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平成 9年第 1回定例会−03月12日-03号
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  1. 熊本市議会 1997-03-12
    平成 9年第 1回定例会−03月12日-03号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成 9年第 1回定例会−03月12日-03号平成 9年第 1回定例会   平成九年三月十二日(水曜)   議 事 日 程 第三号   平成九年三月十二日(水曜)午前十時開議   第 一 質 問                  午前十時二分 開議 ○議長(荒木哲美君) ただいまより本日の会議を開きます。      ───────────────── ○議長(荒木哲美君) 日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。主海偉佐雄君。        〔三十二番 主海偉佐雄君 登壇 拍手〕 ◆三十二番(主海偉佐雄君) おはようございます。自由民主党の主海でございます。平成九年第一回定例会の開会に当たりまして、質問の御配慮をいただきました議員各位にまずもって心から御礼を申し上げます。  久々の登壇ではございますけれども、本市の当面する諸問題につきまして、二十一世紀を展望しつつ、若干の私見を交えながら御見解を承ってまいりたいと存じますので、三角市長を初め執行部の皆様方の明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  年度当初でございますので、まず最初に財政問題につきましてお尋ねをさせていただきます。  御案内のとおりに、我が国経済は、バブル経済崩壊後、三年以上の長きにわたり一進一退を繰り返していた景気でありますが、ここに来ましてようやく、民間設備投資の拡大や雇用情勢の改善傾向など、明るい兆しが見え始めております。  しかしながら、新年度においては消費税率の改正や特別減税の廃止、公共事業の抑制基調など、将来的には、拡大する財政赤字に歯どめがかかり、我が国経済にプラスになるとはいうものの、一時的にはやはり経済成長を押し下げる要因もあり、依然として伸び悩んでいる個人消費や低迷の続く株式市場など、決して予断を許さぬ経済状況にあるのではないかと思います。  今後、我が国の経済が安定的に成長を続けていくためには、一刻も早い規制緩和の推進など、経済構造改革金融システム改革が求められております。これらの実現なくしては本物の景気の回復もあり得ず、このような意味から、平成九年度は日本経済の二十一世紀に向けての正念場と言えるのではないかと思うものであります。  平成九年度の国の予算でありますが、提案理由の中で既に三角市長も触れておられますが、橋本首相は、昨年末の臨時国会の冒頭の所信表明演説で、ただいま申し上げました経済構造、金融システムを初めとする五つの改革を断行する決意を表明されておるところであります。この中でも、特に財政に関しましては、新年度を財政構造改革元年と位置づけ、強い姿勢で歳出削減と赤字国債の縮減に取り組むことを挙げております。
     平成八年度末の国、地方の公債残高は合計で四百四十二兆円にも上るとのことでありますが、これを国民一人当たりに直しますと実に約三百五十二万円、例えば四人家族でありますと約一千四百八万円となります。いわゆる国の赤字状況を先進諸国と比較いたしますと、その突出ぶりが際立っておりまして、我が国の財政状況が先進国中最悪の水準にあると言われているのもうなずける次第であります。  しかも、このまま現在の財政構造を放置すれば、今後、急速に進展する高齢化に伴って、社会保障関係費を中心とした歳出要因が急増し、ひいては日本経済の破綻すら惹起しかねない事態となっているのであります。  したがいまして、国においてはそのような事態に追い込まれる前に財政構造の改革に取り組むこととし、新年度を財政構造改革元年と位置づけるとともに、この着実な実行のため財政再建法案の策定の取り組みが現在なされているところであります。  この財政再建法案の検討内容を見ますと、西暦二〇〇五年を財政健全化の期限とし、国、地方を合わせた単年度の赤字を国内総生産の三%以内に抑制することを目標としておりますが、具体的には、一つに、一般歳出の伸び率に上限を設定する。二つ目に、公共事業や社会保障など分野ごとに削減、抑制目標を設ける。三つ目に、歳出増を伴う新政策の実施には同額の歳出削減策を義務づけるいわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則を明記するとあります。この三点を骨格としており、秋の臨時国会へ向けての法案提出を目指し、現在財政構造改革会議の中で論議が進められているところであります。  このように、国は活力ある二十一世紀を目指して、その基盤となる健全な財政構造を再構築するためさまざまな取り組みを始めたのでありますが、一方、地方に対しましても行財政の改革が強く要請されております。  国同様地方財政も厳しい状況に置かれており、先ほど申し上げました我が国の公的債務残高四百四十二兆円のうち約百三十六兆円が地方分とのことであります。高齢化の進展に伴う社会保障費の増加と、借金の返済である公債費の増嵩が財政を圧迫するのは何も国だけのことではないのであります。  このような公債残高の累増は、国の経済対策に呼応した公共事業の推進などによるもので、今日までの景気を支えてきたのも確かであり、それなりに評価をされるべきものでありますが、いずれにいたしましても、地方財政の健全化は急務であり、国民の期待する地方分権の推進の観点からも、地方の行財政改革が早急に求められているのであります。  本市の場合を見てみますと同様に、本市を取り巻く財政環境もまことに厳しいものがありますが、このような中で、三角市長は強いリーダーシップを発揮され、昨年四月の中核市移行や九月の行政改革大綱の策定、さらには情報公開制度への取り組みなど、変革する時代への的確な対応を着実に進められており、新年度の当初予算におきましても、心の通ったわかりやすい市役所の実現を目指して、予算編成のあり方も根本的に見直しを実施されるなど、意欲的な対応を図られております。このような三角市長の積極的な取り組みを高く評価いたす次第であります。  三角市長が常々口にされております、市政運営の基本理念でもあります、すべての市民が幸せであると感じられるまちの実現をということでありますけれども、このためには、福祉や教育、環境などの諸課題への対応を初め、道路、公園、下水道などの都市基盤整備や熊本駅周辺等の拠点整備など、まだまだ取り組まなければならない各種の事業が山積いたしていることを私も十分承知をいたしておりますが、厳しい財政状況のもと、財源にはおのずと限界もあり、今後の市政運営は、ますますそのかじ取りが難しくなってくるのではないかと案じております。  しかしながら、私ども議会と執行部が一体となって事に当たれば、困難な課題も何とか克服できるのではないかと思っております。将来を担う子供たちにとって、二十一世紀が明るいものとなるためにも、微力ながら私どもも全力を尽くしてまいらねばならないと決意を新たにいたしているところであります。  このような状況の中で、本市の平成九年度当初予算の編成に当たっては大変御苦労が多かったことと拝察をいたしておりますが、本市の新たな飛躍のため、どのような考え方のもとで編成されたのか、三角市長に改めてお尋ねをさせていただきたいと思います。  また、新年度の財政見通し並びに財政運営をどのように考えておられるのか、総務局長にお尋ねをさせていただきたいと思います。  さらに、このような厳しい財政状況の中で、国の財政再建法案の中でも検討されているように、新規に事業を行う場合、その歳出増に見合う経費を、既存の事業を廃止し、あるいはまた削減で賄うという、いゆる歳出のスクラップ・アンド・ビルドについて、本市の場合もぜひ積極的に取り入れるべきであろうと思うのでありますが、このことについてどのようにお考えになっているのか、総務局長にお尋ねをさせていただきたいと思います。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 平成九年度予算編成に当たっての基本的な考え方についてのお尋ねでございました。  答弁の前に、ただいま主海議員から、新年度予算について大変温かい御理解、御評価を賜りましたことを厚く御礼申し上げる次第であります。  それでは早速、答弁に移らせていただきたいと存じます。  市政をお預かりいたしまして、早いもので丸二年が経過をいたしました。先ほど議員の御発言にもありましたように、昨年四月の中核市への移行を初め、九月の行政改革大綱の策定や情報公開へ向けての取り組みなど、変革する時代にこたえつつ、人情味あふれる心豊かなまちづくりと、双方向の対話による市民主体、地域主体のまちづくりに努めてきたところであります。  来るべき新年度は、行政改革大綱の理念である、心の通ったわかりやすい市役所の実現を目指して行政改革に本格的に取り組むとともに、市政全般にわたり、私の市政運営の基本理念である、すべての市民が幸せであると感じられるまちづくりを浸透、定着させてまいりたいと考えているところであります。このため、私が常々申し上げております四つの条件を柱に、可能な限りこの対応を進めてまいる所存であります。  具体的に若干申し上げますと、その第一は健康を実感できる「安全で健やかなまちづくり」でありますけれども、この分野では、防災対策や環境保全対策の一層の充実を図るとともに、市民の健康を守るための保健衛生対策として保健福祉総合相談窓口の開設や、歯科医療費の助成を三歳児まで拡大することにさせていただいたところであります。  その第二は、豊かな人間関係のある「心のかようまちづくり」でありますが、この分野では、触れ合いのあるコミュニティーづくり、二十一世紀を担う人づくりといたしまして、新たに、地域ぐるみでの青少年の健全育成や家庭の教育力向上のための事業に取り組むなど、家庭、地域、学校を通じて豊かな心の涵養を図るとともに、高齢者、障害者住宅整備のための助成措置を創設するなど、一層の福祉施策の充実に努めておるところであります。  その第三は、仕事や活動を通して「生きがいを感じるまちづくり」でありますが、この分野では、熊本駅周辺整備等都市基盤整備に引き続き取り組むほか、産業振興の一環として新規創業支援のための措置を講ずることといたしております。  その第四は、美しいものに感動できる「豊かな感性を育むまちづくり」でありますが、この分野では、姉妹都市を中心に、引き続き都市間交流を進めるとともに、魅力ある都市環境の形成のため白川公園の再整備に取り組むことといたしたほか、昨年開催いたしましたお城まつりを継続的に開催し、市民の文化の祭りとして定着させてまいりたいと考えております。  このような点に特に留意し当初予算を編成したところでありますが、その編成に当たっては、行政改革大綱を踏まえ、市民にわかりやすく効率的な予算を目指し、予算編成のあり方を根本的に見直すこととし、これまでの補正型予算を極力通年型の予算とするとともに、厳しい財政状況の中で、可能な限り効率的に財政運営を行うため、既定経費の節減合理化や事業の優先順位の厳しい選択などに思い切って取り組んだ次第であります。  なお、議員御指摘のとおり、今後、本市が魅力と活力あふれる都市となるためには取り組まなければならない重要政策課題が山積いたしており、この推進のためには膨大な行政資源が必要になってまいりますが、私ども行政と議会が一体となり、市民の皆様と力を合わせることで、必ずや困難な課題も解決できると存じておりますので、議員各位の御支援、御協力をお願い申し上げます。        〔総務局長 野田晃之君 登壇〕 ◎総務局長(野田晃之君) 財政問題につきまして、私の方から二点のお尋ねにお答えを申し上げます。  まず一点目でございますが、平成九年度の財源見通しでございます。  ただいま御質問の中でもお触れになりましたように、長期にわたり低迷していた景気にもようやく明るさが出始めているとされておりますが、個人消費の伸び悩みや株式市場の低迷に見られるように、懸念材料もなかなか払拭できない現状にあり、私も、まだまだ先行き予断を許さぬ状況にあるのではないかと受けとめているところでございます。  このような中で、本市の財源見通しでございますが、現時点におきましては、歳入歳出両面におきまして不確定な要素が多々ございまして大まかな試算となりますが、まず歳入面では、その根幹をなす市税について、平成六年度から八年度まで実施されました個人市民税の特別減税が平成九年度は廃止されるという特殊要因もございまして、伸び率で五ないし六%程度になるものと見込んでいるところでございます。  地方交付税につきましては、国の出口ベースの伸び一・七%に都道府県分と市町村分の割合を勘案し、三%程度の伸びを見込んでいるところでございます。  また、御承知のように、消費税の税率改正等、税制改正により新年度から新たに地方消費税が創設されますが、その本市への交付金として約十九億円強を見込んでいるところでございます。  なお、平成九年度は、法人等の消費税の納付から市町村収入までに半年程度のタイムラグがある関係で、通年分の収入が見込めず、この不足分、本市の場合四十億円程度になると考えておりますが、これについては臨時税収補填債で補てんされることとなっております。  このほか、その他の一般財源を含めまして、決算見込みでの一般財源総額を一千四百億円程度と見込ませていただいているところでございます。  一方歳出面につきましては、ただいま市長がお答えの中で申し上げましたように、補正型から通年型予算にするなど、予算編成のあり方も根本的に見直し、極力経費の節減に努めつつ、各事業に国、県支出金等特定財源を確保することとした結果、今回の当初予算における所要一般財源に今後必要な一般財源を加味し試算いたしますと、所要一般財源総額は同じく一千四百億円程度になるものと見込ませていただいております。この結果、一応収支の均衡は保てるものと考えているところでございます。  二点目のお尋ねでございますが、歳出のスクラップ・アンド・ビルドについてお答えを申し上げます。  御指摘のように、本市においてもまことに厳しい財政状況下にあり、私ども財政担当といたしましても、国同様思い切った財政改革に取り組む時期に来ていると受けとめているところでございます。  三角市政の基本理念でございます、すべての市民が幸せであると感じられる都市の実現のためには、多額の財源を必要とする重要政策課題が山積いたしておりまして、市税、交付税といった一般財源に多くを期待できない今日、新規の財政需要にこたえていくためには、私どもも事業のスクラップ・アンド・ビルドは不可欠の対応であると考えているところでございます。  このような考え方のもと、新年度予算におきましても、既定経費の節減や事業の優先順位の厳しい選択、例えば一般行政経費施設維持管理経費等経常的事務経費の削減のみならず、公営住宅建設事業や一部単独事業等の事業経費の見直しにも取り組ませていただいたところであり、今後の財政運営に当たっては、さらに徹底した事業の見直しを行い、真に必要な事業を見きわめつつ、事業のスクラップ・アンド・ビルドや、段階的縮減に可能なものから順次取り組ませていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。        〔三十二番 主海偉佐雄君 登壇〕 ◆三十二番(主海偉佐雄君) いつの時期であったかちょっとさだかでありませんけれども、この定例会で、三角市長さんが、財源が調うものであれば皆さん方の要望をあしたにでもすべてをかなえてあげたいというような答弁をなされたことがありました。大変心の優しい市長でありますから、そうかなとも思っておりましたが、私は、一部では、これは開き直りの答弁かなとも思ったこともありましたけれども……。  私ども生き物の中で、人間が一番、欲求と申しますか、欲望がとどまるところを知らないというようなことではないかなと思います。これは何も我が国だけではなくて、今のこういった財政は、各国もそうでありますし、日本国じゅうそうであります。要求を満たすためには、どれだけでも財政を投じなければならないというような時期でありますので、こういうことになったのではないかと思います。  実は、私は昭和十年の生まれでありますけれども、今でも鮮明に残っておりますが、当時の方々はみんなそうでありました。 ちょうど終戦のときは、当時は国民学校でありましたけれども、四年生でありました。私たちの教室には「欲しがりません 勝つまでは」というような垂れ幕が下がっておりました。当時はそのことが書かれたチラシが配布されて、我が家にもそういったチラシが張りつけられておりました。もちろん、いろんな欲望を沸かせる品物もなかったわけでありますけれども、そういう欲望を表に出すということは大変恥じるべきであるというような時期であったわけです。もちろん今の時代にそのようなことは通用しないわけでありますけれども、やはり私ども市民、国民が、どこかではそういう意識を持って、ある程度財政が調うまではいろんなことには我慢をするというようなことも必要ではないかなと思います。  それから、今市長の答弁にありましたが、いろいろやっていく中で、その優先順位のとり方が大変大事ではないかと思います。やはり全市民的な立場に立って物事を進めていくと。これには、私ども議員は大変辛い面があるわけであります。地元志向と申しますか、地域優先は我々は避けて通れないわけでありますけれども、やはり私ども議会側も全市民的に、何を先にやっていくべきかというようなことを十分今後考え合わせて取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、行政改革につきましてお尋ねをさせていただきます。  国、地方を問わず、日本列島すべてに行政改革が叫ばれ、国民の期待も高まっているところであります。第二次橋本内閣が発足し、昨年十一月に開会をされました臨時国会におきまして橋本首相は、行政改革の取り組みにつきましては不退転の決意で臨むということでありました。それまでは、行政改革のかけ声は聞こえてくるけれども、どうも具体的な作業が見えてこないという反省もあり、このような決断がなされたものと思います。首相みずからを会長とした行政改革会議が新設をされました。  国が行政改革を進めていくねらいに、国のスリム化とともに、そのために当然行わなければならない地方への権限移譲、つまり地方分権の前提となる考えがうかがわれるものであります。政府においても昨年末に行政改革プログラムが決定をされたようでありますが、中でもこれからの国と地方との役割分担についての基本的な考えを踏まえ、戦前から続いてきた国から地方への機関委任事務を廃止し、これを新たに地方の自治事務と、国との法定受託事務とに組みかえをすると、こういうことが織り込まれておるようであります。  明治以来営々と続いてきた国と地方との上下、主従関係が、対等、協力関係に変わることにより、結果として国の介入が縮小され、地方の独自性が発揮できる、つまり地域のニーズに沿った独自の行政展開が容易になると思われるのであります。このことはまた同時に、地方においても、国からの分権の受け皿として力を備えることが当然のこととして要求をされるのであります。  このような中にあって、昨年九月、本市の行政改革大綱が策定をされました。厳しい財政状況のもと、時代の変化に即応した市民サービスを向上していくために、市民の視点に立った具体的な施策が挙げられました。五十億円の改善目標、また市民百人当たり一人の職員目標など、具体的な数値目標も随所に見られ、市民にとりましても大変わかりやすい大綱であると評価をするものであります。  