平成30年 9月 定例会 平成30年 定例会 京都市会会議録 第3号 9月市会 平成30年9月27日(木曜日)出席議員(67名) 1番 森 かれん議員 2番 菅谷浩平議員 3番
こうち大輔議員 4番 やまずまい子議員 5番
大西ケンジ議員 6番 豊田貴志議員 8番
山本陽子議員 9番 平井良人議員 10番 やまね智史議員 11番
江村理紗議員 12番 大津裕太議員 13番
宇佐美けんいち議員 14番 森川 央議員 15番 西山信昌議員 16番 かわしま優子議員 17番 国本友利議員 18番
山本ひろふみ議員 19番 平山たかお議員 20番
寺田一博議員 21番 西村善美議員 22番 ほり信子議員 23番 山田こうじ議員 24番
森田ゆみ子議員 25番 村山祥栄議員 29番 青野仁志議員 30番 平山よしかず議員 31番 吉田孝雄議員 32番 湯浅光彦議員 33番 加藤昌洋議員 34番 森田 守議員 35番
田中たかのり議員 36番 みちはた弘之議員 37番 くらた共子議員 38番
河合ようこ議員 39番 樋口英明議員 40番
加藤あい議員 41番 赤阪 仁議員 43番 天方浩之議員 44番 中野洋一議員 45番 隠塚 功議員 46番
山岸たかゆき議員 47番 安井つとむ議員 48番 曽我 修議員 49番 久保勝信議員 50番
しまもと京司議員 51番 椋田隆知議員 52番
下村あきら議員 53番 西村義直議員 54番
吉井あきら議員 55番
田中明秀議員 56番 山本恵一議員 57番 山中 渡議員 58番 井坂博文議員 59番
北山ただお議員 60番
玉本なるみ議員 61番
西野さち子議員 62番 井上けんじ議員 63番
鈴木マサホ議員 64番 大道義知議員 65番 ひおき文章議員 66番 津田大三議員 67番 中村三之助議員 68番 橋村芳和議員 69番 小林正明議員 70番 繁 隆夫議員 71番 富 きくお議員 72番
井上与一郎議員欠席議員(なし) 議事日程 開議日時 平成30年9月27日午前10時第1 陳情の回付 一般質問 (1) 市政一般について 富 きくお議員 (2) 市政一般について 津田大三議員 (3) 市政一般について
田中明秀議員 (4) 市政一般について 平山たかお議員 (5) 市政一般について
加藤あい議員 (6) 市政一般について 井上けんじ議員 (7) 市政一般について
山本陽子議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕
○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。
江村理紗議員と
こうち大輔議員とにお願いいたします。
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○議長(寺田一博) 日程に入ります。日程第1,陳情の回付を行います。 今回受理いたしました陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。
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○議長(寺田一博) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,富きくお議員。 〔富きくお議員登壇(拍手)〕
◆(富きくお議員) おはようございます。山科区選出の富きくおでございます。
自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして,同僚の津田大三議員,
田中明秀議員,平山たかお議員と共に市政一般に関し質問を行います。 まず,質問に先立ちまして,6月の大阪府北部地震並びに7月の
西日本集中豪雨,そして台風20号,21号,北海道地震で犠牲となられました方々に心より哀悼の意を表するとともに,御遺族並びにり災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。 去る20日,
自民党総裁選挙におきまして,安倍晋三氏が総裁に選出されました。アベノミクスによる経済成長を実現,外交においても各国首脳との信頼関係を構築し,国際社会での存在感を示してまいられました。さらに防災,減災,国土強じん化のための緊急対策を集中的に実施し,自民党は今後とも国民の生命と財産を守ってまいります。我々
自由民主党京都市会議員団も安倍総理を先頭に,また自民党の京都選出の国会議員と共に,直面する様々な課題を克服すべくまい進してまいる所存でございます。今後とも,自由民主党に対し,力強い御支援並びに御理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 まず最初に,平成29年度一般会計の決算についてお尋ねいたします。なお,
公営企業会計決算については,同僚の
田中明秀議員が質問いたします。 さて,一般会計ですが,歳入に関しましては,総額7,700億円と景気の回復基調を受け,個人市民税及び法人市民税のいずれもが増加。また,ホテルなどの新築家屋の増加により固定資産税も伸び,地方交付税も増え,教職員の給与費移管分を除きますと,一般財源収入全体として98億円の増加となりました。一方,歳出総額は7,682億円。高齢化の進展や子育て支援の推進などで,
社会福祉関連経費が1.1パーセント増の3,012億円と過去最大。また,職員数の削減など行財政改革を進め24億円を削減したものの,それでも財源が不足し,公債償還基金,すなわち将来の借金返済に備えて積み立てている基金を取り崩すという,いわゆる禁じ手を前年度に引き続き使わざるを得ませんでした。貯金に当たる財政調整基金の残高は僅か13億円しかなく,他の指定都市の平均残高206億円と比べ極端に少なく,
自転車操業状態が続いているのが現状であります。この残高13億円も,既に6億円を地震や豪雨被害に対応するための補正予算の財源として取り崩しております。さらに,今回の台風21号被害や今後発生するリスクに備え,一定額を確保する必要があります。将来にわたって市民生活の安心安全を守り,京都の未来を切り開いていくためには,持続可能な財政運営が是非とも必要であり,税収基盤がぜい弱で,地方交付税に多くを依存せざるを得ない本市の
財政構造そのものを変えていかなくてはなりません。そのためには,国に対し
地方財政制度全般にわたる改革を求めると同時に,市民や市内の企業の所得を更に増やし税収の増加につなげていくことが必要です。厳しい財政状況の中,更なる行政の効率化と併せて
財政基盤そのものの強化をどう進めていくのか,今後の財政運営について市長のお考えをお伺いいたします。 次に,災害対応についてお伺いいたします。災害対応のうち,避難所の開設に関しましては,後ほど同僚の津田大三議員が質問をいたします。冒頭でも述べましたように,僅か4箇月の間に地震,豪雨,台風と立て続けに自然災害が各地に猛威を振るい,我が京都市におきましても,多くの被害が発生をいたしました。地域住民の皆様方の協力の下,本市の各局担当部署の職員の皆さんが懸命に復旧作業に当たり,迅速に対応していただきましたことに対しましては,感謝の意を表する次第であります。 まず,7月の西日本豪雨におきまして,京都市は118回の
緊急速報メール等で避難勧告などを最大102万7,408人に対して発令をいたしましたが,実際に避難所に避難した方々は僅か0.23パーセントの2,337人でした。避難準備,避難勧告,避難指示と段階的に出される膨大な量の情報が,どれだけ正確に住民の方々に伝わり,いつ,どのように避難するのかの判断に役立ち,必要な避難につながっていたのか,検証を行うべきであります。今の日本にとって治水対策を加速させることも重要ですが,これからは避難の在り方がより重要になってまいります。的確な情報に基づき,命を守る行動を取るとともに,自力避難が難しい高齢者の方々をどうサポートしていくのか。声を掛け一緒に避難するような,共に助け合う共助の
システムづくりが必要です。そして,これからは,行政側も住民側も防災に関し,専門の知識を持ったいわゆる
防災リーダーを育成し,周囲に避難を促したり,日頃の訓練の中心になってもらうような仕組みを作り,地域の防災力を磨き,向上させていく必要があります。地域においては消防団や自主防災会の皆さんが一生懸命に活動していただいており,
防災リーダーが育ち御活躍いただいている姿を目の当たりにして心強く思う次第です。行政においても,各区役所・支所の防災担当者については,防災のプロとも言うべき職員さんを是非とも育成し,地域の方々としっかり連携して災害発生時に対応できるような体制づくりが必要です。人事システムで,3年たったら次の職場へ異動というのではなく,時間を掛けて防災のプロを育成していかなくては,近い将来に襲ってくる,今までの経験が通用しない新たな段階の災害の猛威に対応することはできません。同時に,私たち一人一人が災害を人ごとと考えず,自分に身近なもの,我がこととして認識し対応していかなくてはなりません。各御家庭には,防災マップ(水害編)と,
土砂災害ハザードマップが配布されております。自分たちの住んでいる場所の特性を知り,災害時にはどう対応するのか,平常時から考えておく必要があります。また,我が家の
防災行動シールも本市の約七,八割の御家庭に配布されております。災害に応じてどう対応し,どこに避難するのか書き込めるようになっており,有効に使っていただき,常日頃から災害に対する意識を高めていただきたいと存じます。 ところで,今回,
指定緊急避難場所自体にも雨漏りがあったり,他都市では天井ボードが落下するなど,安全性に問題があると同時に,避難場所の変更について,今回,市と
区災害対策本部の間で情報共有ができておらず,避難者が混乱するなど課題が見えてまいりました。大阪北部地震では,小学校のブロック塀が倒壊し,通学途中の女子児童が下敷きになり死亡するという痛ましい事故が発生いたしました。京都府内でも安全性に問題がある箇所は389校に上り,安全対策ができていない箇所は約4割の169校となっていました。また,安全基準を満たしていない民有地のブロック塀も数多くあり,建築当初は安全基準を満たしている塀を,所有者がその後ブロックを積み増して塀を高くしたり,土地の擁壁の上にブロックを積み上げ,安全基準に違反することになるケースも多々あります。本市においては,本市が所有する施設のブロック塀の点検をいち早く実施し,問題のあるブロック塀については,今回,多額の補正予算を計上し補修並びに撤去を行うこととなりました。民有地のブロック塀についても,ブロック塀などの安全対策に関する総合的な相談窓口を設置するとともに,特に通学路沿いの安全確保は急務であり,所有者任せにすることなく,学校自らの点検を踏まえ,教育委員会や都市計画局,建設局が連携して取り組んでいるところではありますが,通学路における危険なブロック塀の把握状況についてお聞かせください。 また,ブロック塀などの安全性確保に向けた点検のための
専門家派遣制度や除却助成制度を立ち上げ取り組んでいますが,所有者からの自主的な申出に頼らざるを得ないところがあります。地域の安全は,町内会や
交通安全対策協議会,PTAなどの地域の皆さんの働き掛けの下,取組を更に広げていくことが重要であると考えます。そこで,地域の皆さんのつながりをいかした取組を進めるべきと考えますが,いかがでしょうか。併せてお答えください。 次に,今月発生いたしました台風21号は,京都市におきまして,最大瞬間風速が戦後最大の39.4メートルを記録し,住宅はもとより神社仏閣などの文化財や農林業関係では,
ビニールハウスの倒壊や森林の倒木など甚大な被害をもたらしました。また,多数の停電が発生し,市民生活に長期間にわたり大きな支障を来しました。今回の台風21号の最大の特徴は猛烈な風であります。京都市の避難勧告等の判断・
伝達マニュアル概要版に示されているのは水害,土砂災害のみであり,風に関しては示されておりません。気象庁のホームページも同様です。確かに,川の氾濫などと違い,風の強さや向きを予測するのは非常に困難と聞いておりますが,今後ますます巨大化するであろう台風に備え,風に対する警戒並びに対応も必要であり,是非ともしっかりと検討されるよう強く望むものであります。台風21号の風が吹き荒れているさ中,各区役所に多くの市民の方々から,避難したいがどこに行けばよいのか,風が強く大変怖いが今どうすればよいのかなど問合せの電話が殺到したと聞いております。暴風だけで避難所を開設することはできず,また暴風のさ中の移動は逆に大変危険なため,区役所の防災担当者は,落ち着いて安全を確保するよう丁寧に伝えたそうであります。一連の災害に関し,それぞれの対応を検証し,問題点や課題に対する改善策を早急に取りまとめ,実行に移すよう強く求めるものであります。 我が
自民党市会議員団におきましては,大阪北部地震及び西日本豪雨に関しては決議を,そして台風21号に関しては緊急要請書を提出し,市民の安心安全を確保するための対応を強く求めました。また,本市会に提案されております補正予算において,ブロック塀の撤去や河川被害の復旧などの対応に充てるため,補正予算を昨日可決したところであります。引き続いて,今般発生した台風21号に関しても,我が会派が要請したように,補正予算が提案されました。復旧に向け早急に対応するよう強く求め,また,被害が増えた場合についても,更に補正予算を組んでいただきたい。国においても,被災地復興を加速させるため,来る臨時国会に今年度補正予算を提出すると安倍総理が表明されました。我々自民党京都市会議員団といたしましても,地元京都の
自民党国会議員と共に本市の災害復興に向け責任会派として全力を尽くして,できる限りの支援を政府与党に要望しております。そして,世界の100のレジリエント・シティに選ばれ,1,000年以上にわたって続いてきた京都のまちと市民,また働く人たちの生命と財産を守るため,強じんさとしなやかさを併せ持つまちづくりを今後進めていかなくてはならないと考えますが,市長はこの一連の災害に対し,どのように御認識をされ,今後どのように対応されていくのか,お伺いをいたします。 次に,自治会,町内会への加入率の低下と今後の
地域コミュニティ活性化について質問をいたします。京都市における自治会の加入率は,平成28年度推計で68.5パーセントと横ばい状況が続いております。災害が起こったとき,安全確保などの声掛けが必要となる独り暮らしの高齢者は年々増加しており,全世帯の12.2パーセントを占め,そのうち75歳以上のお独り暮らしは6.5パーセントとなっております。同時に,昨今の社会情勢から,地域における子供たちの安全のための見守りも強く求められています。自治会,町内会がしっかりと機能している所では,高齢者が住みやすく,子育てがしやすいと感じる割合が増え,街頭犯罪率が低くなるという調査結果が出ております。地域力を高めていくためにも自治会,町内会の活性化が不可欠ですが,加入に消極的な方々が増加し脱退する方もあるなど,課題を抱えている自治会が増えております。また,少子高齢化の進行や担い手の不足なども深刻化しており,会の運営自体が困難になっているというお声もよく耳にいたします。防災の観点からも
地域コミュニティの果たす役割は大変重要であり,活性化に向けた更なる手厚い支援が是非とも必要と考えます。 本市においては,
地域コミュニティ活性化推進条例を制定し,新しく転入される住民ができるだけスムーズにその地域に溶け込んでいけるよう様々な取組を行っております。さらに今市会に条例の改正議案が提案され,開発業者の皆様方に転入者の自治会加入などについて地元自治会と事前協議をし,状況を市に報告することを義務付けています。私自身はこの仕組みは大変有効であると考えております。この議案については今後,常任委員会で審議してまいりますが,業者の関与を増すことにより地域参加を進めようとしているわけであります。実際に山科区内のある学区では,地域からオーナーや管理会社に働き掛け,
マンション入居者の自治会加入と同時に自治会費を家賃と一緒に徴収するようになったケースもあると聞いております。一方,市営住宅は京都市に現在2万3,493戸ありますが,山科区内のある市営住宅で180世帯で構成されていた自治会が解散し,地域の自治連合会から抜けるという事態となり,このことについては昨年度の
予算特別委員会局別質疑で私も議論いたしました。自治会の解散の理由としては,役員の方々が共益費の徴収で大変御苦労されたことがきっかけとなったのでありますが,共益費と同時に自治会費の徴収についても御苦労されたと聞いております。また,山科区の別の学区の市営住宅においても168世帯が自治連合会から脱退をするという事案がございました。先ほどの改正議案では,様々な取組を民間業者のみに義務付けておりますが,市営住宅でも,入居の際,自治会参加に関して対策を検討する必要があると考えます。市営住宅が民間とは異なる役割を担っていることは私も重々承知しておりますが,家主である市と入居者の関係は,民間の賃貸住宅と同じです。市内最大の大家であり家主である京都市としては,市営住宅における
自治会加入率の向上を実現するために思い切った取組が今後必要です。市長のお考えを先ほどの
地域コミュニティ活性化への更なる支援と市営住宅に関しても,併せてお示しください。 次に,民泊問題に関しまして質問いたしますが,私は許可を受けずに営業を行っている違法民泊について質問を行い,後ほど同僚の平山たかお議員が,既に許可を受け運営している民泊業者の課題に関して質疑を行います。 去る6月15日から民泊新法が施行されましたが,まず取り組むべきは,違法民泊の根絶であります。法律の規制をかいくぐり宿泊客の安全や衛生,地域住民の生活環境に何ら配慮しない闇民泊の横行により,市民は大変迷惑を被っております。今回の民泊新法の最大のポイントは,闇民泊の温床となっていた
民泊仲介サイトに対する規制の導入であり,本市だけでは取締りが難しい海外の仲介サイトなどにも国が目を光らせることで,違法民泊は野放し状態から一掃されるものと期待をされておりました。本市では施行当日に,40軒余りの違法民泊の掲載を確認し,すぐさま観光庁に報告し指導を求めましたが,
大手民泊仲介サイトにはいまだ違法民泊が掲載され続けているとのことであります。今月14日,右京区で民泊を無許可で営業したとして,全国初の摘発で書類送検され,また続いて,別の違法業者に営業の緊急停止命令を発令。これも全国初の行政処分で評価するものであります。しかし,生活環境を脅かす闇民泊がまだ数百軒あるとのことで,今後とも根絶に向け,関係機関と連携をしき然と対応し,引き続き努力していただくよう強く求めるものであります。10月からは宿泊税の徴収が始まりますが,違法民泊業者が宿泊税を納税するはずもありません。さらに,闇民泊は敷地の固定資産税が不当に減免されたままであったり,所得税や市民税の適正な申告などでも負担を免れており,決して許されるものではありません。門川市長はかねてから,違法民泊は決して許さないとの厳しい姿勢を貫いてこられましたが,民泊新法の施行により新たな局面を迎えた今こそ,一層強力に取締りを加速すべきと考えます。今後の対応について御所見をお伺いいたします。 次に,
子ども医療制度の拡充についてです。この制度につきましては,今年の5月の市会本会議におきまして,我が会派の森田守議員が質問をし,門川市長から,平成31年度中の更なる拡充を目指すとの答弁がありました。その後,西脇知事との懇談会において,常設の(仮称)
府市政策融合会議を置くことで合意し,
子ども医療制度の拡充に向けても,具体的な進展が望まれるところです。京都市の保育所などの待機児童ゼロなど様々な子育て支援策により,
合計特殊出生率も21年ぶりに1.30台にまで回復しましたが,人口維持に必要とされる2.07にははるかに及ばず,20代から30代の子育て世代の京都からの転出が著しいとのことで,よほど思い切った施策を実施しない限り,こうした状況を打開することはできません。そのためにも,京都府との協議を精力的に進め,
子ども医療制度の思い切った更なる拡充が実現できるよう強く求め,要望といたします。 以上をもちまして,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) おはようございます。富きくお議員の御質問にお答えいたします。 まず,今後の財政運営についてでございます。私は市長就任以来,一貫して京都の今と未来を展望し,決して縮小一辺倒になることなく,国とも一体となって成長戦略を推進してまいりました。こうした取組は着実に実を結び,平成29年度決算では市税収入が増加,とりわけ,個人市民税については納税義務者数が過去最高の65万7,000人,この3年間で3.3パーセント,2万1,000人の増加,また,納税義務者一人当たりの所得も3.6パーセント,11万5,000円増加するなどの効果も現れております。本市ではこの間,
全国トップ水準の福祉,教育,子育て支援を維持,充実してまいりましたが,これらには多額の経費が必要であり,また,災害被害の復旧支援等にも確実に対応していく必要があります。このような中,市税が増えましても国からの地方交付税が減少してくるという制度のため,毎年施策推進に必要な財源を通常の収入では賄えない厳しい財政状況が続いております。公債償還基金の取崩しなど,特別の財源対策からの早期脱却は厳しいものがあると認識いたしております。このため,これまで以上に行財政改革の断行と成長戦略を加速していく必要がございます。まず,国に対しましては,地方交付税や国庫補助金の必要額の確保と
臨時財政対策債の廃止を強く求めるとともに,本市としても職員数の削減や民間活力の一層の活用など,行財政改革を更に徹底し,
社会福祉関係経費や,防災・減災事業をはじめ,市民生活の安心安全に必要な財源をしっかりと確保してまいります。また,京都には世界に名だたる企業が多くあり,加えて京都市へ進出したいという企業があるにもかかわらず,産業用地の確保が難しく,市内での立地が困難という課題がございます。このため,都市計画手法の活用などにより,京都で働きたいと思う人や企業が市内に居を構え,力を発揮できる環境整備を更に進めるとともに,中小企業,地域企業の担い手確保や正規雇用拡大に向けた支援など,都市の成長戦略を力強く進め,市民の皆様や市内企業の皆さんの所得を増やすことで担税力の向上につなげてまいります。これらの取組を決してぶれることなく継続し,持続可能な財政運営を着実に確立し,暮らしに安心,豊かさ実感,未来に責任のまちづくりに全力で尽くしてまいります。 次に,一連の災害に対する認識と今後の対応についてでございます。本年6月の大阪府北部地震をはじめ,4日間に及ぶ7月豪雨,3度にわたる台風の襲来と,立て続けに大規模な自然災害が発生し,本市においても,人的被害や多くの家屋や農林被害,文化財被害が発生いたしております。改めまして,被害を受けられた市民の皆様に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。地震及び7月豪雨における本市の災害対応については,迅速に総括した結果,
ブロック塀対策,災害情報の伝達,
指定緊急避難場所の開設,運営の在り方などの課題が浮き彫りとなりました。総括に基づき,改善に向けて全庁挙げて着実に取り組んでまいります。 一方,台風21号では,本市にとって戦後最大を記録する暴風により,2,000軒を超える家屋被害や最大9万軒に及ぶ,また長期に及ぶ停電,倒木等による道路の通行止め等が発生いたしました。特に停電対応については,地域の皆さんと土木事務所とが一丸となり,倒木の除去など道路の通行止めの解消に向けて全力で取り組み,関西電力の復旧作業の迅速化へ全面的に協力してまいりました。しかし,停電が長期間にわたったことについて,関西電力においてしっかりと対応の総括と,災害時における早期復旧に向けた具体策の構築を強く申し入れているところであります。台風21号への対応につきましても,課題の抽出と改善策を早急に取りまとめ,市民の皆様の安心安全を確保してまいります。また,富議員から御提案いただきました区役所・支所の防災担当者の更なる育成や暴風に対する避難行動等の在り方など,これまでにない新たな対応,対策につきましても課題を整理し,しっかりと検討してまいります。 これらの課題が明らかになる一方で,この夏に発生した一連の災害による尊い人命の犠牲者が出なかったことは,自主防災会,消防団,水防団,社会福祉協議会など,地域の皆様が大きな役割を果たしていただいた結果であると実感いたしております。レジリエント・シティを目指す本市において,ハード面の整備はもとより,こうした
地域コミュニティの活動などのソフト面での取組も極めて重要であります。改めて,市民の皆様に感謝するとともに,この度の災害での経験を自分ごととして捉えていただき,ハザードマップの確認や家具の転倒防止,家庭における備蓄の推進など災害への備えの重要性を再認識しつつ,自助,共助の取組を実践する契機としていただくことをお願いするところであります。引き続き,市民と行政との緊密な連携の下,安心安全なまちづくりに向けまして全力を尽くしてまいります。 次に,
地域コミュニティの活性化についてでございます。富議員御指摘のとおり,本市に大きな被害をもたらした地震,台風を受け,災害対応における地域のきずな,つながりの大切さを改めて再認識したところであります。
地域コミュニティの活性化に向けましては,地域住民の皆様がその重要性を理解し,地域活動に積極的に参加,協力していただくことが何よりも重要であります。自治会や町内会への加入をこの間促進してまいりました。さらに,自治会や町内会の設立,加入等に関して事業者が地域と協議する仕組みである連絡調整制度の対象を,この度,マンションに加えまして,戸建住宅の宅地開発にも拡大するとともに,より早期に協議を始める仕組みに改めるため,条例改正を御提案しているところであり,引き続き,地域と事業者が連携して,自治会や町内会等への加入を促進してまいります。また,今年度から
地域コミュニティサポートセンターと,各区で区民のまちづくり活動を支援しているまちづくりアドバイザーとの連携を進めているところであります。高齢化の進行や担い手不足など運営に悩んでおられる自治会や町内会に対しまして,現場に出向いて課題の把握と取組事例の収集と分析を進め,適切な助言や支援制度の紹介を行うなど,自治会や町内会の計画的,継続的な活動をしっかりと支援してまいります。 今後とも,若い世代の地域活動への参加促進,地域組織の活性化の取組,住宅関連事業者との連携強化など,
地域コミュニティ活性化推進計画に掲げる事業を着実に実施し,自治会や町内会の意義を,新たに転入された方はもちろん,加入されていない方にも積極的に伝えてまいります。 次に,市営住宅におきまして,本市が適正な管理を行っていくため,自治会に大きな役割を担っていただいており,これまで以上に,入居時にしっかりと自治活動の必要性や意義,活動の魅力を説明し,強力に加入を促すことにより,自治活動の活性化を全力で支援してまいります。また,子育て・若年層世帯の市営住宅への居住促進や大学との連携など,新たな地域づくりの担い手を確保するとともに,多様な世代が交流することによるコミュニティの活性化も併せまして取り組んでまいります。 次に,民泊についてでございます。観光客と市民の皆様の安心安全を損ない,地域住民の生活環境を脅かす違法民泊がこの3年余りで全国的に急増する中,私はこれを京都市においては断じて許さないという強い決意の下,地域住民の皆様と共に徹底した対策を進めてまいりました。富議員御指摘のとおり,
