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12月04日-03号

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  1. 京都市議会 2019-12-04
    12月04日-03号


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    令和 元年 11月 定例会     令和元年     定例会       京都市会会議録 第3号     11月市会                      令和元年12月4日(水曜日)出席議員(66名)   1番 神谷修平議員   2番 くぼたまさき議員   3番 小山田春樹議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 豊田恵美議員   6番 井上よしひろ議員   7番 山本恵一議員   9番 やまずまい子議員  10番 かまの敏徳議員  11番 森 かれん議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小島信太郎議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 大津裕太議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  31番 江村理紗議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方浩之議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  41番 村山祥栄議員  42番 森川 央議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(1名)  26番 森田 守議員   議事日程   開議日時 令和元年12月4日午前10時第1 請願の付託   一般質問  (1) 市政一般について  吉井あきら議員  (2) 市政一般について  下村あきら議員  (3) 市政一般について  豊田恵美議員  (4) 市政一般について  樋口英明議員  (5) 市政一般について  鈴木とよこ議員  (6) 市政一般について  吉田孝雄議員  (7) 市政一般について  国本友利議員  (8) 市政一般について  安井つとむ議員  (9) 市政一般について  こうち大輔議員  (10)市政一般について  江村理紗議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。井上よしひろ議員とかまの敏徳議員とにお願いをいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託を行います。 今回受理いたしました請願3件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,吉井あきら議員。 〔吉井あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(吉井あきら議員) おはようございます。山科区選出の吉井あきらでございます。下村あきら議員豊田恵美議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして質問いたします。門川市長におかれましては,誠実な前向きな答弁をよろしくお願いいたします。 先日,門川市長は,市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向けた基本指針と具体的方策の中間取りまとめを発表されました。市バスの混雑解消に向けた各種割引乗車券の抜本的な見直しや市民の安心安全や地域文化の継承を重要視しない施設については,お断りするとの考えの下,こうした施設の参入を抑制するための手法を検討するなど,50の事業について取り組まれるとのことであります。観光客のマナーや混雑,宿泊施設の急増による課題など,観光により生じている課題については,市民の皆様の声にしっかりと耳を傾け,地域の実情に合ったきめ細かい対策を講じていく必要があります。全国初となる総合的な観光課題対策の取りまとめに満足せず,門川市長のリーダーシップの下,全庁挙げて取り組み,しっかりと成果を出していただかなければなりません。市民,地域住民の声を今後もしっかりと受け止め,観光事業者,関係行政機関等と一体となって,そして地域の皆様と連携し,観光による様々な課題を一つ一つ着実に解決し,京都が市民生活との調和が図られた持続可能な観光都市として,全国,また世界のモデルとなるよう全力を挙げて取り組んでいただくことを求めます。 それでは質問に入ります。門川市政における徹底した行財政改革,経済活性化や宿泊税の創設などの取組による効果は,7年連続の税収増など形として表れてきており,政策と経済活性化の歯車が回り始めてまいりました。しかし,特別の財源対策に頼らざるを得ない状況に変わりはなく,その脱却も厳しいものがあると思います。思うように地方交付税が確保できないなどの事情もあり,抜本的な改善には至っておりません。これまで続けてきた公債償還基金の取崩額・借入額の合計は472億円にも上っており,市長がこれまで言っている持続可能な財政運営の確立のためには,京都市財政の立て直しが急務であります。こうした状況から抜け出すためには,通常の歳入で歳出を賄う財政運営とする必要がありますが,簡単な方法はなく,地道に歳入・歳出を見直す以外に道はありません。 歳入については,企業誘致やスタートアップ支援など経済活性化により税収を増やすことが基本であり,さらには産業政策だけでなく,まちづくりとの施策の融合が必要であります。同時にネーミングライツふるさと納税など税外収入を確保することも重視すべきと考えます。これらは,これまでからも言われてきたことでありますが,令和2年度の税制改正では,政府において地方創生応援税制,いわゆる企業版ふるさと納税の拡充が検討されており,これを好機として捉え,税外収入確保の取組を更に加速させるべきと考えます。これらの実行には大きなエネルギーが必要であり,門川市長の強いリーダーシップの下,経済界はもちろん市民,そして全国に働き掛ける必要があります。 歳出については,これまで進めてきた民営化・民間委託を更に踏み込んで取り組むと同時に,事業そのものの見直し,例えば,事業の目的が不明確になっていないか,当初の立ち上げには支援が必要としても漫然と継続していないか,市民の満足度に結び付くものになっているかなど,事業の総点検が必要であり,また,新たに事業を始める際には,前もって行政の関与が終了する時期を決めておくなど,従来の延長線上ではない見直しも必要と考えます。 先日示された来年度予算の財政収支見通しにおいても,300億円もの巨額の収支不足が見込まれており,抜本的な財政健全化策の実行が必須の状況です。そこで,私が昨年の市長総括で提案した財源を検討するプロジェクトチームを発足させて検討を重ねていると聞いておりますが,そのことも含め,これから来年度予算編成に臨むに当たり,現状を踏まえ,歳入歳出全般にわたる改革にどのように取り組まれるのか,市長の決意をお聞かせください。 次に,都市の持続性と市内周辺地域の活性化に向けた用途制限や建築規制等の緩和についてお伺いいたします。我が国は人口減少社会に突入し,少子高齢化が急速に進展するという過去に経験のない局面にあり,京都市においても,半世紀にわたって擁してきた140万人規模の人口の維持が容易ではないということは明らかです。このような中,京都市では本年3月に市域全体を見渡し,将来のまちづくりを進める持続可能な都市構築プランを策定されました。京都の都市特性を踏まえ,将来の人口が一定減少する場合においても,単純な都市の縮小ではなく,市域全体の活性化を目指したものとなっており高く評価しております。周辺部に定住人口の求心力となる27の地域中核拠点を定め,京都のまちの活力を維持・向上させる方針が打ち出されており,期待しておりますが,現状では山科区や西京区などの周辺部において,特に人口が減少するなどの課題を抱えており,今後,このプランをどのように具体化・実践していくかが重要であります。全ての市民が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう,買物環境や公共交通などの生活利便性を確保し,福祉施設や教育環境を整えることは,まちづくりの大前提であり,引き続きしっかりと進めていただくことを求めておきます。さらに,安心で快適な居住環境の確保にとどまらず,将来にわたり京都の魅力を守り,高めて,常に新しい文化や価値を生み出し続ける都市であるためには,市民が豊かさを実感できるとともに,地域経済を活性化させ,都市活力を創出することが必要であり,財源を確保するうえでも重要と考えます。京都駅周辺や歴史的な都心部など,市内中心部に集積している都市の機能を更に高めるとともに,多様な特色のある市内周辺部の各地域にも誘導し,京都の魅力と活力の高まりを市域全体に波及させる施策が不可欠であります。そこで,京都の将来を展望し,持続可能な京都のまちづくりを進めるためには,市内周辺部の活性化を積極的に図ることがとりわけ重要と考えますがいかがでしょうか,お聞かせください。 また,その一方で,市内中心部では確保が難しくなっている住居や企業用地などに活用できるよう,周辺地域における用途制限や建築規制等の緩和を検討してはどうでしょうか。これにより,市内中心部では急増する宿泊施設への対応が急務となっていますが,周辺部では宿泊施設を求める声もあり,その解決にも資するものと考えます。併せてお答えください。 次に,交通利便性の高い市街地にある国有地の有効活用に向けた取組,移転先の具体化についてお伺いします。国有地の有効活用の取組は,京都の新たな魅力を創造し,にぎわいと活力を高めるとともに,本市の厳しい財政状況を打破する大きな一手となり得る取組です。我が自由民主党京都市会議員団として,京都刑務所,拘置所,運輸支局をはじめとする国有地の有効活用の検討については要望しているところであります。御存じのとおり,京都刑務所は山科の中心部に位置し,敷地は約10万7,000平米,驚くほどの広大な土地であり,昭和2年に京都市中心部から山科に移転されましたが,今日では国道1号線や外環状線にも近接し,何よりも椥辻駅から徒歩約3分という非常に交通利便性の高い場所に位置しております。 私は,平成24年の9月市会で,山科,京都の更なる発展に向けて,京都刑務所敷地の有効活用の検討を進めるべきではないかと市長に提案をいたしました。そして,この間,門川市長自らが法務大臣などに要望されるとともに,国有地の有効活用の実現に向けた調査や検討を進められ,本年2月には,京都刑務所敷地の有効活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略を策定されました。この戦略は,京都刑務所敷地を豊かな学びや子育て環境,また福祉の充実,働く場の確保など,複合的に活用することを核として,山科の新たな魅力を創造し,活力を高め,子や孫の世代が将来に夢を描けるまちづくりをしていこう。同時に,山科駅前の更なる活性化や,山科で最も大規模な共同住宅の集まる山科団地エリアの活性化などにより,山科区全体の活性化につなげ,山科をより一層魅力あふれるまちにしていこうというものであります。先月,山科駅前のラクト山科に,新たな商業施設がオープンするとともに,駅前地下道も開放的で落ち着いたデザインに改修され,駅周辺でより一層大きなにぎわいが生まれています。山科団地においても,京都橘大学さんと連携され,活性化に向けた住民アンケートが実施されており,今後,アンケート結果を基に具体的な取組を展開されると伺っております。このようなにぎわいや活性化の更なる広がりを大いに期待するとともに,歩みを着実に前進させ,活性化を確かなものにしていかなければなりません。そのためにも戦略をしっかり実現していくことが重要であります。そして,何よりこの戦略の核となる京都刑務所敷地の有効活用の実現に向けては,移転先の確保という大きな課題を乗り越えていく必要があり,国の理解・協力が不可欠です。この間,国とも良好な関係を構築されており,先日,新聞報道されていましたが,今年度,国に要望された際には,法務大臣から,刑務所の移転については,国と市の双方でしっかり話し合い,より良い方向が出るように努力しましょうとの発言があったとのことで,国としても理解が進み,誠実に対応していただいているなと感じているところであります。 そこでお伺いします。京都刑務所敷地をはじめとする国有地の有効活用を実現するために,移転先を具体化するなど課題を解決していく必要がありますが,国の理解・協力を得ながら,今後どのように取り組まれるのか,市長の決意を含めてお聞かせください。 次に,地下鉄の安全対策についてお伺いします。本年2月の代表質疑において,烏丸線全駅への可動式ホーム柵設置を訴えた際,門川市長から,今年度中に全駅への設置計画を策定する旨の答弁をいただきました。しかし,可動式ホーム柵の全駅設置には,費用面,技術面,相互直通運転を実施している近鉄の理解と協力が必要であるなど大きな課題があります。特に費用面については100億円規模の投資が必要で,国の補助制度も車両改造については補助対象ではないため,本市の負担が大きいとのことでありました。ホーム柵の設置は,視覚に障害のある方をはじめ,御利用者の命に関わることであり,一日も早く全駅設置が望まれるものであり,安全への投資は惜しむべきではないと考えますが,同時に,将来の財政負担をしっかりと見据えることも必要です。収支見通しを含め,現在の検討状況についてお答えください。 また,全駅への柵設置は,近鉄車両を含む全ての車両改造等を行った後となるため,相当な年数を要すると思われます。一方で,JR西日本では,あらゆる車種・編成に応じて開口位置を構成できる世界初方式のフルスクリーンタイプのホームドアを令和5年春に開業予定のうめきた地下駅に設置予定であり,去る11月20日には,1次試作機の完成が発表されたと聞いております。このように様々な分野で技術革新が進められており,可能な限り速やかに,全駅にホームドアを設置するためにはどのような手段があるのか知恵を絞り,既存の手法だけではなく新たな手法を取り入れるなど,引き続きの更なる努力を求めておきます。 そのような中ではありますが,可動式ホーム柵が未設置の駅のうち,北大路駅は,京都ライトハウス京都府立盲学校へ向かう市バスへの乗継ぎ駅として,視覚に障害のある方が最も多く利用されている駅と聞いております。本年10月1日には,東京都の京成電鉄において,視覚に障害のある方がホームから転落し,亡くなられるという痛ましい事故が発生しております。また一方で,繁本護衆議院議員からも柵設置については地域の方から強い要望を受けているとお話を頂きました。何とか北大路駅を優先的に,車両改造等を待つことなく早期の設置が必要と考えます。併せてお答えください。 最後に,通学定期券の割引拡充について要望します。京都市では,子育て対策として子ども医療費の更なる負担軽減,保育所待機児童ゼロ継続をはじめ様々な対策が講じられております。また,国においても公立高校の授業料無償化に加え,来年度からは,私立高校等に通う生徒に対し就学支援金制度の充実が図られるなど子育てに優しい環境整備が進められております。一方で,市民の方からは,様々な子育て対策はなされているが,通学のための交通費の負担が重いとの声が度々寄せられております。地下鉄の大学生定期を例にとって他都市比較をしてみると,初乗り1箇月定期の割引率は,京都市が50パーセントであるのに対し,公営地下鉄事業者8都市の平均は60パーセントであり,本市の割引率は低い水準となっております。市バス・地下鉄事業において,今後,バスの運転士・整備士の担い手不足の影響や軽油価格の高騰,車両や設備の更新などにばく大な費用が必要であり,また,本市の財政状況も極めて厳しい状況にあることは十分承知しており,簡単なことではないことは理解しております。 しかし,子育て・教育環境日本一を目指す京都市としては,また,大学のまち,学生のまちであり続けるためにも,通学定期券の割引を拡充し,負担軽減に取り組む必要があると考えており,今後の課題としてオール京都市で検討を深めていただくよう要望しておきます。 また,先日の門川市長の記者会見で,我が会派の寺田議員の提言もあり,市民を中心とした利用頻度の高い方に対する将来的なバス・バス無料乗継ぎを視野に入れた検討を行うことなどを発表されましたが,市民の皆様に,市バス・地下鉄をより多く利用してもらえる方策を検討し,導入されることを求めます。 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉井あきら議員の御質問にお答えいたします。 財政健全化についてでございます。私が市長就任以来,徹底した行財政改革に取り組み,市民が返済に責任を負う市債残高を全会計で3,300億円,17パーセント縮減いたしました。また,これまで進めてきた国とも一体となった経済政策は着実に実を結び,雇用者数は5万7,000人増加,市税収入もリーマンショック後から246億円増加しております。しかしながら,市税が増加すれば交付税が減るという仕組みの下,地方交付税はピーク時から442億円減少しており,福祉や教育,子育て支援,激甚化する災害への対策など,増加の一途をたどる行政ニーズにしっかりと対応するため,公債償還基金の取崩しで不足する財源を補填する厳しい状況が続いております。持続可能な財政運営の確立のためには,将来の税収増につながる施策に攻めの姿勢で挑戦していかなければなりません。井議員から御提案いただいているプロジェクトチームにおいても,更なる財源確保に向けて知恵を絞っており,京都の強みである文化と経済を融合した新たなイノベーションの創出や,京都の魅力が高まっているにもかかわらず,用地の不足により市内での企業立地が困難という課題を解消するための新たな産業用地の創出など,あらゆる政策を総動員してまいります。 また,税外収入についても,芸術大学に対する10億円の寄付,西京極における総額4億3,000万円のネーミングライツなど,多額の財源を確保しているほか,返礼を充実したふるさと納税や,来年度,寄付金控除の拡充により,企業の実質負担額が4割から1割に軽減される予定の企業版ふるさと納税についても,京都への寄付を呼び込めるよう,首都圏でのシティセールスを一層強化するなど,戦略的に取り組んでまいります。現在企業とのネットワークの構築に向けて具体的に動き出しているところでございます。 歳出面では,行政の質をしっかりと維持しつつ,民間活力やAI・RPAなど先端技術の導入により,効率的な執行体制を確立するとともに,社会情勢の変化や事業効果の検証を踏まえ,ゼロベースで事業の見直しを断行してまいります。あわせまして,京都の誇る地域力を強化しつつ,社会的課題の解決を目指す支援については,一定の期間で自走化を促してまいります。来年度予算編成に当たりましては,こうしたことを基本姿勢に自民党市会議員団からの予算要望もしっかりと受け止め,持続可能な市政に全力を尽くす決意でございます。 次に,市内周辺地域の活性化についてでございます。本市では,景観政策と持続可能なまちづくりを両立させ,京都の魅力と活力を未来に受け継いでいくことを最重要課題と捉え,この3年間,徹底した議論を重ね,パブリックコメントを通じて多くの市民の皆様にお寄せいただいた期待の声と共に,本年3月,京都市持続可能な都市構築プランを策定しました。現在,本プランに基づき,市民の皆さんの働く場と産業空間の充実を図るため,五条通周辺やらくなん進都等において,空間の有効活用等の都市計画の変更を進めておりますが,今後一層,市民の皆様が豊かさを実感できる活力に満ちたまちづくりが重要と考えております。そのためには,市内中心部等の魅力に更なる磨きを掛けることのみならず,井議員御指摘のとおり,特色ある多様な市内周辺のポテンシャルを存分に引き出し,魅力と活力を高めることが,まずもって重要と考えており,都市の将来像と地域特性を見据え,建物用途や規模制限の見直しを検討するなど,より戦略的に都市計画手法を活用してまいりたいと考えております。具体的には,プランに位置付けた山科,竹田,桂川,洛西地域など,周辺部を主とした地域中核拠点エリアを中心に,若い方,子育て層のニーズに合った住居や生活利便施設,オフィス等の働く場の創出を図ってまいります。また,新たな活力創出が期待される工業系の地域等では,インフラ整備の進展等も踏まえまして,オフィスや研究施設など,産業活動の拠点となる機能を積極的に誘致し,創造的な地域企業の集積を図り,イノベーションを生み出す都市環境を目指してまいります。このような方策をスピーディかつ丁寧に進め,周辺地域の更なる活性化と市域全体の活力の底上げを積極的に推進するとともに,子育て,教育,大学,文化,産業・観光など,あらゆる政策を融合させながら,新たな時代に輝き続ける京都のまちづくりを目指し,市民の皆様と共に積極的に取り組んでまいります。 次に,国有地の有効活用についてでございます。京都の将来を展望し,まちづくりを進めていくためには,国有地を含めあらゆる土地の有効活用を視野に入れるべきと考えております。とりわけ山科刑務所,京都拘置所等は,交通利便性の高い場所に広大な敷地を有しており,これらの活用は京都の更なる発展に大きく寄与することと確信し,この間,国に有効活用の検討を精力的に要望してまいりました。また,井議員におかれましても,独自に首相官邸等に働き掛けていただいており,感謝申し上げます。京都拘置所及び京都運輸支局につきましては,今年度,経済界や学識者,地元住民等の皆様の御意見をお聴きしながら,両施設があるらくなん進都のまちづくりを加速させる敷地活用案を策定してまいります。京都刑務所につきましては,昨年度,京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略を策定いたしました。戦略の策定に当たりましては,学識者や地元経済界等の皆様で構成する山科の未来を語る懇談会や山科の全13学区の自治連合会会長会において丁寧な議論を重ねてまいりました。さらに,市民意見募集を行った際には,約500人の皆様のうち,7割の方から肯定的な御意見を頂きました。これまで法務省に対しては,度々,大臣や事務次官等に要望を重ねてまいりましたが,本年6月には,戦略に掲げる刑務所敷地の活用案を法務大臣にお示ししながら,より具体的に一層力強く働き掛けたところでございます。折しも来年4月には,国連の犯罪防止刑事司法会議京都コングレスが,本市で開催されることから,本市と法務省との連携が極めて深まってきており,こうした好機もいかしながら,更に強力に国に働き掛けてまいります。 有効活用の実現に向けましては,移転先の課題などがありますが,国と良好な関係を維持しながら意見交換を重ねる中で得られた立地条件等を基に,市内を中心に移転先に関する情報収集を幅広く行い,早急に具体的な提案ができるよう取り組むなど,国有地の有効活用を必ず実現するとの強い決意の下,全力を挙げてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 地下鉄烏丸線全駅への可動式ホーム柵の設置についてでございます。交通事業にとって安全は何よりも大切であり,市民,御利用者の皆様の安全への投資は,しっかりと行っていく必要があります。同時に,全駅に可動式ホーム柵を設置するためには,近鉄車両10編成を含め,烏丸線を走行する30編成全ての車両へ,自動で定位置に停止する装置を搭載しなければならず,柵の設置や車両改造に100億円規模の投資が必要になると見込んでおります。現在,財政の状況も踏まえつつ,可動式ホーム柵に係る新たな技術の進展,様々なコスト削減策の検討といったあらゆる可能性を追求してきているところであります。 次に,北大路駅への早期設置についてでございます。井議員御指摘のとおり,視覚に障害のある方の御利用が多く,京都府視覚障害者協会から陳情も頂いている北大路駅において,何とか早期に可動式ホーム柵を設置できないものか検討を進めてまいりました。その結果,現在進めている列車運行を管理するシステムの更新に併せて運行に工夫を凝らすことで,現在,烏丸線で可動式ホーム柵が設置されている3駅に加え,あと一駅までであればダイヤを維持しつつ,可動式ホーム柵の設置が可能であるとの判断に至ったところであります。これにより,北大路駅への可動式ホーム柵の設置については,多額の費用を要する車両改造を行うことなく乗務員が手動で列車の停止と柵の開閉を行う現行の手法が活用できると考えており,令和4年度中の設置を目指してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,下村あきら議員に発言を許します。下村議員。 〔下村あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(下村あきら議員) 改めましておはようございます。私は,下京区選出の下村あきらでございます。本年は,下京区誕生から140周年の記念すべき年であります。その節目の年に自由民主党京都市会議員団を代表し,吉井あきら議員豊田恵美議員と共に質問させていただきます。門川市長,よろしく御答弁お願いいたします。 初めに,MICE振興についてお伺いいたします。MICEという言葉を近年,よく耳にするようになりましたが,このMICEとは,企業の会議や企業が従業員の表彰や研修などの目的で実施する旅行,国際団体・学会等の総会,学術会議及び文化・スポーツイベント,展示会・見本市のことだと言われております。京都市は平成22年に国内の自治体では初めてとなる京都市MICE戦略を策定するなど,まだMICEという言葉が知られていない頃から,その可能性に着目し,以降今日まで我が国のMICE振興をけん引してこられました。しかし現在では,日本各地で会議場や展示場が整備され,各都市が競うようにMICEの推進を図っています。また,世界の各都市もMICE振興に積極的に取り組んでおり,特に中国や韓国での国際会議の開催件数の伸びは著しいものがあります。このように世界各国や各自治体がMICE振興に力を入れるのはなぜでしょうか。 一つは大きな経済効果です。会議等の開催に関わる直接的な経費はもとより,参加者の飲食代や土産物の購入,安定した雇用の創出などが期待されるからです。例えば京都市の調査では,国際会議に参加する外国人の消費額は一般の外国人観光客の1.8倍と言われております。 第二に,国際会議の開催や様々な学会・展示会の開催は,市民や各種団体に世界最先端の知識や技術に接する機会を提供し,市民との知的交流を生みます。それが,新たな産業やビジネスの創出,学術レベルの向上にもつながり,都市の活性化を呼び起こします。また,ブランド力や都市格の向上をもたらし,COP3で採択された京都議定書が世界中に名を残したことは御承知のとおりでございます。 こうした状況の下,私が脅威に感じているのはカジノを含む統合型リゾートIRです。御案内のとおり,近畿では大阪や和歌山が誘致に手を挙げていますが,大阪の基本構想案では,MICE施設をIRの中核とし,万博開催前の開業を目指して会議場も展示場も国内最大規模を計画されています。しかも隣接してカジノと3,000室以上の宿泊施設を造る構想であり,京都への影響は計り知れません。事はIRだけではありません。近畿では,奈良市の中心に外資系ホテルなどと一体となった奈良県コンベンションセンターが,来年春の開業を目指して整備中であり,全国においても,国際展示場や新たなホールやコンベンションセンターが開業し,また開業が予定されています。このように,各地で国際会議や学術会議,展示・イベント,企業の式典や会議,研修などMICEの競争が激化する中で,京都はどんな戦略で対抗するのでしょうか。