◎市長(松井一郎君) 子供たちが、グローバル化が進む国際社会において未来を切り開き、生き抜く力を身につけるためには学校教育の充実が不可欠であり、学校がその実績に応じた取り組みを推進できるよう支援することが必要であります。 本市の現状と課題として、まずは学力の課題があり、全国学力・学習状況調査の結果は依然として厳しい状況にあります。学校や地域によって結果の偏りが見られるために、きめ細やかな支援と対策が必要になっています。さらに、日本語指導が必要な児童・生徒の急激な増加や不登校率の上昇など、小中学校の抱える課題について、その実情に応じた多角的な支援が必要と思います。そのために、
市立高等学校を大阪府に移管しつつ、本市においては小中学校の教育に人材や予算を集中し、きめ細やかに対応していくために組織改編を進めてまいります。 具体的には、例えば学力について昨年度から行っている指導主事などによる各学校へのサポート訪問は一定成果が見られ、きめ細やかな支援が有効であることを実証していることから、近隣中核市と比較しても学校数等に対して少ない配置となっている指導主事を増員するとともに、
ブロック統括者をリーダーとする
ブロック担当を4つ設置し、体制の構築や事務室設置を段階的に進めます。
ブロック担当がブロック内の小中学校の教育活動への指導、助言、学力向上や生活指導などに関連する事業の実施などを担い、学校や地域の実情に応じたきめ細かく、かつ的確に支援を行うことで教育課題の改善を図るとともに、学校教育の充実を図ってまいります。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君)
教育委員会事務局を4ブロック化し、さまざまな課題に対してきめ細かく対応を図っていくとのことでありますが、その中でも本市の喫緊の課題であり、我が会派としてもその取り組みの充実を常に訴えてきた不登校児童・生徒への対応についてお伺いいたします。 先月公表された国の「平成30年度児童生徒の問題行動・不
登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、小中学校の不登校の児童・生徒については全国では16万4,528人と、平成29年度と比較して2万人以上も増加傾向にあり、本市においても前年度と比較して約200人も増加しております。国においては平成28年にいわゆる
教育機会確保法が制定され、地方公共団体が講ずるよう努めるべき施策が規定されました。 また、令和元年10月25日に出された
文部科学省通知では、不登校児童・生徒への支援については学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童・生徒がみずからの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指すことが示されております。法や通知に基づくと、不登校児童・生徒への支援については学校という場所にこだわらず、まずは社会的自立を目的に学校以外の場所での学習機会をつくることやICTを活用した遠隔授業を行った際の出席認定等を進めていくことが求められております。 本市において不登校が深刻な状況となっている以上、このような取り組みをさらに推し進めるべきであると考えております。本市の不登校対策について、教育長の御所見をお伺いいたします。
○議長(広田和美君)
山本教育委員会教育長。
◎
教育委員会教育長(山本晋次君) 本市の不登校児童・生徒は増加傾向にありまして、平成30年度調査では小学校で1,020人、中学校で2,683人、在籍比率では小学校が国の約1.3倍、中学校が国の約1.4倍となっておりまして、本市の喫緊の課題であると認識をいたしております。 不登校の課題に対応しますため、教育委員会としては不登校児童・生徒の学習の場として
教育支援センター、いわゆる適応指導教室の設置について検討を進めておるところでございます。既に、今年度は、西成区に開設をしております
生活指導サポートセンターにおきまして試験的に中学生の受け入れを実施し、不登校生徒の学習の機会を確保するとともに、その効果的な運用について研究を行っておるところでございます。 特に、対応するスタッフの充実や不登校の子供が通所しやすいような雰囲気の学習スペースの設置、そしてICTを活用した学習環境など、その施設環境について充実を図ることで本市の不登校対応の拠点となる施設としてまいりたいと考えております。また、そうした場所に通所することも難しい子供に対しましては、ICTを活用した遠隔授業による出席認定につきまして民間での対応ノウハウも活用し、早急にその実現を図る必要があると認識をいたしております。 いずれにいたしましても、法律や議員御案内の文部科学省の通知に基づきました本市の方針について各校に示しますとともに、
教育委員会事務局の4ブロック化により、不登校について一層課題に応じたきめ細やかな対応の充実化を図ることができますよう、学習機会の提供に努めてまいりたいと考えております。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 現在、学校現場では、団塊の世代の大量退職に伴う大量採用により教職員の若年化が進んでおり、若手の教員が十分な経験のないまま幅広い教育課題に対応しなければならない状況が生まれております。小規模化が進む学校では、学年を一人で担わなければならないケースもあると聞き及んでおります。こういった状況をサポートすべき学校の管理職や教育委員会の指導主事の体制も十分ではないことから、我が会派からは、管理職や指導主事のスキルアップを図りつつ、大阪市が抱えるさまざまな教育課題の解決につながるような研究を行う機関、シンクタンクを設けることを提案してきました。
教育シンクタンクの設置により、学校が持つ多種多様なデータを集めて企業や大学とともに分析、研究し、その結果に基づく提案を行うことで、より効果的、効率的な教育政策が展開でき、それは結果的に教員の負担軽減にもつながるはずであります。 また、新
学習指導要領が目指す新たな教育内容など、目まぐるしく変化する時代の要請に意欲を持ってチャレンジしようという教員を支える仕組みも必要です。このような機能を
教育センターが担い、個々の教員の教育活動へのサポートや人材育成に生かしていくことが、今後の多様化する社会情勢のもとで必要な役割であると考えております。 教員一人一人のモチベーションを高めつつ、その資質を向上させるためには、人材育成を担う
教育センターの今後の役割はさらに重要になってきます。機能の拡充とともに体制の強化も必要と考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
○議長(広田和美君)
山本教育委員会教育長。
◎
教育委員会教育長(山本晋次君) 大阪市の教職員の年齢構成につきましては、現在、教員採用10年以内の教員の割合が小中学校とも50%を超えておりまして、若手教員でありながら中堅教員並みに複雑化、多様化する教育課題に即対応していく資質・能力が求められております。 特に、大阪市におきましては、学力向上に係る取り組みはもとより、子供の貧困率の高さや外国にルーツのある児童・生徒の急増、不登校の増など多様な教育課題を抱えておる現状にございます。こうした状況を解決していくため、大阪市は、
教育センターの
シンクタンク機能の強化を図る観点から、平成30年2月に大阪で唯一の教職大学院を持ちます大阪教育大学と包括連携協定を締結し、大学との協働によります
研修プログラムの開発や
ミドルリーダーの
育成プログラムなど、教員の資質向上に係る取り組みを進めてまいりました。 こうした実績を踏まえますと、それぞれの学校現場における実態の把握や現状の分析、そして、それらに基づく効果的な施策の提案を行う
シンクタンク機能を持った機関が必要であると考えておりまして、大学、企業、NPO等の相互連携による新しい
教育センターの設置に向けて検討を進めておるところでございます。この新しい
教育センターでは、大学の知見を生かした専門性の高い研究や規模の大きなデータ分析を行いまして、その研究成果をもとに教員一人一人の授業改善、指導力の向上を図り、教員自身の意欲向上や負担軽減にもつながる施策を研究していくことを考えておるところでございます。大阪市の教員がその能力を十分に発揮して、未来を担う子供たちが社会の目まぐるしい変化に主体的に対応できますよう、新たな
教育センターの機能の充実及び体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 子供の学力・体力向上や不登校対策などさまざまな課題に対応するためには、教員の資質向上が重要と考えており、大学等との相互連携による新しい
教育センターについては我が会派としても大いに期待しております。 また、
教育委員会事務局の4ブロック化についても、それぞれのブロックを担当する組織が責任を持って小中学校をしっかりときめ細かく、かつ的確に支援できる体制が必要であり、とりわけ各学校のサポート等を行う指導主事など、真に必要なところにはしっかりと人材を配置していただきたいと願います。 次に、無責任な餌やり行為による生活環境や健康被害への対応についてお伺いいたします。 本年、大阪市住吉区我孫子周辺の野鳥(カラス、ハト)による環境や健康被害に関する陳情書が提出され、全会一致で採択されました。今回、市長が強力なリーダーシップを発揮され、条例改正に向けて迅速な対応をしていただきましたが、
パブリックコメントでは避妊・去勢をして適切に管理されている猫への餌やりに対しての懸念、不安が多く示されており、条例改正の趣旨・目的が動物愛護団体の方々を初め多くの市民に正しく伝わっていないのではないでしょうか。多くのメディアの発信では、餌やり禁止条例や餌やり行為の罰則などのワードがひとり歩きしております。まず、この条例は、餌やり行為の禁止条例ではないということを明確に御答弁ください。あわせて、メディアへの発信もお願いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) このたび実施をいたしました
