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03月09日-02号

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  1. 大阪市議会 1993-03-09
    03月09日-02号


    取得元: 大阪市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-25
    平成5年第1回定例会(平成5年3月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成5年3月9日)    ◯議事日程    平成5年3月9日午前10時開議第1 議案第11号  平成5年度大阪市一般会計予算第2 議案第12号  平成5年度大阪市大学医学部付属病院事業会計予算第3 議案第13号  平成5年度大阪市食肉市場事業会計予算第4 議案第14号  平成5年度大阪市市街地再開発事業会計予算第5 議案第15号  平成5年度大阪市駐車場事業会計予算第6 議案第16号  平成5年度大阪市有料道路事業会計予算第7 議案第17号  平成5年度大阪市土地先行取得事業会計予算第8 議案第18号  平成5年度大阪市母子福祉貸付資金会計予算第9 議案第19号  平成5年度大阪市寡婦福祉貸付資金会計予算第10 議案第20号  平成5年度大阪市国民健康保険事業会計予算第11 議案第21号  平成5年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第12 議案第22号  平成5年度大阪市老人保健医療事業会計予算第13 議案第23号  平成5年度大阪市市民病院事業会計予算第14 議案第24号  平成5年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第15 議案第25号  平成5年度大阪市港営事業会計予算第16 議案第26号  平成5年度大阪市下水道事業会計予算第17 議案第27号  平成5年度大阪市自動車運送事業会計予算第18 議案第28号  平成5年度大阪市高速鉄道事業会計予算第19 議案第29号  平成5年度大阪市水道事業会計予算第20 議案第30号  平成5年度大阪市工業用水道事業会計予算第21 議案第31号  平成5年度大阪市公債費会計予算第22 議案第32号  平成5年度大阪市西町外15財産区予算第23 議案第33号  非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例案第24 議案第34号  大阪市立女性いきいきセンター条例案第25 議案第35号  当せん金付証票の発売について第26 議案第36号  小口支払基金条例の一部を改正する条例案第27 議案第37号  大阪市立市民学習センター条例案第28 議案第38号  大阪市立体育館条例の一部を改正する条例案第29 議案第39号  大阪市立学校設置条例の一部を改正する条例案第30 議案第40号  大阪市立大学の授業料等に関する条例の一部を改正する条例案第31 議案第41号  大阪市立大学奨学条例の一部を改正する条例案第32 議案第42号  大阪市立大学医学部附属病院条例の一部を改正する条例案第33 議案第43号  大阪市中小企業融資基金条例の一部を改正する条例案第34 議案第44号  大阪市中央卸売市場業務条例の一部を改正する条例案第35 議案第45号  大阪市設小売市場条例の一部を改正する条例案第36 議案第46号  大阪市高齢者住宅整備資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第37 議案第47号  大阪市立心身障害者リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例案第38 議案第48号  大阪市立老人福祉施設条例の一部を改正する条例案第39 議案第49号  大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案第40 議案第50号  大阪市保健所条例の一部を改正する条例案第41 議案第51号  大阪市立市民病院条例の一部を改正する条例案第42 議案第52号  大阪市立栄養専門学校条例の一部を改正する条例案第43 議案第53号  大阪市立看護婦養成施設条例の一部を改正する条例案第44 議案第54号  大阪市立助産婦養成施設条例の一部を改正する条例案第45 議案第55号  大阪市看護婦等修学資金貸与条例の一部を改正する条例案第46 議案第56号  大阪市住宅建設資金等融資基金条例の一部を改正する条例案第47 議案第57号  大阪市消防職員特別救慰金等支給条例の一部を改正する条例案第48 議案第58号  大阪市公園条例の一部を改正する条例案第49 議案第59号  大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案第50 議案第60号  大阪市海浜施設条例の一部を改正する条例案第51 議案第61号  大阪市乗合自動車料金条例の一部を改正する条例案第52 議案第62号  大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例の一部を改正する条例案第53 議案第63号  大阪市貸切及び定期観光自動車乗車料条例の一部を改正する条例案第54 議案第64号  大阪市水道事業給水条例の一部を改正する条例案第55 議案第65号  大阪市民間駐車場建設資金融資基金条例の一部を改正する条例案---------------------------------------◯出席議員88人      1番    瀬戸一正君      2番    谷下浩一郎君      3番    小笹正博君      4番    河本正弘君      5番    高野伸生君      6番    藤川基之君      7番    木下吉信君      8番     欠員      9番    松岡 徹君      10番    松崎 孔君      11番    福田賢治君      12番    土居一雄君      13番    広岡一光君      14番    中村好男君      15番    新田 孝君      16番    井上淑子君      17番    船場太郎君      18番    新堂庄二君      19番    舟戸良裕君      20番    美延郷子君      21番    菅井敏男君      22番    小西 実君      23番    仲山忠男君      24番    長谷正子君      25番    杉谷恒治君      26番    小玉 滋君      27番    矢達 幸君      28番    石川莞爾君      29番    下田敏人君      30番    小笠原正一君      31番    松原恵子君      32番    一色孝之君      33番    山下典嘉君      34番    大島豊太郎君      35番    小西礼子君      36番    石井義憲君      37番    田中義一君      38番    公原賢司君      39番    天野 一君      40番    大丸昭典君      41番    柳本 豊君      42番    玉木信夫君      43番    和田充弘君      44番    川口 優君      45番    辻 洋二君      46番    奥野正美君      47番    勝田弘子君      48番    村尾しげ子君      49番     欠員      50番    鈴木清蔵君      51番    安楽雅男君      52番    壷井美次君      53番    岸本太造君      54番    山下博義君      55番    野村 清君      56番    高橋幸一君      57番    徳田育久子君      58番    改発康秀君      59番    太田勝義君      60番    北山 篤君      61番    床田健三君      62番    北野禎三君      63番    大西仙太郎君      64番    黒田輝夫君      65番    山口泰弘君      66番    浜口晴敏君      67番    岡崎 誠君      68番    上野節夫君      69番    松村将司君      70番    物部秀恒君      71番    岡  潔君      72番    梶本利一君      73番    辰巳正夫君      74番    姫野 浄君      75番    関根信次君      76番    井出和夫君      77番    青木仲三郎君      78番    中西建策君      79番    山川洋三君      80番    柳井伝八君      81番    坂井三郎君      82番    辻 昭二郎君      83番    山下喜一君      84番    藤岡信雄君      85番    勝田重春君      86番    加藤 進君      87番    森野光晴君      88番    足高克巳君      89番    永井 博君      90番    中田捨次郎君---------------------------------------◯職務のために出席した事務局職員           市会事務局長         藤田 衛           次長             笹倉和忠           議事課長           秋山正己           議事課長代理         仲村雅信           議事係長           池田征夫---------------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員           市長             西尾正也           助役             磯村隆文           助役             阪口英一           助役             佐々木 伸           収入役            木地鐡平           市長室長兼理事        朝田悦次           総務局長           森 三郎           市民局長           松尾 彰           財政局長           今川 明           計画局長           仙石泰輔           民生局長           香山 博           経済局長           木村 收           中央卸売市場長        大西凱人           環境保健局長         關 淳一           環境事業局長         森田雅美           都市整備局長         野本政孝           建設局長           玉井義弘           下水道局長          加藤隆夫           港湾局長           柳原隆雄           副収入役兼収入役室長     橋本 博           市立大学事務局長       杉山龍平           消防局長           新堂 衞           交通局長           今田 隆           水道局長           藤原啓助           教育委員会委員長       木南道孝           教育長            福岡康司           選挙管理委員会事務局長    板垣義鳳           監査事務局長         竹内範夫           人事委員会事務局長      佐藤欣三--------------------------------------- △開議    平成5年3月9日午前10時5分開議 ○議長(北山篤君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を大丸昭典君、辰巳正夫君の御両君にお願いいたします。 ○議長(北山篤君) これより議事に入ります。 ○議長(北山篤君) 日程第1、議案第11号、平成5年度大阪市一般会計予算ないし日程第55、議案第65号、大阪市民間駐車場建設資金融資基金条例の一部を改正する条例案を、一括して議題といたします。 ○議長(北山篤君) これより質疑に入ります。 高野伸生君の質疑を許します。 5番高野伸生君。     (5番高野伸生君登壇) ◆5番(高野伸生君) 私は自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいま上程されております平成5年度予算案並びに関連諸案件につきまして、質問させていただきます。 本年1月に新しく就任したアメリカのクリントン大統領は、米国の再生に向けて今、国家と国民は何をなすべきかという問いかけを行い、そのコンセンサスのもとに国家と国民が一体となって新しい変革を求めようと唱えています。我が日本も、めまぐるしく変わる世界情況の中で、政治、経済とも新しい方向が求められておりますが、このような中で、私ども大阪市の市民と行政がどういう意識の中でともに行動していくべきかを考えながら、市政の重要問題について、以下、質問してまいりたいと思います。 最初に財政問題についてお尋ねいたします。5年度の国の予算及び地方財政計画では、景気に十分配慮しつつ、国民生活の質的向上のための社会資本の整備や住民福祉の充実などを積極的に推進し、公共投資の充実による内需の拡大を図るとともに、経費の徹底した節減合理化と財源の重点的、効率的配分を行うことなどが基本とされております。一方、本市の5年度予算を見てみますと、引き続く景気の低迷により、市税収入が昭和30年度以来38年ぶりに前年度を下回り、257億円もの減という深刻な事態となっているにもかかわらず、一般会計の伸びは3.7%と国や地方財政計画の伸びを上回り、特に投資的経費のうち本市単独事業については10.3%と3年連続して2けたの伸びを確保し、予算総額においても初めて4兆円台に乗せるなど、西尾市政第一党の我が党としても積極的な予算であると高く評価いたしております。税収の見通しが極めて厳しい中で、簡素にして効率的な行財政運営に努めながら、中小企業対策を初めとする景気対策や人口回復に向けての諸施策を打ち出すなど、大阪の活性化につながるこのような積極的な予算を編成するためには、いろいろと御苦労があったことと推察いたします。そこで、5年度の予算編成にあたっての基本的な考え方と、どのように効率的な行財政運営に努められたかをお伺いいたします。 次に、交通・水道料金の改定についてお尋ねいたします。バス料金・水道料金は昭和59年度以来、また、地下鉄・ニュートラムは平成元年以来の本格的な改定となるわけでございますが、今回の改定につきましては、現在の社会経済環境のもとで、市長におかれても慎重に熟慮された結果だと推察いたします。しかし、将来にわたって市民の足、命の水を確保するため、早急な経営改善が必要となっております交通・水道両事業の厳しい財政状況は理解はできますものの、企業としての襟を正した自助努力がまずもって示されなければ、料金を負担していただいている市民の理解は得られにくいと考えます。本市公営企業審議会答申におきましても、結論として、必要最小限の運賃、料金の引き上げはやむを得ないとしつつも、各部門別に具体的に可能な限りの効率化努力やより一層の市民サービスの改善などを強く求めているところであります。交通・水道両事業はこれまでにも人員の削減を初め経営の効率化や資産の有効活用に努力してこられたと思いますが、今後どのように経営の改善を進めていかれるのか、特に人員の削減については、具体的な目標計画を定め、その達成に向けて強力な取り組みをされるよう強く要望いたします。そこで、今回の料金の改定にあたっての基本的な考え方について、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、景気対策についてお尋ねいたします。バブル経済の崩壊に伴い、不動産業や金融・証券業に始まった今回の不況は、設備投資の落ち込みや消費の低迷、地価や株価の大幅な下落などさまざまな要素が複雑に絡みあって、オイルショックや円高不況時とも異なるかつてない深刻なものとなっており、とりわけ中小企業の経営は大きな打撃を受けております。昨年夏の我が自由民主党政府の総合経済対策に呼応し、大阪市では9月に公共事業の追加や中小企業金融対策の充実などを柱とする1,480億円の大型補正予算を編成するなど、緊急景気対策を大きく打ち出されました。その中で資金繰りに苦しむ中小企業のため創設されました中小企業緊急支援融資には、当初の融資目標100億円を大幅に上回る600億円を超える申込みがあったと聞いております。景気の現状は依然厳しく、先行きにもまだ明るさが見えないのが実情であり、最近の円高傾向も大きな不安材料になりつつあります。企業倒産もなお高い水準にあり、この3月期決算で赤字企業が多発すると聞き及んでおります。このような深刻な状況の中、不況にあえぐ中小企業を支援する緊急融資はぜひとも続けていただきたいと思います。さらに公共事業の拡大など市内の需要の喚起に役立つ施策にもより一層積極的に取り組む必要があります。いまや地方自治体の景気対策に果たす役割は極めて大きなものとなっており、景気の浮揚と中小企業の経営安定のため、国はもとより地方自治体も持てる力を振り絞り、最大限の努力をしなければならない時であります。とりわけ大阪市では中小企業が99%も占める都市ですので、中小企業に配慮した施策の推進について、市長を先頭に全力で取り組んでいただきたいと思いますが、市長の御決意のほどをお伺いいたします。 次に、国際化の推進にかかわる課題について何点かお尋ねしてまいります。まず、湊町のシティ・エア・ターミナルについてでありますが、我々大阪の人間にとって長年待望久しかった関西新空港がいよいよ来年夏にオープンの予定となり、その意味では本年は正に新空港関連施設の仕上げの年ではないかと思います。特に空港へのアクセスとして、湾岸道路や近畿自動車道が空港オープンまでに全線供用できるよう工事が進められております。また、鉄道では、先般JRの京都駅で旅行者がその場でチェックインできるシティ・エア・ターミナルの開設が発表され、一方、神戸市でもポートアイランドに新空港と海上アクセスで結ぶCATの建設が進められています。我が大阪市内では、南海電鉄とJALが主に個人客用のシティ・エア・ターミナルを難波駅につくり、南海の専用特急にて新空港と29分で結ぶ報道がなされたのは、まことに記憶に新しい話であります。そこで、大阪市が51%出資している湊町開発センターの事業の目玉である湊町複合交通センター、すなわち団体旅行者にも利用できる湊町CATは新空港開港時に供用できるのかお尋ねいたします。また、それに関連いたしますJRとのアクセス関係や湊町付近の高速道路のONランプ、OFFランプの建設の見通しもあわせまして、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、大阪サミットの誘致についてお尋ねいたします。来るべき21世紀において大阪が国際都市として一層貢献していくためには、多角的な国際交流の推進が望まれますが、私は、英知を集めた国際会議の開催の場となることが、世界に貢献する都市と呼ばれるための一つの条件であると考えます。ちなみに我が国で開催されております国際会議の現況を見てまいりますと、平成3年の開催都市別では、京都市が第1位で209件、以下、東京都、神戸市、名古屋市と続き、大阪市は98件と全国第5位の状況であり、この要因はどこにあるのか真剣に考えなければならない課題であります。今後国際化、情報化の進展に伴い、国際会議が飛躍的に増大することが見込まれ、世界に比肩しうる第一級の、また大阪のシンボルとなるような国際会議場が待望されるところであり、時あたかもことしの7月には日本で第3回目のサミットが東京の迎賓館で開催されます。サミットは主要先進国の首脳が一同に会し、世界の政治経済運営に関して討議を行う第一級の国際会議であり、これを大阪で開催することは大阪を世界へアピールする絶好の機会であるといえます。今回の東京サミットにつきましては、二、三年前に関西の経済界が中心となって大阪もしくは関西への誘致活動を進められたものの、諸般の事情から実現にいたらなかったものでありますが、大阪でサミットを開催し、世界に大阪をアピールすることはオリンピックの誘致にとっても大きなインパクトを与えるものと思います。そこで、現在中之島西部地区で検討されております国際会議場を早急に整備し、次回、西暦2000年という区切りのいい年に回ってくるであろう日本でのサミットを大阪に誘致することは大きな意義のあることと考えます。市長の御所見をお伺いいたします。 次に、新たに来日される外国人の居住環境の整備についてお尋ねします。昨年実施されました民間研究機関の調査によりますと、関西国際空港の開港を契機として、今後4年間で500社以上の外国企業などが関西に進出し、その結果、外国人ビジネスマン約1,700人、家族を含めますと約5,200人が新たに居住を始めると予測されております。今後関西で生活を始める外国人の市内への居住を促進することは、市民が日常的にこれらの外国人と接し、異なる文化や慣習あるいは相互の立場を理解し、尊重しあえることにつながり、彼らが帰国した後も、大阪のすばらしさや大阪人のあたたかさといったいわば大阪のよい印象をPRしてくれることと思うのであります。これこそが肩肘のはらない本当の市民レベルの草の根国際交流の姿であると信じております。私は、このようなことを実現するため、かねてから大阪が外国人にとって訪れたい、住んでみたいと感じられる親切なまちであってほしいと願っております。そのため、外国語による生活情報の提供をはじめ、外国人ソサエティの形成支援や外国人向け医療の充実などソフト面の支援だけにとどまらず、領事館の誘致、外国人向け住宅の整備、国際学校の設置など、生活の基礎的な条件の整備がぜひとも必要であると考えます。これまで地下鉄車内の英語案内放送などについては既に具体化されてきております。しかしながら、現状を見ますと、中長期滞在外国人の居住傾向は、外国人向け住宅や神戸のカナディアン・アカデミーのような国際学校の集積する西宮より以西の阪神間に集中しているのが実態であります。ただ、一方で、働く場となっている大阪市内において、職住近接の形で募らしたいという声があるのも事実であります。そこで、領事館の誘致や住宅整備、国際学校の設置など、生活の基礎的な条件整備を積極的に推進することがさらなる大阪の国際化に肝要であると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、同和問題についてお伺いいたします。我が党は、基本的人権の侵害にかかわる同和問題は一日も早く解決すべきであり、そのために必要な施策は堂々と実施すべきであると考えております。しかしながら、事業を進めるにあたっては、広く市民の合意を得て、理解と協力のもとに実施することが必要不可欠であります。この姿勢を踏み外すならば、同和行政に対する市民の不信感を招き、結果として同和問題の解決に逆行するといっても過言ではありません。我が党は、この立場からこれまで一貫して同和加配や地区内外の固定資産税の同和減免など、行き過ぎた市の同和施策に対し、具体的に種々の指摘を続けてきたものであります。また、昨年の予算市会においては、三対策慰安会事業や芦原病院の経営改善など具体の事業を取り上げ、その抜本的な見直しを求める決議がなされたところであります。しかるに、大阪市は一定の努力はされているようでありますが、見直しの効果が目に見える形で表れず、極めて不十分であることは非常に残念であります。大阪市は、昭和44年度以来、8,000億円以上もの巨費を投じて同和対策事業を推進してきました。一部になお課題を残しているとはいえ、同和地区の現状は以前と比べて確かに改善されております。また、同和対策事業にかかる最終の特別法として制定された現行法はあと4年の有効期間を残すのみであります。いまこそ市民の率直な批判と我が党の指摘を体して、行き過ぎた施策を大胆に見直し、真に必要な事業に限って、法の期限内に実施すべきであります。大阪市はこの点をどのように考え、今後の同和行政を進めようとされるのか、まず総括的な所見を伺いたいと存じます。 次に、私が具体的に指摘したい問題は多々ありますが、とりわけ同和対策事業に係る未利用地の問題は重要でありますので、この点についてお伺いいたします。平成3年度末で、事業計画があるところを除いたら、利用検討を必要とする空き地が約4万6,000平方メートル。いろいろなものに暫定利用している用地を含めますと、合計で約11万5,000平方メートルあると聞いておりますが、これは甲子園球場の3倍近くにのぼる広大な土地であります。