最近,京都では外国人観光客の急激な増加で,交通や市民生活など観光のマイナス面が指摘されていますが,MICEは対象者も限られ,日中の活動は会議場がほとんどです。むしろ,MICEでは質の高い観光資源や接遇,学術も含めた文化力が求められ,京都の本物の活用・発展に大きな効果が期待されます。 また,近々京都で開催されますMICEとして,来週12月12日の開催が目前に迫った第4回国連世界観光機関/ユネスコ 観光と文化をテーマとした国際会議,そして,来年4月に開催されます第14回国連犯罪防止刑事司法会議京都コングレスは,いずれも国連の主催する大変重要な会議であり,京都の都市格の一層の向上を図る絶好の機会であります。特に京都コングレスについては,犯罪防止と刑事司法に関する国連最大規模の国際会議であり,COP3より大きな会議とも言われています。現在,国を挙げて準備が進められていますが,会議を成功に導くためには地元が一丸となり,オール京都での支援と協力が特に必要でございます。東京オリンピック・パラリンピックを控え,安全な日本を世界にアピールするための絶好の機会です。そのためには,学生の活用など京都の特性をいかした取組や市民への広報などに積極的かつ早急に取り組むべきと考えます。既に京都実行委員会が設立され,事務局体制も整ったとお聞きしており,市民しんぶんなどを活用して広報に取り組んでおられることは承知しておりますが,より一層周知に取り組んでいただくことが必要と考えます。 そこで,市長にお伺いいたします。今後のMICE振興,特にIR対策も含め具体的な方策はいかがでしょうか。そして,間近に迫った国連観光・文化京都会議,京都コングレスに懸ける市長の意気込みと,特に京都コングレスについては,必要な予算や組織体制を確保し,市民への積極的な広報をはじめ,会議を成功させるための取組を進めるべきと考えておりますが,どのような支援・協力を予定されているかについて,まずお聞かせください。 次に,都市公園の更なる機能向上についてお伺いいたします。京都市には,梅小路公園のように京都水族館や京都鉄道博物館との連携により活性化してきたいわゆる総合公園,円山公園のような文化的価値が高く観光名所としても名高い風致公園がある一方で,公園のうち9割を占めるのは市民に身近な街区公園です。これら街区公園にはそれぞれの特徴があり,当然ながら地域事情や住民の皆様のニーズも様々であります。市民の皆様に身近な公園は,児童公園とも呼ばれてきたように,子供たちの遊び場,健全育成の場として,長年地域の皆様に親しまれてきました。しかしながら,人口減少時代に入り,少子長寿化がますます進行するなど,社会状況は大きく変化しております。とりわけ,自然災害が頻繁する状況の中,火災の延焼を防ぐ機能を持ち,災害時に地域住民の集合場所となる場合もある公園などにつきましては,地域の皆様の防災拠点として,より重要な位置付けをされるようになっております。さらには,防災機能だけではなく地域のニーズ・実情を丁寧に酌み取りながら,公園施設の充実や整備を進めることが必要であると考えます。京都のまちは,伝統的に行政だけでなく地域の方々と一緒になって,町中の緑を大切に育んできた都市でもあります。門掃き,打ち水といった文化が市民生活に根付いておりますが,こういった文化は,公園愛護活動にもつながっており,公園ごとに地域の皆様のボランティアで運営される公園愛護協力会は,現在675まで結成数が増えたと聞いております。地域力は京都ならではの強みであり,引き続きこのような市民の皆様との協働を進めていただきたいと考えます。 また,多くの方に気持ちよく公園を利用していただくために重要なのがトイレでございます。現在,公園トイレは約280箇所あり,これまで多目的ブースの設置や洋式化などに取り組んでいただいておりますが,依然として和式便器が多かったり,施設が古くて快適に使えないといった声を地域の方々からよくお聞きします。特に,トイレットペーパーの設置を望む御意見も多く,これについては,ロールの交換やいたずら対策など,管理上の様々な課題があることは承知しておりますが,地域の皆様の力もお借りしながら,また,様々な財源も活用しながら,市民の皆様との協働により,公園トイレの環境改善を進めていくべきと考えます。変化する社会情勢や多様化する市民の皆様のニーズも踏まえ,今後,地域コミュニティの核となり得る都市公園の役割をどのように捉え,質的・機能的な充実をどのように進めていくのか,また,利用者にとって使いやすく,魅力ある公園とするための環境改善について,市長,考えをお聞かせください。 次に,持続可能な地域社会の実現に向けた環境学習の充実についてお伺いいたします。地球の平均気温は,工業化以前に比べ既に約1度C上昇しており,このまま追加的な努力を講じなければ今世紀末には4度C上昇します。海洋には既に1億5,000万トンものプラスチックごみがあり,2050年にはそれが海にいる魚と同じ量にまで増える,人類の活動によって約100万種の動植物が絶滅危機にさらされているなどなど,地球環境の危機を伝える言葉が毎日,世の中にはあふれております。このまま何もしなければ,取返しのつかないことになります。掛け替えのない私たちの地球を救うために,まず一人一人ができることから活動をしていかなければなりません。現在,マドリードで開催されているCOP25でも気候変動について真剣な議論が交わされています。京都市においては,京都議定書誕生の地として,「DO YOU KYOTO?」を合言葉に環境に優しい様々な取組を進めてきました。しかしながら,持続可能な地域社会の実現に向けては,更に取組を強力に進めていく必要があり,そのためには,市民お一人お一人の自発的な行動が不可欠でございます。私は昨年,子供たちにも分かりやすく環境にいい取組をしようと語り掛けているすばらしい歌であるDO YOU KYOTO?の啓発ソングをもっと子供たちに聞いてもらうよう関係部局に提案し,全ての小中学校へCDを配っていただきました。平成29年3月に,我が会派の寺田議員が団長を務めた海外行政調査団が門川市長に提出した,省エネルギーや再生可能エネルギーによる持続可能な地域社会の実現に向けた提言書におきましても,多様な視点からの環境教育・学習の重要性を指摘しており,本年3月,青少年科学センターに地球環境や宇宙の現象について立体的,視覚的に学べるみらい地球儀が公開されました。さらに,本年10月には,焼却炉やバイオガス化施設など,大規模なごみ処理施設を間近に見学できる新たな環境学習施設さすてな京都もオープンし,今後の環境学習施設の連携が期待されています。 持続可能な地域社会の実現に向けては,身近な問題であるごみ減量,食品ロス削減,使い捨てプラスチックや生物多様性,さらには地球温暖化など,様々な観点から,環境にいいことをするという意識を子供のうちからしっかりと学び,大人になっても持ち続け,実践してもらうことが重要であると考えますが,子供たちが環境問題に対する意識を持続し,行動に移せるよう,京都市が環境学習の充実をどのように図っていかれるのか,まず市長お答えください。 次に,水道事業における防災対策についてお伺いいたします。生命の水を供給する水道は市民生活に欠かすことのできない最も重要なライフラインの一つであります。今年の台風15号では,千葉県において長期間の停電が発生し,ポンプで給水できないという事態により断水が長期化し,その後の台風19号においては,被害が広範囲に広がり,浄水場等の水道施設が浸水したことで長期間の断水が発生しました。昨年秋に,厚生労働省において,全国の水道事業体が所管する浄水場等の災害対策について緊急点検を実施したところ,浸水想定区域内にある施設の8割以上で特段の対策が講じられていないことが判明いたしました。それを受け,防災・減災,国土強靭化のための3箇年緊急対策として,今年度から,浸水を含む災害に対して,国庫補助制度が設けられるとともに,浸水被害が原因で大規模な断水が生じる可能性がある施設に,より一層の積極的な取組を求める通知が出されました。本市では,松ケ崎浄水場の一部が浸水想定区域内に含まれておりますが,国庫補助の対象は各都市で最も施設能力が大きい基幹浄水場のみであり,本市では,給水量の約半分を担う新山科浄水場がこれに当たります。松ケ崎浄水場は本市の約4分の1の給水量を担うにもかかわらず,基幹浄水場には該当しないため,補助対象とならないことから,対策を行う場合には市単費で実施する必要がありますが,更なる補助の拡充について,引き続き国に働き掛けていく必要があると考えます。 今後,水需要の減少など,上下水道事業は厳しい経営環境が見込まれるところではありますが,昨今の台風等での被害状況を踏まえると,基幹施設である松ケ崎浄水場の浸水対策は喫緊の課題であると言えます。また,停電や豪雨等による一時的な断水時の応急対応として,避難所のみならず病院などの重要な施設での給水活動が重要となってきます。今年の台風19号でも関東,東北,甲信越等では被害が広域化し,給水車をはじめとした応急給水活動の重要性が改めて認識されたところであります。そのため,本市においても,給水車や仮設給水槽をはじめとした応急給水活動に必要となる装備の更なる充実についても検討すべきと考えます。こうした点を踏まえ,ハード面として松ケ崎浄水場における浸水対策の今後の取組と,ソフト面として給水活動の充実に向けた今後の取組についてもお聞かせください。 最後に,要望を2点させていただきます。まず,高瀬川の整備について要望いたします。江戸時代の初期に開削され,貴重な文化遺産となっている高瀬川は,平成20年頃には護岸の老朽化により水枯れが発生するようになり,水辺環境や水辺景観の喪失などの問題が生じました。このような状況を踏まえ,高瀬川一帯の魅力ある水辺づくりのために,平成22年度から,高瀬川再生プロジェクトとして護岸の改修や水枯れを防止する再整備が行われ,令和2年度末には五条通までの区間が完成する見込みとなっています。一方,五条通から七条通の間においても,上流部同様,護岸の老朽化により整備が必要な状況であり,このエリアにお住まいの方々による河川愛護団体,菊浜高瀬川保勝会をはじめとする各保勝会から,この区間の整備についての要望書が提出されております。高瀬川開削400周年記念誌「高瀬川さんぽみち 二条~七条木屋町そぞろ歩き」の中で,この高瀬川も現在までには,幾度もの埋立計画を回避し,人々はその景観を心にとどめ,川の流れに歴史を思う景勝の地と紹介されています。この魅力ある高瀬川が,今後50年も100年も輝き続けることができるよう,是非,この区間の再整備を引き続き実施していただくことを強く要望いたします。 次に,本市の防災服の改善について要望いたします。平成7年の阪神・淡路大震災のときに,当時の国土交通大臣の防災服の色が暗いという一言で,その後,防災服に黄色やオレンジ色が採り入れられました。また,他都市でも視認性のよい防災服に改善がされました。しかし,本市の防災服は,私が平成元年4月1日に,京都市消防局から総務局総務部総務課防災係主査に着任して初めて着用した服のままでございます。いまだに水色の目立たない防災服が使われ続けています。災害活動に従事する職員は,目立つことが大事です。防災服の視認性を高めることにより,被災者や市民からも視認してもらいやすくなるほか,自分の存在を周囲に気付いてもらえることによる職員の安全確保にもつながるため,より円滑な災害活動にはこの視認性の高い防災服が欠かせません。平成28年4月に大きな地震に襲われた熊本県では,県庁として備えておくべきだと気付いたものの一つに防災服を挙げられています。当時,避難サポート,救護,支援物資の配布,がれき撤去など,熊本県の職員は様々な市町村へ派遣され,県民の救援に当たられました。しかし,防災服は一部の職員しか持っておらず,多くの職員は普通の作業服を着ておられ,住民からすると,ぱっと見て何者なのか分からない。県の職員が来ていることが分かれば人々の安心につながる。正に安心をもたらすシンボルマークとして,職員全員が同じ防災服を持つことに意味がございます。県内中の様々な場所で人々を励ます県庁職員のシンボルマークとしてのエマージェンシーウエアを備えておくべきであったと,このように熊本県も言っておられます。 そこで,災害活動の基本となる本市職員の防災服について,より視認性の高いものに今こそ市長,要望でございますが,これはきっちりとやっていただくようにお願いをしたいと思います。御答弁をいただけないことは分かっておりますけれども,私も防災服を着用して50年,いまだに変わっておりません。門川市長の一言で変えよう,よろしくお願い申し上げます。強く強く要望させていただきます。 以上をもちまして私の代表質問を終わります。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問にお答えいたします。 まず,国際会議等MICE振興についてであります。本市では,MICEの受入環境の整備や誘致支援策の充実等に努めた結果,この5年間で京都市内で開催される国際会議の件数が,176件から348件へと2倍になるなど大きな成果を挙げてまいりました。近年,国内外でIRの誘致や大型会議場の新設が進んでおりますが,本市といたしましては,京都ならではのお寺・神社との連携,伝統文化・伝統産業,二条城などの積極的な活用,京都の魅力を最大限に活用したMICEを一層推進するほか,国際会館ニューホールの5,000人規模への拡充を引き続き国に強く要望してまいります。あわせて,IRへの訪問客が京都にも訪れ,にぎわいと経済効果が確実に波及するよう都市間連携やPRを強化してまいります。来週開催される国連の観光・文化京都会議は日本での初開催であり,文化と観光の力で,貧困,格差,紛争,環境問題など,世界のあらゆる社会的課題の解決を目指したSDGsを達成するため,各国の大臣等が議論を行う貴重な場であります。文化と観光で先進的な取組を進め,SDGsでも高い評価を得ている京都市において,私からも,京都での市民ぐるみの観光の課題解決の取組,持続可能なまちづくりの実践とその成果について報告いたします。そして,この国際会議の成果を京都宣言として取りまとめ,世界へ発信するとともに,京都でより一層進化させてまいります。 また,来年4月に開催される,国連の犯罪防止刑事司法会議京都コングレスは,安心安全な日本・京都を世界に広くアピールするとともに,多様性や社会包摂,一人一人を大切にするまちづくり,さらに,この5年間で45パーセント減少した犯罪の更なる減少や,再犯防止の取組を市民ぐるみで一層進める契機とするべきであると考え取り組んでおります。さらに現在,京都府や京都の経済界と実行委員会を立ち上げ,オール京都体制による準備を進めております。今後,学生ボランティアの方々の参画や機運醸成のための広報,京都らしいおもてなし等を実施するために必要な予算を確保し,法務省ともしっかりと連携しながら取り組んでまいります。引き続き,京都の魅力の向上を図り,地域経済の活性化,市民の豊かさにつながるMICEの振興に戦略的に取り組んでまいります。 次に,都市公園の機能向上についてでございます。公園は,子供たちから高齢者まで幅広い世代の方々が利用され,市民生活に憩いと潤いをもたらす貴重な都市空間でございます。近年は,公園体操が広がるなど,健康増進や,市民活動・地域コミュニティの形成の場,また,災害発生時の避難場所としても重要となり,公園に求められる機能・役割は,より一層幅広いものになってきております。そのため,本市では,公園の再整備の機会などを捉えまして,地域住民の皆様とのワークショップを重ねる中で,様々な御意見・御要望をできる限り反映し,地域の皆様に真に必要とされ,愛される公園の整備を進めてきております。現在,本市が管理する公園は900を超え,その中には老朽化対応が必要なものがあり,国の交付金や宿泊税などの財源を最大限に活用し,再整備やトイレのリニューアル・洋式化などに着実に取り組んできたところでございます。 また,日々の維持管理におきましては,除草・清掃などについて,地域のボランティア団体である公園愛護協力会の皆様に大変な御協力をいただいているところでございます。下村議員から御提案ございました市民との協働による公園トイレへのトイレットペーパーの設置につきましては,地域において管理体制が整った公園で検討を進めてまいりたいと考えています。今後も,公園を取り巻く社会情勢や住民ニーズを的確に捉え,トイレの利用環境の改善をはじめ,快適性・利便性の向上,かまどベンチ,マンホールトイレなどの設置による防災機能の強化,さらには健康長寿に資する公園づくりを積極的に進めることなどにより,公園が地域コミュニティの核となり,地域に開かれた安心安全で魅力あふれたものとなるよう,更なる機能向上に取り組んでまいります。 次に,環境学習の充実についてでございます。恵み豊かな地球環境を将来の世代に継承していくためには,社会全体において環境保全活動の促進が極めて重要であり,生涯にわたって間断なくライフステージに応じた環境教育・学習による人づくりが何よりも重要であると考えます。とりわけ,下村議員御指摘のとおり,子供の頃から,環境にいいことをするという意識を育むことは,大人になっても実践し続けることになり,さらには周囲の大人の行動の改善にもつながり,環境保全に向けた鍵となると考えております。本市では,これまでから,地球温暖化防止の取組を自ら考え,家庭での実践につなげるこどもエコライフチャレンジを,全ての市立小学校で実施しております。この取組にSDGs,2050年CO2排出量正味ゼロ等といった喫緊の課題を盛り込むなど,絶えず内容の充実を図り,子供たちの更なる意識の醸成を図ってまいります。 また,本年10月には,子供の頃から世界最先端の環境技術や幅広い環境問題について楽しく学べ,訪れた方の行動を変えるきっかけとなる新たな環境学習施設・さすてな京都をオープンさせました。今後,より多くの小学生に見学していただけるようにするほか,京エコロジーセンターや青少年科学センター,さらには動物園,水族館等とも連携し,地球温暖化,生物多様性保全,プラスチックごみによる海洋汚染などについても学びの場に加えまして,環境分野におけるイノベーション等も学べる,このような取組をしっかりと進めまして環境学習を充実させてまいります。これらの取組の積み重ねにより,京都が誇る地域力,人間力に更に磨きを掛け,環境先進都市・京都として,持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。 なお,下村議員御案内のCOP25につきましては,,環境省からの要請により,2050年CO2正味ゼロを目指す日本の先進自治体として,私の代理として本市の局長等を派遣し,小泉進次郎環境大臣と共に本市の取組を世界に発信してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 水道事業における防災対策についてでございます。水道は市民生活に欠かすことのできないライフラインであり,安定的に供給していく必要があることから,全国水準を上回る水道配水管の更新や停電対策としての非常用発電設備の設置などに取り組んできたところでございます。しかしながら,今年の台風等では,主に関東地方において,浄水場等の水道施設への浸水により断水するという事態が生じました。本市におきましては,電気設備を更新する際には地上に設置するなど,予防策を講じてきたところでございますが,下村あきら議員御指摘のとおり,松ケ崎浄水場の一部が浸水想定区域となっていることから,更なる対策が必要であると認識しております。そこで,浸水が想定される施設への止水板の設置など,具体的な対策に取り組んでいくとともに,引き続き全国の水道事業体などと連携し,国に対して財政支援制度の拡充を強く要望してまいります。 一方,断水などが発生するような災害時には,市民生活への影響を最小限とするため応急給水活動が極めて重要でございます。日頃から,水道技術研修施設におきまして応急給水をはじめとした様々な防災訓練を行い,災害対応力の向上に努めております。特に,病院などの重要な施設に対し,災害時における給水を滞りなく行えるよう,12月17日には災害拠点病院に指定されている京都市立病院と共同で,受水槽への給水訓練を初めて実施することとしており,今後,他の災害拠点病院も含め,連携を進めてまいります。また,給水車や仮設給水槽についても,昨今の災害対応の状況も踏まえ,今後は容量の大きな給水車を増やすなど,迅速な対応が図れるよう災害時の給水活動に必要となる装備を更に充実させてまいります。市民の皆様の命と暮らしをしっかりと守るため,より強固な防災体制の構築に全力を傾注してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,豊田恵美議員に発言を許します。豊田議員。 〔豊田恵美議員登壇(拍手)〕 ◆(豊田恵美議員) 左京区選出の豊田恵美です。自由民主党京都市会議員団を代表して,吉井あきら議員下村あきら議員に続き質問をさせていただきます。新しい令和の時代の幕開けと共に,京都市会議員としての初めての任期が始まりました。記念すべき令和元年に,私を市政壇上へと送り出していただきました左京区の有権者の皆様,そして代表質問の機会を与えていただきました会派の先輩議員の皆様に,この場をお借りして,改めて心から感謝御礼を申し上げます。 日本において,昭和20年に初めて女性の参政権が認められました。それまで女性は,立候補することも,投票することさえもできず,その権利を獲得するためにどれほど多くの先人たちが尽力をされてきたことでしょう。平成になり選挙権は18歳以上に引き下げられ,政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が施行されました。まだまだとはいえ,今回の統一地方選挙後,改選定数に占める女性議員比率は過去最高となりました。今期,京都市会においては定数67人中15人が女性議員,女性比率は22.4パーセントで,前期当初と比べ3人増え,4.5パーセント上昇しました。新しい令和の時代。少子高齢化が進み,人口減少社会に突入した日本が活力ある豊かな国に発展していくためには,多様な意思が政治や社会の政策・方針決定に公平・公正に反映されることが必要であり,政治分野における女性の参画拡大は最も重要な課題です。自由民主党京都市会議員団唯一の女性議員として,市民と歩みを共にし,新しい時代にふさわしい大都市の在り方を希求するべく,女性の視点をいかし,京都市の課題解決に全力を注ぐ所存です。 まず初めに,女性の活躍推進について質問をさせていただきます。女性の活躍推進を進めるため,平成27年に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が制定され,京都においては,オール京都体制の輝く女性応援京都会議の設置,京都女性活躍推進応援計画の策定,女性活躍支援拠点・京都ウィメンズベースの開設などの取組が進められてきました。京都市においても幅広い年齢層での女性の就労が進み,特に25歳から39歳の女性の有業率は,平成24年の71.4パーセントから75.2パーセントと,この5年で大きく伸びています。有業率は結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し,育児が落ち着いた時期に再び上昇する,いわゆるM字カーブについても,年々へこみが浅くなっています。共働き世帯も年々増加し,夫婦共に仕事を持つ家庭が主流となっています。育児や介護との両立支援制度や職場環境が整備され,全国的にも女性の就業率は70パーセント近くまで上昇しました。しかし,実際には,第一子の妊娠・出産を機に約50パーセントの女性が離職をしているという現実があり,女性の就業・キャリア形成にはいまだ多くの障壁が残されています。私自身も現在小学校2年生の娘を持つ母親の一人ですが,仕事と育児との両立に限界を感じ,二人目の出産には進むことができませんでした。女性が輝ける躍動感あふれる社会の実現のためには,結婚・出産後も女性が社会で活躍し続けられる社会システムの構築,家庭生活・地域活動・社会貢献を両立できる新しい働き方改革,若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる環境整備が喫緊の課題です。女性の社会進出を支えるためには,保育などの子育て環境の整備や,企業における就業継続の取組支援も必要ですが,それと同時に,男性の家事・育児参加,いわば男性の家庭進出を強く前に進めなければ,社会における女性活躍は実現しません。6歳未満の子供を持つ共働き世帯において,男性の約80パーセントが家事を行っておらず,約70パーセントが育児を行っていないのが現状です。1日当たりの家事・育児時間も,女性が7時間34分であるのに対し,男性は1時間23分と,約5倍の差があります。本来,家事・育児は夫婦で行うべきものでありますが,家庭生活における家事・育児の負担が依然として女性に偏っているのが現状です。女性の就業・管理職登用が進めば進むほど,女性は仕事で重責を担いながら,家庭でも従来どおりの家事負担を負い続ける状況に陥ります。女性が輝ける躍動感あふれる社会を実現するためには,女性だけに働き掛けても限界があり,抜本的な男性の意識改革が必要です。男性の家事・育児参加の促進を強力に進めていく必要があると考えますが,本市のお考えをお聞かせください。 次に,男女共同参画の視点に配慮した避難所づくりについてお伺いをします。国内の近年の情勢をふかんしたとき,特筆すべきは自然災害の激甚化です。それぞれの都市において,日常からの備えに遺漏なきを期すとともに,国土強じん化の更なる推進に向け,民意の醸成と啓発に努めていかなければなりません。本市においても,各学区の防災訓練では実際の災害発生を具体的に想定し,より実態に即した避難所運営訓練が行われていることを実感しています。 近年の多発する災害により,全国各地で開設される避難所の状況を見ると,要配慮者が避難しにくい状況にあることが危惧されており,その中でも,とりわけ母子に対する配慮が特に必要とされています。災害時には,避難所等や自宅での慣れない生活環境により,心身の健康に影響が生ずることが想定され,特に,妊産婦及び乳児については心身の負担が大きくなることと併せて,断水や停電等により授乳のための清潔な環境等が確保できない可能性も大いに考えられます。授乳中の女性への支援について,とりわけライフラインが断絶された場合においても,水等を使用せずに授乳できる乳児用液体ミルクの活用価値は高く,母子に対する環境整備の一貫として,備蓄の検討を前向きに進めていただきたいと考えます。防災に関する訓練や啓発活動,避難所環境の整備に関しても,男女共同参画の視点が必要とされていますが,乳児用液体ミルクの備蓄と併せて,本市のお考えをお聞かせください。 まずは,ここまでについての御答弁をお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 豊田恵美議員の御質問にお答えいたします。 女性活躍推進についてでございます。平成27年に成立した女性活躍推進法の下,オール京都体制で輝く女性応援京都会議が率先して多彩な事業に取り組むことにより,女性の就業率や管理職登用率の上昇など,企業における女性活躍は着実に進んできており,京都市も積極的に役割を果たしてきております。女性活躍を更に進めていくためには,長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の導入など,社会全体で働き方を改革し,家庭生活,子育て環境の充実を図ると同時に,豊田議員御指摘のとおり,男性の意識改革が極めて重要であります。とりわけ,男性の家事・育児参加の促進については,女性の活躍推進の土台となること等を考えており,加えまして家族のきずなを深め,男性自身の成長や地域活動のきっかけともなり,少子化の克服にとっても有効であると考えております。このため,京都市では,男性の家庭生活での活躍を後押しするため,初めて父親となる男性を対象にした育児講座の開催や男性の家事や介護等をテーマとした啓発誌の発行など,様々な取組を進めているところであります。 また,来年1月に京都で開催する女性活躍のための全国サミットWITでは,1箇月以上の男性育児休業取得率100パーセントの企業や,経営者自らが率先して育児休業を取得された企業を迎えまして,パネルディスカッションを開催し,企業や自治体における取組の拡大につなげてまいりたいと考えております。さらに,来年度に策定する次期男女共同参画計画におきましても重点的なテーマに据えまして,女性活躍の定着,そして性別にかかわらず誰もが仕事・家庭・地域で生き生きと活躍できる真のワーク・ライフ・バランスの実現に向けまして,また,持続可能な社会構築のためのSDGsの観点も踏まえまして,企業・社会の意識改革の取組をしっかりと進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 森元危機管理監。 〔森元危機管理監登壇〕
