にも特に今経済波及効果が高いと言われておりますコンベンションに力を入れていくと同時に、民間のさまざまな催事、そして市民の皆さんに楽しんでいただけるようなエンターテインメントも充実させるように一生懸命取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  コンサートとコンベンションでは、大いに波及効果が違うという点を十分御認識いただきたいと思います。誘致推進のためには、MICE施設を持つ各自治体が開催助成金なども出します。しかし、本市においては国際会議であっても、国内コンベンションであっても、最高100万円です。  他都市では国際コンベンションで最高は、国内最大級のコンベンション施設、幕張メッセのある千葉市が2,000万円、国内コンベンションでは北九州市が1,000万円を出しています。箱物建設先ありきで進んできた本市のコンベンションに対するあり方と真剣にコンベンション誘致に取り組んでいる自治体の向き合い方は全く違うように思います。  ランニングコストに含まれない開催助成金等の誘致費用も含めれば、コンベンションの推進にどれだけの費用が必要となっていくのでしょうか。建物の建設にも、その維持管理にも、そして誘致にも、多額の費用をつぎ込みながら、稼働率が達成できなければ、その費用対効果は問われます。  私どもは450億円もの事業費を投ずる大型再開発への熊本城ホール整備が、熊本地震からの復興という大きな課題を抱える中で本当にやっていける事業なのか、市の財政負担も心配していましたが、今でもこの事業が必要なのか疑問です。  熊本城ホールの床単価は、補助金を充てても1平方メートル当たり93万円、都心の超豪華ホテルよりもはるかに高い床代ですが、補助金分も本来は床単価に入るので、実際の床単価はもっと高いわけです。こんなに高い買い物をして、十分に活用されなければ、その責任が問われると思います。  それでは続いて、市庁舎の問題でお尋ねいたします。  熊本市役所本庁舎について、長寿命化、耐震補強に向けた調査検討を目的に昨年実施された本庁舎整備計画作成業務委託の報告書がさきの6月議会開催中に公表されました。結果として、市役所本庁舎が防災拠点施設及び一般施設としても基準を満たさないことが判明し、参考として示された、建てかえれば建設費だけで300数十億円から400億円もかかること、ライフサイクルコストまで含めれば1,000億円近い費用が見込まれるということに多くの人がびっくりされていると思います。  この結果がひとり歩きすることなく、整備計画作成業務のあり方、妥当性を検証することや、市民への説明責任も果たしていくことが必要です。  そこでお尋ねいたします。  第1に、本庁舎整備計画作成業務委託は、委託された設計会社からことし3月に報告書が提出されています。その報告書が議会に説明されたのは6月5日の公共施設マネジメント調査特別委員会でした。なぜ速やかに議会への報告をされなかったのでしょうか。  第2に、本庁舎整備計画作成業務委託は、長寿命化、耐震補強に向けた調査検討を行うことが目的であったはずですが、なぜ建てかえの検討も業務に加えられたのでしょうか。建てかえを検討に入れるというのは、どこの判断で、いつなされたのでしょうか。  第3に、本庁舎整備計画作成に2016年10月に本庁舎ほか被災度調査業務委託、建物被災度調査報告書が取りまとめられています。本庁舎の建てかえまで視野に入れた本庁舎整備計画作成業務委託の実施に当たっては、被災度調査報告書の結果をどのように精査して検討されたのでしょうか。  第4に、本庁舎整備計画作成業務委託は、2017年10月13日に契約され、その後始まっていますが、そこでは中央区役所を花畑町別館跡地に整備する建物へ移転することを本庁舎整備の前提としています。  一方、中央区役所を花畑町別館跡地ビルへ移転することを盛り込んだ花畑町別館跡地の利活用に関する基本構想は、2018年3月に取りまとめられました。花畑町別館跡地の基本構想も定まっていなかったときに、なぜ区役所の移転を前提にした整備の検討を指示されていたのでしょうか。  第5に、建てかえも含めた本庁舎整備は、今後の熊本市にとって市政全般にも影響を及ぼす大きな課題となります。全市民的な意見聴取や論議が必要となります。本庁舎の長寿命化、耐震補強、あるいは建てかえの問題について、市民への説明や意見聴取、論議はどのように行われるのでしょうか。  第6に、市庁舎問題は、本市の将来と市政全般にかかわる重要案件です。先ほど減築等の手法の検討などを提案しましたが、今回提案されている整備計画報告書だけでなく、複数の診断を行うことや今回の報告書について複数の専門家による慎重な議論の場を設けるなど、慎重で丁寧な調査と検討を行っていくべきと考えますが、今後どのように進められていくのでしょうか。また、方向性を決める判断は、これら丁寧で慎重な検証の結果を踏まえてなされていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。市長に伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  市庁舎の問題について順次お答えさせていただきます。  まず、議会への説明が6月となった理由についてでございますが、本年3月末に委託報告書を受納いたしましたが、その内容が防災拠点施設及び一般施設としての基準を満たさず、加えてその耐震改修にも大きな支障があるという調査結果であったことから、この報告書への対応について慎重に検討いたしまして、市議会、市民の皆様に丁寧に説明する必要があると判断いたしました。そこで、6月5日の公共施設マネジメント調査特別委員会に報告させていただいたものでございます。  次に、建てかえを検討に含めた経緯についてでございますが、今回の調査におきましては、あくまでも長寿命化と耐震性能確保が目的でございまして、これらに要する概算経費に対しまして、経済的な比較検証を行うために建てかえも含めてシミュレーションを実施したものでございます。  次に、平成28年度の本庁舎の被災度調査結果の反映についてでございますが、平成28年度は建物の沈下や傾斜など、熊本地震による現状の影響を調査したものであって、本庁舎は継続使用可能という結果でございました。  平成29年度の調査では、その結果も踏まえた上で長寿命化と耐震性能確保に向けて、防災拠点となるべき本庁舎の耐震性能の評価を具体的に実施したものでございます。  次に、中央区役所の移転についてでございますが、大規模改修及び設備のみ長寿命化改修のケースにおきましては、本庁舎のいずれかの部分を一旦移転した上で庁内における、いわゆる玉突き移転というものを行う必要があるということから、仮定として、中央区役所を最初に移転させるという設定をしたものでございます。  そして、今後の市民への説明、意見聴取等々の場というお尋ねについてでございますが、市民の皆様へは本年6月に議会にお示しいたしました調査結果について、既に本市のホームページで公開させていただいておりまして、今後とも市民の皆様に対しても広く正確かつ迅速に情報公開を行いながら、幅広く御意見を聴取していく必要があると考えております。  最後に、今後の進め方についてでございますが、前回の議会において、専門家などによる客観的な検証も必要という御指摘、御意見もございましたことから、それらの検討内容については現在取りまとめ中でございまして、公共施設マネジメント調査特別委員会においてお示しいたしたいと考えております。  また、実際に熊本地震を経験した本市といたしましては、災害時の復旧・復興の中枢機能を担う本庁舎の耐震性確保は決して先送りできない重要な課題であることから、今後とも十分な御議論をいただきながら、丁寧かつスピーディーに進めていく必要があると考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  1点お尋ねいたしたいと思います。中央区役所を市役所改修の前提条件とされている点につきまして、その答弁で、改修を進めるに当たって、事務スペースを玉突き的に移転しながらというのが理由と言われました。  耐震改修が難しいという結果が出ている今、花畑町別館跡地の複合ビル建設の話は今どうなっていると考えればいいのでしょうか。市役所本庁舎に加え、花畑町別館跡地ビルも一緒に建設することもあると理解するのでしょうか。それとも花畑町ビルは今の時点で凍結と考えるのでしょうか、伺います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  今、花畑町別館の問題についてどう考えているのかということでございますが、いずれも玉突きのものも含めてですけれども、中央区役所の移転ということの想定も、本庁舎を大規模に改修して長寿命化していこうということで考える中で検討していたものでございます。  よって、今回その後に詳細に調査した結果の中で、先ほども述べましたとおり、防災拠点となるべき本庁舎の耐震性能に非常に問題があるということが出ておりますので、こうした花畑町別館跡地の従前の計画も含めて、全面的に御議論いただきながら見直していかなければならないと考えているところです。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  はっきりいたしませんでしたけれども、市役所の問題については、長寿命化、耐震改修と言いながら、業務委託においても建てかえを含めた検討が始められているということについて、もともと建てかえは視野にあったのではないか、この点を大変疑問に思っております。  市民への説明では、委託業務報告書概要版がホームページに掲載されているということですが、業務委託報告書の原本や報告書策定に係る設計事務所と市とのやりとりの経緯なども含めて書類を全て公開し、専門家も含めた幅広い意見聴取を行うべきです。  市民アンケートには、建築士としての意見ですということで、上層階のみを解体して、重量を軽くして、耐震基準に合わせるよう改築し、基礎部分を補強すれば、現建築物が活用できるので、費用が安くて済むのではないか。現在の建築技術をもってすれば可能であるなどの意見もありましたが、誰もが納得できるような根拠のある方向性の検討を慎重に丁寧に行っていくべきであると思います。  それから、これまで桜町再開発への熊本城ホール整備や市役所本庁舎整備問題など、莫大な費用のかかる事業についてお尋ねしてまいりましたが、桜町再開発事業の熊本城ホール整備に500億円近い事業費をつぎ込んでいるときに、花畑町別館跡地への民間複合ビル建設や本庁舎建てかえ等の莫大な費用が考えられる事業が検討されていることに、市の財政を心配するのは私だけではないと思います。  そこで市長に伺いたいと思います。  第1に、本市は現行の公共施設等総合管理計画で、公共建築物及びインフラ資産の維持管理・更新に今後40年間で約2兆円、毎年500億円という莫大な費用を予定しています。その中に花畑町別館跡地のビル整備、市庁舎整備、JT及びNHK跡地への施設整備の費用は幾らで反映されているのでしょうか。  第2に、桜町再開発への熊本城ホール整備に500億円近い事業費をつぎ込んでいる中で、それ以上の費用が必要となってくるような花畑町別館跡地ビル整備と市庁舎整備及びJTやNHK跡地への施設整備費については、財政的な面をきちんと市民へ説明し、合意を得ながら方向を検討していくべきではないでしょうか。  第3に、これらの事業は今後の市の財政運用に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。数々の箱物建設のために大切な住民サービスが犠牲になるのではないかと心配しますが、住民サービスは後退させないと市民にお約束はできるのでしょうか。  