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  1. 神戸市議会 1999-09-09
    開催日:1999-09-09 平成11年臨時市会 本文


    取得元: 神戸市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-04-24
    本文へ移動 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1   (午前10時2分開会)  (大西議長議長席に着く) ◯議長(大西きよじ君) これより平成11年臨時市会を開会いたします。  ただいまより本日の会議を開きます。  最初に,諸般の報告を申し上げます。  去る7月1日の本会議において可決されました「「食料・農業・農村基本法」及び関連施策に関する意見書」は,関係方面に提出いたしておきましたので,ご了承願います。  以上,報告を終わります。 2 ◯議長(大西きよじ君) これより議事に入ります。  日程によりまして,日程第1 会期決定の件を議題に供します。 3 ◯議長(大西きよじ君) 本臨時市会の会期は,本日1日といたしたいと存じますが,本件に関し討論の通告がありますので,発言を許可いたします。  34番粟原富夫君。  (34番粟原富夫君登壇)(拍手) 4 ◯34番(粟原富夫君) 私は,ただいま議長より提案されました本臨時市議会の会期をわずか1日にするとの提案に対し,住民投票議員団並びに日本共産党議員団を代表して,以下の理由で反対するものでございます。  神戸空港は,あすにもオイルフェンスを張るためのブイの設置工事が始まり,13日にも着工という段階になっております。しかし,住民の中にはいまだ神戸空港の建設に疑問の声が上がり続けております。そして,自分のまちの大事は自分たちで決めたいという,住民投票を願う声は日増しに高まっております。  昨年,笹山市長に,35万を超える署名で住民投票条例の直接請求を行いました。残念ながら笹山市長の反対意見と議会の与党会派の多数で否決されてしまいました。しかし,神戸空港住民投票で決めたいという市民の気持ちはなえることなく,むしろ高まっております。  そして,行政がやらないのであれば,自分たちで自主管理でやろうと,7月から8月にかけて神戸空港賛否市民投票が実施をされました。  投票結果は,投票総数で31万弱,そのうち神戸の有権者は20万人を超え,反対は95%に迫りました。神戸空港着工を目前にしたこの時期に,有権者の6人に1人がこの投票に参加し,そのほとんどが反対の意思を明確にしたことを私たちは重く受けとめているところでございます。  私たちは,本臨時市会議員提案住民投票条例案を提出しております。形は議員提案ですが,その背景には昨年の35万人の直接請求者,そして今回の31万人の市民投票参加者の思いがあるということでございます。その思いを神戸市会は受けとめていただきたい,議員各位は受けとめていただきたいと思うのでございます。  「議員提案は,慣例で本会議即決。したがって,会期は1日。」ということを先日の市会運営委員会与党会派から言われました。しかし,過去の議員提案は全会派一致での提出であったり,議会の意思を決めるものであったりで,条例案の提案は議会史上初めてのケースであります。したがって,過去の慣例に何らとらわれる必要のないものでございます。  また,「昨年の条例案と今回の条例案は全く同じであって,前回で十分な審議を行っている。だから,会期は1日で十分。」との意見も先日の市会運営委員会に出されました。
     私たちは,前回の住民投票の条例審議が十分になされたとは思っておりません。前回与党会派の皆さんから積極的に提起された,住民投票には法的な根拠がないという問題についても,地方自治における首長と議会そして直接民主主義の役割の解明が必要であります。そのためには地方自治の拡充に住民投票を積極的に位置づける学者の意見,そして住民投票の弊害を主張される学者の意見など,十分に聞く機会を持つべきであります。  また,新潟県の巻町や岐阜県の御嵩町など,住民投票を実際に実施して住民の自治意識がどう変わってきたかなどの調査も,議会としてやるべきであります。  前回の住民投票条例案の否決以降,神戸空港問題について,市民への広報活動が強化をされました。出前トークなどが行われているにもかかわらず,むしろ市民の疑問がいまだ広がっていることを,議会として市民公聴会など実施をして,これを聞く必要があると思うのでございます。  住民投票議員団は,昨年の条例審議のときにも同趣旨の要請を行ってきたところであります。これが果たされないので,今回の議員提案となっております。したがって,昨年と同じ住民投票条例案だから1日との理由も,情勢変化も含め,当たらないのでございます。  また,与党会派は,「昨年十分審議を行ったから,もうこれ以上審議をする必要はない。提案側も熟知して提案しているのであるから,質疑がないはずであり,実質的に1日にしかならないのではないか。」という意見も,先日の市会運営委員会与党会派から出されました。  これについては,さきにも述べましたが,今回の臨時市議会の開会要求,そして住民投票条例案の提出は,議員提案という形はとっているものの,その背景には昨年の35万人の思い,今回の31万人の思いがあるということでございます。その市民1人1人が神戸市議会がどんな審議をするのか,注目をしています。  与党であろうが野党であろうが,私たち議員は,議会そのものの役割を忘れてはいけないと思います。反対・賛成それぞれの立場がはっきりしているからということでなく,議会としての機能を市民のために果たし切ることが今求められているのではないでしょうか。  私たちは,十分な審議をすることによって,議会そのものの役割と権威を高め,議会制民主主義を拡充しようと主張しているのであります。逆に会期を1日にすることになれば,請願は出せても,市民の陳述する機会を奪ってしまうことになります。  また,臨時市会に陳情を出したくても,委員会がありませんから,陳情を出せなくなり,市民の陳情権すら奪うことになってしまいます。議員の開会請求による臨時市議会の開催,議員提案住民投票条例案の審議は,神戸市議会史上初めてのことであります。このような神戸市議会での歴史的な出来事を,議会制民主主義の否定で終わってほしくないのであります。  あすには事実上の着工につながるブイの設置が行われます。神戸空港問題は子や孫の代までかかわる重大な課題であり,だからこそ住民投票で決めたいとの声が上がり続けているのであります。そして,市民はきょうの臨時市議会を注目しています。  私は,今からでも遅くないと思うのでございます。1日の会期でこの臨時市議会を終わってしまうのでなく,十分な審議をするため,少なくとも1週間の期日を保障していただきたいのでございます。  このような立場に立って,私は住民投票議員団並びに日本共産党議員団を代表して,臨時市議会の会期を1日にする会期決定の件に反対し,少なくとも1週間の会期の保障を求め,同僚議員の皆さんのご賛同をお願いしたいと思います。  以上,終わります。(拍手) 5 ◯議長(大西きよじ君) 討論は終わりました。  これよりお諮りいたします。  本件採決の方法は,記名投票により決することにいたします。  直ちに議場の出入口を閉鎖いたします。  (閉扉) 6 ◯議長(大西きよじ君) この際申し上げます。  本臨時市会の会期を本日1日とすることに賛成の方は白票を,反対の方は青票を投票願います。  白票・青票は,お手元にあらかじめ配付いたしておりますが,配付漏れはございませんか。  (なし) 7 ◯議長(大西きよじ君) 配付漏れなしと認めます。  投票箱の点検をいたします。  (投票箱点検) 8 ◯議長(大西きよじ君) それでは,1番井坂信彦君より順次投票を願います。  (投票) 9 ◯議長(大西きよじ君) 投票漏れはございませんか。  (なし) 10 ◯議長(大西きよじ君) 投票漏れなしと認めます。  よって,投票は終了いたしました。 11 ◯議長(大西きよじ君) これより開票いたします。  開票立会人を指名いたします。   1番  井 坂 信 彦 君   3番  山 田 哲 郎 君   8番  和 田 有一朗 君   10番  向 山 好 一 君   12番  金 澤 治 美 君  以上5名の方をご指名いたします。  それでは,開票立会人の方はお願いいたします。  (5立会人立会・開票)  ─────────────── 12 ◯議長(大西きよじ君) 開票の結果をご報告申し上げます。  議長を除く出席議員数  70名  投票総数        70票   有効投票       70票  有効投票中   賛 成(白票)    48票   反 対(青票)    22票  以上のとおりであります。  よって,本臨時市会の会期は,本日1日とすることに決定いたしました。  ─────────────── (賛成議員)   3番  山 田 哲 郎 君   4番  宮 原 政 子 君   5番  松 本   修 君   6番  溝 端 和比己 君   7番  山 下 昌 毅 君   8番  和 田 有一朗 君   9番  村 岡 龍 男 君   10番  向 山 好 一 君   11番  崎 元 祐 治 君   19番  赤 塚 恵 一 君   20番  芦 田 賀津美 君   21番  大 澤 和 士 君   22番  守 屋 隆 司 君   23番  松 本 周 二 君   24番  安 達 和 彦 君   25番  吉 田 基 毅 君   26番  竹 重 栄 二 君   27番  橋 本 秀 一 君   28番  池 田 林太郎 君   29番  白 井 洋 二 君   37番  米 田 和 哲 君   38番  布 施 典 子 君   39番  佐 伯 育 三 君   40番  吉 田 謙 治 君   41番  岡 島 亮 介 君   42番  大 野   一 君   43番  平 野 章 三 君   44番  浜 崎 為 司 君   45番  福 浪 睦 夫 君   46番  植 中   進 君   47番  藤 原 武 光 君   48番  土 居 吉 文 君   49番  田 路 裕 規 君   50番  三 好 道 夫 君   55番  片 岡 雄 作 君   56番  野 尻 範 明 君   58番  北 山 順 一 君   59番  平 野 昌 司 君   60番  藤 森 万 也 君   61番  藤 本 浩 史 君   62番  安 井 俊 彦 君   63番  村 岡   功 君   64番  長谷川 忠 義 君   65番  前 島 浩 一 君   66番  横 山 道 弘 君   67番  荻 阪 伸 秀 君   68番  吉 田 多喜男 君
      69番  浜 本 律 子 君 (反対議員)   1番  井 坂 信 彦 君   2番  小 林 るみ子 君   12番  金 澤 治 美 君   13番  松 本 則 子 君   14番  福 田 道 代 君   15番  浦 上 忠 文 君   16番  恩 田   怜 君   17番  加 納 花 枝 君   18番  高 山 晃 一 君   30番  本 岡 節 子 君   31番  森 脇 英 雄 君   32番  亀 井 洋 示 君   33番  段 野 太 一 君   34番  粟 原 富 夫 君   35番  桝 田 伸 二 君   51番  津 田   勲 君   52番  南 原 富 広 君   53番  西 下   勝 君   54番  原   和 美 君   70番  田 島 俊 三 君   71番  森 原 健 一 君   72番  堀之内 照 子 君  ─────────────── 13 ◯議長(大西きよじ君) 議場の閉鎖を解きます。  (開扉) 14 ◯議長(大西きよじ君) 次に,日程第2 議員提出第5号議案を議題に供します。 15 ◯議長(大西きよじ君) これより提案理由の説明を求めます。  71番森原健一君。  (71番森原健一君登壇)(拍手) 16 ◯71番(森原健一君) 私は,日本共産党議員団及び住民投票議員団の提案者を代表して,議員提出第5号議案「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例案について,提案理由の説明を行います。  昨年11月,30万人を超す市民の直接請求によって,「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例案が市会に提出されましたが,自民党・公明党・民主党系の会派の反対で否決されました。  しかし,ことし2月に朝日新聞が行った世論調査では,神戸空港の建設について賛成が22%であったのに対し,反対が62%であり,4月の地方選挙の際,神戸新聞が行った出口調査で推進が22%,中止・凍結が56%でありました。住民投票条例案が否決された後もなお市民の中では賛成が約2割であるのに対し,反対が約6割であることが予想されます。しかし,この調査は 1,000人前後の限られた調査によるものでした。  ことしの夏,「あなたは神戸空港の建設に賛成ですか。反対ですか。」と呼びかける神戸空港賛否市民投票が行われました。神戸空港の建設の問題は,もう決着がついたとか,もう運動をしてもだめではないかとの気分があり,神戸市が間もなく空港建設に着工するというニュースが伝わる中においても,約31万人が投票に参加し,そのうち反対は94.2%,市内有権者の投票は約21万人,うち反対は19万 6,144人,94.7%でした。  このことから,神戸市民の中には今なお神戸空港建設に対する疑問と批判の声が強いことが明らかになりました。この投票に参加した市民以外にも,さらに多くの市民が神戸空港の建設に疑問を持っていることが推定されます。このことは,市民の意思と市会の決定との間に大きな溝が横たわっていることを証明しています。  本来市会は,市民の意思を市政に反映させるという重要な役割を持っています。しかし,それが果たされているとは言えないのが現状です。今重要なことは,議会と市民が心を1つにし,震災と不況に苦しむ市民の生活と営業を守ることではないでしょうか。議会はその任務を果たすべきだと思います。  空港建設に賛成の議員も反対の議員も,市民の声を尊重するという点では一致できるのではないか。この立場で議会が一致して,市民との溝を埋め,議会に対する信頼を回復することが今一番求められているのではないでしょうか。  この条例案の特徴は,住民こそ主人公という理念とともに,定住外国人にも投票の資格を認めようということであります。定住外国人に対して地方参政権を認めることが世論になり,最高裁判所永住外国人地方参政権を保障することは,憲法上禁止されているものではないとの判決をしています。国際都市神戸住民投票条例案として先進的な意味を持つものと考えます。  そして,何よりも神戸空港の建設着工の前に,まだ1度も意見を聞かれたことのない市民の意見を尊重することを,市会の意思として明らかにする,そういう期待を込めています。  以上の理由で,再び神戸空港の建設の是非を問う住民投票条例案を提出いたしました。どうかこの意図を理解し,賛同していただくよう,まず最初に心からお願いを申し上げます。(拍手)  市民の空港建設に対する疑問は,震災以降急速に高まりました。市長が「神戸空港の建設を続ける。」と発言されたのは,あの大震災からわずか1週間しかたっていないときでした。当時 4,000数百人の市民が命を失い,10万戸以上の住宅が全壊・半壊の被害を受け,まだ何万人という市民が避難所での生活を余儀なくされ,ガスも水も通じていないときでした。何のための空港か,だれのための市政かとの疑問が生まれました。  この4年8カ月,市民の生活再建が進まず,また神戸市の財政も危機的な状態にあると言われながら,どんどん進められる空港建設計画の中味がわかってくるにつけ,市民の中に多くの疑問が生まれてきたのも,至極当然のことであります。  私は,この夏の市民投票を通じ,多くの市民の疑問や怒りとも思える声を聞いてきました。それらの疑問はまだ解決されていません。  市民の持つ第1の疑問は,神戸市の財政は豊かなのか,それとも貧しいのかという問題です。今後10年間に財源が約 5,000億円不足すると予測して,職員定数の削減や,教育・福祉施設などの統廃合や民営化を打ち出しています。  神戸市は民間企業でいえば倒産の状態だと言いながら,一方で市営空港を強引に建設しようとしている。このアンバランスをどう考えたらいいのでしょうか。  財政試算では,今後の経済成長率を平成12年度までは年間0.5%,平成13年度以降を2%と見込みながら,空港の計画では平成12年度までは3%,平成13年度以降を2.5%とし,大き過ぎる需要予測と経済効果をはじき出し,空港計画をバラ色に描いています。既にこの予測は,計画が策定されて以来,低成長やマイナス成長が続き,もう既に大きな誤差を生じているのであります。  市民の持つ疑問の第2は,神戸空港建設の必要性についてであります。伊丹空港の存続が決まり,さらに増便がされています。関西空港の2期工事も始まりました。関西に3つも空港が要るのか,近くに数十分で行ける空港が2つもあるではないか,なぜ市域内に自前の市営空港をつくる必要があるのか,狭い国土で鉄道網が十分発達しているではないか,1日30便,年間 420万人の需要予測も大き過ぎはしないか,低成長の時代,航空企業もリストラで必ずしも計画どおりにいかないのではないかとの疑問です。もし計画が狂った場合どうなるのか,何も示されていません。  市民の持つ疑問の第3は,採算性の問題です。埋め立ての費用は土地を売って賄うというが,この不景気の中で格納庫や小型航空機の駐機場や機内食工場の土地は売れるのだろうかとの疑問です。  日本共産党議員団民間航空会社を調査したところでは,この不景気のときに何百億円もの資金を地方空港に投資して,土地を購入する可能性は極めて少ないことが明らかになっています。神戸市の計画は楽観的過ぎます。  また,地方空港の着陸料の値下げが行われ,規制緩和で採算のとれない路線から航空会社が撤退しているとき,果たして計画どおりの路線が確保でき,採算がとれるのだろうかとの疑問もあります。  さらに,重要なことは,新交通の延伸をはじめ航路改修費ターミナルビルの建設費,環境庁が埋め立てを認める条件とした下水処理の高度処理など,空港関連の総事業費と,そのうち神戸市が負担しなければならない費用が幾らなのかはまだ明らかにされていないのであります。  市長は「税金は使わない。神戸市の負担分は開発会計の利益で賄う。」と説明されましたが,これは問題のすりかえであります。そんな余裕があるなら,今不況と震災に苦しむ市民に手を差し伸べてほしい,市民のために開発利益を使ってくれとの要望が出るのも当然であります。  市民の持つ疑問の第4は,空の安全と環境問題であります。管制官から聞いたところによれば,神戸空港の離発着は関西空港と航路が重なり,極めて危険だとのことであります。また,巨大な埋め立てによる潮流の変化と大阪湾の汚染の可能性も,京都大学防災研究所通産省中国工業技術研究所の研究が鋭く指摘しているところであります。船の航行の安全,活断層の存在,飛行機と自動車による大気汚染,低空飛行による騒音問題,しゅんせつ土砂のダイオキシンの問題など,疑問がさらに広がっています。空港計画の内容がずさんであり,情報も十分提供されていないだけに,疑問に疑問が重なります。  神戸市は十分な情報公開を怠ってきました。事業の進捗の熟度に応じて資料を公開してきたといいますが,それでは結局決まったことだけ知らされて,市民は神戸市についてこいと言わんばかりであります。全国的にもむだな公共事業のあり方が批判され,地方空港の計画が過剰であると指摘され,最近できた地方空港は予測が大幅に狂い,多くの財政負担を余儀なくされています。多くの住民が疑問を持っているのに,それを無視して事業を進めることは,住民自治の精神に反しています。  昨年の臨時市会で当局は,「構想の段階ではないから住民投票はやれない。平成5年8月,国から新規事業に格上げされたときが構想段階の終わりである。」と答弁されましたが,これでは永久に住民投票を行うことは不可能であります。工事がまだ始まっていない今,住民投票を実施できない理由はありません。