開議宣告(終了)
一般質問(続行し,21日も続行)
次会の開議通知(21日午前10時開議を宣告)
散会宣告(終了)
───────────────────────────────────────
出 席 議 員 氏 名
1番 岡 村 和 明 2番 川 本 和 弘
3番 田 中 勝 4番 並 川 雄 一
5番 川 村 真 治 6番 石 田 祥 子
7番 川 口 茂 博 8番 水 野 考
9番 平 岡 優 一 10番 椋 木 太 一
11番 吉 瀬 康 平 12番 山 本 昌 宏
13番 山 内 正 晃 14番 碓 氷 芳 雄
15番 海 徳 裕 志 16番 木 戸 経 康
17番 山 路 英 男 18番 森 畠 秀 治
19番 石 橋 竜 史 20番 平 野 太 祐
21番 定 野 和 広 22番 伊 藤 昭 善
23番 桑 田 恭 子 24番 近 松 里 子
25番 大 野 耕 平 26番 西 田 浩
27番 渡 辺 好 造 28番 豊 島 岩 白
29番 宮 崎 誠 克 30番 八 條 範 彦
31番 母 谷 龍 典 32番 三 宅 正 明
33番 八 軒 幹 夫 34番 馬 庭 恭 子
35番 竹 田 康 律 36番 藤 井 敏 子
37番 中 原 洋 美 38番 太 田 憲 二
39番 若 林 新 三 40番 今 田 良 治
41番 佐々木 壽 吉 42番 元 田 賢 治
43番 谷 口 修 44番 永 田 雅 紀
45番 金 子 和 彦 46番 木 山 徳 和
47番 沖 宗 正 明 48番 中 森 辰 一
49番 碓 井 法 明 50番 山 田 春 男
51番 中 本 弘 53番 木 島 丘
54番 藤 田 博 之
───────────────────────────────────────
欠 席 議 員 氏 名
52番 児 玉 光 禎
───────────────────────────────────────
職務のため議場に出席した
事務局職員の職氏名
事務局長 石 田 芳 文
事務局次長 松 坂 康 雄
議事課長 小 田 和 生
議事課課長補佐主任事務取扱
吉 川 和 幸
議事課主査 村 田 愛一朗
議事課主査 小 崎 智 之
外関係職員
───────────────────────────────────────
説明のため出席した者の職氏名
市長 松 井 一 實 副市長 小 池 信 之
副市長 及 川 享
危機管理担当局長岩 崎 学
企画総務局長 荒神原 政 司 財政局長 古 川 智 之
市民局長 杉 山 朗
健康福祉局長 山 本 直 樹
健康福祉局保健医療担当局長 こども未来局長 森 川 伸 江
阪 谷 幸 春
環境局長 重 村 隆 彦
経済観光局長 津 村 浩
都市整備局長 中 村 純
都市整備局指導担当局長
谷 康 宣
道路交通局長 加 藤 浩 明
下水道局長 油 野 裕 和
会計管理者 金 森 禎 士 消防局長 勝 田 博 文
水道局長 友 広 整 二
監査事務局長 大 杉 薫
財政課長 後 藤 和 隆 教育長 糸 山 隆
選挙管理委員会事務局長 人事委員会事務局長
橋 場 聡 子 仁 井 敏 子
───────────────────────────────────────
午前10時00分開議
出席議員 28名
欠席議員 26名
○山田春男 議長 おはようございます。
出席議員28名であります。
───────────────────────────────────────
開議宣告
───────────────────────────────────────
○山田春男 議長 これより本日の会議を開きます。
───────────────────────────────────────
会議録署名者の指名
───────────────────────────────────────
○山田春男 議長 本日の
会議録署名者として
34番 馬 庭 恭 子 議員
48番 中 森 辰 一 議員
を御指名いたします。
───────────────────────────────────────
日程に入る旨の宣告
───────────────────────────────────────
○山田春男 議長 これより日程に入ります。
───────────────────────────────────────
△日程第1 一般質問
───────────────────────────────────────
○山田春男 議長 日程第1,一般質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
15番
海徳裕志議員。
〔15番
海徳裕志議員登壇〕(拍手)
◆15番(
海徳裕志議員) 皆さん,おはようございます。
自由民主党・
市民クラブの海徳裕志です。会派を代表しまして一般質問をさせていただきます。
まずは,8月11日からの大雨により被災された皆様にお見舞いを申し上げますとともに,被災した地域の一刻も早い復旧を心よりお祈りいたします。
それでは,初めに,平成26年8月豪雨災害からの復興についてお尋ねします。
今年もまた,数十年に一度と言われる
大雨特別警報が発令されました。このたびの大雨では,8月14日に広島市の各地で
警戒レベル5,
緊急安全確保が発令され,災害に対する緊張が一気に高まりました。また同日には,3年前の
西日本豪雨災害を上回る降水量になった地点もあり,緑井八丁目では土石流が発生しましたが,国の整備した鳥越川1号堰堤がそれを食い止め,7年前のような大きな災害は起きませんでした。
しかしながら,土石流で鳥越川1号堰堤の背面に土砂や泥水がたまり,砂防堰堤が本来備えるべき能力が低下している危険性から,8月17日の早朝より,私は区役所や町内会などと連携し,緑井八丁目の299渓流の
土砂災害警戒区域の住民に避難を呼びかけることにしました。この緊急事態に,「今すぐ避難!」のメッセージを添えたチラシを作成し,
梅林学区自主防災会,
緑井上組町内会,消防分団,
安佐南消防署,安佐南区
災害対策本部の皆さんに御協力をいただき,対象の住居約400戸に3時間余りで配布しました。さらなる土石流が発生した場合,砂防堰堤が受け止め切れない可能性もある危険な状況の中,この
ローラー作戦が完結できたのは,土砂災害で二度と悲しい思いをしないという決意で行動した結果です。改めて申し上げますと,防災で一番大事なことは,命を守ること,そのために一番大事なことは,避難行動しかありません。
内閣府が避難情報の見直しを行い,令和3年5月に避難勧告と避難指示の違いが分かりにくいとして,避難指示に一本化されました。私は,このたびの長雨を通じて住民の避難行動を注視しましたが,避難指示が発令されている状況下でも,避難所となる体育館への避難者は若干名でした。実際には,それ以外の安全な場所に避難した人もおられますが,
警戒レベルの一本化による効果は見えにくいものでした。
そのような中,緑井八丁目では,7年前の被災者自らが近隣住民に避難を呼びかけ,その行動が住民の避難につながりました。市の発信する避難情報に,今回のように近隣住民の呼びかけが加わって,災害の危険性を我が事として認識したとき,避難行動につながるものだと実感しました。
そして,我々が経験した豪雨災害がそうであったように,大災害は同時多発的に起きます。その場合,速やかな行政の救助・救援は期待できません。個人の
危機管理能力である自助や地域の総合力である共助により災害に備えていくことが必要です。自分や大切な家族の身は,初動時において,自分たちで守らなければなりません。まずは家庭で懐中電灯やラジオなどの
防災グッズを備えること,最低限の飲食料を確保すること,日頃から家族で
避難ルートや避難場所を知っておくこと,災害が起きたらどのように行動するのかをイメージしておくこと,こうした危機管理が重要です。
そこでお尋ねします。市として自助力の向上にどのように取り組んでいくのかお答えください。
また,現在,市独自の取組として多くの防災士を養成しています。共助の観点からも地域防災の要である防災士などの
地域コミュニティーに協力を仰ぎ,呼びかけ避難を推進するなど,防災力の向上を図る取組が必要と考えますが,市の見解をお聞かせください。
次に,梅林学区では,
まちづくり協議会を組織し,自らの被災経験を踏まえた「災害に強い住みやすい
まちづくり」を目指しています。平成26年8月豪雨災害で得た経験や記憶を教訓として次の世代に伝承する
復興交流拠点施設の整備が進んでいます。この施設は,被災者の思いを受け止めて広島市が整備を進めているものです。
私は,本市の
復興交流拠点施設の整備に当たって,先日,宮城県気仙沼市や名取市の
東日本大震災の
復興関連施設を視察しました。宮城県気仙沼市の
東日本大震災遺構・伝承館においては,破壊された
気仙沼向洋高校の校舎や津波で流されてきた車などの遺構の展示が物言わぬ語り部として,震災の記憶と教訓を伝えています。そして,併設された伝承館の
映像シアターでは,被災者の思い,命の大切さをテーマにした動画が上映されており,被災者が家族を失いながら懸命に生きる姿に目頭が熱くなりました。ちなみに,この動画はNHKの報道特集でした。また名取市では,
震災復興伝承館において,名取市長自らが復興の歩みなどについて語る
インタビュー映像が流されており,復興にかけた市長の意気込みを伝えていました。
私は,拠点施設には,このように視覚的に訴える
映像コンテンツの充実が欠かせないと思います。これから作成する
インタビュー映像では,災害発生時の平成26年から復興に携わってこられた広島市松井市長の思い,そして,命を守る砂防堰堤を立案された,当時の
国土交通省中国地方整備局尾藤元局長の思いなどを来館者に伝えてほしいと思います。また,当時のニュースや報道特集などの利用については,今からでも
マスコミ各社と交渉を進めてほしいと思います。
そこでお尋ねします。
復興交流拠点施設では,どのような展示とするのか,その方針をお聞かせください。
現在,
復興交流拠点施設の運営に当たっては,市と
協議会メンバーとで検討を進めています。私は,昨年の12月議会で運営主体を質問し,
復興まちづくり協議会のまとめた
復興交流拠点施設実施計画において,協議会自らが
指定管理者制度などを活用し,施設の運営主体を目指すこととされており,市はこうした地域の思いに応えられるよう,運営主体の検討を進めるとの御答弁をいただきました。
そこでお尋ねします。
指定管理者制度の導入について,現在の検討状況を教えてください。その場合,
指定管理者は被災地の団体に担ってほしいと思います。さらに,
持続可能性を確保するために,法人格を持つ団体の設立を進めていますが,市の見解をお聞かせください。
私は,令和元年9月議会において,拠点施設への思いをお伝えしました。広島市には,戦渦からの復興,自然災害からの復興を語り伝えることが求められています。
広島平和記念資料館や
原爆ドームを訪れる多くの観光客や
修学旅行生に拠点施設にも来訪していただき,効果的に二つの復興を学習できるように取り組んでいただきたいと思います。二つの苦難を乗り越えた広島市民の底力を知っていただきたいと願います。
次に,今回の8月11日からの大雨で発生した災害についてです。このたびの大雨で,緑井八丁目において土砂が市道や宅地に流出し,地元住民や周辺の工事業者,そして行政が連携して土のうを積むなど,対応に追われました。こうした対応はスピーディーに行われましたが,新聞等では,再度の災害被害について,不安に思う住民もおられるとの報道がありました。
そこでお尋ねします。砂防堰堤が整備された緑井八丁目における市道や宅地への土砂の流出は,防ぐことがなぜできなかったのでしょうか,お答えください。
現在,広島市の復興事業では,砂防堰堤からの排水を含む山地及び市街地の雨水を河川に流下させるため,
都市計画道路長束八木線などの道路の地下に巨大な雨水渠を整備する事業が進められています。このことについてお尋ねします。
雨水渠の
シールド工事は,来年1月末に確実に完成するのでしょうか。また,雨水渠の事業全体について,今年度末に利用が始まる予定であると新聞報道がありましたが,地域としては一刻も早い完成を期待しています。供用開始時期について,今年度末には確実に実現していただきたいと思いますが,市の見解をお聞かせください。
次に,
恵下埋立地の整備状況についてお尋ねします。
私たちが日常生活や経済活動を行う上で,必ず排出されるのがごみです。このごみが適切に処理されてこそ,私たちは健康で安全かつ快適な生活を享受できるといっても過言ではありません。こうした意味で,これらのごみの適正かつ安定的な
処理体制を維持するため,
一般廃棄物の
最終処分場である埋立地の存在とその円滑な運用は,私たちが生活していく上で必要不可欠なものであると思っています。現在,本市が供用している
一般廃棄物の
最終処分場は,安佐北区安佐町筒瀬にある
玖谷埋立地であり,家庭や事業所から排出される不燃ごみなどを埋め立てていますが,平成2年に供用を開始してから既に30年以上が経過しており,
埋立可能容量の限界が近づいているのが実態です。
こうしたことから,本市では,この
玖谷埋立地に続く,次の
一般廃棄物の
最終処分場として,平成27年度から佐伯区湯来町恵下地区で
恵下埋立地の建設工事に着手し,これまで令和4年度初頭の供用開始に向け,工事を進めてきました。
こうした中,先ほどの質問の中でも触れましたが,8月11日から記録的な大雨が本市を襲い,この大雨の影響により,
恵下埋立地の近くを通っている
県道広島湯来線が土砂崩れのため,一部区間が崩落するという事態が起きました。先日,環境局のほうから
経済観光環境委員会の委員である私のところに状況報告があり,その様子を写した現場の写真を見て,被害の甚大さに愕然としました。この
県道広島湯来線は,
恵下埋立地の供用が開始された後には,ごみの搬入車両が通ることになる主要な路線であるとともに,埋立区域内に降った雨を
公共下水道までつなぐ専用管である
浸出水放流管が埋設されている道路で,まさに,
恵下埋立地の運用に当たり,言わば生命線となる重要なものであると説明を受けました。
そこでお尋ねします。今回のこの被害により
恵下埋立地の供用開始に影響があり,そのことを受け,健康で安全かつ快適な市民生活にも影響を及ぼすのではないかと心配をしていますが,市としてどのように対応されるのか,考えをお聞かせください。
次に,広島高速5号線の安全・安心な工事推進についてお尋ねします。
高速5号線は平成12年に事業着手しましたが,高速1号線
福木トンネル工事で地表面の沈下が発生したことを受けて,工事を一旦休止して工法を再検討し,地表面の沈下の抑制に優れた