以上、市長にお尋ねいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  昨年3月に策定いたしました公共施設等総合管理計画におきましては、平成27年4月時点で市が所有しておりました公共施設等の建てかえ等に係る費用について、平米単価及び延べ床面積のみを用いて、目安となる水準を算出しておりました。  具体的には、花畑町別館につきましては、建てかえ経費として約30億円、その後の大規模改修経費として約19億円、本庁舎については大規模改修経費として約99億円、その後の建てかえ経費として約159億円と算出していたところでございまして、JT及びNHK跡地の保存活用に係る経費は含まれておりませんでした。  一方、その後、本年3月にお示しいたしました本市の財政の中期見通しにおきましては、各局の事業計画等を参考に花畑町別館跡地利活用に係る経費として約40億円、本庁舎の大規模改修に係る経費として約200億円、JT及びNHK跡地の保存活用に係る経費として約24億円を見込み、これらに対する財源として、国庫補助金や災害復旧事業債を活用するほか、市債の発行等による対応を想定しておりました。  今後、実際の事業実施に当たりましては、改めて必要となる予算やその財源及び本市の負担も含め、市民や議会の皆様に丁寧に御説明してまいりたいと考えております。  先ほど御説明いたしました財政の中期見通しにおきましては、今後実施予定の各事業や熊本地震の影響も含めた財政状況について、財政指標の著しい悪化は招かないものの、今後、年間約5億円程度の収支不足が生じると推計したところでございます。  そうした状況を踏まえまして、今後の財政運営におきましても中長期にわたり国・県等の有利な財源を最大限に活用しながら、収支改善に向けた自主財源の涵養や官民連携の推進などにより、市民サービスの低下を招くことがないよう取り組んでまいりたいと考えております。          〔34番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  答弁されました中期財政見通しでは、今後5億円ほどの収支不足が生じる推計と言われましたが、これに市民サービスに必要な費用を削減せずに市庁舎問題等に対応すれば、5億円と言わずに毎年何十億円もの収支不足になるとも思われます。公共施設等総合管理計画でも、今後必要経費を加えていけば、700億円以上の費用負担がふえて、現行計画は大きく見直さなければならないと思います。  市民サービスの後退は招かないように取り組むと答弁されましたが、大型箱物に莫大な税金を投入する一方で、市営住宅1万3,000戸の維持管理費には年間2,000万円の予算しかなく、600万円が捻出できずに、市の責任で当然行うべき新地団地の敷地内の草刈りすらできない状態もあります。防犯上の問題ですし、直ちに行うべきではないでしょうか。余りにもお粗末です。  大西市長になって、国民健康保険料が2回も値上げされ、介護保険料も後期高齢者医療保険料も値上げです。子供医療費も対象年齢は上がったものの、自己負担は3倍近くに引き上げられています。このように、次々と負担がふえれば、市民サービス低下とは言われないでしょうか。  先日視察した広島市では、熊本地震の項目で紹介した一部損壊世帯への義援金のほかに、自宅修理中であれば一部損壊世帯でも仮設住宅に入居できることや、生活必需品の支給では、市独自にエアコンを含む家電7品目を支給するなど、被災者の要求に沿った支援が行われていました。こういう対応こそ行政のトップに求められていると思います。  私も引き続き市政をチェックする側でこれからも頑張っていきたいと思います。  質問は終わりますけれども、本日は大変お忙しい中、傍聴においでいただいた皆様、インターネット中継をごらんの皆様、長らくの御清聴大変ありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○田辺正信 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                             午後 0時01分 休憩                             ───────────                             午後 2時00分 再開 ○くつき信哉 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ──────────────────────────── ○くつき信哉 議長  一般質問を続行いたします。大石浩文議員。          〔21番 大石浩文議員 登壇 拍手〕 ◆大石浩文 議員  皆さん、こんにちは。昨年9月より自由民主党熊本市議団の末席を汚すことになりました大石でございます。今回、入団後初めての質問の機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様に対しまして、心から感謝を申し上げます。  本日未明に北海道胆振地方を震源とする強い地震が発生し、安平町で震度6強、千歳市で震度6弱などが観測されており、崖崩れや家屋の倒壊などにより、多数の方の安否不明やけがが報告されており、大きな被害が発生しております。  けさのテレビに映し出される光景は、2年半前の熊本地震とオーバーラップするものであり、胸が締めつけられるような思いでもあり、自民党市議団一同、被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、余震の発生など、今後さらに被害が拡大しないことを祈りたいと思います。  一昨日には台風21号の通過により、大阪などで11名の死者、460名のけが人や関西空港の閉鎖など、こちらも多くの被害が発生いたしました。重ねて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。  災害列島日本に暮らす私たちにとって、まさに災害への備えに終わりはないことを痛感いたします。  そのような中、今回は3年ぶりの登壇でかなり緊張しておりますが、現在の質問者の座る最前列の席は多くの方が1期目に座る議席であり、私もその席に座りますと、初めての議会のときに入場後、議場の雰囲気に足がぶるぶると震えたときのことを思い出します。  本日の質問は、あのときの初々しかった自分に返って、汚れのない気持ちで行いたいと思いますので、市長を初め執行部の皆様には同様に偽りのない明快な御答弁をいただきますようお願いいたしまして、時間には厳しい我が会派でございますので、早速通告に従い質問に入らせていただきます。  それでは、最初の創造的復興を目指しての最初の項目、市長の政治姿勢についてであります。  北朝鮮の核の脅威によって国際情勢に緊迫感が増す中、6月12日、シンガポールで非核化へ向けての史上初の米朝首脳会談が行われ、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の動向、一挙手一投足に世界中の注目が集まりました。そして今、そのトランプ政権が掲げるアメリカ第一主義、アメリカファーストが世界の自由貿易を揺さぶっており、アメリカと中国の貿易戦争が激化しつつあります。  世界経済をさま変わりさせようとしているこの特異なリーダーは、自身のツイートで自分の思ったことをそのままつぶやき、悪びれることなく、日々国際社会に大きな影響を与え続けているのです。  現在の国際社会では、トランプ大統領や金正恩朝鮮労働党委員長だけでなく、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、トルコのエルドアン大統領のような独裁者的なリーダーが存在感を増しているようであります。  また、先月の夏休みのシーズンにおいても、世界各国の首脳はワーキングバケーション、働きながらの休暇が目立ち、休暇中も精力的な活動を示し、強いリーダーといったイメージを発信しようとその狙いが透けて見えるなど、各国首脳ともトップリーダーとして国民を意識した強い指導者像の演出に余念がなかったようであります。  また、国内を見てみますと、明日7日に告示されます自民党総裁選では、安倍一強と言われる中、3選を狙う安倍首相に対し、正直・公正な政治を掲げた石破元幹事長が挑み、成長戦略、政治姿勢や憲法改正などをテーマに、実質的な次期総理の座をめぐる6年ぶりの熱い戦いが既に始まっております。  そのような中、大西市長は本議会の冒頭、2期目への出馬を表明されました。4年前の平成26年12月に第32代の市長に就任され、誰もが憧れる上質な生活都市熊本の実現を目指しみずからのマニフェストの実現に取り組まれる中、就任1年半を待たずしての熊本地震の発生により、被災者の生活再建を最優先に、早期復旧へと先頭に立って指揮をとり続け、そして復興の加速化とともに未来への礎づくりへとスピード感を持ってさまざまな課題に取り組んでこられたわけであります。
     被災した市民一人一人が元気を、そして夢と希望を取り戻せるように、休むことなく、勇猛果敢に全力で走り続けてこられた市長の政治姿勢に対しては、私も心からの敬意を表する者の一人であります。  そこで、今回の出馬表明については、お伺いしたいことは数多くございますが、昨日の質問においてもそのお考えが示されておりますので、私からは少し角度を変え、市長の現在の思いと決意をお尋ねしたいと思います。  まず1点目としては、市長は本市のトップリーダーとしてのみずからの任期4年間を検証された中で、リーダーとはさまざまな局面で何を問われ、どのような力、資質が求められていると感じられたでしょうか。  2点目として、今回2期目への挑戦を決意された中で、今後本市の直面するさまざまな困難に対処していくために、どのようなリーダー像を目指し、自治体首長として指揮をとっていこうとのお考えをお持ちでしょうか。  また3点目に、1期目のマニフェスト作成に当たっては、政策立案会議を各地で開催され、多くの市民の声を聞き、かつ議論することで、本市の抱える課題を整理し、130項目の政策集としてまとめ、市民の要求、提案であるこれらの公約を政策としてその実現へと取り組んでこられたわけですが、2期目の公約についてはどのような考えをお持ちでしょうか。  以上3点について、大西市長みずからの言葉でそのお考えをお示しいただければ幸いです。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  お尋ねのリーダーに求められる力、また資質についてお答えさせていただきます。  私は前回の市長選に際しまして、多様な意見を丁寧に聞き、その中で問題を的確に捉え、整理し、方向性を与える、そして先頭に立つのがリーダーたる者の姿ではないか、こういう思いから、市内各地で政策立案会議というものを開催いたしまして、市民の先頭に立って市民の要求、提案を実現させると決心して、現在に至っているところでございます。  そして、実際に4年前に市長に就任いたしましてから、その後市長を経験し改めて感じたことは、基礎自治体の首長は、市民一人一人の生命や生活に直結する幅広い分野において、限られた時間、情報、財源の中で重要な政策判断を行うことが求められているということであります。そして、その責任は極めて重いものがあるということでございます。  そのことを特に強く実感いたしましたのは、熊本地震の発生後の対応でございました。熊本地震が発生した際には、一刻を争うという状況の中で被災者の利益を最優先にした対応を図ることはもとより、赤ちゃんとお母さんの命を守る拠点病院、あるいは市民の皆さん方の生命を守る市民病院の早期の移転再生、そしてさらには復興半ばであっても学校施設への空調機、エアコン等の導入を推進していくなど、過去そして現在、そして将来を見据えて決断させていただき、そのことで市議会のほうでも議論していただき、決定し、認めてきていただいたところでございます。  