京都市議会 > 2020-12-01 >
12月01日-03号

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  1. 京都市議会 2020-12-01
    12月01日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    令和 2年 11月 定例会     令和2年     定例会       京都市会会議録第3号     11月市会                       令和2年12月1日(火曜日)出席議員(65名)   1番 森川 央議員   2番 神谷修平議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 やまずまい子議員   6番 豊田恵美議員   7番 井上よしひろ議員   8番 山本恵一議員   9番 かまの敏徳議員  11番 小山田春樹議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 森 かれん議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 大津裕太議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方ひろゆき議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  41番 江村理紗議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(1名)  51番 山岸たかゆき議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和2年12月1日(火)午前10時第1 請願の付託   一般質問 (1) 市政一般について  寺田一博議員 (2) 市政一般について  田中明秀議員 (3) 市政一般について  下村あきら議員 (4) 市政一般について  平井良人議員 (5) 市政一般について  森田ゆみ子議員 (6) 市政一般について  平山よしかず議員 (7) 市政一般について  国本友利議員 (8) 市政一般について  天方ひろゆき議員 (9) 市政一般について  小山田春樹議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。大津裕太議員と森川央議員とにお願いをいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託を行います。 今回受理いたしました請願1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,寺田一博議員。 〔寺田一博議員登壇(拍手)〕 ◆(寺田一博議員) おはようございます。上京区選出の寺田一博です。 今日から師走となりました。1年を締めくくるこの月を迎えて,今年を振り返りますと,何よりもまず,市民生活は,新型コロナウイルス感染症によって多大な影響を受けたことが思い浮かびます。今なお現場で懸命に御尽力いただいている医療,福祉,教育をはじめ多くの事業者の皆様,市民の皆様に感謝申し上げますとともに,お亡くなりになった皆様に謹んで哀悼の意を表し,また,闘病中の皆様の御回復を願っております。 本日私は,令和3年度の予算編成に対する門川市長の方針,京都市施策の国との連携や京都市の強みをいかした縦割りではない政策の提言を行います。またこの後,議員団を代表して,私に続き田中明秀議員,下村あきら議員が質問させていただきますのでよろしくお願いいたします。 さて,過日京都市では,令和3年度の予算を見通す中で,約500億円もの多額の予算不足が見込まれると公表されました。その対策として,公債償還基金取崩しありきの方向性が示され,現行プラン並みの改革を継続しても令和8年度には基金が枯渇するというものでした。 このような状況下で,門川市長は,先般の総括質疑で,基金取崩しの説明をせざるを得ない状況と答弁されました。確かに公表された資料を見ると,その見解も理解できなくもありませんが,現時点でそのような方針であれば,今後,全庁に広がる中で緩む一方だと思われます。市長自らが多くの皆さんにとって実現不可能とも思われる高い目標を示し,職員のみならず議会や市民の皆さんと共にこの難局を乗り切る覚悟を示していただきたいと思います。 決算の審議において,京都市が賃料を支払っている所も,他の場所での空きスペースを有効活用することでその賃料が不要になると教育委員会の事例を紹介しました。また,区役所の有効活用で借りていた土地が不要になるとの検討も伺っています。局を超えた市有財産の有効活用など全市で見直せば,大きな支出減になると思います。また,発注の見直しで数百万円の増収も,上下水道局への提言で実現する見通しです。 京都市内には,地域に計画が示されていない未利用地が散見されます。例えば,元NHK放送局の土地など当面御利用がないものについては,土地所有者に一定の御負担を協力いただくなど地域活性化からの観点からも新たな制度の構築も必要と考えますが御検討ください。 また,財政面のみならず,本市政策に大きく寄与するのが照明のLED化です。初期投資が不要なプランも京都市立病院で採用されるなど,今後全国でも加速度的に広がっていくと思われます。既に,区役所・支所等,直管型蛍光管のうちLED化できているのは13.2パーセントで,本市の試算では,全てをLED化すると年間約2,700万円の削減額となり,二酸化炭素排出量の削減は年448トンに上ります。 また過日,民間による試算結果を伺うと,本庁や区役所,支所のみならず学校や消防署,土木事務所など本市施設を全てLED化しますと,令和元年度の電気使用料金年間約68億円から約10億円削減でき,二酸化炭素排出量では,2万4,240トンの削減に大きく貢献するものであり,本市にとって取り組むべき最優先課題の一つと言えるでしょう。 具体的な事例を述べながら提言しましたが,これらは何より市民の皆様の御理解と御協力が必要です。私は,11年前に,市バスの営業係数をバスの時刻表に公開するよう求め,実現しました。市民の皆様の御理解と御協力が重要な点を踏まえると,市民の皆様は経営者でもあります。今後は,歳入はもちろんですが,歳出削減をどうするのかが財政状況の改善において大きな課題となってきます。 そこで,門川市長に伺います。令和3年度予算編成の方針について,先ほど指摘した点を含めてお答えください。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 令和3年度の予算編成方針についてでございます。私は,市長就任以来,担税力の強化と間断なき行財政改革を進めつつ,市民の皆様の安心安全を最優先に,福祉,医療,教育,子育て支援などの施策を維持,充実させてまいりました。一方,財政は,長期にわたる収支不均衡に加え,今般のコロナ禍により宿泊税など大幅な税収の減少が見込まれ,歳出面では,社会福祉関連経費の増加などにより,500億円を超える収支不足が見込まれております。 収支均衡を図るためには,例えば,税収を1,000億円,約3割増加させ,地方交付税の75パーセント削減を差し引いた実質250億円の財源を創出すると同時に,歳出では,国基準を上回る事業,約600億円を半減させる規模の財源捻出が必要となり,通常であれば相当な期間を要します。しかし,今,本市の財政は待ったなしの状況であり,持続可能な財政を将来にわたって構築するため,3年間を集中改革期間とし,効果を的確に評価することなく漫然と事業を継続していないか,持続可能な施策となっているか改めて点検し,不退転の決意の下,限られた期間内で着実に効果を発現させるべく改革を行ってまいります。 費用対効果,財源確保等の観点から,他都市や国の標準と比較し,高い水準にある施策一つ一つについてもその効果や持続可能性についての検討,未来を担う若者世代等への資源の再配分,公共施設マネジメント基本計画の充実を通じ,集約化や複合化,廃止のみならず,民間や他機関の施設による代替も視野に入れた公共施設等の最適な管理,連結の視点での公営企業繰出金の見直し,人件費の削減,投資的経費の計画的な執行など,全ての項目でゼロベースで検討を行い,今月中に歳出構造改革の方針を,市民,市会の皆様にお示しいたします。 寺田議員御提案の照明のLED化につきましては,本市負担を抑えつつ,CO2排出量の削減にも資する効果的な手法であることから,既に調査に着手しており,来年度から実施してまいります。 また,未利用地の一層の活用につきましては,昨年度から行っている不動産情報を有する事業者と連携協力し,企業誘致につなげる取組にとどまらず,既に空き家やセカンドハウス所有者等への適正な負担につきましては,有識者の御協力を得て検討を始めているところではございますが,空き地に関しましても,有効活用による財源獲得と地域活性化の視点から,更なる取組について検討してまいります。 私は,現下の危機的な状況を直視し,私をトップとする行財政改革推進本部を立ち上げ,歳出改革の進捗や,資産活用等の取組をしっかりと管理し,全身全霊で取り組んでまいります。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇〕 ◆(寺田一博議員) LED化の実施,また,歳出改革等を全身全霊で取り組むとの答弁でした。議会もしっかりチェックしたいと思います。 それでは,次の質問に移ります。 菅総理は,就任後初の所信表明演説で,我が国は,2050年までに,温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする,カーボンニュートラルを目指すと宣言されました。また,過日は,国会で脱炭素社会の実現に向けた気候非常事態宣言の決議を採択されるなど温室効果ガス排出を実質ゼロにする取組が加速される見通しです。 これに先立ち,京都市では,昨年5月のIPCC第49回総会京都市開催記念シンポジウムで門川市長が2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す覚悟を表明し,小泉環境大臣が国際会議で引用されるなど,我が国の政策をリードしており世界的にも注目されています。言うまでもなく,本市は,京都議定書が採択されたCOP3の開催地として,常に環境への取組が注目されています。 その中で,この11月市会では,生活の質の向上及び持続可能な経済の発展も同時に達成される脱炭素社会の実現を目指した京都市地球温暖化対策条例の一部改正が議案として提出されています。我々自由民主党京都市会議員団は,かねてから行政の取組だけでは,二酸化炭素排出量正味ゼロは実現不可能であり,市民の皆様や事業者の御理解,御協力が必要であると訴えてきました。 そこでまず本条例について,市民の皆様に広く愛称を募集して,市民の皆様と共に2050年に向けた取組を進めるべきと考えますがいかがですか。 また,条例の趣旨は御理解いただけても,実際の手続等が煩雑になれば,市民理解は深まりません。行政への手続等で今まで以上に市民の皆様に負担が増えることがないよう指摘しておきます。 本条例は,京都のまちが地球温暖化対策のため,低炭素社会から脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいくべきものではありますが,菅政権が,同様の方向性を示された以上,国との連携が今まで以上に重要となってきます。また,京都市は,大都市でありながら面積の4分の3が山林であるなど我が国の縮図とも言え,環境面からの森林施策も連携が必要です。今後,政府と連動した二酸化炭素排出量ゼロへの取組と森林に関する行動計画の策定等必要となりますが,これも踏まえた本市の環境政策についてお考えをお聞かせください。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続きお答えいたします。 地球温暖化対策についてでございます。今市会には,2050年CO2排出量正味ゼロの明記など,地球温暖化対策条例の改正を提案しておりますが,寺田議員御指摘のとおり,脱炭素社会は,市民,事業者の皆様をはじめ,あらゆる主体と危機感,目標を共有したうえで共に行動しなければ実現できません。条例の愛称募集は,地球温暖化に対する関心を高め,危機感,目標の共有を図るために大変有意義な御提案であり,是非とも進めてまいりたいと考えております。 京都から始まった2050年ゼロ宣言は全国に大きく広がり,本年10月菅総理の表明により,自治体と国が同じ目標を共有し,覚悟を持って取り組むこととなりました。目標の実現には国の役割が極めて大きく,同時に,あらゆる主体による自主的な行動が重要であります。国に対して,各主体の積極的な行動につながる政策提案をこれまで以上に行うなど,更なる連携強化を図ってまいります。 また,CO2の吸収源対策となる森林施策につきましては,現在策定中の次期農林行政基本方針において,林業の生産性や収益性の向上と共に間伐等の森林整備や木質バイオマス発電など新たな木材需要の創出等による森林資源の循環利用の促進を明記し,次期地球温暖化対策計画に掲げる施策との連携を図りながら事業者など様々な主体と共に取り組んでまいります。あわせまして,天然林を含む森林全体の保全や活用につきましても,従来の発想に捕らわれず多様な担い手との連携の下,取り組んでまいります。 今後とも,あらゆる政策を地球温暖化対策の観点で推進し,脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇〕 ◆(寺田一博議員) 愛称募集の実施,また国との連携について,強い思いをお聞きしました。我々も積極的に国へ要望したいと思います。 次に,京都市の魅力である森林資源の活用と学生の街としての活性化について,組織体制の強化に関する提言を行います。 先ほどの質問でも言及しましたが,京都市は,面積の4分の3である約6万ヘクタールが森林であり,そのうち人工林が2万4,000ヘクタールで,人工林の中でも過去10年以内に手入れをしたことがある施業履歴があるものは,約48パーセントです。すなわち,約8割が未活用であり,大きなポテンシャルを秘めていると言っても過言ではありません。 また,私自身が提言して,各局の局長級を構成メンバーとする,森林行政に係るプロジェクトチームを本年10月にスタートしていただきましたが,その第1回資料にあります森林の多面的機能の経済価値を見ますと,国のデータから京都市の森林面積比による計算ではありますが,林業粗生産額で年間7.4億円,そのほか例えば土砂災害の防止や保養レクリエーションなど物質生産以外の経済価値は,年間1,400億円と大きな可能性が広がっています。国では令和6年から森林環境税もスタートする中で,多くの新たな施策が始まると予想されます。 そこで,プロジェクトチームをベースに組織体制を強化し,森林資源の活用を推進すべきと考えますがいかがですか。 また,京都は学生のまちと言われ,人口147万人の約1割に相当する約15万人の学生が学んでいます。そのため,京都では,学生がまちで活躍することがまちの活性化につながると,本市も大学や学生に係る様々な施策を実施しています。大学政策を所管する総合企画局はもちろんのこと環境政策局,行財政局など14局と各区役所など,ほぼ全局が所管局として事業を展開され,主な取組が約50事業あるなど多岐にわたっています。 一方で,大学のまち・京都,学生のまち・京都として京都の学生のためのアプリKYO-DENTを今年3月26日にリリースされましたが,コロナ禍の影響があったとはいえ,11月中旬時点でダウンロード数が約6,300にとどまるなど苦戦しているようです。また,京都市市民参加推進フォーラムによる提言書にも,大学や学生と地域の交流について言及されており,更なる取組が期待されています。 このような背景の下,私自身が感じていますのは,これらを統括する司令塔的な部署はなく,各事業は各局に委ねられているため,大学や学生へのアプローチなど一本化しているとは言い難い状況です。そのため,各事業の成果などが共有されておらず,より効率的,効果的な取組を行うためにも,組織体制の強化が急がれます。 そこでお尋ねします。大学や学生に対する本市の組織体制についてどのようにお考えかお聞かせください。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続きお答えいたします。 森林資源の活用についてでございます。森林は,建材や燃料材の供給源として市民の暮らしと文化を支えるだけでなく,地球温暖化の防止や多様な生き物の保全,災害の防止,都市景観の保全等の公益的機能を発揮しております。さらには,子供や青少年の学びの場としての活用や,観光客の分散化にもつながるグリーンツーリズム,森林の空間利用など,今後,他産業との連携も含めた新たな利活用が期待できるなど,本市にとって大きな価値を生む可能性のある資産であります。平成31年4月には,森林経営管理法が施行され,林業の成長産業化や森林資源の管理に向けて,市町村が果たす役割の一層の強化が求められております。 そのような中,本市では,本年10月に,局長級を中心とした森林行政に係るプロジェクトチームを発足させ,森林が適正に管理され,これまで以上の価値を創出するための森林行政の在り方の検討に着手したところであります。まずは,本プロジェクトチームにおいて,大学や企業,地域の方々等の意見もお伺いしながら,多様な主体の参画の下,時代の要請や新たなニーズ,先端技術等も採り入れた具体的な施策と達成すべき目標等について検討を進めてまいります。 今後,さらに,森林資源の活用に関する全市的な方針を定め,効果的,効率的に政策を実行していくため,新たな,本プロジェクトチームをベースにした副市長をトップとする推進体制を構築し,更なる体制の強化を図ってまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 学生に係る施策の推進についてでございます。本市は,38もの個性と特色あふれる大学,短期大学が集積し,人口の約1割に相当する15万人の学生さんが学ぶまちでございます。世界中から集まる学生さんが地域に飛び出し,京都のまちで活躍することが,活気あふれるまちづくりにつながることはもちろん,将来の担い手育成にもつながるものと考えております。本市におきましては,大学のまち京都,学生のまち京都の推進を,最重要施策の一つに位置付けており,総合企画局に,大学政策部長以下,大学コンソーシアム京都への派遣職員を含めまして12名の専任スタッフを配置しております。また,各局等でそれぞれの行政課題に応じて,学生に係る施策を主体的に展開しております。寺田一博議員御指摘のとおり,これらの施策を効率的,効果的に進めていくためには,各局間で大学,学生へのアプローチやそれぞれの事業成果等を共有しつつ相乗的に高めていくことが必要でございます。そのため,各局間で情報交換や議論等を活発に行うべく,大学政策を所管する総合企画局が統括,調整役となり,学生に年齢が近い若手職員による新たな連携体制を立ち上げてまいります。大学のまち・京都,学生のまち・京都の一層の推進に向け,全庁一丸となり施策を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇〕 ◆(寺田一博議員) 森林資源は,副市長をトップに,また,大学政策は,若手職員の連携立ち上げとのこと,効果的な取組を期待しております。 次に,自治会,町内会の加入率向上と健康長寿のまち推進についてお聞きいたします。かねてから,私は,京都のまちの強みとして,自治会や町内会など地域のきずなについて提言してきました。平成23年9月市会で可決され,翌24年4月に施行された京都市地域コミュニティ活性化推進条例は,私が平成20年2月市会で条例化を提言して以来,多くの市民の皆様の御意見をお聞きして制定されたものでした。また,保護者等へ配付する緊急連絡網,いわゆるクラス名簿等についても,平成24年度は作成している学校は170校中65校だったのが,令和元年度では163校中148校と増加し,教育の場でもきずなの大切さは広がっていると思います。 一方,平成30年度に行われた,自治会,町内会アンケートでは,平成24年度の推計加入率は69.8パーセントだったのに対し,67.7パーセントと減少傾向にあります。また,行政区別では,約75パーセントから約60パーセントと地域によって加入率の差も見られます。条例制定後,約10年近くなり,当初は東日本の震災等の経験から地域の防災活動も活発に展開されていたものの,高齢化が進み,町内ではお役をしてくださる方が減少し,そういった方に様々な役が集中して負担感が増えて町内会を抜けるケースもあるとお聞きしていますが,アンケートの運営の課題では,高齢者が多く活動に参加できる人が少ないが約65パーセントと最も多く,次いで,高齢者の一人暮らしが多く役員を担える人が少ないが約48パーセントと高齢化が運営の大きな課題であることが数字上も明らかとなりました。 本市も,自治会,町内会に加入するメリットとして,安心で住み心地が良くなるなど呼び掛けていただき,具体的に地域力を高める取組やNPOの地域活動紹介を回覧したり,地域活動のコロナ対策への支援メニューを広報したり,この間様々な取組を行っていただいております。 そのような中,ただ単に自治会や町内会に加入するように呼び掛けても効果は限定的と思われます。そこで,健康づくりサポーターなどの協力を得て,早朝に学校等でラジオ体操を行い,スタンプを押していただき,スタンプが一定数たまれば,地域のお店等で利用できるチケットと交換できるなど,参加者が増えて,かつ健康寿命も延伸でき,市民生活が健康で豊かになる政策を採り入れることにより地域活性化が図られるのではと思います。 これは,文化市民局,保健福祉局,教育委員会など様々な部門が連携することで実現可能なものとなりますが,地域のきずなが強くなることで,様々な困難を乗り越えることのできるレジリエンスなまちとして実施に向けて取り組む必要があると考えますがいかがですか。 本年,上京区も消防団の充足率が100パーセントを達成しました。関係者の御尽力に敬意を表します。これは,住民のみならず地域の事業者が消防団員として協力いただいたことも大きく寄与していると思います。今後はより一層,京都の地域企業が,消防団や地域活動に積極的に参加されることを望んでいます。 次に,地元に関する要望を行います。平成28年の市長選挙で西陣地域の活性化を公約に掲げていただき,以来様々な取組が進められましたが,いよいよその輪が広がろうとしていたところに,新型コロナウイルス感染症による大きな影響を受けました。しかしながら,西陣地域をはじめとする地域活性化は,京都のまち全体の活性化につながるものであり,知恵と工夫で対応いただきたいと思います。 また,子ども文化会館も閉館となりました。約40年にわたり子供たちはもちろん地域に愛された施設でしたが,老朽化と文化会館の増加によって利用率が低下したと聞いております。今後は,子ども文化会館の果たしてきた役割を受け継ぎ,地域にとって身近な施設が跡地利用として示されることを要望しておきます。 自由民主党京都市会議員団は,多くの市民の皆様より託された思いにお応えできるように,ときには大変苦い意見も門川市長に提言しております。しかしながら,厳しい中にも実現可能な提言をお聞きいただくことが京都市政の健全化につながると確信しております。今後もしっかり働くことをお約束し,私,寺田一博の自由民主党京都市会議員団を代表しての質問とさせていただきます。 御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 引き続き寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 自治会,町内会の活性化と健康長寿の推進についてでございます。京都には,住民自治の伝統が脈々と受け継がれておりますが,一方で,その基礎となる自治会,町内会の多くが担い手不足等の厳しい状況にあることも事実でございます。このため,本市では,寺田議員からの御提言も受け,平成23年度に京都市地域コミュニティ活性化推進条例を制定し,以降地域コミュニティサポートセンターの設置,運営や小学生向けの啓発物の発行など,地域のきずなを深めるための様々な施策を積極的かつ創造的に実施してまいりました。寺田議員御指摘のとおり,健康への関心がコロナ禍で一層高まっており,健康で豊かな生活を実感していただけるよう地域に根差した取組を進めることが自治会,町内会の加入を促進するうえで有効であることから,今後,自治会等の協力を得て,健康づくりサポーターや健康長寿のまち・京都いきいきポイントとの連携による地域に根差した健康づくり活動など,地域の活性化につながる取組のモデル的な実施を検討してまいります。 さらに,各局が連携し健康長寿の取組に加えまして,福祉,防災,防犯など,安心や住み心地の良さにつながる施策を地域コミュニティと融合させることにより,地域のきずなを深め,地域コミュニティの活性化,健康長寿のまち・京都の推進,そしてレジリエント・シティ京都の実現に向け取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,田中明秀議員に発言を許します。田中議員。 〔田中明秀議員登壇(拍手)〕 ◆(田中明秀議員) 西京区選出の田中明秀です。自由民主党京都市会議員団を代表し,寺田一博議員に続き,下村あきら議員と共に質問をさせていただきます。理事者の皆様方には誠意ある希望の持てる答弁をお願いいたします。 