シールド工法に変更した上で,平成24年12月に事業再開が決まりました。こうした経過を経て,ようやく平成28年5月に
トンネル工事が契約となり,平成32年度の完成に向けて滑り出した矢先,今度は,
トンネル外壁となる
RCセグメントなどの費用が契約に含まれているか否かをめぐり,
広島高速道路公社と受注者のJVとの間で契約内容に認識の違いがあったという,耳を疑うような問題が公表されました。その後の両者の協議の結果,当初の契約を見直すために,約87億円の増額が必要となる事態となりました。当時,本市議会でも多くの質問があったことは記憶に新しいところであり,私としても,県・市の共同出資により設立した団体で,市民の信頼を失う事態が発生したことは非常に残念です。公社には,令和2年12月に公表された「公社改革の方向性」に沿って管理体制の強化などの取組を進め,信頼回復に向けて組織一丸で取り組んでいただくことを強く要望します。
また,平成30年12月には
シールドマシンが大規模に損傷して掘削作業を長期間中断する事態も発生し,この影響などから本線の完成時期は令和4年度となりました。高速5号線は早期整備が求められる重要なインフラであることから,こうした
シールドマシンの損傷によって,事業進捗へ大きな影響が及ぶことは避けなければなりません。
そこでお尋ねします。工事を着実に進めていくためには,
シールドマシンの損傷による長期中断のリスクを避ける必要がありますが,平成30年に発生した
シールドマシンの損傷の原因を教えてください。また,その後,どのような対策を行っているのかお答えください。
この工事については,牛田地区の掘削が始まった本年4月に,工事が安全・安心に進められているか自分の目で確かめるため,私は,公社の案内で工事現場を視察しました。現場では,安全確保の取組として,工事中の地表面の変位について,一次管理値1.3ミリメートル,二次管理値2.4ミリメートルの厳しい管理値を設け,慎重に作業が進められていました。また,
中央制御室では
泥水循環システムを管理するとともに,掘進速度,
カッターヘッド回転数,
シールドジャッキ推進などの掘
進管理状況や地表面の変位,騒音・振動などの計測状況などが把握されていました。工事全体をしっかり管理されており,まさに
シールドトンネル工事の
司令塔的役割を果たしています。視察当日も,JV職員と下請業者により適正に管理されていることが確認できました。視察から約5か月が経過し,この間の現場の状況を聞いたところ,
カッター交換や点検が予定より多くなっており,苦労されているようですが,慎重かつ安全に進められているとのことです。
目前に迫っている住宅地の掘削では,今まで以上に安全に留意して工事を進めなければなりません。公社からは今後,住宅地において3回の
カッター交換を行う予定と説明を受けましたが,住民の方々は,
カッター交換時の地表面の沈下について,心配されていると聞いています。私は,できるだけ早期の完成を望んでいますが,工事を急ぐがあまり地表面の沈下を起こすことがないよう,公社には万全の対策を取って,工期よりも安全・安心を最優先して工事を進めていただきたいと思います。
そこでお尋ねします。住宅地における
カッター交換時には,地表面の沈下に対してどのような対策を行おうとしているのかお答えください。また,万が一,沈下による被害が発生した場合は,どのような対応を行おうとしているのかお答えください。
次に,資源ごみの持ち去りへの対策についてお尋ねします。
広島市では,令和3年10月1日から改正した広島市廃棄物の処理及び清掃に関する条例により,資源物の持ち去り行為を禁止することとし,規制を強化することになりました。このたびの条例改正までの経緯を,これまでの新聞報道などを踏まえながら振り返ってみました。
資源ごみの持ち去りが目立ち始めたのは,中国への輸出で古紙やアルミ缶の価格が高騰した平成14年頃からで,平成30年は中国向けの新聞紙の輸出が前年の3.5倍の約50万トンに増えています。これは,
米中貿易摩擦の影響で,中国の古紙の主な輸入先が米国から日本に変わったことが要因と考えられます。
広島市の状況を見ますと,家庭から排出される資源ごみは,その選別業者との契約により,市の収入となり得るところ,収入がピークであった平成19年度の約3億7600万円と比べ,平成29年度は約1億600万円,平成30年度は約7700万円,令和元年度は約3300万円と激減しています。これは,古紙やアルミ缶などの市況価格の変動による影響や町内会などによる集団回収が促進され,広島市による収集量が減少したことに加えて,資源ごみの持ち去りによる影響が要因と考えられます。
こうした状況の中,資源ごみの持ち去りに関し,広島市では,平成18年4月に広島市資源ごみの持ち去り行為に対する指導要綱を定め,持ち去り行為者に対する指導を行ってきましたが,依然として持ち去り行為は後を絶ちません。近年では,持ち去り行為を注意した市民がその行為者とトラブルになることなどから,持ち去り行為に対する条例での規制を求める声が高まり,本年2月の市議会で条例改正が議決されました。この条例改正により,本年10月1日以降は古紙や空き缶などの
資源ごみの持ち去りを禁止し,違反者に20万円以下の罰金を科すこととなりました。具体的に持ち去りを禁じるのは,新聞や段ボールといった紙類,アルミ缶や
スチール缶などの金属類,古着をはじめとする布類,瓶などのガラス類の4種類で,市はこれらの資源ごみの持ち去りを確認した場合,まずは行為者に対し,注意や指導を行います。その後も持ち去りが繰り返されれば条例に基づき禁止命令を出し,それでも従わない場合は警察に刑事告発をすることになります。
そこでお尋ねします。条例改正による本年10月からの規制強化に向け,条例の周知や持ち去り行為への防止対策として,どのようなことに取り組んでいるのでしょうか,お答えください。
今回の条例改正による規制の強化は,持ち去りという行為を禁じるものです。こうした規制について,法律の専門家の中には,法執行の手続の煩わしさや監視強化の必要性から実効性に疑問がある,資源ごみを買い取るリサイクル業者に対し,無断の持ち去り業者からの買取りを拒否させる規制を自治体が設けるなどして,無断の持ち去り者に対する売却システムを断つべきだとの意見もあります。資源ごみを買い取るリサイクル業者の中には,廃棄物処理法第20条の2の規定に基づき,環境省令で定める基準に適合する優良な事業者として,廃棄物再生事業者登録を県知事から受けている事業者がいます。例えば,それらの事業者から誓約書を徴取することも考えられます。一方で,県知事による登録を受けるまでもなく資源ごみの買取りを行っている事業者も多くいることから,その実態を把握するとともに,条例目的に沿った実効性のある対策が必要です。
そこでお尋ねします。今回の条例改正による持ち去り行為への規制の強化に合わせ,
資源ごみの持ち込み先であるリサイクル業者に対し,どのような働きかけを行っているのでしょうか,お答えください。
次に,ウィズコロナ時代の
地域コミュニティーについてお尋ねします。
本市の活性化には,住民に最も身近な
地域コミュニティーの活性化が重要となりますが,現状を見ると,少子高齢化の進行やライフスタイルの多様化などによって,地域の人と人とのつながりは弱まっており,
地域コミュニティーの活力低下が懸念されます。加えて,新型コロナウイルスの感染拡大により,様々な地域活動にも影響が出ています。私の地元でも恒例の町民運動会が中止になったほか,地域を代表するイベントが2年連続で中止となり,その他地域団体の総会も書面開催となるなど,様々な地域活動が中止や延期,または大幅に活動を縮小せざるを得なくなっており,コミュニケーションの場そのものが大幅に減少しています。
申し上げるまでもなく,地域のイベントは住民同士の親睦を図る貴重な機会であり,そこで生まれたつながりは,福祉や防災,防犯などの住民の支え合いの礎となっています。しかしながら,コロナ禍によってつながりが薄れ,住民の支え合いが困難になるのではないかと危機感を抱いています。
今日は,このような状況においてもピンチをチャンスに変える発想で,共助の活動に取り組んでおられる地域団体を御紹介します。まず,毘沙門台学区社会福祉協議会です。毘沙門台学区社協では,6月から新型コロナウイルスのワクチン接種に苦心する高齢者のサポートを始められています。毘沙門台学区社協が地元の診察所に掛け合い,ワクチン接種枠を確保し,予約手続を代行,送迎役も担われています。林会長は,新型コロナウイルスのワクチン接種は,住民のつながりを強める機会になると,この活動に取り組んでおられます。なお,住民の送迎サービスは,毘沙門台社協が立ち上げた「びしゃもん台絆くらぶ」が受け持っています。この団体は,市の推奨する協同労働の仕組みを用いて非営利事業を実施している団体です。
次に,緑井学区社会福祉協議会です。緑井学区社協でも,コロナ禍にあって,持続できる共助の活動に取り組んでいます。緑井学区社協では,市が所有する集会施設緑井駅前サロンを活動交流拠点として市から借り受け,地域の福祉相談受付窓口として機能強化を図ってこられました。多くの行事が中止となる中,拠点内に連絡ボックスを設けることにより各団体が拠点を訪れる機会を増やし,コミュニケーションが取れるような工夫をされています。また,ワクチン接種の予約が難しい方に対しては,インターネットでの予約の支援も行っています。
私は,昨年12月の議会の一般質問で,
地域コミュニティーの体制整備や支援強化について尋ねました。松井市長からは,
地域コミュニティーの活性化には,「自分たちのまちは自分たちで創る」という気概を持って,住民自らが行動を起こすことが必要不可欠であり,そのような意識を共有した住民が一丸となって行動することが本市の活力の持続的な維持・向上につながると考えているとの御答弁をいただきました。先ほど御紹介した両社協の取組は,まさに
地域コミュニティーの活性化に不可欠な,「自分たちのまちは自分たちで創る」を体現するものであり,SDGsの掲げるスローガン,「誰一人取り残さない」の実現や目標にある「住み続けられる
まちづくりを」,そして「すべての人に健康と福祉を」の考えにも合致する取組だと思います。私は,これらの取組の中にウィズコロナ時代の
地域コミュニティーの在り方や今後の
地域コミュニティーの活性化についての大きなヒントがあるのではないかと思っており,他の地域でも参考になると考えます。
本市では,現在,持続可能な地域社会の実現を図ることを目的として地域コミュニティ活性化ビジョンの策定に取り組まれています。市は,今年度中のビジョン策定に向けて,現在,有識者や地域住民などで構成する懇談会を開催し,
地域コミュニティーの活性化策などについて幅広く意見交換をされています。
そこでお尋ねします。地域コミュニティ活性化ビジョンはどのような方針で策定されるのか,また,どのような内容を考えているのかお答えください。
最後に,放課後児童クラブの見直しについてお尋ねします。
私の地元にある緑井児童館では,以前は地域の方々とも連携しながら児童館まつりなどの行事が数多く開催されていました。ところが,ウィズコロナ時代の現在は,子供たちの新型コロナウイルス感染症防止や児童館の中で運営している放課後児童クラブの三密状態の回避のため臨時休館となっており,行事も中止されています。現在の感染状況を考慮すれば,臨時休館はやむを得ない措置だと思いますが,児童館が利用できない状況は残念でなりません。子供たちの健やかな成長のためにも,一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束を願うばかりです。
現在臨時休館中である児童館内の専用室や余裕教室などで運営している放課後児童クラブは,子供たちの健全育成や保護者の就労支援の面で重要な役割を担っています。昨年11月の安心社会づくり対策特別委員会では,この放課後児童クラブをはじめとする本市の子ども・子育て支援施策について,家庭内での子育てを支援していくためには,共助や公助を充実するという視点に立って,関連施策の見直しを行う必要がある。その際,公平性確保の観点から,受益者の負担能力を考慮した適切な措置を行う。こうしたことにより,支援施策を全体としてさらに充実するとともに,安定的に運営できるようにするという基本方針が示されました。
これを踏まえ,放課後児童クラブについては,サービス向上策の実施とそれに合わせた受益者負担の導入について,令和5年度当初からの実施を目指すという方針が公表されています。
そこでお尋ねします。現行の広島市行政経営改革推進プランによれば,放課後児童クラブについては,今年度の半ばまでに一定の整理をされることになっていますが,改めて,今回の見直しの基本的な考え方についてお聞かせください。また,その中で新たに実施しようとしているサービス向上策について,具体的な内容を教えてください。
さらに,今後,受益者負担を導入する場合には,経済的な理由で利用困難とならないよう十分に配慮する必要があると思いますが,利用料金や負担軽減策についてはどのように考えておられるのかお答えください。
現在,新型コロナウイルス感染症の拡大により,私たちは以前と異なる生活を強いられ,窮屈な思いをしています。しかしながら,こうした状況は既存の仕組みを見直す機会として捉えることもできると思います。今回の見直しにより,利用者の満足度が一段と高くなり,ウィズコロナ時代においても市民生活に欠かせないサービスとして,放課後児童クラブが安定的に運営できるようになることを期待しております。
以上で一般質問を終わります。御清聴いただきましてありがとうございます。(拍手)
○山田春男 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 海徳議員からの御質問にお答えします。
ウィズコロナ時代の
地域コミュニティーについての御質問がございました。1年半以上にわたり新型コロナウイルス感染症が蔓延して,地域活動の中止や延期を余儀なくされている状況下にありまして,住民同士が助け合い,困難を乗り切るための取組を行うこと,言葉を換えるならば,共助の精神の重要性を多くの市民が実感されていると思っております。共助の精神に基づく住民同士の助け合いは,こうした非常時だけではなくて,市民の価値観やライフスタイルの多様化,少子高齢化などが進んでいる現在の地域社会においては平常時においても必要なものであり,地域共生社会の構築を目指す本市においても,持続可能な
まちづくりを推進する上で必要不可欠なものであると考えています。