工事が始まっても,工事を中止する事例もあります。それを決めるのは主権者としての住民自身である,それが最も民主的な政治のあり方なのではないでしょうか。(拍手)  日本国憲法は,恒久平和,基本的人権の尊重とともに,国民主権を重要な柱としています。これは人類普遍の原理であり,我が国の政治はこの精神に基づいて進められなければなりません。  また,憲法は地方自治を保障しています。地方自治は,国家から独立して自己の目的と意思を持つ団体自治と,その地方自治体の行政が住民の意思によって進められるという住民自治を2大柱としています。  とは言っても,今日の複雑な行政をすべて全住民の参加で会議を開くことは,事実上不可能であります。そこで,住民の代表としての議会が構成されたのであります。  憲法では,「そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであって,その権威は国民に由来し」とありますが,あくまで主権者は国民であります。地方政治においても同様のことが言えると思います。  欧米諸国では,住民を主人公とする具体的制度として住民投票が制度化されています。また,国内でも巻町・御嵩町・沖縄県などで住民投票が実施され,住民投票は時の流れになっています。今神戸は,空港の問題で住民投票を行わざるを得ない状況に置かれていると確信いたします。  私は,ここで住民投票についての2つの主張について触れたいと思います。その1つは,住民投票は,議会制民主主義を否定するとの主張であります。果たして住民投票議会制民主主義を否定するものでしょうか。日本国憲法の最も権威ある研究書の1つである「注解日本国憲法」は,直接民主主義と間接民主主義の関係を次のように解説しています。  「この代表民主制においては,住民は選挙の瞬間にのみ自己の自由な意思を表示し得るにとどまって,一たん代表を選出した後は,かえって代表者に隷従せざるを得ない結果となりがちである。そこで,真の住民の意思による行政を保障するためには,代表者による行政が住民の真の意思と離反した場合の措置として,住民が直接自己の意思を実現し得る手段を保障する必要が生ずる。これがために認められるのが直接請求その他の直接民主制の諸方式である。この両者──間接民主制と直接民主制が相まって,真の住民の意思による行政を保障することとなる。」としています。  つまり空港の問題で住民と議会の間に溝ができた場合,住民の声を尊重するのが必要である。その1つの方法である住民投票は,議会を補完するものであっても,議会を否定するものではない。住民投票によって議会制民主主義の持つ欠陥が是正され,住民自治がより豊かな内容を持って実現するというものであります。  もう1つの主張は,空港建設は議会の承認を得ているというものであります。ことし4月,議員の皆さんは改めて住民の信託を受け選出されました。議員選挙の場合,住民は候補者の人格・識見や政策,場合によっては地縁・血縁などいろんなファクターによって投票者としての意思を決定します。しかし,今回の市会議員選挙で,全戸に配布される選挙公報で神戸空港促進を公約した議員は,わずか5名であります。  したがって,市会議員の選挙ではある特定の争点,例えば神戸空港の建設について住民の意思が純粋にあらわれていない面があります。これに対して住民投票は,特定の争点である神戸空港についての住民の意思を純粋に近い形であらわすことができます。  昨年の臨時市会では,確かに市会の多数は神戸空港建設促進・住民投票否定でありましたが,住民の多数はそれと異なる意思を示しています。それなら1度住民の意思を聞いてみようというのが,本来の住民自治・民主主義のあり方なのではないでしょうか。  ニュースキャスターの筑紫哲也氏は,吉野川可動堰と神戸空港の建設を「平成の二大愚挙」と論評しました。それに加えて「住民投票を行って,もし空港ができたとしても,人はこれを愚挙とは言わないだろう。」と言いました。  住民投票は,学習し討論する市民の運動であり,民主主義の成熟をあらわす運動です。住民自治,住民こそ主人公の神戸を実現する運動です。  神戸空港の建設問題は,多くの市民の疑問の対象になり,むだな公共事業として全国的な批判の対象となっています。このまま市民の声を市会が聞かず,突っ走ってしまうなら,神戸市会の歴史に大きな悔いと汚点を残すことになるでしょう。  今,議会を構成している私たち議員の1人1人が,神戸空港の建設に賛成・反対の立場を乗り越えて,主人公である市民の声を聞こうという姿勢に立ってみようではありませんか。全国に誇り得る住民自治と民主主義の運動をともに支えようではありませんか。空港をつくることより,住民が主人公であるという,はるかに大きな神戸の財産を生み出そうではありませんか。議員の皆さんに1票1票を投じて下さった市民の意思を尊重し,神戸市政の主人公になってもらおうではありませんか。  以上,皆さんの良識に期待し,ご支援をお願いして私の提案理由の説明といたします。(拍手) 17 ◯議長(大西きよじ君) 提案理由の説明は終わりました。  本件に関し質疑の通告がありますので,順次発言を許可いたします。  まず,51番津田 勲君。  (51番津田 勲君登壇)(拍手) 18 ◯51番(津田 勲君) 私は,ただいま上程されました議員提出第5号議案について提案者に質問をいたします。ご答弁よろしくお願いします。  まず最初の質問ですが,これまで住民投票条例問題の議論の中で,市長は,住民投票を「空港建設の構想段階で行うのならわかるが,既に実施設計調査費もつき,国の設置許可も得ており,事業は着手済み」と説明し,住民投票ができる時期とできない時期があるかのような答弁を行い,住民投票を否定してきました。  私は,一定の手続と要件を満たし,30万を超える市民が求めた住民投票に,その時期を制限するという市長の考えを認めることができません。構想段階でないとできないのではなく,市民の要求や自治意識の熟度,さらに多くの市民の合意によってその時期は決まり,いつの時点でもできると思います。市長のいう構想段階でないとだめだとの立場に固執すれば,結果として住民投票を全面的に否定することになるのではないでしょうか。提案者の見解を伺います。  ところで,住民投票については,多くの識者もいろいろな角度から肯定しております。例えば流通科学大学長の伊賀 隆さんは「30万署名には,空港に賛成・反対はともかく,住民投票で決めた方がいいという市民もかなり含まれていると思う。ここは条例をつくって投票を行った方がいい。神戸市は30万署名を考慮すべきだ。」と述べ,  また神戸商船大教授の井上和雄さんは「今回の住民投票運動は,空港建設反対というよりも,もう1度審議し直そうということだ。基本はあくまで議会制民主主義だが,政治的エリートだけによって庶民感覚とずれた決定が行われる危険性をチェックする意味で実施すべきだろう。」と言っております。  また,元日銀神戸支店長の遠藤勝裕さんは「市議会が住民投票の道すら閉ざすとしたら,それが民主主義の日本で何を意味するかを考えた方がよい。」と語っています。  あすにも着工という現段階で,空港に関するすべての情報・資料を市民に開示し,神戸空港の是非を,市民1人1人が神戸市の将来を考えて判断する機会を設ける意義は格別に大きいと思います。この時期に,再び住民投票条例案を提出した意義についてお伺いします。  2つ目の質問ですが,このたびの神戸空港賛否・市民投票は,31万人を超えました。賛否の内訳は,建設反対が29万人以上,賛成はわずか1万 5,000人です。神戸市民のこのような取り組みは,全国各地で取り組まれている住民投票を求める運動に劣らぬ取り組みであったし,大事なことは市民が決めるという地方自治の息吹を改めて示すものと私は確信します。  さて近年,住民の自治意識の高まりの中で,原子力発電や環境問題,産業廃棄物問題,さらに行政施策などについて住民投票条例制定を求める運動が全国に広まっています。しかし,その条例制定は,多くがいとも簡単に議会で否決されてきました。昨年の神戸の臨時市会でも不当にも同じ態度がとられました。  このような中で新潟県巻町,岐阜県御嵩町,そして宮崎県小林市,沖縄県名護市そして沖縄県などで条例を制定し,住民投票が行われました。また,最近では徳島市で住民投票条例が制定されました。  これらの自治体の長は,異口同音に「住民投票を実施してよかった。」と述べ,御嵩町長はその理由を「自分たちの問題を真剣に考える機運が住民の間に生まれた。」と語っております。  神戸市民の住民投票運動をさらに前進させるためにも伺っておきたいのは,住民投票を実施したところで,住民の自治意識や行政の姿勢がどのように変化し,どのような成果が上がり,またそこでの問題点・課題は何か,これを伺いまして,私の質問を終わります。(拍手)  (「議長34番」の声あり) 19 ◯議長(大西きよじ君) 34番粟原富夫君。  (34番粟原富夫君登壇)(拍手) 20 ◯34番(粟原富夫君) 提案者を代表いたしまして,私の方から,今の2点の質問に対して答弁をさせていただきたいと思います。議員となって答弁するのが初めてでございますので──質問はなれておりますけれども,なかなか答弁は要を得ないかもしれません。  それでは,津田さんの方から,「構想段階でないとだめだとの立場,いわゆる住民投票は構想段階でしかできない,こういう考え方は結果としていわゆる住民投票を全面的に否定する考え方ではないか。」という質問がございました。私も,津田さんが質問された内容と同じ思いを実は持っておりまして,構想段階でないと住民投票ができないという考え方には,私は2つの問題があると思います。  その1つは,行政サイドの考え方である──この構想段階でないと住民投票はできない,お上が市民の意見を聞いてやろう,そういう立場に立っているというふうな思いを持ちます。逆に言えば,事業が固まればもう市民の意見を聞かないということにもつながる考えであります。これが1つの問題点です。  もう1点は,住民投票というのはそもそも事業が固まって,しかもあらゆる情報が開示をされる,そういう前提が引かれてこそ,実は住民投票というのは最もその効力を発揮するものだと思います。  そうなりますと,構想段階であれば,まさに構想であって形が明らかでないわけですから,結果としてこれがなかなか住民投票をやろうという対象には実はなり得ないということでございます。  そうなると,結果,笹山市長が「構想段階であればわかるが……」との考えは,結局構想段階であっても住民投票はできない,それ以後ももちろん考え方としてできない,こういうことになりますから,結果として住民投票を否定する考え方だというふうに思います。  むしろ住民がみずからの意思で,主権者としての立場を発揮する,それがむしろ住民投票という制度を保障しているというふうに思いますし,市民の,いわゆる住民の直接請求権,これを保障した1つの形態として住民投票があるということに,むしろ力点を置いて考えるべきではないか,このように思います。  先ほど津田さんの質疑の中にも少し触れておられましたけれども,着手済みだからもう住民投票はできないんだ,飛行場設置許可が既におりていて,実施設計調査費がついているから,もう手おくれなんだということも,実はさきの臨時市会で市長の方から何度か答弁があったわけであります。  私自身は,神戸市の過去の事業を見させていただいても,例えば理工系大学構想というものがありました。これはちゃんと人もつけて,そして実際に予算もつけて準備段階に入っておった。それともう1つ,六甲シンフォニーホール,これについては構想段階で一定の調査費がついていただろうと思います。これらは実質的に財政的な面の問題もありまして,最終的には事業は実質的に中止になっているというふうに聞いております。
     このように実際調査費がついたり,いわゆる事業として立ち上げている段階であっても,実質的に中止されたという例は,神戸市の事業の中でもあるわけでございまして,着手済みだから手おくれだということは決してないわけであります。  それとともに,空港を実際に所管する運輸省の黒野事務次官,これは昨年の11月2日だったと思いますが,「空港をつくるつくらないは地元の問題であって,地元の判断を尊重する。」という記者会見を行いました。「住民投票を今さらされては困る。」というふうには,実は黒野さんも言わなかったわけであります。着手済みの事業であっても変更・中止は可能であり,当然住民投票ができるということだろうと思います。  で,先ほどなぜこの時期にあえて住民投票条例案を出してきたのかという,その意義についての質問もございました。これは当然私たちはあの35万の昨年の直接請求,その思いが今も続いているということを,あの市民投票で確認をさせていただきました。そういう状況の中で,もう一度やはり市民の思いを議員提案という形で出そうということで,今回この住民投票条例案を出したわけであります。  この条例案がきょう成立するということになれば,当然議会として市長に「住民投票の結果が出るまでは工事着工を一時凍結してほしい。」こういう申し入れをすることになると思います。  その判断は市長にゆだねられることになりますけれども,議会との信頼関係を非常に大切にされる笹山市長でありますから,当然空港の着工は凍結をしていただけるものと思います。  さて,私たちは,あすからいわゆる実質的な着工につながるブイの設置工事が行われるわけでありますけれども,その前の日であるきょう開会をしたこの本会議に,この条例案を提出をしたということでございまして,きょうこれが成立をすれば,当然工事は笹山市長の手で中止していただけるものという思いを込めて,実はきょう提出をさせていただいたということでございます。  なぜこの時期に,どういう意義があるのかというのは,私が今説明をさせていただいたとおりでございます。  次に,津田さんの方から,他の自治体で住民投票を実施したところ,そこで住民のいわゆる自治意識や行政の対応がどう変化をしたか,その辺をどう評価しているのか。また,そこでの問題点や課題はないのかという質問をいただきました。  私は,津田さんの質問にもあるとおり,住民投票を実施した幾つかの自治体の首長が,共同通信社のアンケートに答えられておりまして,ほとんどの自治体の首長さんは,「住民投票をやってよかった。」こういうふうに回答をされております。  特に新潟県の巻町の例なんですが,これは現地の新聞社が世論調査をしたわけでございますけれども,建設賛成と答えた人を含め,有権者の7割以上の人が「住民投票をやってよかった。」こういうふうに答えているそうでございます。これは建設賛成・反対を問わず,「やはりこれは住民投票をやってよかった。」という感想を漏らしているということでございます。特に住民投票をやったことによって,むしろ町民の融和が進んだというふうな評価が記載をされておりました。  投票から2年たって,住民同士のいがみ合いがほぼ解消をして,今日では問題の町有地の一部につきましても,反対派住民に売却をしたということがつい先日の新聞報道で出されていたと思います。  巻町では──私たちは巻町で運動になった方を呼んで勉強会をやったのですが,そのときに巻町の住民投票が終わって,その後のさまざまの問題がありましたけれども,住民が積極的にまちづくりに参加をするようになってきた,自分たちのまちに住民が責任を持とうという姿勢が出てきているということを高く評価されておりました。  また,先ほどから話が出ております岐阜県の御嵩町の例をお話しいたしますと,産業廃棄物の最終処分場の存廃問題ということで住民投票が行われました。  この中で特に産業廃棄物問題と住民が向き合って,例えば大量のごみを出すという自分たちのライフスタイルを,この際考え直さないと根本的な解決にならないんじゃないか,産業廃棄物を自分のまちにつくるのだけは困るという意識ではなくて,そもそもこういう産業廃棄物をつくらない,発生させない,そういう生活のスタイル,またそういう企業のあり方というものをやはり考えていく必要性があるんじゃないかというようなことで,町民が非常に積極的に町内の家庭ごみの減量,リサイクルの推進が始まってきているということでございます。特に町長自身も,「自分たちの問題を真剣に考える機運が住民の間に生まれてきた。」と述べておられます。  よくこの住民投票を,私たちの条例案を開いて見ていただいたらいいと思いますが,実は買収や脅迫等,そういうことをしてはならんということは条例上書いておりますけれども,その罰則規定までは実は持っておりません。また,公職選挙法が適用されないというふうなことになっていまして,このことも実は前回の条例案否決の1つの理由になっております。  こういうことが実際住民投票をやったまちでどのように行われたのだろうかということも,蛇足ではございますけれども,ちょっとつけ加えておきたいと思います。  どこの住民投票でも,やはり一部の人が仕掛けた買収それから脅迫ということに屈服した,そういう有権者がいたというふうに聞いております。ただ,実際いずれの地域でも,公職選挙法が適用された通常の選挙よりは不正の件数は極めて少なかったということを報告として聞いております。  例えば毎回派手な金権選挙を展開することで知られている新潟県,この巻町では住民投票の際,買収や脅迫は鳴りを潜めたということでございます。これは町民の主権者意識が目覚めてきているというふうなことで,運動員が買収は効き目がないというふうに判断したというふうにも聞いています。  このように実際に住民投票をやっているところでは,やはり政治的な意識,自治意識,自分たちのまちを考える意識が非常に高まってきているということを言いたかったわけでございます。  私は,この住民投票を実施した幾つかのまちの話を聞いて,主権者としての意識が住民に目覚めるということは,逆に言えば,今後のまちのあり方に対して住民1人1人が責任を持つという,そういう意識もはぐくんでくるということだというふうに思うんです。  ただ,これはいいことばかりを言っているわけにはいきませんので,問題点も指摘をいたしますけれども,御嵩町の柳川町長は,これまで住民投票が実施された自治体の中で,やっぱりスタッフの不正というものはあった。私も先ほど一部不正があったというふうに言いましたけれども,その事実の幾つかを挙げて,住民投票というのはどの自治体でもやれるというものではなくて,有権者がある程度の水準に達していなければできないし,やってはいけないものという感想もこの柳川町長の方からは出されています。  私も,ある意味ではこの提起をすべて否定しようというふうに思いませんし,ある程度正しいのではないかなという思いも持っています。特に重要な案件について,自治体の徹底した情報公開と,その情報を十分に得た上でこれをよく学び,よく考え,よく話し合って結論を出す,そういう1票というものが実は有権者に求められている。住民投票を実際にやった自治体の多くが徹底した情報公開をやって,徹底した情報戦が行われて,市民がその中で一生懸命考えるようになった。これはやはり住民投票を実施する上で極めて大事なことだろうというふうに思います。  私は,神戸市民には既にこの資格があるのではないかと──なぜならあの阪神淡路大震災で,世界の人々が驚くほどの冷静さを神戸の市民は発揮をしたと思います。  それとともに市民相互の助け合い,これも本当に神戸市民は頑張りました。それは,自分たちのまちは自分たちで責任を負うことを,そういう意識が神戸市民には既に実は芽生え始めてきているというふうに思います。そういう意識の上にこの住民投票が実は提起をされてある。したがって,神戸市民には,この柳川町長さんが問題点として指摘をされたその課題を,既に克服をしているのではないかというふうに思いまして,そういう意味でも,全国の例を見ても,この神戸でも十分住民投票をやることができるんじゃないか,こういう確信を持って,私たちはこの提起をさせていただきました。そしてまた,きょう住民投票条例案を提案させていただいたというところでございます。  少し言葉足らずのところがあるかもしれませんけれども,答弁とさせていただきたいと思います。(拍手)  (「議長51番」の声あり) 21 ◯議長(大西きよじ君) 51番津田 勲君。 22 ◯51番(津田 勲君) 今,答弁をいただいたわけですが,答弁を聞いておりまして,現状でも住民投票ができるという提案者の意思はよくわかりました。  