震度7というこれ以上はない揺れに立て続けに2度も襲われ、熊本から大分まで連動して、余震も2,000回を超える地震は、大震災と呼ばずして何と呼べばいいのでしょう。これまでの阪神・
淡路大震災と
東日本大震災との違いは何でしょうか。人命や財産の被害の程度でしょうか。道路や橋などのインフラの被害の程度でしょうか。これらの大震災では
特別措置法が制定されました。
熊本地震が大震災と呼ばれないのは、
特別措置法が制定されていないことと関係があるのかもしれません。
特別措置法が制定される見込みは、現在のところどうなのでしょうか。
特別措置法が制定されなくとも、
地元負担を限りなくゼロにする方法はありますか。国からの
財政支援の見込みはどうでしょうか。
財政支援でなくとも、制度的な支援も可能です。
被災住宅の
応急修理の
完了報告書提出期限は12月13日までとされています。これが現実的には不可能だとの声を市民の皆様から多くお聞きいたします。余りにも
被災住宅が多くて
修理業者の手配ができないためです。今でも
ブルーシートが屋根にかかったままの住宅を大変多く見かけます。12月13日までは、はっきり言って無理です。
応急修理の期限を延長できないものでしょうか。また、屋根や壁の破損は早急な修理をしないと、その被害はますます拡大してしまいます。申請を承認していただくまで待っておくことはできません。
修理業者の段取りがつき次第、すぐにでも工事にかかることができれば、復旧のスピードは上がります。
応急修理の費用は自分で工事した後でも認めてもらうことはできませんでしょうか。
また、市民の皆さんが口にすることがあります。「罹災証明で一部損壊の判定が出たとしても、少しもお金は支給されない。一部損壊と言われても、
修理金額は何十万も何百万もかかるところばかりですよ。義援金もあるでしょう。少しだけでも出してもらえないのですか。熊本城も大変大事ではありますが、まずは
市民生活でしょう。見捨てられているようで気持ちがおさまりません」というものです。どうにかならないものでしょうか。
政府は復旧・復興に向けた予算として、総額7,800億円の平成28年度
補正予算を成立させています。そのうち、使途を事前に定めない予備費が7,000億円です。このままでは、年度限りの予算です。来年3月31日までとなります。復旧・復興は来年度以降もずっと続きます。
地元負担があるばかりに
予算要求を控えてしまうことが多くあります。そのため、復旧・
復興予算は残ってしまうことが予想されます。残した予算は基金に移行させるとか、
特別会計を設けることができないでしょうか。
これまで多くの議員の皆様が質問されてこられたばかりであり、これはとりもなおさず、市民の皆様が不安に感じていることでもあります。
以上、震災と復旧・
復興費用、そして
生活再建の支援について、市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長
特別措置法の
制定見込みと
地元負担を限りなくゼロにするための国からの支援についてお答えいたします。
まず、
熊本地震と阪神・
淡路大震災、
東日本大震災の違いについてのお尋ねでございますが、
熊本地震は、最大震度7の揺れを2度も記録するとともに、余震が2,000回を超える、これまでに類を見ない震災でありまして、一概に、阪神・
淡路大震災や
東日本大震災と比較することができませんが、被害額につきましては、内閣府の試算により、
熊本地震では最大で4兆6,000億円であるのに対し、阪神・
淡路大震災では9兆6,000億円、
東日本大震災では16兆9,000億円とされているところでございます。
いずれにいたしましても、今回の
熊本地震の震災からの復旧に係る事業費は莫大なものとなり、市の負担分だけでも今後の
財政運営に大きな影響を与えることが予想されますことから、既存の制度で対応できない課題等に対応するため、新たな補助制度の創設や補助率のかさ上げの
財政措置、さらには、
東日本大震災を踏まえた特別な
立法措置等について、関係各省庁に対する要望活動を行っているところでございます。
その結果、これまでの
熊本地震における国の対応としては、
瓦れき処理や熊本城の復旧などについては、過去にない高いレベルの支援をいただいておりまして、これ以外の分野につきましても、
東日本大震災の際に、復興税という特別な財源をもとにした
震災復興特別交付税による措置分を除きますと、過去の大
規模地震災害等とおおむね同等の
財源措置が講じられているところでございます。
しかしながら、いまだ、宅地被害や
地域コミュニティ施設の復旧等、既存の制度では被災者の
生活再建支援が困難なものなどもありますことから、今後も、国に対し強力な
財政支援を求め、本市の
財政負担の軽減をより一層図ってまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 ありがとうございました。
熊本地震では、また新たな課題も出てきているということでございます。積極的に取り組んでいただきたいと望みます。
市民の皆様の
生活再建のためには、なお多くの国の
財政支援を求めていくことが必要であるし、国の支援がなければ、今後、熊本市の
財政運営の大きな障害となることが想定されることであると理解いたします。
ところで、話は変わりますが、市長を初め市の職員の皆さんが利用するメールアドレスのアットマーク以後のドメインは、city.kumamoto.lg.jpです。この中のlgは、ローカルガバメントの略称です。
地方政府のことです。
地方政府として市民の生活を守るという誇りと気概を感じるものです。
先日の
落水議員の質問の中でも、2000年の
地方分権改革以来、中央政府の国と
地方政府の市は
対等協力の関係であることを紹介しておられました。しかし、最近の国の政策は、
対等協力から上下主従の関係へと時代を逆戻りしているかのような感があります。本来、
地方固有の財源であるべき
地方交付税は削減され、それにかわり
臨時財政対策債という借金を押しつけられています。
市民サービスの向上を図るためには、国に補助金をもらいに行かなければならないという現状があります。今回の
熊本地震でも、国に
財政支援をお願いしないと何も具体的な復旧・復興はできない現状です。市民の
生活再建に全力を集中しなければならないとき、一方では国の支援を仰ぐため、霞が関や永田町に出向き、陳情や要望を繰り返さなければなりません。
このような現状を見て、地元の
熊日新聞では、おととい9月5日の社説の下の
コラム射程で、
被災自治体の復旧・復興が時の政権の意向や思惑で左右されてはならない。陳情政治からの脱却を図り、