    ◎危機管理監(森元正純) 避難所の環境整備についてでございます。本市では,要配慮者にも優しい避難所づくり,男女共同参画の視点に配慮した避難所づくりを避難所開設・運営の基本方針に掲げ,地域の女性の方々も参画いただくなど,多様な視点を取り入れた誰にでも優しい避難所運営を行うこととしており,この考えに基づいて避難所ごとの運営マニュアルを策定しております。また,女性の視点で災害時の適切な行動や持出しグッズの例などを記載した防災ハンドブックを作成し,京都市市民防災センターなどで配布しているほか,京都府・市の男女共同参画センターの連携によりますきょうと男女共同参画センター防災事業の実施などを通じて,防災対策におきましても,共に支え合い一人一人が持てるカを発揮できることを目指しています。豊田議員御指摘のとおり,災害が多発する近年,避難所において要配慮者となる乳幼児等への配慮が従前にも増して求められております。液体ミルクにつきましては,開封後に小分けすることができない,保存年限が粉ミルクと比較して短い,単価も割高であるなどの課題もあると考えておりますが,水道をはじめとするライフラインが途絶えるような大規模災害等の緊急時には有用なものと認識しております。液体ミルクの備蓄物資としての採用につきましては,引き続き検討してまいりますが,災害時の物資供給の協定を締結している事業者の中には,既に液体ミルクの取扱いを開始している所もあることから,まずは,災害発生時にはこれらを活用してまいります。また,女性が授乳しやすい環境を作るために配備しております手軽に設置できる屋内パーテーションなどにつきましては,今後,配備数を増やすなど,より安心して過ごせる避難所づくりに取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 豊田議員。 〔豊田恵美議員登壇〕 ◆(豊田恵美議員) 続きまして,小児難聴に関する施策の充実についてお伺いいたします。京都市は,平成28年に,京都市手話言語がつなぐ心豊かな共生社会を目指す条例・手話言語条例が市会議員全員により提案され,全会一致で可決のうえ制定・施行されました。手話による自由なコミュニケーションが保障される社会の構築を目指している都市でもあります。聴覚障害は,出生後早期に発見され,補聴器や人工内耳の装用など適切な支援が行われた場合には,聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられる可能性が高いことから,その早期発見・早期療育が重要であり,一層の取組促進が求められています。また,聴覚障害児に対する早期療育の促進のためには,聴覚障害児及びその家族に対して,都道府県及び市区町村の保健,医療,福祉及び教育に関する部局や医療機関等の関係機関が,連携して支援を行う必要性が指摘されています。厚生労働省概算要求にて,新生児聴覚検査及び聴覚障害児支援の推進予算が,令和元年度予算は4,900万円であったのに対し,令和2年度においては6億5,000万円と約13倍の予算が計上されました。この予算は,まず,第一に,聴覚障害の早期発見・早期療育を図るため,都道府県における新生児聴覚検査結果の情報集約や,医療機関・市区町村への情報共有・指導等,難聴と診断された子を持つ親等への相談支援,産科医療機関等の検査状況・精度管理等の実施を支援するためのものであります。 そして第二に,保護者に対する相談支援,人工内耳・補聴器等の適切な情報提供,聴覚障害児の通う地域の巡回支援などの聴覚障害児支援のための中核機能の整備や,市区町村における手話通訳等のモデル的体制を整備することなどにより,聴覚障害児の早期支援の推進を図るためのものでもあります。これらの予算の大半は都道府県が対象となっているものの,全国的には,現在,聴覚検査方法の開発の進展や新生児期に聴力を判定できる検査機器の普及等により,大半の医療機関において聴力をスクリーニングできる体制が整備されています。しかし,助成がなければ自己負担となるため,主に経済的な理由でこの聴力検査を受けることのできない新生児がいるのも現状です。小児難聴に関する施策の充実を図るべきと考えますが,本市の今後の取組をお聞かせください。 次に,児童虐待対策におけるコンビニエンスストアの活用についてお伺いします。虐待により幼く尊い命が失われるという痛ましい事件の発生は,全国で後を絶ちません。平成30年度の全国の児童相談所の児童虐待相談対応件数は,速報値で過去最多となる15万9,850件にも及び,子供や子育て家庭にどのような支援の手を差し伸べることができるのかが,地域社会で暮らす一人一人に突き付けられている大きな課題となっています。京都市においても,平成30年度の児童相談所への児童相談・通告件数は,過去最多の2,128件となっています。掛け替えのない存在であるはずの子供に対する虐待がこれほどまで数多く発生している背景には,多くの子育て家庭がかつてないほどに孤立した状態に置かれているという現実があります。核家族化や少子高齢化,格差社会の進行,地域コミュニティの希薄化等,社会全体の大きな変容とともに,保護者自身の育ちの中での愛着や信頼関係の失墜等の要因も重なり,家族や親族だけでなく,地域社会からも孤立した状態にある子育て期の大人たちの姿があります。児童虐待に対する問題意識も高まり,通報件数も増えつつあるにもかかわらず,痛ましい虐待事件が後を絶たない現状を踏まえると,行政と市民が協働した更なる支援強化が求められています。児童相談・通告の発信者は,そのほとんどが大人であり,虐待を受けている子供は,自ら児童相談所へ相談することも,誰かに救済を求めることも自分ではできないのが現状です。児童虐待の救済のためには,虐待を受けている子供自らが,救済を求められる身近な場所が必要です。 この問題意識を持って社会全体を見渡したとき,課題解決の可能性を感じる場所の一つがコンビニエンスストアです。コンビニエンスストアへの来店により児童虐待が発見された事例は多く,児童虐待の防止や救済にコンビニエンスストアが果たせる役割は非常に大きいと考えます。私自身もコンビニエンスストアを経営している中で,行政以上に市民生活に身近な存在であること,地域の居場所づくりやコミュニティの活性化等,小売業を超えた価値を市民の皆様に提供させていただいていることを大変うれしく感じています。店舗数は全国で5万6,000店舗を超え,ほとんどの店舗が24時間営業を実施しています。虐待を受けている小さな子供が,児童相談所や区役所に行けなくても,家の近くにあるコンビニエンスストアなら,自ら救済を求めに行くことが可能です。児童虐待は発生予防の観点で捉えることが非常に重要であり,身近なコンビニエンスストアがまちの安全安心の拠点の一つとして地域社会を見守ることで,児童虐待防止の一翼を担うことができると考えますが,本市の御見解をお聞かせください。 最後に,岡崎地域の更なる魅力活性化について要望させていただきます。平成23年に,岡崎地域活性化ビジョンが策定をされました。当時は情報発信が弱く,知名度が低い,美術館・動物園・京都会館など多くのすばらしい施設があるが施設間の連携が弱い,夜が寂しいなど,様々な課題がありました。課題解決に向け,地域の施設や団体,事業者などで構成する官・民・地域連携のエリアマネジメント組織,岡崎魅力づくり推進協議会がこの間,様々な取組を進めてこられました。動物園やロームシアターのリニューアルオープンに加え,神宮道のプロムナード化が行われ,先日しゅん工式が執り行われた美術館も来春に新しく生まれ変わるなど,ますます岡崎地域の魅力向上が期待されています。一連の取組の成果として,岡崎地域への来訪者数は,平成23年に500万人であったのが,平成30年度は640万人を達成しました。美術館が閉館中であることを踏まえると,来年度は700万人を達成するのではないかと大きな期待が寄せられています。正に,京都の岡崎であり,日本の岡崎,そして世界をも魅了する岡崎にまで成長を遂げています。地域活性化という意味でも成功している地域であり,地元議員として誇りを感じています。今後も引き続き岡崎のブランド・魅力を発信し,岡崎のにぎわいを持続可能なものにしていただきたいと考えます。世界的にも知名度が向上しつつある一方で,左京区民からも,自分たちのまちに岡崎があってよかったと思ってもらうことが重要です。地元岡崎学区以外の左京区民の皆様にも,エリアマネジメントの取組に参画していただき,左京区民全員が左京区の岡崎という視点を持ち,岡崎に対する誇りを持っていただきたいと考えています。今年は左京区が上京区から分区により誕生してから90周年を迎え,様々な記念事業が行われ,地域の魅力を再発見されています。先日,みやこめっせで開催された左京区民ふれあいまつりをはじめ,地域に一番近い区役所が,これまで以上に積極的に岡崎に深く関わり,区民に愛着を持って岡崎公園や岡崎の施設を利用していただくことを通じて,左京区民一人一人が岡崎を盛り上げる主役となっていただくことが重要であると考えます。インバウンドの方も含め,多くの来訪者と交流しながら,岡崎の魅力を共有できるよう,左京区を挙げて岡崎を盛り上げていけるような息の長い取組を要望させていただきます。京都市政の最大目標は,京都市市民の最大幸福であり,政治は国民の生活を平等・公平に照らす明るい光であります。 今後も誰一人取り残さない,持続可能なまちづくりを要望し,私の質問を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,豊田恵美議員の御質問にお答えいたします。 児童虐待対策におけるコンビニエンスストアとの連携の強化,活用についてでございます。児童虐待から子供たちを徹底的に守り抜く。そして,子供たちが心身共に健やかに育っていけるよう地域と一緒になって見守り,支えていく。私は,その強い決意の下に,指定都市平均の約1.3倍となる61名の児童福祉司を配置し,全国トップレベルの体制を確保してまいりました。特に,本年4月には,課長1名及び児童福祉司4名の計5名を児童相談所に増員,そして地域の関係機関等と連携した寄り添い支援を抜本的に充実するために,全ての子供と子育て家庭に対して切れ目のない支援を行う各区役所・支所の子どもはぐくみ室に,合計24名もの大幅な職員の増員を行いました。合計29人の増員という抜本的な体制の強化等により,万全を期しているところであります。 これまでコンビニエンスストアにつきましては,子ども食堂をはじめとした社会福祉施設に商品を御寄贈いただくなど,本市との緊密な連携の下に取組を進めてきていただいております。豊田議員御指摘のとおり,市内には約700のコンビニの店舗があり,その営業時間や気軽に利用できる営業形態等から,地域の一員として,大きな役割を果たしていただける可能性を秘めていると認識いたしております。特に,児童虐待との関係につきましては,困りを抱えた子供に速やかに気付き,189や児童相談所をはじめとした窓口につないでいただくなど,いわゆる気付きの窓口として,虐待の未然防止や早期発見の役割を担っていただくことも含めまして,今後各事業者と連携し,具体的な方策等について検討を深めてまいります。引き続き,子供たちの健やかな育ちと,掛け替えのない命を徹底的に守り抜くために,地域,企業,教育,福祉機関,行政が一体となって,地域社会全体で子育て家庭を,子供をしっかりと見守り,支えていく,その取組を進めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 小児難聴に対する取組についてでございます。子供の聴こえの問題への支援においては,早期発見・早期治療・早期療育が何よりも重要と考えております。こうした認識の下,本市では,母子健康手帳をお渡しする際に,新生児聴覚検査について分かりやすく説明したチラシを配布し,出産前から周知,啓発の取組を始めております。その後も,生後4箇月までの乳児のいる全ての家庭を訪問するこんにちは赤ちゃん訪問をはじめ,乳幼児とのあらゆる接触機会において,丁寧に状況を確認し,聴覚障害の疑いがあった際は,保護者や御家族に寄り添う中で,専門の医療機関を御案内するなど,必要な支援に気付き・つなぐ取組を展開してまいりました。 さらに,この取組を深めるべく,昨年度,独自に約800人の乳児を対象に,新生児聴覚検査の受診状況に関する調査を行ったところ,94.5パーセントと国の調査数値よりも10ポイント以上受検率は高いものの,豊田恵美議員御指摘のとおり,費用が高い,必要性を感じないなどの理由により,約4パーセントの乳児が受診していないことが明らかとなり,より一層の普及啓発や経済的支援の充実の必要性を実感しているところでございます。国におきましては,御案内のとおり,来年度に向けまして,普及啓発や新生児聴覚検査に係る関係機関による協議会の設置,検査の精度管理等を都道府県に強く求める概算要求が明らかとなっております。小児難聴に関する施策を充実する場合,多額の経費が必要となりますが,医療機関との緊密な連携の下,引き続き全ての子供たちが希望を持ち,誰一人取り残さない社会を実現するため,出産前から学齢期までの切れ目のない支援の充実に向けまして力強く取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,樋口英明議員に発言を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 左京区選出の樋口英明です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。 9月市会において我が党は,門川市政3期12年を振り返りながらの議論を行ってきました。暮らしや経済の活性化,まちづくりの問題など,どの分野においても市政を転換する必要性を改めて感じています。市民の声に背を向け,国の悪政をそのまま持ち込む市政から,市民の声をしっかりと聴き,市民の暮らしと仕事を丸ごと応援する市政への転換を求めるという観点から質問をしたいと思います。 初めに,暮らしの問題についてお聞きします。9月市会では,門川市政が京都市基本計画・京プランに基づいて,社会福祉関連経費を含む事務事業の見直しで,市民の暮らしに深刻な影響が出ていることを我が党が指摘しました。すると市長は,就任以来,社会福祉関連経費を817億円増やし,市民の命と暮らしを守る取組を大きく前進させてきたとの認識でした。それならば,なぜ市民から暮らしが大変だとの声,例えば年金の支給額が少なく,子供たちも給料が上がらず,ぎりぎりの生活,孫たちの教育のためのお金の応援を求められてもできないとか,年金が減らされたうえ,月々の介護保険料の負担が大きく,病気になっても医者に行けない,野菜も高くて買えない,暖房費も節約せざるを得ない,日々の暮らしは厳しすぎるといった声が寄せられてくるのでしょうか。その一番の理由は,国がこの間,社会保障予算を大幅に削ってきたことにあります。安倍政権の7年間だけでも,社会保障の改悪はあらゆる分野に及び,年金の給付だけでも2兆円近い削減が行われました。そのほかにも,高齢者の医療費の負担増,介護保険の保険料と利用料の値上げ,介護報酬や診療報酬の削減,生活保護費の引下げなどが次々と行われ,社会保障費の削減額は7年で4兆2,000億円を超える規模となっています。先ほど紹介した市民の切実な声は,こうした改悪による痛みの大きさを示しているものにほかなりません。京都市の社会福祉関連経費が817億円伸びたとはいえ,それは高齢化による自然増が含まれたものであり,さらに,国の制度改悪でそれまでの社会保障水準が下げられ,消費税増税まで押し付けられ,市民の暮らしが苦しくなっているのですから,なんら胸を張れる話ではありません。市民の暮らしの実態に寄り添うならば,国に対して改悪をやめるようものを言うことが必要です。しかし,市長は,国も財政が大変などと容認するかのような認識を示しているのですから,これでは,地方自治の精神を発揮しているとは到底言えません。 そこで,まずお聞きします。国の度重なる社会保障改悪により,市民の負担が大変重くさせられてきているという認識が市長にあるのでしょうか。また,国に対して,改悪してきた制度を少なくとも元に戻し,市民の負担を軽減するよう求めるべきと考えますがいかがですか。お答えください。 今,市長に求められていることは,市民の暮らしが厳しくなっているという現実にしっかりと寄り添い,社会保障の拡充を図る市政を実現することです。先ほどの社会福祉関連経費の総額が増えたという中で,京都市独自の努力がどれだけ行われたのかと言えば,国の補助金を含めた総額の伸び率よりも,京都市独自の社会福祉関連経費の伸び率は大変低くなっています。ここには,京都市の努力が足りていないことが示されています。本来は,京都市の独自努力を強めて,国の制度改悪の防波堤の役割を果たし,社会保障を維持・拡充しなければなりません。 ところが,門川市長は就任以来,国民健康保険料を3年連続して値上げし,保育園の保育料や学童保育の利用料を値上げするなど,市民に負担を押し付けてきました。さらに2012年からの京プランにおいて,社会福祉関連経費を含む事務事業の見直しで,この8年間で700億円以上の削減をしてきました。その結果,高すぎる国民健康保険料は高止まりのまま,介護保険料の値上げ,保育士の処遇改善への予算の削減,生活保護費の削減,中央斎場火葬料の値上げ,市営墓地管理料の値上げなど,正にゆりかごから墓場までの負担増が次々と行われてきました。結局,国の社会保障削減の方針をそのまま京都市に持ち込み,それに輪を掛ける形で,市民に負担を押し付けてきたというのが実態です。例えば,子供の医療費支給制度ですが,京都府の制度に何も上乗せをしていない,つまり,3歳になったら窓口負担が1,500円になる自治体は,京都府内で唯一京都市だけとなっています。子供と子育て世代に余りにも冷たいと言わざるを得ません。中学校卒業まで通院も無料とするのに必要な予算は15億5,000万円です。府市協調で,従来のとおり,半分は府の負担となれば7億7,500万円で実現できます。どうしてこの予算が組めないのでしょうか。貧困と格差が広がり,特に子供の貧困問題が深刻になっているときだからこそ,子供の医療費の無料化を中学卒業まで拡充し,いつでも安心して病院に掛かれるようにするべきと考えますがいかがですか。 高齢者の皆さんも,年金が減らされ,介護保険料が値上げされ,生活が苦しくなるばかりです。そのような中で,市長が敬老乗車証を改悪し,1回乗る度に料金を取るという,いわゆる応益負担の制度に変えようとの方針を示していることは,市民の理解を得られるものではありません。市民の皆さんが現行の敬老乗車証の存続を求めて市長に提出した署名は,4万4,000人分にまで達しています。こうした市民の声に応えて,応益負担の方針は撤回し,現行の敬老乗車証の制度を存続するべきと考えますがいかがですか。ここで一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 樋口英明議員の御質問にお答えいたします。 社会保障制度についてでございます。国民に健やかで安心できる生活を保障するという明確な理念の下,貧困の解消や健康増進,子育てや介護など,生活を営むうえでの様々な課題を国全体で支えていくのが社会保障制度であり,この間の国における制度の見直しは,急速な少子化,長寿社会の到来等,社会構造の変化に対応し,持続可能なものとするためのものと認識しております。その中で,私は,福祉の現場を預かる基礎自治体の責任者として,国に対して積極的に提言を行うと同時に,一人一人を徹底的に大切にする,福祉は決して後退させない,充実させるという強い決意の下,市政運営を進めてまいりました。その結果,様々な施策を前進させ,例えば,長寿福祉の分野では,高齢者施設の充実について,明確な目標に基づく取組を進め,介護老人保健施設,老人デイサービス,特別養護老人ホームなどの施設を平成20年度の324施設から平成30年度には674施設と,2倍以上に増やし,確保し運営されております。 また,障害福祉の分野では,本市独自の取組として,利用者負担の軽減や,事業所への助成による重度障害のある方へのサービス水準の向上などに努めてまいりました。さらに,子育て支援については,令和元年度には約49億円の独自財源を投入し,国基準を上回る保育士を配置するなど,質の高い保育を確保しながら,国基準で6年連続となる保育所等待機児童ゼロを達成し,学童クラブ事業でも,条例の基準に基づく職員の増配置や新たな実施場所の確保を進めながら,8年連続で待機児童ゼロを継続しております。現在,国においては,全世代型社会保障検討会議等において,持続可能で安定的な社会保障制度の在り方が議論されているところでありますが,京都市といたしましては,議論の動向を注視しながら,これまでと同様,市民生活を最前線で支えるという立場を堅持し,国に対して必要な提言,要望を行ってまいります。 以下,関係事業者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 敬老乗車証制度についてでございます。本制度は,高齢者の皆様の社会参加を促進し,健康長寿のまちづくりを進めていく重要な施策であります。一方,対象者は大幅に増加し,本制度に必要な市税負担は,制度発足時の約3億円の16倍となる49億円を要しており,団塊の世代の方が70歳以上となる時期を迎える中,更なる負担の増加が確実であります。本市の厳しい財政状況の中,現行制度のまま継続すれば,制度自体が破綻するおそれがあり,また,交付率の低下,地域による利用状況の相違などの課題もございます。このため,平成29年度には,制度を取り巻く状況を市民の皆様に知っていただくため,市民しんぶん等による周知やアンケート調査を実施し,制度に対する考え方をお聞きし,また,様々な御意見を頂戴したところです。引き続き,アンケート調査結果や社会福祉審議会の答申に基づいて既にお示ししている基本的な考え方などを踏まえ,将来にわたって,持続可能でより多くの高齢者の皆様が使いやすい制度となるよう慎重に検討を重ねてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 子ども医療費についてでございます。子ども医療費支給制度については,全ての子供を健やかに育むため,国による補助制度のない中,厳しい財政状況でも,市府協調の下,着実に拡充を図ってきました。さらに,本年9月診療分からは,3歳以上の通院医療費の自己負担額をこれまでの3,000円から半額の1,500円に引き下げる8度目の拡充を行ったところです。今後は,今回の制度拡充の状況及び市会で頂いた御決議を踏まえ,真に持続可能な制度とする観点から,検討していくべきものと考えており,直ちに中学校卒業まで無料にすることは,巨額の財源が必要であるため極めて困難です。子ども医療費の負担軽減については,本来国の責務において全国一律に実施されるべきであり,引き続き他都市とも連携し,国に強く要望してまいります。 なお,貧困家庭への支援については,子ども医療費支給制度をはじめ,133の施策を掲げた京都市貧困家庭の子ども・青少年対策に関する実施計画に基づき着実に取り組んでおり,今年度中に策定する京都市はぐくみプランにもしっかりと位置付けたうえで,引き続き総合的な取組を充実してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 樋口英明議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時46分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続し,樋口英明議員に発言の継続を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 午前中の答弁で,市長は,国の社会保障改悪を容認したうえで,子供の医療費の無料化拡充も,敬老乗車証制度の維持についても市民の声に全く応えようとしませんでした。財政が厳しいと言って暮らしの予算は削る一方で,大型の公共事業は今後も次々と進めようと言うのですから,全く矛盾しています。総事業費2兆1,000億円の北陸新幹線の延伸,高速道路の計画のときには総事業費1,200億円とされていた堀川地下バイパストンネルなど,今後どれだけ予算を注ぎ込もうとしているのでしょうか。2019年度予算でも,投資的経費は854億円と大きく膨らんでおり,事業の精査が求められています。例えば,左京区で進められている北泉通の拡幅と架橋工事は,地元の皆さんから強い反対の意見が出されていたにもかかわらず工事が進められているうえ,当初8億円の事業費と説明されていたものが,15億円近くにまで膨れ上がっています。北陸新幹線や堀川地下バイパストンネルをやめることはもちろんのこと,不要不急の,あるいは市民の理解,納得が得られていない公共工事が行われていないか徹底的に精査する必要があることを指摘しておきます。 次に,京都経済の活性化とまちづくりの問題についてお聞きします。1点目は,労働者の賃上げと中小零細企業への支援の問題です。内閣府が先日発表した7月から9月期の国内総生産・GDP速報値によれば,前期と比べて実質値で0.1パーセント増にとどまったことが報告されています。10月の消費税増税前の駆け込み需要が限定的で,京都新聞でも,GDP急減速,足踏み懸念と報道されています。増税前から経済が停滞し,駆け込み需要すら起きなかったことが示されています。また,中小企業家同友会による10月の消費税増税緊急アンケートでは,影響があると答えた企業が54パーセント,さらに,価格に十分に転嫁できていないと答えた企業も過半数に及んでいます。京都市の経済の落込みは全国よりもひどく,事業所の減少率は政令市でワースト2位,非正規雇用率は政令市でワースト1位というのが実態です。増税前の駆け込み需要すら起きない,中小零細企業は消費税増税を十分に転嫁することもできないというのですから,賃上げと中小零細企業の底上げを総力を挙げて行い,京都経済の活性化を図る必要があります。 まず,賃上げの取組についてお聞きします。建設業者の皆さんに状況をお聞きしました。昨年の台風災害などで町場の工事が増えたため,人手が足らない状況が続いたということでした。この背景にあるのが,長引く景気の低迷の中で,低い賃金単価に加えて社会保障制度などが全く不十分という処遇が影響し,若い人を中心に建設産業で働く人が減ってしまっているという実態があります。一旦建設業界に入っても,飯を食っていけないと言ってやめていく若い職人がたくさんいる。子供がお父さんと同じ仕事をしたいと言えない。親も子供に仕事を継いでくれと言えない。こうした悲痛な思いをお聴きしています。 また,保育や介護の分野でも,仕事の大変さに加えて,賃金水準が他産業よりも低いために,建設産業と同様に,人手が全く足りないという状況が広がっています。こうした状況を何としても変えなければなりません。