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09月30日-03号

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  1. 京都市議会 2019-09-30
    09月30日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    令和 元年  9月 定例会     令和元年     定例会       京都市会会議録 第3号     9月市会                     令和元年9月30日(月曜日)出席議員(66名)   1番 神谷修平議員   2番 くぼたまさき議員   3番 小島信太郎議員   4番 兵藤しんいち議員   5番 豊田恵美議員   6番 井上よしひろ議員   7番 山本恵一議員   9番 やまずまい子議員  10番 かまの敏徳議員  11番 森 かれん議員  12番 菅谷浩平議員  13番 小山田春樹議員  14番 松田けい子議員  15番 かわしま優子議員  16番 平山たかお議員  17番 加藤昌洋議員  18番 平井良人議員  19番 やまね智史議員  20番 鈴木とよこ議員  21番 大津裕太議員  22番 こうち大輔議員  23番 片桐直哉議員  24番 国本友利議員  25番 青野仁志議員  26番 森田 守議員  27番 田中たかのり議員  28番 山田こうじ議員  29番 森田ゆみ子議員  30番 山本陽子議員  32番 宇佐美賢一議員  33番 天方浩之議員  34番 平山よしかず議員  35番 吉田孝雄議員  36番 みちはた弘之議員  37番 さくらい泰広議員  38番 赤阪 仁議員  39番 とがし 豊議員  40番 ほり信子議員  41番 村山祥栄議員  42番 森川 央議員  43番 中野洋一議員  44番 湯浅光彦議員  45番 しまもと京司議員  46番 椋田隆知議員  47番 下村あきら議員  48番 くらた共子議員  49番 河合ようこ議員  50番 樋口英明議員  51番 山岸たかゆき議員  52番 安井つとむ議員  53番 曽我 修議員  54番 西村義直議員  55番 吉井あきら議員  56番 田中明秀議員  57番 寺田一博議員  58番 西野さち子議員  59番 玉本なるみ議員  60番 井上けんじ議員  61番 大道義知議員  62番 津田大三議員  63番 中村三之助議員  64番 橋村芳和議員  65番 繁 隆夫議員  66番 富 きくお議員  67番 井坂博文議員  68番 加藤あい議員欠席議員(1名)  31番 江村理紗議員   議事日程   開議日時 令和元年9月30日午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付   一般質問 (1) 市政一般について  寺田一博議員 (2) 市政一般について  しまもと京司議員 (3) 市政一般について  加藤昌洋議員 (4) 市政一般について  井上よしひろ議員 (5) 市政一般について  玉本なるみ議員 (6) 市政一般について  ほり信子議員 (7) 市政一般について  かまの敏徳議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(山本恵一) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名を指名いたします。くぼたまさき議員と神谷修平議員とにお願いをいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願1件及び陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,寺田一博議員。 〔寺田一博議員登壇(拍手)〕 ◆(寺田一博議員) 皆さん,おはようございます。上京区選出の寺田一博です。多くの皆様のお陰で,第83代京都市会議長としてこの春まで仕事をさせていただき,歴代議長がつないだたすきを山本議長に渡すことができました。この間の貴重な経験をしっかりといかし,地に足の着いた政治を行うことをお約束いたします。また,歴史と伝統ある京都市会本会議場は,現在耐震工事等による改修を行っているため約2年間はこの議場で審議を行いますが,京都市で最も重要な事案を決定する場であると意識して努めたいと思います。 私たち自由民主党京都市会議員団は,京都市会第1党として市民の皆様より託された大きな期待を常に自覚し,その代表として市政について厳しいチェックと責任ある提言を行ってまいりました。今議会は,平成30年度の決算を中心に審議を行いますが,本日私は,門川市長の政策に対し,その政策が市民の皆様に理解が深まっているのか,いわゆる伝える力が発揮されているのかどうか,観光優先等の声にどのように応えていくのかなどを中心に質疑をさせていただきます。またこの後,議員団を代表してしまもと京司議員,加藤昌洋議員,井上よしひろ議員が質問をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。 さて,30年度の一般会計決算の数値を見ますと,実質収支は3億6,400万円の黒字ではありますが,将来の借金返済準備金の公債償還基金から67億円取り崩したことによるもので,引き続き大変厳しい状況です。しかしながら,門川市長を先頭に財政健全化に向けた努力が感じられる部分もあります。それは市税徴収率が7年連続で過去最高を更新したことや保有資産の有効活用や売却,継続されている人件費の削減などに表れています。また,市民の皆様に豊かさを実感いただける政策の推進による効果か,個人市民税7年連続増加,納税義務数が過去最高になるなど着実に市税は増加しています。また,多くの皆様の御理解により宿泊税の徴収が始まりました。 しかしながら,社会福祉関連経費等の増加や地方交付税が削減される中,臨時財政対策債への依存が不可欠であるなど厳しい状況は続いています。以前も申し上げましたが,この臨時財政対策債は,地方自治体の借金でありながら国が責任を持って返済するという平成13年度から始まった制度ですが,事実上は国の借金でありながら名目上は地方自治体が借金するという構造を鑑みても,一時的な運用ならまだしも恒常的な運用には疑問を持たざるを得ません。引き続き,より一層他都市と連携し,臨時財政対策債の廃止に向けた取組を求めます。 ふるさと納税に関しては,制度が開始された平成20年当初は,そのまちを応援したいという理念で始まった制度でありましたが,返礼品と称するものを認めたために,その後返礼品を紹介するサイトやコマーシャルによりエスカレートしました。京都市では,年々マイナスが増え,今では年間40億円近いお金がその制度によりマイナスとなり,このまま見過ごすわけにもいかず,京都市の魅力的な返礼品を紹介することにより,そのマイナスに歯止めを掛けたいとの思いを伺っています。 また,昨年度は地震,台風などによる大規模災害が相次ぎ,約100億円の支出もありました。今年も千葉では停電が長引くなど市民生活に大きな影響が出ており,一日も早い復旧を願っていますが,京都市では昨年のつらい経験をいかして,より一層の防災に努められますよう提言いたします。 私たち議会も,指摘だけではなく議員報酬を削減し,その削減分は昨年度の災害による被災住宅再建等支援補助に充てるために27日の本会議で修正の議案を可決させていただきました。財政の健全化に向けて本議会でもしっかりと議論したいと思います。 そこで,門川市長に伺います。平成30年度決算をどのように総括されておられるのか,先ほど指摘した点を含めてお聞かせください。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 平成30年度決算についてでございます。これまで進めてきた国とも一体となった経済政策は,着実に実を結んでおり,例えば,個人市民税の納税義務数は,この3年間で2万4,000人増加し,過去最高の66万2,000人となり,市税収入も大きく増加しました。同時に,全国トップ水準の福祉,教育,子育て支援等を維持・充実させるとともに,昨年の戦後最大の災害からの復旧,被災支援等にもしっかりと対応しました。こうした中,徹底した行財政改革を進めておりますが,それでもなお財源が不足し,公債償還基金の取崩しにより補填せざるを得ない非常に厳しい決算となっております。寺田議員御指摘のとおり,臨時財政対策債の廃止については,本市独自の要望に加えまして,政令指定都市市長会,議長会の連名で国に対し要望を行っており,引き続き強く求めてまいります。また,京都の強みである文化と経済の融合を徹底し,京都からイノベーションを生み出していくスタートアップ企業の集積を強力に進めていくとともに,市民の命を守る防災・減災事業の推進など市民の皆さんの暮らしをしっかりと守り抜いてまいりました。 同時に,持続可能な財政運営の確立に向けまして,ふるさと納税等の税外収入や宿泊税の確保,職員数の削減や民間活力の活用など徹底した行財政改革に取り組んでまいります。とりわけ,ふるさと納税は,ふるさとやお世話になった自治体への感謝や応援の気持ちを伝えるという制度本来の趣旨に沿った運用がなされるべきと考え,国にも求めております。一方で,多額の市民税の流出が続く深刻な状況や,京都の伝統産業,地場産業の厳しい状況も踏まえまして,新制度の枠組みの中でも,伝統産業品など京都のブランド力を徹底的にいかした返礼を充実させ,寄付の増収に努めてまいります。 この間,厳しい財政状況が続く中にありましても,文化を基軸とした都市経営により,京都の魅力,都市格は大きく向上し国内外で高く評価されています。こうした都市格の高まりを京都経済の活性化,そして市民の皆様の豊かさにしっかりと結び付けていく,経済の好循環につなげるべく全力を尽くしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇〕 ◆(寺田一博議員) それでは,次の質問に移ります。 門川市政は,観光優先だとの御意見を耳にすることがあります。私は,決してそのようには思いませんが,伝える力を発揮していただくためにも,市民生活と観光の調和に係る取組についてお伺いいたします。 観光は,宿泊,飲食,小売りはもとより,製造業や農業など非常に裾野の広い産業と言われ,人口減少社会を迎える中,観光による交流人口の拡大が地域の活性化のためには不可欠だと思います。このため,市民生活との調和に係る様々な課題解決を徹底的に図り,観光客の満足度向上はもとより,市民の皆様の生活に寄り添い経済効果等の成果を実感できる観光を展開していく必要があると考えています。京都市では,「市民生活と調和した持続可能な観光都市」推進プロジェクトチームを本年5月22日に設置され,近年の観光客急増に伴う市バスや観光地の混雑,民泊等を巡るトラブル,生活習慣の違いによるマナー違反など市民生活との調和に係る課題に対して,地域の特性に応じた施策の検討を進め実施されているところと認識しています。7月には地域と協働し,地域に貢献する宿泊施設を支援する新制度を創設され,先般の9月18日の市長記者会見においては,秋の観光シーズンの本格化を控え,観光快適度の見える化による分散化や民間事業と連携した訪日外国人向け企画乗車券の設定,観光客におけるマナー啓発について発表されるなどスピード感を持って進められており,一定評価したいと思います。 また,平成28年10月に策定した宿泊施設拡充・誘致方針に基づき,地域や市民生活との調和や市民と観光客の安心安全を前提として,地域の活性化や京都経済の発展,京都に伝わる日本の文化,心の継承発展につながる多様で魅力ある宿泊施設の拡充・誘致に取り組まれてきました。方針の策定当時は宿泊施設が不足している状況にありましたが,5月市会で我が会派の森田守議員の代表質問に対する答弁では,宿泊施設は施設数としては満たされつつあり,市内中心部に集中しているといった地域的な偏在や地域の魅力をいかした施設が十分でないなどの質の面で課題があるとのことでした。宿泊観光の向上は,観光消費額の拡大や雇用の創出など市内経済に大きな波及効果をもたらすとともに交流人口の増加が地域の活性化にもつながり経済と暮らしの両面から京都の原動力になると考えられます。7月には,平成30年の宿泊数は過去最高を更新したとの発表があり,宿泊税の増加にもつながると期待しています。また,こうした成果は,古くから京都観光を支えてきた旅館・ホテルや地域と観光客の触れ合い,交流を促進する簡易宿所などの質の高いおもてなしのたまものでもあり,引き続きこれらの施設をしっかりと支援していく必要があると考えています。 かねてから私は地域の大切さ,きずなの大切さを訴えてまいりました。そして,地域コミュニティ活性化推進条例の制定や市政協力委員の皆さんへのニュースレター,また子供向けの冊子「地域って」など,その実現への門川市長の英断を評価しています。また,市内中心部には密集市街地も多く,不特定の方の出入りによる防火・防災の観点からも消防署と地域の消防団や自主防災会との連携が不可欠であるなど市民の皆様と観光に訪れる皆さん双方が生き生きと暮らせるまちが京都だと思います。これこそが京都市民憲章にある「わたくしたち京都市民は,旅行をあたたかくむかえましょう」という精神につながるのではないでしょうか。 そこで市長にお聞きします。市民生活と調和した持続可能な観光を進めるに当たり,今後の観光の在り方,方向性についてお考えはいかがでしょう。また,宿泊施設の現状に関する認識と今後の宿泊観光の方向性についてお聞かせください。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 観光政策についてでございます。京都は観光のためにつくられた都市ではない。私は,これまでから繰り返しそう申し上げてまいりました。現在,京都は観光面で評価されておりますが,その背景には,千年を超えて培われてきた文化,芸術,宗教,自然との共生,市民の皆さんの暮らしの美学,生き方の哲学などがあり,それらを一層大事にしなければ京都が京都でなくなると考えるからであります。同時に京都は観光を大切にし,おもてなしの精神で観光客を温かく迎えてきたまちでもあります。したがって,いま一度こうした京都観光の原点に立ち返り,市民生活と観光の調和をより一層図ることが極めて重要であります。そのため,庁内にプロジェクトチームを立ち上げ,喫緊の課題である混雑対策,観光客のマナー対策,民泊対策などに全力を挙げて取り組むとともに,観光を通じて京都ならではの地域企業や伝統産業,伝統文化の振興,市民生活の豊かさの向上につなげる施策を展開しているところであります。 宿泊施設につきましては,平成28年の拡充・誘致方針策定当時は大きく不足している状況でありましたが,現在では,計画されている宿泊施設も含めると,施設数としては満たされつつあると考えております。一方で,近年の本市の都市格は飛躍的に向上し,京都で事業を拡大したい,京都に進出したいというスタートアップ企業や,京都で学びたいという留学生,子育て世帯等のためのオフィスや研究所,住宅等の必要性も大きく高まっております。このため,今後参入される宿泊施設も含めまして,寺田議員御指摘のとおり,地域のきずなを大切にし,地域と共に発展を目指す宿泊施設,すなわち,市民生活との調和や,市民と観光客の安心安全を最優先にして,地域の活性化や京都の文化の継承につながる施設は歓迎いたしますが,そうではない施設については控えていただきたいと考えております。 今後はこうした考え方の下に,経済団体等とも協議し,関係業界に必要な要請を行い,住んでよし,訪れてよし,働いてよし,学んでよし,子育てしてよしの持続可能で満足度の高い京都の実現に向けて努力してまいります。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇〕 ◆(寺田一博議員) 次に,京都カードの創設と公共交通の利便性向上についてお尋ねいたします。 先ほど門川市長の答弁にもありましたように,京都市の施策は,市民の皆様の生活を守るうえで重要な内容を網羅していますが,より市民生活に利便性を持たせるためにも京都カードの創設を提言いたします。これは,従来の交通系ICカードと連携することにより,京都市内はもちろん国内の交通機関にも使え,そのうえで京都市内の様々な施設で割引されるなど,京都市民の皆さんにとっての利便性を第一に考えております。例えば,地元商店街でそのカードを使ってお買物をすればポイントが付くなど地域の活性化にもつながります。また,地域の皆さんでラジオ体操をするとポイントが増える制度ができれば健康長寿につながるなど可能性は広がります。 現在,京都市はもとより自治体が様々な政策を行ううえで,多くのデータの分析が必要不可欠になっています。今年度もビッグデータを分析し,それを今後の政策にいかす取組が行われていますが,自前のデータではないためその入手には多くの経費が掛っています。このカードは個人が特定されるものではなく,利用の大きな動きがデータとして京都市の資産となり,今後の政策に活用できます。これにより無駄のない有効な京都市の政策が立案でき,厳しい京都市の財政状況に対して効果的な役割を果たすことができると考えます。しかもカードの創設により,1日乗車券や回数券などの作製費や発行経費などがカードに集約されるために大幅なコストカットになります。既に京都市内でも民間バスは電子マネーの利用も始めており,これからのキャッシュレス,電子マネーの時代に対応できる体制を早急に構築する必要があると思います。また,先程来にもございました,市バスの混雑対策にも一定時間内に同料金,同金額で乗継ぎを可能とすることにより,待たずに来たバスに乗ることができるという効果も生まれます。 現在,京都市のバス路線は市電の路線を引き継いだ系統も少なくなく,市民の皆様にとって愛着あるものだと理解しています。しかしながら,今後の運転士や整備士等の担い手不足や軽油価格の更なる高騰など市バスを取り巻く環境が厳しいことから,大規模な改革が必要です。市民の足である市バスを持続可能とするためにも,将来的な路線の見直しは必要不可欠になります。そういった観点からも京都市がデータを持つことは大きな意義があります。 市民の皆様にとって利用しやすく,京都市の政策に大きくいかせるこの提言をしっかりと受け止め,直ちに検討を始めていただきたいと思いますがいかがですか。 また,平成29年2月市会におきまして,高齢ドライバーによる運転免許証の自主返納について提言させていただきましたが,その後大きな変化はないように聞いています。いま一度,当時の提言を御検討いただき,公共交通の利便性向上と共に,健康長寿で歩くまち・京都の推進に向けて,より一層の取組を構築いただくよう要望いたします。 以上,この質問にお答えください。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 引き続き,寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 京都カードの創設による公共交通利用をはじめ市民生活の様々な場面での利便性向上や,ビッグデータの政策立案への活用についてでございます。寺田一博議員御提案のIoT技術を活用して,公共交通の利用や買物,施設利用など,日々の暮らしの中で市民の皆様お一人お一人が利便性を実感していただき地域経済の好循環を生み出していくことは,ソサエティ5.0の時代にも即した取組であると認識しております。カードの創設については,全国的に普及が進んでいる交通系ICカードの機能を拡充し市民向けに活用することや,マイナンバーカードを活用しカードのICチップの空き領域にアプリを搭載することで新たなサービス機能を付加することなど視野に入れまして,多面的な観点から検討していくべきものと考えております。また,ICカードに集積されます乗客のビッグデータを蓄積・分析することは,ビッグデータの取得に係るコスト面でメリットがあるとともに,乗客の移動傾向の把握・分析を的確に行えることで,市バスの混雑緩和策の立案や路線・ダイヤ編成の検討などに活用できる可能性がございます。ICカードは既に様々な開発・普及が先行しており,全国との互換性を持たせながら,一定のコストでこれを活用するには技術的な課題もありますが,市民生活の利便性向上や京都市の政策立案にビッグデータを含めました新しい技術を活用していくというこの度の御提案は,本市にとりましても,交通政策はもとより,市政全般にわたって大きな可能性を持つものとして,しっかりと受け止めてまいりたいと考えております。 今回の御提案を踏まえまして,今後,幹部職員で構成される庁内横断的なワーキング組織を設置し,公共交通の利便性向上はもとより,市民生活の利便性向上,キャッシュレス化,電子マネーの促進,さらには財政面も含めた持続可能性など,あらゆる観点から精力的に検討を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇〕 ◆(寺田一博議員) 次に,次世代に向けた本市のエネルギー政策についてお尋ねいたします。 本年5月に開催されました気候変動に関する政府間パネル・IPCC第49回総会京都市開催記念シンポジウムにおきまして,門川市長は,2050年までに二酸化炭素実質排出ゼロを目指す覚悟を表明されました。これはパリ協定における,世界は工業化以前からの世界の平均気温の上昇を2度より十分低く抑え,1.5度以下に抑えるための努力を追求することに合意されたうえで,昨年10月にIPCCが取りまとめた特別報告書では,1.5度と2度との気温上昇による影響には大きな違いがあり,気温上昇を1.5度以下に抑えるためには,2050年頃までに二酸化炭素排出量をほぼ正味ゼロにする必要があると言われています。そのためには,人間の行動様式及び生活様式といった社会全体やエネルギー,土地,都市・インフラ及び産業システム全体の根本的な移行と変革が伴うことが示されました。そういった背景から,門川市長より,京都市が世界平均気温の上昇を1.5度以下に抑えるべく,あらゆる方策を追求し具体的な行動を進めていくことを世界に向けてアピールされたと伺っています。また,先日も小泉新環境大臣が国連本部で,京都市による2050年までの二酸化炭素排出実質ゼロ宣言を紹介されたところです。 そこで具体的な行動について幾つか提言したいと思っております。エネルギー政策に対するヨーロッパの危機意識と政策には学ぶべき事例が数多くあります。既に京都市会としましても2度調査を行い,京都市会本会議場でその報告もさせていただき,門川市長にも提言を行ってきました。中でも再生可能エネルギーについては,太陽光や風力を利用した発電など地域と連携した取組を紹介したところです。 先日,オーストリアと北イタリアの小水力発電を視察する機会を得ました。これは小規模な発電ながら24時間稼働しており,またその発電施設を現地で生産していることが大きな特徴です。現地の工場も決して大きいものではなく,京都市内の企業で生産できる可能性を秘めています。そして地域の活性化につながっているということが重要であります。自分たちのエネルギーは自分たちでという思いと二酸化炭素をほぼ排出しない発電には大きな魅力を感じました。 また,京都市は,エネルギーの大消費地でもあります。エネルギーの消費量をいかに抑えるか,いわゆる省エネの推進を加速的に取り組む必要があります。エネルギーの消費は家庭もそうですが,交通の分野も大切です。公共交通の利用促進,とりわけこれからは脱化石燃料を都市交通に取り入れるかどうかが重要になってきます。先ほどの報告にもありました,人間の行動様式及び生活様式の根本的な移行と変革はそう簡単ではありません。門川市長には伝える力を発揮していただき,市民の皆様と共に,その実現に向けた行動を始めることが必要であります。 そこで市長に伺います。世界に向けたアピールを実現するためにも早期に具体的な政策を構築する必要があると考えますがいかがですか。この質疑への答弁をお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 エネルギー政策についてでございます。人類は今,気候危機,気候非常事態とも言える時代に入り,これと闘うこと抜きに,これまで築き上げてきた生活も文化も存続させることができません。こうした危機感を自分ごと,みんなごととして共有し,本市のまちづくり,産業構造,私達自身のお一人お一人のライフスタイルの転換に結び付けていかなければなりません。京都市では,この間,市民・事業の皆様と一体となった取組の結果,エネルギー消費量はピーク時から26パーセント削減,ごみの量は半減の41万トンとなるなど着実な成果を挙げてまいりました。しかし,2050年CO2排出量正味ゼロという高い目標の達成に向けては,これまでの延長にとどまらない大変革が必要でございます。例えば市民・事業の皆様の選択による再エネ利用の飛躍的な拡大,京都ならではの産学公連携による省エネ効果の高いシリコンカーバイド製の半導体などに続くエネルギー分野での新たなイノベーションの促進,そうしたことに果敢に挑戦するとともに,脱炭素社会を支える担い手を全力で育成していくなど多彩な取組が重要でございます。 寺田議員御指摘の小水力発電につきましては,エネルギーの地産地消による地域の活性化や,防災力の向上に寄与するものであります。小水力をはじめとする地域での再エネ活用の成功事例を何としても京都市で生み出し,今後の導入促進に弾みを付けてまいりたいと考えております。さらには,公共交通の環境負荷は,自家用車と比べますとバスで半分,鉄道で7分の1であることから,その利用促進を徹底していくとともに,2050年正味ゼロに必須の課題である脱化石燃料化に向けても,研究に着手いたします。 2050年正味ゼロは高い目標でありますが,世界に目を向けますと,パリやボストンをはじめ100を超える都市が京都と同じ目標を掲げ,気候変動に立ち向かう道筋を模索しております。未来に対する責任,世界の中での京都の役割を果たせるよう,市民・事業の皆様と一体となって取り組むべきものから速やかに着手し,また,地域やNPO,大学,研究機関等とあらゆる関係の力を総結集し,政策を構築し,危機感と覚悟を持って取り組んでまいります。 ○議長(山本恵一) 寺田議員。 〔寺田一博議員登壇
