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09月30日-03号

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  1. 京都市議会 2020-09-30
    09月30日-03号


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    最終取得日: 2021-07-19
    令和 2年  9月 定例会     令和2年     定例会       京都市会会議録第3号     9月市会                       令和2年9月30日(水曜日)出席議員(65名)   1番 森川 央議員   2番 神谷修平議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 やまずまい子議員   6番 豊田恵美議員   7番 井上よしひろ議員   8番 山本恵一議員   9番 かまの敏徳議員  11番 小山田春樹議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 森 かれん議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 大津裕太議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方ひろゆき議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  40番 ほり信子議員  41番 江村理紗議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(1名)  39番 とがし 豊議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和2年9月30日(水)午前10時第1 陳情の回付   一般質問 (1) 市政一般について  中村三之助議員 (2) 市政一般について  西村義直議員 (3) 市政一般について  みちはた弘之議員 (4) 市政一般について  森田 守議員 (5) 市政一般について  西野さち子議員 (6) 市政一般について  河合ようこ議員 (7) 市政一般について  やまね智史議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。小島信太郎議員小山田春樹議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,陳情の回付を行います。 今回受理いたしました陳情3件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,中村三之助議員。 〔中村三之助議員登壇(拍手)〕 ◆(中村三之助議員) 上京区選出の中村三之助でございます。まずは,新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方へ心よりお悔やみを申し上げますとともに,闘病を続けておられる方々に,一日も早い御回復をお祈り申し上げます。 さて,9月16日に菅義偉新総理が誕生いたしました。総理総裁が掲げる自助,共助,公助,そしてきずなの社会を目指し,我々自民党は,一致結束し,新たな国づくり,まちづくりにまい進してまいります。 それでは,この後に登壇いたします西村義直議員,みちはた弘之議員,森田守議員を含め4名の議員が自民党市会議員団を代表いたしまして質問,提言等をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 まず初めに,令和元年度決算状況から見た今後の財政運営についてお尋ねいたします。令和元年度の京都市一般会計決算は,本年3月末までは新型コロナウイルスの影響は限定的で,ほぼなく,歳入総額は前年度比0.3パーセント減の7,728億円。景気の回復基調に伴い個人市民税と法人市民税などが増加いたしました。また,宿泊税は42億円あり,市税収入は前年度より4.7パーセント増の2,770億円と過去最高を更新し,実質収支は4億円と10年連続で黒字を維持いたしました。 このように言えば,良かったように聞こえますが,国からの地方交付税は3.7パーセント減少した中,社会福祉関連経費が前年度比3.3パーセント増と19年間連続の増加などから,それら財源不足を補うため,禁じ手と言われている将来の借金返済に備えた公債償還基金を取り崩し,また,行政改革推進債も含め特別の財源対策を84億円規模で実施して賄うとともに,さらに,貯金に当たる財政調整基金36億円も全て使い果たしてのやりくりでありました。 しかし,問題はこれからであります。本年度は,新型コロナウイルスによる市税の減収は,リーマンショック時の約140億円を超えると言われるなど大幅な減収で赤字転落が危ぶまれる一方,市民生活を支援する経済対策の更なる実施など歳出圧力が強まっており,極めて厳しい財政状況であると思います。 門川市長には,これまでから事業の見直し,職員削減,資産の有効活用など行財政改革を果敢にしてこられました。しかし,現在のコロナ禍,本市の恒常的な財源不足の中で,社会福祉関連経費の増加が毎年続いており,地域経済の立て直しをしていくかじ取りは大変厳しく難しい状況ではありますが,しっかりと進めていただきたいと思っております。 そういう中,必要な行政サービスを維持する方法などを検討するため,有識者による京都市持続可能な行財政審議会が設置され,現在3回にわたる会合が開催されております。参加委員から建設的な意見や大変厳しい意見などの発言があり,活発に議論されていると聞いております。今年度末の最終報告を期待しているところであります。 そこで,お尋ねいたします。これからの本市財政をどう運営して持続可能なものにするのか,また,厳しい財政状況にあって,どのように市民の安心安全,そして市民生活の豊かさを実現していくのか,市長の決意をお聞かせください。 次に,今,市民が心配されている新型コロナウイルス感染症対策と,これからの京都の経済活動の回復についてお尋ねいたします。本年1月30日に本市において1例目の感染者を確認したその日に,市長をトップとする緊急対策本部を設置されてから約8箇月が経過いたします。その間,本市のウィズコロナ社会における安心安全な市民生活の実現に向けて全庁体制で対策を展開していただいている対応に対して,他の大都市と比較して,私は,一定の評価をしているところであります。現在も今ある危機を乗り越えるために様々な対策が行われているわけでありますが,残念ながら,それらが市民に十分に伝わっていないため,市民の多くは不安なままであります。 ついては,市民に進捗状況をしっかりと伝え,要らぬ不安感を払拭することが必要であると思っております。国のGoToキャンペーンなど,国民の活動が活発化してまいりました。本市においても,感染拡大防止,経済の下支えに加え,ウィズコロナ社会における市民生活の安心安全の支援のこの3本の柱の実現に向けてしっかり取り組むことが重要と考えます。 そこで,現在の京都市における新型コロナウイルス感染状況について,市長の認識をお伺いいたします。また,ウィズコロナ社会における感染拡大防止と経済活動の両立に向けての取組に対する御所見とウィズコロナ社会における安心安全にどう取り組もうとしているのか,市長の決意をお伺いいたします。 次に,コロナ禍における子供のストレス対応と学校教育についてであります。国の調査によれば新型コロナウイルスの影響による約3箇月間の休校は,子供の約7割にストレス反応をもたらしたようです。いらいら,怒りっぽくなる,鬱になる,夜が眠れない,勉強が手に着かない,言うことを聞かなくなった,そして不登校などが挙げられます。これまで楽しかった学校生活が,本人にとってつまらないものに変わってしまったようで,親として叱っていいのか,共感して慰めていいのか困惑されている声もありました。 また,現場教師は,再開後,長期休校による学習後れの対応に加え,消毒などの感染防止対策を迫られ,多忙を極めております。 学校生活は,大きく様変わりして,オンライン学習,授業形態,給食,休み時間,放課後の過ごし方などに新しい生活様式の模索が続いております。当然,コロナ感染拡大防止のための対応として仕方ないことでありました。これから一人1台のパソコンをツールとして整備していくなど,時代に対応した取組は大切なことでありますが,しかし,学習の後れを取り戻すために,オンライン授業や教室での教科学習時間ばかりの学校生活では問題があると思っております。 特に小学生時では対面で行う授業が大切であり,体を動かし,実物を見て,触って感じるという体験が不可欠であります。自然体験学習も大切であります。文科省は,新型コロナウイルスの影響により,子供たちの屋外での活動の減少,また,未知の感染症に対する不安感などが,子供たちの成長にとって良くない影響を及ぼすおそれがあるとして,子供たちの感じている不安や閉塞感を打破し,元気を取り戻して,健やかな成長を図る事業を推進すると,私が関わっておりますボーイスカウト団体にも発信されてきております。教員と子供,そして子供同士の人間関係を築く学級づくりが学習の効率をもたらすものであります。 コロナ禍で,今年度は子供たちが楽しみにしていた多くの学校行事が中止となりました。子供の気持ちを思うとかわいそうであります。その中で,来年2月開催予定でありました第35回京都市小学校大文字駅伝も中止となりました。参加選手の中には,この日のために,4年生から3年間掛けて練習を続けている子も多くおります。第1回大会から役員として運営実施に関わってまいりました私にとりましても中止は残念であります。 そこで,コロナ感染の収束状況が前提でありますが,子供たちの切実な願いに応えるため,全市大会ではなく,例えば,支部ごとの支部大文字駅伝など,何らかの大会が実施できるように取り組んでいただきたいわけであります。いかがでしょうか。 また,今年度はコロナ感染で,京都市集団宿泊的行事スタンダードである4年生で2泊の奥志摩みさきの家,5年生で3泊以上の花背山の家,6年生で1泊の修学旅行の中で,4年生のみさきの家と5年生の花背山の家が中止となりました。子供,保護者から大変残念な声を聞いております。みさきの家,花背山の家での楽しい時間は,子供たちにとって一生の思い出となり,財産になっております。これは卒業文集を読めば分かります。 そこで,これもコロナ感染の収束状況が前提でありますが,今年度,みさきの家に行けなかった4年生に,来年新5年生での実施は,新4年生が利用しますので,施設規模の関係でこれは無理と思いますが,今年度花背山の家に行けなかった5年生に,来年6年生で1泊若しくは日帰り実施は可能と思います。是非とも行けるように取り組んでいただきたいわけであります。そして,令和4年度からは,従来のスタンダードに戻していただきたいわけであります。いかがでしょうか。 私は,これまで,現場の教師の多忙を軽減するために,事務量の軽減,学校支援員などの配置など多くの要望をしてまいりました。それらに応えていただき,少しずつ改善に向かっていることはうれしく思っておりますが,現場では現コロナ対応で,いまだ教師の多忙は変わらず,更なる支援が必要と考えます。そこで文科省の学校・子供応援サポーター人材バンク事業を更に活用するなどして,更なる支援をしていただきたいわけであります。 また,このコロナ禍,現場で特に一番多忙で大変なのは教頭であります。事務量の増加,采配,調整,地域対応の増加など管理職の働き方も検証していただきたいと思います。いかがでしょうか。 次に,これからの関西広域連合についてお尋ねいたします。関西広域連合は,東京一極集中を是正し,地域が主体的に地域の広域課題に対応できる分権型社会の実現を目指して10年前の12月に全国初の複数の府県による広域連合として誕生し,2年後に京都市も加わり,現在は,関西圏の8府県と4政令指定都市を合わせた12府県市で構成される日本最大の地方自治体であります。そして関西広域連合議会は各自治体の議会から選任された39名の議員の兼務で構成されています。 私もこの本議会で関西広域連合議会議員に選任していただき今年で4年目になりますが,世間ではほとんど知られておりません。月に約2回の会議に出席し,うち年間4回の本会議が開催され,私は年2回,一般質問をしてきております。毎回インターネットで生中継及び録画配信されておりますが,ほとんど知られておりません。私は,関西広域連合事業は,決して三重行政にしてはならないと思っております。今後は関西広域連合でなくても府県市間の連携で成果を挙げていけるものと思っております。 この数年,連合本会議における12府県市の知事や市長の出席率も低く,これは議会軽視と言いたいところでありますが,一方で,連合議会議員も毎年約半数が今はころころ入れ替わる現況であり,形骸化していると言わざるを得ない実態もあり,現在の関西広域連合は,連合議会を含め今の運営組織で継続していく価値はどこにあるのか疑問に思っております。私は,連合議会の活性化について,これまで数々の提案を行ってきたところでありますが,それらの課題については,7月の関西広域連合議会において厳しく指摘したところであります。連合議会の形骸化,関西広域連合の在り方については,一朝一夕に改められる問題ではありませんが,これは強く指摘しておきたいと思います。 さて,そのうえで,ワールドマスターズゲームズ2021関西ジャパンの開催についてであります。私は,アジアで初めて開催される世界最大の生涯スポーツの祭典であるワールドマスターズゲームズの成功に向けて,熱心に広告塔となり応援をしてまいりましたが,来年の5月開催は,総合的な見地から開催を1年延期すべきとの考えを,7月の連合議会本会議での一般質問で申し上げました。しかし,井戸連合長は粛々と準備を進め,10月28日の理事会で最終的な開催方針を決定するとの答弁でありました。判断時期が遅すぎます。遅くなれば,延期の場合に会場確保が困難になります。これらのやり取りは,同席されておられた門川市長も御存じのことと思います。 私の延期の理由は,東京オリンピックパラリンピック開催の延期により,多くの誤算が生じていることであります。この夏のオリパラの運営全般のノウハウをいかそうとしていた本来のシナリオ,またボランティア要員の確保の期待が崩れたこと。くわえて,コロナの影響で事前の大きな大会は全て中止となり,このままではぶっつけ本番となり失敗のリスクが高くなっていること。また,コロナの影響で,スポンサー支援等が減少し,資金調達面で誤算が出てきていること。また,陸上競技など競技運営スタッフの役員の多くは,ワールドマスターズゲームズもオリパラも兼ねておられる方が多いため,ワールドマスターズゲームズの2箇月後にまたオリパラがあるという日程は,運営面において余りにもタイトであり,準備全般でリスクがあること。また,世界大会でありながら,コロナ禍で外国からの選手及び関係者を集めることが極めて難しいとこと。また,過剰な感染症対策を講じた上での開催は,参加数も限定的にならざるを得ず,盛り上がりに欠けてしまうこと。そして何と言っても一番心配されることは,もしも,ワールドマスターズゲームズ新型コロナウイルスによるクラスターが発生した場合,その後のオリパラにも大きく影響を与えてしまうことであります。 京都市としても,延期を強く求めていくべきと思いますが,いかがでしょうか。 次に,次期京都市動物愛護行動計画についてお尋ねいたします。本計画は,本市におけるこれまでの動物愛護管理への取組を総括し,今後の動物愛護施策の更なる充実を図るため,平成21年4月に策定されました。そして京都動物愛護憲章や京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例の制定,また,京都動物愛護センターの開設などを受け平成28年3月に新たな目標値の設定や施策,事業を拡充するなどの改定がされました。そして本市は,本計画を動物愛護行政の基盤として,また,京都動物愛護センターを拠点として,獣医師会,動物愛護団体ボランティアスタッフ,事業者,市民,行政などが連携し,人と動物が共生できる潤いのある豊かな社会の実現に向けた動物愛護行政に一歩一歩取り組まれているところであり,一定の評価をしております。 拠点となっている京都動物愛護センターは,平成25年7月に私が動物愛護に関する京都市会海外行政調査団の団長を務め,翌年開設する京都動物愛護センターの施設整備に向けた情報収集のため,動物愛護行政の先進国であるドイツを中心に欧州を周り調査活動を行い,建設に向けた提言書を提出させていただきました。そしてその多くがいかされ,整備された動物愛護センターは,全国から注目され,今も他都市から多くの視察に来られております。 京都市動物愛護行動計画は,既に10年が経過し,改定時期に来ております。犬猫のマイクロチップ装着の義務化,動物虐待罪の厳罰化,販売の生後56日規制などが盛り込まれた昨年成立の改正動物愛護法に伴い,国においては環境省の検討会で具体的な話が進められている中,京都市においても先月の8月開催の京都市動物愛護推進会議を皮切りに協議が始まりました。これから国,府の動向を見ながら進められるものと思いますが,あわせて,平成27年7月に施行された京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例についても,本市の動物愛護事業に大きく御協力いただいている動物愛護団体の方々の御意見もしっかりと傾聴し見直しを進めていただきたく思っております。 次期京都市動物愛護行動計画は,京都府動物愛護推進計画に沿って本年度末に改定されるようですが,策定に当たっては,日本においては動物愛護行政の先進都市と言われている本市として,一歩二歩進んだ内容を盛り込み,独自性を出した,より具体的な行動計画にしていただきたく思っております。いかがでしょうか。 また,本市の特筆すべき内容として今挙げられるものがあればお答えください。 最後に,地元の要望をさせていただきます。来月から始まる河原町通の丸太町通から今出川通区間の無電柱化工事の後に,無電柱化が途切れる区間となってしまう今出川通の河原町通から梨木通区間の無電柱化工事を計画に入れていただきたいこと,また,長年の懸案である全行政区の中で,上京区にだけいまだにない地域体育館の整備を忘れず,引き続き取り組んでいっていただきたいことを申し上げ,私,三之助の代表質問を終わります。 長らくの御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中村三之助議員の御質問にお答えいたします。 今後の財政運営についてでございます。私は,市長就任以来,ぜい弱な財政基盤,厳しい財政状況の下にあっても,3,400人を超える職員を削減するなどの徹底した行財政改革を断行しつつ,全国トップ水準の福祉,医療,教育,子育て支援を維持,向上させると同時に,市民の皆さんの命と暮らしを守る安心安全のまちづくりや文化を基軸とした都市経営を推進し,京都の今と未来に必要な政策の推進に果敢に取り組んでまいりました。この間,京都のまちの魅力と都市格が大きく向上し,市民の皆様と共に進めてきた京都のまちづくりが,国内外から高い評価を頂いているところであります。 さらに,国と連携し実行してきた経済政策の効果が市民の皆様の豊かさにつながり,税収にも反映され,令和元年度決算においては,個人市民税の納税義務者数が7年連続増加,3年連続過去最高,市税収入については過去最高の2,770億円となり,着実に担税力が向上し,明るい兆しが見えてまいりました。しかし,一方で,国からの地方交付税は,平成15年度のピーク時から550億円も削減されており,令和元年度においても,公債償還基金を50億円取り崩さなければ収支均衡が図れない厳しい決算となりました。 こうした中,今般の新型コロナウイルス感染症による急激な景気悪化という事態が発生したことにより,今年度は市税収入が前年度から147億円の減と過去最大の減収となる見込みであり,市債発行による補填をしてもなお歳入不足が拡大し,このままでは公債償還基金の取崩しが追加で80億円必要となる極めて深刻な状況にあります。 令和3年度の収支についても,市税収入は今年度から更に108億円の減収が見込まれることに加え,施設の老朽化対策や社会福祉関連経費の伸びなどにより,現時点で500億円もの巨額の財源不足が見込まれております。このため,今後,公債償還基金の取崩しによって全ての施策水準を維持し続けることは,もはや限界であり,行財政改革は一刻の猶予も許されない状況でございます。私は,この厳しい現状を直視し,絶えず変化する社会経済情勢の中で,景気変動等にも耐え得る足腰の強い持続可能な行財政を確立するために,7月に立ち上げました外部有識者から成る審議会の御意見も頂きながら,挑戦と改革に覚悟を持って取り組む決意であります。 この不退転の決意の下,危機感を,市民,市会の皆様と共有し,社会情勢の変化と厳しい財政状況を踏まえた,真に必要な施策への重点化,選択と集中,民間資金の獲得などの歳入歳出両面にわたるゼロベースの総点検,とりわけ歳出構造の見直しに,今すぐ取り組んでまいります。 同時に,中長期的には,京都の都市の魅力の高まりを市民の皆様の豊かさ,担税力の向上につなげる成長戦略を推進してまいります。ウィズコロナ社会にあって,人々の生き方,働き方,社会,都市経営の在り方が本質的に問われる中,市民の皆様お一人お一人の暮らしをしっかりと支えつつ,この危機を契機とし,財政構造の抜本改革に全身全霊で取り組んでまいります。 次に,新型コロナ感染拡大防止と経済活動の両立についてでございます。厳しい状況の中,感染拡大防止に献身いただいている皆様に,改めて感謝申し上げます。この間,保健師の体制の充実強化の積極的疫学調査,クラスター等の集団感染対策,さらには,9月の感染防止徹底月間の取組などにより,例えば飲食店でのクラスターは発生していない一方,学校,医療機関での集団感染事例が見られ,引き続き,市民ぐるみで危機感を共有していくことが重要であります。 本市では,保健所検査体制の強化を図るとともに,京都府,京都府医師会との連携により,検査センターを設置したほか,9月末時点で,市内を中心に府内408箇所の身近な医療機関で保健所を通さずとも診療,PCR検査が受けられる仕組みが構築できてまいりました。今後はこれらを土台に,市民の皆様からの受診相談を受け,診療,検査を実施する医療機関を紹介する新たな仕組みの構築など,更なる感染拡大防止に取り組んでまいります。 一方,飲食,観光,ものづくりなどをはじめサービス,小売など,ほとんどの産業において依然として非常に厳しい状況が続いている中,中小企業の事業継続と雇用を守り,消費,需要回復を支えるためには,感染拡大防止と経済を何としても両立させなければなりません。感染拡大防止に留意しつつ,観光消費喚起策の一つとして,国において実施されるGoToキャンペーンの効果を京都市内において最大限取り込めるよう,ガイドライン遵守店舗等のステッカー貼付等による感染防止対策の見える化の促進や,衛生対策への助言,設備改修等の支援等に加え,市民や旅行者等の行動変容の定着も図ってまいります。これらの取組と併せ,今後のウィズコロナ社会を見据えたデジタル化や働き方改革など,この機会に自ら変革に挑戦される,文化芸術,中小企業等の取組も力強く後押ししてまいります。 先行き不透明な状況の中,引き続き,議会との連携の下,府市,関係機関が一丸となり,国と協力し,市民の皆様の健康,命,雇用,暮らしを守るために全身全霊で取り組んでまいります。 次に,ワールドマスターズゲームズ2021関西ジャパンについてでございます。私は,2013年に関西広域連合の視察団の団長として,トリノ大会を視察いたしました。そしてこの大会が本市における生涯スポーツの普及,振興,世界一健康長寿のまち・京都の実現はもとより,文化の交流や産業,観光の発展につながるものであり,是非とも,京都,そして関西で,開催したいという強い思いから,多くの関係者の皆様と共に誘致活動を進め,決定した大会でございます。しかし,コロナ禍において,先が見通せない状況が続いており,来年5月に予定どおり開催するには数多くの課題があることは,中村議員からの御指摘のとおりでございます。 現在,組織委員会では,1年延期の判断を含めた最終的な開催方針について,各スポーツ団体や協賛各社等との協議,来年5月に新型コロナウイルス感染症がどのように見込まれているのかなどを踏まえて,本年10月28日に開かれる組織委員会の理事会で最終決定し,11月4日のIMGA理事会・総会で報告することといたしています。 大会の開催に当たっては,感染拡大につながらないことを前提に,国内外から集まった選手,関係者をはじめ全ての皆様が安心安全な環境で生き生きとスポーツを楽しむ,そして,市民の皆様の心からのおもてなしで,国,地域,世代を超えて交流し,京都ならではの観光や食文化,ショッピングを楽しまれ,まちのにぎわいにつながることが重要でございます。 本市といたしましては,大会の真の成功のために,世界からスポーツを愛する人々が集う,この大会の意義を踏まえ,1年延期が有力な選択肢の一つとして考えておりますが,共に大会を開催する競技団体をはじめとする関係団体と十分協議し,そのうえで組織委員会に働き掛けてまいります。 次に,次期の京都市動物愛護行動計画の策定についてでございます。本市では,動物愛護管理法が掲げる人と動物が共に生きていける社会を目指し,平成21年度に本市独自に動物愛護行動計画を策定し,平成26年度には,動物愛護の理念を示す京都動物愛護憲章を制定するとともに,住民の生活環境を損なう無秩序なえさやりへの対応などの取組を定めた京都市動物との共生に向けたマナー等に関する条例を整備し,まちねこ活動や災害時のペットの同行避難の体制づくりなど,全国トップ水準の先進的な取組を市民ぐるみで実行し,成果も挙げてまいりました。さらに,平成27年度には,全国初となる府市協調の取組として,全国トップ水準京都動物愛護センターを共同設置し,動物愛護行政を積極的に推進しております。 次期の動物愛護行動計画につきましては,動物愛護管理法の改正を踏まえて改定される京都府の動物愛護推進計画との調和を一層図るとともに,高齢者が入院等でペットを飼い続けることが困難となることや社会問題となっている多頭飼育問題などを新たな課題とし,関係者との協働による解決策について検討を深めてまいります。 また,マイクロチップ装着推進など国における法改正に先立って本市条例で取り組んできたものにつきましては,京都市獣医師会や動物愛護団体等の御意見も伺いながら法との整合性を図るため,条例改正について検討してまいります。 今後,有識者等で構成された京都市動物愛護推進会議から御意見を頂き,パブリックコメントや議会での御議論も踏まえまして次期計画を今年度内に策定し,人と動物が共生できる潤いのある豊かな社会の実現に向けて取組を一層進めてまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 新型コロナ禍を受けた教育活動についてでございます。本市では,学校再開後の教育活動におきましては,新型コロナウイルス感染症対策の徹底を図るとともに,協働的な学び合いの中で行われる学校教育ならではの取組も大事にしながら進めることが重要であるとの認識の下,各校で工夫して実践しております。とりわけ,学校行事につきましては,中村三之助議員御指摘のとおり,子供たちにとって様々な体験を通して学べる貴重な機会であり,その教育的意義を踏まえ,修学旅行や運動会,文化祭等につきましては,感染症対策を徹底したうえで実施することとしております。 そうした中,大文字駅伝につきましては,予選会と本大会は中止といたしましたが,練習を頑張ってきた6年生の思いを大切にし,活躍の機会を設けるため,行政区や校長会の支部単位での開催など代替の取組を検討しております。今後,11月中を目途に,大会実行委員会におきまして,その内容を決定する予定であり,子供たちが,練習を続けてきてよかったと思えるよう取り組んでまいります。 