パブリックコメントにおいて、適切な餌やりも規制されるのではないかといった懸念、不安が多く寄せられていることは承知をしております。しかし、今般の住吉区の事例での住民被害の原因は、餌やり行為そのものではなく、餌を与えた方が清掃など清潔を保持するための措置を講じないことによって生じたものであります。 大阪市としては、例えばこの事例のように、餌やりによって生活環境が著しく広範囲に阻害され、多くの住民の迷惑となっている状況を放置することはできません。今回、11月29日付で提出を予定している条例改正案は、このような生活環境を阻害する行為を規制するための改正でありまして、餌やり行為自体を規制するものではありません。改正条例が成立した後、速やかに正しい趣旨が伝わるようにしっかりと情報発信をしてまいります。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 現在、大阪市では、街ねこ事業や
公園猫サポーター制度を実施しており、多くの
ボランティアの方々により地域猫が適正に管理されております。その成果として、大阪市への所有者不明猫の引き取りも減り、生活環境も、ごみを荒らされることが少なくなるなど、効果が出ていると聞き及んでいるところであります。 先ほど、市長より猫への餌やりを禁止するものではないという御答弁をいただきましたが、いまだに多くの方々に地域猫の取り組みが伝わっておりません。また、以前には公園や地域で餌やり禁止の掲示物が張られていたということも聞き及んでおります。今回の条例改正をきっかけに、生活環境を阻害するような行為の規制とともに、条例が誤って解釈されないように要綱等で明確化し、さらに全ての餌やり禁止と誤解を招くような掲示物の撤去も含め、ルールを守った
ボランティアの方々が活動しやすい環境整備に向けてのスキームが必要と考えますが、いかがでしょうか。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 提出を予定しております条例改正は、餌やり行為自体を規制するものではなく、清掃などにより清潔をしっかり保持してくださる適切な餌やりを規制するものではありません。こういう清掃などをしっかりやっていただいて、清潔を保持する餌やりは逆に歓迎するということです。このような適切な餌やりを行っている方々が、今後とも安心して活動いただけるように要綱等に必要な規定を整備いたします。 街ねこ事業や
公園猫サポーター制度など、地域猫活動は地域の
生活環境改善にも有効な取り組みであると認識しており、地域猫活動の阻害となったり、市民に誤解を与えるような掲示物については随時、撤去を行っております。今後、この条例改正を契機に、
ボランティアの皆さんの地域猫活動に影響を与えないよう、地域猫活動の仕組みや必要性を広く市民の皆さんに理解をいただき、
ボランティアの皆さんがより活動しやすくなるような風土づくりに取り組むように関係部局に指示をいたします。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) ただいまの答弁はすごくわかりやすかったなと思います。これで少しでも、やっぱり適切に餌をきっちり猫に与えてる方と、環境を乱している方とのすみ分けが少しはわかりやすくなったのではないかなと思います。今後もまた発信のほう、重ねてよろしくお願い申し上げます。 次に、老人憩の家を含めた
地域集会施設についてお伺いいたします。 おおむね小学校区における地域活動や地域運営の拠点として、市内にある
地域集会施設の一部においては、老朽化が進み、建て替えが急務となっていることが喫緊の課題であると認識しております。我が会派では、橋下市長時代から
地域集会施設について質疑を重ね、吉村市長とも施設のあり方について議論を深めてまいりました。さらに、
松井市長就任後の区長会議では、市内の
地域活動協議会エリアの数である328施設を、
地域運営拠点として
建て替え補助金の対象施設に位置づけることなどがまとめられました。今後、建て替えへの支援について議論してもらいたいとの橋下市長の答弁から約5年が経過しており、この間にも老朽化が進み、建て替えが必要な施設がふえていることを踏まえると、早期の制度施行につなげていくべきであると考えます。 また、制度施行後、建て替え対象となる
地域運営拠点の位置づけに関して地域で話し合っていただくとのことですが、このことを地域の皆様にどのように円滑に進めていただくかも課題であります。地域によって事情が異なる中、今後の
地域運営拠点のあるべき姿という非常に難しい課題を話し合う中で、それが地域任せになり過ぎてしまい、地域の皆様に過度な負担がかかる一方で、
地域運営拠点の位置づけが円滑に進まないといった状況に陥ってしまわないかと、やや危惧しております。円滑な制度運用が可能となるよう行政として積極的に取り組まれ、来年度早々には
建て替え補助制度を施行できるようスピード感を持った制度構築が必要と考えておりますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君)
地域集会施設につきましては、
地域コミュニティーづくりの活動拠点として、さらには地域課題の解決に向けて話し合うなど、住民の皆さんが集まるための
地域運営拠点として不可欠と認識しております。 現在、検討中であります
地域集会施設の建て替えに対する補助制度は、地域社会における住民自治を着実に進めていくためにも、また地域活動の地域運営の拠点となる施設を安全かつ継続して確保するという観点からも重要なものと認識しています。現在、
地域集会施設の老朽化が進み、耐用年数を超えている施設もあることから、建て替えが円滑に進むように、
地域活動協議会エリア当たり1カ所について建て替えを支援する補助制度を検討していることを、各区役所から地域の皆さんに対して御説明をしているところです。地域の皆さんのいろいろな声を踏まえつつ、できるだけ早期に施行できるように
建て替え補助制度の構築に努めて、構築については丁寧かつスピード感を持って進めてまいります。 また、議員御懸念の点でありますが、地域の皆さんによる
地域運営拠点についての話し合いを地域任せにすることなく、区長のマネジメントのもと、的確にサポートする必要があると考えています。地域の皆さんが地域の将来像をイメージしながら、その拠点となる施設について話し合っていただけるよう、場の設定や施設の現況など、話し合いに有用な情報提供といった支援が重要でありまして、各区長に対し、こうした支援を地域の実情に応じて丁寧に進めていくように指示をいたします。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 円滑な制度運用等、スピード感を持った制度構築、よろしくお願いいたします。 次に、災害時における受援計画の策定についてお伺いいたします。 昨年は、本市が被災した大阪府北部地震や台風21号を初め7月豪雨や
北海道胆振東部地震など、大規模災害が頻発しました。本年においても9月の台風15号、10月の台風19号と立て続けに災害が発生し、とりわけ台風19号による記録的な大雨は、東海、関東、東北にかけて河川氾濫を引き起こすなど、広範囲かつ甚大な被害をもたらし、多くの財産ととうとい命が失われる事態となりました。被災地のいち早い復旧・復興をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心よりのお悔やみとお見舞いを申し上げます。 大阪市は幸いにして被害が生じなかったものの、これらが大阪府域に上陸していたらどうなっていたのか、今般の台風災害を対岸の火事として捉えるのではなく、被災都市の状況や対応をしっかりと調査研究し、そこから得られる教訓を今後の防災・減災活動に生かさなければなりません。 大規模災害時には短時間に膨大な業務が発生し、迅速で適切な災害対応が求められるだけでなく、中断できない通常業務も同時に遂行する必要があり、長期にわたる人員不足が懸念されます。そのため、他都市においては迅速な応援要請と円滑な調整、受け入れを行い、効果的に災害業務を遂行するため、あらかじめ災害時の受援計画を策定するところがふえていることから、本市においても早急に受援計画を策定する必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君)
災害対策基本法の基本理念にある災害に備えるための措置を、科学的知見及び過去の災害から得られた教訓を踏まえ、絶えず改善を図っていくという規定は、本市の防災・減災対策を充実させるに当たって極めて重要な観点であります。 本市は、
指定都市市長会から要請を受け、福島県須賀川市への対口支援に入り、10月21日から11月11日まで、被災家屋の消毒業務や被害調査業務などに1日当たり20人程度、延べ300人を超える職員を派遣するとともに、福島県いわき市や長野県長野市にも、保健師や
廃棄物処理支援隊を派遣いたしました。 福島県須賀川市では、本市が担う作業内容と人数は決まっているものの、本市職員の宿泊先や現地での移動手段の確保、作業などに必要な物品類の調達など、従事する上で必要になる環境が整っていなかったために、実際の作業着手に時間を要したとのことであります。本市が被災した場合を想定しても、やはり受援対象業務の整理や受援側と応援側の役割の明確化、受け入れに必要な滞在場所の確保などをあらかじめ整えておかなければ、
