北九州市議会 > 2020-12-01 >
12月01日-01号

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  1. 北九州市議会 2020-12-01
    12月01日-01号


    取得元: 北九州市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-08-02
    令和2年12月 定例会(第4回)議 事 日 程 (第1号)                          令和2年12月1日(火曜日)午前10時開会(開 会) ○ 諸報告  1 常任委員会の所管事務調査の報告について  2 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会の所管事務調査の報告について  3 職員の給与等に関する報告  4 報告第27号 専決処分の報告について  5 報告第28号 北九州市文化振興計画の計画期間の延長の報告について  6 報告第29号 北九州市スポーツ振興計画の計画期間の延長の報告について  7 報告第30号 北九州市人権行政指針の第2次改訂について  8 議員の派遣の報告について  9 陳情の付託について第1 会期の決定第2 議案第151号 北九州市社会福祉施設の設置及び管理に関する条例の一部改正について第3 議案第152号 北九州市国民健康保険高額療養資金貸付基金条例の廃止について第4 議案第153号 北九州市道路占用料徴収条例の一部改正について第5 議案第154号 北九州市普通河川管理条例の一部改正について第6 議案第155号 北九州市準用河川占用料等徴収条例の一部改正について第7 議案第156号 北九州市火災予防条例の一部改正について第8 議案第157号 戸畑枝光線(牧山枝光間)橋梁上部工製作架設工事(30-9)請負契約          の一部変更について第9 議案第158号 小池特別支援学校改築工事(第1)請負契約締結について第10 議案第159号 当せん金付証票の発売について第11 議案第160号 市道路線の認定、変更及び廃止について第12 議案第161号 土地の取得について第13 議案第162号 土地の取得について第14 議案第163号 指定管理者の指定について(北九州市立男女共同参画センター)第15 議案第164号 指定管理者の指定について(北九州市立曽根臨海運動場)第16 議案第165号 指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園          等) ~  ~第27 議案第176号第28 議案第177号 指定管理者の指定について(北九州市立小倉北ふれあい保育所等) ~  ~第32 議案第181号第33 議案第182号 令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)第34 議案第183号 令和2年度北九州市国民健康保険特別会計補正予算(第3号)第35 議案第184号 令和2年度北九州市卸売市場特別会計補正予算(第2号)第36 議案第185号 令和2年度北九州市渡船特別会計補正予算(第1号)第37 議案第186号 令和2年度北九州市土地区画整理特別会計補正予算(第3号)第38 議案第187号 令和2年度北九州市港湾整備特別会計補正予算(第1号)第39 議案第188号 令和2年度北九州市土地取得特別会計補正予算(第2号)第40 議案第189号 令和2年度北九州市介護保険特別会計補正予算(第2号)第41 議案第190号 令和2年度北九州市学術研究都市土地区画整理特別会計補正予算(第1          号)第42 議案第191号 令和2年度北九州市後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)第43 議案第192号 令和2年度北九州市公営競技事業会計補正予算(第2号)第44 議案第193号 北九州市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について第45 一般質問(散 会)会議に付した事件日程第1 会期の決定日程第2 議案第151号から日程第44 議案第193号まで日程第45 一般質問出席議員 (55人)   1番 三 原 朝 利  2番 佐 藤 栄 作   3番 吉 村 太 志  4番 田 中   元   5番 吉 田 幸 正  6番 上 野 照 弘   7番 田 仲 常 郎  8番 宮 﨑 吉 輝   9番 井 上 秀 作  10番 佐々木 健 五   11番 中 島 慎 一  12番 鷹 木 研一郎   13番 村 上 幸 一  14番 山 本 眞智子   15番 木 下 幸 子  16番 渡 辺   徹   17番 村 上 直 樹  18番 中 島 隆 治   19番 渡 辺 修 一  20番 冨士川 厚 子   21番 金 子 秀 一  22番 木 畑 広 宣   23番 松 岡 裕一郎  24番 成 重 正 丈   25番 本 田 忠 弘  26番 岡 本 義 之   27番 森 本 由 美  28番 世 良 俊 明   29番 福 島   司  30番 三 宅 まゆみ   32番 中 村 義 雄  33番 河 田 圭一郎   34番 浜 口 恒 博  35番 白 石 一 裕   36番 大久保 無 我  37番 奥 村 直 樹   38番 藤 沢 加 代  39番 高 橋   都   40番 山 内 涼 成  41番 藤 元 聡 美   42番 出 口 成 信  43番 田 中 光 明   44番 石 田 康 高  45番 荒 川   徹   47番 渡 辺   均  48番 香 月 耕 治   49番 片 山   尹  50番 日 野 雄 二   51番 奥 村 祥 子  52番 佐 藤   茂   53番 木 村 年 伸  54番 西 田   一   55番 讃 井 早智子  56番 村 上 さとこ   57番 柳 井   誠欠席議員 (1人)   46番 戸 町 武 弘説明のために出席した者の職氏名 市長     北 橋 健 治  副市長        梅 本 和 秀 副市長    鈴 木   清  副市長        今 永   博 会計室長   桝 尾 美栄子  危機管理監      中 野 正 信 技術監理局長 村 上 純 一  企画調整局長     大 庭 千賀子                 総務局新型コロナウイルス 総務局長   高 松 浩 文  感染症対策室担当理事 山 本 浩 二                 市民文化 財政局長   小 牧 兼太郎  スポーツ局長     久保山 雅 彦 保健福祉局長 永 富 秀 樹  子ども家庭局長    福 島 俊 典 環境局長   富 高 紳 夫  産業経済局長     鮎 川 典 明 建設局長   東   義 浩  建築都市局長     橋 口   基 港湾空港局長 辻   誠 治  消防局長       月 成 幸 治 上下水道局長 中 西 満 信  交通局長       池 上   修 公営競技局長 上 野 孝 司  教育長        田 島 裕 美 行政委員会 事務局長   櫻 江 信 夫職務のために出席した事務局職員の職氏名 事務局長   村 地 史 朗  次長         馬 場 秀 一 議事課長   香 月 隆 久              ほか関係職員                  午前10時2分開会 △日程第1 会期の決定 △日程第2 議案第151号から、日程第44 議案第193号まで ○議長(村上幸一君) ただいまから、令和2年12月北九州市議会定例会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。 本日の議事は、お手元配付の議事日程により進行いたします。 日程に入る前に、諸報告をいたします。 各委員会から所管事務調査の報告書が提出されておりますので、それぞれの写しをお手元に配付しております。 次に、市長及び人事委員会から5件の報告があっております。なお、それぞれの写しは各議員宛て送付しておりますので御了承願います。 次に、お手元配付の議員派遣変更報告一覧表及び議員派遣報告一覧表記載の5件については、議長において変更及び決定をいたしました。 次に、陳情2件を所管の常任委員会にそれぞれ付託いたしました。 以上、報告いたします。 日程第1 会期の決定を行います。 お諮りいたします。会期は、本日から12月9日までの9日間としたいと思います。これに御異議ありませんか。                (「異議なし」の声あり。) 御異議なしと認めます。よって、会期は9日間と決定いたしました。 次に、日程第2 議案第151号から、日程第44 議案第193号までの43件を一括して議題といたします。 提案理由の説明を求めます。市長。 ◎市長(北橋健治君) おはようございます。ただいま上程されました議案について御説明いたします。 条例議案7件、その他の議案25件、補正予算議案11件、合計43件であります。 初めに、条例議案等について御説明いたします。 まず、北九州市社会福祉施設の設置及び管理に関する条例の一部改正については、北九州市立北方ひまわり学園を廃止するため、関係規定を改めるものです。 次に、北九州市国民健康保険高額療養資金貸付基金条例の廃止については、当該基金を廃止するものです。 次に、北九州市道路占用料徴収条例の一部改正については、道路占用料の適正化を図るため、関係規定を改めるものです。 次に、北九州市普通河川管理条例の一部改正及び北九州市準用河川占用料等徴収条例の一部改正については、普通河川及び準用河川の占用料などの適正化を図るため、関係規定を改めるものです。 次に、北九州市火災予防条例の一部改正については、対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令の一部改正に伴い、位置、構造及び管理に関する基準の対象となる急速充電設備の範囲を拡大する等のため、関係規定を改めるものです。 次に、戸畑枝光線(牧山枝光間)橋梁上部工製作架設工事(30-9)請負契約の一部変更については、当該工事請負契約について契約金額を変更するものです。 次に、小池特別支援学校改築工事(第1)請負契約締結については、当該工事請負契約を締結するものです。 次に、当せん金付証票の発売については、令和3年度において本市が発売する当せん金付証票の発売総額の範囲を定めるものです。 次に、市道路線の認定、変更及び廃止については、市道路線の整備を図るため、路線の認定、変更及び廃止をするものです。 次に、土地の取得についての2件は、小倉南区大字吉田及び門司区大字恒見に所在する土地を、それぞれ市の事業用地として買い入れるものです。 次に、指定管理者の指定についての19件は、市が設置する公の施設について、それぞれ指定管理者を指定するものです。 最後に、北九州市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正については、児童相談等業務手当を新設するため、関係規定を改めるものです。 続きまして、令和2年度北九州市一般会計、特別会計及び企業会計の補正予算について御説明いたします。 今回補正いたします予算額は、一般会計で9億3,636万円の増額、特別会計で7,863万円の減額、企業会計で369億4,993万円の増額を行うこととしており、補正後の予算規模は全会計で1兆4,340億7,378万円となります。また、一般会計において48億1,840万円の債務負担行為を設定しております。 最初に、一般会計補正予算のうち主なものについて御説明いたします。 今回の補正予算では、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応として、重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患を有する障害者などが入所する施設の入所者及びその従事者に対し、スクリーニング目的でのPCR検査を無料で実施するための経費を計上しております。 また、介護事業所などにおいて感染が発生した場合に、事業継続に必要な人員の確保などに要する経費や、市立図書館全14館にサーマルカメラを設置する経費、避難所の感染症予防対策を行うための経費を計上しております。 そのほか、子供向けの電子書籍の貸出サービスを行う子供向け電子図書館を開設、運営するための経費や、北九州市立高等学校における生徒1人1台のタブレット端末整備に必要となるソフト購入の経費などを計上しております。 次に、公共事業の施工時期平準化の推進です。年間を通じた工事量の安定化を推進し、公共工事の効率化や品質確保を図るため、道路、街路、公園、市民センター空調整備などについて、令和3年度当初から施工できるよう債務負担行為を設定します。 そのほか、令和4年春の開業を目指し、東田地区に移設する新科学館を整備するための経費や、独り親家庭が養育費不払いによる経済的な不利益を被らないよう支援するため、公正証書等の作成や養育費保証契約に係る費用に対し補助を行う経費などを計上しております。 また、人事委員会の報告に基づき、期末勤勉手当支給割合の変更を行うこととし、これに伴い一般会計及び特別会計の職員給を減額補正しております。 次に、企業会計補正予算について御説明いたします。 公営競技事業会計につきまして、モーターボート競走事業において、今年度想定を上回る発売額が見込まれるため、払戻金及び関連経費について増額を行うものです。 最後に、一般会計及び特別会計の繰越明許費については、道路、河川、街路事業などにおいて適正な工期を確保できないことや、関係機関との協議に日時を要したことなどの理由により、年度内に事業の執行ができないものについて翌年度に繰り越すものです。 以上、上程されました議案について提案理由の説明をいたしました。よろしく御審議いただきまして、御承認賜りますようお願いいたします。 ○議長(村上幸一君) ただいま議題となっております議案43件のうち、第193号については、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求めておりましたところ、お手元配付のとおり意見の申出があっております。 ただいまから質疑に入ります。 会派質疑を行います。日本共産党、43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 皆さんおはようございます。日本共産党の田中光明です。会派を代表して議案の質疑を行います。 まず、コロナのPCR検査について質問します。 この事業は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入所系の介護・障害者施設に入所している方と施設従事者に対して、PCR検査を無料で最大3回を目安に行うというものです。検査方法は希望者の唾液を採取し、委託業者が検査を行うもので、1億8,000万円が計上されています。我が党は、医療機関、高齢者施設、児童施設などの社会的検査を求めてきましたが、とりわけ入所者も検査する今回の提案は一歩前進であり、評価するものであります。 全国的には、11月に入ってコロナウイルスの感染者は過去最高を連日更新するなど、急拡大しています。感染拡大の第3波到来を直視して、検査、保護、追跡の抜本的な強化が必要です。11月16日現在、全国の医療機関での院内感染が349件、高齢者、障害者、児童施設での施設内感染が401件に達し、大阪府内では第2波以降のクラスター76件のうち、医療機関と高齢者施設等が計52件と約7割を占めています。医療機関と高齢者施設が集団感染の中心となっていることは、重症化しやすい高齢者が多いことを考えても、極めて重大な事態です。 感染拡大を抑止するためには、クラスター対策、つまり点と線での対策にとどまらず、感染急増地となるリスクのあるところに対して、無症状の感染者を把握、保護するための面の検査が必要です。また、医療機関、介護、福祉施設、保育園、幼稚園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に定期的な社会的検査を行い、感染拡大を事前に防ぐことが求められます。全国的に、第2波のピークの後の時期に検査を増やしておくべきでした。ところが、検査数を増やさなかったのです。今、日本の人口当たりのPCR検査数は世界153位です。日本医師会も、無症状の感染者も含めた検査体制の確立が必要と提言をしています。 政府の検査方針には大きな問題があります。1つは、無症状者を把握、保護するという検査戦略がないこと、もう一つは、検査のための費用の半分は自治体持ちになっているなど、自治体任せになっていることです。検査を拡充したくても、検査費用の負担が重くて二の足を踏んでいる自治体が多いのが現状であり、本市もそうではないでしょうか。 全国知事会が求めているように、全額国庫負担での検査体制をつくり、国が主導して医療機関と高齢者施設を守ることが今緊急に求められています。市として政府に対し、政府自ら主導した検査の抜本的拡大と、検査費用の国による全額負担を強く求めるべきだと考えますが、答弁を求めます。 この補正予算で行われる検査は国の補助事業には該当せず、費用負担は全額北九州市とのことです。厚労省は、医療機関、介護、福祉施設等に定期的なPCR検査を行政検査として公費で行うことについて、保健所の判断で行政検査として実施できると、我が党国会議員の質問に答えています。なぜこの事業が補助対象にならないのか。また、国に補助対象とするよう強く求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。 東京都世田谷区は、医療、介護などの関係者に対し、誰でも、いつでも、何度でもを目標に検査を開始し、幾つかの自治体が医療、高齢者施設の従事者等への検査を開始し、もしくは準備をしています。補正予算の提案は介護、障害者の入所施設の検査に限られています。医療機関、幼稚園、保育園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に、定期的な社会的検査を行う必要があると思います。とりわけ医療機関の関係者の検査が重要だと思いますが、見解を伺います。 本市による今回の介護、障害者施設のPCR検査は、施設が検査を希望する従事者と入所者の唾液を採取し、委託業者が検体を回収し、検査機関に搬送、検査機関が結果を施設と本市に報告するという流れです。検査結果から陽性者を判定するのは医師の仕事になるとのことですが、誰が判定するかが課題です。検査件数は約3万人を3回、延べ9万件という膨大な件数です。9万件を保健所の業務にすることは、過大な負担ではないでしょうか。人員不足や長時間勤務があってはならないと思います。検査結果の取扱いを誰がどのように行うのか、答弁を求めます。 行政検査について、厚生労働省は11月16日の事務連絡で、医療機関、高齢者施設等の入院、入所者は重症化リスクが高いことから、施設内感染対策の強化が重要となります。感染者が多数発生している地域においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院、入所者全員を対象に、言わば一斉・定期的な検査の実施を行うようお願いいたしますと通知しています。現時点で、本市は感染者が多数発生している状況ではありませんが、今後感染者が増加した場合、厚生労働省事務連絡が述べている、医療機関等に勤務する者、入院している方全員の検査についてどのように対応するのか、答弁を求めます。 次に、介護事業所等に対するサービス継続支援事業について質問します。 この事業は、介護事業所の利用者や職員に感染者が発生、もしくは濃厚接触者が出た場合などに、事業継続に必要な人員の確保や、消毒、清掃などの対策に必要な経費を補助するというもので、1億4,400万円を計上しています。経費は国が3分の2、市が3分の1を負担します。この事業で一番危惧されるのは、人員の確保です。介護施設が自己努力で人員確保するには限界があります。本市の支援が必要です。施設が事業継続に必要な職員を補充することに対して、市としてどのように支援するのか、答弁を求めます。 次に、人件費補正について質問します。 この議案は、本市人事委員会の報告に基づき、本市職員の期末勤勉手当の支給割合を0.05月分引き下げること等により、一般会計における職員と特別会計に対する繰出金1億451万円を減額するというものです。 人事院は10月7日、2020年の国家公務員一般職の一時金に当たる期末勤勉手当の年間支給月数について、前年より0.05月少ない4.45月とするよう国会と内閣に勧告しました。引下げは2010年以来10年ぶりで、新型コロナ感染拡大に伴う景気減退などを背景に、民間企業の一時金水準が公務員を下回ったためとしています。 北九州市人事委員会も11月9日、市長と市議会議長に、市職員の給与改定の見送りと一時金の削減などを報告しました。一時金については民間の支給月数は4.47月であるため、国に準じて期末勤勉手当の支給月数を4.45月とし、引下げ分は期末手当の支給月数への反映が適当とあります。 コロナ危機の中、市民の命と暮らしを守るために奮闘する市職員の労苦に応えるどころか、国に準じた、つまり国に言いなりの一時金の引下げは問題です。今はコロナ危機という非常時であり、従来の機械的な民間比較は適切ではありません。また、コロナ危機の下、内需主導型への経済転換も強く求められている中、今回の一時金引下げは民間の賃下げを誘発し、本市経済にとってもマイナスにつながります。市職員のやる気をそぎ、内需拡大に背を向ける、今回の一時金削減は撤回すべきと考えますが、答弁を求めます。 次に、会計年度任用職員の期末手当0.05月分引下げも問題です。過去6年間の一時金引上げは、全て勤勉手当に配分されています。ところが、今回の引下げは期末手当です。会計年度任用職員には勤勉手当はありませんので、引下げだけが押しつけられることになります。会計年度任用職員の期末手当は2.6月なので、引下げを正規職員と同じ0.05月にしたのでは、引下げ率は正規職員の1.73倍となり、正規との賃金差がさらに広がることになります。 従来、非正規職員に人事委員会勧告は適用しないできたはずです。会計年度任用職員の制度創設の目的の一つは処遇改善です。会計年度任用職員の処遇を改悪し、同一労働同一賃金にも逆行する今回の引下げは中止すべきと考えますが、答弁を求めます。 以上で第1質疑を終わります。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 田中光明議員の御質問にお答えいたします。 まず、新型コロナ対応であります。 現在の本市の新型コロナウイルス感染状況は、新規の陽性患者が13日間連続発生し、福岡県内においても増加傾向が続いています。予断を許さない状況であります。警戒感を持って注視していかなければならないと考えています。 これまで市民、企業などの皆様の御協力をいただいて、新型コロナウイルス感染症対策を進めてまいりました。今後も引き続きマスクの着用や小まめな手洗いなど、感染防止対策の徹底をお願いしたいのであります。 本市におきましては検査体制を強化するため、保健環境研究所をはじめ民間検査機関や医療機関とも連携し、国の補助メニューを活用しながら検査機器の導入を進めております。また、身近なかかりつけ医などでPCR検査ができる体制を構築するなど、着実に市内の検査能力の向上を図ってまいりました。 こうした中で、市内の複数の介護施設においてクラスターに発展する事例が見られたことから、施設内の感染拡大を防止し、安全な施設運営を行う支援策が必要と考えました。その対策の一つとして、今回行政検査とは別に介護施設や障害者、障害児施設、合計約340施設の入所者及び従事者、合計約2万9,000人を対象にして、希望によってスクリーニング目的で検査を行うことといたしました。実施に当たっては、本市の行政検査能力をひっ迫させないために、現在1日約4,000件の検査能力を持つソフトバンクグループの子会社である新型コロナウイルス検査センター株式会社と連携して実施することとしました。 議員御指摘の医療機関など従事者を対象として実施する社会的な検査につきましては、現在の検査能力を勘案すると、現状において対応することは難しいと考えております。この検査は事業者の意思に基づいて実施されるスクリーニング目的の検査であります。国の指針にある感染多発時の一斉、定期的な行政検査とは性質が異なります。したがって、国の補助対象とはなりません。 また、行政検査以外として、高齢者などが医療機関等で検査する場合に、検査費用の一部を助成する国の補助事業におきましても、本市のように入所施設で一律に検査を行う場合は、現状で補助対象となっていないことから、この事業の対象となるよう国に対して働きかけは行っていきたいと考えます。 この事業の検査結果からの陽性者の判定については、保健所などの医師が行うこととしておりますが、陽性が疑われる場合のみ対応することとしております。このため、保健所の大きな負担増加にはつながらないと考えています。今後とも活用できる民間検査の対応能力や保健所の業務負担を考慮しながら、適宜適切なPCR検査の実施に努めてまいります。 次に、介護施設における職員の補充につきましてであります。 重症化リスクの高い高齢者が集団で生活する介護施設では、サービスの提供を維持、継続するため、日々感染防止対策に努力していただいております。介護施設がサービス提供を継続できるよう、マスクやアルコール消毒液などの物資やクラスター発生時の人員確保への支援は重要と考えております。 6月議会では補正予算案、サービス継続支援事業を提出し、感染症が発生した施設が自ら対策を行う際に必要となる消毒、衛生用品の購入、人員の確保等の費用について、国の補助を活用した支援策を設けております。この議会におきましても追加の補正予算案を提出させていただいております。しかし、市内の介護施設におきましては、これまで複数のクラスターが発生しており、職員体制のひっ迫により事業継続に影響を与えかねない事案も生じております。 こうした中、緊急時におきましては、施設が自らの努力で人員を確保することには限界があり、施設、法人を超えた職員応援の仕組みを構築する必要があると感じておりました。そこで、市独自の支援策として、介護施設への職員の応援体制を構築することを盛り込んだ補正予算案、感染症対策強化事業を9月議会に提出し、可決いただきました。その後、北九州高齢者福祉事業協会と具体的な支援の枠組みについて協議を重ね、このたび協議がまとまりました。職員の派遣に関する協定の締結に至りました。11月27日に締結であります。 協定の内容としましては、市の依頼を受けた協会が職員派遣に係る調整を行い、協力いただける施設からあらかじめ登録された職員を派遣するものであります。市の役割でありますが、市は協会と連携して、派遣職員に対する感染防御のための事前研修や、協力施設及び派遣職員への謝礼の支出、派遣職員に対するPCR検査などを実施することにしております。 協定の成果でありますが、この協定の締結によって、クラスターが発生した介護施設において、施設、法人を超えた職員の迅速な確保が可能となります。今後とも介護施設に対する感染防御や事業継続への支援を重層的に行っていくことで、サービスが継続して提供できるよう取り組んでまいります。 残余の質問は、関係局長からお答えさせていただきます。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 政府に対して、国が自ら主導した検査の抜本的拡大と検査費用の国による全額負担、これを強く求めるべきという質問に対して、まず御答弁させていただきます。 国はこれまでも検査体制の拡充に向けた指針に基づきまして、検査能力の増強、検査手法の拡大、検査の連携体制の強化など適宜見直しに取り組み、幅広い検査を実施できるようにしてまいりました。9月15日に国が示した指針の中では、検査が必要な者がより迅速、スムーズに検査を受けられるようにすること、濃厚接触者に加え、感染拡大を防止する必要がある場合には、広く検査が受けられるようにすることが重要であり、クラスターの発生など地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、積極的な検査を実施することとしております。 特に、医療機関や高齢者施設などの入所者につきましては、重症化リスクが高いことから、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域におきましては、その期間入院、入所者全員を対象に、言わば一斉、定期的な検査を実施することが示されております。こうした検査は行政検査であり、現在検査費用につきましては国及び都道府県、政令市等の各2分の1の負担としておるところでございます。 このうち都道府県、政令市等負担分につきましては、内閣府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金におきまして、算定基礎として全額交付限度額に算定される仕組みとなっております。現状におきまして国は適宜指針の見直しを行い、検査対象の拡大などを図っていることや、その費用につきましても、地方負担分は臨時交付金で措置される仕組みとなっているため、国に対して強く求めることは考えておりません。 次に、今後感染者が増加した場合、医療機関等に勤務する者、入院者全員に検査をすることにつきまして、どのように対応するのかということについて御答弁させていただきます。 8月28日に国の新型コロナウイルス感染症対策本部で決定しました、新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組におきましては、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、言わば一斉、定期的な検査を実施するよう都道府県等に対して要請しているところであります。 9月15日には厚生労働省から要請事項への対応として、検査体制の拡充に向けた指針が示され、言わば一斉、定期的としている点につきましては、必ずしも検査の頻度などを決めて機械的に実施することを求めているのではなく、その期間、都道府県等が必要と判断したタイミング、頻度で検査をするといったことが示されております。11月16日の通知でも内容の変更はございません。 本市といたしましては、これまでも高齢者施設等で発熱などの症状を呈している方につきましては、速やかに検査につなげてきたところであります。また、医療機関や高齢者施設で患者が発生した場合は、感染状況や感染リスクを確認し、無症状であっても感染の可能性がある方には幅広くPCR検査を行い、感染拡大防止を行っているところであります。 今後、本市において感染者が増加した場合には、国の指針に基づき、市内の発生状況等を総合的に考慮して適切に対応してまいりたいと考えております。私からの答弁は以上です。 ○議長(村上幸一君) 総務局長。 ◎総務局長(高松浩文君) 最後に、市職員の期末勤勉手当の支給月数の引下げについて、会計年度任用職員の期末手当の引下げについての2点の御質問に一括して御答弁申し上げます。 地方公務員の給与は、社会一般情勢に適応した適正な給与を確保すること、並びに民間企業の従事者及び国や他の地方公共団体の職員の給与との均衡を図ることを基本としています。このことから本市職員の給与においては、従来より人事委員会の行う勧告及び報告を尊重することで、その時々の経済、雇用情勢などを反映して決定される民間企業従事者の給与に準拠してきたところであります。あわせて、国や他都市との均衡を図ることで、市民の理解と納得を得られる適正な給与水準の維持に努めてきたところであります。 本年度の人事委員会の報告においては、公民較差が小さく、給料表及び諸手当の適切な改定を行うことは難しいことから、月例給の改定を行わないこと、期末勤勉手当については民間の支給月数を考慮し、国に準じてその月数を0.05月分引き下げることなどが言及されたところであります。本年度の給与改定についても、これまでと同様に人事委員会の報告を最大限尊重して実施することが適当と判断し、職員団体との交渉を経て、期末手当の支給月数を0.05月引き下げる改定を行うこととしたところであります。 また、会計年度任用職員の報酬等の給付に関して、国から示されたマニュアルにおいては、正規職員と同様に均衡の原則などに基づき、従事する職務の内容や責任の程度、民間の給与水準の状況等に十分留意しつつ、適切に行う必要があるとされております。 これを踏まえまして、その報酬については、民間の給与水準との均衡を踏まえた正規職員に適用される給料表の額を適用し、かつ正規職員に準じて期末手当等を支給することとしていることから、本年度の期末手当については、正規職員と同様に0.05月引き下げる改定を行うこととしたものであります。これは、各地方公共団体における勤務条件等の統一的な取扱いを定めることを目的として国が示した考え方に沿って、制度の設計を行った結果であり、適正な給与水準を確保するものであると考えております。 職員の給与については、人事委員会勧告及び報告を尊重することが広く市民の理解を得られる方法であると考えておりまして、今後もこの考え方に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。以上で答弁を終わります。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) まず、2点要望したいと思います。 1つ目は、人件費の減額補正です。今回の人件費の引下げは国の人事院勧告の言いなりです。独立した地方自治体としての主体性がありません。コロナ危機の中、市の職員は市民の命、暮らしを守るために頑張っています。会計年度任用職員につきましても、現状は同一労働同一賃金に程遠い状態です。処遇改善を進めなければならないときに、今回の期末手当引下げはさらに格差を拡大するものであります。 今後もコロナ対策は続きます。こんなときに賃金の引下げとは冷たい仕打ちとしか言いようがありません。市長は頑張っている市職員の労苦に応えるためにも、今回の賃下げを撤回するよう強くこれは要望しておきます。 もう一つは、介護施設等のサービス継続についてです。介護施設はコロナ危機より以前から人手不足が続いています。最大の理由は賃金が低いことにあります。我が党はそう指摘してきました。処遇改善は一部で行われているものの、まだまだ不十分であります。そこにコロナ危機が加わりました。ふだんでも人手不足の中、クラスターや濃厚接触者が出たときの介護サービスの継続には、人員の確保が最大の課題だと思います。 6月議会で我が党の荒川議員もそのことを心配して質問しております。今回、高齢者福祉事業協会と協定を結んで、人の派遣が協定できたことは一歩前進で評価するものであります。人材不足に陥り、サービスの提供が滞ることがないように、介護施設への支援、とりわけ人材確保への支援を今後も強めていただきますよう要望しておきます。 それでは、第2質問を行います。 PCR検査について伺います。 北橋市長は11月27日に生放送されたBS-TBSの番組、報道1930にオンラインで出演しております。この日のタイトルは、第3波、なぜ北九州市は急増を抑え込めているのかということでした。番組は、北九州市が継続的に無症状者を含め広いPCR検査を実施し、感染者の数を抑えている状況を紹介しております。この番組に出演していた我が党の医師でもある小池晃書記局長は、無症状者に対する積極的な検査は教訓的だと述べ、国との対策の違いは、感染者が減ったときでも検査を減らさなかった、その違いだと評価しております。 PCR検査数は、マスコミなどの報道によると、日本は世界211か国中153位、数はいろいろの報道がありますが、かなり低い、そういう中、政令市の比較では福岡市に次いで北九州市は2番目の多さです。本市の資料によれば、11月29日現在、検査数は4万7,350人、人口10万人当たり約5,000人です。全国では検査数は約349万人、人口10万人当たりは2,700人程度です。本市は平均の1.7倍ということになります。 そこで、市長にお尋ねします。 この検査数の多さが本市の感染拡大を抑えていると思いますか。お答えください。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) まずは、あの番組のタイトルは、こちらからお願いしたものじゃありませんので。といいますのは、いつ何どきまた感染が増えるかもしれないわけで、いつもその不安と向かい合いながら頑張っているわけです。そういうふうに向こうからもそういう御指摘があったわけでございますが、確かに一つの大きな要因だと思いますが、それが全てではない、やっぱり医療をはじめ市民の各界の方々の御理解と御協力というのが一番大きいと思っています。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 続いて、社会的検査についてもお尋ねしたいと思います。 先ほど医療機関、学校、幼稚園、保育園などの職員の検査の必要についてお尋ねしましたが、検査の能力の問題、もちろん財政の問題もあるでしょうけど、困難ではないかという答弁でした。しかし、クラスターの発生、それから重症者、入院されている方は高齢者が多いですね。そういう意味では、介護施設と何らそのリスクは変わらないと思うんですね。今回は補正予算で介護施設、障害者施設が検査ということですが、とりわけこの医療機関も同じように必要ではないかと思うんですが、その辺についてはどのようにお考えですか。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。
    ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 議員御指摘のように、介護施設あるいは医療機関、こういったところに関しましては、やはりハイリスクな方が多数おられるということは認識はしております。この中でも、先ほども申し上げましたとおり、今、市で把握しておりますいわゆる検査能力、こちらを考えたときに、いわゆる医療、それと介護、その中でまず一番優先度の高いところということで、例えば特別養護老人ホームであるとか、極めてまず医療に少し距離を置いている状況にある方、そしてまた、リスクの高い方、そういったところで優先度の高いところを今取りあえず2つ選んでいるという状況にございます。 また、医療機関につきましては、例えば急性の大きな病院であれば、協力医療機関としてコロナを診療いただいているところについては、現状においても検査機器の補助等も行っているところであります。また、医療の中での感染対策についても専門の方もおられると聞いております。そういったところで今、優先度では高齢者介護施設、こういったところを中心にしているということで御理解いただきたいと思います。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 過去に門司をはじめ医療機関でもクラスターが発生していますね。そのときに病院がいっとき閉鎖になる、こういうことが起これば、医療体制の崩壊を招きかねないと思うんですが、そういう意味では医療機関の検査、これはかなり必要性が高いんじゃないかということは思うんですが、もう一点お聞きします。 先ほどこの番組の中で市長は社会的検査について、国がもっと力強い支援をしてほしいというようなことを述べたと聞いておりますが、その辺はどうですか。市長いかがですか。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) やっぱりこれは世界的な大きな問題でありまして、バイデン次期大統領がマスクは必ず着用して命を守ってほしいということと、もう一つ、全ての国民がPCRの検査を受けられるように自分はしたいと率直に所感を述べられました。そういった意味ではアメリカのみならず、自分は本当に大丈夫だろうかと思っている国民は大変多いわけでありまして、そうした素朴な国民感情というものに向き合うと、費用もかかるわけでありますが、できる限りの努力はお願いをしたいという趣旨であります。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 私は、国に対して今何を要望すべきかという点では、PCR検査を誰でもいつでも何度でも受けれる、こういう要望が重要だと思っております。とりわけその点を重視していただきたいと思いますが、PCR検査の拡大には財源が必要です。社会的検査に必要な額についてお尋ねしたいと思います。 医療機関の職員、入院患者、障害者施設、学校、幼稚園、保育園などこういう職員、入院患者、PCR検査に大体どのぐらいお金が必要でしょうか。もし試算があればお答えください。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) エッセンシャルワーカー、我々が言っています教育であるとか医療、福祉、こういったところの部分で恐らく10万人ぐらいおられると思います。この中で今対象としております介護施設のエッセンシャルワーカーの方たちを除いたところで考えましても、恐らく今の額の3倍、4倍ぐらいになるのか、恐らく試算は明確にはしておりませんけども、やっぱり10億円近くになるんじゃないかなという印象は持っております。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 私もちょっと試算してみました。対象人数は今10万人程度から今回3万人やりますんで、7万人程度になるんですかね。僕はもうちょっといると思うんですけど、仮に10万人といたしまして、今私いろいろホームページで見ていると、いろんな金額があって、今回のソフトバンクは2,000円ですよね。搬送料を含めて2,200円、破格の安さなので、これをそのまま適用することはできないと思うんですが、例えば仮に5,000円とすれば、10万人で5億円、3回やれば15億円、私は15億円捻出すれば、これはできるんではないかと試算しているわけですが、そこで財源についてお尋ねします。 今年の予算議会以後、コロナ関係で様々な、そして、多額の補正予算が組まれております。そして、執行残なども明らかになっているものがあります。これらの財源を活用して社会的検査を行ってほしいと思うわけですが、まず1つ目に、保健福祉局の関係ですが、今年の9月の補正予算で、新型コロナウイルス感染対策のためのPCR抗原検査拡充事業で5億2,180万円が議決され、9月末からこれが実施されています。この検査は本市が市医師会と連携し、身近な診療所等で検査できる仕組みを構築するとあり、現在約250の医療機関が参加しているとのことです。 予算の内容は、1日の検査数をPCR検査は200件、抗原検査は1,000件としています。検査の1件当たりの費用はPCR検査が1万9,500円、抗原検査は7,440円で、保険診療のため本人負担はその3割、その半額は国、残り半分を本市が負担するということだと思うんですが、9月末から11月29日までのこの検査の実施件数は、PCR検査が1,339件、抗原検査は870件で、これ合計2,244件ということで、1日1,000件ということで言うと、2日ちょっと分しかやっていない、予算に比べ非常に検査が少ないと思うんですが、なぜでしょうか。現状についてお尋ねいたします。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) こちらの検査につきましては、基本的にクリニック等の医師が必要と判断した場合に行う検査と設定しております。この中で、これがスタートしたのが9月議会以降になるところであるんですけれども、まだ現状においてはそれほど風邪の症状であるとか、そういったいわゆる冬場の感冒の症状が出ている方というのはあまり出ていない状況だと思います。その中で、まだ検査はそれほど対象になる方がいないのだろうと。ただ、これからやはり12月、1月、2月と入っていく過程では、風邪の症状を呈する方というのは増えてまいります。そういった方たちに対しての検査が当然これから増えてまいりますので、十分に想定した上で、全体を計算して設定したところであります。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 感染の可能性のある方が少ないから、当然検査は少なくなっていると思うんですが、11月29日までの予算の執行額は、私の計算では488万円です。予算の1%弱です。その辺は計算されていますか。間違いありませんか。お答えください。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 現在のところで私どもが把握していますのが、まだ10月、11月につきましては保険診療の分での請求が上がってきておりません。我々今この予算の中で把握していますのは、9月分についてのみでございます。全体のところというのはまだ把握しておりません。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 何が言いたいかというと、およそ5億円残っているということなんですね、現在。北九州市のコロナの感染者は昨日まで連続13日発生しています。今後予断を許さないと先ほど市長が冒頭言われましたが、まさにそのとおりですが、今後予算の想定する1日1,000件の検査をしても予算額のおよそ半分、2億5,000万円私は残ると思うんですが、局長どうですか。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 金額的な試算につきましては、かなり多めに取っているというのは事実でございます。ただ、これは金額的な問題ではなくて、今回一番検査の中で課題になっていますのが検査能力の問題であります。行政検査として行っている保健環境研究所、これは市の直轄でございますし、民間の検査機関、こういったところをフルに稼働して今対応しているところであります。 その中で、今回高齢者施設向けのスクリーニング検査、これにつきまして低価格、高頻度で対応いただけるということで、これは千葉にある検査施設でございますけども、そちらにお願いして、こちらも今1日4,000がマックスのところで、今全国からもそういった検査の依頼が来ていると聞いております。その中で最大限我々としても交渉の中で融通して、ある程度確保していくという状況にありますので、やはり金額的なものもさることながら、検査能力の問題というのが一番大きな理由だということで御理解いただきたいと思います。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 検査の予算の残りを今ちょっと聞いたんですけど、もう一つお聞きします。産業経済局にお尋ねします。 もう一つ補正予算の残りがあります。4月補正の新型コロナウイルス感染症拡大防止休業等協力金です。この事業は福岡県からの休業の協力要請、協力依頼に応じて休業等を実施した中小・小規模事業者に対し、家賃の5分の4、上限40万円を1回支給するというものです。この事業は6月30日に受付が終了し、9月15日に既に支払いが完了しています。執行実績は5,039件、6億6,338万円、必要経費を含め支出は7億8,500万円とお聞きしております。16億1,500万円が残っているという計算になりますが、間違いありませんか。 ○議長(村上幸一君) 産業経済局長。 ◎産業経済局長(鮎川典明君) 金額についてはそのとおりでございます。以上です。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) もう一点お尋ねします。 16億1,500万円残ったということですが、これは保健福祉局長にお尋ねします。この16億円余りのお金はコロナ検査に使えますか。先ほどの社会的検査に使えるんでしょうか、お尋ねします。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) この予算の関係につきましては、今少なくとも我々保健福祉局としましては、現状保健福祉課が所管しておりますこの検査事業の中での範囲での対応までが可能だと考えております。以上です。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 私が聞いているのは、これ交付金だと思うんですけど、このお金を使って検査をすることは可能なのかどうかということをお尋ねしとるんです。やる気があるかどうかということをお尋ねしとるんじゃないんです。使えますかと、もし検査をこの予算を、残った予算を使って検査できるのかどうか、可能性についてお尋ねしとるんです。いかがですか。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 内部的に財源調整のところの作業がまず1つあろうかと思います。その中でやれるのかという話になってくれば、最終的には金額的なものがあっても、能力の問題というものが最終的にやはり課題として出てくるということは御理解いただきたいと思います。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 答弁が訳が分からんのですけど、もう一度お聞きします。この16億円を本市がコロナ検査にもし使うということを決めれば、使えるのかということを聞いているんです。いかがですか。 ○議長(村上幸一君) 財政局長。 ◎財政局長(小牧兼太郎君) お尋ねですけれども、確かに休業要請等賃借料緊急支援金、これは財源として臨時交付金を活用して予算計上しておりますので、臨時交付金の趣旨はコロナ対策のために使えるということでありますから、検査能力のことを保健福祉局長は申し上げておりますけれども、これが本当に使えるのか使えないのかということであれば、使うことは可能だと考えます。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) 私の質問で、16億1,500万円がコロナ対策に使えるということが今答弁ありました。この多くの職員が感染予防をしながら事業を継続しています。感染の危機や家族への感染を心配しながら必死で働いているんです。クラスターも医療機関や介護施設などで発生しています。この医療機関でクラスターが発生すれば医療崩壊につながるんですね。そういう意味では北九州市がこの検査というプレゼントを職員に、入所者にやるべきだと思うんですが、お金あるじゃないですか。市長いかがですか。 ○議長(村上幸一君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) やはり検査というものにつきましては、ある程度きっちりとした体制の中でやっていかなきゃいけないと思います。今回の高齢者向けの検査につきましても、これはもちろん各自の方が自分の状況を把握するという意味もあるんですけれども、最も大きいのはクラスター対策というのが一番の理由であります。そういったものに対してしっかりと検査のスキームをつくって、そして、今対応できる許容の範囲内でやっていくという形になっておりますので、医療機関にどういう形でやっていくのかというところについては、まずはやはり何度も繰り返しになりますけれども、検査体制というところをまずしっかりと我々のほうでも今後少し検討しながら、広げていけるものなのかどうなのか、そういったところは十分に勘案した上で進めていかなければならないと考えております。 ○議長(村上幸一君) 43番 田中議員。 ◆43番(田中光明君) やる気があるかどうかが問題だと私は言っているんですよ。16億円ある、検査のお金も2億数千万円私は残ると思うんですね。18億円、ほかにも余ったお金を使えば相当の金額が補正予算の中で残ってくるはずなんです。それで検査をやるということを決めて、それから、たまたま今回はソフトバンクが4,000件、当面1万件を目指していると言っていますね。そのうちの約1割を北九州市がいただけるということで、これはありがたいことやと私も思っています。ただ、そんな方法はほかにもあるんじゃないですか。たくさんの機関がやっています。お金2,000円というのは確かに破格の金額ですが、先ほども言ったように、もう少し高い金額であれば、当局がちゃんと本市が努力して検査能力、困難だとおっしゃっていますけども、そこを開拓していくのが仕事じゃないですかね。私は、そのことを強く指摘しておきたいと思います。 今までも国に対して、国は十分やっているというような答弁だったと思うんですが、私は十分やっているとは思いません。現にこれだけ拡大しているわけですから、これは十分やっているとは言えないと思うんですね。 我が党は緊急に3つの提案をしているんです。1つは、大規模、地域集中的検査、社会的検査をこの政府の大方針に据えてやりなさいと、社会的検査をきちっとやってくれと、お金を全額出してくれと。2つ目は、先ほどから出ている追跡調査です。感染追跡を専門に行うトレーサーの確保、それから、保健所の体制の抜本的強化なんです。最後に、医療崩壊を起こしてはならないので、医療機関への減収補填、宿泊療養施設の確保、この3つを要請しておるところなんですが、その入り口が社会的検査なんですね。これを今やるべきだと思うんですね。国の動きを見ていたんでは遅過ぎます。感染が爆発的に広がってからやっているんでは駄目だと思うんです。今こそやるべきであり、お金もありますから、早急に検査体制の確立、検査委託先も含めて拡充すべきだと、そのことを強く指摘して、質問を終わります。 △日程第45 一般質問 ○議長(村上幸一君) 以上で質疑は終わりました。 ただいま議題となっております議案43件については、お手元配付の議案付託表のとおり所管の常任委員会にそれぞれ付託いたします。 次に、日程第45 一般質問を行います。51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) 改めまして皆様おはようございます。自民の会の奥村祥子でございます。本日傍聴にお越しの皆様、ケーブルテレビでも傍聴してくださっておられます皆様に感謝申し上げます。ありがとうございます。 新型コロナ感染症については、大都市圏を中心に現在第3波と言われ、全国の状況を見ても感染が急増し、拡大が続いております。全く予断を許さない状況が続いています。本市でも新規陽性患者が連日発生していますが、幸いにも感染拡大までには至っておりません。これもひとえに最前線で働く医療、福祉関係者の皆様が万全の態勢で感染防止対策をするなど、並々ならぬ御努力、御尽力のたまものであり、感謝の気持ちでいっぱいでございます。 しかし、この状況がいつ大きく変化するか分かりませんので、私どもも常に強い警戒感を持って行動しなければなりません。そのためには感染防止対策として有効な外出するときのマスクの着用、人との距離をしっかり確保、小まめに手洗いなど5つの行動をきちんと守って行動していただきたいと思います。 それでは、会派を代表して12月定例会一般質問を行います。 初めに、小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園の整備事業についてお尋ねいたします。 昨年8月に策定された第2北九州市子どもの未来をひらく教育プランでは、誰一人取り残さないというSDGsの理念を実現するため、特別支援教育をはじめとした障害のある子供への支援がうたわれており、特別支援教育の推進がプランの大きな柱の一つに位置づけられております。 私は、平成30年12月議会で、特別な配慮を必要とする子供の支援の充実に向け、東芝北九州工場跡地への小倉北特別支援学校の移転建て替えについて教育委員会の見解を伺い、教育委員会からは、小倉北特別支援学校を東芝北九州工場跡地に移転することを初めて明言いただきました。また、北九州中央高等学園の職業教育のさらなる充実のため、小倉北特別支援学校と同様に東芝北九州工場跡地への移転建て替えを提案し、移転について検討するとの踏み込んだ答弁もいただきました。 現在、教育委員会では事業の実施に向けて、必要性や有効性を検証する公共事業評価の事前評価を実施しています。公共事業評価に提案されている事業内容を見てみると、校舎の老朽化等の様々な課題に対応するため、小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園を東芝北九州工場跡地に移転建て替えする内容となっています。 平成30年の私の提案を踏まえた事業内容になっていることに深く感謝すると同時に、そのときにもお伝えをいたしましたが、障害のある児童生徒が、社会の中で自立していくための職業教育が充実している学校を、多くの保護者が待ち望んでおり、この事業が共生社会の実現につながる事業となることを心から願っています。 そこで、小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園の整備を進めるに当たって、改めて両校の課題について教育委員会の認識を伺います。 あわせて、保護者や児童生徒からの要望等があればお聞かせください。 次に、正式に事業がスタートするのは、公共事業評価を終えてからになると思いますが、小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園を東芝北九州工場跡地に移転、併置することにより、ハード面、ソフト面で様々な連携も可能になると考えます。本事業によってどのような効果が期待されるのでしょうか。また、今後のスケジュールについてもお聞かせください。 次に、これまでも私は、児童生徒が卒業した後、社会の中で自立していくことの重要性について訴えてきました。現在でも、特別支援学校では先生方が大変な御苦労をなさって、就労支援に取り組んでいることも承知しています。しかし、かつてないスピードで変化する現代の社会にあっては、今後ますます就労支援の重要性は増してくることは間違いありません。 そこで、新たにできる特別支援学校では、どのような就労支援を実施したいと考えているのか、現段階でのお考えをお聞かせください。 次に、2021世界体操・新体操選手権北九州大会についてお尋ねいたします。 11月8日、2021年に世界体操・新体操選手権が我が市で開催されるという大変うれしいニュースが飛び込んできました。これは、本市出身で国際体操連盟会長及びIOC委員を務める渡辺守成氏の肝煎りの大会であり、会見では今までにない世界一すばらしい大会をつくっていきたい、そして、オリンピックの人気競技で最高のエンターテインメントでありながら、競技人口が多いと言えない体操だが、健康維持のための体操は子供から高齢者まで多くの人が親しんでおり、今大会で高齢者や子供たちに体操に親しんでもらう機会をつくりたいと語られました。 私もまさにそう感じる一人で、体操は単なるスポーツではなく、いつでも、どこでも、誰でも、その場で楽しめる健康づくりの活動であり、本市の健康寿命プラス2歳に向けた取組とスポーツイベントとのコラボに期待をしているところであります。渡辺会長、国際体操連盟、日本体操協会の御尽力、そして、県、県議会にも多大なる御協力をいただき、感謝申し上げる次第でございます。 また、体操男子個人総合でオリンピック2連覇中の内村航平選手は3歳まで本市で過ごしており、本市での開催について、生まれ故郷で世界選手権ができる。運命しか感じないと出場への熱い思いを語られました。 今回の大会は、東京2020オリンピック後のレガシーとして開催され、世界体操と世界新体操が同時に開催されるのは、史上初の試みとなります。今回の開催が実現したのは、多くの議員がスポーツ部門の体制強化の必要性を訴え、大規模大会誘致推進室、現在の国際スポーツ大会推進室が新設され、本市を事前キャンプ地に選んだウェールズ代表との交流などの実績が評価されたものと思います。 そこで、伺います。 市も早速、世界体操・新体操選手権推進室を設置し、万全の態勢で受入れ準備を始めました。今回の大会開催への市長の意気込みについてお聞かせください。 次に、我が会派の予算要望にもありますが、選手の方々に最高の環境でプレーしていただくために、1973年にしゅん工し、1995年にリニューアルをした総合体育館の改修と機能向上を、この機会に一気に図る必要があると思います。大会開催に向けて具体的にどういった改修、機能向上が必要でしょうか、伺います。 次に、スターフライヤー社に対する支援についてお尋ねいたします。 本市に本社を置くスターフライヤー社が10月30日に発表した2020年9月中間決算によれば、新型コロナウイルスの感染拡大による利用者の減少が響き、純損益が2011年の上場以来最大となる64億円の赤字となったとの発表がありました。同社の会見では、借入れなどで当面の資金繰りには問題ないものの、2021年3月の業績予測は未定としながら、営業利益が100億円規模の赤字になるとの見通しで、資本の増強を含めて様々な検討をしなければならないとの報道がありました。 スターフライヤー社は、本市の空の玄関である北九州空港を拠点に路線を展開しており、観光やビジネスの活発化やインバウンドの促進に大きく寄与しています。また、黒くスタイリッシュな機体にCity of Kitakyushuが塗装されるなど、本市の企業として極めて高い情報発信力を有しており、本市の活性化に欠かせない重要な企業です。これまで11年連続、顧客満足度ナンバーワンになるなど、本市のイメージアップにも貢献しており、同社が魅力ある就職先として多くの若者を引きつけています。 スターフライヤー社では現在、コスト削減はもちろん、広域における人々の移動が慎重になる中、感染対策を講じながら、北九州空港発着による世界初となる機内でのプラネタリウム上映をメインとするツアーを実施するなど、新たな魅力ある収益改善の取組による様々な経営努力を続けています。今回の経営危機に対して、本市として経営を安定化させ、さらに北九州空港を拠点として路線を維持、拡充できるようさらなる支援をすべきではないでしょうか。 そこで、まず、スターフライヤー社に対して、本市としてこれまでどのような具体的な支援を行ってきたのでしょうか。 また、同社が設立以来、地元にもたらした波及効果をどのように認識しているのでしょうか。 次に、今回の同社の経営危機に対して、市として具体的にどのような支援を考えているのでしょうか。 次に、同社では設立以来、雇用を拡大し、パイロットや客室乗務員、整備士等様々な職種、約800人の社員を抱えています。航空業界の激しい競争に打ち勝つために、社員の個性や創造性を重視し、感動のあるエアラインという理念の下、サービスやマナーなどで徹底した教育を行ってきたことが、長年の顧客満足度ナンバーワンという成果につながったのではないでしょうか。 このような社員教育の成果は、北九州市立大学とスターフライヤー社の提携による大学生の就職率向上に向けた社会人基礎力の養成や、エアライン講座、マナー講座の実施にもつながり、地域における人材育成にも貢献しています。今回の航空業界の経営危機により、地方自治体が地元空港に路線を有する航空会社の社員を一時的に出向として受け入れるという支援も報道されています。本市も人材の受入れに積極的に対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上で私の第1質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 奥村祥子議員の御質問にお答えいたします。 まず、世界体操・新体操の大会に向けての市長の意気込みについて御質問がございました。 本市では、スポーツ振興計画においてスポーツによる町の活性化を政策に掲げています。様々な国際スポーツ大会の誘致や開催に取り組んでおります。これらの取組を進めるため、本市では国際スポーツ大会やキャンプ地誘致の専任部署を設置し、産学官による北九州市大規模国際大会等誘致委員会を設立するなど、体制の強化に努めております。これまでの取組の結果、ラグビーワールドカップ2019でのウェールズ代表のキャンプをはじめ、東京2020オリンピック・パラリンピックのキャンプ地のほか、ラグビーやサッカー、卓球、テニスなど数々の国際スポーツ大会の開催が実現できております。 このような中、世界体操・世界新体操の同時開催という、本市が過去経験したことのない大規模な大会の誘致が実現をいたしました。主催者である国際体操連盟から、これまでの実績や本市の取組が高く評価されたことをうれしく思っております。また、この誘致に当たりましては、日本体操協会、福岡県、北九州市議会をはじめ多くの関係者に誘致に御尽力をいただきました。改めてお礼を申し上げたいと思っております。 今年の8月に国際体操連盟の渡辺守成会長と面会をし、世界体操と世界新体操の同時開催の提案を受けました。その際、渡辺会長御本人から、この大会を地域活性化のロールモデルとしたいという大会に向けた熱い思いをお聞きいたしました。先月、東京で開催されました体操の国際大会、友情と絆の大会のクロージングセレモニーにおきまして、2021世界体操・新体操選手権北九州大会の開催が発表された際には、内村航平選手のメッセージをじかに聞き、私自身深い感銘を受けたところであります。史上初めてとなる世界体操と新体操の同時開催を実感するとともに、今は必ずこの大会を大成功させたいという決意を新たにしております。 大会まで1年を切っておりますが、アスリートファーストとして大会を成功させることはもちろんのこと、本市を訪れる選手や関係者、ファンの観客の皆様方に御満足いただけるような大会となるよう、主催者と協力しながら万全の体制で準備を整えていきたいのであります。 また、この大会は体操における史上最大の大会として、世界中から注目を集めることとなります。町全体のステージを上げる絶好の機会となります。これを逃がさずに、全市を挙げて大会を契機とした本市のにぎわいづくり、都市のグレードアップにつながる環境整備、町のイメージアップを図る魅力発信などに全力で取り組んでまいります。 世界水泳大会を開催した福岡市は言っております。この大会によって世界の50億人の人々に福岡市から明るい力強いメッセージを発信してきましたという、こういうくだりを聞いたことがあるんですが、すごい数の方々にメッセージを届けることができます。とりわけ本市の強みであります持続可能なまちづくりに先進的に取り組むSDGs未来都市や、2050年までの脱炭素社会を目指すゼロカーボンシティ、また、日本の近代化の礎を築いた物づくりの町などを世界に向けて発信してまいります。 短い準備期間となりますが、具体的な取組を早急に検討し、国際体操連盟、日本体操協会、福岡県と協力しながら、大会成功に向けオール北九州で取り組んでいきたいのであります。 次に、スターフライヤー社に対する本市の支援、そして、同社が地元にもたらした波及効果の認識について御質問がございました。 スターフライヤー社は、北九州空港に本社を置き、本市の地元企業が出資を行い、そして、現在の北九州空港の開港に合わせ、航空輸送を開始した地元の航空会社であります。本市ではこのスターフライヤー社に対し、設立時に経費の助成を行っておりますが、その後も積極的に路線のPR活動を行うなど、継続して集客の支援を行っております。これらの支援もあり、スターフライヤー社は北九州空港に羽田路線のほか那覇路線と台北路線を就航させております。その結果、北九州空港の旅客数はこれまで増加傾向で推移しており、その6割以上がスターフライヤーの利用者であります。 スターフライヤー社が本市にもたらす波及効果としては、まず、旅客数の増加による市内での食事、観光、ショッピング、宿泊などの需要の増加が上げられます。また、本社が立地する北九州空港では、約600名の雇用が創出され、本市の定住者の増加にも大きく寄与しております。 また、スターフライヤー社はギラヴァンツ北九州や北九州マラソン、TOKYO GIRLS COLLECTIONなどの本市の主要な団体や事業に対して協賛を行っていただくなど、本市のにぎわいづくりにも大きく貢献されております。さらに、地元に航空会社があることが、シビックプライドの醸成にもつながっていると考えます。このように、スターフライヤー社は本市の経済や市民の生活に大きく貢献しております。今後も同社との連携を密に行い、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。 さて、経済危機である同社に対する本市の支援についてどう考えるかであります。 航空業界は新型コロナウイルス感染症の影響によりまして航空需要が大幅に減少し、大変に厳しい経営状況となっております。スターフライヤー社におきましても議員御指摘のとおり、10月末に発表された第2四半期決算におきまして、当面の資金繰りに問題はないものの、純損益が64億円の赤字となりました。最近の感染拡大やGo To トラベルの見直しの状況を踏まえますと、引き続き厳しい経営環境が続くことは避けられないと認識しております。 このような状況の中で、スターフライヤー社では経営改善に向けて運休、減便によるコストの削減、賃金カットや一時休業、新規採用の見送りなど自助努力を鋭意行っているところであります。国におきましても、10月に航空会社等に対する支援施策を取りまとめ、着陸料等の支払い猶予と引下げなどを順次行っております。 本市としましても、本市の経済、市民の生活に大きく貢献してきたスターフライヤー社にこの苦境を乗り越え、航空ネットワークを維持してもらうことは極めて重要と考えております。そのため、本市ではこれまでにスターフライヤー社を含む北九州空港に就航している旅客輸送を行う航空会社4社に対し、移動の自粛要請期間に相当する事務所などの賃料の一部を助成するなど、経営改善に資する支援を行ってきたところです。 今後もスターフライヤー社と緊密に情報交換を続けます。同社から経営改善に向けた方針が示された上で、本市への具体的な支援要請がなされれば、市としての対応を考えます。 残余の質問は、関係局長、教育長からお答えさせていただきます。 ○議長(村上幸一君) 教育長。 ◎教育長(田島裕美君) 小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園の整備事業につきまして3点お尋ねいただきましたので、順次御答弁いたします。 まず、2つの学校の課題と保護者や児童生徒からの要望等についての御質問でございます。 この整備事業では、東芝北九州工場の跡地に小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園を移転、併置するために、現在公共事業評価の事前評価を進めているところであります。 2校の課題ですが、現在の主な課題は3点あると考えております。 まず1点目ですが、小倉北特別支援学校では、在籍している児童生徒数の増加によって教室が不足している状況となっております。また、敷地が狭いために、児童生徒が運動するための十分な広さのグラウンドや、また、安全面に配慮したスクールバスのターミナルが未整備であります。児童生徒の教育活動に支障が出ている状況です。 2点目の課題としまして、2校とも校舎の老朽化が進んでおりまして、北九州市学校施設長寿命化計画のAからDという4段階評価がありますが、2校ともそのC評価でありまして、広範囲に劣化している状況です。老朽化への対応が求められております。 3点目の課題ですが、両校とも就労支援の強化のための作業教室の充実が求められている点であります。現行の木工や手織りといった作業学習の一部が今の企業ニーズに一致していないという現状がありまして、今後企業の求める人材を育成するためには、将来の職業需要の変化に柔軟に対応できる作業教室の整備が必要となっております。 また、特別支援学校の移転建て替えに当たりましては、保護者や児童生徒のニーズを把握するために、今後聞き取りを行う予定ですが、既に一例としては、児童生徒がクールダウンできる決まった部屋を昇降口の近くなどに複数造ってほしいだとか、送迎時の駐車場の雨よけを広く取ってほしい、また、運動場を広く取ってほしいなどの要望を複数の保護者の方からいただいております。これらの要望も踏まえながら、2校の特別支援学校を整備していきたいと考えております。 2点目でございます。2校の移転、併置による効果と今後のスケジュールについてのお尋ねです。 2校の移転、併置による効果につきましては、まず、ハード面におきましては、移転することによって狭あい化や老朽化の解消や、グラウンドやスクールバスターミナルの整備、作業学習に必要なスペースが十分に確保できるようになります。また、2校を併置することによって、音楽室や美術室など一部の特別教室や作業教室を2校が共有することで、規模のコンパクト化が図られて、校舎の建設費用を抑えることができます。さらに、供用開始後に必要になった場合には、2校の普通教室や特別教室、また、管理諸室などを相互に転用することで、施設や設備の運用面での効率化が図られます。 次に、ソフト面の効果ですが、3点あると考えております。 1点目ですが、2校の交流及び共同学習による効果であります。小倉北特別支援学校の児童生徒にとりましては、北九州中央高等学園に通う軽度の知的障害のある生徒は、身近なロールモデルとなるために、社会性やコミュニケーション能力の育成が図られます。 2点目のソフト面のメリットですが、2校の機能強化と知的障害特別支援学校における相乗効果であります。北九州中央高等学園の就労支援に関するノウハウを小倉北特別支援学校も共有することで、卒業後の進路選択の幅が広がるといった効果が期待できると考えております。 3点目ですが、交通の利便性の向上による効果であります。校外学習に伴う生徒の移動や企業から学校へのアクセスの向上が図られて、相互の交流が密接なものとなって、就労先の開拓につながることであります。 今後のスケジュールといたしましては、本年度は基本設計の策定、令和3年度に東芝北九州工場跡地の用地取得と基本設計の策定を行って、令和4年度は実施設計、令和5年度から令和7年度にかけて校舎などの建築工事とグラウンド整備工事を行う予定で、令和7年度中の供用開始を目指したいと考えております。 最後に、新たにできる学校ではどのような就労支援をしたいと考えているのかという点でございます。 特別支援学校の生徒が学校を卒業した後に自立した社会生活を送れるように育成していくことは、極めて重要と認識しております。これまでの取組ですが、教育委員会では生徒の就労支援の一環として、大学の就職支援に携わってきた人材を就労支援コーディネーターとして任用して、企業などへの障害者雇用の理解の啓発と、実習先や就労先の開拓を行っております。 また、北九州中央高等学園には特別支援学校の進路指導の主事を歴任した再任用の教諭を、就労支援アドバイザーとして配置して、企業就労した卒業生の定着の支援を行っております。さらに、各特別支援学校を訪問して、教職員に対して進路指導に関する指導助言や、生徒や保護者に対して自立や就労をテーマにした講演も行っております。このような取組の結果、平成25年度は25%でありました高等部の全体の一般就労率ですが、令和元年度には42.6%まで向上してきております。 一方で、急速に変化する現代社会において、従来の就労支援に加えて、これまで以上に企業のニーズに対応できる人材の育成に取り組んでいく必要があります。そのために、新たな取組として、例えばですが、生徒が学校と企業を行き来しながら、継続的に職場での実習を体験させることで、生徒の就労への適性や能力を把握する、いわゆるデュアルシステム型の現場実習という取組を始めたり、あるいは学校と企業がタイアップして企業の人材を学校に招いて、就労に関する専門的な知識や技能、また、態度を育成するいわゆるパートナーシップ実習という取組をするなど、新たな職業学習の機会を設けることで、企業と生徒のマッチングを効果的に進めるとともに、生徒の就労意欲や資質、能力を一層高めていきたいと考えております。 これからも特別な支援を必要とする子供たちがこの町を支える人材として自立した社会生活が送れるように、他都市の先進事例等も参考にしながら、時代に即した取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 市民文化スポーツ局長。 ◎市民文化スポーツ局長(久保山雅彦君) 世界体操・新体操選手権に関する質問のうち、会場となります総合体育館の大規模改修と機能向上についての質問にお答えいたします。 世界体操の会場となります総合体育館は、約2,600平方メートルの第1競技場、そして、約1,000平方メートルの第2競技場を有する県内屈指の体育館であります。これまでも全国シニアマスターズ体操競技選手権、全日本学生新体操選手権などの体操、新体操の国内大会や、卓球ジャパンオープン荻村杯、女子テニス国別対抗戦などの国際大会を数多く開催してまいりました。国際体操連盟の渡辺守成会長から、世界基準を満たす施設規模やスポーツ大会の開催実績など、総合体育館のポテンシャルが高く評価され、世界体操の会場に正式決定となりました。 現在、国際体操連盟、日本体操協会におきまして、国際規格の体操器具と華やかな舞台を備えた競技場、また、大型ビジョンや音響を活用した迫力ある演出など、世界最高の演技を観客も一体となって楽しむことができる大会会場づくりの検討が進められております。 また、本市といたしましても来年10月の大会に向けまして、大型ビジョンの設置や第2競技場の空調整備、音響、照明設備の更新、トイレやシャワー室、来賓室など内装設備の改修、また、体育館の外壁塗装やエントランス部のカラー舗装など、限られた期間の中でできる限りの改修を行いたいと考えております。今後とも世界選手権の会場にふさわしい充実したものとなるよう、万全の準備を進めてまいります。以上です。 ○議長(村上幸一君) 港湾空港局長。 ◎港湾空港局長(辻誠治君) 最後に、スターフライヤー社に対する支援についての御質問のうち、スターフライヤー社社員の本市での受入れについてお答えいたします。 スターフライヤー社では、役職員に係る経営改善の取組として、役員、管理職の賃金カット、全社員の夏季賞与カット、一時休業、職員採用の見送りを行うこととしており、現時点では他業種への出向は行っておりません。その理由は、同社は近々運航率を新型コロナウイルス感染拡大前の水準に近づけていく予定であり、現時点では人材に余剰が発生する状況ではないためと聞いております。 一方、議員御指摘のとおり、我が国の大手航空会社では、人件費の削減のため他業種への出向を行っております。例えば、全日空は来春には企業の受付、コールセンター、ホテルのコンシェルジュ等に400名以上の出向を見込んでおります。また、幾つかの自治体では、航空会社社員の受入れの動きがあり、観光や交通、子育ての分野に配置し、航空会社で培った経験を行政に生かしてもらう考えであります。 現時点では、スターフライヤー社より本市に社員の受入れの要請はありませんが、仮に本市へ受け入れることになった場合は、顧客満足度が高く評価されているスターフライヤー社の社員は、接遇サービスのスキルが高いため、行政サービスの向上につながることが期待されます。今後もスターフライヤー社と緊密に情報交換を行い、同社より具体的な話があれば、市としての対応を検討してまいりたいと考えております。答弁は以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) 御答弁ありがとうございました。 ただいまのまずスターフライヤー社に対する支援についてから触れさせていただきます。 私どもも、また、役所の職員も皆東京出張の場合は、行きはJAL、帰りはスターフライヤーというようなことで、両社とも本当に地域空港に発着してくださっている路線を維持してくださっていることには、非常に感謝をしているところであります。しかしながら、地元に本社を置くスターフライヤー社さんだからこそ、今回は支援をするべきではないかという質問をさせていただいたわけであります。 先ほど、市長からも必要な支援は検討していくというお答えをいただきました。港湾空港局長から、申出があればという言葉に、どうも本当にその気があるのかなという気が、少しそんな感想を持ちました。 私は平成17年、ちょうど北九州空港がオープンした年に初めて初当選をさせていただき、1目をスタートしました。そのときの3月17日が北九州空港オープンの日でありました。それまで国会、県会、そして、先輩の市議会議員の先生がどれほどの汗をかいて、北九州空港を造ったかというようなことを、これまでも機会あるごとに私たちは学ばせていただきました。それぐらい空港に対して、福岡市に後れは取りましたが、北九州空港ができるということの期待、それともう一つ、先ほど市長の話にもありましたが、シビックプライドであるという顧客の満足度ナンバーワンを11年も取っている、全国的に有名なそのスターフライヤー社について、本当に改めて地元、この北九州市に本社があるというありがたさと感謝と、そして重みを非常に今感じているところであります。 人材のことをお伝えしました。申し入れが、向こうから言われることがあればというようなことですが、ここは積極的に考えていただきたいなと思っています。 それともう一つ、私が今回このスターフライヤー社の支援について触れさせていただいたのは、私の知り合いの女性の方々、スターフライヤー社に入社したいということで本市に来ているんですね。本市の大学を受け、そして、本市からスターフライヤー社に入社したいといって来ていらっしゃる、そんな方々がたくさんいる。確かに市長が発表した、発着料を減免したりしていることはあるかと思いますが、先ほど600名雇用を創出したという数字も発表がありましたが、それぐらいこの北九州に来たい、北九州のスターフライヤー社に入社したいといって、ここに住んでいただけるというようなこれまでの実績を考えたら、積極的にするべきではないかなと思いますので、そこのところの見解、私が言いましたそこのところはどうでしょうか、もう一回局長お願いします。 ○議長(村上幸一君) 港湾空港局長。 ◎港湾空港局長(辻誠治君) まず、議員おっしゃるとおり、私どももスターフライヤー社は本市にとって大変重要な航空会社と考えてございます。先ほどお話もありましたが、まず、市民の足、翼であることはそのとおりですし、観光、宿泊の面、また、雇用の面、また、シビックプライドといった面、非常に大きな貢献をしていただいていると思っております。 市としてもそういったことでありますので、これまで様々な支援をしているという状況でございますが、引き続き同社と緊密に情報交換を行いまして、受入れにつきましてもニーズをしっかりとお聞きした上で、必要な支援、市としてどういった支援が必要なのか、しっかりと検討したいと考えております。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) ありがとうございます。それぐらいの気合でもってしていただきたいと思いますし、これは要望ではありますが、今具体的にこの議会で上がっていることではありませんので、できることがどこまでかというようなことはあろうかと思います。それから、スターフライヤー社だけではなく、ほかにも航空会社があるわけなので、公平性という部分もあろうかと思いますが、本社を置いてくださっているというスターフライヤー社についての支援について、ちょっとしっかりと次の予算に向けてでも支援をしていただきたいなと、これも要望とさせていただきます。 次に、世界体操・新体操選手権の北九州大会について、市長からさきに御答弁いただきました。私は、市長を嫌いじゃないですが、意気込みと聞きました、私は。意気込みが本当にあるのかなという、あると思うんですよ。いろんなところ今御挨拶に行くときには、市長はまずこのことを皆さんに発表なさっている、最後時間がないから、オール北九州でと言いました。オール北九州ってどういうことをイメージしているのか、ちょっとお答えください。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 市役所あるいは議会、関係の皆さん方が力を合わせて誘致で今日来ているわけでありますが、それを成功させるためには、もう市民各界の皆さん方が知恵と力をお互いに共有して、大成功に持っていかなければいけないという、市民みんなの力で成功させるという趣旨であります。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) もう少し突っ込みたいところあるんですが、なぜ市長に求めるかといいましたら、今のオール北九州という市民が一丸となってということって、例えばシールを作ってみんな公用車が貼っているという、そんなことじゃないんですよね。当然ながらのことですが、先ほど市民文化スポーツ局長がお答えなさったように、大規模改修には期間が短いということで、大規模と言いながら、なかなか、設計して組み立ててというわけにはいかんと思います。 そしたらどういうことかというと、うちには世界で通用するブランドの会社が幾つもあります。やっぱりそのブランドの会社に本当に市長は先頭に立って、営業マンとしてぜひ行っていただきたい。トイレの改修にしてもそうです。改修でなくても、もうこんなすばらしいものが北九州にあるんだっていうこと、ロボットもそう、環境もそう、そういう都市ブランドを上げることが、今回この世界体操・新体操選手権をするに当たって、都市ブランド力を発信することって非常に大事ではないかなと私は思っているわけですが、いかがでしょうか、市長の見解をお願いします。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) もう準備は私どもとしてもスタートをしておりまして、その中には今おっしゃったような、そういう企業との協力関係を模索すると、どういうふうに持っていくかということも勉強を始めております。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) この件に関しては本当に期間の短いところでありますので、これからいろんなスケジュール、組織委員会があってのスケジュールがあると思いますが、時間がなくても効果のある、そして、これは先ほど市長もお話しなさいました福岡市の話で言いますと、非常に大きなたくさんの人に発信するという機会でもあります。これを逃してはなりません。どうかそこを力を込めていただきたいなと思っています。 そして、要望ですが、総合体育館は1万人の観客、満席入って1万人の観客、当然ながらピストンをするときのことも考えられますでしょうが、来年のこの時期、コロナの状況も分かりません。市民全体を巻き込むという話の中で、世界体操はエンターテインメントだけではないと渡辺会長はおっしゃってあります。考えたら、ラジオ体操も体操なわけですよね。それぐらい体操ということを身近に感じられる、そういう意識を市民の方に広げていただきたいと思いますし、1週間、総合体育館であったら、その次の1週間は西日本総合展示場であります。もう総合体育館であるときから、いろいろお金もかかるかもしれませんが、パブリックビューイングが小倉駅、西日本総合展示場周辺、ミクニスタジアムもそうですが、あの周辺で先の世界体操を見られる状況にならないものだろうかと、そうすると次の新体操がまた盛り上がります。この2週間、貴重な2週間なので、生かしていただきたいということは、これは要望とさせていただきます。 最後に、小倉北特別支援学校と北九州中央高等学園の整備事業について、教育長から細やかな課題、そして効果、スケジュール等を御答弁いただきました。ありがとうございます。 特別支援学校に通う児童生徒は年々増えていると聞いていますが、本市におけるこれまでの増加率を教えてください。 ○議長(村上幸一君) 教育長。 ◎教育長(田島裕美君) 特別支援学校の生徒さんそのものも増えているんですが、特に知的障害の子供さんが増えておりまして、大体平均以上、1.8倍ぐらいには増えてきております。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) 今教育長がおっしゃった知的障害、いわゆる就学前から発達障害ということを早くに発見し、そして、その子にふさわしい環境を整えていくというようなことで、保護者も、もう今や昔と違って普通学校がいいとか、そうじゃなくて、その子に合った特別支援学校というのを望むようになりました。 文科省でも基準が出ましたですよね。教室が足らないということはいつもの状態であると、課題であったということで、文科省からも新築、増改築をする場合には、教室不足を解消するようにという文科省からの指導もあったように聞いていますが、今後の増加率の推移を予測というのは難しいとは思いますが、これまでの推移を見ると、今後も増加するということも十分予想されます。新たに造る学校、これは今後も現在までの割合で当面増加が続いたとして、対応できるようにすべきと私は考えますが、教育長いかがでしょうか。 ○議長(村上幸一君) 教育長。 ◎教育長(田島裕美君) 今回整備いたしますこの2校でございますけれども、一応過去からの子供さんの増加率を大体見越した上で整備する予定ではございます。以上です。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) これまでも北九州市にある特別支援学校が、教室が満杯になったときに学習室を転用するとか、例えば図書室とか理科室を転用するとかというようなことがあったかどうかはあれなんですが、今どこもその理科室や図書室、特別教室を普通教室に転用するというような状況があった、そういうことを踏まえて、文科省も十分なことをしなさいという指針が、方針が出たわけですよね。それを考えたら、今新しく造ろうとしているんだから、どうかモデルになるような、モデル学校になるような特別教室であったり、それから、学習室であったり図書室であったりということは、今までの既存の学習室、特別室、理科室ではなく、私はその子に合ったと先ほど申し上げました。教育長が知的障害のお子様が増えてきているんだとおっしゃいました。それは特性があるからなんです。それぞれの特性があります。その特性を生かせるような教育環境の場というのは非常に大事なんじゃないかなと思っています。そこのところどうでしょうか。 ○議長(村上幸一君) 教育長。 ◎教育長(田島裕美君) 心がけたいのは、議員の御指摘のとおりでございます。ちょっと堅い話になりますけれども、施設の基準という意味では、10月7日に中教審の初等中等教育分科会というものがございまして、そちらの中間まとめといたしまして、特別支援学校の設置基準についても文科省からきちんと示すようにという、はっきり指針が出ておりますので、文科省がどういう基準を示すかというのもやはり踏まえないといけませんもので、なかなか本市独自に突出したというのは、今の段階では難しいかもしれませんが、心がけたいのは、やはり子供さんの様々なニーズに対応できるような設計はしたいと思っております。 それと、申し訳ございません。先ほど私の答弁の中で、スケジュールに関してでございますが、本年度基本設計と言ってしまいましたけど、本年度は基本計画の策定ということでございます。 それともう一つ訂正させていただきます。先ほど知的障害の増加率を1.8と申し上げてしまいましたが、1.05の間違いでございます。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 51番 奥村議員。 ◆51番(奥村祥子君) ありがとうございます。私、今回小倉北特別支援学校と中央高等学園、東芝跡地への移転建て替えについて質問させていただいた。その中央高等学園というのが戸畑区ですね。その戸畑区にあるところに私も見学、そして、一緒に触れ合うという機会をいただいたときに、本当中央高等学園の先生方が、何といいますか、ただ教育をして学習能力を上げているとか、資質向上をしていると、そのレベルじゃない、本当に社会に出て自立ができるという、そこのコミュニケーション能力も一人一人の子供たち、生徒さんにやっていらっしゃるんですね。1学年40人で、保護者の方がぜひそこにやりたいという入学希望も多くいただいているように聞いています。それぐらい能力が高くなるという学校に対して、本当に私は先生たちに頭が下がりますし、ありがたいという思いをしているところであります。 そこで、隣にはひまわり学園という就学前の施設があります。そして、小・中・高で東芝跡地のところに高まで出てきた、そしたらその後、市長も本当によく聞いていただきたいんですが、障害のある子供さんを持つ保護者の思いは、この子を置いて私が先に逝くわけいかんというんです。それぐらい社会に自立してほしい、社会で本当に自分が、親がいなくても、その子が自立して生活ができる、その力をつけてほしいという願いを持っていらっしゃるんですね。 これは当然ながら要望の話になりますが、今、小倉北特別支援学校の建築年数は昭和53年、築42年です。その1メートル高さのブロック塀1つで横にこども文化会館というのが築40年で建っています。その中に到津市民センターというのが2階に入っているところなんです。築40年ですが、途中20年ぐらいのときにはリニューアル、耐震工事をしているところですが、そのエリアの中に本当にブロック塀1枚で教育委員会、子ども家庭局、市民文化スポーツ局という3局が重なっているところでありました。 今度はそこの一帯を福祉と共生のまちづくり、これは私は大分県別府市の太陽の家を勉強させていただいたときに、あそこの理念は保護より機会を、チャンスですね、という理念の下、町全体が信号機は低いところにボタンがある、スーパーマーケットは、レジは車椅子が通過するような低さでスーパーがある、そういうまちづくりというのは非常に大事なことなんではないかなと思っております。 今回の質問、こうやってしたことは、教育委員会が担当する移転建て替えの話だけではありません。保健福祉局の障害者支援、そして、建築都市局さん、建設局さんにはバリアフリーの町、そして、産業経済局には障害者雇用の促進など、あらゆる部署が一体となって進めていかなければ、決して実現できるものではないと思っています。新たに特別支援学校の移転建て替えを契機に、障害者の方々が安心して暮らすことのできる共生社会のまちづくりを、市を挙げて取り組んでいただきたいと思いますが、一言でよろしいです。