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02月27日-02号

  • ”選挙””代理投票””障害者”(/)
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  1. 京都市議会 2020-02-27
    02月27日-02号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    令和 2年  2月 定例会     令和元年     定例会       京都市会会議録 第2号     令和2年2月市会                       令和2年2月27日(木曜日)出席議員(64名)   1番 神谷修平議員   2番 小山田春樹議員   3番 くぼたまさき議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 豊田恵美議員   6番 井上よしひろ議員   7番 山本恵一議員   9番 やまずまい子議員  10番 かまの敏徳議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 大津裕太議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 江村理紗議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方浩之議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  42番 森川央議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(2名)  11番 森 かれん議員  59番 玉本なるみ議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 令和2年2月27日(木)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付第2 議第1号ないし議第17号,議第19号,議第20号,議第22号ないし議第26号,議第29号ないし議第37号,議第42号,議第290号ないし議第293号,議第296号,議第297号,議第303号ないし議第312号,議第314号及び議第316号ないし議第320号 令和2年度京都市一般会計予算 ほか55件~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名を指名いたします。松田けい子議員小島信太郎議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) この場合,議長から御報告申し上げます。 監査委員から,令和元年12月分の例月出納検査の結果報告が参っております。原文は,市会事務局に保管してありますから,随時御覧願います。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。今回受理いたしました請願2件及び陳情2件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程第2,議第1号ないし議第17号,議第19号,議第20号,議第22号ないし議第26号,議第29号ないし議第37号,議第42号,議第290号ないし議第293号,議第296号,議第297号,議第303号ないし議第312号,議第314号及び議第316号ないし議第320号令和2年度京都市一般会計予算,ほか55件,以上56件を一括議題といたします。 前回の議事を継続し,これより質疑を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。富きくお議員。 〔富きくお議員登壇(拍手)〕 ◆(富きくお議員) おはようございます。山科区選出の富きくおでございます。同僚の田中明秀議員,さくらい泰広議員,平山たかお議員と共に,令和2年度の予算案に対し自由民主党京都市会議員団を代表し質疑を行います。 今月2月2日に行われた京都市長選挙におきまして,門川大作市長は,見事に4期目の当選を果たされました。おめでとうございます。今回の選挙に臨み,市長は,過去の3期12年間の延長線上にある4期目を目指すのではなく,次の京都を創造する新たな挑戦に命を懸けるとの強い決意の下,141項目にわたる公約を掲げ選挙を戦い抜かれました。 この12年間を振り返ってみますと,門川候補を推薦した会派,政党,国政で言うところのいわゆる与党会派の要望も取り入れ,また市長のモットーである現地現場主義の下,市民の皆様の多様な御意見も取り入れ様々な取組で成果を挙げてこられました。CO2の排出量を減らすため,ごみの量は年間82万トンから41万トンに半減,クリーンセンターは5工場から3工場体制となり,地下鉄1日当たりの利用数も7万人増,市バスも5万人増,地下鉄に関しては,過去3年間黒字を確保。また子育て・教育環境日本一を目指し,保育所・学童保育の待機児童ゼロを継続し,保育士さんの配置基準を国の1.3倍とし,同時に年収も全国平均を上回る1.34倍まで引き上げ,子育て支援日本一と言われるまで力を注いでこられました。さらに,社会福祉の関連経費も2倍に増やし,高齢施設の数もこの10年間で約2.1倍に。アベノミクスと相まって,雇用数,納税義務数とも全国平均を上回る伸び率となっております。一方,違法民泊に関しては,地域住民の生活を守るため,46人の専従職員が徹底した指導を行い,2,583件から19件へと99パーセントを営業停止に,観光消費額も5年間で8割増え,2018年度では1兆3,082億円に達し,市民77万人分の年間消費額に相当。また,防犯カメラ設置補助の拡大で,刑法犯認知件数も2013年度から半減。一方で,多様化する市民サービスを行うための財源確保のため,徹底した行財政改革を断行,事務事業の見直しや民間活力の導入,職員数を2007年度から比べて約2割削減,また,我々議会とも徹底した議論を行い,宿泊税などの新税導入により更なる財源確保を実現。こうした実績を評価し,我々自由民主党を先頭に,公明党,国民民主党,立憲民主党,社民党の各京都府連の推薦,さらに,経済界,労働界,多くの市民団体の皆様と共に,国政においては,与野党の立場はあるものの,未来の京都を思い,同じ方向を向いてワンチームとなってそのリーダーとして門川大作氏を選び,非常に厳しい戦いでございましたが,共産党推薦の候補に勝利することができました。 また,未来の京都づくりに欠かすことのできない,国や府との連携についても,府市協調から,さらに府市一体となった様々な取組を進めております。その未来の京都づくりに向けたスタートとなる議会を迎えたわけであります。今後の4年間を思いますと,財政的にも,また,急速に進む少子高齢化,世界情勢,地球環境を見渡したとき,今まで以上に厳しい情勢しか見えてまいりません。しかし,決してとどまることなく山積する課題に挑戦し,乗り越えてゆかねばなりません。市民お一人お一人,誰一人取り残さないとの思いで我々議会も二元代表制の下,緊張感を持ち,しっかりと議論を重ね,共に未来の京都を創ってまいる覚悟であります。 そこで,4期目のスタートとなる来年度予算編成に当たり,今後の施政方針と141の公約実現に向けた決意をお伺いいたします。市長は,京都の新たな時代を切り開いてゆく五つの大きな政策の柱を次のようにまとめられました。第一に,人生100年時代の安心を創るため,誰一人取り残さないSDGsの理念の下,命と暮らしを守る保健医療,福祉,介護の充実,そして子育て・教育環境日本一を実感できる子育て支援,教育を充実。第二の柱として,命を守る防災・減災先進のまちを創るため,しなやかで強じんなレジリエント・シティを目指し,地域に根差した災害に強いまちづくり,人づくりで市民の命と暮らしを守る取組を実現。さらに,第三の柱として,力強い経済と都市の活力を創るため文化,学術,大学の集積する京都の強みをいかし,中小企業,地域企業の持続的発展と,知恵産業の創造・創業などで力強い京都経済を創り,市民の皆様に豊かさを実感していただけるよう都市の活力を高めてゆく取組を進める。第四の柱として,文化の力で暮らしと心の豊かさを創るため,京都ならではの文化の継承・発展を実現し,市民生活を最優先に観光の京都モデルを構築。最後に第五の柱として,まちづくりを支える持続可能な財政を創るため,緊密な府市協調と国との強固な連携,近隣自治体との都市間連携をより一層深め,オール京都による京都全体の発展につなげてゆき,都市の成長を支える持続可能な財政の確立に向け財政構造の抜本的改革を強力に進めるとしています。宿泊税に続く新たな収入確保のための財源創出と共に徹底した歳出削減を両立てで進めてゆく。 以上,五つの大きな政策の柱を中心に,公約実現に向けた4年間がスタートいたしました。市長の公約実現に向けた強い決意を,まずお聞かせください。 次に,公約を実現するための財源確保についてお尋ねいたします。来年度予算案として,一般会計7,839億6,000万円,特別会計6,280億5,700万円,企業会計2,724億6,800万円,計1兆6,844億8,500万円が計上されました。今回の選挙は,候補の政策の実現力が問われた選挙でありました。ある候補は,自分の政策実現に必要な財源は年間約70億円から80億円であり,市の一般会計予算約8,000億円の1パーセントでできる。それができないのは,市長のやる気がないからだと主張されていました。しかし,地方自治体が自由に使える財源は,市民の皆様から頂く個人市民税や固定資産税,法人市民税などと,国から地方に配分される地方交付税などを合わせた一般財源と呼ばれているものだけで,一般会計7,839億円ではありません。この一般会計には,国から支出される特定財源も含まれており,この特定財源とは,国の施策に沿って地方自治体が行う事業のための使い道が決まっている財源であり,地方自治体が自由に使えるものではありません。今回提案されている予算では,一般会計のうち一般財源は,4,349億円だけであります。さらに,京都市が自由に使えるこの一般財源4,349億円のうち,市職員の人件費や借金返済のための公債費などの固定費のほか,京都市が独自に行っている教育,医療,衛生,消防,道路,河川,公園の維持管理,区役所の運営など,いずれも市民生活に密接な事業に使われている費用の合計が3,782億円となっております。これらを削減することはできません。一般財源4,349億円からこの3,782億円を差し引いた残りは567億円だけで,これが様々な施策を実現するための財源となります。 選挙運動期間中,共産党推薦の候補がビラやチラシで宣伝していた,すぐにやります四つのパッケージで,一般会計の1パーセントですぐにやりますと宣伝していた公約を実現するためには,事業の整備費やそれに伴う人件費などを含めると,到底70億円や80億円ですぐにできるものではありません。根拠のない数字を並べ,耳障りのよい宣伝文句で,自分だけがやる気で実現できると,有権者の皆さんが誤解しかねない情報を発信し続けたのであります。しかし,多くの有権者の皆さんは根拠のない宣伝にすぎないと見抜き,門川市長こそが公約を実現できると判断していただいたわけであります。その期待に応えてゆくためにも,政策の推進と持続可能な財政を,今後両立させねばなりません。 京都市の財政状況が非常に厳しいものであることは事実であります。令和元年度の地方交付税等の交付額が予算額を64億円も下回り,また法人市民税の税率の引下げなどにより一般財源は82億円の減少となり,これはこの10年間で最大の減少となりました。こうした国の地方交付税削減に対しては,今後,実態に見合った地方財政確立のため,抜本的改革を国に対して私たち議会人も強く強く要請してまいる所存であります。本年度の予算案では,京都市としても企業版ふるさと納税や協賛金,寄付金,ネーミングライツなど,あらゆる税以外の収入の確保に努めるとともに,政府の安心と成長の未来を拓く総合経済対策の財源を積極的に活用する一方で,歳出削減のため,あらゆる努力を積み重ね,何とか107億円の財源は捻出したものの,それでもなお193億円が不足する状況となっております。 このような厳しい財政状況ではありますが,福祉,子育て支援,教育のニーズにしっかりと応え,防災・減災対策を着実に進め,そして中小企業支援で,地域経済を活性化させることにより,市民の皆様の暮らしを守り抜く,この点だけは決して後退させることはできません。このため市長も,大変厳しい判断であったと思いますが,来年度予算では公債償還基金の取崩しや初めて発行する調整債などの特別の財源対策で不足分の193億円を確保することとなっております。しかし,この公債償還基金というのは,将来の借金返済に充てるべき積立金であり,その積立金を取り崩すということをいつまでも続けられるものではありません。また,本市の貯金にあたる財政調整基金の残高がこの2月補正予算でゼロになり,今後起こり得る災害などへの備えに大きな不安が残ります。このままでは,市民の安心安全を守ることができない事態になってしまいます。歳出に関しましても,たゆまぬ見直しは当然のことでありますが,歳入に関しては,これまでの延長線上ではなく,新たな財源を創出する抜本的な取組が是非とも必要です。市長,副市長を先頭に,局長から現場の職員まで,前年度同様の財源が当然のように確保されるという意識を捨て去り,もっと貪欲に,市役所の全ての職員一人一人が稼ぐという強い意識をもって,税収増加,税外収入の確保に全力で取り組むべきであります。 公約にも掲げているように,宿泊税に続く新たな財源確保に向け,市内のセカンドハウス所有などへの適正な負担の検討など新税導入の検討にも速やかに具体的に着手すべきであります。財政基盤がぜい弱という言い訳はもう通用いたしません。財政基盤がぜい弱なのは,今に始まったことではなく,全国には京都市よりも財政基盤がぜい弱な自治体があることも事実です。市民の皆様との約束を実現し,将来にわたって市民生活の安心安全を守り,まちの活力を生み出してゆくため,市長におかれては,これからの4年間,財源創出並びに持続可能な財政の確立に不退転の決意で取り組んでいただきたい。その決意をお聞かせください。 まずは,ここまでの御答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 富きくお議員の御質問にお答え申します。 今般の市長選挙におきましては,自由民主党をはじめ幅広い政党,関係団体の皆様,多くの市民の皆様から力強い御支援と御信託を賜り,引き続き市政を担わせていただくこととなりました。市民ぐるみで進めてきたこれまでの取組への評価と未来への期待を頂いたと実感しており,その使命と責任の重さに改めて身の引き締まる思いでございます。二元代表制の下,市会の先生方と車の両輪となってお約束した141の公約を確実に実行し,147万市民の皆様のため全身全霊をささげる,その決意を新たにいたしております。 思えばこの12年間,厳しい財政状況や度重なる自然災害など,正にいばらの道でございましたが,多くの市民の皆様の御理解と御尽力を頂き,命と暮らしを守る,福祉,教育,子育て支援を充実等に取り組み,京都のまちの魅力と都市格は大きく向上しました。しかし,富議員御指摘のとおり,京都の未来にとってこれからの4年が極めて重要であります。もとより,4期目は,これまでの延長にあるとは考えておりません。五つの政策の柱の下に,新たな挑戦と改革により,次の京都へまちづくりを新たなステージへと高めてまいります。 まずは,人生100年時代の安心への挑戦でございます。この間,全国トップ水準の子育て支援を実行してきましたが,少子化に歯止めが掛かっておりません。また,健康長寿社会の実現,貧困,孤立,格差,8050問題など今日的な社会的課題への対応が喫緊の課題でございます。京都の地域力・文化力をいかし,これらの課題解決に挑戦し,課題解決先進都市・京都を実現します。 次に,防災・減災先進都市への挑戦でございます。京都には,消防団や自主防災会,自治会,社会福祉協議会など誇るべき地域力がございます。多くの皆様の献身的な御活動に敬意を表するとともに,この京都ならではの地域力をいかした防災力の強化などソフト対策の充実に加えまして,雨に強いまちづくりや耐震化など,更なるハード対策を実施してまいります。同時に,自然災害の激甚化の背景にある気候変動対策として,2050年CO2排出量正味ゼロに向け,市民ぐるみで挑戦してまいります。 次に,力強い経済と都市の活力への挑戦でございます。この間,正規雇用が増加し,創造的な企業が京都で生まれ,また集積するなど,都市の活力が大きく向上してまいりました。一方で,中小企業の担い手確保や事業承継,さらには,研究開発拠点,産業用地,オフィスや若い人が住みやすい住居の不足などの課題が生じております。地域企業の下支えはもとより,景観政策の骨格はしっかりと堅持しつつ,強い経済,都市の活性化との両立に挑戦し,市民の皆様の豊かさにつなげてまいります。 次に,文化の力による暮らしと心の豊かさの実現への挑戦でございます。新・文化庁との連携の下,文化を基軸としたまちづくりを加速させ,経済との融合による好循環はもとより,誰一人取り残さないSDGsの理念の実現や世界平和へ貢献してまいります。 最後に,まちづくりを支える持続可能な財政への挑戦でございます。新たな財源の創出や成長戦略による担税力強化と行財政改革の断行との両輪で,改革を加速させてまいります。これらへの挑戦は決して容易ではございませんが,全国随一の市民力,地域力,さらには,緊密な府市協調,国との強固な連携など幅広い力を結集し,147万市民の皆様とワンチームになり,京都の未来を力強く切り開いてまいる決意でございます。 次に,持続可能な財政の確立についてでございます。来年度は,地方交付税の削減,地方公共団体の財政力格差の是正を目的とした法人市民税の税率引下げ等により,一般財源収入が,この10年で最大となる82億円と大きく減少いたしました。こうした厳しい状況にありましても,防災・減災対策予算の増額確保,保育士の配置,処遇改善の維持・充実,国民健康保険事業へは国の基準を81億円上回る172億円の繰出金を確保するなど,市民の暮らしを守るために必要な予算は最大限努力して確保しました。こうした結果,徹底した行財政改革を断行してもなお不足する193億円について,厳しい判断ではありましたが,特別の財源対策を講じました。しかし,特別の財源対策はいつまでも続けられるものではなく,将来にわたって,市民の皆様の暮らしを守る基盤となる持続可能な財政を確立するためには,聖域なき歳出改革の徹底と,これまでの延長線上ではない抜本的な財源創出が不可欠でございます。 この間,文化を基軸としたまちづくりにより,京都の都市格,魅力,都市の総合力は確実に高まってきております。これを経済の活性化,市民の皆様の豊かさ,税収の増加につなげ,それが更なる成長,発展の原動力となる,文化と経済の好循環,これを実現するための成長戦略を描かなければなりません。京都には,様々な国内外のスタートアップ企業が生まれ,また,集積しつつございます。また,雇用数や個人市民税の増加など,明るい兆しも見えてきております。この流れを一段と進化させ,京都からイノベーションを起こす。京都に住みたい,働きたい,学びたい,子育てしたいという方々の願いに応えるため,景観政策の骨格は堅持しつつ,産業用地,学術研究用地,オフィススペース,若い人が住みやすい住環境の創出に取り組み,活力あるまち,強い経済を作り上げる。新たに設置する外部有識者会議では,こうした財源創出に向けたまちづくりの在り方や,社会福祉を含むあらゆる市民サービスの持続可能性などについて,前提条件を設けず,市民ぐるみの開かれた議論を行い,市民参画の下,歳入歳出両面での改革を加速させてまいります。また,この有識者会議では,課税自主権の更なる活用も視野に入れ,私が公約に掲げました,空き家やセカンドハウス所有等への適正な負担も含めて議論いただき,新たな財源創出に向けた検討に早期に着手してまいります。 全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援教育を維持・充実し,市民の安心安全を守ると同時に,将来の京都の成長・発展のための先行投資も決して怠ってはならない。今と未来のために必要な施策を進めながら,同時に財政の持続可能性を追求することは,並大抵の努力では成し得ません。そのためには,これまでとは次元の異なる財政状況の厳しさを市民の皆様と共有し,職員一人一人が自らの課題として,税収の増加,税外収入の獲得,聖域なき歳出改革に既成概念を取り払って臨まなければなりません。また,大都市の実態を反映した地方交付税の算定を,強く国に対して求めていくことも不可欠でございます これから4年間,私が先頭に立ち,緊褌一番,改めて気持ちを引き締め,全庁一丸,ワンチームで,市民の皆様と共に,市会の先生方の御協力・御支援も頂きながら,京都のまちが,50年後・100年後も輝き続けられるよう,新たな挑戦と改革に全力を尽くしてまいります。 ○議長(山本恵一) 富議員。 〔富きくお議員登壇〕 ◆(富きくお議員) 引き続き質疑をいたします。 次に,新型コロナウイルス感染症に関してお尋ねいたします。現在でも,その患者数や死者,感染状況など日々刻々と変化しており,同時に治療に関しても,現状ではワクチンも特効薬もなく,対処療法のみで,高齢や持病のある人は重症化しやすいことや感染経路がはっきりしないことなど不安材料も多く,今後国内外を問わず感染拡大がどんな方向に向かうのか予測できない状況となってまいりました。政府は,これまでの国内への感染流入を防ぐ水際対策重視から,検査や治療できる医療機関を拡大するなど,重症を減らすための対策を加速させる方針へと転換し,国内での流行に総力を挙げて対応しております。 昨日,安倍総理は,この一,二週間が感染拡大防止に極めて重要であり,全国的なスポーツ,文化イベントなどは大規模な感染リスクがあるので今後2週間は中止あるいは延期又は規模縮小などの対応を要請いたしました。これを受け,急きょイベントが中止になるなど全国的に混乱が広がっております。本市として,今後,この要請を受け,どう対応していかれるのかお答えください。 また,経済面での影響も深刻で,中国からの部品供給に頼っている国内企業でも生産を休止せざるを得ない状況となっております。観光業界への打撃は一層深刻で,予約キャンセルが続出し,ホテル,観光バス,免税店など売上げが大幅に下がり,人混みを避けようと国内外の観光客も相当減少し続けております。 本市におきましても,2名の発症があり,うち1名の発症は,市長選挙のさなかでありましたが,市長は,市民の安心安全を守ることを最優先にと自らの選挙戦から離れ,迅速に緊急対策本部を立ち上げ,陣頭指揮を執り,その対応に専念されました。そして,発症の治療に万全を期すとともに,専用電話相談窓口を24時間対応で開設。以来,相談件数が増えていると聞いておりますが,現在の相談件数はどのようになっているのでしょうか。2名の発症は,いずれも症状が改善し,退院され,その後,新たな感染の報告は現在のところありません。また,今回の新型ウイルスの対応に当たっては,緊密な府市協調により,迅速な検査体制や受入医療機関の対応の調整などに臨むこととし,対策費用として,本市では,2,000万円の補正予算が計上されました。 そこで,医療面での対応についてお尋ねいたしますが,今後,京都市において発症が多数出た場合を想定して,これはあくまでも想定でございますが,様々な対応策をシミュレーションしておく必要があります。検査や患者の受入体制については,公立病院だけでなく,民間医療機関も含めた対応をいかにスムーズに行うのか,国内での流行が避けられない現状で,その対応には万全を期す必要があります。医療機関相互の連携も含め,対応策についてお答えください。 次に,事業への支援についてお尋ねいたします。観光客の激減により,市内の観光関連業界で甚大な影響が出ており,この先いつまでこうした状況が続くのか,先行きが全く見通せない状況となっております。国においても,事業への緊急支援対策として5,000億円規模で徹底的に資金繰り,経営環境の整備,また休業時の休業手当の助成施策などを講じてゆくとしております。 今回,補正予算で府市協調の融資制度新型コロナウイルス対応緊急資金を創設し,京都市では,融資制度預託金として10億円が計上されました。本市の基幹産業である観光業界や大きな影響を受ける中小零細事業を徹底的に支援すべきであります。その対応策について,先ほどお尋ねいたしました医療体制と併せてお示しください。 最後に,私を選出していただいております山科区の交通問題についてお尋ねいたします。山科区におきましては,高齢化率が東山区に次いで市内で2番目に高く,現在では65歳以上の人口が約3人に一人を占め,5年後には75歳以上の後期高齢が5人に一人以上になると予測されています。こうした状況の変化と共に,区民の皆様の生活スタイルやニーズも変化してきております。例えば,若い世代の多い地域では,発着時刻や運行時間がきちんと守られている地下鉄の利用が多いのに比べ,高齢の皆さんからは,階段やエレベーターで昇り降りしなくても停留所までそのまま歩いて乗り降りできるバスの方が楽で使いやすいというお声が大変多くなってきております。しかし,頼みの綱のバス路線ですが,山科区の場合,市内中心部,特に四条河原町方面への運行本数は少ないうえ,夕方は早い時刻で終わってしまい,地下鉄への接続も十分ではないのが現状であります。 一方で,地元の皆様も各地域でモビリティ・マネジメント事業などに取り組んでいただいており,くるり200はじめ,鏡山学区や小金塚地域におきましては,循環バスの利用状況の調査や利用客増加に向け,地域を挙げてもっと増便していただけるよう一生懸命お取組いただいております。 鏡山学区では,その努力と功績が認められ,山科区役所と共に国土交通大臣表彰を受賞されました。山科区役所も一緒になって,地域の皆様がここまで懸命に頑張っていただいておりますが,それでも1日僅か,この鏡山学区の便では3便のみの運行であります。京都市としても更なるバス路線の充実に向け,思い切った施策を是非とも実現していただきたい。 市バス・民間バス事業を取り巻く環境が人手不足をはじめ非常に厳しい状況であることは十分に承知いたしておりますが,山科区においては,地下鉄東西線の開業に伴う民間バス事業への一元化の折,市バス撤退という苦渋の選択を迫られ,当時,私自身も非常に悩み,区民の皆様方から様々な厳しい御意見や御批判も頂戴いたしました。その際,市バス撤退後のバス運行については,区民の皆様に不便をお掛けしないように,京都市交通局と民間バス事業で誠意を持って協議し解決に努力するとの約束でありました。 バス問題に関しては,2年前の2月市会においても,我が会派の,同じ山科区選出の吉井あきら議員も取り上げておられますが,市バスとの共同運行,すなわち,市バス復活を実施することにより,運行本数を増やし,市バスが運行しているエリアとの格差を,これ以上広げないよう強く強く望みます。 市長御自身も,格差が現実に生じていることを今までの答弁の中で認めておられます。急激な高齢化が進み人口約13万6,000人を擁する山科区と,市内中心部と比べ,公平さに甚だしく欠けていると言わざるを得ません。市長の強力なリーダーシップの下,市バスと民間バスとの共同運行の検討を,できれば来年度から始めていただくことを強く強く求めます。市長の御所見をお伺いいたします。 今後この4年間,市長の更なる御活躍を期待いたし,以上をもって本日の私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,富きくお議員の御質問にお答え申します。 