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05月22日-03号

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  1. 京都市議会 2020-05-22
    05月22日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    令和 2年  5月 定例会     令和2年     定例会       京都市会会議録第3号     5月市会                       令和2年5月22日(金曜日)出席議員(66名)   1番 神谷修平議員   2番 小山田春樹議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 やまずまい子議員   6番 豊田恵美議員   7番 井上よしひろ議員   8番 山本恵一議員   9番 かまの敏徳議員  11番 森 かれん議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 大津裕太議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 江村理紗議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方浩之議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  42番 森川央議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(なし)欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和2年5月22日(金)午前10時第1 陳情の回付   一般質問 (1) 市政一般について  繁 隆夫議員 (2) 市政一般について  椋田隆知議員 (3) 市政一般について  田中たかのり議員 (4) 市政一般について  くらた共子議員 (5) 市政一般について  井上けんじ議員 (6) 市政一般について  大道義知議員 (7) 市政一般について  松田けい子議員 (8) 市政一般について  山岸たかゆき議員 (9) 市政一般について  こうち大輔議員 (10) 市政一般について  大津裕太議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。平井良人議員と神谷修平議員とにお願いをいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,陳情の回付を行います。 今回受理いたしました陳情2件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,繁隆夫議員。 〔繁隆夫議員登壇(拍手)〕 ◆(繁隆夫議員) おはようございます。伏見区選出の繁隆夫でございます。自由民主党京都市会議員団を代表し,同僚の椋田隆知議員,田中たかのり議員と共に質問を行います。 まず冒頭に,新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々に謹んで哀悼の意を表するとともに,病と闘っておられる皆様の一日も早い回復を心からお祈りいたします。また,この間の市民の皆様の御理解と御協力,そして市民の命と暮らしを守るために,今このときも最前線で頑張っていただいている医療関係,介護・保育の福祉関係,生活必需品の流通や環境・衛生管理,公共交通,ライフライン,公務を担っている方々をはじめ多くの皆様のお取組に心より敬意と感謝を申し上げます。 最初に,新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,4月7日には新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき,首都圏や大阪府等の7都道府県に,4月16日には全国に緊急事態宣言が発出されました。当初,5月6日までとされていた期限は5月31日まで延長されましたが,5月14日に39県については非常事態宣言が解除されました。京都府をはじめ八つの特定警戒都道府県は継続されることとなりましたが,5月16日からは一部の施設において休止要請が解除され,市民生活にも変化が見られることとなりました。 しかしながら,引き続き不要不急の外出や府県をまたいだ移動,イベントの開催は自粛が必要になるとともに,感染拡大を予防する新しい生活様式の徹底も求められることとなり,正に長期戦となっています。本市においては,5月21日現在,感染された方は248名,残念ながらお亡くなりの方は13名となっています。一方で,勧告解除の方も含め82パーセントに当たる204名の方は退院されました。職員,医療機関,医療従事者など,あらゆる方々の御尽力により,感染者数,感染者経路不明の割合は大幅に減少してきており,5月15日からは7日間連続で新規感染者数ゼロとなるなど,新たなクラスターの発生や医療崩壊につながるような事態にはなっていません。 このような状況の中,昨日,京都府の緊急事態宣言が解除されましたが,市民の間には先行きが見えない,厳しい状況がいつまで続くのかと不安の気持ちをお持ちの方も多いと思われます。第2波,第3波の感染拡大を防止するため,緊張感を持って新しい生活様式を続けていく必要があることから,本市が市民,事業者の皆様に寄り添い,支え,全国民が一丸となって乗り切っていくことが重要です。市長におかれましては,これまでから対策本部会議を通じて,市民,全国に繰り返し呼び掛けられ,迅速かつ柔軟に対策を立案,実施いただいているところであります。とりわけ本市独自の支援策である中小企業等緊急支援補助金には1万件を超える応募があるなど,休業要請を行った業種だけでなく幅広い中小企業,小規模事業者の皆様に事業を継続いただき,雇用を守っていただくための支援策であり,市民に寄り添った市政を運営している京都市ならではの非常に有効な取組であったと思います。新型コロナウイルスへの対策が長期化している今,より一層リーダーシップを発揮し,京都府とも緊密に連携して,力強いメッセージを発することが必要だと思います。市民の命と健康,暮らしを守り,予算を上回る補助金の応募があった中小企業等の雇用を守り,京都経済をしっかり支え,子供たちの学習を保障するためには更なる対策が必要だと思いますが,今後どのように取り組もうと考えておられるのか,その市長の認識と決意をお伺いいたします。 新型コロナ感染症を踏まえて,4月に示された行財政運営方針では,市民の命と暮らしを守るため,あらゆる資源,人材,財源を投入し,ちゅうちょすることなく必要な財政出動を行うこととされ,国の緊急経済対策を最大限に活用し,4月補正予算,5月補正予算を編成され,さらに本市会で追加の補正予算の準備もされています。 一方で,収入減少している市民や中小企業等を支援するため,個人市・府民税,法人市民税,固定資産税等,全ての市税の徴収猶予を受けることができる特例制度を実施されるなど,市税収入は大きな減収が見込まれます。財政調整基金が令和元年末に枯渇し,厳しい財政状況の本市にとって,新型コロナウイルス感染症の長期化による影響は甚大なものになることが想定されます。また,財政再建を強く目指しておられる市長にとっても,大きく出鼻をくじかれた形となっています。しかしながら,新型コロナウイルス感染症対策はもちろんのこと,財政健全化も待ったなしの状況です。市長,この難局をどのように乗り越え,どのように財政運営されるのかお考えをお示しください。 さて,新型コロナウイルス感染症の拡大防止に留意しつつ,簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うため,特別定額給付金事業が実施されることとなりました。本市では,5月13日にコールセンターが設置され,5月15日からはマイナンバーカード所持者に対するオンライン申請の受付が開始されましたが,郵送申請者の送付,受付開始は6月上旬,その後順次給付が開始されることとされ,具体的な時期は明確に示されておりません。市民から,他都市と比べて遅いという声をたくさん耳にしています。実際には,他の政令市と比べてもさほど差はないのですが,そのような印象を与える要因の一つとして,情報が十分に行き渡っていない,発信のタイミングが遅いということがあると思います。 また,市長はこの間,経済状況を見定め,4月補正で中小企業等緊急支援制度文化芸術活動緊急奨励金制度を本市独自に創設されています。国や京都府においても,経済支援策が打ち出されており,これからもその時々に応じて新たな制度が用意され,市民生活への支援も行われるものと思われます。ここで大事なのは,今一番知りたい情報を最も困っている方々にどう伝えていくのか,制度の対象となる方にどのように活用していただくのか,そして疑問を持たれたことに速やかに的確に答えていくことであります。その情報発信が市長からのメッセージとなり,市民や企業の方々にとって大きな励みになるものと思われますが,特別定額給付金事業のスケジュールをはじめ,最新の情報を効果的に分かりやすく発信することについて,どのように工夫していこうとされているのかお考えをお聞かせください。 続いて,新型コロナウイルス感染症に関して,大学のまち京都・学生のまち京都ならではの支援についてお尋ねいたします。本市には,38の大学や短期大学が集積し,市民147万人の1割に相当する14万7,000人の学生が市内で日々学んでおられます。その中には,新型コロナウイルス感染症の影響により,アルバイト収入が大きく減少し,学びの継続が困難になっている学生もおられます。多くの大学ではキャンパスへの立入りが制限され,オンラインでの学びを余儀なくされるなど,学生を取り巻く状況が激変しています。この間,本市においては,アルバイト先の休業等で経済状況が悪化した学生を対象に,非常勤職員の臨時募集が行われました。多くの大学でも,学生の学びを守ろうと全力で取り組んでいただいています。全国で最も誇るべき大学のまち京都,学生のまち・京都として,更に各大学と連携し,学生の皆さんの学びの継続のために取り組むべきと考えます。市長のお考えをお聞きかせください。 次に,経済,特に京都の基幹産業である観光についてお伺いします。この間,京都の経済は大変厳しい状況が続いており,とりわけ観光関連産業は深刻です。インバウンドの急減と自粛による消費減退から,旅館・ホテル,飲食・小売業その他の観光サービス業が大打撃を受け,それらの事業者と直接又は間接的に取引されている関連の企業まで,正に川上から川下まで多くの産業,企業,事業者に甚大な影響が出ており,このような状況に鑑みますと,京都の観光の裾野の広さと共にそのぜい弱さも改めて認識させられた次第です。今,事業者の皆様の最も大きな不安は,先の見えない中で経営を維持し,雇用を継続できるのかということであります。本市も国や府と共に様々な支援策を打ち出していますが,それが必要な人に,必要なときに届かなければ意味がありません。そのためには,まず的確で分かりやすい情報の提供。そして,何より迅速な実施。これらを強く求めておきます。 併せて考えておかなければならないのは,新型コロナウイルス感染症による社会や環境の変化を見据えた京都の観光の在り方です。この事態が収束した後には,人々の意識や行動は大きく変わっているでしょう。その中で,壊滅的なダメージを受けた京都の観光産業をどのように立て直して行くか。これは,今から考えておかなければならないことです。観光客を呼び戻すためのイベントは必要でしょう。新たな旅行商品のPRも重要。インバウンドのリスクヘッジとして,国内観光客を改めて迎え入れる取組の強化も大切。一層加速するキャッシュレス化やICT化への対応も不可欠です。しかし,私は,どのような事業を実施するにせよ,この機会に視点を置き直すべきと考えています。観光客のニーズに応えるという観点から住民や地域社会を見るのではなく,地域や社会の課題を解決するための観光という考え方。行政は,今こそこれを徹底することです。日本の文化や伝統を守るために,市民スポーツを振興させるために,また農林業や産地を維持するために,さらには医療や福祉を向上させるために,そして市民の暮らしの安寧を支えるために,観光というツールを使って何ができるのか,どう取り組んでいくのか,課題は山積しています。感染症がまん延する以前の状態に戻すのではない。このことは,歯を食いしばって頑張っておられる多くの人々の共通認識であると思います。市長は,コロナ後の京都観光の方向性についてどのようにお考えか御所見をお伺いします。 次に,家庭から出る資源物の分別,回収についてお尋ねします。まずは,新型コロナウイルスの警戒が続く中,4月末から,大変な中,ありがとうございます,お体に気を付けて頑張ってくださいなど,市民の皆様から激励の手紙や集積場所への張り紙が多数寄せられています。大変励みになっているとお聞きしており,市民の皆様方のお心遣いに感謝申し上げる次第です。本市のごみ量は,平成12年度のピーク時から半減の41万トンまで減量が進み,ここまでごみの減量が進んだのも,ひとえに,市民の皆様,事業者の方々の意識の高さ,御協力,御努力の賜物でもあり,心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。ただ,ここ数年は減量の幅が鈍化している状況であり,このままでは,増加に転じるおそれもあると危惧しており,今後,もったいないをなくす食品ロスの削減や7月から有料化となるレジ袋をはじめとした,無駄をなくす使い捨てプラスティックの削減などを中心に,更に取組を強化していく必要があります。 さて,私は以前,代表質問で市民の皆様に資源物の分別,排出の一層の協力を得るためには,リサイクル資源の見える化を図る必要があり,家電製品に含まれている金など,貴金属やレアメタルと呼ばれる有用な金属を都市鉱山としてうまく活用できないか提案いたしました。それを受け,市長は早速着手していただき,市民から回収した使用済み小型家電から抽出した金を100パーセント使用して,京都マラソンの優勝メダルを製作する全国初の取組を2018年大会から開始していただいたところです。小型家電の回収量は,この取組を開始した平成28年の148トンから昨年度は362トンと2.4倍に増加していると聞いており,リサイクル資源の見える化がうまく成功したのではないかと評価しています。また,市長は,この小型家電から抽出した金を祇園祭山鉾の金工品修復にも活用すべく,平成30年2月に祇園祭山鉾連合会などと協定を締結されたところです。山鉾の金工品修復への活用が進んでいけば,明るいニュースになると期待しておりますが,具体的な予定はどのようになっているのでしょうか。 また,小型家電をはじめ資源物の分別,回収を更に促進するためには,リサイクル資源の見える化と同時に,市民の皆様の身近な地域で排出していただけるよう利便性を高めることが重要です。本市では,かねてから,町内等で使用済みてんぷら油の回収やコミュニティ回収を推奨するとともに,区役所等では資源回収拠点を設置するなど重層的な資源物の回収に取り組んでいるところですが,一方では,リチウムイオン電池が,東北部クリーンセンターをはじめ全国的にごみ処理施設等の火災の原因になっており,今後も同様の事故が起こるのではないかと懸念しております。そこで,家庭から身近な場所で資源物を排出できるよう,更なる利便性の向上を図るべきと考えますが,リチウムイオン電池の回収の更なる取組強化と併せて,市長の御所見をお聞かせください。 最後に,大岩街道周辺地域のまちづくりについてお尋ねいたします。私が初当選したのは25年前の平成7年でありますが,深草の象徴でもある稲荷山の山麓に位置する大岩街道周辺地域は,全域が原則として開発や建築ができない市街化調整区域でありながら,当時,無許可造成や違法建築,さらには大規模な野焼きなど様々な違法行為が行われ,無法地帯と言っても過言ではない状況にありました。周辺地域にも多大な悪影響を及ぼしており,多くの方々から何とかしてほしいとの要望を頂戴し,私の初めての代表質問で,この問題を取り上げるとともに,その後も私自身も地域に入り,住民の方々の御意見を伺い,機会あるごとに提案を行ってまいりました。その結果,全庁体制による現地監視指導や適正処理指導が実施され,大規模な野焼きが行われなくなり,ばい煙などの周辺地域に被害を及ぼす状況が改善いたしました。 そして,平成22年3月に,「大岩街道周辺地域の良好な環境づくりに向けたまちづくりの方針」が策定され,地域の特徴に応じて,稲荷山側の緑豊かな地域の再生を誘導するエリア,南東側の通称・岡田山の撤去と撤去後の地区全体の環境整備を誘導するエリア,南西側の道路や下水道の生活基盤が整った地域環境への改善を誘導するエリア三つのエリアに分け,エリアごとに地域が進むべき将来像と,地域内の住民や事業者が主体となったまちづくりを推進するための地区計画制度の活用が示されました。この方針の下,南東側のエリアにおいて,崩落の危険がある岡田山の撤去に向けて,地権者の一人である民間事業者から公費負担を伴わず20年以内に撤去する計画が提案され,事業者と地元,そして京都市の三者が協定書を締結されました。平成26年から本格撤去が開始され,具体的かつ順調に進んでいるものと認識しております。産業廃棄物で形成され,地域の環境問題の象徴とされてきた岡田山は,山の頂きが目に見えて低くなるなど,本当に小さくなってきたことが実感でき,誠に感慨深いものがあります。一方で,他の二つのエリアについても本市の粘り強い働き掛けにより,それぞれにまちづくり協議会が設立されたことは承知しておりますが,目に見えた進捗がなく,まちづくりが余り進んでいないのではないかと危惧しております。 そこでお伺いします。「大岩街道周辺地域の良好な環境づくりに向けたまちづくりの方針」が策定10年を迎えますが,この地域でのこれまでのまちづくりに向けた取組と現状,そして,今後どのように対策を進めていこうとされているのかお考えをお答えください。 これをもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 繁隆夫議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症対策についてであります。市民,事業者の皆様には,自粛行動を徹底していただき,また,医療福祉をはじめ多くの皆様の懸命の御尽力により,昨日,緊急事態宣言が解除されました。心から感謝を申し上げます。 これまで,本市では,いち早く全庁的な対策本部を設置し,医療機関等との連携を深め,積極的疫学調査を実施し,特に,病院や福祉施設等のクラスターを封じ込めるため,本市独自基準によるPCR検査を徹底してまいりました。さらに医療機関への支援金を創設してまいります。これから京都は,市民ぐるみで感染拡大防止策を徹底しつつ,段階的に社会経済活動を再開する最も大事なときであり,あらゆる政策を総動員してまいります。一方で,市内中小企業等には深刻な影響が広がってきております。第1弾,第2弾に続き,第3弾の補正予算を今市会に追加提案し,本市独自事業である中小企業等緊急支援補助金を1万件を超える申請者に満額支給できるよう15億円増額し,総額25億円にいたします。多数の応募を頂いております文化芸術活動緊急奨励金を2億円増額し,総額3億円に充実。さらに,伝統産業従事者の仕事づくりや商店街の維持・強化を支援する取組等を行ってまいります。また,子供たちの学習保障は極めて重要な課題であり,休校中も各戸で家庭での学習課題の配布と指導等を行ってまいりました。6月1日から学校を順次再開し,感染拡大防止に留意しつつ,学力保障等に全力を尽くしてまいります。今後も私自身が明確な言葉でメッセージをお届けする努力を重ねるとともに,引き続き,議会との連携,府市協調,国との連携の下,市民の皆様の命と健康,暮らしを守る取組に全身全霊で進めてまいります。 次に,財政運営についてでございます。本市財政は,財政調整基金が枯渇するなど極めて厳しい状況の中,今般の新型コロナが与える影響の大きさにより,市税等の減収が見込まれるなど,未曽有の難局を迎えております。こうした状況の中ではありますが,市民の命と暮らしを守る,これが本市の最大の使命であり,感染拡大防止と市民生活・京都経済の下支えのため,あらゆる方策を採りまして,財源を確保し,ちゅうちょすることなく,覚悟を決めて支援策を講じてまいる決意でございます。同時に,国に対しましては,臨時交付金の早期の増額等を強く求めてまいります。 あわせまして,本市として,中小企業等の事業の継続への支援,雇用の維持に更なる力を尽くし,危機的な状況にある市民生活・経済の復興,ひいては財政基盤の立て直しにつなげてまいります。また,経験したことのない今回の危機を従来の行政の在り方を根本的に見直す機会にしなければなりません。短期的には,事業の休止や延期を行うことにより,今回の難局を乗り切るための人員や財源を捻出するとともに,今年度新たに設置します持続可能な財政を確立するための外部有識者会議での議論も踏まえまして,中長期的には効率的で機動的な足腰の強い財政構造を確立してまいります。 新型コロナウイルス感染症でお困りの市民の皆様,事業者の皆様への情報発信の在り方についてでございます。未曽有の危機の中,市民,事業者の皆様の御不安の大きさを私自身痛感いたしております。こうした状況にあるからこそ,本市独自の支援制度はもとより,国や府の様々な制度について,必要な方に分かりやすく,タイムリーにお届けすること,また,皆様の疑問に的確にお答えしていくことが極めて重要でございます。そのような中,市民の皆様に早くお届けすべき特別定額給付金のスケジュールに係る広報におきまして,当初不十分な点があったことを反省しており,この場をお借りしておわび申し上げます。オンライン申請分は6月上旬から,郵送申請分は6月中旬からの給付開始を目指しまして,現在100名を超える体制を構築し,懸命に取り組んでおります。繁議員からの御指摘を真摯に受け止め,広報の在り方,私自身の言葉で発するメッセージ動画の配信等新たな手法も含めまして,市民しんぶん等の紙媒体,ホームページ,SNS等のあらゆる媒体を通じた分かりやすく効果的な情報発信に努め,市民の皆様の不安の解消に努めてまいります。 次に,学生さんへの支援についてでございます。厳しい状況にある学生さんの学びを守るために,新型コロナ緊急事態に活用できる支援策を確実に学生さんに届くよう,大学等と連携した周知や本市のわかもの就職支援センターにおいて幅広い相談にも対応するとともに,国に緊急要望を行ってまいりました。国では,一人当たり最大20万円の学生支援緊急給付金など支援の充実が図られております。また,本市におきましても,学生さんを支援するために臨時職員を募集したところ,即日で募集人数70名を上回る100名の応募がございました。こうしたニーズにしっかりと応えるために,対象業務を増やし最大限採用してまいります。さらに,今後再開する学校の部活動等で御活躍いただく学生さんを新たに100名募集いたします。また,オンライン授業を受ける学生さんを支援すべく,キャンパスプラザ京都においてWi-Fi環境完備の学習スペースを提供し,さらに,その運営スタッフとして,学生の皆さんを雇用するための予算案を今市会に追加提案いたします。今後とも,大学コンソーシアム京都,各大学との緊密な連携の下,学生さんの学びの維持・充実に向けた取組を更に進めてまいります。 次に,今後の観光政策についてでございます。繁議員御指摘の地域や社会の課題を解決するための観光については,私も思いは全く同じであります。昨年,日本で初開催された国連の観光文化京都会議において,観光の力によって,コミュニティ,地域固有の文化の継承など,社会的課題の解決につなげる本市の方針と具体的取組を京都モデルとして紹介し,会議における高い評価を得て,世界で活用を進めることが京都宣言にも盛り込まれました。これからの京都観光は,そうした指針も生かし,感染前の姿に戻すのではなく,市民生活,地域文化をより重視し,市民が豊かさを感じられる観光を目指すとともに,今回の経験を踏まえ,教訓にいたしまして感染症の危機にも即座に的確に対応できるよう,国とも連携しながら,また,本市独自で可能な対策を検討するなど,市民と観光客双方,とりわけ市民の安全安心をしっかりと守る体制づくりを進めてまいります。今後こうした考えを基に更に議論を深めまして,市民や事業者の皆様と共に,観光をより地域や社会の課題を解決していく,世界の範となる持続可能な観光都市,京都を実現してまいります。 資源物の分別・回収についてでございます。まず,多くの市民の皆様からごみ収集業務への激励・感謝のメッセージ,張り紙等が寄せられ,感染拡大の厳しい状況の中で日々献身する職員の大きな励みとなっており,感謝申し上げます。 さて,京都市のごみ量は,市民・事業者の皆様の御尽力により19年連続で減少,ピーク時から半減しております。しかし,近年は減量ペースがダウンしており,更なるごみの減量には,資源物のリサイクルを強力に進めることが不可欠であります。そのためには,繁議員御指摘のとおり,資源リサイクルの見える化と市民の皆様の利便性の向上が重要であります。まず,見える化につきましては,この度,祇園祭山鉾連合会の御協力を得まして,祇園祭の長刀鉾を飾るシャチなどの装飾品を小型家電から回収した金で初めて修復することとなりました。今後もこうした取組を実行し,発信してまいります。 また,身近な場所で効果的に資源物を回収する移動式拠点回収につきまして,この秋から拠点を100箇所から400箇所に拡大し,年間実施回数を最大1,700回へと大幅に拡充するなど,更なる利便性の向上を図ります。また,資源物はもとより,ごみ処理の現場で火災の原因となるリチウムイオン電池の回収の強化にもつなげます。今後とも,全国をリードする循環型社会支援の循環型社会の取組を推進してまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 大岩街道周辺地域のまちづくりについてでございます。開発や建築が原則認められない同地域の三つのエリアのうち,南東側エリアの岡田山は,本市の指導・監督の下,民間事業者により,全体の35パーセントが撤去され,当初の想定より早いペースで進捗しております。また,建築資材を扱う事業者等が集積いたします稲荷山側エリアの違法建築物は,強力な是正指導により現在は6件となっており,当初から93パーセント減少しておりますが,事業所や住居の方が密集する南西側エリアも含めまして,住民や事業者の皆様によるまちづくりの機運を高めていくことが課題となっております。今後とも,岡田山の一日も早い撤去完了を目指しますとともに,き然とした違法行為対策を進めてまいります。あわせまして,地域住民等による地区計画制度を活用したまちづくりの機運を醸成していくため,まちづくり協議会の活動をしっかりと支えるとともに,まちづくり方策を検討する費用の一部助成など,スピード感を持って課題の解決を図り,この地域の環境改善を全力で進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,椋田隆知議員に発言を許します。椋田議員。 〔椋田隆知議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田隆知議員) 私は,南区選出の椋田隆知でございます。先輩の繁隆夫議員,また同僚の田中たかのり議員と共に,自由民主党京都市会議員団を代表し,市長並びに関係理事者に質問と提言をいたします。 まず,地球規模,世界に広がった新型コロナウイルス感染症によって,多くの人々が亡くなり,またそれ以上の感染者が,現在も病魔と闘い治療されております。我が国においても,先般20歳代の力士が亡くなるなど,コロナ禍とも呼ばれる甚大な被害が出ております。改めて衷心より哀悼の意を表しますとともに,心からお見舞いを申し上げます。このようなときにこそ求められるのが,ヒト・モノ・カネの集中と選択でございます。そのためには,政策の簡潔丁寧な説明と冷静で迅速な決断と実行が必要です。先ほどの繁議員の質問では,新型コロナウイルス感染症対策に関して,大きな観点から本市の方針を伺いましたが,私からは,様々な分野ごとの視点からの質問をします。 まずは,この非常事態の最中,大きな課題が自然災害等に伴い開設される避難所の在り方です。今回のコロナ禍を踏まえ,先般,感染症対策を踏まえた避難所運営のガイドラインが示されたところでありますが,改めて確認をさせていただきます。