〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君)
佐々木議員にお答えを申し上げたいと思います。
その前に、去る四月の統一選挙におきまして、歴史と伝統に輝く
熊本市議会に議席を得られました
佐々木議員に対しまして心から敬意を表する次第でございます。
ただいま交通環境の悪化、そしてこれを克服するためには公共交通の
発展的整備と再生が基本であると、このような御趣旨でございまして、私も全く同感でございます。
佐々木議員御指摘のとおりに、近年
モータリゼーションの進展あるいはまた市街地が外にずっと延びていく、経済活動が非常に活発になってきたと、こういうことを背景にいたしまして、慢性的な交通渋滞の発生、そしてまた必然的に交通事故が多発いたしておりまして、本市の交通事情はますます深刻な状態にあると、私もそのように考えているわけであります。このことはただ我が熊本市のみならず、全国のあるいはまた世界の都市がすべて直面している深刻な課題であるというふうに感じているわけでございます。
特に、熊本市電それからバスの公共交通を今後さらにサービスを向上させていくと、そしてまたこういうことで悪循環を克服していくと、このような
佐々木議員の御指摘に対しまして、まことに適切な御指摘であるというふうに感じております。これまで我が熊本市におきましては、都市交通問題につきましては大規模な
パーソントリップの調査を実施してまいりました。特に公共的な交通に対しましては、武蔵塚、新水前寺駅の設置、あるいはまた市電の電停の抜本的な改良、新型車両の導入、さらには
バス専用レーンの拡大、こういう問題につきまして、関係機関の御協力もいただきながら積極的に取り組んでまいったわけであります。しかしながら、我が熊本市のこの交通対策の中におきまして最も忘れておりましたことは、やはり
道路面積率をもっと広げるということではなかったかと思うわけであります。
ちなみにいろいろの資料から私ども見てみますと、例えばアメリカのニューヨークは二三・二%、ロンドンは一六・六%、パリが二〇%、東京都におきましても一三・六%というのに、我が熊本市におきましては
道路面積率が七・六%であると。それに加えまして熊本市の自動車の台数が昭和五十年に十二万八千台でありましたのが、平成元年、ちょうど十五年目には二十五万三千、一・九八倍ということになっているわけであります。しかも道路の延長につきましてはわずか一・〇八%しか延びていないと。こういうことを考えますときに、今
佐々木議員御指摘のとおりに、これは当然の帰結であるというふうに考えておりまして、
都市計画道路のおくれに対しまして深く反省をいたしているところでございます。
この問題につきましては、今後新
都市総合調査特別委員会におきまして、いろいろと議会の貴重な御見解等承りまして積極的に解決していきたいと、かように考えているわけでございます。今後は、三月に御議決をいただきました新熊本構想、その中におきまして、特に都市交通のこれから先のいろいろの問題点につきまして御指摘をいただきながら、長期的視野に立ってこの重要な課題を果たしていきたいと、かように考えるわけであります。
同時にまた、ハードな面ばかりでなくてもっとソフトな面、特に高齢者や障害者の社会参加に対します、そのようなやさしい乗り物への転換と、あるいはまた電気自動車による市内市域の交通と、そういうことも十分考えて取り組んでいかなければならないというふうに考える次第でございまして、今後議会における新
都市総合調査特別委員会の論議を十分承りながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) ありがとうございました。市長の御熱意どおりに早急な問題解決を期待いたします。また、問題意識も基本的には一致をいたしておりますので、ぜひ、公共交通を柱とした
総合交通体系の整備を念頭に置かれ
マスタープランの推進をお願いいたします。
冒頭述べましたように、全国的に交通問題がクローズアップされている中で、
運輸政策審議会はことしの六月に平成三年度の運輸白書、つまり第三回答申を出しました。その中で言っているのは、九〇年代の輸送を担うのは
公共交通機関、とりわけ鉄道であると、強い調子で二十一世紀を展望した九〇年代の交通政策の基本的方向を位置づけているのです。その理由は、環境問題と
エネルギー問題にあります。白書の中でも言っておりますが、資源
エネルギー庁が出した「八七年版
省エネルギー総覧」では、交通の分野において、単に需要追随型の施策を講ずるにとどめていては、輸送に必要とされる
エネルギーの量的不足と
エネルギー価格の上昇による輸送費用の上昇という状況が強まっていくに従い、やがて人と物とのモビリティーを確保することが困難となっていくと言っています。つまり今の交通体系のままではいずれ
エネルギーが制約となって、交通機関が思うように運行できなくなると示唆をしているのです。
エネルギー効率の比較は、鉄道と自動車では四、五倍の差があります。さらに鉄道の場合は惰行が有効に利用できるため、総合的な
エネルギー効率はもっと高くなり、総合効率では自動車の十倍ほどになります。
また、一九八九年七月に行われたアルシュ・サミットでは国際的な環境問題が話題になりました。中でも
地球温暖化の問題が深刻であります。燃料を燃やしたときに発生するCO2の排出は地球の温暖化を招き、最悪の場合には極地の氷が解け出すため、海面上昇で極地が水没したり、そこまでいかずとも気象の大異変、マラリアの流行などが生じると予測されています。温暖化と地球規模の環境汚染の問題は、これまでの災害の中で人類にとって初めての、「森に逃げても解決することのできない問題」だと言われています。
日本では交通運輸の分野で全体の二割から三割のCO2を排出していますが、排出源の大部分は自動車であります。このような情勢なのに、殊に乗用車の部門では大型車、
高級車ブームなどによって、ますます
エネルギー浪費とCO2その他の排出ガスが増加しています。これに対し鉄道は、ガス排出の少ない交通体系、
省エネ型交通体系の構築が可能な交通手段であると言えるのです。この鉄道復権の時代と言われる中にあって、熊本の都市交通はどうあるべきかと考えてみた場合、熊本市中心部の交通は、現在の市電を利用した新
交通システム(
ライトレール・トランジット)方式を採用し、
熊本都市圏の
軌道型交通網として整備し、基幹交通として位置づけてはどうかと考えます。
この
ライトレール・トランジットとは、略してLRTと呼ばれ、日本語では軽快電車と訳されます。以降LRTと呼ばせていただきます。このLRTは、モノレール、ガイドウエイバスなどのように案内軌条を媒体としてゴムタイヤで走るというような特殊なものではなく、路面電車や鉄道などで長い間倍われてきた技術がベースとなっているのです。一口で言えば、これまでの路面電車を大幅に改良、グレードアップしたもので、
都市高速軌道と言うべきものであります。中でもその走行形態に最大の特徴があり、都市構造や地形に応じたあらゆるタイプの走行路がとれることであります。例えば混雑する都心部は地下に潜らせたり高架区間にしたり、交通量の少ない郊外では路面や専用軌道を走らせるなど、その場所に最適の軌道を走ることが可能なのです。通常一両から四両の車両編成の電車で、必要に応じて車両をふやすことができ、ネットワークも組みやすく、さらに建設予算に応じて段階的に整備することができるのです。
さらにLRTは、環境面では、
電気エネルギーで駆動されるので、都心部での大気汚染は皆無であり、低騒音、低振動であります。走行路幅も複線で五メートルから五・五メートルで済み、特に地下区間ではそのスペースを最小限に抑えることができます。また経済面では、建設費が比較的にほかの
公共交通機関と比べて安く、LRTは路面区間で
キロメートル当たり四億から十億円、地下鉄は
キロメートル当たり二百億円、モノレールは
キロメートル当たり百億円であります。また技術が確立しているため保守が容易に行え、メンテナンス、
ランニングコストを低くできます。さらに
エネルギー消費では、加速時と登坂走行時だけで、通常は惰力走行で
エネルギーが不要なだけでなく、減速時や下り坂走行時には発電を行い、ほかの車両に
エネルギーを供給できるなどすぐれています。
このようにLRTは大変にすぐれた交通機関でありますが、問題があるのも事実です。しかし、具体的に路線ごとに取り組めば決して解決できないものではないと考えています。将来的に
十分熊本都市圏の交通体系を担える交通機関であると確信します。その上に立って、LRTを含め、
熊本都市圏の交通体系の基幹部分を軌道型のシステムで構成した具体的な路線案を、
既存システムの改良六路線、新設する軌道九路線について提案をしたいと思います。少し長くなりますが、皆さん方の頭の中で路線をイメージしていただければ幸いかと思います。