    ◆(寺田一博議員) 次に,西陣活性化への取組と支援についてお尋ねいたします。 生まれ育った西陣のまちが,西陣織をはじめとする産業が厳しくなり,また,商店街もその維持が苦しくなるなど多くの魅力を持ちながらもなかなかそれをいかせない現状を鑑み,何とか次世代につなげたい,そのためにも今の時代に合ったまちの活性化が不可欠であると思い,西陣地域を中心とした地域の活性化を提言させていただきました。前回の門川市長の選挙公約にも掲げられたこの政策は,西陣がその歴史性から多彩な魅力・資源が集積している地域であり,それらをいかして地域の活性化を進めていくために,地域の皆様が中心となって,本年1月に西陣を中心とした地域活性化ビジョン~温故創新・西陣~として取りまとめられました。今後は,地域の皆様をはじめ事業,行政等が連携して具体的な成果が求められています。現在,活性化ビジョンを具体的化するために民間提案によるプロジェクトを募って,初めの2年間を京都市が下支えをする形で進められています。文化の継承や観光の振興などの活性化策はいずれも欠かせないものであり,私も民間主体の新たな枠組みに参加するなど,その実現に向けて取り組んでいるところであります。 また,まちのにぎわいを取り戻し,地域を活気付けるために,若い世代を中心に地域に住んでいただき営んでもらうことが重要になってきます。その観点から,博報堂の提案による西陣文化のスタートアップスタジオの取組は,起業家や職人など,西陣で何かを始めたい若者を呼び込み地域の担い手として育てていくプロジェクトと聞いており,私も注目し,期待しているところです。その拠点の候補としては,元上京消防署大宮消防出張所が地理的にもふさわしいと考えておりましたが,現在,地域の皆さんに説明を始めていただいていると聞いています。このプロジェクトの成否は,西陣地域の理解と協力が得られるかどうか,そして西陣をブランドとして確立していけるかどうかに懸かっていると思います。現在,ふるさと納税にも西陣活性化を取り入れていただくなど,その財源も考慮いただいております。そのうえで今後できるだけ早期に,地域の内外に向けて,このプロジェクトの取組を分かりやすく魅力的に発信していくことが重要であると思います。今後の展開についていかがお考えかお答えください。 冒頭に申しましたとおり,自由民主党京都市会議員団は,多くの市民の皆様より託された思いにお応えできるように,時には大変苦い意見も市長に提言しております。しかしながら,良薬は口に苦しの言葉にもありますように,その提言をお聞きいただくことが京都市政の健全化につながると考えております。今後もしっかりと働くことをお約束し,私寺田一博の自由民主党京都市会議員団を代表しての質問とさせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続きまして,寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 西陣地域の活性化についてでございます。千年の時を超え受け継がれた伝統の技や技術,デザイン,それを育んできた豊かな感性等,西陣の多彩な魅力,資源をつなぎ,そこに新たな担い手や知恵を融合させて,新たなものづくりをはじめ,様々な変化を生み出し,未来の西陣の価値を創造していく。こうした温故創新の精神で,本年1月に活性化ビジョンを策定いたしました。徹底して住民の参画,専門家の参加の下に発展しまして,私もわくわくするようなビジョンであると考えております。そのビジョンが描く将来の姿を具体化する事業の一つといたしまして,民間の知恵をいかした西陣文化のスタートアップスタジオを立ち上げたところであります。このプロジェクトは,未来の担い手となる若者に西陣に来ていただき,西陣の人,技,奥深い文化と交わる中で,自らを磨き高めていただくとともに,資金確保やマーケティングに関する助言等を行うことで,職人や起業家としての立上げを支援していくものでございます。まずは,西陣織の技術と異業種の製品を掛け合わせた商品開発等を企画し,西陣のものづくりの魅力を打ち出すことにより,若い世代はもとより,国内外の企業を引き付け,新たなイノベーションの循環を生み出す土壌づくりから始めてまいります。現在,そのスタートを飾る企画の準備を鋭意進めており,10月中をめどに,あらゆるメディアを駆使し,世界をわくわくさせ,西陣ブランドの向上につながるような発信を決意を新たに展開してまいります。 また,西陣の扉を叩く若者を受け入れる拠点につきましては,寺田議員御指摘のとおり,私も,西陣エリアの中央に位置する元大宮消防出張所が最適であると考えております。熱い思いを持って,西陣の地域,企業と若者をつなぐマネジャーを配置し,地域の御理解,御協力を得ながら運営してまいります。 本日スタートをいたしますもう一つのプロジェクト,路地から始める西陣暮らしによる移住促進などの取組も含めまして,文化を基軸とした取組をしっかりと融合し,多様な主体による自分ごと,みんなごとのまちづくりを進め,西陣から京都全体の未来を切り開いてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,しまもと京司議員に発言を許します。しまもと議員。 〔しまもと京司議員登壇(拍手)〕 ◆(しまもと京司議員) 都市は,理想を必要とする。その理想が世界の現状の正しい認識と自己の伝統の深い省察の上に立ち,市民がその実現に努力するならば,その都市は世界史に大きな役割を果たすであろう。われわれは,ここにわが京都を世界文化自由都市と宣言する。 自民党南区選出のしまもと京司でございます。寺田一博議員,加藤昌洋議員,井上よしひろ議員と共に代表質問をいたします。よろしくお願いします。 先の文言は,昭和53年10月13日,ここ京都市のこの議会において様々な議論と議決をもって,京都市が文化による世界平和の実現を目指した世界文化自由都市宣言の冒頭の一節です。時の議長は,後に私どもが秘書として長年御指導を仰いだ元文部大臣・衆議院議員の奥田幹生先生であり,この宣言から丁度40年が経過した昨年春に御逝去されました。 京都市は,これまでこの宣言をあらゆる政策の最上位の都市理念と位置付け,その下に21世紀の最初の四半世紀における京都のまちづくりの方針を示す長期的な京都市基本構想と,それら具体化と実現のために全市的観点から取り組む主要施策の京都市基本計画を策定して政策を推進してきました。この世界文化自由都市宣言から40年という節目を経過して今,世界を見渡すにおいて,私は,京都市のこの宣言理念の重要性が近年更に高まっているものと感じます。国家間や内外の対立,分断,紛争,緊張関係,自国第一主義的思想や排他的風潮など国際情勢における混迷がなお深まるにおいて,この宣言にある全世界の人々が,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに自由に集える都市であるということがその都市の存在感や意義を高めるものであり,例えば今年は京都市とボストン市との姉妹都市提携60周年となりますが,このような都市間の国際交流や連携の積重ねは世界平和実現のための重要な礎となることも大きく言い表わしていると考えます。このような重責を果たすことができる都市は世界においてもまれであり,千年の歴史を持ち,古代から世界に開かれ,町衆がまちづくりをけん引してきた京都であればこそ打ち立てられた理念であると思います。 またこの宣言は,京都が,広く世界と文化的に交わることによって優れた文化を創造し続ける,永久に新しい文化都市でなければならないとうたっています。文化は世界と交流を深める重要な媒体でもあり,私たちが歴史の中で育んできた伝統を守りながらも,そこに安住することなく,京都ならではの先取りの精神で新たな創造を続ける文化首都として存在することが求められています。折しも文化庁京都移転の中で,例えば市立芸術大学の京都駅東部移転に伴い,私ども南区においても東南部エリア,東九条地域の文化・芸術を基軸とした新しいまちづくりによる暮らしと地域の活性化なども始まろうとしている今,市においては次期5箇年基本計画の策定作業が始まっているところであります。 現代社会において重要性が高まっているこの世界文化自由都市宣言が40年を経過した今,更に新しい令和の時代に見合った誇り高い理念として,この意義を市民としっかり共有し国内外に発信すべく,京都市の次期基本計画が策定されるべきと考えますがいかがでしょうか。まずは,この方針と方向性について,どのように進めていかれるのかをお示しください。 次に,私は,昨年度,自民党京都府連の政務調査会副会長として,西脇府政に対する京都市側からの様々な要望を政策協定という形に代表して集約させていただき,今年度は同会長を拝命いたしまして,先の参議院選挙でも京都全域の政策集を自民党京都府連の力を結集して取りまとめ策定させていただきました。その数々の重要課題の中でも特に今回は,将来世代への大きな財産となる北陸新幹線の京都ルートについてお尋ねします。 この新整備新幹線は,我が国においても東京一極集中の是正と地方創生の実現や,災害等により東海道新幹線に何かあった場合の代替路線としても国土強靭化に寄与する重要なプロジェクトであり,平成29年3月には国与党のチームにより,敦賀・新大阪間では京都を経由するルート案が採用され,現在の京都駅を通り府の南部にも新駅を設置する計画となりました。これによって京阪奈周辺をはじめとする近畿圏や北陸等のアクセスについても改善されるものとなり,京都府内においても移動利便性と活性化に大きく寄与する国土軸となるものでしょう。 ここで今後,私たち京都市の立場として明確にしておく必要があることの一つは,整備費用における分担の考え方とその説明であると思います。この路線においては,もちろん私たち京都市にも一定のメリットはあるものでしょうが,全体の割合の中では,例えば今まで以上に多大なメリットがある新駅設置の他府県などには,その費用対効果に見合った負担や多面的な整備協力がしっかりとなされるよう,京都市としても正確に検証し,主張していくことが重要なものとなります。私たち京都市は,この新路線,JR西日本のお客様となる多くの観光客の方々をもまた全市民の理解と協力の下にお迎えし,様々な観光対策を成していくものでありますが,京都市側の負担については市民の皆様にしっかりと理解が得られる必要があります。 もう一つは,今年5月から鉄道建設・運輸施設整備支援機構が福井県,京都府,大阪府において環境アセスメントの手続に入り,いよいよ本格的に行われる環境影響評価法に基づく調査についてであります。この整備実施の中では,今後,私たちの京都において非常に重要な地下水脈をはじめとする自然環境や,京都特有の文化遺産,そして長期的に排出が予想されるばく大な量の建設発生土砂の処理等に関する対策を適切にコントロールすることなど,市民生活や都市機能,産業,経済や道路交通等々に重大な支障が及ばないようしっかりと配慮することが極めて重要であると考えますがいかがでしょうか。これについての市の認識をお聞かせください。そしてこの整備事業全体における費用負担や協力分担などに対する考え方をお聞かせください。 続きまして国立京都国際会館についてお尋ねいたします。この国際会館は,比叡山や宝が池を背景に,人は自然の中に集い話し合うというコンセプトの下,日本で最初の国立国際会議場として昭和41年に誕生しました。以来,政府間会議や国連などの国際機関や組織が主催する大会なども多く開催され,平成9年には地球温暖化防止京都会議・COP3で京都議定書採択の場所となり,今年は気候変動に関する政府間パネル・IPCCやICOM・国際博物館会議京都大会の舞台になったのも記憶に新しいところです。このような歴史,風格を備えた施設ではありますが,既に建設から50年以上経過し,近年大規模・多様化している国際会議のニーズに対しては既に施設規模が十分ではないとの声をお聞きすることがあります。現在,国際的なMICE誘致競争も激化する中,海外競合国や諸都市との厳しい誘致合戦に打ち勝ちけん引していける都市を育成すべく,国においては平成25年にグローバルMICE戦略強化都市として京都市を含む7都市を指定しており,私たちもしっかりとこれに応える責務があります。 そして今後,東京オリンピック・パラリンピックや関西ワールドマスターズゲームズ,大阪・関西万博などの大規模事業も目白押しとなっており,国際社会における日本や京都への関心も非常に高まっている中,再来年度には文化庁の京都移転も完了予定で,本市は名実ともに日本の文化の都となります。市としては,この好機を逃すことなく国際会議の誘致を更に充実,強化せねばなりません。この国際会館においては,伊吹文明元衆議院議長の御支援により,昨年2,500人規模のニューホールの開館が実現し,将来的な施設拡充が見込まれている5,000人規模への実現の道も開いていただけてはいるものの,諸般の事情により国における次年度の設計費用予算要求が厳しいものとなってしまったとも聞いております。そういった点も踏まえたうえで,現代の国際会議のニーズに十分応えられるよう5,000人規模への早期実現に向けて機能拡充を含め,引き続き国にしっかりと要望をしていくとともに,宿泊や交通,アクセスなどの近隣インフラの課題も含め,周辺の自然環境の維持管理や洗練されたサービスの提供,そして日本的おもてなしの心遣いの会館運営も激化する国際競争を乗り越えるためには非常に重要であります。これらの点について,地元京都市としてどのように取り組んでいくのか,本市の取組と決意についてお聞かせください。 まずはここまでについての御答弁をお願いいたします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) しまもと京司議員の御質問にお答えいたします。 世界文化自由都市宣言と次期基本計画についてでございます。本市では,世界文化自由都市宣言をあらゆる政策の最上位の都市理念と位置付け,京都を世界文化交流の中心に据えるべく,市会と両輪となって,文化を基軸としたまちづくりに市民ぐるみで取り組んでまいりました。その結果,世界歴史都市会議の創設や国際日本文化研究センターの誘致など宣言の理念が着実に具現化してきたところであります。こうした京都の市民力,文化力,歴史力をいかしたオール京都での取組を積み重ねてきたからこそ,機能強化された文化庁の全面的な京都移転の決定につながったと考えております。また,近年の京都の都市格,都市の総合力の高い評価にもつながっていると考えております。 しまもと京司議員御指摘のとおり,世界各地で紛争が絶えず,我が国周辺でも国際的な緊張が高まっている今日においては,世界文化自由都市宣言をうたう,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに自由に集い,文化交流を行うことの重要性がますます高まってきていると感じております。約40年前,東西対立の時代に宣言されたこの理念は,正に現在の状況を予見していたと言っても過言ではなく,そうした先見性や宣言の意義を国内外からお越しのお客様方々に私から御紹介しますと,感動と共感をいただいているところであります。 今年度は,日本初開催の国際博物館会議・ICOM京都大会が大成功で終わりました。また,日本初開催の国連観光・文化京都会議2019が12月に行われます。さらに,来年度には国連の最大の会議の一つ,国連犯罪防止刑事司法会議である京都コングレスが国際会館で開催されます。世界100数十箇国から大臣等多くの方5,000人が参加されます。これを契機に,改めて国内外に宣言の理念を広く発信してまいります。 現在策定中の次期基本計画におきましても,京都の都市格の象徴とも言える世界文化自由都市宣言を骨格に据えるとともに,様々な市民参加事業を展開し,その意義を市民の皆様としっかりと共有しながら,京都の未来について市民の皆様がお互いに意見交換していただく機会を設けることで,軸足を京都に置きつつ世界を見据え,文化を基軸とした令和の時代の京都策を練り上げてまいります。 次に,国立京都国際会館についてでございます。平成30年10月,国の御英断によりまして,ニューホールがまずは2,500人規模でオープンいたしました。政府,地元国会議員をはじめ関係の皆様の御理解・御尽力に心から感謝申し上げます。ニューホールの新設をはじめコンベンションビューローと連携した,本市独自の国際会議の誘致,開催を支援する助成金制度の拡充,市内大学との連携強化等の取組が功を奏し,この5年間で京都市における国際会議の開催件数は176件から349件と倍増し,海外参加数は初めて3万人を突破いたしました。また,先日のICOMではニューホールも存分に活用され,来場数は全体で過去最高となる4,600人となり,大成功を収めました。 この12月に開催される国連観光・文化京都会議,また京都コングレスにつきましても,観光と文化の力をいかした持続可能な社会の構築,さらに,より安全な世界の実現,SDGsの達成という大きな理想に向けまして,会議を意義あるものとするために,本市では,国連機関や国とも緊密に連携し,オール京都体制で取組を進めているところであります。 このような会議を通じ,世界文化自由都市を宣言する京都が今後も国際社会をけん引し続けるためにも,世界標準である5,000人規模への施設拡充は不可欠と考えております。その早期実現に向けまして引き続き国に対して強く要望してまいります。同時に,比叡山の麓,宝が池を借景とした日本庭園や茶室をはじめとする静ひつな環境,伝統工芸を駆使した京都らしいしつらえ,訓練されたスタッフによる会議主催のニーズに寄り添ったきめ細かなサービスを提供することで,京都で会議を開催してよかったと実感していただけるよう,国際会館ともしっかりと連携し,その充実に努めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 北陸新幹線についてでございます。北陸新幹線の整備事業は,近畿圏と北陸圏を結ぶ,環境性能と効率性に優れた基幹的な高速輸送体系を形成するものであり,移動時間の短縮により地域の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすとともに,新駅が設置される地域だけに限らず,新駅と結節する沿線地域にも広く利便性の向上をもたらし,災害時等には東海道新幹線の代替路線としての機能も果たし得る貴重な社会資本であります。しまもと京司議員御指摘のとおり,その円滑な整備に向けましては,環境影響評価法に基づく方法書以降の調査等の実施において,地下水をはじめとする自然環境,生活環境,文化財,都市機能,建設発生土砂の処理など様々な点で影響が及ばないよう,これを徹底的に回避・低減することを国に求めてまいりました。また,整備主体であります鉄道・運輸機構に対しても環境配慮の観点で意見するなど適切に対応してきたところですが,引き続き,同機構に対し,しっかりとした調査と環境保全対策の慎重かつ十分な検討,地域住民の皆様への丁寧な説明を求めてまいります。整備費用については,国に対して,建設コストの縮減や財政支援の拡充など地方負担軽減のための十分な支援措置を講じていただくよう,引き続き,京都府とも連携して強く求めてまいります。なお,費用負担については,法令に基づき,国,鉄道事業,都道府県が負担することと決められており,他県等では,域内の基礎自治体にも一部負担を求めている事例がございますが,その在り方については,沿線地域への事業効果等を踏まえまして,今後慎重に検討してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) しまもと議員。 〔しまもと京司議員登壇〕 ◆(しまもと京司議員) 色々前向きな御答弁を頂きました。また,国際会議場付近,宿泊等のインフラ課題も,先の寺田議員の質問,お話にもありましたように,地域的な偏在の問題などもあります。また,是非共に一緒に考えていきましょう。 次に,本市の投票率向上のための取組についてお聞きします。昨今の各種国政選挙,首長選挙,地方選挙等々において,投票率が年々低下の一途をたどるものとなっており,民主主義社会の根幹と人々の暮らしや未来を創るこの大切な制度の意義が非常に薄れてゆくものではないかと懸念されるところであります。先般行われました参議院議員通常選挙投票率は,全国で48.8パーセント,京都市では44.8パーセントと非常に低く,特にこれからの時代を担う若い世代の投票率は,18歳で34.68パーセント,19歳では実に28.05パーセントと非常に低いものであります。 今年4月にあった私たちの統一地方選挙では,政治課題や争点によっても地方差はありますが,中でも京都市の平均は38.06パーセントと,正に40パーセントを割り込み,行政区別では投票率の高い順に1位が左京区の44.05パーセント,次いで順に北,山科,上京,右京,西京,中京,東山,下京,伏見,そして残念なことに南区の33.27パーセントに至り,京都市においては,北の地域ほど高く,南部に行くにしたがって低くなるという傾向が顕著なものになっています。これには一体どんな原因があるのでしょうか。それぞれの地域における政治や行政,選挙といったものに対する市民の意識や理由の調査など,客観的な要因分析や地域福利的側面からのアプローチも重要かと考えます。もちろん,全市的には投票時間の変更や期日前投票制度の取組などもされてきましたが,投票率の低下には一向に歯止めが掛っていないのが現状です。 当然,私たち議員や候補も,まだまだ努力せねばならない部分もあるでしょう。ただ,その中においても,昨今メディアをにぎわし注目される目的のための過激な言動やパフォーマンス,民主主義とポピュリズムを混同したような派手な行動や対敵,扇動的言動などで投票や得票獲得を目指すようなものは,いかがなものでしょうか。倫理学者の古田徹也氏も,インターネット社会における大多数の人々の責任を引き受けずに,憶測だけで言葉を拡散させるという態度と風潮を非常に懸念しておられます。我々良識ある京都市会は,皆それぞれが地域と市民の現実生活に密着し,地味であっても,自身の言動に責任を持ち,ひたむきかつ地道に日夜たゆまぬ努力を続けるものであり,更なる発信力の強化に努めるべきとも考えております。 さて,いかがでしょう。投票率向上のためには,景気,経済,社会動向ほか,様々な複合要因もありますが,市として取り組める課題,例えば生活不便地域やお体の不自由な方,投票所から遠い高齢の方々にも投票しやすい体制整備や,有権者の投票責任・義務意識ばかりではなく,政治参加の権利や意欲,結果に働き掛ける啓発,そしてこれからの世代に対する主権教育,例えば2年前,我が会派の寺田議員の主張によって若い世代や子供たちの京都市会本会議場見学会も盛んになってきましたが,そのようにまずは理屈よりも現場に触れて肌で感じ,参加し,現実体感する討論や議決,決定プロセスなどの体験的学習なども必要ではないでしょうか。また,いずれ行われる国政選挙や来年早々には市長選挙も予定されている中,京都市として非常に低迷している投票率の向上に向けて,どのように取り組んでいかれるおつもりかお答えください。 次に大規模災害における倒木被害や山林保全,環境対策についてお尋ねします。近年,大型台風や豪雨,豪雪などの大規模自然災害が多発し,昨年も京都市では,戦後最大となる暴風雨,最大瞬間風速39.4メートルを記録した台風21号の猛威により,諸地域や山間部でも大規模な倒木や山腹崩壊が発生しました。被害の大きかった地域の方々や,道路脇斜面での倒木,地盤がむき出しになっている所などでは,いまだ大雨の度に同様な地崩れや道路崩壊,停電,断水などにおびえる日々を余儀なくしておられ,先般の千葉県停電大規模被害も,多くの倒木による断線復旧の遅れが大きな原因と言われています。また,山崩れによる土砂は,民家被害や電線・電話線の切断,道路や鉄道の寸断のみならず土石流や流木等での河川閉塞などが発生すれば,地形的に北から南へ低流化していく京都市諸地域において,市民生活,産業,観光など社会活動全般に甚大な影響が広がります。 つい先頃,南米の大森林地帯アマゾンでの大規模火災が世界的な問題となって,初めて地球の肺が失われてしまうという危機感が訴えられ始め,世界中の人々がこれまでどこのお陰,誰のお陰で呼吸できていたのかを考えさせられるものとなりました。全ての国は,その全ての国民が呼吸し,社会を機能させる全ての量の酸素を生み出すだけの樹木や森林を保有せねばならないものでありましょう。国内においても,それぞれの地域や自治体単位でその人口分の森林を本来ならば保有し管理する義務があるはずです。産業や経済をリードするとうたう大人口集中都市の東京や大阪などの酸素は一体どこで作られ,そこから吐き出された二酸化炭素は一体どこで浄化されているのでしょうか。私たち京都市には,全市域面積の74パーセントもの山林がありますが,147万市民が居住する全ての地域の中でも特に山林のない私ども地元南区や上京,中京,下京区民もしっかりとその重要性と問題を認識し,取り組まねばならないと考えています。 昨年の被害については,今年度に入ってようやく道路沿いを中心に倒木処理が進み,被災地周辺域からは一定安どの声も聞かれますが,山林を保有する方々からは巨額の復旧費用負担の懸念もお聞きします。本市は,林業活動の振興により森林及びその多面的機能を維持する方針を採っていますが,山林所有の高齢化や林業従事の減少,木材価格も低迷する中では,所有個人や生産活動だけでの維持や崩壊対策にはもはや限界があります。レジリエント・シティを掲げる京都市として,倒木被害の迅速処理はもちろんのこと,その跡地にこれまでと同様な復旧を施すだけではなく,何よりも持続可能で災害に強い森づくりの新しい考え方を示すとともに,国土保全の観点からも,個人管理であったものから市町村,さらには府県をまたぎ,国とも連携した共同的・広域管理体制の構築を目指して取り組むべきと考えます。 そこで,有識者会議による倒木被害地の再生方法の検討や,市町村が所有から委託を受けた放置森林を適正に管理することができる森林経営管理法の施行といったような背景も踏まえて,現下の倒木処理,並びにこれからの災害に強い持続可能な森づくりについての具体的かつ効果的な取組方針をお聞かせください。 続きまして,地元南区と向日市における新しい地域開発についてお尋ねします。かねてより地元にて大きな課題となっておりました都市計画道路向日町上鳥羽線の延伸とJR向日町駅の東口整備につきましては,かつて非常に難しいものと言われてはいましたが,私ども前期平成28年の代表質問以来の取組に対し,京都市と向日市,JR,そして地元の大きな企業との連携,協力構想や関係各位の御尽力の中,実現化する運びとなり,大変大きな期待をしているところでございます。 当該地域における向日市では,この9月に地区計画が定められ,区域内の基盤整備を前提としたまちづくりの展開,特に森本東部地区における道路整備や,日本電産の新拠点施設第一期分が令和4年に,第二本社は12年頃に完成予定で,最終的には5,000人規模の拠点ができる見込みとなっています。その重要幹線ともなる本市の向日町上鳥羽線,そして牛ケ瀬勝竜寺線の京都市部分の整備について,先般8月29日に初の地域住民説明会が開催され,私も出席させていただきましたが,120名近い多くの方が参加され,この事業への期待も大きく,質問がありました完成時期についても,市は,10年後を目標とすることを表明されました。が,ただそれでも駅東口の完成予定からは5年程遅れるものであり,基本的な工程やプロセス面では理解できますが,やはり駅の入口は出来ているのに,そこへ行く主な道がないという状態も非常に懸念されるものであります。この事業は,地元だけでなく京都市南部域の総体的な発展につながるものでもあることから,予算の確保をしっかりと行い,駅東口を起点とした牛ケ瀬勝竜寺線とのL字型部分や既存道路につながる所までを先行して完成させるなどの必要があると考えますがいかがでしょうか。 そのように早期かつ合理的に事業効果を発現させる取組に加え,将来にわたり京都市域側に魅力的な都市機能を集積させて機能的な環境の確保を図り,南区,ひいては京都市全体の魅力と活力向上につなげていくことも重要です。そのためにはこの道路基盤整備はもちろんのこと,本市の重要な基本方針の一つである南部創造のまちづくりにつながる積極的な土地利用の誘導政策をしっかりと推進すべきと考えますがいかがでしょう,市のお考えをお聞かせください。 最後に,地元南区における要望を申し上げます。第1点目は,JR西大路駅のバリアフリー化における今後の取組と地域の利便性,安全性,活性化についてであります。この駅は昭和13年開業の長い歴史で,まだ小さな駅舎のままでありますが,日々乗降客数は市内第3位の多さで3万2,000人を上回り,私どもは,このバリアフリー化について長年の要望活動と取組にまい進してきました。市においては,JR西日本や地元住民とも協議を進めていただき,平成28年に西大路地区バリアフリー移動等円滑化基本構想策定連絡会議が設置されて本格的な計画構想の着手に至りましたが,構造的に上部の東海道新幹線の橋脚とつながっていることや,現在の狭い南側駅舎だけでは整備工事が非常に困難であることから,西大路通を東へまたぎ,北の下京区側までの全線路を縦断して範囲を広げ,まずはそちら側にバリアフリー駅舎を新設するという計画を発表していただきました。この過程の中で,今までの南側駅舎には何もなされないから反対というような一部の方々の運動に対しましても,地元を回って説明を尽くしてきたものであります。 