また,小学校4年生での奥志摩みさきの家,5年生での花背山の家での野外体験活動,宿泊行事につきましては,子供たちが大変楽しみにしている行事であり,自然や生命を尊重する精神,連帯感や責任感,規範意識など豊かな人間性や社会性を育むため,大切な教育活動の一つであります。本年度は,誠に残念ながら中止といたしましたが,来年度につきましては,議員御提案の新6年生での花背山の家での活動体験につきましては,施設の収容定員や例年の新5年生との日程調整など課題がございますが,活動プログラムを工夫するなど,できるだけ多くの子供たちが参加できるように取り組んでまいります。また,令和4年度以降につきましては,新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえ検討してまいります。 次に,教職員の多忙化への対応につきましては,現在,各校への学習指導員の配置を順次拡大しており,補習等によるきめ細やかな学習支援と教職員の負担軽減を図っているところでございます。また,教頭等の管理職に負担が集中する傾向があることから,ICTの活用による会議や研修等の効率化や学校行事の精選等を進めるとともに,全校に校務支援員を配置するなど,その負担軽減を図っているところであり,今後とも,文部科学省の人材バンク等も活用しながら,学校体制の支援に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,西村義直議員に発言を許します。西村議員。 〔西村義直議員登壇(拍手)〕 ◆(西村義直議員) 西京区選出の西村義直です。自由民主党京都市会議員団を代表して,中村三之助議員に続いて,みちはた弘之議員,森田守議員と共に質問させていただきます。門川市長をはじめ理事者には,市民の皆様に分かりやすい答弁をお願いいたします。 まず初めに,決算を踏まえた公営事業について伺います。令和元年度は,上下水道局が策定した10年計画である「京(みやこ)の水ビジョン-あすをつくる-」及びその前期5箇年の実施計画である中期経営プランの2年目として,老朽化が進む水道管路の更新のスピードアップ,大雨に浸水からまちを守る雨水幹線の整備など計画に定めた事業を着実に推進されたところです。 また,財政面では,水需要の減少傾向に加え,年度末に発生し始めた新型コロナウイルス感染症の影響により使用水量が減少し,水道料金,下水道使用料収入共に減少する厳しい状況となりましたが,漏水修繕経費の削減や業務執行体制の見直しなど減収額を上回る経費削減に取り組まれたことで,目標としていた利益を確保するなど評価のできる決算となっています。 一方で,令和2年度に目を向けると,新型コロナウイルス感染症の拡大が本市においても市民生活や民間企業の事業活動に大きな影響をもたらしていることから,上下水道事業においても4月から7月までの4箇月間で,前年度と比べて水道は5億3,000万円,下水道は6億円の減収とのことであります。8月以降も非常に厳しい状況が続いており,上下水道局が中期経営プランで予定されていた料金収入を更に大きく下回ることは確実であると思われます。 このように,令和2年度は,これまでに誰も経験したことのない大変厳しい状況になっています。そうした中でも,市長が掲げているレジリエント・シティ京都の実現に向けて,市民生活に欠かすことのできない重要なライフラインである水道,下水道を維持していくためには,これまで以上の覚悟を持って事業を運営していく必要があり,令和元年度決算における市長としての総括に加え,依然厳しく収束の見通しが立たない新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえた大切な水の利用について,上下水道事業の経営への対策と決意について伺います。 続いて,市バス,地下鉄の今後の事業運営についてもお伺いいたします。先般発表されました市バス・地下鉄事業の令和元年度決算においては,単年度の収支は両事業共に黒字でありました。昨年3月に,今後10年間の経営の指針となる市バス・地下鉄事業経営ビジョンを策定された際,老朽化に伴う車両設備の更新コストの増加や,事業を支える担い手の不足など,両事業を取り巻く環境は非常に厳しく,その実情は,極めて深刻なものである中,本年1月までは,両事業とも順調に利用者数が増加していたとのことですが,上下水道局の事業同様に本年2月以降,新型コロナウイルス感染症の影響により利用者数は大幅に減少し,令和元年度通算の両事業合計の利用者数は,平成21年度以来10年ぶりに対前年度比で減少に転じております。また,今年度に入って利用者数は更に大幅に落ち込み,4月から7月までの4箇月間で,前年度比の運賃収入の減少が,市バスで30億円,地下鉄で42億円に上るとのことであります。 交通局においては,新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた換気,消毒及び職員の健康管理の取組状況を動画で紹介するなど,市バス,地下鉄の安全性について,市民への分かりやすい情報発信に努められているものの,利用者数の回復には相当の時間を要するのではないでしょうか。正に危機的状況にある中で,赤字路線を含め市民の足を守り抜くとの決意を持って,事業展開の見直すべき点は見直し,是非とも立て直しを図っていただきたいと思います。今後の市バス・地下鉄事業の運営についても市長の対策と見解をお聞かせください。 次に,国勢調査や統計調査をいかした京都市のまちづくりについて伺います。今年は,5年に一度,国勢調査が行われる年で,大正9年,1920年に第1回目の国勢調査が開始されて100年を迎える意義深い節目の年です。明日の10月1日を基準日に行われる国勢調査は,国民の全てを対象とした調査で,日本の人口と世帯構成の実態を明らかにし,行政運営,社会経済,公的統計を支える情報基盤を形成し,少子高齢化,防災,地域活性化などの行政施策,大学や研究機関における学術研究,企業における市場分析,経営戦略の策定のほか,現在及び将来の人口推計,GDP等を算出する国民経済計算,更には地方交付税の算定や政府,自治体が社会保障政策,防災計画を策定するときの基礎となり,民間企業が製品,サービスの需要を予測し,店舗や工場の立地を計画するなどのまちづくりにつながる分野など多岐にわたるもので,社会統計の作成等にも利用されます。これらは,社会の持続的発展を支えるもので,国や京都府,京都市の施策から民間部門まで幅広く活用されて,日本に住んでいる全ての人の性別や就業状態,通学地などを世帯ごとに回答していただき,調査に基づく人口は,法定人口として,衆議院小選挙区の区割りや見直しに加え,私たち京都市会議員の定数にも関わる事項でもあり,民主主義の根幹に関わる統計と言えます。その意義を国民に周知し,精度の高い調査を維持することが極めて重要です。 一方で,その重要性にもかかわらず,新聞記事やテレビなどでは,肝心の調査員が不足し精度の低下が懸念されるとともに,高齢化による担い手不足に新型コロナウイルスが追い打ちを掛けるなど感染不安による辞退や敬遠が相次ぎ,目標の70万人に届かない可能性があると報道しています。これまでは,調査票を手渡しで配付し,不在時や回答を得られないときは再訪問することが原則となっていますが,総務省は,対面調査が難しくなっている現状を踏まえ,非接触型に重点を置いた調査に切り替えることで,地域の実情に応じ,インターホン越しの説明や不在時のポストへの調査票投函を認め,配付,回収期間も延長し,インターネットや郵送での回答を増やすことで調査員の負担を減らし,コロナ禍の影響を最小限に抑えたい方針です。 また,都市部や若者の間での回答率の低さや,期間内に回答を得ることができず国勢調査の意義に関する認識も薄れるなど,最近は見知らぬ人の訪問に拒絶反応を示す人も多く,総務省は,大学や企業に協力を求め,若者や単身者への働き掛けを通して回答率の向上を目指しています。 国勢調査の結果は,将来に渡る行政運営,社会経済,公的統計を支える情報基盤を形成し,社会の持続的発展を支えるものであり,100年も前から活用している言わばビッグデータです。この国勢調査について京都市において回答率の向上の取組をいかに行い,また国勢調査をいかしたまちづくりをどのように進めていかれるのか伺います。 あわせて,市民への周知の機会を捉えて全国的にも交付率が低いとされるマイナンバーカードの周知などを通して,住みよいまちづくりにもつながる取組をしていただきたいと思います。 次に高齢者福祉施設利用に伴う福祉施策の展望について伺います。全国では,特別養護老人ホームの福祉施設を利用できずに施設利用を希望されている方は,およそ32万人とお聞きしておりますが,京都市における特別養護老人ホームの入所申込数は,令和元年では4,905人の方が入所の申込みをされたものの,全ての方が入所には至らず,施設の入所に当たっては原則要介護3以上に引き上げられたことを照らしてみると,気軽に施設を利用できないのが実態であると思われますが京都市の状況はいかがですか。 京都市の特別養護老人ホーム利用者の定数は6,311人で,京都市内の特別養護老人ホーム施設数は,99施設あるものの,行政区別で見れば市内中心部に少なく,市内周辺部に多く,施設整備にあっては,土地の広さや価格に左右されることが大きく,今後も増え続ける高齢者の福祉や介護の現状をどのように把握し,今後の取組を進めていかれるのか伺います。 また,施設整備だけではなく施設従事者の確保も大変大きな課題です。施設は,24時間365日休むことなく交代するなどして運営されており,多くの人員確保が必要なことに加え,給与などの勤務状況により勤務しても長続きしにくい傾向があり,離職される方が多いのも実情としてあることも認識しなければならず,京都市では,こうした厳しい現状をどのように把握し,今後の取組を進めていかれるのか伺います。 次に,更生保護活動支援について伺います。犯罪のない明るい社会を築くことは私たち全ての人の願いです。犯罪者や非行少年らが社会において通常の社会人として改善更生することができるように必要な指導や援護の措置を行うことは,一般社会において犯罪や再犯の予防活動を促進することで犯罪や非行から社会を保護し,個人と公共の福祉を増進することを目的とする施策であり,我が国の犯罪対策において重要な位置を占めていますが,国の機関だけでは十分な効果を上げることが困難であり,保護司などの更生保護ボランティアと呼ばれる様々な方々が,それぞれの特性をいかし更生保護諸活動に積極的に参加されています。 京都市における刑法犯の検挙者数は,この10年で半減し大幅に減少していますが,検挙者のうち再犯者の割合は50パーセント前後で推移していて,国全体で見た場合,刑務所から出所者のうち約4割の人が5年以内に再び刑務所に入所しているという実態があります。こうした再犯者をいかに減らしていけるかが重要と考えます。 刑事施設を出所するほとんどの受刑者は,もう二度と犯罪はしないと立ち直りを決意して出所しますが,高齢で身寄りがなかったり,孤独で相談相手がいなかったり,また,適当な住居を確保できなかったり,安定した仕事に就けなかったりと,立ち直りには多くの壁が存在しており,再犯防止には,こうした課題の解消に取り組む必要があると考えます。 とりわけ京都では,京都府更生保護女性連盟の事業として立ち上がった若草プロジェクトinKYOTOが,その後,法人化し京都わかくさねっとと称して京都市と連携して,平成30年度から国の地域再犯防止推進モデル事業として認定され,虐待や貧困などの生きづらさを抱える若年女性への寄り添い支援などに取り組まれました。多くの成果を出しつつも,本モデル事業は今年度で終了するとのことです。 京都市では,今年度,再犯防止の推進に向けた総合計画を策定するということですが,こうした出所者が抱える立ち直りに当たっての課題に対して,どのように取り組んでいかれるのか,特に更生保護活動への連携した支援が不可欠と考えますが,京都市の見解を伺います。 一旦,ここまでの質問に対しての答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西村義直議員の御質問にお答えいたします。 上下水道事業の経営についてでございます。京の水ビジョン中期経営プランの2年目となる令和元年度は,水道事業では,配水管更新率を8年前の約3倍となる1.4パーセントまで引き上げたほか,下水道事業では,5年に一度の大雨に対応する整備率が全国平均59パーセントを大きく上回りトップ水準の約91パーセントとなる中,更に10年に一度の大雨への対応に取り組んでおり,豪雨による被害も最小限に抑えることができております。また,節水型社会の定着に加え,新型コロナウイルスの影響が出始めたことにより水需要が減少し,料金収入が前年度から水道で約2億円,下水道で約3億円減少する中,効率的な事業運営に努めたことで,施設の改築更新等の財源となる積立金を目標以上に確保いたしました。 しかしながら,令和2年度は,新型コロナウイルスの影響により水需要が大幅に減少し,8月以降も減収が続く非常に厳しい状況でございます。このため,可能な限り予算の執行抑制に努めるとともに,お風呂の利用促進をはじめとする水需要の喚起はもとより資産の有効活用などあらゆる手立てを講じて財源を確保し,市民生活を支える重要なライフラインである上下水道をしっかりと将来にわたって守り続けていく決意でございます。 次に,市バス,地下鉄の今後の事業運営についてでございます。私の市長就任当時,危機的な経営状況にあった両事業は,経費節減はもとより市民の皆様,市会の皆様の御理解,御協力の下,交通局を先頭に全庁一丸となった取組で大幅な増客を実現し,地下鉄事業においては,国の認証を得た経営健全化計画に掲げた5パーセントの運賃改定を今日まで回避しつつ,大きく経営改善を果たしてまいりました。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の影響により,両事業合わせた運賃収入は,本年4月から7月までの4箇月だけでも,昨年同期比72億円,45パーセントの減収と,過去に経験したことのない事態となっております。 さらに,新たな生活スタイルの定着や海外からの観光客の動向などから,当面大きな回復は見込めず,最悪の場合,近い将来,運賃や路線,ダイヤを抜本的に見直さなければならない,そうしなければ経営が立ち行かなくなる可能性すらあります。両事業を安定的に経営していくためには,当面の課題への対応と共に,息の長い取組が求められます。まずは,一人でも多くの方に,市バス,地下鉄を安全安心に御利用いただくための地道な取組を交通局を先頭に積み重ねてまいります。また,全ての事業を立ち止まって深く検討しているところですが,通勤,通学の足をしっかり守りつつ,御利用状況に応じて,ダイヤを見直すことも必要と考えております。 今,交通事業が置かれている状況は,一自治体で解決できるものではありません。他都市とも連携し,国に対して公共交通事業者の現状をしっかり伝え抜本的な支援を強く求めるなど,危機感と決意を持って,市民の足である市バス,地下鉄を守り抜いてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 国勢調査の回答率の向上に向けた取組と国勢調査をいかしたまちづくりについてでございます。国勢調査は西村義直議員御指摘のとおり,我が国における最も重要な統計調査であり,本市では,市政協力委員など地域活動に取り組んでおられる皆様に御協力いただき,十分な調査員の体制を整えることができました。厚く御礼申し上げます。そのうえで,新型コロナウイルス感染症対策として,各戸の郵便受けに調査書類を投函し,郵送やインターネットで回答いただく方式により,調査の円滑な実施に取り組んでおります。また,その重要性に鑑みまして,回答率の向上に向けて,大学生等の若者を対象にしてツイッター,フェイスブックといったSNSを利用した周知活動に加え,本市独自に特設ページを開設し,職員が作成したキャンペーン動画の配信を行うなど,積極的な広報活動を行っております。また,国勢調査の集計結果は,本市の各種計画プラン策定時の基礎データや,市民生活に直接関わる都市計画,防災,教育,福祉をはじめ,幅広い分野の施策,事業の立案,実施に活用するなど,未来の京都のまちづくりにしっかりと役立ててまいります。マイナンバーカードに関しましても,今後,市民生活に関する様々な分野での活用が進められるよう,市民サービス向上に向けて,しっかりと周知,普及に取り組んでまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは2点お答えいたします。 まず,高齢者福祉施設の利用と従事者の確保についてでございます。特別養護老人ホームにつきましては,3年ごとに目標量を定め着実に整備し,令和2年度末には,介護保険制度創設時の平成12年度から2倍増,また,この12年間では2,550人増となる6,763人分を確保しております。その結果,入所の必要性の高い重度の方はおおむね1年以内に入所いただける状況であり,今後も必要量を確保してまいります。整備に当たりましては,医療機関との連携等を要件に,令和7年度まで市街化調整区域において特別養護老人ホームの整備を認めるなどの取組を進めておりますが,西村議員御指摘の地域的な偏在に対処するため,定員の上限を緩和して中心部の狭い土地でも整備しやすくするとともに,在宅サービスの充実にも注力し,施設,在宅の両面から高齢者の生活を支援しております。施設従事者の確保につきましては,事業者団体と共に立ち上げた研究会の議論を踏まえ,中学校家庭科授業での介護職の魅力発信や,コロナ禍の雇用情勢を踏まえた社会福祉施設採用者への就職支援金の支給など,担い手の裾野拡大に取り組むとともに,夜間の見守りセンサーの導入経費助成といったICTの活用等により介護の現場を支える取組も実施しております。今後とも,介護の担い手確保を着実に推進するとともに,施設従事者の一層の処遇改善について国へ強く要望してまいります。 次に,更生保護活動への支援についてでございます。本市における犯罪件数は,大幅に減少しておりますが,再び罪を犯す人の割合は約5割と高い状況が続いており,この再犯者を減らすことは,罪を償った人が再び社会の一員として活躍することや,さらに,安心で安全な京都の実現につながるものであります。このため,本市では,本年2月に,更生保護に係る関係団体や有識者で構成する京都市再犯防止推進会議を設置し,再犯防止推進計画の策定に取り組んでおります。計画では,住居,就労の確保等による社会の居場所づくりや地域社会における理解促進などを柱に掲げ,立ち直りを目指す人の抱える課題に応じた支援に適切かつ迅速につなげてまいります。また,これらの取組を進めるうえで,保護司や更生保護女性会,京都わかくさねっと等の更生保護に取り組まれている民間団体の活動や,罪を償った人を積極的に雇用する企業,事業者の活動は非常に重要であることから,これらの尊い活動が地域に広く理解されるとともに,更に発展し,民間活動の輪が広がるよう支援する仕組みを検討してまいります。引き続き,関係者や市民の皆様からの御意見も伺いながら,実効性のある再犯防止計画を策定し,やり直すことができる社会と安心安全なまちの実現に向けて取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 西村議員。 〔西村義直議員登壇〕 ◆(西村義直議員) 次に,今後の地球温暖化対策の推進についてお尋ねいたします。 京都市は,市民,事業者の皆様の御理解と御協力の下,ごみ減量や地球温暖化対策など,全国をリードする環境政策を展開してきました。 毎年のように全国各地で発生する自然災害などの要因の一つとされる地球温暖化問題に関しては,昨年の9月市会において,我が会派が中心となり,気候危機,気候非常事態であるとの意見書を取りまとめ国に提出したところ,今年度,国の環境白書において「気候危機」という表現が初めて用いられました。京都議定書誕生の地として,引き続き,温暖化対策を先導していく必要があります。 昨年5月に,門川市長は,2050年二酸化炭素排出量正味ゼロの脱炭素社会の実現を目指すことを表明されました。京都市では,これまで市民ぐるみで積極的な取組を進めてきた結果,エネルギー消費量はピーク時から28パーセント減,温室効果ガスの排出量は,1990年度比で19パーセント減となり,着実な成果が挙がっています。しかし,二酸化炭素排出量正味ゼロは大変高いハードルであり,これまでの延長の取組では,実現できるものではありません。一層の大胆な施策展開が必要であり,私たちのライフスタイル,事業活動や価値観の転換が求められます。 新型コロナウイルス感染症により,これまで私たちが当たり前と考えてきた生活スタイルや事業活動の在り方そのものに対しても,大きな変化が迫られています。このような中,国際社会では,コロナ危機からの経済回復は,ただ単に元の世界に戻るのではなく,パリ協定が目指す脱炭素社会への転換に貢献する経済復興を目指すグリーン・リカバリーという考え方が広がっています。このような時期だからこそ,ウィズコロナ,ポストコロナ社会を見据え,未来を展望した取組を進めていくことが重要で,京都市では,そのような視点を踏まえつつ,現在,地球温暖化対策条例を改正するためのパブリックコメントを実施されています。この中では,温室効果ガスを2030年度に2013年度比で40パーセント以上の削減を掲げ,観光旅行者にも市民と同じように温暖化対策に取り組むことを求めるとともに,事業者には更なる取組をお願いするなど新たに取り組むとしていますが,持続可能な脱炭素社会の構築に向け,更に覚悟を持って転換していく取組を進めていくべきであります。 2050年二酸化炭素排出量正味ゼロの脱炭素社会の実現に向けては,あらゆる政策,施策を総動員し,取り組んでいかなければならないと考えますが,地球温暖化対策に対する目途と市長の決意をお聞かせください。 次に,創造都市圏・環状ネットワークについて伺います。地下鉄延伸など既存の交通システムに加え,新たな未来の交通システムなどあらゆる可能性を追求し,京都市南部地域や隣接自治体を含む一大都市圏の創出へ京都府と協力,一丸となり,国の力強い支援を得て,民間事業者も含めた英知を結集し,構想実現に向けた道筋を付けるべく全身全霊で挑戦し,市内中心部や北部地域と共に南部地域のポテンシャルの最大化に向け,新たな交通ネットワークの構築が不可欠で,乗り越えるべき課題は多く,門川市長は,私が今,一歩踏み出さなければ始まりません。ぎりぎりまで西脇知事とも侃々諤々の議論,協議を行い,知事からは一丸となって推進しようと力強い言葉を頂き,国との間でも,自動運転技術を活用した新交通システム導入に向けた具体的な協議を民間事業者も交えて行ってきました。将来にわたって活力と魅力にあふれ,優れた文化を創造し続ける,そして人々が生き生きと暮らすことができる京都をつくっていくため,力の限りを尽くしますと述べられています。 西京区や伏見区の住民をはじめとして当該地域を単に移動するだけではなく,多くの方々の利便性が格段に向上し,近隣自治体までもが有益な交通網の拡充や物流,さらには,人と人のコミュニケーションなど多岐にわたる分野が広がり,将来の財政再建に向けた協議を積み重ねていくことで,大都市である京都市が京都市であり続けるための整備の実現を目指した1月以降,現時点での進捗状況をお聞かせください。 最後に,西京区の地域活性化について伺います。人口減少化社会にあって,およそ15万人が生活する西京区においても少しずつですが減少傾向にあり,現在では,人口14万8,000人が生活しています。西京区は,京都の西の玄関口に位置し,阪急電鉄により本市中心部や大阪市圏と直結し,また,京都第二外環状道路,京都縦貫自動車道大原野・沓掛インターチェンジや国道9号線により広域幹線道路ネットワークへのアクセスを利用する交通環境にあります。 中でも大枝・大原野地域は,洛西ニュータウンと隣接し,市街地近郊にありながら,西山山麓の丘陵地に優良な農地が広がり,春には竹の子,秋には富有柿が生産され,歴史資産にも恵まれた風光明媚な地域であり,この環境をいかした持続可能なまちづくりの可能性が十分期待される地域であると考えております。都市計画においては,今から約50年前の昭和46年12月に,大枝・大原野地域の大半が市街化調整区域に指定され,建築や開発行為の制限などにより,緑豊かな自然環境や農地の広がる田園風景が保たれている一方,人口減少と高齢化が急速に進展し,地域コミュニティの維持や農業の後継者不足等の課題が地域住民の間でも共有されているところです。 このような課題認識,そして活性化の方法については,都市計画審議会をはじめ,様々なところで議論されてきており,平成31年3月策定の京都市持続可能な都市構築プランでは,市街化調整区域及び都市計画区域外の地域を緑豊かなエリアに位置付け,農林業や観光業などの振興により,地域の生活,文化を維持,継承することとされています。 私は,地域における活性化は人が住み,いつまでも住むことのできることが地域における活性化であると強く思いますと同時に,大原野地域からは,地域の皆さんの思いとして,集落に定住人口を確保し,緑豊かな自然環境を保全するため土地利用の規制を時代に合わせて見直すこと,そして新たな幹線道路の整備を進めることを昨年12月に門川市長に対し要望書を提出され,それを受けて,市長選挙における141の公約に市街化調整区域の集落の持続可能な発展に向け総合的な対策を進めることが盛り込まれ,地域の皆さんも非常に心強く思われております。 現在,京都市では,地元自治連合会と意見交換をしながら具体的な検討が進められており,早速この7月には,新たに空き家の活用がしやすくなる制度変更が行われたところです。市街化調整区域の持続可能な発展のためには,空き家の活用をはじめ人口維持の仕組みとして,都市計画法第34条11号,市街化調整区域の中でも一定の集落を形成しており主要の道路や排水施設がほとんど整備された区域を指定することにより,住宅や小規模店舗などの立地可能となる区域の規定を活用することで土地利用の更なる制度変更が必要と考え,ひいては,人が住み続けられる活力ある西京区,活力あり続ける京都市のまちづくりにつながることを確信いたします。 そこで,この検討状況及び今後の進め方についてお答えください。 以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 引き続き,西村義直議員の御質問にお答えいたします。 地球温暖化対策についてでございます。今まさに気候危機といえる状況の中,豊かな地球環境を未来へ引き継ぐため,京都が果たす役割,覚悟を持って踏み込む。こう決意して,私は,昨年5月,京都での環境大臣同席の場において,日本の自治体の長として初めて2050年CO2排出量正味ゼロを目指すことを宣言しました。この宣言は,小泉環境大臣の下で大きく取り扱われ,全国の自治体にも広がっております。 西村議員御紹介のとおり,市民や事業者の皆様と一体となった取組は,着実に成果を挙げていますが,2050年ゼロの実現には,あらゆる主体で危機感と覚悟を共有し,これまでの延長にとどまらない大改革に果敢に挑戦しなければなりません。そのため,現在パブリックコメントを実施中の地球温暖化対策条例の改正案では,2050年ゼロを目指すことを自治体の条例としては初めて明記し,オール京都で危機に立ち向かうことなどを基本理念として掲げるとともに,建築物への再エネ導入義務の強化や大企業から中小事業者までを対象とした排出削減の取組充実など具体策を盛り込み,実効性を高めてまいります。あわせて,2050年に向けて大変重要な今後の10年間の行動計画として,脱炭素社会の実現に不可欠なライフスタイル,ビジネス,エネルギー,モビリティの四つの分野の転換を図るための具体的施策を盛り込む次期地球温暖化対策計画を策定し,中間目標である2030年までに40パーセント以上削減への道筋を示してまいります。 京都議定書誕生の地,パリ協定を支えるIPCC京都ガイドライン採択の地として,未来への責任を果たすため,あらゆる政策を地球温暖化対策の観点で推進し,危機感と覚悟を持って脱炭素社会の実現に市民,事業者の皆様と共に取り組んでまいります。 次に,京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想についてでございます。