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平成25年第 3回定例会−09月17日-03号
平成25年第 3回定例会−09月17日-03号

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  1. 熊本市議会 2013-09-17
    平成25年第 3回定例会−09月17日-03号


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    平成25年第 3回定例会−09月17日-03号平成25年第 3回定例会   平成25年9月17日(火曜) ┌──────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第3号                          │ │ 平成25年9月17日(火曜)午前10時開議                │ │ 第  1 質問                              │ └──────────────────────────────────────┘                              午前10時00分 開議 ○齊藤聰 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ───────────────────────────────── ○齊藤聰 議長  日程第1「質問」を行います。  順次発言を許します。上野美恵子議員。          〔27番 上野美恵子議員 登壇 拍手〕 ◆上野美恵子 議員  日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。  時間の都合もありますので、早速質問に入ります。発言通告の順序を一部変更してお尋ねしてまいります。納得できない場合は何度でもお聞きしますので、市長並びに執行部の皆様には真摯な答弁をお願いいたします。  安倍政権は、8月21日、社会保障改革プログラム法案骨子を閣議決定しました。いよいよ本格的な形で医療、介護、生活保護、保育などが改悪され、一方で消費税増税も強行されようとしています。国の責任を投げ捨てる社会保障の改悪は許されるものではありませんが、国の悪政の防波堤となって市民の命、暮らしを守る自治体の役割はますます重要です。  安倍首相は、来年4月からの消費税増税を10月初めにも決断すると言っています。8%への増税は、総額8兆円の負担増となります。1997年の消費税5%の増税、住民税・所得税増税、医療費の負担増による9兆円もの負担増が長期不況の引き金となったことは御承知のとおりですが、それでもそのときは国民の所得は着実にふえていました。しかし、今は勤労者所得も年金も減っています。そういう中での今回の消費税増税です。本市の市民生活や地域経済への影響をお示しください。  また、影響は重大です。市民生活、地域経済を守る立場から、国に対して増税中止を求めるべきではないでしょうか。  市長にお尋ねいたします。
             〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  消費税に関連しまして2点のお尋ねでありますけれども、一括して答弁をさせていただきます。  御承知のとおり、社会保障と税の一体改革につきましては、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築し、国と地方を通じて安定した財源を確保していくためには極めて重要な取り組みであり、その中で消費税増税の選択はやむを得ないものと認識いたしております。  一方、消費税引き上げによって、いわゆる駆け込み需要の増加が期待されますものの、その後の反動や、あるいは家計の実質可処分所得減による個人消費の減少など、消費への影響も懸念されるところではあります。  お尋ねの市民生活への影響額についてでありますけれども、仮に家計面での負担増という観点から、平成24年の家計調査年報における消費支出額をもとに試算いたしますと、年間で1世帯当たり約8万4,000円、全世帯で約264億円となります。  また、地域経済への影響額についてでございますが、試算が困難でありまして、具体的な金額をお示しすることはできませんけれども、いずれにいたしましても消費税増税は、個人消費や企業活動など地域経済への影響が懸念されますことから、国の低所得者への配慮などの対策も含めまして、10月初旬の最終判断を引き続き注視してまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  どんな世論調査でも、来年4月からの消費税の増税は、賛成は20%前後にすぎません。しかも庶民と中小零細業者に3%の負担増を押しつけながら、そのうち2%は大企業への大幅減税等に充てるというのですから許せません。私たちは、来年4月からの増税中止一点での共同を広げて、国民運動の発展に全力を尽くす決意です。  それでは続いて、国民健康保険について伺います。  当市議団が行いました市民アンケートには、「国民健康保険料を毎月4万円から5万円払っています。ほとんど病院に行かないのに、家賃と国保、税金、年金で給与のほとんどがなくなります。」、また、「国民健康保険料が支払えず、気が重い毎日です。家族はここ数年一度も病気で病院にかかっていません。毎月6万6,000円という家賃より高い額で、とても腑に落ちない感じです。」などの声がありました。  熊本市の国民健康保険では、加入者世帯の所得は、1世帯当たりで5年前の106万6,600円が、昨年度は90万8,000円と、5年間で15万8,600円も減っています。年間所得106万円は、それだけでもかなり厳しい生活ですが、それが月にして1万3,200円も減っています。一方で、保険料は毎年上がっています。所得に占める保険料の負担割合は、5年間で15.2%から18%へと上がっています。所得が減って、保険料が上がって、全く逆です。保険料の政令市比較では、年間所得200万円、4人世帯のモデルケースで、堺市、京都市に次いで高い方から3番目です。熊本市の市民所得は全国でも最低レベルで、国保料の負担は大変重い状態です。  本市は、この5年間、国保会計の財政健全化に取り組んで、一般会計の法定外繰り入れを10億円ないし30億円ほど行って、2010年度から単年度収支が黒字に転じて、5年前に80億円あった累積赤字は、昨年度22億円まで減っています。  一方で、加入者は負担の限界を超えた保険料を払っております。先ほどの4人世帯のモデルケースで、熊本市は年間42万6,690円で、政令市平均の35万8,000円よりも約7万円も高くなっています。収納率は、現年度分で8割台で推移し、支払いが厳しいことを示しています。  国保会計の赤字は、一般会計繰り入れをふやして解消してきています。今度は一般会計の繰り入れで、保険料をせめて政令市平均程度に引き下げるべきではないでしょうか。  また、本市は、2008年度から低所得者減免を実施しています。保険料負担は重くなっているのに、独自減免実績はふえるどころか減っています。保険料減免の拡充についてお尋ねいたします。  世帯の平均所得が100万円にも満たない貧困層が多く加入している国民健康保険では、医療費も加入者にとって大変大きな負担です。私どもは、生活困窮者世帯の医療費軽減をと、国保法第44条に基づく一部負担金の減免・免除の適切な実施を求めてきました。しかし、東日本大震災関連を除いた政令市の比較で、本市の実績は年間たったの7件で、制度がありながら運用されていない状況です。広島市のように年間2,000件を超える実績の政令市もあります。生活の苦しい人は、金の切れ目が命の切れ目で、病気でも病院に行けません。国保のしおりへの丁寧な説明や、市政だよりへの掲載など周知の徹底と、他都市よりも厳しい免除・減額の基準を引き上げ、減免・免除の適切な実施についてお尋ねいたします。  市長並びに健康福祉子ども局長に伺います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  国民健康保険に関するお尋ねの中で、私の方からは保険料引き下げに関するお尋ねにお答えさせていただきたいと存じます。  本市におきましては、御案内のとおり国民健康保険会計健全化計画に基づきまして、医療費の適正化、あるいは収納率の向上に取り組みますほか、一般会計からの法定外繰り入れにつきましても、平成24年度からさらに毎年10億円を増額いたしておりまして、被保険者1人当たりで比較いたしますと、指定都市平均以上の水準を確保している状況にございます。  これらの取り組みの結果、平成21年度に過去最大82億円ございました累積赤字でありますが、減少しつつあります。しかしながら、平成24年度決算におきましては、21.9億円の赤字が依然として存在しているのも現実でございます。  今後、この累積赤字の解消を図りますためには、被保険者の年齢層が高く、医療費が高くなる一方、低所得者が多いという国保の構造上の課題がございます中、より一層の厳しい財政運営が続くことも予測されまして、現状におきまして保険料の引き下げを行うことは困難であると考えております。  なお、国におきましては、社会保障制度改革の動きの中で、平成29年度を目途といたしまして、国保の財政運営を現在の市町村から都道府県へと移行させるなど、抜本的な制度改革が行われることが決定したところでもあります。現時点で、その詳細につきましては、まだ不明なところが多いわけでありますが、本市といたしましては、今後の国の制度改革の動きを注視してまいりたいと考えております。          〔宮本邦彦健康福祉子ども局長 登壇〕 ◎宮本邦彦 健康福祉子ども局長  国民健康保険に関しまして、2点のお尋ねにお答え申し上げます。  まず、保険料減免制度の拡充についてでございます。本市独自の減免制度につきましては、平成20年度から子育て世帯への軽減を目的といたしまして、被保険者が3名以上で、基準総所得額が100万円以下の世帯の保険料の1割減免制度を創設しております。  また、平成23年度からは、所得激減の減免対象となります所得の減少割合を、前年度所得の3分の1の減少から5分の1の減少へと対象者を拡大するなど、本市が独自に減免いたしました総額は、平成19年度の約3,000万円から、平成24年度には約1億7,000万円と大幅に増加したところでございます。  低所得者の保険料負担の軽減につきましては、国の社会保障制度改革において検討され、平成26年度より順次必要な措置を講じていくことが決定されております。本市といたしましては、まずは現行制度の周知徹底に努めつつ、今後の国の動向を注視してまいります。  2点目の一部負担金の減免制度の広報と基準の見直しについてでございますが、国民健康保険法第44条に基づく医療機関窓口での一部負担金の減免につきましては、本市では国が示した基準より広い範囲で実施いたしております。  具体的に申し上げますと、国基準において生活保護基準以下となっております収入要件を緩和しておりますほか、対象外の外来、療養なども対象としております。  また、本年8月には、生活保護基準の見直しに伴い、影響が生じないよう、収入要件について見直しを行ったところであります。  また、制度の周知につきましては、現在、制度の内容を記載した国保のしおりを保険証に同封し、全世帯に配布しておりますが、今後もさらに市政だよりやホームページ等を活用して周知に努めてまいります。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  私どもの市民アンケートでは、市政に望むことの第1位が国民健康保険料の引き下げでした。その願いに応えていただきたいと思います。  また、保険薬局が無料低額診療事業の対象事業所になれないことから、薬代が自己負担です。診療費よりも薬代が高い方もおられます。現状では、診療が受けられても薬が飲めません。国に対して、保険薬局も無料低額診療事業の対象となるよう働きかけていただくとともに、高知市、旭川市、青森市などで実施されているように、保険薬局が無料低額診療事業の対象となるまでの期間、無料低額診療事業の対象者に薬代を補助していただくよう要望しておきます。  この無料低額診療の薬代助成を行っている青森市の市長は、「市の財政も厳しいですが、困っている住民がいるのです。命にかかわる問題です。予算が限られているなら、教育や福祉を最優先でやるべきです。」と言い切られています。住民福祉の増進を目的とする地方自治体の市長としてあるべき姿ではないかと思います。  続いて、介護保険についてお尋ねします。  8月に出された社会保障制度改革国民会議の最終報告書では、介護制度の改悪が具体的な形で示されました。  重大な問題の一つは、軽度者の介護サービスからの締め出しです。介護保険では、65歳になると介護保険証だけは交付されますが、認定審査や利用料負担など幾重にも高いハードルを越えなければサービスは使えません。本市の場合、65歳以上の第1号被保険者16万1,770人のうち、要介護、要支援に認定されているのは3万4,477人で21.3%、65歳以上の5人に1人しか介護サービスの対象になりません。そして、高い利用料を払い、介護サービスを受けているのはわずか17%です。8割を超える人が高い保険料を掛け捨てです。ところが、今でも少ない利用者をさらに締め出そうとしているのが今回の改悪です。  要支援1、2、全国で154万人の保険給付外しは、軽度者とはいえ日常生活に支障があり、サービスが受けられなくなれば要支援から要介護へと重症化するおそれも指摘されており、何より援助がなければ生活が成り立たない高齢者の生きる権利を奪うものです。重症化で介護度が上がれば多くのサービスが必要となり、介護費用はさらに増大、むしろ介護財政の負担はふえます。  このように矛盾だらけの軽度者切り捨てはすべきではありません。軽度者外しによって、熊本市では何人の人がサービスから外され、受けられなくなるサービスの事業費額はどの程度になるのでしょうか。  また、外された人たちへのサービスは市町村へと委ねられますが、本市としての対応が十分にできる見通しはあるのでしょうか。  また、改悪案の一つ、一定の所得がある人の利用料を2割へとの引き上げが検討され、対象は住民税課税者という意見もあります。この場合、第1号被保険者の何割が2割負担となるのでしょうか。  年々と年金が減る中で、介護保険料は事業計画の更新のたびに引き上げられ、基準月額で制度発足時の3,250円は、今や5,280円へと1.6倍にふえ、年間2万4,360円もの負担増です。市の介護サービスアンケートでも、保険料は約50%の人が「負担が重い」「少し負担」と回答しています。ことし10月分からは、年金の大幅削減が予定され、高齢者の暮らしはますます厳しくなることが予想されます。負担の重い保険料は引き下げるべきではないでしょうか。  また、保険料の独自減免は、毎年40人から50人程度の申請です。低所得者への独自減免拡大についても伺います。  また、本市で介護認定を受けているのは3万4,477人、うち居宅、施設合わせて利用者数は2万7,476人なので、約7,000人、20%の人は利用していません。市のアンケートでは、約4割の人が利用料に負担感を持ち、3人に1人がサービスを控えていると回答しています。全国では、2割の自治体が利用料の独自減免を行っています。本市でも利用料の独自減免をぜひ実施していただきたいと思います。  特別養護老人ホームの待機者は年々ふえ続け、この10年間に全国で4倍にふえ、40万人を超えています。本市でも昨年度時点で3,352人。介護保険施設の整備は、需要に全く追いついていません。2012年度から2014年度の第5期くまもとはつらつプラン介護保険施設整備計画では、特別養護老人ホーム322床増床を含め、グループホームなどの整備も合わせて781床の整備計画です。介護施設は圧倒的に不足しています。計画を抜本的に見直し、整備を促進すべきではないでしょうか。  健康福祉子ども局長にお尋ねいたします。          〔宮本邦彦健康福祉子ども局長 登壇〕 ◎宮本邦彦 健康福祉子ども局長  介護保険制度につきまして、5点のお尋ねに順次お答え申し上げます。  まず、第1点目の要支援1及び2の方が介護保険制度サービス対象者から市町村へ移管された場合の影響と対応についてでございます。  平成24年度末時点での本市における要支援認定者数は、要支援1が5,272人、要支援2が5,058人で、合計1万330人となっております。予防給付額は、要支援1が10億7,916万6,880円、要支援2が22億575万5,011円で、総額32億8,492万1,891円となっております。要支援者の介護予防につきましては、本市といたしましても大変重要と認識いたしておりますが、予防給付のあり方につきましては、現在、国の社会保障審議会介護保険部会で検討が行われておりますため、今後の国の動向を注視してまいります。  2点目の利用料引き上げの場合の影響についてでございます。  利用料2割負担の対象者を仮に住民税課税者であると想定した場合、保険料所得段階区分では7段階以上の方となりますため、平成25年度では、第1号被保険者16万4,727人のうち、36.1%の5万9,535人と見込まれます。  3点目の低所得者の保険料減免制度の拡充についてでございます。  介護保険料の引き下げにつきましては、介護保険事業計画が3年間を単位としており、計画期間ごとサービス費用見込み額等に基づき、財政の均衡を保つよう設定しておりますため、困難でございます。  第5期の介護保険料は、本人や世帯員の収入、所得、市民税課税状況に応じた保険料所得段階を、第4期の10段階に新たな最高所得段階の追加や低所得階層の分割を行い、12段階の保険料区分としたところであり、低所得者にも配慮した料金設定としております。また、保険料所得段階が3段階の方々につきましては、世帯全員が所得税非課税で、課税年金収入額合計所得金額の合計が80万円を超え120万円以下という新たな段階を設け、軽減を図ったところでございます。  なお、収入激減や災害により損害を受けられた場合等による減免適用につきましても、市民の方々に周知を図ってまいります。  4点目の利用料の独自減免制度の導入についてでございます。  低所得者に対する利用料の負担軽減につきましては、高額介護サービス費特定入所者介護サービス費社会福祉法人等による利用者負担軽減制度などの各種の負担軽減制度がございますことから、本市独自の減免制度の実施は考えておりません。  なお、これらの負担軽減制度につきましては、高額介護サービス費につきましては、該当すると思われる利用者へ申請を勧奨する通知を郵送いたしております。また、特定入所者介護サービス費社会福祉法人等による利用者負担軽減制度につきましては、居宅介護支援事業所介護保険施設に対し、利用者やその家族に申請についての説明を行うよう協力を依頼しているところであり、今後もこれらの制度の周知を徹底してまいります。  最後に、5点目のはつらつプランにおける施設整備の拡充についてでございます。  現在の特別養護老人ホームの整備数につきましては、平成22年度に実施いたしました待機者調査結果と第5期はつらつプランの策定委員会において、真に特別養護老人ホームへの入所が必要な方を、在宅生活者であって要介護度が4または5の方、及び要介護度が1から3であっても認知症が重度の方と設定し、平成26年度の時点を推計いたしましたところ約300名となりましたため、3年間で322床の整備を行うこととしたものでございます。  今後の整備方針につきましては、今年度実施いたします待機者調査の結果や国の動向を踏まえ、来年度策定いたします平成27年度からの第6期はつらつプランの中で、真に入所が必要と考える方が入所できますよう方針を決定してまいります。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  要支援1、2の介護外しは介護認定を受けた人の3分の1、約1万人が介護サービスを使えなくなります。介護保険の改悪を許さず、負担の重い保険料や利用料の軽減こそ進めるべきです。  また、介護施設の不足の中で、ケアつきマンション有料老人ホームが次々に建設されています。しかし、その多くが月額入所費が十数万円もかかって、圧倒的な方が本人の年金では入れません。高齢者への安心の住まいの確保のため、低所得者への入居費助成等を検討していただくよう要望しておきます。  続いて、子育てです。  児童虐待や子供たちが犠牲となるような孤独死や餓死事件が相次いで発生。