市においては,いよいよ実施設計となるこの西大路駅の北側新駅舎への導線や構造,移動性においては,やはり送迎車両等の駅前スペースも旧来より確保されている現南側駅舎の将来的なバリアフリー化を目指した工事が可能となるような拡張性と,そしてまた最終的にはこの総合整備が当該駅を中心として西大路通を挟む東西両地域や南北間の路線域をまたぐ区域間移動の人々の利便性と地域全体の活性化,安全性が図られるような構想,整備となりますよう,よろしくお願いいたします。 2点目は,築50年を超え老朽化している南区役所の新庁舎整備についてであります。これに関しましても,旧来からの代表質疑や要望に加え,昨年9月の決算特別委員会でも質疑しました南警察署跡地の売却を契機として,南区まちづくり推進会議の中の組織である重点プロジェクト推進部会において地元代表の皆様参画の下,整備に係る検討が始められ,将来像が取りまとめられました。こうした皆様の意見も踏まえ,新庁舎が区民にとって更に利便性も高く,より文化的なものとなるよう,そしてまた現在の区役所周辺の公共施設等との一体化をどうすべきか,場所に関しても例えば交通局九条車庫との合築なども一つの参考アイデアとするなど,施設の性格や規模,場所等々について今後しっかりと御検討いただき,区民の皆様に対し一定の方向性や方針も示して,極力早期に新庁舎の整備が実現するようよろしくお願いを申し上げまして,私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,しまもと京司議員の御質問にお答えいたします。 災害に強い森づくりについてでございます。昨年の台風21号で発生した倒木被害につきましては,実に京都市内で543箇所,252ヘクタールに及びます。私も直ちに現場を訪ねましたが,その状況は極めて深刻でありました。そこで被災後直ちに本市職員が森林組合等と連携して現地調査を丁寧に行い被害の状況を把握するとともに,公道沿いなど市民生活に影響があり危険性が高い箇所を特定いたしました。そのうえで,森林所有の負担を軽減し,一刻も早く復旧が進むよう,本市独自に補助率のかさ上げや倒木の積込み,運搬経費等の補助制度を新たに創設し,優先度が高い箇所から早期の復旧を目指し全力で進めております。さらに,京都府の責任で実施すべき治山事業についても,本市から具体的な箇所を示したうえで早期の対策を強く要請し,京都府の努力も相まって,現在,順次工事が進められております。今後もしっかりと京都府とも連携してまいります。また,倒木被害地の森林再生につきましては,森林や地質の専門家等による有識者会議を設置し,立地条件に適した多様な樹種の植栽方法や,公道沿いの樹高を抑える管理方法など様々な視点から御議論いただき,災害に強い森づくりの指針の策定を進めているところでございます。 このような中,本年4月に森林経営管理法が施行され,適切に管理されない森林については意欲と能力のある林業事業体に委ねることが可能となりました。また,鉄道等の重要なインフラ施設周辺での行政主導による倒木の未然防止の仕組みが検討されるなど,新しい枠組みも立ち上がりつつあります。本市といたしましては,今後とも引き続き,林業自身が適切に森林を維持管理できるよう支援してまいりますが,それがどうしても困難な場合には,森林の保全や防災上必要な措置について,林業が行政としっかりと連携され,さらには,国・府・民間事業とも連携して,こうした新たな枠組みも活用しながら災害に強い森づくりに取り組んでまいります。 次に,向日町上鳥羽線の整備と南部創造のまちづくりについてでございます。本市では,本年3月に,将来にわたって安心安全で暮らしやすく魅力や活力のある持続可能な都市構造を目指した土地利用の誘導を図るため,京都市持続可能な都市構築プランを策定いたしました。本プランでは,向日町上鳥羽線の周辺に広がる工業地域を積極的にものづくり産業集積エリアと位置付け,京都の新たな活力を生み出す産業の集積と共に,創造的な活動を支える快適かつ魅力ある都市環境の形成を図ることといたしております。 これまでから,本地域におけるものづくり産業の集積を図るため,工場,事務所,研究施設は高度利用ができるよう,建築物の高さの限度を31メートルまでとしておりましたが,現在進めております都市計画の見直しにおいては,ものづくり産業の集積に加えまして,働きやすい都市環境の向上を図るために,働く方々の利便にも資する店舗や飲食店,保育所などを併設した事業所等についても同様の見直しを行っているところでございます。また,事業を進めております向日町上鳥羽線及び牛ケ瀬勝竜寺線につきましては,早期に事業効果が発揮できるよう,しまもと議員の御指摘を踏まえまして,向日市における事業,そしてJR向日町駅東側の整備事業としっかり連携を図り取り組んでまいります。こうした向日町駅周辺地域の都市基盤の整備は,しまもと議員御指摘のとおり,当該エリアのみならず,京都南部地域の発展,ひいては市域全体の持続可能な都市の構築にも大きく寄与するものと確信しております。今後も向日市域における基盤整備と相乗的に良い効果をもたらすよう,積極的かつ計画的な土地利用の誘導を強力に推進してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) しまもと京司議員の質問に,私からは,投票率の向上に対する取組についてお答えいたします。選挙は,市民が主権としての意思を政治に反映させる貴重な機会であり,より多くの方に投票していただくことが極めて重要でございます。しかし,しまもと京司議員御指摘のとおり,投票率は全国的に低下傾向にあり,この4月の本市市議会議員選挙では過去最低の投票率となるなど,民主主義の根幹に関わる重大な事態であると認識しております。投票率の向上には,市民が投票しやすい環境づくりと共に,選挙の前の広報はもとより,効果的な啓発や主権教育を継続的に行うことが重要でございます。本市では,これまで,投票所のバリアフリー化の推進や選挙公報の点字化など,高齢障害のある方々にも投票しやすい環境づくりに取り組んでまいりましたが,今後,より一層充実に努めてまいります。また,啓発や主権教育といたしましては,小・中・高等学校を対象に模擬選挙などを通じて政治参加を体験できる明るい選挙出前授業や,高校生による期日前投票所での選挙事務ボランティア,また,大学生が同世代に向け啓発活動を行うなど,若い世代の方々の体験型,また参加型の取組を実施するとともに,教育委員会において本市独自に作成した指導教材を活用した授業を推進しているところでございます。さらに,御案内の議会の役割や仕組みについて学習できる市会議場見学につきましては,大変有効かつ有意義な取組でございまして,昨年度から対象を中学校にまで拡大し,充実を図っているところでございます。 今後とも,民主主義社会の一員としての自覚を持ち積極的に政治参加する若い世代の育成と,誰もが投票しやすい環境づくりを一層推進し,一人でも多くの有権者の皆様に投票していただけるよう真摯に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,加藤昌洋議員に発言を許します。加藤議員。 〔加藤昌洋議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤昌洋議員) 私は,中京区選出の加藤昌洋です。寺田一博議員,しまもと京司議員に引き続き,井上よしひろ議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表して質問をさせていただきます。2期目の任期初めての代表質問の機会を頂いたことに感謝し,質問に入ります。 初めに,今後の小中一貫教育の在り方についてお伺いいたします。小中一貫教育は,従来の小学校6年間,中学校3年間での学びと育ちを見直し,義務教育9年間において計画的・系統的に,また,地域も一体となって全ての児童・生徒の個性能力を引き出す教育の仕組みであり,国においてもその取組が進められております。京都市では,平成16年に構造改革特区京都市小中一貫教育特区の認定を受けて,一部において小中一貫教育を開始し,全ての小中学校に小中連携主任が配置されました。また,平成23年度からは全中学校ブロックで小中一貫教育を展開されています。さらに,平成27年度策定の京都市小中一貫教育ガイドライン(試案)に基づき,平成28年度にはブロックごとに小中一貫教育構想図などを作成し,義務教育卒業時の目指す子供像を共有したうえで,指導の工夫・改善を進めておられます。また,現在では,国において義務教育学校の基準が制度化され,それを満たす7校が義務教育学校として教育活動を行っています。 京都市における小中一貫教育をより細かく分けると,三つの実施形態に分類されます。まず,一つ目は,今年4月に開校した向島秀蓮小中学校のような小・中学校が同一敷地内,同一施設にある施設一体型,二つ目は,小・中学校の施設などが独立しながらも,小学校6年生が中学生と同一校舎で学ぶなど柔軟な取組を行う施設併用型,三つ目は,小・中学校の施設等は独立しながらも,教員と地域の密接な連携により小中一貫教育に取り組む連携型です。三つ目の連携型のほとんどは,一つ又は複数の小学校から一つの中学校に通学する中学校ブロックとなっていますが,烏丸・上京中ブロックや北野・朱雀・中京・西ノ京中ブロック,岡崎・近衛中ブロックでは,一つの小学校から複数の中学校に通学するという形となっています。私もその中の朱雀第四小学校,朱雀中学校出身ですので,朱雀第四小学校を卒業する際には朱雀中学と西ノ京中学に分かれ,朱雀中学入学時には,朱雀第一,朱雀第四,朱雀第六,朱雀第七小学校から集まっていたことを覚えています。こういった中,北野・朱雀・中京・西ノ京中ブロックにおいては,四つの中学校と九つの小学校が連携型の9年のつながりを意識した小中一貫教育の在り方の研究を進めるよんきゅう絆プロジェクトを平成28年度より行われております。その中では部会を作り,共通の目標,着けたい力を共有し,円滑な連携を図る取組をされておられ,部会での議論を基に企画を展開されるなど取組を推進されています。こういったプロジェクトはそれぞれの地域の事情に応じ進められており評価されるものではありますが,一番大切なポイントは,どのような形の小中一貫教育を受けている児童・生徒であっても,義務教育9年間を通じて,子供たちが社会で自己実現を図るための確かな学力をはじめ必要な力や態度をしっかりと育成することだと考えます。 そこでお伺いいたします。京都市として小中一貫教育を進めていく中で,施設一体型,施設併用型,連携型のどの類型の学校でも,また,一つの小学校から複数中学に進学する中学校ブロックなどが異なる中でも,子供たち一人一人に確かな力を育むために,どのように今後取組を行っていくのか,学校と地域の関わりも含めて,考えをお答えください。 次に,京都市におけるスポーツ施設整備の在り方についてお伺いいたします。さて,日本では現在開催されているラグビーワールドカップ2019日本大会,2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック,2021年に開催されるワールドマスターズゲームズ2021関西という3年連続の世界的スポーツイベントを抱えており,これらの3年間をゴールデン・スポーツイヤーズと名付けられています。これは,世界三大スポーツイベントと言われるサッカーワールドカップ,オリンピック・パラリンピック,ラグビーワールドカップのうち二つの大会が日本において連続で開催され,その後には30歳以上の方なら誰でも参加することができる大会であるワールドマスターズゲームズ2021関西が開催されるということは世界的に見ても初めてであるからです。そういった中で,国の動きとして,2016年6月に発表された内閣府の日本再興戦略2016の中では,スポーツが文化と並んで成長産業として取り上げられています。詳しい内容を見ると,観客にとって魅力的な競技場や体育館などを整備することで収益性を確保するスタジアム・アリーナ改革や,スポーツにおいては公共施設や商業施設との複合型などまちづくりの中核拠点となり得るサステナブルなスポーツ施設を表す造語であるスマート・ベニューの考え方が示されるなど,今後国内におけるスポーツ施設の在り方が転換していくことが予想されるような内容となっています。こういった状況の中で,全国各地においては,こういった流れに沿ったMazda Zoom-Zoomスタジアム広島やミクニワールドスタジアム北九州などといった競技場が運営され,沖縄市においては2020年のしゅん工に向けて沖縄市多目的アリーナの整備が進められるなど具体化されてきています。 京都市では,平成28年3月に策定された京都市市民スポーツ振興計画改定版において,スポーツ施設の不足と老朽化の現状を踏まえ,身近な場所でのスポーツ,生活圏を超えたスポーツ,国際的又は全国的規模の競技,観戦といった市民の活動範囲や活動レベルに応じ施設の改修や設備の整備,機能の改善などに計画的に取り組んでいますとされていますが,決して見るスポーツ,するスポーツの両面から現状満足を得られるようなものではありません。現に,京都市としてもこれまでの間,見るスポーツとしては京都スタジアムの市内誘致やラグビーワールドカップ会場の誘致などを行われてきていますが,実現がされませんでした。また,するスポーツの面では先日宝が池において体育館をオープンされましたが,施設の新設及び維持管理の予算については平成28年度のくらし環境委員会において問題として取り上げるまでは十分なものであると言えるものではなく,その後改善されたとはいえ,先に述べた国の動きを踏まえれば,京都市としては厳しい財政状況にありますが,市民のスポーツ振興と健康長寿をこれまで以上に進めるためには,これら予算の充実を図っていかなければならないと考えております。 そこでお伺いいたします。今後の京都市において,するスポーツ,見るスポーツ両面からスポーツ振興を図っていくには,抜本的に施設整備や維持管理の在り方を考えていく必要があると考えます。するスポーツにおいては市民がスポーツを生涯にわたって十分楽しめる場所と施設の確保を目指して整備方針を立て,見るスポーツにおいては,施設を費用ばかりを集計するコストセンターと考えるのではなく,いかに収益を最大化するかを考えるプロフィットセンターとして捉え,官民共同による整備も含めて見通しを立て進めていく必要があると考えますがいかがですか。お考えをお聞かせください。 次に,プラスチックの資源循環の取組についてお伺いいたします。近年,国際的にプラスチック製品の取扱いについて議論が行われていますが,世界での状況を見ると,プラスチック製品は年間約3億トン生産されており,平成22年のデータでは,世界で約800万トンものプラスチックが海洋へ流出しています。こうした海洋でのプラスチック汚染は,生態系を含む海洋環境への影響や船舶航行の障害,漁業・観光への影響などを引き起こしています。また,一度海洋に流出したマイクロプラスチックは,現状,回収がほぼ不可能であり,今後も深刻な海洋環境に対する影響が予想されます。このような状況の下,近年では2017年に中国をはじめとするアジア諸国がこれまで受入れを行ってきたプラスチック廃棄物の輸入規制を行い,それを受けたEUの欧州委員会では2018年1月にEUプラスチック戦略を取りまとめ,プラスチック廃棄物の削減やリサイクルなどの方針を示しました。また,EUの欧州議会では,ストローなどの使い捨てプラスチックを2021年に禁止する規制案が可決されるなど国際的な動きが高まってきています。直近では,今年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて,2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロとすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが各国首脳間において共有されました。 一方,国内の状況に目を移すと,国際的なプラスチック廃棄物の輸入規制措置の影響を受けて,国内において処理されるプラスチック廃棄物などの量が増大してきています。そうした中,平成30年6月には,漂流ごみなどの円滑な処理の推進やマイクロプラスチック対策などを盛り込んだ海岸漂着物処理推進法改正が行われ,今年5月にはプラスチック資源循環戦略を策定,6月にはレジ袋の無料配布を禁止する法令の速やかな制定の意向を表明した環境大臣記者会見が行われ,G20エネルギー・環境関係閣僚会議において経済産業大臣がレジ袋有料化の方針を表明するなどプラスチック廃棄物の削減に向けた取組が加速してきています。こういった国内外の動きに対して,京都市では,平成27年10月から政令市としては初めてとなる食品スーパーにおけるレジ袋の有料化に取り組み,本年3月の時点では有料化カバー率が店舗面積ベースで96パーセントに達しています。また,そのほかにも,店舗におけるマイボトル推奨の取組や家庭におけるプラスチックごみの分別収集を実施するなど各種取組を進めてこられました。また,現在もプラスチックごみの2R及び分別,リサイクルに取り組むために,京都市廃棄物減量等推進審議会で議論が積み重ねられるなど各種の検討が進められています。しかしながら,環境先進都市を標ぼうする京都市としては,今後も国内外をリードするべく,これからも歩みを止めることなく取組を進めていかなければなりません。 そこでお伺いいたします。まず,1点目は,来年4月以降に実施を予定されている国のレジ袋有料化の義務化にどのように対応されるのかお答えください。2点目に,市民や事業の皆さんに理解していただきながらプラスチック廃棄物の削減を図っていく必要があると考えますが,どのように取り組まれますか。3点目に,京都市が旗振り役としてプラスチックごみの削減に取り組むには,まず京都市の啓発物品などでのプラスチック削減を図る必要があると考えますがいかがですか。ここで,前半の質問を終わります。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 加藤昌洋議員の御質問にお答えいたします。 まず,スポーツ施設の整備についてでございます。先般,ラグビーワールドカップが開幕し,京都で開会式を行うワールドマスターズゲームジャパンへと続く3年連続のゴールデン・スポーツイヤーズが始まり大いに盛り上がっております。この機会をスポーツに対する関心や意欲を高めスポーツに親しむきっかけとして確実に市民スポーツの振興に結び付けていくためにも,スポーツ環境の整備が重要であると考えております。この1年においても,宝が池公園運動施設体育館や民設民営で整備した屋内フットサル場のミズノスポーツプラザ京都伏見といった新たな運動施設を設置するとともに,身近な公園にも軽い運動や健康づくりのための器具などを設置し,厳しい財政状況の下ではありますが,施設の効果的・効率的な整備に取り組んでまいりました。 するスポーツにおきましては,本年7月に株式会社たけびしとネーミングライツ契約を締結した,たけびしスタジアム京都の管理諸室において府市協調による改修を継続するほか,横大路運動公園なども計画的に改修等を進め,老朽化したスポーツ施設については,施設の長寿命化計画に基づき不具合いが生じる前に改修に取り組んでまいります。また,来年度の京都市市民スポーツ振興計画の見直しにおいて,市民の皆様や競技団体等からのニーズの調査などをしっかりと把握いたしまして,施設の整備方針について検討を深めてまいります。みるスポーツにおきましては,競技・観戦環境の向上に向けまして,たけびしスタジアム京都のメインスタンド屋根の設置や照明,トイレの改修を,ネーミングライツ収入も活用し着実に進めてまいります。また,運動公園の整備に関し,民間事業との対話を通じて,アイデアやニーズ等を把握する調査を行っているところでありますが,加藤議員御提案の官民共同による整備につきましては,様々な知見をいかして検討を重ね,用地や収益性などの課題を乗り越えていけるよう取り組んでまいります。 今,日本中がスポーツで沸き上がる中,地域のきずなを強め,楽しさや喜びを分かち合うスポーツの振興は,子供の学び,育ち,市民の皆様の健康長寿はもとより,共生社会の実現,まちのにぎわいと活力の創造にも資するものであり,大きな大きな可能性がございます。これからもスポーツ施設の整備,更なる魅力向上に一層努力を尽くしてまいります。 次に,プラスチックの資源循環についてでございます。私たちに様々な恩恵をもたらしてくれる掛け替えのない海。その海へ世界で年間約800万トンものプラスチックが流出し,このままでは2050年頃には海中のプラスチックの量が魚の量を上回るという危機的な状況にございます。プラスチックの資源循環は,海洋汚染の防止やごみ減量のほか地球温暖化対策や生物多様性の保全に不可欠であり,これは正にSDGsの実現に寄与する重要かつ喫緊の課題であると認識しております。そうした中,本市では,家庭や事業所から排出された年間5万4,000トンものプラスチックごみ等を39億円もの経費を掛けましてリサイクル等により適正に処理しておりますが,環境保全に向けまして,更なる発生そのものの抑制を中心とした資源循環の取組を早急かつ強力に進める必要がございます。使い捨てプラスチックの象徴と言えるレジ袋は,来年4月以降,全国一律の有料化が実施されますが,本市では御指摘のとおり,平成27年に政令市で初めて食品スーパーのレジ袋有料化を一斉実施しております。この取組成果をいかしまして,コンビニ等の小規模小売事業の皆様としっかりと連携のうえ有料化実施の徹底を図るとともに,丁寧な周知・啓発により市民の皆様の御理解を得て,マイバッグの携帯等によるレジ袋の使用抑制そのものを推進してまいります。 また,10月からはペットボトル削減のため,飲食店や公共施設でマイボトル等を用いて給水等ができるスポットの情報発信を開始いたします。また,京都市がプラスチック削減を率先垂範するために,加藤昌洋議員御提案の,イベント等での啓発物品につきましては,使い捨てプラスチック製品等は使用しないという方針を策定いたします。適切な御提案やと思います。こうした取組を含めまして,緊急時に実施する重点施策を取りまとめましたプラスチック資源循環アクションを10月中に策定し,市民・事業の皆様の御理解の下に速やかに実施してまいります。 今後とも,使い捨てプラスチックに頼らないライフスタイル,ビジネススタイルへの転換を図るとともに,プラスチック代替素材の開発などイノベーションの促進により,プラスチックの資源循環,ひいては持続可能な循環型社会の実現を目指し,環境先進都市・京都として全国をリードする取組を推進してまいります。 以下,関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 小中一貫教育についてでございます。本市では,小学校と中学校の学びと育ちを義務教育9年間という連続性の下で捉え直し,計画的・系統的なカリキュラムを保護・地域の皆様と共有して編成し実践する小中一貫教育を全国に先駆けて実施し,平成23年度からは,全ての中学校区におきまして,校区の状況に応じて推進しております。加藤昌洋議員御指摘のとおり,本市の小中一貫教育の取組形態は一様ではなく,地域,生徒の実態や学校の状況に応じた施設一体型や併用型,連携型の三類型におきまして,各校が創意工夫を凝らして,子供たち一人一人の確かな力を育む取組を推進してきております。また,一つの小学校から複数中学に進学する中学校のブロックが本市では三つございますが,その全てにおきまして,平成28年度から3年間にわたりまして文部科学省の研究指定を受けており,そのうちの北野・朱雀・中京・西ノ京の四つの中学校,その校区下の九つの小学校から成るブロックにおきましては,小中一貫教育の推進に向けて立ち上げましたよんきゅう絆プロジェクトにおきまして,小中13校共通の家庭学習の手引の作成と実践,関係する全ての小中学校の教職員約300人が一堂に会した研修会の開催,地域と連携した子供たちによる全校共通のあいさつ運動や清掃活動など地域との連携を深めながら様々な取組を進めております。さらに,その成果はリーフレットに掲載し,全市でも広く共有し実践の拡大に努めてきております。来年度から順次全面実施を迎える新学習指導要領では,学校と地域,社会が教育を通じてよりよい社会を構築するという目標を共有し,連携・協働を一層深める社会に開かれた教育課程が中核理念とされております。その実践に向けましては,本市がこれまで蓄積してまいりました地域と共に進める小中一貫教育と学校運営協議会の取組を一体で進めることが極めて重要であると考えております。そのために,小中合同の学校運営協議会の設置拡大や,その取組の充実,小中一貫教育における保護・地域の皆様の具体的な関わり事例を掲載いたしました実践事例集を新たに作成するなど,京都ならではの小中一貫教育の充実に今後も努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 加藤昌洋議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時49分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続きまして,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続し,加藤昌洋議員に発言の継続を許します。加藤議員。 〔加藤昌洋議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤昌洋議員) 中京区選出の加藤昌洋です。午前中に引き続き,質問を行います。 まずは,ひきこもり支援の切れ目のない対応の必要性について質問いたします。現在,このひきこもりと言われる方々の定義は,仕事や学校に行かず,かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに6箇月以上続けて自宅に引き籠もっている状態とされており,ひきこもりとされている方々は全国で100万人以上いるとされています。これは,今年3月に内閣府が,生活状況に関する調査において,ひきこもりの長期化を踏まえて初めて40歳から64歳のひきこもりの状況を調査し,その数が61万3,000人いることを発表したものに加えて,これまで内閣府が行ってきた調査で判明している15歳から39歳までの54万1,000人の数字を足して分かったものです。 こうした流れの中で,新聞やテレビ等の報道では,ひきこもり状態の長期化,高齢化といった状況を8050問題として多く取り扱っていますが,ひきこもり問題の全体の状況を踏まえると若干の違和感を覚えます。それは,当然のことながら,ひきこもりは50歳以上の方々に限った問題ではなく,データでも明らかなように100万人以上いると言われるひきこもりの方々の半数弱は15歳から39歳の若年層であり,世代を問わず切れ目のない相談や支援体制を整えていくことが非常に重要となるからです。ここで,京都市における支援の状況を改めて見た場合,ひきこもり地域支援センターとして,39歳までの方の支援は中央青少年活動センターが,また40歳以上の方の支援はこころの健康増進センターが位置付けられていますが,相談窓口が40歳を境に分かれてしまうという形となっています。 そこで,お伺いいたします。ひきこもりの方の支援ニーズは潜在化しやすく,早期の発見,早期の対応を行う必要性が求められる中で,年齢を問わず,一人一人に寄り添った形での相談支援を展開していかなければなりません。京都市においても,まずは相談窓口の一元化に取り組んでいかなければならないと考えますがいかがでしょうか。 また,相談を受けた後の支援の在り方も重要となってきます。京都市においては,これまでから保健と福祉の垣根を取り払い,区役所に設置された保健福祉センターを中心に,平成22年10月に開設された子ども・若者総合相談窓口や地域あんしん支援員,寄り添い型,見守り型支援を行う支援コーディネーターなどと連携をしっかりと図り,ひきこもり支援の取組を行われてこられました。一方で,先日ひきこもりについて扱った報道番組では,ある市町村の事例を取り上げられていました。