開議宣告(終了)
一般質問(続行し,明日も続行)
次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)
散会宣告(終了)
───────────────────────────────────────
出 席 議 員 氏 名
1番 海 徳 裕 志 2番 山 本 昌 宏
3番 山 内 正 晃 4番 山 路 英 男
5番 木 戸 経 康 6番 平 野 太 祐
7番 石 橋 竜 史 8番 森 畠 秀 治
9番 定 野 和 広 10番 近 松 里 子
11番 森 野 貴 雅 12番 森 本 健 治
13番 碓 氷 芳 雄 14番 西 田 浩
15番 渡 辺 好 造 16番 宮 崎 誠 克
17番 大 野 耕 平 18番 三 宅 正 明
19番 伊 藤 昭 善 20番 桑 田 恭 子
21番 馬 庭 恭 子 22番 藤 井 敏 子
23番 豊 島 岩 白 24番 八 軒 幹 夫
25番 八 條 範 彦 26番 原 裕 治
27番 米 津 欣 子 28番 安 達 千代美
29番 星 谷 鉄 正 30番 平 木 典 道
31番 今 田 良 治 32番 元 田 賢 治
33番 谷 口 修 34番 竹 田 康 律
35番 村 上 厚 子 36番 中 原 洋 美
37番 中 森 辰 一 38番 酒 入 忠 昭
39番 佐々木 壽 吉 40番 太 田 憲 二
41番 若 林 新 三 43番 山 田 春 男
44番 児 玉 光 禎 45番 金 子 和 彦
46番 永 田 雅 紀 47番 沖 宗 正 明
48番 土 井 哲 男 49番 木 山 徳 和
50番 種 清 和 夫 51番 中 本 弘
52番 木 島 丘 54番 藤 田 博 之
55番 中 石 仁
───────────────────────────────────────
欠 席 議 員 氏 名
53番 碓 井 法 明
───────────────────────────────────────
職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 重 元 昭 則 事務局次長 石 田 芳 文
議事課長 小 田 和 生
議事課課長補佐主任事務取扱
吉 川 和 幸
議事課主査 高 谷 昌 弘 議事課主査 村 田 愛一朗
外関係職員
───────────────────────────────────────
説明のため出席した者の職氏名
市長 松 井 一 實 副市長 谷 史 郎
副市長 岡 村 清 治
危機管理担当局長行 廣 真 明
企画総務局長 及 川 享 財政局長 手 島 信 行
市民局長 政 氏 昭 夫
健康福祉局長 古 川 智 之
こども未来局長 滝 川 卓 男 環境局長 和 田 厚 志
経済観光局長 日 高 洋
都市整備局長 山 地 正 宏
都市整備局指導担当局長 道路交通局長 谷 山 勝 彦
胡麻田 泰 江
下水道局長 早 志 敏 治 会計管理者 長 敏 伸
消防局長 斉 藤 浩 水道局長 野津山 宏
監査事務局長 堀 敬 輔 財政課長 中 村 徹
教育長 糸 山 隆
選挙管理委員会事務局長
久 保 雅 之
人事委員会事務局長
柴 田 吉 男
───────────────────────────────────────
午前10時02分開議
出席議員 51名
欠席議員 3名
○永田雅紀 議長 おはようございます。
出席議員51名であります。
───────────────────────────────────────
開議宣告
───────────────────────────────────────
○永田雅紀 議長 これより本日の会議を開きます。
───────────────────────────────────────
会議録署名者の指名
───────────────────────────────────────
○永田雅紀 議長 本日の
会議録署名者として
11番 森 野 貴 雅 議員
23番 豊 島 岩 白 議員
を御指名いたします。
───────────────────────────────────────
日程に入る旨の宣告
───────────────────────────────────────
○永田雅紀 議長 これより日程に入ります。
───────────────────────────────────────
△日程第1 一般質問
───────────────────────────────────────
○永田雅紀 議長 日程第1,昨日に引き続き一般質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
〔55番
中石仁議員登壇〕(拍手)
◆55番(中石仁議員) おはようございます。
日本共産党の中石仁です。
日本共産党広島市会議員団を代表して,一般質問を行います。
まず,7月の
西日本豪雨災害で亡くなられた方に哀悼の意を表しますとともに,被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。
初めに,7月の豪雨災害についてお聞きします。
今回の災害で広島市では23名が犠牲となり,今なお2名が行方不明,50名が負傷するという人的な被害が出ました。家屋は500棟が全半壊し,被災した世帯は2,500世帯に上る甚大な被害をもたらしました。日本共産党は国会議員と連携し,市内の被災地の課題を取り上げて被災者支援を行ってきました。安芸区に
被災者支援センターを立ち上げ,私も被災者の方々を訪問し,これまで約250件の被災者の声を聞いて支援活動を行ってきました。私がお会いした矢野東7丁目,梅河団地の御夫婦のお話には胸が張り裂ける思いがしました。ことし2月にできた治山ダムを乗り越えて土石流が団地を襲いました。御夫婦は5歳の子供さんを亡くされました。お母さんはもう1人の子供さんと一緒に土砂にさらわれ気を失い,気づいたときには病院のベッドの上でした。新築の家は跡形もなく流され,残っているのはあと三十数年のローンです。御主人は1カ月以上も仕事に行けず収入はゼロ,つらい思いを抱え先行きも見えない現実にこれからどうやって生きていけばいいのかと涙を流されていました。土石流が御夫婦から大切な命と団らんと,そしてなりわいと未来までも奪おうとしています。私は涙をこらえるのが精いっぱいでした。
豪雨や地震などの自然災害は人間の力で防ぐことはできませんが,それがもたらす被害を減らすことや防ぐことは人間の力で可能です。気象庁は100年に1度の大きな被害が出ると注意を喚起していましたが,100年どころか19年前,4年前と,そして今度,3度も繰り返した広島市はもはや想定外と言い逃れることはできません。かけがえのない人命が奪われ,多くの家を失う事態を招いたのはなぜか,住民の命と財産を守る政治の役割が問われています。
まず国や
県が責任を持っているハード面の防災対策です。そもそも広島
県は水を吸うと崩れる風化した花崗岩の地質に山々が覆われているのに,宅地開発は山裾まで進めてきました。住民に被害が及ぶとされる
土砂災害警戒区域が4万9541カ所あり,全国で一番多い自治体です。その中で最も多い7,989カ所が広島市内にあります。ところが,砂防事業に責任を持つ
県は県議会で
土砂災害危険箇所の砂防事業を終えるのにあと200年かかると答弁されています。これまで災害後は予算をふやすが,喉元過ぎれば熱さを忘れたかのように削減させているのが,この20年間の
砂防事業予算です。ことしはピーク時の180億円の約半分になっています。また,急
傾斜地崩壊対策は地元負担があるので,住民から対策の要望があるところしか工事をしないという姿勢ですが,申請中の40カ所のうち7カ所で土砂崩れが起きました。あと7割も対策が必要なところが残されているのに,
県の予算化が進まないためにいつまでたっても対策は終了しません。一体広島市の
土砂災害危険箇所の対策はどこまで進んでいるのですか,お答えください。
今回の災害ではあちこちで市道に面する住宅のり面が崩れました。現行の制度では住宅地ののり面の対策は所有者の自己責任となります。ある高齢の所有者は,のり面の復旧に1,000万円かかると言われたと途方に暮れておられます。宅地のり面の復旧費用の補助制度,設けてはどうでしょうか,要望しておきます。
河川対策についても国や
県の責任は重大です。安芸区の市民が繰り返し瀬野川,大元谷川などの
しゅんせつ工事を求めていたのに数十年放置したままと聞きました。豪雨で瀬野川の水位が上がると周辺から瀬野川につながっている小さい水路や川が行き場を失ってあふれるのは当然です。また東区では,馬木の大谷川の上流で土石流が発生しましたが,大量の土砂や倒木や瓦れきが護岸未整備だった多くの住宅の土台をえぐり取りました。河川対策の予算もピーク時の5分の1へ大きく減らしたままの
県や国の責任も免れないと考えます。国や
県は2度の豪雨災害を教訓に防災対策へ力を尽くしてきたと言えるのでしょうか,市としてどのようにお考えですか。今度こそ思い切った防災対策を進めるように厳しく国,
県に要求する立場に立たなければなりません。いかがですか。
また,安佐北区の口田地区では矢口川が氾濫し,2メートルを超える大規模な浸水被害が起きました。これまでこの地域は大雨が降るたびに浸水していましたが,36億円をかけた太田川への排水ポンプ場が完成してもう心配ないと新しい家を建てたお宅もあると聞きました。ところが,増強した2基のポンプ施設のうち1基が当日故障して役に立たなかったといいます。ことし4月に国が住民とともに施設の完成を祝ったばかりでした。国は原因究明を進めると言いますが,その際,検証結果や対策について住民への説明が必要です。市としてどのようにお考えですか。
さらに,豪雨が降った7月6日は20時13分,小潮で干潮でした。もし海面の水位が上がる大潮になっていれば,恐らく船越南など安芸区の沿岸部分も岡山
県真備町と同じようになっていたのではないかと思われます。市民の命を守る国,
県に強力に働きかけ,護岸堤防工事に取り組んでください。いかがでしょうか。
今後,住民とともに進める
復興まちづくりが求められます。多くの被災者が現在住んでいる場所で今後の生活再建ができるのか迷っておられます。さきの臨時会で防災対策のハードもソフトも住民の意見を聞きながら,住民参加のまちづくりの視点で進めるべきだという中原議員の質問に対して,住民の意見を聞いて進めることが有効であると答弁をされました。いつ住民の声を聞くのでしょうか。新たな砂防ダム,治山ダムの計画や既存ダムの検証も含めて,復旧への工程表を地元説明会で示してほしいという声をたくさん聞いています。今後,地域ごとの