現在、執行部におかれては、この三月末をめどに、この大綱を実現するためのいわゆる実施計画を作成中とのことでありますが、いよいよ実行に移されるこの機におきまして、市長の決意のほどはいかほどであろうかということで、ここで改めましてお尋ねをさせていただきます。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 行政改革についてのお答えを申し上げます前に、先ほど主海議員から本当に人情味あふれるお言葉をちょうだいをし、大変感動を覚えておるところであります。  終戦後のお話、本当に私どもも身につまされる思いがいたすわけでありますれども、いつのころからか、使い捨てというふうな言葉がはやり出しました。いわゆる私ども行政に携わる者にとりまして、公私の区別をはっきりしなさいという言葉をいつも承っておるわけであります。物に対しまして、いわゆる私物に対しては非常に大事にするけれども、公の物に対しては大事にしないというふうな風習が日本人に漂っておるわけでありまして、いつの間にか公園のベンチが壊されたり、ごみ捨てがぺしゃんこになったりというふうなことでありますが、先ほどの終戦後のお話を聞いておりますと、やはり公私の区別なく物は大切にしていかなければならないなという思いをいたしておるところであります。  そういった中で、非常に厳しい財源の中での予算の使い方、厳しい選択の中でというふうなことを高く御理解をいただいておりますので、期待を裏切らないように、きちんとした、市民の皆さん方から御理解をいただけるような優先順位のつけ方にさせていただきたいと、覚悟を新たにしたところでございます。  行政改革への決意でありますが、平成九年度は行政改革が本格的な実行に移る、いわば本市の行政改革元年とも言える年でございます。  行政改革の意義につきましては、これまでの議会でもたびたび申し上げてきたところでございますが、来るべき二十一世紀に向けた本市の確実な発展と、時代に即応した行財政の再構築は、ひとえに今回の行政改革の実現いかんにかかっているわけでございます。現在、行政改革大綱の理念を具体的に実現していくための実施計画を事務方に作成させているところでございます。  今後、この実施計画をもとに、行政内部の簡素効率化の努力はもちろんのこと、市民の皆様の御理解と御協力も仰ぎながら、大綱に掲げております心の通ったわかりやすい市役所を実現し、すべての市民が幸せであると感じられるまちづくりに向けて、全身全霊をもって取り組んでいく所存でありますので、議員各位のさらなる御支援、御協力をお願い申し上げる次第であります。        〔三十二番 主海偉佐雄君 登壇〕 ◆三十二番(主海偉佐雄君) 行政改革で大変大事になるものは、改革をすることによってより効率的になり、質の高い市民サービスができると、それにつながるということが大変大事ではないかなと思われます。よく言われることに、手のかかった割には余りいい成果は出ていないなと。特に行政に対しては、私たちはそういう市民の皆さん方の声が聞かれるわけでありますから、改革ということでありますから、そのようなことに十分配慮をして実施計画を立てていただきたいと思っております。わかりやすい市役所を築くためにもぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、教育問題についてお尋ねをさせていただきます。  教育関係につきましては今や一億総評論家と言えるほど、子供たちから大人に至るまで、すべての人間が何らかの形で教育について論じているのが現状であります。本市の議会におきましても、教育問題が取り上げられなかった定例会は皆無と言ってもよさそうであります。それほど教育問題はいかに大事であるかということが裏づけられていると思います。このことは何も我が国に限ったことではありませんで、世界各国すべての国が力を入れているということであります。  平成八年の大学、短大進学率は四六・二%に達しており、我が国の教育はある意味におきましては世界最高の水準にあると言われておりますが、一方では、その教育現場におきまして、いじめ、不登校などの問題が大きな社会問題となっており、我が国の教育は根本的な改革を迫られていると言っても過言ではなさそうであります。  中央教育審議会におきましても、二十一世紀の教育課題として生きる力とゆとりを取り上げ、知識偏重の教育から豊かな人間性をはぐくむ教育への転換を提言しており、学校のスリム化、家庭、地域社会の教育力の向上などを柱としたさまざまな改革の方向に向け検討作業が進められておりますことは御案内のとおりであります。  今になって、なぜ生きる力、ゆとりが取り上げられなければならないかということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、私は昭和十年の生まれでありまして、戦中戦後の貧困を経て育ってきたところでありますけれども、私どもからすれば何不足のない今日の世の中であり、多くの先輩、そして私たちが懸命に築き上げてきたこの豊かな社会の中にあって、何か大事な柱を見失ってしまったのではないかと残念に思うのであります。  環境問題にいたしましても同様であります。特に社会環境の悪化は大変なものでありまして、経済優先の名のもとに、かつてない繁栄の営みと引きかえに、あすの日本を背負って立つ子供たちにとって良好な環境とはほど遠い現状であります。我々は今、あの戦後の貧困から立ち直ろうとする余り、何をも省みず、ただひたすら経済の豊かさのみを追い求めてきたツケが回ってきているのではないかと思うのであります。  このように感じておられる方々はたくさんおられるのではないかと思います。今こそみんなで知恵を出し合い、豊かさや進歩ということと、自然や心ということとの調和を図るべく努力を要することではないかと思います。  三角市長が御就任当初から「人情味あふれるまちづくり」を熱心に語っておられます。「家庭があって、校区があって、そして市がある。」まさに血の通った、心の通った大変温かみのある理念と受けとめております。私どもの子供のころはよく耳にいたしておりました、「我が子も他人の子も皆同じ。」と。そして現実的に地域全体で子供たちのはぐくみがなされておりました。地域にそれだけのはぐくむ力があったように思われます。いつの日か「隣は何をする人ぞ」となり、隣近所の人間関係も薄れ、子供たちが求める心のよりどころもなくなり、生きる力、生きる喜びさえ見出せないのが現状であります。  このたび中教審の示している内容は、今後の教育は、学校、家庭、地域社会の全体を通して、生きる力をはぐくむために社会全体にゆとりを持たせることが必要であるということであります。学校教育においては、知識の教え込みによって、その後おのずから学び、おのずから考えるという教育に転換すべきであると、このようになっているようであります。要するに、心、家庭、特に地域社会の復権を叫んでいるのであります。  そこで、このたびの新年度予算におきまして、地域教育活性化推進事業として、まさに地域社会の教育力の結集と力の向上を図ろうとする計画が上げられているようであります。いまだ相も変わらぬ学歴社会、偏差値教育のはびこる世の中ではありますが、大事な心を取り戻す説得力ある事業となるか、大変骨の折れることになろうかと思います。  地域教育活性化推進事業の意図するところは何であるか、また、その内容と今後の展望などにつきまして教育長の御答弁をお願いいたします。        〔教育長 後藤勝介君 登壇〕 ◎教育長(後藤勝介君) 地域教育活性化推進事業についてお答えを申し上げたいと思います。  ただいまは、主海議員より教育の現状を踏まえまして御意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。教育行政に携わる者の一人といたしまして、今日の事態を厳しく受けとめ対処してまいりたいと考えております。  御指摘のとおり、物の豊かさを追い求めました戦後の発展の中で、経済優先の価値観や学歴偏重の風潮が醸成されてまいりました。そして、家庭や地域における人間関係の希薄化とも相まって、子供たちの成長過程にさまざまな影を落としております。いじめや不登校の問題はその最たる例でありますが、最近では援助交際や麻薬の使用ということも問題となってまいりました。これらを解決しますためには、学校のみならず、子供たちに影響を及ぼすさまざまな要因の見直しに着手する必要があります。  現在国において論議されております教育改革はその根幹をなすものと思いますが、地方においては地方独自の取り組みを行う必要があると考えております。  本市ではその取り組みの一つとしまして、これまで、学校と地域が一体となって取り組むことができます心豊かな学校生活確立推進事業や、中学校区さわやか推進事業等を実施してまいりました。まだ短い期間ではございますが、一定の成果を上げているものと考えております。  そういう中で、お尋ねがございました地域活性化推進事業に来年度から取り組むわけでございますが、ただいま申し上げました市独自の事業と国の補助制度等を連動させながら、家庭や地域が一体となって青少年の豊かな心の涵養を図り、健全育成に取り組む事業でございます。  具体的な事業を少し紹介しますと、家庭教育、子育て、いじめなどの理解を深める学習活動、巡回補導、指導活動、学校ボランティアの発掘と活用を図るための学校支援活動、公民館などでの合宿体験活動、環境美化の地域活動等がございます。  また、実施に当たりましては、地域の主体性を育てることを第一にしながら、PTA、青少年団体、地元の企業、学校などの代表者で構成します(仮称)地域教育活性化連絡協議会を設置する計画でございます。  以上、地域活動、地域教育活性化推進事業の概要を御説明申し上げましたが、これらの市単独事業や国の補助事業等を十分に活用しながら、二十一世紀を担う青少年の育成のために今後も努力しなければならないと考えておりますので、御指導をよろしくお願い申し上げます。        〔三十二番 主海偉佐雄君 登壇〕 ◆三十二番(主海偉佐雄君) 議員の先生方の中にも、現在PTAやあるいは教育関係の諸団体に所属をされまして御尽力を、あるいは御活躍をいただいておられる方もたくさんいらっしゃいます。改めて御慰労申し上げたいと思いますが、今のPTA一つ取り上げましても、その参加構図を見てみますと、女性中心──何も女性中心にやったわけではありませんが、決して男性が不精しているわけではありませんけれども、経済獲得のために、あるいは仕事優先のために参加ができておりませんで、そういう形ができております。しかしその裏では、いろんなところで、おやじの出番とか父親の出番というものが叫ばれておるわけであります。  先般私の校区におきまして教育関係の懇談会があったわけですが、その中に出席をしておられた主婦の方が、「きょうも八割方、女です。お父さんたちがもっとこういう大事な会議には出るように言っていただけませんか。」という提案をされたわけであります。私ももちろんそうでありましたけれども、やっぱり御主人なり男性に出てもらうための最も説得力ある、あるいは説得しやすい方は、やはりその奥さんでありまして、「奥さん、帰られたらぜひ、「今度の会合にはああた出てはいよ。」ということを言っていただけませんか。」と。そういうことが大変大事ですよと、周りから御主人出てくださいと言うよりも、奥さんが言われた方が一番説得力があるのですよというお話をしましたけれども……。しかし私どもは、やっぱりもう少し責任を感じて、そういうところで将来の子供たちのために知恵を出し合い意見を闘わせるということが必要ではないかなと思っております。  今、教育長から事業の展開についてお話がありました。男性が出ていくためには、何といっても職場ですね、私どもが勤めております職場の理解が大変必要でありまして、ここらあたりはひとつ、またいい連携でもって、きょうはPTAの役員会がある、きょうは教育懇談がある。職場の上司も、大事な会合だから行ってきなさいと言えるゆとりと御理解が必要ではないかなと思っております。大変難しい事業でありますけれども、ぜひ成功できて、そしてその成果が見られますように希望するものであります。  それでは次に、都市問題と道路行政と続けてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず都市問題でありますけれども、今日、地方における都市づくりというものは、生活圏の広がりや交流人口の増加にどのように対応していくのか、あるいはまた、環境問題、交通問題に見られますように、行政区域を越えた都市問題にいかに取り組んでいくのか等、広域的な視点に立ったビジョンの必要性がなお一層重要となってきております。  また、経済社会が成熟期に入り、景気の伸びも大幅には期待できないにもかかわらず、高齢化社会に備えた社会基盤、あるいは都市発展に欠かせないインフラ整備は、今後とも計画的に推進していかなければならないと思うのであります。  このように、都市づくりというものを取り巻く環境は年々複雑かつ厳しさを増し、今まで以上に地方都市自体の創意工夫が求められているわけであります。  このような中で本市の都市づくりを展望いたしますとき、我が熊本市が今後とも九州の中核都市として、また、本県を牽引するリーダー都市として一層の発展を遂げるためには、都市圏の連携強化はもちろんのこと、他の都市圏、例えば福岡都市圏との機能分担や交流を積極的に進め、質のよい都市機能整備と広域的活用を図る地域間の連携による都市づくりを進めていかなければならないと思うのであります。  このためには、情報通信の基盤整備はもちろんでありますが、人々が快適に短時間で移動できる高速交通インフラの整備をぜひとも進める必要があります。  こうした中、昨年、政府・与党合意により、九州新幹線ルート船小屋から新八代間が新規着工区間として認められ、熊本県市民の悲願でありました新幹線建設が現実のものとなったことは、熊本の発展と新しい都市建設に大きな前進であると大変喜んでおる次第であります。  この政府の英断の裏には、多くの関係者や県市民を初め、三角市長の筆舌に尽くしがたい御苦労があったと聞き及び、その行動力に敬服をいたしているところであります。  しかしながら、日本経済が低迷する中、今回の整備新幹線の新規着工につきましては、「財政改革に逆行する」、「まかり通る地元利益」など、批判的な報道が数多く見受けられましたことはまことに残念であり、今後も中央に対して、新幹線は地方の発展に欠かせない基盤整備であり、決して地域のエゴなどではないということを県市民一丸となって訴えていくとともに、地方はその必要性のあかしとして、新幹線による幅広い効果を享受できるまちづくりに取り組まなければならないわけであります。  したがいまして、本市としては、まず新幹線の受け皿となる熊本駅周辺につきまして、新幹線の投資効果と波及効果を最大限に享受できる再開発等の都市整備を積極的に推進するとともに、広域的利用を可能とする交通拠点にふさわしい都市機能の整備に真剣に取り組まなければならないわけであります。  三角市長が、熊本駅周辺整備につきましては、昨年一月担当部所を駅前に移設され、地域の方々と一丸となったまちづくりに取り組んでおられますことは、一日も早い整備を切望する我々市民にとりましては大変心強く、今後も積極的に推進していただきたいと思います。  また、地元住民の方々も、関係自治会や企業等で熊本駅周辺地域まちづくり協議会を結成され、行政とともにまちづくりを進めていこうという意識が高揚してきたように感じております。  そこでお尋ねでありますが、地域住民の方々のやる気が高まったとはいえ、莫大な経費と数十年という事業期間を必要とする熊本駅周辺整備の実現につきましては、行政の強力なリーダーシップと、長期的、総合的な展望が欠かせないと思うのでありますが、熊本駅周辺整備につきまして、今後どのような方針で整備に取り組んでいかれるのか、都市整備局長の答弁をお願いをするものであります。  次に、道路行政について二点ほどお尋ねをさせていただきます。  まず第一点は、人にやさしい道路づくりについてであります。
     御承知のとおり、近年は、高齢化、長寿化の進展とともに活動的な高齢者、言葉が適切であるかどうかわかりませんけれども、いわゆる元気老人が増加し、豊かで充実した人生を送るために、生涯学習活動などに積極的に参加をされております。  また、障害者の方々におかれましても、昭和五十八年から始まった国連障害者の十年を契機に、仕事やスポーツで活躍される姿を拝見するようになり、自立と社会参加に向けた意欲の高まりが見られております。  そこで今後は、こうした高齢者、障害者の自立と社会参加への意欲をさらに推進するための施策が大いに求められてくるわけでありますが、それにはやはり行政が、高齢者、障害者が安心して社会参加できるような環境づくり、何より社会基盤の整備を積極的に進めていく必要があります。  本市におかれましても、昨年より「さくらカード」の導入により、市電・バスの無料化が図られ、また超低床電車やノンステップバスの導入、公共施設の改善など、高齢者・障害者にやさしいまちづくり事業の展開など、高齢者、障害者の社会参加への支援策を進めておられますことは大いに評価をいたしておるところであります。  しかしながら、こうした取り組みが進められているにもかかわらず、いまだに高齢者、障害者が社会に出たときに不自由を感じ、外出をちゅうちょしてしまうといった声を耳にいたしております。その理由の一つとして考えられますのが歩道の問題、つまり歩道の整備がまだまだ地域によっては不十分であることが挙げられます。  確かに最近では、歩道整備にあわせて黄色い点字ブロックの設置がなされたり、歩道と横断歩道との段差が取り除かれたり、あるいは高齢者、障害者に配慮した歩道の整備、改良が進んでおりますし、また一部の地域では、電線を地中に埋め、都市災害の防止、都市景観の向上を図るとともに、安全で快適な歩行空間の確保を行うことで人にやさしい道路づくりが進められております。  しかしながら、このような本市の取り組みにもかかわりませず、地域によっては歩道整備が行き届いていないところもあり、高齢者、障害者の方々から改善の要望が出ておりまして、何とかしてほしいということを耳にいたすわけであります。  実際、整備の不十分な地域ではいろいろな障害があり、歩きにくく、つまずいたり、また、雨上がりの後は水たまりで洋服のすそをぬらして歩いておられる光景をよく見かけます。  また近年、電動式車いすの普及に伴い路上を走行されている方々をよく見かけますが、歩道整備が不十分な地域では、自動車や自転車とすれ違う際に非常に危険な状況をたびたび見かけ、事故につながるのではないかと大変危惧するところであります。  お尋ねをいたしますが、私どもが日常生活を営む上で道路は何よりも必要不可欠であり、住民の関心や要望も一番多く、その整備こそが地域に密着した都市政策上の最重要課題であることは申すまでもありません。  特に、高齢化社会にあって交通量が年々増加する中、高齢者や障害者を初め広く一般市民の安全を確保し、人にやさしい道路の整備を進めていくことは、今後より一層行政に求められてくると思いますが、本市ではこのことに対しどのように取り組んでおられるのかお尋ねをさせていただきたいと思います。  引き続き、道路行政についてもう一点でありますが、皆様も、見知らぬ土地に出向いた際に、なかなか目的地を示した標識がなく往生したり、地図を見ながら目的地探しに四苦八苦された御経験がおありであろうと思います。  本市も熊本城周辺や水前寺公園などの観光地周辺で、他県ナンバーの自動車が道路わきに停車され迷っておられたり、あるいは目的地を探しのろのろとわき見をしながら運転されている状況をよく見かけます。交通事故を引き起こすのではないかと見ていて大変心配になるわけであります。