それは,ある市町村で,担当となる生活困窮支援員の方が何度も訪問していたものの,人間関係の構築に時間を要するなどのひきこもり支援特有の課題もあり,結果的に命を救えなかったというものでした。 そこでお伺いいたします。京都市においては,息の長い支援を各部署で行っていただいていると思いますが,同様の事態を京都市において発生させないためにも,ひきこもり支援について更なる取組が必要ではないかと考えます。SDGsに掲げる誰一人取り残さない支援を徹底するためにも,今後のひきこもり支援の充実に向けた市長の決意をお伺いいたします。 次に,防災や災害対応における保険分野の民間事業との包括連携協定締結の検討についてお伺いいたします。近年,全国的な災害の発生状況を見ると,平成23年3月に発生した東日本大震災をはじめとした地震や平成30年台風第21号,令和元年台風第15号などをはじめとした台風による災害,平成30年7月豪雨のように線状降水帯によって発生する大雨災害など多くの災害が全国各地で起こっており,京都市においても,いつ,どこで,どのような災害が起こってもおかしくないという認識を持っておかなければなりません。こういった災害への対応や防災意識の向上においては,国,都道府県,市町村といった公共部門や消防団,水防団,自主防災会といった地域における団体の役割は大きいものとなりますが,企業や各種団体などといった民間事業の役割も重要となってきます。 国においては,平成15年9月に中央防災会議に設置された民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会が,民間企業,個人,地域のNPOなどの力を用いた防災力を向上させる方策等を検討し,民間と市場の力を活かした防災戦略の基本的提言を平成16年10月に取りまとめています。 地方自治体での取組を見ると,大阪府では大阪府建築防災啓発員制度というおもしろい取組を行っています。趣旨としては,南海トラフ巨大地震などの大規模地震に備え,府民の皆さんに,大規模地震発生時における住宅の倒壊や密集市街地などにおける火災の発生の危険性を認識していただき,住宅・建築物の耐震化や一定規模以上の地震の揺れを感知すると自動的に通電を遮断する感震ブレーカーの設置の重要性などを普及啓発するため,民間企業などのマンパワーやネットワークを活用した制度を創設するというものです。具体的な中身としては,府と包括連携協定や事業連携協定を締結し,防災・減災を連携・協力の対象としている企業及び団体が社員などに養成研修を実施し,一定の知識を習得したを府が大阪府建築防災啓発員として認定し,活動するというものです。こういった取組を大阪府では損害保険業者や大阪損害保険代理業協会などといった団体と協力して取り組んでおられます。京都市では,LINE株式会社と複数の分野を含む包括連携協定を結び,その内容の中に防災,特に帰宅困難対策などが盛り込まれていますが,災害に関する民間との協定の多くは発災後のものです。 そこでお伺いいたします。包括連携協定の内容については,現状でこういった取組を行われている他都市の事例を参考にしながら,京都市独自の内容とする必要があると思いますが,京都市においても,大阪府を参考に損害保険代理業協会や保険会社などと連携して,防災知識などの普及啓発に民間事業と取り組んでいくために,協定の締結に向けた動きを検討していただきたいと考えますがいかがですか。 次に,円町駅周辺のまちづくりについて要望をいたします。JR円町駅は,西大路通と丸太町通の交差点からすぐ近く,平成12年9月に山陰本線の二条駅・花園駅間の複線化工事の完了と同時に開業がされました。駅周辺には高校や大学といった学校教育施設も多く,府立体育館や京都市中央図書館があり,利便性が高いだけではなく市内各地へ向かう市バス路線が停車することもあり,近年では国内外を問わず多くの皆さんが利用されています。実際に,当初,駅の1日平均乗車数は,3,400人ほどであったものが,開業から20年弱の期間で8,600名近くと2.5倍以上となり,駅周辺を取り巻く環境は変化してきています。従来から京都市においては,地元学区や地元商店会の意見,要望に応じてきていただいておりますが,例えば利用客数が多いのにタクシー乗降場が設置されていないために違法駐車が散見され,また,自転車の通行量が多いのにもかかわらず走行環境整備の面的整備に含まれておらず矢羽根の走行表示がされていないなど,細かいことではありますが問題が存在しております。予算や場所の制約はあると思いますが,今後も京都市として局の枠を超え,より一層,体系的に円町駅周辺のまちづくりを地元と共に考え,よりよい円町駅周辺のまちづくりとなるよう要望しておきます。 最後に,元植柳小学校跡地活用に係る避難所の確保について要望いたします。元植柳小学校の跡地活用については,本年2月に安田不動産株式会社を契約候補事業に選定し,7月に当該事業と基本協定を締結されました。現在,提案内容の具体化に向けて植柳自治連合会と京都市,事業の三による事前協議会が開催され協議が続けられています。事前協議会については,地域活動の継続,避難所機能の確保など,施設の整備や運営に関する具体的な事項について,自治連合会から地域の声を意見として挙げられ,三で協議をしながら,プロポーザルにおいて事業から提案された計画案をよりよいものに磨き上げていく場であると認識しています。協議の中では,避難所でもある地下体育館の位置変更に関する要望を含め様々な意見が出されているとお伺いをしております。昨今の災害の発生状況に鑑み,学校跡地活用に当たっては,安心安全のまちづくりを進めるうえで,特に災害時における避難所機能の確保が重要であると考えております。そこで,地域からの声や昨今の災害発生の状況を十分に踏まえながら,事業としっかりと連携し,よりよい跡地活用に努められるよう要望しておきます。 以上で,代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,加藤昌洋議員の御質問にお答えいたします。 ひきこもり支援についてでございます。様々な要因が複雑に絡み合い,人と人との触れ合いや社会とのつながりが希薄になるひきこもり,本市では,この問題にしっかりと対応するため,子ども・若者総合相談窓口や各区役所・支所の保健福祉センターなど,あらゆるチャンネルで相談を丁寧にお聴きし,関係機関との連携の下に相談のニーズに応じた支援を展開してまいりました。今般,ひきこもりへの社会的関心が非常に高まり,私どもといたしましても,極めて重要な今日的課題と改めて認識し,こうした取組を更に深化させるため,この間,本市独自に関係団体へのヒアリングによる実態把握や庁内関係部署によるワーキング等により課題の掘起こしを全力で進めてまいりました。 その結果,ニーズの潜在化や支援期間の長期化といった特有の課題はもとより,年齢によりまして相談窓口が分かれているため支援の継続性に問題があるといった課題や,複雑な要因を抱えているがゆえに,効果的な支援策を見いだしにくいといった課題等が改めて浮き彫りになりました。このような困難な課題の解決のためには,これまで積み上げてきた本市のひきこもり支援を抜本的に見直し,再構築していく必要があると考えております。率直に申し上げまして,今日まで専門家等が丁寧に積み上げてきた施策の見直しというのは大きな困難が伴いますが,子供や若者から高齢まで,全ての市民の皆様が希望に満ちた将来,誰一人取り残さない社会を実現するため,万難を排して進めてまいります。私は,そう改めて決意いたしております。 まず,その第一歩といたしまして,法律や施策ごとに分かれているひきこもり相談窓口を再編し,加藤昌洋議員御提案のとおり,相談窓口を来年度早期に一元化いたします。そしてさらに,社会福祉全般に関する事項を御議論いただく京都市社会福祉審議会に専門分科会を早期に設置し,専門家の御意見を伺いながら,御本人と御家族に寄り添った息の長い総合的な支援が実現できるよう方策を検討し,迅速かつ計画的に実施してまいります。 課題は山積みであります。しかし,様々な困難や課題を抱えておられる御家庭を地域と一緒になって見守り,切れ目なく支えていく,本市ならではのひきこもり支援の実現に向けまして,粘り強く,かつ果敢に取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私からは,防災における保険分野との連携協定についてでございます。本市では,大規模災害発生時に,本市単独での災害対応や復旧・復興が困難な場合に備え,応急対策や被害に対する復旧など迅速に対応することを目的として,災害復旧を担っていただく京都府建設業協会,物資の輸送を担っていただく京都府トラック協会など様々な企業や団体,自治体などと協定を締結しております。その数は,東日本大震災以前は77協定でしたが,京都市防災対策総点検や帰宅困難対策に取り組むことで,現在では380にも及ぶ団体等と協定を締結し災害時に備えております。昨年の大阪府北部地震や7月豪雨,4度にわたる台風の襲来など度重なる災害発生時には,これらの協定に基づき,破損した家屋の改修相談について京都府瓦工事協同組合などに御協力いただいたほか,山間部の倒木などによる停電に関し,非常用発電機などの機材を民間の建設機材レンタル事業に事前配備いただくなど,改めて協定の重要性を認識したところです。加えて,平成25年の台風18号により,嵐山周辺が水害に見舞われた際,被害を受けた市民・事業が保険給付により早期に営業再開できたというお声も聞いており,損害保険や共済保険への加入は,早期の復旧・復興につながる災害に強いまちに資するものと認識しております。このような保険の普及啓発と併せ,加藤昌洋議員御提案の,災害に備えた防災知識の普及啓発などを保険関連事業等と包括的な連携の下に進めることは,レジリエント・シティの実現を目指す本市にとりましても非常に有用な取組であり,他都市の事例も参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えております。今後とも,自主防災組織や消防団,水防団,社会福祉協議会などの地域の方々や,地元企業や協定を締結している事業の皆様と,災害発生時のみならず日頃から連携を深め,市民や事業の災害対応力の更なる向上を図ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,井上よしひろ議員に発言を許します。井上議員。 〔井上よしひろ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上よしひろ議員) 私は,右京区選出の井上よしひろです。自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして,寺田一博議員,しまもと京司議員,加藤昌洋議員に続き,質問させていただきます。4月の統一地方選挙に初当選させていただいた新人でございます。まずもって,この伝統ある京都市会の代表質問の機会を与えてくださった先輩各位,並びに右京区の皆様に深く感謝いたします。それでは質問に移らせていただきます。 初めに公営企業の決算と今後の経営についてお伺いいたします。まず,上下水道事業についてお伺いいたします。平成30年度は,決算資料を確認いたしますと,今後10年間に上下水道局が取り組むべき課題や目標を定めた京の水ビジョン-あすをつくる-及びその前期5箇年の実施計画である中期経営プランの初年度として,老朽化した配水管の更新や雨水幹線の整備をはじめ着実に事業を推進されたとのことでありました。また,ピーク時と比較すると約20パーセント落ち込んでいる水需要の減少傾向が続く中にもかかわらず,営業所の再編や民間活力の導入などの効率的な事業運営に努め,プランを上回る経費削減が進められた結果,水道・下水道共に目標利益を上回り確保されたことは,プラン1年目として大変すばらしいスタートダッシュが切れたのではないかと考えます。私も市会議員1年目として,右京区の皆様にお約束したことが果たせるよう,しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 一方で,今後の上下水道事業を取り巻く経営環境は,新たな経営ビジョンでも示されていますように,水道・下水道共に4,000キロメートルを超える管路をはじめとする上下水道設備は,順次更新時期を迎えており,その改築更新のためにはばく大な費用が掛かる見込みとなっております。こうした中,節水型社会の定着に加え,人口減少が進むことにより,水需要の減少傾向がこれまで以上に進むことで,近い将来,事業運営のための貴重な財源である水道料金・下水道使用料収入を十分確保できなくなるのではないかと危機感を抱いています。それは,私が所属させていただいています産業交通水道委員会において,水需要の喚起に向けた一層の取組を求める質疑をお聞きしていても感じるところです。 国においては,昨今の災害を踏まえ,防災・減災,国土強靭化のための3箇年緊急対策を打ち出されていますが,平成30年度から令和2年度までの時限的な措置であるため,その後,改築更新などの建設事業に対する国による補助については大変厳しい見込みであると伺っております。必要な事業は増加する一方,そのための財源の確保は大変厳しい見通しであるため,上下水道を今後も安定して維持し,将来世代にしっかりと引き継いでいくためには,これまで以上に効率的に事業を運営する必要があります。こうした状況を踏まえ,平成30年度の決算に対する市長としての総括に加え,今後の上下水道事業の経営に対する決意についてお伺いをします。 次に,市バス・地下鉄事業についてお伺いします。決算資料を拝見しますと,市バス事業につきましては,経常損益が19億円の黒字を確保し,一般会計からの任意補助金に頼らない自立した経営を引き続き堅持することができ,また,地下鉄事業につきましても,経常損益は23億円の黒字となり,4年連続で黒字を計上することができ,市バス・地下鉄両事業の1日当たりの旅客数につきましても,前年度を5,600人上回る76万1,000人となり,過去最高を更新することができたとのことであります。しかしながら,今年3月に策定されました京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョンで示されているように,両事業の経営は決して楽観視できる状況ではありません。 市バス事業につきましては,平成30年度の旅客数が前年度実績,当初予算を下回る結果となりました。また,今年度予算についても,軽油価格の高騰などにより,平成20年度以来となる赤字予算を計上されております。さらに今後10年間で530両の車両の更新などに220億円もの多額の設備更新費用を要する見込みであります。また,今後,更なる増客が必要な状況にある一方で,市民と観光客の共存という観点から市バスの混雑対策についても,しっかりと取り組んでいただかなければならない中で,バス運転士・整備士の担い手不足がより深刻になることが想定されるなど,新たな対策も必要となっています。 地下鉄事業につきましては,順調に旅客数が伸びているものの,いまだに多額の企業債残高と累積資金不足を抱え,市バス事業と同様,今後10年間で車両・設備の更新などに740億円もの多額の費用が見込まれ,依然として厳しい経営状況にあります。 こうした状況を踏まえますと,今後の市バス・地下鉄両事業においては,これまで以上に危機感を持って取り組んでいく必要があると思いますが,市長は,今後,市民の財産である市バス・地下鉄両事業をどのように経営していかれるのか,平成30年度の市バス・地下鉄事業の決算の評価と併せてお伺いいたします。 次に,市バスのバス待ち環境の向上についてお伺いいたします。かつて本市市バス事業は,長く続く旅客数の減少により,極めて厳しい経営状況に直面し,人件費の削減や管理の受委託の導入拡大など,数次にわたり経営健全化の取組を進めてこられました。平成21年度に策定した市バスの経営健全化計画では,コスト削減策にとどまらず,増収・増客を取組の柱として明確に位置付け,以降,市バスの利便性を高めることで更なる増客につなげる攻めの経営を進められました。その結果,市バスの利用は,この10年間で1日当たり約5万3,000人増加するなど,市バス事業の経営健全化は大きく進展しました。増収・増客に向けた取組として掲げられた市バスのバス待ち環境の向上については,民間活力を活用した広告付き上屋,ベンチやバス接近表示器の設置,さらには無償で民間の敷地を提供いただき,バス待ち環境を整備するバスの駅事業等を積極的に進められ,この3年間だけでも上屋は約80箇所,ベンチは90箇所増加するなどバス利用の環境は大きく高まったと感じております。このほかにも,我が会派が要望した京都駅前バス乗り場での京の駅ミスト事業に上下水道局と共に取り組まれ,今年の夏からは全乗り場で稼働を開始されるなど,この間の,快適なバス待ち環境の創出に向けた多彩な取組については,多くの市民の皆様から喜ばれているものと実感しています。 しかしながら,いまだに上屋やベンチ等が設置されていない場所もあり,私の元にも更なる改善を求める声が多く届いております。上屋などの設置に当たっては,歩道幅など様々な制約がある中,この間,創意工夫を凝らしながら取り組んでこられたことは十分承知しておりますが,市内中心部に比べ,周辺地域においては,バス待ち環境が充足されたと実感できる状況には至っていないと考えております。 今後のバス事業の経営は,先程にも述べさせていただいたとおり,極めて厳しい状況に直面することとなりますが,高齢化社会が進展する中,地域住民の公共交通への期待はますます高まっており,また,地下鉄・市バスお客様1日80万人の目標の達成に向け,更なる増客を図る観点からも,快適なバス待ち環境の創出は,引き続き,経営の重点として位置付け,積極的な取組が推進されるべきであると考えますがいかがでしょうか。 次に,児童館・学童保育所職員の働き方改革と職員の資質向上について質問させていただきます。本市の児童館・学童保育所は,遊びやクラブ活動,行事活動などを通じて,子供が異なる年齢の友達と触れ合うのみならず,地域とも触れ合える場として,子供の健全育成,子育て支援の中心的な役割を果たしてきました。特に,平成27年度からは,子ども・子育て支援新制度の下,学童クラブの登録対象年齢を小学校6年生まで拡大し,保護の就労等により放課後留守家庭となる児童の居場所として大きな役割を果たしています。また,昨年10月には,国の児童館ガイドラインが改正され,乳幼児支援や乳幼児と中高生世代等とのふれあい体験の取組が児童館の業務として位置付けられましたが,本市では従来から,子育て中の親同士の交流の場,学習支援を通じた中高生の居場所等に取り組んでおり,正に,国に先んじて,地域コミュニティの希薄化や子育て中の保護の孤立といった問題にも対応しています。 このように,児童館・学童保育所は,地域の子育て支援の拠点として非常に大きな役割を果たしていますが,先ほど触れました平成27年度からの対象年齢の拡大に伴い,児童館・学童保育所職員の業務量は,ここ数年,増加傾向にあります。具体的には,児童館・学童保育所などにおける学童クラブの登録数は,平成30年度当初が1万4,076人であったのに対し,今年度当初は1万4,657人であり,1年間で581人の増,比率にして4.1パーセントもの増となっています。私自身,6年間,児童館の職員として働いておりましたが,確かに平成27年度以降は業務量が増えており,また,周りの職員の超過勤務も増加傾向にあったことを実感しています。そうした経験から,子供たちへの支援の質を確保しながら,同時に職員の働き方改革を進める必要があると考えています。 本市においては,これまでから,独自に給与月給の改定や経験手当を創設するなど,必要に応じて単費を投入することにより職員処遇の充実に努めてきた実績がございますが,改めて,職場マネジメントの状況や超過勤務手当の支給実態を把握したうえで,職員の意識改革を促したり,業務の在り方を改善するためのルールを確立するなどして,働く環境の充実に向け,より一層努めるべきであると考えますがいかがでしょうか。 また,今年度は,一部の児童館において,職員による不適切な行為が明らかになりました。児童の健全育成の場であり,児童の生命・身体を預かる場において,職員自身がこれを脅かすような事態があってはならないことは言うまでもありません。不適切な事案の再発防止,ひいては職員の資質向上は,正に喫緊の課題と思われますが,市としての今後の取組についてお聞かせ下さい。まずはここまでについての御答弁をお願いします。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井上よしひろ議員の御質問にお答えいたします。 上下水道事業の経営についてでございます。新たなビジョン,プランの初年度となる平成30年度は,配水管更新率を6年前の2.6倍となる1.3パーセントまで引き上げたほか,5年に一度の大雨に対応する雨水整備率は,全国平均の58パーセントを大きく上回りトップ水準の約91パーセントとなっております。さらに10年に一度の大雨への対応を進めるなど,しなやかで強く持続可能なレジリエント・シティ京都の実現に向けた事業を着実に推進してまいります。 財政面では,水需要の減少により,水道料金・下水道使用料収入が前年度からそれぞれ約2億円減少する厳しい経営環境の中,組織・業務の見直しをはじめとする効率的な事業運営に努め,目標に対して2倍以上の経費削減を進めました。その結果,施設の改築更新等の財源とするための積立金については,水道・下水道共に目標を上回り確保することができ,プラン初年度にふさわしい決算になったものと捉えております。しかし,井上よしひろ議員御指摘のとおり,今後国による補助についても十分に見込めないなど見通しは大変厳しいものとなっております。このような中にありましても,環境に優しい水道水のPRを通じまして,マイボトルの利用促進など環境政策とも融合した水需要の喚起に取り組むことはもとより,民間活力の更なる導入等による経費削減の取組や,国への要望活動,さらには保有資産の有効活用による収入の確保・創出など,財源確保に向けましてあらゆる手立てを講じ,安定した経営を継続することで,掛け替えのないライフラインであります上下水道を将来にわたってしっかりと守り続ける決意でございます。 次に,市バス・地下鉄事業についてでございます。危機的な状況にあった両事業の経営改善は,本市の最重要課題の一つでございました。市長就任以来,市民や市会の皆様の御理解,御協力を得ながら,全国的には,公営・民営問わず全国的に路線バス事業の経営が厳しい中,京都市では,市バス系統を74から84系統に増やすとともに54両増車し路線バス・ダイヤの充実など,市民・利用目線での攻めの経営により大幅な増額・増客を実現し,自立経営を達成いたしました。 また,地下鉄では,専門家から絵空事とまで言われた1日5万人増客を2年前倒しで実現するなど,大幅な経営改善を果たすことができました。平成30年度決算におけるお客様数は,通勤・通学時間帯の増便などに取り組んだ結果,定期券御利用のお客様数の増加により1日当たり76万1,000人と過去最高を更新いたしました。この10年間では,多くの市民・観光客の皆様の御利用もあり,市バスでは1日当たり5万3,000人,地下鉄では7万人増加しており,人と公共交通優先の歩くまち・京都の中核を担っている両事業が,自動車分担率の低下に大きく貢献したものと考えております。 また,経営面についても市バスでは,5年連続で自立経営を堅持し,地下鉄では4年連続の黒字を確保し,市長就任当時1日4,600万円もの赤字が1日600万円の黒字となるまで大きく改善いたしました。しかし,井上よしひろ議員御指摘のとおり,今後,両事業共に車両や設備の更新等に多額の費用を要し,バス運転士・整備士の担い手不足など極めて厳しい経営環境に立ち向かっていかなければなりません。 今後とも,これまで以上に危機感を持って不断の努力を重ねるとともに,社会情勢の変化を踏まえた的確な経営判断の下,市民の暮らしとまちを支える市バス・地下鉄が将来にわたり市民の足としての役割を果たし,更に持続可能な社会を目指すSDGsの実現に向けましても全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 井上よしひろ議員の御質問に,私からは児童館・学童保育所職員の働き方改革と資質向上についてお答えいたします。 学童クラブ事業につきましては,平成27年度からの子ども・子育て支援新制度の下,対象を小学校6年生までに拡大する中,新たな実施場所や職員を順次確保することなどにより,今年4月,8年連続となる待機児童ゼロを達成いたしました。本市では,こうした量の充実と質の向上を車の両輪として取り組み,職員処遇に関しては,新制度以降,約6億円の本市独自財源を投入し,基本給の増改定や経験手当の創設等,様々な取組を行ってまいりました。井上よしひろ議員御指摘の働き方改革につきましては,子供たちの安心安全を確保し,良好な職場環境を築くため,これまでにも各職場において,主体的な意識改革等に取り組んでいただいているところでございますけれども,この取組を一層加速するため,新たに,学童クラブ事業における職場マネジメントや勤務状況等に関する実態調査に着手し,更なる意識改革やマネジメント強化等,必要な取組を進めてまいります。 また,多くの職員が真摯に子供とその保護の皆様に向き合う中で,先般,一部の児童館で不適切な行為があったことは残念でなりません。既に,当該児童館と運営法人に対しては改善勧告を行うとともに,市内全ての児童館を対象とした再発防止研修を速やかに行ったところでございます。今後,こうした事案を二度と発生させないため,職員の意識と資質向上に資する研修等を継続的に実施するとともに,厳正な監査により適正な運営を確保し,子供たちが安心して過ごせる放課後の居場所づくりに努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本公営企業管理。 〔山本公営企業管理登壇〕 ◎公営企業管理(山本耕治) バス待ち環境の向上についてでございます。井上議員御指摘のとおり,この間,交通局においては,お客様の利便性を高め,更なる増客につなげる攻めの経営を推進しており,その一環としてバス待ち環境の向上に積極的に取り組んでまいりました。停留所上屋につきましては,本市の負担がない民間活力による整備に加え,平成28年度以降は周辺地域への整備を重点的に進めており,新設・更新を合わせた整備数は,この10年間で300箇所を超え,累計設置数は,歩道幅が条件を満たす停留所約1,000箇所に対し,6割以上に当たる646箇所に達しております。また,近年では歩道が狭い場所に対応した小型のベンチや,従来より設置コストを抑制した新型のバス接近表示器を導入するなど様々な知恵を絞りながら整備を進めた結果,この10年間で,ベンチは400箇所,バス接近表示器は266箇所に増設,累計設置数は10年前と比べほぼ倍増しております。交通局では,こうしたお客様目線で利便性向上を図る積極的な取組が更なる御利用につながったことにより,本市バス事業の経営健全化が大きく進展したものと考えております。本年3月に策定いたしました京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョンにおいても,バス待ち環境の向上は,更なる増客を図るための施策として引き続き経営の重点に位置付けております。今後とも,現行設備の着実な更新や,民間の皆様との連携によるバスの駅事業等,創意工夫を凝らしながら,快適なバス待ち環境の創出にしっかりと取り組んでまいります。以上です。 ○議長(山本恵一) 井上議員。 〔井上よしひろ議員登壇〕 ◆(井上よしひろ議員) 右京区選出の井上よしひろです。引き続き質問させていただきます。 嵯峨嵐山地域の景観保全と地域活性化についてお伺いいたします。嵯峨嵐山地域では,平安時代から紅葉の名所として和歌に詠まれる小倉山,大覚寺と広沢の池に挟まれ,のどかな田園風景の広がる北嵯峨,竹林の小径に代表される観光スポットになっている嵯峨嵐山の竹林風景など,自然と歴史的な環境,景観が現在も色濃く維持されています。 