被災自治体がちゅうちょなく災害対応できるよう法整備を急ぐべきであると掲載されていました。
市長は、
県議会議員を務めながら、
九州大学大学院法学部で博士号を取得しておられます。
自治基本条例についても造詣が深いと思います。
自治基本条例は、市長がかわったとしても、行政の
基本原則や
まちづくりのあり方は左右されず、市民に信頼される行政が進められるというものです。
日本は災害の国です。どこにあっても、今回のような地震は起こると考えなければなりません。私は、時の政権が誰であっても変わることのない復興ができる、そのことを保障する基本法が必要であると思います。
市長は、今回の地震を経験して、
地方政府は国との関係でどのようにあるべきとお考えになりますか。これまでに大震災を経験した神戸市、仙台市などの市長と
意見交換をしていただき、先ほど申し上げましたような災害からの復旧・
復興基本法について御検討いただければと御期待申し上げ、次の質問に移ります。
熊本連携中枢都市圏ビジョンを策定して、
公共施設の
共同利用を推進するとしておられますが、今回の地震で
圏域市町村は保有する
公共施設が被災しています。被災した
公共施設を全て復旧する必要があるかどうか点検し、
圏域市町村で融通し合えるものなら融通して、
スピード感のある復興を目指してはいかがかという観点で質問させていただきます。
熊本市東部方面には
環境工場があり、桃尾墓園があります。斎場があります。
東部環境工場から車で15分くらいのところに益城・嘉島・
西原環境衛生施設組合の
益城クリーンセンターがあります。また、熊本市の斎場から車で20分くらいには益城斎場があります。さらに、熊本市と隣接する益城町の境界には、熊本市の下水道が建設されております。
これらを
相互利用するなら、どれほど効率的なことかと以前から思っていました。自治体は、全て何もかもそろえる
フル装備であるべきなのかという疑問もありました。ふだんから助け合っていれば、本市と益城町との合併話も成っていたのではないかと感じていました。これらの
公共施設の
相互利用を効果的に進めるためには、環状線を整備すべきではないかとも思います。
そこでお尋ねいたします。
今回の震災を契機として、
連携中枢都市圏構想のさらなる強化のため、
公共施設の
相互利用について個別具体に検討されてはどうでしょうか。実現すれば
財政負担も軽減でき、復旧も進むのではないかと思われます。
また、
連携中枢都市圏の
相互利用のためにも
関係自治体をつなぐ環状線については新たな道路の整備ということではなく、既にある県道などの活用を図ることが考えられます。もっと広い視点に立って
連携中枢都市圏構想を生かすという観点も大事ではないかと考えます。
以上2点、
関係局長にお尋ねいたします。
〔
古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治
政策局長 連携中枢都市圏構想に関し、私の方からは
公共施設の
相互利用についてお答え申し上げます。
公共施設の
相互利用については、本年3月に策定しました
熊本連携中枢都市圏ビジョンにおいて、
圏域市町村が、それぞれの所有する
公共施設を効率的かつ効果的に利用するために、
共同利用の推進等に取り組むこととしております。
具体的には、本市と益城町や菊陽町との連携により、
下水道施設の
相互利用を進めているところでございます。
また、本年8月からは、御船町、山都町、西原村、玉東町、高森町、嘉島町、甲佐町の7町村と連携しまして、図書館における
圏域住民の
相互利用の取り組みを開始しておりまして、今議会においても、南阿蘇村との同様の協定締結に向けた議案を上程させていただいているところでございます。
このほか、
圏域市町村の小中学生が、
当該圏域内の歴史、文化等を地元の
小中学生料金でめぐることができる
パスポートの配布をすることといたしておりました。
しかしながら、今回の地震によりまして、甚大な被害を受け使用できなくなった
公共施設等も多くございますので、先ほど述べました
パスポートの作成については、現在では実施できない状況となっております。
また、今後は、圏域の市町村それぞれが
公共施設の早期復旧に努める中で、その過程において、圏域内の
公共施設の
相互利用に向けた取り組みについて、改めて各市町村と協議してまいりたいと考えております。
〔
肝付幸治都市建設局長 登壇〕
◎肝付幸治
都市建設局長 私からは、
連携中枢都市圏の観点から、都市圏の
道路網整備についてお答えいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
議員御指摘のように、
連携中枢都市圏の
公共施設の
相互利用を図るためにも、
近隣市町村を結ぶ道路網の構築は重要であると考えております。
そこで、5市6町1村を対象といたしまして、
熊本都市圏都市交通マスタープランを策定し、
多核連携型の
都市圏構造を掲げているところであり、今後、既存道路も活用した道路網の構築に、県や
近隣市町村と連携し、取り組んでまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 質問でも取り上げましたが、
基礎自治体が全ての施設を持っている
フル装備の自治体である必要はないと思います。本市の東部にある
環境工場、斎場、下水道などの
公共施設は、隣接する益城町と
共同利用してもいいと思います。そうすれば、益城町の
復旧もより速く進むのではないかと考えますので、ぜひ積極的な検討をよろしくお願い申し上げます。
また、本市の目指す道路網は、2環状11放射ですが、環状線がもう数本あったほうが、よりバランスのとれた都市であると感じていました。
連携中枢都市圏に既存の県道を活用した環状線を進めていただきますよう、繰り返しお願い申し上げます。
さて、
立野ダムの建設の危険性と、その代替案について質問いたします。
私も現職のころから、健全な水循環ということで、水環境に取り組んでまいりました。その一環でもあります地下水から表流水まで、川から海まで、このような健全な水環境が守られれば、私たちの生活もより豊かになります。
繰り返し立野ダムの建設の質問で申しわけありませんが、御理解いただきたいと思います。
私の知人に立野で農業をしている人がいます。今回の地震が起こり、立野にも大きな被害を与えました。その人は、「現地の崩壊現場を見るなら、こんなところにダムをつくるなんて正気の沙汰とは思われぬ」と言っておられます。これが
一般市民の正直な感想ではないでしょうか。市長には、両岸が大規模に崩壊した
立野ダム建設予定地や