また,今も答弁にありましたように,住民投票を拒否することに何の道理もないこともわかりました。さらに,住民投票を実施した自治体では,住民自治という点でも,あるいは民主主義の高揚という点でも大きな成果が上がっているということもわかりました。神戸においても全国に誇れるような財産を生み出すためにも,住民投票条例成立を目指し,質問を終わります。(拍手) 23 ◯議長(大西きよじ君) 次に,15番浦上忠文君。  (15番浦上忠文君登壇)(拍手) 24 ◯15番(浦上忠文君) 「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例が 150万市民の良識に後押しをされるようにして,議員有志の皆さんから提案をされました。この条例を審議することは,伝統ある神戸市会の名誉とそして市民への信頼にかかわる問題でありますので,議員の皆さん方には慎重に,真剣に考えていただきたいと,まず初めにお願いをしておきます。  先ほど提案者から詳しい説明をいただきましたが,重要な条例でございますので,なお確認をしておきたいことがございます。その立場から住民投票議員団を代表して3点質問をいたします。  この条例は21世紀を目前に控え,行き詰まりが感じられる日本の政治のシステム,地方自治の大もととなる課題でございますので,政治の基本,政治のいろはから質問を始めさせていただきます。  今我が国では民主主義を採用しています。そして,民主主義という政治制度は,すべての市民が──これは国民といっても人民といっても何といってもいいんですが,すべての市民が主権者であることを最大の政治理念としています。このことについて,ここにおられる皆さんのどなたにも異論がないことと存じます。  そうであるならば,あらゆる事柄の決定に関して,主権者であるすべての市民は,笹山さんも私も,他人の権利を侵さない範囲で平等の決定権があるということではないでしょうか。主権があるということは,そういうことであります。  みずからの主権で決定することができるのですから,能力に応じて国や神戸市を維持する費用を負担するのを了解しているのであります。当然のことであります。義務であります。どちらか片方だけでは変ですが,両方そろうのであれば当然です。そのような表裏の関係で,神戸や日本や世界の民主主義は成立しているはずであります。  ところが,おかしいことに,これだけ主権者と言われているにもかかわらず,主権者である市民が義務で納めた税金の使い道に直接口を出したことがあったでしょうか。税金どころか一切の問題の──承知するのか否定するのかの決定に直接参加したことがあるでしょうか。たまにはちょっと主権者らしいことをしてみたい,市民は有権者の1人として思うのではないでしょうか。  代表が何でもかんでも決定しなくていいのです。そんなに頑張っていただかなくて結構です。そう考える市民がふえてまいりました。現代とは,情報社会とは,そういう社会であります。  ところが,今の社会,政治は主権者を突き放しています。市民が直接決定できないのなら,江戸時代の農民とどう違うのでしょうか。実質は違わないではありませんか。租税は取られるだけ,これは今も昔も全く同じです。政はお上が行う。しかし,今は市民が有権者ということになっていますが,そうではなくて,やはり代表者が政治を行う。ですから,昔も今も変わらないと私は思うのであります。  本当の主権者というのは,とにもかくにも自分で直接決定権を行使する人のことをいうのではありませんか。もちろん事務的な事柄については,そこに並んでおられる公務員の方に大いにやっていただきます。有権者はそのために税金を出して公務員を採用しています。何も公務員の方にお願いをしてボランティア活動をしてもらっているわけではないのであります。しかし,そうでない政治課題については,自分たちで決定するのが民主主義というものではないでしょうか。  改めて,現状でよしとする人にお聞きしたいのですが,住民投票など直接民主主義で何が悪いのでしょうか。何か都合の悪いことでもあるのでしょうか。  よく直接民主主義は衆愚政治になるという意見を述べられる方がおります。はっきり言っておきたいのですが,私も含めて大衆が仮に間違った選択をして,その結果ひどい目にあったとしても,それはその決定権者である大衆が被害を被るのですから,余計な心配をしていただかなくて結構だということであります。  その愚かな大衆の間違った判断のために賢者が迷惑をする,それがいやなのだと反論される向きは,どうか愚者のいない,賢者ばかりの住む離れ小島にでも行って,神戸村でもつくってお暮らしになるのがよいのではないでしょうか。  わざわざ住民投票などしなくても,選挙で十分市民の意思が反映できる,それゆえ議会制民主主義は,立派な,疑問の余地のない民主主義だと考え,感じていらっしゃる方もおられることでしょう。  選挙で市民の意思が政治にはっきり反映できるのならいいのですが,もし選挙で市民の意思が政治に反映できなかったならば,そもそも議会制民主主義とは一体何なんでしょう。議会制というのはわかりますけれども,市民の意思のはっきりと反映しない民主主義などというものが存在するのでしょうか。心臓のない人間のようなものではないでしょうか。市民の意思の反映しない民主主義は存在し得ないのであります。それは非民主主義的民主主義と言っていることと同じなのであります。  選挙というものは,極めて複雑な要素の上に成り立っています。先ほども提案者が申し上げましたけれども,候補者の思想・行動様式は,1つ1つの課題によって極めて個別であります。選挙というものは有権者にとって一升瓶に酒蔵全部の酒を注ぎ込めと言われているものであります。余りにも未知数の多い連立方程式の解を求めていると言われているみたいなもので,どんな高性能のコンピューターを使わせてもらっても,有権者は正しい投票などできないのであります。  となりますと,市民の意思を反映し得ない代表者を通して,なぜ私たちは行動しなければならないのか。このような疑問は,市民ならだれでも抱くはずであります。このような選挙というものを通じて選出される代表が市民の主権をかき集めて政治を行っても,本当の民主主義が実現するはずがない,私はこう思うのであります。  議会制民主主義という言葉に,私たちは麻痺をしてしまっているのではないでしょうか。選挙で市民の意思を政治に反映できる,そういう多くの人々の思い込みまたは錯覚の上に議会制民主主義は成り立っているのではないでしょうか。議会制民主制はやむを得ず採用している制度ではないでしょうか。  そこで,提案者にお尋ねをいたします。議会制民主主義つまり間接民主制度というものは,完成された制度とお考えなのかどうか,それをまず質問いたします。  あわせて,関連して直接民主制つまり住民投票などは衆愚政治をもたらすという意見があるが,これについてどう考えておられるのか質問をいたします。これが質問の第1点でございます。  次の質問でございます。  笹山市長は,昨年11月12日から行われました臨時市議会本会議において,30万余りの署名を添えて市民から請求された住民投票条例を審議しているときに,「神戸空港計画は,市民の代表である議員で構成する市会で議論され,意思決定していただいたわけですから,その議決に沿って手続を進めてきたので,住民投票にはなじまないのではないか。」2つ目「議会には先生方が市民の代表として出ておられる。議会で決めていくのが今のルールなんですね。」と発言しています。  確かにそれも1つのルールです。しかし,ルールはそれだけではない。間接民主制だけでなく,直接民主制というルールも用意されていると,先ほどの提案者も説明をされました。憲法に,地方自治法に明示されているルールだと詳しく説明をいただきました。  となると,昨年の臨時市議会で笹山市長の「議決によって手続を進めてきたので,住民投票にはなじまないのではないか。」という発言は,ピントが1つずれているのではありませんか。地方自治法を無視する発言ではありませんか。政令指定都市の市長として見識を疑う発言ではありませんか。議会で決めたことに住民投票をしてはいけないなんて,憲法にも地方自治法のどこにも書いていない。  そこで,質問をいたします。議会が決めてしまったことは,住民投票ができないのでしょうか。私が間違っているのかどうか。笹山市長の「住民投票にはなじまない発言」は誤りなのかどうか,教えていただきたいと思います。先ほどの「構想段階ならともかく」発言と並んで,住民投票を初めから問題外とするような考え方は,地方自治法違反の発言ではないですか。そんなことを言っていいのか,責任をとらなくていいのか,質問をいたします。  あわせて,住民投票というものになじむテーマ,なじまないテーマというものがあるのか,教えていただきたいと思います。  3つ目,具体的な条例の中で1つだけ気になることがございます。第4条の2項地方自治法第13条の2に定める住民の記録のうち,外国人登録によって前条に規定する告示日の前日までに引き続き3年以上の日本在住が確認される定住外国人のうち,告示日の前日までに神戸市に引き続き3カ月以上定住していることが,外国人登録によって確認されるものであって,告示日の前日に満20歳以上の者に住民投票の資格があるということになっています。この条文を提案される深い意義についてお尋ねをいたします。  これで質問を終わりますが,なぜ森原議員が提案された,津田議員が質問をされた,なぜほかの議員の皆さんがもっともっと質疑に参加されないのか,異様な議会であると私は思うのであります。これだけの努力をして,当局の方も並び,たくさんの方が提起をして議会を開催された,議員としての役割を果たしていないのではないか,仕事をみずから放棄しているのではないかと私は考えるのであります。そういうことばかり続けるから,ますます議会制民主主義の不信が募っていくのであります。  一言申し上げまして,私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)  (「議長71番」の声あり) 25 ◯議長(大西きよじ君) 71番森原健一君。  (71番森原健一君登壇) 26 ◯71番(森原健一君) 私の方からお答えしたいと思います。非常に多くのことを述べられたんですが,問題の1つは直接民主主義と間接民主主義,これをどう考えるかという問題,それから住民投票というのは衆愚政治と言われるけれども,どうかという問題,それから空港問題は住民投票になじむかなじまないかという,大体そういうことであったというように思います。  これはお互いに関連する内容ですので,まとめてお答えしたいんですが,提案説明と繰り返しにならないようにしたい──そこで直接民主主義と間接民主主義の問題を申し上げたんですが,繰り返しになりますと,一般論で言えば民主主義を実現させていく上でいろんな方法がある。1つは直接民主主義である──ギリシャの時代は奴隷制民主主義でありましたけれども,ポリスに全員が集まって会議をやった。だんだん人口がふえてくるとそうはできないから間接民主主義という制度が取り入れられた。いろいろ方法・手段の問題ですね。できるだけみんなの意見が反映されるという方法が望ましいだろうというふうに思います。  議会制民主主義というのは,代表者が有権者から信頼されているということが大前提に成り立つわけで,言いかえれば議会の意思と市民の意思が一致しておることが望ましい。主権者はあくまで住民ですから,市会の意思と住民の意思が違うということが明瞭になった場合には,住民の意思を生かしていく方法が最終的に必要になってくる。それの1つが住民投票であろうというように思います。  つまり現在の代議制といいますか間接民主主義というのは,場合によっては機能を果たし得ておらないという場合が起こり得る可能性がありますから,それを補完し,修正するといいますか,ただす方法として直接民主主義の方法があるというように考えていいのではないか。矛盾するものではなく,相互に補完し合って民主主義を実現させていくものであるというように考えています。  一般論はそうですが,今我々が議論しているのは,具体的には神戸空港の建設に関しての問題です。この問題は,なじむかなじまないかという問題,また後ほどお話ししますが,神戸市自身がつくろうとしている問題ですから,まさになじみ過ぎるほどなじむ問題であろうというふうに思います。まさに市民自身の問題であるというように思います。ただ,必要性とか環境とか財政問題等々について非常に大きな疑問があり,2年続きで何十万人の方々がいろいろ疑問を投げておられるというところから,議会の意思と住民の意思との間に溝があるんではないかということで,住民の声をいま一度,立場の違いを乗り越えて聞こうではないかというのが住民投票の意図であり,精神であるというように思います。  そこで,昨年の臨時市会のときにも,当局から,神戸空港の問題は,1つは構想の段階ではないから住民投票はできないというお話があって,これは先ほど粟原議員が答えられたと思うんです。  私もさんざん,神戸空港住民投票になじまないということを当局の答弁から聞かされました。その理由として,1つは高度で専門的な問題だからだと,第2に長期的な展望に立つ問題だから,第3に多様な選択肢がある問題だから,住民投票にはなじまないんだと,つまり議会は決める力があるけれども,住民にはないんだと言わんばかりの説明が当局から繰り返し行われ,私はそれは市民を軽べつした意見ではないかというので,抗議しつつ質問したことを覚えております。  したがって,高度で専門的で長期の展望に立って,幾つかの選択肢があるという問題は,市民に果たして判断の能力がないんだろうかというと,決してそうではなしに,まず前提になるのは情報公開だと思います。あらゆる情報を公開するということ,そして民主主義の前提は討論ですから,有権者が,市民がよく学習し,討論し,みんなで議論し合っていく,そういうことが大事であるというように思います。  そして,政策と政策,論戦を戦わせることによって,住民自身が結論を得る。それはそのときそのときのその社会の住民の民意の到達点ですから,そういうことをやればだれもそれを否定できないだろうし,そこで出た結論は,そういう過程を経れば,その社会その社会の歴史の到達点になるというように思います。  そこで,今,国の方でも住民投票の問題が議論されているようですけれども,例えば原発とか産業廃棄物の問題は,その自治体の固有の権限でないから住民投票になじまないとかいろんなことが制限されて,住民投票を極めてやりにくいような形での方向で進められるのではないかという懸念がありますけれども,その自治体の行政権限に関係があろうがなかろうが,住民投票をやれば,それは住民自身の政治的意見の表明になるわけですから,それはそれとして尊重されなければならないということで,住民投票において「なじむなじまない」論は,結局これは否定に連なり,本当の民主主義の発展につながらないのではないかというふうに私は考えています。まさにこの神戸空港の問題は,「なじまない」論には全くなじまないというように思います。  ただ,補足になりますが,欧米諸国では住民投票はちゃんと制度化されていまして,イニシアチブとかレファレンダムという言葉で呼ばれております。住民が去年のように直接請求をすれば,条例を決めて住民投票をやる,あるいは議会を経ずに住民の直接請求で,住民が直接条例を制定できるという制度もありますし,議会が条例をつくったら,必ずそれを住民投票にかけるというような制度もあって,住民投票は当たり前のことになって,毎年何回も住民投票をやっているという国も幾つかあるようであります。  日本の場合は,確かに法整備がおくれていますけれども,憲法の理念,地方自治の理念は,住民投票を否定しておらないと思いますし,去年のように直接請求によって議会が条例をつくれば住民投票は可能でありますから,日本には全く法がないとか,法体系がないから住民投票はできないというような意見もありましたが,そうではなしにこうした住民投票を求める運動の繰り返しが全国で行われ,必ず障害を乗り越えて,住民自治・住民投票が法制度化され,それが当たり前のようになるであろうということを,歴史の発展方向として確信しているところであります。  もう1度繰り返しになりますけれども,筑紫哲也の「神戸空港の建設は愚挙である。住民投票をやって,その結果でならばだれも愚挙とは言わないだろう。」と,私はこの言葉の意味をしっかりとかみしめる必要があるというように考えています。  定住外国人の問題は,粟原議員からお答えします。  (「議長34番」の声あり) 27 ◯議長(大西きよじ君) 34番粟原富夫君。  (34番粟原富夫君登壇) 28 ◯34番(粟原富夫君) 先ほど浦上さんからの質疑で,今森原さんの方から答弁がございました。そのうち定住外国人に投票資格を認めることについての意義について述べていただきたいという質問が浦上さんの方から出されました。私の方から,なぜあえて定住外国人に投票資格をという,条例の中に項目を入れたのかということについて説明をさせていただきたいと思います。  皆さんご存じのとおり,地方自治法の第18条には選挙権の規定がございまして,日本国民たる年齢満20歳以上の者というふうに規定されていますから,実質的には定住外国人の選挙権は認められておりません。しかし,住民投票条例というのは,条例ですから,ルールは基本的に自由に決めることができます。したがって,条例に盛れば,定住外国人はもちろん18歳以上の投票資格者も可能であります。  今まで住民投票を行った自治体が幾つかありますけれども,例えば先ほど言いました御嵩町,それから沖縄の名護市での住民投票のときに,いわゆる定住外国人に投票資格をやはり盛るべきではないかという検討が行われたというふうに聞いています。  ただ,いわゆる運動団体の中での意見の調整がうまくいかなかったとか,名簿の作成に少し時間がかかるということで,急を要していた名護市ではそれを見送らざるを得なかった,しかし検討はかなりされたというふうに聞いております。  今回この条例が神戸の市会で成立をするということになりますと,定住外国人が投票するという,日本で初めてのそういう住民投票になるということでございます。私たちがなぜ今回この定住外国人に投票権を付与すべきだというふうにこだわったかと言いますと,1つはやはり阪神・淡路大震災があったということが大きな理由だと思います。  ここにはいわゆる在日の朝鮮の方,韓国の方,また在日の中国の方が実はたくさん住んでおられるわけであります。その皆さんとあの震災のときに本当に助け合って,例えば朝鮮学校に日本の住民の皆さんがたくさん避難をされた。また,長田の朝日病院──これは朝鮮・韓国の皆さんが経営をされている病院ですけれども,そこにも日本の皆さんがたくさん入院をしたりというふうなことがあって,大変な治療をされたということも聞いています。  そういう意味では,神戸の震災の中での国籍を超えた連帯があった。この気持ちこの思いを,この事実をちゃんとしたものに残したい,こういう思いが私たちはありましたから,あえてこの住民投票条例案にやはり盛るべきだろうと,しかも神戸ならそれが無理なくやれるのではないか,そういう思いでこの条例案の中にあえて入れさせていただいたということでございます。  ただ,憲法という立場に立ちましても,先ほど提案者の森原さんの方から話がありましたけれども,1995年2月28日最高裁の第3小法廷──これは在日外国人参政権訴訟というのが行われていたんですが,その判決が出されまして,「定住外国人の参政権を憲法上禁止はされていないものと考える。」という,事実上地方参政権を容認する,そういう判決が出されました。  その根拠はどこに求めておられるかといいますと,いわゆる憲法第8章地方自治というものがございます。この地方自治というのは,日本の中で非常に大事なものであるというふうに言われている。それを憲法第8章であえて項目を起こして,地方自治の確立ということが言われています。  その地方自治の中で,当然地方自治のいろんな仕事・役割,その中に定住外国人は当然そこに密接に関係をするわけだから,そこで物を言う権利,そして物を言う人を選ぶ権利,そういう場に代表者を出す権利,これは当然あるはずではないかというふうなことが地方参政権として,これは憲法は禁止していないということをこの判決の趣意書が出している──判決の中で出されているということでございます。  神戸市議会も同じ1995年3月15日,全会派が実は一致をして最高裁判決に基づいて,定住外国人地方参政権を国の責任で早期に確立せよという意見書を,実は神戸市会も全会派一致で出しております。  そういう前提がございますから,私たちは定住外国人に投票権を認める,これは神戸が最初になし得ることだろうというふうに思っておりますし,全国的にも実際民主主義の拡大と日本の国際化に大きな役割を果たせる,そういうものではないかと,そういう強い思いを込めてこの項目の中に入れさせていただいたということでございます。  少し長くなりましたけれども,答弁にさせていただきたいと思います。(拍手)  (「議長15番」の声あり) 29 ◯議長(大西きよじ君) 15番浦上忠文君。 30 ◯15番(浦上忠文君) 2つ3つ,再質問したいことがあるんですが,きょうは議事日程が大変盛りだくさんでありますんで,また個別にお伺いいたします。  今答弁をお伺いしていまして,お2人の提案者の並々ならぬ決意というものがよくわかりました。しかし,間接民主制と直接民主制のことについて,なぜ私が,皆さん方からやじられながらも,しつこくしつこく繰り返すかというと,今例えば中央においても選挙というものが行われる,何々党けしからんけしからんと言って,この党に入れようと思って投票する,するとその党が今度はけしからんけしからんといった政党と一緒になって,数だ,力だ,国が安定しなければならないとそうする。そうすることによって国民の政治不信が強まっていく。日本の政治が行き詰まっていく。だれを投票したって一緒やないか,そういうことになっている。そういうことがちょうどすべてが日本の 100分の1の規模で行われている神戸のまちでもそうではないか。そのことを私は一番危惧するからであります。  震災があって,市会議員選挙があった。そして,空港の問題があった。住民投票条例案の審議があった。それにもかかわらずこの4月の選挙は約50%ではないですか。半分の人が投票に行かない。どうせ行ったって一緒だ。浦上に入れても一緒だ,何々に入れても一緒だ。そんなことでこれからの神戸のまちがもっていくのか。ここまで来たら,何かイベント,何かお祭りをして,政治を改革していこうではないか,それを神戸からしようではないか,そういう提案を私はしているのであります。  昨年に私は,名前を言えばみんなが知っておられる神戸の財界のトップの方に,神戸を憂える親書というものを送りました。残念ながら返事はいただけませんでしたけれども,中身はこういう中身であります。  「今後の神戸の将来のことは,現状の制度では議会というものは,プランというものは議決しながら決めていくことがあるかもしれないけれども,あなたには神戸というまちの空気をつくる力があるから,ぜひ聞いてほしい。」という書き出しであります。