昨年、私も市会で未利用地の解消につきまして強く指摘いたしましたが、この点についてその後の検討状況と今後の取り組みについて、市長にお伺いいたします。 次に、おとしよりが生涯にわたって安心して生活できるまち大阪といった観点から、高齢化社会対策についてお尋ねいたします。大阪市では、現在「いきいきエイジング、みおつくしプラン」のもとに、特別養護老人ホームの建設が順次進められていますが、一方で、高齢者が寝たきりやそれに近い状態になった場合でも、長年住み慣れた家で、家族はもとより友人や隣人との交流を楽しみ、都市の利便性を享受しながら毎日生活できるようにすることも、行政として重要な福祉政策であります。すなわち、本市ではいわゆる在宅福祉としてホームヘルパーの派遣、デイサービス、ショートステイなどの充実について積極的に取り組んできたほか、小学校単位に高齢者の実情把握とニーズ発見、さらには地域での相互支援活動などを行う地域ネットワーク委員会の設置を進めるなど、きめこまやかな高齢者地域支援システムの構築が進められてきたところであります。 さらに、5年度においては、新たに身近な地域において在宅サービスを総合的に提供する地域在宅サービスセンターの整備促進が発表され、今後の在宅福祉の基地としての役割が大きくクローズアップされました。本市では、この地域在宅サービスセンターを今後、各区の中学校下に1カ所ずつ、そしてまた、そのうちの一つは区全域を統括できる機能を備えたものにするという基本計画ですが、本当にこれらの施設を地域の在宅福祉に真に寄与できるものにするためには、今後解決していかなければならない問題が多くあると思います。すなわち、サービスを受ける在宅老人のニーズとして、お風呂にはいりたい、食事サービスがほしい、またデイサービスセンターに行ってリハビリを受けたい、ホームヘルパーに来てほしい、あるいは医者や看護婦にみてもらいたいなどさまざまなニーズがあるわけですが、これらのニーズに迅速に、的確にこたえるためにも、例えば民生局と環境保健局、あるいは区福祉事務所と保健所などが連携を密にするなどの全庁的な支援が必要ですし、加えて、これら行政や社会福祉協議会及び地域のネットワーク委員会などとの連携によるバックアップがないと有効に機能しないわけであります。これらの諸点を踏まえ、地域在宅サービスセンターが十分活用できる具体的な方策を今まさに確立する必要があると考えます。 また、在宅福祉サービスを推進するためには、それを支えるホームヘルパーなど専門的なマンパワーの確保が大きな課題となっております。施設建設に伴い、年々ふえていく社会福祉施設の職員は言うに及ばず、在宅サービスを担うマンパワーを確保するためにも、魅力ある職場づくりに努めるとともに、待遇改善や勤務時間短縮、さらには資質の向上を図るための研修制度の充実を図るなど、総合的な対策を強力に進めるべきであります。同時に、ボランティアもマンパワーをサポートする人材として積極的に確保しなければなりませんが、これら潜在的なボランティアの人材発掘についても具体的な対策が大変重要であります。 今後の老人保健福祉計画の策定にあたっては、以上の観点を十分踏まえていただくようお願いいたしますとともに、これからの高齢化社会対策にかかわる諸問題について、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、都市にとって最も基本ともいうべき人口問題についてお尋ねいたします。厚生省の将来推計人口では、大阪府の人口は2010年には今より若干の減となり、人口増加の著しい神奈川、埼玉に抜かれて、全国第4位に後退するという、大阪人にとりましてはまことにショッキングな結果が出てきております。一方、我が大阪市の人口は、昭和40年の316万人から50万人以上も減少し、いまでも年間1万人程度の減少を続けており、私の予想ではこの3月にも260万人を割り込むのではないかと思います。また加えて、主要な流出層が25歳から44歳という子どもを持った中堅勤労者であることから、人口構成のアンバランス化も大きな問題となっております。人口は都市の活力や魅力を示す重要な指標であり、それにふさわしい規模と構成面でバランスのとれた人口を持つことがぜひとも必要であると考えます。さらに、人口の減少は、大阪がますます住みにくくなっている、衰退しつつあるなどといった印象を外部に与え、大阪の都市イメージの低下にもつながっていると考えます。このような中で、市長は昨年、総合計画審議会に対し総合的な人口回復策の検討・立案を諮問され、先日その人口問題調査委員会からの中間提言を受けて、5年度予算におきまして積極的な対応を図っておられます。そこで、住宅施策の充実や都市アメニティの向上、さらには人口構成のバランスの回復といった人口回復に向けた重要課題について質問してまいりたいと思います。 まず、人口動向と密接な関係がある住宅の問題についてお伺いいたします。総合計画21では、人口280万人実現のためには、2005年までに新設、建替えあわせて40万戸の住宅建設が必要であるとされております。そのためには、大規模住宅地の開発及び老朽住宅など密集市街地の更新などに取り組む必要があると考えます。これまで南港、淀川リバーサイド、高見、桜之宮中野地区などで大規模な住宅地開発が行われてまいりましたが、高見地区を除き、いずれも近々完了する予定であります。さらに、5年度から此花区の酉島地区で新たな開発が計画されていますが、これに続くプロジェクトとして確定しているものは平成12年にスタート予定の夢洲の開発だけであると聞いております。これでは大量の住宅供給という面で空白の時期が生じるのではないかと危惧いたします。したがって、新たな住宅地の開発を早急に立案し、事業に着手する必要があると考えます。しかし、地域のほとんどが市街化した大阪市にありましては、工場跡地などの低・未利用地や転用される農地などの活用が必要であり、私は、とりわけ昨年12月の大阪湾臨海地域開発整備法の制定により、開発に向けた枠組みも整ってきておりますベイエリア地域の活用が重要であると考えます。新たな大規模住宅地開発の候補地としてベイエリアをどのように活用していかれるのか、市長のお考えをお尋ねいたします。 次に、老朽住宅等密集市街地の更新についてお伺いいたします。市内には老朽化した住宅が数多く存在し、中堅勤労者を初めとする現在の居住ニーズにこたえられず、また、建替えもされずに空き家となっているものが多くあります。人口の回復を図るためには、この老朽住宅を良質な住宅に建て替えることが極めて重要であります。このため、5年度から、民間の自主的な老朽住宅の更新を実際に進める制度として、建替建設費補助制度及び建替え前後の家賃の差額を補助する建替再入居者家賃補助制度が創設されましたことは、高く評価するものであります。現在、JR環状線の外周部には道路や公園などの都市基盤が未整備のまま老朽住宅が密集している地域が広く残っており、ここでは部分的な建替えだけでなく、ある程度の広がりをもった地域全体を集中的に再整備することが必要であり、その早期着手が求められておりますが、このような面的整備事業に今後どのように取り組まれるのかお尋ねいたします。また、その事業化に不可欠なタネ地を、例えば先ほどのベイエリアで生み出すなど、市域全体を視野に入れたダイナミックな更新システムをつくることがぜひとも必要ですが、市長のお考えをお尋ねいたします。 次に、民間住宅の建設促進策についてでありますが、市内の住宅建設の中で大きなウエートを占める民間住宅建設は近年減少してきており、とりわけ分譲マンションの新規供給戸数は大幅に低下してきています。今後人口の回復を促進するため、また景気刺激策としても、民間の住宅建設意欲を高める施策がぜひとも必要であります。来年度はマンション購入資金融資制度や民間賃貸住宅の建設資金融資制度の拡充が図られようとされていますが、市長の御所見をお伺いいたします。 このように良質な住宅が量的に供給されましても、住宅を探しておられる方が、それぞれの所得や家族構成などに応じ、自分のニーズにあった場所や間取り、家賃などの住宅を容易に探すには、住宅についての情報を的確に入手できることが必要です。市内には市営・府営・公団・公社などの公共住宅の募集窓口や融資・助成の窓口が多数ありますが、それらは現在別々のところで行われているため、住宅についての情報が非常にわかりにくく、断片的となり、適当な住宅を探そうとしても、大変手間と時間がかかるのが現状であります。そこで、私は、市民が一つの場所、それも交通の便のよいところで、必要な時に迅速かつ的確にさまざまな種類の情報が入手できるような住情報センターがあれば、市民にとって最もありがたいし、また、人口の市内定着にも効果があると考えます。大阪市ではこのような住情報センターとして住まい・まちづくりセンターの構想を検討しておられますが、この際、思いきって立派で大規模なものを便利のよいところにつくってほしいと考えます。私としては、市民にとって便利のよい梅田や難波のターミナルのようなところにつくってほしいのですが、用地確保等の問題もあり、むずかしい面もあろうかと思います。そこで、北区や中央区などに残っている低・未利用の公有地のうち、地下鉄などのアクセスのよい用地を積極的に活用して、このセンターを建設してはどうかと思います。聞くところによりますと、北市民館跡地や堂島小学校跡地などが残されているようですが、このような用地などを活用してはいかがでしょうか。住まい・まちづくりセンターの実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、都市アメニティの向上についてお尋ねいたします。人々が居住地を選択する場合、住宅だけでなく、その周辺環境も選択の大きな要素であります。ちなみに昭和63年の住宅需要実態調査によりますと、住環境に対する評価として、大阪市については、通勤・通学、日常の買い物、病院などの利便性に対しては満足度が高いものの、緑の豊かさ、まちの景観のよさや公害の状況といったものには不満が大きいという結果が出ております。このことからも、騒音、大気汚染、水質汚濁などに対する環境対策はもちろんのこと、緑・水・道を生かした都市アメニティの向上に努めていくことが、魅力ある住環境づくりには欠かせないものであると考えます。また、大都市大阪ならではの利便性を最大限に生かし、豊かなアーバンライフを味わい、楽しむことのできるような環境を充実することも重要であると考えます。そのためには、グリーナリー大阪2005事業の単位区拠点整備などによる花と緑のまちづくりの推進、電線等架空線の地中化による景観の向上、都心部のみではなく周辺区における駐車場の整備、ゆったりと散歩もできるような歩行者空間の整備なども有効であると考えます。さらに大阪市では平成2年にオープンした海遊館が大いに人気を集めており、また現在、近代美術館や海洋博物館、舞台芸術総合センター、大阪ドームなどの計画も着々と進められていますが、このような多様な文化、アミューズメント施設を整備し、若者が魅力を感じるようなまちづくりを進めることも重要であります。また、キャンプやバーベキューなどのアウトドアライフが身近に楽しめるような公園整備も望まれます。そして、都会生活の中で市民が心豊かに楽しめ、憩える場として、例えば下水高度処理水を活用したせせらぎに蛍が飛びかうような夢も実現してほしいと思います。このように、子どもからおとしよりまでだれもが、大阪に住んでみたい、本当に住んでよかったと実感できる魅力あるまちづくりについて、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、人口構成のバランスの回復という観点からお伺いいたします。大阪市の人口動向を見ますと、25歳から44歳の方々、すなわち社会的には中堅勤労者であり、家庭的には子育てや親を扶養する層の市外転出が顕著であり、これが人口構成のアンバランス化の大きな要因となっております。このような事態に対し、中堅勤労者の市内居住を促進するため、公社賃貸住宅の供給拡充あるいは新婚家賃補助の期間延長など、適正家賃での住宅確保支援策や子育てを支援するための施策が拡充されており、今後積極的な展開を期待するものであります。一方、働き盛りの年齢の方々というのは、親御さんの介護という問題も身近に感じられる時期であります。したがって、これらの方々の定着のためには、親のケアという視点も欠かせません。このため、親・子・孫というように三世代が居住できるような規模の大きい住宅の供給や、おとしよりと子どもの世代間交流を促進することも必要であると考えます。このような諸点も踏まえ、本市の人口構成のバランスの回復に向けて、今後の取り組みについてお伺いいたします。 以上、本市の人口回復策についていろんな観点から質問してまいりましたが、今回の中間提言の内容は、体系的、総合施策といいますより、緊急策としての性格が強いものであります。そこで、人口問題に関する質問の最後に、総合計画21が目指す280万人都市の実現に向け、今後の抜本的な施策の立案と強力な推進について、市長の御決意をお伺いいたします。 これまで関西国際空港の開港を契機としたより一層の国際化の進展や人口回復に向けての新しいまちづくりなど、さまざまな観点から質問してまいりましたが、私は、計画中の海洋博物館や近代美術館などの新しい文化やアメニティの施設と、一方で古い歴史的な遺産がうまく調和することが極めて重要なことであると考えております。このような視点に立って、最後に難波宮の復元を核とした大阪の歴史・文化ゾーンの形成についてお尋ねいたします。難波宮は7世紀の中ごろから約150年間にわたり我が国の政治経済の中心として発展してきた宮殿であります。この難波宮の近くには日本の海外交流の発祥ともいうべき難波津もありました。すなわち難波宮はいわゆる大化の改新の後に都が置かれたところであり、奈良よりも50年、また京都よりはおよそ150年も古い日本最古の都であるといわれております。大阪の歴史的イメージといえば、まず思い出されるのが大阪城を初めとする太閤さんですが、今回の難波宮復元をもとに、歴史の壮大な流れの中で古代日本の文化が既に大阪で生まれ育っていたということを、日本のみでなく、世界の人々に知ってもらうことが大変肝要であろうかと思います。そういう中で、大阪市は、5年度の予算編成にあたり、難波宮跡に大極殿などの当時の建物を復元する構想を発表され、コンピューターグラフィックスなどを用いた調査に取りかかろうとされております。これは長年にわたる我が党の主張を受けていただいたものと高く評価しております。また、大阪城の東外堀を復元したり、天守閣の改修に向けての調査も始まると聞いております。このように新たな大阪の歴史ゾーンとして大阪城と難波宮一帯の整備が始まろうとしています。 しかし、大阪の背骨ともいうべき上町台地には、先ほど申し上げました難波宮や大阪城以外にも、難波京のメインストリートであった朱雀大路のなごりといわれている道が一部、道路として残っており、当時はこれがちょうど3キロ南にある四天王寺あたりまで続いていたのではないかと思われます。この四天王寺は、御承知のとおり、難波宮よりわずか50年ほど前に建立され、奇しくもことしが創建1400年にあたると聞いております。また、近くには玉出の滝や口縄坂などに代表される歴史を伝える自然環境も数多く残っており、歴史の散歩道も整備されておりますが、残念ながら、多くの人々に知られているとはいえません。このような歴史遺産が点在している上町台地はまさに大阪の歴史そのものであり、我々大阪人の誇りであると思います。元来、大阪の名所・旧跡は、さきの大阪城にしろ、四天王寺にしろ、また住吉大社にしろ、それぞれ場所が点在しており、独立した観光ポイントになっておりますが、一つの歴史ゾーンとして平面的に結びつけるのは困難であります。私は、この大阪城、難波宮跡からさらに南の四天王寺周辺に至る上町台地を、大阪のシンボルとなる歴史・文化ゾーンとして整備充実することができれば、国内はもとより海外からも一度は訪れてみたい場所として、文化・歴史都市大阪の再生につながるものと強く思うわけであります。そこで、こういった取り組みに向けての市長の御所見と決意のほどをお伺いいたします。 さて、2001年まで残すところあと8年。都市の時代、アジア・太平洋の時代といわれる21世紀が間近に迫ってまいりました。いよいよ来年には関西国際空港から一番機が飛び立とうとしております。我が大阪も同じくアジアの、いや世界の大都市に向けて離陸しようとしております。しかし、大阪は世界都市にふさわしい都市格を備えているのでしょうか。そのことが今まさに問われているといえます。都市格、すなわち人には人格があるように、国家には風格があるように、都市にも、英語でいうグレード、すなわち都市の格というものがあります。いまこそ市民・企業・行政が一体となってこの都市格を高めるために行動を起こすべきであると思います。私は、これらの行動が西尾市長が常々いっておられる「人間主体のふるさと大阪」「世界に貢献する大阪」の実現につながるものと強く確信いたしております。このような観点から市政の主要な課題について質問してまいりましたが、我々議員も、市民と行政の架け橋として、また市長と車の両輪となって、大阪を名実ともに世界都市にふさわしい都市格を備えた都市とするため、一層努力してまいる決意であります。市長からの21世紀に向けたまちづくりの意欲あふれる御答弁を期待し、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(北山篤君) 理事者の答弁を許します。 西尾市長。     (市長西尾正也君登壇) ◎市長(西尾正也君) ただいま高野議員から平成5年度の予算案並びに市政の主要な施策について、適切な御意見も賜りながら御質疑をいただきました諸点についてお答え申し上げます。 まず、平成5年度の予算編成の基本的な考え方についてでございますが、御承知のように、国及び地方の財政は巨額の借入金残高を抱えまして、税収入についても伸びが期待できないなど厳しい状況が続いております。本市の財政につきましても、管理運営費などの必須経費に加えまして、社会経済情勢の変化に対応するための新たな財政需要が増大する中で、市税収入が、先ほど御指摘がございましたように、昭和30年度以来38年ぶりに前年度を下回るという深刻な事態になっております。さらに、これまで暫定的に引き下げられておりました投資的経費にかかる国庫補助負担率がそのまま恒久化されるなど、極めて厳しい状況にあります。 このような状況のもとでございますが、5年度の予算編成にあたりましては、簡素で効率的な行財政運営に努め、一部受益者負担の見直しについても、市民の御理解を得つつ、限られた財源の重点的・効率的配分に意を用いまして、乳幼児医療費公費負担制度の創設を初め、高齢化対策の推進や児童のいきいき活動育成事業の拡充など経常的施策の充実に努め、また、投資的経費につきましても、起債や基金を積極的に活用いたしまして、スポーツ施設の整備や教育・文化の振興、都市アメニティの向上など、事業の推進を図りました。特に単独事業につきましては、景気対策にも配慮し、10.3%と3年連続して2けたの伸びを確保いたしたところでございます。このように積極的な予算計上に努めまして、人口回復に向けた諸施策や中小企業の経営支援などに鋭意取り組むことといたしまして、「人間主体のふるさと大阪づくり」「世界に貢献する大阪づくり」をより一層進めていくこととした次第でございます。 また、簡素にして効率的な行財政運営につきましては、これまでも各種事務事業の見直し、OA化の推進など積極的に取り組んでまいったところでございますが、5年度予算編成にあたりましても、保育所の統合を初め、事務用乗用車の見直し、地下鉄駅の職務分担の統合、水道浄水場のコンピュータ集中管理システムの導入など、事務事業の効率化にさらに努めることといたしております。今後とも新総合計画のもとで21世紀を展望したまちづくりを推進するため、事務事業を見直すことなどによりまして、簡素にして効率的な行財政運営に努めてまいる所存でございます。 次に、交通・水道両事業の料金改定についてでございますが、昨年来、交通・水道両事業の経営改善方策について大阪市公営企業審議会に諮問いたしておりましたが、今年1月に答申をいただいたところでございます。この答申では、交通・水道両事業ともみずからの最大限の効率化努力とサービス改善について厳しい提言をいただいており、こうした効率化努力やサービス改善に努めるほか、公共助成の拡充に努めてもなお解消できない収支不足分については、利用者・消費者の負担によることもやむを得ないとされたところでございます。私どももこの答申の趣旨を尊重いたしまして、今後の経営改善方策について鋭意検討いたしました結果、先ほど高野議員も襟を正してとおっしゃっておりましたが、まず何よりもみずからの企業努力を図ることといたしまして、これまでも業務の機械化や委託化による人員削減にも努めてまいりましたが、今後さらに徹底した効率化、省力化に努めてまいりたいと考えております。第二には、一層のサービス改善に努めていくことといたしまして、交通事業におきましては、車両の冷房化やエスカレーター・エレベーターの整備を進めるなど、乗客誘致に努め、水道事業におきましては、高度浄水施設や給・配水管の整備促進などに努めることといたしております。さらに第三には、国等に対する公共助成の拡充や資産の有効活用を図るなど、料金収入以外の収入の確保に努めることといたしております。今後とも地下鉄を根幹とする交通ネットワークの一層の整備充実や、良質で安全な水の安定供給を図っていく必要がございます。そのためには、何よりも財政基盤の強化が肝要でございます。こうした経営改善努力をしながら、利用者の負担につきましても、昨今の景気低迷という厳しい現状、また他都市の状況なども十分勘案し、慎重に検討いたしまして、必要最小限度の料金改定をお願いせざるをえないと判断いたしまして、今回御提案させていただいているところでございます。今後ともより一層の効率的な運営に努め、経営の改善を進めてまいりたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、景気対策でございますが、御指摘のとおり、景気は依然低迷を続けておりまして、とりわけ中小企業をとりまく経営状況には非常に厳しいものがあると認識しております。このため本市では、厳しい財政事情の中ではありますが、今年度に続きまして、平成5年度におきましても、中小企業の経営安定対策や公共事業等の推進を中心といたしまして、景気対策を積極的に実施してまいりたいと考えております。大阪経済を支えております中小企業の経営安定を図るために、融資目標を3,000億円から4,000億円に拡大いたしますとともに御指摘のございました緊急支援融資につきましては、これを受け継ぐ融資として、中小企業経営支援特別融資の制度を創設いたしまして、売上げの減少などで資金繰りにお困りの中小企業を支援してまいりたいと考えております。このほか既存の融資制度につきましても、無担保融資限度額を大幅に引き上げるなど、改善を図ることといたしております。また、公共事業等につきましては、特別会計を含む全会計で総額1兆1,290億円を確保いたしました。特に単独事業につきましては、8,197億円、対前年度比12.8%の伸びを確保いたしますなど、積極的な予算計上を行ってまいっております。また、その早期執行にも取り組みたいと存じております。また、中小企業に対する受注、発注もふやしてまいりたいと考えております。特に波及効果の大きい住宅など、民間サイドでの整備を促進するために融資制度等の充実を図るなど、内需を刺激する施策につきましても推進してまいりたいと考えております。このほか、地域の商店街、小売市場の共同施設や中小企業会館に対する助成制度の拡充も行います。また、官公需の中小企業向け発注の増大など、中小企業に配慮したきめ細かな対応に努めるなど、景気対策、中小企業の活性化、中小企業対策本部を活用いたしまして、全庁あげて取り組んでまいりたいと考えております。 湊町開発の問題でございますが、関西国際空港の開港を来年に控えまして、湊町地区では、国際都市大阪の玄関としてのまちづくりを進めております。現在、高速道路のON・OFFランプ、関西本線の連続立体交差事業及び地区の中核施設として、複合交通センターを整備しているところでございます。中でも複合交通センターは、湊町に行けば快適に安心して空港にアクセスできる公共性の高い総合的な施設としての整備を図りたいと考えております。このため、チェックイン機能、フライト情報の提供及び旅行関連施設を備えた団体旅行客を扱えるシティ・エア・ターミナルの整備を計画いたしておりまして、航空会社の参画とJR西日本及び旅行各社の協力が必要であると考えて、いろいろと進めておるところでございます。 今後とも、これら関係機関に精力的に働きかけを行いまして、高速道路のOFFランプと一体となった複合交通センターの早期しゅん工を図るとともに、新空港の利用状況をみながら、本格的なシティ・エア・ターミナルを開港後、一、二年を目途にできるだけ早期に実現していきたいと考えております。なお、空港開港時には、既設の施設を利用いたしまして、湊町から新空港行きの列車運行とリムジンバスの発着を行える環境を整えてまいりたいと考えております。 次に、大阪国際会議場の整備についてでございますが、平成元年5月に財団法人大阪21世紀協会の提言を受けまして、大阪市・大阪府・経済界が一体となりまして、大阪国際会議場建設推進協議会を発足させました。