立野ダム水没予定地を、ぜひごらんになっていただきたいと思います。
国交省はこのような声が出てきて、大慌てで
技術委員会なるものを立ち上げ、国交省がみずから選んだ学術者の身内ばかりで1カ月間に3回の会議を立て続けに開いて、十分な検証もなく、国交省の見解に何の疑問も出されないまま、初めから決めていたようにダムの建設に支障はないとの結論を出しました。8月3日の
現地調査では、
立野ダム建設予定地周辺を
現地調査するとしながら、白川の鮎返りの滝までの
立野ダム水没予定地、約3キロメートルですが、その4分の1程度しか
現地調査もなされていませんでした。黒川・
白川合流点から黒川方面にかけての
立野ダム水没予定地が、最も土砂崩壊している場所であり、こちらのほうは未調査となっております。極めて不十分な調査で、帳面消しの調査だと言わざるを得ません。
1点目の質問です。ダムをつくっても、今回のような地震が起これば、倒壊してしまう可能性は全くないのでしょうか。
技術委員会も国交省に賛成の委員ばかり集めていないで、公募で委員を募ってもよいのではないかと思いますし、会議開催を前日に
国土交通省のインターネットでのみ公表して、市民は傍聴にも行けない状態で、ちゃんとした議論がなされたのかどうか大いに疑問に思います。
以上、1点目の質問に対し、市長の見解をお答えください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 今回の地震を受けまして設置されました
立野ダム建設に係る
技術委員会は、委員の選定や運営も含め
事業主体であります
国土交通省において、責任を持って開催されたものと認識しております。
このようなことから、今回、議員が述べられた御意見等につきましては、
国土交通省にお伝えしてまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 今、被災の自治体です。
国土交通省からも、あらゆる支援を受けなければなりません。本当に微妙な感覚を持っておかなければならないという状況に、このような問い合わせで恐縮でありますが、やはり一番、市民が不安を感じている大きな課題でもありますので、お許しいただきたいと思います。
さて、2点目の質問に移ります。
技術委員会では、
立野ダム下部の穴(幅5メートル、高さ5メートル、長さ80メートル)に設置される
スクリーンと、
立野ダム本体上流部に設置する高さ約5メートルの
スリットダムで流木などをカットするので、
立野ダムの下部の穴は流木などで塞がらないとしています。
しかし、今回の地震による土砂崩壊とその後の増水で、
熊本市内など下流の橋脚には多くの流木が引っかかっています。皆さんもごらんになったと思います。7月2日には
熊日新聞でも報道されました。有明海にも大量の流木が漂着、漂流し、7月末までに1万6,000立米以上が回収されたと8月15日に報じられています。それらの大半は
阿蘇カルデラ内で発生し、
立野ダム地点を通ったわけであり、とても
スクリーンや
スリットダムで防げる量ではありません。現に、今回の地震と大雨で、
立野ダムの仮
排水路トンネル、この仮排水路というのは
本体工事を行うに当たって本流をバイパスする仮排水路ですけれども、そのトンネルは直径約10メートルと
立野ダムの穴の倍近くあります。しかし、その入り口は土砂と流木とで塞がっています。この事実は、
立野ダムの穴は塞がらないという国交省の説明を否定するものです。
ダムの穴が土砂や流木で塞がったならば、ダムへの流入量を全てため込むばかりとなり、
洪水調節機能が果たせないばかりか、非常に危険な状態になるのは明らかです。流木は水を含んで重くなっています。水没したダムの穴を塞ぐ流木を撤去するのも不可能に近いと思います。
立野ダムの
洪水調節機能は消失してしまいます。
そこで、2点目の質問ですが、
技術委員会が言うように
立野ダムが地震で倒壊しなかったとしても、
洪水調節機能を喪失したダムの危険性について、市長の見解をお答えください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 議員御懸念の
ダム建設に係る技術的な課題等を幾つかお出しいただきましたけれども、これまで事業者である
国土交通省におきまして、
ダム事業の検証に係る検討のための
立野ダム建設事業の
関係地方公共団体からなる検討の場でありますとか、今回の地震を受け技術的な評価検討を行う
立野ダム建設に係る
技術委員会において、検証されたものと承知しております。
しかしながら、今回の地震を受け、
ダム建設の安全性について、流域住民の不安の声もありますことから、
事業主体である
国土交通省において、これまで
技術委員会などで検証した結果等も含め、丁寧に説明を行うよう要望してまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 市長は、熊本市という
地方政府の長でありますけれども、私
たち市民の代表でもあります。行政ばかりの中での議論ということではなく、私
たち市民の声も届けていただくということで、ぜひ国交省のほうに私たちの意見を伝えていただきたいと思います。
3点目の質問ですが、平常時にダムに堆積した土砂は白川の流れに乗って排出されると国交省はこれまで説明しています。今回のような地震では、それは全く考えられないと思います。
洪水調節機能を復帰させるための堆積土砂の搬出工事で濁流が生じます。工事期間中ずっと濁流が流れるなら、白川の景観は一変し、悪化してしまいます。アユのような魚類にも大打撃です。何よりも白川から
農業用水をとっている土地改良区の水路や水田などにも濁流による土砂が堆積し、
利水障害を引き起こすことが想定されます。この点をどのようにお考えですか。再度、市長、お答えください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長
立野ダムから排出されます土砂による
利水障害についてのお尋ねにお答えいたします。
立野ダムから排出されます土砂につきましては、
国土交通省は、
立野ダムの完成後、ダムに堆積した土砂については、
ダム付近の河床勾配が急勾配であることから、河川流速が速く川の濁りの長期化は発生しないとしております。
また、今回の地震のように大量の土砂が堆積した場合には、堆積した土砂を掘削することになりますが、必要に応じて下流側に
汚濁防止器具を設置し、下流側に汚濁水が流れないように配慮するとされておりまして、
農業用水の