ことし5月、大阪市での、母親が「もっと食べさせたかった」というメモを残し、死後数カ月後に発見された母子餓死事件などは、子供が犠牲になった痛ましい事件の一つでした。貧困と孤立化が一層進み、子供の貧困は新たな段階へ深まっていると識者も指摘をしています。  一方で、内閣府の意識調査では、断然トップが経済的支援で、7割を超える回答者の要望です。中でも、保育所または幼稚園費の軽減が一番の要望でした。日本は欧州諸国に比べて家族政策全体への財政的支援が小さく、家族関係社会支出の対GDP比を見ると、日本は0.79%で、フランスやスウェーデンなどの欧州諸国に比べ4分の1しかありません。子育て世帯への経済的支援は差し迫った課題です。  第1に、次年度から予定される保育料改定は、市民税非課税世帯は引き下げとなるものの、現行の所得区分細分化で、引き下げと引き上げの世帯があります。保育料が引き上げとなる世帯数とその割合、影響額をお示しください。  また、政令市中6市は、非課税世帯が無料です。本市でも非課税世帯の無料化や、その他の段階でも、せめて政令市平均程度になるよう保育料の引き下げを実施していただきたいと存じますが、いかがでしょうか。  また、熊本市の待機児、保留児は、今年度4月1日時点で1,266人に上ります。認可保育園に入所申請して入れなかった児童数を、就学前児童数に占める割合で政令市比較をすると、川崎市、さいたま市に続いて熊本市はワースト3位です。市長は今期の公約で、暮らしやすさ実感、子育てしやすいまちの第1に、保育所の待機児ゼロの実現を掲げられています。ところが、待機児、保留児は、過去5年間、減るどころかふえ続けています。今年度は540人分の増員予定ですが、次年度以降の保育所整備計画はどのようになっているでしょうか。本来、待機児ゼロというのは、入所希望の子供が全て入所できることです。待機児、保留児合わせた解消計画を策定し、実施していくべきではないでしょうか。  2番目は、子供の医療費無料化制度です。  私どもの市民アンケートに、「東京、山口、福岡、熊本と転勤してきましたが、熊本は子供の医療費助成はひどいです。」という残念な声がありました。この声を裏づけるように、政令市で比較すると、入院では政令市20市のうち16市、何と8割が中学校終了まで無料です。そのほか2市が小学校終了までの無料なので、熊本市は政令市でワースト2位です。通院でも、6市が中学校終了まで、2市が小学校終了まで無料化をしており、小学校3年生どまりの本市はおくれた状態です。政令市で最低とも言えるような状態を改善すべきと思います。入院・通院含め、速やかに中学校終了までの無料化を実施できないでしょうか。また、中学校終了までの無料化に必要な費用は幾らでしょうか。  市長にお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  子育て支援に関する数点のお尋ねに順次お答えさせていただきたいと存じます。  まず、保育料改定に伴う影響と保険料の負担軽減についてでございます。  本市の保育料につきましては、今回、徴収金基準額表を8階層から16階層へと細分化を行うことによりまして、各階層区分の中で生じておりました不公平感の解消を図ることといたしました。また、概して低所得世帯層の負担を減らし、高所得世帯の階層を新設し負担金額をふやしますことで、現行より所得に応じた負担となるよう平成26年4月から改定するものであります。  改定による影響の見込みなどにつきましては、平成24年10月の在園データをもとに試算をいたしておりまして、保育料が引き上げとなる児童数は、総児童数1万6,694人のうち4,651人、割合にして27.8%でございます。また、引き下げとなります児童数の割合は、36.7%でございます。  階層及び年齢により改定の影響額は異なるわけでございますが、最大3,000円の引き下げから、新設した高所得世帯の階層の7,000円の引き上げまで想定されるものでございます。  非課税世帯の無料化及びその他の階層のさらなる引き下げについてのお尋ねでございます。本市の保育料は国基準額から全体で約3割の負担軽減を行いまして、その中でも低所得階層におきましては国基準の5割前後と、特に軽減幅を大きくしているところでありまして、さらなる引き下げは困難であると考えております。  また、国基準額から本市保育料への軽減率を平成24年度決算による数値で比較いたしますと、指定都市20市中10番目という状況でございます。  続きまして、待機児、保留児対策についてでございます。  喫緊の課題でもございます待機児童の解消につきましては、これまでも計画的な保育所の整備による受け入れ枠拡大などで対応してまいりました。整備に当たりましては、安心こども基金の活用により保育所整備計画を前倒しいたしまして、平成24年度は240人分の整備、平成25年度は新設を含めまして540人分の受け入れ枠拡大を図ることといたしております。そして、来年度整備分につきましても390人程度の拡大を見込んでいるところであります。  また、補完的事業といたしまして、3歳未満児の待機児童解消に有効な手段でもございます家庭的保育事業につきましても、既存の3カ所に加えまして、今年度は新たに3カ所拡充することといたしております。  さらに、本年4月には幼稚園型の認定こども園を幼保連携型に移行いたしまして、3歳未満児を対象といたしました定員30人の保育所を新たに設置したところでもあります。  しかしながら、潜在的な保育ニーズは依然として高く、近年、入所申し込みは増加傾向にございまして、先般、国におきまして平成26年度末までの2年間で、早急に待機児童を解消する加速化プランが示されたところでありまして、本市におきましても待機児童解消に有効と思われる事業につきましては積極的に活用していきたいと考えております。  具体的には、第2回定例会で補正予算の議決をいただきました保育士等処遇改善臨時特例事業などの人材確保事業に続きまして、幼稚園の長時間預かり保育支援事業、認可外保育施設運営支援事業などに係る予算を今議会に計上しているところでもあります。  保育所整備や家庭的保育事業に加えまして、幼稚園の活用や、あるいは認可外保育施設の認可保育所への移行にも取り組みながら、早急な待機児童等の解消に努めてまいります。  最後に、子供医療費に関するお尋ねでございます。  この助成制度につきましては、子育て家庭に対する経済的な負担の軽減策の一つとして重要な施策と考えておりまして、平成23年の10月診療分からは小学校3年生までの全ての医療費について対象を拡大したところでございます。  自己負担につきましては、医科3歳以上、歯科5歳以上で、1カ月当たり1医療機関につき500円と、過重な負担をかけない程度の額といたしておりまして、今後も継続してまいりたいと考えております。  また、中学校終了までの無料化に必要な費用のお尋ねについてでございます。自己負担をなくした場合、入院・外来など全ての医療費を対象にいたしますと、さらに約6億5,000万円が必要になると試算をいたしております。  いずれにいたしましても、さらなる対象年齢の引き上げにつきましては、さまざまな子育て支援策の中で、優先順位を含め、総合的に検討してまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  昨日は敬老の日でした。長寿日本一の村、長野県松川村は、1万人の小さな村ながら人口がふえて、子供医療費は高校まで無料です。大きいことはいいことだと合併して政令市になったはずです。こうした分野でこそ、合併してよかったとなるように頑張っていただきたいと思います。  続いて、教育問題です。  第1に、文部科学省の取りまとめでは、少人数学級は子供たちにとって学習意欲の向上、勉強が好きになったなどの効果に結びつく、学校や教員にとっても一人一人に目が行き届き、学習のつまずきの発見や、個々の学習進度等に応じた指導が可能になる、子供の悩みや相談に親身に応える時間が確保できる、家庭、保護者にとっても学校、家庭の連携が密になり、子供の見守り、課題への対処が進むと評価しています。
     国も評価している少人数学級について、熊本市は国や県の施策に上乗せをし、積極的に取り組んできました。しかし、いじめや不登校、学力向上、障がい児への対応など、子供たちが抱えるさまざまな困難により丁寧なかかわりが必要です。小中学校全ての学年への少人数学級導入に関するお考えをお聞かせください。また、必要となる事業費をお示しください。  第2に、6月議会で給食費値上げ問題が浮上し、予算決算委員会の締めくくり総括質疑で益田議員も取り上げました。  全日本教職員組合の2011年、2012年の全国自治体調査では、981自治体から回答があり、122自治体、12%以上が給食費の自治体独自助成を行っていることがわかっています。うち、11の自治体は小中学校で全額助成、給食費は無料です。このように、深刻な少子化や貧困の中、全国各地の自治体が2010年度以降、給食費へのさまざまな補助制度を打ち出しています。昨年も紹介しました山梨県早川町は、全国に先駆け、給食費だけでなく、通学費、教材費、修学旅行費など、義務教育に係る経費を完全無償化した自治体ですが、その流れは広がっています。熊本市と合併しなかった益城町では、子供の医療費無料化を中学校卒業まで実施し、さらに今年度からは学校給食費に1人月500円の補助も始めました。うらやましい話です。  今回の給食費値上げは、教育委員会も指摘したように説明が不十分です。保護者への十分な説明と理解、納得は大前提ではないでしょうか。  また、保護者世帯の収入が減っている昨今、家庭の実情を考えるならば、給食費の値上げはすべきではありません。食材費の増大分には一般会計から補助をし、給食費値上げは中止すべきではないでしょうか。  第3に、義務教育は無償ですが、図書、学用品、教材費等は、ほとんどが保護者負担です。一方、全国1割の自治体では、入学時の学用品や副読本、体操服、ランドセル、補助教材購入費や、入学・卒業祝い金、制服購入補助などの現物や現金の支給、あるいは学級費、児童・生徒会費、図書費、卒業アルバム代などの一部または全額補助を行っています。山梨県早川町、高知県東洋町では教材費全額、東京都府中市でもほとんど全額公費負担を行っています。生活困窮世帯がふえる中、全ての子供たちが安心して学べる条件整備と義務教育の無償化に近づくためにも、教材費等の就学費用に対する助成について、全国の自治体の取り組みを調査し、実施の方向で取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、就学援助項目に追加されたPTA会費、生徒会費、クラブ活動費の支給に係る費用と速やかな支給実施についても伺います。  市長並びに教育長にお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、教育問題の中での少人数学級についてのお尋ねにお答えさせていただきます。  政令指定都市に移行いたしまして、本市独自の魅力を高めていく取り組みというのはますます重要でございます。その中でまちづくりの原点ともなります人づくりを担う教育の役割は大変大きいものと認識いたしております。  市長に就任いたしまして以来、次の世代を担う人づくりの取り組みといたしまして、子供たちが楽しく、生き生きと学べますよう、個に応じたきめ細かな指導ができる少人数教育として、少人数学級、あるいは少人数指導などを推進してきたところでもございます。  議員お尋ねの全学年に少人数学級を導入する場合の経費についてでございます。人件費と教室不足によるプレハブ経費で、年間およそ15億円が必要であると試算しているところでございまして、課題といたしましては、申すまでもなく、学級増に伴います教師あるいは施設の確保などでございます。また、少人数学級、少人数指導も含めました少人数教育のさらなる検証も必要であると考えております。  今後とも、学校、家庭、地域との連携をさらに進めつつ、子供たちの健やかな成長に資するような環境づくりに取り組んでいきたいと考えております。          〔廣塚昌子教育長 登壇〕 ◎廣塚昌子 教育長  私からは、教育問題に関する2点のお尋ねにお答えいたします。  1点目の給食費の値上げについてでございますが、給食費の改定につきましては、第2回定例会において御論議いただいた中で、保護者への説明が十分になされていないとの御指摘をいただいたところでございます。  教育委員会といたしましては、御指摘等も踏まえまして、給食費改定について周知用のパンフレットを作成いたしまして、学校を通じて全ての保護者世帯に配布しましたほか、市のホームページへ掲載いたしますとともに、各区のPTAの会合の場をおかりいたしまして、直接保護者へ説明を行いました。また、各学校におきましても、給食だより等でのお知らせや、保護者会、学級懇談会等の場で保護者への説明を行い、御理解を求めたところでございます。今回の改定は、安全安心な給食の提供のために必要なものでございまして、今後も保護者への丁寧な説明を行いながら実施してまいります。  2点目の教育費の負担軽減についてお答えします。  教材費等の就学費用にかかわる助成についてでございますが、指定都市では本市を含め7市が独自の助成を行っておりまして、本市では各学校の教材等に係る購入品や金額等の調査を行いまして、補助教材費として支給いたしております。この補助教材費につきましては、1人当たり年間4,000円から7,000円を学年に応じて支給してきている状況でございまして、今後も継続してまいりたいと考えております。  次に、お尋ねのPTA会費、生徒会費、クラブ活動費の支給に係る費用についてでございます。クラブ活動費につきましては実費の把握が困難でございまして試算することができませんが、PTA会費、生徒会費につきましては、国の単価で試算いたしますと、約7,600万円の費用がかかることになります。  現在、就学援助の認定者は児童・生徒数の14%を超え、年々支給額が増加している中におきまして、国の十分な財政措置がない現状では、新たな支給費目を追加することは難しい状況でございます。今後も引き続き増加する対象者への支援に努めるとともに、国に対しまして十分な財政措置を講じることを要望してまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  文部科学省も給食は大切な教育の一環と位置づけており、本来無償とすべきです。給食費の値上げ中止を強く求めておきます。  続いて、学校施設の問題でお尋ねします。  日本共産党熊本市議団は、この7、8月、学校現場からの要望に基づいて学校ウオッチングを行いました。  ことしは記録を次々更新する猛暑の夏となりました。清水小学校音楽室は3階にあり、東西に窓があいて、入った途端むっとする暑さで、入り口の寒暖計は38度でした。窓のワイヤーガラスは、何度取りかえてもひびが入るそうで、専門業者の話では、余りに室温が高いからということでした。入り口の寒暖計を窓際に持っていくと、ひびの入ったガラスの横で寒暖計はあっという間に40度を超えました。  先日、人吉市を視察しました。人吉市は、3年前の2010年度、全ての小中学校の全ての教室にエアコンを設置しました。事業費は4億2,700万円。国の補助金や交付金を使い、電気料軽減のため、各学校には太陽光発電も設置してありました。アポなしの訪問にもかかわらず、快く懇談してくださった田中市長は、「今の異常気象は昔と違う。子供たちには快適な環境でしっかり学んでもらい、世の中に貢献できる人材になってほしい。いろいろな特性を生かした子供に対応できる教育環境の整備は、私たちでないとできない。」と言われました。全校全教室へのエアコン設置は、市長の英断であったと思います。訪問した中学校でも、「子供たちが落ち着き、授業に集中できるようになった。体育の後でも、誰も下敷きであおがない。先生も授業がやりやすくなった。」と言われました。  最近の夏の暑さは尋常ではありません。国の基準では、適切な教室の温度は28度です。本市では、今年度から音楽室と各学校1つの特別支援教室にエアコンが設置されることになりましたが、今年度は設計のみです。設置は来年度以降です。補正予算を組んででも速やかに設置すべきではないでしょうか。  適切な子供の学習環境確保の観点で、普通教室も含めた全ての教室へのエアコン設置について伺います。  また、学校施設の維持補修・改修では、現場に足を運ぶと驚くようなことがあります。排水先のない流しが使えないまま何年も放置されていたり、壁にばりばりっとひびが入ったり、楠中の国旗掲揚台ポールは斜めに傾いていました。出水中学校では、その名のとおり体育館の倉庫の下から水が湧いて、棚にげたを履かせないと倉庫としては利用できないありさまでした。同じく出水中は、プールと水槽の間に指が入るくらいの隙間があるのに放置されていました。数校の訪問でしたが、どの学校でも要望に何らかの対応がされてきたのはごくわずかで、要望事項のほとんどが手をつけられないまま毎年同じ要求が繰り返されていました。  校舎、体育館、プールの改修では、築後40年以上経過しているものが校舎で150棟、体育館で25校、プール15校です。耐震優先でこの間凍結状態だったので、改修計画を立て、これまでの数倍のスピードで改修を行うべきではないでしょうか。  また、現場にはプールの隙間を初め、日常の使用に危険な部分も多数見受けられます。お金がないでは済まないと何度も思いました。教育委員会の施設関連予算や学校配当予算を抜本的に拡充し、危険と思われる部分はすぐに改修すべきではないでしょうか。  市長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  お尋ねの小中学校の施設整備についての2点の質問にあわせてお答えいたします。  子供たちが安全で充実した学校生活を送り、健やかに成長してまいりますためには、よりよい教育環境が必要であるということはもちろん認識しているものでございます。  学校施設の整備に当たりましては、エアコン設置についての要望もあるところですが、現在進行中の分離新設校あるいは特別支援学校の整備、また、体育館の天井落下防止対策、さらには先ほど御指摘もございました老朽化への対策など、喫緊の課題への対応も必要でございまして、全体の施設整備を進めてまいります中で、緊急度を優先させながら計画的に取り組んでいく必要があると考えております。  また、エアコンの設置についてでございます。教育委員会におきましては、音楽室と特別支援学級へのエアコン設置につきまして、現在、設計を行っているところでありまして、工期の短縮について工夫をしながら、来年度当初の工事着工へ向け、可能な限り早い対応に努めているとのことでございます。          〔議長退席、副議長着席〕  学校施設につきましては、これまで構造体の耐震化事業を優先させて取り組んできたところでございますが、今年度で完了予定でございますため、老朽化の進む体育館やプールの改築につきまして準備を再開したところでございます。  また、学校施設の修繕につきましては、子供たちの安全確保を第一に考えまして、迅速に取り組む必要があると考えております。  繰り返しですが、冒頭申し上げましたように、子供たちの教育環境の整備には十分に意を尽くしてまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  いろいろ言われましたけれども、教育予算の一般会計に占める割合は年々下がり続けて、今年度、過去最低です。前々市長の時代の約半分になっています。予算の抜本的な拡充が必要です。  福井県永平寺町の子ども議会では、エアコンをつけてほしいという子供の質問に、来年度から設置したいと町長が答えられていました。兵庫県の相生市では、幼稚園から小中学校全ての給食費が無料で、そのために年間約1億1,300万円、市の予算の約1%が使われています。熊本市の予算1%は、一般会計で約30億円です。それだけの予算があれば、給食費の無償化、子供の医療費無料化中学校卒業までの6億円、学校プールならば30個も建設できます。  子供の声に応え、小さくても輝く自治体を見ると、何のための政令市かと思わずにはいられません。子供たちの小さな声にも耳を傾けていただくようお願いしておきます。  時間の関係で、子供の問題2点を要望にかえます。  第1は、来年、2014年は1994年に日本政府が子どもの権利条約を批准して20周年を迎えます。条約は、子供を権利の主体とし、意見表明権を保障するとともに、子供の最善の利益を考慮することを求めています。日本政府と自治体は、条約を踏まえた対応が必要です。全国には、子どもの権利条約を自治体で積極的に取り組む立場で、川崎市などの総合条例、兵庫県川西市などの子供の権利救済としてのオンブズパーソン条例、中野区の子供の意見表明、参加をうたった条例など、さまざまな子供の権利に関する条例が制定されています。