このように標識の設置が不十分なわかりにくい道路ではのろのろ運転を誘発し、交通渋滞や交通事故を発生させる原因になります。  交通のスムーズな流れをつくり、安全で快適な運転を実現させるには、道路自体の整備改良はもちろんでありますけれども、人にわかりやすい道路整備を進めていかなければなりません。  そのためにはまず、道路標識や観光標識の整備を推進し、迷わず目的地に行くことのできる道路にしていく必要があります。特に本市では、平成十一年に国民体育大会があり、翌年にはインターハイの開催を控えており、開催の暁には、選手を初め関係者など全国から多くの方々が熊本に来られるものと思います。  さらに本市は、熊本城や水前寺公園などの観光地に毎年五百万人を超える観光客が訪れる観光都市でもあります。そのような意味からも、わかりやすい道路づくりは、交通安全推進の手段のみならず、観光都市熊本のイメージアップを図る手段として行政が積極的に進めていかなければならない施策かと存じます。  お尋ねいたしますが、観光客あるいは市民にわかりやすい道路とするためには、道路案内標識や観光案内標識の整備拡充を図る必要があろうかと思います。  以上二点につきまして、建設局長の御答弁をよろしくお願いをいたします。        〔都市整備局長 田尻 紘君 登壇〕 ◎都市整備局長(田尻紘君) 質問にお答えをいたします前に、一言御礼を申し上げます。  九州新幹線鹿児島ルート船小屋−新八代間が、スーパー特急方式とはいえ新規着工区間として認められましたことは、ひとえに議員の皆様方の深い御理解と御支援のたまものであり、厚く御礼を申し上げます。  それでは、主海議員の御質問にお答えをいたします。  お尋ねの熊本駅周辺整備につきましては、村橋立命館大学教授を委員長に迎え、国、県、市、JRの関係者から構成されます委員会を設置し、一昨年より整備構想策定を進めてまいりました。この委員会での提言を貴重な御意見として賜り、県市でさらに協議を重ね、県市の整備計画として来年度の早い時期に発表してまいりたいと考えております。  熊本駅周辺整備の基本的方針としましては、当地区が熊本の玄関口であり、人口百万人を超える熊本広域都市圏、あるいは中核市にふさわしい表玄関口として整備していくことが市民、県民の願いであるとの認識に立ち、豊かな水や緑、伝統ある歴史を有する熊本らしい個性、特色を生かしたまちづくりを推進して、新幹線駅に象徴されます広域交通結節拠点としての機能をさらに高めるよう整備に努めてまいりたいと考えております。  こうした考えに基づき基盤整備を実施し、民間活力を活用した副都心づくりを進めていくことを基本にしたいと考えておりますが、現在の社会経済状況では、民間の進出意欲が著しく減退をしており、民間の投資を誘導するため、整備に取り組むに当たりましては、駅周辺地域での土地区画整理事業や東地区での市街地再開発事業の推進にあわせ、公共施設の先導的導入を行い、駅周辺の開発ポテンシャルを高めていきたいと考えております。  幸い、新幹線の新規着工区間決定とともに、熊本県の熱心な取り組みもあり、来年度から二カ年にわたる鉄道高架化のための国庫補助調査も採択見込みとなるなど整備熟度も高まっており、市といたしましても今議会に、東地区市街地再開発事業などのための用地買収経費等をお願いいたしているところであります。  しかしながら、こうした再開発事業や土地区画整理事業の推進のためには、地元の皆様のまちづくりに対する情熱、熱意が特に重要であり、行政はこうした地元、経済界と一体となって事業に邁進していくつもりでありますので、今後とも議員の皆様方の御理解、御支援を賜りますようお願いを申し上げます。        〔建設局長 齊藤 聰君 登壇〕 ◎建設局長(齊藤聰君) 道路行政につきまして二点お答えをいたします。  まず、第一点目にお尋ねの人にやさしい道づくりについてでございます。  高齢者や障害者の方々を初め、広く一般市民の安全を確保し、人にやさしい道づくりを進めますことは、本市の目指す安全で健やかなまちづくりの実現につながるものであり、私どもが道路行政を進める上での重要なテーマであると考えております。  この考えに沿いまして、これまでも道路整備に当たり、車の通行を主体とする車道につきましては、安全で快適に通れる道づくりを目指して、照明灯の設置や舗装の打ちかえなど鋭意整備を進めているところでございます。  また歩道の整備につきましては、設置可能な幅員の道路は、全面的にしかも優先的に実施してきております。  なお、道路幅員等の関係から全く歩道のとれないところは別といたしまして、狭い歩道につきましても、交通安全施設整備事業や道路環境整備事業、あるいは電線類地中化事業を進める中で、歩道幅が十センチでも二十センチでも、少しでも広くとの思いからいろいろと工夫を凝らしますとともに、あわせて歩道の段差解消や平たん性の確保などの安全性の向上にも努めてきたところでございます。  さらに平成八年度から、新たに福祉施設周辺交通安全整備事業に着手し、特に交通弱者と言われる方々の利用が多い福祉施設周辺の道路から優先的に環境整備を進めております。  いずれにいたしましても、御指摘いただきましたように、高齢者や障害者の方々はもちろん、すべての市民にとって安全性と快適性が実感できる道路づくりを進めるため、今後とも全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。  次に、第二点目にお尋ねの道路案内、観光案内標識の整備拡充についてでございますが、御案内いただきましたように、本市には熊本城や水前寺公園を初め、歴史的、文化的、自然的遺産が数多く残されており、これらは市民の誇りであると同時に、観光都市熊本を支える大きな資源であると存じます。  そのため、県外あるいは外国からの観光客も多く、道路部門といたしましても、思い出に残る観光をしていただけるよう、ハード面の道路整備だけでなく、道路案内や観光案内標識などのソフト面でも、これまで整備を進めてきたところでございます。  特に本年五月の世界ハンドボール大会を初め、国体、インターハイと、ここ数年はビッグイベントがメジロ押しであり、本市への来訪者の飛躍的な増加が期待されますことは議員御案内のとおりでございます。  これは本市を内外にアピールできる絶好の機会であり、在熊の期間を気持ちよく過ごしていただくためにも、わかりやすい案内板や標識の整備を急ぐ必要があると考えております。  今後、市道だけでなく、国県道との一体性を保ちつつ、また観光部門との連携も図りながら、だれでもスムーズに目的地に到達できるような道路標識の整備、拡充に努めていく所存でございます。  なお、新たな試みといたしまして、歩行者向けの案内標識を整備するため、熊本県歩行者案内整備計画協議会を設置し、国、県、市が一体となって取り組むことにしており、その第一段階といたしまして、観光客の利用が最も多い熊本城周辺の百九十ヘクタールについて、主要な駅、交差点、電停などに面的な案内、道路や交通機関などの線的な案内、あるいは個々の観光地や施設などの点の案内などにより、初めて訪れた人でも安心して行動できるよう案内標識の設置を計画いたしております。その後、順次他の観光地にも区域を広げ、全市的な歩行者案内のネットワーク化を図りたいと考えております。        〔三十二番 主海偉佐雄君 登壇〕 ◆三十二番(主海偉佐雄君) ありがとうございました。  駅前周辺整備につきましては、実は先般も、地元の田尻武男先生を初め代表の方々がお見えになり、私ども議会に対しましても陳情がなされたところであります。何と申しましても熊本駅は私ども市民の玄関口であります。地元の盛り上がりとともに、より多くの力を結集して、一日も早い整備が進められるようにお願いをいたしたいと思います。  道路行政でありますけれども、大変これは骨の折れることであることは承知をいたしております。五月のハンドボールには間に合いませんが、九月には青年会議所の全国大会、あるいは来年は、十年でありますけれども、プレ国体というようなことで、これは各競技団体、でき上がります施設の試運転と申しますか、そういうことで大変な方々が熊本においでになるということであります。そして十一年は本物の国民体育大会、十三年には高校総体、こんなに大きなイベントが続くということはそうないわけでありまして、こういった訪れられる方々に、少しでも喜んで、熊本はよかったなというようなことでお帰りいただくためには、ぜひそういった整備を進めていただきたいと思います。  特に熊本は、どうも道路がわかりにくいと、複雑であるということをよく耳にいたします。道路網を変えるわけにはいきませんので、この大変難しい道路網をよりわかりやすくする標識を充実していただきたいと思います。  我が党の嶋田幹事長がいつも、もう少し道路に名称をつけたらどうかね、そうすると、いろんな方々を案内するのにやりやすいと、どこどこ通りというふうなことで、その道路の名称が定着すれば非常にわかりやすいんじゃないかなということであります。これには地域の方々のいろんなコンセンサスが必要になりますけれども、そういったこともぜひ兼ね合わせていただきたいなと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、その他の項で二点ほどお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず第一点でありますが、文化の振興、特に美術文化の振興についてお尋ねをさせていただきます。  我々が日々の生活を送る上で果たす文化の重要性につきましては、私のみならず皆様御認識のことと思います。二十一世紀を目前にしている今日、政治、経済など、日本そのものが閉塞状態にあり、個人の生き方がすさんでいるような中にあって、文化こそがあらゆる分野の中心に据えるべきものであり、この閉塞感の打破や、熊本というまちに一番必要な熊本らしさの構築、言いかえるならば、熊本の歴史、伝統を保存、継承し、新たに創造していくエネルギーとなり得るものであると考えるわけであります。  なぜならば我々は、すぐれた文化に触れ、またおのずから体験することによって個人の感性をはぐくむと同時に、はかり知れない潤いとあすへの活力を得ているのであり、また、長い歴史によってはぐくまれた伝統、文化は、我々にあすを生きる知恵を授けるとともに、そこに暮らす人々、ひいてはその都市の個性と魅力を醸し出すと考えるからであります。  このような中にありまして本市では、昨年、熊本のシンボルであります熊本城の魅力を再発見すべく、温故知新をキャッチフレーズに、熊本城一帯を舞台に第一回目のお城まつりを開催され、また時を同じくして第九回県民文化祭、さらには夏目漱石来熊百年を機に、漱石関連のさまざまな記念行事に取り組まれるなど、市民が文化に触れ、体験する機会を数多く設けられたのであります。  一方では、人づくり基金を利用して、あすの文化活動を担う人材の育成を図られるとともに、市民の文化活動に対して継続的に支援を行うなど、将来を見越した文化振興施策にも地道に取り組んでおられるところであります。私は、市民生活における文化の重要性を強く認識され、このような施策を展開しておられる三角市長に対し改めて敬意を表するものであります。  一口に文化と申しましても、その対象は広範多岐にわたるものであります。したがいまして今回は、幅広い文化の中でも特に美術文化の振興の拠点となる美術館に問題を絞ってお尋ねいたしたいと思います。  本市の美術館構想は、平成五年六月に、文化功労者で日展の理事長まで務められました井手画伯の遺作が寄贈されたことをきっかけとして、その計画が進められていると理解をいたしているわけでありますが、当初、この美術館は、熊本城の三の丸にあります旧家庭裁判所跡の建物を改修して整備する計画であったように思います。  しかしながら、その後の調査が進むにつれ、建物自体が構造上美術館としての利用に向かないことが判明し、当初の計画の再検討を余儀なくされたと伺っていたところであります。その後、いろいろな角度から御検討があっているかとは思いますが、具体的には方策が示されないまま現在に至っております。  その一方で、今や本市は、井手画伯の作品ばかりでなく、郷土出身の画家、川上氏、宇野氏などを初めとする著名な作家の作品を数多く所蔵するに至っているわけでありますが、現在のところ、その作品が市民の目に触れる機会は非常に少なく、まことに残念であると思うわけであります。  私は、このような作品などを恒常的に広く市民に公開し、郷土の貴重な文化遺産に触れていただきながら、冒頭に申し上げました人々の感性をはぐくみ、潤いと活力を与え続けるような、熊本市としての美術館の建設がぜひとも必要ではないかと考える次第であります。  先般私は、新聞紙上で美術館構想についての記事を目にしたわけでありますが、それは、本市中心市街地のさらなる活性化を目指して計画が進められている上通地区における市街地再開発事業の中で、その複合ビルの中核施設として本市の美術館建設構想が計画されているというものでありました。  この報道に接しましたときに、これが具体化するならば、まさに新しい考え方に立った美術館であり、今市民が求めている、身近で開かれた親しみのある美術館となるのではないかと関心を持ったものであります。  しかしながら私は、市立の美術館を建設するに当たっては、広く市民生活に美術文化が浸透することを目指して、その基本的考え方、言いかえるならば、あるべき方向性、姿を明確にすることが肝要であり、また、幅広い利用者のニーズに的確に対応するといった確固たる考え方のもとに推進体制を整備して取り組まなければならないと考えますが、いかがでありましょう。  お尋ねをさせていただきますが、本市の美術館建設につきましては現在どのような状況にあるのか、また建設に向けて、どのような基本的な考え方のもとに今後取り組んでいかれるのか、三角市長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  次に、先般実施されました地下水の大口採取者名の公表に関して、お尋ねと御提案をさせていただきたいと思います。  長年の課題となっておりました地下水採取量の上位五十者、いわゆる大口採取者が地下水年報によって公表されました。御案内のとおりであります。実に十年以上の長きにわたる懸案事項でありましたが、このたび市民や事業所などを含む幅広いコンセンサスを得て、全国に先駆けた公表要綱を策定され、公表にこぎつけられましたことは三角市長を初め執行部の方々の努力によるものでありまして、高い評価をいたすものであります。  公表の内容を見てみますと、採取量のみならず、節水合理化に対する採取者の状況、また努力もあわせて記載がなされております。何も行政に限ったことではありませんが、情報公開が強く求められております今日において、熊本地域共有の資源であります地下水を将来にわたって保全をしていくためには、このような情報の公開は時代の要請に沿ったものであり、今後、公表によってなお一層の節水合理化に効果が上がることを大いに期待するものであります。  事業所が経済性を考え、節水合理化の努力を重ね、結果として水の循環率のアップに力を入れておられるようでありますが、驚異的な数値も出ております。このようなことから、公表も大いに結構なことであります。しかし今後において、水の最有効使用者、つまり節水や合理化にすぐれた実績を持つ個人あるいは事業所に対しまして公的に評価する、いわゆる顕彰制度を取り入れられてはいかがかと思います。  今回の公表に際しては、横綱貴乃花ではありませんけれども、「不惜身命」の境地で積年の課題解決に当たられました矢毛環境保全局長にお尋ねをさせていただきたいと思います。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) ただいま主海議員より文化に対する基本的なお考えが示され、かつ美術館の必要性についての御高説を賜りましたが、私の文化に対する基本的な認識もお説のとおり、全く同感であります。  私はかねがね、市政運営の基本理念の一つに、美しいものに感動できる豊かな感性を育むまちづくりを掲げ市政に取り組んでいるわけでありますが、恵まれた自然環境や歴史文化を守るとともに、豊かな情操をはぐくみ、さまざまな文化活動を支援する都市づくりを目指している次第であります。  さて、お尋ねの美術館建設構想についてでありますが、主海議員も述べられましたように、平成五年六月、井手宣通画伯の生涯にわたる作品を御遺族から御寄贈いただいたことが発端となった次第であります。  本市では、当初、熊本城三の丸地区の旧家庭裁判所跡の建物を改修し、美術館として利用することが可能か、事前調査を行ったところ、老朽化が進み、安全性などの面からも美術館にはふさわしくないとの結論に至ったところでございます。  私が考えております美術館の姿は、二十一世紀に向けた芸術文化振興の拠点となり、また同時に、広く市民に開かれ、だれもが気軽に利用でき、芸術文化を通じ市民交流が活発にできる、このような美術館が必要ではないかと考えております。そして、総合美術館としての熊本県立美術館と競合しない、現代美術を中心とした美術館として、それぞれがその機能を補完し合い、相乗効果を高めることのできる特色ある美術館を目指したいと考えているところであります。  さらに建設場所につきましても、交通の利便性が高く、多くの市民の方々が集う中心市街地に設ける方が、時代のニーズにこたえた美術館になるのではないかと考えております。表現は少し悪うございますけれども、げたばきのまま入れるようなということを申しておったところでございます。  そういった観点から、庁内で、御厨助役を中心といたしまして、その美術館建設の構想を、私の就任以来、いろいろな方向から検討を重ねてきていただいておったところでございます。このほど、市中心部における市街地再開発事業として、上通地区に公共性の高い複合ビル構想が明らかにされたわけであります。  私といたしましては、同地区はまさに熊本の顔と言うべきところに位置し、構想されております再開発事業が、美術館の必要要件を十分に満たすものと考える次第であります。関係者の御理解と議会の御同意をいただき、ぜひこのビル内に美術館を建設したいと考えるものであります。  今後、庁内の美術館建設推進体制を充実させるとともに、市街地再開発事業との連携を保ちつつ、また議会での御論議、御指導を十分賜りながら、この実現に向けて努力してまいる所存でございます。議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げる次第であります。        〔環境保全局長 矢毛隆三君 登壇〕 ◎環境保全局長(矢毛隆三君) 主海議員にお答え申し上げます。  ただいま議員から御紹介がありました大口地下水採取者の公表に当たりましては……。確かに、貴乃花関が横綱に推挙されたときに「不惜身命」という境地で横綱を受けられたと。不惜身命といいますと、身命を投げ打ってでも仏法を得るというような意味があるそうでございます。そういったことを記憶しております。私にはそういう非常なる決意があったわけではございませんが、議員各位、並びに環境審議会、関係団体からも適切な御指導や御助言を賜りながら、市民各位の賛同を得ましてこの公表をなし得ることができたものと心得る次第でございます。この場をかりまして、改めて御礼を申し上げます。  さて、御提案の顕彰制度の創設についてでございますが、今回の地下水採取者の公表は、地下水が市民共有の財産であるとの意識の醸成のもとに、節水合理化の促進を目的としていることは既に御案内のとおりでございます。  したがいまして、節水合理化に実績を上げている事業所等を掘り起こし、その努力を明らかにして顕彰をとの御提案は、実にこの公表という制度の趣旨を踏まえたものでございまして、全く御指摘のとおりであると考えております。  