利水障害はほとんど発生しないと考えておりますが、農水産業への影響については注視してまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 先ほどの答弁では、ダムに堆積した土砂は下流で勾配があるのですぐ流れてしまうという国交省の見解を御説明いただきました。
ところが、ダムにたまった土砂はダムが流れをとめておりますので、そこには勾配はほとんどないと考えなければなりません。一気に流れてしまうという国交省の説明には大きな疑問を感じますが、こういう私たちの疑問をぶつける機会が実はありません。私たちとの
意見交換、またいろいろな質問書、
公開質問状を届けても、一切、答えていただいておりません。市民との協働という観点から、いろいろな
パブリックコメントとかパブリックインボルブメントとか、国交省は当時、先頭に立ってその施策を進めておられました。そして、河川法の改正も行われました。
ところが、今回、
立野ダムの建設に当たっては、市民との協働、市民への丁寧な説明といいますか、コメントの機会も与えられていないような状況です。私たちとの
意見交換をぜひしていただきたいと思います。
それでは、4点目の質問です。
治水というものは流域全体で考えなければなりません。
白川中流域には
河川整備計画がありません。熊本市のすぐ上流です。ここに
河川整備計画がないとは、熊本市を洪水から本気で守ろうとしているのか大いに疑問を覚えます。
白川中流域の
河川整備を進めれば、
立野ダムは必要ないのではないかという声が起きるのを恐れているのではないかとも考えられます。熊本市が要望するからダムをつくってあげるのだというのが国交省の主張です。熊本市を洪水から守るためにはすぐ上流の大津、菊陽の
白川中流域に河川拡幅、堤防強化、遊水地の設置など総合的な
河川整備事業の計画を策定すべきではないかと考えます。そのほうが市民にとっても、目の前で白川の状況がわかり安心に包まれます。いかがでしょうか。
白川中流域の
河川整備計画について市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 白川の
河川整備につきましては、昭和28年6月の白川大水害と同程度の3,400トン規模の洪水に対応した白川水系
河川整備基本方針が、平成12年12月に策定されております。
それを受けまして、平成14年7月に白川水系
河川整備計画が策定され、昭和55年8月などの洪水と同程度である2,300トンのうち、
立野ダムなどで300トン調節し、河道改修で2,000トンを安全に流下させることとしています。
現在、この計画に基づき、河口から小磧橋までを
国土交通省が、これより上流のみらい大橋までを熊本県において、激甚災害対策特別緊急事業などとあわせまして、
河川整備が鋭意進められているところでございます。
市民の生命、財産を守る上で、白川の総合的な治水対策は必要不可欠な取り組みでありますことから、みらい大橋から上流につきましても、
スピード感を持って進めていただくよう、引き続き流域自治体とともに
国土交通省並びに熊本県に要望してまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員
国土交通省の説明を、そのままメッセンジャーのようにしなければならない市長に、本当に申しわけないと思います。私たちは、直接話し合う機会を与えられていないのです。こういうことが行政と市民との関係であっていいのかと思います。
先ほど2,300トンをカットするために、2,000トンは河川改修、300トンは
立野ダムと。
立野ダムは、川辺川と比べましても、たった300トンの効果しかないのです。河川改修が2,000トンカットできるのであれば、もっと河川改修を精力的にやっていただきますならば、私
たち市民にとっても目に見えて、そこに安全安心があるのではないかと思います。
それと同時に、この堤防や河川拡幅、それに遊水地、これらの河川改修は地元の経済界にも潤いを与えます。地元の建設業者にとっても、毎年、河川のしゅんせつ、遊水地の維持管理、いろいろな仕事が出てまいります。
ところが、
立野ダムは、中央の大規模ゼネコンに私たちの支払った税金が吸い上げられるばかりです。もっとこのような意見も国交省と交わしたいと思います。どうぞ、市長、よろしくお願いいたします。
ところで、白川改修・
立野ダム建設促進期成会というものがあります。その事務局は本市がしておられます。毎年総会があると思いますが、ぜひ、その場でお伝えいただければ幸いです。その際、名称から「
立野ダム建設促進」を取っていただけないものでしょうか。今度の期成会総会で議題に上げていただきたいと強く希望いたします。きっと流域の町村長の皆さんも、賛同されるのではないかと思います。
国と地方との関係は、微妙な本当にナイーブな問題もあるかと思いますが、ぜひ市民の声を届けていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、放射能汚染土、いわゆる除染土のことですが、この公共工事利用についてお尋ねいたします。
環境省は、東京電力福島第一原発事故後の除染で出た汚染土に関し、放射性セシウム8,000ベクレルパーキログラム以下の汚染土を、全国の公共事業で利用できる方針を3月30日に決定しました。そこに、4月の
熊本地震が起こりました。道路の陥没で地盤擁壁などの崩壊が起こりました。放射能汚染土がこれらの震災復旧工事に利用されるのではないかという不安が生じました。放射能汚染土を公共工事に受け入れることについてどのようなお考えをお持ちですか。
九州の中でも熊本はいずれの原発からも離れており、九州山脈で本州の原発からも守られています。放射能の測定では日本の中でも大変低い数値を示しているそうです。せっかく放射能から守られているのに、わざわざ放射能汚染土を受け入れる必要はありません。
放射能汚染土の公共工事利用は、道路や河川の護岸など地面に近いところで使用されます。地面に近いところで生活しているのは子供たちです。そして、子供たちは成長段階にありますから、一番放射能の影響を受けます。市民の健康、特に子供たちの健康への影響が懸念されます。また、熊本県は有機農業で有名なところです。安全安心でおいしい熊本の農産物は市場でも高い評価を受けています。もし、放射能汚染土が持ち込まれてしまえば、熊本の農業にどのような影響があるかはかり知れません。
以上2点、放射能汚染土を公共工事に受け入れることの可能性と受け入れた場合の市民の健康や農業への影響について、見解をお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 除去土壌の受け入れ可能性と受け入れた場合の市民の健康や農業への影響について、以上2点のお尋ねについてお答えいたします。