こうした考え方を根底に据えながら,それに基づく取組が広く地域に根づくよう
まちづくりを進めていくためには,現在,おおむね小学校区単位として地区社会福祉協議会や連合町内会・自治会といった組織が中心となって取り組んでいる
地域コミュニティー活動について,さらなる活性化を図るとともに,持続可能なものとすることが重要であります。議員御紹介のように,共助の取組が進んでいる地域に対しては,その取組がより一層充実・強化できるよう,また共助の取組が十分に進んでない地域に対しては,好事例をしっかりと分析し,自分たちのものとして取り組んでもらえるように,公助として下支えをしていくことが重要であると考えています。
今年度策定するビジョンにおきましては,今申し上げた基本的な考え方の下,地域団体の連携体制が強化された先にある,これからの理想とも言える
地域コミュニティーの姿をお示しするとともに,
地域コミュニティーの課題に対応してさらなる活性化を図るため,行動を起こそうとする地域の方々に対して,行政の支援策を整理してお示しし,地域の実情に応じた主体的な取組を促していきたいと考えております。あわせて,地域における共助の取組を行政が組織横断的な視点に立って,積極的・能動的に把握した上で,持続可能な
地域コミュニティーとするための公助の仕組みをお示しできればと考えております。そして,このビジョンが,地域社会が抱えている様々な課題について,行政が解決していくための端緒となることを期待しているとこであります。
こうした視点から,
地域コミュニティーの活性化に関する懇談会での議論を進め,ビジョンの内容を具体化し,市民に分かりやすくお示しするとともに,議員各位の御理解も得ながら住民同士が支え合い,安全・安心に暮らすことができる持続可能な
地域コミュニティーの実現を図ってまいりたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○山田春男 議長 危機管理担当局長。
◎岩崎学 危機管理担当局長 平成26年8月豪雨災害からの復興についての,二点の御質問にお答えいたします。
まず,自分たちの身を自分たちで守るためには,日頃から家庭で
防災グッズをそろえる,
避難ルートを知っておくなどといった危機管理が重要であるが,市としてこうした自助力の向上にどのように取り組んでいくのかについてです。
議員御指摘のとおり,災害時において自分や家族の身を守る自助のためには,日頃から気象情報や避難情報などの情報を入手する手段を持っておくことや,避難時に持参する非常持ち出し品を準備しておくこと,
避難ルートや自宅周辺の危険箇所など,場所について確認しておくこと,そして,これらについて家族で話し合ったり,防災訓練等で実際に体験しておくことなどが重要です。このため本市では,気象情報や避難情報などの情報について,防災情報メールや市のLINE公式アカウント等により提供しているほか,非常持ち出し品についてはホームページの防災情報サイトや広報紙等を活用してお知らせしています。
また,
避難ルートや自宅周辺の危険箇所などの場所については,共助の中心を担う自主防災組織に対して,ハザードマップを基に,地域独自の情報を盛り込んだわがまち防災マップの作成支援を行っているほか,避難場所までのルートを表示する機能がある避難誘導アプリの使用を推奨しております。さらに,実際に体験する機会への支援として,自主防災組織が実施する防災訓練に対し補助金を交付しているほか,子供たちを対象とした防災体験学習の実施などの事業を展開しているところです。
本市では,災害に強い
まちづくりの柱となるのは,市民の一人一人に災害を我が事として捉え,日頃からの備えを実践していただくことであると考えております。今後とも自助力の向上に資する様々な施策を推進していきたいと考えております。
次に,現在市で多くの防災士を養成しているが,共助の観点から防災士などの
地域コミュニティーに協力を仰ぎ,呼びかけ避難を推進するなど,防災力の向上を図る取組が必要であると思うがどのように考えているのかについてです。
災害時に住民の命を守る上で,地域でお互いに声をかけ合って避難を促すことは非常に効果的であり,そうしたことを実行する共助の精神が災害に強い
まちづくりにつながるものと認識しています。本市では,自主防災組織の会長をサポートする地域の防災活動の担い手として,防災士の資格取得による防災リーダーの養成を行っており,声かけ避難の実施や地域でお互いに避難を呼びかける機運を醸成することについても,その役割として期待しているところです。
こうしたことから,今後本市で養成した防災リーダーについては,メール等の連絡網を活用し,避難情報が発令された場合には,防災リーダーが率先して地域住民に声をかけ,避難するよう定期的に呼びかけるほか,年2回実施しているフォローアップ研修において,防災リーダーが中心となって地域で活動した好事例を紹介することなどにより,リーダーとしての役割の重要性を再認識していただくようにします。さらには,地域の防災訓練において,実際に声かけ避難を実施していただくなど,様々な方法で防災リーダーの資質とスキルの向上を図ることにより,地域の防災力が向上するよう取り組んでまいります。
○山田春男 議長
都市整備局長。
◎中村純
都市整備局長 平成26年8月豪雨災害からの復興についての,三点の御質問にお答え申し上げます。
まず,
復興交流拠点施設ではどのような方針で展示をするのかについてです。
復興交流拠点施設の展示については,地域の熱意が反映されるものにする必要があると考えており,災害の経験や記憶を教訓として次の世代に伝承することで,同じ経験をほかの誰にもさせたくないという地域の思いを尊重することとしています。展示の具体的な内容につきましてはこれから検討を深めてまいりますが,土砂災害の恐ろしさを疑似体験する,8月20日の土砂災害を伝える,被災地の思い,被災者の声をつなぐの三つのゾーンにより構成することとし,特に疑似体験については,土砂災害映像を壁面と床面に連続投影するなど,臨場感あふれるものとすることとしており,被災の実相を深く感じてもらいたいという地域の皆さんの考えを反映するようにしております。
展示で災害の実情を伝える報道資料や,被災者やボランティア,行政関係者など幅広い方々への
インタビュー映像を使用することにつきましては,地域の皆さんの考えにも合致するものであり,積極的に活用していきたいと考えております。
次に,
指定管理者制度の導入について,現在の検討状況はどうか。また,被災地の団体が
指定管理者を担うに当たって,
持続可能性を確保するために法人格を持つ団体の設立を考えているが,市の見解はどうかについてです。
復興交流拠点施設の
指定管理者の選定は,来年度実施する予定としており,今年度は,公の施設として位置づけるための施設設置条例の上程に向けて着実に準備を進めております。施設の運営につきましては,地域の梅林学区
復興まちづくり協議会自らが
指定管理者制度を活用し,施設の運営主体となることを目指し,一般社団法人として法人格取得の準備を進められています。継続的に活動する体制が整った法人格を持つ団体が設立されることで,
地域コミュニティーの活性化が図られ,本市の
まちづくりを進める上でのポイントである
持続可能性が高まっていくものと考えております。
最後に,今回の8月11日からの大雨で発生した災害について,砂防堰堤が整備された緑井八丁目における市道や宅地への土砂の流出は,防ぐことがなぜできなかったのかについてでございます。
復興事業では,土石流から市民の生命と財産を守るための施設である砂防堰堤,災害発生時の避難路として機能する都市計画道路,豪雨時の出水から市街地を守る雨水排水施設などを整備しています。今回の8月11日からの大雨で発生した土砂や流木については,完成した砂防堰堤が受け止めており,地域の被害を軽減したものと考えていますが,砂防堰堤からの雨水排水施設として現在整備を進めている鳥越川などの普通河川の改良や雨水渠の整備が完了していないことから,緑井八丁目の一部で土砂の流出があったものです。
今後とも地域の安全性をさらに向上させるため,復興事業の一日も早い完成を目指し,整備に取り組んでまいります。
以上でございます。
○山田春男 議長
下水道局長。
◎油野裕和
下水道局長 平成26年8月豪雨災害からの復興についてのうち,雨水渠の
シールド工事は,来年1月末に確実に完成するのか。また,雨水渠事業全体について,今年度末の事業開始を確実に実施してもらいたいと思うがどうかの御質問にお答えいたします。
雨水渠の
シールド工事は,昨年2月に,地盤に想定を大幅に超える強度の転石の存在が判明したため,掘進工事を一旦停止し,
シールドマシンを改良後,本年1月に掘進を再開し,先月中旬に全長約1キロメートルの掘進が完了したところです。本工事は,現在雨水渠内のシールド設備及び防音ハウスの解体・撤去並びに雨水渠内の仕上げのコンクリートの施工を順調に進めているところであり,予定どおり来年1月末には完成するものと考えています。
また,雨水渠の
シールド工事が完了した来年2月からは,雨水渠事業全体の最終工程となる,雨水渠から古川への流量を調整する特殊マンホールの仕上げ等に着手する予定であり,関係する地域の皆様の御期待にも沿えるよう,今年度末の完成・供用を目指し,全力で取り組んでまいります。
以上でございます。
○山田春男 議長 環境局長。
◎重村隆彦 環境局長
恵下埋立地(仮称)の整備状況についての御質問にお答えします。
広島湯来線は,天皇原トンネルが完成するまでは,ごみ搬入車両の搬入路として利用するものであるとともに,その道路下に埋立地からの
浸出水放流管を布設しています。議員御指摘のように,8月11日からの大雨により,その一部区間が崩落し,それにより放流管が露出している状態となっています。
恵下埋立地については,令和4年度初頭の供用開始に向け,鋭意整備を進めてきたところですが,今回の災害により道路及び放流管の復旧を行う必要が生じたことから,現時点において復旧時期は見通せませんが,令和4年度初頭としている供用開始時期については見直さざるを得ないものと考えています。
今後,広島湯来線及び
浸出水放流管の復旧等について,環境局において,関係部局とも連携して対応を進め,できる限り早期の供用開始を目指したいと考えています。
以上でございます。
○山田春男 議長
道路交通局長。
◎加藤浩明
道路交通局長 広島高速5号線の安全・安心な工事推進について,二点の御質問にお答えいたします。
まず,平成30年に発生した
シールドマシンの損傷の原因は何だったのか。また,その後どのような対策を行っているのかについてです。
シールドマシンは,前面の面板に取り付けられている73個のカッターを岩盤に押しつけながら面板を回転させることで岩盤を掘削する仕組みとなっています。
シールドマシンの損傷は,マシンを推進させる際のカッターの押しつけ力が過大であったことが主な原因で,面板から一部のカッターが損傷・脱落し,その状態のまま回転させたことによって面板が直接岩盤に接触し,その一部が削り取られたものです。
シールドマシンの損傷に対するその後の対策としては,カッターの押しつけ力が過大とならないよう新たな指標を設け,管理を強化するとともに,カッターの摩耗や破損を早期に発見できるよう,摩耗検知装置の増設や金属探知器の新設が行われています。
次に,住宅地直下における
カッター交換時には,地表面の沈下に対してどのような対策を行おうとしているのか。また,万が一沈下による被害が発生した場合はどのような対応を行おうとしているのかについてです。
公社では,住宅地直下350メートルの区間の直前で計画的に掘削を停止し,現在全ての
カッター交換作業を実施しているところであり,今後の住宅地直下の掘削では,地表面変位の計測管理を強化した上で,カッターの摩耗が交換を必要とするところまで進んでいなくても,予防的対策として摩耗予測に基づき,3か所で計画的にカッターを交換することとしています。
通常,
シールドマシンによる掘削時は,地表面の沈下につながる地下水位の低下を抑制するため,マシン周りの岩盤亀裂から地下水が出ないよう,マシン先端に泥状の水を充填し,圧力をかけています。
カッター交換時はこの泥状の水を抜きますが,地下水の量に応じて止水剤を注入し,地下水の流出を抑制するよう考えています。この止水対策については,これまでの施工の中で実施して効果を事前に確認するとともに,地表面沈下の解析を行いました。その結果は,専門家で構成するトンネル施工管理委員会で妥当と判断されており,公社は住宅地直下での安全な施工が可能と考えています。
こうした対応を行ってもなお,工事に起因して建物の損傷等が発生した場合は,通常の公共工事と同様に,修復するために必要とされる費用を補償するほか,地表面沈下を不安視する住民の皆様の御要望に可能な限りお応えするため,建物の沈下量が25ミリメートル以上となるなどの変状が生じた場合は,通常の補償に代えて,希望される方の土地の買取り及び建物等の補償を行う仕組みを用意しています。
以上でございます。
○山田春男 議長 環境局長。
◎重村隆彦 環境局長 資源ごみの持ち去りへの対策について,二点の御質問にお答えします。
まず,条例の周知や持ち去り行為への防止対策の取組状況についての御質問にお答えします。
資源ごみの持ち去り行為に対する本年10月からの規制強化の趣旨や内容を広く市民等に周知するため,ホームページや広報紙による広報に加え,6月に市域内の全ての町内会や自治会に文書でお知らせをしました。同時に,地域ごとのごみ置場に持ち去り行為の禁止を表示した看板を設置できるよう,希望する町内会等に対し,本市が作成した看板をお渡しする旨を案内し,これまでに約5,000枚の看板を配布しているところです。
また,市民からの通報等に基づき,場所や時間を特定して行う本市職員による早朝パトロールに加え,本年4月からは民間委託により,全市域のごみ置場を順次パトロールし,持ち去り行為の日時・状況等の記録の作成や行為者への条例内容の周知等を行っています。こうした取組を継続するとともに,10月からの条例に基づく規制の強化により,資源ごみの持ち去り行為を防止する環境づくりに,より一層取り組んでいきたいと考えています。
次に,リサイクル業者への働きかけについての御質問にお答えします。本市としましても,新聞紙やアルミ缶などの買取りを行う事業者が持ち去り行為による資源ごみを引き取らないようにする仕組みづくりは重要であると考えています。このため本市域や近郊の再生事業者36業者に対し,条例の趣旨や内容を周知するとともに,持ち去り行為により持ち込まれた資源ごみを引き取らないように依頼を行ったところです。
