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平成28年第 5回12月定例会−12月08日-02号

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  1. 広島市議会 2016-12-08
    平成28年第 5回12月定例会−12月08日-02号


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    最終取得日: 2022-12-05
    平成28年第 5回12月定例会−12月08日-02号平成28年第 5回12月定例会         平成28年   広島市議会定例会会議録(第2号)         第 5 回                  広島市議会議事日程                                   平成28年12月8日                                     午前10時開議                   日    程  第1 一般質問 ───────────────────────────────────────                会議に付した事件等  開議宣告(終了)  会議録署名者の指名(終了)  日程に入る旨の宣告(終了)  日程第1 一般質問
     休憩宣告(終了)  開議宣告(終了)  一般質問(続行し,明日も続行)  次会の開議通知(明日午前10時開議を宣告)  散会宣告(終了) ───────────────────────────────────────                出 席 議 員 氏 名    1番  海 徳 裕 志            2番  山 本 昌 宏    3番  山 内 正 晃            4番  山 路 英 男    5番  木 戸 経 康            6番  平 野 太 祐    7番  石 橋 竜 史            8番  森 畠 秀 治    9番  定 野 和 広            10番  近 松 里 子    11番  森 野 貴 雅            12番  森 本 健 治    13番  碓 氷 芳 雄            14番  西 田   浩    15番  渡 辺 好 造            16番  宮 崎 誠 克    17番  大 野 耕 平            18番  三 宅 正 明    19番  伊 藤 昭 善            20番  桑 田 恭 子    21番  馬 庭 恭 子            22番  藤 井 敏 子    23番  豊 島 岩 白            24番  八 軒 幹 夫    25番  八 條 範 彦            26番  原   裕 治    27番  米 津 欣 子            28番  安 達 千代美    29番  星 谷 鉄 正            30番  平 木 典 道    31番  今 田 良 治            32番  元 田 賢 治    33番  谷 口   修            34番  竹 田 康 律    35番  村 上 厚 子            36番  中 原 洋 美    37番  中 森 辰 一            38番  酒 入 忠 昭    39番  佐々木 壽 吉            40番  太 田 憲 二    41番  若 林 新 三            42番  熊 本 憲 三    43番  山 田 春 男            44番  児 玉 光 禎    45番  金 子 和 彦            46番  永 田 雅 紀    47番  沖 宗 正 明            48番  土 井 哲 男    49番  木 山 徳 和            50番  種 清 和 夫    51番  中 本   弘            52番  木 島   丘    53番  碓 井 法 明            54番  藤 田 博 之 ───────────────────────────────────────                欠 席 議 員 氏 名                  な    し ───────────────────────────────────────           職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名  事務局長    田 原 範 朗       事務局次長   重 元 昭 則  議事課長    石 井 一 司       議事課課長補佐主任事務取扱                                小 田 和 生  議事課主幹   今 井 悦 尚       議事課主査   高 谷 昌 弘  外関係職員 ───────────────────────────────────────              説明のため出席した者の職氏名  市長      松 井 一 實       副市長     室 田 哲 男  副市長     竹 内   功       危機管理担当局長及 川   享  企画総務局長  岡 村 清 治       財政局長    糸 山   隆  市民局長    谷 本 睦 志       健康福祉局長  川 添 泰 宏  こども未来局長 滝 川 卓 男       環境局長    北 吉 孝 行  経済観光局長  久保下 雅 史       都市整備局長  宮 原   慎  都市整備局指導担当局長           道路交通局長  向 井 隆 一          香 川 寛 治  下水道局長   新 谷 耕 治       会計管理者   佐々木 政 弘  消防局長    山 崎 昌 弘       水道局長    野津山   宏  監査事務局長  大 森   寛       財政課長    中 村 一 彦  教育長     尾 形 完 治       選挙管理委員会事務局長                                住 田 雄 二  人事委員会事務局長          手 島 信 行 ───────────────────────────────────────                午前10時00分開議                出席議員  51名                欠席議員  3名 ○永田雅紀 議長       おはようございます。  出席議員51名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○永田雅紀 議長       これより本日の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                会議録署名者の指名 ─────────────────────────────────────── ○永田雅紀 議長       本日の会議録署名者として               10番 近 松 里 子 議員               23番 豊 島 岩 白 議員 を御指名いたします。 ───────────────────────────────────────                日程に入る旨の宣告 ─────────────────────────────────────── ○永田雅紀 議長       これより日程に入ります。 ─────────────────────────────────────── △日程第1 一般質問 ─────────────────────────────────────── ○永田雅紀 議長       日程第1,一般質問を行います。  発言通告者に順次発言を許します。  7番石橋竜史議員。                〔7番石橋竜史議員登壇〕(拍手) ◆7番(石橋竜史議員) 皆様,おはようございます。自民党・保守クラブの石橋竜史です。  初めに,核兵器廃絶へ向けた広島市の取り組みについて伺ってまいります。  人類が核兵器を廃絶するのが早いのか,それとも核兵器が人類を滅ぼすのが早いのか,ときに核兵器の廃絶を議論するテーブルではこのような表現が用いられますが,広島に投下された1発の原子爆弾から始まり,最大時には地球上に7万発以上も存在した核兵器は,あの日からおよそ70年もの年月を経て揺れ動く国際情勢に進捗と停滞を余儀なくされながらも,ようやく,およそ1万5000発まで削減されてまいりました。  しかし,現在は最小クラスの水爆1発の使用で80万人を上回る死者が出ると予測されており,また,一旦核爆発が起これば,いかなる国であっても即時の救護活動は絶対的に不可能であるとの研究結果が出されております。  しかも,たった1発の核兵器が使用された後には,御承知のとおり,炸裂で生じた灰や煙が向こう10年間も地球の成層圏をめぐり太陽光を遮るニュークリアダークネスを生じさせては核の冬が確実に訪れ,世界は大飢饉に見舞われる。  人類はなぜ使えない兵器を所有しているのでしょうか。核を保有する超大国として現存する核兵器の廃絶に向けフロントランナーを務めてきた米国のオバマ大統領が,あの歴史的なプラハや広島訪問の演説においても,そうした目標は,私が生きている間には実現しないかもしれないと口にされるとおり,国家間の安全保障上の問題や,いまだ肥大化を続ける軍需産業との経済的な関連性,さらには核エネルギーの民生利用を進める各国の原子力政策とも相まって多くの人々が理想と現実のはざまに立たされています。  また,仮に核兵器の廃絶が速やかに進むとしても,これまで100人に及ぶ国際的な指導者から構成されるグローバル・ゼロ委員会や各国政府のイニシアチブで設置された核不拡散・核軍縮に関する国際委員会などによる具体的な廃絶へのプロセスが示された提案にもあるとおり,あくまで目途の範囲を超えるものではありませんが,核兵器最小限化の目標が2025年であれば全廃の目標が2030年であったりと,誰もが痛感されるとおり,簡単な道のりではありません。  しかし,たとえいかなる困難が立ちはだかろうともリアリストから現実を直視しろと叱責されようとも,広島市はそう遠くはない将来のうちに必ずや核兵器の廃絶を実現しなければなりません。  なぜなら,被爆者の方々が御存命の間に,可能な限り一日でも早く核兵器の廃絶された新たな世界を御提示しなければならないからであり,これは我々に,そして,この広島市に課せられた決して妥協の許されない使命であります。
     現在,平均年齢80歳を超えられた被爆者の方々は,この世に生を受ける,こんな喜ばしい奇跡に当たり,生まれた時代が偶然にもその時代だったばかりに,家族や友人たちと過ごす,ごくごく普通の平穏なる日常を永遠に奪い去られてしまい,そして,多くのものを背負い込むことになりました。  それでも,筆舌に尽くしがたいみずからの実体験を,また思い出すだけでもつらい被爆の実相を都度鮮明に胸中へよみがえらせては,このような悲劇は二度と誰にも経験させてはならないと国内や,ときには弱った体を押しながらみずからも海外へ出向き,憎しみより和解の観点から無数の人々へ丁寧に語りかけてまいりました。心身ともにどれだけつらかったことでしょうか。  この世界で再び市民へ対して使用されたかもしれぬ3発目の核弾頭を今日まで防いできたのは,間違いなく被爆者の方々が発し続けられた声のおかげであり,こうした方々の長年にわたる御労苦,功績に対して果たして我々は何をもって応えてきたのでしょうか。  1発の原子爆弾で廃墟と化したあの日から,緑と笑顔のあふれるまちへと見事に復興を遂げた広島市は,その諦めない底力を今こそ発揮するときを迎えており,我々はこの地上に核兵器の廃絶された世界を必ずや示し,被爆者の方々へ報いなければなりません。  では,引き続き,核兵器廃絶へ向けた世界の趨勢を検証しながらまずは国家単位の枠組みで話を進めてまいりますが,近年は今この瞬間もテロ集団の手に核が渡る危険性や,そこへ合わせて,世界には老朽化した多くの核弾頭が数千発にも上り現存しており,人為的なミス,事故からの核爆発を防ぐべく,核の安全管理体制を非常に危惧されては旗幟鮮明に議論の最前線で闘う国々が目にとまります。  一つ,その顕著なる国にスポットを当てれば,せんだって駐日大使が平和記念公園を訪れてくださったオーストリアが挙げられますが,2010年に行われたNPT再検討会議あたりから核兵器の廃絶へ向けて世界的にも非人道性の追求がより色濃く打ち出され始めました。  このような機運に乗じて,今日までも核兵器の非人道的影響に関する国際会議が定期的に世界の各都市で開催され,その会議の場でオーストリアが発出されたオーストリア誓約,後に人道の誓約と名称が改定されておりますが,その誓約の中にはこうあります。  オーストリアは全ての人々の人間の安全保障という緊急命題に従うことを促進していく,だからこそ,核兵器のない世界へ向けて全ての国々による努力に緊急性を与えるべきであると。  もしもオーストリアが周辺に複数の核保有国が存在する現実ばかりにとらわれ,自国の安全保障のみを優先させるなら蓋然性として核の傘を選択することがあったのかもしれません。しかし,オーストリアは事態を地球共同体で捉え,世界の人々を安全保障の対象としては緊急行動を強く訴えられています。  一方でも,10月末に開催された国連総会の第1委員会において,日本政府核兵器禁止条約交渉の開始を求める決議案に対して反対の立場をとりましたが,オーストリア大使はここへ次のように触れられました。近隣国との問題などがあり,日本政府の立場が難しいことはわかっている,我が国は核問題の関心が高く,今後も廃絶の運動に全力で取り組んでいくと。  あえて不穏当な表現を用いれば,どちらが被爆国なのかわからなくなりますが,繰り返せば,核兵器廃絶への実現を諦めず熱心に取り組まれる国々は世界中に存在します。  では続いて,我が国へと目を向けてまいりますが,日本政府はかねてから核兵器のない世界を目指す上で核兵器の非人道性に関する正確な認識と厳しい安全保障に関する冷静な認識,その双方が重要である。そこで,核兵器の保有国と非保有国が協力すべく橋渡し役を務め,より現実的でかつ実践的な措置を着実に積み重ねていくとの姿勢を貫いてまいりました。  こうした立場をとる我が国の背景には,近年の防衛白書にも明記されているとおり,個別国家で申せば北朝鮮,中国,ロシアとの間で高まる脅威認識ともかかわってきては,重ねて米国との関係性なども勘案し,政府としてジレンマに陥っている状態です。  そこで今回,私が最も問題として提起したいことは,さきにも触れさせていただいたとおり,地球共同体の観点から国際舞台で発言力を持つ日本政府を初めとし,軍事大国が早急に核兵器廃絶へかじを切る,ここへの後押しとなる環境整備の役割を今現在,広島市が十分に果たしているのか否かの点にあります。  ならばと,本市が核兵器廃絶と世界の恒久平和を目指し,1982年の設立以来一貫して取り組んでいる,皆様も十分に御承知の平和首長会議について改めて触れてまいりますが,この平和首長会議は全ての核兵器の実戦配備の即時解除,核兵器禁止条約の締結に向けた具体的な交渉の開始,2020年を目標とする全ての核兵器の廃棄など,2003年に2020ビジョン──核兵器廃絶のための緊急行動を策定,世界の都市や各国の市民,NGOとも連携し,国際的な活動を展開しております。  このあたりは会長を広島市長が務められることからも,ここに多くを語る必要性はありませんが,これまでるる述べてまいりました諸課題の解決に当たり,今後も本市が重要なポジションに位置し,その役割を果たせる可能性を変わらず持っていると,私などは大いなる希望を抱き,疑わないものです。  なぜならば,過去の対人地雷やクラスター弾全面禁止条約,その合意へ当たり,核兵器の保有国であり,また軍事大国は当初軒並み反対の姿勢を貫いてまいりましたが,誰もが困難としていた高い障壁を打破してきたのは人類をとうとび,平和を願って熱心に活動を継続される世界の一般市民やさまざまな団体,そして国家単位ではなく,覚悟と責任の伴った都市が中心となり,非常に重要な役割を果たしてきた事実にあるからです。  現実問題として,核保有国はNPTの第6条に,全面的かつ軍備縮小について誠実に交渉を行うことを約束すると明記した後,この条約は歩き出したのですが,それから数十年,約束が履行されないどころか,一部の国ではNPT──核拡散防止条約に向き合わない嫌いさえ散見される現状。重ねて米国などは,オバマ大統領が全世界に現存する核弾頭,その9割を保有し合うロシアとの2国間でさらなる飛躍的な核弾頭の削減を進めるため新戦略兵器削減条約をまずは国内で批准するに当たり,当時,強い反対を示していた議会との条件闘争の末,核兵器の近代化を含む大幅な軍事予算の増加を認めざるを得ませんでした。  こうした複雑な国内事情を抱える米国は,向こう30年間でおよそ100兆円も注いでは保有する老朽化した核兵器などを近代化された核兵器に入れかえていく核兵器性能改善計画を展開してまいりますし,また,その当事国の一方であるロシアも,米国が欧州やアジア太平洋に配備するミサイル防衛に反発し,今後も新型核ミサイルの開発と配備を進めてまいります。  他方,欧州でも,イギリスではEU離脱で揺れた後,新たな首相についたテリーザ・メイ氏が核兵器のボタンを押す覚悟があると述べられたとおり,核抑止力を継続すべく核弾頭発射を伴う原子力潜水艦を今後20年間,540億ドルもかけて更新していくなど,被爆地からの声はまだまだ世界に反映されていません。  しかしながら,核兵器を所有して互いを威嚇し,また,それを抑止と捉え依存する,こうした思考そのものを改めなければ,人類が抱える問題の根本を解決することは不可能であり,三度目の核兵器が使用されてからでは遅いのです。  つきましては,一つの大きな契機として,来年の春にはさきに123カ国が賛同し,国連の舞台にて核兵器禁止条約をつくるための交渉が開始される見通しですが,先日も報じられたとおり,日本政府は今後も当面は変わらず,急がば回れと反対の立場で行動する意向を表明されております。本市は,そうした政府を初めとし反対を示す各国とも,最終的にはともに目標を達成しなければなりません。  そこで伺ってまいります。  核兵器禁止条約の交渉が開始される見込みに当たり,例えばNPTの場合を参照しても,核保有国のフランスや中国が参加するまでには20年以上の月日を費やしております。現在,日本政府は核軍縮を進めるに当たり,核兵器禁止条約をめぐる各国の対立が最終的な目標である核廃絶への動きに影響を与える懸念を示されておりますが,本市としては,そこをいかに受けとめているのか。また,こうした国連での条約交渉の契機をいかに捉えているのかお答えください。  次に,平和首長会議の掲げる2020ビジョンもその目標年度がすぐ目の前に迫ってきておりますが,現状,その進捗をいかに捉えているのか。また,被爆者の方々へ一刻も早く新たな世界をお示しする,このあたりを踏まえながら新たなキャンペーンなどに着手する考えはあるのかお答えください。  次に,核兵器を保有する超大国の拡大抑止,その核の傘から抜け出せない各国は,仮に核兵器の廃絶がなし得られたとしても,その後に通常兵器で国家の安全保障が保たれるのか,その後の世界がいかに変容していくのか,このあたりが明確に描けないゆえ,これまでも軍縮措置を段階的なステップ・バイ・ステップ方式並びに,クラスターごとに分割して進めるクラスター方式が望ましいと慎重なる姿勢を変えません。  しかしながら,こうした段階的な措置へ踏み込まなければ今後も時間は様子見のまま容易に過ぎていくと推察され,まずは本市が専門的な知見も交えながら核兵器廃絶後の世界を明確に分析しては世界へ提示していかなければならないと考えますが,現時点で,通常兵器での安全保障も含めた核兵器廃絶後の世界バランスをいかように描いているのか,そこを本市としてはいかに発信していくのか,核の傘への是非についてもあわせてお答えください。  そして,ここに,行政側へ答弁を求めるのみならず,いま一度市民の方々や議会の役割を鑑みるにつけ,さきにも述べた本年5月27日の歴史的なオバマ大統領来広に当たり,唯一米国側から招待を受けた森重昭さんについて触れておきたいと存じます。  