改良路線の一つは市電健軍線、もう一つは
市電上熊本線です。短期計画、三年以内に軌道外側にびょうや低ブロックを設置し緊急車両以外を分離し、電停の拡幅とスロープの設置、上屋の設置、JR新水前寺駅との
乗り継ぎ改良を行います。中期計画、十五年以内に輸送力の増大に応じて車両の大型化を図る。福祉対策として超低床車両の導入を行う。長期計画、三十年以内に熊本駅から交通局前の地下化を行う。
次に、電鉄上熊本─北熊本間です。短期計画では、路線をJRホームに引き込み同一ホームでの乗りかえができるようにする。中期計画では、路線を三線軌道にして市電の乗り入れをする。線路の複線化を行う。
次に、電鉄本線・黒髪線(藤崎宮前─御代志間)です。中期計画では、藤崎宮前から北熊本間の地下化、路線の複線化、駅設備の改良、藤崎宮前─北熊本間の線路幅を広げ市電の乗り入れを行う。長期計画では、須屋─御代志間の線路幅を広げ、北熊本─須屋間を三線軌道にし市電を御代志まで乗り入れる。
次に、
JR鹿児島本線です。短期計画では、近見駅の設置。長期計画では、近見─上熊本間の高架化を行います。
次に、
JR豊肥本線です。短期計画では、本荘、楠、弓削各駅の設置を行います。新水前寺駅での市電の
乗り継ぎ改良。中期計画では、立野までの電化、肥後大津までの複線化。長期計画では、熊本から竜田口までの高架化を行います。
次に新設する軌道路線でありますが、一つに
LRT空港線です。これは熊本駅から大江渡鹿─長嶺団地を経由し熊本空港という路線です。中期計画で、熊本駅─大江渡鹿間は高架路線を設置し、大江渡鹿─南郷団地間は路面軌道を設置する。南郷団地から長嶺団地の区間は
都市計画道路の進捗に合わせ
中央分離帯に
路面専用軌道を敷設する。長期計画では軌道を熊本空港まで延伸する。
二つに
LRT東バイパス線です。これは
JR竜田口駅から神水橋─田井島を経由して
JR近見駅前という路線です。中期計画で、
竜田口駅前から西原は高架軌道を敷設する。西原から近見駅前は
東バイパスの
中央分離帯に専用軌道を敷設をします。長期計画において順次高架化をしていくというものです。
三つに
LRT熊本港線です。これは
JR近見駅前から熊本港への路線です。中期計画で、
都市計画道路の進捗に合わせ
中央分離帯に専用軌道を敷設します。また、熊本新港の貨物輸送が必要な場合には流通団地まで引き込み線を設置いたします。
四つに
LRT木山線です。これは
市電健軍終点から木山の路線であります。中期計画で、健軍終点から沼山津の県道に路面軌道を敷設します。長期計画で、沼山津から木山の県道を拡幅し
路面専用軌道を敷設します。
五つ目に
LRT城南線です。これは市電辛島町からJR南熊本駅─田井島を経由し中ノ瀬という路線です。中期計画で、市電辛島町から
南熊本駅前に路面軌道を敷設し、南熊本駅から中ノ瀬には高架軌道を敷設します。長期計画で、市電辛島町─
南熊本駅前間の高架化。需要にあわせて中ノ瀬から先への路線延長を行うというものです。
六つに
LRT連絡線です。これは水道町から藤崎宮前の路線です。中期計画で、水道町─藤崎宮前間の地下路線を敷設し電鉄線に連絡をします。長期計画で、市電線の地下化にあわせて熊本駅前から直接乗り入れを行うというものです。
七つに
LRT北バイパス線です。これは
JR竜田口駅から電鉄新須屋駅を経由して
JR西里駅前の路線であります。中期計画で、竜田口─新須屋間で
北バイパスの
中央分離帯に専用軌道を敷設をし、
竜田口駅前付近は高架化とし
LRT東バイパス線と結びます。長期計画で、新須屋─四方寄間で
北回りバイパスの
中央分離帯に専用軌道を敷設します。四方寄─西里駅前間に専用軌道を設置いたします。
八つに
LRT北回り線です。これはJR武蔵塚駅から電鉄黒石駅の路線です。短期計画で、専用軌道とするため早期に用地買収を開始いたします。中期計画で、当面非電化路線として専用軌道上を
ディーゼル車両でJR線と電鉄線を直結します。長期計画で、状況に応じて電化、軌道拡幅を行いLRT化を進めていくというものです。
最後に
LRT近見線です。これは
市電田崎橋から
JR近見駅前の路線であります。中期的に、田崎橋─蓮台寺間を路面軌道で、蓮台寺─
JR近見駅前間を専用軌道で結び、近見駅前を高架で
LRT東バイパス線と
LRT熊本港線を
つなぎ環状線を形成するというものであります。長期計画で、市電線の地下化にあわせて田崎橋まで地下化、
JR近見駅前まで高架化する。状況に応じて川尻まで延長するというものです。
このように鉄道を縦横に走らせ、JRと熊本電鉄、市電の
相互乗り入れをし、新たな路線で
つなぎ環状線を形成し、また放射線上に延びていく理想的な基幹交通が確立できると思います。さらに、
交通結節点と言われる熊本駅、上熊本駅、神水、新水前寺駅、北熊本駅、近見駅等にはターミナルをつくり、バスとの連絡を図る。このことによって現在の
交通センター一極集中による交通混雑を改善することができます。また郊外からのマイカーの流入を減少させるために各流入拠点になっている健軍、竜田、清水、川尻、上熊本、田崎方面に公営駐車場を設置し、そこから新
交通システム、バスに乗りかえるという
パーク・アンド・ライド方式も導入すべきだと考えます。運営については今日の各交通機関の競合、同業他社との競争の現実を踏まえ、新会社を設立し、第三セクターで運営させるべきだと考えます。
以上が、私の提案する
総合交通体系であります。快適で住みよい
都市づくりには交通問題は避けて通れない問題であり、現状を見るとき抜本的な解決策が必要であります。さらに、それは
社会的ニーズと合致しなくてはなりません。前段に言いましたように、鉄道は環境面、
エネルギー面でもすぐれ、大量に安全に定時性をもって運行ができる交通機関です。経済的にもほかの交通機関よりすぐれ、建設用地についてもほとんどが道路の上空、地下、
中央分離帯を想定しています。
このように鉄道を活用した
公共交通網が確立できれば、現在のような交通混雑は解消できると考えます。決して実現不可能な案ではないと思いますが、私の提案に対するお考えを、先日まで交通現場の第一線におられた都市局長にお尋ねをいたします。
〔都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎都市局長(本田吉継君)
佐々木議員にお答えいたします。
佐々木議員の本市における
総合交通体系づくりへの思いを込めたただいまの御提案を、私の頭の中にございます図面の上に落としてお聞きしていたところでございます。本市の総合的な
交通体系づくりが緊急の課題であるとの認識は議員と同様でございます。LRT──軽快電車と申しますか、につきましては詳しく議員がお述べになりましたとおりでございます。LRTは
輸送需要量と供給輸送力との関係から、バスと地下鉄との中間の
中量輸送機関でございまして、
地方中核都市に十分適しております。しかも環境面、
エネルギー面で優位であること、さらには安全であることなど、多様化、高度化する交通需要を満足させる輸送機関として大いに検討に値するシステムだと思っております。
世界的にもLRTに対する評価は高く、イギリスや西ドイツなど西欧諸国では新しい
交通システムとして路面電車をLRTに更新し、既に路面電車を廃止いたしました米国、カナダ、フランス、イギリス等におきましても、その都市でLRTの導入を進めていることなども聞いております。諸外国ではこれを単に人を輸送する機関としてではなく、町づくりに活用していることが重要であります。
このような欧米の傾向と今後の
都市づくりの参考とするため、先般全国の路面電車を有します十三都市が集まりまして、このLRTの導入についての
路面公共交通研究会を発足させましたが、本市もこれに参加しているところでございます。この研究会を中心にいたしまして、今後LRTの特性や、導入することによる諸問題、あるいは補助事業の可能性等について研究を重ねていきたいと、そして本市の都市交通としての適合性を考えてみたいと、このように思っております。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) LRTに対して大変な評価をしていただきましてありがとうございました。ぜひ今後、この熊本における
総合交通体系の中で大きな一つのハード面としての御検討をぜひ前向きにお願いをいたします。
それから、私は交通というもの、乗り物というものは、やはり用事がなくても乗ってみたくなるような交通機関をつくるべきだとも考えておりますので、その点もあわせて御検討をよろしくお願いいたします。
次に朝の
交通混雑解消についてソフト面から提案したいと思います。時差出勤の導入であります。
第二回
熊本都市圏パーソントリップ調査によりますと、都心部のピーク時は八時台で、通勤目的の
集中トリップのうち官公庁関連は一七・四%と推定されています。仮に官公庁の八時台の
集中トリップをすべて九時台に移すと、八時台に集中する自動車、オートバイ、