これまでの経験を踏まえ、私なりの市長として必要なリーダーシップについて率直に申し上げますと、先ほど申し上げましたような問題を的確に捉え、そして整理し、先を見据えて、今進むべき方向性を与える力に加えまして、わかりやすく市民の皆さんに伝える力、あるいは市民の皆様から信頼されるよう、謙虚で真摯な姿勢といったものも非常に重要であると感じています。  次に、お尋ね2点目の目指すリーダー像というところでございますけれども、市長就任2年目に熊本地震に見舞われたわけでございますが、発災直後から今日に至るまで、現場での陣頭指揮をとり、さまざまな政策判断を行った経験の中で、私は先ほど申し上げたリーダー像というものが間違っていなかったと改めて確信しております。  一方で私自身を振り返ったときには、まだまだそうしたリーダー像には足りない、及ばない不十分な点があると認識しておりますので、いろいろな形で精進していかなければならないと思っております。  ただ、さまざまなリーダー論というものが世の中にございまして、私も折に触れていろいろな著書を読ませていただいているわけですが、例えばハーバードビジネススクールの名誉教授でありますジョン・コッター氏は、著書リーダーシップ論の中で、リーダーとは変革を行う人、具体的には組織が進むべき方向やビジョンを示し、メンバーに方向を理解させ、各自の心をまとめて変革をなし遂げる人と定義しています。  ビジネスの世界とはいえ私のリーダー像とも共通するものであり、理想とするリーダー像に少しでも近づけるようにさらに精進いたしますとともに、市民の皆さんの先頭に立って変革を行う人として、少子高齢化や人口減少社会の進展、あるいは技術革新など、新しい時代の波に対応するビジョンを示し、そしてまちづくりの主役である市民の皆さんの潜在力を引き出しながら、市民の皆さんと一緒に新しいまちづくりに挑戦していきたいと考えております。  最後に、2期目のマニフェストについてでございますが、まずは熊本地震からの完全なる復旧・復興をなし遂げなければならないと考えております。加えて、熊本のあすを担う次世代の育成、そして市民の皆様が日々健康で暮らせるまちづくり、また新たな投資を呼び込む中心市街地の活性化、さらには気軽に移動できる公共交通の充実などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  具体的なマニフェストの作成については、現在これから行っていくわけでございますけれども、実際の告示の1カ月前ほどには、できるだけ早い時期に取りまとめて発表し、そして市民の皆様にも先ほど申し上げたようにわかりやすくお示しさせていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  市長、ありがとうございました。市長の言葉のように、この4年間は厳しい状況の中、限られた時間で重い判断を下す日々の繰り返しであったと推察いたします。市長の言葉には重みを感じるものであります。トップリーダーとして、休むことなく勇猛果敢に復旧・復興へ取り組む姿に、多くの市民が元気と勇気を取り戻すことができたのではないでしょうか。市長が目指すとされる、市民の先頭に立って変革を行う人として、市民とともに新しいまちづくりに挑戦していただくことに期待いたします。  それでは、次の中心市街地グランドデザインについてに入らせていただきます。  先月21日、県、市、熊本大学、熊本経済同友会、熊本商工会議所でつくるくまもと都市戦略会議が、熊本地震からの復興に向けた中心市街地の成長戦略として、観光交流や都市基盤整備などに関する10のプロジェクトを掲げ、今後10年間に産官学連携で進めることで合意したとのことであります。  これは経済2団体が1月に発表した将来ビジョン、グランドデザイン2050から優先して取り組む項目を選定し、目指す姿を世界に拓く城下町都市としたものであり、近く実務者組織を設け、事業化に向けた役割分担や優先順位などを詰めるとしています。  内容を見てみますと、このプロジェクトに掲げた各事業を進めることで、中心市街地を県全域の経済浮揚を牽引するエンジン役とする考えが示されており、具体的には市役所周辺を熊本の顔と位置づけ、エリア一帯の整備構想を策定し、熊本地震で被災、老朽化した区画の再開発に取り組み、都市空間の形成と防災機能の強化を一体的に進めるとのこととなっております。  また、熊本城は観光振興や交流人口をふやす戦略の中核に据え、旧NHK熊本放送会館や日本たばこ産業熊本支店跡地周辺を歴史公園として利活用し、地震の被害が大きかった新町、古町地区など城下町の歴史的町並みの再生にも取り組むこととしています。  加えて、熊本空港やJR熊本駅など交通拠点とのアクセス強化も図り、九州の国際交流拠点を目指すものとし、企業家支援や社会人教育の充実などで、人材の流出を抑えるとの計画のようであります。  この会議終了後に会見した大西市長は、県と市が連携し、さまざまな計画に反映させることで実効性を担保したいと、実現に強い意欲を示されたとの報道もなされております。  1月に発表された当初の網羅的な提言の中から、産学官連携で10のプロジェクトに絞り込んではありますが、発想を変えての大胆な取り組みが必要なものも多くいずれも難しい問題で、今後実現を目指すには産学官挙げての強力な推進体制とともに、行政のリードと財源の裏づけはもちろんのこと、大規模な民間投資の呼び込みが不可欠ではないかと感じております。  そういう中で特に私が興味を引かれたのは、3つの戦略のうちの1つである都市基盤再生戦略において、熊本城前エリアにおける上質な都市空間の創出と題した市役所周辺のエリア一帯の再開発による整備構想の策定についてであります。  当然ここで避けることができないのが、まさに中心に位置する市役所本庁であり、耐震不足が判明した市役所建てかえの問題と重なってくるわけであります。この市役所建てかえについては、私個人の意見としては、単なる市庁舎の現地建てかえだけでなく、隣接の市の駐車場、花畑町別館跡地、加えて千葉城町のNHKとJT跡地を含めてトータルでその利活用を検討する中で、長期的な視点を持って、移設を含めて慎重に議論すべきとの考えを申し上げてきました。  今回示されたプロジェクトでは、市庁舎自体についての具体的な記載はありませんが、文面から読めば、今後10年間で市庁舎、駐車場、花畑町別館跡地を含めた一帯において、規制緩和を伴う土地の高度利用による再開発によって、新たな都市空間をつくり上げる、そのことに産学官が合意し、市長も実現に意欲を示されたこととなるわけであります。  この市庁舎建てかえの問題については、市長は議会とも相談し、スピード感を持って慎重に決めていくといった趣旨の発言しかなされておりませんが、私は土地の高度利用による再開発によって新たな都市空間をつくり上げるとの考え方には賛同いたしますし、場合によっては、市庁舎移転により熊本の顔と位置づける現在の市役所周辺を、大規模な民間投資を引き出す場として、エリア一帯にオープンスペースを備えた再開発による整備構想を策定しようとの方向性には、未来への夢と大きな期待を感じました。  この市役所一帯を、例えれば東京赤坂の防衛庁跡地を再開発し誕生したホテル、ザ・リッツ・カールトン東京を核とした東京ミッドタウンのような洗練された新たな都市空間へと変える、熊本版ミッドタウン構想とも言えるような取り組みではないでしょうか。  そこで市長にお尋ねいたしますが、市庁舎耐震不足が判明し、建てかえ等の問題を抱えている中、今回産学官が合意した内容にある、熊本城前エリアにおける上質な都市空間の創出には、市役所周辺エリア一帯の整備構想を策定し、被災、老朽建物の面的更新、再開発の促進、土地の高度利用及び防災機能の強化等を図ることとしてありますが、今述べましたような、市庁舎の移転も含めた現在の市役所周辺における大規模な民間投資を引き出すような再開発による整備構想について、どのように受けとめられていますでしょうか。市長みずからの考えをお示しください。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  中心市街地グランドデザインについてお答えいたします。  先月開催いたしました都市戦略会議におきまして、熊本地震を契機に、高度で上質な空間をつくり、人々が集まる都市の創造を目指すことで産学官で合意いたしまして、3つの戦略と当面10年間で取り組む10のプロジェクトを掲げております。この中で、熊本城前エリアにおける上質な都市空間の創出を都市基盤再生戦略のプロジェクトの1つとして盛り込んでいるところです。  この市役所周辺を含む熊本城前エリアは、グレードの高いホテルの誘致など、域外からの投資を呼び込むポテンシャル、潜在力が高い地域であると考えておりまして、都市ブランドを牽引する都市機能や公共空間を備えた城下町都市の新しい顔として、この地域の再整備を進めていくことは、グランドデザインが目指す、世界に拓く城下町都市くまもとを創造していくための重要なプロジェクトと捉えております。  なお、本庁舎のあり方につきましては、現在、公共施設マネジメント調査特別委員会にてさまざまな観点から御審議いただいているところでございまして、そのような議会での御議論や市民の皆様からの御意見などを踏まえ、幅広く検討してまいりたいと考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。市役所周辺エリア一帯について、投資を呼び込むポテンシャルの高い地域であり、再整備を進めていくのは重要なプロジェクトであるとの一方で、本庁舎のあり方は、議会の議論、市民の意見を踏まえ幅広く検討するとの市長の慎重な答弁をいただきました。  確かに今回の産学官の合意には、市民の合意は含まれておりません。いずれにしても、次期市長選後にはこの問題は動かしていくのであろうと思いますが、今後は、今回の中心市街地グランドデザインで示された方向性を踏まえ、次世代が夢を持てる、かつ、将来負担など未来を見据えてのしっかりとした議論を重ねていかなければならないと思っております。  その中で創造的復興がさらに加速されていくことを願いつつ、次の質問に移りたいと思います。  次に、都市政策研究所についてであります。  熊本都市政策研究所は、中長期的なまちづくり構想に資する高度な政策、研究に取り組むとともに、新たな変化にも対応できる職員の政策形成能力の向上を図ることを目的とし、平成24年10月に開設され、現在6年が経過しようとしております。  この自治体シンクタンクと言われる都市政策研究所については、本議会においても開設以前より設置を求める議論があり、私も平成23年12月の一般質問において自治体シンクタンクの設置を求め、特に組織形態については、独立性の高い財団法人や第三セクターのような外部型ではなく、比較的費用負担が少なく政策向上を図れ、研究成果の施策への反映性が高まり、さらに政策形成力の高い職員の育成や意識改革が図られるなど、メリットが大きい自治体内設置型を目指すべきであるとの提案をいたしました。  また、平成26年3月の予算決算委員会における質疑においては、取り組んだ研究成果が行政の実務で生かされない、また提案する政策がなかなか現実のものにならない自治体シンクタンクは、その存在意義を発揮するのが難しい状況となる。政策研究所にもやはり施策反映性の高さが求められており、本市の新たな政策を生み出していくような自治体シンクタンクの姿を目指していただきたいとの指摘をさせていただいております。  さらに記憶に新しいところでは、昨年11月の一般質問では、我が会派の小佐井議員が、都市政策研究所の研究の成果が新産業の創出や地域振興策による本市の成長戦略につながっていないのは、研究所と市役所各部局との密な関係性、連携が構築されていないためであり、連携強化を図るべきであるとの指摘をされました。  