平成4年に基本的な事項について、合意をいたしました。現在、国際会議場の建設・運営の骨子となる基本計画を策定すべく、関係各方面と協議をいたしておるところでございます。2,000年、平成12年、次の次のサミットが日本で開催されますが、これの大阪誘致の問題でありますが、サミットの大阪開催が実現をいたしますと、議員御指摘のように大阪を世界に強くアピールできますとともに、大阪から世界に情報を発信していくという点からも、非常に大きな意義のあることと言えると思います。また、これも議員御指摘のとおり、オリンピック開催問題にとりましても、非常に大きなインパクトになろうと思っております。 サミットは、主要先進国のVIPが一同に集まる高度に政治的な会議でありまして、開催にあたりましては、警備の問題や交通規制その他さまざまな面で相当、市民生活に何らかの意味で制約が及ぶことも考えられるわけでございます。したがいまして、サミットを大阪に誘致する場合、市民の理解、コンセンサスということも重要であろうと考えております。もちろん、サミットを開催するためには、会議場でありますとか、プレスセンター、宿泊施設などの施設整備を進めることが必要でございますが、こういった条件がそろった上で誘致にあたりましては、府・市・経済界など、一体となりまして、十分連絡を取りながら、外務省などと協議も進め、前向きに取り組んでまりたいと考えております 次に大阪に在住される外国人の居住環境の問題でございますが、こうした外国人にとって、大阪が働く場としてだけでなく、快適な生活の場としても魅力を持つことが国際都市としての条件であろうと考えております。本市ではこれまで外国人も暮らしやすいまちづくりを目標にいたしまして、道路、地下鉄などの案内標識のローマ字併記や外国語版の生活情報冊子「エンジョイおおさか」の区役所での配布、市立の小中学校に通う外国人児童生徒のためのセンター校設置などの施策を進めてまいったところでございます。5年度には、外国人に生活情報の提供を行うインフォメーションプラザの国際交流センターでの設置に向けての検討でありますとか、6カ国語併記の救急手帳を作成するほか、新たに開設いたします総合医療センターや市立大学附属病院におきましても、安心して医療を受けていただけるよう意を用いるなど、言葉や習慣の違いを心配することなく、快適に生活できるようにきめ細かな施策の推進に取り組んでまいる所存でございます。議員御指摘のように、関西に新たに進出する外国企業の駐在員やその家族に大阪市内に住んでいただくためには、領事館の誘致や外国人向けの住宅整備、国際学校の設置など、生活面での基礎的な条件を整備していくことがまだまだ必要でございます。領事館の誘致につきましては昨年中に四つの名誉領事館が開設され、引き続き、この4月にインド総領事館、昨年6月にインドのラオ首相が来阪されまして、首相の指示によりまして、インド総領事館大阪移転の話が進んでおりました。4月に開設の目処が立ったところでございます。今後とも関係行政機関などの協力を得つつ、新たに来日される外国人も安心して快適で便利な生活ができる国際都市大阪づくりに努力してまいりたいと考えております。 次に、同和問題についてでございます。本市におきましては、憲法に保障された基本的人権にかかわる同和問題の早期解決のため、同和行政を市政の重要な柱としてこれまで鋭意推進し、相当の成果を上げてまいりましたが、なお大規模地区を中心とした住環境整備を初め、教育、就労、啓発などの重要な課題が残されているところでございます。一方、この間、市会からは同和行政の進め方について厳しい御指摘を受けてまいりました。例えば芦原病院の経営改善につきましては、医療施設検討専門委員会を設置し検討を進めるなど、同和対策事業全般にわたって精査、見直しに努めてまいったところであります。現行の地対財特法の有効期限があと4年となっております。残された住環境整備等の物的事業については、その期限を十分念頭におきまして精査の上、早期収束に努めてまいりたいと考えております。また、昨年3月に大阪市同和対策推進協議会、同推協の意見具申をいただいておりますが、これを尊重いたしまして、施策全般にわたりまして、議員御指摘の趣旨も体しまして、今後とも見直すべきは見直し、同和問題の一日も早い解決のため真に必要な事業について、市民の理解と協力を得ながら、適切かつ効果的に実施してまいりたいと考えております。 次に、未利用地の問題でありますが、現在、土地対策会議におきまして、事業化を図っていない用地すべての実態把握及び分析作業を行い、基本方針の策定を終えたところでございます。未利用地の解消策といたしましては、一般対策事業用地としての利用をまず図りますほか、現在暫定利用されております車置場等につきましては、近隣の地区や周辺の民間駐車場等の状況も考慮の上、その適正な位置づけについて検討してまいりたいと考えております。用地の管理方針といたしましては、管理体制の適正化を図りますとともに、当面空地として保留することが望ましい用地につきましては、緑地管理等を行い、環境美化に努め、さらに、駐車場としての利用につきましては有料化も図ってまいりたいと考えております。これら有効活用の基本方針を踏まえまして、未利用地の解消と管理の適正化に向けて具体的に取り組みを進めていきたいと考えております。 次に、高齢化社会対策についてでございますが、大阪市では「いきいきエイジング、みおつくしプラン」に基づきまして施策の積極的な推進を図っているところでございます。在宅福祉の推進におきましてはホームヘルパー派遣事業などの充実に努めておりますが、在宅サービスをより一層総合的、効果的に提供していくために、5年度におきましては、高齢者やその家族の身近な地域においてデイサービスの提供並びに在宅介護の相談、指導や介護機器の普及を行う地域在宅サービスセンターを中学校下単位に整備いたしますとともに、この中学校下単位の事業にあわせて、ホームヘルパー派遣や移動入浴サービス、ボランティアビューローなどの事業を実施する区単位のセンターを整備することといたしております。この事業の展開におきましては、区を単位とした保健、医療、福祉の関係機関の連携をより一層図りますとともに、地域において援護を必要とする高齢者のニーズを発見し、必要なサービスに結びつけていく地域ネットワーク委員会などの関係団体とも十分な連絡調整を図りながら、ニーズに的確にこたえたサービスを提供して、在宅生活をより一層支援してまいりたいと考えております。 さらに、高齢化社会対策の大きな課題となっておりますマンパワーの確保対策につきましては、先般、いきいきエイジング懇話会から今後の方策について御提言をいただいたところでありますが、5年度におきましては、新たに介護福祉士や理学療法士などの資格を得るための修学資金の貸与や介護福祉士の資格取得を支援する助成制度を創設するとともに、民間施設職員などの給与等の勤務条件の改善を図る一方、その社会的評価を高める観点から、市長表彰制度を創設してまいりたいと考えております。また、ボランティア活動の振興は福祉マンパワーの広がりにもつながりますので、その活動がより身近なものとなりますように、ボランティア活動振興基金を増額して、幅広い活動に助成をいたしますとともに、海外研修制度の充実など、その振興に取り組んでまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、従来策定を進めております老人保健福祉計画において、これらの観点も含めましてその策定を進めてまいりますとともに、高齢化社会対策推進の全庁的組織でありますいきいきエイジング推進本部のもとに、全市をあげて「いきいきエイジング、みおつくしプラン」の実現に努めてまいる決意でございます。 次に、人口回復施策についていろいろと御意見、御指摘を賜ったところでございます。まず、そのための住宅施策でございますが、その第一の大規模住宅地開発の問題でありますが、本市の住宅供給を進めてまいります上で、御指摘のベイエリア地域での住宅地開発は極めて重要であると私どもも考えております。そのため、新規埋立地におきましては、夢洲地区でウォーターフロントを活用したリゾート型住宅など、21世紀の新都心にふさわしい約2万戸、6万人の魅力ある住宅地開発を推進していく予定でございます。また、在来臨海部につきましては、総合計画におきまして臨海複合地と位置付けておりまして、生産機能や港湾機能の高度化とともに、業務・商業、居住、文化、リゾートなどの複合的な再整備を進めることとしております。したがって、これらの地域のうち住宅利用がふさわしい用地につきまして、住宅整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。その一環として、御指摘もございました来年度から此花区の酉島地区でウォーターフロントを生かした大規模な住宅地開発を、スーパー堤防整備とあわせて行ってまいりたいと考えております。また、昨年11月に大阪湾臨海地域開発整備法(ベイエリア法)が制定されたところでございます。この法律の趣旨を踏まえまして、各地域の土地利用の現況や動向、都市基盤の整備状況、開発のポテンシャルなどを勘案しながら、在来臨海部について、都市計画や港湾に関する土地利用の規制・誘導のあり方、住宅地開発の可能性及びその方向を検討してまいりたいと考えております。 次に、老朽住宅等密集市街地の更新の問題でありますが、市内には戦前の長屋、戦後多く建てられた木造共同住宅などの民間老朽住宅が、約20万戸といわれておりますが、多く残されておりまして、その建替えを推進することは人口対策の面からも重要な課題でございます。そのため、来年度、民間老朽住宅の建替えに対する建設費の補助制度や再入居者への家賃補助制度を創設いたしまして、建替えの促進と良質な住宅の供給を進めてまいります。 また、JR大阪環状線外周部に多く残されております老朽住宅密集地域につきましては、老朽住宅の建替えとあわせまして、道路・公園等の公共施設整備を同時に進めていくことが必要でございます。来年度は西成区、生野区を中心に事業や調査を進めてまいりたいと考えております。また、これらの地域で整備を円滑に進めるためには、制度の複合的な利用を検討するとともに、国に対しましても制度の拡充を働きかけてまいらなければならんわけでございますが、今後とも議会の皆様のご支援をお願い申し上げる次第でございます。さらに、今後ベイエリア地域の低利用あるいは未利用地の活用と連動した老朽住宅密集市街地の整備方策についても、先ほど議員、おっしゃっておりましたように、検討してまいりたいと考えております。 次に、民間住宅の建設促進についてでありますが、来年度は、民間賃貸住宅の建設資金融資制度の融資利率を引き下げるとともに、民間すまいりんぐの供給戸数を大幅に拡大するなど、良質な賃貸住宅の供給を促進してまいりたいと考えております。また、マンション購入資金融資につきましても、当初5年間の融資利率を大幅に引き下げますとともに、初めてマイホームを取得する方を対象に融資限度額を引き上げる制度の拡充を図ってまいりたいと考えております。 次に、住宅情報の提供についてでありますが、人口の市内定住促進するためには、議員御指摘のように、市民のニーズに的確かつ迅速に対応し得る住情報提供拠点の整備が必要であります。私どももさように考えておりまして、現在住まい・まちづくりセンターの創設について検討を進めております。この構想は、市内に分散して立地しております公共住宅の募集窓口や融資助成の窓口を、市民サービスの観点から、1カ所に便利なところに集約しようというものでございます。その内容といたしましては、市営住宅、公団住宅、公社住宅などの公共住宅の募集情報の提供機能を初め、住まいやまちづくりに関するコンサルティング機能、さらには「住むまち大阪」のイメージアップを図るための住まいや暮らしの歴史などに関する展示機能など総合的な機能を有するものとして整備してまいりたいと考えております。また、その建設場所につきましては、これらの機能を確保するために、十分な建物のスペースが必要でございますので、敷地規模や交通アクセス等も考慮して、公有地を中心に現在検討を進めております。建設場所といたしまして幾つかの用地が候補地として考えられております。先ほど高野議員からも具体的に御指摘もあったわけでございますが、例えば北市民館跡地は地下鉄駅に直結できるという交通の利便性を有しておりまして、また、地域活性化の点からも有力な候補地であると考えますので、来年度の基本計画策定調査の中で、周辺地もあわせて一体的に開発することも含めて検討してまいりたいと考えております。今後市民の多様なニーズに迅速かつ的確に対応し得る住まい・まちづくりセンターの実現に向けまして、早期に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、都市アメニティの向上についてでございますが、本当に住みたいというまちをつくりますためには、住宅施策に加えまして、緑、水を生かした魅力あるまちづくり、アメニティにあふれるまちづくりを進めることが大切であると思っております。私ども、高野議員の御意見のとおりであると思っております。 このため、まず花と緑のまちづくりとしまして、公有地と民有地の緑化を総合的に進めるグリーナリー大阪2005事業を推進しております。中でも、日常生活圏において緑の拠点を整備する単位区拠点整備を官民一体となって積極的に推進してまいります。 また、ゆったりと散歩できる歩行者空間の整備に向けて、歩道の美装化、歩行者・自転車専用道やゆずり葉の道の整備のほか、平成5年度には、公共用地を活用し、歩行者の休憩スペースを提供するロードオアシスの調査に着手いたします。 また、都市景観の向上に大きく寄与いたします電線類の地中化につきましても、電線管理者の協力を得まして、幹線道路で進める一方、本市が実施する大規模な住宅事業の区域におきましても地中化を進めてまいりたいと考えております。さらに、周辺区の駐車場整備につきましても、月極駐車場への低利融資や既設民間賃貸共同住宅への建設資金融資などの活用を図りますとともに、地区の開発動向や駐車需給を勘案し、必要に応じて駐車場整備地区を拡大いたしまして、公的駐車場の整備も進めてまいりたいと存じております。 加えて、充実した文化・アミューズメント機能は大都市居住の大きな魅力であります。現在計画中の海洋博物館、大阪ドームなどの整備にあたりましては、繰り返し訪れてもらえるような魅力のあるものにしたいと考えております。 また、鶴見緑地、南港中央公園、スポーツアイランドなどの大公園の整備にあたりましては、自然の中で、これもおっしゃっておりましたように、バーベキューやキャンプなどアウトドアライフを楽しめるような公園づくりを進めてまいります。 このほか、市民が水と親しめるまちづくりも重要でありまして、下水の高度処理水などを活用したせせらぎの創造に向けて、平成5年度には地域のまち並みやまちの雰囲気にあったモデル案を取りまとめ、また、蛍などの水生生物の飼育実験・調査に着手いたしますなど、御指摘の事項の早期実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 以上のような総合施策の推進により、本当に住んでよかった、住んでみたい大阪にしてまいりたいと考えておりますので、どうぞ御支援をお願い申し上げます。 次に、人口構成のバランスの回復についてでございますが、今回の中間提言におきましては、流出傾向の著しい中堅勤労者、とりわけ子育て世代の市内居住促進策の充実が求められております。このため、住宅施策としては、中堅勤労者向けに、分譲・賃貸あわせて公社住宅を積極的に建設いたしますとともに、新婚世帯向けの家賃補助につきましても、その期間を3年から5年に延長するなどの拡充を行ってまいりたいと考えております。 また、安心して子育てのできる環境づくりのため、乳幼児の医療費助成制度を平成5年度から実施したいと考えておりますが、そういった創設でございますとか、また、保育時間の延長を初めきめ細かな保育サービスの充実、子どもの家事業や児童のいきいき活動育成事業の充実に努めますとともに、新たな子育て支援サービスの検討も進めてまいりたいと考えております。さらに、中堅勤労者の市内居住を促進する上で、議員御指摘のように、子育てという観点からの施策に加えまして、親のケアという視点からの施策の充実も重要であると思います。このため、住宅施策として、三世代が同居、隣居、近居できるように、マンション購入資金融資における老人同居割増や親子近居融資、また、市営住宅における親子近居募集などを推進してまいりたいと思います。 また、地域社会を他世代とのふれあいにより、ぬくもりと活力のあるものにすることも重要でございます。このため、世代間交流事業としてのふれあい広場やふれあい教育を進めておりますが、新たに、子どもたちが地域の生活文化などをおとしよりや親と一緒に学ぶ「百芸塾」を実施いたしたいと考えております。こうした事業を通じまして人口構成のバランス回復に努めてまいりたいと考えております。 次に、280万人都市の実現に向けた取り組みについての決意をということでございますが、議員御指摘のとおり、人口は都市の活力や魅力を総合的にあらわし、都市のイメージにも影響を与える重要な指標でございます。「人間主体のまち」「世界に貢献するまち大阪」を目指す私どもにとりまして、適正な規模と構成バランスのとれた人口を持つことは都市政策の基本的課題の一つであると認識いたしております。このため、現在の人口減少傾向に一刻も早く歯止めをかけ、回復に向かわせることは、市政の重要な課題であります。平成5年度の予算編成にあたりましても、そのための施策を最大限に盛り込み、私ども、大きな課題と認識いたしております。しかし、人口回復に向けて検討すべき課題はたくさんございます。住んでみたい、住み続けたい、また住んでいてよかったと実感できるまちづくりを基本に、各方面の英知を結集いたしまして、抜本的な施策の研究、検討を進めてまいらなければならんと思っております。今年末には、住宅、アメニティ、中堅勤労者対策はもとより、企業との連携による居住促進策や周辺住宅地の生活利便性の向上なども含めて最終取りまとめを行いまして、平成6年度以降の市政運営の重要な柱として引き続き強力に推進してまいりたいと考えております。 最後に、難波宮の復元など歴史・文化ゾーンの形成の問題でございますが、高野議員御指摘のとおり、大阪は日本最古の都市、また日本最古の国際交流都市、また文化先進都市といえると思いますが、誇るべき歴史を持っているわけでございます。また、現在も我が国の経済・文化・社会の中心としての役割を果たしている都市でもあると考えております。最近、議員もおっしゃっておりました、人に人格があるように、都市にも都市としての品格、都市格があるということが話題になっておりますが、大阪は世界に貢献することができるような存在感のある都市にならなければならんというのはまったく同感でございます。西は松屋町筋、東は環状線に囲まれました大阪の背骨ともいうべき上町台地は、マスタープランでも歴史・文化ゾーンという規定をいたしておりますが、この上町台地には、難波宮跡や大阪城などの歴史的遺産、また源聖寺坂や上町台地西縁の緑などの自然的環境、江戸時代の社寺建築、平安・鎌倉時代にさかのぼる仏像、あるいは文楽ゆかりの地などの文化的資源、また、人のぬくもりのある生活の場としての都市的環境などが保存・発展しているわけでございます。いわば上町台地は、古代から現代までの大阪の歴史にとどまらず、日本の歴史そのものが集積した場所でもあるといえると思います。市民の皆さんの御協力をいただきながら、上町台地に残された歴史的遺産や文化的資源、自然環境を維持しつつ、人々が住み続けられるようにしていかなければならんと思っております。そのために、全庁的なプロジェクトチームを編成いたしまして、こうした上町台地の特性を有効に生かすための方策について検討、研究してまいりたいと思っております。 まず、その核となります難波宮跡の問題でございますが、大極殿などの建造物の復元を目指して調査研究を進めることとし、来年度におきましては、コンピューターグラフィックスを使った映像による復元試案を作成したいと考えております。また、70数年前に埋立てられました大阪城東外堀は、平成8年には水をたたえて往時の姿を再現するきれいな堀にできるようにしたいと思いまして、その調査研究も行いたいと考えております。このように当時の建物などを復元することなどによりまして、大阪の古い歴史、よさを目で見て、触れて感じていただく。これは市民の皆さんだけでなく、大阪を訪れる人にも大阪という都市の歴史を知っていただき、また誇りに思っていただきたいと考えているところでございます。御指摘のように、活力あふれるまちに歴史的な遺産がうまく調和していることが都市の風格、都市格をさらに高めるものであると考えております。上町台地の歴史・文化ゾーンの形成に向けて、本年度以降、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 以上のとおりでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○議長(北山篤君) お諮りいたします。この際暫時休憩することに決して御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(北山篤君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。      午前11時34分休憩      午後1時7分再開 ○副議長(青木仲三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ○副議長(青木仲三郎君) 大島豊太郎君の質疑を許します。 34番大島豊太郎君。     (34番大島豊太郎君登壇) ◆34番(大島豊太郎君) 私は公明党大阪市会議員団を代表して、今回上程されている平成5年度予算案並びに関連諸案件について質問をしてまいります。 平成5年度予算案は、いまだかつてない複合不況といわれる景気低迷の中にあって、市民生活の安定を図り、景気にも十分配慮するとともに、21世紀に向かって都市基盤の整備を一層推進し、国際都市大阪のまちづくりに努めていくべき重要な予算であります。このような認識のもとに、我が党は、市民の切実な願いにこたえるため、平成5年度予算編成にあたり、本市行政の全般にわたり7つの柱、341項目の要望を行ってきたところであります。これに対し西尾市長は、市民本位の市政運営に努めることを基本として、「人間主体のふるさと大阪づくり」「世界に貢献する大阪づくり」を目指し、福祉施策の一層の充実と中小企業の経営安定にも配慮した、積極的な予算を編成されており、我が党として一定の評価をするものであります。今後もゆとりや心の豊かさを求めてますます多様化する市民ニーズにこたえ、人間主体の活力ある福祉都市大阪を築くとともに、21世紀を開く国際都市大阪の実現に努めていかねばなりません。私は、このような観点から、市政の当面する重要課題について市長の御見解をお伺いいたします。 まず最初に財政問題についてお尋ねいたします。平成5年度予算案では、一般会計で1兆7,081億800万円を計上され、また、特別会計をあわせた予算総額では、前年度と比べ6.3%増の4兆593億2,000万円と、初めて4兆円台に乗ったものとなっております。先日の市長の説明によりますと、乳幼児医療費の公費負担制度の創設など福祉施策の充実とともに、投資的経費につきましても、単独事業において10.3%と、平成3年度以降3年連続して2けたの伸びを確保し、景気への配慮もされた積極的な予算であると思います。しかしながら、長期化する景気の低迷により、法人市民税が前年度予算に比べ26.4%と激減したことなどにより、市税収入につきましては昭和30年度以来実に38年ぶりに3.5%の減となり、極めて厳しい状況となっております。また、財政構造の弾力性を示す経常収支比率についても、77.9%と前年度に比べ一挙に6.5%の上昇を示しており、財政の健全性の確保という観点から見ましても、大変懸念されるわけであります。それに加えて、暫定措置とされていた投資的経費にかかる国庫補助負担率が見直され、国直轄事業は3分の2、補助事業は2分の1を基本として恒久化されることとなったほか、国民健康保険事務費負担金や保健所運営費交付金の一部が一般財源化されるなど、本市財政をとりまく環境は極めて厳しいものとなっております。こうした状況の中で、これまで以上に積極的に起債や基金の活用を図り、財源の確保に努められたわけですが、かつてない多額の公債の発行による将来の財政負担への影響を懸念するものであります。今後ますます進展する高齢化や国際化、情報化などの社会経済情勢の変化に的確に対応し、21世紀に向かって着実にまちづくりを推進していくためには、確固とした財政基盤を確立することが肝要であり、財政の健全性の確保に引き続き努力することがぜひとも必要ではないかと思うのであります。これらの点につきまして市長の御所見をお伺いいたします。 次に、交通・水道事業の料金改定と経営改善方策についてお伺いいたします。交通事業の財政状況は、平成3年度決算で地下鉄215億円、バス4億円、ニュートラム5億円の赤字となっており、累積欠損金も全事業あわせて1,187億円にも達しております。