本市においては,昨年閉校に伴い,伝統ある番組小学校が教育施設として姿を消したことでありますが,地域に根差した生活文化である学区の避難所は,大多数が元学校も含めた施設の体育館が挙げられます。しかし,そこだけでは感染症予防のいわゆる3密は避けられません。一人でも感染者が出てしまうとクラスターが起こってしまいます。その対応には教室をはじめ,あらゆる施設を利用しなければなりません。ただ,事後において懸念されるのは,阪神・淡路大震災や東日本大震災のように,大規模災害で問題になったことでありますが,教育施設としての児童生徒の学校生活の保障をどのように行うかであります。そのためには避難期間の長短や,災害の規模を踏まえた教育プランを今すぐに作成する必要があります。現時点でのお考えをお聞かせください。 また,2月市会の総務消防委員会で分かったことでありますが,本市の災害用備蓄物資に,感染症対策のためのマスクや消毒液がなかったのであります。これについては我々議会のチェックができていなかったことを反省しています。このことを踏まえ,物品不足ではありますが,早急に準備に掛からなければならない最優先事項でありますので,今後必要となる非接触体温計や使い捨て手袋,フェイスガード,プラスチックガウン等も含めた備蓄計画についてお答えください。 次に,地域経済についてです。新型コロナウイルス感染症の影響が,本市の経済基盤を脅かし,地域企業,特に大多数を占める中小・小規模事業者が大打撃を受けています。伝統産業を含めたものづくり,飲食業や物品販売等のサービス業は,未曽有の危機にさらされており,事業主の安定と雇用の安心の保障は政治や行政の責任において最優先に取り組まなければならない課題であります。国や京都府においても種々の対応施策が始まっておりますが,基礎自治体である本市における施策についてお尋ねします。その担当局である産業観光局では本年度組織改正が行われ,産業イノベーション推進室,地域企業イノベーション推進室及びクリエイティブ産業振興室を設置されたことでありますので,それをいかした,特に事業者の業務支援,雇用支援についてお答えください。また,市営住宅の活用も含めた住居確保支援の計画についても併せてお伺いします。 次に,交通局の今後の経営についてお伺いします。管理の受委託の撤退・縮小によって直営化が避けられない中,経費の増大により経営が苦しくなっています。そのうえ新型コロナウイルス感染症の影響で大幅な旅客数の激減によって,歴史的に未体験の危機が交通局に重くのし掛かっております。今後は新たな視点をもって回復を見据え,対策が求められております。入洛客の増大によって,市民の足の確保をはじめ生活の課題が山積していたことが,夢幻のようであります。しかしながら,市民すなわち365日ないし366日生活をしている私たち住民にとって,公営交通は欠かせないものであり,その使命は大変重要であります。 そこでお尋ねいたします。今後の旅客数回復に向けた対応の考え方について,そのビジョン,またそれに伴う混雑対策,特に前乗り後降り方式については,乗降客の多い三条河原町や四条河原町のバス停は,停車時の距離が比較的長く取れますので,歩道柵の移動等を行い,これを導入することによって乗降時間の短縮による混雑対策や定時制の確保が期待されます。いかがですか,御所見をお聞かせください。 次に,水需要の安定化についてお尋ねします。一つ目は,今般のコロナ禍によって消毒液の不足がクローズアップされました。アルコールや塩素系,またそれらを使わない消毒液が全て不足し,心ない業者は何倍にも値段をつり上げ,不安を加速させました。また,特に手指消毒用は使い方を誤るとひどい皮膚炎を起こします。やはり今後は用途についてしっかりとした広報を行わなければなりません。ウイルスや菌の違いによって耐性のあるものもありますので,用途を間違うととんでもないことになります。口に入ってもよいものは食品や調理器具に使え,実際に保育園等の調理室でも使っています。 今回提案させていただくのは,電解水の精製器の普及であります。調理の現場では野菜や食器・調理器具の洗浄に使われており,床掃除等にも使えます。ダイヤモンドプリンセス号のクラスターでも指摘されていることでもありますが,特に日頃のトイレ掃除はウイルスや菌の除菌には有効です。また,ドアノブやエレベータ等の押しボタン,手すり等の消毒も奨励されています。これらの用途を考えると消毒液は幾らあっても足りません。電解水精製器は水道の蛇口を簡易な工事をすることによって取り付けられます。課題は業務用,家庭用共に今は高価格であることです。しかしながら,普及を促すことにより低価格化が望まれます。また何よりも,日常の除菌を定着させる新しいライフスタイルにつながります。雨水タンクや浸透式雨水ますの普及等,下水についての補助制度がありますが,ドライミスト事業が終了し,上水についての補助事業がない本市において,市民の安心と公営企業の経営安定につながることであると考えますが,前向きな姿勢をお示しください。 二つ目は,昨年度計画ができました東本願寺前市民緑地帯の運用についてです。ここは,本山参詣者や修学旅行生をはじめとする貸切バスの乗降場としても使用されるとのことです。これについては京都駅八条口のように有料化が想定されますので,バス事業者は使用料金節約のため,停車時間の短縮化が図られることでしょう。そのため乗降客は,到着・出発時間に合わせて待機することが求められます。これによって,特に暑い時期には熱中症の可能性が高くなります。本市においては~京都の夏のおもてなし~京の駅ミスト・京のまちなかミスト事業が実施されており,最初は工事が難しいとされていた京都駅前については,私の願いが実現し,従来のB,C,D乗り場に加え,昨年からはA乗り場にもミストが設置されました。この緑地帯にはトイレも設置されますので,まずは設計計画の段階で,今後ドライミストが設置できるよう配管等を行っておくべきであると考えますが,いかがですか。お答えください。 次に,都市経営戦略について質問します。京都の都市特性を十分にいかしながら,多様な世代のニーズに対応した住宅用地やオフィス・産業用地の創出,企業,学術研究拠点の誘致等を進めることにより,将来にわたって魅力と活力にあふれるまちづくりに向けた戦略的な都市経営を推進するため,今年度,局外監として都市経営戦略監を設置するとともに,総合企画局に都市経営戦略室を設置し,同局の筆頭組織として位置付られました。 また,本市は,アメリカの慈善事業団体であるロックフェラー財団により創設された100のレジリエント・シティのプロジェクトに参加する世界100都市の一つとして,平成28年5月に選定され,平成31年3月18日に,今後の取組指針となる京都市レジリエンス戦略を策定し,自然災害や人口減少をはじめとする様々な危機に対し,粘り強くしなやかに対応し,将来にわたって人々が生き生きと暮らせる魅力と活気に満ちた都市,レジリエント・シティの実現に向けた取組を進めています。また,国連において掲げられた国際目標 Sustainable Development Goals, いわゆるSDGsは誰一人取り残さないを合言葉に,人権,格差是正,教育,環境,平和など,持続可能な社会の実現を国際社会全体で目指す17の普遍的なゴール,目標と,169のターゲット,達成基準であり,本市のSDGsの取組は815市区中第一位に選ばれたのは記憶に新しいところであります。今回の新型コロナウイルス感染症対策については新たな脅威であり,ものによっては予測が不可能なこともありましたが,SDGsは想定外を作らない努力が求められておりますので,改めてコロナ感染症対策全ての経過を検証し,今後にいかしていくことが必要であります。これについて,都市経営戦略室を設置した意義,SDGs,レジリエンスの観点も踏まえて強い決意をお聞かせください。 また,人口減少に挑戦し,長寿少子化社会に対応するには,都市格と魅力の向上が大前提であります。このコロナ禍で指摘されたこととして,ストレスの克服と健康の維持が挙げられます。健康寿命の向上と子育て環境日本一を目指す本市に求められる基本インフラの一つが公園の在り方です。私の住まいする近くの八条公園は,地元学区の長年の要望がかない,一歩一歩完成に近付いています。ワークショップを何度も開き,利用される住民の意見がより多く反映されたことと聞いており,このように,まずはそれぞれの様々な地域事情を踏まえた公園が求められております。公園は,特に休校措置が採られたことによって外で身体を動かすことも制限を受けている子供たちの遊び場所であり,健康維持を目的としたグランドゴルフをはじめとする,より多くの参加が見込めるスポーツをする大切な場所でもあります。今後は,我が会派の寺田一博議員が推奨する健康増進公園として,例えば健康遊具の使い勝手の向上やボール遊びもできるスペースの確保も求められておりますので,多角的な視野を持った公園にすることをお願いしますが,御所見をお伺いします。 また,あわせて,新しい住民や京都に住みたいと思われている方々に対しては,本市の強みや良いことももっと伝えるべきです。その一つが消防救急体制です。昨年は京都アニメーションでの放火による不幸な事件もありましたが,京都の消防力は高く,昨年度充足率が100パーセントを達成した南消防団をはじめ,大都市であるにもかかわらず消防団が充実しており,多くのボランティアの地域力によって予防が充実し,火災件数が少ないこと。また救急車の到着時間は全国平均8分台のところ,救急隊の効率的な増隊や消防指令システムの更新によって6分前半であり,市民をはじめ多くの入洛客をはじめ安心・安全が確保されていること等も,1回や2回ではなく常に発信することも必要です。これについても御所見をお聞かせください。 最後に,動物園の今後の在り方についてであります。近くて楽しい動物園,新たな都市型動物園を目指して共汗でつくる新京都市動物園構想が策定され整備が進められてきました。単に動物を見たり触れ合ったりするだけの施設ではなく,本市の動物園は,研究や教育も重視していることが特筆すべきことであります。また,日本で最初のライオンの繁殖や,国内で初となる三世代にわたるゴリラの繁殖等大きな実績を持つ動物園です。しかしながら,昨今は動物福祉の観点から,動物特性に基づく飼育スペースの確保が取りざたされております。猛獣ワールドもさを指摘されており,改善が求められています。一方,狭くとも飼育員をはじめとするスタッフの積年の努力と愛情によって,ジャガーのグランデや3月に亡くなったライオンのナイルは共に国内最高齢の25歳超であり,今月ギネス認定されたアカゲザルのイソコは42歳,そして余り話題にはなりませんが,4種類いるフラミンゴは私と同じ歳の55歳が二羽もいます。国内では半数の動物園にしかいないゾウも,研究・繁殖を目的として最高齢の美都を筆頭に5頭がゾウの森で仲良く暮らしています。また動物以外でも昭和31,1956年に完成した現役では日本で2番目に古い,本州では最古の観覧車もあり,私見ではありますが,ほかの動物園にはない魅力があります。このようにまだまだ紹介し切れていない貴重なことも多くある動物園を,もっと多くの人々に知ってもらい,入場者が増えることを願っている一人であります。 そこでお尋ねいたします。先般行われたアンケート調査も踏まえ,新たなステージを目指し,次のステップを踏み,更なる進化を求めますが,今後の構想について,また,動物愛護センターとの兼ね合いも含めた愛護教育についてお答えください。 政治や政策は結果責任が宿命であります。御案内のごとく,地方自治体においては二元代表制,すなわち行政と議会は,爽やかな緊張関係を保ち,議論を重ね,是々非々で施策を実行することが基本であります。議会の役割,議員の仕事は,市長をはじめとする行政の施策,立案,執行に対して,点検,監視,評価,提言を行うことであります。しかしながら自由民主制の下では,公共の福祉と人権の尊重のバランスを取らなければいけませので,強制力を伴う施策は困難であり,また丁寧な公論を尊重しますので,手続に時間が掛かります。賛成もあれば反対もあり,多種多様な異なる意見がある中,利害得失,制約の中で結論を出さなければなりません。 以上,国際文化観光都市・レジリエント・シティ文化首都・京都市における強みをいかした施策を行い,市民生活の向上のために福祉と教育の充実発展,更なる防犯・防災が保障される安心・安全都市を目指し,元気で優しい人づくり・まちづくりに議員として全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ,私の代表質問といたします。今後とも市民の皆様方には,引き続き御理解と御協力を賜らなければなりませんが,共に御辛抱いただき,この苦難を引き受け乗り越えてまいりましょう。 結びに,こんなときでも子供たちを預かってくれてありがとうと言って,保育園にマスクや消毒液を届けていただいた保護者や業者の皆さんに心から厚く御礼申し上げます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 椋田隆知議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症を受けた避難所運営についてでございます。椋田議員御指摘の避難所の改革は,喫緊の課題であります。5月5日に開催した本市の対策本部会議において,435箇所の避難所における避難者の体調チェックやマスク着用確認などを,市職員と自主防災会等の地元の皆様が一体となって運営し,体調不良者等の方がおられる場合を想定して,別室を確保し,案内する手順を作成しました。別室については,まず,ふれあいルームや特別教室などを活用し,更に確保が必要な場合には,学校とも協議し,教室も活用します。 また,子供たちの教育についてでありますが,長期にわたって学校での教育活動が制限される状況も想定しまして,子供の学習状況や保護者との連携等の在り方を検証するとともに,新たに一人1台整備するPC端末の活用など,災害時でも教育活動が維持・継続できるよう取り組んでまいります。さらに,非接触型体温計など,これまで備蓄していなかった物資については,新たに補正予算を提案し,早急な確保に努め,避難所における新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に,地域経済対策についてでございます。今年度の産業観光局の組織改編は,京都経済の持続的発展に向けまして,局内各部門の連携・融合を深めることで地域と共に継承・発展する地域企業,中小企業を徹底して支援するとともに,新たな価値の創出を目指したものであります。新型コロナウイルス感染症の拡大により深刻な影響を受けておられる中小企業等の皆様の経営と雇用を守る支援策を構築するためには,今回の組織改編を生かした分野横断的な施策,業種ごとの施策の連携・融合が求められております。今後とも,縦割りを廃し,様々な事業者や業界団体の皆様からお話を伺い,ニーズに応じた支援策を迅速に実施してまいります。また,住居の確保につきましては,住居確保給付金支給事業に加えまして,住居を喪失した方に対し,一定数の市営住宅や宿泊施設を確保し,提供する等の仕組みを構築しており,引き続き,お困りの方一人一人に寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。 都市経営戦略についてでございます。この京都が,将来にわたって魅力と活力あふれるまちであり続けるためには,今と未来に必要な施策を進めながら,持続可能な財政の確立も同時に追求することが不可欠でございます。そのため都市経営戦略監及び都市経営戦略室を設置いたしました。今般の新型コロナウイルス感染症の猛威は,市民生活や経済活動に大きな影響を与えており,正に都市経営が問われております。今はまだ事態の収束に最大限注力する段階でありますが,椋田議員御指摘のとおり,新しい生活や働き方のスタイル,持続可能で強じんな社会の構築といったウィズコロナ,ポストコロナの世界をしっかりと見据えた取組を進める必要がございます。感染症対策をはじめ,人口減少,気候変動,財政難など,都市を巡るあらゆる危機を乗り越え,誰一人取り残さないSDGsの達成や,予測困難な事態にも対応できるレジリエント・シティとしての京都の発展を展望した戦略的な都市経営を強力に推進してまいります。 次に,公園の在り方についてでございます。公園は,子供たちからお年寄りまで,幅広い世代の方々が利用され,市民生活に憩いと潤いをもたらす貴重な都市空間でございます。本市では,公園の再整備の機会などを捉えまして,地域の皆様とのワークショップを重ねるなど,様々な御意見や御要望をできる限り反映し,背伸ばしベンチなどの健康遊具の設置や,安心安全な遊び場づくりなどを進めております。また,公園体操の広がりなど,健康増進や地域コミュニティの形成の場,さらには,災害発生時の避難場所などとして公園に求められる機能・役割は,一層幅広いものとなってきております。公園の整備や運営に当たりましては,その規模や機能に応じまして,Park-PFI等,民間活力の積極的な導入を進めまして,貴重な都市空間を地域の活性化や健康長寿,また災害に強いまちづくりや,アフターコロナのまちづくり,創造性豊かなまちづくりにいかしていけるよう果敢に取り組んでまいります。 次に,消防・救急体制の充実とその発信についてでございます。本市では,近年団員数が増加し,50年ぶりに4,500人台を回復した消防団をはじめ,自主防災組織,事業所など,市民・地域の皆様の防火・防災に対する日頃からの献身的なお取組により,全国の大都市における人口1万人当たりの出火件数の平均が2.2件であるのに対して1.5件と3割以上少なく,また,救急車の現場到着も全国平均に比べて約2分早いなど,全国に誇れる実績があり,命と暮らしを守っております。これまでは,市民しんぶん,ホームページやSNSなどにより,防火・防災に関する情報を中心に発信してまいりましたが,今後は,椋田議員御指摘のとおり,京都に住みたい,訪れたい方々に対して,消防・救急体制が充実していることが本市の大きな魅力として感じていただけるよう,より一層情報発信に努めてまいります。 動物園の今後の在り方についてでございます。京都市動物園では,京都大学と協定を締結し,連携を深め,生き物・学び・研究センターを創設するなど取り組み,職員も大学で学び,現在では6名の博士を抱えるなど全国をリードするすばらしい動物園へと発展してまいりました。これまでの成果を一層発展させるために,本年2月,種の保存,動物福祉を柱とする新たな動物園構想を策定いたしました。策定に当たりましては,保育園や幼稚園関係者をはじめ,多くの動物園利用者の御意見を頂き,子供たちをはじめ幅広い世代の来園者の皆様が生物多様性や環境保全について楽しみながら学んでいただける機会を充実することが重要な使命だと考えております。その際,椋田議員御提案の愛護教育についても,動物福祉の観点を取り入れながら,動物愛護センターとの役割分担の下に,啓発事業等に取り組んでまいります。今後とも,命をつなぎ,命が輝く動物園の充実に努めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私からは2点,まずは,新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた今後の市バス・地下鉄事業の運営についてでございます。市バス・地下鉄では,感染拡大防止を最優先に人との接触の減のため御利用を8割減少させることを目標に掲げ,市民の皆様に御協力いただいてまいりました。このため,足元でお客様数は大きく減少していることに加えまして,今後も,広域観光の自粛やテレワークの定着等が見込まれる中,両事業の経営は厳しい環境が予想されます。こうした状況の下,今後の両事業の経営におきましては,新型コロナウイルスの感染拡大防止対策と,持続可能な経営を両立させていくことが重要であります。 この一環といたしまして,混雑対策に向けては,椋田議員御提案の四条河原町等における前乗り後降り方式に対応するためのバス停改修は,有効な手段の一つと認識いたしております。また,増収・増客や効率的な路線・ダイヤ編成の観点から,ICカードを活用した御利用状況のきめ細かな把握・分析も重要な視点であり,一層検討を深めてまいります。引き続き,経営ビジョンに掲げた基本的な経営方針は堅持しつつ他都市とも連携し,国に対して緊急の支援を求めることも含め,今般の新たな事態に的確かつしなやかに対応し,市民の皆様の足をしっかりと確保してまいります。 続きまして,東本願寺前市民緑地の整備についてでございます。この市民緑地は,東本願寺様の御理解と御協力の下,本市初の取組として,門前の市道の車道部分と東本願寺様所有の緑地帯を7,000平方メートルにわたる一体的な緑地空間として整備することにより,緑あふれる憩いの場,門前のにぎわいを創出する交流の場,修学旅行生などのおもてなしの空間を創出するものであり,京都市全体として重要な機能を果たすほか,京都駅周辺地域の活性化にも資するものであります。椋田議員御提案のドライミストは,夏の暑さ対策やヒートアイランド対策などに効果がありますほか,水道水の新たな利用方法や環境に優しい特性を広くPRすることができるものであり,その配管を設計に盛り込み,この市民緑地が利用者の皆様にとりましてより快適で使い勝手の良いものになるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(吉川雅則) 電解水精製器の普及についてでございます。昨今の新型コロナウイルス感染症拡大を受け,食品殺菌等に用いられる電解水が消毒液の代用品として注目されており,現在,国においても,新型コロナウイルスへの有効性が見込めるものとして,電解水の一種である次亜塩素酸水の物品等への消毒効果の検証が進められていることを承知しております。また,本市においても,民間事業者から保育施設への電解水の無償提供や一部区役所への電解水給水機の寄付を頂き,活用させていただいております。改めて感謝申し上げます。今後,国の動向等も踏まえつつ,水道水の新たな活用方法として,電解水の様々な効果について情報収集や発信に取り組むなど,市民の皆様の理解の促進に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,田中たかのり議員に発言を許します。田中たかのり議員。 〔田中たかのり議員登壇(拍手)〕 ◆(田中たかのり議員) 私は,右京区選出の田中たかのりでございます。繁隆夫議員,椋田隆知議員に続き,自由民主党京都市会議員団を代表し,質問をさせていただきます。 世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。私たちの生活スタイル・価値観を大きく転換させ,まだまだ先が見えない状態でありますが,京都市民の皆様と力を合わせ,一日も早い収束,復興に取り組まなければなりません。今年は,京都市にとって京都市基本計画の第2期「はばたけ未来へ!京プラン」の最終年度であり,次期京都市基本計画策定に向けた取組を進める10年間を振り返る,また次の10年間を見据えた節目の年であります。現在京都市のおかれている現状を踏まえ,新型コロナウイルス感染症とどう向き合うのかウィズコロナ対策,収束した後のアフターコロナ対策もしっかりと考え,次期計画を策定していかなければなりません。そのことを踏まえ質問に入ります。 まず,スタートアップ・エコシステムについてお伺いいたします。スタートアップ・エコシステムとは,京都の経済2019の記載をまとめると,世の中を変えるようなイノベーションを引き起こす,ベンチャー企業が次々と生まれる仕組みという説明があります。京都市は,国が企業環境の整備を進める整備を集中支援するスタートアップ・エコシステム拠点都市に,特に全国で3箇所程度のグローバル拠点都市に京都・大阪・神戸の3都市で応募され,選定結果を待っているところです。グローバル拠点都市には,東京,福岡の2都市が有力と言われ,あと一つの枠を京阪神と,愛知との争いではとお聞きしています。京都市は,戦後生まれたベンチャー企業が今の京都経済をけん引する世界的企業に成長した一方で,近年,開業率が全国平均より低く,次世代を担う京都企業が少ないというのが現状です。そんな中,昨年3月に京都経済センターの開設,地元金融機関と連携したファンドの創設,京都スタートアップ・エコシステム推進協議会の設立など,京都市はもちろん京都府,地域企業,大学,経済界,金融機関,産業支援機関のオール京都でスタートアップを支える体制ができました。 また,京都は,歴史,伝統,文化を市民が継承し,伝統と革新により,異なる文化や価値観の調和・融合で発展してきたイノベーションのまちであり,全世界から15万人の学生が集まる大学のまちでもあります。さらに近年は,パナソニックやLINEなどの研究施設に加え,有望なベンチャー企業の成長を加速させるための支援を行うアクセラレーターが相次いで拠点を構えるなど,京都市民と産・学・官の連携を図りながら,京都のみならず世界の起業家が新規事業を育むエコシステムも構築されつつあります。これだけの環境が整いつつある今,市長はどういった企業を望むのかを明確に示すことが必要であります。私は,京都には,この京都の抱える社会的課題の共有し,そしてその課題を京都のまちで実証実験,そして,京都市とベンチャー企業の人材交流,京都の成長と共に持続可能な範囲で成長するベンチャー企業が求められると思いますがいかがお考えでしょうか。 次に,京都市のデジタル・トランスフォーメーションについてお伺いいたします。デジタル・トランスフォーメーションとは,デジタル機器を使って今まで人の手で行っていた作業を効率化したり,顧客が喜ぶサービスを提供したり,大量のデータから新しい価値を見つけて新しいサービスを生み出したりするデジタル化のことです。新型コロナウイルス感染症対策特別定額給付金の支給には,手作業による送付先の名簿の整理・発送から受付・申請書類の整理,情報の入力などの事務に大都市ほど,世帯数が多く時間が掛かります。マイナンバーカードによるオンライン申請の手続もありますが,受け付けた情報は,全てがデジタル化されたわけではなく,職員の手作業で確認されるとも伺っています。今回の給付に当たり,事務経費は全国で約1,500億円。仮に,今後も同様の事務が行われる場合は,前回,自治体に申請した口座と同じでいいのかというのを郵送で確認する必要などがあり,その度に同額の経費が掛かるという話になります。こういった手続をオンラインで完結することが多い欧米と比べると,人海戦術で対応する日本では,スピードもコストも見劣りするのは明らかであります。今回の特別定額給付金は,自治体がプライバシーの保護も考えつつ,行政のデジタル化を進める必要性を実感する機会となっています。国においても,昨年5月,行政事務のスピードアップとコストダウンを進めるために,行政手続を電子申請に統一するデジタルファースト法を成立させました。また,近年,行政・地域のあらゆる部分にテクノロジーも活用して,住民本位のデジタル・トランスフォーメーションを進める自治体が増えてきています。 行政におけるデジタル・トランスフォーメーションとは三つ。一つ,デジタルでできることはデジタルで,またテレワークやフリーアドレスなど,自由な働き方で効率良く働ける行政業務のデジタル化。二つ目,手続を全てデジタルで完結するデジタルファースト,提出した情報は二度と提出を求めないワンスオンリー,複数の手続を一度で済ますワンストップなどの住民にとって便利な行政サービスのデジタル化。最も重要なのは三つ目,環境やエネルギー,人口問題などの都市を取り巻く社会的課題をAIやビッグデータなどを使って,自動運転や遠隔医療,遠隔教育など,新しい技術とアイデアを組み合わせ,その相乗効果で解決する次世代のまちづくりを目指すスーパーシティ構想に象徴されるまちの全てのデジタル化の三つが考えらます。 かつて,オムロンの創業者立石一真氏は,機械にできることは機械に任せ,人間はより創造的な分野で活動を楽しむべきであると言われました。今,デジタルにできることはデジタルに任せと置き換えると,デジタル・トランスフォーメーションより,更なる創造的な活動が生み出され,持続可能な京都市の成長にもつながるのではないでしょうか。京都市でも,デジタル・トランスフォーメーションを進めるには,デジタルに余り慣れていない方も含め誰もが使える,そして何のためにするのか,行政との信頼関係などの明確なビジョンと方向性を市長が示すことはもちろん,それをけん引していく権限のあるリーダーの選任とデジタル技術に詳しいIT分野の人材獲得が必要だと思いますがいかがですか。 次に,京都市の地域コミュニティ活性化推進計画についてお伺いいたします。京都市は,地域の力で支えられています。