バイク利用トリップの一三・四%を減少させることができます。また、都心部の事務所の割合は官公庁の二倍強となっており、民間企業の一部を含めての導入はさらに効果が上がるものになるわけです。この時差出勤の効果はすぐに上がるものです。熊本市が先頭に立って、関係官公庁と連携をとり、民間企業にも協力を要請し実行に移してはどうでしょうか。もちろん
市民サービスに直接かかわりを持つ窓口業務などは別にして、できるところから実施をすればよいと思います。通勤者にとっては通勤時間も短くなり、混雑も緩和できます。市役所からでもすぐに実施してはいかがでしょうか。
市長公室長にお尋ねをいたします。
次に、交通問題は先ほど提案した
総合交通体系の整備を初め、重要かつ早急に解決すべき問題が山積しており、非常に難しい面が多々あり、幅も広いこともあって、担当部局の皆さんは大変御苦労をなさっていることと思います。企画調整局を初め都市局、建設局、交通局とそれぞれにかかわる部分で交通問題に対処されていると思いますが、これだけ交通問題が深刻になってきている中で、専門的に対処する
交通対策課を設置すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
企画調整部長にお尋ねいたします。
〔
市長公室長 出田四郎君 登壇〕
◎
市長公室長(出田四郎君)
佐々木議員にお答えいたします。
時差出勤の導入について、第二回
熊本都市圏パーソントリップ調査に基づいてのお尋ねでございますが、本市にとりまして時差出勤は
交通混雑解消に向けての有効な方策であることは十分に承知しているところでございます。現在本市の
基本計画策定委員会の環境部会におきまして、時差出勤の問題も含めた
交通問題全般にわたる討議がなされているところでございます。時差出勤を本市に導入するとした場合、交通混雑の緩和策として非常に有効ではございますが、
市民サービスへの影響、市民のコンセンサスといった問題、また勤務条件として労使間での協議が必要であることなど、さまざまな角度からの検討が必要であると思うわけでございます。したがいまして、今後、
基本計画策定委員会の御論議を踏まえまして関係部局と連携を密にしながら十分に検討してまいりたいと思います。
〔
企画調整部長 徳田勝比古君 登壇〕
◎
企画調整部長(徳田勝比古君) 交通問題を専門的に取り扱う組織の整備についてのお尋ねでございます。
議員御案内のとおり、現在基本計画を策定中でございますが、この中でも交通問題につきましては骨格となる道路網の整備、あるいは環状線、都心部やその周辺における駐車場、駐輪場の整備、交差点の立体化、さらには都市間交通の整備促進など極めて重要な課題がございます。お尋ねの件につきましても、基本計画の推進体制の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) 時差出勤については、市職員の労働条件、
市民サービスの面から運営上の問題があることも十分わかります。今後検討を進められ実施に向け努力をお願いいたします。また、他の官公庁、民間に対しての協力についても御検討をよろしくお願いいたします。
交通対策課設置については総合的に検討するということでありますが、
マスタープランでは熊本広域都市圏の人口は現在の九十二万人から百万人に達すると想定されております。それだけ人口がふえれば交通量も増加することは明らかでありますし、また交通渋滞が今以上に深刻化することは私が申し上げるまでもないことであります。早急な対応をお願いしておきたいと思います。
次に、市民レベルにおいて日常的に交通問題に対する意見反映の場がありません。もし設置されていたとしてもほとんど機能していないように感じます。したがいまして、交通問題の解決、政策策定などを行う行政リードによる交通委員会を設置したらいかがでしょうか。委員会の構成は、行政、利用者、交通産業労使等で編成し、具体的政策策定に当たっては、他都市を初め西欧型の都市交通を視察するなど、早急に手を打たなければならない時期に来ていると考えます。もちろん交通問題の解決は今や世界的な課題であり、解決困難な問題であります。我が国はもとより、世界の各国でもその解決に向けてそれぞれの都市の地形、道路形態、国民意識等によりさまざまな方法で努力しているところであります。しかしこれは逃げられる問題ではなく、二十一世紀の
都市づくりを想定すると早く着手しなければならないと考えます。
都市局長の御答弁をお願いいたします。
〔都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎都市局長(本田吉継君) お答えいたします。交通問題に関し、専門家、行政だけでなく交通施設を直接利用する一般市民の方々や実際に運輸業務に携わる労使の方々など、その立場に立った切実な意見を吸収し交通問題の解決に役立たせることができるような組織をつくったらどうかというような御提案でございますが、貴重な御意見であると思います。日常の交通問題や新しく交通計画を立てる場合など広く意見を集めることが必要であります。したがいまして、御提案のような委員会の設置につきましては今後十分検討させていただきたいと思います。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) 私が提案する交通委員会は、現在の縦割り行政の弊害を乗り越え調整ができるテーブルであり、具体的な政策策定の機能、問題点の解決ができるという委員会であります。今後、設置の立場での検討を期待いたしまして、次の質問に移ります。
二点目に熊本駅周辺地域整備事業についてであります。
熊本駅周辺は、熊本市の玄関口として、広域交通の結節点として、また本市の副都心として非常に重要な位置にあると思います。これまで熊本駅周辺再開発は、熊本市政の大きな課題として位置づけられ、市長を初め先輩議員各位の多年にわたる御努力は周知のことであり、心から敬意を表するものであります。その成果として、熊本駅前北地区の再開発ビルが着工し、来年秋に完成の予定でありますし、本年四月には駅ビル「フレスタ」がオープンをしました。また昨年十月には、県と市で駅周辺約二百ヘクタールを大規模に再開発する副都心化構想がまとめられ、新しい町づくりの方向が示されたわけです。そのような中、駅周辺開発に対し、民間から二つの提言が出されました。一つは、九月二十五日に熊本商工会議所から「熊本駅前広場整備構想について」、もう一つは、十月十四日に駅周辺再開発推進懇談会からの「熊本駅周辺地域整備について」であります。
そこでお尋ねでありますが、市としてこの二つの提言をどのように受けとめられているのかお聞かせください。
あわせて、北地区の再開発ビルの着工とともに、熊本駅前東地区並びに南地区など熊本駅周辺のいろいろの調査が実施されているようでありますので、その調査の概要と現在の進捗状況についてお聞かせください。
さらに、熊本駅周辺の開発については基本構想と二つのプランが出たことになり、当然その整合性が問われると思います。それぞれに特徴があり共通事項もあるようです。今後一つのまとまったプランとして整理する必要があると考えるのですが、どのようにお考えですか、お聞かせください。
都市局長の御答弁をよろしくお願いいたします。
〔都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎都市局長(本田吉継君) お答えいたします。熊本駅周辺地域整備構想が昨年の十月、県と市の合同によりまして公表されたところでございます。この構想の公表以来、駅周辺地域に対する再開発の機運がとみに高まっておりまして、議員の御質問の中にありますように駅周辺整備促進のための貴重な二つの御提言をいただいているところでございます。
さて、御質問の第一点は、この二つの提言をどのように受けとめているかということでございます。この二つの提言によりまして駅周辺整備について、地元の住民の方々はもとより、多くの市民の関心を喚起し、公益事業各社はもとより民間と一体となって整備促進を図る土壌づくりができまして、まことに時宜を得た貴重な御提言として受けとめております。
御質問の第二点は、駅東地区、南地区の調査の概要とその進捗状況についてでございます。調査の概要といたしましては、一つは熊本駅周辺地域における交通体系の
マスタープラン策定のための調査、二つは駅前東地区を対象とした市街地再開発を目的とした調査、三つは権利調査、都市施設調査及び基本計画の策定などであります。以上の調査を本年度から二カ年にわたりまして実施いたしますが、本年度は既に地元説明会、アンケート調査などを行っております。
御質問の第三点は、冒頭に申し上げました整備構想と二つの提言を一つのプランとして整理する必要があると思うがいかがかとのお尋ねでございます。このことにつきましては、これらの提言を今後の事業推進にどのように役立てていったらいいのか、現在その検討をしているところでございます。