しかしながら、いまだ改善の動きの見えない現在の研究所の活動やこれまでの成果を鑑みれば、議会だけでなく執行部の多くの方も、小佐井議員の指摘同様の意見を今もお持ちではないでしょうか。  私も都市政策研究所のあり方については、早急な見直しを図るべきであると現在においても強く思うものであり、今後の方向性についてのお考えをお聞きしたいと思います。  まず、現在都市政策研究所は、行政内部での組織的にはどの局にも属さず独立した形となっていますが、当然のこととして、自治体内設置型のシンクタンクに独立性を求めるのは補助機関である限りは制度的に不可能であり、首長からの独立は実態的にあり得ないと思っております。  また、自治体シンクタンクの大きな特徴であり強みでもあるのは、現場を持っているということであり、対して民間のシンクタンクは現場を持っていないので、現場の現象をありありとダイレクトに感じることが困難です。  だからこそ、やはり自治体が持つシンクタンクは現場との連携なしには本来の機能を果たせないはずであり、創出される成果は、実際の地方自治の現場にダイレクトに活用できなければ意味がありません。  ですから私は、研究所はやはり政策局内に配置し、市長の命を受けテーマ設定をし、調査研究を行うべきであり、もしくは、地方自治法上、普通地方公共団体の長を補佐し、普通地方公共団体の長の命を受け政策及び企画をつかさどるとされている副市長の監督のもとに活動を行うべきであると思いますし、いわば市長の求めるテーマに従い、市長直結のシンクタンクとして、現場にダイレクトに活用できる成果を着実に提供していくのが自治体内設置型のシンクタンクの姿であると考えております。  現実的に使えない、役に立たない政策では、シンクタンクへの自治体内部からの信頼は失われてしまいます。過去機能しなかった自治体シンクタンクの多くに共通することは、学術的な調査研究に傾注していったことにあるという事実を忘れてはならないと思います。  例えば市長の命を受け、前に述べた中心市街地グランドデザインのようなプロジェクトについて、成長戦略として可能性や経済波及効果、各事業の効果等について調査研究を行い、随時担当課へコンサルティングしていくような存在であっていただきたいと私は願うものであります。  そこで市長にお尋ねいたします。  ここまでるる述べましたように、開設より6年を迎えようとする政策研究所については、そのあり方及び調査研究の対象となる項目を早急に見直し、市長の求めるテーマに従い、現場にダイレクトに活用できる成果を着実に提供していくシンクタンクを目指すべきだと考えますが、いかがでしょうか。市長の見解をお示しください。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  都市政策研究所につきましては、中長期的なまちづくりに資する調査研究とともに、職員の政策形成能力の向上を図ることを目的に設置しておりまして、特定の分野や目的に偏らず、客観性のある研究が求められることから、組織上、どこの局にも属さない市長直下の形態をとっているところでございます。  また、研究対象につきましても、研究所の設置目的を実現していくためには、研究員みずから問題意識を持ち、課題を設定し、研究を行うことが重要であると考えておりまして、研究を希望する職員等を配置し、市政の課題を踏まえつつ、研究員の課題認識のもとテーマを設定しております。  これまでの成果といたしましては、人口問題やコミュニティ問題など、都市の本質、生活、産業の3つのフレームに係る研究が行われておりまして、とりわけ平成27年度の人口ビジョンや総合戦略の策定において、人口動態の分析成果を基礎資料として活用するなど、重要政策の立案にもつながっているものです。  また、熊本地震を受けまして、熊本明治震災日記の現代語訳版の発刊や熊本地震熊本市震災記録誌の編さんを行うとともに、政策課題として重要度の高いテーマを設定した講演会の開催、業務に直結した研修会の実施など、職員の人材育成においても一定の役割を果たしているものと考えております。  一方で、市政に対する問題提起も含め、政策課題を的確に分析し、効果的な政策の立案や見直しにつなげていくことも研究所の重要な役割と認識しております。そのため、研究所と各部局との連携をこれまで以上に強化して、研究所の蓄積した研究成果等の十分な活用とともに、各部局の課題を把握しながら、有効な情報収集や分析による研究成果の提供が必要と考えております。  そのようなことから、本年2月に、研究所の所長であります蓑茂所長と庁議メンバーにより、研究所と各部局との連携のあり方について意見交換を行ったところでございまして、また現場レベルでも各部局と研究所が情報交換や意見交換を行い、共同で分析研究を行うなど、研究所の理論と各部局の実践をつなぐ取り組みを進めているところでございます。  今後、こうした取り組みを進めますとともに、外部研究機関とのネットワークの拡大や共同研究の実施など、研究所の機能強化を図り、政策の立案や見直しに際し有用な研究成果が提供できる研究所にしてまいりたいと考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。市長の答弁からは、私の考える方向性とは、現時点では若干の違いがあることは理解いたしました。しかしながら、市長の、市政に関する問題提起を含め、政策課題を的確に分析し、効果的な政策の立案や見直しにつなげていくことも研究所の重要な役割と認識しているとの言葉は、現状の研究所に対する課題は市長と共有できていると思っております。  ただ、その認識を研究所の指揮をとる所長にもどこまで認識していただいているのか、今の研究成果からはやはり疑問に感じるところもございます。今後、研究所と各部局の連携をこれまで以上に強化していくとの市長の姿勢と、それによる研究員の方々みずからの問題意識に期待いたしますので、研究所が政策課題を十分に把握できるような、市長もおっしゃいました現場レベルでの細やかな取り組みにも配慮していただき、半歩先に必要とされる政策を予測し取り組むような、役に立つ、頼りにされる政策研究所としての歩みを進めていただきたいと思っております。  それでは、質問通告2番目になります。市長の公約でもある上質な生活都市の実現に向けての最初の項目である、客引き行為等の防止に関する取り組みについてであります。  熊本地震からの復興に伴いようやく客足が戻ってきた本市の中心繁華街で、悪質な客引き行為や法外な料金を請求するぼったくりがふえており、県警への被害の相談が急増しているとのことであります。  しかしながら、高額な料金設定を禁じた法律はないため、ぼったくり被害を防ぐには、客引き行為自体を取り締まるしかないようであります。いわゆるスナックなど、ホステスの接待がある飲食店は風営法で規制されるのですが、カウンター越しに酒類を提供するガールズバーなどは対象外となり、現在の県の条例の規制対象は、路上でのつきまとい、腕を引っ張るなど悪質な行為が要件となっており、そのような現状の客引き行為への規制の緩さと、復興マネーに目をつけた県外の客引きグループの進出が被害急増の要因と見られているようであります。  県警によると、平成28年夏ごろから客引き等の苦情がふえ始め、苦情件数が平成28年は149件、翌29年には537件と4倍近くも増加しており、ことしも7月末現在で740件と既に昨年を200件ほど上回っており、今後さらに被害が拡大しかねない状況にあるようです。  実は私も過去に県外でぼったくりに遭遇したことがあり、今も心に小さな傷が残っておりますが、当時とは手口や被害の状況が大きく異なっており、県警の方にお聞きした話では、客引き行為を規制する条例が既に施行された福岡や大阪から、幾つかのグループが復興関連工事などでお金が回っていると見て熊本に進出しており、熊本市中央区の下通アーケード周辺でガールズバーを経営し、一部には指定暴力団の関与もある中で、ガールズバーの客引きは、酔っぱらった男性に飲み放題3,000円などと声をかけて店へと誘い、店では1人数万円から30万円という高額を請求するようであり、1人約70万円支払わされたとの相談も寄せられており、トラブルの一部は傷害致死事件などにも発展するなど、深刻な事態が指摘されています。  そのような中、安全で親しみやすい繁華街を取り戻そうと、地元商店主らは県警とも連携して、市街地の浄化や悪質店を取り締まる市条例の制定などを目指して動き出し、繁華街の治安維持やイメージダウンを食いとめようと、商店街組織や防犯協会などが熊本市中心市街地における客引き対策協議会を設立。次世代に安全なまちを継承するためにも厳しい規制の条例をつくってもらいたいとの決意のもとに、現行の制度では取り締まることができない、客引き目的でアーケード内に立つ客待ち行為なども規制できる新たな条例の制定を求める、熊本市中心市街地での客引き・客待ち行為等迷惑行為に対する規制の条例化に関する要望書を本市に対し提出されております。  また同じく中心繁華街においては、風俗営業店等を利用する者に対して情報を提供する風俗案内所が増加しており、歓楽的な雰囲気を過度に助長し、周辺店舗と調和しない装飾などでまちの景観を損ねるなど、青少年の健全育成や安全安心のまちづくりの観点からも問題が指摘されております。  こうした現状に対しては、これを有効に規制する条例がないことから、県では、全国で10都府県目の制定となる風俗案内所規制条例を、今月14日に開会される9月定例県議会に上程を予定しているとのことであります。  風俗案内所は、県内には28カ所確認されており、全て本市中心繁華街に存在していますが、条例によって、営業の届け出を義務づけるとともに、特定の業種の案内禁止や地域の制限を行うこととし、平成31年4月からの条例施行を目指しているとのことであります。  しかしこの一方で、この条例によって規制が厳しくなって案内所が減れば、悪質な客引き行為がふえてしまうのではとの危惧もあり、客引き行為等に対する規制の条例化もあわせて実施することによって、それぞれの条例を実体として十分に機能させなければなりません。  最近では、条例制定前に稼いでおこうと請求金額をさらに上げるなど、被害がエスカレートしているとも聞いており、商店街関係者は夜間パトロールを実施し対応しているが、条例による後ろ盾が必要であり、一日も早い条例制定を望んでいるとのことであります。  そこで市長にお尋ねいたします。  このような中心繁華街の現状から、客引き行為等に対する規制条例の必要性についてはどのようにお考えでしょうか。  また、市民アンケートを実施されたそうですが、その結果と条例の現在の検討状況はいかがでしょうか。  また、条例で規制する具体的な内容として、客引き行為だけでなく、客引きをする目的で相手方となるべき者を待つ客待ち行為を規制するとともに、一部自治体では、客引きから紹介された客を店舗へ立ち入らせない、また従業員への指導、監督など必要な措置を講じることや、店舗の賃貸借契約において、客引き行為等をした場合の契約解除の特約条項を設け、違反した場合に契約の解除などができるようにするなど、より厳格な規制を設けているものもあるようですが、本市の条例ではどのような規制をすべきであるとお考えでしょうか。  加えて、制定及び施行時期については、規制条例であることから、周知に必要な期間を考慮すれば一日も早い条例案の提出が必要と考えますが、今後の条例施行までのスケジュールについてお示しください。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  客引き行為等の防止に関する取り組みに関するお尋ねについてお答えいたします。  熊本市内におきましても、中心繁華街における客引き行為等に対する苦情は近年急激に増加しておりまして、それに伴い、料金トラブルなどもふえてきている状況にございます。  