東京一極集中が続く我が国や大阪の経済力が突出する近畿圏において,京都が今後長期にわたってその求心力を維持,発展させていくうえでは,京都市を近隣都市と合わせて都市圏として捉え,独自の魅力と活力とを今以上に育んでいく必要がございます。このためには,基本構想でも創造エリアと位置付けられる南部地域や西部地域の役割が重要ですが,かつての地下鉄延伸計画も断腸の思いで見送る中で,交通アクセスの面から,地域の持つポテンシャルを十二分にいかすには至っておりません。しかし,近年,国内外の自動運転をはじめとする新技術の研究開発が飛躍的に進展しております。本市におきましても,この間,米国スタートアップ企業の新交通システムの調査や自動運転の社会実装に向けた検討を国土交通省の支援を得て積極的に進めてまいりました。これらのことを背景に,京都府の西脇知事とも議論し,府と一丸となって創造都市圏・環状ネットワークを構想しようと,私の公約に掲げました。そして先月の西脇知事との懇談においても,改めて認識を共有したところであります。 この構想については,現在策定中の京都市基本計画に,周辺自治体も含めた都市圏の想定を盛り込むとともに,広域の公共交通ネットワークの在り方について,近日開催予定の歩くまち・京都総合交通戦略審議会でも御議論いただくこととしております。さらに,都市計画マスタープランの部会においても,近隣都市との連携強化の観点から,活発に御議論いただいております。 構想の実現には乗り越えるべき多くのハードルがありますが,20年,30年先も展望し,府市一丸となって,国の力強い御支援,さらに,地元経済界の理解と協力を得て,オール京都で挑戦してまいります。 次に,西京区地域の活性化についてでございます。大枝,大原野をはじめとする市街化調整区域の人口の減少に歯止めを掛け,地域の魅力を維持していくことは,京都市全体の持続可能なまちづくりを進めていく上でも非常に重要と考えております。西村議員御指摘のとおり,大枝・大原野地域は,市街地近郊に位置し,広域幹線道路へのアクセスが容易でありながら,大切に守られてきた豊かな自然環境を有する魅力に満ちあふれた地域でございます。こうした市街化調整区域における自然環境の継承と定住人口の確保による持続可能な集落の維持,発展を両立させるため,スプロール的な乱開発をしっかりと防ぎつつ,移住,定住の促進,農林業や地域資源をいかした働く場の創出を図ることを基本的な考え方として,開発規制等の在り方についての検討を進めております。 なお,既に7月には,農家用住宅に移住される方々がお住まいできるように活用できるよう開発許可制度を変更したところであり,さらに,西村議員御指摘の都市計画法に基づく新たな条例の制定に向けた検討や地域が取り組む持続可能なまちづくりを支援するため,使いやすい地区計画制度の変更に向けた準備を進めております。引き続き,地域の皆様の声をしっかりとお聞きしながら,更なる制度の充実や新たな仕組みづくりに,スピード感を持って取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,みちはた弘之議員に発言を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇(拍手)〕 ◆(みちはた弘之議員) 私は,伏見区選出のみちはた弘之です。自由民主党京都市議員団を代表して,中村三之助議員,西村義直議員,森田守議員と共に,市政一般の質問をさせていただきます。理事者におかれましては誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症は,収束の目途が立たない状況が続いています。医療関係者をはじめ感染拡大防止に昼夜を問わず奮闘しておられる方々に,改めて感謝申し上げます。例年にはない,このような状況の中,7月のほぼ1箇月にわたり,日本付近に停滞した前線の影響で全国各地に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨。本市においては,建物の床下浸水や道路への崩土など多数の被害が発生する中,避難所の開設も行われました。 このような中で,災害発生時の避難における対応で,新型コロナウイルス感染拡大防止の対策も求められています。3密,いわゆる密閉,密集,密接を避けることが基本ですが,避難所は,3密に陥りやすい空間であります。そのため,本市では,避難所運営マニュアル新型コロナウイルス感染症対策編を策定し,検温の実施や体調不良者向けの別室確保等,避難所における具体的な対策を示すとともに,5月市会,7月特別市会において,非接触型体温計などの物品購入や,ホテルを避難所として活用するための借上げ費用等の予算が提案され,議会としても迅速に議論して予算を成立させてきたところであります。 このような備えをしても,なお,避難所の現場においては,自主防災会等の方々の御協力が不可欠であります。また,市民も,避難所で新型コロナウイルスに感染してしまうのではないかといった不安から,避難をためらわれることにもなりかねません。避難される市民,避難所の運営に協力する市民,双方に安心感を持ってもらえるための取組が不可欠であります。 例年9月上旬頃の大規模な京都市総合防災訓練は,今後,新型コロナウイルス感染症対策を採り入れた訓練を企画すると伺いましたが,これも本市の防災対策を広く市民に知っていただくための重要な取組であります。コロナ禍における防災対策,ハザードマップの活用,避難所運営など,今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか伺いしたいと思います。 また,京都市総合防災訓練は,大規模地震発生を想定して実施されるものでありますが,花折断層を起因とする地震が発生した場合,本市における最大の避難者数は,29万5,500人と想定されていますが,これだけの人数を収容するには,避難所が足りないのではという議論があったと思います。この避難者数は,平成15年当時のもので,住宅の耐震化が進んだ現在では,単純にこの数字を当てはめることはできないのかもしれませんが,今,大地震等の大きな災害が発生した場合,新型コロナウイルス感染症対策を採ったうえで避難所面積は足りているのか,市長のお考えをお伺いします。 次に,次期京都市基本計画における少子化の位置付けについてお伺いします。 今年2月に発行された平成30年京都市の合計特殊出生率によると,平成17年1.11が最低で,平成28年1.30まで上昇傾向が続いておりましたが,平成30年1.25と下がってきております。また,全国の合計特殊出生率は,平成30年1.42と,全国平均と比べると大きく下回っています。出生数に関しては,減少傾向が続いている中で,平成30年には1万人を切っており,今後一層,少子化が進行されることが予想されます。 本市では,平成23年度から10年間の都市経営の基本となるはばたけ未来へ!京プランを策定されました。人口は,経済成長や労働力の確保など都市の発展と活力の維持に多大な影響があり,人口減少に歯止めを掛けることは京都市の未来を左右する極めて重要な課題である。人々は魅力ある都市に集まることから,働く場を確保する産業の振興をはじめ豊かな学びや子育て環境の整備など京都を一層魅力ある都市として磨き上げるための様々な方策を展開することにより,京都の人口減少をできる限り食い止めることが求められる,と掲げられております。 そのうえで,平成28年3月にははばたけ未来へ!京プラン実施計画第2ステージが策定されました。その中では,人口減少は,経済成長の低迷や労働力人口の減少,社会保障制度を支える現役世代の負担増,地域活動の担い手不足等,様々な形で社会に大きな影響を及ぼす深刻な問題である。これまで,基本計画に基づく取組等により人口減少を最小限に食い止めてきたことは一定の成果だが,合計特殊出生率は全国平均を大きく下回る低い水準にあり,中長期的には厳しい状況にある。今後,人口減少問題にどのように対応していくのか,基本計画の更なる推進を図る上で,より重要なテーマになる,とされています。 この間,子育て支援策,教育環境の向上,働く場の確保,住宅施策等あらゆる対策を行われてきました。私自身は大変評価をしておりますが,先に述べましたように,合計特殊出生率,出生数などの数字を見ていますと,全国平均からも考えますと,少子化に歯止めが掛かっていないと思われます。 今後,全国トップ水準で取り組まれてきた様々な子育て支援策を更に充実させていくことはもとより,更にもう一歩踏み込んで,若者世代に対して,京都で働きたい,住みたい,子供を産みたい,子育てしたい,学校に通わせたいと思っていただけるような,京都のまちに住んでわくわくするまちづくりとその実現,また,職住近接による子育て,家庭の団らんなどの時間的なゆとりや文化,ショッピング等を重視した生活ができるまちづくりが重要だと思います。 現在,京都市の未来を描く次期京都市基本計画の策定に向け,審議会において有識者の議論が進められていますが,喫緊の課題である少子化問題について,どのような議論が行われ,どのような方向性が示されようとしているのかお伺いします。 また,少子化問題を,従来の妊娠,子育て支援を中心とした視点から,より大きな京都市全体の視点で捉え,働く場,住宅の確保や,まちの魅力,教育環境の向上など様々な政策とも融合させた総合的な計画を策定していくべきであると考えますが,今後の少子化対策をどのように位置付けるのか,市長のお考えをお伺いします。 次に,一人1台のPCを活用した教育の充実についてお伺いします。子供たちが身に着けておくべき確かな学力,すなわち基礎的,基本的な知識,技能,習得した知識,技能を活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力,更に学ぼうとする意欲,生涯にわたって学び続ける力を獲得し,豊かな心,健やかな体の育成を目指すために,更なる学力向上の取組が不可欠であります。 平成31年4月に実施された全国学力・学習状況調査によると,本市の小学校は,調査が開始された平成19年度以降10回連続,中学校は平成25年度以降7回連続,全国平均を上回る結果となりました。小学校においては,国語が都道府県47自治体の成績を当てはめた順位は9位,指定都市20自治体中では2位,算数は都道府県では6位,指定都市では4位という結果で,中学校においては,全国,指定都市中でも上位に着けています。ただ,この現状が,保護者や市民に余り知られていないということをよく感じます。調査結果を全国平均と比較することが最重要であるとは一概には言えませんが,一定の評価のバロメーターだと思いますので,周知に関しては,今後の課題だと思います。 また,来年度から中学校でも新しい学習指導要領への移行措置を経て,新たな教育課程による教育が展開されます。学校教育目標の実現に向けて,組織的,計画的に学びを展開するために,教科横断的な学習支援,PDCAサイクルの導入,地域の人的,物的資源の活用を踏まえ,適切な教育課程を編成するカリキュラム・マネジメントの実施,学力向上に向けた学校の支援,保護者,地域との連携による家庭学習の支援など,取組が必要不可欠であります。 一方,昨年度,文部科学省から,一人1台端末と,高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで,特別な支援を必要とする子供を含め,多様な子供たちを誰一人取り残すことなく,公正に個別最適化され,資質,能力が一層確実に育成できる教育環境を実現するため,これまでの教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより,教師,児童生徒の力を最大限に引き出すGIGAスクール構想が発表されました。 一人1台端末の環境により,教師は授業中に一人一人の反応が把握でき,子供たちの反応を踏まえた双方向型の一斉授業が可能になり,また,同時に別々の内容を学習し,個々人の学習履歴を記録して,教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習の実現,一人一人の考えをお互いにリアルタイムで共有し子供同士の双方向の意見交換が可能になり,各自の考えを即時に共有し,多様な意見にも即時に触れられるなどの効果があるほか,ICTの活用によって,検索サイトを活用した調べ学習,文章作成ソフト,プレゼンソフトの利用,大学,海外,専門家との連携などの遠隔教育の活用,情報,情報技術の活用場面が増えることによる情報モラルを意識する機会の増加など,充実した学習が確保されると伺っています。 今年度,国の補正予算で大幅に前倒しされ,来年度から一人1台のPC端末が整備されます。現在,休校措置にも学習の機会を保障するオンライン学習が話題となっていますが,本来の活用目的である通常授業において,対面で行う授業は引き続き大切に取り組んでいただくことを前提としたうえで,ICT環境を,授業の工夫改善や補習や家庭学習に活用するなど,更なる学力向上のため新たな取組をすべきだと思いますが,お考えをお伺いします。 一旦,ここまでの質問に対しての答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) みちはた弘之議員の御質問にお答えいたします。 コロナ禍での防災対策についてでございます。災害時における感染防止には,平常時と同様,3密回避対策をはじめマスクの着用などの基本行動,さらには,体調の悪い方を把握し適切な対応を行うことが不可欠であります。本市では,これらを着実に実践するため,まずは,市民の皆様にハザードマップを活用いただき,事前に避難の必要性をチェックしていただいたうえで,避難所における対策として,非接触型体温計,段ボールベッド,間仕切りテントなどの感染防止物資を配備し,さらには,ホテルの空き部屋を避難所として活用する仕組みを構築しました。これらを的確に運営するため,全避難所に職員を配置し,地域の皆様と共に運営する仕組みを整えるなど市民の皆様が安心して避難していただける態勢を整えております。また,今年度の京都市総合防災訓練は,この間準備したコロナ対策が確実に機能するよう災害対策本部の運営のほか,感染が疑われる避難者を想定した避難所運営訓練など実践的な内容を盛り込んだものとして11月に開催できるよう準備を進めてまいります。 次に,避難所の充足率についてでございます。大規模災害時には,学校の体育館のみならず普通教室や特別教室なども活用することとして拡充を図ってまいりました。これにより,地域防災計画に定められた避難者一人当たり2平方メートルの換算で,受入可能人数53万2,000人となり,想定避難者数29万5,000人を大幅に上回っております。また,この充足率については,間仕切りテントやその他の措置を通じて,コロナ禍でのソーシャルディスタンスの確保を行った場合についても満たしているものと考えております。今後とも,避難される方々,避難所運営に携わっていただく方々,双方に安心安全な防災対策に万全を期してまいります。 次に,次期基本計画における子育て対策についてでございます。まちづくりは人づくりから,本市では,保育,教育をはじめ子育て支援策を全国トップ水準に高めてまいり,その効果を上げ,高い評価を得ております。さらに,100年後も光り輝き続ける京都の礎を築くためには,社会の宝である子供はもとより若者や子育て世代など,京都に住みたいと願う次代を担う方々の希望をかなえるまちづくりを実現しなければなりません。こうした認識の下,基本計画審議会においては,減少に向かうと予測される今後の厳しい将来推計人口をお示ししたうえで,100年先を見据えて,この5年間で何に取り組むべきかという視点を大事にして議論を重ねてまいりました。 議論においては,子供を産み,楽しく育てることができる環境づくりが最も大事な視点という意見に加え,みちはた議員の御指摘と同様,京都で働き,住み,子育てしたい人を増やし,人口を確保するという大きな枠組みの少子化対策が必要との御意見や,人口減少を踏まえ,足腰のしっかりした,ものづくり,製造業を中心とした広範囲の産業基盤,都市構造を整備すべきといった方向性が示されているところでございます。これらを踏まえ,保育所等で7年連続,学童クラブ事業で9年連続で待機児童ゼロの達成や,地域と連携した先進的な学校教育改革など全国トップクラスの子育て,教育環境の更なる充実はもとより,公共交通や日常生活を支える施設の利便性向上,安心安全で快適に暮らせる居住環境の整備,産業用地,空間の確保等による産業の活性化と働く場の創出,未来の産業を生み,更に成長を促進させるスタートアップ・エコシステムの形成など,少子化対策に資する政策を次期基本計画の重点戦略としてしっかりと位置付け,これらを融合させ総合的に推進することにより,魅力ある輝かしい京都を実現してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) ICT教育環境の整備による学力向上についてでございます。本市では,国のGIGAスクール構想に基づきまして,高速大容量の校内ネットワークの全校整備や児童生徒一人1台のパソコン端末配備等の環境整備を今年度中に完了させるべく,現在,鋭意取り組んでおります。そうした中,夏季休業明け以降新型コロナ対策による学級閉鎖等に際しては,7月に補正予算を議決いただき緊急調達いたしましたパソコン端末を積極的に活用し,授業の同時配信によるリモート学習や学習課題の配信等による学びの保障を進めております。また,一人1台パソコン端末の活用は,こうした緊急対応だけでなく,みちはた弘之議員御指摘のとおり,通常の授業改善にいかし確かな学力の充実を図ることが重要となってまいります。そのため,現在,新しい学習指導要領で重視される話合い活動などの協働学習で自分やグループ内の個々の意見を同時に,また,誰とでも共有することができる授業支援ソフトや,問題を解いた量や時間,正答率などに応じて個人ごとに提示される課題内容が変わる,いわゆる個別最適化を目指すAIドリル等,様々な新たな教育コンテンツを端末を用いて日々の一斉授業や協働学習,また,補習や家庭で活用するモデル校を設け,現在30校以上で実践と検証を進めております。あわせて,これまでからICTに関する教員研修を実施してきておりますが,今後モデル校での実践事例や学習面でのより効果的な様々な利活用の方法を全ての学校で共有し実践につなげる研修を一層充実してまいります。また,各校に校内研修の中核となる教員を位置付け,教員一人一人のICTに係る指導力向上や授業改善を図ってまいります。GIGAスクール構想の実現を契機といたしまして,これまで本市が工夫改善を重ねてまいりました対面授業を基本とする教育実践と新たなICT教育環境の融合を進め,全ての子供たち一人一人の学力や資質能力の向上に資する教育実践にまい進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) みちはた弘之議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時54分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続し,みちはた弘之議員に発言の継続を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇(拍手)〕 ◆(みちはた弘之議員) 伏見区選出のみちはた弘之です。午前に引き続き,質問をさせていただきます。 私が初当選させていただき初めての代表質問でも取り上げました消防団員の加入促進についてお伺いいたします。 平成2年に全国の消防団員数は100万人を割り込み,前回質問した平成27年は86万人,平成31年は83万人と,減少し続けています。一方,本市では,平成27年に4,258人,充足率85.7パーセントであったものが,平成31年は4,564人,充足率91.8パーセントまで増え続け,令和2年では4,503人,充足率90.6パーセントと若干減少しております。また,消防団員の年齢においては,平成5年平均年齢43.9歳,平成27年は48.9歳,平成31年は49.2歳と高齢化が進んでいます。 これまでの取組としては,女性の入団促進として,意見交換会の開催,防火安全指導隊の設置,各消防団で分団の枠を超えて女性団員だけで火災予防啓発活動等を実施してこられ,また,学生の入団促進として,平成27年度から任用資格を拡充し通学先の消防団への入団を可能としたほか,学生消防団活動認証制度の創設,意見交換会の開催などを実施してこられました。 しかし,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,4月から約2箇月間,夜間の防火の見回りや消防訓練などの活動の自粛を余儀なくされ,消防団最大の行事である京都市消防団総合査閲や各区での査閲が初めて中止されるなど,消防団活動にも影響が出ています。 一方,7月には,集中豪雨により全国各地で多くの被害が発生するなど,地域防災の中核となる消防団の重要性,消防団員の皆様への期待は一層高まっていると感じます。ここ数年,本市の消防団員数は順調に増加していましたが,年度当初の活動自粛に加え,活動が再開されても以前のような活動が難しいことなどもあり,消防団員の確保に苦労していると聞いています。また,新型コロナウイルスの感染症対策をしながら活動されている消防団におかれては,消防団活動の継続か自粛の判断基準が分からないとの声も聞きます。 この判断基準の設定,また団員確保に関しては,地域の企業の従業員の消防団加入の促進などの更なる取組が必要と考えます。今後の消防団員の確保の取組及び新型コロナウイルス感染症対策をどのようにお考えか,市長のお考えをお伺いします。 次に,ショートステイ事業について伺います。 先日の市長記者会見では,本市独自の取組として,きょうと里親支援・ショートステイ事業拠点を設置し,これを契機として,養育里親を中心とした社会的養育の推進に向けて,親御さんの病気など様々な事情により本来の家庭で暮らせなくなった子供たちを自らの家庭に向かい入れ,温かい愛情と正しい理解を持って養育していただける里親が多くの方に親しみを持っていただくために,養育里親の愛称募集をした結果,はぐくみさんに決定し,また,里親制度の周知手段としてポスターや映像作品を作成し,これまでどちらかといえば市民周知が十分でなかった養育里親について,市民が身近に感じて,一人でも多くの方に興味を持ってもらうとの発表がありました。 当拠点については,児童のショートステイ機能も担っています。子育て支援短期利用事業として,保護者の方が病気,出産,冠婚葬祭,出張,育児疲れなどの理由で,養育が一時的に困難となった場合に,施設で一時的に養育するショートステイ事業,また,帰宅が夜間にわたる場合,養育が一時的に困難となった場合に,施設に通所させて生活指導,食事の提供等を行うトワイライト事業があります。この事業は,児童養護施設や母子生活支援施設を中心に実施されてきましたが,利用者が施設の所在区に集中しているといった課題があります。 今回の拠点設置については,正にそうした意見を受け止めて,新たな取組の第一歩として行うことは理解するものの,わずか6名の定員で,中京,下京,南,伏見のショートステイのニーズをカバーするとのことであり,果たしてこれでニーズに十分に対応できるのか心配しております。 コロナ禍において,子供が家庭にいる時間が長くなり,子供と養育者の双方が様々な悩みなどを抱え込みやすい状況にある中,子供を一時的に預かるショートステイ事業の意義は更に重要なものとなってきます。そうした状況を踏まえ,病気や事故といった理由ではなく,ちょっと子供と離れたい,1日だけ子供を見てもらいたいといった理由でも,気軽にショートステイ事業を利用できるようにすべきであり,同時に,子育て家庭の幅広いニーズ,障害児支援等も含め,しっかりと応えられるよう,身近な地域に積極的に設置していくべきだと考えます。 身近な地域で,気軽にショートステイ事業を利用できる環境が整備されれば,虐待の未然防止に少なからず寄与するものであり,市長の掲げる児童虐待ゼロへ挑戦と方向性を一つとするものです。ショートステイ事業に係る現状分析と今後の方向性及び展開について,市長のお考えをお伺いいたします。 次に,沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについてお伺いします。地域コミュニティの一翼を担っている商店街は,生活必需品を提供し,日々の生活を支え,まちのにぎわいを創出し,災害発生時の円滑な救助活動や防犯対策,地域の祭への参加,まちづくりの方向性を決める中心的役割や子育てサポートなど,地域活性化になければならない存在であります。 新型コロナウイルスの感染拡大により,市内の事業者は深刻な影響が出て,本市や国,府による様々な支援制度を活用しつつ,感染防止対策を講じて事業継続の努力をされていると聞いています。私の地元の伏見区の商店街等においても,以前に比べ人出は減少,にぎわいは低下しており,今後もこの傾向は継続することが予想されます。新型コロナウイルス感染症拡大防止対策が長期化する中,感染拡大防止を第一としつつ,社会経済活動との両立を図るため,新しい生活スタイルの普及と実践を本市を挙げて取り組んでいますが,飲食店や小売店舗では,3密回避のために入店者数を減少させる必要があり,採算性は大きく低下していると聞いています。 国土交通省から,新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについての通知がありました。その趣旨は,新型コロナウイルス感染症対策については,今後,感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を持続的に可能とすることが求められており,とりわけ沿道の飲食店等においては,いわゆる三つの密の回避など感染拡大を予防する新しい生活様式の定着に対応し,店内での飲食だけではなく,テイクアウト販売やテラスでの飲食提供等を行うため,新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等を支援する緊急措置として,設置主体は,地方公共団体又は地元関係者の協議会,地方公共団体が支援する民間団体などが主に商店街などに当てはまると思いますが,道路構造又は交通に著しい支障を及ぼさない場所,すなわち歩道上においては交通量が多い場所は3.5メートル以上,その他の場所は2メートル以上の歩行空間の確保ができる場所の利用占有料が免除されるとのことです。 これは,飲食店等の支援のための緊急措置として,道路占用を柔軟に取り扱うこととするものでありますが,個々の商店街の状況の意見を聞き,調整しながら,この新たな手法を上手に活用していくことが重要であると考えますが,市長のお考えをお伺いします。 最後に,石畳風舗装についての要望をしたいと思います。本市の石畳風舗装の事業として,これまで,主に3点の観点から取り組まれています。既存の景観舗装の補修として,平成28年度から文化首都・京都にふさわしい良好な道路空間の創出事業を立ち上げ,安全で快適な通行の確保と良質な道路景観の創出に向けた整備を進めてこられ,石畳風舗装の補修として,京都日吉美山線,石畳舗装の補修として,伏見稲荷裏参道を整備されました。 次に,歴史的景観の保全に関する景観施策の充実の一つの取組として,京都市眺望景観創生条例で定める視点場が追加されることを契機に,平成30年度から,これら視点場を対象に,新たに歴史的景観を保全,継承する京の道づくり事業が立ち上がり,景観舗装による整備で,平成30年,31年度で北野天満宮東側が整備され,安心安全な東大路歩行創出事業で石畳風舗装により観光客を誘導することにより回遊性の向上を図り,歩行者の分散を進めるために,東大路通四条,五条東側エリアにおいて整備されました。 私の地元の御香宮前の道路において,バリアフリー化及び無電柱化が進められております。この道路は,近鉄桃山御陵前駅,京阪伏見桃山駅があり,伏見区役所等の官公庁施設や大手筋商店街,納屋町商店街等の商業施設等,伏見区の重要な施設が集積して,洛南最大の祭礼が行われる御香宮神社等,名所史跡の歴史資源が数多く存在し,城下町,門前町,港町としての風情が残された地域の玄関口です。