民泊仲介サイトの存在によって違法民泊が急増してきたことから,この度制定された住宅宿泊事業法においては,観光庁に仲介事業者の監督権限が付与されております。本市におきまして,大手仲介サイト8社に掲載された4,729件を徹底して調査し,330件の違法民泊を指摘し,削除を強く申し入れたところ,観光庁の指導で直ちに削除が進むなど,掲載状況は相当に改善されてきております。今後も,違法民泊の掲載が判明次第削除要請を行い,観光庁に指導監督の徹底を求めてまいります。 また,市内で営業している違法民泊の根絶に向けましては,全国に先駆けて設置した民泊通報・相談窓口に寄せられた情報等を基に,徹底した対策を採ってきております。平成28年4月から本年8月までの間に,無許可営業の疑いがある2,259施設に延べ6,776回の現地調査を実施し,うち約8割に当たる1,845施設については,無許可営業の中止又は営業実態の喪失を確認しております。また,調査・指導中の違法民泊は,本年5月末の435施設から8月末には122施設まで減少しております。この間,無許可営業疑いの本市への通報は減少し着実に成果を上げておりますが,違法民泊はいまだ市内に存在していることから,引き続き,この度の法律で付与された立入調査などの権限も最大限に活用し,調査,指導を強力に進めてまいります。さらに,繰返しの指導にも従わない悪質な事案には,全国初となる営業停止命令を既に行い,また京都府警察との緊密な連携による摘発も行っており,引き続き,違法民泊の根絶に向けまして厳正に対処してまいります。 宿泊税につきましては,たとえ違法民泊であっても,宿泊の事実がある以上加入対象であり,根絶への取組を徹底すると同時に徴収の徹底も図ってまいります。引き続き,市民生活の安心安全,市民の皆様の豊かさにつながる持続可能な質の高い観光,また,税の公平性の確保に向けまして,市民の皆様としっかりと連携し,違法民泊根絶の取組も一層徹底し加速化させてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 私からは,民有地の
ブロック塀対策についてお答え申し上げます。6月に発生いたしました大阪府北部地震を受けまして,建築・設計団体の協力を得まして新たに創設をいたしましたブロック塀の点検に係る
専門家派遣制度を活用いたしまして,本市の主体的な取組といたしまして,全ての市立小学校の教職員などによる緊急点検の報告に基づきまして,通学路沿いのブロック塀の点検を進めてまいりました。各小学校から報告のあったもの全てにつきまして,現地での点検を8月中に終えております。現在,この結果の精査を行っておるところでございます。対象ブロック塀538件のうち,ひび割れのあるもの,あるいは控え壁がないものなど,専門家の目視でございますが,対応の必要性が高いと判断をしているものは約4割の227件ございました。これらにつきましては,今後速やかに各小学校に通知をいたしまして,交通安全あるいは防犯面も踏まえながら,学校,関係当局が保護者や地域と連携をいただいて,通学路の変更を含めた必要な安全対策を講じてまいります。また,
専門家派遣制度でございますが,通学路沿いの点検に加えまして,ブロック塀の所有者からの依頼,あるいは市民の皆様からの声を受けた派遣も行っております。ブロック塀の所有者には,点検結果をお伝えするということでございます。そのうえで,除却工事への助成制度の活用を含めまして,ブロック塀の安全対策を実施していただくよう本市職員が粘り強く働き掛けるということでございますし,同時に,改善が進まないブロック塀の所有者に対しましては,戸別訪問のうえ指導するなど,強く改善を求めてまいりたいと思っております。また,御指摘いただきましたとおり,安全安心のまちづくりの実現に向けては,所有者からの自主的な申出に頼らず,地域主体の取組を更に広げていく,これが非常に重要であると考えております。このため,各学区で行われます防災訓練などの機会を活用いたしまして,地域ぐるみの防災対策の中で,ブロック塀の安全点検の重要性を改めて啓発していくなど,平時から,地域における関係者の皆様の活動と積極的に連携した取組を進めてまいりたいと思っております。以上でございます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,津田大三議員に発言を許します。津田議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕
◆(津田大三議員) 「秋風に独り立ちたる姿かな」私は,この市役所がございます中京区選出の津田大三であります。先輩の富きくお議員に引き続き,
田中明秀議員,平山たかお議員と共に自民党京都市会議員団を代表し質問させていただきます。冒頭の句は,良寛和尚の句であります。秋の寂しさをうたった句とも,覚悟を決めた決意の句とも言われています。さて,良寛和尚と言えば,禅宗,曹洞宗の僧でありながら,大変自由奔放な方であったと言われています。特に子供たちが大好きで,よくまりつきやかくれんぼなど子供たちと一緒にしていたと伝えられています。そして民衆には,難しい教典を学ばずともよいと教え,子供の純真な心こそが真の仏の心と考え,子供たちを大切にしていたとも伝えられています。良寛和尚の足下にも及ばぬ私ではありますが,子供たちの健やかな成長をしっかり守ることが大切だと考えています。 そこで,まず,児童虐待防止についてお伺いをいたします。本年3月,東京都目黒区において,5歳の女の子が両親からの度重なる虐待によって命を奪われるという痛ましい事件が発生しました。小さな子供のお願い許してとの悲痛な叫びの手紙には,言葉にならないほど心が痛みました。そのほかにも,連日のように,目を覆うばかりの事件が報道されており,命には別状がなかったものの,京都市においても親が逮捕される事案が今年に入ってだけでも2件報道されています。これまでも京都市では体制の拡充に努め,他都市に比べても多くの人員を配置するなど先進的な取組を進めてきました。しかし全国的に見れば,伸びは低いものの,今なお相談件数は伸び続けています。今,児童虐待を複雑化させている要因の一つは,核家族化が進み,世帯が地域から孤立してしまい,母親が養育不安を一人で抱えてしまうことにあります。そのため,母親は誰にも相談することができず,虐待を起こしてしまいます。また,その発見が遅れてしまうという悪い流れになっています。小さな子供たちを守り,痛ましい事件を二度と発生させないためには,早期発見をすることと,重症事案に発展させないことが大切です。そのためには十分な人員を配置すること,専門的知識を強化することが求められます。 このような中,政府は児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議を開催し,7月20日には児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策を発表されました。この対策では,緊急的に実施する重点対策として,全ての子供を守るためのルールの徹底や子供の安全確認を早急に行うほか,児童相談所や市町村の体制と専門性強化の取組をこれまで以上に進めることとしています。さらに,その指針となる児童虐待防止対策体制総合強化プランを前倒しして年内に策定することとしており,初めに児童福祉司,児童心理司等の専門職の職員体制,専門性の強化に触れています。本市において,政府の方針に合致した体制を確保するよう求めます。 しかし,これだけでは,早期発見をするには不十分と考えます。そこで,京都が最も得意とする地域力を活用した取組を進める必要があると考えます。例えば,昨年度の組織改正により,区役所・支所に設置された,子供の総合的かつ専門的な窓口である子どもはぐくみ室が中心となり,子供の安心安全の確保のため,保育園や民生・児童委員など地域の関係機関とも協力し,児童虐待にかかわらず,支援が必要な世帯への切れ目のないきめ細やかなケアを行っていくべきと考えます。子供をたたいてしまうとか,子供がかわいく思えないというようなことは,親御さんがSOSを発信しているということではないでしょうか。この段階で虐待の芽を摘み取る取組が重要と考えます。 さらに,重症事案に発展させないためにも警察との連携強化が必要不可欠です。先の緊急総合対策においても,虐待による外傷,ネグレクト,性的虐待があると考えられる事例のほか,そういった事例のため一時保護や施設入所等の措置をしていた児童が家庭復帰するもの,さらには通告受理後48時間以内に子供の安全確認ができない事例については,全国ルールとして,必ず児童相談所と警察との間で情報を共有することとされています。大阪府をはじめ幾つかの都道府県においては,児童虐待が疑われる全ての情報について警察と情報を共有するような報道がされているところでありますが,私自身は,全ての虐待事案について警察に通報することは現実的ではないと考えています。被疑者の逮捕を目的とする警察に対し,家庭の状況に応じて,親子分離だけではなく親子の再統合を支援する責務を負う児童相談所では,虐待事案の捉え方がそもそも異なります。地域との連携も考えれば,どこまでの情報共有が必要かは議論を要するところであります。今,幼い子供たちの命を守るため,京都市はあらゆる取組を貪欲にしていく必要があると考えます。国が示す人員の拡充はもちろんのこと,それぞれの職員がスキルアップできるようにも尽力し,また,地域との連携も進めていかなければなりません。昨年より組織改変をした各区役所・支所の子どもはぐくみ室の能力を最大限に発揮し得る体制づくりが急務と考えます。さらには,重症事案に発展させないため,警察とどのように情報共有をするのか,明文化する必要があると考えます。児童虐待を京都市から1件でも減らすために,どう取り組むのか,子育て環境日本一をうたう市長の御所見をお聞かせください。 次に,防災計画,避難所の運営についてお尋ねいたします。今年に入り,大きな災害が日本列島で頻繁に起こっています。4月には島根県西部地震,6月の大阪府北部を震源とする大きな地震では5名の方が犠牲となられています。西日本に大変な災害をもたらした7月の西日本豪雨,未曾有の災害となり死者は221名,行方不明者9名となりました。また,8月にはこれまでにない進路を取った台風12号,4名の犠牲を出した20号,9月には京都にも大きな被害をもたらした台風21号,死者は13名。そして北海道で震度7を記録した胆振東部地震,死者41名と大きな災害が相次ぎました。幸いにして京都市においては,様々な被害があったものの,尊い命を失うことはありませんでした。各地で犠牲となられた多くの方々の御冥福をお祈りするとともに,大きな被害があった地域の一日も早い復旧,復興を願っています。 現在,日本列島は,地震の活動期に入ったと言われています。また,地球規模の温暖化現象により,気候が変動し,海水温の上昇と共に台風や豪雨のメカニズムが変貌してきています。今後このようなことは増加すると考えられています。特に西日本に甚大な影響を与えた豪雨災害を見てみると,いわゆるゲリラ豪雨ではありませんでした。短時間雨量はそれほどでもなかったのですが,長時間にわたり降り続いた雨により,死者200名以上と過去と比べても甚大な被害を起こしたものであり,これまでの常識が通用しませんでした。これは今までどおりとはいかない前兆であり,今後災害が起こり得る確率は大きく上がっていると言っても過言ではありません。命を守るためにどのように逃げるのか。避難の在り方も問われていると思います。 そこで,政府の対応はどうであったのか。東京大学大学院の片田教授は,「今回の豪雨災害において行政は,過去の災害には見られない異例の対応を採った。気象庁は,最大限の危機感を持って,早くから特別警戒情報を出すなど,防災機関としての役割を果たした。それに呼応し,各自治体も早い段階から避難勧告などの避難情報を積極的に出すなど,行政の対応は総じて,従来に比べて迅速であったと言える」と言われています。では,避難者の意識レベルはどうであったか。先ほど富議員が指摘されたとおり,十分でなかったと言わざるを得ません。 7月の西日本豪雨災害では,京都市全域に避難指示,避難勧告,避難準備が発令され,ほとんどの地域で避難所が開設されました。これは,京都市にとっては初めての経験と言うべきであります。そこでは様々な課題があったと感じています。一つは,職員の体制や地域の負担です。避難所運営マニュアルは当然できていたものの,各区役所や支所によって職員の対応はまちまちとなっていました。緊急時であり,行政との連絡を密に取りたい地元の自主防災会の方は,そのことで混乱し,現場を離れることもできない状況となりました。消防署や消防団との関わり方にも違いがありました。また避難所である学校の責任者は,学校長や教頭であり,その負担も大きいものとなっていました。 あわせて,観光客や帰宅困難者対策の現実的対応などにも課題があると感じています。民泊などの宿泊者は,避難所に行かれても,ここは観光の方の避難所ではないと言われ,どこに避難すればよいか分からない状況となっていました。また,帰宅困難者対策も日本最大の観光地である京都としては,しっかり取り組む必要があります。幸いにして各鉄道機関が,夜遅くではありますが,運行を再開したため大きな混乱は来しませんでしたが,その対応は急務と考えます。そして私が最も危惧するのは,避難準備情報と要援護者です。元来,避難準備情報とは,高齢者や障害者などの要援護者が早めに避難をするために出されるものです。しかし,避難所である学校体育館などは十分な設備がなく,要援護者の方が避難をちゅうちょせざるを得ない状況となったことです。一例を挙げれば,私の学区では学校体育館は校舎の3階にあり,エレベーターもありません。車椅子の方などは,避難に来られても,一人では避難場所にたどり着くことができません。また,内臓疾患の方にとっても課題はあり,避難所にいる時間が長期になれば,例えば人工透析のように命に関わる設備がそれぞれに必要になってきます。それらを全て避難所に準備しておくことは,余りにも不合理です。であれば,これまでから京都市と協定を結んでいただいている福祉避難所の方にお力添えを得られないかと考えます。もちろん,何でも引き受けてくれでは,施設の負担が大きすぎます。平常時に,疾患や障害をお持ちの方が自分に合った避難場所を確認し,その施設とあらかじめどのような状況になったら避難をするのかを決めておくことが大切です。施設も本人も,今一度省みて計画を考えることが命を守ることになると考えます。 災害は忘れた頃にやってくる,これは過去の言葉です。災害はいつ来てもおかしくないが現在の状況でしょう。災害が起こらなければよい,それがベストではありますが,そういうわけにはいきません。地球環境が大きく変化する中で,我々はどういう行動を取っていかなければならないのか。また,災害の被害を抑えるためにどのくらいの費用を掛けるべきなのか。税金を払うのは,我々市民です。今様々な取組の中で災害に強いまちづくりを進めていますが,当然限界はあります。今あるハードをどれだけ有効に使っていくかが肝要です。また,そのときそのときに何ができるのか,それぞれが考えなければなりません。どんなに文句を言っても,命を落としてしまえば意味がありません。今あるハードを最大限にいかせるベストなソフト対策をしっかりと考え,災害に備えなければなりません。そして,その実効性を担保するためには,個人個人がそれぞれでいかに準備をしておくかが大切です。災害が立て続けに起こった今こそ,市民の皆様に,自分ごと,みんなごととして意識を持っていただき,一緒に防災計画や避難所マニュアルを見直し,対応をすることこそ,行政が果たすべき役割だと考えます。真に災害に強いまちづくりのために,今,どのような対応をされるのか,お聞かせください。 次に,中小企業振興についてお伺いいたします。リーマンショックから10年,この間,安倍内閣による数々の経済対策が功を奏して,景気は緩やかに回復しています。具体的に言えば,第2次安倍内閣の発足以来,5年間で名目GDPは56兆円増え,11.3パーセントの成長を実現しました。また,正社員の有効求人倍率は,統計開始以来過去最高となり,5年半前の,正社員になりたい人100人に対し,たった50人しか仕事がなかったのに対し,今は2倍以上の110人分の正社員の仕事があります。そして,北は北海道から南は沖縄まで,全都道府県で有効求人倍率は1倍を超えています。さらに,経団連の幹部企業への調査では,4分の3以上の企業は,年収ベースで3パーセント以上の賃上げが実現しています。地方経済や中小企業においても,数字上はよい効果が見え始めており,平成29年度の地方税の収入は過去最高の40兆円を超え,中小企業の売上高は全体で前年度に比べ7兆3,743億円増加しています。もちろん全ての方が実感されているわけではありませんが,着実に景気回復への暖かい風が地方にも,中小企業にも吹き始めています。 こうした中,京都市が平成28年度から設置している京都市中小企業未来力会議は,このほど,京都・地域企業宣言を策定し発表されました。この宣言は,地域に根差し,地域と共に歩んできた京都の企業の皆さんが,人口減少社会の到来や
地域コミュニティの弱体化など,数々の困難な時代の転換期にある中,京都の先人たちが築き上げてきた先義後利や不易流行といった理念を大切にして,京都の未来を切り開き,日本の活力源となり,世界の人々の笑顔あふれる未来を創造していくことを力強く宣言されたものであり,自主的な議論の中で生まれたものと伺っており,大変興味深く,意欲的なものと考えています。ただ,地域の企業,とりわけ中小零細企業は,いわゆる後継者不足,担い手不足といった課題に直面しており,これらを背景にした企業の廃業は,現実として増加しています。また,景気回復の実感にも温度差があるのは承知しております。景気回復の果実を地域の隅々にまで行き渡らせ,京都を更に活性化させるためには,地域経済のけん引役として,前向きな企業をしっかりと応援していくこと,あるいは,内需の拡大です。すなわち,京都の内外の人が京都の物を買って,使って,京都の中での経済循環を活性化させていくことが必要だと考えます。そして,京都の未来のためには,地域に根差し,長期にわたり活動してもらえる企業が大切です。一部ではありますが,東京や海外の資本で,今だけ稼げればよいという企業が残念ながら散見されます。今回の宣言は,これらの企業と一線を画し,これまでから長年にわたり京都を支えてきていただいた中小零細企業の皆さんとしっかりとタイアップし,理念ではなく,長期の取組としての支援への道を開くものだと考えています。 そこでまず,この京都・地域企業宣言について,策定の経過や,この宣言に込められた企業の皆さんの思いについて,京都市はどのように受け止めているのか,お伺いいたします。そして,京都の中で経済循環を活性化させるためには,地域の企業がより地域に密着した存在となっていく必要があります。そのためには,この京都・地域企業宣言に示された理念が,多くの市民の皆様に理解され広がっていくことで,地域企業の価値や魅力が再認識され,京都のまち全体の活性化にもつながるものではないかと期待しております。そこで京都市として,この宣言をどういかしていくのか,今後の中小零細企業への支援,また,地域の活性化にどう取り組むのかをお聞かせください。 次に,中学校部活動についてお伺いいたします。先ほどから申し上げているように人口減少社会が既に始まっており,少子化がますます進行しております。当たり前のことではありますが,最も影響が大きいのは当然子供たちであります。そのため,本市でも小学校や中学校の統合が進んできました。また,京都市では現在,小学校と中学校を義務教育の期間と考え,小・中学校の連携を強化し,9年制という考え方を採り入れていこうとしています。これは,小学校と中学校との垣根をなくし,早い段階から地域や子供たち同士の交流を進めていくことで,切れ目のない教育を進めていこうとするものだと思いますが,このまま少子化が進めば,学校統合を市内全体で考えていくための布石となり得るかもしれません。子供たちのために何が最善であるのか,今後大きな議論が必要になると思っています。 このような中,現在少子化が顕著に現れていることの一つに部活動があると思います。生徒数が減れば当然,部活動の数も減ります。やりたいクラブが学校にないとの声も聴きます。また,チーム競技では,部員数が不足し十分な練習ができないことや,チーム自体を組むことができない場合もあると伺っています。現在では,他校の生徒と合同チームを作り,一緒に練習をしている学校もあります。しかしながら,合同チームには条件があり,それをクリアしないとチームとしては認めてもらえません。認めてもらえなければ,残念ながら大きな大会には出場させてもらえないとの問題があります。日本中学校体育連盟で条件の緩和などが議論されているとのことですが,子供たちにとっては大きな問題です。また,今年度に入り働き方改革などの影響もあり,中学校の部活動の在り方が大きく変化いたしました。例えば,土日はどちらかの日の短時間だけしか活動できない。そのため練習試合なども調整が難しくなってきています。また,クラブチーム制を認めるとのことですが,そうなると誰かが責任者となっていただく必要があり,どのチームも活用することはできないのが現状です。教職員の仕事が過密であり,その状況を改善することは大切なことと考えますが,大きな変化に全体的に戸惑いがあるのも事実だと思います。今問われているのは,少子化の中で子供たちのためにどうあるべきなのかではないでしょうか。 私は,中学校での部活動は,子供たちの心と体を育むために大変重要な役割を担っていると考えています。子供たちが力一杯自分たちの限界に挑戦し,大切な仲間たちと出会い,人生の糧とでき得るよう,その環境整備に取り組むことこそが本旨でなくてはなりません。法律でできなくなったのであれば,どうすれば全ての子供たちの環境を作ってあげることができるのか考えなければなりませんし,ましてや大人の組織の都合や,大人の狭あいな考え方のせいで,子供たちに犠牲を払わせるようなら,それは教育とは呼べないのではありませんか。中学校での部活動がより良い方向になるよう導いていくためには,多くの地域と連携して声を上げ,日本中学校体育連盟や政府にもしっかりと話をしていく必要があると考えます。中教審などでも活躍された市長からの強い発信を期待するところですが,御所見をお聞かせください。 最後に,地元要望をさせていただきます。一つは,後院通の整備及び無電柱化事業であります。御案内のとおり,後院通は京都市内の中心部の中では珍しく,千本三条から四条大宮を結ぶ碁盤の目に対し斜めの幹線道路であります。この道沿いには,元々京都市交通局の本局があり,市電の通っていた道でした。約40年前に市電が廃止され,そのとき,線路の上を覆うようにアスファルト舗装され,車道が拡幅いたしました。しかしながら,その経緯のため,道路は元々かまぼこ状になっており,舗装が陥没しているなど問題も多く,地元からは早期の整備を早くから求めてきました。私が議員となった15年前に無電柱化路線に指定され,解決が図られるものと思っていましたが,バリアフリー法により四条大宮の一部はきれいにされたものの,いまだ改善されておりません。
自民党市会議員団の要望でも,少なくとも10年前から毎年要望をいたしております。本年に入り,下水道管の布設替えと同時に,道路も整備,無電柱化するとの方向で設計が始まったと伺っておりますが,私が学生の頃から続く地元の切実な願いを一日でも早くかなえていただきますよう強く要望いたします。 もう一つは,西高瀬川の安全対策と歩道の拡幅であります。一級河川である西高瀬川は,京都府の管理する河川でありますが,特に三条通に面している部分については小学生の通学路となっており,また,多くの子供たちが付近で毎日遊んでいます。この間に何本かの通路橋が架かっていますが,一部の橋には欄干もありません。水はほとんど流れておらず,地面から川底までは約3メートルほどあります。以前より地元で子供たちの安全を見守ってくださいます
交通安全対策協議会の方から,安全を確保するために取り組んでほしいとの願いを受けてきました。この西高瀬川は合流式の下水道ともなっており,京都府では大雨の際にオーバーフローするのではないかと危惧されています。しかしながら,京都市上下水道局により西ノ京地域に大きな貯水管を通していただき,その危険性は大幅に改良されています。現在,河川の安全管理をしつつも,子供たちの危険を排除できるよう歩道拡幅のための設計調査がされ,京都府とも議論をしていただいているとお伺いしていますが,子供たちの安全や事故をなくすためには,一日も早い着工を願っております。難しい局面はあると思いますが,このことも少なくとも平成24年から要望をしております。安全対策としてしっかり取り組んでいただくよう併せて要望いたします。 さて,冒頭の良寛和尚は,ただ自由奔放であったと思われがちですが,実際は仏道を極めるために深く考え,清貧を守り,自らにも厳しい人であったと思います。同時に,為政者や僧侶に対しても厳しい目線,人間観を持っておられたようです。志もないのに説法と言いわめき散らす僧侶や,名誉や利得に走る者に厳しい批判の言葉を残しておられます。私は,冒頭の句には強い決意があるのだと考えています。物事を前に進めるためには覚悟が要ります。もうすぐ平成の時代が終わり新しい時代が訪れようとしています。新しい時代に向け,今残っている課題をしっかりと清算しておかなければなりません。私自身も一政治家として,覚悟を持って臨んでいきたいと考えています。これからの時代のため,市長をはじめ,関係理事者の皆さんが先送りでなく次の時代が大きく羽ばたくよう覚悟ある答弁をしていただくことを期待して,私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 まず,児童虐待についてでございます。昨今,全国各地で児童虐待に係る痛ましい事件が相次いでおりますが,これは,津田議員御指摘のとおり,かつてないほど子育て家庭が社会の中で孤立しており,身近な人に相談できないことが大きな要因になっている,私もそのように危惧し心を痛めております。子供たちの命を徹底的に守り抜く。そして,安心安全な環境で,子供たち一人一人が尊重され,健やかに育っていけるよう,地域と一緒になって見守り,支えていく,そんな取組の必要性を改めて痛感いたしております。本市におきましては,これまで子供の安全確保を最優先とし,迅速かつ的確に対応するため,児童相談所における種々の研修や弁護士からの指導,助言等を受けながら専門性を高めるとともに,全国トップクラスの児童福祉司の配置など体制を強化してまいりました。社会的な関心の高まり等を背景として,虐待通告が現在も増え続けている状況を踏まえまして,児童相談所の体制の更なる強化を図ってまいります。また,虐待の未然防止はもちろん,子育てに何らかの不安や困難を抱える世帯を幅広く支援するため,昨年4月に開設いたしました区役所・支所の子どもはぐくみ室におきましては,生後4箇月までの子供がいる全ての家庭を訪問するこんにちは赤ちゃん事業や乳幼児健診等を通じまして,身近な地域における切れ目のない支援にしっかりとつなぎ,取り組んでまいります。さらに,地域と連携し,子育て家庭に寄り添える区役所・支所の強みを最大限にいかし,子育てに不安を抱える保護者や,発達等に課題を抱える子供さんなどを見守り,支援していくために,子育て支援機関や学校等との連携強化をはじめ,子どもはぐくみ室における取組や支援体制についても強化してまいります。 次に,児童相談所と警察との情報共有につきましては,重篤な事案に速やかに対応するために,より一層強化することが必要であります。その一方で,津田議員も御指摘のとおり,全ての虐待事案につきまして情報共有をすることは現実的ではなく,適切な一定の基準が必要だと私も考えております。現在,情報共有の在り方につきましては,弁護士や医師,児童福祉関係者等からの御意見を伺いながら検討を深めているところであり,本年11月の全国児童虐待防止推進月間までに,共通のルールをまとめた協定を京都府警と結んでまいります。私は,児童虐待から全ての子供を守っていく決意の下に,子供の安全確保はもちろん,一人一人の子供が健やかな育ちと学び,これを保障していける,そのために京都ならではの地域力をいかし,地域ぐるみで見守り,子育て家庭を支えていくことができるように,地域とも一体となって今後も全力を傾けてまいります。 次に,地域企業宣言及び中小企業振興についてでございます。京都市中小企業未来力会議では,伝統産業から先端産業,サービス業など幅広い企業の若手経営者の皆さんが中核となり,業種横断的に議論し,新たなビジネスの創出などを目指して自ら行動されるとともに,今日的課題に即応した振興策を検討し提言されてまいりました。私も会議に出席する度に,熱い議論に毎回感動してまいりました。本市では,未来力会議での意見やアイデアを積極的に取り入れ,この間,18の事業を予算化するなど連携を深め,現場の声を政策に反映させてきております。こうした中,未来力会議がこのほど発表された地域企業宣言は,平成28年度の会議創設以来,延べ1,164名の参加者の皆さんが侃々諤々の議論を経て取りまとめられたものであり,SDGsの理念を踏まえた,正に,京都の地域力,人間力,未来力の結晶であり,京都には歴史と伝統の中で,それぞれの地域にしっかりと根を張って,何代にもわたって営まれてきた企業が数多く存在しています。同時に,産学公連携などをきっかけに,多くのベンチャー企業等も生まれてきております。このことから,宣言では,私たちは規模を基準とする中小企業ではなく,地域と共に継承,発展する地域企業であると高らかにうたわれました。さらに,経済の発展だけでなく,地域の文化,安心安全,そして地域の未来を創造し,地域企業が持続可能な社会のモデルを作っていくと力強く宣言されました。この宣言は,先日,京都で開催された中小企業団体全国大会でも発表され,全国の多くの中小企業のリーダーの方々に共感の輪が広がっているところでございます。 こうした未来の京都の担い手の皆様の熱い思いに,私自身,深く感銘を受けるとともに,改めまして,地域企業の皆様と共に京都の未来を切り開いていく決意でございます。そのうえで,この宣言を踏まえた具体的な取組が極めて重要と考えており,宣言の理念を,地元の企業はもとより市民全体に広め,しっかりと根付かせていくとともに,宣言の実践を支援し,地域企業の振興策を一層充実させてまいります。具体的には,まずは,未来力会議での議論やビジネスアイデアを実現させるコーディネート機能の強化をはじめ,安心安全など地域と密着した企業活動への支援,さらには,宣言を実践する企業への顕彰制度の創設等を進めてまいります。今後,宣言の理念を軸に据えまして,あらゆる政策,施策を総点検し,担い手不足対策,事業承継支援,企業間連携の促進をはじめとする地域企業への支援を推進することで,津田議員御指摘の内需の拡大,また,域内循環の強化,ひいては京都経済の更なる活性化を目指し,全力で取り組んでまいります。 次に,中学校運動部活動についてでございます。京都市では,熱意あふれる教職員と,全ては子供たちのためにと御尽力いただいている多くの保護者,PTA,地域の方々の力の総和により,