森重昭さんは被爆当時から周囲よりいかなる流言飛語を浴びようともせめて米国の御遺族の方々には知らせてあげたい,この一念を持って原爆で命を落とされた米兵捕虜の調査を数十年間にもわたって続けてこられました。  そして,あの日,平和記念公園オバマ大統領の抱擁を受けた後,これで全ての役目は終わったと感じながらも,一方では改めて考えさせられ,新たな感情が芽生えては次なる目標への視座が開かれて,その思いを述べられました。  いかなる力を持つ大統領や総理大臣であっても,その人々だけで核廃絶をすることは難しく,世界の為政者が一生懸命取り組むことはもとより,全世界の個人個人が核をなくす努力をしなければならない。平和とは,個人も行動しなければならない大きな問題であることを一人一人が認識してほしいと。我々はこうした偉大なる先駆者の功績に改めて深い感謝の意を抱きながら,個人の重要性まで説かれる,その実感に満ちた声へ,真摯に耳を傾けなければなりません。  また,広島市議会に目を移せば,昨年12月に核兵器廃絶議員連盟を立ち上げ,いまだ体制としての課題は多くとも,今後,改善を図ってはそこへ全ての議員が連盟に加わってくださった長崎市議会の皆様とともに,これより,核兵器の廃絶に向けてより一層の努力を重ねてまいる次第であり,この新たな誓いを結びとし次の質問へ移らせていただきます。  続いては,都心部のあり方について伺ってまいります。  私は,ちょうど1年前の一般質問でも,都心部を初めとした本市における都市戦略について質問させていただきました。  その一部を要約すれば,旧市民球場跡地を含む平和記念公園に隣接された中央公園の整備は,今後確実に迫る人口減少社会を前に本市の将来的な浮沈の鍵を握るといっても過言なき重要なエリアであり,この諸課題の解決は地域の局所的な改善にとどまらず,世界平和の発祥の地として,また聖地として,それにふさわしい広島市の都心部を人類の英知を結集させてつくり出してほしいと。戦後,世界の人々から寄せられた要請に対して,現世に生かされている我々が責任を果たすものであるという趣旨でした。  それから1年が経過し,この都心部において生じた大きな変化の一つに触れれば,サッカースタジアムの第三の建設候補地として新たに中央公園広場が浮上してきたことが挙げられます。  こうした変化に伴い,私が所属する都市活性化対策特別委員会でも,当初は来年の6月までに中央公園のあり方について政策提言を策定,提示する予定でしたが,揺れ動くサッカースタジアム建設候補地の情勢に伴い同委員会からの政策提言は見送られ,最終的には意向のみを取りまとめることになりました。  こういった特別委員会の決定に当たっては11月下旬に当委員会が市民局へサッカースタジアムの候補地・検討状況について現状を確認したところ,中央公園広場に隣接する地元自治会に対し検討経緯などの説明を行ったが,その後,同自治会で話し合いがなされ,非公式であるが反対の方針であり,反対署名も集められたと聞いている,よって,今後は地元住民の求めに応じ,丁寧に説明し意見を聞きたいと考えており,その上で当該地にスタジアムの整備ができるか見きわめたい,候補地の決定はこれらの手順を踏んで慎重に行う必要があり,できるだけ早く決定したいと考えているが,まだしばらくかかる見込みであるとありました。  そこで改めて,まずはこのスタジアム建設予定地がどこに決定するかにより,都心部のあり方が大きく変容してまいりますので,市民局が述べられた地元住民の求めに応じ丁寧に説明しては,できるだけ早く決定したいにありましたとおり,そこを推進させるべく,好個の例として,北九州市を取り上げさせていただきます。  魅力ある都心部の形成,その一助となり得るサッカースタジアムの建設に関して,本市より数年は後発となる北九州市は,その財政規模や都市が抱える借金の返済額,いわゆる公債費にしてもほとんど本市と遜色のない中,まずは建設費およそ100億円を設定,そこから100にも上る団体,合計で3,000人以上の方々へ建設への御理解を得るべく,百数十回も説明会を重ね,かつ,行政主導でシンポジウムやフォーラムを開催しては市長自身も会場へ出向いてその必要性を熱く説き,結果,来年の3月に国内では最も新幹線の駅に近い場所へサッカースタジアムを誕生させる運びとなりました。  補足までに,北九州市にはギラヴァンツ北九州という現在はJ1でもJ2でもなく,その下のJ3に位置するサッカークラブがありますが,こうしたスタジアム建設の議論をスタートさせたころ,この北九州市のクラブはまだ発足して間もないNPO団体が運営する,Jリーグにすら未加盟の状態,本市が有するトップカテゴリーJ1の舞台でこの5年間に3度も優勝を遂げたサンフレッチェ広島と比較しても,当時の北九州市の覚悟と決心のほどがうかがえますが,この建設実現へ向けた北九州市の明確なるコンセプトは当初から首尾一貫しておりました。  新たなスタジアムを建設してはそれをまちのシンボルに据え,周囲のエリアと連動させては都市の活性化を図り,また子供たちにスポーツを通じて多くの夢を与えては,北九州市のサッカークラブをまちを挙げてみんなで一丸となって応援していきましょうと。都度行政より発せられるメッセージは熱を帯びながらも,かつ,温かく,しかも,その数年間にわたる建設への途中経過は広く市民の皆様へ向けて頻繁に届けられたのです。  そこで,伺ってまいります。  現在,本市が進めるサッカースタジアムの建設について,世間では今年度内に建設地が決定するのではとも言われておりますが,状況が全くつかめない市民の方々も多いかと存じます。  今後,どのようなスケジュールを算段されているのか。重ねて,いまだ不透明な部分は多くとも,政治は日程であるとまで言われます。実際,何年後ぐらいを目途に完成を目指しているのか,ここにお答えください。  連動して,あくまで仮定としながら,サッカースタジアム中央公園広場案で今後,前進を見せたとしても,他方,旧市民球場跡地の活用策がいかに動き出すのか,ここへ密接にかかわってまいります。  そこで,これより答弁は求めませんが,私がかねてから抱く懸念事項に言及してまいるとして,現在,広大なる空き地と化した旧市民球場跡地は,年間使用日数の多くをイベント利用が占めていますが,この業界に長年携わってきた一人として申せば,一たび集客あるイベントを開催しようとした場合,大々的な事前の告知など当面必要となる諸経費,何より当たり外れを左右する企画の立案,決定など決して簡単ではありません。  ただし,イベントとは集客数の多寡によって成否が問われるものでなければ,そもそも成功や失敗などは主観であって,そこを論じるつもりはありませんが,一定の集客を得るために,例えば飲食関連のイベントを取り上げてみても,まずは目玉となる店舗の出店や人気メニューを画策しなければならず,しかし現実問題としてこのあたりを段取りができる制作会社や代理店はそこかしこに存在いたしません。  そこで,こうした段取りを東京や大阪など大都市の会社へ業務委託しているのが現状ですが,そうなると訴求力のあるコンテンツは見込めても,あくまで個々の開催形態によって違いはあるにせよ,必然的に広島市民が口にするメニュー一つ当たり7割前後のバックマージンが発生し,高いものはそれ以上にまで及びます。  つまりは,イベント来場者の限られた一つの胃袋を広島の都心部で営業を続けられている既存店舗ではなく,他方からの出店メニューで満たし,しかも来場者のほとんどが広島市民,県民にもかかわらず,懐から支払われる多くの消費額は地域内で循環することは少なく県外へと流出しており,いわゆる形を変えた流出過多のふるさと納税です。  もちろん,多様なるイベントの開催によって運営側や来場される方々には多くの笑顔が生まれ,また,さまざまな副次的な効果が派生しているのは確かですが,繰り返しますと,そのあり方について戦後崇高なる理念をもとに世界から数々の提案も寄せられた重要なエリアが,現在はあの敷地内の4分の1ほどのスペースを使い,砂利の上で飲食を強いられ,ときにはどこかの集会所で開かれている小規模な会合めいたことになっていれば,多くのバスが並べられたりもします。  そして,このあたりのイベントを初め,現行,旧市民球場跡地で行われている数々の利用法は基本的に全てがサポートイクイップメントです。言うなれば,市内各所を初め,県外や世界からも広く人々を引きつけるメーン機能が別の場所にあって,そこへ訪れた人々を補完する機能としての使用法がまさに現行の状態であり,国際交流の拠点にまでなってはここを目指し,全国から人々が集まってくるといったメーン機能を担っているものではありません。  私は当然ながら多くの人々が奮闘されている現状を頭ごなしに否定しているのではなく,本市が打ち出す旧市民球場跡地の空間づくりにせよ,敷地内を広く占有する屋根つきイベント広場に,その周辺には野外ステージつきや武道場の上など,とにかくイベント広場が連続しては周囲に緑が配置される,いわゆる現在の延長線上が未来に待っている可能性を前に批判のための批判ではなく,本当に大丈夫なのでしょうかと,リスクヘッジの役目を担う議会としてまずは問題を提起しているにほかなりません。  まだまだしゃべり足りませんが,時間も差し迫ってまいりました。そこで,本市は同跡地の空間づくりにおいて,世界の建築界で名をはせられた丹下健三氏の思想を用いられておりますので,最後に申し加えておきたいと存じます。  丹下氏は,都市設計─アーバンデザインを実現するために,まずはみずからの敵を1,000人もつくる覚悟で未来像を語られては,おのおのの配置がつくり出す空間の秩序を徹底究明され,目の前の案件を国家を救う,国家を背負うプロジェクトにまで昇華させました。  そして,どうか若い諸君の力で求められる時代様式を再び発見していく努力をしていただきたいとみずからの尺度を超えるスケールの発想を心から期待され,静かに次の世代へとバトンを託されたのです。  明快なるメッセージの伴われた都心部のまちづくりは,やがて広島市の中心から世界と未来を照らす一筋の光となる,ここへの実現へ向けて,いま一度誰もが徹底追及してほしい。この言葉をもって,私の一般質問を以上といたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○永田雅紀 議長       市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       石橋議員からの御質問にお答えいたします。  核兵器廃絶に向けた広島の取り組みのうち,2020ビジョンについての御質問がございました。  平和首長会議の行動指針である2020ビジョンは,2020年を核兵器廃絶を目指す目標年次として設定しておるものであります。  その目標年次が迫ってくる中,昨年11月に開催いたしました平和首長会議の理事会において2020年という目標年次は変更することなく核兵器廃絶の実現に最善を尽くすということを決定いたしました。  理事会におけるこの決定は核保有国と非核保有国の対立が続いており,核兵器廃絶をめぐる世界情勢には厳しいものがあるという認識が前提となっております。  平和首長会議ではこうした認識を持ちつつ,加盟都市や市民,NGO等と緊密に連携し,核兵器禁止条約の早期実現に向けて世界の為政者への影響力を発揮するため被爆地訪問を呼びかけるほか,国連との連携や加盟都市の増加,世界各地の21のリーダー都市による活動の活発化などの取り組みを展開しております。  また,2017年には核兵器禁止条約の実現に向けた交渉が開始される見通しとなっております。そこでの議論が建設的に行われるよう,全ての国連加盟国に対する働きかけを強めていきたいと考えております。  したがって,新たなキャンペーンについてはこうした努力を最大限継続する中で,来年8月に長崎で開催する総会において,今後の取り組みの方向性や具体的な行動計画を議論する際に,その必要性も含めて検討することとしております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○永田雅紀 議長       市民局長。 ◎谷本睦志 市民局長     核兵器廃絶に向けた広島市の取り組みについての御質問のうち,まず日本政府核兵器禁止条約をめぐる各国の対立が,最終的な目標である核廃絶の動きに影響を与える懸念を示しているが,広島市としてどのように受けとめているのか。  また,広島市として,こうした国連での条約交渉の契機をどのように捉えているのかとの御質問がございました。  核兵器廃絶の実現に向けて,日本政府には核兵器禁止条約制定の交渉において力強いリーダーシップを発揮していただきたいと考えていますが,現在,開催されている国連総会に見られるように核保有国と非核保有国が対立している状況の中で,その歩みがなかなか進まない状況であると認識しています。  核兵器の法的禁止は核兵器のない世界への重要な転換点になり得るもので,このたびの決議は被爆者の切なる願いである核兵器のない世界の実現に向けたまたとない契機であると考えていますが,この交渉の場に核保有国が参加しないことが懸念されます。  このため,平和首長会議として核兵器禁止条約の制定に取り組んでいくよう全ての国連加盟国に対して,公開書簡を発出することとしており,今後も交渉の進展に応じて公開書簡を発出するとともに,あわせて来年開催される交渉会議など,重要な局面には市長や職員が国連に赴き協働する加盟都市や市民,NGO等,幅広い市民社会の声を直接届けることを検討しております。  次に,広島市は現時点で,通常兵器での安全保障を含めた核兵器廃絶後の世界のバランスをどのように描き,核の傘への是非もあわせどのように発信していくのかとの御質問がございました。  通常兵器での安全保障を含めた核兵器廃絶後の世界バランスについては,軍事力の行使単位である国家レベルにおいて,世界の政治や経済など多種多様な動向を踏まえた上で判断されるべき課題であり,基礎自治体である本市の所管を超えるものであると考えております。  しかしながら,人類史上最初の被爆都市である本市は,被爆者のこんな思いをほかの誰にもさせてはならないという訴えを根底に据え,核兵器廃絶,すなわち核の傘そのものがなくなることを願い,訴えなければならないと考えています。  そのため,日本政府に対しても,国民的な議論により核の傘に頼らない安全保障体制の構築に向けた外交努力を続けていくよう要請しております。  次に,広島市の都心部のあり方について,サッカースタジアム建設地の決定に向けて今後どのようなスケジュールを算段しているのか。また,何年後ぐらいをめどに完成を目指しているのかとの御質問がございました。  現在,県,市,商工会議所の作業部会で,中央公園広場スタジアムを整備する場合に何が課題となるかについて,他都市の類似スタジアムでの事例調査や周辺道路の状況調査等を行っています。  さらに,近々基町連合自治会で質問状を取りまとめられると聞いており,地元の意見や懸念を具体的にお聞きし,課題を整理することとしています。  その上で,旧市民球場跡地と広島みなと公園の二つの候補地と同様に,中央公園広場に整備するとした場合の対応方法等について,基町連合自治会との意見交換も行いながら検討することになると考えています。  今後のスケジュールについては,建設候補地が決まっていない現状において明確に申し上げることはできません。基本計画,基本設計,実施設計という建設工事に必要となる通常の手続を踏むならば一般的には完成までにおよそ5年程度は要することになりますが,地元との意見交換等をしっかりと行いながら,できるだけ早く県知事,市長,商工会議所会頭とサンフレッチェ広島会長の4者意見交換の場を設け,建設候補地を確定していきたいと考えております。  以上でございます。 ○永田雅紀 議長       7番石橋議員。 ◆7番(石橋竜史議員) 今,御答弁を頂戴しまして,再質問しようかどうか迷ってはいたんですけども,恐らくこちらのテーマについてもこれ以上の答弁が得られるものではないと思いますので,幾つかの要望ですとか,思いを述べさせていただきますけども,まず,核兵器廃絶に関しましては,ちょっとこちら(石橋議員,資料を掲げる),あえて提示しますけども,こちら見えますでしょうか。英文の数々のメールがあるんですけども,こちらは平和首長会議の全体会議などに出席されている海外の首長の方々にも何をすればいいのだろうか,何が今足りないのだろうかというのを私も本当,かねてからいろいろとリサーチしてまいりました。  そこで,一つ言われているのは,やはり現状のこうした閉塞感を打破するため,新たなキャンペーン,新たなアイデアを本当に求められているんですね。  そういった意味では,例えば過去を振り返れば核廃絶へ向けての一つのエポックメーキングとして2009年のオバマ大統領のプラハ演説が挙げられますけども,当然ながら,その前段にはいろいろなアプローチがありまして,一つは,ちょうど2007年になるんですけども,アメリカの元高官,国防長官ですとか国務長官,4人の,キッシンジャーですとかシュルツさんたちがウォール・ストリート・ジャーナル,世界的な日経新聞みたいなものですが,その世界的にも一番大きな経済紙に核兵器のない世界という論文を,それこそ5年間にわたって5回も投稿されております。  最初にそれで大きなムーブメントが米国内でも沸き上がってきて,オバマ大統領がまだ大統領に当選する前ですけども,そこにも着目されて,やはり核兵器のない世界を目指さなければいけないという,こういうメディア戦略といいますか,メディアを使ったいろんなムーブメントも起こっております。  ですから,そういった意味では本当に改めて,先ほど新たなアイデアもちょっと検討してみるという話がありましたけども,ぜひとも現行のものを継続させるプラス,そういった新たなアイデアを持ち寄ってどんどんと,やはり時間がありますんで,前に進めていただきたいと思います。  2020ビジョンに関しましては,今ちょうど7,000以上ですか,いろいろな市と連携してますけども,そういったこれ以上強い力はないわけですから,ぜひとも横の連携を高めて,何より実現が簡単ではないということはわかっておりますけども,より一層加速化させていただきたいと。  日本政府につきましてなんですけども,簡単に今の態度をシフトすることは難しいと思うんですが,やはり,そこを我々が動かしていかなければいけない,そこに当たってちょうど,幾度も触れておりますけども,来年の春から現在のままでは今月ですか,クリスマスあたりにまずは国連総会で決議が行われて,来年の春には動き出すと思いますけども,これを契機に,確かに今,懸念されているとおり核保有国であったり,米国などもそこに参加しないという可能性は十分にあるかと思いますけども,例えば2004年だと思うんですが,平和首長会議に,そこに名を連ねていらっしゃる全米にも数々の市長がいらっしゃって,全米市長会議ってありますけども,全米市長会議では2004年に核兵器禁止条約の交渉をとにかく進めよう,ここを支持するというのを全会一致で採択されております。  そういった意味では,米国といってもそのように前向きにとにかく進めようという,やはり市長たちもたくさんいらっしゃいますんで,こことぜひとも連携して進めていただきたいと思います。  やはり,廃絶しよう廃絶しようと言っても,その廃絶後の世界がいかようになるか,そこがわからないからなかなか踏み込めないという話をさせていただきましたけども,もちろん,さきには基礎自治体である本市の所管を超えるとありましたけれども,私は所管を超えないと思ってるんですね。  というのも,そのために,例えば市立大学の平和研究所などがあるわけですから,こういった意味で,いかに核兵器を廃絶した後,通常兵器で今の世界バランスを保っていけるかということを発して,国が変わるというのではなく,やはり,これは世論喚起だと思うんですね。  絶対に国やいろいろな都市が動きにくいところもパブリックプレッシャーではありませんけども,市民の方々もどんどんと理解していただいて,より熱い活動にしていただいて,そこに,今となっては,本当に国単位で言えば,きょうはオーストリアを挙げさせていただきましたけども,例えばヨーロッパでもスイスですとかノルウェーですとか,南米でもコスタリカ,メキシコ,アジアでもマレーシアですとか,本当,数々熱く取り組んでいらっしゃる方がいますんで,そういう国々を,最近ではミドルパワーなどと言われますけども,ミドルパワーであったり,パブリックプレッシャーを使ってどんどんと核廃絶を加速化させていただきたいと思います。  サッカースタジアムについては今,これは基本的なことですけども,基本計画があって,それで基本設計,そして実施設計と,それ相応の時間を要することはもうわかりますんで,本当にもう何より,ことしの広島市は例えば広島カープによってあれだけ市民が多く幸せになったように,スポーツが持つ力というのを改めて再確認・再認識されたと思いますんで,できるだけ一日でも早い完成を目指して市長にリーダーシップを発揮していただいて前に進めていただくよう強く要望して,以上といたします。ありがとうございます。 ○永田雅紀 議長       次に,5番木戸経康議員。                〔5番木戸経康議員登壇〕(拍手) ◆5番(木戸経康議員) 皆さんおはようございます。自由民主党の木戸経康でございます。会派を代表しまして一般質問をさせていただきますので,しばらくの間,御静聴よろしくお願いを申し上げます。