復興ビジョンはいつ示されるのか伺います。住民説明会の開催についてどのような見通しでしょうか。
防災のソフト対策についてお聞きします。
県も市も災害に対して自分の命は自分で守るという自助を強調されてきました。最終的に避難するかどうかは個人の判断に委ねられているとしても,そのためにはみずからが住む地域が危険な場所であるという認識を持ってもらうことが必要です。実際には,購入するとき危険な地域だと言われなかったので安心して家を建てた,砂防ダムができたので大丈夫だと思ったというのが被災した地域の住民の声です。災害リスクを住民に知らせ,理解し,共有してもらうことは行政の責務ではないでしょうか,お答えください。
4年前の土砂災害の教訓から,
県は危険区域の指定を進めるために基礎調査を急ぎ,市は危険区域の指定を受けたら
ハザードマップを作成して,みずからの住むところが土砂災害の危険があると住民に知らせなくてはなりません。しかし,平成32年度までに
ハザードマップを作成するという計画が進められていましたが,今回の災害に間に合いませんでした。とりわけ多数の犠牲者を出した安芸区の
ハザードマップは作成されていたのでしょうか。また,
土砂災害危険区域の想定を超えたところでも被害が出ました。基礎調査をやり直すことも求められていますが,どのようにお考えですか。
8月17日付の中国新聞によりますと,避難所別の避難状況の推計を示しました。それによると,7月6日の避難指示の対象は27万人を超えたと言われていましたが,実際に避難した人は9,224人で約3%でした。今回の豪雨災害で犠牲者の4割が逃げおくれて自宅で亡くなったといいます。そのため,避難勧告などの自治体が出す防災情報が避難行動へ結びついていないという課題が浮き彫りになり,市も検証を始めました。
そこで3点についてお聞きします。
第1に,危険が迫っているという情報はどのように伝わったのか検証しなくてはなりません。住民に確実に情報伝達する手段が必要です。今回,防災メールによる避難指示の送信がシステムのふぐあいでおくれました。そもそもどれぐらいの市民が登録し,その割合はどれぐらいでしょうか。ふぐあいが起きないようにどのように改善されるのでしょうか。情報伝達は二重,三重の手段が必要です。市が推奨される防災メールや
緊急速報メールは携帯電話を持っている人しか伝わりません。
防災行政無線の
屋外スピーカーの放送は聞き取れないという声が幾つも寄せられています。また,屋内受信機は町内会長や避難に支援が必要という人のうち希望者だけです。そのためにも防災情報を自動的に伝える防災ラジオを危険な地域の各戸に設置することが望まれます。しかし,平成34年でデジタルに切りかわるため,今のアナログでは防災ラジオは使えなくなります。誰もが避難情報を受けられる抜本的な対策をどのようにして確立するのかお聞きします。
第2に,危険が迫る前に避難するという行動を促すことが必要です。避難の四原則は,1,早目に,2,少しでも安全な場所に,3,みんなで助け合って,4,空振りを覚悟で逃げることです。近所へ声をかける
コミュニティー避難が有効であることは間違いありませんが,実際,三篠川が氾濫して道路が冠水し深川小学校へ行けなかった,
県道矢野安浦線である
通称矢野通りは濁流が押し寄せて,矢野東地区の避難所となっていた矢野小学校へは行けなかった,畑賀川沿いの道路を避難していた車が河川の増水で護岸が崩れて乗っていた人が流されたというように,避難勧告が出され避難指示が発令されるまでの間に既に土砂崩れや川の氾濫が迫り,命がけの避難行動となった被災者も少なくありません。これでは避難指示のタイミングが遅いのではないか,見直すべきではありませんか。
第3に,避難所の位置環境も避難をためらう要因ではないかと思います。避難所が何キロも離れていて年寄りは動けないという地域があります。災害によっては地域全体が危険なために,近くの公共施設を緊急避難所に指定できていない,例えば
己斐上小学校区のうち己斐上3丁目の住民は己斐中学校が近いのですが危険区域にあり,
己斐上児童館に避難するようになっています。しかし4キロも離れているし,そもそも広大な己斐大迫団地を含む地域なのに20世帯余りしか受け入れられません。また,瀬野川地域の土砂災害時の緊急避難所は安芸区
スポーツセンターでしたが,
スポーツセンターに行くには中野地域から瀬野川にかかる橋を渡らなければなりません。流木と濁流が押し寄せる川にかかる橋を渡ることは余りにも危険過ぎました。避難する場所は少しでも近くの安全な場所が求められます。地元の意見を聞き,地域の実情を踏まえ,命が守れる民間,公共の緊急避難所をふやすべきですが,どのようにお考えですか。
次に,被災者支援についてお聞きします。
被災者支援こそ公助,行政の出番です。
日本共産党市議団は4回にわたる要望書を出し,被災者の生活再建こそ第一に,最大限の対応を求めてきました。市は仮住宅へ入居する被災者に家電製品などを支給し,また自力で民間住宅を借りた人への家賃の償還払いを実施されましたが,仮住宅の入居期間は半年と周知されたため,半年したら退去しなければならないと誤解をし,仮住宅に入居しない被災者もいます。
東日本大震災でも熊本地震でも2年以上,実際は延長されています。市は実情に合った見通しを示すことが必要ではないでしょうか。また,被災者の医療費の窓口負担の免除も来月いっぱいで終わります。経済的な負担の軽減策として延長すべきではありませんか,お答えください。
次に,土砂の撤去費用の償還払いについてお聞きします。
床下の土砂などの撤去は多くのボランティアにお願いしてきました。しかし,やむなく業者に土砂撤去を依頼することについて,窓口には120件のうち80件は既に業者が実施したと聞いていますが,いまだに償還払いの詳細が明らかになっていません。また,8月2日の
参議院災害対策特別委員会の答弁にあったように,フローリングの床をはぐって土砂を撤去した費用も補助対象になるはずですが,一体土砂の
撤去償還払いについて被災者はいつから請求できるのでしょうか。
次に,市長が被災者に寄り添うために行うと言われた
ワンストップサービスの対応についてお聞きします。
被災者から幾つか意見が寄せられました。窓口では罹災証明書の申請,被災住居の改修申請,
日常生活用品支給などの申請書を渡し担当部局へと仕分けをするだけで,被災者が一々それぞれの窓口に出向く状況になっていました。また,避難所で受け付けるとされていた罹災証明書の申請についても,申請用紙が置いてあるだけの避難所が一部にあり,結局,申請のために区役所まで出向いたという方もおられました。本来の
ワンストップサービスとは,一つの窓口で全ての用事を済ませることが求められています。市は災害時の
ワンストップサービスについてどのような認識を持っておられるのか,改めてお聞きします。相談窓口や避難所の職員は被災をしていない区役所から交代で動員されたと聞きましたが,日常的,計画的に研修など制度化をする必要があると考えますがどうでしょうか。
次に,生活再建の支援策についてお聞きします。
先日,公的な支援が不十分な中で
東日本大震災で被災者が借りた
生活再建資金の貸付金が焦げついているという報道を目にしました。まちが新しくきれいになり,表向きの復旧復興は遂げても,そこに暮らす被災者の生活再建は非常に厳しいということが浮き彫りになっています。
被災者生活再建支援法による国からの全壊家屋への支援金は,新たに家を建てた場合でさえ300万円です。せめて500万円に増額すべきと国会で野党が共同して求めているところです。4年前の災害では義援金が62億円に上り,公費支援の不足を補う形となりました。今回は西日本の広い地域が被災し,義援金に頼れないことは明らかです。今回の災害の被災者にも4年前と同じ程度の生活再建の支援が必要ではありませんか。市としても被災者の
生活再建支援制度の増額について国に求めるべきではありませんか。同時に市も支援の上乗せなど,独自の取り組みをすべきではないでしょうか。湯崎知事は先ごろ豪雨災害からの
復旧復興ビジョンを示し,県民に対して,ピンチをチャンスに変えると呼びかけられました。しかし,被災者の生活再建という項はあるものの,中心は心のケアです。そういう中,
県は被災大企業には最大10億円などの独自支援を決めました。余りにも偏った大企業支援ではないでしょうか。他
県では新たに独自の支援をしています。例えば,
愛媛県は全壊,大規模半壊には75万円を別途支給しています。鳥取
県,島根
県も
生活再建支援金の上乗せを行ってきました。広島
県も独自の
生活再建支援金の上乗せを行うよう求めるべきではありませんか。
学校体育館,特別教室,児童館の
エアコン整備についてお聞きします。
ことしは猛暑災害とも言える異常事態です。今回,体育館が生活避難所となり,当初,余りの暑さに
スポットエアコンなどが用意されましたがとても間に合わないと,
大型エアコンがリースされました。この際,児童生徒の熱中症対策と同時に,今後,豪雨や地震災害の際の災害対策として生活避難所となる学校の体育館や未整備の特別教室や児童館の
エアコン整備も早期に必要と考えますが,当局の答弁を求めます。
以上,さまざまな施策を進めようとすれば相当な財源が必要となりますが,災害対策は市民を守るための優先事項です。今こそ市はこれから行おうとしているアストラムラインの延伸や広島駅南口再開発整備など見直してもいいのではないでしょうか。その間の予算を被災者支援,防災予算に充ててもいいのではないでしょうか,お答えください。
市長の平和宣言について伺います。
昨年7月に国連加盟国のうちのおよそ3分の2,122カ国の賛成で
核兵器禁止条約が採択されましたが,これは核兵器廃絶を願い運動してきた世界中の運動にとって極めて重要で画期的な出来事でした。広島市は2020ビジョンを掲げ,7,650に広がった平和首長会議の先頭に立って,一日も早い核兵器廃絶を訴え続け活動してきましたが,この広島市にとっても極めて重要な出来事であったはずです。しかし,唯一の戦争被爆国である我が国,日本政府は積極的に核抑止論を唱え,アメリカによる核の傘の力を弱めるあらゆる動きに反対し,アメリカ政府などと一緒になって積極的に
核兵器禁止条約に反対しました。そして同条約が採択された直後,この条約には署名しないと言明し1年以上たちましたが,いまだその姿勢を変えていません。私たちは原子爆弾の惨禍を直接体験した広島市とそして長崎市の平和宣言で,こうした日本政府の姿勢を批判し,日本政府が