     「神戸空港計画について,市民があらかた二分されていることをあなたはどう受けとめておられるか。あなたのおられた大企業なら,当然マーケティングということをやっておられるでしょう。いや既に十分なマーケティングをやられた上で,わざと突っ張っておられるのか。神戸空港に疑問を持っている市民の大半は,あなたが常に好感を持たないと発言されておられる政治グループや政党の方ではありませんよ。わきに日本経済新聞を挟んで,きょうも戦う企業戦士,震災で子供を亡くされ,家をなくされた方たちを気の毒に思う,同情心の強い,自立心のある,しっかりとした市民ですよ。  ヨーロッパでは戦争で子供を失った母親が亡くなるまで,戦争は終わったことにならないと言われています。神戸のあの地震も同じことです。地震は今も続いています。こんなときに空港問題を出してどうするのですか。昔と違いますよ。今までの事業とはわけが違います。そのうち工事でも始まったら市民はあきらめるぞなんて思っていたらえらい目に遭いますよ。情報化社会の市民はあきらませんよ。ますます怒りますよ。あの地震で市民は肝が座っていますよ。ホテルに財界や役所や議員だけが集まって気勢を上げている場合ではありませんよ。住民投票条例の運動がありますよ。それを強引に強引に否決されたら,今度はまたリコールや何やらかんやら何回も何回も繰り返されて,いつまでもいつまでも市民の気持ちが1つにならない。市民の気持ちがばらばらになったままで神戸が成り立っていくでしょうか。市民投票を通しませんか。努力していただけませんか。  仮に反対が多かったとしても,どうしても神戸空港はつくりたいとおっしゃるなら,幾らでも方法があるではないですか。何ぼでも情報を出しながら,市民の合意を得てつくっていく,そういうふうにしたらどうか。」と,そういう手紙を出しました。  後に須田 勇神戸大学長がおっしゃったように,市長も議会も市民も,住民投票を行うということは,だれも傷がつかないで,全国に胸を張れる神戸になれたのではないですか。  11月の議会で住民投票の法制度の不備ということを指摘された議員もいらっしゃいました。政治制度も法制度も,議会制民主主義も間接民主制も,それがおかしければ,時代の変化に従って改革していけばいいではありませんか。  私たち議員も,目先のことを考えるんではなくて──目先のことの何やらやなしに,政治を志したからには目標を掲げ,震災に遭った神戸から……(発言する者あり)  ──最後の結論ではないか。震災に遭った神戸から行き詰まった日本の政治を変えていく,それくらいの気構えを持っていこうではありませんか。これを強く主張して,私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 31 ◯議長(大西きよじ君) 次に,36番佐藤けん一郎君。  (36番佐藤けん一郎君登壇) 32 ◯36番(佐藤けん一郎君) 私は,さわやか神戸・市民の会をご支援くださった2万 1,157人の市民を代表いたしまして,笹山市長に以下お尋ねをいたします。  まず第1点は,そもそも本日の臨時市会は,粟原富夫議員外9名の同僚議員からの「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例の制定を求められ,これを受けて笹山市長から招集を受け,開催をされたものであります。  ところが,笹山市長は,みずから議会を招集しておきながら,この提出議案に対して何らの意見も付加してこられていないのであります。この点について私は納得ができない。  住民の直接請求による議案審査については,地方自治法第74条第3項は,市長はみずからの意見を付して議会を招集すべしと規定しているのであります。ところが,議員提出議案については,そのような規定はない。  それは議員提出議案には,市長にある種の事務を求めるものとは限らず,単に国の機関に意見を提出するだけの,いわば市長との関係が極めて薄いものもあるわけでありますから,常に意見を付すべきであるとの義務的な規定がないだけの話であって,しかも現にここに座っておられるように,市長は今回の招集事案について意見を述べようと思えば──市会本会議は市長が招集し,市長が出席しなければならないわけですから,あるいは市長が定めた代行者が出席をしなければならないわけですから,いずれにしても機関の代表としての市長は出席をする,発言を求めれば発言ができる,こういう状況になっているから,あえて地方自治法はそのことを規定しなかっただけであります。  今回のこの条例制定の議案提案は,まさしく市長の固有の事務,しかも法律上は市が政令市であっても,空港を建設しなければならないことには制度上なっていない,あなた自身が選んだ固有の事務について提案をされてきたわけであります。しかも,あなたの執行権に対して制約条件を付すものであります。意見をつけるのが当然ではありませんか。なぜ意見を付さなかったのか。  私は,笹山市長は市長としての善良なる事務の管理義務を全うしていない。怠慢のそしりを免れ得ないのではないかと思うわけであります。まず第1点,この点についての質問であります。  次は,昨年の11月に否決されたものと同様のものが──若干変わっていますけれども,同様のものがまた出てきたわけであります。1年を経過しない間に市長の全く同一の事務,神戸空港建設事業に対する制約案件が2回も出された。しかも,臨時市会で対応せざるを得ないタイミングで提出をされた。異例のことであります。  神戸空港問題は,昨年11月の住民投票条例案否決でけりがついてなかった。しかも,本年4月の市会選挙では,西区・垂水区・須磨区・北区・灘区・東灘区の6選挙区では,空港推進派の大物議員──議長,副議長,予算特別委員会・決算特別委員会の委員長クラスの大物議員が肩を並べて落選をした。静かではありますが,市民の意識が大きく動き始めたのであります。昨年11月の否決臨時市会以降のことではありませんか。  この市民の動静について,残念ながら笹山市長,あなたは認識を大きく欠いておられる。市民が何について不安を抱いているのか,何について疑問を抱いているのか,これについての認識と対応,これが大きく欠落しているのであります。このことを多少具体的に述べてみます。  笹山市長は,昨年11月の臨時市会の後,12月1日の広報こうべで一面トップ記事──写真入りですよね。4つの点を主張しておられます。その中の1つ,「わかりやすい広報に努力」という柱を掲げている。ところが,そうおっしゃって,この9月まで広報は平成11年2月1日の神戸空港ニュース,同じく平成11年1月1日の神戸空港ニュース,そして11年8月1日の広報こうべの3点だけであります。ここに現物が全部そろっております。  相当の経費を負担して,せっかく出しているのに,市民が抱いている疑問──いろいろありますが,一番大きなものは関西空港と大阪空港があるのに,なぜ3つ目の神戸市営空港なのか。この神戸市営空港の必要性については,何ら具体的な説明が3点を見てもされていないのであります。  確かに,1月1日の神戸空港ニュースには,新たな働く職場をつくり出す神戸空港,所得・雇用の増大というようなお題目が書いてはあります。しかし,抽象的な内容にしかすぎないのであります。空港の建設がなぜこの新たな働く職場をつくることにつながるのか,なぜ所得・雇用の増大につながるのかというその根拠が全く書いてないのであります。  大体笹山市長,あなたは現在総面積 390ヘクタール,総事業費 5,200億円,ポートアイランド第2期工事のほぼ9割を完成させているわけであります。総事業費 5,200億円です。それだけではありません。あなたはまた六甲アイランド第2期というか,南といいますか,これをやはり総面積 333ヘクタール,事業費 5,600億円,両方足したらざっと1兆 800億円で,ここ7~8年来,事業推進に努めておられるわけであります。  それだけじゃありません。震災でいわゆる震災復興事業──港湾にも入ってきました。下水道でも入ってきました。市営住宅の建設にも入れてきました。私は,つぶさにそろばんを入れているわけではございませんが,1兆円を超えていることは確かであります。  この六甲アイランドの南とポートアイランドの第2期を足したら2兆円を超えるのです。それで景気がよくなっているんですか。景気がよくなるどころか,私の住んでいる須磨などは,この8月1日の統計でございます。市が出した統計ですよ。昨年の8月1日に比べて 1,000余人の人口が減っている。須磨だけじゃない,お隣の長田もこの8月1日,昨年同期に比べて,同月に比べて 1,300余人,人口が減っているんですよ。震災が終わってもう4年半たっているじゃありませんか。  お米屋さんも酒屋さんも不況で泣いております。あなたが震災復興事業も含めてこの4~5年の間に2兆円になんなんとする投資をしたのに,ちっともよくなっていない。まだ外へ出ていく市民の足をとめることができていない。  何で空港の 3,140億円で,新たな職場をつくります,所得・雇用の増大をいたしますと──大きな字で1月1日から,市民はこれを見させられたわけであります。昨年の11月に否決をされたのにまた出てきたのは,それですよ。行政の市民の動静に対する把握と対応がなっていないからであります。  広報活動は,この3枚だけじゃないですね,出前トークというのをやり始めた。私も出前は好きでございまして,たまに出前をとりますけれども…… 33 ◯議長(大西きよじ君) 佐藤議員,ご発言中ではございますけれども,本臨時市会は空港の住民投票の条例に対する審議でございますので,当然提案者に対する質問という形をとるべきではないかと思います。  ただ,市長にコメントを求められるのは結構でございますが,空港そのものの論議は,この後また定例市会もございます,機会がございますので、今はできる限り投票条例に限っての質疑に限定されてはいかがかと存じますが──佐藤議員のご良識に期待します。 34 ◯36番(佐藤けん一郎君) 良識にはいろいろございまして,大西名議長のご良識もありますし,佐藤けん一郎の良識もあるわけであります。  このように臨時市会マター,本会議マターという重要な案件について,当局は市長だけではない,数えたら何人いらっしゃるんですか。説明補助員まで出てきている。市長のご意見をお尋ねするのも議員としてのルールではないか,このように私は考えておりますので,よろしくご了承を賜りたいと思います。なお,早めに切り上げるようには努力をいたしましょう。  出前トーク,これが行われました。私も出かけていったわけでありますが,そこでことしの5月でございます。そこで,岡本 誠さんという一市民が,ポートアイランド並びに六甲アイランドの地盤沈下──埋め立てをしたけれども下がる,この地盤沈下の実績をしっかりととらえられて,神戸空港建設・埋め立てのためにどれだけの土量が要るかということを,この出前トーク──市長が約束をした広報の一活動でありましょう。その中で図までそろえて科学的な説明をされたのであります。私は,本当に立派な研究をされたなと感心をしたほどであります。  結論的に言いますと,市の神戸空港埋め立てに必要な計画土量は 6,600万立米であります。これは私たちにいただいている事業計画もそのとおり書いてあるし,それから運輸省・環境庁に提出した資料も 6,600万立米──ところがこれでは足りない。車輪のついた飛行機では着陸も離陸もできなくなる。航空艇でなきゃだめだと──要するに何十センチも海底に,この 6,600万立米では埋まってしまうではないか,こういう指摘をされたわけであります。これに対して神戸市の担当者は,答弁ができない。10日ほど時間をくださいと言ったんですが,10日たっても出てこない,20日たっても出てこない。岡本さんの研究によればあと 2,500万立米は要るはずだと,大体4割から不足をしているわけですから,これは大変な問題であります。  こういうことで,私たちに提出してきている港湾整備局の,いわゆる空港担当局の事業概要さえ,今もって 6,600万立米のままであります。要するにいろいろやっちゃあいるけれども,具体的な話になったら全く答弁も対応もできないというのが今の姿であります。  もう1点,市長はやはりこの臨時市会──昨年の臨時市会後の広報で「税金を使いません。」と言っているんですね。税金を投入しません。これは全く地方行政法なり地方財政法の構造から,基本的な考え方から外れた考え方であります。  大蔵省の財政投融資資金にしたって,あるいは銀行などの縁故資金にしたって,借り入れの名義は神戸市長笹山幸俊であります。なぜ神戸市長笹山幸俊の名前で1兆円あるいは何千億円の金が借りられるのか。それはあなたが予算の調製権,予算の執行権,市税の徴収権を持っているから。簡単に言えば市民の税金が担保になっているからであります。そのもの自体を使わなくたって,担保として使っているではありませんか。これについても市民は感覚的に理解ができない。  このようなことで,提案者が議運でご迷惑をおかけしますけれどもというような説明がありましたけれども,迷惑どころじゃないです。堂々と論議をするべき問題であると私は思うのであります。ひとつこの機会に,せっかくの機会でございますから,笹山市長なり当局の明確なご答弁をちょうだいいたしたい。  大変議長にはご迷惑をおかけいたしましたけれども,以上をもちまして私の質疑を終わらせていただきます。(拍手)  (「議長」の声あり) 35 ◯議長(大西きよじ君) 笹山市長。 36 ◯市長(笹山幸俊君) きょうはたくさんのご質問がございまして,市長みずから答えろというお話でございますが,これは既に昨年もお話がございましたように,臨時市会でそれぞれ推進についての意思決定が実はなってきております。そういうことがございますので,執行機関でございます私どもとしてはそれを進めるというのが市民に対するお答えである,こう考えております。  ですから,市会としてもその意思決定をしていただいておりますし,それぞれの順序といいますか制度に応じて,議会で議決をいただいておりますし,その順序に沿って手続を進めるということに,私どもは仕事をさせていただいております。  特にそういうことで既に申し上げておりますので,長くは申し上げません。ご了承願いたいと思います。  以上でございます。  (「議長36番」の声あり) 37 ◯議長(大西きよじ君) 佐藤君。 38 ◯36番(佐藤けん一郎君) 市長からせっかくご回答いただいたわけでございますけれども,答弁をいただいたわけですけれども,私は,だからこそ昨年の11月の市議会以降の事情もるる説明をしてご意見を伺ったわけであります。  あなたは「ただ執行するだけです。」などと,また上手なことをおっしゃっておられますけれども,大体市長は4年の任期にわたって市の全般にわたって責任を持って,基本的な問題からレールを引いていかれるわけであります。  最近の目まぐるしい社会経済状況の変化の中で朝令暮改──これがリーダーの1つの要件だと,状況の変化というものを正しく把握をする,そして即断・即決をして行政を推進していく,これが新しい市長の姿ではなかろうか,このように思うわけであります。  私は,笹山市長さんとは,平成元年でしたか急遽──何でか知りませんが,当時の宮崎市長が立候補を取りやめて,後継者としてあなたをご指名になった。笹山現市長と私は選挙戦を争った間ではありますけれども,私は笹山さんのお人柄,決してきらいではないんであります。ひょうひょうとして,あたかも水のごとくさらっとしたお人柄……(「ちゃんと質問せいよ。」の声あり)  今まとめてるんだ,黙って聞きなさい。発言の自由があるんだ。  私は,笹山さんのお人柄は決してきらいじゃないけれども,しかし今のご答弁,そしてこの10年ほどになりましょうか,この間における接触を通して,笹山市長は残念ながら基本的な理念において果たして市長の資格があるのか,大きな疑問を抱かざるを得ない。笹山市長……(「リコール」の声あり)  それも1つの案ですね。リコールという声も出ているわけですが,いましばらく時間の猶予を差し上げたい。あなたの方針を明らかに転換されることを強く求めまして,私の質問を終わります。 39 ◯議長(大西きよじ君) 以上で質疑は終わりました。  本件は,委員会の付託を省略し,即決いたしたいと存じますが,委員会付託の省略に関し,討論の通告がありますので,発言を許可いたします。31番森脇英雄君。  (31番森脇英雄君登壇)(拍手) 40 ◯31番(森脇英雄君) ただいま議長から,本条例案について委員会付託を省き,直ちに採決を行うとの提案がなされました。私は,日本共産党議員団住民投票議員団を代表して,これに反対し,委員会付託を求め,討論を行うものであります。  神戸市会会議規則第29条で,議案は委員会に付託することが原則とされています。しかし,第2項で,議会の議決によって委員会付託を省略することができるとしていますが,これは例外規定であります。委員会付託を省略するには,それなりの明確な納得できる根拠が必要です。それが不明確であります。  既に議員同僚の皆さんもご承知のように,市議会の構成と運営において,常任委員会・特別委員会は,付託された議案について独自の立場,独自の見解で審議・審査・調査を行い,その決定について,期限を除いては本会議からの制約と干渉を受けず運営できる機構であります。  長期に市民意見を二分して議論の続いている神戸空港に関する住民投票を実施するかしないかという議題は,神戸市政のあり方について極めて重要な議題であるとともに,2年続き,実に20万人・30万人の市民が疑問を投げかけている問題であります。