     まず,子育て家庭に対する相談窓口についてお尋ねをいたします。  児童虐待は子供の心や体に大きな傷を残すだけではなく,命にかかわる重大な事態に陥る場合もございます。  平成27年度中に全国208カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は10万3260件で,初めて10万件を超え,過去最多となり,また,子供の生命が奪われる重大な事件も後を絶たないなど,深刻な状況が続いております。  こうした中,11月17日の中国新聞に厚生労働省専門委員会のまとめとして,虐待を受けて死亡した18歳未満の子供は無理心中を除き44人であり,詳しい状況が確認できた29家庭の7割以上が近隣住民とのつき合いがほとんどないと,地域で孤立していたことがわかったという記事が掲載されていました。  この記事からもわかるように,児童虐待の背景には子育ての孤立化があるのではないかと考えます。  子育ての孤立化を防ぐためには,子供と保護者が気軽に集える場所や子供に関する悩み事を保護者が一人で抱え込むことなく相談できる場が必要ではないでしょうか。  そこで,お尋ねします。  このように考えますと,やはり市民に身近な区役所に,子育てについて気軽に相談できる窓口が必要であると思いますが,現在,区役所の相談窓口の体制はどのようになっているのでしょうか。  また,今後,どのように取り組まれるのでしょうか,お答えください。  現在,本市には区役所以外に子育て中の親子が気軽に集い,相互交流や子育ての不安,悩みを相談できる場としてオープンスペースがあり,全市で16カ所を設置されています。私の地元の高陽地区にも1カ所あり,学校法人の武田学園が運営されております。  オープンスペースを対象の親子が積極的に利用してもらうためには,対象者へしっかり周知を図る必要があると思います。この点について,現在の市の取り組みをお聞きしたところ,民生委員が乳児のいる家庭を訪問するこんにちは赤ちゃん事業や保健センターで行っている4カ月児健康相談といった機会を捉え,対象者に直接周知を行うとともに,区役所,保育園,小児科等へ広報チラシを配布したり,市のホームページや広報番組等を利用しての啓発も行っているとのことでした。  しかしながら,私が地域で市民の方とお話をする中ではオープンスペースの存在を知らない方も結構いらっしゃいます。本市としてもさまざまな機会や媒体を活用して広報を行っているとは聞いておりますが,まだオープンスペースの存在を知らない市民もおられることから,対象者の方に周知が行き届くよう,広報について現在の取り組みを点検した上で,さらに充実を図るよう要望しておきます。  次に,不妊治療費助成についてお尋ねいたします。  本市が本年3月に策定,公表した「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョンでは,本市が広島広域都市圏,ひいては中四国地方の発展を牽引していく中枢都市として人口規模と経済力等を兼ね備えたまちであり続けるための目指すべき将来の方向を掲げており,この方向に沿った施策を展開していくことで出生率の向上と若い世代の人口の確保を実現するものとしています。  このうち,出生率の向上を実現するためには,市民の皆さんが安心して産み育てることができるまちの実現に取り組む必要があり,そのための施策を総合的に進めていく必要があると考えています。  取り組むべき施策は多岐の行政分野にわたると思いますが,今回,私は不妊治療費助成について取り上げたいと思います。  不妊とは,妊娠を望む健康な男女が自然な状態で1年以内に妊娠しない状態のことを指している。治療法によって人工授精等の一般不妊治療と体外受精等の特定不妊治療に分類されます。  また,公的医療保険の適用範囲となる治療と適用外の治療があり,人工授精,体外受精,顕微授精については保険の適用外となっています。  これら保険の適用外となる治療を行った場合にどれぐらい自己負担が発生するのかを調べてみますと,人工授精では1回当たり1万円から3万円,体外受精では1回当たり30万円から50万円,顕微授精では1回当たり40万円から60万円と高額な自己負担がかかるようです。  以前読んだ不妊治療にかかわる新聞記事の中で,3年間保険適用外の治療をした女性が200万円を超える費用がかかったことと,終わりの見えない治療で金銭面の不安が常に頭にあったと振り返っていましたが,私も,体外受精等保険適用されない治療を受けている方の中には高額な医療費がかかるため,経済的な負担からやむを得ず治療を断念するケースがあると聞いております。  現在,国は保険が適用されていない体外受精及び顕微授精の特定不妊治療について高額な治療費がかかることから治療費の一部を助成する制度を設けており,本市も国の制度に基づき体外受精及び顕微授精の特定不妊治療について助成を行っております。  しかしながら,新聞報道によると,県内23市町のうち13市町が国の制度に独自の上乗せ助成を行っているとのことです。  例えば,三次市では自己負担額から国の助成額を除いた全額を負担する独自助成を行っています。また,他の政令指定都市でも4市が国の制度に独自の上乗せ助成を行っていると聞いており,例えば新潟市では国の助成額に治療内容に応じて5万円から10万円を上乗せするという助成を行っています。  また,札幌市では第2子以降の出産のため,特定不妊治療を受けた場合に限って,国の助成回数を超えた場合であっても,子供ごとに最大6回まで助成を受けることができる独自助成を行っています。  このように各自治体においても厳しい財政状況にあると思いますが,少子化に歯どめをかけ,人口増を図るため必要な予算を措置し独自助成を行っています。  そこでお尋ねします。  出生率の向上の観点からも特定不妊治療費への助成の充実を図ることは必要であり,他の自治体が行っているように国の助成制度に本市独自の上乗せを検討すべきではないかと思いますが,どのようにお考えでしょうか。  次に,高齢者福祉についてお尋ねをいたします。  広島市における本年10月末現在の65歳以上高齢者人口は28万6441人,高齢化率は24%,特に安佐北区では高齢者人口は4万5674人,高齢化率は8区の中で最も高い30.9%です。  広島市では,今後,さらに高齢化が進展するとともに,少子化も進み,人口構造を見てみると,現在は20歳から64歳の3人で65歳以上の高齢者1人を支える騎馬戦型でございますが,24年後の2040年には20歳から64歳1人で65歳以上の高齢者1人を支える肩車式になるとなっております。  こうした状況をしっかり理解した上で,高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせるよう私たちはしっかり取り組んでいかなければなりません。  広島市は少子高齢化や将来の人口減少を見据え,介護を必要としない元気な高齢者をできるだけふやすとともに,元気で活動的な高齢者が地域を支える存在として活躍し,自立した生活が難しくなった高齢者は地域全体で支えるまちづくりを目指しています。  その仕組みづくりの一つとして,介護保険制度改正に伴い,平成29年度から介護予防・日常生活支援総合事業,いわゆる総合事業がスタートします。  総合事業では要支援者等に対して,当面,従来どおり介護事業者によるサービス提供が主体となると思われますが,新たに住民ボランティアなど多様な主体による生活支援サービスの提供を開始したり,65歳以上の全ての高齢者を対象に,介護予防活動のための通いの場を充実するそうです。  このため,今年度,地域団体等に対して補助金を交付の上,モデル事業を実施しています。  一方,中国新聞の記事によれば,これまで善意で無償によるボランティア活動を行ってきた団体等からは,総合事業で市から補助金をもらうと責任が重くなるのではないかといった戸惑いや,書類作成など事務手続が煩雑といった声があるようです。  また,モデル事業の実施団体も少ない状況です。住民団体等にはなぜこうした取り組みが必要なのかをしっかり説明し,理解してもらうこととともに,取り組みやすい仕組みにする必要があると思います。  また,市では今回の事務・事業見直しの中間報告において,高齢者社会参加の目的を維持しつつ,その手法等を見直し,高齢者公共交通機関利用助成から新たなポイント制補助へ移行することを提案しました。  市は,見直しが必要な理由として,交通費助成では目的に合った活動がされたか確認することが困難だったことを踏まえ,社会参加活動への参加実績に基づくこと,その活動実績を第三者が確認することに手法を変え,目的に合った助成に移行させようと考えております。  これも,これまでの問題点を改善しつつ元気な高齢者をできるだけふやす,元気な高齢者には地域の支え手となって活躍していただくよう高齢者の社会参加を促進する取り組みの一つとして提案されたものと理解しております。  しかし,交通費助成にかえてポイント制補助が深く普及していくためには,高齢者の身近なところでポイントが付与される機会を多く設けることが必要です。  地域で活動するボランティアグループが約300,地域の交流サロンが約1,000あるなど,高齢者が希望すれば地域での活動に参加可能な状態になってきているとのことですが,地域全体の活動が活発な地域もあれば,そうでない地域もあるのではないでしょうか。  高齢者の社会参加,生きがいづくりとともに,その先にコミュニティーの活性化,充実を目指すという大きな目標を持っているんであれば,じっくり確実に取り組む必要があると思います。  そこでお尋ねします。  1点目は総合事業について,当面,従来どおり介護事業者によるサービス提供を主体としつつも,新たに開始する住民主体の生活支援サービスの提供や通いの場の拡大及び活性化を図るためには住民に制度の必要性などをしっかり理解してもらうとともに,担い手側の事務的負担を軽減し,取り組みやすくする必要があると思いますが,いかがでしょうか,お答えください。  2点目として,事務・事業見直しによるポイント制補助を広げていくため,高齢者公共交通機関利用助成から新しいポイント制補助への移行期間は地域の実情やポイント制度の浸透状況を勘案して柔軟に考えてはどうでしょうか,お答えください。  続いて,安佐北区のまちづくりについてお尋ねいたします。  去る9月16日に,安佐北区白木町,高陽町,安佐町の各地域の住民代表者が松井市長に対し地域ごとのまちづくりの提言書を提出されました。  これは,昨年の11月に安佐北区民文化センターで開催された安佐市民病院の建てかえ方針等に係る説明の中で,松井市長が今後しっかりと安佐北区のまちづくりに対して取り組んでいく旨の決意を表明され,そのためには,まず地域の皆さんが主体となってまちづくりの議論を進め,地域にできることは何か,行政の支援が必要なことは何かについて市の予算編成作業が始まるスケジュールにも留意しながら市に対して提示してほしいという話をされたことがきっかけとなったものです。  これを受けて,既に市に対してまちづくりの提言書を提出されていた可部地域を除く白木町,高陽町,安佐町の住民の方々が自分たちのまちの将来像を見据え,それぞれの地域で独自にまちづくりに向けた話し合いを幾度となく持たれ,その成果として,最終的にそれぞれの地域においてまちづくりの提言書という形で取りまとめられ,市へ提出されました。  それぞれの地域の提言書の内容を読んでみますと,道路,橋梁などインフラ整備への要望を初め,地域の文化財等の歴史資源や自然などの地域資源を生かしたまちづくりへの提言,住民みずからが主体となって進めていく地域の活性化に向けた各種取り組みの紹介など多岐にわたっていました。  これらの提言については,先ほど申し上げたような経緯を経て作成,提出されたものですので,市においてはしっかりと受けとめていただき,こうした住民の熱い思いを決して無にすることなく行政として支援ができるものについては,その実現に向けて本気で検討し取り組んでいただきたいと思います。  各地域から提出された提言書の項目の中で,私が特に特徴的なものであると思うものについて幾つか紹介をいたします。  まず,白木地域のまちづくりに関してですが,白木地域ではまちづくりの主なテーマに交流するまちを掲げ,地域外から人が集まるまちづくり,志屋,井原,高南,三田,4地区の特徴,魅力を生かしたまちづくり,若者が住みやすいまちづくり,安全・安心で楽しく住みやすいまちづくりを取り組みの柱としてまちづくりを進めていくとしています。  この四つの取り組みのうち,地域外から人が集まるまちづくりの中で重点的に取り組むものとして,神ノ倉山公園の維持管理と大河原廃川敷の有効活用が挙げられています。  神ノ倉山公園は実は個人の資産ではありますが,地元の住民がつくり上げ,大切に守り育ててきた公園で,頂上部にはパラグライダーやハングライダーといったスカイスポーツの離陸場もあり,都市部の住民が集う人気のスポットとなっております。  この神ノ倉山公園を今後とも恒久的な憩いの場所とするため,樹木管理や剪定のための機械にかかる管理費用や購入費用について必要最小限の行政支援を得ながら,引き続き地元住民が主体となった維持管理を行いたいという提言内容になっております。  そして,その神ノ倉山の麓に広がっているのが大河原廃川敷でございます。  これは,もともと広島市が廃棄物の埋立地とするために用地を取得したものでございますが,その後,地元との協議が整わずその大部分が現在も未活用のまま空き地として残っているものです。  そこを,先ほどの神ノ倉山でのスカイスポーツと連携するなどして有効活用を図っていこうとするものです。  具体的には,スカイスポーツの体験場や着陸場,パークゴルフの公認コース,駐車場などを行政が整備し,それを地元が主体的に運営していくということで,大河原廃川敷を交流の拠点として有効活用したいという提言内容になっています。  次に,高陽地域のまちづくりに関してですが,高陽地域では三つのエリアが共存共栄するまちをまちづくりのテーマに掲げ,住宅団地のエリアではいつまでも住みやすい住宅団地を,古くからある町並みエリアでは活気あふれる芸備線沿線を,中山間地エリアでは安心して暮らせる中山間地をそれぞれ目指した取り組みを進めることにしています。  この中で,特に中山間地エリアの取り組みのうち,狩留家地域においては地元住民で組織された狩留家・町づくり推進協議会が今後取りまとめる狩留家活性化ビジョンを踏まえ,当地区の核となる拠点づくりや自然,歴史等を活用した各種ソフト事業に取り組み,地区の活性化を図りたいという提言内容になっています。  私は,この推進協議会が実施するワークショップに毎回参加させていただいておりますが,そこに集まる地元住民の一人一人がとにかく,今,この地域を何とかしなければ,このままでは衰退の一途をたどるだけであるという危機感を持って真剣かつ活発な議論を行っております。  また,高陽は先ほど申し上げたように,三つのエリアに大きく分かれておりますが,その前段として広島市都市計画マスタープランにおいて可部と同じく地域的な都市機能を担う拠点地区に位置づけられており,都心や県北部,他地域とのネットワークを充実させることによって高陽の拠点機能を高めることが,高陽のみならず安佐北区内外の住民の生活環境の向上につながるものと考えます。  そのためには道路の整備は不可欠であり,これは住民だけではどうすることもできない,行政の主導のもとで実現を図らなければならないことは明らかであり,高陽地域からの提言書の中にも幾つかの項目が挙げられています。  広島三次線の渋滞対策を初め,深川福田線や中筋温品線など,地域住民が以前から行政に対して要望の声を上げている路線の整備がそれに当たります。  中でも,私がこれまで本会議の場で何度か言及している高陽へのスマートインターチェンジの整備は高陽の拠点性の向上を図る上で有効な手段であると考えており,市としてぜひとも実現していただきたい項目の一つです。  この整備については,先ほども触れました9月の高陽地域からの提言書の提出に先立ち,8月23日に高陽町商工会から松井市長に宛てて4,906人分の署名を添えて要望書が提出されたところです。広島市として,こうした地域住民の声を無にすることがないよう前向きな検討をお願いいたします。  以上,例示として二つの地域,四つの提言項目の内容について具体的に紹介をいたしましたが,その他のどの提言項目もそれぞれの地域住民の思いがこもった重みのあるものとなっております。  そこで,これらの各地域のまちづくりの提言書に関して2点ほどお尋ねいたします。  まず1点目ですが,このように各地域それぞれにおいて議論され,最終的に形となったまちづくりの提言書が市に提出されたわけですが,市としてのこの提言書についてどのように受けとめ,また,提言書に掲げられた各項目について,今後,市としてその実現に向けてどのような姿勢で取り組んでいかれるつもりなのかお答えください。  2点目ですが,提出された提言書についてはこれから市の内部でその実現に向けて検討作業が進んでいくと思われますが,その検討結果についてはほったらかしにすることなく確実に地域住民に対してフィードバックをしていく必要があると思いますが,そのスケジュールも含めて今後どのように進めていくお考えなのかをお答えください。  続いて,有害鳥獣対策についてお尋ねします。  有害鳥獣対策については,市民生活に直結した問題になってきており,被害防止の強化が急がれることから,昨年の6月議会に引き続き一般質問を行わせていただきます。  国においては,平成25年12月に抜本的な鳥獣捕獲強化対策を決定し,生態系や農林水産業に深刻な被害を及ぼしている鹿,イノシシ等の野生鳥獣の生息頭数を抜本的な捕獲強化の対策を講じることで,平成35年度までに半減することを目指す当面の捕獲目標を掲げています。  また,この目標を達成するために鳥獣保護法や鳥獣被害防止特措法の改正を行い,鳥獣捕獲等の促進と捕獲の担い手の育成,市町に対する財政的支援に取り組んでおられます。  本市においても,国の財政的支援を活用しながら各種対策を推進し,有害鳥獣の捕獲や農作物の被害軽減で一定の成果を上げられていると思いますが,市内各地で市街地への有害鳥獣の出没が相次いでいるのが実情です。  私の地元の安佐北区において,白木町三田で朝の通勤時間帯に大型の鹿が県道に出没,口田南では朝の10時に3匹のイノシシが出没するなど,日中の時間帯に有害鳥獣が出没しております。  また,高陽ニュータウンの県営住宅の隣の竹やぶにイノシシが出没し,市民生活に近接した場所にも有害鳥獣が出没するようになってきております。  今後,国が抜本的な対策として位置づけた広島県や本市の捕獲事業の強化や狩猟者等の育成,確保等の取り組みが進み,現在の状況が飛躍的に改善されることを切望しますが,当面の間はこの状況が続くものと考えられ,市街地に出没した有害鳥獣から住民の生命や財産を守るための対策の強化が本市にとって喫緊の課題であると思います。  そこでお尋ねします。  市街地に出没した有害鳥獣から市民の生命や財産を守るためには,有害鳥獣の出没情報を市民に周知し,市民みずからも自分の身を守ってもらうことが重要であると思います。現在,どのような方法で取り組まれているのかお答えください。  また,市街地への出没を減少するためにはどのような対策が最も効果的であると考えておられるのかお答えください。  最後に,広島高速5号線についてお尋ねをいたします。  広島高速5号線は広島高速1号線及び山陽自動車道と一体となり,本市の都心部と広島県東部地区及び広島空港との間の高速性,定時性の向上や温品・中山地区を初めとする一般道路の交通混雑の緩和のほか,広島都市圏のさらなる発展を牽引する広島駅周辺地域の開発促進などの役割を担う路線として平成12年度から事業が実施されています。  その後,高速5号線のトンネル上にある地区の住民から,地表面沈下や土砂災害等を危惧する声が上がったことから,県,市,高速道路公社は平成21年9月に学識経験者による高速5号線トンネル安全検討委員会を設置して,3年近くにわたり科学的見地から審議・検討を行いました。  そして,平成24年8月,同委員会から地表の建物に被害が生じない状況で安全なトンネル工事が可能であるとの報告がなされたことから,県,市では平成24年12月に最も地表面沈下の抑制にすぐれたシールド工法を採用することなどにより,安全性の確保は可能とし,当該事業を再開いたしました。  このような中,本議会としても広島高速5号線が本市の中枢性を大幅に向上させる重要な道路であることなどから,本市の都市活力向上のために,早期完成に向けて取り組むことなどを強く求める決議を平成24年9月議会において議決しております。  私は,この決議が議決されたときには市議ではありませんでしたが,本市の活性化のため,この高速5号線の整備は不可欠であると考えております。  厳しい社会経済情勢が続き,都市間競争が一層激しさを増す中で,本市の中枢性の向上には欠かすことのできない重要な道路として一日も早く完成していただきたいと思っております。  そこで,2点ほどお尋ねいたします。  まず1点目ですが,この高速5号線は平成32年度の完成を目指して整備が進められていますが,現在の進捗はどのような状態かお答えください。  また,先月8日の早朝,福岡市のJR博多駅前において福岡市営地下鉄のトンネル工事施工中に道路陥没事故が発生しましたが,工事関係者の迅速な対応により,幸いにも一人の犠牲者も出なかったと聞き,安堵しているところでございます。  この福岡のトンネル工事は,都市部の地下で進められているものであり,二葉山や尾長山の地下を掘る高速5号線のトンネルとは状況が違うと思いますが,同じトンネルということもありますので,お尋ねをしたいと思います。  高速5号線のトンネル工事の実施に当たり,この福岡での事故についての市の受けとめとトンネル工事への対応について何かお考えがあればお答えください。  高速5号線の一日も早い完成をお願いして,私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○永田雅紀 議長       市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       木戸議員からの御質問にお答えします。