核兵器禁止条約に署名,批准し,この条約の早期発効と,この条約をてこに核兵器廃絶に向け世界を動かす先頭に立つよう求めるべきだと考え,またそうした要請もしてきました。ところが,昨年の広島市の平和宣言でもことしの宣言でも核兵器廃絶に取り組むとしておきながら,
核兵器禁止条約には反対するという矛盾した態度をとる安倍政権を直接批判し,目の前にいる安倍首相に向けて
核兵器禁止条約への署名を迫る言葉はありませんでした。
一方,長崎市長の平和宣言では,昨年は安倍政権の矛盾した態度を批判し,明確に
核兵器禁止条約への署名を求め,ことしもはっきりと安倍首相に
核兵器禁止条約への賛同を迫るものになっていました。昨年もことしも長崎市長の平和宣言が安倍政権に
核兵器禁止条約への署名を求めたのは,それが長崎市民の強い思い,願いだからであり,これは広島市民も同じです。広島市民も長崎市民も日本政府が
核兵器禁止条約に署名,批准し,この条約の早期発効と核兵器廃絶が着実に進むよう,先頭に立って取り組むことを切望しているのです。平和首長会議の会長であり核兵器の問題で道徳的な権威を持っている広島市長が日本政府の姿勢を厳しく批判し,明確な言葉をもって市民の思いを代弁していただくことが世界の核兵器廃絶運動に大きな力を与えるのです。今からでも市長の発言として安倍政権に対して唯一の戦争被爆国の政府として,核抑止論を捨てること,
核兵器禁止条約への参加を明確な言葉で求めていただきたい。どうされるか答弁を求めます。
さて,安倍首相はことし8月6日の式典での挨拶でも,核軍縮の進め方について各国の考え方の違いが顕在化しているとし,核兵器を持つ国と持たない国との橋渡しをすると述べましたが,その安倍政権は何をやっているでしょうか。ことしのトランプ政権によるアメリカの核体制見直しで核兵器を使えるようにすると小型核兵器を開発し,核攻撃の危険がなくても核兵器を使って解決するとしたのに対して,日本政府はいち早くそれを高く評価しました。日本政府は核兵器廃絶に向かって努力すると口では言い,また,毎年のように国連総会で,核兵器保有国にとっては痛くもかゆくもない,期限を切らない核兵器廃絶を求める決議案を提案してきました。しかし,具体的な核兵器廃絶に向けた動き,その最も画期的なものが
核兵器禁止条約ですが,こういうものが出てくると明確に反対し,核の傘にしがみつき,核兵器廃絶とは逆のアメリカに対してもろ手を挙げて賛成するのが今の政府の姿,日本政府の姿です。市長は広島市の市長としてこの日本政府の欺瞞的な態度をどうお考えでしょうか,改めてお聞かせください。
昨年8月9日に,長崎
県平和運動センター被爆者連絡協議会議長で被爆者の川野浩一さんは,
核兵器禁止条約に署名しないと言っている安倍首相に面と向かって,あなたはどこの国の総理ですかと迫りました。市長はこの被爆者たちの心情をどのように受けとめられたのでしょうか,お聞かせください。
最後に,交通権・地域乗り合いタクシーについて伺います。
超高齢化社会での移動困難者の増加が問題になっています。こうした交通弱者,移動困難者の移動を保障する交通権が提唱されています。交通政策基本法は第2条で交通に関する施策の推進は,交通が,国民の自立した日常生活及び社会生活の確保を実現する機能を有するものであり,交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識のもとに行われなければならないとあります。私は交通権の保障は自治体の責務だと考えます。高齢化,低年金,免許返納などの人がふえ,買い物も通院も大変です。しかし,市の取り組む地域乗り合いタクシーの形態は地域の要望が大きくなり,協議会として構えを確立してから市が相談に乗り,支援をするというものです。問題は,要望はあるけれども,それを支える核になる人がいない,協議会をつくれないという地域でございます。要望はあるが前に進んでない地域はどれだけあるのでしょうか。協議会をつくれないなら,交通難民がふえても仕方がないと市は思われているのでしょうか,お答えください。
交通権の保障は自治体の責務です。要望がある地域で自治体は住民をリードして交通権を保障し取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
次に,地域乗り合いタクシーの赤字負担金の問題です。
そもそも市は赤字の2分の1を負担しようとしていました。ところが,国が2分の1を負担することにしたので,市は負担を中止しました。その後,平成27年から地元負担分の2分の1,つまり4分の1を負担するようになっています。しかしそれでも地元協議会の負担が大き過ぎるので減らしてほしいという声が上がっています。こういう声に応え,市の支援を増額してください。いかがお考えでしょうか。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 中石議員からの御質問にお答えします。
市長の平和宣言についての御質問がございました。
人類史上最初の被爆都市である本市は,被爆者のこんな思いをほかの誰にもさせてはならないという思いを根底に据え,核の抑止力に頼る政策と核兵器がこの世からなくなるようにと願うヒロシマの心を内外の市民社会に発信し,共通の価値観としてもらうためのさまざまな取り組みを進めています。ことしの平和宣言においても核抑止や核の傘という考え方は核兵器の破壊力を誇示し,相手国に恐怖を与えることによって世界の秩序を維持しようとするものであり,長期にわたる世界の安全を保障するには極めて不安定で危険きわまりないものであることを指摘した上で,為政者にはこのことを心に刻み,
核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取り組みを進めていただきたいと求めています。
また,この為政者は党派を問うことなく全ての国の為政者を指しているものであり,日本政府も当然含んでおります。そしてこの条約を一里塚にする取り組みには署名,批准も当然含んでおります。さらに,日本政府には
核兵器禁止条約の発効に向けた流れの中で,日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現するためにも国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう,その役割を果たしていただきたいと求めているところであります。
また,
核兵器禁止条約の早期締結については,平和首長会議において行動計画の重点取組事項に位置づけて取り組んでおり,国内加盟都市会議から日本政府に対し,本気になって核保有国と非核保有国の橋渡し役としての行動を起こすとともに,実効性ある
核兵器禁止条約となるよう力を尽くすことを要請しております。今後とも同条約の早期批准に向けて加盟都市と連携し取り組んでいきたいと考えています。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○永田雅紀 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 市長の平和宣言について,2点の御質問にお答えいたします。
まず,日本政府の態度をどのように考えているのかについてですけれども,本市としては日本政府がさまざまな機会において核兵器のない世界の実現に向けて粘り強く努力を重ねていくと表明されていることから,その趣旨に沿って核保有国と非核保有国の橋渡しの役割をしっかり果たしてもらえるものと受けとめております。
次に,昨年8月9日の長崎
県平和運動センター被爆者連絡協議会議長の発言について,この被爆者たちの心情をどのように受けとめたのかについてです。この被爆者の発言は,苦しみながらも恩讐や心の葛藤を乗り越え,こんな思いをほかの誰にもさせてはならないという思いを根底に,核兵器廃絶に向けた活動の先頭に立ってメッセージを発信してきた方の発言であると受けとめています。本市では,
核兵器禁止条約が全ての国により締結をされることは被爆者の待ち望んでいることであるとの認識のもとに,市民社会の総意としての平和への願いが核保有国や我が国を含む核の傘の下にある国の為政者に届くよう,世界で7,600を超える都市が加盟する平和首長会議と一体となって,引き続きしっかりと取り組んでいかなければならないと考えたところでございます。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 危機管理担当局長。
◎行廣真明 危機管理担当局長 豪雨災害の対策について,4点の御質問に順次お答えいたします。
まず,防災情報メールにどれぐらいの市民が登録し,その割合はどうか,また,ふぐあいが起きないようにどのように改善するのかとの御質問です。
まず,防災情報メールの登録件数についてですが,9月20日現在で11万3333件で,広島市の人口に対する割合は約9.4%となっております。
次に,防災情報メールのふぐあいの改善についてですが,このたびの災害では防災情報無線などでは速やかに避難情報を発信しましたが,防災情報共有システムのふぐあいにより防災情報メール等での情報発信に時間を要しました。その原因は,7月5日からの大雨に伴い,防災情報共有システムに避難情報の発令情報や避難所の開設情報,市域内での被害情報などが大量に蓄積された上,一時期に避難情報を配信する処理が集中したため,システム内の演算処理に大きな負荷がかかり演算に時間を要したこと,また,端末パソコンの処理能力が不足していたために操作が不能になったことによるものです。これらのふぐあいを改善するため,システムのプログラムを改修するとともに,処理能力の高い端末パソコンを防災情報メール等の情報配信専用端末として危機管理室及び各区役所に導入いたしました。
次に,誰もが避難情報を受け取れる抜本的な対策についての御質問です。
本市では,より多くの市民へ確実に避難情報を伝達するために防災情報無線,防災情報メール,サイレン,ホームページなどの多様な媒体を用いて避難情報を発信しております。平成28年度からは土砂災害等の危険区域に居住する避難行動要支援者の方に確実に避難情報を伝え早目の避難を促すため,防災情報無線の屋内受信機を設置しております。さらに今年度から土砂災害特別警戒区域等に居住する避難行動要支援者以外の方には,防災情報無線と同じ情報が受信できる情報配信サービスの利用料を一定期間支援する事業を始め,より多くの避難情報の伝達手段を確保することに取り組んでおります。また,9月5日に設置した平成30年7月豪雨災害における避難対策等検証会議におきまして,避難情報の伝達方法等についてもアンケート調査を行うこととしており,今後はその結果も踏まえながら,引き続き市民の誰もが適時かつ確実に避難情報を受け取れる体制づくりに努めてまいります。