この地域では,地域固有の自然景観を守るため,古都保存法に基づき歴史的風土特別保存地区に指定されています。しかし,それだけで守られるものではなく,地元地域の方々が景観・環境に愛着・関心を持ち,自らの手で守っていこうと取り組まれてきたことが大きな要因となっています。 まずその一つである小倉山においては,約60年ほど前までは燃料の薪を採取するために登る地元住民によって手入れされてきましたが,近年はそのような状況になく,松枯れや照葉樹の繁茂などが進み,景観が損なわれていました。そこで,小倉山の美しい森林景観を取り戻すために,地元組織と寺院を中心に景観・小倉山を守る会が設立され,定期的に植樹活動や下草刈りなどの維持管理が行われています。守る会では,活動経費の確保と共に,大原野・西山地域での竹林保全に資するよう,同会に参画するNPOが行う西山産竹の子を用いた缶詰の製造,販売を支援されています。また,本市においては,守る会と一体となって植樹活動を進められるとともに,植樹などが円滑に進められるよう,管理道の整備や伐採に取り組んでいるところであります。 次に,北嵯峨地域では,地元農業従事が手間を掛けて耕作を継続することで,稲穂たなびく田園景観を保全しています。本市においても,北嵯峨を保全する計画を地域と一体となって取りまとめるとともに,その後も,地元農業従事と耕作継続に関する課題などについて議論しているところであります。その議論は,通常は廃棄される北嵯峨周辺の竹林での枯損竹をチップ化し,田の肥料として活用するなどの取組につながっています。また,竹林の小径周辺では,管理が適切に維持管理を行うことで,地域の特徴的な竹林景観が形成されています。観光客にも親しまれ,景観の重要な要素となっている竹穂垣は,ボランティアの協力を得ながら,管理の努力により,維持・修繕されているものであります。 このような地域の活動を支援し,地域と一体となって本市の取組をより一層促進することが,より良い景観づくりや地域活性化につながると思います。嵯峨嵐山地域の景観保全と活性化に向けて,地域の方々への支援,連携を今後どのように進めていくのかお伺いします。 次に,稲作農家の振興とため池の管理・運用についてお伺いいたします。京都の農業は,長い歴史の中で市民に農産物を供給するとともに,食の文化を支えながら発展してきました。高度成長期には,日本中の多くの都市で開発が進みましたが,京都では,比較的中心部でも京野菜をはじめとする優良な農業経営が続けられ,京都の景観や魅力が守られています。 本市においては,収益性の高い京野菜の生産等への転換が進んでいるものの,労力確保が難しい兼業農家や野菜農家の連作障害を回避するために,多くの農地でお米が作られています。しかしながら,食文化の変化に伴い米の消費量が減少し,国の減反政策に農業全体で取り組んできたにもかかわらず,米価は下落傾向にあり,今や田植え機などの農業機械をそろえて米を作るよりも,スーパーでお米を買った方が安いといった声も聞かれます。この結果,野菜農家以上に稲作農家での後継不足が深刻となっています。京都市では,これまでから野菜農家へは様々な支援策を講じていただいているように思いますが,今後,稲作農家へもしっかりと支援を行わなければ荒廃農地の増加につながり,ひいては京都の魅力の一つである豊かな田園風景が失われるのではないかと危惧しています。 また,広大な田んぼに水を行き渡らせるための水路網や雨が少ない場合に稲作に必要な水を確保するために,先人たちが知恵を絞り,長い年月と労力を掛け整備してきたため池などについては,米から野菜への転換や農地の減少により農業への利用がなくなり管理が不十分なため池も増えているのではないでしょうか。また,農業用に利用しているため池についても,管理する農家の高齢化や兼業化が進み,維持管理の負担が増大しています。昨年の7月豪雨では西日本各地でため池の決壊による人身被害が発生しました。幸い京都では人命に関わる被害はありませんでしたが,今後も市民の安全を守るために,念には念を入れた予防策を講じる必要があります。国においても,農業用ため池の管理及び保全に関する法律を制定し,行政や管理の役割が明文化され,市内でも27箇所の防災重点ため池が選定されたと聞いております。市民の安心安全は農業任せにすることなく,京都市としてもしっかりと取り組んでいく必要があります。 そこでお尋ねします。お米の需要減少で経営が厳しくなっている農家に対する支援が必要であると考えますがいかがでしょうか。また,稲作に必要な農業用ため池の安全対策や,農業用の利用がなくなったため池について,今後どのように対応していくのかお答えください。 最後に,亜臨界水処理技術の導入に向けた研究,検討について要望させていただきます。先般,京都大学の名誉教授から,バイオマス廃棄物を亜臨界水を用いて資源化する技術が大変注目を浴びているというお話を聞きました。亜臨界水ですが,余り耳慣れない言葉であると思います。御存じのとおり,水は日常の大気圧であれば100度で沸騰します。しかしながら,密閉して圧力を高めれば100度を超えても水の状態のままだそうです。水でも水蒸気でもなくなる374度,220気圧を臨界点と呼び,これよりやや低い温度,圧力の水が亜臨界水です。亜臨界水の特徴は,加水分解力が強い,有機物を溶かす力が強いことで,こうした力を活用し,廃棄物の資源化が可能になるとのことです。 近年,全国的に木材の需要と価格の低迷により林業が大変厳しい状況にあり,また,市内の森林では,昨年の台風21号による甚大な倒木被害が発生しました。こうした倒木や間伐材を亜臨界水で分解することで,農業用の肥料や家畜の飼料として再資源化ができるとのことです。もちろん,食品廃棄物や下水汚泥などの有機物を分解し,肥料化することも可能です。木材の利用は,高齢化や人口減少が進む中,山間地域の活性化にも資すると考えます。また亜臨界水を利用することで,今までごみとして焼却廃棄されてきた有機性廃棄物の有効利用が可能となり,環境に優しい循環型社会の構築につながると思います。 IPCCにおいて,門川市長は,2050年までにCO2排出量の実質ゼロを目指す覚悟を表明し,1.5℃を目指す京都アピールを発表されました。亜臨界水技術は,これらの実現に大きく寄与する新技術である可能性があります。他都市に先駆けて,亜臨界水処理技術の京都市への導入について研究・検討を始めていただくことを要望いたします。持続可能な社会の構築に向け,どうぞよろしくお願いいたします。 以上で,私の質問を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,井上よしひろ議員の御質問にお答えします。 嵯峨嵐山地域の景観保全と地域活性化についてでございます。京都は,山紫水明の豊かな自然と歴史的資産や町並みが融合し,地域ごとに特色ある多様な歴史的風致が重なり合うことで,また,市域にお住まいされる人々の暮らしの美学,生き方の哲学,そうしたものを基盤として,京都らしい景観を育んでまいりました。嵯峨嵐山地域は,その代表とも言うべき地域であり,本市ではいち早く,昭和5年から風致地区に,昭和42年には歴史的風土特別保存地区に指定し,古都保存法に基づく土地の買入れや,京都市三山森林景観保全・再生ガイドラインに基づく森林整備等を行ってまいりました。しかし,本市の地域指定等だけで,このすばらしい景観を継承できるものではありません。井上議員御指摘のとおり,嵯峨嵐山地域では,小倉山での,景勝・小倉山を守る会の皆さんが中心となった植林等の取組,北嵯峨地域では地元農業従事の方々による耕作継続による田園景観の保全,竹林の小径周辺での竹林の維持管理等を積極的に行っていただくなど,地域の方々による景観保全の取組が志高く進められております。これらの地域の皆様の御尽力があってこそ,嵯峨嵐山地域のすばらしい景観は大切に守られてきたものであります。 最近では,地域において,竹の子の缶詰の製品化や竹チップの肥料化などの新たな取組も広がっており,美しい竹林の維持整備にもつながるものと感謝し,大いに期待もいたしております。更なる景観の向上のためにも,本市といたしましても,渡月橋の木製による欄干の整備や,それに続く長辻通の無電柱化などを推進するとともに,嵐山ならではの鵜飼文化の継承のための取組との連携,さらに,国による嵐山地区の治水対策にも計画段階から参画し景観への配慮を求めてきているところであります。 今後とも,嵯峨嵐山の優美な山並みや田園,竹林が後世に継承できるよう,地域の皆様の御熱意,活力あふれるお取組と,より一層の協働に向け,私どもとしても英知を結集して取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 稲作農家の振興及びため池の管理,運用についてでございます。 本市農地の約4割を占める稲作は,市民の皆様の食,そして食文化を支え,まちの美しい景観を形成してまいりました。しかしながら,国による米の生産調整が廃止され産地間競争が激化する中,農家の米作りを支えていくことは極めて重要と認識しております。これまでから本市では,例えばですが,越畑地域の特色をいかした棚田米や酒造メーカーと連携した酒米など付加価値の高い米の生産と普及を後押ししてまいりました。とりわけ,稲作が盛んな京北地域におきましては,高性能な精米プラントの導入による品質向上と共に全国規模の商談会への出展など販路拡大に努めてまいりました。また,食育や地産地消の取組として,この秋に収穫した京北の米をこれまでの京北地域の小学校に限らず全市立小学校の給食で提供する準備を進めております。さらに,自動運転が可能な田植え機等の導入による農作業の効率化につきましても検討を始めております。 次に,稲作に不可欠なため池につきましては,土地改良区などと連携し,日々の点検や降雨時の見回りなど安全確保に努めてきました。井上よしひろ議員御指摘の防災重点ため池につきましては,万一決壊した場合を想定し,避難経路等を示したハザードマップを地域住民の皆様と共に作成し共有してまいります。さらに,現在,全てのため池の排水能力調査に着手しており,その結果を基に必要な改修を進めますとともに,不要となったため池を廃止するなど引き続き安全対策に万全を期してまいります。今後とも京都の食,そして食文化をはじめ,暮らしの文化を支えてきた稲作農家をしっかりと守り,美しい景観と共に次世代へ引き継げるよう努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみでございます。日本共産党市会議員団を代表して,市政一般について市長に質問いたします。 まず,初めに,7月18日に起きた京都アニメーション放火事件で,35人の尊い命が奪われました。御遺族の皆様に心から哀悼の意を表し,負傷された皆さん,関係の皆さんに心からお見舞い申し上げます。 さて,7月に開催された参議院選挙では,市民と野党の共闘の前進の力で,改憲勢力の3分の2を阻止,京都では倉林明子参議院議員の再選を勝ち取ることができました。御支援を頂いた皆様にこの場をお借りして心から感謝申し上げます。公約実現はもちろんのこと,安倍政権に代わる野党連合政権実現に全力で頑張ってまいります。 さて,いよいよ,来年2月の京都市長選挙が迫ってまいりました。そこで,まず,門川市政11年を振り返り,三つの角度から質問します。 まず,第一に,市長は,安倍政権による地方創生に続き,自治体戦略2040構想をそのまま京都市に持ち込み,民間にできることは民間にの路線を進めてきました。自治体の役割である住民福祉の増進を根本的に覆すような事態が進行しつつあります。この11年間で職員数を3,300人以上削減し,自治体業務の民間委託,市営保育所の廃止,区役所の税業務・衛生業務・民泊対応業務の集約などが行われ,市民の利便性が後退してきました。さらに,戸籍や住民票などの証明書類を郵送で発行する業務を集約委託化した証明郵送サービスセンターにおいて事務処理の大幅な遅延が生じました。しかも,市民が通報して初めて遅延の事実が分かったということは,行政として致命的な欠陥であります。区役所職員は,この3年間だけで393人削減されました。結果,昨年の台風や豪雨による災害時に設置された学区の避難所に職員は配置できず,り災証明書の発行が遅れるなど,災害対応のぜい弱さが露呈しました。 1992年から,すさまじい勢いで進められてきた京都市の学校統廃合は,門川市長が教育長の時代から加速し,京都市のまちや市民の暮らしを壊してきました。とりわけ,市長の2期目の2012年には京都市資産有効活用基本方針で,経営資源として,京都市有地の民間への貸与や売却を積極的に推進してきました。当初,学校統廃合による跡地は,医療や福祉など地域に密着した施設づくりや地域行事の拠点,防災上の避難所などとして活用してきましたが,市民の公的な財産である学校跡地を商業資本の利潤獲得の手段として活用するという大転換をしてしまいました。結局,小中学校は56校も減らされ,学校跡地への民間ホテル誘致などにより,地域住民の避難所や自治活動の場も奪われてきています。 そこで市長に伺います。国の方針である公共サービスの産業化,つまり学校等の跡地の活用や自治体業務を民間大企業のもうけの手段として活用することなどにより市民の大切な財産を減らしているという認識がおありでしょうか。区役所職員の削減により,地域の自治力を低下させ,災害時の対応に支障を来す事態さえも起こっていること,民間委託による証明郵送サービスセンターでの事務処理の大幅な遅延と,市民が通報しなければ行政が把握することもできない状況は,明らかに公的責任の後退です。いかに受け止めていますか,お答えください。 第二に,京都市は京プラン(京都市基本計画)実施計画に基づく暮らしの予算の大幅削減を進めてきた下で,貧困と格差が広がり,あらゆる世代に冷たい市政となっています。子供の医療費助成制度は9月より,上限負担額は1,500円に引き下げられましたが,それでも京都府内では最低で,政令市でも,自己負担が高い市となっています。保育所の入所については,待機児童は国基準ではゼロと言っていますが,希望しながら入れない子供は毎年500人以上で推移しています。それにもかかわらず,市営保育所を次々と民間移管し,25園が今は13園となり,計画中の園が移管すると11園になってしまいます。少子化対策は進まず,京都市がまとめた2018年市民意識調査の結果でも,仕事と生活などの質を図るワーク・ライフ・バランスが取れていると答えた人の割合が,僅か21.8パーセントで10年前から半減していることが報告されましたが,市民の暮らしは安心,幸せの方向には進んでいません。国民健康保険料は高止まりの状況が続き,介護保険料は3年ごとに値上げとなり,現在は基準額の方の保険料が1箇月6,600円で当初の2倍以上になっています。年金もマクロ経済スライド制によりどんどんと削られ,高齢の暮らしは年々厳しくなっています。 そして暮らしや福祉の後退が進む一方で,大型事業の推進の姿勢を変えようとしていないことも問題です。京プラン実施計画でさえ,毎年の投資的経費は700億円程度に抑えるとしていたにもかかわらず,この間800億円を超えて推移しています。今後,北陸新幹線延伸,リニア新幹線,堀川地下バイパストンネルなど巨額の大型公共事業の推進を図ろうとしています。 そこで市長に伺います。大型事業を推進する一方で,暮らしの予算削減により貧困に拍車を掛け,あらゆる世代に負担を増大させる市政運営はきっぱりやめるよう求めます。お答えください。 第三に,京都市の経済はどうでしょうか。市長は,5月市会本会議で,本市の景況については高い水準にある,雇用情勢や低水準の倒産件数のほか観光消費が堅調であるという認識を示されていますが,観光消費額1.3兆円は観光のアンケートによる推計により出された数字で,京都市に好影響を与えているとは言えず,市民の暮らしに還元されているとも言えません。門川市政3期の中で見ると,中小零細企業を中心とした事業所の減少率は12.7パーセントで政令市ワースト2位,非正規雇用率は42パーセントで政令市1位で地域経済も雇用も改善していません。結局,もうけは海外や東京などの一部に集中し,地元中小零細企業に回っていないということです。 京都市内の宿泊施設は今年3月時点で4万6,000室を超えています。2020年までに4万室という目標を既に超過しています。ところが市長は,更にホテル誘致が必要との立場を撤回していません。また,アベノミクスの下で,東京や海外資本の大企業呼込み型開発を進めるために,京都駅周辺を中心に高さ規制や容積率の緩和や都市再生緊急整備地域の拡大を進めており,今後一層この方向を促進しようとしています。これは,多くの市民の願いと長年の運動の結果作られた新景観政策によるまちづくりを否定するものにほかなりません。外から企業や観光客を呼び込めば京都が活性化するという方針の下,住みにくい京都にしているのです。 そこで市長に伺います。高い水準の雇用情勢の中身は,正規も増えつつありますが,非正規雇用が増えているのが実態です。低水準の倒産と言いますが,倒産しなくても後継ぎ問題や不況の影響などで,やむを得ず廃業・休業している事業所が多いのが現状です。この実態をまずは受け止め,訪日観光客誘致一辺倒の方針をやめて改善に向け,固定費補助など地元企業,中小業者を応援する対策を具体的に進めるべきではないでしょうか,いかがですか。 ここからは,個別の課題について質問します。まず,大型事業の典型である北陸新幹線の延伸について質問します。敦賀からの延伸の推進については,並行在来線の問題,自然環境への影響の問題,自治体負担の問題など課題は山積しています。5月31日に鉄道・運輸機構の環境影響評価配慮書案で,概略ルート案が示されました。 (パネルを示す)パネルを御覧ください。提示のルート想定は幅4キロから12キロのルートであり,結局どこを走るのかが分かりません。延伸部分の約8割がトンネル区間になり,大深度地下法に基づいて,地下40メートル以深の地中を通るということになっています。芦生の森を進路からは外すということで,ルートは西寄りになったということですが,配慮すべき伏見の酒蔵や井戸,重要文化施設などをこの12キロ幅に落とし込んでいくと,走ることは不可能ではないかという状況にあります。例えば,北区雲ケ畑地域は賀茂川の源流地域で,市内の神社などにも流れる重要な水源地です。この雲ケ畑地域を始め,市内数箇所でボーリング調査が実施されましたが,市内地下は大きな水がめと言われており,水脈に当たらず掘削できるとは到底思えません。何よりも147万市民が住んでいます。 金沢・敦賀間の建設工事においても,福井県内5市町村のトンネル4本で,井戸や河川の水位低下が起こりました。掘削工事で地下水の流れが変わったためとみられており,トンネルへの湧水をポンプでくみ上げて流したり,代替の井戸を掘ったりして対応したとのことで,既に十分影響が出ています。京都市内においては,更なる困難があると考えられます。ルートだけでなく,建設費用や自治体負担について何も示されない中で,建設在りきで市長が推進するのは余りにも無責任です。 災害時の代替ルートとしての役割も推進理由として挙げておられますが,そもそも災害時に必要なのは貨物輸送です。新幹線は貨物輸送はできず,むしろ在来線が新幹線開業によりJRから経営分離され,経営自体が困難となり,災害時緊急輸送に問題が起こることが懸念されています。 既に実施した福井県では推進してきた議員などからも過重な地元負担について問題視する声が上がっています。奈良県知事は,地元負担額を試算し,メリットがないと反対の声を上げておられます。京都市環境審査会では,4キロから12キロの幅のどこかに通すというような報告書に対し,委員から,判断できないと意見が相次ぎました。市長も,7月1日に地下水の水質及び水量への影響を可能な限り回避・低減するため,十分な調査及び配慮を行うこととの意見書を提出していますが,はっきりと影響回避ができない場合は,京都市内地域については延伸しないこととすべきではありませんか。京都市内の自然環境や市民生活への影響,自治体の費用負担がどれだけ掛るか分からない状況下で,どうして推進することができるでしょうか。立場を改めるべきです。いかがでしょうか。 さらに,高速道路計画では,1,200億円を掛けようとした堀川線は断念しましたが,堀川地下バイパスとして衣替えをして進めようとしており,市民の税金が投入されようとしています。このようなばく大な大型開発優先の市政は見直すべきです。いかがでしょうか。ここで,一旦答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 玉本なるみ議員の御質問にお答えいたします。 公共サービスの在り方についてでございます。本市では,これまでから,深い議論を基に,民間にできることは民間にを基本方針に,市長就任以来,3,300人以上の職員削減により年間270億円の人件費を削減するなど行財政改革を断行し,そうして確保した財源を年々増加する社会福祉関連経費に充当するなど,全国トップレベルの福祉,医療,教育,子育て支援等を維持・充実してまいりました。また,地域防災活動の拠点となる各区役所・支所の地域力推進室の体制強化や,子供に関する相談にワンストップで対応できる子どもはぐくみ室の設置など市民の命と暮らしを守る執行体制の充実・強化に全力で取り組んできたところであります。 学校跡地の活用につきましても,地域住民も参加いただき徹底した議論を行い,文化や地域自治の継承・発展,地域での安定した雇用の創出,ひいては地域の活性化や税収増になるよう民間の創意あふれる発想や力を活用し,丁寧に推進してまいりました。民間大企業のもうけの手段として活用することにより,市民の大切な財産を減らしているとの御指摘は,全く当を得ないものであります。今後とも,地域の皆様と共に民間企業の皆様の知恵とノウハウをいかし,更なる行財政改革の取組を一層進めるとともに,本市が所有する資産の魅力を最大限にいかし,市民の皆様のための公共サービスの維持・向上に努めてまいります。 次に,市政運営についてでございます。私は,この間,市民の皆様の命と暮らしを守ることを最優先に考え,市長就任からの11年間で,本市の社会福祉関連経費を817億円,実に45.6パーセント増加させております。これにより,例えば,子育て支援について,6年連続で年度当初の待機児童ゼロを達成する,人口100万人以上の都市では唯一であります。さらに,内容的にも保育士の配置は,例えば90人定員の場合,国基準の1.3倍,平均年収は全国平均の1.4倍を実現するなど,全国トップレベルの福祉,医療,教育,子育て支援を維持・拡充しております。また,豪雨や台風等に備え,国費も確保しつつ,この5年間で2,051億円もの事業費を投じ,河川の改修や雨水幹線整備等を進めた結果,昨年連続して見舞われた多くの自然災害においても,尊い命を守ることができました。 あわせて,未来の京都の発展につながる先行投資についても,しっかりと進めなければなりません。御指摘の北陸新幹線は,京都に幅広い地域からの活力をもたらすものでありますが,同時に,負担の在り方や自然環境等との関係はしっかりと国にも意見を言ってまいります。また,堀川通の機能強化は,堀川通がJR東海道本線交差部周辺において片側3車線が2車線になっている,このボトルネックを解消するものでございます。いずれも重要な事業であると考えております。 今後とも,京都の今と未来のために必要な投資をしっかりと行うとともに,市民の皆様が安心,豊かさを実感できる未来に責任を持ったまちづくりを着実に進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 地元企業,中小企業支援についてでございます。本市では,これまでから,経営,金融支援による下支えのみならず,産学公連携等の京都の強みをいかした新産業創出など地域企業,中小企業の成長支援に取り組んでまいりました。近年,それらに加えまして,世界で活躍する企業などの拠点が京都に進出し,文化と経済の融合による様々なイノベーションが生み出されております。こうしたことを背景に,京都経済は緩やかな回復基調にあるとされており,有効求人倍率も1.6倍を超える過去最高水準にあります。中でも正規雇用の伸びが非正規雇用の伸びを大きく上回っており,高い水準の雇用情勢は,むしろ正規雇用の増加によるものと考えております。一方で,海外経済情勢の先行きに不透明感が出てきております。また,特に中小企業,地域企業の皆さんにとっては,担い手不足や事業承継等の大きな課題があると認識しておりいます。このため,これまでの取組に加えまして,地域企業,中小企業と若年求職とのマッチングや事業承継問題に対応した相談体制の拡充,さらには地域企業応援プロジェクトなどきめ細かく取り組んでおります。したがいまして,訪日観光客誘致一辺倒の方針との御指摘は当たりませんし,そもそも本市では,訪日観光客誘致一辺倒の方針は立てておりませんし検討したこともございませんので,そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。今後とも,地域企業条例に基づきまして,地域企業,中小企業支援に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 区役所職員の削減と民間委託についてでございます。区役所の組織につきましては,業務の集約化や民間委託化による効率的な組織改革を推進しております。そのうえで,全区役所・支所に防災担当の課長,係長を新たに設置するとともに,区ごとの個性をいかしたまちづくりを進めるため,全区役所・支所に企画担当の課長,係長の配置を順次進めております。さらに,昨年度続発した災害対応を緊急に総括し,区役所外からの応援職員派遣の仕組みを整えたところでございます。加えて,この4月には,困りを抱えた御家庭への寄り添い支援の充実を図るため,全区役所・支所の子どもはぐくみ室及び児童相談所に新たに29名を増員するなど必要な人員はしっかりと増員しております。また,京都市証明郵送サービスセンターにおきまして,受付日ごとの進捗管理が不十分であったため,一時期証明書の御返送が遅くなるケースがあり,御迷惑をお掛けいたしました。現在は,受付日ごとの処理状況を明らかにするなど進捗管理を強化し,速やかな処理を行っております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 北陸新幹線についてでございます。北陸新幹線は,近畿圏と北陸圏を結ぶ,新たな国土軸を形成し,東京一極集中の是正,国土の均衡ある発展に寄与するとともに,災害時等において東海道新幹線の代替機能も果たす,極めて重要な国家的プロジェクトでございます。北陸新幹線の延伸につきましては,現在,鉄道・運輸機構によりまして,環境影響評価の手続が進められているところですが,今後環境影響評価法に基づく方法書や準備書の各段階において,本市の環境影響評価審査会から御意見も頂いたうえで,御懸念の自然環境や生活環境,文化財,都市機能,建設発生土砂の処理などへの影響を徹底して回避・低減していただくよう,本市として,しっかりと必要な意見を提出してまいります。また,整備事業費や費用負担につきましては,こうした環境影響評価に基づく手続を経た後,これを踏まえて行われる設計の段階で示されるものと考えておりますが,引き続き京都府や関西広域連合と連携し,国に対し地元負担軽減のための財政措置等の十分な支援策を講じていただくよう強く要望してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山田建設局長。 〔山田建設局長登壇〕 ◎建設局長(山田哲士) 堀川通の機能強化についてでございます。国が管理する国道1号堀川通は,市民生活,社会経済活動を支える南北方向の重要な幹線道路であることはもとより,災害時における緊急輸送道路の骨格的役割を担う大動脈でありますが,JR東海道本線交差部周辺におきましては,車線数が片側3車線から2車線に減少することから慢性的に渋滞が発生しております。