災害対応業務に混乱と停滞を招くおそれがあり、ひいては市民生活に悪影響を及ぼす事態となりかねません。大規模災害が頻発する昨今の状況を鑑みると、本市としても早急に受援計画を策定する必要があると認識しており、速やかに着手してまいります。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 被災地に派遣した職員の貴重な経験を本市の防災・減災対策に生かすとともに、本市が被災した場合を想定し、膨大な
災害対応業務を可能な限り円滑に処理できるよう、受援計画を速やかに作成していただきたいと願います。 次に、港湾管理の一元化についてお伺いいたします。 我が会派では、府市の港湾を統合し一体運営を行うことで、大阪全域にわたる戦略港湾を実現することを目指してまいりました。港湾の
国際競争力強化や
利用者ニーズに合ったより使いやすい港への改革といった大阪湾諸港が抱える課題に対応するためには、平成28年に締結した連携協約に基づく取り組みだけにとどまることなく、港湾管理の一元化をさらに進めていくべきであると考えております。 今回提案される府市の港湾局の共同設置は、事務の一体化により、人や情報を共有し、広域的な視点で連携した取り組みが実現され、また一元化された
府市港湾局長のもと、スピード感を持った取り組みが可能となることで、防災機能の強化、
ポートセールス、
利用者サービスの向上といったメリットがあるとしておりますが、一刻も早く第一ステップである府市の港湾管理の一元化のスタートを切らなくてはなりません。最終目標として、目指すべきは大阪湾諸港の港湾管理の一元化であり、早急にやり遂げなければならないと考えておりますが、市長の見解をお伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 港湾管理の一元化についてでありますが、私は、港湾の国際競争力の観点から、大阪港を含む大阪湾諸港の地位が相対的に低下しているという強い危機感を持っていることから、国際競争力の強化や利用者の利便性の向上といったことが喫緊の課題と考えています。平成28年12月に締結をした府市の港湾における連携協約に基づき、連携の取り組みを進めるとともに、府市の広域における港湾のあり方について検討を深めてまいりました。 今回、連携協約にとどまることなく、さらに一歩踏み出し、まずは府市で港湾局を共同設置することにより事務の一体化を実現いたします。これにより、人や情報を共有し、広域的な観点で1人の港湾局長のもと、府市港湾全体で各港の強みを生かし、弱みを補完し、全体での機能分担、最適配置を進め、大阪港においては
国際コンテナ戦略港湾としてさらに国際競争力を高め、堺泉北港においてはエネルギー・防災拠点の機能維持や中古車輸出の競争力を強化することに取り組んでまいります。また、利用者のニーズに的確かつ迅速に対応することで関西の経済・産業活動の発展に寄与し、ベイエリアの活性化や企業誘致が期待できると考えます。 最終目標であります神戸市、兵庫県を含む大阪湾諸港の港湾管理の一元化を実現するためにも、府市の港湾管理の一元化の効果を早急に示すことが必要であると、こう考えています。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) はい、よろしくお願いいたします。 次に、水道・
工業用水道事業への
運営権制度導入についてお伺いいたします。 昨年12月に成立した改正水道法が本年10月から施行されたことを受け、宮城県では、一昨日、水道事業、
工業用水道事業等に運営権制度を導入するための条例改正案が議会に上程され、これから審査が行われるところです。
南海トラフ巨大地震の危険性が高まる中、本市の水道局においても配水管の更新、耐震化の大幅なペースアップは喫緊の課題となっており、官民連携については管路の更新に対象を絞り、運営権制度を導入する新たなプランについて検討を進めるとともに、広域連携については将来の府域一水道を見据え、府内の自治体との
水道施設最適化に向けた協議、検討を進めています。 また、
工業用水道事業については経営状況が非常に厳しい見通しとなっており、事業を継続するには民間活力を導入し、経営の安定化を図る必要があることから、事業全般を対象に
公共施設等運営権制度の活用を検討しています。 市民の暮らしを支える水道事業、産業活動を支える
工業用水道事業とも、現状抱える課題を踏まえると、なるべく早期にこの運営権制度の導入を実現する必要があり、また官民連携の効果を広域的な水道の基盤強化につなげることも目指していくべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) まず、水道事業については、命の水に直結する浄水場での水づくりは水道局が引き続き担いつつ、管路更新事業を対象に今般の水道法改正で設けられた新たな運営権の仕組みを活用し、料金値上げに頼ることなく、更新ペースを今の2倍まで引き上げ、
南海トラフ巨大地震などへの備えを前倒しで進めてまいります。 また、広域連携については、既に府内の全ての水道事業体が参加をする「府域一水道に向けた水道の
あり方協議会」において議論が進み、特に守口市との浄水場共同化については、今後早期の協定締結を目指していますが、本市が導入を目指す官民連携のスキームについても大阪府域の自治体への水平展開を図るなど、今後とも広域的な水道の基盤強化にも寄与してまいりたいと思います。 次に、
工業用水道事業については、今後厳しい経営環境が想定される中、本市での万博開催やIR誘致など、工業用水道の利用促進が期待できる状況もあり、事業全般に運営権を設定し、現行の料金水準を維持しつつ民間事業者が効率的に運営することにより、経営改善を図ってまいります。 両事業とも、現在、制度設計の成案化に向けた作業を進めており、運営権事業の実現に向けた最初のステップとして、来年の2月・3月市会に実施方針及び条例案をお示しし、市会の皆さんに御議論を賜りたいと考えております。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 次に、民泊における課題と対応についてお伺いいたします。 多様な宿泊ニーズへの対応や民泊事業への民間参入の促進を目的とする特区民泊、新法民泊は、ともに施設数が増加しております。また先日は、Osaka Metroが民泊事業に参入するといった報道があるなど、推進の立場で取り組んできた我が会派としては、地域の活性化や自由競争の観点から非常によい傾向であると考えております。 その一方で、
違法民泊対策については、大阪市
違法民泊撲滅チームを立ち上げ、一定の成果があったところであります。しかしながら、民泊の施設数の増加とともに、申請前の周辺住民への説明が徹底されていない、民泊施設であることを示す標識が掲示されていないといった苦情が増加しております。また、新法民泊における届け出時に、
消防法令適合通知書の添付が必須となっていないことから未添付の届け出が多く、消防法令の適合状況を届け出前に確認できないなどの課題もあります。 民泊施設の周辺住民は、事業者のこうした不適切な民泊運営により生活環境が悪化するのではないかと不安を覚えております。これらの苦情に対しては、保健所による現状確認や指導を行うとともに、消防法令の適合状況については、消防局においても立入検査や指導を行っています。しかし、現在の対応は営業を開始してからの対応となっており、これらの課題を解決し、周辺住民の不安を取り除き、海外から訪れる宿泊者が安心して利用できる民泊施設とするためには、関係局が協力していくことはもとより、条例改正等も有効な解決策の一つと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 本市においては、違法民泊の徹底排除と適法民泊への誘導を同時に図る観点から、事業者が届け出しやすい制度とすることで適法民泊に誘導し、市としての指導・監督を適切に行えるようにすべきという考えのもと、制度を構築してまいりました。市民や宿泊者の安全・安心を確保するためには、違法民泊の撲滅はもとより、不適正な民泊運営を行う事業者については、徹底した指導を行い、是正させることにより、優良な適法民泊へと推進していく考えであります。 このような考え方のもと、特区民泊、新法民泊ともに、施設数の増加に伴い顕在化している諸課題については、優良な民泊施設の推進に向け、周辺住民とのトラブル防止や宿泊者の安全確保の観点から指導・監督を適切に行えるように、条例改正を含め、実効性のある対策を検討するように指示をしています。 今後、2025年大阪・関西万博を見据えて、外国人観光客の増加が見込まれる中、引き続き大阪が安全・安心なまちとして、ますますにぎわい、発展するように取り組んでいきたい、こう考えています。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) まずは周辺住民の不安を取り除き、それから、御答弁にもありましたように2025年大阪・関西万博に向かって、海外から訪れる宿泊者が安心して利用できる、そういった民泊施設となるようによろしくお願い申し上げます。 次に、IR誘致についてお伺いいたします。 国では、昨年7月にIR整備法が成立して以降、本年9月に
IR基本方針(案)が公表され、さらに先週には、区域整備計画の認定の申請期間を2021年1月から7月とする政令案が公表されたところであります。また、現在、国会に上程されている
カジノ管理委員会の人事が同意されると、来年の1月には
カジノ管理委員会が設置される見込みとなっています。 そうした状況の中、国の
IR基本方針(案)を踏まえ、先日、大阪府市から、IR誘致に取り組んでいる他の自治体に
先駆け実施方針(案)が公表され、IR区域の整備の意義や目標、IR事業を実施する上で必要となる要件、民間事業者の選定方法などが示されたところであります。 大阪は、これまで、2025年大阪・