先ほど大石議員から、過去に他都市でそうした被害に遭ったという告白があっておりましたけれども、私自身も過去に客引きで声をかけられたことはございます。ただ、私の場合はついていきませんでしたので、被害に遭うことはございませんでしたが、ただこうした行為が市民や観光客の皆さんに非常に不快な思いをさせてしまう。そして、安全や安心の確保、そして拠点都市としてのにぎわいの維持、向上を図るためにも、このような悪質な客引き行為等を規制する条例の制定を早急に行う必要があると考えております。  また、市民アンケートについてお尋ねがございましたが、無作為抽出の市民4,000人と商店街関係者1,000人の計5,000人に対して実施したものでございまして、そのうち、客待ち、客引きが中心商店街の治安に悪影響があると感じる市民が7割以上、規制するに当たっては罰則があるべきと感じる市民も7割以上という結果でございまして、このことも踏まえ、罰則まで含めた条例素案として検討したところでございます。  その条例素案の中では、客引き行為だけでなく、客待ち行為なども含めて、相手を特定して客となるように誘う行為全てを規制の対象とするとともに、客引き行為等を用いた営業の禁止や、店舗場所の提供者への措置など、厳格な規制を設けることとしております。  最後に、今後の予定といたしましては、本議会におきまして条例素案の報告を行わせていただきまして御意見を伺った上で、パブリックコメントなど必要な手続を経て、本年第4回定例会に条例案を上程する予定としております。  その後、条例を一部施行し周知等を図った上で、熊本県警察の風俗案内所を規制する条例と同じく、来年4月から条例の全部を施行したいと考えております。  来年、2019年の国際スポーツイベント開催などを見据えて、今後とも県警等関係機関と連携いたしまして客引き行為等を撲滅することで、中心繁華街はもとより、本市のイメージアップを図ってまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。あすからは私も市長を見習って、ついていかいようにしたいと思っております。  御答弁のとおり、商店街関係者だけでなく、多くの市民が中心繁華街の治安悪化やイメージダウンを懸念しており、一日も早い厳格な規制条例の制定が望まれております。  次回、第4回定例会に提案し、県の風俗案内所規制条例と同じく平成31年4月の条例施行によって、客引き行為の撲滅を目指すとの市長の明確な言葉にやや胸が軽くなりましたが、今後も県警、客引き対策協議会の方々との連携を深めていただきながら、私のような者も市長も、誰もが安心して歩くことができる中心繁華街を実現していただくよう重ねてお願いいたします。  次に、同じく中心市街地における、ごみの不法投棄についてであります。  近年、中心市街地において、本来は必要である事業ごみ回収の契約をせずに、他人のごみに紛れてごみを排出する、いわゆるただ乗りをするフリーライダーがふえており、このような不法投棄や排出時間を守らない事業者が出したごみが原因の苦情、相談が増加しています。
     特に熊本地震後から下通アーケード周辺などで不法投棄がふえており、生ごみのほか、業務用冷蔵庫やソファーが捨てられていたケースもあり、大量のごみが放置されていることも多く、その状況がさらなる不法投棄を誘発し、それらのごみは収集されないままカラスによって道路上に散乱し、衛生上、景観上の問題も発生しています。  これまでも、このようなフリーライダーに対しては指導を行い、監視パトロール等も実施し対応してきたようですが、余り改善されていないのが現状であります。  そのような中で、先月9日、市中心部で目立つごみの不法投棄を話し合うため、市と中心商店街や地元自治会、警察などによる連絡協議会が発足され、今後行政と地域が連携し、10月から対策強化に取り組む方針であるとお聞きしております。  そこでお尋ねですが、これまでの啓発、指導では改善されなかったこのような不法投棄にはどのような課題があるとお考えでしょうか。  また、中心市街地ごみ対策連絡会議での協議内容も含めて、今後具体的にどのような対策強化に取り組んでいかれるのでしょうか。担当局長の答弁を求めます。          〔勝谷仁雄環境局長 登壇〕 ◎勝谷仁雄 環境局長  私のほうからは中心市街地でのごみ不法投棄についてお答えいたします。  中心市街地でのごみの不法投棄につきましては、近年増加傾向にあり、その対策として、これまでごみ投棄者の特定調査や指導、監視パトロール等を行ってきたところでございますが、指摘のとおり根本的な解決には至っておりません。  不法投棄は、入れかえの激しいテナントとごみ処理業者との契約の不徹底や道路上に設置された事業ごみ排出場所の管理不足等が原因として考えられますが、その根底には行政、商店街、不動産業者、警察等との相互の連携不足に大きな課題があると捉えております。  そのような中、来年は国際スポーツイベントが開催され、多くの観光客の来熊が予想されております。そこで、熊本で快適な時間を過ごしていただくためにも、中心市街地のごみ問題の根本的な解決を目指し、商店街、不動産業者、警察等をメンバーとする熊本市中心市街地ごみ対策連絡会議を立ち上げたところでございます。  連絡会議では、相互の連携不足という課題解決のため、まずはそれぞれの立場での問題の共有を行い、その後、関係者の役割分担と責任を明確化し、連携して強化していくことを確認したところでございます。  今後は、事業ごみは排出した責任によって適正に処理するという大前提のもと、フリーライダーを生まない環境づくりとごみ出しルールを徹底させる環境づくりを実現するために、不動産業者と連携したテナントのごみ処理契約の徹底、ルール違反ごみの監視強化、警察との合同立入調査、ごみ収集運搬業者との回収方法の見直し等を行い、関係者との協働のもと、きれいなまちづくりを進めてまいりたいと考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。御答弁いただきましたように、この問題は道路上にごみを置く店舗が多いため、フリーライダーが便乗しやすい状況となっており、まずは不動産業者との連携により、出店の際のごみ処理契約を徹底していかなければなりません。  この問題も商店街関係者、不動産業者、県警としっかりと連携しての取り組みが不可欠であり、それぞれとの連携を深め、安心安全で魅力と活力ある中心市街地の実現に取り組んでいただくようお願いいたします。  次に、家庭ごみの戸別収集についてであります。  近年、市内各校区の自治会に共通した最大の課題とは、ごみステーションの問題ではないでしょうか。地域の自治会でのステーション設置の調整や維持管理は、負担が大きく、非常に困難な状況にあります。多くの自治会は、地域のごみステーションへの対応に追われ疲弊しており、自治会本来の活動であるまちづくりへの活動に取り組むことへの大きな障害となっていると感じております。  一方で、地域では高齢者だけの世帯がふえてきており、ごみステーションまで持っていくことが大きな負担になってきているとともに、分別も曖昧になっている傾向にあります。老齢人口の増加により、今後ごみの排出が困難になる世帯が増加していくことは、誰が見ても明らかな状況となっているのです。  そのような状況を考えれば、維持管理を地域の自治会に依存したままで、ごみ排出の公平性が確保されない現状のごみステーション方式の収集については、早急に見直しが必要であると考えております。  また、全国的に見ましても状況に大きく変わりはなく、この問題を解決するための方策として、各家庭の玄関先や集合住宅の前など、建物ごとにごみを出し1軒ずつ収集する、家庭ごみの戸別収集を実施する自治体がふえているようであります。  本市においても、ごみ袋の有料化導入の際には、有料化とセットで戸別収集を導入すべきとの議論がありました。  私も平成20年7月に、当時の会派全員で、有料化と同時に戸別収集を導入した東京都八王子市に視察に出向き、八王子市の職員の方々とともに収集作業を経験いたしましたが、ごみの排出量の驚異的な少なさとマナーのよさに驚くとともに、収集作業の負担も想像ほどではなかったことから、ごみの減量に高い効果が期待される有料化とあわせて実施することで、ごみの減量、資源化に大きく寄与すると考え、当時の本市の執行部の方々に戸別収集を有料化と同時に導入すべきと説いたのですが、さまざまな事情から実現には至らなかったことがありました。  何よりも戸別収集を実施する目的は、排出者責任の明確化です。分別の徹底や廃棄物の減量を推進するためには、その前提として、適正な分別や廃棄物の排出ルールの遵守など、廃棄物を排出する者としての責任を市民一人一人が持つことが不可欠です。  戸別収集では、各戸の玄関先から廃棄物を収集するため、排出者責任の明確化が図られます。また、マナー違反に対する指導が容易になり、排出の適正化が図られます。その結果、市民の廃棄物に対する意識の変革がもたらされ、分別も徹底し、資源回収率の向上にもつながって、廃棄物の減量効果が期待できます。  さらに、ステーションの設置に関する地域負担の軽減が図られます。冒頭で述べましたように、特に自治会が抱えるごみステーションに関する調整等が大きな負担になっていることから、そのために戸別収集は最も期待されるところだと思っておりますし、結果として道路や歩道に設置されるステーションがなくなるため、地域の生活環境が改善されるとのメリットも生じるのです。  加えて、ごみステーションに分別、排出された資源物を許可なく無断で持ち去る資源物の持ち去り行為について、この行為が組織的かつ大規模に行われ常態化しており、ごみステーションの管理上の問題だけでなく、市民のリサイクル意識の低下、市民と行政の信頼関係を損なうものとして、深刻な問題となっております。  今や本市でも朝の風物詩として定着した感のある資源物の持ち去りについては、経済的な損失、安全安心な市民生活への影響も大きく、本市としても根絶すべき行為であり、その姿勢を明確にしなければならないと強く思うものでありますが、この行為の根絶に向けても、戸別収集は非常に効果的な手段となるのです。私は、市民の暮らしを守る立場でも戸別収集を実施すべきではないかと考えます。  一方、戸別収集は、回収拠点が増加するほか、狭隘道路における対応や収集車両の変更などにより1台当たりの年間収集量が減少するため、収集車両や作業員等が追加的に必要になると言われており、いかに戸別収集に要する経費を抑制するのか検討しなければなりません。  今後の戸別収集の導入に向けて、市民のアンケートを実施するとともに、制度の骨組みを初めどのような条件等を設定することで導入可能となるのか、市街化区域や調整区域といった地理的要因や、道路事情、回収頻度、回収ルートの効率性などについて社会実験を実施し、具体的な調査研究を行い、導入を検証していただきたいと考えております。その上で市民に検証結果を明らかにし、市民とともに実施への判断を下してはいかがでしょうか。  るる述べました点を考慮した上で、家庭ごみの戸別収集の実施についてどのように考えられますでしょうか。  また、検討、実施する上で必要な市民アンケートや検証実験へと取り組むお考えはお持ちでしょうか。大西市長の見解をお示しください。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  家庭ごみの戸別収集についてお答えいたします。  ステーション方式によるごみの収集は、自治会を初め市民の皆様方の御理解と御協力をいただき、分別、排出されたごみを効率よく収集できる仕組みとなっておりまして、本市に適した方法であると考えております。  しかしながら、マナーを守らない一部の市民によるルール違反ごみ、他地域からのごみの持ち込み、頻発する資源物の持ち去りなど、地域の課題として顕在化してきているところでございます。  