この道路を石畳風舗装にしてほしいとの声が多くあります。 伏見の旧市街地の入口でもある御香宮前の参道の道路の石畳風舗装の整備を要望して,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) みちはた弘之議員の御質問に引き続いてお答えいたします。 子育てに係るショートステイ事業についてでございます。コロナ禍において,社会で様々な変革が求められている中,一人一人の子供や子育て家庭を大切にしながら,子育ての孤立ゼロ,児童虐待ゼロへ挑戦する,そのため,子育てに疲れた保護者が一時的に休息し元気を取り戻していただくショートステイ事業を,安心して御利用できる環境を整え児童虐待の未然防止につなげたい,私は,そう考えております。ショートステイ事業はこれまで市内8行政区,12施設で実施し,年間延べ約7,000人に利用いただいているものの,みちはた議員御指摘のとおり,ショートステイ専用スペースがある2施設の利用が9割を超え,また,その2施設が所在する区にお住まいの方の利用が全体の4割を占めるなど偏りがございました。このため,これまで施設のなかった中京区,下京区,南区や区域内施設の利用実績のない伏見区を対象エリアとし,養育里親はぐくみさんとして御尽力いただいている方々への支援とショートステイ事業を一体として行うきょうと里親支援・ショートステイ事業拠点を本年10月に設置いたします。さらに,幅広い御利用に向けて,新たな事業実施場所の確保に向けた調整を進めており,速やかな事業開始に取り組んでまいります。また,今年度から,保護者の方の病気や育児疲れ等の様々な理由で,必要とされるときに,より一層利用していただけるよう,利用要件を拡充し取組を進めております。今後とも,ショートステイ事業の拡充を図るとともに,ファミリーサポート事業など市民の皆さんが主体的に取り組んでいただいている地域で実施されている様々な取組と積極的に連携を図ることにより,地域と行政が共に身近な地域で子供や子育て家庭を支え合い,子育て家庭子どもの孤立ゼロのまちづくりの推進に向けて一層取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私から2点お答え申し上げます。 まず,消防団活動についてでございます。本年度は,4月から消防団活動の自粛や京都市消防団総合査閲の中止など,消防団の活動も新型コロナウイルス感染症の影響を受けております。6月からの活動再開後は,消防団員の皆様,参加人数やソーシャルディスタンスに注意するなど感染防止に配慮しながら,地域の防火,防災に熱心に取り組んでいただいております。心より感謝を申し上げます。近年,順調に増加しておりました本市の消防団員数も,みちはた議員御指摘のとおり,本年4月1日現在4,503人と前年度に比べ61人減少しておりましたが,6月に消防団活動が再開されて以降,消防団の皆様に団員確保に懸命に取り組んでいただいた結果,9月1日現在で4,540人まで回復してきております。消防団へのコロナ対策につきましては,これまでにアルコール消毒液を配付してまいりましたが,更に,各種の会議をオンラインで実施するための補正予算を今市会に御提案を申し上げるなど消防団の活動支援を進めております。また,これまでは活動時の配慮事項,活動自粛の目安などを全市一律に通知しておりましたが,みちはた議員御指摘のとおり,どこまで消防団活動をするのか判断に迷うことがないよう,地域ごとに異なる感染状況や小学校の自粛の状況を踏まえ,具体的で分かりやすい段階別の活動基準を作成し速やかに示してまいります。消防団員の更なる確保に向けては,消防団充実強化実行チームと連携した地域の企業の従業員への勧誘活動と併せ企業の協力をいただくことが不可欠であることから,地域貢献につながる消防団活動の意義を御理解いただけますよう,あらゆる機会を通じて事業主の皆様へ丁寧に説明してまいります。厳しいコロナ禍にありましても,市民の命と暮らしを守るため日夜活動を行っておられる消防団員の皆様の士気の向上を図り,地域防災の要である消防団の充実強化を図ることができるよう,引き続き支援してまいります。 続きまして,沿道飲食店等の路上利用についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染の拡大により,市内の事業者は深刻な影響を受けており,とりわけ飲食店等におきましては,3密の回避による座席数の減少,消毒,換気の徹底などにより採算面においても大きな御負担をいただいているところであります。みちはた議員御提案の沿道の飲食店等の路上利用につきましては,これまで,交通に支障があるからといった理由により原則として認められておりませんでしたが,道路などの公共空間を飲食店等が上手にお使いをいただくことは,経営効率を高めながら3密の回避にもつながる,感染症の拡大防止と社会経済活動の両立に向け,正に有効な手法であります。その点で,道路空間は,コロナ禍におきまして,にぎわいの創出や地域の活性化といった,新たな価値を秘めた極めて大きな財産であると考えております。このため,この度,国において道路占用の基準が緩和されたことを受け,阪急洛西口駅付近の高架下に整備を進めてまいりました交流促進・まちづくりプラザの開設に当たり,施設東側の歩道を活用し,テラスやベンチ等を設置する社会実験を実施し,来場者へアンケートを行ったところ,新しい生活様式に対応し,安心感を得られた,まちの活性化,にぎわいにつながるなど,9割を超える方から好意的な回答を頂きました。これを踏まえまして,地域コミュニティの核でもある商店街において,沿道飲食店等による道路へのテラスの設置など新たな道路の利活用の実現に向け,商店街の皆様の御意見を適切にお伺いしながら具体的な取組を進めているところでございます。今後とも,新しい生活スタイルの定着や,にぎわいの創出,地域の活性化に資するよう,創造的な視点を持ちまして,道路や公園など貴重な公共空間の利活用に積極果敢に取り組むとともに,国に対しても,現在暫定的なものとなっている道路占用基準の緩和の継続につきまして強く働き掛けてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,森田守議員に発言を許します。森田議員。 〔森田守議員登壇(拍手)〕 ◆(森田守議員) 右京区選出の森田守です。中村三之助議員,西村義直議員,みちはた弘之議員に続き,自由民主党京都市会議員団を代表して質問いたします。 まず,大型汎用コンピュータオープン化事業について伺います。この事業は,住民基本台帳,国民健康保険,介護保険など,市民生活を支える基幹システムを広く一般に利用されている技術によって刷新するもので,最新技術を利用した行政サービスへの対応が困難,競争性が働かないことによる運用経費の高止まり,市内中小企業やその他の事業者の参入が困難等の課題を解消するため大変重要な取組であり,京都市においても事業費総額に100億円近くを掛けて進めてこられました。 しかしながら,これまでに2度,開発遅延を生じさせる事態に陥り,先の2月市会では,新システムの稼働時期も示されないまま補正予算の提案がなされたことから,本市会として,平成29年2月市会及び11月市会の付帯決議に続き,理事者に対して3度目の猛省を促し,事業の十分な総括と市民に理解が得られる内容を議会に速やかに報告することを求める警告を発しました。また,依然として稼働時期が示されないまま提案された令和2年度予算について,警告で指摘した内容を速やかに実行することを強く求める付帯決議を付しました。 その後半年が経過していますが,今なお稼働の見通しすら示されておらず,稼働したとしても,稼働後のシステムの大規模な改修を受ける業者の確保が容易ではないとも聞いており,稼働後の先行きも見通せていないと推察されます。本当にシステムは完成するのでしょうか。疑問符を付けざるを得ません。 一方,コロナ禍を通じて,行政のデジタル化が喫緊の課題として浮き彫りとなっています。特に,特別定額給付金のオンライン申請において多くの自治体で遅れや混乱が生じたように,各自治体がばらばらにシステムを構築していることの弊害が噴出したことから,政府においては,自治体システム標準化の取組を加速しています。 我が党としても,本年6月に策定したポストコロナの経済社会に向けた成長戦略において,共通する事務の標準化,セキュリティ基準を含め情報システムの標準化を法定すべきであることを掲げており,7月に閣議決定された骨太の方針2020では,次世代型行政サービスの強力な推進を図るため,国,地方を通じたデジタル基盤の標準化の加速が盛り込まれました。その中で,国が財源面も含めた支援を行ったうえで,デジタル・ガバメント実行計画の見直し及び施策の実現の加速化,マイナンバー制度の抜本的改善,国,地方を通じたデジタル基盤の標準化の加速,分野間データ連携基盤の構築,オープンデータ化の推進に取り組むとしています。 そして,新しい政府の下で今月25日に開催されたマイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループにおいて,菅義偉内閣総理大臣は,令和7年度末を目標に地方自治体のシステムを標準化することを表明されました。 そこで門川市長にお伺いいたします。オープン化事業については,開発の状況を見極めることは当然のことでありますが,菅総理がデジタル庁の創設の方針を打ち出され,また政府が自治体のデジタル化を強力に進めようとしている社会情勢も踏まえ,今後どうしていくのか早急に結論を出すべきと考えますがいかがですか。御見解をお伺いします 次に,退職自衛官の京都市への採用について質問いたします。 自衛隊は,平成25年9月の台風18号の際には,桂川羽束師付近の増水に対する水防活動,平成30年7月豪雨では,桂川久我橋付近越水のおそれに対する水防活動,そして桂川上流の日吉ダムの放流開始により,京都市域における桂川の水位がピークを迎えるとの情報から,久我橋南側で水防活動を実施されるなど,京都市でも近年多発する大規模災害に対して大きな役割を果たしていただいております。 自衛官は,日本の平和と独立を守るために,国の防衛や災害派遣,国際平和協力など特殊な任務に就かれており,屈強さを保つという観点から,若年定年制及び任期制という制度を採用しており,多くの方が50代半ばで退職されます。その勤務経験を通じて得られた専門的知識,能力,経験を京都市で発揮していただきたいという思いで,平成29年9月市会,平成30年9月市会,そして昨年の総務消防委員会と,この件について度々質疑をしてきました。 退職自衛官の採用に係る自治体のメリットとして,平常時においては防災・危機管理体制の見直し,計画やマニュアルの整備,防災危機管理教育の充実,防災訓練の企画や実施,訓練成果に基づく体制及び計画の修正,非常時には災害対策本部の設置,自衛隊等関連機関との連携などが挙げられます。実際,沖縄県を除く46都道府県,京都府下においても舞鶴市,城陽市,八幡市,京田辺市,木津川市,精華町で既に退職自衛官の採用を実施されており,多くの政令指定都市においても採用が進んでいることからも,退職自衛官の京都市への採用は大変有益であり,さらに,組織の責任感,勤勉性,規律心の向上にも資するものと考えています。 今年度から京都市は,災害救助法における救助実施市に指定され,救助の実施主体として自らの事務で被災者の救助を行うこととなり,災害対応を一層強化しなければなりませんが,即戦力として長く地域に貢献してもらえる退職自衛官の採用は,その点においても大いに期待が持てるのではないでしょうか。 また,昭和58年には京都市は経済界などと一緒に京都自衛隊退職者雇用促進協議会を設立されましたが,この協議会は危機管理などの分野に精通した自衛官の経験をいかせる雇用先の情報提供などを通じて雇用促進を図ることを目的として,現在では京都府下の各種経済団体及び事業所等111社が加盟され,熱心に活動されており,京都市が退職自衛官の採用を実現することは,協議会の更なる活性化にもつながると思います。退職自衛官の再雇用の不安を取り除くことは,自衛官を目指す多くの人にとっても大きな安心につながり,京都市が国からの法定受託事務として,しっかりと取り組んでいただいている自衛官募集事務にとっても大きな後押しとなることは間違いありません。 自衛隊,京都府,京都市,警察や消防,さらに企業等を含めて縦横のネットワークを構築し,強じんな防災,危機管理対応の体制を実現するために,是非とも退職自衛官の京都市への採用を実現すべきと考えますがいかがですか。 次に,府市協調について伺います。京都府と京都市では,これまでから二重行政の解消や効果的な施策の推進のために,西脇隆俊京都府知事と門川大作京都市長の両トップ自らが懇談会を毎年開催し,議会からの提言も踏まえ,様々な分野で府市協調の取組を進められ,衛生研究所の共同化,京都経済センターのオープンや子ども医療費支給制度の拡充など多くの成果を出してこられました。昨今の新型コロナウイルス感染症対策や,京都経済の回復と府民,市民の下支え,ウィズコロナ時代の持続可能なまちづくりにおいても,京都府との連携を深めて京都全体の発展につなげていくことを明言され,さらに明日からは,府市協調で検討されてきた救急安心センター事業,いわゆる♯7119がスタートし,高齢化社会の在宅医療にも対応した救急体制が構築されることは,府民,市民の安心安全にとって大きな前進と評価いたします。 このように確固たる府市協調を築かれてこられた一方で,京都府と京都市の間には,解決しなければならない課題が残っていることも事実です。一例を挙げますと,新型コロナ対策において,国がスマートフォンを使った新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAを導入していますが,京都府では,新型コロナウイルス緊急連絡サービスを,京都市では,京都市新型コロナあんしん追跡サービスを開始するなど,市民には極めて分かりづらい状況となっており,認知不足や登録の手間も相まって普及は進んでいません。また,花を活かした賑わい創出事業補助金や新しい生活スタイル対応のための衛生対策等支援のように新型コロナ対策においても京都府との類似事業が散見されたため,平時以上に京都府との連携を取るよう,7月特別市会において付帯決議を付したところであり,今後京都府との連携を更に深め,効率のよい事務運営に努めるよう要望しておきます。 もう一つは,京都府の各種施策から京都市だけが除かれる,または,補助額や補助率が他の府下市町村と比較して差を付けられているいわゆる差等補助の問題です。 京都市が先行して実施している新型コロナの影響による離職者等の採用を後押しする取組,事業継続に向けた中小企業等担い手確保・育成支援補助金を府市で継続できるよう今市会で審議されましたが,その財源が,京都市を除く府下市町村においては全額京都府負担であるのに対し,京都市においてのみ,市側にも負担させる内容となっています。ほかにも,京都のお宿で魅力再発見キャンペーン,医療的ケア児者・重症心身障害児者福祉サービス利用等促進事業,避難所等確保緊急促進事業費補助金など,京都府の施策には,京都市とほかの府下市町村の間に法的根拠のない格差があるものが今なお存在しています。 政令指定都市である京都市には,京都府に代わって行う大都市特例事務に係る経費に対する税制上の優遇措置があるため,財源に余裕があるのではないかという指摘もありますが,実際には,大都市特例事務に係る経費174億円に対して,税制上の措置は53億円にとどまり,121億円の大幅な不足が発生しています。 京都市民も京都府民です。同じ府民税を負担している京都市民に対して法的根拠のない格差を生じさせないよう,知事,市長はもちろんのこと,事務レベルでの連携を一層推し進め,府市協調を新たなステージへ進化させるべきだと考えますがいかがですか。 一旦,ここまでの答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森田守議員の御質問にお答えいたします。 大型汎用コンピュータオープン化事業についてでございます。森田守議員御指摘のとおり,今般のコロナ禍で,行政のデジタル化が待ったなしの課題となっております。この度発足した菅政権では,役所に行かなくても,あらゆる手続ができる,そうした仕組みを国全体で作っていく,そのために,まず,これまで全国の自治体がばらばらに構築してきた住民基本台帳などのシステムを全国共通のものにする,いわゆる自治体システムの標準化を加速し,これまでにないスピードで集中的に取り組むとされています。 こうした大きな情勢の変化も踏まえ,本市オープン化事業につきましては,この度の国の方針の下でシステム標準化への対応のため,一旦立ち止まり,改めて見定める必要があると判断いたしました。そのため,一部を除き開発を中断することといたします。今後,財政措置を含めた法制化など国の動きを注視し,また,必要な要望を行いながら自治体システムの標準化を前提とした事業の再構築を進めてまいります。 この間,市会から付帯決議,警告を受け,強化した体制の下,システムを早期稼働できるよう全力を傾注するとともに,事業を総括しながら,今後の進むべき道につきまして,あらゆる可能性を排除せず検討を重ねてまいりました。これまでに一括処理システムの不具合いがほぼ収束し,一部システムの稼働が見通せるまでには進捗しておりますが,今年度内の全面稼働は見通せない厳しい状況でございます。 また,このまま開発を継続するにも時間と経費が必要であり,また,完成し,稼働したとしても,すぐさま自治体システムの標準化に対応するため再度のシステム改変が必要となってまいります。熟慮に熟慮を重ねましたが,こうした開発の状況はもちろんのこと,ウィズコロナ,さらにはその先を見据えたデジタル化標準化の加速など,総合的に勘案し,立ち止まるなら今しかないと決断したものであります。反省すべきは真摯に反省し,これまでの取組をしっかりと総括したうえ,事業の再構築に取り組んでいく,このように決意を新たにいたしております。 あわせて,菅内閣の下で,省庁の縦割りを乗り越え,全国の自治体を統一してスピード感を持って推進される行政手続のオンライン化など,行政,市民サービスのデジタル化をしっかりと国と歩調を合わせて全庁一丸で推進するための庁内体制を確立してまいります。 次に,京都府との協調についてでございます。本市では,これまでから,府市協調の三つの基本姿勢,すなわち基礎自治体重視で,企画構想段階から協議して政策を融合する,徹底的な話合いを行い府市協調で効率的な行政の形を作る,そして法的根拠のないものは,京都市域と市域外で格差を設けないという原則の下,京都府と共に,二重行政の打破はもとより,市民,府民サービスの向上と,効率的,効果的な行政運営を追求し,自民党市議団をはじめ市会の皆様とも連携し,全国トップ水準の府市協調を進めてまいりました。また,京都府の施策において,京都市民と他の市町村の住民との間で,格差が法的根拠なく生じているものにつきましては,例えば母子家庭医療助成の負担割合の統一化や,高校生奨学金について京都市民も対象とするなど,課題を解消し大きく前進させてはまいりました。 しかし,森田議員御指摘のとおり,新型コロナ対策の一部の施策において負担割合の違いなど,今なお,格差が存在していることも事実でございます。京都市民も京都府民であり,府内人口の56パーセントを京都市民が占めております。さらに,新型コロナウイルスの感染者も,大都市である本市で多く発生し,飲食業,宿泊業等への影響も深刻であるため,市民の命と健康,暮らしを守り,経済を守るために,本市が大きな役割を果たさなければなりません。 そうした状況を踏まえ,改めて,法的根拠のない格差を生じさせないという認識を府市で共有し,西脇知事とのトップ同士の会議はもとより,府市政策連携・融合会議など,副市長をはじめ局長,実務者同士の協議においても,企画構想段階から深い議論を行う中で徹底して是正を図り,さらには,府市協調から府市一丸へ,共に京都の未来を展望し,本市と京都府がそれぞれの強みをいかし,京都全体の更なる発展につなげていく新たなステージへと進化させてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 退職自衛官の採用についてでございます。自衛隊は,地震や台風などの自然災害発生時における自治体からの派遣要請にも迅速に対応され,国民の生命,財産の保護に大きく寄与されております。 令和2年7月豪雨をはじめ,近年は気象変動の影響等に伴い自然災害は激甚化し被害が広域に及ぶなど,一つの自治体だけでは対処が難しい災害が数多く発生しております。また,本市は,災害救助法に基づく救助実施都市に指定されたことから,これまで以上に主体的に災害救助活動に取り組んでいく必要がございます。 こうした状況に対し,迅速かつ的確に対応するためには,災害時だけではなく平常時から,国や他の自治体はもとより,自衛隊をはじめとする関係機関との緊密な連携を図り,本市職員の危機への対応力を向上させることが不可欠でございます。退職自衛官は,大規模な災害現場での指揮経験,様々な専門知識を持つ防災,危機管理のスペシャリストであり,災害発生時においては自衛隊等の国の機関とのスピーディーな連携や調整,現場に即した的確な助言,指導等に貢献していただくことが期待できます。あわせて,平常時には,地域防災計画や業務継続計画,国民保護計画の点検,見直し,また,近年頻発する水害等を想定した効果的な訓練の実施,本市職員の危機管理意識の向上などに力を発揮していただけるものと考えております。 こうしたことを踏まえまして,令和3年度に退職自衛官を採用し,より強固な防災,危機管理体制を構築することにより,市民,事業者の皆様の命と暮らしを全力で守ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 森田議員。 〔森田守議員登壇〕 ◆(森田守議員) 次に,災害に強い道路について質問いたします。空港や港を持たない京都市にとって,物流,経済活動のネットワークは陸路に限られており,災害に強いまちづくりを進める上で道路ネットワークの防災機能強化が必要不可欠となっており,中でも,災害時に市民の安全確保,災害応急対策の円滑な実施に重要な役割を担っている緊急輸送道路は,道路ネットワークの要と言えます。 しかし,国道162号,367号については,緊急輸送道路でありながら災害に対して強じんであるとは言えないうえに,国が直接管理する,いわゆる直轄国道ではなく,法律に基づき京都市が責任を持って災害時の復旧や道路の維持管理に当たらなければなりません。そのため,これまでから国道162号においては,右京区梅ヶ畑川東地域の杉の里トンネル,京北細野,周山地域の京北トンネルの供用開始や高雄地域の道路改良第1工区,第3工区の完成,国道367号においては,旧八瀬遊園付近の道路拡幅工事の完了など,災害を未然に防ぐのり面対策工事や道路拡幅工事,トンネル,バイパス事業を実施してこられました。 一方,京都市と京北町が合併した際の京都市・京北町合併建設計画では川東地域の道路拡幅事業を推進すると明記されていたにもかかわらず,第1工区は完成したものの,合併から15年が経過した現在でも第2工区については着工にすら至っていません。 近年,地球温暖化が進み,雨の降り方についても一昔前とは大きく変わってきており,令和2年7月豪雨のようにずっと雨が続くようなこともある一方で,右京区梅ヶ畑地区では1時間に50ミリを超える雨が一気に降るなど,局地化,集中化,激甚化が際立ってきています。また,先日の台風10号は,京都市には直接的な影響はなかったものの,非常に強い勢力を保ちながら九州地方に接近するなど,これまでの想定を大きく超えるような災害が毎年のように日本各地を襲っています。 京都市は,周りを山に囲まれているため,集落を結ぶ山間部道路も多く,豪雨,台風,大雪などにより通行止めが発生すれば,集落の孤立化を招き,市民生活や社会経済活動に大きな影響が発生します。事実,今年7月には土砂崩れ等により,国道162号をはじめとする10路線が通行止めとなり,過去5年を見ても,国道162号では36日間,国道367号では10日間の通行止めが発生しています。 先の162号の通行止めは,復旧に当たっていただいた業者をはじめ,土木事務所,建設局による迅速な対応により,雨の続く中にもかかわらず4日後には通行止めを解除していただいたことには大変感謝していますが,その後も片側交互通行の仮復旧が続いているため,休日を中心に渋滞が発生するなど早期の本復旧が望まれます。災害時に重要な役割を果たすはずの緊急輸送道路が,災害時に通行止めになっていては本末転倒で,そういった事態は絶対に避けなければなりません。国道162号や367号は,災害時に重要な役割を果たす緊急輸送道路であることに加え,沿線の住民の生活はもとより,本市の道路ネットワークの正に根幹をなしているため,機能強化の必要性を痛感しています。 このような状況を踏まえ,国道162号,367号の強じん化をはじめ,より災害に強い道路造りに臨んでいただきたいがいかがですか。 次に,林業振興について質問いたします。京都の林業は,日本でも極めて古い歴史があり,例えば,右京区京北ではかつて平安京の造営に膨大な量の木材を供給する,いわゆる禁裏の御杣御料地として,京都のまちづくりを支えてきました。また,おおよそ600年前に始まったとされる北山林業が,北区,右京区を中心とする4,300ヘクタールに広がり,茶室など数寄屋建築の磨き丸太は全国にその名が広く知られています。 しかし,安価な海外産木材の需要の高まりや建築様式の多様化に伴う木材価格の下落により,事業者の収入は低迷,従事者の確保と継続的な育成が困難になってきています。市内の林業従事者は10年前の224名から129名に大きく減少し,市域の4分の3の面積を占める森林の整備を担うことが困難となり,また従事者の高齢化の進行により,熟練の技術が次代に継承できないことも懸念されています。 林業が産業として再び成長を遂げていくためには,その担い手である事業者の実情に合った支援が必要ですが,それは具体的には,木材をできるだけ高い価格で売ることと,機械化等により作業の生産効率を上げることです。 木材を高く売る取組としては,7月補正予算で木材流通円滑化緊急支援事業を創設し,業界の輸出の取組を応援されています。この事業は新型コロナの影響で国内に滞留している木材を海外に輸出することによって,国内での木材価格の下落を食い止める役割を担っていますが,本来は木材に付加価値を付けて国内外へ高く販売することこそが重要であり,その販路開拓については,京都市には,林業振興部署にとどまることなく,幅広く情報共有し支援に取り組んでいただきたいと思います。 また,生産効率の向上には,林業機械の導入支援がとりわけ不可欠です。今年度の予算で新たな森林経営担い手支援補助金を創設し,高性能林業機械の導入を支援されていますが,業界から周知が不足しており知らなかったという声を聞いています。周知不足により制度の公正性,公平性を疑わせる事態が生じたことは極めて残念であり,大いに反省していただきたい。しかしながら,この制度は,業界からも経営意欲の向上につながる施策であるという声も多いため,継続していくべきと考えています。 昨年4月1日に森林経営管理法が施行され,森林経営管理制度の運用が始まりましたが,京都市でも国の動きを見据え平成30年度から,森林の経営を面的に集約し持続的な林業経営が可能となるよう,大規模集約型林業モデル事業をスタートされました。この事業は,森林境界を明確化することが大きな目的ですが,モデル地区である左京区久多,右京区京北山国のおおよそ1,000ヘクタールにおいて,森林所有者の特定などに手間取り,遅れが生じているとお聞きしています。今後,市内に大規模集約型林業を展開していくためには,京都市内の人工林2万4,000ヘクタールの境界の明確化が必要となりますが,疲弊した林業に残された時間はありません。 今から10年前,現在の農林行政基本方針策定時に掲げられた10年後の林業が目指す姿は,持続的な林業収益の確保,グローバルな視点を踏まえた地域産材の商品化,林業生産,そして林業を目指す人が従事できる環境となっていましたが,今の京都市の林業は,それらが実現されたとは言えません。