また,特に持ち去りが多い新聞紙などの紙類について,取引の実態等を把握するため,古紙を扱う問屋12業者へのヒアリング調査を行っており,その調査内容も踏まえ,今後,再生事業者とも連携した取組としていくことで,
資源ごみの持ち去り行為の防止により一層の効果が得られるように取り組んでいきたいと考えています。
以上でございます。
○山田春男 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 放課後児童クラブの見直しについて,三点お答えをいたします。
まず,今回の見直しの基本的な考え方についてです。
現在本市では,第2期広島市子ども・子育て支援事業計画に基づき各種施策を推進しており,これらの施策を貫く基本的な考え方は,子ども・子育て支援施策の充実に当たっての考え方で示されております。具体的には,家庭内での子育て(自助)を的確に支援していくためには,共助,公助を充実していくという視点に立って関連施策の見直しを行う必要がある,その際,幼児教育・保育の無償化のように,国民における公平性確保の観点から,統一的に実施すべきものは,国の責任において適切に措置するよう要請していく,また,地域の実情等を踏まえた本市独自の施策展開として実施するものは,市民における公平性確保の観点から,受益者の負担能力を考慮した適切な措置を行う,さらに,市内にある限られた経営資源を,民間のノウハウを含め有効に活用していくことで,支援施策を全体としてさらに充実するとともに,将来にわたって安定的に運用できるようにするというものです。
放課後児童クラブについては,この考え方を踏まえながら,令和5年度当初から適切な負担軽減措置を組み込んだ基本時間部分の受益者負担措置を導入するとともに,多岐にわたる保護者のニーズに応え,満足度をさらに高めるサービス向上策を実施したいと考えております。
次に,新たに実施しようとしているサービス向上策の具体的な内容は何かという御質問です。
保護者アンケートの結果を踏まえ,令和5年度から長期休業中等の利用者に対する昼食の手配,保護者会に代わりおやつの手配を市が実施,現在は休所している第2土曜日の開所,工作教室など室内イベントの充実,公園等への外出など屋外活動の充実,エアコン更新やトイレ改修など施設面の改善及びエアコン電気代の公費負担を実施する方向で考えております。
最後に,利用料金はどのように考えているか,また負担軽減策はどうかという御質問です。
放課後児童クラブの利用料金については,公助の視点から,運営費の2分の1を公費負担,2分の1を利用者負担とするという国の考え方が示されていることから,この考えに基づいて試算してみますと,本市の場合,利用料金は月額8,700円に設定することになります。実際の利用料金の設定に当たりましては,この国の考え方を考慮しつつも,本市独自の施策として,子育て世帯の経済的負担への配慮を特に重視することとし,利用者全体の20数%に当たる就学援助を受けている世帯については,引き続き全額市負担として,無料にしたいと考えております。また,それ以外の世帯については,受益者の負担能力を考慮し,こども医療費補助受給世帯等,具体的にはこども医療費受給者証の交付を受けている世帯で,保護者の所得水準で申し上げますと,扶養人数が2人の場合,給与所得で608万円,給与収入で808万円未満に該当する世帯になりますが,この利用者全体の約50%に当たる世帯は月額3,000円,その他,残りの20数%に当たる世帯は月額5,000円に設定をし,就学援助世帯以外について,おおむね半分は市費負担とする方向で考えております。
さらに,少子化対策の推進等のため,現行の夏休み等の朝の延長サービスと同様に,同時に2人以上が利用する世帯について,第2子は半額,第3子は無料にする方向で考えているところです。
以上でございます。
○山田春男 議長 15番海徳議員。
◆15番(
海徳裕志議員) 御答弁いただきましてありがとうございました。
幾つか要望させていただきます。
最初に,平成26年8月豪雨災害の復興についてです。被災地では砂防堰堤が完成し,難航していた雨水渠の工事も,いよいよ最終局面を迎えると御答弁をいただきました。被災地の安全性は着実に高まりますが,自然が猛威を振るったとき,防災インフラの安全神話も崩壊しかねないといった教訓を忘れてはいけません。また,繰り返しになりますが,自分や家族の命を守れる確実な手段は,避難しかありません。
私は,平成30年9月議会において,避難所となる小・中学校の体育館で宿泊を伴う避難訓練を経験することにより,避難を身近なものにするといった取組を提案し,市の防災
まちづくり事業として取り入れていただきました。大きな被災を経験している広島市として,さらなる取組を打ち出し,避難行動を促進することを強く要望します。
次に,復興工務係についてです。豪雨災害の被災地に近い佐東出張所の2階には安佐南区役所地域整備課復興工務係があります。この組織は,被災当時に設立された都市整備局復興工事事務所を前身としており,平成26年8月豪雨災害からの復興を早期に実現させるために設けられたものです。担当する
都市計画道路長束八木線及び川の内線は,いざというときの避難路として,スピード感を持って着実に整備しなければなりません。また,8月11日からの大雨については,復興工務係の皆さんには,被災地に近いという地の利を生かし,スピード感を持って,土日,昼夜を問わず,災害の初期対応に奔走していただき,大変に感謝をしております。住民に安心感を与え,復興の大きな支えとなるこの組織を,被災地に近い佐東出張所に引き続き置いていただくことを強く要望しておきます。
次に,
恵下埋立地の整備について要望させていただきます。先ほど申し上げましたが,現在稼働している
玖谷埋立地の容量が限界に近づいている中,
恵下埋立地の供用開始が待たれているところです。しかしながら,市民生活に直結する重要な施設であるこの
恵下埋立地について,本体の整備は順調に進んでいるにもかかわらず,そこに至る道路が寸断し,また,
浸出水放流管が完成してないことにより供用開始できないということは,今回の災害対応次第では,本市のごみ
処理体制の維持に大きな影響を与えることになると思います。こうした影響を最小限に抑え,
恵下埋立地の整備を順調に進めることは,本市の絶対命題であるという覚悟を持って,関係する地元住民の方々との協議を進めていただきたいと思います。
県道広島湯来線の早期復旧に向けて,ぜひとも関係部局が一丸となって取り組んでいただくことを強く要望いたします。
次に,資源ごみの持ち去りへの対策についてです。条例の改正による規制の強化は本年10月からということで,現在様々な準備を行っており,その効果を期待したいと思います。また,本年10月からの条例施行後は,実効性の観点からその効果をしっかりと見極めてもらい,
資源ごみの持ち込み先であるリサイクル事業者へのさらなる対策の強化も念頭に置きながら,適切な対応となるよう進めていただくことを要望します。
本年10月以降の条例施行後の効果については,来年3月の予算特別委員会で確認させていただきます。条例改正で事業者から誓約書を徴取することも考えていただきたいと思います。
最後の要望は,ウィズコロナ時代の
地域コミュニティーについてです。今後も少子高齢化が進んでいく中,地域が有してきた住民自治や相互扶助,福祉や防災といった機能低下が懸念されます。質問で申し上げたとおり,本市の活性化には
地域コミュニティーの活性化が重要です。地域コミュニティ活性化ビジョン策定に当たっては,今回私が御紹介した先進的な取組も参考にしていただきながら,市民に分かりやすいものとしていただくことを要望します。私も
地域コミュニティーの一員として,持続可能な
まちづくりに向けて,しっかりと関わっていきたいと思います。
以上を要望させていただきます。ありがとうございました。
○山田春男 議長 次に,19番石橋竜史議員。
〔19番石橋竜史議員登壇〕(拍手)
◆19番(石橋竜史議員) 皆様,おはようございます。
自民党・保守クラブの石橋竜史です。
それでは,まず,コロナ禍の緊急支援策について伺います。
世間一般でもコロナ禍との表現が日常に定着して,違和感すら覚えなくなった昨今,新型コロナウイルスはいまだ世界で猛威を振るい,直接的に,また間接的に,現在進行形で多くの苦しむ人々を生み出し続けています。
そこで,ちまたにあふれるあまたの困窮事例を個別具体に取り上げたいところですが,それは皆様方も重々承知した上で現在も対応に従事されているかと存じますので,ついては,誠に恐縮ながら自らの話を持ち出しますと,連日にわたり,市民の方々より新型コロナ関連の御相談・御要望を承っては解決すべく取り組む中で,次第に胸中に募り,膨らんでいく思いがありました。それは,単に受動的に対応に追われるのではなく,こちらからも困った人々を能動的にフォローする手だてはないのかとの強い思いであり,活動しながらも回答を模索する日々が続きます。
そんな折,今年の3月19日,産経新聞の朝刊,地域面に掲載された次のリードが目に留まりました。コロナ禍で生活に困った人を支援する取組が広がる中,寄附された食料品・日用品を無償提供する公共冷蔵庫──コミュニティーフリッジが岡山市内に登場。改めて記事を要約して紹介しますと,JR岡山駅から電車でおよそ5分,お隣の北長瀬駅にはショッピングセンターが隣接されており,このたび敷地内にあった倉庫に簡易な改修工事を施して,内部へ大型の冷蔵庫や幾つもの陳列棚を設置。そこへ企業や生産者,また一般の方々から届けられた食料品,日用品などを1日数回に分けて定期的に陳列し,事前に登録された方々が携帯電話にダウンロードしたアプリを使用して入り口の鍵を開け,倉庫内にある必要な品々を24時間いつでも無料で持ち帰れるという新たな取組を紹介する内容でした。
さきに述べましたように,このコロナ禍にあって,能動的に支え合える活動手法を模索していた私は,記事を目にした瞬間,我が意を得たりとばかり,すぐに先方と連絡を取って,後日,現地に視察へ。さらに翌週,暦は4月を迎えておりましたが,同事業について,2度目の視察に出向いて,その機会を利用し,公共の冷蔵庫を運営する民間団体へ対して岡山市がいかなる支援をされているのかを学ぶべく,岡山市議会議員も交えての意見交換会を行いました。そこで,幾度かの現地視察により見えてきたのは,行政と社会福祉協議会,そして各種の福祉団体がコロナ禍を迎える以前より,常に密なる連携を図り,その上で,互いに交わされる情報を軸に,困窮する人々に対して早急に手を差し伸べられる,構築された支援体制です。
この辺りをもう少し掘り下げますと,岡山市では昨年,コロナ禍における行政の緊急支援策の一環として,様々な理由で困窮を抱える御家庭と,そうした人々を支えたいと活動される民間の支援団体を結ぶ,おかやま親子応援メールというメールマガジンの配信を開始されています。このメルマガで実際に配信された内容を幾つか紹介しますと,例えば,塾に通うのは難しいけれど,学習には不安がある家庭へのサポート情報,転勤族で土地カンもなく,頼れる知人もいない,そんな孤独化の進む市民に寄り添い,人と人がつながれる場を紹介する支援情報,お弁当や生活資材の無償提供や子供食堂などの居場所情報,シングルマザーなど,独り親のおしゃべりサロンや,子供たちの成長に不可欠な芸術や野外体験活動の情報など,事前登録を済ませた人々へ,時々のタイムリーな支援情報メールが毎週届けられ,こうした鮮度の保たれた有益なる情報の数々は,利用者の方々からも非常に好評を得ることとなりました。
さらに,メールサービスを通じて登録者にアンケート調査を行い,その結果,子育て世代を中心に,コロナ禍にあって,最もニーズの多かった声に応えるべく,民間団体がこれまで培ってきたスキルを生かして,僅か2か月間で構築し,昨年の11月に運営を開始したのが,さきの食料品や日用品を無償で届ける公共の冷蔵庫です。
ここに総括いたしますと,やはり特筆されるべきは,食料面や教育面で不安を抱え,また孤立・孤独で悩み困窮する人々と,一方では,そうした人々を必ずや救おうと,地道に支援活動を続ける人々を,行政がメールマガジンを通じてマッチングを図る土壌を築き,非常に効果的な共助の仕組みを築き上げた点にあります。しかも,一たびこうした汎用性のあるプラットフォームを整備しておけば,ついせんだって広域都市連携を結ぶ廿日市市が,本市が展開している専用アプリ──最寄りの避難場所への最適ルートを探す「避難所へGo!」──のサービスを取り入れ,開始されたように,様々な分野において,地域で支え合う共助のノウハウが周辺の連携都市へ波及していくことも十分に想定されます。
つきましては,私も今議会へ至るまでに,本庁内で関連してくるであろう局をまたいだ複数の所管課や駅前のビッグフロント内にある市社協にも足を運び,本市でもおかやま親子応援メールのようなシステムを構築,配信できないものか打診を行って調査・研究を進めていただき,今日を迎えている経緯もありますので,改めてここで伺います。
このコロナ禍にあって,支援を必要とする人々と実際現場で支援している人々を結ぶ岡山市のおかやま親子応援メールについて,本市はいかに受け止めていらっしゃるのか。重ねて,本市でもおかやま親子応援メールのようなシステムを早急に実現させたいと強く望むものですが,本市の御所見をお聞かせください。
では次に,本市のワクチン接種事業について伺います。
周知のとおり,世界にはいまだ新型コロナウイルスへの治療薬は出回ることはなく,ワクチンでの予防や対症療法に終始する状態ですが,このワクチン接種が着実に進捗することにより,さきに厚労省が発表した,この7月から8月にかけて,65歳以上の感染を10万人以上も抑制できた可能性の試算にもありますとおり,門外漢の私がワクチン接種へ100%のお墨つきは口にできずとも,出口の見えないコロナ禍に,ワクチンが行く先を照らす希望のともしびとなっているのは事実です。
そこで,まず,今日までの本市におけるワクチン接種事業に目を向けてまいりますと,前提として国からのワクチン供給量が減少していたことから,限られたワクチンを効率的に市民の方々へ届けるべく,関係各所の接種実績に応じたワクチンの分配上限枠を設け,精度の高い需要の数値をはじき出した上で,そこへ供給されたワクチンに加え,各方面で保有されているワクチンの最大限の活用を図るなど,着実に個別,また集団の接種を進捗させてまいりました。また,その時々の感染者やワクチンニーズを勘案しながらも,可能な限り有限なるワクチンの供給を平準化しなければならず,あえてここに時間を割いては,本市のワクチン接種事業を如実に物語る一例を取り上げるといたします。