特に資源物の持ち去り行為につきましては、市民の皆様と私の直接対話の場でもございます、市長とドンドン語ろうにおいても、行為者を厳しく罰すべきなどの御意見を多数いただいておりまして、根絶に向けた具体的な対策を講じるよう担当部局に指示しているところでございます。  また、高齢化社会の進展や単身世帯の増加、あるいは広域的なごみ処理など、将来の廃棄物処理のあり方について検討を現在進めておりまして、その中で議員御提案の戸別収集につきましても、自治会の負担軽減や増加する高齢者等の排出困難世帯への対応策の1つとして、まず市民アンケートや他都市の状況調査等を実施いたしまして、導入の可能性について検討を行ってまいりたいと考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。これまでこの戸別収集の議論については、執行部側は門前払いの姿勢であり、かたくなに実施を拒んできたわけですけれども、今回の市長の答弁では、市民アンケートや他都市の状況調査等を実施するなど、導入の可能性について検討すると言っていただきましたので、その言葉をポジティブに捉えまして、勝手ながら導入に向けて一歩、半歩前進したとの印象を持つところであります。  調査等の等には、検証実験も含まれていると理解させていただきたいと思います。導入済みの自治体からは、検証実験をやると市民からは、このままずっと継続してほしいとの声が必ず広がっていくと聞いております。検証実験で戸別収集の多くのメリットを実感していただき、経費抑制策にもつなげていただきたいと思います。  社会情勢の変化や市民のライフスタイルの変化を見据えつつ、市民サービスの向上や地域の抱える課題を解消する有効な手法として、家庭ごみの戸別収集の導入へと進んでいただきたいと思っておりますので、市長、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、3番目の項目、一億総活躍社会の実現に向けてに移りたいと思いますが、通告にあります1番目と2番目を入れかえさせていただき、最初に障がい者の雇用率についての質問を行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本市の障がい者の雇用状況についてであります。  中央省庁で障がい者雇用の水増しが相次ぎ見つかったのは御存じのとおりであります。厚生労働省によると、対象外の職員を不適切に算入していたのは昨年6月時点で27の行政機関、3,460人に上っており、障がい者雇用率は1.19%と当時の雇用率2.3%を実際は大きく下回っていたようであり、障がい者への差別をなくし、就労機会の拡大を主導すべき政府内部での悪質な行為に批判は高まり、その波紋は各自治体へと広がっており、徹底した全容解明と改善が求められています。  このように国及び地方公共団体においては、率先垂範して障がい者雇用を推進するとの観点から、民間企業よりも高い雇用率が設定され、障がい者の雇用に努めるとのことは御承知のとおりであり、本年4月から、国、地方公共団体等においては2.5%、また都道府県及び政令市等の教育委員会では2.4%の法定雇用率が義務づけられております。  民間企業の場合も障がい者雇用は進んでいますが、昨年の障がい者雇用率においては、当時の法定雇用率2.0%を満たした企業は半数にとどまっているのが実情のようです。  ただし、民間企業の場合には、常時雇用者数1,000人超の事業所が法定雇用率を満たせない場合には、不足人数に応じて月額1人当たり5万円の納付金を命じられ、厚労省から指導も入り、改善しないと社名も公表されます。また、法定雇用率を超えて雇用する企業には、この5万円の納付金を原資として、雇用率を超える人数1人当たり月額2万7,000円の調整金を支給しています。そのような中、民間企業では、法定雇用率という数値目標を満たすためだけではなく、障がい者を貴重な戦力として生かそうと働き方などを工夫する企業もふえてきているようであります。  そこでお尋ねいたしますが、ここ数日、本市においても障がい者雇用の水増しが報道されておりますが、市長事務部局を初め、それぞれの任命権者のもとでの本年度の障がい者雇用率は実際どのような状況となっているのでしょうか。一括しての総務局長の答弁をお願いいたします。          〔中村英文総務局長 登壇〕 ◎中村英文 総務局長  障がい者の雇用状況につきましてお答えする前に、一言お断りを申し上げます。  障がい者雇用率につきましては、全国的に問題が指摘される中、本市におきましても再確認しましたところ、既に障害者手帳を返還するなど、手帳を所持していない職員を障がい者として計上していたことが判明いたしましたため、再調査を行い、雇用率の訂正を行うこととなりました。  このことは、障害者手帳を確認していれば防げたミスであり、今後このようなことが発生しないよう、適正な事務処理に努めますとともに、今回の件を踏まえ、障がい者雇用の機会や待遇の確保など、障がいのある方がその能力を十分に発揮できる環境の整備に一層力を入れてまいります。  それでは、障がい者の雇用状況につきましてお答えいたします。  国及び地方公共団体におきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、毎年任命権者ごとに、障がい者である職員の雇用状況等につきまして国に報告することとなっております。  お尋ねの本市の平成30年の任命権者ごとの障がい者雇用率でございますが、市長事務部局で2.66%、上下水道局で2.64%、交通局で2.65%、病院局で3.31%となっており、いずれも法定雇用率2.5%は達成しておりますが、教育委員会におきましては法定雇用率2.4%に対し1.92%となっており、未達成となっております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  障がい者の雇用率の訂正については、手帳の確認ミスから生じたものであり、意図的な水増しではないとの説明でした。しかしながら、事務的なミスとしてはあってはならないことであり、障がい者の自立を支援する立場でありながら、みずからは障がい者雇用を軽視していると指摘されてもやむを得ない事態であります。今後このようなことのないよう、真摯な姿勢で改善に努めていただきたいと思います。  答弁では、本市においては市長事務部局、上下水道局、交通局、病院局は法定雇用率を達成しているようですが、教育委員会は実雇用率が1.92%で、法定雇用率2.4%を下回っております。教育職員の雇用につきましては、教員免許状等の資格要件がありますので、雇用拡大の困難性というのは理解するものの、率先垂範しなければならない立場にある教育委員会の障がい者雇用の状況については、早急な改善を求めたいと思います。  そこでお尋ねいたします。  教育委員会においては、ここ数年、法定雇用率未達成が常態化していますが、その要因についてどうお考えでしょうか。  また、その要因を改善し、より多くの障がい者を受け入れることができる環境をつくるため、今後どのような取り組みを進め、求められる障がい者雇用を実現していくお考えですか。教育長の御見解をお示しください。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  先ほど総務局長から答弁しましたとおり、障がい者雇用率については教育委員会においても再調査を行い、雇用率の訂正を行ったところです。今後はこのようなことがないよう、適正な事務処理に努めてまいります。  では、法定雇用率未達成の要因等についてお答えいたします。  教育委員会においては、平成23年度までは法定雇用率を達成していましたが、政令指定都市移行により県費負担教職員の人事権が移譲された平成24年度以降は未達成の状況であります。毎年度、身体に障がいのある方を対象に募集を行っているものの、志願者数が少ない状況が続いており、本年度までに教員2名と学校事務職4名の採用にとどまっていることが一因と考えております。  今後は、障がいのある方を対象に、平成26年度から採用を開始した学校環境整備などの嘱託員、これは学校からも大変好評ですので、この雇用を拡大し、本年度中の法定雇用率達成を目指します。あわせて、身体に障がいのある方の教職員志願者数が少ない原因について分析を行い、障がいの有無にかかわらず、働きやすい職場づくりに努めてまいります。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  適正な事務処理はもとより、教育委員会においてもっと幅広く障がいがある人を受け入れる姿勢が求められると思います。法定雇用率は満たしていただかなければなりませんが、そのことが目的化してしまっては、またおかしな話であります。先生になるとの夢を持つ障がいのある方でも、その夢を断念することなく、教職を目指せる環境づくり、その夢を支える環境づくりへ、教育委員会としても取り組んでいただきたいと思います。  教育現場に障がいのある方が就労されるということは、子供たちにとりましての障がい者への理解にもつながります。市長事務部局とも連携し、採用した人がどこでどのような仕事をすることが力の発揮になるのかをともに検討するというような発想へ転換し、全庁を挙げて取り組む姿勢が求められていると思います。改善に向けた本市の今後の積極的な取り組みをお願いしておきます。  続きまして、障害者差別解消法にかかる取り組みについてであります。  国連の障害者の権利に関する条約の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、お互いに人格と個性を尊重し合いながらともに生きる社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が制定され、平成28年4月1日から施行されております。  本議会においても、障がいのある方々に関する議論の際には幾度となく上げられる法律であり、その内容は皆さん御存じのとおりではありますが、確認の意味も込めて簡単に述べさせていただきますと、この障害者差別解消法には2つの取り決めがあります。  1つは、不当な差別的取り扱いの禁止です。行政機関等において、障がい者の障がいを理由に不当な差別的取り扱いを禁止することが規定されており、事業者にも障がいを理由とする入店拒否やサービスの不提供などを禁じています。  もう1つが合理的配慮の提供です。行政機関等は、障がい者から日常生活や社会生活上の障壁の除去が必要である旨の意思表示があった場合に、合理的配慮を行う義務があるとし、事業者には同様の努力義務を求めています。  合理的配慮とは、日本障害フォーラムが出しているわかりやすい解説本では、障がい者一人一人の必要を考えて、その状況に応じた変更や調整などを、お金や労力などの負担がかかり過ぎない範囲で行うことが合理的配慮ですと書かれており、例えば車椅子の方への手助けや筆談や読み上げによる対応などが挙げられます。  ホームまでのエレベーターがないから車椅子の人は電車に乗れない、点字の資料がないから目が見えない人は会合に参加できないなど、結果的にやりたいことが制限される、社会参加できないことは差別につながります。  この合理的配慮という言葉は、障がい者差別を考える上でとても大切な考え方です。ある意味、合理的配慮の提供を実現するためにルールを定めたのが障害者差別解消法であるとも言えます。  障がい者を差別してはいけないというのは、誰にでもすぐわかることです。しかし、意図的に差別はしていないというだけでは不十分なのです。これまでのバリアフリー法などの法律は、障がい者のために環境を整えていこうという法律でした。そうではなく、一人一人がどういう配慮を望んでいるかを伝えて、そしてその対応を考え、工夫して、寄り添える社会をつくっていこうという法律が障害者差別解消法なのです。  