どうか実効性のある林業振興策を盛り込んだ新しい農林行政基本方針の策定を進めていただきたいと考えますがいかがですか。 最後に過疎対策について伺います。 平成17年4月1日に京北町が京都市右京区に編入合併されてから,今年4月で15年が経過しました。京北町は,合併前,人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し,生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域として過疎地域に指定されていましたが,編入合併後も合併前の旧市町村に限り過疎地域とみなす,いわゆる一部過疎に指定され,過疎地域自立促進特別措置法の対象になっています。 過疎法は,過疎地域の自立促進を図り,もって住民福祉の向上,雇用の増大,地域格差の是正及び美しく風格ある国土の形成に寄与すること,つまり過疎地域からの脱却を大きな目的とし,この間,京北でも,過疎地域自立促進計画を踏まえて,次世代環境型イチゴ生産施設整備に2億3,200万円,光ファイバーネットワークの整備に2億1,600万円,上水道施設の再整備に23億8,100万円,京都京北小中学校整備に51億600万円など,合計85億8,700万円もの膨大な過疎対策事業を実施してこられましたが,その間,人口は,6,300人から4,500人,世帯数は2,100世帯から1,900世帯,子供の数は973人から495人と人口減少,少子高齢化に歯止めが掛からず,基幹産業である農林業も,需要の変化,従事者の減少,高齢化などにより低迷が続いています。 一方で社会情勢に目を向けると,新型コロナウイルス感染拡大という大きな変化によって,人々は3密回避しながらの生活を余儀なくされ,仕事や働き方に大きな変化が起こり,出社せずに自宅などで働くテレワークが大きな広がりを見せ,さらには休暇を取りながら仕事をするワーケーションが生み出されました。人材派遣大手のパソナグループが本社機能を淡路島へ移転するというニュースは大きな話題となり,自然環境に恵まれた京北地域にとっても大きなチャンスではないかと思っています。 そんな中,過疎法は来年3月の今年度末をもって期限切れを迎えますが,自民党の過疎対策特別委員会では,現在存続の是非を検討しており,次期通常国会への議員立法提出を目指して制度の詳細を詰めているところであり,京都市としても過疎法延長を前提に過疎地域自立促進計画策定の準備を進めていかなければなりません。 過疎債は,充当率100パーセント,交付税算入70パーセントと,税制上,非常に有利な借金と言われていますが,その目的は京都市の厳しい財政状況を救済するためのものではなく,あくまでも過疎地域からの脱却にあるという視点を忘れてはなりません。 京都丹波高原国定公園などの豊かな自然環境,世界の京都の都市部まで車で40分という立地条件など,京北地域の高いポテンシャルに加えて,京都市が今まで蓄えてきた光ファイバーネットワークの整備や京都京北小中学校などの資産を今こそ活用すべきではないかと考えますが,次期過疎地域自立促進計画策定に向けての御所見を伺います。 以上で代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,森田守議員の御質問にお答えいたします。 林業振興についてでございます。森林は,木材供給だけでなく,土砂災害の防止や二酸化炭素の吸収,景観の形成,生物多様性の保全,さらには,教育や健康増進の場としての役割など多面的機能を有しており,市民生活の安全安心や豊かさに大きく寄与しており,これらをいかしたまちづくりが重要でございます。そのような森林を適切に管理していくためには,林業の継続的な営みが不可欠であることから,農林行政基本方針に様々な目標を設定して林業振興に取り組んでまいりました。 この10年で目標を上回ったものがある一方で,収益性の向上や新たな担い手の育成等の課題についてはより深刻さを増しています。このため,次期方針では,木材の生産から流通,消費まで,一連の流れの中での課題を抽出し,担い手の育成や木材の規格・認証の取得支援,販路開拓支援等,切れ目ない振興策を講じるとともに,他産業との連携等,従来の発想に捉われず森林資源の新たな活用を模索する意欲ある事業者の挑戦を支援するなど林業の可能性を拡げる取組を強化する必要があると考えております。 とりわけ,生産支援・担い手育成につきましては,高性能林業機械の導入による作業効率の向上や安全な労働環境の実現を図るため,今年度,新たな森林経営担い手支援補助金を創設いたしました。森田議員御指摘のとおり,この事業の周知に不十分な点があったことを踏まえ,これを教訓として取り組むよう担当局に強く指示したところでございます。 また,事業者の収益性の向上に向け,輸出も含めた販路の開拓を支援していくとともに,観光やヘルスケア等の他産業や,京都大学が民間企業等と進めておられますSDGsの視点での地域活性化,持続可能なまちづくりの取組とも連携し,森林空間を活用した新たなビジネスの創出,幅広い社会的課題の解決に向けて取り組んでまいります。 今後,林業を持続可能な産業として次代に受け継いでいくため,様々な分野の有識者や事業者等,幅広い層の皆様から意見を頂き,実効性と夢のあるSDGsの理念も含めた新たな方針を策定するとともに,その実現に向けて地域をはじめ幅広い皆様と力を合わせ,全庁一丸となって取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,次期過疎地域自立促進計画についてお答えいたします。合併から15年,本市では,京北トンネルの開通をはじめ,光ファイバーによるインターネット環境や京都京北小中学校の整備,農林業振興など,京北地域の発展の土台づくりに取り組んでまいりました。こうした基盤整備に加えて,地域の皆様と共に地域の魅力発信や移住促進などの取組を進め,これまでに約100名の方が移住され芸術分野や農林業に従事されるなど成果も見えつつあります。また,京北地域の豊かな自然,歴史と文化,温かな地域コミュニティを未来に引き継ごうと,地域の皆様が主体となったまちづくりの機運も盛り上がっており,本年8月には,京北自治振興会や農協,森林組合など18団体によるまちづくり組織が設立され,右京区役所や小中学校等も参画しております。10月からは,若年層の参画や京都大学,企業との連携の下,教育,暮らし,農林水産業など各分野にわたる検討会において,SDGsの視点で具体的な地域活性化方策の議論が進んでいくことから,大変心強く,大きな希望を感じております。次期計画では,こうした地域の意見をしっかり受け止め,森田守議員御指摘のとおり,豊かな自然と充実したインフラ環境を最大限活用し,コロナ以降の山間地域への評価の高まりや多様な働き方等の動きを十分に捉え,京北地域の活性化の流れを確かなものとしてまいります。今後とも,過疎法による支援継続を国に強く要望し,地域の皆様と一体となって,50年後,100年後を見据えた持続可能な山間地域の実現を目指してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 災害に強い道路についてでございます。令和2年7月豪雨では,本市におきましても土砂崩れや路肩の崩落などが発生し,10の路線で通行止めとなりましたが,土木事務所を中心に市内事業者や地元の皆様の協力を得ながら全力で復旧に取り組み,被害が大きかった国道162号などについても早期に通行止めを解除し,市民生活や社会経済活動への影響を最小限にとどめることができました。一方で,近年,災害が激甚化する傾向にある中,災害の未然防止がより一層重要となっていることから,自然災害が相次いだ平成30年度と比べ,道路の災害防除に関する予算を6割増とし,防災機能の強化を図ってきているところであります。森田議員御指摘の国道162号,367号は,災害時に重要な役割を果たす緊急輸送道路であります。とりわけ,国道162号は,京北地域と京都市の中心部とを結ぶ重要な幹線道路であることから,予算を平成30年度に比べ倍増させ,重点的かつスピード感を持って,災害の防除に取り組んでおります。さらに,右京区梅ケ畑川東地域において,災害発生のおそれがある6箇所の回避と,円滑な交通の確保に向け,二つのトンネル,二つの橋から成る,延長約1.3キロメートルのバイパス工事に今年度から着手し,抜本的な対策を講じてまいります。 今後とも,国道162号,367号の強じん化はもとより,災害に強い道路づくり,ネットワークの強化を推進し,安心安全で持続可能なまちづくりに全力で取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党京都市会議員団を代表して,市長に質問します。 最初に,新型コロナウイルス感染症によって亡くなられました方々へ心からの哀悼を申し上げるとともに,闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。医療従事者をはじめ,危機の下,献身的に奮闘されている方々に,敬意と感謝を申し上げて質問に入ります。 新型コロナ感染症の拡大は,世界でも日本でも,より弱い立場の人ほど深刻な打撃を受け,社会のぜい弱さと矛盾を明らかにしました。一方,富裕層はどうかといえば,一時的には打撃を受けたものの,各国政府や中央銀行が資金提供を行ったことにより株価は急速に回復し,富裕層の資産は急増しました。日本でも大企業はコロナ禍の下でも内部留保を順調に増やしてきています。 今,政治の果たすべき最も重要な役割は,新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐこと,そして,広がった格差を是正するために,市民の暮らしと中小企業,小規模事業者への支援を,これまでの延長線上でない規模で強化することです。コロナ禍の下で自治体に求められていることは,自助,共助を強調することではなく,市民の命と暮らしを守り,ケアに手厚い社会,つまり公的な役割を強化することです。 まず,経済対策としての中小企業と労働者への支援について質問します。今年5月に京都府と京都市の職員労働組合の皆さんが,商店街の実態調査に取り組まれました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う商店街への影響はどうなっているのか,生の声を聴こうと約300軒を超える商店を訪問し,きめ細かに聴き取り調査をされています。調査をしてみて,余りの深刻さを実感するとともに,商店街ではこのような調査を待っておられ,情報を求められることも多かったと聞いています。そこでは,売上げが80パーセント減った,外国からの観光客がいなくなり土産物が全く売れない,家賃と人件費で赤字,給付金制度を知らない間に期限が切れた,給付金は1回だけではやっていけないなどの深刻な声が多く出されたということです。また,職員の皆さんが通常の勤務外でこのような取組をされたことに頭が下がる,制度を教えてもらって助かったとの声もあり,きめ細かな制度周知と引き続きの支援策が必要なことが分かります。 (パネルを示す)また,帝国データバンクの京都府における休廃業件数を見ると,2018年は462件,2019年は491件でした。ところが,今年はどうかといえば,東京商工リサーチの今年7月調査では,1年以内に廃業を検討する事業者が,少なくとも2,000件近くに上る見通しとなっており,深刻さの度合いは比べようもないほどになっています。京都市の4月から6月期の中小企業経営動向実態調査を見ても,景況はリーマンショックのときよりも更に落ち込み,調査を始めて以来最大の落ち込みという実態が報告されています。このような深刻な苦境に陥っておられる中小企業,小規模事業者が増えているにもかかわらず,支援が余りにも不十分と言わざるを得ません。 コロナ感染の影響が長引く中,新たな支援策が求められています。そのためにも,まずは,京都市独自で早急に現状の実態調査をすべきです。いかがですか。国,府,市の制度が適用されていない事業所への支援や,売上げの減少額が50パーセントに満たない事業者への支援について,京都市独自の直接支援制度を早急に創設すべきと考えますがいかがですか。 また,コロナ感染が長期化する下で,持続化給付金,家賃支援給付金などを再度給付すること,さらに,今こそ消費税を減税することを国に求めるべきです。いかがですか。 この状況の下で,雇用はどうでしょうか。京都労働局の発表によると,有効求人倍率は下がり続け,7月は京都府全体で1.01,正社員だけを見ると0.80とかなり低くなっています。倒産件数が増えれば,更に求人倍率も下がるのではないでしょうか。京都市は,非正規雇用が政令市一多い都市です。厚生労働省の解雇も含めた雇用調整の可能性についての聴き取り調査で,京都に多い製造業や宿泊業,飲食業が,トップ3に並んでいます。今,解雇や雇い止めが増大している中,コロナ特例の雇用調整助成金は,12月まで延長されましたが,更なる延長が必要です。 また,休業支援給付金は9月8日現在で,予算額の僅か1.4パーセントしか支給されていません。国に対して,期間の更なる延長と,制度の拡充,活用しやすい制度に見直し,労働者の賃金を保障する仕組みを作るように強く求めるべきです。いかがですか。 国や自治体の果たすべき公的な役割がより大きくなっているときに,菅新政権は,自助と言って,個人責任を強調し,公助,つまり,国や自治体の役割を小さくする方向を打ち出しています。これは前安倍政権時代の自治体戦略2040構想の方針を,そのまま継続しようというものにほかなりません。市長は,持続可能な行財政審議会で,この国の方針をそのまま京都市に持ち込み,具体化しようとしています。市長が審議するように指示した内容は,社会福祉を含むあらゆる市民サービスの検証で,歳出を削減することです。子育て環境日本一,福祉と教育は後退させない,市民生活を守ると言いながら,一方で,敬老乗車証制度,国民健康保険料を下げるための繰出金,児童う歯対策等々,審議会には市民サービスの切捨てを提案しており,この審議会には大きな問題があります。 一つには,既に破綻している路線を進もうとしていることです。10年前の有識者会議で行われた行政改革によって,11行政区にあった保健所がたった1箇所になったことに代表されるように,市民生活に大きな影響が出ています。コロナ禍の下で,今,自治体に求められていることは,市民の暮らしを全力で応援することです。ところが,それとは全く逆に,保育関連施策や敬老乗車証など社会福祉を含むあらゆる市民サービスの削減の検討を市長が指示するというのは,自治体本来の役割を投げ捨てるものであり,許せません。撤回すべきです。 二つには,今こそ地方財政を削り続けてきた政治の転換が必要です。コロナ禍の下で多くの自治体が決定的な財源不足に陥っています。地方財源を減らし続けてきた国の政策の矛盾が噴出したものですから,自己責任を求め新自由主義を推し進める政府に正面からはっきりと物を言い,地方交付税削減方針からの転換を求めること抜きに事態は改善しません。 三つには,検証すべき大規模公共投資の在り方が検証されていないということです。当局自らが,財政ひっ迫の大きな要因は,平成初期の大規模投資と地下鉄東西線建設費の多額の市債発行だと説明しています。市長が大きく打ち出している北陸新幹線などのビッグプロジェクトが一つでも動き出せば,審議会で議論している財政健全化は吹き飛ぶのではありませんか。このような審議会は中止し,市民の暮らしと営業をしっかりと支援する京都市基本計画とするための議論を行うべきです。いかがですか。 2019年度決算概要では,個人所得の伸びや納税義務者の増加などにより,市税収入は増加,経済政策の効果が市民所得の増加,税収に反映として,納税義務者一人当たりの所得が前年度と比べて4万2,000円増えたと報告されています。しかし,所得が増えたのは富裕層だけで,市民生活は景気が良くなった,所得が増えたという実感は全くありません。実感がないどころか,昨年10月の消費税増税によって,国だけでなく,京都市の経済も市民生活も大きなダメージを受けました。そこに輪を掛けて,今回の新型コロナウイルスの感染拡大が重なり,その影響は長期化すると言われていますし,京都市当局も,コロナは短期で終わらない,長期的財源が必要,長期にわたる交付金が必要との認識を示しています。それならば,一般論として国への財政支援を求めるだけではなく,今回のコロナ感染拡大を自然災害と位置付けて,災害基本法等を適用して,思い切った財政出動をするように国に強く求めるべきと考えますがいかがですか。 一旦ここまでの答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西野さち子議員の御質問にお答えいたします。 持続可能な行財政審議会についてでございます。本市財政は,全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援,教育の維持,充実等に要する財源が恒常的に不足し,これを公債償還基金の取崩しにより補填しております。このまま取崩しを続けると,いずれ基金は枯渇し,財政再生団体となり,例えば87億円もの経費を掛けて実施している保育料軽減等の措置や民間の保育士の処遇改善など国の水準を上回る独自の施策を,総務省の管理下で大幅に削減せざるを得ない事態も懸念されます。 こうした中,本質的な問題から目を背け,国に財源を求めよ,これまでどおりの財政構造を継続せよという趣旨に受け取れるこうした取組は,未来の京都市民への責任放棄にしかなりません。私は,市長就任以降徹底した行財政改革を断行し,そして社会福祉の財源を274億円増額してまいりました。その中には,議員御指摘の保育所(後刻訂正)の機構改革もございますが,これは保育所(後刻訂正)機能を全地域に根差し,かつ全市的視野に立って1箇所に集約し,保育士(後刻訂正)等の専門職を集め,情報を一元化し,今般のような大きな感染症事案に対しても,高度かつ機能的に対応できるよう見直したものであり,今回も大いに機能しております。また,全市の保育士(後刻訂正)自体も,この15年間で約80人増員しており,全国大都市トップ水準の配置としております。持続可能な行財政審議会の議論も,負担の先送りに頼らない財政運営を確立するためのものであり,福祉の切捨てどころか,社会福祉をはじめとする市民サービスをいかに維持するか,持続可能なものにするかという極めて前向きな議論でございます。もとより,地方交付税の必要額の確保は,本市にとって極めて重要な課題であり,引き続き,大都市の実態を反映した算定を国に強く求めてまいります。 一方で,本市が国の水準を上回って独自で実施している事業は,交付税の確保とは別で議論すべき大きな課題と考えております。公共投資につきましては,かつて事業規模について批判を受けた雨水幹線の整備が,審議会でもこの間頻発する豪雨対策として市民の命を守ってきたことが評価されました。この事例に見るまでもなく,公共投資は防災,減災,雇用創出など,その効果と将来負担のバランスを考える中で考えるべき問題であり,今後の投資についても,効果と負担のバランスを見極めながら適切に進めてまいります。 持続可能な行財政の早期確立は,本市最大の重要課題の一つであり,開かれた場で市民ぐるみで改革議論を深めることが不可欠であります。私が先頭に立ち,全庁が一丸となって,歳入歳出両面からの改革を加速させ,未来への責任をしっかりと果たしてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 京都経済の実態把握と事業者支援についてでございます。この間の,新型コロナ感染症拡大の影響を受けた中小企業,小規模事業者の経営状況等につきましては,各種機関の統計調査に加えまして,様々な業界団体や経済団体,さらには個々の事業者の方々に直接お会いしてお話をお聴きするとともに,各種支援策の受付や相談等,あらゆる機会を通じて,これまで以上にきめ細かく実態把握に努めており,引き続き的確な実態把握に努めてまいります。そうした実態把握の中で,今日,非常に多くの事業者の皆様が売上げや受注の減少,雇用情勢の悪化などに苦しんでおられ,中小企業,地域企業等の経営は極めて厳しい状況が続いていると認識いたしております。こうした状況の中で,本市では,資金繰り支援や中小企業等緊急支援補助金のほか,中小企業等の担い手確保,IT化や感染防止対策,伝統産業の作り手支援,飲食店や宿泊施設の利用キャンペーン,業界団体全体の活性化を促す事業,また,雇用を支える事業,文化芸術活動やスタートアップに対する支援など,独自の支援制度を創設してまいりましたが,引き続き,事業者のニーズを踏まえた支援策を検討してまいります。また,国に対しては,事業の継続と雇用を下支えする緊急の支援策について要望を重ね,持続化給付金や家賃支援給付金の創設や対象の拡大が実現しております。引き続き,国の支援策の継続や充実を求めてまいります。 また,雇用調整助成金についても,本市,京都府,京都労働局をはじめ,オール京都で制度の充実を粘り強く要望してまいりました。これらを受け,助成対象の拡大や助成額の引上げ,12月末までの期間延長など,制度の大幅な拡充が実現しておりますが,更なる充実を国に求めているところでございます。 あわせまして,大幅に拡充された支援策が事業者の皆様お一人お一人に行き渡るよう,中小企業等支援策活用サポートセンターの開設をはじめとした相談体制を構築し,丁寧な相談に応じるなど引き続き事業の継続や雇用の維持に向け,中小企業,小規模事業者の皆様に寄り添った支援を実施してまいります。なお,消費税は,国,地方を通じた社会保障に要する財源の安定的な確保などのために導入されているものでございます。本市においても,この貴重な財源を,介護,年金,医療及び子育てなどの社会保障の予算に充てており,消費税の引上げ(後刻訂正)を国に求めることは考えておりません。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 国への財政支援要請についてでございます。新型コロナウイルス対策については,国の臨時交付金等を活用し,感染拡大防止と京都経済の回復,市民生活の下支えに必要な取組をスピード感を持ち,着実に実施してまいりました。これまでから,本市の単独要望に加え,指定都市の共同要望など,あらゆる機会を捉えて要請を行っており,9月13日には,西脇知事と門川市長の連名で,西村担当大臣に対し,予備費を活用した臨時交付金の増額と速やかな配分,景気変動に大きく左右される地方消費税等の減収補填措置など更なる財政支援策を要請したところです。コロナウイルス感染症については,先の国会審議において,災害対策基本法等における災害と位置付けるのは法解釈上難しいという政府見解が示されておりますが,より重要なことは,法令に災害として位置付けられるか否かにかかわらず,本市が感染状況等を踏まえ,柔軟かつ機動的に対応できる財源を中長期的に確保できるかどうかであります。引き続き,国に対し,歳出特別枠の創設による地方交付税の増額をはじめとする必要な財政措置について,京都府や指定都市市長会等とも連携のうえ,強く求めてまいります。 なお,所得について,納税義務者一人当たりの所得を見れば,例えば平成25年度以降,課税所得金額200万円以下の層などでも一定増加しているものと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 西野議員。 〔西野さち子議員登壇〕 ◆(西野さち子議員) 答弁を頂きましたが,行財政審議会の中止については,納得のいく答弁がありませんでした。例えば,敬老乗車証も,国民健康保険の制度も,市民生活に必要不可欠です。コロナ禍による市民生活の深刻さを,全く見ようとしない市長の姿がはっきりしました。これでは,持続可能な市民生活は守れないということを申し上げて,次の質問に入ります。 次に,地球温暖化,気候危機への対応について質問します。今年6月に,シベリアの最高気温が38℃を記録,シベリアの永久凍土が溶け出し,火力発電所の燃料タンクに亀裂が入り河川を汚染,というショッキングなニュースは,多くの人に地球温暖化の急速な進行と,その危機を実感させたのではなかったでしょうか。報道の中で,永久凍土の溶け出しは,人々の健康と自然環境を脅かす時限爆弾であり,地球温暖化を加速させるおそれがある,永久凍土の氷に長年閉じ込められていた感染症を引き起こす細菌やウイルスなどが,永久凍土の溶け出しで解き放たれるおそれがあると言われていました。新型コロナウイルス感染症が,直接的に地球温暖化とは関連しなくても,人類が引き起こした開発によって解き放たれたウイルスという点では例外ではないと言えます。気候危機に直面している今,地球温暖化対策は,一刻の猶予もありません。危機感を持って臨む必要があります。 市長は,昨年5月に,京都市で行われた気候変動に関する政府間パネル・IPCCで,2050年ごろまでに二酸化炭素排出量を正味ゼロにするという1.5℃を目指す京都アピールを発表しました。この京都アピールを達成するためには,これまでの延長線上の取組では駄目です。ところが,今,パブコメ中の地球温暖化対策条例改正案では,これまでの基準年を,京都議定書の1990年度から2013年度に変更し,削減数値を低く抑えようとしています。たとえ,京都アピールを達成しても,世界の平均気温は1.5℃まで上昇するとされていますから,前倒しでの目標達成が必要です。2030年40パーセント削減を達成しても,残る20年で60パーセント削減し,正味ゼロにするには相当の覚悟が必要です。京都市が地球温暖化対策条例で決めた目標の2030年度までに1990年度比で40パーセント削減と,2050年CO2排出ほぼゼロを達成するためには,原発や火力発電の電力購入を今すぐにやめるなど,思い切った決断が必要です。いかがですか。お答えください。 今年は,パリ協定の具体策がスタートする年です。2050年正味ゼロから,バックキャスティングで何をどうするのか,何パーセント削減するのか,そのための野心的な取組の具体策が必要です。例えば,省エネとして地中熱の活用はどうでしょうか。全国でも様々に活用されていますし,多くの方々が御存じのスカイツリーはその代表でもあります。京都市においては,市庁舎整備に伴う導入も計画に入っていますし,伏見区役所,京エコロジーセンター,動物愛護センターなど,市内14箇所で既に採り入れられ,省エネ効果が確認されています。これを更に進める必要があります。 2018年に行った京都市地中熱利用可能性調査結果では,導入時の設備費用などの経済性に課題があるとしつつも,中規模施設の建設時に導入を図ることが必要としています。そして,本市における導入可能性として,既に井戸など地下水を使用している各種工場や酒造会社などにおいて,設備費用をコストダウンできる可能性があると報告されています。地中熱利用システムは,室外機から熱を排出する必要がありませんから,ヒートアイランドの軽減にもなり,CO2削減と同時に地球温暖化に二重の効果があります。京都市において,今後体育館に太陽光と共に地中熱利用を活用すれば,避難所施設の環境改善,省エネ,地球温暖化対策につながり,3拍子揃うのではないでしょうか。国の補助金も活用して計画的に,更に急速に進めるべきです。いかがですか。 今年7月20日に指定都市自然エネルギー協議会が,安倍首相宛てに,自然エネルギーによる持続可能な社会の構築に向けた提言を提出しました。提言では,コロナ危機からの回復過程は,自然エネルギーに基づいた社会への転換とつながっていくべき,IPCCによる1.5℃特別報告などを踏まえ,主力電源化に必要な目標値として,2030年までに少なくとも45パーセントを目指し,自然エネルギーの導入,活用に係る自治体の経費を普通交付税の基準財政需要額の算定基礎として盛り込むことなどが提言されています。この協議会の会長は門川市長です。会長としての責任が求められています。 11月議会に提出が予定されている地球温暖化対策条例の改正においては,京都市がリーダー的立場で,再生可能エネルギー45パーセントの早期達成に向けての数値目標を示す必要があります。公共施設における太陽光,風力,水力,地中熱など,様々な再生可能エネルギーを複合的に活用し,地産地消のエネルギー構想を示すこと。