一方、水道事業会計では、58年度以来8年ぶりに12億円の赤字となり、4年度から琵琶湖開発事業の償還も始まるなど、両事業とも今後さらに厳しい経営状況が予想されるところであります。地方公営企業の経営の基本原則では、常に企業の経済性を発揮するとともに、一方では本来の目的である公共の福祉を増進するよう運営しなければならないとされており、経営収支面だけからではとらえられない公営企業としての課題があることも承知いたしております。しかし、収支均衡が崩れ、赤字がふえれば、そのたびに料金の改定となり、市民にしわよせが来るのでは、この度の公営企業審議会答申に見られるように、抜本策はないのかと思わず叫びたくなるのが率直な市民の声であります。公営企業の健全な運営のための必要最小限の料金改定については、当然のことながら、その前提として市民に十分な理解が得られる具体的な経営改善方策がまず示されなければならないと考えます。そこで、まず企業みずからの徹底した効率化・省力化を行い、簡素で効率的な組織や事業全般にわたる見直しが必要であると思います。また、高齢者・障害者など社会的に弱い立場にある人たちへの配慮を含めた利用者や消費者のニーズに適合した良質なサービスの提供を図るべきであります。こうした視点に立って、公営企業の健全な経営基盤を確立するための中長期の抜本的な方策を講ずる必要があると思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、景気対策と中小企業の振興についてお尋ねいたします。今回の不況は、これまでの景気循環的な不況とは異なり、これにバブルの崩壊による地価と株価の急落という深刻な資産デフレが絡みあった複合不況といわれております。また、最近の円高による影響も懸念されるところであります。このようなかつてない不況を克服して、安定成長を実現し、健全な経済力を回復していくためには、当面の対策から中長期にわたる施策まで、質量ともに思いきった対応が必要であると考えます。生活関連社会資本の整備・充実を中心とした公共事業の拡大とその早期執行による内需振興を進める一方、地域経済の活力の源泉である中小企業の経営に最大限の配慮をした施策を講じていくことが重要であります。本市においては、昨年10月に中小企業緊急支援融資を創設されたところですが、依然として厳しい状況が続いている中、複合不況の影響を最も強く受けている中小企業の経営安定を図るため、緊急的な融資制度の継続はもとより、既存の融資制度の思いきった充実が必要であります。また、仕事量を確保していくため、中小企業向け官公需の一層の拡大を図る必要があります。さらに、大阪経済の活力を維持していく上で、中小企業の新規開業や経営の多角化、新しい分野への進出を促進していくことも極めて重要であります。かつてない不況が進行する中で、新しい事業に果敢に挑戦される方々、新たな活路を必死で模索される中小企業を、大阪市としても積極的に支援していく必要があります。開業資金の融資を初め、新規開業を支援するための各種情報の提供や技術支援などの施策の充実を図るとともに、異業種交流の場の拡大や企業経営を支える人材の育成などにも精力的に取り組んでいくことが必要と考えます。複合不況下の景気対策、とりわけ中小企業に配慮した施策の推進について市長の御見解をお尋ねいたします。 次に、高齢化社会対策についてお伺いします。高齢者対策における施設福祉と在宅福祉はいわば車の両輪であり、諸施設の整備・充実と在宅介護を支援するシステムの構築が重要であります。平成2年の国勢調査によりますと、本市の高齢者は30万6,200人で、高齢化率は11.7%となっております。本市の特徴は、23万3,200の高齢者世帯のうち、ひとり暮らしとおとしより夫婦だけの世帯が5割を超えているという点であります。本市では「いきいきエイジング、みおつくしプラン」に基づき、目標年次の平成17年に向けて高齢社会対策に取り組んでおられます。さらに、現在、老人保健福祉計画の策定に鋭意努められているところであり、いよいよ平成5年度からこの計画のもとに諸施策が実施されようとしております。 そこでまず特別養護老人ホームの整備についてであります。近年、核家族化の進行などにより、家庭で介護を受けられないおとしよりが増加の傾向にあります。このため、特別養護老人ホームについては、第2次5カ年計画を前倒しし、その整備に積極的に取り組んでおられますが、入所待機者が実に1,600人を超えているという現状であります。用地確保や国基準の低さによる建設費の超過負担など困難な問題もありますが、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。次に、在宅福祉についてであります。家庭におけるおとしよりの介護を支援するためのホームヘルパー、デイサービス、ショート及びミドルステイの充実、そしてそれらを総合的にコーディネートする在宅介護支援センターの整備も急務であります。同時に、在宅介護について相談できる地域在宅サービスセンターを全区で早期に開設されることを強く要望するものであります。加えて、老人訪問看護制度については一日も早く地域に定着するよう推進していただきたいと考えます。 また、「福祉は人なり」といわれております。それに携わる人材の確保が肝要であることはいうまでもありません。福祉職員の公私間格差の是正や処遇改善は緊急の課題であると思いますが、この点についてもあわせてお尋ねいたします。 さらに、老人保健施設についてであります。老人保健福祉計画案によりますと、老健施設の整備目標は特別養護老人ホームと同数の4,300床と試算されているとのことであります。しかしながら、現状はわずか4施設、275床であり、残りの約4,000床について今後7年間で整備するためには、毎年600床近いハイピッチの整備が必要となります。特養と同じく、用地事情等を勘案しますと、その実現は疑問視せざるを得ません。今後体系的整備により統廃合される市民病院跡地を積極活用するとされていますが、具体的にどのように取り組まれるのでしょうか。また、大阪府の保健医療計画によりますと、市内における病院ベッド数は約1万4,000床が過剰とされております。これらの医療資源の活用を促す意味で、病床転換する場合、1床あたり200万円の助成を実施されようとしていることは評価いたしますが、それでは4,000床の整備目標に対して公民の役割はどのように考えておられるのかをお尋ねいたします。 以上、高齢者対策について具体的にお伺いしてまいりましたが、私は、ノーマライゼーションの理念に立って、市政の全般にわたって高齢化社会対策の視点が強く求められていると考えます。このような認識に基づき、各局の諸施策の実施計画を明確にし、実現していかねばならないと思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、障害者対策についてお尋ねいたします。障害者の完全参加と平等を基本理念とした国際障害者年を契機に、障害者に対する施策が着実に推進され、大阪市においても障害者対策を市政の重要な柱としてその取り組みを進めてこられたところであります。しかしながら、知的な障害者や重度の身体障害者に対する施策については、まだまだ課題が山積しております。今後より一層の展開が望まれます。精神薄弱者福祉行政については、平成5年度から大都市特例が適用され、精神薄弱者更生相談所を設置するなど、本市として主体的に取り組むことになると思いますが、この取り組みの姿勢についてお伺いいたします。特に知的な障害者についてはその雇用対策の遅れが目立っており、我が党はかねてより、障害者の雇用を確保するための施策を本市においても推進すべきであると主張し、障害者を雇用する工場の設置を強く要望してきたところであります。そして、その業務内容は、単に就労の場というだけでなく、障害者の意欲がわき、夢と希望のある職種を選定すべきと考えるものであります。また、雇用されることがむずかしい重度の知的な障害者をお世話をされている親の苦労は並大抵のものではなく、特に自分たちの亡き後この子は一体どうなるのだろうと考えると夜も眠れないという訴えには、身につまされる思いであります。現在、知的な障害者の入所施設については数多くの待機者があり、なお整備が急がれる状況にあります。また、常時介護が必要な身体障害者や重症心身障害者の施設整備についても検討されるということですが、早急に実現していただく必要があります。これらについて市長の御所見をお伺いいたします。 次に、住宅政策についてお尋ねいたします。住宅問題は今日、中堅勤労者も含め広範な市民の切実な問題となっております。例えば昨年7月の市営住宅の申込み平均倍率は約26倍、昨年9月の中間層向けのすまいりんぐの倍率も平均38倍と極めて高い競争率となっています。市域が狭小で人口が密集した本市において、今後の住宅供給を進めるにあたっては、環境との調和を前提に、土地の高度利用、有効利用を最大限図ることが重要であります。 そのためには、まず第一に、公有地の高度利用・複合利用を積極的に進めることが必要であります。本市の調べによりますと、事業目的が確定せず空き地のまま、あるいは暫定利用されている本市公有地が31万6,000平方メートルあり、また、建築後20年を経過した本市公共施設の敷地の指定容積に対する利用率は3分の1にとどまっております。今後これらの公有地や公共施設の上部空間を活用した住宅建設を積極的に進めるべきであります。 第二に、市街化区域内農地の活用であります。現在市内の生産緑地を除く市街化区域内農地はおおむね100ヘクタールと見込まれ、これを宅地化し、住宅供給を促進することも重要であると考えます。本市では借上公共賃貸住宅、いわゆる民間すまいりんぐ供給事業を実施しており、新年度では700戸の建設が予定され、農地所有者なども大きな関心を寄せております。今後借上公共賃貸住宅制度をさらに推進するため、本市独自の誘導策を展開していくべきであると考えます。 第三に、ベイエリア地域における住宅供給についてであります。この地域は、産業構造の転換や南港などへの埋立地への移転に伴い、本来の機能を失った低・未利用地が目立ちますが、そのほとんどが工業専用地域に指定され、さらにその上に臨港地区の網がかかっているため、開発ができない状態にあります。総合研究開発機構(NIRA)の調査では、工場跡地や野積場、空き地など約239ヘクタールの土地が低・未利用地となっており、これは舞洲を上回る広さであります。この地域は鉄軌道アクセスや道路・公園等都市基盤の不備といった問題もありますが、良質な住宅を大量に供給する上で極めて魅力的な地域ではないかと考えます。 第四に、老朽建築物密集市街地の再生であります。新年度予算案にはこの地域の面的整備事業が計上されておりますが、高齢者の方々も多数居住しておられる老朽住宅の建替えと道路・公園等の都市基盤整備を一体的に行う必要があります。 最後に、我が党の強い主張によって実現した新婚世帯向け家賃補助制度については、新年度から支給期間を3年から5年に延長するなど、その充実が図られております。若い世代の市内定住を促進する上で大きな前進として評価いたしますとともに、今後ともこの施策を積極的に推進すべきであると考えます。 以上、住宅政策についてさまざまな角度から質問いたしましたが、マスタープランが目指す魅力ある大都市居住の実現に向け、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、環境問題についてお尋ねいたします。昨年12月に自動車窒素酸化物総量削減法が施行され、環境庁も、同法に基づく基本方針の中で、大気汚染の改善のため、2000年までに二酸化窒素にかかる環境基準をおおむね達成することを目標に、NOx削減を目指した8項目の基本事項を打ち出したとのことであります。本市においては、環境問題に関する総合的な指針としてEPOC21大阪市環境管理計画を策定されており、これまで排出ガス規制の強化、複室式ディーゼル自動車への転換、電気自動車の普及促進などに積極的に取り組んでおられますが、幹線道路沿道の測定局11カ所のうち、二酸化窒素の環境基準が達成できた局はいまだにゼロであります。果たして今世紀中に環境基準の達成が可能なのか、極めて疑問であります。また、同法の施行を受け、指定地域においては使用車種の規制や自動車の合理的使用の指導がされるとともに、本年夏ごろを目処に都府県別のNOx削減計画が策定されることとなっております。東京都の自動車交通量対策検討委員会の最終報告では、削減計画の策定にあたり、事業所ごとの排出量や走行量の規制など、いわば削減法の上乗せを含んだ規制を検討すべきであるとしております。そこで、本市としても、府域の削減計画の策定にあたり、大きな効果の期待できる新たな対策を検討する必要があると考えます。UNEP国際環境技術センターを誘致した本市の姿勢が注目されていると思います。走行量規制などにも踏み込み、大阪独自の対策を計画の中に盛り込むべきであると考えますが、市長の御見解を求めます。 次に、舞台芸術総合センターについてお尋ねいたします。大阪は千数百年の昔にさかのぼる歴史と豊かな文化の蓄積を持ったまちであります。とりわけ江戸時代は天下の台所と呼ばれるほどの経済的発展を遂げ、元禄時代には上方文化の華を咲かせました。また、日本のシェークスピア近松を生み、人形浄瑠璃を育み、歌舞伎が花開いたのもこの大阪であります。人形浄瑠璃、後には歌舞伎の小屋となった竹本座が隆盛のころには、道頓堀に六つの小屋が櫓を上げ、華やかな舞台を競ったとのことであります。この時代の大阪はまさに経済と文化がまちの発展の両輪として十二分に機能していたといえます。大阪市総合計画21には、活力と創造性に満ちた経済と文化が都市発展の両輪であるとされておりますが、大阪が21世紀に向けて真に国際都市、世界都市たり得るためには、これまでの文化のストックを継承発展させ、新たな大阪の文化を創造し、発信していくことが求められております。まさに大阪のルネッサンスを目指すものであります。都市が世界の人々から愛され、尊敬されるためには、経済力だけではなく、その都市がいかに文化的であるかによるのであります。パリはオペラ座、新オペラ座といった劇場、あるいはルーブル、オルセーといった美術館を有するがゆえに、世界の人々から文化の香り高い都市としてあこがれられ、愛されております。市長は、大阪の顔ともいうべき中之島の地に近代美術館とあわせて舞台芸術総合センターを建設する旨の構想を発表されておりますが、世界の一流の役者が一度はその舞台に立ってみたいと願うような、また、市民が一流の芸術に触れ、この施設を持つことが市民の誇りと喜びになるというようなものでなければならないと思います。市長の御所見をお伺いいたします。 次に、難波宮跡の整備計画と考古資料センター構想についてお尋ねいたします。いにしえより大阪はそのすぐれた地理的条件から、アジアを中心とする海外との交流の窓口としての役割を持ち、上町台地の北端では、古代には難波宮が営まれ、近世には大阪城が築かれるなど、政治・経済・文化の中枢として常に先導的役割を果たし、発展してきた都市であります。その大阪の歴史のルーツともいえる難波宮跡に、大極殿を復元し、大阪城公園と連続した歴史公園として大阪の歴史をビジュアルに体験できるようにしようとの構想は、文化都市大阪のために大いに賛同するところであります。大阪市は現在、21世紀初頭でのオリンピック誘致の可能性を探っております。過日のバルセロナオリンピックの中継では、その都市の顔ともいうべき建物が多数紹介されていましたが、難波宮の大極殿は大阪城の天守閣とともに大阪を代表する建物になるものと思います。この歴史的モニュメントが大阪でオリンピックが開催される時には完成していてほしいと念願しますが、市長のお考えをお聞きします。 さらに、この構想の実現のためには、両遺跡を分断する中央大通りと阪神高速道路の問題を避けて通れないと思いますが、あわせて御所見をお伺いいたします。 また、難波宮跡と大阪城という二つの遺跡に隣接して設置される予定の考古資料センターでは、古代から近世にいたる都市遺跡をテーマに、大阪発展の原動力や国内及び国際的な役割を明らかにする施設を目指すとの構想が発表されております。このセンターでは展示を初めどのような活動をされるつもりか、また、いつごろまでに完成させようとしているのか、市長の御決意のほどをお伺いいたします。 次に、大阪の国際貢献についてお伺いいたします。大阪市はその豊かな歴史的・文化的遺産や世界第一級の先端的な学術・技術機能を集積した世界都市として脚光を浴びつつあります。加えて、関西国際空港は我が国初の24時間運用の国際ハブ機能を持つ空港であり、空の時代における現代の難波津として、異文化・異民族交流の窓口としての役割が期待されております。それだけに大阪の国際的貢献の機会と責任は増大しております。地方自治体の国際的貢献は市民レベルの相互理解や友好を深めることにあります。国策が優先し、ともすれば硬直化する政府間外交に対し、自治体外交は市民の対話による友好のネットワークを築くことであり、政府レベルより迅速かつ柔軟に対応できることは既に実証済みであります。自治体外交、つまり市民外交こそ世界平和の推進力であると考えます。この市民レベルの国際協力活動を行う団体として、非政府民間組織NGOがいま大きく注目されております。人権、環境、教育、南北問題といった分野でのNGOの活躍はめざましく、国連との絆も年々強くなっています。しかし、NGO相互間の情報交換や連携は必ずしもスムーズではなく、これからの課題と指摘されております。このNGOへの支援こそが、自由闊達で開放的な地域性を持つ大阪にふさわしい一つの国際貢献ではないでしょうか。2年後の1995年は国連創設50周年にあたります。この機会をとらえ、大阪がNGOの世界的拠点として平和の発信基地となるため、その主体性を損なうことなく、NGOが活動しやすい条件整備を図ってはいかがでしょうか。また、国連50周年を契機に、大阪で世界のあるいはアジアのNGO国際会議が開催できるよう支援してはいかがでしょうか。その時大阪は平和の都として大いに脚光をあびることになると思うのですが、市長の世界平和への思いをこめた御見解をお伺いいたします。 最後に、オリンピックの誘致問題についてお伺いいたします。オリンピックの大阪誘致については、既に西尾市長が強い意欲を示され、市民も大きな関心と期待を寄せております。世界の一流のスポーツマンが競う姿を目の当たりにすることは、21世紀を担う青少年に夢と感動を与えるものであり、さらに、世界の人々が大阪に集い、国境を越えて交流することは、大阪市民の文化意識に大きな影響を与えるものと思われます。 ところで、21世紀初頭に平和の祭典オリンピックを大阪に誘致するためには、単なるムードだけでは誘致は不可能であり、仮に誘致に成功したとしても、一過性のイベントに終わってしまう危険性があります。誘致にあたっては、開催の何年も前から息の長い誘致運動と市民1人1人の心に平和の祭典を実現しようという聖火をともす活動が必要不可欠であります。しかし、大阪がオリンピックの開催都市として立候補するにあたり、多くの課題が山積しております。オリンピック開催というと、ともすれば、大阪のどこでやるのか、競技施設や選手村をどうするのか、アクセスをどう確保するのかといったハード面の議論が先行しがちであります。確かにそれも重要ですが、大阪の経済力、大阪の能力をもってすれば、いずれも十分クリアできることと確信いたします。我が党のオリンピック誘致問題研究会は、誘致にあたっての条件整備を繰り返し協議し、また名古屋市、長野市への視察も行いましたが、ハード面よりも運営全般にわたるソフト面、市民意識の高揚がより重要ではないかと考えるにいたりました。すなわち、まず第一に、大前提として、なぜ大阪でオリンピックを開催するのか、誘致する目的は何かといったコンセプトを明確にすることであります。大阪は日本最古の難波宮を基礎に発展し、古来、瀬戸内に面し、交易交流の中心地として、また、遣隋使、遣唐使の出発点として韓国、中国への玄関口でもあり、今日もアジアと強い絆で結ばれております。21世紀初頭には関西国際空港も世界に大きく翼を広げ、世界への玄関口に成長していることでありましょう。還太平洋時代の拠点として大阪が大きな役割を果たすことは確実であります。国境やイデオロギーの壁を越えたボーダーレス時代に、都市と都市、人と人、心と心の交流をはかる場として大阪オリンピックを考えてはいかがでしょうか。 第二に、人材の育成です。オリンピックのようなビッグイベントともなりますと、大会を運営するにあたり、国際級の審判員はもちろん、多くのボランティアなど人材が必要であります。平成9年に大阪で国体が開催されますが、この国体をオリンピックの人材育成の一つのステップにしていくべきであると考えます。 第三に、大阪で国際級の大会を継続して開催することが重要であります。国際的競技大会を開催することは、大阪の地名度を高め、オリンピック開催能力を実証することにもなります。先日の新聞報道によりますと、本年5月に第1回東アジア競技大会が上海で開催されるとのことでありますが、このような国際大会をぜひ本市に誘致していただきたいと考えます。 第四に、市民意識の高揚です。オリンピック開催を市民1人1人の盛り上がりによって進めていくことが重要であります。幅広い市民的組織を育成し、国内、アジア、そして世界へ広がっていく必要があると考えます。私たち議会も、そうした気運が高まるよう、オリンピック誘致の機関を議会内に設けたり、誘致決議などの意思表示が必要かと考えております。 以上、オリンピック誘致に関し特にソフト面から何点かを提案いたしましたが、市長の明快な御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(青木仲三郎君) 理事者の答弁を許します。西尾市長。     (市長西尾正也君登壇) ◎市長(西尾正也君) ただいま大島議員から市政当面の重要課題等につきまして御意見を賜り、また御指摘、御質疑をいただいたわけでございます。お答えを申し上げたいと存じます。 まず財政問題でございますが、平成5年度の予算編成にあたりましては、心と心のふれあうぬくもりのある「人間主体のふるさと大阪づくり」、また活力あふれ21世紀に発展飛躍する「世界に貢献する大阪づくり」を二つの大きな柱といたしまして、乳幼児医療費の公費負担制度の創設を初めとする福祉施策の充実、また、不況下にある中小企業への支援策や子育て層の市内定住を促進するための住宅施策などの諸施策を、厳しい中ではございますが、積極的に進めていくことといたしております。本市におきましては、引き続く景気の低迷によりまして、税収が38年ぶりに前年度を下回り、市税全体で257億円もの減収となるという深刻な事態になっております。加えて、これまで暫定的に引き下げられておりました投資的経費にかかる国庫補助負担率が体系的に整理されまして、恒久化されることとなりました。その上、昨年に引き続く国民健康保険事務費の負担金など経常的経費にかかる補助負担金の一部が一般財源化されるなど、極めて厳しい状況にございます。そのため、昭和62年度以来低下を続けてまいりました財政構造の弾力性を示す経常収支比率が、大島議員御指摘のとおり、77.9%と、元年度の79%に近い比率にまで上昇いたしております。税収入が減となる中での厳しい予算編成ではございますが、起債や基金を積極的に活用することによりまして施策の充実と事業の進捗に努め、特に単独事業につきましては、景気に十分配慮し、中小企業の振興に意を用いまして、4,928億円を計上いたしまして、10.3%と、平成3年度以降3年連続して2けたの伸びを確保いたしたところでございます。議員御指摘のとおり、起債の積極的な活用は将来に財政負担を残すこととなるわけでございますが、今後とも長期的視野に立って、公債費比率の動向に十分留意いたしますとともに、起債充当事業の内容を慎重に吟味いたしまして、将来の財政運営に支障を来すことのないように常に配慮しながら、公債の適宜適切な活用を行っていくことが肝要であると考えております。また、社会経済情勢に弾力的に対応し、財政の健全性を確保してまいりますためには、なによりも確固とした財政基盤の確立が必要であります。より一層行財政運営の簡素、効率化に努めることはもとより、大都市の実態に見合った税財政制度の確立に向けて、引き続き国等関係方面へねばり強く要望してまいる所存でございます。どうぞ議会の皆様方の一層のお力添えをお願い申し上げる次第でございます。 次に、交通・水道両事業の料金改定と経営改善方策についてのお尋ねでございますが、両事業とも厳しい経営環境にあり、企業財政の悪化は放置できない状態となっております。去る1月末の公営企業審議会の答申におきましても、料金改定にあたっては、その前提として、具体的な効率化努力やサービスの改善につきまして厳しい御指摘をいただいております。経営の効率化につきましては、これまでも業務の機械化や委託化による人員の削減に努めてまいりましたが、今回の答申を踏まえ、より簡素で効率的な組織づくりや事業全般にわたる見直しを行うなど一層の努力を続けてまいらなければならんと考えております。また、サービスの改善につきましても、心と心のふれあうぬくもりのある「人間主体のふるさと大阪づくり」を積極的に進めていく立場で、高齢者、障害者などに十分配慮し、交通事業におきましては、エスカレーター・エレベーターの整備拡充や新たに超低床式バスの導入を行い、また、水道事業におきましては、引き続き老人世帯などに対しまして基本料金を免除する福祉措置を実施するなど、利用者、消費者ニーズに適合したきめ細かいサービスに努めることといたしております。