そのような中,国,府,市及び有識で構成し,京都市の発展にとって真に必要な道路ネットワークの在り方の検討を進めました将来道路ネットワーク研究会におきましても,平成30年にこのボトルネック箇所の解消に向けた堀川通の整備が喫緊の課題であるとまとめられたところでございます。この課題解決に向けまして,今後とも京都府と連携し,堀川通の機能強化の早期実現につきまして,国に対して強く要望してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇〕 ◆(玉本なるみ議員) 次に,暮らしや福祉の対策についてお聞きします。 まず,国民健康保険について質問します。毎年,全日本民主医療機関連合会が636事業所に対して行っている経済的事由による手遅れ事例調査について御紹介したいと思います。2018年においては,全国で77の事例の報告があり,そのうち京都市内の事例も1例ありました。77例中3割の方が無保険,資格証明書でした。一方で,正規の保険証や短期保険証を持っていても,窓口負担が理由で受診できなかった方もありました。お金の切れ目が命の切れ目となれば,国民皆保険制度を揺るがす事態ともなります。 京都市内の方は,66歳の男性で,大阪で働いていた会社をリストラされ京都に来られました。廃品回収の仕事をされていましたが,10年以上無保険状態でした。昨年2月に体調不良があり,病院に受診するために,お住まいの区役所に国保加入の相談に行かれました。そこで2年遡っての保険料を納めるよう説明を受け,高くて払えないと加入を諦めたとのことです。生活保護の申請の勧めもあったそうですが,その場では申請に至らず,我慢され続け,たまらなくなって,5月に受診されたときには閉そく性黄疸で全身黄色になり,ふらふらな状況だったそうです。入院はしたものの,がんが転移しており,手術などの治療はできる状態ではなく,1箇月後亡くなられました。この方の場合,廃品回収の仕事で行った先の診療所の職員から,無料低額診療のある医療機関を紹介されていたので受診ができましたが,こういったケースは氷山の一角でないかと思われます。残念なのは,2月に既に症状があり,相談に区役所に来られたのに,すぐに受診につながらなかったことです。このような場合は保険証を発行することになっているはずです。実は10年前にも同様の事例があり,我が党議員の質問に対して,保険料の支払を優先させ,保険証の交付を行わないということは一切ないという答弁でした。なぜ,交付されなかったのでしょうか。10年後に同じようなケースが起こっていることを重く受け止め,窓口で診察の緊急性を把握する対応になっているかを確認する必要があります。しかも医療の専門家でない職員の判断は難しいわけですから,原則,保険証は交付すべきなんです。命を助けることを優先すべきです。そして,国民健康保険料が高い状況は市長も認めているものです。高齢や非正規労働が8割近い状況で低所得が多いにもかかわらず,保険料は中小企業が加入する協会けんぽより高くなっています。こうした構造的問題を解決するためには国庫負担金を増やすことが急務です。そして全国知事会が公費1兆円の投入を求めているほか,全国市長会,全国町村会も協会けんぽ並みの保険料に引き下げるため,公費増額を国に負担を求めています。1兆円投入で,均等割・平等割をなくせば,全国平均で1世帯16万円が軽減され,協会けんぽ並みになります。市長会の理事として市長も求める立場でおられるはずです。御見解をお聞かせください。 幾つかの自治体では,子育て支援として子供の均等割減免を実施する動きが広がっています。石川県加賀市では,18歳未満の均等割を2分の1に減免する対応をされています。京都市でも子育て応援の立場からも対策を採るべきです。いかがでしょうか。 次に,京都市の介護保険総合事業について質問します。2017年4月から開始され,2年5箇月となる現在の状況を踏まえ,介護現場の混乱と介護サービスの後退が起こっている問題について質問します。介護予防給付で実施してきた介護ヘルパー事業のうち,生活援助は約15パーセントの報酬カットとなったことから,事業所としては運営が厳しくなっています。実際,生活援助型はサービス提供できないというヘルパー事業所もあります。要支援の方の生活援助と介護度1以上の方の生活援助に大きな違いがあるわけでなく,家事をしながら,利用の健康チェックや変化などの把握も同じです。総合事業の報酬額を介護給付と同じ額に戻せば,ヘルパー事業やケアプランを立てる側の混乱は解決され,利用の安心につながります。そもそも総合事業は市の独自事業であり決断すべきです。いかがでしょうか。 さらに,厚生労働省は,社会保障審議会介護部会で2021年度の介護保険法改定の議論を開始しています。介護負担1割を2割にすることや,介護度1・2を介護給付から外し総合事業に移すという提案は,現在,予防給付からの移行で大混乱している状況なのにとんでもありません。必要な介護が受けられなくなれば,保険制度として成り立たなくなります。介護度1・2の総合事業への移行はやめるように,国に強く求めるべきです。いかがでしょうか。 次に,来年4月からの介護認定・給付業務の民間移管方針について質問します。京都市は,9月13日に委託契約事業所を東京の人材派遣会社に決定しました。包括支援センターや居宅介護事業所のケアマネジャーさんから大混乱が起こるという意見が多数寄せられています。現在,高度な医療・介護が求められています。京都市立病院などでも終末期のみとりのケアとして,希望があれば短期間でも在宅に帰り,支援を受けるという事例が増えてきています。その場合,緊急に介護認定を行い,退院直後から在宅ケアを開始するために特別事情として,介護認定調査員の方と連携し,迅速な対応が行われています。民間に移管し,郵送で申請書類を受け取り,開封,コンピュータ入力をして受け付けるというような対応では間尺に合わないということであります。 また,認知症の方の認定調査では,タイミングを見計らい,包括支援センターの方と同行訪問し,機械的に74項目の基本調査をするのではなく,個別的・専門的に調査をしているとのことです。要介護認定業務は介護保険の根幹であり,根幹が揺らぎ,その影響でサービス低下が起き,困るのは市民です。重要な仕事を担っていただいてきた嘱託職員さんを雇止めすることは,雇用主としての責任放棄です。嘱託職員さんは正職員とし,これまでどおり,介護認定業務は民間委託方針を中止し,市が責任を持って直営で実施すべきです。 次に,補聴器補助制度の設立について質問します。70歳を超えると約半数の方が難聴になると言われています。加齢による難聴患者は約1,000万人と推測されています。何が問題かというと,難聴によってコミュニケーションがうまくいかなると,家族や社会から孤立して,ひきこもりがちになり,生活の質や生きる意欲まで低下してしまうことにつながるということです。介護包括支援センターの方にお聞きすると,デイサービスでの会話が煩わしくなり,利用をやめる方がおられるそうです。そうなると,QOL,クオリティ・オブ・ライフが低下します。認知症の約8割は難聴の放置が背景にあるとも言われており,聴覚による刺激が減ることで脳の萎縮につながる可能性も指摘されています。 一方で,加齢性難聴で補聴器を使用している人は1割から2割程度とのことです。WHOは,平均41デシベル以上しか聴き取れない方に補聴器の使用を推奨しています。個人差もあり,検査や診察など丁寧な対応が求められますが,不具合いがあっても放置する方も多くおられます。しかも,補聴器は2万円ぐらいから30万円,50万円を超えるものまで様々でありますが,いずれにしても高額で購入を諦めている方もおられます。そこで,東京都内の自治体では,購入補助制度を始めています。先日,調査に行きました江東区では,65歳以上の方で,所得制限も扶養親族がない方では,257万2,000円までを対象としていました。しかも,購入の一部補助として取り組んでいる自治体が多くある中で,江東区では耳掛けタイプと箱型タイプのどちらかの現物給付をされており,医師会や補聴器メーカーと契約し,検診と調整を丁寧に実施されていることが重要だと実感しました。 市独自に必要な高齢への補助制度を早急に作り支援すべきと考えますが,いかがですか。京都府にも制度を創設するよう求めてはいかがでしょうか。 さらに,生活保護世帯の方の場合は,眼鏡と同様に加齢性難聴の方への補聴器を医療扶助として適応するよう国に求めるべきです。いかがですか。 次に,10月から開始される幼児教育・保育の無償化について質問します。さて,無償化は必要な取組ですが,問題は山積しています。一つは,財源です。低所得ほど負担が重い消費税の増税頼みであることは問題です。消費税2パーセントのアップで年収平均254万円の世帯では年間3万8,824円の負担が増大すると推計されており,保育料は無償化されたとしても,それ以上に日常的な消費税増税負担が増えれば,結局子育て世帯の応援になりません。 さらに大きな問題は,保育の一環である給食を保育から切り離し副食費を実費負担としたことです。当初内閣府は,副食費の目安を4,500円と説明してきましたが,8月22日に示した公定価格は,副食費に物価調整額分も加えて約5,160円の減額でした。これには関係団体からも反対の意見が起こり,土壇場の9月18日に公定価格の減額は結局4,500円となりました。加えて,物価調整額約680円の減額の埋合せ分として作った栄養管理加算の制度は取りやめとなりました。矛盾と混迷を深めています。この間,食品の値上げが相次いでいます。幾つかの保育園では,副食費の月平均は試算すると5,300円程度になったとのことです。しかし,給食費は4,500円で徴収せざるを得ないと判断している園もあります。そうすると,保育園の持出しになってしまいます。一方で,給食費は保育園ごとに決めてもいいことになっていますので,4,500円以上の副食費負担となる園もあります。 京都市においては第三子以降の減免対象の拡大はしましたが,杉並区や明石市などでは副食費の無償化を実施し,立川市では,市が3,500円を補助し,実費負担を1,000円に軽減するなどの補助を実施する自治体があります。京都市として,当面,全ての幼児が無償となるよう,独自に給食費の無償化に取り組むべきです。いかがですか。 今回の無償化の制度は,自治体間格差,保育園間格差,保護間格差などたくさんの格差が生じます。保護や保育園が築き上げてきた信頼関係を壊すようなことはしないでいただきたいと思います。しかも,国の言うとおりに決めてしまっているのは問題です。保育現場は子供の命を守るために大変な努力をされています。徴収業務を各園にさせることによる過重負担になることについても,相談もせずに決めるのは問題です。京都市内の保育園関係の意見も聴き,子育て応援都市と言うならば,自治体の独自性を発揮すべきです。 最後に,消費税増税問題に関わって質問します。明日から引上げの予定となっていますが,前回の消費税8パーセントへの増税を契機に実質家計消費は年25万円も落ち込み,労働の実質賃金も年10万円も低下してしまいました。これまで3回の消費税増税を振り返ってみると,1989年の3パーセント増税はバブル経済のさなかであり,1997年の5パーセント増税も,2014年の8パーセント増税も,政府の景気判断は回復でした。それでも,消費税増税は深刻な消費不況を招きました。今回は,景気後退の局面で5兆円に近い大増税を強行しようとしているのです。これほど無謀な増税があるでしょうか。その実態は今議会に出された消費税10パーセント増税に反対を表明することを求める議会請願の状況からも明らかです。 京都府公衆浴場業生活衛生同業組合をはじめ,京都パン協同組合,京都府書店商業組合など多くの団体や個人から644通も寄せられている実態を重く受け止めるべきです。地域からは,増税されたらもうやっていけない,踏ん張れないという悲鳴の声を伺ってきました。こんな市民の声に耳を傾け,国に対して,消費税増税に反対の声を上げることが市長の役割です。しかし,市長は,自治体独自の対策どころか,横浜市,神戸市と並んで全国一高い地下鉄初乗り運賃を,横浜市や神戸市は消費税転嫁をせず据え置いたにもかかわらず,京都市は10円値上げし220円とし,文字どおり全国一高くなりました。ほかも含めて,市民に今年度後半分だけで,8億3,000万円の負担を市民に押し付けようとしています。市民の悲鳴を受け止めて,国にこのような政治を改めるよう求めるとともに,京都市の公共料金への上乗せ・転嫁を撤回することこそ市長の責務であります。いかがですか。お答えください。 以上で私の第一質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 介護保険の認定給付業務についてでございます。令和2年4月から予定しております民間委託化は,介護現場の担い手不足が深刻化する中で,ケアマネジャーや介護福祉士といった有資格の非常勤嘱託員の確保が今後極めて困難であるため,他都市の先行事例も参考に専門性の有無で業務を切り分け委託することで,効率的・効果的な執行体制を確立し,制度の維持を図っていくものでございます。委託業務は,本市の責任の下,実施するものであり,また,実施に当たっては,市民の皆様からの相談等にはこれまでどおり区役所・支所の保健福祉センターでお答えするとともに,緊急対応が必要な訪問調査等につきましては,本庁に実施体制を確保し,市民サービスの維持・向上につながるよう業務構築を進めてまいります。また,現在の非常勤嘱託員に対しましては,委託先への転籍や新たに創設する会計年度任用職員の職への任用など可能な限りの支援を行い,雇用主としての責任を果たしてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 消費税増税についてでございます。消費税率の引上げは,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国,地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保していくために行われるものであり,明日10月1日から実施されることとなっております。消費税は,最終消費に転嫁されることが予定されている間接税であり,市バス・地下鉄の運賃や使用料,手数料などの公共料金につきましても,税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として対処することは国が明確に示しているとおりであることから,本市におきましても,法の趣旨や国の通知にのっとり必要な議案を提案し御議決いただいたところであります。消費税の税率引上げに伴います貴重な財源は,介護,年金,医療及び子育て等の社会保障の維持・充実等,市民の命と暮らしを守る取組にしっかりと充ててまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 三宅保健福祉局長。 〔三宅保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(三宅英知) 初めに,国民健康保険についてでございます。無保険状態の方が国民健康保険の加入相談に来られた場合,加入の必要性はもとより保険料の額や減免の説明を行うなど一人一人に丁寧に寄り添い加入の手続を行ったうえで,被保険証をその場で交付しております。議員御指摘の事例については,御相談の際に生活困窮の状況をお聴きして生活保護の御案内も行っており,窓口でお断りして被保険証の交付を行わなかったという事実は一切ございません。 次に,国による財政支援については,他の政令市とも連携し,本市としても繰り返し要望を行った結果,国保の都道府県単位化の実施に当たり3,400億円の公費拡充が行われ,本市におきましても保険料の引下げにつながったものと認識しております。なお,被保険均等割と世帯別平等割は,既に国において軽減措置が講じられており,本市では約8割の方が対象となっております。また,子供の均等割保険料の軽減措置については,子育て世帯の負担軽減を図るため,他の政令市とも連携し国の制度として創設されるよう求めております。 次に,介護予防・日常生活支援総合事業についてでございます。本事業は,国の制度改正に伴い,かつては介護保険の予防給付として,要支援の方に全国一律の基準で提供されていたホームヘルプサービス等について,市町村が地域の実情に応じて多様なサービスを提供する仕組みとされたものであります。まず,本市の生活支援型ヘルプサービスの報酬は,国における要介護1以上の方への生活援助45分以上の報酬と同額で,介護給付と比べて遜色がなく,サービス内容に見合った報酬であります。したがって,これを見直す考えはございません。 次に,国における次期制度改正に向けた議論については,介護ニーズの増加に対応する一方で,保険料の上昇を抑制し,持続可能な制度とするため,様々な観点から検討されるものと考えております。本市としては,国での議論の動向を注視するとともに,より円滑かつ安定的な制度運営が可能となるよう必要に応じた提言や財政支援等の要望を行ってまいります。 次に,高齢の補聴器購入に係る補助制度についてでございます。補聴器は,一定基準の聴覚障害があり,障害者手帳の交付を受けた場合等には,障害者福祉施策により給付が受けられる仕組みとなっております。一方,加齢に伴う難聴は,誰にでも起こり得るものでありますが,症状が進行するとコミュニケーションが難しくなり社会から孤立することで認知症や鬱病につながるとの指摘もあり,現在,国において,補聴器を用いた場合の認知機能低下の予防に関する研究が進められております。独自の補助制度創設については,多くの対象が見込まれ多額の経費を要することから困難でありますが,国に対して早期に研究を進め,その有用性を確認したうえで,全国一律の補助制度の創設や生活保護への適用を検討するよう要望してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 幼児教育・保育の無償化についてでございます。副食材料費については,在宅で子育てをする場合でも必要なことなどから,これまで保育料の一部として徴収されていましたが,今回の無償化に伴い,月額4,500円を目安として,使用される材料費を各園ごとに徴収する仕組みに変更されました。これに伴い,従来の保育料より負担が増加する,いわゆる逆転現象を防ぐため,国制度の対象の年収360万円未満相当の世帯や,保育園等に同時入所の第三子以降の子供に加え,本市独自の制度の対象となる同時入所でない第三子以降の子供の副食材料費を免除するなど,低所得世帯や多子世帯などに配慮した取組を継続することとしております。こうした取組により,無償化を円滑に実施するとともに,これまで本市独自で積み上げてきた取組も確保されるものと考えております。なお,給食費の取扱いについては,国において各家庭が負担すべきとされたものであり,本市独自で無償化を検討するものではないと考えております。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 御答弁いただきましたが,答弁からは厳しい市民の暮らしの実態が見えてきませんでした。明日からの消費税増税は,商店の皆さんから,今回は増税前駆け込み消費もほとんどないというのがお声でした。消費税増税は,中小零細事業所から悲鳴の声が上げられ,市民の暮らしを漏れなく圧迫します。福祉制度が悪くなる中で,充実しているという実感はありません。このことを申し上げて,これからの議論に役立てていくことを決意いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 暫時休憩いたします。 〔午後2時55分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(山本恵一) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,ほり信子議員に発言を許します。ほり議員。 〔ほり信子議員登壇(拍手)〕 ◆(ほり信子議員) 右京区選出,ほり信子です。2期目に入り,教え子を再び戦場に送らない,子供に笑顔,若者に仕事,老後に安心をモットーに,引き続き地域の仕事人として頑張ることを表明し,日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。 学校は楽しい所です。学校はちょっとしんどい所です。学校は知らないことを知ったり,できないことができるようになったりする所です。学校は自分の生き方を見付ける所です。今,学校は,子供と教職員にとって,楽しい所と言えるでしょうか。あっ,そうか,そういうことか。間違ったけど,考えることができておもしろかった。分かると楽しい。子供たちが生き生きと学習に向かい発表してくれる。そして子供と共に考え,分かる喜びが味わえる授業がしたい。これが,教師の喜びでありやりがいです。それなのに,今の学校現場はどうでしょうか。学力向上対策委員会が各学校に設置され,子供たちは,次から次へと出される問題を解いていくことに追われています。長期休み明けに行われるジョイントプログラムなどの成績を上げるために教師も子供も追い込まれています。全国学力テストが始まって12年。学力テスト対策やスタンダードが,教師の自由な教育実践を奪っています。学年でそろえることが強調され,どのクラスも掲示物,板書等,合わせることが求められます。学校5日制になったのに,授業時間数は減らされず,かえって英語が入って授業時間数は増えています。子供も教師も,限られた時間の中でやらなければならないことが多すぎて,求められることが増えていると言っても過言ではありません。近年は,教職員の働き方改革が言われ,中学の部活動が改善されたとはいえ,土日に出勤して平日にやり残した仕事をし,来週の授業準備の時間に充てなければ仕事が終わりません。チーム学校という名の下で,様々な働き方の非正規の教職員が増えています。その一方で,産休・育休・病休の代替教員が見付からず,教務主任など今いる教職員の中でやり繰りしているのが現状であり,その負担は大きいものがあります。慢性的な講師不足は,全国的に続いています。ここ京都でも例外ではありません。昨年の10月1日時点で,3週間以上未補充の学校が13校もありました。この状況は,抜本的な改善が必要ということを物語っているのではないでしょうか。 京都市では,門川市長の前の市長により,京都市独自の予算で,2002年小学2年生の35人学級を,さらに,2007年中学3年生の30人学級を実現してきました。そのとき,多くの教職員や保護がどんなに喜んだことか。その後,門川市長になって11年間続いていますが,新たな定数の改善はなされていません。今年2月に開かれた教育総合会議でも教職員の働き方改革が議論され,市長自らも定数改善の必要性を認めていました。今年度から,国による小学校2年生の35人学級の財政措置が行われ,京都市独自予算を打たなくても財源の確保ができました。これまで,小学2年生に充てていた京都市独自財源を,小学校3年生の35人学級に充てることができます。今年度は,2019年2月13日時点の集計値で36校が3年生進級時に学級が減少することになっていました。つまり,教師36人分の財源で実現するということではありませんか。 今,京都市教育委員会が力を入れている学力向上。本当に学力向上と言うなら,一クラスの人数を減らし,一人の教師が子供と関わる時間を増やすことの方が,はるかに学力向上につながるのではないでしょうか。教育長を経験した門川市長,京都市の独自予算で小学校3年生の35人学級の実現を求めます。いかがですか。 教職員の働き方改革として,求めることが2点あります。1点目は,教職員の話合いの下,スクラップ・アンド・ビルドを鉄則に,不要不急の業務を削減することです。学校任せにせず,教育委員会として業務を削減することを求めます。2点目は,国に対して義務標準法,高校標準法の改正を求めることです。京都市が今年6月に提出した国への予算要望に,これまで教育委員会は,小学校2年生の35人学級のための財政確保を要望していましたが,初めて2年生の35人学級の早期法制化が入りました。また,教員の持ち授業数の軽減とそれに伴う授業準備の充実のための専科教員の配置拡充が入りました。今回の要望は評価に値し,歓迎します。本気でそのことを進めるのであれば,市長自ら全国市長会などと協力して,文科省に対して定数改善を積極的に働き掛けることを求めます。いかがですか。 さらに,講師不足の問題です。この問題に拍車を掛けているのが,2009年から始まった免許更新制です。10年ごとに更新講習を受けなければ免許は失効します。35歳,45歳,55歳で取得した教員が,何らかの事情で退職をし,再び講師になろうとしても,免許更新をしていなければ講師資格はありません。ますます,講師のなり手が減り,教育に穴が開くことになるのではありませんか。10年経過した中で,この問題点をしっかりと検証をし,免許更新制をやめることを,京都市として国に求めるべきです。いかがですか。 また,本来なら,正規で採用しなければならない定数内の教職員を,最初から非正規で採用しているケースが多くあり問題です。非正規教職員の正規化と待遇改善を進めることなどが講師不足解消にとって必要ですが,今後の講師不足改善のための対策をどうするかお答えください。 次に,今,学校は,子供たちにとって楽しい所になっているでしょうか。いじめ問題は,認知されているだけでも41万件,不登校は14万件,不登校ぎみを加えれば33万人に上ります。虐待は,児童相談所に通告されているだけで14万件あります。全てが右肩上がりで増えています。 (パネルを示す)御覧のように,不登校は京都市でも,2017年度,小学校で230人,中学校で889人です。昨年度よりも増えています。不登校とは何か。京都市は,基本的生活習慣の未定着,学力の不振,交友関係の不調,その他による理由で,継続若しくは断続して年間30日以上欠席している状態と定義しています。しかし,そうでしょうか。神戸大の広木克行先生は,子供が命懸けで家庭に助けを求めている状態,それを不登校と位置付けるべきだと言います。学校が,窮屈で息苦しく居心地のよい空間,居場所になっていない。これまで私が聴き取りしてきた子供たちは,勉強がつまらない,みんなに合わせることがつらい,学校に行く意味が分からないといった,学校に自分の居場所を見いだせなくて,学校へ行きたくても行けないといった悲痛な声でした。 不登校やひきこもりの問題に取り組んでいる,教育と人間関係の相談室カンナの木下秀美さんは,不登校になるきっかけは,学校が合わない,担任が合わない,授業が分からない,教師・部活動顧問の指導が不適切,不条理で納得がいかない,神経発達障害など特性への理解・配慮がないなど様々だと言います。 ひきこもりについて,昨年,子ども若者はぐくみ局が,子供,若者のひきこもり支援等に係る関係団体へのヒアリングを実施しました。ひきこもり若者への支援に向けた検討の基礎資料にすることを目的に,市内13団体への調査が実施されました。ひきこもりに至った原因は,複合的な理由も含め,小学校時代からの不登校やいじめ,親の離婚,受験や就職のつまずき,大学生活になじめないなど様々な原因が挙げられたとのことでした。支援団体の方は,学校との連携について,情報交換の場を設け協力関係を構築する仕組みが必要であり,それによって先生の負担を軽減することも可能ではないかと考えておられます。また,支援に対する考え方でも,支援対象が自分と向き合って自分の意思で歩みを進めていくことが基本であり,その人に合った寄り添いや支援が必要と自由記述に書かれています。全く,そのとおりです。 私が出会ったお母さんは言います。子供の思いに寄り添いながら,学校と連絡を取り対応したいと思っても,うまくいかない。カウンセリングを申し込んでも日程が決まらない。中間,期末テストを受けに行ったのに,体制が採れないと別室でなく教室に入れられた。テストの成績評価も当日受けなければ,参考評価でしかない。夏休みの課題でも,きちんと対応してもらえなかったなどなど。 