そして早急に再エネ100パーセント実現の道筋を示すべきです。いかがですか。 次に,ジェンダー平等の社会を目指す立場から質問します。最初に,京都市パートナーシップ宣誓制度についてです。京都市は,この9月から,パートナーシップ宣誓制度をスタートさせました。昨日,9月29日現在で宣誓されたのは既に27組となっており,予約も多くあると聞いています。制度開始が待たれていたことが分かります。 共産党市会議員団は,全国の先進自治体の調査を行うと同時に,京都市にパートナーシップ条例の制定を提案してきましたから,全国の取組から後れたとはいえ,大きな一歩になると考えます。過日行われた文化市民局と当事者の方々との懇談でも,市職員の休暇制度の改善,男女婚の場合に比べて法的に差別的な条項は約60項目もある,人権に関わること,この制度がゴールではないなどの指摘がされていました。 宣誓をするとパートナーとして病院では説明に立ち会うことが可能になり,市営住宅にも家族として応募ができるようになりました。ただ,京都市の宣誓制度創設に当たっては,市民意見を聴くことなく進められた結果,改善点が多く残されたのではないでしょうか。手続上も男女の婚姻の届にはない差別が残されていますから,宣誓制度をより使いやすくするために,更に見直し,差別的な項目を少しでも減らすべきです。改善を検討するに当たっては,パブリックコメントを実施すべきです。いかがですか。 また,市営住宅に応募できるようになったとはいえ,宣誓しなければなりません。男女なら内縁関係でも応募できますし,事実婚でも応募できますから,これも差別ではないでしょうか。また,当事者が実施してほしい施策の一つとして,同性パートナーの配偶者扱いとして,家賃補助,介護,看護休暇,慶弔休暇などが挙げられています。ところが京都市は,まだ市職員にも実施していません。まずは京都市が,市職員に早急に適用すべきです。 さらに,このような宣誓をしなくても差別的扱いが解消されるためには,同性婚を認める法改正が必要です。長岡京市議会では,法制化の議論を求める意見書が,全会一致で採択されました。宣誓制度を開始した京都市から,国に声を上げるべきです。いかがですか。 次に,男女共同参画推進計画についてお聞きします。 (パネルを示す)全ての国連加盟国が2030年までの達成を目指すSDGsの17の目標の5番目にジェンダー平等が掲げられています。昨年の日本のジェンダーギャップランキングは,153箇国中121位と過去最低を記録しました。2018年は110位,2017年は114位で最低ランクでしたが,更に順位を落としています。これは女性の地位向上が視点ではありますが,一人の人間として認め合うという点では,国民全ての問題として捉える必要があります。コロナ禍の下で非正規雇用が増え貧困の格差が拡大しており,女性の雇用改善などでジェンダー指数を上げることが必要です。 国は今年7月に,来年度からの男女共同参画計画策定の中で,指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30パーセントにするという目標を,20年度の可能な限り早期に30パーセント程度にと後退させました。京都市の次期計画見直しの中で,まずは京都市がジェンダー平等を掲げ,指導的地位に占める女性割合の目標値を上げるなど,後れている国をリードする必要があります。いかがですか。 今,コロナ禍の下,特にジェンダー問題は顕著になっています。NPO法人の調査では,雇用や収入への影響は特に母子家庭に大きく影響し,18パーセントが食事を減らしています。子供たちは,1日2食で我慢してもらい,自分は1食が当たり前。3箇月で体重が激減したとの現状が報告されています。 安倍内閣の女性活躍社会は,非正規雇用を拡大し,結果として女性だけではなく若年層を含め,全ての国民の中に格差と貧困を広げました。2018年の内閣府の資料では男女共に非正規雇用が上昇し,女性は56.1パーセント,男性は22.2パーセントとなっています。働き方改革と称するジェンダー不平等の改善が必要です。京都市として,次期計画に野心的な数値を示し正規雇用をしっかり位置付けること,また,女性だけでなく男性の産休,育休の取得率を上げることなどの目標値を明記し,進めるべきです。いかがですか。 また,災害が多発する中で,ジェンダーの視点からの避難所問題の改善が必要です。政府は今年5月に災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~を発表しました。男女の人権を尊重し安全安心を確保など,七つの基本方針を明記し,35の課題を挙げ,チェックシートで点検できるようになっています。コロナ禍の下での避難所や仮設住宅の運営は更に多くの問題が加わりますが,とりわけ京都市としてのジェンダー平等の対応策として,プライバシー保護,DV対策,授乳室の設置などなどの課題を早急に進めるべきです。女性や子供に優しい避難所は,全ての人にとっても過ごしやすい環境になります。避難所運営については,京都市の男女共同参画推進計画の中には入っていません。次期計画に位置付けて,全庁的な取組にすべきです。いかがですか。 次は,市営住宅ストック総合活用計画の見直しについてです。次期計画の見直しに関して,民間への業務委託が行われ,調査,計画が進んでいます。少なくとも今年末までには,パブリックコメントが行われる計画になっています。アンケート調査が行われ,対象の住民からは様々な不安の声が寄せられています。例えば,耐震の低い団地の住民に対しては,耐震化の完了した市営住宅への住替えが,民間業者からのアンケートという形で進められています。住民からは,転居を希望する声と同時に,高齢で引越しはできない,様々な手続が大変,団地はなくなるのか,住み続けられないのかなどです。住宅審議会では,少しでも安全な住棟に移転してもらってはどうかとの議論がありましたが,今後の計画を示さず,移転だけを進めることは,住民の不安が増大するだけです。計画の見通しを示すべきです。いかがですか。 また,今進めようとしている元改良住宅の団地再生計画についても,業者委託で進められています。まずは6団地4グループに分けてアンケート調査が行われ,形としては住民の意見を聴きながら進めることにはなっていますが,住民の高齢化もあり居住者が減少する実態がありますから,管理戸数が半減する可能性があります。今回の対象団地では今年1月1日の入居率は,高いところで55.2パーセント,低いところは32.5パーセントです。団地再生の対象団地は立地条件がいいところばかりです。管理戸数を半減して,空き地の売却ありきで進めることはすべきではありません。それぞれの地域の関係が継続され,安心して住み続けられる市営住宅こそ,市民が求めているものです。 次期市営住宅ストック総合活用計画の見直しに当たっては,市営住宅は今でも不足しています。さらに,コロナの経済悪化の影響の下,安価で住める市営住宅を整備し,若い世代から高齢者まで住み続けられるまちづくりが求められています。住民の声をいかし,市営住宅として管理戸数を増やす計画にすべきです。いかがですか。 また,市営住宅の住環境については,50年近く住んでいても畳やフロア,流し台の改善はありません。浴室のシャワーも改善はありません。常識的に言っても耐用年数は超えています。市長は,住民が求めている改修を行い,健康で文化的な生活保障をすべきです。いかがですか。 最後に2点の要望をします。 1点目は,醍醐陀羅谷の産業廃棄物最終処分場建設についてです。醍醐陀羅谷は山あいの自然豊かな所です。その場所に,安定型産業廃棄物最終処分場計画があります。千丈川の上流部で,下流には福祉施設や民家が広がっています。一度は裁判になり,住民の勝訴で決着が付きましたが,進入路を変更し再び計画が持ち上がりました。以前は大津市長から,さらに,今回は宇治市長から,住民の納得なしでは許可をしないようにという要望書が門川市長に出されています。隣接する二つの自治体の長からの要望は異例のものです。重く受け止め許可しないように要望します。 2点目は,大岩山の恒久対策についてです。今年7月の大雨で,大岩山で,また土砂崩れが発生しました。高さ5メートル,長さ10メートルに及び,住宅街からもよく見えますから,地元住民からは不安の声が上がっています。京都市は,民間事業者が提出した恒久安全対策計画を認め工事許可を出しました。山の麓部分には更に盛土をし,上の部分の一部の土砂を取り除く。また,西側の谷は埋めるというものです。しかし,安定勾配と言われている5メートル30度では安定しないことが,今年の雨でも証明されています。大岩山の恒久対策は,違法に持ち込まれた土砂の全量撤去しかないことを,強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 地球温暖化対策についてでございます。本市が目指す2050年CO2排出量正味ゼロを実現するためには,エネルギー源を化石燃料から再生可能エネルギーへと転換することが不可欠であり,その重要性を社会全体で共有したうえで,再エネ利用設備の一層の導入を推進するための施策と共に,再エネ由来の電気等の利用拡大や供給拡大を図る必要がございます。そのため,現在パブリックコメントを実施しております地球温暖化対策条例の改正案では,2050年ゼロを目指すことを明記し,オール京都で危機に立ち向かうことなどを基本理念として掲げるとともに,建築物への再エネ導入義務の強化,再エネ由来の電気を供給する電力プランへの切替えをはじめとする再エネ選択の拡大,地域で生み出した再エネを地域で有効活用する自立分散型エネルギーシステム構築の調査,研究などを盛り込んでおり,こうした取組を強力に推進することにより,再エネへの転換を図ってまいります。また,再エネへの転換を促進するためには,まず,本市が率先してあらゆる分野で取り組む必要がございます。このため,本市施設においては,防災と環境保全の同時解決の観点を含めまして,これまでから再エネを積極的に導入しているところであり,地中熱につきましても,避難施設として利用される学校施設等に導入しているほか,本庁舎整備等でも活用を図ることとしております。今後とも,施設ごとに費用対効果を見極めながら積極的に導入を検討してまいります。 本市における電力調達につきましても,再エネ由来の電力の活用による温室効果ガスの抑制と経済的な調達を同時に実現するため,環境配慮契約法を踏まえて策定した契約方針に基づき,電力事業者の再エネ導入状況等を評価し基準を満たす事業者と契約しております。今後とも,2050年ゼロの実現に向け,市民,事業者など幅広い方々としっかりと連携して,再生可能エネルギーの飛躍的な拡大に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) パートナーシップ宣誓制度についてでございます。9月1日に制度を開始してから,約30組の方々に御利用いただき,二人の関係が社会的に認められてうれしいといったお声を頂いております。制度創設に当たりましては,市会からの御意見をはじめ,有識者,市民公募委員で構成する人権文化推進懇話会や当事者支援団体の代表にも御参画いただいた専門意見聴取会において御議論いただくとともに,京都を拠点に性の多様性の理解促進等に取り組む団体などからの幅広い御意見を反映して,対象者の要件を広くするなど利用しやすい制度に作り上げてまいりました。本制度は,法律上の効果が生じるものではございませんが,宣誓されるお二人の思いに寄り添い,自分らしく生き生きと生活されることを応援し,社会の理解を促進するものであり,今後も,宣誓者へのアンケート,コミュニティスペースなどの場で,継続的に当事者の声を聴きながら制度の運用を図り,生きづらさや困難の解消に努めてまいります。 本市職員の配偶者に関する手当や休暇等については,同性パートナーの方々は,現時点では,法律婚や事実婚関係にある者と同等の権利義務が認められていると言い難い状況の中,その対象としておりませんが,他都市での実施状況等を調査したうえで,引き続き,必要な検討を行ってまいります。制度の実施を契機に,多様な性の在り方が尊重され,一人一人を包摂する共生社会の実現に向け,性的少数者の方々が,安心して暮らし,働き,学べる環境づくりを進めてまいります。また,お尋ねの同性婚の法制化につきましては,家族の在り方の根幹に関わる問題でもあり,国において広く国民の意見を踏まえ検討されるものと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 別府文化市民局長。 〔別府文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(別府正広) 次期男女共同参画計画についてでございます。まず,女性活躍に関係する取組についてです。本市では,これまでから,現行の京都市男女共同参画計画の下,オール京都体制の輝く女性応援京都会議において,女性役員育成研修や子育て,介護と仕事の両立支援などの多彩な事業を実施しており,女性の就業率や管理職登用率の上昇など,企業における女性活躍が着実に進んできております。あわせて,政策決定の場への男女の均等な参画の促進につながる取組を実施してきており,本市における女性委員の登用率が35パーセント以上の附属機関の割合は7割となり,本市職員の女性管理職比率は,7年連続で過去最高を更新いたしました。また,男性職員の育児休業取得率も,令和元年度で25.3パーセントと,この5年間で約6倍に増加しています。 次に,防災に関係する取組につきましては,現行の計画に防災分野における男女共同参画の推進を掲げ,府市の連携による男女共同参画の視点を持った防災リーダーの育成事業の実施や,避難所運営マニュアルにおいて運営協議会への女性の参画を求めるなどの取組を行っております。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,非正規雇用の比率が高い女性がより職を失いやすいなどの課題が顕在化した一方で,テレワーク等のオンラインが活用された結果,家族で過ごす時間が増えたことで,家事や子育てへの関わりが深まり,生活重視を考えるようになった人が増加するなど,新たな価値観も生まれております。令和3年度からの次期計画策定に向け,このような状況も踏まえ,審議会で幅広い御議論をいただきながら必要な目標を定めるとともに,SDGsの観点も踏まえ,誰一人取り残さない持続可能で活力ある社会の実現と男女共同参画社会の更なる推進に向けた方策の検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木知史) 市営住宅についてでございます。市営住宅に安心して住み続けていただくためには,特に,大地震に対する入居者の安全性の確保が喫緊の課題との認識から,耐震性が十分でない団地について,耐震改修工事や団地再生事業を順次実施しておりますが,こうした事業を早期に実施できない団地では,現行の耐震基準を満たす住棟への住替え事業を進めているところでございます。引き続き,入居者の意向を十分に把握しながら,できるだけ早期の事業完了に向け取組を推進するとともに,この事業の進捗状況を見ながら団地の在り方について検討を進めてまいります。 なお,市営住宅ストックを有効活用するための各団地及び住棟における建替えや改善等の活用方針を示した市営住宅ストック総合活用計画の次期計画の策定に当たりましては,京都市住宅審議会から,人口減少社会や民間賃貸住宅の供給状況,また,公募しても応募が少ない団地があるなどの状況を踏まえ,社会情勢の変化を見据えた適正な供給戸数を確保する方向に転換していくことが求められるとの答申を頂いていることから,管理戸数を増やす計画とすることは考えておりません。したがって,団地再生事業では,現在の入居者が事業後も引き続き住み続けていただける住戸数を整備することとしています。よって,この事業により生じる新たな用地につきましては,地域の活性化や文化,福祉の向上,働く場の確保など,本市全体の活性化,持続可能なまちづくりに資するよう有効に活用してまいります。議員御指摘の箇所に係る住戸内の改修でございますが,家賃に通常の使用に伴う修繕費を含めていないことから,入居者自らでの改修をお願いしており,本市の負担により実施することは困難でございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 暫時休憩いたします。 〔午後2時57分休憩〕 〔午後3時18分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,河合ようこ議員に発言を許します。河合議員。 〔河合ようこ議員登壇(拍手)〕 ◆(河合ようこ議員) 西京区選出の河合ようこです。日本共産党議員団を代表し,市長に質問いたします。 新型コロナウイルス感染拡大は,市民の暮らしや営業に甚大な影響を及ぼしています。日本共産党議員団はこの間,新型コロナウイルスから市民の命,暮らし,営業を守るために,市長に対し10回を超える申入れを行ってきました。コロナ禍が続く中,憲法にうたった健康で文化的な生活を保障し,市民の命を守る市政をと求めて質問します。 まず,新型コロナウイルスの検査,医療体制について伺います。政府の緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルスの感染は広がっており,徹底したPCR検査の拡大,それを支える検査体制の強化,医療体制の強化と支援が求められています。日本共産党は,7月28日,安倍前首相に対して新型コロナ対策に関する緊急申入れを行いました。その中で,感染震源地を明確にし,その地域の住民,在勤者全てを対象に網羅的なPCR検査を行うこと,医療,介護,福祉施設,教育施設など集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員等への定期的な検査を行うことなどを要請しました。日本医師会も政府に対し感染震源地でのPCR検査の抜本的な拡充を求めておられ,自治体では世田谷区が,いつでも,誰でも,何度でもとPCR検査体制を広げ,千代田区でも介護施設の全職員に定期的なPCR検査の実施を決めるなど,積極的な取組が広がっています。 こうした中,政府もようやく感染流行地域での医療,高齢者施設等への一斉,定期的な検査,地域の関係者の幅広い検査を都道府県等に要請すると決めました。本市での取組が重要です。本市では,高齢者施設や学校,病院などでクラスターが発生しており,感染封じ込めは道半ばの様相です。今こそ大学等の協力も得て,防疫を目的とした大規模な検査を行って無症状の感染者を保護,療養させ,感染を封じ込める対策に踏み出す決断をすべきです。いかがですか。 感染経路不明者を含む感染者全体の分布や特徴を分析,公表し,新規感染者の発生する確率が高いと考えられる地域,職種等に対し網羅的なPCR検査を実施することを求めます。そして医療機関及び児童,障害,高齢者等の社会福祉施設,学校,職場に陽性者が一人でも発生した場合に関係者全員を検査すること,患者や利用者の命を守るため,また,自分が感染源とならないよう,私たちの想像を超える緊張感の中で働いておられる医療,教育,児童,社会福祉施設,公共交通の従事者及び本市職員等の行政職員に対し定期的なPCR検査を行うことを求めます。いかがですか。 市長,本市の新型コロナ対策における保健体制は,保健師等の献身的な仕事に支えられてきました。感染症対策体制の強化のため,8月から新型コロナ対策に当たる保健師を8人増員するとしました。しかし,保健師の8月の時間外勤務は平均で131時間7分,最長は228時間30分にもなっており,依然として過労死ラインを超える異常な実態です。増員とした8人は正味の増員ではなく,他の部署からの異動や兼職だからではありませんか。保健師には,コロナ禍以前から過重な負担が掛かっていました。事務職員数が減らされたことにより,専門的業務に加え,それまで事務職員が担っていた業務まで課せられている実態があるためです。昨年度の本市20代職員の離職は,事務職725人中9人ですが,保健師は104人中10人と離職率は8倍にも上っています。これは保健師の業務の過酷さを反映しているのではないでしょうか。 更なる感染症対策の強化が必要となる状況で,過重労働の解消と,将来を見据えた職員の確保と育成が必要です。現在,派遣会社の保健師を配置するなど,当座の措置が講じられましたが,本来,保健衛生の向上を図る大切な任務を担う本市職員として,正規雇用し,育成する立場に立つべきです。これまで,市長が先導し強力に進めてきた職員削減や公衆衛生部門の集約化が保健師の長時間労働を招き,新型コロナ感染対策を困難にしたという認識はありますか。いかがですか。 また,検査,診療体制の強化が求められています。国は,季節性インフルエンザとの同時流行を見据えて,10月からは新型コロナ対策として,従来の対策に加えて,掛かり付け医に市民が相談した場合に,掛かり付け医が紹介する検査,診療医療機関を受診することができるようにするとしています。しかし,それには地域医療機関の合意と連携,市民への周知の徹底が不可欠です。インフルエンザの流行を抑え込み,高齢者の命を守り,医療現場の負担を軽減するために,高齢者のインフルエンザ予防接種を本市が公費で負担し,無料で実施することを求めます。 また,医療機関の負担を軽減し,安定した医療体制を確保するために,各行政区に発熱外来と一体のPCR検査センターを設置することを提案します。そして,医療衛生分野の職員増員と保健所を各行政区に戻すことを求めます。いかがですか。 1月以来の新型コロナ感染対策は医療現場の皆さんの昼夜分かたぬ命懸けの御奮闘があって持ちこたえたと言っても過言ではありません。同時に,医療や福祉を削減してきた我が国のぜい弱さが露呈し,医療や介護,保育等の福祉現場には日常的にゆとりが必要だということ,人を支えるケア労働なしには市民の命も仕事も守れないことが明白になりました。 コロナ禍の中,国民の命を守ってきた医療現場では4月から6月にかけて大幅な減収が続き,命懸けで働いておられる職員のボーナスカットという事態まで起こっています。数多くの医療機関が経営の危機に直面していますが,国は減収への支援を見送りました。医療崩壊を止めなければなりません。医療現場への財政支援は国の責任です。国の財政支援を強く求めるべきです。いかがですか。 介護現場での減収も深刻です。政府は,減収の対策として,新型コロナウイルスに係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的取扱いにより介護報酬を2区分上位の報酬区分で算定してもよいとしました。ところが,上乗せ分は利用者の負担増につながってしまうことになり,利用者の負担を増やしたくないという思いと経営の厳しさとの間で事業者が苦悩されています。長野県飯田市では,上乗せ分を市で補填することを決めました。本市も,利用者の負担につながらないよう,上乗せ分を補填することを求めます。いかがですか。 認知症の人と家族の会の方,重度の障害がある方の御家族から,もし,自分が新型コロナに感染したらどうなるのかと大きな不安の声が寄せられています。万一,家族が感染してしまった場合でも,安心して療養ができるよう,緊急ショートステイで要介護者や障害者を受け入れ,対応できるようにする等,本市が責任を持って体制を整えるべきです。いかがですか。 コロナ禍で介護現場も利用者も不安な中,本市が4月から民間事業者に委託した介護認定給付業務については,関係者から苦情が続いています。京都市は,民間委託しても,末期がんの患者さん等への在宅ケアに支障を来さないようにすると言っていましたが,この間,介護認定が遅れ,必要なサービスの提供が行われないままお亡くなりになる事態も生じているとお聞きしています。これでは市民が安心して介護保険を利用することができません。介護認定給付業務の民間委託はやめて,4月以前の体制に戻すよう求めておきます。 次に保育,学童保育について伺います。まず保育についてです。保育は子供と直接触れ合う仕事です。園内での感染を防ぐために,プール遊びや給食の時間はクラスを分けるなどの密を避ける工夫をされていますが,それには普段より職員が必要となります。密を避けることは容易ではありません。一方で,登園自粛の下,少人数での保育の中では,子供を待たせることなく対応できた,ゆったりと関わることができたという現場の実感があり,職員は今の2倍は必要という保育士さんの声を聞きました。本市の保育士配置基準について市長は全国トップレベルだと言っておられます。 (パネルを示す)パネルを御覧ください。1歳児の基準が4対1の新潟市,2歳児の基準が4対1の千葉市など,本市より手厚い基準を設けている自治体もあります。世界に目をやれば,イギリスのイングランドでは,1歳半まで3対1,1歳半から3歳未満は4対1,3歳以上は13対1です。今,小学校も20人程度の学級が求められているのですから,4歳児,5歳児で20人以上のクラスというのは多すぎます。まず,本市より低い国の配置基準の改善を国に求めること。そして京都市保育連盟等で構成されている京都市予算対策委員会は,0歳児6箇月まで2対1,1歳3箇月未満まで3対1,1歳3箇月から2歳未満まで4対1,2歳児は5対1の職員配置が必要と言われています。この基準まで,保育士の配置基準を引き上げるべきではありませんか。いかがですか。 次に学童保育についてです。小学6年生まで利用対象が拡大され登録児童が増えても,新たな学童保育施設,児童館は増やされていません。一人当たりの面積基準1.65平方メートルを満たしていると言っても,育成室に加え,児童館との共有スペースも加えたものであり,それでも畳1畳に満たない広さではゆったり過ごすことも,密にならず遊ぶスペースも保障されていません。 (パネルを示す)パネルを御覧ください。全国の学童保育1施設当たりの児童数を見ると,70人以下が大半となっています。71人を超える施設は17パーセント。本市は,68パーセントにも上ります。100人を超えるところは60箇所以上もあります。これでは,子供の豊かな放課後の生活の保障も感染症から子供を守ることもできません。既存の施設に子供を詰め込むのではなく,学童保育施設,児童館を増やすべきです。いかがですか。 次に,処遇についてです。保育,学童保育は,学校休校中も子供の生活と保護者の就労を保障してきました。子供たちとの接触なしには成り立たない仕事であり,保育の仕方や消毒などに工夫を凝らし,さらに,勤務時間外でも自らが感染源とならないよう緊張感を持って過ごされています。以前から深刻だった保育,学童保育の職員確保の問題は,現状の賃金のままでは,更に深刻になるのではないでしょうか。その解決は,保育,学童保育の賃金,処遇の引上げに本市が本気で取り組むか否かに掛かっています。保育については,公立保育所と民間保育所の給与格差の是正,定期昇給の保障は,京都市が6億円補填すればできます。予算措置を講じるよう求めます。 そして学童保育,児童館職員の賃金は,30年前は夫婦共働きでも生活保護基準以下という低賃金でした。現場からの運動と京都市との協議,合意の中で処遇改善実施要項が作られ,本市職員の給与表を基に格付された給与が保障されてきました。しかし,現在の業務からいえば余りにも低すぎます。学童保育の職員の賃金についても市が責任を持って抜本的に引き上げるよう求めます。いかがですか。 保育や学童保育が,どんな事態でもなくてはならない仕事であることは,コロナ禍の下,再認識されました。しかし,政府は,この保育や学童保育をはじめ児童福祉施設関係者への慰労金を否定しました。本市も,慰労金を国に要請するつもりはない,感謝はお金ではないと委員会で驚くべき答弁でした。現場からの要望や怒りは当然です。児童福祉施設にも医療,介護福祉施設等と同様の手当を支給するよう国に求め,本市でも支給すべきです。いかがですか。 次に,学校教育について伺います。子供たちはこれまで経験したことのない3箇月もの長期休校を経て,学校に通っています。友達に会いたいという思いやコロナに掛かったら怖いという不安を抱えながら過ごし,子供たちはかつてない不安やストレスをためこんでいます。こうした子供たちの実態から出発し,一人一人をゆったりと受け止めながら,丁寧に,学びと共に人間関係形成や遊び,休息をバランスよく保障する手厚い教育が今求められています。 