これらの改善の努力をいたしますとともに、あわせて公共助成や資産の有効活用などに努めまして、なお解消できない収支不足分につきましては、この度の答申の趣旨に基づき慎重に検討いたしました結果、社会経済情勢は厳しい状況にありますが、両事業の健全な運営を図るため、必要最小限度の料金改定をお願いせざるを得ないと判断いたしたところでございます。交通・水道両事業とも市民生活に不可欠な都市施設であります。その事業展開にあたっては、将来に向かっての市民ニーズに適合したものが求められております。このためには、中長期的な視点に立って、今後とも経営の効率化による経費の削減、資産の有効活用や国等からの公共助成の拡充による収入の確保などに積極的に取り組み、両事業の健全な経営基盤の確立に努めてまいりたいと考えております。 景気対策と中小企業の振興についてでございますが、依然景気の低迷が続き、とりわけ中小企業をとりまく経営環境には非常に厳しいものがございます。このため、本市といたしましても、内需の拡大を目指した公共事業等の推進や中小企業の経営安定対策を中心とした景気対策を、中小企業対策本部を活用し、全庁あげて実施してまいりたいと考えております。 まず公共事業等につきましては、全会計で総額1兆1,290億円、特に単独事業では8,197億円、対前年度比18.2%の伸びを確保いたしますとともに、事業の執行にあたりましても、景気情勢や国の動向を注視しながら、また、今年度上半期の実績でございます80.2%の契約率も踏まえまして、前倒し発注などに機動的かつ積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、景気の動向に対応した中小企業の経営安定対策といたしまして、中小企業向けの融資目標額を3,000億円から4,000億円に増額し、また、経営の悪化や資金調達力の低下に対応する中小企業経営支援特別融資を創設いたしました。さらに、一般事業資金、小企業事業資金などの無担保限度額の引き上げを初め、貸付期間の延長、連鎖倒産を防ぐための倒産関連中小企業融資の認定要件の緩和など、既存の融資制度についても改善をいたすことといたしております。また、官公需の発注にあたりましては、可能な限り分離分割を行うなど、中小企業向け発注の拡大にも一層努めてまいります。 さらに、産業構造の大きな転換期にあって、将来にわたり大阪経済の活性化を図ってまいりますために、時代の変化に対応した新たな都市型産業、新たな中小企業育成を支援していくことが不可欠であると考えております。このため、中小企業新規開業資金融資の拡充を行い、従来ののれん分けに限定した制度からより幅広い層を対象とした制度に改めますとともに、ニュービジネス育成資金融資の活用、島屋ビジネスインキュベータにおける研究開発型企業の育成・支援、大阪市融合化センターにおける異業種交流事業、工業研究所や中小企業指導センターでの技術・経営の相談、研修事業などの充実を図りまして、中小企業の新規開業と新しい事業運営の進出を積極的に支援してまいりたいと考えております。 次に、高齢化社会対策についてでありますが、人口の急速な高齢化が進行しておりますので、高齢者福祉施策を市政の重点事項の一つとしてその充実を図っておりますが、とりわけ、先ほど待機者について大島議員からも御指摘がございましたが、特別養護老人ホームの整備につきましては、平成元年度よりの第2次5カ年計画に基づき、積極的な推進に努めまして、平成5年度においては計画を上回る整備を図りますとともに、今後の取り組みについても、現在作成中の老人保健福祉計画に基づき、市民ニーズにこたえてまいりたいと考えております。 在宅福祉につきましては、5年度におきまして、ホームヘルパー派遣事業におけるヘルパーの大幅な増員と制度拡充を図るなど在宅福祉サービスの拡充とともに、おとしよりやその家族の身近な中学校下単位において、デイサービスの提供とあわせて、在宅介護の相談・指導や介護機器の普及などの在宅介護支援事業を行う地域在宅支援サービスセンターを整備いたしますとともに、中学校下単位の事業にあわせて、ホームヘルパー派遣や移動入浴サービス、ボランティアビューローなどの事業を実施する区単位のセンターを整備することといたしておりますが、区単位のセンターの整備につきましては、今後早期に全区に設置すべく取り組んでまいりたいと考えております。 また、おとしよりの在宅療養を支援する老人訪問看護ステーションにつきましては、民間法人による整備促進を図ってまいりますため、その開設助成を行いますほか、ステーションの運営や他のサービスとの連携のあり方などを探るため、おとしより健康センターでの実施に取り組み、今後その充実を図ってまいりたいと存じております。 また、マンパワーの確保対策につきましては、先般、いきいきエイジング懇話会から今後の方策についての御提言をいただいたところでありますが、5年度における民間施設職員の処遇にかかわりましては、初任給基準の引き上げや中堅職員の処遇などの給与等の勤務条件の改善を図るとともに、その社会的評価を高める観点から、市長表彰制度を創設してまいりたいと考えております。 さらに、老人保健施設の整備についてでございますが、この施設は医療提供施設の一つとして位置づけられていることから、民間医療資源の活用を図ることが重要であると考えておりますが、大都市部では民間の整備が進まない状況でございますので、5年度におきましては、本市独自の助成策を講ずることによって、その整備促進を図ってまいりたいと考えております。一方、この施設はおとしよりの自立と家庭復帰を支援する極めて重要な施設でありますので、その先導的役割を果たすべき公的施設の整備を進めていくために、市内の四つの基本保健医療圏を基本としながら、現在計画を進めております平野区喜連西地区及び市民病院の体系的整備による統合病院の跡地を中心といたしまして、その跡地利用計画とも整合させながら計画的に進めてまいりたいと存じております。 これらの保健福祉施策につきましては、みおつくしプランの実施計画として、老人保健福祉計画の作成を進めておりますが、高齢化社会対策は、大島議員御指摘のとおり、保健、医療、福祉施策にとどまらず、生きがいや教育、住宅、道路、公園、都市環境など市政の各般に及ぶものでありまして、高齢者・障害者を初めすべての市民を視野に入れた施策の総合的な推進を図る必要があると考えております。このため、みおつくしプランの着実な推進を図る観点から、これらの施策の具体計画の策定に向けた取り組みも検討いたしまして、高齢者や障害者が住みやすいまちづくりのため、全市をあげて努力してまいる所存でございます。 さらに、障害者対策についてでございますが、知的な障害のある方の施策につきましては、乳幼児期から青壮年期、高年齢期にいたるまでのライフサイクルに応じた施策の展開が必要であると考えております。精神薄弱者福祉法の改正によりまして、平成5年度から大都市特例の適用を受けますことから、本市といたしましては、その中核となります精神薄弱者更生相談所を平成5年度中に設置いたしまして、知的な障害のある方の総合的な相談鑑定窓口として機能させるとともに、地域で相談活動にあたっていただく精神薄弱者相談員を委嘱いたしましてきめ細かい対応を行うなど、精神薄弱者福祉行政の充実に努めてまいりたいと考えております。 また、安定して働き続けられる場を確保することは極めて重要な課題でございますので、民間企業とも協力しながら、重度の障害者を多数雇用する事業所について、5年度中に結論を出すべく、現在鋭意検討いたしております。なお、業務内容につきましては、御指摘のように、夢と希望の持てる明るいイメージの業務を取り入れるように努めてまいりたいと考えております。 さらに、障害者の入所施設の整備についてでございますが、いままで鋭意整備に努めてまいりまして、現在、知的な障害のある方の入所施設は3カ所、定員合計230名でございますが、1カ所、定員50名の施設を整備中でありまして、さらに5年度には新たに知的な障害者の施設2カ所、定員150名及び身体障害者の療護施設1カ所、定員50名の整備に着手する予定でございます。今後とも待機者の解消を図るべく、知的な障害者の施設整備に努めますとともに、重度の身体障害者の方々のための療護施設や重症心身障害者の施設につきましても、その実現に向けまして鋭意努力してまいりたいと考えております。 次に、住宅対策についてでございますが、市民の住宅に対するニーズは近年非常に高くなっております。このようなニーズに的確に対応した住宅政策を推進していかなければならないと考えております。 まず公有地の高度利用、複合利用による住宅供給についてでありますが、空き地あるいは暫定利用になっております市有地につきましては、立地条件や敷地規模などを考慮いたしまして、総合的な角度からその有効活用の検討を進めているところでございます。住宅建設につきましても積極的にその活用を図ってまいりたいと考えております。また、土地の高度利用、複合利用を進めることも重要でございまして、一昨年に設置いたしました高度利用推進部会におきまして、これまで各種計画の検討を行っているところでございますが、住宅との複合化につきましても、来年度は西区役所の建替えや平野区の女性いきいきセンターと老人保健施設の建設にあわせまして、その上部空間を活用した公社賃貸住宅の建設に着手することといたしております。今後とも公有地の活用や公共施設の上部空間を利用した住宅建設を進めてまいりたいと考えております。 また、宅地化される農地を良質な住宅供給へ活用していくことも重要でございます。そのため、来年度、借上公共賃貸住宅、いわゆる民間すまいりんぐにつきまして供給戸数を大幅に拡大いたしますとともに、本市独自の施策として住宅金融公庫の補完融資を実施いたしておりますが、来年度はその利率を引き下げますとともに、新たに福祉借上げに対する助成の拡充を図ってまいります。また、民間賃貸住宅の建設資金融資制度につきましても、融資利率の引き下げを行うなど制度の拡充を図りながら、良質な賃貸住宅の供給を促進してまいりたいと存じます。 次に、ベイエリア地域における住宅供給についてでございますが、ベイエリア地域の中には、産業構造の転換や港湾機能の高度化等によりまして、在来臨海部において土地の遊休化が進み、地域活力の低下が課題となっているところもあります。低利用、未利用地の土地利用転換につきましては、市域の貴重な土地の活用という観点から、積極的に土地の有効利用方策について検討を行う必要があると考えております。 さらに、工業専用地域や臨港地区等の土地利用規制の問題につきましては、総合計画21における方針を基本としながら、各地域の現況や動向等を勘案し、適切な土地利用が図られるよう検討を進めてまいりたいと考えております。今後の住宅供給を進める上で、在来臨海部は重要な地域の一つであります。住宅立地のふさわしい地域についてはその整備を積極的に進めてまいりたいと考えております。来年度から此花区の酉島地区で大規模な住宅地開発を行ってまいりたいと存じております。 また、老朽建築物密集市街地の再生につきましては、本市のまちづくりにとって極めて重要な課題でございます。そのため、都市基盤の未整備な地域については、老朽建築物の建替えと道路・公園等の公共施設整備を一体的に進めていく必要があると考えておりまして、来年度は西成区、生野区などを中心に事業や調査を進めてまいります。 さらに、おっしゃっておりました新婚世帯向け家賃補助制度についてでありますが、本制度は若い世代の市内居住を促進し、活力あるまちづくりを進めていく上で重要な施策であると考えておりまして、平成3年度以降毎年5,000件を超える利用者がありますなど好評をいただいております。来年度は補助期間を現行の3年から5年へ延長するなど制度拡充も図りながら、この制度を積極的に推進してまいりたいと考えております。 今後とも総合計画21が目指す住・職・遊のバランスのとれたまちづくりを進めてまいるために、住宅政策を積極的に推進してまいりたいと考えております。 次に、環境問題についてでございますが、自動車の窒素酸化物対策につきましては大変重要な課題であると認識いたしております。本市では、幹線道路沿道の環境改善を図るとともに、平成12年度までに二酸化窒素の環境基準達成を目指して、大阪市環境管理計画及び自動車公害防止計画を策定いたしまして、自動車の排出ガス規制の強化、自動車交通総量の抑制、低公害車の普及促進などの諸対策を推進することによりまして、窒素酸化物の大幅削減に取り組んでおります。ここ数年、道路沿道の二酸化窒素濃度につきましては改善のきざしが見られますが、依然として厳しい状況にありまして、さらに一層の取り組みの強化が必要であると考えております。 このような状況の中で、昨年12月に施行されましたいわゆる自動車窒素酸化物総量削減法には、ディーゼル化傾向や自動車交通量の抑制策として、使用車種の規制や自動車使用の合理化指導等が盛り込まれており、また、都道府県ごとに窒素酸化物の総量削減計画を策定することとなっております。今般施行されました同法を受けて、本年2月に大阪府は、府下市町村及び関係行政機関で組織された協議会を設置いたしまして、総量削減計画の策定に着手いたしました。本市といたしましては、同計画の中に大幅な削減が期待できる効果的かつ実現性の高い対策が盛り込まれますよう、大阪府や関係機関とともに取り組んでまいりたいと考えております。また、本市では今般の法律の趣旨に沿いまして、ディーゼル車から窒素酸化物の少ない車に転換される事業所への助成制度の拡充や電気自動車など低公害車の普及拡大を他都市に先駆けて取り組みますとともに、市バスやごみ収集車など公用車の低公害化にも努めております。また、軽油とガソリンの価格差の縮小によるディーゼル抑制策の強化をいち早く国に働きかけてまいっております。今後とも事業者、市民の皆様方の積極的な御協力を得て、自動車排出ガス対策に全力を傾注してまいりたいと考えております。 次に、舞台芸術総合センターについてでございますが、大島議員御指摘のように、本市総合計画21におきましては、活力と創造性に満ちた経済と文化が都市発展の両輪であり、そのためには、大阪みずからの文化創造力を高め、その上に内外の文化が交流融合する機能を実現することが求められております。舞台芸術総合センターでございますが、平成4年6月に構想委員会から基本構想について答申をいただきまして、引き続いて構想の具体化を図りますため、基本計画委員会におきまして御検討いただいているところでございます。舞台芸術総合センターが世界一流のアーチストのひのき舞台となるような格と祝祭性を備えるとともに、21世紀の舞台芸術を担う人々の創造の場として機能し、また、市民の皆さんが世界の一流の芸術に触れ、ここで創造される大阪の豊かな歴史と伝統を踏まえた新しい舞台芸術が世界に発信され、評価を受けるような施設を目指すことが、文化首都関西の中心である大阪市の使命であると考えております。そのためには、柔軟な運営体制のもとで自主制作、自主公演を行うとともに、人材の養成にも意を用いなければならないと考えております。さらに、こうした舞台芸術総合センターの意義を市民の皆さんを初めとする広範な人々や舞台芸術の関係者にも知っていただきまして、施設イメージを形成するためには、プレイベントを実施することも必要であろうと考えております。いずれにいたしましても、大阪の顔ともいうべきシンボル的な地域であります中之島西部地区に建設されます舞台芸術総合センター、同時に整備される近代美術館や民間商業施設、既に開館しております科学館とあわせて、新しい界隈性といいますか、をつくりだし、市民の皆さんの文化志向の高まりにこたえ、誇りと喜びの拠点とするとともに、21世紀に向けて世界に開かれた国際文化都市大阪を実現するための中核的施設にしなければならないと考えております。 次に、難波宮跡の整備計画についてでございますが、難波宮跡の復元につきましては私どもの長い間の夢でございます。実現に向けて調査研究に踏み出すことができるようになりましたことは、大きな喜びでございます。ただ、具体的な復元にあたりましては学問的な検証が必要でありまして、その中心的な施設である大極殿についても、上部構造や柱の形など専門家の間でさまざまな説もございます。復元するためにはこうした意見の相違を調整する必要があり、しばらく時間がかかるのではないかとも思っております。お尋ねがございましたように、大阪でオリンピックを開催するという夢が実現いたしますならば、その時にはこの難波宮跡に大極殿などが復元されまして、日本の歴史的資産、また大阪の顔として、大阪市民はもちろん世界の人々にごらんいただけるようになる、そうしたいと考えているところでございます。 また、宮域を横切っている阪神高速道路と中央大通りの問題につきましては、現在東西交通の大動脈として機能しておりまして、いま直ちにの解決はむずかしいと考えておりますが、両遺跡の連続性を考慮いたしますと、重要な課題であると認識しておりまして、将来に向けていろいろな角度から可能性の研究を進めていきたいと思っております。 まだ仮の名前でございますが、考古資料センターは、5世紀代からの大阪の都市の形成と人、物の交流といったことを軸といたしまして、大阪の発展の原動力や大阪の国内的・国際的役割を明らかにしようとする施設でございます。館内では、コンピューターなどを使った立体的な映像などによりまして、当時の人々の暮らしぶりやまちの様子といったものを目で見、体で感じてもらえるような展示ができないかといろいろと工夫をしてまいりたいと思っております。また、館外では実物に触れて感じていただきたいと思っておりまして、今回の大極殿などの復元はそのねらいの一つでもございます。さらに、往時の舞楽を復元して、難波宮跡で公演したいとも考えておりまして、将来はこの施設の動く展示となればと思っております。 最後に、施設の開設の時期をオリンピックまでにということでございますが、ようやくNHKと共同で新しい建物のコンペを実施するはこびになってまいりました。このコンペの募集から建物の完成まで大体五、六年はかかるということでございますので、今世紀の末には開設できるというように考えております。 大阪の国際貢献についてでございますが、今後とも我が国が順調に発展してまいりますためには、世界の平和と調和のとれた発展が不可欠であり、その実現に積極的に貢献し、また、地球環境問題など世界的な諸課題の解決に寄与していくことが、我が国はもちろん大阪にとりましても大切な使命でございます。本市ではこれまでに蓄積してまいりました都市工学・都市経営の技術をもとに、海外からの研修員の受け入れ、専門家の派遣など、途上国のまちづくりに積極的に協力いたしております。 一方、市民レベルの国際協力を行うNGOは、途上国の人々の生活に密着した援助を行い、草の根レベルの協力と強い信頼関係を築く上で極めて大切な役割を果たしておられるわけでございます。こうしたNGOの活動を支援するため、本市では、関西のNGOネットワークの要となる大阪国際交流団体協議会への協力でありますとか、先進国のNGOが集う国際フォーラムの開催、さらにアジアとの市民レベルの国際協力や交流を志す若者に奨学金を支給するアジアスカラシップ制度などを実施してまいっております。しかしながら、市民の自発的な参加をその精神とするNGOは、市民の善意の寄付に支えられ、スタッフもボランティアのケースが多く、資金・人材確保の面で悩みをかかえております。こうした状況を解決するため、NGOの自主性を損なうことのないよう十分配慮しながら、人材育成や互いの経験を交換しあう場づくりなど、活動しやすい環境づくりの面で引き続き積極的な支援を図ってまいりたいと考えております。こうした積み重ねの中で、世界のNGOに携わる人々にとって大阪が活動と情報の交流拠点として評価され、御提案のNGOの国際会議の実現にも結びつくことになると思うのでございます。民族や国の違いを越え、国際協力を進める人と人との結びつきの広がりが世界平和実現の礎であり、大阪がそうした人々の交流のプラザとなるような国際都市づくりを推進してまいりたいと考えております。 最後に、オリンピック誘致問題についてのお尋ねでございます。まず、オリンピックの大阪誘致にかかるコンセプトについてでございますが、およそこういった国際的ビッグイベントを成功させるためには、明確なコンセプトの提示と市民のコンセンサスづくりが不可欠であると思っております。特にオリンピックについては、御指摘のとおり、誘致にあたりましては本市のみならず日本中がこぞって取り組むべきものでございまして、また、アジア、そして広く世界の賛同が必要であると思います。それだけに、なによりもまず市民の厚い支持に支えられた市民のオリンピックとしての性格を基調としたコンセプト、また大阪での開催を十分に意義づけるコンセプトを明確にしておく必要があると思っております。大島議員の御指摘のとおりであると考えております。 次に、人材育成の問題でありますが、御指摘のように、人材の育成は一朝一夕でできるものではございません。オリンピックともなりますと、世界のトップレベルの選手が参加することになりますので、協会や連盟の組織と十分連携をはかり、競技運営に関するノウハウの蓄積、国際審判員の養成なども図っていかなければならないと考えております。平成9年に大阪で開催されます第52回国民体育大会に向けて、競技団体の集合体であります大阪市体育協会を平成5年度に設立いたす考えでありますので、国際競技にかかる人材育成等につきましては、この体育協会を通じ、国際審判員の養成、大会運営の人材育成、ボランティア活動の組織づくりなども積極的に考えてまいらなければならんと思っております。 次に、国際級の大会の継続化についてでございますが、国際競技大会を大阪へ誘致することは、大阪の文化・経済に活力を与えるとともに、スポーツをより一層振興し、スポーツを通じて広く世界各国の人たちと交流を図り、友情を深めるなど、世界の平和に貢献し、大変意義深いものと考えております。また、世界のトップクラスのすばらしい競技に接することによりまして、市民に夢と感動を与えるとともに、スポーツの底辺を広げていき、すばらしい選手を輩出するものと思います。さらに、大阪オリンピックを誘致する場合の運営のノウハウや人材の育成にも役立つものと思っております。現在継続して開催している国際競技大会はもちろんのこと、御提案の近く上海で開催されることになっております第1回の東アジア競技大会などのビッグイベントの誘致、また積極的な参加等についても考えてまいりたいと存じております。 次に、市民意識の高揚についてでございますが、オリンピックを誘致するためには、施設整備はもちろんのこと、市民の皆様方の御協力や市民1人1人の盛り上がりで開催気運を高めていくことが重要であると思っております。そのためには、市民団体、スポーツ団体、民間企業からなる市民運動推進委員会を組織いたしまして、各種競技大会の開催を初め、各種イベントや広報活動など、市民総参加のもとに市民に密着した草の根運動を活発に展開できるような環境整備を図ってまいりたいと考えております。 ソフト面にかかる御意見、御提案をいろいろとちょうだいいたしたわけでございますが、何にも増しまして市民の皆さん方のコンセンサス、賛同と協力を必要といたしますことから、庁内のオリンピック開催問題研究会で真剣に議論し、早急にその方策を固めてまいりたいと考えております。 以上でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○副議長(青木仲三郎君) お諮りいたします。この際暫時休憩することに決して御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(青木仲三郎君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。      午後2時29分休憩      午後3時6分再開 ○議長(北山篤君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 ○議長(北山篤君) 下田敏人君の質疑を許します。 29番下田敏人君。     (29番下田敏人君登壇)