次に,避難指示のタイミングを見直すべきではないかとの御質問です。
国が策定した避難勧告等に関するガイドラインを踏まえますと,避難指示は既に災害が発生していてもおかしくない極めて危険な状態となっており,いまだ避難をしていないのであれば避難場所に緊急に避難する,または,立ち退き避難がかえって命を危険に及ぼしかねない場合は,少しでも命が助かる可能性が高くなるよう屋内でもより安全な場所へ移動することが求められている段階で発令するものです。したがいまして,住民一人一人がみずからの命を守るためにみずからの判断で行う避難行動は,避難準備・高齢者等避難開始,または避難勧告が発令された段階から行うこととされており,このことを住民に周知することが重要であると考えております。こうしたことから,先ほど申しました検証会議におきまして,地域住民へのアンケート調査を通じ,避難情報の意味が住民に正確に理解されているか,避難情報が住民に確実に伝わっていたか,避難行動を起こした住民と起こさなかった住民の避難行動が分かれた原因などについて検証し,市民に自主的かつ主体的に避難を行っていただくような方策等を検討していただき,その結果を今後の施策に反映させていきたいと考えております。
次に,住民の意見を聞き地域の実情を踏まえ,民間,公共の緊急避難所をふやすべきではないかとの御質問です。
本市では,原則として市有の施設の中から安全性の基準を満たした施設を避難場所として指定しております。また,各学区で最初に開設する避難場所につきましては,自主防災組織と協議した上で指定しております。こうして指定した避難場所が新たに
土砂災害警戒区域内に所在することとなるなど,安全性の基準を満たさなくなった場合には,公共,民間を問わず避難場所の変更や新たな指定を行うこととしております。さらに,避難された住民の方から本市が開設した避難場所までの距離が遠過ぎる,避難場所までの経路上に危険な区域があるなどの課題を指摘いただいた地域におきましては,民間,公共を問わず避難場所の変更や新たな指定を行うこととしております。
以上です。
○永田雅紀 議長 財政局長。
◎手島信行 財政局長 豪雨災害の対策についてのうち,アストラムライン延伸や広島駅南口再開発などを見直し,その予算を被災者支援や防災予算に充当してはどうかとの御質問にお答えいたします。
アストラムラインの延伸や広島駅南口広場の再整備などの大規模プロジェクトを推進することは,都市としての活力を生み出し,また,新たな投資を呼び込む意味でも大変重要であると考えており,これまでもその基本的な方向性などについて議会の了解を得ながら進めているところでございます。こうしたことから,これらの大規模プロジェクトについては必要に応じて規模や優先順位づけなどの調整を行い,国庫補助金等を含め長期にわたり確実に財源を確保しながら進めていきたいと考えております。
一方,耐震化等の防災・減災対策については,これまでも早急かつ着実に対処すべき課題として取り組んでいるところであり,今回の災害にあっても早急に対応すべき災害見舞金などの被災者支援や急傾斜地崩壊防止対策について,国庫補助金等を確保しつつ,国,
県と連携して数度の予算補正措置を講じ,必要な対応を行っているところでございます。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎古川智之
健康福祉局長 豪雨災害の対策についての数点の御質問にお答えいたします。
まず,被災者の医療費の窓口負担の免除の延長についてです。
このたびの豪雨災害により住家の全半壊等の被害を受けた被災者に対しては,国から通知に基づき本年10月31日までの期間,国民健康保険の一部負担金を免除しているところです。この免除の期間の延長については,国の動きを踏まえながら検討してまいります。
次に,
ワンストップサービスについての認識についてです。
被災者支援総合窓口は,被災者の生活上の不安を少しでも和らげ,なるべく負担を感じることなく,各種手続や相談をワンストップで行うことができるようにするために設置したものであり,被災者に寄り添ってきめ細かく丁寧な対応を行うことが必要であると認識をしております。
次に,
ワンストップサービス職員への研修などについてでございます。
被災者支援総合窓口の職員や避難所の相談職員に対しては,着任前に区災害対策本部から心構えや業務の流れ,被災者支援策の概要などについて運営マニュアル等に沿って指導しているところです。今後とも区災害対策本部が動員職員に適切な指導ができるよう,防災週間など機会を捉えて区役所の担当部署に対し運営マニュアルの再確認を促すなどの取り組みを行ってまいります。
最後に,
生活再建支援制度の増額について,国に求める,あるいは独自の上乗せ,
県への支援の求め,これについての御質問です。
被災者
生活再建支援金については,これまでも増額など制度の拡充を求めることにつき,他の政令市等とともに国に要望を行っているところです。このたびの災害のように多くの地方公共団体にわたって甚大な被害が生じているものについては,本市独自の支援策を設けたり,
県に独自の支援策を求めることは適当ではなく,国において支援を行うことが基本とされるべき性格のものです。住む地方公共団体によって受けられる支援に差が生じるべきものではないことから,引き続き国に対して生活再建に必要な支援を求めていく考えでございます。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
都市整備局長。
◎山地正宏
都市整備局長 豪雨災害への対策について,2点の御質問にお答えいたします。
まず,沿岸部の護岸堤防工事についてです。
本市の臨海部では,これまでたび重なる台風による高潮被害が発生していることから,国及び広島
県において議員御指摘の安芸区の沿岸部を含めた広島港の高潮対策事業が進められており,事業の計画延長約14キロメートルのうち,平成29年度末で約7キロメートルの整備が完了しております。本市としては広島港の高潮対策事業の一層の促進について,これまで国に対する要望を継続して行っておりますが,引き続き早期整備を働きかけてまいります。
次に,復旧についての住民説明会の開催の見通しはどうかということについてです。
今回の豪雨災害への対応としては,国,
県による砂防堰堤の整備や河川,道路等の復旧にかかる計画案を地域の方々にお示しすることにしております。これまで安佐北区の口田南地区や井原地区,安芸区の瀬野地区や上瀬野地区で砂防事業の応急対策の内容や被災橋りょうの復旧方針などの説明を既に関係部署が行っているところでございます。今後,砂防堰堤の整備計画や河川,道路等の復旧計画がまとまった段階で計画の内容やスケジュール等について,順次地域の方々にお示しすることにしております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
都市整備局指導担当局長。
◎胡麻田泰江
都市整備局指導担当局長 豪雨災害への対策についてのうち,仮住宅についての御質問にお答えいたします。
本市における仮住宅の提供については,住宅の被害が全壊にとどまらず半壊,大規模半壊,一部損壊や床上浸水など,被災の程度が広範囲にわたる方を対象としており,これらの方は被災前の住居の状況,住宅再建のお考えも異なっています。このため,無償提供期間は6カ月を基本とした上で,被害を受けられた方の実情に応じて見通しも含め,適宜延長することとしております。なお,入居前に避難所等で行った仮住宅の説明会や入居の際には,その後の御自宅の修繕や復旧状況等をお聞きしながら,適宜期間を延長することについて被災者の方に御説明をし,ホームページ等でもその旨を広報しております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 下水道局長。
◎早志敏治 下水道局長 豪雨災害への対策について,5点の質問に順次お答えいたします。
まず,急傾斜地の崩壊防止対策は
県の予算化が進まないため対策が終了しないが,本市の対策はどこまで進んでいるのかとのお尋ねです。
市域内の急傾斜地崩壊危険箇所のうち,本市の施工対象となる危険箇所は670カ所あり,平成29年度末現在,
県の補助金を得て165カ所の整備が完了しております。今後ともさまざまな機会を捉えて,
県に対し補助金の増額を強く要望し,事業進度の加速化を図っていきたいと考えております。
次に,河川の防災対策について,国や
県に対し思い切った防災対策を進めるよう要求する必要があると考えるがどうかについてです。
河川の防災対策は,市民の生命と財産を守る上で重要であると考えており,災害を繰り返さない視点に立ち,国,広島
県,そして本市が連携して対策を講じていく必要があります。こうした考えのもと,発災後の本年7月31日に広島
県に対し,
県が管理する河川の復旧に当たっては,昨今の異常気象の増加に対応し安全で安心な市民生活の確保や安定した経済活動の発展のため,原形復旧だけではなく改良復旧を行うなど,抜本的な対策を講じるよう強く要望するとともに,国に対してもその支援を強く要望したところです。本市としては,国,
県が行う河川の防災対策が市民の安心・安全につながる抜本的な対策となるよう,国,
県としっかりと連携して対応してまいりたいと考えております。
次に,矢口川排水機場の故障原因について,国から住民への説明が必要ではないかとの御質問です。
矢口川排水機場の排水ポンプの故障の原因究明については,現在,国において専門家の意見を聞きながら検証等が行われております。今後その検証結果や対策については国において地元に対して説明を行う機会を設けると聞いており,本市としても再びこのような浸水被害が発生しないよう,国に対してきちんと意見を述べるとともに,国と連携して地元対応を行ってまいりたいと考えております。
次に,
土砂災害警戒区域の指定と
ハザードマップに関する御質問がございました。
本市では土砂災害のおそれのある場所と避難場所を住民に認識していただき,安全な場所へ早目に避難することの重要性について理解していただくことを目的に
ハザードマップを作成しております。この
ハザードマップについては本市のホームページに掲載するとともに,区役所に配置して市民に周知を行っております。土砂災害
ハザードマップについては,広島
県が小学校区ごとに
土砂災害警戒区域等を指定した後に速やかに本市が作成しておりますが,安芸区については区内の10小学校区のうち,
県が区域指定を行った船越小学校区において作成しておりました。本市としても
土砂災害警戒区域等の指定を的確に行うことは重要であると考えており,広島