なお、本会議におきましてこれまで熊本駅周辺整備の推進に関する御質問を過去数回にわたりいただいていまして、心強い限りでございます。この上は熊本駅周辺整備の事業化に向けて全力を挙げて取り組んでまいりますので、議員各位のさらなる御支援をお願い申し上げます。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) 町づくりは、地元の住民、事業者の熱意と行政のリーダーシップが必要だと思います。地元の皆さんの意向を十分に尊重、反映したプランをまとめ上げ、実行に移していただきたい。熊本駅は広域交通の結節点として、副都心として大いに期待が持たれておりますので、早急な対応をお願いいたします。私もJR九州の出身議員としてできる限りの御協力をさせていただきたいと考えております。またJR九州熊本支社も同様に考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
それでは次の質問に移らせていただきます。三点目に水資源についてであります。私は、地下水の問題を山の側から考え質問を行いたいと思います。
古来、人類はさまざまな形で森林から多くの恩恵を受けてきました。山は木材を生み出すだけでなく、きれいな空気を与え、人々に潤いと安らぎをもたらしてくれます。そして雨水の流れを和らげ、洪水を防止し、水を蓄えるという緑のダムとしての役割を持っています。近年、地球規模での森林の減少が急速に進む中で、二酸化炭素の増加による地球の温暖化や酸性雨による被害など、環境保全が大きな問題として取り上げられるようになりました。そして、山の持つ多くの公益的機能についての認識が高まり、その機能回復への要求も大きくなってまいりました。
日本の森林面積は国土の六割以上を占める森林国でありながら、世界の森食い虫と世界的に批判を受けるほど熱帯林を中心とした外材を大量に輸入しています。その量は世界の原木貿易量の四割という世界最大の輸入国であるのです。安いというだけの安易な外材の大量輸入によって、国産材は外材に押され、比率は三割まで落ち込み、国内の林業さえも衰退に追い込み、世界の森林資源を荒らし、地球環境の悪化をもたらしてきたわけです。
このように、経済優先の木材輸入自由化により世界の森林と日本の森林をも荒廃させ環境を破壊していくという、自分で自分の首を絞める状況をみずからつくってきていることを認識すべきだと思います。折しも市長が提案理由説明の中で触れられたガット・ウルグアイ・ラウンド交渉が大詰めに来ていますが、自由化によって米も農業も木材と同じようなことにならなければいいがと願うものの一人です。
話が少しそれましたが、冒頭にお話しましたように、森林は私たちが生きていく上でなくてはならない役割を担っているのです。しかし、残念ながら日本の林業は安い外材に押され、国産材価格も低迷し、悲しいかな三K職場と言われるようになり、山村の過疎化は進み、自然、山を守る人も減少してきているという危機的な状況にあります。
このような中、国は林業再建のため新しい森林計画制度を打ち出しました。それは、森林法を改正し、効果的、効率的な森林管理を行おうとするもので、民有林と国有林が一体となって流域単位に森林を管理していく、いわゆる流域管理システムと呼ばれるものです。
具体的には、来年度からスタートする予定でありますが、熊本市は白川、菊池川流域に位置しています。この流域管理システムの特徴は、森林の管理を流域単位で上流地域と下流地域の関係を意識して行おうとするもので、この考え方により下流地域の人たちの森林に対する期待を具体的な形で上流地域の森林の整備に反映させることができるというものです。例えば、大量の水を必要とする都市の上流の森林では、水源涵養能力を高めるため保安林などの森林整備の充実を図り、複層林や長伐期の施業なども取り入れるといったぐあいです。そして下流の都市住民からは、森林の整備に対する資金的な支援や参加をしてもらうといったことが考えられます。この考え方は国政の場ではことし出されたものでありますが、全国的には幾つもの自治体がこの考え方によって既に水源の森基金などの創設を行っています。
本市においてもことし三月二十六日に、熊本市を含む十六市町村における広域的な地下水保全を推進するため財団法人熊本地下水基金が設立され、水源涵養林の造成、整備に関する助成、確保や地下水涵養に関する助成等に取り組むことになっています。
そこで、お尋ねでありますが、一つに、森林・林業に対する基本的な認識をお聞かせください。二つに、現在までの地下水基金の運用の実績と今後の取り組みについてお答えください。三つに、平成元年度から開始された水源涵養林造成事業の実績と計画についてもお答えください。四つに、市営造林の現状と位置づけについてお聞かせください。
以上四点、関係局長の御答弁をお願いいたします。
〔産業局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎産業局長(竈啓一郎君) 水資源に関連いたしまして山の立場からということで、今四点にわたりましての御質問をいただいたわけでございますが、そのうち三点につきまして私の方からお答え申し上げたいと存じます。
まず第一点の森林・林業に対します基本的な認識、どういったふうに考えているのかということでございます。
ただいまも御質問の中で触れられましたように、森林の持ちます役割というものにつきましては、国土保全あるいは水資源の涵養、環境浄化等のはかり知れない機能があるわけでございまして、今や地球的規模での論議があっているわけでございます。しかしながら近年の木材不況、あるいは山村の過疎化等によりまして林地の管理低下を招いている事例もあるわけでございまして、緑のダムと言われます森林につきましても、適正な保育管理がなければ森林機能は低下し、ついには林地崩壊等の災害の発生源となるものでございます。
このような中で、本市におきましては昭和二十八年の白川大水害を契機といたしまして、流域の水害予防を最大の目的といたしました分収方式によります市営造林事業に取り組んでいるわけでございます。また、上流の森林地帯の恩恵を熊本市は最大限に受けているわけでございまして、こういった市民の実態からいたしましても森林資源の大切さといいますか、あるいは緑化意識というものを図る上からも、可能な場所につきましては市民参加方式によります事業推進を図っておるわけでございます。このように森林の恩恵を上流地域の人に依存するだけでなくて、下流に位置します本市みずからが上流地域において造林事業を実施するということが責務であるというふうに基本的に認識しているわけでございまして、さらには地域の林業の活性化につながるような方策というものを十分考えながら事業推進を図っていかなければならないというふうに考えております。
第二点の水源涵養林造成事業の実績と今後の計画でございます。
市制百周年記念事業の一環として水源涵養林の造成が大津町を中心として始まったわけでございますが、この計画につきましては平成元年度から五カ年計画で面積百ヘクタールを造成するということにしているわけでございます。この事業につきましては御承知のとおり、市民参加の記念植樹祭というものを平成元年度に実施いたしまして現在で二カ年過ぎたわけでございますが、その二カ年の中で三十八ヘクタール、それから本年度中にあと二十二ヘクタールを造成いたしまして、さらに平成四年、平成五年の二カ年間で四十二ヘクタールと、大体目標の百ヘクタールを超える実施可能の土地の確保もできたわけでございます。今後とも水源涵養林造成事業の重要性を認識いたしまして、さらにこの計画の後の第二次計画といいますか、これにつきましてもあわせて今後検討してまいりたいというふうに考えております。
それから、市営造林の現状と位置づけでございます。
これは先ほど申し上げましたように、二十八年以降、阿蘇、菊池、あるいは熊本市内におきまして造林事業を続けてきたわけでございまして、先ほど申し上げました水源涵養林を含めまして四百八十四ヘクタールを造成しているわけでございます。その中には二十五年生以下の林地が多くを占めておりまして、下刈り、除伐、間伐、枝打ち、こういった保育事業につきまして地元の森林組合にお願い申し上げまして行っているところでございます。ただ、この造林地が非常に広範に所在いたしますために、各造林地につきましては巡視員を配置いたしまして定期的な御報告をいただいております。また本年四月に農業振興課の中に林務係を設置させていただきまして、専門職員の適時の巡回を行って適正管理に努めているところでございます。
市営造林の位置づけといたしましては、第一点が分収方式で実施しているということで、やはり経済林としての位置づけがあるわけでございまして、それから森林の持つ公益的機能の高度化によりまして、所期の目的でございます治山治水あるいは環境保全林としての役割、さらに市営造林地の約九割が地下水涵養域内に所在しておりますために、水源涵養林としての機能も基本的な役割であろうかというふうに考えているわけでございます。