全国トップ水準の教育実践が展開されてきており,文部科学省の全国学力テストでも本市立小学校の子供たちは政令指定都市で学力が1位になるなど全国から高い評価を受けるに至っております。子供たちに豊かな心と体を育むためには,津田議員御指摘のとおり,部活動の果たす役割も極めて重要であります。こうした中,本市では,少子化が進む中においても子供たちの多様なニーズに応え,複数の部が合同で活動する合同部活動や,在籍校に希望する運動部がなくても他校の部活動に参加できる取組を,私の教育委員会在職時から現場の知恵をいかし先進的に実施するなど,生徒数の減少という課題に直面している中学校における運動部活動の充実に努めております。さらに,京都市中学校体育連盟では,部員数が少ないため単独で大会に参加できないチーム同士が,合同チームとして大会に参加できるように,全国に先駆けて,軟式野球やサッカーなど8種目において合同チームの大会参加が制度化されております。一方,津田議員御指摘のとおり,合同チームの編成には一定の条件があることや,大会参加が可能な種目が限定されていることなどの課題があり,全国的な状況を踏まえまして,教育委員会において関係機関と協議して充実を図ってまいります。 また,御指摘の活動時間や休養日の基準の設定につきましては,子供たちが学習や家庭で過ごす時間などバランスの取れた学校生活を送り,より安全で充実した効果的な部活動をすると同時に,教職員の働き方改革として指導に係る負担を軽減することを目的に,スポーツ庁の部活動ガイドラインを踏まえ,本年4月に本市のガイドラインを教育委員会において改訂し示されているものでございます。こうした下での指導体制の充実等に向けまして,一昨年度,教育委員会からの強い要望を踏まえまして,派遣できる外部コーチ数を3倍にし,対象の部活動も約140に拡大したところであります。さらに,今年度,部活動を単独で指導や引率できる部活動指導員を45名に拡大するなど条件整備に着実に努めてまいりました。私といたしましても,子供たちの知・徳・体の調和の取れた成長を図る教育環境を整えるため,生徒や保護者,学校現場の声を真摯に受け止めまして,本市が先進的に実施してきました各種の取組を他の政令市とも連携して,機会あるごとに文部科学省,スポーツ庁等に要請もし発信してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 私からは,災害対策についてお答えを申し上げます。今年度は,ここまで地震,4日間の長期にわたる豪雨,3度の台風襲来と,本市においても大規模な災害が立て続けに発生しているのは御案内のとおりでございます。そのうち7月豪雨でございますが,予想を超える長期間の記録的降雨でございまして,180学区100万人以上の方を対象とした,これまでに経験のない大規模な避難勧告などを発令させていただいております。この避難勧告などが発令された地域におきましては,消防団,水防団,そして自主防災会をはじめ,地域の皆様の献身的な活動によりまして,被害を最小限に食い止めることができたということで,改めて感謝を申し上げる次第でございます。一方で,この7月豪雨の後行いました災害対応の検証でございます。この結果では,
指定緊急避難場所の運営など,様々な課題も浮き彫りになってきているところでございます。御指摘にございました,避難場所を運営される地元の皆様の御負担もその一つでございます。地域による自主的な運営は確保しつつも,行政によるサポート体制,これがどのような在り方なのかということについて検証してまいりたいと思っております。また,高齢者あるいは障害をお持ちの方々などの要援護者が避難場所に来られたときの対応,こうしたものにつきましても社会福祉施設や各種団体,地域ともより連携を深める中で,必要な対策を講じてまいりたいと思っております。さらに,外国人観光客などに対しまして,実際には観光オフィシャルサイト,あるいはSNSなどを活用しまして情報を発信していたわけでございますけれども,鉄道事業者や一時滞在施設に御協力いただく事業所の方々などとも連携をいたしまして,鉄道の運行情報など,より効果的な情報の発信手法を検討してまいりたいと思っております。 地域の皆様には,東日本大震災の教訓を踏まえた避難所運営マニュアル,あるいは平成25年の台風18号を踏まえました防災行動マニュアルなどを活用いたしまして,訓練や災害対応に御尽力をいただいているところでございます。今般の度重なる災害を自分ごと,みんなごととして捉えていただきまして,
指定緊急避難場所の開設における地域での役割分担,あるいは運営方法のほか,地域ぐるみでの防災行動など,即応性,実効性の高い対応を図っていただき,更なる取組を進めていただけるよう,本市といたしましても共に考え,そして全力でサポートしてまいりたいと,このように考えております。毎年のように発生する様々な災害に対しまして,これまで以上に地域の皆様方との連携を深め,行政と市民一体となった災害対応が実施できるよう,引き続き,全庁挙げて取り組んでまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
田中明秀議員に発言を許します。田中議員。 〔
田中明秀議員登壇(拍手)〕
◆(
田中明秀議員) 西京区選出の田中明秀でございます。富きくお議員,津田大三議員に引き続き,平山たかお議員と共に
自由民主党京都市会議員団を代表し市政一般について質問をさせていただきます。理事者の皆様方には誠意ある答弁をお願いいたします。 9月20日,私ども自由民主党の総裁選が行われ,安倍総裁が3選されました。この総裁選挙中,京都で初めて候補者所見発表演説会が開催され,多くの党員,党友,一般の方にも御参加いただく中で,門川市長,3名の副市長にも両候補の所信の一端をお聞きいただきました。その中で,石破候補からは,「文化庁京都移転が成功しなければ地方創生は進まない」,安倍総裁からは,「訪日観光客4,000万人を実現していく。京都はその先頭に立っていただきたい」と,それぞれ門川市長にエールを送られていました。訪日外国人旅行者数は,2012年,836万人が2017年には2,869万人と大きく伸び,京都市内も多くの旅行者の方であふれています。好調な観光は一方で市民生活に大きな影響を与えているのも事実であり,私が本年度委員長を拝命いたしました産業交通水道委員会では,観光客増に伴う混雑対策を年間テーマに掲げ議論をしているところです。 先日示された平成29年度交通事業決算において,自動車運送事業は1日当たりのお客様数が前年度比5,000人増の36万8,000人,経常損益は23億円の黒字を確保とありました。また,高速鉄道事業は1日当たりのお客様数38万7,000人,経常損益は2億円の黒字,現金収支も94億円の黒字を確保し,1年前倒しで経営健全化団体から脱却されました。しかしながら,市バスは今後多数の車両更新が必要であるとともに,委託先を含めたバス運転士,整備士不足による人材難や経費増が見込まれます。地下鉄事業においても累積資金不足は309億円に上る全国一厳しい経営状況でありますし,今後10年間で烏丸線の新造車両や両線の設備更新に700億円を超える多額の費用を要する見込みであるとされています。交通局におかれては,コトチカの展開,終電の延長やシンデレラクロスなど積極的な経営を展開されてきましたが,引き続きこのような姿勢で市バス・地下鉄事業を運営されていかれるのか,厳しい経営状況が見込まれる中,今後どのように事業展開されていくのか,決算の評価と共に,市長のお考えをお聞かせください。 次に,市バスの混雑解消についてお伺いいたします。近年の入洛客の増加による増客は市バスの経営改善に大きく寄与するものであり,私といたしましても大変喜ばしく感じておりますが,入洛客の増加に伴い,市バス車内が混雑し,生活の移動手段として御利用される市民の皆様が市バスに乗れない状況も見受けられます。平成29年度の京都観光総合調査の結果において,日本人観光客,外国人観光客問わず,残念だったこととして,バスが混雑して乗れなかったという声が挙げられています。これまで交通局においてラッシュ型車両の導入や路線・ダイヤに合わせた市バスから地下鉄への利用促進など,様々な混雑対策を講じてこられたことは十分認識いたしております。しかしながら,市民生活に影響が生じている実態を踏まえますと,現状の対策にとどまることなく,一歩踏み込んだ取組が必要であると考えます。例えば,観光系統にキャリーバッグに対応した車両を投入する,あるいは観光客の方々が観光系統のバスだと一目で分かる工夫をするなど,分かりやすく実効性の高い施策を検討すべきと考えますが,いかがですか。また,市バスの混雑緩和に効果が期待できる前乗り後降り方式については,洛バス100号系統だけでなく更に拡大すべきと考えますが,今後の展開についてどのように考えておられるのか,併せてお答えください。 次に,上下水道事業についてお尋ねいたします。平成29年度は,平成20年度から10年間に取り組むべき課題や目標を定めた京の水ビジョン及びその後期5箇年の実施計画である中期経営プランの締めくくりの年として,目標達成に向け着実に事業を推進され,水需要の減少傾向が続く中にもかかわらず,営業所の再編などの効率的な運営に努められ,水道事業で3年連続,公共下水道事業で8年連続の黒字を確保されました。しかし,6月の大阪府北部地震,7月豪雨,台風12号,今月に入っての台風21号,北海道地震と日本列島は立て続けに大規模災害に見舞われ,各地に甚大な被害がもたらされ,異常気象と言われてきた現象は今や日常的になったと言っても過言ではなく,私たちはその認識の下に今後の防災,危機管理の対策を講じていかなければなりません。ここに,被害に遭われた皆様に,衷心よりお見舞い申し上げます。 さて,これら災害の被災地では,水道関連施設が壊滅的な打撃を受け,大規模な断水が発生しました。被災者からは,「最も困ったのは水」といった声が上がり,生活インフラとしての上下水道の重要性を改めて痛感させられました。本市上下水道局も発災後直ちに職員を被災地に派遣され,応急給水活動を実施されました。また,本市の水道・下水道に目を移しますと,昭和の高度経済成長期以降に整備された大量の管路や施設の老朽化が進んでいます。平成23年に西京の洛西地域で水道管の破裂や漏水等の事故が頻発しました。それ以降,老朽化した水道配水管の更新・耐震化に重点を置き,更新率を段階的に引き上げ,計画的に整備を進めてこられました。あわせて,雨水幹線の整備をはじめとする雨に強いまちづくりの取組を積極的に進めてこられたことにより,大雨の際に市街地が浸水することは大幅に減少してきたと実感しています。レジリエント・シティとして,災害に負けないライフラインを構築するためには,これらの事業を引き続き着実に推進していく必要があると思います。 一方,市民の節水意識の高まりや節水機器の普及などにより水需要の減少が続く中,上下水道事業の経営は厳しさを増しており,限られた財源の中で,いかに効率的,効果的に事業を推進していくかが課題になっています。平成29年度決算では,水道・下水道事業共に黒字を確保されているものの,水道料金,下水道使用料収入は前年度と比べて減少しています。今後も更新が必要な管路,施設が増加していく一方で,人口減少等により収入の増加を見込むのは困難です。厳しい財政状況が見込まれる中でも,市民の命と暮らしを守るため,老朽化が進む水道配水管の更新,耐震化や豪雨被害に備える浸水対策を着実に進めていく必要があります。市長の見解,決意をお聞かせください。 次に,本市の農業を支える農業用水路やため池等の利水施設の維持管理対策についてお尋ねいたします。本市は,ブランド野菜である京野菜の生産をはじめとする農業が盛んであり,そのための水の確保は農家にとって欠かすことのできない農作物を育てるための生命線であります。農家は,水の安定供給に必要な農業用水路やため池など整備して水を十分に確保されてきました。そして,これら農業用水路やため池などは農業に必要な水を確保するという役割だけでなく,洪水調節のほか,生物の生息場所や地域の憩いの場になるなど,多面的な機能を果たしています。農業用水路等は,京都市内の都市部において網の目のように張り巡らされ,その多くは地域の農家が共同で日常的な維持管理を担ってこられました。しかし,農業用水路等はひ門の開閉や水路の見回り,泥のしゅんせつ,不法時の監視などの日常的な管理が重要でありますが,農業用水として利用する農家が減少しており,それを管理する農家一人当たりの労力負担も増しています。農家の皆様との日々のやり取りの中で,高齢化や後継者不足の進展など,今後も農業用水路等を責任を持って管理していくことは困難であるとのお話も伺っています。さらに,近年の異常気象による局地的豪雨が増える中,農業用水路等から水があふれることで地域住民への被害が及ばないよう,休日,夜間を問わず,水門の開閉作業を行う回数も増えており,農家の負担は一層重くなっています。様々な役割を有する農業用水路等について,維持管理を担う農家の皆様の高齢化が進む中,今後も適切に維持管理がなされるような具体的な対策を進めていくべきと考えますが,いかがですか。また,ため池は所有者が複数に及んだり,工事費用の負担が重かったりと改修工事の合意形成も容易ではないのが実態です。使われなくなったため池も混在しています。老朽化が進んでいるものなど,必要な整備を急ぎ,安全性を高めていかなければならないと思いますが,お考えをお示しください。 次に,受動喫煙防止対策についてお尋ねいたします。厚生労働省の資料によれば,受動喫煙により肺がん,心疾患,脳卒中などで,年間1万5,000人の方々が亡くなられていると推計されています。たばこの煙は副流煙の方が有害で,1回の呼気で7メートルまで広がると言われています。たばこの煙が原因で健康被害を被る受動喫煙,これを放置することはできません。国では,学校,病院,飲食店など施設の種類ごとに施設の管理者や利用者の禁煙ルールを義務化し,罰則を含む改正健康増進法を2020年4月から完全実施することとされたわけでありますが,この規制をもって全てが解決するわけではありません。目指すべきは望まない受動喫煙による健康被害をなくすことであり,法による規制はその第一歩にすぎません。更に言えば,法の規制がしっかりと守られなければ第一歩にもならないわけであります。まず,法規制の内容が遵守されるよう徹底しなければなりません。しかし残念ながら,例えば飲食店の禁煙店舗は独自条例を定めた自治体においても約3割程度にとどまっており,ルールが徹底できなければ法律や条例を定めてもそれで解決とならないわけであります。それぞれの施設に対する法の規制が絵に描いた餅にならないよう徹底し,実効性をしっかりと確保することが重要であります。加えて,法の規制が及ばないあらゆる場面における対策の推進が重要であります。特に健康被害の影響が大きい妊娠されている方や子供,治療中の方などへは十分な配慮が必要です。健康被害をなくすという観点に立てば,例えば家庭内において長期にわたって子供や妊産婦が受動喫煙にさらされることの影響は非常に大きなものがあります。家庭内のことへの規制は困難ということは理解いたしますが,あらゆる場面において受動喫煙が防止されるようしっかりと施策を推進し,妊娠している方や子供の健康を守っていかなければなりません。そして,喫煙者はもとより市民や施設管理者にしっかりと働き掛け,受動喫煙に対する正しい理解と協力の下,行政と市民,事業者が一体となって取組を進めることが重要であります。 そこで,お伺いいたします。京都市においても今年度,飲食店等の受動喫煙防止対策の調査を実施しており,昨日にはその徹底した調査に向けた補正予算が可決されたところですが,現状をどう把握されていますか。法による受動喫煙防止対策をどのように徹底されていかれますか。そして,子供の健康を守る観点から,法の規制が及ばない場面における受動喫煙に対して,どう取り組んでいかれますか。また,喫煙できる場所もしっかり確保していくことも進めていかなければならないと思います。市長の御所見をお聞かせください。まず,ここまでの答弁を求めます。よろしくお願いいたします。
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
田中明秀議員の御質問にお答えいたします。 平成29年度交通事業決算についてでございます。私の市長就任当時,危機的な状況にあった市バス・地下鉄の事業につきまして,経営改善は市政の最重要課題の一つであり,この間,全庁を挙げた利便性の向上,増客の取組,コストの削減をはじめとした改革を断行し,経営健全化に努めてまいりました。29年度決算では市バス・地下鉄共に通勤・通学時間帯の増便などに取り組んだ結果,定期券の利用をはじめとしたお客様の増加により両事業とも黒字を計上し,地下鉄事業については,計画より1年前倒しで経営健全化団体から脱却いたしました。しかし企業債等の残高がこの10年で1,300億円減少したとはいえ,なお3,629億円に上るなど,依然として全国一厳しい状況に変わりありません。また,今後10年間では,バス・地下鉄両事業で車両,設備等の更新に1,000億円もの多額の費用を要するほか,バス運転士,整備士の不足に伴う委託料の大幅な増加が見込まれるなど,両事業とも決して楽観できない厳しい経営状態であり,安定した経営を目指しまして新たな挑戦に挑まなければなりません。今後とも積極的な経営姿勢により,お客様目線に立った利便性向上の取組を推進するとともに,より効率的な事業運営に努め,社会情勢の変化を踏まえて的確な経営判断を行い,市バス・地下鉄が将来にわたり市民の足として公共交通優先のまちづくりを支えていくことができるよう全力で取り組んでまいります。 次に,上下水道事業でございます。水道,下水道は掛け替えのないライフラインであり,市民生活の安心安全,京都経済を守るには災害に強い強じんな上下水道を構築する必要がございます。私が市長就任以来,老朽化した水道配水管の更新を重点的に実施し,平成29年度の更新率は10年前の2.4倍となる1.2パーセントを達成いたしました。また,浸水対策につきましては,これまでに1,636億円を投じて学校プール1,200基分に相当する47万トンの雨水幹線等を整備いたしました。この結果,5年に1度の大雨に対応する雨水整備率は,全国平均の58パーセントを大きく上回り,全国トップクラスとなる91パーセントとなりました。これらの取組が功を奏し,この間の大阪北部地震や7月豪雨の際には,浸水等の被害を最小限にとどめることができました。今後も起こり得る大規模災害に備えまして取組を更に加速させてまいる決意であります。引き続き,管路,施設の改築更新,耐震化を推進し,水道配水管の更新率を更に1.5パーセントに引き上げ,老朽配水管の解消率は,現在の23パーセントから10年後の平成39年度に76パーセントを目指してまいります。また,雨水幹線等の整備も着実に前進させ,10年に1度の大雨に対応する整備率を10年後には現在の1.5倍以上となる43パーセントに高めてまいります。水需要の減少が続き,厳しさを増していく経営環境の中ではありますが,あらゆる経営努力を尽くすとともに,資金確保のための必要な手立ても検討し講じながら事業の推進に全力を傾注してまいります。 次に,喫煙防止対策についてでございます。京都市では,平成25年度に飲食業や旅館業の事業者組合で構成される連絡協議会及び京都府,京都市の3者で協定を締結し,店頭表示ステッカーの普及に取り組むなど,これまでから受動喫煙の防止に向けた取組を市民ぐるみで進めてまいりました。今回の法改正に基づく受動喫煙防止対策につきましては,本年6月に実施した大規模な実態調査において,学校や病院等の第一種施設及びバス,タクシー等につきましては,法施行後,法令に定める対策を遵守することを確認しております。今後着実に実施されるよう徹底してまいります。また,飲食店については,独自条例を既に制定されている他の自治体では,屋内全面禁煙が3割程度にとどまっているのに対しまして,本市では,約5割が既に屋内全面禁煙としており,これまでの取組の成果が着実に現れていると認識いたしております。引き続き,今回御議決いただきました補正予算を活用し,未回答の飲食店に対しまして電話や個別訪問を行うことで,約1万6,000店舗に及ぶ飲食店の実態を早急に把握し,規制内容の周知や屋内全面禁煙実施に向けた指導を徹底してまいります。また,健康への影響が大きい子供や妊産婦等への対策につきましては,母子健康手帳交付時などを通じまして,対面でその重要性をしっかりと説明するなど,実効性ある取組を進めてまいります。喫煙場所の確保につきましては,利用マナーや周囲への影響といった様々な課題も含めまして,今後の在り方について検討してまいります。 以上でございます。副市長及び関係理事者が答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 農業用の利水施設の維持管理についてでございます。農家の皆様が農業を続けていくうえで,水路やため池などの利水施設は極めて重要な産業基盤でございます。本市ではこれまでから,水路や水門の補修に際しまして設置者への支援を行いますとともに,利用者が少なくなった水路につきましては,治水機能を強化したうえで,農家に代わって本市が管理することを計画的に進めてまいりました。今後も,農家の皆様の高齢化や兼業農家の増加が見込まれる中,適切な維持管理と災害時における迅速かつ的確な対応が図られるよう,例えばですが,水門の遠隔開閉装置などIoT技術のモデル的な導入も視野に入れまして,農家の負担の軽減を図りつつ,水路の安心安全の確保に努めてまいります。また,ため池につきましては,これまでから堤防の補修などへの支援を行ってまいりましたが,利用者が減少したため池につきましては,代わりの水源を確保したうえで廃止するなど,地域の営農実態に即した対応を講じてまいります。こうした取組に加えまして,農業用の利水施設が治水機能など多面的機能をも担っていることについて市民の皆様にしっかりとお伝えをし,地域ぐるみで維持管理につながる取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(山本耕治) 市バスの混雑対策についてでございます。近年,市バスのお客様数は大きく増加してまいりましたが,外国人をはじめとする観光客の増加も相まって一部の路線では車内が混雑しており,市バスの混雑対策は喫緊の課題であると認識をいたしております。このため,この間,系統数を74から84に増やし,バス車両を54両増車することで,路線・ダイヤの充実や利便性の向上を図ってまいりました。田中議員御指摘のキャリーバッグの持込みに対応した車両の導入及び観光系統車両のデザイン変更については,現在,具体化に向けて検討を進めているところでございます。また,バスの停車時間の短縮やお客様の車内でのスムーズな移動に効果のある前乗り後降り方式については,来年3月に洛バス100号系統に導入し,その後,順次,洛バス101号系統及び102号系統などの観光系統への拡大を図ることとしております。引き続き,市民の皆様にも,京都を訪れる観光客の皆様にも,共に便利で快適に御利用いただける市バスを目指してまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博)
田中明秀議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時50分休憩〕 〔午後1時2分再開〕
○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。
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○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続し,
田中明秀議員に発言の継続を許します。田中議員。 〔
田中明秀議員登壇(拍手)〕
