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05月22日-03号

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  1. 京都市議会 2018-05-22
    05月22日-03号


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    平成30年  5月 定例会     平成30年     定例会    京都市会会議録 第3号     5月市会                    平成30年5月22日(火曜日)出席議員(67名)   1番 森 かれん議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 やまずまい子議員   5番 大西ケンジ議員   6番 豊田貴志議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  11番 江村理紗議員  12番 大津裕太議員  13番 宇佐美けんいち議員  14番 森川 央議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  19番 平山たかお議員  20番 寺田一博議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  25番 村山祥栄議員  28番 山本ひろふみ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  43番 天方浩之議員  44番 中野洋一議員  45番 隠塚 功議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 津田大三議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  69番 小林正明議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成30年5月22日午前10時   一般質問  市政一般について  橋村芳和議員  市政一般について  椋田隆知議員  市政一般について  森田 守議員  市政一般について  河合ようこ議員  市政一般について  やまね智史議員  市政一般について  吉田孝雄議員  市政一般について  青野仁志議員  市政一般について  隠塚 功議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 次に,本日の会議録署名者を指名いたします。山本陽子議員西山信昌議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました陳情4件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,橋村芳和議員。 〔橋村芳和議員登壇(拍手)〕 ◆(橋村芳和議員) おはようございます。伏見区選出の橋村芳和でございます。自由民主党京都市会議員団を代表し,同僚の椋田隆知議員,森田守議員と共に質問を行います。 春の桜舞う中で戦われました京都府知事選挙は,山田府政の継承と発展を掲げ,我が党はじめ多くの政党や団体が推薦いたしました西脇隆俊氏と共産党に推された候補との激しい一騎打ちとなりました。しかし,その決着の報道は極めて早く,奇しくも第2代京都市長西郷菊次郎氏の父の生涯を描いたNHKの大河ドラマ「西郷どん」の放送開始と同時に,西脇氏当選確実のテロップが流れ,誠にあっけなく京都春の陣がその幕を下ろしたのであります。初代の長谷信篤知事以来の,実に150年ぶりの京都市生まれの知事誕生の瞬間でもありました。西脇新知事にはこれまでの国の根幹を担う要職を歴任されたその行政手腕をこれからは府知事として,260万京都府民のために遺憾なく発揮されることを大いに期待を申し上げます。 この度の府知事選挙において西脇知事は,安心・いきいき・京都力をスローガンに,人口減少対策や防災・減災対策,子育て支援,さらには観光振興や中小企業支援など各種政策の推進と,京都市との一層の連携強化により,府域全体に利益をもたらす府市協調を強く訴えておられました。昭和53年以来,府市協調によるより良い市政,府政を目指して,歴代の市長と知事による広範囲にわたる議論が行われ,我々自民党市会議員団といたしましても,府議会議員団としっかりと連携し,その実現に向けた努力を重ねてまいりました。その結果,門川市長の下,動物愛護センターの共同設置・運営などを実現し,直近では衛生環境研究所の共同化についても着工を迎えられるなど,全国でも類を見ない成果が生まれてまいりました。自民党市会議員団といたしましては,府市協調の取組を更に推し進めることで,京都市民の豊かな生活を実現するため,府議会議員団との是々非々の議論を行うなど,精一杯汗をかいてまいる所存であります。この度の府知事選に当たりましても,今後多額の経費を要し将来の市民生活に大きな影響を与える地下鉄や中央市場への支援を強く求めたほか,違法民泊の対策強化など,市民生活に関わる多くの課題について,府市協調により解決していくことを西脇知事に強く要請したところであり,このことは市長も御承知のことと思います。