     安佐北区のまちづくりについてのうち,まちづくりの提言書に対する本市の受けとめと今後の取り組み姿勢についての御質問がございました。  昨年11月に開催した安佐市民病院の建てかえ方針等に係る説明会において,私は日本創成会議が言及した安佐北区が消滅可能性都市になるという将来予測を打ち破るために,しっかりとまちづくりを進めていくという決意を申し上げました。  そして,まずは自分たちのまちは自分たちでつくるという基本的な考え方のもとで,地域が主体となってまちづくりについて議論を進められ,具体的な内容を示していただくよう提案いたしました。  安佐北区の各地域におかれては,この提案を真摯に受けとめていただいて,議員御紹介のように,それぞれの地域において熱心に議論を重ねられた結果,このたび提言書を取りまとめられ提出いただいたものであります。  それぞれの地域では,この機にまちづくりの機運が高まり,まずは地域の特徴や課題を的確に捉え,自分たちのまちはどのようなまちを目指すのか,そのためには地域みずからが何をなし,また,関係者からどのような協力を得るのか,その上で行政にどのような支援を求めるのかなどについて,真剣かつ活発な議論がされたと伺っております。  こうした過程を経て取りまとめられた提言書は,まさに私が理想と考えているまちづくりの実践の成果であり,地域の思いと私の思いを一にするための素地ができたあかしであるとも受けとめているところです。  したがって,安佐北区のまちづくりを進めていく上で,最大限尊重していきたいと考えております。  現在,この提言の内容を踏まえていかにして人口減少の歯どめをかけて地域の活性化につなげていくかといった観点から,本市としての取り組みについて全庁を挙げて検討を進めているところです。  今後,その検討結果を踏まえて,地域と市の担当者とが意思疎通を図りながら,着実に事業展開を図っていきたいと考えております。  その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。 ○永田雅紀 議長       企画総務局長。 ◎岡村清治 企画総務局長   安佐北区のまちづくりについての御質問のうち,各地域から提出されたまちづくりの提言書について,市の検討結果を確実に地域住民へフィードバックする必要があるが,そのスケジュールを含め今後どのように進めていくのかという御質問についてです。  安佐北区各地域からの提言の検討結果については,少しでも早く地域の皆様の思いにお応えできるよう,可能なものは来年度から実現に向けた取り組みを開始するように考えており,また,実現に時間を要するものであっても引き続き地域と連携・協力し,対話を図りながら確実に取り組んでいきたいと考えております。  来年度の予算措置が必要となる取り組みについては,2月議会において議会の承認を得ることができるよう手続を進めてまいります。  また,これらの状況については,地域の皆様へ丁寧に説明していきたいと考えております。  以上でございます。 ○永田雅紀 議長       こども未来局長。 ◎滝川卓男 こども未来局長  二つの御質問についてお答えします。  まず,児童虐待につながる子育て家庭の孤立化防止のため,市民に身近な区役所に気軽に相談できる窓口が必要であると思うが,区役所の相談体制はどうなっているのか。また,今後,どのように取り組むのかについてお答えします。  本市では,従前より全区役所に専門の家庭相談員を配置し,育児の悩み,非行,不登校など子供に関するあらゆる相談に応じていましたが,深刻化している児童虐待や養育問題などに係る相談機能の強化を図るため,児童相談所に勤務経験のある社会福祉主事を増員し,こども家庭相談コーナーの設置を進めています。  平成24年4月,安佐南区の設置を皮切りに,現在5区に設置していますが,残る中区,東区,南区についても来年度の設置に向けて取り組んでまいります。  次に,特定不妊治療費助成について,他の自治体が行っているように,国の助成制度に本市独自の上乗せを検討すべきではないかについてお答えします。  本市では,不妊治療のうち,体外受精及び顕微授精の特定不妊治療について,医療保険が適用されず治療費が高額であることから負担軽減を図るため,国の助成制度に基づき治療費の一部を助成しています。  しかしながら,現在の助成制度は1人の母親の治療回数が6回目までと制限していることから,例えば第1子の治療回数が6回を超え,第2子以降の治療が全額自己負担になることもあるなど,若い世代にとっては経済的負担が大きく,治療をためらうケースがあるといった声を市民や医療機関からお聞きしています。  特定不妊治療に係る費用の負担軽減を図ることは出生率の向上の観点からも重要であると考えており,他の自治体の取り組みも参考にしつつ,内容の充実について検討していきたいと考えております。  以上でございます。 ○永田雅紀 議長       健康福祉局長。 ◎川添泰宏 健康福祉局長   高齢者福祉に関する2点の御質問にお答え申し上げます。  まず,介護予防・日常生活支援総合事業では,住民に制度の必要性などをしっかり理解してもらうとともに,担い手側の事務的負担を軽減して取り組みやすくする必要があると思うがどうかとのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり,介護予防・日常生活支援総合事業を活用し,住民主体の生活支援サービスや通いの場の充実を図っていくためには,まず市民の皆様にエリアマネジメント,支え合い,世代等を超えた分かち合いという三つの視点に立った地域福祉の再構築が必要な時期を迎えてきていることへの理解を深めていただくことが重要です。  このため,こうした考え方や総合事業の制度の内容について,今後,各区での市民説明会や広報紙,ホームページで周知していくとともに,区役所健康長寿課や地域包括支援センターの窓口でも丁寧に説明していきたいと考えております。  さらに,高齢者にみずからの健康づくり,介護予防のための通いの場,あるいはボランティア活動へ積極的に参加していただくための動機づけとなるよう,活動実績に即したポイント制補助の導入も現在検討しているところでございます。  また,総合事業の担い手となる地域団体等の事務負担の軽減につきましては,本年度のモデル事業でいただいた御意見を踏まえ,事業計画の申請や実績報告に当たって作成する書類や手続の簡素化を図るなど,より多くの団体に取り組んでいただけるようにしたいと考えております。  次に,新しいポイント制補助への移行期間は,ポイント制度の浸透状況を勘案して柔軟に考えてはどうかとのお尋ねでございます。  高齢者公共交通機関利用助成からポイント制補助への移行期間を設けた理由は,その間,高齢者に地域の中で交流の場や支え手として活動できる場を見つけ参加する,あるいはそういった活動をみずから立ち上げる中で,次第にポイント制度になれていただきたいと考えたためでございます。  また,市においてもポイントを付与する団体のさらなる掘り起こしを図り,高齢者が地域でより参加しやすい状況にしていきたいと考えております。  今回の制度の移行に当たりましては,段階を追って確実かつ円滑に進めていくことが重要です。このため,既存の交通費助成制度からの移行期間につきましては,ポイント制導入後の実施状況を見ながら適宜必要な検討を行いつつ,柔軟に設定してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○永田雅紀 議長       経済観光局長。 ◎久保下雅史 経済観光局長  有害鳥獣対策についてお答えします。  まず,市街地に出没した有害鳥獣から市民の生命や財産を守るためには,有害鳥獣の出没状況を周知し,市民みずからも自分の身を守ってもらうことが重要であるが,現在,どのように取り組んでいるのかとの御質問でございます。  有害鳥獣の出没を目撃した市民からの通報等は,区役所や県,消防,警察などの機関に寄せられますが,これらの情報を区役所が一元的に集約し,できる限り迅速に市民へ周知を行っています。  具体的な方法としては,各地区の町内会長を通じた情報伝達や区役所広報車による広報等により,市民に対し出没日時や出没場所の情報を提供し,注意喚起を行っております。  こうした方法により,市民に不急の外出を控えてもらうなど,自分の身を守ってもらえるように取り組んでおります。  続きまして,有害鳥獣の市街地出没を減少させるためにはどのような対策が最も効果的であるかとの御質問でございます。  有害鳥獣の市街地出没が増加している原因として,市街地周辺での里山林の荒廃や耕作放棄地の増加により鳥獣の生息域が人里近くへ拡大してきていること,狩猟者の減少,高齢化に伴う狩猟活動の停滞により有害鳥獣の個体数が増加していることなどが挙げられます。  まず,市街地への有害鳥獣の出没を減少させるためには,有害鳥獣の生息域を人里から遠ざけるための環境整備が重要であると考えています。  具体的には,市街地周辺で収穫されず放置され鳥獣の餌となっている果樹や野菜等の除去や,鳥獣の隠れ場となっている里山林の整備や耕作放棄地の解消等が挙げられます。  そして,市街地周辺の森林等において,駆除を積極的に行うことも重要であると考えています。  今後とも,有害鳥獣の市街地における出没を未然に防止するため,有害鳥獣が出没しにくい環境づくりを推進していくとともに,駆除班による有害鳥獣の駆除を強化していきたいと考えております。  以上でございます。 ○永田雅紀 議長       道路交通局長。 ◎向井隆一 道路交通局長   広島高速5号線について,2点の御質問にお答えをいたします。  まず,現在の進捗状況はどうかについてでございます。  広島高速5号線につきましては,将来にわたり広島県,広島市の活力とにぎわいを生み出し続けていく上で欠かすことのできない都市基盤施設であり,現在,平成32年度の全線完成を目指し着実に事業を進めているところでございます。  事業の進捗状況ですが,用地取得につきましては,これまで多くの地権者の御理解を得て,面積ベースで約95%の取得を行っており,引き続き残る地権者の方々の協力が得られるよう鋭意用地交渉等に取り組んでいるところでございます。  工事につきましては,トンネル区間は本年5月31日に公社がシールド工法区間の工事について施工業者と契約締結しており,現在,施工業者において詳細設計が進められています。  今後,シールドマシンの工場製作を進め,現地でのマシン組み立て等の作業を経て平成30年春ごろには二葉の里側から掘削を開始する予定でございます。  また,トンネル区間以外につきましては,全区間にわたって高架橋工事等を進めており,このうち温品地区では既に完成し,二葉の里地区では来年3月末に完成する予定でございます。  事業全体の進捗率は昨年度末現在の事業費ベースで約64%となっており,今後とも県,公社と連携して着実な事業推進を図ってまいります。  次に,JR博多駅前で発生した道路陥没事故についての受けとめと,広島高速5号線のトンネル工事への対応についてでございます。  福岡市における地下鉄工事に伴う道路陥没事故については,トンネル施工中に発生した事故であることから本市としてもこの事故を真摯に受けとめ,事業主体である広島高速道路公社や広島県とともに発生直後から情報収集に努めているところでございます。  広島高速5号線のトンネルは,二葉山や尾長山の良質な岩盤内を掘削するものであり,安全に施工できるものと考えていますが,引き続き,県,公社と連携しながらトンネル工事について安全に施工できるよう万全を期してまいります。  以上でございます。 ○永田雅紀 議長       5番木戸議員。 ◆5番(木戸経康議員) 本当にありがとうございます。  私が本日質問した内容は市民の皆さんにとって大切で大事な問題でございますので,今後とも一つよろしくお願いいたします。  以上で終わります。 ───────────────────────────────────────                  休憩宣告 ─────────────────────────────────────── ○永田雅紀 議長       この際,暫時休憩いたします。                午前11時24分休憩 ───────────────────────────────────────                午後1時04分開議                出席議員  47名                欠席議員  7名 ○谷口修 副議長       出席議員47名であります。 ───────────────────────────────────────                  開議宣告 ─────────────────────────────────────── ○谷口修 副議長       休憩前に引き続き会議を開き,一般質問を行います。  26番原裕治議員。                〔26番原裕治議員登壇〕(拍手) ◆26番(原裕治議員) 公明党の原でございます。会派を代表して一般質問させていただきます。  7項目させていただきますので,早口でしゃべりますので,まことに申しわけございません。お聞き苦しい点がございましたらお許しください。  まず最初に,平和への取り組みについてお伺いいたします。  本年5月のオバマ大統領の被爆地広島訪問は核廃絶実現に向けた歴史的な一歩であったと言えます。  また,11月には旧ソ連時代に核実験が繰り返されたカザフスタン共和国のナザルバエフ大統領が広島を訪問され,世界の政治指導者の広島訪問が大きな流れになりつつあると感じています。  先月には,長崎市長と連名でトランプ次期米国大統領に被爆地訪問を呼びかける書簡を送付されたと伺っています。  被爆地広島として,核兵器廃絶,世界恒久平和実現に向けてより積極的な取り組みを進めていくことがさらに重要になってくると考えられますが,今後,政治指導者を初めとする世界の人々の来広がますます増加することが予想される中,迎える平和を掲げる広島市として,今後どのように充実した環境整備を行い,世界の政治指導者を迎え入れるよう取り組んでいかれるのでしょうか。  国際社会では,今,核兵器をめぐる議論に大きな潮目の変化が起きています。とりわけ2013年からのノルウェー・オスロ,メキシコ・ナジャリット,オーストリア・ウィーンでの3回にわたる核兵器の人道的影響に関する国際会議の議論を通じ,核兵器の非人道性に対する懸念が共有され,人類はこれからも核兵器が存在する世界で生き続けるしかないのか,それとも,禁止と廃絶に向けた道を開くのか,具体的な選択が問われるときを迎えようとしています。  本年10月27日,軍縮と国際安全保障について議論する国連総会第1委員会で核兵器禁止条約の制定に向けた交渉を2017年に開始することを求める決議案が123カ国の賛成を得て採択されました。これは,大量破壊兵器である核兵器の廃絶を国際社会が強く求めている証左であり,今こそ核兵器のない世界への流れを推し進めていく最大のチャンスだと考えます。  世界の賛同国やNGOが主導して制定された兵器禁止の条約としては,対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約の例もあり,核兵器禁止条約についても世界規模の連帯が重要と考えます。  今後の核兵器廃絶の流れを確かなものにしていくためには平和首長会議の役割が大きいと考えますが,核兵器禁止条約の制定に向けて今後,平和首長会議としてどのように取り組まれるのかお聞かせください。  次に,平和記念公園内の遺構の活用についてお伺いします。  被爆から70年以上が経過し,被爆者の方が少なくなる中,被爆の実相をこれまで以上に伝えていくことが重要な時期に差しかかっています。