学校の役割は,一人残らず子供に学ぶ権利を保障することです。不登校又は不登校傾向にある児童・生徒のうち,登校した場合,主に保健室など別室で過ごしている児童・生徒が小中学校で359人いるように,どの学校でも,いつでも,行きたいときに登校し,安心して過ごせる居場所を用意し,やりたいこと,学びたいことを支援していく教職員の配置を求めます。そして,家庭への学校からの連絡は担任のみでなく,学校体制として,各学校のホームページなどを活用して,不登校児童・生徒への連絡体制を採るなどの取組を求めます。情報は,登校している児童・生徒と同じように得られる状況を学校は準備すべきです。いかがですか。 また,義務教育を卒業した後の対応について質問します。今,ひきこもりのことが社会問題になっています。京都府では,不登校からひきこもりにつながるケースが多いことから,2017年度脱ひきこもり支援センター内に,中・高校の不登校生を支援する早期支援特別班を設置し,府教委と連携をして取組を始めました。京都市でも義務教育卒業後の対応,教育機関・就労機関へとつながるように,行政として,何らかの対応が求められます。 ひきこもりは,本人にとっても,家族にとってもつらいことです。ひきこもりは,当事者が自分を見詰め直し,新しい自分へ一歩前進するための必要な時間と受け止め,そのために,行政が,その家族にしっかり情報を伝えるとともに,社会へ一歩踏み出せる居場所を提供する必要があります。京都市は,今回の調査を通して,今後,当事者やその家族に対して,どのような対策を講じていくのか,また,支援団体への支援策も含めてお考えをお聞かせください。 自衛隊への宛名シールによる若者の個人情報提供に関わって質問します。安倍首相は,今年になって自衛隊募集に自治体を協力させることを9条改憲の理由として持ち出しました。京都市では,全国でもまれな方法で,自衛隊へ宛名シールによる提供を実施しました。議会でも,また,市民からも撤回を求める動きがあったにもかかわらず,市議会議員選挙投票日の翌日に宛名シールのコピーも添えて提供をしました。京都市は,その根拠として,自衛隊法97条1項と自衛隊法施行令120条を挙げています。しかし,どう読んでも,自衛隊募集のために住民の名簿を提供する義務は,法令のどこにも書かれていません。むしろ,自治体には,住民の個人情報保護,命と暮らしを守る観点から,そうした求めに応じる必要はありません。 日本国憲法には,第8章に地方自治があります。地方自治が,なぜ憲法で規定されたのか。日本国憲法が公布されて10箇月後,1947年8月に当時の文部省によって発行された全国中学校1年生の教科書「あたらしい憲法のはなし」にその糸口があります。紹介します。「戦争中は,なんでも国のためといって,国民ひとりひとりのことが,かるく考えられていました。しかし,国は国民のあつまりで,国民のひとりひとりがよくならなければ国はよくなりません。それと同じように,日本の国は,たくさんの地方に分かれていますが,その地方が,それぞれさかえてゆかなければ国はさかえてゆきません。そのためには,地方が,それぞれじぶんでじぶんのことを治めてゆくのが,いちばんよいのです。なぜならば,地方には,その地方のいろいろな事情があり,その地方に住んでいる人が,いちばんよくこれを知っているからです。じぶんでじぶんのことを自由にやっていくことを自治といいます。それで国の地方ごとに,自治でやらせてゆくことを地方自治というのです。こんどの憲法では,この地方自治ということをおもくみて,これをはっきりきめています。」とあります。つまり,この自衛隊の募集業務へ協力をするかどうかは,自治体の判断に委ねられているということです。しかも,募集するための封筒には,自衛隊京都地方本部及び京都市からのお知らせとして,「この案内は,自衛隊から京都市への,法令に基づく依頼に応じて提供された資料により送付しています」とわざわざ書かれています。自衛隊自身が依頼であって義務ではないと言っているではありませんか。 2015年9月19日に強行採決された安全保障法制によって,自衛隊に海外で武力行使ができる新たな任務が加わりました。南スーダンに派遣されていた自衛隊の日報でも明らかになったように,また新たに,アメリカ合衆国によるホルムズ海峡有志連合への参加問題に関わって独自に自衛隊派遣を検討しているというように,自衛隊員が命の危険にさらされる状況になっているという客観的事実を受け止めれば,京都市として自衛隊員募集業務に積極的に加担すべきではない。自治体の本来の役割として,京都市の若者の命を守る立場で対応することが,地方自治の精神にのっとることになります。自治体が積極的に行わなければいけないのは,若者を殺させない,若者の命を危険にさらさせることに加担しないことではありませんか。自治体本来の在り方への認識を持ち,今後自衛隊への若者の個人情報を宛名シールにして提供することの撤回を求めます。いかがですか。 京都市美術館問題と改正文化財保護法に関わって質問します。2017年,文化財保護法が改正され,文化財の保全と活用方針が打ち出されました。美術品,文化財を経済的な価値を付けて,必要なら売却して,そのお金で文化財を保全するという構想です。これに対して,全国美術館会議が真っ向から反論をし,経済的価値で文化財を論じることはとんでもないことだ。美術館は全ての人々に開かれた非営利の社会教育機関であると批判しています。 京都市美術館は,1933年,関西の財界,美術界,市民の寄付で作り上げた美術館でした。京都市民が美術に触れられるようにと,市民も資金を出し合って作られた市民の財産でもある美術館だから,1935年,全国に先駆けて,市主催の総合公募展として京都市美術展覧会が開かれたのではないでしょうか。そして,名称も京都市立美術館ではなく,京都市美術館と名付けられたのではないでしょうか。86年間培ってきた市民のための美術館として取組が継続されるのでしょうか。 京都市美術館を毎年利用して,公募展を実施してきた団体は数多くあります。市民に開かれた安価な使用料が特徴だった京都市美術館がリニューアルされて,使用料の値上げに伴い市民から遠い存在になっていくのではないかと危惧されています。先日,文化環境委員会での他都市調査として,再整備された東京都現代美術館を視察しました。運営体制は,学芸員17人,そのうち3人が教育担当として学校教育と連携した取組を企画運営し,現代アート作家が出前授業に出掛けたり,美術図書室の中に子供美術書を集めたコーナーを設置したりして,美術に親しみ楽しんでもらえるように工夫されていました。また,この美術館は,地域に開かれた美術館を目指し,地域の取組に積極的に参加し,美術のすばらしさを広めていました。利用にも,来館にも,そしてアート作家にもプラスになる美術館だと視察をして感じました。 今回の美術館整備によって,これまで毎年展覧会をしてきた団体が利用できる使用料になっているのでしょうか。昨年3月の予算議会に条例提案がされ,約20パーセントの使用料の値上げ,組合せ次第では5割,ひどいところは2倍になるという提案がされ,公募団体の皆さんにしてみたら,出展料は低く抑えているのに,高い使用料でどうやってお金を工面していくのかと怒りの声が上りました。以前,京都会館の整備により,これまで利用していた団体が使用料の値上げで何十年と利用していた京都会館を使わなくなりました。公募団体にとって使用料の値上げは死活問題です。使用料の値下げを求めます。 また,作品の搬入,搬出に関わって,利用が使いやすいようになっているのでしょうか。200号から300号の作品を搬入できるエレベーターは使えません。入らない場合は階段で運べばよいでは,余りに新たに建設した美術館にふさわしくないのではありませんか。重たい彫刻などの展示する会場はあるのでしょうか。創りたい作品に制限が加わるような美術館でいいのでしょうか。せめて大型エレベーターは公募団体などにも使えるようにすべきです。いかがですか。これまで,何十年と利用してきた美術団体の方の意見をしっかりと聴き,取り入れることが大事です。今後,美術館が市民に安価で美術作品に触れられる開かれたものであり,美術家にとっても使いやすいものであることが重要です。今からでも利用の意見に耳を傾け,運営の在り方を検討していただきたい。あわせて美術館は直営を堅持し,6名しかいない学芸員を増員していただきたい。いかがですか。 今年3月,京都市文化財保護審議会が,京都市におけるこれからの文化財保護の在り方についてという答申を出し,未指定,未登録の文化財にまで射程を広げて,京都文化遺産と位置付けて独自に施策を行うように求めています。それを受けて,京都市は,今年と来年にかけて,文化財の全体の地域計画の作成に取り掛かるとのことでした。大久保利通旧邸跡茶室有待庵が所有から寄付され京都市として保存活用することになったように,市民が歴史を体感しながら過ごせるようにすることは大切です。 今年4月から右京区にある広沢の池が都市公園として開園しました。平安時代である8世紀から10世紀頃に造られたと言われる池です。この池には弁天島があります。昨年9月4日の台風で壱美白弁財天の社が倒壊し,その修復事業への寄進のお願いという看板が立てられていました。広沢の池弁天島保存会の方が,保存会の会員だけでは限度があり,会員以外の皆さんにも協力を求めることにしたとのことでした。地域で文化財を守っていこうという取組に,京都市として助成することはできないでしょうか。また,この地域には,七つ塚古墳,長刀坂古墳群,広沢2号古墳,広沢3号古墳などがあります。これらの古墳は古墳として認識されていない状況です。広沢の池から嵯峨天皇陵辺りまで散歩している人や観光客をよく見掛けます。文化財の全体の地域計画作成に当たり,市民が歴史や文化を感じながら歩けるよう案内板などの設置などを計画に取り入れていただければと考えます。また,台風被害に遭った未指定の文化財などにも助成を求めます。いかがですか。 最後に,児童の放課後の居場所づくりについて質問します。児童の放課後の暮らしは,社会教育の場として,児童館や学童保育事業などが担っています。昨年度,京都市放課後の過ごし方に関する調査が実施され,その集計結果が出ました。放課後の過ごし方や居場所についての自由記述欄を見てみると,保護の切実な声が聴こえてきます。学童クラブ事業についての項目では,学校と離れた場所で移動が心配,学校内にあると安心です,人数が多すぎる,すし詰め状態である,スペースが狭い,子供の人数に対して職員が少なすぎるといった回答が寄せられています。京都市は,児童館をこれ以上作らないと言っていますが,子供たちの利用が増えているのが現実です。また,現在,12の学区に学童クラブ機能がありません。今回の調査が今後の放課後児童施策の充実に向けた基礎資料と言うならば,調査の結果を踏まえて,全ての小学校区に1児童館ないしは学童保育所の設置を求めます。いかがですか。 そして,昨年署名を添えて陳情のあった南太秦学区に学童保育所を求めます。南太秦学区には,以前,学校の敷地内に学童保育がありました。太秦児童館が出来て,閉鎖されたと聞いています。学童クラブ機能のない学区である南太秦地域に学童保育所の設置を要望し,更に学童保育所を増やすためにも学童保育指導員の処遇改善も要望して質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) ほり信子議員の御質問にお答えいたします。 ひきこもり支援についてでございます。本市では,平成25年10月に設置した2箇所のひきこもり地域支援センターにおきまして,丁寧な相談事業を行うとともに,御本人や御家族に寄り添いながら,相談内容に応じて,各区役所・支所の保健福祉センターや関係団体等につなぐ,きめ細かな支援を行ってまいりました。こうした取組の結果,ひきこもり地域支援センターでは,約4割の方について,支援開始後半年以内に状況の改善が認められたほか,地域あんしん支援員が粘り強い支援を行った結果,ひきこもり状態から脱出したといった成功事例も出てきております。 こうした取組を更に充実するため,この間,本市独自に関係団体とのヒアリング等を行い課題の掘起こしを積極的に進めてまいりました。その結果,相談窓口の在り方や支援期間の長期化,支援のつなぎ先の確保といった課題が明らかとなっております。そのため,先ほど申し上げましたとおり,まず相談窓口を一元化することを決断いたしました。また,地域や支援団体との連携方策も含めまして,今後のひきこもり支援の在り方について深く議論いただくため,京都市社会福祉審議会に専門分科会を早期に設置いたします。引き続き,様々な課題,困りを抱えられた御家庭に寄り添い,子供から若者,高齢まで,全ての市民の皆様が将来に希望を持ち,誰一人取り残さない社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは2点お答えいたします。 京都市美術館についてでございます。美術館では,来年3月21日のリニューアルオープンに向け,新館東山キューブでの現代アート展や京都画壇の名品をはじめとするコレクションの常設展示,カフェやショップの新設など,これまで以上に美術との出会いを楽しんでいただけるよう鋭意準備を進めているところでございます。御質問の搬出入用エレベーターにつきましては,再整備前の1台から2台に増やしており,美術館全体として円滑に搬出入ができるよう,現在,運用方法を検討しているところでございます。美術館の運営に当たりましては,これまでから各美術団体にアンケート調査を実施するなど,利用の皆様の御意見をお伺いしており,今後とも,より利用しやすい美術館となるよう努めてまいります。次に,展覧会の企画の中核を担う学芸員につきましては,本市職員に加え,高いマネジメント能力や国内外の美術館との幅広い人脈などを有する民間の優秀なスタッフの参画を得て,既に11名へと倍増しているところであり,それにより,リニューアル後の魅力的なラインナップをそろえることができたものと考えております。引き続き,世界に誇る京都市京セラ美術館を目指し,全力で取り組んでまいります。 次に,文化財保護についてでございます。本年4月に施行された改正文化財保護法では,地域における文化財の保存・活用に関する総合的な計画である文化財保存活用地域計画を市町村において策定できることとされました。来年度中に策定予定である本市計画では,文化財の価値を市民の皆様に広く知っていただくことを重要な柱と位置付けてまいります。これまでから本市では,案内板の設置のほか,文化財と遺跡を巡る京都歴史散策マップの配布やスタンプラリーの実施に加え,本市独自の京都をつなぐ無形文化遺産や京都遺産制度による文化遺産の紹介等を行っており,これを更に充実してまいります。次に未指定文化財に対する助成については,市民の皆様が残したいと思う文化遺産を公募し選定する京都を彩る建物や庭園制度において,昨年度に修理助成制度を新設したところでございます。また,昨年の台風被害に当たっては,9月市会で補正予算を御承認いただき,これまで対象ではなかった文化財周辺の倒木処理についても本市独自に補助対象といたしました。引き続き,我が国の歴史と文化を知るうえで重要な文化財を将来に向けしっかりと保存したうえで,広く活用してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 別府文化市民局長。 〔別府文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(別府正広) 自衛官募集事務についてでございます。自衛官募集事務は,法令に定める自治体の事務として,本市がその役割を果たすことは当然であると認識しております。自衛隊の活動は,国防のみならず,昨年7月豪雨における本市への派遣をはじめとする災害対応など安全な国民生活の確保に不可欠なものであり,自衛官募集事務への協力は,市民生活の安心安全に寄与するものでございます。適齢情報の提供に当たりましては,個人情報保護の観点から,住民基本台帳全件の閲覧,書写しから,対象を限定し,住所,氏名のみを宛名シールで提供する方法へと改めたところでございます。既に,募集事務の区切りである5月末及び9月末には残った情報の返却を受けており,情報管理に万全を期しております。 自衛隊への情報提供の在り方についての御指摘ですが,そもそも,住民基本台帳や選挙人名簿については,国の事務や学術研究,さらに,政党の活動などを目的とする場合には,法令で閲覧,書写しが認められており,現に多数の閲覧実績がございます。今年度も,自衛隊京都地方協力本部の依頼に基づき,法令に沿って適切に対処してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 児童館・学童保育所についてでございます。本市では,市内130箇所の一元化児童館はもとより,学童クラブ事業や放課後ほっと広場の運営,地域学童クラブへの補助などにより地域のニーズなどに応じた放課後児童対策を推進し,今年4月には,8年連続となる待機児童ゼロを達成しました。こうした取組を更に深化させるため,平成29年度は児童館未設置学区における実態調査を,平成30年度は,市内全ての市立小学校1年生,4年生,6年生,約3万2,000人を対象とした大規模な調査をそれぞれ本市独自に実施したところです。その結果,学童クラブ等の子供の居場所や乳幼児を中心とした親子の居場所など地域の状況に応じて必要な機能を確保することが重要であることが明らかとなりました。今後こうしたソフト面の充実を図り地域のニーズに的確に対応できるよう,現在,京都市はぐくみ推進審議会の御意見も伺いながら検討を進めております。今後も,既存の施設や地域のネットワークを最大限にいかしながら,引き続き,必要な子育て支援機能を確保できるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは5点お答えをいたします。 まず,小学校3年生の35人学級についてでございます。本市では,国に先駆け,小学校1・2年生で35人学級を,中学校3年生で30人学級を本市独自予算で実施するなど,国基準を上回る教職員配置による少人数学級を推進してまいりました。こうした本市独自の施策や国からの加配教員の活用によりまして,今年度における一学級当たりの児童・生徒数は,小学校が約28人,中学校が約31人であり,政令市最高水準の指導体制を整えております。また,小学校3年生につきまして,一学級当たりの人数が35人より多くなる学校が36校ございますが,そのうち20校におきましては,各校の実態に応じて学校裁量により加配教員を活用して35人以下学級としており,他の学校につきましても,ティーム・ティーチングによる少人数教育等に取り組んでいるところでございます。こうした状況の下,35人学級を小学校3年生に画一的に拡大することは,各校での創意工夫ある取組を妨げることになることから,引き続き,各校の実態に応じた教職員配置に努めてまいります。 次に,教職員の働き方改革についてでございます。本市では,全国に先駆け,通知表や指導要録等の作成に校務支援システムを導入するなどICT化による業務の効率化を進めており,今年度からは中学校給食予約管理システムの開発を進めるなど,更なる取組を推進しております。また,平成30年3月に,PTA,校園長会,教育委員会が協議を重ね,連名で策定いたしました働き方改革推進宣言を全ての保護や地域の方々に発信し,電話対応終了時刻や閉校時刻の設定等に取り組むとともに,専科教員の小学校5年生への配置拡大や校務支援員や部活動指導員等の配置拡充により教職員の授業の持ち時間や事務負担の軽減に努めており,引き続き,こうした取組を進めてまいります。教職員定数の改善につきましては,本来,国の責任で実施されるべきものであり,今後とも指定都市教育委員会協議会や全国市長会等を通じ,国へ要望してまいります。 次に,教員免許更新制についてであります。教員免許更新制は,教員として必要な資質・能力が保持されるよう定期的に最新の知識技能を身に着けることで,教員が自信と誇りを持って教壇に立つことができるよう,それを目的として制度化され10年目を迎え定着しております。本市としても,子供たちのよりよい学びと育ちのため,教員が生涯を通じて研さんし学び続けるための有用な制度であると考えております。なお,現在,国では,多忙な教員がより受講しやすくなるよう,免許更新制の趣旨をいかした改善策が検討されております。また,教職を退かれた場合などで,保有する免許状が期限までに講義を受けて更新されない,いわゆる未更新に対しましては,一定の条件の下で臨時免許状を授与し,講師として任用することが可能とされており,本市では,こうした制度も最大限活用しながら講師確保に努めてまいります。今後とも,質の高い教員の確保や更なる資質向上のため,引き続き取り組んでまいります。 次に,講師の確保についてでございます。教員の大幅な世代交代を迎える中,毎年300名程度を新規採用しており,今年度も去る9月20日付けで,本市で活躍している常勤講師183名を含む322名につきまして採用内定を行ったところであり,計画的な正規教員の採用増に努めており,引き続き取り組んでまいります。また,若手教員の増加に伴い毎年400人程度の教員が育児休業を取得する中,その代替を含めた講師の確保に向けまして,教員採用試験の受験に対し,試験終了後,直ちに講師登録を呼び掛けるとともに,ホームページ等で広く募集しております。加えて大学の協力の下,講師希望を対象とした説明会を従前より早めて10月に開催するなど,最大限の努力を重ねております。さらには,厳しい財政状況の下,市会で予算を御承認いただき,常勤講師の期末勤勉手当等の増額や平成28年度から4年連続で非常勤講師の報酬の引上げ等を実施しており,引き続き,講師の確保とその処遇改善に努めてまいります。 不登校児童・生徒への支援についてでございます。本市では,各学校におきまして,教職員のほかスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家も参画して構成する登校支援委員会におきまして情報と取組の共有を図り,一人一人の子供の様々な課題や困り,その背景まで的確に見立てた支援をするとともに,子供たちと年齢の近い学生ボランティアも登用し相談しやすい環境づくりを進めるなど,学校総体としての取組を推進しております。また,不登校児童・生徒やその保護への連絡につきましては,家庭訪問やプリントの配付はもとより,学校ホームページでの情報発信,さらにはICTを活用した教材提供やコミュニケーションツールの活用など学校体制として必要な情報の伝達を随時行うとともに,カウンセリングルームや学習室,保健室等の利用,さらには部活動登校や放課後登校など,子供たちの状況に応じた柔軟な登校支援に努めております。今後とも,子供たち誰もが安心して過ごすことができる学校づくりに向け,一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 次に,市政一般について,かまの敏徳議員に発言を許します。かまの議員。 〔かまの敏徳議員登壇(拍手)〕 ◆(かまの敏徳議員) 下京区選出のかまの敏徳でございます。これまで8期32年間にわたりまして市政の充実と刷新にまい進してこられました山中渡前市会議員の後継として,皆さんに押し上げていただきました。選挙期間中から,大企業応援から市民生活応援型の転換を呼び掛けてまいりました。自ら掲げた公約実現のために全力を挙げ,市民生活の改善・向上に貢献していく決意でございます。 それでは質問に入らせていただきます。第一のテーマとして,自らが議員になる前からやっておりました,労働組合の役員をしていたときから問題意識を持っておりました,京都の地域経済を元気にする課題を巡って五つの角度から質問いたします。 第一に,中小零細企業支援についてお聞きいたします。中小零細企業の実態は極めて厳しい状況です。 (パネルを示す)パネルを御覧ください。京都市の事業所の数は,現市政下の2009年の10万2,844から2016年の7万637へと12.7パーセントも減少しております。政令市比較でワースト2の落込みということになっております。また,大多数が中小零細企業である京都市小売業の事業所数は,1999年,20世紀の最後ですが,2万530から2016年の1万3,765へ33パーセントも減少しております。こうした現状の下で中小零細企業をどう応援していくのか。やはり重要なのは実態調査だと思います。 私が調査に赴いた東京都荒川区は,荒川区ものづくりセンサスとの名称で,中小企業診断士協会と協力して区職員も現場を訪問する実態調査を4年に1度,これまでに4回実施しております。そして調査を通じまして,地域産業の課題を人手不足,生産性の向上,事業の承継,販路拡大の4点の課題に整理して,それをそれぞれ解決するために,人材確保支援事業,製造業等経営力向上支援事業,商業・サービス業経営力向上支援事業などの新しい施策に結び付けています。ここから学ぶべきことは,現場に直接足を運んで実態をつかもうとする行政の姿勢です。地域経済の活性化はどこでも重要な課題になっておりますが,京都市は,地域の深刻な実態に,中小企業の実態に踏み込んでいると言えるでしょうか。実効性ある中小企業支援策を講じるため,本市でも荒川区のように職員も参加する中小零細企業に対する実態調査が必要だと考えますがいかがですか。 第二に商店街支援について質問します。2016年経済センサス基礎調査では,本市の売場面積3,000平米以上の大型店舗の小売販売額は24パーセントと,今や政令指定都市で3番目の高さになっております。この大型店の進出が商店街にも大きなダメージを与えております。私の地元下京区では,七条商店街の,地域と協力した夏祭りやコミュニティバル,島原商店街のビアストリート,松原商店街の五条天神とコラボしたお祭りなど,地域経済やコミュニティの支え手として商店街の皆さんが必死に頑張っておられます。 一方で,これも下京区ですが,京都駅周辺では,水族館や鉄道博物館が出来まして,家電量販店やショッピングモールの出店も相次いでおりますが,周辺の地元商店街は元気になるどころか疲弊する一方になっています。その商店街の皆さんから話を直接お聴きしました。水族館や鉄道博物館が出来て,そこでお金を使うけれども商店街まで来ない,ホテルや民泊建設ラッシュで地価と固定資産税が上がって,ずっとここで商売している自分たちにとっては負担になるだけだ,そしてそのうえ私たちの商店街は切り捨てられたようなもんやとまで私言われました。こうした叫びにも似た切実な声が市長にまで届いているでしょうか。京都市のやるべき喫緊の課題は,地元商店街がにぎわうようにすることです。大型店への規制,販路拡大対策,後継問題の解決,空き店舗対策によるにぎわいづくりなど,商店街の皆さんの要望は非常に多様でした。その声を担当部局がしっかりとつかみ,一つ一つ応えるための細やかな支援が強く求められています。 市の職員が商店街を一軒一軒訪問して,皆さんがどういう悩みを持っておられ市に何を期待しておられるのか,聞いて回ることが必要ではありませんか。そのうえで,商店街振興を図るための商店街振興条例の具体化,並びに推進が必要だと考えますがいかがですか。 また,区役所に相談窓口を設けるなど日常的な相談体制の確立,店舗リニューアル助成制度の創設,固定費助成制度の創設,商店街周辺の歩道や車道の整備など,総合的な商業振興政策の検討が必要だと考えますがいかがですか。 第三に,働く皆さんの最低賃金の引上げと中小企業支援について質問いたします。最低賃金の引上げで労働の懐を温めることは地域経済の活性化に直結いたします。京都の労働団体・京都地方労働組合総評議会が今年5月に発表した健康で文化的な最低限度の生活を保障するための最低生計費試算調査によれば,25歳,男性の単身世帯モデルで,時給が1,639円,月額で24万5,785円が必要だという結果になりました。これまで19道府県で同様の試算結果が発表されていますが,全国どこでも生計費に大きな差がなく,月額約24万円,時給で1,500円程度が必要であることが明らかになっています。