まず,少人数学級の実施です。長期休校は,先生にとっては子供が通ってくる学校が,子供たちには先生や友達と過ごせる学校生活がとても大事だと認識する機会にもなりました。ある保護者は,休校中,学校からの課題になかなか取り組めず勉強が苦痛になっていた我が子が,学校再開で友達と教え合い,先生にほめてもらって意欲的になったと喜んでおられ,リモート授業よりも,人間関係の中で豊かに学ぶことができる少人数がいい,感染も予防もできると言っておられました。新しい生活様式では,人との間隔は最低でも1メートル空けることを求めていますが,密を回避するのはかなり難しいです。私が見学させていただいた学校の40人近い子供が学ぶ教室では,65センチの間隔が精一杯の状況でした。35人のクラスでも1メートルの間隔も取れません。一方,別の学校の20人程度が学ぶ教室ではゆったりと机が置かれており,感染防止のためにも1クラスの人数を減らすことが必要だと改めて感じました。 全国知事会,市長会,町村長会も,普通教室の平均面積は64平方メートルで,現在の40人学級では感染症予防のための十分な距離を確保することが困難,感染症の再拡大時でも必要な教育活動を継続するには,少人数学級が是非とも必要と国に求めています。文部科学大臣も,少人数学級を目指すべきだと個人的には思っていると語っており,本市教育委員会も少人数学級の教育効果を認めています。そして学校再開に当たっての分散登校で20人程度での授業をされた先生方は,子供たち一人一人をよく見ることができたと言われており,子供たちも,先生と話ができたと喜んでいます。この声こそ大事にすべきです。市長は,少人数学級の必要性をどのように認識されていますか。今こそ,全ての学年で20人程度の少人数学級の実施に踏み出すべきです。そして国にも学級編成と教職員の定数改善,予算の確保を強く求めるべきです。いかがですか。 同時に,子供の実態から出発し,子供の権利を守る立場で寄り添いながら授業や行事などを進めることが大事です。学校再開はうれしかったけれど,友達とおしゃべりできない,給食は前を向いて黙って食べなければならないなどの制約の中で子供たちは過ごしています。そのうえ,学校再開後ほどなく高学年では7時間授業,入学したばかりの1年生までもが6時間授業で,保護者からは,子供が疲れていると,先生も,マスクを付けての授業は体力を使うし,しんどいとの声が出されています。先生が疲れて子供の話に耳を傾けられない状況があるという調査結果もあり,重大です。 文部科学省は,学習内容を重点化し,2年ないし3年間を見通して無理なく学習を取り戻せるようにするとしていますが,教育福祉委員会で,教育委員会は,来年度にしわ寄せがいくからと消極的な姿勢でした。一人一人を大切にするならば,休校の遅れを取り戻すと急ぐのではなく,現場の裁量を最大限保障し,各校,各教員が学習内容を精選し,子供たちがゆったり学べるようにすることが必要と考えます。いかがですか。 まず,ここまでの答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 河合ようこ議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナ対策についてでございます。PCR検査については,クラスター等の集団感染を封じ込めていくため,本市独自の検査基準を全国に先駆けいち早く設け,濃厚接触者だけでなく接触により感染の可能性のある方については,症状の有無にかかわらず幅広く検査を実施しているところであります。とりわけ,医療機関や高齢者福祉施設等で集団感染が起こった際は,感染の広がりをしっかり把握し対策を講じていく必要があることから,必要な検査を漏れなく実施しており,さらに,現地に調査,指導に赴き,施設職員等による基本的な感染防御対策についての指導を徹底しております。 診療,PCR検査体制等につきましては,京都府や医師会との連携の下,地域の身近な掛かり付け医等において診療と検査が受けられるよう,既に,9月末時点で,市内を中心に府内408箇所の身近な医療機関において体制を構築しているところであります。引き続き,これからのインフルエンザの流行期に備え,診療・検査体制を拡充,強化してまいります。 新型コロナウイルス感染症対策に係る保健所の人員体制につきましては,本市では,この15年間で保健師を約80人を増員し,全市で330名を超える保健師を配置しており,人口100万人を超える大都市の中で,最も充実した体制となっております。この保健師の人員体制の下,実施した保健所の集約化は,今回の新型コロナウイルス感染症のような全市的な健康危機事案に対し,機動的,効果的に対応することを目的とするものであり,区をまたがった事案や集団感染発生時の集中的な業務の実施などに当たり,その効果が最大限に発揮できたものと考えております。 この間の急激な感染拡大により生じた職員の長時間勤務につきましても,他部署からの応援や保健師等の前倒し採用,民間保健師の活用,さらには保健師等が専門性をいかし活動に専念できるよう業務分担の整理や事務職員の増員など可能な限りの対応を行っているところであります。今後とも,感染拡大に備えて必要な体制をしっかりと確保し,新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,新型コロナを受けた医療福祉現場への支援と保育・学童クラブ事業についてお答えいたします。 まず,医療現場への支援につきましては,新型コロナウイルス感染症の診察や治療に当たる医療機関はもとより,全ての医療機関で経営上の大きな影響が生じております。このため,本市におきましては,市民等からの御寄付や市会議員の皆様の報酬削減分に本市独自財源も加えて医療機関等に支え合い支援金を支給するとともに,国に対しては,必要な支援が行われるよう引き続き要望してまいります。 次に,介護報酬の算定に係る臨時的な取扱いについてでございます。この取扱いは,国において,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,感染症対策に係る事業者のコストを適正に評価するために示されたものと理解しております。臨時的な取扱いにより,算定する介護報酬が増えれば,それに連動して利用者の御負担も増額となります。介護保険は,全国一律の制度であり,自己負担割合は法令で定められていることから,市町村独自に利用者負担を軽減することは,制度上困難であります。国に対しては,感染予防対策を確保したうえでの事業継続が可能となるよう,次期介護報酬改定に向け,引き続き要望を行ってまいります。 最後に,高齢者や障害のある方を介護する家族が新型コロナウイルス感染症に感染した場合につきましては,介護を受けている方にもPCR検査を実施し,陰性であれば,陽性となった家族が帰宅できるまで,ケアマネジャー等が中心となって,ショートステイの個室での利用等を調整するなど,それぞれの方の御事情をきめ細かにお聴きし適切に対応してまいります。 今後とも,国に対しては,医療現場や福祉現場を支えていく支援について要望を行うとともに,国,府との緊密な連携の下,必要な医療,介護,障害福祉サービスが継続して提供できるよう取り組んでまいります。 次に,新型コロナを受けた保育・学童クラブ事業についてでございます。コロナ禍において,真摯に子供に向き合っていただいている職員,関係者の皆様に対し改めて深く敬意と感謝の意を表します。ありがとうございます。 この間,本市では,市民しんぶん等においてコロナ禍における施設の取組を紹介するとともに,7月には,市民生活を支えていただいた感謝の思いを伝える支え合い支援金を独自に創設し,多くの施設の方から喜びの声を頂いております。今後とも,保育士等の役割を社会全体で認め評価するために,必要な取組を行ってまいります。民間保育園等における職員配置及び処遇改善につきましては,厳しい財政状況の中,本市独自に50億円を確保したうえで約60億円の国の処遇改善等加算の活用等により,保育士配置は,平均的な90人定員の保育園では,国基準12人に対し1.33倍の16人と手厚くなっており,保育士平均年収は,全国平均356万円の1.34倍の476万円といった全国トップレベルの水準を確保しております。しかしながら,本市単独での取組には限界があることから,引き続き,国に対して必要な措置を求めてまいります。 また,公営保育所との比較につきましても,公民ともに同じ配置基準であり,処遇についても公営では処遇改善等加算がないなど単純に格差があると言える状況ではありません。 児童館,学童保育所等につきましても,経験手当の創設,拡充等,着実な処遇改善を図っており,実施スペースにつきましても,条例で定める面積を確保していることから,新たに児童館の整備を行う予定はありませんが,引き続き,現場の声を丁寧に伺いながら,必要な支援をきめ細かく進めるとともに,国に対しましても必要な財政措置を求めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 新型コロナ禍を受けた学校教育についてでございます。まず,少人数学級についてでございます。本市では,国に先駆け,小学校1,2年生で35人学級を,中学校3年生で30人学級を独自予算で実施するなど国基準を上回る少人数学級を推進し,1学級の規模が小中学校とも平均30人前後と政令市最高水準になるとともに,国の加配も活用して,各校の実態に応じた複数教員による少人数指導等を進めてまいりました。 御提案の小中学校全学年での20人学級の実施には,毎年約230億円もの巨額の予算が必要であり,本市独自での実施は極めて困難であります。現在,国の中央教育審議会等におきまして,少人数指導等の充実について議論が進められており,引き続き,教職員定数の改善につきまして,国へ要望してまいります。 次に,学校再開後の授業時数の確保についてでございます。各教科等の授業時数の精選や学校行事の見直し等につきましては,個々の学校の児童生徒の実態に応じまして,各校の裁量で柔軟に実施できることとしております。御指摘の7時間授業につきましては,児童生徒の負担とならないよう,発達段階に応じて週1日から3日程度とし,また,1校時の授業を5分短縮して1日の総授業時間の増加を15分程度に抑えるなど配慮するとともに,児童生徒が楽しみながら活動できる音楽や美術等を7時間目に設定するなど各校で工夫しております。こうした取組によりまして,子供たちが楽しみにしている夏休み期間を,他都市より長く確保できたところでございます。今後とも,児童生徒や教職員の負担軽減に配慮しながら,学びの保障に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 河合議員。 〔河合ようこ議員登壇〕 ◆(河合ようこ議員) 新型コロナの影響で,収入が減る,失業,住居を失う等,それまでの暮らしが維持できなくなり,生活保護の相談,申請が増えています。生活保護は,憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を保障するセーフティネットです。しかし,生活保護費は毎年のように減額され生活保護利用者の暮らしは厳しさを増し,保護基準が下がることで生活保護利用もしにくくなっています。保護基準は市民にも影響します。それなのにこのコロナ禍の中,政府は明日10月から生活保護費を更に引き下げるといいます。とんでもないことです。本市としては引上げこそ求めるべきです。 困窮した市民の暮らしと命を守るための施策について質問します。まず,国民健康保険についてです。新型コロナウイルスの影響を受けた世帯に対する国民健康保険料の特例減免制度,いわゆるコロナ特例減免は,8月末までに約1万4,000人に上っています。年度当初まで遡って減免できる措置が8月末で終了となりましたが,現在もコロナ禍は続いています。来年3月末までの遡及期間の延長と周知を求めます。いかがですか。 また,新型コロナ感染対策として,国民健康保険の被保険者のうち給与所得者に対して特例措置された傷病手当については,個人事業主やフリーランスも対象とすべきこと,必要な財源は国に求めつつ,国が実施しない下でも市独自に措置をして感染症対策にかなった水準とすることを求めておきます。 さらに,コロナの影響で減収となった方が1万4,000人以上利用された緊急小口資金貸付は期間が延長されました。しかし,貸付けは一度限りでは間尺に合わないという声が上がっています。是非,複数回でも受けられるようにとの市民の願いに応えていただくよう求めます。 次に,水道料金,下水道使用料の減免についてです。水は生きるために欠くことのできないものです。正に命の水です。コロナの下,本市は上下水道料金の支払い猶予を実施しましたが,猶予ではいずれ支払わなければなりません。党議員団は,減免をと求めてきました。検討すると答弁されてから既に半年。この間,水道料金の減免は各地で急速に広がり,コロナ禍の下,水道料金の減免は,実施予定も含めると全国の3分の1以上の自治体に広がっています。仙台市や大阪市,堺市,名古屋市等,他の政令市でも実施しています。上下水道料金,使用料の減免の実施を決断すべきです。いかがですか。 そして平時から低所得や独り親世帯,福祉施設などを対象とした減免制度,コロナ禍のように災害というべき状況の下では,市民全体を対象にできる減免制度を創設するよう求めておきます。 今,京都市持続可能な行財政審議会において,本市が市民の福祉向上のために行っている数多くの施策が財政負担という視点で切られようとしています。新型コロナウイルス感染症の渦中で平時よりも市民の暮らし,福祉に留意すべきときに,保育,子育て支援,高齢者福祉などの後退は認められません。 そこで,敬老乗車証について伺います。敬老乗車証守ろう!連絡会が8年間にもわたり取り組まれている現行の制度維持,拡充を求める署名は,8月27日に行われた第17回目の提出で合計4万6,599人分に達しています。利用されている方はもとより,70歳前の方も,年を取ってうれしいことはないけど,唯一,敬老乗車証が待ち遠しいと,70歳を元気に迎える極めて大きな原動力となっています。敬老乗車証は,本市施策の中で本当に優れた制度,正に市民の宝です。 この制度も行財政審議会の議論のそ上に載せられ財政の視点で議論されていますが,敬老乗車証がなぜ喜ばれているのかの検証,高齢者が健康で生き生きと社会参加できるという制度の目的に照らした視点での議論こそが重要ではありませんか。敬老乗車証守ろう!連絡会が独自に実施された調査では,敬老乗車証を使って出掛けることでの健康効果は外出1回で1,300歩,敬老乗車証があったから出掛けたという方が47.9パーセント,敬老乗車証で出掛けたときの平均消費は3,265円で,その経済効果は約507億円もあることが明らかになっています。市長は,この敬老乗車証の効果をどのようにお考えですか。敬老乗車証制度は大事な制度だとおっしゃるなら,所得に応じた負担金を払えば,乗車時の負担なく自由に乗り降りできる現行の敬老乗車証制度を堅持すべきです。いかがですか。 最後に,西京区の交通問題です。市バスとJRバスが高雄地域までを均一区間とし,バス1日券も使用拡大すると発表されました。高い運賃の引下げや市民,乗客にとっての利便性向上につながると歓迎されています。一方,西京区の方からは西京区も高い運賃を下げてほしい,せめてバス1日券が使えるようにしてほしいという声が早速寄せられました。西京区も京都市です。西京区には市営の鉄軌道が通っていません。主要な交通手段はバスです。とりわけ洛西ニュータウンや大原野地域などの高い運賃は,働く世代や学ぶ世代が居住する際のハードルになっています。西京区の活性化にとって,運賃や交通の利便性改善は不可欠であります。洛西での実施には,民間バス3社との協議,合意が必要で時間が掛かっていると言われますが,市バス1日券の利用範囲拡大は本市の決断でできるはずです。西京区でも市バス1日券が使えるよう一刻も早い改善を求めます。いかがですか。 以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 国民健康保険料の特例減免制度と敬老乗車証の2点についてお答えいたします。 まず,国民健康保険料の新型コロナウイルス感染症による特例減免制度についてでございます。国民健康保険では前年の所得等に応じた保険料を,毎年6月に被保険者の皆様に通知し,お支払いいただくこととしておりますが,当該年度に入り,急激に収入が減少し,保険料の納付が困難な場合には,納期限までに申請を行っていただくことにより,世帯の収入に応じて保険料を減免する制度を設けております。例年,7月末までに申請があった場合は,年度当初に遡り,減免を適用しておりますが,今年度につきましては,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から,この申請期限を8月末まで延長しております。したがって,9月以降に収入が減少し,減免申請が行われた場合には,申請のあった月以降の保険料について減免を行うこととしており,新たに創設したコロナ特例減免についても同様の考え方に基づき取り扱っております。 また,減免制度の周知については,保険料の納入通知書や国保だよりの送付時に周知文書を同封し,市民しんぶんや本市のホームページにおいても掲載するなど広く周知を行っており,今後とも制度周知に努めるとともに,御相談があった場合には丁寧に対応してまいります。 次に,敬老乗車証についてでございます。本制度は,健康長寿のまちづくりを進めていくための重要な施策でありますが,制度そのものの利用による健康や経済への効果を検証する手法は,全国的に確立しておりません。一方,高齢化の進展に伴い対象者は増加し続けており,本制度に必要な市税の負担は,昭和48年の制度発足時の約3億円から,現在,その約17倍となる50億円を要しております。本市の厳しい財政状況の中,10年後には,57億円を超える負担が見込まれ,現行制度のまま継続すれば制度自体が破綻するおそれがあり,また,交付率の低下や,地域による利用状況の相違などの課題もございます。このため,本市といたしましては,平成29年度に実施したアンケート調査結果や,この間の少子高齢化などの社会情勢の変化,また,京都カード・京都ポイントの創設に向けた検討や京都市持続可能な行財政審議会での議論なども踏まえ,本制度を守っていくという立場から,応益負担や応能負担といったことを問わず,幅広い観点で,引き続き,検討を重ねてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) バス1日券の利用範囲拡大についてでございます。バス1日券につきましては,マイカーの増加が進む中,市バスの利用促進の観点から,平成6年度に均一運賃区間内で御利用いただける乗車券として600円で発売を開始した後,700円に価格改定し,その後,規制緩和に伴う民間バス事業者の新規参入対策として500円に大幅値下げしました。このバス1日券の利用範囲を広げるには,均一運賃区間を拡大する必要があり,民間バス事業者の御理解と御協力を要します。この間,京都バスの御理解の下,平成26年3月の嵯峨・嵐山地域を皮切りに,岩倉・修学院地域,上賀茂・西賀茂地域への均一運賃区間の拡大を受け,バス1日券の利用範囲も広がり現在の価格は600円となっております。来年3月には,西日本ジェイアールバスの御英断により高雄地域に均一運賃区間を拡大し,バス1日券の利用範囲も更に広がります。民間バス事業者にとって,均一運賃区間の拡大は経営に大きな影響を与えます。残る桂・洛西地域及び横大路地域においても,民間バス事業者の御理解と御協力を得られるよう努めているところでありますが,コロナ禍により,交通局はもとより民間バス事業者の経営は危機的な状況にあることから,合意を得ることが更に困難な状況になっております。大変厳しい状況ではありますが,経営上の課題解決策を民間バス事業者とも協議しながら,御理解が得られるよう粘り強く働き掛けてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(吉川雅則) 水道料金,下水道使用料の減免についてお答えいたします。本市の上下水道事業は,水需要の減少傾向が続く一方で,老朽化した大量の管路及び施設の更新に必要となる事業費は一層増大していく見通しであり,今後事業を安定的に運営し,50年,100年先の将来にわたって水道,下水道を守っていくためには,必要な財源を確保しながら,他都市に比べて高い水準にある企業債残高を縮減しつつ,改築更新を計画的に推進していく必要があります。このような中,今年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により,特に,事業用での使用水量の減少が著しいことから,4月以降の5箇月間の上下水道料金は,前年同期と比べて約13億円の減収となるなど非常に厳しい経営環境となっております。そのうえで,例えば,上下水道料金の基本料金を2箇月分全額免除した場合,更に約27億円の減収となり,更新に必要な財源確保のため企業債の追加発行を要し,将来世代に負担を先送りすることとなることから,減免の実施は困難であると考えております。なお,新型コロナウイルス感染症の影響によりお支払が困難なお客さまに対しては,お申出により最長で6箇月間の支払猶予を実施しているところであり,今後も引き続き丁寧に対応してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,やまね智史議員に発言を許します。やまね議員。 〔やまね智史議員登壇(拍手)〕 ◆(やまね智史議員) 伏見区選出のやまね智史です。私は,日本共産党京都市会議員団を代表し市長に質問いたします。 まず初めに,新型コロナの影響により困窮する学生,若者に対し,大学のまち,学生のまち,京都にふさわしい支援を行うことについてです。8月19日,立命館大学の学生新聞が,約1,400人の学生が回答したアンケート調査の結果として,約10人に一人が退学を視野に,4人に一人が休学を視野に入れていると発表したことは日本中に衝撃を与えました。学生団体FREE京都の調査でも,京都の学生の4人に一人が休学,あるいは退学を考えているとの結果であり,重大な事態です。バイトの収入減で学費や下宿先の家賃が払えない,オンライン授業対応のため新たな経済的負担が発生した,サークルの新歓も中止,大学の施設が思うように利用できず卒論が進まない,実習や留学もできず不安,就活もできないなど,学生の皆さんは幾つもの困難に直面しています。 若者が学ぶ機会を奪われる,制限されることは,若者本人だけでなく社会にとって大きな損失です。市長は,京都の学生の4人に一人が休学,あるいは退学を視野に入れている事態をどう受け止めておられますか。学生の学ぶ権利と生活を保障することは,国はもとより,自治体の重要な責任であると考えますがいかがですか。答弁を求めます。 この春,京都で独り暮らしを始めた新入生の方は,4月から大学生活が始まる,バイトもしようと思っていました。ところが大学の授業もアルバイトも,当たり前のようにあると思っていたものがなくなってしまった。友達を作ることもできず孤独に過ごしている新入生も多いです。このような時に自治体の公的支援があれば安心できますと語られました。 京都市内の大学で非常勤講師をされている方は,GoToキャンペーンよりもやるべきことがあるのではないか,学生たちはバイトもできず,勉強も就職活動も思うようにできず,まちに出れば若者が悪いように言われ,悩んでいます。下宿に閉じこもっている学生も多い。学生は自分たちが忘れられているという思いです。こういうときに京都市が具体的支援で,あなたたちのことを行政は見捨てないというメッセージを発信してほしい。大学のまちなら,なおさらですと語られました。 そこで,以下の点について,京都市が取り組むよう強く求めます。 1点目は,困難を抱えている学生から直接声を集め,実情を把握することです。政府が,学生支援緊急給付金で想定したのは,全学生の約10人に一人でした。しかし,冒頭紹介した学生団体の調査では,退学や休学を考える学生は4人に一人という結果です。明らかにギャップがあります。今こそ適切な実態把握が必要です。新型コロナの影響による学生アルバイトのシフト削減や,内定取消しなど就職活動への影響調査については,既に常任委員会で,実現に向けた検討を進めていると答弁されています。速やかな実施を求めますがいかがですか。お答えください。 くわえて,学生支援緊急給付金について,大学ごとに説明内容や申請状況が異なる事態が生まれました。要件をほとんど満たしているにもかかわらず受給できなかったとの声も寄せられています。京都市内の大学における学生支援緊急給付金の申請状況,支援から漏れた学生の実態等について,京都市として調査を行うべきと考えますがいかがですか。お答えください。 2点目は,困窮する学生生活への直接支援です。本人や保護者の収入減,オンライン対応のための臨時出費で学生の経済状況は悪化しています。返済が不安だけど奨学金を借りることにしたという学生も生まれています。この春,京都に来た専門学校生の方からは,実家からの仕送りは食費のみ,学費と下宿先の家賃はバイト代と奨学金で賄う予定でした。ところがコロナの影響でバイトが見つからず,このままでは家賃を払えませんとの相談が寄せられています。今こそ市独自の給付型奨学金や奨学金返済を支援する制度を作るべきではありませんか。そして,京都で学ぶ学生が,家賃を払えないために学業を諦めることがないよう,市独自の家賃補助制度創設や市営住宅の活用などを検討すべきではありませんか。答弁を求めます。 また,収入減で満足な食事を取ることができない学生も生まれています。健康的な学生生活が送れるよう,京都市の中央卸売市場や市内の農家とも連携し,学生への食料支援を検討すべきです。食料配付や現金支給など,学生生活を独自に支援する大学や団体に対し本市が経費の一部負担を行う,あるいは,地域の飲食店や商店街が取り組む学割サービスに対し京都市が支援を行うべきではありませんか。答弁を求めます。 学生支援に関わってもう一点重要なことは,そもそも大学の学費が高く,多くの若者と家計を苦しめてきたことです。非正規雇用の増大で国民一人当たりの可処分所得は下がり続け,さらに,消費税増税が家計に重くのしかかる中でも大学の学費は上がり続け,国立大学授業料の標準額は53万円,私立大学の授業料平均額は90万円を超え,文系で100万円,理系で150万円を超える授業料が普通となっています。 2012年,当時の外務大臣は,高等教育無償化への取組を国会の場で約束しました。ところが問題はいまだに解決していません。もし高等教育が無償化されていたら,今回の新型コロナの影響で起こった学生の困窮は,少しでも防げていたのではないか,そのことを立ち返って考える必要があるのではないでしょうか。市長はどうお考えですか。答弁を求めます。 今こそ全ての学生を対象に一律学費半額が行えるよう,国に対し,京都市立芸大など公立大学への基盤的経費支援制度を復活させること,また,国立大学への運営費交付金及び私立大学への私学助成金の抜本的増額を求めるべきではありませんか。以上,まずここまでの答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) コロナ禍における学生支援についてでございます。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け,多くの学生が経済的な困難や不安を抱えている状況にあり,安心して学ぶ環境を維持,充実させることが不可欠であると認識しております。こうした状況への対応は,全国の学生に関わる重大な課題であり,直接的な経済支援につきましては国において統一的に対応する必要があるものと考えております。本市としては,この間,市内の各大学,学生との意見交換等も踏まえまして,修学に係る経済的負担軽減策の充実などを国に対して繰り返し要望しており,国においては,各大学が実施する授業料減免等に対する支援や,経済的理由により学びの継続が困難な学生に対し,各大学が推薦すべきと判断した全ての学生に支援を行き届かせるとの方針の下,一人当たり最大20万円を支給する学生支援緊急給付金に取り組んでおります。 