この強い市民意思と運動の力が,神戸市議会の歴史に議員要求による臨時市議会の開催という事態となっているのであります。  この意義ある市議会の会期が,先ほど残念ながら会期わずか1日と決定されてしまいましたが,きょう1日の間でも委員会に付託し,まだ審議し尽くされていない問題を徹底審議するなり,当局を参考人として出席を求め,必要なことを質疑することも重要であります。委員会付託を省き,今本会議で採決するとなると,この議案についての徹底審議が不可能となります。まずこれが委員会付託を求める第1の理由であります。  次に,この議案と議会運営に関して,わずか1日との本会議会期が漏れ伝わった中でも,多くの市民の皆さんから請願・陳情が提出されています。この中には,会期を延長すること,委員会付託をすることなど,徹底審議を求める請願があり,住民投票条例案の成立を求める請願・陳情があります。この議案が,委員会の付託を省き,今本会議ですぐ採決することになると,これらの請願は一事不再議となり,なんら議題にされることなく結論が出されてしまうのであります。つまり市民の持つ請願権が全く無視される結果になってしまうのであります。  本議案を委員会に付託し,あわせて請願についても審査することは,市民の請願権を保障する上で絶対に必要なことであります。これが委員会付託を省くことに反対する第2の理由であります。  さらに,委員会に付託することにより,請願者はみずからの意見を口頭陳述することができます。規則で保障されている市民のこの権利すら奪ってしまう結果になるのであります。これが委員会付託を省略することに反対する第3の理由であります。  市議会が市民の声を受けとめることなく,委員会付託もせず,本会議で即決しようとすることは,市議会としての機能を生かすことなく,広範な市民の市政参加の道を阻み,市政への不信を増幅することになるでしょう。  以上の理由から,議員各位の,この後,委員会付託へのご賛同を心からお願いし,討論といたします。(拍手) 41 ◯議長(大西きよじ君) 討論は終わりました。  これよりお諮りいたします。  本件を,委員会の付託を省略し,即決することに賛成の方の起立を求めます。  (賛成者起立) 42 ◯議長(大西きよじ君) 起立多数であります。  よって,本件は委員会の付託を省略し,即決することに決定いたしました。 43 ◯議長(大西きよじ君) この際,本件に関し討論の通告がありますので,順次発言を許可いたします。  まず,24番安達和彦君。  (24番安達和彦君登壇)(拍手) 44 ◯24番(安達和彦君) 私は,自由民主党市会議員団を代表して,議員提出第5号議案「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例の件に反対の立場から討論をいたします。  まず,私がこの条例案を手にして一番に感じたことは,昨年の11月に直接請求の形で市民からこの議会に提案され,否決された第68号議案と比較して,一部その法的問題を指摘された部分を除いて,一字一句たがわないということであります。これでは,このたびの条例案の提案者となられた10名の議員の方々,そしてその会派の主体性が全く感じられず,既に結論が出た問題をなぜわざわざ臨時市会まで開いて議論しなければならないのか,先ほどの答弁をお聞きしていても理解ができないのであります。  提案された方々は,昨年と今回とでは事情が異なっている,市会の構成も変わり,住民投票を求める市民の運動も発展・広がりを見せていると言われておりますが,先般の市会議員選挙を経た現在においても,神戸市会の構成に大きな変化はございません。提案者の方々は,自分たちの考え方を支持する人だけが市民であるかのように言われますが,あなた方を支持する人も市民であれば,私たちの考え方を支持する人も市民であります。そして,それぞれ市民の方々の意思の反映が,改選後,つまり現在の議会構成となってあらわれているのではないでしょうか。  そして,むしろ今多くの市民が望んでいることは,仕事や働く場を確保することであり,いかにして神戸経済を立て直していくのかということであります。震災後,おおむね8割復興の状態で頭打ちになっている神戸の経済に活力を与え,安定した雇用の機会を保証するという点で,空港は大きな力を発揮する,神戸のまちに不可欠な都市装置なのであります。  私たち自由民主党市会議員団は,これまでも空港のあり方,それも将来あるべき運輸行政,航空行政を見越し,ビジネスジェットや航空貨物の利用など,幅広いあらゆる視点での研究や議論を行ってまいりました。あわせて,経済復興の切り札となる新しい産業も模索し続けてまいったわけでございますが,これについては,この8月2日外資系企業を含め 200数十社の参画のもとに研究会を立ち上げた医療産業都市構想こそが,それであります。  そして,雇用面のみならず,中小零細企業の育成にも資するこの構想の実現に当たっても,神戸空港の存在が求められているのでございます。空港が存在することで,単に神戸市民が便利になるだけでなく,全国各地からの多くの来訪者が神戸を訪れることで,神戸の産業に大きなウエートを占める集客・観光産業にも大きな効果をもたらすことが期待できるわけでございます。  現在を生きる私たちの責務は,人・物・情報の大交流時代と言われる21世紀に向けて,神戸のまちを単に住みやすいというだけでなく,子供や孫たちが安心して働き,暮らすことができる活力あるまちにつくり上げていくことであります。そのために,私たちは神戸空港をはじめとする神戸の経済を真に復興に導く数々の施策の実現に努力しているわけであり,リスクばかりを強調し,何の対案も示さないまま,結局何もしないということでは,無責任のそしりをまぬがれないのでございます。  そもそも神戸空港については,この議会において,長年にわたって議論を積み重ね,推進の意思を明確にしてまいったところでございますが,昨年11月の臨時市会においては,極めて長時間を費やし,本会議・委員会を通して,市長や助役ともさまざまなやりとりを行い,私たち空港推進派にとっても格段に理解が深まり,その意思は一層揺るぎないものとなったのでございます。その上で議会として住民投票条例案を否決し,改めて神戸空港の推進に関する決議を議決するなど,この件は既に議論済み,決定済みの問題であると考えております。  最後に,神戸空港を推進する立場から,この際一言申し上げておきたいと存じますが,いよいよ本格的な着工のときを迎え,当局におかれては,引き続き市民理解の促進に一層尽力し,平成17年の開港に向けて着実に建設を進めていただくとともに,空港を活用した新しいまちづくりに本格的に取り組んでいただくことを強く要望するものでございます。  以上,住民投票条例案を否決すべきとの立場から,その理由と我が会派の意見を表明して,議員提出第5号議案に反対の討論といたします。(拍手) 45 ◯議長(大西きよじ君) 次に,72番堀之内照子君。  (72番堀之内照子君登壇)(拍手) 46 ◯72番(堀之内照子君) 私は,日本共産党神戸市会議員団を代表して,議員提出第5号議案「神戸空港」の建設の是非を問う住民投票条例案について賛成討論を行います。  この条例が提案された背景には,昨秋の住民投票条例案の否決と,今春の一斉地方選挙による議会構成の変化,そして今回の神戸空港の賛否を問う市民投票の結果があります。  今回は住民投票のときより参加者が少なかったではないかという意見も出されております。30万人以上の署名が否決されたのに,これ以上やっても役に立たないのでは,また市長は聞く耳を持たないのでしょう,どんどん工事を進めているじゃないの,というあきらめ論や行政への不信にもしばしばぶつかりました。しかし,もう少し準備期間があり,もう少し投票期間が長ければ,圧倒的な人の参加と,反対を表明する人の圧倒的な多さを証明することができたのにと,今でも確信をいたしております。  今回の投票の結果は,市民の意思の傾向をあらわしたものではありますが,市の選管等によって行われる正規の住民投票によって,一層正確な市民意思の把握ができることを心から願っており,そのためにも条例案の採択をお願いしたいのであります。  地域で生活する住民が,その地域で継続して生活する上で重大な問題点について自己決定を下すという,この自己決定権こそが住民自治の原点であり,民主主義の原点でもあります。住民投票は,住民自治の具体化の1つの方法であります。 '90年代に入って各地で住民投票を求める運動が大きく広がり,時代の流れとなってきました。ヨーロッパなどでは法的な整備が進んでおりますが,我が国でも早晩この運動の力が法的整備を実現することでしょう。それは住民のためのいい政治をつくろうとする住民の英知であり,この流れをとめることはできません。  神戸空港については,一貫して住民参加が軽視されてきたのが特徴です。昨秋の住民投票条例の実施について,笹山市長は構想段階が過ぎているからなじまないと主張されましたが,構想段階については定義もないし,市民にはいつが構想段階か知り得ることは困難であり,結局市民には住民投票を求める機会がないということになってしまいます。それは住民自治の乱暴な否定ではないでしょうか。国でさえ既定の公共事業の数カ所を中止することを決めました。住民投票の実施には時期がないことは明らかです。  先日,私は知人から,神戸市は空港をつくるというからお金持ちかと思っていたのに財政破綻だって,貧乏だったのと言われました。市の財政が窮迫しているなら,何も無理して今空港をつくる必要はないのではないかというのが多くの市民の共通した思いではないでしょうか。  この8月,市当局から今後10年間の財源不足額 5,100億円を克服するための新行政システムが発表され,この空前のリストラ計画に私は息をのみました。地方自治体にとっては聖域でなければならない福祉や医療・教育・環境・バスなどにリストラ計画が集中をいたしております。神戸市のリストラ計画で市民は痛みを感じるたびに,空港への批判を強めていくことでしょう。市民の意見を聞き,空港計画の再検討をする決断力を持っていただきたいのであります。  広報こうべ8月1日号の1面は,将来のまちづくりに欠かせない都市装置ということで空港特集が組まれております。そのほとんどが,昨秋の臨時議会で明らかにされたものが繰り返し紹介されているにすぎず,多くの市民の持っている疑問や不安にこたえるものにはなっておりません。バラ色の雇用効果や経済効果についても,具体的な根拠が何1つ示されておりません。  昨秋の住民投票条例否決以降,各マスコミでも空港問題が盛んに取り上げられるようになりました。関空が5周年を迎えたこと,第2期工事に着手したこと,佐賀空港など1年目を迎えた地方空港の問題も取り上げられ,いずれも需要予測が大きく狂って赤字を出していること,着陸料が3分の2に引き下げられたことにより一層経営が困難になっていること,関空でも臨空タウンの土地が売れ残り,周辺自治体が莫大な債務を引き受けさせられたことなどが紹介されました。乱立する空港と,その先行きの不安が映し出されております。  神戸空港の場合でも,工事用のブイを打つという段階になっても,埋め立てと滑走路関連の 3,140億円しか明らかにされず,総事業費は一体どれぐらいになるのか,いまだに発表されていません。起債の償還に充てるという空港島の土地についても,本当に売れる見込みがあるのか,企業の誘致も可能性があるのか,関空2期で問題になってきた瀬戸内の海砂規制問題は神戸空港問題ではどうなるのか,3空港の開港による低空飛行による公害と安全の問題,この不況・経済低成長率のもとで1日30便の需要が可能かなど,新たな多くの問題が出されています。市営空港というのであれば,これらに対して説明責任があるのではないでしょうか。市民の疑問に答えないまま,市民の反対を押し切ったまま,既に決定したことだからと着工を急ぐのは,市民主体都市を標榜する神戸の市政にとって取り返しのつかない亀裂をつくり出し,回復しがたい不信感を与えることになるのではないでしょうか。  神戸空港のすべての結果責任を担わされるのは,結局は現在と将来の神戸市民です。市民の意思が尊重されなければなりません。市民にすべての情報を公開し,論議する場を与えた上で,住民投票条例によって建設の可否を決めることを提案しているこの条例案に賛成し,討論を終わります。皆様のご賛同をいただきたいと思います。(拍手)
    47 ◯議長(大西きよじ君) 次に,39番佐伯育三君。  (39番佐伯育三君登壇)(拍手) 48 ◯39番(佐伯育三君) 私は,公明党神戸市会議員団を代表し,議員提出第5号議案「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例の件について,制定に反対する立場から討論いたします。  まず,既に私たちは昨年11月に臨時市会を開催し,住民投票条例案を徹底審議いたしました。それにもかかわらず,神戸空港着工直前のこの時期に,なぜ前回の住民投票条例案とほぼ同様の条例案を再び提案されるのか,まことに理解に苦しむのであります。  私たち公明党議員団は,この住民投票を求める運動がスタートした昨年初めから,他の自治体における住民投票の状況,現在の法制度上の住民投票の位置づけ,学会における学説の状況,特に直接民主主義と間接民主主義の兼ね合いの中で,住民投票の対象としての何が適当であるのかの学説,法的拘束力の問題等々,考えられる観点すべてにわたって調査をしてまいりました。  その結果として,法制度上明確な規定を持たないゆえに,住民投票制度と呼べるものが存在しないこと,また空港計画のような努めて専門的で多面的な検討を要する事業は,住民投票によってその是非を問うことに適さないとする説が有力であること,さらに直接民主主義は間接民主主義を補完するという学説が学会の通説であることが明らかとなりました。  このような調査・検討をもとに,昨年11月に条例案を徹底審議し,結論を出したわけでありますが,ちなみにこの一連の調査の中で昨秋提出された条例案が,その第14条第1項で市長の権限を投票確定まで拘束することの違法性などの致命的な問題が明らかとなり,さすがに今回の条例案では修正されているのであります。この点は,私たちも了とするところでありますが,それ以外は全く前回と同様の条例案であり,今申し上げたように住民投票そのものに限界があり,これをもって空港の是非を問うことは,本来適切でないことには変わりがありません。したがって,改めての質疑の必要があるとは考えられないのであります。  また,昨年11月の審議が不十分であったと主張されるなら,なぜこれまで,平成10年第4回定例市会,本年の第1回・第2回定例市会と3回も住民投票条例案を提案できる機会があったにもかかわらず,この着工間際までなぜしなかったのか,臨時市会の開会請求なら,この約10カ月間いつでもできたはずであります。  本年4月の選挙の後,議会構成が改まったからとの主張もあるようですが,これも同様で,平成11年第2回定例市会は,言うまでもなく新たな議会構成で開催されたのであり,新人議員の意見も必要というのであれば,ここで提案・議論されるのが当然ではなかったのでしょうか。なぜ今日までお待ちになったのか,これもまた理解に苦しむところであります。  もう1つの条例提案の理由として,先般行われた自主管理投票で約20万人の市民・有権者のうち,9割以上が空港に反対投票した結果を挙げられております。これについて,私たちは評価も判断も控えるべきではないかと考えています。それは,例えば自主管理投票の開票状況を伝えた8月14日付毎日新聞によると,厳密さに欠けた市民投開票と見出しで報道されていました。また,開票場にも一般選挙のような立会人は置かず,報道陣から集計数がおかしいのではとの声か上がると,報道陣を追い出して集計作業を再開と新聞報道されています。さらには,はっきりと同一人物による多重投票のチェックはないとも報道されており,街頭などで不特定多数の人に投票用紙を配付するなどであります。こうした上での集計結果をもって条例提案の積極的根拠にするというのは,少なからず乱暴であります。だから,ちゃんとした住民投票をとおっしゃるならば,自主管理投票はそもそもやるべきではなかったということになります。  今や私たちは空港建設に限った議論のみではなく,医療や情報通信関連等の新産業創造や既存産業の高度化のために,空港をいかに活用していくかの論議へと発展しています。これらの議論を通して,空港が市民生活に与えるメリットも明らかとなり,さらに市民理解が深まるものと考えております。  住民投票がオールマイティーでないことは,提案者の皆様も認めるところだと確信いたしております。その意味で,何度も住民投票に拘泥することなく,むしろ緊急課題である市民生活の本格復興に資するべく,雇用問題をはじめ山積する課題に積極的な提案なり議論を期待するものであります。  以上の趣旨から,議員提出第5号「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例は制定すべきでないということを申し上げ,提案者の再考を求めたいと存じます。  以上であります。(拍手) 49 ◯議長(大西きよじ君) 次に,1番井坂信彦君。  (1番井坂信彦君登壇)(拍手) 50 ◯1番(井坂信彦君) 私は,住民投票議員団を代表いたしまして,住民投票条例に関する本議案について賛成討論をさせていただきます。質疑でなく討論ですので,早う質問せいと,先ほどの浦上議員のようにののしられることもないと,ほっとする思いがいたしております。  さて,改めて昨年11月の臨時市議会の議事録を拝見いたしました。住民投票反対の議員の方々が幾つかご指摘くださった疑問点について,住民投票条例をよりよいものにしようと議論にご参加くださった与党・先輩議員のご不安を1つ1つぬぐい去ることで,お1人でもご賛同くださる方をふやしたい,そのように考えております。  まず,空港推進の意思は,その都度市民の代表からなる市議会で民主的ルールにのっとって明らかにされているので,今さら住民投票で住民の意向を確かめる必要はないのではないか,そのようなご指摘について,1つ1つ私なりに判断したいと思います。  まず,1990年3月の全会一致決議というものなんですが,文書に,航空利用者の利便を図る,公害のない神戸空港に関する意見書について全議員が同意した,そのように書いてありましたが,細かく申し上げれば,便利でない,公害のある空港については同意してないとも言い得るわけではありますが,今は別にそこまでは申しません。  当時は,伊丹空港の存続がまだ正式には決定しておらず,むしろ公害の多い欠陥空港として,神戸空港の完成とともに廃止されるとの見方もあった時代です。バブル経済が崩壊した1991年より前の話であり,各地で第三セクターなどによる大規模公共事業が破綻するより前の話です。何よりも神戸の市民生活や経済構造を根底からひっくり返した震災の前の話です。この決議自体が無効だと,そこまでは別に申しませんが,しかし手放しでこの決議が今も 100%通用すると,そこまで言っていいものなのかどうか,まだまだ疑問が残るところではあると思います。  次に,1996年3月の議決というものを拝見いたしましたが,神戸空港の設置管理者を神戸市と定めることについて兵庫県と協議します,いいですかということに関しての議決であったと思います。与党会派の方々の賛成多数でゴーサインが出たわけですが,空港推進にかかわる重要な数少ない案件であるにもかかわらず,提案当日に採決されて,委員会付託もなかった。これまた順風満帆の議会運営とは言い切れないのではないでしょうか。  それから,空港の調査・研究予算をたびたび承認してきているではないかと,この点についてなんですが,調査・研究を認めるということと,空港建設を認める,推進するということはイコールではない,これは明らかだと思います。むしろ調査結果によっては,調査・研究というものは計画見直しをすら導くものであると,そのように認識しております。  それから,1997年の市長選挙でありますとか,1999年の市会議員選挙ですとか,そのあたりもよくたびたびの空港推進の意思ということで引き合いに出されるわけですが,市長さんやあるいは与党議員の皆様のうち,選挙のときにもう何が何でも空港を完成させますと,そういうことを公約の第1に掲げられた方が果たしてどれほどいらっしゃるのか,まして住民投票条例反対を唱えられた方がどれほどいらっしゃるのかということについて,私は疑問を持っております。  