さきの熊本地震発災後の対応において、障がいのある方への配慮が欠け、障がい者の方々が避難所を利用できなかったり、また支援物資を配る行列に並べない、障がい者が支援物資を受け取れないなどの事態が数多くの避難所で起こりました。  このような、さきの地震で得た、災害時には障がい者への配慮が抜け落ちてしまうとの教訓を決して忘れることなく、今後の防災対策、避難所運営のあり方にしっかりと生かし、未来へこの経験を引き継いでいかなければならないと感じますし、障がいを持つ方、それぞれの障がいの特性を理解し、サポートしたいという気持ちをみんなが持つことが改めて大事だと思います。  だからこそ、この法の趣旨を、この法律の意味するものを市民一人一人に知っていただくことはとても大切なことであり、このことについて啓発、知識の普及を図ることも義務づけられているのです。  本市においては、この法の啓発活動として、平成25年発足させた障がい者サポーター制度において、障がい者への理解促進のための啓発を行っているとしていますが、現状の市民の皆さんの理解度を考えれば、全く不十分であり、より積極的な取り組みが必要であると感じております。  先日、本市では九州初の試みとして、LGBTなどの性的マイノリティサポートハンドブックを作成されており、市役所内での活用はもとより、市ホームページにも掲載するなど、市民への啓発にも役立てることとされました。このことは、LGBTなど性的マイノリティーの方々の生活上の困難を理解するとともに、必要な支援に取り組むために重要であり、評価いたしますが、障がい者への理解に関する取り組みについては、いまだおくれをとっており、より一層の取り組みを求めたいと思っております。  他の自治体においては、多くの市民に障害者差別解消法の理解を深めてもらうための資料、ガイドブックを作成し、さまざまな障がいの特性、どのようなときに困るのか、どんな配慮が必要か、豊富な事例を盛り込み、漫画やイラストを活用し読みやすくするなど、工夫を凝らした取り組みを進めています。  ぜひ本市においても、このような多くの市民に障害者差別解消法の理解を深めてもらうための取り組みに積極的に取り組んでいただきたいと願いますが、いかがでしょうか。大西市長の答弁を求めます。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  障害者差別解消法にかかる本市の取り組みについてお答えいたします。  現在までの取り組みとして、職員に対する対応要領の策定、相談窓口や障がい者差別解消支援地域協議会の設置、ホームページや市政だより等を活用した市民への周知等を行ってまいりました。継続した取り組みとして、障害者週間に小中学生を対象とした心の輪を広げる体験作文や障害者週間のポスターの募集、障がい者サポーターの養成、ヘルプカードの導入等にも取り組んでいるところです。  また、今年度より熊本地震の経験を生かし、福祉避難所等の設置運営マニュアルの中にも障がい者への配慮を盛り込むとともに、特別支援学校等での実働訓練を通じて市民への理解、啓発を進めているところです。  さらに、同法が求める不当な差別的取り扱いの禁止、合理的配慮の提供等について、啓発を強化するために障がい者サポーターの養成者数をふやすことを目的とし、障がい者サポーターハンドブックや障害者差別解消法パンフレット等のカラー教材を使用したり、実践研修を導入するなど、内容にも工夫を凝らしながら、市民への直接的な働きかけとしての学校、企業等への出前講座の回数をふやしているところでございます。  あわせて、障がい当事者の方々が求める配慮を伝えることができるヘルプカードの周知を図るため、熊本市電の社内広報等を活用し、強化することとしております。  今後もこのような取り組みを強化、継続していくとともに、議員御案内のような漫画やイラストを使用した市民の皆様向けのわかりやすいガイドブックの作成等、障がいに対するさらなる理解、啓発の手法を検討してまいりたいと考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。合理的配慮には、いろいろな意味が含まれていると思います。過剰な負担がない限りということについても、それは過剰な負担になるなら配慮しないということではなく違う方法を探していこうという意味であり、お互いにすり合わせてやっていくことが本来の意味であり、人を排除しないためにどんな工夫ができるかということです。そのようなことを含めて、本市においても、多くの市民に障害者差別解消法を理解していただけるような取り組みをお願いしておきます。  それでは続きまして、手話言語条例についてであります。  御存じのように、手話は、重度の聴覚障がいを持っている聾者の方々にとってとても大切な情報の獲得とコミュニケーションの手段であります。一般に手話は、音声言語を手ぶりに移しかえたものと思われがちですが、全日本ろうあ連盟作成のパンフレットによると、手話とは、聾者がコミュニケーションをとったり物事を考えたりするときに使う言葉で、手指の動きや表情などを使って概念や意思を視覚的に表現する視覚言語であり、聾者の母語であると説明されています。  つまり、生まれた赤ちゃんが一番初めに獲得する言語を母語といいますので、私たちが自然と日本語を話せるようになるのと同じように、聾者の赤ちゃんは自然と手話を話せるようになっていくのです。  また、手話は音声言語とは違う語彙と文法を持ち、国や地域ごとに聾者のコミュニティーで独自の文化を伝えるために使われてきたものであり、そのような意味でも、手話は聾者の母語であるという視点に立つことはとても重要な意味を持っているのです。  また、当たり前のことですが、私たちが生きていく上で、言葉、言語は、お互いの気持ちを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で欠かせないものです。そして、音声言語と異なり、手指や体の動き、表情を使って、視覚的に表現する手話もまた欠くことのできない言語であり、聾者の方々は物事を考え、お互いの気持ちを理解し合うために、また知識を蓄え、文化を創造するために手話を大切に育んできたわけであります。  しかしながら、手話が禁止されていた時代を多くの聾者の人々は生きてきました。過去には、手話が言語として認められず、手話を使用する環境が整えられてこなかったことから、聾者の方々はいつも不便や不安を感じながら生活してきたのです。
     このような状況の中で、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において手話が言語であることが定められ、手話に対する理解は広がりつつありますが、手話が言語であるとの認識は十分とは言えません。聾者が地域社会で不便や不安を感じることなく安心して生活するためには、手話に対する理解を深め、手話を使用しやすい環境を整えることが必要です。  そのような中で、全日本ろうあ連盟や日本財団の運動の結果、手話言語法の制定を求める意見書が1,788の全地方議会で採択されました。本議会においても平成25年第4回定例会において、手話言語法の制定を求める意見書を可決、早期制定を国に要望しているのは御承知のとおりであります。  813の全国の市長をもって組織されている全国市長会からも意見書が提出されており、手話言語法制定への機運が高まっていると言えます。  しかしながら、日本は単一言語の国なので、そこに新たな言語を1つ追加することは非常にハードルが高く、現時点で実現に至っておりません。言語として未成熟であるとか、字を持たない手話を言語とみなすべきなのかといった論点を整理し、法制化へ向けては今後も着実に前進していかなければなりません。  しかしながら、やはり手話を必要とする全ての人が日常生活及び社会生活において手話を通じて容易に必要な情報を取得し、十分なコミュニケーションを図ることのできる社会を実現するためには、市民一人一人が手話がかけがえのない言語であることについて理解を深めるとともに、手話を普及し、手話を使用できる環境を整備していくことが重要です。  手話が言語であるという認識に基づき施策を推進し、手話を必要とする全ての人の社会参加の促進と安心して暮らせる地域社会を実現するため、全国的に手話言語条例の制定が進んでおり、現在、全国22道府県、2区、142市、19町の計185自治体で制定済みとなっております。  そのような状況の中、平成28年6月には全国手話言語市区長会が設立され、法の制定を国に要請していくとともに、各自治体は関連条例の制定をさらに拡大し、情報交換しながら施策を進めていくことで聴覚障がい者の自立と社会参加の実現を目指すとしており、現在会員数が814の全国市区長の半数を超える460名となっており、それぞれの首長がみずからの自治体で条例化を進めることから着手していくこととしています。大西市長も本年1月に全国手話言語市区長会に入会されたとお聞きしております。  そこでお尋ねいたしますが、市長は手話についてはどのような認識をお持ちでしょうか。  そして、手話言語条例の必要性については、どのようなお考えをお持ちでしょうか。  また、市長も全国手話言語市区長会に参加されており、当然条例制定を目指すものと理解しておりますが、具体的な取り組みの考えがあればお示しください。  以上、大西市長の答弁をお願いいたします。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  手話言語条例についてのお尋ねでございますが、手話は障害者権利条約において言語の1つとして位置づけられ、障害者基本法第3条においても、言語(手話を含む。)と明記されているところであり、聴覚障がい者の皆様にとって単なるコミュニケーション手段にとどまらない大切なものであると認識しております。  現在、本市では手話通訳者や要約筆記者の養成、派遣事業、手話通訳者の全区役所への配置等を行うことで情報提供の充実に努めているところであり、事業を通じ、手話に対する理解の広がりや手話を使用することができる環境づくりに取り組んでおります。そして、誰にとっても情報の獲得や利用が自由にできるということは大事なことであり、その権利は保障されなければならないと考えております。  議員御案内のとおり、私も本年1月に全国手話言語市区長会に入会したところでございまして、そういった場を活用するなど、情報の収集や研究に努めてまいりますとともに、手話言語法に係る国の動向も注視しながら、ろう者福祉協会等の関係団体との意見交換を進めてまいります。  そして、手話を使用して生活を営み、手話による豊かな文化を享受できる社会環境を整備していくためにはどうあるべきかという観点から、手話言語条例の制定に向け、具体的に検討してまいりたいと考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  市長、ありがとうございました。ろう者福祉協会等の関係団体との意見交換を進め、制定について具体的に検討していくとの答弁でした。これも前向きに捉えさせていただいて、制定に向けて、5歩、10歩ぐらいは動き出すと理解させていただきたいと思います。  なぜならば、市長は私よりも聾者の方々と手話への理解が深いということは、私は存じ上げておりますし、手話を交えての答弁をされるものかと思っていたぐらい手話は得意であると存じ上げております。  ヘレン・ケラーは、目が見えないことは人と物を切り離す。耳が聞こえないことは人と人を切り離すとの言葉を残しています。コミュニケーションは、人間として生きる権利であることを御理解いただき、条例の早期制定をお願いしたいと思います。  それでは、最後の項目であります定年延長の実施についてであります。  