賃上げの施策として京都市ができることに何があるのかと言えば,公契約条例に賃金条項を創設することが上げられます。国も建設技能者の不足が喫緊の課題という認識の下,設計労務単価が7年連続で引き上げられ,京都でも設計労務単価は7年で35.8パーセントも引き上げられています。様々な会派から,単価の引上げを現場労働者に反映させるよう求める意見が議会で繰り返し出されていますが,これは,賃金単価の引上げが現場には反映されていないことを示しています。 そこでお聞きしますが,技能労働者の不足を解決するためにも,建設産業で働く方たちの賃金の引上げが必要との認識を市長は持っているのでしょうか。お答えください。また,具体的な施策を考えるうえでも,公共事業の現場の賃金単価の実態を把握することが必要です。元請や一次下請から話を聴くだけでなく,実際に現場で働いている労働者からの聴き取りを行う必要があると考えますがいかがですか。 労働者の賃上げのためにも,99パーセントを占める中小零細企業の底上げと活性化を図ることが重要です。産業振興のあらゆる施策を中小零細企業の振興に焦点を当てたものとする必要があります。例えば,企業立地促進制度補助金ですが,これは,事業所を新増設した際に,固定資産税分を補助金として支給するものです。制度創設以来15年間で,約30億円が補助金として支出されていますが,一番たくさんの補助金を受けている企業が島津製作所,2番目が任天堂で,この2社だけで補助金総額の40パーセント,約12億円を受け取っています。両社とも資本金50億円以上の大企業です。京都市内には7万社の事業所がありますが,そのうちの僅か二つの大企業が補助金総額の4割を受け取るというのは,制度の在り方として問題があると言わざるを得ません。資本力が元々あり,十分にもうけを上げている大企業を支援するのではなく,企業立地促進制度補助金も,99パーセントを占める中小零細企業の支援に限った制度に変更するべきではないでしょうか。また,他の自治体において,緊急の経済対策として取り組まれている住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム助成制度を京都市でも創設するなど,地元中小企業の仕事を増やし,地域での仕事とお金の循環を作り出す施策を実行するべきと考えますがいかがですか。 2点目は,呼込み型の開発が京都経済の活性化にはつながらないという問題です。京都市は,京都駅周辺を中心に高さ規制や容積率の緩和を次々と行ってきています。また,大企業が都市計画を自由に提案できる都市再生緊急整備地域を拡大し,さらに立地適正化計画によって,都市機能の誘導区域の設定も行うことで,大規模開発の場合は税の優遇などを受けられるようにしてきています。これらは,国のコンパクトシティ構想をそのまま京都市に持ち込んだものです。高さ規制や容積率を緩和することは,市民の粘り強いまちづくり運動の中で作られた新景観政策に反するものです。また,優遇制度の恩恵を受けるためには,道路や広場などの公共施設の整備をその事業者が行うことや,一定規模以上の大きな土地を確保することなどが必要ですから,大きな資本力を持つ一部の企業や投資家が事業主体となることは明らかです。つまり,そうした大企業などの利益が優先される大型開発を誘導しようとするものにほかなりません。高さ60メートルの京都駅ビルにホテルとデパートが造られたのが1997年,その周りに大型のショッピングモールや大型家電量販店などが造られ,さらにホテルの建設ラッシュが続いています。 では,東京や海外などから大企業が来たことによって,京都の経済が活性化したでしょうか。地元の商店街が元気になったでしょうか。住民の皆さんは住みやすいまちになったのでしょうか。全く逆で,商店街の売上げは落ち,地価の高騰で住み続けることが困難な状況が作られてきているのが実態です。9月市会でこの問題を取り上げた際にも,商店街と都市開発がうまく運んでいくよう配慮していきたいと,現状を肯定できないまま,今後は頑張りますとの答弁に終始しました。観光インバウンド推進の問題でも,1兆3,000億円の観光消費額が地域経済の活性化につながっていませんし,宿泊施設の誘致推進でホテルや簡易宿所が乱立したために,住環境に甚大な被害が及んでいます。先日,市長は,市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向けた基本指針と具体的方策を発表しましたが,その中で,観光客や宿泊施設の総量規制を行おうとはしておらず,全く不十分なものと言わざるを得ません。東京や海外から大手企業を呼び込む,高さ規制の緩和で大規模な開発をできるようにする,宿泊施設を誘致し,観光インバウンド一辺倒といった方針が京都を活性化させる,若者が住みやすくなるなどという考えが幻想にすぎないことは,この間の京都の実態を見れば明らかです。今こそ,高さ規制の強化をその根幹とした新景観政策の方針を徹底すること,外から大企業を呼び込むための大型開発の方針を改めること,観光インバウンド一辺倒ではなく,宿泊施設の総量規制を行うことこそ必要です。そのうえで,中小零細企業をしっかりと支援する方向に転換するべきと考えますがいかがですか。 次に,住民自治を支える公の責任についてお聞きします。昨年は災害が相次ぎました。7月豪雨の際には,左京区では全学区で緊急避難場所が開設されるなど,京都市内の多くの学区で緊急避難場所が開設されただけでなく,2日,3日と長時間にわたり開設されることになった避難所も多数ありました。その際に,地域の自主防災会や消防団,自治連合会の役員の皆さんが献身的な努力をされてきましたが,その方々からは,避難所の運営は頑張るけれど,役所との連絡係でいいから,区役所の職員を一人くらいは避難所に配置してほしいと言われました。当然の思いです。ところが本市は,地域による自主的運営が基本との説明で,職員を避難所に配置しようとしていません。他都市では,大阪・堺・神戸など六つの政令市で避難所へ職員を配置させているにもかかわらず,どうして京都市でできないのでしょうか。その背景には,門川市長就任以来,3,300人以上の職員が削減され,特に,市民に一番身近な区役所職員を900人以上も削減する,つまり区役所職員の3分の1がいなくなるという事実があります。これでは,災害時に避難所に職員を配置したくてもできないのは当然です。職員削減の影響は,避難所の開設運営だけでなく,り災証明の発行が大幅に遅れるという事態にもつながっています。 また,災害時の対応が不十分になっているだけでなく,区役所の日常的な業務に関しても,民泊の相談窓口がなくなり,税金の相談窓口がなくなり,さらに,介護保険の認定給付の受付や相談の窓口もなくそうとしています。市民が相談したいときに身近な区役所には相談窓口がなく,市内1箇所に集約されたことにより,市民にとって大変不便な状況が作り出されてきています。日常的な市民の利便性を確保するためにも,職員削減方針を改め,職員を区役所に配置することが必要であり,そのことが災害時の市民の安全と安心を確保することや,避難所への職員の配置にもつながると考えますがいかがですか。日常的にも,災害時でも,住民が自治の力を発揮して地域で活動することは大変重要なことです。そのときに,自治体が行うべきことは,住民の自治をしっかりと支えることです。その仕事ができるだけの職員体制を日常的に配置しておくことが市長の役割であることは指摘しておきます。 また,市長は職員削減に関して,3,300人の削減により人件費を270億円削減したと,あたかも270億円が丸々マイナスになったかのような説明をしています。しかし,事実は違っていて,市職員が行っていた業務を民間企業に委託した場合には委託費が増えています。もし,人件費と委託費を比べて委託費が少ないとすれば,民間企業の労働者を安く働かせることが前提ということですから,官製ワーキンプアを増やすものであり,こちらも問題があります。 さらに,本来市職員が行うべき業務を民間委託したことで,より重大で根本的な問題が発生しています。例えば,区役所の各種証明書の郵送業務を民間委託しましたが,業務が大幅に遅れたこと,その事実を京都市自身が自らつかむことができず,市民から指摘されて,初めてその事実を知るという事態が発生しました。重大な個人情報を扱う業務でありながら,問題が発生したときに自らそのことを把握することもできない,これが自治体業務の民間委託の実態です。民間にできることは民間になどと言って,本来自治体が行うべき業務を民間に委託する方針は改めるべきと考えますがいかがですか。 自治体業務の委託化は,元々国の経済活性化策の一環として位置付けられたものです。骨太の方針2015の中で,行政業務の民営化や公有地の民間への提供を,公的サービスの産業化と称して,経済の成長戦略の柱の一つに位置付け,地方自治体に強力に押し付けてきています。その指示に従い,京都市では小学校跡地の民間活用でホテルが次々と建てられ,地域の自治活動やコミュニティ活動が大幅に制限されるという事態が引き起こされています。こうした方針は改め,住民自治を基本にした地方自治を確立する京都市へと転換するために奮闘する決意を述べて質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,樋口英明議員の御質問にお答えいたします。 京都経済の活性化とまちづくりについてでございます。地域経済の活性化と市民の皆様が安心して豊かに暮らせるまちづくりは,何よりも重要であります。国のコンパクトシティ構想をそのまま持ち込みとの御指摘ですが,全く当たっていない御批判と考えます。具体的には,京都市持続可能な都市構築プランにおいても,これまで再三申し上げているとおり,本市ならではの都市特性を踏まえ,単純な都市の縮小はなじまないとの考えの下,景観政策との両立を図りつつ,市域全体にわたって魅力と活力ある都市の構築を目指すこととしております。本市では,徹底した市民参加の下,地域の課題と真正面から向き合い,都市計画手法を用いたまちづくりを厳格な手続を経て行っており,京都の景観の守るべき骨格の堅持を当然のこととして大切にしてきました。例えば,五条通沿道で進めている都市計画変更についても,建物の壁面位置の制限や緑化の義務付けなど,潤いのある市街地環境の形成を図ったうえで,働く場の確保,経済の活性化に向けて,企業の規模にかかわらず,質の高い産業空間の創出を目指し,オフィス等に限り高さ制限を見直すものであります。さらに,観光は裾野の広い産業であり,市内での消費拡大,雇用促進など,京都経済に大きく寄与しています。 一方で,近年の外国人観光客の急増等に伴い生じた課題については,これまでの取組や成果等を検証し,幅広い関係者の御意見をお聴きし,一部の観光地・市バスの混雑対策や,マナー違反対策,宿泊施設の急増に伴う課題への抜本的対策を三つの柱とし,50の事業を新たに充実・強化したところであり,全力を挙げて取り組んでまいります。とりわけ宿泊施設につきましては,オフィスや若い方々の住宅の必要性の高まりもしっかりと踏まえまして,市民の安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入お断り宣言をしたところであり,経済界と連携を深め,経済界等を通じて関係業界,事業者に協力を求めるとともに,地区計画の積極的な活用など,あらゆる都市計画手法を駆使し,地域の皆様と共に実効性ある対策を進めてまいります。引き続き,住んでよし,訪れてよし,働いてよし,子育てしてよしの京都をより充実させ,持続可能なまちづくりを進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 中小企業支援についてでございます。市内事業者の99パーセント以上を占める中小企業こそが京都経済発展の原動力であると考えております。本市では,その振興のため,年間約2万件の経営相談や年間約4,000件の融資制度による経営の下支え,また新事業の創出や販路開拓等の成長支援など,中小企業の皆様のニーズを踏まえたきめ細かな施策を展開しております。企業立地促進制度につきましても,平成14年度の制度創設以来,大企業27件に対し,中小企業は143件の事業指定を行っており,事業計画の提出から施設しゅん工まで,建築上の規制に対する助言などの様々なサポートを含め御活用いただいた中小企業の皆様には大変喜んでいただいております。今後とも本制度の周知と中小企業での利用促進に努めてまいります。なお,本制度では,サプライチエーンでつながる多くの市内中小企業への受注や,雇用,税収面での効果を見込めることから,大企業も補助の対象としておりますが,補助対象期間につきましては,大企業が2年であるのに対し,中小企業は5年とするなど中小企業により手厚い制度としております。 また,政策上,重要度・緊急度が高い住宅の耐震改修,省エネ改修や商店街空き店舗解消のために,新規開業に係る改装経費を補助する制度を実施しておりますが,全て市内事業者が工事を行うことを要件としており,中小企業の皆様の仕事おこしや雇用確保につなげております。今後とも,地域企業の持続的発展の推進に関する条例などに基づき,地域の宝である中小企業,地域企業を市民ぐるみ,地域ぐるみで応援し,京都経済の更なる発展につなげてまいります。 次に,職員の削減と民間委託についてでございます。本市では,これまでから,持続可能な行財政の確立を図るため,民間にできることは民間にを方針に,民間企業の皆様の知恵とノウハウをいかし,委託化・民営化などで業務量の減少が確実に見込める部分について職員を削減してまいりました。そうして確保した財源を,年々増加する社会福祉関連経費等に充当することで,全国トップレベルの福祉,医療,教育,子育て支援の維持・充実を図ってまいりました。この4月には,課題や困りを抱えた家庭への寄り添い支援の充実を図るため,区役所・支所の子どもはぐくみ室などに新たに29名を増員するなど,必要な部署には,必要な人員を配置をしてきております。 また,業務の集約化,委託化に当たりましては,これまで保健センターがなかった三つの支所をはじめ,全区役所・支所に医療衛生コーナーを設置するとともに,介護認定・給付業務や税務事務についても,必要な相談窓口機能は,区役所・支所に残すなど,市民の利便性を維持・向上させるための措置を講じております。 避難所運営を含む災害対応につきましては,全国に類を見ない地域の自主的な活動と行政の連携により取り組んでまいりました。あわせて,本市の執行体制につきましても,地域防災活動の要となる区役所・支所の地域力推進室に東日本大震災以降,継続的に40名を増員するなど,体制の充実強化を徹底してきたところであります。さらに,昨年の災害対応を総括をいたしまして,従来から実施しております関係局から区役所・支所への情報連絡員,リエゾンの派遣などに加えまして,新たに防災担当以外の区職員による各種受付事務の体制や,り災証明書発行における局区を横断する支援体制を構築するなど,災害時に突発的に増加する業務などについて,しっかりと対応できる体制を構築をしたところでございます。引き続き,市民の皆様の命と暮らしを守る執行体制の充実・強化に全力を傾注してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 公共工事従事者の賃金についてでございます。建設業労働者の京都府域の年間賃金総支給額は,全国的な傾向と同様に,平成24年度から平成30年度までの6年間で約15パーセント上昇しており,他産業と比較しても高い伸びを示しておりますが,製造業と比較すると低い水準となっております。このため,国の要請に基づき,本市としても,適切な賃金水準の確保を促し,処遇改善を図ることが必要と認識しております。 また,建設労働者の賃金実態につきましては,国が京都府域も含め,個々の労働者の賃金台帳を基にした大規模な実態調査に加え,元請・下請や公共・民間工事での全国的な賃金傾向を把握する調査も実施しております。こうした調査結果から,建設労働者の賃金は上昇傾向にはあるものの,下位の下請業者になるほど賃金が低く,賃上げ割合も低い傾向にあると認識しております。さらに,本市独自の取組として,公契約基本条例に基づき,予定価格5,000万円超の工事などの契約において,全ての下請も含め最も低い賃金単価の報告を事業者に求めております。これらの取組により,賃金実態の傾向は既に把握しているところであり,引き続き適切な賃金水準の確保を事業者団体等に要請してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,鈴木とよこ議員に発言を許します。鈴木議員。 〔鈴木とよこ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木とよこ議員) 日本共産党を代表して質問いたします。山科区選出の鈴木とよこです。私は,今春4月に市会議員になるまで,地域包括支援センターのセンター長として4年半働いてきた経験と,共産党市会議員団が実施した地域包括支援センターとヘルパー事業所へのアンケート調査に寄せていただいた切実な声や要望を含め質問いたします。 地域包括支援センターは,愛称を高齢サポートと呼ばれ,介護等に関する相談窓口や高齢者支援の拠点として重要な役割を果たしています。市内にある61箇所の地域包括支援センターは,全て京都市から委託を受けた法人が運営しています。保健師等,社会福祉士,主任ケアマネの資格を持つ専門職と要支援等の担当をするケアマネジャーなどで構成され,職員数は,高齢者人口などの割合により決まっています。近年,困難ケースの相談が多く,その対応には時間が掛かります。認知症・精神疾患・貧困・孤立・家族間の問題・ごみ屋敷・いわゆる8050問題など,地域包括支援センターだけでは解決がつかない事例も多く,ほかの分野との連携も欠かせません。専門職は相談だけでなく,虐待対応をはじめ,地域ケア会議の開催,認知症カフェ,認知症サポーター養成講座,声掛け訓練,地域の支え合い事業の開発など,実に多岐にわたり2006年創設時から比べ業務量が大幅に増大しているのです。事業を進めるための連携は,地域の介護事業所,民生委員・老人福祉員,社会福祉協議会,自治連,区役所担当者との日常的なつながり,病院・クリニックなど医療機関との関わりも強化されています。専門職は息つく間もない忙しさと,精神的な負担感が相当にあります。京都市として地域包括支援センターの業務量や果たすべき役割が膨大に増えているということへの認識をお聞かせください。 地域包括支援センターの運営に関するアンケートでは,どこのセンターもマンパワーが不足している,京都市の基準とする人員配置では決定的に足りないとの回答でした。認知症施策として認知症初期集中支援チームの稼働が始まり,センターの負担軽減になっているかとの質問には,確かに認知症の初期対応の解決には有効であるが,センターの職員の費やす時間は逆に増えているということでした。自由欄には,不足するマンパワーのために,求められる必要な業務が遂行できないという苦悩に満ちたコメントがあふれています。京都市からの委託料は,決められた人員配置基準で,1名につき500万円入りますが,この500万円という金額は,2006年の創設時から全く変わっていません。12年間給与が上がっていないということになります。また,500万円は丸々給与になるのではなく,パソコンなどの機器,改定ごとに更新料が掛かる業務用コンピューターソフトなどの経費も含まれています。法人の建物に同居していない場合はかなりの家賃が掛かります。法人が赤字覚悟で専門職を増員することは困難です。要支援1・2の方等に対するケアプラン作成業務がありますが,京都市は,ケアプラン代だけで介護予防ケアマネジメント業務をペイすることを想定しています。標準件数を100件,上限を120件と規定されていますが,かなりのスキルがあるケアマネで80件,通常は60件程度がやっとです。ケアプラン1件の報酬は極めて低く,それだけでは人件費すら賄うことは困難です。人手がないので担当できないと断ることができない事業所です。法人が持出しでケアマネを増員するか,専門職に多くの件数を持たせるしかないわけです。そのほか,アンケートには,切実な要望と意見があふれていましたが,最も多く強い要望は,専門職の増員と委託料の増額,ケアマネ受持ち標準件数の見直しと人件費の補填など体制の強化でした。高齢者施策を推進する中核的存在の地域包括支援センターの機能の充実はますます求められています。まずは,直ちに京都市が独自に予算を組んで,全てのセンターで1名の専門職の増員を図ることが必要だと考えますがいかがですか。 ヘルパー事業所へのアンケートから二つのことが見えてきました。一つは,介護職員の確保についてです。どの分野も大変な状況ですが,ヘルパー部門は相当に困難な状況があります。募集しても全然集まらない。ヘルパーの高齢化は深刻であり,中には70歳以上が6割との事業所もありました。地域包括支援センターへのアンケートからも,ヘルパー不足がネックとなり,サービス依頼をしてもなかなか受けてもらえないとの声が多数寄せられています。ヘルパーは,ロボットで置き換えられる業務ではありません。早急に対策が必要です。独自に介護職の処遇の改善策をはじめ本格的な支援に着手していただきたい。いかがですか。 二つ目は,総合事業の訪問型サービスの単価の問題です。資格を有する専門職が行う身体介護中心の介護型と家事支援中心の生活支援型,専門職以外が行う支え合い型の三つの類型がありますが,生活支援型の単価が介護型より18パーセントも安く事業の継続に支障があると,38事業所のうち31事業所の声がありました。30年度の統計によると,介護型が59.6パーセント,生活支援型が38.2パーセント,支え合い型は2.2パーセントとなっています。京都市は,介護保険の家事援助と同等であり遜色ない単価だと言われます。しかし,身体介護と家事援助を組み合わせられる滞在時間が長い介護保険制度と違い,身体介護とセットできない生活支援型の45分間の1コマの単価では,ヘルパーの時間給と交通費,保険代の支払だけで赤字になると。週1回,週2回の提供の場合は,5回,9回となる月もあり,時給を払うだけで赤字だと言われています。ヘルパー事業所は利用者さんのことを考え,無理に無理を重ね,ぎりぎりのところで踏ん張っています。アンケートの中には,夏頃には総合事業から撤退させてもらいますという事業所もありました。介護保険対応の重度の方やターミナルの方の利用が増えており,人材不足も重なり総合事業の対応までできないというのが実情なんです。そういう声が本当に多くありました。 国は,全世代型社会保障を進めると言い,要介護1・2の生活援助は介護保険から外し,総合事業に移行する方針を打ち出しています。その事自体がとんでもないことですが,受皿がどこにもないというのが現状です。まず,しなければならないことは,生活支援型サービスの報酬を介護型と同様に引き上げ,安定してサービスが提供できるようにすることだと考えますがいかがですか。 支え合い型サービスについて利用が進まないため,京都市は普及を進めるという目的で啓発のパンフレットを作成されていますが,難病を抱えた方が受けておられる事例もありました。要支援認定,チェックリストの事業対象者へのヘルパー支援は,身体介護であれ,生活援助であれ,利用者の様々な変化を見逃さず,必要時に責任者に連絡できる力,自立支援を促す声掛けができる専門職が担わなくてはならないと考えます。専門職が支援しない支え合い型サービスは中止することを提案しますがいかがですか。 地域には,介護保険や総合事業だけではできない困りごとや暮らしを支えるための必要な支援がたくさんあります。現状では,学区社協の幾つかのボランティアや,NPOで比較的安価で提供されている所が少しある程度で,多くは高い料金を支払う自費サービスに頼らざるを得ない状況です。京都市では,地域のコーディネーターは各行政区に1名のみの配置です。支え合いの仕組みづくり,サービスの創出のためには,地域任せではできません。生活圏域への配置を急ぎ,公的な責任を果たすよう求めますがいかがですか。 民間にできることは民間にと,区役所で行っている介護保険の認定・給付業務を1箇所に集約,民間企業への委託事業の準備が進められています。今後の高齢化に伴い業務が増えていくが,専門職の確保が困難になるというのが最大の理由です。民間に任せることで業務を切り分け,少ない専門職の配置で,あとは一般の事務職で現在のサービスの質の低下は起こさせない。認定結果も現在より早めることができる。民間にはノウハウがあり,専門職は現在は10名で考えている。既に,これまでから外部に事務的な仕事は委託しているとの説明もありました。現在でも可能な業務の切分けは既に実施されており,これ以上の切分けはできないと考えます。認定と給付は介護保険の根幹です。10名の専門職とその他の一般事務で行う業務では,介護保険スタート時から嘱託職員の皆さんが培ってきた知識とノウハウには決して置き換えることができないのです。保険医協会の認定審査会委員を務める医師対象のアンケートでは,委託反対が56パーセント,賛成は9パーセント,委託により影響が出るが70パーセントを占めています。委託について,地域包括支援センターや地域のケアマネジャーの意見は,反対が117人,賛成が6人,分からないが41人でした。介護保険をよく知る専門家の意見は,委託に反対なのです。今まで各区役所で丁寧にされていた対応はほぼ不可能となり,市民サービスは低下します。専門職の確保が行政として困難なのではなく,本当の狙いは住民福祉の増進という自治体本来の役割を根本から覆し,公的責任を放棄し,大企業のもうけの場に提供することにほかなりません。本来,地方自治体の職員が責任を持って遂行するべき業務です。市の職員として現在の嘱託職員の皆さんは,誇りを持って日々努力をし,市民の社会福祉の増進を追求されています。この働きを保障しない,この矛盾に満ちた130人の解雇は許されません。市民サービスの質の低下を招く民間委託は,今からでも中止すべきと考えますがいかがですか。ここで一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 地域包括支援センターについてでございます。高齢者の公的な相談窓口であり,地域包括ケアシステムの中核を担っていただいている地域包括支援センター・高齢サポートにおきましては,社会情勢の変化と共に,相談内容も多様かつ複雑なものとなっており,対応が困難な事例も増えてきていることは承知しております。そのような中,地域におけるセンターに対する期待はますます高まってきており,必要な体制を確保していくことは極めて重要な課題と認識しております。このため,本市におきましては,これまでからセンターの重要性に鑑み,国基準を上回る人員配置を行い,体制の充実を順次図ってきております。具体的には,平成19年度に,担当地域の高齢者数が6,000人以上のセンターに1名の加配を実施し,その後も高齢者人口の増加に応じまして,高齢者のうち単身世帯の割合が高いセンターや,とりわけ担当地域の高齢者数が8,000人,又は1万人以上となるセンターに対して更なる加配を行ってまいりました。 このような考え方に基づき,今年度におきましても,高齢者人口等の増加に伴い,3箇所のセンターを3名から4名の配置に増やしたところでございます。こうした高齢者人口等の増加に対する基準のほか,平成24年度には,一人暮らし高齢者の全戸訪問等を行うため,各センターに1名ずつ増員するなど,本市独自に体制の充実に努めております。今後とも,各センターの担当地域の地域特性や高齢者数などの現状,センター間の必要な事務経費の相違などについて精査を行い,必要な体制をしっかり確保し,高齢者の皆様方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けていけるよう取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) まず,介護職員の処遇改善についてでございます。