市長の見解をいただきたいと思っています。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 私も大分の太陽の家に視察に行きました。財政的な問題も含めて障害者福祉を充実させるに当たりましては、時に困難な局面もあると思いますが、全国の自治体にはいろんな優良なモデルとなる事例もあります。そういったことも念頭に置きながら、ぜひ障害者にとって、より住みやすい優しい町になれるように一層の努力をしたいと思っております。この学校の建て替えというのは非常に大きないい契機となるものと思っております。 ◆51番(奥村祥子君) ありがとうございました。終わります。 ○議長(村上幸一君) ここでしばらく休憩いたします。再開は午後1時30分といたします。                  午前11時58分休憩                  午後1時30分再開 ○副議長(岡本義之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続行いたします。42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) 皆さんこんにちは。日本共産党の出口成信です。会派を代表いたしまして一般質問を行います。 コロナ休業支援金について質問します。 コロナ禍の中、休業手当が支払われない中小企業の労働者に、国が賃金の8割、日額上限1万1,000円を補償する新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金があります。7月の申請開始から4か月がたちますが、支給決定は予算額の僅か8%程度にとどまっています。支援の必要な人が十分に活用できているとは到底言えない数字です。 総務省の労働力調査によると、休業者が最も多かった4月、5月については正規労働者の休業が319万人に対して、非正規労働者の休業は509万人と1.6倍でした。産業別では非正規労働者が多い宿泊・飲食サービス業と卸売・小売業で3分の1を占めました。 今や労働者の4割近くとなった非正規労働者がいつでも休業、解雇の対象とされるなど、雇用の調整弁として扱われています。自民党政権で経済諮問会議のメンバーとなっている竹中平蔵氏の、首を切れない社員なんて雇えないですよ、こんな発言がまかり通っていいはずがありません。苦境に立たされている全ての人に届く休業支援金制度の実効性を保障するためには、運用の改善とともに仕組みを改めていくことが不可欠です。 コロナ休業支援金は対象を中小企業に限定したため、大企業で働く非正規労働者が対象外となっています。対象外とされる大企業には、飲食業で51人以上、宿泊業で101人以上の事業所のほか、店の運営会社が大企業に当たるなどとして、コンビニ従業員や大手居酒屋チェーンの従業員なども含まれています。本市はコロナ休業支援金の対象から企業規模の要件を廃止して、大企業労働者も対象とすることを国に要請すべきです。見解を伺います。 コロナ休業支援金の申請には、事業主の休業指示の確認を要するとされていますが、そもそも休業手当を支払っていないことについて、労基法の罰則を恐れ、休業を命じていないなどと休業指示を否定する事業主もいます。厚労省が作成する事業主、労働者向けのリーフレットには、支給要件確認書の記載は、休業手当の支払い義務の該当性について判断するものではないと記載されています。 本市は、市内に働く非正規労働者や中小事業所に対して、この制度の活用に際し事業主は不利益を被らないことを周知すること、事業主の側からも該当従業員にこの制度を案内し、活用を勧めるよう働きかけることを求めます。見解を伺います。 市内在住の大学生Aさんからの話では、コロナでアルバイト収入が激減し、学費や生活費が賄えず、退学する学生が増えてきている。自分も同様で、今は親の援助でとどまれているが、退学を考えているとのことです。そのAさんはコロナ休業支援金の制度そのものを知りませんでした。まず、学生アルバイトがコロナ休業支援金の対象であることを知らない学生が一人もいないように、大学に対して周知徹底を求めます。 また、大学側が学生の困窮状態を把握するとともに、困窮した学生が必要な支援を漏れなく受けることができるよう積極的に支援に取り組むよう、市が大学に働きかけることを求めます。見解を伺います。 困窮学生に現金給付を行う国の学生支援緊急給付金の推薦は9月末に終了しています。私学高等教育研究所の調査では、給付金を希望者全員が受けられていると回答した大学は19%にすぎず、支援が必要な学生の多くが受けられていません。追加支給の予定もありません。困窮する学生への本市独自のさらなる支援が必要と考えます。見解を伺います。 次に、合流式下水道整備区域の浸水対策について質問します。 本年9月11日未明の大雨で、小倉北区中島では玄関まで浸水し、白い紙状のものが浮遊し、辺り一帯に汚物の異臭が立ち込める浸水被害が発生しました。今回の浸水は、この地域が周辺よりも標高が低いために起きた内水氾濫で、合流式下水道整備区域のために、トイレットペーパーを含んだ汚水があふれ出し、市の職員と下水の清掃、しゅんせつ業者が訪れ、洗浄、消毒が行われました。 北九州市は、下水道を使える区域のうちおよそ21%に当たる区域、3,422ヘクタールが合流式下水道になっています。昭和40年代の半ばまでに整備された市街地の大部分が合流式下水道です。合流式下水道とは、汚水と雨水を1つの下水管で処理するもので、激しい雨が降ったときなどは下水管の汚水混じりの雨水が浸水区域に広がり、川や海に流れ出ます。 そこで、2点お尋ねします。 まず、住民に対し居住地域の下水道整備の状況と、豪雨時に汚水混じりの雨水があふれ出る危険性について周知すべきです。 また、中島の件では、住民はどこに通報し、対応を依頼すればよいのか分かりませんでした。あふれ出た下水は病原性の細菌などで汚染されていることがあり、感染症を招くおそれもあります。下水があふれ出た場合の洗浄、消毒等、浸水発生時に迅速に対応できる体制の整備が求められます。見解を伺います。 平成15年に下水道法施行令が改正され、令和5年度までに合流式下水道の改善が完了するよう義務づけられました。本市では、平成17年度の緊急改善計画着手以降、平成30年度末までに約365ヘクタールの分流化や、6か所の雨水滞水池建設等を進めています。浸水対策も兼ねた雨水管の新設による分流化と雨水滞水池の建設等を進めていますが、対策が必要な区域が多く残っています。近年の局地的豪雨や土地利用の変化により雨水流出量が増え、浸水被害が発生しています。排水能力の高い分流化方式への整備を第一として、合流式下水道緊急改善計画への予算を増額し、合流式下水道の改善を早急に進めるべきです。見解を伺います。 以上で第1質問を終わります。 ○副議長(岡本義之君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 出口議員の御質問にお答えいたします。 コロナ休業支援金についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症は全国的に拡大してきております。感染症の再拡大の防止、そして、医療提供体制の維持、確保に取り組みながら、社会経済活動と雇用の維持を目指すことが大変重要であります。 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金は、中小企業に雇用される従業員が事業主の指示により休業したが、事業主が休業手当を支払っていない場合に、従業員または事業主の申請によって支援金を従業員本人に支給するものであります。現在、休業支援金の対象は中小企業となっておりますが、中小企業だけではなく、大企業の従業員の雇用を維持することも重要であります。このため、本市は11月16日、指定都市市長会の追加経済対策に係る国の第3次補正予算案編成に対する要請を通じまして、国に対して休業支援金の対象に大企業の従業員を加えるなどの要請を行っております。 休業支援金は、従業員本人が直接申請できることから、制度について市民には広くお知らせをしております。また、事業主に対しても休業支援金が事業主自ら申請できる制度であることをお知らせし、従業員が休業支援金を申請する場合、書類作成に協力するよう周知しております。 本市の対応でありますが、具体的には市民に対しては全戸配布を行った市民向けのお知らせに、休業支援金や雇用調整助成金を掲載しております。また、ホームページを活用して広く周知に努めております。事業主に対しましては、市の事業者向け相談窓口やホームページを通じて周知を図り、引き続き市の相談窓口や商工会議所において、休業支援金や雇用調整助成金に関する相談にも応じてまいります。 本市としましては、休業支援金や雇用調整助成金などを活用して雇用を維持してもらうことが大変重要と考えており、今後も新聞の折り込みチラシなど様々な方法で周知を図ってまいります。いずれにしても、申請を円滑に行えるように、引き続きしっかりと支援してまいります。 残余の質問は、関係局長からお答えさせていただきます。 ○副議長(岡本義之君) 企画調整局長。 ◎企画調整局長(大庭千賀子君) コロナ休業支援金のうち大学に関する2つの御質問に順次お答え申し上げます。 まず最初は、コロナ休業支援金の大学への周知徹底、それから、学生の困窮状況を把握して、積極的な支援を行うように大学に働きかけることについて答弁を申し上げます。 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金に関する学生への周知につきましては、7月に続きまして11月6日付で文部科学省から各大学に対し、支援金等の対象を分かりやすく示すために厚生労働省が作成したリーフレットの内容について、学生に情報が行き渡るよう周知を促す通知文が発出されております。これを受けまして、各大学ではホームページや専用のポータルサイトなどにより学生に周知を図ったと聞いております。 また、各大学ではアルバイト収入の激減などにより生活が困窮した学生が、国などの公的機関や大学独自の支援を漏れなく受けることができるよう、日頃から学内掲示板をはじめ個別メールなど様々な方法で学生に支援制度を周知するとともに、アンケートや面接などで学生の状況把握にも努めております。さらに、各大学が設置する相談窓口では、専門のスタッフを配置して修学の継続や生活等に関する学生の相談に応じ、アドバイスも行っているところでございます。 本市と市内大学の間では、新型コロナウイルスの影響を受ける前から日常的に必要な情報や意見交換等を行ってきております。先日も大学の実務担当者による勉強会を開催いたしまして、新型コロナウイルス感染症の拡大予防対策や困窮学生への支援制度などについて、学生への情報提供、周知が大変重要であるという認識の下で、お互いの経験や工夫について共有したところでございます。 今後も感染の状況や困窮学生に対する国の動向にも注意しつつ、各大学において引き続き学生への適切な情報提供や支援に取り組んでいただけるよう、日常的な情報公開に加えまして、勉強会を開催するなど密に連携を図ってまいりたいと考えております。 次に、困窮学生への本市独自のさらなる支援が必要ではないかというお尋ねに御答弁申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて困窮する学生に支給される国の学生支援緊急給付金につきましては、3回にわたって配分枠が示され、市内の大学生約2万3,000人のうち、率にして約16%の約3,750人が給付金を受け取りました。私学高等教育研究所の調査によると、給付金を希望する全員が受給していると回答した大学は19%にすぎないということでございますが、市内の大学におきましては、申請したが給付金を支給されなかったという学生は、母国滞在中に申請した留学生など、各大学が総合的な観点から支給の対象に当たらないと判断したものと聞いております。 また、各大学における国からの配分枠の執行状況から見ましても、市内の大学においては新型コロナウイルスの影響で支援が必要と給付金を申請した学生については、給付金はおおむね行き渡ったと承知してございます。 一方で、学生支援緊急給付金以外にも学生の経済的負担が少しでも軽くなるように、各大学の判断によって学生の通信環境整備のための給付金の支給や、国立、私立大学向けの国の補助金等を活用した授業料の減免措置等が行われております。本市におきましても北九州市立大学の設置者として、9月議会で市立大学独自の授業料減免に必要な補正予算を認めていただき、大学へ交付したところでございます。 このようにこれまで国等の公的支援の活用や、各大学の独自制度により、学生の経済的負担軽減のために必要な手だてが講じられてきていることから、現時点におきましては市独自のさらなる支援を行うことは考えておりませんが、今後も学生が学びを継続できるように、各大学と共に学生の状況把握に努めてまいりたいと思います。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 上下水道局長。 ◎上下水道局長(中西満信君) それでは、最後に合流式下水道についての2つの質問にお答えいたします。 まず初めに、水道整備の状況等の周知及び合流式で汚水混じりの雨水があふれ出た場合の洗浄、消毒体制の確立についてでございます。 下水道の種類は、汚水と雨水を1つの下水管で処理する合流式と、汚水と雨水を別々の下水管で処理する分流式がありまして、このうち合流式の地区は小倉、黒崎などの市街地を中心に下水道処理区域のうち約2割を占めております。合流式で整備した区域につきましては、ホームページに掲載しているほか、マンホールの蓋に合流という表示がしておりまして、直接確認していただくことができます。 大雨による浸水など下水道の事故等が発生したときは、分流、合流の地区を問わず、まずは各区役所のまちづくり整備課へ通報していただきますよう、市のホームページや上下水道局の広報紙でございますくらしの中の上下水道を活用して御案内をいたしております。また、北九州市防災ガイドブックには、浸水時に潜む危険な点を掲載し、市民の皆様への注意喚起を図っているところでございます。 今回の小倉北区中島一丁目での浸水被害につきましては、短時間の局所的降雨のため道路冠水が発生し、下水管から汚水混じりの雨水があふれていたとの市民通報を受けまして、速やかに清掃、しゅんせつ業者を手配し、高圧洗浄車などで道路を清掃し、薬剤で消毒作業を行っております。 本市ではこのように市民からの通報に24時間365日対応できるように、清掃、消毒等を行う市内業者10社と年間を通じた契約を締結し、迅速に対応できる体制を整えております。さらに、大規模な災害時にも速やかに対応できますよう、清掃、しゅんせつ業者などの地元業界団体等と支援協力協定を締結し、バックアップ体制を整えているところでございます。あわせまして、大雨による浸水被害の防止に向けまして、梅雨前には必要に応じて下水管内部の土砂等の堆積状況を点検し、清掃、しゅんせつを行い、下水管の流下能力の確保も図っているところでございます。今後も被害が発生した場合には、民間事業者等と連携しながら、迅速に対応できるよう努めてまいります。 次に、合流式下水道緊急改善計画の予算を増額し、合流式下水道の改善を早急に進めるべきであるとの御質問にお答えいたします。 合流式下水道は、大雨時には汚水混じりの雨水が未処理のまま排出されることがあるため、放流先でございます川や海の水質汚濁などの問題が指摘をされております。このため、下水道法施行令の改正が行われ、令和5年度末までに合流式下水道の汚濁負荷量を改善することが義務づけられております。 この改善の数値目標といたしまして、雨天時における合流式下水道の放流水について、水質基準となるBOD、これは生物化学的酸素要求量と申しますが、このBODを40ミリグラム・パー・リットル以下とすることが定められました。この目標を達成するために、川や海へ放流する汚濁負荷量を分流地区と同程度以下とすることや、未処理の下水が川などへ流れ出す回数を半減することなどに取り組むこととなっております。 これを受けまして、本市では平成16年度に合流式下水道緊急改善計画を策定いたしております。この計画では、雨水管を新設することで、地形の勾配を利用して川や海に直接排水できる地区では、分流化の整備を行うこととしております。分流化が困難な地区では、雨水滞水池の整備や雨天時における浄化センターからの放流水の水質改善に取り組むこととしております。これまでに撥川流域などの分流化や、戸畑門司港ポンプ場などに雨水滞水池を5か所、若松区には雨水貯留管の整備を進めてまいりました。その結果、令和元年度末の合流改善達成率は72.3%となっておりまして、計画どおり順調に進んでいるところでございます。 平成17年度からこれまでの15年間における事業費は、総額で約447億円となっております。令和2年度からは、槻田川や板櫃川流域などでの分流化に取り組むとともに、新たに日明及び皇后崎の浄化センターの施設の一部を改造し、ろ過設備の設置を進めております。これらの事業費につきましては、約70億円を見込んでいるところであります。今後も国の交付金等の予算確保を図りながら、令和5年度末の完了に向けまして計画的に事業を進めてまいりたいと考えております。答弁は以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) それでは、第2質問を行います。 まず、合流式下水道浸水区域の洗浄、消毒体制の確立ということで質問をさせていただきますが、この問題はテーマは2つだと思うんですね。1つは、この浸水区域が病原性の細菌などで汚染されている可能性があり、コロナ感染防止の観点からも、浸水地域の一刻も早い洗浄と消毒が必要なこと、そしてもう一つは、市民に下水道の状況を知ってもらい、合流式下水道区域での浸水時には汚物があふれ出ることを知ってもらい、早急に連絡をしてもらう体制をつくることが重要だと思うんですね。そして、周知に関してですけれども、ホームページの合流式下水道の改善ページで足りると思っているのかということをお伺いいたします。 ○副議長(岡本義之君) 上下水道局長。 ◎上下水道局長(中西満信君) 市民への周知でございますが、今、最前答弁を申し上げましたとおり、まず、ホームページでやっていますし、また、広報紙を発行しておりますが、そういったところにも事故が起こった際には、まずはまちづくり整備課に御一報いただきたいということで、御案内を申し上げております。そういったことをやっておりますが、またほかのことでできることがあれば、また何かしら検討は進めていきたいと思います。以上です。 ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) これ、まずホームページで皆さんにお知らせをしているとか、事故が起きたときに知らせるとか、そういうことなんですけれども、何よりも住民は合流式というものがどんなものであるかということすら知らないんですね。下水があふれていることも知らない、自分の地域で、実際にそしてこの中島ではあふれて、トイレットペーパーが出ていたということなんですね。 それに対して市民に知らせないといけないんですね。事故が起きてからではなくて、自分の住んでいるところがどういう下水の方式なのか、そして、下水があふれるんですよと、このコロナで大事なときに、人の汚物が自分の住んでいるところにあふれているということをまず知らないといけない、そして、早急に洗浄しないといけないんですけど、周知に関してもう一度答弁をお願いします。 ○副議長(岡本義之君) 上下水道局長。 ◎上下水道局長(中西満信君) 合流式の区域の課題ということで、これにつきましても実は私どものホームページではこういった課題があるということでは御案内をしてあるところでございます。ほかの広報ツールとしまして、私どもで持っている広報紙もございますので、そういったところで改めて御案内をするということは可能かと思いますので、そういった点は検討していきたいと思います。以上です。
    ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) 本当に大切なことで、このホームページだけでは全く足りない。回覧板で回すとか、そして、自分の地域はどういう地域なのかということを知らないといけない。このコロナの中ですから、この合流式の周知のことに関して、市長はどのようにお考えかということをお伺いしたいんですけど、どうでしょうか。 ○副議長(岡本義之君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 雨水の扱いについては、雨水管の整備をはじめとして、それが上下水道整備の重要な一環であるという認識の下に、これまで財政的に推進するということで取り組んできております。今回改めて中島地域の問題を御指摘いただきました。その地域にお住まいの方にとっては、これはゆゆしき問題だと察しております。全体としてこの雨水の対応、分流式にどのように持っていくかということについては、よく検討させていただきます。 ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) 今、検討させていただきますということで、この周知に関しても皆さんにも理解してもらうと。すぐに通報してもらって、洗浄、消毒ができるような体制を整えていただきたいと思います。 そして、この洗浄、消毒なんですけれども、今回まちづくり整備課に対応を求めたんですけど、うまくいかなかったんですね、これが、実際に、細かいやり取りのことは言いませんけれども、全く対応ができていなかったということで、きっちりどういうふうに対応していくのか、はっきり答えていただきたいと思います。 ○副議長(岡本義之君) 上下水道局長。 ◎上下水道局長(中西満信君) 事故等が発生した場合には、先ほど申し上げましたように、各区のまちづくり整備課にまず御一報いただきたいと思います。まちづくり整備課から今回行いましたように消毒、また、清掃していただく業者に、まちづくり整備課から連絡を申し上げますので、まずは御一報いただきたいと思っております。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) はい、どうかよろしくお願いいたします。 そして、あまり時間がないんですけれども、コロナ休業支援金に関して伺います。 これも、このコロナ休業支援金のことで最も大事なことは、皆さんが知らないことだと思うんですね。休業したら休業手当をもらえるのかどうか、そういうことも知らないと、自分が休業支援金の対象者であることも分からない、自分は正規職員じゃないから、短時間のアルバイトだから、また、会社から、あんたには出ないよと言われたからと、そんな人がたくさんいる、この人たちにどのように知らせていくかが課題だと思いますけれども、どのように知らせていこうと考えているのか、お伺いします。 ○副議長(岡本義之君) 産業経済局長。 ◎産業経済局長(鮎川典明君) これまで従事者の方、事業者の方に全戸配布のリーフレットでありますとか、あるいは相談所、ホームページなどで周知しております。今後も新聞の折り込みチラシ等で市民の従事者の方、あるいは事業者の方にお知らせしたいと思っております。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。 ◆42番(出口成信君) 労働者に対して、事業所からまず休業支援金の対象なんですよと、あなたも休業支援金の申請をしてくださいと、事業者からそういう声をかけていただきたいと思うんですけれども、そのことに関してどのような対策を取られていますか。 ○副議長(岡本義之君) 産業経済局長。 ◎産業経済局長(鮎川典明君) これまでも相談所のほかに商工会議所を通じて御案内しております。今後も事業者の方に、従業員の方にそういった働きかけをしていただけるように、商工会議所などを通じてお知らせをしてまいりたいと思っています。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 42番 出口議員。時間がありませんので、質問は簡潔に願います。 ◆42番(出口成信君) 学生に対してもこの支援金の対象であるということもきちっと知らせていって、チラシなども配るようなこともしていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。終わります。 ○副議長(岡本義之君) 進行いたします。35番 白石議員。 ◆35番(白石一裕君) 皆さんこんにちは。ハートフル北九州、白石一裕でございます。会派を代表いたしまして一般質問させていただきたいと思います。 その前に、現在新型コロナウイルスで感染が再拡大をしております。いわゆる第3波というやつでありますけれども、本市においては幸い感染拡大にはまだ至っていないようでありますけれども、医療現場で、また、介護、福祉などの現場で日夜仕事に当たられている方々の御労苦に対して、改めて感謝を申し上げる次第でございます。 それでは、一般質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 まず初めに、市街化区域と市街化調整区域との見直しの再検討についてお伺いをいたします。 本市における市街化区域から市街化調整区域への見直し、いわゆる区域区分の見直しが地域住民やマスコミなどの注目を集めています。これまでの検討過程や住民アンケートでも見直しに伴う様々な意見が出ています。コロナ禍の影響で日程が延期になっていた住民説明会が11月に再開され、多くの参加者から意見が出されました。 本年6月議会でも質問申し上げましたが、区域区分の見直しによる開発制限や建築制限は、高齢化に伴うコミュニティーの維持や斜面地における土砂災害リスクなどを考えれば、論をまたないということは言うまでもありませんが、一方、課題として、見直し区域内に住む住民の土地、家屋などの保有資産の価値の低下などで、移住のための資金不安などが指摘をされています。 八幡東区から始まった区域区分の見直しは、今後は市内全域で検討が進むこととなっていますが、各地域での見直し候補地にお住まいの方々からも、同様の不安の声が出ることが懸念をされています。この大きな課題とも言うべき見直しを進めていくには、論点を整理して、さらに時間をかけて議論、検討することが必要と考えます。 私は今回で3度目の質問となりますが、それだけ多くの方々から意見や要望があり、また、現行案のままでは解決できない問題点や課題があると考えます。市の説明では、おおむね30年後に無居住化を図りたいとしていますが、仮に開発制限や建築制限をかけたとしても、30年先はなかなか見通しにくい状況にあると考えます。 今回の見直し候補地に住む方々が、将来的に移住を検討された場合、新しい住居の確保などに対する不安を感じています。その多くの方々は八幡東区に対する愛着があり、同区内での移住を希望していますが、同区内には今後開発可能な宅地が十分にあるとは言えず、また、資産価値が低下した土地、家屋は売却しにくく、新たな住まいの購入資金の確保が難しい状況が考えられます。そのような方々へ十分な配慮をしながら、区域区分の見直しをするべきではないでしょうか。 そこで、以下数点お尋ねいたします。 1点目に、11月から再開された住民説明会において、参加者からどのような意見が寄せられたのでしょうか、お伺いをいたします。 2点目に、現在の見直し候補地を一旦再検討し、候補地を再度見直してはどうかと考えます。対象区域の住民と時間をかけて話し合うなど、慎重な対応が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。 3点目に、移住費用が十分に確保できない対象区域内の住民のために、土地、家屋などの資産を保有していても市営住宅に入居できるような支援が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。 次に、市立総合体育館における大規模改修についてお伺いをいたします。 先日、2021世界体操・新体操選手権大会の開催が決定いたしました。国際体操連盟は2021年10月に本市で体操及び新体操の世界選手権を史上初めて同時に開催すると発表されました。本市にとっては大変名誉なことであり、これまでの他競技での開催支援などが高く評価されたことも背景にあったと確信しています。昨年のラグビーワールドカップ事前キャンプでのウェールズ代表へのおもてなしなども記憶に新しいところです。 北九州市は国際体操連盟の渡辺会長の出身地で、体操の内村航平選手も3歳まで過ごした地であり、内村選手は本市での開催について運命しか感じないと語ったそうです。また、渡辺会長はこの世界選手権を通じて、新しい地域創生のようなものに挑戦したいと語られ、例として、大会期間中に専用場所を設けて、高齢者や子供たちに健康づくりのための体操に親しむ機会をつくることを提案され、コロナ禍で単にエンターテインメントとしてのスポーツイベントの在り方から、社会に何を還元できるか、何を貢献できるのかという変化を求められていると思うと、新様式での開催を目指すとしています。このことは大変うれしいことであり、スポーツを通じてにぎわいや交流が盛んになり、元気なまちづくりを目指す本市の考えとまさに一致するものと考えます。 一方、私は平成31年3月議会の質問において、卓球ジャパンオープン荻村杯など国際大会開催などの演出や進行に不可欠な大型ビジョンの設置を要望させていただきましたが、その際に局長より、大型ビジョンや第2競技場の空調の新設など、今後の大規模改修には改修費用が約42億円かかることに加え、全面休館期間が1年かかるとの答弁をいただきました。また、工事の実施時期は公共施設マネジメント実行計画を踏まえて検討するとしていました。それを踏まえて、現在の状況について以下数点お伺いをいたします。 1点目に、老朽化しつつある当施設は、本市のスポーツ施設を代表する基幹施設であり、今こそ大規模改修を計画的に実施すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 2点目に、附帯施設とも言うべき利用者や観客にとって必要不可欠な駐車場が、現在の体育館の規模に合っておらず、圧倒的に駐車場が不足しているとも聞いています。総合体育館の駐車設備についてどのように考えているのか、お聞かせください。 導入が予定されている大型ビジョンや第2競技場の空調は、来年10月の世界体操選手権までに設置を間に合わせる必要があると考えます。早急に工事に着手することを要望とさせていただきます。 最後に、本市のいじめの状況についてお伺いいたします。 いじめは、相手に心理的あるいは物理的影響を与える行為で、子供たちの心身の発達に重大な影響を及ぼし、不登校や自殺などを引き起こす大変深刻な問題であり、いじめの克服は教育にとって大変重要な問題の一つであります。特に、今年度は新型コロナウイルス感染症による長期休業等の影響で、子供たちは家庭にいる時間が増え、生活の変化によるストレスを抱えたことから、いじめが増えることが懸念をされています。 先頃文科省から発表された、令和元年度の全国の小・中学校のいじめの認知件数は59万1,069件であり、年々増加傾向にあります。本市においては、平成28年度から積極的ないじめの認知を推し進めているとのことで、令和元年度の本市のいじめ認知件数は、昨年度からほぼ横ばいの2,825件となっています。各学校では、いじめの認知を1回だけのものや、すぐに解決したものなど幅広く捉え、早期に対応していくことと聞いています。教育委員会としても、いじめに対する様々な取組を行っていることと思いますが、予防対策はもちろん、子供たちを精神的、身体的苦痛から解放し、楽しい学校生活を取り戻させるためには、早期に発見し、一日も早くいじめを解消する必要があります。 そこで、本市の小・中学校のいじめの状況と、それに対する取組をお伺いいたします。 これで私の第1質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(岡本義之君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 白石議員の御質問にお答えいたします。 まず、市街化区域と調整区域との見直しについて、候補地を再検討し、時間をかけ慎重に対応してはどうかという御提案でございました。 本市ではコンパクトなまちづくりの推進に加え、より安全で安心な地域での居住に対応する必要があります。このため、平成30年度から市街化区域と調整区域の区分見直しの検討を進めております。 昨年12月、区域区分見直しの基本方針を策定して、併せ八幡東区の見直し候補地を選定いたしました。八幡東区では住民の方々の意見を都市計画原案へ反映させる試みとして、都市計画法に基づいた手続の前に、候補地の自治区会や土地所有者などに対し意見交換会や説明会を行っております。昨年末から随時自治区会との意見交換会など、現在までに計29回、延べ約1,200人に対し説明や意見聴取を行っており、今後も行う予定であります。また、11月には新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、候補地の土地所有者や八幡東区における候補地外の住民など幅広い方を対象に、八幡東区のレインボープラザにおきまして説明会を4日間、計16回開催し、約540人に御参加いただきました。 説明会での意見や質問でありますが、コンパクトなまちづくりが必要なことは理解できる、また、危険区域の区域区分を見直すことは必要である、また、税負担の軽減がされるよう、早急に見直してほしい、こうした肯定的な意見もありました。しかし、その一方で、利便性も高く、今後もコミュニティーを維持していきたい、また、資産価値の低下への補償がなければ賛同できないと、市街化区域を維持してほしいという意見もいただいております。 また、将来世代の負担を軽減するため、市に土地を譲渡したい、また、町なかへの移住の支援が必要、また、市営住宅への入居要件の緩和、こうした要望も受けているところです。このような意見や要望に対しまして、市としましては丁寧に説明を重ねており、今後もしっかりと対応してまいります。 議員御質問の市営住宅の入居要件を緩和する支援についてです。公営住宅法には、入居収入基準と住宅困窮要件の2つが入居要件として定められております。そのうち住宅困窮要件として、居住可能な住宅を持っていないことが示されております。家屋などを有する方に対しては、市営住宅への入居を可能とする支援はできない規定となっております。 区域区分の見直しにつきましては、災害のおそれがある地域や、人口密度の低下が見込まれる地域などにおきまして、新たな開発を抑制することを大きな目的としております。見直しの結果、市街化調整区域となった地域におきましても、住み替えや立ち退きを積極的に促進しようとするものではありません。現状のまま居住を継続することも可能であります。住み替えは、現に住まわれている方の御判断によって選択していただければと考えております。 しかしながら、区域区分が見直されることは、関係者にとりまして大きな不安材料となるため、自治区会等に対して丁寧に説明を重ねてきたところであります。今後、自治区会や住民の方々から出される意見を真摯に受け止め、具体的な意見や提案の内容を精査した上で、候補地を再度見直してまいります。他の6区におきましても、地域住民や関係者との意見交換、説明を同様に進め、八幡東区を合わせた7区について、北九州市全体の都市計画原案として公表を行う予定であります。 今後とも地域住民、関係者の声をしっかりと聞きながら、本市が目指します安全・安心で持続可能な都市構造を実現するため、コンパクトなまちづくりを進めてまいりたいのであります。 次に、市立総合体育館について御質問がございました。 総合体育館は、本市のスポーツの中核的施設として、これまで多くの国際大会やプロスポーツなどの大規模な大会から市民大会まで幅広く利用されております。供用開始から46年が経過し、外壁、屋根などの老朽化や更新時期を過ぎた設備が多数あります。加えて、大型ビジョンや第2競技場の空調、会議室の数など、大規模な大会誘致に必要な機能が不足しているという声が大会主催者などから寄せられております。 平成28年2月に策定した公共施設マネジメント実行計画では、総合体育館を大規模大会に対応する施設として長寿命化を図り、存続する施設と位置づけ、耐用年数80年まで使用することとしております。このため、平成29年度に総合体育館大規模改修基本計画を策定いたしました。外壁や屋根、床の改修、空調や配管類の取替え、また、アリーナ照明のLED化などの長寿命化、リニューアル工事であります。また、大型ビジョンや第2競技場の空調の新設、会議室の増設、エスカレーターの新設などの機能アップ工事、このように総額で42億円程度が必要であることが分かりました。 この計画に基づいて、今年度はプロスポーツや大規模大会に対応するため、機能アップ工事である大型ビジョンの設置や、第2競技場の空調整備に着手したところです。来年10月に開催される世界体操・新体操の大会に向けまして、音響、照明設備の更新、トイレやシャワー室、来賓室など内装設備の改修、体育館の外壁塗装やエントランス部のカラー塗装など、限られた期間の中でできる限りの改修を行いたいと考えております。今後とも、本市の財政状況や大規模大会の誘致状況なども勘案して、計画的に総合体育館の大規模改修を進めてまいります。 総合体育館の駐車場につきましては、体育館の周辺に合計約450台の駐車スペースがあります。観戦者が多いVリーグや剣道、卓球などの大規模大会では、駐車場が不足する状態が生じていることは承知しております。総合体育館は県営の中央公園内に立地していますので、これまでも公園の管理者である福岡県に対し、駐車場の拡充について要望を行っております。 一方で、大会主催者には観戦者に公共交通機関の利用を呼びかける、関係者には事前に駐車証を発行する、体育館周辺の有料駐車場を確保するなど、個別に混雑対策を講じていただいております。駐車場につきましては、大会主催者からも要望が強いわけです。このため、引き続き県に働きかけ、大規模改修を検討する中で、その充実についても考えてまいります。今後とも選手、観客が安全で快適に利用できるよう、適切な整備に努めてまいります。 残余の質問は、教育長からお答えさせていただきます。 ○副議長(岡本義之君) 教育長。 ◎教育長(田島裕美君) 本市の小・中学校のいじめの状況と、それに対する取組についてお答えいたします。 令和元年度の児童生徒の問題行動調査の結果、本市のいじめの認知件数は小・中学校の合計で2,825件となっております。いじめにつきましては、平成28年3月の文部科学省からの通知に基づいて、いわゆるいじめの芽やいじめの兆候といったような問題も、幅広くいじめとして積極的に認知しているところです。 本市のいじめの主な対応につきましては、冷やかしやからかいの割合が約7割を占めておりまして、前年度と同程度となっております。また、パソコンや携帯電話などでひぼう中傷や嫌なことをされるという件数は多くはないものの、徐々に増加している状況でございます。 本市におけるいじめの対応といたしましては、毎年9月にいじめに特化した全市一斉アンケートを実施した後に、担任が個別に子供たちに面談を行っております。今年度は夏休みが短縮となったために、アンケートの実施を早めるとともに、きめ細かく子供の様子を把握するために、スクールカウンセラーと連携して取り組んでまいりました。その結果、いじめの認知件数は今現時点では例年よりも少ない傾向となっております。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響によります生活の変化によりまして、子供たちのいじめの芽となる行動の増加も今後は予想されるために、生徒指導担当教員への研修や指導主事による学校への指導を行いまして、早期発見を徹底したいと考えております。 また、パソコンや携帯電話などによりますひぼう中傷に関する対策といたしまして、各学校において、いじめやネットトラブル防止のために児童生徒へ情報モラル教育を行うとともに、リーフレットを活用するなどして保護者への啓発を行ってまいります。 いじめは誰にでも起こり得るものという認識の下に、いじめに対するアンテナを高くして、早期発見、早期対応に努めて、いじめは絶対に許されないという思いを強く持って、いじめ防止対策に今後とも全力で取り組んでまいります。答弁は以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 35番 白石議員。 ◆35番(白石一裕君) 御答弁ありがとうございました。 それでは、要望、再質問させていただきたいと思います。 まず初めに、今教育長から御答弁いただきましたいじめの状況であります。 私は、10月の新聞の1面見出しを見まして、件数の多さに驚いたわけでありますけども、そのことに率直に本市はどうなっているのかなという思いを抱きました。それで、調べてみると、落ち着いているというか、発表されたような数であったので、こんなもんかなということでありましたけれども、それについては現場からの説明では平成24年でしたかね、アンケート調査をされていて、無記名でそれがすごく効果を発揮しているんではないかということを説明していただきましたので、それは非常にいいことだなと思っていました。 それで、この件数は昨年のものでして、教育長が今おっしゃったように、今年はこういったコロナの状況で懸念されるわけでありますけれども、現場もそういった関心は持って見守っていただいていると思いますので、今後も教育環境の向上に御努力を引き続きお願いしたいと要望させていただきたいと思います。 続きまして、市長から御答弁いただきました調整区域の話であります。市長から候補地を一旦見直すという御答弁をいただきました。ありがたいなと思いますけども、やっぱり対象の地域、世帯が少し最初は広かったんではないかなと思いますし、今後見直すものがいつ頃になるのかなとか、中身がどんなものになるのかなとかという思いはあるんですけども、この見直しについて時期的なものとか、例えばどういった方法で見直すのかといったことが分かれば、御答弁いただけないかなと思います。 ○副議長(岡本義之君) 建築都市局長。 ◎建築都市局長(橋口基君) 候補地の見直しの具体的な中身でございますが、今まで説明会、それから、意見交換した中で賛同の意見、見直しの要望などいろいろな意見、御要望をいただいております。それら全ての意見を反映させるということは非常に難しいんでございますけども、自治会や地域から出される提案、地権者などから個別にいただいた提案ですね、そういった意見を最大限に取り入れまして、市街化区域、市街化調整区域の連たん性が保たれているか、それから、小規模な飛び地、こういったものが生じないかとかという視点を持って、候補地の見直しをやっていきたいと考えております。 具体的に、個々の状況はやっぱり違うと思います。皆さんの御要望に全面的にそれを表現できるものでもないかと思いますけども、我々は我々なりにそういった視点を持って見直していきたいと思います。 それから、時期でございますけども、先ほど市長の答弁でもありましたとおり、コロナウイルスの感染症の拡大の状況なども注視しながら、丁寧な説明を行いつつ、スピード感を持って、ほかの6区を合わせた北九州全体として令和3年度、来年度中に都市計画の原案としてお示しできればと考えております。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 35番 白石議員。 ◆35番(白石一裕君) 御答弁ありがとうございます。見直しについて、いろいろ今局長から御説明いただきました。令和3年度ということは、年度をまたぐわけでありますけれども、いつ頃の時期になるのかとか、今、八幡東区をスタートしておりますけども、その見直しと、恐らく他の区も一緒に見直し案が出てくるのではないかなとも考えておりますけども、その際にも今最初の質問でも申し上げたように、同様な意見が出てくると思って、この解決についてはやはり区域についてもしっかり話合いなりしていただきたい、相互理解を深めていただきたいと思います。 このことについて、今までの計画と今からの見直しというふうなことなんですけど、大まかなスケジュールに何か変更はあるんでしょうか。 ○副議長(岡本義之君) 建築都市局長。 ◎建築都市局長(橋口基君) 私どもこの区域区分を見直すに当たって、大まかなスケジュールというものを令和3年度末と考えておりました。今もそれに向けて地元説明だとか、そういったものはしていますけども、こういったコロナの感染状況で空白期間があったということもございます。なので、最終の期日、ここにはこだわることなく進めていきたい。ただ、目安としては来年度いっぱいで都市計画の変更手続を終えられればなと思っておりますが、具体的にそこまで必ずやるというふうなところではございません。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 35番 白石議員。 ◆35番(白石一裕君) ありがとうございます。コロナの影響がありましたし、こういった様々な意見が出ているということで、意見を見直したり指定する区域を見直すという考えがあるんであれば、そこはこだわらずにスケジュールありきということではなくて、しっかりとしたものに仕上げていただきたいなと思っております。 再三申し上げておりますけど、私も考え方についてはおおむね理解をしているところであります。やはり人口減少社会に加えて、今後地域のコミュニティーを維持していくという意味では、やはり将来的に住み替えということも必要になってくるんだろうなと思っておりますので、そこは十分理解しているつもりであります。しかし、それから先、先ほど市長もおっしゃいましたように、様々な意見が上がってきておりまして、同じ市内でありますけども、地元で生まれ育った者としては、この辺りに住みたいなというのはあるわけでありまして、今の対象地域の方が全部一遍に住み替えるわけではないんだろうと思いますけども、土地がなかなかないのが現状じゃないかなと思います。 そういった課題もありますけれども、うちの町だけの課題ではなくなるような気もしますので、やはり仮に何か移転に対する援助みたいなものがあるとすれば、そこは過去にも申し上げましたけども、国とかのモデル事業として何かそういったことも考えながら、まちづくりに寄与できないかというふうなことを要望させていただきたいと思います。 最後に、総合体育館であります。先ほども自民の会の奥村祥子先生からも御質問がありましたけども、なかなかすばらしい大会を誘致されてきて、本当に関係者の皆様に拍手喝采を送りたいと思いますし、実は、今年の春も2回目が予定されておりましたジャパンオープン荻村杯が、残念ながらコロナで中止になりました。その前には世界卓球の誘致もしようという話がありまして、総合体育館も御覧になったと聞いております。 市長からもありましたけども、1973年のしゅん工で1974年1月から使い始めて、本当に今46年たって、今から47年目に入っていこうと、80年使うということでありますので、今からどれだけのものかなとも思いますけれども、ただ1つ気になるのは、1年間止めないといけない部分が出てくるということで、そこは非常に懸念をするわけでありまして、私も要望させていただきましたけど、9月の議会でしたか、木村年伸議員が新しい体育館、なかなかそれはかなわないことだと思いますけれども、本市のスポーツに対する盛り上がりというのは、ギラヴァンツを見ても分かると思いますけれども、非常に期待するところは大きいわけでありまして、そこも財政面も併せて長期的な視点で何かテーブルをつくって考えていただけないかなと、最後に市長に何か御意見があればお伺いしたいなと思います。 新しい体育館を造れという話ではありません。何かテーブルにのせていただけないかという話であります。 ○副議長(岡本義之君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 耐用年数80年というさっき話がありましたが、そこまではいっておりませんけれども、この本庁舎も八幡東の区役所もこのままいくのかという議論もあります。ですから、それはそれとして、やはり市民の大方がどのように考えるかという世論が非常に大事だと思っております。 代々木の国立体育館で先般の体操の大会を拝見したんですが、自分は正直言って衝撃でありました。やっぱり国立ですし、世界に冠たる東京の最高にすばらしい施設です。でも、あそこに集まった世界のアスリートが、今度は北九州市に来ていただくわけです。したがいまして、ここは胸を張って、その代わり最高のおもてなしでお迎えできればと。そして、時間はあまりないけれども、やれることは全部やり尽くしてでも、快適な環境の中で世界大会の皆様をお迎えしたいと思っておりますので、ぜひまたそのときは財政支援も必要でありますから、議員各位の御理解と御支援もよろしくお願いしたいと思っております。 ○副議長(岡本義之君) 35番 白石議員。質問は簡潔に願います。 ◆35番(白石一裕君) ありがとうございました。本当に本市のおもてなしが卓球協会も非常に高く評価をされているようにも聞いておりますし、そこが本市の売りじゃないかなと。本当、ウェールズの国歌斉唱するときに感動されていたように、本市のおもてなしというのはすばらしいものと評価していただいていると思いますので、引き続きこういったことに注視しながら頑張っていただきたいと思います。終わります。 ○副議長(岡本義之君) 進行いたします。15番 木下議員。 ◆15番(木下幸子君) 皆様こんにちは。私は北九州市議会公明党議員団の木下幸子です。会派を代表して一般質問を行います。市長並びに関係局長の明快で前向きな答弁を期待して、早速質問に入ります。 初めに、子ども医療費の助成制度について伺います。 現在、本市の子ども医療費の助成については、通院費が3歳未満は無料、3歳以上小学校就学前までは1医療機関当たり月600円まで、小学生は1医療機関当たり月1,200円までとなっていますが、中学生は助成対象外です。また、入院費はいずれも無料となっており、福岡市も同様です。 今回、福岡県は令和3年4月から、子ども医療費支給制度の助成対象を中学生まで拡充し、また、中学生部分については、政令市に対する県の補助率を2分の1とする制度改正を行うとの発表がありました。一方、福岡市は先月5日、子供の通院医療費の助成を中学生まで拡充し、さらに、その額もいわゆるワンコインの500円にすることを発表しました。この拡充は、新型コロナウイルス感染拡大による子供の受診控えをなくし、家庭の経済事情によって子供の受診に格差が生じてはいけないとの配慮もあるそうで、来年7月からの導入を目指しています。 本市は先月26日、福岡県の補助制度の拡充を利用して、より一層の子育て支援の充実を図るため、本市の子ども医療費支給制度の助成対象を高校3年生までに拡充すると表明しました。我が会派は、かねてより制度拡充を求めてきましたが、コロナ禍で財政状況が大変厳しくなることが予想される中での市長の英断に敬意を表します。 そこで、今回の制度拡充により政令市トップクラスの水準になるとしていますが、他の政令市との比較ではどの点において優位となるのか、また、その決断に至った市長の思いをお聞かせください。 次に、コロナ禍における本市の経済状況と緊急経済支援策について伺います。 先日、九州の主要企業53社の2020年9月の中間決算が公表され、前年同期と純利益を比較可能な52社のうち半数の26社が、新型コロナウイルス感染拡大の影響により減益または赤字となり、減収となった企業は約7割の37社にも上り、前年同期の16社から倍以上に増えた一方で、外出自粛による巣籠もり需要などで好調だった企業もあり、明暗が分かれた結果となりました。 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国、県及び本市は、影響を受けた事業者や市民の方に対して、事業継続への支援、DX推進、投資促進、消費喚起、にぎわいづくり、個人向け生活支援などにより、様々な緊急経済支援策を講じているところです。また、市独自の支援策としてクラウドファンディングによる飲食店等の支援、持続化緊急支援金、宿泊モニターキャンペーンなども実施してきました。 日本銀行北九州支店は11月2日、北九州・京築地区の金融経済概況を公表し、北九州・京築地区の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状況にあるものの、経済活動の再開の動きが広がりを見せる下で、持ち直しているとしています。 そこで、4点お伺いします。 1点目に、現在のコロナ禍における本市の経済状況について、市長の見解をお聞かせください。 2点目に、私は市内の企業や飲食店、サービス業などの店舗を回る中で、減収となった、廃業も考えているなどのお話を多々耳にしております。また、全国展開している飲食店等の企業は、各地の支店等を統廃合するといった動きもあります。そこで、コロナ禍の終息が不透明な中、失業者の増加や新規採用の停止など、雇用情勢のさらなる悪化も考えられます。新たな就職氷河期としないためにも今後の雇用対策が重要と考えます。見解をお聞かせください。 3点目に、本市の緊急経済支援策として、10月7日から北九州の魅力再発見パスポート事業を行っています。この事業は、北九州市民に本市の観光施設の魅力を体感していただき、市内の消費喚起、にぎわいづくりを目的としたものです。そこで、この事業により見込まれる効果及びこれまでの実績をお聞かせください。 4点目に、本市は2017年7月から10月までの間に、文化・観光施設を割安に見学できる周遊パスポートを試験的に販売しましたが、残念ながら準備していた部数の9割を超える5,000部以上が売れ残ったと伝えられています。利用者が低迷した原因として、販売場所が限られ、有効期限が短かったと分析しています。今回の北九州の魅力再発見パスポート事業は、2021年3月14日までの販売、利用期間となっていますが、市民の皆様からは、この事業を知らない、販売場所が分からないなどといった御意見を多く聞いています。そこで、さらなるにぎわいづくりに向けて、少しでも多くの市民の皆様に本市の魅力を体験していただくためにも、この事業の延長やPRの強化が必要と考えますが、見解をお聞かせください。 次に、女性の命と生活を守る支援について伺います。 1点目は、子宮けいがんの予防について伺います。 子宮けいがんの予防ワクチン、いわゆるHPVワクチンは、2009年12月に国内で販売が開始され、翌年から自治体の公費助成を開始し、2013年4月からは定期接種となりましたが、副作用が疑われる事例が相次いだことから、厚生労働省は2013年6月、自治体に対して、対象者個人への積極的勧奨のお知らせを差し控えるように求める通知を行ったため、HPVワクチンの存在すら知らない人も増えています。 子宮けいがんは、定期的な検診も重要ですが、HPVワクチンの接種により、子宮けいがんの原因となるウイルスへの感染を極力防ぐことができます。HPVワクチンは、小学校6年生から高校1年生の女子は公費で打てる定期接種となっていますが、個別にお知らせが届かないこともあり、全国的に見ると接種率は1%未満に落ち込んでいます。 この問題については、厚生労働省は10月9日、対象者や保護者に対して個別に情報提供することを徹底するよう求める通知を自治体に行いました。自治体では、将来の不利益にならないようワクチンの存在を知らせる必要があるなどとして、情報提供に踏み切る動きが広がっており、本市も早急に取り組むべきと考えます。 また、本市の子宮けいがんの定期検診率は低迷しており、平成30年度は18.2%となっていますが、全国平均も同様に16.0%と低い状況となっています。 そこで、子宮けいがんの予防に向けた今後の対策についてお聞きします。 2点目は、女性、特に若い女性の自殺防止対策について伺います。 現在、コロナ禍にある中で、若い女性の自殺が増えています。厚生労働省によると、今年8月の自殺者は前年の20%を上回る1,854人、9月も1,828人となっています。特に若い女性の自殺は深刻です。8月の男性の自殺者は前年同月に比べ10%増となっているのに対し、女性は45%増となっており、特に20歳未満の女性は前年同月の3.6倍、30代、40代も1.5倍に増えています。 社会福祉法人北九州いのちの電話は、自殺を防ぐため、悩みや不安を抱える人の電話相談に応じていますが、最近はコロナ禍に関する相談が多く寄せられているそうです。自殺率は失業率とリンクしているとされており、今後も相談が増える可能性があると見込まれます。 そこで、本市はコロナ禍における自殺の実態、特に若い女性の自殺とその原因についてどのように把握しているのか伺います。 また、北九州いのちの電話と本市の支援窓口についてどのような連携協力を図り、今後も懸念される女性の自殺者についてどのような対策を考えているのか、併せて見解をお聞かせください。 3点目は、男性の育児休業取得率の向上について伺います。 本市は2014年12月に北橋市長や幹部職員がイクボス宣言し、育児休業取得に努めている結果、国の目標である2020年度13%の取得率を既に2017年度に達成しています。 そこで、男性の育児休業取得率の向上に関して数点伺います。 1点目に、まずはかいより始めよで、本市の男性職員の育児休業取得状況についてお聞かせください。 また、市内企業や市民に率先垂範の姿を見せるためには、さらに積極的な取得促進に向けて取組を強化すべきと考えます。併せて見解をお聞きします。 2点目に、育休を取らない理由の一つに、経済的な損失の不安が上げられますが、給与保障を含めて、出産前後に関わる金銭的支援制度を周知するための取組を充実させるべきと考えます。見解をお聞きします。 3点目に、男性の積極的な育児、家事のためには、出産前からの取組が効果的だと考えます。こうした観点から新たな施策が必要ですが、見解をお聞きします。 最後に、コロナ禍における認知症の人への対応について伺います。 新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などの生活の変化で、認知機能の低下など症状が悪化していたことが、広島大学や日本老年医学会の調査で明らかになりました。認知症の人への影響は、医療・介護施設では39%、在宅介護では38%であったとされています。施設入所の人は外出や面会を制限され、妄想や鬱ぎみの症状が出たり、認知機能の低下が見られたりする人が多く、また、在宅の人は体を動かす時間や他者と触れ合う時間が減少し、認知機能や着替えなどの日常生活動作が衰えたとのことです。特に認知症の症状が重い人ほど影響が大きくなったそうです。 そこで、3点お伺いします。 1点目に、コロナ禍が認知症の方に大きな影響を与えている中で、家族の団体から介護施設における面会制限などの緩和を求める声が出ていたこともあり、厚生労働省は、10月から面会制限を一定の条件の下で緩和できる旨の通知を出しました。しかし、実際に面会を認めるか否かは各施設の判断に委ねられています。そこで、新しい生活様式に対応した面会、交流の在り方については、本市は施設と協力して対応すべきであり、そこから得られたノウハウ等は在宅介護の家族にも伝える必要があると考えますが、見解をお聞かせください。 2点目に、本市には現在約4万人の認知症の人がいて、この数は65歳以上の高齢者の約7人に1人の割合となります。認知症の人は、認知症対応型共同生活介護事業所、グループホームに入所される人や、老いを支える北九州家族の会などのボランティア団体の支援を受けながら、在宅で生活される人など様々です。そこで、現在コロナ禍にある中で、グループホームや在宅で生活している認知症の人の認知機能が低下しないように、どのような対応を行っているのか、お聞かせください。 3点目に、認知症条例の制定に向けた取組についてお聞きします。地方自治研究機構によると、現在認知症に関する施策を推進することを目的とする条例は、令和2年9月末現在で11の自治体で確認されています。直近の制定都市は、東京都世田谷区、政令市の神戸市及び名古屋市となっています。それぞれの条例には特徴があり、全国初の条例制定となった愛知県大府市は、認知症の人が鉄道事故に遭ったことがきっかけとなりました。そこで、保健福祉サービスの充実で各方面から高い評価を得ている本市ですが、認知症に関する条例制定には一歩後れを取っており、また、政令市の中でも高齢化率が一番高いことからも、条例制定へ向けての早急な取組を求めます。市長の決意を伺います。 以上で私の第1質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(岡本義之君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 木下議員の御質問にお答えいたします。 まず、子ども医療費の助成につきまして、安心して子供を産んで育てることのできる環境づくり、このため子ども医療費支給制度の果たしている役割は大変重要であります。これまで適宜制度の改正を行い、助成対象を小学校6年生まで拡充し、所得制限を廃止したり、現物給付を実施したり、そうした見直しを行って充実に努めてまいりました。 制度をさらに拡充するに当たりましては、多額の財源が必要であります。これまで県に対して市議会の皆様方にも長年力強い後押しをいただき、助成対象を中学生までとすることにつきまして強く要望してきたところであります。こういう中、県は令和3年4月から助成対象を中学生まで拡充し、また、補助率につきましても中学生部分について政令市も2分の1とすることを決断されました。市議会の与党各会派から、できる限り子育て世帯の経済的負担を軽減するように、かねてから強く要請を受けておりました。先月、与党4会派から要請書をいただいたところであります。 改めまして、県が決断をしていただいたのは、私着任して14年間、もうその前から一生懸命みんなでやってきたわけでありますが、これは大きく山が動いたわけでありますが、これは市議会、そして県議会の皆様方に格別の御理解をいただいたおかげだと思って、大変感謝をいたしております。 さて、そういう状況を踏まえまして、どのように制度を拡充することが子育て日本一を目指す本市にとってふさわしいか検討を重ねたわけであります。その中で、子供というと高校生までが入るということでありますが、中学卒業後も子育て世帯の負担というのは続きます。高校に入ると通学の定期代、部活動、その負担は一層重くなると言われます。中学卒業後もやはり継続的な支援が大切だと考えました。 高校生まで助成対象を拡充するためには、多額の財源が必要であります。毎年毎年5億円ずつ市の財源が必要となります。この点につきまして、市議会与党各会派からの強い後押しもいただきまして、子育て支援をより一層充実させるために決断をさせていただきました。与党会派の後押しがなければ5億円の決断はできなかったかもしれません。改めて御理解をいただいたことに深い感謝を申し上げたいと思っております。 制度の拡充に当たりまして、持続可能で安定的な制度とするために、通院の自己負担額につきまして、中学生は県と同額の1医療機関当たり月1,600円を上限として、高校生についても同額とするものであります。小学生以下につきましては、これまでと変更はありません。入院の自己負担額ですが、高校生についても無料であります。これによって入院については出生から高校3年生まで全て無料となります。 ほかの政令市と比べてどうかでありますが、優位な点につきましては、現在通院、入院ともに高校生まで助成対象としているのは4つの都市であります。今回の制度拡充によって、本市もこのトップグループの仲間入りをすることになります。加えて、本市では所得制限を設けておりません。通院医療費については、3歳未満は自己負担がありません。入院医療費については、高校生まで自己負担がありません。などが特徴であります。 今回の制度拡充により、子育て世帯の経済的負担を和らげることで、子育て支援のさらなる充実が図られるものと考えております。今後とも子育て日本一を実感できる町を目指して、しっかりと頑張ってまいります。 次に、現在のコロナ禍における経済状況についての認識はどうかという御質問であります。 国内の経済状況については、報道されておりますように、7月から9月に4ぶりにプラス成長に転じておりますが、年額換算では前の年の94%の水準です。市内企業にヒアリングをいたしますと、宿泊業は客室の稼働率は対前年8割から9割程度まで回復しております。これは本市の宿泊補助事業やGo To トラベル、県や市の補助事業という効果もあると思います。飲食サービス、小売業などでは、売上げが対前年約7割程度まで回復してきております。 製造業では、中国、北米など需要回復を背景に、自動車、製鉄関連で生産量は持ち直し、対前年9割程度まで回復と、全体的には持ち直しの動きが見られますが、宿泊業ではバンケット部門の売上げ比率が高い事業者、法人顧客の多い飲食店は大打撃を受けております。同じ業種でも回復に大きな差があります。また、鉄道では6割、航空では4割と業種によっても大きな違いがありますが、バス、タクシーなど交通機関はいずれも厳しい状況にあります。 市内の融資、雇用状況でありますが、市内の中小企業向け融資は、令和2年度末まで約2,250億円を見込んでおります。これはリーマンショックの融資実績577億円を大きく上回る状況であります。 市内の倒産件数は4月から10月までで20件、昨年同時期と変わりませんが、休廃業の数は1.2倍に増えております。有効求人倍率は8月に1倍を切って0.97倍ですが、9月も同水準を維持し、下げ止まりの状況にあります。 これまで本市では緊急経済対策で危機関連保証などの中小企業向け融資や、資金繰りや雇用調整助成金等のワンストップ相談窓口の設置、助成金申請書類作成の伴走支援、また、事業者の事業継続を下支えする持続化緊急支援金、また、市が部屋を買い上げることで宿泊事業者の資金繰りを支援する宿泊モニターキャンペーン、クラウドファンディングによる飲食業の先払い支援、店舗などの感染防止対策を目的にした改装を支援する新しい生活様式の店舗助成事業などを行ってまいりました。 国や県では、実質無利子無担保融資など、雇用調整助成金の特例の拡大、持続化給付金や持続化緊急支援金、家賃支援給付金、Go To キャンペーン事業などを実施しております。事業継続と雇用維持に向け、国、県、市が一体となって支援を行ってきているわけです。 一方、コロナ禍でも業績が好調な業種があります。IT企業であります。このIT企業などに狙いを定めまして、誘致を行った結果、既に6社の進出が今年決定しております。300人以上の雇用が生まれる見込みであります。 本市の経済状況は、感染防止対策、経済対策の効果もあり、回復の兆しはありますけれども、全国的に感染拡大の状況があります。先行きは全く予断を許さない状況にあります。本市としましては経済動向を注視して、事業者や求職者に寄り添った支援に最大限努めて対応してまいりたいと考えております。 女性の命と生活を守る支援について御質問がございました。 全国の自殺者の数は平成22年以降10年連続で減少しております。令和元年は2万169人、そのうち女性は6,091人といずれも最少となりました。しかし、令和2年に入って、暫定値ですが、前年の同月と比べると7月からは増加傾向、若い女性を含めて全ての年代において増加しております。 本市の女性の自殺者の数でありますが、平成21年の74人から令和元年の43人と、近年は減少傾向にありました。しかし、令和2年には10月時点で既に45人と全国同様の増加傾向にあり、その対策は喫緊の課題と認識をしております。 国が指定する研究機関の中間報告によりますと、女性の自殺の背景に何があるか、そこには経済生活問題や勤務問題、DV被害、育児の悩み、介護疲れ、精神疾患など様々な悩みが潜んでいるとされております。コロナ禍におきまして、これらの社会的要因が自殺の増加に何らかの影響を与えている可能性があると言及しております。 本市では平成29年5月、北九州市自殺対策計画を策定しております。総合的な自殺対策を推進しておりますが、具体的にはゲートキーパーの養成であります。これは自殺を考えている方のサインに気づき、声をかけ、専門家へつなぐというゲートキーパーの養成であります。次に、臨床心理士であります。電話で悩みを傾聴し、必要に応じて情報提供を行う、自殺予防こころの相談電話、令和元年度で2,847件対応しております。次に、救急搬送された自殺未遂者を精神保健福祉センターの職員が訪問や電話で伴走型支援を行う、いのちとこころの支援事業、令和元年度29人、270回、こういうことを行っております。 そして、私どもが大変感謝しておりますのは、民間のボランティアの活躍であります。民間のボランティア団体であります北九州いのちの電話では、約140人の電話相談員が365日24時間体制、無報酬であります。ボランティアで様々な相談を受けていただいております。個別的な支援が必要になる場合は、精神保健福祉センターをはじめ、それぞれの課題に応じた相談窓口へつなぐなど、連携を密にしているところであります。昭和57年以来のこのいのちの電話の御活躍に対して、改めて深く感謝を申し上げたいと思っております。 さらに、女性の様々な問題、悩みに対応して、就職やキャリアアップ、仕事と子育ての両立についてなど、就業に関する総合的な支援を行うのがウーマンワークカフェ北九州であります。次に、DV、セクシュアルハラスメントなど人権侵害等の相談に応じるのが男女共同参画センター相談事業であります。また、生後4か月までの乳児がいる全ての家庭を訪問し、産後鬱に対し早期に対応するのびのび赤ちゃん訪問事業、こうした取組を行っております。 今年の7月に自殺対策の計画につきまして実施したのが、心の健康に関する実態調査であります。その結果を基にして、現在2年ごとの評価見直しに着手しております。女性の自殺対策を含めた新たな課題についても検討していきたいと考えております。 コロナ禍の長期化によって、さらに自殺の増加が懸念されております。そのことも踏まえ、これまで以上に関係機関、団体との連携を推進し、対策の強化に努めてまいります。 残余の質問は、関係局長からお答えさせていただきます。 ○副議長(岡本義之君) 産業経済局長。 ◎産業経済局長(鮎川典明君) 2点お答えいたします。 まず、雇用対策でございます。 本市の雇用情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大前の3月の有効求人倍率は1.34倍でありましたが、4月から5月にかけて大幅に求人が減少した結果、8月に0.97倍まで低下し、9月も同水準にあります。今後、感染症が再拡大し、長期化した場合は、失業者の増加等が懸念されるため、市といたしましても今後の雇用対策を重要かつ喫緊の課題と認識しております。 本市では雇用情勢の悪化を受けまして、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等を受けた方の就業相談窓口の設置、企業と求職者の橋渡しを行うマッチング支援員の配置などを行い、まずは求人の減少に対応するため、市内企業に働きかけ、10月末時点で368件の新規求人を開拓しております。 今後も相談対応や求人開拓に取り組むとともに、建設業や介護サービス業など有効求人倍率が高い業種への就職を促すため、短期間で受講できる資格取得の支援や職場体験などに力を入れ、早期に再就職できるように支援を強化してまいります。 大卒の10月の内定率は69.8%と、過去10年平均を上回っているものの、前年比較で7ポイント減となっております。未内定者支援の重要性は増しております。一方、地元企業からは人手不足解消に向け、採用活動を継続しているとの声も聞いてございます。 今後、企業業績の悪化により未内定者の就職活動に影響が出ることが懸念されるため、本市では未内定学生の支援を行うカウンセラーの増員、未内定者相談会の実施、対面式やウェブによる合同会社説明会の開催など一人一人に寄り添った支援を行い、地元就職につなげてまいります。今後も雇用情勢を注視し、しっかりと失業対策を行うとともに、新たな就職氷河期世代を生まないよう、企業や大学と連携しながら、新卒学生の就職支援にスピード感を持って取り組んでまいります。 次に、北九州の魅力再発見事業についてお答えします。 この魅力再発見キャンペーンは、市民の皆様に市内の優良観光施設に何度でも行ける格安パスポートを手に、身近過ぎて観光の対象とは思っていない観光地等を周遊し、マイクロツーリズムの魅力を体験してもらうため、10月7日から来年3月14日まで実施いたします。市民の皆様に観光施設を利用していただくことで、コロナ感染症の影響で観光客が大幅に減少した観光施設や、その周辺事業者への経営支援となることも期待しております。 キャンペーン開始から11月23日までで、パスポートは約3万枚販売しており、開始1か月半で目標の半分を超えております。それを使って門司港レトロ、小倉城、皿倉ケーブルなどに入場した市民は延べ11万人となっております。また、6月から9月の対象施設の入場者は、前年比の2から3割でございましたが、10月7日以降の開始以降は、ほぼ前年並みに回復するか、施設によっては前年を上回ったところもあり、観光地のにぎわいづくりに大きな効果を上げております。また、全9施設を利用してスタンプを集めた方には、お土産などが購入できる商品券を進呈するほか、周辺の商業施設でも割引や特典が受けられる仕組みを設けたことで、観光消費の増加にもつながっております。 このような事業を効果的にPRするため、市内小・中学校を通じた無料引換券つきのチラシの配布、SNSや本市の観光情報テレビ番組による積極的な情報発信、特に子供や女性に購入してもらえるよう、ハローキティをメインキャラクターとしたスタンプラリーの実施、ハローキティの着ぐるみが登場した小倉駅JAM広場でのPRや臨時販売の実施、企業や団体等を通じたPRや大量購入促進のセールス実施など、様々なPRや販売促進活動を行ってまいりました。 今後も様々な世代へきめ細やかなPRを行うこととしており、新聞6紙で折り込みのチラシの配布、子育て情報紙の特集ページの掲載など、一人でも多くの市民の皆様に周知していきたいと考えております。また、実施中に寄せられた利用者からの要望に応えるため、小倉駅総合観光案内所などパスポート販売所の増設、北九州銀行レトロライン潮風号のクリスマスバージョンの臨時運行などを行い、パスポートの利便性向上と販売促進に努めてまいります。 事業期間につきましては、事業者数に応じて各施設に利用料金を支払うため、施設側の決算との関係もあり、協議の上、処理が間に合う3月14日としておりますが、今後新型コロナウイルス感染症の動向等も注視しながら、柔軟に対応していきたいと考えております。引き続き、さらなるPRを行い、一人でも多くの市民の皆様に利用していただき、本市観光地のにぎわいづくりと観光消費の増大に効果を上げられるよう努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 女性の命と生活を守る支援についてということで、子宮けいがんの予防に向けた今後の対策について御答弁させていただきます。 子宮けいがんにつきましては、全国で年間約1万1,000人が発症し、約3,000人が死亡している女性特有のがんであります。これまで本市は予防のためのワクチン接種と、早期発見のためのがん検診などの予防対策を実施してまいりました。 ワクチンの接種につきましては、平成25年4月から予防接種法に定めます定期接種となったところでありますが、因果関係が否定できない副反応が見られたことから、同年6月に国から接種勧奨を控えるよう勧告がなされたところであります。それ以降、本市では積極的な接種勧奨を控えたところでありますが、本年10月、国から市町村に対しまして予防接種法施行令に規定します周知として、対象者へ個別に子宮けいがんワクチンに関する情報提供を行うよう通知があったところであります。 これを受けまして、小学校6年生から高校1年生相当の女性とその保護者に対しまして、まず、子宮けいがんはHPV、これはヒトパピローマウイルスの感染が原因であると考えられること、また、子宮けいがんで苦しまないためにできることとして、ワクチンの接種と検診を受けることが大切であること、3つ目として、子宮けいがんワクチンは子宮けいがんの50%から70%を防ぐ、その一方で、接種の後にまれに重いアレルギー症状や神経系の症状が起こることがあることなどを記載しました、これは厚生労働省のリーフレットでございます、こちらを年内にも個別に送付する予定でございます。 また、検診につきましては、これまで受診率向上を図るため、啓発チラシの配布や20歳の女性を対象とした無料受診クーポンの配布などに取り組んでおりますが、受診率は若干低下傾向でございます。そのため、複数のメディア、媒体を組み合わせました受診促進キャンペーンを実施し、受診率の向上を図ってまいりたいと考えております。今後も正しい情報提供と検診受診率向上のための活動を推進してまいりたいと考えております。 次に、コロナ禍における認知症の人への対応についてということで、3点順次御答弁させていただきます。 まず1点目は、新しい生活様式に対応した面会、交流の在り方につきまして、施設と協力して対応すべき、そしてまた、得られたノウハウ等を在宅介護の家族にも伝えるべきとの御質問でございます。 本年3月に国は高齢者施設等における面会につきまして、面会者からの感染を防ぐため、緊急の場合を除きまして一時中止すべきことが望ましいとの方針が示されておりました。その後、活動の自粛等による高齢者への影響としまして、認知機能などの低下が見られたことから、10月には面会に関して感染経路の遮断と併せて、人とのつながりや交流が心身の健康に与える影響を考慮した対応を検討すべきとの考えが示されたところであります。具体的には、オンライン面会も考慮しつつ、感染防止対策を行った上で面会を実施することを、地域の感染状況等を踏まえて管理者が判断することとされております。 その中では、面会者には体温測定をしてもらい、感染症が疑われる症状を有する場合は面会を断ること、また、居室での面会は避け、換気可能な別室で行うこと、また、面会時間や人数を必要最小限にし、面会回数を制限することなどに留意することとなっております。 市といたしましては、このような国の考え方について、高齢者施設等へ周知を行うとともに、施設や家族などからの相談に応じて助言等も行っているところであります。また、飛まつの拡散防止のためのパネル設置など、各施設の構造等に合わせた面会環境の整備に対して、20万円を上限とした本市独自の助成制度を設けるなど、施設の面会実施の取組を支援しており、現時点で235の施設が助成を希望しているという状況でございます。 なお、施設の取組から得られましたノウハウなどを在宅介護の家族に伝えることに関しましては、施設と在宅では環境も異なることから、今後どのような対策が家庭向けに有効なのか、こういった点について検討してまいりたいと考えております。 続きまして、グループホームや在宅で生活しております認知症の人の認知機能が低下しないよう、どのような対応を行っているのかという点でございます。 コロナ禍において、高齢者が外出自粛や人との交流機会の減少により心身機能の低下率が高まり、要介護の一歩手前であるフレイル、これは虚弱の状態であります。この状況に陥りやすいと考えられます。認知症の方にとってもフレイル対策をすることは、認知機能のさらなる低下を防ぐために重要でございます。 具体的には、フレイル対策として、人ごみを避けての散歩や屋内での体操などの運動をすること、また、バランスのよい食事を取り、免疫力を高めること、そして、口くうケアや、よくかむことにより口くう機能の低下を防ぐこと、そして、電話やメールなどを活用し、社会的交流を保つことなどを感染予防を行いながら取り組む必要があり、この内容をリーフレットにまとめまして、全戸配布による周知を行っているところであります。 さらに、市政だより、これは令和2年8月1日号ほか行っておりますけれども、その他フェイスブックを活用した情報発信なども行っております。そして、地域、医療あるいは介護の関係機関を通じたリーフレット配布、こちらは9万3,000部行っております。そして、認知症介護家族交流会、こちらは月1回の開催でございますけれども、こういった場での情報提供など、様々な機会を通じまして、グループホームや自宅で生活しておられる認知症の方やその家族介護者に向けて啓発活動を行ってきたところであります。 また、認知症の方の家族などで構成されております老いを支える北九州家族の会の会報誌に、フレイル対策や認知機能の低下防止対策を掲載していただくなど、コロナ禍における連携強化も図っているところであります。 コロナ禍の長期化によりまして、認知症の方の認知機能の低下につきましては、今後より重要な課題になると考えております。引き続き、認知機能の低下防止策の周知をはじめとした認知症施策に取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、認知症条例の制定に向けて早急に取組を求めるという内容についてでございます。 本市では平成28年4月に、全国に先駆けて認知症施策の全市的な拠点となります認知症支援・介護予防センターを開設し、北九州市オレンジプランに基づきまして、認知症の方やその家族の視点に立った施策を展開しているところであります。このセンターでは、地域で認知症の方や、その家族を支援しておられます老いを支える北九州家族の会や認知症・草の根ネットワーク、さらには医師会、歯科医師会、薬剤師会と連携協定を締結しまして、認知症の早期発見、早期対応や認知症の方の安全確保に関する施策などを相互に協力し合いながら、官民一体となって取り組んでいるところであります。 国におきましては、昨年6月に認知症施策推進大綱を策定いたしまして、その中では認知症の本人が情報発信する場の支援、あるいは認知症サポーターが支援チームをつくり、認知症の方や家族のニーズに合った具体的な支援を行う仕組みづくりなど、新たな考え方が盛り込まれているところであります。現在、本市では北九州市オレンジプランの改定作業を行っておりまして、大綱の考え方やコロナ禍における新たな課題に対応するための施策につきまして、北九州市高齢者介護の質の向上推進会議におきまして議論をいただいているところであります。 また、国会におきましては、認知症施策の基本理念や地方公共団体の責務、あるいは市町村による認知症施策推進計画の策定の努力義務などを法的に規定しました、認知症基本法案の審議が行われていると聞いております。条例制定につきましては、認知症基本法に関する議論をまず注視することといたしまして、まずは北九州市オレンジプランの改定作業を着実に推進してまいりたいと考えております。私からの答弁は以上です。 ○副議長(岡本義之君) 総務局長。 ◎総務局長(高松浩文君) 最後に、本市の男性職員の育児休業取得の状況と取得促進に向けた取組の強化について、出産前後に関わる金銭的支援制度を周知する取組の充実について、男性の積極的な育児、家事のための出産前からの新たな施策の必要性についての3点の御質問に一括して御答弁申し上げます。 男性の育児休業は、女性の体調不良や精神的な不安の軽減に資するだけでなく、男性自身のマネジメント能力の向上や職場における業務改善など生産性向上にもつながることから、その取得を促進することが重要であります。 男性職員の育児休業取得促進については、イクボス実践の取組や子の出産予定または直接の男性職員とその上司が子育て支援制度の利用等について話し合う面談の実施を徹底しております。その結果、男性職員の育児休業取得率は5年で5倍以上となり、令和元年度で28.7%まで高まっています。今後は、育児休業を取得しても育児に参画しない、いわゆる取るだけ育休とならないよう、男性職員の育児の質を高める研修も充実させていきたいと思っております。 男性に対する金銭的支援制度の周知については、母子健康手帳交付の際に本市が独自に製作している父子手帳を配布していますが、今年度改訂時に育児休業給付金についても具体的に記載しており、今後は父子手帳の交付を通じて周知に努めたいと考えております。 また、市内企業に対しては、金銭的支援も含め、両立支援制度をまとめた冊子を本市独自に作成しており、それを広く配布して周知しています。また、各種助成金の活用や就業規則の整備などについて、社会保険労務士による助言等を受けられる仕組みも設けております。今後は、各種支援制度の周知の際に、男性の育児休業取得に関する市内企業の優良事例を紹介するなど、実際の取得イメージをつかんでもらえるような広報の工夫を行っていきたいと思っております。 さらに、男性の家庭参画には、管理職の理解やマネジメントが不可欠であることから、平成29年に北九州商工会議所と連携して、企業トップによる北九州イクボス同盟を設立し、現在161団体に加盟していただいております。加盟企業には研修等を通して管理職に男性の家庭参画の重要性を伝えているところでありまして、今後は北九州イクボス同盟の加盟企業の拡大に一層注力して、啓発を強化してまいりたいと思っております。 男性が出産、育児に取り組む大切さを学ぶ機会としては、もく浴や妊婦体験などの実習や参加者同士の交流会等を行う両親学級や、父親と祖父を対象とした男2代の子育て講座を開催しております。また、父子手帳においても男性に積極的に家事、育児に関わってもらえるような情報を盛り込んでおります。今後は、これらの機会に夫婦で出産前に育児、家事の分担を話し合うなどの準備に関する情報提供も充実させていきたいと考えております。 男性の育児休業取得に向けては、男性が当たり前に育児に参加する組織風土をつくることが重要であります。本市全体がそのような組織風土となるよう、本市職員が率先垂範し、市内企業にも広く浸透していきたいと考えております。以上で答弁を終わります。 ○副議長(岡本義之君) 15番 木下議員。 ◆15番(木下幸子君) 御答弁ありがとうございました。 数点要望させていただき、あと質問を少しさせていただきます。 まず、北九州の魅力再発見パスポートですが、これは市民対象の市民のための市内観光、いわゆるマイクロツーリズムの促進です。本市の観光地、また、施設の魅力を体感していただくとともに、新たにこの町を愛して、また、誇りに思っていただけるチャンスだと思います。これにより観光施設周辺の飲食店やお土産物店、また、プラス公共交通機関の利用者増も期待されるところでございます。コロナ禍の感染予防を徹底して、市民の皆さんには楽しんでいただき、使い勝手のよいものにしていただきたいと思いますので、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。 次に、HPVワクチンの接種率の激減による患者発生の影響予測ということで、子宮けいがんを予防するHPVワクチンの予防接種勧奨を厚生労働省が中止し、接種率が激減したことで、無料で受けられる定期接種の対象を過ぎた2000年から2003年度生まれの女性では、避けられたはずの患者が約1万7,000人、死者が計4,000人発生するとの予測を大阪大学のチームが発表しました。私はこれ大変危惧しております。重ねて女性の命と暮らしを守るために、全力でこの点についても取り組んでいただきたいと思います。 次に、要望ですが、男性の育休の件です。しっかり取り組んでいただけるということですが、北九州市は政令指定都市の中で第4位、上位につけているわけですが、トップの千葉市は65.7%で、特に市長のお膝元である首長部局等は取得率が93%で、全国トップクラスなんですが、千葉市では市長自ら男性職員も育児休業を取得することが当たり前という考えで、常日頃から職員に声をかけてメッセージを発信し、取組を進めた結果、高い取得率になっているようです。成功している他都市の事例も参考にしながら、本市も限りなく100%に近づけていただき、また、市内の一般の企業に向けても情報発信していただきたいと思います。 同じく出産前からの男性の育児、家事についての意識向上の件について要望いたします。佐賀県では、これから子供を持つ男性は妻の妊娠、マイナス1歳からの意識改革が大切であるとして、この時期に家庭における家事、育児の在り方について見直す機会をつくり、夫婦共に家事、育児に携わる関係をつくることで、男性に子育ての当事者としての意識を持ってもらうこととしています。北九州も同じか、それ以上頑張っていただいているということですが、子育てや夫婦で取り組む家事のコツなどを伝えるマイナス1歳からのイクカジ推進事業という、名前は変わっているかもしれませんが、そういうしっかり先ほど言われた取るだけ育休ではなくて、ただ数とかパーセンテージを上げるだけの育休ではなくて、しっかり奥様に役立つ、奥様を休ませてあげるというか、夫婦で協力して育児をするという意識、しっかり持っていただきたいと思います。 それから、認知症条例の作成についてですが、それぞれの条例には特徴があって、今令和2年9月末現在で11の自治体が認知症条例をつくられております。直近の神戸市は理念的な規定のみならず、給付金の支給など具体的な施策に関する施策を盛り込み、この条例を踏まえ、全国初となる認知症対策の神戸市モデルを実施しております。 北九州も、質問にもありましたが、政令市で一番高齢化しておりますし、オレンジプランと同時並行で同じような内容の取組もやっているんですが、作成に当たっては当事者本人や家族の声をしっかり盛り込んで、また、老いを支える北九州家族の会などのNPO団体の意見もしっかり取り入れて、実のある、実行力のある、そういう条例をぜひ早急につくっていただきたい、それはもう市民の皆さんからの声をいただいておりますので、私もお伝えしておきます。 最後に、2つの質問をさせていただきます。 子ども医療費の関係ですが、子供の医療費でひとり親家庭等医療費支給制度がありますが、入院費に関して、一般の高校生に対しては無料でということですけど、今現在、ひとり親家庭等医療費、高校生は入院に関しては1日500円、月限度は7日まで有料になっております。この部分に関してはどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。 ○副議長(岡本義之君) 子ども家庭局長。 ◎子ども家庭局長(福島俊典君) 令和4年1月からの子ども医療費の高校生までの拡充に合わせまして、ひとり親家庭等医療費支給制度につきましても、高校生の入院費について無料とする予定でございます。以上でございます。 ○副議長(岡本義之君) 15番 木下議員。 ◆15番(木下幸子君) 分かりました。独り親家庭等の保護者の方が安心して喜んでいると思います。どうぞよろしくお願いいたします。 最後に、女性の自殺対策に関してですが、エッセンシャルワーカーや独り親家庭の支援ということでお聞きします。 新型コロナウイルス感染拡大が女性に及ぼす影響について、先ほどからも答弁の中にありましたが、内閣府の研究会で11月19日、女性の就業者の割合が高い保健師や保育士、処遇改善などを求める緊急提言が出ております。提言では、新型コロナ感染拡大に関して、特に女性への影響が深刻で、女性不況の様相が確認されると指摘して、一斉休園や一斉休校を今後実施する場合には、女性や子供の立場に最大限配慮するよう要望しています。 自殺等の相談体制と対策を早急に強化することが必要だと思うんですが、特に医療、介護、とりわけ保育の保育士さんなどのいわゆるエッセンシャルワーカーの処遇改善等を十分考慮して、また、独り親家庭への支援を強化することなど、国、自治体、民間企業が協力して取組を進めることと提言しているんですが、こうした点について最大限の配慮を行うことは、女性の生活や命を守ることの最大に大切なことだと思います。自殺防止につながることにもなってまいりますので、本市においてこのエッセンシャルワーカーの処遇改善と、独り親家庭の支援強化はさらにどのように進めていかれるでしょうか、見解をお聞かせください。 ○副議長(岡本義之君) 保健福祉局長。 ◎保健福祉局長(永富秀樹君) 議員御指摘のエッセンシャルワーカーの皆様につきましては、コロナ禍において感染症対策と併せまして、やはりそれに影響してかなり日常生活の中でもストレスを感じておられる方が多いということは認識しております。こういった点も含めまして、コロナ禍が長期化していく中で、改めてこの課題をしっかり取り上げながら、今自殺対策のいわゆる計画の見直し等も行っておりますので、有識者の方々の意見等も伺いながら、新たな取組等を進めていければと思っております。以上です。 ○副議長(岡本義之君) 15番 木下議員。 ◆15番(木下幸子君) コロナ禍で、今、日本は未曽有の国難とも言うべき状況でございます。市内を回る中で、改めて女性の心身ともの健康が家庭や職場、学校、ひいては町の元気につながると実感しております。今後もしっかり取り組んでいただきたいと思います。以上で終わります。ありがとうございました。 ○副議長(岡本義之君) ここで15分間休憩いたします。                  午後3時28分休憩                  午後3時46分再開 ○議長(村上幸一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続行いたします。12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) 皆さんこんにちは。自民党の鷹木研一郎です。会派を代表して今任期最後の一般質問をさせていただきます。 まず初めに、折尾地区総合整備事業についてお尋ねいたします。 僕の計算が間違いではありませんでしたら、ちょうどこの質問で折尾に関する質問は30回目となります。16年間答えていただいている執行部の皆様にもお礼と敬意を表しながら、質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 折尾地区総合整備事業は、平成16年度の事業開始から15年以上が経過し、折尾駅周辺は新たな町に生まれ変わりつつあります。