去る11月1日,政令市の大阪市を廃止し,4特別区に分割する,いわゆる大阪都構想の賛否を問う住民投票が行われ,2回目の今回も大阪市民は,反対多数で大阪市の存続を選択されました。これを受けて,門川市長は都道府県と政令市の二重行政について,京都では,ここ数十年解消されてきた。効率的な行政運営と市民サービスの向上のため政策を融合していくことが求められているとコメントされました。また,西脇知事も,今後とも府市協調の下,府民の皆様,市民の皆様の視点に立ってより良い行政サービスの提供に努めてまいりたいとコメントされています。 京都においても,かつては,「府市あわせ」と言われる時代が長く続いたことがありました。しかし昭和53年,林田知事が誕生して以降は府市協調で行政運営されてきたと思います。特に近年,動物愛護センターや消防学校,新型コロナウイルスの検査を府市協調で実施している市衛生環境研究所と府保健環境研究所,計量検査所,公営住宅の募集相談業務など,府市一体となった取組を進められてこられました。このコロナ禍の中,更なる府市協調で難局を乗り切っていただくことをお願いし,質問に入らせていただきます。 まず,文化財の今後の保護行政についてお尋ねいたします。先日,新聞紙上で政府は,地域のお祭りや郷土料理などの文化の保存,活用を強化するため,文化財保護法を改正する方針を固められたと報道されました。本市におきましては,平成25年10月に京の食文化,平成26年3月に京・花街の文化,平成26年11月に京の地蔵盆,平成28年2月に京のきもの文化,平成29年3月に京の菓子文化,平成30年3月に京の年中行事と京都をつなぐ無形文化遺産として6件を選定しました。1200年を超える歴史の中で,有形無形の文化財が創り出され,現在まで連綿と継承されてきました。市民生活に息付く暮らしの文化があったからこそであり,このような市民の営みが有形無形の文化財を支えてきたとも言えると思います。 今般,新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,地域の祭りなどの伝統行事については開催の中止や縮小を余儀なくされ,今後の在り方についても検討しなければならない状況かと思われますが,こうした時期だからこそ,伝統行事の本来の意義や役割をしっかりと再認識する機会であると思います。 先ごろのGoToイート事業において,当初は料亭が除外されていましたが,自民党議員の指摘により,後から料亭が加えられました。京都の花街文化が正しく認識されていれば,このようなこともなかったと思います。また,他都市から来られる修学旅行生に文化体験をしていただき,京都の歴史,文化を肌で感じてもらうという取組も進むとお聞きしています。 本市においては,文化財保護法に基づく文化財保存活用地域計画として,未来を創る京都文化遺産継承プランの認定を目指して取り組んでおられ,この計画では従来の文化財の分野だけでなく,京都の人々の生活,歴史と文化の理解のために欠くことのできない有形,無形のもの全てを京都文化遺産と位置付け,維持,継承を図ることとされています。 10月28日に開催された文化審議会文化財分科会企画調査会では,指定に至らない無形文化財及び無形の民俗文化財の保存,活用の在り方や,今後新たに文化財として指定,登録される可能性がある分野などの保存及び活用の推進について検討が開始されたと聞いています。折しも,日本の木造建造物を守り伝える技術,伝統建築工匠の技がユネスコの無形文化遺産に登録されることになったといううれしいニュースも飛び込んできました。大工,左官,屋根瓦ぶきなど伝統建築の技17,木や草,土といった環境に優しい自然素材を用いた建築が見直されることに期待するとともに,後継者が少なくなった技術の継承にもつなげていただきたいと思うところです。 文化財に係るこうした国の動きやポストコロナ社会を見据えた観光客だけでなく市民も含め歴史都市・京都を魅力あるまちとしてより実感するためには,従来の文化財だけでなく食文化や茶道,華道及び年中行事など市民の生活により近い伝統的な文化を文化財として,より積極的に保存,活用していくべきと考えます。 また,令和4年には文化庁が京都に移転してまいります。府市協調はもちろん国ともしっかり連携し,文化財の保存,活用を進めていかなければいけないと思いますが,市長の御所見をお伺いいたします。 また先般,持続可能な観光の国際的な認証団体であるグリーン・デスティネーションズが実施する表彰制度TOP100選に本市が選出されました。あわせて,アメリカで最も権威のある旅行雑誌の一つコンデ・ナスト・トラベラー誌における読者投票ランキング内の世界で最も魅力的な都市に京都が第1位に選ばれました。有形,無形,民族,文化財,記念物,文化的景観や伝統的建造物の保存,活用等が新たな観光資源の発掘になり,京都の魅力の発信につながると思います。新たな観光の在り方を提供するとともに,2度,3度と訪れたいと思っていただけるよう取り組んでいただきたいと思いますが,お考えをお聞かせください。 次に,琵琶湖疏水の魅力向上についてお尋ねいたします。文化庁との連携の中で,本年6月に琵琶湖疏水が文化庁の日本遺産に認定されるとともに,11月18日には琵琶湖疏水記念館を中核とした文化観光拠点計画が認定されました。琵琶湖疏水は,明治期の偉大なる功績であり,京都市民の命の水を令和の時代においても供給する重要なライフラインであり,我々の生活に豊かさと潤いを与える貴重な財産であります。 この間,上下水道局を中心に琵琶湖疏水の魅力向上に努められており,毎年多くの方が訪れる蹴上浄水場の一般公開や,平成30年には約70年ぶりとなる琵琶湖疏水通船の復活,平成31年3月には開館30周年を契機とした琵琶湖疏水記念館のリニューアルオープンなど幅広く取り組んでいただいています。特に,琵琶湖疏水通船は復活以降,乗船率が非常に高く,平成30年には98.3パーセント,令和元年は94.8パーセントと予約が取りづらいほどの盛況です。令和2年の春の運航は,新型コロナウイルス感染症の影響から70日運航予定のところ,残念ながら9日間のみの運航にとどまりましたが,昨日まで行われていた秋の運航においては,新型コロナウイルス対策をしっかりと行ったうえで実施しており,予約も順調であったと聞いています。 琵琶湖疏水では,水路閣やインクラインなどは国の史跡に,蹴上発電所や蹴上浄水場などは近代産業遺産に,旧御所水道ポンプ室は国の登録有形文化財に指定されるなど多くの文化的価値を有する貴重な施設を抱えています。また旧九条山浄水場跡地について,12月から公募型プロポーザル方式により,地域の魅力向上につながる提案を募集すると聞いているところであり,その売却益を活用して旧御所水道ポンプ室の保存活用等を図るなど,文化財を守るための積極的な資産活用にも期待しております。 新型コロナウイルス感染症による閉塞感が漂う中ではありますが,京都市民の貴重な財産でもある琵琶湖疏水を守り続けていくことはもとより,日本遺産や文化観光拠点計画における国からの補助も積極的に活用し,より一層の魅力向上に取り組むべきと考えますが,いかがですか。 次に,次期農林行政基本方針についてお尋ねいたします。先般,2月市会の代表質疑で農家の所得向上について質疑をさせていただきました。その際に,農産物の販売強化と生産性向上,高付加価値化に取り組み,次期農林行政基本方針の中でもこうした視点を盛り込み,京都の農業を次世代へ引き続いていく決意が示されました。本年度は,その次期基本方針の策定に向けて有識者による検討会が設置され,私も傍聴させていただきました。 市内の農家戸数は,平成21年の7,248戸から平成30年には7,054戸に減少しており,会議で示されたアンケート調査の結果でも農家の高齢化と後継者不足が大きな課題となっており,担い手の確保が不可欠であると認識させられました。しかしながら,農産物の価格や気候変動など不安定な産業であることなどが新たな参入の障壁になっています。一方,検討委員の方の中には,自身の営農だけでなく農業が地域で果たす役割について熱く語られる方もおられ,非常に感銘を受けました。また,環境分野の学識者のお話からは農林業の振興と環境保全の密接な関係性について改めて認識させられました。農業は,私たちが生きていく上で欠かすことのできない食料を生産する産業ですが,それ以外にも,都市近郊で営まれている京都市の農業は,良好な景観や生物多様性など地域環境の維持にも大きく貢献しています。 このように,市民全体の大切な財産とも言える農業,農地を将来にわたって維持,発展させていくためには,これまでの農業の支援の枠に捕らわれない新しい発想を採り入れることも重要であると思います。農業,農地を次世代に引き継いていくためには,農家の所得向上はもとより,企業や市民の皆様に農業が果たしている役割を理解していただき,消費者として,また農業の応援団として支えていただくとともに,担い手の確保が最も重要であると感じております。 次期農林行政基本方針につきましては,担い手をしっかり確保するとともに,環境保全にも資する持続可能な農業を実現する方針にすべきであると考えますが,いかがですか。また,新たな方針に基づき,農家支援の最前線に立つ組織体制の在り方についても検討していただきたいと思いますが,お考えをお聞かせください。 最後に,西京区の活性化に資する取組と芸大の跡地活用についてお尋ねいたします。京都市内で一番若いと言われていた西京区も少子高齢化が顕著になってきました。人口約15万人の西京区の中で,洛西ニュータウンは,ピーク時約3万7,000人の人口が現在は2万4,000人と全市の中で減少率が最も高くなっています。JRや阪急,国道9号,京都縦貫自動車道等の交通アクセスがありますが,今となっては住宅地に偏りすぎた面があり,今後,洛西地域に若い世代を呼び込むには,働く場の確保が必要ではないかと思います。また先日,西山観光の活性化をと活動が停止していた大原野保勝会が再興され,向日市,長岡京市と連携した取組が始まりましたが,まだまだこれからという状況です。 このような中,平成25年4月に開通した京都縦貫自動車道路は,京都の道路交通ネットワーク上重要な役割を果たす幹線道路であり,京都の一大観光地である嵐山方面や京都中心部へのアクセスに便利であることから,京都の西の玄関口として今後ますます利用の増加が見込まれています。その西の玄関口の大原野インターと沓掛インターは共にハーフインター構造であり,まさしく西の玄関口と呼べるものとするには,この二つのハーフインターを合わせ,京都西インターとし,あわせて,ネクスコ西日本にパーキングエリアなどの整備をお願いして更なる活用を促進すれば,周辺地域の経済活性化や観光振興,企業誘致などにも有利になると考えます。 またこの厳しい状況下ですが,西京の活性化の起爆剤として注目されるのが京都市立芸術大学の移転後の跡地活用です。敷地面積が約7万平方メートル,京都縦貫自動車道インターチェンジに近く,交通アクセスに恵まれたこのような土地が市街化区域内で生まれることは少ないと思います。芸大跡地の活用は,隣接する洛西ニュータウンにとっても,かつての輝きを取り戻すチャンスになると思います。企業から見ても,余裕のある幹線道路や都市施設,町並み,自然豊かな公園等の優れたインフラが計画的に配置されたニュータウンは,ウィズコロナ時代の街としても魅力的な場だと思われます。 例えば,このインフラに新産業の先端技術を導入すれば,京都のみならず,新たな時代の生活様式を導入するニュータウンに生まれ変わることが可能となります。新たな移住者が期待できるとともに,子育て人口の増加も見込まれ,ニュータウンの活性化につながると思います。近接した場所には,京都大学桂キャンパス,桂イノベーションパーク,国際日本文化研究センターがあり,産学公連携もしやすい好立地であります。さらに,洛西地域のポテンシャルを考えますと,府南西部と府北部をつなぎ府域全体の発展のキーとなるのが洛西地域であり,その意味からも今後の府との連携は欠かせないことから,広域行政の視点が必要であると考えます。 私は,芸大跡地については,その拠点となり,職住近接のまちづくり,洛西ニュータウンの活性化につながる新産業を誘致していただきたいと願っていますが,そのためにも全庁的に情報を共有し,戦略をもって検討する体制が必要ではないでしょうか。芸大移転まであと3年。芸大跡地の活用と,それに伴う洛西地域の活性化をどのように進めていくのか御所見をお伺いします。 私ども,自由民主党市会議員団は,毎年11月に霞が関の各省庁を回り予算要望活動をしております。今年はコロナ禍により各常任委員会の代表者5名で11月19日に行ってまいりました。私は,国土交通省,経済産業省等を回らせていただき本市の現状を説明してまいりました。引き続き,政権与党として京都市に必要な予算の獲得に向け,議員団一丸となって取り組み,市民の皆様方の安全,安心,事業の継続と雇用の確保に全力を尽くすことをお誓いし,私の質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 田中明秀議員の御質問にお答えいたします。 文化財の保存,活用についてでございます。1200年を超える悠久の歴史を有する京都には,3,000を超える国宝,重要文化財等の指定・登録文化財以外にも様々な文化遺産が市民生活に息付き,京都の大きな魅力となっております。本市では,文化財保護法や条例に基づく従来の保護制度に加えまして,京都をつなぐ無形文化遺産制度をはじめとする本市独自制度をこの間創設し,京町家や食文化などの継承を図ってまいりました。その集大成として,京都の人々の生活や歴史,文化の理解のために欠くことができない有形無形の文化遺産全てを京都文化遺産と位置付けることとしております。 それらを確実に受け継いでいくためには,文化財の保存と活用の好循環を構築する必要がございます。国におきましては,未指定を含めた文化財をまちづくりにいかし,その継承に取り組むため文化財保護法が改正されております。本市では,この改正保護法に位置付けられた文化財保存活用地域計画の策定を,現在,市民参画の下に進めております。見つける,知る,守る,活かすの四つのキーワードの下,あらゆる主体が京都文化遺産の保存,活用に取り組めるよう検討を深めております。 京都文化遺産は,先人から受け継いだ歴史を後世につなぐものであるだけでなく,日々の暮らしを豊かにし,ものづくりや匠の技の継承に資するとともに,さらには,都市の魅力を高め,持続可能なまちづくりや文化,観光振興にも寄与するものと考えております。市民の皆様はもとより世界中の人々が,京都に伝わる暮らしの文化や京都の歴史や文化に深く触れることで,京都ならではの深みのある文化活動や観光を通じて文化遺産が一層確実に維持,継承されるものと考えております。 今後とも,文化財保護を巡る国等の動きをしっかりと注視しながら,田中議員御指摘のとおり,京都府はもちろん京都に移転する新・文化庁とも連携し,しっかりと文化遺産を将来に伝えるとともに,京都の魅力の総合的な発信にも取り組んでまいります。 次に,琵琶湖疏水の魅力向上についてでございます。明治の先人たちによって建設された琵琶湖疏水は,上水道のみならず,日本初となる事業用水力発電や市電の整備など,我が国の文明史に大きな足跡を残しております。その世界的にも希有な都市づくりの源流は,今も命の水を京都に運び続けており,明治23年のしゅん工から130周年を迎えた本年6月,日本遺産に認定されたことは,誠に京都市民の誇りでございます。この琵琶湖疏水の魅力を体感できるびわ湖疏水船は,3年前の運航開始から高い人気を誇っており,コロナ禍でのこの秋の運航では,感染防止対策に万全を期し乗船率93パーセントに達したところでございます。また,先月には,琵琶湖疏水記念館を中核とする文化観光拠点計画が,国において認定されるなど,琵琶湖疏水への関心が今,大きく高まっていると肌で感じております。 こうした中,琵琶湖疏水の更なる魅力向上に向け,今後,国の補助事業も有機的に活用しながら,大津閘門や水路,石積みの改修をはじめ疏水沿線の案内板の整備やウォーキングマップの作成に取り組むほか,琵琶湖疏水記念館においては,デジタル技術を活用した多言語情報の発信強化や,蹴上,岡崎エリアにおける文化,観光拠点としての整備も推進し,にぎわい空間の創出を図ってまいります。 また,日本遺産認定を契機に,民間活力による旧九条山浄水場跡地の活用と併せまして旧御所水道ポンプ室の保存,活用につきましても,具体的な検討を進めてまいります。 京都に全面的に移転してくる文化庁とも連携しながら,疏水沿線を,先人たちの尊い功績をたたえ,それに学ぶ一体的なフィールドミュージアムとして整備し,文化,観光,まちづくりなど幅広い面において琵琶湖疏水の更なる魅力向上と情報発信に全庁挙げて取り組んでまいります。 次に,京都市立芸術大学の跡地活用と洛西地域の活性化についてでございます。洛西地域は,緑あふれる公園や竹林などの豊かな自然,西山の歴史や文化に包まれ,府北部と名神高速道路等の日本の大動脈である幹線道路を結ぶ京都第二外環状道路,学術研究機関が集積する京都大学桂キャンパスや桂イノベーションパークが立地するなど高いポテンシャルを有する地域であり,これまでから地域と区役所・支所,そして関係局が一体となり,その魅力をいかしたまちづくりに取り組んでおります。その中で,芸大の跡地活用につきましては,令和5年度の芸大の京都駅東部エリアへの移転を控えまして,地域資源をいかした仕事の創出の視点,イノベーションを生み出す産学公連携の視点,さらには,洛西地域はもとより西京区ひいては京都市全体の活性化に寄与する三つの視点を持って検討を進めているところでございます。 このようなイノベーションの推進や職住一体,市域全体の発展を目指した芸大跡地の活用が洛西地域の活性化につながり,また,洛西地域の活性化が芸大跡地の魅力を更に高めるなどの相乗効果が生まれるよう戦略的な都市経営を行う観点からも,全庁横断的に取り組んでいく必要がございます。そこで,総合調整を担う総合企画局,資産の有効活用を統括する行財政局,企業を誘致する産業観光局,都市づくりを担う都市計画局,地元の西京区役所,洛西支所をはじめ関係局区から成る検討会議を立ち上げ取組を進めてまいります。 今後は,三つの視点を基に,企業や研究機関等の芸大跡地への誘致を念頭に置き,地域の皆様の御意見に耳を傾けながら検討を進め,共にまちづくりを進める事業者等への働き掛けを行い,誰もが生き生きと快適に暮らせる未来志向のまちづくりを洛西地域において行ってまいります。そして洛西地域での取組を通じまして,京都市創造都市圏の創出といった広域的な視点,田中先生がいつも仰っています既存の概念に捕らわれない柔軟な交通政策の発想も持ちながら,本市のみならず府域全体の発展にも寄与していくよう,国,府,近隣自治体,地域の皆様など様々な関係者と連携してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 次期農林行政基本方針についてでございます。農林業は,市民生活や食文化,木の文化を支えますとともに,生物多様性の保全や二酸化炭素を吸収源として地球温暖化対策などにも寄与しております。こうした多面的機能を有する農地を次世代に引き継ぎ持続可能な農業を実現するためには,田中明秀議員御指摘のとおり所得の低迷等に起因する担い手不足の解決が不可欠でございます。そのため,新規就農者等の担い手確保に向け,農地の紹介や安定した経営ができるまでの技術指導など地域の協力も頂きながら,切れ目ない支援を行う仕組みづくりを進めてまいります。あわせまして,農業を行いながらやりたい仕事を追求する,いわゆる半農半Xや,障害のある方等の農業分野での就労機会を創出する農福連携など多様な担い手の育成,環境や教育等のあらゆる分野と連携した新たなビジネスの創出等,担い手の裾野を拡げてまいります。また,環境に配慮した農業を推進するため,低農薬栽培や有機肥料の活用を推奨するとともに,物流の環境負荷が少ない地産地消に取り組み,2050年二酸化炭素排出量正味ゼロの達成など持続可能なまちづくりにも貢献してまいります。こうした施策を次期方針に盛り込み着実に推進してまいります。さらに,農家の方々への一層きめ細かな支援を行うため,市内の四つの農林業・農業振興センターにつきましては,生産される農産物や地理的状況等の地域特性に応じて所管区域や組織の再編を行いますとともに,まちづくりや福祉,教育等,多様な分野との協働に向け,農業振興センターの区役所・支所への移転につきましても検討してまいります。今後とも,農林業に携わる方々が夢と希望を持つことができ,地元産の農林産物や農地,森林の多面的機能への市民的な理解と支援が広がることにより,持続可能な産業として将来に引き継いでいけるよう全力を尽くしてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,下村あきら議員に発言を許します。下村議員。 〔下村あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(下村あきら議員) 改めまして,おはようございます。私は,下京区選出の下村あきらでございます。寺田一博議員,田中明秀議員に続き,自由民主党京都市会議員団を代表し質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 さて,新型コロナウイルス感染症については,いまだ世界各国で猛威を振るい,社会,経済活動に大きな被害を及ぼしているところであります。この1年は,正にウィズコロナ社会に対応するため衛生対策等の徹底による安心安全の確保と地域との調和の実現に向けた新しい観光スタイルの推進,国際会議施設等における安心安全なMICEの開催推進,支援等の感染症拡大防止,さらに,京都経済の回復と市民生活の下支えに必要な政策に関する第1次から第5次までの補正予算に取り組んでまいりました。今回の代表質問は,このコロナ禍の現状をどのように捉え,どのように対応されるのかなどについての質問をさせていただきます。 まず,冬の閑散期における宿泊観光の振興についてお伺いいたします。京都を訪れる観光客の皆様には,京都に宿泊していただき,ゆっくりと時間を掛けて観光していただいてこそ,京都の奥深い魅力を体感していただけます。その意味で,宿泊観光は,京都観光の中核を成すものであります。また,経済的な観点において,宿泊観光は,日帰り観光に比べて観光消費額が高く,宿泊はもとより飲食,小売り,文化体験施設やバス,タクシーなどの観光産業に幅広く効果が波及し,ひいては製造業や農業など他の産業へも高い経済効果が期待できます。 とりわけ,京都の旅館での宿泊は,畳,床の間などの和のしつらえや,庭,和食,和装など日本の伝統産業文化を五感で感じることができ,旅館振興は,全国の伝統産業や和の文化の振興にもつながります。しかしながら,現在,新型コロナウイルス感染症は収束の見通しが立たず,宿泊観光の危機的な状況は,想定を超えて長期に及んでおります。期待の掛かる日本人宿泊客については,一定の改善は見られるものの完全回復の目途は立っておらずインバウンド需要は底を突いたままであるため,総宿泊客数では,昨年の半分に満たない状況にありますが,5月下旬の緊急事態宣言及び移動自粛の解除に合わせて,「地元応援!京都で食べよう,泊まろうキャンペーン」を実施され,飲食店や宿泊施設の需要喚起にも取り組まれてきました。時機を得た取組としての効果があったと思います。 7月下旬からは国のGoToトラベルが開始され,8月のお盆明けからは市内で修学旅行生を見掛けるようになっています。GoToトラベルに東京都が加わった10月以降は宿泊利用が本格化し,この秋には,久しぶりに市内各所において観光客で盛況な様子が見られています。 一方では,手放しでは喜べない状況もあります。修学旅行については,感染の懸念から,行先の近場への変更や中止の判断をせざるを得ない学校が相当数に上るとお聞きしています。また,観光の回復に向けて全国の観光地間で競争が激化する中で,京都では秋の観光シーズンが終わり,桜の季節まで閑散期が続きます。以前のような,インバウンドによる平日の宿泊需要や春節の効果は見込めません。さらに,頼みのGoToトラベルも恩恵を受けられる宿泊施設に偏りが出ているとお聞きをしております。こうした状況を踏まえますと,数箇月にわたる冬の閑散期における観光,とりわけ宿泊観光については,国の施策の効果もしっかりといかしながら,継続的に支えていく必要があると考えます。 今市会の補正予算において,府市協調事業として宿泊観光の促進による地域経済活性化事業が提案されております。このことは,先の9月市会本会議において我が会派の森田議員の指摘はもとより,自民党議員団が一貫して訴えてきた府市協調の施策の表れと考えます。また,全国から,より多くの観光客に来ていただくためには,京都府とより一層,強固に連携して宿泊観光の振興に取り組み,府内の多様で魅力ある観光資源を広域的にいかしていくことが最も必要ではないでしょうか。 そこで市長にお聞きいたします。旅館をはじめとする市内の宿泊施設の現状に関する御認識はいかがでしょうか。また,冬の閑散期における宿泊観光の振興に,どのように取り組まれるのか,市長のお考えをお聞かせください。 次に,市バス・地下鉄事業についてお尋ねいたします。先の9月市会においては,新型コロナウイルス感染症の影響等による極めて厳しい財政状況への対応について多くの質疑が行われてきました。とりわけ,市バス・地下鉄事業については,共に最大80億円を超える大幅な赤字が見込まれ,最悪の場合,今後,運賃値上げを検討せざるを得ない可能性についても言及されるなど,過去に類を見ない危機的な状況となっております。 このような状況にある中で,市民の暮らしや社会経済活動を下支えしている市バス,地下鉄をどのように事業運営し持続可能な経営にするかは,市政の大きな課題の一つとして捉えております。