    ◆29番(下田敏人君) 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、1993年度大阪市予算案並びに関連案件に対して質問いたします。 いま市民生活は、バブル崩壊後の不況に加えて、先日来の円高による打撃で極めて深刻な事態になっております。こうした時だけに、市民の暮らしと営業を守るという地方自治体本来の役割を発揮することがいつにも増して求められているのであります。ところが、本予算案にはこうした姿勢は全く見られず、もっぱら大企業のための事業を優先し、市民の暮らしと福祉を後回しにしているのであります。例えば公営住宅の建設が3%減、母子医療対策費が5%減、公害健康補償事業が6%減など、市民の暮らしの向上に役立つ事業が37項目も減らされる一方で、コスモスクエアの基盤整備は1.46倍、舞洲・夢洲の国際交易関連施設の整備費が1.81倍、国際経済ネットワークづくりの推進が3.94倍と、大企業向け予算が大幅に伸ばされているのであります。しかも、これらの事業の予算規模は、例えばコスモスクエアの場合は135億円、臨海部の国際交易関連施設整備の予算が252億円、インテックス大阪の施設整備予算が208億円と、福祉の分野とはけた違いの巨費が計上されております。しかも、問題なのは、市民には18項目、212億円もの料金値上げが押しつけられているのであります。私は、こうした大企業優先の予算編成を改め、市民生活優先への転換こそ肝要であると強調するものであります。以下、そういう立場から具体的に質問いたします。 第一に不況対策であります。さる2月1日から3日にかけて大阪労連や大阪商工団体連合会等民間団体が行った不況110番には、支払いの遅延をいわれて困っているとか、商品の値引きを要求されている、あるいは、取引先が倒産したがどうしたらよいかなどのせっぱ詰まった相談が多数寄せられております。まさに深刻な事態が日々続いているのであります。ところが、本議会で市長が行った予算説明では、不況対策の緊急性が全く述べられず、大変消極的なものでありました。西尾市長は一体何を考えているのかと言わざるを得ないのであります。こういう認識だから、この不況の時に平気で史上初の公共料金いっせい値上げなどという無謀なことを行おうとしているのであります。市長、せめて民間団体でも実施している不況110番を本市も行い、市民生活の実態をつかむべきではありませんか。その上で再度予算案を編成しなおすべきだと思います。見解を求めるものであります。 また、これまでの大阪市などの大型プロジェクト優先のやり方が現在の大阪の経済不況を特別に深刻にしてきたのであります。それは一般マスコミでも指摘されているところであります。例えば昨年6月30日付の朝日新聞では、大阪の経済がこれほど冷え込みが急なのも、関西経済が大型プロジェクトに依存してきたからだと報道しておりますし、近畿通産局も、大規模プロジェクトに支えられて堅調だった近畿経済は全国を上回るペースで悪化していると述べているのであります。また、大企業に恩恵を施せば、しずくがしたたり落ちるように中小企業や労働者、国民にも行き渡るといういわゆるトリクルダウンというやり方が完全に破綻していることは、さきのアメリカの大統領選挙の結果で明らかあります。大阪市は今度の予算で、口では中小企業対策をいわれておりますが、しかし、中小企業予算が全体に占める割合は2.7%にすぎないのであります。結局大阪市は、大企業に仕事を与えればそれがそのうち中小企業に回るといういわば破綻済みの経済政策にしがみついているのであります。私は、大阪市がこうしたやり方を根本から改めて、中小企業の経営を直接守る緊急措置をとるように要求するものであります。中小企業は事業所数で99.8%、事業者数で74.2%とまさに大阪経済の主役であり、それにふさわしい予算規模を確保するのは当然のことであります。見解を伺いたいのであります。 次に具体的な問題についてお尋ねいたします。1点は融資の問題であります。大阪市が昨年末に実施した緊急融資に予算枠の6倍もの申込みが殺到していることからも、いかにこの問題が切実であるか明らかであります。本予算案では、これを引き継ぐ形で中小企業経営支援特別融資が設けられましたが、この利率は3.6%であります。しかし、これは、輸出入銀行など大企業向けの金利が3%という水準から見ても、また、今回大阪市が設けたアジア太平洋トレードセンターへの入居の際の融資制度が利率3.1%と比べまして、まだ高いといわねばなりません。せめて利率を3%にすることや、運転資金の据え置き期間を1年にするよう求めるものであります。見解を伺いたいと思います。 2点目は官公需の問題であります。大阪市の中小企業向け官公需の発注比率は1991年度で41.7%と大変低いものであります。これを最近の10年間で最も高かった84年当時の50.2%に戻すだけで、225億円の仕事を新たにつくることができるのであります。中小企業に発注しやすい住宅や社会福祉施設等を優先した公共投資に改めるとともに、徹底した分離分割発注で中小企業への発注比率を高めるべきであります。答弁を求めます。 3点目に、大企業の横暴から中小零細企業と労働者の生活を守る問題であります。先ほど紹介した不況110番の中で商品の返品が相ついでいる訴えが多数寄せられております。これまで一度もクレームがつかなかったものまでそうされているというのであります。この点では、私どもは先日、不況問題調査として東京都の墨田区に視察に行ってまいりましたが、この墨田区の中小企業センターの事業が大変参考になるのであります。つまり、墨田区では、中小企業の方に精密測定機器を開放し、企業相談員の指導のもとで製品を測定して、得られたデータの記録紙を添付して納品するシステムがつくられております。そうすることで事実上の製品の証明が行われ、一方的な商品の返品問題が起こらないようにしているのであります。大阪市でもぜひこういう施策を実施するよう主張するものでありますが、答弁を求めたいと思います。 なお、大阪市は、こうした提起を受けるたびに、商工行政は通産省と大阪府の仕事であるといって、責任がないかのような態度をしばしばとってまいりました。しかし、これは市民の暮らしと営業の向上に責任を負う地方自治体の態度としては到底認めるわけにまいりません。先ほどの墨田区では、墨田の産業の振興なくして墨田区政の発展はないと、こういう立場で、実に99項目に及ぶ産業振興策に取り組んでいるのであります。大阪市とは大きな違いだといわなくちゃなりません。この大大阪市で下請けの相談員がたったの一人しかいないというまことにお寒い限りの状況ではありませんか。私は、大阪市が商工行政は国、府の仕事というこれまでの発想を180度転換するよう主張するものであります。見解を伺いたいと思います。 産業、中小企業対策の最後に、消費の拡大による景気対策について質問したいと思います。国民の懐を豊かにすることは、個人消費が国民総生産の6割を占めていることからも、景気回復を図る本筋であります。ところが、大阪市は本予算案に市バス、地下鉄、ニュートラム、水道料金、国民健康保険料、保育料等々18項目、212億円もの値上げを計上し、不況にあえぐ市民に冷水をかけようとしているのであります。市民生活に多大の負担を強いるこれらの値上げ案は撤回すべきであります。しかも、公共料金の値上げでは、値上げの理由になっている赤字だからとの説明には大変なごまかしがあり、絶対に認められないのであります。例えば地下鉄の赤字が1991年度で215億円もあるとの宣伝でありますが、これは会計処理の仕方を変更したり、本来損益勘定に入れるべきものを資本勘定に入れてきたことによって意図的につくられたものであります。すなわち1990年度までは、地下鉄建設にかかる国庫補助金や一般会計補助金を損益勘定の収入に算入していたにもかかわらず、突然91年度から資本勘定に繰り替えをしているのであります。この影響額は190億円にもなります。また、別に特例債元金補助金があります。この特例債は企業債の利子の支払いのために発行が認められているもので、これへの一般会計補助金は当然損益勘定に入れるべきものであります。それが77億円あります。これらをきちんと処理しなおせば、赤字どころか、逆に53億円黒字になるのであります。また、91年度までの累積赤字が503億円との宣伝もやられておりますが、これもごまかしであります。つまり、77年以来の特例債元金償還補助金の累計額633億円と91年度の資本勘定に繰り入れた一般会計補助金等190億円、合計823億円は当然損益勘定の収益に計上すべきものであり、そうした会計処理をした後の地下鉄会計は、累積赤字がすべて消え、逆に320億円もの黒字となるのであります。したがって、損益勘定から外した823億円は利益隠しと断ぜざるを得ないのであります。このような巨額の隠し利益を行いながら、料金を値上げするというのは、筋が通らないではありませんか。値上げをやめるように重ねて求めますが、見解をお伺いいたします。 次に水道の問題であります。今回の値上げでとりわけ重大なことは、市民の生活用水のところが平均で45%と大幅に値上げをされ、1万立法メートルでは16.9%と低い値上げにとどめられていることであります。不況で一番困っているのは勤労者や中小企業じゃありませんか。ここに光をあて、できるだけ料金値上げを抑制するのが市長の責任ではありませんか。なぜ庶民に厳しく、大企業にやさしくするのか、はっきりと見解を伺いたいのであります。 また、当局は琵琶湖総合開発事業の負担金が多額になることを理由にあげていますが、元々この事業は、関西財界の要求のもとに自民党政府が過大な水需要を想定し、強行したものであります。当時日本共産党は、過大な事業計画であり、やめるべきだと主張いたしましたが、今日の事態は我が党の指摘のとおりになっているのであります。すなわち琵琶湖総合計画では、大阪市では将来の水需要をまかなうには日量267万トンの水利権が必要だとして、新たに64万トン分の水利権を確保いたしました。しかし、現在の水の使用量は大体180万トン前後で推移しており、大阪市で追加した水利権の多くは不要となってきたのであります。このようなもとで、琵琶湖開発負担金があるからといって値上げすることは許されるものじゃございません。これは誤った事業計画を立てた政府に、責任をとり、負担せよと求めるべきものであります。そして、今後の水行政において、生活用水を優先して確保することを目的にした生活用水基本法を制定させ、水質保全、水資源開発への財政措置などを盛り込むよう提案するものであります。見解を伺いたいのであります。 第二に、暮らし、福祉、教育について質問をいたします。憲法第25条は、すべての国民が健康で最低限度の生活を営む権利を有し、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に対する国の責務を明記いたしております。ところが、先日発表された国の社会保障制度審議会の第1次報告は、社会保障の守備範囲を再検討することは避けられないと述べ、国の責任を大幅に後退させる方向を打ち出しております。国民の生存権と国の責務を定めた憲法の理念そのものを見直そうというのであります。しかし、そもそも社会保障は、病気や障害など、利益至上主義の資本主義社会にあって、だれもが直面せざるを得ない社会的事故に対する公的保障制度であります。しかも、今日、終戦直後と違った新しい貧困と生活不安が広がっているもとで、一層拡充が求められているものであります。それは以下の質問で述べる市民生活の実態を見れば明白であります。これまでも自民党政府は、臨調行革路線で、自助努力とか相応の負担の名で福祉を切り捨て、国民に犠牲を押しつけてきましたが、これをさらに憲法の理念にまでさかのぼって攻撃を加えようというもので、断じて認めるわけにはいかないのであります。憲法第25条を擁護、遵守し、国民の生存権を保障する態度を明確にすべきだと考えますが、市長の見解を求めるものであります。 次に、高齢者の問題についてであります。高齢者問題でいま最大の問題は、自民党政府による病院からの追い出しであります。つまり、政府は老人の入院が一定割合を超えると老人病院に指定し、一般病院より低い診療報酬を適用することや、3カ月を過ぎると病院経営が成り立たないような低い報酬しか出さないようにすることで、高齢者を病院から追い出す仕組みをつくりました。その結果、各地で、完全に治っていないのに退院させられる、あるいは新たに入院できないという、こういう事態が続出しているのであります。私は、この原因になっている老人への差別医療をなくすよう、市長が政府に申し入れるとともに、現実に追い出しを受けている人たちへの適切なケアができるような施策を急いで展開するよう求めるものであります。中でも特別養護老人ホームの増設は急務であります。受付をしている職員の話によると、1年、2年と待ってもらい、やっと入れるようになったと連絡をしたら、既に死亡していた、こういう事例もあり、いまでは住民票で生存を確認してから待機者に連絡するようにしているというのであります。これほど深刻な事態になっているのであります。これは、先ほど指摘した老人の病院からの追い出しと特別養護老人ホーム建設に消極的であった市の姿勢によってつくり出されたことは明白であります。したがって、私は、公有地の活用や小・中学校、保育所等との合築、あるいはミニ特養の建設等を大いに進め、現在の待機者がすぐ入所できるだけの増設を進めるべきだと主張しますが、見解を求めます。 次に、我が党が一貫して主張している高齢者のための三つの条例案についてであります。これは、在宅福祉が強調されている中、寝たきりの高齢者を介護されている家族の方に介護手当を月4万円交付する介護手当条例、高齢者の民間賃貸住宅の家賃を補助する条例、市バス・地下鉄等の敬老優待パスの交付年齢を現行70歳から65歳にする条例、この3条例であります。いずれも高齢者とその家族の方々から期待の声が高まっているものであります。また、我が党の主張は、大阪府下の忠岡町が高齢者家賃補助制度が新たに予算化されるなど、他都市では既に実現していっており、大阪市でも一日も早く実施するよう求めるものであります。また、敬老優待パスの年齢引き下げによる福祉の向上は、市バスの財政改善にも役立つものであり、ぜひ実現するよう訴えるものであります。答弁を求めます。 次に、福祉職員の確保の問題であります。これは福祉施策全般にかかわる極めて重要な課題でありますが、なんといっても国の責任が重大であります。例えば先日西成の精神薄弱者の入所施設第一博愛で死亡事故がありました。20人が入浴中に重度の障害者であるOさんが発作で倒れ、そのまま溺死する事故でありました。この施設の職員数は、大阪市の説明によると、一応国基準は満たしているとのことでありますが、もう一人、入浴中に指導員がついていたら事故は防げたのではないかと、国基準の不十分さが指摘されているのであります。実際、精神薄弱者更生施設の指導員の配置基準は1972年以来据え置かれたままであり、抜本的な改善を国に求めるべきであります。また、市としてこの事故をどう受けとめ、今後二度と事故を起こさないために何をしようとしているのか明らかにしていただきたい。本予算案にも精薄更生施設の建設が2カ所計上されていることからも、明確な答弁を求めます。 福祉職員の問題でもう1点大事なことは、大阪市の公私間格差を抜本的に改善することであります。大阪市の不十分さは、民間の大卒の事務職員の初任給が市の職員より1万5,000円も低い15万5,400円と格付をされ、10年後には本俸で月額3万4,500円も格差が広がる仕組みになっていることを見ても明らかであります。その上に、諸手当の格差是正はほとんど行われていないのであります。こうした格差の是正が緊急に求められていると思いますが、答弁を求めます。 次に、乳幼児医療費の無料制度についてであります。本予算案には、ゼロ歳児の入院と通院、1歳から6歳までの入院を対象にした所得制限付きの医療費無料化が盛り込まれておりますが、もともと市民が求めていたのは、3歳児まで、所得制限なしというもので、市の提案は極めて不十分であります。市民が求めている3歳児までの入院、通院すべての医療費を無料化したとしても、必要な財源は5億5,000万円にすぎません。8,600億円も基金の名でため込んでいる大阪市で実現できないはずはないじゃありませんか。なぜこうしたことができないのか、見解を伺いたいのであります。 次に、障害者福祉作業センターへの補助の問題であります。障害者福祉作業センターは、本来大阪市が運営すべき施設があまりにも少ないために、障害者の働く喜びと生きる希望のためにと、父母が必死の思いで運営しているものであります。ところが、本予算案ではこの補助金を据え置くということになっております。とんでもない態度だといわなくちゃなりません。しかも、大阪市は共同作業所の関係者が要求している家賃補助制度の新設をとの願いも、冷たく切り捨てております。市内で場所を確保し、運営することがどんなに困難かは、市自身、よくわかっているはずであります。実際、共同作業所では平均年間160万円前後家賃を払っております。中には260万円も払っている作業所もあります。しかも、この家賃補助制度は豊中市では40万円の補助金を既に出しておりますし、そのほかにも東大阪、貝塚、箕面、吹田の各市でも実施されております。大阪市の冷たさは際立っているのであります。私は、この家賃問題を解決するために、第一は公有地の貸与を認めるようにすること、もう1点は、民間の貸家へはいっているところへの家賃補助制度の新設を要求するものでありますが、答弁を求めたいと思います。 次に、教育問題についてであります。今、小学校の現場では、昨年4月から実施された新学習指導要領によるつめこみで、子どもの悲鳴と教師の怒りの声が噴出いたしております。新1年生が1年間に習う文字の総数は232文字で、父母の世代の2倍にふやされております。算数でも、例えば6年生で出ていたミリリットルというものが2年の1学期で出てくるようになり、このハイスピードに悲鳴が上がっているのであります。こうした事態に、全国の56の議会で新学習指導要領の見直しを求める決議が上がっているのであり、新指導要領の撤回を政府に求め、真にゆとりある教育がなされるように求めますが、見解をお示しいただきたいのであります。 次に、教職員の配置を手厚く行う問題であります。この点では35人学級に向けた努力を求めたいのであります。行き届いた教育と援助を行うためには、35人学級の実現はいま最も切実に求められていると思います。フランス、イタリア、アメリカ等の小中学校の学級定数はいずれも25人であります。直ちに具体化すべきだと考えますが、見解を求めます。 また、大阪市は、府から配当を受けた教職員を独自の基準で配置するとの理由で、実際には府の配当基準以下の学校をつくり出し、それによって生み出した教師を指導主事などにあてております。一般にピンハネといわれているものでありますが、これによって教職員数が府基準以下の学校が137校にもなります。一人でも多くの教職員を望んでいる学校現場からは強い批判の声が上がっており、最低、府の基準以上にするよう求めますが、答弁をいただきたい。 次に、中学校給食の実施についてであります。学校給食法は、その目的の中で、児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ国民の食生活の改善に寄与するものとして、小学校、中学校など義務教育諸学校で給食を実施するよう求めております。全国的には67%の中学校が実施しており、大都市でも仙台、福岡は100%、札幌87%、東京都83%などとなっております。大阪市においても、府は諸学校給食の実施を強く求めております。中学校給食を検討すべきと考えますが、答弁を求めます。 次に、教育委員会の公開や準公選制など民主化の問題であります。東京都中野区では教育委員会の準公選制が11年前から実施され、地域、父母、学校現場と一体となった実践から貴重な大きな成果を上げていることが報告されております。何よりも、準公選制の中で1候補者あたり100回にわたる教育問題をめぐる懇談会が地域で開かれ、活発な意見交換が行われ、単に選挙するかどうか以上に大きな意義を持つものになっております。大阪市でもこういう教訓に学び、教育委員会の準公選制を実施するとともに、会議を公開すること、月1回は傍聴者が発言できるようにすること、さらに、各区に出かけて教育委員会を開催することなどを求めますが、見解を伺いたいのであります。 第三にまちづくりについてであります。周知のように、大阪市の人口は1965年以来、一時期を除いて一貫して減り続けております。しかも、25歳から40歳の若年成長階層ないし中堅層の転出者が多いのであります。こういう傾向が続くのはなぜか。それは、大阪市が大企業のためのまちづくりには熱心なものの、人が住み続ける環境をつくることはおざなりにしてきたことに主な原因があります。例えば今度の予算を見ても、市民の暮らしの向上に役立つ住宅や緑、公園などの建設関係の面でも、安心して子どもを産み、育てるためのソフトの面でも、極めて不十分なものになっているのであります。とりわけ保育所の低年齢層の入所が困難な事態や、空き教室を学童保育にも貸さないという態度をとり続けながら、若年層の脱出を食いとめるなどというのは望むべくもないのであります。この点では、我が党議員団は広島市に児童館の建設状況を視察してまいりましたが、広島市では各小学校に児童館を一つつくる計画で、毎年4館の建設を進め、現在では129校下の53%にあたる68校下に建設して、その中で学童保育を行っております。大阪市と雲泥の差であります。大阪市の児童館建設ストップという方針や、学童保育に空き教室を貸さないという方針は撤回すべきではないですか。答弁を求めます。 こうして市民に冷たくする一方で、大阪市は大企業のための事業である臨海部での開発には血道を上げております。しかも、アジア太平洋トレードセンターを初め衛星通信施設の建設など、すべて大企業の海外進出の受け皿づくりのものではありませんか。事実、大企業の海外進出でいえば、大阪に本社を持つ132の巨大企業だけでも、進出先は70カ国、2,083の子会社にのぼっており、これの受け皿づくりを大阪市が行っているのであります。しかも、これらの大企業は、国内で従業員を減らす一方、海外で従業員をふやす計画を進めるなど、不況のしわ寄せを労働者に押しつけることを行っております。その大企業の言いなりで莫大なお金を出して臨海部の再開発をするというのでありますから、到底認めるわけにはまいりません。しかも、大阪市は今後それを大阪ベイエリア開発の名のもとに大々的に展開する策動を強めております。昨年関西財界主導で成立したいわゆるベイエリア法をテコにして、湾岸部6行政区に240ヘクタールにわたって広がる大企業所有の低利用、未利用地の再開発や新たな大阪湾の埋立てを推進し、企業には規制緩和や税制、金融面での優遇措置を与えようとしているのであります。数十兆円ともいわれるこのビッグプロジェクトによって、大企業はもっぱらその利益を、そして市民は環境破壊と莫大な財政負担のつけを背負わされようとしているのであります。市長、こういうやり方はきっぱりと見直しをして、今こそ市民のための生活環境整備を優先させる方向に転換すべきではありませんか。答弁を求めます。 そこで、市民のためのまちづくりについてお聞きしますが、1点は、緑や公園を飛躍的にふやす問題であります。緑や公園、水をふやすことが、昨今大きな問題となっている大阪のヒートアイランド現象を緩和するのに極めて有力であることはいうまでもありません。いま急いでふやすことが求められているのであります。ところで、現在の大阪市の緑被率はわずかに9.1%、公園の1人当たり面積も2.89平方メートルという状況で、それぞれ全国の政令市の中で最低クラスであります。お隣の神戸市では市街地の緑被率を30%にするという壮大な目標を立て、毎年100万本の植樹計画をもって実施いたしております。公園も、現在1人当たり12.5平方メートルのところを2000年には20平方メートルにし、さらに長期的には30平方メートルを目指して具体的な年次計画を立てて推進しております。この神戸市に比べてあまりにも見劣りがするのであります。市長、私は、目標達成のためにきちんとした年次計画を立てるなど、抜本的にこの取り組みを進めるよう求めるものであります。答弁をいただきたいと思います。 2点目は平野川の浄化についてであります。平野川の汚濁は大変にひどく、暖かくなる時分にヘドロから発生するガスの臭いはとても耐えられるものではありません。それゆえに周辺住民からの苦情も後を絶たないのであります。この汚濁の原因は、第一に市外上流部の下水道未整備にあり、第二には市内南部の汚水が雨天時に下水処理されないまま放流されることにあるのであります。ですから、大阪市の責任は重大であるわけであります。いま大阪府が川底に堆積したヘドロのしゅんせつ工事を始めております。生野区と東成区の境界から上流に向かっておりますが、遅々として進みません。大阪市として府と一体となってこの工事を早く進捗させるべきと考えますが、答弁を求めます。同時に、水そのものをきれいにするために、近くにある平野下水処理場の高度処理した水をこの平野川へ流すよう求めるものであります。明確な答弁をいただきたいのであります。 まちづくりの第三は住宅の問題であります。市民の深刻な住宅事情にこたえるためには、なんといっても市営住宅の建設が不可欠であります。ところが、本市では年々建設戸数を減らしているのであります。その上、民間家賃等の高騰によっていわゆる空き家住宅の発生が大幅に減少しており、いまや市営住宅に当選することは並大抵のことではないのであります。昨年7月の募集では、新築で16.2倍、空き家ではなんと39倍にも達しているのであります。しかも、今回1993年2月の募集戸数はなんとたったの307戸にすぎません。こうした公営住宅建設撤退ともいえる状況のもとで、いわゆる11回落選優遇者が880人も待機する状況になっております。5年以上前から市営住宅に応募し続け、やっと11回に達して優先入居資格者になってからも、なお2年、3年と待っているのであります。これらの人々には直ちに入居を斡旋する責任が市長にはあるのではありませんか。一体市長はこれら市民の切なる願いにどうこたえるおつもりなのか、答弁を願いたいのであります。そして、大阪市の所有する住宅建設可能な土地を全面活用すること、また、大阪市の他の施設建設との合築など、最大限努力して、市営住宅を建設すべきと考えますが、あわせて答弁をお願いいたします。 さらに、淀川左岸線についてお聞きしたいと思います。