来年1月2日の早朝には、鹿児島本線の最終の切替えを実施することや、新駅舎を開業することが先日発表され、昨年3月の筑豊本線高架切替え以来の大きな節目を迎えております。現在の折尾駅5番ホームからは、真新しい鹿児島本線のホームやレールを見ることができます。また、北口の仮駅舎の奥には、かつての姿をほうふつとさせる新しい駅舎の外観をかいま見ることができるようになるなど、待ちに待った連続立体交差事業の完成がいよいよ近づいてきていることを実感できるようになっています。 さらに、駅周辺では日吉台光明線や折尾中間線などの道路工事、土地区画整理事業による宅地や区画道路の整備も進んでおり、この事業の目標である住みやすくて魅力的で、にぎわいのあるまちづくりの完成に向けて、市民の期待も高まっているところです。 そこで、お尋ねいたします。 まず、1点目ですが、高架下の利活用についてです。鉄道の高架工事がほぼ終わり、今後は高架下に新たに生まれる土地をいかに活用し、町の発展につなげていくかが大変重要です。昨年10月に市が公表した土地活用イメージに沿った整備が進むように、JR九州とも連携して取り組んでいただきたいと思います。そこで、高架下の利活用に関して、取組状況と今後の見通しについてお聞かせください。 次に、2点目ですが、駅前広場の整備についてです。来年1月に新駅舎が開業し、その後、仮駅舎が撤去され、いよいよ北側の駅前広場の整備が本格的に進められると聞いています。しかしながら、現在駅北口の仮設駅前広場には、バス停やタクシー乗り場等が配置されています。これらは公共交通の利用促進のために重要であり、工事中もその機能を維持していくことが求められています。そこで、北側駅前広場の工事の進め方や、バス、タクシーなどの取扱いについてお聞かせください。 次に、北九州市立大学での対面授業再開についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症は、御承知のとおり我々市民の生活、経済活動、学校など様々な分野に大きな影響を与えています。特に、小・中学校では約2か月間臨時休業となりましたが、様々な感染症拡大防止対策をした上で通常授業を再開しています。しかし、多くの大学では広範囲から通学するなど学生の行動範囲の広さや、100人以上の学生が教室に集まり密になることなどから、感染のリスクが高いとして、前期は遠隔授業を中心に実施されました。 こういった状況もあり、文部科学省では大学等における後期等の授業の実施方針等に関する調査を行いました。その調査によると、後期授業では約2割の大学が全面的に対面授業を再開し、約8割が対面授業と遠隔授業を併用する。また、併用する大学のうち、約6割がおおむね半分以上で対面授業を実施する予定とのことでした。 この結果を受け、文部科学省は授業を実施する際の留意事項として、豊かな人間性をかん養する上で、直接の対面による学生同士や学生と教職員の間の人的な交流等も重要な要素であることにも留意し、感染対策を講じた上で、対面授業の実施が適切と判断されるものについては、対面授業の実施を検討することと通知しています。 一方で、北九州市立大学では後期の授業について、新型コロナウイルス感染症予防及び拡大防止の観点から、引き続き遠隔授業を基本とし、対面での実施が必要な一部の科目については、感染防止策を十分に講じた上で対面授業を実施することとしています。 そこで、お尋ねいたします。 希望を持って入学したのに学校に行けない、友人をつくってキャンパスライフを満喫したいと思っていたのに友人がいない、そういった声をよく耳にします。こういった状況もあり、休学や退学を考えている学生も多いそうです。北九州市立大学は公立大学法人が運営し、大学の自治によって運営していくことは重々承知をしていますが、毎年北九州市立大学の運営事業経費を負担している市の立場として、来年度は全面的な対面授業を再開すべきと思いますが、見解をお伺いいたします。 次に、2021世界体操・新体操選手権北九州大会についてお尋ねいたします。 11月8日に東京の代々木体育館で開催された体操の国際大会のクロージングセレモニーの中で、本市出身の国際体操連盟渡辺会長、小川県知事、北橋市長出席の下、2021世界体操・新体操選手権が本市で開催されるとの発表が行われました。世界体操競技選手権、世界新体操選手権が日本で開催されるのは、いずれも3度目で、両大会が同時に開催されるのは史上初となります。当日の国際大会で、鉄棒のH難度ブレトシュナイダーに初成功した内村航平選手は、生まれが北九州で3歳までこの地で過ごしました。自分の生まれた国でオリンピックができること、自分の生まれ故郷で世界選手権ができることに、この上ない幸せがあると出場に意欲を見せています。 大会開催まで1年を切り、独占放送を行うテレビ朝日ではPR動画を作成しています。また、市も世界体操・新体操選手権推進室という専任の組織を設置し、市長も国際体操連盟や日本体操協会、福岡県をはじめ多くの方と力を合わせながら大会を大成功させたいと、市の非常に強い意気込みを感じているところです。 そこで、お尋ねいたします。 まず1点目ですが、東京2020閉会後の約1か月後、オリンピックで世界中を魅了した選手たちが再びこの北九州の地を訪れ、最高の演技を披露してくださいます。本市で実施することにより期待される成果について教えてください。 次に、2点目ですが、私はこの大会がコロナ禍の中、東京2020後の地方都市で開催される最初の世界大会になるのではないかと思っています。つまり本市の取組が、今後こういった世界大会を他都市で開催する上での試金石になるのではないでしょうか。万全のコロナ対策と本市がこれまでに培ったおもてなしの精神を融合し、新たなおもてなし様式を構築することを検討してはどうでしょうか、見解をお伺いいたします。 次に、3点目ですが、今大会は体操が北九州市立総合体育館、新体操が西日本総合展示場新館で開催されます。参加する世界各国の選手や大会関係者を満足させるには、大会会場の充実が必要ではないかと考えます。午前中の質問、午後の質問とも重なりますが、見解をお伺いいたします。 次に、子ども医療費支給制度の拡充についてお尋ねいたします。 本市は、子育て日本一を実感できる町の実現を目指して様々な取組を進めており、NPO法人が主要都市の子育て支援の取組を調査した2019年度次世代育成環境ランキングでは、9年連続で政令指定都市第1位に選ばれています。これは、本市の子育て環境が高く評価された結果であり、私自身大変うれしく思っており、関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。 また、子供たちの健康保持と健やかな育成を目的とする子ども医療費支給制度については、これまで本市では通院について小学校卒業までとしていましたが、県が中学生まで制度を拡充する機会に、より一層子育て支援の充実を図るために、子ども医療費支給制度を高校3年生まで拡充するという大変喜ばしい発表が先日行われました。 子ども医療費支給制度拡充については多額の費用が必要であり、これを実現するためには県の制度拡充が不可欠でありました。このため、我々自由民主党・無所属の会議員団は自民の会と共に、福岡県議会、福岡県議会自由民主党、自由民主党福岡県支部連合会に対して幾度となく要望を行い、昨年12月、県知事から、令和3年度当初に子ども医療費支給制度の助成対象を中学生まで拡充し、政令市に対する補助を中学生の部分について2分の1にすると表明されました。ついに、令和3年4月から我々が待ち望んでいた子ども医療費支給制度の助成対象が中学生まで拡充されることが現実のものとなりました。 県の制度拡充を受け、子ども医療費拡充の準備を進めていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、子育て家庭の経済的不安は大きくなり、中でも特に高校生のお子様がいる家庭では、通学定期代、部活動費、朝課外などの学習費、食費など経済的な負担が大きいという声もあり、また、全国の自治体の状況を見ると、高校生まで助成する自治体が増えている現実もありました。 こうした状況の中、県の補助対象拡大を機に、子ども医療費支給制度を高校生まで拡充する新制度がいよいよスタートすることは、これまで与党4会派で拡充について強く要望を行ってきた結果であり、大変意義深いことであると思います。 そこで、新制度の具体的な内容、スケジュール及びその効果がどのようになるのか、お聞かせください。 次に、脱炭素社会への実現に向けてお尋ねいたします。 9月16日に第99代内閣総理大臣に任命され、菅義偉内閣が発足いたしました。10月26日の第203回国会、所信表明演説で菅総理は、新型コロナウイルス対策と経済の両立やデジタル社会の実現などの所信表明を行いました。その中でもグリーン社会の実現として、菅政権では成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現に最大限注力していく、我が国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言すると表明されました。 本市も福田内閣のときに、平成20年、環境モデル都市に選定され、平成21年3月に環境モデル都市行動計画を策定し、さらに、平成26年3月に計画の改定を行い、低炭素社会づくりに幅広く取り組んでまいりました。その後、気候変動防止に係る国際的枠組みであるパリ協定や国の地球温暖化対策計画を踏まえて、平成28年8月に北九州市地球温暖化対策実行計画・環境モデル都市行動計画を策定し、温室効果ガス排出削減等を図る緩和策と、温暖化の影響による被害の回避・軽減対策である適応策を車の両輪として、総合的かつ計画的に低炭素社会づくりを進めています。 菅首相の所信表明を受け、それを地方自治体が率先して取り組んでいく、そうしなければ、これは絵に描いた餅になってしまいます。そこで本市は、10月29日の市長定例会見で、国と同様に2050年までに脱炭素社会を実現する、つまり温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、この方向を目指すと表明されました。環境モデル都市や環境未来都市として国内外で高い評価を受けている本市の取組は、他の都市も非常に注目をしているのではないでしょうか。 そこで、お尋ねいたします。 まず1点目に、北九州市地球温暖化対策実行計画・環境モデル都市行動計画は、今年度が計画期間の最終年度であり、計画の2020年度の目標として、2005年度を基準に市域全体でCO2排出量8%削減、市役所の率先実行として、市役所業務によるCO2排出量30%削減を掲げていますが、これまでの取組実績について伺います。 次に、2点目ですが、現計画では長期的に、2050年度に市域全体でCO2排出量50%削減することを掲げていますが、それをゼロにするという市長としても一大決心をされたものだと思っております。市長もよく言われますが、本市のCO2の約6割が産業界から排出されており、今後いかに産業界の理解と協力が得られるかが重要になってまいります。現在、環境審議会等で議論されていると思いますが、2050年ゼロカーボンに向け、取組の方向性について市長の思いを伺います。 最後に、下関北九州道路の早期整備についてお尋ねいたします。 下関北九州道路について、日本各地で発生している自然災害に備えた下関北九州道路の必要性の視点から質問をいたします。 近年では毎年のように全国各地で自然災害が発生し、甚大な被害が発生しております。九州では、平成28年4月の熊本地震や平成29年7月の九州北部豪雨、佐賀県等を中心とした令和元年8月前線に伴う大雨など、被災地では生活道路が寸断され、救援物資や災害復興対策の遅れにつながっています。 こういった状況の中で、現在最も心配されているのが南海トラフ地震の発生です。南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖を震源域として、おおむね100年から150年周期で発生してきた大規模な地震であり、前回の南海トラフ地震が発生してから70年以上が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まっていると気象庁のホームページでも紹介をされています。 この地震が一たび発生いたしますと、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では、震度6強から6弱の強い揺れになると想定をされています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波の襲来が想定されています。この地震で、本市では震度5弱の揺れと最高津波水位が3.5メートルに到達すると想定をされています。このような、いつ発生しても不思議でない地震等の自然災害に、早急に備えていく必要があるのではないかと考えているところです。 私は、これまで幾度となく、現在の本州と九州を結ぶ大動脈のぜい弱さと、それを補完する下関北九州道路の早期整備の必要性を訴えてまいりました。本市で一たび大規模な災害が発生し、ほぼ同じ位置にある関門橋と関門トンネルが同時に通行止めになった場合、その後の災害復旧・復興が遅れるだけでなく、物流を中心に全国の企業活動にも大きな影響を与えることになります。本市のため、関門地域のため、そして、日本経済のため、信頼性が高く安定して通行できる道路網の構築が急務であり、そのためには下関北九州道路を早期に整備することが必要不可欠であると考えています。改めて、下関北九州道路の早期実現に向けた本市の見解を伺います。 以上で私の第1質問を終わります。ありがとうございます。 ○議長(村上幸一君) 市長。 ◎市長(北橋健治君) 鷹木議員の御質問にお答えいたします。 まず、世界体操・新体操の大会についてであります。 この大会におけるコロナ対策は重要な課題であります。先月、国際体操連盟が主催した体操の国際大会、友情と絆の大会では、選手のPCR検査や隔離、観客数の制限など徹底した対策が講じられていました。また、来年のオリンピックに向け、国や東京2020組織委員会が競技ごとのコロナ対策を検討しております。こうした取組やコロナの感染状況などを踏まえ、現在国際体操連盟や日本体操協会がコロナ対策を検討しております。本市としても福岡県と協力しながら、必要な対策を早急に検討してまいります。 その上で、選手へのおもてなしも重要となってまいります。今年の8月、本市を訪れた国際体操連盟の渡辺守成会長から、子供や高齢者が海外選手と交流し、大会後もIT技術で絆をつなぐ取組を進めたいといった提案をいただいたところです。 本市のおもてなしでありますが、本市にはラグビーウェールズキャンプにおきまして、満員のスタジアムで歓迎した公開練習、町を真っ赤に染めた都市の装飾など、国内外から高く評価されたおもてなしの実績があります。世界体操・新体操に向け渡辺会長の提案や本市の実績を踏まえ、国際体操連盟や日本体操協会と協議しながら、コロナ禍における新たな様式のおもてなしの形を検討してまいります。コロナ禍におきましても北九州に来てよかったと皆様の心に残る大会としたいのであります。 次に、子ども医療費の支給制度の具体的内容、スケジュール、効果について御質問がございました。 安心して子供を産んで育てることのできる環境づくりのため、子ども医療費支給制度が果たしている役割は大変重要であります。これまで適宜制度改正を行い、助成対象を小学校6年生まで拡充し、所得制限の廃止、現物給付の実施など見直しを行い、子育て支援の充実に努めてまいりました。制度をさらに拡充するに当たりましては、多額の財源が必要となります。このため、県に対して市議会の皆様にも力強い後押しをいただきながら、助成対象を中学生までとすることなどについて強く要望してきたところであります。 このような中、県は令和3年4月から助成対象を中学生まで拡充し、また、補助についても中学生分について政令市も2分の1とすることを英断されました。市議会自由民主党・無所属の会並びに自民の会はもとより、市議会各会派、そして藏内元会長をはじめ自由民主党福岡県議団や県議会各会派、福岡県など御尽力をいただきました全ての皆様に改めて感謝を申し上げます。 市議会の与党会派から、できる限り子育て世帯の経済的負担を軽減するよう、かねてから強く要請を受けておりました。先月には与党4会派から要望書をいただいたところであります。 このような状況を踏まえ、どのような制度を拡充することが子育て日本一を目指す本市にとってふさわしいか、鋭意検討を重ねました。その中で、子育て世帯の経済的負担は中学卒業後も続くもので、高校に進学すると通学定期代、部活動の費用、その負担は一層重くなることから、中学卒業後も継続的な支援が必要と考えました。高校生まで助成対象を拡充することには約5億1,000万円、多額の財源が毎年必要となります。市議会与党各会派からの強い後押しもあり、子育て支援をより一層充実させるため決断をさせていただきました。 制度の拡充に当たり、持続可能で安定的な制度とするため、通院の自己負担額につきましては、中学生は県と同額、1医療機関当たり月1,600円を上限とし、高校生についても同額とするものです。なお、小学生以下につきましてはこれまでと変更はありません。入院の自己負担額につきましては、高校生についても無料であります。これにより入院については出生から高校3年生まで全て無料となります。 次に、スケジュールであります。令和3年4月から通院医療費の助成対象を中学校3年生まで拡充し、令和4年1月を目途に通院、入院の助成対象を高校3年生まで拡充したいと考えております。 制度拡充の効果でありますが、出生から高校3年生までをトータルで見ますと、制度拡充前と比べて推計で子供1人当たり約11万円の負担が軽減されることになり、保護者にとって経済的効果は大きいと考えております。今回の制度拡充によりまして、子育て世代の経済的負担を和らげ、子育て支援のさらなる充実が図られると考えております。今後とも子育て日本一を実感できる都市を目指して、しっかりと取り組んでまいります。 次に、脱炭素社会への実現に向けて御質問、御提案がございました。 パリ協定が始動した今年に入り、国内外で脱炭素に向けた動きが加速しております。10月に菅総理大臣が国会において、2050年までに脱炭素社会の実現を目指すと所信表明の中で明らかにされました。今後、経済界、産業界を含め、脱炭素に向けた研究開発や様々な動きが加速しているものと期待でき、総理の英断に心から敬意を表します。 私は、産業都市の市長として、かねてから地球温暖化対策と都市の活力増大を同時に推進することが重要と強く認識しておりました。2050年度にCO2排出量を市内で50%減らし、アジア各地域で環境技術を輸出して150%削減するという高い目標を掲げたのが、北九州市地球温暖化対策実行計画の策定であります。福田内閣に対してその約束をしたところであります。 具体的には、地域への低炭素で安定した電力供給を実現するため、響灘洋上風力発電の総合拠点化の推進、かれこれ10年この努力を続けております。また、株式会社北九州パワーによる公共施設や中小企業への電力供給など、再生可能エネルギーの導入と最大限の活用であります。次に、フィリピン・ダバオでの廃棄物発電施設の導入支援や、インドネシア・スラバヤでの生ごみコンポストの導入など、アジア低炭素化センターによる環境国際協力ビジネスの推進であります。次に、まちなか避暑地やノーマイカー運動のほか、次世代エネルギー設備導入補助などによる家庭や事業所での省エネとCO2排出削減の推進であります。次に、クールビズ、施設の省エネ改修、再生可能エネルギーや次世代自動車の導入など、市役所による率先実行であります。 こうした様々な形で取り組んでおります。平成29年度には基準としている平成17年度と比べて、市内では1.6%、市役所業務では23%のCO2を削減いたしました。 このような取組の結果、本市は環境モデル都市として平成20年度に国から選定されて以降、10年連続で全国23あるモデル都市の中で最も高い評価を受けてまいりました。そうした中で、総理が研究開発の加速度的な促進や規制改革などの政策を総動員して、地球温暖化対策に総力を挙げて取り組むという決断を所信表明で示されたのであります。これを受け、環境先進都市の本市として、さらに一歩踏み込んだ取組が必要との思いを新たにいたしました。 そこで、国と歩調を合わせ、脱炭素社会の実現に向け取り組んでいく決意を示すことが、市民や企業への強いメッセージになると考え、総理の所信表明後にいち早く、本市としてもゼロカーボンシティを宣言したところであります。 これから本市が脱炭素社会の実現を目指すに当たりましては、脱炭素化を軸に、都市や企業の競争力を高め、快適で災害にも強く、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めることを基本的な方向性として、環境と経済の好循環を本市の成長戦略の一つとして施策を展開していく必要があると考えます。 主な取組であります。議員御指摘のように、本市は産業都市という特性を持っております。脱炭素社会を実現するために、まずはイノベーションや再生可能エネルギーの主力電源化といった、国や産業界での全国レベルの取組による大きな社会変革が必要であります。その上で、本市としては洋上風力、太陽光、水素を利用し、脱炭素エネルギーを安定的に供給する仕組みづくりや、水素還元やカーボンリサイクルなど脱炭素技術の開発支援、さらに、アジア低炭素化センターを中心とした環境技術の国際展開支援や人材育成など、本市の特色や実績を生かした具体的な取組を検討してまいります。 脱炭素社会の実現は、市民生活や社会経済に関わる大きな課題です。特に、本市のような産業都市にとっては、より高いハードルであります。一方、現在の成長を築き上げた近代産業発祥の地である本市が未来の地球環境を守るため、これからの脱炭素社会、グリーン社会をけん引する存在となることに大きな意義があると考えております。深刻な公害問題を克服する過程で培った市民環境力を生かし、今後も市民、産業界、行政がしっかりと連携して、より大きな成果を上げることができ、また、その過程で蓄積される技術や取組は、本市の持続可能な発展の原動力になると信じています。 北九州市地球温暖化対策実行計画を改定する中で、市の環境審議会での審議や市民の意見に加え、国との連携や産業界との意見交換を通じまして、環境と経済の好循環を生み出す日本の成功モデルになり得るよう、実効性のある取組を鋭意進めてまいります。 残余の質問は、関係局長からお答えさせていただきます。 ○議長(村上幸一君) 建築都市局長。 ◎建築都市局長(橋口基君) 折尾地区総合整備事業、それから、下関北九州道路の2つについて御答弁差し上げます。 まず、折尾地区総合整備事業のうち高架下の利活用についてでございます。 鉄道の高架化により新たに生じる高架下の土地は貴重な空間でございますことから、昨年の10月に市の目指す土地活用イメージ案を作成しまして、その利活用の方向性を決定したところでございます。 今年の2月には、JR九州の社長も出席した意見交換におきまして、高架下はもとより、駅周辺の土地活用、これをテーマに議論しました。その際、JR九州からは、駅周辺の基盤整備と並行して、商業の拡大を図るべく検討を進めている、市から提示された土地活用イメージ案も参考にしながら社内での検討を深め、地域の特性を生かしたまちづくりを推進していきたいとの考えを示されました。 この考えに基づき、JR九州は新駅舎開業に合わせて、駅舎内にコンビニなどの利便性に資する店舗をオープンさせるということになりました。また、駅東側の改札口に隣接する商業ゾーンでは、北側駅前広場や側道などの整備に合わせて開業できるように、開発イメージや立地施設などの検討を進めております。 市が利用する多世代交流ゾーン、それから、交通関連ゾーンにおきましては、高架工事やアクセス道路の整備に合わせまして段階的に進めております。具体的には、駅北側の筑豊本線高架下では駐輪場の工事を進めておりまして、来年春には供用開始の見込みとなっております。また、駅西側の堀川町高架下は、令和4年春に展示スペースやフリースペースなどを備えた多目的交流施設や図書館もオープンする予定でございまして、来年度には工事に着手することとなっております。 市の目指す土地活用イメージ案に沿った開発が一日も早く実現し、町のにぎわいや発展につながるよう、なお一層JR九州と連携して、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。 続きまして、北側駅前広場の工事でございます。新たな折尾駅には南北の2か所に駅前広場を計画しております。バスは南側1か所に集約して分かりやすくする、北側は一般車とタクシーが利用するものとしまして、送迎しやすい駅前広場とするとの方針で整備を進めていくこととしました。 その整備スケジュールとしましては、北側は来年1月に新駅舎が開業した後、北口仮駅舎を撤去し、令和3年度から令和4年度までの2か年で、南側は短絡線を撤去した後、令和5年度から令和6年度までの2か年で整備を完了させる予定でございます。 北側駅前広場の予定地は、現在バスロータリーやタクシー乗り場、それから、一般車の乗降場に利用されておりまして、市営バスと西鉄バス合計で1日約400台乗り入れるなど、自動車交通と鉄道の結節点という非常に重要な役割を担っております。そのため、北側駅前広場ではこれらの機能を確保しつつ、安全性や効率性に配慮しながら、バスやタクシーの乗り場など仮移転させて段階的に工事を進める計画でございます。 具体的には、バス乗り場については、令和3年秋に新駅舎西側の折尾中間線へ仮移転しまして、令和6年度末には南側駅前広場への移転を完了する予定でございます。また、タクシー乗り場や一般車の乗降場につきましては、北側駅前広場の予定地の中で適宜移動させながら機能を確保する計画でございます。今後ともJR九州などの関係者と連携して、駅利用者の利便性や安全性を確保しながら、令和5年春の北側駅前広場完成に向けて整備を進めてまいります。 最後に、下関北九州道路についてでございます。 下関北九州道路につきましては、今年度から計画のさらなる具体化に向けまして、国と地域が一体となり、概略ルートや概略構造を決定する計画段階評価に着手しました。現在、地域住民などに実施したアンケート調査の結果を踏まえ、対応方針の検討を行っているところでございます。 また、9月11日には、下関北九州道路整備促進期成同盟会の会長の山口県知事などが要望団体を代表しまして、下関北九州道路の早期実現に向けて国土交通大臣に要望を行いました。大臣からは、下関北九州道路は経済交流やリダンダンシーからも必要であり、早くつなげることが大事である、国土交通省としても大事なルートと考えており、地元と連携し、最大限の努力をするという力強いお言葉をいただきました。 大規模災害に備えるという観点では、平成30年度の豪雨災害に続きまして、本年7月の豪雨時にも関門橋が通行止めとなり、周辺道路が大渋滞して市民生活や救護活動に大きな影響を及ぼしました。本市といたしましても、改めて代替道路としての下関北九州道路の必要性を再確認したところでございまして、当該道路を一日でも早く整備できるよう、スピード感を持って取り組む必要があると考えております。 下関北九州道路の早期事業化に向けて、12月19日には本市におきまして下関北九州道路整備促進大会が開催される予定でございます。この大会を通じまして、計画段階評価の手続を迅速かつ着実に行い、環境影響評価や都市計画決定の手続に速やかに移行するよう、国へ強く要望してまいります。 今後も地元の機運をさらに盛り上げていくとともに、国、県、経済界と協力し、また、党派を超えた議員の皆様の御理解、御協力を賜りながら、着実に事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。以上です。 ○議長(村上幸一君) 企画調整局長。 ◎企画調整局長(大庭千賀子君) 北九州市立大学で来年度は全面的な対面授業を再開すべきではないかという御質問にお答えいたします。 まず、北九州市立大学におけるこれまでの授業実施状況についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴いまして、北九州市立大学では学生等への感染予防を重視して、1学期は遠隔授業を原則としつつ、卒業、修了に必要な科目に関しましては、感染症対策が十分に取られていることを条件に、学長の許可制により、限定的ではございますが、対面授業も行っておりました。 一方、議員御指摘のとおり、国から感染対策を講じた上で実施が適切と判断されるものについては、対面授業の実施を検討することと通知されており、市立大学におきましても2学期から、まずは1、2年生を優先して、比較的小規模な一部の科目で対面授業を再開したところでございます。 本市といたしましては、2学期以降、対面授業の拡充に積極的に取り組むことが重要との考えから、9月議会で市立大学の通信環境整備に必要な補正予算を認めていただき、大学へ交付いたしました。市立大学ではこの予算を活用して、Wi-Fi環境やキャンパス内のネットワークを強化して、教室を分散したライブ配信型の授業等も可能となったことから、対面授業を3、4年生に拡大したところでございます。 さらに、大学独自の取組といたしまして、産業医科大学の専門家をアドバイザーとして迎え、感染予防に関する実地指導も含めて、対面授業の拡充に向けた留意点等について助言をいただいております。また、ソーシャルディスタンスの確保が難しい、一度に多数の学生が受講する講義や、会話の機会が多い語学系授業等においても、着席方法や飛まつ感染予防、換気等に工夫を加えることなどにより、対面授業へ移行ができないか現在検討しております。 遠隔授業については、繰り返し授業を復習できる、ほかの学生に遠慮せずに教授に質問できるなど、新しい生活様式における授業の在り方として、好意的な学生の声もございます。しかしながら、友人と共にキャンパスライフを満喫したいという学生の切実な声に応えるためにも、対面授業のさらなる拡充が図られるよう、今後も市立大学との協議を進め、必要な支援を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 市民文化スポーツ局長。 ◎市民文化スポーツ局長(久保山雅彦君) 最後に、世界体操・新体操選手権に関する残りの質問にお答えさせていただきます。 まず、本市で開催されることによる期待される成果についてお答えいたします。 本市では北九州市スポーツ振興計画におきまして、スポーツによる町の活性化を政策に掲げまして、様々な国際スポーツ大会やキャンプの誘致開催に取り組んできております。これまでにラグビーウェールズ代表や東京2020キャンプ、また、ラグビー、サッカー、卓球など多くの国際スポーツ大会を誘致開催するなど、着実に成果を上げてきております。 このような中、本市出身で国際体操連盟の渡辺守成会長によります視察、また、日本体操協会を通じまして国際体操連盟との協議といった誘致活動を展開し、世界体操と世界新体操の史上初の同時開催の誘致に成功したものであります。 そこで、期待される成果でございますが、2021世界体操・新体操選手権北九州大会では、世界中から1,000人を超える選手団、また、多くの大会関係者、報道機関、観客が本市に集まることとなります。スポーツの振興や国際交流はもちろん、町のにぎわいにつながるなど大きな成果が期待されるところであります。 また、この大会は体操における史上最大の大会として、世界中から注目を集めることとなります。町全体のステージを上げる絶好の機会であります。これを逃さずに全市を挙げて大会を契機とした本市のにぎわいづくり、また、都市のグレードアップにつながる環境整備、また、町のイメージアップを図る魅力発信などに全力で取り組んでまいりたいと考えております。 とりわけSDGs未来都市、ゼロカーボンシティ、モノづくりの町といった本市の強みを世界に向けて発信をしていきたいと考えております。あわせて、コロナ禍での地方における初の世界選手権であり、万全のコロナ対策を講じることで、地方都市開催のロールモデルを目指していくこととしております。 いずれにしても、大会まで1年を切っております。大会に向けての万全の準備を進めるとともに、活性化や情報発信に関する具体的な取組を早急に検討し、本市の競技関係者、経済界をはじめ市民の皆様の協力をいただきながら盛り上げてまいりたいと考えております。 最後に、大会会場の充実についての御質問です。 世界体操・新体操選手権につきましては、体操競技が総合体育館、また、新体操競技が西日本総合展示場の新館で開催をされます。今年8月、国際体操連盟の森会長が両施設を視察いたしまして、渡辺会長からアリーナの広さや天井高などが国際規格を満たしていることに加えまして、総合体育館につきましては体操、新体操の国内大会、テニスや卓球等の国際大会、また、西日本総合展示場新館につきましては、TOKYO GIRLS COLLECTION、アイススケートショーなどの大規模イベントの開催実績などが高く評価され、先月世界体操・新体操の会場に正式決定となったものであります。 現在、国際体操連盟、また、日本体操協会におきまして、国際規格の体操器具と華やかな舞台を備えた競技場、また、大型ビジョンや音響を活用した迫力ある演出など、世界最高の演技を観客と一緒になって楽しむことのできる大会会場づくりの検討が進められております。 また、本市としても来年10月に向けまして、世界体操の会場となります総合体育館については、大型ビジョンの設置や第2競技場の空調整備、音響照明設備の更新、トイレやシャワー室、来賓室など内装設備の改修、体育館の外壁塗装やエントランス部のカラー舗装、また、世界新体操の会場となります西日本総合展示場の新館につきましては、照明設備のLED化、トイレのユニバーサルデザイン化、また、エントランスや会場附帯設備の改修など、限られた期間の中ででき得る限りの改修を行いたいと考えております。今後とも世界選手権の会場にふさわしい充実したものとなるよう、万全の整備を進めてまいりたいと考えております。 失礼いたしました。先ほど国際体操連盟の会長を森会長と申し上げましたが、すみません。渡辺会長の間違いでございます。以上で答弁を終わります。 ○議長(村上幸一君) 12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) ありがとうございました。少し時間を残してもらいましたので、第2質問をさせていただきたいと思っています。 折尾のほうは最後に残しておきまして、北九大のほうから第2質問させていただきたいと思っています。 これまで遠隔授業が続きまして、孤独感を感じたり、学生は様々な悩みを抱えているんではないのかなと思っています。そこで、学生に対しまして大学がアプローチ、調査してもらって、実態を把握しながら、学生へのケアを努めていくことが非常に大切であると思っております。この点について当局の見解を伺わせていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○議長(村上幸一君) 企画調整局長。 ◎企画調整局長(大庭千賀子君) 今議員おっしゃったように、新型コロナウイルス感染症につきましては、やはり学生の経済的負担が大きいということと同じぐらい、メンタル不調に対するケアが必要と私どもも思っております。その中で北九州市立大学といたしましては、毎年1年生に対しまして精神保健、いわゆるメンタル不調をチェックするような、そういった調査を実施しているとお聞きしておりますが、それがこういった状況を踏まえまして、今年は全学年に対して今調査中と伺っております。 取りまとめは、まだ今現在進行中でございますが、戻ってきている回答票の中に自由記載欄がございまして、そこにメンタル不調を訴えるようなコメントがございましたら、早急に大学から連絡を取って相談を受けていると聞いてございます。今後も学生のメンタル不調につきましては、十分に留意するように大学と協議してまいります。 ○議長(村上幸一君) 12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) よろしくお願いいたします。私も実は北九大の夜間に行きまして、1年生のときにメンタルチェックをしていただきました。ああいったことを4年生までこういったコロナ禍でしていただけるというのは、本当に学生にとっても心強いことであると思いますので、ぜひ進めていっていただきたいと思っております。そういった結果を生かしてもらって、来年度の1学期には学生が北九大に通えてよかったなと思ってもらえるような授業と環境をつくってもらいたいと思っています。 コロナによる影響もまだまだどうなるか分からないところもあると思いますけれども、学生さん自身ももちろんコロナへの対策をしてもらいながら、やっぱり学生さんというのは学校に行って授業を受けて、友達と話してリアルな世界があって僕は何ぼなのかなと思っております。そういったことで精神的安定も保たれると思っています。 最近コロナ中退とかコロナ退学とか、そういった話も聞いたりするんです。中退を否定するつもりではないんですけれども、私も初めの大学を中退いたしまして、やはりできるなら卒業したほうがいいに決まっていると自分自身、身をもって感じております。いろんなメンタルの悩みを持った学生がこれから増えてくる可能性もありますので、ぜひ大学の関係者と協議をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、世界体操・新体操についてでございます。 市長から答弁本当にありがとうございました。新型コロナウイルス感染症の影響で、残念ながら本市で今年予定されていましたオリンピック・パラリンピックの聖火リレー、事前キャンプ、それと卓球ジャパン、午前中もありましたけれども、荻村杯が中止になってしまいました。そのような中、こういった競技が本市で開催が決定したということは心強いことであると思っておりますし、市民の皆さんも本当に喜んでくれていると思っております。 ただ、これスタートでございますし、決してゴールではないと思っております。今後こういった国際大会をもっともっと誘致できる北九州市であってほしいと思っていますけれども、それについての意気込みをお聞かせいただけませんでしょうか。 ○議長(村上幸一君) 市民文化スポーツ局長。 ◎市民文化スポーツ局長(久保山雅彦君) 先ほど申し上げましたように、昨年のウェールズのキャンプはかなり世界的に話題となりまして、大きく世界で評価をされました。これまでも誘致委員会という民間も含めた委員会をつくりまして、様々な全国あるいは世界大会の誘致に向けて努力してきたわけですけども、この過程の中で、こうして先月世界体操・新体操の世界大会の同時開催が決まったということは、本当にこれまで民間と共に努力してきた成果ということで心強く思っておりますし、また、これを契機に、もっともっと大きなと言っていいのかどうか分かりませんが、様々な種目の世界大会等が開催できるように、官民力を合わせて努力してまいりたいと思っております。以上です。 ○議長(村上幸一君) 12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) もっともっと大きなという心強い言葉もいただきましたし、大きなものも小さなものも、いろんな意味で市民の方々が興味を持っていただける競技があると思いますので、官民、ぜひ議会も加えていただいて、一緒に頑張らさせてもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 子ども医療費についてです。 先ほど市長から拡充について、子供1人当たり11万円の負担が軽減されるという、11万円でよかったんですよね。心強い言葉をいただきまして、ありがとうございました。大きな金額であると思っております。 それに併せ、毎年5億円もの恒常的な費用負担が発生するという状況で、これまでにない本当に大英断であったと思っております。引き続き、子育て日本一を実感できる町を目指して頑張ってもらいたいと思いますけれども、今回大きな改正となってまいります。市民の方々にこの制度の周知をしていくことが必要であると思っておりますけれども、どのようにこれからPRをされていくおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思っております。 ○議長(村上幸一君) 子ども家庭局長。 ◎子ども家庭局長(福島俊典君) 子ども医療費支給制度を拡充するに当たりまして、制度の周知は大変重要だと考えております。そのため、拡充の対象者であります中学生、それから、高校生のいる全世帯へ制度の案内文書を医療証とともに送付したいと考えております。 また、市政だよりでの広報のほか、各医療機関でのポスター掲示、あるいは区役所、市民センターなどでのポスター掲示、パンフレット配布も予定しております。しっかり周知したいと考えております。以上です。 ○議長(村上幸一君) 12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) ありがとうございました。今回の拡充だけで、優位性になるとは思っていませんけれども、今後の移住・定住に力強くつながってくると私は思っております。コロナ禍の中で財源確保が本当に厳しい状況であるということは、私たちもよく分かっております。ぜひ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 続きまして、脱炭素でございます。 菅総理が表明をして僅か3日後に市長が英断をしていただきました。本当にすばらしいことであると思っておりますし、エールを送らせていただきたいと思っております。 産業都市である北九州市ならではの実行力のある脱炭素をより進めていくために、これを産業界と連携して、取組をより強力に計画していくべきと思いますけれども、そういったことについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○議長(村上幸一君) 環境局長。 ◎環境局長(富高紳夫君) 御指摘のとおり、本市が産業都市ということの中でゼロ宣言したというのは意味があると思っています。その意味でもやっぱり産業界との連携は非常に大事だと思っています。現在、連携するために市内の主要企業、14社ほどなんですが、しっかりとヒアリングをさせていただきました。その中でどのような取組をしているか、また、行政に対してどのような期待があるか、これをしっかりと把握して、今後の連携につなげていきたいと。 さらに、本市は製鉄、化学、セメントといったCO2を大量に出す産業が立地しております。この産業は1回や2回のヒアリングじゃなくて、定期的に協議をしていく、その中で連携をしていきたいと、こういう取組でしっかりとCO2削減に努めていきたいと考えております。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) 本市は公害を克服したというすばらしいDNAも持っておりますし、産業界の方々と力強く連携をして、これを実現していってほしいと思っております。 SDGsとか国から選定を受けましたし、本市は間違いなくそういった面ではトップランナーであると思っています。その北九州市がどう脱炭素を実現していくか、今、日本中の他都市が注目していると思うんです。ぜひ北九州市のブランド力をこの際日本中に、世界中に力強く発信していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 下関北九州道路であります。 今回、災害の面から絞って質問させていただきました。危機管理室にお伺いさせていただきたいんですけれども、南海トラフというのが来なければいいんですけれども、高い確率で近年襲ってくる可能性があると思っております。この南海トラフについて、危機管理室は今、どういった対策、どういったお考えがあるのかをお聞かせいただきたいと思います。 ○議長(村上幸一君) 危機管理監。 ◎危機管理監(中野正信君) 南海トラフ地震の対応につきましては、法律に基づきまして必要な事項を地域の防災計画に定めて、対策を行っているところであります。法律と申しますのは、南海トラフに係る特別措置法でございますが、例えば、津波が想定される地域におきましては、津波のハザードマップを作成して対象世帯に配ってございます。また、市内の沿岸部でございますが、津波が想定されるであろう沿岸部につきましては、55基の防災スピーカーを設置いたしまして、津波情報をいち早くお伝えするといったような対策を取ってございます。 このように、ハード、ソフト対策を組み合わせまして、総合的に対応を行っているところでございます。以上でございます。 ○議長(村上幸一君) 12番 鷹木議員。 ◆12番(鷹木研一郎君) ありがとうございました。南海トラフも含めまして大規模な自然災害などに備えては、しっかりとその対策を練っていくことが必要であると思っております。 下関北九州道路、すぐに着工したとしても10年以上かかることが予想されております。有事に備えるために一日でも早い着工が必要ですので、どうぞよろしくお願いいたします。 これからも下関北九州道路の必要性については、この議会でしっかり発信できるように頑張っていきたいと思っておりますし、幅広く市民、県民全ての皆様へこの事業に関心を持ってもらうことが本当に大切であると思っております。それには、この事業に賛成している我々も反対している方々も、大いにこの議場で議論を巻き起こしていくことが必要であると思っております。 いずれにせよ、私はこれからもこの下関北九州道路の早期完成に向けて、その一翼を担えるように頑張っていきたいと思っております。 折尾地区総合整備事業、最後です。もうこれ要望で終わらさせていただきたいと思っております。 840億円の予算のうち674億円、80%の進捗率でございます。来年1月2日に新駅舎が供用開始されまして、この新駅舎が現在その姿を現して、私たち地元の折尾の住民としても本当に今高い高揚感に包まれております。 先日の11月27日に折尾イルミネーションの点灯式があり、学園通りがにぎやかに彩られました。オリオンピック、おりおバル、折尾節分祭、折尾まつり、折尾イルミネーション、いろんなものがありますけれども、これ全て業者が入っていなくて、地元の住民が主体となって行わせていただいております。公共事業のハード、そして、地域の皆さんで行うソフト、これがうまく融合できるように、これからも折尾の町がより一層輝くように頑張っていきたいと思っております。 いずれにせよ、佳境に入ってまいりました。残りの20%をどう進めていくか、本当にこの町にとっても大切なことでありますし、門司港が九州の玄関口、よく言われるんですけれども、私は折尾も九州の玄関口の一つであると思っております。住民の一人といたしましても、この町の発展を心から願いまして、今日の質問とさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(村上幸一君) 本日の日程は以上で終了し、次回は12月2日午前10時から会議を開きます。 本日はこれで散会いたします。                  午後4時44分散会                総務財政委員会報告書                                                                           令和2年11月12日  北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                        総務財政委員会委員長 吉 田 幸 正  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査事件(1)人口減少対策について  国においては、少子高齢化・人口減少という我が国が直面する大きな課題に取 り組むため、平成26年に制定したまち・ひと・しごと創生法に基づき、まち・ ひと・しごと創生総合戦略を策定し、東京一極集中の是正、若い世代の就労・結 婚・子育ての希望の実現、地域の特性に即した地域課題の解決の3つの視点を基 本に魅力ある地方の創生を目指すこととしている。  これを受けて本市では、女性・若者の定着につながる魅力あるまちづくりを目 指していくため、北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、地元就職 支援、定住移住促進、交流人口増、国家戦略特区などに取り組んでいる。  本委員会においては、これまで本市の地方創生について調査を行ってきたが、 本市のさまざまな取組により社会動態の改善傾向が見られることや、令和2年度 から第2のまち・ひと・しごと総合戦略がスタートすることなどから、人口減 少対策にテーマを絞り、引き続き調査を行うこととした。(2)IR(統合型リゾート)施設誘致の検討について  IRとは、観光振興に寄与する諸施設とカジノ施設が一体となった施設群のこ とであり、民間事業者の投資による集客及び収益を通じ、観光地域振興や新たな 財政への貢献を目的としたものである。  国においては、平成28年12月26日に特定複合観光施設区域の整備の推進に 関する法律、いわゆるIR推進法が施行され、これを受け、平成29年3月24日 に安倍首相を本部長とする推進本部が設置されたところであり、日本国内で3カ 所の認定が予定されている。  本市は、厳しい財政状況の中、行財政改革や事務事業の見直しなどに取り組ん でいるが、老朽化した公共施設の建て替えが控えるなど、今後も厳しい状況が見 込まれる。  このため、本委員会は、新たな財政への貢献という側面を含め、本市へのIR 誘致の可能性について検討を行うため調査を行うこととした。(3)SDGsの推進について  SDGsは、2015年9月の国連サミットにおいて、加盟国が全会一致で採択し た、持続可能な開発に向けた2030年までの世界目標であり、世界の共通言語と も呼ばれている。  日本においても、内閣総理大臣を本部長とするSDGs推進本部を設立するな ど、国を挙げた取組が進められているところである。  本市は、2018年4月にOECDより、SDGs推進に向けた世界のモデル都市 にアジア地域で初めて選定され、同年6月には国から、SDGs未来都市に選定 されるとともに、本市の提案事業が、自治体SDGsモデル事業に選定されたと ころであり、北九州市「SDGs未来都市」都市庁内推進本部の設置や、産学官 民が主体となった北九州SDGsクラブの創設などの推進体制の下、さまざまな 取組が進められている。  このため、本委員会では、SDGs先進都市を目指す本市が、そのトップラン ナーとして、今後SDGs達成に向けてオール北九州で推進していくべき取組に ついて調査を行うこととした。2 調査の経過及び結果(1)人口減少対策について ○ 令和元年5月17日 総務財政委員会  第9回北九州市まち・ひと・しごと創生推進協議会の開催報告、本市の社会動 態、ふるさと北九州市応援寄附金について、当局から説明を受けた。 (説明及び答弁要旨)  ① 第9回北九州市まち・ひと・しごと創生推進協議会の開催報告  ・ 産官学金労言に住民代表を加えた構成員から次のような意見があり、こ   れらを踏まえ、平成31年4月に北九州市まち・ひと・しごと総合戦略を改   定した。  [構成員からの意見]  ・ 優先順位を共有し、議論のターゲットを3つくらいに絞った方が議論が   拡散しなくてよい。  ・ 外国人留学生の北九州市への関心が高まっている。  ・ 人手不足で空港やホテルも苦慮している。  ② 本市の推計人口  ・ 本市の令和元年5月1日現在の推計人口は94万1,239人、前月比1,963   人の増加。  ・ 1月から4月の社会動態の累計では、昨年と比べ転入が着実に増加して   おり、地方創生の取組の一定の効果が見られ、総論としては改善傾向にあ   ると考えているが、転出も増加しており全体として人口減少の幅は大きく   なっている。  ・ 15歳から19歳の特に若い世代は、転入超過が微増。  ・ 社会動態の改善に向けた取組として、住民票の異動促進を実施するなど   全力を挙げているが、一層気を引き締めて人口問題に取り組んでいく。  ・ 本市と3大都市圏の生活コストや満足度を比較したアンケートの結果を   踏まえながら、本市の魅力のPRに、より一層力を入れ、移住の取組につ   なげていきたい。  ③ ふるさと北九州市応援寄附金  ・ 地方税法等の改正により令和元年6月1日から、基準に適合した自治体   をふるさと北九州市応援寄附金制度の対象として総務大臣が指定するこ   ととなり、本市を6月1日より指定する旨、国が5月15日に告示したと   ころ。  ・ 平成30年度の本市のふるさと北九州市応援寄附金の実績は、件数が1   万1,037件で前年度比6.6倍、寄附額が1億9,777万円で前年度比5.4倍。  ・ 平成30年度より、返礼品の掘り起こし強化による地場返礼品の魅力ア   ップ、寄附受付サイトの3サイトへの拡充、インターネット広告やLIN   Eでの情報発信によるPR方法見直しなどを積極的に実施し、件数、金額   の大幅増に結び付いた。┌────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                           ││ ・ 人口減少について、若い人たちへのPRをきちんとされたい。     ││ ・ NPO法人に対するふるさと北九州市応援寄附金の活用について検討さ ││  れたい。                              ││ ・ 北九州市まち・ひと・しごと創生推進協議会が深い議論の場になるよう ││  考慮されたい。                           ││ ・ アンケートなどを通じたいろいろな人口減少対策を研究されたい。   ││ ・ 雇用を守ること。また、若い人が好む雇用の創出を踏まえ、転入につな ││  げられたい。                            │└────────────────────────────────────┘  令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視 察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年8月21日 総務財政委員会  本市の推計人口、平成30年度北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本 目標の進捗状況と今後の取組等について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 本市の推計人口  ・ 令和元年8月1日現在の推計人口は94万460人。  ・ 1月から7月の社会動態の累計では、昨年と比べ転入者が446人増加し   た一方、転出者が783人増加しており、社会減の幅が昨年よりも大きい。  ・ 15歳から19歳に限ると転入超過が増加。  ・ 社会動態が令和元年7月に微増しているのは日本人が微増した影響。  ・ 総務省公表の人口動態では、本市は平成26年から28年までワースト1   位、平成29年はワースト2位であったが、平成30年はワースト10位から   外れ、全国に比べ地方創生の効果が一定程度あらわれたものと考えている。 ② 平成30年度北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本目標の進捗  状況と今後の取組  ア 基本目標1 北九州市にしごとをつくり、安心して働けるようにする  ・ 市内大学生の地元就職者数は891人と微増しているが目標達成には   やや遠い状況。  ・ 空港利用者は178万人と過去最高を記録。目標まであと一歩。  ・ 留学生の誘致、生活支援、就職支援に力をいれてきた。  ・ 若者の声を収集する担当ラインを本年4月に設置した。  イ 基本目標2 新しいひとの流れをつくる  ・ 首都圏からの本社機能の移転等が着実に増え、平成30年度で累計   19社。引き続き目標の30社に向け積極的な企業誘致を進める。  ・ 外国人観光者数は69.1万人と過去最高。令和元年度の目標を40万   人から70万人に引き上げた。目標の達成に向け不断の努力を続ける。  ・ 観光客増に向けた取組として、小倉城のしろテラスの整備などを進   めてきた。  ウ 基本目標3 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる  ・ ダイバーシティ行動宣言等登録届出企業は1,319社で目標達成。  ・ 合計特殊出生率は、政令市トップクラスを維持していると思う。  エ 基本目標4 時代に合った魅力的な都市をつくる  ・ 本市に対する誇りや自信があると答えた市民の割合、安全だと思っ   ている市民の割合はほぼ横ばい。引続き目標達成に向け、本市の魅力   を市内外に発信し、魅力ある都市のイメージの定着に取り組んでいく。  ・ 文化芸術の街として、タイ、台湾、シンガポールをターゲットとし   た映画撮影等の誘致・支援を進めてきた。  ・ 国家戦略特区について、11の特例と18の事業を実施しており、特   に平成30年11月に国と共同で開設した「北九州高度産業技術実証ワ   ンストップサポートセンター」において、市内で自動運転、小型無人   機、電波の分野で実証実験を希望する研究主体の支援を強化している。   今後とも取組を継続し、新たな規制緩和の提案を積極的に進めていく。  オ 推進協議会の構成員からの意見  ・ 次期戦略の策定に当たっては、高齢者を元気にすることも必要。健   康寿命を延ばすことも考えてはどうか。  ・ マッチングさえうまくいけば地元就職は伸びる。インターンシップ   の実施も大事。  ・ 出生率の高さは子育て環境が要因。子育て環境のPRだけでなく、   その成果として出生率が高いこともPRすべき。 ④ 第2期期総合戦略の策定に向けた取組  ・ 第2の総合戦略策定に当たっては、幅広い意見を取り入れるため、推   進協議会のもとに「まち」・「ひと」・「しごと」のテーマで3つの分科会を設   置。  ・ 日本各地の地域経済に造詣が深い日本銀行の北九州支店長にアドバイザ   ーとして入ってもらう。  ・ 基本方針、基本目標は堅持しつつ、新たな視点として国から示された論   点を加え、分科会での議論を踏まえながら戦略を策定し、取組を強化して   いきたい。  令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、10月16日か ら16日までの3日間の日程で、千葉県流山市のシティセールスの取組及び川崎 市の人口増加の要因と市の成長戦略、シティプロモーションの取組について視察 を行うことを決定した。 ○ 令和元年9月30日 総務財政委員会  行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年10月17日 行政視察(千葉県流山市)   千葉県流山市におけるシティセールスについて視察を行った。   流山市では、2005年につくばエクスプレスが開業し、都心から20分と利便性  が大幅に向上すると同時に、沿線の都市間競争も激しくなることから、流山市の  魅力を伝え、選んでもらえるまちになるため、全国に先駆けてマーケティング課  を設置しプロモーションを開始。   平成22年度から首都圏向けPR広告として、「母になるなら、流山市」のポス  ターを展開。   定住人口や交流人口の推移、市民アンケート、WEB調査など、さまざまなデ  ータにより効果検証を行っている。   今後は、更なる知名度、イメージの向上とブランド化を目指し、「住み続けた  いまち」への仕掛けを考えていく等の説明を受け、質疑を行った。 ○ 令和元年10月18日 行政視察(川崎市) <行政視察の様子>  川崎市における人口増加の要因と市の成長戦略、シティプロモーションについ て視察を行った。 (1)人口増加の要因と市の成長戦略について    目指す都市像として「成長と成熟の調和による持続可能な最幸のまち」を   掲げており、成長と成熟の両方を常に意識している。    財政再建団体に転落する直前だった平成14年に第1行革プランを策定   し、行革を強力に進めたことが、現在の武蔵小杉の発展につながっている。    人口は毎年1万人以上増え続けているが、首都圏への人口集中に引っ張ら   れている面もあるので安心はできず、将来に向けた取組も行っている。    力強い産業都市づくり(成長)→約400の世界的企業と研究開発機関の集   積、地下鉄延伸、川崎駅周辺地区整備など。    安心のふるさとづくり(成熟)→待機児童対策の継続的な推進、教育施策、   川崎らしい地域包括ケアシステムの構築など。    文化スポーツでは、「音楽のまち・かわさき」「映像のまち・かわさき」「ス   ポーツのまち・かわさき」とキャッチフレーズをつくりながら川崎市として   誇れるコンテンツをつくってきた等の説明を受け、質疑を行った。 (2)シティプロモーションについて    産業・先端技術に加え、生活利便性や文化芸術・スポーツなど多彩な魅力   を有し、発展し変化を遂げている。また、転入超過傾向が続いており、市の   イメージや市民の定住意向も上昇傾向にある。    シティプロモーション戦略プランでは、市の特徴、強みや弱みを踏まえた   3つの基本方針と2つの目標を掲げている。    平成28年に市のブランドメッセージ「Colors,Future!い   ろいろって、未来。」を策定し、情報発信時に常にこれを関連付け、川崎の   イメージを市内外に定着させることを目指す。    その他、国内外に向けた動画・SNS等、各種メディアの効果的活用や、   首都圏に居住する人を対象とした川崎市の都市イメージ調査の実施等につ   いて説明を受け、質疑を行った。 ○ 令和元年11月11日 総務財政委員会  行政視察を受け、委員間での意見交換を行った。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 流山市は子育て世代を狙ったさまざまな施策を展開することで人口増加に  ││  つなげている。満遍なく予算を付けるのではなく、予算の集中投下によって  ││  そのメリットが出ると思うのでぜひ参考にされたい。            ││ ・ 川崎市では、武蔵小杉のタワーマンション群が人口を引き上げている。駅  ││  に直結する、小倉であれば小倉駅周辺にタワーマンションをたくさん造って  ││  はどうか。                               ││ ・ 折尾駅や八幡駅だと福岡市のほうが近いという話もある。福岡市への通勤  ││  圏内としての都市の魅力についても検討されたい。             ││ ・ 北九州市も川崎市や流山市に負けていないが、インパクトが違うと思った。 ││  もっとPRしてここに住みたい、住み続けたいと言ってもらえるよう取り組  ││  まれたい。                               ││ ・ 本市には企画調整局に担当ラインがあるが、現状は情報を集約できていな  ││  い。全ての情報を集約すべきではないか。                 │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年1月15日 総務財政委員会  本市の推計人口、第11回北九州市まち・ひと・しごと創生推進協議会の開催報  告、第2北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略案に対するパブリックコメ  ントの実施について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 本市の推計人口 ・ 令和2年1月1日現在の推計人口は、93万9,450人。 ・ 転入者4万5,315人、転出者4万5,680人で、累計365人の転出超過。 ・ 令和元年の社会動態の増減は累計で365人。平成30年のマイナス700人  と比べても、ここ5年間は一貫して改善傾向。社会動態プラスには届いて  ないが、地方創生の取組の効果が一定程度あらわれてきたと考えている。 ② 第11回北九州市まち・ひと・しごと創生推進協議会の開催報告 ・ 第2総合戦略策定に当たり、これまで地方創生の取組の成果や課題を  整理し、今後の方向性について幅広く意見を取り入れるため、推進協議会  のもとに、「まち」・「ひと」・「しごと」の3つのテーマごとに分科会を設  置し、8月から10月にかけて各2回、計6回開催。 ・ 分科会で出た意見や国の基本方針等を踏まえ、関係部局と調整しながら、  第2総合戦略の素案を策定した。 ③ 第2北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略策定の概要  ア 基本方針  ・ 第1は、「女性と若者の定着などにより社会動態をプラスにして   いき、地方創生の『成功モデル都市』を目指す」という基本方針に基   づき、取組を進めてきたが、社会動態は改善傾向にあるものの、依然   として転出超過の状況が続き、若い世代の転出も顕著であることから、   第2目においても第1の基本目標を維持する。  ・ 構成員から、「人口の動態に一喜一憂せず、まちの質にシフトチェン   ジすべき」との意見があったことから、人の動きだけにとらわれず、   働き手の減少や産業構造の変化等を踏まえ、地域経済の視点、まちづ   くりの視点を基本方針のもとに明示することで、人口、地域経済、ま   ちづくりの課題に一体的、重点的に取り組み、好循環を生み出す社会   を目指すこととしている。  ・ 基本方針において「SDGsを原動力に地方創生の『成功モデル都   市』を目指す」ことを位置づけた。  イ 基本目標1 北九州市に魅力あるしごとをつくり、安心して働けるよ   うにする  ・ 令和6年度までに「市内企業への新卒就職者数」を4,600人、「市   内新規雇用者数」を3万人、「企業誘致による新規雇用創出数」を累   計4,000人という3つの数値目標を掲げている。  ・ 数値目標を達成するための具体的な施策として、「若者の市内企業   への就職促進の取組」、「若者の雇用創出・拡大につながる企業誘致」、   「中小企業の生産性向上や事業承継の推進」、「創業支援」などに取り   組むこととしている。  ・ KPIの一例として、「若者の市内企業への就職促進」の中では、   「市内大学生の地元就職者数」を指標として設定することとしている。   KPIの目標値等については、関係部局と引き続き調整を進めていく。  ウ 基本目標2 北九州市への新しいひとの流れをつくる  ・ 「移住希望者数(お試し居住参加者数)」を年間50人、「外国人観光   客数」を年間70万人、「北九州空港利用者数」を年間200万人という   3つの数値目標を掲げている。  ・ 数値目標を達成するための具体的な施策として、「定住・移住の促   進」、「『関係・交流人口』の創出・拡大」、「観光客増に向けた取組」、   「北九州空港のさらなる路線誘致・集客」などに努めることとしてい   る。  ・ KPIの一例として、「『関係・交流人口』の創出・拡大」の中では、   「KitaQサポーターの登録者数」を指標として設定することとし   ている。  エ 基本目標3 女性の活躍を推進し、若い世代の結婚・出産・子育ての   希望をかなえる  ・ 令和6年度までに「ダイバーシティ行動宣言等登録・届出企業」を   累計1,600社、「合計特殊出生率」の政令市トップクラス維持、「子育   てしやすいまちと感じる市民(子育て世代)の割合」を90%以上とす   るという3つの数値目標を掲げている。  ・ 数値目標を達成するための具体的な施策として、「女性活躍施策の   充実」、「ダイバーシティ経営モデルの構築」、「結婚・妊娠・出産・子   育て・教育までの一貫した支援」などに取り組むこととしている。  ・ KPIの一例として、女性活躍施策の充実の中で、25歳から44歳   の女性の就業率を指標として設定することとしている。  オ 基本目標4 時代に合った魅力的な住みよいまちをつくる  ・ 令和6年度までに、「『本市に住んでよかった、ずっと住み続けたい』   と答えた市民の割合」を90%以上、「『本市への誇りや自信がある』と   答えた市民の割合」を80%以上とするという2つの数値目標を設定し   ている。  ・ 数値目標を達成するための具体的な施策として、「シビックプライ   ドの醸成」、「安全・安心なまちづくりと地域防災の充実」、「文化芸術   による創造都市・北九州の発信」、「持続可能な地域商店拠点づくり」   などに取り組むこととしている。  ・ KPIの一例として、「シビックプライドの醸成」の中で、「『本市   が好き』と答えた市民の割合」を指標として設定することとしている。  カ 数値目標及びKPIの見直し  ・ 第1では、15の数値目標と231のKPIが設定されていたが、分   科会において、「KPIの項目自体にこだわり過ぎないほうがいい、   質も大事であり総合的に見ていけばいい」との意見があったことから、   第2では数値目標を11、KPIを54に絞り、それ以外のKPIに   ついては市の行政評価等の仕組みを活用して進捗管理を進めていき   たいと考えている。  キ 分科会構成員の意見  ・ 全国各地で人口減少への対応が迫られる中、経営者や労働者、学生、   高齢者等、それぞれが問題意識を持ち、「オール北九州」として総合   力を発揮することが必要。  ・ KPIは極力コンパクトにしたほうがいいのではないか。  ・ 具体的な施策については取組を進めていく中で、より効果があるも   のに柔軟に変えていったほうが最終的な目標達成に効果的ではない   か。  ・ 企業間競争が激化している中において、企業として労働生産性の向   上は課題である。こうした中で、地域人材を増やしていくためには、   事業拡大や新規事業の開発、企業誘致等の取組が重要。  ・ 留学生が日本に定住したいと思えるようにするには、国全体の経済   力を上げて総合的に取組を進める必要がある。  ・ 関係人口を増やすためには北九州市に関心を持ってもらえるような   ネットワークづくりやまちのブランディングが重要。  ・ 安心して子育てができる地域づくりは大事。  ・ シングルの家庭も増えてきているので、地域で支え合うことが大事。  ・ 北九州市は住みよい、魅力のあるまちなので、どのようにまちの魅   力を発信していくか、どのようにブランディングしていくか、イメー   ジ戦略を持って取り組むことが重要。 ④ パブリックコメントの実施 ・ 令和2年1月27日から令和2年2月14日にかけてパブリックコメント  を実施する。市民の声をしっかり聞き、第2北九州市まち・ひと・しごと  創生総合戦略の策定に向け、引き続き全力を尽くしていく。┌─────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                           ││ ・ アンケートにより、学生がどのような企業で働きたいかリサーチし、そ  ││  ういった企業を誘致することを念頭に置いて頑張られたい。        ││ ・ 企画調整局が先頭に立って、10年後、20年後の北九州市はこうあるべき  ││  だという大きなプランを立ててやっていくという気持ちを持って頑張られ  ││  たい。                                │└─────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年3月27日 総務財政委員会   第2北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略、若者が語る北九州市の未来  創造プロジェクトについて、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 第2北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略  ・ 令和2年1月27日から2月14日にかけてパブリックコメントを実施   し、20人・団体から計51件の意見があった。  ・ 内訳は、総合戦略全般に係るもの4件、基本目標、基本的方向及び具体   的施策に係るもの44件、その他3件。総合戦略への反映状況は、総合戦   略に掲載済み13件、総合戦略の追加、修正あり2件、総合戦略の追加、   修正なし15件、その他21件。  ・ 1月15日に示した素案から更に内容が充実するよう不断の努力を重ね   てきた。これらの修正をもって成案とし、4月以降、第2総合戦略を着   実に実行していくことにより、本市の地方創生を更に推進していければと   考えている。 ② 若者が語る北九州市の未来創造プロジェクト  ・ 本市が若者に選ばれるまちとなるため、若者の声を幅広く集め、市の政   策に生かしていくことを目的に立ち上げたもの。  ・ 9月から市内の大学生等22名を集めた若者座談会を開催。加えて、若手   職員8名による若者活躍新政策検討プロジェクトチームでは、若者座談会   で出てきた意見に基づき、新たな政策提案の作成に取り組んでもらった。  ・ 2月14日に幹部職員ら参加のもと発表会を開催し、学生からは、作成し   た未来予想図をもとに、4つのテーマで発表が行われ、「美容関連の企業誘   致」、「災害時の避難所としてキャンピングカーの活用」などの提案があっ   た。若手職員からは、学生のアイデアをもとに立案した「コスメイベント   開催事業」や「きたきゅうしゅう書生プロジェクト」など、4件の政策提案   が行われた。  ・ 市長からは、「未来志向の意見として受けとめ、実現できるものは市の政   策に生かしていきたい」という講評があり、これらの政策提案をヒントに、   今後の市の取組に積極的に生かしていきたい。  ・ 若者がこのまちに望むことや就業意識などを把握するため、市内に住む   18歳から29歳の若者約3,000名を対象に若者意識調査アンケートを実施。   今後若者に関連する取組を進める上で、調査結果を参考にしていきたい。┌──────────────────────────────────────┐│  ≪委員の主な意見≫                           ││  ・ コンパクトシティというのもひとつの方法だが、企画調整局にはもう少  ││   し前向きに、にぎわいや夢のある話をどんどん出されたい。        ││  ・ 若者の意見をもっと取り入れていく方向で考えられたい。        ││  ・ 若者が語る北九州市の未来創造プロジェクトについて、職員の育成の意  ││   味も含め、今後何を狙いとしてやっていくのかもう一度総括して考えられ  ││   たい。                                │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年5月20日 総務財政委員会   本市の推計人口、令和元年度ふるさと北九州市応援寄附金の寄附受入額につい  て、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 本市の推計人口  ・ 令和2年5月1日現在の推計人口は93万7,181人、前月比1,749人の増。  ・ 社会動態について、平成27年は年間2,463人のマイナスが、令和元年は   マイナス365人まで改善。今年4月末まででマイナス340人となっている。   昨年は4月時点でマイナス1,494人だったので、今年は大きく改善している。   転入、転出ごとに見ると、転出が昨年と比べて1,047人減り、大幅に抑制され   ている。  ・ 日本人は、昨年4月まででマイナス1,734人だったのに対し、今年はマイ   ナス403人と大きく改善している。  ・ 反対に外国人は240人増加していたものが、今年は63人の増加にとど   まっている。主な要因は、転入が昨年の1,556人から1,309人と大きく減っ   たことにあり、特に4月は海外からの転入が昨年の1割以下と大きく減って   いるが、新型コロナウイルスの影響が大きい。  ・ 日本人について、15歳から39歳の若い世代は、昨年と比べて942人のマ   イナスと大きく改善しており、特に20歳から24歳、25歳から29歳が大き   く改善している。転入、転出ごとでは、変化が大きいのは転出で、昨年の9,405   人から8,653人へと752人抑制されている。  ・ 新型コロナウイルスの影響については、日本人も含め、今後どのような影   響が出てくるかということを注視し、引き続き社会動態の改善に努めたいと   考えている。 ③ 令和元年度ふるさと北九州市応援寄附金の寄附受入額  ・ 令和元年度の寄附受入額は、2万6,438件で約4億9,800万円と過去最高   となり、取組を強化する前の平成29年度と比べると13.5倍の増加となって   いる。  ・ 令和元年度は総務省から示された新たなルールを遵守しながら、返礼品の   更なる充実と数の増加、また、首都圏での同窓会やイベントなどでの積極的   なPRを行い、ふるさと北九州市応援寄附金の周知を行ってきた。  ・ 令和2年度の新たな取組として、利便性向上のためアマゾンペイやメルペ   イなど決済手段の追加。また、寄附の使い道として、新型コロナウイルス感   染症対策を選択できるよう追加し、新型コロナウイルス対策へ寄附を活用し   ているところである。  ・ 4月中の受入額は昨年度の約18倍、4,364万円となっている。  ・ 今後ともふるさと北九州市応援寄附金を通じて本市を応援してくれる方の   裾野を広げ、関係人口の増加にもつなげていきたいと考えている。 ○ 令和2年8月7日 総務財政委員会   本市の推計人口、新型コロナウイルスを受けた定住・移住の取組、令和2年度  ふるさと北九州市応援寄附金の中間報告について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 本市の推計人口  ・ 令和2年7月1日現在の推計人口は93万6,186人、前月との比較で573人   の減少となっている。  ・ 社会動態の状況は、昨年6月まででマイナス1,383人だったものが、今年   はマイナス671人と、6カ月間で712人改善している。  ・ 日本人は、昨年6月まででマイナス1,900人だったものが、今年はマイナ   ス672人と、大きく改善している。  ・ 地方創生の主なターゲットである日本人の15歳から39歳の若い世代は、   昨年と比べ合計で980人のプラスとなっており大きく改善している。特に20   歳から24歳、25歳から29歳が大きく改善している。  ・ 転入と転出の別では、変化が大きいのは転出であり、令和元年の転出者数   1万1,564人が、令和2年は1万616人へと、948人抑制されている。  ・ 外国人は、1月から6月までで、昨年は517人増えていたのが、今年は1   人にとどまっている。主な要因は、転入が昨年の2,241人から1,466人と、   大きく減ったことだが、これは新型コロナの影響が大きい。  ・ 外国人の落ち込みを日本人の改善でカバーして、総数としては過去5年間   と比較して最も改善している。  ・ 8月5日に総務省から、全国の都道府県、市町村等の令和元年中の1年間   の人口動態をまとめた「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」   が発表された。本市は過去5年間人口減少数が全国で一番多い都市だったが、   今回の調査ではランキング外、17位となり大幅に改善しているところである。  ・ 一方、人口減少の主な要因は、自然減少となっており、令和元年の自然動   態は4,621人のマイナスで、全国ワースト7位となっている。 ② 新型コロナウイルス感染症を受けた定住・移住の取組 ア 新型コロナウイルス感染症により生じた社会環境や意識の変化  ・ 今回のコロナ禍を受け、東京圏を中心に若い世代の地方移住への関心が   高まっており、内閣府が6月に公表した調査では、地方移住への関心が高   くなった、やや高くなったと答えた割合が、東京23区の20歳代では35.4%   に達している。  ・ このような若い世代の意識の変化を移住促進の好機と捉え、本市では新   たな取組を開始している。 イ 新たに開始した取組  ・ 5月から、オンライン会議アプリを活用し、全国どこからでも移住相談   ができるオンライン移住相談を開始した。  ・ 8月から、仕事と暮らしに関する相談にワンストップで対応するため、   AIMビルにあるU・Iターン応援オフィスに就職移住相談員を新たに配   置した。  ・ 地方でのテレワークやワーケーションを体験したい若者をターゲットに、   短期間で手軽に利用できる「お試し居住Light」を市内3カ所で新たに提   供開始した。  ・ 東京事務所において、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ移住相   談員による移住セミナーを実施し、3密を避けるため、初めてオンライン   での参加にも対応した。  ・ 昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」のオープニングアニメの作画   を担当したアニメーターの刈谷仁美さんとのコラボレーションで、本市の   移住促進PRポスターを刷新した。 ウ 新型コロナウイルスの影響で縮小、中止した取組  ・ 新たな取組を開始した一方、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する   ため、お試し居住の受け入れ一時停止や、移住イベントへの出展取りやめ   など、事業を一部縮小せざるを得ない状況も出てきており、現在も移動自   粛要請が出されている地域、東京都などからのお試し居住の受け入れは停   止している。  ・ 今後も新型コロナウイルスの感染対策を講じつつ、テレワークの拡大、   若い世代の地方移住への関心の高まりを地方創生の追い風と捉え、積極的   に移住促進の取組を進めていきたいと考えている。 ③ ふるさと北九州市応援寄附金  ・ 令和2年度の4月から6月までの3カ月間の実績は、寄附受入額が約1億   2,600万円、昨年度の同時期は1,700万円であり約7.4倍の伸びとなってい   る。  ・ 増加の要因は、魅力的な返礼品を提供する継続的な取組が功を奏してきて   いるものと考えている。特に新型コロナに対応する新しい生活様式に沿った   返礼品が好調で、例えばハンドソープは、前年比約70倍の伸びとなっている。   また、土用の丑の日に着日指定ができるウナギかば焼きなど、季節などに応   じた期間限定の返礼品も好評である。  ・ 5月から新型コロナウイルス感染症対策のため、ふるさと北九州市応援寄   附金版クラウドファンディング「北九州市応援寄附金プロジェクト」を実施   しており、7月29日時点で7,000万円近くの寄附をいただいている。通常の   ふるさと北九州市応援寄附金とあわせ支援の輪の広がりを実感しており、更   なる寄附の広がりを期待しているところである。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 社会動態について、要因を推察し、成果を見極めないと次に何をやるのか、 ││  どこに重点を置くのか変わってくるので、そこは考えられたい。       ││ ・ お試し居住Lightは、コンセプトがすばらしく、今後期待しているので、   ││  若い人たちが活用して本市の魅力がわかるよういろいろなところにPRされ  ││  たい。                                 ││ ・ 移住促進PRポスターは、本市のよさ、シビックプライドが非常に感じら  ││  れるものになっているので、市民の目に届くいろいろなところに貼ってPR  ││  されたい。                               ││ ・ 戦略的広報について、なぜ北九州市は若い人に選ばれたのかという特集を、 ││  お金を払ってでも雑誌に出すべきタイミングだと思うので頑張られたい。   ││ ・ 就職移住相談員について、移住希望者の趣味や仕事などに幅広く対応でき  ││  るようしっかりと活用されたい。                     │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年10月22日 総務財政委員会   北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略第1の5年間の取組の総括、地方  創生関係交付金について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略第1の5年間の取組の総括 ア 社会動態の状況  ・ 全国の動きとして、人口の東京圏への一極集中が加速する傾向がある中、   本市の社会動態は、5年間で約2,100人、約85%の改善となっている。  ・ 内訳は、日本人が約1,500人、外国人が約600人となっており、年代別   では、80歳以上を除く全ての年代で改善した。  ・ 政令市で比較すると、東京圏の5市を除く15市のうち、改善の人数で   は大阪市・札幌市に次ぐ3番目、率では大阪市に次ぐ2番目となっており、   5年間の地方創生の取組が一定の成果を上げている。 イ 今後の方向性  ・ 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、社会環境が大きく変化している   中、ポストコロナの新しい時代を見据え、若い世代に向けた戦略的な情報   発信を行いながら、変化に対応した地方創生の取組を展開していきたい。 ② 地方創生関係交付金  ・ 平成27年度から国の地方創生関係交付金を活用し事業を進めているが、   ハード、ソフトあわせて延べ34事業、約67億円の事業費に対し、約28億円   の交付決定を受け、事業を推進した。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ コロナ禍でこれだけの社会動態の改善がなされたのは、みなさんが頑張っ  ││  た素晴らしい結果であり、今後も頑張られたい。              ││ ・ 今後は社会動態だけでなく、自然動態もプラスに転じるような策を考えて  ││  いくべき。                               ││ ・ 社会動態や自然動態の改善に向け、縦割りではなく、企画調整局が横串を  ││  刺して他局を取りまとめていくという自覚を持って働かれたい。       ││ ・ 予算編成に当たっては、施策の成果や、何に重点を置くのかについて分析  ││  されたい。                               ││ ・ 重要な施策や課題などの情報を、幹部から下ろすのではなく、職員全員に  ││  周知されたい。                             ││ ・ 北九州市未来人材支援事業と同時に、企業誘致についてもしっかり取り組  ││  まれたい。                               ││ ・ 生活費がかかる子育て世帯向けの住宅政策に取り組まれたい。       ││ ・ 今後も大学誘致を頑張られたい。                    ││ ・ この町に生まれ育って、生涯を終えられるような、そういう町になるよう  ││  頑張られたい。                      (次頁に続く)│└──────────────────────────────────────┘┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見(続き)≫                        ││ ・ 教員の質を向上させ、教員が本市のすばらしさを感じて授業をするという  ││  ことも重要な視点である。                        ││ ・ 北九州市がいい町だということを子どもはわかっているが、望む仕事がな  ││  いことで他都市に行ってしまう現実があるので、まち・ひと・しごと総合戦  ││  略に全力で取り組まれたい。                       ││ ・ クリエイティブディレクターが考える本市の情報発信、戦略という講座を  ││  市民も集めて実施されたい。                       │└──────────────────────────────────────┘ ○ まとめ   人口の東京への一極集中が加速する傾向が見られ、また、新型コロナウイルス  感染症の拡大の影響も大きい状況の中、北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦  略第1の5年間では、本市の社会動態は約2,100人、率にして約85%と大幅に  改善しており、これは人口減少対策として、さまざまな事業等に積極的に取り組  んだ成果が表れたものと高く評価している。   今後は、更なる社会動態の改善に向け、新型コロナウイルス感染拡大による、  若い世代の地方移住への関心の高まりやテレワークの拡大など、社会環境の変化  を追い風と捉え、ポストコロナの新しい時代を見据えながら、第2まち・ひと・  しごと創生総合戦略に基づき、新たに就任したクリエイティブディレクターの知  見も活用しつつ、若い世代に向けた戦略的な情報発信や変化に対応した地方創生  の取組など、より一層積極的に進められたい。   また、ふるさと北九州市応援寄附金についても、魅力的な返礼品の提供に向け  た継続的な取組等が功を奏し、寄附受入額が大幅な伸びを示すなどしっかりと取  り組んでいる。今後とも、ふるさと北九州市応援寄附金の取組を通じ、関係人口  の増加につなげていくことを期待する。(2)IR(統合型リゾート)施設誘致の検討について ○ 平成31年4月15日 総務財政委員会   まず財政局から、中期財政見通し、市債残高について、企画調整局から、IR  に関する国の動向について、説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 中期財政見通し  ・ 今後の市政運営の参考とするため、平成30年度当初予算を基礎として、そ   の時点で判明している地方財政制度を踏まえ、一定の条件のもとで当面5年   間、平成34年度までの試算を行ったもの。  ・ 平成30年度当初予算の収支差が133億円となっているが、これが予算に   おける基金の取り崩し額ということになる。  ・ 決算における歳入の増や歳出の不用額などが毎年100億円程度と想定し、   また、平成31年度から収支改善効果額が毎年累積することを想定して、年   度末基金残高を算出している。つまり、前年度末の基金残高に予算上の収支   差、収支の好転要素、収支改善額を合計して、基金残高の推移を試算してい   る。  ・ 歳入、歳出の試算方法は、基本的には平成30年度予算をベースに、今後見   込み得る変動要素を客観的に試算している。具体的に、市税は、内閣府試算   の成長率の伸びや税制改正を見込んでおり、地方交付税などは、市税の増減   や制度改正を見込むなどして、一般財源などや国県支出金、市債といった歳   入の見込みを試算している。  ・ 歳出については、人件費は人員の増減、扶助費は事業費の平均伸び率、公   債費は過去の市債発行額や今後の投資的経費の見込みなどを踏まえ、各歳出   項目を試算している。  ・ このように試算した毎年度の収支差を反映した基金残高の推移を見ると、   当面の残高は150億円以上を維持できているが、平成34年度には114億円   まで減少するという推計になり、平成30年度の予算において133億円を取   り崩す形の予算計上となっていることを考えると、予算編成が厳しい状況に   なる見込みということがわかる。  ・ 厳しくなる要因としては、福祉医療関係経費が今後も増加していくことが   挙げられる。  ・ このような収支ギャップに対応するため、行革大綱に基づく行財政改革を   進め、毎年度の予算編成の中で収支改善を図っていく。なお、中期財政見通   しは適宜見直しを行い、毎年度の予算編成にあわせて公表していく。 ② 市債残高  ・ 市債残高について、地方交付税の振りかえである臨時財政対策債を除いた   市債残高は平成29年度決算ベースで7,765億円となっており、臨時財政対   策債を含めた全ての市債残高は1兆1,029億円となっている。 ③ IRに関する国の動向 ア IRとは  ・ IRとは、観光振興に寄与する諸施設とカジノ施設が一体となった施設   群で、カジノの収益により、大規模な投資を伴う施設の採算性を担保する   ものである。民間事業者の投資による集客及び収益を通じた観光地域振興   や新たな財政への貢献を目的としている。 イ IRに関する国の動向  ・ 平成28年12月26日に特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法   律、いわゆるIR推進法が施行され、平成29年3月24日に安倍首相を本   部長とする推進本部が設置された。また、ギャンブル等依存症患者への対   策を抜本的に強化することなどの附帯決議を受け、ギャンブル等依存症対   策基本法が昨年7月13日に公布、同年10月5日に施行されている。  ・ 特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法が昨年7月27日に   公布されている。 ウ 日本型IRの根本原則  ・ 日本型IRの根本原則として、単なるカジノ解禁ではなく、世界の人々   を引きつけるような我が国の魅力を高め、大人も子供も楽しめる新たな観   光資源を創造するものでなければならないということが示されている。  ・ IRの開業前後のシンガポールにおける外国人旅行者数やその消費額な   どの数値の変化を見ると、公共政策としての効果の発現が見られる。 エ IR整備法の概要  ・ 特定複合観光施設とは、カジノと国際会議場施設、展示等施設、観光の魅   力増進施設、送客施設、宿泊施設から構成される一群の施設で、民間事業者   により一体として設置、運営されるもの。  ・ 都道府県又は政令市は、公募により民間事業者を選定した上で区域整備   計画の共同作成、認定申請を行い、国土交通大臣による選定が行われる。認   定申請に当たり、都道府県はその議会の議決及び立地市町村の同意、政令   市についてはその議会の議決が要件化されている。  ・ 認定区域整備計画の数の上限は3で、日本国内で最大3カ所の認定が予   定されている。  ・ 内閣府の外局としてカジノ管理委員会が、本年7月ごろに設置される予   定となっている。この委員会は、カジノ事業者等に対する監査、報告の徴収   及び立入検査等を実施する。  ・ IR事業者やその他のカジノ事業関係者は、カジノ管理委員会の免許、   許可、認可が必要となっている。  ・ 日本人等の入場回数を連続する7日間で3回、連続する28日間で10回   に制限しており、20歳未満の者、暴力団員等、入場料等未払い者、入場回   数制限超過者は、カジノ施設への入場等が禁止される。  ・ 日本人等の入場者に対し、入場料・認定都道府県等入場料として、それぞ   れ1回ごとに3,000円が賦課され、カジノ事業者に対しては、国庫納付金、   認定都道府県等納付金の納付が義務づけられている。  ・ 開業までのプロセスについては、IR整備法が公布され、これから順次   主な政省令等が制定されていくこととなっている。本年の夏ごろを目途に、   国の基本方針の策定、公表が予定されており、そこでより詳細なスケジュ   ールなどが示されることとなっている。  ・ 特定複合観光施設の中核施設の具体的な基準・要件については、標準規   模で、収容人員が3,000人から6,000人未満の国際会議場や床面積6万平   米以上の展示等施設、あわせて客室の床面積の合計が10万平米以上のホテ   ル、そのほかシアター等魅力増進施設、送客施設などの整備が義務づけら   れており、その床面積合計の3%以内において、カジノの設置が認められ   ている。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 今のままでは、じり貧状態に陥っていくことがよくわかったので、今後何  ││  か新しい、もっと数百億円規模で収入が増えるような財源を探していく必要  ││  があると思う。                             ││ ・ 執行部も必死にやっていると思うが、それでも20億円程度ということな   ││  ので相当厳しいだろうと思う。執行部の努力とあわせ、議会はやっぱり税収  ││  の上がる事業提言もしていかないといけないという立場で今後勉強してい   ││  きたいと思う。                             ││ ・ 日本では成人の3.6%、320万人がギャンブル依存症ということが調査で   ││  明らかになっており、他国と比較しても非常に高い。引き続き、カジノ合法  ││  化反対、日本に賭博場は要らないという立場から、カジノ施設の導入、設置  ││  に反対していく。                            ││ ・ いろいろな意見を総合した上で、IRを日本の国が進めるべきなのか、ま  ││  た、北九州市が手を挙げるべきなのかということを勉強していく必要がある  ││  のではないか。                             ││ ・ 市長も「ニュートラルな立場ではあるが勉強したい」と定例会見で発言し  ││  ており、企画調整局が中心となって、しっかりと資料を集め準備されたい。  ││ ・ 北九州市IR推進協議会の準備が整いつつあるという話もあるので、そち  ││  らとも意見をすり合わされたい。                     │└──────────────────────────────────────┘ 〇 令和元年5月17日 総務財政委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年6月24日 総務財政委員会   IRの基本的な情報、世界のIR、日本型のIR、スケジュールについて、参  考人から説明を受けた。  参考人:アバナード株式会社 Vice President  入江 孝弘 氏                Manager     山口 誠一郎 氏(説明及び答弁要旨) ① IRの基本的な情報  ・ IRという定義は、特に国際法で決められているものではなく、シンガ   ポール主導型の統合施設ができたときに、IRという言葉が出始めた。  ・ 日本のIRをつくるということが今推進されている。  ・ IRの基本的な施設は、ゲーミングはカジノ、ノンゲーミングはMIC   Eと呼ばれる国際会議場、十分なホテル、エンタメ施設、ショッピングモー   ルなどで、その総称をIRと呼んでいる。  ・ 今日本全体では世界レベルの国際会議場が足りないと言われており、既   存の概念よりも、もう一段上のレベルの国際会議場をつくることがこの中   に盛り込まれている。  ・ IRにもメリットとデメリットがある。  ・ メリットとしては、新たな施設ができるので投資を呼び込むことができ   ること。大阪ではサンズというオペレーター会社が1兆円を大阪に投資し   てインフラも整え、IRをつくりたいという、そういう投資が呼び込まれ   る効果が期待されている。    2点目にインバウンド。日本でも今観光が盛り上がっているが、一時期よ   りも少し下がっている。新しい施設、世界に一つしかないような施設が日本   にできると、更にインバウンド誘客が期待できる。    3点目に認知度の向上。認知度は、確実にブランドを上げていく。あと財   源の創出ということで、カジノによる直接的な税収、法人税、観光客の消費、   消費に対する税収効果などが期待できる。    4点目に新たな雇用の創出。新しい施設をつくることによる雇用の創出、   オペレーションを回していくことによる継続的・安定的な雇用の創出も   待される。  ・ デメリットとして、ギャンブル依存症、周辺治安の悪化、青少年の健全育   成への影響、マネーロンダリング、環境に関する影響などが懸念される。 ② 世界のIR  ・ 国連加盟国が193カ国あるが、世界145カ国でカジノ事業が合法化されて   いる。カジノはもともとヨーロッパが発祥と言われており、ヨーロッパでは   比較的多くの国で合法化されている。    合法化されている国において、約4,000弱の施設が存在している。ヨーロ   ッパが全体の37%、1,400強の施設があり、続いてアメリカが36%で1,400   強、全体で73%が北米とヨーロッパの2つのエリアに集中している。アジア   では、マカオやシンガポールがあるが、施設数ベースではおよそ6%程度の   シェアにとどまっている。    アメリカでは、1930年代にネバダ州で合法化されて、ラスベガスが町とし   て急速に発展していったという歴史がある。  ・ 施設数でいうとわずか6%のアジアが世界の売上げの半分を占めており、   業界のメーンのマーケットになっている。  ・ 全体では10兆円以上の市場規模と言われている。ラスベガスがあるネバ   ダ州は施設数が300弱で約3兆円、1施設当たり100億円程度となる。アジ   アではマカオが非常に大きく、40程度の施設で約4兆円、1施設当たり1,000   億円となっている。   マカオがラスベガスを抜いたのは2006年ぐらいである。  ・ 海外の主要9社が、世界の売上げの41%を占めており、一番大きいのはラ   スベガス・サンズである。こういったところが日本に興味を示してくると思   われる。  ・ 日本型のIRを目指すに当たってはシンガポールが参考となる。シンガポ   ールは、1985年にセントーサのカジノ構想が却下され、2002年にもカジノ   導入案が否決されるという歴史を踏まえ、2004年にリー・シェンロン首相が   就任した翌年にカジノの法案が国会を通過し、その翌年には事業者と開発契   約を結んだ。その4年後、2カ所のIRが開業した。    リー・シェンロン首相は、観光の目的地としての魅力を失ってきたこと   を課題と捉え、IRの意義について、新しい世界の一員となるのか、無視   され取り残されるのか、と国民にメッセージを発信した。    コンセプトは、ノット・ア・カジノ、バット・ア・IR。IRによって毎   年大勢の人々が訪れるが、ギャンブルではなく、リゾートを楽しむ旅行者や、   国際会議等に参加するビジネスマンなどがメーンの客だと言っている。しか   しながら、カジノは小規模ではあるが、施設全体の経済的な継続性を支える   財源であり重要だとも言っている。    リゾート・ワールド・セントーサは2010年に開業し、ゲンティングルー   プが運営している。シンガポール初のカジノができ、ユニバーサルスタジオ   や大規模なプール、世界最大規模の水族館がある。島全体をIRとして開発   しており、どちらかというとファミリー向けのリゾート施設である。約1年   前には米朝首脳会談が行われた。島全体の敷地面積はおよそ49万平米、東   京ドーム約10個分の広さになっている。    もう一つ、マリーナベイ・サンズは、2014年に開業し、ラスベガス・サン   ズが運営している。単独では世界最大のカジノを保有し、ホテルの屋上のプ   ールが有名である。ほかにも、巨大なガラスドームを備えた植物園等が有名   で、セントーサ島から30分程度の距離にあり、大人が楽しむためのエンタ   ーテインメント施設が整っている。敷地面積は、先ほどのセントーサ島と比   べると少し狭く19万平米、東京ドーム約4個分程度の広さである。  ・ マリーナベイ・サンズの初期投資は約4,800億円、1年間の売上げは3,500   億円となっている。リゾート・ワールド・セントーサでは、売上高の30%が   営業利益と言われているので、3,500億円の30%、約1,000億円が利益とな   り、5年程度で初期投資は回収できる計算になる。  ・ IRをシンガポールにつくった結果、旅行者数が56%増加、国際会議の件   数も23%増加するという効果があり、IRの導入によって観光に対する課題   は解決に向かった。  ・ 収益構造については、マリーナベイ・サンズの例では、延べ床面積の比率   は、ゲーミングが3%であるが、売上高では78%を占めている。利益を施設   に再投資し、より魅力のあるIRとして磨き上げていくことが大事になって   くる。 ③ 日本型のIR  ・ 日本型のIRでは、閉じたリゾート施設ではなく、周辺地域や日本全体   を周遊することを目指すとされ、ハードだけでなく、ソフト面でいろいろ   なことが求められている。例えば、これまでにないようなスケールとクオ   リティーを要して世界から観光客を集めることや、日本各地の豊かな自然   や歴史などを紹介したり、また、IR区域への来訪者を全国に送り出すこ   と、独自性を持たせ国際競争力を持つことなどを目指していくとされてい   る。  ・ 施設要件では、カジノ施設に付随して、国際会議場や展示施設といった   MICE、観光施設、送客施設、宿泊施設、商業施設など、これらを一体的   に設置し、民間事業者として運営していくことが要件となっている。    マリーナベイ・サンズの最も大きな国際会議場は、約8,000平米弱で6,000   名、レセプション等では8,000名入る規模であり、それ以外にも数千名規   模の施設が幾つかと、小規模な会議室が幾つかある。MICEはそれぐらい   の規模感である。  ・ 税収構造について、苫小牧では、来場者が年間860万人程度、IRの総   収入が年間最大1,560億円と試算しているが、ゲーミングとノンゲーミン   グの比率は半々と仮で置いている。ゲーミングの収入780億円の30%、234   億円がカジノ納付金として、国と地方自治体に15%ずつ振り分けられるた   め、120億円弱が自治体に入ってくることとなる。また、収益に対してかか   る法人税も別途国と地方公共団体に入ってくる。カジノ事業者は、収益を   どんどん再投資して、IRとしての魅力を上げていく。  ・ ギャンブル依存症、マネーロンダリング、反社会的勢力の介入や、青少年   への悪影響、地域環境の悪化といったような負の影響があるが、IRの開   発に対するリスクに対しては、国や地方自治体がIR事業者と一体となっ   て法規制や対策等、徹底していくことが非常に重要となる。    ギャンブル依存症に対する対策の例として、①機会の限定。②広告や勧誘   等の誘客時の規制。③入場回数や本人確認などの厳格な入場規制や6,000円   の入場料。④カジノ行為に関する規制や貸し付けの規制などが検討されて   いる。また、実際に依存症になった場合の相談窓口設置や、本人若しくは家   族からの申請による利用制限等も検討されている。   さらに、依存症になる一歩手前を予知するような研究も行われている。  ・ 日本型のIRで考えられるビジネスについて主なものは、カジノでは遊   技機メーカーやシステムベンダー等、ホテルやMICE、エンタメ、商業モ   ール、その他でもいろんな事業者がかかわってくる。事業はオペレーター   と地域の企業のコンソーシアムで運営されていくと思うが、こうしたとこ   ろに地元企業が入り込むことも狙っていくべきである。    また、世界中のカジノとオンラインで連携する取組や、ウエアラブルバン   ドを使って興奮や健康の状態をはかったり、顔認証システムにより精神状   態を見きわめるなどの新しいビジネスもある。  ・ 参入に当たって必要なステップとして、まずは、自治体やオペレーター   等の企業による参入可能性調査。次にそれを踏まえた、IR事業者とのロ   ードマップの策定がある。また、参入後のIRを魅力的なものにしていく   ための計画などがある。  ・ 今正式に手を挙げているのは苫小牧と大阪、和歌山といったところ。首   都圏では、東京、横浜が候補として挙がっているが表明はしていない。横   浜は5年以上検討しており、苫小牧も、住民説明会を10数回にわたって   行うなど、各候補地の活動は徐々にヒートアップしている。    北海道地区ではさまざまなグローバルのオペレーターが手を挙げ、協賛   している。1カ月ほど前に大阪であったIR産業展では大手が出そろって   いた。グローバルの主要オペレーターが9社あるが、日本で指定される予   定の3カ所をその9社で争うこととなるので、来年に向けてし烈な争いが   起こってくるのは間違いないと言われている。    大阪は、万博とセットでやるということで、2024年に開業し、国際的な   エンターテインメント拠点をつくっていきたいという意向を表明してお   り、夢洲が候補地である。    横浜市は町全体を水素化する実証実験などを行っており、エコの町を掲   げている。    苫小牧は、自然と共生する自然型IR。冬はスキー、春・夏・秋も魅力   を全面的に押し出し、オールシーズン楽しめるような施設づくりをしたい   と言っている。苫小牧は非常に具体的な計画を打ち出しており、日本で一   番進んでいると思う。    近いところでは、長崎が正式ではないが意向を表明して進めている。 ④ スケジュール  ・ 基本方針が今年12月か1月ぐらいに出ると思われるが、もし基本方針が   ずれても、2021年9月に地区決定、2025年に開業という部分は変わらない   と思われる。  ・ 今後2年ぐらいは、カジノ管理委員会が設置され基本方針が決定、RF   P(提案依頼書)の公募が2020年10月。ここでは、自治体が明確なビジョ   ンを持ち、どの事業者と組むかなど、オペレーターや地場の企業群とのす   り合わせが必要である。2021年3月に、自治体が事業者決定を行い、自治   体とオペレーター、ベンダー等が組んで2021年4月の地区指定公募に応募   する。その半年後に地区が決定されるというようなスケジュールで動いて   いる。  ・ 3カ所が選ばれた後の選定は7年後と言われているが、その分の開業は   2030年以降になると思われる。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ IR事業が立ちいかなくなった場合、税金を投入することは想定しておら  ││  ず、また、市長も議会でIR事業者と話をする用意はあるとのことだったの  ││  で、参考人からの説明内容を踏まえて鋭意推進されたい。          │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年8月21日 総務財政委員会   IR事業者へのヒアリング結果、他都市視察調査結果について、当局から説明  を受けた。(説明及び答弁要旨) ① IR事業者へのヒアリング結果  ・ 大手と呼ばれるIR事業者8社に対して、ヒアリングの声かけを行い、関   心を示した3社に対してヒアリングを実施した。  ア IR投資を行う判断のポイント   ・ リゾート感のあるロケーション、高い集客力の可能性、用地は最低でも    30ヘクタールの十分な面積が必要であること、施設の早期着工が可能であ    ること、行政側からの国に申請を行うという明確な意思表示が必要である    こと、行政・議会・経済界が誘致推進で一致していること、国への申請に    向けて十分な体制を整えていること、地方でのIRとなるため九州におい    てオール九州の体制を構築できることなどの意見があった。  イ 北九州市への意見   ・ アジアに近く、インバウンド需要の観点から高いポテンシャルがある、    福岡空港から近く、送客という観点からも魅力があるという意見の一方、    具体的な適地があるのか、早期着工の観点からすぐに決めないと間に合わ    ない、また、オール九州の体制を構築する必要があるなどの意見があった。  ウ インフラ整備の負担の考え方   ・ IR事業者はIR本体への投資に注力すべきで、インフラの負担は原則    としてやりたくない。大阪府・市の事例は、投資規模が1兆円と巨額であ    ること、また、大阪のポテンシャルを踏まえたことでの特殊事例であると    いうことであった。  エ 地元企業へのかかわり方   ・ 事業者によって意見は多少異なるが、全体として一定の地元調達が必要    であるという意見であった。 ② 他都市視察調査結果(苫小牧市、大阪府・市、横浜市)  ア 候補地の状況   ・ リゾート感のあるロケーションとして、それぞれ森林地帯の自然派リゾ    ートやベイエリアを具体的に想定している。各団体とも良好な交通アクセ    スに加え、約50ヘクタール程度確保している状況である。土地の状況は、    苫小牧市は民有地を所有者が市に無償で寄附、大阪府・市は埋立地で市有    地、横浜市は市有地、民地、国有地が混在している状況である。  イ 自治体のスタンス   ・ 苫小牧市は誘致を表明しているが実際の申請は都道府県等で行うため、    北海道知事の判断待ち、大阪府・市は明確に誘致を表明、横浜市は市長の判    断待ちだが、誘致の表明が近々行われるという報道があるといったような    状況である。  ウ 地元の機運醸成の状況   ・ 地元経済界はおおむね賛成だが、横浜市は一部反対意見もあり、それぞ    れ市民からの反対意見も多い状況である。  エ インフラ負担の考え方   ・ 大阪府・市は民間事業者の一部負担の考え方を明確にしている状況。  オ 自治体のリスク負担の考え方   ・ 今後公表される国の基本方針を見て、民間事業者との実施協定でどうい    った内容を盛り込んでいくかを判断するとのことであった。  カ 予算、人員体制、進捗状況   ・ レベルは団体ごとに異なるが、対応できる予算、人員体制を確保し、一定    の進捗が図られている状況にある。 ③ まとめ   ・ IRの誘致に当たってのポイントは、IR事業者のニーズに見合った候補    地、地元機運の醸成、オール九州体制の構築が必要であること、多額の予算    措置、専門組織の構築、自治体のリスクの最小化と考えている。   ・ 本市の現状は、IR事業者のニーズに合う候補地が見当たらないとい    う認識を持つに至っている。今回の報告を受けての議会、経済界などからの    意見を踏まえながら、今後の対応を検討したいと考えている。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 今後、北九州市として客観性を持って、観光や経済の施策を捉えていく必  ││  要があると思う。                            ││ ・ 今回の3カ所に手を挙げるべきだと思うが、さまざまな意見聴取等も必要  ││  であり、調査は早急に決断すべき。                    ││ ・ 今後、土地の問題と機運醸成が課題である。               ││ ・ 相当のスピードを要する話であるため、IR事業者やIR推進協議会の意  ││  見に耳を傾け、情報の収集に努められたい。                │└──────────────────────────────────────┘  令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、10月16日か ら16日までの3日間の日程で、大阪市のIR施設誘致の取組について視察を行 うことを決定した。 ○ 令和元年9月30日 総務財政委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年10月16日 行政視察(大阪市)   大阪市における、IR施設誘致の取組について視察を行った。   2010年、当時の橋本知事がシンガポールのIRを視察し、大阪の経済活性化  のためにはIRが必要と考えたことがきっかけ。   2013年に大阪府市IR立地準備会議を設置。その後、IR推進法の成立を受  け、大阪府市IR推進会議及び大阪府市IR推進局を2017年に設置し、2019年  2月に大阪IR基本構想(案)を取りまとめ、現在、大阪万博開催前の2024年  開業を目指して準備を進めている。   IR推進局は企画課と推進課の2課体制。人員は大阪府から16名、大阪市か  ら27名の計43名。   IR推進に係る令和元年度予算は4億7,200万円。内訳は、職員の人件費が  約3億円、残りの約1億7,000万円が事業費。   人口減少、高齢化が進む中、労働力の減少による経済縮小への懸念から、将  来性が見込まれる成長産業への注力が必要。   なかでも、今後も拡大が見込めるインバウンドを取り込むためには、滞在型  観光の推進や世界水準のMICE施設の整備が必要であり、大阪の基幹産業と  して成長させたい。   大阪IRでは、敷地面積60ヘクタール、投資規模9,300億円、年間来場者数  1,500万人、年間売上4,800億円と試算。   ギャンブル等依存症対策では、依存症研究の先進地を目指すネットワークの  構築や、ICT・AIを活用した先進的な依存症対策研究の推進など、先進事  例に大阪独自の取組をミックスした大阪モデルの構築により、依存症対策のト  ップランナーを目指す。   IR立地による効果は、経済波及効果、雇用創出効果、都市の魅力と国際競  争力の向上など。府市が試算した経済波及効果は、開業初年度までに2兆円、  以降、毎年7,600億円。   納付金・入場料等の収入は年700億円を見込み、子育て、教育、福祉、文化・  スポーツ振興等に活用。   地域の合意形成に向けた理解促進として、市民全体、地元企業、大学生など  属性に応じた情報発信や、段階に応じた説明など。   今後、速やかに実施方針を策定し、年内に事業者の公募、来年春に事業者の  決定し、事業者と区域整備計画を作成したうえで、議会の議決、区域認定の申  請、2014年に開業したい。 ○ 令和元年11月11日 総務財政委員会   行政視察を受け、委員間で意見交換を行った。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 大阪を視察して、一番進んでいると言われる大阪でも進んでいないという  ││  のが実感。北九州市が間に合わないということはない。           ││ ・ 世界の投資家集団が北九州市は災害がなくて、地の利がよくて、大都市か  ││  らのアクセスもすばらしいと評価していることをPRするだけでも手を挙   ││  げる意味がある。仮にだめでも北九州市の名を世界に売り出すにはいい機会  ││  である。                                ││ ・ 老朽化した公共施設を税金で建てかえるのは不可能に近い。それを民間が  ││  現在の10倍の規模のMICE施設を建ててくれるなら、交通利便性が高い小  ││  倉駅北口がよい。大阪は夢洲に行くにもすごく時間がかかる。        ││ ・ 北九州市が遅いとか早いという訳ではなく、じっくりいろいろな意見を聞  ││  きながら考えていく必要がある。                     ││ ・ 議会での執行部の答弁は間に合わないということだったが、そうでもない  ││  と感じた。IRをやるのかやらないのか、議会として決めていく必要がある  ││  のではないか。                             │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年12月10日 総務財政委員会   IR庁内調査チーム、今後予定しているIR関連事業者への質問項目について、  当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① IR庁内調査チーム  ・ 本年11月にIR関連事業者から2件の提案があり、この提案について専   門的な見地から内容を精査し、提案に対する確認事項を整理し質問票を作成   するため、企画調整局を事務局とした関係課長から成るIR庁内調査チーム   を11月19日に立ち上げ、作業に入った。  ・ 企画調整局、環境局、産業経済局、建設局など実務を担う課長級13名で   構成され、提案内容をインフラ整備、都市計画、環境、産業、にぎわい、M   ICEなど、専門的な視点で精査している。なお、12月3日にこのチームを   市長直轄とし、インフラ、都市計画等の知見が必要であることから、新たに   全体総括を今永副市長、副総括を梅本副市長が行うこととした。  ・ このIR庁内調査チームにおいて、IR関連事業者との対話を行いながら   提案の具体性について見極めていきたい。 ② IR関連事業者への質問項目  ・ 質問の送付先は、11月に本市にIRに関する提案のあったA事業者とB事   業者であり、事業者の意向により、提案資料は非公開としているが、小倉駅   新幹線口、門司区喜多久での提案であった。  ・ 質問の送付日は、12月11日を予定している。  ・ 提出期限は、翻訳作業等を考慮して1カ月程度の時間をとり、令和2年1   月10日17時に設定している。  ・ 質問については、本会議でも答弁したが、総論として開発の具体的内容、   事業収支と経済効果、地元企業への影響、環境への配慮、インフラ整備とそ   の負担の考え方、事業継続等のリスク負担などの項目を準備している。また、   小倉駅新幹線口、門司区喜多久に特有の質問項目も準備している。  ・ 6日に3つ目の事業者からの提案があったため、同様の対応を行う予定で   ある。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 民間のコンサルに委託をするとなると、調査費用等の予算化は、2月議会  ││  に議案を提出しないといけないため、市長も議会も1月中ぐらいを目途に判  ││  断していくべきだと思う。                        ││ ・ 高速道路はばく大な金がかかるため、喜多久という選択肢はないはず。と  ││  にかくしっかり調べて、いろんなことを事業者に質問されたい。       ││ ・ 住民の不安として、治安の悪化やギャンブル依存症が質問に入っているが、 ││  庁内調査チームには、保健福祉や安全・安心、青少年関係の回答に答えられ  ││  る人が入ってないので、回答を精査するに当たっては、対応の準備をされた  ││  い。                                  ││ ・ 個人的には推進の立場だが、世の中いろんな意見があるのは承知している  ││  ので、とにかく丁寧に対応し、やらなかった場合の我が町の将来の税収、雇  ││  用、人口の見通しを含めて、市長が正しい判断ができるよう基準の準備をさ  ││  れたい。                                ││ ・ 日にちがない中、1月10日の事業者の回答を待つというのは、時間が余り  ││  にももったいないという気もする。しっかりと議員とも情報共有しながら、  ││  スピード感を持って進められたい。                    ││ ・ 13人の課長による検討ではなく、ギャンブル依存症や青少年の健全育成等  ││  を含め、しっかり専門家からも意見を聞き、この町の未来のための大事な正  ││  念場ともいえる事項であるので、しっかり取り組まれたい。         │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年1月15日 総務財政委員会   IRに関する提案に対する質問への事業者からの回答状況について、当局から  説明を受けた。(説明及び答弁要旨)  ・ 提案のあった3つの事業者から、1月10日金曜日に回答があった。そのう   ち1社については、英文での回答であり、和訳版を今週中にも提出するとの連   絡を受けている。  ・ 現在、IR庁内調査チームにおいて、回答内容を見ながら提案の具体性につ   いて見極めているところである。  ・ 今後、事業者からの回答については公開を前提に考えているが、事業者から   非公開を希望する部分も考えられるため、柔軟に対応していきたいと考えてい   る。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 質問項目は決まっており、回答もその項目に沿った回答と思うので、もっ  ││  と早く出してもらわないと困る。                     ││ ・ 文書による回答だけでは細かい意図などが、なかなかわかりづらいと思う  ││  ので、個別にそれぞれの事業者を呼んで、双方が理解できない部分をきちん  ││  と聞き取るような調査をやるべきである。                 ││ ・ 非常に大きな北九州市の未来に関わることであるため、しっかり時間をか  ││  けて回答の精査をされたい。                       ││ ・ 国の事業であり、国が今後どのように考えていくかが重要であるので、国  ││  会を十分に注視されたい。                        ││ ・ 公益性があるとは到底考えられず、負けた金、人の不幸の上に成り立つお  ││  金で経済成長するなど本市がすべきではなく、カジノは誘致すべきではない。 ││ ・ 事業の持続可能性について、各事業者がどのような回答なのか非常に興味  ││  があるので、その部分もぜひ開示をして、市議会としても検討しながら賛成、 ││  反対を考えなくてはならない。                      ││ ・ 市民の合意は大切であるが、反対意見も多く、心配の声もたくさんある。  ││  3%とはいえ、博打を公然と市内で行う場所ができることについて、嫌悪感  ││  を持っている市民もたくさんいるので、そういう声もきちっと把握されたい。 ││ ・ 仮にIRができたとして、雇用の問題や交通渋滞、ギャンブル依存症など  ││  さまざまな問題が出てくる可能性は当然あると思うが、IRがだめならほか  ││  にどういう方法があるのかということも、あわせて慎重に議論する必要があ  ││  る。                                  │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年1月29日 総務財政委員会   1月24日の与党代表者会議における市長のIRの判断に関するコメントの経  緯、質問項目に対する回答の概要、IR庁内調査チームの見解について、当局か  ら説明を受けた後、更に議論を深めるため委員間討議を行った。(説明及び答弁要旨) ① 市長のIRの判断に関するコメントの経緯  ・ 3つのIR事業者から昨年あった提案に対し、12月にIR庁内調査チーム   を立ち上げ、質問項目の整理を行って、このたび回答が出そろったもの。  ・ その次の週から調査チームにおいて内容の精査を行い、調査チームとして   の見解をまとめたところである。  ・ その調査チームとしての見解を、先週の24日に議会の主だった方々に説明   をしたところである。あくまでも調査チームとして、IRの誘致については   「極めて困難」という見解の最終結論といったことを説明した。  ・ それが、「断念へ」というような報道になったかと思われるが、まだ市とし   て方針を決定しているわけではない。  ・ 今週に入り、今日の委員会での説明、経済界での意見の聴取を行い、最終   的には市長が判断することになると考えている。 ② 質問項目に対する回答の概要  ア 本市の優位性   ・ 各事業者ともにアジアの主要都市から近いこと、新幹線や空港、高速道    路などの交通アクセスがよいということを高く評価しており、改めて本市    のポテンシャルの高さを実感した。  イ 開発の具体的内容   ・ 候補地について、3つの事業者全てが小倉駅新幹線口を推奨している。   ・ 全体事業費については、約4,400億円から約2兆1,550億円、MICE    施設の規模は約6万6,250平米から106万7,500平米、ホテルの部屋数は    2,500室から1万2,000室など、事業者によりかなり幅があるが、大都市    型のIR、マリーナベイ・サンズとおおむね同規模以上の施設が想定され    ている。   ・ 集客の目玉施設として屋内型テーマパーク、ウオーターパーク、アジア    の光タワー、映画スタジオや遊園地などの提案があった。  ウ 事業収支と経済効果   ・ 来場者数は約1,340万人から約2,540万人超、売上見込み額は約3,280    億円から約6,860億円超など、事業者によりかなり幅があるが、横浜や大    阪の大都市での想定や、マリーナベイ・サンズとおおむね同程度以上が見    込まれている。また、ゲーミングの約7割が国内客と見込まれている。  エ スケジュール   ・ 今年の6月ごろまでに事業者選定が行われることが想定されているが、    これは先行団体の大阪のスケジュールと同レベルのスケジュール感であり、    現実的には対応困難と考えている。  オ 地元企業への影響   ・ 地元発注率が60%から90%と想定されており、地元発注にしっかり取り    組む姿勢が感じられた。  カ 事業継続等のリスク   ・ 各事業者とも事業運営に自信を持っており、リスク回避は可能との回答    であった。不測の事態をカバーするための準備金、基金を想定しているよ    うであるが、それを用意することは可能との事業者もあった。本市として    は、大阪府・市の例を見ても、事業継続困難な場合のリスクは依然として存    在するものと考えている。  キ インフラ整備とその負担の考え方   ・ 基本的にはIR施設内のインフラ整備は事業者、IR施設外のインフラ    整備は市などの行政といった考え方であり、他都市等の例を見ても、行政    に一定のインフラ整備の負担が生じる可能性があると考えている。全ての    インフラ整備を事業者が負担すると回答した事業者もあった。  ク 懸念事項とその最小化に向けた取組   ・ 法律以上に厳しい方法で制限措置を実施予定、強力な内部統制等を実施    するなど、各事業者とも懸念事項に対してしっかりと取り組む姿勢が感じ    られた。 ③ IR庁内調査チームの見解   IR関連事業者3社との質問のやりとりなどを通じ、調査チームで提案の具  体性について見てきたが、チーム内で議論を重ねる中、IR誘致に当たっては  4つのポイントがあると考えている。  ア 候補地   ・ 3つの事業者全てが小倉駅新幹線口を推奨している。   ・ 現在ミクニワールドスタジアム、西日本総合展示場、下水処理のポンプ    場などの公共施設やAIMビル、地域熱供給プラントなどの民間施設が存    在しているが、事業者からの提案は、これらをほぼ全て取り壊して再開発    する案であり、用地確保や関係者の理解、合意に一定の時間が必要と考え    ている。  イ 事業採算性とリスク   ・ 提案は投資規模が大きい大都市型のIRとなっており、地方都市である    本市には規模が過大で、安定的、継続的な運営に確証が持てないと考えて    いる。また、ゲーミングの約7割が厳しい入場制限がある国内客と見込ま    れており、売上収益の実現性に乏しい上、ギャンブル依存症の増加などに、    より留意が必要となる。  ウ 地元機運の醸成   ・ IRは地域経済の振興、雇用、税収などのメリットがある一方で、本市で    はIRに関する理解、合意形成が未着手の状態である。最近の世論調査で    は、6割から    7割が否定的な声になっている。  エ スケジュール   ・ 今のところ国への申請期限は令和3年7月30日で変更はないが、大阪府・    市の例では、事業者公募手続開始から国への申請まで約1年であることを    考えると、本市は本年6月から7月ごろまでに候補地の選定、用地の確保、    関係者の理解、合意を得た上で公募手続開始が必要な状態となる。  オ これらを踏まえた見解   ・ 以上4つの点から、今回の提案を受けてのIRの実現は「極めて困難」    というのがIR庁内調査チームの見解である。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ インバウンド需要、送客等の本市の優位性という点で、本市は決してマリ  ││  ーナベイ・サンズに劣っているとは考えていない。             ││ ・ 候補地の所有者にヒアリングせず見解を出したのは少し乱暴だった。    ││ ・ 事業が継続困難となった場合のリスク回避の提案がされているのに、リス  ││  クを理由に3社の提案を断るのは、少し議論が足りなかったのでは。     ││ ・ 北九州市の公務員としてこの街をよくしていこうと考えるのであれば、こ  ││  れからもIRについての勉強をしっかり続けていかれたい。         ││ ・ これでIRは全てなしというのではなく、今後、北九州市でも可能なもの  ││  があればしっかり検討されたい。                     ││ ・ 継続性も含めてIRの誘致は困難ということは、賢明な判断だと歓迎する。 ││ ・ 今後また勉強していくことを考えるのであれば、市民にアンケートをとる  ││  などすべき。                              ││ ・ 土地は売却ではなく、リスクを減らす意味でも貸す方向で進めるべき。   ││ ・ 財政は厳しいがピンチはチャンスであり、IR以外でもいろんな形でシビ  ││  ックプライドを上げることはできると思うので、いろんなことに目配り、気  ││  配りしながら取り組まれたい。                      ││ ・ 事業のメリット、デメリットを理解した上での市民の意見を聞かないと判  ││  断を誤るので、今後検討する際は、異なる要素を排除してきちんと市民が理  ││  解した上での意見を聞くということをされたい。              ││ ・ 先送りは仕方ないと思うが、洋上風力発電を含めて、北九州市が浮上する  ││  ための何か違うものを、企画調整局を中心に提案されたい。         ││ ・ 事業者の方々には今後も引き続き丁寧な対応をお願いしたい。       ││ ・ 事業者等の第三者は、私たちでは考えつかないような非常におもしろい発  ││  想、新たな視点を持っており、外部の方々を巻き込んでいくのは非常に重要  ││  なので、引き続きいろんな方々から意見を聞かれたい。           ││ ・ 本市の発展、活性化につなげていけるよう、第二弾、第三弾のIR事業があ ││  った時のために、しっかり勉強を続けて丁寧に精査されたい。        ││ ・ 過去にあった、負債を抱え、市民の大切な税金をつぎ込まなくてはならな  ││  いような事業になるのではないかという心配があるので、今回の判断は極め  ││  て妥当である。                             ││ ・ 困難だが不可能ではないことに対し、今後いろんな議論があると思うが、  ││  諦めずに狙い続けることが必要である                   │└──────────────────────────────────────┘┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見(委員間討議)≫                     ││ ・ 本市にIRができるかどうかとは別にして、これを一つの契機としてギャ  ││  ンブル依存を減らしていくことは取り組まれたい。             ││ ・ 本市の安全・安心のまちづくりへの取組が事業者から評価されたことは誇  ││  りとすべきであるし、IR事業者はマフィアが最も嫌いということを市民に  ││  周知することがこれから大事である。                   ││ ・ IRで心配なのは、商店街などとの関係性、それから事業が継続できなく  ││  なった場合に廃墟となる可能性である。                  ││ ・ 違法カジノの取り締まり、それからギャンブル依存症の8割を占めるパチ  ││  ンコについて、もう少し国は考えないといけない時期に来ていると思う。   ││ ・ 本市が抱える大きな問題である老朽化施設の建てかえを、税金を使わずに  ││  できるということが、IRの肝である。                  ││ ・ 国際会議場やスタジアムなど取り壊すとなると、賛成、反対の両方の意見  ││  があると思うので、それをどう整理するのか考える必要がある。       ││ ・ 市長がどう判断するかは、常任委員会の意見も非常に重要であり、全体と  ││  しては、今すぐに断念したほうがいいという意見ではなかったと思う。IR  ││  事業について、各会派でもきちんと議論するとともに、局長から市長に常任  ││  委員会の議論について丁寧に伝えられたい。                │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年8月7日 総務財政委員会   IR(統合型リゾート施設)誘致の検討に関する現況について、当局から説明  を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 新型コロナウイルス感染症のIRへの影響  ・ 新型コロナウイルスの感染予防により、海外のカジノ施設が閉鎖に追い込   まれ、再開後も客足が遠のいているため、日本への参入を狙っている海外の   IR事業者の業績が悪化していると報道されている。  ・ 具体例を挙げると、米国のMGMリゾーツ・インターナショナルの2020年   1月から3月の売上高の前年同期比の増減率がマイナス29%、香港のギャ   ラクシーエンターテインメントグループはマイナス61%、シンガポールのゲン   ティン・シンガポールはマイナス36%となっており、次期はこれ以上の影   響が出ていると推察している。 ② 国の基本方針の決定時期  ・ 最近の新聞報道では、政府関係者が、基本方針の策定時期は白紙、公表時   は未定などの発言を行ったとされており、また、基本方針案で示した2021   年1月から7月までの区域整備計画の認定申請の受付期間も、一部報道では   延長を検討しているとされている。 ③ IR誘致を表明している他都市の状況  ・ 横浜市は、6月に予定していた実施方針、募集要項などの公表を2カ月間   延長している。また、横浜市への進出に意欲を示していたラスベガス・サン   ズは、日本市場への参入を断念すると発表しており、同社のシェルドン・ア   デルソン会長は、今後日本以外での成長機会に注力するとコメントしている。  ・ 大阪府・市は、松井市長から全面開業が1~2年遅れる見通しとコメント   している。また、2020年7月ごろとしていた提案審査書類の提出期限を当面   の間延長し、具体的な提出期限は国の基本方針の策定後に内容、新型コロナ   ウイルス感染症の影響等を踏まえ決定すると公表している。なお、MGMオ   リックスコンソーシアムの1社が参加資格を取得している。  ・ 長崎県は、7月中に予定していた公募開始を延期する方針を固め、国の動   向を見守り、今後の公募開始時期を判断していきたいとコメントしている。  ・ 本市としては、今後も国や他都市の動向等、情報収集に努めていきたい。 ○ まとめ   本市へのIR(統合型リゾート)の誘致について、参考人招致や先進自治体へ  の調査、行政視察、IR事業者へのヒアリングなどを行いながら、しっかり議論  を進めてきたところである。   参考人としてご臨席いただいたアバナード株式会社のIRに精通した講師か  らは、IRの枠組みや世界のIRの状況、導入のメリット・デメリット、他都市  の検討状況、スケジュールなどについて、本市が今後誘致を検討していくに当た  り、大変有益かつ貴重な情報を伺うことができた。また、本市への提案があった  IR関連事業者3社への質問に対する回答からは、本市が立地や交通アクセスな  ど、候補地として高いポテンシャルを秘めていることも明らかになった。   今回の調査においては、本市が誘致検討のために設置した庁内調査チームから、  地域経済の振興や雇用、税収などのメリットがある一方で、用地確保や関係者の  合意形成、安定的かつ継続的な運営の確保、手続きに必要な期間の確保などの点  において、今回の提案を受けてのIRの実現は「極めて困難」という見解が示さ  れた。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、海外のカジノ施設が閉鎖  に追い込まれ、再開後も客足が遠のくなど、IR事業者の業績が悪化しており、  国やIR誘致を表明している他都市では、今後のスケジュールの延期等も検討さ  れている状況である。   しかしながら、IRの検討は今回で終わりということではなく、本市の厳しい  財政状況を踏まえ、老朽化した公共施設の建て替えをはじめ、今後の本市の発展  や活性化、シビックプライドの醸成などの観点からも、引き続きIRの誘致につ  いては、国や他都市の動向を注視し、市民や議会、経済界などの意見も踏まえな  がら勉強されたい。  また、今回の検討を契機として、ギャンブル依存症への対応や、洋上風力発電   などIR以外の北九州市が浮上するための取組の推進につながることを期待する。(3)SDGsの推進について ○ 平成31年4月15日 総務財政委員会   SDGsの推進体制、普及、PR活動、今年度の主な取組について、当局から  説明を受けた。 ① SDGsの概要  ・ SDGsは、2015年9月の国連サミットにおいて、加盟国が全会一致で採   択した、持続可能な開発に向けた2030年までの世界目標であり、世界の共   通言語とも呼ばれている。日本においても、内閣総理大臣を本部長とするS   DGs推進本部を設立するなど、国を挙げた取組が進められている。 ② SDGsの推進体制  ・ SDGsの達成には、行政だけでなく産学官民の連携による取組の推進が   不可欠であるため、昨年11月にSDGsの推進に関連する活動に取り組む   市民や企業、団体等が参加できる推進母体として、「北九州SDGsクラブ」   を創設した。  ・ SDGsに取り組む方向性や普及活動などについて、さまざまな視点から   助言をもらうため、有識者や産学官民の代表者等8名から成る北九州市SD   Gs協議会を開催した。  ・ 当面、北九州SDGsクラブと北九州市SDGs協議会を両輪として進め   ていく。  ・ 市役所の内部の推進体制は、市全体の施策に係る意思決定や、関係部局相   互の緊密な連携を図るため、市長を本部長する北九州市SDGs未来都市庁   内推進本部を設置した。  ・ 本年度から企画調整局内にSDGs推進室を設置し、市の各事業を17のゴ   ールに向けて達成できる仕組みを構築するとともに、市民、企業、団体など   の交流、連携を促し、取組を強化していく。 ② 普及、PR活動  ・ SDGsを達成していくには、まずSDGsを知る、理解する、興味を持   つ、自発的にSDGsに関する情報を入手する、日常生活をSDGsの視点   で考え、活動を更に強めていくという段階を踏み、市民への浸透を図ってい   くことが重要であるため、特に知る、理解することに重点を置き、普及、P   R活動に取り組んだ。  ・ 具体的には、地域ふれあいトークをはじめとして、市長が先頭となりSD   Gsの認知を図るとともに、出前講演や出前トーク、北九州市SDGs未来   都市キックオフイベントの開催、高校生及び大学生向け漫画冊子の市内中学   校、高校等への配布や、北九州空港や漫画ミュージアムなど各所への設置、   市役所や区役所のドアの装飾、空港やコムシティなどの懸垂幕、横断幕の設   置を行っている。  ・ また、市民センターと連携し、館長研修及びSDGsの取組のチャレンジ   支援、企業や行政による各地からの視察への対応を行った。  ・ 今後も引き続き、普及、PR活動に注力していく。 ③ 今年度の主な取組  ・ 今年度は、知る、理解するについて引き続き進めるが、次の段階として、   市民や企業、団体、行政などとの交流、連携を促進し、具体的な成功事例を   創出するなどの見える化を図っていく。  ・ 北九州市SDGs協議会から今後の方向性や効果的な情報発信について助   言をいただき、北九州SDGsクラブについては、会員数を更に増やしてい   き、会員間の情報共有、各種団体の活動の活性化を図っていきたい。  ・ 市内の小・中・高・大学と連携し、次代を担う若者へのアプローチを行い、   未来の社会を支える人材の育成にも積極的に取り組んでいきたい。  ・ 市の事業や施策とSDGsの17つのゴールとの関連づけも作業を進め、   取りまとめ次第報告したいと考えている。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 例えばカードゲームや、夏休みの宿題として募集したSDGsのアイデア  ││  をグランプリのようにして、自分で考え、行動してもらうなど、子どもたち  ││  にどんどんPRしていく必要がある。                   ││ ・ SDGsのバッジに説明文をつけて売るようなことが必要。        ││ ・ 職員がSDGsのバッジをつけることで、話題を広げるツールになるとい  ││  う意識をもっと持つべき。                        ││ ・ SDGs漫画の冊数を増やしたり、漫画へのアクセスの方法を各学校に  ││  知するなどの試みをされたい。                      ││ ・ 出前講演や出前トークの開催方法を工夫されたい。            │└──────────────────────────────────────┘ 〇 令和元年5月17日 総務財政委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年8月21日 総務財政委員会   令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、10月16日か  ら16日までの3日間の日程で、横浜市のSDGs未来都市・横浜の取組につい  て視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年9月30日 総務財政委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年10月17日 行政視察(横浜市)   横浜市における、SDGs未来都市・横浜について視察を行った。   横浜市のSDGsは、「経済」「社会」「環境」の3側面の課題を統合的に解決し  ていくことを特に強調。   これまでの環境未来都市としての成果として、  「環境面」→ 全国都市緑化よこはまフェアの開催(72日間600万人来場)。         横浜スマートシティプロジェクトとして、家庭部門のCO2削減         などエネルギーマネジメントの実証。  「経済面」→ 市長のトップセールスにより、アップルの研究施設など世界的         企業の進出や、資生堂、村田製作所等の研究開発拠点の移転が進         められた。  「社会面」→ 企業・大学との協働による持続可能な郊外住宅地のまちづくり         の推進。町の魅力につながる文化芸術創造都市の実現に向けた芸         フェスティバルの毎年実施など。   そのほか、都市間連携として、培ってきたエネルギーマネジメント等のノウハ  ウや技術を、石巻市や会津若松市、富士市などに提供するなど国内展開を図って  いる。   これからのSDGs未来都市・横浜は、既存の事業をSDGsの3側面の視点  でうまくつなぎ合わせ、新しい価値を生み出していく。   本年1月、企業・大学、地域活動団体など多様なステークホルダーの活動を支  援する中間組織として「ヨコハマSDGsデザインセンター」をスタート。支援  だけでなく、みずから課題解決に資するさまざまなパイロット事業に取り組んで  いるのが大きな特徴。   具体的な取組として、ソフトバンクとの「ショートタイムテレワーク実証実験」、  「オンデマンドバス実証実験」、三井住友銀行との「資源循環型エコサイクルの実  現に向けた取組」、イケアとの「SDGsハウス」、市立小学校との「海洋教育プ  ログラム「海中教室」」など。   そのほか、ヨコハマSDGsアイデア博を開催し、企業や会員の取組を紹介す  るとともに、マッチング機会を創出。   内閣府はSDGsの地方創生の取組として、金融機関との連携を推進しようと  しており、パイロット事業をきっかけとして、三井住友銀行とより密に連携して  いきたい。   SDGs達成に向け、国内では北海道下川町などとパートナーシップネットワ  ークを構築するとともに、国際展開として海外への発信、都市間連携を進め、世  界の都市の発展に貢献していきたい。 ○ 令和元年11月11日 総務財政委員会   行政視察を受け、委員間で意見交換を行った。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 市民がSDGsを理解する場(ヨコハマSDGsデザインセンター)があ  ││  ることが本市との大きな違いであり、北九州市にも象徴的な場所が必要では  ││  ないかと感じた。                            ││ ・ 北九州市の取組を市民も含めて自分も説明できない。市民共通の知識を持  ││  てるよう取り組んでいく段階にきているのではないか。           ││ ・ 本市はどうしても環境のほうに寄ってしまうが、SDGsはたくさん目標  ││  がある。その一つ一つの目標に対する取組の方向性を打ち出していく時期に  ││  あると思う。                              ││ ・ 北九州市はOECDから選ばれたモデル都市であるが、市民がSDGsに  ││  ついて全然知らない。市民にいかに知ってもらうかをぜひ考えられたい。   │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年1月15日 総務財政委員会   SDGsの達成に向けた取組スケジュール、市内の金融機関の取組状況、SD  Gsクラブのプロジェクトチーム、北九州市版インディケーターについて、当局  から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① SDGsの達成に向けた取組スケジュール  ・ 全体の動きとして、昨年度SDGs未来都市に選定された後に北九州市S   DGs協議会やSDGsクラブを発足し、市民や企業、教育機関等と連携し   てSDGsを推進する体制を整え、今年度は取組の具体化を進めてきた。  ・ 最近の動きとしては、中小企業の経営サポートのための金融機関との連携、   地域課題解決のためのプロジェクトチーム立ち上げ、北九州市版インディケ   ーターの作成などを重点的に行っている。  ・ 普及PRについては、出前講演、中小企業向けセミナー、高校でのSDG   sをテーマとした学習の推進、2カ月に1回の市政だよりへの関連記事の掲   載など積極的に取り組んできた。  ・ 九州内の自治体等の連携によりSDGsを推進していくため、地域連携フ   ォーラムを開催し、ALL九州SDGsネットワークを立ち上げたほか、市   内のすぐれた取組を表彰する北九州SDGs未来都市アワードや、民間企業   においてもSDGs川柳フォトコンテストが開催されるなど、多方面でSD   Gsを推進する動きが出てきた。 ② 市内の金融機関の取組状況  ・ SDGsの達成には、経済、社会、環境3側面の好循環のもとにさまざま   な課題を解決していくことが求められており、特に経済分野では中小企業の   活性化が重要なテーマとなっている。  ・ そのためには、金融機関のサポートが重要であり、今年度から金融機関に   おいて取引先の中小企業向けのセミナーや、行員向けの研修会などが開催さ   れている。  ・ また、SDGs推進事業者への融資の優遇や私募債の取り扱い、銀行独自   のカードゲーム開発、若手経営者と大学生との交流会、SDGs宣言、待合   スペースへのPRコーナ設置など、金融機関独自の取組も盛んに行われるよ   うになった。  ・ このような機運の高まりを受け、市内金融機関とSDGsの達成に向けた   協力に関する協定を締結することとなった。  ・ この協定は、ESG金融や人材確保、ビジネスマッチングなど北九州SD   Gsクラブの会員企業が抱える経営課題を解決する際に、北九州SDGsク   ラブ事務局がワンストップで金融機関に情報提供し、金融機関が経営サポー   トを行うことで経済活性化につなげようというものである。  ・ 銀行、損害保険会社、生命保険会社、政策金融公庫といった複数の金融機   関がSDGsの達成という共通目的のもと、行政と連携しワンストップで企   業の経営支援をする協力体制を整備するのは全国初の取組であり、16日に合   同の締結式を開催する。 ③ 北九州SDGsクラブのプロジェクトチーム  ・ 一昨年11月に発足した北九州SDGsクラブは、昨年11月末現在で844   の会員が加入している。  ・ 会員が連携しSDGsの達成に向けた取組を行う仕組みとして、プロジェ   クトチームを立ち上げることとした。  ・ 設立要件は2団体以上の連携、複数ゴールの達成を目指すこと、活動にお   ける具体的な数値目標を設定することとしている。現在、高校と複数企業が   連携する防災意識向上のためのプロジェクトや、市内旅行社が大学生と連携   して交流人口の増加を図る人材育成プロジェクトなどが立ち上がっており、   具体的な活動の準備をしているところである。その動きは徐々に広まってお   り、今後取組を広げ、地域課題の解決につなげたい。 ④ 北九州市版インディケーター  ・ 国連は232の指標を掲げているが、国は独自指標約30個を加えた日本版の   ローカル指標を昨年8月に公表し、全体で約200個の指標を整備したところ。  ・ 本市も日本版ローカル指標リストを参考に、北九州市版のインディケータ   ー、指標の整備を行い、進捗管理を行いながらSDGsの推進につなげたい   と考えている。  ・ 具体的には、現在本市が策定している約50の分野別計画に掲げた施策を国   連や日本の指標と関連づけ、今年度中に原案を作成し、各局と協議した上で   各分野別計画をアクションプランとして機能させていきたいと考えている。 ⑤ まとめ  ・ 市民や企業、金融機関、教育機関の間で出てきた積極的な動きを加速させ   るため、各ステークホルダーの交流や連携を促進し、成功事例の創出やシン   ボリックな取組を展開するなど、SDGsの見える化を図っていきたい。  ・ このような全国に先駆けた本市の取組を効果的に稼働させていくことによ   り、SDGs達成に向けた北九州モデルとして全国に発信していきたい。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ SDGsバッジの普及に努められたい。                 ││ ・ SDGsのロゴオブジェの作成を検討されたい。             │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年4月20日 総務財政委員会   令和元年度の取組、今年度の取組について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ① 令和元年度の取組  ア 普及、PRに係る取組   ・ 昨年度の出前講演の実績は、合計103件で一昨年度の2倍以上の依頼が    あった。特に、企業と学校からの依頼は、一昨年度の6倍で、経済界や教育    関係におけるSDGsへの関心が高まったものと感じている。   ・ 広報は、公共施設へのステッカー貼付、名刺へのSDGsロゴの追加、市    政だより特集記事の定期掲載、発信力のあるメディアへの掲載など市内外    に発信した。   ・ 行政運営や企業経営にSDGsの視点を盛り込んでもらえるようセミナ    ーを開催した。特に、複数の金融機関が主体的に取引先の企業向けに開催    したセミナーにより、SDGsの理解がより浸透したと感じている。   ・ 九州内の自治体等の連携によりSDGsを推進していくため、オール九    州SDGsネットワークを立ち上げ、各自治体での取組事例、企業や高校    での活動発表など情報交換を行った。今後、地域課題解決のため情報共有    や共同事業の開発も検討したい。  イ 北九州SDGsクラブ   ・ 北九州SDGsクラブは、SDGsの推進母体として、一昨年11月に立    ち上げ、会員数は、令和2年2月末現在で、昨年度末の2倍の1,000とな    っている。   ・ 昨年度は2回交流会を開催し、事例発表やプロジェクトチームの立ち上    げを促すなど、会員間の連携を促進した。プロジェクトチームは、会員同士    が主体的に連携し、地域課題の解決を図るもので、昨年度は4つのチーム    が立ち上がった。   ・ SDGsの推進では、経済、社会、環境の3側面全てにおける取組が求め    られているが、本市は特に地域経済の活性化が重要な課題であり、企業が    元気に事業活動を行うことが不可欠であるため、本年1月に市内金融機関    15社と協定を締結し、SDGs経営に取り組もうとする中小企業をワンス    トップでサポートする体制を整備した。複数の金融機関と協力体制を整備    するのは、全国初の取組である。  ウ SDGsの達成に向けた活動の促進   ・ 市民団体の支援として、市民センターを拠点とした社会課題解決の取組    や、市民団体、教育機関等における活動のスタートアップ支援を行った。   ・ SDGsの達成につながる顕著な活動の促進と、他団体へ活動を訴求し    ていくため、SDGs未来都市アワードを設け、特にすぐれた活動を行っ    た22団体を表彰するとともに、民間において、楽しくSDGsに取り組    むためのコンテストが開催された。   ・ 高校におけるSDGsをテーマとした学習が広がるよう、教員向けの研    修会や高校生向けの出前講演などの支援を行ってきた結果、市内の約半数    の高校が、この取組に向けて動き始めた   ・ 市役所の関係部署とも連携を図り、SDGsを推進する取組を進めてき    た。  エ まとめ   ・ 昨年度はSDGsの認知度向上だけでなく、課題解決のための具体的な    活動や取組が始まるよう、市民、企業、教育機関に働きかけた結果、徐々    にその動きが出始めた。 ② 今年度の取組  ア 普及、PRに係る取組   ・ SDGs未来都市のトップランナーとして、本市の強みや顕著な取組に    ついて動画を作成し、SNS配信や発信力あるメディアに掲載するなど、    幅広く効果的に発信したい。  イ SDGsクラブ   ・ 交流会等の開催、インターネット上における活動内容の発信や情報共有    の活発化により会員同士のマッチングを促進するとともに、プロジェクト    チームの活動支援により成功事例の創出を図りたい。  ウ SDGs達成に向けた活動の促進   ・ 今年度新規の取組として、SDGsの達成に向けた取組の始め方がわか    らない、継続して取り組むにはどうすればいいかなどの悩みや不安に応え    る活動支援コーディネーターを配置し、活動の助言や伴走支援が行える体    制を構築していきたい。   ・ 更にSDGsの理解を深めたい人に、勉強会やワークショップを開催し    て活動の裾野を広げるとともに、e-ラーニングの開発により、SDGs    初心者をはじめ、誰もが気軽に学べる仕組みを構築していきたい。   ・ 昨年度に引き続き、市民センターを拠点とした取組や、市民団体、教育機    関等の活動支援、SDGs達成に向けた顕著な取組を行う団体を表彰する    SDGsアワードを開催する。   ・ 高校生のSDGsをテーマとした探究学習を支援するためSDGs選手    権大会を開催し、活動成果を広く発表することで高校生自身の活動を活発    化させるとともに、更に若い世代にも訴求するような仕掛けづくりをして    いく。   ・ 高校生の探究学習においては、大学生や社会人からの生の声や、フィー    ルドワークも重要であるため、企業や大学にも支援を求めていく。   ・ SDGs未来都市のトップランナーを目指すためには、市民一人一人に    よるSDGs達成に向けた取組が必要であることから、本市の強みや特徴、    課題を反映したシンボリックな取組を創出し、市民全体へ浸透を図りたい。  ・ 市役所の横断的な取組として、各施策とSDGsのゴールとの関連づけ   や独自の成果指標の検討を行い、SDGs達成へのより具体的な進捗管理   の仕組みをつくるとともに、国の官民連携プラットフォームと連携し、広   域的なマッチングの構築も検討してまいりたい。 ○ まとめ   本市は、OECDよりアジア地域で初めてSDGsの世界のモデル都市に、国  よりSDGs未来都市に選出され、SDGsのトップランナーとして、目標達成  に向けたさまざまな取組を進めている。   北九州SDGsクラブや北九州市SDGs協議会などの推進体制の下、出前講  演や中小企業向けセミナー、高校でのSDGsをテーマとした学習の推進などの  普及・PR活動、中小企業の経営サポートのための金融機関との連携やSDGs  クラブのプロジェクトチームの立ち上げ、北九州市版インディケーター作成など  の取組により、市民や企業、金融機関、教育機関の間で、SDGs推進の機運が  徐々に高まってきている。   しかしながら、SDGsについて知らない市民もまだまだ多く、今後いかにし  て市民にSDGsを知ってもらうかが大きな課題である。   今後、SDGsのトップランナーを標ぼうする本市として、本市の強みや特徴、  課題を反映したシンボリックな取組を創出し、市民への浸透を図るとともに、全  国に先駆けた本市の取組を北九州モデルとして発信するなど、SDGs達成に向  けた更なる取組を期待する。           経済港湾委員会報告書                           令和2年11月10日 北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                   経済港湾委員会委員長 奥 村 直 樹  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査事件(1)人手不足の解消について   本市では、都市機能の適切な維持が課題となっている一方、生産年齢人口の減  少により、こうした基盤を維持する人材が不足しているという現状がある。   また、リーマンショック後の有効求人倍率は徐々に持ち直しており、平成31年  1月の本市の有効求人倍率は1.59倍と高率で推移しているが、業種による偏りも  見られ、慢性的な人手不足となっている業種もある。   本委員会では、このような現状を踏まえ、新規学校卒業者と市内事業所とのマ  ッチングによる地元就職促進に係る取組や、外国人の新在留資格の創設により平  成31年4月から開始される新しい外国人材の受入れに関する今後の動向について  調査を行うこととした。(2)港湾及び空港の機能強化について   本事件については、まず、北九州港における物流拠点としてのさらなる機能強  化を目指し、課題の整理と今後の発展に向けた調査研究を行うこととした。また、  北九州空港においては、訪日外国人の増加など航空市場の動向や近隣の福岡空港  における運営権事業への移行など、本空港を取り巻く環境の変化とともに、今後  も利用者数の伸びが期待されるなか、立地ポテンシャルや24時間空港の強み等を  生かした北九州空港のさらなる機能強化を目指し、調査研究を行った。   このうち、北九州空港に関する事件については、令和元年9月に設置された北  九州空港機能強化・利用促進特別委員会において、民間委託化の検討や滑走路の  3,000m化及び福岡県との連携強化など、多くの項目を集中して審査する必要があ  ったことから、それまでに当委員会で行ってきた調査研究の中間報告を行い、同  委員会へと引き継いだ。   残る北九州港にかかる事項については、引き続き調査を行うこととした。(3)滞在時間の増加を目指した観光施策について   本市を訪れる外国人観光客数や、本市で開催される国際会議件数は年々増加し  ており、これに伴って来訪者による滞在時間が増えるほど、消費拡大につながる  可能性は高くなる。本市におけるこれまでの観光施策の成果の一つとして、平成  30年には日本新三大夜景都市に認定されるなど、今後は夜景を生かした夜型観光  の充実等も求められる中、宿泊だけでなく、本市が有する様々な観光コンテンツ  を活用して、いかに滞在時間をふやしていくかという視点を取り入れた施策につ  いて調査を行うこととした。2 調査の経過及び結果(1)人手不足の解消について  ○ 平成31年4月24日 経済港湾委員会   平成30年度北九州市雇用動向調査の結果について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 従業員の雇用別形態については、前回調査よりもパートタイムや臨時雇  用といった正社員以外の構成割合が大きくなっており、人手不足の中、正  社員の採用が困難で、高年齢者の再雇用や多様な働き方を希望する女性が  増加している可能性がある。 ・ 雇用判断DI(1年前に比べて従業員が増加した事業所の割合から減少  した事業所の割合を引いたもの)を見ると、正社員の数が減少した事業所  の割合は29.9%と他の雇用形態と比べ突出して高くなっている。 ・ 従業員の過不足感については、過不足判断DI(「不足している」の割合  から「過剰である」の割合を差し引いたもの)において、前回調査から1.3  ポイント上昇している。また、年齢別に見ると25歳から34歳までが最も高  く、次いで24歳以下の順に不足感が強くなっている。 ・ 過去1年間に従業員を採用した事業所の割合は78.1%で、前回調査と比  べ7.1ポイント低下している。また、雇用別形態を見ると、正社員は低下し  ているが、臨時雇用やパートタイムの割合が上昇しており、年齢構成は男  女とも24歳以下の正社員またはパートタイムが最も多く、臨時雇用では男  性が55歳から64歳、女性では24歳以下が多くなっている。 ・ 今後1年間の新規学卒者の採用計画として、採用予定がある事業所は  34.0%で、学歴別には大学、大学院卒が39.8%、次いで、高校卒、短大、  高専、専修卒の順である。 ・ 外国人材の雇用状況について、雇用している事業所が14.5%、雇用して  いない事業所が83.4%である。現在雇用していない事業所の今後の意向を  尋ねたところ、雇用したいと思わないが36%、よくわからないが46.2%で  あった。理由として、職場内でのコミュニケーションや、慣習及び文化の  違いによる規律保持への不安などが挙げられている。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 外国人材の雇用状況については、国の動向をいち早くつかんで市内企業に  ││  情報提供されたい。                           ││ ・ 外国人技能実習生の受入れに際し、国ごとのコミュニティーが形成される  ││  一方で情報漏えいを危惧する企業もある。今後は、現在受入れの多い国以外  ││  からの外国人材の受入れも予想されるため、対策を検討されたい。      ││ ・ 新規高卒者の動向調査結果を生かし、どこの地域にどのようなアプローチ  ││  が効果的か等を検証されたい。                      │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年5月9日 経済港湾委員会(現地視察)   産業経済局所管の雇用施策関連施設(北九州U・Iターン応援オフィス、若者  ワークプラザ北九州、北九州テレワークセンター)において、各施設の取組状況  及び概要説明を受けた。 ○ 令和2年1月15日 経済港湾委員会(委員間討議)   令和元年に行ってきた調査を受け、今後の調査の方向性について委員間討議を  行った。 [委員間討議における主な発言内容]  ・ 地元の中小企業の情報を、若い世代である高校生や大学生等に届けるた   めの効果的な方法について、ゆめみらいワークでの実績を鑑みながら検討   していきたい。  ・ 一次産業(農業、漁業等)の担い手不足解消のため、農業用ロボットや   ICTなどの先端技術を活用して振興を図るべき。  ・ 外国人労働者の受入支援について、先進都市の事例を研究していきたい。 ○ 令和2年2月5日 経済港湾委員会   地元就職促進に向けた北九州ゆめみらいワークの取組について、当局から説明  を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 平成27年度から小・中学生や高校生、大学生等を対象に、地元企業の仕  事内容や地元大学の研究等について直接聞き、体験できるイベントとして  開催している。イベントを通じて地元企業や大学の魅力等を伝え、職業観  を醸成することで各自に合った職業選択につなげることを目的としている。 ・ 令和元年度の出展団体数は134団体、来場者数は7,504人、うち高校生は  4,347人であった。 ・ 主なターゲットは高校生であり、進学等で市外に出ることがあっても、高  校生の時期にこのイベントで地元企業のすばらしさを知ることで、就職時  に本市に戻って来られるような働きかけを行っている。 ・ 開催内容として、134団体が出展する市内企業、大学等による体験型ブー  スや展示のほか、インターンシップとして会場で使用する名刺等のデザイ  ンや会場内ブースの運営プログラム等を新たに実施した。 ・ 来場者及び出展者アンケートの結果では、来場者及び出展者ともに8割  以上が「良かった」と回答しており、来場者の7割以上が地元企業に対す  る印象が「良くなった」と回答している。 ・ 出展団体からも、次年度開催が決定した場合には「出展したい」と回答  した団体が9割以上となり、「働き手が減少している業界にとってPRでき  る貴重な場である」、「自社について再認識でき、いろんな方と交流ができ  る」といった回答を頂いている。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ このイベントに参加した学生等が、実際に地元企業に就職したかどうか   ││  を把握できる仕組みについて検討されたい。                ││ ・ 出展を検討している中小企業などに対して、事前にセミナーなどを行っ   ││  ていることを広くPRされたい。                     ││ ・ 就職決定に影響力のある保護者に対して、地元企業の良さを伝えられる   ││  よう引き続きPRされたい。                       ││ ・ 即戦力となる外国人材の活用についても、企業のニーズに対応できる施   ││  策を検討されたい。                           │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年10月22日 経済港湾委員会   本市の雇用情勢及び地元就職促進の取組について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 本市の有効求人倍率は、新型コロナウイルス感染症の影響により、4月  から5月にかけて大幅に低下し、8月には0.97倍となっている。また、求  人数も同様に大幅に低下したものの、6月からは3か月連続で増加し、感  染拡大前の1月と比較すると微増している。 ・ 全国の完全失業率の推移については、本年8月には3.0%となっているが、  2008年から2009年にかけて発生したリーマンショック時に比べると、数値  は約半分程度となっている。 ・ 来年3月卒業予定の大学生の就職内定状況については、今年4月時点の  全国の就職内定率は過去10年間で最高となっており、新型コロナウイルス  感染症の影響はあるものの、依然として高水準を維持している。 ・ 今年6月時点の大卒の求人倍率は1.53倍であるが、過去10年間の平均求  人倍率の1.56倍とほぼ同水準となっている。 ・ 市内企業や大学にヒアリングを行ったところ、一部で採用の減少を見込  む企業がある一方で、多くの企業が今年度当初の計画どおり採用を予定し  ており、大学においても、昨年との比較で一部の業界で求人の減少がある  ものの、学生数に対して十分な求人があるとのことであった。 ・ 新規学卒者の地元就職実績については、九州・山口一円の学校に市内企  業やまちの魅力をPRする学生就職プロジェクト等を行った結果、前年度  を上回る数の学生の地元就職につながった。 ・ 地元就職促進の取組については、新型コロナウイルス感染症の影響によ  り、今年度は会社説明会や面接がウェブ化するなど、変化する就職活動に  対応するため、ウェブを活用した合同会社説明会及びWeb面接の受け方  のセミナーの実施や、対面式の合同会社説明会を9月から開催している。 ・ 今後は、未内定者相談会の定期開催も合わせて行い、地方での就職を検  討する若者や市内外の学生と市内企業とのマッチングを着実に進めていき  たい。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 雇用調整助成金の伴走支援を行っているが、実際の支給につながった件   ││  数についても把握されたい。                       │└──────────────────────────────────────┘ 〇 まとめ   少子高齢化による生産年齢人口の減少を補うべく、新規学校卒業者への取組や  外国人材の受入れも視野に入れた調査を予定していたところであったが、新型コ  ロナウイルス感染症の影響に伴う外国人の入国制限、企業や店舗等の休業及び倒  産や採用控えといった事態が発生するような状況を迎えた。現段階の雇用情勢は  リーマンショックなど過去の経済危機ほど悪化はしていないものの、ここ数年  「売り手市場」と言われてきた採用活動を取り巻く環境は変わりつつあり、欧米  では新型コロナウイルス感染症が再拡大するなど、今後の経済及び雇用情勢の不  透明感は増している。   また、外国人材の受入れについて、アジアの一部の国を対象に入国制限等の緩  和の動きがあるものの、海外の新型コロナウイルス感染症の再拡大が懸念され、  先行きが不透明な中、引き続き時間を要することが予測される。   このような環境下、コロナ禍で地元や地方での就職に対する意識が見直されつ  つあり、比較的新型コロナウイルス感染症の影響が少ない製造業や関連産業など  の市内の中小企業においては、都心部に流出していた優秀な人材を確保するチャ  ンスでもある。   そこで、まずは本市及び九州・山口一円の新規学校卒業者に対して、保護者も  含めたアプローチを強化すると同時に、在学時から市内企業やまちの魅力に触れ  る機会が多く持てるような施策に引き続き注力されたい。同時に、次年度以降の  企業の倒産や解雇等の動向を見据えて対処できるよう、機を逸することなく情報  収集に努められたい。(2)港湾及び空港の機能強化について ○ 令和元年5月9日 経済港湾委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年6月24日 経済港湾委員会   北九州空港将来ビジョン推進期間の成果と課題について、当局から説明を受け  た。(説明及び答弁要旨) ・ 平成28年度からの3年間を、北九州空港将来ビジョン推進強化期間と位  置づけ、福岡県と本市が緊密に連携し、新規路線の誘致や利用促進に取り  組んだ。この結果、中国・大連線を初め、韓国各地の路線や沖縄、静岡な  どの新規路線の就航と、空港利用者数の著しい増加につながった。 ・ 全国に先駆けた独自の誘致活動が評価され、平成29年7月に国の訪日誘  客支援空港に認定されたことから、平成29年度から令和2年度までの4年  間、国際定期便の新規就航の着陸料免除や、外国人の受入環境整備などで  重点的な支援を受けられることとなっている。 ・ 24時間空港の利点を生かした国際貨物定期便のANA Cargoの就  航により、九州唯一の貨物定期便として、貨物専用機だけに搭載可能な特  殊貨物や大型貨物の取り扱いができるようになった。特に九州、西中国エ  リアに、国内陸送距離の短縮やリードタイムの削減といったメリットを提  供できるようになった。 ・ 今後に向けた課題としては、利用客数が増加しているものの、特に国際  線は安定化に至る利用率に届いていないこと、貨物定期便の安定化に向け、  路線の周知やさらなる集貨に努めていく必要があることなどが上げられる。 ・ 誘致については、国際線では、中国、東南アジア路線、国内線では成田  路線など、24時間運用可能というメリットを生かしながら誘致に取り組む。  また集客については、就航先での路線PRによるインバウンド向けの認知  度向上、北九州都市圏域でのPRや営業活動を強化し、アウトバウンドの  集客増により路線定着を図る。貨物については、貨物定期便などの取扱量  の増加に向け、さらなる集貨活動を行うとともに、北九州空港への貨物直  接搬入と通関体制の構築を目指す。 ・ 本年5月の県知事と市長のトップ会談において、今年度からの3年間を  新たにネットワーク充実強化期間と位置づけ、引き続き県と市が一体とな  って北九州空港の利用促進に取り組むことで合意した。   主な内容として、  (1)北九州空港の発展に資する航空会社への新たな運航支援策の創設  (2)福岡空港への就航、増便が困難な航空会社に対する役割分担加算の    充実  (3)福岡都市圏へのアクセスとしての福北リムジンバス運行の維持  などが上げられる。   このほか、滑走路延伸等の空港機能強化や、空港の大規模自然災害対策  への取組、将来的な運営形態の検討についても連携していくことで合意し  た。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 福岡空港との連携とともに、成田空港や北海道方面の空港との連携も検   ││  討されたい。                              ││ ・ 東南アジア路線誘致の際には、姉妹都市であるベトナムや東南アジアの   ││  ハブ空港等とのつながりも大切にされたい。                ││ ・ 誘致した路線の安定利用に向けて、大連や上海にある北九州市経済事務   ││  所を活用した現地の方への積極的な情報提供やPRに努められたい。     ││ ・ インターネットを利用しない世代に向けたPRの手法も検討されたい。   ││ ・ 急激な利用者増に対応するために、待合室や免税ショップなどの施設の   ││  拡充など、利用者第一を考えて工夫されたい。               │└──────────────────────────────────────┘  行政視察について、委員間で検討を行った。各委員から出された意見を踏ま え、正副委員長(案)を作成し委員会に提示することを決定した。 ○ 令和元年7月17日 経済港湾委員会(現地視察)   港湾空港局所管の港湾関連施設(新門司フェリーふ頭、門司1・2号岸壁、太  刀浦コンテナターミナル、ひびきコンテナターミナル)において、各施設の概要  説明を受けるとともに施設等の視察を行った。 ○ 令和元年8月5日 経済港湾委員会   国土交通省の補助金を活用して行った北九州空港の経営形態に関する調査結果  の発表を受け、地域が期待する空港の将来像に向けた空港運営手法の選択肢とそ  の特徴や課題について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 公共施設等運営権制度(以下、コンセッション)導入の手続きとして、  まずは地元から、運営権事業への移行について、国に意見具申を行い、滑  走路及び空港ビルの資産調査並びに民間投資意向調査などの必要な取組を  行った後、公募により最終的に選ばれたグループが、SPC(特別目的会  社)を立上げ、運営権対価を支払い、運営を開始する。既に仙台、高松、  福岡空港では民間による運営が始まり、北海道、熊本、広島空港について  は運営権事業の選定手続きが進んでいる。 ・ 仙台空港及び高松空港の民間委託による効果として、ターミナルビル改  修による商業店舗の拡充や待合室の拡張、立体駐車場の整備、柔軟な着陸  料設定及び積極的な路線誘致等により、いずれの空港でも旅客数の増加が  見られる。 ・ 調査報告書では、滑走路の長さについて、大型重量貨物の物流促進及び  大規模な自然災害時における、BCP(業務継続計画)拠点として、少な  くとも3,000m以上必要だとの指摘がある。また、先行投資としてターミナ  ルビルの拡充、国際貨物上屋の規模拡大、駐車場の拡張整備も必要とされ  ている。 ・ 北九州空港の運営権は福岡空港とは別権利となり、新たな募集・選定が  必要となる。現在の運営権者であるFIACの構成企業がコンソーシアム  を組んで応募することも可能だが、事業収支は独立採算で行うこととなる。 ・ 今後の進め方として、将来の発展を追求するためには、民間の創意工夫  や戦略的な経営の導入が不可欠であり、コンセッションを含め、空港経営  の一体化によるメリットを最大化できる運営手法を選択する事が適切と考  えるが、そのための条件整備が必要となる。   例として、国際線施設の拡充に係る方向性を定めるとともに、滑走路延  伸の具現化、空港島における空港事業以外のビジネスチャンス創出のため  の環境整備、地方公共団体からの人的財政的支援やインセンティブの必要  性などが上げられる。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 民間企業は、収支状況をシビアに見ることとなり、こちら側の思いだけで  ││  進めるのではなく、景気の先行きや空港間の競争など様々な視点から民間委  ││  託化の議論をする必要がある。                      ││ ・ 空港島の空きスペースを活用し、小規模なイベントや商い等もできるよ   ││  う工夫されたい。                            ││ ・ 空港島の護岸を活用し、門司港レトロ地区や下関市の唐戸地区など観光   ││  地への移動を組み合わせたツアー等に取り組まれたい。           ││ ・ アクセス鉄道の検討について、利用者の200万人達成を視野に入れ、早目   ││  に取り組まれたい。                           ││ ・ 若戸道路の無料化に伴い、マンションが建ち、新築戸建て数も増加し、   ││  今から人も増えつつあるので、若松区東部エリアの方にも、アクセスバス   ││  の路線の新設を検討されたい。                      │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年8月21日 経済港湾委員会   7月末の調査結果の発表を受け、北九州空港の運営に実際に携わる立場から見  た北九州空港の現状と課題について、参考人を招致し説明を受けた。その後、こ  れまでの議論を踏まえ、委員間討議を行った。  [北九州空港(空港ビル含む)の現状と今後の課題]  参考人:北九州エアターミナル株式会社 代表取締役社長 西田幸生 氏(説明及び答弁要旨) ・ 空港開港から14年目を迎え、利用者は平成30年度には178万人となった。  その要因として、国内路線では、本市に本拠地を置くスターフライヤーに  よる羽田路線の拡大、また羽田便以外への路線展開、フジドリームエアラ  インズによる地方間ネットワークの拡大に加え、国際線ではアジア諸国の  インバウンド需要の高まりを受け、LCCの参入やインバウンドの増加、  国や行政による支援制度の充実などが上げられる。 ・ 利用者増に対応するため、国際線チェックインカウンターの増設や待合  室の拡充など、必要なターミナルビルの改修を行い、受入能力の拡大を図  っているが、混雑のため外国人の入国手続きに時間がかかるほか、搭乗待  合室に飲食店舗がない、免税品が少ないなどの様々な要望がある。 ・ 当社が考える空港将来像は、増え続ける訪日外国人に向け、旅行会社と  もタイアップし、本市を中心とした大分県や山口県などの近隣県を含めた  周遊ルートの提供や、福岡空港との相互補完連携により、北部九州の航空  需要を支えていくことである。 ・ 現状のままビル会社の運営とした場合のメリットは、投資費用や減価償  却負担の大きい滑走路は国管理となるため、ターミナルビルのみまたは駐  車場も含めた運営となり、堅実な経営が可能となるといえる。デメリット  は、特に国際線対応の旅客ビル増設の判断が難しいことであり、国際情勢  に左右されやすく、減便等による収益の見込みが立てづらいため、結果的  に新規路線の誘致機会を逃す可能性がある。   現空港ビルではテナント制をとっており、同程度の空港では、最少の人  数で運営しているため、売り上げが多くはないが、旅客数の変動に対する  経営リスクも少ない状況である。 ・ 民間委託化のメリットは、公募で競争があるため、旅客目標が大きく、  それに見合った先行投資を行うことから、空港の魅力が上がる。課題とし  ては、コンセッション参画希望の企業はある程度限られており、他の空港  を受託した場合にその経営や旅客目標達成に集中するため、北九州空港の  コンセッションに手を上げない可能性がある。また、旅客ビルの増設など  多額の投資額回収のため、長期にわたる安定的な経営が可能かどうか、収  益が出てきた場合に、地元にも還元し地域の活性化に寄与してもらえるの  かという点も懸念される。さらに、現在の空港運営のノウハウを持った優  秀な人材を、引き続き採用してもらえるかという点もある。 ・ 民間委託化後も、行政として引き続き、国際路線の誘致に対するインセ  ンティブや、これまで培ってきた海外とのネットワークを生かした相手国  との交渉などを受託企業と連携して行う必要がある。 ・ 24時間空港としての強みを最大限に活用し、福岡空港で対応できない訪  日外国人や貨物の需要を受け止めるため、滑走路の最低3,000m化や都心部  とのアクセスの利便性を高めることが求められる。 ・ 空港島の活用可能な土地を活かし、航空関連産業や物流施設のほか、商  業アミューズメントなどの非航空系事業を増やすことで、軌道系アクセス  の早期実現につながっていく。 ・ 海外では北九州空港の名前があまり知られておらず、北海道や中国の空  港と間違えられることもあることから、福岡空港と並ぶ国際空港としての  知名度を上げていくために、イメージしやすい名称に変えるということも  1つの考えではないか。 ・ 経営戦略に掲げながらコンセッションが取れていない企業がある中で、  そのような企業の熱意があるうちに早く手を上げたほうが、より魅力的な  民間投資を受けられるのではないかと思っている。手を上げる空港の数が  多くなるほど投資が分散され薄くなるため、現状の運営体制を維持したほ  うが良いということも考えられる。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 空港島の活性化について、ビルの運営とともに、いろんなアイデアを結   ││  集して面白いことに取り組み、魅力ある空港島を目指されたい。       ││ ・ 送迎者や空港島へのツーリング客といった、空港を利用しない来訪者も   ││  楽しめるような取組も検討されたい。                   ││ ・ 今後の誘致活動に当たり、意識を共有するため苅田町との連携を進めら   ││  れたい。                                │└──────────────────────────────────────┘ [委員間討議における主な発言内容]  ・ 北九州空港をさらに魅力あるものにするには、行政では予算的に難しい   ような大型の先行投資や民間の力を活かした提案を取り入れたほうが、大   きな可能性を感じる。  ・ 各県に複数の空港がある時代になり、ほかの空港が多額の民間投資で空   港の魅力を高める中、本市においても資金も含めた民間の知恵と力を活用   すべきである。それと同時にリスクもあるので、地元への経済的な貢献や   雇用確保などを条件に盛り込んだうえでコンセッション導入を前向きに検   討してはどうか。  ・ 滑走路の3,000m化が実現しないという課題に対し、軌道系アクセスがな   く、自家用車かバスでしかアクセスできない空港にどうやって利用者やに   ぎわいをふやしていくかという現状も踏まえたうえで、今後の議論を進め   る必要がある。  ・ 滑走路の3,000m化については、いつ頃実現可能なのかという期限を決め   てでも強く要望していく必要がある。  ・ 他の空港でもコンセッション導入が進み、競争が激化している中、思い   切った設備投資や民間投資を促すという点からも、スピード感をもって民   間委託化を検討していくべき。  ・ 北九州市内から福岡空港に流れている利用者を北九州空港に向かせるた   めに、ますます魅力ある空港にしていかなければならない。  ・ インバウンドから見た北九州空港という名称についても、どの地域にあ   る空港なのかというのがわかるような愛称をつけたり、知名度のあるものに   名称を変更したりすることも検討の余地があると考える。 ○ 令和元年8月28日 経済港湾委員会   本項目のうち、北九州空港に関する事項について、調査研究を行ってきた内容  を踏まえ、今後の北九州空港機能強化・利用促進特別委員会での集中審査に託す  べき項目について中間報告として取りまとめた。┌──────────────────────────────────────┐│        ┌────────────────────┐        ││        │ 特別委員会で集中的に審議すべき主な項目│        ││        └────────────────────┘        ││ ■北九州空港の民間委託化について                     ││  〇民間委託後の経営リスクも踏まえたコンセッション導入可否の早期の議論  ││  ○民間委託化実現のための課題整理                    ││  〇地元への経済的な貢献や雇用確保に向けた条件の整備           ││  〇24時間空港の強みを生かした旅客及び貨物の路線誘致と利用促進      ││ ■滑走路の3,000m化等の機能強化について                  ││  〇3,000m化に向けた国に対する強力な要請活動               ││  ○大型重量貨物の物流促進及び西日本におけるBCP拠点としての重要性   ││   の整理                                ││  〇エアポートバスや軌道系などアクセスの検討               ││ ■関係機関等との連携について                       ││  ○福岡空港からあふれる需要(旅客・貨物)に対する連携強化        ││  ○福岡県及び苅田町との連携強化                     ││  〇海外に向けた知名度アップのための愛称または名称変更の検討       │└──────────────────────────────────────┘   令和元年度の行政視察のうち、港湾及び空港の機能強化については、正副委員  長の行程(案)のとおり、11月14日に、大阪市の大阪港における港湾渋滞対策に  ついて、視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年10月18日 経済港湾委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年11月14日 行政視察(大阪市)   日本の主要な国際貿易港の一つである大阪港は、平成30年のコンテナ貨物取扱  量年間約8,000万トンで全国5位となっている。また、5つの埋立地からなるエ  リアには、コンテナターミナルやフェリーターミナルのほか、工場・物流施設が  誘致可能な開発用地や、文化・レクリエーション施設などの様々な施設が集積し  ている。   2010年に神戸港とともに阪神港として国際コンテナ戦略港湾に選定され、集貨  や創貨の戦略を進めており、2025年の大阪万博開催に向けて、一般車両と物流車  両の動線分離のための橋梁高架化の計画策定や、空コンテナ置き場確保のため、  滋賀県の協力事業者敷地内にインランドコンテナデポを確保するなど、スケール  メリットを生かしたコンテナターミナルゲート前の渋滞緩和に向け取り組んで  いる。その他、大阪市で講じている各種取組について港湾局振興課より説明を受  け、質疑応答を行った。 ○ 令和元年11月18日 経済港湾委員会   11月12日から14日に行った行政視察について、先進的な取組に関する所感や、  本市として取り組むべき事例、また、取組に当たっての問題点や課題などについ  て、意見交換を行った。 《委員の主な意見・所感》  ① 大阪港における港湾渋滞対策について(大阪市)   ・ 大阪港は、本市の港とは規模も形状も異なるためそのまま比較するのは    難しいが、門司港などは狭い中でも効率的に活用し、一定程度の貨物量を    維持できている。ただ、埋め立ての強化や空コンテナ置き場の確保、一般    道でのトラック待機場所の改善など、さらに努力すべき点はまだまだある。   ・ 太刀浦地区は高速道路のインターも近く、利便性は非常に良い。大きさ    では太刀打ちできないが、RORO船の活用など、地域の特性を生かした    港の活用方法をもっと考えるべきである。   ・ 大阪港と神戸港を一体として阪神港という規模での整備や計画であり、    北九州港も本来は博多港や下関港との括りで考えていくべきなのではない    かと感じた。ひびきと門司港では距離が離れており、簡単にフェリー発着    場所を移動させることなどは難しいが、大阪港ではIR誘致や万博開催と    いった別のスキームも入ってきており、それに対する新たなアイデアを生    み出すという点では、今後も注視していきたい。 ○ 令和2年1月15日 経済港湾委員会(委員間討議)   令和元年に行ってきた調査を受け、今後の調査の方向性について委員間討議を  行った。 [委員間討議における主な発言内容]  ・ 港湾の機能強化を図るため、岸壁等の港湾施設に対する維持管理予算の   状況について、勉強していきたい。  ・ 視察を行った大阪港におけるスケールメリットを生かした渋滞緩和及び    貨物取扱量の増加策のように、北九州港の特色を生かした今後の港湾の在  り方について、研究すべき。  ・ 日本新三大夜景都市に選定された夜景を活用した夜景観光の充実、海外   情勢を見据えたクルーズ船誘致策の検討を行うべき。 ○ 令和2年7月21日 経済港湾委員会   北九州港の現状及び施設ごとの課題とその対応について、当局から説明を受け  た後に委員間討議を行った。(説明及び答弁要旨)  ・ 北九州港は韓国、中国などの東アジアの国々とは地理的にも経済的にも   密接に結びついており、港湾区域は全国4位、臨港地区は全国2位の広さと   なっている。  ・ 施設内訳として、太刀浦及びひびきの東西2つのコンテナターミナルを   初め、田野浦地区、小倉地区のROROターミナル、浅野地区、新門司地区   のフェリーターミナルなどが整備されており、陸上輸送、航空輸送との連携   も可能で、多様な輸送モードに対応した港である。  ・ 定期コンテナ航路は、アジア方面を中心に月間37航路、176便が就航し、   外国貿易と内国貿易を合わせた海上出入貨物取扱量は9,860万トンで、全国第   5位の取扱実績となっている。昨年のコンテナ貨物の取扱量については、総   計約54万2,000TEUで、工業原料、工業製品の取り扱いが多い。  ・ 北九州港の港湾施設は、耐用年数が50年以上経過している岸壁が約39%   あり、供用後50年以上経過する岸壁は、20年後には約86%となるため、今後   早急な対策が必要である。  ・ 老朽化施設の対策として、日常点検及び定期点検による改修時期の順位   付けや、予防保全型の維持管理を推進し、劣化度合い及び利用頻度により集   約や再編、利用転換等も検討しながら、安全・安心に利用できる港湾施設の   維持管理を目指していく。   ・ 施設ごとの課題として、太刀浦CTでは貨物量の増加に伴う渋滞の発生   及び施設の老朽化進行、ひびきCTでは目標の10万TEUに向けた集貨及び   創貨、新門司ふ頭では物流企業の増加に伴う分譲地や岸壁等の早期整備があ   り、それぞれの課題に向けた取組を計画的に着手している。 [委員間討議における主な発言内容]  ・ 施設の集約、再編等を検討する際に、港そのものを減らすあるいは安易   な機能縮小を目指すのではなく、本市における北九州港のポテンシャルを   市全体として認識し、長所を生かした港の維持のために市役所全体でまち   づくりを行っていくべきである。  ・ 予算確保や施設の活用にあたって、港湾空港局だけでなく他局との連携   をさらに強化すべき。  ・ 施設の老朽化度合い、公共性や利用度が低い施設をきちんと整理し、優   先順位をしっかり見極めてほしい。  ・ 本市の恵まれた交通網(24時間海上空港、高速道路、鉄道など)を生か   して、北九州港のさらなる物流拠点化を目指すべき。  ・ 旧大連航路上屋のような、観光施設として活用できるようなものについ   て、利用度の低い施設の集約・再編や利用転換を検討する際に、他都市の   先進事例も取り込みながら、民間活用してほしい。(用途廃止も視野に入れ   た転用も含めて)  ・ 船だまりの維持しゅんせつについて、海図等で公表している水深を維持   できるよう、計画的に実施してほしい。  ・ 各党所属の国会議員とのパイプを生かし、超党派での予算要望を実施す   ることと、いつどういったところに予算が必要かという明確なプランを策   定すべき。  ・ 岸壁の所有者である国に対し、維持・保全していくための費用をしっか   り要望すべき。  ・ 若松エルナードの仮設船置き場を撤去せず、人気の高いプレジャーボー   ト等の小型船係留施設として活用し、収入を確保すればよい。  ・ 市民が親しみを持てる水際線づくりの一環として、対価を得られる施設   としてニーズの高い施設に整備し活用することも考えるべきではないか。  ・ 分譲用地について、売却の機会を逃さないためにも少しでも早く造成整   備のための予算を確保できるよう、議会としても応援する必要がある。  ・ 広大な背後地を生かした物づくり企業の誘致と創貨に一層努力されたい。  ・ ひびきコンテナターミナルにおける洋上風力発電関連産業の位置づけに   ついて、コンテナ取扱量の目標である10万TEUを達成するための具体的な計   画に盛り込むべき。 ○ 令和2年8月19日 経済港湾委員会   前回の委員間討議後に、正副委員長において取りまとめた項目をもとに委員間  討議を行った。┌───────────────────────────────────────┐│ ┌───────────────────────────────────┐ ││ │北九州港の物流拠点としての強化に向けた提案項目(正副委員長取りまとめ)│ ││ └───────────────────────────────────┘ ││ ■適切な維持管理のための施設マネジメント計画の策定について         ││  ○長寿命化に向けた予防保全のための予算確保                ││  ○維持管理における民間活力の積極的な導入及び他局とのさらなる連携強化   ││  ○低利用施設に対する集約・再編、利用転換等の強化             ││  ○市民に親しみやすい水際線づくりを目指した適切な維持管理の推進      ││ ■予算の確保に向けた取組について                      ││  ○地元選出国会議員を活用した超党派での国への予算要望           ││  ○適正な水深確保のための泊地しゅんせつに係る整備促進           ││  ○分譲用地の早期売却を目指した整備費用の確保               ││  ○港の立地を生かした収益を生む施設の検討(小型船係留施設など)      ││ ■ひびきコンテナターミナルのさらなる活用について              ││  ○コンテナ以外の貨物取り扱いのさらなる推進                ││  ○広大な背後地を活用したモノづくり企業誘致及び創貨の強化         ││  ○10万TEU達成に向けた洋上風力発電関連産業貨物の取り込み          │└───────────────────────────────────────┘ [委員間討議における主な発言内容]  ・ 適切な水深確保のための泊地しゅんせつに係る整備促進については、河   口付近のしゅんせつについても関わりがある場合は確認されたい。 ○ まとめ   本市は、24時間稼働可能な北九州空港及び開港130年以上もの歴史ある門司港  を初めとする北九州港を有しており、東九州自動車道の全線開通による陸・海・  空の充実した物流基盤が整っている。この優位性をさらに高めつつ、本市への広  域集貨と創貨を促進することにより、地域産業の活性化とともに市民生活の向上  にもつながることとなる。   今回、北九州空港については令和元年9月に設置された北九州空港機能強化・  利用促進特別委員会による調査研究を進めることとなったため、主に北九州港に  かかる課題や現状を把握し、今後の物流拠点強化に向けた提案をまとめることと  なったものである。   この間、日韓関係の悪化に伴う貨物取扱量への影響や、新型コロナウイルス感  染症の爆発的な流行に伴う入国制限や国内移動の制限など、様々な外的要因を受  けながらも、引き続き北九州港が物流拠点として競争力のある港であるべく、議  論を進めてきた。   北九州港においては、港湾施設の多くが高度成長に整備され、今後は施設の  老朽化が進行していく。また、貨物量の増加に対応可能な荷役機械等の計画的更  新や、物流事業者のニーズに時期を逸することなく対応するための分譲地整備な  どに必要な予算の確保とともに、適切な維持管理のための施設マネジメント計画  の策定が不可欠である。   今後、令和2年8月の委員会で取りまとめた提案項目を生かし、「稼げる港」  としての様々な施策の推進とともに、本市の産業を支える北九州港のさらなる発  展に期待したい。(3)滞在時間の増加を目指した観光施策について ○ 平成31年4月24日 経済港湾委員会   平成30年次外国人観光客数について、当局から説明を受けた。(説明要旨)  ・ 平成30年の日本全体の訪日外国人旅行者数の動向については、平成25年   からわずか5年で約3倍の3,119万人となり、中国を初め韓国、台湾、香港   など、東アジアからの訪日観光客が上位を占めている。  ・ 国籍、地域別の旅行消費額については、中国が最も大きく1兆4,564億円、   韓国5,876億円、台湾5,725億円、香港3,347億円の順となっており、1泊当   たりの消費額は欧米に比べやや高い傾向にある。  ・ 平成30年に本市を訪れた外国人観光客数は69万1,000人で、7年連続で過   去最高となった。国、地域別では、韓国が最も多く、次いで台湾、中国、   香港となっている。  ・ これらの要因として、海外旅行会社に対する招へいツアー等のセールス   活動や、官民一体となっての精力的なPR活動に加え、北九州空港への国   際航空定期便の新規就航が挙げられる。  ・ 今後も引き続き、港湾空港局等と連携を図りながら、効果的なプロモー   ションやセールス活動を行うとともに、観光素材の磨き上げや受入環境の   整備、効果的な情報発信等を官民一体となって取り組んでいく。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 観光施策の一環として、宿泊観光客の受け皿となる宿泊場所の確保とい   ││  う点から、ホテルの誘致等にも取り組まれたい。              ││ ・ 中国においては、国外からの情報が届きにくいことから、現地にある事   ││  務所を活用し、直接的に情報発信されたい。                ││ ・ 国家戦略特区民泊を活用し、市内中心部での民泊が可能となるよう今後   ││  検討されたい。                             │└──────────────────────────────────────┘┌──────────────────────────────────────┐│ ・ 若戸大橋のライトアップを積極的にPRし、若松区及び戸畑区にも外国   ││  人観光客を呼ぶ施策を検討されたい。                   ││ ・ 宿泊客数の比較だけでなく、滞在時間の変化についても今後検証された   ││  い。                                  │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年5月9日 経済港湾委員会(現地視察)   中央卸売市場・公設地方卸売市場の稼働状況及び総合農事センターにおける指  定管理者の取組について、概要説明を受けるとともに施設の視察を行った。  また、令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員  会で視察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年6月24日 経済港湾委員会   行政視察について、委員間で検討を行った。各委員から出された意見を踏まえ、  正副委員長(案)を作成し委員会に提示することを決定した。 ○ 令和元年8月21日 経済港湾委員会   平成30年次の本市における観光動態調査結果について、当局から説明を受けた。(説明要旨)  ・ 観光地点を訪れた観光客は延べ1,501万4,000人で、対前年比10.8%の減   少となっており、主な要因は、スペースワールドの閉園や小倉城、関門海   峡ミュージアムなどの観光施設の改修に伴い、観光地点を訪れた観光客が   減少したことによる。  ・ 行祭事、イベントに訪れた観光客は延べ818万人で、対前年比3.8%の減   少となっており、調査対象となる5,000人以上の集客があった行祭事、イベ   ントが大きく減少したことや、大規模イベントが天候により中止したこと   による。  ・ 平成30年の観光消費額は、消費単価の高い宿泊客数は伸びたものの、全   体数としては減少したため、1,306億8,000万円で8.9%の減少となっている。  ・ 本市を訪れた外国人観光客数は69万1,000人で、7年連続過去最高となり、   主な要因は、北九州空港への国際航空定期便の新規就航や官民一体となっ   たセールス活動などが考えられる。  ・ 平成30年の修学旅行生数は5万7,000人で、スペースワールド閉園の影響   から対前年比で61.7%減少した。  ・ 門司港駅や小倉城、関門海峡ミュージアムといった本市を代表する観光   施設のリニューアル工事が終了したことから、観光客数の回復が見込まれ   るが、外国人観光客数においては昨今の韓国との関係もあり、先が読めな   い状況である。  ・ 門司港地区の宿泊施設については、旧JR九州本社ビル跡地を初め、今   後増えていく可能性がある。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 増加傾向にある宿泊観光客の受け皿として、ビジネスホテル以外の宿泊   ││  施設も視野に入れて検討されたい。                    │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年8月28日 経済港湾委員会   和元年度の行政視察のうち、滞在時間の増加を目指した観光施策については、  正副委員長の行程(案)のとおり、11月12日及び13日に、愛媛県松山市の松山市  広域集客商業活性化戦略について、高松丸亀町商店街振興組合(香川県高松市)  の商店街活性化事業について、香川県の滞在型観光推進事業について、それぞれ  視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年10月18日 経済港湾委員会   行政視察について、視察先に関する事前研修として、愛媛県松山市の「松山市  広域集客商業活性化戦略について」及び高松丸亀町商店街振興組合の「商店街活  性化事業について」の参考とするため、本市での取組について執行部から説明を  受けた。(説明要旨)  ・ 本市では平成26年に都心集客アクションプランを策定し、「小倉駅新幹線   口エリアで生み出したにぎわいを都心全体のにぎわいに」をコンセプトに、   年間集客人数300万人を目標に掲げ、小倉都心部における集客交流人口の増   加に取り組んでいる。  ・ 本プランでは、ミクニワールドスタジアムや西日本総合展示場などの施   設を活用し、新幹線口エリアに新たな集客を生み出すとともに来訪者に商   店街等への回遊を促すことで、都心全体のにぎわい創出につなげていくこ   とを目指している。  ・ 新幹線口エリアではミクニワールドスタジアムやあさの汐風公園を活用   した各種イベント支援を、都心中心部では小倉城天守閣の展示リニューア   ルやしろテラスの整備を行い、旧小倉ホテル跡地の船場広場を活用したイ   ベント支援を行っている。  ・ インバウンド消費拡大に向けた取組については、増加する外国人観光客   の市内消費につなげるため、小倉ループバスの運行や、外国人観光客向け   に飲食店のメニューを多言語で閲覧できるサイトの開設、多言語グルメマ   ップの作成、「お試しカップで食べ歩き」などのコンテンツ支援等を行って   いる。  ・ 商店街でのキャッシュレス決済の導入促進に向け、金融機関等と連携し   て、小倉の商店街エリアでキャッシュレス決済の実証実験やセミナー開催を   実施している。 ○ 令和元年11月12~13日 行政視察(愛媛県松山市、高松丸亀町商店街振興組合   (香川県高松市)及び香川県)  以下の事業について説明を受け、質疑を行った。  ① 松山市広域集客商業活性化戦略について(愛媛県松山市)    松山市では、平成21年度に松山市広域集客商業活性化戦略を策定し、商店街   にショッピングセンターとしての発想を取り入れ、適切なマーチャンダイジン   グ(MD)を行ったうえで都市機能の再生及び街区整備を実施している。    また、8つのアクションプランに基づき、来街者も含めたまちづくりとして、   市内の2つの百貨店と商店街を含むエリアの回遊性の向上と、人が滞留できる   スペースの確保及び広域集客に向けた中心商業地の魅力付けを目指し、駐車   場・駐輪場の整備や休憩スペース等のアメニティ整備など様々な取組が行われ   ている。    独自の取組として、第三セクターのまちづくり会社を設立し、市内商業店舗   のキャッシュレス化を進めるため、地域通貨電子マネー「マチカ」を導入して   いる。市内店舗での共通ポイント付与や特典割引を実施するほか、四国ガスグ   ループとのポイント提携や、郊外での導入も予定しており、市民の利便性向上   及びインバウンド消費喚起にも寄与している。  ② 商店街活性化事業について(高松丸亀町商店街振興組合/香川県高松市)    高松丸亀町商店街では、行政が主導して行った再開発の失敗事例の調査研究   から得られた教訓を生かし、土地問題解決のため、土地の所有権と使用権の分   離を行う定期借地権制度を活用する手法を導入している。当事者である地権者   たちが出資したまちづくり会社を設立し、自らリスクを負いつつ自治権を持っ   て運営するという新しい自治組織を形成し、業種の再編成やまちなか居住誘導   などを行いながら見事に再開発を成功させている。    新しい商店街のまちづくりのための取組として、   ・まちなか居住促進のための安価なマンション整備   ・新しい地域医療の再生としての病院(診療所)の開設   ・食の再生、生産農家及び漁業者との連携(マルシェ運営、配食サービス)   ・市民、大学、起業家、行政との連携   ・スケールメリットを生かしたビジネス(大型駐車場経営、火災保険代理店業    務など)   等を行い、単なる商店街再生にとどまらず、まちなか居住や独自の高齢者施策   なども取り入れて、新しい時代のまちづくりに取り組んでいる高松丸亀町商店   街振興組合の古川康造理事長より説明を受けた。  ③ 滞在型観光推進事業について(香川県)    香川県では、2泊3日以上の滞在型観光推進のため、市町や観光協会、観光   事業者などと連携した「香川せとうちアート観光圏」の推進を通じ、圏域での   周遊・連泊の促進や、来訪者への情報発信などに取り組んでいる。また、夜型   観光推進のため、民間事業者や市町等が実施する自然、歴史、文化、アートな   どの地域資源を取り入れた夜のイベントへの支援や、ユニークベニュー(歴史   的建造物など特別感や地域特性を演出できる場所)における獅子舞等の地域伝   統芸能の夜の公演等を行っている。 ○ 令和元年11月18日 経済港湾委員会   11月12日から14日に行った行政視察について、先進的な取組に関する所感や、  本市として取り組むべき事例、取組に当たっての問題点や課題などについて、意  見交換を行った。《委員の主な意見・所感》 ① 松山市広域集客商業活性化戦略について(愛媛県松山市)  ・ 市の活性化戦略の中で、商店街自体を大きなショッピングセンターと見   立てて、客が何を求めているかというマーチャンダイジングを行ったうえ   で適切なゾーニングを行っており、取り入れられる部分は参考にしていき   たい。  ・ 地域通貨のマチカを導入し、商店街やその周辺地域の消費額も上げてい   こうという取組は、非常に効率が良いと感じた。全体的なコストや中長期   的な経済効果を鑑みると、本市でも検討の価値はあると感じた。  ・ コンパクトシティという観点から、門司区や黒崎地区での今後の取組の   参考になるのではないか。少子高齢化の問題や、自分たちの街の生き残り   をかけた熱量を持った人や体制づくりが重要である。 ② 商店街活性化事業について(高松丸亀町商店街振興組合/香川県高松市)  ・ 松山市も高松丸亀町も共通しているのが、商店街活性化だけではなくま   ちづくりということに主眼を置いていること。商店街の原点に立ち返って、   住む人のために何が必要か、これからの町の在り方から考えなければいけ   ない。タテ割り行政の盲点も考えさせられた。  ・ まちづくり会社は第三セクターではあるが、出資比率を最小限に抑えて   行政の介入をさせないというスタンス。一つの企業体として、精緻な考え   を持ってまちづくり事業を行うという印象。敢えて、高齢者を集めて医療   分野も充実させていくという考え方は大変参考になる。  ・ 人口減少や財源が限られてくる中で、生活者の目線に立ったマーケティ   ングをやりながら、商店街の中心地に生活者を戻すという取組が功を奏し   ており、非常に素晴らしい。地域や社会が抱える課題を、商店街の再生を   てこに、生活者2万人がいれば商売が成り立つという経営者としての視点   が、商店街運営に必要だと感じた。  ・ 地権者の数の違いなど、そのまま取り入れることは難しいかもしれない   が、周辺人口をふやす施策だけでなく、商店街に来訪してもらうためのマ   ーチャンダイジングやテナントミックスの手法を、政策立案支援事業など   を活用して、地域の方々を初め広く皆様に伝えられる手法を探りたい。 ③ 滞在型観光推進事業について(香川県)  ・ 香川県の直島やいろんな島にアート作品を展示する芸術祭をやってい   るようだが、本市でも藍島や馬島などに同様に展示して、滞在型観光の   時間延長を図るという取組も面白いと思う。  ・ パンフレットや印刷物への情報掲載の際に、市町や県とのダブりを避   けるための調整しておらず、もったいない気がした。本市にも門司港や   小倉などのパンフレットはあるが、広報物を作成する際には、市が全体   の調整をしっかりならなければならないと感じた。 ○ 令和元年12月10日 経済港湾委員会   令和元年度の行政視察先のうち、高松丸亀町商店街振興組合での取組について  広く紹介し本市の参考とするため、関係局並びに地元の商店街関係者たちを対象  とした講演会を当委員会から議長に要請し、政策立案支援事業を活用することと  した。 ○ 令和2年1月15日 経済港湾委員会(委員間討議)   令和元年に行ってきた調査を受け、今後の調査の方向性について委員間討議を  行った。 [委員間討議における主な発言内容]  ・ 本市の観光資源を生かしつつ滞在時間を延ばすためには、宿泊施設の確保   が必須である。  ・ 日本新三大夜景都市に選定された夜景を活用した夜景観光の充実、海外情   勢を踏まえたクルーズ船誘致策の検討を行うべき。  ・ 農業、漁業の連携と振興について、成功している糸島ブランドのように、   本市においてもICTを活用した成長産業としての新しい農業への取組や水   産業との連携策等を研究すべき。  ・ 公営競技事業については、既存の競艇・競馬ファン以外の新規ファン獲得   のため、地域に根差した各種取組を行っている他都市の状況について研究し   たい。 ○ 令和2年2月10日 経済港湾委員会   本委員会からの要請により、「商店街を題材にした新しい時代のまちづくり」  をテーマに、高松丸亀町商店街振興組合の古川康造理事長による講演会を実施  した。講演会では、商店街主導のまちづくり会社による定期借地権制度を活用  した商店街の再開発や、コンパクトシティの実現に向けた様々な取組について  説明があった。当日は、所管局のほか建築都市局を初めとする関係局並びに地  域の商店街関係者などが多数参加し、今後の商店街のあり方についての議論を  深める上での参考となった。 ○ 令和2年10月5日 経済港湾委員会   令和元年次の観光動態調査について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨)  ・ 平成31年1月から令和元年12月までに本市の観光地点や行祭事・イベン   トに訪れた観光客は、延べ人数では前年と比べ4.4%、観光地点を訪れた実   数では約1,032万人で0.2%増加している。  ・ そのうち宿泊客数については、約192万人となり、平成23年の調査開始以   降最高となった。また、観光消費額についても前年に比べ3%増加してい   る。  ・ 主な要因として、小倉城、関門海峡ミュージアム等の観光施設リニュー   アルや5千人以上の集客があったイベント等が増えたことによるものであ   る 。  ・ 一方で、令和元年に本市を訪れた外国人観光客数は約55万人で、前年と   比べ19.5%減少し、日韓関係の悪化による影響や、クルーズ船の寄港減に   よる韓国人及び中国人観光客の減少が主な要因となった。  ・ 産業観光及び修学旅行生についても、工事に伴う一部受入先の定員縮小   やスペースワールド閉園の影響により、減少傾向にある。  ・ 地区別には、門司港・小倉都心地区、皿倉地区では主要施設のリニュー   アルオープン及び日本新三大夜景都市選定による増加が見られたが、河内   地区では河内温泉あじさいの湯休館の影響により、減少している。  ・ 今回の調査は、新型コロナウイルス感染症発生前のデータのため、今後   どこまで影響が出るか、先行きは不透明な状況であるが、まずは国内の観   光動向を注視しながら、効果的な観光施策を展開していきたい。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 修学旅行誘致について、産業観光では、安川電機みらい館やTOTOミ   ││  ュージアム、体験型観光ではグリーンパークや平尾台といった、本市の良   ││  いところを活用して取り組まれたい。                   ││ ・ 小中学校の修学旅行生にとっては、興味を引くような面白いコンテンツ   ││  と学べるコンテンツのバランスが必要であり、そのような提案ができるよ   ││  う今後検討されたい。                          │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年10月22日 経済港湾委員会   新型コロナウイルス感染症の影響を受け、入国制限による外国人観光客の激減  や国の緊急事態宣言を受けた外出制限、イベント自粛による人の流れや経済活動  の停滞の状況について、参考人を招致し説明を受けた。 [コロナ禍における観光施策やイベントによる街のにぎわいづくりの現状と今後  について]   参考人:一般社団法人 門司港まちの情報センター代表理事 伊崎 司善氏       小倉焼うどん研究所 所長 竹中 康二氏(説明及び答弁要旨)  ・ 門司港地区において、食のイベントやキャンドルナイトなどのイベント   プロデュースを行っているが、修学旅行生を除く観光客はほぼ人がいない   状況で、閉鎖した店舗もいくつかある。  ・ 勝山公園で行われた他局の新しい生活様式に即したモデルイベントを視   察したが、新型コロナウイルス対策での入場制限等のためにぎわいに乏し   く、何のためのイベントなのか、本来の目的が見えなくなっていた。  ・ 夜間イベントは、昼間イベントよりも集客が難しく、イルミネーション   にしても、様々な地域・場所にあるものの中から、本市のものを見てみた   いと思わせるしっかりとした仕掛けがないと、中途半端なものでは無駄で   ある。  ・ 市内には複数の観光施設や観光地があるが、他区の観光案内パンフレッ   トなどを置いておらず、観光客に周遊するという感覚が見られない。門司   港であればせいぜい下関市との往復となり、市内での滞在時間を延ばすの   は現状のままでは難しい。  ・ 観光施策やイベント実施においても、各局・区の横の連携が見られず、   それぞれがばらばらに取り組んでいる印象がある。  ・ 宿泊も含めた滞在時間を延ばすための取組の一例として、キャンドルナ   イトイベントでは同時期に離れた複数箇所で実施することで規模も周遊箇   所も増え、継続して毎年実施することで他県からの固定客も掴むことがで   きている。  ・ 継続したイベントを確立させるためには、原価率を無視した税金投入型   よりも、入場料収入を初めとした収支を作り出すことで、行政の予算に左   右されず実施することが大事。  ・ 食を生かしたまちづくりとして、B1グランプリの誘致や小倉発祥の焼   うどんを活用した取組を行っており、コロナ禍の中、後継者不足で閉店し   た焼うどん発祥の店を敢えて再オープンさせたことで、マスコミからも注   目を浴びているところである。  ・ 本市の弱みの一つとして、報道機関や媒体を活用した情報発信力が弱い   という点が挙げられる。地元のネットニュース配信事業者なども上手に利   用すると、広告費用をさほどかけずにPRすることも可能である。  ・ 食による観光の意義として、もともと魅力的なコンテンツである食をP   Rすることで、街自体の魅力の創出や再認識ができ、都市イメージの向上   につながると考えている。  ・ 福岡市は観光コンテンツがほぼ皆無であるのに、観光客による消費額が   高い理由は、屋台を初めとした食や夜の街の魅力があり、福岡市を拠点に   周辺地域へ観光し、福岡市内で泊まって夜の時間を楽しめるということ。  ・ 地域ブランドを構築するには、オリジナリティがあること、ブランドア   イデアをはっきり打ち出すこと、市民が認知し誇れるものであること、長   的に継続してPRできるものでないと定着しない。   ・ 本市ならではの都市型観光におけるマイクロツーリズムを考えるべき。   例えば、「若松マンス」のように1カ月特定の区でキャンペーンを行い、休   日イベントや加盟店による飲食クーポンの発行を企画するなど。市民にと   っては、街の魅力の再発見やコロナ禍での旅行体験等につながる。  ・ 観光施策においても長いスパンでの視点が必要であり、行政側にも観光   のプロフェッショナルと言えるような人員の配置を望む。  ・ にぎわいづくりという面において、ボランティアに頼りすぎており、実   行委員会形式の片手間ではいいものは作れない。プロとしてにぎわいづく   りを生業としつつ、ボランティア部分も取り入れられるバランス感覚を持   った人が必要。  ・ 様々なプラン等を検討する際の組織に、経験を積んだ責任ある発言がで   きる大人と、最近の傾向やニーズが分かる若い人をバランスよく取り込み、   生の声を反映した魅力あるものを作ることが大事。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ ある程度中央資本の有名人を起用したイベント誘致も必要だが、地元で   ││  作り上げて多くの人を呼び込めるようなイベントも組み合わせていく必要   ││  がある。                                ││ ・ 本市のにぎわいづくりのために尽力していただく方々に対し、規制ばか   ││  りをかけるのではなく、熱量を生かせるように応援できる行政であるべき。  │└──────────────────────────────────────┘ 〇 まとめ   今回、本調査項目を設定した当初に比べ、令和2年当初から国内でも発生し始  めた新型コロナウイルス感染症の影響により、入国制限による外国人観光客の激  減、及び国の緊急事態宣言を受けた施設の休館やイベント等の中止、外出制限等  が本市でも行われ、国内の人の流れや経済活動が止まってしまう想定外の事態と  なった。   これに対し、観光動態や訪日外国人観光客数等への新型コロナウイルス感染症  の影響については、数字として表れるまでに時間を要するが、国による地域活性  化のための需要喚起策であるGo To キャンペーン事業を初め、本市でも感染  症対策を取りつつ、人の流れと街のにぎわいを取り戻すための取組を始めたとこ  ろである。   本委員会において議論してきた「滞在時間の増加を目指した観光施策」につい  ては、ターゲットを宿泊観光客に絞らず幅広く捉え、日本新三大夜景都市に選定  された夜景を初め、世界遺産を含めた産業観光、文化、芸術など本市が有する様々  なコンテンツを活用し、市内に滞在する時間を延ばすことにつながる施策を研究  してきた。また、にぎわいづくりの現場で活動されている参考人を招致し、観光  地の現状や生の声を知ることができたと同時に、いくつかの課題も見えてきた。   今後は、ウイズコロナ・アフターコロナの時代に対応しつつ、北九州版マイク  ロツーリズムとしての市内観光地の周遊策や観光地及び施設間の連携強化など、  新しい観光需要の機微を捉えた施策の推進に取り組まれたい。  なお、調査の過程において委員から、次のような意見があった。  ・ 観光分野において、長期的な視点に立った施策を継続的に実行するため、行  政側にも観光及びにぎわいづくり担当部署におけるプロフェッショナル人材  が必要である。  ・ 観光施策や計画策定時に、若い世代の声を酌み取れるような仕組みを検討さ  れたい。                教育文化委員会報告書                                 令和2年11月5日 北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                        教育文化委員会委員長 松 岡 裕一郎  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査事件(1)創造都市・北九州の推進について   「創造都市」とは、文化芸術の持つ創造性を、地域振興や観光・産業振興等に  領域横断的に活用し、地域課題の解決に取り組む都市のことをいい、この試みは  現在、世界中の多くの都市で、地域との連携のもとに進められている。本市にお  いても、北九州市文化振興計画の中で、文化芸術を地域経済、教育、福祉などに  生かし、創造的なまちづくりを進めることとしている。   このような中、本市は2018年8月に文化庁が所管する「東アジア文化都市」の  開催地に決定された。  本委員会では、「東アジア文化都市2020北九州」の取組について調査を行うこと  とした。(2)スポーツ振興について   ラグビーワールドカップ2019日本大会、東京2020オリンピック・パラリンピッ  ク競技大会の開催決定等により、国民のスポーツに対する関心が大きく高まって  いる。このような大規模国際大会の開催を契機に、選手の指導・育成、参加国の  事前キャンプ地、交流プログラムや聖火リレー等で大会に協力・参画することで、  大会を通じた一大ムーブメントを起こし、スポーツ振興を通じた町のにぎわい・  活性化につなげていくことが重要である。   本委員会では、これらの大規模国際大会を通じた本市のスポーツの取組につい  て調査を行うこととした。(3)教員の働き方改革について   学校を取り巻く環境の急速な変化に伴い、学校に求められる役割が拡大するの  みならず、抱える課題も複雑化・多様化している。その結果、従前と比べて、授  業等の教育指導に専念しづらい状況となっている。同時に、教職員のワーク・ラ  イフ・バランスの充実やメンタルヘルス等の健康保持も課題となっている。   本市では、教員の子供と向き合う時間の確保とワーク・ライフ・バランスの実  現のため、平成29年3月に「学校における業務改善プログラム」を策定している  が、引き続き教育委員会と学校とが一体となって働き方改革を進めていく必要が  ある。   本委員会では、教員の勤務の実態や学校における業務改善に向けた取組につい  て調査を行うこととした。(4)新学習指導要領に対応した教育について   「学習指導要領」とは、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう、  文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準であり、およそ10年に  一度改訂を行っている。   今回の改訂により、プログラミング教育や外国語教育、道徳教育など子供たち  の「生きる力」を育むための多様な学習が取り入れられている。   本委員会では、新学習指導要領に対応した様々な取組について調査を行うこと  とした。2 調査の経過及び結果(1)創造都市・北九州の推進について ○ 平成31年4月19日 教育文化委員会   創造都市・北九州の取組の経緯、東アジア文化都市2020北九州の基本構想及び  事業概要について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ①創造都市・北九州の取組の経緯 ・ 平成28年に改定した市の文化振興計画において、創造都市への取組を推進  していくとしており、その大きな契機として、東アジア文化都市2020北九州  を開催するものである。 ②東アジア文化都市2020北九州の概要 ・ 開催期間は、2020年1月~12月  (2019年度は、機運醸成のためのプレイベント等を開催)。 ・ 東アジア文化都市では、1年のうち集中して事業に取り組むコア期間とい  うものを設けることが定められており、本市では夏と秋に設ける。 ・ そのほか、通年で交流事業、市民企画事業等を行う。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 東アジア文化都市に選定された好機を生かし、文化の土壌があることを   ││  アピールされたい。                           ││ ・ 市民に対する補助については、恒常化しないようにされたい。       ││ ・ 市民を巻き込んで、盛り上げていただきたい。              │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年5月17日 教育文化委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年8月21日 教育文化委員会   東アジア文化都市2020北九州の基本計画案について、当局から説明を受けた。   主な説明内容は、10月からのプレ事業、オープニング事業をはじめ、具体的な  事業内容に関するものであった。(説明要旨) ①プレ事業(2019年10月~2020年2月)  東アジア文化都市を市民に広く周知し、開催への機運を高めるためのプレイ ベントや冠事業の開催。 ②オープニング事業(2020年3月~4月)  食をテーマとしたイベント等を開催し、東アジア文化都市開幕に向けて機運 を醸成する。 ③開幕式典(2020年3月28日)  東アジア文化都市の事業スタートと日中韓3都市による交流の始まりを国 内外に向けて発信する開幕式典を開催。 ④コア期間事業(2020年7月下旬~2020年8月中旬、10月~11月)  夏と秋のシーズンに集中的に文化事業に取り組むコア期間を設け、様々なプ ログラムを展開。 ⑤連携事業(2020年4月~12月)  各種文化芸術事業に東アジア色を取り入れながら連携して事業に取り組む。 ⑥市民企画事業(パートナーシップ事業)(2020年4月~12月)  多くの市民に造り手として参画していただくための公募による市民企画事 業を実施。 ⑦広報連携事業(フレンドシップ事業)(2020年1月~12月)  様々な文化芸術事業に対し、ロゴの使用やホームページの掲載等を通じた一 体的な広報連携事業を展開。 ⑧交流事業(2020年1月~12月)  交流芸術を通じて、中国・韓国の開催都市との交流を深め、東アジアの多様 な文化に触れるとともに、相互理解・連帯感を深める。 ⑨閉幕式典(2020年11月~12月・未定)  東アジア文化都市2020北九州の成果を確認し、日中韓3都市による交流を未 来へつなぐ閉幕式典を開催。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 日中韓の3か国が融合した、ボーダレスな芸術を実現してくれる人がいる  ││  ようであれば支援されたい。                       ││ ・ 市民ダイアログについては、若い世代の意見をもらい、盛り上げていくこ  ││  とが必要である。                            ││ ・ 多くの市民が参加できるよう、自治会に対し早めに広報されたい。     ││ ・ 韓国と中国の事業概要や本市の広報等についてその都度情報提供されたい。 ││ ・ 市民企画事業は、市民が文化に関わる身近な方法であることから、ぜひ幅  ││  広く周知されたい。                           ││ ・ 韓国の開催都市である順天市は、アクセスがとても悪い場所にあるため、  ││  チャーター便を企画されたい。                      │└──────────────────────────────────────┘   令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、11月12日から  14日までの3日間の日程で、金沢市及び東京都豊島区の東アジア文化都市の取組  について視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年10月23日 教育文化委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年11月12日 行政視察(石川県金沢市)   石川県金沢市における東アジア文化都市の取組について視察を行った。   金沢市は、東アジア文化都市の2018年開催都市として選定された。   金沢市の多様な文化を介し、東アジアとの新たな交流を生み出すとともに、そ  れぞれの文化と新たな文化との出会いによりイノベーションを創出し、地方都市  において、文化芸術が町の活力を高める核となりうることを示すことをテーマと  し、さまざまな取組や課題等について説明を受けた。 ○ 令和元年11月14日 行政視察(東京都豊島区)   東京都豊島区における東アジア文化都市の取組について視察を行った。   「はらはら、どきどき、文化がいっぱい」をコンセプトとした東アジア文化都  市2019豊島が開催されており、「マンガ・アニメ」の発信拠点として注目を集めて  いた。区内で特に盛んに行なわれている「舞台芸術」、「祭事・芸能」とともに魅  力的な新規事業・日中韓交流事業を立ち上げ、年間を通じて区内各所で開催され  ている事業を「オールとしま」の参加によって祝祭性を創出し、コンセプトの実  現を目指している等の説明を受けた。 ○ 令和元年11月20日 教育文化委員会   行政視察を受け、委員間で意見交換を行った。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・豊島区では区民を巻き込んだ取り組みをしており、特に1万人で歌う「わた  ││  しは未来」プロジェクトは、すばらしい事業だと思う。           ││ ・SNSを使ったPRは随分前からしないと広がらないと思うが、豊島区の歌  ││  を使ったPRはとてもいい周知の仕方だと思う。              ││ ・豊島区では広報が素晴らしく、予算的にもかなり投入しており、意気込みが  ││  すごいと感じた。金沢市でもやはり早い時期に共同記者会見を行い、SNSの ││  活用等も含め周知徹底が必要だと聞いた。これから本市が取り組むに当たり、 ││  市民を取り込んで北九州市の文化の底上げを行い、それにより文化創造都市を ││  目指していくということなので、我々議員も参加し、しっかり取り組んでいき ││  たい。                                 ││ ・豊島区では広報紙や垂れ幕、バナー、商店街でのフラッグ、工事中の施設の  ││  仮囲いなど、これでもかというほど畳みかけるように広報したことが良かった ││  という話があった。本市でもウェールズのときの広報は成功したと思うので、 ││  そのような形でぜひやってもらいたい。                  ││ ・歌でのPRというのはとてもいいと思う。日本語だけではなく、他国言語に  ││  触れることも大事だと思う。そういうことでいろいろなことがバリアフリーに ││  なり、もっと広がっていくと思うので、そういうところも考えてほしい。   ││ ・文化庁からの補助金をもらうに当たり、いろいろノウハウがあるようなので、 ││  先に終わった都市と交流し、予算を有意義に使えるように研究をしてほしい。 ││ ・市民を巻き込んでいくという点で、豊島区では区民に参加してもらうために  ││  国際アート・カルチャー都市特命大使というのを公募し、5,000円を払って特  ││  命大使となってもらっていた。お金を出してもらうかわりに様々な文化イベン ││  ト等を優先的に見れる等の特典があるとのことだった。このような市民参加型 ││  のものを募集することが、東アジア文化都市の広報にもなるので、ぜひ検討し ││  てもらいたい。                             ││ ・東アジア文化都市終了後、何年経っても語り継がれるような文化都市の事業  ││  にしてもらいたい。                           ││ ・豊島区のほうが人的な交流が進んでいた。この人的な交流こそが、日中韓の  ││  協力や文化の評価につながるのではないかと思う。             ││ ・北九州市はもうそろそろコスプレ文化というのを公的に認め、コスプレをも  ││  っと大々的にPRし、本市は漫画やコスプレなどのサブカルチャーが有名だと ││  いうことで行政も力を入れてやっていいのではないかと思う。        ││ ・東アジア文化都市を通して、本市の文化活動の楽しさやすばらしさを体感し  ││  てもらい、更に今後のまちづくりの活性化につながればいいと思うので、我々 ││  議員も協力したい。                   (次頁に続く) │└──────────────────────────────────────┘┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見(続き)≫                        ││ ・東アジア文化都市の取組について、我々議員が知らないことが多くあり、そ  ││  れが一番問題ではないかと思う。市だけやっていて、我々が全然なにもしない ││  で主体感が全くない。予算さえつけていればいいという話ではなく、我々もこ ││  れにしっかり協力したいという気持ちがあるので、今後はしっかり報告しても ││  らいたい。                               ││ ・北九州文化連盟にもう少し情報を流し、利用できるところは利用した方が   ││  いいと思う。地域の文化こそ地域の発展になるので、もう一工夫考えてほしい。│└──────────────────────────────────────┘ 〇 令和2年2月5日 教育文化委員会   東アジア文化都市2020北九州の実施計画案について、当局から説明を受けた。  主な説明内容は、10月からのプレ事業、オープニング事業をはじめ、具体的な 事業内容に関するものであった。(説明要旨) ①中国・韓国開催都市の紹介(中国:揚州市、韓国:順天市) ②オープニング事業  和食をテーマとしたシンポジウムや開幕式典に合わせて開催する地酒まつ りなど、親しみやすい食に関するイベントを3月中旬から実施。 ③開幕式典  開催時期:2020年3月28日(土)   会  場:北九州芸術劇場  2月3日より観覧者の募集を開始 ④夏のコア期間事業(伝統芸能をテーマに開催)  ・伝統芸能饗宴(仮称)   日中韓の伝統楽器による演奏などを予定。  ・小倉城 薪能 2020(仮称)  ・日本文化体験ウェルカムプログラム  ・第75本因坊戦 第4局   囲碁界最高峰のタイトル戦で、本市での開催は7年ぶりとなる。 ⑤秋のコア期間事業(3つの分野からなる事業を開催)┌──────────────┐│ ART for SDGs │└──────────────┘  ・ART for SDGs2020北九州(仮称)   会場となる東田大通り公園、いのちのたび博物館などでSDGsの理解を  深め、未来のビジョンを創造するアートフェスティバルを開催。┌──────┐│メディア芸術│└──────┘  ・北九州ポップカルチャーフェスティバル2020  ・「SF都市・北九州」未来を描くチカラ(仮称)  ・北九州フィルム・コミッション国際映画祭(仮称) などを開催┌──┐│文学│└──┘  ・東アジア文学会議(仮称)   日中韓の文学者が集うシンポジウムや講演などを開催。  ・アートシネマ(仮称)   本市ゆかりの作家の小説を原作とする映画の上映会                            など全14事業を開催 ⑥連携事業  特別企画として、世界最高峰のウイーンフィルハーモニー管弦楽団を北九州 国際音楽祭に招へいするほか、全44事業を実施予定。 ⑦市民企画事業(パートナーシップ事業)  昨年秋の1次募集において52件採択し、3月13日まで2次募集を行っている。 ⑧広報連携事業(フレンドシップ事業)  期間中に開催されるさまざまな文化芸術事業について、ロゴマークの使用や ホームページへの掲載等を通じた広報連携を実施。 ⑨交流事業  開催都市の3都市で実施し、相互に開幕式、閉幕式への芸能団派遣を予定し ているが、交流の内容は調整中。 ⑨閉幕式典  2020年11月28日を予定。 ⑩広報計画  市内外から多くの方々に参加してもらえるよう、3つの方針に基づき広報活 動を行う。  ・統一感のある広報活動   ロゴマークやポスターを軸としたビジュアルを活用し、小倉駅や区役所、  北九州空港など屋外広告の掲出を実施。  ・連帯感のある広報活動   年間を通じて実施する事業と相互につなげていくことで広報の強化を図  り、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞企画のほか、イベント等を活用する予定。  ・市民参加型の広報活動   ホームページによる情報発信のほか、フェイスブックやインスタグラム、  ツイッターなどのSNSを活用する。   令和元年度は、開幕に向けて市民を中心とした広報を行い、次年度以降は  市内外からの集客も視野に積極的な情報発信を行う予定。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・東アジア文化都市ののぼりは、希望に応じて商店街にも貸し出せるよう検討  ││ されたい。                                │└──────────────────────────────────────┘ 〇 令和2年8月7日 教育文化委員会   東アジア文化都市2020北九州の会期について、当局から説明を受けた。   主な説明内容は、事業の現状、会期延長、今後の方針及び新型コロナウイル  ス感染症対策に関するものであった。 (説明要旨)  ①事業の現状について   本年3月28日に開幕した「東アジア文化都市2020 北九州」は、開幕式典をは  じめ1年間を通して150件の多彩な事業を実施する予定であったが、新型コロ  ナウイルス感染症の影響により、これまでに実施予定であった事業のほとんど  が中止または延期となった。   今後も、夏・秋のコア期間事業や交流事業など、多くの事業が既に中止また  は延期を決定している。┌──────────────────────────────────────┐│   中止・延期を決定した事業  81件/150件             ││    7月末までに開催予定の事業 41件/ 45件            ││    8月以降に開催予定の事業  40件/105件            │└──────────────────────────────────────┘  ②会期延長について  ・決定日 2020年8月4日       ※文化庁長官から市長へ決定通知の交付(場所:文化庁)  ・決定内容    当初会期:2020(令和2)年1月~2020(令和2)年12 月末    変更後会期:2020(令和2)年1月~2021(令和3)年12 月末  ※会期延長に伴い、引き続き本市が2021 年東アジア文化都市(国内都市)  として選定。今後、年内に開催される日中韓文化大臣会合において、中国・  韓国から提案される都市とともに、正式に決定される予定。  (委員会開催日現在、中国のみ未定)  ③今後の方針について   本市においては、「東アジア文化都市」事業を文化芸術そのものの向上だけ  ではなく、文化芸術の力を観光や産業にも活かす「創造的なまちづくり」を進  めるための大きなチャンスととらえており、当初計画していた事業については、  2021年12月までの期間をかけて、可能な限り実施していく予定。   また、市民企画事業(パートナーシップ事業)については、来年12月まで実  施期間を延長する旨、関係者に通知を行った。  ・2020年の事業実施予定及び主な開催事業(令和2年7月末時点)   コア事業         4件   連携事業        22件(うち新規3件)   パートナーシップ事業  17件   合計          43件     ┌─────┬───────────────┬──────────┬─────────┐     │     │      事業名      │    場所    │   開催日   │     ├─────┼───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │GIGA・MANGA展         │市立美術館     │   9月19日(土)│     │     │               │          │  ~11月8日(日)│     │  コ  ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │  ア  │小倉城薪能2020        │小倉城       │   10月3日(土)│     │  事  ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │  業  │街なかリーディング      │門司赤煉瓦プレイス   │  11月3日(火・祝)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │文学×身体表現「詩、踊る」  │北九州芸術劇場   │   11月7日(土)│     ├─────┼───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │北九州ミュージック      │市内各所      │   9月6日(日)│     │     │プロムナード2020       │          │  ~10月11日(日)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │新 企画展「直筆原稿で見る  │松本清張記念館   │   9月11日(金)│     │     │-『点と線』のダイナミズム」 │          │~翌年1月11日(水)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │第42回 西日本陶磁器      │西日本総合展示場  │   9月18日(金)│     │     │フェスタ           │          │    ~22日(火)│     │  連  ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │北九州国際音楽祭       │響ホール他     │   10月3日(土)│     │  携  │               │          │  ~11月14日(土)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │  事  │新 文化庁メディア芸術祭   │大連航路上屋    │   10月9日(金)│     │     │北九州展           │          │    ~18日(日)│     │  業  ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │門司港アートワーフ      │門司港レトロ地区  │   11月1日(日)│     │     │               │          │    ~29日(日)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │北九州障害者芸術祭      │黒崎市民ギャラリー   │   11月24日(火)│     │     │               │          │    ~29日(日)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │新 開館22 年記念     │松本清張記念館   │   11月28日(土)│     │     │「塩田武士 講演会」     │          │         │     ├─────┼───────────────┼──────────┼─────────┤     │     │第2回小倉城竹あかり     │小倉城       │   10月31日(土)│     │パートナー│               │          │  ~11月3日(火)│     │     ├───────────────┼──────────┼─────────┤     │シップ事業│KITAKYU JAZZ STREET 2020   │船場広場他     │   11月1日(日)│     │     │               │          │         │     ├─────┴───────────────┼──────────┼─────────┤     │日中韓文化大臣会合            │     ―    │     年内予定│     └─────────────────────┴──────────┴─────────┘ ・2021年の主な開催事業  東アジア文化都市交流式典(開幕式典の代替事業)  ART for SDGs  伝統芸能饗宴  書と文芸  北九州FC国際映画祭  閉幕式典 ④新型コロナウイルス感染症対策について  今後、東アジア文化都市事業を実施していくにあたり、関係者が新しい生活様 式を踏まえた安全安心に配慮したイベント運営を行うことができるよう「(仮称) 感染症対策イベント開催マニュアル」を策定するなど、新型コロナウイルス感染 症への対策を十分に実施していく予定。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・東アジア文化都市の会期延長については、広く周知されたい。        ││ ・コロナ禍においても工夫して市民にアピールされたい。           │└──────────────────────────────────────┘┌───────────────────────────────────────┐│ ◎ まとめ                                 ││   東アジア文化都市北九州の開幕に向け、プレ事業をはじめ様々な事業を行って ││  きたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、会期が来年12月末まで延長さ ││  れたことに伴い、開幕式典、コア事業等の各種事業は延期を余儀なくされた。  ││   創造都市・北九州の実現のためには、東アジア文化都市北九州の成功が不可欠 ││  である。実施に当たっては、感染症対策を十分に行いながらも、大いに盛り上げ ││  てもらいたい。そして、本事業の成功に向け、議会としても一丸となって後押し ││  していきたい。                              │└───────────────────────────────────────┘(2)スポーツ振興について ○ 令和元年8月21日 教育文化委員会   ラグビーワールドカップ2019及び東京2020オリンピック・パラリンピック競技  大会に向けた取組等について、当局から説明を受けた。   主な説明は、ラグビーワールドカップ2019日本大会におけるウェールズ代表チ  ームのキャンプ、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるキャ  ンプの誘致状況及び聖火リレー、国際スポーツ大会等のこれまでの実績及び今後  の予定に関するものであった。(説明要旨) ①総論  北九州市スポーツ振興計画において「スポーツによるまちの活性化」を政策 に掲げ、ラグビーワールドカップ及び東京2020オリンピック・パラリンピック 競技大会のキャンプ地誘致や国際スポーツ大会等の誘致・開催を推進している。 ②ラグビーワールドカップにおけるウェールズ代表のキャンプについて ・キャンプ決定等の経緯  平成28年11月 ウェールズラグビー協会との間で事前キャンプに関する         覚書を締結  平成30年5月 キャンプ等への機運醸成を目的とした「ラグビーウェールズ         交流プログラム」に合意  平成30年7月 大会公認キャンプ地に決定 ・ラグビーウェールズ交流プログラム  ウェールズの元代表選手やコーチなどが来北し、平成30年8月から令和元年  9月までの間に合計3回の市民交流プログラム(ラグビー教室等)を行う。 ・ウェールズ代表のキャンプ受入れ  ラグビーワールドカップの初戦に向け、令和元年9月中旬に1週間程度  実施予定(キャンプの日程及び会場は非公表)。  キャンプ実施に伴い、公開練習の実施及びウェールズ応援の看板、バナー、  のぼりなどの設置や各種車両を活用したPRにより機運醸成を図っている。 ③東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のキャンプ地誘致 ・キャンプの誘致決定状況  タイ王国:卓球、テコンドー  コロンビア:卓球、テコンドー、アーチェリーなど10競技  英 国:車いすラグビー  ドイツ:車いすバスケットボール(女子) ・聖火リレー  令和2年5月13日に福岡県、九州の最終開催地として聖火リレーが行われる  とともに、門司区の関門海峡ミュージアムイベント広場で聖火到着を祝うセレ  ブレーションが開催されることが決定している。 ・機運醸成  タウンミーティング、オリンピックデーランなどオリンピアンとの交流やス  ポーツ体験を通じ、オリ・パラの理解を深め、スポーツ振興を図るイベントを  開催。 ④国際スポーツ大会等 ・平成29年度の取組  ワールドラグビー女子セブンズシリーズ  (世界最高峰の7人制女子ラグビー国際大会・日本初開催)  パラ・パワーリフティングジャパンカップ ・平成30年度の取組  ワールドラグビー女子セブンズシリーズ  卓球ジャパンオープン荻村杯  ワールドパラパワーリフティングアジア・オセアニア大会(日本初開催)  フェドカップ(女子テニス国別対抗戦・九州初開催) ・平成31年度の取組  ワールドラグビー女子セブンズシリーズ ・今後の開催予定  令和元年11月 なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)国際親善試合  令和2年4月 卓球ジャパンオープン荻村杯        (大会の格付としては最も高いプラチナ大会)┌───────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                             ││ ・スポーツを通じた町の活性化について、競技や観戦に来た人を観光に誘導する  ││ 取組を検討されたい。                            ││ ・聖火リレーの実施にあたっては、市の宣伝につながるよう独自性を出してほし  ││ い。                                    ││ ・キャンプの誘致については、本市と各国との国際交流の原点になることからも、 ││ ぜひ頑張っていただきたい。                         ││ ・トップアスリートとの交流の機会を多くの子供たちに与えられるようされたい。 ││ ・シビックプライドの醸成の面からも、今回のウェールズとの交流に関する取組  ││ をHPに掲載し、一過性で終わらないよう取り組まれたい。           ││ ・1試合でもいいので、プロ野球の全球団の試合が本市で観戦できるよう誘致を  ││ 検討されたい。                               │└───────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年7月8日 視察  (グローバルマーケットアクアパーク桃園、城山アーチェリー場)   今年度供用開始されたグローバルマーケットアクアパーク桃園及び城山アー  チェリー場の視察を行い、当局から施設の概要や新型コロナウイルス感染症対策  等について説明を受けた。┌───────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                             ││ ・キャンプの誘致にあたっては、新型コロナウイルスの対策を行いながらも実現  ││ に向けて頑張ってほしい。                          ││ ・他の施設では入口付近で非接触式体温計を使用し、体温の高い方は入場させな  ││ いなどの対策を徹底している。桃園市民プールも入口付近は混雑することが想定  ││ されるため、早めに導入し、対策していただきたい。              ││ ・非接触式体温計は高価なものではないので、全ての施設に導入されたい。    ││ ・城山アーチェリー場のアスファルト部分に屋根を設置するなど、暑さ対策を講  ││ じられたい。                                │└───────────────────────────────────────┘┌───────────────────────────────────────┐│ ◎ まとめ                                 ││   ラグビーワールドカップ2019においては、ウェールズの事前キャンプの受入れ ││  や交流事業等様々な取組を行った結果、大きな盛り上がりを見せた。東京2020オ ││  リンピック・パラリンピック競技大会も同様に様々な取組を行っており、開催に ││  向けて機運が高まっていたが、新型コロナウイルス感染症の影響により延期とな ││  った。                                  ││   来年に向け、引き続き機運醸成に努めていただき、これを契機に今後の市民活 ││  動や子供の教育につなげていけるよう、一過性で終わらせない取組を実施された ││  い。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会終了後も、スポーツ ││  を通じた取組が町のイメージアップ、町の活性化につながることを期待する。  │└───────────────────────────────────────┘(3)教員の働き方改革について ○ 令和元年5月17日 教育文化委員会   教員の働き方改革における本市の取組状況について、当局から説明を受けた。   主な説明は、働き方改革の目的、意識調査の結果等に関する内容であった。(説明要旨) ①本市の取組  平成29年3月:「学校における業務改善プログラム」         「学校における業務改善ハンドブック」策定  平成29年度 :周知期間  平成30年度~:本格実施  平成31年3月:「学校における業務改善プログラム第2版」策定 ②働き方改革の目的  ・子供と向き合う時間の確保や、それに伴う授業準備時間の確保  ・教職員のワーク・ライフ・バランスの充実、メンタルヘルス等の健康保持   ※業務改善、働き方改革を進めていき、目的に向かって取り組むことによ   り、学校や教職員の力量を高め、本市学校教育の一層の充実を図ることが   重要である。 ③意識調査の実施  ・平成28年11月~12月に学校を抽出して実施  ・平成30年9月に同じ学校に対し平成28年度と同じ内容の調査を実施  <調査結果>   「かなり感じる」又は「感じる」の割合が全ての項目で改善      ┌───────────────┬───────┬───────┬──────┐      │      項目       │平成28年度  │平成30年度  │増減    │      ├───────────────┼───────┼───────┼──────┤      │仕事が多忙と感じるか     │    95.0%│    92.2%│ 2.8P減少 │      ├───────────────┼───────┼───────┼──────┤      │仕事にやりがいを感じるか   │    91.4%│    93.2%│ 1.8P増加 │      ├───────────────┼───────┼───────┼──────┤      │子供と向き合う時間が確保   │    44.9%│    48.7%│ 3.8P増加 │      │できているか         │       │       │      │      ├───────────────┼───────┼───────┼──────┤      │ワーク・ライフ・バランス   │    36.5%│    42.1%│ 5.6P増加 │      │が実現できているか      │       │       │      │      ├───────────────┼───────┼───────┼──────┤      │業務改善が進んでいると    │    19.8%│    29.1%│ 9.3P増加 │      │感じているか         │       │       │      │      └───────────────┴───────┴───────┴──────┘※対象校47校(園)、回答率72.1%(平成30 年度調査)※対象者は、校長、園長、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭 ④在校時間について  ・文科省の調査(平成28年度)と本市を比較すると、本市の方が10時間以  上短い  ・平成29年度の勤務時間外における月平均在校時間(年間平均)が80時間  以上の教職員数は、平成27年度と比較して大幅に改善  (251人→104人)  ・経験年数が概ね1~5年目の教員は、6年以上経験のある教員より在校時  間が長い傾向  ・どの校種でも、4月から6月は在校時間が長くなる傾向 ⑤学校を支援する教育委員会の主な取組  平成24年度より統合型校務支援システムを導入し、成績処理、児童生徒の 出欠、保健管理、文書管理等を順次システムで行えるようにし、業務改善を大 きく進めてきた。   <~平成30年度>    ・小学校における専科指導の推進     教育の質の確保や担任の負担軽減のため、教務主任や再任用教諭、専科    指導教諭等が理科や外国語、体育を中心に専科指導を実施    ・部活動指導員の拡充(15名→19名)     顧問教員に代わり、単独で土日祝日に部活動指導や引率業務を実施    ・スクール・サポート・スタッフの新設(小学校40校)     学年だよりなどの配布物の印刷や仕分け等の業務を実施     ※平成30年7月に、配置校に対し調査を実施      →全ての学校で業務改善につながっていると回答し、教員からは印刷      に要する時間の削減により、児童の指導や授業の準備に集中できるよ      うになったとの声も聞かれた    ・学校閉庁日の充実     (夏季休業日:5日<H29:3日>、冬季休業日:2日<H29:なし>)      →現場からは、おおむね好評を得ている   <令和元年度>    ・部活動休養日の見直し(週当たり2日)    ・「業務改善に関する職員提案」の開催      学校現場がみずから考え、発信する業務改善を推進していくため、業     務改善、働き方改革に関する職員提案を実施し、優秀な取組を行った学     校を表彰    ・小学校における一部教科担任制の実施     児童を多面的に理解するとともに、授業のコマ数の平準化や組織で児童    を見守り、担任を1人にさせない組織づくりを実施 ⑥具体的な各学校の取組  ・データの共有化(学年だよりや教材等)  ・職員朝礼の廃止、職員終礼の簡素化  ・ペーパーレス化(校務支援システムの活用)など ⑦本市が目指す勤務時間外における在校時間の上限目標について  ・文部科学省「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」  →本市も同様の上限目標を設定(対象:教育職員)      ┌────────┬───────────────────────────┐      │   項目   │    上限目標(勤務時間外における在校時間)    │      ├────────┼───────────────────────────┤      │   原則   │1カ月 45時間を超えない               │      │        ├───────────────────────────┤      │        │1年間 360時間を超えない               │      ├────────┼───────────────────────────┤      │        │1カ月 100時間未満                  │      │        ├───────────────────────────┤      │  特例的な  │1年間 720時間を超えない               │      │        ├───────────────────────────┤      │  取り扱い  │1カ月 45時間を超える月は6月まで          │      │        ├───────────────────────────┤      │        │連続する複数月の平均が80時間を超えない       │      └────────┴───────────────────────────┘ ⑧総括  業務改善、働き方改革の目的を教育委員会と学校が共有し、またこれまで 以上に一体となって改革に取り組むことによって、学校教育の更なる充実に 努めてまいりたい。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・業務改善プログラムについて、次の改訂の際は、教員ではない人でもわかり  ││ やすい表現に変えるようにされたい。                    ││ ・教員が仕事の持ち帰りをしているか調査されたい。             ││ ・新しい教育プランに固執する余りに教員の負担にならないよう進められたい。 ││ ・教科担任制の導入により、教員の負担が軽くなることはいいことなので、ぜ  ││ ひ力を入れて取り組まれたい。                       ││ ・小さい子供を抱えている教員に対しては、勤務時間をずらすなどの対応を検  ││ 討されたい。                               ││ ・働き方改革を通じて、子供たちによりよい教育をしていただきたい。     ││ ・ゆとり教育の反省を踏まえ、教育プランの次期策定にあたっては、数字には  ││ 表れないところでもやっていただきたい。                  ││ ・働き方改革を進めるにあたっては、現場の教員の声を教育委員会が聞くよう  ││ にされたい。                               │└──────────────────────────────────────┘  令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視 察先の優先順位を決めることを決定した。  ○ 令和元年8月21日 教育文化委員会   令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、11月12日か  ら14日までの3日間の日程で、東京都港区の学校法律相談制度について視察を  行うことを決定した。 ○ 令和元年10月23日 教育文化委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年11月14日 行政視察(東京都港区)   東京都港区における学校法律相談制度の取組について視察を行った。   港区における学校法律相談制度は、学校現場における法律的な問題の対応方法  について、学校・幼稚園が弁護士から指導・助言を受けることにより、問題の早  解決や訴訟など大きな問題への発展を未然に防ぐことを目的として、平成19  年度から実施している。港区法曹界に業務を委託(年間契約)しており、学校長・  幼稚園長が、担当弁護士に直接相談することができる。   また、平成28年度から、弁護士の指導・助言に基づく対応で解決に至らない  場合に、学校と保護者等との面談への弁護士の同席制度を設けている。弁護士が  保護者等に直接法的な見解を説明することで、保護者等の理解を促し、問題の解  決を図る。   同じく平成28年度から担当の弁護士が12名から21名にふえ、より厚い体制  で学校をサポートしている。   各弁護士事務所での弁護士との面談が基本だが、相談内容や緊急性に応じて学  校での面談、電話及びファックスによる相談も可能である。   また、平成26年度から、学校長・幼稚園長を対象に、学校における法律問題  に関する研修会を年1回実施している等の説明を受けた。 ○ 令和元年11月20日 教育文化委員会(行政視察後の意見交換)   行政視察を受け、委員間で意見交換を行った。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・港区の学校法律相談制度では、利用した学校側に報告書を求めるのではなく  ││ 弁護士に報告書をあげてもらうことで、教員の業務を増やすことなく、より利  ││ 用しやすいシステムにしている。また、学校と保護者との話し合いに第三者と  ││ して同席して、客観的な意見を述べてもらうなど、港区の事例をもとに進めて  ││ いけば、教員の負担軽減やトラブルの早期解決が図れると思う。        ││ ・港区のようにもっと重層的にスクールロイヤーを配置してほしい。      ││ ・港区の説明では、制度を利用しても学校や学校長の評価が落ちることはない  ││ ということを強く周知していた。何かトラブルがあっても学校経営の評価が落  ││ ちないようなルールを徹底することで、より現場が相談しやすい環境づくりを  ││ 行っている。本市でもぜひそのような体制を整備されたい。          │└──────────────────────────────────────┘┌───────────────────────────────────────┐│ ◎ まとめ                                 ││   学校における働き方改革の目的は、現在の教師の厳しい勤務実態を踏まえ、教 ││  師のこれまでの働き方を見直し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って ││  自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自ら ││  の人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動が行うことができ ││  るようになることである。本市においては、教育委員会が策定した「業務改善プ ││  ログラム」に基づき、教員の働き方改革は着実に実行されている。       ││   調査期間中には、学校が抱える児童生徒の指導上の問題等に対し中立的な視点 ││  から法的助言をいただく「スクールロイヤー」の活用事業や、学校業務補助員の ││  配置により教員の負担軽減が図られ、委員会としても一定の成果があったと考え ││  ている。                                 ││   一方で、教員のワーク・ライフ・バランスの実現や、多忙感の解消に関しては ││  多くの課題を抱えている。引き続き、子供たちに対して効果的な教育活動ができ ││  るよう、学校現場の声に耳を傾けながら教員が働きやすい環境を整えられたい。 │└───────────────────────────────────────┘(4)新学習指導要領に対応した教育について ○ 令和元年5月17日 教育文化委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年8月21日 教育文化委員会   新学習指導要領の概要及び本市の取組状況について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ①新学習指導要領の概要  ・学習指導要領とは、学習の目標、内容を示したもので、約10年をめどに改訂さ  れている。  ・新学習指導要領の開始時期   小学校…2020年度   中学校…2021年度  ・改訂により求められる資質、能力  「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」  ・資質、能力の育成について  <主体的、対話的で深い学びの授業>   授業中、教師の話をずっと子供が聞くというだけでなく、例えば周りの友  達とともに話し合い、意見交換をしながら学んだことを振り返っていく授業を  実施  <カリキュラム・マネジメント>   学校で取り組むことを計画、実践したことを検証し、改善していく、いわゆ  るPDCAサイクルを確立し、学校全体としてベクトルをそろえ、組織的に推  進していくことが求められる  ・新たに取り組むこと、これからも重視していくこと   プログラミング教育、外国語教育、道徳教育など  ・教科の新設、変更   <新設>    外国語科:小学校5・6年生    特別の教科 道徳:小・中学校   <変更>    外国語活動:小学校5・6年生→小学校3・4年生  ・特別支援教育   一人一人の子供の実態に応じた支援をしていくことで、その能力や可能性を最  大限に伸ばす ②本市の取組  <主体的、対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)について>  ・わかる授業づくり5つのポイントの策定   主体的、対話的で深い学びについて、目指す授業イメージを全市で共有する┌────────────────────────┐│ わかる授業づくり5つのポイント        ││ 1 「学び合いの基盤」づくり         ││ 2 板書に「めあて」「まとめ」「振り返り」  ││ 3 思考を深める「発問」の工夫        ││ 4 1単位時間に「話し合う活動」と「書く活動」 ││ 5 終わりの5分は「まとめ」と「振り返り」  │└────────────────────────┘  ・ 学力・体力向上推進教員の活用    上に示す5つのポイントを具体化したモデル授業を学力・体力向上推進教員   が実施し、目指す授業のイメージを共有する  ・ kitaQせんせいチャンネル    5つのポイントを具体化した授業動画をウェブ配信し、目指す授業イメージ   を共有する  <カリキュラム・マネジメントについて>  ・ スクールプランをもとにしたPDCAサイクルの確立    児童生徒の学力・体力の向上等を図るために、実態を踏まえたスクールプラ   ンを策定している。    指導主事等が各校のスクールプランの推進を支援するために学校訪問を行   い、具体的な取組を提案しながら、各校の実態に合った助言に努めている。  <新たに取り組むこと、これからも重視することについて>  ・ 外国語教育    小学校5年生、6年生の外国語科、3、4年生の外国語活動を平成30年度   から先行実施している。