市バス・地下鉄事業については,過去,数次にわたり厳しい難局に直面してきました。平成22年3月に策定した健全化計画では,増客なくして健全化なしの考え方の下,地下鉄1日5万人増客を健全化策の最大の柱に掲げ,全庁を挙げた増客に精力的に取り組み,大きな経営改善を果たすことができました。 今般の危機的状況下においては,経営改善に向けては,いかに増客を図るかが重要な鍵となります。市バス,地下鉄で,この間,車両消毒や車内換気など様々な感染対策に取り組まれてきましたが,公共交通を利用するに当たっての感染に対する漠然とした不安感はまだまだ根強く,GoToキャンペーンなどにより活発化する人の移動を市バス,地下鉄がどのように取り込めるか懸念されるところでございます。 そこでお伺いいたします。先般,我が自民党京都市会議員団から門川市長に提出しました京都市予算及び今後の市政方針に対する要望にも掲げたとおり,増客に向けては,安心して市バス,地下鉄を利用できる対策と共に,過度な不安感や不要な恐れの払拭に努める必要があると考えます。交通局では,太秦萌などのかわいらしいキャラクターもお持ちであり,こうしたキャラクターを活用するなど工夫を凝らし,既に市バス,地下鉄を御利用の方はもちろんのこと,漠然とした不安感から利用を控えている方に対しても,安心安全であることをしっかりと伝えることが大切であると考えますが,御所見をお聞かせください。 また,先行きが見通せない非常に厳しい状況であるからこそ,明るい話題を大切にしていただきたいと思います。地下鉄事業では,地下鉄開業40周年と記念すべき年である来年には,新造車両の導入が計画されており,大いに期待しているところでございます。新型コロナウイルス感染症の影響により様々な事業が見直しされているところでありますが,この新造車両については予定どおり導入されるのでしょうか。現在の取組状況と今後のスケジュールをお伺いいたします。 また,新造車両の導入は開業40周年を記念した大きなイベントであります。さらに,当該車両には,京都の伝統産業の素材等を用いたデザインが採り入れられるとのことであり,京都ならではの地下鉄車両が走ることになります。伝統産業の更なる発展にもつながるよう,こうした内容がお客様にもしっかりと伝わる工夫もしていただきたいと考えますが,いかがでしょうか。 次に,コロナ禍におけるひきこもり対策についてお尋ねいたします。ひきこもりの課題は,従来,不登校の延長線上に起こる若者固有の課題との認識が強かったのですが,近年の8050問題の顕在化等を契機として,ひきこもりは,若者固有の課題にとどまらず全年齢に起こり得る大きな社会問題として認識されるに至っています。内閣府の調査によりますと,ひきこもり状態にある方は,15歳から39歳までの方が54万1,000人,40歳から64歳までの方が61万3,000人と推計されており,このことからも全年齢型のひきこもり支援の重要性は明らかであり,あらゆる年代を通じて,支援を必要としていても,なかなかその声を上げることができないひきこもり状態にある方,また,その御家族などをしっかりと支援していくことができる体制の構築が求められています。本市においては,このような社会情勢の変化に早々に対応するために,昨年度来,京都市社会福祉審議会にひきこもり支援の在り方検討専門分科会を設置するなどして議論を重ね,9月から,それまで年齢によって二つに分かれていたひきこもり相談窓口を一元化し全年齢に対応するとともに,相談窓口と保健福祉センターを新たにひきこもり地域支援センターとして位置付けるなどひきこもり支援の新たな枠組みを開始されています。この新たな枠組みが動き始めて3箇月ほど経過したところですが,まず,その現状や成果についてお伺いいたします。 さらに,今般の新型コロナウイルス感染症は,ひきこもりの課題にも大きな影響を与えていると考えています。コロナ禍による景気の低迷だけでなく,人と人との接触を避ける新たな生活スタイルの普及も,ややもすれば社会的孤立の増加につながるリスクを抱えているのではないでしょうか。例えば,入学した学校に登校できず,授業もリモートで行われ,友達を作ることができない大学生,おしゃべりや体操の集まりの場に参加できなくなった高齢者など,特に,人々の生活において大切にすべき人との触れ合いの機会が制限され,このことをきっかけに孤立を深めている市民も多くいるのではないかと心配しております。 本市においては今のところ大きな変化はありませんが,全国では,この10月の自殺者数が前年度比40パーセント増と急増しています。今後,国において分析が行われるとのことでありますが,コロナウイルスの感染拡大が人々に孤立を深め,影響を与えている可能性もあります。コロナ禍が人と人との触れ合いに与える影響についての思いを,しっかりと受け止める必要もあります。 新型コロナウイルスと人類の戦いが始まって間もなく1年。長期戦となる中で,感染症を予防しながら日常生活を送るウィズコロナ社会において,今後,どのようにひきこもり対策を進めていくのでしょうか。とりわけ,このような時代こそ,社会福祉審議会の意見でも言及されていたように,ひきこもりの当事者が自分の存在を確認できる社会参加の場などの拡充を図っていくべきと考えますが,市長のお考えをお聞かせください。 まずは,ここまでの質問に対してお答えを頂きたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問にお答えいたします。 まず,感染防止対策を徹底したうえでの宿泊観光の振興についてでございます。新型コロナの影響により,市内の宿泊施設は,長期にわたって大変深刻な状況に置かれていると認識しております。直近のデータでは,GoToトラベルにより日本人観光客は回復傾向にあるものの,市内の主なホテルの外国人を合わせた総延べ宿泊客数は前年の4割にとどまっております。また,昨年8割を超えていた稼働率も4割まで落ち込んでおります。また,ホテルに比べて稼働率が低くより厳しい状況にある旅館等では,価格帯によって稼働率に大きな差が生じております。特に低価格帯の稼働率は極めて厳しい状況であります。このように,GoToトラベルの効果が,全ての宿泊施設に偏りなく行き届いているとは言えない状況にあります。 とりわけ,下村議員御指摘のとおり,平日の宿泊利用を支えてきたインバウンドがほぼゼロの状態にある中,平日と休日の繁閑差は,昨年の1割程度から4割近くにまで拡大しております。こうした状況を踏まえ,感染拡大防止と事業継続の両立に懸命に努力しておられる幅広い飲食,宿泊,小売など観光事業者の皆様を支えるために,冬の閑散期における振興策を府市協調により実施してまいります。 具体的には,平日に府内に宿泊される観光客に対し,抽選で観光施設や土産物店等で利用できる地域クーポン券や市内の飲食店で利用できる食事券,伝統産業製品等の景品をプレゼントするとともに京の冬の旅や京都花灯路,レストランウインタースペシャル等のイベントとも連動させた幅広い宿泊施設への誘客強化に取り組み,様々な業種での消費喚起につなげてまいります。 もとより,取組の実施に当たりましては,市民の皆様の安心,徹底した感染拡大防止が大前提であり,事業者の皆様にガイドラインの遵守を徹底していただき,店舗を利用される観光客や市民の皆様にも新たな生活スタイルを徹底,静かな食事等を実践いただくことが必要でございます。そのため,本市といたしましても,店舗等における換気や加湿等の感染防止対策の強化への支援や観光客の皆様へのマナー啓発等に全力で取り組んでまいります。 なお,今後,感染状況やGoToトラベルの国の判断等もしっかりと見極め,事業の実施に当たっては,感染防止と経済の両立の視点に立ち,柔軟かつ機動的な判断を行ってまいります。今後とも,市民の皆様の安心安全を最重要視した感染拡大防止と,そして社会経済活動を両立させていくモデルを目指してまいります。 次に,市バス・地下鉄事業についてでございます。今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,今も市バス,地下鉄の御利用は大幅に減少しております。例えば,大変まちがにぎわったと伝えられる11月の3連休においても,前年度に比べ市バスで約25パーセントの減,地下鉄で約34パーセントの減と,いまだに大幅な減少が続き,運賃収入の減少が,4月から10月までの間だけでも両事業合わせて100億円を超える極めて厳しい経営状況にあります。 両事業の経営改善に向けましては,一人でも多くの市民の皆様に御利用いただくことが何よりも重要であり,安全安心に御利用いただける環境の確保が不可欠でございます。そのため,この間,市バス・地下鉄全車両の抗ウイルス加工をはじめ感染防止に向けたあらゆる取組を間断なく実施しており,今月中には交通局のキャラクターを活用した新たな啓発ポスターも展開してまいります。また,市バス車両は現在でも車内の空気が約2分で入れ替わり,十分な換気機能を有しておりますが,来年1月に新たに導入する市バス車両には,従前の車両よりも車内の換気装置を増設し,より一層換気効率を高めることとしており,更なる感染防止の強化に取り組んでまいります。 あわせて,こうした感染防止の取組について,フリーペーパーやSNS等,あらゆる媒体を活用し市バス・地下鉄の御利用を控えておられる方にもしっかりと伝わるよう幅広くかつ効果的な周知にも徹底して取り組んでまいります。 次に,地下鉄の新しい車両についてでございます。御利用者の大幅減により厳しい経営状況ではありますが,より一層の経営の効率化に努めつつ事業運営の根幹である安全を確保するため,更新時期を迎える烏丸線車両9編成の新しい車両の導入を予定どおり進め,まずは令和4年4月(後刻訂正)に1編成目の営業運行開始を目指してまいります。また,営業運行開始までには,市民の皆様に新しい車両の魅力を知っていただくための機会として,見学会や試乗会の実施を考えております。新しい車両には,随所に西陣織など伝統産業の素材,技法を用いており,現在,伝統産業の担い手の方々にも精力的に制作に御協力いただいております。活用する素材や技法等は,車内で紹介するとともに,詳細な情報を御覧いただけるホームページへ誘導するQRコードも掲示し,伝統産業の魅力を含めた情報発信にも注力するなど開業以来40年ぶりの大事業である新しい車両の導入を弾みといたしまして,京都ならではの魅力ある地下鉄として利用促進につなげてまいります。 次に,ひきこもり支援についてでございます。8050問題等を契機として明らかとなったひきこもりを社会全体で取り組むべき課題として捉え,抜本的な支援の転換と充実を図っていかなければならない。本市では,この認識の下,昨年度から社会福祉審議会で議論を深めていただきました。その後のコロナ禍の下で,この課題は更に深刻になり,それに併せまして,支援制度に人を当てはめるのではなく,困りごとを抱えられたお一人お一人に寄り添った支援を実現していくことを理念とした相談窓口や支援の充実に関する六つの提言を社会福祉審議会から頂きました。 これを受け,直ちに本年8月に全区役所・支所に配置した専任の寄り添い支援係長14名のほか相談窓口の相談員やよりそい支援員を合わせまして30名以上の増員をし体制強化を図ったうえで,本年9月から全年齢型の支援を開始いたしました。新たな相談窓口では,10月末までの2箇月で既に昨年度の約2倍のペースとなる125件の相談を受けております。その約8割が新たな相談であり,40歳以上の方も含めた幅広い年代の方からの相談であることから,専門かつ全年齢型の相談窓口を設置した効果が着実に上がっていると考えております。今後の支援につきましては,保健,福祉,教育はもとより,経済,雇用や地域コミュニティなど更なる政策の融合の下,取組を深めてまいります。 下村議員御指摘のとおり,今日のウィズコロナ社会という,このようなときにこそ当事者の方がつながりを感じられる社会参加の場になることが極めて重要であり,これらの拡充が不可欠でございます。このため,各区・支所の寄り添い支援係長が中心となりまして,地域の実情や課題等を把握したうえで居場所に関する情報発信や,文化,芸術活動,あるいはお寺,神社との連携など京都の強みを最大限いかした新たな社会参加の場の立上げ支援や拡充に取り組んでまいります。 今後とも,関係団体との協働の下,SDGsが掲げる誰一人取り残さない社会の実現に向けまして,人と人がつながる取組を全力で進めてまいります。 ○議長(山本恵一) 下村議員。 〔下村あきら議員登壇〕 ◆(下村あきら議員) コロナ禍におけます行政の様々な施策は,スピード感が一番大切です。そしてまた,必要なところに必要な施策がしっかりと行き渡るよう,引き続き,市長,よろしくお願いいたします。 次に,総合支援学校の児童生徒数増加への本市の対応についてお伺いいたします。京都は,明治2年に町衆の力で,番組小学校が創設された近代教育発祥の地です。さらに,明治7年頃に,我が国で初めて聴覚障害の子供の指導が開始され,明治11年に,全国発の目又は耳の不自由な児童のための学校,京都盲唖院が創設されました。これが,我が国における特別支援教育の始まりでもあると言われています。 また,知的発達に遅れがある子供に対する教育においても,明治38年に淳風尋常小学校内に特別学級が私設され,大正11年以降は市内小学校に公的な特別学級が設置されるなど,その創成期において優れた実践が展開され,戦後の特別支援教室に引き継がれたとのことです。 さらに,昭和31年に公立養護学校整備特別措置法が成立し,昭和33年10月には全国的にも早期に呉竹養護学校が認可されるなど,本市には日本の特別支援教育をリードしてきた歴史があります。 さて,現在,我が国では,少子化で子供の数が減少の一途をたどっておりますが,医療の発達や特別支援教育への理解の広がりなどにより,特別支援教育を必要とする子供たちの数が増加しています。国全体では,平成19年度から29年度の10年間で小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数が約2.1倍,支援学校に在籍する児童生徒数が約1.2倍に増加していることが示されています。とりわけ特別支援学校については,児童生徒数の増加により大規模化や教室不足が全国的に喫緊の課題となっています。 本市においても,全国に先駆け,それまでの障害種別の支援学校から,障害の違いを超えて学び合う総合制,地域制の総合支援学校へ再編された平成16年度から比較すると,現在,約1.4倍となる児童生徒が,地域制4校で学んでおり,教育委員会においても,この間,北総合支援学校や西総合支援学校で校舎の増築を行うなど学習環境の整備に取り組んでこられました。 今日のインクルーシブ教育の理念の下,子供たちが,障害のある,なしにかかわらず共に学ぶことのできる環境整備を追求することは非常に重要な視点ですが,何より大切なことは,障害のある子供や保護者の願いも踏まえながら,一人一人の子供にとって適切な教育環境を整えることであり,そのためにも,今後,ますます,支援学校を必要とされる子供たちの増加が見込まれる中で,施設整備等の教育環境の充実,改善が必要ではないかと考えております。 現在,児童生徒数増加に対応すべく,私の地元下京区の元格致小学校の校舎を利用して,北総合支援学校の分校を設置する方向で,地元の皆様と協議を重ねておられるとお伺いもしております。全国の特別支援教育をリードしてきた本市として,今後,総合支援学校への進路希望者の増加へどのように対応されるのか,教育長のお考えはいかがでしょうか。 最後に要望を2点させていただきます。 まず,鴨川に架かる橋のライトアップについて要望させていただきます。本市を流れる鴨川には,多くの,そして様々な形をした個性豊かな橋が架かっており,中には,国の登録有形文化財に指定された七条大橋や木の橋の雰囲気を残した三条大橋などもあります。明るい昼間には,これらの橋は鴨川とマッチし,良い景観を形成していることが見えますが,夜間は暗く,橋の上だけを照らす市街灯の明かりだけで,個性豊かな橋の形などを確認することができません。目をつぶって,鴨川からの橋から眺めるようなイメージを持ってお聞きいただきたいと思います。 橋のライトアップの事例は,東京都では,水辺のにぎわい向上や新たな観光資源として,墨田川に架かる12橋のライトアップの実施,大阪市では昭和の時代から,順次,淀川,堂島川などで21橋のライトアップを通年で行っておられます。本市の事例では,12月の嵐山花灯路の期間限定で渡月橋のライトアップが実施されています。昨年度,魅力ある夜間景観づくりに向けた社会実験が行われ,三条大橋は9月の3日間,ライトアップが実施されました。その実験を踏まえ,夜間景観づくりの指針について,現在策定作業が進められているとお聞きしています。金沢市では,既に,金沢の個性と魅力を磨き高める夜間景観形成条例が制定されていると伺っております。本市でも,夜間景観づくりの指針に基づき,現在,寄付金を募り,木製高欄の更新などを進めるようとされている三条大橋をはじめ,新たな観光資源にもなり得る鴨川に架かる橋のライトアップ実施について御検討いただき,夜間景観の向上につなげ,京都市の魅力を更に高めていただくことを要望させていただきます。 次に,京都市立芸術大学の移転整備の着実な推進についてでございます。京都市立芸術大学移転事業は,令和5年秋の開校に向けて取組が進められています。現在,高倉通のたかばしからは広大な更地が見渡せ,京都芸大移転の準備が整ってきたことを実感しています。 また,京都駅前で新キャンパスの模型と京都芸大卒業生の作品が展示され,崇仁文化祭で京都芸大の先生らが指導された子供たちによるおはやしが披露されるなど,移転を見据えた地域連携にも力を入れておられます。 この京都芸大には,文化芸術都市・京都の新たなシンボルゾーンの創生を目指す京都駅東部エリアのまちづくりの核として,交流と創造の中心となり,次世代の若者を育て,文化芸術の感じられるまちづくりにしっかりと貢献していただきたいという風に思っております。 さらに,京都駅東部エリアと梅小路公園を含めた京都駅西部エリアがしっかりと結ばれ,文化芸術と観光,産業を融合し相乗効果を生むことで,更に京都駅周辺の新たなまちづくりが飛躍すると期待しております。色々な御意見もありますが,やはり厳しい時代にこそ100年先への投資が必要だと思います。 そういった意味で,この京都市立芸術大学の移転につきましては,未来の京都の発展のため,また,魅力あるまちづくりに期待されている地域の多くの皆様方の御期待に沿うよう,着実に,着実に進めていただくよう,強く,強く要望いたしまして,私の代表質問を終わらせていただきます。 市長,未来を見据えて,厳しい時代こそ,先行投資も大事かと思います。100年先,しっかりと見据えながら,コロナ対策もしっかりと頑張っていただきたいと思います。引き続き,よろしくお願い申し上げます。 御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 総合支援学校の児童生徒数増加への対応についてでございます。下村あきら議員御指摘のとおり,医療技術の進歩や障害への理解の広まりを背景に,本市におきましても総合支援学校の児童生徒は,直近10年間で申しましても約14パーセント,133人増加しております。こうした中,これまでに北及び西総合支援学校の校舎増築や東山総合支援学校の新設等を進めてまいりましたが,現在,築後50年以上の経過によって老朽化し,かつ狭あいとなっている呉竹総合支援学校におきまして教室数を約2倍に拡大するとともに,障害の重度重複化に対応する多機能な施設への全面改築に着手しており,令和5年度に第1期工事,令和7年度に全施設の完成を目指しております。さらに,北及び西総合支援学校におきましては,今後数年の間に教室が不足すると見込まれ早急かつ抜本的な対応が必要であり,西総合支援学校の更なる校舎の増築を検討するとともに,北総合支援学校につきましては,昨年度まで下京雅小学校が使用しておりました元格致小学校の施設を有効活用した分校の新設に向け,この間,格致学区の地元の皆様と協議を進め,地元におきましても1年以上にわたり様々な観点から御議論いただき,去る11月21日の自治連合会臨時総会におきまして,北総合支援学校の分校の受入れを決議いただいたところであり,格致学区の皆様に厚く感謝を申し上げます。この分校の新設により,中京区と下京区の児童生徒70名から90名程度を受け入れ,児童生徒数増に備えるとともに,山科区にある東総合支援学校に通う下京区の児童生徒を新設の分校に受け入れることにより通学時間の大幅な短縮による負担軽減も図る計画であります。現在,バリアフリー化をはじめとした施設改修に係る基本計画の策定を進めており,できる限り早期の開校を目指してまいります。今後とも,インクルーシブ教育の理念の下,障害のある児童生徒や保護者の多様なニーズに応え,総合支援学校の教育環境の整備をはじめ本市総合育成支援教育の一層の充実に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 発言の内容につきまして,訂正させていただきます。 下村議員御質問に対する答弁の中で,烏丸線新車両の導入時期につきまして,令和4年4月と申し上げましたが,正しくは令和4年3月でございます。慎んで訂正させていただきます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,平井良人議員に発言を許します。平井議員。 〔平井良人議員登壇(拍手)〕 ◆(平井良人議員) 中京区選出市会議員の平井良人です。日本共産党市会議員団を代表し,市長に質問します。 最初に,新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々へ,心からの哀悼の意を申し上げるとともに,闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。 この間,新型コロナウイルス感染症の拡大が再来し,第3波への対策が喫緊の課題となっています。この感染拡大を食い止めるためにも,検査,保護,追跡の抜本的強化が国も自治体も必要です。京都市に対しては,我が党は,かねて,季節性インフルエンザと混在した感染拡大について特別の警戒と対策の強化が必要と求めてまいりました。本腰を入れた感染症対策を打ち出せず混迷する国策の下で,医療現場からは,通常医療における手術を見合わさざるを得ない,一般医療が麻ひし医療崩壊を来しかねないと切迫した声が出ています。医療機関への損失補填は急務の課題であり,すぐにでも国に迫るべきです。 また,爆発的な感染を起こさないためにも,防疫的な観点からPCR検査費用の全額国庫負担など財源は国に求めるべきです。いかがですか。 また,京都市として,医療機関や高齢者施設など重症化のリスクが高い分野への検査を徹底し,定期検査に踏み切るべきです。本市の職員体制として保健師と衛生環境研究所の本格的な増員策を講じるべきです。いかがですか。 その中で,京都市自身も中小,小規模事業者への支援を強めることが現在の経済情勢からも年末に掛けて一層求められています。東京商工リサーチの京都府内の調査では,2020年9月の売上高が前年同月を割り込んだ企業は71.2パーセントで,4月以降,6箇月連続で7割以上の企業で前年同月の売上高が割り込んでいる異常事態が続いています。売上高が前年比を割り込み続けている状況の下で,中小企業の資金繰り支援策の利用率は59.4パーセントと前月よりも4.0パーセント増加し,資金繰り支援策を使わざるを得ない事業者が増え続けていることになります。 先日,日本共産党京都市会議員団として,祇園の事業者への調査を行いましたが,聴き取りをすればするほど切実な要望が寄せられました。その業者からの悲痛な声の一部を紹介します。10月も1日1組の客しか来ていない。店を開けていたら寄ってもらえるのではないかと期待して開けている。家賃を4万円下げてもらって16万円,固定費の負担が重い。2回目の支援がなければ年明けからきつい。休業要請に応じて京都府は10万円出たが家賃も払えない。大阪は50万円出ている。地域で差があっていいのか。などコロナの影響で年末,年明けに掛けて,祇園でもどこでも非常事態です。このままでは,京都市の多くの中小,小規模事業者が廃業,休業に追い込まれることになります。11月補正予算が示されましたが,予算規模,政策の中身ともに,窮地に陥っている事業者を救えるものにはなっていません。これまで京都市を支えてきた中小,小規模事業者を存続させる立場に立つべきです。 市長は,年末までもたないという事業者の声をどう受け止めていますか。この11月補正予算で,年末に事業者を休業,廃業に追い込まないことを約束できますか。お答えください。非常事態とも言える事業者の状況の下で,市独自に事業分野にとどまらない各局連携した年末の相談体制の強化が必要だと考えますが,いかがですか。 国が事業者の実態に見合う予算を組むことが今必要です。菅首相は新型コロナウイルス感染防止と経済活動での追加対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の編成を閣議で指示しました。しかし,来年1月の通常国会待ちの補正予算では,必要な医療体制や暮らしとなりわいをこの年末から年明けに掛けて守れません。しかも,2次補正予算で10兆円も計上した予備費のうち,7.3兆円は使途が決まっていません。この予備費を使い,国民が希望を持てる施策に振り向けるべきです。 そのために,以下の点を国に求めていただきたい。第1に,国の支援が中小,小規模事業者に向いていないときだからこそ,全ての事業者と市民への最大の景気対策である消費税減税を実施することです。第2に,持続化給付金,家賃支援給付金の追加支給を求めることや,これまでの国の施策,特に給付金制度の枠内から外れている事業者への支援を行うことが必要です。