本市といたしましては、平成七年に行いました環境保全都市宣言を記念して、市民の自主的な活動による環境保全に対する取り組みを推進していくために、今年度から熊本市環境保全功労賞を創設したところでございます。  この功労賞は、環境全般にわたりモデルとなるような保全活動を実践している団体を顕彰する制度でございますが、地下水保全についても、今後、表彰対象者としてその門戸を新たに開きたいと考えております。  さらに、平成九年度には、家庭や学校における節水について、県及び周辺市町村とも連携しまして節水コンクールを開催したいと考えておりまして、今議会に所要の予算をお願いしているところでございます。  このコンクールでは、節水優秀者に対する表彰も計画しておりまして、今後、詳細な部分につきましては、県また周辺市町村にも御相談を申し上げながら、議員御提案の趣旨に沿って検討させていただきたいと考えておるものでございます。よろしくお願い申し上げます。        〔三十二番 主海偉佐雄君 登壇〕 ◆三十二番(主海偉佐雄君) 現在では大分控えておられますけれども、かつては日本の酒つまり日本酒を大変愛された三角市長さんであります。近年は文化人としての名声もとみに高くなっておられます。人情味あふれるまちづくり、心豊かな人間を育てていくためにも美術館は不可欠ではないかと思います。関係者の御協力、御理解とともに、実現に向けて御尽力を賜りますようによろしくお願いを申し上げます。  地下水につきましては、採取者の第一人者は熊本市水道管理者であります。これは市民の生活を預かっておりますから当然でありますけれども、なるがゆえに、やはり循環率いわゆる節水率、有効使用、こういったものの率がわずかでもアップしますと、それだけ大変成果が出るわけであります。今も矢毛局長から答弁がありましたが、経済性を考えて本当に一生懸命やって九十何%ですか、そういった企業もあり、びっくりいたしております。私ども家庭、それぞれに至りましては、私自身もそうでありますが、水を余り辛抱しません。どんどん出てくるんじゃないかなというようなことであります。  私の知人で、ふろの水を洗濯の水に使ったと。それを三年間続けられた方がおられまして、そのお話を聞いたことがあります。ふろの水を再利用ということで、洗濯の最初の洗いに使うわけでありますが、その代金たるや本当に微々たるものです。それが生活の足しになるかというと、全然効果はないわけですけれども、一つだけその方からのお話で感激をいたしたわけであります。三年間奥さんが御主人と話し合ってそういうことをやった。実際やられたのは奥さんであります。それを三年間続けた中で、子供さんが、「お母さん、何でふろの水を大ごとして洗濯の水にまた使うとね。」というようなことでありまして、「水が大事だから」ということでやりましたけれども、一番成果が出たのは、その子供さんが大きくなって非常に物を大事にする、辛抱すると。何も別に教えなかったけれども、今もって中学時代買ってやった自転車も大事にする。あるいはいろんなものを買ってやるけれども、大事にしますと。私が大変くたびれましたけれども、大変いい成果を見ましたというお話を聞きました。ですから、大変付加価値の高い節水、あるいは効率的な水の使い方であります、有効使用でありますから、コンクールなどもありますし、ぜひ小学校の子供たちに作文大会などもさしていただいて顕彰していただくと、それがすべての御家庭に波及効果を及ぼすということになると非常にいい成果が出るのではないかなと思いますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。  ここで、最後になりましたが、この三月末をもちまして市役所を退職される矢毛環境保全局長、吉原消防局長に対し、議員各位のお許しをいただきまして一言お礼の言葉を述べさせていただきたいと思います。  矢毛局長におかれましては、昭和三十九年入庁以来、秘書課長、中小企業部長、教育長職務代理者等の要職を歴任され、平成七年に環境保全局長に就任されてからは、環境総合研究所の完成、環境保全都市宣言、大口地下水採取者の公表、香りの森構想の推進など、本市の財産である水と緑の保全に全力で取り組まれ、環境行政は大きく前進をいたしました。  その温厚な人柄とユーモアあふれるパフォーマンスを発揮され、あるときは期待感を、あるときはスリルを感じさせる天才的な話術には大きな魅力を抱いたものであります。  また、吉原局長におかれましては、昭和三十四年入庁以来、人事課長、清掃部長等の要職を歴任され、平成三年に消防局長に就任をされました。  在任中に、平成三年の台風十九号、そして平成七年の阪神・淡路大震災と、歴史に残る未曾有の被害をもたらした大災害が発生しましたが、その教訓を生かして、高規格救急車や高速消防救助艇の導入、間もなく運用開始になります消防司令管制システムの構築など、市民の生命と財産を守る立場として、本市の消防機能の充実強化に積極的に取り組んでこられました。常に何事にも真摯な態度で事に当たってこられた姿は私どもに大きな教訓を与えていただきました。  激動と変革の時代にありまして、常に市政をリードしてこられた両局長は、まさに今日の熊本市発展の原動力であったと言えます。長年の御苦労と御尽力に深く敬意を表するとともに、市民の一人といたしまして心から御礼を申し上げる次第であります。  今後は、市職員という立場を離れられましても、ふるさと熊本を愛する者として市勢の発展に御協力くださいますようよろしくお願いを申し上げます。  最後になりますが、両局長の御健勝とますますの御活躍を心より祈念をいたしまして、お礼の言葉とさせていただきます。(拍手) 本日は久々の質問でありました。大分張り切って臨んだのでありますが、終わってみれば大したこともできていないわけでありまして、そういうことが実感であります。大変厳しい時期に市政の運営に当たられます三角市長を初め執行部の皆様方には大変御苦労でありますが、今後ともすべての市民のために渾身からの御努力をお願いをさせていただきたいと思います。  最後になりましたが、長時間御清聴いただきました議員各位に対しまして、あるいはまた大変御多忙の中傍聴いただきました皆さん方に心から感謝と御礼を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
         ───────────────── ○議長(荒木哲美君) この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。               午前十一時三十五分 休憩               ────────────               午後 二時  二分 再開 ○議長(荒木哲美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ───────────────── ○議長(荒木哲美君) 質問を続行いたします。奧田光弘君。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇 拍手〕 ◆三十四番(奧田光弘君) 平成クラブの奧田光弘であります。  まずもって、本日は、平成九年第一回定例会、いわゆる予算議会に、与党第二党、平成クラブ政調会長として初日登壇の栄を得ましたことに、会派の同志の諸君はもちろん、本議場五十一名の先輩、同僚議員各位に深く感謝を申し上げ、質問に入ります。  私の質問通告に挙げました第一の項目、「日本一の地方中核市くまもと」から御説明申し上げます。  言うまでもなく平成八年四月に誕生いたしました全国十二市の中核市の中で、我が熊本市はその人口規模において第二番目の都市であります。私は二番というのは余り好きではございませんで、──一番は偉いとか威張るとか、決してそういう意味ではございません。ナンバーワンたるものは、常にリーダーたる責任を持ち、それゆえに苦しいけれども時代を創造することができるという意味においてであります。  私は先月、中核市第一位の大阪は堺市を視察、激論を交わしてまいりました。いわゆる、堺市が政令指定都市に昇格できるかというただ一点の視察目的でありました。  堺市は、言うまでもなく、信長の楽市楽座によって繁栄を見、自来商人の町として、港の町として、また刃物の町として発展してきたことは、私が住んでおります川尻と共通点がございます。その後、日本という国の誕生とともに、堺はまさしく日本の目指した重厚長大産業の基点として、その企業と従業員が張りつき、またお隣にあります大政令指定都市大阪のベッドタウンとして発展をしてまいりましたことは周知の事実であります。  しかし今日、堺は、新日鉄とその関連産業を初めとする重厚長大型産業の停滞により、企業活動が低迷し、就業者の減少を見ています。さらには、堺は大阪の南にありますが、さらに南の都市への交通の便が整備されたために、従来ベッドタウンとして住んでいた住民が、土地が安いということでさらに南に移動し、人口減少を招くという事態が発生しています。いわゆる都市構造、経済構造の変化が、堺の昭和六十年に最高八十一万九千人であった人口を次第に押し下げているのであります。  そしてついには、本年一月、堺の人口は八十万人を割りました。一時的な人口減はよいとしても、経済構造や都市構造がもたらす人口減は深刻であります。さらには、再開発における人口増の可能性も探りましたが、堺の再開発計画によれば、人口一万三千人程度を十数年かけてやるという解決策で、これでは起爆剤になり得ません。さすれば、堺が政令市に昇格する条件はたった一つ、周辺自治体との合併であります。しかし、種々の事情によりその論議は現在停滞中。詳しくは述べませんけれども、構造的な条件により、堺は少なくともあと十年は現在のシステムで言う中核市にとどまります。  さすれば我が熊本は大変長期間にわたって中核市ナンバーツーの座に甘んじるわけでありますが、ここで私は一つ視点を変えてみることにいたしました。  すなわち、堺は日本を代表する二大経済圏、関東、関西に位置する唯一の中核市であります。さすれば熊本市は、中核市十二市の中で、堺を除いてほかの十市と同じ地方中核市としては、その人口規模において日本一の市であると言うことができます。  さらには、堺は都道府県のいわゆる府都ではありません。都道府県の県庁所在地、いわゆる県都として熊本はまさに日本一の中核市でもあるのです。地方として、また県都として、熊本は紛れもなく日本一の中核市であり、このことが実は最も重要なことであります。これからの熊本を押し上げる原動力は、地方分権と、地方からの行政改革のリーダーとしてその力を発揮すること。これが、熊本市を日本一の地方中核市として育てる時代のキーワードであることを、極めて断言をいたします。  さて、現在の我が国は、国、地方自治体すべてが、地方分権、行政改革、さらには財政再建という、三種の神器ならぬ三種の嵐のごときものが疾風のごとく吹き荒れ、この対応に全国民が耳目を集めているわけです。  中でも第一の地方分権、いわゆる国家と地方のあり方を論ずるに当たっては諸説噴出し、その現実的な方向性が見えていないのが現代の日本の姿であります。  地方分権の一つの言い方として首都機能移転の話がございますが、あれはこの熊本の地においては、熊本大学が移転をするという際に大変な論議が持ち上がったように、「移してしかるべきものは移す、されども移さざるべきものは移さぬ」という私は強い態度でおりましたけれども、まさに国においても、首都機能はその移すべきものと移さざるべきものとをはっきりと区別していかなければ、空理空論に終わると考えています。  例えば、さような首都機能移転の話をする前に、地方分権にはもっともっと日本全国各地、それぞれに必要な分権の話があるはずです。現代日本の二十一世紀にかけて、時代を読んでいくキーワードは地方だと言われております。ならば私が今申し上げました日本一の地方県都中核市熊本、これが熊本の時代を読んでいくキーワードであることを確信をいたします。  時代は年を経てみなければわからないということがあります。かつて、私は八年前、この本会議場において、通産省の実施した「西暦二〇〇〇年の日本」というスーパープロジェクトの考え方を当てはめて、「熊本ターンパイク理論」なるものを披露し、五年後、十年後の財政規模を予測し、そしてまた、熊本市が持つ体力のピークを、このまま行けば二〇〇三年であるが、それをもっと未来に延ばしていくために、そして熊本を本当に誇り得るまちにするために、社会資本の整備が必要だと説きました。  八年前に予測したその財政規模は、今日見事に実証されています。その私は、もし我々の努力が大であるならば、私の予測を一年か二年か手前に引き寄せて早く達成できるとも予言をいたしました。当時一千百億円程度でありましたが、私の予測した一般会計二千億円を超える財政規模は、通常のカーブよりも一年早くやってまいりました。それは熊本市が確かな努力をしてきたあかしでもありますが、本当は二年早めたかった。そのことが私どもの努力不足であったと言うことができます。  八年前の当時、現在の野田総務局長は総務部長の席におられまして、「私ども事務屋としては、奧田理論は不可能とまでは言いませんが、とてもそんなことは申せません。」とおっしゃいました。しかし、それは現実のものとなりました。  平成九年本議会において私が、地方県都中核市として日本一であるという時代のキーワードの読み方が、五年後、十年後に実証されていることを確信するものであります。熊本は単なる四十七都道府県の県庁所在地ではありません。そこは私たちが住んでいるまちなのです。日本じゅうどこに住んでいらっしゃる人でも、やはり自分たちのまちのすばらしさを育てたいと思うのが、それが地方分権という言葉の意味なのです。ある意味で日本一であるということ、その誇りを持って自治体を治めていく、これが地方分権の時代に求められる首長の姿であります。  地方分権とは、それぞれの自治体に住む人が、誇りを持って生きられる世界の創造であります。六十五万人口を持つ熊本市であるならば、地方分権のフラッグシップ(旗艦)としてやるべきことがあるはずであります。熊本はかつて日本一の教育県でありました。それはなぜか。熊本には人物がいた。そしてまた中央にも人物がいた。  日本国初代文部大臣森有礼は、全国に指令を発し、日本一の中学校を探しました。そして我が長男を縁もゆかりもない熊本に留学をさせて育てました。それが済々であります。森有礼はその教育の正しきを知り、ナンバースクール(旧制高校)をつくる際に、当時一高と三高、東京と京都と二つしか決まっていなかった日本三番目の旧制高校として第五高校を、日本一の中学・済々のあるまち熊本に決しました。森有礼は五高を建設し、そして中学済々をその隣に置きました。熊本のシンボルの一つ、緑の丘立田山のふもとであります。そしてそこで、森有礼の、日本のかがみとなる教育の根底が完結するわけであります。だからこそ、夏目漱石が、嘉納治五郎が、ラフカディオ・ハーンが熊本にやって参ったのであります。  現在は、熊本大学は四十七都道府県の中の一つの大学であると、あるいは熊本県は四十七都道府県のただ一つの普通の県であると、そう思っている方々が多いことは事実であります。しかし私どもは、かつて日本一であったものをなぜ再び日本一にできないのか、それを不思議に思う必要性があります。熊本を普通の熊本にしてはだめです。熊本を誇りに思える、本当の日本一にしなければいけない。そのための時代的環境が、静かに、目に見えず整いつつあります。  大いなる誤解を恐れずに言えば、三角市長は熊本市政の中でも大変不幸な時代に生まれました。それは、日本という構造を守るために、そして超高齢化社会に備えをするために、大量の資本投下をすべきであった時代が終わりつつある時代に誕生されたからであります。我が市の財政がいかに危機に瀕しているかは私も重々存じております。いわゆる通常に考えるならば、金のない時代に生まれた市長は不幸であります。しかし私どもは、わずか二十数年前に、日本というこのすばらしい国がなし得た奇跡を知っています。  私がまだ高校生であったころ、オイルショックが来ました。石油がトイレットペーパーに飛び火をしたあの時代であります。 ちょうど大洋デパートの火災があったあのころです。日本はこれでだめになる。戦後復興の、世界の奇跡をなし遂げた日本はこれでだめになると世界じゅうのだれもが考えた。壮絶な国家衰退の危機でありました。  しかし我が国民は、そのとき渾身の知恵を振り絞って、すべてをゼロに戻して、新しい時代の建設に着手をしました。一言で言えば、重厚長大型産業から軽薄短小産業への転換であります。軽薄短小は聞いた感覚は悪いのでありますが、すばらしい時代の幕開けでありました。その国家国民全体を挙げた経済構造変革の努力が今日実って、我々は再び一流国家の能力を保持し続けているわけであります。  この教訓を旨とすれば、三角市長は、ひょっとすると熊本の歴史に残る中興の祖としての名市長になる時代の可能性を持っています。その道を開くのは市長御自身のお考えでもありますけれども、ともすれば衰退の道を歩むかもしれぬこの時代に、知恵を絞り、今までの概念を捨て、できないことをやり、思いの届かないところに思いを届かせる、情熱を持った行政の推進であります。そしてそれこそが、私の申し上げた時代のキーワードなのでもあります。  それでは、その新しい時代の創造を支えるものは何か。それは、超常識の地方創造であります。常識を超えるという意味の超常識であります。  いつの世にも常識というものが存在し、その常識はいつも同じではありません。常識は時代とともに変遷します。かつての常識は現在の非常識であり、現在の非常識は未来の常識になることがあるかもしれません。これが超常識であります。  我が日本は島国であるがゆえに、また一度も征服されたことのない民族であるがゆえに──このときGHQをどうお考えになるかは別の問題としてここに置いておきますけれども、私の誇りとする日本人の欠点の一つに、みんな同じようにものを考え、みんな同じように発言して、同じように行動するというそういう傾向があります。  超常識を持つ人間は、常に時代の常識に立ち向かいます。普通の人であれば、不安と孤独に耐えかね、その時代の常識を疑うことをやめてしまいます。しかし、私の申し上げる日本一の地方中核都市熊本を建設するためには、我々議員も職員も、そしてだれよりも一層、その市長である三角市長におかれては、超常識の発想を持って、創造性あふるる施策を進めていかねば新しい時代が来ないのであります。  私は、三角市長がその超常識を既にその心魂、すなわち心と魂の中に内包し、さまざまな施策に反映されておると思っております。我々は今、熊本創造の意欲に燃えて超常識の時代創造力を発揮し、超常識の行政改革を推進し、いわゆる地方中核市、県都中核市、日本一の熊本を創造していく責任を抱く義務を負ったことを明確に自覚する時代が来たのであります。  九州は一つ。それでは質問に移ります前に、持論である私の提案、奧田式防災論に議場各位のいましばしのお耳を拝借いたします。  いわゆる危機管理においては、一に防衛、二に治安、三に安全が、いかなる国家、都市においても共通する大原則であります。第一の防衛は国防であり、自衛隊と日米安保を基軸とする国の施策であります。第二の治安は警察であり、これは県の管轄であります。さすれば、第三の安全は、我ら地方自治体の最も基本とする施策でなくてはなりません。すなわち、我が市長が最も意を配り、もって旨とすべきは、第三の安全、つまりは防災体制の充実であり、救急消防体制の充実であります。本日の論は、まずこの二つから始めてまいります。  三角市長も御就任以来、これまで本会議場においても、「熊本市民の命、暮らしを守るため全力を傾注する」との強い決意を表明、就任直後の一・一七阪神・淡路大震災への援助はむろんのこと、その教訓を生かし、組織体制の整備を手始めに、食料等の備蓄配備、耐震性貯水槽の整備等々、さらには総合防災公園構想など、あらゆる角度からその対策に取り組まれているところであり、現在の熊本市の防災体制は、今までの考え方でいけば全国でも屈指のものとして完備しつつあり、市長以下執行部の多大なる功績に敬意を表さねばなりません。  