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田中明秀議員) 午前中に引き続き,質問をさせていただきます。西京区選出の田中明秀でございます。 西京区役所の総合庁舎化についてお尋ねいたします。西京区は昭和51年に右京区から分区し,分区当時の人口は約9万人でした。その後,桂駅を中心とした市街地の発展,洛西ニュータウンの整備,桂坂の住宅開発などにより,現在は約6万3,000世帯,約15万人となり,市内で4番目に人口が多い行政区に発展してまいりました。京都の西玄関口として西山連峰の豊かな自然環境を有し,名勝嵐山から大原野まで,歴史ある寺社や町並みなど,自然や文化に恵まれており,京都市の課題でもある観光地の広域化や,観光客の分散化を進めるうえでも重要な地域であります。市長は就任以来,市民に最も身近な行政機関である区役所を最重要視され,時代や環境の変化を踏まえた区行政の在り方を検討し,区役所改革に着手してこられました。市内11行政区に各区役所と三つの支所が設置されており,保健,福祉などに関する業務を含め,1箇所で取り扱うことにより市民の皆様の利便性の向上を図る区役所の総合庁舎化の取組も進めてこられました。平成21年度には伏見区役所が総合庁舎化し,その後,23年度には左京区,26年度には上京区と順次総合庁舎化が進められており,残すは西京区役所のみとなっています。現在,西京区役所については保健福祉センターの一部,具体的には子どもはぐくみ室と医療衛生コーナーが約600メートル離れた場所にあり,児童手当や子ども医療の申請などは区役所でも受け付けるといった工夫はされているものの,業務に応じて訪問していただく庁舎が違うという不便な状況にあります。「はばたけ未来へ!京プラン」第2ステージや,新たな区政創生~京都市における区政の在り方について~において,西京区役所総合庁舎化の検討が掲げられており,区民の利便性向上を図るためにも,西京区役所と保健センターを一体とした総合庁舎の整備について早期に取り組んでいく必要があると考えますが,西京区役所の総合庁舎化の実現に向けての市長の決意をお聞かせください。あわせて,西京区全体を視野に入れながら,どのように洛西地域のまちづくりを総合調整していくのか,お考えをお聞かせください。 次に,洛西ニュータウンにおける小中一貫教育についてお尋ねいたします。人口15万人の西京区にも,少子高齢化が顕著になってきました。西京区全体で人口はこの10年間で約3パーセント減少しており,中でも洛西地域は約9パーセントの減少で,区役所・支所ごとのエリアで見ると最大の減少率となっています。特に洛西ニュータウンの小中学校の児童生徒数はピーク時に8,500名であったところ,現在約1,500名となっており,当時新設された小学校4校のうち3校で1クラスしかない学年が発生するなど,洛西ニュータウンの児童生徒数は大きく減少しています。このような状況の下,地元住民や事業者,NPOの代表,学識経験者などによる検討委員会での協議を経て,平成29年3月に策定された洛西ニュータウンアクションプログラムにおいて,ニュータウンの将来を展望した更なる活性化に向けた検討を進める方針の中で,児童数,生徒数減少への対応と小中一貫教育の推進や先進的な学校づくりを検討することが掲げられました。 洛西ニュータウンの中でも,特に昭和57年に開校した竹の里小学校においては,平成2年に児童数が1,269名となりピークを迎えた後は減少傾向となり,現在177名とピーク時から1,000名以上の大幅減,来年度は全学年1クラスとなる見込みであり,クラス替えができずに人間関係が固定化する,学校生活の中で切磋琢磨する機会が少なくなっているなどの現状を保護者の皆さんも大変心配され,平成28年5月に竹の里小学校PTAの特別委員会,竹の里小学校の未来を考える会を設置され,保護者アンケートの実施や小中一貫教育校への見学など検討,協議を積み上げてこられました。そして,平成30年3月の竹の里小学校PTA総会において,子供たちのより良い教育環境を整え,新しい学校づくりに向けて,福西小学校と統合して西陵中学校と合わせた小中一貫教育校の早期の創設を目指した取組を推進する決議が採択されました。現在,洛西ニュータウンとほぼ同時期に造成された向島ニュータウンを含む向島地域において,3小学校と1中学校を合わせた義務教育学校,向島秀蓮小中学校の平成31年4月開校に向けた準備が進められていますが,この度の竹の里小学校PTAでの決議を契機として,現在,竹の里小学校の地域でも,また福西小学校,西陵中学校のPTAでも議論が進められており,洛西地域で義務教育9年間を通して子供たちを育むことのできる地域のシンボルとなる夢と希望にあふれた学校の創設が実現することは,地域全体の活性化に大きく寄与するものと期待されます。現在の取組状況や今後の見通しも含め,洛西ニュータウンの将来を展望した新たな学校づくりに対する教育長のお考えをお示しください。 あわせて,今後の西京区の発展を目指すためには,公共交通の充実が不可欠であります。特に,地下鉄東西線の西伸については,これまでから多くの会派,議員の皆さんが質疑されてきました。しかし現実は厳しく,夢幻となりつつあります。洛西ニュータウンの最初の入居募集パンフレットに,地下鉄が通りますとありました。あれから40年,多くの入居者の高齢化と共に,住宅の老朽化や空き家も増加してまいりました。地域の活発な議論があり,アクションプログラムがまとめられた中で,より一層のまちの魅力づくりが急務となっています。 この度,本市会に,自動運転による新たな都市交通システムに関する調査に関する補正予算が提案され,昨日可決されました。初めてその構想を聞いたとき,鉄道なのか,バスなのか,タクシーなのかとお尋ねしましたが,既存の公共交通の区分けは超えており,全く新しいコンセプトの乗り物であるとのことでした。大量輸送が可能で,朝早くから夜遅くまで幅1メートルほどの車両が1メートル強の専用通路を通行し,一人でも利用することが可能とのことであり,非常に夢のある公共交通であると思いますし,ニュージーランドのオークランド市においても導入構想があるとお伺いしております。先日も,世界で初めて東京都内で自動タクシー交通営業の実験が開始されたと報道がありました。今後,法制度面を含めクリアしていくべき課題は多々あると思いますが,これが克服された暁には,西京区をはじめ市内周辺部の交通不便地域の課題解決と地域発展に寄与していくと考えます。市長のお考えをお聞かせください。 鉄軌道を西京へ,洛西へ,引き続き声を上げ,努力することをお誓い申し上げ,私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き,
田中明秀議員の御質問にお答えします。 西京区の総合庁舎化についてでございます。これまでから
田中明秀議員をはじめ,地域の皆様から熱い要望を頂き,区民の皆様の利便性向上と洛西地域も含めた西京区全体の更なる発展を目指し,区民の皆様との共汗,協働によるまちづくりの機能を充実,強化する総合庁舎化を検討してまいりました。新たな総合庁舎の整備場所につきましては,UR住宅と合築となっている現庁舎の有効活用を図りつつ,東隣りの上下水道局西京営業所跡地と南側の立体駐車場敷地を活用することとし,整備内容の具体化に当たりましては区民の皆様の御意見や市会での御議論を踏まえまして検討を進めてまいります。また,洛西地域につきましては,人口減少,少子高齢化が進んではおりますが,一方で,阪急洛西口駅やJR桂川駅の開設,にそとの開通,大原野インターチェンジの開設など,この間,交通アクセスが飛躍的に向上しております。この機を捉え,持続的な発展のため,ベッドタウンから洛西らしい職住近接のまちづくりを目指してまいります。このため,洛西地域の小中一貫教育を含めた教育環境の更なる充実,観光振興や働く場の創出による若者,子育て世代の移住促進等をしっかりと進めていけるよう,西京区役所総合庁舎化整備を契機といたしまして,全庁的な連携,区役所・支所の役割分担の見直しを行い,洛西支所における総合調整機能についても検討を深めてまいります。 次に,自動運転による新たな都市交通システムに関する調査と,西京区をはじめ市内の交通網における活用についてでございます。この度調査対象としている交通システムは,専用通行帯を走行する小型車両が乗り降りする場所やスマートフォンを通じて個別の行先を指示すれば,ノンストップで目的地まで乗客を運ぶ構想であり,面積の小さな専用通行帯のみで,ラッシュ時の大量輸送にも,夜間や早朝等の個別輸送需要にも対応可能な全く新しいシステムでございます。一方で,御指摘のとおり,既存の公共交通体系にそのままでは当てはまらず,まずは運用上の受皿となる法体系の確立が必要であるため,補正予算を議決いただきました調査費を活用いたしまして,国土交通省とも連携しながら,課題の抽出とその克服を図ってまいります。京都は,120年前に我が国初の路面電車を走らせ,今なお技術革新を生み出し続ける伝統と革新の街であり,平成26年には,京都未来交通イノベーション研究機構を官民で設立し,自動運転を含めた人や物の移動の効率化の研究に全国に先駆けて取り組んでまいりました。今後も西京区をはじめとする周辺部のまちづくり,京都のまちの発展を支えるため,既存のシステムの概念にとらわれることのない新たな創造的な発想で,ICT等の進歩をいかし,利便性や環境にも優れた未来社会型の新たな交通システムの構築に向けまして,民間の知恵や活力も重ね合わせ,取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) 洛西ニュータウンなど洛西地域におけます小中一貫教育についてでございます。洛西ニュータウンでは,本市平均を上回る人口減少,少子高齢化が急激に進行し,児童生徒数が大きく減少していることを踏まえまして,地域ぐるみでの御議論を基に,2020年度までを計画期間として策定されました洛西ニュータウンアクションプログラムにおきまして,広く洛西地域の将来を展望し,学校の小規模化への対応や小中一貫教育の推進をはじめとする先進的な学校づくりを検討することとされております。こうした状況の中,竹の里小学校PTAでは10数回に及ぶ協議を経て,福西小学校と統合して西陵中学校と合わせた小中一貫教育校の早期創設をとの決議が本年3月に採択をされました。現在,福西小学校,西陵中学校の両PTAにおきましても議論が進められ,先週9月18日には3校のPTAと学校運営協議会との合同で小中一貫教育校を見学されるなど,取組が進められてきております。こうした議論が更に進展すれば,次の段階として広く洛西の関係地域で検討いただくこととなります。教育委員会といたしましても,PTA,地域でのこうした小中一貫教育校創設についての議論の進展,さらには近隣の地域,学校との情報交換等も踏まえ,これからの洛西地域全体の学校教育のモデルとなる夢と希望にあふれた学校づくりに向け取組を進めてまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,平山たかお議員に発言を許します。平山議員。 〔平山たかお議員登壇(拍手)〕
◆(平山たかお議員) 皆様,こんにちは。私は,東山区選出の平山たかおでございます。本日は,富きくお議員,津田大三議員,
田中明秀議員の3名の先輩に引き続き,
自由民主党京都市会議員団を代表し質問をさせていただきます。 初めにお伺いいたしますのは,無電柱化の更なる推進についてでございます。本年は京都市・パリ市友情盟約60周年の年であり,両都市において,様々な催しが行われているところでもございますが,私も,過日,よわい30にして初めての海外ということでもございましたが,フランスのパリ市へと訪れさせていただいたところでございます。そこで感じましたのは,やはり色彩が統一をされ,歴史的な重みを感じさせる建物が続く町並み,街の象徴であるエッフェル塔,これらをどこから眺めても視界を遮る余計なものはなく,美しい景観を楽しむことができたことに深い感銘と驚きを受けるとともに,電柱の存在が景観に大きく影響していることを改めて感じたわけであります。都市の趣は異なるとはいえ,本市も山紫水明とたたえられる豊かな自然と1,200年を超える悠久の歴史に育まれてきた美しい景観があり,国内外からを問わず,四季を通して多くの観光客の皆様が風情や町並みを楽しみに訪れられます。しかしながら,パリ,ロンドンなどのヨーロッパの主要都市や香港,シンガポールなどのアジアの主要都市では無電柱化がおおむね達成をされていますが,本市を含め,日本においては立ち後れている状況にあります。私の地元である東山区においても,寺院や神社などの歴史的遺産が数多くあり,多くの場所で,いわゆる京都らしい景観に触れることができます。次世代に継承すべきこれらの景観の保全には,地域の方々の景観に対する深い御理解と愛情が必要不可欠であり,地域の住民の皆様も高いお志の下で,様々な活動を行っておられます。そのような取組を支援していくためにも,町並み景観の向上に大きく貢献をする無電柱化事業を,地域のコンセンサスを得ながらより一層進めていきたいと私は考えます。 本市では,昭和61年度から無電柱化の取組を開始し,平成30年3月までの整備延長は約61キロメートルとなっておりますが,市域全体での整備率は約2パーセントと聞いております。また,平成21年度からの第6期の無電柱化計画の進捗は,計画延長18キロメートルに対して,現在6キロメートルにとどまっております。そのような中,国においては,平成28年12月に施行された無電柱化の推進に関する法律に基づき,本年4月に無電柱化の取組方針や施策などを示した無電柱化推進計画を策定,そして公表し,積極的に取り組む姿勢が示されたところであります。さらに,今般の台風21号により,関西電力の管内だけでも飛来物や倒木で800本以上の電柱が倒壊し,多くの電線も切れ,停電は延べ200万戸以上に及び,住民の皆様の生活に多大な支障を来しました。ここに,台風21号により犠牲となられた方々に,深甚なる哀悼の意を表しますとともに,御遺族並びにり災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。 このような状況も踏まえ,国においては,先日,3選をされました安倍首相が,「無電柱化は喫緊の課題だ。しっかり取り組みたい」と述べられておりますが,私も,景観面はもちろんのこと,防災面でも無電柱化は喫緊の課題でもあると再認識したところであります。そこでお尋ねをいたしますが,無電柱化の推進に向けての課題は何か,また,それを踏まえて今後の無電柱化の更なる推進に向けて,どのように取り組まれるのでしょうか,お答えください。 次に,持続可能な観光都市の実現に向けた情報発信の強化についてお伺いをいたします。京都観光は,インバウンド観光客を中心に,引き続き好調な状態を維持しています。本年7月に発表された平成29年京都観光総合調査によれば,外国人観光客を含めた宿泊客数は過去最高の1,557万人となり,また,消費額の向上に向けた取組の充実によって,観光消費額についても1兆1,268億円と過去最高を更新しております。これも京都観光振興計画に掲げる施策をオール京都の体制で着実に取り組んでこられた成果であると大いに評価をいたしております。しかしながら,一方では,近年の外国人観光客の急増により,観光客の集中や混雑の問題,さらには,文化や習慣の違いによる外国人観光客のマナーの問題など,市民生活にも影響を及ぼす喫緊の課題も生じております。私自身も,京都経済に幅広く恩恵をもたらす観光の重要性を認識しておりますが,市民生活と観光の調和を図る取組をどう効果的なものにしていくのか,緊急の課題であるとも認識をしております。 また,6月の大阪府北部地震,その後の台風による豪雨災害,今夏の酷暑など,市民の皆様のみならず,観光客の方々の安心安全を脅かす事象が発生しており,こうした緊急時に適切に対応していくことの重要性についても,今回強く実感したところでもございます。外国人観光客のマナー問題に関しては,行政のみならず,各地域においても自主的な取組が進められておりますが,観光総合調査の結果では,日本人観光客が京都観光で残念に思ったことのうち,マナーに対する割合が前年度に比べ増加しており,より一層の取組が必要であるとも認識をしております。さらに,観光客の集中や混雑の問題については,多くの観光客が集まるエリアがある一方で,市内にはたくさんの魅力を抱えているのにもかかわらず,観光客に余り知られていないエリアがあり,そうした地域も含め,市内全域に観光客の回遊を促し,観光客の集中エリアの混雑緩和の努力もますます必要になってくるかと存じます。また,依然として,市バスについても,観光客が多く乗る路線を中心に,混雑のために市民が利用しにくい,はたまた,できないといった状況もあり,バスから地下鉄への誘導をはじめ,混雑緩和に向けた一層の取組も進める必要がございます。外国人観光客へのマナー啓発,市内全域への観光客の誘致,公共交通機関の混雑対策については,必要とされる情報を必要な観光客一人一人に分かりやすく,そして丁寧に伝えることが何よりも重要であり,単なるホームページ上での不特定多数へのお知らせではなく,カスタマイズされた情報を的確に発信することこそが重要だと考えます。京都にお越しになる観光客の中には,初めて海外からお越しになられる方がおられる一方で,京都を年に何度も訪れられるリピーターの方もおられるため,情報発信に当たっては,それぞれの観光客に応じたきめ細やかな対応が求められます。また,地震や台風等のときに,災害状況や交通機関の運行状況等の情報を迅速に提供し,観光客の安心安全の確保を図っていくことや,猛暑や悪天候の際に美術館,博物館など屋内でも楽しめるような観光情報をきめ細やかに提供することで,観光客の満足度を高めていくことも重要であると思います。 そこで,日本人観光客はもとより,今後,多くの国際的なスポーツイベントが開催をされ,多くの国々からお客様をお迎えする状況も続くとは思いますが,住んでよし,訪れてよしの持続可能で満足度の高い観光都市を実現するためには,情報技術が日々進化する中で,AIをはじめとする最新技術を活用することも考慮に入れながら情報発信を強化していく必要があると考えますが,いかがでしょうか。 次に,民泊対策についてお伺いをいたします。先ほど,我が会派の富議員からも質疑のあった民泊対策について,私からは許可後の簡易宿所及び民泊への指導に関して質疑をいたします。 富議員からは,違法民泊は断じて許さないとのお立場から,本市の無許可営業対策の取組についての質疑がございましたが,無許可営業対策は,民泊問題において最大かつ最優先の課題であったことから,本市においては,民泊実態調査や民泊通報・相談窓口の設置など,全国に先駆けて徹底した取組が進められてきました。その結果,本市では,京町家の一棟貸しなどの小規模な簡易宿所が適法な民泊のスタイルとして定着してきており,簡易宿所の許可施設数は,平成26年度末の460件から平成29年度末には2,491件と,この3年間で実に5倍以上に急増しております。こうした中,本年6月15日には住宅宿泊事業法,いわゆる民泊新法が施行され,併せて無許可営業対策を強化した改正旅館業法も施行されました。私は,これにより民泊対策が新たな段階に入ったと感じております。無許可営業を中止させ,また,許可や届出により適法に営業させるというだけではなく,地域住民と事業者の調和をいかにして確保していくかが,今後の最重要課題となるものと考えております。一部には,民泊に対する住民の不安をあおり,事業者に執拗に撤退を求めるような者もいると伺いますが,民泊が新たな宿泊サービスとして世界的に普及している現状を踏まえれば,対立と排除によってこの問題が解決できるとも思えないわけであります。騒音やごみの不始末など,民泊で起こりがちな問題や不安について,地域にお住まいの皆様と事業者が一つ一つ話し合い,解決策を模索すること,また,そうした取組を通じて顔の見える関係を構築していくことが,今,正に必要とされている取組であると考えます。 この点においても,本市では,平成28年12月に指導要綱を策定し,許可申請に当たっては,施設計画を周辺住民に事前説明することを営業者に求めるなど,先駆的な取組を進めてこられました。さらに,これらの取組の多くは,民泊新法や改正旅館業法の施行に併せて制定をされた本市の条例により,住宅宿泊事業及び旅館業の事業者に義務付けが図られることとなりました。一方で,事業者と話合いを進めていくに当たって,住民側に十分な知識がないといった課題もあることから,個別の状況に応じたきめ細かい助言や支援が欠かせないと感じるわけでございます。本年4月には,医療衛生センターに宿泊施設の監視指導に特化した体制を設け,8月には,住民支援のためのアドバイザー制度を開始するなど,様々な取組を進めているとは承知しておりますが,いまだ周辺住民への配慮を欠く不適切な運営を行う,例えば,駆け付け要件を遵守できていない,先方の連絡先につながらないといったお声も多数頂戴をいたします。また,民泊からの出火事案等もございましたが,そういった悪質な事業者に対しては,当然厳正な対応も求められるわけでございます。そこで,6月15日の法や条例の施行から3箇月が経過した現時点に,現在までの民泊の適正な運営を確保するための本市の取組の状況や今後の方向性について,具体的にお答えください。 先ほどの質疑とも関わりますが,続いて木造住宅の防火対策についてお伺いをいたします。歴史都市・京都は,京町家や風情ある路地が多く残り,そのたたずまいが京都らしい独特の町並み景観を作り出しておりますが,こうした木造密集市街地は,地震や火災といった災害に対しては防災上の問題を抱えております。木造住宅の耐震化対策については,これまでから京都市独自の取組として,まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業が進められ,その利用のしやすさから,市民,事業者が主体となった耐震化の取組をいざなうことができており,木造住宅の耐震化に大きな役割を果たしているものだと考えております。一方で,今年の5月には祇園町南側,7月には東山区の宮川町と,京都を代表するような地域で大きな火災が相次いで発生をし,複数の建物が類焼しただけでなく,宮川町では1名の方の尊い命が奪われました。こうした被害を目の当たりにすると,改めて,密集市街地の木造住宅における防火対策の重要性を痛感いたします。そこで,このような木造住宅の防火対策に対しても,まちの匠事業のように,今よりも少しでも安全な建物にするために,市民,事業者が自ら防火対策を行おうとする意識や行動をいざなうための取組が必要であると考えますが,市長の考えをお伺いいたします。 次に,難病対策についてお伺いいたします。我が国の難病対策は,昭和47年以降,国の難病対策要綱に基づき,40年以上にわたって,調査研究による治療方法の開発,医療費の助成,患者,家族の生活の質の向上の取組が進められ,一定の成果を上げてきました。一方で,診断基準が確立されない等の理由により,医療費助成の対象とならない難病があること,少ない症例の病気であることから,適切な治療につながりにくいこと,外見からは分からない症状もあり,周囲から難病であることが理解されにくいことなど様々な課題もございました。こうした課題の解決を目指し,難病の患者に対する医療費助成を,法律に基づく公平かつ安定した制度として確立するとともに,診断や治療の調査研究,療養生活の支援等,総合的に難病対策を進めるため,難病の患者に対する医療等に関する法律,いわゆる難病法が成立をいたしました。そして,こうした流れを受け,医療費助成の対象は順次増やされており,難病法が成立する前には56の病気であったものが,今では大幅に拡充をされ,331の病気について医療費の助成を受けることができるようになっております。京都市内では,平成30年末時点で,約1万1,000名の方が医療費助成を受けておられますが,難病はその原因がいまだ解明されておらず,また治療方法も確立されていないため,長期的な療養生活が必要となります。 そのような中,京都市をはじめとする政令指定都市では,平成30年4月1日より,難病対策の多くの権限について,都道府県から権限移譲を受け,京都市としても医療費助成の認定業務を開始することとなりました。これを契機に,地域で生活するうえでの様々な支援の推進を目指して,従来,京都府が単独で設置をしていた京都府難病相談・支援センターについても,今般,西脇隆俊京都府知事が4月に誕生されましたが,西脇知事,門川市長,府市協調の下,難病対策に取り組み,府市共同設置による京都難病相談・支援センターに名称を改め,京都市と京都府の職員が協力をして相談支援に取り組まれているところでもございます。京都市においては,これまでから京都府と共に,京都動物愛護センターの共同設置,市の衛生環境研究所と府の保健環境研究所の共同整備等,府市協調を大いに進められておりますが,この京都難病相談・支援センターについても,新たな府市協調の取組として,ますます充実が図られるものだと期待をいたしております。 医療費の助成等については,法律において制度が定められており,安定した支援を受けられる状況となってきたところでございますが,今後の難病対策においては,治療を継続しながら,日常生活や社会生活を営んでいくうえでの長期的な療養生活へのきめ細やかな支援が重要となってまいります。私は,市民に身近な基礎自治体である京都市が,多くの患者の皆様の療養生活に対する効果的なサポートに積極的な役割を果たしていくべきだと考えております。また,治療を継続しながら,日常生活や社会生活を営んでいくためには,安定的な就労生活が営める必要がございます。このため,就労支援や働いておられる方の健康面のサポート,就労先企業等における雇用上の配慮の必要性に対する理解の促進といった取組が必要であると考えております。そこで,今後,難病患者への支援について,京都市として,どのような考え方で取組を進めようとされるのか,お答えください。また,京都市自身も難病患者の皆様が安定的な就労生活を営んでいくため,働きやすい環境の整備や雇用の促進,本市採用におけるそれらも踏まえて,率先して取り組んでいただきたいと考えます。併せてお答えください。 京阪電車で唯一バリアフリー化がなされていなかった鳥羽街道駅。私も幼い頃より,乗り降りをさせていただいた思い出深い駅でありますが,今年度からバリアフリー化に向けた取組を開始されるとのことであり,正に地元住民の長年の悲願がかなったわけであります。また,その鳥羽街道駅南側の十条通については,平成29年7月に拡幅整備も一足先に完成をし,車道が2車線化されるとともに,歩道が両側に整備をされ,自動車交通の円滑化や歩行者の安全性が向上いたしました。一方で,その十条通の東端に当たる本町通の交差点では,その十条通の踏切の影響により,十条通へ左折する車が詰まることで,直進車も渋滞する状況が散見をされます。そこで,京阪鳥羽街道駅のバリアフリー化について,利用者等からも様々な御要望があるかとは存じますが,今後どのように進められるのか,また,今回の鳥羽街道駅を含む東福寺地区バリアフリー移動等円滑化基本構想の見直しに伴い,本町通の安全な歩行者経路の確保とともに,自動車交通の円滑化についても検討し対策を講じていただきたいと考えますが,いかがでしょうか。併せてお答えください。 生まれ育った東山区から京都のために,私,平山たかお,今後とも誠心誠意頑張ってまいります。以上で代表質問を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 平山たかお議員の御質問にお答えいたします。 まず,無電柱化についてでございます。