第3に,市民に身近な自治体の裁量で事業者の状況や地域の特性に応じて自由に使える交付金制度を国が創設し,国がそのための交付金を支給することです。京都市は,これらの要望を貫き,年末までに事業者に直接支援策が届くように国に強く迫るべきです。いかがですか。 ここで,一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平井良人議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナ対策についてでございます。11月に入り本市でも感染者数が増加しており,緊張感を持って日々全力で対応しております。まず,医療機関の経営支援につきましては,国から緊急包括支援交付金が都道府県に交付されており,それらを財源に都道府県が取り組んでおりますが,くわえまして,本市としても支え合い支援金の支給や帰国者・接触者外来設置医療機関や入院患者受入医療機関に対する独自の支援金の交付などを実施しております。国に対しては,医療機関に対する支援や地方創生臨時交付金の増額等の自治体への財政支援の充実等につきまして,引き続き,強力に要望してまいります。 次に,集団感染が発生,重症化しやすい医療機関や高齢者施設等においては,本市独自のPCR検査基準により,濃厚接触者だけでなく接触により感染の可能性のある方を広く捉え,症状の有無にかかわらず,また,感染の収束を確認するまで繰り返し検査を行う取組を既に実施しております。引き続き,医療や公衆衛生の観点から必要な検査が可能な体制を確保してまいります。 次に,本市の職員体制につきましては,人口100万人を超える大都市の中で最も充実した330名を超える保健師体制を,具体的には人口1万人当たり大都市平均で1.5人の保健師に対し,本市は2.3人の保健師が在職しておりますが,それらをしっかりといかし,更に他部署からの応援体制も組み強化してまいりました。これに加えまして前倒し採用や民間の保健師の活用等も行うことで,新型コロナ対策を担う保健師は,年度当初の19名から61名に,また,衛生環境研究所の検査体制につきましても,部門を超えた応援により年度当初の12名から19名に,それぞれ強化しております。今後とも,的確かつ柔軟に対応できる体制を確保し,感染拡大防止に全力を尽くしてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 新型コロナを受けた中小企業支援についてでございます。感染の再拡大を受け,中小企業等の皆様の経営環境は厳しさを増すものと認識しており,11月補正においても,飲食店等の感染防止対策への支援の拡充をはじめ,感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るための予算をお願いしております。くわえまして,市内金融機関や大企業等に対しては,年末に向けた円滑な資金供給や下請事業者への配慮を要請したところでございます。また,国に対しましては,これまでから,実質無利子,無保証料での融資や持続化給付金,雇用調整助成金など事業と雇用を下支えする支援策の継続,充実と共に,本市の裁量により地域の実情に応じた使い方が可能な新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金の増額などを要望しております。今般,雇用調整助成金の特例措置などの延長が実現したところでございますが,引き続き,強く求めてまいります。こうした取組と共に,国,府,市の支援策を必要とされる事業者の皆様に適切に届けられるよう商工会議所の相談窓口の体制強化や中小企業等支援策活用サポートセンターの開設など,中小企業,個人事業主の皆様に寄り添った支援を行う体制を構築しております。年末に向けまして,事業に関する相談のみならず,内容に応じて生活支援の窓口にもつなぐなど,各局・区と連携し,引き続き,丁寧に御相談に応じてまいります。なお,これまでから申し上げておりますとおり,消費税は,国,地方を通じた社会保障に要する財源の安定的な確保等のために導入されているものでございます。本市においても,その貴重な財源を,介護,年金,医療及び子育て等の社会保障の予算に充てており,消費税の引下げを国に求めることは考えておりません。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 平井良人議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時53分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続し,平井良人議員に発言の継続を許します。平井議員。 〔平井良人議員登壇(拍手)〕 ◆(平井良人議員) 午前中,事業者の対策について答弁いただきましたが,年末年始に向けて事業者の経営状況は非常に厳しく,生活の糧が失われようとしているときに,市長からの根本的な解決策は何ら示されませんでした。事業者が年末年始以降も永続できるよう直接支援策を求めておきます。 次に,雇用問題について質問します。総務省の2020年9月における労働力調査では,完全失業者数が210万人で前年同月比42万人も増加しており,8箇月連続で増加し続けています。また,就業者数,雇用者数が6箇月連続の減少となり,特に非正規雇用者数は,前年同月比で123万人の減少となっており,7箇月連続減少する中で,働いている人の厳しい状況が浮き彫りになっています。さらに,京都労働局が10月30日に発表した京都府内の有効求人倍率は1.01倍であり,解雇され,再就職しようと思っていても,就職すらままならない状況です。 先日,相談に来られた方と一緒に労働相談で労働基準監督署,労働局に行きましたが,次々と相談者が来られ,雇用条件の切下げ,解雇などの相談が多く寄せられている様子を目の当たりにしてきました。雇用調整助成金は,来年2月まで延長する動きが出てきていますが,それぞれの企業の自己資金も枯渇することから,大量の解雇が行われようとしています。解雇によって,路頭に迷う人が増えることは,中小企業,労働者の実態からも避けなければなりません。 国の制度として,雇用調整助成金や休業支援給付金などの措置が採られていますが,特に休業支援給付金については,予算規模5,442億円のうち,執行率は6.4パーセントと僅かな給付率となっています。背景には,事業主が休業の措置を採った場合でも,実際,事業主が休業したことを労働者側から証明できないからです。さらに,4月に中途採用された方は,就業前の賃金確認ができないという理由で4,5月の休業は対象とならず,こういう場合,ほぼ無収入で過ごさなければならない方もおられます。再度,国に対し,再就職の初月や2箇月目の給付措置,また事業主からの休業証明が得られない労働者への救済措置など休業支援給付金制度の柔軟化,更なる期限の延長などを申し入れ,休業中の労働者の方々の生活を守るべきです。いかがですか。 京都市は,10月15日に京都府や京都労働局,労働団体,使用者団体の代表者が集まり京都労働経済活力会議が開かれました。今後の雇用対策についての意見交換が行われ,10月22日には活力会議の意見を踏まえた国への要望がされました。しかし,あくまで国への要望であり,京都市自身が独自に何か行っているわけではありません。この活力会議では,労働者からの声は労働団体にとどまっており,一人一人の労働者の願いを反映したものにはなっていません。また,京都経営者協会の枠組みであり,全国的な大企業に対しての派遣切りや労働条件の切下げに対して対処できるものではありません。京都市として年末に向けて失業者にさせない対策が必要です。 2019年7月16日にブラックバイト対策協議会で行った学生アルバイト等の適正な労働条件の確保について要請したように,京都経営者協会などに対して雇用の維持,確保を訴えるとともに,それぞれの協議体以外の大企業に対しても同様の訴えを行うべきです。いかがですか。 また,このことは京都市で起こっている問題です。京都市自身が雇用創出と労働者保護に責任を持つ部署を今こそ復活するべきです。いかがですか。 次に,学生生活について質問します。困窮している学生の方々に対して,食材など提供を行っている団体がおられますが,11月15日にその食材支援プロジェクトの場で状況を聴かせていただきました。長引くコロナの影響の下で,1回生から4回生まで大変多くの学生の方が来られていました。直接声を聴いた1回生の学生は,アルバイトを探しているが,いまだ見つかっていない。既に20件のアルバイト先で断れたや派遣の仕事をやっているが,仕事が入ってこないなどで収入源がなく,厳しい生活の実態が明らかとなりました。いずれも日本の高学費が重くのしかかっています。また,再開された授業についてもオンライン授業となっているが,目の前でのコミュニケーションが必要と英語学科の方や保育の実習など実地で行うことについては,これまでのやり方を変えざるを得ない状況の下で,必要な学びが保障されていないこともよく分かりました。こういった食材提供プロジェクトは重要ですが,自助や共助では限界があります。公がその役割を果たすときです。 経済的な支援においても,大学における学びについても,京都市の国で統一的にという考え方では対応できないことは明白です。大学と連携し,学生全体の実態をすぐさまつかみ,支援する必要があります。そのうえで,京都市独自で給付制奨学金制度の創設や生活への支援策などの学生の退学者を生まない対策を考えるべきです。 また,現在,京都府が医療,福祉分野の学生実習に対して,PCR検査の補助制度を創設しています。こういう制度を府と連携し,制度の対象枠を広げ,大学内での定期的なPCR検査を行えるよう発展させるべきです。いかがですか。 また,国に対して,再度,学生緊急支援給付金の給付や学費半減などを求めるべきです。いかがですか。 来春卒業する学生の就職状況も深刻です。我が党が議会でも要望してきた来春卒業予定の学生に対して,この間京都府や京都市が1,131人に聴き取りを行いましたが,企業説明会の中止や延期など就職活動に影響があった学生は約9割にも上ります。バイト先で解雇やシフトを減らされた学生も7割を超えている状況です。 企業側にも京都市や京都府から調査がされていますが,2021年度,来春卒業生の採用について,中止する,減らすと回答した企業は,全体の19.4パーセント,22年度卒業生について,採用しない可能性が高い,前年より減らすとした企業が33.7パーセントと新たな就職氷河期が生まれようとしています。そのことは,現在の3回生など将来にわたって影響があり,打開すべき課題です。まずは京都市自身が来春以降,新規卒業者の正規の職員採用を増やし,学生の就職支援の先頭に立つ必要があります。また,わかもの就職支援センターの体制と予算を充実させ,各大学の窓口と連携し,中小企業へのマッチングなど,就職氷河期の再来を食い止めるためあらゆる方策をすぐに講じるべきです。いかがですか。 ここまで述べてきたように,コロナの感染拡大と長期化は,あらゆる階層と分野に広がり,市民の生活を圧迫しています。京都市は,時を同じくして持続可能な行財政審議会を立ち上げ,福祉の削減を進めようとしています。断じて許されないことです。京都市が進める行財政改革の特徴は,一つには,コロナの影響で苦しんでいる市民にはサービスの切捨て,負担増を押し付けようとしていること。二つには,将来にわたる大型公共投資である北陸新幹線の延伸や堀川地下バイパストンネルなどの不要不急の事業は,検討の対象にすらなっておらず,事実上聖域化していること。大企業が補助額の6割を占めている京都市企業立地促進制度補助金の温存をしています。三つには,国に対して財源を求めているとしながらも,骨太方針の下で地方交付税を含む一般財源収入の大きな増加を見込むことはできないと国の政治に対してまともに物が言えない状況になっていることであります。 市民へのサービスの切捨てと負担増では,一般会計からの繰出金ついて,財政が厳しいから繰出金を一時的に減額するということも模索する必要があるや繰出金については,基準内だから良いのではないかということではなく,そもそもの在り方から検討する必要があるなど削減先にありきの議論がされています。このことは,保育や水道,下水道などあらゆる福祉施策の切捨てへとつながります。 審議会では,敬老乗車証は,応益負担で早急に見直しを進めるべき,被災者住宅再建支援については被災者の支援よりも保険料,共済の加入促進など自助の取組を促すべきなどの審議委員からの発言がされています。住民の福祉の増進どころか,苦しんでいる方に更に塩を塗りこむようなものです。 市長は財政健全化推進本部の訓示の中で,発想を大胆に転換することを述べた後で,社会的な課題の解決を税金で公務員,行政がやらなければならないという時代は終わっていると思う。民間の力を最大限いかすことと述べ,公的責任を放棄すると捉えられるような発言をされていますが,市長御自身の姿勢を変えるときだと私は思います。こんな市民生活が大変なときこそ,自治体の役割を最大限発揮し,命と暮らし,なりわいを守る姿勢が必要です。市民リストラを進めるこのような方針は撤回すべきであり,京都市は,公的な責任を果たすべきです。いかがですか。 コロナの影響が広がる中で,せめて上下水道における料金や使用料は減額や免除してほしいという声が市民の中で広がっています。現在までに,3分の1以上の自治体が水道料金の減免に取り組んでいます。こんなときにこそ,市民生活を守るためにも減免を行うべきです。このことをこの問題の冒頭に求めておきます。 2018年の水道法改正を契機として,国の政策誘導も含めて民間委託化が大きく進められています。京都市でも中期経営プランの第6期効率化推進計画において,民間委託化が目白押しとなっています。9月市会決算特別委員会でも,この民間委託の流れを進めている中で,根幹に関わる業務の意味について上下水道局にお聞きしましたが,基幹部分は直営で維持しつつと中心の事業以外は委託化する計画となっています。これでは,市民の命を守る水そのものも危機にさらすことになります。くわえて,広域化を巡って,この間,水道料金などの徴収業務や職員の研修,水質検査なども広域化において共同化を行える可能性があるとの趣旨で水道管理者が答弁されています。新たな近隣市町との共同化についても国誘導の下で事業が進む目算が高いわけです。特に水質管理,検査などは,命に直結する重大な業務の一つであります。延長線上には,広域化も踏まえての民営化が浮き彫りになっています。 これまで民営化されたフランスのパリ市では,1985年の民営化以後,水道料金は跳ね上がり,2008年には当時の1.74倍の料金となり,物価上昇は起こっていないにもかかわらず,水道料金だけが高騰する事態となりました。それは,民間事業者の場合は,利益を上げること,株主への配当の支払いなど企業のもうけが先に来るからです。 日本の場合は,政府による水道法の改正が民営化の道筋を作っています。それは,現在の課題である管路などの施設老朽化などで掛かる施設費用の削減がメインです。しかし,その事業の中で民間のもうけが優先されれば,料金の値上げや水質悪化など世界で起こっている流れと同じになり,住民にとっては,何の利益も安全の担保もありません。市民の命綱の重要な一つである上下水道事業において,京都市が民間委託化や広域化を行わないことを求めますが,いかがですか。 同じ公営企業である交通局の現状については,今年度はコロナの影響でバス,地下鉄とも大幅な減収が見込まれます。9月市会の市長総括質疑で,副市長は,減収の状況を捉えて,ダイヤでは,通勤通学の時間帯の足は確保しながら,御利用状況に応じた見直しが必要と通学通勤に対するダイヤの削減はしないとしたものの,求められているのは,利用されている市民一人一人の足を守るという観点です。くわえて,バス1日券など市民利用もある企画券の値上げを既に委員会でも発言されています。このような削減をやめ,市民に寄り添ったバスや地下鉄路線を充実させるべきです。公共の福祉を増進する観点から,企画券の値上げやバスの路線,ダイヤ,地下鉄ダイヤなど市民生活へのサービスの削減や負担増などはやめるべきです。いかがですか。 最後に,地元中京区,壬生のマンション建設問題について要望いたします。現在,中京区の朱雀第三学区の地域で,新選組の屯所跡である前川邸の真横でマンション建設が進められようとしています。新選組の屯所として使われていた建物は,今も母屋や長屋門,土蔵2棟が残っています。しかも,京都市が景観重要建造物に指定している建物です。この地域には,壬生寺や八木家,光縁寺など新選組にまつわる寺社や建造物が現存している地域であり,周辺も多くが低層の住宅となっています。普段は高齢者の往来が多くあり,観光客も数多く訪れている場所です。なぜこの地域にマンションが必要なのかと周辺の方々から異口同音に声が出されています。説明会では,高さは保ちつつ景観に配慮した見え方にするとの説明では,マンション計画の高さは変わらず,根本的な解決とはなりません。 今回の計画では,近隣からも全国からもマンション建設反対の署名が5,000筆以上寄せられています。周辺住民の方々約500人が開発許可の取消しを求める審査請求も京都市都市開発審査会に提出されました。住民の皆さんから工事車両が通る周辺の道路について,建築基準法では,隣接する道路は4メートル以上の道路に接することが条件との制約があり,4メートルを満たしていない部分があるとの指摘がされています。また,地域の歴史や景観,交通への影響があり,住環境が著しく損なわれるとの指摘もされています。 開発審査会の結果,事実上の大規模開発はできなくなりましたが,高層の建物は,建つ可能性を残しています。事業者の目先の利益より元々の地域の特性に根差した景観と町並みの保全を進めるためにも,このような高層のマンションの建設計画を低層に変更するよう事業者を指導すべきです。強く求めておきます。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平井良人議員の御質問にお答えいたします。 持続可能な行財政審議会についてでございます。収支不均衡な本市の財政構造に加え,コロナ禍で更に財政が悪化し,数年内にも財政再生団体となるおそれがあります。そうなれば,国の水準を上回る独自の施策を全て廃止せざるを得ず,何としても避けねばなりません。こうした中,行財政審議会では,京都市が市民生活,京都経済を下支えし,市民の皆さんの命と暮らしを守るという役割を持続的に果たしていく観点で議論を行っております。投資事業につきましても,事業の必要性,緊急性,費用対効果,後年度負担等を踏まえまして,総額を的確にコントロールしてまいります。地方交付税につきましては,国に対して,これまでも本市単独で,あるいは指定都市と連携し,必要額の確保等を強力に要望しております。 近年,社会情勢の変化や市民の生活様式,価値観が多様化する中,一人一人がそれぞれの力や環境に応じて自立した生活を営むこと,地域社会や新たな公共の担い手も含め,みんなが助け合うこと,それでは解決しない課題については行政がしっかりと役割を果たすこと,こうした自助,共助,公助という社会本来の姿を基本とし,その果たすべき役割を適切に見直し,誰一人取り残さない持続可能なまちづくりを進めることが重要でございます。 私は,市長就任以降,民間活力を積極的に活用し,福祉や防災,安全など必要な部署には必要な増員を行ったうえで,3,400人の職員,年間270億円の人件費を削減し,これを福祉,医療,教育,子育て支援,防災をはじめとした安心安全の取組の充実などに充当してまいりました。こうした取組を進めるとともに,ボランティアやNPO,ソーシャルビジネス企業など様々な主体と連携,協働してまいります。 持続可能な行財政の確立は,本市最大の課題であり,開かれた場で,市民ぐるみでの議論を深めていくことが不可欠であります。引き続き,歳入歳出両面の改革を加速させ,今と未来の市民に対する公的責任をしっかりと果たしてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) コロナ禍における学生支援についてでございます。これまで各大学等においては,感染拡大防止対策の徹底と学生の学修機会の確保の両立に御尽力いただいております。また多くの学生さんが困難な状況の中でも感染拡大防止を意識しながら学生生活を送られており,引き続き,安心して学ぶ環境を維持,充実させることが重要であると認識いたしております。 こうした中,直接的な経済支援につきましては全国の学生に関わる重大な課題であり,国において統一的に対応する必要があると考えております。本市では,この間,各大学,学生との意見交換などを踏まえ,国に対し必要な支援,対応を繰り返し要望してきており,先月には,大学コンソーシアム京都との協働により市長が代表して直接文部科学大臣等に学生に対する経済的負担軽減策の充実やPCR検査を積極的に受けられるような環境づくりに対する支援などを要望いたしました。くわえまして,本市独自の施策として,市内の大学等を対象とした総額約2億円の補助制度を創設するなど学生支援の取組を後押ししております。また,就職支援につきましては,京都市わかもの就職支援センターにおいて,コロナ禍においても学生が円滑に就職活動を行えるようオンラインでの相談や模擬面接等を実施するとともに,中小企業向けにオンライン採用活動導入セミナーを開催するなど新しい就活スタイルに対応した取組を展開してまいりました。今後とも,第2の就職氷河期世代を生み出さないという決意の下,国や府,大学とも連携しながら,全力で取り組んでまいります。 なお,本市職員の採用につきましては,厳しい財政状況の下,職員数の適正化を図りつつ,市民の命と暮らしを守り市民サービスを維持できるよう,必要な人員をしっかりと確保してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本産業観光局長。 〔山本産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(山本達夫) 新型コロナを受けた雇用対策についてでございます。休業支援金,給付金制度は,雇用調整助成金制度を補完して,新型コロナの影響等により休業した中小企業の労働者の生活を支えるものであり,労働者から申請できる点や学生を含めたアルバイトも対象となる点では画期的ですが,事業主に依頼しづらい等の理由もあって利用が伸びていないと承知しております。そのため,市,府,経営者協会,連合の4者が連名で,手続上の課題から労働者が申請を断念しないよう柔軟な制度運用や対象期間の延長を国に要望してまいりましたが,今般来年2月末まで期間の延長が実現したところであります。また,労働局からも,経済団体に対して,労働者から依頼があった場合には必要書類の作成に協力するよう要請しております。さらに,雇用の維持,確保につきましても,府や労働局とも連携し,経済団体や大手チェーンストア等に対し,雇用調整助成金等を活用した雇用維持や失業者及び新卒者の雇入れへの配慮等の要請を行っています。 次に,雇用,労働政策の推進体制についてでございます。この7月には,局内に,新たに,ひと・しごと環境整備課長を配置して体制を強化し,コロナによる離職者等を雇用する中小企業等への支援制度を創設するなど,雇用の維持,創出を後押しする施策を着実に進めており,引き続き,国,府とも連携しながら,本市の役割を果たしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バス・地下鉄事業についてでございます。今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,市バス,地下鉄の御利用は,前年度に比べ,いまだ大幅な減少が続き,運賃収入の減少が,4月から10月までの間だけでも,両事業合わせて100億円を超える危機的な経営状況にあります。こうした中,特に市バスの急行系統においては,観光客の減少に伴い,お昼の時間帯の御利用が大きく減少しております。朝夕の通勤,通学のダイヤを維持しつつ,お昼のダイヤの見直しに取り組み市民の足をしっかり守っていきたいと考えております。また,市バス・地下鉄事業経営ビジョンに掲げておりますとおり,市バスの均一運賃が230円のところ,各種割引乗車券の御利用により,お客様一人当たりの実際の乗車運賃は153円と7割に満たない状況であり,何とか是正したいと考えております。このため,平成12年当初700円であったものを当面600円としているバス1日券をはじめ,各種割引乗車券の見直しを通じて市民の足を守り,持続可能な経営につなげてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(吉川雅則) 水道事業の運営についてでございます。水道は,市民生活を支える重要なライフラインであり,これまでから本市の経営責任の下,事業者の皆様と共に着実に事業を推進してまいりました。近年の極めて厳しい経営環境の下で水道を将来にわたり持続可能なものとするためには今後も経営の効率化を進めていく必要があり,経営ビジョンでは,事業の根幹となる業務は直営で実施するとともに,民間に委託してもサービス水準が維持され十分な役割を果たすことができるものについては積極的に民間委託を進めることとしております。また,改正水道法における広域化,広域連携の推進は,民営化を前提としたものではなく,人口減少に伴う水需要の減少や施設の老朽化などが全国的な課題となる中,持続可能な水道事業運営のために有効な手段の一つとして示されたものであります。