しかし、冒頭に申し上げましたように、我が熊本市が真の意味で日本一の地方中核市たらんとするためには、みずからの責任において他都市の範となり得るような施策を実現しつつ、積極的なリーダーシップメントを展開していかなければならんと考えます。まさにそのことが、ひいてはあまねく六十五万熊本市民の幸せに直結すると確信いたします。  まず、備蓄について触れます。  多くの市民は熊本の備蓄は大丈夫だろうかなと若干の不安を抱えられておる方もいらっしゃるようでありますが、市長の迅速な対応により、現在十八万食を抱え、都市の備蓄としては十分な量を確保しておられます。そしてまた、その備蓄体制については集中備蓄ではなく、あくまで分散備蓄を基本としておられることは、災害対策上極めて有効な手法であります。これは、大き目のコンテナに、食料から毛布、ろうそく、なべ、かま、食器等々、生活物資、防災資機材に至るまで、実に多岐にわたった備蓄をフルセットで詰め込み、これを各市民センターに配置してございます。  食料で言えば、市民センターのコンテナには七千食の食料が備蓄されております。さらには、一万食程度の中規模の防災倉庫等の備蓄拠点が配置されつつあります。これらにはそれぞれフルセットが完備されているわけでございまして、この方式は、どこかで災害があった、あるいは当該地で災害があった場合に、そのコンテナ一個で、持っていくにも現地で使うにもすべてがそろうわけでありまして、この分散型が最も機動性かつ適応性のある貯蔵法と言えます。これは、我が三角市長の発想とお聞きしておりますが、まさに卓越した、いわゆる超常識の方策の一つであろうと思うわけであります。  ここから提案の本論に入ります。  まず第一に、備蓄限定方式でむだをなくすということであります。  もし熊本において大災害が発生した場合、我が市単独では恐らくその対応は不可能でありまして、だれが助けてくれるかわからぬような状態では、備蓄はやってもやってもまだ足りぬと不安になるわけであります。しかし、特に食料や医薬品等においては使用期限があるわけで、これは壮大なむだ遣いにもつながりかねないのであります。  備蓄を限定して大丈夫か。それは初めに極めて確信性のある災害シミュレーションから導かれなければなりません。現在のシミュレーションにおける備蓄を必要とする被災人口はおよそ三万人と推定されます。三万人ということは一日九万食を要するわけであります。  しかし、日本列島やあるいは九州の単位で見てみますと、九州全島が瞬時において破滅するような地震災害は、今後数百年の間、恐らくは数千年の間、起こる可能性はございません。通常に言って二県、例外として長崎、佐賀、福岡で言いますと、海岸線を走って三県の可能性がありますが、その折には長崎、福岡県の大部分が被災しておりませんので、ここでは最大二県災害が九州の防災の基本であると考えます。  我が市の食料備蓄に限って言いますと、我が市の備蓄限度の絶対量は六万食であります。それはいかなることか、おおよそ六時間から十二時間の間、市内でその需要を賄える数量であります。災害発生後十二時間から二十四時間までは、県内の市町村あるいは熊本県に極めて近い近隣の市町村から調達すべきものと考えます。すなわち、市内で十二時間、県内で二十四時間もてばよいわけでありまして、さすれば、九州全島においては、次の二日目と三日目を保持する分量で十分なわけであります。  食料備蓄が分散方式で置いてありまして、十二時間分六万食の絶対量の確保のためには、壊滅する地域を想定しますと、おおよそ九万食。もってこの九万食を熊本市の食料備蓄限度とするわけであります。  同様に熊本県の備蓄限度が決まります。九州各県もそのようにして災害推定の中から備蓄食料を想定し、それ以上は持たない。持つのは税金のむだ遣いなのであります。  四日目からは本土から救援物資が来るわけでありまして、多少足りないことがあったとしても、二日目、三日目に早目に全国から到着する物資の推定をすれば、これで十分であります。この「独力で備蓄に対応してはならん」という、「やってはならんという発想」を全国の自治体の首長は持たなければなりません。  次に、「死にかかった人間にやらせるな方式」を提案いたします。  交通事故で瀕死の重傷を負った患者さんを救急車で運ぶ場合に、意識衰弱しているその人に、あれやこれやと問いただしても回答は不可能なわけでありまして、そのときにはやはり周りが、この人はだれだろうかと所持品を調べて、家族や会社に連絡するとか必要な措置をとるわけであり、意識不明になった患者さんでも、医師が診察して治療するわけですから、これと同じことが大震災における都市にも言えます。  大震災によって、庁舎が破壊される、電話回線が破壊される、一部では火災が起こっている、無線だけではどうにもならない、携帯電話もなかなかつながらない、そういう状態において、全国の自治体やボランティアからの、「何をしてあげたらいいか」という問い合わせに回答することは不可能であります。神戸において発生した情報のはんらんはまさにそのことであります。  したがって、熊本震災の折には、周りが考えて、熊本に聞かなくても行動できるように事前に決めておくことが必要であります。熊本市も九州の各県都に、北九州、尼崎、加えて中核市と災害時の応援協定が既に結ばれています。しかし、何を、どうやって、どこに援助するかといった具体的な事項には触れていません。  そこで、九州各県に話を区切って考えますと、人や物資の事前搬入場所をあらかじめ事前に指定しておくわけであります。むろん、そこが壊滅すればどうなるかということでございますから、震災を想定して、例えば東部地区の大震災、北部地区の大震災、中心部の大震災、あるいはその組み合わせ、数種類の震災想定をし、それぞれ各県がどこに救援物資を持っていくかを、その場所まで災害が起こる前に決めてしまうのであります。また、民間ボランティア活用の事前指定も必要であります。前もって知らせておけば、何の連絡がなくとも、被災状況をみずから把握しながら、熊本から何の情報も発せずともきちんとその場所に救援物資が来る想定になります。  しかし、災害がそれほど単純に類型化されることのできない側面を持つのもまた事実であります。そこで、この事前指定を前提として、災害が起こるや否や、場所指定や被災状況にかんがみた分量等の書きかえ、書き込みの修正情報を、現実の災害状況とともに刻一刻とインターネットを利用して発信していきます。  さすれば、決して多過ぎることも少な過ぎることもなく、しかも災害の状態によって変化した搬入場所も極めて速やかに認知できるわけであります。  また、例えば私は川尻に住んでおりますが、南部市民センターと熊本農業高校に鹿児島県と大分県から救援物資が届いたと、極めて明確に感謝をする相手が認知できる状態にあります。この、現在はだれを助けているのかわからない、だれに助けてもらったかわからないという状態から、だれを助け、だれに助けられたかがはっきりわかるシステムへの転換は、ことし福井と熊本で交わされた美しい話のように、確かな友情と責任感のある救援活動を確保してくれると信じます。  ところが、インターネットは、大変小さなパソコンで全世界に情報を発信することができますけれども、もし市役所のその一台のパソコンが破壊されてしまったとすれば、情報を発信することができません。そこで、我が熊本もカバー県を事前指定します。熊本をカバーしてくれる県を順位を決めて、例えば第一順位福岡、第二順位鹿児島と事前に指定をするわけであります。さすれば、福岡市と鹿児島市にありますパソコンのメーカーが、NECであっても、IBMであっても、アップルであっても、機種は問いません。このように機種を問わないことをクロスプラットフォームと言いますが、どこのメーカーのパソコンでもインターネット上では自由に行き来ができるわけでありまして、システムの統一が不要であります。  第一カバー県である福岡も熊本と同時に壊滅したとしても、第二のカバー県鹿児島が私どもの情報を確保してくれるわけであります。あるいは友好姉妹都市の福井市、また三角市長が副会長をされております中核市連絡会の各市に、パソコンが幾つも既にあるわけでありますから、これに情報を送ります。熊本のパソコンが壊れても、あるいは電力が供給されないという不測の事態が起きても、あるいはNTTの電話回線が破壊されて使用不能という状態が起きても、私どもは携帯用のパソコンに電池を入れて使うことができます。  私どもは携帯電話を既に持っているわけでありまして、この携帯用パソコンと携帯電話があれば、これをつなぐだけで熊本のどこにいても、市長の御自宅であっても、あるいはそのとき設置された災害対策本部であっても、破壊されていない場所ならどこでもいいわけであります。  そこから鹿児島の、あるいは福岡の、あるいは他都市のパソコンに情報を提供して、熊本の状況を逐一インターネット上に展開します。もしもほかの都市のパソコンの同時に受けられる受信能力が百カ所であったとしても、同時に、例えば熊本から二十カ所に情報を提供してやれば、二千カ所からの情報処理能力を保持し、極めて多数の、例えば百人、五百人、千人の同時の情報閲覧のアクセスに対して現実的に対応できるのであります。しかもその情報は極めて正確であり、情報の変化がありません。すなわち、情報は伝わっていきますと、間違って伝わる、そういうことが全くないわけであります。  そして、しかも、これはインターネットと言うと、何か難しい世界のように聞こえますけれども、まるでワープロでA4の文章を打つように、正確に打ち込んでさえいけば、ただそれだけで、それが全世界に伝わっていくのであります。それであってこそ、四日目には、熊本空港にルフトハンザ航空特別便で、ブロンドの長い髪をまとめ、救助の情熱に燃えたハイデルベルクの乙女が、ジーンズに身を固めており立つのであります。  仮に、我が熊本が、電話も、電気も、本庁も破壊され、中枢機能をすべて失ったとしても、たった一人の人間が、かつ一回の発信で、リアルタイムで、一日数万件に対応できる一大ステーションと化すのであります。現実には、交代やそういうことも含めても、二、三人で千人千回線の機動力に匹敵する威力を発揮でき、しかも瞬時に、正確にであります。  およそ災害時には、正確な情報の把握とその管理と発信が必要でありますが、把握については全庁を挙げて、そして管理については数名で、そして発信についても数名で、大都市熊本市の救急援助体制を支えていくことができるのであります。  インターネットに書き込んでいくだけで、基本的な情報発信はしなくてもいい。周りがアクセスして読んで、すべて「死にかかった人間にやらせるな方式」で、各自治体がきちんと考えてくれると私は確信いたします。  かくなる大震災時には金は幾らかかっても仕方がないという側面がありますけれども、これはたった一台のパソコンで情報を飛ばして、福岡であろうと鹿児島であろうと、各都市から全世界に発信できるという、これもまたすさまじいコストパフォーマンスを、一万分の一のコストで最大の効果を達成できるのであります。  現在、熊本市も支援協定を結んでおりますけれども、応援を互いにし合うという約束協定でございまして、現実に何をどこの中学校のグラウンドに持っていくというような、そこまでは想定ができないというふうになっているわけです。それは書きかえができないからですね。事前に決めておいてもだめだからです。事前に決めておいても不可能な場合があるからですけれども、このシステムはそれを克服しています。  極めて近い将来に、すべての県都の市ときちんと備蓄量を定め、そして、税のむだ遣いはしてはいけないという概念を根底に共通認識として持って、そして「死にかかった人間にやらせるな方式」でこのインターネットを使う。このシステムの構築によって、現在の体制では十八万食を必要とする食料備蓄を、奧田の主張する備蓄限度九万食へと半減させて、長期的には億単位の経費低減を可能とするのであります。  しかるによって、奧田光弘の本日提唱いたしました九州インターネット防災ネットワークシステムは、若干の経費で成立し備蓄経費を大幅に低減します。インターネットを災害に使おうという、使うだけなら情報伝達のみにすぎず、だれでも考えることですし、各地でやり始めようとしているはずです。しかし、私の申し上げている備蓄限定、あるいは周りが面倒を見る方式、あるいは人、物資、民間ボランティア等々の搬入、到着の場所の事前指定、あるいは拠点壊滅時のバックアップ体制、複数のカバー県の事前設定を条件とするような総合的な防災システムは全国初の試みではないかと思われます。  そこで、いよいよ質問に入らせていただきます。  私の提唱いたしますこのシステムをことしじゅうに関係都市に提案していただきたい。本市が最初に発案すれば、他の各都市は必ずついてまいります。巨額なシステム開発費が要りません。各地にある現在のパソコンを使って交信をするだけであります。単にインターネット上に記入をしていくだけなのであります。  三角市長、ぜひともことしじゅうに、早い時期に、半年以内にというつもりで、この提案を全九州に広めていただきたいと思います。  このシステムを成立させていくことによって、三角市長は二十一世紀に確かに通用する九州一の名市長との評価を得るは当然のことでありまして、それこそが私の思う日本一の県都中核市、地方中核市の市長たるゆえんだろうと思う次第であります。  導入の是非と所感について、大変長らくお待たせをいたしました。第二十七代熊本市長、希代の青年市長の御登壇を賜りたいと存じ上げます。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 防災システムについての御提案にお答えをいたします前に、前段で述べられました日本一の地方都市くまもとづくりに対する奧田持論を拝聴し、議員のふるさと熊本への熱き思いに大変感銘をいたしたところであります。このように並み並みならぬ情熱を持って将来を語られる姿を目の当たりにいたしまして、大変意を強くいたしたところでございます。  また、混沌とした先行き不透明な時代を、議員御提唱の超常識によって地方を創造するという新たなる着想に感動し、今後の厳しい市政運営を切り開いていくためには、まさにこの発想で臨まねばならないと、議員のお話をお聞きし感じた次第であります。  奧田持論というふうな言葉が出てまいりましたので、前に御登壇になりましたときのいわゆる奧田財政論、たしか昭和六十三年の第二回定例会でるるお述べになっておりました。お話の中にも出てまいりましたように、二〇〇〇年の日本というふうな十巻にわたる本を大変熱心に研究、勉強されておったというふうに思います。それを地方財政に置きかえられての大変な奧田持論でございました。  当時、先ほど名前も出てきましたけれども、この答弁席に座っております私どもの職員で東大に入学をいたしたという野田総務局長ですら、余りよくわからなかったというふうに申しておりますので、当然私のような凡人には非常に難しい論議でございました。今この財政担当でいろいろ話し合っておったところでありますけれども、この論議が今の我が市の財政状況に的確に当てはまっておるというふうなことを見るときに、大変先見の明があられた奧田財政論だなというふうに痛感をいたした次第であります。  その次に、私が第二十七代市長として登壇をいたしました第二回目の定例会でありましたけれども、奧田人づくり論を提言していただきました。あの人づくり論、まさに今の日本に大変必要とされる持論でありまして、これも我々の今の教育の中で、家庭を中心にした学校、社会、この三位一体となった人づくりにいろいろな意味から運用させていただいておるところでございます。  さて、今回のこの奧田防災論でございますけれども、あとで一つ一つの項目については考え方をお答えしたいというふうに思います。しかし、今話の中に出てまいりました超常識論、非常に私もこの言葉には迷っているわけであります。と申しますのは、やはり常識外れにならないようにしていかなければならない。(笑声) 先ほどのインターネットの問題にいたしましても本当にすばらしい論議の展開でありますけれども、私ども防災に携わる者といたしましては、やはり最悪である条件をとらえながら対処しておかなきゃならんという思いで常日ごろ考えておるところでございまして、十八万食備蓄の問題にいたしましても、やはり奧田議員おっしゃいますように、私どももその災害発生時の最大被災者は三万人というふうに考えておるところでありますが、どうしても非常な災害がふくそうしてまいりますと、陸上の輸送路の遮断、これには、地震プラス火災プラス水害、こういうふうなことを見てみまして、孤立するという場合が出てまいります。その孤立の要素を取り除くためには少なくとも二日かかるというふうに見ておりまして、二日間の三万人で十八万食というふうに計算を立てたところであります。  また空路からというふうな話もありましょうけれども、今現在、自治省あるいは消防庁では、県にヘリコプターを求める要請がなされております。また自治体としては持っておりませんので、その辺、自衛隊との連携による空路の輸送という形になってまいります。そうなってまいりますと、知事のお願いでというふうなことにもなりまして、その辺、阪神・淡路大震災から見てみたときに、ある程度短縮できるか、できない事情も想定をしておかなきゃならんという思いでございまして、この辺のところだけはやはり常識外れじゃないように研究しておかなければならないなという思いをいたしておるところでございます。  質問の要旨は、本市の防災体制を充実させるため、九州八市、中核市の十一市及び尼崎市との間で締結されております災害時相互応援協定の運用を工夫して、第一に、各都市における備蓄物資の数量を調節して、合理的でむだのない備蓄を進めていくこと。二番目に、支援のための人や物資等の搬送場所や民間ボランティア活用等について事前に定めておき、災害発生時のさまざまな混乱の中でも、これらの活動がスムーズにかつ確実に実行されるシステムを検討しておくこと。三番目に、これらの運用手段としてインターネットが大変有効であることという大変貴重な御提言であり、私も基本的には議員と考えを同じくするものであります。  御案内のとおり、都市間の災害時相互応援協定は、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、平成七年十二月の災害対策基本法の改正に伴って新しく規定されたものでございまして、締結の動きもその緒についたばかりでございます。  したがいまして、その具体的な運用等につきましては、各都市間で十分な協議と合意が必要であると考えますし、本市におきましても、御提言の趣旨を踏まえて積極的な働きかけをしてまいりたいと考えております。  また、インターネットを利用したシステムにつきましても、最近の実例として、日本海におけるロシア船籍タンカーの重油流出事故で、漂着した油回収に活躍された数多くの民間ボランティアの方々にとりましても、また各地の被害情報を収集する際にも、各方面で大変有効であったと聞き及んでおります。  したがいまして、具体的には、例えば九州地区都市防災連絡協議会等の場において、ただいまの御提言を踏まえ問題提起を行い、その実現について関係都市との協議、検討をしてまいりたいというふうに考えております。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇〕 ◆三十四番(奧田光弘君) 私は歩きながら考えるタイプの人間でありまして、市役所の中をぶらついておりましたら、一つの情報と出会いました。  三角市長が理事長をお務めの熊本県市町村振興協会が、市長の大英断で、県内九十四市町村を結ぶ自治体情報交換を目的とする熊本県自治体ネットワークを三億有余円をかけて開発中でありまして、本年十月部分稼働、来年四月より全面稼働ということであります。ここには熊本市の金は一円も使わないで、こういうことをやっておられるわけであります。  また、時事通信の全国の情報を持つJAMPを即座にインターネットで引き出せるすばらしいシステムを全国で初めて導入しようとしています。