本市では,景観の保全,再生や都市の防災機能の向上を目的に,昭和61年度から無電柱化事業を進めてまいりました。しかし無電柱化には,現在多額に及んでいる整備費用の低コスト化,1キロメートルに4億円から9億円掛かります。コストダウンが喫緊の課題でもあります。さらに,地上機器を設置する場所の確保,上下水道管,ガス管など既存ライフラインとの共存といった課題があり,事業推進に多くの時間を要している状況でございます。このような中にありましても,京都市では,国土交通省等と連携し,東一条通での全国初の直接埋設方式の社会実験,先斗町通での,これも全国初の新たに開発した小型ボックスの導入など,低コスト化等による無電柱化の推進へ積極果敢に挑戦してまいりました。さらに,こうした取組を一層推進するため,現在,無電柱化の推進に関する法律や国の無電柱化推進計画の趣旨も踏まえまして,今後の無電柱化推進に向けた長期的な整備方針の策定に取り組んでいるところであります。この方針では,これまでの6期にわたる取組を継承しつつ,厳しい財政状況の下,効率的かつ計画的な整備を進めるために,選択と集中による整備対象道路を選定するに当たっての考え方,ケーブルを集約する新たな技術の活用などによるコストの縮減,地元の協議会との連携など円滑な合意形成に向けた市民,事業者との協働の三つの柱を掲げることといたしております。今後,それぞれの具体的な取組を盛り込んだうえで,来月にはパブリックコメントを行い,年度内をめどに取りまとめていきたいと考えております。今後,最も大きな課題である整備費用の低コスト化を図りつつ,国の交付金の確保に努め,世界の文化首都・京都にふさわしい風格のある,品格のある町並みの実現に向けて,無電柱化を進めてまいります。 次に,旅館業営業の許可を受けた簡易宿所や,住宅宿泊事業の届出を行って営業する宿泊施設である,いわゆる民泊の適正な運営及び地域との調和を確保するための取組についてでございます。本市では,平成28年12月に策定しました安心安全要綱,さらに,本年6月の住宅宿泊事業法等の施行に伴って制定いただいた全国一厳しいと言われる本市独自の条例などに基づく事前の指導の徹底等により,大部分の事業者は,迷惑行為を抑えるためのハウスルールの遵守等を宿泊客に求めるなど,安心安全で地域と調和した適正な宿泊施設の運営が行われつつあります。これまでから,宿泊客による深夜の騒音に対する苦情など,不適正な運営に係る通報があった場合は,直ちに調査し,是正指導等を行っており,現在,その大半は改善されているところではありますが,引き続き,指導を強めてまいります。さらに,徹底した指導によっても悪質なルール違反が是正されないときは,業務改善命令や営業停止命令を行うなど,この度の法令改正等で与えられた権限を最大限に行使し,厳正な対応を行ってまいります。また,地域住民と事業者の調和が極めて重要であることから,事業者に対しまして,町内会等への事前の説明会の開催や協定の締結など,地域の皆様の不安を解消する具体的な取組への助言,指導を徹底するとともに,地域住民の皆さんに対しては事業者との協議や協定の締結を進めていけるよう,専門的な知識やまちづくりの豊富な経験を有する本市独自の「民泊」地域支援アドバイザーを創設し支援を行うなど,顔の見える関係づくりを進め,安心安全へと取り組んでいるところです。今後とも,民泊通報・相談窓口ヘの通報や医療衛生センターヘの相談のほか,行政書士会など民間委託による調査等も積極的に活用し,地域の状況や施設の実態を踏まえた的確な指導,助言を行い,民泊の適正な運営及び地域との調和の確保を図るとともに,違法民泊は断じて許さない,根絶に向け一層徹底して取り組んでまいります。 次に,木造住宅の防火対策についてでございます。京都には趣のある京町家や路地が集積する地域が多くあり,伝統的な町並みや暮らしの文化が息づく歴史都市・京都の魅力となっております。一方で,木造住宅が密集するこれらの地域は耐震性や,火災時に燃え広がりやすいなどの課題を抱えております。京都では古くから,自分たちのまちは自分たちで守るという精神の下,自主防災に取り組む文化が根付いており,この京都で積み重ねてきた,また磨かれてきた知恵や文化をいかし,京都ならではの安心安全で災害に強いまちづくりを進めることが大切でありますし,また,そうした取組を充実していきたいと考えております。木造住宅の耐震化対策につきましても,こうした京都の強みを基に,地元の身近な大工さん,左官屋さん,瓦屋さん,板金屋さんなどの知恵をいかしながら住まいの耐震化を支援する京都ならではの助成事業,まちの匠事業を推進し,これまでに4,000件を超える御利用があり,耐震化の取組の裾野は大きく拡大していると実感いたしております。平山たかお議員御指摘の痛ましい火災を受けまして,私も火災時に燃え広がらないまちづくりに向けた市民の自主的な取組をこれまで以上に後押ししていく必要があると改めて痛感いたしました。今後,まちの匠事業で培ってきた経験をいかし,市民,事業者の方にとって分かりやすく,使いやすい木造住宅の防火対策への支援策の拡充を検討してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕
◎副市長(村上圭子) 難病対策についてでございます。難病は治療方法が確立しておらず,患者の皆様は療養生活を送るうえで,多くの不安や悩みを抱えておられます。このため,その支援に当たっては,治療費の負担軽減に加え,患者の皆様に寄り添い,日常生活におけるきめ細やかな相談を行い,必要なサービスを提供していくことが重要でございます。平山議員御紹介のとおり,本年4月からの医療費助成の権限移譲に併せて,専門的な相談,支援等の拠点となる難病相談・支援センターを府市共同の設置として,本市正職員2名を加えて体制の強化を図ったところでございます。本市職員が中心となりまして,難病相談・支援センターと市民の皆様の身近な窓口である各区役所・支所の保健福祉センターとの連携を一層強め,保健師による訪問相談やホームヘルプ,就労支援施設の利用等,支援の充実を図ってまいります。また,就労支援につきましては,自立支援に加えまして,生きがいづくりの観点からも重要であり,ハローワーク等の関係機関との連携をいかし,難病患者に対する合同就労相談会を実施することなどにより,新たな就職場所の確保や,職場で働き続けるための環境が整うよう取組を進めてまいります。 本市における難病の方の採用につきましては,どのような疾病や症状の方を対象とするのか,就労時間等,雇用上必要な配慮をどうするのかといった課題に対し,雇用促進の観点を踏まえつつ,引き続き検討してまいります。今後とも,難病があっても地域で安心して暮らせる共生社会のまちづくりに全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 私からは,京阪鳥羽街道駅のバリアフリー化についてお答えをいたします。京阪鳥羽街道駅とその周辺地域につきましては,病院,社会福祉施設などの生活関連施設が多数立地をしており,東福寺や伏見稲荷を目的としたインバウンドの増加も相まって,にぎわいと交流が進んでおるというところでございます。そこで本市では今年度から,鳥羽街道駅あるいはその周辺道路のバリアフリー化に取り組むことといたしまして,本年7月には,地域住民,そして障害者団体の代表者などから成る連絡会議を開催したところでございます。今後は更にパブリックコメントを実施したうえで,今年度中に具体的な整備計画をまとめ上げまして,平成32年度を目標に,大阪方面の改札口の新設をはじめとした鳥羽街道駅のバリアフリー化工事を完成させてまいります。駅周辺のエリアは今後更に多くのお客様をお迎えすることになると期待されているところでもございます。市民や観光客,そして御高齢の方,障害のある方,誰もがこの地域を円滑に移動していただけるように,地域全体のバリアフリー化に努めてまいります。 なお,御指摘にございました本町通十条交差点での渋滞対策でございますけれども,既に,本町通から十条通へ左折する車がスムーズに通行できるように,今,電柱の移設を行っているところでございますけれども,更なる対策につきまして,引き続き関係機関と精力的に協議を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(寺田一博) 糟谷観光政策監。 〔糟谷観光政策監登壇〕
◎観光政策監(糟谷範子) 観光客に対する情報発信についてでございます。本市には,様々な国,地域から言語や生活習慣等の異なる多様な観光客が訪れており,平山議員御指摘のとおり,観光客の満足度向上や混雑等の課題解決のためには,一人一人に応じたきめ細かい情報発信が重要であります。これまでから,国内及び海外向けの公式サイトによる情報発信に加え,SNSや動画の活用,また,海外情報拠点及び民間事業者等との連携により,隠れた魅力を持つエリア情報や交通情報,マナー啓発,手ぶら観光,ムスリム向け情報など,観光を取り巻く状況の変化やニーズに応じた情報の提供に努めてまいりました。近年,AI等の最新技術が進展する中,個々の観光客に応じた情報発信を一層進めるため,今年度,京都大学と連携し,サイト利用者の属性や旅行経験に応じて,興味や関心の高い情報を個別に配信する機能の共同研究に着手するとともに,一人旅や富裕層向けプランなど,観光客のニーズに応じた情報を大幅に充実いたします。さらに,観光庁とも連携し,最新技術を活用した観光地のにぎわい状況を発信する実証実験に取り組むとともに,災害時につきましては,現在のSNSによる情報発信に加え,デジタルサイネージの活用など,より即時性のある情報発信手法の導入も検討してまいります。今後とも,習慣や文化に応じた多言語情報の充実や新たな技術の活用など,必要な情報が必要とされる方に的確に届くよう努め,持続可能で満足度の高い国際文化観光都市の実現を目指してまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
加藤あい議員に発言を許します。加藤議員。 〔
加藤あい議員登壇(拍手)〕
◆(
加藤あい議員) 左京区選出の加藤あいです。日本共産党京都市会議員団を代表して,市長並びに理事者に質問します。 まず,災害対応についてお聞きします。地震,豪雨,台風と相次いで自然災害が発生し,大きな被害が出ています。改めて,お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに,被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。党議員団は,実態調査に基づいて4回にわたる市長への申入れを行いましたが,初めに,災害対応の在り方についてお聞きします。 この間の自然災害は,かつてないとか記録的ななどと言われる事態が頻発し,地球環境の異変や連続災害など,大変深刻になっています。観測史上初めての地震震度7や記録的強風や高潮など,これまでにない規模であり,経験に基づく対応だけでは解決できない事態です。そして,今後の備えという点でも,政府がマグニチュード9前後の南海トラフ地震の30年以内の発生確率を60パーセントから70パーセントとしていたものを,70パーセントから80パーセントと修正するなど,一層の重大事態が予想されています。政治が知恵と力を尽くして対策を進めていくことが必要な時期に来ているのではないでしょうか。今,地震や豪雨,台風の自然災害対策に総力を挙げるため,予算,職員体制,防災,避難,救援,公共事業の在り方など全てを見直し,これまでの延長線上ではない災害対策を検討するべきではありませんか。市長の認識を伺います。 まず,今後,迅速に京都府知事に対し,災害救助法施行令第1条1項4号に基づく災害救助法の適用を国に要請することを求めるなど,自治体として最大限の取組を検討すること,災害対策と復旧に国の責任を果たすよう求めることを要望しておきます。以下,具体的に質問します。 まず第1に,災害対応に当たる職員の体制についてです。先般,京都市当局がまとめた大阪北部地震及び平成30年7月豪雨における災害対応総括では,必要人員確保の遅れ,交代要員の不足,一部の担当への過重負担があったとあり,また,体制上の課題にとどまらず,り災証明発行の遅れや並行して行う通常業務に不足が生じるなど,市民対応にも問題があったことが明らかになっています。7月豪雨の際に全区役所で招集された職員数は1号体制で95人でしたが,門川市長就任前と比べると38人も減らされています。左京区役所で言えば,招集対象の職員は29人から,たったの10人に減らされています。災害への即応体制の薄さがあること,全庁的な支援体制の弱点を市長はどう認識されていますか。市税事務所や医療衛生部門の集約化などで区役所全体の職員体制が3年で約400人も減らされており,今後も区役所窓口の民営化,税務事務の執行体制の見直しなど,職員削減を更に進める方向が示されています。災害対応の最前線である区役所の職員を削減して,災害対応が十分にできるのでしょうか。認識を伺います。市長は,市長就任以来3,215人の職員削減,260億円の予算削減を行ってきたと,そして今後も,2020年までの4年間で800人を減らすとおっしゃいます。しかし,これらの職員削減によって,住民の命を守るその現場でも矛盾が噴出しています。さらに,職員は日常的に過重負担が強いられ,月100時間以上の時間外勤務という過労死ラインを超えて働く職員が175人と,異常事態となっています。これ以上の職員削減計画を撤回し,必要な人員体制の充実で,行政サービスの確保と向上を図ることを求めます。 第2に,被災者支援についてです。災害が連続して発生している下で,被災された住民への支援策を再検討し,充実させる必要があるのではないでしょうか。被災者住宅再建等支援制度は,3年前の台風11号の際,本市独自制度として創設されました。この間の災害にも適用されており,大変重要な制度ですが,災害ごとに制度の適用を判断するのでは,どうしても遅れが生じます。被災者住宅再建等支援制度は恒久制度として確立し,迅速な対応を可能とするよう求めます。また,今回も土砂災害等で被災された方々の住宅確保が課題となりました。市営住宅の提供がありますが,空いている所を提供するため,左京区の方でも,洛西や向島など生活圏と遠く離れた所となりました。結局,いつまた崩れてくるかもしれない自宅で過ごすほかないという状況も生まれています。職場や学校,生活の基盤から離れた地域での生活再建は極めて困難です。いざというときに備えて,各行政区に被災者に提供する住宅を確保することを求めます。 第3に,住民の避難の確保と避難所の環境改善についてです。平成30年7月豪雨時,全市180学区,49万7,039世帯,102万7,408人に対して避難勧告等が発令されました。最大で2,337人が
指定緊急避難場所に避難しましたが,僅か0.2パーセントでした。土砂災害警戒区域を含む町内に住む住民だけでも,全市で9万世帯,21万8,000人に上ります。今回の避難者数は余りに少ないと言わなければなりません。また,消防局が市民1,126人に防災意識について調査を行った結果,避難情報について,発令されたか分からないとの回答が136人,1割にも上り,避難情報発令後,何もしなかった方が469人,4割近くとなっています。これでは,到底,住民の命を守れません。今回の豪雨時の住民の避難行動について,意識調査にとどめず,全面的な実態調査を行い,どのような対策が求められているのかを明らかにすることを求めます。 また,
指定緊急避難場所が水災害時,立ち退き必要区域にある所が55箇所,土砂災害時,警戒区域にある所が39箇所にも及んでいます。
指定緊急避難場所の指定を見直し,安全な避難所を行政の責任で確保することを求めます。そして,
指定緊急避難場所の抜本的環境改善が必要です。ベッドもないし,トイレが心配,暑い中で避難すればかえって体調が悪くなるなどの声があります。昨年度実施された第2次防災対策総点検でも,避難所の一層の環境改善を推進していく必要があるとの提言が出されています。本市の避難所運営資機材や避難所開設セットは極限定されたもので,食料,飲料水,毛布やトイレットペーパーなどの生活必需品も,その避難所が分散備蓄の対象でなければ,そもそも配備されていないという状況もあります。熊本地震では,災害関連死が地震の直接的影響で亡くなった方の4倍にも上りました。避難が長期に及ぶことも視野に入れ,開設に当たり,最低限の条件を整えるべきです。それが住民の避難を保障していくことにもつながるのではないでしょうか。災害対策基本法86条の6に基づき発出されている内閣府の指針では,避難所について,簡易ベッド,冷暖房機器,テレビ配備など,生活環境の改善対策を講じるよう求めています。本市でも,
指定緊急避難場所のトイレの洋式化完了や,食料,飲料水,毛布などの生活必需品の配備はもちろん,エアコン設置など暑さ寒さ対策,テレビ設置,簡易ベッドの配備など抜本的改善を行うことを求めます。また,区役所にブルーシートを配備しておらず,市民の要請に応えられない事態も起こりました。区役所へのブルーシートなどの資機材配備も充実されるよう求めます。避難所開設,運営について地元の負担が大きすぎるとの声も皆さんから寄せられています。7月豪雨の際,避難所に職員が配置できた所は極一部。7割の避難所では配置できませんでした。あくまでも地域による自主的運営が基本,行政はサポートの範囲で必要なことについて実施とされていますが,京都市地域防災計画には,
区災害対策本部の責任において水害,土砂災害の
指定緊急避難場所を開設するとされ,運営についてもその責任が記され,要配慮者の適切なスペース確保も明記されています。水害や土砂災害時の
指定緊急避難場所の開設,運営が行政の責任において行われる原則を踏まえ,ふさわしい職員体制を採られることを求めます。 災害対策の最後に,減災対策について述べます。被害を防ぐうえで予防対策の抜本的強化が必要です。治水対策については,100年に一度,30年に一度と言われるような大雨が降る下で,国もダム頼みの治水対策を根本的に見直す方向を検討しています。堤防の補強,河道改修,流域全体を遊水池と位置付けるなど,専門家の知見もいかし検討することを求めておきます。治山についても課題が浮き彫りになっています。災害により重要幹線が倒木や土砂崩れなどで不通となり,市民生活に影響を及ぼす事態が繰り返されています。山間地では倒木により電線が切断され,停電で災害情報も届かない事態が広範囲に起きました。これらの防災対策には従来の倒木処理や,林業支援にとどまらない政策が必要ではありませんか。倒木を防ぐ抜本的な支援策を採ることを求めます。また,緊急輸送道路などに面する斜面の維持保全事業が2年前から行われていますが,560箇所の要対策箇所に対して29パーセントの進捗となっています。道路寸断を防ぐため,前倒しで実施することも検討することを求めておきます。 また,伏見区深草大岩山で不法投棄された土砂が西日本豪雨で崩れ,小栗栖地域で土砂災害の危険が高まる事態となりました。当該場所は以前から住民が不法投棄を指摘し,我が党議員団も繰り返し市会で取り上げてきたところであります。建設土砂の不適正な処理,埋立てに伴う災害の発生防止を目的としているいわゆる土砂条例が本市にはないことが問題となっています。全国では既に20都県,200市が制定しています。全市を点検し,建設残土の流出や崩壊による被害を予防すること,自然地形の改変を止める措置が必要です。同様の事態が発生しないよう,土砂条例の制定を求めます。 公共事業の在り方については,大型開発から災害対策,命を守る公共事業への転換が必要です。国は不要不急の大型開発を進めていますが,本市においても優先順位の判断が要るのではありませんか。命を守る公共事業として,道路や橋りょうの耐震化,水道の老朽管の取替え,災害防除工事の早期完了など課題は山積しています。北陸新幹線1兆2,000億円以上,堀川バイパストンネル建設など大型開発優先を改め,文化庁移転に係る京都負担はやめるなど,市民の命と安全を守ることを最優先にすることを強く求めます。 次に,原子力防災について伺います。9月6日に発生した北海道胆振東部地震では,震度2で泊原発が外部電源を約9時間半失うという重大事態が発生しました。南海トラフ巨大地震の最悪の被害想定では,原子力災害は含んでおらず,複合災害となったときの脅威は論を待ちません。そして,本市に近接する若狭原発群についても重大な自然災害の可能性があります。例えば,津波についてです。これまでから日本海側の原発は大津波を想定しないという対応を採られてきました。ですから,太平洋側の原発では20メートルを超すような防波堤が設置されているのに,大飯原発では僅か8メートルにすぎません。しかし識者からは,日本海側でも大津波は起き得るという指摘があります。島根県技術士会から900年前には20メートルを超える大津波が島根県を襲ったとの研究報告書が出されています。京都府の調査でも1,300年前にも宮津市の真名井神社に40メートルの大津波が押し寄せたとの言い伝えがあることも分かっています。そして,政府機関の専門家が,元々大地震イコール大津波というこれまでの考え方を否定し,海底地滑りによって津波が発生するとの指摘を公表,日本海海底の東縁に海底地滑りの地形が幾つもあることを指摘しています。地震動を巡っても,原発の耐震設計基準を上回る知見も示されています。この事実を市長はどのように考えておられるのでしょうか。原発に関わって重大な自然災害の可能性があるにもかかわらず,その想定がされていないことについて,意見を言うべきではありませんか。 原子力規制委員会は原発災害について,避難計画を自治体任せにしています。IAEAの国際基準では,原発設置時の安全基準に避難計画を含み,審査,検証することになっており,アメリカではそのように運用されていますが,日本は違います。住民の命と安全に関わる避難計画の審査もせず,原発を再稼働させるというのは,余りに無責任と言うほかありません。 先般,党議員団は大津市の原子力災害避難計画について調査を行いました。大津市は国が原発からおおむね30キロとしている緊急時防護措置を準備する区域UPZから外れていますが,市独自に大飯原発から47キロ圏内,1万1,205人を対象に避難計画を定めています。市当局が,福島第一原発の事故の際,47キロ圏にあった飯館村が放射線量の高いホットスポットとなった事実を基に,飯館村に調査に出掛け,同様の圏域を区域とされたとのことでした。京都市は大飯原発から32.5キロ圏内,人口311人の対象にとどまっています。UPZ外についても圏内に準じた対応を行うと言いますが,事前準備を行う対象ではありません。地域防災計画原子力対策編は実際の原子力災害に対応し得るのか,検証を行い抜本的に見直すこと,京都市における原子力災害対策を重点的に実施すべき地域の範囲は京都市全域に変更することを求めます。また,そもそも,UPZ圏内でも,原子炉停止機能が喪失する全面緊急事態においても,屋内退避が原則であり,実測に基づく対応にとどまっています。大津市は,モニタリングポストでの対応では被ばくしてからになる,予測手法をもって対応すべきとして,文科省が設置していたスピーディ端末の設置運用を国に要望されています。本市も,放射能汚染について,実測と併せて予測的手法を導入することを国に対して要望すべきです。まず,ここまでの答弁を求めます。
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
加藤あい議員の御質問にお答えいたします。 初めに,災害対応についてでございます。この度の大阪府北部地震及び7月豪雨につきましては,緊急に本市の災害対応を総括し,課題,今後の取組を明確にし,引き続き,台風21号に係る災害対応につきましても,現在緊急の復旧対応を実行しつつ総括中であり,早期に課題と改善策を取りまとめてまいります。そのうえで,これら一連の災害で明らかとなった新たな課題に速やかに的確に対応できるよう,全庁挙げて,あらゆる対策を講じてまいります。 次に,災害対応に係る体制についてでございます。本市では,
全国トップ水準の福祉や教育,子育て支援などをしっかりと推進しつつ持続可能な行財政の確立を図るために,民間にできることは民間にを基本方針に,委託化,民営化,効率化などで業務量の減少が確実に見込める部分について職員を削減する一方で,市民の皆さんの命と暮らしを守り,質の高い行政サービスを提供するため,必要な部署には,必要な人員をしっかりと増員してきております。特に,区役所・支所の防災体制につきましては,この間,地域力推進室に総務・防災課長,地域防災係長を設置するとともに関係局との連携をより深めるため,専門的な知識,経験を有する土木職員や消防職員も充てるなど体制の充実強化を図っております。また,災害発生時においては,関係局から区役所・支所に情報連絡員の派遣を行うなど,局区を超えた応援体制を整備,充実してきております。今後とも自助,共助の考え,また,市民の皆さんと行政の連携の考え方に基づき,消防団,水防団,自主防災会をはじめ,社会福祉協議会等と地域の自主的な活動ともしっかりと連携を強化しつつ,災害対応力の更なる向上を図ることをもって防災体制の構築に努めてまいります。 次に,公共事業の在り方についてでございます。私はこれまでから,厳しい財政状況においても,市民の皆様の暮らしと命を守ることを最優先に考え,河川の改修や雨水幹線の整備など雨に強いまちづくりをはじめ,あらゆる防災・減災対策にしっかりと取り組み,国の補助金も活用しつつ,この5年間で毎年300億円以上の事業費を投じてまいりました。その結果,今般の相次ぐ自然災害におきましても,命に関わる人的被害は発生しなかったものであります。あわせて,将来世代の貴重な財産となり,未来の京都の発展にもつながる先行投資についても,しっかりと進めなければならないと考えております。北陸新幹線,堀川通バイパストンネルの整備や文化庁の移転につきましては,京都の発展のために極めて重要な事業でございます。将来世代に過度の負担を残さないよう,優先順位の判断をすることは当然であります。これまでから経費や費用負担の在り方についてもしっかりと精査しております。今後とも行財政改革を徹底するとともに,京都の今と未来に必要な投資をしっかりと行っていくことで,市民の皆様が安心,豊かさを実感でき,また将来の対応力の強化にもつながるまちづくりを着実に進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕
◎副市長(村上圭子) 被災者への住宅支援についてでございます。被災者住宅再建等支援制度は,国の被災者生活再建支援法の適用がない局地的な災害でも,早期に補修を進めていただけるよう本市独自に実施している支援策であります。制度の運用に当たっては,これまでから,床上浸水や地震等により屋根の損壊で雨漏りが生じているなど,生活への支障を来している場合は,自然災害の規模にかかわらず適用しており,既に恒久的な制度となっております。また,ハウスクリーニング等の経費に対する基礎支援金は申請開始日から1年間,補修等の経費に対する加算支援金は3年間の申請期間を設け,補修後であっても申請可能としており,利用しやすい制度としております。また,被災された市民の方へは市営住宅を提供するとともに,市営住宅への入居を希望されない方については,京都市被災者向け住宅情報センターにおいて民間住宅の情報提供,登録不動産事業者の紹介を行っております。今後も被災者の皆様に寄り添った支援を迅速に行ってまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 私から3点お答えをいたします。まず,住民の避難対策についてでございます。先般の7月豪雨は,これまで経験したことのない規模での避難勧告等の発令ということになりましたが,消防局が実施をいたしました避難対策に関する意識調査,無作為抽出でございます。1学区当たり5人,合計1,126人という回答でございます。その意味では,おおむね市民の意見の傾向というのを反映できているものと認識しております。この調査結果では,御紹介もありましたが,避難勧告等の発令後の行動について,何もしなかったという方のうち,自分に被害があるとは思わなかったという回答が58パーセントに及んでおります。この傾向は,大きな被害のありました広島県や岡山県をはじめ,全国的に同様の点が指摘されているところでございます。その意味で,我々といたしましても,ハザードマップ等に掲載している立ち退き避難,あるいは垂直避難などの適切な避難行動を市民の皆様に確実に行っていただくために,災害が度重なり発生しているこの機を捉えまして一層周知に努めるとともに,本市の災害対応の総括に掲げた課題と改善策について早急に取り組んでまいりたいと,このように考えておるところでございます。 次に,