京都府域における広域化,広域連携については,京都府がその推進役として各市町村の実情やニーズ等を把握しながら進めていくこととなっており,本市としては,府内最大の事業者として京都府とも協力しながら実現可能な連携の検討を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,森田ゆみ子議員に発言を許します。森田議員。 〔森田ゆみ子議員登壇(拍手)〕 ◆(森田ゆみ子議員) 南区選出の森田ゆみ子です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問します。 まず気候危機について質問します。国会では,衆参両院において11月19日と20日に,気候非常事態宣言決議が賛成多数で採択されました。地球全体が気候危機であり,その克服のために脱炭素社会の実現が必要であることが共通の認識になっています。門川市長も2050年までにCO2排出実質ゼロ宣言を掲げており,この取組は大いに進めるべきと考えます。ただし,原発の再稼働を容認している点は納得できません。原発は,発電する際のCO2排出は少ないとされていますが,ウランの精製の段階で多くのCO2を排出します。何より,重大事故の危険性や放射性廃棄物の最終処分地など問題山積みの原発に頼らないエネルギー政策を推進していかなければいけません。 そこでまず再生可能エネルギーである太陽光発電についてお聞きします。京都市には,住宅用,省エネ,創エネの補助制度はありますが,初期の設置費用が多額になるため,生活に余裕のない市民には手が出ません。市が推進している「0円ソーラー」事業プランは,事業者が民家の屋根を借りて太陽光パネルを設置し,エネルギーを売ることで元を取った後,ソーラーパネルは屋根を借りた住民に譲渡されるというものです。しかし,原発や化石燃料優先の政策の下,太陽光発電の利益が少なくなり事業者が積極的に取り組めていないのが現状です。それならば,市が主体となって推進するべきです。太陽光パネルと蓄電設備を設置する初期費用を市が無利子で貸し付け,光熱費相当額を分割で返済をするといった制度を作れば住民の負担は軽く促進できると思います。あらゆる工夫をして,太陽光発電の普及を促進するべきと考えますがいかがですか。 京都市は,CO2の対策は森林吸収を図るとしています。2050年までに本市の森林で市内で排出するCO2を吸収しCO2排出実質ゼロにするためには,バックキャストの観点から考えても,今すぐ森林を整備して,30年後にはそれにふさわしい森林が出来ていなければいけません。森がCO2を吸収するには,大きく根が張っていて元気に成長する森林が必要になります。木材価格の低迷で,補助金をもらって山の整備をしても,収入より支出が多く地域や個人で対応するのが困難な状況です。山の維持管理に欠かすことのできない間伐も十分に行えていません。 この間,何度も文化環境委員会で取り上げてきましたが,2018年度の台風のときからの倒木がそのまま放置されている森林もあります。倒木や森林の整備のときなどに出る廃棄される部分を資源として活用できる施設が森林の近くにあれば,そうした処理を円滑に行えるようになります。北海道では,2018年の大地震で送電システムが麻ひし,北海道全域で数日間ブラックアウト状態が続きました。その教訓から電力の地産地消に乗り出し,災害倒木や間伐材をバイオチップとして活用しバイオマス発電を推進しています。 森林の保全,育成は,山の所有者だけに任せず,行政が責任を持って林業が産業として成り立つよう,地域住民や林業者,森林組合などと連携してエネルギーの地産地消に取り組む必要があると思いますがいかがですか。 日々の暮らしの中からもCO2を削減する工夫が必要です。例えば,食に関して言うと,地産地消の割合を増やし輸入のための船や飛行機の燃料を減すことでCO2の削減につながります。日本の食料自給率が低いことは以前から問題になっていますが,京都市内で多くの農地が十分に活用されていません。今こそ真剣に地産地消に取り組むべきと考えます。 右京区の京北地域は,京都市編入前の京北町のときには地域で採れた食材を中心にした学校給食が作られていました。京都市に編入されて以降,京都市が食材を一律に調達することにより地域の食材を使うことができなくなりました。こうした調達の在り方を見直し,例えば,京北地域では,地元産の食材を使うことを基本とした給食を提供することにするなど柔軟な運用を検討すべきと考えますがいかがですか。さらに市内全体の給食の材料調達も運用を見直し,できるだけ地域の食材を使えるよう改善を図るべきと考えますがいかがですか。このような取組をはじめとしたあらゆる施策を充実させ,生産者が安心して生産農地を増やすことや,後継者の育成につなげていくことが求められていると考えますがいかがですか。 次に,公共交通の取組について質問します。市内周辺部では,バスの路線があったとしても,1日数本しか来ない路線があります。これではとても市民の足としては不十分です。病院に行くときなど,行きは計画ができても,帰りは数時間待つことになり,結局バスに乗らずマイカーで移動することになってしまいます。バスに乗りたいけど本数が少なくて利用できないと多くの声があります。利用客が少ないから周辺部の路線は増便できないとの話も聞きますが,京都市周辺部の公共交通不便地域に循環バスを走らせ,買物,病院,学校,駅などを結ぶルートをくるくる回るようにすれば,高齢者も安心して敬老乗車証を活用し,生き生きと活動できます。高齢者がマイカー移動をしなくてもいいようになることで,高齢者の事故も減らすことができます。 また,赤字路線だからと住民のサービスを切り捨てることがあってはなりません。近畿運輸局が発行しているリーフレットには,次のように書かれています。コミュニティバス等の地域公共交通は,地域の人々の足を支えるために必要なものであり,そのためには行政,交通事業者,住民がスクラムを組んで維持改善に取り組むことが必要であり,維持改善のためには補助が必要です。つまりコミュニティバス等の地域公共交通への補助は,赤字ではなく地域を支えるための支出なのですとあります。このような国の方針に沿った取組を京都市も行うべきです。 南区でも九条通より南側や西大路通の西側は交通不便地域が多くあります。例えば,祥久橋ができて171号線から吉祥院下鳥羽線までのおよそ1,600メートルの道がつながり,公園やお店,マンション,住宅が増えてきましたが,バスの路線が1本もありません。こうした地域にも公共交通としてのバス路線を作るべきと考えますがいかがですか。 また,私は2年前の代表質問で,乗継無料にすることを提案していましたが,当時の答弁は,乗継料の割引拡大でした。しかし,そのあとすぐ行われた市長選挙で,門川市長は,乗継無料を約束されました。循環バスと乗継無料で住民は大変便利になり,バスの利用頻度が高くなります。市民との約束を早急に実現すべきです。いかがですか。 次に,少人数学級について質問します。コロナの緊急事態宣言で,全国の学校が長期間休校しました。再開するに当たり,分散登校をし,少人数学級が一時的に実現しました。当時の子供たちの声から,勉強がいつもより分かって発言できた,教師側からは,生徒の個性がよく分かり,学習の課題が見え,一人一人の対応ができたなどの声がありました。国の基準では,小学校3年生から40人学級になっていますが,小学校3年生は,ギャングエイジ世代と言われ発達の節目です。グループを作ったり行動範囲が広がる年代で,特に大人の適切なサポートが必要な時期と言われています。仲間に入ることができない子がいても,40人学級では先生の目も届きにくく,子供と先生との距離が遠いものにならざるを得ません。また,発達に何かしら障害のある児童の割合が10パーセントほどと言われ,40人学級の場合3人から5人は配慮が必要とされる児童がいることになります。発達障害児の多くはその子の特性をいかして適切に対応することで能力を発揮できると言われています。 (パネルを示す)OECD加盟国の調査でも,各国の公立小学校の平均学級規模は21人です。日本は,支援学校を含めても27人と海外先進国の中で最も多くなっています。 (パネルを示す)中学校では,その差が更に大きくなっています。個々の子供たちのアイデアや発想を大切にしようとすれば,少人数学級は最適です。9月市会でも,30人学級の推進を求める意見書が全会一致で提出されました。 今年に入って,少なくとも16道県を含む534議会で同様の意見書が採択されています。京都市は中学校3年生には30人学級を実施していますから,今,コロナ禍の下,SDGsの誰一人取り残さないというのであれば,京都市として独自予算を付けてでも,小中学校全ての学年において30人学級を実現するべきです。いかがですか。 次に,京都の文化について質問します。コロナ禍の下,京都市はいち早く奨励金制度を立ち上げ,アーティストなどから大変喜ばれましたが,これから新たに何かするということに対しての補助制度にとどまりました。しかし,コロナで多くのイベントが自粛を強いられ,文化に携わる多くの方々が疲弊しています。私は,学校を卒業してから10年以上,なりわいとして舞台の役者をしていましたが,私を含め多くの舞台関係者はそれだけでは食べていけず,自分の舞台がオフのときは,知り合いの舞台をスタッフとして手伝ったり,飲食店などでアルバイトをして生活していました。私が所属していた劇団は,学校公演などで全国を飛び回っており,これまでなら学級閉鎖などで公演が延期になっても,学校と劇団で時期を調整するなどして公演を行ってきました。しかしコロナ禍では,延期ではなく中止が相次いでいるそうです。学校では,体育館に全校生徒を入れると密が避けられない場合,2ステージにすると,その分公演料が高くなります。そのうえクラスターが怖くて学校が自粛してしまう。舞台関係者がPCR検査を繰り返し行って安全対策を採ったとしても,学校など主催者側が開催できずにいます。このままでは,これから文化をなりわいとしようとする人たち,例えば,大学で芸術を学んでいる学生さんが卒業しても能力をいかす場がなくなってしまいます。現に,何人ものアーティストがなりわいとしての文化を諦め,希望が持てず,生活のためだけに働き出されているとお聞きしています。 徐々に規制が緩和され,ようやく光が見え始めた矢先,第3波とも言うべき感染拡大の事態が起こっています。また,合唱などの文化サークルの練習や発表会などの活動が,コロナ対策で,今まで比較的安く使っていた場所の要件が変わり使うことができなくなり負担が重くなっています。芸術活動でなりわいを守るためにも,文化のともしびを消さないために努力してこられた京都市の文化団体がこれからも輝くことができるためにも,赤字補填や活動資金に当たる補助制度が必要と思いますがいかがですか。 次に,京都こども文化会館について質問します。11月13日,京都市と京都府が共同で運営してきた京都こども文化会館に閉館案内の通知文が貼られ,17時に最後のからくり時計の音楽が流れた後,電源が止められ,17時17分で時計も止まり閉館されました。利用されてきた団体や市民,地域の皆さんが,とても寂しい,なぜ廃止なのかと残念に思われています。存続を願う皆さんから,京都市と京都府に3,500人を超える署名が集められ,提出されました。重く受け止めるべきです。京都市に唯一のこども文化会館は,地域の方や京都市民にとって,何より子供たちが演劇鑑賞や発表などで訪れ,思い出深く愛されています。老朽化を放置したうえに,改修費を惜しんで廃止するのは間違っています。子供のときに生の演劇や人形劇,音楽に触れることは豊かな人生を育むためにも必要です。例えば,大阪の子ども文化センターでは,大阪市が主催して,演劇,音楽,映画などを,数日間,同じ作品を扱い,幼稚園,保育園,学校に呼び掛けて鑑賞する機会を作っています。今でも,毎年多くの子供たちが文化センターで舞台芸術などを鑑賞しています。ですから,京都子ども文化会館は,児童文化の拠点として,専門家も置き,更に発展させるべき施設です。その施設を廃止してしまうなど,全く許せないものです。市民の皆さんの存続の願いに応え,改修工事,あるいは建替えを含めた検討を行い,再開するべきです。いかがですか。 次に,文化財についてです。この間,京都市は,世界遺産などの文化財を,保護よりも観光で稼ぐことを優先にしてきました。二条城の北西側には四季折々の樹木があった場所に,住民の大反対にもかかわらず,観光バス専用駐車場を設置し,下鴨神社でも糺の森の樹木を伐採しマンション建設を容認しました。そして仁和寺前でホテル建設を推進しています。また,金閣寺では,参拝者のトイレへの通路として庭園内で現状変更が行われ,文化財保護法に違反しているという埋蔵文化財研究所の職員から度重なる指摘と,我が党が委員会などで何回も取り上げる中,ようやく文化庁が地形調査と発掘調査を実施しました。その結果,文献にある幻の七重の塔があったと思われる遺構の一部が削られて,あろうことか塩ビの水道管が出てきました。京都府も京都市も金閣寺側も知らなかったということでしたが,そういったずさんな管理が行われていたことで,世界文化遺産の登録資産,特別史跡及び特別名勝に指定されている金閣寺の遺構を破損したことは重大問題です。 今後このようなことが決してあってはいけません。観光優先の方針によって開発を進めてきたことは反省するべきです。今回の金閣寺の例を教訓にして,市内の世界遺産を保存,管理する予算と体制を抜本的に見直すべきです。また,文化財が非常に多いにもかかわらず,京都市の今年度の文化財保護費は4,228万円の減額になっています。文化財保護費の増額と体制の強化をして,後世に貴重な文化財を引き継ぐべきです。いかがですか。 次に,西大路駅バリアフリー問題について質問します。地域の住民が随分長い間,西大路駅のバリアフリー化を望み,声を上げ,ようやく駅のバリアフリー化が決定しました。2020年度までに完成予定でしたが,ホーム延伸工事の際,問題があり,計画変更により工事が1年延期になりました。新しくできる西大路通を挟んだ北東側の改札は,元々なかった場所に改札が出来ることで,一部の住民は便利になり喜ばしいことだと思います。しかし多くの住民が望むバリアフリー化は現南西側の駅舎で,北東側ではありません。多くの住民はもちろんのこと日本新薬や,GSユアサ,ワコールなどの企業の従業員は,南西側の現駅舎を利用しています。バリアフリー化を訴えておられたほとんどの方は,西大路通の西側の利用者です。小さな改札に急いでいる通勤通学時の混雑で危険なこともありますし,すいた時間帯に,高齢者や子供連れの方が現駅舎を引き続き利用することが見込まれます。新しくできるエレベーターのある改札は遠すぎて不便だという声があり,そのうえ駅前に乗用車が止まるスペースもなく,タクシーやバスに乗り換えるのも不便な場所です。新しい駅舎新設後,利用者の動向を見て,現駅舎のバリアフリー化を検討すると回答があり,多くの乗客が望んでいます。新駅舎工事が完了した後,速やかに現駅舎のバリアフリー化を実現するべく努力するよう求めます。いかがですか。 次に,大雨のときに下水道の汚水と雨水に消毒液を混ぜて川に流す合流式下水道の問題について質問します。私は,以前,住民の訴えで,雨がやんだ後,堀川と西高瀬川を視察しましたが,住民さんのおっしゃるとおり,堀川,西高瀬川の下流一帯が悪臭に包まれていました。当時,京都市の対策はどうなっているのか質疑し,改善するよう努力するとの答弁を頂いております。国の法改正があり,令和5年までに法令の基準をクリアするために,堀川では,堀川せせらぎ水路整備に合わせ堀川中央幹線の整備は完了し,西高瀬川は,河川にトイレットペーパーなどの汚物が流れない対策としてスクリーンの設置は完了,雨水幹線の整備を吉祥院や七条,朱雀北でも完了したと聞いています。今後,住民の声を聴きながら,世界に誇れる京都市にふさわしい環境で市民生活を守るよう継続して努力するよう求めて質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森田ゆみ子議員の御質問にお答えいたします。 地球温暖化対策についてでございます。2050年CO2排出量正味ゼロの実現には,再生可能エネルギーの飛躍的な拡大が必要であります。このため,今市会に提案の地球温暖化対策条例の改正におきまして,建築物への再生可能エネルギー設置義務の拡大,強化をはじめ,再エネの一層の利用拡大を重点施策に位置付けております。また,民間住宅への太陽光発電設備等の普及拡大につきましては,設置に掛かる負担そのものの軽減が有効であることから,設置助成制度に加えまして,スケールメリットをいかしたグループ購入事業など設置費用の低減に資する取組を進めてまいります。あわせまして,御家庭での再エネ電力の選択を促進する取組により,再エネへの転換を図ってまいります。 次に,エネルギーや農産物の地産地消についてでございます。本市では,間伐の促進や林道等の生産基盤の整備など生産性の向上,公共施設や民間住宅等での市内産木材の利用拡大に取り組んでおります。また,間伐材等の未利用木材につきましても,木質バイオマス発電所等への供給体制を構築し,燃料材としての活用を進めてまいります。 さらに,学校給食における市内産農産物の活用は,子供たちへの食育の推進だけでなく保護者を含めて市内産農産物を身近に感じていただく良い機会でございます。これまでから学校給食では,週4回の米飯に全て府内産を活用しておりますが,昨年度からは地元京北との連携の下,年1回,京北産米を全市立小学校で提供するなど地産地消の取組を更に進めております。引き続き,学校給食はもとより,市内産農産物を身近で安定的に購入できる環境整備に努め,市民の皆様の消費拡大を図り,農家の経営を安定化させることで後継者の確保と農地の維持につなげてまいります。 2050年ゼロの実現に向けましては,あらゆる政策を地球温暖化対策の観点で推進し,市民,地域,事業者の皆様と一体となって全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私より,2点お答え申し上げます。 まず,公共交通の利便性向上についてでございます。本市では,人と公共交通優先の歩くまち・京都の理念の下,各交通事業者が官民一体となって公共交通網を形成しています。循環バスなどの新たな路線の検討に際しては,まずは,交通問題を地域のまちづくりの一環として捉え,地域の総意としてその必要性を共有いただくことが重要です。そのうえで,将来にわたり,安定した御利用が見込めることが必要となります。引き続き,地域住民の皆様や交通事業者等と連携しながら,市民の皆様の暮らしを支える公共交通網の維持,確保に取り組んでまいります。 次に,市バスの乗継割引についてでございます。本市では,地下鉄烏丸線開業時に乗継割引を導入した後トラフィカ京カードやICカードでも乗継割引を実施し,割引額についても拡充を図ってまいりました。また,平成31年3月に策定した市バス・地下鉄事業経営ビジョンでは,御利用しやすい乗車券制度の構築を掲げており,その一つとして,市民の皆様を中心とした利用頻度の高い方により便利に御利用いただけるよう市バスと市バスの乗継割引の拡充について検討を行っております。しかし,コロナ禍の下,市バス,地下鉄の御利用が激減し両事業の収入は既に100億円を超える減収となっております。まずは持続可能な経営により市民の足を守る必要があり,設備投資のコストなど諸般の状況もにらみつつ財務上のめども立てながら引き続き検討を行ってまいります。 続きまして,JR西大路駅のバリアフリー化事業についてでございます。本市では,お年寄りや障害のある方をはじめ,全ての人にとって安全で利用しやすい駅を目指し,学識経験者,関係団体,さらには地域の皆様の御意見を幅広くお聴きしたうえで,平成29年3月に西大路地区バリアフリー移動等円滑化基本構想を策定し取組を進めてきました。JR西大路駅現駅舎のバリアフリー化につきましては,東海道新幹線の高架が駅をまたいでおり通路の拡幅やこ線橋の設置が困難であるほか,工事中の利用者の安全確保の課題があることから,JR西日本と連携して,まずは北側に新たに駅舎を整備することとしており,現在,令和4年3月頃の開業を目指して工事を実施しております。なお,現駅舎の改善につきましては,これまでから様々な機会に地域の皆様の強い御希望をお伺いしており,物理的に解決困難な課題もございますが,バリアフリー化基本構想にお示ししておりますとおり,まずは北側の駅舎を完成させ乗降客の分散を図るとともに,その後の駅全体の乗降客の流動状況を踏まえ検討を続けてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 北村文化芸術政策監。 〔北村文化芸術政策監登壇〕 ◎文化芸術政策監(北村信幸) コロナ禍にある文化芸術関係者への支援についてでございます。本市では,本年4月,感染症拡大の厳しい情勢の下でも文化芸術活動を継続できるよう,他都市に例を見ない緊急奨励金制度を創設し,1,000件を超える幅広い取組に上限30万円の奨励金を交付し,京都はもとより全国的にも高い評価をいただいております。5月には,自治体初となるアンケート調査を実施し,文化芸術関係者の現場の声を受けて,その活動を下支えする文化芸術総合支援パッケージの実施をはじめ,これまでに10億円を超える切れ目のない支援策を展開しているところです。議員御指摘の感染拡大防止と文化芸術活動の両立支援補助金につきましては,収入減を補填する趣旨のものではなく,活動の継続,再開を支援するため,会場使用料や感染症対策経費を補助するものであり,来年3月末までを対象期間としているものでございます。今後とも文化芸術関係者に寄り添い,ウィズコロナ時代の文化芸術活動をしっかりと支援してまいります。 次に,文化財保護についてでございます。掛け替えのない文化財をしっかりと維持継承するため,今年度,地域の活性化等に資する文化財の修理を補助する重点的修理推進事業や火災報知機の設置や更新等を補助する防災対策重点強化事業を新規に創設するなど充実を図っているところでございます。また,この4年間で4名の文化財保護技師を新たに採用し,合計25名の体制を確保いたしました。さらに,今年4月には,文化庁から文化財担当部長を迎えるとともに,本市消防局から文化庁に文化財防災推進係長として派遣するなど国との連携を強めているところであり,引き続き,必要な体制の確保に努めてまいります。厳しい財政状況の下ではありますが,日本,世界の宝である京都の文化財を後世に確実に継承できるよう取り組んでまいります。なお,御指摘の現状変更手続につきましては,今後とも文化庁や京都府と連携を密にし文化財の保護に一層努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 京都こども文化会館についてでございます。会館の設置から40年近くが経過する中,施設,設備の老朽化,利用者の減少などの課題が生じておりました。このため,市府共同で設置した有識者会議から提出された今後の在り方についての報告書を受け,市,府で慎重に検討を重ねた結果,閉館することとし,先月13日をもって閉館いたしました。検討に際しては,設置当時に比べ,子供たちが文化芸術に親しむことができる環境が整ってきたこと,耐震性能の不足等による安全面のリスクの高まり,これらに対応するための多額の費用なども考慮し判断したものであり,再開する考えはございません。閉館表明以降,利用者や関係団体の皆様には,丁寧に説明をするとともに,必要に応じて近隣の施設も御案内しており,閉館に伴う混乱は生じておりません。引き続き,文化,芸術に親しみながら子供や青少年を健やかに育んでいけるよう市府の関係部局と連携を図り,既存施設も活用しながらソフト面に重点を置いて取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(吉川雅則) 下水道事業における合流式下水道改善事業についてお答えいたします。本市では,昭和の初期から,市街地を中心に汚水と雨水を一つの下水道管で排水する合流式下水道の整備を進めてまいりました。合流式下水道は,雨が強く降ったときに汚水が混じった雨水が河川へ流出することもあるため,雨水幹線整備等の全市的な浸水対策と併せ,合流式下水道の改善対策として,貯留幹線の整備や雨水吐口からのごみの流出を防止するためのスクリーンの設置等を進めております。今年度は,河川への放流量削減のため,鳥羽水環境保全センター吉祥院支所等で雨水滞水池の整備に着手することとしており,令和5年度末に国の基準を達成すべく,引き続き合流式下水道の改善対策を着実に実施してまいります。厳しい経営環境の下ではありますが,国庫補助金を最大限活用して必要な整備を進めるとともに,引き続き,点検,清掃等の維持管理に努め,衛生的な水環境の保全を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 少人数学級についてでございます。本市では,これまでから独自予算で小学校1,2年生での35人学級や中学校3年生での30人学級を実施するなど,国基準を上回る少人数学級を推進してきております。そのうえで,全学年で30人学級を実施するには,毎年約70億円もの巨額の予算が必要であり,独自予算での実施は困難であります。そうした中,9月市会におきまして,30人学級の実現は,国の責務である義務教育の根幹に関わることを踏まえ,国に必要な法改正と適切な定数措置及び財政措置を求める意見書を全会派一致で採択いただき,大変心強いところでございます。本市といたしましても,去る11月13日に門川市長が指定都市市長会を代表し萩生田文部科学大臣へ直接少人数学級実現に向けた財政措置などを求める緊急の要望書を提出し,さらに,昨日には,指定都市教育委員会協議会といたしましても文部科学省へ要望したところでございます。