子どもの権利条約批准20周年に向け、本市でもぜひ子供の権利条例を制定されるよう要望いたします。  第2は、昨年の花園小でのプール事故を受け、再発防止の立場で、本年4月、市立小・中学校夏休みプール開放事業実施要項がつくられました。プール開放に教育委員会も責任を持ち、市教育委員会、単位PTA、学校で構成されるプール開放運営委員会が主催者となることや、監視体制も定められ、28万円上限の専属監視員配置経費、薬剤費を教育委員会が負担しています。しかし、今年度のプール開放実施は、小学校55校、中学校1校でした。夏休みにプールに行けなくてがっかりした子供もいたようです。教育委員会の経費負担の増額や専属監視員の増員など、教育委員会の責任のもとに、全ての子供が夏休みの学校プール利用ができるように取り組んでいただきたいと思います。  続いて、図書館問題でお尋ねいたします。  合併して5年となる富合町は、10月5日で合併協議に基づく特例措置が廃止され、富合図書室の開館時間が短縮されます。現在、7時までの開館が5時までに短縮される予定ですが、時間別利用状況では、短縮される夕方5時以降に2割以上の人が利用しており、働く人は利用しにくくなります。  そもそも合併の原則は、サービスは高い方へ、負担は低い方へです。ところが、合併によって国民健康保険料は大幅に引き上げられ、4人家族、所得200万円のモデルケースで、合併前と比べ、年間7万7,400円もの負担増です。さらに、今回、合併特例がなくなれば、事業所税、法人市民税引き上げを初め、保育料引き上げや、体育施設使用料有料化など、原則に反する負担増が実施されます。  もともと富合図書室は、町の時代に図書館として開設され、兼務とはいえ館長を置き、運営されていました。624平米あるフロアは、畳のあるおはなしのへやもあり、ゆったりとして環境もすぐれています。アスパルのロビーとフラットになった床は、靴を脱いで使用するようになっており、そのため館内がとてもきれいです。スペースが広いので蔵書数も多く、5万1,747冊、他の公民館図書室の2倍から3倍です。本来ならば、合併時に市立図書館の分館として位置づけるべきでしたが、町の要望が聞き入れられず、公民館図書室になったことにボタンのかけ違いがあります。  第1に、富合図書館のサービスを後退させず、全ての公民館図書室を拡充し、利用者へのサービスアップこそ図るべきです。働く人も含め、利用者の条件に合わせ、利用しやすくなるよう、公民館図書室の夕方7時まで開館時間延長についてお尋ねいたします。  第2に、現在、市内の公民館併設図書室は、市立図書館が図書の選定を行い、図書館、分館、公民館図書室は全てオンラインで結ばれ、全市的な図書の交流もあり、実態は市立図書館の分館です。埼玉県所沢市では、公共施設への併設も含め、市内8カ所全て分館として位置づけ、運営されています。本市でも館長の配置や司書職員の体制拡充を図り、公民館図書室、図書館の充実に向け、市内各公民館図書室の位置づけを見直し、市立図書館の分館とするよう図書館事業の拡充を図っていただけないでしょうか。  以上、各関係局長にお尋ねいたします。          〔原本靖久企画振興局長 登壇〕 ◎原本靖久 企画振興局長  私の方から、公民館の併設図書室の開館時間延長についてお答えさせていただきます。  公民館図書室は地域住民が集う学びの場でございまして、まちづくりの拠点となっております17の公民館に併設されておりまして、地域の学習活動への支援を行っているところでございます。  開館は週6日間の午前9時30分から午後5時までで、原則的には図書業務嘱託職員2名を配置いたしまして、図書貸し出し、図書整理、休憩時間等、多忙な時間帯におきましては、公民館の職員等で補いながら運営している状況でございます。  このようなことから、お尋ねの公民館図書室の開館時間の延長につきましては、人的体制等から現時点におきましては困難であると考えております。          〔廣塚昌子教育長 登壇〕 ◎廣塚昌子 教育長  私からは公民館図書室の位置づけについてお答えいたします。  図書館は、図書資料等の提供サービス実施や、読書活動の振興を担う機関として、また、地域の情報拠点として、住民や利用者の要望や社会の要請に応え、地域の実情に即した運営に努めることが重要であると認識いたしております。  現在、本市の図書館運営につきましては、市立図書館を中核といたしまして、プラザ図書館、分館でございます植木図書館、そのほか17の公民館図書室とネットワークを構築し、サービスの向上に努めております。  また、平成26年3月には、南区の拠点となる城南図書館を分館として開館する予定でございまして、併設する児童館や既存の図書館との連携を図り、図書館運営のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。  今後、図書館、図書館分室、公民館図書室、それぞれの役割を踏まえながら、熊本市全体における図書館サービスのあり方を検討してまいります。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  教育長がおっしゃいましたように、図書館は利用者の要望や社会の要請に応え、地域の実情に即した運営が重要です。市全体の図書館サービスのあり方を検討されるとのことですので、今回の指摘を踏まえて、サービス後退しないように要望しておきます。  先ほど学校施設について伺いましたが、施設の改修は教育現場だけの問題ではありません。全国的にも、1980年代以前の高度経済成長期に膨大につくられた工業施設の多くが老朽化し、今後、一斉に更新の時期を迎えつつあります。  一方で、超高齢化社会、少子化の進行で生産年齢人口は減少、税収減や社会福祉費の増で、各自治体は膨大な公共施設の維持管理、補修、更新に頭を痛めています。  そういう中、全国各地の自治体は、この問題の対応に全公共施設の実態を把握し、今後数十年間にわたり、公共施設の維持管理、補修、更新にどの程度の事業費が必要かを明らかにし、限られた財源で対応するための方針を定めることを始めています。これがアセットマネジメントです。現在、政令市6市が既に策定し、5市が策定中、もしくは検討中です。  本市の今後40年間に必要となる公共建築物、インフラ等の維持管理、改修費用の推計額と今後の管理、改修の基本的な考え方をお示しください。  本市でも早急にアセットマネジメントに取り組んでいくべきと考えますが、総務局長にお尋ねいたします。          〔飯銅芳明総務局長 登壇〕 ◎飯銅芳明 総務局長  公共施設の計画的な適正管理、いわゆるアセットマネジメントに向けた取り組みについてお答えいたします。  本市が保有いたします道路や橋梁、市有建築物などの公共施設につきましては、高度成長期に集中的に建設され、今後大量に更新時期を迎えますことから、将来を見据えた公共施設の適正な管理が重要になると認識いたしております。  そのため、従来の事後対応から予防的な維持管理や改修へと考え方を見直し、橋梁長寿命化修繕計画や市営住宅等長寿命化計画など、各施設の適切な改修時期などを定めました長寿命化に係る計画を個別に策定いたしまして、更新を含む投資費用の低減化と平準化、及びライフサイクルコストの縮減を図っているところでございます。  議員お尋ねの今後40年間に必要となります公共建築物、インフラ等の維持管理・改修費用に係る推計は行っておりませんが、市の公共施設全体としての適正管理の重要性を踏まえまして、現在、関係局におきまして、課題等について検討を行っているところでございます。  今後は、アセットマネジメントの考えに基づく取り組みに着手しております他都市の具体的な成果等を見きわめながら、公共施設のより効果的で効率的な管理のあり方につきまして検討してまいります。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  他都市のアセットマネジメントの取り組みを踏まえて、本市でも今後の施設のあり方を検討されるということですので、人口減少などの時代の要請に応えた適切な取り組みをお願いしておきます。  続きまして、桜町と花畑町の問題をお尋ねいたします。  花畑町・桜町地区の整備は、3月議会の後、各会派代表による特別委員会で種々論議をされました。これまでの論議を踏まえ、お尋ねいたします。  まず、産文会館解体と広場整備です。  1、私どものもとには、いまだ市民の大切な税金を4億円も無駄にした責任は誰がとるのか、反省がないと厳しい声も聞こえてきます。花畑地区再開発が破綻した原因と責任を市長はどのようにお考えでしょうか。また、破綻を確信した時期はいつごろでしょうか。  2、花畑再開発が破綻した時点で、産文会館の再活用は全く考えなかったのでしょうか。それはなぜですか。市長は、産文会館の耐震化による再活用には26億円かかるという理由で再利用はしないが、他の施設については、今後は長寿命化の方向で取り組みたいと表明されていますが、産文会館だけ例外扱いをするのはなぜでしょうか。  3、広場予定地の隣にある民有地の駐車場の買収交渉は進んでいますか。買収見込みはあるのでしょうか。  以上、市長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、3点のお尋ねに順次お答えいたします。  まず、1点目の花畑地区再開発破綻の原因、あるいはその責任についてのお尋ねでございます。  花畑地区でございますが、御承知のとおり民間事業者が主体となられまして劇場整備などの構想が示されまして、事業フレームの確立に向けた努力を重ねてこられましたが、経済の低迷による投資環境の改善が見込めない中で、再開発事業の成立を断念せざるを得なくなったものでございます。  この点に関しましては、これまでも答弁してきたところではございますが、協議会の一員として参画してまいりました私ども熊本市といたしましても大変に残念な思いでございます。  また、4年の間、旧産業文化会館を閉館し、中心市街地のにぎわいづくりに影響を与えてまいりましたことにつきましては、その責任も感じているところでございます。  再開発事業の断念に至りました─先ほどのお尋ねは確信した時期ということでございますが、具体的な時期につきましては、協議会の解散方針を決定された平成24年11月でございます。  続きまして、産業文化会館の再利用についてのお尋ねでございます。従前から大きな課題でもございました空調設備などの全面的な改修に加えまして、大規模な耐震改修も必要となりますことから、多額の経費を要するものでございました。  さらには、この地区を広場として整備してまいりますことが、桜町・花畑地区一帯のにぎわいと、そして潤いに満ちた空間形成につながるものと考えましたことから、解体を判断したものでございます。  最後に、用地取得に関するお尋ねでございます。花畑地区の民有地の取得につきましては、特別委員会で取りまとめをいただきましたことから、私自身も直接お会いし交渉いたしますなど、買収に向け取り組んでいるところでございます。  私といたしましては、まずは予算化いただいております民間2棟の建物の買収を進めながら、隣接する平面駐車場につきましても今後も引き続き交渉してまいりたいと考えております。
             〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  答弁が違っていたのですけれども、破綻を確信した時期はいつでしょうか。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  確信した時期というお尋ねでございますけれども、正式に決定したのは平成24年11月ということでございます。  しかしながら、もちろんその協議会の解散方針が決定されるに至りますまではいろいろなやりとりがあっていることは事実でございますので、その前であることは間違いございません。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  不十分な答弁でありますけれども、ちょっと疑問がありますので、お尋ねしたいと思います。  第1に、市長は確信した時期は言われませんでしたけれども、私は、花畑地区開発協議会の会議録を拝見しました。平成24年6月25日、第97回の協議会にNHKの花畑への単独移転が報告されて、対象地区と協議会構成員名簿の変更が提案され、決議されています。この日、大成建設からは、資金協力と事業協力を7月より一時中断することを含めた回答がされています。市長は、NHKが単独移転を発表した段階でも、再開発に弾みがつくとコメントされていましたが、大成建設が協力しないと言ったときに、再開発が破綻するとは思われなかったのでしょうか。  また、同じく花畑開発協議会、10月19日の会合では、今後の事業の進め方として、協議会の解散も選択肢に入れた協議を進めることを全員の賛成により決定し、解散を前提とした民間地権者間の債権債務の整理や、大成建設の資金立てかえの精算についても協議されています。ここまで来れば、どんな素人でも破綻すると確信したのではないでしょうか。  市長の答弁は大変曖昧でしたけれども、こういう経過を知っていながら、直前まで議会に説明もされなかったのはなぜでしょうか。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  再度のお尋ねにお答えさせていただきます。  先ほど御紹介のございましたNHKの移転が決まったことにつきましては、当初の構想を進めていくということが難しくなったことは間違いございません。しかしながら、残されたエリアの中での推進というものを何とかできないかということで、さまざまな協議を引き続き行っていたということもまた現実でございます。  最後に、議会への報告についてのお尋ねでございました。これまでも花畑地区に限らず、桜町地区も含めましての事業の進め方につきまして、議会の方からその説明不足、あるいは変化が起きましたときの報告等につきまして指摘もいただいているところでございますので、そのことにつきましては真摯に反省をさせていただきまして、しっかりと今後の対応につながるように心がけてまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  もう一つお尋ねします。  11月27日、花畑再開発破綻と花畑町の広場計画が報告された市議会の全員協議会には、既に立派な広場の予想図が準備されていました。破綻をしたのがその前だというならば、破綻をする大分前からこっそり再開発を計画した事業者の土地と建物を買収して広場と仮バスターミナルをつくる計画を既に進めていたのではないでしょうか。それとも、行き当たりばったりの思いつきで広場計画を打ち上げたのでしょうか。  私たち議会にしてみれば、花畑再開発破綻の経緯も知らないのに、突然の広場の構想というのは、余りにも議会や市民を軽視したやり方ではなかったかと思います。本来ならば、その時点で、「花畑再開発は破綻しました。もう一度原点に戻って、市民と議会の意見を聞いて、花畑地区のあり方を根本から再検討します。」と言うべきではなかったでしょうか。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、再度のお尋ねにお答えさせていただきます。  先ほど、行き当たりばったりではないかでありますとか、さまざまな御指摘をいただいたところでありますけれども、特に花畑地区の再開発につきましては、さまざまな状況の変化が起きていたということは間違いございません。  そして、そういう中で花畑地区の構想がなかなか具体化していかない。さらには、産業文化会館も閉館しましてからかなりの年月が流れていくという状況におきまして、9月議会であったかというふうに思いますけれども、予算決算委員会等でもやはり厳しくそのような指摘を受けたものでございました。  そのような中で、当時の議会、委員会等では、そろそろ判断をする、花畑地区につきまして方向性を示す段階に来ているというような答弁もさせていただいたところでございますので、その時点におきましては、花畑地区構想の全体像の見直しというものを念頭に置きながら答弁をさせていただいたということは間違いないわけでございます。そして、11月27日に行われました全員協議会に向けまして、その準備を進めてきたというものでございます。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  一番問題なのは、市民や議会にまともに説明せずに、裏で事を進め、一方的に押しつけている点だと私は思います。そこで伺います。  第1に、3月18日の都市整備分科会でも話題になっておりましたように、駐車場の地権者は、昨年末の12月26日に駐車場部分にはホールを整備したいと発言され、現在も駐車場を売却する意思はないようです。市長は、民間2棟の建物買収を進めながら、広場隣地の駐車場買収の交渉をすると答えられましたが、それは議会の特別委員会の取りまとめに反するのではないでしょうか。一体整備の見通しが立つまで用地買収は見合わせるべきではないでしょうか。でないと、議会としての取りまとめが踏みにじられたことになります。  第2に、ことし3月議会の都市整備委員会で、寺本議員が「産文会館の解体は劇場構想があったから早急に廃止したといういきさつを聞いている。バスの停車場も民間駐車場を借りれば済むという発想もある。そういうことで、今回の産文を早急に解体して、隣接する2棟を取得、そして、なおかつ解体して更地になすのを早急にやる必要性がなかなか難しい感じがする。」という意見を述べられていました。  また、2009年に出された産業文化会館廃止に伴う移転補償費の返還を求める監査請求の監査委員の判断では、「再開発事業によって中心市街地をより活性化させる行政目的実現のために産業文化会館を廃止した市長の行為は、不当であったとまでは言えない。」と述べられています。  寺本議員の発言、監査委員の判断に共通するのは、産文会館解体の前提は花畑町再開発だったという点です。そして、花畑町再開発が頓挫した今、前提条件を欠いているわけですから、産文解体、広場づくりは監査委員の判断に反するものとは考えられませんか。また、緊急性はないのではないでしょうか。  第3に、特別委員会の取りまとめでは、民間2棟の買収に当たり、一般的社会通念に配慮した取得価格とするということが求められています。平成23年9月の花畑開発協議会の会合で雇用促進事業会は、平成24年6月末までに再開発の種地として取得したフラワーズビルを自己資金で解体する意向を正式に報告されていました。ところが、市が4億円も無駄にして再開発が破綻したら、その計画立案者である雇用促進事業会の責任は問われないまま、自己資金で解体すると言っていた土地を高い補償費まで払って買収するというのは、一般的社会通念と言えるでしょうか。  3点、市長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、3点ございましたので、お答えさせていただきます。  用地取得についての再度のお尋ねであったわけでございますけれども、この点につきましては、先ほど答弁させていただきましたとおりでございます。私といたしましても、この附帯決議を重く受けとめているところでございまして、民間2棟の建物と並行いたしまして、平面駐車場につきましても取得に向けて協議してまいる所存であります。  続きまして、2点目の花畑広場に関するお尋ねでございます。この点につきましては、これまでも花畑地区のみならず、桜町も含めました全体像を示させていただいているところであります。その一環として、あそこの広場化は必要であるというような認識であることに変わりはございません。そのような中で、この花畑地区の広場化というものも進めてまいりたいと考えております。  また、3点目のお尋ねでございましたけれども、議事録の発言も含めましていろいろと御紹介をいただいたところではございます。しかしながら、今後の事業を進めるに当たりまして、そして費用を支出するに当たりましては、社会通念に基づいた、あるいは適正な価格での執行というものを、当たり前のことではありますが、進めていきたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  特別委員会の取りまとめ、議会の決定をなし崩しにすべきではありません。民間2棟の用地買収先にありきでなく、一体整備という議会の方針を踏まえて、条件も整わない広場整備の用地買収は見合わせるべきです。  また、監査委員の判断に反する産文解体に正当性はありません。住民監査請求がなされる可能性が高いと思われます。昨年の夏まで、市は公の場で、シンボルプロムナードはかなり大きい空間なので花畑地区に広場は要らないと言っていました。