     こうした中,広島市においては本年度から被爆の実相を守り,広め,伝える事業について一層力を入れて取り組まれているところですが,被爆の実相を伝える上で中心的な役割を果たしている平和記念資料館についても展示内容の全面リニューアルに取り組まれるとともに,本館の耐震化などの改修工事に取り組んでおられます。  現在,本館の耐震化工事に先立って資料館本館下の発掘調査が行われていますが,11月2日の中国新聞に,発掘調査の現地説明会に参加した市民の投書がありました。その内容は,以前,観光客が原爆が落ちたのが公園でよかったですねと話すのを聞いて驚いたことがある,爆心地に近いこの地には,多くの市民の生活があった,それが忘れ去られ,被爆体験の風化が懸念されている,長崎市には原爆遺跡を保存公開している場所があると聞く,ガラスケースの展示ではなく,見学者により強い印象を与える生活遺跡の保存公開こそ重要ではないだろうかというものでした。  我が会派でも,先月,発掘調査の現場を視察してまいりました。被爆時やそれ以前の近代・近世にわたる旧材木町の町並みの遺構を確認することができ,感慨深いものがありました。南海トラフなどの大きな地震災害の危険性が高まっている今,多くの観覧者が訪れ,かつ,重要文化財でもある平和記念資料館本館の耐震化工事のため,建物の下に免震装置を入れる必要があり,ここに遺構を残せないのはやむを得ないと思います。  しかしながら,先ほどの投書にもあったように,被爆当時,こうした町並みの遺構がこの地が被爆前から公園だったのではなく,かつて多くの市民の営みがあった場所であることをまざまざと想起させるものがあると思います。これまでの発掘調査においてどのようなものが発掘されたのか,お聞かせください。  また,平和記念公園のある旧中島地区が被爆前は広島市内有数の繁華街であったことを,平和記念公園を訪れる国内外の人々に知ってもらうことが被爆の実相を伝える上で重要な取り組みの一つであると考えられますが,これまでどのような取り組みを行ってこられたのでしょうか。  また,6月議会,9月議会でも答弁がありましたが,平和記念公園の地下に眠る旧中島地区の町並みの遺構の活用を被爆75周年を念頭に置きながら検討するとのことですが,どのように取り組んでいこうとされるのかお聞かせください。  次に,地球温暖化対策についてお伺いします。  昨年末,パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議,いわゆるCOP21において,途上国を含む全ての国が温室効果ガスの削減に取り組み,世界全体で産業革命前から平均気温の上昇を2度未満に抑えることを目指す,2020年以降の新たな国際的枠組みであるパリ協定が採択されました。  世界気象機関の発表によると昨年世界の平均気温は観測史上最高となり,産業革命前の水準から既に1度を超え,ことしは昨年をさらに上回ると見通しも示され,地球温暖化の進行は一段と深刻さを増したと言えます。  パリ協定が掲げた目標達成には,今世紀末までに温室効果ガス排出量を世界全体でゼロにする必要があり,大変厳しいものです。  しかしながら,このパリ協定については採択以降,世界の温室効果ガス排出量の4割近くを占めるアメリカと中国を初め,多くの国により批准され,先月4日には採択から1年足らずという異例のスピードで発効されました。  そして,その発効直後にモロッコのマラケシュで開催されたCOP22では,アメリカの次期大統領に地球温暖化対策に否定的なトランプ氏が選ばれたことによる影響が懸念されたものの,温暖化対策は全ての国の緊急の責務だなどとするマラケシュ行動宣言が参加国により共同で発表されたほか,具体的なルールづくりの工程表が合意される等,国際社会は一致団結して2020年のパリ協定のスタートに向け順調に歩を進めました。  こうした一連の動きは国際社会が地球温暖化の問題を先送りのできない喫緊の課題として受けとめ,石炭や石油など化石燃料の大量消費に依存する現在の経済や社会を変革していくという強い意思を示したものであり,まさに地球温暖化対策に対する潮目が変わったと言えます。  また,その背景にはゲリラ豪雨や大型台風など,地球温暖化との関連が疑われる自然災害が世界中で多発していること等による各国の強い危機感があると思います。  一方,我が国においては,御承知のとおり,パリ協定の発効までに批准の手続が間に合いませんでしたが,環境の党として数多くの実績を積み重ねてきた我が党としては,今後,我が国が環境先進国として国際社会に積極的に貢献していけるよう,政府をしっかりと後押ししていきたいと考えています。  また,我が国の国内対策については,昨年11月に地球温暖化の進行によって引き起こされる被害等の軽減策等をまとめた我が国では初めての適応計画が閣議決定され,続いてことし5月にはパリ協定を踏まえた地球温暖化対策計画が閣議決定されたところです。  さらに現在は,2050年以降の低炭素社会に向けた長期ビジョンの策定が進められる等,地球温暖化対策が矢継ぎ早に充実強化されています。  こうした中,広島市の取り組みはどのようになっているのでしょうか。地球温暖化対策を進めるに当たっては,市民や企業等のあらゆる主体の意識や行動の変革を促し,地域の実情に応じた取り組みを進めることが重要と考えます。  昨年6月議会において,私はそろそろ広島市も新たな削減目標を掲げて,計画的に地球温暖化対策に取り組む時期に来ているのではないかと質問いたしました。  これに対し,松井市長からは国の計画が策定されればその計画の内容を踏まえて広島市の新たな計画を策定し,しっかりと取り組んでいきたいと大変心強い前向きな御答弁をいただきました。  そして,現在,新たな計画を策定中と聞いています。ことし5月に閣議決定された国の計画では,温室効果ガス排出量の削減目標について長期目標は現状と比べて2050年度に80%の削減を,中期目標は2030年度に2013年度比26%の削減を,短期目標は2020年度に2005年度比3.8%以上の削減を掲げています。  一方,広島市では平成21年11月に策定された広島カーボンマイナス70において,当時としては大変野心的な2050年に平成2年度,1990年比70%削減という温室効果ガス排出量の大幅削減に向けた長期目標を掲げられました。  パリ協定を踏まえると,温室効果ガス排出量の大幅削減は不可欠であり,エネルギーの大消費地である広島市にはぜひ国以上の削減目標を掲げていただきたいと期待しています。  現在,策定中の新たな計画では,どのようなお考えで削減目標を設定しようとしているのかお聞かせください。  また,広島市はこれまで平成15年5月に策定された広島市地球温暖化対策地域推進計画に掲げられた,温室効果ガス排出量を平成2年度比6%削減という目標達成に向けさまざまな取り組みをされてきました。  直近のデータである平成26年度の排出量は残念ながら平成2年度と比較して11.8%の増加となっています。増加した要因には,電気事業者の二酸化炭素排出係数の悪化や人口・世帯数の増加等が考えられますが,いずれにしてもこれまでと同じような取り組みでは温室効果ガスの大幅削減はできないのではないでしょうか。  広島市としては,現在策定中の計画に掲げた新たな削減目標を達成するため,具体的にどのような取り組みを進めようとされているのかお聞かせください。  また,世界的知名度がある広島市には,人類共通の課題である地球温暖化の問題について,国際社会に貢献していく必要があるのではないかと思います。この点について,どのようなお考えかお聞かせください。  次に,少年サポートセンターひろしまについてお伺いします。  本市においては,非行防止対策の総合的かつ効果的な取り組みを推進するため,全国初の取り組みとして市庁舎内に広島市教育委員会職員と広島県警察職員とが常駐する少年サポートセンターひろしまを昨年度設置し,ワンストップで非行防止から立ち直り支援までの一貫した支援が行われています。  この少年サポートセンターひろしまは,平成25年12月議会で我が会派の安達議員が質問したことが契機となり,開設に至ったものです。  今年度は少年サポートセンターひろしまが開設されて2年目となりますが,これまで具体的にどのような取り組みをし,どのような成果があったのかお聞かせください。  先日,我が会派は少年サポートセンターひろしまを視察させていただきました。少年サポートルーム事業が少年の居場所づくりや立ち直りのきっかけとなっており,非常に重要な役割を果たしているということを改めて感じた次第です。  少年サポートルーム事業については,毎週,中区で開催されていますが,今年度,新たに安佐南区でもサポートルームあさみなみを開設したと伺いました。どのような状況になっているのでしょうか。  今後,安佐南区以外に,居住する少年たちも視野に入れた対策が必要であると考えます。遠隔地に居住する少年の対応,サポートルームのさらなる拡充に向けてのお考えをお聞かせください。  さて,広島市教育委員会が9月に発表した平成27年度における不登校,いじめ,暴力行為の状況によると,学校における暴力行為の発生件数は,小学校201件,中学校194件であり,初めて小学校の件数が中学校を上回りました。  また,教育委員会のアンケート調査によると,平成27年度における自分専用の携帯・スマートフォン所有率は小学生43.5%,中学生52.7%,家族所有を含む携帯・スマートフォン使用率は小学生68%,中学生65.5%でした。  携帯・スマートフォンの利用開始年齢は下がってきています。携帯・スマートフォンは安全に正しく使えばとても役立つ便利なものですが,事件や事故,犯罪につながる危険性を持っていることも事実です。子供たちに,利便性だけでなく,ネット上の危険性を把握させる必要があります。  これらの状況から,本市においても,今後は小学生も視野に入れた非行防止対策,関連機関と連携した対応の強化が必要であると考えます。  少年サポートセンターひろしまにおける非行の低年齢化への対策について,お聞かせください。  次に,特別支援教育の充実についてお伺いします。  本年4月1日には,いわゆる障害者差別解消法が施行され,法の趣旨から考えても今後ますます特別支援教育の充実を図ることが重要であると考えます。  そうした視点で,二つの質問をさせていただきます。  まず1点目は,特別支援学校の職業教育の充実についてです。広島市立広島特別支援学校は,平成24年9月に現在地の出島に移転し,開校以来,国内外から毎年多くの方々が来校し,皆さんが口々に施設のすばらしさとともに,一人一人の児童生徒の教育的ニーズに応えるきめ細かい教育を行っていることに高い評価をされているとお聞きしています。  障害のある子供たちがみずからの人生を豊かなものにしていくためには,一人一人の障害の状況や適正に応じて,自立や社会参加を促していくこともとても大切なことです。障害の有無や程度にかかわらず,できる限り職業的な自立を目指してほしいというのが保護者の切なる願いではないでしょうか。  そういう意味では,広島特別支援学校に平成24年度に設置された高等部職業コースでの取り組みや職業教育,キャリア教育に係るさまざまな取り組みは子供たちにとって職業的な自立を促す一助となっていると思います。  職業的な自立に向け,小・中・高等部12年間を見通してどのような取り組みを行っているのか。また,そうした取り組みに加え,高等部職業コースではどのような取り組みを行っているのか。  また,高等部職業コースを設置した平成24年度以降の一般就労率はどのようになっているのか,その推移をお聞かせください。  平成25年4月より法定雇用率が引き上げられたことに加え,社会全体として障害者に対する理解が深まりつつあることなどから,高等部を卒業した生徒の就労先については今後職域が拡大するのではないかと思います。  特別支援学校と教育委員会が毎年インターンシップガイドというものを策定しておられますが,その中に,特別支援学校の生徒を対象としたインターンシップの受け入れ先企業が載っています。  それを見ると,販売,飲食,製造,病院介護,ホテル,清掃など,実にさまざまな業種の数多くの企業で実習が行われていることがわかります。  企業側の意識も変化し,障害者雇用に向け取り組んでいるということだと思います。  実際に,インターンシップの受け入れを経て特別支援学校の生徒を雇用した企業は,非常にまじめな勤務態度と元気のよい挨拶などにより,社内に活気と笑顔があふれ社内環境の向上につながっているなど,特別支援学校の生徒を雇用したことを非常に高く評価されているようです。  今後,社会のグローバル化や高齢化が加速するなど,企業を取り巻く環境も変化し,それに伴い企業のニーズも変わってくると思われますが,特別支援学校においては,こうした企業のニーズに応える職業教育の充実に向けてどのように取り組もうと考えているのかお聞かせください。  続いて,2点目として,特別支援教育におけるICTを活用した取り組みについてです。  先日の決算特別委員会総括質疑においても,山路議員も特別支援教育におけるタブレット端末の有用性について取り上げられました。  我が会派も,これまで発達障害や視覚障害のある児童生徒の中には教科書の文字や行を飛ばして読んでしまう,どこを読んでいるのかわからなくなるなど,読むことに困難さを抱える児童生徒のために,マルチメディアデイジー教科書の必要性を訴えてきたところです。  広島市では,これまでも全ての小・中・高等学校,特別支援学校にコンピューター教室を設置するとともに,各教室に50インチの大型テレビを置くなど,ICTを活用した教育を推進する環境を整えてきていますし,特に特別支援教育においてはタブレット端末を活用した教育の推進に取り組み,成果を上げていると聞いています。  私は,タブレット端末等のICT機器を整備するだけでなく,その取り組みの成否は指導する先生方の専門性の向上にかかっていると思います。  個々の子供のニーズに応じて,ICT機器等をどのように活用していくのか,その見きわめも重要だと考えます。  特別支援学校や特別支援学級,通級指導教室でのタブレット端末を活用した取り組みにおいて具体的にはどのような成果があり,また,教員の専門性の向上に向けてはどのように取り組んできたのか。  また,これまでの取り組みの成果を踏まえ,今後,特別支援教育に係るタブレット端末の整備についてどのようにしていこうと考えているのかお聞かせください。  次に,宿泊施設の容積率緩和制度についてお伺いします。  政府観光局がことし1月に発表した2015年の訪日外国人観光客数は前年比47.1%増,1973万人を超え,過去最高でした。これで3年連続で過去最高を更新し,ことし10月には2000万人を超えたと発表がありました。  また,国内のホテルや旅館への昨年の年間宿泊数は前年より6.5%多く,過去最高を記録しています。外国人の宿泊が前年の1.5倍に伸びたことが全体を押し上げています。  宿泊の埋まりぐあいを示す客室稼働率は大阪府や東京都で8割を超え,大都市のホテル不足が深刻な実態も明らかになりました。広島県においても,全国11番目と高い稼働率になっております。  こうしたホテルの需要の高まりを受け,政府はホテルや旅館を新築したり建てかえしたりする際に,より大型化して客室をふやせるよう,自治体の判断により容積率を緩和することができる新たな制度を創設しました。  容積率は都市計画法や建築基準法により示された一定の基準のもとに自治体がこの基準の範囲内で地域の実情に合った数値を指定するものです。  現行においても広島駅前のような優良な再開発を支援するといったことを目的として,特定の区域,建築物に限り容積率を緩和することができる制度が用意されていますが,今回の制度は,特に需要が高まっている宿泊施設に着目した緩和制度となっており,実際に適用するかやどの程度緩和するかは自治体の判断に委ねられるものの,自治体にとって有用である都市計画制度の幅が広がり,特に都心部における有用なまちづくりツールとなるのではないでしょうか。  今回の新たな容積率緩和制度の創設を受け,本市としてどのように対応していこうと考えておられるのかお聞かせください。  最後に,無料Wi−Fiの拡充についてお伺いします。  外国人から要望の多い,無料の公衆無線LAN,いわゆる無料Wi−Fiの整備が加速しています。  東京では都営地下鉄車内でWi−Fiが使えます。また,関西広域連合では,関西,鳥取,徳島の8府県内の自治体が運営する無料Wi−Fiを共通化し,初回の認証手続を済ませば8府県内の無料Wi−Fiにワンタッチで接続できるようになります。  さらに香川県では,平成26年度から国内外からの旅行者や来訪者の利便性向上のため,県内各地に公衆無線LANサービス──かがわWi−Fiアクセスポイントの設置を進めています。  観光客が利用する宿泊施設のほか,災害発生時の避難所なども対象として,市町や民間事業者が整備するアクセスポイント設置費用に助成の上,整備を促進し,国内外からの観光客や来訪者の皆様が手軽に観光情報や交通情報にアクセスでき,さらに災害時の県民の通信手段の確保にも役立てるというもので,官民連携で取り組んでいます。  本市においても外国人観光客の利便性の向上のため,ネットワーク通信事業者と連携して,平成25年8月に市内中心部の公共観光施設等で,「Hiroshima Free Wi−Fi」の運用を開始し,整備は進んできていると思いますが,現状の市域の整備状況についてお聞かせください。  また,国においては本年3月に策定した明日の日本を支える観光ビジョンで,訪日客を2020年に,これまでの2000万人から4000万人に引き上げる新たな目標を設定しており,この目標を達成するためには,大都市に集中する訪日客を地方に呼び込むことが鍵としています。  その地方に呼び込む対策として,国は全国から景観や歴史,温泉といったテーマ性を持たせる広域観光周遊ルートを公募し,11のルートを認定していますが,その中には瀬戸内7県エリアのせとうち・海の道があります。  また,本市においても,本年3月に広島広域都市圏発展ビジョンを策定し,圏域内の24市町が強固な信頼関係により200万人広島都市圏構想の実現を図ることとしており,そのビジョンの中の具体的な取り組みの一つとして,圏域全体としての誘客の促進と,圏域内の広域的な観光ルートの創出による滞在型観光客の拡大を掲げています。  これら双方を見据えて,今後,本市を拠点とする広域観光エリアにおいて各市町と連携を強化して,外国人観光客のニーズの高い無料Wi−Fiの整備を拡大するとともに,利用状況のデータを分析しながら,より一層の周遊を促すという広域展開の質と量,双方の充実に取り組むべきだと考えます。  外国人観光客のおもてなしの観点からも,今後,「Hiroshima Free Wi−Fi」の広域的な拡充に向けてどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。  以上で,一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○谷口修 副議長       市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       原議員からの御質問にお答えします。  地球温暖化対策についてのうち,国際社会への貢献に対する考えについての御質問がございました。  地球温暖化の問題は人類の生存基盤にかかわる重大かつ喫緊の課題であり,その解決に向けて国際社会が共同して取り組む必要があります。  とりわけ,本市のようなエネルギーの大消費地である都市には,温室効果ガスの排出量の大幅削減に向けてさらなる措置を講じるとともに,その取り組みを加速させる責務があると考えております。  また,核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現への取り組みをともに進めております平和首長会議を主宰する本市には,人類の生存基盤にかかわる地球温暖化問題について平和への取り組みと同様に,その解決に向けて貢献する使命があると認識しております。  こうした認識のもと,本市としては昨年11月に都市間の地球温暖化対策としては最大規模の連携であります首長誓約に参加するとともに,ことし11月には持続可能な社会の実現を目指す1,500以上の自治体で構成された国際ネットワークであります,イクレイの日本支部の理事に就任したところであります。  私としては,今後,首長誓約等を通じて本市の地球温暖化防止に対する取り組みや成果等の情報を発信するとともに,イクレイ日本支部の理事として環境問題に関する国際会議に出席すること等も通じ,国内外の都市との連携を図っていきたいと考えております。  そして,こうした取り組みを重ねていくことで,地球温暖化防止に向けた世界レベルの取り組みを加速させる役割もしっかり担っていきたいと考えております。  その他の質問については,関係局長から答弁いたします。 ○谷口修 副議長       環境局長。 ◎北吉孝行 環境局長     地球温暖化対策について2点の御質問にお答えいたします。  まず,国以上の削減目標を掲げていただきたいが,現在,策定中の計画ではどのような考えで削減目標を設定しようとしているのかとの御質問についてです。  先ほど市長が答弁しましたように,エネルギーの大消費地である都市には温室効果ガス排出量の大幅削減に向けて,率先して地球温暖化対策を実施していく責務がございます。  本市としては,こうした認識のもと,持続可能な低炭素都市の実現を目指し,引き続き高い削減目標を掲げて地球温暖化対策に取り組んでいきたいと考えています。  具体的には,国の地球温暖化対策計画に位置づけられた対策を,国や広島県等と連携して実施するとともに,本市独自の施策を展開することにより,国の削減目標値以上の削減目標が掲げられるよう検討しているところでございます。  次に,新たな削減目標を達成するため,具体的にどのような取り組みを進めようとしているのかとの御質問についてお答えします。