県からは今後の区域指定については
県が設置した平成30年7月豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害対策のあり方検討会により,被災実態を踏まえた区域指定のあり方を検討していくと聞いております。
最後に,土砂等の撤去費用の償還払いについて,いつから請求できるのかとの御質問です。
環境省における費用償還の補助制度について,これまでは被災した家屋の解体撤去のみが補助対象となっていましたが,このたびの
西日本豪雨災害では特例として土砂等の撤去についても新たに補助対象となりました。この土砂等の撤去費用の償還に当たっては,適正な額を算定する必要がありますが,環境省からはその算定基準が示されず,具体的な作業が進められない状況にありました。こうした状況を打開すべく,本市において適正な償還額を算出するための算定基準や作業の難易度に応じた標準単価を作成し,現在その妥当性について環境省が確認しているところであり,了解が得られ次第,受け付けを開始していきたいと考えております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 豪雨災害への対策のうち,学校の体育館やエアコン未整備の特別教室,児童館への
エアコン整備も必要と考えるかどうかという御質問にお答えをいたします。
本市ではこれまで夏の暑さ対策として児童生徒の生活環境や職場環境の改善を図るため,学校施設等への
エアコン整備を進めてまいりました。具体的には,学校については児童生徒が1日の大半を過ごす普通教室や窓を閉め切って授業を行う音楽教室とコンピューター教室,夏季休業中の利用がある図書室,また,職員室,保健室等の管理諸室に整備することとし,平成29年度末までに一部の学校を除き整備が完了しました。児童館については,放課後の生活の場である放課後児童クラブ室や静養室,事務室に整備しており,現在,図書・工作室について計画的に整備を進めているところです。エアコンが未整備の諸室については,その諸室本来の設置目的に照らしながら国の財源措置の動向や他都市の状況等も踏まえ,対応の必要性を検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
道路交通局長。
◎谷山勝彦
道路交通局長 地域主体の乗り合いタクシーにつきまして,数点の御質問に順次お答えいたします。
まず,乗り合いタクシーの要望があるが,地域が協議会をつくれないため導入が進んでない地域はどれだけあるのかということでございます。
乗り合いタクシーの導入支援を開始して以降,48件の問い合わせがあり,そのうち12地区で勉強会や住民意向調査の実施など,具体的な活動が行われました。現在までに5地区において地元協議会を立ち上げ乗り合いタクシーが運行され,また,1地区は平成16年度の支援開始以前に運行を開始している地区に編入して運行されておりまして,協議会の設立に至っていない地区は6地区でございます。
次に,乗り合いタクシーの要望がある地域で市が住民をリードして取り組んでいく必要があると思うがどうかということについてでございます。
乗り合いタクシーは地域のニーズに対応した導入が重要であることから,本市では具体的な手順や事例等を示した地域主体による生活交通の導入・確保マニュアルを平成28年3月に作成し,市ホームページに掲載するとともに,潜在的な運行需要が見込まれる中山間地域などの地域団体の会合に出向き内容を説明するなど,その周知に努めております。また,乗り合いタクシー導入の意向が示された場合には,市政出前講座の実施や住民意向調査のノウハウ提供などの支援を行うとともに,検討が進み地元協議会を設立する段階になれば,本市も参画して関係機関との調整や事務手続などの支援を行っております。さらに実験運行の実施に当たっては収支不足額の全額補助や,本格運行に向けた運行計画改善の助言などを,さらに実験運行から本格運行へと移行した後も収支不足額の一部補助や利用促進策の助言などの支援を行っております。今後も引き続き地域の状況に応じた周知・啓発や具体的な支援を積極的に行ってまいります。
最後に,負担が大き過ぎるという声に応えて支援の増額はできないかということでございます。
乗り合いタクシーにつきましては,地域住民が自分たちの生活交通として守り育てる意識を持つことが大切であるという理念のもと,収支不足額の全額を負担するという仕組みでスタートいたしましたが,本市としても公共交通サービスが行き届いていない地域での持続的な生活交通の確保が重要であることから,国と連携しながら補助制度を段階的に拡充しており,その結果,現在の地域負担は収支不足額の4分の1となっております。また,需要に応じた運行形態やルート・ダイヤの見直しの助言,あるいは地域の商業施設等と連携した割引制度や時刻表への広告掲載の提案など,利用促進や収支改善のための取り組みを行うことで今後とも乗り合いタクシーの持続的な運行を支援してまいります。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 55番中石議員。
◆55番(中石仁議員) 答弁ありがとうございました。
私が要望というか,いろいろ対策を聞いたんですが,現実に今度の豪雨災害で被災をされた皆さんの声というものがやっぱりあるということで,再度要望していきたいと思います。
民有地で崖崩れなどが起きた周辺の皆さんは二次災害を大変心配されています。民有地ののり面だから安全対策は行政ではできないとか,また,自分の土地が崩れそうで下におる近所の皆さんに大変な迷惑がかかる,また,多額の費用がかかるのにどうすりゃええんかと,こういうことで本当に悩んでおられるんですね。今これに対しても制度がないのなら,新しい仕組みをつくるなどして何とか対策をしてほしいと切実に思います。重ねて要望をいたします。
また,被災をされて仮住宅に入られた方が住宅再建のための金も気力も出ない,仮住宅のつもりだったが一生出られない,こういう声も聞きました。実際には本当に大金が入ってこない限りは,常日ごろの生活費や年金やいうことでは家を建てることもできない,こういう声でございました。今度の豪雨災害で全壊された方に聞きますと,現実には500万円はおろか1000万円でも再建できないと言われてました。4年前の土砂災害のときに被災された方は,義援金が多く集まりましたので生活再建に役立ちました。今回の義援金は1次分が5万円です。ほとんど当てにできないと思います。やはり国,
県に本気で働きかける,市独自でも支援金を増額することを要望します。
最後に,防災,被災者支援対策の予算について一言申し上げます。
国も地方も水害や地震が大変多いこの日本は,被害が起きてから莫大な費用を費やしています。今こそ防災対策に予算を振り向けなければならないと思います。いろいろ言われましたけれども,やっぱり不要不急だと言わざるを得ません。不要不急の大型公共事業などは見直して,一旦凍結してでも,そういったこともやりながら予算を防災対策優先にすべきだと私は思います。この点も重ねて要望を申し上げて,質問を終わります。
○永田雅紀 議長 次に,2番山本昌宏議員。
〔2番山本昌宏議員登壇〕(拍手)
◆2番(山本昌宏議員) 皆さん,おはようございます。
市民連合の山本昌宏でございます。これから一般質問をさせていただきますが,その前にこの場をおかりいたしまして,7月の豪雨災害でお亡くなりになられた方々に対して謹んで哀悼の誠をささげるとともに,御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。また,被災された多くの皆様に対しても心からお見舞い申し上げます。本市においては23名もの方々がお亡くなりになるなど,甚大な被害をもたらしたということは皆様にとってもまことに残念であり,痛恨のきわみだと考えます。
9月に入ってからは9月6日午前3時7分に北海道胆振地方中東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生し,最大震度7を観測しました。北海道庁の発表によりますと,この地震により9月20日午前10時現在,人的被害は死者41名,負傷者692名,建物被害は住宅被害で全壊129棟,半壊188棟,一部損壊1,885棟と,大規模な被害をもたらしております。本市では平成26年1月に取りまとめた広島市の地震被害想定で南海トラフ巨大地震が発生した場合,安佐北区を除く7区において震度6弱が観測されるとしています。今回の北海道の地震では土砂崩れに家屋が巻き込まれたことにより多くの死傷者が出ていますが,広島市においては都市化が進んでることから多くの建物が倒壊するなどの被害が懸念されます。
また,平成28年4月に熊本で起きた活断層系地震では民間の住宅はもとより,本来災害対応の中核機能を持たなければならない庁舎に甚大な被害が発生し,その後の復旧復興対策に多大な支障を来しました。
こうした地震災害の発生時に災害応急対策の実施拠点となる庁舎や消防署所,災害時の医療救護施設となる病院や診療所などは発災直後から災害対応の中核となる重要な施設であり,災害応急対策等を迅速かつ円滑に実施するには,耐震化は不可欠です。
そこでお伺いいたします。現在,防災拠点施設のうち庁舎や消防署所などの発災直後から災害対応の中核となる施設の耐震化はどのように進めているのかお聞かせください。また,災害対策本部が設置される市役所本庁舎や区役所庁舎は災害対応の中核機能を確保,維持しなければならないと考えるが,庁舎の停電や浸水被害に対してはどのような対策をとっているのか,あわせてお聞かせください。
民有地のブロック塀の安全対策について,昨年9月定例会では通学路の交通安全について質問しました。緊急度が高く複数の関係機関による対策が必要なものについては,通学路安全プログラムに基づく合同点検の対象に取り上げ改善対策検討を行っていただき,広島市通学路安全連絡協議会に国立及び私立の小学校の代表にも参画してもらい,市内全域の通学路の安全確保に取り組んでいただいているところです。ことし6月18日の大阪北部地震が発生したのを受け,教育委員会の対応は昨日答弁があったところですが,民有地のブロック塀については通学路以外にも存在していることから,地震時におけるブロック塀の倒壊等による被害の防止などに向けて取り組む必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。通学路を含む民有地にあるブロック塀に関して国土交通省からの通知もあったとお聞きしますが,この通知を受けて本市はどのように対応されたのでしょうか,お答えください。