しかも、広場整備の費用対効果では、通行人までカウントした過大な予測など、広場の必要性そのものも問われる問題です。広場整備は問題山積で、行き当たりばったり。曖昧なこの計画では、中心市街地の真の活性化にはつながらないと思います。花畑町再開発の破綻も、民間企業なら首になるような重大問題だと思います。市のいい加減さを象徴したような40億円の広場整備は見直すべきです。  続けて、MICE施設整備についてお尋ねいたします。  私どもが行った市民アンケートの桜町の大会議場整備では、「箱物は維持費がかかるだけ。3,000人規模の会議場など熊本には不要。」、「人口が減っていくのに、もっと必要なことがある。」などの声がありました。特に多かったのが、会議場の必要性がわからないというものでした。そこでお尋ねします。  1、MICEの4つの施設、メーンホール、多目的ホール、国際会議ホール、イベントホールについて、国外、国内、それぞれの需要について詳細な調査結果をお示しください。  2、ことし5月、本市で行われた糖尿病学会の全国会議には、1万2,000名が参加されました。大型のMICE施設がない中、どのような方法でそれができたのでしょうか。  3、県民百貨店から、再開発ビル完成まで産業文化会館を仮店舗として利用させてほしいと市に要望されていました。その対応は、どのようになっているのでしょうか。これまで桜町地区で営業を営んでこられた地元の方々の営業をしっかりと守ることは、地域経済振興の面から大変重要です。県民百貨店とセンタープラザのテナントが、桜町再開発に残って営業できるように市としても要望されているのでしょうか。その見通しはどうでしょうか。  4、桜町再開発の地権者は、九州産交ホールディングス1社ですが、MICE整備は再開発の保留床を取得することになるのでしょうか。それとも、上通A地区再開発のように地上権を設定し、地代を払うようなやり方でしょうか。  以上、市長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、4点についてのお尋ねにお答えさせていただきます。  まず、1点目のMICE施設の利用見込み等についてのお尋ねでございます。  平成23年度に熊本市コンベンションシティ基本構想を策定しておりますが、その際に全国の政令指定都市におけるコンベンション開催状況でありますとか、施設の利用状況調査などを行ったところでございます。その結果といたしまして、コンベンションの開催状況でございますが、札幌市や福岡市では年間1,000件前後が開催されておりました。また、イベントやコンサートなども含めました施設の利用率でございますが、全体の平均で約80%ということでございました。  また、平成23年に国内で開催されました国際会議でございますが、1,892件、全国で開催されました医学薬学系学会は約6,000件などの統計データも得たところでございます。  これらの結果を総合的に勘案いたしまして、コンベンション専門運営業者などの意見も踏まえました上で、基本構想におきましては、メーンホールと展示会場の機能を兼ね備えました3,000平米の多目的ホールで、コンベンション68件、イベント、展示会等104件、合計年間172件の開催を見込んだところでございます。  続きまして、日本糖尿病学会に関するお尋ねについてでございます。  この学会は、本市におきまして、5月16日から18日までの間、開催されました第56回日本糖尿病学会年次学術集会でございますけれども、総数で1万1,527名の参加者が熊本市に集われたというものでございました。かなり大規模な学会でございました。  全体会は市民会館崇城大学ホールの大ホール、また、市民公開講座は県立劇場コンサートホールで開催されましたが、講演会場やポスター会場、企業の展示会場など、多数の会場が必要でございましたため、計12施設、33会場を用いて開催されたものでありました。このため、複数会場を確保し、会場の間を臨時のシャトルバスで運行することによりまして、コストあるいは時間的なロスも発生しているものでございます。  しかしながら、今回の日本糖尿病学会は、御承知かと思いますが、会長が熊本大学病院に勤務しておられまして、熊本で開催したいとの強い思いがございまして、早くから複数の会場を確保し、先ほど申し上げたシャトルバスでつなぐなどの困難を乗り越えられて開催されました。もちろん、私どもとしましても、できる限り協力、応援をさせていただいたというものでございました。  そのような中で、今後の施設についてでございますけれども、主催者あるいは利用者の視点に立った使い勝手のよいMICE施設を整備し、産学官が一体となって設置したMICE誘致推進機構なども活用いたしまして、積極的に誘致に取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、旧産業文化会館の仮店舗としての利用についてのお尋ねでございますが、県民百貨店からそのような要望がございました。利用再開に際しましては、先ほども申し上げましたように、その建物自体、改修などに多額の費用を要すること、さらには県民百貨店の現在の売り場面積でございますが、2万5,000平米でありまして、それに対しまして、産業文化会館の有効床面積でございますが、5,000平米程度ということでございまして、仮店舗としての利用には大きな課題がございました。  また、本市としては、先ほど申し上げましたように、桜町・花畑地区におけるにぎわいと潤いに満ちた空間として広場を整備する方針でございますことを県民百貨店にはお伝えしたところでもございました。  また、営業存続についてでございますが、このことにつきましては、現在、県民百貨店などと再開発事業者との間で協議を進められていると伺っております。今後もその協議の動向を注視していきたいと考えております。本市におきましては、これも答弁でお答えさせていただいているかというふうに思いますが、雇用の維持確保は大変重要な課題でもございますことから、雇用者でございます県民百貨店、あるいは再開発事業者に対しましては、雇用不安や雇用確保に十分配慮いただくように求めたところでもございます。  最後に、MICE施設の整備手法についてのお尋ねでございます。  桜町再開発事業は再開発会社施行による予定でございまして、市はMICE施設として建物の保留床の一部を取得する予定でございます。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  いろいろ答弁いただきましたけれども、1万2,000人規模の糖尿病学会が無事成功したにもかかわらず、ロスがあったと言われました。私も全国規模のいろいろな大会に幾度となく参加しましたが、シャトルバスの運行は当たり前です。8,000人収容の大分ビーコンプラザでの大会にもシャトルバスがありました。今回は会場が分散したことで、むしろ電車やバスが利用され、まちのにぎわいにもなっていたのではないでしょうか。  また、九州のコンサートツアーの際、2,000名以上の会場がないために熊本では開催されなかったという理由が3,000名収容ホールの建設の根拠の一つともされていましたが、同じツアーが来年度は市民会館大ホールで開催される計画にもなっています。  その他の答弁でも熟度は極めて低いまま、既成事実だけが積み重ねられていると言わざるを得ません。このままいけば、三百数十億円も投入しながら、こんなはずではなかったということになりかねません。そこでお尋ねします。  第1に、MICE施設の需要について、国内で開催された国際会議や学会等を紹介されましたが、大中小合わせて数千件とはいいましても、それを一手に熊本で引き受けるわけではないでしょう。コンベンション基本構想では、3,000人以上規模を50件と見込まれていますが、150万都市の福岡市でも3,000人以上規模の実績は年間20件です。どういう根拠で福岡の2.5倍の開催が想定できるのでしょうか。  第2に、熊本市でのコンベンション開催の実績は、2011年10月のコンベンションシティ構想第2回誘致部会の資料では、開催件数が年々減り、2,000人以上規模の実績は、過去5年間の平均で年8回と報告されています。新規施設の利用見込みは、2,000人規模が8件、3,000人以上が7回と想定されていました。しかし、決定した基本構想では、2,000人規模35回、3,000人以上を50回と大幅に引き上げられました。どんな考えで過大な利用見通しとなったのか、全く理解できません。この見通しが現実のものになるのでしょうか。300億円もの事業費をつぎ込んで、利用見通しは福岡ほどにもならず、下回って、大幅に赤字になった場合、市長はどのように責任をとるおつもりでしょうか。  第3に、県民百貨店やセンタープラザの存続については傍観者のような弱腰の答弁でしたが、それで地元中心の店舗、従業員の雇用が守れるのでしょうか。残れる条件づくりを市が率先して具体的な形で再開発業者に要請すべきではありませんか。  以上、3つお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  MICE施設の利用に関すること、さらには県民百貨店に関することにお尋ねがございましたので、合わせる形でお答えさせていただきたいというふうに存じます。  利用件数の見込み、見通し等につきましては、現在、手元に資料がございませんので、詳細についてのお答えをすることはできません。しかしながら、本市におきましては、これまでもお話をしてまいりましたように、例えば、医療機関の集積でございますとか、あるいは教育機関の集積等もございまして、本市における学会等の開催の優位性というものはかなり高いものがあるというふうに認識いたしております。その一環として日本糖尿病学会も開催されたというものでございました。  そのような優位性をより高めてまいりますために、そして本市のにぎわいづくりでありますとか、あるいは経済の活性化等も見据えながらMICE施設の整備等を進め、交流人口の増加につなげていきたいというふうに考えております。  しかしながら、先ほどは福岡を例に挙げられましたけれども、このMICEの誘致等につきましては、競争がますます激化していることは間違いございません。そのような中で、本市の施設、あるいは花畑・桜町も含めましたあの空間というものの本市の独自性といいますか、オンリーワンといいますか、そのような魅力をさらに高めていくことによりまして、本市での開催を呼び込んでまいりたいというふうに考えております。  そして、現在、新たな会議体が開催されまして、議会にも入っていただいておりまして、その中でも施設の使い勝手という点も含めまして議論していただいているところでもありますし、さらには空間一体ということに関しましては、シンボルプロムナードの委員会等もございますので、そのような中で、もちろん議会等の御指摘等も踏まえました上で、より魅力的な空間とし、この熊本におけるMICEの開催、選ばれる都市を目指してまいりたいと考えております。  2点目の県民百貨店についてのお尋ねでございますが、この点につきまして傍観者のようだということでございましたが、決してそのような考えではございません。現時点におきましては、当事者間におきましての協議、話し合いが行われているというふうに伺っておりますけれども、このことが本市の雇用の悪化、あるいは経済の悪化につながらないように、そこは私どもとしても十分に注視し、適切に対応してまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  市長は、具体的な数の問題では、手元に資料がないのでよく答えられないということでありましたけれども、その程度の答えでは、300億円も事業費を使う、これからの熊本市の一大事業を進めるのに、議会で数字がないから説明できないというのは、私は無責任だと思います。市民が聞いたら、怒りますよ。それぐらい頭に入れて答弁台に立ってください。とても納得できません。  そこでもう少しお尋ねいたします。  第1に、今回のMICE整備は、再開発に参加することで高くなっています。本市のコンベンションシティ構想に紹介された福岡国際会議場の建設費は約100億円、延床面積が2万2,185平方メートルで、1平方メートルの床単価は45万円です。よく聞いていてくださいね。他都市のコンベンション施設も1平方メートル当たり、大抵45万円から60万円ぐらいです。  一方で本市の場合、今の事業費とフロア面積からしますと二百数十億円なので、最低でも70万円以上、最高100万円ぐらいが予想されます。どう考えても高過ぎます。しかも、先ほどの答弁でわかるように事業者の言いなりです。駅前東A地区再開発がそうでしたが、これではもっと高くなることも予想されます。このような莫大な投資に市民の理解が得られるとお考えでしょうか。  第2に、先ほどアセットマネジメントでも申しましたが、今、全国の自治体が膨大な公共施設のストックをどのように維持管理、更新していくのか、頭を痛めています。本市も、今後は他都市の状況を踏まえながら、公共施設のより効果的、効率的な管理に取り組まれていくということです。  政令市で先進的にアセットマネジメントに取り組んでいる自治体を見ますと、今後必要となる維持管理・更新費は、既に策定している福岡市で30年間で2兆3,140億円、年間770億円。名古屋市は40年間で4兆4,900億円、年間1,122億円。さいたま市が40年間で2兆7,870億円、年間約700億円。策定中の静岡市が50年間で1兆7,500億円、年間350億円となっています。  各自治体は、今ある公共施設の維持と更新だけでも数兆円という莫大な費用が予想されることから、さまざまな方針を立てています。共通しているのは、徹底した公共施設の長寿命化、維持管理費の削減などで、さいたま市では原則新規施設は建設しないということも決められていました。本市では、そうした計画づくりや検討が今後の課題で、今後必要となる費用もわからないので、300億円もの費用を要するMICE施設の整備をする前に、アセットマネジメントこそ優先すべきではないでしょうか。  以上、市長にお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、お答えさせていただきます。  先ほどは福岡の施設等を例に挙げられましての単価等のお尋ねでありまして、それに比較して桜町は高いのではないかというような御指摘でございました。  前提が異なる、あるいは時点も異なるでしょうから、一概に比較はできないというふうに考えております。  しかしながら、もちろん公金を使うということになるわけでありますので、そのかかる費用等につきましては十分精査し、そしてもちろん、その段階段階に応じまして、公表につきましては可能な限り精度のある数字を、今後、報告してまいります中で御理解を求めていく必要があろうかというふうに考えております。  議員に大変僭越ではございますが、通告制度がございますので、細かな数字等が必要なものにつきましては、よければ通告をしていただければ大変幸いに存ずるものでございます。  アセットマネジメントのお尋ねにつきましては、先ほど基本的な考え方につきまして、総務局長が答弁したとおりでございます。今後、よりストック重視の考え方というものを強化していかなければならないというふうに思います。そして、将来にわたる維持管理費等も見据えた中での財政運営も心がけていかなければならないという中で、先ほど局長が答弁したとおり検討を進めていきたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  私は、数字そのものを聞いているわけではありません。私が言った数字に対して、市長の考えをお聞きしているだけです。  ただいまの答弁でいろいろ言われましたけれども、再開発事業は大変な状態だと思います。  300億円も投資するようなMICE施設の整備は、民間事業者の言いなりの再開発でもあって、今後の市の財政に大きな負担をもたらすことは間違いありません。そこで伺います。  花畑町の再開発は、迷走の末、失敗に終わりました。現在のような経済情勢の中で桜町再開発がスムーズに進んでいくのか、心配です。都市計画決定の時期も平成25年中から、平成25年度中にとトーンダウンしています。そして現在、9月です。桜町再開発の事業フレームは、どこまで固まっているのでしょうか。特に、5万平米の商業スペースの床は、どの程度埋まっているのでしょうか。  都市計画決定に当たり、当然クリアすべき課題として周辺環境の問題もあります。交通問題や特別委員会で不可となったバスターミナルの問題は、現在、どのように検討されているのでしょうか。  これらを踏まえて、都市計画決定の年度内の見通しはどのようになっていますでしょうか。
    ○鈴木弘 副議長  上野議員、どなたにお聞きになりますか。 ◆上野美恵子 議員  市長です。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  都市計画決定等を中心としたお尋ねであったわけでございます。現在、準備会社におきましては、年内の都市計画決定に向けまして関係機関との協議が進められてきたところではございますけれども、事業計画の熟度をできるだけ向上させた上で都市計画決定をする方が望ましいということで、年度内の決定を目標とされているということでございました。  そのような中で、今、段階に応じましてそれぞれの熟度を高めているというところでございます。お話のありましたバスターミナル等も、市民が最も多く利用されるターミナルでございますので、重要な施設であることは間違いございません。まだ、この場で状況につきましてお示しする段階にはございませんけれども、先ほどの答弁の中で費用面のことではございましたけれども申し上げましたが、段階に応じまして、必要に応じて議会等にも御説明し、そして市民等にも可能な限り公表し、御理解を得ながらこの事業を進めてまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  ただいまの答弁でも、再開発事業がまともに進んでいくとは、私としては思えません。続けてお尋ねします。  第1に、今回の再開発は民間1事業者が実施する再開発なので、駅前東A地区再開発と違って、およそ10年前に竣工した上通A地区再開発事業と同様です。上通A地区再開発事業は、設計から本体工事までスーパーゼネコンとその関連会社が受注し、指名競争入札も行われたそうですが、談合情報が飛び交って、黒いうわさが流れて、発砲事件まで起こりました。下請まで全て県外業者で、市が80億円近くも投入しながら、地元建設業界にも貢献できないありさまでした。  今回の桜町再開発事業は、公正な契約業務が行われる保証はあるのでしょうか。市民や議会への説明責任と情報公開はきちんとなされていくのでしょうか。地元業者が工事に参加できる道はありますか。  2番目は、堺市は総事業費350億円の堺東駅前再開発事業を市民の目線、現場主義の事業見直しということで中止されました。大事業の中止は容易ではないと思います。しかし、MICE整備ではとてつもない事業費がかかることがはっきりしており、一方で、国保や介護、子育て支援や教育など、市民から拡充要求の強いさまざまな施策は大変おくれています。市民要求に応える意味から、300億円のMICE整備は見直すべきではないでしょうか。  以上、2点、市長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  桜町の再開発についてのお尋ねでございます。  この事業につきましては、現在、基本計画の策定が進められているところでございますけれども、この策定に当たりましては、公募で選定されているものでございます。  今後、設計や工事が行われる際にも、一般競争入札などでの適正な業者選定が予定されているというふうに伺っております。もちろん、そのようなことがきちんとなされていくかどうかということを、私どもとしてもしっかりと注視しておかなければならないというふうに思っております。  そして、地元建設業者等の話も出てまいりましたけれども、その点につきましても十分配慮していただくように、これは当然要望すべきことであろうというふうに考えております。  最後は、この計画自体を基本的にもうやめるべきだというようなお尋ねでございましたけれども、そのような考えはございません。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  花畑再開発の失敗と産文広場計画について、議会でもさまざまに熟度の低さが指摘されたにもかかわらず、箱物優先で、整備の是非も問わないままMICE整備に突っ走っていることが問題だと思います。  