     削減目標を達成するためには環境に配慮したライフスタイルやビジネススタイルへの転換を図り,社会システムを変革していくことにより,エネルギー消費の少ない低炭素都市づくりを推進する必要があると考えています。  また,そうした取り組みに当たっては,行政だけでなく,市民,事業者等の全ての主体が目標を共有し,一体となって取り組むことが重要と考えています。  こうした認識のもと,具体的な取り組みとしては,短期的には市民総ぐるみキャンペーンの実施や環境学習の充実等を図るとともに,LED照明への切りかえ等,省エネルギー対策のより一層の推進や太陽光やバイオマス等の再生可能エネルギーの導入促進,次世代自動車の普及拡大等,主に市民や事業者の価値観や行動の変革を促す取り組みを推進していきたいと考えています。  また,中長期的には低炭素なまちづくりを進める上で有効な新たな社会システムであるスマートコミュニティーの導入を進めていきたいと考えています。  このため,その基盤となるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス等の革新的技術を用いた建築物やICTを活用したエネルギーマネジメントシステムの導入による複数の建物間のエネルギー融通の普及促進を図りながら,スマートコミュニティーの構築につなげてまいります。  また,こうした取り組みに加え,水素等の新たなエネルギーの導入について国と連携して取り組むなど,社会システムの変革に向けた取り組みを推進していきたいと考えています。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       市民局長。 ◎谷本睦志 市民局長     平和への取り組みについて,迎える平和を掲げる広島市として,今後どのように充実した環境整備を行い,世界の政治指導者を迎え入れるよう取り組んでいくのかとの御質問です。  本市は,これまで多くの為政者をお迎えしてきましたが,特に本年は米国のオバマ大統領を初め,カザフスタン共和国のナザルバエフ大統領や各国の国会議長,大臣など,多くの方々に本市を訪問していただいており,核兵器のない世界の実現に向けてともに歩みを進めていただく契機になったと考えています。  核兵器廃絶を実現するためには,被爆の実相を守り,広め,伝える取り組みを着実に進めていく中で,議員御指摘のように,世界の多くの為政者に広島を訪問していただきたいと考えています。  そのためにも,核兵器廃絶に向けた議論を行う国際会議の誘致や被爆の実相を伝えていくための平和記念資料館の再整備,被爆建物・被爆樹木の保存のほか,次世代を担う青少年の国際平和交流の活性化などに取り組んでいるところです。  また,さまざまな機会を捉え,核保有国を初めとする世界の為政者の被爆地訪問を呼びかけており,最近ではロシアのプーチン大統領や米国のトランプ次期大統領に,広島市長と長崎市長の連名で書簡を送付したところです。  本市としては,今後とも迎える平和の取り組みの充実を図りつつ,世界の為政者に被爆地訪問を呼びかけ,実現することで核兵器廃絶に向けた決意を固めていただきたいと考えています。  次に,今後の核兵器廃絶の流れを確かなものにしていくため,平和首長会議として核兵器禁止条約の制定に向けてどのように取り組むのかとの御質問です。  平和首長会議では,これまで一貫して被爆者の体験や平和への思いを共有し,相互不信にとらわれた暴力や抑止力ではなく,寛容を基調とした対話により,核兵器に依存しない安全保障体制の構築を求め続けてきました。  先般,国連総会第1委員会において,2017年に核兵器禁止条約の制定に向けた交渉を開始するよう求める決議案が賛成多数で採択された際には,全ての加盟都市に対し自国の為政者が来年3月,6月に行われる交渉会議に積極的に参加し,議論を前進させるよう働きかけてもらうことを依頼したところです。  また,今月の国連総会での決議案の採択に合わせ,核保有国や核の傘の下にある国を含む全ての国が核兵器に依存しない新たな安全保障の枠組みを追及し,核兵器禁止条約の制定に取り組んでいくよう,全ての国連加盟国に対して公開書簡を発出することとしています。  今後も交渉の進展に応じて公開書簡を発出するとともに,あわせて来年開催される交渉会議など,重要な局面には市長や職員が国連に赴き協働する加盟都市や市民,NGO等,幅広い市民社会の声を直接届けることを検討しています。  次に,平和記念公園内の遺構の活用についてです。  これまで発掘調査においてどのようなものが発掘されたのかとの御質問です。  平和記念資料館本館下の発掘調査については,昨年11月からことし5月まで東側を実施し,旧材木町筋と思われるアスファルト舗装の道路の跡や,原爆の火災により炭化したと思われるしゃもじや金属製品が発掘されました。  また,ことし9月から実施している西側においては,当時の銭湯の浴室のタイルやボイラーとして使用されたと思われるれんがの構造物,本館北側にあった浄圓寺の墓地や墓石の一部のほか,井戸などが発掘されました。  いずれも茶わんなどの陶器や瓶類などの日用品も多く発掘されており,旧中島地区で営まれた被爆前の人々の暮らしぶりがうかがえる遺構や遺物が発掘されています。  次に,旧中島地区が被爆前は広島市内有数の繁華街であったことを平和記念公園を訪れる国内外の人々に知ってもらうことは,被爆の実相を伝えていく上で重要な取り組みの一つであると考えられるが,これまでどのような取り組みを行ってきたのかとの御質問がございました。  旧中島地区が被爆前に市内有数の繁華街であったことを伝える取り組みとしては,平和記念公園内に旧中島地区の四つの町ごとに被爆前の地図や写真などを用いた説明板や旧中島地区の原爆被災説明板等を設置しています。  また,当時の中島本町の住民有志が中島本町被爆復元地図を設置されておられます。  平和記念資料館においても,中島地区復元銅板図を本館で展示しているところであり,今後,リニューアル後の東館においては旧中島地区の町並みが原子爆弾の投下により,一瞬で廃墟となる様子をコンピューターグラフィックで再現することとしています。  このほか,修学旅行で広島を訪れる児童生徒向けに配布している冊子,平和記念公園めぐりにも当時の地図や写真を掲載するなど,当時そこに多くの人々の営みがあったことをさまざまな形で伝えているところです。  最後に,旧中島地区の遺構の活用についてですが,被爆75周年の展示を念頭に置きながら,発掘場所,展示や管理の手法などの検討を進めているところであり,来年度予算において,議員から御紹介のありました長崎市の被爆地層の展示事例等を調査・研究するよう措置してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       教育長。 ◎尾形完治 教育長      少年サポートセンターひろしまについての3点の御質問にお答えいたします。  まず,少年サポートセンターひろしまが設置されて2年目ということで,どのような取り組みをし,どのような成果があったのかの御質問でございます。  少年サポートセンターひろしまは,少年サポートルーム事業を中心とした少年の居場所づくりや就学,就労支援などの立ち直り支援,生徒指導上の課題を抱える学校への支援,県警と青少年指導員等との連携による街頭補導活動などに取り組んでおります。  特に,少年サポートルーム事業におきましては,毎週1回,各種体験活動や学習支援を交互に実施しており,平成27年4月から平成28年9月末までで計74回,延べ584人の少年が参加をいたしました。  当事業に参加した少年がボランティア等と一緒に体験活動等を行うことを通して,人の優しさを感じたり,勉強に意欲を持つようになったり,さらには高校の入学試験に合格したことや就職したことなどを報告に来てくれるなど,少年の居場所や立ち直りのきっかけとなっていることがうかがえます。  次に,今年度安佐南区で開設いたしましたサポートルームあさみなみの状況,今後のサポートルーム事業の拡大についてでございます。  本年4月に設置いたしましたサポートルームあさみなみでは,9月までの間で学習支援や相談活動をおおむね月2回,計10回開催し,安佐南区内の中学校から延べ38人の少年が参加いたしました。  運営に当たりましては,多くの地域のボランティアや近隣の大学生等が少年たちにマンツーマンできめ細かく支援を行っており,参加した少年からは,集中できて勉強が楽しくなった,自分のやったことを振り返ることができるようになったなどの感想が寄せられ,また学校や保護者からは,以前より落ちついて生活できるようになった,見違えるように勉強を頑張っているなどの声が届いているところです。  今後とも,地域の実情に応じて,少年サポートルーム事業の拡充に努めてまいります。  次に,少年サポートセンターひろしまにおける非行の低年齢化への対策についてでございます。  御指摘のように,小学校においてささいなことで感情的になり,暴力行為に至るなどの児童が増加している現状がございます。  こうしたことから,生徒指導主事を中心とした小学校における生徒指導体制の充実を図るとともに,暴力行為を繰り返す児童への対応のため,これまで中学校に派遣しておりました自立支援相談員を,小学校にも派遣することについて検討していきたいと考えております。  また,小学生の携帯・スマートフォンの利用開始年齢が下がっていることなどの現状を踏まえ,現在,本市が実施しております職員と専門業者によりますネットパトロールを強化することによりまして,不適切な書き込み等を早期発見し,児童が危険な状況に巻き込まれることのないよう,学校や関係機関と連携しながら,迅速に対応していきたいと考えております。  次に,特別支援教育の充実についての5点の質問に順次お答え申し上げます。  まず,特別支援学校での職業的な自立に向けた取り組み,高等部職業コースの取り組みについてでございます。  広島特別支援学校では,児童生徒の自立と社会参加を目指し,一人一人の力を伸ばして主体性を持って豊かに生きる人間を育てるという目標を掲げ,12年間を見通し,小・中学部では社会的,職業的自立の基盤となる基本的生活習慣や社会性を育成し,高等部ではキャリア教育の視点を踏まえた進路学習や職業教育に計画的に取り組んでおります。  平成24年度には,高等部に職業コースを設置し,企業就労に向けまして被服,調理や流通の仕組みなどを学ぶ専門教科を取り入れるとともに,生徒が就職を希望する企業等での職場実習を実施をいたしております。  次に,平成24年度以降の一般就労率の推移についてでございます。  高等部卒業生全体に対する一般就労した生徒の割合は,移転開校前はおおむね20%でございましたが,移転開校後は平成24年度が28.8%,平成25年度が33.3%,平成26年度が31.5%と推移し,平成27年度は40.4%となり,初めて40%を超えました。  次に,企業ニーズに応える職業教育の充実に向けた取り組みについてでございます。  議員御指摘のとおり,一般就労先については従来の清掃や商品管理等に加えまして,販売,介護施設でのベッドメーキング,部品製造や検品・箱詰め,事務補助など,新たな業種に広がり,職種に応じた専門的な技能や対人関係能力,状況に応じた適切な判断力などの育成が求められてきております。  今後,こうしたニーズに対応するため,企業等からの社会人講師による生徒への専門的な技能の指導,就労支援アドバイザーによります教員の指導力を高める研修など,より一層充実していきたいと考えております。  また,生徒が日々の学校生活の中においても,商品管理や販売,接客といった実習を行うことができるように,教育環境等の整備に努めていきたいと考えております。  次に,特別支援学校,特別支援学級,通級指導教室でのタブレット端末を活用した取り組みの成果及び教員の専門性の向上についてでございます。  本市では,平成26,27年度に,特別支援学校と特別支援学級,通級指導教室等を設置する学校のうち,19校をモデル校として計37台のタブレット端末を整備し,効果的な活用方法に関する調査研究を行いました。  その成果といたしましては,タブレット端末を用いてコミュニケーションが苦手な生徒が他の生徒や教師に,自分の思いを伝えることができたり,読むことが苦手な児童が教科書の内容を理解することができるようになるなどの教育効果が見られました。  教員の専門性の向上につきましては,学識経験者等を講師として,授業場面でのタブレット端末等の効果的な活用方法に関する研修会を教育センターや学校において実施をいたしております。  また,タブレット端末の活用に関する実践経験が豊富なサポート員を学校等に派遣いたしまして,児童生徒の実態に即した指導・助言を行ってきております。  最後に,今後の特別支援教育におけるタブレット端末の整備についてでございます。  2年間の調査研究の成果を踏まえまして,本年度は新たに70台のタブレット端末を追加整備をし,計107台で児童生徒の実態に応じた取り組みを進めております。  今後も順次,計画的に整備をしていきたいと考えております。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       都市整備局長。 ◎宮原慎 都市整備局長    宿泊施設の容積率緩和制度について,国の制度創設を受け,本市としてどのように対応していこうと考えているのかにつきましてお答えをいたします。  建築物の容積率緩和について,本市においては,これまでも建築基準法に基づく総合設計制度などの既存制度を運用することにより,一定の緩和ニーズに対応してきたところでございます。  こうした中,本年6月に国により創設された宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度は,自治体の判断により地区計画などの都市計画制度を活用し,宿泊施設に限定して,その内容や敷地の規模などに一定の要件を設け,もとの容積率の1.5倍以下かつプラス300%以内を上限にこれまで以上に緩和を行うことができるものでございます。  当該制度の創設について,国が公表した後,本市に対しましても複数のホテル事業者から質問や相談が寄せられるなど,事業者の関心の高さがうかがえる状況となっております。  こうした状況も踏まえ,今回の緩和制度については都心部の活性化を図る観点から,関係部局と連携をして,その活用に向けて検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       経済観光局長。 ◎久保下雅史 経済観光局長  無料の公衆無線LAN,いわゆる無料Wi−Fiの拡充についての御質問にお答えします。  まず,無料Wi−Fiである「Hiroshima Free Wi−Fi」の広島市域の整備状況についてお答えします。  近年,外国人観光客の間でスマートフォン等の携帯端末を利用し,無料で観光情報等を入手できる無料Wi−Fiのニーズが非常に高くなっています。  このため,本市では平成25年8月から民間通信事業者と連携し,広島駅や広島バスセンターなどの市内の交通拠点のほか,平和記念公園や中心部商店街の主要な観光スポットなど,外国人観光客が多く来訪されるエリアに「Hiroshima Free Wi−Fi」の整備を順次進めてきています。  その結果,市内での「Hiroshima Free Wi−Fi」の利用可能エリアは平成25年度末には7カ所でしたが,本年10月末には約670カ所まで増加してきており,今後も引き続きエリア拡大に努めてまいりたいと考えております。  続きまして,今後,「Hiroshima Free Wi−Fi」の市域を越えた広域的な拡充に向けてどのように取り組んでいくのかという御質問でございます。  「Hiroshima Free Wi−Fi」の広域的な拡充につきましては,昨年度から県や広島広域都市圏域内の市町などと連携し,市域を越えた整備エリアの拡大に努めてまいりました。  その結果,本年10月末現在では,本市を除く11市町の主要な観光拠点約120カ所への整備が進み,さらに今年度,4市の10カ所にも拡大する予定となっております。  また,外国人観光客の広域エリアへの周遊促進と観光消費の増加を図るため,本年6月から多くの外国人観光客が来訪する市内の主要な交通拠点と観光拠点において,周辺市町の歴史,文化,自然景観の観光情報などを自動的に配信するサービスを試験的に実施しております。  今後とも,整備エリアの拡大に努めるとともに,外国人観光客の利用動向を踏まえた効果的な広域情報の発信に取り組むなど,無料Wi−Fiの環境のさらなる充実を図ってまいります。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       原裕治議員。 ◆26番(原裕治議員) 御答弁ありがとうございました。何点か要望させていただきます。  初めに,市長から御答弁がありました地球温暖化対策,このことにつきましては先月,イクレイという持続可能な社会を目指す自治体,こうしたことを目的として1,500の自治体が加盟していると。  これは,広島市も早くから加盟されて,国内では広島市も含めて18,そうした自治体が加盟されてるところですけど,大きな世界への広がりの大事なそういう一つの発信をする連帯だと思います。  この取り組みについては,昨年12月の議会において渡辺議員がイクレイについて質問いたしまして,こうしたイクレイに参加されてる広島市が国際社会に,しっかり国際会議等に出てしっかり発信すべきではないかと,こうしたことも質問の中で,今回11月に理事に松井市長が就任されたと,非常に大きな一つは取り組みに対する前進だと思っております。  やはり,平和首長会議と同じような連帯,こうした世界的な大きな影響のあるそうした取り組みの中で,松井市長はこれからもしっかりリーダーとしての,そのさまざまな機会を通して地球温暖化対策に対して真剣に,また,全力を尽くしていただきたいと,このようにまず思っております。  それから,環境局長から,今,策定してる計画について,国以上の目標を掲げると,非常にすばらしい回答がございました。  その回答に基づいて,しっかりこれから計画性の実行のあるそういう取り組みを進めていただきたいと思います。  ちょうど,昨日,国の一つは温室効果ガス排出の,その数値が新聞記事で載っておりましたけれども,国は2014年,2015年で削減目標,短期の目標で2020年まで3.8%と,こういう目標を掲げておりましたけども,もう既に2015年5.2%削減したと。早くも短期目標を達成したと,こういう次の目標に向かって頑張ってると。  こういう状態でもありますので,広島市は,国際平和文化都市広島と,こうなっておりますけど,国際平和環境と本当は入れていただきたいと思うぐらい,環境を大事に取り組んでいただかれるように要望しておきたいと思います。  それから,平和記念公園の遺構の活用については,しっかりとまた長崎市の状況を調査していただいて,貴重なこの遺構についての取り組み,しっかり被爆75周年に向けての取り組みをしていただきたいと,こう思います。  それから,少年サポートセンターひろしまについては,開設されて2年目ですけど,非常にすばらしい成果を上げておられると思います。  サポートルーム,これについて,中区でのその取り組みから今度は安佐南と,そういう取り組みに拡充していただいて,非常にいい一つの県警とのワンストップの対応で立ち直り支援までやってる,すばらしい活動ができるんではないかと思います。  そうした意味で,さらに地域を拡大していけるように,予算も取っていただいて,具体的に活動を進めていただきたいと,このように思いますし,それから特別支援教育での職業教育につきましては,すばらしいインターンシップガイド,これをもとにして実習を企業がされる中で,生徒さんが本当にしっかり取り組まれた成果が雇用に,今40%を超えるというところにつながってると。すばらしい一つの状況になってるんじゃないかと思います。  そうした意味で,先輩が今のような取り組みで非常にいい会社の中で好印象を与えておられるということを伺っておりますので,後に続く後輩にもそうした充実した一つの職業教育において社会で活躍をしていかれるように,しっかり充実を図っていただきたいと,このように思います。  それから,ICTの活用,タブレット端末等のことでございますけども,計画的な,今のような整備も含めて,それから専門性をしっかり教えていただける先生方のそうしたことを充実していただきたいと,こう思いますし。  ちょうど,先日の新聞では,東京都の立川市ではもう既に全小・中学校でのICT機器を全校で配置したと,タブレット端末等をですね。そういったところもありますんで,予算もありますけど,計画的な実施をしっかりしていただけるようにお願いしたいと思います。