他都市の例を幾つか挙げますと,神奈川
県平塚市では申請を受け現地調査を行い,危険大と職員が判断した場合,除去工事見積額に2分の1を乗じた額で1件当たり補助額の上限は15万円,大阪府高槻市では1敷地につき最大20万円の補助で,あらかじめ教育委員会が定めた通学路に面する場合は最大30万円に増額,仙台市では災害に強い安全なまちづくりを目指すために,公道等に面し倒壊の危険性が高く早急に除去する必要があるブロック塀等を仙台市が選出し文書にて通知し,除去費用の一部を補助するということにより市民の震災対策を支援するもので,仙台市ではほかにも生け垣を植栽するため,除去するブロック塀等に関しては生け垣づくり助成事業があります。大阪府堺市では撤去及び軽量フェンスの設置等の補助を行っておりますし,その他にも岐阜
県多治見市,愛知
県半田市,神奈川
県大和市,福岡市など,多くの都市で事業を展開中です。市民の自主性に任せるだけじゃなく,危険なブロック塀の撤去費に補助を出し早急に展開する必要があると考えますが,本市の考えをお聞かせください。
次に,ひとり親家庭への子育て支援についてです。
広島市においても核家族化,地域のつながりの希薄化,共働き家族の増加など,子供や子育て家庭をめぐる環境が変化する中で,子育てに対する親の負担感や孤独感の増大による児童虐待や保育需要の増大に伴う待機児童の問題などが顕在化しています。未来を担う子供の育成こそがこれからの広島市の発展の基礎になるため,子供たちが幸福に暮らし,さまざまな個性や能力を伸ばし,自主性,社会性を身につけ自立した大人へと健やかに成長できるよう,社会全体で子供を支えていくことが必要です。広島市では,広島市子ども・子育て支援事業計画に基づき,子供と子育て家庭に関する施策を総合的に推進しており,着実に進められていると思います。
今回,私はひとり親家庭への子育て支援についてお聞きしたいと思います。広島市におきましては,ひとり親家庭のお母さんやお父さんなどが病気で一時的に日常生活に支障が出てる場合に家庭生活支援員を派遣し,家事や子育ての支援を行うひとり親家庭等日常生活支援事業を実施するなど,必要な支援に取り組んでおりますが,さらなる支援の充実に取り組む必要があると思います。神奈川
県大和市では3歳未満の子供等を養育している保護者に対して市が安否メールを送付するサービスを本年度から開始しています。これは保護者の方に万が一のことがあった場合に,乳幼児の命を守ることを目的に実施しているもので,登録希望者に限定されますが,市が毎日保護者へ安否確認サイトが掲載されているメールを送付し,2日間安否確認サイトへのアクセスがなかった場合にあらかじめ登録している連絡先へ安否確認の連絡を行うほか,必要に応じて自宅への訪問等により安否確認を行っております。大和市の事業はひとり親家庭に特化した事業ではありませんが,ひとり親家庭にこそ必要な事業ではないかと思います。ひとり親家庭において乳幼児などが自分でSOSを発することができないお子さんを養育されている保護者が万が一,急に死亡するなどの事態になってしまったとき,ほかに同居する家族がいない場合などはその赤ちゃんまでも命の危険にさらされてしまいます。
現在ひとり親家庭への支援については,ひとり親と一緒に子供を育てていきましょう,大変なときはSOSを出してくださいが広島市の基本ではないかと思います。ひとり親でも元気なとき,またはアシストしてくれる人が定期的にいるときはいいですが,ひとり親の場合の支援は,あなたがSOSを出せないときは赤ちゃんの命を守りますよ,あなたを見守っていますと,ひとり親が安心できることが大変重要だと思います。本市においても大和市の事業を参考に,例えば3歳未満の子供を養育しているひとり親家庭の保護者に対して安否確認メールサービスを実施してはいかがでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
次に,文化・スポーツ施設における託児サービスについてです。
本市でも共働き家庭含め,女性の社会参加を推進しておられる中で,多様な社会参加と安心した子育てが両立できるような環境づくりが求められております。幼児期の教育,保育についてその質を向上させるためにハード・ソフト面にわたる総合的な対策を講じるとともに,待機児童を生じることなく子供や家庭の状況に応じた子育てができるようにさまざまな対策を充実することが重要です。しかし,私の子育ての経験では日々の生活は仕事,子育てに追われ,週末になれば少しでも節約するために遠くまでおむつを買いに走り,子供がつかまり立ちをすると物を一段高いところに移動させ,子供中心の日々であったように記憶します。それもよい思い出ですが,「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略では,安心した子育てと仕事を両立できる社会を実現するため,支え合いによる子供の健やかな育ちを支援するとともに,多様な保育サービスの充実など,ハード・ソフト面から総合的に取り組みますとあります。目指すは子育て世代の方々が平和,文化,スポーツがあふれる広島で心豊かに生活できることだと考えます。子育て世代の20代から30代は他の世代と比べてスポーツの実施率が低いことから,スポーツを楽しんでいただける利用促進施策に取り組んでいただいておりますが,託児サービスを必要としている方々が参加したいプログラムがなければ託児のニーズは生まれません。いきなり運動することは難しく,まずきっかけづくりが必要であり,参加し継続するための工夫が必要になります。妊娠し安定期に入ればある程度の運動,気分転換も必要です。2人目の妊娠中であればそこで託児サービスのニーズは生まれるでしょう。ニーズはつくり出すものだと考えます。
そこで提案ですが,芸術文化ホール,生涯学習施設,スポーツ施設などに子供を遊ばすことができるような託児サービスなど環境づくりを図ってはいかがでしょうか,本市のお考えをお聞かせください。
次に,平和記念公園レストハウスの改修についてです。
平成8年に原爆ドームが世界遺産に登録され,レストハウスを含む平和記念公園一帯がそのバッファーゾーンとされたことに伴い,レストハウスとしての機能拡充と被爆建物としての保存のあり方の両面から検討を続けてきた。しかしながら,厳しい財政状況のもとで建てかえの即時着工は困難であったため,平成12年に当分の間,設計計画を凍結する旨を公表し,建物の現状をこれ以上悪化させないために必要な補修を行いながら本市の財政状況等を踏まえ,その取り扱いについて慎重に検討され,今年度改修工事に着手することに至りました。
そこでお伺いいたします。このレストハウスのように被爆の惨禍に耐えた被爆建物は現在本市にはどれぐらいあり,それらの保存・継承をするためにはどのような取り組みを行ってるのかお答えください。また,レストハウスの改修にかかわる補正予算案ですが,事業費の増大等の理由として当初の想定以上に建物の状態が悪く,コンクリートの打ちかえなどの大規模な改修が必要であることが判明したためとあります。
そこでお伺いします。どのような経緯で今回のレストハウスの改修にかかわる事業費の増額等を行ったのかお答えください。レストハウスを初めとする被爆建物はその保存・活用に当たり安全性を確保するため,耐震補強など対応しなければならない課題はありますが,被爆の実相を伝えていくためにも被爆当時の建物の部分をできるだけ保存して後世に引き継いでいくべきだと考えておりますので,しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に,教育委員会関係でございますが,いじめ問題への対応についてです。
平成29年7月24日,市立五日市観音中学校において,当時3年生であった女子生徒が亡くなるという大変痛ましい事案が発生しました。未来に夢や希望を持ち無限の可能性を持つ子供たちが亡くなるということは,子供たちを守り育んでいかなければならない私たち大人の責務として何としても防がなければならないことだと強く感じます。本事案が発生してから既に1年2カ月余りが経過しておりますが,最愛の娘さんを亡くされた御遺族にとっては悲しみが癒えるどころか,時間はあのままとまったままでおられるのではないか,そう考えると胸が張り裂けそうになります。本事案については現在,教育委員会の諮問を受け,第三者委員会である広島市いじめ防止対策推進審議会において審議されてるところです。この審議会が平成30年2月5日に公表したところによりますと,いじめを学校は事案として把握していたが,いじめとしては認知できていなかったということも明らかになっています。生徒が亡くなられたことといじめとの因果関係や再発防止に向けた取り組み等については,今後の審議会の答申を待つことも必要と思いますが,この場ではいじめ問題への対応のあり方について私なりの考えも示しながら,今後の体制整備について幾つか質問させていただきます。
今回の事案の課題を端的に申し上げると,第1に,いじめが発生しているにもかかわらずいじめとして認識できていなかったこと,第2に,教師と生徒の信頼関係が構築されず,その背景として学校側の組織的対応が不十分であったことの2点に集約できるのではないかと思います。そうしてこのような状況に照らし合わせると,私は今後,大きく三つの改善点の取り組みが必要になるのではないかと思います。
第1は,いじめを未然に防止するための学校風土を醸成していくこと,第2は,いじめの早期発見を行うこと,第3は,いじめの把握,各段階の対応において学校として組織的に,また,個々の児童生徒に応じて丁寧に対応する体制を構築することです。特に第3の組織的対応についてさらに申し上げますと,私は根本的な問題として生徒指導上の課題を多く抱える学校などでは,いじめを受けている児童生徒に対するケアに十分手が回っていないという実態もあるのではないかと考えております。そう考えると現在,全ての学校に配置されている,いわゆる問題を抱える生徒の指導を主な任務とする生徒指導主事の教員とは別に,いじめを受けている児童生徒のケアを専ら担当する教育相談のリーダーとなる教員を配置し,体制の抜本的な強化を図り,学校としての組織的対応力を高めることが必要不可欠ではないでしょうか。
そこでお聞きします。五日市観音中学校では本事案発生後,昨年度及び今年度どのような取り組みを行ってきたのか,またその取り組みの成果があればお聞かせください。