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・新たな試みを公開授業で行う機会があるのであれば、委員にも案内されたい。 ││ ・子供たちが自分の目標を持って頑張ることは大事であるが、結果にこだわって ││ 過度の競争に及ばないよう取り組まれたい。                 ││ ・主権者教育を進めるにあたっては、教員が投票に行くことで政治に参加する  ││ 姿勢を見せるよう啓発されたい。                      ││ ・教育全般において、モデル校によるディベートの実践を検討されたい。    ││ ・プログラミング教育におけるICTの推進においては、タブレットの使用を通 ││ したスキルを身に付けるためにも進められたい。               ││ ・時代の変化や北九州の風土に即した授業のあり方を検討されたい。      ││ ・今の時代背景に即した教育を、教員の負担にならないような形で行われたい。 ││ 令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、11月12日から14 │└──────────────────────────────────────┘┌──────────────────────────────────────┐│ 日までの3日間の日程で、東京都の特別支援教室及びICT教育について視察を ││ 行うことを決定した。                           │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年10月23日 教育文化委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年11月13日 行政視察(東京都)   東京都における特別支援教室の導入及びICT教育について視察を行った。  <特別支援教育の導入について>   東京都では、全ての公立学校における発達障害教育の充実に向けて計画的に取り  組むため、平成28年2月に東京都発達障害教育推進計画を策定した。   計画では、公立学校に在籍する児童生徒がその持てる力を最大限に伸ばし、将来  の自立と社会参加を実現できるよう、適切な教育的支援を行うことや、発達障害の  ある児童生徒とない児童生徒が共に学び合うことができるよう、通常の学級におけ  る教育的支援をはじめ、障害の状況に応じた多様な教育の場を拡充することを基本  理念として掲げている。   通常の学級に在籍する児童生徒のうち、発達障害の可能性のある児童・生徒は小  学校では6.1%(平成26年度の状況)、中学校では5.0%(平成27年度の状況)であ  り、発達障害の可能性のある児童生徒のうち、小学校は48.9%、中学校は28.3%が  一部の在籍学級での授業を抜けて特別な指導(通級による指導)を受ける必要があ  った。   他校に設置された通級指導学級に通うことに伴い、在籍学級の指導を受けられた  ことによる児童生徒の不安や通級指導学級の担当教員と在籍学級担任との連携の  図りにくさ、保護者の送迎や移動に係る児童生徒の負担等の課題があったため、特  別支援教室の導入を行った。   主な取組としては、対象の児童生徒が障害の状態に応じて可能な限り多くの時間、  在籍学級で他の児童生徒と共に有意義な学校生活を送ることができるようになる  ために、在籍学級の担任や教科担任と特別支援教室の巡回指導教員の密接な連携に  より、在籍学級のみの指導・支援(指導終了による退室)につなげていくことを目  的としている。一人一人の障害の状態や発達の段階等に即した指導目標を設定して、  障害による学習上・生活上の困難を改善・克服することを目的とした指導を行って  いる等の説明を受けた。  <ICT教育について>   東京都では、情報モラル教育・プログラミング教育における取り組みや授業実践  を推進するため、推進校を指定している。推進校はICT機器等を積極的に活用し、  公開授業の実施や指導事例の作成、実施報告会等により、他校への普及・啓発を図  っている。   企業等のもつ専門的知見や人的・物的資源を学校教育に効果的に活用し、次期学  習指導要領のねらいに即したプログラミング教育の普及・啓発を目的とし、子供た  ちがプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるた  めに必要な論理的思考力を育成することを期待される効果として挙げている等の  説明を受けた。[主な取組]  1 平成29年度    推進校7校と企業等7団体で実施し、東京都教育委員会が学校と企業等   をコーディネートし、教育委員会主催の実践報告会の実施や成果報告書を   配付した。   ・成果 企業等の人的・物的資源を効果的に活用した授業の実践   ・課題 全都の学校で取り組みを進めるために参考となる実践の不足       推進校の授業を通した教員が研修する機会の不足 等  2 平成30・31年度(2ヶ年計画)    55区市町村に推進校を1校以上(合計75校)指定し、担当企業の支援の   もと、学校と企業等をコーディネートし、地区ごとの公開授業や研究発表   会の実施、教育委員会主催の実践報告会の実施や成果報告書を配付する。   ・期待される成果 企業等の人的・物的資源を効果的に活用した授業実践   の普及・啓発、公開授業や研究発表会などを通した教員が研修する機会の   確保等  3 令和2年度    すべての小学校で主体的にプログラミング教育を実施   企業等の効果的な連携を図った学校教育の実施 ○ 令和元年11月20日 教育文化委員会(行政視察後の意見交換)   行政視察を受け、委員間で意見交換を行った。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・東京都では企業とのマッチングがかなり進んでいた。本市で可能かどうか精査 ││ が必要だとは思うが、今後どう進めていくかを委員会にも報告して欲しい。   ││ ・ICT教育については、特別支援学級やハンディを持っている子供等に格差が ││ 出ないようしっかり取り組まれたい。                    ││ ・東京都はプログラミング教育を通じて、論理的思考を高めるという明確な目的 ││ を持っていた。大変素晴らしいと思う。企業とのタイアップについては、本市は ││ こういったプログラミング教育をしていきたいので、協力してもらえませんかと ││ NTTやソフトバンク等に相談してみてはどうか。これからAIが発達していく ││ が、AI人材というのは実は日本では少ない。だから、子供のときから論理的思 ││ 考能力を高める訓練をしていき、AI人材の供給地に北九州市がなれば良いと感 ││ じた。これは物づくりの町としても強みになっていくと思う。         │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年2月5日 視察(浅川中学校)   特別支援教室及び英語教育について、校長及び教頭から説明を受け、リーディン  グクラスと特別支援教室の授業を視察した。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・GIGAスクールの取組がさらに進むよう応援したい。           ││ ・実際の授業の様子をリアルタイムで見られる遠隔授業の取組を、他の学校でも ││ 実施できるよう検討されたい。                       │└──────────────────────────────────────┘┌────────────────────────────────────────┐│ ◎ まとめ                                  ││   学習指導要領の改訂により、子供たちの「生きる力」を育むための学びは大きく ││  進化しようとしている。中でも、教育におけるICTを進めるうえで重要な施策で ││  あるGIGAスクール構想は、本年初頭からの新型コロナウイルス感染症の影響に ││  より当初の計画から大きく前進し、年内での市内小・中学校における1人1台タブ ││  レット端末の配備を予定している。                      ││   令和時代のスタンダードな学校像として、全国一律のICT環境整備は急務であ ││  る。中には電磁波過敏症の症状を訴える声もあり、状況に応じ対応する必要がある ││  が、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを ││  実現させることを、コロナ禍の今だからこそ一層スピード感をもって進めるべきで ││  あると認識している。                            ││   Society5.0時代を生きる子供たちの未来のために、本市の教育がより充  ││  実したものになるよう期待したい。                      │└────────────────────────────────────────┘                保健福祉委員会報告書                              令和2年11月11日 北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                      保健福祉委員会委員長 藤 沢 加 代  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査事件(1)児童文化科学館について   児童文化科学館は本市の児童文化の向上及び科学教育の振興のため、プラネタ  リウムや科学体験教室など様々な事業を実施し、健全な青少年の育成に寄与して  いる施設である。   児童文化科学館は日本で初めての子供のための科学館として、昭和30年に当時  の八幡駅の3階に八幡市立児童科学館として開設されたのが始まりである。昭和  43年に現在の桃園公園内に移転し、昭和45年には天文館を増築、プラネタリウム  を設置した。昭和57年には児童文化科学館に名称を変更し、本館の建物を更新、  平成元年には天文館を改修した。平成4年にプラネタリウム投映機器を更新して  現在に至っている。   建物や機器など施設全体の老朽化が進んでいることから、市は平成27年度から  科学館の機能や展示等についての検討を開始し、平成29年度に東田地区への移転  新設の方針を決定した。   本委員会では、児童文化科学館の移転新設により、さらに多くの市民に親しま  れ、修学旅行生などをはじめとして、国内外の多くの観光客が訪れる施設とする  ため、その在り方について調査研究を行うこととした。(2)健康寿命の延伸について   本市は、超高齢社会に対応した持続可能な社会を確保するため、地域、行政、  企業などあらゆる主体が一体となって健康づくりに取り組み、市民一人一人によ  る自律的・主体的な健康づくり活動を支援する健康都市を目指すため、平成30  年3月に「第二次北九州市健康づくり推進プラン」を策定した。   本プランでは、「オール北九州で健康(幸)寿命を延伸する-元気でGO!G  O!プラス2歳へ スクラムトライ!」を健康づくりのスローガンとして、生活  習慣病の予防、重症化予防の推進、多様な背景の市民に対応する健康づくり、市  民の健康を支える社会環境の新創を目指し、各種施策に取り組んでいる。   また、平成30年7月には、望まない受動喫煙をなくすことを主な内容として、  健康増進法が改正され、令和2年4月に完全施行される予定である。   本委員会では、こうした状況を踏まえ、本市の健康寿命の延伸の取組について  調査研究を行うこととした。(3)子供の視点に立った子育て支援について   本市は、待機児童の発生や少年非行の問題など子供や家庭に関する様々な課題  や平成27年度から本格実施された子ども・子育て支援新制度に対応するため、「元  気発進!子どもプラン(第2次計画)」(平成27年~31年度)を策定した。   本計画では、特に「待機児童対策と子ども・子育て支援新制度への対応」、「結  婚、妊娠、出産、育児への切れ目のない支援」、「青少年の非行防止と健全育成」、  「子どもの貧困対策」の4つの取組の充実、強化を図り、10月までの待機児童ゼ  ロ達成、子育ての指導・相談体制の充実、非行者率の減少、独り親家庭に対する  市独自の給付金支給などの成果があった。  その結果、平成30年度の市政評価で子育て支援の推進がこれまでで最高の3位  となり、また、NPO法人が実施している「次世代育成環境ランキング」の総合  ランキングでは政令指定都市で1位を獲得するなど市内外から一定の評価を受  けている。   しかし、子育て世代へのさらなる支援、子供の虐待や貧困問題への対策、不登  校状態にある子供の支援などは、より一層の取組が求められている。また、今後  子供や家庭に対する施策の計画に当たっては、子どもの権利条約に規定されてい  る「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」の視点を生か  していく必要がある。   「元気発進!子どもプラン(第2次計画)」は平成31年度(令和元年度)まで  の計画であり、平成31年度(令和元年度)は次期子どもプラン(「元気発進!子  どもプラン(第3次計画)」)の策定に向けての検討が開始される。   本委員会では、こうした状況を踏まえ、次期子どもプランの策定を含めた本市  の子育て支援の在り方について調査研究を行うこととした。2 調査の経過及び結果(1)児童文化科学館について ○ 令和元年4月17日 保健福祉委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年5月20日 保健福祉委員会   児童文化科学館の概要、新科学館の検討状況及び今後の進め方について、当局  から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 昭和43年に別館を建設し、八幡駅にあった児童科学館を移転統合、昭和45  年には天文館を増築し、国内初の大型国産プラネタリウムを設置した。その後、  天文館の改修等を経て、平成4年にプラネタリウム投映機器を現行のものに更  新した。 ・ 施設は延床面積5,471平方メートル、本館、別館、天文館の3館で構成され  ている。 ・ プラネタリウムはドーム径20メートル、座席数は270席。 ・ 利用者数は年間約10万人で推移している。 ・ 主な事業として、プラネタリウム上映や展示、科学体験教室、ロボット関連  事業、星の観望会といった天文事業、各種クラブ活動等を行っている。 ・ 新科学館については、平成27年度に科学館のあり方検討会議を開催して、意  見聴取を行い、これを踏まえて整備の方向性について内部検討を進め、平成29  年度に東田地区への移転、平成30年度に最有力立地候補地としてスペースワー  ルド跡地とすることを決定した。 ・ スペースワールド跡地に新設する施設規模は現館と同規模の延床面積とし、  プラネタリウムや展示といった集客機能を中心としたい。 ・ 実験や工作教室などの教育普及活動については、北九州イノベーションギャ  ラリー(KIGS)を活用したい。 ・ 新科学館とKIGSはコンセプトが類似しており、より効果的、発展的に事  業を展開するため、KIGSを新科学館に包含し、一体的な整備を考えている。  このため、新科学館全体の施設規模はスペースワールド跡地の新館にKIG  Sを加えたものとなる。 ・ プラネタリウムについてはドーム径を現行の20メートルから25メートル以上  へ拡大し、新科学館の目玉にしたい。 ・ 今年度は内装、設備等の基本設計や公共事業評価の手続、プラネタリウムの  運営等への民間活力導入の検討を進めたい。 ・ 展示や運営については産学官からなる意見交換会を設置し、企業、大学、小  中高の部会も設けて幅広く意見を聴取する予定である。 ・ 公共施設マネジメントを踏まえて、スペースワールド跡地に新設する施設の  規模を現館と同規模程度としたが、KIGSを活用することにより、ほかの政  令市と遜色ない規模とした。 ・ 藤田哲也博士は本市にゆかりのある大変すばらしい業績を収めた方であり、  藤田博士の展示については今後検討していきたい。 ・ ドーム径については、目玉となるキャッチフレーズがつけられるような施設  規模にしたい。30メートルぐらいまでは既存の機器で対応できるが、ドーム径  が大きくなるに従って整備費用もかかるので今後の検討課題としたい。 ・ スペースワールド跡地に建設される新館とKIGSとの動線については、い  のちのたび博物館などの周辺施設との回遊性も踏まえて、関係部局と協議の上、  検討したい。≪委員の主な意見≫ ・ プラネタリウムのドーム径については少なくとも30メートル程度にはなるよ  う努力されたい。 ・ 公共施設マネジメントにとらわれることなく、子供が科学への関心を持てる  ような施設整備を検討されたい。 ・ 修学旅行生が訪れるような集客力のある施設にされたい。 ・ 費用対効果を検討し、収益性のある施設にされたい。 ・ 展示だけでなく、地元の子供が何度も訪れるような施設を検討されたい。 ・ 藤田哲也博士を顕彰するコーナーの設置は意味があると考える。 ・ 子供の科学に対する興味や関心を育てるコンセプトを具体化できるように検  討されたい。 ・ ターゲットをある程度絞って、展示内容や体験型施設を検討されたい。  令和元年度の行政視察について、委員間で検討を行った。各委員から出された  意見を踏まえ、正副委員長の行程(案)を作成し、委員会に提示することを決定  した。 ○ 令和元年8月20日 保健福祉委員会   基本計画(案)の修正、基本設計業務の委託先の選定、新科学館展示・運営検  討会の設置について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 基本計画(案)に、名称(愛称)については市内外へのインパクト等に留意  しながら、多くの市民が愛着を持てるようなものとし、公募も検討することと  の記載を追加し、新科学館基本計画とした。 ・ 展示、内装設備等の基本設計業務委託先として、トータルメディア・丹青社  北九州市新科学館設計共同企業体を選定した。 ・ 展示内容や運営等の検討に当たり、市内の産学官で構成する新科学館展示・  運営検討会を設置し、幅広く意見を聴取する。 ・ 地元の意見については、八幡東区のまちづくりに関係する方に検討会の委員  になっていただいている。また、今後検討会だけでなく様々な機会を捉えて意  見をいただきたいと考えている。 ・ 運営方法については、現児童文化科学館は直営だが、指定管理者制度も含め  て検討会の意見も踏まえて最終的に方向性を決定したい。 ・ 検討会ではKIGSの事業内容などを情報提供して、教育普及事業について  意見をいただく予定としている。 ・ 児童文化科学館での児童文化の事業については、こども文化会館の活用や  地域での取組等を検討していきたい。≪委員の主な意見≫ ・ 八幡東区の自治区会や住民に対する説明会の機会などを設けられたい。 ・ 新科学館とKIGSについてはそれぞれの目的を失わず、利便性もしっかり  検討して対応されたい。  令和元年度の行政視察のうち、児童文化科学館については、正副委員長の行程 (案)のとおり、10月29日及び30日に、名古屋市の名古屋市科学館及び大阪市の 大阪市立科学館について、それぞれ視察を行うことを決定した。  ○ 令和元年10月16日 保健福祉委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年10月29日 行政視察(名古屋市科学館)   名古屋市にある名古屋市科学館の視察を行った。  同科学館は昭和37年に開館し、天文館、理工館、生命館から成る総合科学館で  ある。平成23年3月に老朽化した天文館、理工館を161億円かけて改築し、世界  最大級のプラネタリウムと4つの大型展示を備えた新しい施設となっている。   4つの大型展示(水のひろば、竜巻ラボ、放電ラボ、極寒ラボ)とともに常設  展示を行っており、常設展示の総展示数は現在236点である。また、屋外にはH  -Ⅱロケットなどの展示をしている。   プラネタリウムは地元企業のブラザー工業株式会社がネーミングライツパー  トナーになっている。プラネタリウム投映は一般投映、家族連れなどのファミリ  ーアワー投映、小学校6年生や4年生を対象にした学習投映や幼稚園、保育園の  年長児を対象とした幼児投映を実施している。プラネタリウムは夜間投映や市民  観望会などの特別投映を月に1、2回実施している。   プラネタリウムは座席占有率が80%を超えている。リピーターを増やすために  毎月テーマを変えている。   また、マスコミなどと共同した特別展や名古屋市科学館単独の企画展などを実  施している。チーム・ラボの特別展などでは開館時間を延長して夜間の開催など  の工夫もしている。   科学館は直営の施設であり、観覧料は条例で定めている。最大の特徴として、  教育施設として子供たちに科学に親しんでもらうために、小・中学生の観覧料は  プラネタリウムを含めて無料としている。また、大人も展示室とプラネタリウム  の観覧料金が800円で、気軽に来ていただけるような料金設定にしている。また、  定期観覧券も一般3,200円(プラネタリウムを含む)としているため、リピーター  も多い。   毎週月曜日(祝日の場合は直後の平日)と毎月第3金曜日(祝日の場合は第4  金曜日)を休館日としており、休館日には点検などを行っている。   入館者数も平成23年度のリニューアルオープン時には150万人を超えるなど目  標の100万人を超える130万人前後が来ている。   科学館の年間収支は、平成30年度決算では支出約9億8,800万円で、そのうち  物件費7億200万円、人件費2億9,600万円、収入4億8,700万円で収支率48.8%  である。主な収入は観覧料収入で2億3,660万円(収支率23.7%)、他の収入はネ  ーミングライツ使用料や場所の貸付け、プラネタリウムの著作権料である。   美術館をはじめとして、近隣の文化施設や地域、学校などと連携し、周辺地域  を芸術と科学の杜と位置づけ、科学館と美術館の2館がコーディネートし、地元  町内会、商店街、近隣施設と連携し事業を実施している。サイエンス&アートフ  ェスティバルへの地域のブース出展や探索マップの作成、配布、地元の街路灯へ  のイベントバナー掲出などをしている。財政面も含めて行政主導が強く、地域の  人の関わり方が課題であると認識している。   登録博物館として愛知県教育委員会に登録している。教育委員会に直属するこ  とで、学習投映、一般投映の内容も含めて、学校との連携や地域の生涯学習に、  学芸員が中心となって、プログラムや解説資料を準備している。同じように企画  展や特別展の内容についても、科学教育普及という立場で、学芸員の経験や他館  等との連携を企画している。一方で、最近は多くの人に来てもらう必要があるの  で、他館で実施された特別展の誘致も行っている。誘致した特別展にも科学館の  オリジナルコーナーを設け、学芸員の存在を重視したイベントを行っている。   地下にイベントホールを設けて、1年間を通じてイベントが実施できるように  して、年間3回特別展を実施している。チーム・ラボ展は冬の来場者が少ない時  に誘致することで、多くの方に来ていただいた。また、マスコミと連携して、  テレビなどに常に露出するようにしている。集客が多かったイベントは昨年実施  したコナン展が一番多く、次がチーム・ラボ展である。   外国人は増えているが国籍を聞いていないので直接の数の把握はできていな  い。ただ、外国人向けのミュージアムガイドのアプリがあり、ダウンロードされ  たOSによると中国や韓国などアジアが多い。なお、外国人の団体については800  名弱となっている。海外からの多言語対応は方針をきちんと決めたほうがよい。 ○ 令和元年10月30日 行政視察(大阪市立科学館)   大阪市にある大阪市立科学館の視察を行った。   同科学館は平成元年に新設され、平成30年度に約5億円をかけてリニューアル  し、今年度から地方独立行政法人大阪市博物館機構が運営している。   科学館の理念として科学を楽しむ文化の振興が特徴である。科学の最先端を提  供することも一つの在り方ではあるが、大阪市は文化を大切にしており、科学を  いかに楽しむか、多様な楽しみ方を市民に提供し、文化を振興することで様々な  活動をし、展示のデザインをしている。   利用者数は大体70万人超で推移している。今年度は76万人を目標としていたが、  今のところ83万人超が見込める予定である。   科学館の年間収支は、昨年度までは指定管理者制度だったので、収入に指定管  理料が含まれているが、平成29年度は4億4,304万円の収入で、支出が4億4,612  万円となっている。収入に指定管理料1億8千万円が含まれ、支出に人件費1億  6千万円含まれているので、それを除くと直営の場合の比較ができると思う。お  おざっぱに言うと博物館施設、特に科学館は経常支出に対する収入が割合として  十数%が一般的であるが、大阪市立科学館の場合は50%を大きく超えて、70%。  平成29年度や今年度は人件費を入れてもこれぐらいの割合であり、世界的に見て  もこのように収益率が高い科学館はないと思う。大きな部分はプラネタリウムが  担っている。   事業を担っているのが専門研究分野を持った学芸員になる。イベントを持って  くると一時的に人は来るが、公立の施設は地域に根差すことが必要で、そういう  施設に人は集まる。すばらしいものを引っ張ってくるのではなく、施設が育てて  いくことが大切で、専門の学芸員が科学館に貢献することが長期的に科学館の振  興につながっていくと考えている。新しい発見やノーベル賞などの新情報に対応  した話をしたり、顔写真とか氏名を公開してファンをつけるようにしている。  科学というのは大阪であろうが北九州であろうが同じものを扱うと思われが  ちだが、地域の科学館としては地域の特徴を踏まえて、それを伝えて、記憶に残  していく活動が重要であると考えている。   科学を楽しむ文化の振興というミッションで、大阪市が持っている長い歴史の  中での文化を踏まえた上で、大阪大学や大阪市立大学、大阪府立大学との連携で、  地域的な科学について積極的に情報発信する施設になりたいと考えている。   プラネタリウムは学芸員が自ら設計したオリジナルで、CGのきれいな星空で  はなく、あくまで本物の星空に近いものを造りたいと考えている。  科学館の特徴として、物にだけ語らせるのではなく、いろいろな現象を見せる  ための体験装置や大阪市ならではの本物、それから、サイエンスショーを重視し  ている。   ウェブによるチケットの事前予約システムを導入している。プラネタリウムは  ほぼ満席で、科学館に来ても見られなかったり、予約しないとチケット購入に45  分かかったりするのでその緩和に効果的と考えている。   指定管理者制度であると期間の制約からノウハウが継続しにくいこと、設置主  体である市が経費削減を進めていく中で運営に対する自由度が足りないこと、人  材の確保などを理由として独立行政法人に移行した。メリットは、事業の継続性  と専門人材の安定的確保、運営の柔軟性の拡大による機動力、サービス向上、経  営資源に対する自主性、複数館の運営によるスケールメリットがあると考えてい  る。デメリットは、今年度始まったばかりの制度であり、課題があると考えるが  一般的に話す状況にはなっていない。 ○ 令和元年11月20日 保健福祉委員会   新科学館展示・運営検討会での検討状況、関係機関との協議、意見聴取等、フ  ロア構成のイメージ案及び目標来館者数について、当局から説明を受けた。   また、名古屋市科学館及び大阪市立科学館の取組について意見交換を行った。(説明及び答弁要旨)  検討会の全体会では、 ・ 展示及びコンセプトについて、考える行為、考えて分かる経験、その場だけ  ではなく、家庭にも続いていくコンテンツ、北九州らしさ、ここでしか体験で  きないこと、未来に向かうというコンセプトとの意見があった。 ・ フロア構成については、バリアフリーへの対応、キッズコーナー等の集客の  仕掛け、スロープ等で楽しみながら移動する演出、周辺施設も含めた食事や休  憩スペース等の機能が必要との意見があった。 ・ 教育普及活動については、企業の協力、放課後の居場所づくりの観点、プラ  ネタリウムについては、ランニングコストの視点、質の勝負との意見があった。 ・ 目標来館者数については、50万人は分かりやすいが、現状の5倍は2年目以  降厳しいのではないかとの意見があった。 ・ 博物館群との連携については、他施設との連携をしっかり考え、展示内容の  すみ分けをとの意見があった。  部会での検討について、 ・ 企業部会では、企業が個別、単独で展示物を出展するのではなく、複数企業  が連携した形での展示はどうかとの意見があった。今後具体的な展示物につい  て個別に協議を進める予定である。また、科学実験教室など教育普及活動につ  いての協力も了承いただいた。 ・ 大学部会では、展示物の出展について検討した。北九州高専は公開講座など  の活用の意向がある。 ・ 小中高部会では、展示について、実物や体験、地元との関連、宇宙というキ  ーワードが出た。また、学習指導要領との関連については、これをベースに検  討するのではなく、展示物と指導要領との関連を情報として示す程度で十分と  の意見があった。団体活動については、大人向けの講座や設備、中高生の団体  活動や個人活動の受皿になってほしいとの意見があった。  関係機関との協議、意見聴取については、 ・ 企業部会以外の企業に個別訪問を行い、出展検討中が4社、出展可能性あり  が1社、検討中が4社となっている。 ・ 小学校理科教育研究協議会からは、藤田哲也博士や九州工業大学の研究など  本市の特色を生かした展示や、宇宙、最新技術、気象、防災、大型・体験型の  展示、教育普及活動については、現在のクラブ活動の継続拡充、天体望遠鏡な  どの天文学習に利用できる設備などの要望があった。 ・ 児童文化科学館を利用した子供たちを対象にアンケート調査を実施した結果、  新科学館では、学校ではできない実験、体を動かす体験展示、星についてもっ  と知りたいとの意見が上がっている。 ・ 藤田哲也博士に関する展示については、藤田哲也博士を顕彰する会が中心と  なって設置された懇談会において、年内の意見取りまとめを目途に議論が行わ  れている。 ・ プラネタリウムのサウンディング調査により、投映機器の提案や、30メート  ルのドーム径、運営方法について提案があった。 ・ 地元に対しては、八幡東区自治総連合会に基本計画を説明した。特に意見は  なかったが、今後も進捗に応じて逐次報告する予定である。 ・ フロア構成は、1階は北九州市の科学や産業を概括的、ふかん的に紹介する  北九州市ポータルゾーン、キッズゾーン、企画展示室、1階から2階の吹き抜  けに竜巻発生装置等で防災を学べる展示、2階は物理や化学の展示、3階はプ  ラネタリウムを含む宇宙分野に特化した展示を考えている。 ・ 目標来館者数については、「新館へのリニューアル効果」と「東田地区への  移転効果」を考慮して、50万人で設定する方向で考えたい。 ・ プラネタリウムの座席数については、小学生の天文学習も踏まえた検討をし  ていきたい。 ・ 博物館は過去の資料の収集、保存、調査研究、発表、展示をしていくところ  であるが、近年の科学館にはサイエンスコミュニケーションという科学者や技  者と一般をつなげるような役割が重要視されている。   運営体制については、専門的な人材を長期的にしっかり確保して、それを来  館者に伝えていく役割が最も重要であると考えているので、そういった点や展  示・運営検討会での意見も踏まえながら今後検討を進めていきたい。 ・ 新科学館については、おそらく独立した建屋になると考えている。今後環境  変化によって商業施設の状況が変わった場合も科学館として安定的に運営で  きるような方向で協議を進めていきたい。≪委員の主な意見(行政視察の意見交換も含む)≫ ・ KIGSを含めた一体的な運営について、それぞれの役割を明確にし、具体  的に検討、説明されたい。 ・ 指定管理者制度はなじまないのではないかと考える。 ・ 直営による運営を検討されたい。 ・ 学芸員の確保を図られたい。 ・ 日本一や西日本最大など話題性があり、修学旅行生などが訪れる施設になる  よう検討されたい。 ・ 面白い展示をするとともにどんどんリニューアルされたい。 ・ 科学が好きで、自ら問題解決ができる子供を育てる施設にされたい。 ・ 収益性の高い施設になるよう努力されたい。 ・ 新しい施設とKIGSとの動線について検討されたい。 ・ 周辺の博物館等との共通入場券などの創設を検討されたい。 ・ 休憩所や食事スペースなどイオンモールとの連携を図られたい。 ○ 令和元年12月10日 保健福祉委員会   新科学館の公共事業評価について、当局から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 事業期間は、平成30年度から令和3年度を予定しており、平成30年度に基本  計画を策定、今年度は展示や内装、設備の基本設計、令和2年度は実施設計に  着手し、イオンモールと調整を行いながら、令和3年度の完成を目指している。 ・ 事業費は、内装、設備、展示、プラネタリウムの設計費用及び整備費用とし  て、総額28億3,900万円を見込んでいる。 ・ 公共事業評価については、12月17日に検討会議で外部評価を受けた後、12月  27日から令和2年1月27日までパブリックコメントを実施する。なお、パブリ  ックコメントの実施結果については、2月上旬の委員会で報告予定である。 ・ 運営費は現在の児童文化科学館とKIGSで実際かかっている経費から算定し  たものであるが、重複する管理部門の統合等により縮減を見込んでいる。 ・ 人員については、委員会からの意見等も踏まえて、科学の専門的な知識を持  った人材が活躍できる場所にすべきと考えており、具体的な人員配置や運営手  法については今後検討を進めていきたい。 ・ 新科学館とKIGSの動線の確保については関係部局と検討している。≪委員の主な意見≫ ・ 国庫支出金の活用等国へ要望すべきことがあれば教えてほしい。 ・ パブリックコメントの際は市民にイメージが湧くものを添付するなど工夫さ  れたい。 ○ 令和2年1月16日 保健福祉委員会   これまでの議論を基に委員間討議を行った。また、KIGS、新科学館新設予  定地及び児童文化科学館の視察を行った。[委員間討議における主な発言内容] ・ 児童文化科学館で行われている児童文化活動について、こども文化会館の老朽  化などの問題と併せて、その位置づけと今後の方向性を検討していくことが必要  である。 ・ 新科学館での事業は科学に特化し、児童文化活動については別の形でしっかり  と対応していくことがいいのではないかと考えている。 ・ ノーベル賞を狙える子供を養成するなど具体的な目標を掲げて、科学館の運営  ができればいいのではないか。 ・ 新科学館は教育施設としての側面もあるが、経営を維持し、常にいいものを提  供していくためには経営感覚を持っていく必要があると考える。現在の想定収支  率は10%から25%となっているが、もっと上げる必要があると思う。このために  は想定以上の初期投資が絶対に必要である。 ・ いろんなイベントの開催、ネーミングライツ、企業への貸出しなど収入を上げ  るための仕組みづくりをしっかり検討してほしい。 ・ 科学館に通うことが困難な子供がスマホを介して科学館とつながることが必要  である。このため、チケット購入や空き具合、イベント案内、星座に関わる神話  を学習できるような科学館専用のアプリを検討されたい。 ・ 中途半端なものはつくらないでほしい。 ・ 建物のバリアフリー化は当然であるが、タブレットなどを活用して障害を持っ  ている人でも楽しめる設備を検討されたい。 ・ 安全面や交通渋滞を考慮して、KIGSやいのちのたび博物館との動線につい  て十分検討されたい。 ・ 新科学館は新科学館で、KIGSはKIGSで、それぞれの施設で運営をした  ほうがいいと思う。 ・ KIGSについても体験スペースが狭く、少人数しか受入れができないなどと  聞いており、設備の改修が必要であると考える。 ・ 科学館についてはプラネタリウムを中心にして集客を行い、KIGSについて  は、いい面を残しつつ、子供たちのための科学教育活動などで積極的に使ってい  くほうが地域の活用という方向に沿っているのではないかと考える。 ・ KIGSを一体的に活用する方針は出ているが、具体的な活用方法が分からな  いため、説明してほしい。 ○ 令和2年2月5日 保健福祉委員会   新科学館整備事業に係る公共事業評価の結果等に対する市民意見の募集結果  及び市の対応方針、新科学館展示・運営検討会における意見の取りまとめ、新科  学館の展示構成(素案)、新科学館とKIGSの主な機能分担案について、当局  から説明を受けた。   また、これまでの児童文化科学館についての調査の経過及び結果を中間報告申  出書として取りまとめ、議長及び執行部に提出することを決定した。 (説明及び答弁要旨) ・ 39人から、事業の推進、運営方法、立地場所、施設、展示・資料、天体観測、  クラブ・教室・講座、プラネタリウムについて167件の意見等の提出があった。 ・ KIGS隣の市有地に設置してほしいとの意見があったが、利便性や来館者  数の確保、コスト等を総合的に勘案し、新科学館の整備を計画どおり実施する。  なお、市民意見や新科学館展示・運営検討会から示された料金設定、費用対  効果、人員体制、事業の所掌、他施設との連携、収入増の取組の留意点を踏ま  えて今後検討を進める。 ・ 令和元年度中に基本設計を完了させ、令和2年度は実施設計やプラネタリウ  ム事業者の選定に着手し、令和3年中の開業を予定している。 ・ 新科学館展示・運営検討会で提出された新たな意見について説明があった。 ・ 新科学館の展示については、北九州市のまちと科学がつながる、不思議を感  じて考える、宇宙と北九州市のつながりの3つの方針から設計する。 ・ 新科学館のフロア構成について、  1階は北九州市の科学として、市内企業、大学の技術紹介や藤田哲也博士の  顕彰コーナー、未就学児を対象としたキッズゾーン、   2階は暮らしの科学と科学の基礎として、不思議な科学現象を体感した上で、   科学的な視点や思考に導く展示フロア、   3階は宇宙の科学として、最新鋭のプラネタリウムを中心に、宇宙開発の技   や歴史、北九州市と宇宙の関わりなどを紹介する  との説明があった。 ・ 新科学館とKIGSの主な機能分担案については、新科学館には展示及びプ  ラネタリウム、KIGSには教育普及活動の機能を集約する。 ・ 展示やプラネタリウムは不特定多数を対象にした集客的な要素を持つため、  イオンモール敷地内に整備することでより多くの人が来館する可能性が高ま  り、東田地区のにぎわいづくりにも資するものと考えている。 ・ 科学に関する展示を体験して科学教室に関心を持つ、実験教室で科学の不思  議な現象に興味を持って、その原理を知りたいと思うことは理系人材育成の観  点からぜひ行っていきたいと考えている。 ・ 新科学館とKIGSの動線については、いのちのたび博物館や環境ミュージ  アムと併せて、東田ミュージアムパークとして面的に一体として捉え、回遊性  を高める取組が必要だと考えている。周遊券や同一テーマでの企画展の開催と  いったソフト的な連携、4つの館を移動すること自体に楽しみが見いだせるよ  うな仕掛けを関係部局と協議しながら引き続き検討を進めていきたい。 ・ KIGSについては、企画展示室と年表のギャラリーを新しく整備する館に  集約し、空いたスペースに化学実験ができる実験室、プログラミング教室や学  習室、若者等の創作活動スペースの機能を持つ交流室を整備する予定である。 ・ 知的障害者など聴覚障害者以外への配慮も考えるべきという意見は、プラネ  タリウムの上映中に声が出る方への対応ができるような人材や体制を整備し  てほしいというものである。 ・ 新科学館のコンセプトは集客的な要素はあるが、子供に対する教育、理系人  材の育成が重要であると考えており、基本的には小学生を中心に、高校生まで  が利用する施設となるように考えている。また、早くから科学への関心のきっ  かけになればということで、未就学児についても対象に加えたところである。 ・ 暮らしに関する最新技術については日常生活において科学がどのように応用  されているのかを解説したい。 ・ ITやロボットなど最新技術によって将来の生活がどのように変わっていく  か感じられる展示にしたい。 ・ 施設の運営については、市民文化スポーツ局、産業経済局など関係部局と今  後検討していきたい。≪委員の主な意見≫ ・ 指定管理者ではなく直営による運営を求める市民意見が多いので、直営で学  芸員を置いた運営体制を検討されたい。 ・ 市民意見にもある無重力に近い状態を体験できる施設の設置を検討されたい。 ・ 実験や体験を通して科学を考える施設にしてほしい。  ○ 令和2年3月27日 保健福祉委員会   新科学館の展示構成(案)、国補助事業の採択及び今後の予定について、当局  から説明を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 前回の展示構成(素案)から追加、変更があった1階の活動紹介スペース及  びキッズスペース、2階の映像展示、科学のみかた及びPLAY!SCIEN  CE、3階の星座と月の満ち欠けの展示内容について説明があった。   また、内閣府所管の地方創生拠点整備交付金として8億2,750万円が採択され、  内装など施設整備に係る設計整備費と附帯設備であるプラネタリウム等の整備  費が補助対象となるとの説明があった。   今年度で基本設計は終了し、来年度は実施設計やプラネタリウム事業者の選  定を行い、開館時期はイオンモールの新施設がオープンする予定の令和4年春  に合わせる方向で調整している。 ・ 運営主体、運営方法、利用料金等については、これまでいただいた意見を踏  まえて、来年度以降本格的に検討を進めていく予定である。 ・ 竜巻発生装置は現在名古屋市科学館が国内最大であるが、今後国内最大とな  る方向で検討していきたい。≪委員の主な意見≫ ・ 国の交付金を活用して、内装、設備もよいものになるよう検討されたい。 ・ 西日本最大級のプラネタリウムや国内最大級の竜巻実験装置などインパクト  があり、分かりやすい表現でアピールされたい。 ・ 運営方法や学芸員については委員会の提案も考慮されたい。 ・ 子供が科学に興味を持ち、第2、第3の藤田博士が生まれるように、藤田博  士の展示も含めて工夫されたい。 ○ 令和2年7月22日 保健福祉委員会   新科学館のプラネタリウムの受託候補者の選定及び受託候補者の提案内容、今  後の予定について、当局から説明を受けた。  (説明及び答弁要旨) ・ 新科学館のプラネタリウム機器等設置業務について、公募型プロポーザルを  行い、3社から提案があり、6月17日に開催した公募型プロポーザル審査委員  会の結果を基に、株式会社五藤光学研究所を受託候補者として決定した。 ・ 受託候補者からの主な提案内容は、   全体にわたる基本的な考え方として、天文学習からエンターテインメントま  で、星空、映像、空間が調和した世界最高峰のプラネタリウム   投映機器は世界最高峰のハイブリッド・プラネタリウムで、国内唯一の技術  で自然と同じ究極の星空を提供し、全天デジタル式の可視化映像と組み合  わせ、天文学習効果を向上する。   光学式投映機器は本物の星空を追求した世界最高性能のもので、双眼鏡を使  ったスターウオッチングも可能な天文写真品質の星空で、また、町なかのよう  な明るい場所から、秘境のような場所まで地球上のあらゆる場所、環境で見ら  れる星空を独自技術で完全に再現できる。投映機器本体は大型ドーム向けとし  ては世界最小で観覧者の視界を極力遮らないもので作動音も図書館並みの静粛  性を誇る。   デジタル式投映機器は国内最高クラスの全天デジタル式投映機器で、8K  相当の高解像度プロジェクターを4台使用し、明るい全天映像を投映する。  また、地上の風景を20K相当の高解像度の動画で投映するプロジェクターを準  備し、北九州市内の街の明かりが明滅する様子を再現する。また、光学式の星  に重ね合わせる星座絵や惑星の拡大映像、宇宙空間を自在に行き来する映像、  ロケットの打ち上げや日食、月食などの天文現象のライブ中継をドーム内で観  賞することも可能である。   光学式とデジタル式の投映機器を1つの製品のように制御できるハイブリッ  ドシステムであり、操作する人間の使い勝手も非常によい。   プラネタリウムの室内はイベント演出も可能な没入感のある空間とし、飛行  機のファーストクラス並みの座席間隔や寝転んで観賞できるデラックスシート  など国内最高のゆとりのある座席が提案されている。   また、全ての人に優しいバリアフリーということで、国内最多の車椅子用ス  ペースやベビーカーの収納スペース、乳幼児の避難室、聴覚障害の方の補聴ヒ  アリングループ、外国人向けの多言語システムを備えている。そのほかにも国  内最大のステージや国内唯一のランウエー及び花道も提案されている。   天文学習の効果をより高める仕組みとして、市内の全小学校の風景を映し出  せるようにするほか、端末型の回答機により児童生徒や観客と双方向でやりと  りできる仕組み、解説員が操作卓を離れてステージなどに立って観客とコミュ  ニケーションを取りながら解説できる環境設備などの提案がなされている。 ・ 現在年内の終了をめどに展示物や内装、設備の実施設計を行っている。プラ  ネタリウムについては、7月から仕様の調整や建物く体との協議に入り、その  後機器の製作、設置、調整を行う予定で、令和4年春のオープンに向けて引き  続き調整を行う予定である。 ・ 小学校からの風景は小学校4年生が天文学習に訪れた際、星の見え方などが  理解しやすいように取り入れるものだが、それ以外の使い方については委員の  提案も踏まえて検討していきたい。 ・ リピーターの確保に向けて、展示物を含めたコンテンツの更新は重要な視点  であると考えており、エンターテインメント性の高いプログラムへの更新など  計画的に進めていきたい。 ・ ステージなどの使用方法は現時点で決まっているわけではないが、他の科学  館の事例などを参考に検討を進めたい。 ・ 感染症に対しては、非接触型の展示方法やウイルスへの低減効果がある空調  設備や床材などの導入を含めて検討していきたい。 ≪委員の主な意見≫ ・ 専門の学芸員によるプラネタリウムのコンテンツ作成などが十分保障される  よう運営されたい。 ・ 企画に当たっては女性の意見を取り入れられたい。 ・ 感染症対策にしっかりと取り組み、安心して訪れられる施設にされたい。 ・ 施設の機能が有効に活用されるように十分検討されたい。 ・ 新型コロナウイルス感染症により施設が計画どおり開館するか心配する市民  もいるので、市民への適切な情報発信に努められたい。 ○ 令和2年10月28日 保健福祉委員会   新科学館の展示等の実施設計、KIGSの改修及び今後のスケジュールについて、  当局から説明を受けた。   また、報告書取りまとめのため、委員間討議を行った。(説明及び答弁要旨) ・ 展示の考え方は、「「考える力」が身に付く科学館」とし、発見、観察、探索  といった展示体験を通じて、子供たちの好奇心を考えるにつなげ、科学的な思考  を養うこととしている。 ・ 1階は本市の科学技術や産業技術を過去から近未来に至るまで紹介し、それら  を発見してもらいながら本市を紹介するフロアで、来館者のアクションにより北  九州市の科学や産業に関する情報を探し出す「北九州市ウォール」、鳥の目線で  北九州市を空中散歩するような「北九州市ストリーム」、国内最大の竜巻発生装  置、藤田哲也博士の顕彰コーナー、本市の理工系の大学の紹介コーナーなどを設  置する。 ・ 2階は科学現象を多様な見方で観察し、来館者が科学の本質を考えるきっかけ  となる展示を行うフロアで、科学的な物の見方のヒントを与えるような映像やア  イテム、不思議な振り子運動を見せる大型のペンデュラムウェーブ、バージョン  アップした「ウィンドシミュレータ」、「ルパンウォーク」、「まほうの鏡」な  どを設置する。 ・ 3階は大型プラネタリウムを中心とする宇宙のフロアで、スペースワールドの  宇宙博物館に展示されていた月の石をはじめとした貴重な資料を展示する。 ・ また、親子で科学を楽しむキッズスペースや大規模巡回展も開催可能な企画展  示室、科学館らしい演出をしたトイレやロッカーを設置する。 ・ 新型コロナウイルス感染症の対策として、事前予約・決済システム、スマホで  楽しめるコンテンツ、地元企業の光触媒技術を活用した床タイルや空調設備のフ  ィルターなどを導入する。 ・ 今回の案をベースに最終調整を行い、年内に仕様を確定し、来年1月以降、展  示等の製作作業に着手する予定であり、整備費用については本年12月定例会に  補正予算を計上する予定である。 ・ KIGSについては、本年7月基本・実施設計に着手し、工作室、実験室の新  設やトイレの改修等を検討中である。令和3年3月に基本・実施設計を終了し、  令和3年度1年間休館し、改修工事を実施する予定である。 ・ 新科学館の今後の予定は本年12月に実施設計を終了させ、来年1月から展示  製作に着手。令和3年度はプラネタリウム、内装、設備等の整備を行い、令和4  年春に開館予定である。 ・ 教育委員会とは展示物の選定や小学4年生の天文学習以外でも校外学習で科学  館を利用できないかなどについて情報共有や協議を行っている。 ・ 新設館、KIGSとも書籍等で調べる機能を十分確保したいと考えている。 ・ KIGSに多目的に使用できる交流スペースの設置を検討しており、学習など  にも使えるよう考えていきたい。 ・ 楽しく学んでいくことができるように、体験型の展示についてしっかりと整備  していきたい。 ・ 運営方式や学芸員の配置については他都市の事例等も踏まえながら現在検討を  進めており、年度末までに結論を出す予定である。≪委員の主な意見≫ ・ タブレット端末やスマートフォンの活用により、聴覚障害の方も展示内容を理  解できたり、コンテンツが楽しめたりできる科学館となるよう配慮されたい。 ・ 不登校の子供たちの居場所としても機能できるように検討されたい。 ・ リピーターを増やすための企画展の充実や近隣の小学生へのPRなど50万人  の集客目標が達成できるよう努められたい。  ○ まとめ   八幡東区桃園にある児童文化科学館は子供をはじめとして、これまで多くの市民  に愛されてきた施設である。社会見学や遠足、家族などで出かけ、たくさんの思い  出が詰まった場所である。   しかし、委員会による現地視察でも施設や設備の老朽化が目立ち、バリアフリー  化も十分とはいえず、来館者がほとんどいない状態であり、一刻も早い新科学館の  移転新設が求められていると感じた。   現在八幡東区東田地区に移転新設が検討されている新科学館には、子供たちへの  教育普及活動はもちろんのこと、修学旅行生や海外の観光客をはじめとした市内外  の多くの来館者を迎える集客施設として地域振興への貢献が期待されている。   このため、本委員会では、委員会での調査研究、名古屋市の名古屋市科学館や大  阪市の大阪市立科学館の視察を行い、令和2年2月5日に中間報告申出書を取りま  とめ、新科学館の移転新設に当たって提言を行った。   本委員会の提言を踏まえ、本市出身の竜巻研究に関する第一人者である藤田哲也  博士の研究業績の紹介や国内最大の竜巻発生装置の設置、ドーム径30メートルのプ  ラネタリウム整備やスマートフォンなどを活用した事前予約システム、AR・VR  映像の導入、施設のバリアフリー化などが実施設計に反映され、KIGSについて  も工作室や実験室の新設やトイレの改修など必要な整備が検討されている。また、  中間報告申出書提出以降に委員から提案された新型コロナウイルス感染症への対  策についても取り入れられたところである。   基本計画にあるように新科学館には「科学や技術への興味・関心を高め、北九州  市の未来を担う人材を育む、賑わいを創出する科学館」となり、「北九州都市圏域  全体の発展に寄与し、北九州市の未来を創る原動力になる」ことが求められている。   現在、令和4年春の開館に向けて、プラネタリウムの仕様や展示構成の検討が進  んでいるが、新科学館が児童文化科学館のレガシーを受け継ぎ、多くの市民に親し  まれ、日本国内のみならず海外からも観光客が訪れ、地域振興の拠点施設の一つと  なるよう本委員会として次のとおり提言する。ア 施設整備、コンセプトについて ○ 実験や体験を通して、科学を楽しんで学べる施設とすること。 ○ スマートフォンの活用などにより、聴覚障害を持っている人なども新科学館を  楽しめる施設整備を検討すること。 ○ 不登校の子供たちの居場所としても機能できるように検討すること。 ○ 休憩所や食事スペースなどイオンモールとの連携を図ること。 ○ 将来ノーベル賞の受賞者や第2、第3の藤田博士のような研究者を出すために  子供たちの科学への興味や関心を高める具体的な目標を掲げて科学館を運営す  ること。 ○ 感染症対策にしっかりと取り組み、安心して訪れられる施設とすること。 ○ 施設の機能が有効に活用されるよう十分に検討すること。イ 集客、情報発信について ○ 国内最大の竜巻発生装置や世界最高峰のプラネタリウムなどのコンテンツを  生かし、子供が科学への関心を持ち、集客力のある科学館を目指すこと。 ○ アプリを活用したイベント案内や星座に関わる神話の紹介など積極的な情報  発信を図ること。 ○ 体験型施設の整備やその更新、企画展の充実などを図り、何度でも訪れたい施  設とすること。 ○ 現在想定されている収支率が10%から25%と低いため、経営感覚を持って、イ  ベント開催やネーミングライツ、企業への貸出しなど収入確保の仕組みや十分な  初期投資などにより、収支率の向上を図ること。 ○ 新型コロナウイルス感染症により施設が計画どおりに開館するか心配する市  民もいるので適切な情報発信に努めること。ウ KIGSをはじめとした東田地区の博物館群との連携について ○ KIGSとの一体的運営の強みを最大限発揮するため必要な改修を行うこと。 ○ 安全面や交通渋滞を考慮して、新科学館とKIGSをはじめとした東田地区の  博物館群との動線について十分に検討すること。 ○ 周辺の博物館等との共通入場券などを創設すること。エ 運営体制の在り方について ○ 学芸員など専門的な知識を持った人材確保を検討すること。 ○ 専門的な人材確保などの観点から、短期間で事業者が変わる指定管理者制度は  なじまないのではないかと考えられるため、長期間にわたって質の高い人材を育  成できる運営体制を検討すること。 ○ 新科学館の企画に当たっては、女性の意見を取り入れること。 ○ 学芸員によるプラネタリウムのコンテンツ制作などが十分保障されるよう運  営すること。オ その他 ○ 児童文化科学館で実施されている児童文化に関する事業については、こども文  化会館の老朽化などの問題と併せて、今後の方向性を示すこと。(2)健康寿命の延伸について ○ 平成31年4月17日 保健福祉委員会   本市の健康寿命の現状及び健康寿命延伸に向けた取組について、当局から説明  を受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 国は健康日本21第二次で、平成34年度(令和4年度)に平均寿命の増加を  上回る健康寿命の増加と健康寿命の都道府県格差の縮小を目指している。 ・ 本市の健康寿命は国に比べて、平成22年時点は男性2年、女性1.4年短か  ったが、平成28年は全国との差も短くなっている。これは、市民センターを  拠点とした健康づくり事業「地域でGO!GO!健康づくり」や、生活習慣病  予防及び重症化予防の個別アプローチの強化や強みを生かした健康づくりを  進めてきたことによるものと考えている。 ・ 本市の健康寿命(平成28年)と平均寿命(平成27年)の差は男性で8.5年、  女性で13.1年となっている。 ・ 平成28年における健康寿命の政令指定都市比較によると、本市の健康寿命  は政令市の中で男性11位、女性12位となっており、1位の浜松市と比較する  と男性1.26年、女性2.18年短い。 ・ 国によると健康寿命の延伸には、栄養、運動、休養、禁煙、飲酒等の生活習  慣や温暖な気候、経済的余裕、社会参加や地域のつながり、前向きな気持ち、  保健予防施策や医療体制が充実していることなどが関連している可能性があ  るとされている。 ・ 調査によると本市では約8割が野菜不足と感じている、適正な食塩量の知識  がある割合は56.6%、男女とも65歳以上より65歳未満のほうが運動習慣が  少ない、喫煙率は減少傾向であるが、全国と比較して特に若い女性の喫煙率が  高い、また、家庭での受動喫煙の機会が全国より高い、子宮けいがん検診、乳  がん検診、大腸がん検診の受診率が減少しているなどの課題が見られる。 ・ 平成30年3月に策定した第二次北九州市健康づくり推進プランのスローガ  ン「オール北九州で健康(幸)寿命を延伸する~元気でGO!GO!プラス2  歳へスクラムトライ!~」を実現するため、企業、地域団体、NPO、福岡県  などと連携し、健康づくりだけでなく、健康寿命との関連性が高いとされてい  る高齢者の生きがい、社会参加と高齢者就労を加えた3本柱を推進し、さらな  る健康寿命の延伸を実現し、経済活性化、健康保険の健全経営、医療費の適正  化、地域活性化につなげていきたい。 ・ 健康づくりでは、生活習慣病予防及び重症化予防の推進、健康格差の縮小、  市民の健康を支える環境づくりの3つの基本目標の達成に向け、健(検)診受  診率の向上や食を通した生活習慣病予防、喫煙や受動喫煙防止対策など112の  事業を着実に進める。 ・ 生きがい、社会参加では、北九州市いきいき長寿プランに沿って、年長者研  修大学校、生涯現役夢追い塾、ボランティア大学校など地域活動を担う人材育  成の事業と高齢者サロン活動や老人クラブ活動など地域住民が主体となって  推進する事業を両輪として進める。 ・ 高齢者就労の促進では、産業経済局が中心となって、シルバー人材センター  や高齢者の就労の相談支援などの事業を推進する。 ・ たばこ対策、受動喫煙防止対策として、平成30年7月に成立した改正健康  増進法に基づく受動喫煙防止対策のため、市の広報媒体や健康教育などを活用  した普及啓発、関係団体と連携した説明会や講演会の実施、きたきゅう健康づ  くり応援店の「たばこの煙のない店」の広報等に取り組むとともに、関連機関  との連携による禁煙・喫煙防止に関する支援に対する取組も進めていきたい。 ・ 全国的に男性より女性のほうが不健康な期間が長い結果になっている。 ・ 浜松市の健康寿命が長い理由は、静岡県西部から愛知県東部は健康寿命が割  と長い地域であり、就労環境として大手企業の製造拠点や下請企業も含めた社  会経済的な雇用システムが存在すること、気候が温暖で食生活が豊かであるこ  と、農業が盛んで元気に働いている高齢者が多いこと、がん検診の受診率も政  令市の中で高く、健康に対する意識が高いことがあると考えている。 ・ 福岡市の女性の健康寿命が高い理由は、平成25年から健康づくりの計画の  中で、具体的な展開の一つとして、女性の健康づくりを位置づけて、特に取組  を進めてきたこと、子宮けいがん、乳がんの受診率も本市より高いことが影響  しているのではないかと考えている。 ・ 健康寿命については、身体的、精神的、社会的な要素が内包されている指標  であり、特定の要素が原因となるものではないと考えている。 ・ 特定健診の結果が悪いが、医療機関を受診していない者への受診勧奨の取組  を進めていきたい。 ・ 野菜の必要量が料理にすると5皿ぐらいになるなど目に見える形でのポスタ  ー等の作成、配布や、栄養士のレシピの配布、保育所等で家庭用配布献立の野  菜に関する記事の掲載、プラス野菜1皿運動などの事業を実施している。 ・ 禁煙については受動喫煙の防止とともに、喫煙者の割合の減少についても平  成34年度(令和4年度)までに男性22%、女性7%の目標値を設定して取り  組んでいる。 ・ 肺年齢を測定する機器を各区役所と認知症支援・介護予防センターに設置し  て、健康教育等の場で測定し、啓発に努めている。 ・ 野菜の摂取量は国の調査によると全国平均が288.2グラムとなっており、男  性が295.4グラム、女性が281.9グラムで10年間いずれも有意な増減は見ら  れない。また、年齢別では、男性は30歳代、女性は20歳代が最も少なく、男  女とも60歳代が最も多い。≪委員の主な意見≫ ・ 特定健診の結果に健康年齢を通知する他都市の事業について研究したい。 ・ 喫煙場所については、たばこの煙や臭いの影響が周囲にないようにきちんと  設置し、市民の指摘には真摯に対応するよう対策を講じられたい。 ・ 医療機関を受診することになっても、病気や障害が進行するのではなく、健  康を取り戻せるように、医療の在り方を含めて検討されたい。 ・ 世代別に運動している人の割合の調査を今後も続けていかれたい。 ・ 肺年齢の数値など分かりやすい指標を使って、健康づくりの取組を広げる必  要があると考える。 ・ 実際の家庭での食事内容を把握した上で、プラスアルファの食生活をレシピ  などで提案できるような改善が必要ではないかと考える。 ・ もっと多くの市民が参加するように健康フェスタのような健康に関する催し  が市民の間でさらに周知されるよう取り組まれたい。 ・ 学校給食の献立を子供が提案する取組など教育委員会と連携することで、野  菜の摂取量の増加などにつながるのではないかと考えている。 ・ 他都市の例を参考に、子供や若い女性の食生活の偏りに対する効果的な取組  について研究されたい。   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年5月20日 保健福祉委員会   令和元年度の行政視察について、委員間で検討を行った。各委員から出され  た意見を踏まえ、正副委員長の行程(案)を作成し、委員会に提示することを  決定した。 ○ 令和元年8月20日 保健福祉委員会   令和元年度の行政視察のうち、健康寿命の延伸については、正副委員長の行程  (案)のとおり、10月28日に、愛知県蒲郡市の健康年齢の通知の取組について、  視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年10月16日 保健福祉委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年10月28日 行政視察(愛知県蒲郡市)   蒲郡市における健康年齢の通知の取組について視察を行った。   蒲郡市では平成25年度から健康づくりを市の重点施策として、全庁を挙げて  健康づくりの取組を進めることになり、27課、43名からなるプロジェクトチー  ムをつくり、5つのグループ(食べる、動く、メタボ改善、場づくり、人づくり)  に分かれて、健康づくりの施策を検討している。    国民健康保険については、国民健康保険被保険者の健康の保持、増進を目指し、  予防と医療費の適正化を目標として、関係機関と連携し、対策を行っている。   健康年齢の通知は健康に無関心な層の受診率向上や健康への関心及び生活改  善による健康年齢の意識の向上を図るために、平成30年度から実施しており、  事務費は約200万円かかっている。   健康年齢の通知は圧着はがきで年2回、9月までの受診者は11月中、10月以  降の受診者は3月中に通知している。平成30年度の通知件数は2,686通、3月  は2,740通である。なお、特定健診の健診結果は受診後約1カ月で送付している。   健康年齢が実年齢より高い市民から、どうしたらいいかとの問合せがあるが、  身体のどこかに異常があるので、これからも受診して健康管理に気をつけるよう  説明し、健康意識を高めてもらうための契機としている。   健康年齢の通知は分かりやすく見やすいデザインを心がけている。男女とも年  齢が下がるにつれて、2年以上受診歴なしの割合が増えている。男性は50歳か  ら54歳で実年齢とのかい離が見られ、女性は年齢が上がるにつれて実年齢より  健康年齢が低い傾向が見られる。実年齢より健康年齢が20歳以上高い人は、女  性は少ないが男性は多く、実年齢と健康年齢の格差については、男女では40歳  半ばから50歳代までで差があり、60歳代で男女に開きが出ている。   蒲郡市ではこのほかにも体重測定100日チャレンジ、節目人間ドック、出張特  定健康診査、健診結果の活用セミナー、「運動サポートセンター」、「スマート・  ライフ・ステイ in 蒲郡」などの実施や受動喫煙防止条例を制定し健康づくり  を進めている。 ○ 令和元年11月20日 保健福祉委員会   愛知県蒲郡市の取組について意見交換を行った。≪意見交換での主な意見≫ ・ 健康年齢の通知は本市で実施する場合、かなりの費用がかかると考えられ、  機械的な導入は困難である。健康への関心が低い層への啓発は様々な工夫をし  ながら、取り組むことが必要と感じた。 ・ 健康年齢の通知は健康意識の醸成のためにはいい施策である。 ・ 受診率向上の一手として、電子メールによる健康年齢の通知などのシステ  ム構築にチャレンジしてもいいのではないか。 ・ 蒲郡市は保健福祉担当だけでなく、全庁的に取り組む姿勢がすばらしい。 ・ 特定健診や特定保健指導を向上させようとする高い意欲を感じた。 ・ 特定健診の受診率向上には日頃から自分の健康について関心を持つことが  一番大切だと感じた。また、気になることがあった場合に相談する仕組みが大  切だと思った。 ○ 令和2年8月19日 視察(小倉北区 岡本土木株式会社・株式会社サンレー)   健康寿命の延伸の参考とするため、岡本土木株式会社及び株式会社サンレーの  視察を行った。   現地ではそれぞれの会社で実施されている健康寿命の取組について説明を受  けた後、質疑応答、意見交換を行った。[岡本土木株式会社](説明及び答弁要旨) ・ 健康管理を進めることにより、業務の効率化や企業の活性化につながり、収  益の向上が見込まれる。また、企業のイメージアップ、ホワイト企業化といっ  た経営課題の解消にもなる。  ・ 岡本土木株式会社では企業で求められる、年1回の定期健康診断の受診、産  業医の選定、ストレスチェックなどが義務づけられており、所見のあった社員  に対しては産業医によるフォロー面談などを実施している。 ・ 岡本土木株式会社では平成29年1月1日から健康維持促進手当(禁煙手当)  の規定を施行し、喫煙率減少に向けて取組を強化した。令和元年7月に喫煙者  ZERO企業を目指すという社長通達を全社員に通知し、当社オリジナルポス  ターを全職場に配布した(この活動で第7回北九州市健康づくり活動優秀賞を  受賞)。 ・ 禁煙手当は定期健康診断での有所見者の減少や喫煙者による健康障害の減少、  職場環境の改善や受動喫煙の対策を目的としている。 ・ 禁煙手当の支給は年末に禁煙宣言書を提出した者で、翌年に喫煙を行わなか  った者を対象として支給している(月額3,000円)。なお、支給後、喫煙が発覚  した場合は全額を返金させている。 ・ 健康増進法が本年4月から全面施行されたことに伴い、就業規則の改定や社  内通達、喫煙者ZERO企業を目指しての発刊やポスターを作成し、各事業所  への配布、掲示を行っている。 ・ 平成29年の禁煙率は39%であり半数以上の社員が喫煙していたが、禁煙への  取組を行った結果、令和元年の禁煙率は67%に増加し、2年間で約28%の社員  が禁煙者となった。 ・ 今年の4月より完全週休2日制を導入し、働き方改革の取組を強化している。  また、有給休暇取得推進日を新設し、有給休暇が取得しやすい環境を整えてい  る。 ・ 一部断念した社員はいるが、ほとんどの社員は禁煙の取組を続けている。 ・ 世の中の常識が喫煙から禁煙に変わっているので会社の常識もそれからずれ  てはいけないということで前社長が取組を進めてきた。建設業界の喫煙率は実  際には高くないが、高いというイメージがあるのでそういうイメージの払拭の  ためにも率先して取り組んでいきたい。 ・ もともとたばこを吸わない社員にもインセンティブとして手当を支給してい  る。 ・ 禁煙の取組を進め、全体的には下がっていないが、高血圧の所見は1ポイン  トほど下がっており意義があると考えている。今後は定期健康診断後の産業医  による指導などのフォローを強化していきたいと考えている。 ・ 禁煙を含めて、様々な企業のイメージアップの取組により、採用活動によい  影響があると考えている。[株式会社サンレー](説明及び答弁要旨) ・ 7年前に社員の研修施設として天道館が建てられたが、研修で利用していな  い日は地域で活用してほしいとの思いから一般に開放している。 ・ 天道館を本拠地として、ともいき倶楽部を組織している。ともいき倶楽部は、  人は老いるほど豊かになっていくとの信条に基づいて、高齢者が支え合って生  きていこうという目的で5年前に発足した。活動の一環として原則として毎月  第2木曜日に笑いの会を開催している。 ・ 笑いの会では物まね、楽器演奏、落語、手品など様々な芸を行っており、入  場料は1回500円。今まで66回実施し、1回平均45人。先日の笑いの会で通  算の入場者数は3,000人を突破した。 ・ 笑いの会にはポイントカードがあり、5ポイントたまったら好きな景品がも  らえるようにして、来場したくなる工夫をしている。 ・ 笑いの会の企画、資料作成などは基本的に所長が行い、当日の受付等は社員  のサポートで運営している。 ・ 笑いの会の参加者について特に制限は設けていない。 ・ 笑いの会にはつえをついて、一歩一歩踏みしめながら来る人もおり、健康寿  命の延伸の効果があると考えている。  ・ また、天道館は趣味の会の会場として、地域の方に無料開放しており、ヨガ、  茶道、気功の講座が行われている。冷暖房代は施設で負担している。 ・ 保安上の問題により施設管理を社員が行っており、平日の夜や土日は時間外  手当などが発生するので開放が難しい。 ・ 3年前から、八幡西区の北九州紫雲閣でも笑いの会を活動している。 ・ 5年前から、地域コミュニティーの強化に貢献するため、「お隣さんいらっ  しゃい」という無料イベントを市民センターや各地の紫雲閣などで50回以上  実施している。また、紫雲閣のセレモニーホールが空いているときに無料開放  している。 ・ これらの事業は地域貢献活動の一環であり、営業活動はしていない。 ・ 新型コロナウイルス感染症で休止していたが、再開後の笑いの会の入場者数  は今のところ減少している。 ○ 令和2年10月28日 保健福祉委員会   報告書取りまとめのため、委員間討議を行った。[委員間討議における主な発言内容] ・ 岡本土木株式会社の健康維持促進手当(禁煙手当)の支給や禁煙外来治療費の  負担など完全禁煙を目指す取組は市内では際立った取組であり、同様の自主的な  取組が進むよう市自らと市内企業へのさらなる啓発の必要性を感じた。 ○ まとめ   医療技術の進歩により、令和元年の日本人の平均寿命は、男性81.41年、女性  87.45年と過去最高を更新したが、自分らしい納得できる生活を送るためには健  康寿命の延伸が不可欠である。   本市では、「オール北九州で健康(幸)寿命を延伸する~元気でGO!GO!  プラス2歳へスクラムトライ!」をスローガンに、企業、地域団体、NPO、福  岡県などが一体となって様々な事業を展開しているが、健康寿命の延伸のために  は、市民一人一人の健康意識をどのように向上させるかが重要である。   健康意識の向上のためには、視察を行った愛知県蒲郡市で実施されている健康  年齢の通知は参考になると思われる。健康年齢の通知自体は費用対効果の課題も  あり、そのまま本市に導入することは困難であると思われるが、健康年齢の通知  のような様々な施策を展開して、健康への関心が低い層へのさらなる啓発に努め  られたい。   また、健康寿命の延伸のためには、食生活や健康に関する正しい知識を持つこ  とが必要である。新聞やテレビ、雑誌、SNSなど様々なメディアで健康に関す  る情報が紹介されているが、真偽が明らかでない情報も少なくない。委員からは  「人は食べているものでできている。」との意見もあった。   このため、健康フェスタのような健康に関する催しをもっと周知して、多くの  市民が参加するように取り組む必要があると考える。   また、食生活の改善には親への啓発も必要であるが、将来を考えると子供自身  の理解が重要である。子供が学校給食の献立を提案する取組は子供が食生活の重  要性を理解するきっかけとして参考になると思うが、他都市の事例なども研究し  て、子供自身が食生活の正しい知識を習得できる効果的な取組を検討されたい。   一方、高齢者の食生活の改善に関しては、委員から、市民センターなどでふれ  あい昼食交流会が行われているが、高齢者から実際の食生活が十分検討されてい  ないので参加者が少ないのではないかとの指摘があるので、ふれあい昼食交流会  の実施に当たっては高齢者の実際の食生活を反映した健康的な献立を提案する  などして多くの市民が気軽に参加できるよう工夫されたいとの意見があった。   ふれあい昼食交流会については高齢者の食生活の改善やいきがいづくりのた  めにも有意義な事業であるが、施策の推進にあたっては今後も高齢者や現場の食  生活改善推進員の意見を聞いて、よりよい事業となるように取り組まれたい。   また、健康寿命の延伸のためには禁煙対策や受動喫煙防止対策の推進も必要で  ある。喫煙は死亡の最大のリスク要因であり、受動喫煙により、年間約1万5,000  人が死亡しているとの推計もある。本市の喫煙率は減少傾向にあるが、20代、30  代女性の喫煙率が高く、家庭での受動喫煙の機会が全国の約2倍となっているな  どの課題がある。   令和2年4月には望まない受動喫煙をなくすことを趣旨とした改正健康増進  法が完全施行され、市でもこれまで様々な禁煙・受動喫煙対策を行っているが、  本市の課題を考慮すると若者の禁煙・受動喫煙対策が重要であり、視察を行った  岡本土木株式会社の健康維持促進手当(禁煙手当)の支給や禁煙外来治療費の負  担など完全禁煙を目指す取組は参考になると思われる。   このため、このような取組が市役所や他の市内企業にも広がり、若者の喫煙率  の減少や受動喫煙の被害がなくなるように、市として一層啓発に取り組まれたい。   令和2年1月16日、新型コロナウイルス感染症の感染者が国内で初めて報告  された。感染が広がる中で人々の健康に対する意識や生活習慣が変化してきたも  のと思われる。   現時点では新型コロナウイルス感染症が健康寿命にどのような影響を与える  かは分からないが、本委員会としては、今後も市民が健康で生活を続けることが  できるように、より実効性のある施策を実施することを期待する。(3)子供の視点に立った子育て支援について ○ 令和元年4月17日 保健福祉委員会   令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視  察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年5月20日 保健福祉委員会  「元気発進!子どもプラン(第2次計画)」の実績・成果及び「元気発進!子ど  もプラン(第3時計画)」(次期子どもプラン)の策定について、当局から説明を  受けた。(説明及び答弁要旨) ・ 子どもプランは次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成行動計画及び  子ども・子育て支援法に基づき、保育や地域子ども・子育て支援事業の提供体  制等に関して策定する子ども・子育て支援事業計画を合わせた計画である。 ・ 位置づけとしては、市の基本計画の分野別計画として、本市の子供の健全育  成や子育て支援の基本的方向及び具体的な取組を示すもので、第2次計画は平  成27年度から平成31年度(令和元年度)までの5か年計画である。 ・ 保育所の待機児童数については、保育所の新設や改築等による定員増、保育  サービスコンシェルジュの配置、予備保育士の雇用補助による保育士の確保な  どにより、例年4月はゼロを維持しており、政令市で唯一平成30年10月の待機  児童数ゼロを達成するなどの成果を上げた。 ・ 、小児医療体制については、24時間365日対応可能な小児救急医療が  4か所ある体制を維持している。 ・ 妊娠・出産・育児における指導・相談体制の充実については、乳児家庭全戸  訪問や養育が困難な家庭への訪問、区役所の体制強化、産科医が妊産婦と小児  科医をつなぐペリネイタルビジット事業などの事業を実施した。 ・ 青少年の健全育成、子供・若者の自立や立ち直り支援については、「青少年  の非行を生まない地域づくり」推進本部における非行防止や薬物等乱用防止、  立ち直り支援の取組の実施により、非行者率は平成25年度の11.0人(少年人口  1,000人当たり)から平成29年度には5.4人へと減少した。また、子ども・若者  応援センターYELLの運営、不登校状態の子どもに寄り添った次への一歩応  援事業などの事業を行っている。 ・ 独り親家庭等への支援については、高等職業訓練促進給付金に加え、市独自  の給付金の支給、母子・父子福祉センターでの無料法律相談や就業支援講座な  どを実施し、独り親家庭の就業率は、平成23年度母子家庭83.6%、父子家庭  91.8%から平成28年度にはそれぞれ87.9%、94.2%に上昇した。 ・ 次期子どもプランは令和2年度から令和6年度までの5カ年計画で、第2次  計画の成果や市民アンケートの結果、子ども・子育て会議での議論を踏まえて  検討を進めている。 ・ 次期子どもプランにおいては、「子育てを切れ目なく支える」、「幼児の教  育・保育の質の向上」、「子どもの居場所づくりの推進」、「新科学館の整備」、「児  童虐待防止の強化」、「地域活動を支える人材の活用・育成」の6つの項目に重  点を置いて取り組む。 ・ 基本理念は「子どもたちの未来を育み、みんなの笑顔があふれるまち北九州」  とし、副題は引き続き「子育て日本一を実感できるまちの実現を目指して」と  している。 ・ 「子どもが主体であり、子どもの権利を大切にする」、「すべての子供と家庭  を支える」、「子どもの成長と子育てを切れ目なく支える」、「地域社会全体で見  守り支える」を4つの視点としている。 ・ 「安心して子どもを産み育てるまちをつくる」、「子どもや若者が健やかに成  長し、主体性が育つまちをつくる」、「配慮を要する子どもや家庭をしっかりと  支えるまちをつくる」、「子育ての喜び・楽しさを得られるまちをつくる」、「子  どもが安全安心に暮らせるまちをつくる」の5つを目標として掲げている。 ・ 非行率も下がっており、子供が様々な経験をして、大人となり自立できるよ  う子供の健全育成に取り組んでいきたい。 ・ 若年で妊娠した母子への支援については、妊娠や出産に関する悩みの相談か  ら必要な支援につなげる妊娠相談ほっとナビの実施や、区役所の保健師や子ど も・家庭相談コーナーの職員により健康や自立に向けての支援を行っている。≪委員の主な意見≫ ・ 中学校卒業後、進学、就職していない子供を支援する仕組みづくりに取り組  まれたい。 ・ 年齢に応じて、親だけでなく子供自身に対する支援にもしっかり取り組まれ  たい。 ・ 子育て支援の取組はホームページやネットを活用して広報されたい。 ・ 保護者が一時的に休憩できるレスパイト事業がより利用しやすくなるように  検討されたい。 ・ 少年の再犯率が40%を超えているため、立ち直り支援にしっかり取り組ま  れたい。 ・ 北九州市子どもを虐待から守る条例の制定による実績、効果について分析し、  公表されたい。 ・ 子どもの権利条約に関する研修を行い、施策に生かすことが大事であり、他  都市のように条例や実行計画を策定して強めてもらいたいと考える。 ・ 自殺対策計画や保健医療の分野と連携しながら、子供を自殺から守り育てて  いく視点が重要である。 ・ 日本では若くして出産し、子育てをしている母子への支援の仕組みが弱いの  で、このような母子に対する支援を課題として認識する必要がある。   令和元年度の行政視察について、委員間で検討を行った。各委員から出され  た意見を踏まえ、正副委員長の行程(案)を作成し、委員会に提示することを  決定した。 ○ 令和元年8月20日 保健福祉委員会   「元気発進!子どもプラン(第3次計画)」(素案)について、当局から説明を受  けた。(説明及び答弁要旨) ・ 子どもプランは、市の基本計画「元気発進!北九州プラン」の分野別計画で  あり、次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成行動計画と子ども・子育  て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画の2つの計画で構成されている。 ・ また、子供に関わる他の計画である保育計画、母子・父子・寡婦自立促進計  画、母子保健計画、社会的養育推進計画、子ども・若者計画、子供の貧困対策  についての計画としても策定している。 ・ 計画の対象は子供を中心とした全ての市民。 ・ 計画期間は令和2年度から令和6年度までの5年間。 ・ 市民意見提出手続を行い、11月に成案を報告。 ・ 基本理念、4つの視点、5つの目標については前回説明から変更はないが、  6つのポイントについては文言の追加、修正を行った。また、それぞれの目標  を実現するための施策について説明があった。 ・ 乳幼児の教育・保育や病児保育、放課後児童クラブなど地域子ども・子育  て支援事業に関する量の見込み、利用希望と確保の方策、提供体制を数値で示  す子ども・子育て支援事業計画について説明した。 ・ 「元気発進!子どもプラン(第3次計画)」(素案)に対して、9月9日か  ら10月8日の1か月間、市民意見を募集する。   なお、子供が主役であることから、新たな試みとして、子供向けのプラン概  要を作成し、市民センターや放課後児童クラブなどで配布し、意見を募集する  との説明があった。  ・ 子どもプランの教育に係る行動計画の部分については、北九州市子どもの未  来をひらく教育プランに定めることとしている。 ・ こころの教育、体験・学習機会の充実、青少年の非行防止や自立・立ち直り  の支援については、今後もより一層教育委員会との連携を深める必要があると  考えている。 ・ 主体性が育つという表現については再度検討していきたい。 ・ 子供向けのプラン概要を実際に子供が手に取れるよう配布場所等について前  向きに検討していきたい。 ・ 成長段階に応じた取組を進めていく中で、できる限り子供の意見を取り入れ  るように考えている。 ・ 子どもプランの概要版の作成に当たってはその特徴が分かりやすく伝わる工  夫をしていきたい。≪委員の主な意見≫ ・ 子ども家庭局と教育委員会は子供を中心においてしっかりした連携を図られ  たい。 ・ 発達段階に応じ、最も適切な環境を提供し、自分で主体的に考えて行動でき  るように今後の取組で配慮されたい。 ・ リプロダクティブヘルスライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点から  母子保健の施策を検討されたい。 ・ 市民意見募集に当たって、子供の自由な意見が聞けるように工夫されたい。 ・ 子供の意見を取り入れるために、審議会等に子供の代表を入れるような仕組  みができないか考えてもらいたい。   令和元年度の行政視察のうち、子供の視点に立った子育て支援については、正  副委員長の行程(案)のとおり、10月29日に、兵庫県明石市の離婚前後の子供の  養育支援の取組について、視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年10月16日 保健福祉委員会   行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年10月29日 行政視察(兵庫県明石市)   明石市における離婚前後の子供の養育支援の取組について視察を行った。   明石市では、泉市長から、まちづくりの考え方、子供施策の哲学・理念につい  て説明を受けた後、意見交換を行った。その後、担当課から、離婚前後の子供の  養育支援の取組について説明を受けた。   泉市長からは、   明石市は市民一人一人、特に少数の市民に光を当て、そのことで安心を生み  出し、安心によって選ばれる町として、町を動かし、地域経済を活性化してい  る。人口増加により、待機児童、教室不足、渋滞発生などの課題があるが、そ  れらの課題を認識しながら施策を進めている。   子供を核としたまちづくりは方針の一つであり、子供に本気の町は町そのも  のが良くなるという哲学で施策をしている。子育て施策は誰一人取り残さない  ことをポイントとしている。市長就任時の子育て関連予算は100億円余りであ  ったが、今は240億円を超えている。また、職員も30数名から120名超と増  えている。このように予算と職員を増やして子育て施策に取り組んでいる等の  説明があった。  また、担当課から、離婚前後の子供の養育支援の取組について、 ・ 平成24年の民法改正で養育費の分担や面会交流について規定されたこと  により市民相談室で取組を開始した。 ・ 子供の立場、基礎自治体の責務、普遍性という3つの理念で実施し、明石  市こども養育支援ネットワーク連絡会議で各種施策を検討し、「こどもの養  育に関する合意書」、「こども養育プラン」、「親の気持ちとこどもの気持  ち」というパンフレットの離婚届交付時の配布、こども養育専門相談や子育  てガイダンス@ひとり親家庭総合相談会の実施、面会交流支援事業や養育費  確保支援事業などの取組を実施している。  との説明があった。  ○ 令和元年11月20日 保健福祉委員会   「元気発進!子どもプラン(第3次計画)」の市民意見提出実施結果及び計画の  最終案について、当局から説明を受けた。   また、兵庫県明石市の取組について意見交換を行った。(説明及び答弁要旨) ・ 201人・団体から、589件の市民意見が提出された。そのうち、子供からは  全体の約6割となる349件の意見が提出され、自分たちに関係する市の計画で  ある子どもプランを知ってもらえてよかったと考える。 ・ 市民意見の計画への反映状況については、計画に掲載済みは488件、計画の  追加・修正ありが13件、計画の追加・修正なしが46件、計画や子供に関係し  ないものが42件であった。 ・ 市民意見を受けて、主な取組への数値目標等の設定、「ペリネイタルビジッ  ト」から「こんにちは赤ちゃん!小児科訪問事業」への修正、「産後ケア体制」  や「多胎児の支援の充実」の取組の追加、「子どもの遊び環境の充実」の記載  の修正、「子どもの権利の周知・啓発」の取組の追加、施策14「子育てと仕  事の両立に向けた環境づくり」に男性が家事、育児に参画するための環境づく  りの文言追加などを行った。 ・ 委員会の意見や国の動きなどを反映し、子どもプラン第1章の計画推進体制  について、教育委員会とより一層の連携を図ること、第3章の次世代育成行動  計画の視点について、計画の推進に当たっては積極的に子供の意見を聞くこと、  子どもプランの目標2について、「子どもや若者が健やかに成長し、主体性が  育つまちをつくる」から「子どもや若者が健やかに成長するまちをつくる」に  修正することや各施策についての追加、修正を行った。 ・ 公園などの整備に当たって安全に配慮して、子供の意見をどのように取り入  れて進めていくのかについては今後の課題と考えている。 ・ 今後子供に関する取組を実施する場合は、できる限り子供の意見を聞くよう  にしていきたい。≪委員の主な意見≫ ・ 公園だけでなく、学校施設や児童館など日常生活の中で、子供が自由に、自  分たちの思いで遊べるような環境を拡大できるように努められたい。 ・ 子ども家庭局以外の部局が所管している事業も含めて、子どもプランの具体  的な取組の成果等について適宜報告されたい。 ・ 子供に回答する場合はわかりやすい表現で伝えるように努力されたい。 ・ 今後は子供の意見を市政全般に反映できる仕組みづくりが必要だと考える。≪行政視察に関する意見交換での主な意見≫ ・ 養育費の問題は今後組んでいく必要があると感じた。 ・ 養育費の立て替えだけではなく、養育手帳など様々なツールを用意している  のはすばらしい。 ・ 子供のフォローをトータルで考えることが必要だと感じた。 ・ 予算も職員も倍増させて取り組んでいることに市長の意気込みを感じた。 ・ 市役所で話を聞けば6,000円などを給付する施策は親が積極的に行く気にな  り、画期的だと感じた。 ・ 面会交流は子供には親に会う権利があるという立場で、両親の別れ方がどん  なものであっても支援をするという決意を感じた。 ・ 子育て支援の重点化により効果が顕著に現れたことが理解でき、子育て支援  等住みやすさに対する追求は大事であると改めて感じた。 ・ 全般的にはバランスの取れた住みやすいまちづくりの追求が大事であり、本  市が目指す持続可能なまちづくりの方向性が改めて大事だと感じた。 ・ 子育て支援は子供の貧困対策のためにしているのではなく、全ての子供を対  象にしているという市長の言葉に感銘を受けた。 ○ 令和2年10月28日 保健福祉委員会   報告書取りまとめのため、委員間討議を行った。[委員間討議における主な発言内容] ・ 本市の養育費の取決め率は、現在も養育費を受けている母子家庭が23.7%に過  ぎない。本市でも子ども・家庭相談コーナーで離婚相談時などに養育プランや養  育に関する合意書を配布して、その内容について丁寧に説明するなど養育費の確  保に向けた取組をしているが、今後は兵庫県明石市や福岡県飯塚市、福岡市での  先進的な取組を参考に、養育費の不払い解消の施策を速やかに実施する必要があ  る。 ・ 子どもの権利条約については子供自身が権利の主体であることを認識できるよ  う子供に直接アプローチするような政策が重要である。子供の権利に関する普及  啓発に努め、子供の最善の利益を考えることが本市の姿勢であることを強調され  たい。 ・ 若くして妊娠し、出産、中絶する女性の割合が全国に比べて高く、そのような  状況が子供の養育問題や児童虐待、離婚、ひとり親家庭などにつながっていくと  考えられ、原因追求が必要ではないかと考える。 ・ 性暴力の防止につながるリプロダクティブヘルスライツの視点を入れてほしい。 ○ まとめ   本市は令和元年11月に、令和2年度から令和6年度までの計画である「元気  発進!子どもプラン(第3次計画)」を策定した。   本プランは、本市の子供の健全育成や子育て支援の基本的方向及び具体的な取  組を示すものであり、地域社会を構成する「家庭」、「地域」、「学校」、「企業」、「行  政」が自らの役割を認識し、一体となって取組を進めるための指針である。   所管事務調査では、本プランについての調査研究を行い、委員からは、子供の  意見の聴取、児童文化の観点の重要性、学校教育との具体的な連携、幼い母子へ  の支援、児童虐待防止の事業や効果、非行少年の立ち直り支援や子供の居場所づ  くりの推進、子どもの権利条約の観点を計画の基本にすること、子育て支援の情  報発信の在り方、子供のスマートフォン対策など様々な分野について意見、提案  が行われ、本プランに反映された。   本市の子育て支援は、市政評価で「子育て支援の推進」が3位に、また、NP  O法人による調査では、子育てしやすい街として9年連続政令市1位となるなど  市内外から高い評価を得ている。   一方で、市政要望では、「子育て支援の推進」が5年連続で2位となるなど、  市民からはさらなる子育て支援策の充実が求められている。   また、委員からも、 ・ 本市においても養育費の確保について様々な取組がなされているが、今後は  兵庫県明石市や福岡県飯塚市、福岡市などの先進的な取組を参考に養育費の不  払い解消の施策を速やかに実施する必要があること ・ 子供自身が権利の主体であることを認識できるように子供に直接アプローチ  するような施策を実施し、子供の権利に関する普及啓発に努め、子供の最善の  利益を考えて施策を実施すること ・ 本市では若くして妊娠し、出産、中絶する女性の割合が全国に比べて高く、  そのような状況が子供の養育問題や児童虐待、離婚、ひとり親家庭などにつな  がると考えられるため、原因を追求すること ・ 施策の実施に当たっては性暴力の防止にもつながるリプロダクティブヘルス  ライツの視点を取り入れること  などについて意見があった。   このため、本委員会としては、各委員の意見や市民の声を聞き、子供や家庭に  寄り添って、「元気発進!子どもプラン(第3次計画)」を着実に遂行していくよ  う期待する。                