新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。市民の皆様の命と健康,暮らしを守るには,市民ぐるみで感染拡大防止に努めることが極めて重要であり,正しく恐れていただくため正確な情報提供が最も重要であります。このため,1月22日の庁内連絡会議,1例目の感染発生を受け1月30日に開催した緊急対策本部会議等において,全庁で情報を共有するとともに,市民の皆様への情報提供を速やかに行うなど先手先手で対策を講じており,まず,全国に先駆け1月31日から相談窓口を毎日24時間対応で設置し,既に2,000件を超える御相談を頂き,丁寧に対応しております。独自の検査につきましても,府や医師会,感染症専門医の皆様と協議のうえ幅広い解釈で実施し,2月26日時点で市で83件,府で25件の合計78件となっております。本市では,2月5日の2例目の発生以降,感染は確認されておらず,発生した患者2名の方も既に治癒,退院されており,現在も元気にされております。 今後においては,感染の拡大を想定した医療体制の確保に向けた準備が重要でございます。2月25日に出された国の基本方針においては,軽症は,外来の動線を区分するなどの対策を講じたうえ一般病院で対応していただき,特別の設備を整えた万全な対応ができる市立病院等の感染症指定医療機関は重症の方を優先するとされており,関係機関と連携して,感染の動向を的確に把握し対応してまいります。 次に事業への支援につきましては,観光客の減少や市民の外出控えなどによる宿泊業,小売業,飲食業,サービス業等の売上げ減少のみならず,サプライチェーンの停滞による製造業への影響などが生じてきております。状況を的確に把握し,丁寧な相談体制を築くとともに,2月6日に府市連携により緊急融資制度を創設し中小企業の資金繰りを支援しておりますが,さらに,国の緊急支援策に基づく保証制度を組み入れ,より低金利で設備投資にも利用できる新たな融資制度を府市協調で早急に創設してまいります。 また,昨日,国から,多数の人が集まるような全国的なスポーツや文化イベントの中止や延期,規模縮小等の対応を求めるとの要請を受け,本市におきましても,関係団体等とイベントの中止や延期等に向けた調整に入っており,決定次第,速やかに国内外に情報を発信し,丁寧に説明してまいります。 加えまして,国の基本方針である,風邪症状が見られる職員等への休暇勧奨につきましては,既に本市職員に徹底しており,さらに,時差出勤についても早速導入いたしました。 新型コロナウイルス感染症対策は,国においてもこの一,二週間が感染拡大防止の山場とされております。引き続き,全庁が一丸となって,迅速,的確に対策を講じ,感染拡大防止に全力を尽くしてまいります。 次に,山科区のバス路線についてでございます。山科区におきましては,平成23年に,交通事業や区役所などの関係行政機関で構成する山科区公共交通利用促進協議会を設置し,地域のニーズをしっかりと把握しながら,区内の公共交通の利便性向上に取り組んでいるところでございます。 平成29年度から,民間バス運行エリアにおけるバスの利便性向上に向けまして,地域の皆様,交通事業,行政が一丸となって取り組むバス路線の充実のための社会実験について,バス調達経費,利用促進のための活動経費などを支援しており,これまで鏡山循環バスやくるり山科の増便,さらに,小金塚地域においては,地域内を循環するバスの実証運行が平成31年3月から開始されております。 この間,各地域においては,様々な機会を捉え,バスの御利用を継続して呼び掛けられ,こうした取組により,例えば鏡山学区においては,国土交通大臣表彰を受賞されるなど地域の皆様が主体となった取組には頭の下がる思いでおります。本市といたしましても,引き続き,これらの社会実験中の路線が本格運行につながるよう支援してまいります。 加えまして,全国的にバス運転士の担い手不足が深刻化する中,本市域内における日常生活に必要なバス路線の維持・確保を図るため,来年度から,バス運転士の担い手確保に対する支援制度を新たに創設する予算案をお諮りいたしております。また,平成9年10月の地下鉄東西線開業に伴い,山科地域のバス事業を民間事業へ一元化するに当たりまして,自由民主党市会議員団等の御指摘を踏まえまして,将来にわたって地域の公共交通を守るため,交通局と民間事業との間で,バス路線の再編成に当たっては,バス事業の公共性と共に効率的かつ安定的な経営維持の必要性があることを基本とし,同地域におけるバス運行の維持が困難となった場合は,誠意を持って協議することを相互に確認いたしております。 今後とも,これまでの経過を十分に踏まえまして,自由民主党市会議員団からの御要望を頂き,市バスとの共同運行など様々な手法も含めまして,民間事業としっかりと協議を行い,山科区にお住いの皆様の生活の足を守ってまいります。なお,訂正させていただきます。新型コロナウイルス感染症の検査実施件数につきまして,京都市で83件と申しましたが,正しくは53件でございます。謹んで訂正させていただきます。 ○議長(山本恵一) 次に,田中明秀議員に発言を許します。田中議員。 〔田中明秀議員登壇(拍手)〕 ◆(田中明秀議員) 西京区選出の田中明秀です。自由民主党京都市会議員団を代表し,富きくお議員に続き,さくらい泰広議員,平山たかお議員と共に質疑をさせていただきます。理事の皆様には,誠意ある希望の持てる答弁をお願いいたします。 先般2月2日投開票の京都市長選挙,市民の皆様方は,門川市長の4選を選択されました。4期目ということで多選批判もある中,3期12年の実績と,次の京都へ新たな挑戦と改革という決意が評価されたものだと思います。しかしながら,門川市長,21万640票,他の候補合計で25万6,477票。投票された方半数以上は他の候補に投票されました。この方々のお声にも真摯に耳を傾け,夢と希望の持てる市政のかじ取りをお願いいたします。 この選挙戦,くらしに安心,まちに活力,みらいに責任ということで,141のお約束を発表されました。そして府市協調,西脇知事と,また京都選出の国会の先生方とも侃々諤々の議論の中,142番目のお約束として,京都市創造都市圏環状ネットワークの構想を発表されました。昭和46年12月の国の都市交通審議会において,新設すべき路線として烏丸線,東西線が答申されて以来,50年の年月が流れようとしています。烏丸線は昭和56年に北大路・京都間,昭和63年に京都・竹田間,平成2年に北山・北大路間,平成4年に国際会館から北大路間開通と順次進んできました。しかしながら,東西線は平成9年に醍醐・二条間,平成16年に六地蔵・醍醐間,平成20年に二条太秦天神川が開通した後は,事業がストップしたままであります。地下鉄が来るとうたわれて開発された洛西ニュータウンも,昭和51年の入居開始から40年以上が経過しました。その間,多くの先輩議員が洛西への延伸について要望され,議論されてきました。しかし,厳しい財政状況の中,この計画は風前のともしびとなっていました。40年の星霜を経て,新たに西脇知事を迎えて門川市長が掲げられた京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想は,西京区民,京都市民,京都府民にとって正しく夢と希望の持てるものであります。21万票の期待の中で,最も国,府,市の協調がなければできない事業,オール京都で取り組まなければならないこの構想についての市長の熱い思いを,決意をお聞かせください。 ここで答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 田中明秀議員の御質問にお答えいたします。 京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想についてでございます。近年,京都が国内外から高い注目を集める一方で,市内中心部に立地し切れないオフィスや産業拠点の市外流出,若い人が住みやすい住宅の不足といった課題が生じております。都心部地域は活力がありますが,西部・南部地域につきましては,広い都市空間を有し,大きく発展できる可能性を秘めていながら,その高いポテンシャルがいかされておらず,周辺自治体も含む広域的な都市圏域として,将来にわたり活力と魅力にあふれる地域として発展させなければ,持続可能な都市経営は実現できないと私は考えております。そのため,市内中心部から西部,南部圏域へとつながる交通アクセスを格段に向上させ,京都の新たなまちづくりを進めることを京都府の西脇知事とも合意し,今回の市長選挙に当たって公約として掲げたものでございます。 かつては,地下鉄環状構想を本市の基本計画に位置付けておりましたが,巨額の債務を抱えている地下鉄事業において,これ以上の延伸は困難と判断し,断腸の思いで見送ってまいりました。しかし,近年,自動運転をはじめ未来の交通システムに関する研究が進み,交通政策を取り巻く環境は大きな転換点を迎えております。また,けいはんな地域や大阪都市圏とのつながりをより強固なものとし,強じんな京都の経済圏を府市一丸となって築き上げることが重要でございます。そのためにも,創造都市圏を創出するための交通ネットワークの構築に向け,令和2年度の設置を御提案いたしております「歩くまち・京都」総合交通戦略審議会において活発に御議論いただくとともに,現在策定中の次期京都市基本計画案にも盛り込み,取組を進めてまいります。 この構想の実現に向けましては多くのハードルがあることは承知しておりますが,市議会はもとより,市民的な議論を深め,国の力強い支援,地元経済界の御理解と御協力を得て,オール京都で取り組んでまいります。 ○議長(山本恵一) 田中議員。 〔田中明秀議員登壇〕 ◆(田中明秀議員) 市長の熱い思いをお聞かせいただきました。先日の府議会の代表質疑において,我が自民党の府議会議員団の秋田公司議員が,市議会の議論を踏まえ,府も積極的に協力してほしいと西脇知事に要望いたしました。洛西に鉄軌道をというのは永年の西京区民の悲願であります。府議会では,反対意見もあったようですが,京都市会におきましては,他の候補に投票された会派の方も,この構想には賛成だと思います。西京区選出議員党派を超えてワンチームで実現に向けてしっかりと努力してまいります。国,府,市一体となり,夢の持てる事業の象徴として,門川市長には,しっかりと道筋を付けていただきますようお願いいたします。 地下鉄の延伸,環状線化は,すぐ実現というわけにはいかないと思いますが,現状の地下鉄の安心安全に向けては早急に対策を立てていかなければなりません。昨年12月の代表質疑において,我が党の吉井議員から,視覚に障害のある方が多く利用されている北大路駅の可動式ホーム柵の早期設置と将来の財政負担を見通したうえでの全駅設置の計画策定を求めました。北大路駅の可動式ホーム柵設置については,令和4年度中の設置を目指すとの答弁があり,令和2年度に設計に着手するとされています。 一方,全駅設置については,総額100億円規模の事業費が必要とのことであり,様々なコスト削減策の検討などあらゆる可能性を追求しているとの答弁でありました。今年度中に具体的な計画を策定すると伺っておりますが,具体的なコスト削減策が不可欠と考えます。現在の検討状況をお答えください。 環境に優しい持続可能な脱炭素,循環型社会を構築します。これも門川市長141のお約束の一つです。安心安全で持続可能なまちづくりは市政の根本でありますが,近年毎年のように猛暑や台風被害などは深刻さを増しており,災害大国日本においては,より一層市民生活が脅かされる危機的な状況にあることを実感しております。このような中,門川市長は,昨年5月に日本の自治体の首長として初めて2050年までに二酸化炭素排出量正味ゼロを目指す覚悟を表明されました。また,西脇知事も,先日の府議会本会議において,府内排出の温室効果ガス2050年度実質ゼロを目指す方針を打ち出されました。京都市は,京都議定書誕生の地として,全国初の地球温暖化対策条例を制定し,先進的な取組を進めてきた結果,エネルギー消費量はピーク時から26パーセント減,ごみ量はピーク時から半減,また再生可能エネルギーの市内生産量も大きく増加するなど着実に成果が上がっていることは認識いたしております。しかし,2050年の二酸化炭素排出量正味ゼロに向けては,これまでの延長にとどまらない取組が必要であります。これまでの取組を更に進化させるとともに,先進事例を取り入れ,市民,事業をはじめ,様々な方々から御意見をお聞きし,オール京都であらゆる知恵を絞って道筋を付けていく必要があります。京都市会におきましても,2012年度,2016年度の2度にわたり,再生可能エネルギーや省エネルギーの海外行政調査に基づく持続可能な地域社会の実現に向けての提言書を市長に提出させていただきました。また,昨年9月市会では,気候危機・気候非常事態を前提とした地球温暖化対策の更なる強化を求める意見書を我が自由民主党市会議員団を中心として超党派の議員提案で可決し,全国的にも注目されています。 また,現在検討が進められている地球温暖化対策条例の見直しと次期地球温暖化計画の策定にも役立てられるよう同じテーマで3度目となる再生可能エネルギーや省エネルギー等による持続可能な脱炭素社会の実現に向けた市会海外行政調査を行う予定です。国の方においても,小泉環境大臣が先頭に立って,全国の自治体にゼロカーボンシティの呼掛けを行っています。京都市の表明を皮切りに,全国に大きな広がりを見せ,現在は,人口規模で5,000万人を超える70以上の自治体が同じ目標を掲げています。 2050年二酸化炭素排出量正味ゼロに向けた京都市の挑戦は国内外からも期待されておりますが,どのように道筋を付けていかれようとされているのか。また日本の自治体の首長として初めて2050年二酸化炭素排出量正味ゼロを掲げた京都市の取組を日本全体の削減目標の上積みに,更には世界の気候変動対策への貢献へとつなげていくために,環境先進都市としての京都の都市ブランドを高め,国内外の取組をリードしていくことが期待されます。市長のお考えをお聞かせください。 次に,国語,読解力の向上について,お伺いいたします。昨年12月,新聞各紙で経済協力開発機構OECDが2018年に実施した国際学習到達度調査PISA調査で日本の高校1年生の読解力が低下したことが大きく報じられました。2015年度の前回の調査での8位から15位に急落したとありました。 我が国のPISA調査は,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーを主要3分野として調査されていますが,2003年度調査における日本の成績が数学的リテラシーも科学的リテラシーも上位であったのに対して読解力だけが14位となり,いわゆるPISAショックと言われ,大きな衝撃として受け止められ,我が国の教育施策に大変な影響を与えたということが記憶に新しいところです。 当時,この結果に対して,国においても専門機関国立教育政策研究所との連携による調査結果の分析を進められ,その結果も踏まえ,国際的に質の高い学力を目指すための学習指導要領の見直しや,現在実施されている全国学力・学習状況調査の実施の検討,更に授業改善の徹底など学力向上に向けた具体的な取組が進められてきました。特に,教育再生を最重要課題の一つに掲げた第一次安倍内閣の下で,子供に高い学力と規範意識を身に着けるための公教育の再生の取組を展開されました。その結果,PISA調査における読解力もV字回復し,他の二つの分野も順位が上昇するなど,その成果は確実に生徒の学力向上として表れてきていた中で,昨年12月に公表されたPISA調査の結果は,数学的リテラシーと科学的リテラシーは引き続き上位であるものの,読解力の大幅な低下はやはり大きな衝撃であり,国を挙げてその原因を分析し,必要な施策を検討していかなければならないと考えます。 主語,述語が不明確で意味が通じない文章,要らない助詞を足し,前後のつながりを考えていない文章などが増えていると指摘する教育もおられます。その原因の一つにSNSの普及があると考えられます。スマートフォンを使って友人らと短文でやり取りできるLINEは,単語や略語だけの気楽な話し言葉で通じます。その時の気分を,スタンプを使えば感情を言葉にする必要もありません。正しく書けなくてもいい環境が生まれたことが,言葉の乱れにつながっているのではないでしょうか。子供たちの読書離れや読解力を身に着けさせるための授業改善の不十分さなど,是正していかなければならないと考えます。 本市では,令和元年度から第四次となる子ども読書活動推進計画がスタートし,特に中高生の読書離れの課題に焦点を当てた施策を推進されるとともに,新学習指導要領を見据えた授業改善の研究指定や教育の質の向上につなげるための働き方の推進にも取り組まれていますが,更なる読書の楽しさを分かち合える取組として,ビブリオバトルが注目されています。人前で推薦する本の魅力を語り,最も読みたくなった本を全員の投票で決める。そんな書評合戦がビブリオバトルです。参加は本の紹介を聞きながら,発表の思いや人柄に触れていく,本と人,人と人を結び付けていきます。このような取組で若者が本に親しむ機会が増えていくのではないでしょうか。人前で説明するために入念に準備し,説得力のある言葉でスピーチする,読解力や表現力のかん養につながると思います。また,PISAの読解力調査が,コンピューター使用型へと移行したことによるデジタルで示される情報を読み解く力の不足も課題になっていると考えます。これに関しては,安倍首相が,教育現場にパソコン一人1台になることが当然だと国家意思として明確に示すことが重要だと方針を示し,国会において1月30日に補正予算が成立したGIGAスクール構想を活用し,本市立学校での一人1台のPC端末整備と活用に向けた高速,大容量ネットワーク環境を整備するための補正予算がこの2月予算市会に上程されています。 教育基本法にある,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うには,正しい国語力を身に着けることが必要です。国語力の危うさは社会に出てからも問題になります。国語力,読解力向上に向けて,本市はどのように取り組まれるのか,教育長のお考えをお聞かせください。 次に,教科書採択についてお尋ねいたします。平成23年5月市会の代表質問でも取り上げさせていただきましたが,その当時は平成18年に約60年ぶりに改訂された教育基本法の下での初めての中学校の教科書採択でありました。教育基本法の改正は,当時の与党である自民党や公明党のみならず,民主党も独自の改正案を出すなど,微小な差異を除けば改正に関して主要な政党がこぞって推進し実現したものであり,改正法においても我が国と郷土を愛する,伝統と文化の尊重,公共の精神などの徳目が新たに教育目標として明記され,我が国の将来に向かって新しい時代の教育の基本理念が示されました。 当時教育長であられた門川市長も衆議院の特別委員会に参考人として招致され,改正法の理念と軌を一にする京都市の教育改革の取組について意見陳述され,全国の注目を集められたところです。また,教育基本法の改正を受け,平成19年に改正された学校教育法においては,我が国の郷土と現状と歴史について正しい理解に導き,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛する態度を養うこと,また進んで外国の文化の理解を通じて他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことが義務教育の目標として示されました。そしてこの10年でこうした理念や目標に基づいて教育が推進されてきましたが,この間,我が国に住む外国人も260万人を超え,総人口に占める外国人の割合が初めて2パーセントを超えるなど,様々な経済活動のグローバル化のみならず,私たちの日常生活においても多様な文化的背景を持った海外の方々とコミュニケーションを取りながら共生していくことが求められる時代になりました。 こうした中で,令和2年度には,令和3年度から中学校で全面実施を迎える新学習指導要領の下で使用する初めての教科書採択を迎えます。これまでから全国の中学校で使用されている教科書,とりわけ社会科の教科書については,日本人が受け継ぐべき文化と伝統を忘れ日本人の誇りを失わせる,いわゆる自虐的傾向が強いこと,公共の精神や愛国心を養う記述が少ないことなど,その是正が強く望まれてきました。この間,国におきましてもこうした意見を踏まえ,平成26年1月に教科書採択検査基準が改定され,近現代の歴史的事象で通説的な見解がない場合はそれに基づいて記述することなどが示され,教科書の改善が促されたところです。採択対象となる教科書の公表は,本年4月頃の予定とのことであり,その内容に期待しておりますが,採択に当たっては,とにかく先生方の使いやすさ,教えやすさといった点が優先されている傾向にあるのではと懸念するものであり,これからの社会で生きてゆかなければならない生徒たちがどのような力を身に着けておかなければならないか,生徒中心の採択を是非とも進めていただきたいと強く望むものです。正しい歴史を教えられていない若者,知らない若者は,自らのルーツを知らないとして国際社会では評価されません。若者たちが自国の歴史を正しく学び,日本の伝統文化を味わい,誇りや愛着を感じることができる環境を我々大人が整えていかなければなりません。折しも日本書紀成立から1300年。国民一人一人が我が国の建国を考え,自分の国に対し誇りや愛着を持ち,その意識がしっかりと根付き,行動原理になってこそ,真に自立した国家になれるのではないでしょうか。 教育基本法並びに学習指導要領で示された理念や目的,そして新学習指導要領の趣旨を最も適切に満たす教科書の選定について十分調査研究を行い採択する必要があると考えますが,教育長の御所見をお伺いいたします。 次に,農家の所得向上に向けた取組についてお伺いいたします。市内周辺部においては,地域ブランドの京野菜をはじめ高品質の農作物が作られています。しかしながら,農産物価格の低迷や大規模産地との競争が激化する中で苦戦を強いられているのが現状です。 先日,西京区選出の府市会議員で伏見区のこと京都を視察いたしました。こと京都は,国産ねぎ供給能力の日本一を目指して大規模生産に取り組む農業生産法人ですが,やはりねぎの生産だけでは十分な収益が得られず,カットねぎ加工やドレッシングなどのねぎ加工品の生産にも取り組み,ねぎで年間10億円を上げるまでに成長されています。このような農業法人による大規模経営は,これからの京都の農業を支える一つの可能性であると思います。 また一方で,市内の農業は,家族中心の小規模経営が大きな比率を占めているのが実態です。規模拡大が困難な都市農業においても米や野菜の生産にとどまらず,農産物の加工など付加価値を付けた経営展開は非常に有望であると考えます。また,担い手不足や労力軽減といった課題に対して,近年スマート農業技術も注目されています。京都市としても,このような新しい技術についての情報をいち早く把握し,それを必要としている農家が活用できるようしっかりと支援していくべきと考えます。 年明け1月27日にフランスの飲食店格付け本,ミシュランガイドの2020年フランス版がパリで発表され,パリ1区の日本人オーナーシェフ小林圭さんのレストラン・ケイが三つ星を獲得いたしました。フランスで日本人シェフが三つ星を獲得するのは初めてで,日本人の繊細な調理技術が認められたとともに,小林シェフは多くの日本食材も取り入れ,目で楽しみ,鼻で香りを,舌で味わう,感性豊かな料理を出されていると評判です。近年,海外の日本食レストランの数も飛躍的に増えています。日本各地で生産される高品質の食材が認知もされてきました。 市長の141のお約束の中にも京都の食文化の創造,発信,農林業の成長産業化とあります。それには農林業がなりわいとして確かな収入増につながっていかなければなりません。農家の所得向上に向けて,今後どのような取組をされていかれるのかお示しください。 最後に,西京区洛西の芸大の跡地の活用についてお伺いします。芸大が昭和55年に洛西に移転してから多くの学生が洛西に住み,創作活動を行い,芸術家として羽ばたいていくのを洛西の住民が支えてきました。芸大は,地域住民や子供たちとの交流の中で,洛西地域に溶け込んできました。一方で,芸大移転による文化を基軸としたまちづくりの推進により,京都市全体の発展につなげていこうという機運の中で移転することになりました。芸大移転につきましては,地元から最初反対の意見が出ましたが,関係との意見交換の中で,芸大移転は厳しいが,芸大発展のため,京都市全体の発展のため移転やむなしとの方向になりました。芸大の移転は,それをプラスに変えるべく,新たな洛西地域の活性化の核になるものにしようと逆転の発想に転じてまいりました。しかしながら,洛西地域の人口は,この10年で約9パーセントも減少しており,全市の中で最も減少率が高くなっています。その中で,洛西地域の活性化の大きな起爆剤としていかなければならないのが芸大跡地の活用です。地域住民の間でも,跡地活用への関心は高く,色々な御意見が寄せられています。冒頭質問させていただいた洛西への新たな交通ネットワークの整備により利便性が高まると期待されます。国道9号線や京都縦貫道沓掛インターチェンジに隣接した立地で,約2万坪という広大な面積。また近くに京大桂キャンパスや桂イノベーションパークなど産学公連携による新産業の振興拠点もあり,将来性の高い場所でもあります。是非,西京洛西地域のみならず,京都市全体の活性化に資する活用をしていただきたいと思います。 2023年の移転まで4年となる中で,洛西地域の都市計画も含め方向性を示していかなければならないと思いますが,市長のお考えをお聞かせください。 以上で私の質疑を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,田中明秀議員の御質問にお答えいたします。 可動式ホーム柵の全駅設置についてでございます。地下鉄の可動式ホーム柵は,整備に多額の費用を要する中で,国の補助対象が限定的で補助率も少なく,また全国での設置率が1割にも満たないのが実情でございます。こうした中,本市では,輸送の安全を第一に,これまでに京都駅をはじめ御利用の多い烏丸線の3駅へ先行して可動式ホーム柵を設置し,令和4年度中には,新たに北大路駅への設置を予定しております。全駅に可動式ホーム柵を設置するためには,相互直通運転を実施しております近畿日本鉄道の車両を含め,烏丸線を走行する全ての車両に自動で定位置に停止する装置を搭載する必要があり,柵の設置や車両の改造に110億円を超える多額の費用を要するとともに,近鉄の御理解と御協力が不可欠でございます。このため,近鉄との協議を精力的に進めるとともに,新たな技術の進展にも注視しつつ,技術面の検討や費用面の検討を深めてまいりました。とりわけ,地下鉄事業の経営への影響を軽減するためのコスト削減につきましては,全駅に可動式ホーム柵を設置した後,職員の理解・協力の下に,現在の運転士と車掌によるツーマン運行からワンマン運行に移行することにより,全乗務員の4割に当たる職員約50人を削減,年間約3億7,000万円の経費削減を図る見通しを立てたところでございます。また,車両改造につきましても,近鉄の御協力を得て実施に向けためどが立ってきました。具体的な計画につきましては,改めて年度内に交通局から御報告させていただく予定ですが,今後,国や府の支援も強力に求めながら,令和3年度には車両改造に着手し,令和10年度中の全駅での可動式ホーム柵の供用開始を目指してまいります。 次に,脱炭素社会の構築についてでございます。未来に対する責任を果たす,京都の役割を果たす,そして覚悟を持って踏み込む。私はこうした決意の下,昨年5月,多くの市民関係の皆様と共に,日本の自治体の長として初めて2050年CO2排出量正味ゼロを目指すことを宣言いたしました。田中議員御指摘のとおり,これが全国の自治体に広がり,先日も,西脇知事が2050年ゼロを目指すと表明され,大変心強く思っております。2050年ゼロという高い目標に向けては,私たち自身のライフスタイルの大転換,イノベーションの創出,そして都市経営のあらゆる分野で,これまでの延長にとどまらない方策に果敢に挑まなければなりません。そのため,京都府との協調による建築物への再エネ設備の設置義務の強化など省エネ・再エネのより踏み込んだ取組の検討を進めております。また,来年度には,太陽光パネルや再エネ電力のグループ購入事業などより多くの市民が参加できる新たな取組に着手いたします。市民,事業,NPO,大学,研究機関等あらゆる関係の参画の下,オール京都で2050年ゼロを共有し,市会からの御提言も頂いておりますが,それらも含めて議論を深めまして,来年度中に地球温暖化対策条例を改正し,これを踏まえて,10年間の具体的施策を取りまとめた次期地球温暖化対策計画を策定いたします。同時に,脱炭素社会の実現には,日本全体の取組の加速,さらには世界への貢献が必要でございます。私は,小泉進次郎環境大臣に対して,自治体による2050年ゼロ宣言の大きな広がりを受けた国の目標引上げを直接提案しており,引き続き,あらゆる機会を捉え働き掛けを行ってまいります。京都議定書誕生の地,またパリ協定の実行を支えるIPCC京都ガイドライン採択の地として,国や国内外の都市との連携を深め,脱炭素社会の実現をしっかりとけん引してまいります。 次に,京都市立芸術大学の跡地活用についてでございます。本市では,洛西地域が,住む人,訪れる人,そして働く人にとって,将来にわたって,より魅力的な地域となるよう小中一貫教育校の創設や若年世代が暮らしやすい住宅環境の確保に取り組むほか,洛西竹林公園内の子どもの広場再整備や境谷サブセンターへの商業施設の誘致など,地域と行政が一丸となってまちづくりを進めているところでございます。その中で,京都第二外環状道路の沓掛インターに隣接する広大な芸大跡地活用につきましては,京都の西の玄関口としての洛西地域のまちづくりを更に推進するための大きな役割を果たす起爆剤になると考えております。そのためには,バス事業の更なる連携など洛西地域における交通の利便性向上を目指すとともに,新たな交通ネットワークの整備も視野に入れまして,都市計画との整合性を図りながら,あらゆる角度から活用の方向性について検討を進める必要があると考えております。現在,様々な活用方法を収集するため,事業等から幅広い提案を募るサウンディング型市場調査を実施しているところでございます。 令和5年度の芸大移転を控えまして,地域資源をいかした仕事の創出の視点,イノベーションを生み出す産学公連携の視点,さらには,洛西地域はもとより市全体の活性化に寄与する視点を持ちつつ,地域の皆様の御意見も十分に踏まえまして,来年度中に一定の方向性をお示しできるよう,積極的に事業等の豊富なアイデアやノウハウなどを引き出しながら,スピード感を持って取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。
    ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 農家の所得向上についてでございます。今日,農業の現場におきましては,担い手の高齢化や後継不足が顕著となっており,田中明秀議員御指摘のとおり,京の食文化を支えてきた農業を維持,発展させていくためには,農家の所得向上が何よりも大切でございます。そのためには,農産物の販売強化,生産性の向上,そして高付加価値化の三つの取組を推し進めることが大変重要でございます。まず一つ目の販売強化ですが,小規模農家の共同出荷体制を整え,全国で唯一の近郷野菜専門の競りの場を持つ中央卸売市場への出荷を進めるなど,大規模な他産地に対抗できるよう販路の安定と拡大を図ってまいります。二つ目の生産性向上につきましては,農家の担い手不足,高齢化などに対応するため,ICT技術を活用した自動運転トラクターなどスマート農業機械の導入を支援し,農作業の省力化・効率化を強力に進めます。三つ目の高付加価値化につきましては,例えば今年度に整備助成いたしました水尾地域の柚子加工施設の取組をモデルとして,生産,加工にとどまらず,販売先の確保までを伴走型で支援し6次産業化を推進してまいります。今後とも,戦略的な農業振興を進めるとともに,来年度策定いたします新たな農林行政の方向性を示す基本方針の中にこれらの視点を盛り込み実践することで農家所得の向上を実現し,京都の農業を次世代へと引き継いでまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) まず,子供たちの国語力,読解力の向上についてでございます。田中明秀議員御指摘のとおり,PISA調査における読解力の低下の要因の一つに,SNSの普及に伴う言葉の乱れ等があり,子供たちの読書離れへの対応や読解力,国語力の向上のための授業改善等は極めて重要な課題だと認識しております。本市では,これまでから,全小学校での朝読書や,学校や本市図書館での子供同士で本の魅力を語り合うビブリオバトルなど本に慣れ親しみ読書の楽しさを実感する活動に取り組むとともに,全校に専任の司書を配置し,教員と連携した学校図書館の学習,情報センターとしての幅広い活用や,国語科を中心とする教科等横断的な言語活動の充実などを通して国語力,読解力の向上に努めてまいりました。また,子供同士や地域の方々も交え,自らの考えをまとめ,自分の言葉で表現する話合い学習や,自ら課題を立てて発表し合い互いに学びを深めるポスターセッションなど探求型学習に一層取り組むとともに,国のGIGAスクール構想に基づき整備を進めるパソコン一人1台のICT環境を最大限に活用し,子供たちに,あふれる情報から必要な情報を選択し活用できる力の育成や,様々な媒体を通じて読書に親しむ姿勢のかん養に努めてまいります。今後とも,こうした取組の更なる推進や,対話を通じて学びを深めるアクティブ・ラーニング等の授業改善を通じて,新学習指導要領の重点である,伝統や文化を尊重しつつ,多様な他者と協働しながら目標に向かって挑戦する力を育成するうえで基盤となる国語力,読解力の育成に努めてまいります。 次に,教科書採択についてでございます。教科書は子供たちにとって最も基本となる重要な教材であり,本市では,教育委員会が選任する教員や保護,学識等が参画する選定委員会におきまして調査研究を行い,その答申を受け,厳正かつ公正な採択を行ってまいりました。令和2年度に行う中学校教科書採択は,伝統や文化に関する教育の充実を主な改善事項の一つとする新学習指導要領に基づく初めての採択であり,田中明秀議員御指摘のとおり,自国の歴史を正しく学び,我が国と郷土を愛し,日本人として誇りを持って,グローバル化,共生化が進む国際社会の平和と発展に寄与する子供の育成に向け極めて重要と考えております。そのため,教育委員会が策定する教科書採択に係る選定の観点の作成に当たりましては,そうした新学習指導要領の趣旨を反映させるとともに,教師の立場からの教えやすさ等だけではなく,生徒自身が自ら意欲的に学び,確かな生きる力を身に着けることができるよう留意し,特に,社会科では,公共の精神,伝統や文化の尊重,我が国や郷土を愛する態度を養うこと等を選定の観点にしっかりと位置付け,調査研究を進めてまいります。今後とも,教育基本法や学習指導要領等の趣旨を十分に踏まえ,教育委員会の権限と責任の下,本市の子供たちがこれからの社会を生きていくうえで必要となる資質,能力を育成するため,最も適した教科書の採択に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,さくらい泰広議員に発言を許します。さくらい議員。 〔さくらい泰広議員登壇(拍手)〕 ◆(さくらい泰広議員) 自民党のさくらい泰広でございます。私も新型コロナウイルス感染症への適切な対応を望み,一日も早い収束を願っています。この場所にこうして再び立たせていただくまで,不本意ながら4年以上の歳月が経過いたしました。私をこうしてこの市会の檀上に送り返してくださった左京区の皆様,お助けを頂いた全ての皆様に心より感謝いたします。そして今日の代表質疑の機会を私にお与えいただいた自民党京都市会議員団の橋村芳和団長をはじめ,先輩・同僚の議員の皆様にも深く感謝いたします。会派を代表し,先の厳しい選挙で次点に得票率で10ポイントの差を付けて見事に完勝された門川市長に対し,富きくお議員,田中明秀議員,平山たかお議員と共に質疑いたします。 まず毎年のように日本列島を襲う激甚化する気象災害,これに関連して災害に備えた森林整備について伺います。京都市全体の面積の74パーセントが森林地帯であり,これをきっちりと整備し健全な森林を育成することが,京都市を台風や豪雨災害から守ることにつながると言っても決して過言ではありません。そのため,特に,鴨川,高野川,桂川のいわゆる淀川水系の上流域の山間部の森林整備,山の保水力を高めることは大変重要です。平成30年9月の台風21号では,鴨川の上流域に当たる左京区鞍馬学区の鞍馬,貴船,二ノ瀬の各地区において甚大な風倒木被害が発生し,特に貴船地区では料理屋さんと民家が全壊するなど,いまだその傷跡は癒えていません。現在,当該地では風倒木の処理対策については林業と京都市が連携してきっちりと取り組まれており,引き続いて公道沿いを中心に早急な取組を願います。 加えて今後気象災害の備えとして,間伐や枝打ちなどの手入れを行っていくことも大事な取組であると考えます。また,地域住民や観光客の重要な交通インフラである叡山電車も,当時倒木により線路が遮断され,53日間運行が停止するという極めて異例な事態も発生しました。近年の気候変動により激甚化する災害については,数年に一度というレベルではなく,毎年発生するという想定の下に,事前に適切な予防対策を講じておかなければならないと私は考えています。昨年12月には,我が党の繁本護代議士の御尽力により伊東良孝農林水産副大臣が災害の傷跡が残る鞍馬学区を視察していただき,地元の自治会の皆さんの御要望を直接聴いていただきました。そして令和2年度の農林水産省の予算案の中に,鉄道や電線などの重要インフラへの倒木被害を未然に防止するための森林整備を支援する予算が計上され,本市においてもこの国の予算を活用した重要インフラ施設周辺森林整備事業が令和2年度の当初予算案に盛り込まれ,鞍馬学区で事業が計画されていると聞いています。また,この事業については国に加えて京都府議会においても,我が党の石田宗久府議会議員と西脇知事との質疑の中で,京都府の取組についても西脇知事が答弁されており,さらに,インフラ施設管理として叡山電鉄も一部整備経費の負担を検討しているとのことです。これが実現すれば,国,京都府,京都市,インフラ施設管理が連携した日本におけるこの事業のお手本になるスキームが構築されることとなります。 私は,森林所有による森林整備が基本であると考えますが,林業が今置かれている厳しい状況に加えて,近年の気候変動に起因した災害の激甚化に鑑み,自然災害の未然防止の観点から,行政やインフラ施設管理が経費負担も含めて積極的に災害対策に関与するこの鞍馬プランのスキームで,この事業を本市の山間地域,特に淀川水系上流の山間地域において更に拡大実施する必要があると考えますがいかがですか。 次に,市営住宅団地再生事業について伺います。令和2年度当初予算案には,養正,錦林,三条,岡崎,壬生,壬生東の事業費が計上されています。市営住宅は,身体的,経済的理由,また子育て世代など,様々な事情による住宅確保要配慮に対し安定した居住を確保する住宅セーフティーネットの根幹を成すべきものであり,今後も少子高齢化,また人口減少社会の到来とともに,ナショナルミニマムという視点においても,その果たすべき役割は大変重要です。しかしながら近年,市営住宅においては入居の高齢化,入居率の低下,団地におけるガバナンスの低下などの問題に加え,建物そのものの老朽化もかなり進んでいるということも,直接お住いの方からお話をお伺いして,私は認識しています。今後も引き続いて,まずは,現在入居されている方の安心安全を最優先に確保するとともに,本市において市営住宅が住宅セーフティーネットの根幹を成すべきものとしてその役割を果たしていく,そのための課題を解決するには,団地再生が未着手の市営住宅について,できるだけ早期に事業に着手する必要があると考えます。 令和2年度の予算案に盛り込まれた,今回事業対象となっている市営住宅は,いずれも一等地である市内中心部,交通結節点,京都を代表する観光地に立地し,それらは全て本市にとっても大変に貴重な公有財産です。よって今後,対象市営住宅において整備事業を進めるに当たっては,今,既に事業が進められている八条市営住宅の一例もありますが,この本市の一等地を京都市全体のまちづくりの観点から,最大限に活用していくべきであります。同時に対象住宅の中には,既に団地自治会において住民の皆さん自ら情熱ある議論を重ね,再生の青写真が描かれている団地もありますので,住民の皆さんの思いもできる限り再生事業に反映させていく必要があり,さらに,この事業が持続可能な都市の形成に資するためにはスピード感を持って取り組む必要があると考えますが,そこで令和2年度の予算による市営住宅団地再生事業のスタートに当たり,今後どのように本市全体のまちづくりと,住民の思いを両立させた再生事業を進めていくのか,いかがですか。 次に,本市の桜の景観を守り継承する取組について伺います。桜は,古事記や日本書紀,万葉集など千年以上前の文献にも記載されているとおり,私たち日本人にとっては特別な花です。昨年,日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップで,ベスト8に勝ち進み大活躍した日本代表のユニホームにも桜のエンブレムがあしらわれ,選手たちは,勇敢な桜の戦士と称賛されました。 京都市では,今日まで緑の文化首都・京都の実現に向けた様々な取組が行われ,市民の皆様の日々のお暮らしに潤いをもたらすとともに,京都を訪れる方に,四季折々の風情を体感していただく機会を提供し,とりわけ春の桜は多くの人々に京都ならではの感動と感激を印象付ける景観を醸し出しています。本市においては,嵐山渡月橋付近や哲学の道,円山公園,そして豊臣秀吉が花見をした醍醐寺をはじめとした数多くの桜の名所に加え,街路樹や公園,河川敷など市内各所で多くの桜が花を咲かせ,めでることができますが,その中でも最も私たち日本人に親しみがある品種が,ソメイヨシノです。専門家にお伺いしたところ,ソメイヨシノは江戸時代末期に江戸の郊外の染井村で誕生したそうですが,人工的に栽培された交配種であり,その苗は初代親木の接ぎ木から栽培する同じDNAを持つクローン種であることから,ほぼ一斉に咲き,一斉に散る性質を備えており,おおむね同じ時期に寿命を迎え枯れてしまうとのことです。 さらに桜は枝をせん定した際の切り口から腐敗を起こす菌が入ったり,樹齢を重ねるごとに伝染病にかかりやすく樹勢を弱らせることや,同じ場所に桜を植え替えると,いわゆる連鎖障害を起こし枯れてしまうなどの特性があることも伺っています。 私たちに最も親しみのあるソメイヨシノの寿命はおおむね60年と言われており,本市のソメイヨシノの多くが戦後間もない時期に植えられているとのことですので,いずれ近いうちに一斉に寿命を迎えるとも,かねてより専門家が指摘されています。多くの市民,多くの観光の皆さんを魅了するソメイヨシノを中心とする本市のすばらしい桜の景観が,今,危機的な状況にあるということが正に現実であり,一昨年には京都造園建設業協会より桜景観の創造,再生,発信に向けた提言がなされました。今後,本市において継続的に桜を育成,保全,継承していくためには,専門家の知見は欠かすことができない,私はそう思います。日本の春の代名詞である本市の桜をしっかり守り,国内外の多くの方々に喜んでいただき,楽しんでいただくためには,桜が危機的な状況にあるというこの厳しい課題に対し,一刻も早く対処しなければなりません。ソメイヨシノを中心に京都市が管理する約1万本の桜について,専門家の知見を踏まえながら管理,景観の保全,継承をいかに行うか,市長の見解はいかがでしょうか。 まず,ここまでの質問に対し答弁を求め,残りの質問は午後からさせていただきます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) さくらい泰広議員の御質問にお答えいたします。 災害に備えた森林整備についてでございます。平成30年の台風21号で発生した252ヘクタールにも及ぶ倒木被害のうち,公道沿いなど優先度の高い箇所84ヘクタールにつきましては,本市が森林組合や地域と連携し,国や府の支援も受けながら現在53ヘクタールの復旧工事に着手,順次完了いたしております。今後,高性能林業機械の導入を進めるなど,引き続き,早期の復旧に向けて取り組んでまいります。一方,気象災害が激甚化する中で,一度災害が発生すると市民生活に甚大な被害が及ぶことから,倒木の未然防止の重要性が高まってきていることは,さくらい議員御指摘のとおりであります。本市では,これまでから,林業自身が適切に森林を維持管理できるよう間伐等の支援を行っておりますが,十分に手入れが行き届かない森林もあり,林業と行政,住民,企業等の関係が連携した取組が必要となってきております。そのような状況の中で,重要インフラ施設,具体的には,叡山電鉄の周辺等において,森林所有,市,インフラ施設管理,叡山電鉄が協定に基づきまして,それぞれが役割と費用を負担し,倒木の未然防止対策を行う制度,さくらい議員御紹介の,いわゆる鞍馬プランが創設されたことは画期的なことでございます。本市も,この制度を活用し,鞍馬地域において倒木の未然防止対策を進めるため,地元やインフラ施設管理,叡山電鉄との調整を進めているところでございます。 しかし,鉄道施設周辺での作業には,施設や運行等に支障のないようにするために,通常の樹木の伐採や搬出とは異なる対策が必要であり,それに伴う経費負担が増大するなど,鉄道インフラ施設ならではの課題が明らかになってまいりました。また,森林の継続的な維持管理のための,森林所有等の御理解と御協力も不可欠でございます。そのため,本市が中心となりまして,工事や森林管理に係るコスト削減対策の提案を含めた合意形成に取り組み,早期の事業実施につなげてまいります。 今後とも,重要インフラ施設に影響を与える可能性が高い箇所における本制度の利用拡大に向けまして,引き続き,国に支援の拡大を求めていくとともに,速やかな合意形成と円滑な事業推進に向けまして努力し,倒木による被害の未然防止に努めてまいります。 次に,桜景観の保全,継承に向けた取組についてでございます。京都は,悠久の歴史の中で,自然との共生を大切にしながら緑の文化を育んでまいりました。とりわけ,春の日差しが降り注ぎ,桜で彩られた景観は,京都の町並みに欠かすことのできないものであり,市民の皆様や京都を訪れる多くの方々に感動を与え,魅了し続けてきております。私は,このすばらしい桜景観を大切な財産として,市民の皆様と共にしっかり将来に引き継いでいかなければならないと,改めて強く決意しているところでございます。現在,本市が管理する街路樹や公園の1万本を超える桜の大半はソメイヨシノが占めており,その一部に樹勢の衰えが見られる状況にあります。また,桜は,枝をせん定した際の切り口から腐敗を起こしたり,樹齢を重ねるごとに伝染病にかかりやすく樹勢を弱らせるといった特性がございます。そのため,日常のパトロールによる点検において,枯れ枝や管理上支障となる枝のせん定,倒木の危険性のある桜の伐採など,適宜必要な対策を講じることはもとより,薬剤を用いた立枯れや腐敗防止の処置など適切な育成管理に努めているところでございます。また,約3,700本にも及びます街路樹の桜全てにつきまして樹勢診断調査を行い,専門家の知見を踏まえまして,植替えが必要と判定された桜の更新を順次進めているところでございます。更新に当たりましては,さくらい議員御指摘のとおり,同じ場所で植替えを行うと枯れてしまいやすいという特性があることから,土壌の改良を行うとともに,早咲きのカワヅザクラ,ヨウコウザクラや,また,遅咲きのサトザクラなど,開花時期の異なる桜をバランスよく植樹し,より長い期間,桜を楽しんでいただくことができるよう工夫を凝らしているところでございます。 今後とも,緑の文化首都・京都の実現に向けまして,さくらい議員御紹介の御提言もしっかりと踏まえまして,例えば東本願寺前の市民緑地整備や宝が池公園の新景観創造事業などで新たな桜の名所づくりを進めることにより,人々を魅了する桜景観の創造にスピード感を持って全力で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 市営住宅団地再生事業についてでございます。本市の市営住宅は,住宅セーフティーネットの中核を担っておりますが,同時に過去の長い歴史の中では,急激な人口増加に対する住宅の確保や不良住宅が密集する地区の住環境の改善といった様々な社会的課題の解決のために大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら,近年では,住棟の老朽化の進行や耐震性の不足,入居の高齢化や入居率の低下,さらには地域コミュニティの維持が困難となりつつあるなど様々な課題が生じております。これらの課題解決を目指しまして,本市では,平成23年2月に策定いたしました京都市市営住宅ストック総合活用計画に基づき,地域のまちづくりにつなげていけるよう,八条,楽只,崇仁などの市営住宅における団地再生事業に,順次,着手してまいりました。来年度は,御指摘をいただきましたとおり,新たに,左京区にある養正,錦林,岡崎のほか,三条,壬生東,壬生の各市営住宅について団地再生事業スタートの年として位置付け,本市会に予算をお諮りしているところでございます。 これらの市営住宅は,さくらい議員御指摘のとおり,非常に利便性の高い場所に位置しており,周辺地域のみならず,本市全体の活力あるまちづくりを進めていくうえでも,非常に高いポテンシャルを秘めていると認識をしてございます。このため,これらの団地再生事業においては,入居の安心安全の確保や,周辺地域も含め,地域コミュニティの活性化を図ることはもとより,団地再生により生み出される用地については,民間活力を積極的に導入して本市全体の持続可能なまちづくりに資するよう最大限に活用するなど,新たなまちづくりを展開してまいりたいと考えております。今後,住民の皆様の想いや周辺地域の皆様のお声を丁寧にお伺いしながら,スピード感を持って,具体的かつ着実に事業を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) さくらい泰広議員の質疑の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時53分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。さくらい泰広議員に発言の継続を許します。さくらい議員。 〔さくらい泰広議員登壇(拍手)〕 ◆(さくらい泰広議員) 午前に引き続き質疑をさせていただきます。 インクルーシブ教育の趣旨を踏まえた医療的ケアが必要な子供への支援について質問いたします。インクルーシブ教育とは,子供たち一人一人が様々な個性を持っていることを前提に,障害を持つ子供も,そうでない子供も分け隔てなく,誰もが希望をすれば合理的な配慮を受けながら地域の通常の教育施設で学べることを目指す教育理念です。さらに,障害の有無にかかわらず共に学ぶことを通して,それぞれの存在を認め合う共生社会の実現に貢献しようという考え方でもあります。平成18年12月,国連において採択された障害者の権利に関する条約において,インクルーシブ教育システム構築の理念が提唱され,我が国においても翌19年9月,同条約に署名し,その後,障害者に関する一連の国内法が整備され,平成26年1月に障害者の権利に関する条約が批准されました。さらに,平成28年4月からは障害者差別解消法も施行され,必ずしも十分に社会参加できる環境になかった障害のある方が,合理的配慮の下に積極的に参加,貢献していただくことのできる共生社会の形成に向けた一層の取組が求められているところであります。インクルーシブ教育の推進は,本市が取り組んでいるSDGsの誰一人取り残さないという理念の実現や,ダイバーシティ社会,すなわち多様性のある社会,その担い手となる子供たちにとっても共生社会について学ぶ良い機会であると考えます。そしてインクルーシブ教育の視点を踏まえた喫緊の課題として,現代の医療技術の進歩に伴い,全国的に新生児特定集中治療室NICU等での入院を経て引き続いて人工呼吸器などを使用したりかくたん吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な児童・生徒が日本で増加している現状があります。 これを踏まえて,平成31年2月には文部科学省の学校における医療的ケアの実施に関する検討会議からそのまとめが発表され,医療的ケアを必要とする児童への体制の充実が求められました。本市の医療的ケアを必要とする児童への支援については,平成12年度から,いち早く看護師の配置を行うなど先進的な取組も実施され,医療的ケアを必要とする児童が支援を受けつつ地域の総合支援学校や小学校に通学しています。しかし今後医療的ケアの高度化や重複化にも更に配慮が必要となり,児童・生徒,そして保護の思いにおいても,学校における医療的ケアの様々なニーズが更に高まっていくことが予想されますので,小学校,中学校も含め看護師の配置をはじめとした医療的ケアの一層の充実が必要と考えます。正にこれも障害のある子供と障害のない子供が分け隔てなく共に学ぶことができるインクルーシブ教育を体現することであり,また,誰一人取り残さないというSDGsの理念に沿うものであると考えます。 国に対してより確実な人的措置を求めていくことはもとより,本市として医療的ケアを必要とする児童に対し,更なる手厚い対応が必要であると考えますがいかがですか。 次に,左京区北部山間地域の車両通行環境の改善について質問いたします。京都市においては,様々な危機に対して強くしなやかに対応するレジリエント・シティを目指し,また誰一人取り残さないことを理念としたSDGsの視点を持って京都の伝統と文化を守り,市民の命と暮らしを守るための施策の推進に全庁を挙げて取り組まれていることを,私も認識しています。そして私の地元である左京区の北部山間地域の皆さんの日々のお暮らしをできる限りお守りしていくことも,私たちの責務であります。ただ土木事務所では限られた予算の中で,このエリアを含む左京区内の多くの道路に関する要望に対し,地道に御対応いただいていることも承知しておりますが,抜本的な車両通行環境の改善には至ってないのが現状です。花脊,別所,百井,広河原,久多,そして峠の入口となる鞍馬の地域では,本市が誇るすばらしい自然を守っていただき,また,地域の伝統文化,伝統行事も脈々と受け継がれています。ただ残念ながら人口減少,少子化,高齢化も進展し,地域の未来にとって不安な要素も顕在しています。この地域がこれからも活力を維持し,安心してこの地域で日々お暮らしいただくためには,まずはこの地域を貫く幹線道路である府道広河原美山線及び国道477号線の整備は最優先の課題です。