現在,文部科学省では,少人数学級の充実に向け概算要求を行うなど来年度予算編成が進められており,引き続き,教職員定数の抜本的な改善につきまして要望を重ねてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,平山よしかず議員に発言を許します。平山議員。 〔平山よしかず議員登壇(拍手)〕 ◆(平山よしかず議員) 西京区選出の平山よしかずです。 新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに,闘病を続けていらっしゃる皆様にお見舞い申し上げます。 私は,新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機に直面している今,市民の日常生活をより良い方向へ転じていくとの視点で,この後の国本友利議員と共に,公明党京都市会議員団を代表し質問いたします。市長並びに関係理事者におかれては,前向きで誠意ある御答弁をお願いいたします。 最初に,今後のごみ減量の方策,新たな循環型社会推進基本計画についてお尋ねします。京都市のごみ量は,新・京都市ごみ半減プランの取組によって,平成12年度のピーク時から半減の41万トンまで減量が進み,環境負荷軽減はもとより,年間144億円ものゴミ処理コストの削減ができました。プラン最終年度となる今年度は,新型コロナウイルス感染症の影響から事業ごみが大幅に減ってはいますが,感染症の影響が長期化する中でのウイルスとの共存を前提とした新しい生活様式の下で,今後,経済,社会活動の活性化に伴い,ごみ量が増加に転じてしまうのではないかということが懸念されます。新しい経済,社会,生活と調和したごみ減量の方策が必要となってきます。 現在,本市では,新たな京都市循環型社会推進基本計画の策定に向けた検討が進められ,10月7日に廃棄物減量等推進審議会から門川市長へ答申がなされました。答申では,環境的側面だけではなく経済的側面や社会的側面の視野を広げ,物の生産に必要な最小限の資源が循環利用される循環経済を基軸として,持続可能な循環型社会を目指すとされています。そしてごみ量の更なる減量をはじめ,使い捨てプラスチック削減のためのレジ袋使用量や,ペットボトル排出量,食品ロスなどの削減について,国を上回る高い削減目標を示しています。 〔山本議長退席,青野副議長着席〕 ◆(平山よしかず議員) (続)答申と期を同じくして,公明党女性委員会においても,プラスチック資源の3R推進や食品ロス削減の推進を盛り込んだ持続可能な社会の構築に向けた提言を,10月9日に菅義偉首相へ提出しました。環境先進都市・京都市として,ウィズコロナ社会における新たな視点を踏まえた循環型社会の構築に取り組むべきときです。そのためには,私は,これまで以上に,市民の皆様,事業者の皆様の御理解と御協力を得て,日常生活や事業活動の中でごみ減量や3Rを実践していただくことが不可欠であり,新たなごみ減量等の目標を我が事として,行政と共に積極的に取り組んでいただける工夫が重要と考えます。そこで,今後策定する新たな循環型社会推進基本計画に込める市長の思いと,市民,事業者の皆様との協働にどのように取り組んでいかれるのか,お考えをお聞かせください。 次に,京都市におけるデジタル化の推進について質問します。新型コロナウイルス感染症の拡大によって,仕事,教育の面におけるテレワークやオンライン学習の活用など社会全体のデジタル化の必要性が強く認識されました。同時に,例えば,特別定額給付金の手続においてオンライン申請が導入されたものの,その後の行政作業は手作業であることから市民への給付金支給が遅延したことなど行政のデジタル化の遅れが課題として浮き彫りになりました。行政事務の効率化,また,コロナをはじめ様々な感染症の拡大防止の観点からも,原則,あらゆる手続が対面などを要せずオンラインで迅速に完結するなど行政のデジタル化は必須です。門川市長は,全庁的な視点でデジタル化の推進を図るため,11月1日付けでデジタル化戦略監を設置するとともに,全庁横断的な検討チームを編成し,国の動向をしっかりと捉えながら,行政手続や法令上の課題の洗い出しと整理,分析はもとより,官民データの容易な利活用の推進等に取り組んでいくこととされました。今後の取組に当たっては,第1に,本市として全庁的なデジタル化戦略を立てデジタル化戦略監が強いリーダーシップを発揮するとともに,その執行組織へ専門的能力を有する人材を配置するなど明確なプランを示し強力な実行体制を構築すること。第2に,御高齢の方や障害をお持ちの方をはじめ情報弱者になりやすい方,デジタルが苦手な方たちへのサポートなど誰一人取り残されないデジタル化を推進することが不可欠です。京都市では,行政のデジタル化にどのように取り組んでいくのかお考えをお聞かせください。 ちょうど今,西京区総合庁舎整備が進められています。区民参加型のワークショップを経て本年3月に西京区総合庁舎整備基本計画ができました。現在は,基本計画に沿って設計が始まったところです。私は,このタイミングで整備される西京区役所総合庁舎は,京都市デジタル化推進のモデルとなるe-区役所であるべきと思います。窓口での申請,手続はオンラインや電子化などでできるだけ簡素化させ,一方で,区民との対面相談などはこれまで以上に充実をさせる。さらにはオンライン環境などの設備と地域活動をサポートする人材を整えたウィズコロナ社会における地域活動の拠点として,正に誰も置き去りにしないデジタル化を体現する区役所を構築していくべきです。 また,現在は西京区役所と場所が異なっている西京図書館についても,誰でもどこでも閲覧できるオンライン書籍や,西京区の歴史,文化のデジタルアーカイブなど新たなデジタル図書館として西京区総合庁舎整備と併せて再整備ができないか検討していただくことを要望します。本市の厳しき財政状況を踏まえつつも,行政のデジタル化の理念に基づき,かつ区民に寄り添った西京区政の推進のためには,西京区e-区役所の整備は必須です。今後の西京区役所総合庁舎整備方針への御見解をお尋ねします。 続いて,ウィズコロナ社会における市民の孤立を防ぐための支援についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症は,人々の生命を脅かすといった身体的脅威のみならず,移動の制限や経済活動の停滞,地域活動の縮小など市民生活の隅々まで多大な影響を及ぼし,社会不安が人々の分断や孤立を助長するという,今を生きる私たちにとって未曽有の危機となりました。ソーシャルディスタンス確保などの新しい生活様式が定着してきていますが,一方で,過度な外出を控え,人と直接顔を合わせる機会が減ることで,人と人とのつながりが薄くなっていると日々実感しています。市長が常々口にされている京都ならではの地域力は,先人たちが地域の中で顔を合わせ,共に活動し,互いに支え合ってきた積み重ねの中で築かれてきました。先日,地元の民生児童委員の方から,今は,感染防止のために直接の訪問を可能な限り避け,また,会って話をするときも時間は最小限にと言われている。感染予防は当然だけど,民生児童委員として十分な活動ができないのは悲しいとのお話をお聴きしました。コロナ禍によって,一時的にせよ地域のきずなが弱まり市民の孤立が進んでいることは否めません。今後,新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し,市民の孤立が一層進むことになれば,地域の中で困難を抱える方への気付きが遅れ支援が届かなくなることを危惧しています。ウィズコロナを語るとき感染症拡大防止と社会経済活動の両立が言われますが,くわえて,京都市としては,地域力の持続強化による市民の孤立防止をしっかりと図らなければならないのではないでしょうか。 本市では,民生児童委員をはじめ多くの方々が,地域の中で人と人とのきずなづくりを支える様々な地域活動に携わり,その中で,困難に直面する方のお悩みに気付き,地域ケア会議などを通して福祉等必要な支援施策へつなげていく仕組みがあります。そこで,京都市として,人のつながりを強くする地域組織とそれに携わっていらっしゃる方々への支援と,同時に,困難に直面する方々に気付き必要な施策へつなげていく取組の強化を,ウィズコロナ社会の中でどう進めていくのかお答えください。 最後に,児童虐待防止についてお聞きします。近年,児童相談所への相談件数が著しく増えています。2019年度の全国の相談件数は19万件を超え,前年度から約3万4,000件,21.2パーセントも増加しました。京都市の児童相談所における相談,通告も,2017年度は1,716件,2018年度は2,128件,2019年度は2,693件と右肩上がりに増えている状況です。相談件数が増加している要因として,子供が被害者となる痛ましい事件が大きく報道され児童虐待に対する世間の関心が高まっていることなどが考えられますが,相談内容の内訳を見ると,身体的虐待やネグレクトに関する相談と比較して心理的虐待に関する相談件数が圧倒的に増え,これが相談件数を著しく押し上げています。心理的虐待は,DVなどの夫婦間暴力,暴言に関連して,警察から児童相談所へ通告されることが多く,比較的軽度のものが大半を占めるとのことですが,私は,家庭内での親のいがみ合う言葉や姿が,どれほど子供の精神をさいなみ,心を傷付けているかと思うと,暗たんたる気持ちとなります。このような,子供自身が気付かぬうちに心の傷を負わせてしまう心理的虐待の深刻さに真摯に向き合い,的確に対応することが必要であると考えますがいかがですか。本市の見解をお聞きします。 くわえて,児童虐待から子供の命を守るためには,児童相談所と関係機関が,しっかりと連携したうえで対応していくことが重要です。児童虐待に関する事件が発生すると,連携が不足していた,必要な情報が共有されていなかったなどの報道が行われ,そのような報道を耳にする度,未然に防ぐことができたのではないかという気持ちになります。一言で連携と言っても,単に情報を共有するだけではなく,大事なのは,事案に関わる関係機関が必要な情報を共有したうえで共通した認識を持って対応していくことだと思います。ウィズコロナへ社会全体がいわばリセットする中,児童相談所と関係機関の連携も次の段階へ進むべきです。本市では,この間,児童相談所や各区役所・支所,子どもはぐくみ室における体制拡充はもとより,他機関とのネットワーク構築などの連携強化が行われ,児童虐待対応の抜本的な強化を行ってきたことは,私も評価しています。また,令和元年度からは,要保護,要支援児童等に係る情報を共有し対応方針を検討する要保護児童対策地域協議会の実務者会議に教育委員会の指導主事が参画するなど,関係機関との連携強化に向けた取組が進められています。このような取組を更に深化させ,児童相談所の主体的な活動の下で関係機関が共通した認識を持って事案に対応していけるよう,更なる連携強化を図っていくべきであると考えますがお考えをお聞きします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山よしかず議員の御質問にお答えいたします。 新京都市循環型社会推進基本計画についてでございます。京都市のごみ量は,政令指定都市で唯一19年連続で減少し,ピーク時からの半減を達成しており,市民,事業者の皆様の御尽力に心から感謝申し上げます。私は,ごみ減量を市民ぐるみで進めてきた中で,まだまだ資源となるものがあると実感しており,昨年は,生ごみのバイオガス化施設を実現し,この10月からは移動式拠点回収を4倍の400箇所に拡充するなど資源循環の取組を推し進めてきたところでございます。持続可能な循環型社会の実現には,温室効果ガス削減にも寄与する,これまでの延長にとどまらない社会,経済と調和した新たな施策の展開が必要です。このため,これまでのリデュース,リユースの2Rに加えまして,再生可能な資源を活用するリニューアブルや質の高い資源循環に向けた分別,リサイクルを徹底して推進し,食品ロスや使い捨てプラスチックの削減に果敢に取り組まなければならないと考えております。今年度に策定する新たな計画では,2030年度までにごみ焼却量を現状から14パーセント削減するとともに,市民一人当たりの年間レジ袋使用量をピーク時の340枚から35枚に9割削減,ペットボトル排出量を90本から45本に半減と,国を大幅に上回る目標を設定し,決意を新たに市民ぐるみで挑戦してまいります。目標の実現には,これまで以上に市民,事業者の皆様や観光客の皆様の御理解と協働が不可欠であり,ごみの問題を市民,事業者の皆さんが自分ごとと捉えていただき,生活や仕事の中で実践していただくため,対話や取組の見える化,各世代が共に学ぶ環境学習を充実し,環境先進都市・京都として全国をリードする取組をしっかりと推進してまいります。 次に,本市におけるデジタル化の推進についてでございます。コロナ禍を契機として,今,国を挙げたデジタル社会の構築が待ったなしの課題となっており,本市におきましても,来年4月の専任組織の設置に先立ち,先月1日には,デジタル化戦略監を設置し,戦略監をトップとした庁内横断的なプロジェクトチームを立ち上げ,今まさに,全庁を挙げた取組を進めているところでございます。平山議員御指摘のとおり,デジタル化に当たりましては,明確な方針の下に強力な執行体制を構築することが重要であり,今後全ての行政手続について調査し,課題の整理,分析を進めたうえで,オンライン化の優先順位を設定するなど,ロードマップを策定してまいります。また,新たに,ICT,デジタルに関する実務経験や専門知識を有する職員の採用を予定しており,今後体制強化も図りながら,誰一人取り残さない人に優しいデジタル化の視点を大切に全力を挙げて取り組んでまいります。 次に,西京区総合庁舎整備についてでございます。デジタル社会の進展等に伴い区役所機能の大きな変化が見込まれることから,整備に当たっては,ICTの導入に必要な基盤整備のほか市民ニーズの変化に柔軟に対応できるようレイアウト変更の自由度が高い設計としてまいります。また,今後の行政のデジタル化に向けましては,庁舎の完成を待つことなく,できるものから実施する考えであり,時代に即した区役所業務の在り方につきましても不断の検討を重ねてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私から2点お答え申し上げます。 まず,ウィズコロナ社会における孤立防止支援についてでございます。コロナ禍にあって,孤立防止のためには,人と人とがつながる継続した地域活動と,必要な施策につなげる相談支援体制の確保がますます重要となってまいります。こうした中,地域活動を担っていただいている民生児童委員や老人福祉員,社会福祉協議会,すこやかクラブなどの皆様には,感染予防策を徹底のうえ,できる限りの活動をしていただいております。 また,本市では,電話による対応や屋外の居場所づくり,オンラインの活用といった活動のヒントを掲載したパンフレットを作成して支援しており,往復はがきを活用した見守り活動や,花一輪を持っての訪問活動など新たな取組も始まっております。さらに孤立防止支援の一環として,全世代を通じたひきこもり支援の充実を図るため,本年8月以降,新たに専任の係長や,よりそい支援員など30名以上の体制を確保し取組を進めています。今後とも,地域で活動いただいている皆様との連携の下,困難を抱える方々に必要な支援を行い,ウィズコロナ時代における地域共生社会づくりを進めてまいります。 次に,児童虐待防止についてでございます。児童虐待から子供を守り抜くことは喫緊の課題であるとの認識の下,この2年間で約40名の増員を図り,児童相談所や子どもはぐくみ室での寄り添い支援を充実するとともに,要保護児童対策地域協議会において幅広く地域や関係団体と連携するなど徹底した取組強化を図ってまいりました。平山議員御指摘のとおり,心理的虐待は増加しており,その約7割が警察からの通告でございます。今年度,これらに対応するスタッフを新たに6名配置したところでございます。これらの取組のほとんどは国に先駆けて本市独自の財源で実施しておりますが,児童虐待防止は全国的な重要課題であることから,国に対して必要な財源の確保を求めてまいります。また,虐待防止に当たりましては,身近な地域の支援と連携が不可欠でございます。そのため,本市では,子育ての一時的な休息の場であるショートステイ事業を充実するとともに,これまでの事例等を集約した冊子を新たに作成し,関係者間で認識の共有を図るなど,更なる連携強化に向け取り組んでまいります。引き続き,地域や関係団体と一体となり児童虐待防止対策に全力で取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 次に,市政一般について,国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔国本友利議員登壇(拍手)〕 ◆(国本友利議員) 左京区選出の国本友利です。平山よしかず議員に続き,公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問をいたします。 質問に入る前に,新型コロナウイルス感染症により,お亡くなりになられた故人,御家族の皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに,今なお,闘病中の皆様に見舞いを申し上げます。また,医療従事者をはじめコロナ禍において,御奮闘いただいている全ての皆様に心から感謝申し上げます。 それでは質問に入ります。まず初めに,京都観光に関する危機管理についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染拡大防止対策は当然のこととして,経済との両立を図ることが求められています。どちらも市民生活を維持していくためには必要不可欠であり,我々は,今までに経験したことのない事態に対し挑戦と応戦を繰り返し克服していかなければなりません。そのうえで,コロナ禍における観光については,感染拡大の状況を注視するとともに感染症対策を最大限に行い,観光客,事業者,市民が安心安全を実感できる取組を強力に進めるよう求めておきます。 観光は,豪雨や地震などの災害,感染症,テロや外交問題などの国際情勢など外的要因に影響を受けやすい産業であります。これまで,リーマンショックや新型インフルエンザ,東日本大震災など多くの危機に見舞われました。特に近年は,台風や豪雨災害など自然災害が頻発しており,危機管理の重要性がこれまで以上に増しています。 本市では,観光地における帰宅困難者対策や観光客に対する多言語を含めた災害情報の発信など,自然災害に対し観光客の安心安全の確保に努めるなど危機管理を行ってきたと認識しています。しかしながら,今回の新型コロナウイルス感染症の影響によって観光客は激減し,観光関連産業が大きなダメージを受け,観光関連で働く多くの人々の雇用についても多大な影響を受けている状況です。今回の件を通して,私は,自然災害にとどまらず多様なリスクへの対応に備えておくことや事業者自身もBCPの作成など平常時からリスクに備えること,そして行政やDMOである京都市観光協会,業界団体などがそうした動きを支援することが重要であると感じています。 京都市では,自然災害や人口減少をはじめとする様々な危機に対し粘り強くしなやかに対応し,将来にわたって人々が生き生きと暮らせる魅力と活気に満ちた都市,レジリエント・シティの実現に向けた取組を進めています。さらに現在,次期観光振興計画を策定されており,今後の京都観光の在り方を検討されているところです。 そこで新型コロナウイルス感染症拡大を受けて,改めて京都観光の危機管理の在り方を見直し,自然災害や感染症をはじめ多様な危機に対応できるようになるため,DMOである観光協会と連携し京都観光全体として迅速かつ柔軟に動ける体制を構築し,レジリエンス力を高めていく取組を進めていくべきと考えますがいかがでしょうか。 次に,ウィズコロナ,アフターコロナ社会におけるインバウンド観光に対する今後の方向性についてお伺いいたします。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大と,それに伴う入国制限によって日本国内からインバウンドが消滅いたしました。このことにより,市内では宿泊業や飲食業,小売業にとどまらず,関連する多くの事業者が大変厳しい状況に置かれるとともに,本市においても宿泊税の大幅な減少や多くの観光客が利用していた市バス・地下鉄事業や上下水道事業の経営についても大きな影響を受けている状況です。 また,令和元年の観光関連における市域への雇用誘発効果は15万3,000人と推計されるなど,観光は,本市の雇用の維持,創出にとって大変重要であります。しかしながら,コロナ禍において観光関連事業で働く方の収入が激減し,また,仕事そのものを失い生活に困窮するという事態に直面している方々から多くの御相談がありました。改めて京都観光がいかに多くの市民の生活を支えてきたかを実感しています。観光関連で働く方々やその御家族は,コロナ前には観光公害などと言われ京都観光が批判されてきた陰で苦しい思いを背負ってこられました。さらにこのコロナ禍においては,生活もままならない状況にあるという事実が一方であることも分かっていただきたいと切に願います。これまで,インバウンド観光客は,休日,曜日にかかわらず需要が見込め,国内客の閑散期における平準化につながり,そのことが,観光事業者の経営,観光事業従事者の雇用の安定化につながってきたと考えています。そして経済面のみならず,様々な国からのインバウンド観光客が,日本,とりわけ京都の文化や習慣を学ぶことにつながり,それぞれの国際理解の進展,ひいては国際平和の実現に寄与していると私は確信しています。本市においては,世界文化自由都市宣言の理念の下,観光客を含めた多様な人々が集い交流することにより京都で新たな文化が生まれ,都市が更に発展していくきっかけにもなっていると思っています。コロナ前には,インバウンドが様々な観光課題の原因一つとして否定的な声もあり,その課題について対応することは当然であります。一方,共生という観点では,外国人観光客をはじめ障害者や高齢者,LGBTなどの性的少数者を含め,多様な人々を温かく受け入れる京都観光であるべきと考えます。その上で,ウィズコロナ,アフターコロナ社会における多様性ある観光,とりわけインバウンド観光の今後の在り方について市長の認識をお伺いいたします。 次に,観光事業者等による地域貢献についてお伺いいたします。今回,本市においては,京都観光がより持続可能になることを目指し,京都観光に関わる観光事業者,従事者,観光客,そして市民が大切にすべき京都観光行動基準,京都観光モラルを京都市観光協会と共に策定されました。行動基準においては,観光事業者に市民生活と観光の調和や地域文化,コミュニティへの貢献,災害等に強い観光の実現などについての行動等を求めていくこととされています。私は,今後,京都が持続可能な観光都市となっていくためには,観光事業者の積極的な地域への貢献が重要であり,更に観光事業者が地域に貢献している姿を市民に示していくことが重要であると考えています。市民への分かりやすさという点で,例えば,市外に本社のある京都の観光関連の事業者に対し,ふるさと納税の企業版に協力していただけばよいのではと考えます。令和2年度に,ふるさと納税の制度が見直され,最大で寄付額の9割が軽減されるなど,企業がふるさと納税を行いやすい仕組みに変更されております。安心安全で快適な観光のための受入環境の整備など,京都の観光やMICEの推進に向け,京都で事業展開する観光事業者に対して,ふるさと納税の周知や協力の要請について更に強化してはどうかと考えますがいかがでしょうか。 まずはここまでの答弁を求めます。 ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 国本友利議員の御質問にお答えいたします。 観光政策,特に危機管理の在り方などについてでございます。京都観光の現状と課題,新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえますと,今後,京都が目指すべきは,感染防止対策を徹底したうえで,様々な危機に対応し,地域や社会の課題解決に貢献していく持続可能な観光であると考えております。感染症や災害などの様々な危機に対応できる,しなやかで力強く,安心安全で,かつ環境にも配慮した持続可能な観光を実現する,そのためには,本市のDMOであります京都市観光協会,観光事業者,地域等が連携した危機管理体制を強化し,様々な危機を想定して平時から十分な備えを行っておくことが重要であります。今般の新型コロナの感染拡大により,観光事業者への影響が極めて深刻化する中,京都市観光協会は,これまで蓄積してきた観光事業者や地域とのネットワーク,さらに,状況に応じて迅速かつ柔軟に対応できる機動力をいかされまして,感染防止対策を全事業者等に徹底されるとともに,助成制度の創設や新しい生活スタイルに対応したコンテンツの開発等に取り組んでこられました。京都市といたしましても,この間の経験を踏まえまして,更に観光協会の機能強化を支援するとともに連携を深めながら,危機管理体制を一層強固なものとしてまいります。 次に,インバウンド観光についてでございます。本市は,世界文化自由都市宣言において,相互理解や多様性を尊重し,人々の交流を通じて世界平和への貢献につながる取組を市民の皆様と共に進めることを都市経営の理念として掲げております。インバウンド観光は,観光消費による経済効果の大きさだけでなく,この世界文化自由都市宣言の理念を体現するものとして非常に重要であると考えております。同時に,外国人や障害のある方,高齢者など様々な方,多様な方々に,適切に対応できる京都の魅力を堪能していただける環境を整えることで,京都に住まいされる多様な市民の皆様にとっても暮らしやすいまちづくりになるよう取り組んでまいります。 