関西万博開催前にIRの開業を目指し着実に準備を進めており、12月には事業者公募を実施しようとしております。我が会派といたしましては、今後、他都市との誘致競争がますます激化する中、民間事業者の活力と創意工夫を生かしながら、国際競争力が高く、持続的で魅力のあるIRをぜひとも万博開催前に実現してほしいと願いますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) IRは、民間事業者の創意工夫のもと、観光や地域経済の振興などを目指すものでありまして、国内外から新たに人・モノ・投資を呼ぶことにより、非常に大きな経済効果が見込まれます。 大阪は西日本の中心都市であり、周辺には多くの世界遺産、観光資源が存在し、また、夢洲は広大な土地を生かした非日常空間を創出できるとともに、空港や都心からも近い位置にあるなど、大きなポテンシャルを有しております。こうしたポテンシャルを最大限生かすことにより、世界水準の
オールインワンMICE施設や世界最高峰の
エンターテインメントなど、
大阪ならではの国際競争力の高い魅力あるIRを実現できるものと確信をしています。 そうした魅力を持続的に発現することができるように、先日公表した実施方針(案)においても、モニタリングの実施や区域認定更新に当たっての基準の策定、外部有識者による
事業評価委員会の設置などを盛り込んだところであります。 IRは大阪・関西の持続的な成長、経済成長のエンジンとなるものであり、公民連携して万博前の開業を目指しつつ、都市間競争を勝ち抜き、
世界最高水準の成長型IRを夢洲で実現してまいります。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 次に、2025年大阪・関西万博に向けた取り組みについてお伺いいたします。 大阪・関西万博に向けては博覧会協会を中心に準備が進んでおり、来月にはBIEへの登録申請書の提出が予定されております。そして、来年6月ごろに開催されるBIE総会で登録申請書が承認されると、いよいよ海外に向けての招請活動が始まるとのことです。 特に、2020年10月から2021年4月まではUAEのドバイで博覧会が開催される予定であり、約192カ国が参加を表明しているとのことであります。ドバイ万博において、大阪・関西万博への出展につなげていくために、ぜひ一つでも多くの国に参加招請やPR活動を実施すべきであります。こういった諸外国への呼びかけは、博覧会協会と国が中心となって行うことになると考えますが、本市としてもこの機会を捉え、大阪府と連携し、開催自治体として大阪が持つ魅力をドバイ万博において広くPRを行う必要があると思いますが、市長のお考えをお伺いいたします。 また、2025年の大阪・関西万博における
地元パビリオンの検討について、先日の
一般決算特別委員会における我が会派からの質問に対し、府市や有識者の意見も踏まえ検討を進めるとの答弁がありました。大阪を中心に
ライフサイエンス分野の企業などが多数集積するという強みを生かし、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に沿ったものが必要だと考えます。市長として具体的にどのように進めていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。
○議長(広田和美君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 来年、登録申請書が承認をされれば、いよいよ正式に大阪・関西万博への招請活動を実施することになります。その中でも、2020年10月から開催されるドバイ万博は約2,500万人もの来場者が想定をされます。2025年の直前の大規模な万博であることから、大阪・関西万博への参加招請やPR活動を行う絶好の機会であります。 本市は、これまでも上海万博やミラノ万博で大阪の歴史・文化、まちの魅力をPRしてきましたが、来年のドバイ万博においても、国が日本の魅力を発信するための「ジャパンデー」の開催を予定しており、本市も2025年の
万博開催都市として大阪・関西万博の魅力はもちろん、大阪の人々の温かさやまちのすばらしさを一人でも多くの人たちにアピールしていきたいと考えます。 そうしたことを踏まえながら、今後大阪府と緊密に連携し、
大阪ならではのイベントの実施や展示など、ドバイ万博での効果的なPR活動に向けて積極的に取り組んでまいります。 さらに、2025年の大阪・関西万博での
地元パビリオンについての検討でありますが、まずは有識者で構成する懇話会を年内に設置し、府市で検討をスタートさせます。検討に当たっては、万博のテーマやコンセプトとともに、
ライフサイエンス分野の強みを踏まえながら、出展テーマや展示内容等の議論を進め、2020年度中に出展基本構想を取りまとめてまいります。
○議長(広田和美君) 杉村幸太郎君。
◆49番(杉村幸太郎君) 2025年の大阪・関西万博に一つでも多くの国々に御参加いただくためにも、来年の
ドバイ博覧会におけるPR活動は大変重要です。ぜひ市長もこの機会に
ドバイ博覧会に赴き、地元自治体の長として国や博覧会協会とも連携して、大阪の魅力の最大限のPRに努めていただきますようにお願いいたします。 以上、各般にわたり質問をさせていただきました。市長におかれましては、来年度予算編成に向け、さらなる
住民サービスの向上、そして大阪の成長のために取り組んでいただきますよう申し上げまして、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(広田和美君) 以上で、杉村幸太郎君の質問は終了いたしました。 関係者の方々は自席にお戻り願います。 お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(広田和美君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午後3時3分休憩 午後3時30分再開
○副議長(有本純子君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 関係者の方々は、所定の席にお着き願います。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君の質問を許します。 34番田中ひろき君。 (34番田中ひろき君質問席に着く)
◆34番(田中ひろき君) 私は、自由民主党・
市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、松井市長に対して質問いたします。 まず、万博に向けた淀川左岸線2期事業の早期整備についてお聞きいたします。 大阪・関西万博の成功のためには、会場への円滑な
交通アクセスの確保が重要であると、これまで我が会派として質疑してまいりました。万博の来場者の輸送手段としては、鉄道や
シャトルバスなどが想定されております。
シャトルバスは、基本的には高速道路を利用して夢洲へアクセスすることになっておりますが、高速道路は日や時間によっては渋滞することもあります。
シャトルバスによる円滑な輸送には定時性の確保、時間短縮などが重要と考えております。
大阪都市再生環状道路の一区間をなす淀川左岸線2期は、新大阪駅から夢洲への
アクセスルートとして活用できると時間短縮につながり、万博来場者の輸送に大いに貢献するものであります。 本市会でも、
アクセス向上に寄与する淀川左岸線2期の工事前倒し、早期整備について、19日の本会議で我々自民提案の意見書を可決し、国の財政支援などを要望したところです。 そこで、淀川左岸線2期を万博での
シャトルバスの
アクセスルートとして活用できるよう、早期整備の実現に向けた市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 淀川左岸線2期は、都心部の渋滞緩和や人・モノの円滑な移動に資するものとして、
大阪都市再生環状道路に位置づけられている重要な道路であり、大阪市と
阪神高速道路株式会社の共同で2026年度末の完成を目指して事業を進めております。また、本路線は、新大阪駅や大阪駅といった
主要ターミナルと、夢洲やユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど臨海部とのアクセス強化に資するものでもあります。 一方で、2025年大阪・関西万博については、会場までの来場者の円滑なアクセスの確保が万博成功の鍵の一つであり、さまざまな対応を進めております。その中で、淀川左岸線2期については、関経連を初めとした経済界や
国際博覧会協会からも整備前倒しの要望があり、万博開催時には、新大阪駅や大阪駅から万博会場へ向かう
シャトルバスなどに限定して通行できるように早期整備を図ることで、
交通アクセスを充実させることが必要と考えております。 そこで、関係機関の協力のもと、工事の前倒しに向けて取り組んでおりますが、特に事業費の確保が重要です。大阪市として、10月28日には経済界と関係自治体とで構成される
関西高速道路ネットワーク推進協議会において、淀川左岸線2期の万博開催時の
アクセスルート利用に向けた早期整備に向けての事業費確保について、国や政権与党に要望しています。私としましても、確実に事業費が確保できるように取り組み、早期整備の実現に向けて努めてまいります。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 万博開催時には
シャトルバスなどに限定した利用とのことでありますが、
アクセス向上の観点では大きな効果が期待できます。ぜひとも工事前倒し、早期整備が実現できるよう関係者との調整や国などへの要望活動などに積極的に取り組まれることを要望しておきます。 また、万博に際して、主要駅からのLRTやBRTなど、新たな交通ルートなどについての提案も委員会で質疑していきたいと考えておりますので、