この道路は,市街地から鞍馬を経由し左京区北部山間地域へと通ずる唯一のバス路線でもあり,このエリアの動脈とも言うべき最も重要な道路です。しかしながら道中はつづら折のカーブや離合困難な幅員の箇所もあり,加えて濃霧の発生,積雪,路面の凍結など,暮らしの基本である移動の安全の確保が十分ではありません。また市街地から峠を越えた別所地区にある本市の教育施設である花背山の家においては,ほぼ全ての本市の小学校の5年生が長期宿泊学習に臨みますので,子供たちにとっても研修に向かうための道路がこの状態であり,山の家に到着するまで,学習を終えて家に帰るまでの道中の体調管理,安全確保も大変心配です。非常に厳しい本市の財政状況は理解していますが,花脊峠トンネル化の前段階として,鞍馬から左京区北部山間地域に至るこの道路の改良を,着手できる所から速やかに進めていただき,通行の安心安全を確保していただきたい。正にそのことが間違いなく北部山間地域の活性化の一つの要因になると考えます。 地域から要望も提出されている北部山間地域の道路の通行環境の改善についての見解はいかがですか。 最後に,二つ,地元要望をさせていただきます。花脊峠のトンネル化については,平成26年10月に市会の本会議で請願が全会一致で採択されました。これについて,門川市長は,重く受け止めていただいていると私は理解しています。その後,毎年自民党市会議員団より花脊峠のトンネル化の要望を行い,京都市左京北部山間自治連絡協議会においても継続して要望されています。昭和53年にトンネル化を求める陳情書が地域より京都市に出された折,それに代わる事業として市道大原花背線の事業計画が京都市より示されましたが,ただこの事業の実態は中止となったと認識しています。度重なる災害で峠は何度も通行止めとなり,平成30年9月の台風21号のときは,花背山の家で小学生が孤立,体調を崩した児童はヘリで搬送される事態も発生しました。ここ数年の気候変動を考えれば,請願が採択された当時から,明らかにトンネルの必要性のステージが上がったと考えます。改めて地域の悲願でもある花脊峠のトンネル化を門川市長に要望します。 もう一点,地下鉄国際会館駅前の整備について要望いたします。地下鉄国際会館駅は,申し上げるまでもなく京都市の北部の公共交通の拠点です。そして毎年行われる左京区の区長懇談会,市政懇談会においてもこの要望が常に優先順位の1位となっています。主な御要望の内容は,地上階のトイレの設置,交番所の設置,一般車両の駐停車場所の整備の3点です。その中でも,特に一般車両の駐停車場所の整備は急を要すると私は考えています。その理由は,夜間,地下鉄利用の迎えの車が駅前の宝ヶ池通の主に南側,西行車線に何台も停車し,一つの車線をふさいでいるからです。これが原因で事故が起きれば取返しの付かないこととなり,市民の安全確保という視点から,現状大変危惧しています。地元の岩倉南,明徳,岩倉北の三つの学区では,約2万8,000人の人口を擁し,周辺地域も含めて今も住宅の新築工事が行われ,今後人口が増えれば,当然駅利用も増えると考えます。地下鉄国際会館駅前の一般車両の駐停車場所の整備について,場合によっては国立京都国際会館も隣接するわけですから,国との十分な連携も視野に入れた早急な取組を要望します。 以上で私の質疑を終わりますが,今後とも市民の皆さんの信頼を得ることができますように,信なくば立たず,この言葉を深く心にとどめおき,議員活動,議会活動に精進いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,さくらい泰広議員の御質問にお答えいたします。 左京区北部山間地域における通行環境の改善についてでございます。左京区北部の山間地域,また隣接する鞍馬地域は,美しい山々や清らかな水の流れをはじめとする豊かな自然の中,農林業等を中心とした暮らしと,これに根差したユネスコ無形文化遺産の候補でもある久多花笠踊をはじめ,鞍馬の火祭りや各地域で行われる松上げなど,すばらしい伝統文化が地域の皆様の御尽力によって守られ,脈々と受け継がれている魅力あふれる地域であります。しかし,人口減少が進み,集落としての活力低下が課題となる中,花脊における小中一貫校の創設をはじめ,山村都市交流の森や花背山の家の整備など,自然環境の保全と調和した地域の活性化に向けた取組を進めてまいりました。道路は,人と物の移動を支える,地域の皆様の安心安全な日常の暮らしの中心であり,欠かすことのできない重要なものでありますが,左京区北部山間地域の通行環境を見ますと,急カーブや離合困難箇所が多く,また,積雪時には更に通行が困難になるなど,地域の皆様の安心安全の向上に向け,通行環境の改善をより一層推進していく必要があると認識いたしております。そのため,別所,花脊,百井,広河原,久多の各自治振興会等の皆様のお声をしっかりとお聴きする中で,対策が必要な箇所を抽出し,厳しい財政状況にあっても,待避所の整備や見通しの改善など必要な道路改良に平成30年度から新たに着手し,今年度までに8箇所,来年度は更に4箇所について着手,取り組んでまいります。また,自然災害が頻発している状況の下,京都広河原美山線及び国道477号からなる,いわゆる鞍馬街道につきましては,二ノ瀬バイパスの整備に続きまして,現在は,百井別れから南へ約3.3キロメートルの区間を鞍馬北工区と位置付け,国の防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策も活用しまして,令和2年度は前年度の4.4倍となる1億5,000万円の予算を確保し,精力的に道路改良を進めてまいります。 今後とも,自然豊かな左京区北部山間地域の安心安全の向上,活力強化に向け,道路改良をはじめ通行環境の改善に全力で取り組んでまいります。 以下,関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 医療的ケアを必要とする児童・生徒への支援についてお答えいたします。本市では,医療的ケアが必要な児童・生徒の多様な教育的ニーズに応えるため,地域制の総合支援学校4校に25名,小学校6校に8名の看護師を配置するとともに,たんの吸引や経管栄養など4種の医療的ケアの実施が可能となる法定研修を受講した89名の総合支援学校教員が看護師と共に医療的ケアを行うなど,児童・生徒が安心安全に学校生活を送るための環境整備を進めてまいりました。こうした中,現在総合支援学校に64名,小学校に6名の医療的ケアを必要とする児童・生徒が在籍し,そのうち90パーセントが通学しており,通学割合は,全国平均の約77パーセントを大きく上回っております。とりわけ,より高度な対応が必要となる人工呼吸器を使用する児童・生徒につきましては,全国平均の2倍以上となる約8割が通学できている状況でございます。 さくらい泰広議員御指摘のとおり,近年,一人一人の児童生徒の医療的ケアの高度化,重複化が顕著となる中で,本市では,平成29年度から3年間にわたり文部科学省からの委託を受け,医師や学識経験等による専門家会議を設置し,看護師の資質向上に向け大学教授等による巡回指導や研修,また,学校見学会を通して主治医をはじめとする医療,福祉関係と学校が情報を共有し,より連携を深めるための取組を進めてまいりました。さらに,本年度は,専門家会議での議論も踏まえまして,本市独自の医療的ケア実施マニュアルや事例集の作成などにも取り組んできております。 今後とも,看護師配置のための財政措置の拡充を国に要望するとともに,看護師の専門性の向上を図るため巡回して指導助言等を行う統括指導看護師を新たに配置するなど,学校における医療的ケア実施体制を一層充実し,誰一人取り残さない,SDGsの理念の下,障害のある子供も障害のない子供も共に学ぶことのできるインクルーシブ教育の理念の実現に向け取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,平山たかお議員に発言を許します。平山議員。 〔平山たかお議員登壇(拍手)〕 ◆(平山たかお議員) 皆様,こんにちは。私は,東山区選出の平山たかおでございます。本日は,富議員,田中明秀議員,さくらい議員の3名の先輩に引き続き,自由民主党京都市会議員団を代表し,質疑をさせていただきます。 まず,初めに,観光課題解決先進都市に向けてお伺いいたしたいと思います。今回の市長選挙の大きな争点の一つでもあった観光に関する課題。観光公害という言葉が,一部マスコミも含め多用されていましたが,私は,その言葉はふさわしくないと考えております。過日行われた産業交通水道委員会において,我が会派の寺田議員も議論をされていましたが,私は,京都に魅力を感じ,観光にお越しくださる方々に対しても,また,旅行を温かく迎えましょうとは,京都市市民憲章の一つでございますが,観光客を迎え入れる,我々,市民に対しても,適切な言葉であるとは到底思えません。公害という言葉の強さ,こういったことを十分に理解をされて使っておられるのか。もちろん,市長はじめ行政当局の皆様は,この強烈な言葉は使っておられませんが,市長のお考えをお伺いしたいと思います。 もちろん,観光客の方々の一部集中により,市民の皆様の生活に大きく支障を来す部分,例えば市民の皆様が市バスに乗れないや各種マナー問題等に関しては,対応策を講じなくてはいけません。門川市長は,その選挙戦のさなか,観光課題解決先進都市に向けてといった形で,既に50の取組を開始していることを訴えられました。 私の地元東山区は,多くの観光客の皆様がお見えになります。清水寺や祇園をはじめ,泉涌寺や東福寺,瀧尾神社と,東西南北を見渡しても,魅力あふれる地域であり,交通網でも利便性の高い地域であります。一方で,今回の市長選挙の有権者数がついに3万人を切りました。元々高齢化率が高いまちではありましたが,それに加え,空き家が出来たら,すぐに簡易宿所となり,若い人が住もうにも場所がない,また家賃が高いなど様々な課題があります。もちろん,これは行政だけの責任ではありませんが,ある種,東山区は少子高齢化が進む地域として,市内でも,全国でも先進地域であります。そういった意味で,東山区は京都の魅力や課題を凝縮したようなまちであり,正に観光課題解決先進都市として真に名乗りを上げることができると,私は思うわけであります。例えば,簡易宿所。4月から管理常駐も条例上,原則義務化されるわけでありますが,管理として,若い方々や京都に移住したい方に居住をいただく。学生のまちでありますから,大学生でもいいと思います。そういった方々に,管理として常駐いただき,地域活動にも参加していただけたら,正に地域社会と調和の取れた宿泊施設となり,地域の活性化にもつながります。もちろん,事業サイドにも,そういった方々を常駐として置いていただいたら,税制上のメリットや様々なインセンティブを付与する,それこそ,宿泊税を活用することも一つではないでしょうか。また,今回の新型コロナウイルス感染症の発生により,改めて,様々な外的要因により観光客数が大きく減少し,観光事業も大きな影響を受けるなど安定的に観光客を確保することが重要であるという課題も分かったわけであります。加えて,全国的な課題でもある外国人観光客のマナー,この解決には,観光立国を目指す国の役割も重要であります。繁本衆議院議員から,それこそ,観光庁が,マナー啓発のYouTubeを作成されたと伺っており,そういったものも活用するなど国と連携して取り組んでいくべきだと考えます。 そこで,私は,観光に関する課題の解決に当たっては,地域の活性化や市民生活の利便性向上につながる方策を追求していくべきであると考えておりますが,先ほどの提言も含め,市民生活を最優先に,地域の活性化,文化の継承,創造につながる観光の京都モデルを構築すると市民にお約束された門川市長の観光課題解決先進都市の一日も早い実現に向けたお考えと御決意をお聞かせください。 次に,次代の財政経済政策についてお伺いしたいと思います。財政を論議する際,市債をはじめとした借金にのみスポットを当てるのではなく,バランスシートでしっかりと物事を考えなくてはいけないと私は思います。借金ばかりに目をやるのではなく,その市債なりを活用し,どういった事業が出来たのか,どういった道路が出来たのかと,そういったことも含め,考えていかなくてはいけないと思うわけであります。京都市の一般会計の予算規模は,約8,000億円。市税収入は,約3,000億円しかない中,府市協調が図れ,国との信頼関係もある門川市長だからこそ,その8,000億円の予算編成を行うことができたのだと思います。地方交付税交付金や市債,また,国府支出金等,様々な財源を活用して,一般会計を形作っていくわけであります。 一方で,今後,社会保障関連経費等が増大し,財政状況がより厳しいものとなることが予測される中で,道路や都市基盤の老朽化対策が待ったなしの状況にもあります。社会保障関連経費が右肩上がりに増加する中で,今後の公共投資予算をどう確保していくのかお聞かせください。 一方で,3,000億円の市税収入をどのように増やすのか。私からは,経済政策も含め,提言したいと思います。本市は,法人税収が,同規模の他政令市と比べぜい弱であるため,やはり企業を強くしていくことが肝要であります。4期目スタートの初登庁式へ行き,御決意も伺う中で,中小企業への支援と市長はおっしゃられたかと思います。私は,支援ももちろん大切でありますが,やはり,この資本主義社会の中,企業が強くなっていくことに対する支援,行政ができることは何ぞやと自問いたしました。 では,企業が強くなるとは何なのか。私は,事業規模の拡大こそが,それにつながると信じております。市内の中小企業の割合は99パーセント以上と,正に市長がいつも本市の宝だとおっしゃっている,そのとおりであります。一方で,もう少し規模が大きくなれば,ああいった事業もできるのに,また,こういった部分にも手を回すことができるのにと考えておられる経営も少なくないかと存じます。そういった様々なニーズがある中で,そこをマッチングしていく,また,もうワンステップ,ツーステップと階段を上がろうとしている事業に対して,何か税制上のインセンティブや様々なメリットを,京都市として,企業が発展的拡大を図るとき等に,何か方策を検討できないのかと思うわけであります。大きな企業,強い企業が増えると,本市にとっての税収はもちろんのこと,働き方改革や様々な面からも,好影響をもたらすのではないでしょうか。今,この国には中小企業基本法という法律があり,要するに,中小企業であれば,様々な税制上のメリットがあるといったものだと私は理解をしています。本市には,地域企業の持続的発展の推進に関する条例があります。国の税制上のメリットを上回る何かを本市として提供できれば,企業が強くなる道を模索するのではと考えております。 そこで,本市の税収増加はもとより,働き方改革による真のワーク・ライフ・バランスを実現し,働かれる方お一人お一人の生活や家庭の充実,さらには地域活動の活性化など,ここ京都の活力を維持・向上させていくためにも,京都のまちに根差して活動する地域企業や中小企業の事業規模拡大を積極的に支援する必要があると思いますが,お考えをお伺いいたします。 次に,子育て・教育環境日本一に向けた取組について,大きく2点お伺いいたします。まず,1点目は,幼児教育,保育の推進についてであります。京都市は,幼児教育と保育に力を入れてこられ,質の面でも量の面でも全国トップクラスであると,自信を持って言えるまちであります。象徴的な例としては,保育所等における待機児童ゼロではないでしょうか。年度当初の待機児童ゼロを6年間にわたって続けているのは,政令指定都市の中で京都市だけであります。さらに,本市では,保育士の給与水準を全国平均の1.34倍まで,これは全産業の平均賃金を上回る水準でありますが,保育士の給与を大幅に引き上げたうえで,保育士配置基準を国基準より1.33倍まで手厚くするという保育の質を確保する取組を,大変厳しい財政状況の中にあっても続けてこられています。その結果,保育士の離職率は全政令指定都市の中で最も低くなっており,保育現場に保育のノウハウが着実に蓄積する環境が実現しているとお聞きしております。 そのような中で,市内では,今,保育ニーズが引き続き高まっている地域がある一方で,保育ニーズが縮小し,保育園等の定員割れが増加している地域も出てきています。保育は保護の方がされるもの,これは大前提として,少子化,また,現在の様々な就業の在り方等を踏まえ,地域で,そして社会で子供を育てることが重要な時代だと感じます。そういったことを鑑み,京都市として,できることは全て手を打っていただきたいと思うわけであります。 そこで,来年度には,次の5年間の保育園等の整備を定めた京都市はぐくみプランがスタートするわけでありますが,少子化の大きな流れの中にあって,今後の待機児童対策をどのように進めていかれるのか,待機児童7年連続ゼロの達成に向けた決意と併せてお答えください。 また,昨年10月にスタートした幼児教育・保育の無償化は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性に鑑みて実施されるものであります。しかし,無償化に当たっては,保育時間の長時間化,保育現場の負担増が懸念されています。保育関係団体から要望が上がっている1歳児の職員配置の改善をはじめ,保育の質を高める取組が今こそ求められているのではないでしょうか。子育て・教育環境日本一を掲げる市長の幼児教育・保育の推進に掛ける決意,そして,それが来年度予算案にどのように反映されているのかをお伺いいたします。 2点目は,児童虐待の防止と社会的養育の充実についてお伺いいたします。児童虐待の根絶に向けては,早期発見,早期支援はもとより,地域へのきめ細やかな支援を通じた未然防止や重症化防止といったトータルでの支援が必要であります。京都市においては,全国トップクラスとなる児童福祉司の配置や警察との緊密な情報共有に加え,昨年4月には,学校や地域の関係機関との連携や支援の要となる子育て支援係長を新たに全区役所・支所に配置する等,時宜を捉えた取組を行ってこられております。しかしながら,全国的に児童虐待が増加しており,京都市においても,平成30年度の相談,通告件数は2,128件と3年前と比較して約1.6倍となっており,児童虐待対策の一層の強化と共に,地域の子育て支援の充実や虐待を受けた子供を社会全体で育む支援といった社会的養育の質・量の拡充が欠かせないかと存じます。 国においても,新しい社会的養育ビジョンが策定をされ,令和元年度末までに,地域の実情に応じた社会的養育の計画を策定するように求められています。今一度,児童虐待対策の強化と地域の子育て支援の充実も含めた社会的養育の充実に向けた市長の御決意,そしてそれが来年度予算案にどのように反映されているのかお答えください。 まずは,ここまでの答弁をよろしくお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,平山たかお議員の御質問にお答えいたします。 観光課題の解決についてでございます。近年の外国人観光客の急増等により様々な課題が生じております。昨年,現状とこれまでの取組,課題を関係の協力の下に総点検いたしました。そして一部の地域や市バスの混雑,観光客のマナー違反,宿泊施設の急増といった三つの大きな課題解決に,新規事業も含めた50の事業について,地域や事業の皆様と共に,全庁を挙げた取組としてスピード感を持って強力に推進してきており,既に効果を上げてきております。今後とも全力を投球してまいります。観光公害という言葉が一部メディアで使用されておりますが,これは,観光客や観光事業が,あたかも公害の源であるかのような印象を与える不適切な表現であると私は認識しております。私どもは,一切このような言葉は,表現は使っておりませんが,観光事業など観光に携わる幅広い方からも,使用を控えるべき,控えてほしいとの強いお声を聞いているところであり,こうした御意見を大切に受け止めながら,関係の理解を深めていただきたいと考えております。同時に,観光課題の解決に向け,関係一丸となって取り組んでまいります。 また,今般の新型コロナウイルス感染症の影響を見ましても,観光がいかに地域の文化の振興や多くの方々のお仕事,生活を支えていたかが改めて認識されているところでございます。平山議員御指摘の宿泊施設による地域の活性化につきましても,地蔵盆をはじめとする地域固有の文化の継承,あるいは災害時の安心安全,地域コミュニティの活性化など,宿泊施設が地域に貢献する事例が多くあり,昨年度から,そうした施設を地域からの推薦に基づいて,京都らしい宿泊施設として表彰しております。このように,宿泊施設が地域に貢献し共存する関係が市内各地で生まれてきており,今後更に加速させてまいります。 昨年12月に,京都において国連観光・文化京都会議が初めて開催され,地域固有の文化やコミュニティの継承,発展等を図るため,観光をいかし,同時に適切にマネジメントすることの重要性を,私から,京都の市民ぐるみの取組も含めて特別報告として説明しました。これが京都モデルとして高く評価され,京都宣言に明記されました。今後とも,京都モデルを強力に推進し,市民生活の豊かさにつなげる観光の課題解決先進都市京都として世界のモデルとなるような取組を,平山議員の御提案や東山区の状況も踏まえつつ,進めてまいります。 次に,子育て支援についてでございます。私は,市長就任以来,子育て支援を市政の最重点に位置付け,幼児教育・保育の質の向上,待機児童ゼロの継続,児童虐待対策などの取組を,幼児教育,保育,医療,福祉等の幅広い関係や地域の方々の多大な御協力を得ながら進めてまいりました。子育て・教育環境日本一を市民の皆様により実感していただけるよう,これまでの取組を更に深化させていく,そういった決意を新たにいたしております。 まず,幼児教育,保育の質の向上や待機児童ゼロの継続につきましては,病児保育や医療的ケア児の受入支援の充実をはじめ,国基準を上回る保育士の配置及び高い給与水準等,全国トップレベルの保育の質を維持,向上し,さらには,保育の需要が多く,保育所等の必要性の高い地域の受入枠の拡充も含めまして,令和2年度には,財政状況が非常に厳しい中,平山議員御紹介の1歳児保育における保育士配置体制の充実など,昨年度比15億円増の555億円もの幼児教育,保育関係予算を計上いたしております。引き続き,7年連続の待機児童ゼロの実現に向けまして,着実に取り組んでまいります。 次に,児童虐待防止対策については,今年度,児童相談所と子どもはぐくみ室に計29名の職員を増員し,子育て支援の抜本的な体制強化を図りました。さらに,来年度は,急増する警察からの通告等に対応するスタッフ6名を児童相談所に新たに配置し,一層の体制強化を図ります。加えまして,社会全体で子供たちを支えていくために,支援の必要な子供を家庭で預かる養育里親の確保や,ショートステイ事業の拡充,児童養護施設の専門的な支援体制の確保等に総合的に取り組んでまいります。特に,養育里親の確保は,募集から委託後の相談支援までを児童相談所において包括的に行うための専任職員を新たに配置するなど最重点に取り組んでまいります。 引き続き,地域ぐるみで子育てを支援する取組を展開し,進行する少子化への歯止めにつなげていきたいと考えております。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 公共投資予算の確保と地域企業支援の充実についてでございます。公共投資は,市民生活の安心安全,経済活動の基盤の整備など市民,地域企業の皆様の豊かさにつながる重要なものであり,国の有利な財源の確保や民間活力導入など様々な工夫をし,厳しい財政状況の中,本市の財政負担を軽減しつつ推進しております。例えば2月補正予算等では,政府の経済対策の財源を前年度の2.7倍となる41億円活用し,防災・減災対策,教育環境の向上等に必要な105億円の事業を前倒しで実施いたします。また,老朽化した三条市営住宅をはじめ市営住宅の建替えに当たりましては,住宅を集約し民間が活用可能な土地を創出することにより建替え財源に充てますとともに,地域の活性化にもつながる事業手法を採り入れております。今後とも,市民の安心安全や地域の活性化を推進するため,公共投資を含め必要な事業を実施してまいります。 また,平山たかお議員御指摘のとおり,企業の規模拡大による担税力の強化は重要であります。ベンチャー,スタートアップの事業拡大に向けまして,起業から海外展開まで切れ目なく伴走支援を行うエコシステムの形成にオール京都で取り組みますとともに,M&Aをはじめ事業承継時の経営保証を不要とする融資制度を創設するなど事業承継に併せた企業規模の拡大も支援してまいります。一方で,規模だけではなく企業の収益力を強化する視点も重要であり,引き続き,企業立地助成の充実,第二創業や経営革新に取り組む企業を認定するオスカー制度等の支援により地域企業の利益の拡大につなげてまいります。今度とも,地域の雇用,文化の継承,まちづくりを支える地域企業の成長と経営基盤の強化による税収増加に取り組んでまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 平山議員。 〔平山たかお議員登壇〕 ◆(平山たかお議員) 引き続き質疑をさせていただきます。東山区選出の平山たかおでございます。 私は,今年度,まちづくり委員会の副委員長を仰せつかっており,我が会派として,インフラ整備,まちづくりに関して,市長選挙も控え,また次年度予算の編成の中,しっかりと議論すべきだとのこともあり,自身,過日行われた委員会においても,徹底的に議論をさせていただいたところであります。そうした中,市長の4期目がスタートしたわけでありますから,しっかりと次代のまちづくりビジョンをお聞かせいただけたらと思います。例えば,私の生まれ年でもある昭和62年に都市計画決定された鴨川東岸線,この第二工区の開通も間近に控え,また,国道1号並びに9号線のバイパス構想,堀川通のボトルネックの解消,そして,四条通地下通路の活性化などのまちなかビジョン,京阪鳥羽街道駅のバリアフリー化,歩いて楽しい東大路通など,挙げれば枚挙にいとまはございませんが,様々な都市計画行政がなされております。市長には,未来に向けたインフラ整備を,引き続きしっかりと進めていただきたいと思っております。 そのうえで,この間,京都市は,持続可能な都市を目指し,プランの策定なども行ってきました。そのプラン策定の際にも課題として指摘されていた,未来を担う若者世代が京都に住み続けられる,京都で働き続けられるまちづくりを是非ともお願いいたします。そこで,それを具体的にどのように実現していこうとされているのか,お考えをお伺いいたします。 また,私が,道路景観の取組で注目しているのが,例えば,四条堀川交差点において,京都らしい庭園のようなしつらえで整備をされた雨庭であります。雨庭には,緑化や修景の効果に加え,雨水を一時的に貯留することで,雨水の流出抑制やヒートアイランド現象の緩和など,防災面や環境面での効果も期待されるものであります。文化首都を掲げる京都において,雨庭は,大変有意義であり,今後も積極的に取り組んでいただきたいと考えますが,今後の取組に関して,併せてお答えください。 次に,文化庁移転を見据えた京都創生についてお伺いいたします。明治時代以来初めてとなる,省庁の東京からの本格移転である文化庁の京都移転の決定には,当時の津田大三京都市会議長も京都市会の代表としておられた中で,府市協調はもちろんのこと経済界も含め,正にオール京都のワンチームで誘致活動をした結果であり,地方創生の中の京都創生であると感じております。 