その核となるのが,町内会・自治会,自治連合会をはじめ,体育振興会,自主防災会,少年補導委員会,社会福祉協議会,地域女性会,民生児童委員会,交通安全推進会,保健協議会,消防団などの各種団体であり,地域の福祉や健康,安心安全など地域コミュニティの支えとなっています。特に,町内会・自治会の活動は,京都市地域コミュニティ活性化推進計画でも京都の発展に大きく寄与してきたとあります。 しかしながら,近年,退会したい理由として,高齢のため,子供たちが大きくなった,役をやるのが嫌だということなどで町内会・自治会を退会される方が見受けられ,地域コミュニティの更なる活性化に取り組む必要があります。しかし,町内会に入りましょうと声を上げても限界はあります。だからといって町内会に入らなければならないと強制することもできません。税金を払っているからといって何から何まで行政がやってくれるというわけではありません。まちの安心安全は,警察や消防だけが守ってくれると思っているものも,実際は,自主防災会や少年補導委員会,消防団などの地域コミュニティを支えていただいている個人や団体のサポートなしには成り立ちません。まちの課題にも,これまでも,市民や地域コミュニティなどの協力で解決してきたのではないでしょうか。今の現状を例えますと,バケツリレーに例えると,始めと終わりには行政がいるものの,間をつなぐ市民が一人抜け二人抜けていき,残された一人一人の負担が大きくなってきているのが現状です。次期京都市地域コミュニティ活性化推進計画では,まちの課題解決には,地域コミュニティを支える個人・団体が大きな役割を果たしていることをお伝えするのはもちろんのこと,スマートフォンアプリなどを活用し,地域に参加したり,パブリックコメント等に協力すると,利用者に自治体ポイントや地域デジタルマネーを付与するなど,インセンティブも考えられるなど,誰もがまちの課題に参加していただける仕組みを考えることによって,地域コミュニティの活性化につなげる必要があると思いますがいかがですか。 ここで前半の質問を終わります。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 田中たかのり議員の御質問にお答えいたします。 スタートアップ・エコシステムについてでございます。新たな技術や斬新なアイデアと,その融合によって,社会を変える新しい価値を創出するスタートアップは,経済と社会の活力を生み出すエンジンとなるものであります。近年,世界的なリーダーとしての役割を果たしているイノベーション創出支援企業が続々と京都に進出するなど,スタートアップを支援する環境は京都でますます充実してきております。そのような中,この4月には京都経済センターの京都知恵産業創造の森に,京都市,京都府,経済界,大学,スタートアップ支援組織等と課題を共有し,連携と交流を推進するスタートアップ推進部が設けられ,本市も新たに2名の職員を派遣するなど積極的な役割を果たしているところであります。 しかし,今般のコロナウィルス感染拡大により,世界中でスタートアップの資金調達が苦戦されるなど,事業継続に不安を抱え,このままでは将来の成長につながるイノベーションの芽が絶たれてしまうのではないかという状況も生まれてきております。そのような状況下でありますが,京都において医療,福祉,教育,文化等の様々な分野で,これまで想定できなかった新たな課題が顕在化している今こそ,確たる哲学,そして新しい技術,文化,芸術,斬新な発想でイノべーションを起こし,社会的課題を解決していくスタートアップを力強く推進するとともに,京都の中小企業や伝統産業,大学等の活性化につなげ,コロナ禍を乗り越えていかなければならないと考えております。このような大切なときに,スタートアップの都を目指すオール京都の取組のすばらしいリーダーとして御尽力されていた立石義雄前商工会議所会頭が志半ばで御逝去されたことは誠に無念であります。その御遺志を引き継ぎ,京都から全国を,また世界をリードするスタートアップを創出し,社会的課題の解決へ貢献できるよう全力で取り組んでまいります。 次に,コミュニティの活性化についてでございます。住民自治の伝統と支え合いの精神が受け継がれてきた京都におきましても,地域コミュニティの核である自治会・町内会の多くは,高齢化や担い手不足の課題を抱えており,また,現在は新型コロナウイルスの影響で,会合や戸別訪問等,人との接触を自粛していただかなければならない危機的な状況にある,そんな状況であります。 一方で,地域でのつながり・きずなの重要性を再認識されているところでもございます。このようなときにこそ,市民の皆様に地域コミュニティの重要性をしっかりとお伝えするとともに,地域活動への参加につなげていくことが重要であります。京都市ではコミュニティ活性化推進条例を制定し,自治会・町内会の運営等に関する相談窓口であります地域コミュニティサポートセンターの設置・運営をはじめ,自治会加入の意義を分かりやすくお伝えする地域活動ハンドブックや困ったときのヒント集の発行などを通じ,活性化へ成功された事例を共有し,地域の実情や課題に応じた支援に取り組んでおります。現在,地域コミュニティ活性化推進計画の改定に向け,審議会で御議論いただいているところでございますが,田中議員の御提案も踏まえまして,SNSやアプリを活用した自治会・町内会活動への参加促進やコミュニケーションの円滑化等につながるICTの活用方法についても広く議論を深めまして,地域コミュニティの更なる活性化に向けて,京都が誇る地域力を守り,育て,発展させる取組をしっかりと推進してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) デジタル・トランスフォーメーションについてお答え申し上げます。 本市では,情報通信技術いわゆるICTの発展に的確に対応し,市役所業務の改善・効率化はもとより,市民サービスの向上や地域経済の活性化などを図るため,本市の情報化に関するビジョンであります京都市高度情報化推進のための基本方針を策定し,戦略的かつ積極的なICTの活用,情報資産の厳格な管理の徹底という基本方針を掲げ,市長を先頭に主体的にICTの戦略的かつ積極的な利活用を推進しているところでございます。直近では,単純かつ定型的な作業を自動化するRPAの導入や紙文書をイメージスキャナ等で読み取り,データ化するAI-OCRの導入などにより,事務の効率化を図っております。また,令和元年12月には,デジタル行政推進法が施行され,国や地方公共団体におけるICTを活用した行政の推進に関して,行政手続を原則,電子申請に統一するデジタルファーストなどの基本原則が定められたところであり,法の趣旨を踏まえた取組を一層推進してまいります。 職員の体制につきましては,これまでから民間企業等職務経験者採用試験等において,ITやデジタル技術などに詳しい人材を積極的に採用し,高い専門性が求められる職場に重点的に配置しております。今後とも目覚ましいスピードで進展する高度情報化社会に対応できる組織運営に努めますとともに,新たな社会を見据えたデジタル技術の知見等を高度情報化推進のための基本方針に盛り込み,更なる行政のデジタル化を推進し,市民サービスの向上,業務の改善,効率化を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 田中たかのり議員。 〔田中たかのり議員登壇(拍手)〕 ◆(田中たかのり議員) 御答弁ありがとうございました。 スタートアップについては,もっと具体的に京都市が解決したい社会課題を終始,ここ京都で京都市民と京都市と一緒になって実証実験に取り組み,イノべーションを起こすスタートアップ企業を引き寄せていただきたいと思います。 また,デジタル・トランスフォーメーションについては,答弁いただいたデジタル機器を単なるデジタル化ではなくデジタル化によって今までと違う新しい価値観を創造し,生活様式や働き方のいい意味での変化のあるデジタル化を進める必要があります。例えば本をネットで買うということが単なるデジタル化であれば読みたいときに電子書籍を買う,またおまけに重たい本を持たなくても済むというのがいい意味での変化のあるデジタル化であります。真のデジタル・トランスフォーメーションの実現にはどの自治体もそうですが,京都市も今後不足するIT分野の人材が明らかに足りていません。そのことを申し上げ,経済産業省が警鐘を鳴らすデジタル・トランスフォーメーション2025年の崖から落っこちないように,今この瞬間にスイッチも入れていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 次に,不妊治療についてお聞きします。不妊治療は保険適用外です。これは,体外受精などは患者の生殖機能を直接改善させる行為ではないため,疾病に対する治療なのか判断が難しいからだそうです。病院によって価格にばらつきがあり,例えば,体外受精では1回30万円から50万円と高額です。保険適用外のためにもちろん全額個人負担です。国などの制度により,所得,年齢,回数などの制限付きで治療費の助成はあるものの,不妊治療で生じる悩みは治療費だけではありません。 厚生労働省によると,不妊治療を続ける方の中には,経済面の負担感と共に,身体面や精神面の負担,妊娠・出産に至らない辛さ,夫婦間の関係性の変化,生活・仕事と治療の調整,治療の終結の決断など,様々な悩みが生じていくことがある。また,通院先の医療機関に対しては,結果が伴わない治療内容や医師とのコミュニケーション不足に不安とストレスを感じる場合もある。治療の結果は常に期待と不安が伴い,出口の見えないトンネルに例えられることもあるほど心身共に疲弊する。自責の念や子供のいる友人と疎遠になるなど,ネガティブな感情や環境の変化が起こることもあるとあります。実際,不妊治療の集中する病院では,人があふれ,予約が取りづらく,流れ作業化しているのではとの声もあります。高額な治療費にもかかわらず,患者が多すぎるので,一人一人の診察時間も短く,ゆっくり相談できず,時には違う治療を指示されることもあるそうです。決して病院側が手を抜いているわけではなく,明らかに受け入れる患者数と病院とが合ってないということです。 近年,5.5組に一組が不妊治療に取り組んでいるにもかかわらず,社会や会社に余り現状を知られていないのではないでしょうか。不妊治療は,急に治療日程が決まることもあり,仕事を続けるのが困難となり,辞めざるを得ない方もいらっしゃいます。京都市は,不妊治療に取り組んでいる夫婦の生活・仕事と治療の悩みを助成を受けられている方も助成を受けられていない方にもしっかりと調査し,不妊治療に取り組む方々に寄り添った独自の制度も考えられてはいかがでしょうか。 また,現在,京都市の不妊不育の相談事業すずらん相談会・交流会については,年間100万円の予算を計上されておりますが,利用者が少ないともお聞きします。周知不足なのか,相談しにくいのかは分かりません。京都府も同様の相談事業,妊娠出産・不妊ほっとコールなどと連携して電話,メールなどのほかにSNSも活用し,不妊治療に取り組む方々に寄り添った相談しやすい事業とされてはいかがでしょうか。子育て環境日本一と同時に,子宝・子授かり環境日本一も目指してはいかがでしょうか。 次に,北部山間地域の関係人口についてお伺いいたします。京北地域は,豊かな森林や清流などの美しい自然環境に恵まれ,その中にすばらしい文化や伝統,そして何よりも温かな人のきずなが息づいています。今年度は地域の要望でありました京都京北小中学校が開校いたしました。これまでに御尽力いただきました皆様には心から感謝申し上げます。 さて,今年で京北地域は,合併から15年。5年前に策定された「京都 京北未来かがやきビジョン」は,10年後の京北の目指す未来像を明文化したものであり,今年はその折返しの年であります。また,過疎地域自立促進特別措置法により策定した京都市過疎地域自立促進計画は,最終年度の年となりました。この5年間も,ビジョンでは目標数値を設定し,移住促進や北部山間かがやき隊員との地域活性化などの取組を進めていただいているものの,人口減少は進んでいるのが現状です。 そこで,魅力あふれる京北地域を盛り上げていくためにも,人口減少に焦点を当てるだけでなく,京北地域を様々な形で応援してくれるファンを増やす関係人口づくりが重要だと思います。例えば,森林を丸ごとテーマパークにした福井県池田町や体験型農業のテーマパークのある茨城県行方市,閉校した小学校を森林・林業,山村に関わる事業に活用した岡山県西粟倉村,温泉の利用で内陸なのにフグの養殖に成功した栃木県那珂川町,村を丸ごと売り込むブランド戦略に成功した高知県馬路村,IT技術を使って効率的な葉っぱビジネスを展開する徳島県上勝町,島留学で島外からの子供たちが集まる島根県海士町など,アイデアが形になり,取組が伝わり,人が集まる仕組みづくりによって関係人口を増やすことで新たな可能性が生まれた地域はたくさんあります。関係人口を増やすことは,京北地域同様の北部山間地域,北区中川,小野郷,雲ケ畑,左京区花脊,久多,広河原,大原,右京区水尾,宕陰にも地域の皆様と取組を進めていただきますようお願いいたしますが,お考えはいかがでしょうか。 あと2点要望させていただきます。まず,西京極総合運動公園について要望させていただきます。西京極総合運動公園は,プロスポーツのみならず,全国的なアマチュアスポーツにも使用され,また日頃は,市民の皆様にも公園としても利用されています。私は,かねてよりスポーツの枠を超えた活用をお願いしてまいりました。かつて,工夫・研究してまいりますとの答弁も頂いておりますが,改めて,更なるにぎわい,魅力づくりのためにもスポーツ以外での活用もお願いするとともに,こうした大型施設は,災害時には避難所としても重要な役割を果たすため,西京極総合運動公園だけでなく,京都市内のスポーツ施設をスポーツの枠に捉われず,たくさんの相乗効果の生まれる施設として,活用されることを改めて強くお願いを申し上げます。 次に,都市計画道路葛野西通,通称七条通の葛野大路通と大門町バス停付近間の道路の拡幅整備についても要望いたします。この区間は,バス路線にもかかわらず,バスの離合が難しい箇所もあるくらい狭く,通行者にとって大変危険な道路です。京都市は,昭和32年に都市計画を決定し,60年以上が経過いたしました。この間,京都市会において請願の採択,京都市の今後事業を実施する路線に位置付けられ,今年度は測量に入るとお聞きしております。これまでの取組には感謝申し上げ,今後,誰もが安心して安全に通行できる道路として整備を進めていただきますよう改めて要望をさせていただきます。 以上で,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,田中たかのり議員の御質問にお答えいたします。 北部山間地域の関係人口の拡大についてでございます。北部山間地域は,豊かな自然や歴史,伝統文化,そして温かな地域コミュニティが息づく,魅力あふれる地域であります。これまで本市においては,北部山間地域全体の活性化も視野に入れた京都 京北未来かがやきビジョンを策定し,地域の魅力発信や移住相談,さらには,地域に根差した活動を行う北部山間かがやき隊による地域の取組支援等,移住促進や定住人口の増加に向けた取組を全庁横断的な体制で推進してまいりました。田中議員御指摘の市民の皆様をはじめ,様々な地域から多様な関わりを持つ関係人口の創出に向けた取組としまして,市民による農業体験や,地域への愛着を育むファンクラブの取組,地元中高校生と管弦楽団とのコンサート,さらには大学生との地域連携活動など,またさらに近年,SDGsの取組などに進めているところであります。また,この間,光ファイバーを利用したインターネット環境整備,また京北地域・花脊地域における小中一貫校の開校,地域水道等の環境整備も進めてまいりました。コロナウイルスと共存していく社会においては,密な都市と対照的な山間地域の価値観が見直される,いわゆる開疎化に向かうという考え方もございます。これまでの取組をいかし,市内外を問わず,より多くの方々に関心や愛着を持っていただける取組を更に推進していくことで,関係人口の拡大に取り組むとともに,地域の皆様と一体となって,北部山間地域の活性化に努めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,不妊治療についてお答えいたします。不妊治療は,身体的,精神的,経済的な負担感と共に,治療に対する職場の理解が得られにくいなど,様々な面において悩みや不安を抱えられる方も多く,その支援の充実は市政の最優先課題の一つと認識しております。このため,本市では約3億5,000万円の予算を確保し,府市協調の下,国制度を更に充実させた治療費の助成を実施するとともに,すずらん相談・交流会やにんしんホッとナビといった取組を通じて,治療に取り組まれる方などの不安や悩みに寄り添った支援を心掛けてまいりました。田中たかのり議員御指摘のすずらん相談・交流会につきましては,助産師の専門的な助言を得られたり,同じ悩みを抱える方同士が思いを共感できる場として有意義ではあるものの,利用者が少ない状況にあることから,更なる取組が必要と認識しております。そのため,まずは助成制度の利用者の方々に対しまして,生活や仕事,治療の悩みなどのアンケート調査を行い,その結果を分析したうえで,職場などの理解が得られやすい環境づくりに向けた啓発やSNSの活用など,これまで以上に,利用者の不安や悩みに応えていけるよう新たな取組について検討してまいります。今後とも,不妊に悩まれる方々にしっかりと寄り添い,支援をしてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,くらた共子議員に発言を許します。くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕 ◆(くらた共子議員) 上京区選出のくらた共子です。私は議員団を代表し市長に質問いたします。 初めに,新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に哀悼を捧げます。現在,闘病中の皆様の御回復を祈り,最前線で奮闘されている皆さんに敬意を表し質問に移らせていただきます。 まず,新型コロナウイルス感染症対策の到達についてです。WHOがパンデミックと宣言,政府が緊急事態宣言を行い,5月31日までの延長を表明していましたが,14日に39県に対する宣言解除,そして昨日,京都を含む近畿3府県も解除されました。しかし,PCR検査が十分に行われない下での宣言解除には課題があります。政府は,緊急事態宣言の延長に伴い事業支援,家賃支援,アルバイト学生支援の追加的対策に言及していましたが,具体的な財源は示されていません。現在,市内中小企業は資金繰りがひっ迫し,倒産が急増しかねない重大な局面となっています。これを防ぐために緊急かつ大胆な財政出動が必要です。同時に,医療崩壊を止め,市民の命を守ることが求められます。日本共産党京都市会議員団は,新型コロナウイルス感染症対策の抜本的強化として,医療・検査体制,経済対策等についてこれまで四度の申入れを行ってまいりました。これらを踏まえ,私からは医療や暮らしに関して,経済については井上けんじ議員が質問いたします。 初めに,医療崩壊を防止する対策についてです。第一に,発熱外来の設置とPCR検査体制の拡充を求めます。私は,この間,医療関係者から御意見を伺ってきました。医療関係者は,全ての患者が感染者であることを想定したPCR検査が必要と述べています。市民からは,発熱している方を診療することができませんと受診を拒否される,帰国者・接触者相談センターに電話をしてもすぐにつながらず,やっとつながったら,4日間は様子を見てくださいと回答され,不安でたまらないなどの訴えが相次ぎました。また全国で自宅待機中に状態が急激に悪化する事例も発生し,国は帰国者・接触者相談センターを通じて専門外来を受診する目安の一つとしていた体温37度5分以上という条件を削除する変更を行いました。厚生労働省のクラスター対策班の専門家が,実際の感染者数は発表数値の少なくとも10倍以上あると指摘し,検査数を抜本的に引き上げる必要があると言明しています。市中感染の再燃に警戒が必要であります。 この間,市内の産婦人科病院で独自のPCR検査体制が採られたことを契機に,京都市において全ての妊婦を対象としたPCR検査の補助を行うとしたことは前進です。これを必要とする全ての方へ広げる必要があります。鳥取県では新たな入院患者全員のPCR検査を行うとしています。本市でも検査数を引き上げるために,受診から検体採取,検査,診断確定のスムーズな流れが必要です。公的病院に発熱外来を設置し,検体採取から検査まで行える体制を採れば感染防護と早期診断につながります。あわせて,ドライブスルー方式で検体を採取する京都府医師会・京都検査センターの活用を高めることが大事ですが,この場合,掛かり付け医の感染防護対策が必須であり,京都市としての支援も検討すべきです。いかがですか,お答えください。 また,PCR検査を行う体制についてです。現在,京都市衛生環境研究所と京都府保健環境研究所を合わせて一日当たりに検査できる件数は通常80件です。また,京都市が契約している民間検査機関は現在1社ですが,これでは不十分です。京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は,大学研究機関の検査機能を活用するよう提唱されています。本市として,衛生環境研究所の検査受入件数を増やすための体制を補強し,さらに民間検査機関への協力要請も行うべきです。いかがかですか,お答えください。 今後の自治体の在り方の一つに,集約化された保健衛生部門の再構築を提案したいと思います。市民の声を受け止める相談窓口や調査・検査体制が弱体化している下では,感染の実態を把握することができません。新型コロナウイルス感染は,第2波,第3波と長期の対策が必要とされています。是非,集約化した保健所を元の全行政区単位に戻し,保健行政を抜本的に強化する姿勢をここに示していただきたい,いかがかですか。今日のような非常事態時にこそ,住民の命と暮らしを守る自治体の使命が果たせる行政機構,体制となるよう努力し,これを保証し得る地方交付税を強力に国に求めるべきです。いかがですか,お答えください。 神戸市は5月15日,医療提供体制の確保について,現在の病床確保数を明らかとしたうえで,確保目標数を明確に示しています。京都市も市民に目標と到達を示す必要があります。ここまでで,一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) くらた共子議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症に係る検査,診療体制の整備についてでございます。11年前の新型インフルエンザ対策で導入された発熱外来は,多くの方が来られ,感染リスクが高まったという教訓があります。このため,今般の新型コロナウイルス感染症対策では,電話による相談と帰国者・接触者外来の受診を経てPCR検査を実施し,感染者に的確な医療を提供する流れが国で定められました。本市のPCR検査につきましては,昨年12月に府市協調で合築した京都市衛生環境研究所及び京都府保健環境研究所の検査機器を当初の5台から7台に増設し,合築の強みをいかし,相互支援による充実も図ってまいりました。さらに,民間検査機関につきましても本市で予算を確保し,積極的に活用しております。帰国者・接触者外来での民間の活用に加え,医療機関や高齢者福祉施設等における集団感染発生,又はその防止のために一度に大量のPCR検査を行い,また繰り返し行い,徹底したクラスター対策を実施してまいりました。また,必要に応じて本市の保健所医師がドライブスルー方式などで検体採取を行うほか,京都府医師会の検査センターも府市で整備するなど,様々な取組の結果,本市の関係者だけでも1日に100件近い検査を行った日もございます。府市で更に検査体制の拡充を図ってまいります。 なお,妊婦の方々のPCR検査,希望者全員を検査させていただいておりますが,自由診療として行われており,本市の行政検査とは別ですが,今般提案している補正予算におきまして,検査費用を本市で負担することといたしております。 次に,掛かり付け医の感染防御につきましては,防護資材の確保に努めるとともに,受診前の電話相談等により,感染が強く疑われる方につきましては,医師会の検査センター等を紹介いただいております。 最後に,保健所につきましては,医師,保健師,薬剤師をはじめとした人材を集めまして,今般のような大きな感染症事案に対し,高度かつ機能的に,一丸となって対応していくための組織としたものであります。区をまたがった積極的疫学調査や濃厚接触者の追跡,効率的な検体移送,ドライブスルー方式などによる検体採取など,この度大きな威力を発揮しており,第一線の関係者の献身的かつ効果的な努力に感謝しているところであります。したがって,行政区単位に戻す考えはございません。引き続き,新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組み,市民の命と健康,暮らしを守ってまいります ○議長(山本恵一) くらた議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩をいたします。 〔午前11時52分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続し,くらた共子議員に発言の継続を許します。くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕 ◆(くらた共子議員) 午前中の質疑で,市長は保健所を各区に戻さないと答弁されました。しかし,保健衛生体制は見直さなければならない状況にあります。 続いて,全ての医療機関への感染防護備品の安定供給と財政措置について伺います。医療現場から共通してお聞きするのは,基本的な感染防護品である医療用マスク,防護服,フェイスシールドや消毒液などが不足し,安心して医療に当たれないという声です。そうした中,地域の住民らが自主的に手作りの簡易な防護服を作成し,届けるなどの取組も行われてきました。京都府に医療資器材を供給するコントロールセンターが設置されましたが,供給はいまだ不十分な状況です。また,医療用防護備品の製造を公募する京都府のCLEAN VOICE KYOTOに登録した企業はお聞きした時点で46件,供給を要求する施設の登録は5件とのことです。新たに製造するにはコストも掛かり,製造業者にすれば一定のロットが確保されなければ採算が取れないという状況があるのは当然です。製造者と医療機関にその調整をさせるのではなく,京都市と京都府が行政の責任で必要数の感染防護備品などを買い上げて,速やかに各医療機関に配付するなどの対応が必要です。市長は感染防護備品について,京都府と連携して医療機関の必要数を把握し,市内企業などでの生産と供給が進むようにするべきです。そのうえで必要な財政措置を国に求めるべきです。いかがですか,お答えください。 第三に,医療機関の経営支援を求めます。多くの医療機関では,感染症対策を講じるために外来の縮小や入院調整に加え,受診手控えが進む中で,診療実績の2箇月後の収入となる診療報酬が大幅に減少し,経営破綻を危惧する声を聴きます。ある病院関係者からは,今,直面する患者さんと従事者の安全を守ることで精一杯,経営対策まで考えられない。厚生労働省が地域医療を守ることを真剣に考えてほしいと痛切な訴えです。既に,職員の一時金をカットしなければならないと深刻な状況になっているとも伺います。市長は,この訴えをどう受け止められますか。自らも感染の危険に直面しながら過酷な労働を強いられる医療従事者の処遇が後退し,医療機関の存続にも関わる事態です。市長は国に対して,医療機関の減収分の全額補填を求めるべきです,いかがかですか。また,市として,市内医療機関の減収の実態をつかみ,地域医療を守るために感染予防等に関する補助金の創設,発熱外来の診療や電話診療の報酬加算に対する独自の上乗せを行うことを求めます。いかがかですか,お答えください。 この間,新型コロナウイルスに感染した方や,医療従事者はじめ関係するあらゆる仕事に携わる方々や,その家族への差別的発言などが起こっていることは極めて重大であります。こうした状況を生み出す背景に,未知のウイルスへのおそれと生活基盤崩壊への不安があると考えます。国と自治体は科学的知見に基づいた情報と住民の暮らしを支える政策を徹底し,最前線の現場を守るための責任を果たさなければなりません。今回,入院を受け入れる病院等への支援が提案されていますが,加えて,そこで働く医師,看護師などへの特別な手当も求められます。 