私は当該中学校での取り組みは,再発防止に向けて本市全体の今後の取り組みを考えていく上で大いに参考になるものと考えます。また,いじめを早期に発見する必要があるという点においては,先日,新聞記事にさまざまな相談機関が子供や保護者の相談に対応している一方で,文部科学省の補助事業を活用し中高生の生活ツールにもなっているSNS── ソーシャルネットワーキングサービスを利用した相談窓口も広がりつつあるとありました。最近,SNSについては子供たちも当たり前のように使っていると思います。悩みを持つ子供たちにとっては名前を名乗る必要がないため,直接会ったり電話したりするよりは相談しやすい場合もあるかもしれません。
そこでお聞きします。SNSを活用した相談窓口の開設について,教育委員会はどのように考えているのかお聞かせください。
ことしの2月議会において,亡くなられた生徒へのいじめが認知件数の中に含まれてなかったことについて,糸山隆教育長はその結果を重く受けとめるとともに,いじめの定義を踏まえて積極的に認知を行うように学校に周知したと答弁されておられます。また,そうした取り組みにより各学校からいじめの報告が昨年9月以降,大きく増加しているとも答弁されております。認知したいじめに適切に対応することは,言いかえるといじめの被害を受けている児童生徒の思いを聞き,保護者とともに密接に連携するとともに,その思いに十分に寄り添いながら対応するということだと思います。また,加害者側の児童生徒についても,いじめに及んだ思いを丁寧に聞き取るとともに,いじめ行為をやめさせるため,関係機関等との連携も含め,きめ細かい指導も積み重ねることが必要であると思います。このように被害,加害の双方について個々の児童生徒の実態に応じて組織的に対応方針を決定し,保護者,関係機関との密接な連携を含め,きめ細かい対応を行うことについては,児童生徒の心の発達の問題に学校がこれまで以上に真剣に向き合い,しっかりと機能を果たしていくよう転換を図ることを意味するものであり,いわば学校の機能の新たな柱として明確に打ち出していかなければならないと思います。
その意味で画期的な取り組みでもあると思いますが,それに伴って教員の仕事は質的にも量的にもさらに増加していくことが見込まれます。実際,当該中学校でも一人一人の先生は日々一生懸命取り組んでおられたとは思いますが,先ほど述べたような対応が十分にできず,本事案を防ぐことができませんでした。私はその原因の一つに,学校の先生がさまざまな対応や業務に追われ生徒と十分に向き合う余裕がなかったことがあるのではないかと考えます。これからの取り組みを実効性のあるものにしていくためには,教員の働き方改革についてもあわせて検討していく必要があると考えます。
こうした観点も含め,次に学校における働き方改革についてお尋ねいたします。
学校における職員の勤務状態については,これまでもこの本会議において何度も審議が行われてきたところであり,そのブラックとも言える超過勤務の状況については改善が必要なことは言をまちません。特に先ほど質問したようにいじめに対するきめ細やかな対応の充実が喫緊の課題となっており,これに的確に対応していくためにも教員が心に余裕を持って日々働けるようにしていかなければなりません。また,私は教職員も含めて職業生活においてはめり張りが大切であると思っています。ワーク・ライフ・バランスという言葉がありますが,そのバランスは個々の教職員が自主的に判断し,めり張りをつけれるようにすべきであって,それによる教職員のゆとりが教育の向上にもつながるものと考えていますが,現状では長時間勤務によってそのような個々人がめり張りをつけることが全く困難であり,理想とはかけ離れてると言わざるを得ません。
ここで改めて広島市の教職員の勤務実態を見ますと,教育委員会事務局の調査では平成29年度,いわゆる残業時間が三六協定の限度時間の基本である月45時間以上の教員は小学校で1,743名,47.9%,中学校では1,005人,54.2%となっており,また,時間外労働の割り増し賃金の支払い対象となる月60時間以上の教員は小学校で527人,14.5%,中学校で499人,26.9%となっております。さらに,過労死ラインと言われる月80時間以上の教員は小学校で43人,1.2%,中学校で105人,5.7%となっています。このように教員の長時間労働が常態化している要因は,何より人員配置の基準を超えており,業務量が著しく増大していることにあるのではないかと考えます。お聞きしたところによると,長時間勤務の要因となっている業務は小学校では授業準備,中学校では部活動,校長先生や教頭先生といった管理職では地域への対応であるようです。そして平成32年度から新学習指導要領においては,カリキュラム・マネジメントや主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善が求められ,授業時数は今よりもふえていくことになります。ことし2月の定例会において,我が会派の太田議員からの教員の働き方改革の取り組みをどのように進めていくのかという質問に対し,教育長からは教員の負担軽減に焦点を当てた取り組み計画をできるだけ早期に策定するとの答弁がありました。また,中央教育審議会の審議の中でも教員の勤務実態については直ちに改善が必要な差し迫った状況にあると認識されております。
そこでお伺いします。学校における働き方改革に関し,まずは今年度は具体的にどのようなことに取り組んでいるのかお聞かせください。
今後の働き方改革について申し上げると,先ほど申し上げたような教員が担っている業務を大きく見直し削減していくことが必要と考えます。特に運動部活動については顧問である教員に競技経験がなく,生徒が望む専門的な指導が行えない,あるいは活動時間の多さが教員の長時間の労働につながっているなどの課題があり,運動部活動を継続可能なものにしていく必要があると考えます。平成28年度に文部科学省が実施した教員勤務実態調査では,部活動の活動日数が多いほど学内勤務時間全体が長いという結果が出ております。また,ことし3月にはスポーツ庁が運動部活動のあり方に関する総合的なガイドラインを策定しており,本市においても適切な休養日及び活動時間の設定や部活動指導員の配置など,継続可能な運動部活動のあり方についての検討が行われると聞いております。
そこでお伺いします。現在,作成を進めておられる働き方改革の取り組み計画には運動部活動のあり方の見直しを含め,どのような内容が盛り込まれることが想定されているのかをお聞かせください。
最後に,働き方改革を進めるに当たっては学校や教育委員会のみならず,児童生徒の保護者,地域住民を含めた学校にかかわる全ての人が一体となって取り組みを進めていく必要があると考えます。そのためにはまず保護者や地域の方々が現在の学校の置かれた状況を理解し,子供たちの学びのためには全てを学校に任せるのではなく,学校が担ってきた負担や役割を共有し,積極的に学校にかかわっていくことでともに学校教育をつくっていくという意識を持っていただくことも重要であると考えます。こうしたことを十分に踏まえながら,まずは働き方改革を先進的に推進するモデル校を指定し,そこで保護者や地域の方々と協力してさまざまな取り組みを進めていくことで,本市全体の学校により効果的な働き方改革を広げていくことができるのではないかと考えます。また,その際には取り組みの効果をPDCAサイクルのもとでしっかりと検証し,より実効性のある取り組みとして継続的に改善を図っていただきますよう要望しておきます。
皆様,御清聴ありがとうございました。これで私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 山本議員からの御質問にお答えします。
防災拠点施設の耐震化についての御質問がございました。
まず,庁舎や消防署など,発災直後から災害対応の中枢となる防災拠点施設の耐震化についてですが,これらの施設は地震災害の発生時には被害情報の収集,関係機関との連絡調整,地域住民や報道機関への情報伝達,救出・救護活動等に必要な体制の確保,防疫等の衛生管理などの機能を発揮することが求められております。万一これらの施設が地震により被害を受けた場合は,災害応急対策等の実施に支障を来し,その結果として,防ぐことができたであろう災害の発生や拡大を招くおそれがあります。災害への対応,災害の応急対策を円滑に実施し被害を最小限度で食いとめていくためには,防災拠点となる庁舎,消防署所などの耐震化が不可欠であると考えております。
こうした認識のもと,本市ではこれまでも防災拠点施設の耐震化を進めてきましたが,特に平成28年4月の熊本地震で庁舎の破損による防災対策上の問題がさらに明らかになったことから,従来,平成35年度を目標としていた耐震化計画を3年間前倒しし,特別な事情がある2施設を除き,平成32年度までに耐震化が完了するよう整備を進めているところであります。
具体的には,市役所本庁舎及び全ての区役所庁舎の耐震化が完了し,消防署所については39施設のうち33施設,その他の福祉施設などについては307施設のうち292施設の耐震化が完了しております。残り19施設については,平成32年度までに完了する予定でおります。
次に,市役所本庁舎及び区役所庁舎の停電や浸水への対策についてですが,停電への対策としては,これらの施設全てにおいて非常用自家発電設備を設置し,
防災行政無線や防災情報共有システム,J−ALERTなど,本部機能の維持に必要な設備が72時間以上稼働できる態勢を整えています。また,浸水への対策としては,地上または地下にある非常用自家発電設備や受電設備への浸水を防止するため,これまでに止水板を市役所本庁舎と安佐南区役所,佐伯区役所に設置いたしました。それ以外の浸水のおそれのある中区役所,東区役所,南区役所,西区役所,安芸区役所についても今後,計画的に止水板を設置してまいります。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○永田雅紀 議長
都市整備局指導担当局長。
◎胡麻田泰江
都市整備局指導担当局長 民有地のブロック塀の安全対策について,2点の御質問にお答えいたします。
まず,国土交通省からの通知を受け,本市ではどのような対応をしたかでございます。
国土交通省からは本年6月21日付で全国の自治体に対し,民間のブロック塀の所有者等に安全点検を促すよう通知がありました。これを受け,本市では所有者等に対し本市ホームページや広報紙「市民と市政」7月15日号を活用し,国が作成したブロック塀のチェックポイントを用いて早急に安全点検を行うとともに,その結果,危険性が確認された場合は通行者への注意表示,補修,撤去等を行うよう注意喚起を行っています。さらにこれらを内容とするチラシを作成の上,各区建築課において配布を行うなど,周知を図っているところです。