また,国では,人口急減,超高齢化という大きな課題に対し,人口減少を克服し,将来にわたって成長力を確保し,活力ある日本社会を維持するため,各地域がそれぞれの特徴をいかした自律的で持続的な社会を創生することを目指した地方創生に政府一体となって取り組まれ,人口減少社会の認識が一定浸透したことや,雇用・所得環境の改善が続いていることなどの成果が表れる一方で,国が昨年12月に策定した第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略においては,我が国における将来の人口減少と少子高齢化は依然として深刻な状況にあることや,東京一極集中に歯止めが掛かるような状況とはなっていないこと,中長期的には,東京を含め,日本全体の人口減少,高齢化の進行が見込まれていることが明確にされております。 京都市では,こうした国の動きに先駆けて,平成27年9月には,人口減少社会への挑戦,東京一極集中の是正を掲げたまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略をいち早く策定し,国や他都市にはない,こころの創生を重視した取組を進め,さらには人口減少・自然災害のあらゆる危機を克服し,持続可能なより魅力あふれる京都の実現に向けた京都市レジリエンス戦略の推進や,さらには,SDGsの推進とも一体的に取り組んでおられます。その結果,文化庁の京都移転の決定など,全国的にも象徴的な成果が挙がっているものだと承知しています。私の地元東山区をはじめ市内には,世界に誇る五つの花街がありますが,花街の文化を守り育てることは,日本全体の地方創生にも資するものであり,京都だからこそ担える役割の一つであると考えます。しっかりとした取組をお願いいたします。一方,人口急減,超高齢化という大きな課題に関しては,極めて厳しい状況にあると認識しております。北部山間地域においては,既に人口が急減している状態にあります。市長の公約の中に,「人口減少・少子化の克服へ!若者の移住・定住促進,交流人口・関係人口の創出・拡大に取り組む」とありますが,その実現は極めて難しいもので,全庁を挙げて,腰を据えて,中長期的にもじっくりと取り組んでいくべきものだと考えます。また,本市の総合戦略の特徴でもあるこころの創生に当たり,重要な位置付けである文化庁の移転時期が,移転先の庁舎整備の工期延長に伴い改めて協議されることとなりましたが,文化の力で,暮らしと心の豊かさを創ると市長の公約の柱にも掲げるとおり,移転時期にかかわらず,世界の文化首都としての役割を京都が担い,こころの創生の取組を前に進めていかなければならない,そのように思うわけであります。 そこで,まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略の取組のこれまでの成果と,そして課題,また,今後の対応について,お考えをお聞きかせください。 最後に,災害に強い上下水道事業についてお伺いいたします。大規模な災害や事故により,全国的に上下水道インフラの重要性が改めて認識されてきています。平成28年12月には,新潟県糸魚川市で,4万平米,147棟が焼損する大規模な火災が発生し消防水利の確保が課題となりましたが,京都市では,このような事態に備え,消防局の要請に応じ,上下水道局が給水車で防火水槽に応急給水を行うこととし,昨年度の総合防災訓練では,両局で合同訓練が実施されたところでもあります。今後も,訓練等を通じて連携強化を図ることとされていますが,引き続き両局での連携の取組を進めるように求めておきます。 また,最近では,昨年,関東地方を中心に,台風による停電や浸水被害により,上下水道の機能が一時停止するに至り,また,本年1月には,横浜市や和歌山市における漏水が報道でも大きく取り上げられるなど,市民生活の安全安心を守るためには安定的な水道水の供給は必要不可欠であります。こうした中,昨年11月市会の我が会派の下村議員の代表質問において,水道事業の防災対策として,給水車や仮設給水槽の配備,非常用発電設備の設置に加え浄水場等の水道施設の災害対策を含めたハード面での取組,そして災害時の給水活動に向けた防災訓練等のソフト面の取組に関して,力強く答弁いただいたところでもあります。令和2年度には,ビジョンの前期5箇年の実施計画である中期経営プランの3年目を迎えます。水道・下水道のいずれにおいても使用水量の減少が進行しており経営環境の見通しは厳しいですが,そうした中でも,水道,下水道の老朽化は進んでいき,また,大雨や台風といった自然災害は突然起こるものであります。そのため,市民の重要なライフラインである水道,下水道を守り続ける事業については,ビジョン,プランの目標を達成できるよう,引き続き,しっかりと推進していただくことが肝要であると認識しております。 そこで,門川市長の新たな任期の1年目として,改めて,今後,漏水や大雨といった水道,下水道を取り巻く災害,事故に対して,防災・減災の観点から,どのような手立てを講じていく方針なのか。その決意を,令和2年度予算で掲げられている主要事業と併せてお聞かせいただきたいと思います。 以上をもちまして私の質疑を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,平山たかお議員の御質問にお答えいたします。 持続可能なまちづくりについてでございます。京都が将来にわたって,魅力と活力に満ち,新たな価値を創造し続ける持続可能なまちづくりこそが,本市の最重要課題であると認識いたしております。この間,市民ぐるみで,文化を基軸に豊かな自然や歴史的な町並みを守る取組等を進めてきた結果,京都の都市格は飛躍的に向上し,京都に住みたい,働きたい,クリエイティブな活動がしたいとのニーズがますます高まってきております。そこで,研究開発拠点や産業用地,若い人が住みやすい住宅等の創出を含め,未来に向けたインフラの整備も併せまして,こうした期待,ニーズをしっかりと受け止める都市の構築と,京都ならではの歴史や文化,その表れである景観との両立に果敢に挑戦しなければなりません。具体的には,京都の景観の守るべき骨格は堅持しつつ,未来を担う若者が安心,快適に暮らし活動できるまちの実現に向け,建物の高さやデザイン規制の特例制度について,都市や地域のビジョンの実現に資する制度となるよう現在検討を進めているところであります。さらに,子育て,福祉,産業,商業,観光,交通等のあらゆる関係政策と都市計画を連動させ,建物用途や規模制限の見直し等についても検討しております。これらの方策により,各地域のポテンシャルを存分に引き出し,子育て世代や若者のニーズに合った住居や生活利便施設,市民が生き生きと働けるオフィス等の創出を図ってまいります。 なお,本市では,京都に息づく庭園文化を生かしたグリーンインフラの創出に向け,全国に先駆けて雨庭の整備に取り組んでおります。この取組を加速していくために,国に対して補助事業化を強く要望してきた結果,新たに認められたところであり,来年度は,これを積極的に活用し,東山区六原など市内3箇所で整備してまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 下水道における防災・減災対策についてでございます。水道事業では,水道配水管の更新を着実に進めることで,配水管の漏水件数は,この10年間で半減いたしました。令和2年度は,配水管更新率について,更新を重点的に実施し始めた8年前の0.5パーセントから,1.5パーセントまでスピードアップさせ,その後も大都市平均1.0パーセントを大きく上回るこの水準を維持してまいります。また,水道施設の災害対策につきましても,浸水想定区域内にある松ケ崎浄水場に止水板を設置するなど具体的な対策に着手してまいります。下水道における浸水対策としては,雨水幹線の整備等に事業開始以来,総額約1,700億円を投入し,5年に1度の大雨に対応する整備率は,全国平均の59パーセントを大きく上回る全国トップ水準の91パーセントとなり,平成30年7月豪雨をはじめとする近年の大雨や台風の際には,下水道に起因する浸水被害を回避いたしました。さらに,令和2年度は,市内中心部の広範囲に及ぶ対策として,鳥羽第3導水きょの整備に着手するなど,10年に1度の大雨に対応する整備率の向上に向けた取組を力強く推進してまいります。平山たかお議員御指摘のとおり,上下水道を取り巻く経営環境は厳しさを増しておりますが,組織・業務の見直し等による経費削減の取組など絶え間ない経営努力により,強い経営基盤を築き,掛け替えのないライフラインをしっかりと守り続けてまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略のこれまでの取組の成果と課題,今後の対応についてでございます。本市では,国の地方創生の取組に先駆け,魅力と活力ある京都を守り,育て,発展させる国家戦略としての京都創生や,現行の基本計画に基づく人口減少対策等に市民ぐるみで取り組んでまいりました。平成27年度には,京都ならではのこころの創生を重視した京都創生総合戦略を策定し,現在では,レジリエンス,SDGsを含め一体的に全庁一丸となって推進しております。こうした取組の結果,現行の基本計画において,平成17年から令和2年までの15年間に約6万人減少すると見込んでおりました人口は,現在のところ約9,000人の減少幅にとどまっており,当時とほぼ同水準を維持しております。また,文化庁の機能を強化しての全面的移転が決まるなど,全国の地方創生のモデルとなる大きな成果も生まれております。しかしながら,人口減少,少子化の克服,長寿社会への対応は,これからが極めて重要であり,さらに,取組の大きなうねりを作り出していく必要がございます。そのため,今年度末に期限を迎える京都創生総合戦略につきましては,計画期間を1年延長し,次期基本計画に基づく実施計画の施策,事業と一体的に検討を重ね,来年度に,京都創生・SDGs推進総合戦略として策定いたします。次期戦略の策定に当たりましても,平山たかお議員御指摘の花街の振興を含めたこころの創生を重視し,京都から文化の力で日本を元気にしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,加藤あい議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤あい議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤あい議員) 左京区選出の加藤あいです。2020年度予算案について,日本共産党市会議員団を代表し,質問いたします。 2月2日投開票された京都市長選挙で,日本共産党は,れいわ新選組,新社会党,緑の党,そして多くの市民の皆さんと共に福山和人さんを支援いたしました。福山候補は,16万1,618票を得票し,得票率で34.6パーセントを占めましたが,当選に至りませんでした。御支援をお寄せいただいた皆様に心からお礼申し上げます。 福山候補は,市民が政治を作るという訴えを行い,共同を広げる姿勢を貫きました。「大切な京都に共産党の市長はノー」との新聞広告に見られる門川市長の排除の論理で民主主義を汚すやり方とは全く対照的でありました。出口調査によると,福山候補は,無党派層の中で1位の38.7パーセントを獲得。立憲民主党支持層からも1位の45.4パーセント,国民民主党支持からも22.7パーセントの支持を得ました。また,18歳,19歳の5割近くを獲得。子育て,教育を争点として重視した有権者の5割近くが福山候補に投票いたしました。これは,福山候補の公約である,小学校のような全員制の中学校給食の実施,給付制奨学金制度の実現等が多くの方の共感を得たことを示しています。市長は,選挙後,新聞社のインタビューで,批判にも謙虚であるべきだと考えていると表明されたのですから,市民の願いを受け止めていただきたいと思います。党市会議員団は,選挙でお寄せいただいた要求や課題を市政に反映するため,議会の立場から引き続き取り組んでまいります。 さて,市長選挙後,初めての予算案が示されました。以下,来年度予算案の特徴と市政転換の方向について述べます。市長は,くらしに安心,まちに活力,みらいに責任のまちづくりの考えの下,来年度予算を編成したと説明されています。しかし,本予算案は,第一に,大型公共事業を一層大きく進める一方で,市民の暮らしに冷たく背を向けるものとなっています。本予算案には,リニア,北陸新幹線延伸の推進が計上されています。総事業費2兆1,000億円と言われる北陸新幹線の延伸,高速道路計画時1,200億円と言われた堀川地下バイパストンネル,鴨東線第三工区事業など,大型公共事業,ビッグプロジェクトめじろ押しではありませんか。市長が推進されるこうした大型公共事業,国家プロジェクトと財政再建とはどう両立するのでしょうか。 その一方で,夏季歳末資金貸付事業の廃止や内職授産事業の助成の半減など暮らしの予算を削減しようとしています。大型公共事業は推進するが,中小企業への支援は全く不十分で,暮らしにあえぐ住民のささやかな応援までばっさり切り捨てる。ここからは,安心も活力も責任も見えてきません。重大ではありませんか。認識を伺います。 第二に,本予算案は,更なる職員削減や公務の民営化を進め,自治体の公的責任を大幅に後退させるものとなっています。東京一極集中を進める地方創生と自治体戦略2040構想で,自治体の産業化とリストラを進める,それが国の方針であり,本市は,その国の方針のままに進めてきました。既に職員は疲弊し,市民サービスが低下しています。本予算案では,前年度を上回る205人の職員削減が示されています。これまで,12年で3,300人職員の削減を進め,さらに,なおということですが,職員削減は既に限界ではありませんか。区役所職員が902人減らされ,消防職員は10年で221人,2割もの削減が図られました。左京区では,昨年末,左京区自治体要求連絡会としてアンケートを配布し,2,000通を超える返信を頂きました。暮らしの願いはもちろん,多く寄せられたのが災害対策の要望でありました。災害対応の課題が山積していることの表れであります。 また,新型コロナウイルス感染症対策が重大な局面を迎えています。公衆衛生を支える十分な体制が求められています。市長は,2010年,区の保健所を廃止し,2017年には,区ごとに行われていた感染症対策など健康危機管理業務を,全市1箇所の拠点に集約されました。そのことにより,保健衛生の担当職員は区保健所廃止前と比べて38人も減員しました。組織再編と職員削減で,重大な機能後退が続けられてきたことを反省すべきです。住民の命や健康への重大な脅威が生じた際の対応力を後退させているのが職員の削減ではありませんか。いかがですか。 新型コロナウイルス感染症対策について,以下,要望しておきます。第一は,国家的危機管理の問題として,政府に対し緊急対策予算153億円にとどまらない財政措置,そして機動的財政出動を京都市が求めることです。そして第二は,京都市においても,自治体病院としての市立病院や公衆衛生体制に責任を負う医療衛生センターの機能を十分に発揮し,公的責任を果たすことを求めておきます。 介護保険の認定給付業務についても申し述べます。市長は,介護保険の認定給付について,区役所業務廃止と民間委託,嘱託職員130人の雇止めを進めています。党議員団が当局に請求した受託事業の企画提案書はほぼ全て黒塗り状態で提出されました。これでは,これまでの一連の市民サービスが十分に保障されるのか,全くもって不透明ではありませんか。このままでは行政サービス水準の低下は必至であります。これまで行政職員として職責を果たしてきた,その職員こそ,行政サービスの水準の保障ではありませんか。まだ,間に合います。介護保険認定給付業務の集約,委託化はやめることを求めます。 さて,本予算案の財源等の状況を見るとどうでしょうか。地方交付税137億円削減や税制改正の影響を含む法人市民税の減収を,公債償還基金の取崩しと後年度負担を伴う行革債,調整債の発行で手当てするという将来の見通しが持てない状況となっています。安倍政権による税制改革方針が大きく影を落としています。本市として,財源創出のための外部有識者会議を設置するなどとしていますが,従来の枠組みを大きく超えるものではありません。成長戦略と行財政改革で進むという従来どおりの方向がいよいよ行き詰まり,出口の見えない状況となっています。抜本的な方針転換を図ることなく突き進む,このままでは本市財政は,更なる泥沼にはまり込むことになるのではありませんか。認識を伺います。 以下,今後の方針に関わって,二つの転換を求めます。 第一に,安倍政権の悪政に正面から物を言う市政への転換です。昨年10月から12月のGDP国内総生産は,年率換算で6.3パーセント減と大幅減少となりました。景気が下降しているのに,消費税増税中止の声に耳を貸すことなく増税を強行した大失政の結果であります。国家予算においても,消費税と法人税が約10兆円の税収であったのが,今や,消費税が21兆7,000億円,法人税は12兆円となりました。大企業の利益が増えている中での事態であります。持てるからきちんと税金を取ることなく,消費税増税や社会保障改悪で更に格差を広げる,それが安倍政権であり,その中で引き起こされているのが,長期にわたる経済の悪化と停滞であります。 先般,国際援助団体のオックスファムが世界に2,000人以上いるビリオネア,すなわち,1100億円以上の資産を持つ人の富の総計額がそのほかの46億人の富の総計よりも大きいとする報告書を出しました。日本にビリオネアは32人と報じられましたが,日本においても,一部の資産家の富は増え続ける一方で,労働の実質賃金はほとんど増えていません。市長,安倍政権に抜本的な方針転換を求めるべきではありませんか。国の社会保障制度の見直しは,急激な少子化や長寿社会に対応し,持続可能なものとするためだなどという認識を改め,国に対し,交付税の増額を強く求めるとともに,取るべきところから税金を取り,社会保障を充実するまともな政治への転換を真正面から迫ることを求めます。 第二に,大型公共事業優先から,人と中小企業優先へのシフトチェンジです。市長,お示しになった予算案では,安倍政権と同様に,厳しい市民の暮らしに追打ちを掛けることになるのではありませんか。京都経済の活性化を図るためにも,今こそ,国の方針をそのまま持ち込む大型事業の推進や市外からの企業呼び込み,インバウンドの推進,大企業優遇の施策からの転換が必要です。暮らしや子育て,若者への支援などで市民の懐を暖めることを求めます。そして中小企業の直接支援を求めます。このことが,税収増につながり,財政の健全化にも貢献することができます。いかがですか。お答えください。 昨日,党議員団は,2020年度予算案についての組替え提案を発表しました。京都市予算わずか1パーセント,80億円を市民の暮らしを丸ごと応援する予算として最優先に確保したうえで,組み替えることを提案しています。具体化されることを求めます。 以下,第二の転換に関わって子育て,若者支援策について質問します。まず,子育て支援策についてです。本市の合計特殊出生率は2年連続減少する事態となりました。子育て層や若者の市外流出も進む事態となっています。子供を産む,産まない,結婚する,しないは,それぞれの人生の選択であることは言うまでもありません。しかし,本市の市政の在り方が,とりわけて,子育て支援の立ち遅れが,こうした事態を生んでいるのではないでしょうか。新聞も,施策の軸足をより将来世代に向けることが求められる,あらゆる角度から子育てを応援する施策を打ち出し,そこに予算を割くべきだと書きました。市長は,選挙後,子育て環境日本一を更に進めるとおっしゃいました。そうであるなら,責任ある政策を実行すべきであります。 子育てに関わって3点伺います。第一に,小学校のような全員制の中学校給食についてです。1月28日,小学校のような全員制の中学校給食を求める署名が市長と教育長に提出されました。4箇月間で2万2,031筆もの署名が集められたのです。家庭から持参していただくお弁当の教育的効果と当局は言います。愛情弁当などということも言われています。しかし,本来,親というのは,我が子を心から愛してやまないものです。弁当作れない私は親失格ですかとの声が寄せられているように,お弁当を愛情の物差しにする議論が,母親を,父親を,追い詰めているのではないでしょうか。間違いなく,問われているのは,行政の役割であります。行政こそ愛情給食を提供すべきではありませんか。現在の選択制給食導入から20年が経過しました。子供の貧困は7人に一人など,当時と比べても,残念ながら,子供たちを巡る社会的状況は更に厳しくなっています。この問題を巡り,これまでから市長が表明されてきた,他に優先すべき課題があるという認識そのものが誤りであることを指摘しなければなりません。今や,全国で給食を食べている中学生の割合は85.3パーセント,ほぼ9割であります。しかし,本市では,26.7パーセント,2割の中学生しか給食を食べていません。政令市の状況はどうでしょうか。第3回神戸市学校給食委員会に提出された参考資料により,政令市の状況が明らかにされています。パネルを御覧ください。 (パネルを示す)自校方式,親子方式をはじめ,つまり小学校のように全員制の中学校給食が既に12市となり,6割の政令市で実施されています。デリバリー方式は,明らかに少数派となっています。次のパネルを御覧ください。 (パネルを示す)本市の喫食率が政令市で見るとどうなるかをパネルにしました。中学校給食の喫食率について,20政令市の中で,本市は,政令市ワースト3位であります。明らかに遅れているのではありませんか。遅れを取り戻すために,優先する課題が小学校のような全員制の中学校給食ではありませんか,認識を伺います。 中学校給食整備費は168億円,6箇年計画で年28億円で整備が可能です。小学校のような全員制の中学校給食に踏み出すことを求めます。地元食材や安心な食材を使った豊かな給食を本市の中学生に提供することを求めます。 第二に,子供の医療費支給制度についてです。これも京都市が全く遅れていることは共通の認識ではないでしょうか。国で行われるべきものなどと言われてきましたが,公約において,制度拡充を打ち出されました。中学校卒業までの無料化は年間15億5,000万円でできます。4年の任期のうちになどとせずに,直ちに,中学校卒業までの子供の医療費の無料化を行うことを求めます。 第三は,保育士の処遇改善についてです。本予算案には来年度242人,それ以降に400人分の保育所整備が示されました。しかし,今年度10月1日時点での実際の待機児童は1,259人で,昨年度の同時期よりも増えています。需要に対し認可保育所の整備が追い付いていません。保育士が足りないのです。保育士の処遇改善を図ることが,保育士確保へ,保育所待機児童解消へつながることになります。保育士の給与水準は全国に比べてまだましだなどと胸を張るのをやめ,保育士の抜本的処遇改善を図ることを求めます。 6億円補填すれば,公立保育所と民間保育所の給与格差を是正することができます。8億円を更に上乗せすれば,配置基準の非正規を正規職員にできます。先人たちの公的保育の質を維持しようという粘り強い運動の中で作られた民間の認可保育園プール制の根幹は昇給制度でありました。国が保障しない生涯賃金を京都市が独自保障することによって,どの認可保育所に子供を預けても保育の質を確保することができるという知恵から生まれたものであります。その制度の根幹を改悪したのが門川市長です。そのことで,子育てする母親の支えであるベテラン保育士が何人退職を余儀なくされたでしょう。京都市の宝とも言うべきものを失ったのです。今からでも遅くありません。どこの保育園で働いても同じ給与が保障され,経験年数に応じて定年まで昇給を保障できる,保育士の処遇改善を求めます。 次に,若者支援について伺います。僕も200万円の借金を背負っています,奨学金で。選挙の中で,どれだけ多くの学生や若者たちから,高学費に苦しむ声を聞いたことでしょう。高等教育費の負担がどれだけ重いかは論を待ちません。豊かだと言われる先進国日本において,いまだに,結局,家庭の経済力によって学ぶ権利が左右されるというのは,社会の在るべき姿ではありません。極めて限定された国の給付制奨学金制度では,多くの学生と若者,家族が救われません。奨学金は国において行われるべきもの,つまり,京都市は何もしないということで,本当に良いのでしょうか。学生のまち京都で京都モデルを発信すべきです。本人若しくは生計維持が市内に居住している4,000人を対象に,まずは,4億円の予算で独自の給付制奨学金制度創設に着手し,返済に苦しむ若者たちを救うため奨学金返済の際の利子分を支援する制度を作ることを求めます。 市営地下鉄の学生割引についても,たくさんの要望を伺っています。公営地下鉄定期券の割引率は,本市を除く政令市平均が61パーセントとなっていますが,本市では50パーセントとワースト2位になっています。せめて平均まで引き上げるべきではありませんか。そうすれば,半年で平均1万円の負担軽減を図ることができます。以上の若者応援は合計8億円,京都市予算の0.1パーセントで実現可能です。市立芸大の学費の引下げと併せて,学生のまち京都と言うなら,直ちに具体化されるよう求めます。 一旦,ここまでの質問への答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 加藤あい議員の御質問にお答えいたします。 令和2年度予算についてでございます。厳しい財政状況の中にあっても,市民の皆様の命と暮らしを守り,子育て支援を最優先に,将来の市民の財産となり,京都の発展と市民の安心安全につながる先行投資については,しっかりと進めていくべきであります。令和2年度予算等においても,政府の経済対策の財源を活用し,防災・減災対策に前年度から72億円増となる572億円を確保しております。これらの経費は,この5年間の決算で累計2,051億円に上り,これがあったからこそ一昨年の相次ぐ自然災害にあっても尊い命は守られました。北陸新幹線整備,堀川通の機能強化についても京都の発展のため極めて重要な事業であり,国に必要な財源確保等を求めつつ,京都府ともしっかりと連携して進めてまいります。 また,これまでから,民間にできることは民間にを基本方針に,委託化,民営化などで業務量の減少が確実に見込める部分について職員を削減しており,この財源も活用して,社会福祉関連経費を市長就任以降991億円増加させております。同時に,全区役所・支所へ医療衛生コーナーを設置するほか,地域防災活動の要となる区役所・支所の地域力推進室に平成24年度以降40名を増員するとともに,課題や困りごとを抱えた家庭への寄り添い支援の充実を図るため区役所・支所の子どもはぐくみ室に24名を増員するなど市民の皆様の命と暮らしを守る執行体制の充実・強化を確実に推進しております。 今後とも行財政改革の徹底により財源を確保し,京都の今と未来に必要な施策を展開するとともに,全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援,教育を更に充実させてまいります。 次に,子育て支援についてでございます。本市では,子育て支援の推進を市政の最重要施策の一つに掲げ,国の基準で,年度当初には,保育所等待機児童は国基準で6年連続ゼロ,学童クラブ事業は8年連続で待機児童ゼロを達成するなど全国トップクラスの子育て,教育環境を実現してまいりました。そのため,子育て支援の立後れという御指摘そのものが全く的を射ていないと考えております。進行する少子化への対策につきましても,子育て支援にとどまらず,子育て世代が住みやすい住宅の創出や,真のワーク・ライフ・バランスなど様々な政策の融合による幅広い取組が不可欠であるとの認識の下,今年度策定する子ども・若者の総合計画,京都市はぐくみプランにおいても,妊娠前から子供,若者までの切れ目ない支援を総合的に推進することとしております。