なお、金峰山一帯につきましては、こういった機能に加えまして、本市の貴重な市民の保健休養の場といいますか、そういった機能もあるわけでございまして、昭和五十九年度よりふれあいの森林づくりも実施しているところでございます。ただいま議員御指摘いただきました点につきましては、今後とも十分留意いたしまして林業の活性化に努めてまいりたいというふうに考えております。
〔保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎保健衛生局長(後藤勝介君) 私の方から地下水基金に関係しますことについてお答え申し上げます。
ただいま御紹介がございましたように、財団法人熊本地下水基金は、熊本市及び周辺の十五市町村が広域的地下水保全対策に取り組むことを目的といたしまして本年三月に設立されたものでございます。財団で取り組みます事業といたしましては、水源涵養林の造成整備に関する助成並びに確保事業、地下水涵養に関する助成事業、地下水保全に関する普及啓発事業等がございます。本市といたしましてはこの事業促進のための資金といたしまして、平成六年度までに七億円の出捐を予定しておるところでございます。なお、平成三年度までにそのうちの二億八千万円を出捐いたしております。
基金の活用状況でございますが、本年度が実質的に初年度でございまして、いまだ十分の事業をしておらないところでございます。まず資金の運用につきましては、十一月末日現在で約一千二百三十一万円の運用利息が見込まれております。そのほか民間の三団体から二百六十万円余りの寄附が寄せられておるところでございます。また実際の事業といたしましては、この基金に加入していただいております関係市町村において実施されております小型合併処理浄化槽の設置事業に対しまして助成を行うことになっておりまして、植木町、城南町、宇土市など六市町村分といたしまして七百六万四千円の補助が決定されておるところでございます。また、この基金の中心的事業として位置づけられております水源涵養林整備事業につきましては、助成事業に取り組むための準備が進められているところでございます。なお、その他の事業につきましても逐次実施に移していかれるものと考えております。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) それぞれ事業ごとに努力をされておりますので、今後ともさらなる事業の推進に御努力をお願いいたしながら、今森を守るということで一番心配なのは守る人がいないということであります。幸いにしてただいまお聞きした市有林、水源涵養林については適切な管理が行われているようでありますが、山全体を見た場合に、現実の姿は管理の行き届かない森林が多いのではないかと思います。
森林は、山村の人々の林業経営の一環として守り育てられてきたものでありますが、近年の林業不振、山村の過疎化によって、森林の恵みを受けるためには山村の人々の努力のみに頼ることができなくなってきているのです。だからこそ、恵みを受ける側からの森林づくりへの参加が必要であるのです。そういった意味では、財団法人熊本地下水基金の事業を実施していくということは、恩恵を受ける側からも森林づくりを進めていくということになります。現在、発足したばかりということで、具体的事業については検討中とのことでありますが、今後に期待をするものであります。
第六条について、水源涵養林の取得の条項で、「森林所有者が維持管理しがたい森林について、買取ることができる。」と明記をしてあります。森林の現状は、多くの小さな山村所有者の都市部への流動で不在村所有者の山林が増大をしています。熊本市の涵養地域の不在村所有地の買い取り、または借り入れによって維持管理を行うことを検討課題の柱に据えていただくことを強く要望をしておきます。
次に第七条、「地下水保全に関する普及啓発に関する事業を企画、実施することができる。」という条項があります。これほど環境問題が社会化をし、環境保全が叫ばれていても、残念ながら山への産廃不法投棄、空き缶の投げ捨てなど後を絶たない状況にあります。さらに啓発活動の強化が必要であると考えます。幸いにして小学校の社会科の教科書には、十数年ぶりに森林と環境の問題が掲載をされ、学校教育の場でも十分に活用され、小さいころからの環境教育による意識高揚を期待しているところであります。また市民への啓発の方法として、各部局でこれまでもいろいろな努力がされてきています。今後、基金の事業とあわせて、統一的にみどりの日に環境についてのイベントを計画したらいかがかと考えます。内容はシンポジウム、展示、講演会、自然との触れ合いとしてオリエンテーリング、森林浴、バードウオッチングなど、水、ごみの問題なども含めたアピールを統一的に行ったらどうかと思います。もし現在計画中のものがあればお答え願いたいと思います。
また、このような地下水保全のための事業を進めるためには、現在の五カ年計画、七億円の基金では不十分だと思います。お隣の福岡県のように電力会社等民間企業の参加も要請されてもっと基金を大きくし、公益的機能の回復にもっと力を注がなければならないと考えます。そうでなければ、私たちが生きていく上で欠かすことのできない空気、水を失ってしまうことになるのです。全力を挙げて取り組みを進めなくてはならないと考えます。保健衛生局長のお考えをお聞かせください。
〔保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎保健衛生局長(後藤勝介君) 私の方から二点お答えを申し上げます。
まず最初に、環境啓発事業の件でございます。
ただいまいろいろお触れいただきましたように、環境問題が大きな社会問題となりまして、毎日のようにいろんな形で取り上げられています割には具体的な成果がなかなか上がっていないというのが現実でございます。私ども保健衛生局といたしましては、緑に対する関心を深めるための植樹祭、環境美化活動としてのクリーン大作戦、水に対する意識の高揚を図るためのウオーターフェアなどの啓発事業に今日まで取り組んでまいっているところでございます。これらの啓発事業をさらに効果的なものにするために統一的な事業にしたらどうかというような御提案だと思いますが、私どもといたしましては、今日までのこれらの事業の効果も見きわめますとともに、さらに地下水基金において実施される啓発事業との連携も考えながら検討してみたいと考えております。
それから、地下水基金に企業等の参加を呼びかけたらどうかということでございます。
今お話がございましたとおり、近代文明が森を食いつぶしているという現実を私どもは厳しく受けとめる必要があると考えております。森林の破壊が私どもの生存そのものを脅かすことになるという意味で、森林の保全整備は、行政はもちろんでございますけれども、民間企業や市民が一体となって取り組んでいかなければならない問題と考えております。熊本地下水基金は設立されて日も浅く、実動はこれからというところでございますが、この設立に賛同されました民間の企業一社及び二つの団体から貴重な御寄附をいただいているところでもございます。ただいま申されました民間企業の参加等に関しましては、今後財団当局とも十分相談を行いまして取り組んでまいりたいと考えております。
〔産業局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎産業局長(竈啓一郎君) 保健衛生局長のみどりの日に関連いたしまして若干補足をさせていただきたいと思っております。
このみどりの日の創設がございまして以来、農林水産部の方で、農協、花市場、それから生花商組合等の御支援をいただきまして、実は花のフェスティバルを開催させていただいているわけでございます。緑の大切さというものを──時期的に、これは植樹式をやる時期とはちょっとずれておりますので、そういった意味におきましていわゆる花を中心としたイベントを行っているわけでございます。またそのほか植木市とかいろいろやっているわけでございますが、今後みどりの日の趣旨を私どもも考えまして、この行事のさらなる拡大に努めてまいりたいと思っております。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) いろんな形で市民総参加の環境を考える日があっていいと思います。ぜひ、そういった意味でも御検討をよろしくお願いいたします。
地下水基金についても、今後森林を守るということは、私たち恩恵を受けている下流の者についても大変な意義があるということで、地下水基金の今後のさらなる援助体制ができますようによろしく御努力をお願いいたします。