今後,市長には西脇知事と強固なスクラムを組みながら,真に市民,府民の双方にとって有益となる施策の実現に全力で取り組んでいただきたいと思いますが,これらの課題解決,さらには府域全体に利益をもたらす新たな府市協調について,どのように取り組んでいかれるのか,市長のお考えをお聞かせください。 本年は,市民の手によって京都市長が選任され,市役所を開庁し自治120年という歴史的な節目の年であり,門川市政にとっても3期目を折り返し,丸10年が経過をし,極めて重要な時期であります。思い返せば10年前,951票差の厳しい選挙戦を勝利され,市長就任直後の平成20年度には一般会計の決算が30億円の赤字となり,また地下鉄は毎日4,600万円の赤字を出す全国一厳しい経営状況であり,市バス事業と共に経営健全化団体に指定されました。さらには,職員の不祥事が相次ぎ,市民の信頼回復が大きな課題となりました。門川市政1期目のスタートは,決して順風満帆とは言い難い船出でもありました。市長はこの間,共に汗する共汗と融合,そして現地現場主義をモットーに,財政は厳しいが決して縮み思考になることなく,市民の命と暮らし,京都の未来のための政策に果敢に挑戦され,また信頼される市役所づくりのため,自ら各職場を回り,職員の意識改革の徹底と職場風土の刷新に力を注いでこられました。我々,自民党京都市会議員団も,二元代表制の下,日夜の徹底した地域活動や調査研究活動,また市民の皆様から託された様々な御要望などを踏まえ,市長に対し政策提言を行い,厳しいことも申し上げ,時には侃々諤々の議論を交わしながら,京都のまちづくりを共に進めてまいりました。その結果,これまでの10年間の取組が多くの分野で実を結んでいます。例えば,文化庁の京都への全面的な移転が実現し,世界で僅か100都市のレジリエント・シティにも選定されました。また,市民の皆様の多大な御努力により,ごみ減量によるクリーンセンターの削減,地下鉄5万人増客の達成などであります。しかしその一方で,東京一極集中,人口減少の課題克服,全ての市民が豊かさを実感できる経済の好循環やなかなか好転が見られない財政の健全化など,引き続き克服していかなければならない課題は山積をいたしております。とりわけ,東京一極集中を是正し人口減少に歯止めを掛ける地方創生の旗印として文化庁の京都への全面的な移転が決定し,文化首都を標ぼうする京都としては,これを機に,更なる我が国の文化振興と文化による人づくり,まちづくり,文化を基軸とした産業の活性化をけん引する役割を果たしていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねいたします。市長は,この10年間をどのように総括し,今後の市政の舵取りをどのようにしていこうとされているのか。とりわけ,地方創生の推進という視点で,今後の市政運営に対するお考えをお聞かせください。 次に,子育て支援についてお伺いいたします。10年前,京都市の保育所等待機児童は約100人だったと記憶をしています。今から振り返りますと,正に隔世の感があります。5年前に関西の政令市でいち早く国基準で待機児童ゼロを達成し,その後4年間ゼロを継続してこられました。しかも昨年度は,厳しくなった国の新しい待機児童の定義に照らしての達成であります。このような実績を上げている政令市は,ほかにはありません。また学童クラブ事業においても,昨年度まで6年連続の待機児童ゼロを継続してこられました。子供たちの放課後の生活の場である学童クラブが充実していることは,小学生の子を持つ保護者にとっては大変心強いことだと思います。 そこでまずお伺いをいたします。本年4月1日の待機児童はどのような状況だったのか。学童クラブ事業における待機児童の状況と併せて御答弁を願います。待機児童ゼロを達成・継続するためには,民間保育園,私立幼稚園関係者はもとより,地域の皆様と共に汗をかいてこられたと思います。10年間の取組を振り返って,どのようなことに心を砕いてこられたのか,お聞かせを願います。 今や,京都市は全国に誇れる子育て支援都市であり,積極的にPRすれば,必ずや多くの子育て世代が京都で子供を生みたい,京都で子育てをしたいと思っていただけると確信をいたしております。今後の人口減少社会を本気で克服していこうとするとき,子育て支援施策の重要性はこれまで以上に高まってくると考えます。そこで,これからの10年間を展望して,子育て支援施策に対する市長の思いをお聞かせ願います。 分割質問にいたしておりますので,ここまでの答弁をまずお願いいたします。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 橋村芳和議員の御質問にお答えいたします。 まず,府市協調についてでございます。今般,広範な府民の皆様の信託を得られ知事に就任されました西脇新知事に,心からお祝いを申し上げます。私は,市長就任以来,基礎自治体重視で,企画構想段階から徹底して議論し,政策の融合や二重行政を打破する京都方式を知事と共に推進し,市会の先生方の御理解,御支援を賜り,全国のモデルとなる府市協調の成果を積み重ねてまいりました。橋村議員御指摘のとおり,今後は西脇知事としっかり手を携え,率直な議論も重ね,一層の市民サービスの向上と効率的な行政運営を徹底して追求することはもとより,共に京都の未来を展望し,京都全体に効果をもたらす府市協調の新たなステージヘと進化させていく決意でございます。