先月,千葉県柏市において,新型コロナウイルスに感染した妊娠29週の30代女性が,合計9か所の医療機関に受入れを断られた末に,入院先が見つからないまま,医師らが不在の状態で,自宅にて出産。その後,新生児が死亡してしまうという痛ましい事案が発生いたしました。お母様の苦しみや悲しみたるや,いかばかりであったのか,その心痛に私どもも胸が張り裂ける思いであり,必要な医療行為を最も必要とされている人々が受けられない,こうした事例は二度と繰り返されてはならず,改めて国からも各自治体に対し,感染した妊婦の迅速な救急搬送と受入れ医療機関の確保,さらに,妊婦のワクチン早期接種に特段の配慮を求める通達・要請が行われました。
ここまでの経緯をたどりますと,世間では,妊婦へのワクチン接種優先枠を直ちにとの世論が即座に形成されてまいりますし,私も当然そうした感情を抱く一人に違いはありません。ただし,だからこそ求められるのは,120万人の都市規模を誇る本市にあって,事実とデータに基づく地に足のついた対応で,ならば現在,ワクチン接種を望む妊婦や配偶者が,今後の潜在需要も含めどのぐらいとなり,現行のかかりつけ医や協力をいただく産婦人科での接種体制では追いつかないのかを見極める大局観が肝要となります。
つまり,至上命題は,妊婦を優先的に救いたい感情への呼応にあらず,妊婦や一般市民も同時に救えるべき体制づくりであり,それは現在,接種率の低い若年層への対応にも同様に言え,市民一人一人の命の重さに貴賤はございません。裏を返せば,医療トリアージのような判断へ迫られてしまうのは,新たに発生した問題ではなく,これまでの回答であり,そう考えますと,限られたワクチンや人員,諸条件を勘案しても,ここまで本市が善戦しているのは確かではないでしょうか。
しかし,一方,進められるワクチン接種の効果も,個人差はあれ,接種後経年で低下する事例やその可能性が指摘され始め,御承知のとおり,3回目の追加ワクチン接種を後押しすることからブースターと呼ばれておりますけども,世界屈指のスピードで国民へ2回の接種を進めたイスラエルではいち早く,先月からブースター接種を開始。また,CDC──アメリカ疾病対策センターなどが,現時点で追加接種は必要ないと発信されていたあの米国でさえ,今月下旬からブースター接種開始の予定を打ち出し,同様にイギリスやドイツ,シンガポールの名も上がって,国内でもブースター接種に関する議論が開始されています。
直近では,WHO──世界保健機関より各国へ向けて,先進国と途上国との間で分配されるワクチンの格差が生じ,今なお途上国へのワクチン供給が大幅に遅れている現状を鑑み,少なくともブースター接種を年末まで延期してほしい旨の要請が発せられましたが,いま一度,ならばこの先,年末年始へ向けて,素人目にも分かり得る近未来像を言語化してみるとすれば,感染者数や重症化への医療供給体制にもよりますが,このままいけば,11月以降に行動制限が緩和され始め,そこへウイルス感染となる季節性インフルエンザとも共通する,例年空気の乾燥する冬場に感染が拡大し,年が明けてピーク時期を迎えるように,現在,感染の第五波がややピークアウトしてきた感はあれ,この先高い確率で第六波の到来が確実視されています。
そこへ重なるように複数回の接種を終えた人々の気の緩みや,いち早く接種を終えた人々の抗体や免疫力の低下に伴い,ブレークスルー感染が増えては,ブースター接種の対応にも迫られると推察され,いずれにせよ自粛や行動制限の連続で疲弊し切っている各業種の人々を救うべく,今後は,経済を回した上で医療崩壊も防がねばならず,これまでの緊急事態宣言の発令一辺倒とは違い,ウィズコロナの新たなフェーズは,向こう僅かな期間を経て,確実に到来してまいります。
そこで伺いますが,今回,ワクチン接種事業に係る追加措置として補正予算が上げられておりますが,ワクチン接種は任意である大前提の下,今後さらにワクチン接種を加速させていくのであれば,正しい情報の提供,接種メリットの周知・伝達など,まさに情報戦術の確立と発信強化が必須かと存じますが,本市の御所見をお聞かせください。
また,さきにも触れましたとおり,不確定要素となりますが,第六波やブースター接種の到来を見据え,老婆心ながら危惧するのは,現場に最も従事する機会の多い,市民を守る側の市職員,担当課の人々を,まずは物理的にウイルスなどから守らなければなりませんし,本庁内,医師会,看護協会,薬剤師会と,あらゆる方面と調整を図っては,既に多様なる作業と責任が双肩にのしかかってくる現場にあって,過重労働からも守らなければなりません。
そこで,これまでも局内のみならず,局外からも人員が柔軟に配置されて応援職員の増員が図られてはおりますが,クラスターの発生などあらゆる問題を想定し,いかなるリスクヘッジを図って,基礎自治体として,いかに安定的な運営体制を継続されるのか。私などは,これまで以上のリソースを注ぎ,冬場に突入する前段に,さらなる現行体制の強化を図っておくべきかと存じますが,本市の御所見,御見解をお聞かせください。
続いて,本市の災害対応について伺います。
気候変動による集中豪雨などにより引き起こされる大規模な自然災害が,既に常態化して久しい近年において,本年も8月中旬の記録的な長雨により,西日本を中心とした各地では川の氾濫や土石流が発生し,家屋や都市インフラへの甚大なる被害とともに,誠に残念ではありますが,幾人もの人的被害,犠牲者を生み出してしまいました。改めて,お亡くなりになられた方々へ,謹んで哀悼の意を表するとともに,被災された方々へ衷心よりお見舞いを申し上げます。貴い犠牲が無に帰することのないよう,また今後も自然災害から人々の生命・財産を守り抜くよう,私どもは引き続き,一層の防災・減災に努めて,災害に強い
まちづくりを進めていかなければなりません。
一方,発災後の現場を振り返ってみますと,近年立て続けに発生する自然災害に随時対応して,都市全体が経験値を重ねることにより,本市における自助,共助,公助の体制が一歩一歩着実に確立されており,例えば,共助の面では,とりわけ主体的な声かけ避難などを端緒とする,近隣住民と地域連携などは目をみはるものがあります。また,このたびの災害における公助の面では,発災直後の応急復旧のみならず,指定避難場所としてのホテルや仮住居としての市営住宅が迅速に避難・被災住民へ提供されたのは記憶にも新しく,私も昼夜を問わず,住民からの御要望や現場の状況を,危機管理室をはじめ,関係各所へ届けさせていただきましたが,都度,問題の解決へ向けて,即座に対応してくださいました。そうした姿勢に,災害時の混迷の中,私は非常に感銘を受け,何よりの感謝とねぎらいの意を込めて,ここにあえて触れさせていただいた次第です。
しかし,繰り返しとなれ,自然災害が頻発化・激甚化しては,想定外や未曽有の表現が言い訳となってしまう現在,私どもは,あらゆる自然災害によりもたらせる被害を想定し,備え得る限りの準備を平時から進めておかなければなりません。こうした観点からも,過去より今日まで担当課と幾度か意見交換を行ってまいりました救助実施市について,改めてスポットを当て,これより適否の協議を進捗させてまいりたいと存じます。
いま一度,補足までに御説明しておきますと,この救助実施市とは,改正災害救助法の成立により,財政力など一定条件を満たした政令市が国へ申請を行い,指定を受けた暁には,被災者の救助,避難所・応急仮設住宅の設置,食料・飲料水の供給などを中心とした10項目を,市が救助主体となり,直接実施可能となる制度です。そこへの条件として,災害救助基金の積立てや,また県は,資材や物資を適切に分配する資源配分計画を策定する必要が求められ,政令市の中でも,過去に自然災害で甚大なる被害のあった神戸市,仙台市,熊本市をはじめ,半分以上の政令市が手を挙げて,そのほとんどが2年以上も前に,既に救助実施市に指定されている状況にあります。100点満点の災害対応はいかなる都市でも困難とはいえ,私も近年の自然災害につけ,発災後に本市や県が現行体制で対応する模様を見てまいりましたので,果たして今,相応の人的リソースやお金,時間を注ぎ,あえて救助実施市を目指すべきなのだろうか,こうした逡巡をかねてから覚えており,今日まで委員会や本会議においても熟慮の伴う闊達なる検討を強く訴えてこなかった背景があります。
しかし,あらゆる天災や人災にせよ,甚大なる被害につながるケースというのは,多様なる要因が偶然にも度重なり発生する事案が少なくありません。顧みれば2年前,東日本のエリアでは珍しく,大型台風が居座っては,各所で大きな被害が発生した際に,災害対応に追われた自治体の一つである川崎市は,従来のように県を通すのではなく,市が直接収集した情報に基づき,市長権限で法の適用を判断できたのは大きかったと救助実施市の有効性を口にされています。
また,先月の本市を襲った長雨による記録的な雨量を持ち出すまでもなく,発災直後の初動を重んじて,向こう数十年までも見据え,一人一人の貴い命を守り抜くためにも,本市が今のうちに一つでも多くの人命救助,災害対応となるオプションを増やしておくのは必須ではないでしょうか。
そこで伺います。まず,救助実施市を目指すに当たりまして,県との協働を含め,いかなる事前の準備が必要になるのか。そして,救助実施市に指定された暁には,改めて,現場にいかなる変化が生じ得るのか,ここにお聞かせください。また,救助実施市については県と協議を行っていると伺いましたが,今後救助実施市の指定を目指していくものなのか,併せて本市の御所見をお聞かせください。
では,続いて,本市の学童保育について伺います。
先月中旬,本市をはじめ,西日本を中心に降り続いた大雨により,これまで長年にわたり親御さんが抱かれていた悩み,企業が抱えていた問題,そして本市が内包していた諸課題,この全てが改めて表面化したのが,この学童保育についてであります。ここにいま一度,直近に起こったケースを適例に,一連の事態の背景を議論のテーブルに上げてまいりますが,先月の中旬,長雨の降り続く折,本市では,連日にわたって気象警報が発表されました。このような場合,保育園はいかなる対応をされているのかといえば,何も先月に限らず,過去の実例としても,通常どおり開園しては子供を預かるところがほとんどなのですが,一方,学童保育では,県内多くのところが,子供を預かるいかんは個々の学校の判断に準拠しており,しかも,夏休みなどの長期休暇の際は,朝7時の時点で,警報が一つでも出ていれば臨時休所となります。
そして,例えば夫婦共働きで,上の子が小学校の低学年,下の子が保育園の場合,下の子は保育園に預けられるのですが,上の子は小学校の学童保育が臨時休所ですから,結局親御さんのどちらかが仕事を休むことに。もしくは,両親とも仕事を休めないので,上の子供を自宅で一人留守番させざるを得ない,こうしたケースも実際に生じています。幼い子供を自宅に一人留守番させるのは,育児環境としても問題視されるところではありますが,一時的に預けられるところや,預けられる親族や知人もなく,やむにやまれないといったケースが存在するのは事実で,共働きのみならず,独り親家庭の場合,なお厳しい判断に迫られることとなります。
また,このたびであれば,祖父母や知人に子供を預けたり,ほかにも,可能な会社ではお子さんを職場に連れていくなど,各御家庭でも都度緊急時の対応はされているのですが,これが3日間も連続となると,御迷惑となるので気が引けて,物理的に無理など,親御さんが頭を抱え,子供は不安に駆られる,そんなケースが実際に本市でも起こり続け,しかも,例年の気候変動により常態化してまいりました。
大前提として,職場で育児休暇などを取りにくい就労環境は,まずもって企業側に改善が求められますけども,全企業,その大部分を中小・零細が占める国内事情にあって,かねてより仕事と育児を両立させる就労環境の整備は,我が国が長年にわたり抱えてきた課題であるのは間違いなく,重ねて,全就労のおよそ4割を非正規雇用が占める現在,度々休暇を取ることによって職を失うリスクが伴う実態は,現実問題とも言えます。
ゆえに,学童保育は,文科省ではなく厚労省の所管で,共働きや独り親家庭など,子育てと仕事の両立を支える,れっきとした児童福祉サービスに位置づけられており,改めてこのたびの長雨が,ここ数年間,国が声高に唱えては注力してきた政策,裏を返せば,いまだ行き届かぬ環境整備,子育て支援,女性の活躍,仕事と家庭,子育ての両立を浮き彫りにさせました。
顧みれば,私がこの件について担当課に問い合わせたのは,忘れもしない,先月8月19日。この日も前日より降り続く雨と早朝の気象警報により,朝7時を迎えた時点で,学童保育は臨時休所となりましたが,午前10時,11時を迎えた頃には気象予報のとおり,こうこうと太陽の照りつける天候となり,言わずもがな,朝の臨時休所は規定,ルールの遵守であり,何より子供たちの安全を第一に考慮した決定ですので,この辺りを確認後,当然私も理解を示し,ひとまずは電話を切りました。
しかしながら,東京都をはじめ,全国の自治体では同様のケースが訪れた場合,もちろん気象条件の度合いにもよりますが,保育園と同様に学童保育も開所しているところは多く,さきに述べました学童保育を厚労省が所管しているように,例えば20政令市を引き合いに出しても,この放課後児童クラブは,おおよその都市が市長事務部局,本市でいうところのこども未来局が所管しています。加えれば,都道府県を含め,本市と同様,教育委員会が所管しているのは極めて少数派で,無論,子供と親御さんの暮らしを最大限にサポートする姿勢に,所管での濃淡など存在しませんが,いずれにせよこの件については,現場の指導員や本市の教育委員会にも多くの相談,要望が届けられていると伺っております。早急に何らかの最適解を導き出さなければなりません。
そこで伺います。気象警報が発表された場合でも,保育園と同様に,学童保育が臨時休所にならない自治体も多いようですが,他の政令市ではどのような基準で開所・休所の判断をしているのでしょうか。また,こうした他の政令市の基準も参考にしながら,今後,本市におかれましても,これまでどおり子供たちの安全面の確保に最大限努めた上で,制度としては何らかの見直しを行うべきかと存じますが,本市の御見解をお聞かせください。
結びに一つ,唐突ではありますが,数学で言うところ,間接的に証明する方法──背理法を用いれば,自宅待機は一概に安全とは言えないとの命題に対して,ならば,自宅待機は絶対に安全であるとの仮説を立てて,この矛盾を見つけて命題を証明してまいりますと,例えば,気象警報時に登校する危険も考慮し,学童保育を休所として自宅待機を求められながら,