環境水道委員会報告書                                                                           令和2年11月11日  北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                        環境水道委員会委員長 吉 村 太 志  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査事件 ○ SDGsにおける地球温暖化対策、環境保全、災害対策、ライフラインについて   本市は、2008年に環境モデル都市、2011年に環境未来都市に選定され、環境・  社会・経済の3側面において、我が国の将来の課題に取り組むとともに、廃棄物  管理、エネルギー、上下水道、環境保全など「北九州モデル」を活用した総合的  なまちづくりの海外輸出を進め、成果を上げてきた。   2018年にはSDGs未来都市に選定され、本市の強みである市民力や物づくり  の技術等を生かし、国内外で評価が高い「環境」や「国際貢献」などの取組をさ  らに推進している。また、市民の生命や財産を守るための災害対策やライフライ  ンについてもSDGsの視点を踏まえた取組が行われている。   本委員会は、SDGs先進都市を目指す本市が、そのトップランナーとして、  今後さらに推進していくべき取組について調査を行うこととした。2 調査の経過及び結果 ○ 平成31年4月17日 環境水道委員会   本市における環境国際協力・ビジネスの取組状況について、環境局から説明を  受けた。(説明要旨)  公害克服で蓄積した技術やノウハウを、アジア諸都市とのネットワークの中で 生かすことにより、北九州環境ブランドを確立し高めてきた。  また、平成22年6月に開設したアジア低炭素化センターを中心に、海外での環 境国際ビジネスの展開を図る市内企業等を支援することにより、アジア規模での 超低炭素社会の実現や環境産業育成、国際ビジネスの拡大など、世界の環境首都 実現に貢献してきた。  本市の環境国際協力・ビジネスの取組は、SDGsの達成も念頭に、市内企業 や関係機関とも連携しながら取り組んでおり、今後もアジアの低炭素化を通じた 経済の活性化や、本市の地球温暖化対策実行計画で掲げた目標(2050年度にアジ ア地域でのCO2排出量を2005年度本市排出量比で150%削減)の達成のため、積 極的に展開していきたい。 (1)概況   環境国際協力では、平成29年度までに、165カ国・地域から9,083人の研修員  を受け入れ、25カ国に204人の専門家の派遣を行った。また、環境国際ビジネス  では、アジア低炭素化センターにおいて、16カ国・地域の78都市で、192の事業  を実施し、プロジェクト総額は188億円を超えている。 (2)国別の主な取組   ・フィリピン ダバオ市    廃棄物管理向上支援プロジェクト、環境姉妹都市締結(平成29年11月)、    気候変動行動計画の策定支援   ・インドネシア スラバヤ市    医療廃棄物の適正処理に向けた焼却施設の建設、デング熱ウィルス媒介    蚊の幼虫殺虫剤の販売   ・ベトナム ハイフォン市    「グリーン成長推進計画」の策定・推進支援、カットバ島でのEVバス    導入パイロットプロジェクト   ・カンボジア プノンペン都    気候変動戦略行動計画の策定支援、廃棄物管理改善事業   ・マレーシア セランゴール州    産業廃棄物の再資源化事業   ・マレーシア キャメロンハイランド    リサイクルループ構築のための生ごみ堆肥化事業   ・タイ チェンマイ県、ラヨン県    エコ・インダストリアルタウン支援事業   ・ミャンマー マンダレー市    マンダレー地域を対象とした廃棄物・エネルギー分野の低炭素化推進事業   ・中国 上海市、天津市、大連市ほか    日中大気汚染・省エネ対策共同事業、地域間交流支援事業┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・シビックプライドの醸成やSDGsの認知度向上につながるよう、本市の   ││  環境国際協力・ビジネスの実績を広く市民に伝えられたい。         ││ ・今後の環境国際協力・ビジネスの取組の強化に向けて、これまで各国から   ││  受け入れた研修員とのネットワーク構築に努められたい。          │└──────────────────────────────────────┘ 令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で視 察先の優先順位を決めることを決定した。 ○ 令和元年5月9日 環境水道委員会   上下水道局の国際技術協力・海外水ビジネスの取組について、上下水道局から  説明を受けた。(説明要旨) (1)本市のSDGs未来都市計画における上下水道局海外事業の位置づけ  ・ゴール6(安全な水とトイレを世界中に)   →上水道、下水道それぞれのアクセス向上  ・ゴール8(働きがいも経済成長も)   →中小零細企業の設立や成長を奨励  ・ゴール9(産業と技術革新の基盤を作ろう)   →相手国での上下水道のインフラ整備  ・ゴール17(パートナーシップで目標達成しよう)   →環境に配慮した技術の開発、移転、普及、拡散    官民などのパートナーシップの奨励・推進 (2)国際技術協力・海外水ビジネスの概要   国際技術協力では、これまで世界13カ国に延べ199人の専門家を派遣。世界  156の国・地域から6,202人の研修員を受け入れ。これにより、海外の技術者の  育成を進め、世界の水環境の改善に貢献。また、本市にとっても、技術の継承  や実務能力の向上など、職員の育成にも重要な役割を果たしている。   また、海外水ビジネスでは、全国に先駆けて官民連携による北九州市海外水  ビジネス推進協議会を設立し、会員企業がこれまで62件、112億円を受注する  など成果も出ている。 (3)カンボジアでの取組  ア 国際技術協力    上水道においては、職員を専門家として派遣し、短期間で水道普及率等   が劇的に改善。「プノンペンの奇跡」と呼ばれるアジアで数少ない「飲める   水道水」を実現。さらに、その成果をカンボジア全土に広げるため、職員   1名を派遣し、中央官庁の職員指導や法令の策定・施行支援を行っている。   下水道においては、市民意識の啓発、下水施設の維持管理の支援等を目的   として、職員1名を派遣し法制度整備等の支援を行っている。  イ 海外水ビジネス    カンボジア全国の都市部に本市と海外水ビジネス推進協議会の会員企業   が水道整備の役割を果たす覚書の締結に至る。2018年にはシェムリアップ   における配水管網工事の受注、2019年にはコンポントムにおける上水道拡   張事業を会員が受注する成果につながった。特にコンポントムの案件は、   施設整備から運営までをワンパッケージで受注する方式で、水ビジネスと   してはODAによる本格的な水事業として日本初の案件となった。また、   下水道分野でも調査事業の受注など成果が出始めている。 (4)ベトナムでの取組  ア 国際技術協力    下水道において、ハイフォン市での下水道処理場運転管理・浸水対応能   力向上事業や下水処理場の効率的な運転の技術指導を行った。  イ 海外水ビジネス    上水道においては、ハイフォン市でのU-BCF(上向流式生物接触ろ   過)の導入、整備工事を会員企業が受注。今後、ベトナム複数都市への普   及を目指す。下水道についても、同市において、北九州市の中小企業が開   発した下水道台帳システムの導入を支援してきた結果、2017年、同システ   ムの受注、導入が決定した。 (5)市民への広報・啓発活動(都市ブランドの向上・パブリシティ効果)  ア 「上下水道ユース研修」の実施   地元の高校生に本市の「国内外に貢献する上下水道」の取組を学ぶ機会   を提供。国内外で体験型の研修を実施。研修後にはSDGs未来都市キッ   クオフイベントなどにおいて取組を発表した。  イ マスコミ等での紹介   全国ネットのテレビ番組や新聞でのシリーズ特集など数多く取り上げ   られている。高等学校の教科書や外務省のODA白書でも紹介。 (6)国内外からの評価   ・2012年 外務大臣表彰     技術協力分野、特にカンボジアにおける水道分野の国際協力事業が評価     され、水道事業体として初の受賞。   ・2017年 国連本部での取組紹介     外務大臣が上下水道局の国際技術協力を世界に向けて発表。   ・2017年 第1回ジャパンSDGsアワード(特別賞)     上下水道局による国際技術協力や海外水ビジネスの実績をアピール。    ・2018年 OECD「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」へ選定     環境国際協力といった本市の強みが評価され、アジア初のモデル都市に     選定。 (7)今後の方向性   本市が蓄積してきた上下水道の事業運営ノウハウ、企業が持つ優秀な技術力、  アジアを中心に築いてきた各方面との協力体制やネットワークなど   →これらを適切に組み合わせることを本市ならではの強みとし、今後もア    ジアを中心に官民一体となってSDGsのゴール実現に向け取り組む。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・SDGsの認知度向上や海外事業の実績のPRにつながるよう、SDGs   ││  のゴール設定については幅広に検討されたい。               ││ ・本市の水ビジネスや水道技術を、アフリカ等、世界中に積極的に広げら    ││  れたい。                                ││ ・海外水ビジネス推進協議会に加盟する企業の経営的メリットにつながる    ││  視点も踏まえて取り組まれたい。                     │└──────────────────────────────────────┘  行政視察について、委員間で検討を行った。各委員から出された意見を踏まえ、 正副委員長(案)を作成し委員会に提示することを決定した。 ○ 令和元年7月10日 環境水道委員会   本市の震災時における消防対策について、消防局から説明を受けた。(説明要旨) (1)震災時の災害想定   福岡県が平成23年度に実施した「福岡県地震に関する防災アセスメント調  査」において、小倉東断層の中央下部で震度6弱(一部6強)の地震が発生し、  小倉北区と小倉南区を中心とした区域において、合計約1万棟の建物被害、35  件の火災の発生が想定されている。 (2)震災時における防火の取組(地域防災計画)   ア 防火地域及び準防火地域の指定    住宅密集地などの区域を指定し、区域の建築物を燃えにくい構造にする   など、火災が拡大しない取組を行う。   イ 特定消防区域の選定    火災危険度の高い区域を特定消防区域として選定し、 住民への防災啓発   などによる火災予防対策の強化や火災時における消防力の効率的な運用   を図る。 (3)震災時の消防活動要領    震災時における初期の対応策を中心とした消防活動要領である「震災消防   計画書」を平成25年1月に策定し、次の事項を基本として火災の規模や消防   力を考慮した、効率的・効果的な消防活動を行うこととしている。   ア 消防職員の準備及び参集     消防職員は、情報入手手段や通信連絡手段を確保しておくほか、参集時    に必要な携行品を備えておくなど、日頃から消防活動に専念できるよう    準備する。また、市内に震度5弱以上の地震が発生したときは、全消防    職員が自動参集する。   イ 消防活動方針     人的被害を最小限に防止するため、消防隊は火災への対応を最優先とし、    震災直後は総力を挙げて火災の早期発見と延焼防止に努める。   ウ 消火活動の優先地域     同時に複数の火災が発生したときは、気象条件や街区の延焼危険、水利    状況などの各種要因を総合的に判断し、特定消防区域などの重点防ぎょ    地域を優先に消防部隊を投入して消火活動を行う。   エ 消防水利の優先     震災時は消火栓の断水を想定し、原則として、地震による影響が少ない    防火水槽や学校のプール、河川、池、海などの消防水利から取水して消    火活動を行う。   オ 付近住民等との連携・協力     火災が多発して消防隊や消防団の人員が不足するときは、住民や企業な    どの自主防災組織に連携や協力を求めて消火活動を行う。 (4)消防水利の現状(平成30年4月1日現在)    市内には消火栓をはじめ、防火水槽や学校のプール、河川、池、海など   の消防水利を26,385箇所設置又は指定している。全体数は政令市で5番目で   あり、このうち、地震の影響を受けにくい防火水槽や河川、池、海などの消   防水利は2,911箇所あり、政令市で6番目となっている。また、一定規模以   上の事業所やマンションなどの敷地内には、防火水槽に準じた水槽などの消   防用水の設置が義務付けられており、市内に約300箇所設置されている。 (5) 消防水利の耐震化   ア 防火水槽の耐震化率(平成30年度末) 26.7%    イ 水道施設の耐震化率(平成29年度末)    ・水道管(基幹管路) 45.4%    ・浄水施設 33.2%    ・配水池 51.7% (6)消防水利の維持管理及び調査   ア 水利調査     全ての消防水利について、消防隊による定例調査を年1回以上実施して    いる。   イ 警防調査     火災が発生したときを想定し、管轄区域内の道路状況や建物などの確    認・調査と併せて、消防水利の確認や点検を随時実施している。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・住民や企業などの自主防災組織に消火活動の連携・協力を求めるに当たっ   ││  ては、実際にホースを使った訓練の実施など検討されたい。         ││ ・消防水利を確保するため、屋内プールを設置している学校等との震災時に   ││  おける連携について検討されたい。                    ││ ・災害対策が本市の特徴的なSDGsの取組の一つとなるよう、具体策を検   ││  討されたい。                              ││ ・県が公表した災害想定を踏まえ、防災・減災の観点から予防対策にもしっ   ││  かりと取り組まれたい。                         │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年8月20日 環境水道委員会   水素社会実現に向けた取組と次世代自動車の普及促進について、環境局から説  明を受けた。(説明要旨)  本市が水素社会の実現に向けて取り組む意義と重要性については、現在、地球 温暖化が世界的に大変重大で、かつ喫緊の課題となっている。加えて、エネルギ ー自給率が低い日本ではエネルギー安全保障も同時に解決すべき課題であり、そ の解決策の一つとして水素の活用が大きく期待されている。  国では平成29年に水素基本戦略を策定し、2050年の水素社会の実現を視野に入 れた基本的な方向性を示すとともに、ロードマップを策定し推進している。  本市においても、平成29年に策定した環境基本計画に、低炭素社会と次世代エ ネルギー拠点の形成を位置づけ、その実現に向け、①東田地区での水素タウンに おける実証・PR拠点化、②響灘地区でのCO2フリー水素の製造・供給拠点化、 ③市域全体での燃料電池自動車や水素ステーション等の普及の3つの柱立てで取 組を進めている。 (1)東田地区(北九州水素タウン)における実証・PR拠点化  ア 概要    東田地区では、平成22年度から約4年間、1.2キロメートルにわたる大規   模なパイプラインを地中に埋設し、市街地レベルで水素を供給し利用すると   いう世界に類を見ない実証事業を行った。    この実証は平成26年度に一旦終了したが、平成30年7月に再始動し、本市   の先進的な取組を広く発信することにより、実証・PR拠点化を進めていく   こととした。  イ 主な実証内容   ・水素センサーや携帯型検知機器の開発実証   ・普及型燃料電池の耐久性実証   ・水素に含まれる不純物の検知機器の性能実証  ウ PRの取組    国内外からの積極的な視察の受け入れや、東京オリンピック・パラリンピ   ックにおける東京都と連携した本市取組のPRなど。 (2)響灘地区におけるCO2フリー水素の製造・供給拠点化  ア 概要    風力・太陽光発電等の再生可能エネルギー関連施設が集積する響灘地区    の強みを生かし、再エネ由来のCO2フリー水素の製造・供給拠点を目指し、   各種調査を進める。  イ CO2フリー水素の製造可能性調査    本市では、平成30年度からCO2フリー水素の実用化に向けた調査を進め   ており、全国に先駆けたモデル的な事業プランを策定したいと考えている。  ウ 響灘地区製造・供給拠点将来像    再エネを利用して造った水素を一旦貯蔵して、電力が必要な時間に酸素と   結合させて、再び電気に戻して供給。水素ステーションを通じて燃料電池自   動車など水素モビリティーの燃料として利用。東田地区を初めとする他地域   にも供給など。    これらの将来像の実現を目指して、北九州パワー等の関連企業と連携しな   がら、エネルギーの地産地消や低炭素化、コスト低減という観点から最適な   仕組みを現在検討している。 (3)次世代自動車の普及促進について  ア 概要    本市では、次世代自動車として、燃料電池自動車(FCV)・電気自動車  (EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)の普及に取り組んでいる。    特にFCVは、走行距離や充填時間などの面で優れた性能を持ち、走行   時にCO2を排出しない究極のエコカーと言われていることから、普及促進   に重点的に取り組んでいる。  イ 次世代自動車の普及促進への取組   ・公用車への率先導入(1,565台中56台)   ・FCV導入補助制度    補助額は、1台あたり50万円(車両のみ)~100万円(車両+外部給電器)。    補助実績は、平成27年度~平成30年度までの4年間で12台。   ・各種イベントでのPR    エコライフステージ等のイベントでFCVを展示して、試乗会を行ったり、    紫川のオープンカフェや祭り会場等でのキッチンカーに電気を供給した    りして、積極的なPRを実施。  ウ 水素ステーション・充電施設の普及   ・水素ステーションの整備状況(FCV用) 市内:2カ所   ・充電スタンドの設置状況(EV・PHV用) 市内:121カ所┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・市営駐車場における電気自動車の無料充電について、他局と連携してPR   ││  に努められたい。                            │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年9月12日 環境水道委員会   令和元年度の行政視察については、正副委員長(案)のとおり、11月11日から  13日までの3日間の日程で、東京都荒川区の永久水利施設整備事業について、環  境省の環境分野における国のSDGsの推進の取組について、埼玉県所沢市のマ  チごとエコタウン所沢の取組について、東京都の水素社会の実現に向けた東京  2020オリンピック・パラリンピックでの水素エネルギーの活用について、それぞ  れ視察を行うことを決定した。 ○ 令和元年10月28日 環境水道委員会   上下水道事業における災害対策について、上下水道局から以下のとおり説明を  受けた。(説明要旨)  近年、東日本大震災、熊本地震、平成30年7月豪雨など、大規模災害の頻発に 伴い、上下水道は市民生活に直結する重要なインフラであることが再認識されて いる。  上下水道局においては、平成28年に策定した北九州市上下水道事業中期経営計 画に基づき、地震・浸水対策や経年化施設の更新などを推進し、安全で安定的な 水の供給から汚水処理、雨水排水まで一連の水循環を担う、市民生活に直結する 上下水道インフラの維持・強化に取り組んでいる。 (1)ハード対策  ア 災害等の危機管理対策  (ア)震災対策     浄水場や浄化センター、管路など上下水道施設の耐震化を進めるととも    に、水道管路のループ化など、浄水場間のバックアップ機能の強化を図っ    ている。  (イ)豪雨対策     雨水管や雨水貯留管などの整備を行い、浸水被害の最小化を図っている。  (ウ)断水対策     浄水場や各区の拠点配水池などに全市民の約1週間分の飲料水を確保    しているほか、給水車の導入など応急給水能力の向上にも努めている。  (エ)停電対策     非常用発電設備の整備など、停電しにくい仕組みなどを構築している。  イ 経年劣化施設の長寿命化・更新  (ア)施設の更新     計画的な補修などにより、施設の長寿命化を図るとともに、経年劣化し    た水道管や下水道管などの改築更新を計画的かつ効率的に実施している。  (イ)漏水防止対策     漏水調査などの実施により、漏水の早期発見に努めている。 (2)ソフト対策  ア 災害対応能力の向上    毎年度、模擬事故訓練を実施し災害対応能力の向上を図るとともに、大規   模災害の発生を想定して、他都市や民間企業などとの連携強化に努めており、   非常時に対応できる体制を構築している。  イ 寒波対策    平成28年の記録的な寒波を踏まえ、対応要領の見直しを行うとともに、寒   波対策の市民への説明や高台地区の空き家の漏水防止対策を実施している。  ウ 豪雨対策    被害の大きかった地区へ、従来品に比べて軽量化した土のうを配備すると   ともに、自治会と連携した土のうの積み方訓練を実施した。  エ 広報活動    市政だよりや上下水道局広報紙「くらしの中の上下水道」に、災害対策に   ついて掲載するとともに、広報媒体を増やすなど広報活動の拡充に取り組ん   でいる。 (3)今後の取組    引き続きハード・ソフトの両面から対策を講じることにより、想定を超える   災害が発生した場合でも、関係部局と連携しながら市民生活への影響が最小限   となるよう努めていく。なお、次期基本計画、次期中期経営計画の策定に当た   っては、これらの視点や取組を踏まえ、また、SDGsの達成に寄与できるよ   う、上下水道事業における災害対策についてしっかりと検討していく。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・ 軽量化した土のうの配備について市民に周知するとともに、積み方の訓練  ││  も実施されたい。                            ││ ・ 市政だよりに掲載している水道管の寒波対策や、停電と断水の関係につい  ││  て、子供向けの教材を活用するなど市民に分かりやすく伝える工夫をされ   ││  たい。                                 ││ ・ 常時積まれたままの土のうが災害時にきちんと機能するよう劣化状況等   ││  の点検を行われたい。                          │└──────────────────────────────────────┘  行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年11月11日~13日 行政視察(東京都荒川区、環境省、埼玉県所沢市、  東京都) (1)永久水利施設整備事業について(東京都荒川区)    永久水利とは、河川水や地下水という震災時にも枯渇することのない水源を   確保する施設を整備するとともに、その水源を消火用水として活用するために、   消防団や地域住民が中心となって消火・送水ネットワークを構築する仕組みで   ある。   荒川区は、区内の6割が木造住宅密集地域であり、火災危険度ランクの高い   地区が多いため、初期消火や延焼防止が極めて重要である。   震災時に求められる長時間の消火活動に対応するため、上水道に頼らない防   火水槽への継続的な充水手段の確保が重要であり、現在、河川水を活用した永   久水利施設は4カ所、地下水を活用した同施設は3カ所整備されている。 (2)環境分野における国のSDGsの推進の取組について(環境省)    世界の異常気象により、脱炭素化に向けて大きく考え方を転換(パラダイム   シフト)していくことが必要。持続可能な社会に向けたパラダイムシフトによ   り、我が国が抱える環境・経済・社会の課題の同時解決が求められる。そのた   め第五次環境基本計画の基本的方向性では、「地域循環共生圏」の創造、「世界   の範となる日本」の確立を通じた持続可能な循環共生型の社会の実現を目指す   べき社会の姿としている。   地域循環共生圏づくりは、環境対策でもあるが、それを通じて地域資源を活   用し、地域の経済をよくしていく。そして、社会を明るくしていくことを含め   てSDGsを達成していくことにつながっていく、いわば地域版のSDGsと   いえる取組であると考えている。 (3)マチごとエコタウン所沢の取組について(埼玉県所沢市)    所沢市では、東日本大震災や東京電力福島第1原子力発電所の事故の経験か   ら、今までの資源やエネルギーに過度に依存してきた生活を見直し、低炭素、   緑と生物多様性、資源循環を3本柱に協働、学習を横串として様々な取組を進   めている。具体的には、エコカー及びエコカー充給電設備の補助金、太陽光発   電システム、蓄電池などのスマートエネルギー補助金等の制度や、市独自の「み   どりの保全及び創出に関する基準」を定め、開発事業者に緑化に努めるための   基準を示すなどの取組を行っている。また、SDGsについては、市民や学校   の生徒・児童を対象に、出前講座で市の取組をPRしており、その中でSDG   sについても周知するように努めている。   日経グローカルのSDGsの先進度調査では、特に低炭素、エネルギー施策   について評価され、環境部門において全国1位の評価を受けている。 (4)水素社会の実現に向けた東京2020オリンピック・パラリンピックでの水素    エネルギーの活用について(東京都)    都では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、会場へ   の輸送や選手村等において水素エネルギーを活用することで高い技術力をア   ピールするなどして、環境先進都市のモデルとなるまちの実現を目指している。   具体的には、①水素ステーションに対する集中的な財源投入等により整備を促   進、②燃料電池自動車、燃料電池バスの普及のため財政支援を行い初期需要を   創出、③コストダウン、ダウンサイジングを通じて家庭用や業務・産業用燃料   電池の自律的な普及を目指す、④都民の理解促進に向け、水素エネルギーの意   義、安全性・リスク等の情報提供を「水素情報館・東京スイソミル」等で実施、   ⑤事業所向けに再生可能エネルギー由来水素活用設備の導入を促進、⑥東京   2020大会選手村地区での水素活用などの事業を行っている。 ○ 令和元年12月10日 環境水道委員会   11月11日から13日に行った行政視察について、他都市の先進的な取組に関する  所感や、本市として取り組むべき事例、また、取り組むに当たっての問題点や課  題などについて委員間での意見交換を行った。 (1)[東京都荒川区]永久水利施設整備事業についての所感・意見   ・荒川区の取組は、本市においても木造密集地等での災害対策を進める上で、    非常に重要であると感じた。本市も、例えば消防車が入っていけないような    地域など同様の状況があると思われるので、荒川区の取組を本市の火災対策    に生かしていく必要があると感じた。   ・図書館等の公共施設の新設に当たっては、災害時の避難所や備蓄倉庫の機能    を併せ持たせることが必要であると感じた。 (2)[環境省]環境分野における国のSDGsの推進の取組についての所感・意    見   ・世界全体で温暖化防止対策が叫ばれている今、バイオマスの混焼でもCO2が    発生するので、SDGsのトップランナーを目指す本市としては、世界全体    のCO2削減の目標に向かっていけるような観点が必要だと思う。   ・SDGsのことを知らない人が多いので、国も本市ももっとSDGsの宣伝    に取り組む必要がある。SDGsのバッジに興味を示す人は多いので、その    ような物を広めるなど工夫して、SDGsをもっと普及させる必要がある。   ・ペットボトルやプラスチック袋の使用を削減するため、マイボトルやマイバ    ッグの利用を、議会や行政が率先垂範で取り組んでいくことが必要である。   ・プラスチック袋などを使わないように意識づけするため、エコライフステー    ジなど環境関係イベントを行う際は、付近の施設等にも利用客にマイバッグ    の使用を呼びかけるなどの取組を徹底してもらうことが必要だと思う。 (3)[埼玉県所沢市]マチごとエコタウン所沢の取組についての所感・意見   ・所沢市では、CO2の排出量のうち民生・家庭部門が約3割を占めており、そ    の排出を抑えれば、市全体としてかなり排出量を減らせるため、いろいろな    補助金を考えている。バイオマスペレットのストーブ、100リットル以上の雨    水貯留槽、節水型トイレにも補助金出しており、驚いている。さらに、平成    30年度にバイオマスストーブの申請件数がゼロでもあるにもかかわらず、翌    年度も同じ補助金があり、申請が1件だけあったということで、細かいこと    をたくさん積み重ねて、CO2排出を抑制しようという気持ちがよく伝わって    きた。本市では、産業構造の違いでCO2排出量のうち産業部門が7割を占め    ているが、このような気持ちで産業部門に対しても、こういうことはできな    いかとかいろんなことを訴えてほしい。 (4)[東京都]水素社会の実現に向けた東京2020オリンピック・パラリンピック    での水素エネルギーの活用についての所感・意見   ・温暖化対策としてCO2フリーの水素エネルギー活用を促進するような学びの    場をつくってほしい。 ○ 令和2年1月31日 環境水道委員会   令和元年度の災害対策について、危機管理室から説明を受けた。(説明要旨) (1)避難行動要支援者避難支援事業    今年度、地理的要件の見直しと全数調査を実施した。地理的要件の見直し   では、土砂災害特別警戒区域だけでなく、土砂災害警戒区域にも拡大した。   また、制度開始から5年経過しており、家族構成の変化などが考えられるこ   とから全数調査を行った。 (2)防災アプリ「ハザードン」の提供開始    令和元年5月末から提供を開始した。特徴は土砂災害や河川氾濫の危険度上   昇に伴うプッシュ型の通知や防災情報北九州へのリンクなどを実装している。 (3)避難勧告等の伝達に係る警戒レベルの導入    国のガイドラインの改定により5段階の警戒レベルが導入され、段階ごと   に住民がとるべき行動などが設定された。本市が発令する避難勧告等の避難   情報にも警戒レベルを併記して発令することとした。 (4)防災行政無線高度化事業の拡充    県から新たに津波浸水想定が公表されたことに伴い、現在整備している防   災スピーカーでは包含できない地域を対象として、小倉北区、若松区及び八   幡西区の沿岸に17基の防災スピーカーを新たに設置する。 (5)竹馬川、金山川洪水ハザードマップ作成    令和元年5月に福岡県から公表された竹馬川、金山川の浸水想定区域に基   づくハザードマップを新たに作成し周辺住民等に配布する。 (6)株式会社サンレーとの協定の締結    令和元年6月に災害時における施設の使用に関する協定を締結した。この   協定は、サンレーが所有する小倉紫雲閣と北九州紫雲閣の2施設の一部を災   害時に予定避難所として使用することを定めた。 (7)みんなde Bousaiまちづくり推進事業    地域防災力の向上を目指して2つの事業を実施している。地区Bousa   i会議運営支援事業では、今年度6校区で計画づくりに取り組んでいる。   また、みんなde Bousai人材育成事業では、北九州市立大学での   講義や市内大学生対象の公開講座など、大学との連携による次世代を担う人   材の育成に取り組んだ。 (8)大規模災害に備えた備蓄整備事業    想定避難者数を約2万2,000人とし、19万8,0 00食の非常用食料、6万6,000   リットルの飲料水を備蓄し、毎年順次更新している。また、災害時に支援を   要する被災者の生活必需品等の備蓄や、平成30年度からは、寝床の改善とし   て避難所シートの備蓄を追加している。 (9)消防防災フェスタ北九州2019の開催   防災啓発と防災訓練の要素を取り入れ、若年層から高齢者まで幅広い年齢   層を対象とした防災複合イベント、消防防災フェスタ北九州2019を実施し、   約1万5,000人の来場者を迎え、市民の防災意識の向上を図った。 (10)災害救助法改正に伴う救助実施市指定に係る取組    平成31年4月1日に大規模災害時の救助の実施主体について、都道府県か   ら指定都市へ権限を移譲する改正災害救助法が施行され、本市は法施行と同   時に救助実施市として指定を受けた。これに伴い、協定の締結や災害救助基   金の創設、市規則の制定などに取り組んだ。 (11)被災地復興支援    釜石市、熊本県益城町、広島県坂町など大規模災害被災地の復興支援業務   に従事する職員を派遣している(令和元年度は合計17名)。今後も各被災地の   復旧状況に応じて、できる限り支援を行っていきたい。また、釜石市との交   流事業の実施状況として、わっしょい百万夏まつりや北九州マラソン、釜石   市における釜石まるごと味覚フェスティバルなど、両市のイベントにおいて   PR事業を行った。今後も、こうした取組を通じて友好関係を深めていきた   い。┌──────────────────────────────────────┐│ 《委員の主な意見》                            ││ ・まずは自分の身は自分で守るということを恐れずに伝えていっていただ    ││  きたい。                                ││ ・風水害による想定外の災害が頻繁に起きている中、風水害に係る業務継続   ││  計画の作成について検討されたい。                    ││ ・被災地への復興支援に係る手話通訳の派遣に関して、今後必要になった時   ││  にスムーズに派遣できるよう事前に準備されたい。             ││ ・避難行動要支援者に対する個別計画の作成を進捗させるようしっかりと    ││  取り組まれたい。                            │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年8月19日 環境水道委員会 視察(エコタウンセンター、西日本ペッ   トボトルリサイクル株式会社)   エコタウンセンター本館において、エコタウンの概要説明、DVD視聴後、別  館にて次世代エネルギーパーク展示見学(洋上風力模型)及び水素社会に向けた  CO2フリー水素製造・供給拠点化の取組について説明を受けた。  また、西日本ペットボトルリサイクルでは、施設概要やリサイクルを通した環  境問題への取組等について説明を受けた後、リサイクル施設の見学を行った。 ○ まとめ   本市の環境国際協力・ビジネスの取組は、SDGsの達成を念頭に置きながら、  アジア規模での超低炭素社会の実現や、本市の地球温暖化対策実行計画の目標達  成を目指して積極的に展開している。今後は、さらにこれらの成果や実績を広く  市民に伝え、シビックプライドの醸成やSDGsの認知度向上につなげられたい。   上下水道の国際技術協力・海外水ビジネスについては、SDGsのゴール6「安  全な水とトイレを世界中に」を中心に、カンボジア、ベトナムでの取組や市民へ  の広報・啓発活動を含めた全ての取組に該当するゴールを位置づけ、しっかりと  取り組んでいる。今後も、これまで蓄積した事業運営のノウハウや長年の国際技  協力で築き上げたネットワーク等、本市の強みを生かし、官民が一体となって  SDGsの目標達成に向けてさらに推進されたい。   災害対策、ライフラインについては、熊本地震、平成29年7月九州北部豪雨、  平成30年7月豪雨など、頻発する大規模災害の教訓を踏まえ、危機管理室、消防  局、上下水道局のそれぞれがハード・ソフトの両面から様々な対策に取り組んで  いる。今後、SDGsのトップランナーを標ぼうする本市として、災害対策等に  おいてもSDGsの達成につながるような先進的な取組が広がることを期待した  い。                建設建築委員会報告書                                                                           令和2年11月12日  北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                        建設建築委員会委員長 大久保 無 我  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査事件(1)交通政策について   本市では、北九州市基本計画「元気発進!北九州プラン」に示すまちづくりの  目標を実現するため、北九州市立地適正化計画と連携して、平成28年8月に北九  州市地域公共交通網形成計画を策定した。望ましい交通体系を目指すための理念  と基本方針を基に、意識・公共交通・道路交通の3つの分野で、交通施策を設定  し事業を展開している。   本委員会は、本市が目指す持続可能な公共交通ネットワークの再構築のため、  拠点間をつなぐ公共交通の役割やフィーダー的なバス路線の構築などについて調  査を行うこととした。(2)空き家対策について   本市の空き家数はこれまで増加の傾向をたどり、平成25年の住宅・土地統計調  査では、利用目的のない空き家は約2万8,000戸あり、前回調査より増加してい  る。また、平成26~27年に本市が実施した老朽空き家実態調査とその後の通報等  による調査では、倒壊等の危険がある老朽空き家が平成30年度末現在で3,666件  あり、周辺住民の安全・安心な生活に深刻な影響を及ぼしている。   本委員会は、こうした状況を踏まえ、空き家の予防・管理・活用について調査  を行うこととした。(3)豪雨災害対策について   近年、全国各地で大規模な豪雨災害が発生しており、本市でも、平成30年7月  豪雨により31河川のいっ水被害や407か所の崖崩れが発生した。   本委員会は、こうした状況を踏まえ、ハード、ソフトの両面から、浸水被害の  軽減、土砂災害防止対策に向けた取組について、調査を行うこととした。2 調査の経過及び結果(1)交通政策について ○ 平成31年4月17日 建設建築委員会   拠点間BRTの検討状況、おでかけ交通の取組について、当局から説明を受  けた。(説明要旨) ① これまでの取組   バス交通については、都心部の余力がある輸送力を周辺部に分散させ、効  率化を図るなど、地域密着型のバスネットワークの提供を進めている。主要  拠点間を結ぶ路線をバス機能強化区間と位置づけ、連節バスやバス専用レー  ンなどを強化し、途中に乗継ぎポイントを設けて、郊外部のフィーダー路線  を確保していく。 ② 拠点間BRTの検討状況   本市は小倉~黒崎間を中心にBRTの形成に段階的に取り組んでいる。平  成30年1月には西日本鉄道株式会社所有の連節バスを用いて、交差点での  右左折状況や、バス停の正着状況などの走行確認を行った。 [連節バス導入の概要]  ・ 事業主体:西鉄バス北九州株式会社  ・ 総事業費:約10億円  ・ 全体計画:令和元年度に2台、令和2年度に4台、令和3年度に4台の  計10台を導入予定  ・ 運行ルート:令和元年度は小倉-黒崎間及び小倉-戸畑間で運行予定  ③ おでかけ交通   平成30年度の新たな支援策として、地域と交通事業者が協働して行う利  用促進活動経費を助成している。  令和元年度の行政視察について、視察先を各委員で検討し、次回の委員会で  視察先の優先順位を決めることを決定した。 〇 令和元年5月15日    行政視察について、委員会での意見を踏まえて正副委員長で視察先の優先順  位を協議し、視察先との受け入れ交渉をすることを決定した。 〇 令和元年10月1日    令和元年度の行政視察については、正副委員長の行程(案)のとおり、11月  13日から15日までの3日間の日程で、岐阜県岐阜市の公共交通を軸としたまち  づくりについて、名古屋市のBRT並みの機能を持たせたバス路線の構築につ  いて、名古屋国道事務所の道路のコンクリート舗装の取組について、愛知県豊  田市の中山間地域における交通政策の取組について、それぞれ視察を行うこと  を決定した。 ○ 令和元年10月28日 建設建築委員会   本市の公共交通の現状と持続可能な未来に向けての示唆について、参考人か  ら説明を受けた。(参考人:公立大学法人北九州市立大学 教授 内田晃氏)(説明要旨) ① 本市の公共交通利用実態  ・ 本市では平成13年から26年までの間に、100キロメートル以上の路線が廃   止されているという非常に厳しい現状にある。  ・ 門司港、戸畑などの旧市の中心駅については乗降客数がかなり減少して   ている。  ・ 政令市でみると本市は公共交通の利用率が低く、自動車の利用率が高い   傾向にある。   比較的渋滞が少なく、高速道路へのアクセスも非常に良好であり、道路の   利便性が高く、車の平均速度も一定程度保たれていることから、自動車の   利用率が高いと考えられる。 ② 本市の現状課題から見える視点  ・ バスに対する信頼性が低く、定時性、速達性の確保など利便性向上への   検討が必要である。  ・ 次世代にふさわしい新しい交通というものを考えていかなければならず、   そうした都市のあり方も含めて検討していく必要がある。 ③ 本市におけるモビリティーの将来像  ・ トランジットセンター機能を乗継ぎ拠点として提示し、そこに商店の機   能や医療サービス等をセットにした拠点機能、乗継ぎだけではない拠点自体   の魅力も付加していく必要がある。  ・ 小型電気自動車を自治会等で共同購入してシェアするという方法もある。  ・ 例えば学生だけでも公共交通無料パスを提供するなど、行政が負担して大   胆な施策を行うことも必要である。┌──────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                            ││ ・ 利用者が少ないために便数、路線数が減る、単価が高くなるということもあ ││ るため、公共交通も定額制を導入するなど、いかに利用者を増やすかという点  ││ についても考えていく必要がある。                     │└──────────────────────────────────────┘ 行政視察について、視察先の事業等に関する事前研修を行った。 ○ 令和元年11月13日~15日 行政視察(岐阜県岐阜市、名古屋市、愛知県豊田市)  ① 公共交通を軸としたまちづくりについて(岐阜県岐阜市)    岐阜市では、基幹バス路線のBRT化、地域におけるサービスレベルを踏まえ   たバス路線の再編、手づくりコミュニティーバスの推進等により、将来にわたり   持続可能な交通、まちづくりの推進を目指している。    公共交通政策の転換としては、平成16年に市民交通会議を立ち上げ、幹線軸を   強化するための岐阜市型BRTの導入や、高齢化社会に対応するための市民協働   による手づくりコミュニティーバスの運行など、バスを中心とした公共交通ネッ   トワークにより都市を支える新たな交通政策に取り組んでいる。    また、幹線バスの見える化として、バス停上屋に幹線名と系統番号の明示、   JR岐阜駅前デッキ上の総合バスロケーションシステムに全路線及び主要目的   地のバスの接近状況などの情報提供を開始する等の説明を受け、質疑を行った。  ② BRT並みの機能を持たせたバス路線の構築について(名古屋市)    名古屋市では、鉄道並みの等間隔で基幹バスが発着する、道路中央に専用の   バスレーンと停留所を有する、方向別信号制御により交差点内における一般の   右折車との干渉を排除しているなどの特徴がある。    今後、一層整備内容を充実するためには、表定速度向上のための施策、定時性   確保のための施策、結節点整備の充実、車両の大型化など需要増に対する施策な   どが課題となっている等の説明を受け、質疑を行った。  ③ 中山間地域における交通政策の取組について(愛知県豊田市)    豊田市は、広大な市域に山間部が広がっており、民間バス廃止路線を引き継い   だコミュニティーバスの取り組みを行っている。また、2017年より超小型電気自   動車を使ったシェアリングサービスを実施し、現在は59か所にステーションを増   やし、通勤や業務等で利用されているほか、フォトスポット巡りといった観光プ   ランでも活用されている。    主な施策の検討及び実施については、ICカード導入による移動のシームレ   ス化やGoogleマップで市内32路線のバス情報を検索可能(平成31年4月か   ら)にするなどの利便性向上に向けた取組、コミュニティーバスにおける全国初   となる宅配物の貨客混載の実施、高齢者の移動手段の確保として、「たすけあい   カー」の取組等の説明を受け、質疑を行った。 ○ 令和元年12月10日 建設建築委員会   令和元年11月13日から15日に行った行政視察について、他都市の先進的な取組  に関する所感や、本市として取り組むべき事例などについて委員間での意見交換  を行った。≪委員の主な意見・所感≫ ① 公共交通を軸としたまちづくりについて(岐阜県岐阜市) ・ 基幹バスを集約する場所として、区役所等が考えられる。今後、区役所等  の建てかえの議論等の中で、基幹バスの乗り入れ等も検討されたい。 ・ どこの都市も公共交通は赤字であり、それをいかに行政が支えていくか、  議会でも議論をしながら財政的な仕組みを作っていく必要がある。 ・ 交通事業者の努力だけでは難しく、おでかけ交通が限界にきているという  委員会の共通した認識もあり、今後は他都市の取組も参考にしつつ、発想を  転換する必要がある。 ・ 乗務員の不足などタクシー会社も大変厳しい中で、少しでも収入が上がり、  事業を守っていけるような仕組みも検討されたい。 ② BRT並みの機能を持たせたバス路線の構築について(名古屋市) ・ 公共交通の利用増加のためには、バスの待ち時間を少なくするだけでなく、  快適な停留所を設置することも効果的であると考えるため、市内の停留所  の状況についてもしっかり調査されたい。 ・ 市民センターにマイクロバスを1台ずつ導入し、コンサルタントや運転手  を派遣するなど、人口減少に対応した施策を検討されたい。 ・ 各自治会が地域の実情を把握していることから、運行経路の決定など、市  民センターに任せて行う仕組みづくりを検討されたい。 ③ 中山間地域における交通政策の取組について(愛知県豊田市)  ・ 県外からの観光客のため、超小型電気自動車を使用したシェアリングサー  ビスやタブレットを活用した観光案内のシステムを検討されたい。 ・ SDGs周知のために、ラッピングバスを活用されたい。 ・ グリーンパークや到津の森公園の園内、サイクリングターミナルがある河  内などで、気軽に楽しめる超小型電気自動車の活用も検討されたい。  ・ ショッピングセンターを拠点にして、地域を循環するバスに補助金を出す  など検討されたい。 ○ 令和2年5月13日 建設建築委員会   おでかけ交通支援制度の拡充について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① おでかけ交通支援制度拡充の経緯   おでかけ交通は、導入後16年が経過しており、昨年の本委員会においても、  新たな施策について検討すべき時期にあるとの指摘があった。将来的にもおで  かけ交通を持続可能とし、公共交通空白地域の縮小を図るため、支援制度の拡  充を行う。   今年度は、昨年度の約4倍となる1億400万円の予算により、既存地区の助  成の拡充や、新規地区の拡大、利便性の向上、ユニバーサルデザインタクシー  の導入支援等に取り組む。 ② 新たなおでかけ交通の分類  ア 定路線型   ・ バス停を設置し、バス停間を運行する定路線型は、現在7地区で実施し   ている。  ・ 対象地域として、これまでのバス路線廃止地区などに加えて、廃止予防   のため、車両の小型化により路線維持を行うバス路線も新たに対象に加え   た。  イ 自由経路型  ・ 現在、小倉南区志井地区と小倉北区南丘地区で実施しているラストワン   マイル実証事業や、若松区古前地区や小倉北区高尾地区で実施しているプ   チおでかけ交通のような形態で、定路線型より需要が小さい地域が対象と   なる。  ・ これまでのプチおでかけ交通は料金が人数によって変動するため、今後は   200円程度の料金に固定する。 ③ 助成制度の見直し   運行支援の助成額について、これまでの算式「赤字額×収支率」を見直し、運  行経費の2分の1に拡充するとともに、車両購入費用の上限を1台300万円から  400万円に拡大する。 ④ 今後の新たな取組  ・ 既存バス路線廃止予防のため、バス事業者の車両の小型化による路線の維持   に対して、運行助成を実施する。  ・ 昨年度からラストワンマイル実証事業としてスタートした自由経路型のおで   かけ交通を、他地区へも本格展開していく。  ・ ICカード決済の導入やAIを活用したオンデマンド交通の実証実験など、   利便性の向上に努める。┌───────────────────────────────────────┐│ ≪委員の主な意見≫                             ││ ・ ユニバーサルデザインタクシーの導入支援について、今後、新型コロナウイル ││ ス対策も検討されたい。                           │└───────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年10月21日 建設建築委員会   報告書取りまとめのため、委員間討議を行った。 ○ まとめ  本市では、人口減少や超高齢化・少子化社会の到来により、鉄道やバスなどの公  共交通の置かれた状況は厳しさを増している。   そこで、コンパクトなまちづくりをより一層推進するため、北九州市立地適正化  計画と連携を図りながら、人口減少社会に対応した持続可能な公共交通ネットワー  クの再構築を図る「北九州市環境首都総合交通戦略(北九州市地域公共交通網形成  計画)」を策定し、市民・企業・交通事業者・行政が一体となって、環境首都とし  てふさわしい交通体系の実現に向けて、総合的な交通政策の推進に取り組んでいる  ところである。   今回の調査では参考人という形で公立大学法人北九州市立大学教授の内田晃氏  に御臨席いただき、普段聞くことのできない諸外国の情報や貴重な御意見を伺うこ  とができた。   本委員会の調査事項となっているフィーダー的なバス路線の構築については、岐  阜市や豊田市等に赴き、その成果と課題を調査してきた。岐阜市ではトランジット  センターや拠点バス周辺に生活拠点機能である商業施設、医療施設、公共施設など  を集めることにより、利便性確保に努めており、中心市街地では自動車に過度に依  存せず、バランスの取れた交通体系を目指している。その結果、コミュニティーバ  スの利用者数は増加し、満足度も高くなっている。   今後とも他都市の事例を調査・研究し、本市のニーズを踏まえて施策に取り入れ  られたい。   また、より多くの市民の足を確保するために、今後ともおでかけ交通の充実やバ  ス待ち環境の整備、幹線とフィーダー交通の乗り継ぎ拠点の整備など、地元の方々  や交通事業者とともに、地域の生活交通の確保に向けた取組を期待する。   さらに、乗客増に向けた施策の充実のために、様々な施策を組み合わせた取組に  ついても研究されたい。(2)空き家対策について ○ 令和元年5月15日 建設建築委員会    本市の空き家対策の現在の取組内容について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 本市の空き家の現状  ・ 空き家数はこれまで増加の傾向をたどり、平成25年に総務省が実施した   「住宅・土地統計調査」から推計すると、前回より若干減ったものの、   71,160戸、空き家率14.3%である。  ・ 空き家のうち長期にわたり居住世帯が不在の住宅など、利用目的のない   空き家数は、27,940戸で、これは前回の調査より増加している。 ② 老朽空き家実態調査の結果  ・ 当初調査は、平成26年から27年にかけて実施し、空き家の件数は7,296   件で、そのうち危険ありの空き家が3,397件、危険なしが3,899件であった。  ・ その後、市民からの通報や相談に基づき、継続して調査しており、平成   30年度末までに新たに325件の老朽空き家が追加され、総数は7,621件、そ   のうち危険ありの空き家は3,666件であった。 ③ 法や条例に基づく是正指導  ・ 是正指導を繰り返し行っても改善されない老朽危険空き家に対して、法   や条例に基づき、特定空家等に認定した後に、是正指導、勧告等の行政指   導や命令を行うことができる。  ・ 命令に係る措置が履行されない場合は、他の手段によってその履行を確   保することが困難で、かつ放置することが著しく公益に反すると認められ   たときに限り、行政代執行を行うことができ、本市では平成30年11月に   初めて行政代執行による除却を1件行った。 ④ 老朽空き家等除却補助事業   平成26年度に老朽空き家等除却補助事業を創設し、一定の要件を満たす   老朽空き家の除却に対して最大50万円の補助を行っており、平成30年度ま   での5年間で計1,670戸が除却された。 ⑤ 空き家活用推進室の取組  ・ 相続等の専門的な相談にも対応できるように、司法書士や宅建業の団体   と協定を締結して、専門相談窓口を設置し、平成31年3月からの1か月   間で60件の相続登記や売買等の専門的な相談が寄せられている。  ・ セミナー・相談会については、一般社団法人北九州空き家管理活用協議   会が主体となって、平成29年度から2年間で40回開催した。 ⑥ 今後の利活用の課題  ・ 建て替え困難な旗ざお地にある空き家や高齢化が進むオールドニュー   タウンでは、複数の敷地をまとめたミニ開発やコンビニなどの利便施設   の誘導が必要である。  ・ 居住誘導区域外の斜面にある住宅地については、その後の活用が困難   なため、住宅地としての利用を維持すべきかについて、関係部署と連携し   て検討していく。┌───────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                              ││ ・ 不動産業者等とも協力しながら、魅力ある土地をつくり上げれば売却しやすい ││  と考えるため、いろいろな対策を検討されたい。               ││ ・ 八幡東区にはかなり多くの空き家があり、豪雨災害や台風などの際に、住民  ││  の不安も大きいため、何らかの対策を講じられたい。             │└───────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年5月15日 建設建築委員会(現地視察)    老朽危険空き家の実態を把握するため、委員会室にて是正指導の流れや物件の  概要について説明を受けた後、新高田(小倉北区)の勧告案件と日吉台(八幡西区)  の助言・指導案件である特定空家等2件について現地視察を行った。 ○ 令和元年8月21日 建設建築委員会   面的対策の検討について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 事業の経緯   町なかにおいて、空き家や空き地、駐車場程度の低利用土地が点在する、いわ  ゆる都市のスポンジ化の課題に対して、複数の空き家や空き地を積極的に活用す  る取組を進めることで、町の魅力向上、コミュニティーの活性化など、コンパク  トなまちづくりに繋がっていくと考える。 ② モデル候補地のイメージ  ・ 町なかの利便性の高い住宅地は、戸畑区では戸畑駅の東、千防の周辺、小倉   北区では木町や中島の周辺、門司区では門司駅の東、黄金町の周辺、また旧新   興住宅地は八幡西区の小嶺台、小倉南区の菅生台を候補地として選定する。  ・ 主要駅周辺で立地適正化計画の都市機能誘導区域に指定している12地区の   うち、昨年12月に若戸大橋、若戸トンネルが無料化され、地域活性化への   待と機運が高まっている若松区をモデル地区として選定する。 ③ 住宅地の検討の流れ  ア モデル地区の選定   市がモデル地区の候補地になる空き家所有者へ意向を確認するためのアン   ケートを行い、空き家所有者が事業協力の意思を多く示してくれた候補地を選   び、10月ごろを目途に市がモデル地区を3か所程度決定する。  イ 住宅事業者等の公募  ・ 取組に協力してもらえる住宅事業者を公募して、(仮称)モデル実施協議会   を設立する。  ・ 協議会のメンバーは、北九州住宅産業協議会や北九州住宅懇話会、市内で   まちづくりの経験のある事業者を想定しており、事務局は北九州市住宅供給   公社を予定している。  ウ 事業の可能性の検討  ・ それぞれのモデル地区において、自治会などの地元と10年先の町の姿に   ついて意見交換しながら、まちづくりの考え方を整理し、併せて(仮称)モ   デル地区実施協議会とも意見交換を行い、事業の実現の可能性について検討   を行う。  ・ 今年度は、モデル地区ごとの町の姿や宅地をイメージした事業計画の作成、   協議会において複数の空き家所有者と住宅事業者等へつないでいくための   仕組みやルールづくり、必要となる支援制度等の検討を行う。 ④ 主要駅周辺の検討の流れ   今年度は、地域の代表と協議を行い、具体的に調査に入る箇所を選定の  上、土地所有者の意向調査などを行い、にぎわいづくりの広場としての活用や  新たな商業施設やマンションの建設を検討していく。┌───────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                              ││ ・ タワーマンションの危険性等について認識し、今後の町なかの取組に励まれた ││  い。                                   │└───────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年8月21日 建設建築委員会   令和元年5月15日に行った視察について、委員間での意見交換を行った。┌───────────────────────────────────────┐│≪5月15日視察後の意見≫                           ││ ・ 本市の空き家対策を考える中で、老朽危険空き家の除却について、強制執行を ││  早めなければ、スピードを増して空き家が増え続けるのではないかと思う。   ││ ・ 空き家を壊す戸数よりも新たに老朽危険空き家となる戸数の方が多いという  ││  現状を踏まえて、さまざまな対策を検討されたい。              ││ ・ 八幡西区の物件については、とても危険な状態で風が吹いたら倒れそうで事故 ││  になるおそれもあるため、早急に対応されたい。               ││ ・ 老朽危険空き家については、解体費用の補助制度のようなある程度の誘導策も ││  引き続き検討し、粘り強く頑張ってもらいたい。               ││ ・ 老朽危険空き家の除却を進めるために、法的課題がたくさんある。本市にはな ││  いペナルティー制度の導入等、委員会としては引き続き検討課題として勉強して ││  いかないといけないと思う。                        │└───────────────────────────────────────┘ ○ 令和元年11月11日 建設建築委員会   面的対策の進捗状況について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 住宅地  ア モデル地区の選定   ・ 6か所の住宅地のモデル候補地から、所有者の協力意向が得られた空き家    のうち、面的にまとまりのある3か所をモデル地区に選定した。   ・ モデル地区で事業を担う住宅事業者を公募し、応募のあった3団体、1企    業を参加者とする協議会を設置した。  イ 今後の取組   ・ 各モデル地区の自治会等と将来の町の姿について意見交換し、まちづくり    の考え方を整理する。   ・ 今年度末までに協議会の中でモデル地区ごとの町の姿や宅地をイメージし    た事業計画の作成及び事業を担う住宅事業者等を決定する。 ② 主要駅周辺  ア モデル地区の選定   モデル地区は、若戸大橋と若戸トンネル無料化など、地域活性化への期待   とまちづくりへの機運が高まっている若松地区を選定した。  イ 検討体制   地域の方々や検討箇所の土地所有者等とワークショップを開催し、今後の   活用方法について検討を進める。  ウ 今後の取組   検討箇所の現地調査や土地所有者等に対し、今後の活用についての意向を   確認し、その調査結果を基に、勉強会において今後の活用策について検討す   る。  ○ 令和2年3月27日 建設建築委員会   面的対策の事業者決定について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 住宅地  ア モデル地区の事業者を決定   ・ 戸畑区三六町 :北九州住宅産業協議会   ・ 戸畑区新池 :北九州住宅懇話会   ・ 八幡西区小嶺台:北九州住宅産業協議会及び大英産業株式会社  イ 整備イメージ   ・ 戸畑区三六町、新池:4棟の連坦する空き家を解体して建て替える。   ・ 八幡西区小嶺台 :5棟の空き家を建てかえ又はリノベーションする。  ウ 今後のスケジュール   ・ 令和2年4月以降 空き家所有者と実施事業者の顔合わせ   ・ 令和2年7月を目途 売買契約を締結   ・ 令和2年8月以降 工事着手   ・ 令和3年3月末まで 再整備完了の見込み ② 主要駅周辺について  ア 取組状況   ・ 今年度、検討箇所として若松地区をモデルとし、本町商店街周辺である程    度まとまった低未利用地を3か所選定した。   ・ 検討箇所の現地確認、土地や建物の登記簿調査などを行い、低未利用地と    その周辺の土地所有者及び建物所有者に対し、今後の活用についての意向調    査を実施した。   ・ 地元の若松商店街連合会からの推薦により、勉強会のコーディネーターを    決定した。  イ 今後のスケジュール   ・ 今年度末に関係者を集めて第1回勉強会を実施する予定だったが、新型コ    ロナウイルス感染症拡大防止のため、新年度に延期した。   ・ 新年度は、勉強会を数回実施し、活用策について地権者の意向をまとめ、    活用を希望する事業者とのマッチングや活用に応じた情報提供、国の支援メ    ニューなどを案内して事業化につなげていく。 ○ 令和2年7月22日 建設建築委員会   令和元年度の実績及び令和2年度の新たな取組について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 令和元年度の実績  ア 老朽空き家対策としての取組   ・ 老朽化が進んだ危険な空き家については、是正指導を行い、昨年度は204    件の是正を完了した。   ・ 老朽空き家等の除却については、昨年度は393戸に補助を行い、除却を促    進した。   ・ 昨年5月15日建設建築委員会において、現地視察を行った2件の特定空家    等のうち、八幡西区日吉台の特定空家等については、今年の5月26日に、複    数の相続人の合意により解体が完了し、小倉北区新高田の特定空家等につい    ても、今年度中に補助金を活用して解体する予定である。  イ 空き家活用対策としての取組   ・ 市場流通では、昨年度は空き家バンクに69件の登録があり、44件が成約    している。   ・ 空き家のリフォームの一部を補助する住まいの安全安心・流通促進事業で    は昨年度32件の申請があった。   ・ 個別活用では、住宅以外の用途での活用を支援する空き家を活かす地域共    生マッチング事業で、9件の登録があるものの成約には至っていない。   ・ 放置予防では、空き家管理事業者紹介制度に14社が登録しており、空き家    の予防啓発として、ケアマネジャーへの研修や空き家所有者等を対象とした    セミナー・相談会を計11回約600人に対して実施した。   ・ 昨年度より取組をスタートした面的対策では、モデル地区3か所で、事業    内容の検討を進め、地区内で事業を実施する住宅事業者の決定を行った。     なお、モデル地区での事業の完了は今年度末を予定している。 ② 令和2年度の新たな取組  ア 危険な老朽空き家等の除去   ・ 老朽空き家等除却促進事業の補助要件の改正     より危険度の高い老朽空き家等の除却を促進するため、補助対象となる危    険度の引上げ(25点以上→50点以上)、接道状況が悪い空き家の面積基準単価    の引上げ(13,000円/㎡→21,000円/㎡)、都市機能を誘導する区域内の上限額    の引下げ(50万円→30万円)を行った。  イ 空き家の利活用   ・ 住まいの安全安心・流通促進事業の制度拡充     空き家の流通を促進するため、耐震性のある住宅を購入・賃貸または相続    し、エコや子育て・高齢化対応に資する改修工事を行った場合に対象となる    補助制度の拡充や対象工事の追加を実施するほか、若者・子育て世代等への    助成を充実する。   [基本メニュー]    * エコ住宅設備設置工事:節水トイレや高効率給湯機の設置    * 家事負担軽減設備設置工事:ビルトイン食器洗い機や掃除しやすいレンジ                   フードの設置    * 子育て対応改修工事:対面型キッチンへの改修や間取りの変更など                見通し確保のための改修を追加   ・ 面的対策の取組     住宅事業者等や地元(自治会)から一定の条件を満たす空き家情報を提供    してもらい、事業実施につなげる手法の検討を行うために新たな協議会を立    ち上げ、その参加事業者の公募を行う。     また、地元(自治会)から提供を受ける空き家については、試行として    JR駅・モノレール駅、筑豊電気鉄道の駅周辺1㎞圏内に限ることとし、空    き家率の高い門司区と八幡東区の2区で先行実施し、次年度以降に7区に拡    大する予定である。   [今後のスケジュール]    * 今年度は、空き家所有者に意向調査を実施し、事業に協力の意向を示す     空き家所有者から同意書を受けとるところまで実施する。    * 拡大実施協議会での検討結果とモデル実施協議会での課題整理を踏まえ     て、制度を確定し、令和3年度以降の本格実施へと繋げていく。┌───────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                              ││・ 大学生のシェアハウスについて、学生が若いときから地域に根差した活動ができ ││ れば、将来にわたっての意識も変わり、地域活動に対しての意識変化にもつながっ ││ ていくと思われるため、ぜひ頑張っていただきたい。              ││・ 八幡東区、戸畑区、門司区等の道幅の狭い斜面地にある空き家など、まず住民の ││ 手の届かないようなところから取り組むことが空き家対策の一番のポイントであ  ││ り、再度検討しながら空き家対策の道しるべをつくられたい。          ││・ 八幡東区には斜面に放置されている空き家など危険な地域もあるため、安心・安 ││ 全の観点からも自治会の会長を巻き込んで取り組まれたい。           ││・ 地域によっては、逆線引きの対象にも入ってくるため、今後の空き家の定義がど ││ う変わっていくかなど自治会会長等の話をよく聞き、丁寧に説明されたい。    ││・ 面的対策について、バス停から1キロメートル圏内というのも検討材料に入れて ││ いただきたい。                               ││・ 新たな居住者に対し、地域の事情などを事前に説明し、トラブルが起きないよう、││ 居住後のケアも行われたい。                         ││・ マンションの老朽化については、管理組合がないマンションについても何らかの ││ 対処をされたい。                              │└───────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年10月21日 建設建築委員会   報告書取りまとめのため、委員間討議を行った。┌───────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                              ││・ 人口減少に比例して、5年後、10年後には空き家の戸数がさらに増えると予想さ ││ れる。山間部などの地域は土砂災害なども懸念されるため、早めに対処していく必 ││ 要がある。                                 ││・ 不動産の基金制度をつくって、住宅の買取り、道路の整備など、ひとつのモデル ││ 事例としてスピード感を持って、様々な施策を検討していく必要がある。     ││・ 狭あい道路の問題で空き家になる部分が大きいと考える。どのような地域が空き ││ 家になっていくのかを考えた上で、狭あい道路対策も進めていく必要がある。   ││・ 八幡東区の空き家については、市街化調整区域との整合性をどうするかという課 ││ 題もでてきた。                               ││・ 空き家対策が進まない要因として、地権者との交渉が難航する点にある。民間活 ││ 力などのマンパワーも活用して、早く進めてくことが必要ではないか。      ││・ 解体の進まない老朽危険空き家について、市政だよりに掲載している自治体もあ ││ ると聞いた。除却を促進するための効果的な啓発方法も、今後の検討課題になると ││ 考える。                                  │└───────────────────────────────────────┘ ○ まとめ   本市では、人口減少や高齢化、核家族化等の進行に伴い、今後も空き家数の増加  が見込まれ、特に老朽危険空き家は衛生・景観等の面で市民生活に悪影響を及ぼし  ており、早急な対応が求められている。   こうした状況をふまえ、平成28年6月に北九州市空家等対策計画を定め、空き家  等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、関連計画と連携を取りながら、  空き家対策等に取り組んでいる。   法の施行や条例の制定により、著しく老朽化した危険な空き家等に対して、改善  されない場合は、行政指導や行政処分を行うことが可能となったことから、除却を  促進し、安全性を確保するよう迅速かつ強力な取組が行われることを期待する。   例えば、解体の進まない老朽危険空き家について、本市にはないペナルティー制  度を導入するなど、自発的に解体を促す手段は効果的ではないかと考える。   あわせて、住宅全般に対して空き家の進行を予防するための施策も必要であり、  そのためのリフォーム補助制度の見直しを行うなど、改善していくべきである。   一方、マンションなどの集合住宅に対する空き家対策についても、今後の検討課  題として取り組まれたい。   また、複数のまとまった空き家を面的に対策する取組は、全国初の取組であり、  来年度以降の本格実施に向けて今後一層の拡大展開を期待する。   最後に、空き家対策について議論を重ねる中で、狭あい道路対策や地権者対策な  ど本委員会では議論できなかった課題も表面化してきた。今回新たに出てきた課題  については、空き家対策全般の議論を積み上げていくためにも、委員会として継続  的に議論していく必要があると考える。 (3)豪雨災害対策について ○ 平成31年3月13日 建設建築委員会   平成30年7月豪雨による災害の復旧状況について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 所管施設等の被災箇所数と復旧状況(建設局関連)           平成31年2月末現在 ┌────┬───────┬──────────────────────────┐ │ 区分 │ 被災箇所数 │復旧状況                      │ │    │       ├────────┬────────┬────────┤ │    │       │調査・測量・設計│  工事中   │   完了   │ ├────┼───────┼────────┼────────┼────────┤ │ 河川 │  42   │   11   │   15   │   16   │ ├────┼───────┼────────┼────────┼────────┤ │ 道路 │  62   │   13   │   17   │   32   │ ├────┼───────┼────────┼────────┼────────┤ │ 公園 │  20   │   10   │   5    │   5    │ ├────┼───────┼────────┼────────┼────────┤ │ 合計 │  124  │   34   │   37   │   53   │ └────┴───────┴────────┴────────┴────────┘※全ての箇所において応急措置は完了した。※河川については、上記の他に31河川でいっ水被害が発生した。 (建築都市局関連)  ・ 市営住宅:28か所で被害が発生し、2か所が現在工事中、26か所で復旧が   完了した。  ・ 折尾駅周辺連続立体交差事業:1か所で被害が発生したが、復旧が完了し   た。 ② 民有地の崖崩れ(自然崖)の対応状況  ・ 崖崩れの報告のあった407か所のうち、公有地は54か所、民有地は353   か所(自然崖222か所、人工崖131か所)であった。 [対応状況] ┌───────────┬──────┬─────┬─────────┬────────────┐ │    事業名     │ 事業主体 │ 箇所数 │  対応状況   │    事業要件    │ ├───────────┼──────┼─────┼─────────┼────────────┤ │   災害関連    │      │     │測量・設計を実施中│・自然崖5m以上     │ │ 緊急急傾斜地崩壊  │ 福岡県  │  7  │         │・保全人家5戸以上等  │ │   対策事業    │      │     │         │            │ ├───────────┼──────┼─────┼─────────┼────────────┤ │   災害関連    │      │     │地質調査・測量を実│・激甚災害       │ │ 地域防災がけ崩れ  │ 北九州市 │  25 │施中       │・自然崖5m以上     │ │   対策事業    │      │     │         │・保全人家2戸以上等  │ └───────────┴──────┴─────┴─────────┴────────────┘ ③ いっ水河川への対応   平成31年の梅雨前までに短期対策を実施するとともに、中長期的な対策が  必要な河川については、必要な経費を平成31年度予算で確保し、5年間程度  で重点的に取り組む。また、市民への情報提供など、ソフト対策の充実を図り、  浸水被害の軽減に努める。┌───────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                              ││・ 本市は河川が多く、周辺が海に囲まれていることもあり、安全・安心対策として、││ 引き続き河川の整備をお願いしたい。                     │└───────────────────────────────────────┘ ○ 平成31年4月17日 建設建築委員会(現地視察)   板櫃川(清水橋)にて、平成30年7月豪雨における被災状況、ハード・ソフト  対策についての説明を受けた。また、門司区奥田では、崖崩れの被災箇所について、  市による応急対策や県による事業内容等の説明を受けた。 ○ 令和元年12月10日 建設建築委員会   豪雨災害対策について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 所管施設等の被災箇所数と復旧状況(建設局関連)           令和元年11月末現在 ┌───┬─────┬───────────────────────────────┐ │ 区分 │被災箇所数│             復旧状況              │ │   │     ├────────┬───────┬──────┬───────┤ │   │     │調査・測量・設計│  工事中  │  完了  │  復旧率  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 河川 │ 42  │   0    │   9   │  33  │  79%  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 道路 │ 62  │   5    │   6   │  51  │  82%  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 公園 │ 20  │   2    │   2   │  16  │  80%  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 合計 │ 124 │   7    │  17   │  100 │  81%  │ └───┴─────┴────────┴───────┴──────┴───────┘※いっ水被害が発生した31河川については、令和元年6月までに短期対策が全て 完了した。(建築都市局関連)  ・ 市営住宅:28か所で被害が発生したが、全て復旧が完了した。  ・ 令和元年11月現在の崖崩れについて、この豪雨災害に伴う対応状況は407   か所で、このうち人工崖131か所で指導や勧告を行った。 ② 所管施設における豪雨災害対策の取組  ア 災害予防の取組  ・ 道路のり面や公園樹木、河川護岸等の点検  ・ 河川監視カメラや水位計等の河川情報システム、アンダーパスの排水ポンプ、   冠水警報装置、電光掲示板等の点検及び作動確認  ・ 梅雨前に国や県と連携して河川巡視や情報伝達の訓練を実施  イ 応急対策の取組  ・ 倒木処理や土砂の撤去、のり面の崩壊を防止するためのブルーシートを設置  ・ 浸水被害の拡大を防止するための土のうを設置 ③ 令和元年度の重点事業  ・ 平成30年7月豪雨でいっ水した普通河川の治水能力を向上するための河川   改修  ・ 河川維持管理計画に基づく、老朽化した護岸の計画的な維持補修  ・ 河川監視カメラや水位計、警報装置の追加設置による河川情報システムの強   化 ④ 急傾斜地崩壊対策事業  ア 小規模急傾斜地の崩壊対策事業  ・ 国の補助要件に合致しない、崖の高さ5メートル以上10メートル未満、保   全人家5戸以上10戸未満の小規模急傾斜地の対策工事は、都道府県ごとに取   組が異なる。  ・ 20政令市が所在する15都道府県のうち、県自らが事業を実施していないの   は福岡県と広島県の2県のみとなっている。(平成28年度調査) イ 福岡県との協議状況   本市としては、規模の大小に関わらず、急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地  法に基づき、政令市がある他の県と同様に、福岡県が実施すべきと考えており、  福岡県と協議を重ねてきた。   平成30年から福岡県への提案書に、小規模急傾斜地の県による事業実施を  最重点項目の一つとして明文化している。これに対し、福岡県も土砂災害対策  の重要性を十分認識しており、今後とも継続して協議を行うことを確認した。┌──────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                             ││ ・ 市が管理する普通河川においても、流れがはけるよう河川の改修を行うなど災││  害予防に努められたい。 ││ ・ 急傾斜地崩壊対策事業については、福岡県が実施しているが、危険な箇所に対││  する事業がいまだに多く残っているため、対策を急がなければならないと議会も││  感じている。 ││ ・ 市管理の普通河川では、財政的になかなか整備が進まない箇所もあるが、災害││  予防のため何らかの対策を講じられたい。 ││ ・ 豪雨の影響で渋滞が発生した場合の解決策についても検討されたい。 │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年8月18日 建設建築委員会   豪雨災害対策について、当局から説明を受けた。(説明要旨) ① 令和2年度の災害対策  ア 道路   ・ のり面の定期点検を231か所、アンダーパスは月に1回の排水ポンプの点    検を19か所、年に2回の冠水警報装置や電光掲示等の動作確認を23か所実    施した。   ・ 落石防護網設置等の道路のり面の災害防除工事や設計を26か所で実施した。  イ 公園   ・ 約40日に1回、公園巡視員による側溝や樹木等の日常点検を全1,716か所    で実施した。   ・ 側溝やますの排水機能を確保するため、梅雨や台風前に重点的に点検及び    しゅんせつを実施した。  ウ 河川    ・ 河川改修事業では、平成30年7月豪雨でいっ水した普通河川などの河川改    修を12河川で引き続き実施した。   ・ 護岸長寿命化事業では、河川維持管理計画に基づき護岸の補修工事を10河    川で計画的に実施した。   ・ 河川情報システム強化事業では、令和2年6月に板櫃川の浸水想定箇所に    河川監視カメラを2か所、板櫃川上流の河内貯水池の自然越流による増水を    知らせる警報装置を3か所設置した。 ② 平成30年7月豪雨による災害の復旧状況(建設局関連)           令和2年7月末現在 ┌───┬─────┬───────────────────────────────┐ │ 区分 │被災箇所数│             復旧状況              │ │   │     ├────────┬───────┬──────┬───────┤ │   │     │調査・測量・設計│  工事中  │  完了  │  復旧率  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 河川 │ 42  │   0    │   0   │  42  │  100% │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 道路 │ 62  │   2    │   1   │  59  │  95%  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 公園 │ 20  │   2    │   0   │  18  │  90%  │ ├───┼─────┼────────┼───────┼──────┼───────┤ │ 合計 │ 124 │   4    │   1   │  119 │  96%  │ └───┴─────┴────────┴───────┴──────┴───────┘ ③ 崖崩れの復旧状況   福岡県が災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業を7か所で実施し、うち3か所で  事業が完了した。また激甚災害の指定に伴い、本市が災害関連地域防災がけ崩れ  対策事業を25か所で実施し、うち12か所で事業が完了した。現在工事中の17  か所については、令和2年度中に事業が完了する予定である。 ④ 令和2年梅雨時期における大雨による被災・復旧状況   一部の道路、公園への倒木や土砂流出はあったものの、利用に支障がないよう  に速やかに対応した。被災箇所数は道路11か所、公園5か所の合計16か所であり、  速やかに応急措置を行い、14か所で復旧が完了した。┌──────────────────────────────────────┐│≪委員の主な意見≫                             ││ ・ 豪雨災害対策について迅速に対応するため、窓口の一本化など検討されたい。││ ・ 道路が冠水する箇所などを点検し、対策が取られているか調査されたい。 ││ ・ 市内の排水ポンプ場については、豪雨時に被害が及ばないよう、低い位置に施││  設が設置されていないかなど点検されたい。 ││ ・ 河川の上流部にある八幡東区豊町の川岸の家屋などは、豪雨の被害が及ぶ可能││  性があるため、警報装置の設置等検討されたい。 │└──────────────────────────────────────┘ ○ 令和2年10月21日 建設建築委員会   報告書取りまとめのため、委員間討議を行った。 ○ まとめ   近年、全国各地で大規模な豪雨災害が発生しており、本市でも、平成30年7月豪  雨により31河川のいっ水被害や407か所の崖崩れが発生し、市民生活に深刻な影響を  及ぼす事態となった。   今後も、豪雨の発生頻度が高まるなど、より深刻な災害の発生が懸念されるため、  着実な豪雨災害対策の推進が必要である。   また、急傾斜地崩壊対策については、法律に基づく役割分担として、ハード対策  の「工事施工等」は都道府県の事務、ソフト対策の「警戒避難体制の整備」は政令  市を含む市町村の事務とされている。   この法律に基づき、政令市があるほとんどの道府県は、国の補助要件に該当しな  い小規模急傾斜地についても、対策事業を実施している状況である。   本市においては、福岡県でも同様に実施することを令和2年度も県提案の最重点項  目としてあげているところであるが、危険な箇所に対する事業がいまだに多く残って  いるため、一刻も早く市民の安全な暮らしが担保できるよう、今後とも引き続き、福  岡県に対して強く要望されたい。   さらに、国に対しても、制度の改善なしには崖対策が前に進まないという気持ちで、  引き続き強く要望されたい。          北九州空港機能強化・利用促進特別委員会報告書                                                                           令和2年11月25日  北九州市議会議長 村 上 幸 一 様            北九州空港機能強化・利用促進特別委員会委員長 中 島 慎 一  本委員会は、次の事件について調査を終了したので、北九州市議会会議規則第101条の規定により報告します。                     記1 調査研究事項(1)空港の民間委託化について(2)滑走路3,000m化等の機能強化、利用促進について(3)福岡県との連携強化について  北九州空港の活性化は、本市のさらなる発展のうえで必要不可欠であるが、近 年、福岡空港においては民間委託化を契機に大規模な機能強化や路線拡大等が計 画され、また、佐賀空港においても県と市の協力により利用者数が急速に増加す るなど、北九州空港を取り巻く状況は大きく変化していることから、今日、より 一層の活性化を図ることが喫緊の課題となっている。  北九州空港のさらなる活性化策についてスピード感を持って検討するうえでは、 民間委託化をはじめ、滑走路の3,000m化や福岡県との連携等、多くの事件を集中 して審査する必要があることから、令和元年9月の定例会・本会議において本委 員会を設置し、上記3項目について調査研究を行うこととした。2 調査の経過及び結果 ○ 令和元年9月27日 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会   北九州空港の現状と課題、北九州空港将来ビジョン推進強化期間の成果と課  題、北九州空港の機能強化に関する国への要望状況及び北九州空港経営形態基  礎調査報告書等について当局から説明を受けた後、本委員会の委員であり経済  港湾委員会の委員長である奥村直樹委員から、経済港湾委員会中間報告書の概  要、特に同年8月21日に同委員会において行われた参考人招致の概要について  説明を受けた。   また、今後、調査・研究を行う具体的な内容について委員間討議を行った。[北九州空港の現状と課題について](説明及び答弁要旨) ・ 北九州空港はアジアに近く、24時間離発着可能な海上空港という特徴を持  ち、旅客数は国際線の相次ぐ就航により3年連続で過去最高となり、貨物取  扱量も対前年度比1.8倍の8,830トンとなった。 ・ 課題としては、3,000m級への滑走路延伸と、最適な運営形態の検討のほ  か、アクセスについては二次交通の利便性向上、大規模自然災害時の代替手  段の確保、将来的な軌道系アクセスの検討等が挙げられる。 ・ 福岡空港との連携について、福岡県は「空港の将来構想」で北九州空港・  福岡空港との役割分担・相互補完を掲げており、福岡空港の発着枠や、運用  時間を超える旅客需要・航空貨物の北九州空港への誘導等に取り組んでいる。[北九州空港将来ビジョン推進強化期間の成果と課題等について](説明及び答弁要旨) ・ 平成28年度からの3年間を強化期間とし、本市・福岡県において予算を集  中した結果、旅客は国内2路線、国際6路線が新規就航し、利用者数が過去  最高を更新した。相次ぐ国際線の就航や独自の誘致活動が評価され、国の訪  日誘客支援空港に認定された。貨物は、ANA Cargoが就航を開始し、  貨物拠点空港の実現に向け大きな弾みとなった。 ・ 一方、国際線が安定化に至る利用率への未達や、貨物定期便の就航・撤退  の繰り返しなど、安定化が課題である。今後も、旅客の路線誘致や集客、貨  物の集貨、通関体制の構築等に取り組んでいく。 ・ 令和元年5月の北九州市長と福岡県知事のトップ会談において、今年度か  らの3年間を新たに「ネットワーク充実強化期間」と位置づけ、引き続き市  と県が一体となって北九州空港の活性化に取り組むことを決定した。具体的  には、安定的な運航実績等のある重要な既存国際路線の運航助成の継続、福  岡空港に未就航の路線への支援加算、福北リムジンバスの継続、北九州空港  の機能強化・運営形態の検討に当たっての連携等について合意した。[北九州空港の機能強化に関する国への要望状況について](説明及び答弁要旨) ・ 国に対して毎年、最重要項目として3,000m級滑走路の早期実現について  要望している。その際には、貨物取扱実績や、滑走路長不足による10年間  で23件にも及ぶ逸失事例等を示し、RESA対策工事と併せて整備するこ  とについても要望している。 ・ 航空貨物で多いのは、自動車・半導体の部品・装置、生鮮等である。市  内・近隣の企業からは、市内に物流事業者が集積しておらず国際貨物の通  関・手倉作業ができないため、市内でこれらの作業を行い、納期・コストを  縮減したいとの要望を多く受けている。また、ハンドリングの機動性等の機  能充実、福岡空港で通関した貨物の横持ちの助成等の要望もある。 ・ 国との協議においては、なぜ2,500mではだめで、3,000mが必要なのか  との、リアリティーのある具体的・信ぴょう性のあるストーリーが求められ  ているため、現在、荷主企業等のニーズを拾い集めている。 ・ 滑走路延伸が実現した場合の効果として、航空貨物需要の多い欧州・北米  が航続可能エリアに含まれ、大型貨物機の就航促進による貨物拠点化空港へ  の期待や、他空港の被災時のバックアップ機能の確保により国土強じん化へ  の寄与が期待できることなどを含め、今後、国への要望を強めていく。