福島原発事故の除染に伴い発生いたしました除去土壌につきまして、環境省から本年6月に再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方が示されたところでございます。
この基本的考え方は、福島県内における除染等の措置により生じた除去土壌を、関係者の理解、信頼を醸成しつつ、再生資材化した除去土壌の安全な利用を、段階的に進めるために示されたものでございます。
環境省では、今後、この考え方を指針としまして、事業実施者や地域住民など関係者の理解、信頼を得るために、管理の妥当性の実証事業や、社会的受容性の向上を目的としたモデル事業を実施するとされております。
また、再生利用先での適切な管理が実施されるよう、適切な仕組みづくりの検討や、再生資材を利用する場合の留意点を整理した手引きの作成など、再生利用の本格化に向けた環境整備を進めていくとされております。
このように、福島県内における除染土壌処理については、今回あくまで基本的な考え方が示されて、まだ管理の方法や利用方法等はこれから検討するとされたところでございますので、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 除染土の公共工事利用については、現段階では国の動向を注視していきたいということであります。しゃれではありませんが、注視を中止にしていただきたいと思います。本当に、まだ検討段階ではあると言いながらも、私たちにとっては農業が基幹産業です。農業を守るためにも、いろいろなところにアンテナを張って、ぜひ敏感なこの感度を保っていきたいと思います。市民の健康と食の安全にかかわることですので、子育て中の保護者やグリーン農業を進める農家にとっては、極めて関心の高いことであると思います。どうぞ、このあたりを御理解いただき、この受け入れについて、中止ということでの準備を進めていただきたいと思います。
続きまして、熊本市民病院の移転について、市長に2点の質問をいたします。
まず、1点目です。
熊本市民病院を東町4丁目の国家公務員住宅東町北住宅の用地に移転新築する計画を市長は唐突に表明されました。用地は第二空港線に沿っています。交通渋滞が懸念されます。市民病院の建設予定地から東へ1.5キロメートルに計画されていた大型ショッピングセンターを、熊本市は交通渋滞を主な理由として、平成18年に当時の幸山市長は不許可としました。
その論をまてば、同じ第二空港線にある当該地に交通渋滞が懸念される集客の施設はそぐわないことになります。そこで、市民病院を設置するに当たり、第二空港線の交通渋滞に対してどのような対策を考えておられますか。
次に、2点目です。
熊本の道路網は放射状に延びており、環状線が少ないという城下町ならではの欠点を有しています。現在の市民病院は、環状線である東バイパスに面しており、放射状にある健軍方面への市電もあります。交通面では大変便利なところであります。
さて、移転予定地はどうでしょうか。この周辺では環状線にもなり得る都市計画道路下南部画図線の計画がありますが、今、ストップしております。同様に、東のほうには新外秋津線があります。市民病院が移転してくることで都市計画道路の完成も必要になってくるのではないでしょうか。
また、さきの
落水議員、きのうの三森議員の市電延伸検討の質問に、まずは自衛隊ルート、次に南熊本ルートを調査したいとお答えいただきましたように、自衛隊ルート上にある市民病院にとっては、交通渋滞解消のためにも、市民の利便性のためにも、市電延伸はより必要になってくるのではないでしょうか。
市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 お尋ねの移転に係る交通混雑の御懸念についてお答えいたします。
まず、周辺道路の状況でありますが、交通量調査については、今後直ちに取りかかることとしておりますが、平成22年度に
国土交通省が実施した交通量調査のデータによりますと、建設予定地沿いの第二空港線の通行車両は、朝のピーク時である7時から8時において、上下線合わせて1時間当たり約3,400台という、通行量の多い路線となっております。
これに対しまして、市民病院への自家用車での来院状況について現状を見てみますと、平成25年度の調査では、出入りのピークは午前10時から11時の間、入出庫それぞれ200台程度となっておりまして、第二空港線沿いのピーク時間とは異なっていること、また、午後になると病院施設は商業施設などと違いまして来院者が減少しますため、交通への大きな影響はないものと考えております。
現地での渋滞対策としましては、駐車場の容量を十分確保することで駐車のための待ち時間をなくし、スムーズな入出庫ができるようにすること、また、主要出入り口の位置や周辺道路から駐車場までの車両動線などについても、周辺交通量の調査や交通解析を踏まえ、関係機関と十分な協議を行うこととし、効果的な対応を行ってまいりたいと考えております。
また、都市計画道路につきましては、道路ネットワーク全体で考える必要がありますことから、今後予定しております道路整備プログラムの見直しの中で、適切に評価してまいりたいと考えております。
また、市電延伸に関しましては、これまでもそれぞれの議員にお答えしておりますとおり、自衛隊ルートについて市民病院の利便性向上も含め、今後、調査を進めたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 ありがとうございました。
市民病院の来院者の規模は、大型ショッピングセンターとは比べものにならないと思います。ただ、そのピークの時間帯というのは、大型ショッピングセンターもやはり10時とか11時とか、その時間帯ではないかと思います。と同時に、その先のグランメッセの渋滞も、ちょうどそのあたりになっております。規模が違うとは言いながらも、やはり交通渋滞というのは最小限に抑える必要があります。交通行政を主管するところでありますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
環状線機能を有する都市計画道路については、市民病院の移転を踏まえ、適切に評価していただくということになりました。
そこで要望ですけれども、都市計画道路下南部画図線のルートは、健軍商店街で一方通行となっております。円滑な道路ネットワークという観点から、双方向の通行を御検討いただきたいと思います。