次に,市民の自主性に任せるだけでなく,危険なブロック塀の撤去費に補助を出し早急に展開する必要があると考えるが,本市はどのように考えているのかについてです。
将来発生するおそれのある南海トラフなどの大規模な地震に備え,本市域内の民有地の危険なブロック塀への対応は重要な課題であると認識しています。このため,ただいま御答弁いたしました国土交通省からの通知を踏まえた民間ブロック塀の所有者等への注意喚起について,今後も継続して取り組んでいくこととしています。議員御指摘の民間ブロック塀の撤去費の補助については,本市市有施設のブロック塀の安全対策におおむねめどが立ったことから,より市民の安全を確保するという観点に立ち,民間のブロック塀の管理責任は所有者等にあるという原則のもと,国や他都市の動向なども踏まえ対応可能な措置について検討してまいります。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
こども未来局長。
◎滝川卓男
こども未来局長 ひとり親家庭への子育て支援について,神奈川
県大和市の事業を参考に,ひとり親家庭の保護者を対象とした安否確認メールサービスを実施してはどうかとの質問にお答えします。
議員から御提案のあった大和市が行っている安否確認メールサービスは,3歳未満の子供を養育している保護者等を対象に,あらかじめ登録されたアドレスへ市からメールを毎日送信し,その返信によって安否を確認するものです。2日間返信がなかった場合,登録している緊急連絡先等に安否確認を行います。こうしたメールによる安否確認は,乳幼児を育てるひとり親家庭では保護者に万一の事態が起きた際に乳幼児の安全を確認する有効な方法の一つとして考えられる一方,大和市では3歳未満の乳幼児は約6,000人ですが,事業開始半年後の利用者数は4人にとどまっています。このため,まずは大和市の実施状況を確認しつつ,事業効果や実施上の課題等について調査研究していきたいと考えております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 まず,文化・スポーツ施設等における託児サービス等について,芸術文化ホール,生涯学習施設,スポーツ施設に子供を遊ばせることができるよう,託児サービスなどの環境づくりを図ってはどうかについてお答えいたします。
文化交流会館やアステールプラザ,各区の区民文化センターの各ホールには,子育て世代の方々のために親子室を設け,また,文化財団主催の一部の公演では託児サービスを提供し,小さな子供連れでもほかのお客様に気兼ねなく文化イベントを楽しんでいただける環境を整備しています。公民館,図書館でも主に子育て世代を対象とした講座において託児サービスの提供を行っているところです。各区の
スポーツセンターでも子供を遊ばせることができるキッズスペースを全区に設置しているほか,親子スポーツ教室の開催やスポーツ協会が主催するイベントのときには,近隣の大学等と連携した託児サービスの提供なども行っています。今後も託児サービスを提供する事業の拡充など,子育て世代の方々がもっと気軽に施設を利用していただける環境づくりについて指定管理者と協議していくとともに,こうした子育て世代を対象とした取り組みについて,広く市民に周知し,さらなる利用促進や需要の掘り起こしに努めていきたいと考えています。
次に,平和記念公園レストハウスの改修についてのうち,被爆建物は現在本市にどれぐらいあり,それらを保存,継承するためにどのような取り組みを行っているのかについてお答えいたします。
被爆から70年以上が経過し,被爆者の高齢化が進み,みずからの体験を語ることのできる方が少なくなる中,被爆建物は被爆の実相を伝える物言わぬ証人としてこれまで以上に重要な役割を担うことになる貴重な財産です。現在本市では爆心地から5キロメートル以内に現存する被爆の惨禍を耐え抜いた建物のうち,本市所有16件,国,
県等所有6件,民間所有63件の合計85件を被爆建物として登録し,できる限り被爆当時の建物の部分が残せるよう,その保存,継承に取り組んでいます。
具体的には,平和記念公園レストハウスのほか,原爆ドームや広島大学旧理学部1号館,広島逓信病院旧外来棟などの本市所有の被爆建物の保存に努めています。また,民有被爆建物について,所有者に対して適宜その保存,継承を働きかけるとともに,保存工事に対する補助を行っています。さらに,市民等を対象にした被爆建物めぐりなどの啓発活動を行っているところでございます。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
経済観光局長。
◎日高洋
経済観光局長 レストハウスの改修について,どのような経緯で事業費の増額等を行ったのかについてお答えをいたします。
レストハウスは,文化財保護法により文部科学大臣からの名勝の指定を受けている平和記念公園内にあることから,その改修に当たっては文化庁の許可が必要となります。このため,昨年,改修内容について文化庁と協議を行ったところ,被爆の実相を伝える歴史的価値の高い建物であることから,建物の外壁等をできるだけ保存するよう求められました。これを受けて改修工事の内容を見直すため,本年1月から5月にかけて超音波などを使用する方法で建物の内部を詳細に調査いたしました。その結果,建物や柱やはり等においてコンクリートが十分に詰まっておらず,すき間が生じている箇所があるなど,当初想定していた以上に建物の躯体の状態が悪く,コンクリートの打ちかえなど大規模な修繕が必要であることがわかったため,事業費の増額等を行うこととしたものでございます。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 まず,いじめ問題への対応についてお答えします。
最初に,五日市観音中学校では事案発生後,どのような取り組みを行ってきたのか,またその取り組みの成果があれば教えてほしいという質問についてです。
五日市観音中学校では,議員の御指摘にもありましたように,1,いじめの未然防止の取り組み,2,いじめの早期発見・積極的認知,3,いじめ防止委員会を中心とした組織的対応,これら3点に課題があったとして事案発生以降,取り組みの充実に努めております。
まず,1点目のいじめの未然防止の取り組みとしては,学級活動や道徳の時間などにいじめの被害者や加害者など,さまざまな立場を体験するロールプレー等の方法を用いて良好な人間関係を築くためのスキルの学習や,いじめの問題をみずからのこととして捉えるための学習など,年間を通して計画的に実施しております。その成果として,いじめのない学校を自分たちでつくろうという生徒の意識が高まり,生徒会を中心とした挨拶運動やいじめ防止の標語づくりなど,生徒による主体的ないじめ防止の取り組みが活発に行われるようになりました。
次に,2点目のいじめの早期発見に向けた取り組みとしては,いじめに関するアンケートについて自宅で記入し封をした上で全員に提出させることとしたり,生徒が記入しやすいよう質問を工夫したりするなど,アンケートの実施方法や内容を大幅に見直すとともに,生徒の小さな変化やいじめの予兆に気づけるようアンケートに基づく定期的な教育相談や随時の教育相談を行っております。その成果として,昨年まではほとんど回答がなかったアンケートに,友人関係の悩みや悪口,嫌がらせといったいじめに関連する多くの訴えが寄せられるようになりました。
次に,3点目のいじめ防止委員会を中心とした組織的な対応については,いじめ防止委員会を定例的に実施し,各教員はもとよりスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーなどの専門家とも連携しながら行っております。その成果として,被害生徒,加害生徒それぞれの課題や問題状況を把握し,個別の支援・指導方針を立ててきめ細かい対応ができるようになり,認知したいじめの多くは早期にその解消が図られています。
以上のような成果を上げることができているのは,これらの取り組みを支えるための体制の強化を図ったことがあります。従来より学校では生徒指導主事が未然防止や実態把握のほか,加害生徒と被害生徒の両方に対応してきましたが,五日市観音中学校では生徒指導主事は加害生徒への指導を中心にいじめをとめる対応などを行うこととし,未然防止や実態把握のほか,被害生徒の心のケアなどについては別の教員を教育相談等のリーダーと位置づけてその教員が担当することとしました。すなわち,いじめの解消を図るラインといじめの未然防止や心のケアを行うラインとを2系統に分割した上で,相互に緊密に連携しながら対応する体制としたということでございます。
教育委員会としては,以上のように五日市観音中学校で成果が上がっている取り組みについて,今後審議会から出される答申の内容も踏まえつつ,本市全体での取り組みに広めていきたいと考えております。
次に,SNSを活用したいじめ相談窓口の開設についてどのように考えているかという御質問についてです。
SNSはスマートフォンの普及に伴い,最近の若年層のコミュニケーションの手段として大きな割合を占めていること,さらに,匿名性があり気軽に利用しやすいことなどから,青少年の相談を受け付けるツールとして有効であると考えております。また,現在本市が行っている面談や電話による相談方法に加え,新たな選択肢を用意することは問題の早期発見の観点からも重要と認識しております。SNSによる相談の導入については,現在先行実施している他の自治体の実施状況や検証結果等も踏まえた上で運用上の課題などを整理し,具体的な実施方法を検討したいと考えております。
次に,学校における働き方改革について,2点お答えいたします。
まず,今年度,具体的にどのようなことに取り組んでいるのかということについてです。
学校における働き方改革に関しては,本市ではこれまでも教職員が子供たちと向き合い一人一人が精神的なゆとりを持って教育活動に取り組めるよう,学校経営活性化に向けた取り組み計画を策定し,学校の活性化に向けた取り組みの中で進めてまいりました。今後さらにいじめ対策など,学校経営上必要とされる機能の充実が必要となる中,教員の業務の質的・量的な拡大が見込まれ,その意味でも働き方改革の推進は急務であると考えております。一方,昨年12月の中央教育審議会の学校における働き方改革に関する中間まとめにおいても,今できることは直ちにやるという意識を全ての教育関係者が共有するとともに,それぞれの立場から取り組みを加速することが必要であるとの観点が示されており,働き方改革は全国的にも喫緊の課題としてクローズアップされております。
署名者 森 野 貴 雅
署名者 豊 島 岩 白...