介護報酬における処遇改善加算により,平成21年度以降,一人当たり年間70万円以上の増額が図られ,さらに,本年10月からは,介護職員等特定処遇改善加算が新たに設けられ,本市では13億5,000万円の予算を計上しております。介護保険は全国一律の制度であり,今後も,一層の処遇改善が図られるよう国へ要望してまいります。また,本市の取組としては,就職フェアへの参画や採用担当者を対象とした研修等の実施に加え,本市と京都市老人福祉施設協議会等で立ち上げた研究会において,労働生産性の向上や担い手の裾野の拡大に資する取組等について検討しているところです。 次に,介護予防・日常生活支援総合事業における要支援者に対する生活支援型ヘルプサービスの報酬については,これを引き上げると,重度の方に対する生活援助の報酬を上回り,バランスを欠くことになると考えております。また,支え合い型ヘルプサービスについては,高齢者の個別の状況に応じたサービスとして必要なものと考えており,今後とも,高齢者の生活援助を行うために必要な知識を習得できる取組を進めてまいります。 次に,地域支え合い活動創出コーディネーターについては,平成28年度に各区1名ずつ配置しており,コーディネーターは保健福祉センターや地域包括支援センター等の関係機関と連携し,住民主体の身近な居場所の設置など,地域のニーズをきめ細かく酌み取った新たな支え合い活動の創出を進めております。体制については,平成30年度に伏見区に1名増員し,強化を図ったところであり,今後とも必要な体制を検討しながら取組を着実に進めてまいります。 次に,介護保険認定・給付業務の委託化についてでございます。令和2年4月から予定している民間事業者への委託は,介護現場の担い手不足が深刻化する中で,ケアマネジャーや介護福祉士等の有資格者の非常勤嘱託員の確保が困難となるため,他都市の先行事例も参考に,専門性の有無で業務を切り分け実施することで,効率的・効果的な執行体制を確立し,制度の維持・向上を図るものです。委託業務は,本市の責任の下実施するものであり,本市の責任が後退することはなく,また,他都市では,委託業務が安定稼働した後には認定までの期間は短縮しており,本市としては委託事業者への引継ぎなど,十分に事前準備を行い,業務が円滑に移行できるよう取り組んでまいります。 また,要介護認定の申請は,ケアマネジャー等による申請代行が全体の9割を占めており,残り1割の市民の皆様からの相談等は,これまでどおり区役所・支所の保健福祉センターでお応えすることとしており,関係団体や審査会委員の御意見もお聴きしながら,適切に業務を構築してまいります。現在の非常勤嘱託員に対しましては,委託事業者への再就職や新たな会計年度任用職員への任用など,可能な限りの支援を行うため説明会等を開催しているところであり,雇用主としての責任を果たしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木議員。 〔鈴木とよこ議員登壇〕 ◆(鈴木とよこ議員) 先ほど,地域包括支援センターの体制についてお伺いしました。今の状況で,本当に大変だという実態,声を是非聴いていただきたいと思います。 次の質問に移ります。中学校給食についてお伺いします。どうして京都市は選択制の給食に固執するのですか。家庭弁当持参か給食かを生徒・保護者が自由に選択できる本市の中学校給食は,各々の価値観に従い選択できる手法であり,最善かのように言われていますが,共働きが増え,家庭弁当を作ることがどんなに大変になっているか。給食を注文してほしいけど,おかずが冷たいから給食は食べたくない,みんなが食べていないから嫌だと言われれば無理して作るしかない。作れなかったら何か買うようにとお金を渡す。お昼御飯を何一つ持参することができず,給食の時間は教室から出ていく生徒もいるとのこと。これは子供から聞いた話だと,地域のお母さんからお伺いしました。中学校は義務教育です。食育は大変重要です。管理栄養士が考える献立でバランスの取れた給食を食べて,健康な心身が作られ,生きた教材として栄養についても生徒は学びます。2018年度は,市内平均の利用率は26.7パーセントまで低下しました。また,就学援助世帯の利用率は,要保護で55.3パーセント,準要保護で50.1パーセントです。貧困対策としても,全ての子供に届かないのは大変大きな問題です。だからこそ,現在も文部科学省において,学校給食の対象は在学する全ての児童,又は生徒に対して漏れなく行われることを原則とし,設置者に対して全員制の学校給食実施の努力義務が課されているのです。利用率を上げるため,ネット注文や1週間単位の注文など工夫を進めると言われていますが,大幅改善は見込めません。子供の育ちを何より重要と考えるなら,全員制の給食にすることこそが最優先課題ではないのですか。何より,多くの市民の皆さんが求めているのです。全員制の給食に踏み切る決断を求めます。いかがですか。 次に,京都市の若者・大学生等への支援の充実についてお聞きします。若者や大学生等への支援を強めることは,現在も未来にわたっても必要な施策の一つです。大学生にとって学費は非常に高く,私立大学で入学金と合わせると初年度学費は約140万円,国公立大学で約83万円です。来年度からの修学支援制度で一定の学生への支援が強められますが,全ての学生が学び続けることを考えたときには,対象の狭い国の制度ではカバーできない世帯があることは明らかです。また,1994年に日本育英会から日本学生支援機構に変わり,奨学金支援が単なる教育ローンとなり,現在の貸与制奨学金制度によって,大学を卒業したときには既に大きな借金を抱えるという仕組みになっています。40代まで奨学金を返し続ける労働者も少なくないどころか,奨学金によって破産する事例が後を絶ちません。低賃金で苦しんでいる若い世帯は,賃金が上がらず給与にも格差が生まれ,いまだに夜の11時,12時まで働いても手取りの給料は14万,15万円という低賃金の若者もいます。 そういう状況を見たときに,地方自治体の役割が重要になります。京都市でも大学生や若者に対する支援を充実することが求められています。今まで京都市が国の責任でと言っている給付奨学金は,札幌市並みの制度で2,000人規模で支援したとしても1億5,000万円,奨学金の返済支援制度に府の制度の倍額以上の予算を組んだとしても7,400万円,若者への家賃補助を新宿区が行っている制度を基準に400人に支援したとしても1億9,200万円,政令市並みの通学定期券の割引率の引上げを京都市が交通局に支援を行うとしても3億8,400万円,全て実施しても,京都市予算の僅か0.1パーセント,8億円で実施できます。こうした制度を求めても,お金がないと言って支援されていないのが現状です。京都市でこそ,若者・大学生等への支援に思い切って予算を振り向けるべきです。いかがですか。 最後に,山科区のまちづくりについて伺います。京都市は,2月に,京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略を決定しました。その中で,平成25年4月から京都市は,法務省に京都刑務所の将来の跡地活用等の検討を要望しているとありますが,去る11月15日に,日本共産党京都市会議員団として政府レクチャーに参加し,国の状況を確認してきました。法務省の見解は,京都刑務所は平成13年に改築を終わった新しい部類の施設です。矯正施設の大部分は耐震基準を満たさない施設であり,現在も限られた予算の中で施設の改修を進めているところですが,そういった中で,新しい部類の京都刑務所について現状移転計画はありません。引き続き現在地において地域と良好な関係を作って,施設を応援していきたいという内容でした。京都刑務所の移転は,全く見通しのない計画と言わざるを得ません。今回のまちづくり戦略は,市役所本庁が乗り出し,トップダウンで進めているところに特徴があり,区民のまちづくりに対する願いが置き去りになっています。そもそも未来の山科のまちづくりとうたっていますが,山科区民の暮らしの課題が取り上げられていません。高齢化の記述はあっても,貧困と格差の中での暮らしの苦しさには言及はなし。直近8月,山科区の就学援助率は小学校では21.6パーセントで2番目に高く,中学校は29.2パーセントと一番高い実態,多くの子供が貧困の中で暮らしているのです。交通問題では,地下鉄の開業に伴い,市バスの廃止で高齢化率の高い周辺部では,山科駅や区役所に行くにも,病院や買物に行くにも,移動が困難な交通弱者,買物難民が増えています。住民の運動でくるり山科,鏡山や小金塚での循環バスも走るようになっていますが,まだまだ不足しています。高齢者の皆さんから,安価で趣味や習い事ができる老人福祉センターをもう1箇所欲しい。若者のための青少年センターを南部にもなど,たくさんの願いがあるのです。住民の声をしっかり反映させた山科のまちづくり戦略が必要なのではないでしょうか。今,山科区では,住民の皆さんが交通問題のニーズを調査し,実現するために奮闘しています。京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略は全面的に見直すべきではありませんか。 以上で終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 鈴木とよこ議員の御質問にお答えいたします。 京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略についてでございます。山科のほぼ中心部で,地下鉄椥辻駅から徒歩5分という交通至便な場所にあり,10万7,000平方メートルもの広大な面積を有する京都山科刑務所の敷地活用,有効活用は,山科はもとより京都全体の発展にも大きく寄与すると考えております。山科は1,400年を超える歴史と住民自治の伝統が脈々と受け継がれ,更にはJRや地下鉄京阪の駅や高速道路の出入口もあるなど,京都はもとより近畿の発展に向けた交通の要衝としても魅力あふれるまちであります。一方で,今後本格的な人口減少や高齢化が進むことが予測される中,山科が将来にわたって住んでよし,働いてよし,子育てしてよし,魅力的で発展し続けるためには,これまでの常識にとらわれず,あらゆる可能性を追求すべきと考え,昨年度,刑務所敷地の活用を核とした新たな魅力を創造し,定住者を呼び込み,活力を高め,子や孫の世代が将来に夢を描けるまちづくりを目指す戦略を策定しました。戦略の策定に当たりましては,地元経済界や地域代表,学識者で構成する山科の未来を語る懇談会に加えまして,山科の全13学区の自治連合会会長会において,丁寧な議論を重ねてまいりました。 さらに,市民意見募集では約500人の皆様のうち7割の方から肯定的な御意見を頂きました。正に本市と区民の皆様とが夢と希望,情熱を共有しながら策定した戦略であります。刑務所敷地の有効活用の実現に向けましては,移転先等の課題がありますが,法務大臣や事務次官からは,双方でしっかり話し合い,よりよい方向が出るように努力しましょうとの発言を頂いており,精力的に意見交換を進めております。私は,山科を良くしたいと願う多くの区民の皆様の夢,希望,そしてあらゆる知恵を結集し,課題に立ち向かえば,必ずや国を動かすことができると確信しております。引き続き区民の皆様と共に,この戦略を着実に推進し,未来への展望が持てる山科のまちづくりをしっかりと進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 大学生等への支援についてでございます。意欲のある学生が経済的な理由により進学を断念することがないよう教育の機会均等を図ることは,重要であると認識しております。全国の学生の二人に一人が奨学金を活用されておりますが,京都で学ばれている約15万人の学生の4分の3は,全国からお越しになり,また京都の高校生の半数は全国に進学されているなど,全国規模で学生の動きがある状況を踏まえますと,公平性の観点からは,国において統一的に学生への支援の充実が図られ,教育の機会均等を実現していくべきものと考えております。このため,これまでから国に対しまして給付型奨学金事業の着実な実施等を強く求めてきており,また,平成28年9月市会においては,給付型奨学金の創設等を求める意見書を御議決いただいております。こうした取組の結果,国において奨学金制度の充実がなされてきており,本年5月には,大学等における修学の支援に関する法律が成立し,真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象として,授業料や入学金の減免に加まして,住居費・通学費等の生活費を賄えるよう,給付型奨学金の給付額や対象者を更に大幅に拡大する高等教育の修学支援新制度が来年4月より実施されます。今後とも学生が安心して学べる環境の更なる充実に向けまして,国に対してしっかりと要望してまいります。 京都府の就労・奨学金返済一体型支援制度につきましては,本市としても,中小企業の担い手確保に向けた支援策として重要と認識し,これまでから制度の周知に注力してまいりました。昨年度から,府外に居住されている方にも対象が拡大されたこともあり,利用実績も着実に上がってきておりますが,引き続き京都府や経済界と連携し,更なる活用促進に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 中学校給食についてお答えをいたします。本市ではこれまでから各中学校におきまして,毎日の昼食時間に担任が生徒の食事内容等に注意し,その把握に努め,その状況に応じて中学校給食の利用の働き掛けを含め,栄養のバランスに配慮した食事を取るよう,生徒一人一人の状況に応じ必要な指導を行ってきております。また,就学援助世帯につきましては,給食費全額を公費負担とし,経済的な状況に左右されることなく,給食か家庭からの弁当かを選択できる制度としており,各家庭がその実情に応じて給食か弁当かを選ばれております。 現在の選択制の中学校給食につきましては,導入当時から毎年献立等について工夫を重ね,生徒・保護者,各学校の実情に応じた制度として定着しておりますが,その一層の充実を図るため,現在,全ての中学校と抽出した約2,000名の生徒及び新たにその生徒の保護者を対象とし,中学校での昼食の状況や家庭での食生活全般にわたる詳細な実態調査を実施しております。この実態調査の結果を踏まえ,家庭との連携を一層深めた食指導を推進するとともに,献立の更なる充実,1週間単位での予約やスマートフォン等で決済ができるシステムの導入など,現在の選択制の中学校給食の魅力を高め,利便性を飛躍的に向上させるなど,現行制度の一層の充実に取り組んでまいります。なお,全員制中学校給食を小学校と同様に提供するには,少なくとも180億円もの予算が必要であり,子供たちの学びと育ちのために他に優先すべき課題も多く,困難であると考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,吉田孝雄議員に発言を許します。吉田議員。 〔吉田孝雄議員登壇(拍手)〕 ◆(吉田孝雄議員) 伏見区選出の吉田孝雄でございます。公明党京都市会議員団を代表し,国本友利議員と共に市政一般について質問いたします。市長並びに理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 まず初めに,2月2日投開票の京都市長選挙について申し上げます。私ども公明党は,11月28日,門川大作市長を党本部として推薦すると決定しました。11年半の市政運営を徹底的に検証したうえで,具体的な実績を積み重ねた手腕を高く評価したからであります。私どもが特に重視したのは,改革への姿勢です。現職はともすれば旧態依然の現状維持と見られがちですし,実際そういう現実も少なくありません。しかし市長は,人件費削減をはじめとする徹底した行財政改革を進める中,宿泊税などの財源創出,同和行政の完全終結,景観政策及び歩くまち京都の推進,そして市バス・地下鉄の経営改革など,前例にとらわれずに現状を打破し,思い切った改革を成し遂げられました。そのうえで山積する政策課題に積極的に取り組む中,健康長寿促進や子育て支援,災害に強いまちづくり,温暖化対策,さらにはオール京都での文化庁移転や経済センターの開設など,画期的な施策が目に見えて前進しています。こうした実績は,行政に精通し府や国とも深い信頼関係を築き上げた門川市長だからこそ実現することができたのであります。これからも,今まで以上に市民のど真ん中に入って,小さな声を積極的に求めていただきたい。 〔山本議長退席,青野副議長着席〕 ◆(吉田孝雄議員) (続)そこでお聞きします。令和新時代を切り開く最も大事な時期である今,門川市政の3期12年を振り返った総括と,更なる京都市活性化のために何を改革し,何を生み出すべきなのか,希望あふれる京都市の未来のためのビジョンをお聞きしたい。具体的な政策課題実現への展望を含め,御決意をお伺いいたします。 次の質問です。今,現実社会への不満を過剰に刺激するポピュリズムが猛威を振るっています。私は,ポピュリズムが過熱したら,冷酷な分断社会になると懸念しています。不信と対立,足の引っ張り合いが繰り返されるとどうなるか。社会的弱者が孤立する負のスパイラルとなるのです。弱者切捨てが進行し,手遅れになってしまわないために,真の共生社会に向けた価値を創造する政策提言をしてまいりたい。その問題意識で,三つの政策課題を取り上げます。 (パネルを示す)まず一つは,生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業についてお聞きします。誰一人取り残さないSDGsの理念の下,貧困の連鎖からの脱却が不可欠であります。その意味から,生活保護世帯やひとり親世帯など,いわゆる生活困窮家庭の子供の学習支援事業の充実は極めて重要であると思います。地域のささやかな善意のボランティア活動から始まったこの事業が少しずつ広がり,平成22年から京都市ユースサービス協会に委託されて今年で10年。これを期して,学習支援事業の現在地とのテーマでユースシンポジウムが10月に開催され,私も識者や学生ボランティアなど155名の方々と共に参加しました。 経済的理由で高校進学の際に進路が制限されてしまう子供が少なくありません。勉強に打ち込むことが困難な家庭環境の子もいます。市内18箇所の学習会に通う約320名の彼らにとって,学ぶ楽しさを実感でき,学生ボランティアとの心の交流を体験できる居場所となっているのです。シンポジウムで,私はこの居場所に来ていない子供への視点に注目しました。320名よりもはるかに多い子供が潜在的対象となっていますが,現実にはほとんどが事業を知らないまま義務教育を終えています。これらの子供たちが学習会に参加できるようになるためには,更なる受入体制の充実が必要であり,シンポジウムでも指摘されていた二つの観点が大事と実感します。 (パネルを示す)一つは,スタッフのスキル向上と処遇改善であり,もう一つは学習支援の場と学校や福祉施設などとの連携であります。処遇改善と一口に言っても,短絡的な報酬アップだけでよいのかという課題もあります。私が今の段階で求めたいのは適切なサポートを強化するという点です。学生ボランティア一人一人が喜びとやりがいを深めることはもちろん,それぞれの経験が共有されて,困難に直面したときでもみんなで解決することができるよう,子ども若者はぐくみ局とユースサービス協会がしっかりとバックアップしていただきたいと申し上げます。また,学校や福祉施設との連携強化についても,子供と接する側がキャッチするSOSをいかに家庭や現場でスムーズに共有できるかが,今後の大きな課題だと痛感します。10年目の節目を迎えた子ども学習支援事業の発展のため,ボランティア人材の育成と拡大,学校や福祉施策の現場との更なる連携強化,この2点を求めたいと思いますがいかがでしょうか。 次に,多文化共生社会に向けた日本語教育についてお聞きします。昨年4月,いわゆる改正出入国管理法が施行されました。この法律は,超高齢化時代の労働力不足問題の解決に資するとの期待がありますが,同時に,欧米のように外国人に仕事を奪われるとの危機感から,排斥運動が過激化するのではないかと危惧する意見もあります。私は,ニューカマーの外国人を人材として受け入れ,共存共栄する方向へ導くためには,地球民族主義に裏付けられた生命尊厳と人権尊重の価値観を根底において,問題解決への努力を積み重ねていくべきであると考えております。さて,京都市内にお住まいの外国籍市民の方は,昨年末時点で4万6,451人。その内訳は中国籍の方が約27パーセント,韓国籍の方約42パーセント,近年増加傾向にあるベトナム籍の方を含めた東南アジアの方が約10パーセントとなっています。 (パネルを示す)公明党市会議員団は,10月に開館30周年を迎えた京都市国際交流会館を視察しました。本市の多文化共生事業の最前線である同会館では,多彩な事業を展開していますが,生活相談への対応を充実するため,法律やビザ,税金,社会保険,労働などの専門相談や日常生活におけるごみ出しや子育て,医療などきめ細かな相談に対応する窓口を一元化した京都市外国籍市民総合相談窓口を7月に開設。職員の皆さんが相談内容に丁寧に対応しつつ,適切な行政窓口に誘導しておられるとのことです。通訳タブレットを活用し,11言語で対応するという最新鋭の取組も始まり,注目を集めているところです。視察の際,同会館で定着している日本語教室について紹介していただきました。訪れる外国籍の方々のニーズが拡大し,ボランティア活動の広がりの重要性と同時に,日本語教育のネットワーク化が追い付いていないという課題もお聞きしたところです。 本年6月に,日本語教育推進法が施行されました。日本語教育の第一人者である龍谷大学の田尻英三名誉教授を市役所にお招きして意見交換した際にも,人材育成とネットワークづくりの重要性を指摘されました。また,先月には,議員団他都市調査で横浜市の多文化共生総合相談センターを訪問しましたが,市内11箇所の国際交流ラウンジと連携しながら,充実した日本語教育をはじめとする多角的,かつきめ細かな取組を展開しており,京都市の事業推進のヒントになると実感した次第です。 地域に根付いた草の根のボランティア活動が,民族や国籍,文化の違いを超えて市民と市民の心を結ぶ役割を果たすことは間違いありません。また,宿泊業や飲食業,介護業など,特定技能の在留資格を持つ外国籍市民が増えれば,ますます多種多彩なニーズへの対応が必要になると思います。草の根で展開される活動が緩やかなネットワークで連携されていく中,行政の側面支援による情報や活動の場の提供などが求められるのではないでしょうか。多文化共生施策の第一歩として日本語教育への取組を充実していくため,ボランティアの方々による地域に根付いた日本語教室運営への支援と,担い手の育成に今以上に力を入れていくべきと考えますがいかがでしょうか。 最後に,高齢者など交通弱者と言われる方々の移動支援についてお聞きします。私は,平成22年11月市会本会議代表質問で,地域公共交通の在り方を問題提起し,その後も本会議や委員会で積極的な議論を重ねてきました。高齢化の進展で,交通弱者の移動支援は極めて重要な課題となっています。醍醐地域はいち早くこの問題に取り組み,コミュニティバスを開業。本年15周年を迎え,乗客800万人を突破する記念イベントが開かれるなど軌道に乗っています。関係者の御尽力に敬意を表します。隣接する桃山地域でも醍醐のようにできないかとの声が早くから上がっていますが,規模的に採算面で困難であり実現への動きに至っていません。桃山地域の公共交通問題を,9月市会で同じ伏見区選出の2人の議員も取り上げられました。会派を超えて問題意識を共有しているのです。それほど切実であることを市長も認識していただきたいと申し上げるものでございます。 また,9月市会で提案された高齢者の安全運転支援と移動手段の確保を求める意見書でも,高齢者が日々の買物や通院などに困らないよう,コミュニティバスやデマンド型乗合タクシーの導入など,地域公共交通ネットワークの更なる充実を図ることと論じており,全会一致で採択され国に送られたところであります。本年3月の予算特別委員会と10月の決算特別委員会で,私は,桃山南学区に居住される方が高齢化に伴って駅まで歩く時間が倍増し困っている点を取り上げ,現在運行している京阪バスの経路変更を要望しました。同じ京阪バスで山科区の小金塚と鏡山という二つの地域において,新路線や増便などの実証実験も行われています。また,上京区では,過去にデマンドバス運行実験など意欲的に取り組んだ経緯がありましたが,トータルな判断で市バスの経路変更を実施。大変喜ばれています。是非,桃山南学区のバス路線経路変更の実証実験に向け本格的に協議していただきたい。まずこの点を強く求めておきます。 高齢者の移動手段をいかに確保するかという課題は,山間地域や周辺地域だけでなく,市街地中心地域でも深刻化することは,私が上京区で活動していた当時から重要な懸案でありました。10月の本会議でも,鈴木副市長が,高齢者の方にとって最寄りの駅やバス停までの移動,すなわちラスト・ワンマイルへの支援が求められているとの認識を示しておられます。全市的な地域公共交通ネットワークへのビジョンを明確にして,実現に向けて具体策を検討することは,待ったなしの課題であると申し上げるものです。ただし,他都市で実施されているライドシェアを分析しますと,大型タクシーのワゴン型タイプで乗合いするスタイルでは,採算がなかなか合わず,行政支援が際限なく膨れ上がってしまう懸念が大きく,多くの自治体が二の足を踏んでいる状況であり,厳しい現実があります。 (パネルを示す)そこで,発想を転換し,現在の介護予防日常生活支援総合事業の仕組みを拡充して,高齢者の移動支援にいかせないかと提案させていただきたい。国のガイドラインによると,この総合事業サービスの一つとして,要支援者の移動支援や,その前後の生活支援を行う事例が示されています。本市がこのサービス類型を新たに設けることによって,要支援の高齢者が介護事業者の送迎車両に乗って買物や医療機関などに立ち寄ることができるようになるのです。全く新しい仕組みを一から立ち上げるのは大変ですが,この介護予防日常生活支援総合事業をいかすものであれば,実現に向けて大きな可能性があるものと考えます。本市でも,地域に根を張る介護サービス事業者が高齢者の移動支援に取り組むことを構築し,支援するべきと考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉田孝雄議員の御質問にお答えいたします。 3期12年の総括と今後の展望についてでございます。まず,この間の市政運営,特に改革への姿勢を高く評価いただき,誠に光栄に存じます。私は市長就任以来,1万箇所を超える地域活動,文化活動など,市民の皆様の活動の場や第一線の事業所を訪問し,市民の皆様のお声を直接伺い,速やかに市政に反映するなど,多くの市民の皆様と共に京都のまちづくりを前進させてきました。この間,厳しい財政状況の下,正にいばらの道でしたが,決して縮小一辺倒に陥ることなく,市会の先生方と深い議論,時に厳しい議論を行い,政策を磨き上げ,徹底した行財政改革を断行し,財源の確保に努め,京都の今と未来に必要な政策をしっかりと進めてまいりました。吉田議員から御紹介いただいたとおり,多くの成果が生まれ,京都の魅力や都市格が更に向上しており,これらは市会の先生方をはじめ,多くの市民や事業者の皆様の御支援の賜物であり,心から感謝申し上げます。 しかし,これからの4年間が極めて重要であります。人口減少や少子化への克服への挑戦,人生100年時代の健康長寿社会の実現,高齢者が,障害のある人が命を輝かせていただくように,また自然災害への対応はもとより,CO2排出量正味ゼロへの地球温暖化対策,貧困・格差・孤立の克服,強い経済,さらには,市民生活を最重要視した観光,これらを支える持続可能な財政の確立など,笑顔があふれ,魅力と活力ある京都を実現するため,挑戦したいこと,今しなければならないことが数多くございます。