     地方から日本で初めてということをやり始める、その勇気がなくして何が地方分権を要求する資格があるのかということであります。まず熊本でつくり、モデルをつくり、提案をし、そして熊本県をまとめ、そして九州七県をまとめ、実際に稼働させる中で、全国から我が熊本に見学者が参る。そして国が変わるのであります。これが本当の地方分権の資格を有する都市でありまして、私の申し上げる持論で述べました日本のリーダーたらんとする自覚というそのことであります。  ただいまの御答弁にありましたように、私は、我が熊本市が、三角市長の旗のもと、まさにその道を歩み始めたと実感いたしました。  質問項目の第三番目、消防の未来についてでございます。  有事の際には防災ということであれば、我々熊本市民が、毎日二十四時間、三百六十五日お世話になっておりますのが消防の救急消防活動であります。  平成八年においては、火災二百三十四件、一・五日に一件、救急一万五千四百五十七件、実に三十六分に一度の出動をされ、渾身の出動体制をもって私どもを守っていただいております。  消防職員は、市民を災害から守るため、技術の錬磨に日夜励み、その機材設備を充実させ、いかに短時間で現場に到着するかに懸命の努力を続けておりますが、職員があるいは車両が到着するまでの時間の短縮は、都市化の進展に伴う交通量の増加等の要因により、もはや限界に達しつつあります。  火災においての八分消防体制、救急におけるドリンカー曲線等の目標を達成するためには、通報があり、覚知から出動までの時間をいかに短縮するかが課題でありました。  本市が、本年四月一日より稼働させる新消防司令管制システムは、まさにそのような時代の要請にこたえ、三角市長の英断と、全会一致で決議した議会の協力において実現したものであり、市民も待ちに待った近代消防の夜明けとでも言うべき日でもあります。  このシステムにおいては、通報者が一一九番に電話をすれば、直ちに秒単位でその電話番号がわかり、持ち主の氏名とその住所がわかり、その地図が画面に映し出され、出動車両内にあるテレビ画面には現場の地図が映し出され、消火栓の位置等も表示されるというまさに画期的なものであります。  それに加え、画像伝送システムによる超高感度望遠カメラの設置により、現場等の状況を正確に、視覚的に把握することが可能となりました。世界最新鋭の、かつ最強の本システムの事業費は二十億円を超える高額ではありますけれども、我々市民が受ける恩恵はまさにそれを上回ってはかり知れないものがあります。  そこで、本日の私の質問に一貫して流れております行政改革、費用対効果の観点から、かような消防救急の効果については、人の命が金額にはかえられぬものであって、算出、推計が困難な点もあろうかとは思いますが、投資額をはるかに超える恩恵といいますか、導入効果といいますか、お示しをいただきたいと思います。  また、消防局関連の二点目の質問でありますが、現在、消防は中央、西、健軍の三署一分署十四出張所体制で稼働しておりますが、南北のライン、あるいは南北の地域において、都市の進化、人口の増大等の要因により、都市型の消防ニーズが増大、あるいは多様化の傾向にあり、さらに機動力を高める必要があるとの観点から、マスタープランにおいても南北の二署を加えた五署十三出張所体制の確立が求められています。  過去六年間、消防局のトップとして、我が熊本市の消防防災体制に、あふれる情熱を注いで築き上げられた五署十三出張所体制に関するいわゆる吉原理論を御披露願いたいと思います。  また平成九年三月、春らんまんの本議会をもって、吉原準二消防局長が勇退されます。本議会の場をかりまして、局長の輝かしい経歴の一端を御披露申し上げます。  吉原準二局長は、昭和三十四年入庁、税務部、民生部を経験、昭和五十三年清掃部課長補佐に昇任、このころから数々の人の心に残る手腕を発揮され、多くの解決すべき諸問題を抱えていた当時の人事課長に請われ、昭和六十二年清掃部長に任ぜらるるや、東部清掃工場の計画段階からの礎を築かれ、平成三年消防局長に就任されました。  その誠実、真摯なお人柄、指導力といい、卓越した問題解決能力といい、未来を見詰めて夢を見るがごとき目の輝きといい、まさにすばらしき業績を残されております。  消防局史上二番目の、六年の長きにわたった在任中、平成三年、風速五十二メートルの台風十九号、平成四年消防のマスタープランの策定と高規格救急車導入、平成七年には阪神・淡路大震災に、三角市長の指示のもと救援部隊を派遣、その教訓から全国に先駆けた訓練を行い、救急消防援助隊を発足させ、自治省からも高い評価を得、さらには耐震性貯水槽の設置等々、震災対策に意を用い、今般、平成九年三月三十一日、新消防司令管制システムの事実上の切りかえ日をもって退任されます。  在職三十八年という長い行政生活において、新しい時代の息吹をも感じさせる足跡を残して去られる吉原局長に対し、六十五万熊本市民とともに最大の感謝の念を持って敬意を表します。  それでは、以下二点、一つ、新消防司令管制システムの効果について、第二に、五署体制の確立について、吉原準二第十三代熊本市消防局長の御答弁を賜ります。        〔消防局長 吉原準二君 登壇〕 ◎消防局長(吉原準二君) 奧田議員に御答弁を申し上げます。その前に、一言お礼の言葉を述べさせていただきたいというふうに存じます。  ただいまは、不肖私めに身に余るお言葉を賜りまして、ただもう汗顔の至りでございます。  今振り返って、果たしてその任たり得たやと自問いたしますときに、反省をすることしきりでございます。もとより浅学非才の身、大したお役に立つこともできませんでしたが、消防で学びました使命に対する責任感の自覚と、それから任務を達成していく情熱、そしてそのための不断の努力、そういうことを糧にいたしまして、今後一市井人の立場で、発展を続けます熊本市政に少しでも御恩返しができたらというふうに思います。  これまで賜りました先生方の温かい心強い御支援、御指導に対しまして重ねて深くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)        〔議長退席、副議長着席〕  それでは、御質問の二点について御答弁申し上げます。  一点目は、新消防司令管制システムの費用対効果という観点からの御質問でございます。  議員もお触れになりましたように、人の命、地球より重しと言われます。まさしく危機管理を担任いたします私ども第一線の消防機関にとりましては、災害情報を一元的に管理し、災害現場にいち早く消防力を投入させまして、迅速的確な災害活動を行うことが何よりも基本的かつ重要な要件であります。  このたび導入をいたしました消防司令管制システムを現在のシステムと比較してみますと、議員もお触れになりましたように、まず、一一九番着信と同時に、発信地表示システムによりまして通報者の住所、氏名が判明いたします。また、地図検索装置によりまして災害現場付近の地図も表示されます。あわせて、市内二カ所に設置いたしております高所監視カメラによりまして災害現場付近の状況が把握できます。  また二点目には、車両動態管理装置によりまして、現場に最も近い消防車を自動的に選択して出場させ、また車載ナビゲーションシステムによりまして道路網や消防水利の状況等も把握できます。災害現場への最短距離を走行して、短時間のうちに適切な部署位置、いわゆる災害現場への部署位置がとれるということであります。  また、支援情報といたしまして、高齢者などの災害弱者に関する情報を、自動車ファクスにより、いち早く消防隊に送信することができ、迅速的確な人命救助活動を行うことができます。  また二点目には、建物の概要や危険物施設などのきめ細かな情報を送信できまして、効果的な災害防御活動が可能となります。  こういったことの相乗的な効果によりまして、例えば消防署所から三キロメートル離れた場所で火災が発生したというふうに想定いたしますと、火災発生から消防隊の放水開始まで、現在全市域の平均をとってみますと約十一分三十秒かかっておりますが、この装置の稼働によりまして約三分三十秒短縮することができます。建物火災を一棟のみにとどめることができる限界点でもありますいわゆる八分消防体制が可能になるということであります。消防隊の活動範囲が現在よりも距離にして約二・六倍、面積にして約六・六倍拡大することになりまして、早期の火災防御体制が確立をするという効果が期待されるものであります。  また一方、救急業務におきましても同様の効果から、呼吸が停止した傷病者の蘇生率を示すドリンカー曲線では、現在よりも約二分程度現場到着時間が短縮されますので、早期の救命処置が可能となります。救命率のさらなる向上にもつながるものと確信いたすところであります。  いずれにいたしましても、新消防司令管制システムを導入させていただきましたことによりまして、防災対策上大きな効果が期待できるとともに、本市消防の二十一世紀を展望するときに、まさしく近代化の礎となるものというふうに考える次第であります。  それから二点目の、五署十三出張所いわゆる消防署所の整備についてのお尋ねでございます。  私の理論の披瀝をということでございまして、そのような大それたことを申し上げることはできませんが、現在私どもが消防署所整備の基本構想として抱いておりますことは、まず、消防本署は災害指揮の統括機能を有するコントロールセンターであります。また、その出先の出張所は地域における最前線の防災活動拠点でありまして、消防力の適正な配置を図っていく必要がございます。  そこで、本市の中心部を基点といたしまして、Xを形づくる東西と南北の二軸を考えてみますと、まず東西のライン上におきましては、中央署を中心に健軍署と西の本署が配置されております。しかし白川を挟む南北のライン上には現在では出張所しかございませんで、将来はこの地域に出張所を統合した本署を配置する必要がございます。  例えば議員お住まいの南部地区を見てみますと、人口が約十一万人と、八代市を超える市街地が広がっておりまして、ガス、石油タンク等の危険物施設が集中するなど、都市化の進展が著しい地域であります。現在の南部地区は西消防署の統轄下にありまして、他の地区に比べ本署から遠隔地にあるため、災害現場における指揮統括系統の確立にも比較的時間を要しているというふうな現状にございます。  いずれにいたしましても、旧飽託郡四町との合併を契機といたしまして、市勢が着実に発展する中で、本市の自然的、社会的諸状況を考慮しながら、防災対策上バランスのとれた消防署所の適正な配置を計画的に進めてまいる必要があるというふうに考えております。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇〕 ◆三十四番(奧田光弘君) この新システムは、瀕死の人が救急車で運ばれた場合、助かる率が二〇%から七〇%程度に上がるのですね。我々の市で言いますと、推計毎年二十数名の人の命が助かると、こういう効果を持っているわけであります。  ただいまの吉原局長の御答弁を拝聴して、その情熱が、今日の、そして将来の熊本市の消防体制を全国屈指のものへと成長させていく体制づくりをされたのだなと確信をいたしました。  新システムにおいては、通信のデジタル化と高所監視カメラのデジタル化とともに、東部と北部へのカメラの増設を将来的に要望して、この質問を終わります。  次、「新たなる道を求めて」と質問通告には書かれておりますが、ここでは東バイパスの交通渋滞に伴う高架の問題を論じていきたいと思います。  所期の目的としては、東バイパスのその名が示すとおり、都心部を縦断する国道三号線の渋滞交通を回避して、市の南北の交通を円滑にするために建設されたものでありました。  しかし市東部の急速な発展にのみ込まれるように、事業所、住宅等が張りつき、まさに通勤、経済活動、余暇活動に用いられる生活道路と化し、国道五十七号線のみならず、国道三号線ほか接続する主要幹線道路にまで大きな影響を及ぼし、慢性的な交通渋滞を起こし、本来の意図された機能を発揮していないことは市民共通の理解であります。  その積極的対応策として、平成六年元旦の新聞に、国、県、市の方針として、過密緩和のため、通過交通と生活交通を分離する方策としての国道五十七号線東バイパス、いわゆる近見町から北バイパスの合流点までの十二・七キロメーターの高架式都市高速道の建設がうたわれました。  この動きを受け、平成六年五月の熊本都市圏交通計画検討委員会、通称黒川委員会が、国、県、市の共同の計画策定の場として設立され、平成八年三月、提言がなされたところであります。この中においても東バイパスの早期の強化の必要性がうたわれております。当然私ども期待を寄せて、自来三年、現実的かつ具体的な整備計画策定の声すら聞かれておりません。  その理由はなぜなのでありましょうかと検証をしてみました。通常考えられる一般的な単脚式高架は十九メートルの幅員を要します。東バイパスの狭い部分帯は歩道も含めて三十二メートルであり、その差を求めて二で割りますと六・五メートルという値が出ます。これが一体どういう世界か。制限時速八十キロで、現実には時速百キロで進行する高速道路の壁と、ビルの窓や住宅敷地の間がわずか六・五メートルという世界であります。当然一、二階部分は暗く、騒音は反響し、CO2やNOxを含む排気ガスと、それに含まれる粉じんは高架の下に閉じ込められ、そこに住む住民への影響には多大なものがあると憂慮されます。  思い起こせば一昨年、平成七年七月七日、スリーセブンの日に、大阪−神戸間の国道四十三号線の上を走る阪神高速道路裁判において──我々がテレビで見ました、震災のときに倒れたあの高速道路でございますが、最高裁は、六十五ホン以上の騒音に見舞われる住民全員と、六十ホン以上で二十メートル以内に住む住民に対し国と公団の賠償責任を命じました。車による騒音等に道路管理者である国の賠償責任が確定したのは日本初の裁決であります。  裁判の結果は別としても、東バイパスのような狭い幅しか持たぬ道路については、通常の高架方式はもはや建設不可能、あるいは建設すべきではないのではないか。むろん私も、この交通渋滞解消のための早期の高架の実現を切に切に望む者の一人であります。となれば、基本的には二つの策があります。道路拡張と、もう一つ、二層式いわゆる三階建て高架の二つであります。  第一の案は、東バイパス十二・七キロメートル区間のうち、最も狭い部分が連続する北バイパス合流点の新南部から、神水の市民病院まで四キロメートルにわたって、最低限十六メーターの用地買収が必要です。東バイパス建設当初、田畑の中を走る道路に二十年を要したことを考えると、巨額の予算もさることながら、数十年という待ち時間は、到底我々に耐えられるものではありません。用地買収交渉のための人と金を集中的に投下しなければ、十年以内の建設は不可能であります。  さて、第二案の三階建ては、上りと下りを分離して上下に重ねた二層式の高架のことであります。これでいくと、道路幅が最も狭い部分でも約十一・五メーターの敷地境界線との間隔を生みます。光も大分差し込み、音は防音壁で囲んで上へ逃がし、CO2やNOx等の排気ガス等も、かなり風通しがよくなり、大気中に拡散されるものと思われます。  ただ、通常の高架の一キロメートル当たりの事業単価が百三十億円かかるのに比べ、この三階建て高架方式は百九十億円程度のコストを要するのはデメリットの一つでありますが、通常の高架の道路拡幅のための用地買収を前提とすればはるかに安く、はるかに早く、短期間に建設可能であります。  詳しくは述べませんが、通常方式に比べ多数の利点を持ちます。用地買収を含めた総事業費は三階建て高架の方がかなり安く、早期実現を可能にすることは、福岡都市高速が現実に証明しています。私は福岡であれを見たとき実感いたしました。福岡でやれたことは熊本でもやれるはずであります。  また、慢性化した交通渋滞は、大量の車両が停滞するために、排気ガスが余分に発生、滞留してエネルギーの浪費にもつながります。生活そのものに不便を生じ、ひいては経済そのものにも見えない打撃を与えています。当然、渋滞が深刻な都市では物価が高くなります。営業にしろ、物流にせよ、目的地に到達する所要時間が増大すればコストアップは目に見えており、価格はもちろんのこと、企業の利益や従業員の給料等にもはね返ってまいります。そういう都市には有力企業の進出は望めなくなっていくのであり、企業誘致にも重大な支障を来すのであります。  市長肝いりのお城まつりを初め、熊本城の観光客増大への期待にしても、観光客の入り込みにくい交通状態では、観光客増大の夢はかなえられるべくもありません。そしてまた、何よりもここが肝心でありますが、「でき得る限り、市民が不満を持つ状態であってはならぬ」というのが、常々市長の御持論でもあります。  さてそこで、三角市長に再びお尋ねをいたします。  もちろん、東バイパスは直轄国道でありますから、市長単独で決定する事項ではありませんけれども、市長は熊本環状道路建設促進既成会の会長でもあられ、周辺市の市長、町長及び議員、経済界の方々とともに活発な運動を展開しておられますことは伺っております。  その外環状道路の一部である東バイパスの道路機能強化策についてどのようなお考えをお持ちか、国と県に対しどのように働きかけていかれるおつもりか、お伺いをさせていただきたいと思います。        〔市長 三角保之君 登壇〕 ◎市長(三角保之君) 奧田議員にお答えをいたします。  議員は質問時間等々ちゃんと時間割をしておられまして、私どもの答弁時間も決まっております。(笑声)先ほどは五分間与えられておりましたが、時計を見られながら、少ししゃべり過ぎだというふうな指示だったと思いますので、中途半端で終わってしまいましたけれども、今時間割を見てみますと十五分ほど早く進んでおりますので、そのようなつもりで少し長く答えさせていただきます。  都市にとって基幹となる道路は動脈とも言える施設であり、円滑な道路交通は、都市の健全な成長と安全な市民生活に欠くことのできないものであります。経済構造の転換や高齢化社会の到来等々、今後の我が国の社会状況の変化を考えるとき、本市が中核市として新たな可能性を確立するための交通基盤の整備を早急に図らねば、他都市との連携、交流の拡大は望むべもなく、また、都市間競争にもおくれをとるものと考えるものであります。  私はこの認識のもと、市長として就任以来、政策の重要な課題として、都市圏交通に係る諸問題に積極的に取り組んできたところであります。  とりわけ、基幹道路の今後の整備のあり方については、議員御案内のように、国、県、市共同で二年にわたり検討を行ってまいりました熊本都市圏交通計画検討委員会から昨年提言をいただきました。その中で環状機能の不足が指摘されておりましたので、昨年二月には近隣一市八町の市長、町長、議会、経済界の皆様方とともに熊本環状道路建設促進既成会を発足し、七月には東京において建設促進大会を開催したところであります。  おかげをもちまして、環状の西側部分につきましては同年八月には調査区間の指定を受けるなど、所期の目的を達成しつつありますが、東側を構成します国道五十七号東バイパスの強化策につきましては、国において今日まで事業化に向けてさまざまな調査検討が続けられておると聞いておりますが、まだ具体的進展が得られておりません。  その主たる理由は議員御指摘のとおり、道路幅員の不足に起因するものであり、環境対策、工事の施行性、膨大な事業費等、事業化までには越えなければならない大変困難な問題が山積していると伺っております。