350億円の再開発事業を中止した堺市の市長は、「一旦決めたことを行政がひっくり返すのは大変なことだと思った。今後は打ち出した構想や計画を実現に向け動かしていくが、忘れないでほしいのは事業の費用対効果です。将来、何と無駄なことをしたのかと批判されることのないように、きちんとした費用対効果を検証していただきたい。」と職員に言われたそうです。  ゼネコンに300億円の仕事をさせるのか、その分地元の建設業者への仕事をふやすのか。幸山市長も立ちどまって、市民の目線で今の箱物行政を検証すべきときではないでしょうか。  続いてお尋ねします。  3月22日、熊本市が、オランダ・ハーグ市で開催された世界水の日国際式典で受賞した国連「生命の水」最優秀賞の受賞後の問題で伺います。  選考理由は、さまざまな団体との協力のもと、水田を活用した地下水涵養や、水源涵養林の保全を通じて、市の水供給を維持、保護する姿が模範例となるということでした。日本初の受賞であり、本市の地下水とその保全が世界的なレベルでの評価を得た意義は大きいと思います。同時に私たちは、この地下水を守り、後世に伝えていく責任をしっかり果たしていかなければならないと思います。  地下水保全の歴史を振り返ると、熊本市議会では1976年、全会派一致で地下水保全都市宣言を採択、1977年には、熊本市では全国に先駆けて地下水保全条例が制定されました。  地下水保全都市宣言では、「今日における無秩序な地下水の開発と自然環境の破壊は、今や地下水の汚染をはじめその枯渇さえ憂慮される状態にある。」と警鐘を鳴らしています。背景には、健軍水源地上流への日本住宅公団九州支社による健軍団地建設計画や、素掘りの戸島塵芥埋立地から、水銀、鉛、マンガン、カドミウムなどが検出され、大きな社会問題となり、専門家の調査結果に基づき、公団団地建設中止や早急な対策提言が行われた経緯があります。  地下水保全の歴史は、科学的な地下水の流れ等の解明とともに、自然の摂理を壊す開発との闘いでもありました。受賞を機に、こうした歴史の教訓に学ぶ必要があるのではないでしょうか。  第1に、地下水を育む白川は、四万十川と並び、ダムがない貴重な一級河川です。黒川と合流した白川は、中流部には瀬と淵が多数あり、オイカワ、カワムツ、モズクガニなどが生息するとともに、砂れき地にはツルヨシなどが生育しています。熊本平野に入ると穏やかな流れになり、コイ、ギンブナ、ガマカツ、アユが生息し、河口付近ではムツゴロウ、サッパ、マゴチなどが見られます。特にアユは、日本一の尺アユが釣れます。白川は、さまざまな動植物の生息・生育の場であるとともに、自然豊かな地域住民の憩いの場となっています。白川には、河口から大津まで歴史的な遺産とも言える7つの堰がありますが、これらの堰はアユ、ウナギなどが上ったり、下ったりできるようにしなければなりません。  一方、上流へのダム建設は、雨のたびに堆積土砂による汚濁が懸念されます。  私たちの身近な存在として市中心部を流れる白川が、ダムのない一級河川、四万十川、長良川、安倍川と並び、日本有数の自然な川として豊かな自然と歴史が生かされ、地下水とともに、より魅力ある市民の財産となるよう川の再生を図り、アピールすべきと考えますが、いかがでしょうか。  第2に、財団法人日本交通公社の日本の観光資源の選定によれば、阿蘇山と外輪山は、我が国を代表する資源で、かつ世界に誇示し得るもの、我が国のイメージ構成の基調となり得るものとして、九州では世界遺産に登録された屋久島とともに特A級とされています。また、外輪山周辺の阿蘇は世界ジオパークの登録を目指していますが、立野峡谷は重要なジオサイトの一つです。  ジオパークは、地層、地形、断層などを保護し、研究に生かし、科学教育や防災教育の場、観光資源として地域振興に生かすことを目的としており、ジオパーク内で絶対にしてはならないことが自然を壊す行為です。  また、県の世界遺産暫定一覧表追加資源にかかわる提案書では、立野一帯を含む阿蘇を、国立公園法に基づき、今後とも指定範囲内全体の保全に努めていく場所であるとしています。世界遺産の登録には、顕著な普遍的価値を有することが不可欠の要件です。  ドイツのドレスデン・エルベ渓谷は、2004年に世界遺産に登録されました。しかし、そこに橋をつくる計画が進められ、ユネスコの世界遺産登録委員会は、橋ができれば世界遺産としての顕著で普遍的な価値はないとして、2009年に世界遺産リストから抹消しました。  世界の阿蘇への巨大なコンクリートダムの建設は、世界ジオパークや世界文化登録に取り返しのつかない障害となることは確実です。自然を壊すダム建設はやめて、かけがえのない阿蘇の自然を守り、教育や環境、アフターコンベンションのかなめとして、幅広く多面的に生かすことこそ必要ではないでしょうか。  第3に、立野ダム予定地は、外輪山の西側、黒川と白川が合流する地点のすぐ下流に位置し、熊本市の水源涵養林整備方針の事業対象地域内で最重要整備エリアとされています。深いところにも高透水ゾーンがあり、地下水にとって重要な浸透域となっています。  また、ダム予定地周辺は、地質の専門家から指摘されているように、左岸側で複数の断層が複雑な構造をなし、亀裂と破砕帯がめまぐるしく変わっています。右岸側では、立野溶岩で柱状節理が発達し、溶岩と溶岩の間、溶岩と基盤の間が不連続面となっており、力学的に脆弱であることから、他のダムの数倍の量のセメントミルクを注入する計画です。地下水浸透域に膨大な量のセメントミルクを注入し、水が漏れないようにすることは、地下水にも大きな影響を及ぼすと考えられます。国連「生命の水」最優秀賞を受賞した今、地下水に重大な影響が考えられるダム建設は中止し、まずはダム建設が地下水保全にどのような影響を及ぼすのか、詳細に調査すべきではないでしょうか。  以上、市長にお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  国連「生命の水」最優秀賞受賞に関連して3点のお尋ねがございましたので、順次お答えさせていただきます。  まず、1点目の日本一の自然な川を目指す白川についてのお尋ねでございます。  阿蘇を源流として熊本市の市街地を貫流する一級河川の白川でございますが、良好な水質を維持いたしておりまして、アユなど清流域に生息する魚類などが多数生育いたします自然環境が豊かな河川でございますとともに、市民の散策の場や、あるいは水遊びの場としても多くの方々に利用されているところでございまして、まちなかの清流として、訪れる人に潤いと安らぎを与える貴重な親水空間ともなっております。  しかしながら一方におきましては、御承知のとおり昨年7月、九州北部豪雨災害で多くの市民の方々が経験されたとおり、ひとたび大雨が降りますと、広大な阿蘇に降りました雨が白川に集中いたしまして、熊本市街地に洪水災害をもたらす危険性をあわせ持った河川でもございます。  このようなことから、本市といたしましては、白川の治水安全度の向上を喫緊の課題と考えておりまして、これまでも国に対して白川の河川改修の早期整備を強く求めてまいりますとともに、立野ダム建設の着実な推進もあわせて働きかけてきたところでございます。  一方、白川は市民にとりまして貴重な空間でもございますことから、河川改修を進めるに当たりましても、例えば、熊本市の象徴的な河川景観でもございます明午橋から大甲橋の間でございますが、現存する樹木を移植いたしますなど、緑と景観の保全や、親水性の確保も図られているところでございます。  また、熊本駅周辺の白川橋周辺を初めといたしまして、既に河川改修が終わった区間につきましても、市民の憩いの空間の形成や多自然型の河川の創出など、自然と調和した整備が行われますなど、市民に身近で親しまれる川づくりを進めているところでございます。  続きまして、世界ジオパーク、あるいは世界文化遺産への登録に関するお尋ねでございますけれども、ダムが建設されることによる影響についてのお尋ねでございます。  現在、阿蘇地域一帯におきましては、平成21年に、熊本県知事と立野ダム建設予定地でもございます南阿蘇村を含む阿蘇郡市7市町村長で構成されております阿蘇世界文化遺産登録推進協議会が設立されておりまして、ここで国内暫定リストへの登録を目指し、阿蘇の文化的景観の範囲や価値、あるいは保存活用方法などについて検討されているものでございます。  また、立野ダムにおきましても、景観に関する専門家及び地元自治体でもございます大津町、南阿蘇村も入りました立野ダム景観検討委員会を設けまして、阿蘇の良好な景観に配慮しながら事業が行われていくものと認識いたしております。  最後に、地下水への影響についてでございます。  国土交通省によりますと、立野ダム建設工事では、止水処理のためのセメントミルクが地盤内に注入されることになるが、立野ダム建設予定地は、阿蘇外輪山の切れ目であり、阿蘇外輪山西側の裾野よりカルデラの内側に位置しており、その範囲も小さいことから、熊本地域の地下水への影響はないと考えられている、と伺っております。  また、これまでの熊本地域の地下水に関するさまざまな調査研究の結果におきまして、阿蘇カルデラ内の地下水のほとんどが熊本地域には達していないと思われますことから、地下水への影響は小さいと考えられます。  しかしながら、地下水保全というものは本市にとりまして最重要課題でもございます。また、先ほど御紹介の国連「生命の水」最優秀賞も受賞いたしまして、熊本市域を越えました広域での地下水保全の取り組みは世界的にも高く評価されているところでもありますことから、立野ダムの工事に当たりましては、熊本地域の地下水への影響がないよう、あるいはそれ以外の地域に対しましての影響も含めまして、国土交通省にはしっかりとした対応を求めてまいりますとともに、工事の実施に際しましては、本市といたしましてもしっかりと注視してまいりたいと考えております。          〔27番 上野美恵子議員 登壇〕 ◆上野美恵子 議員  7.12の白川大水害を検証する中で、小磧橋より下流においては、堤防の未改修箇所で氾濫したことが明らかです。計画どおり河川改修が進めば、1メートル20センチの余裕高を見ているので、1,000年に一度と言われる洪水にも十分対応できることは明白です。まして、立野ダムによる洪水調節は、国土交通省の計算でも毎秒2,300トンに対して200トン、8.6%のカットで、川辺川の42%と比較してはるかに少ないのです。小磧橋より上流は、県が河川改修計画を明確にして実施すれば、ダムは必要なくなります。ダム建設は、阿蘇の大自然と白川、地下水に影響がないのか、改めて検証するときではないでしょうか。  熊本市役所本庁舎は、高さ62メートルです。その1.5倍もの高さの巨大コンクリートダムの建設は、阿蘇の大自然、環境をぶち壊しにします。市長がどんなに言われても、一旦ダムが建設されれば、取り返しのつかないことになるでしょう。ダム推進の市長の姿勢は、数十年後、数百年後の後世、必ずや厳しく問われるであろうことを指摘しておきます。  最後に、1点要望を申し上げます。  昨年7月に発生した九州北部豪雨は、まだまだ爪痕を残し、移転問題や国、県の進める河川改修など、住民の暮らしに直接かかわる課題が残されています。  その一つ、渡鹿と黒髪地区をつなぐ竜神橋かけかえで、6月に東部土木センターによる地域住民への説明会が行われました。河川改修と橋のかけかえが一体的に行われるために、竜神橋が現在よりも高くなり、現在の橋の位置が若干変わる見通しが示されました。現在の場所にかけかえはできないのか、もともと生活道路なので地域の声を聞いてほしい、急に提案されても移転は難しいなど、参加者からさまざまな意見が出されました。  その後、託麻原小学校区2町内、13町内会長の連名で、国土交通省熊本河川国道事務所長並びに幸山市長宛ての要望書が提出されました。  8月には測量も終了したということがわかり、橋の具体的な位置が決まる前に地域住民への説明と意見聴取を行ってほしいと、去る9月6日、両自治会長と地域の大井手を守る会会長とで都市建設局へ口頭で再度申し入れをされました。自治会の要望は、1、計画の策定段階で十分に地域住民の意見を聞くこと。2、地域住民の中には、住みなれた地域の立ち退きはしたくないという強い意見もあるので、移転、立ち退きが最小限になるような計画づくりを進めること。3、国や市の財政も厳しい中、工事費は最小限に抑えることの3点です。この点を十分に踏まえて計画を進めていかれるように強く要望しておきます。  以上できょうの質問は終わります。長い間の御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)       ───────────────────────────────── ○鈴木弘 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                              午後 0時04分 休憩                              ───────────                              午後 2時00分 再開 ○齊藤聰 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ───────────────────────────────── ○齊藤聰 議長  質問を続行いたします。満永寿博議員。          〔30番 満永寿博議員 登壇 拍手〕 ◆満永寿博 議員  こんにちは。自由民主党熊本市議団の満永寿博でございます。今回、登壇の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員の皆様に対しましてお礼を申し上げます。  7月21日の参議院議員選挙では、県民はもとより全国の多くの皆様からアベノミクス等の政策に高い評価をいただいて、我が自由民主党が勝利させていただきました。生まれ変わった新しい自由民主党による中央政治の長期安定と経済発展を念願しつつ、市民の皆様の御期待に応えることができるよう心新たにして全力で尽くしていきたいと思います。  開会日には幸山市長から台湾の高雄市との経済交流等の覚書締結の御報告がございましたが、私どもも複数会派の有志で台湾を訪問してまいりました。高雄市議会との意見交換会やアジア太平洋都市サミット参加などハードな行程でございましたが、貴重な経験と友好親善を図ることができたものと思っております。  中でも私が一番印象に残ったのは、日本人の八田與一氏の尽力により昭和5年に完成した烏山頭ダムであります。観光ルートではないそうでありますが、琵琶湖を思わせるスケールの大きい美しいダム湖でありました。  そのダムから張りめぐらされた1万6,000キロメートルに及ぶ水路が広大な嘉南平野を潤し、台湾農業の振興に大きな貢献をしております。10年間にわたって工事を指揮した業績もさることながら、日本人にも台湾人にも分け隔てなく接した八田先生のすばらしい人間性もあって、幅広い尊敬を集めており、現在も台湾の教科書に詳しく紹介されていると伺いました。  このようなことが積み重なって、多くの台湾の皆様から温かい親日感情を持っていただいているのであろうと思います。そのことが、東日本大震災発生後に、200億円以上というどの国よりも多い義援金を頂戴することにつながったのであろうと思います。  私は、熊農出身でありますが、戦前の熊農に学ばれた台湾人の大先輩がたくさんおられて、台湾に帰国後、烏山頭ダム工事に携わり、その後、農業経営で成功されている方が多数おられるということもお聞きしましたし、台湾に対する親しみがさらに深まったところでございます。台湾と我が国の交流親善がますます発展しますことを心から念願いたしまして、御報告が長くなってしまいましたが、質問に入らせていただきます。  政令市になって1年半近くになりますが、県から多くの権限移譲を受けており、現場では大変な苦労があると思っております。量をこなすだけではなく、質的にも政令市にふさわしい対応が求められます。  そこで、政令市になってよかったと多くの市民の皆様から評価をいただけるようにと願いを込めて質問したいと思いますので、市長及び執行部の皆様の明快かつ積極的な御答弁をよろしくお願い申し上げます。  まず最初に、市長の議会に対する姿勢についてお尋ねいたします。  最近の市政執行のあり方を見ていて、執行部は議会に対する情報提供のタイミングについて、基本的にどのように考えているのかなと首をかしげているのは私だけではないと思っております。  議会に根回しはしなくてよい、口ききをするな、などの市長の議会に対する姿勢は、賢明な市民の皆様から一定の評価を得ているものと思っております。  しかし、その市民の皆様も、事業計画推進の情報などについて、議会には中途では公表せずに、決めてしまってから、固まってしまってから報告すればいいとは、どなたもお考えにはなっていないと思います。  私がなぜこんなことを言うかと申しますと、いろいろとございますが、一つは中心市街地の再開発問題、一つは公共交通機関の新ICカード導入の対応のまずさであります。  再開発については、再開発ビル計画が頓挫したその時点でオープンにして議会と調整していれば、予算凍結など不名誉な事態にならずにスムーズに事が運んだのかもしれません。  ICカードについては、若干、進展してきたようでありますが、なぜこのようにまずい経過をたどったのか。それは執行部の情報提供のタイミングのまずさ、つまりタイミングを失しているからであると思います。  再開発に積極的な立場に立ってきた私でさえも、広場案が出てきたときには驚きましたし、駐車場部分が買収できないことには即納得とはいきませんでした。  私は元県庁マンのはしくれでありましたから、行政の仕事の運び方として、当初計画が予定どおりに進まないときには、それにかわる案を示して、こう変更したいがどうかという手法をとることは理解できないでもありません。しかし、当初の案よりもすぐれた対案が出てくるはずがありません。  特に今回の再開発は、本市の将来の命運を握っているといっても過言ではない、いわば歴史的な事業であります。唐突に広場案を出す前に、再開発ビルを断念したその段階で、断念したいという情報といいますか、意思表明を市民の代表である議会にオープンにすべきであったと私は思います。そして、市長の持論であるオープンな場で大いに議論すべきであったと思います。  もう一つのICカードについては、既に福岡市などは新システムに移行したとの報道があっておりましたから、本市も近いうちに新システム移行の議論が始まるだろうと思っていたら、いきなり市電は相互利用型、民間は地域限定型で作業が進んでいるということでありました。本市が相互利用型にしたいと意思決定した段階か、民間との調整が難航しそうだとわかった時点で、なぜ議会にその情報をオープンにしなかったのか。  いずれの問題も、情報提供のタイミングを誤らなければ現在のような経過はたどらなかったのではないかと残念でたまりません。  市長がオープンな場で議論したいという基本的な態度は、先ほども申しましたとおり正論であろうと思いますが、そうであるのならば、情報提供のタイミングは、議論開始のタイミングは、絶対に誤ってはならないはずであります。  オープンにするタイミングというのは、議会に予算案や条例案を提案する場面ばかりではないと思います。執行部はこう決めたから、さあ議論しましょうと言われてもタイミングは悪い。説明は不足する。もうコンクリートで固まっていますと言われたら、どこに議会の意見が通りますか。どうして議会のチェック機能が果たせますか。今の状況は、市民がお考えになっているオープンな議論の場にはほど遠い状態だと思います。  事業を練っていく段階で、どの時点で議会と調整するかということは、根回しとは違います。公共交通協議会からも事後報告であるとお叱りがあったようですが、そのようなことはあってはならないのであります。市長は、オープンな場での議論をどのようにお考えなのか。また、副市長以下職員に、議会対応はどうあるべきと常日ごろ指導されているのか、お尋ねします。抽象論ではなく、具体的な御答弁をお願いします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、議会に対する姿勢に関連しての2点のお尋ねにお答えさせていただきます。  まず、オープンな場での議論についてどのように考えているのかというお尋ねでございます。  議会と執行部、よく表現されますように車の両輪でもありまして、適度な緊張関係のある公の場での切磋琢磨の議論をしていくことの大切さにつきましては、先ほど御紹介もございましたが、私自身、これまでの議会におきましても述べさせていただいたものでございました。