決して容易ではありませんが,全国随一の京都の市民力,地域力,さらに緊密な府市協調やオール京都体制,国との強固な連携など,幅広い力を結集すれば,難局を打破し,新たな輝かしい未来を築くことができると確信いたしております。私は,京都の未来のために,行財政の抜本改革はもとより,市民の皆様と共に文化と産業の融合によるイノベーションの創出,あらゆる分野におけるAIなど新技術の活用,新たな時代に適したライフスタイル・ビジネススタイルへの転換など,前例に捕らわれない改革に果敢に挑戦し続ける決意でございます。同時に,ぶれることなく,お一人一人のお声を大切にする現地現場主義に徹するとともに,共に汗する共汗に徹し,誰一人取り残さない安心安全で活力あふれる京都の未来を市民の皆様と共に切り開いてまいります。 次に,生活困窮世帯の子供に対する学習支援についてでございます。全ての子供たちが持っている無限の可能性を発揮するには,一人一人の子供に丁寧に寄り添った学習支援の取組が何よりも重要であると,私はそのように考えております。このため,平成22年度から,家庭環境等で課題を抱える子供たちが,年齢の近い学生ボランティアの方々とマンツーマンで共に学び,自己肯定感を育む学習支援事業を全国に先駆けて実施してまいりました。昨年度,支援を受けられた子供の高校進学率は約97.2パーセント,また,10年間で延べ2万人以上が事業を利用し,子供たちからも,教えてくれた学生さんのようになりたいとの声が上がるなど,子供たちの居場所としても大きな効果を挙げてきております。 現在,1年間の登録児童は300人を超え,創設当初の約23倍となっております。より多くのボランティアの方々の関わりが求められております。このため,今年度は謝礼を増額し,大学への声掛けを強めるとともに,子供との対話方法等の実践的な研修を開催し,昨年度より10パーセント多い258人に登録いただきました。今後も,子供たちの感謝の声を伝え,やりがいを高めるとともに,ボランティアの方々同士の交流の機会を持つなど,協力いただける方を募ってまいります。学校や福祉現場等との連携につきましては,吉田議員御指摘のとおり,支援の必要な子供の困りを様々な機会で気付き,つなぐことが重要であり,更なる連携強化につきましては,地域や関係団体の御意見をお聴きしながら,丁寧に進めてまいります。今後も,困難や課題を抱える家庭に気付き,適切な支援につなぐという支援の輪が更に広がりますよう取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 介護予防・日常生活支援総合事業による高齢者の移動支援についてでございます。高齢者の皆様の移動や外出を支援する取組の必要性は,今後ますます高まってまいります。吉田議員御提案の総合事業の訪問型サービスにおける移動支援につきましては,地域の通いの場への送迎や,通院・買物の送迎時の介助等を行うものでありますが,現在,一部の市町村におきまして,このサービスの仕組みを用いて地域の通いの場であるサロンへの送迎や,サロンからの帰りにスーパーマーケットに立ち寄るといった取組も行われております。このような取組は,今後,高齢化が一層進行していく中,介護・福祉施策として,高齢者の移動や外出を支援する手段を増やすことができ,介護や支援が必要な高齢者の社会参加を進め,ひいては健康長寿のまちづくりにもつながるものと考えております。本市におきましても,こうした観点から,来年度予定しております令和3年度から5年度までの3年間を計画期間とする第8期京都市民長寿すこやかプランの策定過程におきまして,積極的に検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 多文化共生社会に向けた日本語教育についてでございます。本市では,外国籍市民の数が年々増加する中,外国籍市民を含む市民の皆様がより豊かな生活を送ることができるよう,多文化が息づくまちづくりを進めてまいりました。中でも日本語教育は,社会とのコミュニケーションの基礎となる大切なものと考えており,例えば国際交流会館では,受講者の日本語能力に応じたやさしい日本語教室や希望者が自由に参加できる日本語クラスを実施し,年間で延べ8,000人を超える外国籍市民の皆様に御利用いただいておるところでございます。これらの教室の運営や日本語指導等については,日本語通訳ボランティアの皆様に中心的な役割を担っていただいております。 こうしたボランティアの皆様への支援は,日本語教育の充実には不可欠と認識しており,日本語指導に係る意見交換の場の提供や日本語クラスを修了された方を対象とした日本語教室開講に向けた支援を行っているところです。吉田議員の御指摘も踏まえまして,日本語教室を利用される皆様のニーズの把握や国の制度の情報収集に努めるとともに,日本語教室関係者間でのノウハウの共有やレベル向上につながる,先ほどの意見交換の場の提供も含めたネットワークの充実を図るなど,外国籍市民の皆様に対する日本語教育の事業効果が一層高まりますよう取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 次に,市政一般について,国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔国本友利議員登壇(拍手)〕 ◆(国本友利議員) 左京区選出の国本友利でございます。吉田孝雄議員に引き続き,公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問をいたします。市長並びに関係理事者におかれましては,明快な答弁をいただきますようお願いいたします。 初めに,本市の観光政策についてお伺いいたします。観光は,我が国の力強い経済をけん引するための極めて重要な成長分野です。経済波及効果の大きい観光は,世界の観光需要を取り込むことにより,地域活性化,雇用機会の増大などの効果を期待できます。さらに,世界中の人々が日本の魅力を発見し,伝播することによる諸外国との相互理解の増進も同時に期待できます。訪日観光の振興と同時に,国内旅行振興も重要であります。そのため,地域が一丸となって個性あふれる観光地域を作り上げ,その魅力を自ら積極的に発信していくことで広く観光客を呼び込み,地域の経済を潤し,ひいては住民にとって誇りと愛着の持てる活気にあふれた地域社会を築いていくことが観光立国には不可欠であります。政府は2016年に,明日の日本を支える観光ビジョンを掲げ,2018年は,外国人観光客が過去最高の3,119万人に達しました。さらに来年2020年は4,000万人,2030年には6,000万人を目指すとされています。本市においては,2018年の観光客数は5,275万人で,そのうち外国人観光客は,日帰り,宿泊を合わせ805万人となっております。また,観光消費額は1兆3,082億円と過去最高を達成し,今後も観光客数,観光消費額の増加が期待できます。しかしながら,一部の観光地に観光客が集中し,市民生活に影響を与えている現状にも向き合わなければなりません。本年10月25日から26日に,北海道においてG20観光大臣会合が開かれました。この会議では日本を議長国として,各国の観光担当大臣や観光関連機関の代表などが,世界共通の課題である,SDGs・持続可能な開発目標に対する観光の貢献をテーマに議論がなされ,各国共通の課題としてオーバーツーリズムの克服に向けた共同宣言が採択されました。この共同宣言では,観光は世界的に最も成長し,かつ強じん性のある経済活動の一つであり,持続的成長が見込まれ,多様な雇用を創出するという前提を踏まえつつ,一方で,観光の成長は自然資源の保護と活用,環境・気候的影響,生物多様性,社会・文化的影響,インフラ,輸送・労働条件と労働市場,安全,混雑対策並びに受入地域との関係性において,数々の困難を生み出すとの見解も示されています。そのうえで,訪問者と地域社会双方に恩恵のあるマネジメントが重要であると位置付け,オーバーツーリズム対策は,日本だけでなく各国共通で取り組むべき課題と認識されました。観光庁の発表によると,日本においては全国的な傾向として,オーバーツーリズムは広く発生していないとされ,京都市を含む一部の有名観光地のある自治体に外国人観光客が集中しているのが現状であります。その中にあっても,私は世界文化自由都市宣言を掲げた京都市が,外国人観光客を拒絶するような排他的な都市に陥ってはならないと考えます。今後,外国人観光客の増加が見込まれる中にあって,本市のオーバーツーリズムに対する取組が,全国の観光政策のモデルとなることは間違いありません。本市では,11月20日に,市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向けた基本指針と具体的方策についての中間取りまとめを発表されたところです。その中では重点取組として,混雑への対応,宿泊施設の急増に伴う課題への対応,観光客マナー違反への対応を掲げられ,4項目50事業を新たに充実・強化していくとされています。 そこで,本市の目指す市民生活との調和を最重要視した観光都市としてのビジョンと今後の方針について市長の考えをお伺いいたします。 次に,地域を守る建設土木事業者の担い手を確保するための取組について質問いたします。近年,地震,風水害と想定を超える大規模な自然災害が頻発しています。昨年は大阪府北部地震,西日本豪雨,台風21号により,本市において多くの被害が発生いたしました。また,本年は台風15号,19号の発生で,東日本を中心に強風による被害や河川堤防の決壊などによる浸水で深刻な被害となりました。これらの自然災害に対して,住民の安全を確保し被害を最小限に食い止めるためには,早期の河川や道路の復旧など,地域の建設事業者の協力が必要不可欠であります。一方で,少子高齢化,人口減少社会において,地域の建設事業者の人材確保は年々難しくなっています。建設業界の活性化による担い手確保のためには,公共工事の施工時期の平準化をはじめ,長時間労働の是正,週休2日の確保など働き方改革を促進し,建設産業の魅力の向上に努め,若年者の就職につなげることも重要であります。国においては,平成26年に,品確法と建設業法・入契法を一体として改正し,適正な利潤を確保できるよう予定価格を適正に設定することや,ダンピング対策を徹底することなど,建設業の担い手の中長期的な育成・確保のための基本理念や具体的措置を担い手3法として規定しました。この担い手3法の施行により,予定価格の適正な設定,歩切りの根絶,ダンピング対策の強化など,5年間で様々な成果が見られました。 一方で,相次ぐ災害を受け,地域の守り手としての建設業への期待,働き方改革促進による建設業の長時間労働の是正,生産性の向上など,取り組むべき課題に対応し,5年間の成果を更に充実するため,新・担い手3法として再び品確法と建設業法・入契法を一体的に改正いたしました。また,国土交通省は,地方公共団体における平準化の取組事例についてとして,先進的取組事例集を地方公共団体からの要望を受け公表しています。公共工事の多くは単年度施工であり,工期が年度末に集中する傾向にあります。そのため,完成時期が年度末に集中しないように年間を通じた分散化を図り,かつ働き方改革に結び付く施工時期の平準化が必要です。施工時期の平準化により,年間を通し,労働者の仕事並びに収入が確保され,事業者については経営の健全化と安定化が図れることとなります。それにより,週休2日制などの計画的な休日確保や技術者・技能者の安定した収入の確保など,労働者の処遇が改善されると考えます。また,事業者の建設重機など機材の稼働率向上により,事業者における建設機械等の保有の促進が図れ,建設業における災害時にスピード感をもった対応が期待できるところです。あわせて,発注職員等の事務作業が一時期に集中することを回避することも重要です。これらの公共工事の平準化の取組については,地域の建設土木事業者の担い手確保だけでなく,ひいては災害時をはじめ,市民の安心安全に寄与する取組と考えます。 そこで,新・担い手3法を踏まえ,地域を守る建設土木工事の担い手確保のための,公共工事の施工時期の平準化並びに,建設労働者の処遇改善につながる週休2日制の取組について,本市の現状と今後の方向性についてお伺いいたします。 最後に,学校現場における防災教育の更なる推進についてお伺いいたします。近年,東日本大震災をはじめ,熊本地震,北海道胆振東部地震,大阪府北部地震など大規模地震や毎年のように起こる大雨,台風による風水害が多発しており,多数の尊い人命が自然災害により失われています。このような状況の中で,全国的に防災・減災に対する意識も高まってきており,本市においては,学区の自主防災会を中心に自助・共助の取組を進められています。その中にあって,子供たちに対する防災教育は極めて重要であると考えます。いざというときに,子供たちが自分で考え行動する力を養うことは,生きるための教育であると考えます。学校における防災教育は,子供たちに災害に対する心構えや知識を養うとともに,その保護者や地域にも波及していきます。さらにはその子供たちが大人になったときの防災意識の基礎となるものとなります。京都市においては,各教科・領域の単元・題材の中から,防災教育で育てるべき力と関連の深いものを系統的にまとめた京都市防災教育スタンダードを作成し,平成24年10月に,小・中学校,総合支援学校の教員に配布し活用されています。さらに,平成28年度の小中学校教科版指導計画の改訂に併せて,防災教育の視点を持った教科・領域の指導をより一層進めるため,平成28年7月に改訂版を作成されています。 また,平成25年からは,左京区の養徳小学校を教育委員会でセーフスクール推進事業として指定し,取組が進められています。このセーフスクール推進事業は,学校教育全体を通し,学校,家庭,地域が連携した組織的・体系的な防災教育をはじめとする安全教育の在り方や,学校における危機発生時の安全管理マニュアルの整備をはじめとする安全管理の徹底について研究を進めてきています。具体的には,学校における防災教育について子供たちが教員から一方的に教えられるだけでなく,自ら考え,行動できる力を養うことができるよう,子供たち自ら通学路の安全点検を行い,その対策を考えることや大規模災害時の避難所で,どのように行動するかをグループ単位で学習し,地域の皆様に発表するなどの取組を続けています。こうした取組は,子供たちの能動的学習であり,生徒が主体となって知識の習得と実践を行うアクティブラーニングそのものです。それにより,子供たちが自ら考え,行動する力,人間力を養うための教育の一環であると高く評価しています。さらに,子供たちの防災意識の醸成だけにとどまらず,保護者・地域へと自然と広がっています。このセーフスクール推進事業は,養徳小学校にとどまらず,平成28年度以降,指定校が順次拡大をされています。さらに,平成30年度からは,文部科学省の学校安全総合支援事業として,モデル地域・拠点校として設定した学校を中心として,学校安全の組織的取組,外部専門家の活用,学校間の連携等を促進し,学校安全の取組の一層の推進が図られています。 そこで,セーフスクール推進事業や学校安全総合支援事業におけるモデル校の取組成果をいかし,全小中学校へ展開していくことが有効と考えますがいかがでしょうか。今後の方針について教育長のお考えをお伺いいたします。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(青野仁志) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 国本友利議員の御質問にお答えいたします。 観光政策についてでございます。京都は観光のために作られたまちではない,私はこれまでから繰り返しそう申し上げてまいりました。京都のお寺,神社,幅広い文化芸術,自然,景観,町並みなどが観光の面で高く評価されていますが,それらは京都に伝わる市民の皆様の暮らしの美学,生き方の哲学がその根底にあり,市民生活が基本であり,それを大切にしなければ京都が京都であり続けることはできません。同時に,旅行者を温かくお迎えし,おもてなしの文化を育んできたまちでもあります。国本議員御指摘のとおり,観光は,京都経済の成長や雇用の創出,文化財・伝統文化,伝統産業の継承に大きく寄与するとともに,世界の人々との交流による相互理解の促進や,新たな文化の創造・発信につながるものであり,重要な施策であります。その中で,何より重視しなければならないのは,市民の皆様の生活であり,市民の皆様の豊かさにつなげる取組であります。そのため,私は観光客の一部地域への集中や外国人観光客の増加がもたらすマナーなど,様々な問題の早急な解決に全身全霊を懸けるとの思いから,徹底した実態の把握,課題の検証,幅広い関係者の御意見をお聴きし,今般,一部の観光地・市バスの混雑への対策や,観光客のマナー違反対策,宿泊施設の急増に伴う課題への対策の三つの柱を掲げ,50の事業を新たに充実・強化し,全庁を挙げて,また市民・事業者と共に全力で取り組んでいるところであります。とりわけ,喫緊の課題であります宿泊施設につきましては,オフィスや若い方々等への住宅の必要性が高まり,それらを踏まえまして,市民の安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入お断りを宣言したところであり,経済界等と連携を深め,経済団体等を通じて関係業界にも協力を求めるとともに,地区計画の積極的な活用など,あらゆる都市計画の手法を駆使しまして,地域の皆様と共に実効性ある対策を進めてまいります。 折しも,今月12日から国連の観光と文化に関する京都会議が日本で初めて開催されます。貧困,格差,紛争,環境問題などなど,世界のあらゆる社会的課題の解決を目標としたSDGsを文化と観光の力で達成するため,各国の大臣等が議論を行います。この機会を捉えまして,市民の安心安全や地域文化の継承を最重要視し,SDGsの達成にも取り組んでいる京都市から,この間の取組も含めまして,観光都市・京都から観光課題解決先進都市・京都として世界のモデルになる取組を更に深め,私もこの会議の中で特別報告し,また会議の成果を京都宣言としてまとめ,世界に向けて発信してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(青野仁志) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 地域を守る建設土木事業者の担い手確保についてでございます。頻発する災害への体制強化やインフラ整備を将来にわたって持続可能なものとしていくためには,地域の守り手である市内建設土木事業者の皆様の役割がますます重要になってきております。昨年の7月豪雨などでは,道路・河川等で440箇所にも及ぶ甚大な被害が発生いたしましたが,現在,95パーセントの箇所で復旧が完了し,今年度中に完全復旧できる見込みであります。また,本年の台風19号などでも,倒木被害により13路線が通行止めとなりましたが,翌朝までに全て解除することができました。事業者の皆様の多大な御尽力に改めて感謝申し上げます。 一方で,本市の建設業従業者数は,この20年間において約3分の1も減少するなど深刻な状況にあり,担い手の確保に向けては,国本議員御指摘のとおり,建設土木工事の施工時期の平準化と週休2日制の実現が不可欠であると認識しております。そのため,本市発注の土木工事においては年度末に工事が集中することがないよう早期発注に努めるとともに,いわゆる債務負担行為を活用し,年度をまたぐ工期の設定にも積極的に取り組み,施工時期の平準化を推進しております。また,今年度から工期・経費を週休2日で積算したモデル工事を実施しているところであり,そこで得られた知見を基に,週休2日工事の更なる拡大を図ってまいります。今後とも,新・担い手3法の趣旨を踏まえ,社会基盤を支える地域の建設業界が健全に発展し,働き方改革が促進され,魅力ある産業となるよう担い手の確保に向けた取組をしっかりと進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(青野仁志) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 防災教育についてお答えいたします。国本友利議員御指摘のとおり,近年,自然災害が多発する中,子供たちが災害の際,自分で考え,行動する力を養うことは極めて大切であり,また,そのことが大人になったときの防災意識の基礎となるものと認識しております。そのため,本市では各教科・領域を横断する防災教育スタンダードを独自で作成し,小・中学校9年間を通じた系統的な指導を進め,発達段階に応じた実践力の向上に努めております。また,平成25年度に,養徳小学校を本市のセーフスクール推進事業実施校に指定して以降,順次拡大を図り,今年度は計6校で,学校・家庭・地域・関係機関が連携した安全教育や危機管理マニュアルの整備など,更なる防災,安全管理の徹底について研究と実践を進めているところでございます。 御提案のとおり,こうした研究成果と実践を全市に拡大することは極めて重要であると考えており,学校安全総合支援事業として,今年度から2年間で全ての小・中学校全体を16のブロックに分け,各ブロックの代表校1校が拠点校の避難訓練や事故発生時を想定した実地訓練に実際に参加し,ブロック内の他校に伝達することで,教職員の指導力の向上及び自校の避難訓練等の充実につなげる取組を行っております。また,その訓練映像を全市の学校で活用できるよう研修資料としてまとめ,今年度中の配信を予定しております。今後とも,災害発生時に,全ての子供たちが,保護者・地域の方々と共に周りの状況に応じて危険を回避し,自分の命を自分で守り抜く力を身に着けられるよう,一層の防災教育の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(青野仁志) 暫時休憩いたします。 〔午後2時54分休憩〕 〔午後3時15分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,安井つとむ議員に発言を許します。安井議員。 〔安井つとむ議員登壇(拍手)〕 ◆(安井つとむ議員) 伏見区選出の安井つとむです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し,市政一般について質問いたします。市長及び関係理事者におかれましては,市民の皆さん方から寄せられた声として御認識をいただきながら答弁していただけるよう求めておきます。 門川市政3期12年も任期あと3箇月余りとなりました。11月8日,門川市長は,4期目のチャレンジに向け正式に立候補の表明をされました。12年前,就任当時,景気拡大期から一転いたしまして,リーマンショックに端を発した世界同時不況の中,市税も過去最大の減少,また連結決算では306億円の赤字など,以前にも増して厳しい本市の財政状況の中でありましたけれども,その後,市会での厳しい,また深い議論を交えた中で政策を進めるとともに,徹底した行財政改革の断行を進め,現在に至っては42億円の宿泊税の新設はもとより,毎年,市税徴収率をアップさせる取組,教育・子育て環境の充実・向上,命と暮らしを守る自然災害に強いまちづくり,文化政策の強化では,文化庁京都移転への歩み出しと共にその移転の決定,知恵産業や新産業に加え,人材の育成にも力を傾けるとともに,市民との協働を主として,目標,課題の克服に努め,さらに,今後は貧困,格差,孤立,コミュニティ弱体化等の諸課題の解決に向けた挑戦,人生100年時代を見据えた健康長寿社会,知恵産業のまち京都の振興,そして地域企業の更なる振興,持続可能な都市構築プランに基づく都市の活性化,市民生活と調和した観光,環境問題についても,2050年CO2排出量ゼロに向けた創エネ・省エネ,新しい交通システムの研究・導入等の政策を推進するとともに,その元となる財政の確立を図ることなどが課題と考えられます。 私たち議員団は,二元代表制の中で,厳しく指摘する点については明確にしながら行動してまいりました。それは,我々も市民の皆さん方から直接選挙を経て議会に送り出していただいていることから当然のことであります。市政で示されました政策事業項目についても,賛否両論いただく中でしっかりとまとめ上げ,その声を市政に反映することを活動の基本としまして,毎年予算要望を行ってまいりました。門川市政3期12年間,市民の皆さんの協力を得る中,一例として,ごみ減量に向け各種取組を進めた結果,平成12年度をピークに年間82万トンから41万トンへの減量に伴い,ごみ処理コストは平成14年度ピークの367億円から213億円へと154億円の削減。また,この10年間で市債残高1兆9,903億円から1兆6,600億円へと,約3,300億円の削減など,政策面での実績も上げる一方,地方交付税の削減による影響もあり,収支不足を公債償還基金の取崩しで補填せざるを得ない状況にあること,また地下鉄の経営を支えるため,交付税措置のない市債発行等により,将来負担率が他都市に比較して高い状況にあることも事実であります。このような財政の正しい情報が十分に伝わっていないこともあり,不安に感じている市民の皆さん方がおられることも事実であります。市長が常々口にされている伝える力をどう発揮するのか。その政策や財政状況,今後の見通しを市民にいかに正しく伝えるのかが課題と感じています。市長の考えを求めます。まず第一の質問としてここで切らせていただきます。よろしくお願いします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 安井つとむ議員の御質問にお答えします。 財政状況の発信についてであります。財政状況の発信,説明に当たっては,一つの指標の単純な比較だけでなく,その指標の持つ意味も併せてお伝えするとともに,複数の指標をお示しし,総合的に判断いただけることが肝要であります。例えば,数ある財政指標の一つ,将来負担比率について,平成30年度の本市の比率は191.2パーセントと,指定都市の中で最も高くなっているのは,危機的な状況にあった地下鉄を支援するために発行してきた経営健全化出資債の残高834億円が大きな要因でございます。その支援と徹底した増客などの経営努力により,地下鉄は,平成18年度の1日当たり4,600万円の赤字が,平成30年度には600万円の黒字となっています。同時に,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除く全会計の市債残高については,市長就任以降3,300億円縮減し,将来負担比率はこの指標が導入された10年前と比べて,240ポイントから191ポイントに約50ポイント低減させております。こうした情報を全て公開したうえで,本市の市債の格付けは国と同じ水準の信用を得ており,他の自治体と同様の低い金利で資金調達を行うことができております。 また,本市では,これまでから中期収支見通しや行財政改革の進捗に加えまして,将来の借金返済に充てるべき公債償還基金の取崩し額などの厳しい内容も全て,市民しんぶん,ホームページ,SNSなどあらゆる媒体を活用して積極的にお伝えしてまいりました。今後,更に徹底した市民目線に立ち,伝える力に磨きを掛け,市民の皆さんに分かりやすく,かつ正確に伝わる工夫を重ね,これまでの取組の成果と客観的な財政状況を市民の皆様と共有してまいります。引き続き,京都の強みを徹底していかし,経済を活性化し,市民生活の豊かさにつなげる,そしてそのためのあらゆる政策を総動員し,担税力を高める持続可能な財政を確立する,そのために全力を尽くしてまいります。 ○議長(山本恵一) 安井議員。 〔安井つとむ議員登壇〕 ◆(安井つとむ議員) それでは,続いて質問に入ります。異常気象,また甚大化する自然災害が国内外においても問題視されております。