次に,介護・福祉事業所への対策について伺います。デイサービスやデイケア,精神科デイケア等の通所系サービスや介護老人保健施設,介護特別養護老人福祉施設などの入所系,さらに,訪問看護,訪問介護,訪問リハビリなどの訪問系サービスの現場は,職員が感染しないこと,自らが感染の媒体とならないこと,その両面に神経を使い大変な苦労があります。ここでも,あるヘルパー事業所では,サージカルマスク7枚が送られてきただけだと決定的に感染防護備品が不足していると伺います。また,利用者の介護の必要性を考えると自粛は難しい。しかし,介護を提供する中で感染者が出現した場合には,事業を一定期間休業することとなり,経済補償がなければ,たちまち廃業せざるを得ないとの声が寄せられています。国はこの間,デイサービスの代替サービスとして訪問介護への切替えなどを提唱しています。 しかし,そもそもサービスのその量が足りていない中での代替には限界があります。京都市は,代替サービスのコーディネートは事業者及びケアマネジャーが行うものとしていますが,実効性があるのか疑問です。既に,介護の現場で余りにも賃金が安く,命を危険にさらしてまで働けないと離職が相次ぎ,事業が継続できなくなっている実態も報告されています。精神に疾患を持つ方や障害のある方々の生活を維持するためのサービスが寸断されないようにする必要があります。社会生活の基盤となっている介護,福祉事業所などが感染防止の対策を採りながら,経営が破綻することのないよう自治体としての措置を採り,国に大胆な財政支援を求めるべきです。いかがかですか,お答えください。 次に,国民健康保険の傷病手当と保険料減免についてお聞きします。感染症対策として国民健康保険において傷病手当金が支給されることになったことは大きな一歩です。国民健康保険の加入世帯は,年金生活者や自営業者,非正規雇用の労働者など所得の低い方々の加入割合が高い特徴があります。しかし,今回,自営業者は支給の対象外とされました。新型コロナウイルス感染症のために仕事を休まざるを得なくなり収入が絶たれるという実態は,労働者も自営業者も同じであり,排除されるべきではありません。減収の証明についても,過去一定期間の伝票を検査すれば算定することが十分可能であります。市内の多くの事業者が廃業の危機にある現状に照らして,是非,自営業者とフリーランスも傷病手当の対象とするよう求めます。また,保険料の減免については,1箇月の減収で判断し,郵送で対応することを基本に簡易な申請様式とすることを求めます。いかがですか,お答えください。 新型コロナウイルス対策についての最後の質問は,若者の支援についてです。 (パネルを示す)御覧ください。緊急事態宣言に伴う自粛要請は,青年や学生の生活を直撃しています。中でも深刻なのは,下宿や自活しながら学んでいる学生の実態です。学費か生活費,あるいはその両方をアルバイトで賄いながら生活している学生にとって,バイト先の休業は死活問題です。学生団体,高等教育無償化プロジェクトFREEが取り組んだアンケートに20.3パーセント,5人に一人の学生が退学を検討と回答しています。さらに,京都府内の調査では4人に一人となっており,大変深刻な実態です。大学生活をスタートしたばかりの方は,アルバイトをしながら学ぶつもりでいたが,まさかアルバイト先がなくなるとは思ってもいなかったと不安を募らせています。また,FREE京都や民青同盟は,アンケートに基づき,京都市に対して学生への一律の経済支援,学生アルバイトへの休業補償,学生総合相談窓口の開設などを要請しています。新型コロナウイルス感染症の影響による現在の学生の実態について,市長の認識はいかがですか。京都市として独自に大学生等の生活実態調査を行い,相談体制を強化すること,学生が休学や退学をしなくてもよいように生活を支援すること,アルバイトが減少するなどの影響を受ける大学生等について,住居確保給付金の支給対象とすることを求めます。いかがですか,お答えください。 ある青年から相談が寄せられました。4年生大学を卒業後,現在派遣社員として働いておられます。ところが,感染症対策として正社員は機材を配布されて在宅ワークが指示され,派遣社員は派遣会社から休業が指示されました。派遣会社は休業指示を出した期間の補償として賃金の6割分については支給するとしていますが,これでは生活できません。青年は月4万円の家賃と奨学金の返済は40年間,月2万円を支払わなければならず,休業後の雇用の保障もないと不安を抱えています。また,改めて派遣社員という立場の弱さを思い知ったとも述べています。故郷を離れ京都で学んだ青年が,この地で懸命に生きています。こうした青年への温かい支援が必要です。是非,奨学金の返済免除と継続的な家賃補助等を検討すべきです,いかがですか。学生と青年の訴えの背景にあるのは学費が高いという根本問題です。市長は,この問題を正面に据えて本市独自の給付性奨学金を創設すべきです。学費の値下げを国に迫るべきです。いかがかですか,お答えください。 次に,京都こども文化会館について申し上げます。京都市は府と共に,京都こども文化会館の閉館を14日に発表しました。子供たちの活動拠点の安全を確保することは行政の責任です。それを怠りながら,施設の老朽化を理由に子供の文化活動の拠点をなくすなど,本末転倒であります。しかも長引く自粛,生活の制限で子供たちは様々な活動の機会を心待ちにしています。このような中での京都こども文化会館の閉館は認められません。文化庁の誘致を進める一方で,子供の文化活動の場をなくしたのでは文化都市に値しません。閉館方針を撤回し,京都こども文化会館を存続させるよう求めておきます。 二つ目に,介護・認定給付業務の民間委託について伺います。京都市は,介護保険制度の要である要介護度の認定申請受付から住宅改修などの保険給付の決定に関わる事務を,民間企業に委託しました。この下で長年にわたり各行政区の区役所で市民や事業者の事務手続に関わってきた嘱託職員が雇い止めされたことは,痛恨の極みであります。しかも,新型コロナウイルス感染症対策に注力しなければならない中で新たな事務センターが始まりましたが,その直後より様々な問題が浮上しています。1点は,地域包括支援センターから,これまで要介護認定審査会の翌日には決定した介護度が通知され,すぐにケアプランにいかせたが,この4月以降,翌週の通知となり,急なケアプラン,サービス提供に間に合わないとの指摘があります。この問題は早急に解決すべきです。2点は,感染症対策を理由に要介護認定審査会の会議を開催せず,各委員の意見を郵送で集約するとしています。伺うところでは,たった一人の委員での会議の運営がされているとの実態も聞きます。要介護認定の質を担保するうえで,懸念の声が多く届いています。Web会議などを検討すべきではありませんか。これらは介護保険の信頼を揺るがす重大な指摘です。関係者の意見をしっかり受け止めて早急に解決するべきです。いかがかですか,お答えください。 最後に,地元の西陣織物産地について伺います。西陣織物産地は,昨年10月の消費税10パーセント増税に続くコロナショックに見舞われ,このままでは産地の全面的崩壊となり,他産業へも多大な影響を与えかねません。いま,西陣織物の製造における最大の問題は,織機のメンテナンスを担える産地唯一の機料店がこの9月に閉店を表明していることです。出機の皆さんから,今の機料店主でなければメンテナンスだけでなく物品の調達もできない,行政がこの機料店主が担ってきた役割を引き継ぎ,技術後継者が産地組合等で雇用され,安定して現場の相談に乗れる体制が必要だと切実かつ具体的な要望をお聞きしています。この問題については,既に2008年当時,大型機料店が閉業する際に,党議員団は西陣産地の危機であるとして市長に対策を申し入れてきました。しかし,京都市は商品が売れることが先決として,関連工程を含めた対策が不十分なままで今日まで推移してきたのではありませんか。西陣織工業組合理事長も,この問題が西陣産地における,今,重要な課題と述べておられますが,時間がありません。閉店を表明されている機料店主自ら,西陣織物産地を守るために自身の経験と実績を基に提言し続けてこられています。是非,産地におけるメンテナンス職人の後継者育成と必要物品が調達,供給できる仕組みを早急に検討して実現していただきたい。いかがですか。 もう一点は,現下の感染症の影響に対する制度の周知とサポートについてです。春先からの展示会も中止となる中,下職の仕事は止まり,高品質な織物を制作している現場ほど厳しいとの声があります。そうした中で,持続化給付金を申請するようにと織屋から言われたとの相談が寄せられます。しかし,産地組合に加入していない高齢化した下請の職人などが,ウェブで持続化給付金の申請手続を行うことは難しいのが実態です。サポートセンターは設置されましたが,身近なところで必要な手続が採れるよう京都市として特別な対策を求めます。いかがですか,お答えください。 さらに,和装販売事業者は,昨年の1月から5月は1,400万円あった売上が,今年の同月で500万円,さらに5月は20日前後までで数万円まで落ちた。下職を支えることもできない状況だと深刻な実態をお聞きします。伝統産業の特性に応じた独自の支援制度が必要ではありませんか。是非,検討を求めます。いかがかですか。 以上,事業の存続に必要な資金に対する支援と,ものづくりの土台を確保する緊急の対策を求めまして,私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,学生等への支援について御答弁申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の影響を受け,多くの学生さんが特に経済的な困難や不安を抱えており,安心して学ぶ環境を維持・充実させることは,重要な課題であると認識しております。本市といたしましても,この間,市内大学・学生の皆さんとの意見交換により状況を把握し,各種支援等の周知を図りますとともに,京都市わかもの就職支援センターにおいて,学生生活に関する幅広い相談にも新たに対応しております。加えまして,本市独自の取組として,経済状況が悪化した学生を支援するために臨時職員70名を募集したところ,募集人数を大幅に上回る100名の応募がございました。今後,さらに学校の部活動等で御支援いただく学生さんを新たに100名募集したいと考えております。 また,住居確保給付金につきましては,国において,支給対象者が主たる生計維持者であることなどが定められており,本市独自の支給対象者の設定は困難ではありますが,一方で,国において,一人当たり最大20万円を給付する学生支援緊急給付金の創設など支援の充実が図られております。また,奨学金の返済免除等,若者の負担軽減策の一つとして,例えば,中小企業の担い手確保にもつながる京都府の就労・奨学金返済一体型事業の活用促進に努めており,引き続き,雇用労働行政を担当する京都府や経済界としっかり連携して取り組んでまいります。奨学金創設や学費の引下げについては,全国の学生に関わる問題でありますことから,国に対し,引き続き授業料減免等によるきめ細やかな支援を速やかに実施することを求めてまいります。今後とも,学生さんの支援に国あるいは府,大学等としっかり連携をして取り組んでまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,新型コロナウイルス感染症に関しまして2点お答えいたします。 まず,備品の確保と医療機関への支援についてでございます。医療機関への医療資材等の備品調達等は国から都道府県に対し財政措置がされているところですが,本市におきましても,市民の皆様から広く頂戴した御寄付の活用を含め,京都府と緊密に連携して積極的に取り組んでおります。具体的には,京都市の対策本部に設置いたしました物資調整班が,京都府医療資材コントロールセンターと連携し,医療資材の需給・調達に関する情報の共有を図り,市内の医療機関の状況把握と支援に努めております。加えて,府下市内の医療資材等を取り扱う企業と医療機関等を結ぶマッチングサイトCLEAN VOICE KYOTOの運用によりまして,適正な価格等での調達と中小企業の技術をいかす取組を府市協調で進めているところでございます。 次に,医療機関への支援についてでございます。新型コロナウイルスの診察や治療に当たる医療機関はもとより,全ての医療機関で経営上の大きな影響が生じていることは認識されており,このため国においては診療報酬における臨時的な取扱が認められるなど支援が行われているところです。さらに,本市におきましては,帰国者・接触者外来を設置いただいている医療機関,新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れている医療機関に対し,独自の支援金を交付する補正予算を御提案しているところです。これに加えまして,市民一丸となって第一線で奮闘していただいている医療機関,医療従事者の皆様を支援していくため,京都市新型コロナウイルス感染症対策支援支え合い基金を設置し,頂いた御寄付を医療機関への支援等に充て,医療を守る取組をしっかりと進めてまいります。 次に,介護・福祉施設への支援についてでございます。介護・福祉施設で,日々感染の不安に直面しながら大変な御尽力をいただいている職員の皆様に心から感謝申し上げます。本市におきましては,サービスが継続して提供されるよう,介護保険の通所系サービスでは,利用者数が減少したとしても不利にならない報酬単価での算定を認めるとともに,障害者の就労支援事業所に対しては,テレワーク導入経費の補助や,加えて,国制度の対象とならないB型事業所の利用者のための工賃助成を独自に行う補正予算の提案など,様々な支援に取り組んでおります。さらに,感染者が発生してもサービス提供の継続が不可欠な施設や事業所等に対しまして,先月,補正予算でお認めいただいた応援職員に係る経費の助成により支援をしてまいります。 また,マスクをはじめとする感染防護のための物資につきましても,国や府の取組に加え,本市としても積極的に物資の確保に努め,市民や企業の皆様から頂戴した心温まる御寄付も活用させていただきながら,各施設,事業所への提供を行っているところです。今後とも,国に対し必要な要望をしっかりと行うとともに,国・府との緊密な連携の下,感染を防止しつつ,必要な介護・障害福祉サービスが継続して提供できるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本産業観光局長。 〔山本産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(山本達夫) 西陣織産業への支援についてでございます。織物製造に欠かせない道具や機械のメンテナンス等を取り扱う機料店は,西陣織に不可欠なものであり,現在9社が産地を支えておられますが,匠の技を有する技術者の高齢化等が進んでおります。長年培われてきた機料店のノウハウ等を途切れさせないために,西陣織工業組合と共に,後継者育成に加え,枯渇が懸念される道具類等の代替品開発を進めているところであり,引き続き取り組んでまいります。現在,新型コロナウイルス感染症の影響により,伝統産業は更に厳しい状況となっており,京都,そして日本の文化を支える伝統産業の技術を維持・継承していくためにも,一層の支援が必要と認識しております。 国の持続化給付金につきましても,関係団体等と連携し,より多くの方に御活用いただけるよう伴走型の支援に努めてまいります。また,本市独自の取組として,これまでから実施しております新商品開発や設備投資等に対する支援に加えまして,中小企業等緊急支援補助金文化芸術活動緊急奨励金等の制度を構築するとともに,伝統産業製品の特別販売サイトを新たに立ち上げ,販路拡大にも取り組んでおりますので,こちらも御活用いただきたく存じます。今後とも,伝統産業に従事する方々の仕事の創出につながるようできる限りの支援をしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 新型コロナウイルス感染症を受けた国民健康保険料等についてでございます。まず,傷病手当金につきましては,国の示す基準に基づき,給与等の支払いを受けている被保険者が,新型コロナウイルスに感染したことなどにより,勤務できない場合における新たな給付制度として創設したものです。なお,自営業者やフリーランスの方に対しては,国の持続化給付金などの支援に加え,本市独自で中小企業等緊急支援補助金などの支援を講じているところです。 次に,保険料の減免制度につきましては,新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した場合等において,新たな減免制度を実施してまいりますが,減免の適用に当たっては,市内事業者等の皆様を取り巻く極めて厳しい経済情勢に鑑み,収入減少が著しい月の収入状況を基に判定することとしております。また,感染予防等の観点から,減免申請に限らず,これまで窓口対応としていた各種届出についても,原則,郵送での受付としてまいります。 次に,介護保険制度における認定・給付業務の民間委託についてでございます。今年度から導入した民間委託は,高齢化の進展により要介護者が増加する中にあっても業務を円滑に進めていけるよう,専門性が必要な業務とそうでない業務に切り分け,介護支援専門員等の有資格者を専門的な業務に集中的に配置することで,効率的な執行体制を確保していくものです。導入に当たっては,先行都市の事例も十分検証しており,先行都市であった,委託化直後に問合わせが殺到するなどの大きなトラブルは生じておらず,総じて円滑に移行できております。御指摘の審査結果は,被保険者へは速やかに通知しておりましたが,4月当初は,担当のケアマネジャー等への送付が遅くなっていたことから,事務工程を直ちに見直し,4月中旬には問題は解消しております。また,介護認定審査会は,新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点で発出された国の事務連絡を踏まえ,臨時的な運用としてFAXによる意見提出も認める形で開催しており,審査会委員の推薦団体からも御理解いただいております。今後とも,介護保険認定給付業務が円滑かつ適正に遂行できるよう取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕 ◆(くらた共子議員) 学生の支援について申し上げます。就職の支援については幾つか本市の取組についての御答弁がありました。しかし今,切実に学生が求めているのは学び続けることをどう助けるかということに尽きます。学生の学びを保証するために,今こそ京都市独自の給付制奨学金が必要であります。これについて,これまで平時と変わらぬ御答弁をお続けになっておられることは,本当に残念でなりません。以上,申し上げて終わります。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,井上けんじ議員に発言を許します。井上議員。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ議員) 南区から選出いただいております日本共産党の井上けんじでございます。新型コロナウイルスによる犠牲者及び御家族の皆さん,感染された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げ,また特に医療衛生分野をはじめ,各分野でそれぞれ頑張っていただいている関係各位に心から敬意を表します。 一つには,検査を増やし全体を把握することや医療提供体制を強めることなど,命と健康を守り一刻も早い収束を目指すこと,二つには,現局面でとにかく市民の暮らしと営業を守ること。これら二つの課題への対策の充実強化が緊急に求められています。医療等の課題につきましては,先ほどくらた議員から質問がありました。私からは,第一に,暮らしと営業を守る当面緊急の課題について,及び第二に,今回のコロナの問題から振り返って今後の市政にいかすべき教訓について,以上二点について議員団を代表して質問いたします。 大きな第一に,暮らしと営業を守る緊急課題についてであります。まず,政府の対策については,財政出動が貧弱で,その前提として国民の暮らしと営業の切実な現状についての認識が浅く,自粛要請するなら補償の裏付けをという大原則が欠落しています。V字回復などと言っている場合なのか。収束後の消費喚起キャンペーンに1兆7,000億円も充てる,大企業には返済無用,中小には返済とか高いハードルとか,この期に及んでも大手優遇の姿勢が続いています。韓国では,軍事費を削って対策費を捻出,一方,安倍内閣はこんな時期に憲法改悪とか司法への介入とか筋違いも甚だしい。持続化給付金は減少率50パーセントの要件を緩和し,またフリーランスの皆さんなど対象を拡大すべきです。減少率に応じて給付金額を調整し,また申告方法にこだわらなければいいだけです。事業を続けられるかどうかの瀬戸際ですから,1回切りでなく継続して支援できるよう政府にも声を上げるべきであります。 雇用調整助成金の申請窓口はいっぱいです。受付体制の拡充,審査は後回しにするなど手続の簡素化を図る,上限額アップ,労働者が直接申請できるルートも設けること,また,非正規不安定雇用労働者への対策も必要です。地方創生臨時交付金は,使い道を自由とすることや抜本的な増額をもっと強力に求めるべきです。大企業内部留保金の社会的活用も必要です。留保金460兆円を仮に各自治体に人口案分で配るとすると,京都市には5兆3,682億円,一般会計7年分。仮に,これも仮にですが,全国民に分配するとすると10万円どころか365万円。もちろんこれらは単なる計算にしかすぎませんが,元々下請中小企業や労働者が作り出したものでありますから,大企業に社会的役割を発揮していただく一環として,コロナ対策については活用を求めるべきであると考えます。 大手金融機関にも,この際社会的役割の一層の発揮を要請すべきだと考えます。融資に際しての諸要件の緩和や,既存の債権についても猶予や返済条件変更等々,融資希望者や債務者の願いと実態に沿った臨機応変の対応を求めたい。事業者が倒産廃業すれば,不良債権となってしまいます。京都府の休業要請対象事業者支援給付金は,6日までに休業した事業者だけが対象ですが,休業要請期間が今月いっぱいまで延長されていますから,その後の休業も対象とされるべきです。より国民に身近な基礎自治体として,市長は,以上に述べた諸点について国や京都府などに強力に要求し,声を上げ改善を求められたい。これらの点についてお答えください。 一方,本市自身の対策はいかがでしょうか。中小企業等緊急支援補助金は,申請期間は今回は僅か5日間だけでした。申請できていない事業者が残されているのではありませんか。継続的に支援すべきです。その際,売上げ50パーセント以上減少との要件の緩和を求めます。減少率に応じて補助額を加減すればいいだけです。何か対策を打った費用の事後的補助ではなく,見積もり段階で補助すべきです。もっと言えば,そもそも何かコロナ対策を講じた費用の補助とかではなく,売上げの減少自体を対象に補填する,単純明快な給付制度を創るべきだと思います。 家賃等の固定費への要求も切実です。収入が減っても定額の義務的支出だからこそ文字どおりの固定費ですが,その財源がありません。今まさに廃業寸前の瀬戸際です。またオーナーにとっても,固定資産税は猶予とはいえローンや施設維持管理費等の支払いができず,今のままではたな子さんと共倒れです。他の自治体でも既に事例がありますから,本市でも緊急に支援すべきであります。さらに,10万円の特別定額給付金は最優先で急がなければなりません。漏れない対策も必要です。DVや各福祉施設,病院等へ入所,入院の人たち,生活保護受給世帯,家のない人たちなどなど,漏れなくかつ早く届けなければなりません。高齢者の皆さんなど,間違って希望しない欄にチェックしてしまうと大変です。証明書も必要です。あらゆるケースの想定と準備万端を求めます。 また,どの制度でもそうですが,既存予算の範囲内で申請に応じて案分するというやり方ではなく,実態と必要に応じて予算の追加も考えるべきであります。5月補正の魅力再発見予算は,外出自粛緩和を見据えてとか,奥深い魅力うんぬん等とのことですが,今大事なのは緩和とか魅力の深い浅いとかではなく,今日と明日,今の今の生活をどうするかであります。先ほど来強調しているように,売上げ減少に直接補填する制度とすべきであります。 そこでお聞きします。先ほど述べた国や府の施策に対し,要件の緩和や額の上積みなど,市として上乗せすべきこと,中小企業等緊急支援補助金の再募集と拡充,固定費補助,必要に応じた予算の追加,10万円給付金の支給を急ぐべきこと。以上についてお答えください。 八条口で3時間待って,やっと乗ってもらえたと思ったらワンメーターでがっかりだ。観光バス会社ではバスを売って当座の資金に充てている。春の予約が全部キャンセル,取引先の休業でこっちもストップ,連鎖だ。店を開いても客はほとんど来られない。家賃が払えない。私らのように個人で仕事をしている者にとってはどの制度が使えるのか。派遣だけれども,契約期間以前に切られてしまった。自粛不況で路頭に迷う人が増えていくのではないだろうか,などなど,観光,交通,土産物,旅行代理店,商業,製造業,サービス業,接客,飲食,各種イベント,建築,医療,介護,お葬式,結婚式の簡素化で葬祭業もしかり。青年,学生,非正規,派遣。あらゆる分野・業界から切実な声がひっきりなしに寄せられています。 文化関係でも切迫しています。文化・芸術,スポーツは人間生活にとって不可欠の要素ですが,それらを担う関係者,関係団体は,いわゆる裏方さんも含め非常に裾野が広く,無名の関係者の皆さんが普段から不安定な収入の中で市民の文化的な生活を支えておられます。支援が貧弱すぎます。諸外国と比べても日本政府の対応は余りにもお粗末です。国にも声を上げつつ市長の英断も求められます。奨励金だけにとどまらず,文化・芸術とその担い手の存在自体,存続自体,活動と生活自体への裏付けが必要です。実態に応じ,きめ細かい対応と柔軟な支援策の創設と運用を求めます。この点についてもお答えください。 相談窓口の在り方についてもお聞きします。医療,融資,補助金,給付金,保育,教育,仕事,雇用,アルバイトや勉強,保険料や税金,本当に市民の皆さんの要求は実に様々で,誠に切実であります。市においても必死に対応していただいておりますけれども,一方,電話がつながらない,申込みまで相当期間待つように言われたなどなど,厳しい実態に十分応え切れていない面があるのも率直な現状であります。 相談について三つお聞きします。相談体制改善の一つは,混んでいる部署への電話回線と体制の増強であります。緊急に手を打つべきところへは手を打つ,具体的,臨機応変の体制補強を求めます。 二つ目は,プライマリ相談というか,最初の相談を市が直接対応して交通整理を図る仕組みを求めたい。どの制度が使えるのか,どの制度が自分の現状に合っているのか,要件にかなっているのかどうか,制度が複雑で一筋縄ではいかない。市民にとっては生活と仕事の困難が重なっています。生活保障でも営業補償でも,とにかく先立つものが必要だ。減免や猶予についても聞きたい。賃金や雇用,学校や保育所について等々,相談内容は複雑多岐に渡っています。市を経由しない京都府や国の制度も併用できるのかどうか,まず話を聞いて課題の発見と整理をする第一線の窓口を市自身が担うことを求めるものであります。 相談改善の三つ目として,金融機関や商工会議所,社会福祉協議会,嘱託職員など任せにせず,市自身のもっと積極的な対応を求めます。直接市民の声を聴き,暮らしの実態を把握する機会の拡大は,今以上に職員の皆さんの技量の向上という立場からもそう思います。PFIや指定管理者制度,建築確認,福祉分野での直接介護等々,みんな民間任せで市民の暮らしの現場と現状,現実から市がどんどん遠ざかっています。今回のような事態にあってこそ,市が直接対応する仕組みと機能を充実されるよう求めるものです。それぞれお答えください。 大きな第二に,以上お聞きしました緊急対策の充実のためにも,この3月,4月の対策と,もう少し中長期的に市政全般について振り返り,そのうち特に経済と財政の2点に絞って,その経過と教訓について以下お聞きします。 最初の教訓は,インバウンド頼みの経済政策・観光行政への反省が迫られているのではないかという点であります。どの分野でもそうですが,特に観光や交通業等では,正に激甚災害であります。私は従来から,日本各地からの観光と,市民の住んでよしのまちづくりと言ってきました。宿泊施設拡大誘致,上質施設誘致方針の撤回,国民による消費拡大で国民の消費生活が豊かになる方向が経済循環の基本だと求めてきました。