一方,1999年の市議会議員選挙におきましては,ほとんど空港反対と住民投票条例の制定,それから情報公開だけを公約に当選した私のような特殊な議員も生まれたわけです。(発言する者あり)  そもそも市議会の議決と,それから神戸空港という1つの案件に対する住民の意向が一致しているのかということは,私はかねてから思っていたことであります。与党議員の方の支持者の中にも空港反対の方がいらっしゃるのではないか,同時に私の支持者の中にも,これははっきり確認しておりますが,空港をやっぱりつくった方がいいで,井坂君と,そういう方はいらっしゃるわけです。  さらには,市議選や市長選にいつも参加されない5割から6割の方々の意見は,もう全く未知数なのであります。沈黙は承認の印とよく言われるわけですが,しかし実態はどこにどんな空港ができて,それが自分たちの生活にどのような影響があるのか,ということを余りご存じないような方々が少なからず現実にいらっしゃるわけです。そういう方々は一体何を承認されているのかという疑問は,まだ残るのではないでしょうか。  以上,いろいろ申し上げましたが,もちろんそれぞれ1つ1つを 100%否定するものではありませんが,しかし手放しでこれらを全部取り上げて,もう空港推進は,その都度その都度市民の代表からなる市議会で民主的ルールにのっとって明らかにされている,ここまで言い切ることはできないと私は判断しております。  次に,住民投票の結果と市長権限の兼ね合いはどうなるのか,そういうご不安が前回,昨年11月の臨時市議会でたくさん出されておりました。先ほど佐伯さんに,さすがとお褒めいただきましたとおり,住民投票条例第14条は今回修正を加えまして,決して市長の権限を拘束・制限するものではなくなっております。ですから,仮に市民投票で空港反対が多数を占めました場合でも,市長権限で空港を建設することは可能となっております。ただ,神戸空港計画や,あるいは神戸市の財政が破綻したときに,そのときの市長責任が明確になるという意義はやはり大きいのではないかと私は見ております。  次に,賛成・反対の二択だけでは,多様な市民の意見を反映し切れないのではないか,そのようなご指摘もいただきました。確かに今すぐつくることには賛成できないが,近い将来にはつくるべきだというご意見ですとか,あるいは基本的には賛成だが,例えば需要予測だけは下方修正してやってほしいと,さまざまな意見があることは間違いございません。現状の神戸空港計画のとおりに空港建設を進めて構わない,そういう方は空港賛成に丸をつけていただき,反対に需要予測が危なっかしいとか,騒音がひどくなりそうだとか,何らかの問題を感じていて,現状の計画はその問題が解決されるまではストップすべきだと,そういう方は空港反対に丸をするというやり方が,この二択に対する妥当な答え方ではないかと私は思います。  大体市議会では,議案に対する賛成・反対の二択が毎日のように行われているわけでして,これに対して,多様な市民の意見を背負った,これまた多様な72人の議員の意見を,市議会の議決は反映し切れていないのではないかなどと考えられる方はいらっしゃらないと思います。  次に,空港にかわる案がなければ空港を否定することはできないのではないか,そのようなご指摘,単に空港を否定するだけで,かわりにどうやって神戸経済を活性させるのかというアイデアを出さないのは無責任だと,そのようなご指摘につきましては,私も常に建設的な議論をしたい,反対のための反対というような,いわゆる悪い意味での野党的なことは極力避けたいと私自身志しておりますので,真摯に受けとめさせていただきます。  しかし,ここで以前,あるテレビの討論番組で,私がこの質問に対してさせていただいた例え話をいたします。神戸 150万市民をおなかをすかせた子供に,そのときは例えました。この子は空腹で今にも倒れそうです。そこで,やさしい笹山市長が,子供のためにお握りを握り始めました。このお握りは,神戸空港の例えとさせていただきます。  ところが,握り始めてからでき上がるまでに10年近くたってしまいました。10年も前につくり始めたお握りですから,何だか酸っぱいにおいがしてまいります。そこで私が,そのお握り腐ってへんか,食べるとおなか壊して死んでまうでと子供に言いますと,笹山市長は,この子からお握りを取り上げるんやったら,かわりにカツ丼でも持ってきなさいとおっしゃいます。  笹山市長の名誉のために申し上げますが,笹山市長はもちろん,本当にそのおなかのすいた子供を助けようと思ってお握りを握られたことは間違いないと確信しております。  さて,私はそんなにすぐにカツ丼がつくれるほど,ご存じのとおり料理が上手ではありません。カツ丼をつくっている間に子供が,腐っているかもしれないお握りを食べてしまってはいけません。カツ丼を上げられないからといって,子供がお握りでおなかを膨らますのを黙って見ているのも,それはそれで私は無責任じゃないかと思います。つまり,かわりの案がないからといって,神戸空港計画の問題点を黙って見過ごすことは,それはそれで市政のチェック役の議員として無責任なのではないかと思うわけです。  そして,大事なことなのですが,腐っているかもしれないお握りにチャレンジするのか,それとも新しいお握りかカツ丼ができるまで空腹を耐え抜くか,そういう命にかかわる決断は子供自身,つまり 150万市民自身がすべきではないかと思うのです。  また,この件を住民投票の選択肢という話に限定いたしますと,空港賛成か,かわりの案に賛成の二択ということでは,それこそどちらの案にも反対という市民の意見を全く反映できなくなってしまいます。  以上,空港にかわるビジョンは,あった方がよいには違いありませんし,私がそのビジョンを一生懸命考えることを放棄するものでは全くありませんが,しかしそれがないからといって空港を否定できないとは思いません。  最後に,住民投票のような直接民主主義の仕組みは,衆愚政治──愚かな民衆の間違った政治を招くのではないか,また議会制民主主義を否定するものになるのではないか,そのようなご指摘もいただいております。  まず,この衆愚政治という言葉自体──もちろんはっきり衆愚政治とおっしゃる方はなかなかいらっしゃらないわけですが,地域住民を見下した,非常に失礼な言葉・考え方・概念であることを指摘いたします。重大な判断は議員にすべて任せて,余りわかっていない愚かな住民は黙って言うとおりにしておけと,そういう議員の特権意識のようなものが後ろに見え隠れいたします。(発言する者あり)  もちろん自分がやらねばという責任感,プロ意識は大切なことですが,今日,住民の心が議会制民主主義から遠く離れてしまっている理由を考えますに,議員は住民と同じ地平に,なるべく近くに,そして謙虚過ぎるぐらい謙虚にあるべきだというのが,私の立候補のときからの信念であります。  住民は決して愚かではありません。住民の判断が間違うものだとすれば,4月の選挙で,その住民によって選ばれた私たち議員は,そういう衆愚政治の産物なのか,これこそ実は議会制の民主主義を根本から否定するものではないでしょうか。  粟原議員のご答弁どおり,新潟県巻町や岐阜県御嵩町など,住民投票の実施によって住民の自治の意識,主権者としての責任感は高まり,民主主義が成熟したという実例がございます。  また,議会の議決と住民投票の結果が食い違うという事態が何度か起これば,これまで本当に数の論理で滞りなく行われていた議決にも緊張感が生まれ,議員の皆様も市長さんも,より一層これまで以上に住民の声に耳を傾けようと,そういう機運が高まることが予想されます。  住民投票やリコールのような直接民主主義の仕組みは,そういう衆愚政治を招くどころか,議会制民主主義,間接民主主義と相乗効果を発揮しながら高め合っていくものと結論いたします。  以上,さまざま申し上げましたが,31万の自主投票の重みなどは,今さら私が申し上げるまでもありません。自主管理投票が信頼いただけないのならオフィシャルにやろうと,本提案に賛成の立場から討論をさせていただきました。どうもご清聴ありがとうございます。(拍手) 51 ◯議長(大西きよじ君) 次に,48番土居吉文君。  (48番土居吉文君登壇)(拍手) 52 ◯48番(土居吉文君) 私は,民主党神戸市会議員団を代表して,ただいま上程されております「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例案に反対する立場から討論をいたします。  神戸空港についての議論は長年にわたり行われてきましたが,それらが集約され,議会としての考え方の結論は,既に昨年11月の臨時市会で出されました。それを受けて,今年3月の定例市会で当初予算に工事着工に必要な予算計上がされ,承認されたところであります。  昨年秋に提案された住民投票条例案について,代表の方は市会で自信をもって,不備なものは出しませんと明言されました。今回,再度提案された住民投票条例案は,一部修正されて提案されているわけであります。修正理由については,先ほどからの議論がありましたが,それであれば昨年秋の段階でも修正できたわけであります。条例の案文が,議会外のところで最善と決めつけたり修正されたりして,その後は問答無用の態度で審議に臨むということを繰り返すこと自体に,私たちは責任ある議会人として,提案議員の当事者能力を疑わざるを得ないのであります。  私たちは,4月の市会議員選挙でも,震災からの早期復興・生活再建のために働く場の創出が最重要事項であると訴えてきました。空港は,活力ある神戸のまちづくりのためになくてはならない都市装置として必要不可欠なものであり,それを核として,医療産業をはじめとして新産業の誘致や地元企業の活性化を実現したいと主張してきたところであります。  その戦略プロジェクトである神戸医療産業都市構想は,国内外の注目の中,具体的には産・官・学の研究会が発足するなど,着実に前進してきております。働き,学び,憩える場所があってこそ,都市の活力は生まれると確信しているところであります。神戸のまちに住んでいてよかった,神戸に住み続けたい,神戸に行ってみたい,こう思う方々に夢と希望を与えていくことこそ,その方向を具体的に示していくことも議会の責務であると思います。  神戸市議会は72名の議員がおります。選挙で選ばれた方々であり,各人それぞれの主張なり考え方を持っておられるはずです。そこでお互いが,お互いに議論をし,結論を見出して,これまで市政を進めてまいりました。その結論が気に食わんから私は知らない,私は反対だと繰り返し主張し,あたかも議会の意思が決まっていないかのごとく市民に誤解を与えることは,議員として無責任であり,それを放置するなら民主主義は成り立たなくなると思うのであります。  私は,間接民主主義を補完する手法として,住民投票など直接民主主義が有効であることを否定するものではありませんが,今日の段階において実施することには,対象案件,実施時期,法的効果など解決すべき多くの課題が山積しております。条件整備が不十分な状況で政策判断を直接市民にゆだねることは,議会や長の本来の機能と責任を損なうおそれがあり,議会人としてその責務を放棄することにつながりかねないと思うのであります。  神戸空港は,立案されて以来,市議会は意見の集約が困難な事態に陥ったことはありません。神戸空港促進を全会一致で決議したことをもってしても,十分に機能し,職務を果たしてきております。市議会が十分な審議をもって推進の結論を出した事業を市長が推し進めるのは当然であります。  今後もアーバンリゾート都市を目指して議会の機能を十分発揮し,その責務を果たしていくことを改めて申し上げ,本条例の制定に反対する立場での私の討論といたします。ありがとうございました。(拍手) 53 ◯議長(大西きよじ君) 次に,18番高山晃一君。  (18番高山晃一君登壇)(拍手) 54 ◯18番(高山晃一君) 私は,さわやか神戸・市民の会市会議員団を代表し,議員提出第5号議案「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例案の件に賛成する討論を行います。  昨年11月に同様の「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例案が否決されたわけですが,それ以降も空港建設を取り巻く状況に明るい話題を見つけることはできません。出前トークなどでの当局と市民との質疑では,神戸空港の需要予測の偏り,過大評価,貨物ターミナルがエプロンから隔離されて不便な設計になっていること,ライン整備用格納庫を航空大手がつくり得ないこと,ケータリングサービスの需要が見込めないこと,土砂問題等々,数々の疑問点が上がりましたが,当局からの明確なお答えはございませんでした。  また,空港をつくれば雇用が安定し,まちが発展する,そういう話は需要予測という紙の上での話にすぎないことは,日本各地の地方空港が既に証明をしてしまいました。神戸空港の建設を進める神戸に対する疑問の声や,第2期工事の始まっている関西新空港の将来を危惧する声のみならず,日本の航空行政のでたらめさがいよいよ広く認識されつつあります。  現在の航空整備計画を見る限り,関西経済の地盤沈下はとめようがありません。神戸空港建設の必要性を,感覚的ではなく客観的に確信されている市民は極めて少ない状況は改善されていません。笹山市長が直ちにしなければならないことは,空港建設の着工ではなく,ご自身でおっしゃったとおり,市民の理解が得られるように努力をすることです。  例えばかつてマレーシアのマハティール首相は,マルチメディア立国構想の中核となるMSC──マルチメディア・スーパー・コリドーと呼ばれる電子政府をつくる計画を発表されたとき,一体何をしようとしているのか,何を目指すのか,国民の生活はどう変わるのか,どう快適になるのか,そういったことをコンピューターグラフィックス映像を交えて,首相ご自身の言葉で,何があってもこの計画だけはやるんだと,国民をはじめ世界の企業に向けて熱く語りました。それを聞いた世界の名立たるコンピューター企業が参画に名乗りを上げました。そして,経済危機をも乗り越えながら,MSC──マルチメディア・スーパー・コリドーは着々と建設が今も進んでいます。ビジョンに対する熱意とわかりやすい説明とが,人々の合意と共感を呼ぶのです。  笹山市長は,集客都市構想や医療産業都市構想や情報文化都市構想などを発表され,それらに神戸空港の整備が大きな効果を発揮するといったビジョンを示されています。ビジョンを示されることは大変よいことです。それならば,笹山市長も市民に対して,医療産業都市構想,情報文化都市構想とは具体的にどんなものなのか,それによって何を目指すのか,市民生活をどう快適にするのか,どう変えるのか,そして伊丹空港や関西新空港ではだめで,神戸空港だと医療産業都市構想や情報文化都市構想や集客都市づくりでこんなメリットがあるんだということを,わかりやすく笹山市長ご自身の言葉で,市民に,そして世界に向けて語る必要があるのです。納得のいく説明があれば,空港建設に対する市民の合意も得られるでしょうし,世界じゅうから企業や投資家が集まってくるでしょう。しかし,残念ながら笹山市長はいまだにそれをされていません。  昨年11月に同様の「神戸空港」建設の是非を問う住民投票条例が否決されたわけですが,それ以降も空港建設を取り巻く状況に明るい話題を見つけることができない状況であること,またいまだに笹山市長が神戸空港建設の必要性を具体的かつわかりやすく説明されていない状況であることから,空港建設に対する住民の声を聞く必要を感じます。  以上のような理由から,本議員提出議案に賛成をいたします。  いずれにせよ,笹山市長は直ちにテレビなどのメディアを通して,少なくとも30分か1時間をかけて,神戸空港の必要性を市民に向かって語る必要が今もあることを申し上げて,私の討論を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 55 ◯議長(大西きよじ君) 次に,58番北山順一君。  (58番北山順一君登壇)(拍手) 56 ◯58番(北山順一君) 私は,あすの神戸を創る会議員団を代表して,本条例案に反対の立場から討論をいたします。  かねてから言われておりますとおり,既に本格的な空の時代を迎えており,航空利用者はこの厳しい経済状況のさなかにあっても着実な進展を示しており,国内線だけを見ても年間に既に国民の3人に2人以上の方々が利用されているという状況にあります。今後ともさらに一層の増大が見込まれていることは,皆様方ご承知のとおりでございます。  そのような中にあって,空の交通拠点である空港は,単に飛行機を利用する方々のニーズに対応するだけでなく,都市のインフラストラクチャーという観点から見ましても,人・物・情報の新しい交流窓口として,活力あるまちづくりに大きな力を発揮する都市装置でございます。また,私たちの子供や孫の世代を通じて新しい産業をつくり出し,市民の皆さんに多彩な仕事を提供するための基盤となる,市民の財産であります。  神戸は,明治の開港以来,世界に開かれた貿易港である神戸港を中心として,国の内外からさまざまな文化を吸収し,開放的で進取の気風あふれる独自のまちの個性をはぐくんでまいりました。今後ともこのような神戸の個性を生かしたまちづくりや産業の集積を図り,都市の活力を高める取り組みがぜひとも必要であります。  神戸は,明石海峡大橋をはじめとする本四連絡道路や山陽自動車道など広域幹線道路の結節点に当たるとともに,世界に開かれた国際貿易港として神戸港を擁し,国内外との産業・文化交流の面で大きな役割を果たしてまいりましたが,今後空の港である神戸空港を整備して,陸・海・空の総合交通拠点として一層の基盤整備を進めていくことが,にぎわいと活力のある,そして時代の変化に柔軟に対応することのできるまちづくりにとって,非常に重要な意味を持つものと考えております。  私は,このような考え方のもとに,神戸空港を力強く推進することに大いに賛同する立場であり,このことが市民福祉の充実にも貢献するものであることを確信いたしております。  本条例案の提案者諸君は,神戸空港について反対の立場でありましょうが,その主張するところは,需要予測が過大ではないか,財源としての起債の償還に不安がある,環境面で潮流変化の予測手法に問題があるといった事柄であります。  しかしながら,これらは,あえて語弊を恐れずに申せば,枝葉末節の議論ではないかと思うのであります。必要なことは,21世紀の神戸をどのようにつくっていくのかというまちづくりの基本に戻った議論であります。特に震災後は,このまま復旧を進めてこじんまりともとどおりになればそれでよしとするのか,リスクをできるだけ排除する工夫を凝らしながら,市民とともに新しい活力と魅力ある神戸をアピールする手を打って出るのか,その場合には具体的にどのような取り組みが必要かといった,神戸の将来のあり方にかかわる基本的なスタンスについての議論こそがベースでなければならず,提案者諸君の議論は主客転倒の感を呈していると言わざるを得ません。  そして,このような将来の神戸のあり方については,市会における長年にわたる議論があり,震災の前後を通じて,空港の果たす役割の大きさを踏まえ,空港計画を着実に進めていこうということで,何度も何度も議決をされているところであります。特に昨年秋にはあれほど徹底した議論がなされ,その結果,住民投票条例案は否決され,あわせて神戸空港推進決議がなされたことは耳目に新しいところであります。  このように神戸空港の推進については,議会制民主主義のルールのもとで既に決着済みであり,着工を目前に控えた現段階においてこのような条例案を提案される趣旨が,私には理解しかねるものであります。  提案された会派の一部は,平成2年3月の神戸空港推進決議には賛成し,その後も条件を掲げながらも賛成の立場を堅持しておりましたが,震災の前の年,すなわち平成6年度予算案から手のひらを返したように態度を豹変し,空港計画に対して反対に回ったのであります。震災によって市民感情は変化したなど,震災を契機に態度を変えたかのような言い方がなされておりますが,実は震災以前に生じた党内事情によるものであり,本来なされるべき空港の必要性の議論を欠いた便宜的な変更であり,首尾一貫しない姿勢には大いに首をかしげざるを得ません。  一方,昨年来,反対会派などから,将来のまちづくりの対案として,福祉都市を目指すべきであるとの主張がなされております。これも空港より住宅をという,あのある時期によく使われていたスローガンと同様,大変耳ざわりはよいけれども,全く無責任な議論であります。  これらに共通する過ちは,そのための財源の議論が欠落しているということであります。福祉は,施設の整備とあわせて,やはりそれを支えるマンパワーの確保・育成が最も重要であります。すべての福祉サービスを全く無償のボランティアが賄ってくれるのであればともかく,現実は福祉人材の確保・育成に毎年莫大な予算が必要であります。そのために必要な税源の涵養も,足腰のしっかりした経済活動があって初めて可能となるものであります。さらに,今後は,民間の会社や団体が福祉業務に参入するケースもふえてこようかと思いますが,その場合も同様で,確固とした財政的な裏づけが必要であります。経済の活力がそのベースであることは言うまでもありません。  空港が市民福祉の観点からも大きな役割を果たすと申し上げるのもそのためであり,ただ選挙対策で有権者に聞こえのいいスローガンを唱えるのは,本質では市民を愚弄する無責任政党と評価されてもいたし方ないのではないかと考えております。  以上,種々申し上げましたが,神戸空港については,既にあらゆる観点から議論され尽くしており,あすの神戸を支えるかなめとして,今後いよいよ現地着工し,着実に建設が進められることを心から念願をするものであります。  以上,あすの神戸を創る会を代表し,本条例案に反対の立場から討論を終わらせていただきます。以上であります。(拍手) 57 ◯議長(大西きよじ君) 以上で討論は終わりました。  これよりお諮りいたします。  本件採決の方法は,記名投票により決することにいたします。  直ちに議場の出入り口を閉鎖いたします。  (閉扉) 58 ◯議長(大西きよじ君) この際申し上げます。  議員提出第5号議案を可決することに賛成の方は白票を,反対の方は青票を投票願います。  白票,青票はお手元にあらかじめ配付いたしておりますが,配付漏れはございませんか。  (なし) 59 ◯議長(大西きよじ君) 配付漏れなしと認めます。  投票箱の点検をいたします。  (投票箱点検) 60 ◯議長(大西きよじ君) それでは,1番井坂信彦君より順次投票を願います。