警戒レベル4の避難指示が言い渡されれば,ほとんどの学童保育が設置されている場所となる学校へ向けた避難が求められます。もちろん,おのおのの住まいのロケーションに気象条件など様々な変数が加わってまいりますが,自宅のほうがかえって危険を伴うケースが起こり得るがゆえ,学校をはじめとした場所が指定緊急避難場所でありまして……。
これ以上,私も四の五の言わず,閑話休題として,まずは第一義的な責任の伴う御家庭が,いかなるときも当意即妙に判断を下してお子様を守り,また今後,年間に発せられる各種警報や警戒の情報は増加の一途をたどるでしょうから,企業サイドにも親御さんへの理解を示すばかりではなく,物理的な環境整備も必要かと存じます。
新型コロナウイルスしかり,大規模な自然災害しかり,これは子や孫の世代から一時的に私どもがお借りしている世界となりますので,少しでもよりよい環境に整備してはお返ししたい所存であり,一般質問を以上といたします。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手)
○山田春男 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 石橋議員からの御質問にお答えします。
ワクチン接種事業についてのうち,情報戦術の確立と発信強化についての御質問がございました。
新型コロナウイルス感染症発生以来,感染の急拡大と収束を繰り返しており,感染症患者の重症化を防ぎ,医療機関の負担を減らすために,一刻も早く全世代の市民のワクチン接種率を高めていく必要があると考えております。こうした認識の下,希望される方がワクチン接種を円滑に受けることができるように,これまで接種券を送付する際に,同封するチラシや新聞折り込み,本市の広報紙等を通じて接種対象者ごとの接種開始時期,接種方法,接種会場などの情報を発信しております。また,市民が集団接種会場の空き状況を確認できるよう,各会場の予約状況を本市のホームページに掲載し,日々更新するとともに,報道機関の協力を得て,必要な情報を適切に発信してまいりました。
こうした中で,65歳以上の高齢者へのワクチン接種率が8割を超えるまでになりましたので,これからは若い世代の接種率が鍵となりますが,副反応への不安等からワクチンの接種をちゅうちょされている方に,安心して接種を受けていただけるようにしていくことがますます必要になると考えております。その際,市民が根拠のない誤った情報に惑わされることなく,科学的知見に基づいた情報を得た上で,安心して接種を受けるようにしていくことは,本人の感染症の発生を予防することになるだけでなく,家族を含め,周りの人を感染から守ることになることを市民の皆さんに,十分理解していただけるようにする必要があると思います。
そのために,国から発信されるワクチンの発症予防効果や副反応,健康被害救済制度などに関する情報を,本市のホームページや広報紙等を通じて的確に発信してまいります。とりわけ若い世代の方に向けては,必要かつ適切な情報をLINEやフェイスブックなどのSNSを活用して発信するとともに,大学などの教育機関の協力を得て,学生に対し広報することや,デジタルサイネージを所有する民間企業の協力を得て,商業施設の利用者に対し広報するなど,情報発信を強化し,接種の加速化につなげていきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○山田春男 議長 保健医療担当局長。
◎阪谷幸春
健康福祉局保健医療担当局長 ワクチン接種事業についてのうち,感染症を所管する担当課でのクラスターの発生など,あらゆる問題を想定して,いかにリスクヘッジを図り,基礎自治体として安定的な運営体制を継続するのか,また,冬場に突入する前に,さらなる体制の強化を図っておくべきと思うがどうかについてお答えいたします。
職員は,市民と接する機会が多く,市民よりもより一層の注意が求められることから,担当課を含め,職員は正しいマスクの着用や手洗い,三密の回避など,基本的な感染防止対策を徹底するとともに,発熱などの症状があるときには,速やかに身近な医療機関を受診するなど,職場内での感染拡大防止に取り組んでおります。また,職場で感染者が発生した場合に備えて,日頃から各業務ごとに主担当と副担当を設けて処理するとともに,担当課内で情報の共有化を図るなど,不測の事態にあっても担当業務が停滞することなく,業務の執行体制が維持できるように取り組んでおります。
さらに,担当課でクラスターが発生するなど,現行体制では業務の執行が困難となった場合は,局内外から業務経験のある応援職員を中心に配置することにより,執行体制の確保を図ることにしております。
現時点では,この冬の感染状況は見通せませんが,引き続き,市内の感染状況を注視しつつ,業務量に応じて応援職員の増員を図るなど,適宜執行体制を見直しながら,感染症対策に万全を期すことにしております。
以上でございます。
○山田春男 議長
こども未来局長。
◎森川伸江
こども未来局長 コロナ禍の緊急支援策についての二点の御質問にお答えします。
コロナ禍にあって,支援を必要とする人々と実際現場で支援している人々を結ぶ岡山市のおかやま親子応援メールについて,本市はいかに受け止めているかについてです。
議員御紹介のおかやま親子応援メールは,コロナ禍における緊急支援策として,岡山市のNPO法人を中心に,子育て支援を行う民間団体により組織されたおかやま親子応援プロジェクトが行政とともに昨年7月から開始しているもので,複数の組織が持っている幅広い情報を収集し,発信するという取組を行っています。この取組では,現在メールマガジンに登録した独り親家庭等を中心とする約2,000世帯に対し,各種情報を1週間に1回,2件から3件程度発信していると聞いており,コロナ禍により支援を必要とする子育て世帯にタイムリーな情報を届けることができ,大変意義あるものと考えています。
次に,本市でもおかやま親子応援メールのようなシステムが早急に実現できないかについてです。本市においては,岡山市のおかやま親子応援プロジェクトのように,NPO法人等による子育て世帯への情報発信が広まっておらず,本市のホームページや広報紙等のほか,目的別・年代別に子育て支援情報をまとめ,探しやすいメニューとしている専用サイト,広島あんしん子育てサポート「ひろまる」や妊娠・乳幼児期の子育て支援情報を主に発信しているひろしま子育て応援アプリ,LINEなどにより行っています。
支援を必要とする方へのタイムリーな情報提供は,コロナ禍にとどまらず,平常時においても重要となると考えています。このため,今後は母子寡婦福祉連合会による独り親家庭等を対象とした学習支援事業,社会福祉法人等が行う居場所づくり事業,各区のくらしサポートセンターやNPO法人が行う相談支援事業などに係る,より多くの情報をタイムリーに発信していけるよう,LINEなどの活用も含め,より効果的な発信方法について検討していきたいと考えています。
○山田春男 議長 危機管理担当局長。
◎岩崎学 危機管理担当局長 災害対応についての,二点の御質問にお答えいたします。
まず,救助実施市を目指すに当たり,県との協働を含め,どのような準備が必要か。また,指定された際には現場にどのような変化が生じるのかについてです。
議員御案内の救助実施市の指定制度は,平成31年4月の改正災害救助法の施行により,救助実施市における被災者の救助の円滑かつ迅速な実施等を目的として,都道府県から指定都市への権限移譲が規定されたものです。救助実施市の指定を受けるには,救助を行うために必要な組織体制の構築や災害救助基金の積立てに関する計画の作成等が求められます。また,発災時の物資等の配分を県,市,関係団体間で調整する資源配分計画の作成や業界団体との協定締結に向けた調整などについて,事前に県と十分な連携を図る必要があります。
現在,災害救助法が適用される災害においては,必要に応じて市町村に都道府県が実施する救助を委任できることとされておりますが,救助実施市の指定を受けた場合には,例えば,被災状況を踏まえ,国と本市が直接応急仮設住宅の建設などについて協議し,決定できるなど,迅速な被災者支援を行うことができるようになります。一方で,これまで県が負担してきた災害救助費を本市が負担することになるとともに,約7億円の災害救助基金を早期に積み立てる必要が生じます。
次に,救助実施市について,県と協議を行っていると聞いたが,今後,救助実施市への指定を目指していくのかについてです。
本市では,住民がよりよい行政サービスを受けられるよう,一元的・総合的な事務や権限とそれに見合う自主財源を制度的に保障する新たな大都市制度である特別自治市を目指しており,防災の面でも権限移譲による救助実施市となることが望ましいと考え,平成30年以降,県と事務的に協議,意見交換を行っております。
災害時の救助については,現在県からの事務委任を受け実施しており,支障が生じているわけではありませんが,本市が救助実施市になれば,国と直接協議し,被災地の実情に即した,よりきめ細やかで迅速な対応が行えることから,将来的には救助実施市になることを目指し,今後も引き続き県との協議を行ってまいります。
以上でございます。
○山田春男 議長 教育長。
初めに,地域猫活動の申請対象を広げていくことを検討するとの答弁があったが,検討状況はどうかについてです。
地域猫活動の申請対象につきましては,令和4年度から地域づくりに意欲のあるグループ等に拡大する方向で検討を進めており,現在,他の自治体の取組も参考にしながら,支援対象の要件等を検討しているところです。
次に,地域猫活動の実施箇所は決めているのか,例えば平和公園や河川敷,橋の下の猫は対象外になるのかについてです。
地域猫活動を始めるに当たっては,町内会の区域を示す地図を提出していただき,その区域内で猫の捕獲器の設置場所や餌場,トイレの設置場所を決めていただくことになります。その際,これらの設置場所については,その場所の管理者の許可が必要となりますが,例えば町内会の区域内にある公園内に捕獲器を設置する場合,各区役所の維持管理課に,当該町内会が地域猫活動を実施する団体であることを記載した動物管理センターの副申書を添付し,公園使用許可の手続をしていただくことで可能となります。
また,平和公園や河川敷,橋の下など,住民が居住していない場所は町内会の区域としてみなされていないことから,このような場所での地域猫活動は,現時点では対象外となります。
次に,道端で死んでいる飼い主不明の猫を見つけたときの対処方法について,動物管理センターのサイトからも知ることができるようにしてはどうかについてです。
今後,道路など公共の場所で亡くなっている猫等の動物を処理している担当部署と協議した上で,ホームページでの掲載を検討したいと考えております。
次に,地域猫活動のネットワークを広げていくために,参加団体の情報開示を容易にしていくべきではないかについてです。
現在,地域猫活動に取り組んでいる方々や,今後新たに地域猫活動に取り組みたいと考えている方々が情報交換や交流することができる場を設けることは,地域猫活動への理解を深めることにつながるものと考えております。このため,今後地域猫活動に取り組んでいる町内会長等に議員御提案の趣旨を説明した上で,取組を行っている方々の連絡先を含めた団体の情報を公開することが可能かどうか,意見を聞いてみたいと考えております。
次に,地域猫活動にかかる餌代や,けがをした猫の治療費等の費用は,地域の負担となっており,この活動をボランティア・共助という一言では片づけられないが,市はどのように考えているのかについてです。
地域猫活動は,地域に暮らす住民が人と猫の関係について共通の理解と認識の下に,民間団体や行政などと協働して野良猫を減らし,人と猫が共生できる
まちづくりを進めていく取組です。本市としましては,こうした地域が主体となって取組を進めていただく事業につきましては,一定程度の負担は地域において行っていただくものと考えておりますが,地域における共助の取組がより一層充実強化できるよう,引き続き地域の皆様の御意見を伺いながら,必要な公助を検討していきたいと考えております。
最後に,地域猫活動中のトラブルについて,管理上の責任が町内会や協力しているボランティアにも及ぶのは心理的に負担が大きいが,どのように考えているのかについてです。
地域猫活動に係るトラブルを減らすためには,活動の趣旨を広く地域の方に理解していただくことが必要です。このため,引き続き広報紙や各種メディア等を通じて,地域猫活動の周知に努めてまいります。
また,地域猫活動に取り組む地域にお住まいの方から野良猫に関する相談が動物管理センターに寄せられた場合は,町内会長に相談内容をお伝えするとともに対応をお願いしておりますが,住民間でトラブルが起きたときには動物管理センターが町内会長等に解決策をアドバイスするなど,活動を円滑に行うことができるよう,しっかりと支援をしてまいります。
以上でございます。
○若林新三 副議長
道路交通局長。
◎加藤浩明
道路交通局長 地域猫活動の課題についての御質問のうち,公共の場所で死んでいる猫を区役所が処分する際,処分記録は残すのか,また,飼い主等からの問合せに対してどう対応しているのかについてお答えいたします。
市が管理する道路等において,猫などの動物の死骸を発見した場合には,交通事故等を未然に防止するため,他の落下物と同様に,市が委託している道路パトロール業務の請負事業者または各区役所の維持管理課の職員が処理を行っています。道路パトロール業務の請負業者が処理する場合には,業務の履行確認のため,日時,場所,写真の記録を残しております。一方で,維持管理課が処理する場合は記録を残していないケースが多いものの,首輪がついているなど,ペットとして飼われていると思われるものについては,写真を撮り,数日間保管するなどの対応を行っています。
また,飼い主等からの問合せに対しては,写真や特徴をお伺いした上で担当職員に周知を行うとともに,何らかの情報が得られれば連絡を差し上げるようにしています。
以上でございます。
○若林新三 副議長 保健医療担当局長。
◎阪谷幸春
健康福祉局保健医療担当局長 ペット──家庭動物との同行避難につきまして,リーフレットを作成し,区役所等で配布するなど,広報周知が必要と思うがどうか,また,地域でペット同行避難説明会を開催し,あわせて,地域猫活動についても説明すれば有効だと思うがどうかについてお答えいたします。
ペットの同行避難につきましては,本市のホームページや広報紙に掲載するとともに,令和元年度にはペットの飼い主を対象に防災対策セミナーを開催するなどして,周知啓発に取り組んでおり,議員御提案のリーフレットの作成につきましては,今後検討していきたいと考えております。