さらに,現在検討を進めている次期京都市基本計画におきましても,子育て支援や教育はもとより,文化を基軸としたまちづくり,各世代の課題に応じた雇用促進や安心で働きがいのある仕事や職場づくりの促進,市民生活を最重要視した観光振興,安心と活力を生み出す持続可能な都市の構築等の総合的な対策を盛り込み,全庁を挙げてあらゆる施策を強力に推進してまいります。 こうした取組を進めることで,子育て世帯や若者が豊かさを実感され,希望ある将来を展望することができるよう,市民,関係団体,事業等,あらゆる主体との協働により全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 給付型奨学金の創設等についてでございます。意欲のある学生が経済的理由により進学を断念することがないよう,教育の機会均等を図ることは重要であると認識しております。奨学金につきましては,全国規模で学生の動きがある状況を踏まえれば,公平性の観点から,やはり国において統一的に充実が図られるべきものだと考えております。このため,これまでから国に対し要望,要請を行っており,市会におきましても,給付型奨学金の創設等を求める意見書が議決されております。こうした結果,この間,国において奨学金制度の充実がなされてきており,授業料等の減免と給付型奨学金の額及び対象を大幅に拡大する高等教育の修学支援新制度が令和2年4月から実施される予定であり,令和2年度予算案として約4,900億円が計上されております。今後とも,学生の皆さんが安心して学べる環境の充実に向け,国に対して引き続きしっかりと要望,要請をしてまいります。また,京都府の就労・奨学金返済一体型支援制度につきましては,中小企業の担い手確保に向けた支援策として重要と認識しており,引き続き,府や経済界と連携して活用促進に努めてまいります。 次に,地下鉄定期券の割引率につきましては,本市の地下鉄事業は,全国一厳しい経営状況にあること,今後,新造車両や設備更新に多額の費用を要することなどを考慮いたしますと,割引率を拡大することは困難でございます。 京都市立芸術大学の学費につきましては,議会の議決を経て定められた上限額の範囲内において,大学法人の自律的な運営に委ねられており,現在大学法人において,学費の引下げは検討されていないと承知をしております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,2点お答えいたします。まず,子ども医療費支給制度についてでございます。これまでから,国による補助制度がない中,府との協調の下,着実に拡充を図り,制度開始以降,8回の拡充を経て,平成19年に月額8,000円であった3歳以上の通院医療費の自己負担額を,昨年9月診療分からは月額1,500円まで引き下げており,令和2年度には約22億円もの予算を計上しております。今後の制度拡充については,今回の実施状況等を検証したうえ,平成30年5月の市会決議を踏まえ,真に持続可能な制度とする観点から検討すべきと考えております。直ちに中学校卒業まで無料にすることは,事業費が現行のほぼ2倍となり,巨額の財源が必要であるため,極めて困難です。引き続き,未来の京都の子供たちのため,子育て世帯に喜ばれ,効果的な制度となるよう,府市協調して更なる拡充に取り組んでまいります。子ども医療費の負担軽減については,本来,国の責務において全国一律に実施されるべきでありますから,恒久的な補助制度の創設を,他都市とも連携し,引き続き国に強く要望してまいります。 次に,保育士の処遇改善についてでございます。本市ならではの幼児教育,保育を一層推進するため,保育士の処遇改善については,保育の質を確保する最重要施策の一つとして取組を充実させてまいりました。本市の保育士平均年収は,全国平均350万円の1.34倍の468万円,保育士配置は,平均的な90人定員の保育園等では,国基準12人に対し,本市は1.33倍の16人と手厚く,これらにより全国20の指定都市の中で最も保育士の定着率が高くなっております。保育士が働き続けられる保育環境の実現という明確な実績を積み重ね,全国トップクラスの保育水準を確保しております。令和2年度は,本市独自で50億円を超える予算を計上し国基準を上回る職員配置と給与の充実を行いつつ,障害児や外国籍の子供の積極的な受入れや保護への支援など多様なニーズに応える保育の提供や各園独自の取組を一層促進することとしております。加えて,民間保育園等を対象とする約60億円に上る国の処遇改善等加算もしっかりと活用し,それぞれの職員が,年数によってだけではなく,培ってきた専門性や担う役割に応じて評価され,展望を持って働き続けられる環境整備に,引き続き取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 歳入増加策についてでございます。地方交付税は地方固有の財源であり,大都市に限定した一方的な削減は決して行うべきではなく,この間の削減に対しましては,必要額をしっかりと確保するよう,これまでから市会の先生方とも連携し国に対して要望を行っており,今後も引き続き,強く求めてまいります。また,社会保障につきましては,必要な方に必要な支援を行っていくことは当然であると同時に,持続可能な制度として永続的に運営していくことも非常に重要であります。国においても,このような観点の下,支え合いの考え方を基本に据え社会保障改革を進めていると認識しております。将来にわたって市民の皆様の暮らしを守っていく基盤となる財政の持続可能性を確保するためには,京都の幅広い産業を活性化し,市民や中小企業・地域企業の皆様の豊かさを,将来の担税力の強化につなげる必要があります。中小企業への支援につきましては,景気の先行きリスク等に備えた融資を府市協調により行うほか,事業承継を円滑に進めるための新たな融資も行うなど,中小企業の成長と下支えにしっかりと取り組んでまいります。同時に,幼児教育・保育の無償化や新生児聴覚検査費用の助成等のほか,雇用環境が厳しい時期に就職活動をされた,いわゆる就職氷河期世代に当たる方を対象とした本市職員への採用や地域企業への雇用を促進する拠点をわかもの就職センター内に設置するなど,子育て世帯,若者等への支援を充実してまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 中学校給食についてお答えいたします。本市では,学識経験やPTA,学校関係等が議論を尽くし,給食か家庭からの弁当持参かを,全ての生徒・保護が自由に選べる完全自由選択制を平成12年度から実施し,制度として定着しております。献立につきましては,教育委員会の栄養士が作成し,徹底した衛生管理の下,旬の食材や地産地消として京野菜等も取り入れるなど,栄養面,安全面のみならず,多彩で特色ある給食に取り組んでおり,温かいおかずの充実など常に改善を図るとともに,スマートフォン等を利用して1週間単位での申込みやクレジット決済ができる給食予約システムを来年度から本格導入するなど利便性の向上にも取り組んできております。今後とも,生徒,保護,学校を対象とした中学校給食の充実と食育の推進を目的としたアンケート調査の結果などを基に,生徒のし好や栄養摂取状況を踏まえた献立の多様化など,現行の中学校給食の更なる充実に取り組んでまいります。なお,中学校で全員給食を実施するには,施設整備等に少なくとも170億円程度の予算が必要であり,加えて,更に毎年12億円程度の運営費を本市単費で措置する必要があることなどから,現在の厳しい財政状況におきましては,子供たちの学びと育ちのために他に優先すべき課題も多く,この実施は困難と考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 加藤議員。 〔加藤あい議員登壇〕 ◆(加藤あい議員) 御答弁を頂きました。市長は,子育て支援の立後れは全く的を射ていないと言われましたが,本当に市民の声を市長は聞かれたのでしょうか。子育て・若者応援は,切実な市民の願いであります。子育て・若者応援への市政のシフトチェンジを重ねて求めておきます。 次に,原発ゼロの実現,原子力災害対策について伺います。福島第一原発の事故から9年を迎えようとしている中,いまだに事故の原因の究明もできず,多くの被災の方が避難生活を余儀なくされています。一度事故が起これば他にない異質の危険を持つのが原子力災害です。一刻も早く再生可能エネルギーへの転換を進め原発ゼロを実現することが求められています。 先般,党市会議員団は委託調査を行い,都市部における原子力災害の危険性と対策における課題を明らかにしました。以下,2点求めます。本市は,関西電力大飯原発及び高浜原発から28キロから75キロの距離に位置しています。現在,合計3基が稼働しており災害時などの脅威は大きなものがありますが,調査で明らかになったのは,本市だけではなく,幾つもの大都市が同じ課題を抱えていることです。原発から40キロ圏域には,政令指定都市7都市,県庁所在都市9都市が含まれ,50キロ圏内には約1,100万人もの方が存在しています。大都市には人口規模や大量の一時滞在という災害時対応の特別の困難があります。そして,主要な行政機関や経済活動の中枢機能が集中する地域が多くあります。全国知事会が,福島第一原発事故で30キロ以遠,より遠くに被害が及んだことも踏まえた対策の検討や,立地状況や人口規模等を考慮したUPZ30キロ圏内外にかかわらない財政措置を要望しています。市長も要望すべきではありませんか。安全の確保がない中での原発再稼働は認めず,立地県並みの同意権を含む協定を電力事業に求めるべきです。 第二は,住民の命と安全を守るうえで,本市が策定している現行の地域防災計画原子力災害対策編を見直し,30キロ圏外も原子力災害対策の対象とすることです。 滋賀県大津市は,大飯原発から47キロまでを減災対策を重点的に実施する地域とし,避難計画を立て安定ヨウ素剤も備蓄をしています。兵庫県篠山市や長野県松本市も独自の取組を行っています。原子力規制委員会が定めている原子力災害対策指針でも,防護措置は,30キロ圏における対応と同様に,一定の基準で地域を特定し避難や一時移転を実施しなければならないと定めています。安定ヨウ素剤の予防的服用についても定めがあります。本市においても,30キロ圏外において原子力災害対策計画を持つことを求めます。そして,安定ヨウ素剤については,全国の安定ヨウ素剤集積所からの移送や,関西電力からの貸与に依存せず,配布対象範囲の拡大と併せて必要数を確保すること,まずは2015年まで備蓄していた50キロ圏内対象の安定ヨウ素剤の配備を行うべきです。いかがですか。 最後に,誰もが大切にされる京都市に,ジェンダー平等社会実現施策と性的マイノリティの方たちへの支援について伺います。3月8日は,国際女性デーです。多くの女性の先輩たちが,パンと平和と参政権をと男女平等を求め,たゆまず行動されてきました。そして国連における女性差別撤廃条約採択から41年,世界の女性の地位とジェンダー平等,すなわち社会的・文化的に形成された性別における平等は大きな前進を遂げています。しかし,日本のこの分野の取組は余りに遅れていると言わなければなりません。 昨年12月,世界経済社会フォーラムが発表した男女平等ランキングで日本は153箇国中121位で過去最低を更新しました。女性活躍どころの話ではありません。問われているのは政治の役割です。いまだに夫婦同姓を法律で強制している,世界中でたった一つの国となってしまったのが日本であります。世界銀行が189箇国地域対象にした2018年調査によると,セクハラに対する刑事罰,民事救済の規定について,両方ないのはOECD加盟国120箇国中,チリ,ハンガリーと日本の3箇国だけであります。男女の大きな賃金格差の是正と併せて,選択的夫婦別姓の実現,性暴力をなくすための施策と法改正など,ジェンダー平等社会を実現するために政府に要望することを求めます。いかがですか。 次に,いわゆる性的マイノリティ―の方たちの尊厳を守る問題について伺います。昨年,同性婚を認めることを求める訴訟が全国4都市で始まりました。日本では,現在,同性婚は認められていませんが,同性カップルを自治体が証明したり,宣誓を受け付けたりするパートナーシップ制度が全国の自治体に大きく広がっています。同性パートナーシップ条例,制度を持つ自治体は全国20自治体に広がりました。パネルを御覧ください。 (パネルを示す)政令市は,既に8都市が制度を導入,合計400組を超えるカップルが利用しています。しんぶん赤旗の調べでは,新潟,浜松,相模原,さいたまが来年度までの実施を予定,検討していることが分かりました。つまり12政令市,政令市の半数を超えてパートナーシップ制度の運用が始められようとしていることになります。性や性的指向,性自認による差別や分断のない社会,誰もが尊厳を持って自分らしく生きることができる社会を作ることが強く求められています。国に同性婚を認める民法改正を求めるとともに,本市においてもパートナーシップ制度の創設を求めます。 以上,市長,理事に積極的な答弁を求め,私の第一質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 性的マイノリティに係る取組についてでございます。本市では,性の多様性を認め合い,全ての人が自分らしく自由に生きられる共生社会の実現を目指して,これまでから,市民の皆様や企業向けの啓発講座の開催,教員等への研修などに取り組むとともに,各種申請様式等の性別記載欄の見直しをはじめとして,性的少数に寄り添う取組を行ってまいりました。今年度は,本市の人権施策の基本となる人権文化推進計画が10年間の計画の中間年を迎えたことから,人権文化推進懇話会からの御意見も踏まえ,社会状況等の変化に対応するため見直しを進めております。性的少数の人権につきましては,昨年の9月市会で,公明党の湯浅議員に御答弁申し上げましたとおり,この人権文化懇話会の下,専門意見聴取会を設置して議論を深めていただいており,計画の重点課題の一つに位置付けて,性の多様性の理解促進と当事者の方の困難の解消を目指した取組を進めてまいります。パートナーシップ制度につきましても,懇話会及び専門意見聴取会からの御意見を踏まえて,引き続き検討を進めてまいります。また,同性婚の法制化につきましては,家族の在り方の根幹に関わる問題でもあり,広く国民の意見を踏まえ,国において慎重に検討されるべきものと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 森元危機管理監。 〔森元危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(森元正純) 原子力防災についてでございます。本市では,平成24年3月の市会決議を重く受け止め,京都市エネルギー施策推進のための戦略を策定し,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現を目指すことを明確に掲げております。やむを得ず原発を再稼働する場合には,その必要性を明らかにし,新規制基準を厳格に適用して万全の安全対策を講じるとともに,住民に分かりやすく説明し,理解を得るよう国や事業に求めてきたところです。あわせて,これまでから,国に対しては,関係周辺自治体への財政的支援の拡充などを継続して求め,関西電力とは,京都府や関係市町と連携して,立地自治体に準じた内容の協定を締結し,市民の安全確保に努めております。また,本市では,市全域を対象に,原子力災害対策の基本となるものとして地域防災計画原子力災害対策編を策定しております。その中で,重点的に対策を実施する区域については,国が最新の科学的知見により策定した原子力災害対策指針に基づき,おおむね30キロ圏の範囲としているものであり,この区域において,安定ヨウ素剤の配備を含む事前の準備を行っております。今後とも,市民の安全を第一に,原子力災害への対策に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 別府文化市民局長。 〔別府文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(別府正広) 男女共同参画についてでございます。誰もが性別にかかわらず,その個性と能力を十分に発揮して生き生きと暮らせる男女共同参画社会の実現は,社会全体の持続可能な発展のためにも重要であります。国においてはこの間,就業分野における男女間の格差是正に向けて,女性活躍推進法に基づく企業の女性登用の取組を促進するとともに,性暴力のない社会を目指し,セクシュアル・ハラスメントやDV,ストーカー等の性暴力に対応する関連法の強化や性犯罪の厳罰化を図る刑法改正などの法整備が進められてきております。本市においても,これまでから,オール京都体制の輝く女性応援京都会議において,とりわけ中小企業,地域企業における女性活躍の推進を支援するとともに,男女共同参画センターを中心とした各種啓発講座の開催,DVをはじめとした性暴力被害の相談や自立支援など,男女共同参画社会の実現に向け総合的に取り組んでいるところです。いわゆる選択的夫婦別姓については,婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題として,国民の間に様々な意見があることを踏まえ,国において丁寧な検討が進められるべきものと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 加藤議員。 〔加藤あい議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤あい議員) 御答弁頂きました。国連で採択された持続可能な開発目標SDGsは,2030年までに達成すべき17の目標の5番目にジェンダー平等の達成と全ての女性と少女のエンパワーメントを掲げました。そして全ての目標にジェンダーの視点を据えることが強調され,ジェンダー平等はあらゆる問題を前向きに解決するうえで欠かせない課題と位置付けられました。誰一人取り残さないという言葉に沿った施策の具体化と併せてジェンダー平等の実現を京都市において進めていかれるよう求めて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 暫時休憩いたします。 〔午後2時56分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。赤阪仁議員に発言を許します。赤阪議員。 〔赤阪仁議員登壇(拍手)〕 ◆(赤阪仁議員) 伏見区選出市会議員,赤阪仁です。日本共産党市会議員団を代表して,門川市長に質問します。 市長は,先日の市長選挙において,147万市民,誰一人取り残さないという発言をされましたが,投開票日の翌日の新聞社説に,多選の弊害を懸念する声もある,門川氏は謙虚に市民の暮らしの足元を見詰めてほしいと書かれていました。市長は,市民の厳しい批判にも謙虚に応えるとの表明をされていますから,誠実に市民の声に応えていただきますよう求めておきます。 まず初めに,京都市のまちづくりについて質問します。京都市は,市民の長年の運動の中で作られた新景観政策を進化させるとして,高さ規制などを緩和してきています。市長は,新景観政策の規制緩和について,若者世代の京都市からの流出を防ぐために,規制緩和で,建物のボリュームを増やし,オフィスの不足を補い,企業を誘致することで若者世代を定着させると言っています。認識が全く間違っていると言わざるを得ません。若者が流出している第一の理由は,国と京都市が一体となって,ホテルなどの宿泊施設や企業,商業施設呼込み型のまちづくりを進め土地の価格が急騰したことで土地投機を招き,住み続けることが困難になっていることにあります。若者流出の第二の理由は,子育て日本一などと言いながら,子供の医療費無料化は京都府内で最低,政令市の60パーセントで実施されている全員制の中学校給食の実現の願いは,ほかに優先事項があるとして拒否,大学のまち京都というのに,目の前の大学生,専門学校生を京都市独自の給付制奨学金の制度で救わないし,奨学金の返済で困る若者の利子補給さえしない,待機児童ゼロと言いながら隠れ待機児童1,259人には目をつぶるなど,子育てに冷たい市政であるからです。若者流出の第三の理由は,京都は,中小企業のまちであるにもかかわらず,市長が京都経済の主役である大多数の中小企業の支援をおろそかにし,中小企業を経営困難に陥れていることにあります。 高さ規制を緩和することが問題の解決になるのではありません。不況にあえぎながらも地域で地道に頑張る中小企業に仕事とお金を回す,地域経済循環型にした経済対策を行うことこそ,若者に働く場所を提供することにつながると考えますがいかがですか。 そもそも,高さ規制の緩和は,地元中小企業や住民の切実な願いではありません。では,どこが求めてきたのかと言えば,関西財界や京都財界が以前から求めてきたものであり,2019年3月に京都経済同友会が「未来の京都の景観に向けて」という提言を改めて出し,その中で,民間主導のエリアマネジメント,つまり民間主導のまちづくりを進めるために,更なる高さ規制の緩和が課題だと述べています。若者の流出対策かのような理屈を付けながら,実は,国や財界の意向に忠実に応え,京都の景観や住環境を壊すことにつながる,新景観政策の規制緩和はやめるべきと考えますがいかがですか。 また,新景観政策と共に規制緩和がされ地元住民からの批判が出ているのが学校跡地問題です。市長は,口を開けば,国に先駆けて番組小学校を64箇所も地元住民のかまど金,寄付で作ったことを自慢してきましたが,門川市長誕生から12年間というもの,先人が作った番組小学校の学校統廃合を繰り返しています。以前の方針は,学校跡地の活用は,原則,市の事業とし,営利目的の活用はしないとしてきましたが,それを民間活力を利用すると変更。その結果,学校跡地をホテル開発業者に60年という長きにわたる定期借地契約で半永久的に貸し出すことを決め,元清水小学校,元立誠小学校,元白川小学校,元植柳小学校までホテル建設に提供しようとしています。元植柳小学校では,ほぼ敷地いっぱいにホテルを建設することで,これまで行われていた少年野球や体育振興会のテニス,運動会などができなくなりますし,自治活動も制限されますから,地域コミュニティを破壊しているのは明らかです。 これまでも地元としてホテル計画を決定したことはありません。2月22日に開催された元植柳小学校跡地活用に関する説明会においても,強い反対論が相次いで出された一方で,賛成意見はほぼ出されなかったとのことです。正にもうホテルは要らないというのが地元の偽らざる声です。言うまでもなく学校跡地は,地域のコミュニティ形成の場であり,文化スポーツの拠点,何よりも防災拠点であります。京都市資産有効活用基本方針及び学校跡地の長期・全面的な活用に関する提案の募集要項は,これは撤回し,住民の声をいかした跡地活用をすべきで,民間活力の利用を目的に提供するのは撤回すべきです。いかがですか。 次に,子供の教育条件整備と教員の働き方改革について質問します。門川市長の就任以前は,京都市は,子供の教育の充実を目指し,国の制度に先駆けて2002年に小学校2年生の35人学級編成,2007年に中学校3年生の30人学級編成を,京都市独自の予算措置で先行実施してきました。子供の教育条件整備計画は,教育基本法にもうたわれているように,子供の学力保障の主たる要件であり,国と地方自治体の責務です。少人数学級の教育は子供の学力を高めるという国立教育研究所の報告にもあるように,国もついに小学校の一,二年生の35人学級まで改善し,保護に歓迎されてきたのではありませんか。 ところが門川市長は12年間の任期中,少人数学級拡充には一度も手を付けていません。2019年度から国によって小学校2年生の35人学級編成の予算措置がされることになり,京都市独自の予算措置は,中学校3年生だけになりました。京都市内の小中学校の学級編成基準の改善見通しを明確にすべきときです。京都方式の30人学級制度もあり,35人を超えるクラスには教員加配が付くようになっています。35人学級の学級編成を,順次,小,中に拡大し,30人以上の学級を早期になくし,教育条件の改善,整備をすべきときではありませんか。いかがですか。 次に,神川中学校の超マンモス校の解消問題について質問します。門川市長は,この間,少人数であるから教育効果があるのに,学校リストラを進める一方で,全国で一,二を争う神川中学校の超マンモス校の解消する新たな中学校の増設には目もくれません。10数年前から地元の皆さんは,子供の教育条件の学校間格差の解消を求めてきました。プレハブ校舎の解消,運動場の拡張,新校舎の増設はされましたが,3学年36学級で1,084人以上もの生徒が学ぶマンモス校の弊害の根本解決はされていません。 京都市は,現状では,生徒数の推移についてはピークを過ぎ,今後は減少していくものと見込んでおりますとしています。現在学んでいる子供たちの日々の成長がおろそかにされ,放置されていることは許せません。市教委の将来の生徒の減少を見込みでも,現在の1,000人程度に緩やかに減少するだけです。新しい中学校建設はもったいないとの態度は,教育委員会が子供の将来を考えない,金の損得勘定で子供を犠牲にしているもので許されるものではありません。京都市の学校教育の喫緊の課題は,神川中学校のマンモス校の解消をすることではありませんか。引き続き生徒数の推移を注視してまいりますとしている門川市長の不都合な真実を見ない態度を改め,直ちに解決を求めます。 次に,国の教職員の働き方改革としての,1年単位の変形労働時間制の導入について質問します。まず現場の先生から,次のような声が寄せられています。そのまま続ければ死にそうな仕事を,死なないようにするのが,今の働き方改革。そんなものに生きがいは感じないし,子供たちのためにや,質の良い教育は死んでいくとの現場教職員の悲痛な声は,教職員の健康実態の深刻さを示しています。教育の質を確保するためにも,文科省の言う1年単位の変形労働時間制導入の中止を求めます。全国的な調査でも,教育現場の先頭に立っている先生方の中に,精神疾患による休職が5,000人台で推移しているし,1990年代後半以降急増しているのです。その背景には休職できない非正規教員の増加や,退職に追い込まれてしまった教員の存在もあります。調査では,新規の条件付き採用,試用期間教員のうち,病気理由による依願退職の中で94パーセントが精神疾患となっています。文科省の平成30年度の全国調査でも,精神疾患による病気休職及び1箇月以上の病気休暇取得の教員に対する割合状況一覧を見ると,京都市は全国ワースト1です。京都市の市立学校教員時間外労働の調査でも,過労死ラインとされる月80時間を超える延べ人数は,今年4月から6月までに2,245人にも上っています。先生の多くは過労死予備軍です。 文科省の変形労働時間制の導入の全国調査でも,各地の教育委員会も,現在,すぐに導入する予定なしとの回答とか,変形制で長時間過密労働の解決はなしと判断されているのが実態です。1年単位の変形労働時間制導入は,恒常的な時間外労働がないことが大前提です。導入の条件は,勤務実態の客観的方法による把握,残業上限を月45時間,年間360時間とする指針の順守だとすれば,そもそも京都市には,教員の変形労働時間制の導入の前提がないと言わざるを得ません。変形労働時間制の導入は,教員の恒常的な長時間労働による健康被害を招き,子供の教育の質が低下するのは目に見えています。教員への来年度からの1年単位の変形労働制の導入はすべきではないと考えますがいかがですか。 