国におかれてもこれらの諸問題に懸命に取り組んでおられるところでありますので、私も既成会会長として可能な限り御支援をさせていただき、議員御提案の趣旨も踏まえ、早期に方向性、具体策が展開されますよう活発な活動を進めてまいる所存であります。  提案の三階建て道路は、まさしく先ほど議員御指摘のとおり、超常識と言われるかもしれませんけれども、今日本の中心都市における基幹道路は、もう本格的に四階建て五階建てがざらにあるわけでございまして、いろいろな観点からの意見もありましょうけれども、この東バイパス三階建て説につきましては私も全面的に賛同をしたいというふうに考えております。  昨年の十月、十一月、十二月は、本当に議長、副議長初め各会派の代表の皆さん方、担当委員会の皆さん方には上京を重ねていただき、大変な御支援をちょうだいをいたしました。そういったおかげで新幹線あるいは高規格道路、JR高架化、駅前周辺整備、白川改修、立野ダム──立野ダムはちょっといい結果が得られませんでしたけれども、地方道の整備あるいは港湾整備、あるいは下水道整備等々につきまして大変な効果があったわけでございます。  市長も少し出張が多いというふうな指摘もございましたけれども、やはり本格的に予算確保という面、あるいは地方の状況を国によく理解をしていただくというふうな面につきましては、積極的に対応していかなければならないと考えているところでございます。そういう面からいたしましても、今後とも議会の皆様方の絶大なる御支援をお願い申し上げる次第であります。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇〕 ◆三十四番(奧田光弘君) ただいまは十五分ほど早くとおっしゃいましたが、それは月曜日の時点でございまして、現在十二分ほどおくれておりますので、次、参りますが、結論から申せば三階建て、これしかないのであります。何分国がやるのであります。市長の御見解を賜って、これが熊本が抱える最も困難な事業の一つであることは十分承知しながらも、ただいまの市長の意欲的な御発言に期待をいたしまして次の質問に移らせていただきます。  タイトルは、WaSP(ワスプ)って何だろう。そして阿蘇の恵みSuper−WaSPと書いてございます。WaSPって何だろう。何だろうとお思いでしょうか。  それは、新規事業を、行政改革の考えに基づき、最も効果的に、コストをかけずに、地下水を人工涵養する、また出ました、奧田式理論であります。  地下水は熊本の恵み。上水道のすべてを地下水で賄える全国最大の都市熊本。しかしこの地下水も、県と共同で実施した熊本地域地下水総合調査によれば、平成二十二年には涵養量はさらに七%も減少するとの予測結果が出ています。  本市ではこれまで地下水の涵養対策として、地下水保全課のみならず、農業振興課、あるいは道路、住宅、公園、教育等の各部門において、全庁を挙げて水源涵養林の造成事業を初め、雨水の人工涵養事業として家庭用雨水浸透ますの設置や、ビニールハウス雨水浸透施設への助成、浸透性の舗装や側溝の整備、さらに学校施設にもグラウンド雨水の浸透施設を設置し、さらには冬場のかれた水田に水を張って地下水の浸透を図る等々、実に多種多様の積極的な事業展開をしています。その総事業費は、平成七年度末まで既に二十億円の近きに達し、地方自治体の中では全国でも屈指の投資額ではないかと考えます。しかしそうした渾身の努力にもかかわらず、地下水の減少傾向は今後も続くであろうというのが先ほどの調査予測結果であり、億、十億、数十億、長期にわたっては百億円単位の投資を要する大事業であります。  そこで、地下水の涵養をはるかに効果的に、なおかつローコストでできる方法はないものかと私なりに考えましたのが、先ほど申し上げましたWaSP。Waterは水、Sandは砂、Poleは柱、ウオーター・サンド・ポール工法、いわゆる水を吸い込む砂の柱です。  これは全く簡単に施工することができます。方法は、涵養効果の極めて高い地層に、直径五十センチ程度、深さは五メートル程度の穴を掘って、その中に砕石や砂を入れ込むのです。口径五十センチ程度でありますと、いわゆるアースオーガー、つまり渦巻き型の掘削機で穴を掘ってやるということになります。それで地表の部分だけは上部を砂で埋め戻して、自然と同じ状態にカムフラージュして自然景観に配慮をしたり、集水ますを設置したり、あるいは浸透効果を高めるため、構造を円錐形を逆さにした、つまり陣がさをひっくり返したような形、逆円錐形状にしてもよいかと思います。私はこれをポールではなくてウオーター・サンド・コーンと呼んでもいいと思っていますけれども、地表部の状況に合わせて形状を変えるというものであります。この最後のいわゆるじょうご型のウオーター・サンド・ポールが最も効果的かもしれません。  もちろん、口径も一メートルであったり一・五メートルであったり、深さも十メートルであったり二十メートルであったり、もっと深くてもよいかとも思いますが、地層の状態によって変えていきます。ただし、汚染防止のために地下水脈には決して直接接触しないことが必要であります。内部の砂や砂れきの埋め戻しも、砂と砕石、木炭等の層状にしたりと、さまざまな変化が考えられます。  これを一体どこに据えるか。例えば阿蘇の西ろく、大津、菊陽の原野に据えるのであります。小さな谷のようなところに、小さなくぼみに、あるいは次第次第に水が集まってくるような地形に、あるいは降雨期には大量の水が奔流となって流れ出ていくような場所にであります。  一体このワスプがどれくらいの水を吸い込むとお思いですか。涵養効果の高い土壌なら一時間当たり数十トン単位、あるいは数百トン単位の水を吸い込むことが十分に予想される実験もあるのであります。家庭用雨水浸透ますは、おおむね二百平米ぐらいの土地に年間降水量を掛けるという、ごく限られた浸透能力しか発揮いたしません。これはキログラム単位、リッター単位の世界です。  しかし、ワスプは、極めて広範囲の面積から次第に次第に集まってくる原野の水を限りなく吸い込むのです。雨がやんでも次々と流れてくる水を営々と吸い込んでくれるでしょう。すなわち、家庭用雨水浸透ますが、地平面の縦掛ける横掛ける降水量という三次元の世界の水に限られるのに対して、この方式では、面積が広範囲にわたるのみならず、もう一つの四番目の次元、時間軸のタイムラグを吸い込んでくれるのであります。  私が一翔、泰士、宇唯、一道と四人の子供に命名しました、アルバート・アインシュタインの相対性理論の世界では、我々の世界は、縦、横、高さの三次元の世界ではなく、それに目に見えない時間を加えた四次元の世界であって、このワスプはまさにそれを具現化して我々に見せてくれる一つの例証でもありますし、私の発想としては、相対性理論の贈り物とでも言うべきものかもしれません。  さらに、スーパーワスプについて説明をさせていただきます。  地球は、その創世期にマグマオーシャンの海から地上ただ一つの超大陸が出現し、分裂し、プレートの下に埋没し、また超大陸が出現し分裂していくというプロセスを、地球誕生四十六億年の歴史の中で四たび繰り返してまいりました。  遠く二億年ほど前、我々にとって最後のパンゲアと呼ばれる唯一の超大陸が分裂を始め、現在のユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極の六つの大陸となりました。我が日本は、やがてユーラシア大陸から離れ、五つの島に分裂していきます。そのとき、その中の二つの島の真ん中で噴き上がった地球最大のマグマの流れが島をつなぎ、現在の九州を形成しました。  いわゆる九州と、九州をつくった阿蘇の誕生です。月から見ても明確に認識し得たであろう巨大な噴火がもたらした火山岩と火山灰等の地質構造が、極めて高い水の吸収能力を持っている。そのことが我が熊本の地下に、まさに千年万年億年の神の恵みとも言うべき巨大な伏水盆を誕生させたのです。阿蘇の地質構造そのものが、熊本の伏水盆にたゆみなく水を注ぎ込む巨大な漏斗なのです。そう、まさに巨大と言うしかないウオーター・サンド・ポールの原型です。  阿蘇の火山が噴火したことによってできた地層が熊本市民の伏水盆を、世界一の地下水の宝庫をつくってくれたのです。これをなぜだれも市民にわかりやすい言葉で語ってくれないのか。統計上の数字ではなくて、なぜ学者の方々が私たちにもっと語ってくれないのか。私は一度も聞いたことがありませんけれども、浅学非才の身においても不思議でしようがありません。  その壮大な地球史の中で産み落とされた一つのもの、私があえて阿蘇の恵みと称するものは火山岩であります。火山岩は通常の土木材料としてはもろく、使いものになりにくいのです。しかしこのどこにでも転がっている火山岩を、ワスプの柱の中に砕石のかわりに入れてやると阿蘇の恵みとなり、スーパーワスプとなります。これを地表面を人が歩いたりしないところに設置すると、それは通常のワスプの数倍から数十倍の地下水浸透能力を発揮します。単位が一けた二けた違う驚異の世界です。  ここで、なぜ私がこのようなことを考えたかと申しますと、およそ十五年ほど前、私はとある会社の総務部人事課に所属をしておりまして、そのときは阿蘇の原野で、野外の新入社員教育を行っておりました。そのときに降ったすさまじい突発的な大雨、空には暗雲立ち込め、雷はおびただしくとどろき、阿蘇の原野の谷間のあちこちには、すさまじい水の流れが吹き出していました。いわゆる木や樹木のないところでは水はいかに早く野を走るかというさまを目の当たりにすることになりました。  そのとき突然、そのほとばしるような奔流が一瞬にして消える場所があったのであります。私が近寄って調べてみますと、そこはまさに火山岩の瓦れき層が地表面に出ているところであったわけです。火山岩の瓦礫が、疾風のごとき水の流れを瞬く間に吸い込んでしまう場所、それはまさに魔法のように見えました。これがウオーター・サンド・ポールから阿蘇の火山岩の瓦れきを利用したスーパーワスプの発想の原点であります。  また、大津や菊陽の水源涵養域の水害を防止するという、上流地域の人にとっても歓迎する一挙両得の側面を持つのであります。いかがでありましょうか。  すばらしい効果はわかったが、一体幾らかかるか。試算では口径五十センチ深度五メートル程度で、形状にもよりますけれども、一本二十万円から三十万円程度であって、ほかの方法に比べそのコストパフォーマンスにはすさまじいものがあります。これなら百本つくって二千万、三千万のオーダーです。一年に百本、二百本と順次整備をしていけば、十年を待たずに年間数百万トンもの水資源涵養を図ることができる可能性を秘めているわけであります。  私が、この持論を人前で展開しておりましたとき、ある思慮深い方が、頭のいい方でしょうね、こう憂慮されました。「それでは地下水は涵養されるが、その効果が絶大であればあるほど川の水が減るのではないか。」と。御心配は無用であります。ワスプが、この魔法の柱が吸い込む水は、降雨時の水と、それに伴って原野を流れ出してくる大量の水だけなのであります。雨の降らないとき、地表をはう水のないときはもちろん吸い込むはずもありませんから、雨天以外の河川の水量は変わりません。地下に浸透した水が再びしみ出して河川水量はかえって増大します。さらには水害を防ぐのですから、この面だけで見てもまさに一石三鳥の効果をもたらしてくれるのであります。  私は、こうしたローコストで効果の極めて高い一石何鳥も持つ方法を、あらゆる場面で研究をし続けて、我が熊本市の政策を進めることが、行政改革にとって最も重要なことだと、そう思います。そしてそれこそが、私が一番最初に前段で申し上げた超常識の行政改革の世界なのであります。  そこでお尋ねをいたします。  透水性の極めて高い阿蘇火砕流堆積物で覆われた阿蘇の大地に、私が考案いたしましたすさまじい効果とすばらしい低コストという二律背反を両立するウオーター・サンド・ポールを、極めて広範囲に大量に年ごとに順次設置していただきたい。決して巨額の費用を投じることなく、静かに地下水の経緯を見守っていただきたい。結果はおのずと見えてきます。我々はそのとき、待つことの大切さと楽しさを知ることでしょう。  平成九年度の事業においては予算はついておりませんが、その実験と調査にすぐさま着手をしていただきたい。さまざまな形状で五本か十本を阿蘇西ろくの涵養地域内につくり、例えばある一定の水量をワスプにオーバーフローするまで、つまりあふれてしまう寸前まで、最低数日間は連続して注入し続けてデータをとるのであります。水資源のむだ遣いはあり得ません。すべてが地下に浸透し、その限界を探るのであります。費用は二百万でしょうか、三百万でしょうか。
     あすの熊本の水資源を救うこのウオーター・サンド・ポール(ワスプ)の実験をことしじゅうに開始していただきたく、本日午前中の答弁で勇退を宣せられました矢毛隆三環境保全局長に、奧田光弘に対しての本会議場最後の答弁としてお尋ねをいたします。        〔環境保全局長 矢毛隆三君 登壇〕 ◎環境保全局長(矢毛隆三君) 奧田議員に最後の御答弁をさせていただきます。(笑声) ただいま奧田議員から、地下水の涵養について大変貴重な御提案がございました。お話を伺いながら、議員の自然科学に対する御造詣の深さに感銘を覚えたところでございます。  議員御指摘のとおり、熊本地域地下水総合調査によりますと、熊本地域の地下水涵養量は、平成二十二年には約六千万立方メートルが減少し、水位の低下が各地に及ぶという厳しい結果が予測されているわけでございます。  そのために、今後の地下水保全は、量をいかにしてふやすかということにあると考え、県と共同で策定いたしました熊本地域地下水総合保全管理計画の中には、地下水の人工涵養を積極的に推進する施策を盛り込んでいるところでございます。しかしながら、六千万立方メートルに達する量を人工的に確保するためには、年間数億円の経費を必要とすることが試算されますことから、私どもも、最小の費用で最大の効果を発揮できる方法を模索していたところでございます。  このような状況の中で、ウオーター・サンド・ポール工法の御提案を承ったわけでございます。これこそ超常識工法ではないかと拝察しているところでございます。  この工法の持つ涵養効果や経済効果はお話の中からも十分に推察されるところでございますが、議員御指摘のとおり、その効果を確認するためには、実際に涵養地域内にウオーター・サンド・ポールを設置し、涵養能力や目詰まりによる劣化、さらには水質に及ぼす影響等をなお十分に検証する必要があるかと考えております。  したがいまして、主な涵養地域が市域外になりますために、周辺市町村の御理解と協力を得ながら、財団法人熊本地下水基金の事業といたしまして、本格的な導入を前提として、テストケースとしてのウオーター・サンド・ポールを実験的に設置してみたいと考えております。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇〕 ◆三十四番(奧田光弘君) 熊本市はインターネット上にホームページを持っておりますけど、あすの熊本のホームページに載るでしょうね。「矢毛隆三局長 ウオーター・サンド・ポール 実験開始を宣する」と。矢毛局長、極めて明快過ぎるほどの御答弁、まことにありがとうございました。恐らくは一年を待たぬうちに調査結果が出てきます。そうして次の時代の我が熊本の水を守るための建設が始まるのです。矢毛局長のお答えいただいたすばらしい夢を奧田は見ます。そうして、あすの熊本の水というものに明るい太陽が上ってくるなと実感をいたしました。矢毛局長、その場を去られても、再びお会いする日を楽しみにしております。  さて、続きまして、新規事業に巨大投資をせずに高い効果を発揮する行政改革の一手法、「市民申し出型のバスベイ」を提案いたします。  時間短縮の必殺わざその一、早口バージョンで参ります。  ある月曜日の朝、とある一人のサラリーマンがマイカー通勤の最中でございます。片側一車線の市道、目の前には大きなバス。バス停でとまりますけれども、右側の反対車線には車がこれもぎっしりで、追い越すことすらできません。体の弱いお年寄りがゆっくりとバスをおりていらっしゃいます。日ごろは老人問題に大変理解のある老人に優しいAさんも、だんだんと会社の始業時間が近まってまいりますと、いらいら、いらいらのしっ放しでございます。右に抜けるも左に抜けるも抜け道もなし。二十分ちょっと遅く出勤したばかりに、片側一車線の交通渋滞にはまり込んでしまって、前にも後ろにも行けない。刻一刻と会社のベルの鳴る時間が近まってまいりまして、「えいっくそ、この野郎、何とかしろ」と、思わずどなりたくなるような経験、皆さん方もこのような経験を多分お持ちのことと思います。  私のところにもさまざまな道路について、「あの道は何とかならんかいた」と、バスが追い越せないし、車の流入量もすごいし、道路を拡幅して二車線にしてというような陳情があちこち、それも大変数多く、この十年の議員生活にあったわけであります。両側にはびっしりと家が建ち並んでおります。私は、大変残念ながらそれはつくることができませんと申し上げるしかないのであります。  それがたった一キロ、二キロのことでありましても、両側の家を数百軒という単位で買収をし、移転補償をし、そのためには気の遠くなるような年月と、気の遠くなるような巨額の金を使わねばなりません。その金が我が熊本市にはないのでありまして、有効に使えるところはほかにまだいっぱい待っているのであります。  都市計画で指定されて、そして用地買収をしていくことが既に決定しているような大環状道路とか、そういうもの以外については大変残念ながら買収は不可能でありますという説明をしているわけです。  そしてまた外回りの環状線やバイパスをつくって流入交通量を分散するしか今のところ手だてがありませんと、苦し紛れに申し上げ続けてまいりました。  しかし、この問題について従来から私が温めてまいりました方策が、完全な解決ではございませんけれども、確かに有効なローコストの方策があるのでございます。それが質問通告に挙げました。市民申し出型のバスベイであります。バスベイとはバスの湾、海の湾のことでありますが、バス停のところに道路に切り込みをつけまして、その横を走行する車が、バスがとまっていても通過していけるような、追い越していけるような道路構造のことであります。  私の提案は、片側一車線のバス路線に指定されている市道で、極めて交通渋滞の激しい路線のバスベイを、当然しかるべき制限を設けた上で有償で買収するものであります。  熊本市は、都市計画道路の拡幅等以外はほとんどすべて無償で寄附していただくという形で道路政策を続けてまいりましたし、これは将来にわたっても守り通さなければなりません。ですから、バスベイを買収するということは道路の一部拡幅に相当いたしますから、極めて厳重な制限のルールが必要でございます。  例えばバス路線で片側一車線であること、交通渋滞のひどいところ、塀や建築物等の建物移転補償等は行わず、更地の土地のみの買収であること、県警の道路交通上の了解を得ること、予算の範囲内で実施するものであって、申し出があっても必ず設置するわけではないこと、近所のバス停の位置との関係等、また組み合わせ型の完成形で、つまり水路部分の四方張り──ふたかけですね。歩道の多少の幅の縮小等を行うことも想定した上で、すなわち種々の形状の組み合わせ型で幅三・五メートル、もしくは路側帯の幅によってはそれに近い幅、かつ相当の延長を確保し、道路構造令等の基準をクリア、またはそれに近い形状となること。さらに、あくまで市民申し出型であって、市が土地を指定しないということ等々の厳しいルールを設けねばなりません。  最後の組み合わせ型の完成形で道路基準をクリアする、もしくはそれに近い形にするというところと、特に市民申し出型であることの二つが重要です。仮に市がここを買収すると言えば、多くの場合、地主の反感を買い実現できませんし、建築物等の補償も含めてコストが増大します。あくまで市民の自由意思による申し出制です。  