さて、移転予定地一帯は昭和の初めに三菱の爆撃機製造工場のために旧陸軍の用地として収用されました。そのことから、現在でもほとんど国有地となっています。当時の状況を知っている農家の方は、「大事な農地をお国のために提供したのに、最近では民間に売却されて、マンションやショッピングセンターになっていく」と複雑な心境を述べておられました。今回は、市民病院が来てくれると、大変歓迎しておられます。
さて、当該地は、民間の用地は極めて少ない地域です。そのため、職員の通勤のための駐車場の確保もままなりません。
復旧・復興に関する調査特別委員会でも質問させていただきましたが、公共交通機関の利用が難しい職員のために駐車場は用意したいとの答弁でございました。ぜひこの要望には応えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、次の質問に移ります。
先月、無農薬無肥料の自然栽培による奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんのお話を青森の現地でお聞きする機会がありました。ローマ字のShizen Saibaiが国際的にも通るようになり、ヨーロッパではよく知られているそうです。健康と食の話をたくさんいただきましたが、中でも私の印象に残っておりますのが、農産物の安全度を国際比較すると日本は上から150数番目に位置しており、食の面では日本は危険であると言われているそうです。オリンピックでは日本の食材は使われなくなってしまった。北京大会ではアスリートの食材は日本ではなくヨーロッパから空輸された。東京オリンピックでも日本の食材が提供できるかどうかはかなり厳しい状況だ、とのお話でした。
そこで、帰って調べてみましたところ、オリンピックで調達される食材は、ロンドン大会では自然栽培の食材のみという調達基準が設定され、リオ大会でも認証を受けたオーガニック産品が優先されたようです。そして、地産地消に限るということで地元産品に限定されたそうでもあります。東京オリンピックでも食材の調達基準は組織委員会が決定することになっているようですが、これまでの国際的な流れに沿っていくものと思われます。
2020年の東京オリンピックの前年2019年には、本市でもラグビーワールドカップ、そして女子ハンドボール世界選手権大会が開催されます。これまで申し上げましたような世界の動きを見きわめて、熊本の食の安全をアピールできますように、例えば東京オリンピックの食材調達基準に先行する取り組みを外国の訪問者の宿泊施設に協力していただくなどできないでしょうか。また、世界各国からいろいろな食文化を持っているアスリートが熊本においでになります。ハラール認証の取り組みにつきましてもお答え願います。
さて、もう一つのおもてなしとして、受動喫煙からの防止対策が国際標準としても必要となってきております。2010年に、国際オリンピック委員会(IOC)とWHOは健康的なライフスタイルとたばこのないオリンピックを目指す合意文書に調印しています。その内容は、オリンピックはスポーツの祭典であることから、健康的な環境のもとで実施されなければならないというもので、オリンピック開催都市はスモークフリーの環境を整備しなければならないことがうたわれています。近年の全てのオリンピック開催都市では、罰則つきの条例や受動喫煙防止法が整備されています。あの北京大会でも、中国政府は受動喫煙防止法を全国に制定いたしました。
さて、翻って日本では、神奈川県や兵庫県では罰則つきの受動喫煙防止条例が制定されており、東京都でも、近年の他の開催都市と同様、都民や来訪者の受動喫煙を防止する条例を罰則つきで制定する動きが進んでいます。東京オリンピックの開催を意識したものです。
2010年に熊本で行われた受動喫煙に関するアンケート調査では、対象者の40.2%が日常的に受動喫煙にさらされ、87.4%がそれを迷惑と考えており、喫煙者自身も56.7%が他人のたばこの煙を迷惑と受けとめているそうです。受動喫煙の防止対策は市民からの支持も得られると思います。
健康都市宣言をしている本市として、県民、市民の受動喫煙防止の要望を実現し、健康
まちづくりの先進性を全国に示す上でも、今回の国際大会の開催を契機として受動喫煙防止条例を制定してはいかがでしょうか。
以上、本市開催の国際大会へ向けたおもてなしの準備として、1点目、安全な食材の提供について、2点目、公共空間における受動喫煙の防止について、市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 国際スポーツ大会における安全な食材の提供についてお答えいたします。
世界レベルのトップアスリートにとって、滞在中の食事は極めて重要な要素でありまして、求められる満足な水準の食事を提供できるように最大限努めることは、大会主催者に課せられた責務であると考えます。
こうした観点から、2019年に本市で行われる女子ハンドボール世界選手権及びラグビーワールドカップにおいても、今後、食事に関する考え方が示される見通しでありますが、オリンピックのような食材の調達基準になるかは現在のところわかっておりません。
しかしながら、熊本が誇る上質な農水産物をできるだけ使用してもらうことは、熊本の食を世界に発信する上でのまたとない好機でもございます。
また、ハラール認証についてでありますが、本市ではマレーシア政府直轄のハラール産業開発公社との協力によりまして、地場企業へのハラール認証に関する情報提供やセミナーを開催しますなど、ムスリム文化圏からの観光客への対応に取り組んでいるところでございます。
このため、大会準備の過程においては、宿泊施設を初め飲食提供者に対し、安全で衛生的な食の確保はもとより、地元食材、できれば生産方法や味にこだわりを持った食材や有機農産物等の使用を働きかけるとともに、ハラール食材を提供する等、選手が十分に力を発揮できる環境づくりと熊本の食の魅力発信に努めてまいりたいと考えております。
次に、公共空間における受動喫煙の防止対策についてお答えいたします。
本年8月31日に厚生労働省有識者検討会がまとめた喫煙の健康影響に関する検討会報告書によりますと、受動喫煙がある人は、ない人に比べ肺がん発症のリスクが1.3倍、また、脳卒中、小児ぜんそく、乳幼児突然死症候群などの因果関係も確実とされたところです。受動喫煙防止対策につきましては、屋内の100%禁煙化を目指すべきと提言されております。
また、議員御指摘のとおり、2008年以降の五輪開催地では、受動喫煙防止のための罰則を伴う受動喫煙防止対策が講じられておりまして、我が国でも公共の場等における受動喫煙防止対策強化に向けた検討が始められているところでございます。