また,ペットの同行避難に係る説明会につきましては,動物管理センターで定期的に開催しております犬のしつけ方教室や猫の飼い方セミナーなどにおいて,ペットの同行避難と併せて,地域猫活動についても説明を行い,効果的な取組となるよう検討してまいります。
以上でございます。
○若林新三 副議長 市民局長。
◎杉山朗 市民局長 核兵器禁止条約締約国会議への出席についての二点の御質問にお答えします。
まず,締約国会議の開催まで約半年と迫っているが,今後本市として,日本政府への参加に向けた働きかけをどのようにしようと考えているのかについてです。
核兵器禁止条約については,今後効果的な運用と発展に向けた議論を進めることが重要であり,日本政府には核保有国と非核保有国の橋渡し役を果たすためにも,同条約の締約国会議に出席し,議論に参画してもらうことが必要であると考えています。このため,日本政府に対しては,これまでも昨年11月に市長が長崎市長とともに外務省を訪問した際や,今年7月の国要望,さらには今年の平和宣言においても,同条約の締約国となることや第1回締約国会議への参加を求めたところです。さらに今年11月を目途に平和首長会議国内加盟都市会議として,改めて日本政府に対し,締約国会議にオブザーバーとして参加することなどを求める要請文を出すことを検討しています。
今後とも日本政府には被爆者の切なる思いを真摯に受け止めていただき,核兵器禁止条約の実効性を高めるための主導的な役割を果たされるよう,様々な機会を捉えて働きかけていきたいと考えています。
次に,令和3年度予算特別委員会において,核兵器禁止条約締約国会議で核兵器とSDGsに関する討議の場を設けることなどについて検討するとの答弁があったが,進捗状況はどうかについてです。
核兵器禁止条約第1回締約国会議については,先日国連から来年3月22日から24日にオーストリア・ウイーン市で開催されることが発表されました。
しかしながら,会議の詳細については,いまだ発表されておりません。同会議は締約国が核兵器禁止条約のさらなる効果的な運用について議論をする場であり,核なき世界の実現に向けた歩みを進めるため,大変重要な会議です。このため,被爆地の市長として,また平和首長会議の会長として,オブザーバー参加することに併せて,この会議の会期中にNGO等の市民社会がサイドイベントを開催することについて,今後積極的に情報収集したいと考えています。サイドイベントの開催が可能となれば,平和首長会議と目的を共有するNGO等と連帯して,核兵器とSDGsに関する討議の場を設けることや,被爆の実相を伝えるポスター展等を実施することについて検討したいと考えています。
続きまして,
原爆ドームの特別史跡指定と広島原爆遺跡に関する国の文化財指定への具申についての二点の御質問にお答えします。
まず,
原爆ドームを国の特別史跡として指定するため,本年度中に文化庁へ意見具申をしてもらいたいと考えるがどうかについてです。
原爆ドームは平成7年に国の史跡に指定されていますが,特別史跡に指定されることにより,
原爆ドームの認知度はさらに高まり,被爆体験を国の内外に普及・継承していく上で有意義であることから,本市では特別史跡の指定に向けて文化庁と協議を行っているところです。
この
原爆ドームの特別史跡指定に向けた意見具申に当たり,今年7月に同庁と協議を行った際,同庁から物件の歴史的価値や,これまでの保存工事の内容などを取りまとめた総括報告書を作成する必要があるとの指示があり,現在,この報告書の作成に向け,準備を進めています。報告書作成には文献などの資料収集のほか,専門家からの意見聴取なども必要なことから,来年度中をめどに必要な作業や報告書の取りまとめを行い,文化庁とさらに協議を進めた上で,令和5年度中に意見具申が行えるよう取り組んでまいります。
次に,旧広島陸軍被服支廠をはじめ,平和記念公園レストハウス等が国の文化財指定となるよう,本年度中に文化庁へ意見具申をしてもらいたいと考えるがどうかについてです。
平成28年10月に長崎原爆遺跡が国の史跡に指定されたことを受け,昨年度,被爆の痕跡が顕著に残り歴史的価値を有する市内に所在する遺跡について,国の史跡指定の可能性を検討するための調査を実施し,現在,報告書の取りまとめ作業を行っているところです。今年7月以降,報告書の内容等について,文化庁との協議を進めていますが,同庁から現時点で了承が得られていないことから,今年度中に意見具申できるか見極めることが難しい状況にありますが,引き続き同庁と協議を進め,遅くとも来年度の早い時期には意見具申が行えるよう取り組んでまいります。
なお,旧広島陸軍被服支廠については,建物のほとんどを所有する広島県が重要有形文化財の指定に向けた調査を実施することとしており,今後の文化庁との協議や意見具申については,広島県教育委員会が行うものと承知をしております。
以上でございます。
○若林新三 副議長 環境局長。
◎重村隆彦 環境局長 改正瀬戸内海環境保全特別措置法の成立についての御質問のうち,漂流ごみ等の発生抑制対策が地方公共団体の責務になったことを受けて,本市はどのように取り組むのかの御質問についてお答えします。
本市の市街地は,太田川を中心に大小様々な河川から形成されたデルタ上に位置しており,陸域で発生したごみが河川等の流域を経由して海域に流出する場合が多く,県によれば,こうして瀬戸内海に流出したごみは年間総量の7割近くに及んでいるとのことです。
こうしたことから,本市では,プラスチックごみ等が海域に流出する前の段階で対策を行うことが重要であると考えており,不法投棄やポイ捨ての防止対策,ごみゼロ・クリーンキャンペーンによる清掃活動,河川の水面清掃などに取り組んでいるところです。
また,県においては,本年6月に,容器・飲料メーカーや流通・販売等の事業者,県内の市町等が連携して,海洋プラスチックごみの新たな流出をゼロにする仕組みの構築など,瀬戸内海の環境保全に向けた取組を推進する組織を設立し,本市も参画しています。これは瀬戸内海という資源を他の市町等と連携・協働して保全し生かしていこうというものであり,プラスチックごみの海洋流出防止などについて,他の参画団体と連携して取り組んでまいりたいと考えています。
以上でございます。
○若林新三 副議長
経済観光局長。
◎津村浩
経済観光局長 改正瀬戸内海環境保全特別措置法の成立についての二点の御質問にお答えします。
まず,栄養塩類管理計画は府県知事が策定することとなっているが,周辺自治体などの関係者の意見も反映させなければならない,この点について,市としてどのように県に要請しているのかについてです。
議員御紹介のとおり,本年6月に成立した改正瀬戸内海環境保全特別措置法において,栄養塩類管理制度が創設され,関係府県知事が周辺環境へ与える影響を調査・評価した上で策定する栄養塩類管理計画に基づき,特定の海域に窒素やリンといった栄養塩類を供給することが可能となりました。
本市としては,近年,植物プランクトンの栄養成分である栄養塩類の減少が,広島湾でのカキの生育不良の要因になっているのではないかといった懸念の声がカキ養殖業者や専門家から上がっていることから,これまでもカキをはじめとする水産資源を確保していくためには,広島湾における栄養塩類の適度な供給が必要であるという認識を持っておりました。今回の制度創設を受け,県が国において策定を予定している栄養塩類管理計画策定ガイドラインを基に対応を検討していくこととしていることを踏まえ,本市は計画策定を進めてもらうために,県の関係部署との協議を重ねるとともに,本年8月に呉市及び江田島市との連名で県に対し,計画策定に向けて県や国,関係市町,漁業者等の関係者で意見交換する会議の開催や,栄養塩類の回復に向けた具体的な対策の実施を要望するなど,働きかけを行っているところです。
次に,多様な生物の生息の場となり,温室効果ガスの吸収源としての役割も期待される藻場の再生・創出について,豊かな海や地球環境に優しい瀬戸内海にするためにどのような取組をしているのかについてです。
本市では,広島湾におけるメバルなどの水産資源を育む上で重要な藻場を造成していくため,平成30年度から南区似島沖において,カキ殻を使ったブロックを海に沈めて藻を付着させる藻場再生モデル事業を実施しております。これにより,ブロックに藻が付着し生育していることや,ブロックの周りに魚介類が集まることが確認されたため,令和2年度からは広島市漁業協同組合が漁獲量の増加を目指して,自らブロックを設置し,本市が効果検証を行うという協働の取組を行っているところです。
今後とも同組合と連携して,広島湾の水産資源の育成に加え,温室効果ガスの吸収効果も期待される藻場の再生に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○若林新三 副議長 渡辺好造議員。
◆27番(渡辺好造議員) 御答弁ありがとうございます。
再質問ではないんですけども,まず,地域猫活動の課題についてということで,町内会のエリアの中にある街区公園などに捕獲器を設置してほしいというような要望がかねてからありました。猫がいろんな周辺の町内会から夜集まって,そういった地域の方々からの苦情も多くあって,以前は区役所に公園の中に捕獲器は設置できないのかということを問い合わせしたことがあるんですけれども,これは条例によって駄目だということで,ずっと公園は駄目なんだという認識でいたんですけれども,今回質問する中でやり取りをしたときに,先ほど答弁があったように,動物管理センターの副申があれば,申請をして許可になるという可能性があるというような,新しい見解というか,本当に地域の方に寄り添った地域猫活動が一歩前進するんではないかなと,こういうように思いました。ありがとうございます。
また,地域猫活動で道路で亡くなっている猫に対して,飼い猫とかいうことで
道路交通局長は答弁されましたけれども,飼い猫だけではなくて,全部の動物が首輪をしているわけでもないし,また,地域猫というのは耳をカットしていたりするんで,そういった動物に対しても,地域,また飼い主が愛着を持っているということで,先ほど飼い主が分かるような,首輪がある猫だけを写真を撮って云々と言われてましたけれども,もう少し,いわゆる猫や犬とかというものが亡くなっていた場合は,もう全部写真を撮って問合せに対応していく,こういうようなことをしていただきたいと思います。
それと,平和公園とか河川敷とか,ああいうところは町内会が申請する区域ではないので,基本的には地域猫活動の対象ではない,そういった場所だという答弁もいただいたんですけれども,ボランティアで動物の保護をしていく,そういった観点から活動している方は地域猫活動という,そういった側面の活動というのではなくて,動物保護という思いからそういった活動をされているんで,そういったことについては,行政としてはしゃくし定規に,ここはあんた申請しとるんか,してないんだろうと言って,ここでしちゃいけんとか言うのではなくて,もう少し動物愛護という観点から温かい目でその行為に対して,管理上支障があるとか,動物愛護に反しているとか,そういうことが明らかな場合は別ですけれども,そういったボランティアで動物の保護,愛護の観点からされている行為については,温かい目で見ていただければと,こういうように思います。
それと,医療的ケア児の話を市長のほうから答弁をいただいて,大変心強く思っております。その中で,情報発信のウェブサイトを開設しているということで,これも質問するときの打合せをしていたときに,広島市から委託を受けて,広島市重症心身障害児者相談支援センター,ここに委託をして「ほっと+いけあひろしま」というウェブサイトを開設をされているということで,実は今日の質問の中で,この4月に名古屋市が医療的ケア児支援サイト,これローマ字で小文字で「e・ga・o」というのを開設をされてるんですね。新聞で読むと,この「e・ga・o」という,名古屋市がつくった医療的ケア児の支援サイトというのは全国で初めてではないかというような売りで言われていたんですが,「ほっと+いけあひろしま」,これは平成27,28年に開設されているんだということで,この名古屋市よりも先にできているということで少し自慢げに説明はされたんですけども,それでしたら,しっかり,名古屋がどういうものをつくられていて,今,相談支援センターが委託を受けてやっている,この「ほっと+いけあひろしま」のサイトも,名古屋市を参考にしながら,より医療的ケア児の御本人,そして家族の方が有効に利用できる,こういうようなことを,さらにバージョンアップを心がけて取り組んでいただきたいということを要望して,質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○若林新三 副議長 次に,21番定野和広議員。
〔21番定野和広議員登壇〕(拍手)
◆21番(定野和広議員) 市政改革ネットワークの定野和広です。
8月の豪雨において,不幸にしてお亡くなりになられた方へのお悔やみと被災された皆様へのお見舞いを申し上げます。また,いまだ収まらぬ新型コロナウイルス感染症の対策に御尽力いただいている多くの皆様に,心から感謝を申し上げます。
それでは,会派を代表して,一般質問を行います。
初めに,新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
新型コロナウイルスの感染は第四波,第五波ととどまるところを知らず,今月に入ると新たに変異株──ミュー株の感染が確認されました。感染対策としてのマスク着用,手洗い・うがいの励行,消毒の徹底,密を避け不要不急の外出を控えるなどの新しい生活様式を心がけることなどに加え,ワクチンの接種が進むことにより,この闘いに何とか踏みとどまっています。人類と感染症の闘いはこれからも続くことになるでしょう。
命を守るためには,重症患者を受け入れる病床が不足することがあってはなりませんが,9月3日には厚生労働大臣が,病院にお願いするにも限界があり,臨時医療施設などで効率的に病床を確保しなくてはならないと発言し,政府は病院に入院できない患者の受皿として,臨時医療施設や入院待機施設の設置を促しています。これを受け,全国的に野戦病院とも言うべき臨時医療施設の整備が始まっています。9月5日の時点で22の都府県に加え,札幌市,千葉市,京都市の3政令市が開設または開設を予定しています。新たにプレハブなどで臨時病棟を建てるところもありますが,例えば民間のホテルなどを借り上げて,必要な機材を持ち込み,準病院のような扱いで宿泊療養をしてもらうなどの対応が必要かと思います。