この制度をつくるとどうなるでしょう。この道は渋滞がひどいと困っている住民が、ちょうど引っ越しをされる人や店を畳む人がいた場合、市に申し出て買い上げてもらうよう依頼する、あるいは本人が申し出るのであります。本人にとっては、家の前のわずかな幅を無税で売却でき、バス停ができることによって便利になった分、土地全体を売る場合の坪単価が上がって、かえって得をするのであります。  あるいは、私が雑貨店やスーパーマーケットの商店主なら、建てかえの時期などが来たときに、市に買収をみずから申し出るのです。ほんの少しの土地の代償に対して建てかえ資金の一部が手に入り、しかも無税で、バスベイをつくると、そこには永遠にバス停が存在して自分の店の利益につながると、私ならばそう考えます。  この制度には、年間の事業計画が立てにくい反面を持ちますが、年間の予算や件数を制限すれば、売却者にも市にも有利になることが多く、ましてやそこを通る毎日毎日何千というドライバーの利益は言うまでもありません。  今までどうにもならなかった一車線のバス路線における通勤で、初めてとまっているバスを追い越していけるうれしさ、楽しさ、最高の快感ではないでしょうか。  ルールづくりには課題がありますが、私が今まで申し上げたような制限をつくれば、必ず市民の理解を得ます。そしてそれこそが、難題があっても、それをあきらめずに、常に市民のためを思う三角市長の思いやりあふれる市政運営の基本姿勢につながるのであります。通勤ドライバー市民の歓喜の声が聞こえてくるような、市長に思わずありがとうと叫びたくなるような答弁を齊藤建設局長に求めます。        〔建設局長 齊藤 聰君 登壇〕 ◎建設局長(齊藤聰君) 奧田議員の、バス停車帯、いわゆるバスベイの設置について、いわば民活方式とも言えるような柔軟な発想に基づく御提案でございますが、現在、熊本市内には国道、県道、市道を合わせて九百三十六カ所のバス停留所がございます。そのうち、ただいま議員がお述べになりましたように、バスの停車が原因で後続車の進行を妨げ、交通渋滞を引き起こしていると思われる箇所はおおむね八百カ所に上っているものと思われます。  この実態を考えましても、バスベイ方式は、交通混雑解消の一つの方策として大変有効であると考えられますが、このバスベイを設置するにはかなりの面積が必要であります。しかも途切れのない連続した用地でなければ意味をなさないものでございます。  御提案の、地権者の方から条件整備を行った上で用地買収を申し出るという新しい方式は、市といたしましても大変興味のある御提案でございますので、今後関係法令とも照らし合わせながら進めてまいりたいと思います。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇〕 ◆三十四番(奧田光弘君) 御清聴の皆様、ただいまの答弁で、ドライバー市民の歓喜の声が聞こえてきましたでしょうか。答弁というのは大変わかりにくくなっているのですけれども、御安心くださいませ。そう、いつかそう遠くない日に、「市長さん、ありがとう」って、確かにその言葉が私には聞こえております。年に一カ所でも二カ所でもいいのです、永遠に解消策の一助となるわけですから。やはり、我が齊藤建設局長は勇気の人、実行の人でありました。必ずや実現していただけるものと信じていた気持ちが報われました。  さて、質問項目のその他、七番の項目に移らせていただきます。  その第一は、児童の合宿体験を通じた地域教育の提案であります。  本市では学校教育活動の一環として、現在市立金峰山少年自然の家で小学五年生が二泊三日の室内合宿、中学一年生が阿蘇町の市立野外活動センターで二泊三日のキャンプを実施しておりまして、大変好評であり、その体験効果はまさにすばらしいものと考えます。  私たちの川尻校区でも、市長さんが県議会議員時代に青少年健全育成協議会会長として始めていただいた、菊池渓谷でのキャンプを十数年来続けていらっしゃいます。  私も四人の子供を持ち、私自身も保育園、小学校、中学校と三つの学び舎でPTA活動のお手伝いをさせていただいておりますが、ちょうど一年前、二番目の子供の四年生の終わりに、クラスのお別れ行事として、学校の自分たちの教室で合宿体験をさせました。学校長の理解や、担任はもとより、周りの先生方、保護者の方々の協力ですばらしい成果を上げ、体験教育の大切さを痛感いたしました。  そこで私は常々、何とかして、この校舎や体育館や近くの公民館等々で児童たちに身近な合宿活動をさせたいと思っておりましたところ、文部省の地域教育活性化事業の補助制度が来年度新設されることを知ったのです。この補助事業を利用して、市内に合宿体験教育の輪を広げられないか。  学校というと、先生方の責任と負担が増大することになりますので、先生方には任せず、あくまで地域に主体性を持たせ、例えば青少協、社協、町内単位、クラス単位、学年単位や部活の集団といった自由な集団に、保険をかけて、責任を持って実施していただくのです。そう、公民館、老人憩の家、体育館等の空き部屋、校舎内の室内やその地域の施設に合わせて実施をするのです。  それぞれの町で、校長先生の裁量のもとにお許しを得たり、それぞれの施設の許可の取得はもちろん、主体性を持ったグループが交渉するのです。拠点を地域に置き、主体を地域の保護者や地域リーダーに任せるのです。  本市は何をするか。第一に、補助金なんて要りません。寝袋、なべ、かま、ガス、食器等々の基本的な道具を無償で貸し出すのであります。第二に、マニュアルづくりであります。リーダーまたは責任者用の充実した厚いもの、手伝いの保護者の方々への中程度のものと、子供たち用の薄いもの(数ページでいいと思います。)の三種です。O157等の食中毒への予防策や、夜や昼の共通体験の時間づくりの方策等もリーダー用には載せておきます。  学校や地域の自主性を尊重し、先生に負担をかけず、親が、地域リーダーが、我が子のみならず我が町の子をしかり教育するという、学校教育ではない地域教育を実践するのです。それぞれの地域事情に合わせて、それぞれ違った合宿体験となります。楽しいですよ。この体験で、子供たちは感動を覚え、連帯意識をはぐくみ、将来の人間形成に大いに役立つものと考えるのであります。  そこで、新年度、文部省の地域教育活性化事業の補助制度に乗せて、この地域主導型、いわゆる熊本型地域教育を新しく実施するため、モデル校区を募集して、ことしの春、夏、秋に実施していただいてはいかがでしょうか。御提案を申し上げます。  続けて、その他の二つ目の項に参ります。  学校営繕事業の充実についての質問でありますが、市内の小中学校には老朽化した校舎がかなりあります。そして、古いものを大事に使うというのは子供への教育ともなってよろしいのですが、中には使えないものもあります。あかないドア、一度あけたら閉まらない窓、板が少し割れた床、便所のドアの下が腐ってしまっているために事実上用を足せないとか、渡り廊下のコンクリートがはげているため上靴が汚れるとか、枚挙にいとまがありません。  営繕は、学校主事さんの業務の一つでもあります。しかし、簡単なことはできますが、ちょっと難しい修理になると、道具がないとか、ほかに人手が要るとかでできないことも多々あるのです。大工仕事の得手不得手もあるでしょう。学校には需用費と原材料費の二種類の使えるお金があります。  ここでちょっと思い出しましたが、新年度、需用費と教育委員会施設課担当の工事請負費及び特定項目の部門を、この厳しい財政の折にもかかわらず大幅に増額していただいた財政と施設課に感謝を申し上げます。  もとに戻りますと、そのちょっとした難しい、主事さん一人ではできにくいものは需用費で工事に出すわけです。そうすると、ドア一枚十八万円とかの大変高いコストになるわけです。それで今般平均年額百万円に上げていただいた。今まで八十数万円の需用費では追いつけなかった学校も出てきたのであります。  これをローコストで何とかならないか。古いものを大切に使うのはいいが、使えないのはいけない。かゆいところに手が届くような営繕、迅速性のある営繕をなし遂げるためにはどうしたらいいか。  私は最初こう考えました。第一に、施設課に正規ではない嘱託数名を配置、係はつくらず、学校営繕センター的な機能を持たせます。第二に、学校営繕車、軽トラックを一台購入し、基本的な修理道具を装備します。第三に、ねじ、くぎ、ボンド、パテ等の基本材料を常備します。この三点セットで、主事さんが対応できない、ちょっと難しい工事を請け負うのです。私は今でもこの方策がベストだと思っています。しかし、現在の学校主事さんの立場もあります。  そこで一つ、主事間の協力体制をつくり、二つ目に学校長の理解と協力を得るのです。そうして各校一名の主事さんが共同で作業に当たります。これには、教育委員会の主事さんへの指導や、あるいは校長会への協力依頼、あるいはほかの面でのバックアップ、協力体制が必要でございます。そうして、ことしから上がって平均百万円の需用費で、二百万円、三百万円の効果を出していただきたいのであります。そうして、さらにこの一年間に、大まかに八割ぐらいは使える、現実の効果を出していただきたいと思います。  三角市長のお気持ちの中に、「小さなことでも大事なことがある」というのがあります。私たちの子を、地域の子を、我が熊本を担う子を育ててくれる学校という教育の場所を大切にするために、大変困難な仕事ではありますが、教育委員会と校長先生と主事さんの三位一体の協力体制づくりをお願いしたいと思います。  この二点、教育長に答弁を求めます。        〔教育長 後藤勝介君 登壇〕 ◎教育長(後藤勝介君) 教育に関しまして二点、お答えを申し上げます。  まず合宿体験を通しての地域教育についてでございます。  ただいま奧田議員がみずからの体験を御紹介いただきました。保護者や地域のリーダーの皆様方が協力して、子供たちと一緒に、近くの公民館や体育館などで合宿体験をされますことは、我が子のために、我が町の子供のために、そして地域社会の教育力の向上、学校教育の支援策として大変意義があることだと思います。午前中の主海議員の御質問にもお答え申し上げましたが、新年度から計画しております、(仮称)地域教育活性化推進事業のメニューの一つに合宿体験事業というのが入っております。奧田議員御提案の趣旨を踏まえ、積極的な支援策等を検討してまいりたいと考えております。  次に、学校施設の営繕の件でございます。子供たちが安全で快適な学校生活を送りますために、学校施設の営繕は特に迅速に対応しなければなりません。  営繕修理のうち、軽微なものにつきましては学校主事を中心として対応しております。しかし、専門的な職員でございませんので、定期的に技能の向上を目的とした実務研修などを実施しているところでございます。  御指摘のように、営繕の中には一人でできないものがありますので、学校の職員間の協力、あるいは近隣の学校主事との協力など柔軟な対応も考える必要があると考えております。  なお、営繕費につきましては、迅速性、効率性の視点に十分配慮しながらその執行に努めてまいりたいと考えております。        〔三十四番 奧田光弘君 登壇〕 ◆三十四番(奧田光弘君) 大変積極的な、二つとも実現するという御発言、ありがとうございました。  国が地方を指導しようとすると、どうしても地域事情に合わずにとんざすることがよくあります。我が熊本市においても、七十九校区同じようにすべて指導しようとすると、我が教育委員会も大変困るわけでありまして、それぞれの地域に合わせて、教育委員会の負担や業務量をふやすことなく、地域の主導型として実施することこそ、この熊本型地域教育の本質があるのでありまして、来年度、子供たちの喜ぶ姿が目に浮かぶようでありますし、営繕については、本当に学校教育の場を大切にしたいという、それぞれの先生、皆同じ思いであろうと思いますので、大変ありがたいことであります。  本日、私、その他の項目で、あと二項目質問をする予定でございましたけれども、前段が長引きまして、タイムアップが迫っております。大変な努力をしていただいた執行部に心からのおわびを申し上げて、答弁を求めず、確認をさせていただきたいと思います。時間短縮の必殺わざ、答弁なしダイジェストバージョンツーでございます。  一つには、私ども議会に出されます条例の一括提案というものを提案しました。複数の議案を一つにまとめて、多いものでは十とか二十とかいうものを一つにまとめて条例案件として提出すれば、紙数の削減であり、大変わかりやすい条例になっていくものと信じ、これを住居表示のときに、住居表示を実施される区間すべての公的な施設について、一遍に一つの条例でやろうという提案でございましたが、実現の約束を得ております。  また、庁内メールというシステムがありますが、この運営方法について、嘱託の活用と、将来的には郵便局等の外部委託型も考慮していただくように御提案を申し上げて了解を得ております。  またさらには、水道局の過去と現在と未来において、その安定的な水資源の確保、あるいは老朽化した施設の改善、あるいは第五次拡張事業という四百三十六億円という巨費を要する事業、さらには耐震対策まで含めて、水道の安定的な経営の確認をさせていただくつもりでありましたけれども、それぞれ実現に向けての情熱的な御答弁を賜る予定でございましたが、本日はこれをもってダイジェストで紹介をさせていただきます。  ただいままでの市長さんを初め執行部の皆さん方の真摯なる御答弁、まことにありがとうございました。  私は、雄都熊本市の予算議会に登壇の機会を許されながら、本日、予算案件に関する質疑がゼロでございました。このことは深くおわびを申し上げねばならぬ、政調会長としての責任であろうかと思います。  そしてまた、私が骨を埋めると宣言し、心より愛す我が南部地域の質問もゼロでございました。このことについても地元の皆様方に深くおわびを申し上げたいと思います。しかし、物言わぬけれども、その事情も御推察いただきたい。  ただ、それよりも私は、本日、この神聖なる本会議場で言わねばならぬことがあった。それが本日の提言であり、提案であったわけです。本日の質問は、消防局関連の質問が、過去から現在と未来にわたって確かな効果を持つということの確認をした以外において、そのすべてが提言でありました。  東バイパスの高架は長期にわたるものでありますけれども、それ以外のすべての質問における提案は、この一年間で実現いたします。その実現には、一つ一つが大変困難な課題をも含むけれども、わずかの期間とはいえ、毎夜遅くまで、あるいは夜の白むまで激論を闘わせ、困難を乗り越える勇気を分かち合い、熊本の新しい時代を創造するという強い決意のもとに提案したことばかりであります。私はそのとき、市の執行部と交わし合った目の輝きを信じ、新しい時代が創造されんことを切に望むものであります。  本日、私は、日本一の地方中核市くまもとが、日本のリーダーたらんとする自覚を持って、超常識の時代創造力を発揮し、超常識の行政改革推進をすることによって、まさしく熊本の時代のキーワードである、地方、県都、日本一の中核市というものを実現できると。  そしてまた、極めて低額の予算で、全国に先駆けたシステムとして、備蓄限定方式や死にかかった人間にやらせない事前指定方式、インターネットを活用した拠点壊滅の際のバックアップ体制を述べ、九州七県が一丸となって、カバー県を事前に指定をして、たった一人でも全世界に情報を発信することを可能にするシステムを提案し、また我が熊本の市民の生活を守る新消防司令システムと、新しい時代の五署体制に向けての御見識を伺い、そしてまた新たなる道を求めて、国道五十七号線東バイパスの三階建て方式を提案し、熊本の最大の恵みである水を守るためのウオーター・サンド・ポールを提案しました。また、市民申し出型のバスベイという、今までにはなかった、できなかった提言をしながら、その他の項目でも、今までずっとやれなかったことを変えていく提案をいたしてまいりました。そのすべてについて御理解を賜って、実現に向けて取り組んでくださる市長を初めとする執行部の皆様方に深い敬意を表します。  私は、時代を変える、まさにその思いで本日の弁を振るいました。あすへの夢を信じて……。そう思います。  私の前に未来の光景が広がっています。近い未来、すなわち一年ほどの未来と、ほど遠くない数年先の未来と、遠いはるかな未来であります。本日の私の質問が、熊本の未来の光景にいささかでもお役に立つことがあるとするならば、私はそれをもって我が誇りとします。  本日、時間調整に、三角市長以下大変な配慮をいただきました。質問に当たっては、平成クラブを初め同僚議員の皆様方、あるいは真摯な激論を闘わせた執行部の皆様方、そしてまた大いなる理解をお示しあられた三角市長、そしてまた傍聴者の皆様方に、長時間の傍聴を賜りましたことを心より感謝を申し上げて、奧田光弘、平成九年第一回定例会の質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)      ───────────────── ○副議長(宮原正一君) 本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明十三日(木曜日)定刻に開きます。      ───────────────── ○副議長(宮原正一君) では、本日はこれをもって散会いたします。                午後三時五十五分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり  平成九年三月十二日  出席議員 五十二名   一番 主海偉佐雄   二番 中沢誠     三番 坂田誠二    四番 藤山英美   五番 田中誠一    六番 内田三千夫   七番 重松孝文    八番 小山久子   九番 中松健児    十番 鈴木弘    十一番 古川泰三   十二番 税所史熙  十三番 山内光昭   十四番 下川寛    十五番 馬場成志   十六番 竹原孝昭
     十七番 北口和皇   十八番 佐々木俊和  十九番 田辺正信   二十番 島田俊六 二十一番 河村寅麿  二十二番 田尻将博  二十三番 田尻清輝  二十四番 牛嶋弘 二十五番 岡田健士  二十六番 落水清弘  二十七番 益田牧子  二十八番 大江政久 二十九番 東すみよ   三十番 磯道文徳  三十一番 江藤正行  三十二番 荒木哲美 三十三番 伊形寛治  三十四番 奧田光弘  三十五番 鈴木昌彦  三十六番 宮原正一 三十七番 諸熊文雄  三十八番 上村恵一  三十九番 西泰史    四十番 亀井省治 四十一番 中村徳生  四十三番 嶋田幾雄  四十四番 竹本勇   四十五番 田尻武男 四十六番 白石正   四十七番 矢野昭三  四十八番 島永慶孝  四十九番 村山義雄  五十番 西村建治  五十一番 大石文夫  五十二番 紫垣正良  五十三番 西野法久 説明のため出席した者 市長      三角保之   助役      御厨一熊   助役      中村順行 収入役     岩本洋一   企画調整局長  松村紀代一  総務局長    野田晃之 市民生活局長  市原敏郎   保健衛生局長  工藤磐    環境保全局長  澤田幸男 経済振興局長  坂田憲一   都市整備局長  田尻紘    建設局長    齊藤聰 消防局長    野村功    交通事業管理者 行徳健次   水道事業管理者 竈啓一郎 教育委員会委員長松垣裕    教育長     後藤勝介   人事委員会事務局長                                       中尾政憲 代表監査委員  服部公雄   市長室首席政策審議員     財務部長    三嶋輝男                        瀬口芳生 職務のため出席した事務局職員 事務局長    森高聖之   事務局次長   岡本央    議事課長    松本豊 議事課長補佐  山田利博...