市営住宅の安全安心のまちづくりについて質問します。来年度は住宅マスタープランの改定と市営住宅のストック活用計画の見直しの年です。健康で文化的な人間らしい生活の最低保障となる住居の保障が目的ですが,市営住宅でお住まいの皆さんの多数の要望は,お風呂の改修です。高齢化のため,浴槽が高くてお風呂に入りたくても足が上がらず入れないし,出られない。せめてシャワーがあればと困っています。また,高齢の死亡事故の多くは入浴中です。救急車が駆け付けても,ドアが内開きで時間が掛かり,救出時間が掛る。1分1秒を争う住民の命を守るためにも,お風呂の扉は折れ戸に取り換えてとの要望は切実です。京都市の新しく建てた市営住宅では,既に扉も浴槽もシャワーも改善され喜ばれています。 この間,京都市は,これらの問題解決を個人責任にしています。お風呂の浴槽の交換,シャワーの設置は介護保険対象外なのに,使えない制度を利用せよとの無責任答弁です。最近,京都市は,お風呂の釜の取換えを,10年経過し故障した場合に公的負担をすると住民要望を実現しました。続いてシャワーの設置,高さの低い浴槽への取換え,浴室の扉の改善を行うことを求めますがいかがですか。 市営住宅への入居を希望しても競争率が高く入居できない方が多いのが現状です。ところが,市営住宅のどこの団地も空き部屋が平均25パーセント以上も発生しており,入りたい人が多いのに,なぜ空き部屋が放置されているのかとの住民の怒りの声もあります。改修が遅れる原因を聞くと,改修に1件平均200万円掛かり,予算がないと言うんです。京都市は,住まいは人権という認識が乏しいのではありませんか。毎年の空き部屋改修を早急に増やし,住居の最後のセーフティネットとして,必要な人に保証することが求められています。 市営住宅は,ごく限られた低所得しか入居できないため,居住の高齢化などにより自治会活動など住民の共同活動も困難を抱えています。来年度のストック活用計画の見直しで,入居基準額の引上げ,単身世帯用住宅の確保,空き部屋改修の具体的計画の策定で,必要な人に住居の保証を増やすよう求めますがいかがでしょうか。 歩くまち・京都の総合戦略の基本目標,公共交通優先のまちづくりについて質問します。まず,第一に,まちづくりの基本戦略としている歩くまち・京都,公共交通優先のまちづくりは,市民の足を守る重要な施策です。この間,市長が公約にも記載されたように,京都市周辺部での交通不便地域の改善が求められています。当局は,交通不便地域は指定していない,市民から交通不便の改善を求められれば,対応,支援をするとの受け身の姿勢です。市長の言うように,明らかに市内中心部と周辺部の交通格差があり,その対応が求められているのです。その交通問題を解決するため,山科区では,公共交通利用促進協議会を設置し,関係する地元住民,京阪バス株式会社,京都市都市計画局歩くまち京都推進室,京都市交通局自動車部,京都市交通局高速鉄道部,区役所等の共同で知恵と力を出す組織を作り,鏡山循環バス,くるり山科,小金塚地域循環バスの実証運行が行われ住民に喜ばれています。この間,国土交通省から山科区の鏡山学区の地域交通を守る住民の取組が表彰されました。伏見区内でも藤城学区で,藤城学区自治連合会が運行主体となる新たな公共交通の導入を検討する藤城学区まちづくりビジョンを作成,生活交通支援の取組が行われてきました。しかし自治連の買物バスの運行による取組には,京都市から一切の支援の手が差し述べられていません。地域の福祉施設の財政的支援と,連合自治会長の命懸けの運転による奉仕活動に頼っています。 また,東山区では,今熊野生活支援あしの会,150人近くの地元個人会員の支えにより,住民の利便性を重視し,ボランティアによるミニバスを週1回運行して10年たつとお聞きしました。京都急行バス株式会社の強力なバックアップと,太陽生命,キリン財団,京都新聞社会福祉事業団,赤い羽根共同募金の助成を受けていますが,京都市の公的支援が一切ないので,今後の運行が危ぶまれているのが現状です。 来年度予算には,民間バス事業の運転手募集のための事業の助成がありますが,この間進めてきた,民間バスのバス待ち環境支援予算が消えています。市内周辺部における生活交通の維持・確保に係る民間バス事業への支援を強化し,生活支援の公共交通優先予算の復活とダイヤ改善などのバス試行運転実施の支援を交通不便地域でこそ求めますがいかがですか。 地域交通の整備は,自治体施策のまちづくりの土台です。市民が,どこに住んでも,安心していつまでも住み続けられる京都市を作る,公共交通最優先の交通政策の実行を図ることが大切です。2013年12月の交通基本法に基づく京都市の交通基本条例(仮称)を制定し,市民の交通権を保証するため,交通困難,不便地域への具体策を図る地域交通問題協議会の設置が必要だと思います。現在,山科区や伏見区醍醐や向島地域で取り組まれている地域交通の改善目指した地元住民代表,交通事業,区役所の三の交通問題の協議会の取組支援強化を求めます。 次に,敬老乗車証の経済効果と健康効果について質問します。パネルを見てください。 (パネルを示す)敬老乗車証の制度は,そもそも京都市が,高齢の社会参加を広げる福祉施策として実施し,市民から89パーセントも良い制度だと評価されています。そして敬老乗車証の現状維持を求める署名が,現在4万4,839人もの声が京都市に届いています。名古屋市の調査に倣って経済効果を調査したところ,京都市では,約507億円もの経済効果になるという結果が出ました。門川市長は,選挙のチラシで,敬老乗車証の現行制度を守るのは無責任と攻撃しました。しかし,これだけの経済効果,健康効果がある制度に,利用の更なる応益負担を押し付けることこそ,現行制度を壊すことこそ無責任ではありませんか。 伏見区では,近鉄電車と地下鉄相互乗入れ区間があり,敬老乗車証の利用可能を求める声があります。条例には民間鉄道への敬老乗車証の適用は除外となっていますが,相互乗入れの場合は地下鉄路線の近鉄奈良駅までの実質延伸であるから,伏見区域での敬老乗車証,1日乗車券等の施策の適用ができるように運用の改善を求めます。いかがですか。 また,敬老乗車証制度は,高齢70歳以上の方の健康でいつまでも社会参加ができるように進める福祉施策です。福祉施策は,原則該当する全ての市民に適用するのは当然で,利用アンケート結果でも,外出機会が47.9パーセント,二人に一人の方が増えている,厚労省健康日本21が掲げる歩数増の目標と同歩数の1,300歩も増えているではありませんか。名古屋市は,65歳以上の方に福祉パスが交付されています。また,今でも,名鉄の名古屋市の区間利用もされています。2022年にはJR,名鉄,近鉄の利用拡大を進めると聞いています。 京都市は,敬老乗車証制度の見直しを検討しているとの表明がありますが,その大前提として,福祉施策の経済効果を京都市としても調査,実施して,京都市経済の活力効果を推し量るべきです。健康寿命を延ばす京都市の福祉施策としても現行の敬老乗車証制度を維持すべきと考えますがいかがですか。 次に,水道の民営化について質問します。2013年4月,麻生太郎副総理は,日本の水道は全て民営化するとアメリカでの講演で発言し,参加を驚きとどよめきの渦に巻いたと言います。そして,2018年12月,水道法が改正されました。改正水道法によって,自治体ごとに運営している水道事業を広域化し,水道の運営権を営利企業に売却しやすい内容に変えられました。 世界では,2000年から2015年までの15年間で民営化された企業を再び公営化した企業が35箇国,180件になったというデータがあります。その原因の多くは,第一に,料金が値上げされた,第二に,特定の権力との癒着があった,第三に,水質の安全性が損なわれたことによるもので,住民の怒りが沸騰し再公営化されています。 京都府では,2018年11月に京都水道グランドデザインが策定され,2019年からの10年間で京都府の北部,中部,南部の3圏域に分け,水道の広域化,民営化が進められようとしています。2019年度中に改正水道法に基づく,京都府水道事業広域的連携等推進協議会,つまり知事と市長村長により構成される組織を設置すること,下部組織として水道担当部長等で構成する幹事会を設置し,原則非公開とすることとしてきました。協議会において協議が整った事項については,協議会の構成員は,その協議の結果を尊重しなければならないとあります。この間,門川市長は,水道事業の民営化はしないと言ってきましたが,首長レベルで決まったことは,各自治体の住民や議会が反対しても後戻りできなくなることが懸念されます。 京都市上下水道局は,民間活力の導入及び業務執行体制の見直し方針を打ち出しています。その中で,水道開閉栓業務をはじめ本庁舎お客様窓口サービスコーナーの運営業務を既に民間委託し,さらに,松ケ崎浄水場の運転管理業務,水環境保全センター運転管理業務の委託拡大,下水道管理センター管路維持管理業務,下水汚泥固形燃料化炉の運転管理業務,水道水質検査業務の一部委託を進めるとともに,職員100人を減らそうとしています。京都市は,これまでの答弁で,事業の根幹は公営で守るとしていますが,包括委託という形で複数の事業を民間委託していることや,水質検査の業務を一部委託するなど根幹に関わる業務を委託し,その幅を広げています。浜松市の下水道処理場が全国に先駆けて民間に運営権が委託されましたが,元々は入札で,地元の事業が請け負っていた公共工事が,全て運営会社の下請に回され,地元業者に回ってこないという事態になっています。地元,中小企業の多い水道事業にとって存立問題,地域経済の活性化に反する重大問題です。 京都市上下水道局が進めている連続的な民間委託の道の延長線上には民営化が透けて見えてきます。そもそも水道の供給は国と自治体の責任で行うべき憲法上の福祉施策であり,水道法も含め,命の水を安全に安く供給する義務があるのです。京都市の目指す,国連のSDGs目標6の人権としての水と衛生を規範とした事業の根幹を守るためにも,公営企業として,京都市の責任を果たすことを求めます。これ以上の民間委託化はやめるべきです。いかがですか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 赤阪仁議員の御質問にお答えいたします。 新景観政策についてでございます。新景観政策が策定されて10年余り,これに基づく取組を重ね,京都のまちは美しくなってきたと内外から高い評価を頂いております。一方で,現在,持続可能性は世界の都市の共通の課題となっています。とりわけ京都においては,豊かな自然と悠久の歴史の中で人々の暮らしやなりわいと共に育まれ受け継がれてきた景観と都市の活力を両立させることが都市の持続性を支える大きな課題であります。このため,平成29年度以降,都市計画審議会に持続可能な都市検討部会を設置し,同時に,新景観施策の10年間を徹底した市民参加の下に振り返るとともに,平成30年度には新景観政策の更なる進化に向けた検討委員会を設け,二つの委員会の議論を広く公開し,連動させながら市民的議論を深め,パブリックコメントも経て,市民の皆さんの御意見をしっかりとお聴きし,施策展開の方向性を取りまとめてまいりました。市民の皆様の切なる願いは,あらゆる世代の方々が京都の自然や文化,景観を楽しみながら,同時に,生き生きと暮らし,働き,活動することであり,京都が少子化を克服し,人口減少に歯止めを掛けて,新たな価値を創造する都市であり続けることでございます。そうした京都の未来への希望を実現するため,規制の強化,緩和という一面的な捉え方を超えまして,景観の概念を見る景観から,さらに,感じる景観,生きた景観へと拡張させ,京都を文化と産業の息づく持続可能な創造都市へと発展させていくことを目指し,景観政策と都市計画を組み合わせ,地域ごとのビジョンに応じた活力と魅力ある京都の都市景観をデザインしてまいります。 世界文化自由都市宣言にうたわれた,永久に新しい文化都市にふさわしい京都の景観を創り出していけるよう,更なる政策の進化にスピード感を持って取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) まず,学校跡地活用についてでございます。番組小学校の歴史を持つ学校跡地は,長年,自治活動や防災の拠点として使われてきた地域の財産であるとともに,未来の京都の発展にとって貴重な財産であります。他都市におきましては,財源確保のため学校跡地を売却する例もある中,本市では,土地を貸し付け,将来にわたり保有し続けることとしており,その活用に当たっては,各学区の代表の皆様と活用方針を確認したうえで,自治活動の継続や避難所機能の確保,地域の活性化等の地域要望の実現を条件に公募を行っています。そのうえで,学識経験に加え地域の代表も参画する選定委員会において事業を選定いただいております。さらに,事業選定後も,地域,事業,京都市の三により,地域にとってより良い活用計画となるよう協議を重ね,地域の声をしっかりと受け止め,その声を徹底的に活用計画に反映する制度の下で,跡地活用を進めております。したがいまして,元植柳を含め住民の声をいかしていないかのような御指摘は,制度の趣旨や具体的な取組,事実関係を全く御理解いただけていないと言わざるを得ません。また,民間活力の利用は,それ自体が目的ではなく,行政目的や地域貢献のために民間企業の知恵とノウハウを十分にいかそうとするものであります。今後とも,京都市資産有効活用基本方針等に基づきまして,魅力あるまちづくりに貢献できるよう,地域の皆様と共に,学校跡地の活用にしっかりと取り組んでまいります。 次に,市営住宅についてでございます。市営住宅の供給については,過去の応募倍率や市内の地域間のバランスなども考慮しながら計画的に空き家を整備し,必要な戸数を公募しておりますが,公募しても応募が少ない等の状況がある中で,京都市住宅審議会からも,公営住宅の管理戸数を現状程度にとどめるとしてきたこれまでの方針から,社会情勢の変化を見据えた適正な管理戸数及び供給戸数を確保する方向に方針転換していくことが求められるとの答申を頂いております。また,公募に当たりましては,子育て世帯や新婚世帯につきまして入居収入基準を引き上げるとともに,単身向け住宅の公募においては,単身向けに建設した住戸に加え比較的住戸面積の狭い一般世帯向け住戸を併せて供給するなど募集住戸の確保に努めております。次期ストック総合活用計画の策定に当たっては,最低居住水準の住宅を民間住宅市場で確保できない方々に対して必要な住宅を供給するという公営住宅本来の役割を果たしつつ,答申を踏まえた管理戸数の適正化等についても検討してまいります。なお,市営住宅の浴室につきましては,そもそも浴室のない住戸が多数ある中,まずは,これらの住戸への浴室設置に優先的に取り組んでいるところです。 続きまして,民間バス事業への支援についてでございます。本市では,人と公共交通優先の歩くまち・京都の理念の下,市バスや地下鉄,民間バス,鉄道などの交通事業が官民一体となって公共交通網を形成されています。また,地域ごとの実情に応じた公共交通網の充実に向けて,地域住民の皆様と一体となったモビリティ・マネジメントによるバス路線の拡充に向けた取組等も進めています。さらに,平成29年度には,バス路線充実に対する事業への支援及びバス停の上屋やベンチ,車内案内モニター等バス利用環境の整備に係る支援制度を創設いたしました。その結果,市内4箇所のバス路線では,増便や新設の実証運行が行われており,令和2年度予算につきましても,バス路線充実に対する支援については継続していく案でお諮りしているところでございます。なお,バス待ち環境の整備について,この3年間でバス事業が計画しておられました400箇所を超える利用環境の整備は,本年度内に完了する見込みとなっております。このことに加えて,バス事業,関係省庁と協議を重ねる中で,バス路線の維持に向けては運転士不足への対応が最大の課題であるという認識の下,来年度から新たにバス運転士の担い手確保を目的とした就職説明会に対する支援制度を創設する等の予算案をお諮りしているところでございます。今後も,将来にわたって市民の皆様の暮らしを支える公共交通網の維持・確保に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 敬老乗車証についてでございます。本制度は,人生100年時代を迎える中での重要な施策であり,将来にわたって守っていく必要があります。しかし,そのためには持続可能なものにしていかなければなりません。本制度に必要な市税負担は,長寿化の進展に伴い対象が年々増加しており,昭和48年の制度発足時の約3億円から,来年度の予算案では,その17倍となる51億円まで膨らんでおります。このような状況の下,民営鉄道への適用拡大は,更なる負担が生じることから実施は困難であります。また,経済効果等の調査については,この制度そのものの利用による効果を検証する手法が確立しておらず,客観性が確保できないと考えております。本市といたしましては,平成29年度に実施したアンケート調査結果やこの間の少子高齢化などの社会情勢の変化なども踏まえ,本制度を守っていくという立場から,応益負担や応能負担といったことを問わず,改めて幅広い観点で引き続き検討を重ねてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山添公営企業管理。 〔山添公営企業管理登壇〕 ◎公営企業管理(山添洋司) 上下水道事業の運営についてでございます。水道・下水道は,市民生活に欠かすことのできない重要なライフラインであり,大量の管路・施設を整備・維持するため,これまでから本市の経営責任の下,事業の皆様と共に着実に事業を推進してきたところでございます。近年の厳しい経営環境の中,上下水道を将来にわたり持続可能なものとするためには,今後も公共性や経済性を兼ね備えた公営企業において安定的に運営する必要があると考えております。そのため,経営ビジョン及び中期経営プランでは,市民・事業の皆様とのきずなをこれまで以上に強めることを掲げ,上下水道事業の根幹となる業務については,本市が公営企業として自らの責任の下,直営で実施するとともに,定型的な業務や民間にノウハウや実績が蓄積されている業務で,民間に委託してもサービス水準の維持等に支障がないものは積極的に民間委託を進め,経営の効率化を図ることとしております。今後とも,民間との協働の下,それぞれの役割を果たし,水道・下水道を50年後・100年後の未来へとつなげてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは,3点お答えいたします。まず,少人数学級についてでございます。本市では,国に先駆け,小学校一,二年生で35人学級を,中学校3年生で30人学級を,独自予算で実施するなど,国基準を上回る教職員配置による少人数学級を推進してまいりました。こうした本市独自の施策や国の加配教員の活用により,令和元年度における1学級当たりの児童・生徒数は,小学校が約28人,中学校が約31人であり,政令市最高水準の指導体制を整えるとともに,門川市政の下,厳しい財政状況ではありますが,毎年,校務支援員,部活動指導員の配置拡充を進めるなどにより,教職員の負担軽減と授業に専念できる環境の向上に精力的に取り組んできております。また,少人数教育につきましては,学級を分割して少人数学級とするのか,学級を分割せずに複数教員による指導体制を採るのかなど,児童・生徒の実態に応じて各校が裁量により決定しております。こうした状況の下,35人学級を画一的に拡大することは,各校での創意工夫ある取組を阻害することになることから,引き続き,各校の実態に応じた教職員の配置に努めてまいります。なお,御指摘の30人学級を,小学校から中学校まで全ての学年で実施するには,毎年約73億円もの巨額の予算が必要であり,独自予算での実施は極めて困難であります。本来,義務教育段階の学級編制基準の改善や教職員定数の拡充につきましては国の責任で実施されるべきものであり,今後とも教職員定数の改善につきまして国に要望してまいります。 次に,神川中学校の施設整備についてでございます。大規模校の対策といたしましては,教室数の不足により,教育活動上支障が生じ,かつ,児童・生徒数の増加傾向が継続すると見込まれる場合等に増築を検討することとしております。神川中学校では,平成15年度には校舎,プール一体型施設の整備を行い,平成20年度には運動場を約2倍に拡張いたしました。平成24年度には,普通教室,多目的室等16教室分を有する新校舎を建設するなど,生徒数の増加に応じ,順次,十分余裕を持って必要な教育環境の整備を行ってきたところであります。生徒数につきましては既にピークを過ぎ,令和元年度は,ピーク時の平成26年度に比べますと100名以上減少しており,今後も減少していくものと見込まれていることから,増築等の施設整備の必要はないと考えております。 次に,教職員の働き方改革及び変形労働時間制についてでございます。本市では,全国に先駆け,平成14年度から学校閉鎖日を設定し,長期休業期間中に連続休暇が取得しやすいよう取り組んできております。さらに,平成30年3月にはPTA,校園長会,教育委員会連名で,働き方改革推進宣言を策定し,保護,地域の御理解の下,学校閉鎖日の更なる拡大や,電話対応終了時刻及び閉校時刻の設定等を実施しております。また,校務支援員,部活動指導員の配置拡充等による教職員の負担軽減に努めるとともに,今年度からはより客観的な勤務時間の把握ができるシステムを導入し,効率的な業務遂行による超過勤務の縮減や健康管理医による面接指導の徹底等の取組を進めているところでございます。こうした下,1年単位の変形労働時間制につきましては,月45時間,年間360時間を上限とする国の指針を踏まえ,各自治体で定める勤務時間の上限等の遵守を前提として,長期休業期間等に一定期間まとまった休日を設け,自己研さんやリフレッシュの時間を確保し,教職員の健康の保持増進や教育の質の向上を図ろうとするものでございます。本制度は,令和3年度以降,各自治体の裁量において導入できるものであり,また,全教職員対象の画一的な導入ではなく,育児や介護など教員一人一人の事情を踏まえることとされており,本市への導入に当たりましては,学校現場の意見や他都市の状況等も十分踏まえたうえ検討してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 次に,山田こうじ議員に発言を許します。山田議員。 〔山田こうじ議員登壇(拍手)〕 ◆(山田こうじ議員) 右京区選出の山田こうじです。日本共産党京都市会議員団を代表し質問します。 まず,最初に,右京区にある世界文化遺産仁和寺門前のホテル計画についてお聞きします。 この計画は,2017年5月に創設された京都市上質宿泊施設誘致制度に基づくもので,宿泊施設の立地制限のある所にも特例を前提に建てようというものです。本来なら,延べ床面積3,000平方メートルまでのものしか建てられなかった所に,京都市長が特別に制度を作り,5,800平方メートルのホテルを誘致しようとしているのです。仁和寺門前は,世界文化遺産のバッファゾーンであり,御室,竜安寺,宇多野及び鳴滝,衣笠は,古都保存法の歴史的風土特別保存地区に指定されています。また,風致地区,特別修景地域,歴史遺産型第一種地域に指定され,敷地規模,景観眺望,住環境などに留意するよう厳しい規制が掛っています。京都市景観計画には,「山紫水明と称えられる豊かな自然と1,200年の悠久の歴史に育まれた歴史都市・京都の美しい景観は,京都市民のみならず我が国国民の共有の財産であり,世界の宝である。先人達のたゆまぬ努力で守り,育てられてきた美しい京都の景観を,未来の世代に継承することは,現代に生きる私たち一人ひとりの使命であり責務である」との基本方針が掲げられています。 周辺は,閑静な住宅地域であり,保育所が4箇所,小中学校も近くにあります。通園通学のみならず,仁和寺,双ケ岡,御室八十八ヶ所は,市内各地の園児の散策,遠足コースとして子供が訪れ,高齢の散策憩いの場所でもあります。仁和寺の北には府立聾学校,西の福王子の手前には,うたの・ひこばえ児童館,障害のある子供たちの放課後クラブなど,障害のある子供たちが利用する施設も複数あります。世界遺産のバッファゾーンであり,本来このような地域にはホテルを建設しない方針ではなかったのですか。いかがですか。 住民の皆さんからは,24時間営業のホテルが建つことによる車の流入,騒音,交通渋滞,水脈への影響など住環境への影響や安全対策など危惧する声も上がっています。市長は,徹底した住民合意に基づいているとおっしゃっていますが,本当にそうでしょうか。昨年12月19日に行われた建設業者の住民説明会は,予定地の100メートル範囲の住民限定で開催されています。5,800平方メートルもの事業計画を僅か100メートルの範囲の住民に説明しただけで,徹底した住民合意どころか,影響を受けることを危惧されている大多数の住民は置き去りではありませんか。限られた範囲の説明会でも,合意どころか異論が噴出しています。地域住民は,条例や法律の様々な制約の中で家を建てて暮らしている,この制約があるため静寂で平穏な住環境が守られている。また,仁和寺門前まちづくり協議会のメンバーであると発言された方も,今回の説明会を地域の賛同を得ていると利用しないでほしいとの発言もあったとのことです。このような状況で住民合意が得られているとお考えですか。宿泊施設の立地が制限されている区域においても特例を認める上質宿泊施設誘致・拡充方針は撤回し,仁和寺門前のホテル建設計画は白紙に戻すべきです。いかがですか。 神戸松蔭女子学院大学の中林浩教授は,観光問題において重要な視点は,観光が人間の全面発達と関係していることです。各地域の自然と文化を探求する行為である観光は,レクリエーションの中でもより次元の高い部類に入ると指摘されています。地域における生活や産業が健全に行われている空間が観光資源になってきました。その最先端にある文化が,宗教も大きく関わり文化財となり,それらの集合体として門前町や宿場町は数百年の歴史があります。京都の魅力は三山の山並みと大小の清流,数多くの寺社の文化財にあります。西陣織や友禅染が都心の居住地に多く存在し,職住近接で低層高密度の住宅街を形作り,商店街がありました。伝統産業が衰退し,2階建ての町並みに高層ビルが林立し,商店街が姿を消し,京都の町並みが失われています。京都の宿泊施設を巡る業界の動向は,オリンピックまでに一もうけをと,投機的になっています。うまくいかなければ,ワンルームマンションに転用できるように設計され,民泊も投機対象として建設され売買されています。 市長は,昨年11月20日,宿泊施設の新規参入のお断りを宣言されましたが,ホテルの増加を規制する具体的な方策は何も示されていません。市長就任2008年以来,ホテルは約3倍,簡易宿所は約14倍に激増し,他都市と比べても異常な住環境悪化,地域コミュニティの破壊,地価高騰による子育て世代の流出という事態が作り出されてきました。宿泊施設拡充・誘致方針では,宿泊施設目標4万室となっていますが,2018年度末時点で4万6,000室に上る宿泊施設が過剰だという認識があるのですか。過剰だという認識があるのであれば,今後5万7,000室になるという1万室も増える計画を放置していていいのでしょうか。 既に,国内外の観光都市で実施されている,住宅密集地,路地奥など宿泊施設の立地規制,周辺住民との協議,合意の義務付け,施設内への管理常駐義務付けを条例で位置付けること,また,周辺住民と事業の紛争に京都市がしっかりと関与し,住民の平穏な暮らしを守る立場で事業を厳しく指導するなど,実効性ある取組こそが求められています。