中国のことわざに「飲水思源」というのがあります。これは、水を飲む人はその源に思いをはせ、それが井戸水であるならばその水を探し当て、それを掘った人の苦労を思えの意味であります。私たちも水を飲む際に、地下水の源に常に思いを寄せながら生きていかなければならないと思うわけです。その視点に立って水を守っていかなければなりません。さらなる事業推進を強く要請をいたしまして、次の質問に移ります。
四点目に、その他の項で三点にわたって質問をいたします。
最初に、高齢者や障害者にやさしいまちづくりについてお尋ねいたします。
高齢化社会の到来が叫ばれる中で、全国の自治体、国は、かつて経験したことのない対応や新しい施策の展開が強く求められています。特に子供を初め高齢者、身障者は多くの場合、社会的には弱者として扱われがちであります。高齢者の中でも、病気で在宅ケアが必要な方、あるいは病院等施設での治療、療養が必要な方、いろいろな方々がいらっしゃいます。世界一の長寿国となった我が国には、健康に恵まれた高齢者、また長年のうちに養われた知識、技能、経験を持っておられるすばらしい方々がたくさんいらっしゃいます。したがって、そのような方々にはいろいろな方面においてその経験を生かしていただき、社会参加型の生きがいの持てる社会づくりを進めなければならないと考えます。
高齢者や障害者にやさしいまちづくりの中で、身障者等の方々のためには、昭和五十年から身体障害者福祉モデル都市の指定を受け、歩道の段差の解消や歩道の盲人用カラーブロック、盲人用音響式信号機の設置を初め、公共施設においても車いすで利用できるよう施設の改善、福祉副読本の配布など、ハード面、ソフト面での対応がなされていることはお聞きをしております。しかし、まだまだ高齢者、身障者の皆さんが安心して通れる状況にはほど遠い感じがいたします。そうした中で、六月議会では調査予算が計上され、九月議会で動植物園畜舎改造並びに市民会館会議棟玄関ドア改修の予算が組まれたわけでありますが、現在までの調査状況、進捗状況はどうなのか、今後の計画はどのように進められるのか、あわせて、今後の高齢者や障害者にやさしいまちづくりはどの範囲までの環境整備を考えていらっしゃるのかをお尋ねいたします。
またお聞きしたところ、本市にはハード面でのマニュアルがないとのこと、確かに建築基準法がありますが、本市には本市独自のマニュアルがあってよいと考えますが、どのようにお考えになりますか。
それから一つ、私が改善してもらいたいことがあります。それは歩道の盲人用タイルについてであります。町を歩いていてだれもが敷設してあることは御存じだと思います。盲人用タイルの敷設がその都市の福祉に対する姿勢の一つの指標になるのではないかとも考えるわけでありますが、現在の熊本市の歩道における盲人用タイルの敷設状況は、磁器タイルの舗装部分では満足いく状態であると思いますが、それ以外の部分では、これで盲人用タイルの役目ができているのかと思えるようなものがあります。
例を挙げてみますと、県道ではありますが、ことし竣工した歩道で、八丁馬場電停から神水橋電停までの区間、約四百メートルの距離でありますが、直線の歩道部分でありながら直角に三十二カ所にわたって方向転換をしなくてはならないように施工されています。これは通行できる排水溝のふたの上でありながら、盲人用タイルはそれをよけて敷設をされているからです。設計がそうなっていたのか、施工が面倒だったからそうなったのか、いずれにせよ非常に不親切であり、用をなしていないと思います。市道においても同様の箇所が幾つも見られます。ぜひ、このことも調査の上改善を要望いたします。
この例のように健常者の感覚では気づかないことが多々あります。今後の施策として、高齢者、身障者の皆さんの意見を聞きながら、高齢者や障害者にやさしいまちづくりの実現に向け対処をお願いするものであります。市民局長の御答弁をよろしくお願いいたします。
〔市民局長 坂西奏一君 登壇〕
◎市民局長(坂西奏一君) 高齢者、障害者にやさしいまちづくり事業、特に調査の進捗状況、今後の計画、事業の範囲、独自マニュアルの作成についてのお尋ねでございます。一括してお答えを申し上げたいと存じます。
高齢者、障害者にやさしいまちづくり事業は、御案内のとおり本年四月の県市連絡会議での合意を受けまして、六月議会で公共建築物の実態を把握するための調査経費をお願いをいたしたところでございます。現在その調査を進めているところでございます。調査は、市民に身近かな公共施設百施設について段差や手すりの有無、自動ドア、あるいは身障トイレ、エレベーターの有無など、きめ細かな利用する人の立場に立った施設の点検調査を実施したところでございます。特に利用度の高い代表的な施設につきましては高齢者や障害者の方々にも実地調査に御参加をいただき、大変貴重な御意見をいただいたところでございます。調査は大学の研究機関と協力して進めてまいりました。間もなく結果がまとまる予定でございます。調査結果を受けて関係部局とも十分連携を図りながら、本市独自の高齢者、障害者にやさしいまちづくりの整備指針を策定したいと、このように考えております。
なお、環境整備の範囲でございますが、高齢者や障害者の方々が安心して生活することのできるやさしい町を実現しますためには、公共建築物だけでなく道路や公園、公共輸送機関などすべてがやさしく配慮されることが必要であろうと思うのでございます。お尋ねの趣旨を踏まえまして関係部局と緊密な連携のもと、高齢者や障害者の方々が熊本に住んでよかったと心から喜び合えるようなやさしい町の実現に努力を重ねてまいりたいと、このように考えております。
事業の推進に当たりましては、県市が一体となり、また国にも働きかけをしていかなければならないと、このように考えております。なお、高齢者、障害者にやさしいまちづくり事業の第一弾といたしまして、心身障害者の方々の永年の悲願でございました入浴施設を希望荘に設置すべくただいま準備をいたしているところでございます。
なお、最後の歩道のタイルの敷設でございますが、県道部分につきましては早速県と御相談を申し上げたいと、このように考えております。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) ありがとうございました。非常にすばらしい町づくりの概要が今まとめられようとしております。ぜひ今後ともその方向で町づくりの推進を行っていただきたいというふうに考えます。
次に、私の住む地元若葉の問題について二点。
若葉小学校の通学路についてであります。
秋津町秋田の秋津市営団地と秋津レークタウンは、緩衝地域のため、秋津小学校と若葉小学校に通う児童がいます。該当児童数は二百四十八名、秋津小学校に五十二名、若葉小学校百九十六名、約一対四の割合で通学をしています。今回取り上げますのは、この秋津市営団地と秋津レークタウンから若葉小学校間の通学路の問題に関してであります。百九十六名の児童が通常利用する通学経路は、レークタウンからことし整備いただいた小川の橋を渡り、西無田橋から市道を経由して学校へ行くというもので、通勤、買い物にもこの経路を利用する市民が多いようであります。そこで三点についてお尋ねをいたします。
一つに、西無田橋から市道までの間、明かりがないため防犯上の問題から父兄の中からも心配の声が出されています。早急に防犯灯の設置が必要と考えますがいかがでしょうか。
二つに、西無田橋は指定許可車両の通行しかできないように時間制限になっていますが、現状は一般車両の通行が頻繁に行われ、幅員二・五メートルの橋の上はまさに危険状態であります。取り締まりの強化とともに、車両通行どめの規制などの対処が必要と考えますがいかがでしょうか。
三つに、水害時期には浸水の常襲地帯でありまして、市道も冠水をいたします。事故防止の面からも早目の通報が必要であります。道路掲示板の設置等の措置が必要と考えますがいかがでしょうか。
以上三点、教育長の御答弁をお願いいたします。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) 若葉小学校の通学路整備についてのお尋ねでございます。教育委員会では、通学路の整備につきましては、学校やPTAなどから整備要望を受けましたら現地調査を行いまして、その整備内容により各関係機関へお願いし、安全確保を図っているところでございます。
そこで、議員お尋ねの第一点目の西無田橋から市道までの間の防犯灯の設置と、それから三点目の水害時の道路掲示板等の設置についてでございますが、これにつきましては付近農耕者とのコンセンサスが必要な場所でもございます。その改善策なども含めまして検討の上、関係部局へお願いし、安全確保を図ってまいりたいと存じます。