     それから,宿泊施設の容積率緩和制度についてですが,検討していかれるということですが,いずれにしても,ホテル事業者等からそういう問い合わせがもう既にあると。それから,中国新聞の11月29日付で新聞報道もありましたけど,そうした今のホテルの事業者等から,そうした一つは取り組みをしていこうという計画を考えておられるところも多くあるということなものですから,スピード感を持って検討していただいて取り組みを進めていただきたいと,このように思います。  そして,最後に無料Wi−Fiの拡充についてですけど,24市町,200万人広島都市圏構想のこの取り組みの中で,まだできてない自治体もあろうと思いますけども,しっかり連携していただいて取り組みを進めていただきたいと,このことを要望して終わります。ありがとうございました。 ○谷口修 副議長       次に,47番沖宗正明議員。                〔47番沖宗正明議員登壇〕(拍手) ◆47番(沖宗正明議員) けさ,私は玄関で鏡に映った自分の姿を見て2人の人物を思い出しました。  1人は,長めの赤いネクタイをしたドナルド・トランプです。もう1人は,眼鏡から連想しました,韓国大統領の疑惑の中心人物でした。落ち込みそうになる気を奮い立たせて自宅を後にしました。  最近,歴史ブームといわれ,歴史好きな女性を歴女と呼びます。私は以前,歴史を尋ねて和歌山県の道成寺を訪れました。そこで,ガイドから今昔物語集にある安珍清姫伝説の話を聞きました。歌舞伎では,京鹿子娘道成寺という人気の演目です。  これは若くてハンサムな修行僧の安珍に恋い焦がれた清姫が,自分を袖にした安珍に恨みを晴らすために炎を吹く白い蛇に変身します。せっぱ詰まった安珍は,道成寺に逃げ込み,つり鐘をおろしてもらい,この鐘の中に隠れます。しかし,清姫は許さず,鐘を幾重にも取り巻いて安珍を焼き殺し,みずからは川に身を投げるという悲しくも怖い話です。  最後にガイドが言いました。そもそも,こじれた男女間の問題を「鐘」で解決しようとしたことが間違いのもと。落ちをとっていました。楽しい思い出です。  こうした長い歴史を持つまちに比べて,我が広島市は71年前の夏,1発の爆弾で多くの歴史が失われました。  先ほど原議員が述べましたように,平和記念公園の遺構には一瞬にして失われた旧中島町の悲惨さ,無念さが伝わってきて胸が痛みます。本市においては,気の遠くなるような時間をかけて新しい歴史をつくっていかねばならないことを感じます。  今回,私にとって改選後初めての一般質問です。特に今回,初当選された1期目の議員諸君の厳しい評価に耐えられるよう気合いを入れてやります。  また,きょうは谷口副議長が初めて議長席にお座りになる記念すべき日です。緊張しながらやります。  最初の質問は,少子化への対応です。  まず,ショッキングな数字を御紹介します。それは,昭和30年の人工妊娠中絶の数が177万件であったことです。最近の年間出生数の1.7倍以上もの中絶が行われていました。しかも,この数字は統計にあらわれただけです。当時は医師でもない者がいわゆる闇堕胎を行っていたことを考えると,実際の数字はこれよりもはるかに多かったと推察できます。  私は以前から少子化について疑問を持ち続けていたことがあります。それは,なぜ戦後の第1次ベビーブームがわずか3年で突然に終わったのかということです。今回,やっと疑問が解けました。  結論から言います。現在の少子化の最大の原因は日本の人口がふえると,戦前のように再び海外へ進出するのではないかとの危機感を持ったGHQが,人権擁護派の議員を動かして優生保護法を成立させ,これに国が乗って産児制限を行ったことです。言いかえれば,現在,我が国が直面している少子化は国策の誤りであり,人災と言えるものです。  戦後の第1次ベビーブームは昭和22年から24年のわずか3年間で終わりました。最終年の昭和24年の出生数は269万7000人,これが翌年の昭和25年には233万7000人へと一挙に36万人も減っています。その後も減少を続けて,昭和32年の156万7000人と一番底を打つまでになりました。この時代には,生まれる子供と堕胎の数がほぼ同じであったことになります。欧米諸国のベビーブームが約10年間続いたことに比べて,日本の減り方は異常で,どう見ても不自然です。  戦前,政府は国力充実のためには人口の増加が不可欠と考えていました。しかし,深刻な食糧不足が起こったため,満蒙開拓団を初め,アメリカ西海岸や南米への移民政策をとりました。この試みを脅威と捉えた諸外国と摩擦を起こし,敗戦につながったことも否めない側面です。  戦後,GHQ総司令官ダグラス・マッカーサーは,我が国の人口がふえることが再び海外進出のリスクを高めるものと捉えました。しかし,将来,大統領選挙を目指していたマッカーサーは,避妊や中絶を含めた産児制限に反対するカトリック教徒を敵に回すことを恐れました。  そのために,日本みずからが産児制限を行うことを画策しました。その先兵となったのが社会党の加藤シヅエと太田典礼です。彼らが昭和22年10月に提出した優生保護法案は議員提出によるものでした。マッカーサーは政府提出法案であればGHQが了承したものと思われることを避けたのです。  基本的人権がうたわれた新憲法のもとで,母性保護の名のもとに人権を侵害する優生思想を取り入れた法案が提出されたことも驚きです。  紆余曲折を経て優生保護法は昭和23年7月に施行されました。さらに翌年の改正で,中絶の理由として経済的理由を加えたことで劇的に人工妊娠中絶をふやしました。  この改正では,受胎調節実地指導員制度も設けられ,政府としてもバースコントロールという名のもとで産児制限を進めることとなりました。  人工妊娠中絶の数は,昭和24年には10万1601件です。ちなみにこの数字は現在のそれとほぼ同じレベルです。これが,翌昭和25年には32万150件と3倍増となっています。その後,猛烈なスピードで増加し,冒頭に述べたように昭和30年にはピークの177万件に達しています。6年間で17倍です。  こうして,第1次ベビーブームは昭和24年をもって見事に終わりました。戦後の第1次ベビーブームは終わったのではなく,産児制限という国策によって終止符を打たれたということです。  日本政府が人口政策を大転換した背景には,膨張を続ける国内の人口をコントロールできなければ国際社会に復帰できないという危機感がありました。マスコミも政府の意向を酌んで産児制限の徹底を求める論調を強めていきました。昭和26年9月27日に産経新聞と読売新聞は,産児制限について同様の趣旨で社説を掲載しています。産児制限はぜひとも国策として一般に普及させなくてはならない,人口増加を抑えるには出生率を下げる,すなわち産児制限をやるより方法はない,人工妊娠中絶の実行もまたやむを得ないとの内容です。  注目すべきは,昭和44年,厚生省の諮問機関である人口問題審議会がその中間答申の中で警告を発していることです。すなわち,合計特殊出生率は欧米の先進諸国よりも低く,昭和32年以降は合計特殊出生率も純再生産率も人口を維持できる静止限界を割っており,一世代後に現在の人口水準を維持するためには2.13強の合計特殊出生率を必要とする。現状のままでは将来的な人口減少が避けられないとなっています。  既に昭和30年代初頭に政府関係者や専門家は,将来的な人口減少のリスクに気づきながら何ら対策を取らずに傍観していたことになります。  そして,日本は決定的なミスを犯します。第2次ベビーブームの最終年に当たる昭和49年7月に,東京で厚生省と外務省の後援と協賛による日本人口会議が開催されました。翌月にルーマニアのブカレストで第1回の世界人口会議が開かれることになっていたことに呼応したものです。その背景には,戦後,植民地から独立した発展途上国の人口爆発が問題になっていたこともあります。この会議では,あろうことか,子供は2人までという国民的合意を得るよう努力すべきであるという大会宣言を採択しています。返す刀で,政府に対して人口をコントロールする人口庁の新設とピルや避妊リングの認可を要望しています。人口が減るという予測があったにもかかわらず,子供を2人までという大会宣言を出したことはまさに日本のオウンゴールです。これによって我が国の少子化は決定的なものとなりました。  我々は中国の一人っ子政策を冷ややかに見下していました。しかし,それと同様の愚策がかつてこの日本にあったのです。重ねて言います。我が国の少子化は国策の誤りであり人災です。国策の誤りを言い募るは死んだ子の年を数えるに等しいので,これ以上言及しません。  これらを踏まえた上で,ことし3月に発表された「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョンに目を向けます。  平成27年8月から9月にかけて行われた市民へのアンケートでは,本市に住み続けたいとの回答が20歳代から50歳代では80%ないし90%にも上っています。しかし,一方で60歳代になると25%に急減します。  また,市外への転出者に対して機会があれば本市に戻りたいと思うかとの問いでは,本市に戻りたいとの回答は,20歳代で64%と高いものの,年代とともに低下し,50歳代では44%と最低になっています。  この二つのアンケート結果は,本市が高齢者にとって魅力あるまちとは言えないとも読み取れます。どう分析されていますか。  広島市外へ就職を希望する高校生,大学生に,将来,広島市に戻りたいかを聞いた結果は,戻りたいと,どちらかと言えば戻りたいが約半数でしかありません。若者たちにとっても必ずしも魅力的なまちと言えない結果です。  この約半数という数字の評価はいかがでしょうか。  ことし3月に発表された広島創生総合戦略の基本目標3の中で,「子どもと子育てに優しいまちの実現に向けた切れ目のない支援」には,2020年の合計特殊出生率を1.59とし,産み育てる安心感の創出の中で,主な事業として幾つか挙げられています。  例えば1歳6カ月児健診事業や3歳児健診事業,不妊治療費助成事業などがうたわれています。新生児聴覚検査事業は今年度の当初予算で約6000万円が計上されており,効果的な政策であると評価します。  しかし,こども医療費補助は期待外れとしか言いようがない,議会が議決した他の政令市並みの助成とはかけ離れています。これでは,とても子育てに優しいまちとは言えないと思いますが,いかがでしょうか。  また,人口の減少に歯どめをかける方策として,出生率の向上と若い世代の東京圏や関西圏への転出を抑制することが書かれています。その結果,2060年の時点での推計値,93.3万人となっているものを,人口減少を23.4万人抑制して110万人を維持するとなっています。  しかし,これらには高いハードルを越えるための仮定となる厳しい前提条件があります。例えば,市民の希望出生率は1.81という高い数字となっています。これは,国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおける合計特殊出生率の仮定である2030年1.8を,2040年には人口置換水準である2.07をもとにしています。  確かに,本市の合計特殊出生率は1983年から1986年まで4年連続で1.8を達成していますが,2014年には1.49となっています。回復傾向にあるとはいえ,1.8は余りにも高いハードルです。たとえ1.8に回復しても,文字どおりの母数である母親の数も減少するので,その効果は大きく損なわれると考えますがいかがでしょうか。  また,2020年以降の将来展望の中で,東京・関西圏への年間の転出を現在の1,900人から500人に抑え,東京・関西圏以外からの転入は現在と同じレベルの2,900人を見込んでいます。当然,この中には県内の中山間地域からの転入も含まれます。本市がミニ東京になったのでは意味がありません。中山間地域の過疎化を促進することになるのではないかと危惧しますが,いかがでしょうか。  市民の希望出生率の達成に向けた追い風の中の一つに,子育てしやすいまちだと思う人が4割と胸を張っていますが,裏を返せば,たった4割しか満足していないことになり,とても満足できる数字ではないと思いますが,いかがでしょうか。  総じて,この人口ビジョンは希望的観測と目標の羅列であり,具体的な政策はほとんど述べられてなく,余りにもむなしい内容でしかない。短期間でこれほどのものを取りまとめたことは高く評価しますが,実際にこのビジョンの前提となる数字を達成できる根拠について,自信を持って正しいと言えるのか,その認識を伺います。  次に,本市のバランスシートについて論じます。比較のために,国のバランスシートについて分析を述べます。  ことし11月10日に財務省が発表した9月末時点での国の借金は1062兆5745億円となっております。ここで疑問があるのは,バランスシートを公表せずに借金だけを先に公表することです。毎回のことですが,バランスシートの公表は借金の公表におくれること約2年です。意図的なものを感じます。  最新の平成27年度末の国のバランスシートを見ると,負債1171兆円,このうち,いわゆる国の借金は1013兆円です。一方で資産は680兆円,純債務は差し引き491兆円ということになります。金融資産は有価証券の140兆円,貸付金139兆円を初めとして未収金や出資金など合計463兆円となっています。年金の支払いに向ける運用委託金104兆円は国民からの預かり金なので除外しても,金融資産は359兆円もあります。さらに,国の優良子会社である日銀には純資産が290兆円あるので,合計649兆円が実際の金融資産となります。これらの金融資産を差し引くと,先ほどの国の借金1013兆円は一挙に364兆円に減少します。  これらを踏まえて,本市のバランスシートに目を向けます。ここでは普通会計に限って議論します。  ことし3月末時点での本市の普通会計の資産は2兆9970億円です。負債は1兆1814億円,差し引きの純資産は1兆8156億円となっています。資産のうち,インフラなどの公共資産は2兆5806億円です。これは処分できませんので,私は金融資産に注目しました。  まず,投資・出資金や基金・積立金などの投資等でまとめられるものが3270億円あります。さらに未収金,貸付金などの債権が685億円,そのほか有価証券などを合わせると金融資産の合計は4164億円となります。先ほど述べた負債の1兆1814億円からこの4164億円を引くと7650億円です。さらに,積み上がっている臨時財政対策債3031億円は国の借金なので,これを差し引くと4619億円となります。これが実際に本市として支払うべき負債となります。1年間の予算に相当するほどの借金があるという見方とは大きく異なります。  昨年11月に公表された中期財政収支見通しや,ことし2月の財政運営方針の中には次のような記述があります。すなわち,平成28年度から31年度までの4年間で511億円の収支不足が見込まれること。臨時財政対策債が増加していることから,平成27年度末の市債残高は1兆1000億円を超える見込みであること。今後見込まれる収支不足を解消するためには従来の制度,事業展開を見直し,収支構造そのものを変えなければならないことなどです。もちろん,私はこれらに異を唱えるつもりは毛頭ありません。  しかし,中期財政収支見通しや財政運営方針には資産については全く敷衍されていません。これは冒頭に述べた国の姿勢と重なります。資産について触れていないのはなぜでしょうか。  一方で,プライマリーバランスは平成11年度から黒字になっています。市の努力を高く評価します。とはいえ,楽観することがあってはならず,現在の財政状況について危機感を持たなければならないことは言うまでもありません。  しかし,実態以上に危機感をあおるのはフェアではない,金融資産の状況や実際に返済すべき借金の額を示さなければならないと思いますが,いかがでしょうか。  さらに私が主張したいのは,借金がありながら多額の金融資産を持つことの不合理です。昨年度末で1035億円もの減債基金があります。平成21年4月14日の総務省地方債課長から出された地方債の総合的な管理についての通知の中には,減債基金の運用として地方債権等の運用や買入消却の活用を積極的に活用されたいとの記述があります。後者の買入消却とは,企業の自社株買いと同様に本市が発行した市債を消却することです。  つまり,積み立てた基金で市債を減らすことを積極的に行えという通知です。  これまで買入消却を行ったことがあるのでしょうか。この通知に対して,これまでどのような対応をしてきたのかお答えください。  金融資産があるのなら,バランスシートの圧縮を考えるべきです。なぜ,バランスシートの圧縮が書かれていないのでしょうか。  続いては,医療,介護について聞きます。  私の会派はことし8月6日,夕張市の中学生2名とその教師を招いて第1回のひろしまこども平和学習支援事業を行いました。非常に有意義な試みでした。  夕張市は平成19年に財政が破綻しました。人口はピークの12万人からわずか1万人にまで減少しています。私は,当然,医療も崩壊したと思い込んでいました。ところが,実態は全く違っています。  171床を持っていた市民病院は19床の診療所と40床の老健施設になり,市内に入院できる施設はこの19床だけとなりました。診療科も,外科,産科,小児科が閉鎖され,医師も5名ないし10名いたのが二,三名に減りました。老朽化していたCTやMRIも更新できず,市内には1台もなくなりました。どう見ても,医療崩壊への道をたどっていると思われる事態です。  しかし,市民病院閉鎖の後,救急車の出動回数は半分近くにまで減っています。心疾患,肺炎などの死亡は減り,かわって老衰がふえました。在宅医療に力を入れたことが大きく影響しています。  当然,在宅でのみとりもふえています。その結果,市民の死亡総数,死亡率はほとんど変わらず,医療費は総額だけでなく,1人当たりでもむしろ減っています。財政破綻以降の高齢者1人当たりの医療費は,北海道全体の伸び率と比べると10万円も下回っています。夕張市の総人口1万人のうち47%が高齢者なので,10万円掛ける4,700人で,年間に4億7000万円の医療費が削減されたことになります。夕張市の市民税は9億円なので,財政再建に非常に大きな貢献をしています。  この医療費削減は市民の死亡総数,死亡率がほとんど変わっていないことから,医療機関受診の機会が奪われたためとの分析は当たりません。また,高齢者の数は減らず,財政破綻,病院閉鎖の後は一貫してふえています。医療費が減ったことを人口の流出でも説明はできません。ただし,救急車が病院へ着くまでの時間は以前の38.7分から67.2分に,ほぼ2倍となっています。  夕張市の平成27年の高齢化率は47%で日本一です。国の試算によれば,あと数十年後には日本全体の高齢化率は40%を超えます。いずれ日本中が夕張市のように老人だらけで子供のいない世界が確実に訪れます。夕張市は将来の日本の縮図となり得ます。  結論として,夕張市では訪問診療を積極的に行い,在宅でのみとりがふえたために医療費が大きく削減されたと言えます。これを夕張市の医師たちは,闘う医療から支える医療への転換と呼んでいます。本市においても,見習うべきことが多いものと考えます。夕張市の現状,取り組みをどう評価していますか。  最後に,外科系救急医療体制について質問します。  本市の外科系の二次救急医療体制は,以前は整形外科2施設,脳外科2施設による輪番制で運営されていました。しかし,現在では整形外科は1施設であることがほとんどとなっています。脳外科も1施設が協力しているものの,内科系医師が担当することが多く,本来の外科救急とは言えない状況です。当然,受け入れ拒否というより,受け入れたくても受けられない状況が生まれており,現場の救急隊員の苦労は察するに余りあります。  輪番制は18時から翌朝8時まで14時間に及んでいます。これだけの重労働でありながら報酬は1施設3万5000円という少なさです。看護師は病棟との兼務ができないことになっているので,3万5000円で医師と看護師の報酬を賄い,さらに急患の受け入れのためには稼働率を下げてまでベッドをあけておかなければなりません。今どき14時間ものアルバイト医師を招くには10万円以上の報酬を用意するのが相場です。他の政令市に比べても余りにも安すぎます。  例えば,札幌市は7万3000円,さいたま市,新潟市は8万8000円,静岡市は9万3000円,福岡市7万3000円,熊本市6万1500円などです。これらは平日であって,土曜日や休日にはさらに増額されます。本市の対応は,余りにも医療を供給する側を粗末に扱いすぎており,その善意にあぐらをかいているとしか言いようがない状況です。人件費さえ賄えない安い報酬で,赤字を出してまで輪番制を担う病院にとってのメリットとデメリットをどのように考えているのでしょうか。  