アクセス向上のため前向きな検討をお願いいたします。 次に、大阪・関西万博に係る企業等の参画についてお聞きをいたします。 大阪・関西万博につきましては、BIEへ来月提出する予定の登録申請書の作成も順調に進んでいるようであり、本市においても万博開催に向けて夢洲を中心に必要な
インフラ整備を進めるとともに、淀川左岸線2期の整備の前倒しを初め
周辺インフラ整備の準備に取り組んでおります。 我が会派としても、万博を成功させるために国に対する必要な要望を行うなど、万博開催に向けて協力しているところであります。 一方で、万博は国や自治体だけでなく多くの民間企業にも参画してもらうことが重要でありますが、どのように参画していけばよいのかといった疑問の声を耳にいたします。企業参画の仕組みづくりにつきましては、9月の
万博特別委員会において我が会派の前田委員からも指摘をしているところでありますが、市長はどのように考えておられるのでしょうか。 また、大阪・関西万博と銘打っておりますが、大阪以外の関西全体の盛り上がりはまだ感じられません。6年先ではありますが、今から周辺都市も巻き込み、関西全体の発展につなげていってほしいと考えますが、市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 今回の万博は、「未来社会の実験場」をコンセプトとして、これまでの常識にとらわれず、さまざまな人々がいろいろな課題にチャレンジをし、万博、その先にある未来社会を一足先に体験できる驚きと感動にあふれた新しい形の万博にしたいと、こう思っております。そのためには、多くの民間企業に参画していただき、大阪・関西のみならず、全国の企業が持つ世界に誇る最先端技術を最大限に活用することが不可欠であります。 先週、博覧会協会において、万博会場などでの実証・実装に向けたさまざまなアイデアを企業などから幅広く募集するための会議を開催し、有識者を招き、民間企業も参画し、会場設計や通信技術(VR)を用いた
エンターテインメントなどをテーマに議論がスタートをいたしました。参加企業の関心も高かったと聞いており、今後も大阪・関西万博への各企業の参加意欲の促進をしたいとしています。 また、最新技術は、年々進化のスピードが速くなっており、現在の最新技術が2025年の時点では陳腐化していることも考えられます。そのためにも、こうした場を通じて最新動向に常に注視し、2025年の大阪・関西万博では、最先端の技術に触れられるように開催前から多くのアイデアを集め、企業の参加促進につなげていきたいと思います。 また、関西全体の盛り上がりについては、関西広域連合を通じて地域経済の活性化や観光客の増大など、関西圏域の活性化に向けた検討を進めることとしており、これから周辺都市を初め関西全体での盛り上げや万博時の参画など、具体的な検討を行います。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 民間企業の参画を促進し、大阪・関西万博と言えるよう関西圏へさらに働きかけていただくようお願いいたします。 次に、府市が誘致を目指しておりますIRの開業時期についてお伺いいたします。 先週21日、大阪府市が
IR実施方針(案)を公表した前後、多くのメディアが大阪IRの開業時期について取り上げ、「IR、万博前の全面開業断念」や「大阪府市、部分開業も容認」といった報道が出ました。これは、大阪で
コンセプト募集(RFC)に参加した事業者が、工期が短いことや
インフラ整備の進捗が見えないことなどから、万博前の開業が難しいと表明しているからであり、大阪府市が同日に公表したRFC総評でも、事業者が万博工事、インフラ工事との調整やその影響を考慮する必要があるとの意見があったことを紹介しております。 言うまでもありませんが、2025年大阪・関西万博は
国家プロジェクトであり、工事の遅延は許されません。万博工事、IR工事や
インフラ整備がふくそうし、工事調整が難航した場合、IRの開業が万博前に間に合わないことは想像できます。 夢洲への
アクセス道路は、咲洲側からのトンネルと舞洲側からの橋が1本しかなく、現在でも既に物流車両で渋滞が発生しております。万博のアクセス検討や混雑の試算に当たっては、IRの工事が継続している場合は想定されていないとのことであり、仮にIRの工事がおくれ万博前開業ができず、万博期間中も工事が必要となった場合、万博に大きな影響を及ぼすことも十分に考えられます。 市長は、そのような状況でもなお全面開業は断念していないと言われております。12月には事業者公募(RFP)を実施するとのことですが、大阪府市が今後、事業条件として開業時期をどのように示すのでしょうか。また、万博前開業が間に合わず一部開業となった場合、万博期間中のIR工事をどうするのか、お尋ねをいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) IRは、世界中から新たに人・モノ・投資を呼び込み、大きな経済効果が期待されるものでありまして、万博、インフラ、IRの各工事がふくそうし、調整が必要とはなりますが、万博とIRが同時に開業することによりそれぞれが相乗効果を発揮し、大阪のさらなる成長に資するものと考えています。 開業時期については、2025年大阪・関西万博前のIR開業を目指しつつ、
世界最高水準のIR及び早期開業による速やかな事業効果の発現が実現できるように公民連携して取り組むこととしており、具体的な条件等の詳細については、事業者公募(RFP)で示してまいります。 また、夢洲における万博、インフラ、IR各工事の円滑な推進を図ることを目的に設置した
夢洲等まちづくり事業調整会議等も活用した調整に努め、その上で、
万博開催期間中の工事となった場合、その間の工事の取り扱いについては、IRの工事が万博に及ぼす影響について検討の上、引き続き調整します。 いずれにしても、
世界最高水準の成長型IRを実現し、さらなる都市の魅力、国際競争力の向上、大阪・関西の持続的な成長につなげてまいります。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) IRが大阪に来ると決まったわけではありません。
国家プロジェクトである大阪・関西万博の成功に向けて、全力で取り組むべきであると申し上げておきます。 次に、河川の氾濫対策についてお聞きをいたします。 昨年7月の西日本豪雨やことし10月の台風19号など、近年、記録的な豪雨による河川氾濫が頻発しており、広範囲で多数の犠牲者が発生するなど被害も甚大化しております。ことしの台風19号では、神奈川県箱根町で4日間の総降雨量が1,000ミリに達するなど、まさに記録的な状況が報道などでも流されており、市民の不安は募るばかりであります。私の地元平野区の大和川周辺を含む大阪市域の地盤は、川の水位より低いため河川の堤防が決壊し、一たび河川が氾濫をすれば甚大な被害が生じます。今回の台風19号がもし大阪に上陸をしていたら、大和川の氾濫によって市内が浸水していたのではないか、誰しも気になるところであります。 国の直轄河川である大和川は、堤防の整備や管理などの治水対策は国が実施主体となり行っております。そこで、本市の危機管理室を通じて台風19号と同じ豪雨が大和川流域で生じていたとすると河川氾濫の危険性はあったのか、国に問い合わせてもらったところ、関東や東北においても、浸水範囲や浸水深さなど氾濫した水量の調査が実施中であり、また、1地点での雨量だけでは単純に比較はできない。つまり、現状では評価が得られていない旨の回答がありました。 堤防整備などのハード対策では限界があり、やみくもに堤防強化に費用を使えばよいというものではないのは理解をいたしますが、堤防の決壊により甚大な被害が発生する可能性の高い本市としては、流下能力を向上するための川底の掘削工事や高規格堤防、いわゆるスーパー堤防の整備など、堤防の強化を国に求めるべきと考えます。 加えて、ことしの台風19号での雨量実績などを踏まえ、現在の治水計画が適正であるかも含めてしっかりと検証した上で、さらなる対策を講じる検討も必要であると考えます。そういったことを、河川管理者である国に対して、流域市である大阪市として強く要望していくべきではないでしょうか。 また、市民が命を守る行動をとるために、必要な情報発信もしていかなければならないと考えます。あわせて、市長の御見解をお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 近年、これまで経験したことのないような豪雨が頻発し、河川氾濫などによる甚大な被害が全国各地で発生し、とうとい命や多くの財産が失われています。このような被害が大阪には生じないという保証はなく、例えば、万一、市域を流れる大和川が決壊するようなことがあれば、市民の生命、財産を奪うだけでなく、西日本経済の中心地である大阪市における都市機能が麻痺するなど、その影響ははかり知れないものがあります。 このような認識のもと、河川の治水対策の推進について、河川管理者である国に求めていくことは必要と考えますが、淀川や大和川は府県をまたがる広範な流域を持つことから、本市単独ではなく、他の流域自治体と一緒に働きかけていくことが効果的と考えます。 現在、河川管理者の国、府、流域の市などが減災のための目標を共有した上で、ハード対策、ソフト対策を一体的に計画的に推進し、社会全体で洪水に備えることを目的に、各自治体の首長を構成員とした