大阪市と阪神道路公団は、いわゆる淀川左岸線2次計画決定手続きを昨年10月から開始しております。これに対して沿線住民からは、住民と話し合いの間は手続きを進めないとの大阪市の住民への約束を破るものであり、淀川河畔の貴重な自然を破壊し、大気汚染など自動車公害を持ち込むものとの猛烈な反発と反対の声が起きております。市長、まず、住民合意、市民合意の得られない淀川左岸線の計画決定の強行はすべきでないと考えますが、答弁をお願いいたします。また、大阪市が今回提出した環境評価準備書は重要なバックデータが非公開にされ、交通量予想ひとつをとっても、常識から大きくかけ離れた少ないものであり、大気汚染などの環境予測も、新たな公害発生源をつくっても現在よりよくなるという非現実的なものであります。大阪市はこうしたずさんな環境アセスは直ちに撤回すべきだと考えますが、答弁を求めます。 また、公害問題はゆるがせにできないものであります。特に自動車排ガスによる窒素酸化物対策は緊急課題であります。周知のように、現行NOx削減法は、事業所ごとの排出量抑制や特定地域への流入規制など目玉となるべき規制を、関係省庁や自動車業界の抵抗で取り去ったものであり、これによって窒素酸化物を全面的に削減することができないのはいうまでもありません。こういう中で、東京都では独自の自動車走行量規制に踏み切っております。市民の健康を守り、真に快適な都市環境づくりを進めるためにも、本市も独自の自動車走行量規制を実施すべきだと考えますが、答弁を求めます。 第四に、同和事業についてお聞きしたいと思います。24年に及ぶ同和事業によって、一般地域との格差是正、差別解消は大きく前進いたしました。昨年地対財特法が5年間延長されましたが、もとよりこれが最後の立法であることに変わりはありません。この延長を求めた1991年12月の地対協意見具申では、事業の基本的な見直しを行い、真に必要な事業に限定して特別対策を実施するとともに、一般対策への円滑な移行のための仕組みを具体化するよう提言しているのであります。ところが、本予算案では何ら見直しがなされておりません。自動車運転免許取得費用の支給、固定資産税減免、三対策一時金支給など全く従来どおりであります。また、障害センターに6億3,000万円、共同浴場整備に4億円、多数の空き家がある浪速区の工場アパート建設のために7億円、さらには、11万4,000平方メートルもの未利用地がありながら、なお先行取得に30億円も計上しております。また、民間病院である芦原病院の運営助成費として、またぞろ5億8,000万円を計上しているのであります。相変わらずの乱脈ぶりで、同和予算総額はなんと475億円。前年度より34億円もふやされているのであります。市長は一体どこをどう精査したというのでありますか。本予算案を撤回し、全面的な見直しを行うとともに、一般施策への移行のプロセスを具体的に明らかにすべきであります。答弁を求めます。 2点目は、同和行政の目的をどう考えているかであります。言うまでもなく、同和行政とは、一般地域との格差是正のために一般対策を補完してとられている過渡的、特例的な行政措置であり、同和問題解決の条件整備であって、そのすべてを解決するものではありません。しかも、特定の地域の同和地区を指定し、その地域に事業と施策を重点的に実施するところから、部落内外の壁を固定し、身分的分離を強めるという同和問題解決に逆行する側面を本来持っているのであります。したがって、速やかに格差是正を行った後、一般対策に移行させるべき性格のものであります。市長の同和行政の目的と性格についての所見を承りたいのであります。 3点目は、部落解放同盟が要求している部落解放基本法の制定に呼応して、市長は基本的な法が必要であると主張している問題であります。いまや格差は是正され、差別解消は進んでいるのであります。そして、一般施策への移行が叫ばれているこういう時に、基本的な法が必要というのは、全く逆行ではありませんか。しかも、市長は心理的差別というものをどう法律で規制しようというのでありますか。部落解放基本法は同和事業を未来永劫続けさせるもので、解同の利権あさりを永久化するものにほかなりません。部落解放基本法制定実行委員会から離脱すべきであります。答弁を求めます。 4点目に、本市同和事業をゆがめてきた市同促方式の問題であります。市当局は同和関係者を判定、認定してもらうためだと説明してまいりました。しかし、実際はその必要もありませんし、またやられてもおりません。それは1990年5月の地区実態調査で、同和関係者よりはるかに多数の個人給付事業が行われていることからも明らかであります。また、この窓口一本化によって、新築した改良住宅が、解同イコール市同促地区協での調整がつかないといって、1年以上も未入居のまま放置されていることなど、乱脈と不公正の根源になっていることは明らかであります。解放会館を解同の意に添わない団体には貸さないこともそうであります。市民の税金で建てた会館を貸すことも、市の行う事業も、市の主体で行うことができないというおよそ考えられないことがまかり通っているのであります。市同促方式を直ちに廃止し、本市の主体性を確立するよう求めるものであります。市長の明確な答弁を賜りたいのであります。 第五に、清潔で民主的な政治に関連して質問いたします。大阪市では公金詐取事件などの公費乱脈事件、さらに土地対策室の主幹が暴力団関係の不動産会社社長からゴルフや飲食の接待を受けたり、土地対策室主査がコンピューター業者の選定で汚職する等の官民癒着事件、地下鉄交通料金の横領事件、西尾市長ら幹部職員の公的住宅の不法所有事件等々、大阪市では腐敗事件は何でも揃っているという状況であります。市長はさきの土地対策室の汚職事件や同じく暴力団関係業者と市幹部の癒着をどのように受けとめ、市民にどう説明するのか、まず見解を伺いたいのであります。 ところで、大阪市でなぜ不祥事が相つぐのか。それは、大阪市では自社公民オール与党体制が全国に先駆けてつくられ、以後、理事者と与党議員、そして与党自社公民各党議員がなれあい、議会と理事者の緊張関係がゆるんでしまっているところに大きな原因があります。一連の不祥事では何よりも真相の解明、そしてそれに続く再発防止策の確立が必要でありますが、自社公民4党は真相解明を徹底して妨害してきたのであります。公費乱脈事件等の真相解明のための調査特別委員会の設置を6回否決、関係資料の提出を求める決議を3回否決し、さらには、我が党議員団の委員会での質問をまた3回封殺いたしております。まさに議会本来のチェック機能を果たすことを徹底して妨害し、結局不正腐敗の温存に加担しているのであります。議会と理事者のチェック・アンド・バランスを回復し、緊張ある関係を築くべきだと考えますが、市長の見解を求めます。 次に、清潔で民主的な市政にするために、すぐできることを行うことであります。この点では、私は、現在の公文書公開条例を抜本的に改正し、市政をガラス張りにすることが何よりも大事だと考えます。この立場から我が党は先日その改正案を市長にお示しし、市長提案で改正するよう申し入れたところであります。この条例改正案の内容でありますが、まず第一に、条例の目的に憲法の基本的権利としての知る権利を保障することを明記し、市民が知りたいことを真に公開するものにするというふうにしております。そして、これまで対象外にされていた議会の情報や公費飲食の関係資料も公開できるように改正することにいたしております。これまでの公文書公開条例の運用状況を見ると、市民が知りたい公金詐取事件関係の食糧費の支出命令書や支出決議書は、公費で飲食した個人が特定されるとか、飲食店に迷惑がかかるなどを理由にして、すべて非公開にされており、大阪市の公開条例は非公開のための条例になっていると断ぜざるをえないのであります。市民が自民党の床田健三議員や天野一議員、太田勝義議員、舟戸良裕議員らの高級クラブや料亭での公費飲食代金の支出命令書など関係資料の公開を求めたのに、大阪市は拒否し続けていることを見れば明らかであります。こうして今の公文書公開条例は結局市民が知りたいことを闇から闇に葬るついたての役割を果たしているのであります。市民から批判の声が上がるのは当然ではありませんか。また、我が党の条例改正案では、議会も公開の対象に加えており、市民の知る権利を保障する立場に立つなら、議会だけを特別扱いする理由は全くないのであります。こうした改正案を市長として提案すべきだと考えますが、見解を伺いたいのであります。 最後に、佐川暴力団疑惑に関連して2点お聞きいたします。1点は、この疑惑は首相の誕生に暴力団が関与したという性質の点でも、250人にものぼる政治家に総額980億円の黒い金が渡ったといわれる点でも、史上最悪の金権・腐敗事件といえますが、これらに対する市長の認識をまずお聞きしたいのであります。また、国会では真相解明のための金丸前自民党副総裁喚問をするかどうかが論議になっておりますが、これについての見解もあわせてお聞きしたいのであります。 2点目は、金丸前副総裁の逮捕は企業・団体献金の禁止が待ったなしの課題になっていることを改めて証明いたしましたが、市長として企業・団体献金禁止に向けて努力するかどうかを伺いたいのであります。そして、西尾市長の四つの政治団体の献金は99.1%が企業・団体献金になっております。市長がきっぱりこれをやめることや、四つの政治団体が集めた1億5,416万円のうち献金者がわかっているのはわずかに1,000万円という不透明な状態は即刻なくすよう要求しますが、答弁をお願いしたいのであります。 以上、主な問題点に絞って質問いたしましたが、答弁のいかんによっては再質問することを申し添えて、質問といたします。 ○議長(北山篤君) 理事者の答弁を許します。 西尾市長。     (市長西尾正也君登壇) ◎市長(西尾正也君) ただいまの下田議員の御質問に対してお答え申し上げます。主な質問点に絞ってということでございましたが、実に27項目について御質問がございました。お答えを申し上げたいと思います。 まず不況対策でございますが、景気は依然低迷を続けております。市内中小企業の経営状況はまことに厳しいものがあると認識いたしております。そのため、本市では、厳しい財政事情の中ではありますが、大阪経済を支えております中小企業の経営安定を図るために、積極的に予算編成に取り組んだところでございます。先ほど仰せの中小企業融資の問題でございますが、目標額を3,000億から4,000億円に拡大いたしますとともに、利率の引き下げ、また昨年10月に創設いたしました緊急支援融資を受け継ぐ中小企業経営支援特別融資を実施いたしまして、売り上げの減少や資金繰りなどに苦しむ中小企業を支援してまいりたいと考えているところでございます。また、その他の融資制度につきましても、一般事業資金や中小企業事業資金などの無担保限度額の引き上げを初め、貸付期間の延長、連鎖倒産を防ぐための倒産関連中小企業融資の認定要件の緩和など、きめ細かい改善を図ることといたしておりまして、大変信頼され、喜ばれているところでございます。このほか、地域の商店街・小売市場の共同施設に対する助成制度の拡充や相談、指導事業の充実など、経済情勢の変化に対応できる足腰の強い中小企業をつくるため、中小企業の経営基盤の強化、体質強化にかかる施策につきましても充実を図ってまいることといたしております。今後とも市内の中小企業の動向を十分把握しながら、そのニーズにあわせた対策を講じてまいる所存でございます。 次に、公共事業における中小企業への発注率についての御質問でございますが、従来より工事請負等の発注に際し、中小企業者の受注機会が増大するよう、種々努力しているところでございます。また、市民生活に密着した公共事業につきましては、5年度予算におきましても、ゆずり葉の道や照明灯の設置など生活道路の整備や、チャイム付時計を備えた総合遊具の設置など市民に身近な公園の整備を初め、ケア付住宅など市営住宅の建設、浸水対策のための下水道整備などを積極的に進めることといたしております。今後とも公共事業の発注にあたりましては、可能な限り分離・分割を行うなど、中小企業向け発注の増大に努めてまいりたいと考えております。 次に、中小企業の製品の不当な返品の防止についてでございますが、本市におきましては、下請企業振興の重要性に鑑み、昭和53年から中小企業指導センター内に下請情報室を設置いたしまして、下請取引相談、下請情報の提供を行ってきているところであります。また、親企業を対象に、下請取引の適正化について要請を行い、周知徹底を図っております。今後ともさらに府、国との連携を図りながら、指導、啓発に努めてまいりたいと考えております。 次に、商工行政のあり方の問題でございますが、制度的には商工行政は国や府県の事務とされている分野が多いことは事実であります。しかしながら、中小企業は、市内に27万事業所がありますが、その99%を占めております。また、就業人口の約8割が中小企業の就業者でございまして、市民の暮らしにも密接な課題でございますので、市政の最重点課題の一つとして常々中小企業の振興、発展に積極的に取り組んでまいっているところでございます。特に現在景気の低迷が続く中にありまして、中小企業の経営安定対策の充実や公共事業の積極的推進などの景気対策はもとよりでありますが、中小企業の体質強化、都市型産業の育成、経済活性化のための基盤的施設の整備など中小企業の振興のために、中小企業対策本部のもと、全庁あげて総合的な対策に取り組んでおり、本年度も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、使用料等の改定の問題でございますが、受益者負担の観点から市民相互間の負担の公平を図りますため、従来から国や府の基準等により改定しているものにつきましてはその基準に合わせますとともに、施設使用料等につきましては、物価の動向や他都市の状況を勘案しながら改定を行うことといたしております。 また、交通・水道両事業につきましては、社会情勢の変化に伴う厳しい経営環境のもとで、企業財政の悪化は放置できない状況にありますため、公営企業審議会答申の趣旨を尊重いたしまして、徹底した経営の効率化、サービスの向上等に努めつつ、料金の改定をお願いすることといたしたところでございます。 地下鉄事業に対する公共負担制度でございますが、地下鉄事業では新線建設やサービス改善などに多額の資金を要し、この資金の大部分を企業債でまかなっておりますため、支払利息や減価償却費が増加し、経営を圧迫する大きな要因となっております。平成3年度決算では215億円の赤字となっております。また、平成3年度までの累積欠損金も1,187億円の巨額にのぼっているわけでございます。このため、国に対し補助制度の改善について強い要望を、議会と御一緒に続けてまいったところでございますが、平成3年度におきまして、地下鉄の建設補助制度が従来の運営費補助から資本費補助に変更されるとともに、補助金総額の拡充が図られることになり、平成4年度では一括交付方式が実現するなど、若干の改善を見たところでございます。私ども、公共負担といいますか、国の補助制度の拡充に向けては、これからもさらに精力的に取り組んでまいらなければならん課題であると思っておりますが、現下の経営状況に鑑みまして、料金改定については避けて通れない問題であるというように考えております。 それから、水道料金に対するお尋ねでございますが、本市の逓増制料金は、高度経済成長に伴う水需要の急激な増大に対処いたしまして、原因者である多量使用者に負担の増を求めてまいりました。しかしながら、水需要は安定経済成長への移行に伴ないまして、若干減少傾向となっており、その需要構造は、生活用水を中心とする少量需要の増と産業用水を中心とする多量需要の減という状況の中で、収益を安定的に確保し、負担の公平を図るため、逓増制の若干の緩和をいたしたいと考えたところでございます。 次に、琵琶湖開発事業でございますが、本市が将来にわたり水需要をまかなえる水利権を確保するために参画したものでありまして、この負担金は既に交付済みの国庫補助金を除いた事業費を一般会計からの財政援助も財源の一部に充てまして、水資源開発公団へ償還してまいらなければならん、こういうものでございます。なお、水道事業は水道法によって運営されております。水源水質の保全については、これを強化すべく、国においても現在取り組みが進んでいるところであり、私どもといたしましてもその推進を要請いたしているところでございます。 次に、最近の福祉を取り巻く状況についてでありますが、身近なところで安心して必要な福祉が受けられることが望ましいという観点から、住民に身近な市町村が在宅福祉サービスと施設福祉サービスをきめ細かく一元的かつ計画的に提供できる体制づくりが進められるようにということで、国が平成2年6月、社会福祉関係8法の改正を行ったということでございます。国の行政と地方の行政とはいわば車の両輪として行われるものでありますが、なによりもまず住民の理解と協力を得て行われることが非常に重要なことだと考えております。今後社会の高齢化が進む中で、住民の皆さんの多種多様なニーズにこたえるためには、相応の負担も必要であると考えております。地方分権、顔の見える福祉の実現を期しながら、国の財源構造についても今後十分配慮されるように議論、検討し、また要望もしてまいる必要があると考えております。いずれにいたしましても、真に必要な施策についてさらに充実を図ることによりまして、市民の信託にこたえる福祉行政の推進を図ってまいらなければならないと考えております。 次に、老人の医療問題でございますが、人口の高齢化、医学・医術の進歩等に対応いたしまして、患者が病態に応じて適切な医療が受けられるようにということで、国において昨年7月に医療法の一部が改正されたところでございまして、本年の4月から施行の予定でございます。その改正の要点は、高度医療を必要とする患者の診療にあたる特定機能病院と、もう一つは、病状の安定した老人等中長期の入院患者に適切な医療を提供する療養型病床群の設置など、医療施設機能の体系化を図ろうとするものでございます。私ども本市といたしましても、その推移を見守りながら、市民本位の医療制度の確立が実現できるように取り組んでまいりたいと思っているところでございます。 なお、市民病院で患者さんの入退院の決定は、これは医師の判断により行っておりまして、継続した治療が必要であると判断した場合は治療に専念していただけるように、3カ月やから退院してくださいというようなことはないわけでございます。 次に、特別養護老人ホームの整備につきましては、在宅での介護を受けられない高齢者のための施設として、平成元年度から第2次5カ年計画に取り組み、鋭意推進を図ってまいったところでございます。平成元年度から4年度までに既に目標を上回る1,160床の整備を進めてまいりましたが、さらに5年度におきましては7カ所、670床の整備に着手するということで1,000床の計画を大幅に上回る1,830床を確保してまいれることになってまいっておりますが、しかしまだまだ必要でございます。今後とも強力に推進してまいりたいと思っております。その整備のために必要な用地や財源の確保など課題もございますが、複合的な施設も含め、計画的な整備に努めてまいりたいと思っております。 次に、寝たきり老人の介護の問題につきましては、介護のために何が最も必要かという観点から適切な施策を進めることが大切であろうと思っております。その目的や効果などを慎重に見極めてまいらなければならんと思っておりますが、5年度におきましても、ホームヘルパーを初めショートステイやデイサービス、さらには入浴サービスや日常生活用具給付事業などの在宅福祉の一層の充実を図るということで、実質的な介護の充実を図ってまいりまして、高齢者や御家族の方々を支援してまいりたいと考えているところでございます。 家賃補助制度でございますが、高齢者世帯を対象にした市営住宅の別枠募集やケア付住宅の整備を行ったり、また、5年度からは軽費老人ホームの新しいいタイプでありますケアハウスの整備にも取り組んでまいりたいと考えております。それから、民間住宅の家賃補助制度につきましては、高齢者の居住実態も多様化しておりまして、公平性の確保などむずかしい点も多いわけでございます。慎重に研究してまいりたいと考えておりますが、実質的なおとしよりの居住対策をこれからもさらに充実してまいりたいと考えております。 敬老優待乗車証につきましては、昭和47年の11月に全国の都市に先駆けて大阪市で実施したわけでございますが、長年大阪のまちをつくり、支えてきていただいた先輩の皆さんに感謝の意を表したいということで、70歳以上の方々を対象に実施した制度でございます。 次に、去る1月14日に精神薄弱者更生施設「第一博愛」で生じました事故につきましては、社会福祉法人が国の定める基準を上回る職員を配置いたしまして、その施設の職員一同全力をあげて介護、運営に努めている中で発生したわけでございまして、まことに、なんと申し上げますか、私どもも遺憾であり、残念であり、またお気の毒に思っております。今後とも入所者の生命と人権を尊重することを第一にいたしまして、精神薄弱者援護施設の指導、監督を所管しております大阪府と密接な連携をはかりながら、入所者処遇の指導を行ってまいる所存でおります。 また、社会福祉施設職員の配置や給与・福利厚生などの処遇にかかる措置費の改善につきましては、かねてから国に対しまして所要の十分な措置を講じられるよう要望いたしております。さらに、民間施設職員の処遇改善につきまして、具体的な数字をあげて、格差があるという御指摘でございました。昭和48年から本市独自の民間社会福祉施設の給与改善制度を実施し、その拡充にも努めてまいっておりますし、海外研修その他福利の面でもできるだけお手伝いをさせていただいているところでございます。今後ともこの充実についてはいつも頭においてまいりたいと思っております。 乳幼児医療費の助成事業についてでございますが、核家族化の進行、女性の社会進出、出生率の低下など、児童を取りまく環境が大きく変化している中にありまして、若い世代が安心して子どもを産み、育てられる環境をつくることは市政にとって大変重要な課題であると考えております。21世紀の担い手である子どもたちをすこやかに育てるための子育て支援策の一環といたしまして、平成5年度から6歳以下の就学前児童を対象に乳幼児医療費助成を実施いたしたいと考えているところでございます。ゼロ歳児につきましては入通院医療費を、1歳から6歳以下の就学前児童については入院医療費を助成し、また、所得制限については児童手当法の特例給付基準に準拠いたしたいと考えております。全国的にも相当進んだ水準ではないかと考えております。 次に、障害者福祉作業センターにつきましては、就労が困難な障害者の方々の社会参加の場としての役割に鑑みまして、鋭意助成の充実を図ってきたところでありますが、重度障害者の方々の処遇がより一層充実し、円滑な運営が図れますよう、平成5年度には重度加算の大幅な増額と対象者の拡大を行うことといたしております。また、家賃補助につきましては、従来から運営費助成の中で対応してまいっているところでございます。また、市有地の貸与につきましては、それぞれの利用目的がございます。むずかしい面もございますが、事情が許しますれば、配慮してまいりたいと考えております。 新学習指導要領、それから35人学級の具体化、中学校給食の実施については、これは教育委員会の所管でございますので、後刻、教育委員会からお答え申し上げます。 教育委員のいわゆる準公選についてでございますが、ご承知のとおり、教育委員の選任につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律におきまして、当該公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学識及び文化に関し識見を有する者のうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命するということになっております。教育委員の準公選につきましては、文部省より、地方公共団体の長の専属的な権限である教育委員候補者の選定権の行使について、条例によって制約を加えるという点で、違法な内容を持つものである、また、教育委員の選任について住民の投票を実施するということは、教育行政の政治的中立性の点で極めて問題があり、法律の趣旨に反するものであるという見解が示されているところでございます。本市といたしましても、この見解が妥当なものであると考えております。 教育委員会の会議の公開の問題につきましては、後刻、教育委員会からお答え申し上げます。 次に、まちづくりの問題でございますが、大阪市におきましては総合計画21に基づきまして、これは議会の御議決も経て決めたわけでございますが、「世界に貢献するまち」とともに「人間主体のまち」の実現を目指し、だれもが安心して快適に住めるまちづくりを進めているところでございます。このような観点から、子育て世代が安心して子どもを育てることができる環境づくりは非常に大切な課題であると考えております。このために、児童館の運営や地域の子どもたちの遊び場、活動拠点としての役割を担う子どもの家事業を実施いたしますとともに、平成4年度より学校施設を利用して児童のいきいき活動育成事業を開始いたしたところでございます。また、保育所についても、出生児数や保育需要の動向などを勘案しながら、低年齢児枠の拡大やバラエティに富んだ保育ニーズにこたえられるような整備に努めているところでございます。