広島市整形外科医会のアンケートでは,外傷センターがあれば半数以上の整形外科医が協力にやぶさかではないとの結果が出ています。本市整形外科医会の善意とやる気をありがたく受け入れるべきです。ただし,新たに外傷センターを建設することは現実的ではありません。  そこで,私は既存のX線検査装置,CT,MRI,手術室などを利用できる舟入病院に外傷センターを併設することを提案します。外傷センターについての考えはいかがでしょうか。  以上で,私の質問を終わります。御清聴に感謝します。(拍手) ○谷口修 副議長       市長。                〔松井一實市長登壇〕 ◎松井一實 市長       沖宗議員からの御質問にお答えします。  少子化への対応についてのうち,「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョンについての御質問がございました。  そもそも,「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョンは,「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略を推進していく上で基礎となるものであって,まち全体で人口減少についての認識を共有した上で目指すべき将来の方向を確認するために策定したものであります。  そして,本市のまちづくりについては,これまでの歴史をしっかりと踏まえながら未来志向で取り組んでいく必要があると考えております。  したがって,本市としてはこの人口ビジョンで示した将来展望を見据えつつ,総合戦略に基づく施策,事業を実施し,しかも人口ビジョンと一体になって実施し,さらに実施した施策の事業,こういったものの効果をPDCAサイクルで検証した上で継続的に改善を重ねていくことによって,地方創生の取り組みを着実に進めていく覚悟でおります。  その他の質問については,関係局長から答弁いたします。 ○谷口修 副議長       企画総務局長。 ◎岡村清治 企画総務局長   少子化への対応についての御質問にお答えさせていただきます。  まず,市が行ったアンケート調査で,本市が高齢者にとって魅力あるまちとは言えないと読み取れるがどうかと。あるいは,若者にとって必ずしも魅力的なまちと言えないと思うがどうかというお尋ねがございました。  「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョン,この中にあるアンケート調査の結果は,人口ビジョンを確定するための基礎資料であり,かつ,「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略を策定する上での現状認識を確実なものとするために活用すべき性格のものと考えております。  したがって,このアンケート調査の結果については,これを受けとめ,総合戦略に反映して活用しております。総合戦略では,安心して暮らすためのセーフティーネットの充実を掲げ,地域包括ケアシステムの充実などに取り組むとともに,若者人材の地産地活への支援を掲げ,若者が働きがいのある,安定した仕事を持てるよう取り組みを行っております。  次に,市民の希望出生率1.81という高い数字が設定されているが,1.8は高いハードルだと思うと。たとえ,1.8に回復しても母親の数も減少するので,その効果は大きく失われると思うという,これについての見解というお尋ねでございます。  先ほど,市長からも御答弁いたしましたとおり,人口ビジョンはまち全体で人口減少についての認識を共有し,目指すべき将来の方向を確認するために策定したものです。  したがって,本市の将来の人口については,まずは市民の希望がかなうものを展望の基本に置く必要があると考え,アンケート調査の結果である市民の希望出生率1.81を用いたところです。  もとより,本市としては,この市民の希望出生率を実現するだけでは人口減少に歯どめをかけることができるとは考えておらず,総合戦略においては子供を産む中心の世代である20歳から39歳までの女性人口の維持につながる対策もあわせて取り組んでいるところでございます。  続いて,本市がミニ東京になり,中山間地域の過疎化を促進することになると危惧しているという御質問がございました。  本市としては,人口ビジョンを基礎としつつ総合戦略を推進していくこととしているところですが,これを確実に推進するためには,本市単独ではなく経済面や生活面で深く結びついている23の近隣市町と都市連盟ともいうべき強固な信頼関係を構築し,地域の資源を共有しながら一体となって発展していくことが重要になると考えております。  このため,人口ビジョンの2020年以降の将来展望にある転出,転入者数の,これを考慮した上で200万人広島都市圏構想において,圏域内にある各市町が中山間地域も含めて人口を維持するための施策を連携して講じ,過疎化に対処することとしております。  最後に,市民の希望出生率の達成に向けた追い風として,子育てしやすいまちだと思う人が4割と胸を張っているが,裏を返せばたった4割しか満足してないということになると思うがどうかというお尋ねについてです。  人口ビジョンには,本市が子育てしやすいまちだと思う人が4割という調査結果であったことが,市民の希望出生率1.81を達成するための追い風であると記載しています。  ここで言う追い風とは,決して胸を張るという類いのものではなく,現状において子育てしやすいまちだと思う人が4割いるということを踏まえるならば,子育て支援策のさらなる充実強化により,出生率をさらに向上させる可能性があるということを示したものでございます。  以上でございます。
    ○谷口修 副議長       健康福祉局長。 ◎川添泰宏 健康福祉局長   少子化への対応についてのうち,こども医療費補助は附帯決議で議決した他の政令市並みの助成とはかけ離れており,子供と子育てに優しいまちとは言えないと思うがどうかとのお尋ねがございました。  こども医療費補助制度につきましては,今回の見直しにより対象年齢を大幅に拡大し,現在6万8000人の補助対象者が約15万5000人と,約8万7000人増加します。これは,より多くの子供の保護者の負担を軽減し,子供たちの健やかな成長を促すものであり,まさに子供と子育てに優しいまちの実現に資するものであると考えております。  また,本年3月の附帯決議は,対象年齢の拡大は大きな前進であると評価するとした上で,引き続き他の地方自治体の制度と比較しても全く遜色のないものとすべく,さらなる充実に向けて取り組むことを求めるというものでありまして,来年1月から今回の制度改正を円滑に施行した上で,その後の実態等を調査するなどしながら本制度のさらなる充実に向けて検討していきたいと考えております。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       財政局長。 ◎糸山隆 財政局長      広島市のバランスシートについてお答えをいたします。  まず,財政運営方針等において,金融資産の状況や実際に返済すべき借金の額等について触れるべきと考えるがどうか。また,金融資産があるならバランスシートを圧縮すべきであるのに,なぜ財政運営方針に記載されていないのかというお尋ねにお答えをいたします。  財政運営方針は,本市財政の歳入歳出面での課題を解決していくための基本方針等を取りまとめたものであり,その中で,財源として活用可能な金融資産について,その処理方針を明示しています。  したがって,具体的には本市の金融資産であっても,下水道や水道の施設整備に充てられた出資金及び市立病院機構や市立大学への現物出資などのように,期間内に活用できないものについては財政運営方針に反映していない一方で,財政調整基金や減債基金などの活用可能な金融資産についてはその活用方策を明示しております。  一方,バランスシートは本市の資産と負債の状況を正確に示すためのもので,財源として活用可能か否かを問わず本市資産の全容をあらわしたものですが,このバランスシートの圧縮ということにつきましては,本市としての実質的な借入残高を可能な限り減らし,健全な財政運営を目指すことこそ重要であると考えております。  そこで,財政運営方針において,健全な財政運営を目指すという視点に立った上で市債残高から減債基金残高,さらに臨時財政対策債残高を差し引いた実質的な負担,すなわち実質的な借入残高を表示をし,それを目標数値として管理していくことにしているところでございます。  次に,借金を抱えながら減債基金という貯金を持つことを見直す必要があるのではないか,また総務省の通知で買入消却を積極的に活用されたいとの記述があるが,これまでどのような対応をしたのかというお尋ねです。  本市における減債基金は,満期一括償還方式により証券発行した市債について満期到来時に備えて毎年度一定額を積み立ててきているものでございます。  また,この減債基金は本市が新たに市債を発行しようとする場合に,投資家の信用確保に資するものともなっております。  このような減債基金を活用し,買入消却を行うに当たっては金利負担削減効果額と基金で債券運用した場合の運用益とを比較し,買入消却のほうが有利であり,かつ,売却する投資家が存在していることが必要となります。  しかし,これまでのところ,このような状況を満たす状況になく,本市で買入消却を行ったことはございません。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       健康福祉局長。 ◎川添泰宏 健康福祉局長   医療介護に関する3点の御質問にお答え申し上げます。  まず,夕張市では財政破綻を契機に,在宅みとり等の増加により医療費が大きく削減されるなど,見習うべき点が多いと考えるが,どのように評価しているかとのお尋ねでございます。  議員御指摘の夕張市では,医療体制の大幅な縮小を契機に,訪問診療,在宅みとりが積極的に取り組まれるようになるなど,さまざまな効果が出ていると聞いております。  また,高齢者1人当たりの医療費が減少しているという報告もあるようですが,施設入所がふえることで1人当たりの介護費は増加傾向にあるほか,入院医療の大半は市外の医療機関に依存しているということも聞いております。  したがいまして,地域医療・介護の現状や取り組みにつきましては,それぞれの地域が置かれている状況に即して総合的に勘案すべき面もあることから,一概にこれを評価することは難しいと考えております。  次に,病院群輪番制の運営につきまして,輪番制を担う病院にとってのメリットとデメリットをどのように考えているかとのお尋ねでございます。  病院群輪番制病院は,夜間,休日において入院や手術が必要な重症患者の受け入れの中心的な役割を担う病院であり,本市の地域医療の向上のみならず,救命救急活動の一翼を担う機関として大きな役割を果たしていただいているものと考えております。  病院群輪番制病院では,当番日に患者を受け入れることにより,診療報酬収入を得る一方,医師や看護師などの医療スタッフや空きベッドを確保する必要があることから,直近の事業収支推計において1当番当たり3万5000円の補助金の交付を受けてもなお赤字が生じる状況となっており,これが当番病院の負担になっていると認識をしております。  次に,外傷センターについて,舟入市民病院に外傷センターを併設することを提案したい。外傷センターについて考えはどうかという御質問でございます。  外科系の救急医療体制につきましては,夜間における軽症患者を受け入れる体制の構築が喫緊の課題となっております。このため,医師会や行政,関係団体等で構成する広島市連合地区地域保健対策協議会に設置した救急医療体制あり方検討委員会に,昨年度,外傷の救急医療体制検討部会を設け,外傷の軽症患者を受け入れる救急診療所の整備などの検討を行っております。  また,本年10月に病院群輪番制病院のうち,外科系の20病院にアンケート調査を行った結果,大半の病院が準夜帯に外科系の救急診療所が必要であるとの意向を示すとともに,同時間帯に1日約19人の軽症患者を受け入れていることがわかりました。  今後,このアンケート結果も踏まえ,広島市連合地区地域保健対策協議会において,外傷の軽症患者を受け入れる救急診療所の整備の具体化について早急に検討を進めていきたいと考えております。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       沖宗議員。 ◆47番(沖宗正明議員) 大分行き違いが多いように思います。  まず,一つ輪番制につきまして,最後の答弁,私は輪番制を担う病院のメリット,デメリットを伺ったわけですが,要するに,何のために病院が協力していただいているかということ,その認識を問うたわけですが,結局,この答弁を見ますと,病院側にとってのメリットはないということに等しい答弁であったと思います。  しかも,3万5000円の補助金の交付ではなお赤字を生じると書いてあります。認識しているとしか答えてないですけども,これは変えない,このまま報酬をふやすということは応じられないということなんでしょうか。お答えください。  それから,外傷センターにつきましては,今,実際に軽症の切り傷とか打ち身,軽い骨折を処理するところがないということで,最低限でも縫合処置ができるような施設が必要であろうと思いますので,早急に検討をお願いします。  最初の人口ビジョンですが,これも少々きつめの論調をいたしましたけれども,最初によくこれだけのものをまとめられたと思います。あくまで目標であって,これに向いて細かい政策を打ち立てていって,できるだけこれに近づけるよう,努力目標であるとは認識しております。  しかし,先ほど申しましたように,早く手を打っておけば日本の少子化を防げたものを,手をこまねいたために不治の病になってしまったということは間違いのない事実でありますんで,議会も行政も一体となってこれを少しでも食いとめるように努力しないといけないということを感じました。  バランスシートにつきましては,糸山局長の答弁,あっさりとやられましたけれども,財政調整基金や減債基金などの活用可能なものについてはその活用方法を明示してますと書いてますが,読んでみましたら1行しか書いてないんです,実際には。だから,明らかに減債基金の活用ということには触れてないのに等しいと思います。  先ほど申しました,総務省からの活用の,運用の通知というものについては全く対応してないということでよろしいんですか。また,これからも対応する気がないということなんでしょうか。  二つの再質問です。 ○谷口修 副議長       財政局長。 ◎糸山隆 財政局長      それでは,お答えいたします。  今,御指摘のありました総務省の通知,これも冒頭,特にこれの目的とするところとして地方債資金の市場化に的確に対応することが極めて重要と,この認識のもとで出された,まず通知でございます。  要は,地方債について証券化をして,市場でぐるぐる回るようにしましょうというのが一番の根っこにある通知でございます。  その前提に立って,減債基金の運用に関して,まずは当然のこととして確実かつ効率的で有利な運用に努められたいということが,さらにその前提を置いた上で減債基金の運用として,一つには地方債証券等の保有,これは何かといいますと,運用に当たって,地方債を買って運用するということです。もう一つの例として,買入消却の活用と,この二つが書いてございます。  我々とすると,まず,先ほど買入消却というのは,やはり買入消却する経済的メリットが生じる状況にあるかないかということもありますし,何よりもこれ,市場から広島市でもう流通している広島市債をいかにかき集めて買入消却するかというようなところの困難さというのが前提であります。  一方で,結局,これを受けて何をしているかと申しますと,我々で言うと,地方債証券の保有,購買ということを今,運用でやっております。運用の中でもかなりの部分をこちらでやっておりますから,決してこの通知をないがしろにしているということではなくて,この通知を踏まえて現状の中で何をするかという中で地方債の証券の購入をして保有する,そういう形で運用をやっているということでございます。 ○谷口修 副議長       健康福祉局長。 ◎川添泰宏 健康福祉局長   病院群輪番制病院に対する助成補助の考え方でございますけども,これまでも私ども,この当番病院に対しての助成をふやしてきている経緯はございます。  昨年度,複数診療科加算というのを設けまして,今年度からも新たに当番回数や受け入れ件数が一定の基準を超える場合に,また加算を行うという別の加算を新たに設けまして,必要に応じた支援,助成を行っているということでございます。  この病院群輪番制につきましては,いわゆる市民の救命救急医療を行っているものでございますので,非常に重要でございます。この重要な事業を安定的に行っていく必要がございます。  そうした面からも,当番の病院の負担軽減を検討するということは必要であるというふうに考えております。 ○谷口修 副議長       沖宗正明議員。 ◆47番(沖宗正明議員) 輪番制につきましては,多少上積みがなされたという答弁ではありましたけれども,実際にそれでは全然現場のモチベーション上がっていません。  実際に,先ほどは申し上げなかったんですけども,実際の一般病院では,例えば深夜12時を回った後の患者なんかは相当数,医療費の未払いが起きております。さらに,泥酔患者には非常に時間がとられるというような悲惨な現場もあります。  ですから,今のような考え方であったら輪番制病院のほうから手を引かれる可能性もあるということは十分認識しておいてほしいと思います。  それから,糸山局長に伺います。よその市債を,地方債を買って運用してるという言葉がありましたけど,その実数が出ますか。どの程度,減債基金で他の自治体の債権をどの程度有しているかというのがわかりますか。 ○谷口修 副議長       財政局長。 ◎糸山隆 財政局長      今,減債基金約1000億円ありますけども,このうち地方債で運用しているのが381億円ございます。  少し補足して申し上げますと,先ほど,手段としてもう一つ買入消却の例がありますが,これは先ほど,ちょっと重ねてになりますが,買入消却というのは現実的になかなか市場で出回っている広島市債を見つけ出して買い入れを,かき集めるというのは,現実論として非常に難しいところがあります。  それともう一つは,債権市場から買い入れるということですので,例えばかつての高い金利の債券を買おうとすれば,市場ですから,これは時価に直ります。したがって,例えば2%の額面,表面利率2%の債券を買おうとすると,100円では買えないんです。極端にすると102円とかいうことで,そこの金利のメリットも消えてきて,結局,買入消却のメリットというのは将来の起債を減らし,起債の金利負担を軽減するということですから,実際,実は我々が今,他の地方債を買っているということでやっているやり方と買入消却はその銘柄を全部広島市にするという,わかりやすく言えばそういうことなんです。  ですから,基本的には同様の効果が今,得られているという状況であります。  以上でございます。 ○谷口修 副議長       本日はこの程度にとどめ,明日,引き続き一般質問を行います。 ───────────────────────────────────────                 次会の開議通知 ─────────────────────────────────────── ○谷口修 副議長       この際,御通知申し上げます。  明日は午前10時より議会の会議を開きます。 ───────────────────────────────────────                  散会宣告 ─────────────────────────────────────── ○谷口修 副議長       本日は,これをもって散会いたします。御苦労さまでした。                午後2時51分散会 ─────────────────────────────────────── ───────────────────────────────────────   議 長   永  田  雅  紀   副議長   谷  口     修   署名者   近  松  里  子   署名者   豊  島  岩  白...