昨年は,大阪北部地震,その後の台風21号近畿直撃による本市の被災状況も激しく,いまだ地域における家屋倒壊による未復旧状態,公共建築物のブロック塀でも,現在,改修が継続されている箇所もあります。対応が急がれる中,今年も多くの台風,豪雨の発生と共に日本への接近・直撃など昨年に増す被害が発生し,その被害エリアは一部にとどまることなく全国的に拡大しました。特に水害被害は昨年以上に発生し,河川の維持管理,また治水対策等について多くの課題を残しました。また,鉄道施設など復旧に長期を要する箇所も多く,地域住民の生活環境に大きな影響を与えています。一日も早い復旧を願うものです。 本市においては,市民の防災意識も重なる災害,また各行政区と各地域で開催される防災訓練等により高まっている現状で,これを機に更なる意識向上に市民としてどう対応するのか。本市としても,京都市防災マップの積極的な活用が身近な取組として指摘されています。備えあれば憂いなし,広く市民が常から取り組むべき課題を提供し,行政と市民が一体となった防災意識向上の更なる足掛かりとしていただくことを願い,答弁を求めます。 あわせて,避難所設置対策について質問いたします。先に述べましたように,本市においても,近年,豪雨による避難勧告,避難指示発令の度に,避難所の課題について議論がなされています。避難時における地域での速やかな取組として,まず,避難所の開設では,地域組織の協力なくして進むことはなく,特に,自治会役員をはじめ地域の皆さんが,自らを省みず避難されてきた方のために尽力されることは,負担の大きいものがあります。自治体としては,より一層,備品の調達・管理,保管状況の把握,情報の共有化に努めるとともに,情報発信の場としての危機管理体制の中で,数日前からの台風接近情報を基に事前に避難所チェックを強化して,スムーズな開設に向け,早めに災害に備えることも重要であります。体制構築に向けたマニュアルを強化し,作成してはいかがですか。 また,所定の避難所に限らず,各地域事情で避難所に代わる自治会館もあり,果たしている実績を調査のうえ,必要最小限の物資,毛布や飲料水などの備蓄を検討することについて答弁を求めます。あわせて,避難所の機能向上を目指し,安全かつ人権に配慮した国際基準,スフィア基準に沿った避難所開設に努めるとともに,予算措置を含めた国への要望活動を強化,そして全国的展開への足掛かりを本市がけん引する役をする姿勢を示していただけたらと思いますが,いかがですか。 先日,令和2年度予算編成における財政の現状と収支見通しの概要が発表されました。本市の景気の緩やかな拡大,個人所得の伸び,新築家屋の増加に伴う個人市民税・固定資産税をはじめとした市税の堅調な推移。一方で,国からの地方交付税が大きく削減され,ピーク時から比較しても250億円以上の減少。令和2年度予算収支見通しでも,昨年度比144億円のマイナスとされ,歳入歳出の収支差はマイナス300億円の不足と示されております。従来にも増して支出削減への努力と共に,少しでも収入を得るための方策として厳しい財政状況に鑑み,その一環として,これまで公有地の売却をはじめ京都市資産有効活用等提案制度による公募型プロポーザル方式等の手法によって資産の有効活用が進んでいます。今年度までにもホテルや福祉関連施設が幾つかの契約が成立され,事業が進捗しております。この11月に入っても,売却をはじめ旧吉祥院消防出張所跡地,また名勝円山公園における便益施設に関わる借地公募の実施が公表されました。過日の常任委員会でも議論をされました。特に名勝円山公園については,本市で最も歴史のある公園として,東山山麓の豊かな自然,多くの寺社に囲まれた立地にあり,祇園枝垂桜を中心に風致景観も際立って良く,今後も観光客のみならず市民が憩える場として発展してきた趣旨がいかされるよう求めておきます。 平成28年,開園130周年を迎え,眺望・景観の悪化,施設の老朽化等を踏まえ,今後,将来にわたり公園を維持・継承するための基本的方針を取りまとめた名勝円山公園保存管理計画が策定され,都市公園区域内に設定されている便益施設区域も本計画の対策範囲にあり,風致景観の再生と共に,にぎわい・活性化により,風致景観との調和を目的とし,植栽,樹木の改良などの実施が計画されています。現在,同区域内での便益施設は合計41箇所を数え,今回の募集案件を除き31軒が営業を継続されていますが,9軒が休業中で,3年に一度更新も施設の設置許可が更新されず借地料のみ支払われています。眺望や景観が求められるとともに,にぎわい施設として,昭和31年,都市公園法に基づく都市公園となった以降も,便益施設は公園ならではの特性をいかした四季を通じた利用形態が名勝円山公園の本質的な価値と位置付けられています。しかしながら,便益施設の約2割が長年にわたり休業中の状況にあります。今回の新しい便益施設の設置に係る公募の実施は,平成29年に代執行による措置により,更地となった区画で名勝にふさわしい新たな施設の整備と運営を行う事業者の募集であります。その中で,今回の公募は,1軒でも新しく開設することによって保存管理計画を一歩進める機会と受け止めております。 そこで質問いたします。現在,休業中を含む40軒の借地料は,都市公園条例施行規則に基づき算定されているとのことですが,社会情勢を鑑みると非常に安価との声も多く,なおかつ平成10年に借地料が改定されて以来20年が経過しています。一方,今回の公募では,近隣の固定資産評価単価に基づく借地料が設定され,現行借地料の数倍になるとされております。公平性を保つ観点からも,借地料の改定は避けられないと判断いたします。また,設置許可が更新されず,借地料のみが支払をされている休業施設を放置することは,保存管理計画を円滑に進めるうえでも問題が生じると思います。この点についても併せて答弁を求めます。 次に,7月18日,伏見区内の京都アニメーション第一スタジオで発生した放火火災は,本市の消防史上にとっても最も痛ましい事件として死傷者69名を数え,市会としても,7月22日の特別市会本会議において弔意を表明してきました。その悲しみと共に,これまでの制作等について高い評価を得,当時から国内外から弔意と惜しむ声が途切れることなく今も続いております。改めて亡くなられた方の御冥福,また負傷者の一日も早い御快復を心から願うものであります。本市はこの事件以降,翌19日には被害拡大の要因,原因の究明,また市内の他の建物でらせん階段の実態調査,ガソリン販売時の安全対策を進めるため,緊急検証対策チームを設置されました。当時は,その実態は把握されてないとお聞きいたしました。また,携行缶持参時のガソリン販売規制については,関西広域連合の委員会においても議論され,ガソリン購入に関して規制が必要との認識を示し,問題点を整理し,国に要請することが決定いたしました。しかし,一方で,購入者や業界に負担を強いるため,慎重な議論が必要であるという声があることも事実であります。今回の京都アニメーションの建物に違法性はなく,また当社においては,消防局からの指導にも適切に対応され,平成14年度の消防記念日には,伏見消防署の署長表彰を受賞されました。また,昨年11月の総合防災訓練にも多くの従業員が参加されています。 そこで,事件後4箇月余りが経過し,設置されました緊急検証対策チームの作業状況,検証結果のまとめ,また,市長も述べられておりましたけれども,消防法,建築基準法に沿った施設でどのような対策を採れるのかどうか,現在の進捗状況と見通しをお示しください。 次の質問であります。市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向け,基本指針と具体的方策についての中間取りまとめが発表されました。新たに4項目50の事業の充実,そして強化を目的としたものとなっています。重点的取組項目の一つである混雑解消に向けた対応で,特に公共交通利用に伴う市民生活に大きな影響を与えている課題については,ダイヤ改正の度に増便を含めた対応を図ってまいりましたが,解消に至っておりません。特定の観光路線に苦情が集中しているのが現状であります。ターミナルから観光地へ向かう路線については,一般乗客向けと観光を目的とされる乗客との混乗では,増発されても途中からの積残しを解消することにはつながらず,バス運転士の増員にも問題がある中,効率的な車両の導入,すなわち,以前から私も主張しておりましたけれども,連節バス導入が一番の解決につながると確信しております。これまで導入については道路事情,バスベイ,車両整備を含め,多くのハードルがあるとされておりました。しかし,今回,いすず・日野自動車が2017年から共同開発された国内初のハイブリット連節バスが今年5月から販売されました。その全長は18メートルを基準として従来のバスの1.5倍であります。国内道路事情に合わせた車両サイズとされ,多額の費用を要するとされていたアフターサービスも販売会社が提供するとされました。こういったことで連節バス導入に向けて一歩も二歩も踏み出す状況が生まれております。宿泊税も今年度から42億円となれば,車両購入費への充当がより目的に合った用途にもなり,是非,本格的に検討する時期に来たと確信いたします。この点について答弁を求めておきます。 最後に,地域の要望でございます。平成13年1月,淀城跡公園再整備基本構想が策定され,事業化に向けスタートいたしました。その後の財政非常事態宣言以降,予算編成において収支の悪化から,次年度以降,今日まで事業が凍結をされております。市域では,事業化への地元の思いも深く,一日も早い再検討をされることを強く要望しておきたいと思います。 色々と申し上げましたけれども,やっぱりこれからの京都,未来の京都,そして明るい京都,また市民の皆さん方,愛する京都,これに向けて門川市政,しっかりと頑張っていただくことを強くお願い申し上げまして,私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,安井つとむ議員の御質問にお答えします。 防災対策についてでございます。市長就任以来,東日本大震災直後から支援活動に尽力するとともに,本市の防災対策を総点検し,審議会から答申いただいた127項目全てを実施するとともに,ハード・ソフト両面から雨に強いまちづくりを推進するなど,市民,事業者の皆様と市役所が一丸となった災害対策を進めてまいりました。また,昨年の度重なる災害についても,本市の災害対応を直ちに総括し,取るべき84項目をまとめるとともに,その全ての改善策にスピード感をもって取り組んでおります。さらに,災害対策の機能等を強化するため,今月から危機管理センターの運用を開始いたしました。本市では,東日本大震災や熊本地震,さらに今年の台風19号等の被災地に今日まで延べ3,000人を超える職員を派遣しており,それらの職員が現地で得た経験は,本市の防災対策の強化に確実につながっております。こうしたことも踏まえまして,安井議員御指摘のハザードマップの効果的な周知や,災害時のタイムラインの作成など,行政と市民の皆様とが一体となった防災・減災対策を検討し,しっかりと取り組んでまいります。 次に,避難所対策についてでございます。本市では,自分たちのまちは自分たちで守るという地域のきずなの下,全国に誇る高い自治力,市民力をいかし,地域と行政が一体となって425箇所の指定避難所をはじめとする避難場所の運営を行うこととしており,スムーズな開設に向け,マニュアルの見直しや自治会館の避難所等としての更なる活用についても,地域の皆様が災害時に運営しやすくなるという視点で必要な検討を行ってまいります。また,避難所等の環境について,直ちにスフィア基準を採用することは困難でございますが,被災された方々の身体的・心理的なストレスを軽減できるよう,引き続き,国の指針やガイドラインを踏まえまして,避難所環境の充実などに取り組むとともに,避難所運営に幅広く活用できる支援制度の創設などを他の自治体とも連携して,国に強く要望してまいります。 次に,京都アニメーション火災を受けた緊急検証対策でございます。本火災発生後,直ちに私を先頭とした緊急検証対策チームを立ち上げ,京都府警と連携し,徹底的な原因究明と調査を行い,市内の事業所に避難経路の再確認や訓練を実施していただきました。また,市内152のガソリンスタンドに販売時の氏名や使用目的の確認等を徹底するよう依頼したほか,国に対して制度改正を緊急要望した結果,現在,ガソリン販売に係る法令改正が検討されております。さらに,市内のらせん階段,吹き抜け等のある280施設に対する実態調査と命を守るための指導を強め,年内には全て完了いたします。 今回の火災では,法令を順守していた事業所にもかかわらず,甚大な被害となりましたことから,原因究明の結果や京都アニメーションの社員の方の避難行動の分析を基に,複数の避難経路の確保やベランダへの避難器具の設置,火災の煙を拡大させないなど,火災から命を守るための対策をまとめ,年度内に本市独自の指針を策定し,市民や事業所の皆様に訴え掛けるとともに,国に対しても情報提供や提案を行ってまいります。京都アニメーション火災でお亡くなりになった方々に対しまして哀悼の誠をささげ,今なお苦しんでおられる方々がおられます。お見舞い申し上げ,一日も早い御快復をお祈りし,その教訓をしっかりと受け止め,引き続き,災害対策,安心安全のまちづくりに全力で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 円山公園における便益施設についてでございます。円山公園については,名勝円山公園保存管理計画に基づき,歴史的風土とにぎわいが融合する上質の京都に触れていただくことができるよう再整備に取り組んでいるところであります。この度,更なるにぎわいの創出につなげていくため,知恩院南門付近に続く区域において,名勝にふさわしい新たな便益施設の公募に着手したところです。今回の公募による便益施設の使用料については,本市都市公園条例に基づき,近隣の現時点の固定資産評価額を基に算出した金額以上の提案を事業者に求めております。一方,既存の施設の使用料については,安井議員御指摘のとおり,平成10年度に改定した条例単価を適用しているものであり,今後,固定資産税路線価の評価替え等を踏まえまして,見直しについて検討してまいります。また,現在,営業休止中の便益施設に対しましては,これまでから営業の再開等を強く指導してきているところでございますが,状況の改善に向け,より一層,取組を強化してまいります。今後とも,名勝円山公園が,多くの市民や国内外からの来訪者にその魅力を十分に味わっていただき,自然と文化に触れる憩いの場となるよう取り組んでまいります。 次に,連節バスの導入についてでございます。安井議員御指摘のとおり,従来の連節バスは,海外生産の輸入車に限られておりましたが,本年5月に,国内メーカーから初の国産連節バスが発売されました。連節バスは,車両が2両つながった大量輸送が可能なバスであり,他の都市においては,主に鉄道駅と大学,大規模施設などの2点間を結ぶ基幹路線において,ラッシュ時等の対応策として導入が進んでおり,令和2年度には,横浜市において国産連節バスの導入が予定されていると聞いております。 連節バスは,車両の長さが18メートルに及ぶため,安全運行,周囲の円滑な交通に与える影響や費用面等での課題もございますが,国産の連節バスは,輸入車に比べ整備に必要な部品を短期間で安価に調達できるという利点もあり,本市としても注目しております。国産初となる連節バスについては,今後,国内での普及に伴い,性能の更なる向上や,価格の抑制などが図られることを期待しており,本市といたしましては,こうした動向をしっかり注視しながら,一方で本市の都市特性への適合性などにも留意しつつ,将来の公共交通の選択肢の一つとして,引き続き研究・検討してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,こうち大輔議員に発言を許します。こうち議員。 〔こうち大輔議員登壇(拍手)〕 ◆(こうち大輔議員) 右京区選出のこうち大輔です。日本維新の会市会議員団を代表して質問いたします。多くの皆さまのお陰で,2期目の任期初めての代表質問をさせていただけることに感謝とより一層の精進をお誓い申し上げ,質問に入らせていただきます。 まずは,令和2年度予算の収支見通しと行財政改革の加速について質問いたします。門川市政3期12年間を経て,最も今後将来の京都市の課題として残っているのが財政についてだと考えます。市長は,先般の30年度決算9月市会におきまして,京プラン後期実施計画における中期財政収支見通しの当初目標でありました令和2年度の特別の財源対策からの脱却は厳しいとお認めになり,また,同じく来年度予算の収支見通しについては,公債償還基金を取り崩して不足する財源を補填する負担の先送りが恒常化するなど,極めて厳しい財政状況にあるとされています。そして,現時点の概算見込みで約300億円の巨額の財源不足が見込まれる事態となっています。我々がこれまで提案してきた更なる身を切る改革,市長の報酬・退職金のカット,職員給与の見直し,事務事業の徹底的なゼロからの見直し,文化・景観に関わるコストを日帰り入洛客にも求める制度の創設,神社仏閣との財政的な協力関係の構築,持続可能な敬老乗車証制度の見直し,働き方改革に伴う残業費用の削減,水道事業の広域化による効率化,公共交通の脱公営など経営形態の見直しと収益事業の拡大などなど,これらの政策を取り入れる覚悟がなければ,とても特別の財源対策からの脱却は難しいと考えます。 まずは,この不足している約300億円について,現時点ではまだ仮の話になりますが,どういった方法をもって予算編成されるおつもりなのか。平成30年度決算を踏まえて,少なくともこれ以上,公債償還基金の取崩しをすべきでないということにおいては,議会において一致している意見が多数だと思います。また,今議会においては,人事委員会勧告に基づいて職員の月額給与とボーナスの引上げが議案として上程されています。ボーナスについては6年連続の引上げで,人件費は約5億1,000万円の増となります。これだけ厳しいという中の引上げです。このような中,どのようにして財政改革の加速を実行していくおつもりなのか,市長の覚悟をお聞かせください。 次に,空き家対策の迅速化について質問いたします。現在,京都市内には約10万6,000戸の空き家があり,このうち約4万5,000戸が活用の見込みのない空き家となっています。5年に一度の調査によりますと,平成25年に約11万4,000戸であった空き家数から考えると,居住世帯数の増加などもあり,約8,000戸の減少ではありますが,空き家率は約12.9パーセントで,全住戸の1割以上を占めています。私が住んでおります右京区におきましても,平成25年の調査によりますと1万1,860戸,空き家率11.5パーセントとなっており,行政区別に見た場合,人口が多いこともあり3番目の空き家数になっています。また,高齢化率が高くなるほど空き家率も高くなることから,今後も社会情勢によって増加していくのは周知のとおりであります。空き家対策については,学区全体の空き家についての情報把握や,地域住民への情報発信など,地域連携型空き家対策や,地域の集まりに司法書士などの専門家と京都市職員が相談に訪れるおしかけ講座など,特に空き家発生予防の観点から行われている事業と,防災まちづくり活動としての空き家対策。これら地域住民主体による対策は,これまで123学区で行われております。また,活用・流通に対しての補助金や相談などの事業も行われており,現在行われている対策については,課題検証しながら,今後より一層推進していただきたい対策であり,更に周知していただきたく思います。また,来年から始まる住宅用地特例の解除についても一定の効果を期待しています。この住宅用地特例の解除に当たっては,例えば課税通知書など所有者に文書を送付する際には,なぜ特例解除されることになったか,所有者に対しその深刻性が伝わる文書の同封など,より実効性のある取組をお願いいたします。 しかしながら,ここで申したいのは,特に管理が行き届かないなどの空き家についての対策です。想像していただきたいのは,自宅の周辺,または隣に管理が行き届かない空き家があった場合です。例えば,隣家の瓦やトタン,また外壁などがいつ落ちてくるか分からないような状況であったとき,例えば自宅の玄関前に,隣の敷地から生い茂っている木があったとき。もちろん危険性があり,また,例えそこまでの危険性がないと判断された場合であっても,精神衛生上も含め周辺住民にとっては,非常に苦しい状況になります。もちろんその対策として,空家等対策の推進に関する特別措置法及び京都市空き家等の活用,適正管理等に関する条例により,空き家及びその敷地の所有者及び管理者が適正管理を怠り,特定空き家等となった場合,段階に応じて市長が改善のための指導・勧告・命令等を行うこととされています。この場合,段階に応じた必要措置を採ることができますが,そのためには,まず1,そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある。2,著しく衛生上有害となるおそれがある。3,適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている。4,その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態など,管理不全状態と認められる必要があります。そして,特定空き家等の調査及び認定に対応し切れなかったり,認定に慎重であった場合,先ほどの例のような状態のまま相当の日数が経過しても,助言・指導に至らないまま放置されるということが生じかねません。実際,これまで要対応案件2,158件中1,103件の改善で,解決件数は約51パーセントにとどまっており,また,私が実際に住民の方から御相談を受けた案件を例にとりましても,現地調査から最初の通知まで約5箇月を要しています。京都市条例では,緊急安全措置として,人の生命,身体又は財産に危害が及ぶことを避けるため緊急の必要があるほどに危険性の高い空き家であれば,助言・指導,勧告,命令を経ずして必要最小限の措置を行え,また,軽微な措置として,防災上等の支障を除去・軽減できますが,どちらも特定空き家等の認定が必要であり,また,それぞれ緊急の必要,軽微な措置を採ることで防災上等の支障を除去・軽減できることの認定が前提となり,こちらもその認定が迅速でなければ有効に機能しない場合があります。また一方で,平成26年から,これまで累計にして約3,100件の通報,毎年400件から500件の新規通報があります。民間委託を活用しながら,少ない人員での現地調査や時間の掛かる所有者調査をできる限り迅速な対応をするために,担当職員の方々も汗をかいておられる現状です。 そこで,今後増加していく空き家への対応,来年から始まる管理不全空き家への取組として住宅用地特例の解除への対応,また先ほど申したように,今現に隣家や周辺にある空き家によって困っておられる住民・市民の皆さんに,より一層迅速な対応をしていただきたいのですがいかがでしょうか。今後の対策についてのお考えをお聞かせください。 次に,薬物乱用対策について質問いたします。昨今,有名人などの薬物乱用についての事件がメディア等により大々的に報じられる機会が多くなっているように感じます。薬物がファッション化し,特に若者が手を出してしまう状況に私は危機感を覚えます。京都府内におきましては,平成30年中の薬物事犯の検挙人員は332人で,平成29年と比べ13人減少しています。そのうち,覚せい剤事犯の検挙人員は221人で,こちらも前年と比べると10人減少していますが,全薬物事犯の検挙人員の66.6パーセントを占めています。また,大麻事犯の検挙人員は105人で,前年に比べ7人減少し,こちらは全薬物事犯の検挙人員の31.6パーセントを占めています。どちらも前年と比べると減少していますが,過去5年を見ますと,薬物事犯検挙人員は,平成26年で317件,27年で318件,28年で337件,29年で345件とほぼ横ばいに推移しています。京都市におきましては,特に若年層の事例としまして,平成27年には市立小学生が,28年・30年・本年3月には中学生がいずれも大麻によって摘発されています。また,更に直近になると,本年10月に大学生・大学院生が大麻所持によって起訴されています。本年3月の事件の際には,京都市教育委員会在田教育長も緊急校長会において,極めて深刻に受け止めていると強い危機意識を示されました。インターネットなどにより,子供たちにとって身近に迫ってきてしまっており,特に低年齢化してきています。また先ほど申しましたとおり,有名人などの事件の報道によって,間違った捉われ方をされる危険性もあります。私も子供を持つ親として非常に深刻な状況と受け止めていますし,何としても子供たちを守らなければならないと感じています。 現在,京都市教育委員会では,薬物乱用防止教室の実施を小学校・中学校・高校全校において年1回実施され,また毎年教職員研修を実施されています。また,薬物乱用対策については,京都府薬物乱用対策推進本部により,オール京都で未然防止対策・再乱用防止対策・取締対策・監視指導対策等,京都市ももちろんそれぞれにその役割を担っておられます。しかし,それが若者に充分伝わっているのか。また,防災意識と同じように危機感が共有されているのか。子供や地域活動の関わりの中で,まだまだ不十分と考えています。また,市長がメッセージを発信していただくことはもちろん,私も議員活動を通じ行ってまいりますが,特に子供たちとの接点がある教育現場において主体的に取り組まれることが求められると考えます。 そこで,特に教育現場において保護者・地域・各種団体との連携は充分なのか。また,実態把握はどの程度できているのか。相談・報告等のしやすい環境になっているのか。実態把握については難しい部分があるかと思いますが,例えば関西4大学は,独自に薬物に関する意識調査を行っておられます。このような取組を今後更に考えていく必要性もあるかと思いますし,また,相談・報告などについては,SNSを活用して相談等しやすい環境づくりなども考えられるかと思います。現状の認識と今後の取組についてお聞かせください。 次に,高齢者の就業機会確保などによる更なる活躍について質問いたします。高齢者の方々は,今の時代,社会の貴重な戦力であると私は思います。ちなみに高齢者とは,日本では65歳以上のことを指しますが,60歳代の方が私にはとてもいわゆる高齢者とは感じません。今年は,団塊の世代が70歳以上になる年に当たり,70歳以上の人口は前年比98万人増の2,715万人となり,総人口の21.5パーセントに達しました。65歳以上の人口は前年比32万人増の3,588万人で,総人口の28.4パーセントを占めています。また,労働力調査によると,2018年の65歳以上の就業者は過去最多の862万人となり,15年連続で増加しています。一方で,少子高齢化に伴い全国的にも労働者不足であり,京都府においても,例えば本年7月の有効求人倍率は,建設・採掘の職業では8.58倍,保安の職業では7.26倍,輸送・機械運転の職業は3.34倍でありました。職業別によって偏りはありますが,高い有効求人倍率となっています。国会においては,希望すれば70歳まで働けるようにする法案が検討されており,更なる就業拡大を目指そうとしています。 少子高齢化,労働者不足,健康長寿,社会保障費・医療費の抑制,生きがい,生活のためなど私は時代と共に変化し,これからの社会のためには必要なことではないかと思います。現在の経済情勢においては,行政がというよりは民間やハローワークでの就業機会の確保もしやすい環境にあるかもしれませんが,今後,京都市においても,様々な場面においての担い手・人材不足を解消する貴重な戦力として高齢者を捉え,就業を希望する高齢者に対する環境づくりのより一層の取組や活動のサポートが必要だと思いますが,いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 以上で,私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) こうち大輔議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革についてでございます。