しかるに安倍内閣の下で,格差拡大,低賃金・社会保障改悪など,庶民の購買力が奪われ,物が買えない,したがって売れない。そこを改善しないまま外国人観光客の需要に頼ろうという政策が採用されてきた。観光と言えば,外国人も含め余暇の人間的な活用,暮らしを豊かにする,京都もその場と機会を提供して喜んでいただく。ところがそういう位置付けではなく,政府も京都市も,結局はもうける,稼ぐ,成長戦略等々,経済的な動機から観光立国を打ち出した。経済は結果なのに目的にしてしまった。その政策のツケが今回如実に顕在化してしまったのではないか。市民の消費購買力を高め,需要と消費を喚起する基本的方向へ立ち帰ることが必要ではないか。賃上げや社会保障の拡充,消費税減税等々,国民の消費に依拠して市内製造業,商業の売上げアップを図る,そういう方向こそが,今回の事態からの教訓ではないかと考えます。 更に視野を広げれば,消費拡大に向け,中小零細事業者の懐も温かくしなければならない。もっと言えば,消費拡大のためというより,暮らしと営業を守り豊かにしていくこと自体が目標とされなければならない。安倍内閣の下で,経済のグローバル化,大企業の海外進出促進,国内産業空洞化,競争,規制緩和,市場化,成長戦略,弱肉強食,自己責任,官から民へ,公的役割の後退等々が特徴です。ベッドが減らされ,病院の統廃合が進められ,ヘルス産業,シルバーサービス産業が育成され,本市でも保健所の統合や市立病院の独立行政法人化が進められてきました。市長も民間活力活用が不可欠などと言われています。市の財政が市外大手企業へ流出しています。コンピューター管理,上下水道局のPFIでは設計も管理も外部へ,委託は海外の事業者にも及んでいます。市立病院の特定目的会社,市営住宅の建替えと住民への対応,そして介護保険認定給付業務。市民の財産である学校跡地も市外や海外の資本に流れています。GIGAスクール構想は慎重な検討が必要だと思いますが,27億円もの発注で,WTOにより大手も地元零細も同列の入札条件です。市場化,民間化は市民の暮らしの基盤の後退と裏腹です。市役所から出るお金はできるだけ市内で回し,市民生活向上に充てるべきだと思います。公共事業や物品調達における市内業者優先と共に,住宅改修助成制度の創設など,市内中小零細への仕事興しが必要です。中国からは,機械製品の部品だけでなくマスクも届きません。普段から,市内中小零細事業者の底上げ策と仕事の提供,国内でのものづくりと地域循環,ローカル循環,ナショナル循環が教訓ではありませんか。 市長は,伝統産業を守るということとともに,世界につながる企業に元気を,との新聞インタビューでありましたけれども,町場の零細企業,自営業者はいかがでしょうか。市の統計では,大手と中小零細を区別した資料がほとんどありませんが,全国統計で倒産,廃業の多くは中小です。総務省資料では,宿泊・飲食業では非正規7割,賃金は全産業平均の4割,財務省資料では,中小業者が手元資金でやりくりできる期間は宿泊業で2.2箇月,小売業では1.5箇月とのことですが,本市ではいかがでしょう。中小零細企業,自営業者の存続は,日本と京都の経済にとって不可欠,最優先の課題であります。その灯を消してはならない。今後,インバウンドの動向についてどう見通しておられるか,インバウンド頼みの観光政策の見直しと市民の購買力向上,中小零細企業,地場産業底上げ,倒産,廃業を出さない決意とローカル循環についての認識をお聞かせください。 二番目の教訓は,財政についてであります。本市にとっても今後大幅な減収が危惧されますし,また,今回の対策のためにも,改めて財政問題についてお聞きしたい。特に国への財源要求が必要だと考えます。ここでは,国との関係を中心に絞って質問します。政府の中央集権的財政政策が,自治体財政危機の決定的な要因となっているにもかかわらず,そのことへの分析が本市においてほとんどないに等しい,むしろ追随している,批判的視点が必要ではないかというのが私の質問の趣旨であります。 そこで,政府の財政政策がいかに自治体財政にとってマイナスになっているか。例えば地方交付税について言えば,今日,有力な交付税財源である所得税・法人税両税は,最高税率引下げや大企業減税等によって長期的には大きく減っています。交付税の財源は,両税が減れば減りますし,逆に,行きすぎた減税をやめて増えれば増えることになります。この点への分析と言及が必要ではありませんか。 より直接的な問題として,国の大企業減税政策が自治体の法人市民税法人税割の減収に直結しています。法人税率引下げと,租税特別措置についての分析が必要です。もろもろの優遇税制によって,実質的な負担率は,この間引き下げられてきた名目税率よりも更に少なくなっています。私の概算ですが,京都の大企業9社は,この5年間,法人三税の税率約29パーセントに対して,実際には21から22パーセントぐらいしか払っていません。不当な減税をやめれば,市民税法人税割が大きく増収になることは明らかであります。消費税導入前後,本市の法人税割収入は400億円超,今や半減です。 個人市民税の所得割税率も,以前のように所得に応じた税率とすべきです。せめて三位一体改革前の3段階で計算し直すと,4年前の数字で,これも私の概算ですが,課税所得700万円超を10パーセントにすると,200万以下を3パーセントにしても差引相当の増収が可能です。この改善は,累進制復活という実質公平性の意義もあると考えます。住民税は応益負担との考えもありますが,現に均等割がありますから,所得割の累進税率を排除するものではありません。国の法人税減税是正と個人市民税累進化は本市の税収増にもつながると思いますが,この点についての市長の認識をお聞かせください。 そこで,国への財政要求に際し,いつも出てくるのが国の財政も大変だとの答弁であります。この認識が要求実現の妨げになっています。軍備拡大や大企業・富裕層減税をやめ,削るべきを削り集めるべきを集めれば財源はあります。税収構造のゆがみも深刻です。政府予算では消費税が税収額トップとなり,本市も地方消費税頼みが進んでいます。所得が低いほど負担割合が高い最悪の不公平税制で逆進性が拡大,ますますいびつな歳入構造になっていくばかりです。所得税最高税率や法人税が引き下げられ,税収の空洞化が進んでいます。税金の所得再配分機能の喪失,逆に税金が格差拡大推進という異常な現象が今日の税財政の特徴です。国が大変なのは,お金がないことよりもむしろこれらのゆがんだ財政構造こそだと私は思います。この点への批判と改革への問題提起抜きに,国も大変ですね,などと言いながら交付税増額だけを要求しても,うまくいかないのは明らかであります。 市独自の問題ですが,福祉や教育の分野では財政危機だと言いながら,北陸新幹線や堀川通地下バイパス等見積り抜きでも突っ込むというのは,要はお金の問題ではなく気持ちの問題だとの証明であります。鴨東線第3工区など,市の大型事業の凍結,減額補正で当面の対策費用に充てるべきことも併せて要求します。 全体として,国の財政への批判的視点の欠如,市においても大型事業の推進,民間化や職員削減,地方自治の魂を忘れた市政のこういう現状こそが,ある意味,財政危機ならぬ京都市政の本当の危機ではないか。政府の地方財政政策の問題点への言及抜きに,財政危機だけを市民に強調するのはいかがでしょうか。私の提案は特効薬ではありませんが,まず,危機克服の前提であり,第一歩だと確信をいたします。大企業優遇税制や地方税法の制約など,国の財政政策が自治体財政の危機の根源だとの認識はどうか,及び国の財政についての現状認識,国へ要求していくべき課題や方向についてもお答えください。 今後の地方財政危機打開のためばかりでなく,当面のコロナ対策のためにも,国に,必要な財源と財政政策の転換を求めていくことが必要です。本市においても,今は緊急事態ですから,現状と実態と必要に応じて追加出動する,臨機応変の対応が求められると思います。必要な財源の確保とそのために国にも強力に要求していく,これらの決意を求めて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上けんじ議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルスで厳しい状況にある事業者支援についてでございます。本市では,これまでから,国に対して事業者が危機的状況を乗り切るための施策の充実を求めており,売上減少を直接補填できる持続化給付金の創設をはじめ,様々な施策が実現し,テナントの家賃支援についても検討されております。また,雇用調整助成金についても,助成率の引上げや手続の簡素化,これまで対象になっていなかった週20時間未満の労働者にも適用されるなど,これまで本市が要望してきた5項目も既に多くが実現してきております。さらに,雇用されている方が,直接お金を受け取れる新たな制度を創設することについても,具体的に検討されているところであります。御指摘のような,事業者への一律の給付や雇用に対する助成は,全国的な課題として国において更に措置されるべきものと考えており,今後とも粘り強く求めてまいります。 また,京都府においては,知事の権限である休業要請に合わせて,休業要請対象事業者支援給付金の支給を決断されましたが,本市では独自の施策として,この休業要請の対象にならない方も含めまして,幅広い事業者の皆様を対象とした中小企業等緊急支援補助金制度を創設したところであります。この緊急支援補助金につきましては,早くから広報を強化し,各団体等に丁寧に説明してきたこともあり,1万件を超える方々から申請をいただきました。今,中小企業等の皆様が置かれている状況の厳しさを改めて痛感しており,これらの方々に満額支給できるよう,10億円の予算を25億円に増額する追加の補正予算を今市会に提案する予定であります。くわえまして,本市や,国,京都府などの様々な支援策の情報を,多くの事業者の皆様に知っていただき,御利用いただく,必要な施策がいち早くお手元に届くことが大切であり,ホームページ等での一元的な情報発信や,相談体制の充実にも取り組んでおります。今後とも引き続き,大変厳しい状況にある事業者の皆様の下支えに全力を尽くしてまいります。 次に,地域循環型経済による市内中小企業等の支援についてでございます。まず,本市では,これまでから決してインバウンドに特化することなく,国内観光客の誘客や修学旅行生の誘致等を積極的に進め,その効果が幅広い京都の伝統産業,中小企業や文化の振興につなぐ取組を進めてまいりました。新型コロナウイルスの収束が見えない中で,この影響は当面続くものと考えなければなりませんが,感染症の拡大以前の観光に戻すのではなく,市民生活や地域文化をより重視し,市民の皆様が豊かさを感じられる観光を目指しながら,早期回復に向けた取組を進めていかなければなりません。府県をまたぐ広域での移動が制約される中,万全の感染拡大防止措置を講じたうえで,まず,京都市民の皆様に,市内の飲食店や宿泊施設を利用いただき,京都の魅力を再認識していただく飲食店・宿泊施設の需要喚起を通じた事業者支援を実施し,売上増加や雇用確保につなげるとともに,飲食店や観光関連事業者にもその効果を波及させてまいります。 新型コロナウイルスの影響は,最も早く観光関連産業に及びましたが,現在市内のほとんど全ての産業に及んでいると認識しております。これらに対し,本市では,融資制度による資金繰り支援をはじめ,持続的な経営を維持するための支援策を実施してまいりました。中でも,1万件を超える申請をいただいた中小企業等緊急支援補助金は,厳しい中でも事業を組み立て,実施していただくことを支援するものであり,これまで実施してきた伝統産業,商店街振興等の地産地消,地元調達等の組み合わせと共に地域循環に寄与するものと考えております。市民,事業者の皆様には,これらの取組に加えまして,今市会に追加提案する第3弾となる本市の支援策,国・府の支援策を最大限に活用していただくなど,切れ目のない支援と相談体制により,しっかりと寄り添い,共に危機を乗り越えてまいる決意であります。 なお,住宅改修助成につきましては,耐震改修,防火改修,省エネ改修に重点を置き,社会的課題の解決を図るとともに,市内事業者が工事を行うことを要件とすることで,大きな経済波及効果を発揮していると考えております。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 新型コロナウイルス感染症に関する相談体制の強化についてでございます。市民生活や経済が深刻な状況の中で,様々な心配事を抱え,お困りの市民・事業者の皆様に適切な相談窓口を御案内し,的確な対応につなげることが極めて重要であり,そのことが,皆様の不安の解消につながるものであると認識しております。そのため,本市独自の支援策に加えまして,国や京都府の様々な施策の概要,受付窓口などの最新の情報を集約し,事業者の皆様が必要とされる支援策をキーワードで容易に検索できる事業者支援ナビを,この5月14日から新たに開設するなど,本市ホームページ等において分野別に分かりやすく一元的に発信しているところでございます。 また,京都いつでもコールや消費生活総合センターなどでも,市民や事業者の皆様からの様々なお問合せに対し,適切な窓口を御案内できるよう努めております。また,より専門的な御相談に関しましても,例えばですが,事業者からの経営相談にワンストップで対応する京都商工会議所等と連携したビジネスサポートデスクでは,本市独自に17名増員し,総勢64名で丁寧な対応に努めております。また,新型コロナウイルス感染症に関する健康相談に応じている専用相談窓口においても,これまで4回にわたって回線の増強等を図ってまいりましたけれども,今市会に提案をさせていただいております補正予算を御議決いただいた後は,昼は6回線から8回線,夜間は2回線から3回線にそれぞれ増強する予定をしております。こうした各相談窓口や関係団体との協議など,様々な場において,市民・事業者の皆様の生の声をお聴きしながら実態の把握に努め,中小企業等緊急支援補助金をはじめとする本市の支援策に反映させますとともに,国に対しても施策の改善を求めてまいりました。今後とも厳しい状況の中で,その厳しさに耐え懸命に頑張っておられる市民・事業者の皆様の声をしっかりと受け止め,状況に応じ臨機応変に相談体制等の強化・改善を図ってまいる決意でございます。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 北村文化芸術政策監。 〔北村文化芸術政策監登壇〕 ◎文化芸術政策監(北村信幸) 新型コロナウイルス感染症を受けた文化・芸術活動の支援についてでございます。感染症の影響が深刻化する中,市民生活と京都経済の下支えと同時に,心豊かな市民生活を実現し,社会経済活動を支える文化芸術支援も極めて重要であります。文化芸術事業の中止・延期が相次ぐ中,本市では,幅広い関係者の声を反映し,全国に先駆けて,動画配信など,厳しい状況下を乗り越えて実施できる文化芸術活動に上限30万円を交付する文化芸術活動緊急奨励金制度を創設いたしました。本奨励金は,芸術家に加えて,支え手である技術・マネジメントの皆様も対象とした柔軟な支援制度としていることから,高い評価をいただき,全国に同様の取組が広がっております。先頃,受付を締め切りましたが,丁寧に情報発信し,呼び掛けた結果,1,000件を超える申請を頂きました。多くの皆様に支援を届けられるよう,当初の予算5,000万円を1億円とすることを今市会に提案しておりますが,申込状況を踏まえ,更に増額して,総額3億円とする補正予算を追加提案してまいります。感染症による影響が長期化する中,人々の心に作用する文化芸術が果たす役割は大きく,引き続き,幅広い観点から支援策を検討してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 税財源の在り方についてでございます。我が国におきましては,消費課税や所得課税,資産課税を組み合わせ,また,社会経済情勢の変化に合わせ,毎年,国の税制改正における必要な見直しを行うことで,国及び地方を通じた税制度全体の中で,個人や法人を含め,公平公正かつ均衡の取れた安定的な税体系の構築が図られていると認識をしているところでございます。この間,国におきましては,税率の引下げや研究開発税制などの法人税の軽減措置をはじめとした法人税改革が行われておりますが,これは大企業を優遇するためのものではなく,中小企業を含めました企業が積極的に設備投資などに取り組み,企業の成長を促す観点から行われているものであると認識しているところでございます。一方で,本市といたしましては,一定規模の大企業に超過課税を行い,その能力に応じた負担も求めているところでございます。なお,地方交付税の財源につきましては,法人税を含め,国税のうち地方交付税に配分する割合を引き上げることによる交付税の財源の増額確保が重要であるという風に考えております。 次に,個人市民税の所得割につきましては,平成19年度の課税から一律の税率とされておりますが,この改正は,所得にかかわらず,等しい税率で納めることで受益と負担の関係が明確になるとともに,地域社会において負担を相互に分かち合うという個人市民税の性格によりふさわしいものとなるよう行われたものでございます。国に対しましては,行政サービスの向上と自主的で安定的な財政運営を行えるよう,必要な税財政制度について要望をしっかりと行い,本市の行政サービスの提供を支える安定的な税財源の確保に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 別府文化市民局長。 〔別府文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(別府正広) 特別定額給付金についてでございます。特別定額給付金については,できるだけ早期に市民の皆様のお手元にお届けできるよう準備を進めており,5月13日にコールセンターを開設し,5月15日にはオンライン申請を開始いたしました。給付開始時期につきましては,オンライン申請の受付分は6月上旬を,郵送申請の受付分は6月中旬を目指しており,100名を超える応援職員も含めて体制を構築し,全庁を挙げて業務に取り組んでおります。一方で,DV被害者など,住民票と異なる住所に避難されている方に対しましては,個別の相談を受けるなど丁寧に状況を把握したうえで,御本人の申出に基づき申請書の送付先を変更することについて,適切に対応を行っているところでございます。今後も引き続き,早期の給付はもとより,成年被後見人や福祉施設に入所されている方,生活保護受給世帯,ホームレス,御高齢の方への対応も含め,個別事情をお持ちの方に寄り添い,丁寧に対応していくことで,お一人お一人のお手元に確実に給付金をお届けできるよう進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,大道義知議員に発言を許します。大道議員。 〔大道義知議員登壇(拍手)〕 ◆(大道義知議員) 南区選出の大道義知でございます。松田議員と共に公明党京都市会議員団を代表し質問をさせていただきます。 今,人類は,新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により,未曽有の危機に直面をしております。これまで,感染症によりお亡くなりになられました全ての方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに,闘病中の方々に心からお見舞いを申し上げます。また,昼夜を分かたず,命を守る最前線で奮闘されている医療従事者の方々,社会のありとあらゆる分野で尊き使命を遂行されている全ての皆様に対し,会派を代表し心から感謝と御礼を申し上げます。大変にありがとうございます。 さて,感染拡大防止のため,3密を回避し,マスクの着用や手洗いの励行と併せ,外出や経済活動の自粛行動により,集団感染のリスクを減らす取組が,全ての国民の皆様の御理解と御協力の下に進められてまいりました。昨日,緊急事態が解除され,収束の兆しも見え始めておりますが,今後も,新しい生活様式による自粛行動を採らざるを得ない状況にあり,コロナ禍の長期化による影響は極めて深刻であります。私たち議員団は,生活現場からの切実なお声を受け止め,この間,市長に対して,対策強化を強く求めてまいりました。しかし,市民・事業者への影響が日々深刻になっていることから,4月17日に行った24項目の緊急要望に引き続き,去る5月19日,各種支援制度の迅速な対応と経済・生活支援の更なる強化を求める12項目の緊急要望を提出したところであります。市長は,今般の2次補正予算に,医療検査体制の充実や市民生活と経済を下支えする市独自の支援策も数多く盛り込まれるなど御努力いただいておりますけれども,何よりも重要なことは,今困っている人に確実に届け,活用していただくことであります。 〔山本議長退席,青野副議長着席〕 ◆(大道義知議員) (続)そのためにも迅速かつ丁寧な対応が望まれます。特に,一人10万円の特別定額給付金につきましては,一刻も早く給付されるよう最大限努力いただくとともに,施設への入所,入院中の方,成年被後見人等,申請手続に課題がある方々,さらに現に生活困窮でお困りの方へのきめ細かな配慮を求めておきます。今,新型コロナ対策のステージは,明らかに地方自治体に移っており,トップリーダーの真価が一層問われています。どうか市長におかれては,気を緩めることなく,第2波への警戒と,更なる補正予算の機動的編成も視野に入れ,市民の命と暮らしを何としても守り抜くため,全力で取り組んでいただきたいことをまずもって強く要望する次第であります。 そのうえで,コロナ禍における経済,子育て,教育の課題についてお尋ねいたします。初めに,中小・個人事業者等への支援強化についてであります。コロナショックによる社会・経済へのダメージが広がる中,飲食業・サービス業等,都心部で経営されている事業者の多くは,家賃などの固定費の支払いに苦心されています。政府においては,第2次補正予算編成において,危機にある困窮学生への支援と併せ,事業者の家賃負担を軽減する給付金の早期実現を目指していますが,個人事業者の厳しい実態を踏まえ,国の制度に上乗せする形で独自の支援策を検討されることを求めておきます。 また,現在,本市の独自施策として個人事業者を支援する中小企業等緊急支援補助金については,受付申請件数が既に見込み数を大幅に超え,このままでは上限30万円が案分され減額されることになりかねません。緊急支援補助金の更なる予算の積増しを早急に検討すべきであります。不安を抱えながら歯を食いしばって懸命に奮闘されている個人事業者は,次の支援を待つ時間的余裕もなく,廃業か事業継続かの決断を今,まさに迫られています。補助金給付にあっては,即効性と柔軟な制度運用を図るべきと考えますけれども,いかがですか。 もとより中小個人事業者への支援対策においては,コロナ禍の長期化による影響が大きいだけに,事業が平常に戻るまでの継続的な支援が不可欠であることは言うまでもありません。このほど政府は,休業要請の段階的解除に合わせ,新しい生活様式と業種ごとの感染防止予防ガイドラインを示しました。しかし,現在まで休業状態で厳しい経営状況にある個人事業者にとっては,事業活動を再開するにしても,新たな営業スタイルによる要請で,売上げにも影響する客の人数制限や衛生備品設備の購入費など経済的負担が生じることになり,市としても新たな対策を講じる必要があります。新しい生活様式要請の中で,引き続き厳しい経営を余儀なくされる中小・個人事業者を応援するための独自の支援策を検討すべきと考えますがいかがですか。お答えください。 さらに,今回のコロナショックの影響は,伝統産業や文化・芸術分野の担い手の方々へも影を落としています。元々構造的に厳しい業種のうえ,展示会の中止,百貨店の休業等により製造産品が全く動かず,後継者も離れ,コロナ禍を機会に廃業に追いやられる危機的状況であります。伝統・文化・芸術分野の業界団体だけでなく,現場の匠職人・アーティストにまで支援が行き渡るよう,奨励金だけでなく製造産品や作品の販路拡大につながる独自の支援策を検討していただきたいと考えます。いかがですか。以上,併せてお答えください。 次に,コロナ禍で奮闘されている妊産婦を応援する取組について伺います。今,妊産婦の方々は,自身のコロナ感染へのリスクだけでなく,胎児への影響に対する不安,そして子育てと家計への不安など,多くのリスクと不安を抱えながら奮闘されています。この程京都市は,妊婦を対象にPCR検査費用を助成するため,検査費用を上限2万円まで償還払い方式により支援されることになりましたが,一方で,妊婦にとって高額なPCR検査費用をあらかじめ立て替えなければならない課題もあります。平時にあっても,妊娠,出産,子育て,それぞれのステージごとに経済的負担があるのが現状で,緊急時にはなおさらであります。現在,特別定額給付金が9月までの申請期限としてスタートしていますが,令和2年4月27日まで,お母さんのおなかで育ちながら,4月28日以降に生まれた赤ちゃんは残念ながら対象外であります。今回の妊婦PCR検査費用の助成期間が4月から9月までとなっていることから,今この時期に,コロナ禍によるリスクを抱えながら子育てに奮闘する妊産婦と赤ちゃんを応援するため,支援期間の整合を図り,地方創生臨時交付金やコロナ支えあい基金等を財源に,例えばみらい応援給付金として支援すべきと考えますが,子育て日本一を標榜される市長の決断を求めるものであります。 最後に,長期休校に伴う子供たちの心のケアと,学校再開後の学びの支援について伺います。感染拡大防止のために学校が長期休校になったことで,学習機会の確保のための課題,成長盛りの子供たちの運動や食生活等健康面での課題,ストレス等による心の課題が浮き彫りになってきています。とりわけ,子供を取り巻く環境が大きく変化したことに伴う様々なストレスから,ゲーム依存,不登校,児童虐待等の危険リスクも高くなっていることからも,支援を必要としている子供たち一人一人に,心のワクチンともいえる心のケアを講じることが今求められていると思います。教育委員会は,これまで,家庭訪問や電話等による状況把握,LINEを通じた相談,スクールカウンセラーの派遣回数の拡充等により対処されてきておりますが,学校再開時に合わせて是非とも実施していただきたいのが,専門家も推奨しています心の健康診断というものです。これは,スクールカウンセラー等の専門家と教諭等が,リスクを抱えた子供のSOSを早い段階で把握し,その後の支援にいかすための簡易なアンケート調査票で,リスクが高いと判断された子供から優先的にサポートへとつなげていくものです。これまで誰も経験したことのないコロナ禍に対する子供たちの心のケアは,学校再開において最重要課題だと考えます。学校再開に関わって心の健康診断の実施など,子供たちの心のケアについて今後どう取り組まれていかれるのか,具体的にお答えください。 また,コロナ禍の影響で,子供たちの学ぶ機会を確保し,学力の維持・向上に関わる課題解決が求められています。本市においては,休校中,地元KBS京都及び京都新聞社と共同し,学びのプロジェクトを立ち上げられ,家庭学習を支援する学習番組や子供向け新聞の発行をはじめ文部科学省や民間企業が提供する学習教材等を通じて,学びの支援に取り組まれてきたところであります。また,今般の2次補正には,児童生徒一人1台のパソコンを今年度中に配備するGIGAスクール構想の前倒し予算も計上されるなど,オンライン学習環境整備等による学びの支援も加速しています。 こうした中,文部科学省は,コロナ禍による休校の長期化で学習の遅れが深刻化していることから,この度,学習内容を上級学年に繰り越し複数年掛けて対応することや,長期休暇の縮小やあるいは土曜登校及び家庭学習の支援などで遅れを解消する等の方針を打ち出しました。京都市としても国の基本方針を踏まえつつ,学年,個々の児童生徒に合わせた総合かつきめ細かな支援ができるよう方針を早急に決定することが求められていると考えます。 今,小中高それぞれの新1年生は,3月からの休校に続き,入学式の直後に再度休校に入ったため,担任の先生や同級生等とのコミュニケーションも築けないままの状況にあると言えます。特に,小学1年生の学習は,単なる読み書きだけではなく,教師や同級生等との日々のコミュニケーションの中で,自分自身を磨き成長していくための人間としての基礎知識も一緒に学んでいく極めて重要な学年でもあり,その後の子供の成長にも大きく影響を及ぼすものであります。また,受験生にあっては,高校や大学受験に対する不安もあるだけに,学力の維持向上対策は喫緊の課題と考えます。 