     そのような中で、私を初め副市長や各局長によりまして構成されます市政経営会議でありますとか、あるいは経営戦略会議などにおきまして、重要な案件につきましては議会への報告や説明はもとよりでございますが、市民が政策立案や構想、計画段階から意見を表明できる場を設けることの重要性を共有し、これらを適切なスケジュール、あるいはタイミングに沿って実施してまいりますように指示をしてきたところでございます。  しかしながら、今回改めまして情報提供のタイミングの遅さ、あるいは議論の場の不足などにつきまして議員より御指摘のあったことにつきましては、改めて教訓とさせていただきまして、さらなる丁寧な説明を心がけまして、活発な議論を通じ、政令指定都市としての新たな熊本づくりを進めていくことができればと考えているものでございます。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  大事業を推進していく過程においては、幹部の間では、議会との調整はどうするか、まだ早いかなどと議論されることは当然であります。市政経営会議などにおいても、単に形式的なものではなくて、市長のリーダーシップのもと縦横の遠慮のないフリーな議論が行われることを望むものであります。市民の立場に立って、タイムリーに情報提供をされるようにお願いしておきます。今後は適切な対応をいただけるものと期待申し上げまして、次の質問に移ります。  次に、第2期の中心市街地活性化基本計画についてお尋ねします。  中心市街地の再開発関係予算については、さきの6月議会で凍結解除されましたので、今回はそのことから少し離れて、その他の中心市街地活性化策についてお尋ねします。  まず、下通などアーケード街の活性化についてお尋ねします。  計画では空き店舗の利活用を進めるための支援措置を講ずるとありますが、本市の中心部は全国チェーンの店が多くなって、熊本らしさが薄くなり、まちの魅力が少しずつ薄れてきているように感じます。地元の人にとってはどこに行っても同じものが買えるし、観光客にとっても個性に乏しい魅力のないまちになると、訪れる人が減少し、市街地の空洞化に拍車がかかるのではないかと心配しております。  中心部に買い物に出てくるためにはバスやマイカーに乗る必要があり、人によってはストレスを感じる人もおります。その方たちに、そのストレスを乗り越えてでも行きたいと思わせる魅力が商店街になければ、人の足が遠のくのは自明の理であります。  熊本らしさを感じることができる個性的な店が少なくなり、空き店舗がふえている理由は、家賃が高いからという話をよく耳にします。先月末には、幸いにして空き室が減少傾向にあるという民間の調査結果が報道されておりましたし、家賃も下がっているとのことでありましたが、下通は上がっているとの内容でありました。  家賃をどうする、店舗を誰に貸すということは、もちろん自由な商業活動でありますから、行政が口を出すのは難しい話であるかもしれませんが、ぜひ中心部の関係の皆さんと話し合いの場を持っていただいて、単に空き店舗を埋めればいいという発想、対策ではなくて、中長期の視野を持って、個性的で魅力あるまちづくりを目標とした対策を講じていただきたいと考えます。同じような悩みを持った他市においても新しい発想で対策が進んでいるようでございますので、大変参考になると思います。  本市における空き店舗の利活用についての考え方と対策について、担当局長にお尋ねします。  次に、城彩苑の入苑者をふやす試みについてお尋ねします。  湧々座の入場者数は、平成23年度に19万人台だったものが、昨年度は13万人台へと大幅に減少しております。湧々座は、つくることが目的ではなく、熊本城との相乗効果を期待した施設であったろうと思います。湧々座の展示はわかりやすくて大変よくできていると思いますが、しかし、現実には入場者は減少しております。この原因は何だったのでしょうか。  確かに、簡単にソフトをいじることができないことから、リピーターを期待できないのは第三セクターに共通する弱点でありますが、お金をかけないで知恵を絞るとともに、情報発信の仕方で入場者をふやすことはできないものかと考えます。何とか熊本城との連携を図って、できることならば湧々座を見て勉強してから熊本城にというルートが確立できないものかと思う次第であります。熊本城と湧々座の共通入場券も発売されているようでありますが、その効果は出ているのでしょうか。  観光地が栄えるためには、お客を運んでくるドライバー、バスガイドさんによい感触を持ってもらわなければバスがやってこないと聞いたことがあります。熊本城との連携のあり方等について、ぜひ観光業界などの意見を聞く機会を持つべきであると思います。  湧々座の入場者減少の原因の分析とその対策について、担当局長にお尋ねします。  次に、熊本駅周辺整備のポイントとなるゼロ番線ホーム跡地の再開発についてお尋ねします。  このことについては、熊本商工会議所や学識者、そして行政などで勉強会が発足したと聞いております。ゼロ番線ホーム跡地問題は重要な課題であると市長もたびたび発言しておられますとおり、3万平方メートルという広大な面積でありまして、熊本の陸の玄関口となる重要な再開発であります。  7月の新聞報道によりますと、大分駅と鹿児島駅を例として挙げてありましたが、JR九州はこれからも、地元とのあつれきがあったとしても、いわゆる客の囲い込みを進めていくという戦略のようであります。このようなJRの戦略を考えると、熊本駅周辺がコンパクトシティを目指す本市のスタンスとは相入れないものになる可能性があるのではないかと心配するものであります。  したがって、JR側が先手を打って早目に独自の計画を公表するということもあるかもしれないということを、危機管理としてしっかり押さえておく必要があると思います。そして、防止するために、JRも入った駅周辺整備についての関係者会議を頻繁に開催して、本市としての考え方を明確に伝えるとともに、JRからも情報をいただくことが大事ではないかと考えます。  ゼロ番線跡地の再開発について、陸の玄関口の考え方を含め、どのようなスタンスで臨もうとしておられるのか、市長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  中心市街地活性化基本計画に関連しての3点のお尋ねの中で、質問の順番と前後いたしますが、私の方から先に熊本駅ゼロ番線ホーム跡地の再開発に関するお尋ねにお答えさせていただきたいというふうに存じます。  先ほども御紹介がございましたが、熊本駅構内のゼロ番線ホームは、在来線の連続立体交差事業が完了しました後に未利用地となります予定のJR九州所有の土地でございまして、約3ヘクタールの広さでございます。  この高架化事業は平成30年度を目途に終了する予定でございまして、それを見据え、整備主体でもありますJR九州が、具体的な利活用につきまして検討を進められているところでございます。  この土地を有効活用しますことは、駅周辺のにぎわい創出のみならず、本市域あるいは県全体の魅力や機能の向上に重要な役割を果たすものと考えております。  また、本事業につきましては、先ほども少しお触れになりましたけれども、中心市街地全体の活性化への影響も想定されるところでございまして、各エリア機能の整理や連携のあり方を議論しますことが重要でありますことから、今年度、熊本商工会議所の呼びかけによりまして、経済界や学識者、県、地域住民等、産学官民によるゼロ番線ホーム跡地の利活用方法についての検討会議が設置されたところでございまして、本市も参加しているところでございます。  今後は、この検討会議の中での審議内容なども踏まえまして、JR九州を含めた関係者で意見交換を行いながら、陸の玄関口にふさわしい熊本駅周辺地区として整備が進められますよう努めてまいりたいと考えております。          〔多野春光農水商工局長 登壇〕 ◎多野春光 農水商工局長  私からは、空き店舗の利活用についてお答えさせていただきます。  中心商店街の空き店舗は景気低迷等の影響により増加し、平成22年度には11%を超えるまで悪化、その後は、平成23年度は8.1%、昨年度は7.5%と改善傾向にあるものの、依然として高い水準にございます。  このような中で、本市では商店街等が実施いたします各種イベントや共同施設整備への助成など活性化を支援いたしますとともに、商店街等が空き店舗を活用し、施設を設置する際、改修費や賃料の助成を行い、また、平成24年度からは、民間事業者や創業者等もその助成の対象とするなど、空き店舗解消に向けた直接的な対策にも取り組んでいるところでございます。  その結果、中心商店街におきまして、昨年度は7件、今年度も既に2件の空き店舗が解消するなど、一定の成果を上げております。  一方、議員御指摘のように、本市中心商店街の不動産賃料が全国主要都市と比較しまして高い水準にあることが、空き店舗の要因の一つでございます。  このようなことから、商店街関係者、不動産オーナー、学識者、そしてまちづくり会社等で構成いたします、仮称ではございますが、熊本遊休不動産利活用協議会が近々設立される予定でございます。本市も参画し、フロア分割による借り手ニーズとのマッチング、賃料を抑える手法、空き店舗の魅力的な利活用等につきまして、先進都市の事例も含め研究いたしますとともに、実際にモデル的な取り組みを行い、成功事例をつくることで、この取り組みを中心市街地、あるいは地域の商店街にも広げてまいりたいと考えております。  今後も商店街等と連携協力を図りながら、空き店舗の解消に向けた取り組みを初め、魅力ある商店街づくりを推進してまいります。          〔坂本純観光文化交流局長 登壇〕 ◎坂本純 観光文化交流局長  城彩苑の入苑者をふやす取り組みにつきまして、3点のお尋ねにお答えいたします。  まず、1点目の湧々座を見てから熊本城に行くルートの確立につきましてでございます。湧々座は、熊本城のビジターセンターの役割を担う施設として、熊本城のエントランスに当たる桜の馬場地区に設置した施設でございます。このことから、旅行エージェントなど観光業者のセールスや、各地で行う観光プロモーションにおきましては、まずはお客様に湧々座で学習していただき、その後に本物の熊本城をごらんになることでより理解を深めていただけるよう積極的にPRしているところです。  2点目の熊本城との連携につきまして、観光業者などの意見を聞く機会を持つべきではないかということでございます。これまで、東京、名古屋、大阪など、お客様を熊本に送り出す送客側の観光業者の皆様に対しまして観光説明会を開催いたしますとともに、お客様を受け入れる受け入れ側の地元観光事業者の皆様についても意見交換会を開催しております。このような機会の中で、議員御提案の熊本城との連携のあり方、あるいは観光バス事業者への対応についても御意見をいただき、検討してまいります。  3点目の湧々座の入場者減少の原因の分析と対応についてでございます。まず、原因の分析についてでありますが、毎年秋に行います観光実態調査の城彩苑における出発地ごとの入り込みでは、開業2年目となります昨年、平成24年度におきまして、九州外から伸びを示しているのに対し、九州内が減少しておりますことから、県内を初めとする九州内における城彩苑の開業効果の落ち着きが原因の一つと考えております。  そこで、湧々座利用者の増加に向けた対応でありますが、まず湧々座と熊本城をお得に体験できる共通入場券を販売しておりますほか、館内1階のシアターではCG技術を使って築城当時の熊本城の姿を再現するバーチャルリアリティ映像のリニューアルを行うなど、工夫を行っております。  また、2階にまいりますと、ものがたり御殿がありますが、人と映像によるパフォーマンスで肥後の偉人や歴史を紹介するライブ上映を充実するなど、来場者を飽きさせない仕組みづくりにも努めております。  さらに、城彩苑で降車する団体バス利用事業者への二の丸駐車料金のキャッシュバックのほか、団体バスの乗降所につきましても、合同庁舎側から城彩苑の玄関口となるロータリー側へ近づけるとともに、一定時間の駐車を可能にしたところです。  加えまして、城彩苑内の親水空間を活用したステージイベントや夜市など、時宜に応じた催しを開催するなど、城彩苑の入苑者増に向けた取り組みに努めているところです。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  空き店舗対策については、どうか物心両面にわたり、行政としてもできる限りの支援をしていただきたいと思います。  城彩苑の最大の問題は駐車場にあると思いますので、合同庁舎跡地の活用は駐車場案になっていますが、一刻も早く固めていただきたいと思います。跡地を駐車場にすることによって、熊本での宿泊や飲食の増加につなげることができるものと期待しているものでございます。  ゼロ番線ホーム跡地については、跡地利活用方法の検討会議が設置されましたが、しかし、これにはJRは参加しておりません。  私は、先月、有志で鹿児島駅と天文館を視察してまいりました。鹿児島市役所にも状況を教えてもらいました。天文館の夜はにぎわっているようでありますが、昼間は新聞報道のとおり、かなりさびれているようであります。駅ビルの中だけで何でもできて、そこから客が外に出てこないのならば、駅周辺や中心市街地がにぎわうはずがありません。だから、客の囲い込みというわけであります。将来に禍根を残さないためにも、ふんどしをよく締め直して、早目早目の対策を講じていかなければならないと思います。抜かりのないような万全の対応を強くお願いしまして、次の質問に移ります。  次に、教育問題についてお尋ねします。  まず、教育委員会制度改革についてお尋ねします。  有識者による教育再生実行会議が設置されて、今後の日本教育のあり方についての議論が展開されています。その中で、教育委員会制度の改革についても議論がなされ、4月に、教育委員会のあり方について第二次提言が出されています。  教育委員会制度については、これまでもさまざまな課題が指摘されておりました。例えば、教育委員会の代表者である教育委員長と、教育委員会事務局の統括者である教育長とが存在することや、公立小中学校の教員の任免は県が担当し、服務監督は市町村が担う仕組みになっており、権限と責任が非常にわかりにくいことがあります。また、教育委員会の審議が形骸化しているのではないかというような指摘がなされていました。  教育再生実行会議から示された教育委員会制度の改革の方向性は、一つは責任体制を明確にするため、首長が任命する教育長を教育行政の責任者とすることであります。このことは、教育の政治的中立性や継続性の確保をどうするかなど多くの課題があります。教育再生実行会議の提言を受け、文部科学省の中央教育審議会において、現在、審議が行われており、年内には答申をまとめられると聞いております。今回の内容は、教育委員会制度の根幹にかかわる重要な問題であります。  そこで、教育再生実行会議からの第二次提言、教育委員会のあり方について、市長の見解をお尋ねします。  次に、教職員給与の総額裁量制についてお尋ねします。  ただいま申し上げました今後の教育行政のあり方にも取り上げられているところの服務監督権者と給与負担者が異なることに関してのお尋ねであります。  本市が政令市となって、小中高校の教員採用については本市独自で採用選考考査を行うようになりましたが、小中学校教職員の給与などは依然として熊本県の権限であります。このことについては、これまでさまざまな議論がなされてきておりますが、学校現場の状況を見ますと少々心配な点があるように感じます。  それは、教員採用選考考査の合格者である本採教職員と臨時採用教職員の配置の割合であります。平成24年度と25年度を比較しますと、小中の臨採の教職員は225人から294人に、実に69人ふえております。教員定数も25人ふえておりますから、仮にその分を全部臨採にしたとしても、25人のところを69人ふやしているのであります。単純計算で、本採教職員が44人減っているのであります。もちろん、臨採の先生の中には高い能力の方も多くおられることは承知しておりますが、多忙を極める学校現場がさらに大変な状況になるのではと危惧するものであります。  教職員の給与は、現在の給与国庫負担制度では、財政力がより安定している県が負担するというか、担当することになっております。そして、総額裁量制という制度でありまして、国庫負担金総額の範囲内なら県の裁量で給与や教職員数を決定できる仕組みになっております。  ただいま申し上げました本採と臨採の割合を県が決めるはずでありますから、県の懐ぐあいで給与が安くて済む臨採の割合がふえているのではないかと、根拠はありませんが、そのように感じる次第であります。  そこで、本採と臨採の現状についての認識と、このことに関して県とどのようなやりとりをされたのか、教育長にお尋ねします。  次に、教職員の育成、資質向上についてお尋ねします。  本市では、政令市になった昨年度から小中学校の教職員の採用選考考査を実施し、そして、平成26年度からは高校の教職員も採用を行う予定であります。このように、政令市になって教職員採用を市独自で実施するようになったことについては、高く評価しております。  しかし、私は、次のステップとして、採用した教職員の人材育成、資質向上をどのように行っていくのかが重要であると考えております。その一つの方策として、県と教職員の人事交流を行う予定と聞いておりますが、具体的にはどのような方法で、例えば、対象年齢層や交流規模等についての現時点での考えをお尋ねします。  また、資質向上のためには、研修が重要と考えます。初任者研修などの法定研修以外に、市教育委員会として特に力を入れていること、あるいはこれから取り組もうとされていることについて教育長にお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、私の方から教育委員会制度改革についてのお尋ねにお答えさせていただきます。  急速な社会変化によりまして、子供たちを取り巻きます環境でありますが、より一層厳しさを増しております中、地方自治体が創意工夫や地域の教育力を生かしながら、地方分権時代にふさわしい教育行政に取り組んでいくことは重要なことでございまして、そのために必要な地方教育行政のあり方について議論を深めていくことは必要なことであると、もちろん考えております。  教育再生実行会議の第二次提言につきましては、教育委員会の存在意義を原点に立ち返って見直し、全国どこでも責任ある地方教育行政の体制を築くため、検討が進められております。その第二次提言の3つの柱、1つ目が地方教育行政の権限、責任の明確化、2つ目の柱が、国、都道府県、市町村の役割の明確化と権限の見直し、3つ目の柱が、地方教育行政、学校運営への地域住民の意向の反映、この3つの柱に基づきまして改革が進められているところでありまして、その基本的な考え方につきましては、十分理解するところであります。  現在、この提言を受けまして、今後の地方教育行政のあり方に関して中央教育審議会で審議されているところでありますが、制度改革に当たりましては、先ほど議員からも御指摘がありましたが、教育行政の政治的中立性、継続性、安定性の確保に十分な配慮がなされるかどうかが必要であると考えております。  本市におきましては、私と教育委員会がそれぞれの役割を果たしながら、引き続き教育を取り巻くさまざまな課題に対しまして、連携して取り組んでまいりたいと考えております。          〔廣塚昌子教育長 登壇〕 ◎廣塚昌子 教育長  私からは、教育問題に関する2点のお尋ねにお答えいたします。  1点目の正式任用教員と臨時的任用教員の配置割合についてでございます。  本市における教員定数に占める臨時的任用教員の割合は、概ね7%前後で推移しております。  臨時的任用教員を配置せざるを得ない大きな要因といたしましては、教職員の採用予定数を決定する段階では、次年度の学校ごと、学年ごとの児童・生徒数の変動の予測が立たず、各学年の教員定数を確定することが困難でございまして、学校によりましては、生じた欠員に対しまして臨時的任用教員を配置せざるを得ない状況が発生することが挙げられます。  しかしながら、正式任用教員の割合を現在よりも大きくしていかなければならないという認識は、県市ともに持っているところでございまして、そのためには新規採用の教員数をふやす必要があると考えております。  今後、さらに新規採用数の増加を求めていくなど、定数決定権を持っております県との協議を進め、正式任用教員の配置割合の拡大を図ってまいりたいと考えております。  2点目の教職員の育成、資質向上についてお答えいたします。  まず、本市で採用いたしました教員の県との人事交流でございますが、県市間で教員の交流を行うことは、県下全体の教育水準の維持向上のために必要であるばかりでなく、本市とは異なる教育環境にある他の市町村の学校におきまして、学級経営、学習指導等の教育活動を行うことは、本市の教員にとりましても大変有意義な経験となります。  