3点目の観光事業者による地域貢献につきましては,先般,京都市観光協会と共に策定いたしました京都観光行動基準,京都観光モラルにおきましても,観光事業者,従事者等の皆様と大切にしていきたいことの一つとして,地域文化,コミュニティへの貢献,市民生活と観光の調和を大きく掲げたところでございます。今後,観光事業者に対する啓発に取り組み地域貢献の機運を高めるとともに,事業者が実践された取組を市民の皆様にもしっかりと発信することによりまして,相互理解が深まり市民生活との調和を図ってまいります。 また,企業版ふるさと納税につきましても,これまでから,本市と関係性の深い企業を中心に制度の周知と寄付の依頼を行っているところでございますが,国本議員の御提案も踏まえまして,京都市観光協会や経済団体とも連携いたしまして,より一層幅広く周知するとともに協力を依頼してまいります。 今後とも,観光に携わる全ての方々としっかりと連携しまして,そのネットワーク力をいかして様々な危機に対応し,地域や社会の課題解決に貢献していく持続可能な観光,地域の皆さん,市民の皆様の豊かさにつながる観光の実現に向けまして,全力で取り組んでまいります。 ○副議長(青野仁志) 国本議員。 〔国本友利議員登壇〕 ◆(国本友利議員) 次に,本市の行政施策に係るコールセンターの在り方についてお伺いいたします。新型コロナ感染症拡大の影響により国,府,市において持続化給付金,定額給付金,中小企業補助金など様々な支援事業が行われた中で,デジタル化が課題となり,今後,国において行政のデジタル化が進められることとされています。 また,デジタル化と併せて浮き彫りになったのは,様々な施策について,コールセンターへの電話がつながらないという課題であります。国の持続化給付金や家賃支援補助金などの支援策について問合せ窓口としてコールセンターが設置されましたが,つながらないとの声が多く寄せられました。支援策が良いものであったとしても,電話がつながらないという1点で支援策そのものが悪く評価されるということは非常に残念な事態です。 これは国だけではなく,京都市においても同様の課題であると考えます。京都市では,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,市民の暮らしを守る施策について全力で取り組まれてきたことについては評価しております。その一方でそれぞれの支援策においてコールセンターが設置されたものもありましたが,問合せが集中したため,市民からは電話がつながらないとの苦情が多数寄せられました。私は,事業開始に当たって,開始時期前半にコールセンターの回線を多く設置し,一定期間,問合せの状況を見定めたうえ,回線を随時縮小していくなどの工夫が必要であると考えています。また,現状では混雑しているため,時間をおいてお掛け直しくださいとのアナウンスが流れる対応が多いということでありました。私は,電話を掛けて空いているタイミングでつながるという仕組みではなく,通話料が掛かるとお伝えしたうえで,順番につなぐという仕組みを採り入れるなど,電話がつながるまで待つか,時間をおいて掛け直すかを市民に委ねることにより,不安,不満が少しでも軽減されるのではないかと考えます。新型コロナウイルス感染症をはじめ様々な不安を抱える市民に寄り添う市政となるため,コールセンターの在り方について改善を求めたいと考えますがいかがでしょうか。 最後に,上下水道事業における災害対策についてお伺いいたします。近年,台風や豪雨などの自然災害により,長期間の停電や浄水場,下水処理場の浸水による長期間の断水や下水受入れの停止など日本各地で多大な被害が発生しています。上下水道事業における災害対策については,地域ごとに課題が異なります。私の地元である左京区では,山間地域に多くの水道施設を有しており,平成30年度の台風21号の際,北部山間地域を中心に長期間に及ぶ停電により断水が発生するとともに,下水を流下させるためのマンホールポンプが停止する事態が生じました。このような状況を受け,上下水道局では非常用発電設備の整備を進められ,今年度中には水道,下水道共に対策が完了するとのことであります。 また,京都市水害ハザードマップにおいて,左京区にある松ヶ崎浄水場の施設の一部が浸水想定区域内に含まれています。松ヶ崎浄水場は本市の給水量の4分の1を担う重要な施設であるため,近年の災害発生状況を踏まえた対策を実施する必要があります。今年度中には,一定の対策を行うとのことですが,市民の安全,安心を守るため着実な推進を求めるものであります。 さらに,京都市内中心部においては内水氾濫,南部においては河川の氾濫等による浸水が大きな課題であります。市内中心部では,過去に京都駅周辺で地下街浸水や道路冠水被害があり,南部では伏見区の各所で浸水被害が発生した経過があります。このような浸水被害を最小限にとどめるため,河川改修と下水道の雨水幹線等の整備を実施され,下水道事業では,総貯留量50万7,000トンの雨水幹線等の整備が完了し,一定浸水被害の軽減に効果を発揮しているものと考えています。一たび,浸水被害が起これば,公衆衛生の悪化などにより市民生活に甚大な影響を及ぼすこととなり,市民の命と暮らしを守るための雨に強いまちづくりを実現するため,雨水幹線の整備等の浸水対策については,着実に進めていく必要があります。 そのうえで,ハード面としての施設整備に加え,これを補完するソフト面での対応も必要であります。局所的な災害では速やかな応急対応が重要であり,広域的な災害となれば関係機関との連携も重要です。そこで,近年,自然災害が多発する中,上下水道事業における災害対策について,今ある課題と今後の取組についてお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 本市が設置する電話相談窓口,いわゆるコールセンターの在り方について御答弁申し上げます。コロナ禍というこれまで経験したことがない未曽有の危機の中,多くの市民の皆様,事業者の皆様が不安を感じられ,経済的にも打撃を受けておられます。そのため,本市では,全国に先駆け本年1月に健康についての電話相談窓口を24時間365日体制で設置し,不安を抱えておられる市民の皆様お一人お一人の相談に丁寧な対応を行ってまいりました。また,国や京都府との連携の下,市民,事業者の皆様の切実なお声を踏まえましたきめ細かな各種支援策等を実施し,電話相談窓口での相談はもとより,専門家の方々が対面により国や市,府等の支援策の中から活用可能なものを適切に御案内する中小企業等支援策活用サポートセンターなどを通じ,お困りの方に寄り添った相談対応に努めてまいりました。その一方で,国本友利議員御指摘のとおり,相談窓口によっては電話がつながりにくい状況が発生し,市民,事業者の皆様に御不便をお掛けし,お叱りの声も多数頂戴したところでございます。皆様からのこうした御指摘を真摯に受け止め,また教訓とし,今後一層分かりやすい広報に努めますとともに,問合せの状況に応じて回線数やオペレータの体制を迅速かつ柔軟に変更する,また,混雑時の自動応答メッセージに工夫を凝らすなど電話相談窓口の在り方についても細心の注意を払い改善を重ねてまいります。引き続き,市民,事業者の皆様の不安解消や支援策等の円滑な御活用につながるよう,しっかりと取組を進めてまいります。私からは以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 上下水道事業における災害対策についてでございます。水道,下水道は,市民生活を支える重要なライフラインであり,大雨や台風などの災害が頻発する中,停電や浸水の影響を最小限にし,水道,下水道の機能を維持するための対策がますます重要となっております。こうした中,山間地域におきましては,倒木等による停電対応が課題となっていることから,水道施設では,16箇所の非常用発電設備の整備が今年度中に完了する予定であり,下水道施設では,マンホールポンプで使用する可搬型,持ち運べる発電機を更に増やして計10台とする予定でございます。また,水道施設を災害から守るため,国の補助制度を活用し,松ケ崎浄水場内に止水壁を設置するなど浸水対策工事に着手いたします。くわえて,現在全ての水道施設を対象に,浸水や土砂災害等への対策に必要な調査を実施しているところでございます。市内中心部や南部地域における浸水対策につきましては,過去に浸水が発生した地区を中心に雨水幹線の整備等を実施し,5年に1度の大雨に対応する整備率が全国平均59パーセントを大きく上回り約91パーセントとなるなど被害の軽減を図っているところでございます。さらにこうしたハード対策に加え,応急給水に備えた給水車等の装備の充実,浸水履歴のある箇所の巡視点検,防災訓練の実施といったソフト対策を充実するとともに,大規模災害時における他都市との相互応援に向けた関係強化や電力事業者など他のライフライン事業者との連携を図るなど,レジリエント・シティ京都の実現に向けた災害対策を今後ともしっかりと進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 暫時休憩いたします。 〔午後2時59分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,天方ひろゆき議員に発言を許します。天方議員。 〔天方ひろゆき議員登壇(拍手)〕 ◆(天方ひろゆき議員) 西京区選出の天方ひろゆきです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し,市政一般について質問いたします。よろしくお願い申し上げます。 それに先立ち,新型コロナウイルスでお亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈りするとともに,闘病中の皆様の一日も早い御回復をお祈りいたします。また,新型コロナウイルスの収束に向け,医療従事者の皆様をはじめ,御尽力,御協力いただいている全ての皆様に心から敬意を表し感謝申し上げます。 初めに,本市の来年度からの次期基本計画の策定についてお尋ねします。次期計画では,公債償還基金の取崩しなど特別の財源対策の脱却をする上で予算を作る計画でありました。しかし,来年度の予算では,現時点での見積りとはいえ,一般会計では約500億円の不足とのことであります。そもそも,本市は,平成8年より3期12年の桝本市政は,バブル景気と終えん後に影響を受けた市政であり,その当時は,地下鉄東西線建設やそれに伴う財政負担も経験,財政調整基金が低調であるという財務体質でもあり,平成14年度,15年度には,財政非常事態宣言下において,人件費の削減,公営企業への任意の繰出金の休止,新規施設建設の一時凍結,各種イベントの見直しなども経験しました。 門川市政では,市長就任2年目でリーマンショックに見舞われた後の平成21年からの京都未来まちづくりプランであったこと,平成24年から27年までのはばたけ未来へ!京プラン,平成28年度から今年度までの第2ステージでは,災害が続き想定外に対策費が掛かったことや基準財政需要額の削減などによって本市の見込んでいた地方交付税額と国の算定額が異なったこと,財政運営が苦しい中,世界的基準としてのレジリエンス,SDGsをうたったことや,社会福祉費や子育てを大切にする予算を確保した市政でありました。平成24年からの京プラン前期は,順調に計画を達成していたことや,一定額の特別の財源対策を許すプランになっていたなど,この計画の達成そのものが目標になっていたのではないかと危惧します。門川市長におかれては,バブル景気や終えん後を経験した桝本市政について,また,リーマンショック後の現市政を経験してるうえで,どう総括し,これを糧に今後どう市政運営をされていくのかお尋ねいたします。 次に,来年度令和3年から令和15年度までの計画である新型コロナウイルス対策を踏まえた財政収支見通しについてお尋ねします。一般財源の歳入についてであります。最もコロナの影響を受ける今年度の現状実績を考えたうえで,来年度は,令和2年度予算比約200億円減となる市税2,800億円を想定。新計画実施5年後の令和8年を約3,020億円として,それ以降も市税額は上昇し,地方交付税,臨時財政対策債は,来年度の市税収入大幅減少に伴い950億円とし,それ以降は市税収入に連動した額に,地方贈与税,府税交付金,その他は550億円とし,それ以降は毎年500億円前後を算定しています。今回の財政見通しは,リーマンショックの影響を受けた平成21年度決算2,525億円から,10年を掛けてリーマン前までに回復したことを実績に算定していますが,今回の新型コロナウイルスによる感染症パンデミック下での予算作りは初めての経験であり,来年度以降10年間で過去最高だった令和元年度決算時の3,055億円を超える市税収入を見込んでいます。相当努力を要するものと考えます。今後,どのように市税収入増を図るのかお尋ねいたします。 一般財源の歳出についてであります。歳出額は約4,800億円で,その内訳は,人件費1,500億円,扶助費750億円,公債費900億円,投資的経費200億円,他会計繰出金など750億円,その他の歳出700億円としています。そして,令和15年までの歳出は,来年度以降,令和15年度まで,今申し上げた以上の支出額が掛かると想定しています。公債費は,民間企業に比べ本市の信用度を落とすことなく支払いを着実にしていく必要があり,投資的経費は,令和元年度決算では,一般財源に対して約3.4パーセントであり,投資の趣旨を正しく理解してもらう努力が必要です。繰出金は,国民健康保険,介護保険,敬老乗車証制度などは,制度の趣旨や仕組みをより丁寧に住民の皆様に説明し,負担の在り方など理解が得られるよう努力を積み重ねなければなりません。その他の歳出は,令和15年度まで市税収入が上昇していく予想のうえ,令和15年には950億円と算定し,来年度比250億円の支出増であり,それに伴って,来年度以降の財源不足も比例して上昇していることを危惧します。そのうえで,歳出に対する財政削減効果を考えると,人件費と扶助費について,深く検討しなければなりません。今年度が最終年度である現プランでは,人件費は計画値以上に職員の削減を実施し,政令指定都市20都市中,市民1,000人当たりの職員数11.2人は8番目で,他都市平均は10.8人であり,おおむね他都市並みの職員数であります。一方,市民一人当たりの人件費は,政令市の中で3番目に高く11万3,563円で,他都市平均は10万2,029円であり,本市が1万1,534円高いのが現状です。行政職員の給与は,人事委員会勧告に基づいて職員との労使交渉を丁寧にすることが大前提でありますが,検討すべき課題であります。扶助費は,生活保護費などのセーフティネットの役割や,障害者などの社会的弱者の支援,少子高齢化に伴う高齢者福祉や子育て支援の在り方など多岐にわたります。財源が少なくなることが予想される中,本市独自の事業の重要性を点検しながら,より丁寧な社会的弱者の支援を求めます。現プランでは,人件費の削減は,新規職員採用抑制によるものなどであり,事業費の削減は,事業の予算額の減少効果を基本にし廃止という切り込み方はしていないという認識をしています。この度の来年度からの財政見通しによると,令和8年には公債償還基金が底を突き,財政再生団体になってしまう可能性があると報告されています。今後の多額な財源不足を考えると,一般財源の歳入や歳出に対し大胆な改革が必要です。いかがお考えですか。 次に,今後の本市の観光政策とコロナ禍における対策についてお尋ねします。本市は,令和元年に京都観光総合調査を実施されました。それによりますと,観光消費額は1兆2,367億円,4年連続で1兆円を超え,京都市民の年間消費支出の約55パーセントに相当し京都経済に大きな影響があること,観光客は4年ぶりに増加したこと,外国人観光客の祇園や錦市場などへの訪問率が減少し集中の緩和がされたこと,日本人,外国人共に満足度は90パーセントを超えているが,日本人観光客が感じた残念なこととして,混雑,マナーなどが報告されています。令和元年度の観光調査は,コロナの影響を受けていない調査であり,5月21日以降の緊急事態宣言解除以降のGoToトラベルなどにより,コロナ禍の外国人観光客が大幅に減少する中,本市への日本人観光客が戻りつつあるとの報道もされています。本市の観光予算は,年間約5億円から7億円で推移し,他都市と比べて必ずしも予算の確保は高くない中,1960年設立の京都市観光協会やコンベンションビューローなど,民間活力の導入が早くから確立されてきました。その中,国においては,平成20年10月には観光庁が創設され,平成26年12月に地方創生の主体の一つにDMOという概念が発表され,平成29年11月には国内で初めてのDMO法人として京都市観光協会が認定されました。DMOとは,デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションで,観光地を経営する組織の略称ですが,本市の観光を産業化していく環境下で,この京都版DMOにより,京都市観光協会を中心に,民間事業者との連携を密接にさせる役割を更に発展させていただきたいと思います。一方,本市は,観光客増による混雑などから市民生活を守ることを最優先に取り組むと同時に,西京区や山科区などの周辺観光の充実による特産品の紹介や観光地などの地域の魅力の発信や,新規産業化や雇用の創出,伏見区には11行政区で唯一の観光協会がありますが,それぞれのエリアごとの観光特性をいかすための仕組みづくりなど,このような課題に対し本市がリーダーシップを発揮することに期待します。コロナ禍での新たな出発ですが,本市では,平成28年より観光消費額など数値を上げて取り組んでおり,観光産業に対する認識は,宿泊,飲食,土産物などの小売など,すそ野の広い産業であると聞き及んでいます。今後の京都経済の成長を期待いたします。本市のリーダーシップを伴った京都版DMOを更に重厚なものにしていただきたいと思っています。いかがお考えですか。 本市は,過日の11月9日に観光事業者,従事者,観光客,市民の3者に対し,持続可能な観光に向けて京都観光行動基準を京都市観光協会と協働で策定しました。法的な拘束力はないが,関係者や市民が考えるきっかけにしてほしいとしています。市内では,飲食店ではアルコール消毒液の配置や体温測定,席の配慮などのソーシャルディスタンス確保などについて不足していたり,本市の市バス,地下鉄も他都市と比べて収益減少が激しい中,公共交通機関利用から自動車利用による観光地訪問や自転車利用も見受けられます。清水,嵐山などの混雑による密の回避もさることながら,密を避けるために河川敷や山間地域でのアウトドアを楽しむ方が増加しているなど,コロナ禍の本市においても大きな環境の変化が起きています。先ほどの観光行動基準は,コロナ禍を含め本市の課題克服や持続可能な観光の実現を目指すものであります。法的な拘束力はない中,本市として宣言された効果が最大限に発揮できるよう運用に努めることを求めます。いかがお考えですか。 最後に,地域に開かれた学校づくりの推進についてお尋ねします。本市には,地域住民がお金を出し合って造った番組小学校の歴史があり,明治2年,日本で初めての学区制小学校が生まれ,本市の小学校は,他都市にない住民の支援が深い小学校になりました。その理念が受け継がれ,その中,本市は,今日においても地域に開かれた学校づくりを核とした教育,学校運営に取り組んでおられます。私は,今日の少子高齢化が進み共働き世帯の増加や核家族化の中で,子供たちが保護者や学校,習い事の先生など限定的な大人との関係にとどまってしまう傾向にあるとも言われる中,本市の開かれた学校づくりは,子供たちが豊かな人間関係を育みコミュニケーション能力を高めることができる機会としても大変重要であると考えます。一方で,一人1台パソコン端末の整備をはじめ子供たちの学習環境の変化や教員の働き方改革への対応,更にコロナ禍での活動条件の制約などがある中で,開かれた学校づくりの核でもある学校運営協議会を,どのように活性化していくのかが課題ではないかと考えています。発足から一定の年月が経過する中で,これまでの各運営協議会の取組を礎に,いかに発展させていくのかについて教育委員会としても学校任せにするのではなく,しっかりと支援しながら取り組む必要があると考えています。いかがお考えですか。 また,開かれた学校づくりは,子供たちの教育の充実だけではなく市民の生涯学習や地域活動の活性化という視点からも重要であると考えています。私も地元で体育振興会に関わらせていただいていますが,本市では,各校に設置された開放事業の運営委員会が中心となって体育館やグラウンドをスポーツ活動に活用する取組や余裕教室や学校内に整備されたふれあいサロンなどを複数の中学校区をまとめた地域を単位として,文化,スポーツ活動などで地域の皆さんに幅広く利用いただく学校コミュニティプラザ事業など,本市ならではの地域に根差した生涯学習の推進や地域コミュニティの活性化につなげるための事業に取り組んでこられました。しかし,例えば,学校コミュニティプラザ事業では,事業立ち上げから一定期間が経過する中,事業の周知が十分でないため,余り施設が利用されていない例もあります。また,教頭先生をはじめ学校の事務負担になっている場合もあると考えています。私は,人生100年時代と言われる中で,多くの皆さんが,様々な活動で学校施設を利用されることを通して,地域コミュニティ活性化につなげていくことが,誰もが生き生きと暮らせる京都のまちづくりにとって大変重要ではないかと考えています。 そこで,事業の在り方を点検し,教職員負担にも配慮も含め,先ほど申し上げた課題の改善も進めていただきながら,より一層地域住民にとって活用しやすく生涯学習社会の充実につながる学校施設の活用促進について検討していただきたいと考えます。いかがお考えですか。 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 天方ひろゆき議員の御質問にお答えいたします。 今後の市政運営についてでございます。私が,市長に就任した平成20年には,市バス,地下鉄の巨額の赤字に加え,一般会計も過去最大の30億円の赤字となり,その結果,全会計の連結実質赤字が300億円を超えており,リーマンショックの影響もあり財政は危機的な状況にありました。民間の力を活用するなど徹底した行財政改革を断行し,この間,3,400人を超える職員を削減,年間270億円の人件費を削減するなどにより確保した財源をいかし,更に公債償還基金など特別の財源対策まで講じて,年間の社会福祉関連経費はこの間904億円増加させるなどによりまして,全国トップレベルの福祉,医療,教育,子育て支援などを維持,充実させてまいりました。京都の福祉や子育て支援,また都市格は大きく向上しました。また,国と歩調を合わせて進めてきました経済政策の効果等により,この5年間で個人市民税の納税義務者数が3万2,000人,5パーセント増,過去最高の67万人に,市税収入は9パーセント増,過去最高の2,770億円になるなど明るい兆しが見えてきた矢先に今般のコロナ禍が発生しました。 この間の雇用や税収増に寄与してきた観光への大きな打撃,宿泊税収入の大幅な減少などにより,来年令和3年度は,現時点で令和元年度の市税収入から約250億円減収となるリーマンショック時を超える減収見込みに加えまして,社会福祉関連経費の伸びなどにより,現時点で500億円もの巨額の財源不足が見込まれております。 平成13年の財政非常事態宣言時と異なり,公債償還基金を既に522億円取り崩すなど現在の財政状況はより深刻な状況にあり,今後,公債償還基金の取崩しによって現在の施策水準を維持し続けることは,もはや限界であり,国の財政再生団体となりかねない,そうなると,本市独自の国を上回る施策が全て維持できなくなります。何としても避けねばなりません。このため,真に必要な施策への重点化,選択と集中に取り組むとともに民間資金を獲得するなど歳入歳出全般に踏み込んだ行財政改革をこれまで以上に加速させ,持続可能な財政を確立し,市民の皆様の暮らしをしっかりと支えてまいります。 次に,観光政策についてでございます。本市では,市民生活と観光の調和を大前提に経済の成長や雇用の創出,市民生活の豊かさを高める観光政策に取り組んでまいりました。その中で,DMOである京都市観光協会は,長年にわたり伝統文化の保全や継承に寄与する事業を実施するとともに,季節,時間,場所の三つの集中を打破し混雑の緩和や観光の効果を市内全域に行き渡らせることを目指して,朝観光,夜観光の推進や地域の隠れた魅力の情報発信等に取り組んでこられました。また,今回のコロナ禍においても,多様な事業者とのつながりや機動力をいかし,感染防止対策にいち早く取り組み,大きな成果を挙げていただいております。感染拡大防止対策を徹底し,コロナによる危機的状況を乗り越え,持続可能な観光,市域や市民の皆様の豊かさにつながる観光を実現していくためには,本市と京都市観光協会,観光事業者,地域が連携して取組を進めていくことが重要であり,天方議員の御指摘も踏まえまして,その核となる観光協会の機能強化を支援することも含めて推進体制の充実を図ってまいります。また,先般,観光事業者,従事者,観光客,市民の皆様が思いを一つにし,京都が京都であり続けるために大切にしていただきたいことを明示した京都観光行動基準,京都観光モラルを観光協会と共に策定したところであります。次のステップといたしまして,事業者が行う地域貢献等の優良事例を分かりやすく発信し,そうした取組を模範として他の事業者にも実践していただけるよう働き掛けるとともに,事業者と連携したマナー啓発等により観光客にも感染防止対策の徹底や地域を尊重した行動への呼掛けを強めてまいります。 