本市におきましては、受動喫煙防止の観点から平成15年12月に熊本市施設における受動喫煙防止対策指針を定め、平成24年4月からは市施設を原則施設内禁煙としたほか、市民向けに開催しております健康講座や校区単位の健康
まちづくりの取り組みの中での啓発、また禁煙に取り組む飲食店の拡大などにも取り組んでいるところでございます。
条例の制定についてどう考えているかという御質問についてでございますが、五輪開催に向けた国の動きを注視しつつ、本市で開催されますスポーツイベントの国際大会における受動喫煙防止対策について関係団体などとともに取り組んでいくこととしておりまして、まずは他自治体の取り組み状況などについて研究してまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 ありがとうございました。
農産物の自然栽培が欧米で大きく進んでおり、オリンピックの調達基準にもなっていることは、奇跡のリンゴの木村さんを訪問して初めて私も知ったところであります。熊本は、有機農産物の一大産地でありますが、国際大会の開催を機会に熊本の農産物の評価がますます高まりますように、取り組みを進めていただきたいと思います。
受動喫煙防止につきましては、まだまだ本市は国内的にもおくれていると、健康づくりの市民団体の皆さんはおっしゃいます。国際大会の開催を機に、議会、執行部一体となって受動喫煙防止対策をリードしていくことが必要ではないかと思います。どうぞよろしくお願いします。
新聞では、政府は今年度、企業が従業員向けに開設する事業所内保育施設の大幅拡充策を打ち出しました。今後2年間で保育定員5万人を目指し、計835億円の予算を投じると報じられています。民間企業の福利厚生事業を社会保障政策に生かすことができる有意義な事業であると思います。
本市として、どのように国の政策と連携していくことができるでしょうか。まずは率先垂範で市役所本庁舎に職員向けの保育所を開設し、一般にも定員の一定割合を開放してはいかがでしょうか。本庁舎に入居していた喫茶店や理髪店も撤退しておりますし、検討の余地、空間の余地はあると思います。また、桜町再開発においても事業所内保育所は想定されているようです。この手取本町でもできるのではないでしょうか。御検討をよろしくお願いします。
ところで、事業所には病院内保育所もあります。病院の特性を生かして、病児保育、病後児保育、さらには24時間保育も可能ではないでしょうか。現在の制度で可能であればよいのですが、まだであれば、ぜひ地域の要望として国に働きかけていただきたいと思います。
関係局長に答弁をお願いいたします。
〔多野春光総務局長 登壇〕
◎多野春光 総務局長 私からは、市役所庁舎内への事業所内保育所の設置についてお答え申し上げます。
〔副議長退席、議長着席〕
人口減少社会の進行に伴い、生産年齢人口の減少による経済の停滞などさまざまな影響が危惧される中、将来にわたって活力ある社会を維持していくためには、子供を安心して生み育てることができる子育て環境を整備することが重要であると認識しております。
そのような中、現在、指定都市にはございませんけれども、宮城県を初め複数の県におきましては、仕事と子育ての両立を支援する観点から、庁舎内に職員向けの事業所内保育所を設置しているところがございまして、送迎の利便性が向上した、職員が安心して仕事ができるといったメリットがございます。一方、公費負担が増加しているなどの課題もあると伺っているところでございます。
本市におきましても、市役所の庁舎内に職員向けの事業所内保育所を設置することは、仕事をしながら安心して子育てできる環境整備に資すると考えておりますが、現在、庁舎の執務面積が不足し、民間ビルを賃借している状況にあることや、専ら市職員が利用する施設への市費投入の是非等の課題もございますことから、今後も引き続き研究してまいりたいと考えております。
〔池田泰紀健康福祉局長 登壇〕
◎池田泰紀 健康福祉局長 私の方からは、病院内保育所に関する質問につきましてお答えいたします。
病児・病後児保育につきましては、現在、本市におきまして、病院併設を含め8カ所で実施をいたしておりまして、年間約6,000人の方が利用されている状況でございます。
次に、病院内保育所の24時間保育につきましては、まず、病院内保育所の種類といたしましては、子ども・子育て支援新制度が施行されたことに伴いまして、認可事業として創設されました地域型保育事業の一つでございます事業所内保育所と、認可事業としてではなく、本市に届け出を行うことにより実施いたします認可外保育所がございます。
まず、認可事業でございます事業所内保育所につきましては、厚生労働省が発出しております夜間保育の取り扱いの規定によりまして、原則22時までの開所時間となっておりまして、本市におきましては24時間保育を実施している事業所はございません。
一方、認可外の病院内保育所につきましては、同じく厚生労働省が発出しております認可外保育施設の指導監督基準を遵守している限り24時間保育は可能でございまして、本市では現在、2施設が24時間保育を実施しているところでございます。
今後につきましても、24時間保育を初め多様化する保育ニーズに的確に対応できるよう、国や指定都市等と連携を密にいたしまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 専ら市の職員が利用する保育所では、市民の理解が難しいとのお考えのようですけれども、市の正規職員は6割にも満たない状態でありますし、認可の事業所内保育所でも3割程度の外部の利用が認められています。子供に優しい市役所と言われることは、待機児童対策の推進のためにもよいことではないでしょうか。
病院内保育所ですが、認可外と認可内にかかわらず、病院という特性を生かした24時間保育が可能であると思います。この保育所の開設については、私は自治事務と捉えて、市町村の判断、自治体の判断でできると思っておりましたが、よくお聞きしますと、これは法定受託事務ということで、国の指導、国の判断が何より大事だそうで、そのためになかなか市民のニーズが十分に反映されないという側面があるようです。ぜひ、これから国との調整、説明、そのようなことで今後の市民の多様化するニーズにさらに応えられるよう、取り組みを進めていただきますようお願いいたします。
それでは、少し早いようですけれども、最後の質問に移らせていただきます。
大西市長が