このようなことから、管理職及び教員を対象といたしまして、原則3年間の研修交流を行うこととしたところでございます。研修交流の主な対象となります経験年数、交流規模等の詳細につきましては、本市教職員の人材育成を図ることを念頭に置きまして、県と具体的な協議を進めてまいります。  最後に、資質向上のための研修についてでございます。政令指定都市となったことで、本市教育にふさわしい教員の採用から育成まで一体的に取り組むことが可能となりました。  そこで、本市独自の取り組みといたしまして、採用4年目から10年目の若手教員を対象とした教師塾「きらり」を昨年度開講いたしました。ベテランのすぐれた指導技術を若手に継承する場を提供するとともに、塾生の意欲を高め、塾生同士のつながりを深めておりまして、将来、熊本市のリーダーとして活躍する人材が育つものと期待しているところでございます。  また、全ての教職員の資質の向上を図るためには、日々の学校内での研修を充実させることが重要でございます。その支援策といたしまして、指導主事等が学校へ講師として出向きまして講座を行ったり、教育センターから授業で活用できる資料や指導のポイントの解説などを配信したりすることで、学校にいながら学ぶことができる場を提供しております。  このほか、特色ある取り組みといたしましては、初任者研修の後にフォロー研修として2年目研修、3年目研修、さらには中堅教員としての自覚と学校組織の運営能力を高める15年経験者研修や、20年経験者研修を実施しております。  今後も教育都市熊本の教職員像の実現を目指して、教職員がお互いに研さんを積むことができますよう研修の充実を図ってまいります。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  教育委員会制度改革については、若手市長らしい斬新な御意見が聞けるかもしれないと少しは期待しておりましたが、軽くいなされた感じがしております。残念であります。  臨採教職員の必要性については理解しておりますが、その割合が高くなることについては納得できません。政令市でありますから、新制度になれば本市において人員配置も給与も決めることができるようになるものと思いますが、そうなるまでは県に遠慮するのではなく、おかしいことはおかしいとはっきり物を申すべきであると思っております。本採教職員の配置割合がこれ以上低くならないよう、市教委として踏ん張るべきであると強く思います。御努力いただきますようにお願いをして、次の質問に移ります。  次に、市民の安全安心対策になくてはならない消防団員の確保についてお尋ねします。  消防団員は、常備の消防職員のような高度な技術や機材は持ち合わせていないものの、危険を顧みずその任務を遂行する使命感には、私も心から敬服いたしております。  ところが、その消防団の団員へのなり手が少ないという状況があります。そこで、自民党では消防団員の減少に歯どめをかけるため、地域総合防災力整備促進法案をこの秋の臨時国会に提出します。サラリーマン等が消防団に加入しやすくなるような環境づくりが柱と伺っております。社員を入団させるためには、当然のことながら職場の理解を得るための努力が肝要であると思います。新法案では、企業等に環境づくりの努力義務を課すということでありますが、あくまで努力義務でありますので、効果を上げるためには、行政からの強力な働きかけが重要な意味を持ってまいります。  そこで、本市において、新法案成立に先駆けて幹部職員が直接企業などに出向いて入団についての理解を求める考えがないか、お尋ねします。  ただ、そのためには、模範を示す意味において、ある程度の市職員が消防団に加入していることが必要と考えます。現時点での市職員の加入状況がわかれば、あわせて教えていただきたいと思います。  次に、同じく消防団員確保のための機能別分団制度の導入についてお尋ねします。  国、県では、サラリーマンなどが入団しやすいように機能別分団制度などの創設を推進しておりますが、本市ではまだ採用されておりません。通常の消防団は、消火や救助活動、火の用心の巡回指導などの予防業務、広報活動など幅広い業務を任務としております。したがいまして、それぞれの仕事を持ちながらこのような任務をこなしていくことは、団員にとって大きな負担になっております。  そこで考え出されたのが、機能別分団制度であります。この制度は、例えば大規模な災害時だけ出動する分団や、土日に限って巡回指導や広報活動だけ行う分団など、多様な参加形態を可能とするものであります。既に県内では、八代市や玉名市など16市町村が新制度を導入しております。本市は特にサラリーマンが多い地域でありますので、このような参加しやすい制度を導入すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
     消防団員確保についての市長のお考えをお尋ねします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  消防団員確保に関しましての3点のお尋ねに順次お答えさせていただきます。  改めまして、本市の消防団でございますが、団員数4,800名と、全国でも有数の規模を誇りまして、みずからの地域はみずからで守るという精神に基づきまして、火災や大規模災害発生時に消火活動や避難誘導などの活動を行う地域防災のかなめであると認識いたしております。昨年の九州北部豪雨災害時、あるいは復旧復興におきましても大きな役割を果たしていただいたのは、記憶に新しいところかというふうに存じます。  しかしながら、近年の社会環境の変化などから、本市消防団におきましても団員数の減少でありますとか高齢化などさまざまな課題にも直面しているところであります。消防局におきましては、平成18年に熊本市消防団活性化検討委員会を設置しまして、勤務地団員でありますとか、女性消防団員の入団促進の取り組みなどを推進してきたところであります。  あわせまして、シティFMでありますとか、市政だよりなども活用いたしまして、団員の確保について積極的な広報も進めてきたところであります。  お尋ねの、まず1点目の企業などへの入団促進に関する働きかけについてでございますが、熊本市内の514社が加入されております熊本市防災協会を通じまして、社員の消防団活動に対する御理解と御協力のお願いをしているところであります。  また、2点目の本市消防団への市職員の入団状況でございますが、平成25年4月現在で169名ということでございます。公務員が消防団員として活躍しますことは、地域防災の推進を図ります上で住民からの理解が得やすくなりますとともに、職員にとりましても、防災行政の一層の習熟につながるものでもありまして、今後も入団促進を呼びかけてまいりたいと考えております。  最後に、3点目、機能別消防団員制度の導入についてであります。この機能別消防団員制度は、さまざまな種類がございまして、本市におきましては、まずは大学生などを対象といたしました大規模災害時の避難所支援など、特定の任務に従事する防災サポーター制度を平成26年4月から創設すべく、現在、準備を進めているところであります。  なお、現在、国におきましても消防団員の安全確保や機能強化などが検討されているところでもありまして、このような動きも注視しながら、本市の消防団のさらなる活性化に取り組んでまいりたいと考えております。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  これまでも団員の確保について努力されてきたことは理解できましたが、総合整備法案が成立すれば入団しやすい環境が整うわけでありますから、さらに頑張っていただいて、質量ともに全国の模範となるような消防団にしてほしいと思います。そのために、繰り返しになりますが、市職員の団員がある程度いなくてはなりません。消防団員の確保を消防局だけの仕事にしないで、市の方針として若い職員が積極的に入団するようなシステムを構築すべきであると考えます。お願いをしまして、次の質問に移ります。  次に、福祉政策についてお尋ねします。  まず、生活保護費の不正受給の防止についてお尋ねします。  このことについては、毎回と言っていいほどお尋ねしておりますが、私も元ケースワーカーとして強い関心を持っておりますので、今回もお尋ねいたします。  本年3月に発表された平成23年度の生活保護費の不正受給件数は、全国では金額にして173億円余りに上る過去最悪を更新したとのことであります。このような不正受給は、生活保護制度への国民の信頼を損なうことにつながりかねません。  このような状況を受けて、厚生労働省では罰則の強化、不正受給返還金の保護費との相殺など、不正・不適正受給対策の強化等に関する内容を盛り込んだ生活保護法改正案の再提出を検討しております。  生活保護費のうち、通常は4分の1が市の財政負担でありますが、不正受給分が滞納になってしまえば、その分は全額が市の負担になりますので、未然防止と回収に努めないと苦しい市の財政をさらに圧迫することになります。さらに、本当に生活に困窮されている方たちのためにも、不正受給には断固たる対応が必要であると考えます。  そこで、平成24年度の不正受給の件数、金額と徴収済みが幾らだったのか、担当局長にお尋ねします。  次に、稼働年齢層の自立支援、就労支援についてお尋ねします。  この件についても昨年、雇用と福祉が一体となった就労支援対策ができないかとお尋ねしたところ、市長から、まずは中央区役所内にハローワークのサテライトを設置して、福祉相談と職業相談・紹介が同時に行えるよう平成25年4月から実施するとの力強い御答弁をいただきました。市長の御答弁のとおり福祉と雇用業務の一体化は、利用者の利便性が向上し、早期自立に向けての効果的な就労支援につながるものと喜んでおります。サテライト設置からまだ半年もたっておりませんが、現状はどうなのか、大いに気になるところでございます。そこで、正式な検証はまだ後のことと思いますが、現時点での成果等について担当局長にお尋ねします。  次に、発達障がい児に対する支援についてお尋ねします。  発達障害については、最近になって認識され始めた障がいでありまして、その内容をどのように理解し、対処していけばよいのか、まだまだ手探りの部分が多いものと思います。  このような中にあって、本市においては昨年4月から発達障がい者支援センターみなわを開設して相談に応じていますが、当初の見込みでは1年間に1,000件程度とされていたものが、実際には年間1,700件に及んでいると聞いております。短期間にこのように多くの方が相談に来られたということは、子供にどのように接し、対応したらいいのか、また、教育やしつけなどをどのように行えばいいのか、悩んでおられるからであろうと思います。  何といっても、乳幼児健診などでの早期発見、早期対応が重要でありますので、常日ごろ子供に接する保健・医療・教育機関など、専門家のスキルアップが肝要であると考えますし、乳幼児から社会人までのライフステージに合わせたそれぞれの対応が必要になってまいります。  そこで、家族への支援体制と関係機関の連携について、今後、どのように展開していく考えなのか担当局長にお尋ねします。          〔宮本邦彦健康福祉子ども局長 登壇〕 ◎宮本邦彦 健康福祉子ども局長  私からは、生活保護の不正受給防止と発達障がい児の支援に関してのお尋ねにお答え申し上げます。  まず、生活保護の不正受給防止についてでございます。平成24年度における保護費の不正受給の件数は320件、金額は1億6,178万9,000円となっております。不正額を決定する時点では、既に生活費等に消費してしまっていることも多いため分割での返済となり、収入済額は1,530万3,000円に対し、収入未済額は1億4,648万6,000円となっております。  不正受給の事実が発覚した場合は、不正に受給した保護費について全額返済させるために督促を行いますが、なお納付がない場合は、ケースワーカーが納付指導を行いますとともに、確実な納付を推進するために、昨年3月からは口座振替払いを開始したところでございます。  不正受給防止のためには、生活保護受給者の状況把握が最も重要であると考えており、保護開始時には世帯の収入等に変化があった場合は必ず届け出ることを指導いたしますとともに、収入の申告の確認書を文書でいただいております。  また、保護開始後は、状況に応じて家庭訪問を実施いたしますほか、年2回の課税状況調査や、年4回の収入申告書の提出により状況把握に努めております。  さらに、不正受給にならないためのハンドブックを保護受給中の全世帯へ配布し、担当ケースワーカーによる説明を行っております。  生活保護の不正受給への対応につきましては、今後、警察との連携等をさらに強化してまいりますために、警察官OBを雇用することとしております。また、より厳正に対応いたしますため、不正告発の基準作成についても、機会あるごとに国に要望しているところでございます。  なお、生活保護制度の見直しの中で、不正・不適正受給対策の強化として、罰則の引き上げや、不正受給に係る返還金について保護費との相殺を可能とする措置も検討されておりますことから、国の動向を見守ってまいります。  次に、発達障がい児に対する支援についてでございます。  発達障害につきましては、乳幼児期からの早期対応が重要であり、乳幼児健診や保育園、幼稚園での生活の中から早期に発見し、早期に療育につなぐことがとりわけ重要であります。  また、支援を必要としている子供や保護者の方にとっては、住みなれた地域において、周囲の理解を得ながらライフステージに合わせた支援が受けられますよう環境整備が必要と考えております。  そこで、子ども発達支援センターでは、乳幼児健診において支援が必要と思われる児童に対し、心理相談員や言語聴覚士、理学療法士などの専門職が早期の相談支援に当たっております。  同時に、発達障がい児のいる御家族への支援といたしまして、親子グループ活動、保護者グループ活動などの初期療育を行いますとともに、保護者面接において発達障がい児の特性の理解などについてもアドバイスを行っているところでございます。  また、発達障がい者支援センターみなわにおきましても、青年期以降、家庭や学校生活での悩み事の御相談をお受けしたり、また、就労への御相談に対しても、御家族への情報提供を行いますなど的確な支援を行っており、今後ともその拡充に努めてまいります。  関係職員のスキルアップにつきましては、子ども発達支援センターでは、療育関係者や学校関係者などを対象といたしました支援者研修会を開催しております。また、保育園、幼稚園の園長などを対象にした発達障がい支援コーディネーター養成事業も実施しております。さらには、市民を対象とした講演会を開催しているところでございます。  また、みなわにおきましても、障がいへの理解を深めてもらうための啓発や支援者の育成、関係団体の理解促進のための研修を行っており、関係機関と連携しながらライフステージに応じた適切な支援を提供しているところでございます。  今後も障がいのある児童を早期発見し、身近な地域で必要な支援が受けられるよう支援体制を構築いたしますとともに、療育支援ネットワーク会議などを通じ、両センターを中核として、保育園や幼稚園、学校、保護者等の連携の強化を図るなど、ネットワーク型の療育システムの充実を図ってまいります。          〔多野春光農水商工局長 登壇〕 ◎多野春光 農水商工局長  私からは、ハローワークサテライト設置後の状況についてお答えいたします。  本市では、本年4月から中央区役所にハローワークサテライトを開設し、生活保護や児童扶養手当の受給者の皆様を対象に、市の福祉相談業務と国の職業相談・紹介業務を一体的に行う就労支援を実施しております。  ハローワークサテライト設置後の状況につきましては、8月末までに延べ790件の就職相談を受けまして、このうち158人に具体的な就労支援を行うことによりまして、就職者は年間200人の目標に対し、既に98人となっており、順調に成果が上がっているところでございます。  他の指定都市におきましても15市が同様の取り組みを行っておりますが、本市の特色としましては、市の職業訓練センターを活用し、対象者のレベルに応じた訓練を行うなど対象者に寄り添った支援に努めているところであり、こうした取り組みにより適切な求職活動の支援ができているものと考えております。  このハローワークサテライトの取り組みにつきましては、これからの成果も踏まえ、具体的な検証を行いますとともに、全区役所への拡充についても検討を行うこととしておりますが、今後とも生活保護受給者等の皆様の就労・自立支援につながるよう国関係機関との連携を図り、しっかり取り組んでまいります。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  不正受給の件数も金額も大幅にふえたのには驚きました。23年度は140件の6,226万7,000円でありましたから、件数にして約2.3倍、金額にして約2.6倍であります。どうか、職員一丸となって不正受給防止に努力してほしいと思います。  ハローワークのサテライト設置については、かなりの成果が出ているようでありますのでうれしく思います。労働局の理解と協力が必要であると思いますが、サテライトが早く全区役所に設置されるようになることを期待申し上げます。  発達障がい児への支援については、関係機関同士の積極的な連携をお願いしまして、次の質問に移ります。  次に、熊本港のハード、ソフトの展開についてお尋ねします。  熊本港は、グローバル経済の進展などから海上を利用した物流及び人流の拠点として、本市とその周辺100万都市圏の経済発展を支える大きな役割が期待されております。国内的な実績向上はもちろんのこと、国際的にもコンテナ貨物の積み降ろし港として定期コンテナ貨物船が就航し、昨年10月からのガントリークレーンの運用、12月からの定期コンテナ船の週2便化、県市による各種の助成措置などにより、4年連続で前年を上回る実績を上げております。  さらに、本年8月には既存の水深7.5メートル岸壁1バース目の130メートルに加え、新たに岸壁取りつけ部110メートルが整備されたことにより、9月と10月には熊本港初となるクルーズ船が寄港します。熊本港は、背後に観光資源が豊富で、地理的に観光が組みやすいとの船主の方の発言が報道されていましたとおり、これから全国でも有数のクルーズ船寄港地になるのではないかと喜んでいるところでございます。  このようなコンテナ貨物船の増便やクルーズ船の入港などには、熊本港ポートセールス協議会の会長を務められる幸山市長自身が、国や県への整備充実の働きかけとあわせて、船会社の訪問などの誘致活動を強力に進められてきた成果であると高く評価しております。  平成12年度に策定された港湾計画では、熊本港は水深7.5メートル岸壁に加えて、延長170メートルの水深10メートル岸壁を建設されることになっております。熊本港のさらなる発展のためには計画どおりのハード整備が不可欠でありますので、これからの熊本港の整備促進についての市長の決意をお尋ねいたします。  次に、ソフトの展開についてお尋ねします。  まず、先ほど申し上げましたとおり、この秋にクルーズ船を初めて受け入れることになりますが、クルーズ船入港時についての対応とこれからの誘致活動についてのお考えをお尋ねします。  次に、熊本港の国際コンテナ港としての位置づけが増している中での誘致活動の具体的な展開についてお尋ねします。  私の地元には、苦しい経営ながらも懸命に日本の食を守っておられる畜産農家が多くおられますが、コストの大部分を占めるのは輸入する飼料代であるとおっしゃいます。陸揚げするのは博多港が多いので輸送費がかさむそうですが、これを熊本港陸揚げに変更できれば、熊本港にとっても酪農家にとっても喜ばしいことになります。簡単に変更ができない面もあろうかと思いますが、本市は、農政と商工行政が連携できる行政組織になっておりますので、関係者との話し合いの場を設けるなど働きかけをしてほしいと思います。  また、本日冒頭に申し上げましたとおり、経済交流促進などの調査のため台湾を訪問してまいりましたが、その中でアジア第4位のコンテナ取扱量を誇る高雄港の規模には圧倒されました。高雄港を一望できる高台からの視察でしたが、120台のガントリークレーンが立ち並ぶ姿に、ある種の感動を覚えました。このたび高雄市との間で経済交流に関する覚書を締結されたことを本市の経済発展のチャンスと喜んでおりますが、私は、空路による観光客などの人流もさることながら、ぜひとも圧倒的な物流が可能となる海上路の交流も盛んになってほしいと心から願っているものでございます。  