今年の最低賃金審議会での引上額の答申で,東京では1,013円,神奈川では1,011円と史上初めて時給1,000円を超える地域が出たものの,全国加重平均では901円にしかすぎません。これが仮に1,000円になり,一般労働の年間所定労働時間1,800時間働いたとしても,月額で15万円,年収で180万円でありワーキングプア水準であります。京都府で最低賃金時給1,500円が仮に実現した場合,対象は32.5万人であり,年間賃金増加額は2,392億円,消費需要増加額は1,557億円という労働運動総合研究所の試算が出されており,最低賃金の引上げが地域経済にもたらす効果は明らかです。 今年2月には自民党の国会議員の皆さんが最低賃金一元化議員連盟を発足させましたし,参院選ではほぼ全ての政党が最低賃金の大幅引上げと全国一律性を公約に掲げました。また,国政野党だけでなく,国政与党の公明党も,最低賃金引上げの影響を強く受ける中小・小規模事業への支援を一層強化しますと公約で掲げました。最低賃金引上げと,それを可能にするための中小企業への支援が与野党共通の政治課題として大きく浮上しています。 京都の地域経済を活性化するために,全ての企業を対象として最低賃金直ちに1,000円,速やかに1,500円への引上げを国に求めることが重要だと考えますがいかがですか。さらに,最低賃金の引上げを可能とするよう,税,社会保険料の負担軽減を行うなど,中小企業への支援強化を併せて求める必要があると考えますがいかがですか。 第四に,公契約条例について質問します。京都市が直接行える賃金の引上げ策が,公契約基本条例に賃金条項を盛り込むことです。公契約条例のある自治体は全国で55,そのうち賃金条項を持つ自治体は23です。それらの自治体では,国の設計労務単価や自治体職員の給与表を基準に賃金条項を定めています。 東京都千代田区では,長期不況の中で,公共事業あるいは業務委託,指定管理を含めて業者間で競争が激化しており,受注や下請業者との従業員賃金や労働条件の低下が懸念される。こうした状況は,問題視すべきである。そのための一つの方策として,公契約条例が考えられるとの認識を区長が示し,賃金条項を持った公契約条例が作られました。そして今年度の賃金の下限額は,区職員給与を勘案した1,077円であり,東京都の最低賃金の水準を大きく上回っています。 一方,京都市公契約基本条例は,第1条で,公契約に従事する労働の適正な労働環境の確保を目的に定め,第10条で,本市及び受注は公契約に従事する労働の雇用の安定,その他適正な労働環境の確保,並びに維持向上に努めるものとするとしていますが,その担保が第11条の言うところの受注等は,最低賃金法その他の労働関係に関する法令を遵守しなければならないにとどまっています。最低賃金は,その低さが問題になっているわけですから,最低賃金法の遵守だけでは公契約に従事する労働の適正な労働環境の確保はできません。 京都総評の調査では,清掃や運搬などの役務の一般競争入札で,単年度契約を維持するために前年度実績より安く請け負うことが繰り返され,労働の賃金が次々と減らされているという,こういう指摘をしています。これは公契約基本条例に賃金の下限額の定めがないことで,賃金抑制を招いているということでではないでしょうか。こうした事態を改善するために,まずは賃金条項を創設して下限値の設定が必要だと考えますがいかがですか。また,京都市公契約基本条例が制定されてから今日までの到達点の検証,これが必要だと考えますがいかがですか。 第五に,非正規雇用労働の処遇改善について質問いたします。 (パネルを示す)先ほどもありましたけれども,総務省の就業構造基本統計調査によれば,京都市の非正規雇用労働の比率は42パーセントで政令市ワースト1位ということに残念ながらなっております。非正規雇用が伸びているという風にありましたけれども,これが今の京都市の現実です。 また,平成29年度給与実態調査結果によれば,給与所得の平均給与は正規雇用年間494万円,非正規雇用175万円で,非正規雇用は正規雇用の僅か35パーセントにしかすぎず,その格差は歴然としています。非正規雇用労働の比率の増大と,並びに正規雇用労働との賃金格差が経済を冷え込ませる大きな原因になっています。私のヒアリングでも,ある40代の単身の男性,時給930円で働いておられます。家賃の支払がぎりぎりと言われました。40代のシングルマザー,子供二人の方は,子供を塾や病院にも行かせることもできず,自分自身も数年に一度しか美容院に行けず普段は自分でカットしている。服を買うことすらできない。職場が休みの週末には,1日13時間以上のダブルワークで何とか暮らせる収入を確保している。このように生活は極めて厳しいものです。地域経済を元気にするうえで,非正規雇用労働の処遇改善は待ったなしです。 非正規雇用労働を正規化することを目指し,まず京都市はじめ,関係する機関,団体において最大限の努力が求められていると考えますがいかがですか。また,京都市独自の役割を果たすために,雇用担当部署を復活させることが必要だと考えますがいかがですか。 二つ目のテーマとして,住民の声がいかされ,安心して住み続けられるまちづくりの課題について,三つの角度から質問します。 第一に,下京区の元植柳校跡地活用についてお聞きします。この問題を巡っては,地域でも住民運動が大きな広がりを見せております。これまでも元清水,元白川,元立誠小がホテルに提供されていますが,敷地のほぼ全域にわたって建物が建つのは初めてのことです。 まず指摘したいのは,隣の公園の地下に体育館を造って避難所にするという問題です。地下体育館建設予定地は市の洪水マップによっても洪水危険地域であり,洪水時には避難所にはなり得ません。地震の際には電力などインフラ切断の心配がなくなるまで使えず,地下10メートルの避難所への連絡,移動は大変な困難が予想されます。自然災害時の避難所として,完全埋設の地下体育館が指定されている例は全国にありません。また,災害時に外の状況が見えない避難所は考えられないと専門家が指摘していますし,地下体育館の維持管理コストが大きく,業者が撤退した場合,京都市の大きな不良資産となるのではないかとの懸念も出されています。 このように,なぜ京都市の計画によって住民生活の安全安心が脅かされなければならないのか。このままでは災害時に地下の避難所は使えないと考えますがいかがですか。明確な答弁を求めます。 現在,この場所では,地域の運動会や夏祭り,グラウンドゴルフ,テニス,少年野球が行われていますし,様々な会合も行われております。地域の自治活動や様々な活動の拠点となっております。防災拠点にもなっております。こうした地域の皆さんにとって,自治活動や防災拠点となっている場所を,しかも地域の住民にとっては大変愛着のあるこの場所を,民間の営利企業に差し出すことに対して批判の声が出るのは当然ではないでしょうか。さらに,この間の経過に関して,地元の皆さんに対して情報の提供が余りにも少ないということも大問題です。市長が,住民の方を向いているのか,それとも,海外の資本の事業の方を向いているのか,正にその政治姿勢そのものが問われている問題です。 以上のことから,元植柳小学校をホテル用地として提供する計画は撤回すべきだと考えますがいかがですか。そのうえで,植柳小学校の跡地活用については,専門家や教育関係の協力を得ながら,住民参加によるワークショップを重ね,自治活動の振興を図る方向での方針を決めること重要だと考えますがいかがですか。 第二に,京都市の観光行政について質問します。先ほどの元植柳校跡地の問題の背景には,宿泊施設拡充・誘致方針があります。この方針に基づいて,私の地元下京区でも,ホテル,民泊,簡易宿所の建設ラッシュで,景観・地域コミュニティ破壊と地価高騰が進んでいます。パネルを出させていただきます。 (パネルを示す)これが鴨川沿岸の菊浜学区の地図であります。 (パネルを示す)同じく菊浜学区の人口の減少をグラフにしております。鴨川沿い,高瀬川沿いが民泊,ホテルの乱立で景観が変わってしまった,この学区では,町内の人数が減り地蔵盆ができなくなった,こういう声が出ております。また,テレビでもおなじみの杉本家の西側の膏薬逗子一角が買い上げられてホテルになって,観光客に人気のあった景観が台なしだ,烏丸通近くでは通り一帯が民泊になって,ここは国際通やと嘆きの声が上がっているなど,激しいまち壊しが起こっています。京都が京都でなくなるような,こんな現状をこれ以上放置できません。 市長は,こういうまち壊しの現実をどのように認識されていますか。観光インバウンド頼みのまちづくりを前提にした過大な観光客誘致目標を掲げ,地域コミュニティを壊している宿泊施設拡充・誘致方針は撤回し,5月の本会議での宿泊施設は満たされつつあるとの市長答弁を踏まえ,宿泊施設の量,並びに立地規制の強化を図ることこそ必要だと考えますがいかがですか。 第三に,新景観政策において強化された高さ規制を緩和しようとする方針について質問します。京都市は,持続可能な都市の構築及び新景観政策の更なる進化に向けた都市計画の見直しについてという方針の中で,高さ,容積率,建蔽率の緩和と,高さの特例許可制度を活用しての規制緩和を進めようとしています。こうした動きに対して,多くの市民や団体,専門家の皆さんから批判の声が出されています。2018年12月の京都弁護士会の,京都市が特例許可制度を利用して一部地域で建物の高さを規制緩和することに反対する会長声明では,今回の規制緩和については,立法事実,手段の相当性共に認められないと言わざるを得ない。他方で,市民・住民の景観利益や居住の権利・利益を侵害するおそれが高いと指摘しています。また,本市が市街地景観条例によって認定した京都市地域景観づくりネットワークからも新景観政策の基本方向を堅持し,安易な高さ規制の緩和につながる対策は採用しないこと,特例許可制度の簡素化については簡素化しないよう求める意見書が提出されています。 こうした意見を踏まえ,高さ規制並びに特例制度の規制緩和方針は,根本から見直す必要があると考えますがいかがですか。 ここで一旦,答弁を求めます。 ○議長(山本恵一) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,宿泊施設について御答弁申し上げます。本市では,平成28年に拡充・誘致方針を策定し,地域と調和した質の高い宿泊施設の拡充・誘致を進めてまいりました。同方針に基づきまして,違法民泊につきましては,専任職員46名の体制で,市民の皆様と共に徹底した監視・指導を行った結果,無許可営業疑いの通報があった2,568施設の99パーセントが営業中止等に至り,通報件数も現在では大幅に減少していおります。引き続き徹底した監視・指導を続けてまいります。また,本年7月には,地域と共に地域活性化に取り組む宿泊施設を支援する新制度を開始いたしております。こうした中で,宿泊施設につきましては,午前中の市長答弁にもありましたように,オフィス,研究所や住宅の必要性が増加する中,地域との調和や地域の活性化,文化の継承につながる施設は歓迎いたしますが,そうではない施設につきましては控えていただきたいと考えております。今後はこうした考え方の下,経済団体等との協議をし,関係業界に必要な要請を行ってまいります。また,宿泊施設の立地規制につきましては,地域が主体的に取り組まれる地区計画や建築協定の活用が有効であり,引き続き専門家の派遣などにより地域主体のまちづくりを積極的に支援をしてまいります。今後とも市民生活と観光の調和を大前提とした宿泊観光に取り組んでまいります。私からは以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木副市長。 〔鈴木副市長登壇〕 ◎副市長(鈴木章一郎) 私からは,元植柳小学校跡地の活用についてでございます。同校跡地の活用に当たっては,昨年2月に植柳自治連合会から要望された,自治会活動の継続,避難所機能の確保,植松公園等の周辺施設の活用などの内容を踏まえ,自治連合会の皆様と活用条件等を協議したうえで公募手続を進めました。そして地域の代表にも参画いただいた選定委員会での審査を経て答申がなされ,契約候補事業を選定いたしました。地下に避難所を設けることにつきましては,他にも例があり,安全面に配慮すれば構造面から否定されるものではありません。防災の専門家からも地震等の災害が一定落ち着いた後に,電気等のライフラインに支障がなければ,地下施設を避難所とすることは問題ないとの見解を確認しております。そのうえで,現在は,当初から予定しておりました手続のとおり,事業の提案に,自治連合会から出された様々な意見や論点をどのように反映させ,安定した公共サービスの提供を伴う実りある活用計画をまとめていくか,自治連合会,本市,事業の三で協議しているところでございます。今後も,計画の着実な取りまとめに向け,自治連合会を通して地域の声をお聴きしながら丁寧に協議を進め,地域にとってもよりよい跡地活用となるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 功刀財政担当局長。 〔功刀財政担当局長登壇〕 ◎財政担当局長(功刀岳秀) 公契約基本条例についてでございます。賃金条項につきましては,多くの団体等から意見を聴取した結果,賛否両論があったこと,中小企業の負担が過度なものとなりかねないことなどを総合的に勘案したうえで導入しなかったものであり,現在も同様の認識でございます。次に,条例による取組の到達点でございますが,市内中小企業の受注機会の増大に向け,可能な限り分離分割発注するなど全庁的に取組を徹底した結果,工事契約での市内中小企業の受注件数割合は,条例制定前の平成26年度と比べ,約7ポイント増の約9割に達しているところでございます。こうした取組と本市公共投資予算の確保なども相まって,市内に本店のある登録事業数が約6パーセント増の延べ約3,400に達するなど,市内企業の持続的な発展の下支えにつながっているものと考えており,市内企業の皆様からも高く評価を頂いております。今後とも,こうした到達点を学識経験等で構成する京都市公契約審査委員会で検証いただきながら,市内企業とそこで働く皆様を応援してまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 山本産業観光局長。 〔山本産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(山本達夫) 中小企業支援についてでございます。中小企業の実態につきましては,市内企業800社を対象とした景況調査や京都商工会議所等と連携した年間2万件の経営相談,さらには,区役所や業界団体等とも密に連携し,常に現状把握に努めております。加えて,地域企業未来力会議等,様々な場においてお聴きした生の声を,地域企業応援プロジェクトをはじめ,ニーズに応じた実効性ある振興策につなげております。また,商店街振興に関しましても,現地に足を運び,空き店舗の解消や学生等と連携した活性化策,アーケード等の整備,改修,にぎわいを創出するイベントなど,商店街の魅力を高める取組への補助制度といった具体的な施策につなげるなど,商店街の振興に関する条例の推進に取り組んでいるところでございます。また,最低賃金につきましては,地域における労働の生計費や企業の賃金支払能力を見極めたうえで,国において適切に判断されるべきものと考えており,今年,全国平均の時給が初めて900円台となり,4年連続で3パーセントの上げ幅となっております。国に対しては,引き続き担い手不足の解消や金融支援等,地域企業,中小企業の経営強化につながる支援を求めてまいります。今後とも,地域企業の持続的発展の推進に関する条例に基づき,中小企業をはじめ,地域に根差した企業の活性化と持続的発展を支援することで,市民生活の豊かさへとつなげてまいります。 次に,雇用対策についてでございます。非正規雇用の正規雇用化は重要な課題であり,京都労働経済活力会議を中心としたオール京都体制で正規雇用の拡大と非正規雇用の処遇改善に全力で取り組んでおります。とりわけ,担い手不足が深刻であり,かつ非正規雇用率が高いといった課題を抱える観光関連産業におきましては,専門家派遣による相談支援や個々の企業ニーズに応じて接遇や語学等のスキルアップセミナーを出張実施することにより,労働生産性の向上や雇用環境の改善を図るとともに非正規雇用の正規化を促進しています。また,雇用施策につきましては,これまでから,ひと・しごと環境整備担当部長をはじめとする専任担当を配置し,保健福祉局,子ども若者はぐくみ局等,関係局との強力な連携体制を構築しております。さらに今年度は,経営支援や金融支援などの地域企業の経営支援策と雇用施策に一体的に取り組む体制を整備しており,引き続きその推進に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木知史) 新景観政策の更なる進化についてでございます。新景観政策は,平成19年の策定当初から時代と共に進化する政策であり,本年4月には,新景観政策の更なる進化検討委員会から,持続可能な都市の構築の必要性など新たな社会情勢の変化を捉え,更なる進化の方向性を示す答申を頂いたところでございます。この答申と本年3月に策定した持続可能な都市構築プランを踏まえ,五条通沿道の規制の見直し案や,地域に応じた特例許可制度の考え方を取りまとめ,本年6月から市民意見募集を実施し,数多くの貴重な御意見を頂きました。これらの案は,道路拡幅等の基盤整備に応じて更なる都市活力の向上を図るための規制の見直しと,地域のビジョンの実現に資する優れた計画を誘導するための特例許可制度の有効な活用を図るもので,いずれも答申やプランの考え方に沿うものでございます。今後,規制の見直しについては都市計画審議会へ付議することとしており,また,特例許可制度については,京都市地域景観まちづくりネットワークから頂いた御意見等も十分に踏まえ,制度運用の考え方などをまとめたガイドライン案を作成したうえ,改めて市民意見を募集いたします。引き続き丁寧な手続を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) かまの議員。 〔かまの敏徳議員登壇〕 ◆(かまの敏徳議員) 引き続き,質問を継続させていただきます。 三つ目のテーマとして,災害に強いまちづくりについて,二つの角度から質問いたします。 第一に,指定避難所としての機能を果たせるための環境整備についてお聞きいたします。昨年の地震,台風,豪雨等でも京都府下全域に大きな被害が発生し,今なおその傷跡は癒えておりません。直近の台風では,千葉県に甚大な被害があったことは御存じのとおりであります。こうした防災が優先される状況の下で,リニア新幹線や北陸新幹線といったこういった大型開発ではなく,命と暮らしを守る災害対策こそまちづくりの優先とすべきだと考えます。指定避難所は京都市全体で424箇所ありますが,それぞれの避難所の収容人数に見合った備蓄品は準備されているでしょうか。また,災害時の避難所の環境改善も重要であります。国際的基準としてスフィア基準があります。そこには避難の権利保護の原則のほか,衛生促進に関する最低基準,食料の確保と栄養に関する最低基準,保健活動に関する最低基準などが盛り込まれております。京都市でも国際基準にならって環境改善を図るべきです。 まず,自家発電機,通信情報機器の整備など災害時の防災設備機能の充実を図る必要性があると考えますがいかがですか。せめて,エアコンの配置,簡易段ボールベッド,トイレの洋式化の完了が欠かせないと考えますがいかがですか。 第二に,職員体制について質問いたします。昨年の連続する災害の際には,区役所職員の人員不足が大きな問題になりました。指定緊急避難場所に職員を配置できない,り災証明の発行が大幅に遅れるなど,市民からの要望に迅速に対応することができませんでした。応援体制の構築の確立に取り組んでいるといいますが,絶対的な人数がやはり足りません。昨年の市当局の調査でも,例えば政令市では,大阪市,堺市,神戸市,岡山市,広島市が職員を常駐させています。府内市町村でも職員配置は当たり前になっています。 京都市は,医療衛生業務や税業務の集約が開始された2014年11月から今日に至るまで,区役所の職員を393人も減少させています。応援体制の構築,拡充を言いますけれども,広域災害時の対応はどうするのでしょうか。区役所ごとに災害対応を果たせるようにすべきではありませんか。民泊施設や税相談の窓口を市民に身近な区役所に戻すなど,集約化・民間委託化の方針を見直して,区役所職員を増やすことで日常における市民の利便性を向上させることができますし,災害時の対応の強化にもつながると考えます。 そこでお聞きいたします。区役所職員の削減方針を改め,増やし,市民の利便性を向上させることが必要であり,それが災害時対応の強化にもつながると考えますがいかがですか。また,防災担当職員を増員するなど,区役所の防災体制を抜本的に強化する必要があると考えますがいかがですか。さらに,消防署,土木事務所や上下水道局,保健福祉センターなど行政区単位で関係機関との連携強化が必要だと考えますがいかがですか。 最後に,小学校のような温かい全員制の中学校給食の実現について質問いたします。私は選挙期間中,下京での子ども食堂の実現を訴えてまいりました。今,子供の七人に一人が貧困状態に置かれていることに対して,私は非常に心を痛めております。同じように考えておられる方はたくさんいらっしゃいます。これまで下京で2回,子ども食堂に取り組んでまいった経験をから,子供の貧困問題解決に対して真摯に取り組むことが大切だと私自身も実感しております。同時に実感しているのは,短期間で貧困問題を解決できるはずもなく,継続することの大切さです。本来は行政の責任を果たさなければならない課題だと思っています。京都市は,立上げのときに10万円の支援がありますが,継続のための支援を充実すべきです。集まって楽しそうに御飯を食べる子供さんの顔を見て更に実感するのは,やはり食の大切さということです。 この点に関しましては,中学校給食についてのアンケートがこの10月に実施されることになりました。20年来求めてきた実態調査がやっと実施されることは,大変重要だと考えています。しかし,現行の枠内での改良では不十分だと考えます。全員制への要望がどれだけあるのかも調査する必要があると考えますがいかがでしょうか。そのうえで,小学校のような温かい全員制の中学校給食を実現することを強く求めてまいります。 私は,当初も申し上げましたけれども,公約実現のために全力を挙げる決意でございます。また10月1日から強行されようとしている消費税の増税に対しては,これまで反対の声を上げてきましたし,今後も全ての全国の皆さんと力を合わせて軽減すること,そして廃止することに向けて全力を挙げてまいる覚悟でございます。そして,市民生活の改善・向上に向けて全力で頑張ることを述べまして質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(山本恵一) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) かまの敏徳議員の御質問にお答えいたします。 災害対応についてでございます。本市では,全国トップ水準の福祉,教育,子育て支援,災害対応をはじめとする安心安全の確保など施策をしっかりと推進しながら,同時に持続可能な行財政の確立を図るため,民間の活力をいかし,職員数の適正化を進めております。この4月には,様々な課題や困りを抱えた家庭への寄り添い支援を図るために,各区役所・支所の子どもはくぐみ室等に新たに29名を増員するなど,今日的課題に的確に対応するための体制を抜本的に拡充したところであります。災害対応に係る体制につきましては,各区役所・支所の地域力推進室に,この間,総務・防災課長,地域防災係長を新たに設置するなど40名を増員するとともに,専門的な知識・経験を有する土木技術職員や消防職員も充てるなど,この間,体制の充実・強化を徹底してきたところでございます。また,昨年の災害対応をきっちりと喫緊に総括し,新たに防災担当以外の区職員による各種受付事務の体制や,り災証明書発行における局区を横断する支援体制を構築し,市民の命と暮らしを守る執行体制の確保に努めております。 さらに,平時から,関係機関と顔の見える関係を構築するとともに,災害時には,関係局から区役所・支所への情報連絡員リエゾンの派遣などの局区を越えた応援体制の整備や,今年8月の台風10号接近時も昨年の経験を踏まえまして再構築いたしました関西電力の各営業所と本市の土木事務所とのネットワーク機能が強化するなど自然災害への対策は確実に強化しております。こうした取組と,地域の皆様との連携により,尊い命が失われる被害はこの間発生しておりません。今後,災害が続発する中で,緊張感を持って,行政,関係機関,地域が一体となった災害対応力の強化,更なる防災体制の構築に努めてまいります。 以下,関係理事が御答弁申し上げます。 ○議長(山本恵一) 森元危機管理監。 〔森元危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(森元正純) 指定避難所についてでございます。本市におきましては,これまでから,花折断層を震源とする地震が発生した場合の最大避難数などに応じた備蓄を行ってまいりました。さらには,熊本地震をはじめ近年頻発する災害で明らかになった避難のニーズを踏まえ,アルファ化米以外にも加水や調理が不要なクッキーを新たに備蓄物資に加えるなど,本年3月に備蓄計画を改定し充実に努めているところです。また,既に避難所運営資機材として,指定避難所の全てにカセットボンベ式の非常用発電機を配備するとともに,防災無線や衛星携帯電話を整備しております。今後も,引き続き,教育委員会をはじめ本市関係局等における連携によりトイレの洋式化などに取り組むとともに,協定を締結している民間事業からの様々な資機材の供給により,避難されている方が過度な負担を感じることなく過ごしていただけるよう避難所における環境の充実に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(山本恵一) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
    ◎教育長(在田正秀) 中学校給食についてお答えいたします。本市では,平成12年度から完全自由選択制の中学校給食を導入しており,これまで生徒,保護,学校から様々な御意見を伺い,その改善を図りつつ,学校現場で定着しております。そうした中で,平成30年度におきまして,学校給食栄養摂取基準が改正され,さらに令和3年度から中学校で新しい学習指導要領が全面実施されることを踏まえまして,この度約20年ぶりの実態調査を実施することといたしました。この度の実態調査は献立の充実や利便性の向上など現行の選択制の中学校給食の一層の充実を図ろうとするものであり,経年変化を見る観点から,前回と同様の全中学校と抽出した約2,000名の生徒を対象とする調査と,新たに保護を対象にして現在実施しております。今後とも生徒・保護のニーズや,今回の調査結果をいかし,現在の選択制中学校給食の更なる充実に努めてまいります。なお,全員制の中学校給食の実施には,少なくとも180億円もの予算が必要であり,子供たちの学びと育ちのために他に優先すべき課題も多く,実施は困難であると考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(山本恵一) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時47分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    山本恵一          署名議員  くぼたまさき          同     神谷修平 △(イメージ)請願文書表「受理番号12」「無鄰菴庭園の眺望を保全するための市民提案の実現」・陳情文書表「受理番号18」「旅館業営業許可申請の却下等」...