その意味で,学校再開以後の学びの支援については,子供たちの学習面での課題だけではなくコミュニケーション等の課題も十分に精査し,今,緊急的にサポートが必要な学年への優先的な支援メニュー,例えば新1年生や受験生に特化した支援プログラム,また,併せて生徒ごとの個別支援プログラム等によってきめ細かく支援すべきと考えます。さらに,学校や教師だけでなく,地域や保護者も一緒になって,子供たちの学びの支援に取り組むことも重要な視点だと考えます。学校再開後の学びの支援に対する本市の基本方針と今後の具体的な取組についてお答えください。 今,人類が直面する未曽有の危機に対して,私たち公明党京都市会議員団は,誰一人置き去りにしないとのSDGsの理念の下に,全ての皆様と連帯し,この難局を何としても克服するため,今後も奮闘してまいることを固くお誓いし,私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 大道義知議員の御質問にお答えいたします。 中小企業・個人事業主への支援についてでございます。まず,中小企業等緊急支援補助金でございますが,広報を強化し,幅広く丁寧な説明をしてきましたが,1万件を超える多数の御申請を頂きました。事業者の皆様の置かれている窮状を改めて痛感しているところであります。厳しい状況の中,事業者の皆様をしっかりと支えるため,申請いただいたものにつきましては,何としても満額支給できるよう,今市会において補助金の予算を15億円増額し,総額25億円とする追加の補正予算を提案したいと考えております。また,現在,総勢40人体制で鋭意審査事務を進めており,できる限り速やかにお手元に補助金をお届けできるよう全力で取り組んでまいります。 次に,感染予防ガイドラインを踏まえた支援策についてでございますが,大道議員御指摘のとおり,とりわけ中小・零細事業者にとってガイドラインに沿った対策は,新たな負担になるものと考えております。今回の中小企業等緊急支援補助金では,マスクや消毒液の購入等だけでなく,ガイドラインに沿った衛生対策等も幅広く対象といたしました。また,特に厳しい状況にある飲食関係の事業者の皆様には,デリバリーを新たに始めるお店を支援するための補正予算についてもお願いしているところであります。引き続き,新しい生活様式への対応を含めまして,厳しい経営を強いられている中小企業・零細事業者の負担を軽減するための本市としての支援策を検討するとともに,国に対しても強く求めてまいります。 次に,伝統・文化・芸術分野への支援についてでございますが,厳しい状況を乗り越えて実施できる文化芸術活動を支援するため,工芸作家やアーティストをはじめ,支え手である技術・マネジメントの方まで支援対象とする,全国に先駆けて創設した京都市文化芸術活動緊急奨励金事業を実施しております。1,000件を超える多くの申請をいただいているところでありますが,今市会において予算を2億円増額し,総額3億円とする追加の補正予算を提案いたしてまいります。また,かつてないほど深刻な影響を受けておられる京都の伝統産業を守るため,匠の技を持つ技術者の方々の仕事の創出につながる支援策を早急に検討してまいります。今後とも,中小・小規模事業者,個人事業者の皆様に寄り添った支援に全力を傾注してまいります。 次に,みらい応援給付金についてでございます。今回の新型コロナウイルス禍においても,子供たちや妊婦の方,さらには,子育て世帯を徹底的に守り抜く。私はその決意の下,子供たちや妊婦の安心・安全はもとより,子育て世帯の生活を支える取組を実施してまいりました。具体的には,子育て世帯に対する取組として,4月に議決いただいた子育て世帯に対する臨時特別給付金の迅速な支給に向けて取り組むとともに,感染拡大防止のため,保育園等の利用を控えていただいた方に対して,保育料の返還等の取組を実施しております。 また,妊産婦の方に対しましては,本市独自に,ゴールデンウィーク中の相談窓口を設置するとともに,全ての妊婦と生まれてくる赤ちゃん,さらには医療従事者を守るため,出産間近の妊婦の方々に実施するPCR検査の費用助成に向けて取り組んでおります。本件は,自由診療であり,また,検査に取り組まれる産科等が全てじゃないために,償還払い方式としたものでありますが,生活に困窮されている方々に対しましては,保健福祉センターが費用を立て替える等の対応も検討しております。大道議員御提案の4月28日以降に生まれた赤ちゃんに対する給付金に関しましては,私も思いが同じでありますが,国の特別定額給付金制度を補完するものであり,本来的には国において対応していただくものと考えており,まずは,国に対してしっかりと要望してまいります。そのうえで臨時交付金や支え合い基金の状況等を踏まえまして,リスクを抱えながら生活し,子育てされる世帯に対して,どのように対応すべきか検討し,引き続き,必要な施策を実施してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 児童生徒の心のケア等,学校再開後の学びの支援についてでございます。学校の臨時休業が長期にわたる中,児童生徒の不登校や問題行動,更には児童虐待,DVなどの増加が懸念されております。現在,各学校におきまして,教員が家庭訪問や電話連絡,学習相談や面談の機会等により,子供や家庭の状況把握に努めております。くわえまして,24時間体制での電話相談窓口の運営や,SNSを活用した相談事業を5月から前倒しして実施するとともに,子供に安心感を与える家庭での関わり方に関する保護者向け啓発資料をホームページに掲載するなど,様々な媒体を用いた取組を進めてまいりました。しかしながら,心理的な不調は外からは見えにくいことがあるため,観察や相談によるだけでは必ずしも十分ではなく,大道義知議員御提案の心の健康診断を実施することは極めて大切であると考えております。こうした状況を踏まえまして,本市では,学校再開に合わせて,子供の抱える様々な心情や不安を把握する本市独自のアンケート調査を準備しており,その結果を踏まえまして,全市立学校に配置しておりますスクールカウンセラーと連携しながら,カウンセリングや家庭への働き掛けなど,適切な支援につなげてまいります。 学校再開後の学びの支援につきましては,家庭や地域の御理解をいただきながら,夏休み等の短縮や学校行事の見直し等により,授業時数の確保に最大限努めるとともに,その中で特に学校生活をほとんど経験していない小学1年生や進学や受験を控える小学6年生,中学3年生,高校3年生に配慮していくことが必要であります。そのため,6月から順次再開させます学校教育活動におきまして,小学1年生につきましては,当面の間,学級活動や遊び,交流活動等を通じて,担任とのつながりや学級内をはじめとする仲間づくりなど,早期に集団での学校生活に適応できるよう努めてまいります。また,進学等を控える中学3年生等につきましては,放課後や夏休み等の補習,7時間目授業等を重点的に設定するとともに,個々の児童生徒の学習の定着状況に応じた個別の家庭学習課題を提示するなどして,家庭での学習の充実を進めるなど家庭等ともより一層連携し,きめ細かな学びの支援に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 次に,市政一般について,松田けい子議員に発言を許します。松田議員。 〔松田けい子議員登壇(拍手)〕 ◆(松田けい子議員) 山科区選出の松田けい子でございます。大道義知議員に続き,公明党議員団を代表し質問いたします。市長並びに理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 この度の新型コロナ感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。また,社会生活を支えてくださっている全ての皆様に深く敬意を表します。 京都府への緊急事態宣言が解除されたとはいえ,この感染症との長い戦いは,市民の理解と協力なくして乗り越えることはできません。様々な困難に直面しながらも,御奮闘くださっている市民の皆様に寄り添い,生活を守るとの姿勢を堅持し,コロナ収束に向けての全体像を示しつつ,事業執行や予算組替えにより,市民をどう守り支えるのか,何をどう変えるのか,未来をどう切り開くのか,予見性も含めたメッセージの発信とコミュニケーションの更なる拡充を強く求めます。 それでは質問に入ります。初めに,避難所に関して2点お伺いいたします。まず,コロナ禍での自然災害発生時における避難所の感染症対策についてです。体育館などの避難所が感染拡大につながる3密の要件を満たしやすい環境になることから,国は4月,各自治体に対し,避難者の間にスペースを確保するため,ホテルの活用も含め可能な限り多くの避難所を開設するとともに,手洗いやせきエチケットの徹底,症状がある人の専用スペース設置,十分な換気など対策の留意点を通知したところであり,マスク,消毒液等の備蓄も不可欠です。NHKが行ったアンケートによれば避難所に行くかどうかは対策次第という回答が大半でありました。これらの点から,安心安全な避難体制を確立するために,避難所の分散化も含め,より一層の対策拡充が喫緊の課題です。 そこでお伺いいたします。本市におけるコロナ禍での自然災害発災を視野に入れた避難所の感染拡大防止対策,とりわけ運営マニュアルの改定やそれに伴う防災備蓄の見直しが急務と考えますが,御所見をお聞かせください。 2点目に,避難所における通信環境の整備についてお伺いいたします。過去の災害において,避難所における情報収集や通信手段の確保は大きな課題となってきました。こうした中,高速無線通信の一種であり,避難所での活用など,地域の公共サービス向上等にも資する,地域BWAが注目されています。この地域BWA導入により,発災時に耐災害性の高いフリーWi-Fi環境を即座に構築することができ,利用者が限定的で通信品質を担保できることから,避難所や避難場所における情報の受発信のみならず,被災者ニーズの把握や災害救援物資の適正配分,り災証明書発行に係る家屋認定調査への活用など,被災者支援に大きな役割を果たすことが期待されます。くわえて,コロナのような感染症拡大下に見込まれる車中泊避難を含む分散避難への対応としても有効であり,オンライン診療など様々な取組も展望できます。 そこで,お伺いいたします。本市においても本年度からスタートする地域BWAを積極的に活用し,避難所における通信環境の整備を早急に行うべきと考えますがいかがでしょうか。 次に,女性視点の防災減災対策についてお伺いいたします。防災減災においては,女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分配慮した女性の視点からの対策を講じることが重要であります。東日本大震災時における,更衣室,授乳室や男女別トイレの未設置,女性用品の不足など,女性の視点を欠いた避難所運営や取組を教訓に,男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針が2013年に策定され,全国の自治体で具体的な改善が進められてきたものの,昨年の東日本台風などの災害においても,残念ながら対策の強化が引き続き重要な課題となりました。そこで,国は昨年,検討会を発足させ,指針の改定を進めるとともに,自治体向けの新たなガイドラインを取りまとめました。ガイドラインは,女性の視点から,平時のみならず発災時の各段階において取り組むべき事項が示され,地域防災計画や避難所運営マニュアル等の作成や見直し,防災危機管理,男女共同参画,福祉等の部局間連携,地域の防災リーダーの育成等を促しています。 また,同検討会からは,平時の防災会議のみならず,発災時に設置される災害対策本部等の構成メンバーにも女性を多く起用するよう提言しています。今般のコロナのような感染症発生時には,ジェンダー課題が拡大するとの指摘もあります。全国知事会などが実施した調査では,地方防災会議の女性委員が多い自治体ほど,トイレ・アレルギー対応食・離乳食や哺乳瓶,おむつなど,女性のみならず,乳幼児や高齢者のニーズに合った物資の備蓄が大きく改善していることが明らかとなりました。実際,同会議の女性委員の割合が,昨年7月現在42.9パーセントと政令市トップの北九州市では,避難所運営や備蓄品において女性の視点に基づいた取組が多々なされております。一方,本市の割合は,1割程度にとどまっており,極めて低い水準にあります。災害対策基本法によるいわゆる充て職の制約はありますが,方針決定の場に男女が共同で参画し,そこでの幅広い意見が反映されることが重要であり,女性の視点を取り入れるための下部組織や部会を設けるなどの取組も有効です。 そこでお伺いいたします。市長のリーダーシップで,防災会議における女性委員の参画を積極的に推進し,裁量枠等も活用しながら,まずは政府目標の30パーセント,さらには男女比が5対5を目指して取り組むことが重要と考えますが,いかがでしょうか。その体制強化と並行し,女性の視点をいかした避難所運営マニュアルの改定の検討や各避難所の運営協議会における女性の参画を大きく推進すべきと考えますが,御所見をお聞かせください。 次に,熱中症対策についてです。近年,熱中症搬送者数が著しい増加傾向にあり,生活に大きな影響を及ぼしています。一昨年の夏,気象庁が,一つの災害と認識していると言い表したように,地震や台風・豪雨,感染症などと同様,私は暑熱による熱中症への対策を防災減災対策レベルに位置付けを上げて拡充しなければならないと考えます。国の気候変動適応計画に記された長期予測において,30年後の21世紀半ばには熱中症搬送者数が2倍以上となる都道府県が多数を占めるとされており,専門家判断による影響評価においても,熱中症はその社会的重大性が特に大きく,緊急性と確信度も高いとされていることにも明らかです。これまで課題とされてきた情報発信について,国は有識者による検討会での議論を経て,環境省の暑さ指数と気象庁の高温注意情報を仮称熱中症警戒アラートに統合し,本年7月から一部地域で先行実施のうえ,来年には全国で本格実施を予定するなど,予防と対策に関する情報提供の拡充に取り組むこととされています。私の下に寄せられた市民の声の中にも,注意をしていたつもりでも認識が甘かった,どの情報を頼ればいいのか分からないなどの御意見がありました。私が更なる対策の強化を求めた昨年の総括質疑に対し,全庁的な推進体制の検討や国・民間企業とも連携した幅広い対策の展開を行う旨の答弁がありました。コロナ禍で,外出自粛により暑さに慣らしていく暑熱順化が進まず,さらに,マスクを付けていることで体内に熱がこもりやすく,喉の渇きも感じ辛くなり,知らないうちに脱水が進んで熱中症になるリスクが高まる懸念もあります。 そこでお伺いいたします。国における新たな取組やコロナ禍の現状を踏まえ,まずは本市における今夏の熱中症予防対策について,熱中症による死亡者ゼロへ,市民一人一人の対応力向上に向けて,対策をより一層強化していくべきと考えますがいかがでしょうか。 最後に,多胎育児支援の拡充についてお伺いいたします。多胎妊婦は妊娠出産がハイリスクであることにケアの重点が置かれ,出産後の具体的なイメージもないまま,体調が回復しない状態で多胎育児を始めることが多いのが実情です。私自身,双子の育児経験者ですが,家事に加え,おむつ替え,授乳や入浴の回数は単純に2倍,どちらかが泣いている状態でもう一方をあやす,交互に寝たり起きたりしている時期は,いつ寝ていつ起きたのか,記憶すらない状態が長期間続きます。困惑感,疲労感,睡眠不足等が増すこうした育児の中で,2人以上の乳児を抱え外出することもままならない状況に陥り,地域社会からも孤立する傾向にあります。あるNPOが多胎児の親に行った調査によれば,育児中に辛いと感じた場面として,外出,移動が困難が約9割,自身の睡眠不足・体調不良が8割近く,必要なサポートとしては家事・育児の人手が7割弱,9割以上が気持ちがふさぎ込んだり,落ち込んだり,子供に対してネガティブな感情を持ったことがあると回答するなど,日常生活で疲弊している実態が示されました。 一昨年,名古屋で三つ子の母親が生後11箇月の次男を床にたたきつけ,死亡させた事件が発生しました。一般社団法人日本多胎支援協会が2018年に公表した報告書によると,多胎育児家庭で虐待死が起きた割合は,それ以外の家庭の2.5から4倍と指摘されており,ましてコロナ禍の外出自粛下では,更に厳しい状況にあると推測されます。早期からの介入は虐待の未然防止の観点からもその効果は高いと考えます。これらの状況を踏まえ,国は訪問型支援を重視。本年度より,母親らの孤立感を解消するため,外出補助や育児介助を行う育児サポーターを派遣する等の事業を開始し,実施主体の市区町村には費用の2分の1を補助します。本市においても,アウトリーチで支援ニーズを確認し,必要な申請を補助するなど,保護者に寄り添った対応を基本姿勢とすべきではないでしょうか。そのうえで,多胎育児支援を更に推進する観点から,本市のスマイルママ・ホッと事業や,産前産後ヘルパー派遣事業の利用に係る期間,限度日数の拡充や利用料の軽減,また保健師だけではなく,多胎育児経験者などが訪問し,支援情報の提供やスキルの伝授,子育て教室への参加サポートや同行など,訪問・伴走型支援の拡充をすべきと考えます。くわえて,インターネットの活用もこれらの取組を補完するうえで有効ではないでしょうか。さらに,国会でも既に問題提起されておりますが,保育園入園に関する保育の必要性認定に,専業主婦であっても多胎児育児を加えるよう提案いたします。 そこでお伺いいたします。子育て環境日本一を掲げる本市として,多胎育児家庭に対して,今,私が提案しました内容も踏まえ,産後ケアを含む様々な支援を,より手厚く拡充すべきと考えますが,いかがでしょうか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 松田けい子議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症を受けた避難所運営についてでございます。松田議員御指摘の新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所の運営については,喫緊の課題でございます。避難所における避難者の体調チェックやマスク着用の確認などを,市職員と自主防災会等の地元の皆様が一体となって運営し,体調不良の皆様を想定し,別室を案内する手順を作成しております。また,既に避難所運営マニュアルについては,新型コロナウイルス感染症対策に特化したものを作成しており,現在,区役所・支所が,避難所の現場において詳細な運営ができるよう,避難所の施設管理者や自主防災会等,地元の皆様と具体的な協議を進めております。なお,感染症拡大予防対策としては,密集を避けることが大切であり,御自宅が避難の対象かどうか,避難所以外に身を寄せる場所がないかどうかなど,市民の皆様方に事前に確認いただきたいことを記載したチラシを作成し,周知を図ってまいります。さらに,非接触型体温計などを新たに避難所に配備することにより,避難所における新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に,女性の視点の防災減災対策であります。松田議員御指摘のとおり,災害発生時には,プライバシー保護対策や各種支援に関して,性別等への配慮が非常に重要な視点となります。防災減災対策の検討に当たり,女性が参画することは極めて重要でございます。京都市防災会議は,これまでから,京都府警,自衛隊,電力,ガス等の指定公共機関のほか,水防団や京都市地域女性連合会など,災害時に連携を図る必要のある組織や事業者を中心に参画いただいておりますが,現状は女性の委員が少ない状況にあります。このような中,避難所運営マニュアルでは,運営協議会に女性の参画を求めているほか,避難所のレイアウトづくりに男女共同参画の視点を盛り込むとともに,昨年度からは,京都市防災会議に,新たに京都府助産師会に加わっていただくなど,女性の御意見を反映できるよう努めております。今後とも,女性委員の登用率の抜本的な向上を図り,地域防災計画の改訂や避難所運営など,あらゆる防災減災対策に女性の視点がしっかりといかされるように取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは2点お答えいたします。 まず,熱中症対策についてでございます。熱中症の予防は市民の命や健康を守る重要な社会的課題です。特に今年度は,新型コロナウイルス感染症対策の中,外出控えやマスクの着用等が求められており,松田議員御指摘のとおり,現下の状況に応じた取組を徹底する必要がございます。今年度は,熱中症対策について健康長寿のまち・京都庁内推進本部会議で議論し,市民会議を通じて民間企業等を巻き込み,市民ぐるみの取組を進めるところでございましたが,イベントや会議の開催が難しいため,実務者による検討チームによって手法の変更を検討,コロナ禍における新しい生活スタイルに応じた啓発チラシやホームページを作成し,本市が行う様々な個別通知などを活用して周知を徹底してまいります。また,熱中症は新型コロナウイルス感染症の初期症状と似ており,救急搬送された熱中症患者の医療機関での受入れが円滑に行えるよう感染症の迅速検査キットの導入も検討してまいります。 次に,多胎児育児の支援の拡充についてでございます。多胎児育児については,大変な授乳や入浴等への対応はもとより,蓄積する睡眠不足や疲労感等,特有の不安や心身の負担を軽減するために,松田けい子議員御指摘のとおり,様々な支援を充実していく必要があると考えております。これまで本市では,年間約130人の多胎妊婦に対し,子どもはぐくみ室の職員が訪問し,出産前後の相談やヘルパー派遣,一時的に子供さんを預かるレスパイトなどの施策を案内するほか,本年4月からは,妊婦健康診査券の追加交付などの取組を行っているところです。今後は,まず,特有の不安や戸惑いに応えるサポートブックを作成し,必要な方に必要な情報を届けることができるよう,情報発信の強化を図ってまいります。なお,御指摘の保育所入所要件は,就労等の法令の定めがあり困難ですが,多胎児が入所しやすくなるよう,本市独自に行っているポイント加算の更なる拡充を検討するなど,引き続き,支援の更なる充実について取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 避難所における通信環境の整備についてでございます。避難者される方に的確な情報を提供する環境を整備するため,これまで,本市におきましては,防災無線や衛星携帯電話の整備,テレビアンテナの配備や特設公衆電話回線の事前設置などに取り組んでまいりました。松田議員御案内のように,本市では,新たな高速無線通信の一つであります地域BWA事業の実施に係る公募を行い,最も優れた事業提案を行った事業者を本年2月に選定をいたしました。事業計画に盛り込まれた公共サービスの中には,全ての避難所におけるインターネットサービスが掲げられており,避難所を開設する際には,Wi-Fiスポットの設置により,避難された方が無料でインターネットを使用できることになります。今後,総務省の認可を経まして,本年夏から秋頃の運用開始が予定されておりますが,事業者と連携いたしまして,できる限り早期の運用開始を目指し,避難所の環境の充実に積極的に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 暫時休憩いたします。 〔午後2時58分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕 ◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し,市政一般について質問します。どうぞよろしくお願いします。 それに先立ち,新型コロナウイルスでお亡くなりになった皆様の御冥福をお祈りするとともに,闘病中の皆様の一日も早い御回復をお祈りいたします。また,新型コロナウイルスの収束に向け,医療従事者の皆様をはじめ,御尽力・御協力いただいている全ての皆様に心から敬意を表し,感謝申し上げます。 最初に,新型コロナウイルス対策に関して質問します。まずは,支援業務の改善についてです。1月30日に本市初の感染者が発表されてから約4箇月が経過しました。3月下旬以降,新規感染者が連日増え続け,医療現場が大変厳しい時期もありましたが,昨日,新規感染者は7日連続ゼロを記録し,国の緊急事態宣言が大阪府,兵庫県と共に解除されました。それを受け,明日より緊急事態措置が大幅に見直され,一部を除きほとんどの施設で休業要請が解除となります。感染は依然予断を許さない状況ですが,社会経済活動を再開する第一歩が踏み出せたのは市民,事業者の皆様が外出自粛や休業要請に積極的に御協力いただいたおかげです。しかし,その御協力は様々な負担の上に成り立っており,多くの方々が今後の生活や事業継続に深刻な不安を抱えている現状です。 そうした状況を少しでも改善するため,国,府,市などで様々な支援制度が創設されました。内容は個人向け,事業者向けに大別され,賃金・雇用,住居,生活費,税・社会保険,公共料金,給付・融資と実に多岐にわたります。そのことは評価しますが,実際に市民・事業者がその情報を受け止め,相談,申請,給付など支援を受けようとすると,様々な問題があるとの声を耳にします。例えば,支援制度が複雑で分かりにくい,相談の電話がつながりにくい,窓口がおおむね制度ごとに設けられ,ワンストップで相談ができない,支援要件も制度ごとに若干異なり,申請書類の記入が煩雑で資料をそろえるのも大変,申請手続は完了したが,支援がなかなか届かないなどです。本市が感染収束に向け,昼夜を分かたず頑張っていることは十分理解していますが,市民・事業者の皆様に最も身近な自治体は本市であり,困っているときに一番頼りにされる存在です。そのことを踏まえ,本市が行政の先頭に立ち,市民・事業者に寄り添った更なる対応が必要と考えます。 そこで,不安を抱え苦しんでいる市民・事業者の皆様の立場に立って,国にも改善を求めながら,府市協調の下,国,府の制度も含め本市独自に,各種支援制度の分かりやすい広報,ワンストップかつ即座に受けられる相談,簡単な申請手続,速やかな支援の実現を目指し,支援業務の更なる改善に努めるべきと考えますがいかがですか。 次に,今後の学力保障に向けた取組についてです。本市は,2月27日の国からの学校における一斉臨時休業の要請を受け,全市立学校・幼稚園で3月5日から,数度の延長を経て5月31日まで臨時休業を実施しています。そしてこの間,幼稚園,小学校,総合支援学校での特例預かり,1週間に1回程度,家庭訪問や電話等による確認・指導,各教科等における家庭学習の課題例の配布,KBS京都や京都新聞と連携した学習支援,中学・高校生向けの相談窓口の設置などに取り組んできました。休業は,春休み期間を除き実に2箇月以上の長期に及びます。そのため,学力に対する児童・生徒や保護者の不安は深刻です。国では,9月入学の導入,学年をまたぐ学力保障などの議論が持ち上がり,学校教育の今後が不透明で,ますます不安は募るばかりです。それを解消するには,大変厳しいとは思いますが,休業の遅れを取り戻し,保護者・地域の御協力の下,いかに今年度中に各学年の学力を保障するかに掛かっています。 そこで,今後の感染状況に左右される要素はありますが,今年度中の各学年の学力保障という考えに立ち,学校再開後の取組を児童・生徒や保護者・地域に計画的かつ分かりやすく示す必要があると考えますがいかがですか。 次に,自然災害が重なった場合の取組についてです。昨年本市では,幸い大きな被害はなかったものの,一昨年は相次ぐ地震,豪雨,台風により甚大な被害が発生しました。これから大雨,台風の時期に入ります。また,東日本大震災に匹敵する東南海・南海地震がいつ起こるかもしれません。新型コロナウイルスの非常事態の中,自然災害が重なった場合の対応は正に待ったなしです。自然災害で避難所に人が集まると,感染拡大を助長しかねず,非常に悩ましい事態となります。その際,マスク,体温計,アルコール消毒液等の衛生対策はもとより,避難所で感染拡大が起きないよう避難場所の分散化も考える必要があります。通常,学校の体育館が避難所ですが,学校内の他のスペースを活用することや学校以外の避難所をできるだけ確保しておくことも重要です。また,災害対応における自助,共助,公助の三つのうち,人との接触を避けられる自助の強化も考慮すべきです。そして,本市として対応方針を早急に策定のうえ市民の皆様に周知し,自然災害に備えておくことが大変重要です。 そこで,指摘した点も含め,自然災害が重なった場合の取組についてお伺いします。今後とも新型コロナウイルスの収束に向け,我が議員団として市民・事業者の生活・事業を支えるため全力で取り組むことをお誓いします。 