第二点目の西無田橋の交通規制でございますが、現在七時三十分から八時三十分まで規制がなされておるところでございますが、違反車両もあるようでございますので、この件につきましては所轄の警察署へ取り締まりの強化等をお願いしてまいる所存でございます。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) 一点目の防犯灯設置については、農産物育成の問題からも難しいかというふうに思いますけれども、子供たちの安全確保のためです。常時点灯が困難であれば、日没の早い冬場の点灯だけでも強く要望をいたしておきます。いずれの問題も児童の安全に関する問題でありますので、ぜひとも早急な対応をよろしくお願いいたします。
次に治水対策についてであります。
それぞれ、各議員からも出されておりますように、本市は都市型水害と呼ばれる浸水が梅雨の時期になりますとあちらこちらで発生を見るわけであります。私の地元若葉校区も例外ではなく、秋津都市下水路の改修は地域の大きな課題の一つになっております。御存じのように、秋津都市下水路は東町、秋津、若葉地域の雨水を排水しており、大雨が降れば、処理できない雨水は県道熊本高森線を初め生活道路にあふれ出し、道路が川と化し、毎年床下・床上浸水の被害を受けられる家庭が多く、何とかしてくれという切実な訴えが長年続いてきています。これまでも何回もの改良工事が行われてまいりましたが、解消に至っておりません。本市の
マスタープランにも、災害に強い安全な都市の形成とうたわれていますように、抜本的な対策が早急に望まれるわけであります。考えておられる施策、またその実施時期について、都市局長の御答弁をお願いいたします。
〔都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎都市局長(本田吉継君) お答えいたします。
議員御指摘の秋津都市下水路は、東部地区の健軍町佐土原、昭和町、若葉町、秋津町秋田ほか約三百十三ヘクタールの区域の雨水排除を目的といたしまして昭和三十八年度に事業認可を受け、一期工事として加勢川の吐き出し口から県道高森線までの約一千五百メートルを昭和四十一年度までに整備し、さらに二期工事として県道高森線から健軍町山ノ神までの区間約二千四百メートルを昭和五十年度から五十六年度にかけて整備したものでございます。しかしながら、当時といたしましては大き過ぎるのではないかという地域の人々の声がございました水路も、集水区域の急速な都市化に伴いまして、この区域の唯一の施設であるこの水路に雨水が集中し、一部の地区で浸水被害が生じておりまして、住民の皆様に御迷惑をおかけいたしております。
そこで、このような水害を解消するため、昭和五十六年度から水路の部分的拡幅、カーブ箇所の改良、落差工の改良、溢水防止のためのパラペットの設置などを行ってまいりましたが、豪雨時には溢水による被害が生じているのが現状でございます。水路の沿線には住宅が密集しておりますので、水路の拡幅などの能力アップは不可能でございまして、抜本的対策といたしましては、ピーク時の水量をカットする雨水調整方式以外にはないと考えているところでございます。しかしながら、大量の雨水貯留が必要でございますので、かなり大きな規模の施設になろうかと思われます。したがいまして建設省の補助事業とするため、現在水理解析、規模、建設場所の選定などの調査を発注する準備を進めているところでございます。
〔八番
佐々木俊和君 登壇〕
◆八番(
佐々木俊和君) これまでも対策として言われてきた調整池などの建設に向けて具体的に動き出したという御答弁をいただいたかというふうに思います。大変ありがとうございました。今後は、一日も早い着工、竣工に向け、さらに御努力をお願いをいたします。
本日の初質問を行うに当たり、日ごろの勉強不足を痛感しているところであります。これからもさらに勉強を重ね、市勢発展のため、微力ではありますが全力を尽くしていく決意であります。今後とも、執行部並びに先輩、同僚議員の皆様の御指導を賜りますようよろしくお願いいたします。
最後に、長時間にわたり御清聴いただきました皆様に感謝を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
──────────────────
○副議長(西田続君) この際、議事の都合により休憩いたします。
午後二時に再開いたします。
午前十一時三十二分 休憩
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午後 二時 三分 再開
○議長(嶋田幾雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
──────────────────
○議長(嶋田幾雄君) 質問を続行いたします。鷲山法雲君。
〔十二番 鷲山法雲君 登壇 拍手〕
◆十二番(鷲山法雲君) 自由民主党の鷲山法雲でございます。質問の機会を与えてくださった先輩議員初め議員各位に厚く御礼を申し上げます。
しんがりを賜っての十番目の登壇でございます。大変お疲れのこととは存じますが、御清聴をよろしくお願いしますとともに、執行部におかれましては、本議会での初めての登壇ですのでスムーズに参らないこともあろうかとは思いますが、明快な御答弁をどうぞよろしくお願いします。
さて、さきの十九号台風によって本市はこれまでにない大きな被害をこうむったのであります。停電、断水、家屋や公共施設等の損壊、さらには農水産業への被害等々、災害救助法の適用を受けるまれに見る風災害でした。ここに、被災者の方々に対し心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りする次第でございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
御存じのとおり、戦後、我が国の経済は飛躍的な発展を遂げ、現在におきましても、戦後最長であるイザナギ景気を超え、五年有余の長期にわたる平成景気の中にあるわけでございます。世界経済を見ましても、先進諸国全体のGNP成長率が一九八九年の三・三%から九〇年には二・五%に減速し、さらに九一年には一・三%台への低下が予想されます。そのような中で我が国は、その成長率が九〇年度には五・七%の伸びを見せるなど、今や世界をリードする経済大国になっているわけでございます。
また、家庭電化製品、自動車などの高い普及率や、海外旅行、レジャー人口の急増などに代表される、日常生活における高度化、多様化する消費活動は、我が国の経済活動がいかに急速な進歩を遂げてきたかを物語っております。しかしながら、このような経済の発展は必ずしも直接地域や個人の真の豊かさに結びついてはおらず、生活実感として十分な豊かさを享受するに至っていない面もあるわけでございます。中でも、我々の日々の暮らしの基盤となります住宅、下水道、公園、道路などの社会資本の整備は欧米諸国に比べ立ちおくれており、この整備こそが暮らしの豊かさを実現していくに当たって克服すべき重要な課題であると考えるわけでございます。
例えば都市基盤の整備面を欧米諸国と比べますと、いまだ半分にも満たない下水道普及率、諸外国からウサギ小屋と酷評される住宅、ふえ続ける自動車台数に追いつかない道路、駐車場の容量、そして比べものにならないほど低い一人当たりの公園面積など、相対的に大きく立ちおくれているのが現状でございます。
このような中で、田尻市長におかれましては就任以来、市政の基本方針の一つとして、特に魅力ある都市環境の形成、すなわちこの社会資本の整備に力を注がれておるわけでございます。例えば、清潔な環境をつくるために最も重要な下水道事業には百二十七億円を計上され、その計画区域内の普及率一〇〇%を目指して整備を進めておられます。また、中心市街地に残る緑の拠点である立田山は、生活環境保全林として公有化を進められ、市民憩いの森の整備を図られるとともに、花の休憩所を建設、公園リフレッシュ事業を推進されるなど、ゆとりと潤いあふれる公園・緑地の市民への開放に努めておられます。さらには、市営住宅の建設、建てかえも年間五百戸という目標を打ち出されるなどなど、都市基盤の整備に積極的な取り組みをなされており、その御熱意に心より敬意を表する次第であります。まさに今市民生活を営む上で必要とされているのは、真の豊かさを実感できる快適で潤いのある生活環境ではなかろうかと思うわけでございます。
そこで田尻市長に、市民一人一人が人間本来の豊かさ、潤いを実感できる二十一世紀に向けた都市基盤整備について、その御決意をお伺いしたいと思います。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 鷲山議員にお答えをいたしたいと思います。
その前に、去る四月の統一選挙におきまして、歴史と伝統に輝く
熊本市議会に議席を得られましたことに深く敬意を表する次第でございます。