県議会議員時代に代表を務めていたローカル・マニフェスト推進地方議員連盟では毎年、地域から善政競争の輪をつくろうとマニフェスト大賞を開催されています。その中ですばらしい政策が生まれています。他の自治体とは違った政策を発案することには、既存の施策を点検し、その中から新たな発想を生み出していくという大きな意義もあります。この善政競争のトップランナーから学び、みずからの政策を比較分析し、最適な目標や実行計画を設定して実行していくベンチマーキングの手法があります。
政策へのベンチマーキングの適用は、自治体法務研究会で九州大学の田中孝男准教授が報告しておられたものです。市長も御存じの方であります。私には、ベンチマークというのは印象に残っております。職員時代、私が担当しておりました水準測量の地盤沈下対策の水準点のことであります。そのことから、大変印象に残る発表でもありました。専門家はほとんど知っておられます。ベンチマークによって、こちらの標高とこちらの標高との水準点の比較で、自分の位置がどうあるかということを判断するものであります。
子供の貧困対策について、私がすばらしい善政を行っていると考える政策事例を紹介して、ベンチマーキングの手法を当てはめ、本市の子供政策に役立てていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
ひとり親家庭など大人1人で子供を養育している家庭が特に経済的に困窮している実態がありますことから、兵庫県明石市では全国に先駆けて離婚時の養育費等の取り決めを進めておられます。離婚届をとりに来られた方たちにこどもの養育に関する合意書を配布されています。養育費の額だけではなく、支払いの期間や振り込み口座、面会交流の方法・頻度・場所などを具体的に記入できる合意書です。合意書を配布するだけではありません。民間団体と連携して月1回の専門相談会を開き、実効性のある取り決めがなされるようサポートしています。また、アメリカの多くの州で義務化されている離婚前講座も開いています。決して離婚を勧めるわけではありませんが、離婚によって大きな影響を受ける子供たちを守るためでもあります。
市役所は市民との接点を数多く持っており、それを生かすことにより、さまざまな困難を抱えた人と接することができます。相談を受ける機会を持つこともできます。例えば、乳幼児健診を4カ月児、10カ月児、1歳6カ月児、3歳児に実施されています。母子手帳の発行時ですとか、児童扶養手当の全受給世帯と面会できる8月の現況届のときとかもあります。そのときに子供と保護者に会えればその状況、生活の様子がわかります。虐待や貧困の早期発見、早期対応にもつながります。離婚前講座を紹介し、子供の養育に関する合意書も指導できます。
さて、市長、善政を行っているところがあれば、その政策をベンチマークとして本市と比較し、必要であれば本市の施策を改良して、
市民生活の向上に役立てることが大事だと思います。御紹介申し上げた明石市の子供の貧困対策についてはいかがでしょうか。
先日の園川議員の質問でも子供の貧困対策を指摘しておられました。答弁されている本市の対策は対症療法的なイメージが拭えません。子供の貧困が発生する前の予防対策、これがより必要ではないかと私は考えます。
市長の御所見をいただきたいと思います。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 本市におきましては、子供の貧困対策や母子・父子家庭の自立支援を進める中、子供への学習支援や大学生によります訪問援助、家庭での一時預かりなどの日常生活支援、自立支援のための給付等の経済的支援を実施しているところでございます。
また、養育費相談員を配置いたしまして、離婚前の相談も含め養育費の取り決めなどの相談に応じておりますほか、養育費取得に関する講習会を年2回実施しております。さらに、弁護士によります無料相談を毎月実施しているところでございます。
議員御案内の明石市で実施されておりますひとり親家庭に対する支援策であるこどもの養育に関する合意書や離婚前講座につきましては、離婚に伴う多大な影響を受ける配偶者や子供の利益にもつながる方策の一つであると評価しております。
本市といたしましても、本年3月に関係部局から成る熊本市子どもの貧困対策庁内連絡会議を発足しまして、各種事業の実施状況等の情報共有、連携方策の検討などを行っておりまして、まずこの会議を活用いたしまして、明石市の事例も参考に、子供の貧困対策に努めてまいりたいと考えております。
〔14番
田上辰也議員 登壇〕
◆
田上辰也 議員 日本人は外国のものを取り入れるとき、日本らしいものに改良して生活を豊かにしてきました。明石市の子供の貧困対策も、本市の政策との比較検討を行いながら、より熊本に合った政策に改良していただきたいと思います。
政策のベンチマーキングについて述べさせていただきましたが、私が職員時代に地盤沈下対策を担当して、本市西南部方面に1級水準点のベンチマークを設置したことがありましたことから、関心を寄せていたところであります。
さて、今回の地震では、市内全域、至るところで地盤沈下が見られています。その全容解明のために、当時に設置した水準点を活用し、県、市、そして国土地理院と協力して水準測量を行っていただきたいと思います。本市の過去の地盤沈下対策の施策も生きてきます。どうぞよろしくお願いします。
さて、予定していた明快な質問にはならなかったかとも思いますが、私のしつこい思いのこもった質問になったのではないかと思います。以上をもちまして質問を終わらせていただきます。本当に皆様、お疲れさまでした。本会議場が被災し、傍聴にお越しになった皆様にモニターでごらんいただきました。本当に申しわけありませんでした。また、インターネット中継によってごらんになっておられる皆様に対しましても心から感謝申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
御静聴ありがとうございました。(拍手)
─────────────────────────────────
○
澤田昌作 議長 次に、日程第2 議第243号「平成28年度熊本市
病院事業会計補正予算」を議題といたします。
市長の提案理由の説明を求めます。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎
大西一史 市長 ただいま上程されました議第243号につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
本議案は、
熊本地震により被災いたしました熊本市民病院の再建に要する経費であります。再建につきましては、
公共施設マネジメント調査特別委員会において東町での移転再建を御了承いただいたことから、用地取得関連経費及び同地の国家公務員宿舎の解体費用を計上しております。