次に,京都市立芸術大学等の移転整備と京都駅東部エリア及び東南部エリアのまちづくりについて質問します。今年4月の市民しんぶん全市版の表紙を飾った記事を覚えておられるでしょうか。そうです,京都市立芸術大学です。明治13年,日本初の画学校として発足し,今年で創立140周年を迎えます。この3月に京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高校の移転整備事業の実施設計がまとまり,年内に工事を着工する予定です。京都駅東部の崇仁地域に文化芸術都市・京都の新たなシンボルゾーンとなることが期待され,3年後の令和5年度中の供用開始を目指しています。また,京都駅東部エリア及び東南部エリアについても文化芸術をキーワードとしたまちづくりの方針が策定されました。門川市長は,本市の最重要事業の一つに,文化を基軸としたまちづくりを掲げておられます。これは全国の自治体の中でも千年を超える悠久の歴史と伝統文化が息づく本市だからこそ取り組めるまちづくりです。私は,この度の京都芸大等の移転整備と京都駅東部エリア及び東南部エリアのまちづくりはその核となる大変重要な取組であると考えます。 この取組を進めるに当たり,我が議員団が昨年末に視察した神戸医療産業都市のまちづくりは大変参考になると思います。神戸市は,阪神・淡路大震災からの復興に向け,従来の鉄鋼や造船といった重厚長大産業から,神戸空港を活用して,市民の命を守り,国際社会にも貢献できる医療産業分野への転換を図るため,神戸医療産業都市構想をスタートさせました。第2期のポートアイランドに研究機関,企業,病院の三つの集団を形成し,医療イノベーションを創出,現在では進出企業・団体は350社以上,雇用者数は1.1万人となっており,日本最大級のバイオメディカル拠点に成長しています。 さらに,まちづくりには三つの視点を踏まえる必要があります。一つ目は,文化庁の京都への全面的移転です。文化庁の機能が強化され,京都の風土や魅力,文化財活用のノウハウなどをいかし,新たな文化行政が展開されようとしています。そうした文化行政の新たな方向性をしっかりと踏まえた視点です。二つ目は,京都駅という本市の玄関口のすぐそばに位置することから,国内外との文化交流を盛んにする視点です。これにより,今から40年以上前,本市を世界文化交流の中心に据えることを理想とした世界文化自由都市宣言の具体化が図られると私自身大いに期待しています。そして三つ目は,京都が育んできた伝統産業や伝統的な文化芸術などを大切にする視点です。 そこで,京都芸大をはじめ京都駅東部エリア及び東南部エリアを一体的に捉え,ベンチャー企業が集積する京都駅西部エリアとも連携しながら,神戸医療産業都市が医療イノベーションを創出する三つの集団を形成したように,教育・研究の文化芸術系大学,教育・研究成果を産業化する企業,教育・研究や産業化の成果を享受できる文化芸術施設が,地域との共生を前提としつつ,三つの視点を踏まえて文化芸術を創造する集団を形成し,互いに交流しながら相乗効果を生み出すようなまちづくりに取り組むべきと考えますがいかがですか。特に,芸大が文化を基軸としたまちづくりの拠点,文化芸術都市・京都の新たなシンボルゾーンと位置付けられていることから,今回の移転でそれにふさわしい大学となるための改革が求められると思います。 そこで,3年後の供用開始に向け,移転による教育・研究環境の充実のみならず,学科再編など組織の在り方も視野に入れた京都芸大の改革に取り組み,本市の文化を基軸としたまちづくりの拠点,文化芸術都市・京都の新たなシンボルゾーンとしてぜひ飛躍してほしいと考えます。さらに,この京都ならではの文化芸術創造のまちづくりを国に後押ししてもらえるよう,オール京都で取り組むべきと考えますがいかがですか。 最後に,伏見区の特色を生かしたまちの活性化について2点質問します。1点目は,川をいかした取組です。ところで,本市に港があるのを御存知でしょうか。伏見区・中書島の伏見港公園周辺にはかつて伏見港がありました。伏見港は,安土桃山時代,豊臣秀吉が伏見城築城の際に整備されました。以来,陸上交通に代替されるまで,伏見の町は伏見港により京都と大阪を結ぶ水運の拠点でした。現在,港の機能は失われましたが,港湾区域の位置付けは残り,伏見港は日本で唯一の内陸河川港となっています。その伏見港の水運を復活させ,伏見の活性化にいかす最初の取組が,平成10年からの十石舟,三十石船の運航です。この事業は伏見区内の宇治川派流域にとどまっていますが,近年伏見と大阪を結ぶ三十石船の運航を復活させる新たな動きが出てきています。平成7年の阪神・淡路大震災時に一般道路が混乱し,水上輸送の重要性が見直され,国土交通省近畿地方整備局が平成21年3月に策定した淀川水系河川整備計画には,淀川本川,宇治川において河口から伏見までが航行可能となるよう,航路確保等必要な整備や検討を行う方針が示されました。それを受け,淀川河口付近から京都府八幡市の背割堤までの10箇所に船着場が整備され,平成29年から,大阪の八軒家浜船着場から枚方船着場までを民間の遊覧船が春,秋に運航しています。令和元年6月には背割堤まで運航されました。伏見まで運航するには船着場の整備が必要です。その足掛かりとして,国土交通省のみなとを核とした地域振興の登録制度,みなとオアシスへの令和2年度中の登録申請を目指し,伏見区役所が窓口となり,府市協調の下,官民挙げて取組が進められています。この舟運復活は観光振興に加え,災害時の水上輸送も目的であるため,早期に整備する必要があります。実は10数年前まで民間旅館が伏見と大阪を結ぶ三十石船を運航しており,伏見の観月橋に船着場がありました。現在もほぼそのまま残っており,まずはそれを活用して速やかに整備することが重要です。 そこで,国,府と連携して,日本で唯一の内陸河川港である伏見港のみなとオアシスへの登録を実現し,それを契機に,伏見の活性化と災害時の水上輸送に資する伏見と大阪を結ぶ舟運復活を早期に実現すべきと考えますがいかがですか。 2点目は,食をテーマとしたまちづくりです。今年度,本市は観光振興の目的で食をテーマに,食の関係団体と連携し,府市協調で食の魅力の情報発信強化や食に関するイベントに取り組むこととしています。私は,食は観光客,地元客の区別なく,おいしい食が評判になれば観光振興に加え,地域振興にもつながることから,正に一石二鳥の取組であると考えます。また,食は料理のほか,お酒,デザート,食器類,お花やインテリアといった室内装飾など様々な分野とつながりがあり,食以外の経済効果も期待できます。取組を推進するに当たり,市内11行政区の中で二つの恵まれた条件を備えているのは伏見区です。 一つ目は,食に不可欠で,その魅力を高めるお酒が地場産業であることです。既に酒造メーカー自身も食とお酒の結び付きを重視し,直営店を設けて食を意識した取組を進めています。そうした取組を今後,伏見区内で更に進めることが大切です。 二つ目は,農業が盛んで食材となる米や野菜が豊富に採れることです。平成29年度の年間収穫量によると,米は市内全体の3割以上で約2,000トン,野菜は4割以上で約8,000トンです。地元で採れる米や野菜を使ったオリジナルな料理を提供するのも,食による観光振興,地域振興にとって重要です。伏見区内では今のところ余り進んでいませんので,是非その点も関係業界の皆様としっかりと連携し,取組を進めるべきと考えます。この恵まれた条件をいかしながら,本市として食の集積を図り,継続的に取り組むことが重要です。エリアとしては,本市の南の玄関口で交通の便利な中書島周辺がポテンシャルの高い地域です。周辺には酒蔵の町並み,幕末の舞台となった寺田屋,島の弁天さんで親しまれる長建寺,宇治川派流を運航する十石舟,三十石船など多くの観光資源も存在し,食による観光振興・地域振興が進めば,更ににぎわいあるまちづくりが期待できます。 そこで,観光振興に加え,地域振興も図られる食をテーマとしたまちづくりを一過性に終わらせることなく,お酒や農業と連携しながら食の集積を図り,継続的に取り組んではどうかと考えますが,いかがですか。 以上で私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルスで厳しい状況にある市民・事業者への支援についてであります。新型コロナウイルスの影響により,市民生活や経済が深刻な状況にある中,市民・事業者の皆様をしっかりと支援し,不安を解消していくためには,山岸議員御指摘のとおり,生活や暮らし,経営や労働に関する正確な情報をタイムリーに,分かりやすくお届けすることが極めて重要であります。そのため,本市では,市民・事業者の皆様が必要とされる最新の情報や,その間合せ先をホームページ等で分かりやすく一元的に発信するとともに,例えば,事業者の皆様がキーワードで容易に支援策を検索できる事業者支援ナビを新たに開設するなど,充実を図ってきております。くわえまして,事業者の皆様からの様々な相談についても,ワンストップで対応する商工会議所に開設する窓口体制に本市独自で17人増員するなど,お一人お一人に寄り添った支援を実施しております。 また,支援策につきましては,各種の給付金や補助金等の手続の簡素化するとともに,速やかに市民・事業者の皆様にお届けできるよう,職員の応援や臨時職員の採用などにより,体制を強化し取り組んでおります。引き続き,国等に対しましても,迅速な支援が行われるよう,手続の簡素化や窓口体制の増強等を要望するとともに,関係機関ともしっかりと連携しながら,情報発信や相談体制の充実を図り,市民・事業者の皆様の御不安の解消に全力で努めてまいります。 次に,新型コロナウイルス感染症を踏まえた自然災害への対応についてでございます。出水期が近づく中,避難所における新型コロナウイルス感染症対策は,待ったなしでございます。本市では,避難所における避難者の体調チェック等を市職員と地元の方々が連携し運営する手順を作成し,現在,区役所・支所において,避難所の施設管理者や地域の皆様との間で,新たな避難所運営に向けて,具体的な協議を進めているところであります。新型コロナ対策におきましては,人と人との距離を取るなど,新しい生活様式を市民の皆さんお一人お一人が実践いただくこと,すなわち,山岸議員御指摘のとおり,自助の取組が非常に重要であります。市民の皆様には,御自宅が避難の対象になっているかどうか,避難所以外への避難が可能かなどを事前に御確認いただくことをはじめ,マスク着用等,避難時の注意点をまとめて呼び掛けるチラシを作成し,速やかに周知を図ることで,新型コロナウイルス感染症対策に万全の備えを進めてまいります。 次に,京都市立芸術大学の移転による京都駅東部エリア及び東南部エリアのまちづくりについてでございます。本市は,世界文化自由都市宣言をあらゆる政策の最上位に位置付け,文化を基軸とした創造的なまちづくりを進めてまいりました。この度の京都芸大の移転につきましては,オール京都で進めてきた文化庁の京都移転とも相まって,これからの京都の都市経営の根幹になるものと考えております。京都芸大は,発足以来140年,日本の文化芸術をけん引し,国内外の芸術界や産業界で活躍する多くの人々を輩出してまいりました。京都駅東部エリアへの移転後は,更に京都芸大と本市が一体となり,現在の質の高い教育・研究,創作活動を継承するとともに,誰もが気軽に立ち寄れる開放的なキャンパスの特性や立地を生かし,文化庁はもとより,国内外からの来訪者,幅広い多くの大学のほか,京都が育んできた伝統産業が先端産業等とも交流・連携に取り組んでまいります。また,こうした外部との交流から受け取った刺激を創作活動にいかして,次世代の文化芸術の担い手を育成し,その成果を社会へ還元してまいります。このエリアを中心に,全市域を見据え,140年間で培ってきた京都芸大の創造・交流・発信機能を最大限に活用し,文化芸術都市・京都ならではの魅力あるまちづくりを目指すとともに,産業界,国ともしっかりと連携し,科学と芸術,ものづくりの融合によるイノべーション,スタートアップの拠点創出なども含めまして,地域経済,京都経済の活性化に寄与する取組を創造的に進めてまいります。私からは以上でございます。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,食をテーマとした伏見区のまちづくりについて御答弁を申し上げます。伏見エリアでは,これまで地域の大きな魅力である酒のまちをいかした観光ルートの紹介や日本酒の体験型メニューの造成等に民間事業者や商店街の皆様と連携して取り組んでまいりました。また,地元農家の女性有志が中心となり,伏見区の農業の魅力を発信するため,伏見区産の野菜を使ったお総菜を商店街の催しで販売するなどの取組も進められております。新型コロナウイルス感染症により,広域的な移動,観光が難しい今は,まずは市民の皆様が地域の大きな財産である伏見の食に触れ,体験し,その魅力を再認識していただくとともに,日本酒や農産物等の消費拡大につなげていくことが重要でございます。そのため,既に伏見地域で主体的な取組を実践されている関係者の皆様を結び付け,市民の皆様を対象とした取組を支援し,継続的な事業として,食による地域の活性化や,新型コロナ収束後の観光振興につなげるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,伏見港のみなとオアシス登録と舟運の復活について御答弁申し上げます。伏見港を国土交通省の制度であるみなとオアシスに登録することにつきましては,港の施設整備に関する国からの財政支援も得て,防災やインフラ整備をはじめとした地域の安心安全に資するとともに,伏見地域のPR,住民参加のまちづくり,地域経済の活性化に大きく寄与するものでございます。そのため,府市協調の下,民間事業者や行政等による伏見観光プロジェクトチームとも連携し,令和2年度中の登録を目指し,取組を一層推進してまいります。また,舟運の復活は,水深の確保等の諸課題があるものの,クルーズツアーや水上輸送など,大きな可能性を秘めており,地元の機運醸成と共に,本市も参画し,淀川沿川自治体で構成される淀川舟運整備推進協議会を中心に国等の関係機関への働き掛けをしっかりと行ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 学校再開後の学力保障についてでございます。6月1日から学校を順次再開させる予定であり,小・中学校では,当初2週間程度は,隔日登校や分散登校により,学級当たりの登校人数を減らすなど感染防止を図りつつ,児童生徒の心身のケア,学校での感染予防のための行動様式の確認と指導,級友同士や担任等とのつながりを深める活動など,児童生徒が学校生活に順応し,しっかりと学習に向かえるよう準備してまいります。6月15日からは,通常の6時間目までの学校教育活動を再開し,保護者や地域の皆様の御理解もいただきながら,夏休み等の10日程度の短縮や学校行事の見直し等に加え,1校時当たり5分短縮する7時間授業の週1回から3回の実施など,様々な工夫を行い,授業時数の確保に最大限努め,本年度中には必要な履修内容を修了させる予定でございます。また,休業期間中の家庭での学習の進捗状況を踏まえ,必要な児童生徒に放課後等の補習等を行ってまいります。現在,学校の実態に応じて,こうした取組の具体的な検討を進めており,学習計画や活動内容等の概要につきまして,学校再開予定の1週間前には,児童生徒,保護者等にお知らせしてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,こうち大輔議員に発言を許します。こうち議員。 〔こうち大輔議員登壇(拍手)〕 ◆(こうち大輔議員) 右京区選出のこうち大輔です。日本維新の会京都市会議員団を代表いたしまして,質問をいたします。 質問に先立ちまして,この度の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対しまして,改めて心よりお悔やみ申し上げます。また,今なお療養中の方々と御家族に対しまして,心より御回復をお祈り申し上げます。そして,この間,医療関係者の皆様をはじめ,正に最前線で御対応いただいております全ての皆様,京都市職員の皆様,何より,収束に向かい日々努めていただいております市民の皆様に対しまして,心より敬意と感謝を申し上げます。 質問に移ります。昨日,京都府におきましても,ようやく緊急事態宣言の解除がされることとなり,全国的にもコロナ感染拡大状況は落ち着きつつあります。これまでの経緯は,第一に国民・市民の命の安全を守るためにはしかるべき措置と言えます。しかしながら一方で,1箇月以上に及ぶ自粛や休業要請,また,約3箇月にも及ぶ休校措置などにより,各御家庭や事業者への疲弊,経済的・精神的打撃が顕著に表れています。今後,より一層の積極的な経済的支援や,再発生拡大防止などに対して,一刻も早い対応が京都市としても求められています。 今回,大阪府の吉村知事が,いち早く独自の基準に基づく自粛要請・解除の基本的な考え方を求めた,いわゆる大阪モデルに端を発して,全国の自治体にも動きが広がっていき,京都府におきましても,独自の基準が発表されました。また,国においても,緊急事態宣言解除基準の具体的数値目標の設定が,その後決定されました。ある意味で,一自治体の大阪府が,全国の自治体や国の動きを加速させたと実感しております。この間,市民の方々から多く聞かれた声は,大阪府と比較し,特に緊急事態における強いリーダーシップと発信力を求める声でありました。今回の吉村知事の対応については,都道府県と政令指定都市の違い,権限の違いなどがあり,一概に比較できるものではありません。また,これまでの市長並びに京都市が取り組んでこられたことについては敬意を表します。しかしながら,市民の率直な声は,リーダーの生の声が足りないということです。そのような観点から,現在,オンライン受付業務が始まっております特別定額給付金につきまして,一日でも早く必要な人に給付されるように,また,市民からは申請・給付業務が遅いのではないかとの多くの声が届いていることを指摘しつつ,次のようなメッセージを市長から発信していただくことを要望いたします。 1,特に困っておられる方にいち早く給付が届くように,収入にお変わりのない方は,申請を遅らせていただけないかということを発信してください。給付に関する業務は,基本的に先着順に事務処理が行われます。事務処理につきましては約300人体制とお聞きしておりますが,急造チームであり,コロナ感染防止を気にしながら行わなければならないこと。また,72万世帯の手続には,1日当たり膨大な処理が必要となります。申請期間は9月中旬頃までありますので,市民に対し事情を説明し,広く周知をしていただきたいと思います。 2,今からオンライン申請をされようと思っておられる方に,郵送手続で行っていただけるように改めて呼び掛けてください。京都市からも広報を行っていただいてはおりますが,マイナンバーカードの発行申込みや暗証番号の確認等で,窓口の混雑やそれに伴う感染拡大の恐れも考えられます。通常でも,マイナンバーカードの作成には約1箇月を要します。今回の給付に関しては,郵送の方が早く給付される可能性もあります。また,受付後の申請内容の確認作業について,イメージに反してオンライン申請よりも郵送申請の方が比較的簡単とのことです。作業の効率を上げて,少しでも早く,正確に市民の元に届くように,市長からの発信をお願いいたします。以上,2点につきまして,市長からのメッセージがしっかりと届くように改めてお願いいたします。 また,午前中の市長御答弁にもありましたが,5月15日まで申請が受け付けられた中小企業等緊急支援補助金ですが,予算枠の10億円を大幅に超え,申請件数は1万件を超えています。この切実な声をしっかりと受け止めていただき,我が会派としても,満額の補助を支給していただける措置と,再募集の検討を強く要望いたします。 次に,第2波,第3波に備えたコロナ対策の更なる見える化についてお聞きします。今後,徹底的な再発生防止を行い,第2波,第3波に備えなければなりません。そのためには,より一層のコロナ対策に関する情報が必要となり,更なる見える化が必要と考えます。現在,京都市ホームページでは,京都府ホームページとリンクして,新型コロナウイルス感染症最新の動向が示されています。現在示されている新規陽性者数や感染経路不明者数,PCR検査陽性率,重症者病床使用率はもちろんのこと,これらに加え,国,大阪府,東京都などでも検討されている抗体検査を京都市独自でも行い,その数値を公表し,京都市が現在どのような状況なのかを具体的数値を用いて,今後より一層市民に分かりやすく説明することを改めて求めます。 また,5月中にいち早く大阪府が導入を予定している,不特定多数の人が訪れるイベント会場や店舗等で感染者が発生した際,その場にいた人に一斉メールで注意を喚起できるQRコードを使ったいわゆるコロナ追跡システムを,京都市でも導入していただきたいと,質問事前通告も行い要望しておりましたが,昨日,京都市においても導入が決定されました。この決定につきましては評価いたしますとともに,京都市における本システムの内容説明と,迅速な導入を求めますが,いかがでしょうか。 さらに,これらの情報については,特に情報格差がないように求めます。4月8日の我が会派からの緊急要望でもお願いいたしましたが,ネットや新聞だけでなく,駅や公的施設での掲示など,アナログな情報発信もしっかりと行っていただき,市民の安全のための,更なる見える化を行っていただくように求めますが,いかがでしょうか。 そして,このような緊急事態下におきましては,情報伝達がより一層重要になると考えます。この間,全世帯に対する唯一の紙媒体である市民しんぶんと,一番即効性のある京都市LINE公式アカウントは,京都市の情報伝達手段としての2本柱であると改めて実感したところです。その意味でも,5月1日号の市民しんぶんでは,コロナ感染症対策についての情報が余りにも少なかったと感じます。日々刻々と変わる情勢の中,約1箇月以上前から原稿作成を行い,記事内容について難しい部分もあったかと思いますが,各窓口についてなど情報不足であったと感じます。緊急時において発行時期を調整したり,新聞折込みや広告の変則的な活用など,情報量と時期や媒体の種類については,特に情報が重要となり,公平性が求められるこのような事態では,もう一度考える余地があるかと思います。例えば,補助や助成・健康相談の窓口に関する紙媒体は京都市から何があったでしょうか。 また,京都市LINE公式アカウントの案内は,小さな文字で検索窓のみでありました。私も登録しておりますが,このような状況のときほど非常に便利に情報が得られます。特に,日々の感染状況だけでなく,補助や助成,また学校の休校情報など多岐にわたります。それにもかかわらず,現在登録数は約2万程度にとどまっております。京都市約147万人の人口と,スマホ所持割合からいっても余りにも少ないのではないでしょうか。このようなときだからこそ,情報伝達手段として積極的に登録してもらう方法を採るべきだと考えます。市民しんぶんにもQRコードを含め目立つように掲載し,また,他の媒体からの登録も促進することを改めて求めますが,いかがでしょうか。 次に,今後の学力保障についてお聞きします。この間の,子供たちの学習の遅れ,教育機会の損失については大変深刻な問題であります。既に約3箇月間に及ぶ休校措置が採られ,相当の学習の遅れが出ています。このままいけば,今後,授業日数の確保のため夏休みの短縮だけでなく,その他の休みを使っての授業等も考えなければならない状況です。京都市教育委員会として,まずは,現状どの程度の遅れがあるのかをコマ数など具体的数値をもって明示していただく必要があると考えます。そのうえで,どこでどう取り戻していくのかの計画や,単純にコマ数を補うだけでなく,今後の学習の考えについても情報をオープンにしていただき,周知が行き届く対応を求めます。この2点につきましては,特に保護者や子供たちが必要としている情報です。丁寧な対応を行っていただきたいと思いますが,現時点でのお考えをお聞かせください。 今後,徐々に学校再開に向けて動き出すと思いますが,特に義務教育について,個々の子供たちの学習状況の違いや,再休校の可能性も見据えた対策が必要になります。分散登校とオンラインでの双方向授業のハイブリッド型運営や,より積極的な民間の学習支援ソフトやオンライン学習塾の活用なども取り入れ,対策を検討してはどうでしょうか。現在,オンライン環境の各家庭の実態調査を行っていただいておりますが,環境整備に必要な京都市独自の支援を求めます。その際は,通信費に対しての支援も御検討いただきたいですが,いかがでしょうか。 また,今回の補正予算には,GIGAスクールの前倒しに関する予算も入っておりますが,京都市全体で必要なPC端末約9万台に対して国の補助は約6万台となります。どのように役立てていくか,また,平時の使用の在り方,調達が困難な状況にて,持っておられない御家庭を優先的にするなど,どのような対応をされるかもお答えください。 あわせて,今後の検討課題として,新たな学校情報伝達システムも同時に見直し,考えていくべきであると思いますが,いかがでしょうか。と申しますのは,当初休校期間に入る際,在学生の家庭ではPTAメールでの連絡がありましたが,例えば,新小学生になる家庭には,入学式の事前情報さえも入ってこないことがあったと,市民の方からのお声もありました。せめて学校ホームページなど,どこで情報を得てくださいと周知するべきでありましたし,特に今回のような緊急事態の場合,学校や子供の状況によって情報に差異があってはなりません。また,今後のコロナ感染症の再拡大による再休校措置等の要請などの可能性等も考え,リアルタイムに情報を周知する仕組みを再点検,再構築することを求めますが,いかがでしょうか。 最後に,コロナ対策債等による京都市独自の財源確保についてお聞きします。市長,今市民は,京都市独自の財源によるコロナ対策を願っています。4月の補正予算と今回の補正予算による対策のほぼ全てが国からの予算であります。京都市独自の予算は,寄付金を除けば僅か2,000万円です。我々は常日頃から,京都市財政に対して警鐘を鳴らし,更なる身を切る改革と共に人件費や全事業の見直しをはじめ,京都市財政の更なる改革を要求し,これまで,時には予算にも反対してまいりました。そして,市長も今後の改革について並々ならぬ決意も示していただいていたところではありました。本来なら,このような緊急事態に財政調整基金があり,市民のために独自の予算を使うべきときですが,借金返済を優先してきたこともあり,残念ながら現在の京都市にはありません。この点は,市長の判断であります。 しかしながら,このような緊急時にお金がないから支援ができないことは絶対にあってはいけません。これまで,コロナの影響による市民サービスの予算見直しも提案してまいりました。例えばこの間,利用が少なくなったにもかかわらず,通常と同額の経費を交通事業者へ支払っている敬老乗車証もその一つです。この精査はどうなっていますでしょうか。いまだなかなか前進しません。ここは短期的に,いわゆるコロナ対策債として借入れをしてでも対策支援を行うべきです。例えば,短期的に,指定金融機関から担保として受け取っている100億円を内部借り入れするような大胆な発想の転換をし,支援に対する現金を調達すべきときです。 また,調達したいわゆるコロナ対策債の財源は,法人市民税均等割の免税など,市税の免税や減税,雇用支援,家賃補助,水道料金など公共料金の補助などに充てていただき,その返済は,行財政改革で速やかに行う。以上の提案をいたしますが,市長の考えをお答えください。 また,市長は前任期の退職金をいまだ受け取っておられません。本来なら,条例上選択権があり,任期満了後に受け取ることもできましたが,今回は受け取らずに留保としておられます。その決断に関しては英断であります。このまま退職金は受け取らずに,市長が先頭に立って身を切る改革を行っていただければ,緊急的な人件費の見直しもできると思います。この緊急事態に,これまでできなかった改革を断行するべきです。ここでも市長の考えをお答えください。 ここは,市長の覚悟を持って決断をしていただき,京都市独自の財源で市民の暮らしと安全をお守りいただけるように市民の思いを届けまして,質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) こうち大輔議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症に関する情報発信についてでございます。本市の感染者数や感染経路不明者の割合は,この間の市民・事業者の皆様の行動変容により大きく減少しており,昨日,緊急事態宣言が解除されたところであります。