少なくとも今日の宿泊施設の急増の大元になっている宿泊施設拡充・誘致方針は直ちに撤回し,宿泊施設規制の具体的な施策をお示しください。 次に,京都経済の活性化策について3点にわたってお聞きします。1点目は消費税増税についてです。消費税増税が京都経済と中小業者,市民の暮らしに深刻な被害を引き起こしています。内閣府が17日発表した2019年10~12月期の国内総生産速報値は,年率換算で6.3パーセント減と,大幅な落込みとなりました。安倍晋三内閣が強行した消費税率10パーセントへの増税が家計と日本経済を直撃。内需を押し下げ5四半期ぶりのマイナス成長でした。東京商工リサーチが1月に発表した企業倒産件数,負債額1,000万円以上は,前年比1.7パーセント増の8,383件でした。前年を上回るのはリーマンショックがあった2008年以来11年ぶりです。京都の百貨店の売上げも落ち込みました。10月度,高島屋18.7パーセント減,大丸23.5パーセント減,伊勢丹7.8パーセント減,藤井大丸6.2パーセント減です。全国的にも8パーセント増税時を上回る減少幅を記録し,今年1月の大手百貨店売上げ額も前年同期比4.2パーセントと大幅落込みとなり,回復していません。 2019年のスーパーマーケットの倒産が7年ぶりに増加しました。全国中小業者団体連絡会が行った昨年末の業界団体訪問調査で,日本商工会議所は,商業動態統計のマイナス7.1パーセントは,8パーセント増税時の倍近いマイナスとなり衝撃だった。日本チェーンストア協会は,消費税増税後,消費マインドは萎縮している。一般社団法人日本スーパーマーケット協会では,10パーセント廃業が広がっている。消費税10パーセント増税が日本経済に大きな打撃となっています。まちの小売店でも増税の影響は本当に深刻です。右京区山ノ内の花屋さんは,11月の売上げが悪かった。年末の売上げは例年に比べて悪くはなかったが,年明けからむちゃくちゃ悪い。キャッシュレスはやっているが利用5パーセント程度。年寄りは使えないので差別だと思う。今は手数料無料だから使っているが手数料が掛かればやめる。安井学区の衣料品店には,50パーセント割引セールの貼り紙が店舗中に貼ってありますが,セールをしても,どんどん冷え込んで,全くお客が来ないと嘆いておられました。クリーニング屋さんも12月から,ぐんと落ち込んでいる。3割減や。これは相当痛いと嘆いておられました。 市長は,消費税増税で零細事業や市民が苦しんでいる現状をどう認識されているのかお答えください。 2018年の2月市会において,私が増税中止を国に求めるようただしましたが,答弁で,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため広く負担を分かち合いと答弁されています。しかし実態は全く違います。安倍政権の下,7年間で社会保障は削減の連続でした。自然増分の削減や,70歳から74歳までの医療費の窓口負担は2割負担に,介護保険の2割負担の導入,施設の居住費,食費負担増,年金のマクロ経済スライドによるなど,4兆2,720億円も社会保障は削減されています。 消費税が導入されたのは1989年です。当時の大企業の法人実効税率は51.04パーセントが今,29.74パーセントに引き下げられ,所得税の高額所得の税率は70パーセントが,今は45パーセントです。31年間に国民が納めた消費税は397兆円に上る一方で,法人3税の減税は298兆円,さらに所得税,住民税の減税は275兆円となっています。直間比率の見直しを求めた財界の要望に従い,法人税や高額所得の減税の穴埋めというのが消費税の正体です。消費税は,社会保障のためという認識は間違っているのではありませんか。いかがですか。 消費税は,GDPの6割を占める個人消費に税負担を掛けるもので,生活費に罰金を掛けるようなものです。10パーセントの消費税というのは,1箇月分の生活費が取り上げられるに等しいものです。消費税が5パーセントに増税された1997年から2017年の20年間の主要国のGDPは大きく伸びています。アメリカ227パーセント,イギリス170パーセント,フランス178パーセント,ドイツ166パーセント。日本だけが102パーセントで,この20年間経済の成長が止まっています。政権交代で消費税を廃止したマレーシアでは,その後,個人消費が大きく伸びています。日本共産党は消費税廃止を目指し,当面5パーセントに引き下げ,大企業優遇の税制を正し,せめて中小企業並みの負担を求めるとともに,所得税の最高税率を消費税導入当時に戻し社会保障財源を確保する税制改革を政府に求めています。中小企業のまち,最も消費税増税の影響が深刻な京都から消費税引下げを国に求めるべきです。いかがですか。 2点目は中小企業への支援についてです。経済政策として求められていることは,市民の暮らしと京都経済を支えている中小企業への直接支援です。京都市には,様々な中小企業支援の制度があります。企業立地促進制度補助金,ベンチャー企業等ステップアップ支援事業補助金,京都型グローバル・ニッチ・トップ企業創出支援事業補助金などなど,政策上の重要度・緊急性が高いものを優先的に取り組むとして補助事業は,成長産業向けのもの11種類のメニューが用意され,平成30年度で7億6,000万円予算化され,6億円の支援が実施されました。しかし,これらの制度は,企業立地促進制度補助金指定事業,インキュベート施設入居やベンチャー企業に限られ,まちの小売店さん,酒屋さんや飲食店,町場の大工さんや伝統産業関連の職人さんが活用することはできません。力強い経済の持続的発展と都市の活力創造などと,特定の企業支援とインバウンド頼みを続けてきた結果,京都市の事業所減少率は政令市ワースト2位,1991年からの事業所数の減少は,25年間で3分の1の事業所が消え働く場が奪われ持続的発展どころか疲弊しています。 今,政策上必要なのは,ベンチャー企業支援だけではなく,現に地域で市民の暮らしを支え,消費税に苦しんでいる小売店や町工場や大工さん,伝統産業の職人さんです。横浜市では,一昨年,横浜市内の5民商が横浜市経済局と懇談し,小規模事業の要望に応え,小規模事業設備投資助成金を実施しました。対象は,創業から1年を経過している,製造業,建設業,小売り卸売業,飲食店など全ての業種の小規模事業で,業務改善や生産性向上のために導入する新たな設備の2分の1を助成するもので,最大10万円で,予算規模2,300万円で実施しました。助成金活用に当たり,経営面でどのような改善ができるかなど事業計画書作りで,仕事の内容を見直すきっかけになり,しかも手続きが簡単と大好評です。国の制度である小規模事業持続化補助金は,これまでは国が成長産業を指定して支援する方式でしたが,今では全ての事業を対象に補助金を作り,成功した事業を広める形を取っています。補助金拡充の要求と運動の結果,国の支援の性質が変わってきました。補助金は人参で,目的は事業計画を作ること。補助金申請の書類を作ることで経営の見直しができたと好評です。 京都は,かつて伝統産業,地場産業が無数にある中小企業のまち,ものづくりのまちでした。伝統産業,地場産業が息づく京都だからこそ,これまでの成長産業に限定した支援を改め,国が方向転換したように,今こそ,市内中小企業の営業を丸ごと応援する助成制度の創設が必要です。横浜市のような全ての事業を対象とした助成制度の創設を求めます。 また,災害時に大きな役割を発揮する建設関連事業を支援し,地域経済に大きな経済波及効果のある住宅リフォーム助成制度の実施は,木造住宅が密集する京都だからこそ必要です。京都市が実施している住まいへの補助制度は抜本的拡充が必要です。京都市は,昭和56年5月31日以前に着工された京都市内の木造住宅に対し耐震診断士を無料で派遣し,耐震性能が向上する耐震改修工事への助成が行われています。また,断熱改修を行う省エネリフォーム支援事業,太陽光発電システムや太陽熱利用システムなど,創エネ・省エネ支援事業を実施していますが,対象が限られた支援で,住宅リフォーム全般を支援するものではありません。 また,中小企業が廃業する要因の一つに,店舗・工場の老朽化や機械設備,備品の修理ができないなどがあります。高崎市が実施しているまちなか商店リニューアル助成事業補助金は,店舗の改装工事や備品の購入費用の2分の1を限度額100万円の範囲で補助する制度で,多くの事業が利用しています。全国の自治体で大きな経済波及効果が実証されている住宅リフォーム助成制度,商店リニューアル助成制度の創設を求めます。いかがですか。 経済活性化の3点目が,中小業者への賃上げ支援です。雇用の7割を担っている中小企業での賃上げは,京都経済の底上げにとって決定的であります。市外から稼ぐ力を呼び込むために,ばく大な公共事業や特定の成長分野の支援ではなく,市内中小企業を丸ごと支援し,そこで働く労働の賃金引上げこそ,地域循環で京都経済を立て直すメインエンジンです。京都総評が行った最低生計費調査の結果,単身で必要な生活費は,24万5,785円,月150時間換算で時給1,639円が必要です。日本弁護士連合会は,全国一律最低賃金制度実施を求める意見書を厚労省などに提出しました。健康で文化的な最低限度の生活を営むため最低賃金が最低生活費を下回ることは許されないと強調し,社会保険料負担軽減などの導入を求めています。 中小企業にとって,社会保険料の高負担が賃上げを困難にしています。17人の正規職員を雇用しているある企業の実例を紹介します。2019年1年間の人件費総額は7,820万円で,源泉所得税は160万円だったのに対し,社会保険料の本人負担分は約1,200万円。会社負担分は1,300万円。合計2,500万円にも上ります。給与総額に対する負担率は31.97パーセントにもなります。負担率は,保険料率の引上げなど年々重くなっています。当面,従業員30人未満の中小企業の従業員4万5,000人を対象に,社会保険料の25パーセントを補助し賃上げを支援することを求めます。23億円程度で実施可能です。いかがですか。 さて,中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症で,市民に不安が広がっています。不安を取り除く取組が肝心です。特に,観光関連事業に不安が広がっています。中国からのツアー旅行は全てキャンセルとなり,中国のみならず世界的に拡大する事態です。旅行代理店は,団体ツアー募集は2箇月前から募集を開始しますから,現地ホテルとの打合せなど準備は半年前から経費を掛けています。ある旅行代理店は,2月,3月の予約だけではなく5月分のツアーもキャンセルが発生しています。旅行代理店の倒産も危惧されます。中国からのインバウンドを相手にしてきたバス会社では,運転手の解雇が既に起こっています。右京区の観光地嵐山で影響をお聞きしてきました。旅館業者は,団体客は扱っていないが,個人旅行や家族旅行など100件を超えるキャンセルがある。京料理のお店では,中国人は全く来ない。売上げは3割以上減だ。従業員は交代で休んでもらっている。中国人などを対象にしたデザインのTシャツ等を扱っている土産物屋さんは,壊滅的状態や,家賃などの固定費の支払いが大変などなど。いつまでこの状態が続くのか先が見えない不安を訴えられていました。 日本共産党市会議員団として2月10日に申入れを行い,検査体制,関係機関,団体,宿泊施設関連事業への通知と相談対応や,外国人観光客への正確な情報提供と相談対応の充実などを求めました。観光関連事業をはじめ市内中小事業への影響の実態を把握し,緊急融資については,設備資金も対象にするとともに,固定費に対する補助や利子補給制度の創設などを求めます。いかがですか。 最後に,唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約の批准を強く求めるものです。1945年8月6日,広島に,8月9日,長崎に人類史上初めて投下された原子爆弾は,広島,長崎のまちを焼き尽くし,その年のうちに広島で14万人,長崎で7万人もの尊い命を奪い,75年たった今もなお,多くの被爆が原爆の放射能の後遺症によって苦しみ続けられています。今年は被爆75年,NPT体制50年の年,核兵器禁止条約発効の年にとの被爆の願いは切実です。被爆の自分たちの苦しみを世界の他の誰にも味あわせることのないようにと草の根からの粘り強い戦いがNGOなどの市民社会の運動と合わさり,国際社会を動かし,2017年,ついに国連加盟国の圧倒的多数の国々の賛成で核兵器禁止条約が承認されました。この条約に署名した国は,81箇国,批准した国は35箇国,2020年2月時点となり,核兵器国の妨害の中でも発効は時間の問題となっています。しかし,残念ながら唯一の戦争被爆国である日本政府が条約をボイコットする態度を取っていることは,多くの被爆の怒りを呼んでいます。昨年,被爆74周年の平和記念式典で,広島市長は,日本政府には唯一の戦争被爆国として,核兵器禁止条約への署名,批准を求める被爆の思いをしっかり受け止めていただきたい。そのうえで,日本国憲法の平和主義を体現するためにも,核兵器のない世界実現にさらに一歩踏み込んだリーダーシップを発揮していただきたいと述べました。 2019年11月,ローマ教皇の被爆地広島・長崎訪問は,世界の人々に感銘を与えました。教皇は,核兵器は,安全保障への脅威から私たちを守ってくれるものではないと核抑止力論を明快に批判し,核兵器のない世界,この理想を実現するには,全ての人の参加が必要です,核兵器の脅威に対しては一致団結して応じなければなりませんと,この事業への参加を呼び掛けました。核兵器禁止,廃絶を目指し,今年4月24日から26日,NPT再検討会議を前に,ニューヨークで原水爆禁止世界大会が初めて開かれ,京都からも多数の代表が参加されます。昨年12月に実施されたNHKの世論調査でも,66パーセントが核兵器禁止条約に日本が参加すべきと答えています。世界は,広島,長崎の被爆地と共に,世界の文化首都・京都を自認する京都市がいかに行動し発信するのか注目しています。 京都市会は,昭和58年3月23日,非核自治体宣言を発しました。一つ,京都市は,非核3原則の完全な遵守を求める。二つ,京都市は,あらゆる国の核兵器の廃絶と軍縮を求める。三つ,京都市は,核兵器及び核兵器積載の疑いのあるものの京都市域への通過,運搬,飛来,貯蔵,滞留を拒否する。四つ,京都市は,核兵器を生産,配備をさせない。五つ,京都市は,戦争に協力する事務は行わない。京都市の非核自治体宣言の精神は,核兵器禁止条約に通ずるものです。被爆の願いを重く受け止め,日本政府に対し核兵器禁止条約を批准するよう求めて質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山田こうじ議員の御質問にお答えいたします。 宿泊施設の拡充・誘致方針についてでございます。本方針は,平成28年当時外国人宿泊客の増加に伴い,違法民泊の急増や京都に泊まりたくても泊まれない状況が発生し,更なる宿泊施設不足が見込まれる中,宿泊施設の質の向上を図るために本市が求める宿泊施設の考え方と具体的な施策を取りまとめたものでございます。本市では,この方針に基づきまして,京都ならではのおもてなしが感じられる旅館の利用促進や,上質な宿泊施設の拡充・誘致に取り組むほか,全国一厳しいと言われる民泊条例を制定するなど民泊対策等にも取り組んでまいりました。この間,旺盛な宿泊需要や本市の都市格の向上とも相まって,宿泊施設の室数が方針策定時の約3万室から昨年3月末時点で約4万6,000室に増加し,泊まりたくても泊まれない状況は大きく改善しました。平成27年から平成30年に掛けて,宿泊客の割合は,観光客全体の約2割から約3割に増加し,宿泊客数と観光消費額も過去最高となりました。また,違法民泊対策については,専門チームを46名体制に強化し,平成28年度以降,民泊通報相談窓口等に通報があった2,625件の無許可営業疑い施設のうち,99%パーセントに当たる2,615件もの施設を営業中止等に至らしめ,調査指導中の施設が10件となり,苦情件数も大幅に減少する等,大きな成果を挙げてきております。 一方で,昨年11月には,宿泊施設の施設数について計画されている宿泊施設も含めると基本的には施設数としては満たされているとしながらも,増加している施設の多くが京都駅周辺や市内中心部に集中している実態とともに農家民宿など地域固有の魅力をいかした施設や,地域文化の継承につながる施設は必ずしも十分ではないとの見解を示しました。そのため,宿泊施設の急増に伴う課題への対応として,市民の安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入をお断り宣言したところであります。今後,地域との調和に向けまして,宿泊施設立地に際し,構想段階からの事前手続の充実や宿泊施設の質の向上に向けまして,一般客室内部にまで踏み込んだバリアフリーの更なる充実の取組を進めてまいります。 また,四条繁栄会商店街振興組合における狭小な客室の宿泊施設,いわゆるカプセルホテル等を制限する地区計画の策定といった地域主体のまちづくりを積極的に支援するなど,都市計画のあらゆる手法を駆使しまして,地域の皆様と共に実効性ある対策を強化してまいります。 引き続き,方針で示しました考え方を踏まえながら,市民生活との調和を最重要視し,地域の安心安全,地域固有の文化の継承・発展,そして,市民の豊かさにつながる持続可能な観光の実現を目指して,市民・事業の皆様と共に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,2点御答弁申し上げます。まず,中小企業支援についてでございます。市内事業の99パーセント以上を占める中小企業は,京都経済発展の原動力でございます。そのため,本市では,京都商工会議所及び京北商工会と一体的に運用し年間約2万件の利用実績がございます経営相談や,年間4,000件の利用実績がございます融資制度などによって,中小企業の皆様のニーズを踏まえたきめ細かな支援を展開しております。具体的には,経営相談により個々の事業に必要な支援をきめ細かく把握したうえで,設備投資はもとより販路開拓や業務効率化,生産性向上の取組など幅広く利用できる国の小規模事業持続化補助金や,専門家派遣等によって,事業に寄り添って支援しているところでございます。住宅リフォーム助成につきましては,政策目的を持って耐震改修,省エネ改修に重点を置いて実施しており,市民の安心安全の確保や環境保全に大きな効果を生み出しております。そして市内事業が工事を行うことを要件とすることで,大きな経済波及効果も発揮していることから,住宅リフォーム全般に対する助成制度の創設は考えておりません。また,商店のリフォームにつきましても,商店街による空き店舗の活用や事業による市内産木材を活用した店舗の増改築等について費用の一部を助成しております。次に,社会保険料につきましては,労働,事業主の応分の負担で成り立っており,従業員の方の賃金等につきましても,既存の様々な経営支援策を御活用いただき,事業の経営力強化や生産性向上を進めることを通じて,改善が図られるものと考えております。また,このたびの新型コロナウイルス感染症につきましては,宿泊業,飲食業,小売業,運輸をはじめとした幅広いサービス業だけではなく製造業なども含めた京都経済全体に大きな影響が生じておりますことから,固定費や利子の補助ではなく,個々の事業が持続的な経営を確保するための喫緊の資金需要に対応できるよう,府市が連携して有利な融資制度を創設したものであります。この融資制度につきましては,来年度予算案でも約30億円の預託金を計上しており,消費喚起対策と共に,切れ目のない経営の下支えを進めてまいります。さらに,今般国において大規模災害時等に実施されるセーフティーネット保証による総額5,000億円規模の金融支援をはじめ,設備投資や販路開拓を含めた緊急支援策が公表されました。これを受けまして,これまでの融資制度に加え,新たに国の保証制度を組み入れた,より低金利で設備資金も含めた使いやすい府市協調の融資制度を創設してまいります。今後とも,国や府としっかりと連携し,状況の変化に即応した的確な施策を実施することで,中小企業をはじめとする地域企業の持続的発展を支援してまいります。 次に,核兵器禁止条約についてでございます。本市は,昭和32年に平和都市宣言を,昭和53年には世界文化自由都市宣言を行うなど一貫して平和を都市の基本理念としております。核兵器禁止条約につきましては,本市も加盟しております平和首長会議の国内加盟都市会議が毎年国に対して核兵器廃絶に向け力を尽くすよう強く要請しているところでございます。国におきましても,核軍縮を巡って各国の隔たりがある中,核兵器のない世界の実現に向け,核兵器の保有国と非保有国の橋渡しに努め,双方の協力を得ながら対話を粘り強く促し,国際社会の取組を主導していく決意が示されているところでございます。また,世界恒久平和の実現に向けましては,国の取組が重要であると同時に,自治体の取組や国民市民同士の交流も大きな役割を果たすものと考えております。そのため,本市では,毎年8月に,ヒロシマ・ナガサキ被爆の実相等に関するポスター展を,また,11月には平和祈念事業を実施しているほか,姉妹都市やパートナーシティとの市民レベルの交流,さらには,門川市長が会長を務め世界119の歴史都市が加盟する世界歴史都市連盟などの活動を通じまして,国や社会体制等の違いを超えた相互理解を深めることを目指しております。現在,誰一人取り残さないを理念として国連で採択されたSDGsの取組の下,世界規模で,全ての人々の幸せと平和を願い,行動しようとの機運が高まっており,本市におきましても,市民ぐるみでその取組の先頭に立つべく努力をしております。今後とも,平和の理念をしっかりと守り,市民の皆様と共に,世界恒久平和の実現に向けて,不断の努力を続けてまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 糟谷観光政策監。 〔糟谷観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(糟谷範子) 仁和寺門前のホテル計画についてでございます。上質宿泊施設誘致制度は,住居専用地域等,宿泊施設の立地が制限されている区域において,施設の開業を望む事業や地域からの相談を受け,地域と事業を橋渡しし,地域との調和を大前提に,地域の課題解決や奥深い京都の魅力体験ができる,地域と事業の双方にとってより良い施設となるよう支援するものです。 宿泊施設の立地が制限されている区域での宿泊施設の建築は,当該計画が周辺の住居の環境等を害するおそれがないことを,建築審査会において専門的な見地から確認することなどを経て,許可を受けることにより可能となることが,建築基準法に定められています。上質宿泊施設誘致制度は,この手続に入る前の段階で地域との合意形成を図るもので,その範囲は,この法定手続において意見聴取を行う範囲の最大である計画敷地から100メートルとしています。仁和寺門前のホテル計画地は,元々床面積が3,000平方メートル以内の宿泊施設であれば建築可能ですが,本計画は,地域との合意形成を図ったうえで,地域と調和した上質な宿泊施設として,3,000平方メートルを超える施設の建築が可能となる法定手続を活用するものです。本計画地は,かつてガソリンスタンドやコンビニが計画され,地域住民が結集して反対し建設を阻止してきた経緯のある土地でございます。事業は,計画初期段階から約2年半にわたり仁和寺門前まちづくり協議会と20回以上の協議を重ね,100メートルの範囲を対象とする住民への説明会も2回開催し,幅広く丁寧に合意形成を進められ,これまで多くの方々から今回の計画が長年空き地であった課題の解決につながるとの意見をお聞きしています。一方,昨年12月の住民説明会では,一部の参加から,景観に対する懸念の声が上りましたが,世界遺産のバッファゾーンについては,高度地区や風致地区等の都市計画制限により,厳しい形態意匠の基準を設け,周辺の景観を保全することとしております。さらに,当該計画については,これらの規制に加え,上質宿泊施設候補選定のための有識者会議や美観風致審議会での審議等を通して,専門的な視点からもしっかりと検証していく予定です。引き続き,同制度に基づき,地域の皆様の安心安全,地域文化の継承につながる計画となるよう調整を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 消費税増税についてでございます。まず,消費税率の引上げによる影響についてでございますが,今回の消費税率引上げに際しては,軽減税率の導入,キャッシュレス決済時のポイント還元,さらにプレミアム付き商品券など政府による様々な対策が実施され,駆け込み需要の反動減などの直接的な影響については,前回の税率引上げ時よりも小さく,短期間で収束するものと期待されていたところです。しかしながら,米中貿易摩擦など海外経済の動向や,暖冬に伴う消費の低迷,さらには,世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症の発生が重なり,現在の中小企業を取り巻く状況は,予断を許さない大変厳しい状況であると考えております。消費税率の引上げが今後の京都経済に影響を及ぼさないよう,本市としましても国の施策と連携し,商工会議所をはじめとする経済団体,京都府とも連携を密に必要な対策について取組を進めているところでございます。加えて,オール京都で実現した京都経済百年の計京都経済センターを拠点に,引き続き,地域企業,中小企業を支援していくとともに,大企業,東京圏と地域企業,中小企業とのマッチングや,さらには,就職氷河期世代など多様な働き手の就労支援により,担い手確保にも取り組み,京都の宝である地域企業,中小企業をしっかりと下支えしてまいります。 次に,消費税増税が社会保障財源のためという認識は誤りではないかとの御指摘についてでございます。消費税率の引上げは,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国,地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保していくために行われたものでございます。また,税率引上げ分の税収につきましては,年金,医療及び介護の社会保障給付並びに少子化対策に要する経費に充てることが法に明記されているところでございます。国においては,幼児教育・保育の無償化などの予算の増額に充てられているところでございます。本市におきましても,この貴重な財源を介護,年金,医療及び子育てなどの社会保障の予算の増額に充て,市民の命と暮らしを守る取組を推進しておりますので,消費税の引下げを国に求めることは考えておりません。以上です。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 本日の審議はこの程度にとどめ,延会いたしたいと思いますが,御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶあり〕 ○議長(山本恵一) 御異議なしと認めます。よって本日はこれをもって延会いたします。 〔午後4時48分延会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          署名議員  松田けい子          同     小島信太郎 △(イメージ)請願文書表「受理番号663」「保育・学童保育制度の充実」・請願文書表「受理番号664」「市営住宅の浴室の改修」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号32」「介護保険料の不正徴収に係る還付等」・陳情文書表「受理番号33」「無料低額診療の拡充等」...