さて、お尋ねの問題でありますが、今お伺いいたしておりますと、我が国は世界をリードする経済大国にはなったものの、暮らしの上では生活の実感としての豊かさをまだ享受するには至ってない、このような趣旨でございました。私も全く同感でございます。我が国の都市は、道路の問題、公園の問題あるいは住宅、下水道、このような生活に密着した生活関連の施設が欧米諸国に比べて立ちおくれていることは事実でございまして、議員御指摘のとおりでございます。このようなことから私は就任以来、特に地域経済の活性化とともに都市基盤の整備につきましては特段の努力を、議員各位とともに取り組ませていただいたわけでございます。
例えば諸外国との例を挙げてみますと、下水道の普及率が日本では四四%、我が熊本市におきましては五三%までいっているわけでありますけれども、アメリカの七三%、イギリスの九五%、あるいは旧西ドイツの九一%に比べますとこの普及率も大変おくれていることになります。また、生活の潤い、そういう意味におきます都市公園、この一人当たりの面積も我が熊本市が六・八平米であります。東京都はわずかに二・五平米。アメリカのワシントン、四十五・七平米、イギリスのロンドンは三十・四平米、非常に高い比率でございます。きょう午前中に
佐々木議員にもお答えいたしました交通渋滞の最大のネックになっております
道路面積率でありますが、これまた熊本市は七・六%、イギリス・ロンドンの一六・六%、パリの二〇%、東京都も一三・六%でありますから、いかに我が熊本市がおくれているかということがおわかりいただけます。特に市民の生活と経済に最も関係の深い
都市計画道路の整備率でございますけれども、五三・六%でありまして、これこそ今後私ども全力を挙げて道路の整備に力を入れなければならないと。特に
都市計画道路につきましては今後全力を挙げて取り組ませていただきたいと、かように考える次第でございます。
私はこういう議員御指摘の問題につきまして、新熊本構想、この基本計画の推移によりましてこれを二十一世紀までできるだけ魅力と活力ある
都市づくりの基幹として取り組んでいきたい、こういうふうに考えているわけでございます。特に今後、福岡市あるいはまた九州のそれぞれの立派な町との競争の時代に入るわけでございます。ここで市勢発展に大変寄与されました故長野商大学長の言葉を申し上げたいと思います。「熊本市は一県庁所在地の行政都市ではなく、中央出先の多くの官庁を持つ我が国十指の行政中心都市である。」このように先生は喝破されまして、熊本市の発展こそが本県の地域振興につながると、このように言っておられるわけでありまして、私どもはこのように我がふるさと熊本に限りない愛着と誇りを感じているわけでございまして、今後議員各位とともに全力を挙げて市勢発展に取り組んでまいりたいと、かように決意を新たにいたしているところでございます。
〔十二番 鷲山法雲君 登壇〕
◆十二番(鷲山法雲君) 御答弁ありがとうございました。ただいまの田尻市長の熱意あふれる御決意を拝聴し大変意を強くした次第でございます。
次に、市民生活の向上に不可欠な都市基盤整備の中で、特に公園・緑地についてお尋ねします。
公園・緑地は、子供たちが一番伸び伸びと遊べる場、市民が気軽に利用できるスポーツ・レクリエーションの場であり、また散歩や憩い、触れ合いの場として、そこにいるだけでも安らぎを与えてくれる貴重なオアシスであり、市民の心身の健康の維持増進に大きな役割を果たしているものでございます。また同時に、災害時においては住民が避難するオープンスペースとして役立つばかりでなく、災害の拡大を防止し、その緑は大気汚染、騒音などの公害を和らげるなど極めて重要な機能を持った施設でもあります。
この公園・緑地の整備事業につきましては、古くは大正十三年の水前寺運動公園の建設に始まり、現在まで土地区画整理事業や開発行為、あるいは用地買収などによる公園の整備、開設を進め、ゆとりと安らぎのオープンスペースの確保に努めておられるところでございます。また、公園として絶好の場所にありながら何か利用しにくい暗いイメージであった既存公園も、公園リフレッシュ事業による再整備が図られており、堂免公園、泉ケ丘公園、西岸寺公園などは、既に見違えるような明るく美しい公園へと生まれ変わっております。しかしながら、本市の市民一人当たりの都市公園面積は平成二年度末で六・八平方メートルであり、国においての整備目標の五・八平方メートルは上回っているものの、九州主要都市の中では中間に位置するにとどまっており、全国の類似都市と比べましても決して高いとは言えないのが現状でございます。
また先ほど申し上げましたように、社会資本整備の先進国であります欧米諸国と比べますとかなり低く、本市と大体同じ程度の人口を有しておりますサンフランシスコに至っては、何と本市の約六倍となっております。これらの他都市とは、面積、地形などの諸条件に違いがございますので一概には申せませんが、森の都熊本としましては少々寂しい気持ちがいたすわけでございます。
また近年は、余暇時間の増大に伴いますレクリエーション需要の多様化、高度化が著しく、特に公園・緑地に対する市民のニーズは極めて大きなものとなっております。住区公園の計画的、系統的配置、遊具、施設などの整備充実はもとより、緑や水などの自然環境を生かした公園・緑地の整備も重点的に進めるべきではないでしょうか。
子供たちが伸び伸びと遊び、かつ自然観察、学習のできる場、またお年寄りが毎日安心して散歩や体操ができる場、休日には家族連れが弁当を広げ、のどかな時を過ごせる場、そのような自然との触れ合い、憩いの場の創出こそが、単に至るところに緑があるというだけではなく、名実ともに森の都熊本にふさわしい姿ではなかろうかと思うわけでございます。
また、先般策定されました新熊本構想の将来都市像、水と緑の人間環境都市の中にありますように、人と自然が共生する、ゆとりや潤いのある良好な環境の都市の実現のためにもこのような整備がぜひ必要ではないかと考える次第であります。さらに、この平成三年度は建設省の第五次都市公園等整備五カ年計画の初年度でもあり、旧飽託郡四町も含め、さらに総合的、計画的な整備を図っていかれるものと大きな期待を寄せているわけでございます。
そこでお尋ねいたします。この第五次五カ年計画における今後の整備方針と、その具体的内容はどのようなものなのでしょうか。また、計画期間は平成三年度から七年度まででございますが、その達成見込みはどうでしょうか。
さらにあわせてお尋ねいたします。このように、さらなる整備が望まれております公園・緑地の中で、特に市民に親しまれており本市の貴重な財産でもあります水前寺江津湖公園についてでございます。
水前寺江津湖公園は、本市を代表する観光名所の水前寺成趣園から下江津湖に至る市内唯一の広域公園であり、この一帯は特にアメニティの高い重要な景勝地でありますとともに、清らかな湧水に恵まれ、多くの魚介類、野鳥、動植物をはぐくんできた自然の宝庫でもあります。
そのような観点から、この水前寺江津湖公園の百二十六・五ヘクタールについては、昭和四十八年から本格的整備を始めておられ、当該地区を五地区に分け、それぞれのテーマを持って現在も整備が進められておりますのは御案内のとおりでございます。本年度は、その一地区であります動植物園内に花の休憩所が完成するとともに、湖畔の遊歩道などの整備も進められ、多くの市民や観光客が自然の中で触れ合い、美しい花々や珍しい樹木に感動を覚えられたものと高く評価しております。そこで、この水前寺江津湖公園の整備計画全体における現在の進捗状況及び今後の整備計画はどのようになっているのでしょうか。
以上二点につきまして都市局長にお尋ねいたします。
次に、江津湖の環境問題についてでございます。
このような公園整備が進む一方では、江津湖の湧水量の低下、水質汚染、堆積するヘドロの問題などが深刻化しているのも現状でございます。「うき草の寄する汀や阿蘇は雪」本市の名誉市民であります中村汀女先生が江津湖を詠まれた句であります。このように、かつてはこんこんとわき出る地下水がその湖面をたたえ、多くの動植物をはぐくみ、水鳥たちが羽を休めた美しい水辺は、現在、上流からの家庭雑排水やごみ、土砂などの流入により随分さま変わりしました。これらの問題につきましてはこれまでも議員各位や関係諸団体からこの江津湖の再生を願い、幾多の御提言、御要望がなされてきたところでございます。江津湖は市民の貴重な一大オアシスであるとともに、自然動植物の重要な生態系を形成しており、学術資料の宝庫でもあります。これらを保全、復元し、後世へと継承していくのは市民全体の切なる願いであり、大きな責務ではなかろうかと思うわけでございます。
そこで、最近の江津湖の水質及び湖底の汚染の実態とその原因についてお尋ねいたします。
また、この江津湖の自然を守り修復していくために、その方策の一つであるヘドロのしゅんせつは急を要する課題であると考えるものであります。湖底に堆積したヘドロを江津湖の生態系に配慮した手法で除去し、往年の満々と水をたたえた湖に再生できないものでしょうか。江津湖のしゅんせつ事業は県の河川事業として実施すると聞いておりますが、その後の対応はいかがなっているのかお聞かせいただきたいと存じます。