     (投票) 61 ◯議長(大西きよじ君) 投票漏れはございませんか。  (なし) 62 ◯議長(大西きよじ君) 投票漏れなしと認めます。  よって,投票は終了いたしました。 63 ◯議長(大西きよじ君) これより開票いたします。  開票立会人は,先ほどの方にお願いいたします。  それでは,開票立会人の方はお願い申し上げます。  (5立会人立会・開票) 64 ◯議長(大西きよじ君) 開票の結果をご報告申し上げます。  議長を除く出席議員数  71名  投票総数        71票   有効投票       71票  有効投票中   賛 成(白票)    23票   反 対(青票)    48票  以上のとおりであります。  よって,議員提出第5号議案は否決することに決定いたしました。  ───────────────── (賛成議員)   1番  井 坂 信 彦 君   2番  小 林 るみ子 君   12番  金 澤 治 美 君   13番  松 本 則 子 君   14番  福 田 道 代 君   15番  浦 上 忠 文 君   16番  恩 田   怜 君   17番  加 納 花 枝 君   18番  高 山 晃 一 君   30番  本 岡 節 子 君   31番  森 脇 英 雄 君   32番  亀 井 洋 示 君   33番  段 野 太 一 君   34番  粟 原 富 夫 君   35番  桝 田 伸 二 君   36番  佐 藤 けん一郎君   51番  津 田   勲 君   52番  南 原 富 広 君   53番  西 下   勝 君   54番  原   和 美 君   70番  田 島 俊 三 君   71番  森 原 健 一 君   72番  堀之内 照 子 君 (反対議員)   3番  山 田 哲 郎 君   4番  宮 原 政 子 君   5番  松 本   修 君   6番  溝 端 和比己 君   7番  山 下 昌 毅 君   8番  和 田 有一朗 君   9番  村 岡 龍 男 君   10番  向 山 好 一 君   11番  崎 元 祐 治 君   19番  赤 塚 恵 一 君   20番  芦 田 賀津美 君   21番  大 澤 和 士 君   22番  守 屋 隆 司 君   23番  松 本 周 二 君   24番  安 達 和 彦 君   25番  吉 田 基 毅 君   26番  竹 重 栄 二 君   27番  橋 本 秀 一 君   28番  池 田 林太郎 君   29番  白 井 洋 二 君   37番  米 田 和 哲 君   38番  布 施 典 子 君   39番  佐 伯 育 三 君   40番  吉 田 謙 治 君   41番  岡 島 亮 介 君   42番  大 野   一 君   43番  平 野 章 三 君   44番  浜 崎 為 司 君   45番  福 浪 睦 夫 君   46番  植 中   進 君   47番  藤 原 武 光 君   48番  土 居 吉 文 君   49番  田 路 裕 規 君   50番  三 好 道 夫 君   55番  片 岡 雄 作 君   56番  野 尻 範 明 君   58番  北 山 順 一 君   59番  平 野 昌 司 君   60番  藤 森 万 也 君   61番  藤 本 浩 史 君   62番  安 井 俊 彦 君   63番  村 岡   功 君   64番  長谷川 忠 義 君   65番  前 島 浩 一 君   66番  横 山 道 弘 君   67番  荻 阪 伸 秀 君   68番  吉 田 多喜男 君   69番  浜 本 律 子 君  ───────────────── 65 ◯議長(大西きよじ君) 議場の閉鎖を解きます。 (開扉) (発言する者あり) 66 ◯議長(大西きよじ君) 傍聴人に申し上げます。  ご静粛にお願いします。 67 ◯議長(大西きよじ君) この際申し上げます。  本日受理いたしました請願は,お手元に配付いたしております請願文書表のとおり7件でありますが,本日の会議において,本臨時市会の会期が本日1日と決定されたこと,議員提出第5号議案について,委員会の付託が省略されたこと,及びただいま議員提出第5号議案が否決されたことに伴い,一事不再議の原則により,いずれも不採択の扱いとなりますから,さようご了承願います。
    68 ◯議長(大西きよじ君) 次に,日程第3 議員提出第6号議案を議題に供します。 69 ◯議長(大西きよじ君) これより提案理由の説明を求めます。33番段野太一君。  (33番段野太一君登壇)(拍手) 70 ◯33番(段野太一君) 私は,日本共産党議員団並びに住民投票議員団の提案者を代表して,議員提出第6号議案神戸空港建設の着工中止を求める決議案について,提案理由を申し上げます。  本臨時市会は,空港建設に対する市民の意向を,賛否いずれにせよ確認した上で結論を出すべきとの強い要望を受け,議員提案として開会されたものであります。  しかし,31万の投票に込められた市民の願いは,昨年の住民投票条例案制定要求に続いて,再び無残に葬り去られたのであります。極めて遺憾であり,残念でなりません。住民投票条例の制定はなりませんでしたが,空港建設という大事業は,情報をすべて開示して市民の理解を得ることが必要であり,拙速で強引な着工は絶対に避けるべきであります。  私たち両議員団が,本会議でこのように緊急に着工中止決議の採択を求めるのは,市が全く市民の意向を確認しないまま護岸築造以外の年度内工事契約を既に締結し,あすにも汚濁防止幕を張るためのブイを設置,13日には着工と,神戸空港建設に向けて動き始めたからであります。  言うまでもなく神戸空港の建設という大プロジェクトは,神戸市民にとって子々孫々にわたり影響を及ぼす事業であり,市民から,マスコミから思いとどまれとの指摘や意見があるにもかかわらず,これらを一切無視して着工を強行することは到底許されるものではありません。  決議案の中で着工中止を求める理由を7点に整理してご提案いたしましたが,市民が危惧する諸点について,市民合意が得られるよう努力し,性急な着工が中止されるよう,議員各位のご賛同を求めるものであります。  以下,その提案理由についてご説明申し上げます。  着工中止を求めるまず第1の理由は,今日の神戸市財政の現状が,空港建設に伴う莫大な経費支出と空港経営に必要な財政負担に到底耐えられないと考えるからであります。  市は先ごろ,神戸市財政の現状と今後の収支試算見込みの中で,阪神・淡路大震災の被害もあって,市債発行が市税収入の6倍を超え,1兆 8,000億円という膨大なものとなったと公表し,神戸市の財政状況は財政再建団体一歩手前,民間企業なら倒産状況にあると述べています。市債発行残高は,全会計で約3兆円にもなり,自治体としての存立すら危ぶまれる危機的な事態になっているのであります。  市は,本年から5カ年計画で進める新行政システムの中で,この倒産状況を打開するため,市民と職員の負担で,毎年約 600億円に上る財源捻出をと提案しているのであります。神戸空港の建設は,こんな破綻寸前の財政状況の中で進められようとしているのです。  空港建設の費用について,今日に至ってもなお 3,140億円だけと繰り返し宣伝していますが,建設にかかる費用がこれだけで賄い切れるわけはなく,上物として必要な空港ビルや附属設備の建設,水質浄化に必要な諸経費,空港へのアクセスとして延伸される新交通や道路の建設,船の航路変更に伴うしゅんせつなど,空港建設に関連して必要となる市の経費負担ははかり知れないのであります。なぜこれらすべての関連費用を公表しようとしないのか,市民はだれも不審に思っています。  しかも,市民の税金は使わないとする市が唯一頼みの綱とする空港島の土地売却についても,当てにできるような現状ではありません。現にポートアイランド2期の土地売却は見通しが立たず,企業進出も遅々として進んでいないのです。国からの財政援助がわずか 250億円しか見込めない空港の建設を,みずから倒産状況にあると認める脆弱な財政事情にある自治体がやるべきものではありません。見通しのない大プロジェクトは,勇気を持って思いとどまるべきであります。  第2の理由は,関西国際空港の2期工事が既に始まり,伊丹空港が存続・増便されるなど,神戸空港建設を計画した当時の想定とは状況が全く異なったことであります。  本年5月から関西国際空港の2期工事が始まり,2007年には完成する予定であります。この2期工事が完成すると, 4,000メートルの滑走路を持つ 530ヘクタール,神戸空港の約2倍の面積を持つ空港が新たに加わり,年間18万回の離発着便となり,さらに4年後には23万回の離発着便となります。また,伊丹空港も,閉鎖されていた国際線のフロントがリニューアルオープンして,増便されています。  この2つの第一種空港は,これまでの空港経営で築いてきた実績と,大阪を中心とする関西圏全体の権益を求める関西財界のバックアップを受けて運営されています。拡張・増便によって投下した資金を早期に回収するため,両空港とも死力を尽くした空港戦略を展開するでしょう。同時に,陸上交通のかなめとされる新幹線もスピードアップによって対抗し,乗客確保のために躍起になっています。  第三種空港であり,神戸市が経営主体となる神戸空港が,この関空・伊丹の2つの空港や新幹線と競合して収益を上げることは極めて困難であります。神戸空港の建設は,このような客観状況の変化を素直に受けとめ,着工中止の決断を下すべきであります。  第3に,空港の安全性にかかわる問題と環境対策に関してでありますが,関西国際空港,伊丹,神戸という狭い空域にひしめき合う航空事情は,管制が一元化されるとしても,絶えずニアミスの危険性があると指摘されています。また,空港島の真下に活断層が走る海域での空港建設は,空港が防災拠点になるどころか,万一のときに孤立し,かえって救援の対象になりかねません。  環境への影響も何ら解決しているわけではありません。環境庁は,水域の汚濁防止をはじめ万全の環境対策を講じることを空港島埋め立ての前提条件にしています。新聞報道によりますと,この環境庁の条件をクリアするためには 3,000億円の費用が必要とされていますが,市は今日この事態の中でもなお,この環境対策費について口を閉ざしたままであります。  これまで市会での追及を受けるたびに,市民への情報は事業の進捗に合わせてその都度開示すると答弁してきたにもかかわらず,一体どうなっているのか,市民は行政不信を募らせています。情報公開もせず,みずからの約束もほごにしながら強引に着工すべきではありません。  さらに,空港島に至るアクセスとなるポートアイランドは,自動車の排気ガスと騒音公害の渦中に置かれ,苦しむことになります。大気汚染に対する総量規制がクリアできる見通しもなく,居住している住民に具体的な公害対策も示しておらず,市民は納得しておりません。  第4に,需要予測がずさんであり,空港経営での採算性が見込めないことであります。  希望的観測に基づくひとりよがりな主観的な見通しは,地方空港の運営を破綻させるものとなります。近年,航空各社の競争は熾烈をきわめ,いずれも相次ぐ合理化,規制緩和,コスト引き下げを繰り返し,生き残りをかけた経営戦略を展開しています。空港の経営は,確実にこの業界の争いの渦中に置かれ,着陸料や利用料など収入見込みは主観的な思惑だけで計算できるものとはならず,航空業界の状況に左右される,極めて不安定なものになるのは明白であります。  また,市が神戸空港の需要予測の根拠としてきた経済成長率も,2000年まで3%と見込んできたものが,実質マイナス成長となり,新行政システムの収支予測でも2%成長にと変更せざるを得なくなったのであります。成長率見込みの変更は,空港の利用者 420万とする需要見込みそのものとの整合性を失い,新たな見直しが必要になっています。  お話にならない但馬空港は論外におくとしても,昨年華々しく開港した佐賀空港は早くも経営不振にあえぎ,秋田県大館能代空港も予測の3分の1の搭乗率でしかありません。都市近郊の空港である北九州空港の搭乗率も,福岡空港との競合もあり,実に惨たんたる状況であります。これらは,いずれも空港建設の許可を得んがための甘い需要見込みが原因と言われ,不確かな楽観的な需要見込みがもたらした結果です。  第三種空港である神戸空港の建設は,これら国内空港の深刻な現状をしっかり見て判断すべきであります。地方空港の約8割が軒並み赤字で経営不振にあえぐ現状の中で,神戸空港がひとり健全経営となり黒字になるなどという根拠はどこにもなく,そのつけはすべて市民が負わねばなりません。  第5に,むだな公共事業を抑制する観点から申し上げます。  国・自治体を問わず,膨大な経費負担を伴う大公共事業の抑制は,今や全国的な課題であります。本年2月に開かれた経済戦略会議の「経済再生への戦略」と題する最終答申の中で,広域ブロックでの戦略的インフラ整備方針の策定を提言していますが,小渕総理のブレーンと言われる樋口広太郎議長は,空港建設など各地ばらばらに進めるとむだが生じるため,自治体が広域で連携して拠点整備すべきだと主張しています。また,関西経済同友会の代表幹事からも,決まっていることだから進めるということで済まされるのかとの意見があり,京都商工会議所の稲盛会頭も,本当に必要なのか疑問だと発言されています。このように神戸空港の建設は,非合理的な公共投資の典型として,財界の首脳からさえ厳しい指摘がされているのであります。  第6に,住民の意思が完全に無視されていることであります。  市は,新行政システムを進める基本的視点として,行政と市民が同じ視点に立つことを強調し,市民に行政への協力を求めています。市政・施策の遂行に当たって,市民の理解が必要となるのは当然ですけれども,とりわけ大プロジェクトの推進は,市民の理解と協力がなければ進まないのであります。  ところで,市は空港問題に関して,これまで市民の意見を十分聞き入れ,尊重して進めてきたと言えるでしょうか。昨年30万人以上の署名を集約して求めた住民投票条例の直接請求は拒否され,本日また空港建設の是非を問う市民投票も拒否をされました。31万のうち20万人もの有権者がこの投票に寄せた思いを決して軽く扱ってはならないと思うのであります。自主的に実施した市民投票運動であるとはいえ,この投票結果は重く受けとめるべきであります。30万人もの市民意見を封じて,強引に空港建設に着手することは,市民の行政不信をさらに深くし,後世に禍根を残すものとなります。  最後に,神戸空港は将来の重要な都市装置であり,復興のかなめなどとする神戸市の見解に対して,意見を申し上げます。  広報こうべ8月1日号で,神戸空港特集が組まれておりますが,この中で空港が将来のまちづくりに欠かせない都市装置と位置づけられ,市民の不信をよそに,相も変わらぬ空港バラ色論を展開しています。神戸空港が防災・医療の拠点となり,新たな産業をつくり出す都市装置となり,活力と魅力にあふれたまちになる,そしてポートアイランド2期には医療産業都市構想によって医療関連事業が集積するなどというバラ色に染められた将来展望を,神戸市民がそのまま信じるとでも考えているんでしょうか。  この将来見通しに自信があり,責任が持てるのであれば,市は堂々とこの空港問題の展望を披瀝して,市民投票を実施して意見を聞くべきであります。重要な都市装置となるはずの空港は,将来にわたり市民負担を生み出す負債製造装置になると市民は危惧しています。  もっとも神戸市民の中で,空港建設に今日の不況打開の道を求め,一縷の願いを託す市民意見があることを否定するものではありません。震災と不況により打撃を受けた神戸市民にとって,景気回復や雇用対策は緊急の課題です。  ただ,ここで明確にしておかなければならないのは,空港建設などという大公共事業は,本来福祉や医療など社会保障の切り捨てを前提にして進められてきたものであり,それが今なお国の方針になっていることから目をそらすべきではないということであります。国家予算に見られるように,社会保障費が20兆,公共事業費が50兆という,欧米諸国ではとっくの昔に転換している福祉と公共事業費とのアンバランスが根本から問い直されようとしているのであります。したがって,医療や福祉施策の充実を図ろうとするとき,国や自治体がこれまで進めてきたむだな公共事業の抑制は,必要不可欠な課題なのであります。  医療産業都市構想などに期待を寄せる市民も少なくないと思いますが,医療産業都市構想そのものは,まだ構想段階であり,果たしてそれがどれだけの雇用を生み出すものとなるのか,まだ全く未知数なのであります。今日の深刻な不況をいかにして打開するか,また高齢化社会に向けてどのように対処するかは,神戸市だけの課題ではなく,全国共通の悩みであります。  これまで経済を刺激する方策としてきた公共事業への莫大な投資に対する批判が全国的に広がる中で,大型公共事業の生み出す経済効果と,福祉や医療施設の充実が生み出す経済効果の比較が,先進的な自治体で真剣に検討され始め,雇用創出と生産への波及効果に関しては,福祉や医療への投資が公共事業への投資を上回ることが実証されています。  神戸市は,もともと中小商工業者の占める割合が高く,これまで神戸経済の基盤を支えてまいりました。しかし,中小商工業者は,震災で受けた甚大な被害からなかなか立ち直れず,その復興は約7割前後と言われ,いまだに道半ばであります。今求められているのは,新産業を追い求めるだけでなく,震災と不況の二重苦に立ち向かって苦しんでいる中小商工業者に対して直接支援の手を差し伸べることであります。既存の中小業者の本格的な復興こそが,新たな産業を誘発し,神戸の経済基盤を回復させるものとなるわけであります。  また,介護保険制度の発足を来年に控え,福祉施設の拡充と人材の確保が将来にわたる課題とされているとき,神戸市の大規模公共事業依存の体質を,福祉や医療の充実を図る方向へ転換させることが,中小企業の仕事を確保し,雇用を拡大させ,市民の生活を安定させることにつながると考えるのであります。  