今後も引き続き,観光事業者,従事者,観光客,市民の皆様と力を合わせまして,観光先進都市,そして観光課題解決先進都市・京都の実現に向けまして取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 行財政改革についてでございます。市税収入の増加につきましては,現在,コロナ禍で経済的に厳しい状況に置かれている市民生活,京都経済を下支えすることにより経済を循環させ担税力の回復を図ることが肝要であります。同時に,本市の都市の魅力が必ずしも市税収入につながっていないこと,また,子育て世代の近郊の他都市への流出といった構造的な課題に対し,景観施策とまちの活力を両立させる取組を推進し,新たな用地,空間の創出,子育て世代や若年層が住みやすいポストコロナにも対応した職住近接のまちづくりを目指してまいります。さらに,既存の居住空間の有効活用の点からは,空き家やセカンドハウスに係る課税の在り方につきましても現在議論を進めているところです。こうした税収増加の取組を着実に進めると同時に,税収増加には一定の期間が必要となることから,直近3年間は,財政危機を回避するため歳出と受益者負担の在り方の改革に集中的に取り組んでまいります。人件費については,市民サービスを維持しつつ,働き方改革やデジタル化による時間外勤務の縮減,民営化等による職員数の適正化をはじめ,あらゆる可能性を含めて検討し,更なる削減に取り組んでまいります。また,扶助費や繰出金を含む消費的経費については,真に必要としている方に持続可能な施策を届けられるよう,社会経済状況の変化や民間活力の導入などの視点から現行施策を再点検し,より効果的に施策を推進する道を模索してまいります。投資的経費につきましても,費用対効果や財源確保等の観点から,スケジュールの大幅な見直しを含めゼロベースで検討してまいります。これらの歳入歳出両面からの改革を一層加速させ,未来への責任をしっかりと果たしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは2点お答えをいたします。 まず,学校運営協議会についてでございます。天方ひろゆき議員御指摘のとおり,地域に開かれた学校づくりは,子供たちが豊かな人間関係を育みコミュニケーション能力を高める大変意義ある取組であります。本市では,その核として学校運営協議会を平成16年度から設置し,26年度には全ての小学校に設置するなど全国に先駆けた取組を推進してまいりました。そうした中,毎年,学校運営協議会の委員や教職員などを対象とした研修会や広報誌等を通じて全市の先導的な取組を発信し実践につながるようサポートしてまいりましたが,長年の取組の経過の中で,委員や活動内容が固定化するなどの課題も生じてきております。また,現在のコロナ禍の下で制約を受ける活動の今後の在り方につきましても課題と認識しております。御指摘の子供を取り巻く学習環境の変化や教員の働き方改革などの観点も踏まえ,学校運営協議会に参画いただく地域の方々向けに新たに手引を作成するとともに,実践事例の動画配信やオンライン研修等により各学校運営協議会の自主的な活動が活性化するよう支援し,その活動の充実に向け取り組んでまいります。 次に,学校施設の利用促進についてでございます。これまでから学校は,地域コミュニティの中核施設としての機能を担い,地域にとって身近な生涯学習やスポーツ活動の場として活発に利用いただいております。そうした下,議員御指摘のとおり,小学校区を越えて複数の中学校区をゾーンとして利用いただく学校コミュニティプラザ事業につきましては,事業開始から四半世紀がたち地域や学校で引継ぎが十分でない場合があることなどから,事業の趣旨や事業内容自体が共有されていない例も見られます。また,活用に際しての,施設管理上の教職員の負担など今日的な課題への対応も必要であると認識しております。今後,そうした観点から,事業を紹介するパンフレットや利用の手引をリニューアルし事業趣旨やモデルとなる取組事例を改めて地域や学校へ周知するとともに,毎年実施しております学校施設利用に関する実態調査におきまして地域や学校が認識する課題につきましても把握に努め,活動の在り方や教職員の負担軽減について検討を行うなど地域の方々により利用しやすく生涯学習のまちづくりにつながるよう取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,小山田春樹議員に発言を許します。小山田議員。 〔小山田春樹議員登壇(拍手)〕 ◆(小山田春樹議員) 右京区選出の小山田春樹です。私は,京都党市会議員団を代表して質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 質問に先立ちまして,新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました方々に対して,心から哀悼の意を表しますとともに,闘病中の皆様におかれまして,一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また,コロナ対策に尽力されております全ての皆様に心から謝意を表したいと思います。 それでは,質問に移らせていただきます。まず初めに,新型コロナウィルス感染症の拡大防止対策と市民生活を支援する取組についてお伺いいたします。感染者数は,東京,大阪などの大都市を中心に全国的に増加しており,京都市においても先月17日にはこれまでで最も多い40件の患者が確認されるなど感染拡大の第3波が進行していると言えます。感染拡大防止対策をしっかり行い,市民生活を守り,経済活動の回復を図るための施策を講じることは,緊急かつ重要な課題です。これから冬に向かってインフルエンザの流行も予想されることから,コロナとインフルエンザ双方に対応し,なおかつそれ以外の一般疾患の診療活動にも悪影響が出ないように医療体制をしっかりと確立していくことが求められております。市民の皆さんからは,熱がある,体調が悪いがどのように受診したらいいか分からないとの声,個人病院,クリニックなど小規模な医療機関の医師からは,どこの病院を患者に紹介したらよいかなど必要な情報を教えてほしいという声が上がっております。既に,市民しんぶんによる広報が行われていますが,まだ市民への広報が十分とは言えません。体調が悪いときは,まず掛かり付け医に相談し,休日の場合や掛かり付け医がいない人は,きょうと新型コロナ医療相談センター,414-5487へ電話をしてほしいということを周知徹底していただくことをお願いいたします。市営地下鉄,市バスの車内広告を活用するなど,市民への広報に力を入れていただきたいと思います。市長のお考えをお聞かせください。 さて,コロナ禍の長期化は,市民生活,経済活動に深刻な影響を与えています。企業の倒産や廃業,従業員の解雇などは生活基盤の破壊につながり,早急な支援策が求められています。コロナ禍の下で,生活への不安,様々なストレスが原因となってメンタルな疾患も増加し,自殺者は全国的に増加しています。本市としても医療機関との連携を深め,対策をしっかり行っていく必要があります。特に,目を向けていただきたいのが学生をはじめとする若い世代の皆さんの生活です。中でも今年4月に入学した1回生の多くは,入学後リモートによる授業が続いて,高い学費を払っているのに何のために大学に入ったのか分からないという不安な気持ちになることもあり,コロナ禍収束のめどが立たない中で,就職など将来の進路への不安を抱えている学生も多数います。京都市は,国の補助金を使い,市内39の大学に1校当たり500万円の補助金を出して,各大学が学生の生活相談などに活用するための支援策を実施しました。年内には各大学への補助金交付が完了し,主に学生に対するカウンセリングの充実に活用されるとのことです。この支援策にとどまらず,各大学に対し困りごとがないか調査し,学生に対しては学業や生活上の悩みについてきめの細かい対策を実施するようにお願いをいたします。市長のお考えをお聞かせください。学生の皆さんに温かい支援の手を差し伸べていただきたいと切にお願いいたします。 ここまでが,前半の質問でございます。各項目に対して,お答えいただきますようにお願い申し上げます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 小山田春樹議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の相談体制についてでございます。北海道や東京,大阪,兵庫をはじめ全国的に感染が拡大しており,また,今後インフルエンザの同時流行も懸念されることから,必要な相談,診療,検査体制の確立が極めて重要であります。このため,本市におきましては,京都府及び府医師会と連携を更に強化し,発熱やせきといった症状があれば,まずは身近な地域の医療機関,掛かり付け医,また,休日,夜間等は,府市協調で設置したきょうと新型コロナ医療相談センターへ電話相談のうえ,必要な診療検査を受けていただく体制を既に11月1日から運用しております。11月27日現在,市内を中心に府内629箇所の診療所等で診療,検査が可能であり,また,府内のPCR検査能力も1日当たり1,450件に拡充されております。くわえまして,京都市と京都大学病院との包括連携協定により,本市独自に1日当たり900件の検査を可能としております。この新たな診療,検査体制の広報につきましては,市民しんぶんやホームページ,SNSはもとより,地下鉄や市バスの車内中吊り,駅構内のポスターやデジタルサイネージ,新聞広告などあらゆる広報媒体を通じて周知を図っております。今後も,診療,検査体制の更なる拡充と共に市民の皆様への周知を徹底し,感染拡大防止に全力を尽くしてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 下間総合企画局長。 〔下間総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(下間健之) 学生支援についてでございます。本市では,この間,各大学,学生との意見交換等も踏まえ,キャンパスプラザ京都にWi-Fi環境の整った学習スペースを開設し,多くの学生さんに利用していただくとともに,その運営の補助として学生スタッフを雇用しました。また,市内39の大学,短期大学を対象に総額約2億円の補助制度を創設し,メンタルケアや授業理解促進など各大学の実情に即した学生支援の取組を後押ししております。さらに,コロナ禍における学生を市民の皆様と共にまち全体で応援していくため,大学コンソーシアム京都に加盟する48の大学,短期大学全ての学長と協議のうえ,門川市長との共同メッセージを発信するとともに,先月には,各大学からのきめ細かな要望を取りまとめ,市長が代表して,直接,文部科学大臣等に対してコロナ禍における学習環境整備への支援等について要望を行ったところであります。今後とも,各大学,大学コンソーシアム京都,また,国や京都府等とも連携し,コロナ禍における学生さんの支援に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 小山田議員。 〔小山田春樹議員登壇〕 ◆(小山田春樹議員) 是非,若者の生活しやすい京都市を創るためによろしくお願いしたいと思います。 後半の質疑では,本市の財政危機打開策についてお伺いいたします。市会のこれまでの様々な質問でも明らかなように,本市の財政状況は,令和3年度予算編成時において500億円の財源不足に陥るなど危機的な状況にあります。財政調整基金は既に枯渇しており,公債償還基金の取崩しを現在のペースで今後も続けていけば,5年後の令和8年度には公債償還基金が枯渇してしまいます。本市の財政状況は,もう待ったなしの瀬戸際に来ているのです。京都党は,かねてから収入の範囲内で予算を立てる配分方式を提言してきましたが,これまで門川市長は,縮み志向にならない,縮小一辺倒にならないと答弁され,議論はかみ合いませんでした。しかし,9月市会以降,市長も歳出削減の方針を掲げていらっしゃいますので,共通の認識に立って建設的な議論を進めていくことを期待しております。とはいえ,先日提出された中期財政収支見通し案では十分な歳出削減はできておらず,令和15年度になっても財政破綻はせずとも危機的な状況が続く計画がなされています。これでは,緊急時への対応が不十分な京都市の財政運営が克服されないままです。更なる歳出削減策が必要だと思います。まずは,投資的経費を見直すことで,一定の歳出削減を図ることが可能です。特に,大型の公共事業は,この際立ち止まって見直し,事業の一時凍結,工費の削減などを行うべきです。例えば,京都市立芸術大学の京都駅東部エリアへの移転事業は,国からの補助金も見込めないことから,全額が本市の負担及び本市への寄付金に頼らなくてはなりません。また,今後予定しているそのほかの投資的事業と比べても工費がおよそ250億円と非常に多額なものとなっています。寄付金は10億円集まっているにすぎず,このままの計画を続行すれば市の財政状況を更に悪化させることは必至です。250億円と規模が非常に大きい事業を財政状況がひっ迫する中で早急に行うという合理的な理由が見つかりません。今こそ,立ち止まって見直すべきです。市立芸術大学移転事業の一時凍結を強く求めたいと思います。先の総括質疑の中で,全て精査するとの答弁がありましたが,その一方で市立大学移転事業だけは別枠扱いされており,工事の入札は再開されています。歳出の見直しと削減が求められている状況で,全てをてんびんに掛けたうえで,なぜ市立芸大の移転事業に着手するのか,改めて理由を明確にお示しいただきたいと思います。このほか,市庁舎整備事業,北陸新幹線延伸,鴨川東岸線整備事業などに対し,今後どのような判断を下すのか,それぞれ具体的に御答弁をお願いいたします。 歳出の大幅削減は必要ですが,教育,福祉,防災などの水準を守り,行政サービスの低下,市民生活への悪影響を招かないように十分な配慮が必要です。特に高齢者や低所得者,学生などの若い世代がコロナ禍で厳しい生活状況に追い込まれることがないように,市民生活をしっかり守る方針を堅持する必要があります。それには,様々な事業の見直しを行ってもなお巨額の財源不足が解消できない現状を直視すると,市長及び議員は当然のことながら,本市職員の人件費の削減を行わざるを得ません。令和元年度決算ベースで本市の人件費は1,646億円であり,そのうち賞与は360億円です。そこで,コロナ禍の影響で収支の悪化が著しい令和3年度は,財源不足を補うために1年限りの時限措置として,夏季及び冬季の賞与をそれぞれ20パーセントカットして,約70億円の歳出削減を行うことを提言いたします。この額は本市の人件費総額の5パーセント弱に当たりますが,基本給を下げるわけではなく,あくまでもコロナ対策費用の財源捻出などに使われる時限的な位置付けの削減です。福井県では,2018年に大雪の除雪作業経費を賄うために職員給与の10パーセントカットを行った事例があり,本市職員の賞与カットはやむを得ない措置と考えます。コロナ対策のために日夜奮闘されている本市職員のことを思うと誠に心苦しい限りですが,職員の皆様には御理解と御協力をお願い申し上げます。本市職員の賞与カットなどの人件費見直しについて,市長の見解をお伺いしたいと思います。 そのほか,働き方改革とデジタル化を進めて本市職員の残業を減らし残業代の削減を図ることを求めます。市長部局の時間外勤務手当を政令市で比較すると,本市が25億5,000万円であるのに対し,全体の平均値が22億円,少ない自治体では,13億円から16億円と本市の6割程度です。業務の在り方やプロセスを大きく転換して,時間外勤務を6割程度まで減らすことを目指すよう求めます。市長の見解をお聞かせください。 さて,財政を立て直すには,歳出を削減するとともに,歳入を増やす努力が必要です。それにはまず,本市の税収を増やしていくことが大切な課題であり,次の2点を提案いたします。 第1は,企業の本社を京都市へ移転するように働き掛けることです。法人市民税の増収は,本市の財政状況を改善する上でも大きな役割を果たしますし,東京一極集中からの脱却を図るためにも是非取り組むべき政策です。首都機能の移転,分散の議論が活発になり,政府も一極集中の是正を進めつつあります。今年6月21日付けで内閣府が行ったコロナ下における生活意識,行動に関する調査結果によりますと,東京23区に住む20代のうち,地方移住に関心を持つ人は35.4パーセントに上っています。また,日本経済新聞の調査によれば,東京に本社のある上場企業の26パーセントが本社移転又は本社機能の縮小を検討しています。コロナ禍によりテレワークの実施が進むなど働き方が大きく変わってきた今こそ,企業の本社を京都市へ誘致する絶好のチャンスだと思います。市長を先頭に本市の職員が一丸となって,誘致に取り組んでいただくことをお願い申し上げます。企業が本社を京都市に置くことを選択するためには,魅力的な環境を整備していくことが不可欠です。京都駅東南部エリアをはじめ交通利便性の高い地域にインテリジェントオフィスを建設する再開発計画を民間主導で推進するなど新しい都市ビジョンを策定していくことを併せて提案いたします。市長のお考えをお聞かせください。 もう一つは,本市の定住人口を増やしていく取組を強めることです。地方自治体にとって定住人口の増加は極めて重要な課題です。京都市の人口は,京北地域の合併により人口増のあった平成17年度をピークに毎年減少していく傾向が続いています。また,少子高齢化の進行に伴い高齢者の占める割合が増加しています。若い世代の京都市への移住,定住を促進するためには,住環境の整備,子育てや教育環境の向上を着実に進めていくことが必要です。そのためには,街の特性をいかしエリア別に建築物の高さ制限などを柔軟に規制緩和して,若者や子育て世代が住みたいと思う魅力的な住まいの建設を可能にすることが必要ですが,市長の見解をお伺いいたします。 最後に,京都市が保有する建物などの公有財産の目的外使用許可と使用料減免状況についてお尋ねいたします。現在公有財産の目的外使用許可が認められている件数が564件,それらの免除,減額の総額は24億8,000万円に上ります。しかもこの564件には,営利団体に対して建物使用料を減免しているものも含まれています。例えば,京都市勧業館,みやこめっせ内に設置されているミュージアムショップ京紫苑に対して本来ならば年間240万円納めてもらうべきところを半額の120万円,美術工芸ギャラリーには653万円の使用料に対して半額の326万円の減免,市庁舎分館に入居している三菱UFJ銀行に対しても半額を減免しています。収益性のある事業にもかかわらず,採算が合わないが公益性があるためとの理由で減免を行うのは筋が通りません。まずは金額の大小にかかわらず営利団体への減免については直ちに改定すべきだと思います。また,公共的団体という位置付けで免除,減免を行っている社会福祉協議会の事務所や特定の公益財団法人の事務所等の案件についても,免除や減免を行うことへの妥当性を含め精査が必要だと考えます。平成25年の包括外部監査結果において,使用料等の減免は実質的に補助金交付と同様の経済的効果があるとの指摘があるとおり,これらは事実上の隠れ補助金となっています。本来であれば法律に照らし合わせて無償,減額を行う必要性を十分に検討して実行すべきです。今後,公有地の目的外使用に当たっては,免除や減免を行った過去の経緯や慣例などがあるにせよ妥当性について改めて見直すこと,利用者に対して正当な使用料,賃料を御負担いただくよう求めますが,いかがでしょうか。市長の見解をお聞かせください。 以上で,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは2点について御答弁を申し上げます。 まず,京都市立芸術大学等の大型公共事業についてでございます。京都芸大の移転は,文化芸術都市・京都の新たなシンボルゾーン創生を目指す京都駅東部エリアや東南部エリアを含む京都駅周辺のまちづくりにとって,ひいては京都市全体のまちづくりにとって極めて重要な事業でございます。現在,予定地では,市営住宅等の解体工事が着実に進捗し,目に見えて街の姿が変わり始めております。また,電気設備工事と空調の設備工事につきましては,既に入札手続を完了し,仮契約を締結している状況であること等も踏まえ,他の事業に先立ち,総合的に検討し,令和5年秋の開校を目指して予定どおり進めることといたしました。工事費は,徹底した精査を行っており,工事中も可能な限り経費縮減に努めてまいります。さらに,企業の皆様に,京都芸大の移転が京都駅周辺はもとより京都全体の魅力を高め,都市格の向上につながることをお伝えし寄付獲得に取り組んでおり,今後も京都芸大と連携し,その取組を強化してまいります。また,その他の投資的事業につきましては,進捗状況,費用対効果,財源の確保等の観点から,予算計上をしないことやスケジュールの大幅な見直しも含めて,現在,ゼロベースで検討しており,今月中に検討結果をお示しいたします。なお,本市以外の事業主体によって進められる北陸新幹線延伸につきましては,環境影響評価の手続中であり,ルートや工法も決まっておりませんが,本市を含む地方負担の最小化を引き続き国等に求めてまいります。 次に,企業誘致と定住人口の増加についてでございます。本市では,首都圏企業等を対象に企業誘致セミナーを開催し,市長によるトップセールスに加え,京都のビジネス環境の魅力を発信し,IT系企業等の誘致やソーシャルビジネスに取り組む企業,スタートアップの集積に成果を挙げてまいりました。今年度は,オンラインセミナーの開催により,京都への進出に興味を持つ企業のニーズを把握するとともに,市内に立地を希望する企業と不動産情報を有する事業者等との橋渡しを実施いたします。また,五条通周辺やらくなん進都等での都市計画変更や,都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画制度により,緑地等の公共空間やコワーキングスペース等を備えた質の高いオフィスの誘導を図るなど,働きやすく潤いある環境整備に取り組んでいるところでございます。コロナ禍の中で進んだテレワーク等の働き方の変化は,東京一極集中を是正する契機となるものであり,ポストコロナ社会,ウィズコロナ社会を見据えた首都圏企業等の移転や市内企業による新産業や新ビジネス創出のトレンドを捉え,税収と雇用の確保に全力で取り組んでまいります。 次に,建築物の高さ規制につきましては,京都の景観の守るべき骨格を堅持しながら,地域のまちづくりを推進する特例許可制度の整備について,先日,市民意見募集を実施いたしました。地域ごとのビジョンに応じてまちの魅力を高め,住みたい人が増え,定着していただけるよう,頂いた市民意見も踏まえ制度創設に向けた手続を進めてまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 川端監察監。 〔川端監察監登壇〕 ◎監察監(川端昌和) 職員の人件費についてでございます。本市では,これまでから,市民の命と暮らしを守るため必要な人員を適切に配置する一方で,民営化等で業務量の減少が確実に見込める部分について職員数を削減してまいりました。職員の給与につきましては,人事委員会勧告制度の趣旨を尊重することが基本的認識であり,今年度についても,勧告に基づきボーナスを0.05月引き下げ,人件費は約4億円の減となりました。また,職員の時間外勤務につきましては,全庁挙げて働き方改革の取組を進めてきた結果,令和元年度の時間外勤務手当の決算額は,前年度比で約1億5,000万円の減となりました。今般のコロナ禍等により,巨額の財源不足が見込まれるなど本市財政は危機的な状況であり,人件費をはじめ,あらゆる歳出について直ちに改革に取り組む必要があると考えております。今後も引き続き,市民サービスを維持しつつ,働き方改革やデジタル化による時間外勤務の縮減,民営化等による職員数の適正化をはじめ,あらゆる可能性について検討し,更なる人件費の削減に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 公有財産の使用料の減免についてでございます。本市におきましては,平成25年の包括外部監査の指摘を踏まえ,同業種の民間事業との公平性や同用途の類似事例との間で差異が生じていないかを確認するほか,本市の公有財産を利用することにより得られる利益についても考慮して減免の可否を判断してまいりました。御指摘の営利団体や公共的団体につきましても,公益性の観点のみならず,公有財産の使用に係る収支の状況の確認や本市業務との関係性も考慮したうえで,総合的に減免の可否を判断してまいりました。公有財産の使用料減免の在り方につきましては,本市の危機的な財政状況も踏まえ再点検する必要があると認識しており,既に,持続可能な行財政審議会においても,今後の取組の一つとして議論されたところでございます。今後は,審議会での議論も踏まえつつ,公有財産の使用料減免の在り方について検討してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これをもちまして,一般質問を終結いたします。 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時16分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          副議長   青野仁志          署名議員  大津裕太          同     森川 央 △(イメージ)請願文書表「受理番号954」「小学校のような全員制の中学校給食の実施」...