減災対策協議会が定期的に開催をされており、そのような場での議論やその他さまざまな機会を通じて、流下能力の向上に資する築堤、河川掘削工事や高規格堤防の整備など、堤防強化などの治水対策を強力に推進することを求めてまいります。 また、台風19号などの記録的な豪雨とその被害状況を検証し、それらを踏まえた治水計画の精査などについても、今後、国が進めていただけるように意見を伝えます。 また、堤防整備などのハード対策で災害を防ぐことも一定の限界があることは認識をしており、本市としては、適切なタイミングで避難情報を発令し、市民などの確実な避難を促すなど、ソフト対策にしっかり取り組むことが重要と考えます。 ことし6月からは、避難情報を直感的に理解して避難行動を起こせるよう、警戒レベルを用いた情報発信方法を取り入れているところでありますが、引き続き市民の皆さんがみずからの命を守るために適切な行動をとっていただくための取り組みを進めてまいります。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 昨今の災害にこれまでの常識は通用いたしません。市民の命を守るため、ハード・ソフト対策について周辺自治体と連携し、国に対し、しっかりと要望されるようお願いいたします。 次に、いま
ざとライナーの社会実験についてお聞きいたします。 いま
ざとライナーの社会実験が本年4月1日から開始されています。いま
ざとライナーにより新たな交通需要が創出されれば、沿線地域におけるにぎわいの創出やまちの活性化につながっていくものと大いに期待しております。 いま
ざとライナーの利用者はふえていると聞いておりますが、沿線市民の中でも、いま
ざとライナーを知らない方や知っていても運行ルートや運賃など詳細なことを知らない方も、まだまだ多いと聞いております。今後ともしっかりとPRして、新たな交通需要を喚起、創出することで、大阪市の南東部地域の発展、将来の地下鉄未着工部の着手の道につなげていける実験となるよう頑張っていってほしいと考えておりますが、市長の見解をお伺いいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) いま
ざとライナーにつきましては、まだ実験開始から1年もたっていないこともあり、まずは認知度の向上に取り組む必要があります。これまでも、都市交通局に積極的に広報をするように指示してきたところであり、沿線区の区民まつりなどでのPR、市の広報紙やホームページでの積極的な情報発信を行ってまいりました。 また、Osaka Metroでも、車内や駅の案内放送を初めPR動画をネット配信するなど、さまざまな広報活動を行ってきました。私のほうからもテレビCMによりPRしてはどうかと提案したところ、近々、Osaka MetroのテレビCMのワンシーンで取り上げる予定と聞いております。今後ともOsaka Metroと連携をして、いま
ざとライナーの認知度向上を図り、需要喚起、創出につながるようしっかり取り組みます。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) いま
ざとライナーの知名度向上のためキャラクター、例えば誰もが知っていて女の子にも大人気のキティちゃんのラッピングをするなど、さらなる需要の喚起、創出に取り組み、今里筋線の完成につなげていただきたいと思います。交通網の整備によりまちが発展することは明らかです。需要を生み出す交通網の整備に取り組んでいただきたいと思います。 次に、男性職員の育児参加についてお伺いいたします。 先日、国において、男性の国家公務員が育児休業などを1カ月以上取得できるよう目指すとして、年内にも具体的な方策をまとめる方針との報道がありました。社会的にはまだまだ育児を女性に頼る傾向があり、女性の活躍を妨げる要因の一つとなっています。男女ともに子育てをしやすい環境を整え、男性の家事や育児への参加を促すことが女性の活躍につながるものと考えます。 そこで、本市の男性職員の育児休業の状況について確認したところ、市長部局等では平成30年度の取得率は7.8%となっており、国家公務員の12.4%を下回る状況であり、学校園においては2.7%、消防局においては1.0%の取得率と、さらに低調であるとのことでした。 一方で、同じ政令指定都市である千葉市においては、所属長が対象職員と面談を行うなど、男性の積極的な子育てを支援し、平成29年度時点で既に対象者の6割を超える取得率を実現させているようであります。 本市においては、この間、相当な人員削減を行ってきており、男性職員が育児参加を言い出しにくい職場の雰囲気があるのではないかと懸念をいたします。官民問わず、優秀な人材の確保が課題となっている今、男性職員が、親として当たり前に家事や育児に参加することで、男女がともに能力を十分に発揮し、生き生きと活躍できる職場環境を構築することが、優秀な人材の確保にもつながり、
市民サービスの向上に寄与するのではないかと考えます。 本市の男性職員の
育児休業取得者数は徐々にふえてきているようですが、まだまだ取り組みは不十分と言わざるを得ず、今回の国の動きを待つまでもなく、国や他都市に先駆けて、男性職員の
育児休業取得を一層促進するための取り組みを実施すべきと考えますが、市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 男性職員の育児参加について、本市ではこれまで男性職員の積極的な育児参加がしやすい
職場環境づくりに取り組んできたところでありますが、男性職員の育児参加はまだまだ進んでいない状況となっています。 今後は、議員より紹介のあった千葉市の取り組みなど、他都市において先進的に取り組まれている事例を参考としながら、市長部局などや消防局、学校園など、それぞれの勤務形態にかかわらず、男性職員がためらうことなく育児に関する各制度を活用できる職場風土を今まで以上に醸成していかなければなりません。そのためには上司が
マネジメント力を発揮し、職員がお互いに助け合う職場雰囲気の醸成や計画的な業務遂行に取り組むことはもちろん、特にイクボスとしての役割を十分果たすことが重要と考えます。 育児に関する各制度の積極的な活用を促すことができるように、子供が生まれる職員との面談を仕組み化することや
育児休業取得者の体験談の周知、また経験者などによる相談体制を構築するなど、本市としても主体的に取り組み、国の動向も注視しながら男性職員の育児休業等の取得を一層促進してまいります。 男性職員が家事や育児に積極的に参加することは、女性の活躍促進という観点だけでなく、男性職員自身にとっても、仕事にも多様な価値観や発想などをもたらすことも期待できると考えられ、男女ともに育児を通じて人間的に成長し、それが行政運営にもいい影響を及ぼして、
市民サービスが一層向上するという好循環につなげてまいります。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 他都市の先進事例を参考にしながら職場風土を醸成していくとのことであります。育児休業が取得しやすい雰囲気づくりは非常に重要でありますので、取得率の高い千葉市の事例をよく研究していただき、良好な職場環境の構築、ひいては
市民サービスの向上に努めていただくようお願いいたします。 次に、未就学児のお散歩経路の安全対策についてお伺いをいたします。 去る5月に、滋賀県大津市において、散歩中の保育園児が交通事故により死傷するという大変痛ましい事故が発生し、その後もたびたび子供が被害者となる交通事故が発生しております。 大津の事故を受け、政府において未就学児を中心とした子供のお散歩経路等の安全確保方策が早急に取りまとめられ、6月には、全自治体に保育施設等のお散歩経路における危険な箇所を緊急点検するよう指示があったと聞いております。 特に、大阪市内は、保育所だけでなく小規模な
地域型保育事業や
認可外保育施設など園庭のない施設も多く、園児の散歩の際には歩道上での駐輪など交通事情もさまざまな中、危険が多いことからハード・ソフト両面での安全対策が喫緊の課題だと思います。 国においても、今回の事故を受け迅速に指示を出していますが、国からの通知を受け、市としてどのように対応され、今後どのような対策を講じようと考えておられるのでしょうか。 また、国に対してお散歩経路の安全対策に係り、どういった要望をしていくのでしょうか、市長の御所見をお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 今回、6月の国からの通知を受け、市内で対象となる1,685の施設に照会をかけ、より安全なお散歩経路になるよう変更できるものは変更してもらった上で、なお危険な箇所について報告をもらい、施設所管局と
本市道路管理者、大阪府警が緊急安全点検の実施方法について協議を重ね、8月から9月にかけて施設や区役所の立ち会いのもと、市内約700カ所を緊急に点検したところであります。 点検の結果、ハード対策が不可能な箇所などを除く約480カ所を対象として対策を進めていくこととし、現時点で既に60カ所の対策を終え、残る420カ所についても大阪府警と協力して対応していくこととしております。 この散歩経路の対策に加えて、大津市での事故が幹線道路の交差点での事故であったことを受け、幹線道路の信号、交差点についても点検をいたしました。これらの点検結果をあわせて、本市が所管する道路では約2,000カ所について車両用防護柵や車どめなどを計画的に設置するなどの対策を講じていきます。加えて、ハード面での対策には限界があることから、ソフト面での対策も必要であると考えます。 国では、来年度予算において、保育所や
幼保連携型認定こども園を対象としたお散歩時の見守りのための補助を考えていますが、特に大阪市内では園庭のない小規模な保育施設も多いことから、こういった施設も補助の対象となるよう、国への要望も含めて検討をいたします。園児が安全・安心にお散歩できるように国の制度も活用し、ハード・ソフト両面で安全対策を講じてまいります。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 私自身にも小さい子供がおりますが、子供たちが気持ちよくお散歩できるよう、しっかりとした安全対策を講じていただきますようお願いいたします。 次に、