本県に立地されている企業には台湾との取引も多いと伺っておりますが、そのほとんどが博多港などを利用しているものと思います。熊本港と台湾とのコンテナ船の直行便が就航すれば、両市にとっても関係企業にとっても大きなメリットになるものと確信します。台湾を初めとして広くアジア各国との積みおろし貨物量をふやし、コンテナ船の増便につなげることができるよう船主や荷主に対する働きかけをさらに強化する必要があると思います。  今後の誘致活動の方針について、ポートセールス会長でもある市長にお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  熊本港のハード、ソフトの展開につきまして4点のお尋ねがございましたので、順次お答えさせていただきます。  まず、1点目の熊本港の整備についてでございます。  先ほども御紹介がございましたが、これまでにフェリー客船などが着岸する水深4.5メートルから5.5メートル岸壁が626メートル、またコンテナ船が着岸する7.5メートル岸壁260メートルのうち、1バース目となります130メートルは供用開始されているところでありますが、7.5メートル岸壁の2バース目、及び10メートル岸壁につきましては事業着手されていない状況にございます。  そのような中で、国や県におきましては航路のしゅんせつなどを進めます一方で、航路の埋没対策として7.5メートル岸壁の取りつけ部分の延伸などを実施されたところでありまして、これを活用することで、これまで困難でありました大型船舶の入港が可能となり、今回大型クルーズ客船が寄港することとなったものでございます。  また、昨年10月のガントリークレーンの設置や、国際コンテナ航路の週2便化によりまして、本年1月から8月までの貨物取扱量でありますが、前年同期比で43%増と伸びてきておりますなど、これまでの取り組みの成果が着実にあらわれているものと考えております。  しかしながら、今後、さらなるコンテナ取扱量の増加や、大型クルーズ客船の誘致などを進めてまいりますためには、港湾計画に基づいた整備が不可欠でありますことから、商工団体、経済団体などと一体となり、国や県に対し、着実な整備が図られますよう強く要望していきたいと考えております。  続きまして、2点目のクルーズ客船入港時の対応とこれからの誘致活動についてでございます。  今回、初めてとなりますクルーズ客船の寄港でありますが、熊本観光のPRとともに、多くの船会社や旅行代理店に対しまして今後寄港を検討していただくアピールの機会でございますことから、ポートセールス協議会の中にクルーズ部会を設置いたしまして、寄港におけるおもてなしの対応などについて検討を重ねてきたところでございます。  具体的には、9月のにっぽん丸が出港いたします際には、消防艇の放水などを行うこととしております。また、10月の日本一周クルーズぱしふぃっくびいなす寄港の際には、船内に臨時の観光案内所を設置しますとか、熊本城や水前寺公園、阿蘇や人吉の観光地をめぐるオプショナルツアーも計画されているところでありまして、本市や県内各地の魅力を楽しんでいただけるものと考えております。  今後も県や関係団体と連携を図りまして、国内外の船会社やクルーズ専門の旅行会社に積極的に誘致活動を行っていく所存であります。  また、去る9月8日でございますが、中国のアモイで開催されましたクルーズ産業の発展と協力をテーマとした国際友好都市サミットにおきまして、牧副市長が熊本港を初め、本県市の魅力をアピールしてきたところでもあります。  続きまして、貨物量増加に向けた取り組み、並びに畜産農家飼料の取り扱いについてでございます。  先ほど申し上げましたように、これまでの取り組みによって一定の成果は上がっておりますが、依然として多くの荷が博多港でありますとか、北九州港などに流れていることが大きな課題でもございます。  そこで、熊本港の利用増加に向けまして県市で連携を図り、県におきましては都市圏の大手企業を中心として、そして本市といたしましては市内地場企業を中心といたしまして、それぞれ役割分担を図りながらセールス活動を行っているところでございます。  議員お尋ねの畜産農家飼料の取り扱いについてでございますが、本年7月、牧草の輸入に際し熊本港を利用いただき、今後も利用見込みがあると伺っているものでありまして、荷主関係者などへさらに積極的に働きかけを行っていきたいと考えております。  お尋ねの最後の台湾とのコンテナ船直行定期便の誘致についてでございます。  先ほど御案内のとおり、去る9月9日、県、市、高雄市の3者で経済活動を中心とした交流促進のための覚書を締結したところであります。そのような中で、コンテナ船の直行便が実現するということになりますれば、貿易が推進され、市内・県内企業にも大きなメリットがございますことから、今後、県や関係団体とともに、新規航路の開設の可能性などについて検討してまいりたいと考えております。  いずれにしましても熊本港は、本市及び熊本都市圏における海の物流、人流の拠点として地域経済を支える重要な都市基盤施設でありまして、今後も施設の充実に向けた取り組み、あるいはポートセールスなどに力を入れてまいりたいと考えております。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  同じ県内には八代港がありますけれども、八代港とはパイの取り合いではなく、それぞれが切磋琢磨してにぎやかさをつくり出していければと思いますが、コスト高となる博多港や北九州港積みおろし分については、先ほども申されたとおり、できるだけ熊本港利用に変更いただくよう御努力をお願いしておきます。  そして、週2便化に応じていただいた韓国の高麗海運会社の御好意に報いる意味においても頑張っていただきたいと思う次第であります。  台湾便については、本県に立地されている大手先端産業の製品輸出などの可能性も大であると考えておりますので、積極的な取り組みをお願いいたしまして次の質問に移ります。  次に、水前寺競技場の改修についてお尋ねします。  水前寺競技場は、本県最初の国体のメーン会場になったことなどもあって、県民にとっては最もなじみの深い競技場であります。水前寺競技場は県庁から見える位置にありますので、県職員時代には大会のアナウンスや歓声に元気をもらいながら仕事をしたこともあって、とても親しみを感じる競技場でございます。  ところが、日本陸連の公認記録会場から外されてしまったとの新聞報道には、驚くというか、あきれてしまいました。日ごろ管理している関係者は、トラック路面の凹凸や損傷があることぐらいはよくわかっていたはずだと思います。当初の想定よりも踏み込んで検討する必要があるとの市のコメントがあっておりましたが、検定更新がなされたその時点から、5年後の更新が可能かどうか常にチェックしておくべきであったと思います。  うまかな・よかなスタジアムもよかけれども、水前寺競技場は小学生の記録会などもある競技場であります。かわいい我が子が大会に出場し、駆け抜ける場面を間近にスタンドから胸を躍らせて応援したという方が多くおられると思います。さらに大きな夢を抱く競技者の皆さんには、グラウンドコンディションが劣悪なためにけがをさせてはなりません。早急に改修しなければならないことは言うまでもありませんが、このような状況を招いた原因は何だったのか。また、いつまでにどのような改修をするのか、その具体的なスケジュール等について担当局長にお尋ねします。          〔坂本純観光文化交流局長 登壇〕 ◎坂本純 観光文化交流局長  水前寺競技場の改修についてお答えいたします。  この競技場は、昭和26年に開設し、平成20年6月から第二種公認陸上競技場として認定を受けております。  このほか県内におきましては、うまかな・よかなスタジアムが第一種公認を受けておられます。  現在の状況についてでありますが、公認有効期間の5カ年が本年6月に満期となりましたが、改修理由での公認検定の延期が最長1年間認められております。現在、来年の6月まで1年間延長し、改修を行っているところです。  このため、その期間に競技場で行った大会の記録は公式記録としては認定されないため、市民の皆様にはうまかな・よかなスタジアムの御利用をお願いしております。  お尋ねのこのような状況に至った原因についてであります。本市では、当競技場の改修について、熊本陸上協会との協議を踏まえまして、検定に合格する水準の施設となるよう、本年5月に改修工事を実施し、6月に公認検定を受ける予定でありました。
     しかしながら、今年3月末のうまかな・よかなスタジアムの公認検定の際に、日本陸連から改修について予想以上の厳しい条件が付加されたため、水前寺競技場でも再度熊本陸上協会と協議を行い、改修内容を強化することとし、1年間の延期願を提出するに至ったものであります。  いつまでに、どのような改修を行うかとのお尋ねであります。  まず、スケジュールとしましては、今議会で予算措置をお願いし、12月から3月までに改修工事を行い、新年度の陸上競技のシーズンが始まります4月までには公認検定を受けたいと考えております。  次に、改修内容につきましては、全レーン及び助走路の全面改修や、コースの線引き、マーキング、新ルール対応のための砂場増設などを行うことといたしております。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  ただいま局長の方から、4月より公認ができるように努力したいというようなことでありました。競技場の職員は、それを支えるために自分は今ここにいるんだということに関しては誰にも負けないという気概を持って、業務に取り組んでいただきたいと思います。  一日も早い競技場の改修をお願いいたしまして、次の質問に移ります。  次に、里山の復活についてお尋ねします。  地元の託麻三山を麓から眺めますと、この夏はさらにモウソウチクの勢いが増しているように感じます。そこで、昨年も竹林の管理強化についてお願いをしたところでありますが、改めてお尋ねいたします。  私の子供のころは、託麻三山はすばらしい里山でありまして、仲間たちとの楽しい遊び場でありました。ところが、最近は竹林などによって足を踏み入れることが難しいほど荒れ果てております。  政令市になって区ごとの新しいまちづくりが始まり、幸いにも我が東区はまちづくりの基本方針に託麻三山などの自然環境の保全活用がうたわれておりまして、託麻三山を生かした活性化事業が実施されております。既に託麻北校区まちづくり委員会においては、託麻新四国八十八カ所という周遊ルートをわかりやすく示した冊子を作成して配布されました。地域の遺産を知ってもらい、子供たちに歴史の継承者になってもらいたいとのお気持ちがこの活動の出発点とお聞きしておりまして、このような活動の積み重ねが里山の復活につながっていくものと信じております。  昨年の質問でも三山の環境保全に努め、市有地のモウソウチクの管理方法の模範例を示して、民有林においても協力をいただけるような事業を展開すべきではないかとお尋ねいたしました。これに対して、竹林の管理方法を検討する、さらに平成24年度内に市内一円の竹林などの面積を調べる緑被率調査を行うとの答弁をいただきました。  そこで、竹林管理の模範例となる事業をどのように展開していかれるのか。また、緑被率調査の結果をどう読み取って、今後どのような対策を講じていかれるのか、お考えを担当局長にお尋ねします。          〔永山國博都市建設局長 登壇〕 ◎永山國博 都市建設局長  私からは、竹林管理の模範例となる事業の展開についてお答えいたします。  神園山、小山山、戸島山の通称託麻三山は、緑地保全のために昭和48年11月に87.1ヘクタールを都市緑地として都市計画決定し、その後、小山山の約33ヘクタールを本市が用地取得しております。  また、託麻三山は広葉樹林が豊かな山でありますが、議員御指摘のとおり著しい竹林の拡大によりまして、豊かな広葉樹林が失われつつある状況となっております。  このようなことから、今年度から里山の竹林被害の対策といたしまして、定期的に竹の伐採を行うことといたしております。今年度は専門業者に発注し、約7,000平方メートルの竹を伐採する予定といたしております。  しかしながら、住民に身近な里山などにつきましては、地域住民と行政が一体となり管理することが望ましいとも考えておりますので、校区自治協議会など地域の皆様方の御理解と御協力が前提ではありますが、例えば、現在、公園管理のモデル的取り組みとして一部地域で実施しております熊本市公園協働地域委託モデル事業を活用した里山の管理、保全にも取り組んでまいりたいと考えております。          〔石櫃紳一郎環境局長 登壇〕 ◎石櫃紳一郎 環境局長  私からは、緑被率の調査結果及び今後の対応についてお答えいたします。  緑被率でございますが、これは市内の緑の状況を把握する一つの手法でございまして、市内の面積に対します緑地の割合を算出したものでございます。  昨年度実施いたしました緑被率調査は、旧3町を加えました合併後最初の調査でありまして、緑被率は、新市域で32.1%、面積は1万2,474ヘクタール。これを旧市域で見てみますと、31.07%、面積は8,299ヘクタールと、本市の緑の基本計画で定めます目標値の30%以上を確保できたところでございます。  その中で竹林の緑被面積は941ヘクタールと、前回の平成18年度の調査に比べまして特段の増減は見られない状況でございました。  この結果を受けまして、現在、新たな環境保護地区の候補地指定に向けた調査を行っているところでございます。また、良好な自然環境保全の観点から、環境保護地区やその候補地の所有者に対しまして、今年度は竹林の適切な管理の手法に関する意向調査を実施することとしておりまして、その結果を踏まえまして、竹林化を防ぎ、良好な里山の保全に向けた仕組みづくりを検討してまいりたいと考えております。          〔30番 満永寿博議員 登壇〕 ◆満永寿博 議員  早速、平成25年度から市有地内の竹林の伐採を実施されるとお聞きしてうれしく思います。また、緑被率調査では竹林面積はほとんど変化していないということでありましたが、託麻三山を私の目で見た緑被率では明らかに拡大しているように思えてなりません。今後とも市民の皆様のまちづくり活動とも連携をとっていただいて、少しずつでも里山復活が進みますよう努力をお願いしておきます。  次に、託麻東小学校、二岡中学校の施設充実について要望を申し上げます。  私の地元の託麻東校区は、集落内開発制度を活用して住宅、マンションなどの建設が進み、人口が増加している地区でありまして、託麻東小は、現在、4クラスがプレハブ校舎で学習するなど児童数が年々増加しております。東小の奥に二岡中があり、東小体育館のすぐ横にJA熊本市のガソリンスタンド跡地があって、その間を校内道路が走っております。この際、ガソリンスタンド跡地を学校施設の用地として、ぜひとも取得してほしいという要望であります。  校内道路は、毎日、給食運搬車や学校行事の際に利用する大型バスなどの出入り口ともなっておりますが、これらの車両がバス路線から校内道路に進入するためには、ガソリンスタンド跡地を利用しなければ曲がることができません。これまでJAの御好意で敷地の一部を利用させてもらっていましたが、第三者の手に渡るとそれができなくなる可能性があります。当校区においては、これまでも武道館、二岡中の体育館建設などの施設充実の要望が毎年なされております。当該用地の取得は、託麻東小、二岡中の児童・生徒の良好な教育環境維持のためにぜひとも必要であると考えますので、当該用地を取得して、計画的な施設整備に充てられますよう強く要望申し上げます。  以上が要望でございますが、これまで東部地域、特に小山・戸島地域の皆様には、いわゆる迷惑施設と呼ばれるものを多く受け入れるなど、市民生活向上のために御協力をいただいてまいりました。どうか、このような地元の皆様のお気持ちに報いる意味においても、特段の御配慮をお願い申し上げる次第であります。  これをもちまして、今回予定しました私の質問と要望を終わらせていただきます。市長を初め執行部の皆様には、御答弁いただきましてありがとうございました。  また、議員の皆様、そして、お忙しい中に傍聴においでいただきました皆様方には長時間にわたり最後まで御清聴いただきまして本当にありがとうございました。心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)       ───────────────────────────────── ○齊藤聰 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。  次会は、明18日(水曜日)定刻に開きます。       ───────────────────────────────── ○齊藤聰 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                              午後 3時40分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 平成25年9月17日 出席議員 48名       1番   齊 藤   聰        2番   鈴 木   弘       3番   小佐井 賀瑞宜        4番   寺 本 義 勝       5番   高 本 一 臣        6番   西 岡 誠 也       7番   福 永 洋 一        8番   田 上 辰 也       9番   浜 田 大 介       10番   井 本 正 広      11番   大 島 澄 雄       12番   原 口 亮 志      13番   くつき 信 哉       14番   松 野 明 美      15番   田 中 敦 朗       16番   重 村 和 征      17番   上 田 芳 裕       18番   那 須   円      19番   園 川 良 二       20番   藤 永   弘      21番   紫 垣 正 仁       22番   澤 田 昌 作      23番   倉 重   徹       25番   田 尻 善 裕      26番   白河部 貞 志       27番   上 野 美恵子      28番   有 馬 純 夫       29番   藤 岡 照 代      30番   満 永 寿 博       31番   三 島 良 之      32番   津 田 征士郎       33番   坂 田 誠 二      34番   藤 山 英 美       35番   田 中 誠 一      36番   東   すみよ       37番   家 入 安 弘      38番   田 尻 将 博       39番   竹 原 孝 昭      40番   牛 嶋   弘       41番   税 所 史 熙      43番   落 水 清 弘       44番   江 藤 正 行      45番   下 川   寛       46番   田 尻 清 輝      47番   古 川 泰 三       48番   北 口 和 皇      49番   益 田 牧 子       50番   田 辺 正 信 欠席議員 1名      24番   大 石 浩 文 説明のため出席した者   市長       幸 山 政 史    副市長      高 田   晋   副市長      牧   慎太郎    総務局長     飯 銅 芳 明   企画振興局長   原 本 靖 久    財政局長     岡   昭 二   健康福祉子ども局長宮 本 邦 彦    環境局長     石 櫃 紳一郎   農水商工局長   多 野 春 光    観光文化交流局長 坂 本   純   都市建設局長   永 山 國 博    消防局長     大 塚 和 規   交通事業管理者  中 山 弘 一    上下水道事業管理者宮 原 國 臣   教育委員会委員長 崎 元 達 郎    教育長      廣 塚 昌 子   代表監査委員   平 塚 孝 一    農業委員会会長  森   日出輝   中央区長     前 渕 啓 子    東区長      西 島 徹 郎   西区長      永 田 剛 毅    南区長      永 目 工 嗣   北区長      石 原 純 生   職務のため出席した事務局職員   事務局長     大 杉 研 至    事務局次長    木 村 建 仁   議事課長     富 永 健 之    議事課長補佐   本 田 正 文...