指定緊急避難場所についてでございます。
指定緊急避難場所でございますが,平成25年6月に災害対策基本法の改正がございまして,災害が発生し又は発生するおそれがあるときに,その危険から逃れるための緊急的な避難場所ということで,洪水,土砂災害など災害の種類ごとに指定をしておる形になっております。市民の皆様の生命,身体等の安全を確保するということが何よりでございますので,現場の状況を確認しつつ,引き続き,
指定緊急避難場所の見直し,拡充に努めてまいる所存でございます。 今般の7月豪雨でございますが,多くの地域で自主防災会をはじめとする地域の皆様,そして施設管理者との連携により
指定緊急避難場所の開設,運営が行われたところであり,改めて感謝,敬意を表するところでございますが,夜間における開設,あるいはこれまでにない長時間にわたる開設という事態でございました。自主防災会役員等への負担が大きくなるとともに,避難者への備蓄物資の提供,災害情報の提供,高齢者や障害者などのいわゆる要配慮者の受入れ,こうした様々な課題が出てまいりました。これを教訓といたしまして,市の地域防災計画における
指定緊急避難場所の開設,運営に係る規定,あるいは防災行動マニュアルなどの検証を行いまして,これを必要に応じて改訂をするとともに,地域の自主的な運営を確保しつつ,運営に係る資機材の整備や速やかな災害情報の提供,行政のサポート体制などについてもしっかりと検証してまいりたいと,このように考えております。 次に,伏見区大岩山における違法造成と土砂条例についてでございます。当該違法造成地につきましては,違法行為を確知後,速やかに宅地造成等規制法に基づきまして,土地管理者に対して指導を行いまして,その後,同じ法律に基づきまして土砂の搬入停止命令,更には災害防止のための措置を採るよう命令を発しております。行政代執行も辞さない覚悟で安全確保に全力を尽くしているところでございます。他の地域で同様の違法行為が行われていないかどうかということにつきましては,常に庁内関係部局,関係機関が連携をいたしておりまして,市民の皆様の御協力もいただきながら,その発見や防止に努めております。万一,同種の事案を確知した場合には,速やかかつき然として対処してまいりたいと考えております。 なお,政令指定都市である本市でございますが,宅地造成等規制法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に基づく規制,指導権限を直接執行できるという立場にございます。今回の事例を含めまして,同種の違法造成等の事案につきましては,既存の法制度を駆使し,いわゆる土砂条例がなくとも適切に対応できるものと考えております。以上でございます。
○議長(寺田一博) 吉田危機管理監。 〔吉田危機管理監登壇〕
◎危機管理監(吉田不二男) 原子力防災についてでございます。原子力発電所の安全対策につきましては,東日本大震災以降世界最高水準とされる国の新基準に基づき,津波や地震動の想定に沿った対策が講じられており,国の厳格な審査に適合したものであると認識しております。本市におきましても,国の原子力災害対策指針に基づいて設定いたしました大飯発電所から32.5キロメートルのUPZ圏内に含まれる左京区久多,広河原,右京区京北上弓削町の一部の3地域を対象に原子力防災訓練や空間放射線モニタリングを実施するなど,指針に基づいた総合的な原子力防災対策に取り組んでいるところでございます。一方,放射性物質の拡散予測により避難行動を決めることにつきましては,国は不確かさを排除することができず,混乱が生じるなどの弊害があるとの見解を示していることから,予測的手法の導入については慎重に対応すべきであると考えております。引き続き,万が一の原子力災害に備えて,国,関西電力に対して万全の安全対策を求めるとともに,京都市地域防災計画の原子力災害対策編に基づき,安心安全を確保するための対策を着実に実施してまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 上田産業観光局長。 〔上田産業観光局長登壇〕
◎産業観光局長(上田誠) 倒木対策についてでございます。市域面積の74パーセントを占める本市の森林は,豊かな水を育み,京都ならではの景観を創出し,土砂の流出を防ぐなど,掛け替えのない貴重な財産でございます。倒木や山崩れなどの災害を未然に防ぐためには,放置され手入れが行き届かない森林の整備を進め,林の中に光が差し込み,木々がしっかりと根付いた森を造ることが不可欠であります。そこで,本市では,これまでから間伐や放置された間伐材などの搬出,さらに森林整備の要となる林道の維持管理に対する支援など,健全な森づくりに取り組んでまいりました。こうした中,今般の台風21号では,近年にない強い風によって,南向き斜面や谷合いの杉やヒノキの人工林で多くの倒木被害が発生いたしました。こうした現状も踏まえ,従来からの間伐をはじめとする適正な山の管理に加え,倒木被害の未然防止の強化に向けた災害に強い森づくりについてどういった対策が有効であるか,専門家などの皆様ともしっかりと議論し,研究を進めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博)
加藤あい議員。 〔
加藤あい議員登壇〕
◆(
加藤あい議員) 災害対応については,職員の不足で住民の命を守れない事態となっていることを正面から受け止めるべきです。市政全般にわたる見直しを行って,対策を抜本的に強化することを重ねて求めるものです。 次に,無料低額診療事業について伺います。生計困難な人が必要な医療を受ける機会が制限されないよう,無料又は低額な料金で診療を行うのが当該事業です。基準や内容は医療機関ごとに異なりますが,本市においては34施設で実施されており,格差と貧困が広がる中,大変重要な事業となっています。法律で,病院,診療所,介護老人保健施設が対象とされていますが,保険薬局が含まれていません。一昨年,保険薬局が行った患者アンケートでは深刻な状況が明らかになりました。762人の方からの回答がありましたが,1箇月の支払が3,000円以上の方が24パーセント,薬局での一部負担金について,高いと感じている方は33パーセント。半数近くの方が支払のために生活を切り詰め,貯金を切り崩すなどの対応をされていました。薬代を払うために借金をしている方もあり,経済的理由で治療を中断された方は32人にも上りました。少なくない方が薬代の負担に苦しめられています。生活困難者を救済するためには,現在対象外となっている保険薬局も対象施設とすべきです。京都市として,無料低額診療事業を保険薬局も対象とすることを国に要望すべきではありませんか。また,本制度は医療ソーシャルワーカーの配置が義務付けられていることからも市民の受療権保障の機能も果たしています。公的病院である京都市立病院こそ,この事業に率先して取り組み,その機能を果たすべきではありませんか。 さて,病院への入院治療やその後のケアにおいても,今,格差が発生をしています。制度の相次ぐ改悪や診療報酬改定で,今や療養病棟以外の病棟では長期入院が難しくなっています。入院と同時に退院の相談という状況も珍しくありません。しかし,退院と言っても老老介護,独居,認知症などで,在宅療養の環境が整わない方もおられます。そうすると,住み慣れた地域を離れて入院期間2箇月から3箇月程度で一般病院を転々とするか,リハビリは期待できない療養の病院に行くか,医療が受けられない介護老人保健施設に行くかという選択が迫られることになります。患者が医療や介護を選択するのではなく,施設に選ばれるという深刻な事態が国の医療制度改悪の中で発生しているのです。施設外の診療所などから医療を受けられる介護老人福祉施設,特別養護老人ホームの整備を京都市として進めるなど,独自の施策の具体化を求めておきます。 次に,左京区のまちづくりについて質問します。これまでから,左京区のまちづくりについて繰り返し議会でも取り上げてきました。とりわけて左京区役所移転を契機として課題が噴出していますから,まちづくり方針の転換が求められています。先般,左京自治体要求連絡会が暮らしと要求アンケートを行い,2,800人を超す方々から返信が寄せられました。アンケートの公共交通に望むものという設問に,左京区役所への交通アクセスの改善と答えた方は,北白川学区や養正学区,左京区南部で最も高く,30パーセント以上の比率となりました。また,左京区で住み続けられるために充実してほしいことについては,介護,医療,福祉の順で回答が多くなりました。現在,旧左京保健所は売却が進められようとしていますが,左京区のまちづくりの課題や区民,市民のニーズが十分に踏まえられているでしょうか。地元学区からは,バリアフリーに対応した集会所や,高齢者等の避難所として使用できるようにしてほしいとの市長宛ての要望書が1,317筆の署名を添えて提出されています。当該施設は耐震基準も満たしており,区民にとって交通利便性が高い場所にあります。市民,区民の財産である公共施設活用に際して,区民の声を十分に聴き,必要な社会資本が何なのか検討することは行政の第一義的課題ではありませんか。左京区に行政の支所的機能,集会所などの住民交流施設を造ってほしいという住民の声に応えることを求めます。公共施設の活用は売却有りき,財源確保有りきの姿勢を転換し,必要な社会資本が何かの調査,検討を踏まえ対応をされることを求めます。 北泉通への架橋を巡り,裁判となっています。住民の皆さんは建設現場で税金の無駄遣いをやめてとスタンディングアピールをされていますが,その場に立てば,すぐそこに橋があることを体感します。正に,すぐそこに馬橋があるのです。裁判では,都市計画決定を巡る問題点も明らかになっています。必要な既存の橋の耐震化,改修こそ優先すべきであることを指摘しておきます。 最後に,憲法改定について伺います。9月19日,韓国と北朝鮮の3回目の南北首脳会談が行われ,共同宣言と合意書により,朝鮮半島の平和と非核化に向けた具体的措置が確認されました。その内容の成果と同時に,こう着していた米朝交渉を打開するうえでも重要な前進となりました。紆余曲折はありますが,明らかに,緊張から対話へ,北東アジアで新たな変化が起きています。この流れが実を結び,北東アジア全体が戦争の心配のない地域になれば米軍基地の存在根拠も失われることになります。ましてや,沖縄の辺野古に新たな基地を造る理由などありません。そして,国際紛争を解決する手段として,戦争,武力行使を放棄すると決めた憲法9条は,正にこうした方向と合致するものではないでしょうか。にもかかわらず,安倍首相は10月下旬にも召集される臨時国会に改憲案を提出したいとしています。明らかに世界の流れに逆行しています。世論調査では,臨時国会への改憲案提出について,反対が51パーセント,賛成が35.7パーセントと,国民の理解は得られていません。あくまでも押し通すなら,国民との矛盾は拡大するだけです。市長が会長を務める世界歴史都市連盟の歴史都市会議では,人類の世界平和を一層強固にするため,国境を越えた友情を深め,日々の交流を通じて協力していくとのブルサ宣言が採択されました。世界歴史都市・京都のトップとして,平和の発信,憲法9条守れの声を上げる見識が求められているのではないでしょうか。いかがですか。 憲法について議論がされることは意義のあること,国会を中心に国民全体で議論されるべきものとするだけで,市長の見識を示さない姿勢を改めることを求めます。答弁を求めます。以上で,私の第1質問を終わります。(拍手)
○議長(寺田一博) 田中行財政局長。 〔田中行財政局長登壇〕
◎行財政局長(田中照人) 公共施設の跡地活用についてでございます。市民全体の財産である市有資産の活用に当たりましては,まずは公共性,公益性を重視した政策的な活用を図ることとしており,本市の施策推進のために,どのように有効活用していくかを全市的な視点から検討しております。また,早い段階から資産情報を公開し,資産有効活用市民等提案制度に基づき,市民や事業者の皆様からの活用提案を常時受け付ける取組を行っております。そのうえで,公共性・公益性の観点から十分な活用が見込めない資産につきましては,地域の活性化,より魅力のある地域づくり,また財源確保の点からも積極的に売却を進め社会全体で有効に活用することとしており,御指摘のような売却有りき等の姿勢ではございません。 旧左京保健センターにつきましては,区役所と保健センターの機能を融合し,松ケ崎の地に総合庁舎を整備した後,暫定的な利用を経まして,市全体の発展,活性化を目指す観点から,その跡地活用を本格的に進めようとしているところでございます。今後におきましても,地元をはじめ,市民の皆様の御理解を得ながら,効果的な資産の活用を進めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕
◎総合企画局長(藤原正行) 憲法と平和についてでございます。平和は変わらざる人類普遍の願いであり,日本国憲法における平和の理念は,主権在民,基本的人権の尊重と共に遵守されるべき基本的な理念,原則であります。こうした理念,原則を大切にしつつ,憲法について国民が関心を高め,議論がなされることは,何度も申し上げておりますとおり,大変意義のあることであり,その在り方につきましては,国家,国民の基本に関わる事項として,国会を中心に国民全体でしっかりと引き続き議論がなされるべきものと考えております。40年前,京都市は,全世界の人々が人種,宗教,社会体制の違いを超えて,平和のうちに自由な文化交流を行うことをうたった世界文化自由都市を宣言いたしました。この宣言の理念を具現化した一つが世界歴史都市会議の創設であり,本年のブルサ宣言におきましても,寺田一博市会議長をはじめ,市会代表団の御参画の下,国境を越えた友情と交流により,人類の世界平和を一層強固にしていくことを誓い合ったところでございます。引き続き,平和の重要性を国内外に強く訴えるとともに,国際交流事業や平和祈念事業など,市民の皆様と共に平和に関する多彩な取組を積極的に展開してまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(高城順一) 無料低額診療事業についてでございます。無料低額診療事業は,経済的な理由で必要な医療を受ける機会が制限されることがないよう,社会福祉法に基づき,医療機関の届出によって,無料又は低額な料金で診療を行うものであります。現在,市内においては,全国で実施されている664の医療機関の約5パーセントに当たる32箇所で実施されており,他都市と比較しても多い状況にあります。この事業を保険薬局も対象とすることにつきましては,経済的な理由で必要な投薬が受けられず治療を中断される方が出ないよう対象としていくことが望ましいと考えており,本市としてもこれまでから繰り返し,国に対して要望を行っております。 市立病院については,感染症医療,災害医療などの政策医療の拠点として,また,高度な急性期医療を提供する地域の中核病院としての役割を担っており,既に市内32の医療機関において本事業が実施されていることからも,実施は考えておりません。 なお,本制度を必要とされる方に対しては,実施医療機関を紹介するなど適切な対応を行っております。以上でございます。
○議長(寺田一博) 加藤議員。 〔
加藤あい議員登壇(拍手)〕
◆(
加藤あい議員) 憲法改定について,市長から直接の御答弁がありませんでした。大変残念であります。そもそも,憲法92条に規定された地方自治の本旨は,地域のことは地域で決めることであり,憲法の基本的人権の保障や国民主権を自治体運営にいかすことが市長の仕事であります。主体的に見識を示す立場に転換されることを市長に強く求めるものであります。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○議長(寺田一博) 暫時休憩いたします。 〔午後2時50分休憩〕 〔午後3時9分再開〕
○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。
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○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,井上けんじ議員に発言を許します。井上議員。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕
◆(井上けんじ議員) 南区から選出していただいております井上けんじでございます。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。 国でも地方自治体でも,政治の目指すべき方向について考えるとき,何よりも憲法こそがその目標とならなければならないと私は考えます。最高法規なのに憲法の掲げる内容がいかされていない現状が数多く存在します。国や自治体は,全ての国民に健康で文化的な生活や,お金の心配のない教育への権利を保障しているでしょうか。税金は所得が高ければ税率も高いのが本当の平等なのに,実際は持てる者ほど実質的負担率は低くなっています。文化,スポーツへの参加や鑑賞の権利の具体化のためには,その機会や場が必要です。特に若者やシングルマザー,高齢者等,まともな仕事や老後が保障されているでしょうか。地方自治と言われながら,国は通達の類を自治体に押し付けています。海外への派兵は憲法からの逸脱です。憲法どおりの政治を政府に求め,また自らも市政にいかしていくことは,市長や議員の憲法尊重擁護義務から言って,本市における根本的かつ最大の目標とされるべきであります。蜷川虎三元京都府知事は,「議論は自由だが守らねばならぬ憲法が厳として存在しておる」と言われておりました。そういう問題意識を前提に,以下質問をいたします。 まず第1に,介護保険料の減額を求めます。母子家庭といっても母98歳,子供75歳の二人暮らしですが,戦争で夫を亡くされ200万円にも満たない恩給が一家の唯一の収入で,子供は保険料納付が10年に満たず無年金,無収入なのに,医療や介護の保険料が掛かってきます。高齢者福祉の費用負担区分は,かつては国8割であったものが,今の介護保険では2割5分以下にまで下げられています。国の負担割合を増やすことが必要です。そもそも,契約制度の導入,現物給付から現金給付への変更による公的責任の後退が根本問題であり,また最近では,保険料を払い支援を要する状態なのに保険給付が受けられないという,保険の大原則を政府自らが踏みにじっています。保険給付の範囲を狭くして自治体の事業だなどと言いながら,その自治体の事業である保険給付外の支出にまで保険料を注ぎ込むのは,本来一般会計で持つべき公衆衛生や保健予防活動等の費用までをも保険料に担わせようとするもので,これも保険料が高い一因となっています。事業者支援や介護労働者の賃金,労働条件の改善,介護報酬,要介護認定の在り方等々,改善すべき課題はたくさんありますが,特に保険料について,以下,お聞きします。 保険料軽減のための一般会計からの繰入補填について,市長は,「全国一律の制度で法令で財源構成が決められている。負担と給付の関係を崩すなどの理由から実施する考えはない」と言っておられます。政府も「繰入れは不適当だ」と言っています。しかし,その法的根拠はありません。不適当との政府見解は自治体を拘束するものではないと,既に2002年3月19日,国会でも当時の坂口厚生労働大臣が答弁しています。先日,私も直接国に聞きに行きましたが,厚生労働省の介護保険の法令の担当者は,不適当との見解はあくまでもお願いだとのことで,自治事務の保険者として各自治体独自の判断も有り得るとのことでありました。現に繰り入れている自治体もあります。全国一律だからと言って,その上に自治体独自に繰り入れることは何ら問題はありません。保険料は高すぎると私は思いますが,市長の認識はいかがですか。市長の言われる理由は,国の制度の制約なのか,それとも制約ではないけれども,市長自らのお考えなのか,この点についても併せてお答えください。 第2に,生活保護についてお聞きします。この夏,あの猛暑の中で,クーラーが故障したが修理代も買換え代もない,あるいは電気代が払えないということで,スイッチを入れない中で過ごされていた方もおられ,そのことが原因で熱中症で亡くなられるという事件がありました。電気代を気にする生活が健康で文化的と言えますか。文化的と言えば,せめて,たまにはコンサートや温泉旅行に行けるぐらいは当たり前ではないですか。前回引下げの総括もしないまま,しかも本来なら生活保護の対象となるべき低所得階層と比べる手法に(発言する者あり)
○議長(寺田一博) 静粛に願います。
◆(井上けんじ議員) (続)多くの批判が寄せられているにもかかわらず,今回また政府は保護費を引下げしようとしています。とんでもありません。OECD諸国の中で,GDPに対する保護費の割合は,日本は最低クラスです。クーラーは新規受給や転居の場合について改善されたとはいえ,来年も猛暑が危惧され,受給中の場合も扶助の対象にするなど,全体として保護費はむしろ引上げが必要です。 もう一つの大問題は,生活保護を受けることが恥ずかしいことだと思わせ,庶民を分断させる政策が採られていることであります。市長も不正受給は許さないと言われます。収入未申告がやむを得ない場合には不正とは扱わないという通知を厚生労働省が出していますが,それはともかく,意図的な不正が許されないのは当たり前のことでありますけれども,制度利用者の皆さんを萎縮させ,制度を利用していない人たちとの分断を生まないように,また問題の本質を見失わないようにしなければなりません。低所得世帯にも受給世帯への妬みの気持ちが生まれるのは,本来,対象でありながら受けておられない世帯の存在を示唆しています。研究者では,対象者のうち実際の受給は2割から3割,政府が5月末に国会に提出した資料でも,多めに見ても44パーセントと半分にもなりません。市長は,漏れている世帯,漏給世帯はないと断言できますか。こういう調査にこそ取り組むべきであります。問題は,日本の場合,他の社会保障施策が余りにも貧弱なために,貧困対策と言えば,即,生活保護という認識や仕組みになっていることであります。国民年金は,満額でも月6万4,941円,市民の平均受給額は僅か5万3,800円,国民健康保険の被保険者で言えば,所得割基礎額200万円以下が9割も占めています。非正規のゆえに,保護基準に満たない賃金しか得られていない青年もいます。ヨーロッパの先進国では,全国民が,医療の窓口負担無料とされていますから,生活保護の医療扶助だけを殊更に問題にする余地がそもそもないのです。正規雇用の拡大,最低賃金の底上げ,雇用保険や年金の改善など,国民生活全体の底上げ策が必要です。受給世帯も非受給世帯も,みんなで力を合わせて社会保障制度を全体として改善向上させよう,困ったときにはまず福祉事務所へと,そういう姿勢が必要ではないでしょうか。政府も,生活保護基準は47にも及ぶ他の制度に連動すると言っています。保護費引下げは,制度利用者の文字どおり命に関わるとともに,国民生活全般への底下げにつながります。引下げ方針の撤回を政府に求めるとともに,利用者を萎縮させず励ますこと,否定的な認識の払拭に努めること,そのために,漏給の調査研究,さらに社会保障全般の底上げ策を目指すこと。こういう展望と方向についての認識をお聞かせください。 第3に,経済産業政策について質問します。経済循環のためには物が売れなければなりません。ところが政府や市の政策は,財政出動とか供給サイドばかりを強調し,需要や購買の拡大策が見えてきません。観光客に頼る考えは,市民の暮らしの向上にはつながりませんし,ものづくりの観点から言っても疑問です。観光消費額は払う側の額であって,誰に払ったのか,どこへ落ちているのか,老舗の旅館業等への波及はどうか,むしろ海外や他都市の観光資本に回っているのではないか等々,もっと分析が必要です。市内産品はもちろん,海外や全国展開を目指すこともそのとおりですし,京都生まれの世界育ち企業が羽ばたいているのも京都の特徴ですが,同時に,生産やサービスは市民の消費生活を豊かにする,文化的な生活の向上という方向で供給されること,市民に買ってもらって営業活動も活発になるという視点が,地域経済の観点からも重要なのではないでしょうか。そのためには,社会保障の改善等市民の購買力向上が必要ですが,特に,最低賃金の底上げや正規雇用拡大など,消費者の多数を占める労働者の購買力向上策が必要であります。実質賃金や消費支出は低下又は横ばい,伸び悩み傾向が続いており,本市の非正規労働者の割合は43.7パーセントにも及んでいます。消費拡大のためにも,労働分野での改善底上げが必要です。 そこで何から始めるか。例えば横浜市では,経済労働課という所に15人もの職員がおられ,労働相談や就職相談などの窓口も設けられています。仕事支援センターという施設があり,労働データや資料も豊富にそろえられ,閲覧が可能です。ワーキングガイドという冊子も作られています。神奈川県にも同様の施設や機関がありますが,窓口がたくさんある方が働く人のためになると,誠に市の関係者の方々は意気軒高であります。これらの例に学ぶべきであります。本市の産業観光局の方針では,まちの危機,産業の危機,働く人の危機の三つの危機と書かれていますが,それらの打開の方向については,まちづくり,文化,融合,連携等々,抽象的なことばかりです。働く人の危機との認識であれば,購買力アップ,労働者の正規化等,その打開への本市の体制の確立と施策の充実,具体化を求めます。この点についてお答えください。 その購買から遡って小売の分野ですが,何年か前,フランスのパリに行った人の話として,日曜日は百貨店を閉店とするルールがあるとのことでありました。言うまでもなく商店街の営業を守るためで,日本でも発想の転換が必要です。商店街支援とはいえ既に南区ではほとんどが解散されておられます。支援の対象を商店街に加え,固定費など個々の商店や何軒かのグループ,有志での企画等にも拡充するなど,一層のきめ細かい支援を求めるものであります。 さらに,小売から製造も含めた製造,流通分野では,京都のものづくりと関連企業協力企業間のネットワーク,流通,販路拡大も視野に入れて,地域企業,中小企業に光を当てた体系的な方針の策定とその具体化,条例化が必要です。中でも,特に零細自営業者,小規模企業については,中小企業対策一般にはとどまらない独自の振興策立案を求めます。小規模企業振興法も,自治体で具体化すべきとうたっています。