大阪府は9月13日に感染者を受け入れる最大1,000床の臨時医療施設を大型展示施設において整備・運営する事業者を決定し,今月30日には開設するとのことです。感染初期の段階で有効と言われている抗体カクテル療法も医療スタッフが常駐する施設であれば行うことができますので,病床が不足する局面となれば,本市においても設置を検討すべきと考えます。
質問です。広島県でも臨時病院の設置を検討しているという報道がありましたが,県が設置をする場合,本市として,どのような形で協力をするのでしょうか。
国の方針もあり,今後重症患者以外は自宅での療養が増えると予想されます。在宅療養と呼ばれますが,私はこれは療養でも何でもないと思うのです。療養とは,病気を治すために治療し,養生することです。現在行われているのは自宅療養ではなく,自宅待機というべきものです。療養と呼ぶからにはしっかりと目を離さない医療が欠かせません。そこで重要なのが医師の往診と訪問看護です。自宅での容体急変の予兆を見逃さず,万が一急変したときにはすぐさま対応しなくてはならないからです。訪問看護を行うには必ず医師の訪問看護指示書がなければならず,医師と看護師がチームとして対応する必要があります。
県は7月19日付で県内の訪問看護ステーションに対して,自宅療養者への訪問看護に係る協力依頼を行っています。訪問看護に協力できるかどうか,対応できるのであれば可能な曜日や時間帯,地域はどうかなどを確認するアンケートを送付しています。これにより,本市においてもどの地域でどれだけの訪問看護が可能であるか把握できているはずです。また,自宅やホテルで療養する人が増える中,患者の不安を和らげ,重症化する危険を早く見つけ,治療の遅れを防ぐために,舟入市民病院では陽性者外来を設置し,療養者の外来診療を行っています。通常は内科の外来診療に使っているスペースを感染症以外の患者が入ることができないレッドゾーンとし,保健所などが受診の必要を認めた上で予約をした患者が,保健所が手配した車などで来院いたします。夜間救急の入り口を使うため,ほかの患者等との接触を防ぐことができます。毎日30から40人程度,8月末までに延べ約1,600人を診察し,そのうち約650人がその日のうちに入院が決まったそうです。つまり,それだけ自宅での療養中に命の危険にさらされていた患者がいたということです。
この舟入市民病院の陽性者外来は,自宅療養中に容体が急変し,重症化する一歩手前で治療することができ,さらに対面で診察することで,患者の安心にもつながる,極めて有意義な取組であると考えます。であるにもかかわらず,このことが広く知られているとは言えません。舟入市民病院の陽性者外来については,その存在や役割をしっかりと周知することが自宅療養中の患者にとっての安心にもつながると考えます。
そこで質問です。本市では,自宅療養中の患者が希望すれば,外来や往診などを受診できる体制になっているのでしょうか。医師が往診しなくても,訪問看護で対応できる場合もあると思いますが,その体制はどのようになっているのでしょうか。
また,先日実施した訪問看護ステーションへのアンケート結果も含めて,患者には受診に関する情報はどのように提供されているのでしょうか。
他都市では,保健所の業務が多忙を極め,人員不足により,積極的疫学調査ができなくなり,結果として調査対象の縮小などが起こっています。埼玉県では,職場や学校の関係者まで調査していたものを,家族や入所施設関係者などに絞ることとしました。東京都ではクラスターが発生しやすい施設を優先させることとし,那覇市では,医療機関やクラスター発生事業所などを除いて,職場調査を中止しています。大阪市では,追跡する期間を2週間前までではなく,2日前までに絞り,これ以上感染者が増えれば,調査自体を取りやめる方針ということです。書面調査に切り替えた自治体もあります。疫学調査の意義は感染者の行動を把握することで,さらなる拡大を防ぐことにあり,極めて重要なものです。
質問です。本市の保健所は,患者が急増した場合であっても,調査対象を縮小せず,通常どおりの積極的疫学調査を行うことができているのでしょうか。
新型コロナの感染者は後遺症の懸念があります。疲労感,倦怠感や息苦しさ,嗅覚障害,筋力低下,睡眠障害,思考力・集中力の低下などです。特に高齢者では,高頻度で認知障害が発生するという研究報告もあります。後遺症の症状は様々です。重い症状から回復したとしても,後遺症の影響ですぐにこれまでの生活に戻ることができない方が大勢います。
そこで質問です。新型コロナ感染症の後遺症への対応はどこが担うのでしょうか。どのようなケアが行われるのかお答えください。
長期戦をにらみ,腰を据えてコロナ対策に取り組む必要があります。そのための長期戦に備えた本市としての体制づくりが必要ではないかと考えます。現在,新型コロナ感染症対策を主に担っているのは健康福祉局保健部健康推進課の感染症対策係ですが,感染症は何も新型コロナウイルスだけではありません。従来からの業務もあるはずです。今年度は増員され,他部署からの応援も入っていると聞きますが,臨時の応援だけで果たして乗り切れるのでしょうか。
現在の感染状況は災害級であると表現されます。収束には今後二,三年かかるとも言われ,終わりの見えない災害です。自然災害であれば,発災直後に
災害対策本部が設置されます。では,同じく災害級の危機的状況が続く今日,本市の体制はどうでしょうか。組織は仕事の内容や量に応じて,年度の途中でも柔軟に変えていくべきものです。
そこで質問です。災害級の感染状況に対応すべく,新型コロナ感染症対策に特化した組織改編と増員を行うべきであると考えますが,いかがでしょうか。
太陽光発電について伺います。風力や地熱など,様々な候補の中で,現在最も普及し,導入が容易なのが太陽光発電です。巨大な風車を必要とする風力や大がかりな掘削が必要な地熱と違い,パネルを設置する場所があれば,基本的にどのような場所でも発電が可能であり,場所を問わないという利点があります。また,近年では従来のシリコン型だけではなく,印刷技術を応用したペロブスカイト型など,新技術も登場し,重量やコストを大幅に抑えることができます。折り曲げが可能な軽量なものであれば,建物の外壁などに設置することが容易となり,一層の普及が見込まれます。
我が国は2050年カーボンニュートラルを打ち出しています。温室効果ガスの排出実質ゼロということです。今年4月には温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比で46%減という,新たな目標を設定しました。これまでの26%減から大幅な引上げです。温室効果ガスの排出削減が一気に加速した感があります。化石燃料に依存しない社会を実現するためには,省エネに加え,再生可能エネルギーのさらなる活用が欠かせません。今後ますます太陽光発電が普及し,多くの設備が設置されることになるでしょう。
平成23年には電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法,いわゆるFIT法により,固定価格買取制度が創設されました。2020年時点で設備容量が500キロワット以上の発電施設は全国で8,725か所,パネルの置かれた土地の総面積は229平方キロメートル,これは佐伯区とほぼ同じ面積です。
このように国による後押しもあり,急速に進んだ太陽光発電ですが,一方では,景観,水の濁り,反射光など,近隣環境にも影響を与え,トラブルとなることもあります。太陽光発電施設は単にパネルだけではありません。設備全体では,少なくとも架台に取り付けられたパネル,集電板,パワーコンディショナー,受変電設備などを含みます。最も恐ろしいのは,土地の安定性について十分な配慮がなされず,のり面の崩落などを引き起こすことです。例えば平成30年7月の西日本豪雨では,神戸市須磨区の山陽新幹線近くに設置されたパネルなどが崩落し,新幹線が一時運行を見合わせる事態となりました。全国どこにでも起こり得ることです。
8月に降った記録的な豪雨により,広島県内では,各地で大きな被害が発生しました。本市においても,住宅が土砂に押し流されるなどしました。8月14日の夜,西区田方三丁目,己斐上五丁目などで,住宅に土石流が押し寄せました。翌朝,私もすぐに被災現場に向かい,被害の状況を確認いたしました。山から膨大な量の土砂とともに,なぎ倒された大きな木が住宅に突き刺さり,屋根まで泥に埋まった車,土台ごと流され,道路を塞ぐ倉庫などが無残な姿をさらしておりました。豪雨の中で住民の恐怖はいかばかりであったろうかと思うと,本当に胸が痛みました。
今年7月3日には,静岡県熱海市で土石流が発生しました。詳しい原因については,いまだ調査中ではありますが,その大きな原因の一つと言われているのが大規模な盛土です。盛土という工法は既に技術的には確立されたものであり,安全基準も明確に定められています。したがって,適正な方法でなされた盛土については,安全は確保されていると考えます。
しかし,今回熱海市の例では,盛土の総量は届出の1.5倍。県の基準では,高さ15メートル以内であったものが,その高さは50メートルに達していたと言われています。また,当初は規制がかからない1ヘクタール未満としていた面積を拡大し,残土に産業廃棄物を混ぜるなど,これまでも悪質な違反を繰り返していたようです。基準を大きく超えた量の土砂を抱えていれば,大雨のときにそれがどのようになるか,その危険性は誰にでも分かることです。
8月の広島での豪雨災害で住宅に突き刺さった大きな樹木,7月の熱海市での大規模な盛土の崩落,いずれも高い位置から重量のあるものが滑り落ちてくる危険性を示しています。車を走らせると,山肌に黒く光る大規模な太陽光パネルが目に飛び込んできます。かなり傾斜した場所に置かれているものもあり,果たしてこれらは大雨などで崩れることはないのだろうか,もし崩れた場合,大きな被害が出るのではなかろうかと気がかりです。
質問です。太陽光発電については,推進すべきだと思う一方で,斜面や山林における太陽光パネルの設置には何らかの安全確保策が必要であると考えます。現在,どのようになっていますか。
また,今年改正された地球温暖化対策推進法では,地域脱炭素社会化促進事業において,再エネ施設を積極的に導入する区域として促進区域を設定することを市町村の努力義務としています。再エネ施設の新設を優遇する促進区域を定め,国が新たに創設する交付金の重点配分や手続の簡素化で支援するというものです。傾斜地など,土砂災害の危険度が高い地域はこの促進区域から除外すると聞いており,間接的とはいえ,危険な場所への太陽光パネルの設置に歯止めがかかるのではないかと期待しています。
質問です。本市として,促進区域の設定についてどのように考えていますか,お答えください。
次に,高等学校の入試制度改革について伺います。
現在,広島県内の中学生の高校進学率は98.9%となっており,ほとんどの子供たちは中学校卒業後に高等学校へ進学しています。また,公立高校に進学する割合は昨年度63.3%となっており,中学校を卒業する1万3964人の子供たちが公立高校へ進学しています。当然ながら,高校に進学するためには高校入試がありますので,その入試制度は中学生やその保護者の皆様にとって非常に大きな関心事だと思います。
こうした中,広島県では,新学習指導要領の趣旨を踏まえた各高等学校の教育目標の実現に向けた入学者選抜の質的改善を図るため,令和5年度の広島県公立高等学校入学者選抜から入試制度の改革を進めています。広島市においても,市内には県立高校と市立高校が混在していることから,中学生の進路選択に混乱を来さぬよう,同様の入試制度改革が進められると聞いております。
入試制度改革については,令和2年4月に周知のためのリーフレットが公表され,新しい入試を初めて受験することとなる今の中学2年生の生徒や保護者は,特にその変更内容に注目しています。また入試制度改革は,受験生だけでなく,中学校3年間における指導の在り方にも関わるものです。公表されたリーフレットによると,新しい入学者選抜制度の主な変更点は,中学生の主体的な学校選択に資するよう,各高等学校が入学者選抜実施内容シートを作成して公表すること,中学校及び高等学校における教育の充実を図るため,一次選抜と二次選抜の2回とすることなどです。特に学力検査に加えて,全ての受験生に新しく課せられる自己表現は,自分自身のことや高等学校に入学した後の目標などについて,自分で選んだ言葉や方法で表現する面談方式の選抜であり,新しい制度の大きな特徴となっています。
そこで質問です。令和5年度入学者選抜から新しく面談方式の選抜として導入される自己表現はどのような目的で行われるものですか。
○若林新三 副議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 教科担任制についても,今,スタートを切ったということで,事例とすれば,中学校を見ると一番分かりやすいんですが,じゃあ,今,小学校で目指す教科担任制が中学校レベルに教科ごとに先生を専科で張っていくかというところでは今はありません。確かにおっしゃるように,今まで1人の先生が長時間見てくれたということでの不安があるというようなことであれば,先生の目が変わるということで,むしろ複数の目が入ることでいいという面もありますし,あとはいろんな先生が見た情報をみんなが共有するということが大事になってこようかと思います。そういったところで,今からやろうとしている教科担任制について,どういうところを目指していくのかというようなところについては,しっかり我々でも整理をして,きちんと情報提供のような形でやっていくようにしていきたいと思います。
以上でございます。
○若林新三 副議長 本日の一般質問はこの程度にとどめたいと思います。
───────────────────────────────────────
次会の開議通知
───────────────────────────────────────
○若林新三 副議長 この際,御通知申し上げます。
21日は午前10時より議会の会議を開きます。
───────────────────────────────────────
散会宣告
───────────────────────────────────────
○若林新三 副議長 本日は,これをもって散会をいたします。
午後2時57分散会
───────────────────────────────────────
───────────────────────────────────────
議 長 山 田 春 男
副議長 若 林 新 三
署名者 馬 庭 恭 子
署名者 中 森 辰 一...