第2波,第3波に引き続き備える必要があると考えております。気を引き締めて,市民の皆様の段階的な外出自粛要請の解除や経済活動の段階的な再開に合わせ,感染拡大防止対策を継続していかなければならない,このように考えております。特に,クラスター発生のおそれがある店舗や集客施設において,新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た場合に,接触の可能性がある人を素早く把握し,連絡させていただく。そして保健所等への相談を促す。この方策につきまして非常に重要であるという風に考えております。そうした状況を見据えまして,民間事業者と1週間前から協議を重ね,昨日,緊急事態宣言解除に伴い開催しました対策本部会議において発表しましたとおり,QRコードを活用した京都市新型コロナあんしん追跡サービスを実施することといたしました。民間事業者の準備が整い次第,個人情報保護に留意しつつ,サービスをスタートさせてまいります。 また,こうした緊急時においては,市民・事業者の皆様に,必要な情報を正確に迅速にお伝えすることが一層重要になります。本市では,4月16日の緊急事態宣言以前から,市民しんぶんや公式ホームページ,SNS等様々な媒体の特徴をいかして情報を発信してまいりました。御指摘の市民しんぶんにつきましては,制作の最終段階から実際に配布されるまでの半月程度の時間差が生じるところでありますけれども,できる限り最新の情報をお届けするために,校了直前まで可能な限りの紙面の見直しを行っております。本日22日から配布開始の6月1日号では,全体の4分の1をコロナ関連の特別編集とし,特別定額給付金はもとより,相談窓口等の一覧を掲載,またLINEについても表紙でQRコードも添えまして紹介しているところであります。LINEによる情報発信につきましては,即時性が高く,必要な情報が自動的にお手元に届くため,大変御好評いただいております。一昨年12月から運用を開始し,これまで1年半で2万人余りの方に登録いただいております。引き続き,転入者等を対象にしまして,区役所等で配布する暮らしのてびきや,地下鉄,市バス等で掲示するポスター,新聞広告等,市民の皆様にコロナ関連の情報をお知らせする機会を捉えまして,御利用を積極的に呼び掛けてまいります。今後も,市民の皆様の安心安全のために,最新技術も取り入れつつ,印刷物やインターネット,SNSなど様々な手段を組み合わせまして,全ての市民の皆様に的確かつ迅速に情報をお届けできるよう工夫してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私から,新型コロナウイルス感染症を受けた財源の確保についてでございます。本市の財政は,財政調整基金が枯渇するなど,極めて厳しい状況にありますが,新型コロナウイルス対策の予算につきましては,第1弾の2,288億円,第2弾の42億円に加えて,今市会において第3弾を追加提案させていただく予定であります。市民の皆様の命と暮らしを守るため,必要な支援策を今後もちゅうちょすることなく実施してまいります。同時に,国に対しまして,臨時交付金の更なる増額,地方交付税必要額の確保,地方税等の減収補填措置の拡充などを求めており,引き続き強く要望するとともに,今市会に御提案しております新型コロナウイルス感染症対策支援支え合い基金への寄付金の確保等にも取り組んでまいります。人件費等,歳出の見直しについては,これまでから,民間にできることは民間にを基本方針に,委託化,民営化などで業務量の減少が確実に見込める部分について,職員を削減しており,門川市長就任以降,職員数を3,400人以上,年間の人件費を269億円削減してまいりました。また,本市の厳しい財政事情を鑑み,市長等の給料や期末手当についても,市長は20パーセント,副市長は12パーセントのカットを一貫して行うなど,不断の行財政改革に取り組んできております。さらに,感染拡大の影響を踏まえ,当初予算に計上いたしました事業の延期や規模の縮小,休止も含め,徹底的な業務の見直しに取り組んでおります。 なお,いわゆるコロナ対策債についてですが,地方債は,原則として学校や道路の整備のように,将来に資産が残る事業の財源とする場合において発行できるものであり,補助金などのソフト事業に充てることは法令上認められておりません。 また,指定金融機関の担保金ですが,指定金融機関が取り扱う公金を損失させたといった万が一の事態の発生に備え,いわば公金の安全確保のために本市としてお預かりしているものであり,市の事業の財源として活用することはできません。引き続き,歳入・歳出両面から徹底的な財源確保に努め,新型コロナウイルスの感染症対策に必要な取組を確実に実施してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 学校再開後の学力保障と情報の周知等についてでございます。今回の休校は長期間に及んだことから,児童生徒の学力保障が喫緊の課題と考えており,4月及び5月に実施予定の授業日数は,家庭訪問週間や,遠足・修学旅行等の日程により各学校で若干異なりますが,おおむね25日程度でございます。こうした休校期間中の授業日数につきましては,夏休み等の10日程度の短縮や学校行事の見直し等に加えまして,1校時当たり5分短縮する7時間授業の週1回から3回の実施など,様々な工夫を行い,最大限その確保に努め,本年度中には必要な履修内容を修了させる予定でございます。また,単に授業日数の確保にとどまらず,児童生徒一人一人の学習状況等に応じ,放課後等の補習を実施するとともに,ICTを活用した家庭学習の支援の検討などに取り組んでまいります。 なお,6月以降の学習計画や活動内容等の概要につきましては,学校再開予定の1週間前には,児童生徒,保護者等にお知らせをするなど,今後とも継続的に取り組んでまいります。また,GIGAスクール構想による端末整備につきましては,本市におきましては,当初計画から2年前倒しし,本年度中に児童生徒3名に対し2台分のタブレット端末等を配備する計画を進めております。 具体的なICT活用につきましては,インターネットを活用した調べ学習,一人一人の教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習,また,グループでの発表などの協働学習等の場面において活用できるよう研究を進めてまいります。また,臨時休業等の緊急時には,情報の周知とともに家庭でのオンライン学習やウェブ会議システムを利用した学習・生活相談等で活用することを想定しており,通信機能を持つ端末を一定数確保した上で,インターネットの利用環境がない御家庭に対しまして,貸し出しを行えるよう計画をしております。通信費につきましては,現在,家庭におけるインターネット利用環境を調査中であり,その結果を踏まえまして検討してまいりますが,多額の経費が必要であり,国に財政支援の拡充を要望しているところでございます。なお,入学前の保護者等に対しましては,半日入学の機会等に学校ホームページを案内するなど,保護者等に学校の情報が漏れなく伝わるよう今後とも努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,大津裕太議員に発言を許します。大津議員。 〔大津裕太議員登壇(拍手)〕 ◆(大津裕太議員) 中京区選出の大津裕太です。地域政党京都党市会議員団を代表して市政一般について質問いたします。 この間,新型コロナウイルス感染症拡大により,尊い命を落とされました皆様の御冥福を心からお祈り申し上げます。そして,医療現場をはじめ,感染症対策の最前線で日夜対応に奔走していただいております官民問わず全ての皆様に感謝申し上げます。また,緊急事態宣言及び休業要請や自粛要請により,市民及び事業者様におかれましては,多大なる御協力を賜りましたことを感謝申し上げるとともに,経済的・精神的に大変御負担をお掛けしましたこと,大変心苦しく思っております。 そんな中,特別定額給付金の給付が遅い,休業補償の金額が少ない,京都市の情報発信が少ないなどの多くのお声が市民の皆様から上がっておりますこと,京都党市会議員団としても大変重く受け止めております。引き続き,市民の皆様のお声をしっかりと議会と行政に届け,でき得る限りの対応を最優先で行ってまいります。今回の代表質問でも,コロナ対策の現状と今後に関しての質問をいたします。市長をはじめ各局におかれましては,この間,各会派からの要望を柔軟に採り入れた取組をしていただいていると感じており,引き続き柔軟でスピード感のある対応をお願いしたいと思っております。 それでは最初に,コロナ対策の財源に対しての質問を行います。本市は大変厳しい財政状況であることから,コロナ対策の予算が十分財源確保できないのではないかという懸念がございます。本来,正にこのタイミングで取り崩すべき財政調整基金は枯渇しており,本年度の当初予算でも特別の財源対策が193億円にも上りますから,追加の予算を計上する財源を一般財源から捻出することは困難を極めます。 また,市債発行に関しては,地方債は原則的に建設地方債しか発行が認められていないことから,コロナ対策で必要としている歳出に対しての発行は難しいと財政課も明言しております。これはこれで,国にも特別な市債の発行を認めるように要望もしていただきたいと思いますが,目下の確実な財源にはなりません。国からの支援は,地方創生臨時交付金を使うことができます。当初22億円から23億円と想定していたものが,31.6億円まで増えたこともあり,4月補正,5月補正で活用しても10億円ほど残る計算となります。しかし,引き続きの感染拡大対策や医療崩壊の防止,市民・事業者の経済的支援,子供たちの教育環境の整備などを行っていくことを考えると,10億円では全く足りないと考えます。 残る方法は,当初予算の中で優先順位を付け,既存事業の見直しにより減額補正をして財源を捻出することです。既に,中止になったイベントをはじめ見直しをされていると認識しておりますが,以前確認した際には,捻出できそうな財源は数億円規模だったこと,直近に至っても金額規模の明言を避けておられることを鑑みると,もっと大胆な事業見直しが必要であり,また,スピード感も足りません。いずれの事業も,基本的に不要なものはないと思いますが,不急なものはあります。また,不急でなくても,コロナ対策と天びんを掛けて,優先順位の劣る事業はまだまだあると考えます。一例を挙げると,観光振興予算,環境啓発予算,文化振興予算,不急の工事などがこれに当たるのではないでしょうか。 過日の総務消防委員会では,財政当局より,市税収入をはじめとする歳入減も心配していることから,事業の見直しで生まれた財源を使えるかどうか分からないという答弁がありました。しかし,市長は,日頃,市税収入を増やしても増収に伴って地方交付税が減らされると仰っておりますが,今回はその逆であり,市税収入が減っても,大半は地方交付税で補填されます。当然,補填されない宿泊税の減収や地下鉄・バスの減収など,多大な影響があることは間違いありませんが,トータルでの減収見込額を早急に計算し,だからこそ既存事業の見直しは大胆に行っていただきたいと思います。 そこで市長にお聞きします。コロナ対策に必要な財源はどの程度と考えておられ,事業の見直しによる財源捻出をどのように行っていく覚悟があるか。また,それ以外に何か方法を考えておられるかを答弁いただきたいと思います。ここまでを第1質問といたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 大津裕太議員の御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症対策の財源であります。本市においては,市民の皆様の命と暮らしを守るという使命感と覚悟を持ち,早期に全庁を挙げた対策本部を設置し,特に450人の局横断的な体制を構築し,感染拡大防止,また中小企業等の支援に全力で取り組んでまいりました。また,厳しい財政状況の中ではありますが,第1弾として府市協調による実質無利子の新たな融資制度など2,288億円,第2弾として中小企業支援や妊婦の皆さんへのPCR検査の本市独自の費用など42億円を補正予算に計上し,また第3弾を本市会に追加で提案する予定であります。 新型コロナウイルス感染症は,一旦収束に向かいましても,第2波,第3波の懸念もあり,また,京都経済への影響は長期にわたり甚大なものと見込まれます。このため,国ともしっかりと連携し,中期的に力強い対策を講じていく必要があり,現時点において,京都市単独で中期にわたる必要な経費や財源の見通し等を立てられる性質のものではないと考えております。また,国から示された臨時交付金の第1次配分額では到底足りるものではございません。しかし,現時点において市民の皆様の命と暮らしを守り,中小企業を支えていくために,必要な施策を覚悟を持って展開しているところであります。国の第2次補正予算も見据えまして,臨時交付金の早期の大幅な増額につきまして,既に指定都市市長会として緊急要請を行い,さらに本市単独でも国に強く要望しております。 また,地方税の徴収猶予分に対する資金手当債や基金の活用なども検討していきます。くわえまして,今市会に設置条例を提案しております支え合い基金に寄付していただけるよう積極的な情報発信に努めてまいります。さらには,これまで経験したことのない今回の危機を従来の行政の在り方を根本的に見直す機会ともしたいと考えております。短期的には,事業の休止や延期を行うことにより,今回の難局を乗り切るための人員や財源を捻出するとともに,中長期的には,今年度新たに設置いたします持続可能な財政を確立するための外部有識者会議での議論も踏まえまして,効率的で機動的な足腰の強い財政基盤を確立してまいります。 ○議長(山本恵一) 大津議員。 〔大津裕太議員登壇〕 ◆(大津裕太議員) 先ほどから答弁がございましたが,国からの交付金を使った支援をこの間やってまいりました。今後も国からの交付金の増額を求めていくというのは当然の対応でありますが,しかしこの間,本市の一般財源であったり,財政調整基金に余裕がないことにより,他都市ではできている支援が本市でできていない,ということが起こっていることを改めて市長には考えていただき,本市独自の支援というものが,どういうことができるかということを真剣に考えていただきたいと思います。 次に,市民生活への経済的支援についての質問を行います。緊急事態宣言に伴う休業要請と自粛要請により,市民生活は大変疲弊しております。私の元にも,今月,来月の生活も見通せないという声もたくさん届いております。まず,市民が期待したのが,国からの全国民に一律10万円を給付する特別定額給付金です。様々な事情はあるのでしょうが,本市の給付スケジュールは他都市よりも遅く,市民より大変多くのお叱りの声が届いております。他都市では5月頭からオンライン申請を受け付けているのに,京都市はなぜ2週間も遅れるのか,他都市では書式をホームページからダウンロードして申請できるのに,京都市はなぜ郵送を待たなければいけないのかなど,市民から見れば当然の疑問がたくさん寄せられます。市長には,これらにしっかり説明責任を果たしていただく必要があります。給付に向けては,既に人員の増強などの対策が採られており,給付スケジュールも一部前倒しができ始めておりますので,このような取組を更に強化し,1日も早く給付できるように市長に強く要望いたします。 また,給付金が遅れるということで,緊急小口資金や総合支援資金の特例貸付を利用しようとすると,こちらも申請が殺到していることもあり,実際に手元にお金が届くまでかなりの時間が掛かります。本制度は生計維持に緊急にお金を必要としている方を対象にしている制度の趣旨を考えると,一刻も早い貸付けをしなければならないものであります。早急に改善が必要です。人員の一時的な増強などの対策が必要なのではないでしょうか。既に,納税猶予や国民健康保険の減免,住宅確保給付金など,様々な支援を打ち出しておりますが,更なる支援を求める声も多くあります。特に,他都市で実施されている水道料金の減免は,求める声も多く,是非実現していただきたいと考えております。 そこで,改めて市長にお尋ねします。緊急小口資金,総合支援資金の給付や貸付けのスケジュールの短縮に対してのお考えと水道料金の減免に対するお考えをお聞かせください。 続きまして,事業者の経済的支援についてです。京都府は,休業要請に対する経済的な支援が,法人20万円,個人事業10万円と,隣接の大阪府や兵庫県が,法人100万円,個人事業主50万円に比べると大変少なくなっております。また,京都府下のほとんどの市町村が京都府の休業要請支援給付金に上乗せをする形で給付金額を増額しておりますが,京都市はこの独自の上乗せも行われておりません。 一方で,休業支援金は,対象業種が限られることから,業種の裾野を広げて,困っておられる事業主に支援するという趣旨で,休業支援金の代わりに全業種を対象とした中小企業向けの支援補助金を4月の補正予算で計上したことは,支出を伴う補助金ではなく給付金にしてほしいなどの声もあり,賛否はありますが,良い取組だと考えております。また,5月補正で提案されているように,障害者就労継続支援B型事業所が雇用調整助成金の対象外なことから,独自に支援する取組は大変すばらしいと強く賛同しております。ただ,京都府の休業支援金の予算は38億円であることから,京都市が仮に同額の上乗せ支援をしていたとすると,人口規模などを考えると30億円弱の予算になったと推察されます。 しかし,京都市の補助金の予算額は10億円であることから,休業支援金の代わりということであれば,予算規模が小さいと言わざるを得ません。結果,予算上限を上回る申し込みが想定されたことで,申込期間が5日間という異例の短期間になり,市民からは,気付かない間に申請期間が終わることを狙っているのではないかとなどという,本来意図していない批判を受けるに至っています。また,京都市だけが,休業支援金が少なく,京都市で事業をしている者だけ損だという声がたくさん上がってきているわけでございます。京都府下の他都市や全国の政令市と比べて京都市の支援は少ないという状況を解消することが必要です。休業支援金という形にこだわる必要はございませんし,中小企業等緊急支援金の予算の積み増しも含め,少なくともあと20億円程度は何かしらの中小企業の経済的支援に予算を計上すべきと考えますが,いかがお考えでしょうか。 なお,5月市会でも追加の支援策は提案されていることは理解しておりますが,例えば,飲食店のデリバリー支援は,他都市も休業支援金と別でそれぞれ実施されている事業であることなどもお含みおきいただいたうえで,答弁いただきたいと思います。 また,非常事態宣言が解除され,経済活動が再開されたとしても,新たな感染拡大を防ぐためには,引き続き,市民や事業者には3密の回避やテレワークに御協力いただく必要があります。そこで,他都市でも先行事例がありますが,自宅でのテレワークで不便を感じている方や,職場に通えなくなっている方などの支援として,また観光やイベントの自粛により大きな影響を受けている宿泊業の方々の支援のためにも,市内宿泊施設でのテレワークプランを割引料金で利用できる制度を創設することを要望いたしますので,御検討をお願いいたします。 最後に,子供たちへの学習及び生活支援についてです。3月の学校休校措置以降,約3箇月間,義務教育が止まりましたが,休校期間中も登校日が設定でき,緊急事態宣言が解除されたことにより,学校再開のめども付き始めました。まだまだ,感染リスクに対する保護者の意見も分かれているところですので,十分な感染予防対策を講じていただきながら再開への道筋を付けていただきたいと思います。ただ,専門家の見解では,新型コロナウイルス感染症は,今後も第2波,第3波が発生する可能性が否定できず,再び,休校措置が必要になる可能性も十分ございます。 今後,再び休校措置になった際に,今回の経験をいかし,教育活動がストップしないよう,また,子供たちの生活のケアができるようにしていかなければなりません。今回は,突然の休校ということもあり,現場も混乱されていて仕方なかった面もあると思いますが,特にゴールデンウイーク明けまでの対応は,各学校・各先生任せの点が多く,対応に差が出てしまったのではないでしょうか。また,教育委員会にこの点確認した際も,家庭で責任を持って見てもらうという発言に終始しておられ,大変危機感を感じました。御家庭の状況によって,子供の学習の支援ができる御家庭とできない御家庭があります。教育委員会として休校中の義務教育をどうするかということに対する向き合い方が足りなかったように感じます。 ただ,KBS京都で小学校高学年及び中学生への学習番組が始まり,それが小学校低学年に広がったこと,ゴールデンウイーク明け以降は,統一的に課題のやりとりが学校と行われるようになったことなど,前に進んでいると感じております。また,市立の高校でオンライン授業が始まる予定もあり,小中学校でもオンライン授業の環境の整備として,5月補正予算で端末の購入などの施策が行われることを大変期待しております。そして,休校期間中,家庭と外部の関わりが遮断されることで,家庭内虐待や子供たちの精神衛生の悪化も起こっていると推察されます。担任の先生から,電話などでの保護者や子供たちとのコミュニケーションも取られていましたが,まだまだ課題が多いのではないかと思っております。 そこで,お尋ねします。今後,やむを得ず休校措置を採らざるを得ない状況になった場合,今回購入した端末の活用も含め,オンライン授業の在り方や分散登校の在り方,休校時の子供たちとのコミュニケーションの在り方など,子供たちや保護者たちへの支援はどのようなことができるでしょうか。本年度中ならどうか,来年度ならどこまでできるか,この3箇月間の経験も踏まえ御説明いただきたいと思います。 これで質問は終わりますが,最後に改めて一言申し上げます。この数箇月で,半年前には誰も想像していなかった多くの困難が現実の問題となり,様々な点で困っておられる市民の皆様が多くいると存じます。こういうときこそ,行政や政治がしっかりかじ取りをしなければいけないとお考えの方が多いと思います。今,支援を求めるお声,お叱りのお声,多くの声が上がっています。一つ一つのお声を真摯に受け止め,説明責任を果たし,改めるべきところは改めてまいることをお約束申し上げまして,私の代表質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,新型コロナウイルス感染症を受けた事業者支援について御答弁申し上げます。本市独自の中小企業等緊急支援補助金につきましては,京都府の休業要請対象事業者支援給付金の対象になる方,ならない方にかかわらず,中小企業や小規模事業者,フリーランスの方等全般を対象としており,内容も,マスクや消毒液の購入等だけではなく,安心安全の確保や,危機的状況を乗り越えるための取組,事業を継続させていくための取組を幅広く対象としております。この補助金につきましては,約1万件もの多くの事業者の皆様から申請をいただきました。現在総勢40人体制で支給に向けた審査を鋭意進めており,速やかにお手元へお届けできるよう取り組んでまいります。また,申請いただいたものにつきましては,満額支給できるよう,今市会におきまして15億円を追加し,総額25億円とする補正予算の提案を予定しております。これに加えまして,デリバリーサービスの利用促進によって,外出を控えられる市民の皆様の支援と,飲食店の売上増加や新たな顧客の獲得につなげてまいります。 あわせまして,広域移動ができるようになるまでの間,市民の皆様に市内の飲食店や宿泊施設を御利用いただき,消費拡大と京都経済の回復に結び付けますとともに,地域と調和した宿泊施設,飲食店と市民の皆様との相互理解の深まりや,市民の皆様に京の食文化を堪能いただく取組を展開するため,これら二つの事業で,総額2億5,000万円の補正予算案を今市会に提案をさせていただいております。これらは,市民の皆様に御利用いただくことによって本市の予算額を上回る経済効果を生み出し,飲食店や宿泊業等の皆様をしっかりと支援しようとするものでございます。極めて厳しい本市の財政状況の下ではありますが,覚悟を決めて財源を確保しつつ,同時に,地方創生臨時交付金の増額等,国にも必要な支援を求めながら,引き続き,中小企業・小規模事業者の皆様の支援に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,緊急小口総合支援資金の給付等の迅速化及び水道料金の減免についてお答えいたします。まず,緊急小口資金及び総合支援資金の貸付けの迅速化についてでございます。緊急小口資金や総合支援資金等の生活福祉資金貸付制度は,京都市社会福祉協議会において受け付けを行われており,開始当初は国の取扱いにより,面談での受付を行っていましたが,全国的に申込みが殺到したことから,国において,郵送申請への変更や関係書類の簡素化が図られたところでございます。この間,本市といたしましても,職員が積極的に業務応援に入るなど,京都市社会福祉協議会と共に取組を進めてまいりました。具体的には,総合相談窓口の設置や電話回線の増設,申請書ダウンロードへの対応,ゴールデンウィーク中の臨時開設等の取組の結果,5月21日現在,約8,500件の申請を受理しており,このうち約8割は,事務処理を終えるなど,円滑に進んでおります。今後とも,本市と京都市社会福祉協議会がしっかりと連携し,一刻も早く申請者のお手元に資金が届くよう,全力を尽くしてまいります。 次に,水道料金の減免についてでございます。水道事業は,お客様からの料金収入をもって運営しており,水需要の減少による収入減が今後も続く厳しい状況の中で,減免については,公営企業の経営面や老朽化した管路及び施設の更新への影響などを十分に踏まえ,慎重に判断すべきであると考えております。一方で,新型コロナウイルス感染症の影響により,お支払が困難なお客様に対しては,申出に応じ最長で6箇月間のお支払を猶予するなど,きめ細やかな対応を行っているところであり,引き続き丁寧に対応してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 臨時休校に伴う子供たちへの学習及び生活支援等についてでございます。この度の臨時休校期間中,各校の教職員が,休校当初から独自に家庭学習の課題を作成し,各御家庭にお届けするとともに,定期的な家庭訪問や電話連絡等により,家庭任せにするのではなく,学習の進捗や生活の状況の把握と指導にも精力的に取り組んでまいりました。また,幼稚園,小学校,総合支援学校では,家庭で過ごすことが難しい児童生徒等のための特例預かりを行うとともに,4月20日からは本市の指導主事が出演してKBS京都での特別教育番組を放映し,くわえて学校,家庭で活用できるインターネットでの学習サイトを紹介するなど,様々な取組により学習保障に努めてまいりました。 あわせて,ICTの活用につきまして,動画投稿サイトYouTubeや学校ホームページを活用し,各学年・教科ごとの学習動画や,学校にまだほとんど登校したことのない新1年生のための学校紹介動画の配信,ウェブ会議システムを活用したオンラインでの朝集会やランチミーティング,個別相談等も開始されるなど,この間,新たな取組が様々な形で展開されてきております。現在,3人に2台のタブレット端末の配備の計画を進めておりますが,その中で,休校の際,オンラインでコミュニケーションを図るために不可欠なインターネット環境がない家庭に対しまして,まずは,通信回線がなくても単独で通信機能を持つ端末を一定数確保したうえで貸出しを行えるよう計画しております。また,オンライン学習の推進のため,4月に教育委員会内にプロジェクトチームを設置し,家庭で活用できる様々なコンテンツの紹介や各学校で取り組まれているオンライン学習の事例を本市の多くの学校で実践につなげるよう指導資料等を作成,発信するとともに,併せてスキル向上のための教職員研修の充実に取り組んでいるところであります。今後とも,再度の臨時休校や,その際の分散登校にも備え,子供たちの学びを保障する環境づくりに努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時43分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          副議長   青野仁志          署名議員  平井良人          同     神谷修平 △(イメージ)陳情文書表「受理番号54」「特別定額給付金の郵送による受付手続の即時開始等」・陳情文書表「受理番号55」「市バス12号系統及び59号系統の運行経路の変更の撤回」...