未来力会議での議論をいかし,当事者の皆さんの参加も得て方針を作るべきだと考えます。振興策立案について答弁を求めます。また,横浜市が作っているような中小企業取組状況報告書のようなものを,京都でも是非作成すべきであります。ちなみに,本市発行の統計資料などでは,事業所の規模別や,地元企業と他都市や外国に本社を持つ企業とを区別したデータが少なく,これでは京都の中小零細企業独自の分析や大手との比較はできません。先ほど述べました非正規労働者のデータも五,六年前の国の調査から採っただけのもので,もっと市独自の最新データが必要だと思います。 さて,以前から私は,市長の言われる,市の施策の大半は中小企業対象との従来答弁に疑問を感じてまいりました。その理由は,以下のとおりであります。昨年暮れ,京都府選挙管理委員会が公表した2016年政治団体の収支報告書によると,市長選挙のときの時局講演会に,対価の支払として,次のように書かれています。そのまま紹介します。未来京都の会,代表門川大作,特定パーティーの概要,政治資金パーティーの対価に関わる収入の内訳,未来京都の会時局講演会,団体からの対価の支払として,以下,前後の株式会社という表現は省略しますが,オムロン,任天堂,日本電産,堀場製作所,村田機械,京都銀行,ワコール,中央信用金庫,ローム,島津製作所,京セラなど,各50万円等々。仮に大手と中小の利害が食い違った場合,市長は,お金で支えられている側にもきっぱり意見を言うことができますか。特定の企業から対価の支払を受け,どうして公正な行政ができるでしょうか。これが私の疑問の理由でありますが,いずれにせよ中小企業底上げ策の拡充を求めておきたいと思います。 次に,消費税と財政についてお聞きします。来年の秋,安倍内閣が消費税増税を予定しています。消費者と共に特に中小企業,零細業者,医療機関等,消費税増税は死活問題であり,中止を政府に求めるべきであります。社会保障に充てると言っても,目的税でも特定財源でもなくお金に色が付いているわけでもありません。一般財源に紛れ込んでいるだけです。元々消費税は売上げと仕入れの差に税率を掛けて計算するもので,消費者への転嫁の法的根拠はありません。このことは,既に昨年の秋の決算議会で,転嫁の根拠をお聞きした私の質問に,転嫁しないと財政が大変になると,根拠ではなく単なる財政運営上の理由を答弁されたことによって決着済みであり,また例えば4年前,市バス・地下鉄運賃の転嫁値上げは,全体として各運賃をならして3パーセントとしただけで,従前の各運賃のそれぞれ3パーセント分ではなかったことによっても既に証明されています。市長と管理者の権限において公営企業の市バス・地下鉄や水道・下水道の運賃,料金等への上乗せは根拠がなく,今の8パーセント分も含めて転嫁すべきでないと求めるものであります。答弁を求めます。 続いて,その消費税を含む財政全般への質問です。毎年のごとく,市長は,財政危機だ,財政危機だと強調されています。では一体いつになれば,その危機から抜け出せるのでしょうか。そのための戦略はいかがでしょうか。危機の背景と原因の解明,その分析と展望が全く見えてきません。打開策としては専ら職員削減や市民負担増,基金の取崩し,公有地の切売りなど当面のやり繰りだけで,しかもその当面策についても全く賛成できないものばかりであります。自治体財政の危機については政府の責任が大きいことは明らかでありますけれども,それを国の財政も大変だなどと言って免罪している市長の責任もまた同じであります。大変なように見えるのは,まず歳入における法人税収,所得税収の落ち込みです。消費税導入時の約30年前と比べ,法人税収は19兆円から12兆円に,国税収入に占める割合も35パーセントから24パーセントに激減,所得税も26兆円から18兆円,41パーセントから30パーセントへと減っています。この30年間の法人3税の減収は280兆円。しかしこれらは,大企業と富裕層への大幅減税が原因ですから,行きすぎた減税をやめればいいだけであります。財源と言えば消費税増税しかないかのような議論がありますが,これまでの消費税収入総額349兆円の8割が大企業等減税の穴埋めに充てられています。何のことはない,大企業や富裕層から政権政党への寄付の見返りではありませんか。国民から選ばれたわけでもないのに,大企業の役員の人たちが,民間議員などと言って,諮問機関等で事実上政府の意思を決定,自分たちの減税をお手盛りで決めています。何億円単位のこれらの減税は,補助金と同じですから,私はこれを不当受給と呼んでいます。経済活性化のためだとの言い分は,大企業の一人勝ちで中小企業や国民にはその成果が及んでいないという結果によって既に破綻しています。 京都新聞の記事によりますと,6月26日付けでは「トヨタの社長の報酬は3億8,000万円」,9月4日付けでは「大企業の内部留保は約446兆円だが,労働分配率は下落が続き,個人消費の活性化がおぼつかない」と書かれています。3億8,000万円と言えば,月3,160万,1日105万円,また446兆円を仮に全国の市町村に人口割で配分するとすると,京都市では5兆円を超えるというばく大な数字であります。京都の主要大企業9社の内部留保は,合計6兆2,700億円。賃金や下請単価の改善など社会に還元する仕組みが必要です。所得や利益に応じた累進性という憲法の実質平等原則に基づいた集め方が必要です。 歳出面でも,少なくとも専守防衛を超えた攻撃型軍備の削減や大型事業の中止,政党助成金の廃止,米軍への思いやり予算の撤廃等々,削るべき項目はたくさんあります。社会保障の話のときには財源がない,財源がないと言いながら,無駄遣いのときには財源の話が出てこないのは一体どうしたことでありましょうか。集め方,使い方を変えれば,財政は危機ではありません。集め方の実質的不平等や軍備拡大,格差拡大国民生活底下げ政策を進めている政治こそが危機であり,憲法に基づく政治や財政が行われていないという意味で憲法の危機だと言わなければなりません。ないのは財政ではなく,市民,国民の暮らしをおもんぱかるトップの気持ちであります。国に対しお願いではなく,根本に迫る政府への批判と運動こそが,地方財政危機打開への道だと思いますが,いかがでしょうか。 同時に,市自身のお金の使い方,集め方についてもお聞きします。中央市場や市役所,美術館など,改築に際し一層の精査が必要だと,これは前から指摘してきたとおりです。梅小路JR新駅への市負担や中央市場賑わい施設への横断陸橋も不要です。鴨川東岸線第3工区や堀川油小路地下バイパス道路は,ばく大な費用が予測されながら,その見積りが十分に明らかにされないまま計画と事業が既成事実化されようとしています。集め方についても多くの改善すべき課題がありますが,そのうち市民税を取り上げます。 今は所得の多少にかかわらず一律8パーセントの市民税所得割を,以前の14段階とまでは言わないにしても,累進化し実質平等とすべきこと,均等割非課税の対象を拡大することなどの改善が必要です。防災事業に充てるとして2014年度からの10年間,均等割の500円アップが今も続いていますが,この財源活用事業は2015年度で終わっているはずであります。これも一般財源に紛れ込んでおり,防災に名を借りた値上げではありませんか。政府における法外な大企業減税や,各地方自治体の税収の偏在を口実とした
地方法人税の一部国税化が自治体の法人市民税の収入減に連動,直結しており,これも改善が必要です。前年度決算において,市民税収入が前々年度から増えているとのことでありますけれども,先ほど触れました経済統計と同様,所得の大小,多少による分析がありません。高額所得者と庶民とを区別せず一律に平均所得が幾らです,増えていますと言ってみたところで,その内訳が明らかにならなければ,高額所得者の一人勝ちかもしれないのです。こうした税金の集め方,使い方が国の財政危機を招いていると私は考えますが,改めてこの点について,市長の認識をお聞きします。法人市民税の一部国税化の撤回と累進制拡大,個人市民税の特に累進制の復活強化も必要と考えますが,これらの点についてもお答えください。 最後に,文化会館の全行政区への設置,庶民の文化の底上げを求める立場から質問します。昨年,文化芸術基本法が改正,補強され,文化芸術を創造し享受することが生まれながらの権利であること,年齢,障害の有無,経済的な状況,居住する地域にかかわらず,等しく鑑賞,参加,創造することができる環境の整備が図られなければならない,自治体はこの理念にのっとり地域の特性に応じた施策を策定し実施する責務を有するとうたわれています。しかるに,政府や最近の文化庁では,文化芸術は経済活性化の起爆剤,文化財を観光にいかす,稼ぐ文化などとの方針が掲げられ推進されています。文化財の保護や調査研究が軽視されています。まして文化行政は文化財だけではありません。政府方針は法の趣旨からの逸脱です。芸術文化の振興,底上げ,文化芸術団体や地道に活動されておられる芸術家への支援,また文化施設,博物館や公民館の運営など利益とか採算になじまない面があるのも当然です。こども文化会館も存続活用すべきであります。 京都にもなじみの深い雑誌編集者の木津川計さんは,文化人になるため,文化人であるための条件として,経済的余裕,時間的余裕,精神的余裕を挙げておられます。生活保護利用世帯や非正規で仕事に追われている若い労働者などにも,豊かな文化芸術に触れる機会を十分に保障することも,文化行政の大きな柱ではないでしょうか。参加や鑑賞は基本的人権の一環であり,住民誰にでもその機会や場が保障されるとともに,そのための費用の低廉化が目指されるべきであります。同時に木津川氏は,一輪文化と草の根文化と言われています。トップレベルの芸術,芸術家の存在と,庶民文化の裾野の拡大の両方が必要です。南区では,2箇月に1回,関係者の皆さんの御尽力で文化団体の企画があり,出場される各サークルの皆さんが,歌や踊り,楽器などの練習や演奏に大変熱心に取り組んでおられます。しかし,こういう自主的な団体への補助や支援はほとんどありません。練習などの場所も必ずしも十分ではありません。南区には文化会館もありませんし,コンサートホールや京都会館といってもバスや地下鉄を乗り継がなければなりません。色々なサークルや団体が,ちょっと集まろうとされても適当な場所がないのが現状です。先日,私は東京都の国立市へ行く機会がありましたが,人口7万人の自治体で何と25箇所もの集会所やコミュニティ施設があります。更に言えば,こういう施設や会館は,単なるハードとしての,建物としての施設,会館というにとどまらず,もっと大きな意義を持っています。劇場音楽堂等活性化法や文化庁の数年前の方針では,地域文化の振興,人々が共に生きるきずなを形成するための地域の文化拠点,社会的課題に取り組む社会包摂事業,高齢者や障害者の皆さん,若者などが集える公共的機能,役割を持った施設といった方向が打ち出されています。そういう意味での文化会館又はそれに類する施設を全行政区に設置すること,そして庶民の各文化団体への支援を強めることを求めるものであります。この2点についてもお答えをください。 以上,積極的な御答弁を期待して質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 井上けんじ議員の御質問にお答えします。 経済政策についてであります。本市ではこれまでから,中小企業,地域企業の稼ぐ力の強化と域内循環を両輪として,中小企業,地域企業の喫緊の課題である担い手確保対策のほか,経営,金融,技術支援による中小企業,地域企業の下支えや成長支援,好調なインバウンドを背景とした観光振興,産学公連携による新産業創出,第2創業の支援など,未来を見据えた成長支援を総合的に取り組んでまいりました。本市の景況は,こうした取組や国の経済政策の効果も相まって,緩やかに拡大しております。また,京都商工会議所の調査では,今年度,府内の5割を超える企業が賃上げを実施しているとの結果が出ており,賃金面においても上昇傾向となってきております。他方で,景気が好調な今だからこそ,様々な課題に危機感を持ち,京都経済を足腰のしっかりとした持続的なものに飛躍させていかなければなりません。そのためにも,付加価値の高い産業を創出することが重要であり,引き続き,文化力,地域力などの京都の強みをいかしつつ,大学との連携,文化芸術,医療など異なる分野との融合をしっかりと図りながら,多面的に政策を展開しており,今後も進めてまいります。 雇用政策におきましては,昨年度から専任の担当部長を設置し,本市独自の取組として,わかもの就職支援センターを拠点に中小企業,地域企業の経営者と学生の交流会等を開催し,正規雇用の促進や中小企業,地域企業の担い手確保に取り組むほか,国,府及び経済界と連携し,企業の働き方改革を推進するなど,多様な働き手が活躍できる京都の実現をオール京都で進めております。今後とも,経済の活性化によって,質の高い雇用の確保と市民所得の向上を図り,市民の皆様の豊かさの実現につながるようしっかりと努力してまいります。 以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 小規模零細事業者対策についてでございます。地域に密着して事業を営まれている小規模零細事業者の皆様は,雇用や税収への寄与はもとより,市内での経済循環,
地域コミュニティ,文化,安心安全など,市民生活を支えていただいている京都経済の重要な担い手でございます。このため,本市ではこれまでから中小企業,とりわけ小規模零細事業者の皆様に気軽に御利用いただけるよう,京都府,商工会議所などとも連携をし,市内5箇所での経営相談や200箇所以上の金融機関を窓口とした金融支援など,事業者の皆様に身近な窓口できめ細かな対応を実施してきております。実際に,年間約2万件の経営相談や,約4,000件の企業融資の利用者のほとんどが小規模零細事業者であるなど,本市の取組は正に,小規模企業振興法の趣旨を踏まえたものとなっております。また,中小企業未来力会議,この会議は若手経営者等に御参画をいただき業種横断的に様々な観点から議論を検討することによって,現場の声をいかした振興策を作っていくことが大きな目的でございます。こうしたことから,この未来力会議での意見やアイデアを積極的に採り入れ,これまでに18の事業を予算化するなど,現場の声を政策に反映をしてまいりました。こうした中,先頃,未来力会議において,中小企業の若手経営者らが主体的に考え,京都の産業界の総意として取りまとめられた地域企業宣言が発表され,自らを規模を基準とする中小企業ではなく,地域と共に継承,発展する地域企業であるとうたわれました。今後,地域企業宣言の理念を軸に据え,小規模零細事業者を含めた地域企業の皆さんとしっかりと連携をしますとともに,未来力会議での議論も踏まえ,引き続き,京都経済の活性化に向けた振興策に全力で取り組んでまいります。私からは以上でございます。
○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕
◎副市長(植村哲) 私からは,消費税についてお答えを申し上げます。消費税の税率引上げにつきましては,社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするために,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国,地方を通じまして社会保障に要する財源を安定的に確保していくために行われるというものでございます。この実施に当たっては軽減税率制度の導入などの低所得者や中小企業等への影響を最小限にとどめる対策を十分に講じたうえで行われるものと認識をしております。消費税の税率引上げ分につきましては,介護,年金,医療及び子育てなどの社会保障に充てることとされております。地方消費税交付金が交付される本市といたしましても,こうした施策にしっかりと取り組み,市民の命と暮らしを守ってまいります。また,消費税は,物品やサービスの消費を対象といたしまして,消費能力に税の負担能力を見いだして課されるものでございます。最終的には消費者に転嫁されることが予定されている間接税であり,消費者が負担するものであることは,国が明確に示しているとおりでございます。したがって,本市といたしましては,他の自治体と同様,市バス・地下鉄の運賃や水道料金等についても適正に転嫁し,利用者に御負担いただくべきものであると考えております。仮に転嫁しないならば,税負担の公平性が保たれないほか,その不足分を京都市民全体で負担することになるなど,極めて不適切であると考えておるところでございます。以上でございます。
○議長(寺田一博) 平竹文化芸術政策監。 〔平竹文化芸術政策監登壇〕
◎文化芸術政策監(平竹耕三) 文化芸術の振興についてでございます。市民の皆様の自主的な文化芸術活動を支援することは,文化芸術都市の創生を目指す京都市にとりまして,重要な課題であると認識しております。そのため,本市では,文化芸術活動の拠点として,各地域に文化会館を設置し,貸館だけではなく自主事業や活動に対する支援も実施しております。また,音楽専用の京都コンサートホール,総合舞台芸術公演にも対応できるロームシアター京都,多様な芸術活動を支援する京都芸術センターなどの本市施設に加え,市内には,府民ホールアルティをはじめとする府立施設や大学,そのほか民間の文化芸術施設もございます。さらに,ウィングス京都や13箇所のいきいき市民活動センター,京都アスニーなど,学校や地域団体の催しや会議,サークル活動等だけでなく,文化芸術活動にも御利用いただける場が市内に100箇所以上ございます。また,梅小路公園における市民ふれあいステージや岡崎プロムナードの利用など,市民の皆様の発表の場の充実にも努めてきたところです。こうした文化芸術活動の場の確保に加え,市民の皆様が文化芸術に触れる機会を作るため,京都市交響楽団の演奏会をはじめ,一例でございますが,文化会館においては,公募により選定した文化芸術団体による無料公演や子供たちを対象としたワークショップなどを実施しているほか,来館できない皆様の御要望を受け,学校,病院,高齢者施設などに出向き演奏活動などを行うアウトリーチ事業にも取り組んでおります。今後とも,こうした各施設や事業を十二分に活用していただけるよう取組を進めることにより,市民の皆様の文化芸術活動を支援してまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 岩崎財政担当局長。 〔岩崎財政担当局長登壇〕
◎行財政局財政担当局長(岩崎清) 税財政制度についてでございます。我が国においては,消費課税や所得課税,資産課税を組み合わせることで,国及び地方を通じた税制度全体の中で,公平公正かつ均衡の取れた安定的な税体系の構築が図られております。また,社会経済情勢の変化に合わせ,毎年,国の税制改正において必要な見直しが行われており,こうした見直しの中で,大企業や富裕層を含め,適正に負担を求める税体系が実現されていると認識しております。個人の市民税につきましては,平成19年度の課税から一律の税率とされたところでありますが,この改正は,受益と負担の関係が明確になるとともに,負担を相互に分かち合うという性格にふさわしいものとなるよう行われたものでございます。法人の市民税につきましても,地域社会の費用について,その構成員である法人に幅広く負担を求めるために課されるものであるとの税の性質から,所得にかかわらず一定の税率とされておりますが,本市においては,一定規模の大企業に対し超過課税を行い,その能力に応じた負担をいただいているところであります。これまでから国に対しては,法人市民税の一部国税化など地方税収に直接影響を及ぼす地方税及び国税の改正について,国と地方の財源配分も含めた観点から意見を述べてきたところであります。今後も,税財政制度について必要な要望をしっかりと行ってまいります。また,市民の皆様からお預かりしました税金の使い方について,本市では,必要な事業を精査,予算化したうえ,無駄なく適正に執行しており,市会や監査のチェックもいただいております。これは国についても同様であると考えております。以上でございます。
○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(高城順一) 2点お答えをいたします。まず,介護保険料についてでございます。今年度から3年間の保険料につきましては,高齢化の進展やサービス利用者の増加等により大幅な上昇が避けられない中,介護給付費準備基金を26億円取り崩すことなどにより,可能な限り保険料の上昇幅を抑制するとともに,本市独自の低所得者に対する減額措置も継続し,負担抑制に配慮して設定しております。また,国においては,消費税率引上げによる財源確保を前提として,従来の公費負担とは別枠で投入する公費を拡充し,被保険者の約4割を占める低所得者層の保険料の軽減を講じることとしており,26年度に示された軽減率で実施されれば,本市の場合,最も低い所得段階の方で,今年度の保険料から更に年間1万2,000円程度減額されることとなります。保険者が独自に一般会計から繰入れを行うことにつきましては,法で禁じられてまではおりませんが,介護保険制度が全国一律の社会保険制度であり,その財源構成が法令で定められていることからも,これを行えば,社会保険としての負担と給付の関係を不明確なものとし,制度運営の根幹を揺るがしかねないものとなります。こうした観点から,国においては,保険料抑制のために一般会計からの繰入れを行うことは認められないという強い指導を行っており,本市としても本制度の趣旨に照らし,繰入れを行う考えはございません。 なお,国に対しては被保険者の負担が過重なものとならないよう,かねてから要望を行っているところであり,今後も制度が安定的に運営できるよう必要な要望を行ってまいります。 次に,生活保護についてでございます。生活保護基準につきましては国民が健康で文化的な最低限度の生活水準を維持できるよう,社会経済情勢や物価の動向等を総合的に勘案し,国の社会保障審議会,生活保護基準部会における評価と検証を経て,厚生労働大臣の裁量によって定めることとされております。今回の見直しについては,一般低所得世帯の消費水準と保護基準との均衡を図るという基本的な考え方の下,これまでの基準から最大13.7パーセントの引下げとなる案が提示されましたが,その後の部会における議論を踏まえ,引下げ幅を5パーセント以内にとどめるとともに,平成30年10月から3年間をかけて段階的に実施されることとなっており,一定の配慮がなされた適切なものと考えております。また,生活保護の受給が必要な状況にある方のうち,受給されている方の割合を示す,いわゆる捕捉率につきましては,生活保護の申請があって初めて保有する資産や親族からの扶養の可否などの調査等が可能となることから,正確に把握することは困難とされております。本市においては,必要な人に必要な保護を実施できるよう,かねてから専任の面接員を配置するなど丁寧な窓口対応等を行っており,引き続き制度を必要としている方に寄り添った対応を行ってまいります。 最後に,日本の社会保障制度は,介護保険制度や後期高齢者医療制度の創設など,高齢化の進展などに伴い着実に充実が図られてきました。この大切な制度を持続可能なものとして,次の世代に引き継ぐことが極めて大切であり,今後ともしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,
山本陽子議員に発言を許します。山本議員。 〔
山本陽子議員登壇(拍手)〕
◆(