神戸の経済再生を図ることは緊急の課題であり,空港建設の賛否にかかわりなく,全市民の共通の願いであります。私たちは,産業復興に関してさまざまな角度から議論し,市民の合意をつくり出すことにいささかの異論もありません。  以上,神戸空港建設の中止を求める決議について申し上げてまいりましたが,2年連続して30万を超える市民から出された要望を重く受けとめ,性急な着工を中止することを重ねて申し上げ,私の提案説明といたします。ありがとうございました。(拍手) 71 ◯議長(大西きよじ君) 提案理由の説明は終わりました。  本件に関し,質疑の通告もありませんので,本件は委員会の付託を省略し,直ちに討論に入ります。  これより順次発言を許可いたします。  まず,30番本岡節子君。  (30番本岡節子君登壇)(拍手) 72 ◯30番(本岡節子君) 私は,日本共産党議員団を代表して,ただいま提案されました議員提出第6号議案空港島建設の着工中止を求める決議案に対して,賛成討論を行います。  決議案では,神戸空港の埋立・着工を直ちに中止するよう,7点にわたってその理由を述べています。住民に疑問と不安を残したまま空港建設を強引に進めようとしている今,多くの皆さんとともに空港島建設の着工中止を求める決議案の採択を求めるものであります。  これまで市議会は,市民の疑問にどう答えてきたでしょうか。昨年は市議会に対して30万を超す直接請求署名が提出され,住民投票条例が審議されました。わずか1週間で不十分な審議のまま,市民の意思を退けました。今回の条例の提案は,それに納得しない多くの市民の意思表示でもあります。空港建設に対する疑問はますます深まっています。大事なことはみんなで決めたいという市民の願いを2度にわたって否決したことによって,一層市議会と市民の間のねじれが残ったままであります。この際,空港建設の着工を中止して,市民の意見を聞くべきであります。  昨年の臨時市議会後,神戸市当局はどのように対応してきたでしょうか。市民の理解を求める広報を行うと言っておきながら,出前トークでも今までの説明を繰り返し,市民の納得を得るものにはなっていません。相変わらず必要な情報を公開せず,また出されている情報も市民の疑問に答えるものではありません。  空港がなぜ必要かという点については,先に空港建設ありきで,次々と新しい構想や必要論を持ち出してきています。震災直後に市長は,空港は防災拠点と言い,議会では国内線空港でありながら,規制緩和に乗じて国際便の乗り入れと言い,今は医療産業都市構想と言っています。これは神戸空港建設のずさんさを示すものであり,疑問は深まるばかりで,市民の理解を得られるはずはありません。  既に着工を前提とした工事契約を済ませた今,着工を中止することで多少のデメリットがあっても,市民が主人公の住民自治を貫くことの方が,よりすばらしいことではないでしょうか。諫早湾の干拓事業にまゆをひそめ,名古屋の藤前干潟や東京湾三番瀬の浅瀬の埋立計画中止に拍手を送っているのが,神戸市民を含めた全国の皆さんの自然な気持ちなのです。  笹山市長は,30万人の声を代表した住民投票の会の代表者である元神戸大学学長の須田勇さんや,もと日本弁護士連合会会長の北山六郎さんらとの話し合いをかたくなに拒否し続けておられます。意見の異なる団体とは会わないという排除の論理は,民主主義に相入れないものではないでしょうか。社会的儀礼にも反する態度を改め,市民の声を聞くことが必要だと思います。  一方,神戸市の財政危機に対しては,経済成長率の見直しを行って,市民サービスの低下や市職員の労働強化を強い,空港については需要予測の見直しも行わず,市民の疑問にも答えようとせず,空港建設を進めています。昨年は30万人の声を無視し,今回も20万人の声を無視しようとすることは,到底容認することはできません。1度立ちどまって,すべての市民に議論を呼びかけようではありませんか。市民の意思で決めていこうではありませんか。  このまま空港島の埋立工事を推し進めることは,神戸市政の歴史に汚点を残すことになるでしょう。議員の皆様が市民の声に耳を傾け,着工中止を求める決意にご賛同いただきますようお願いをいたしまして,私の討論を終わります。(拍手) 73 ◯議長(大西きよじ君) 次に,16番恩田 怜君。  (16番恩田 怜君登壇)(拍手) 74 ◯16番(恩田 怜君) 私は,住民投票議員団を代表いたしまして,議員提出第6号議案神戸空港建設の着工中止を求める決議に対しまして,賛成の意見を述べさせていただきたいと考えます。  神戸空港は,明10日にも海面にブイが投じられ,着工が予定されているわけでございます。しかしながら,多くの未解明の問題点・疑問点,これらを残したままの見切り発車と言わざるを得ないのでございます。  9月5日の某新聞にも,社説に準ずる主張・解説におきまして,地方空港見直しを必要と論じているのであります。地方空港計画は,熱い期待ばかりが先に立ち,住民合意の形成や必要性の判断がおろそかになっているというもので,近年開港した空港は利用客が計画を大幅に下回って,大変厳しい経営に迫られている。空港をつくれば,賛成派の議員の言われるような地域活性化につながるという考え方は,今や幻想にしかすぎないと断じているのであります。これは,この新聞だけではなく,全国各紙が社説もしくはそれに準ずる紙面を割いて,神戸空港計画の見直しの必要性を論じているのであります。  この機会に,私は神戸空港は絶対に実現しないと断言したいのであります。その理由は,これから述べます3点ございます。  第1点は,市営空港でありながら,市民合意を得ていないことであります。  マスコミなどの調査によりましても,6割,それ以上の市民が空港建設に否定的であると,何回も報じられているところであります。また,住民投票条例の請求署名も35万の市民が参加いたしまして,また空港の是非を問う市民投票でさえ,有権者だけを限定いたしましても,21万票の投票が集まったことからも,市民の多くが神戸空港建設に反対もしくは疑問を抱いているのであります。真に住民合意を望むなら,住民投票が必要であります。  かように市営空港でありながら市民合意ができていない空港は,今後さらに住民投票や市長リコールなど,あらゆる手段を通じて,今後この運動はさらに高まっていくものと考えられるわけでございます。  第2に,神戸空港計画が極めてずさんな──ずさんというより,欺瞞に満ちた計画であると言わざるを得ません。   340万人から 420万人もの利用客があるという計画は,根拠のない希望値をあらわした数字でしかありません。 3,140億円という空港の埋立工事費は,基礎となる積算さえ行っていない架空の数字であります。六甲アイランドの埋立費が1ヘクタール当たり16.8億円,これに対しまして耐震構造をやるというこの空港島の埋立費用が11.4億円と,このような価格で計画されている。これは,まさに地下鉄と同様に,工事中にどんどん費用がかさんでいくということを示唆しているものであります。  次に,空港が防災拠点として災害時に役立つということで,環境庁の許可を取ったわけでございますが,これはまさに阪神・淡路大震災に遭った後の単なる方便にしかすぎないわけであります。いかなる種類の災害のときに役立つ防災拠点なのでありましょうか。国では,関西圏の防災拠点は八尾空港が位置づけられているのであります。  次に,神戸空港の航路として予定されております明石海峡への航路は,3空港の航路が重なる極めて危険性の高い航路であります。航空の専門家たちの疑問にも答えておりません。  さらに,土地を処分して埋立費に充てるというのは,ポートアイランド2期の処分が進まないと同様に,極めて危険な投資であります。  さらに,空港予定地区に走る活断層対策もまた震災の影響を軽く考え,その結果として,阪神・淡路大震災で大変な被害をもたらした,こういう過去の過ちを繰り返すものであります。  これらのことは,昨日,大阪高裁で判決のあった神戸空港の起債を差し止める裁判におきまして,私が主張してきた点であります。  神戸市は,神戸空港計画は法的な手続を済ましたものであるという主張をしてまいりました。しかし,司法の場では,これが認められなかったわけであります。それゆえに,神戸地裁に差し戻されたということでございます。  裁判長が2度にもわたり,私が今申してきたようなことを,原告の主張に対して反論しない限り,これを認めたことになりますよと指摘したにもかかわらず,神戸市はこれに反論ができなかった。すなわち公式の場で私が言ってまいりましたこの欺瞞に満ちた建設計画が,公式に認められたものであります。言いかえますと,効かない薬を,データを改ざんして,まるで効くような話にして売ったのと同じことでございます。このような欺瞞に満ちた計画は,その建設過程において必ずや破綻を来すものと断ずるのでございます。  それから,第3点は, 2,850億の起債をすることの困難さでございます。  地方自治体に対する金融機関の格付は,極めて厳しいものがございます。神戸市の財政破綻は今や時間の問題と言われ,公知の事実でございます。起債制限比率20%を超えた神戸市,そして赤字幅の大きい大阪府は,格付Eでございます。全国最低の格付であります。私たちの常識では銀行はつぶれないと,このように信じられておりましたが,今や銀行が次々とつぶれていく時代であります。この次は地方自治体がつぶれると言われておりますが,否定できる者はないでしょう。その第1番目の候補が神戸市であります。  もちろん経済破綻の原因は震災ということも言われておりますが,これはまさに本質的には神戸市の都市経営の破綻,失敗であるわけでございます。神戸市の経営は,まさに土地神話による,山を削り海を埋め立てる,そして土地を売ってという,こういう土地神話に基づいたものでございまして,バブルが崩壊した現在におきましては,莫大な赤字となったということであると考えるわけでございます。起債をしても,その引け受ける銀行がない事態が想定されるのであります。  また,私どもが行っております起債を差しとめる裁判が神戸地裁に戻されたことは,神戸市がこの裁判に勝訴できる保証はないのであります。敗訴の場合は,神戸市長個人がこの損失を弁償しなければならないものであります。このことから,資金の調達は極めて厳しい情勢と言わざるを得ません。  また,神戸空港の財政は新都市整備会計に含まれるということで,市民には負担をかけないと神戸市は発表しております。しかし,新都市整備の黒字会計も,粉飾決算であると言わざるを得ません。六甲アイランドやポートアイランド2期,その他の開発された土地が売れていないばかりか,売れたとしても,安い価格で極めて優遇措置をしたものであります。その経理の仕組みを調べてみますと,売価に対する──売り値に対する原価の算出を,売価によって算出している,設定しているというような赤字の出ない仕組みは,現実の赤字を先送りするための粉飾決算と言わざるを得ないわけでございます。これらのことは,既に監査請求が出されておりまして,順次司法の場において明らかにされていくものと期待されるわけでございます。  以上の私が述べました3つの点から,神戸空港計画は離陸はできても,着陸はできない計画であり,2~3年のうちに墜落の憂き目を見るものと確信するものでございます。しかし,墜落してからでは,その経済的な損失並びに環境の破壊が莫大なものになるのであります。それを回復させるためには,さらに多くの費用が必要と考えられますし,回復できない,不可能なものが多く出てくるわけでございます。一刻も早く建設工事の中止をすべきであります。そのような観点から,建設工事中止を求める決議に賛同するものでございます。  このような私の警告を無視して神戸空港計画を推進されるならば,建設計画が破綻した場合の責任は,笹山市長さん,神戸市当局と同罪になるわけでございます。賢明な議員諸公におかれましては,以上の点をご理解いただきまして,決議案に賛同いただきますようお願いするものでございます。どうもご清聴ありがとうございました。(拍手) 75 ◯議長(大西きよじ君) 次に,18番高山晃一君。  (18番高山晃一君登壇)(拍手) 76 ◯18番(高山晃一君) 私は,さわやか神戸・市民の会市会議員団を代表し,議員提出第6号議案神戸空港建設の着工中止を求める決議の件に賛成する討論を行います。  企業の経営において最も重要な技能──スキルは,素早い的確な判断ができることです。これは企業の経営のみならず,野性の動物の世界でも当てはまる話です。群れを率いるボスの判断が遅かったり誤っていれば,群れ全体を死に至らせてしまいます。先ほど佐藤議員も申しましたが,企業の経営者は状況の変化を的確にとらえて朝令暮改ができなければなりません。企業が,素早い的確な決断ができるビジネスリーダーを育成するために莫大なコストをかけていることは,皆さんもご存じかと思います。同様のことが都市の経営にも当てはまるのではないでしょうか。  振り返って,神戸空港の建設はいかがでしょう。建設に向けての手続は進められているわけですが,かつて関西新空港を神戸沖につくる機会を逃したという過去の失敗にこだわり続ける私たちのまちは,日々変化する世界の経済から取り残されてはいないでしょうか。状況をとらえ,的確な判断をしなければ,群れ全体を死に導いてしまいます。  かつて議会におきまして,全会一致で推進決議がなされております。需要予測によれば大丈夫ですというような話ばかりで,神戸空港建設着工が正しい決断であることだと納得のいくご説明をされた方は,残念ながらいまだかつておられないのが現状です。  私たちは,神戸市民であるだけでなく,兵庫県民でもあり,関西人でもあります。淀川の水を飲み,各地から電力を供給してもらい,大阪へ働きに出かけるというように,つまり神戸市内で自立して生きているわけではなく,広くさまざまな地域とつながりを持って生きています。  ところが,大阪との都市間競争によって神戸は成長してきたとか,大阪のベッドタウンに成り下がってなるものかとか,市民生活の実態とはかけ離れたところで都市経営を競い,特に関西の空港整備は,お互いを食い合うようなありさまです。私の目には,関西を1つの生命体にたとえると,神戸空港だけではなく関空・伊丹を含め,関西の空港整備は,周囲から税金というエネルギーを吸収しつつ,あちこちに転移しながら増殖するがん細胞のように映ります。皆さんはいかがでしょうか。  空港をどのように整備すればよいかという問題は,小学生でも少し考えればわかる程度の問題であるにもかかわらず,政争の具としてもてあそび,ああでもないこうでもないと紆余曲折の末,結局一番お金のかかる方法で最悪の状況を生み出しそうとしているのが関西の現状です。  今,私たち議会人に求められていることは,過去にとらわれることでも,大阪と競争することでもありません。神戸の将来を担う次の世代のために何をすべきか,的確な判断を,決断をすることです。  次世代の神戸っ子が,伸び伸びとまちづくりに取り組むだけの体力を残す,つまり危機に瀕した神戸市財政を健全な状態に戻して,次世代にゆだねる決意・決断です。神戸空港建設という新たなばくちに命をかける勇気ではありません。過去に築いたストックを処分してでも,次世代につけを回さないという決断・勇気です。神戸空港建設は思いとどめるべきです。  以上の理由から,本議員提出議案に賛成をいたします。(拍手) 77 ◯議長(大西きよじ君) 以上で討論は終わりました。  これよりお諮りいたします。  本件採決の方法は,記名投票により決することにいたします。  直ちに議場の出入り口を閉鎖いたします。  (閉扉)
    78 ◯議長(大西きよじ君) この際申し上げます。  議員提出第6号議案を可決することに賛成の方は白票を,反対の方は青票を投票願います。  白票,青票はお手元にあらかじめ配付いたしておりますが,配付漏れはございませんか。  (なし) 79 ◯議長(大西きよじ君) 配付漏れなしと認めます。  投票箱の点検をいたします。  (投票箱点検) 80 ◯議長(大西きよじ君) それでは,1番井坂信彦君より順次投票を願います。  (投票) 81 ◯議長(大西きよじ君) 投票漏れはございませんか。  (なし) 82 ◯議長(大西きよじ君) 投票漏れなしと認めます。  よって,投票は終了いたしました。 83 ◯議長(大西きよじ君) これより開票いたします。  開票立会人は,先ほどの方にお願いいたします。  それでは,開票立会人の方はお願い申し上げます。  (5立会人立会・開票) 84 ◯議長(大西きよじ君) 開票の結果をご報告申し上げます。  議長を除く出席議員数  71名  投票総数        71票   有効投票       71票  有効投票中   賛 成(白票)    23票   反 対(青票)    48票  以上のとおりであります。  よって,議員提出第6号議案は否決することに決定いたしました。  ───────────────── (賛成議員)   1番  井 坂 信 彦 君   2番  小 林 るみ子 君   12番  金 澤 治 美 君   13番  松 本 則 子 君   14番  福 田 道 代 君   15番  浦 上 忠 文 君   16番  恩 田   怜 君   17番  加 納 花 枝 君   18番  高 山 晃 一 君   30番  本 岡 節 子 君   31番  森 脇 英 雄 君   32番  亀 井 洋 示 君   33番  段 野 太 一 君   34番  粟 原 富 夫 君   35番  桝 田 伸 二 君   36番  佐 藤 けん一郎君   51番  津 田   勲 君   52番  南 原 富 広 君   53番  西 下   勝 君   54番  原   和 美 君   70番  田 島 俊 三 君   71番  森 原 健 一 君   72番  堀之内 照 子 君 (反対議員)   3番  山 田 哲 郎 君   4番  宮 原 政 子 君   5番  松 本   修 君   6番  溝 端 和比己 君   7番  山 下 昌 毅 君   8番  和 田 有一朗 君   9番  村 岡 龍 男 君   10番  向 山 好 一 君   11番  崎 元 祐 治 君   19番  赤 塚 恵 一 君   20番  芦 田 賀津美 君   21番  大 澤 和 士 君   22番  守 屋 隆 司 君   23番  松 本 周 二 君   24番  安 達 和 彦 君   25番  吉 田 基 毅 君   26番  竹 重 栄 二 君   27番  橋 本 秀 一 君   28番  池 田 林太郎 君   29番  白 井 洋 二 君   37番  米 田 和 哲 君   38番  布 施 典 子 君   39番  佐 伯 育 三 君   40番  吉 田 謙 治 君   41番  岡 島 亮 介 君   42番  大 野   一 君   43番  平 野 章 三 君   44番  浜 崎 為 司 君   45番  福 浪 睦 夫 君   46番  植 中   進 君   47番  藤 原 武 光 君   48番  土 居 吉 文 君   49番  田 路 裕 規 君   50番  三 好 道 夫 君   55番  片 岡 雄 作 君   56番  野 尻 範 明 君   58番  北 山 順 一 君   59番  平 野 昌 司 君   60番  藤 森 万 也 君   61番  藤 本 浩 史 君   62番  安 井 俊 彦 君   63番  村 岡   功 君   64番  長谷川 忠 義 君   65番  前 島 浩 一 君   66番  横 山 道 弘 君   67番  荻 阪 伸 秀 君   68番  吉 田 多喜男 君   69番  浜 本 律 子 君
     ───────────────── 85 ◯議長(大西きよじ君) 議場の閉鎖を解きます。 (開扉) 86 ◯議長(大西きよじ君) 以上で本臨時市会に提案されました案件は,全部終了いたしました。  これをもって平成11年臨時市会を閉会いたします。   (午後2時15分閉会) 神戸市会事務局 Copyright (c) Kobe City Assembly, All Rights Reserved. No reproduction or republication without written permission. ↑ ページの先頭へ...