塾代助成事業についてお伺いをいたします。
塾代助成事業は、平成24年に西成区で試行実施して以降、現在では中学生の約5割を対象として事業実施しており、予算総額は約24億円に上っております。これだけ多額の公費を投入しておきながら、事業の目的も、子育て世帯の経済的負担の軽減、学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会の提供など、広過ぎて目的がはっきりいたしません。そのため、効果検証もきちんとできていないのが現状であります。 また、目的が曖昧であるため、対象となる事業者の基準や要件も曖昧となっており、事業者が利用者にしっかりとしたサービスを提供しているのかといった監査体制が甘いとしか言いようがありません。事業の目的、それに伴う登録事業者の範囲をもっと明確にする基準を設けるべきではないでしょうか。そして、不正行為が生じることのないよう、厳格な訪問調査を実施するための監査体制を構築すべきと考えますが、市長の考えをお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君)
塾代助成事業は、子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、子供たちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供することを目的に実施しています。 子供にとって学習塾に行くこと、絵を描くこと、楽器を弾くこと、スポーツをすることなども必要な教育であり、事業者が登録できる事業の基準については、
学習指導要領に規定された活動などの実施要領において定めているところであります。 一方、子供たちには多様な可能性があり、ニーズもさまざまであることから、できる限り幅広いサービスの中から受益者である子供、保護者自身が自分たちに一番合ったものを選択し、意欲的に学べるようにすることが重要と思います。この観点に立つと、行政が必要以上に登録事業者の事業範囲を限定することは好ましくないと考えています。 また、
塾代助成事業において不正行為が生じてはならないという指摘は当然のことであって、事業当初からさまざまな防止策を講じてまいりました。
塾代助成カードの発行に当たっては、ICチップの装備などにより、カードの偽造や成り済ましを防止しております。 また、参画事業者の登録に当たっては、安定的にサービスを提供できるかどうかの現場確認やヒアリング等を実施した上で登録を行っており、登録後についても運営実態確認のための訪問調査を実施しています。 さらに、利用者が自分の利用履歴をホームページで確認できるほか、利用履歴を郵送し確認いただくなどとしています。 今後も、不正行為などが生じないようにこれらの対策を実行していくとともに、さらなるリスク低減が可能かどうかについて検討を行いつつ、万一発生した場合は厳正に対処をいたします。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 学力向上に事業目的を特化するなど、対象事業を限定することも必要ではありませんか。この事業は、現役世代への投資をうたった施策だと思いますが、事業のスキームに大きな問題があります。話を聞けば聞くほど理解ができません。
運営事業委託の特名随意契約だけで年間5億円、さらに事業者登録は外形的に整っていれば何でもありの状態、受託事業者から登録事業者への調査もほとんどなされておりません。 先日、我が会派の議員が、受託事業者へ抜き打ちで視察調査に行きましたが、担当者の説明がしどろもどろで曖昧だったため、事業実態の確認には至りませんでした。改めてしっかりと調査をいたしますが、市としても調査が必要ではないでしょうか。 そもそも、事業の目標を
登録事業者数、利用者の増にしている時点で、まともな効果検証ができるとは思えません。全区展開する前に事業の目的を明確にすべきであったのです。事業を一から見直すことを求めます。今後、漫然とこのまま事業を続けるようであれば、それは公金のばらまきでしかありません。この事業に関しては、今後、委員会で議論をさせていただきます。 次に、市立高校の府への移管についてお伺いいたします。 11月7日の
決算特別委員会において、我が会派の多賀谷委員から府への移管について質問をしたところ、市長からは、子供たちにとって一番正しい形は何かを考え、多種多様な教育を行っている府へ移管するのが最もよいと判断したとのお答えでありました。しかしながら、大阪市こそ全国に誇れる特色ある高校教育を先駆的に行ってきたのではないでしょうか。 本市は、咲くやこの花中学校・高等学校や
大阪ビジネスフロンティア高等学校、ことし4月に開校したばかりの全国初の公設民営の手法による水都国際中学校・高等学校など、多額の市税を投じて全国に誇れる特色ある高校づくりを地道に進めてまいりました。それが丸ごと府に移管されるということは、市立高校が担ってきた意義は何だったのかという思いを拭えません。子供たちのためを思って府に移管するというなら、府下の他市の市立高校を含めた大阪全体の高校教育のあり方を議論した上で、他市を含めた市立高校の移管を考えるべきであります。これまで、堺市や東大阪市など高校を設置している市と一緒に高校教育のあり方を議論してきた経過はあるのでしょうか。そういったプロセスや機運がない中で、
大阪市立高校だけを府に移管していく理由が理解できません。市長は、本市の生徒や保護者、市民から大阪府へ移管してほしいという声を聞いておられるのでしょうか。 また、市長は、市立高校の大阪府への移管を打ち出すに当たって、市立高校が果たしてきた役割についてどう認識されているのでしょうか。さらに、これまで培ってきた市立高校の伝統や特色ある教育内容や取り組みについて市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 議員からの御指摘のとおり、普通科高校を主に所管する府とは異なり、本市では、工業・商業の
実業系高等学校を初め体育科や
福祉ボランティア科、
グローバルビジネス科など、全国に先駆けて設置した学科も含め、普通科高校にない特色及び魅力ある学校づくりを進めてきたことにより、市民の皆さんから一定評価をいただいてると、これは理解をしています。 一方で、大阪府も130校を超える高校を運営してきた実績があり、工業高校の工科高校への再編や文理学科の設置など、ニーズの変化に対応した特色ある高校づくりを進めています。産業構造の変化や工業技術の進展に伴い、実社会で求められる能力や技術は、日々、進化・進展をしています。 また、生徒の能力・適性、興味・関心、進路などが多様化する中で、それぞれの個性を最大限に伸ばし、将来の選択の幅をできる限り広げ、これからの社会で求められる人材育成ができるような多様性を踏まえた教育環境を確保していくことが、これからの高校教育において重要だと考えます。これらの点を踏まえ、私として一番に考えているのは、未来の社会を担う子供たちの教育環境をよくしていくことであります。 これまで市立高校に通う生徒や保護者、また市民からの府への移管の声があったかと、これは聞いておりませんが、私としては、
市立高等学校を府に移管することで、大阪市、大阪府がこれまでそれぞれ培ってきた特色やノウハウを合わせて、さらに効果的なものにすることが可能となり、より時代やニーズに応じた多様で魅力ある高校教育を提供していくことができると考えます。 そして、大阪全体で次代を担う人材育成を考えていくことが、ひいては地域産業の発展や市域全体の活性化にもつながると考えます。また、高校の移管により、本市の人材や予算を小中学校の教育に集中し、きめ細やかに教育課題に対応していくことができ、子供たちによりよい教育環境を提供することになると思います。 府への移管は、大阪市と大阪府で議論してきたものであり、府下の自治体と議論した経過はありませんが、
大阪市立高等学校を所管する大阪市長として、子供たちの教育環境をよくすることを第一に考えて判断をしたことであります。 いずれにしましても、
大阪市立高校の特色ある教育内容を継承し、さらなる高校教育の充実、発展ができるよう、府と協議を進めてまいります。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 大阪府下の他都市の公立高校である岸和田市、堺市、東大阪市の市立高校は移管されず、
大阪市立高校のみを府に移管されるということでありますが、これは我々には理解ができません。それならば、市長と同じ志を持つ岸和田市長、堺市長に対して、市立高校を府に移管し、人員と予算を小中学校に集中するようアドバイスされたらいかがでしょうか。また、民でできることは民でとおっしゃっていた市長が、市立高校を移管させて、公立高校を減らすことなく、かねてから府の課題であった公私間格差を是正しないのはなぜでしょうか。 また、市民から移管を望む声もなく、誰が移管を望んでおられるのでしょうか。まずは、大阪府下全体の市立高校のあり方について議論すべきであると申し上げておきます。 次に、
府市港湾管理の一元化についてお伺いいたします。 府市の港湾管理の一元化については、これまで3回提案されておりますが、2度の否決と連携協約を除く議案の撤回という結果でありました。我が会派は、これまでも連携を深めるべきは、阪神港として
国際コンテナ戦略港湾に指定・選定されている神戸港であり、府市の連携は連携協約の枠組みで進めればよいと申し上げてまいりました。理事者は、府市一体となった
ポートセールスの実施や防災機能の強化等をメリットとしていますが、いずれも連携協約で対応できるものであります。本来取り組むべきことを忘れているのではないでしょうか。 今の大阪港にとって大切なのは、
国際コンテナ戦略港湾や
クルーズ客船誘致の取り組み、あるいは