山本陽子議員) 山科区選出の山本陽子です。日本共産党京都市会議員団を代表して,市長に並びに理事者に対して質問します。 一つ目に,障害のある児童の保育の充実について質問します。毎年,園長先生や主任保育士の方との懇談の中で,障害のある子供さん等配慮を要する児童が増えていることについてお話をお聞きしています。京都市は,保育士の加配基準の見直しや,障害児保育の認定を調査員による行動観察で実施するなど,制度を改善させてきました。しかし,発達に課題があると思われる子供が多数在籍し,虐待を受けた子供の入所や食物アレルギーを持つ子供が増えている状況の中で,適切な保育を行っていくためには,更なる充実が求められています。例えば,ある自閉症の子供さんは軽度の障害ですが,幼稚園でなじめず転園となりました。転園先の保育園では初めに1対1の別室保育を行い,環境に慣れるよう個別の配慮をすることによって,落ち着いてクラスの中にも入っていけるようになりました。このように障害としては軽度であっても,子供の実態に合った適切な加配が必要である場合があると聞きました。そもそも,対策費の対象となる児童数を見ると,児童5人に対して保育士一人の加配基準の認定区分,つまり加配の一番少ない区分が87パーセントを占めており,多くの障害がある児童の加配が不十分であることが考えられます。加配の基準を引き上げるべきです。また,調査員の訪問調査が行われて障害児保育対策費の対象と認定されるまで1年近く掛かる場合があり,その間の保育士の配置が厳しいとお聞きしました。調査回数を増やして,早期の認定を実現すべきです。 このような中で,国は今年度,障害児保育に関わる予算を400億円から823億円に倍増しています。障害児保育の受入数に応じた配分に変更したため,受入数が他の自治体より多かった京都市では,これまでの4億円から15億円に増額されるという試算です。委員会でこのことを確認し,この機会に京都市も予算を増額させて障害のある子供の保育の充実を求めたところ,理事者からは充実の考えがないことが示されたのは大変残念です。そこで市長に質問します。国が障害児保育の充実に予算の前進を示したときに,京都市においても,市の持出し分を減らすことなく,保育現場から求められている障害児保育対策費の内容を充実し,拡充に充てるべきと考えますが,いかがですか。 次に,学齢期の子供たちが伸び伸び過ごせる放課後の居場所の充実の必要性を述べ,学童保育の大規模化解消と,学童保育のない小学校区に新設すべき点について質問します。京都市ではこの9月に,小学校の放課後の子供たちの過ごし方についてニーズ調査が実施されています。共働き家庭の増大に伴い,放課後の子供たちの生活の場の確保は大きな課題です。平成27年度より学童保育は小学校6年生まで希望者全員の受入れを掲げていますが,年々増え続ける登録者数の規模に,現場は大変苦労をしています。登録児童が150人を超える児童館の学童保育を視察させていただきました。子供たちが所狭しと行き交い,なかなか落ち着いて過ごせるような場所はありません。熱の出た子が休むスペースは事務室の横にかろうじて確保されていましたが,いろんな物が置かれた中でした。館長先生は,「子供たちが多すぎることが一番の問題です」とおっしゃっていました。施設外クラスが設置されている学童では,正規職員の増員もない中で,本館と離れた学校内の分室を行き来し,子供の人数と職員の人数を調整されており,一日ゆっくり過ごせるような状況にはなっていません。現場は子供たちの安全確保に四苦八苦しておられる状況です。大規模化した弊害で保護者からは,できるだけ登録人数が増えないように,小学校3年生以上の申込みは辞退してほしいと勧められたという話も聞いています。面積基準いっぱいに詰め込む大規模化ではなく,適正規模に分割し学童保育の新規設置を進めるべきと考えますが,いかがですか。 さらに,児童館以外で京都市が設置する居場所として教室を借りて運営する放課後ほっと広場があります。短時間の放課後まなびの後の居場所でしたが,学童クラブ機能を有すると位置付けられています。子供たちの過ごす状況を見せていただくと,一室の中に備品が所狭しと並び,片隅に事務スペース,それ以外の場所で,子供たちが小さなスペースごとに分かれて遊んでいます。ダンスの練習も伸び伸び踊れない状況です。今年のような猛暑では,外に出るのも難しく,屋内の一室で一日中過ごさざるを得ず,子供たちにとってストレスがたまります。同じ子供の過ごす居場所です。学童クラブ機能と言って,放課後ほっと広場を中途半端に位置付けるのではなくて,どの子にも平等に,生活するにふさわしい環境に改善して,本来あるべき学童保育とすべきと考えますが,いかがですか。 いまだ学童保育のない学区が18学区もあります。中でも藤ノ森学区や南太秦学区では,学区内に新たな設置を求める声が広がっています。近隣学区の児童館への行き来は,交通事情の問題で,低学年児童には大きな不安があります。しんどい思いをして遠くの児童館まで通っても,「人が多くて嫌になる」と子供に言われ,やむなく申請しなかった方もおられます。学童保育のない学区には新規の学童保育の設置を求めます。そして,体を動かして遊べる場所,静かに勉強や読書をして過ごす場所,体調の悪くなった子が休める場所,職員の事務スペースなど,区切りのある屋内で過ごせるような環境を保障すべきと考えますが,いかがですか。 次に,全員制の中学校給食の実現へ,在り方の再検討を求め質問します。教育福祉委員会では,中学校給食について再検討をする委員会の設置を求める請願の審議が継続をしています。先日は全員制の中学校給食を求める署名が5,137筆も届けられました。中学校給食の在り方の再検討を求める声は日増しに大きくなっています。文部科学省の調査によれば,中学校給食を食べている中学生の数について,京都府は全都道府県中,ワースト2位の35.7パーセントで,全国的に見て大変遅れています。一方,京都府内の状況はどうでしょうか。 (パネルを示す)ボードを見てください。京都府内の26市町村の中学校給食実施状況をまとめました。緑色になっているのが,全員喫食の給食を実施又は着手,計画中で,23の市や町が全員制に移行しているということになります。京都市はその他の残る3市に該当します。これを見れば,求められている全員制の中学校給食にいつまでも背を向けているわけにはいきません。いずれの市町村も,学校給食法や食育推進基本法の理念に基づいて,成長期にある中学生にとって栄養のバランスの取れた全員給食を実施する重要性,生きた教材としての食育の意義や,子供の貧困対策に鑑みて,全ての子供に届く全員給食を実施すべきであると結論付けられています。これに対して,京都市は今でも,選択制の中学校給食は,家庭弁当の教育的効果がいかされると言います。その教育的効果の中身を問えば,子供たちのことを考えて作ってくれた弁当を食べて親子の会話が増えるなど,いまだに愛情弁当論が中学校給食の意義となっています。しかし,幾ら愛情弁当論を言ったところで,多くの保護者が希望しているのは全員制の給食です。向日市のアンケート調査では,90パーセント以上の保護者が小学校のような給食を希望していました。今の社会状況,家庭状況を反映した中学校給食の在り方の再検討が京都市でも求められています。先日の委員会では,請願の趣旨も尊重されて,教育委員会として中学校給食の状況について抽出調査を実施していくこと,また,PTAとの懇談の中で,課題を提起し意見を聴いていくなど新たな答弁がありましたが,そのことによって,中学校給食の在り方を再検討する必要があれば,広く保護者や子供,関係者の意見を聴いて再検討されるのでしょうか。お答えください。 一方,給食調理施設を整備するための国の補助制度の単価の水準が低いことも問題があります。施設の新規設置で5割とされている補助割合が,実際は10数パーセントほどの補助割合にしかならないということも見えてきました。そうならば,国も勧める全員制の中学校給食の実現のために,補助制度の改善を国に要望すべきではないでしょうか。京都府は,住民の声を受けて,国へ制度改善の要望を行っています。市長も強く要望すべきと考えますが,いかがですか。 次に,若者に関わる課題について,子ども若者はぐくみ局が積極的に中心的役割を果たすべきことを求め質問します。この間,我が会派からは,若者に係る問題としてブラックバイトの深刻な実態を取り上げ,労働法制の早期教育や,相談窓口の周知強化など求めてきました。ブラックバイトであっても学費や生活費を稼ぐため辞められない学生が多数であることを示し,学業に専念するためにも高すぎる学費の負担を軽減する給付制奨学金制度の創設を求めてきました。もっとも,高すぎる学費の影響は,社会に出てからも深刻で,奨学金という多額の借金の返済が,その後の若者の人生にとって経済的な足かせともなっています。ある福祉現場で働く20代の女性は,体調を崩して休職状態でしたが,職場復帰をして週3日の勤務についています。しかし,それでは手取り10万円足らずです。「毎月1万3,000円の奨学金の返済は厳しく,若くても簡単に貧困になる。大学を出て,やりたい職業に就いたのに,このまま体を壊して安い賃金で働くのか。将来が不安。こんな状況を知ってほしい」と話されました。また,ある30代の女性は,手取り15万円ほどで働いていますが,いまだに奨学金の返済に追われており,このような経済状況では結婚もできないと訴えられました。これに対して,深刻な実態を告発する当事者たちの運動を反映して,京都市では産業観光局所管でブラックバイト相談窓口を設置しましたが,昨年度相談件数は9件にとどまっています。また,京都市は京都府が行う就労・奨学金返済一体型支援事業の周知をしていますが,2017年度の実績は目標100社に対し交付企業数14社,予算規模1億円に対して155万円の交付にとどまり,とても不十分な結果になっています。そもそも,子供の貧困の延長線上に,高すぎる学費にあえぐ若者の問題があると考えます。そうであれば,子供から若者まで切れ目のない支援を掲げる子ども若者はぐくみ局の責任で実態を把握し,施策を実施すべきです。来年度,子供や若者に関する総合計画を策定するため,青少年・若者に関する意識行動と思春期保健に関する調査が実施をされていますが,この調査は13歳から30歳までを一くくりで調査するため,中学生,高校生,大学生,社会人等,各世代の背景に対応した問題が把握できる内容にはなっていません。若者の学費負担の実態,ブラックバイトの実態,仕事や住まいの問題など,若者の年齢層に対応した課題の実態把握が必要です。子ども若者はぐくみ局の責任で実態調査をすべきと考えますが,いかがですか。 以上,ここまでの答弁を求めます。
○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕
◎副市長(村上圭子) 前半の御質問に対しまして,まず私から2点お答えをいたします。 まず,学童クラブ事業についてでございます。本市では,国の平成27年4月の子ども・子育て支援新制度を踏まえまして,学童クラブ事業の対象を小学6年生まで拡大するとともに,新たに本市の条例として制定した設備運営基準の下,正規職員に加えて,これまで166人の増配置を行ってまいりました。また,子供が休養するためのスペース等も考慮した面積基準により,平成27年度以降,新たな実施場所を22箇所確保するなど,子供たちが放課後を安心安全に過ごすことができる環境づくりを進め,7年連続で待機児童ゼロを継続しているところでございます。放課後ほっと広場につきましても,同じ設備運営基準に従い,必要に応じて実施場所を確保する等により,安心安全な環境づくりを進めており,放課後ほっと広場が生活の場としてふさわしくないとの御指摘は当たらないものと認識しております。学童クラブ機能がない学区への方策につきましては,昨年度に児童館未設置学区における子育て支援機能の実態把握を行い,更に詳細に実態を把握するべく,現在,市内の小学校1年生,4年生,6年生の3万1,000人の児童とその保護者を対象とした放課後の過ごし方に関する実態調査を実施しているところでございます。今後,その結果を詳細に分析したうえで,京都市はぐくみ推進審議会での議論も踏まえ,必要な地域に必要な機能を確保するよう取り組んでまいります。 次に,若者支援についてでございます。課題に直面する青少年の状況に応じた総合的な支援を社会全体で行える体制を整備し,青少年の社会的自立を支援していく。この考え方の下,これまでから,ひきこもり支援をはじめ,様々な施策において,子ども・若者総合相談窓口や保健福祉センター等,各関係機関が連携した支援を行ってまいりました。また,特に孤立の状況に置かれやすい実態が明らかとなった児童養護施設退所者等に対し,青少年活動センターを拠点とした交流事業を開始するとともに,今年度からは,市民からの寄付を基に,大学等への進学を後押しする児童養護施設等退所者修学費支給事業を創設するなど,若者の状況に応じた的確な取組を進めております。さらに,いわゆるブラックバイトにつきましては,京都市わかもの就職支援センターで相談窓口を設けるなど,関係部局が密に連携を図りながら,様々な機会できめ細かな支援を展開しております。若者の年齢層に対応した実態把握につきましては,現在実施している市民ニーズ調査において,世帯の所得に係る回答やその他の調査結果のクロス集計を行うことに加えまして,日本学生支援機構等が実施した学生生活調査や,学生アルバイトに係る実態調査等の若者の課題に対応する関係機関の統計も活用することで,年齢層に応じた課題把握が可能であることから,新たな調査を行う必要はないと考えております。今後も若者にとってどのような支援が必要なのかを的確に把握し,関係局が緊密に連携し,真に必要な取組を展開してまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕
◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 障害児保育についてでございます。本市では,障害のある児童一人一人の発達過程や障害の状態を把握し,適切な環境の下で,障害のあるなしにかかわらず,全ての児童が共に生活し,共に成長できるよう,取組を進めております。平成27年度には,民営保育園等の加配基準を従来の3区分から5区分に増やし,障害の程度が重度の児童に対しては児童一人に対して保育士一人を加配するとともに,例え軽度でも支援の必要があると認められる児童に対しても加配を行うなど,積極的な取組を進めてまいりました。また,療育手帳等を持っていない児童でも,臨床心理士等が訪問調査を行い,実際に児童の様子を見て障害の状況を把握したうえで必要な保育士加配を行うというきめ細かな取組も行っております。その結果,平成28年度においては,障害児受入数は,政令市平均705人の約2.5倍に当たる1,746人と,全政令市で最も多くなっております。さらに,29年度実績でも,全ての保育園等の入所児童数の5.9パーセントに当たる1,793人の障害児を受け入れております。必要な予算についても,障害児受入れのための保育士等の加配助成や医療的ケア児保育支援事業など,本市独自に,今年度も約14億7,000万円を確保し,しっかりと取組を進めることとしております。 なお,議員の御質問で,国の予算が倍増されたとされている地方交付税における障害児受入数に基づく算定額については,委員会でも御説明しましたとおり,補助金とは異なり,そのままの金額が交付されるものではなく,むしろ,国における地方交付税等の総額は対前年度比で減少をしております。以上でございます。
○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕
◎教育長(在田正秀) 中学校給食についてでございます。本市では,給食か家庭からの弁当持参かを生徒,保護者が自由に選べる完全自由選択制により実施しております。実施に当たりましては,学識経験者やPTA,学校関係者等が議論を尽くし検討を重ねた結果を基に,平成12年度から導入し,平成15年度から全校で実施しております。これまでも学校現場や生徒,保護者の方から様々な御意見を伺いながら,献立の工夫や調理方法の改善,さらには食育の推進を図るとともに,給食を選択した生活保護世帯,就学援助世帯につきましては,本市が給食費を全額負担することで,家庭事情や経済状況等に左右されることなく,生徒一人一人の実情に応じた制度として定着をしております。今後とも,これまでの取組を進めるとともに,中学校入学前の小学6年生の保護者を対象とした中学校給食の試食会の実施拡大,学級担任などが把握しております生徒の昼食状況等の抽出調査,PTAとの意見交換などにより,一層幅広くきめ細かに学校現場や生徒,保護者の方から御意見を聴くことで,現在の中学校給食の充実に引き続き取り組んでまいります。 なお,学校施設の補助制度につきましては,状況等を踏まえまして,必要な時期に必要な要望を国に行ってまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 山本議員。 〔
山本陽子議員登壇〕
◆(
山本陽子議員) 子ども・若者に係る施策の実施,充実について,子ども,若者,保護者の方々の切実な声に是非とも応えていただきたいと思います。 続いて,高齢者の福祉施策について,敬老乗車証制度の存続を求め,質問します。先日,8月21日,敬老乗車証制度の改悪に反対し,応能負担の現行制度の存続を求める第13回目の署名提出行動が行われました。3,444筆を積み上げて,合計4万620筆となったことが報告され,今なお市民の切実な願いであることが示されています。右京区で行っている毎月の駅前,スーパー前署名行動では,京都市の改悪方針が示されて5年がたつ今でも,乗る度負担の制度にしようとしているとは知らなった,敬老乗車証制度を守ってほしいと,反響は大きいと言います。また,山科区では女性のつながりで町内のサークル活動でもどんどん広がり,905筆の署名が集まりました。ある山科の女性は,「70歳になった今年の4月から敬老乗車証を利用しています。これまでは交通費が掛かるからと1回のお出掛けで複数の用事を済ませていたのが,お金を気にせず別の日に出掛けるようになり,何回でもゆっくり楽しくお出掛けできるようになりました」と,とてもうれしそうにお話していただきました。敬老乗車証制度があるからこそ,京都市の高齢者は元気で生き生き生活できるのではないでしょうか。先日は,認知症の人と家族の会が主催する講演会で,高齢者の免許証の自主返納について議論されました。その中でも,いかに免許証を返納させるかという問題以前に,公共交通の環境整備が必要であるとの意見が多く出されたのは傾聴に値します。名古屋市では5年前に敬老パスの見直しが検討されましたが,利用状況の調査の結果,敬老パスがあることで高齢者の社会参加効果は28パーセント増加し,経済効果は敬老パスの予算の2倍となり,健康効果,環境への負担軽減効果もあるという評価がされました。今では市長の公約で高齢者の社会参加促進のため,対象路線の拡充も行われています。京都市においても,高齢化率4割を超える超高齢化社会を見据えたときに,高齢者が生き生きと活躍できる条件を整備するか否かは,都市の未来,まちの活性化を左右する重大な課題と考えます。京都市として,敬老乗車証制度の利用状況や効果について調査すべきと考えますが,いかがですか。 京都市は,現行の制度を維持するには予算が厳しいと言っていますが,不要不急の大型公共事業の予算については青天井のまま進めようとしています。ゼネコンや大手企業のもうけのためではなく,市民の生活を応援することに税金を使うべきです。山科を含む周辺地域では,公共交通の充実が地域の重要な課題になっています。そして,そのような地域でこそ,路線の拡充や増便がかなっても,敬老乗車証制度が改悪されれば高齢者は乗る回数を減らさなくてはならなくなり,乗客減少で路線が維持できなくなることは明らかです。周辺地域の公共交通の充実にしっかりと責任を果たしていくならば,京都市は敬老乗車証制度の改悪は撤回をする,このことを重ねて求めたいと思いますが,いかがですか。 次に,京都市の観光政策と民泊について質問します。5月市会において,旅館業法の改正に伴う条例改正が可決されました。しかし,住んでよし,訪れてよしの観光都市となるにはまだ遠く,いまだ市民の悲鳴が聞こえています。7月,昨年度の京都市観光総合調査の結果が発表されました。市長記者会見では,京都観光振興計画2020に掲げた1兆円の目標消費額や外国人宿泊客の目標数を早々に達成していることを,伝統産業,地場産業の振興,後継者の育成と活性化,市民生活の豊かさにつなげてきた結果であると手放しで自画自賛されました。しかし,観光消費額が上昇している一番の理由は宿泊施設の激増による宿泊費の上昇であり,更に稼げと更なる観光客誘致,宿泊施設誘致を掲げれば,民泊や簡易宿所の激増による市民の不安,あつれき,さらには町内会の衰退,市内の混雑など深刻な状況は拡大するばかりです。 この夏,我が会派は昨年に続いて市内の民泊の実態を調査しました。五条大橋のたもとの鴨川沿いの町内には,鴨川に面した空き家が数軒続いて簡易宿所になっています。その並びに住む住民の方は,「運営者による説明会もなかったし,協定書もない。広報を回覧する世帯は6軒になってしまった」と寂しそうに話されました。また,隣の町内では,「空き家の前にあったお地蔵さんが知らない間に空き家と共に撤去されてしまった。日本の文化が分からない外国人オーナーだったのでは」と話されました。さらに,高瀬川沿いは,昔の風情が感じられる町並みのエリアですが,数階建ての簡易宿所の建設が複数進行中でした。また,河原町九条の東南部に位置する町内でも,一棟貸しの新築の簡易宿所,20室以上の規模の簡易宿所などがあちこちに開業されています。町内の住民からは,宿泊者がごみ出しのルールも守らず,地域のごみの置場に捨てていく,カラスなどが荒らしても片付けないので結局は住民が後始末,腹が立っている。昔は,気兼ねなく隣近所が行き来していた地域だったのに,観光宿泊客の往来が増えたことでくつろげない地域となってしまったなど,憤りを超え,悲しみにも似た声を聴きました。 旅館業に係る京都市条例改正後も,市民から簡易宿所に対する指導,許可撤回等を求める陳情が次々と提出され,様々な課題が明らかになりました。市長はこの間,違法民泊の根絶は力を入れて述べておられますが,この陳情審議で明らかになったのは,違法民泊の営業で住民が苦しめられていても,京都市が指導に入って,結局は営業停止のペナルティもなく同一業者が営業する,違法民泊の合法化が進められていくという事実です。違法民泊の根絶どころか,市民は過去の苦しみを忘れて受け入れろと言われているようなものです。また,生活に近すぎる場所で,防音や耐震など,営業に安心できる条件を求めても,許可要件ではないからと応じてもらえず,信頼関係の築けない業者は許可をするなと求めても,京都市は許可に必要な事項を具備していれば許可しなければならないと言うばかりです。つまり,今の条例では市民生活の調和が図れないということを市長は認識しておられますでしょうか。 今,求められているのは,これから100年先も住んでよし,訪れてよしの京都のまちを取り戻すことです。日本共産党市会議員団として求めてきたように,全ての宿泊施設に管理者常駐を義務付けるべきです。そして住宅密集地,細街路など住民の静かな生活環境の中では営業は規制し,学校や福祉施設周辺も営業を規制するなど条例改正を求めますが,いかがですか。また,まちづくりの観点からも,許可された宿泊施設の分布状況を把握し,住民が住み続けられる地域となるよう,量的規制を検討し,宿泊施設拡充・誘致方針は見直すことを求めますが,いかがですか。 最後に,山科区の課題として,京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略の検討について質問します。京都刑務所の移転については,2015年に初めて市長が法務大臣へ要望されました。最終的には国の判断を要するところですが,今現在も,国の判断は明らかになっていません。この8月末には,刑務所敷地の活用を核にして山科のまちづくり戦略を検討する懇談会が立ち上げられています。京都刑務所の移転が決まっていないのに,それを核としてまちづくりを検討するというのであれば,刑務所移転の賛否や,活用の在り方の賛否以前に,山科区全体のまちづくりが住民に対して無責任な内容になってしまわないでしょうか。山科区住民からは,刑務所移転が未確定なまま,憶測や意見が飛び交っています。山科の未来のまちづくりを考えるとき,未確定の刑務所移転を前提とした提案はすべきではないと考えますが,いかがですか。お答えください。 山科区は豊かな自然や数々の寺社,史跡,清水焼団地があり,近郊農業も盛んで魅力が満載です。また,13学区が連携,協力して安心安全なまちを作ってきた土地柄もあります。山科の未来のまちづくりは山科の住民が意見を出し合って決めていく,住民の思いこそ山科のまちづくり戦略の核とすべきである,このことを最後に求め質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
山本陽子議員の御質問にお答えいたします。 宿泊施設についてでございます。本市では,安全安心で地域と調和した京都らしい上質なおもてなしのできる宿泊環境の整備に向けて,平成28年に策定した宿泊施設拡充・誘致方針に基づき,あらゆる分野に配慮した取組を進めてまいりました。一方,ここ数年の間で全国に急増したいわゆる民泊につきましては,京都市では地域住民の安心安全や生活環境を脅かす違法なものについて,その根絶を図るため,市民の皆様と共に体制を整備し,その根絶へ徹底して取り組んでまいりました。具体的には,全国に先駆け開設した民泊通報・相談窓口等へ通報があった2,259施設に対し,平成28年4月から本年8月末までに,実に延べ6,776回の現地調査を実施し,約8割に当たる1,845施設については,無許可営業の中止又は営業実態の喪失を確認しており,違法民泊はこの間激減しております。さらに,現在,調査・指導中の違法民泊122軒についても指導を徹底し,悪質なものに対し,全国で初めて営業停止の緊急命令を発出するなど,この度の法令において与えられた権限を最大限に活用し,厳しく徹底して対処しているところであります。引き続き,全力を尽くしてまいります。旅館業営業の許可を受けた簡易宿所や,住宅宿泊事業の届出を行って営業する民泊の適正な運営の確保については,住宅宿泊事業法の制定や旅館業法の改正といった新たな法制度の下,本市の宿泊観光を巡る実情や市民的な議論を踏まえまして,全国で最も厳しいと言われる条例を市会でも深い議論を踏まえて御議決いただき,実効性の高い本市独自のルールとして,積極的かつ着実な運用を図っております。これらの取組の結果,本市の指導の下で,事前に周辺住民向けの説明会が開催され,地域住民との協定の締結が行われる所も多く出てきており,地域との一層の調和を図る取組事例が増えてきております。引き続き,条例をはじめとする本市独自ルールの徹底により,宿泊施設の適正な運営と地域との調和の確保,安心安全を図ってまいります。 なお,御質問の宿泊施設の立地規制などにつきましては,条例制定に当たりまして,専門家も含めた議論を尽くし,さらに修正案の提案も含め,市会において十分に御議論をいただいたところであり,条例改正の必要はないと考えております。宿泊施設拡充・誘致方針は,これら民泊対策を含め,安全安心で地域との調和を前提とした質の高い宿泊施設の拡充・誘致を進め,安定的な雇用の創出,京都ならではの伝統産業・文化の振興,農林業の振興など,京都経済の発展と地域の活性化,市民の皆様の豊かさにつなげることを目的としているものであります。今後もこの方針に基づき,例えば北部山間地域をはじめ,京都市全域の多様な魅力をいかし,京都らしい質の高い宿泊環境を整備し,持続可能なまちづくりに努めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕
◎総合企画局長(藤原正行) 山科区のまちづくりについてでございます。京都の未来を見据え,更なる経済の活性化,人口減少社会の克服など,京都の発展に向けて総合的なまちづくりを進めていくためには,本市が所有する土地に限ることなく,国有地や民有地を含めた活用も当然視野に入れるべきだという風に考えております。このため,本市では,京都刑務所など,交通利便性の高い市街地にある国有地について,国に対し,移転をはじめとする有効活用の検討についての要望などを行ってきております。山科区は,1,400年を超える歴史と豊かな自然に恵まれるとともに,住民自治の伝統が脈々と受け継がれ,人と人とのつながりがとても温かい,安心安全で魅力あるまちでございます。しかしながら,人口減少や少子高齢化が急速に進む中,山科区が将来にわたって活力に満ちたまちであり続けるためには,英知を集めてあらゆる可能性を追求すべきであり,このため,学識者や地域の皆様などから幅広く御意見を伺いながら,未来を展望した山科区のまちづくり戦略の策定に取り組んでいるところでございます。京都刑務所は,山科区のほぼ中心部に10万7,000平方メートルもの広大な面積を有し,今日では,地下鉄椥辻駅から徒歩5分という交通至便な場所にあるなど,その敷地の活用は,山科区はもとより,京都全体の発展にも大きく寄与するものと確信をいたしております。京都刑務所敷地の有効活用につきましては,移転先の問題など高いハードルがありますが,今後ともしっかりと,かつ熱意を持って国に要望しつつ,中長期的な視点にも立って幅広く検討を深めながら,山科区のまちづくりを進めてまいります。以上でございます。
○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(高城順一) 敬老乗車証制度についてでございます。本制度については,客観的な効果を検証することは極めて困難でありますが,高齢者の社会参加を促進し,生きがいづくりや介護予防等を推進することを目的とした健康長寿のまちづくりを進めるうえで,重要な施策であると考えております。一方,本市では,現在本制度を維持するために48億円もの巨額の市税を投入しており,団塊の世代が全て70歳以上となる3年後には更に10億円増加し58億円になることが見込まれるなど,本市の厳しい財政状況の中,現行制度のまま継続すれば,制度自体が破綻するおそれがあります。このため,この間,本制度の見直しの検討を進めてきており,その一環として,平成24年度には敬老乗車証の利用者約7,000人を対象とした利用回数や利用目的といった利用状況に関するアンケート調査を,また,昨年度には制度を取り巻く状況を市民の皆様に知っていただくため,市民しんぶん等による周知や約6,000人の市民の皆様を対象としたアンケート調査を実施し,制度に対する考え方をお聞きし,また,様々な御意見を頂戴したところです。今後とも,これらの調査結果や社会福祉審議会の答申等も踏まえ,幅広い世代の市民の皆様の理解が得られる制度となるよう,また,持続可能で,かつ制度本来の目的に沿った,より多くの高齢者の皆様が使いやすいものとなるよう,更に慎重に検討を重ねてまいります。以上でございます。
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○議長(寺田一博) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時43分散会〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 議長 寺田一博 署名議員 江村理紗 同 こうち大輔
△(イメージ)陳情文書表「受理番号144」「京都こども文化会館の存続と機能充実」...