[北九州空港経営形態報告書等について](説明及び答弁要旨) ・ 国は全国の空港の経営改革を進めており、平成25年に民活空港運営法が  施行された。日本の空港運営は滑走路やターミナルビル、駐車場等の運営主  体がばらばらであるため、これらの一体的運営が一般的な諸外国に比べ様々  な非効率を招いている。 ・ 北九州空港も将来の最適な運営形態を検討する時期に来ており、現体制の  維持か、公共施設等運営権制度(コンセッション方式)等の民間委託化か、  議会や産業界、福岡県等と議論を尽くし地元の方向性を決めたい。国管理空  港では仙台・高松・福岡空港が既に民間委託化済であり、北海道・熊本・広  島空港で手続が進んでいる。 ・ 仮に民間委託化する場合には、本市と福岡県、苅田町が国に意向を表明す  る必要がある。その後、国が資産調査や民間企業の投資意向調査等を実施、  事業者を公募、選定された企業体が特別目的会社(SPC)を設立、運営権対  価を国に支払い空港運営となり、ここまでに3~4年必要である。他空港で  は民間委託化後も自治体に対し、運航や重量、集客等に対する助成が求めら  れている。 ・ 現体制の維持、民間委託化のいずれもメリット・デメリットはあるが、将  来像実現のためには3,000m級滑走路の実現が共に重要である。《委員の主な意見》 ・ 関西国際空港が台風被害を受け浸水した際、24時間運用の海上空港である  北九州空港が貨物の代替空港として挙げられた。滑走路を延伸すると世界中  から来て、行けるようになるため、BCPの観点から「安全・安心な空港・  街」をしっかりアピールし、何かあれば海外からも、北九州空港で離着陸で  きるという空港を目指すべき。そのためにも、滑走路の延伸はしっかり実現  すべき。 ・ 滑走路の延伸により、本市だけではなく苅田町にもメリットがあるものと  考える。両自治体にとってプラスとなるように、しっかり話し合い連携する  こと。 ・ 民間委託化となれば、恐らく30年から50年間は民間が運営することにな  るため当然、本市と民間企業が方向を同一にする必要がある。国に対し「北  九州空港をこういう空港にしたい」という思いをしっかりと届けること。 ・ 滑走路の延伸を国に求めるに当たり、長さが足りないために逸失した事例  を具体的に、説得力のある形で示す必要がある。 ・ 市内企業が北九州空港に何を求めているのか、また、現在、どのような貨  物がどこから来て、どこに運ばれているのか。通関体制を整えるなど「貨物  拠点化を目指す」という点で、現状を示してほしい。[経済港湾委員会委員長 奥村 直樹委員から説明](説明要旨)<経済港湾委員会報告書について> ・ 北九州空港の調査について3回の委員会を実施し、北九州空港将来ビジョ  ン推進強化期間の成果と課題については、委員から「福岡空港に加え成田、  北海道方面の空港や、東南アジアの姉妹都市のハブ空港との連携も必要」、  「大連・上海の本市事務所を活用し路線安定化に向けた現地PRを」、「待合  室・免税店の拡充等、利便性向上の工夫を」などの意見があった。 ・ 経営形態に関する調査結果については、委員から「民間企業は収支を非常  にシビアに見るため、民間委託化の議論に当たっては景気の先行きや空港間  の競争等、様々な視点から議論をする必要あり」、「空港島の空きスペースを  活用し、様々なイベントや商売ができるよう工夫を」、「空港島の護岸を活用  して、レトロ地区や下関市等への観光につながるツアーなどに取り組むこ  と」、「利用者の200万人達成が視野に入ってきたため、アクセス鉄道の検討  に早期に取り組むべき」、「若戸大橋等無料化に伴い若松区東部エリアの人口  等が増えてきつつあるため、若松方面へのアクセスバスも検討すること」な  どの意見があった。<参考人として招致した北九州エアターミナル株式会社代表取締役社長西田 幸生氏の説明概要について> ・ 利用者数は特に国際線が伸びているため、同一時間帯に1便から2便発着  できるようターミナルビルの改修を行い、チェックインカウンターを5台か  ら9台に、待合室を220席から320席に増設した。利用者からは、搭乗待合  室に飲食店がない、化粧品・電化製品の免税店を増やしてほしいとの要望が  あるが、それに応えるためには、50億円から70億円投資し、国際線ターミ  ナルの増床又は別棟を建設、若しくは増設する必要がある。 ・ 国際線の伸びにより平成30年度の売上は過去最高の9.7億円だったが、前  述の投資により純利益は6,000万円であり、開港以来黒字を続けているが国  際線利用者が減ると赤字となる可能性があるため、投資等のリスクを選択す  る判断が難しい。国際線の伸びは、市・県が平成30年度まで空港将来ビジョ  ン推進強化期間として、インセンティブ制度の充実等サポートしてもらった  ことが大きい。その他、無人店舗でのWi-Fiルーターの貸出や、外貨の自  動両替機等、北九州空港独自の取組を実施している。 ・ 九州の他空港のここ10年間の利用者数を見ると、福岡空港が国際線の伸  びもあり約1.4倍で、北九州空港も同じである。佐賀空港は特に国際線が伸  び2.8倍、長崎空港はLCCなど国内線が伸び1.3倍、大分・熊本・宮崎・  鹿児島が1.1倍である。鹿児島空港は全国地方空港1位の600万人だが、国  際線利用者数は北九州空港と同程度である。大分空港は最近200万人を超え  たため、北九州空港の国際線の伸び次第では並ぶ。 ・ 同社は将来に向け、外国人向けのコアな需要をつくるため、北九州を中心  に大分・山口県等との周遊ルートづくりに注力し、自社をはじめ旅行社・行  政等と連携し、お勧めスポットなどを発信している。 ・ 民間委託化済の他空港の事例として、高松空港は6グループが応募し「ア  ジア・世界とつながる四国瀬戸内ナンバーワンの国際空港」を掲げ、旅客利  用者数180万人から307万人(国内線1.4倍、国際線5.5倍)との意欲的・  シンボル的な数値目標を設定した。そのために当初5年間で約57億円投資  し、国際線旅客ビルの増設等を計画した。また、保安検査場通過後のクリー  ンエリアの面積を180㎡から3,150㎡へ、免税店の面積を120㎡から450㎡  に拡大する予定である。 ・ 熊本空港は地元企業と三井不動産が優先交渉権者で、「世界と地域にひら  かれた九州セントラルゲートウェイ、地方空港ナンバーワンの国際線ネット  ワーク」をキャッチフレーズとし、利用者数を35年間で約2倍(国内線1.4  倍、国際線11倍)の622万人とし鹿児島空港を抜く目標を掲げている。  現ビルは地震により被災し、国が暫定ビルをまず建てて、その間に民間企業  が約600人収容可能な国内・国際共用のターミナルビルを建設予定であり、  搭乗待合室内の店舗面積の大幅拡張も予定している。 ・ 同社が考える民間委託化のメリット・デメリットについて、まず現体制の  メリットは、減価償却負担が多大な滑走路部分は国運営であるため堅実な経  営が可能であること、また、第三セクターであるため行政・経済界と連携し  た経営等が可能であること、店舗がテナント制であるため同社員が少人数で  済み、利用者減のリスクが低いことなどが挙げられる。デメリットは先述の  とおり、国際線等の長期・確実な旅客需要・収入が見込めなければ投資等に  踏み出せないことなどが挙げられる。 ・ 民間委託化のメリットは、公募により各グループが競争するため、必然的  に高い旅客数・投資等の目標が掲げられること。デメリットは、コンセッシ  ョンへの参加が考えられる企業が多くはなく、運営権を取得した企業はまず  はその空港に集中するため、2つ目・3つ目にすぐ応募する可能性は低いこ  とが挙げられることから、企業は利益を上げやすい大規模空港に集中するた  め、北九州空港公募時に手が挙がらない、または魅力的な提案が減る可能性  がある。また、企業が先行投資を回収するため利益確保を重視し、雇用等の  地元還元が行われるかについて懸念がある。 ・ 民間委託化後も路線誘致競争のためのインセンティブなどの公的支援や中  国等海外とのネットワーク構築のうえでの行政支援等は引き続き必要である。 ・ 同社が考える北九州空港の課題としては、福岡空港との連携またはすみ分  け、福岡都市圏や小倉都心部とのアクセス・利便性の向上、滑走路延伸等の  機能強化、インバウンド強化に向けた広域観光ルートの確立、地方創生に資  するための地方間路線の誘致・利用促進、空港島用地拡大時の商業施設等の  充実、手狭な空港ビルの機能強化、ハンドリング事業者や給油タンクローリ  ーなどの人材不足、空港の知名度向上等が挙げられる。 ・ 以上の説明を受け委員から「空港島活性化に向けたおもしろい取組を、ぜ  ひ行ってほしい」、「空港を利用しない送迎者やツーリング客等も楽しめるよ  うな取組も検討してほしい」などの意見があった。 ・ また、その後の委員間討議で、委員から「予算的に行政では困難な大型先  行投資は、他空港の例にもあるように民間の知恵や力を活用すべき」、「一方、  リスクもあるため、地元貢献や雇用確保等をしっかりと条件に盛り込んだ上  でコンセッション導入を検討すべき」、「市内から福岡空港に流れている利用  者を北九州空港に呼び込むため、インバウンドの観点から北九州空港という  名称も、場合によっては知名度ある名称に変更することも検討する余地があ  るのではないか」などの意見があり、民間委託化についてはスピード感を持  って、かつ慎重に検討すべきとの総意であった。 [委員間討議における主な発言内容]   ・ 今後の検討に当たり、地元・北九州空港の改めての現地調査に加え、国  や有識者、事業者から意見を伺い、議論を深める必要がある。また、すでに  民間委託化を行った他空港の現地視察も大切である。 ・ 国が、令和8年度までに着工するというRESA対策が先に行われると、  滑走路延伸のハードルが高くなる。アセスメントに数年程度かかることを考  えれば、来年か再来年度には国に調査費を計上してもらう必要があり、時間  がない。また、RESAはどのタイミングで、どのように進むのか、深掘り  した議論が必要である。 ・ 民間委託化済の他空港の計画においても、国内線の伸びはあまり見込んで  いない。北九州空港も同様であるため成田線の就航は必須である。 ・ 国に延伸を要望する際、国にとってもメリットのある理由を議会としても  考える必要がある。国はリアリティーあるストーリーづくりを求めていると  のことであり、議会も統一見解を持ち、執行部と一緒に要望していく必要が  ある。 ○ 令和元年10月15日 国に対する要望活動   本市議会議員連盟と合同で、北九州空港の機能拡充及び利用促進について、  国に対して要望活動を行った。 ○ 令和元年10月29日 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会   第1回目の委員会を踏まえ、当局から、北九州空港と地域産業の貨物の現状  と、滑走路延伸に向けた取組について説明を受けた後に、11月14日に行う北九  州空港の機能強化に係る国要望の内容について委員間討議を行った。[北九州空港と地域産業の貨物の現状と、滑走路延伸に向けた取組について](説明及び答弁要旨) ・ 北九州空港発の主な国際貨物は、半導体関連部品・装置、液晶関連部材、  自動車関連部品、産業用機械、化学製品、生鮮貨物等であり、多くは大型・  長尺・重量物や、温度管理・スピードが要求される貨物のため、旅客便貨物  スペースで運べないものを貨物専用機で輸送している。輸送先は羽田・成田  を経由して北米・欧州への輸送が1割強で、約9割はアジア向けで主にAN  A Cargoにより那覇を経由して上海・香港・バンコク・シンガポール  へ輸出されている。貨物直行便が就航すれば欧米向け貨物が取り込める可能  性がある。 ・ 北九州空港に集まる貨物は、市内からが1割で、県内を含めても2割弱で  あり、南九州からが4割と最も多く、次いで福岡県以外の北部九州からが3  割弱であるなど、九州唯一のフレーター(貨物専用機)が就航している特性  が発揮され、九州一円・広域から集貨されている。 ・ 九州全体の欧州・北米向けの航空貨物は年間、福岡県6,700トン、熊本県  1万2,400トンで計2万トンと推計されている。利用する空港は福岡空港が  17%で、残りはトラック輸送により成田・関空・羽田から輸出されている。  九州発欧米向け航空貨物の8割・1万7,000トン以上が九州以外の空港へ流  出している。 ・ 市内企業の航空貨物は一旦全て、福岡空港近郊の物流倉庫に運ばれ、倉庫  で空港別に仕分けし、国際貨物は通関作業後、各空港へ輸送されている。福  岡空港は倉庫から直接輸出する他、一部は北九州空港や成田・羽田・関空へ  陸送し輸出している。 ・ 滑走路延伸により欧米便等の航空貨物路線ネットワークが充実する。また、  北九州空港への物流事業者の集積、通関体制の構築がなされることにより、  中国・アジア向けの国際貨物を取り込める可能性がある。 ・ 現在は、太刀浦の国際上屋で通関・手倉作業を行い北九州空港に転送する  方法に取り組んでおり、トライアル企業も出始めている。これにより陸送距  離が約50kmに短縮できる。 ・ 北九州空港将来ビジョンでは将来像を物流・交流・産業の視点から検討し、  物流についてはステップ1「地域の需要を支える空港」、ステップ2「北部  九州の物流拠点」、ステップ3「九州・西中国の物流拠点」を目指すとし、  そのための戦略の1つを「新たな需要を掘り起こすなど貨物を増やす」とし  ている。さらなる取組として「国際定期便の集貨促進、旅客便貨物スペース  の活用促進」、2つ目が「旅客便・貨物専用便の強化等、多様な国内外ネッ  トワークの構築、また、定期便就航を目指したチャーター便の誘致」を行っ  ている。3つ目が「物流事業者の誘致、通関体制の拡充、欧米直行便に必要  な滑走路延伸」等とされている。 ・ 滑走路延伸に向けた国要望に当たっては、滑走路長不足による逸失事例を  提示する一方、貨物取扱実績が伸びなければ延伸の必要性に欠ける。しかし、  そもそも滑走路長不足により実績が出しづらいとの状況もある。その中で、  本市やアジア成長研究所によるシンポジウムにおいて、航空会社による滑走  路延伸への期待表明や、他空港被災時の貨物振替輸送の受入実績の紹介等が  行われ、事業者から輸送距離短縮による貨物損傷リスクの低減や、経費節減  に係る具体的な声も聞くことができるようになってきた。これらを受け現在  は、大型・長尺・重量物の具体的な輸送案件や、九州の潜在的な国際貨物の  情報収集・対応を進めるとともに、航空会社や事業者の声を収集・整理して、  要望書に提示する等、信ぴょう性の補強、効果の確からしさ向上に向けた情  報収集を行っている。 ・ 北米・欧州へ輸出する際、貨物・燃料が満タンで、かつ遠距離を飛ぶため  現在の滑走路長では直行することは不可能である。そのため、一旦、少ない  燃料で北九州空港を飛び立ち、関空等で燃料を補給するために着陸して補給、  また飛び立つというテクニカルランニングを行うためリードタイムが長く、  コストもかかる。国に対しては輸出に着目し、大型・長距離直行便が就航す  れば、九州・西中国の貨物を長距離の陸送をせずとも九州から輸出できるこ  とを強く提示していきたい。 ・ 前回の委員会で要望を受けた大型貨物チャーター便の機会逸失事例につい  ては10年間で23件あり、内訳は大型貨物11件、長尺貨物4件、精密機械  2件等である。逸失理由はほぼ滑走路長不足であり、その内13件はシーア  ンドエア輸送案件。これらは実際に問い合わせがあったもののほか、そもそ  も滑走路長不足のため最初から選択肢に入らなかった案件が多数存在するも  のと考えている。また、超大型貨物機が2機同時に駐機できるスペースがな  かったとの理由もある。 ・ RESAについては国際機関ICAOの勧告を受け国が基準を改正し、旧  基準40mから、90m~240mという国際基準を適用することとなった。北九  州空港は北側に余地がないため、滑走路を南側に移設した上で両端に各90  mのRESAを整備する。施工時期は未定だが、効率化のため滑走路延伸と  RESA工事を一緒に行うよう国に提案している。《委員の主な意見》 ・ 以前に受講したセミナーで、関西国際空港・伊丹空港・神戸空港がすみ分  けを行い、神戸空港が黒字となり上手くいっているという話を聞いた。また、  四国の4空港も各空港のメリットを生かしながら、全体で四国を盛り上げて  いこうとしている。福岡県内の2空港はいずれも、利用者数も増えておりチ  ャンスであると考えるため、両空港はさらに連携を行い、九州中から貨物を  集めているとの点を、県からも国に対しさらにPRしていただきたい。 ・ 北九州空港の滑走路長が足りないなどのため、九州全体の航空貨物の約8  割が成田空港等に陸送されているとのことであり、延伸を国に要望すること  は重要ではあるが、貨物の集貨や物流企業の集積、通関体制の構築等、今で  きる本市側の準備もしっかり行うことが重要である。 ・ 本市で通関作業等ができるようになれば、輸送の距離や時間の短縮、CO2  削減等に効果があるとのことであるため、それらが実現すれば「環境やSD  Gs推進のうえでも良い」ことや、「アジアへの貨物輸送や、今後の北米・  欧州への輸送も含め、北九州空港は最高の空港である」ことなども国に示し  ていかなければならないと考える。[委員間討議における主な発言内容] ・ RESA対策と滑走路延伸の工事を別々に行うと、多くの予算がかかり工  も長くなるため滑走路延伸のハードルが上がるとの説明があった。これら  の工事は一緒に行っていただくよう要望していただきたい。 ・ 北九州空港は、24時間運用の海上空港であり、他の空港が被災した際の  バックアップ機能を果たせることが、大きな強みである。滑走路が延伸され  れば、さらに多くの空港のバックアップが可能となり、我が国の航空ネット  ワークの維持や国土強じん化の面からも強く要望していただくことが重要で  ある。 ・ 国に対して、滑走路が短いために誘致の可能性があった大型貨物機を逃し  た事例を具体的に示すとともに、大型貨物機が離着陸できる滑走路となるよ  う強く要望していただきたい。 ・ 要望団に参加される本市の商工会議所会頭に滑走路延伸の必要性について  説明し、会頭から「民間も要望している」ことをしっかりと、財務省や国土  交通省に伝えていただきたい。 ○ 令和元年11月8日 北九州空港の現地視察[北九州空港の現地視察]  北九州空港事務所の会議室において、国土交通省大阪航空局北九州空港事務 所空港長 武島 誠一氏から、空港の各施設・設備や飛行機の安全運航の取組 などについて説明を受け、北九州エアターミナル株式会社代表取締役社長 西 田 幸生氏から、北九州空港の現状と課題や現空港ビル会社から見た民間委託 化等について説明を受けた。空港の機能面については、管制塔を3班に分かれ て視察するとともに、バスで空港の制限エリア内や物揚場等の視察を行った。 ○ 令和元年11月14日 国に対する要望活動   北九州空港機能強化に関する要望団として、北九州空港の機能強化について、  国に対して要望活動を行った。 ○ 令和2年1月21日 政策立案支援事業の実施   本委員会の要請により、公益財団法人アジア成長研究所 八田 達夫理事長を  講師として招へいし、全議員を対象に、北九州空港のさらなる活性化について  「北部九州は成長の壁をどう乗り越えるべきか」と題した講演会を開催した。 ○ 令和2年2月27日 国に対する要望活動   本市議会・本市・福岡県議会・福岡県と合同で、北九州空港3,000m滑走路の  早期実現について、国に対して要望活動を行った。 ○ 令和2年3月27日 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会   北九州空港のさらなる活性化に向けて、民間委託化を含めた将来の最適な運  営形態の検討を行うに当たり、国の進める空港経営改革の制度概要や、民間委  託が始まっている他空港の取組事例等について説明を受けるため、同年4月28  日の委員会に、国土交通省の担当者に参考人として出席していただくよう要求する  ことを決定した。  (後日、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から延期することを決  定) ○ 令和2年7月13日 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会   新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から開催を延期していた委員  会を開催し、当局から、新型コロナウイルス感染症拡大による影響及び、滑走  路延伸に向けた取組について説明を受けた後、参考人から、国管理空港の空港  経営改革について説明を受けた。また、参考人の説明を踏まえ、当局から北九  州空港の運営形態の検討について説明を受けた。[新型コロナウイルス感染症拡大による影響について](説明及び答弁要旨) ・ 国内定期便は徐々に回復しているが、依然として減便・運休が発生してい  る。スターフライヤーの東京―羽田線は当初1日11往復の計画が、3月11  日から減便し、最も少ないときで1往復での運航であったが6月以降、徐々  に再開し、7月13日時点では6往復となっている。日本航空は4往復の計  画に対し、2往復での運航となっており、羽田線は全体として、当初15往  復の計画が現在8往復で運航している。那覇線等も運休しており、国際定期  便は政府間の入国制限措置により運休中である。他空港も概ね同様の状態で  ある。 ・ 貨物便については那覇空港をハブとしている週5便のANA Cargo  が、機材を運航する乗員の確保困難などから運休している。昨年11月から  運航している大韓航空は、当初の予定どおり週2便の運航を継続している。  需要の増加への対応や、地域企業の利便性向上のため、ロサンゼルスから北  九州を経由し仁川に向かうルートを、5月9日からは仁川国際空港と北九州  空港の折り返し運航に変更している。 ・ 北九州エアターミナル株式会社による航空会社や商業テナントへの支援に  ついて、航空関連企業への支援としては賃料・管理費、カウンター・保安検  査等設備使用料を3カ月間50%減免、その後9カ月間20%減免とし、1年  間で約8,600万円を減免する。商業テナントは賃料・管理費、電気・水道代  を6カ月間50%減免し、約1,500万円を減免する。 ・ 同社の令和2年度予算は売上高3億8,800万円で、前年度決算9億4,300  万円から6割減少となり、当期損失は4億500万円の見込みである。キャッ  シュフローは、令和2年度期末残が約4億8,000万円の見込みであり、資金  ショートの懸念はない。本市は継続的に同社と情報共有等を密に行い、健全  経営継続のためしっかり協力していく。[滑走路延伸に向けた取組について](説明及び答弁要旨) ・ 昨年度は国要望を2回、例年の国への要望活動とは別に追加で実施した。  1回目は昨年11月、麻生財務大臣・赤羽国土交通大臣に対し、本市議会・  本委員会、北九州商工会議所、本市の連名にて要望し、2回目は本年2月、  国土交通大臣に対し、本市と福岡県及び両議会、本委員会の合同で要望を実  施した。これらにより、国の今年度予算に滑走路延伸の調査費が計上された。 ・ 本年1月、本市と福岡県が、特殊大型貨物輸送の世界的リーダーカンパニ  ーであるロシアのボルガ・ドニエプル航空と、北九州空港の利用促進に関す  る覚書を締結したことも、調査費計上の後押しになったと考える。同社は2  月に早速、北九州空港からアンカレジを経由して北米へ、貨物チャーター便  での化学製品の輸送を行った。 ・ 調査費の約1億円は、延伸に係る費用対効果の検証や、住民参画手続であ  るパブリックインボルブメント、環境影響評価の調査等に関する事業費と聞  いており、今後は、費用対効果の算出、パブリックインボルブメント、環境  アセスメント、新規事業採択時評価を経て事業が決定されることとなり、国  は着工までに数年かかると想定している。本市は手続期間の短縮に協力し、  早期実現に向け全力で取り組む。《委員の主な意見》 ・ 空港や港湾は、50年・100年先を見据えて現在の政策を考えなければなら  ないため、必要な際には迅速に、北九州エアターミナル株式会社を支援して  もらいたい。同社が崩れると、空港の計画全体が狂ってくるものと考える。 ・ 新型コロナウイルス感染症やチャイナリスクなども含め、今後、グローバ  ル経済そのものがどうなるかにより、空港は大きく影響を受けるものと考え  るため、執行部はグローバル経済に関してもしっかり注視し、空港に関する  政策の方向性を間違えないようにすること。 ・ 現在、新型コロナウイルス感染症の影響により旅客定期便が運休するなどの  状況になっているが、ウイルスとの闘いは今に始まったことではなく、今  後もある。滑走路の延伸に関する手続は可能な限り急ぎ、国にもしっかり協  力してもらうよう尽力すること。 ・ 環境アセスメントに4年程度かかると聞いた。パブリックインボルブメン  トの説明会等はなるべく短くするなど努力していただきたい。[国管理空港の空港経営改革について] 参考人:国土交通省航空局航空ネットワーク部航空ネットワーク企画課     空港経営改革推進室企画調整官 西川 岩和氏     同課     専門官・公認会計士      出浦 直哉氏(説明及び答弁要旨) ・ 空港に関する法律は平成20年頃、整備だけではなく、運営にも力点を置  くため空港整備法から空港法に改正した。オープンスカイやLCCの台頭に  より航空を取り巻く環境が変化したため、民間活力を活用し新たな時代に対  応していく必要が生じたことが背景である。 ・ 空港経営改革、コンセッションは、国管理空港だからという理由で国が勝  手に進めるものではなく、地元自治体や経済界の理解があって初めて進むも  のと考える。空港経営改革は、ばらばらに運営されていた滑走路・ターミナ  ルビル・駐車場を一つの主体がまとめて運営し、地域の活性化を図っていく  ことが主眼である。これまで、国は航空管制・滑走路等の運営を担当、空港  ビルは民間や三セクが担当してきた。これを、管制は引き続き国が行うが、  滑走路等の運営は運営権を民間事業者に付与することで、ビルや駐車場の運  営と一体化して運営をすることが可能になるという仕組みである。 ・ 民間委託化の期待される効果として、まず着陸料の引き下げについては、  今までは非航空系のビルの商業売上や駐車場収益等は、基本的には非空港系  のためにしか活用できなかったものが、それを原資にして戦略的に、着陸料  の引き下げに活用するということなどが可能となる。引き下げは新規路線誘  致のインセンティブにもなる。 ・ エアラインの誘致は現在は自治体が行っているが、民間会社が一体運営す  ることで誘致のための専門部隊新設等、より専門的・戦略的な誘致が可能と  なる。プロモーションも、一体運営による強力な打ち出しが可能となり、そ  れにより空港が活性化し新規路線を誘致でき、多くの人が往来するようにな  れば、雇用も含め地域への経済波及効果が生まれる。 ・ 空港ビルのリニューアルやアクセス向上についても、空港ビル・滑走路・  駐車場を一つの思想、一体的コンセプトの下で、効率・効果的に実施してい  くことが可能となる。 ・ 現在は6つの民間委託化プロジェクトが動いている。仙台空港が最初の国  管理空港のコンセッション案件であり、平成25年から資産調査を始め、平  成28年7月の委託まで3年程度かかった。どのプロジェクトも3~4年程  度かかる。仙台は「東日本大震災からの復興のシンボル」をうたい民間委託  を実施した。熊本空港も同様で、熊本地震からの創造的復興のシンボルとし  て新空港ビルの新設を条件にコンセッションを実施し、本年4月から滑走  路・空港ビルの一体的運営を開始した。福岡空港は、過去最大規模の運営権  対価で、2本目の滑走路増設が前提となっていた。北海道は7空港まとめて  の運営、関西国際・大阪国際・神戸空港も一体的運営の案件であり、特に北  海道は4国管理空港、3地方管理空港で、国・北海道・旭川市・帯広市の4  管理者が関わる過去に例を見ないプロジェクトである。今年1月から7空港  のターミナルビルを一体運営し、6月からは新千歳空港の滑走路が民間に移  管された。残りの旭川・函館・釧路・稚内・帯広・女満別空港の滑走路は来  年3月に委託される。現在、広島空港が公募期間中で、現在2次審査中であ  るが、コロナ禍により約3カ月後ろ倒しとなり来年7月に民間による一体運  営開始を予定している。大分空港は研究段階である。 ・ 民間委託の基本的流れについて、まずは事業・財務・資産・法務等様々な  視点による資産調査により各空港の現状や、潜んでいるリスク、将来のポテ  ンシャルなどを洗い出し、空港コンセッションのスキーム案を作成し、それ  を基に民間投資意向調査により、コンソーシアムへの参画形態や運営期間・  運営権対価等について意見を伺い、実施方針に反映させ公募、提出された提  案書を採点し、採用された企業が運営を開始する。 ・ コンセッション方式は、平成23年にPFI法が改正され、平成25年に民  活空港運営法ができ開始された新しい事業である。明るく前向きな施策だが、  一方で新しい会社が新しいことをやるため、様々な部分で万能とはいかない。  そのため、国の未来投資戦略2018の中で「これまでのコンセッション事業  を振り返り、改善すべき点があれば反映する」とのことで、平成30年から  有識者を交えた空港コンセッション検証会議を開催し、1次と2次審査の間  で行われる競争的対話において、民間事業者から意見を聞き、改善点等につ  いて提言を受けている。 ・ 民間委託後も法的に、滑走路等の資産は引き続き国が持つため、施設に対  する安全性や利便性の確保等の最終的な責任は国にあり、民間には運営権だ  けを渡す。委託後も、国によるRESA整備も可能である。成田空港は同空  港株式会社に滑走路等の資産ごと渡す民営化であり、国はこの「民営化」と、  国が最終的責任を持つコンセッションなどの「民間委託化」を使い分けてお  り、後者では法的安全基準の要求水準等について国が定期・随時にしっかり  モニタリングなどを実施する。安全面は特に重要であるため、どうしても水  準を満たせない場合には最終的に契約解除もあり得る。また、大規模自然災  害等、民間による安全な空港運営が著しく阻害される場合等には、国が自ら  介入し運営することもでき、さらには公益上必要な工事を民間が行わない場  合にも、国による実施が可能である。滑走路の運営等はこれまで公共だけが  担ってきており、民間委託の際には十分な引き継ぎを行うため、PFI法に  より5年程度の公務員派遣制度がある。コロナ禍等のリスク対応は原則、事  業者の負担となるが、不可抗力等によるものは国との協議により、運営権対  価の支払猶予等必要な見直しを行える契約となっている。また、国として雇  用調整助成金や納税猶予等、支援している。 ・ 民間委託化後も騒音等の環境対策については、国が事業者に対し従前の水  準を求める。利便性についてもしっかり確保できるよう、事業者選定時に運  営権対価の多寡だけで評価しないよう、対価の額の配点は20%程度に抑え  ており、国もモニタリングを実施する。また、無茶な投資計画を提案し運営  継続不可とならないよう国も収支計画等を確認するが、継続不可となった場  合には国が直接運営することも可能である。 ・ コンセッションはあくまで地元がやりたいかどうかが一番大事である。北  九州空港は海上空港・24時間運用・広大な未利用地の存在が強みでチャン  スである。国は、コンセッションはあくまで一つのツールにすぎないと考え  ており、それ以外の方法で空港活性化が実現されれば、それは一つの在り方  であるが、その際には、やはり24時間空港であるため深夜・早朝時間帯に  LCCを就航させるとか、未利用地に人を呼び込む施設を整備するなどが、  一つの方法ではあると考える。参考として、北九州空港のキャッシュベース  での平成29年度収支は黒字であり、利用者数も増加しているため、コンセ  ッションの可能性はあると思っており、コンセッションでなくとも全国の国  管理空港の中では比較的良い位置にいるため、様々な活性化の方法はあると  考える。 ・ 地元として、空港の現状・将来性・未利用地の活用方法等について情報収  集・分析等を行っていただき、どのような形で北九州空港を盛り上げていく  のか考えていただくことが一番良いと思う。[北九州空港の運営形態の検討について](説明及び答弁要旨) ・ 本市が想定する運営形態ごとのメリット・デメリットについて、まず選択  肢としては現状の経営・運営形態の維持と、運営権事業への移行の大きく2  つである。現状の場合は路線誘致・利用促進等を引き続き自治体中心で行う  ため、課題としては、他空港に引けをとらない財政出動が必要なことと、他  空港でコンセッション移行・活性化が進んだ場合の相対的な地位の低下や、  一体的開発の難しさ、人員不足の懸念等が考えられる。メリットとしては、  施設の維持管理等に国のノウハウが活用できることに加え、コロナ禍等のリ  スク時にも国管理空港として機能維持・継続が図られることが新たに期待さ  れる事項である。 ・ 運営権事業の場合は、航空ネットワークの強化・利用促進といったメリッ  トがある一方、北九州空港自体に魅力がないと競争による優れた提案や多様  な事業者の参画が促されないことに加え、コロナ禍等のリスクにより運営事  業者の経営に多大な影響が及ぼされる場合には、路線誘致・利用促進・設備  投資等計画の見直しが迫られる可能性があるとのデメリットが新たに考えら  れる。また、北九州空港の運営権事業者がFIAC(福岡国際空港株式会社)  との関係が薄い場合は、福岡空港との連携や、地元との新たな信頼関係の構  築が課題となる一方、福岡空港以外の空港との連携による活性化が期待され  る。FIACとの関係が濃い場合は、福岡空港への投資が優先され、北九州  空港が劣後する可能性が懸念される一方、福岡空港との一体的な路線誘致や、  ハンドリング人材等の融通、地域事情に精通した効果的な利用促進策、  アクセシビリティーの向上等が期待される。《委員の主な意見》 ・ 民間委託についての本市の意向は、様々な方の意思統一が必要であるため  決まった訳ではないが、個人的には民間委託化を推進したいと考える。今後  もし、本市が委託化の意向を表明した際には、北九州空港がさらに活性化す  るための意見・アドバイスなどについて、国の力添えをお願いしたい。 ・ 本市も滑走路延伸や民間委託化の検討等頑張っているが、コロナ禍等の世  界的な、地元等の努力だけではいかんともしがたい場合には、国もしっかり  と支援してほしい。 ・ 令和8年度までのRESA着工予定について、滑走路延伸については本市  からもいろんな方が国に対し陳情を行い、今年度、国の調査費も計上された  ことから、「実際、RESAが先に着工したため、延伸は間に合わない、無  理でした」では地元に対し本当に申し訳ないことになるため、その点、国は  しっかり真剣に取り組んでいただき、RESA着工までには絶対に間に合わ  せるということを、ぜひお願いしたい。 ○ 令和2年10月1日 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会   参考人から、国管理空港の運営権事業者である福岡国際空港株式会社の概要や  取組などについて説明を受けた後、当局から、新型コロナウイルス感染症拡大に  よる影響と、第1回北九州空港施設計画検討協議会について説明を受けた。[福岡国際空港株式会社の概要や取組について] 参考人:福岡国際空港株式会社経営企画本部企画調整部特任部長     吉村 稔氏(説明及び答弁要旨) ・ 同社は東アジアトップクラスの国際空港を目指し、年間、国際線1,600万  人、国内線1,900万人、計3,500万人の利用者数を目標とし、航空機未利用  者も年間800万人を目指している。平成30年7月に資本金178億5,000万  円で設立し、社長は西日本鉄道株式会社、副社長は九州電力株式会社出身者  で、福岡県副知事等が取締役である。 ・ 県外資本として、他空港運営実績が豊富な三菱商事やチャンギエアポート  が参画していることも魅力である。従業員は約700名で今後増員予定だが、  うち400名が前身の福岡空港ビルディングから継続しており、その他、国や  出資企業からも職員派遣がある。 ・ 事業は、滑走路・誘導路等空港基本施設の維持管理、飛行場の運用、着陸  料の設定・収受等の空港運営等事業と、ターミナル施設・設備の運用・管  理・保安、免税店等の運営を行うビル施設等事業の2つに分かれている。 ・ 空港面積は346ヘクタール。現在は2,800m滑走路を24時間運用としてい  るが、同空港供用規定により実際は7時~22時までの15時間に制限。発着  回数は平成30年に18万回を超え、一本滑走路では国内最高である。貨物取  扱量は近年、年間25~26万トンで、路線は2月時点で国内28路線、国際22  路線である。 ・ 国内線旅客ターミナルビルは地下鉄アクセスホールやスイーツホール、ラ  ーメン滑走路等を整備しており、8月には400人超収容の大型ビアホール、  展望デッキなどがオープンした。また、福岡空港周辺に点在していたヘリポ  ートを集約し、海上保安庁以外の全事業者が3月、新設した雁ノ巣のヘリポ  ートに移転。その他、国際線旅客ターミナルビル、国内・国際貨物ターミナ  ルビルもある。 ・ 30年後の将来イメージ・マスタープランとしては、新たな国際線旅客ビル、  バスターミナル、連絡バス専用道、商業施設やホテルなどの複合施設、立体  駐車場等の新設を計画している。航空系事業は国の安全基準等が詳細に規定  されているため、事業者としては非航空系事業の方が民間の力を発揮させや  すい。エアラインは国際67路線、国内33路線の誘致を目指すとともに、都  市の役割・機能を補完するエアポートシティーとして、新設する複合商業施設  に九州・西日本から年間800万人集客することを目指している。空港アク  セスは九州だけではなく中国地方からの集客等も強化するため、鉄道やバス  の多様化、国際線地区へのアクセス強化を進める。市街地空港として、周辺  地域と共に都市型空港として発展するため、周辺住民との信頼関係構築、地  域共生事業の承継・発展を進める。さらには福岡県の空港将来構想の実現に  向けた協力として、福岡県・福岡市との協議の場の設置や、地元経済団体と  の連携による利用促進、福岡空港で発着枠を取得できない又は時間外就航を  希望するエアラインの北九州空港への誘導、福岡空港貨物ビル施設容量を超  える貨物の北九州空港への誘導、貨物ハンドリング支援等を行う。安全・安  心の維持については、実施体制の確立、重層的セルフモニタリング、PDC  Aサイクルの展開等を進める。空港容量の拡大については、令和6年に新滑  走路が完成・運用開始することに合わせ1,600万人対応の国際線旅客ビルを  整備する。新滑走路供用開始後は1時間当たりの発着回数を45回から50回  とするため、地元の理解を含めた環境整備を進める。 ・ 現在の福岡空港の取組について、まず令和元年度の旅客数は国際線546万  人、国内線1,756万人の計2,300万人であるが日韓問題や新型コロナウイル  ス感染症の影響を受け、過去最高を記録した平成30年度と比べ国際線145万  人、国内線36万人、計180万人減少している。昨年度の路線構成比は、国  内線の約半分が羽田線、それに那覇・成田・中部線が続く。国際線は45%が  韓国線、それに台湾・香港・中国線が続く。現在、国が行っている滑走路増  設は事業費約1,700億円で、平成27年度着工、令和6年度末完成予定であ  る。1月からの新型コロナウイルス感染症の影響は想定外の大きさで、国際  線は4月以降、昨年比ほぼ0%、国内線は4~6月が昨年度比2割未満、7  月以降は3割強程度の旅客数であり、国内線の便数は昨年比7割程度である。  国内線ビルテナントにはテナント料減額や支払猶予等の支援を行い、国際  線は閉鎖している。新型コロナウイルス感染症により同社の経営も大きな影響  を受けたため、国に運営権対価の減額、支払時期繰延べなどの支援を要請し  ている。福岡県・福岡市からも要望した結果、5・11月支払予定の運営権対  価計142億円が、今年度末まで猶予が可能となった。運営権対価総額は  4,460億円で、これを30年かけて支払う。当初3月決算は60億円の赤字  を計画していたものが93億円に膨らんだが、新型コロナウイルス感染症は  いずれ終息し利用も回復すると考えており、当初計画に変更はない。 ・ 福岡県・福岡市との連携について、まず福岡県とは出資に伴う合意事項に  基づき10%の出資を得るとともに、県知事・同社社長によるトップ会談、事  務レベル協議等を行うこととしている。福岡県が資本参加することにより、  同社運営開始時の周辺住民への周知や、海外政府への路線就航の働きかけ、  空港容量拡大時の周辺自治体の理解促進等に支援を得ることができ助かって  いる。福岡市とはパートナーシップ協定を締結し、福岡市長・同社社長によ  るトップ協議会や、事務レベルでの幹事会を開催することとしている。その  他、利用促進のため福岡商工会議所会頭を会長とした福岡空港利活用促進協  議会を設置している。特に福岡県からは、空港将来構想の実現に対し期待が  寄せられており、同社としては交流人口の拡大や、空港活性化を通じた地域  振興・発展により貢献していきたい。 ・ 国と締結した契約書については「国及び運営権者が相互協力し、事業を円  滑に実施するために必要な一切の事項を定める」としており、平成30年11  月の当社運営開始に先立ち、同年8月に締結した。契約期間は30年だが、  不可抗力等による5年以内の延長が設定されている。事業は福岡空港内で行  うことが原則だが、国が北九州空港を民間委託する場合に同社が公募に参加、  選定された場合は、国は「特段の事情がない限り、承認を行う」と規定され  ている。リスク分担・緊急事態等への対応については原則「同社が、本事業  の実施に係る一切の責任を負い国は対価支払義務を負わず、運営権者におけ  る収入減少、費用増加等は全て運営権者が負担」となっている。安全な空港  運営が著しく阻害される事態や、国における安全保障上の緊急事態等には、  国の判断で必要な期間・範囲内、運営権の停止を命ずることができるとなっ  ている。 ・ 北九州空港はやはり海上空港・24時間運用可との点が強みと考える。特に  LCCのビジネスモデルでは飛行機を常に動かしたいとの考えを持っている  ことが多いが、福岡空港に夜間着陸したいと依頼されても22時以降は不可  能であるため、それは北九州空港に分担してもらえるとありがたい。また、  空港容量からして福岡空港はこれ以上、貨物便受け入れの余裕がないため、  物流については北九州空港で担ってもらえるとありがたい。多くの北九州市  民が福岡空港を利用しているが、上京時は地元・北九州空港を利用する方が  絶対に便利だと思う。北九州圏域には200万人住んでおり、福岡空港にはな  い運賃の安さをPRすることや、利便性向上等により利用者はさらに伸びる  ものと考える。《委員の主な意見》 ・ 福岡空港は福岡県の核となる空港であり、北九州空港は24時間運用可能  等非常に可能性を秘めている。本市も福岡空港のコロナ禍からの復活を注視  しており、今後も北九州空港と福岡空港が様々な面で連携していくことが必  要である。[新型コロナウイルス感染症拡大の影響について](説明及び答弁要旨) ・ 羽田線については緊急事態宣言の解除、県をまたぐ移動制限の緩和後、  徐々に回復したが、7月の第2波の影響により再度減少し、依然として減  便・運休が発生している。スターフライヤーは当初1日11往復計画から最  少時は1往復、10月1日時点では3往復しており、日本航空は当初4往復  計画から現在2往復しており、合計すると当初15往復計画から現在5往復と  なっている。8月末時点利用者数は前年比84.6%減の8万4,601人。沖縄線  は4月の運休後、7月の連休等及び8月は運航したが9月からは運休してお  り、FDA静岡線や国際線も運休中である。 ・ 貨物はANA Cargoが4月から運休しており、大韓航空は5月から  週2便を維持し、仁川国際空港との折り返し運行中である。生鮮品や自動車  部品の輸入が開始され、半導体・電子部品等の輸出も着実に増加している。[第1回北九州空港施設計画検討協議会について](説明及び答弁要旨) ・ 本協議会は、滑走路延長計画についての具体的な施設計画等に関し情報提  供・意見収集の調整等を行う役割を担うもので、北九州市副市長・福岡県副  知事・苅田町副町長・国土交通省大阪航空局長・九州地方整備局副局長が構  成員となっている。 ・ 8月6日の第1回協議会では、延長計画について広く住民から意見を聞く  手続であるパブリックインボルブメント(PI)の実施体制・進め方につい  て協議を行った。今後、PIや環境影響評価等を進め、国の新規採択時評価  を経て事業化していく。 ・ 本協議会は主にPIについて検討を行う。実施体制としては本協議会が第  三者機関であるPI評価委員会から助言・評価を受け、その内容を広く市民  に情報公開し意見収集を行う。PIでは今後、実施計画書を公表し、約2週  間周知を行う。次に、実際のPI活動として滑走路延長計画案を公表し、約  1か月間意見収集を行う。その後、意見を集約し、目標達成の判断、実施記  録の公表を行う。これら一連の作業は令和3年度の予定であり、引き続き国  と連携し、早期事業化に向け取り組む。 ○ 令和2年10月7日 国に対する要望活動   本市議会議員連盟と合同で、北九州空港の機能拡充及び利用促進について、  国に対して要望活動を行った。 ○ 令和2年11月6日 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会   参考人から、空港の民間委託化について説明を受けた後、当局から、北九州  空港の目指す姿と課題整理、運営形態の検討の方向性について説明を受けた。   また、当局から、本委員会が要請した公益財団法人アジア成長研究所の八田  理事長による講演において同理事長が提案された、北九州空港のさらなる利用  促進策に対する本市の考え方について説明を受けた。当局からの説明後、調査  研究事項の報告書の取りまとめのため委員間討議を行った。[空港の民間委託化について] 参考人:株式会社MK総合研究所代表取締役所長 幕 亮二氏(説明及び答弁要旨) ・ 株式会社三菱総研勤務時には空港民営化事業チームリーダーを担当し、応  募企業コンソーシアム向けのコンサルティングを行っていた。北九州空港に  ついては、空港の将来ビジョンづくりに携わった。もし、北九州空港にコン  セッションを導入する場合にも、地元を中心に将来ビジョンを作っておくこ  とは非常に大事である。 ・ 将来ビジョンは当初、貨物拠点化に特化したビジョンを検討していたが、  航空貨物は旅客便の貨物スペースの活用が不可欠であるため、貨物だけでは  なく旅客便やアクセスも含め、様々な観点から検討することになった。貨物  拠点空港を実現するためのスケジュールにおいて特徴的な点は、旅客便ネッ  トワークや貨物フレーター便の強化、物流関連施設の立地の促進にまず取り  組み、貨物上屋の拡充や、欧米直行便に必要な滑走路3,000m化を加速させ  ることである。 ・ 国際航空貨物は、約6割が旅客便のベリースペースを使い輸出入を行って  いる。福岡空港の貨物取扱量は新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年11  月から今年1月にかけ落ち込んでいるが、北九州空港の貨物取扱量は伸びて  おり、前年同月比で今年の3・5月は5割増である。これは、新型コロナウ  イルス感染症の影響で「福岡空港の旅客便のベリースペースが使えなくなり  、北九州空港の貨物便を使った」、「北九州空港があってよかった」、「フレータ  ーの定期便があってよかった」となったと言える。新型コロナウイルス感染  症の影響による、海外の自動車部品のサプライチェーン寸断の例を見ても、  北九州空港のフレーターの運航が一部寸断を救ったことが見える。 ・ 成田・羽田空港の輸出入の通関場所を見ると、成田空港の周りにはフォワ  ーダー(貨物輸送を行う事業者)が集まっており空港外にも保税施設がある  が、羽田にはほとんどないため、羽田空港を利用する貨物の多くは成田の近  くにあるフォワーダー施設を使い、羽田に戻っている。輸出入合わせて国内  の約44%の貨物が羽田空港を離発着しているが、通関は成田で行っている  ことから、成田-羽田間を無駄にトラックが行き来しており、環境にも良く  ない。羽田は土地代が高いことなどから物流施設の集積は難しい。物流施設の  集積には非常に時間がかかるが、それを行わない限り貨物拠点にはならない。 ・ 今、昨年度策定された鹿児島空港の将来ビジョン実現のために、どのよう  な施設が必要かという議論に参加している。先述のとおり、将来ビジョンを  最初に作成しておくことが民間委託化の入り口としては非常に大事であるが、  全く裁量の余地なく作ってしまうと自由度がなくなり、民間事業者がノウハ  ウを競う場が無くなる。しかし、将来を見据えた地元の合意形成がない限り  は、コンセッションには進めない。 ・ 空港運営の民間委託化に関する検討状況等について、仙台・高松・福岡・  北海道7空港、熊本・広島空港はすでに決まっているが、現時点で、今後、  実施方針策定予定等の他空港のウエイティングリストはない。民間委託化の  フェーズ1が終わり、フェーズ2に向かうに当たって課題を解決する時期に  来ており、その課題は新型コロナウイルス感染症の影響で少し明らかになっ  てきている。 ・ 民間委託化のスケジュールを見ると、デューデリジェンス(資産調査)や  マーケットサウンディング(民間投資意向調査)を行い、実施方針を公表し、  提案を受け運営を開始するまでに、最低5年かかっている。今はウエイティ  ングリストがない状態であり、デューデリジェンスを行っているのが大分空  港と新潟空港等だが、手続きが順調に進んだとしても4年後にしか公募は行  われない。 ・ 国が民間委託化を進めて良かった点として、1点目はエアポートセールス  (路線誘致)が強化されたことで、着陸料の引き下げやエアラインに向き合  う営業体制が良くなったこと。2点目は、空港ビルがリニューアルされ、商  業施設の拡充や駐車場のリニューアルなどが行われたこと。3点目は、空港  へのアクセスの向上であり、バス路線の新設や運行頻度の増加が挙げられる。  2・3点目は高松空港に例がある。4点目は、地域経済への波及で、雇用の  創出や地元企業のビジネス機会の増加等が挙げられる。仙台空港は国際線を  増便し、それに対応するターミナルビルの増設を行っており、このような民  間の機動的な設備投資が最大の効果である。単年度予算でしか動かざる得な  い行政とは、全く異なる。 ・ IATA(国際航空運送協会)が公表しているコンセッションの効果とし  ては「長期契約により設備投資を躊躇せず、償却回収するまで行えることに  より、投資へのインセンティブが働く」ということが挙げられている。一方、  課題として1点目は、政府や民間企業の能力が低い場合や、制度が十分でな  ければ公益に関心が低い事業者が参入し、利用料金が大幅に増加するという  指摘がある。2点目は、設備投資の計画や利用料金が長期的にあらかじめ設  定されるため、これらの変更についての柔軟性が乏しいことが挙げられる。  しかし、2点目については議論が分かれる。 ・ FIACによる、2024年に滑走路を増設するなどの設備投資計画につい  ては、新型コロナウイルスの影響を受けた現在も「現時点では変更しない」と  のことであるが、北海道エアポート株式会社の設備投資は「繰り延べする」  ことで国と交渉している。新型コロナウイルス感染症のような不測の事態下  においては、固定的な設備投資計画は変更されるべきと個人的には思ってい  る。 ・ 平成26年に策定された、福岡県の空港の将来構想における「福岡空港と  北九州空港の役割分担と相互補完」においては、北九州空港が24時間空港  であることを活かし、早朝・深夜便の誘致、福岡空港の発着枠を超える就航  希望航空会社の誘導、貨物空港としての貨物需要の取り込みなどが期待され  ている。北九州空港の滑走路は3,000m化できるため、貨物空港としての大  きなポテンシャルを秘めている。 ・ 福岡空港の発着容量について、滑走路が増設された場合と、航空管制が高  度化された場合等について試算してみたが、これらが行われた場合には確か  に北九州空港の旅客便の伸びは相対的に穏やかなものとなるだろう。北九州  空港の旅客増のためには国内線、特に羽田便と成田便を活性化させるべきで  あり、就航条件を良くするためには航空会社間で競争させるようなネットワ  ークを計画すべきと考える。 ・ 世界の空港において、現在は、新型コロナウイルス感染症の影響で国際線  の需要は全くないが、今後、その需要がどの程度戻るか、また、そのスピー  ドについてのIATAの予測によると、5年後の2025年時点においてもコ  ロナ禍前の将来予測水準を少なくとも10%下回るとのことである。国内線は、  2022年にはコロナ禍前の将来予測水準に戻ると見込まれている。国際線がコ  ロナ禍前の将来予測水準に戻るまでに5年以上かかることや、民間委託化し  運営を開始するまで、デューデリジェンス、マーケットサウンディングなど  で最低5年を要することから、今時点からデューデリジェンスだけでも始動  してよいものと考える。なお、観光庁は「2030年に6,000万人のインバウン  ド」との目標を下方修正しておらず、IATAは5年後にも1割減と言って  いるものの、東日本大震災やアメリカ同時多発テロ後においても、航空需要  は1年程度で回復している。 ・ コンセッションにおける応募企業連合の特徴は3つある。1点目は、大手  デベロッパーは大規模な商業ビルの建設や経営等の経験が参加資格となるた  め、在京企業が中心となること。2点目は、運輸・観光系の企業と、デベロ  ッパー志向のある電力等の地元企業が企業連合に参加する傾向にあること。  3点目は、空港運営の実績がある国内企業が少ないため、外資系企業が参加  すること。ただし、運輸部門におけるJALやANAなどの航空会社の参加  は、空港運営企業と利益が相反することから難色を示す審査員もいる。 ・ 北九州空港の強みは、24時間運用可能な海上空港であることや、拡張を続  ける未利用地の存在、貨物拠点化空港としての将来像の合意形成、九州唯一  の定期貨物便就航によるコロナ禍の中での需要増、シーアンドエアの実績、  ボルガ・ドニエプル航空との覚書の締結などに加え、滑走路延伸のスケジュ  ールが見えてきたことも大きい。新型コロナウイルスの感染拡大以前には国  際線が複数就航し、乗客数180万人を超えるポテンシャルを有していること  も強みである。 ・ 北九州空港の将来像をイメージすると、航空旅客以外の集客も可能性があ  るのではないかと思う。例えば、ボルガ・ドニエプル航空と覚書を締結した  ことで世界最大の貨物機であるアントノフが駐機していると、航空ファンも  集まると思う。民間委託化することで色々な知恵、ピンチをチャンスに変え  る発想や、多様なアイデアが出てくる。 ・ 北九州空港が民間委託化への意向を表明する際には、国もフェーズ2の段  階、今までの反省に立ち、進め方を検討していく段階にあるものと考えられ  る。そこに「打ち込んでいく」というか、「これまでの民活空港運営法に丁  寧に準拠したやり方ではない実施方針が必要ではないか」ということを、地  域から声を上げていくべき。北九州空港に対しては、貨物拠点化のアイデア  とノウハウを持つ事業者がたくさんいる。貨物拠点化以外でも、空港島に余  地があるため一般の空港とは違う提案が出てくると思うため、フレキシブル  な実施方針とセットで国に訴えていくことが必要であると思う。 ・ 来年、デューデリジェンスを始めても、運営開始までに5年はかかる。デ  ューデリジェンスを始めたとしても、民間委託化のスケジュールに乗せると  いう話にはならないため、論点を整理するためにもデューデリジェンスに名  乗りを上げてもよいのではないかと考える。[北九州空港の目指す姿と課題整理について](説明及び答弁要旨)<1つ目の将来像について> ・ 物流の視点については、安定した貨物量を有し、かつ、多様な国内外のネ  ットワークが充実しており、さらには施設面などの機能強化が図られ、広大  な土地を活用した物流拠点の展開等が望まれる。 ・ 現状は、国内貨物の伸び悩みはあるものの九州唯一の貨物定期便が就航し  ており、国際貨物が急激に拡大してきた結果、国際貨物上屋が狭あいとなっ  ている。物流事業者が集積しておらず、通関体制が不十分であり、欧米への  直行に必要な滑走路長が不足していることに加え、活用可能な土地が整備さ  れておらず、ハード・ソフト両面で取り組んでいくべきことが多く残されて  いる。 ・ そのためには、貨物需要の掘り起こしや実績の積み上げ、また、滑走路延  長の早期実現に向けた関係機関との連携等これまで行政が中心に行ってきた  取組に加え、新たなネットワークによる路線誘致や、物流拠点化に向けた、  3工区を含めたエリア全体に係るデザインの策定や事業展開など、民間の力  に期待する取組も今後出てくるものと考える。 ・ 北九州空港の貨物拠点化にとっては物流事業者の集積が非常に重要であり、  太刀浦の国際上屋で通関作業ができる体制をつくるためトライアル企業が進  出し始めている。また、新たに苅田町のエリアにはなるが、通関作業ができ  る倉庫ができており、毎便利用されている。<2つ目の将来像について> ・ 交流の視点については、国内外の路線ネットワークが強化されるととも  に空港アクセス機能が強化され、旅客ターミナルビルの拡充が図られるこ  とが望まれる。 ・ 現状は、国際線の充実に向けて一部改修を行い、旅客ターミナルビルが  200万人対応へと拡張されたが、平成30年度のピーク時にはそこまで至ら  なかったものの、航空会社の事務所スペースやCIQ施設などが狭あいと  なるなど、拡充の必要性も視野に入れる必要があった。また、アクセスに  ついては、便に合わせたバスの運行を行うなど利便性の維持に努めている  が、ピーク時は駐車場不足となるなど臨時的な対応を迫られることもあっ  た。 ・ 解決に向けては、旅客数の充実のために、民間が持つ国内外のネットワー  クによるエアラインの誘致や、ターミナルビルや駐車場等の拡張など、まさ  に民間委託化により行われる一体的で効率的運営のための施設整備が、新型  コロナウイルス感染症の終息を見据えながら求められてくるものと考える。<3つ目の将来像について> ・ 産業の視点については、航空機産業拠点の形成や、航空関連産業の集積、  雇用創出等が望まれる。 ・ 現状は、MSJだけではなく、利用促進に向けた覚書を締結したボルガ・  ドニエプル航空の拠点など航空物流系の事業展開をイメージできるが、活用  可能な土地が整備されていない状況にある。 ・ そのためには、航空系産業とのネットワークの構築や産業誘致等、これま  で行政が行ってきた取組に加え、プレーヤーによるエリア全体に係るデザイ  ン策定や事業展開等、民間の力に期待する取組も出てくるものと考える。[運営形態の検討の方向性について] (説明及び答弁要旨) ・ これまで本委員会で議論してきた、北九州空港の運営形態ごとのメリット  とデメリット、国から見た「北九州空港の活性化に向けた検討」、事業者で  ある福岡国際空港株式会社による「北九州空港との連携施策」、さらには本  日説明いただいた「北九州空港への期待」などを踏まえ、空港の活性化に向  けて、民間活力の活用の可能性と期待が十分残されているものと考える。 ・ 今後は、国の動向や他空港の状況、マーケットやプレーヤーの意見、さら  には新型コロナウイルスの終息状況等を注視しながら、空港活性化策の1つ  として民間委託化の検討を継続していくこととしたい。 ・ 民間委託化については、本市・福岡県・苅田町の地元が揃って国に意向を  表明する必要があるため、現在、議論を進めていることに関しては、苅田町  とは情報共有を行っており、今後も足並みを揃えて議論をするとともに、方  向性も定めていく。《委員の主な意見》 ・ 新型コロナウイルス感染症の影響下であっても貨物取扱量が増えていると  いう現在の状況は、北九州空港にとってチャンスであると考える。民間は便  利で安いところに集まるため、企業が集積しやすい環境をどう作っていくか  が課題である。 ・ 北九州空港の将来像については、これまでも戦略的に考えてきたと思うが、  新型コロナウイルス感染症の影響で状況が変わってきている。また、今後、  新たなウイルスが発生した際に海外から人が来なくなることなどを想定する  と、航空会社や運営事業者は非常に苦しい経営になる。将来像を掲げること  は大切であると思うが、3工区の造成や滑走路の3,000m化等、まずは足元  のことをしっかりと、確実に行っていくべき。 ・ 民間委託化については検討を継続していくべきであると思うが、色々な調  査手続きを行うと4~5年がかかる。新型コロナウイルス感染症や他の感染  症も含め、今後、航空需要がどのようになっていくのか今から想像すること  は困難であるが、滑走路3,000m化が決まればすぐに手を挙げることができ  るよう、準備をしっかりと進めておくべき。 ・ 民間委託化を行う前に、どのような方針で委託していくのか検討すること  は、非常に重要な観点であると考える。北九州空港は「24時間運用可能な  貨物空港」という位置づけを、きちんと持っておくべき。[北九州空港のさらなる利用促進策について](説明及び答弁要旨) ・ 提案内容の効果として、JR小倉駅新幹線口2階にぺデストリアンデッキ  と接続するバスターミナルを整備し、都市高速道路に高架道路で直結する案  については、平面道路を走る場合に、現在では赤信号に1回から2回引っか  かることから、高架で直結した場合、3分から4分程度の短縮を図ることが  できる。また、都市高速道路の終点、長野出入口から国道10号の中央分離  帯を活用し、高架道路を整備する案については、現在、長野出入口から九州  自動車道、及び東九州自動車道を経由し苅田北九州空港インターチェンジま  での距離が13kmあるのに対し、都市高速道路の長野出入口から真っすぐ国  道10号の高架道路を走る場合は7kmとなり、時間にして3分から4分程度  の短縮になる。 ・ バスターミナルと都市高速道路へ直結する高架道路については、数十億円  規模の事業費、長野からの高架道路延伸については数百億円規模の事業費が  かかるため、これらの整備については小倉駅新幹線口の土地の高度利用や待  合環境の向上等の効果も期待できるものの、アクセス時間の短縮効果に対し  て多大な事業費がかかることから、現時点では事業化は困難であると考える。《委員の主な意見》 ・ 高架道路については現実的ではないことは理解できるが、バスターミナル  を小倉駅北口(新幹線口)に集約し、空港直行便のバスが小倉駅北口から発  着できるような整備だけであれば費用はそんなにかからない。現状、信号に  は引っかかるが間違いなくアクセス時間は短くなり、それだけでも大きな効  果になると思うし、非常に利便性は高まるのではないか。今後、小倉駅周辺  のバスネットワークを含めた考え方を整理し、取り組んでいただきたい。[その他について] ・ スターフライヤーの現状については非常に注意深く見守っており、特に今  年度は緊密に情報交換を行っている。同社の第2四半期の決算によると、6  ヶ月の経常損失が64~65億円、自己資本比率が2.8%という内容で、これまで  の新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の激減により、大変厳し  い経営環境に置かれている。 [委員間討議における主な発言内容] ・ これまで執行部や参考人から、民間委託化のメリットやデメリットなどに  ついて説明を受け、コンセッション方式の導入により、民間企業による、空  港機能の拡充に向けた大胆な投資が計画されるなど、非常に有効な取り組み  であることは十分に理解できた。しかし、現在はコロナ禍により、運営権事  業者となる企業等がたいへんな影響を受けているため、現時点で本委員会と  して「民間委託化を推進すべき」と決定し、執行部に対し「早急に、民間企  業と協議すること」とは言い難い状況であると考えることから、本委員会で  調査研究を行ったメリット・デメリットはしっかりと、本市議会における今  後の議論に引き継ぐこととし、現時点では「引き続き、調査研究していく」  と、まとめるべきではないか。 ・ 「本市の発展のために、北九州空港をどのように生かしていくのか」とい  うことが最も大きなテーマである。インフルエンザのワクチンができたよう  に、新型コロナウイルス感染症に対してもワクチンなどの手だてはできるも  のと思うため、空港の利活用の議論は、しっかりと継続していくべきである。 ・ 民間委託を受ける側にとっては、「北九州空港が、利益を上げていくうえ  でふさわしい空港であるかどうか」という観点が重要である。貨物空港とし  て利用を増やしていくためには、滑走路の3,000m化を実現しなければ、民  間にとってもメリットはないものと考える。 ・ 民間委託化された空港の現地調査を計画していたが、新型コロナウイルス  感染症の影響により実現できなかった。今後、北九州空港の民間委託化につ  いて検討を行っていくに当たり、我々が自分の目で見て、現地の方々の説明  も聞いた上で、メリット・デメリットを判断していく必要があると思う。そ  の点からも「継続的に調査を行っていく」という方向が、この時点では妥当  であると考える。 ・ これからの「ポストコロナ禍」の北九州空港のビジョン、明るいビジョン  については、全く裁量の余地なく作ってしまうと自由度がなくなると説明を  受けたが、そのとおりであると思う。様々な可能性があることを踏まえたビ  ジョンを作っていくことや、そのことにより民間企業の関心を高めていくと  いう取組が、今は必要である。 ・ 滑走路の延伸について国の調査費が計上されたことは、大きな前進であっ  た。本件ついてはRESAの整備と併せて1日も早く実現できるよう、着実  な取組を進めるべき。 ・ 国の調査費が計上されたことにより、滑走路3,000m化の実現の可能性が  非常に大きくなったことから、今後、本委員会の委員が替わっても引き続き、  委員長・副委員長が中心となり、国への要望を行っていくべきである。 ・ 民間委託化についての調査の継続は妥当であると考えるが、物流事業者の  集積や通関体制の整備、それに伴うインフラの整備等、現時点においても取  組めることはたくさんあることから、その点は、本委員会から執行部に対し  て強く提言すべき。そのことが北九州空港の魅力向上につながり、そして、  その後の民間委託化についての議論にもつながる。 ・ 航空貨物については貨物物流機能の強化を徹底的に、できることをしっか  りと行い、北九州空港のメリットを十分に発揮させる必要がある。旅客につ  いては「福岡空港の上限を超えた部分等の受け皿となる」というモデルはも  う通用しない。旅客を独自に、特に首都圏を中心とする東京便・成田便を中  心に誘致をしていくという現実的な、地に足のついた旅客増の取組をしっか  りと進める必要がある。 ・ 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、航空会社は非常に厳しい経営環  境にある。本市はスターフライヤーに対して援助を行うべきではないかと考  えることから、今後、航空会社への支援についても議論してほしい。 ・ 福岡県との連携については、滑走路の延伸に当たり、本市と福岡県が一丸  となって国に対して要望してきた結果、今年度、調査費を獲得したことがた  いへん大きな成果であったが、両自治体が3年スパンで集中的に実施してき  た「将来ビジョン推進強化期間」や「ネットワーク充実強化期間」の取組も  また、非常に有効であった。現在の充実強化期間は、コロナ禍で厳しい状況  の中、来年度までが期限となっているが、当期間が終了する再来年度以降も、  北九州空港や航空会社がコロナ禍からV字回復していくうえでの大切な期間  であると思う。今後も強化期間を継続し、引き続き、福岡県の空港として県  も一緒になって尽力していただけるよう、執行部だけではなく議会としても  働きかけていくことが重要であると考える。 ・ 福岡県との連携強化も重要であるが、お隣の苅田町との連携もたいへん重  要である。 ○ 令和2年11月18日 国に対する要望活動  北九州空港機能強化に関する要望団として、北九州空港の機能強化について、 国に対して要望活動を行った。3 まとめ  (1)空港の民間委託化について   北九州空港のさらなる活性化に向けた最適な運営形態について検討するために、  コンセッション方式のメリットやデメリットなどを中心に、参考人や執行部から  説明を受け、調査研究を行ってきた。同方式の導入については、民間企業による、  空港機能の拡充に向けた大胆な投資が計画されるなど、非常に有効な取組である  一方、北九州空港が委託を受ける民間企業にとって「利益を上げていくうえでふ  さわしい、魅力的な空港」となり、「さらなる活性化に向けた、多様なアイデア  が積極的に提案される空港」となる必要があるという側面も持ち合わせているこ  とが分かった。   そのためには北九州空港が、24時間離発着可能な海上空港であるとの特性を  生かした貨物拠点空港として、貨物需要の多い北米・欧州への貨物直行便が就航  できるために、また、旅客便についても利用者の増加とともに、ベリースペース  の活用による貨物取扱量のさらなる増加が図られるためにも、3,000m級滑走路  の早期実現や、物流事業者の集積、通関体制の整備等が必要不可欠である。   しかし現在は、新型コロナウイルス感染症の影響により、運営権事業者となる  企業等はたいへん厳しい経営環境にあり、この状況下にあっては本委員会として、  現時点で、民間委託化を「進めるべき」、「進めるべきではない」などの結論を  得ることが困難であることから、これまでの本委員会における調査研究内容を今  後の本市議会による議論にしっかりと引き継ぎ、継続して調査研究していくこと  が必要である。(2)滑走路3,000m化等の機能強化・利用促進について    機能強化については、本委員会や本市議会をはじめ、本市や福岡県の様々な主  体が一丸となり、国に対して積極的かつ強力に要望活動等を行ってきたことによ  り、今年度、国において、北九州空港の滑走路延伸にかかる調査費が予算計上さ  れ、その早期実現に向け大きく前進することとなった。今後は1日も早く、RE  SA対策工事と併せて整備を行うよう、引き続き、関係者が一丸となって国に対  し働きかけを行っていく必要がある。   利用促進については貨物拠点空港の実現に向け、定期便の就航や集貨促進、旅  客便ベリースペースの活用促進、物流事業者の集積、通関体制の構築等に取り組  むとともに、旅客便についても福岡空港の発着容量等の拡充を見据え、北九州空  港自らがさらに利用者数の増加を図ることができるよう、集客や路線誘致、空港  へのアクセス・利便性向上等により一層、注力していく必要がある。(3)福岡県との連携強化について   福岡県との強力な連携のもと、本委員会や本市議会をはじめとした本市の様々  な主体が一丸となり、北九州空港の活性化に取り組んできたことにより、滑走路  延伸にかかる国の調査費の計上や、「ネットワーク充実強化期間」等における予  算の集中により旅客国際線や貨物定期便の新規就航等が実現するなど、大きな成  果を得ることができた。   今後も、北九州空港のさらなる機能強化・利用促進を図っていくうえでは、滑  走路の延伸をRESA工事と併せて1日も早く実現させることや、福岡空港との  役割分担・相互補完による北九州空港のより一層の活性化、さらには、民間委託  化を含めた北九州空港の最適な運営形態の検討等、多くの課題があることから、  これからも引き続き、福岡県議会・県との連携をさらに強化していくことは必要  不可欠である。さらには、苅田町との連携についても強化していくべきである。   なお、本市議会において本報告を行った後には、北九州空港のさらなる活性化  に向け、本市議会と福岡県議会が同じ目的に向かい、より一層、連携を強化して  いくことを改めて確認するために、本報告書を福岡県議会に対してしっかりと届  け、共有してまいりたい。                           議員派遣変更報告一覧表(令和2年9月定例会議決分)┌──────────────────────────────────────────┬───────────────────────────────────────────┐│                    変更後                   │                    変更前                    │├───────────────┬────────────┬───────┬─────┼────────────────┬────────────┬───────┬─────┤│   派遣議員(団体名等)   │     目 的     │  場 所  │  間 │   派遣議員(団体名等)    │     目 的     │  場 所  │  間 │├───────────────┼────────────┼───────┼─────┼────────────────┼────────────┼───────┼─────┤│総務財政委員会        │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 │総務財政委員会         │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 ││ 吉田幸正          │する財源の拡充に関する │区(自由民主 │11月25日 │ 吉田幸正           │する財源の拡充に関する │区(自由民主 │11月中の ││               │政令指定都市税財政関係 │党)     │     │                │政令指定都市税財政関係 │党)     │1日間  ││               │特別委員会による要望運 │       │     │                │特別委員会による要望運 │       │     ││               │動           │       │     │                │動           │       │     │├───────────────┼────────────┼───────┼─────┼────────────────┼────────────┼───────┼─────┤│中止             │            │       │     │総務財政委員会         │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 ││               │            │       │     │ 木下幸子           │する財源の拡充に関する │区(公明党) │11月中の ││               │            │       │     │                │政令指定都市税財政関係 │       │1日間  ││               │            │       │     │                │特別委員会による要望運 │       │     ││               │            │       │     │                │動           │       │     │├───────────────┼────────────┼───────┼─────┼────────────────┼────────────┼───────┼─────┤│総務財政委員会        │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 │総務財政委員会         │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 ││ 日野雄二          │する財源の拡充に関する │区(自由民主 │11月25日 │ 日野雄二           │する財源の拡充に関する │区(自由民主 │11月中の ││               │政令指定都市税財政関係 │党)     │     │                │政令指定都市税財政関係 │党)     │1日間  ││               │特別委員会による要望運 │       │     │                │特別委員会による要望運 │       │     ││               │動           │       │     │                │動           │       │     │├───────────────┼────────────┼───────┼─────┼────────────────┼────────────┼───────┼─────┤│総務財政委員会        │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 │総務財政委員会         │大都市財政の実態に即応 │東京都千代田 │令和2年 ││ 田中光明          │する財源の拡充に関する │区(日本共産 │11月17日 │ 田中光明           │する財源の拡充に関する │区(日本共産 │11月中の ││               │政令指定都市税財政関係 │党)     │~18日  │                │政令指定都市税財政関係 │党)     │1日間  ││               │特別委員会による要望運 │       │     │                │特別委員会による要望運 │       │     ││               │動           │       │     │                │動           │       │     │└───────────────┴────────────┴───────┴─────┴────────────────┴────────────┴───────┴─────┘                   議員派遣報告一覧表      (北九州市議会会議規則第157条第1項ただし書きを適用した派遣)┌─────────────────┬────────────┬──────────┬──────┐│    派遣議員(団体名等)     │    目  的    │   場  所   │   間 │├─────────────────┼────────────┼──────────┼──────┤│世良俊明             │大都市財政の実態に即  │東京都千代田区(立 │令和2年11月││                 │応する財源の拡充に関  │憲民主党)     │19日    ││                 │する政令指定都市税財  │          │      ││                 │政関係特別委員会によ  │          │      ││                 │る要望運動       │          │      │└─────────────────┴────────────┴──────────┴──────┘                      写                            北九行調第127号                           令和2年11月26日北九州市議会議長 村 上 幸 一 様                         北九州市人事委員会                          委員長 河 原 一 雅  人事委員会の意見の申出について 令和2年11月24日付け北九議議第104号をもって意見を求められた下記の議案については、当委員会として異議はありません。                記 議案第193号 北九州市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について                   議 案 付 託 表                                    令和2年12月定例会総務財政委員会┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第159号  │当せん金付証票の発売について                         │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第163号  │指定管理者の指定について(北九州市立男女共同参画センター)          │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第182号  │令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)のうち所管分           │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第193号  │北九州市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について           │└──────┴───────────────────────────────────────┘経済港湾委員会┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第182号  │令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)のうち所管分           │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第184号  │令和2年度北九州市卸売市場特別会計補正予算(第2号)             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第185号  │令和2年度北九州市渡船特別会計補正予算(第1号)               │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第187号  │令和2年度北九州市港湾整備特別会計補正予算(第1号)             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第192号  │令和2年度北九州市公営競技事業会計補正予算(第2号)             │└──────┴───────────────────────────────────────┘教育文化委員会┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第164号  │指定管理者の指定について(北九州市立曽根臨海運動場)             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第182号  │令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)のうち所管分           │└──────┴───────────────────────────────────────┘保健福祉委員会┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第151号  │北九州市社会福祉施設の設置及び管理に関する条例の一部改正について       │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第152号  │北九州市国民健康保険高額療養資金貸付基金条例の廃止について          │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第165号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第166号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第167号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第168号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第169号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第170号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第171号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │└──────┴───────────────────────────────────────┘保健福祉委員会(続き)┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第172号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第173号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第174号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第175号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第176号  │指定管理者の指定について(北九州市立特別養護老人ホームかざし園等)      │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第177号  │指定管理者の指定について(北九州市立小倉北ふれあい保育所等)         │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第178号  │指定管理者の指定について(北九州市立小倉北ふれあい保育所等)         │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第179号  │指定管理者の指定について(北九州市立小倉北ふれあい保育所等)         │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第180号  │指定管理者の指定について(北九州市立小倉北ふれあい保育所等)         │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第181号  │指定管理者の指定について(北九州市立小倉北ふれあい保育所等)         │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第182号  │令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)のうち所管分           │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第183号  │令和2年度北九州市国民健康保険特別会計補正予算(第3号)           │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第189号  │令和2年度北九州市介護保険特別会計補正予算(第2号)             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第191号  │令和2年度北九州市後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)          │└──────┴───────────────────────────────────────┘環境水道委員会┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第156号  │北九州市火災予防条例の一部改正について                    │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第182号  │令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)のうち所管分           │└──────┴───────────────────────────────────────┘建設建築委員会┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第153号  │北九州市道路占用料徴収条例の一部改正について                 │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第154号  │北九州市普通河川管理条例の一部改正について                  │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第155号  │北九州市準用河川占用料等徴収条例の一部改正について              │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第157号  │戸畑枝光線(牧山枝光間)橋梁上部工製作架設工事(30-9)請負契約の一部    ││      │変更について                                 │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第158号  │小池特別支援学校改築工事(第1)請負契約締結について            │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第160号  │市道路線の認定、変更及び廃止について                     │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第161号  │土地の取得について                              │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第162号  │土地の取得について                              │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第182号  │令和2年度北九州市一般会計補正予算(第4号)のうち所管分           │└──────┴───────────────────────────────────────┘建設建築委員会(続き)┌──────┬───────────────────────────────────────┐│ 議案番号 │             件           名             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第186号  │令和2年度北九州市土地区画整理特別会計補正予算(第3号)           │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第188号  │令和2年度北九州市土地取得特別会計補正予算(第2号)             │├──────┼───────────────────────────────────────┤│ 第190号  │令和2年度北九州市学術研究都市土地区画整理特別会計補正予算(第1号)     │└──────┴───────────────────────────────────────┘...