南海トラフ巨大地震対策などであり、これらについてのメリットは何もないのではないでしょうか。 また、港の格も、大阪港は
国際戦略港湾であるのに対して府営港湾は
国際拠点港湾、重要港湾、地方港湾で構成されております。おのおのの歴史の中で、大阪港は
国際コンテナ戦略港湾施策を担う港、またフェリーやクルーズ客船の港であり、一方、府営港湾は私企業の原料や
エネルギー供給の港、また中古車の輸出港として発展しております。既に役割分担ができており、これからも柔軟に各港の事業者のニーズ等に応えればよいのではないかと思います。市長の見解をお伺いいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 港湾管理の一元化についてですが、私は港湾の国際競争力の観点から、大阪港を含む大阪湾諸港の地位が相対的に低下をしているという強い危機感を持っていることから、国際競争力の強化や利用者の利便性の向上といったことが喫緊の課題と考えます。 大阪全体の物流機能を強化し、利用者に選択される港としてあらゆる手段を積極的に講じなければならないと考えており、連携協約にとどまることなく、さらに一歩踏み出し、まずは府市の港湾局を共同設置いたします。府市の港湾局が実現すれば、1人の港湾局長のマネジメントのもと、府市連携した取り組みがスムーズに実施可能となります。例えば、府市一体となった
スケールメリットを生かし、災害発生時の水防体制の構築や広域的な対応、情報と人材の共有により利用者の多様なニーズに対応できるサービスの提供や、より効果的なセールス等が可能となります。 また、港の格、これは異なりますが、各港の強みを生かし、弱みを補完し、全体での機能分担、最適配置を進めることも必要であります。例えば、大阪港の
国際定期コンテナ航路と堺泉北港の内航定期航路の連携による集荷の促進、大阪港、堺泉北港、阪南港の物流機能の相互補完などが考えられます。 最終目標である神戸市、兵庫県を含む大阪湾諸港の港湾管理の一元化を実現するためにも、まずは府市の港湾管理を一元化し、大阪全体の港湾戦略に積極的に取り組んでいくことが必要だと思います。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) ただいまのお答えの中で、大阪港の地位が相対的に低下をしていると、そして、強い危機感を持っているとおっしゃいましたが、それは大阪府市とも維新の首長となってから
国際港湾協会、日本港湾協会から脱退したのが原因ではないでしょうか。これはほとんど知られておりませんが、脱退したことにより、同協会の世界の港の地図から大阪港が6年間も消滅をいたしました。それに伴う経済的損失は、はかり知れません。現在の相対的な国際競争力の低下をみずから招いたわけであります。その打開策が府市港湾局の一元化による
スケールメリットとおっしゃいましたが、府のコンテナの数は市の100分の1程度であり、
スケールメリットがあるとは言えません。 かつて世界の
トップランナーであった阪神港は、阪神・淡路大震災によって壊滅的な状況となりました。阪神港の貨物は上海、釜山など東アジア諸国に拠点が移り、20年経過した今も阪神港に帰ってきてはいません。今や大阪港と神戸港の貨物を合わせても、横浜港どころか東京港にも及びません。私たちは、府市一元化などとレベルの低い議論をしている暇はありません。阪神港を日本の
トップランナーに復活させ、世界の
トップランナーに戻さなければならないのです。本件についても、12月の委員会で引き続き議論をさせていただきたいと思います。 最後に、大都市制度についてお伺いいたします。 大阪市を廃止・分割して特別区を設置する制度、いわゆる大阪都構想について、この間、特別区設置協議会において議論が続けられておりますが、我が会派は、特別区民の視点に立って、
住民サービスを支える財源や職員体制が十分に確保されているのかなどについて真摯に議論を行ってまいりました。これまでの議論において、大阪府と特別区の間の財源配分の不公平さ、特別区に過度の財政負担を強いる
財政調整制度、脆弱な職員体制、膨大な設置コスト、不確実な
財政シミュレーションなど、特別区素案の問題点をさまざま指摘するとともに、標準的な特別区をモデルとして設定し、
基準財政需要額を積み上げて検証するよう強く求めてまいりました。 中でも、我が会派が大きな問題と認識しているのは、特別区移行によって生じるさまざまなコストに係る財源が、特別区には確保されていない点であります。具体的には、新たな庁舎の整備やシステムの改修にかかるコスト、これに加えて、大阪市を廃止し、4つの特別区に分割することによる行政コストの増、これらのコストに係る財源が何ら用意されていない点であります。 加えて、今後、社会保障経費について、少なくとも400億円以上の増大が予測されますが、これらに係る財源も見込まれておらず、
住民サービスの見直しや引き下げが行われるのではないかと非常に危惧をしております。 以上のとおり、現在の特別区素案のままでは、特別区は、財政的にも職員体制的にも非常に脆弱で
住民サービスを維持することが困難であることは明らかであります。特別区に移行した後にこのような事態に陥ることのないよう、協議会において素案を徹底的に検証し、見直しの提案を行ってきたところでありますが、これまでのところ、我が会派の意見は一顧だにされることはありませんでした。 さきの一般質問において、我が会派の北野議員が協議会での議論の姿勢について質問した際、市長は、前向きな議論を行い、よりよい協定書案を取りまとめると答えましたが、現在の協議会は日程ありきで運営され、我が会派が指摘した課題に対し、真摯に議論を深めようとする姿勢は感じられません。特別区への移行は住民生活に多大な影響を及ぼすものであり、我々の課題指摘に対し真摯に向き合う意思があるのか、市長の認識をお伺いいたします。
○副議長(有本純子君) 松井市長。
◎市長(松井一郎君) 特別区設置協議会は、平成29年6月の設置以来、29回の議論を重ねてきたところであり、さまざまな修正提案に対しても、議論の上、必要と認められる部分については変更、修正を加えるなど、よりよい協定書の作成に向け、今井会長のもと協議会の運営が進められているところであります。御指摘の財源問題についても、これまで協議会で示された
財政シミュレーションにおいて、特別区の運営に支障がないことが明らかにされているところであります。 いずれにしろ、協定書の作成に当たっては、協議会において引き続き丁寧な議論が進められるものと考えており、よりよい協定書を取りまとめ、住民の皆さんにその内容を丁寧に説明した上で、住民投票で御判断いただき、都構想を実現できるように全力を尽くします。
○副議長(有本純子君) 田中ひろき君。
◆34番(田中ひろき君) 将来、特別区の財政が成り立つ証明として
財政シミュレーションを引き合いに出されましたが、現在提示されている
財政シミュレーションには特別区が要する行政コストが積み上がっておらず、今後見込まれる社会保障費の増が十分に見込まれていない点、万博やIR、
公立大学森之宮キャンパス整備など、今後見込まれる財政需要が十分に反映されていない点など問題点が多く、将来の特別区の財政を何ら保証するものではないと強く指摘しておきます。 以上、市政各般にわたり市長にお聞きしてまいりました。維新市政が間もなく9年目を迎えようとしておりますが、市長におかれては、あらゆる手段、権謀術数を用いた結果、最大の政治目標である都構想実現への道のりが視界良好となり、さぞかし御機嫌ではないでしょうか。 維新市政となってからさまざまな事業・施策が打ち出されておりますが、私はそれら全てを否定する気はありません。例えばこの時期、冬になると御堂筋はイルミネーションできらびやかになり、また週末は親子連れで「てんしば」もにぎわっております。こうした事業は全世代が楽しめ、市民の皆様が喜んでおられる声をよく聞きます。 しかし、一方では、先日の
一般決算特別委員会でも取り上げましたが、北港マリーナに隣接する緑地公園は手入れがなされず、10年近く寂れたままとなっております。絶好の場所にあり、市民にとって身近な憩いの場が放置されております。選択と集中と言われるかもしれませんが、このような場所にもスポットを当てるべきではないでしょうか。 また、都構想については市民目線での議論を継続してまいりましたが、単に大阪市を解体するだけで目標を達成したという事実が欲しいだけとも考えられます。都構想にしても、IRにしても、万博にしても、全て2025年をターゲットとしており、業務を行う市職員の顔をよく見たら、本当にできるのかと不安を隠せない職員もいるように思います。 我々自由民主党・
市民クラブ大阪市会議員団は、市民から負託された責任を全うし、責任ある判断をするため、最後まで議論を尽くしていく覚悟であると申し上げ、質問を終わる予定でありましたけれども、少し時間がありますので、今後5年、10年後も歌い続けたい歌を歌わせていただきます。市長も御一緒に。「高津の宮の昔より、よよの栄を重ねきて、民のかまどに立つ煙、にぎわいまさる大阪市、にぎわいまさる大阪市」。以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有本純子君) 以上で、本日の質問は終了いたします。 関係者の方々は自席にお戻り願います。 (副議長退席、議長着席)
○議長(広田和美君) 次回は、明29日午後2時より会議を開き、一般質問を行います。
○議長(広田和美君) 日程第2、議案第160号、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案ないし日程第4、議案第162号、職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。
○議長(広田和美君) 理事者の説明を求めます。 松井市長。 (
市長松井一郎君登壇)