今後これらの施策の充実に努めますとともに、新たな子育て支援サービスの検討も進めてまいりたいと考えております。 なお、学校の校舎開放利用につきましては、学校を教育以外の目的で長期にわたり提供することとなります。種々の問題が予想されるところでございますが、地域の社会福祉協議会などの公的な団体が実施主体となる場合には、関係局で協議を行うことといたしております。 これまでも市民本位のまちづくりに努めてまいったところであり、今後とも市民の期待と信頼にこたえられる市政の推進に誠心誠意取り組んでまいりたいと考えております。 次に、公園と緑についてでございますが、確かに御指摘のように緑被率は低いわけでございます。大阪の場合は10%に足りませんが、京都、神戸は、六甲山でありますとか、東山というような自然の生えた木がいっぱいあるわけでございますが、大阪は全部植えた木でございまして、苦労しながら今日まで植えに植えてきたわけでございます。ですから、そういう自然の緑被率の多いところとはなかなか一緒にはならんわけでございますが、しかし、市民生活を守るという点からも、一生懸命にこれからも植えに植え続けてまいりたいと考えております。平成3年度末には市民1人当たりの公園面積は3.01平方メートル、公園、街路、外苑樹の樹木本数は706万本でございまして、20年前に比べまして、それぞれ約2倍、約5倍ということになっております。また、公園につきまして、平成3年度を初年度とする都市公園等整備5カ年計画を基本にいたしまして、身近な公園や大公園の整備を今後とも強力に進めてまいりたいと考えております。 次に、平野川の悪臭対策でございますが、悪臭発生の主な原因といたしましては、上流域の下水道整備が遅れていることが第一でございます。それから、潮の干満の影響を受けて流れが停滞するというようなことが原因であると考えられます。この問題につきましては、平野川の管理者である大阪府が中心になりまして、上流域の都市及び大阪市の関係者が相寄り、対策連絡会を設けて検討を行っているところでございます。これによりますと、悪臭の防止対策並びに浄化対策といたしましては、まず上流域の下水道の整備の促進と河川のしゅんせつと河川浄化施設の設置、そして、私どもの平野下水処理場の浄化水の導入などが必要であろうと考えられるわけでございます。今後ともこの連絡会において大阪府、上流都市ともども協力いたしまして、これら必要な方策、有効な方策について推進できるように、協議、検討してまいりたいと考えております。 次に、公営住宅の建設でございますが、市営住宅の建設につきましては、かねてから本市の重要な住宅施策の一つとして取り組んでまいりました。現在その管理戸数は約9万8,000戸でございまして、総戸数に対する割合では指定都市中でも最も高いほうでございます。御承知のように、市域のほとんどが、先ほど申し上げましたように、市街化した本市でございます。用地事情が非常に厳しく、住宅建設に適した新規の用地取得が非常に困難な状況でございます。したがいまして、現在のところ、木造の市営住宅また簡易耐火住宅の建替事業を中心に、戸数もふやす、環境も整備するということで取り組んでまいったわけでございますが、これに加えまして、平成3年度から鉄筋コンクリート住宅につきましても、若干老朽化したものについては建替えの対象として着手いたしまして、あわせてリロケーション住宅の建設も進めてまいっているところでございます。今後とも市民の居住水準の向上を図り、良好な住環境の整備を推進するために、まずは建替事業に積極的に取り組み、また土地の高度利用も図りながら、公営住宅を初め多様な住宅を組み合わせて、供給の増に努めてまいりたいと考えているところでございます。 淀川左岸線の第2期計画についてでございますが、淀川左岸線は都心北部地域を大阪湾岸線から新御堂筋までほぼ東西に結ぶ延長約10キロの自動車専用道路でございまして、都心北部地域の交通混雑の緩和や交通利便性の向上に必要な非常に重要な路線でございます。大阪市といたしましても、ぜひとも早期に整備する必要がある路線であると考えております。今回の第2期計画では、大阪西宮線から新御堂筋までの約4.3キロの計画でございまして、環境への影響について環境影響評価準備書案を作成いたしまして、現在大阪市環境影響評価専門委員会において御審議をいただいております。また、これと並行して準備書案の閲覧や地元説明会の開催を行い、広く住民の皆様から御意見もいただき、専門委員会へ報告し、その意見の反映に努めているところでございます。今後とも都市計画の手続きを進めてまいります中で、住民の皆さんの御理解をいただけるように最大の努力をして取り組んでまいりたいと考えております。 次に、自動車の窒素酸化物対策についてでありますが、本市では自動車公害防止計画に基づき、自動車の排出ガス規制の強化、自動車交通総量の抑制、低公害車の普及促進などの諸対策を推進しております。今般施行されました自動車窒素酸化物総量削減法には、使用車種規制や自動車の合理的使用の指導等が盛り込まれております。また、都府県ごとに窒素酸化物の総量削減計画を策定することとなっておりますので、本市といたしましては、効果的な自動車窒素酸化物対策が盛り込まれますように、大阪府や関係機関とともに取り組んでまいりたいと考えております。また、本市では、他都市に先駆けまして、低公害車の導入助成や普及拡大に鋭意取り組んでまいっております。また、軽油とガソリンの価格差の縮小によるディーゼル化抑制策の強化もいち早く国に働きかけてまいっているところでございます。今後とも事業者や市民の皆様方の積極的な御協力を得て、自動車から排出される窒素酸化物の削減に努めてまいります。 次に、同和問題についてでございますが、もう何度も申し上げていることでございまして、同和問題は憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題であります。その早急な解決は行政の責務であり、国民的課題であります。この認識のもとに、本市におきましては、同和地区の生活環境の改善を進めるとともに、地区住民の自覚・自立を促進し、また、差別意識を解消するための諸条件の整備を図るために、同和行政を市政の重要な柱としてこれまで鋭意推進してまいりました。その結果、相当の成果を上げてまいりましたが、なお大規模地区を中心とした住環境整備を初め、教育、就労、啓発など行政の諸分野で重要な課題が残されているところであります。このような状況のもとで、国においては昨年、地対財特法の有効期限が5年間延長されたところでございます。また、本市におきましても、昨年3月、大阪市同和対策推進協議会から同和行政のあり方について意見具申をいただいたところであります。私どもといたしましては同和問題の一日も早い解決のために真に必要な施策を今後とも実施してまいる所存でございますが、その推進にあたりましては、最終の特別法である地対財特法の延長の趣旨及び市同推協の意見具申を尊重して、市会の御意向を体しまして、国、府の動向も勘案しながら、施策全般にわたって精査検討の上、見直すべきは見直し、一般対策での対応も含めまして、市民の理解と協力を得ながら、適切かつ効果的に実施してまいりたいと考えております。 部落解放基本法制定要求国民運動大阪実行委員会への参画につきましては、昭和60年7月19日の大阪府市長会の一員として参画してまいったところでございます。 それから、市同促協方式につきましては、これは同和対策事業を実施いたしました昭和28年以来、対象者を的確に判断し、地区の実情に即して事業を進めるため、大阪市同和事業促進協議会及び各地区協議会の協力を得て事業を実施するということで今日にいたったものでございまして、この方式につきましては、今日においても現実的かつ効果的な施策である、方法であると考えております。 次に、計画局の土地対策室の職員が国土法の届け出業者と飲食などをともにしたということ、並びに元大阪府職員が土地対策室に在職中、電算処理関係の業務委託契約に関して収賄容疑で逮捕、起訴されたことについてでございますが、常々、清潔で市民に信頼される市政を心がけてきておりました中でのことでありまして、まことに遺憾に存じております。今後職員1人1人が厳正かつ公正な態度で職務に精励し、二度とこのようなことを起こさないために、職員の服務規律の確保の徹底を図りますとともに、職場の管理体制の確立を図りまして、市民の皆さんから市政に対する信頼の向上に努めてまいりたいと考えております。 それから、市政のあり方についてのお尋ねでございますが、市政は議決機関、意志決定機関としての議会と、私どもは執行機関でございますが、執行機関としての私どもがいわば車の両輪でございます。適度な緊張関係を保ちながら、また十分な意思の疎通も図りながら、市政、施策を進めていくことが何よりも大切であると認識いたしておりまして、常々お答え申し上げているところでございます。私はこういう観点から一党一派に偏するというようには考えておりませんで、常に市民の立場に立って、職員1人1人が厳正かつ公正な態度で職務に精励する清潔で市民に信頼される市政の実現、運営に努めてまいりたいと考えております。 次に、公文書公開条例の問題でありますが、公文書公開制度は、市民の市政参加を推進するとともに、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図ることを目的としておりまして、公文書の公開を請求する権利は、公文書公開条例により具体的に規定し、保障いたしているところでございます。市が保有する公文書は原則として公開請求の対象とされるところでありますが、事務事業の公正もしくは円滑な執行に支障が生ずるものや、公正かつ適切な意思形成の確保に支障が生じると認められるもの、また個人に関する情報などにつきましては、適用除外事項として定められております。御指摘の食糧費の支出命令書等は、条例上、公開になじまないものとして、非公開とされております。また、議会の情報の公開につきましては、情報公開懇談会におきまして除外されております。議会が御判断されるべきものであるというような考え方でございます。今後とも条例の趣旨を踏まえまして、より一層適切な運用に努めてまいりたいと考えております。 最後に、東京佐川急便事件等の徹底解明、また企業・団体献金の禁止についてのお尋ねでございました。具体的には金丸氏らの証人喚問の問題をおっしゃっているわけでございますが、これは私は国会においてお決めになることであると思っております。また、企業・団体等の献金禁止の問題につきましては、これも同じ御質問がございまして、お答えを申し上げたところでございますが、昨年の11月の11日の市会本会議におきまして、全会派一致で、企業・団体献金の禁止など政治腐敗防止対策の早期確立を求める意見書が議決されておりました。これは議会の御意向でもございますが、私も全く同感であり、そうあるべきであると考えているところでございます。 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○議長(北山篤君) 福岡教育長。     (教育長福岡康司君登壇) ◎教育長(福岡康司君) 教育委員会の関係についてお答え申し上げます。 新学習指導要領についてでございますが、その改定の趣旨は、社会の変化にみずから主体的に対応し、心豊かにたくましく生きる人間の育成を図ることを基本的なねらいとし、児童・生徒の学ぶ意欲を高め、みずから考え、判断し、行動するために必要な資質や能力を身につけさせることを目指しております。そのために、各校園において基礎的・基本的な内容を大切にし、体験的な学習の重視や個性を生かした指導などを行い、児童、生徒1人1人に正しく豊かな学校生活をおくらせ、勉強についていけない勉強嫌いの子どもをつくらないように、教育活動の充実を図っていきたいと考えております。そういうことでございますので、新学習指導要領の撤回を国に求めることは考えておりません。 小中学校における35人学級編成の具体化並びに教職員の配置についてでございますが、学級編成につきましては、公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて定められているものでございます。本市におきましては、昭和63年度に全小中学校で40人学級を実施いたしました。35人学級への引き下げについては、文部省における平成5年度から平成10年度までの第6次教職員配置改善計画では実施せず、臨教審答申等の趣旨を踏まえての個に応じた多様な教育を展開することができる教職員配置が目標とされております。私どもといたしましては、今後とも国の動向を見守ってまいりたいと考えております。 なお、教職員の定数につきましては、府の積算基準により、大阪府教育委員会から校種別の教職員総数の配当を受けております。本市の教職員の配置につきましては、各学校の実情実態や市全体の状況などを勘案し、より一層の教育効果が上がるよう配置いたしているところでございます。教育委員会といたしましては、今後とも適正な教職員配置に努めてまいりたいと考えております。 中学校給食についてでございますが、中学生ともなりますと、心身ともに急激に成長するとともに、個人差が著しく出てまいりまして、小学生に比べますと、どちらかといいますと集団給食になじみにくいといった面がございまして、他の指定都市におきましては、中学校給食を実施しているところもしていないところもございます。また、仮に実施するとすれば、施設・設備の整備や職員の配置など解決すべき課題も多く、現段階では全市的に中学校において学校給食を実施するということは考えておりません。 教育委員会の会議の公開についてでございますが、合議制の執行機関であります教育委員会は、会議によって教育に関する基本方針を決定しているところでございます。議員御指摘の点につきましては、人事案件など公開になじみにくいものもございますが、教育行政に対する市民の理解と信頼の確保を図る上で、市民の皆様方に教育委員会議の内容について御理解いただくことは大切なことだと考えております。これまでも大阪市公文書公開条例に基づく会議録などの公開、報道機関への資料提供等を通じ、市民の皆様方にその内容を御理解いただいているところでございます。会議の公開につきましては、教育委員会といたしましても検討いたしておりますが、結論を得るにはいったっておりません。今後ともいろいろ調査研究し、検討を重ねてまいりたいと考えております。 ○議長(北山篤君) 29番下田敏人君。     (29番下田敏人君登壇) ◆29番(下田敏人君) ただいまの市長の答弁は極めて遺憾に思いますが、時間の制約もありますので、私は3点に絞って再質問したいと思います。 第1点は料金値上げの問題であります。中でも交通・水道料金の値上げであります。私ども日本共産党市会議員団では、市民の皆さんにこの問題でのアンケートをお願いいたしております。はがき形式にいたしまして、ターミナルなどでお配りし、いま続々とその返事が返ってきております。その中の幾つかを拾ってみたいと思うのでありますが、「ともかく年金暮らしの私どもにとっては交通・水道料金値上げは困ります。やめてください」「市民の中には市長や議員よりずっと低所得者もいることを考えていただきたい」「いつも値上げするたびにサービスしますといっておきながら、全然改善されない。いまだ御堂筋線は超満員。なにが赤字だ。嘘をつくのもいい加減にしろ」、こういう怒りの声もあります。こんな不況の時に値上げなどすべきではありません。各物価に影響するではありませんか」こんなふうにたくさんの意見が寄せられているのであります。総じて、この深刻な不況な時に公共料金などの値上げはけしからん、しないでほしい、控えてほしい、これが地方自治体のとるべき姿ではありませんかと、こういう声なんです。私は、市長はこういう市民の声に真摯に耳を傾けるべきだと、こう思うんです。 特に地下鉄は、先ほど私が指摘いたしましたように、赤字ではありません。市長はやっぱり215億円赤字なんてなことをいっておりましたけれども、一般会計補助金等を資本勘定に繰り入れたもの、それから、特例債元金償還補助金というのは本来損益勘定に入れなきゃならないものであります。そういうものを勘案すれば黒字になるということを、先ほど私は数字を示して市長に申し上げました。ちゃんと答えてもらわなきゃ困ると思うんです。その上、地下鉄は90年度から基金としてためこみを始めているじゃありませんか。92年度末で170億円にも達するのであります。また、我孫子車庫跡地で利用できる土地が7万5,000平方メートル。金額にして600億円相当を所有しております。さらには、関電株を1,530万株持っております。376億円に相当するといわれております。こういうことを考えれば、値上げの必要性は全く見当たらないのであります。市民がこれほど値上げをやめてほしいといっているのであります。私は撤回するように重ねて主張いたします。明確にひとつ答弁を願いたいと思います。 二つ目の問題は高齢者問題であります。一つは、先ほど市長は、病院から3カ月で出ていくなんてことはあり得ないと、こう言われました。あまりにも市長は実態を知らなさすぎると私は思うんです。そういうことがいっぱい起きて、いまおとしよりの皆さんがたらい回しされているじゃありませんか。そういう市長の認識では困るということを申し上げたいと思います。 二つ目は、敬老優待パスについて、70歳からやっていることは百も承知であります。私はそれを65歳からにしなさい、すべきだと、こういうことを申し上げているにもかかわらず、市長は答弁がありませんでした。明確になぜ65歳からやらないのか、やれないのか、答えていただきたい。バスの経営改善にもつながるので、ぜひ実施してほしいと、こう申し上げているわけです。ちゃんと答えていただきたいと思います。 三つ目は特養の問題であります。いま1,638名の待機者がいるわけです。これはどんどんふえる傾向にあります。いままでは半年ぐらい待てば大体入所できたわけです。このごろは1年半も2年も待たなければ特養に入れない。これが実態じゃありませんか。これでは全く意味をなしません。先ほど市長は、計画を上回ってベッドをふやしたと得々とおっしゃいましたけれども、しかし、それでも65歳以上人口あたりのベッド数で見ると、全国13大都市中12位じゃありませんか。なにもいばれるような状況じゃありません。恥ずかしい状況なんです。さらに特養の建設に向かって飛躍的に事業を進める努力を重ねてもらわなければならない、このように思います。特別の手当てを講じられるように強く求めるものであります。答弁をお願いしたいと思います。 第3点は同和事業についてであります。先ほど、真に必要な事業をこれからも続けるといわれました。しかし、市長、24年間も事業をやってまりいまして、実に9,000億円という巨費が投じられてきたわけです。一般地域にもない青少年会館や障害者センターなど超デラックスなものが次々建設されてきました。土地もどんどん買収いたしまして、11万4,000平方メートル、なんと3万5,000坪にも及ぶものがいまもって事業に使われていないじゃありませんか。これからこの事業をなんとか考えるとか、答弁が午前中にありましたけれども、そんなていたらくじゃありませんか。莫大な金額になるでしょう。その上、同和市営住宅は900戸も空き家があります。新築して一度も入居されていない改良住宅が21戸もあるじゃありませんか。これ以上同和事業を続ける必要は全くないと私たちは主張したいのであります。そうして、これからのことは一般施策でできるものであります。市長も言われましたけれども、同和問題の解決には一般地域との自由な社会的交流が必要でありますし、地区住民の自立も不可欠であります。行き過ぎた施策というものはそのいずれをも阻害するものであります。つまり大阪市の同和事業を続ければ続けるほど同和問題の解決が遅れるということを思い知るべきなのであります。私は全面的な事業の見直しと一般施策への移行を図られるように強く求めます。はっきりと答弁をお願いいたしたいと思います。以上、再質問といたします。 ○議長(北山篤君) 西尾市長。     (市長西尾正也君登壇) ◎市長(西尾正也君) 懇切にお答えを申し上げたつもりでございますが、重ねての御質問でございますので、御指摘の3点につきまして答弁を申し上げたいと思います。 交通・水道料金でございますが、これにつきましては、私ども、慎重に経営改善方策についてその方策を探ってまいりました。本年の1月25日に大阪市公営企業審議会から御答申をいただいたところでございます。まず自助努力、効率化、サービス改善、公共助成の拡充に努めながら、なお受益者の御負担にお願いすべきということで今回の御提案をさせていただいたところでございます。それから、地下鉄等につきましては、御堂筋線、大変混雑しているじゃないかという話でございますが、7号線まで全体をネットとして市民の公共的な足ということで機能いたしているわけでございます。御堂筋線は確かに混雑しておりますが、この混雑の改善も図っていかなければならん課題でありまして、他の6路線はほとんど経常欠損でございますので、全体としての運営収支を図ってまいらなければならんと。しかも、相当額、税金で繰り入れをいたしているわけでございますが、地下鉄につきまして申し上げますと、7割が市外からの乗客ということでございまして、負担の公平という点から考えましても、どこまで市民の税金でということにもなるわけでございます。 それから、赤字でないということでございますが、平成3年度で単年度215億、それから3年度末の累積欠損金1,187億は厳然たる事実でございまして、私ども、放置することはできないということでお願い申し上げるものでございます。おとしより、低所得者につきましては別途、福祉の措置といたしまして考えてまいるべき問題である、こういうように考えているところでございます。 それから、高齢者の問題でございますが、まず病院のあり方の問題でございます。市立病院の医師はもちろんでございますが、医療の継続が必要と医師が判断したものについては、人道的な立場からも医療の継続が行われているものと私どもは信じているわけでございまして、少なくとも市立病院についてさようなことはないわけでございます。ただ、医療法が改正されまして、高機能の医療の給付と療養型の医療給付と機能の分担を考えてまいることは必要であると思っておりますが、その中で市民本位の医療体系が確立されるように、私どもとしても今後の運営を見守りながら取り組んでまいりたいと考えております。 敬老パスにつきましては、大阪を支えてきていただいた先輩の皆さんに感謝の意を表するために70歳以上のおとしよりに差し上げる、お使いいただく、こういうことで制度を47年の11月に全国の都市に先駆けて創設したわけでございまして、私ども、制度の趣旨から考えまして、70歳でいいのではないかと考えておりますので、さように先ほどお答え申し上げたとおりでございます。 特別養護老人ホームの整備につきまして、私ども、最重点課題として今日まで一生懸命に取り組んでまいりました。計画を早くオーバーして実現できたというのは少ないかと思いますが、その中の最も典型的な施策でございます。これからも一生懸命に取り組んでまいりたいと思っております。ただ、待機者がおいでになることも私どもとしては承知いたしておりますが、これからも鋭意充実整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 同和対策につきましては、議会で毎回御指摘もいただいているところでございます。くどくどとは申しませんが、必要な施策について、議会の御指摘を十分守りながら、市民の皆さんの御理解のいただけるように十分精査の上で、必要な事業に限って実施してまいりたいと考えております。大規模部落の問題、教育、就労、産業の問題でございますとか、なお差別事象が現実にあるわけでございまして、それらに対しては議会の御理解もいただきながら、精査をいたしまして、実施に向けて取り組んでまいらなければならん、このように思っております。 ○議長(北山篤君) 29番下田敏人君。 ◆29番(下田敏人君) 自席での発言をお許し願いたいと思います。 答弁は非常に不満でありますが、しかし、後日の我が党委員の委員会質疑に譲りたいと思います。よって私の質問は以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。 ◆32番(一色孝之君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明10日午前10時より会議を開かれんことを望みます。 ○議長(北山篤君) 32番議員の動議に御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(北山篤君) 御異議なしと認めます。よって動議のとおり決ました。 △閉議 ○議長(北山篤君) 本日の日程は以上で終了いたします。 △散会 ○議長(北山篤君) 本日はこれをもって散会いたします。      午後4時47分散会---------------------------------------大阪市会議長   北山 篤(印)大阪市会副議長  青木仲三郎(印)大阪市会議員   大丸昭典(印)大阪市会議員   辰巳正夫(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成5年3月9日)(終)...