人事院は8月10日、国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳まで延長するよう求める意見書を国会と内閣に提出したとのことであり、内容としては、延長後の給与は7割程度に抑え、60歳に達した管理職を下位のポストに降格させる役職定年制を導入することとし、定年延長の実施時期は明示せず、政府に判断を委ねているようです。  政府内では、来年の通常国会に国家公務員法などの改正案を提出する見通しであり、2021年度、3年後になりますか、2年半後ぐらいから、3年ごとに1歳ずつ延長し、2033年度に65歳とする案が浮上しているようであり、人口減少と少子高齢化で労働人口が減る中、国家公務員も就業体系の見直しが迫られており、実現すれば、民間や自治体にも波及していくものと考えられ、政府は国と地方の公務員の定年を同時期に引き上げる方向で検討に入ったとの報道もあるようです。  私も、退職される市職員の方々に接するたびに、高い能力を有し、経験に富んだ方々が60歳で次々と退職していくのは非常にもったいない。60歳はまだまだ若く、もっとその力を活用すべきであり、定年は延長するべきだと感じておりました。  しかしながら、一方で、定年延長によって人件費の増加は避けられないことであり、役職定年制についても課題は多いのではないかと感じております。  また、導入を検討する過程において、加齢に伴い就労が厳しくなる職務、例えば国家公務員であれば、刑務官、海上保安官、入国警備官等については、62歳くらいまでの定年が限度であり、60歳を超えると短時間勤務などの工夫が必要ではないか、地方自治体では、警察官や消防士など高齢期における勤務が困難な職種をかなり抱えており、どのように整合性をとるのかといった指摘もあったようです。  そこでお尋ねですが、市長はこの定年延長制の導入についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。  また、本市においても、早ければ国家公務員と同じく2021年度からの導入となるようですが、実施に向けての課題など、現在の検討状況はいかがでしょうか。  市民生活の安全の確保等のため、職務遂行上、体力、運動能力、敏捷性などが必要であり、交代制勤務や深夜勤務のある消防職員、また学校教諭など、一般の職員とは異なる特殊性がある職種については課題も多いと思いますが、いかがお考えでしょうか。  市長、そして教育長にも御答弁をお願いしたいと思います。          〔大西一史市長 登壇〕 ◎大西一史 市長  定年延長についてお答えいたします。  定年延長については、意欲と能力のある職員の活躍の場の確保につながること、また実務面でも、高度化、複雑化する行政課題に対し、職員が長年培ってきた知識や技術、経験等の活用が期待できること、さらには雇用と年金の接続の問題の解消にもつながることなどから、大変有用だと考えております。  一方で、短時間を原則とする本市の再任用制度とは異なり、一時的に定年退職者が発生しないことによる新規採用数や年齢構成へ与える影響、役職定年制を導入した場合に新たに担当させる業務内容や職位の検討、さらには消防職員のように現場以外の配置先が限定される職種の任用などの課題もあると認識しております。  今後具体化していく国の制度設計も踏まえ、十分な情報収集を行いながら、諸課題への対応も含めた検討を進めてまいります。          〔遠藤洋路教育長 登壇〕 ◎遠藤洋路 教育長  定年延長について、教職員に関する検討状況をお答えいたします。  今後、国において地方公務員についての必要な法改正がなされる予定であり、その動向を十分注視しながら、本市の教職員についても確実に準備を進めてまいります。  定年が延長された際に考えられる主な課題としては、まず60歳を超える教職員の割合が高まるため、役職定年制の適用範囲や校長、教頭経験者を含めた教職員の能力や経験を生かせる職務の整備について検討を行ってまいります。  また、現在の再任用では、教職員は一般の職員と異なり、原則としてフルタイムでの勤務としておりますが、多様な働き方を可能とするため、短時間勤務の職務も検討してまいります。  さらに、定年が引き上げられる年度においては、定年退職者が生じないため、新規採用を抑制せざるを得ないという状況が生じます。このため、定年引き上げ期間中にも継続的に一定数の新規採用ができるよう、採用計画の十分な検討が必要であると考えております。          〔21番 大石浩文議員 登壇〕 ◆大石浩文 議員  ありがとうございました。先日、ある中学校の校長先生と話す機会があったときに定年延長制の話をした際、校長から、61歳になったら、また教壇に立たないといけないですかね、というようなこともおっしゃっていました。もう教壇に立てるかな、というようなこともおっしゃっておりましたし、例えば市役所であれば、局長が来月から課長補佐になってしまうということも起こり得るのが役職定年制と言われるものだと思います。これからいろいろとまだ課題は多いようでございますので、今の答弁では、具体的な検討はこれから国の動向を見きわめながらということでございます。  しかしながら、皆さん、国民的なテレビ番組のサザエさん、御存じだと思いますが、それに出てくる波平さんの年齢というのは御存じでしょうか。御存じの方はいらっしゃいますか。波平さんは54歳で、実は私とほぼ同じ年齢だそうです。ちなみに連載開始が昭和21年ということで、やはり当時はまだ55歳ぐらいが定年で、定年直前ということでしょうけれども、自分でいうのも何ですが、やはり今の時代と昭和20年、30年という時代は、いかに今の方々が若いのかということを身近に感じられることではないかと思います。そういった意味でこれから一億総活躍社会に向け、長く働ける環境づくりは重要だと思います。  しかしながら、官が余り先走ると、不公平感を生みかねないという指摘もあるようでございます。できれば本市の民間企業の実態等も把握していただき、本来であれば官民が足並みをそろえて進んでいける方策というのも探っていくべきではないかと思います。今の地域経済、65歳で一気に定年を延長できるほど、民間、地域経済に余裕はないというお話もお聞きします。ぜひ官民が一体となって、こういった同じ悩みに取り組んでいくということも、これはまた地域の活力につながるものではないかと思いますので、ぜひ市長にもその点も御配慮いただければと思います。  以上で私の準備いたしました質問は全て終了いたしました。  結びに、僭越ながら一言お話をしたいのですが、私は大西市長を県議時代から、もう20年ほどになると思いますが、存じ上げておりますけれども、市長はやらなければならないことをする勇気と強さを持ち、強い熱意を持った方だとさまざまな機会に接するたびに感じてきましたし、その熱意こそ、物事をなし遂げる一番の要諦ではないかと思っております。  松下幸之助もこんな言葉を残しています。リーダーは、知識なり、才能なりにおいては人に劣ってもよいが、熱意については最高でなければならない。リーダーに強い熱意があれば、それは必ず人を動かす。そして、その熱意に知恵ある人は知恵を、才能ある人は才能を、それぞれが自分の持てるものを提供してくれる。リーダーは、才能なきことを憂うる必要はないが、熱意なきことを恐れなくてはならない、と。  その市長の強い熱意が多くの市民に伝わり、またこの議場で熱い議論ができますことを楽しみにしております。市長の御健闘を陰ながら祈っております。  皆様、本日は長時間にわたっておつき合いいただき、まことにありがとうございました。また、お忙しい中に傍聴にお越しいただきました皆様方に心からの感謝を申し上げ、私の一般質問を終了いたします。本日はありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○くつき信哉 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。  次会は、明7日(金曜日)定刻に開きます。       ──────────────────────────── ○くつき信哉 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                             午後 3時45分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 平成30年9月6日 出席議員 46名       1番   くつき 信 哉        2番   田 辺 正 信       3番   光 永 邦 保        4番   大 塚 信 弥       5番   山 部 洋 史        6番   緒 方 夕 佳       7番   小 池 洋 恵        8番   三 森 至 加       9番   高 本 一 臣       10番   小佐井 賀瑞宜      11番   寺 本 義 勝       12番   福 永 洋 一      13番   西 岡 誠 也       14番   田 上 辰 也      15番   浜 田 大 介       16番   井 本 正 広      17番   藤 永   弘       18番   原     亨      19番   原 口 亮 志       20番   紫 垣 正 仁      21番   大 石 浩 文       22番   田 中 敦 朗      23番   那 須   円       24番   重 村 和 征      25番   村 上   博       26番   上 田 芳 裕      27番   園 川 良 二       28番   倉 重   徹      29番   澤 田 昌 作       30番   満 永 寿 博      31番   三 島 良 之       32番   齊 藤   聰      33番   田 尻 善 裕       34番   上 野 美恵子      35番   白河部 貞 志       36番   藤 岡 照 代      37番   津 田 征士郎       38番   坂 田 誠 二      39番   竹 原 孝 昭       41番   藤 山 英 美      44番   落 水 清 弘       45番   古 川 泰 三      46番   北 口 和 皇       47番   田 尻 将 博      48番   家 入 安 弘       49番   鈴 木   弘 欠席議員  1名      40番   江 藤 正 行 説明のため出席した者   市長       大 西 一 史    副市長      多 野 春 光   副市長      植 松 浩 二    政策局長     古 庄 修 治   総務局長     中 村 英 文    財政局長     田 中 陽 礼   市民局長     萱 野   晃    健康福祉局長   池 田 泰 紀
      環境局長     勝 谷 仁 雄    経済観光局長   平 井 英 虎   農水局長     西 嶋 英 樹    都市建設局長   田 中 隆 臣   消防局長     西 岡 哲 弘    交通事業管理者  肝 付 幸 治   上下水道事業管理者白 石 三千治    教育長      遠 藤 洋 路   中央区長     石 櫃 仁 美    東区長      田 端 高 志   西区長      深 水 政 彦    南区長      松 石 龍太郎   北区長      野 口 恭 子    病院事業管理者  水 田 博 志 職務のため出席した事務局職員   事務局長     田 上 美智子    事務局次長    大 島 直 也   議事課長     本 田 正 文    調査課長     中 川 和 徳...