私は市長就任以降,徹底した行財政改革を断行し,職員数を3,300人以上,年間の人件費を270億円削減するとともに,私も含め,副市長等の給与等のカットを続け,市民生活を守り抜くための施策を実施してまいりました。また,本市が返済に責任を負う市債残高につきましては,全会計で3,300億円縮減,さらに歳入面においても,課税自主権を活用し,昨年10月に宿泊税を導入し,今年度は42億円を確保する予定であり,この間取り組んできた経済政策により,税収はリーマンショック後から246億円増加し,明るい兆しも表れております。 しかしながら,地方交付税は,市税が増加すれば減少するという仕組みなどにより,ピーク時から442億円減少しており,来年度も厳しい予算編成となる見込みであります。一方で,相次ぐ災害から市民皆さんの命を守るための安全対策,全国トップ水準の福祉,教育,子育て支援の維持・充実,未来を展望した先行投資については,しっかりと行っていくべきと考えております。この間,ぶれずに取り組んできた文化を基軸にイノベーションを起こすまちづくりにより,京都の魅力,都市の総合力は大きく向上しております。これを市民の皆さんの豊かさに,将来の税収の増加につなげるよう活力あるまちづくりに向けた産業用地の確保や,クリエイティブな人や企業の集積,地域企業の持続的発展への支援等に取り組んでまいります。あわせまして,社会経済情勢を捉えた事業の再点検・見直しにも危機感と創造性のある発想をもって取り組み,スクラップ・アンド・ビルドを徹底してまいります。 また,京都の地域力・民間の力を最大限いかし,これまで行政が主体となって取り組んできました事業についても,自走化も促進してまいります。なお,職員の給与につきましては,地方公務員法において,国や他の地方公共団体,市内民間事業所の給与等との均衡を考慮して定めなければならないとされており,また,厳しい財政状況にはあるものの,将来にわたって京都市政を担う優れた職員を確保し,育成する観点からも,人事委員会勧告の内容は最大限尊重するべきであると考えております。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 空き家対策についてでございます。本市では,国に先駆けて平成26年に空き家条例を施行し,市民の皆様をはじめ多様な主体の方々の御理解と御協力の下,総合的な空き家対策を展開し,国が昨年実施した住宅・土地統計調査では,全国的には空き家数が増加する中,本市では初めて空き家数が減少いたしました。しかしながら,少子高齢化の進展などにより,今後は空き家の増加が想定されることから,本年8月には,空き家の更なる活用促進のための抜本的な空き家対策を取りまとめました。これを受けまして,空き家対策として指導する住宅用敷地の固定資産税を6分の1に減額するなどの住宅用地の特例につきまして,指定都市で初めて,独自の基準を定め,基準に該当する管理不全の空き家に対しては,令和2年度課税分から,この特例による減額を適用しないこととしており,効果的で丁寧な運用を図ってまいります。 なお,市民からの通報等に基づき,周辺地域に危険を及ぼしかねない空き家については,外壁の落下防止等の緊急の安全措置を講じておりますが,所有者の特定の困難さなどから,改修や除却などの解決に至るまでには時間を要しておりました。このため,相続関係の複雑な案件の所有者調査等を司法書士会に,さらに今年度からは,対応の必要性などを見極める初期調査を行政書士会に委託し,専門家の力を活用することにより,通報を受けた管理不全空き家の解決率については,平成27年度末の26パーセントに比べますと,令和元年9月末で51パーセントへと大幅に改善してきているところではありますが,引き続き,先ほどの運用体制の工夫等により,更なる解決率の向上と指導の迅速化に努めてまいります。今後とも,これらの空き家対策を強力に推し進め,市民の皆様の安心安全をしっかりと守ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 高齢者に対する就業支援についてでございます。人生100年時代を迎えようとする中,高齢期における豊かな生活を続けていただくためには,高齢者それぞれの経験や意欲,能力に応じ,地域活動の担い手やボランティアとして御活躍いただくことに加え,就労を希望される方には社会の貴重な戦力として活躍していただくことが,これからの京都のまちづくりにおいて極めて重要であると考えております。雇用行政はハローワークや京都府が担っておりますが,本市においては,臨時的かつ短期的な就業を希望する高齢者のニーズに応じた就業機会を創出し提供する,京都市シルバー人材センターへの支援を行っているところであります。この間,就業開拓員による民間企業等への訪問活動等により,年間3万件を超える業務を受注し,契約金額は着実に増加してきており,業務内容についても,ニーズの高い屋内清掃や除草などに加え,子供の一時預りや京都ならではの修学旅行生の観光ガイド,さらには介護予防・日常生活支援総合事業における支え合い型ヘルプサービスへの従事など,幅広い業務を行っております。さらに今後は,シルバー人材センターと連携して,受注と就業ニーズとの関係を分析することにより,マッチングが円滑に行われ,より多くの方に利用される取組を進めてまいります。また,短期的な就業だけでなく,現役として働き続けたいという方のために,国や京都府,経済界等とも連携して,高齢者の雇用の在り方を検討していくことで,多様な担い手が活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 薬物乱用防止対策についてお答えいたします。子供たちを薬物の危険性から守るためには,薬物が子供たちの身近に迫っているとの強い危機感を全ての大人が共有し,行動に移していかなければならないと考えております。本市では,平成27年度の中学生の逮捕事案を受け,保護者・地域・関係機関と危機感を共有し,28年度から児童・生徒への指導・啓発に向けましては,全ての小・中・高等学校での薬物乱用防止教室の開催,また教職員の指導力向上に向けましては,独自の指導資料の作成や全校が参加する研修会を毎年開催しております。さらに30年度には,市民共通の行動規範である京都はぐくみ憲章におきまして,子供の命や安全を脅かす緊急課題の方策に位置付け,実践行動の拡大に努めるとともに,PTAや青少年健全育成団体等と連名で緊急メッセージを発信するなど,保護者・地域等との連携に取り組んでまいりました。実態調査につきましては,27年度から実施されております京都府警のアンケートに本市も協力することで,生徒の意識把握などに努め,指導や保護者啓発の充実に活用しております。 さらに,児童・生徒自らが薬物を拒絶する規範意識の向上に学校全体で取り組むため,発達段階に応じて,教科横断的に指導できる本市独自の指導計画,薬物乱用防止教育スタンダードを新たに作成し,今年度中に学校へ配布・活用してまいります。また,未然防止の観点からは,子供たちの小さな変化や兆候も見逃さず,手遅れのない対応と心の通った指導を徹底することが大切であり,スクールカウンセラーの全校配置やこども相談センターでのカウンセリング,電話相談窓口の設置に加え,昨年度からはSNSの活用を開始し,相談体制の充実に努めております。引き続き,家庭・地域・関係機関と連携し,子供たちの命と未来を守り抜くため,薬物乱用防止の取組を一層推進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) 右京区選出の江村理紗です。地域政党京都党・無所属市会議員団を代表しまして,市政一般について質疑を行います。 私たちの会派では,これまでから市長与党・野党の枠組みではなく,門川市長の政策に対し,是々非々の立場で市会の委員会及び本会議に臨んでおります。その中で,特に私が市長のお取組としてすばらしいと思いますのは,やはり教育委員会御出身であることから,子育て,教育についてであります。増え続ける保育ニーズ・学童保育ニーズの中で,待機児童ゼロを続けておられることは,全国的に見ても先進的な状況であります。また,新しい定時制高校の整備に関しても,まちの宝である子供たちに学び直しの機会を提供できるすばらしいお取組です。さらに,これまで全国から注目を集める御所南小学校などのモデル校が生まれる一方で,学力の南北格差が課題となっておりましたが,今回,向島秀蓮小中学校と京都奏和高校の開設もあり,少しずつその解消が進んでいることは大変望ましい動きです。 こうした中,私たちの会派では,門川市長が3期12年間にわたっても成し得なかった京都の新しい選択となる抜本的財政再建や新たな交通政策について議論を重ね,他都市の先進事例の調査を行ってきました。本日は,門川市長3期目最後の市会となる今11月市会において,これから皆様に御提案いたします政策について,どのようにお感じになられるかをお聞きしたいと思います。 まず一点目は,財政に関してです。門川市長は,これまで京都市長として京都市をけん引されてこられた中で,文化による本市の活性化に関しては前進できた一方で,財政運営においては財政基盤がぜい弱であり課題が残るとの見解を先般の決算議会でも述べておられました。京都市はこの財政難において,市民に対しては,今年発行して広く回覧されている京都市政報告書京都のまちづくりアルバムにおいて,回復しない厳しい財政状況が続いていると言及されています。国からの地方交付税並びにに臨時財政対策債が大幅に削減され,一般財源収入がピーク時から大幅に減少しているという外的要因は否めず,京都市として臨時財政対策債を廃止し,必要な地方交付税を確保するよう国に対して強く求めることもごもっともな話です。ただ,私たちが,それでもなお財政再建に向け対応強化を求めておりますのは,国の制度転換を求めながら,今京都市が取り組まれている範囲では,構造的・慢性的な財政難からいつまでたっても脱出できないからです。事実,京都市の将来負担比率は,平成28年度の全国調査において,夕張市に次ぐワースト2位となっております。市民の方々からすれば,観光でにぎわい,京都は潤っているだろうというイメージの中で,この状況で財政難ならこの先どうやっていくのかと不安のお声も聞かれます。 先日,京都党市議団では,かつて財政破綻したものの短期間で建て直しを実現した自治体を訪れ,数々のお取組を伺ってまいりました。中でも今回皆様に御提案したいのは,補助金の評価方法についてです。我々京都党の主張の軸の一つとして,行政と民間の感覚のずれを解消するというものがあります。そのずれの最たるものが,投下資本に対する効果をいかに厳密に評価するかという点であります。民間では事業に対して,設備投資,人的投資,何をするにしても,その投資からどの程度効果を得られたのかを必ず精査します。しかし,行政に関しては,事務事業評価など定量的評価を一定導入していますが,補助金という行政支出については,交付後,効果検証が定量的にされていないのが実情であり,補助金の評価方法は定性的なものであっては,ほとんど意味がありません。京都党市議団で訪問した泉佐野市では,かつて財政が危機的状況に追い込まれていましたが,徹底したコスト見直し,行財政改革により立ち直りつつあります。その最たる例が補助金の評価制度です。補助金の使途内容・補助金額・期間など,12項目に及ぶ評価項目で点数化し,格付けを行い,補助が過剰であると判断した場合,補助金の削減を実施し,必要なものに関しては継続するようにしています。 (パネルを示す)例えば,使途内容においては,飲食を伴う会議経費に使用しているなど,市の直接事業であれば削減するような経費の使途があれば減点対象となります。また,補助による受益者が不特定多数の市民なら5点の加点,一方で,補助団体構成員のみしか利益を享受しないのであれば減点,そのほかにも補助期間が20年を超えるものは減点などが定められており,12項目の総合評価によって出された基礎評価点を基に補助金の支給具合が判断されます。 そのほかの自治体での取組について伺っている中でも,行財政改革に熱心なある首長からは,歳出の1パーセントカットはどの自治体においてもそれほど困難なことではない。家計で例えるなら30万円の収入の中,3,000円節約するのはできるだろう,自治体も同じだとの言葉が非常に印象的でありました。現に,ただ今紹介しました補助金の評価制度を実施している泉佐野市においては,歳出の10パーセントカットを実現しています。これは,ひとえに徹底的分析による歳出抑制に努めた成果にほかなりません。財政再建に向けて奇策がないかと色々と探してきましたが,結局見えてきたのは,できることを徹底的に取り組んでいくことです。本市においても,行政と民間は本質が異なるという面はありますが,民間での取組を行政にあった形に昇華し,行財政改革の先進自治体を目指すことが必要です。 以上の点より,補助金の支給においては,ただ今挙げました具体的な指標による採点を行い,地方自治法第2条14項に定められるとおり,最少の経費で最大の効果を発揮できるよう努めることが不可欠であり,この点,3期12年京都市政を担ってこられた門川市長の御見解をお示しください。 続いて,2点目は交通政策についてです。京都市の市バス事業においては,本年度をもって京阪バスが撤退することが既に決まっており,市バス運転手の不足も今後の大きな課題であることから,既存の公共交通サービスを存続することが難しい段階になってきております。しかしその一方で,交通機能の充実を求める声は依然として多い状況です。私の元にも,嵯峨地域や広沢地域,宇多野地域にお住まいの方から,最寄りのバス停から地下鉄の太秦天神川駅に行きたいものの,バスを乗り継ぐ必要がある。ほかにもバスの本数が通勤・通学と帰宅時間でも1時間に2本,日中は1時間に1本しかなくとても不便ですとのお声をしばしば頂きます。確かに,例えば宇多野地域でも,現在人口が約9,800人でありますので,嵐電が通っているとはいえ地下鉄太秦天神川へアクセスするには帷子ノ辻で乗換えが必要であることから,アクセスの利便性向上の声が上がるのも無理はありません。こういった状況は市内周辺の至る所で発生しているものと思います。また,高齢化の進行により,昨今高齢者の引き起こす交通事故が社会問題となっており,免許証の返納の動きが増え,多くの高齢者が大抵70台後半から80台前半で車の運転をやめているようです。そうなると,団塊の世代が後期高齢者になる2025年以後に免許返納者が激増し,マイカー以外での足の確保がますます求められることとなります。高齢者の場合,外出をしないこと自体が様々な問題の温床となることから,行政としても見過ごせません。とはいえ,先に述べた理由及び財政的負担からも,単に市バスの本数増加で補填していくのは現実的ではありません。 そこで,京都市の交通は大きな転換を図るべきだと考えます。今,世界的にも注目を集めているモビリティ革命,MaaSの御提案です。 (パネルを示す)MaaSとは,利用者の移動ニーズに合わせて交通事業者が提供する交通手段の最適な組合せを作り,一つのパッケージを提供するサービスです。例えるなら,これまで映画のDVDや音楽は1本ごと,また1曲ごとに販売されていましたが,ネットフリックスやAmazonプライムのように1箇月単位で見放題,聞き放題という風に商品がパッケージ化され,サービスの提供手段が根本的に異なる方法も広がってきています。それと同様の波が交通の分野にも訪れようとしています。ただし,便利なアプリというものにとどまるものではなく,マイカーという便利な移動手段に対して,公共交通,自転車シェア,カーシェア,配車サービスなどを組み合わせた新たな選択肢を提供しようとするもので,マイカーと同等か,それ以上に魅力的な交通手段を提供し,持続可能な社会を構築していこうという全く新しい価値観やライフスタイルを創出していく概念です。 実際に,フィンランドのヘルシンキでは,Whimという統合アプリの提供が始まっており,行政主導でヘルシンキ市内全ての公共交通機関である鉄道・路面電車・バスに加え,カーシェアリング・レンタカー・タクシーが一つのサービスとして統合され,アプリでルート検索,予約,決済が可能な仕組みを展開しています。導入当初は,MaaSの導入はカーシェアや配車サービスを中心とした自動車産業のためのもので,公共交通にとってはマイナスに働くのではないかとの懸念もあったようですが,結果的には導入後にユーザーのマイカー利用率は半減し,導入前は50パーセントに満たなかった公共交通の利用率が74パーセントに増えたとの報告があります。マイカーに使われていたお金を公共交通に使うことになれば,当然バスや地下鉄事業は潤い,必要な投資ができるようになり,利便性や快適性を高めることにもつながります。日本での導入はまだありませんが,2018年には政府の成長戦略として,自動運転のみならず様々なモビリティ手段の在り方及びこれらを最適に統合するサービス,MaaSについて検討を進めることが閣議決定されてもいます。京都市はある調査によれば,政令市で見れば5番目に自動車の分担率が低い都市ですが,鉄道とバスを含めた利用より自動車の利用が上回っており,MaaSは,正にそれなりに公共交通が整備されているのにマイカー依存率の高い地域が向いていることから,最適な地域と言えます。もちろん,この取組の前提として,市民の皆さんに地下鉄利用を身近に感じてもらうための地下鉄とバスの乗継割引の実施は大変有効だと考えます。また,自宅からバス停や駅までの距離,着いた場所から最終目的地の移動手段を指す交通のいわゆるラスト・ワンマイルの充実が,市内周辺部には大変重要です。MaaSでシェアリングなどを用いて補完する手段もありますし,これを機に都市交通の改善を行い,中心部へはバス以外の交通手段に力点を置いて,バスの増便をしなくとも周辺住宅地と地下鉄の主要駅とを結ぶ短距離のバス路線を充実させる手段も検討の価値があります。 MaaSを重要な施策として交通戦略に取り込み,今本市が抱える交通課題への打開策として是非取組を進めることが,今後の京都市発展のためには必要で,MaaSを展開するうえでは,最適な交通手段のパッケージを提供する担い手の存在が非常に重要です。世界の導入都市を見渡すと,民間や政府主導の所もありますが,自治体が担っている所もあります。収集されるビッグデータを用いて都市交通の改善につなげられること,そして市民の足を充実させることは,まちづくりにも密接につながっていることから,京都市がMaaSオペレーターとして地域の交通手段を先導するお取組を進めるべきと考えます。この点の御見解を伺います。 以上で,私の質問を終えます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 江村理紗議員の御質問にお答えいたします。 補助金についてでございます。補助金の執行については,市会から,補助金の有効性や必要性の点検を行い,一層の適正化を図るべきという御意見を頂いたことを真摯に受け止め,市長就任翌年の平成21年に,京都市補助金等の交付等に関する条例を定めました。この条例に基づき,毎年9月には,交付額,交付の目的,交付の相手方,対象事業の内容,算定方法などを公表しております。さらに,平成29年度からは,市会の御指摘も踏まえ,負担金の支出状況についても同様に公表するなど,補助金等の支出の透明性の確保に努めているところであります。執行の適正性については,条例の趣旨を踏まえまして,毎年度の予算編成におきまして,事務事業評価制度を活用しながら,公益性が低下していないか,広く社会一般の公益に寄与するか,補助額に見合った効果があるかなどの点検をしっかりと行っております。加えまして,掲げた目標に対する達成度を測る業績評価を通して,事業効果の検証も併せて実施しております。こうした取組を通じて,補助対象費の減額,各団体への資金支援から自立化支援への手法の転換,類似する他の事業との統合などを行ってきております。一方で,補助金の支出は,行政が特定の事務又は事業を助成・育成し,又は奨励することで,政策の目的を達成するためのものであることから,本市では,一律の機械的な評価のみをもって補助金の廃止・縮小を判断するのではなく,政策目的の重要性や支援の必要性など,個々の状況を踏まえた判断が必要と考えております。本市の未来志向の都市経営は,世界のスタートアップ企業の注目を浴びてきておりますが,こうした企業の飛躍には,行政の支援が大きな力になります。このように,必要に応じてしっかりとした補助を行うことが重要であり,当面の財政負担を抑えるためだけの縮み志向による削減ばかりでは,京都の未来を切り開くことはできません。例えばこの間も,民間保育施設への支援として,ハード面では,施設の整備や改築等への補助を思い切って進めたことにより,国基準での待機児童6年連続ゼロを達成しました。また,ソフト面におきましても,本市独自の補助により,例えば定員90人の保育所の場合,国基準の1.3倍の職員を配置するなど,民間保育園における保育士の処遇改善を行っており,常勤保育士の定着率は,全国の政令指定都市中,最も高いなど,優れた保育士による保育の質の向上を図っております。このために市独自の財源49億円を投入しております。 企業立地の促進におきましても,新たな企業の誘致や伏見区や南区に位置する高度集積地区への先端技術の集積,ベンチャー企業の育成を補助するなど,厳しい財政状況におきましても,京都の未来に向けた補助を積極的に的確に行うことで優れた企業の集積発展と,それに伴う税収の増につなげてまいりました。それらの結果,市税収入はこの10年で246億円増加,また,市内の雇用労働者はこの5年間で58万人から63万7,000人と10パーセント増加しております。全国は4パーセントです。格段に京都市内で働く人が増えている。また,その中でも正規雇用が13パーセント増加している。こんな効果も表れてきており,未来への明るい兆しが出てきております。 引き続き,補助金執行の透明性を確保するとともに,毎年の予算編成を通して,効果や必要性をしっかりと検証し,最少の経費で最大の効果を発揮できるよう努めてまいります。なお,御紹介いただきました泉佐野市における補助金の点数化や格付けによる評価は,平成15年・16年の2箇年,一時期行われただけで現在は行われていないと聞いております。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木知史) 多様な移動サービスを一元化して提供するMaaSについてでございます。サービスとしての交通手段を意味するMaaSは,国内においてもカーシエアなど自動車を活用する事例や,グループ企業においてエリア観光を促進するものなど様々な形態のものが検討されておりますが,歩くまち京都を標ぼうする本市といたしましては,MaaSの推進に当たっては,市域のバス・鉄道の公共交通網の更なる利便性向上・利用促進を図ることを第一に考えております。 本市では,歩くまち・京都総合交通戦略を策定し,行政,交通事業者,市民や観光客も一体となって,人と公共交通優先のまちづくりを進めてきており,市バスや地下鉄,民間バス・鉄道等の交通事業者が,相互に連携,時には切磋琢磨しながら官民一体となって公共交通網を形成し,市民の皆様や来訪者の移動手段をしっかりと確保できているものと認識しております。戦略の策定と同時に,市域を運行するバス・鉄道16事業者で構成される公共交通ネットワーク会議を立ち上げ,ダイヤ調整案内表示のほか,主な鉄道路線が1日または2日乗り放題の歩くまち京都・レールきっぷの販売,また交通系ICカードの普及促進などに取り組み,公共交通の利便性の向上を実現してまいりました。また,歩くまち京都アプリ,バス・鉄道の達人は,公共交通機関を一括で検索できるとともに,実際の到着予想時刻を表示するなど高度な機能を備えております。こういった取組を重ねてきた結果,先ほど江村議員から,京都市内では移動のための自動車の利用が鉄道とバスを含めた利用を上回っているとして,平成22年の全国調査に基づくと思われますデータの御紹介がございましたが,その後実施された平成27年の同様の調査においては,鉄道・バス利用が自動車利用を上回っております。さらに,同調査によりサンプル数を増やして本市が昨年実施した最新の調査では,自動車利用が22.3パーセントであるのに対し,鉄道・バスの利用は28.8パーセントと大きく上回っており,車に過度に依存するまちから,人と公共交通優先のまちへの転換が,この10年で画期的に進んでおります。 さて,MaaSの推進に向けましては,各交通事業者等が保有する時刻表や料金表,運行情報等のデータを相互に運用していくため,それらのデータをオープン化したうえで集約する情報連携基盤を構築する必要がございますが,これらのデータは事業者固有の財産であるという考えが存在するうえ,データのオープン化には,交通事業者の機器やシステムの改修に加え,データを取り扱う体制の見直しも必要であり,コストや時間を要するものと考えられています。そこで現在,国においては,公共交通分野におけるデータのオープン化によるメリットやリスク,コスト負担の在り方などについて研究・検討されております。本市におきましても,本年2月市会で御答弁申し上げましたが,既にフィンランドでMaaSアプリのWhimを展開するマースグローバル社と意見交換を行ってきてますほか,京都市交通局が京都バスとの間で,トラフィカ京カードの乗継割引やICOCA定期券の共通利用に取り組んでおり,運賃サービスにおいても事業者の枠組みを超えた連携を実現するなど,MaaSのコンセプトを体現した取組を一定のレベルにまで積み上げてきていると認識しております。 さらに,各交通事業者が保有するデータを事業者の負担を軽減しながら収集し,活用するための制度づくりや支援について既に国に対して要望活動を行ってきております。あわせて,これらのハードルを乗り越えていくには,交通事業者にも積極的に関わっていただく必要があることから,公共交通ネットワーク会議に参画する事業者から,保有するデータの取扱いや今後の方向性について意向を聴取しながら意見交換を行っているところでございます。公共交通ネットワークの更なる利便性の向上を図る視点に重点を置き,歩くまち・京都にふさわしいMaasの実現に向けて,国や交通事業者と連携を図りながら,その在り方や運営手法も含めて研究・検討を行ってまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) ただ今,市長からは,補助金について現在のお取組の状況に関する御答弁がございました。今,私が代表質問で取り上げました自治体の事例は,その自治体が抜き差しならない財政の緊急事態の状況であったからこそ取り組まれたものです。そのことを考えますと,この京都市においても喫緊の財政難である中で,より取組を進めていただきたいと思います。 今回のこの場でお話ししました内容は,京都市が内外で,内側で抱える困難な財政状況を抜け出し,新たな令和の時代も快適な市民生活が確保され,まちがにぎわう,そういった明るい社会を描いた私たちの御提案です。引き続き地域に根差し,頂いた御意見を大切に市政活動に取り組んでまいります。 御清聴,誠にありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時39分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          副議長   青野仁志          署名議員  井上よしひろ          同     かまの敏徳 △(イメージ)請願文書表「受理番号658」「保育・学童保育制度の充実」・請願文書表「受理番号659」「子ども医療費の義務教育までの無料化」 △(イメージ)請願文書表「受理番号660」「小学校のような全員制の中学校給食の実施」...