くわえて,本市独自の取組として,キャンパスプラザ京都において,Wi-Fi環境が整備された学習スペースを設けるとともに,その運営の補助として学生スタッフを雇用いたしました。また,経済状況が悪化した学生を市役所や市立学校における非常勤職員等として直接雇用するとともに,民間企業と連携し,感染防止対策を明記したアルバイト情報を紹介する特設サイトを開設するなどコロナ禍の影響を受けた学生等がアルバイト探しをする上で抱く不安を解消しつつ,学生の働く機会の創出につなげております。 コロナ禍による学生の就職活動への影響につきましては,京都府と連携してアンケート調査を実施いたしております。現在,集計,分析作業を進めているところであり,奨学金の返済支援につきましても,市,府,経済界の連携により創設した就労・奨学金返済一体型支援事業の活用促進に努めております。 さらには,学生を含む週20時間以上勤務の非正規雇用労働者を雇用する事業者への補助制度の創設の実施などコロナ禍における学生支援に様々な取組を現在進めております。くわえまして,市内39の大学,短期大学を対象とした1校当たり約500万円,総額約2億円の補助制度も創設し,メンタルケアや授業理解促進など各大学の学生支援の取組を後押しをしているところでございます。質問の中で色々触れていただきましたけれども,今後とも,国や府,各大学,大学コンソーシアム京都等とも連携し,コロナ禍における学生の支援に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 下間総合企画局長。 〔下間総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(下間健之) 大学の教育費等についてでございます。学ぶ意欲のある学生の皆さんが経済的理由により大学での学びを断念することがないよう教育費の負担軽減を図ることは重要な課題であります。本市としては,学生が出身地を越えて進学する状況を踏まえれば,直接的な経済支援については,国において統一的に対応すべきと考えております。本市では,この間,国に対して大学運営の基盤的経費の充実と共に,学生の修学に係る経済負担軽減策充実の要望を重ねており,国においては,今年度給付型奨学金等の額及び対象者を大幅に拡大する修学支援新制度が創設され,給付型奨学金は昨年度の140億円から2,354億円へと約17倍の予算措置がされるなど充実が図られてきております。今後とも,学生が安心して学べる環境づくりに努めるとともに,国に対し引き続き強く要望してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) やまね議員。 〔やまね智史議員登壇〕 ◆(やまね智史議員) 学生支援について,市における臨時雇用,そして実態調査への言及はありましたが,全体としてこれまでの域を出ない答弁であったことは大変残念です。学生の皆さんは市内人口の10パーセントを占める,文字どおり大学のまち,学生のまち京都を担い,支える存在です。にもかかわらず,2019年度の決算を見ると,一般会計の歳出7,704億9,400万円のうち学生関連の支出は約2億9,000万円,全体の0.037パーセントにすぎないばかりか,その内容も,学生の生活を直接支援するという視点がほとんどありません。市の大学政策に学生の生活支援をしっかり位置付け,予算を確保することを強く求めます。 次に,文化芸術関係者への支援について質問します。私は,この間,コロナ危機によって様々な影響,損失を受けながら,この京都で懸命に活動されている皆さんにお話を伺ってきました。ライブハウス,クラブ,小劇場,ダンススタジオなど運営,経営されている皆さん,ダンサーや音楽家,俳優,照明,音響スタッフ,舞台監督の方々など,いずれも大変な事態に直面されています。 2月後半からライブがなくなり,3月から6月は何もない状態だった。海外ツアーや全国ツアーは全部中止,50本以上仕事がなくなった,照明,音響など技術スタッフが業界を離れてしまえば,劇場を再開した時も活動が困難になる,当面の仕事がキャンセルになっただけでなく,来年以降どうなるのかが全く見通せず不安,レッスンの再開をみんな待ってるかと思ったが,この機会にやめる人もいた,本番がないというのは,目標に向かう楽しみがなく,モチベーションを保つのが難しいなど,仕事,収入の激減とともに,将来への不安,精神面でも追い詰められる実情が伺えました。 同時に,共通して語られたのが文化芸術活動が持つ意義についてであります。ホールでピアノやダンスの発表会など行うことそのものが喜びや文化の発信になる,その表現の場が奪われることは大きな社会的損失だ,音楽は衣食住ではない部分で生きるために必要なこと,自粛や仕事がつらいときに心の支えになったとの声を聞いて,自分の仕事の意味を見詰め直したとの声も寄せられました。 ダンスがあるから頑張れる,レッスンがないと鬱になるという生徒もいます。日本では子供たちが自己表現できる場が少ない。だからこそ自分の好きな音楽を聴いたりダンスをするのがすごく大事なことなんです。感動,涙,拍手も含めて自己表現です。ダンスのレッスンに来たら,自分の存在を感じられる。生きる力になる。それがエンターテインメントの力なんですと話された方もおられました。 そこで市長にお聞きします。日本国憲法第25条にはすべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると明記されています。文化芸術活動は,決して一部の人のものではない,ぜいたく品などではない,人間が生きるために必要不可欠なものだと考えますがいかがでしょうか。認識をお聞かせください。 また,国の文化芸術活動の継続支援事業は,公演中止などへの補填ではないこと,今後新たに立ち上げる公演などが対象で活動費の3分の1または4分の1は自己負担が必要なこと,申請が複雑なことから諦めるケースもあり,日本俳優連合のアンケートでは,6割が申請していないという状況です。そもそも我が国の文化予算は,国家予算に占める割合で見れば,ドイツの4分の1,フランスの8分の1,韓国の10分の1という水準です。市長は,国の文化予算が少なすぎるという認識をお持ちですか。また,国の文化芸術活動の継続支援事業について改善を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。 京都市による具体的支援について聞きます。 一つ目に,文化芸術関係者の生活保障についてです。京都市が実施した芸術家等の活動状況に関するアンケート調査の結果でも,約1,400件の回答のうち9割を超える個人,団体,事業所が,イベント等の延期,中止を経験し,損失額の平均は個人で約88万円,団体,事業所で約364万円,必要とする支援は損失の補填が最も多いことが示されました。この実態と要望にどう応えるかが問われています。 すばらしい技術をつなぎとめるには,明日生きるお金が必要だ,公演やイベントは1年,2年先を見越して計画する,長期的な視点と継続した支援が必要だ,京都市の文化芸術活動再開への挑戦サポート交付金の採択件数はたった11件,余りに少なすぎる,京都市の支援は新規事業に限られる,子供たちのパフォーマンスの場を作るなど長年地道に取り組んできた活動がなぜ支援してもらえないのかなどの声が寄せられています。 コロナ危機の収束が見通せない中,京都市のアンケート報告でも述べているように,継続的に文化芸術活動を支援することが必要です。そこでお聞きします。文化芸術関係者への実態調査を今後も継続して行うとともに,関係者の皆さんに喜ばれた京都市文化芸術活動緊急奨励金を,新規事業だけでなく,これまで行われてきた取組も対象にするなど改善,発展させ,すぐにでも追加実施するべきではありませんか。 二つ目に,ライブハウス,クラブ,小劇場,ダンススタジオなど発表・鑑賞拠点への支援についてです。アーティストの皆さんも,市民の皆さんも,活動できる場所を切実に求めておられます。同時に,イベントを行う際,ガイドラインに従ってあらかじめ客席や入場者を減らせば,減収となることは避けられません。7月特別市会と今市会の補正予算で発表・鑑賞拠点への支援が一部具体化されたことは一歩前進ですが,決して十分ではありません。 例えば7月補正の文化芸術活動再開への発表・鑑賞拠点継続支援金は,練習や稽古,録音,収録が目的の施設や専ら収蔵品等を展示する美術館,博物館等は対象外で,予算額の上限もクラウドファンディング分を含めても2,000万円,それを均等割交付,さらに交付時期は12月頃というものです。少なくない施設が存続の危機に直面する中で,余りに不十分と言わなければなりません。舞台芸術は,リハーサルや練習も含めて成り立つもので,練習場所が対象にならないのはおかしいとの声も寄せられています。 今議会の補正,感染拡大防止と文化芸術活動の両立支援補助金の施設使用料等補助は,先着順で1回きり,これまでに行われた取組や,学芸会,発表会などは対象外です。文化芸術活動の発表・鑑賞拠点への支援や施設利用料等の補助については,対象となる施設や事業を広げること,また,これまで行われた取組も対象として過去に遡って遡求できるようにすること,そのために予算を抜本的に拡充し実施すべきと考えますがいかがですか。答弁を求めます。 文化芸術活動に関わって,もう一点重要なことは,京都市の公共施設で市民や子供たちの文化,芸術活動の場を保障することです。その点で5月14日,京都市と京都府が京都こども文化会館を今年11月末までに閉館すると発表したことは重大です。京都こども文化会館は,青少年の健全育成,優れた文化芸術に接する機会の保障,青少年が自ら文化芸術を創造し発表できる場を提供するため,京都府と京都市が協力して設置したものであり,全国に誇るべき施設です。建物の老朽化で安全面が確保できなくなったから閉館するなど京都市の責任を放棄するものであり,断じて許されません。必要な設備更新や改修を行うことこそ京都市の責任ではありませんか。 京都市はこども文化会館の改修には約10億円,建替えには20億円掛かるとしていますが,その一方,文化庁移転に伴う庁舎整備は数十億円と言われます。文化庁の庁舎整備を行いながら,子供の文化活動のための施設をなくしたのでは,全くの本末転倒,およそ文化芸術都市の名に値しません。 コロナ危機のもと,子供たちは様々な活動の機会を心待ちにしています。子供を含む利用者や関係者,市民の声を受け止め,京都こども文化会館の閉館方針は撤回すべきです。今こそ京都府と再度協議し,必要な改修や建替えのための検討を行うべきです。答弁を求めます。 次に,呼込み型の観光政策を今こそ見直し,市民生活最優先,地域循環型の京都経済をつくるという問題です。先日,伏見稲荷界わいのお店を訪ねました。どこでも共通していたのは,ようやく元の伏見稲荷に戻った感じだ,京都市は海外からの観光ばかりに力を入れていていいのか,もっと市民生活に目を向けるべきとの声です。ある老舗の御主人は,観光客であふれていたときは,伏見稲荷がお参りの場でなくただの撮影スポットになっていた,民泊が乱立し白タクが長時間何台も店の前に停まり,混雑と排気ガスでなじみのお客さんも離れてしまったと話されました。別のお店では,観光客目当てのお店が乱立し地元の人が生鮮食品や生活雑貨を買うお店がどんどんなくなりました,内は地元の方が買いに来てくれ,持ち家で家賃も掛からず,家族経営なので何とかやっていけてますと話されました。昔ながらの旅館を経営されている方は,質の悪い簡易宿所の乱立で環境が悪化し,昔からのお客さんが離れてしまった,土地を売ってくれと事業者が頻繁に訪ねてくるようになった,自分たちは昔からここに住み商売をしているのに,まるで追い出されるような気分だ,ここに住んでいてはいけないのかという気持ちになったと話されました。京都市の呼込み一辺倒の観光政策が,観光客でにぎわう地域でも深刻な矛盾,経済的影響を作り出してきたのです。 観光とは,外から宿泊施設や観光客を呼び込めば成り立つというものではありません。そこに暮らす人々の暮らしと住環境,地場産業,歴史的景観や文化財が守られてこそ成り立つものです。今こそ深刻な矛盾を生み出した外需頼み,海外からのインバウンドを当て込む観光政策,経済政策を転換すべきと考えますがいかがですか。答弁を求めます。 新型コロナの感染拡大が収束せず,PCR検査も十分に拡充されない中で,政府はGoToトラベルキャンペーンを始めました。読売新聞の世論調査では,GoToキャンペーンの開始時期について,適切だったが10パーセント,適切でなかったが85パーセントとの結果でした。独立行政法人中小企業基盤整備機構が発表した全国の中小企業者等2,000社へのアンケートでは,宿泊,飲食などサービス業で,プラスの効果を感じているが僅か5.3パーセント,分からない・どちらとも言えないが19.5パーセント,効果を感じていないが75.1パーセントでした。そもそも,中小の旅館・ホテルは登録が進んでおらず,1兆円を超える巨大事業の恩恵が大手事業者に偏り,経済対策としても全く成功していません。 京都市に今求められているのは,国のGoToキャンペーンに飛び付くことではなく,国民の大事な税金は,医療と暮らし,観光業界も含めた事業者への直接支援に充てるべきと国に迫ることではありませんか。答弁を求めます。 今年度は,京都市の次期観光振興計画の策定年度ですが,政府はこの期に及んでも2030年に6,000万人,コロナ以前の倍規模という外国人観光客の誘致目標を変えていません。また,京都市観光協会が示したロードマップには,今年度末には日本人観光客がほぼ回復し,来年12月には外国人観光客もコロナ以前に回復する目標水準が書かれています。いずれも余りに非現実的なものと言わなければなりません。今やインバウンドブームの継続を前提に策定された観光振興計画そのものが破綻し,目標としてのリアリティを失い,これまでの内容を大きく見直すべき局面にあります。京都市の次期観光振興計画策定に当たっては,観光客と宿泊施設を激増させた京都市宿泊施設拡充・誘致方針は撤回し,市民生活と住環境,京都の歴史的景観や文化財,市内産業を守ることを最優先に位置付ける計画とすべきではありませんか。お答えください。 そして新景観政策の高さ規制は緩和しないこと,市民の財産である学校跡地のホテル転用はやめることも強く求めておきます。 また,コロナ収束後,再び国内外の観光客を受け入れ,住んで良し,訪れて良しの京都市とするためには,全ての宿泊施設に管理者常駐を義務付ける,路地奥,細街路,住宅密集地では宿泊施設を許可しない,周辺住民との協議,合意を条件にするなど,今こそ国内外の都市で既に実施されている住環境を守るルールを条例に位置付けるべきではありませんか。答弁を求めます。 京都市の宿泊施設が過剰供給状態となっていることは,既にコロナ以前から明らかでした。市長も昨年来,宿泊施設は数としては満たされている,市民の安心安全,地域文化の継承を重要視しない宿泊施設は今後お断りしたいと発言されてきました。そこで最後に,改めて,市民生活と住環境を守る京都市の姿勢について,具体的事例でお聞きします。 一つは,世界遺産仁和寺の門前で,共立メンテナンスという事業者が巨大ホテルを計画している問題です。当該地域はその多くが第一種住居地域であり,建築基準法に従えば本来3,000平方メートル以上の旅館業施設は建てられません。ところが京都市は,法的拘束力がなく要綱にすぎない上質宿泊施設誘致制度でお墨付きを与え,建築基準法で規制されている2倍近くの面積,延べ5,800平方メートル,客室数約60室以上ものホテル計画を特例で進めようと事業者へアドバイスしています。現在の計画では,仁和寺の正面仁王門階段下からの西山への眺望は遮られ,沿道からの双ヶ岡への景観も奪われます。京都の歴史的景観を破壊し,京都が京都でなくなる事態を作り出しているのは,市長自身ではありませんか。 また,9月19日付け京都新聞でも報じられたように,事業者が意見聴取のための書面を配布した地域を市民団体の方が訪問したところ,地域約200軒の過半数106軒の方が回答され,ホテル計画への賛成は僅か8軒,反対は50軒,合意形成の手法に納得しているのはたった2軒,納得していないが77軒と,周辺にお住まいの方の合意が形成されているとは,到底言えない事実も明らかとなりました。仁和寺門前の地域では,建築基準法の特例を認めず,3,000平方メートル以上のホテル計画は認めるべきではないと考えますがいかがですか。 もう一つは,私の地元伏見区の深草祓川町,住宅密集地,袋小路の場所で,レ・コネクションという事業者が簡易宿所を計画している問題です。これまでも周辺住民の皆さんから切実な訴えが,陳情という形で京都市会にも繰り返し寄せられてきました。20人規模の施設でありながら管理者が常駐しない,火災や地震発生時の危機管理,コロナ禍における感染症対策について説明を求めても無回答,住民の問合せを長期間無視する,説明会では事業者が笑みを浮かべながら,その質問に答える意味ありますと住民をばかにした態度を取る,住民側は工事について物理的な妨害行為を一切していないにもかかわらず損害賠償請求をちらつかせる脅しめいた文書を送り付けてくる,住民の私有地を勝手に工事車両が通り器物破損が発生するなどの状況で,住民の皆さんは事業者の横暴な対応に日々驚きと恐怖を感じておられます。 市長は,この現状が市民の生活環境と調和していると思いますか。市長は,市民の安心安全,地域文化の継承を重要視しない宿泊施設はお断りと言いながら,周辺住民とトラブルをくり返す事業者の計画を認めるのですか。このような事業者の計画はきっぱりお断りする姿勢を示していただきたい。いかがでしょうか。 以上,今こそ京都市が市民生活と住環境を守る立場に立つことを重ねて求めて,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) やまね智史議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナを受けた観光政策についてであります。本市におきましては,この間,地域との調和を最重点に,観光振興を通じた京都経済の活性化や雇用の創出,地域固有の文化,文化財,伝統産業,景観の継承等を重視し,市民の皆様の生活の豊かさを目指した幅広い施策に関係者と共に取り組んでまいりました。修学旅行をはじめとする国内観光客の誘致にもしっかりと取り組んでおり,インバウンドに特化してきたということは全くありませんが,観光客数の17パーセントであるインバウンドの消費額は,観光客全体の約3割を占めており,京都経済に与える影響は非常に大きいものがございます。 国のGoToトラベルキャンペーンは,感染予防対策を講じていることを店舗等を参加条件とするとともに,観光客にも啓発を行うなどにより,安心で安全な旅のスタイルの定着と厳しい状況にある地域の飲食店や旅館,ホテル,小売店など関係産業の回復を図る取組であり,本市といたしましても,引き続き,観光関連団体と一体となって,多くの市内の事業者の皆様がGoToトラベルキャンペーンの効果を十分に取り込めるよう支援してまいります。 あわせまして,コロナ以前から生じておりました一部地域の混雑やマナーの問題,宿泊施設の急増に伴う課題等につきましては,今日まで50の事業について全庁を挙げて,また,地域と共に取り組んでいるところであります。とりわけ,宿泊施設につきましては,徹底した違法民泊根絶対策はもとより,カプセルホテル等を制限する地区計画の策定といった地域主体のまちづくりの支援等を行うとともに,宿泊施設立地に際しての構想段階からの事前説明手続の充実や,一般客室内部にまで踏み込んだバリアフリーの義務化など更なる充実に向けた取組を強力に進めております。 次期観光振興計画につきましては,これまでの取組を総括いたしまして,多くの方々の英知を結集し,観光課題解決先進都市として,より観光が持続可能なものになることを目指しまして,京都観光全体の在るべき方向性を示しまして,ウィズコロナ時代のモデルとなるものとなるよう策定を進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,新型コロナを受けた文化,芸術活動の支援及び地域と調和した宿泊施設についてお答えいたします。 文化芸術活動に対する支援についてでございます。人が心豊かに生きるためには,文化芸術は必要不可欠なものであり,とりわけ,コロナ禍において,その役割は極めて重要であると認識しております。そこで,文化芸術立国の実現に向けて,機能強化された新・文化庁が移転する文化首都・京都として,これまでから国に文化予算の拡充を要望しており,引き続き,制度改善も含め必要な要望を行ってまいります。本市では,本年4月,全国に先駆けて緊急奨励金制度を創設し,新規事業のみならず制作や調査研究など幅広い取組に上限30万円の奨励金を速やかに交付し,各方面から高い評価を頂いております。5月には,自治体初となるアンケート調査を実施し,文化芸術関係者のニーズを的確に捉え,文化芸術総合支援パッケージを7月補正予算で実施しております。さらに,昨日の本会議で御議決いただいた感染拡大防止と文化芸術活動の両立支援補助金など緊急奨励金の追加実施という形ではなく,文化芸術関係者の置かれている状況に寄り添い切れ目ない支援策を展開しているところでございます。また,発表・鑑賞拠点への支援や施設使用料補助の対象につきましても,限られた財源を最大限有効に活用する観点から,文化芸術に触れる機会の創出や,文化芸術活動の継続,再開,民間も含めた施設利用の促進など多くの関係者に支援が届くよう制度設計しているものでございます。引き続き,文化芸術関係者の実態を的確に把握し,全国の先頭に立ち,文化芸術のともしびをしっかりとともし続けてまいります。 次に,地域と調和した宿泊施設についてでございます。本市では,市民生活を最重要視し,市民の皆様と宿泊者の安全安心の確保や,京都にふさわしい良質な宿泊環境を整備するため,法律の範囲内という限界ぎりぎりまで挑戦した全国一厳しい条例の制定をはじめとした独自ルールを定め,全庁挙げて宿泊施設の適正な運営がなされるよう取り組んでおります。市民の生活環境を脅かす違法な民泊は断じて許さないという強い決意の下,徹底的に指導に取り組んできた結果,平成28年4月からこれまでに通報があった2,647施設のうち,99パーセントの施設が営業中止等に至っており,本年8月末現在,調査指導中の施設は5件となり,苦情件数も激減するなど大きな成果を上げております。旅館業の新規開設に当たりましては,施設が構造設備基準に適合しており,公衆衛生上適当な場所にあるときは許可するものとされており,法令に反しないものを本市として恣意的に不許可とすることはできません。しかしながら,住民の理解を得ていくことは極めて重要であることから,様々な取組を本市独自に行っており,具体的には,旅館業法の許可申請の20日前までに施設の概要などを記載した標識を掲示するとともに,近隣住民への事前説明を行うことを営業者に対し義務付けております。さらに,地域住民と営業者との間の信頼関係を構築するため,説明会や協定書の締結について助言するほか,地域住民からの求めに応じ「民泊」地域支援アドバイザーを派遣するなど,周辺住民の不安やお困りごとを具体的に解消する仕組みも設けております。また,営業者等の施設内駐在に関しても,経過措置期間が終了した本年4月から,既存施設を含めた全ての営業者に適用しており,京町家活用施設など玄関帳場設置の例外となる場合にも,おおむね10分,800メートル以内の場所に営業者等が駐在することを義務付けております。さらに,本市会においては,これを厳格に運用できる条例改正についても提案しております。宿泊施設の立地規制に関しましては,建築基準法に基づく用途制限や接道規定等が定められ,また,先ほど市長からも答弁いたしましたように,四条繁栄会商店街振興組合の取組によりまして,いわゆるカプセルホテルの制限など,住民意思をまちづくりに直接反映させるための地区計画や建築協定といった制度の活用も図っており,さらに,本市独自となる宿泊施設立地に際しての構想段階からの事前説明手続の充実や,宿泊施設の質の向上に向けた一般客室の内部にまで踏み込んだバリアフリー基準の更なる充実について,現在,パブリックコメントを実施しているところであり,引き続き,本市の独自ルールが確実に守られ,地域住民の皆様と事業者の調和がしっかりと確保されるよう取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 糟谷観光政策監。 〔糟谷観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(糟谷範子) 仁和寺門前ホテル計画についてでございます。建築基準法によって宿泊施設の立地が制限されている区域においても,宿泊施設の建築は,一律に禁止されているわけではありません。周辺の住居の環境を害する恐れがないことなどの一定の条件の下で,建築審査会における審議など,所定の手続を経て,許可を受けることで,建築が可能となるものであり,法が予定する正当な判断手法の一つであります。上質宿泊施設誘致制度は,この手続に入る前の段階で施設の開業を望む地域や事業者から相談を受けた場合にその橋渡しを行い,地域との調和を大前提に地域と事業者の双方にとってより良い施設となるよう支援するものです。当該計画地は,かつてガソリンスタンドやコンビニの建設が計画されましたが,地域住民の皆様が景観や風情を守るため力を合わせて阻止された経過がございます。そのような場所であるからこそ,事業者は上質宿泊施設誘致制度を活用し,計画初期段階から約3年にわたり周辺住民と協議を重ね,本年に入ってからも施設の景観デザインに住民や専門家の意見を採り入れ,更に改善を図るなど周辺景観との調和を目指し,丁寧に検討を進められています。また,計画地は,景観の保全について,高度地区や風致地区等の都市計画制限による厳しい形態意匠の基準が設けられており,美観風致審議会での審議や上質宿泊施設候補選定のための有識者会議での意見聴取等を通して,専門的な視点からもしっかりと検証してまいります。引き続き,地域に受け入れられ,安全安心の向上や文化の維持継承につながるよう調整を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 京都こども文化会館についてでございます。会館につきましては,昭和57年以来,子供たちの健全育成に重要な役割を果たしてきましたが,開設から40年近くが経過する中,施設,設備の老朽化,近隣に多数の文化施設が整備されてきたことに伴う利用者の減少等の課題が生じておりました。このため,学識経験者や青少年育成団体,地元関係者等で構成する有識者会議で御検討いただき,平成30年9月に提出された今後の在り方についての報告書を受け,会館の存続廃止双方の観点から,府市で慎重に検討を進めてまいりました。その結果,設置当時に比べ子供たちが文化芸術に親しむことができる環境が整ってきた中,耐震性能の不足など安全面におけるリスクの高まり,これらの改修や建替えに要する多額の費用なども考慮し,本年11月に閉館するとの判断に至ったものであり,閉館を撤回する考えはございません。また,閉館表明以降,利用者や関係者,地域の皆様には丁寧に説明を行っており,この方針については,おおむね御理解を得ているものと考えています。今後会館は閉館いたしますが,文化,芸術に親しみながら,子供や青少年を健やかに育んでいけるよう,府市の関係部局と連携を図り,既存施設も活用しながら,ソフト面に重点を置いて取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時54分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          署名議員  小島信太郎          同     小山田春樹 △(イメージ)陳情文書表「受理番号82」「市民税及び府民税の更正の決定及び還付」・陳情文書表「受理番号83」「聚楽保育所の移管先法人における運営の改善等」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号84」「京都こども文化会館の閉館方針の中止等 」...