例えば子育て支援では,子ども医療費助成制度を更に拡充するなど子育て環境日本一・京都の実現を共に目指してまいります。また,安心安全のまちづくりでは,消防ヘリの一層の活用など府域全体の危機管理体制を構築,さらに京都市の中央卸売市場や食肉市場と京都府の「海の京都」や「森の京都」事業等との連携を強化し,食文化や伝統産業,広域観光の振興につなげるなど京都市と京都府それぞれの強みをいかし,命と暮らしを守り,活力ある京都のまちづくりを共に強力に進めてまいります。 次に,市長就任10年目の総括と今後の市政運営についてでございます。私は市長就任以来,市民の皆様と共に汗する共汗と行政の縦割りを廃する政策の融合を基本姿勢とし,現地現場主義に徹して市政にまい進してまいりました。この10年,福祉,教育,子育て支援の充実,公共交通優先の歩くまち・京都の推進,景観政策,ごみ減量など環境政策,様々な政策が大きく前進し,京都の都市格はより一層向上したと実感しております。市民の皆様からもまちが美しくなった,働く場が増えた,まち歩きを安心して楽しめるなどのお声を頂いております。こうした成果は二元代表制の下,市会の先生方と議論を交わしながら政策を練り上げ,市民の皆様と共に課題や目標,何よりも行動を共有してきたからこそであり,共汗の賜物であると考えております。一方で,人口減少や,市民や中小企業の皆様全てに豊かさを実感していただけるように更なる経済の活性化,中小企業の担い手不足や事業承継など,なお課題は山積いたしております。今後とも厳しい財政状況の中,引き続き徹底した行財政改革を断行すると同時に,決して縮み志向になることなく,財政規律に留意しつつ未来を展望し,成長戦略を実行することにより市民の皆様と共にこうした課題を克服し,京都の未来を力強く切り開いてまいります。とりわけ,機能が強化され京都に全面的移転する新文化庁と連携し,文化を基軸としたまちづくりを加速させることにより,産業の活性化や観光の振興,市民の皆様の豊かさの創出につなげ,京都に住みたい,住み続けたい,働きたい,そして訪れたいまちの実現に全力を傾注し,文化による地方創生のモデルをここ京都から全国に創造,発信してまいります。 次に,子育て支援についてでございます。私は市長就任以来,子育て環境日本一の実現を最優先課題に掲げ,議会の先生方をはじめ,保育園,幼稚園,学童クラブ事業等の関係者,地域の皆様の御協力を得ながら,全力で取り組んできました。その結果,保育所等は国の定義で連続5年待機児童ゼロ,学童クラブ事業も7年連続で待機児童ゼロを達成いたしました。特に保育所等については,小学校入学前児童のうち保育所等を利用する児童の割合は,人口100万人を超える大都市で最高の49.3パーセント,政令指定都市平均が37.7パーセントでございますので1.3倍に達しております。これは同時に,厳しい財政状況との闘いでもございました。私は徹底した行財政改革を断行しながらも,保育士の皆さんの処遇の改善,配置基準の上乗せ等の取組を実施し,過去10年間で累計422億円の本市独自の財源を投入してまいりました。この結果,本市の子育て環境は大きく改善し,高い評価をいただいております。しかし,全国的に進行する少子化に歯止めを掛けるまでには至っておりません。この厳しい現状に立ち向かっていくためには,今年度,子育て家庭のニーズを改めて調査するなど未来を担う子供たちのための新しいビジョンの策定に着手したところでございます。引き続き関係団体や地域の皆様と一体となって,出会いから妊娠・出産,さらには若者支援まで切れ目のない取組を行い,京都ならではの子育て・教育環境の一層の充実に向け取組を加速化させてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 橋村議員。 〔橋村芳和議員登壇〕 ◆(橋村芳和議員) 次に,防災対策についてお伺いいたします。西脇知事は国土交通省や復興庁などの経験をいかされるべく,公約の中でも真っ先に安心をキーワードとして,前例にとらわれない先進的な防災・減災害対策の強化を掲げられました。西脇知事の御尊父,西脇尚一先生は57年の長きにわたり下京消防団長をはじめ,消防団員として京都の防火・防災に御尽力され,お亡くなりになる一月前の京都市消防出初式でも意気揚々と指揮を執っておられました。そのお姿は,今でも私のまぶたに焼き付いております。お父上の背中を子供の頃から見て育ってこられた西脇知事にとって,安心という公約は,お父上が体現されてこられた市民生活の安心安全を守り続けるという御遺志を受け継ぐものであると思います。 昨年度,府市の消防学校が共同化されました。これにより府内の消防本部のレベルアップが図られるとともに,京都市消防局としても府内の消防職員と顔の見える関係が構築でき,大規模災害時により一層の緊密に連携した活動が可能となるものと期待をいたしております。消防学校の次は,消防ヘリコプターの活用が重要であると考えますが,2月市会において我が会派の森田議員が質問したところ,今後より一層,京都府内で活用するための仕組みづくりの検討を進める,また,併せて費用負担の在り方についても検討するとの答弁を頂きました。全国的にも,4月9日に島根県で震度5強の地震が発生し,また,11日には大分県で土砂災害が発生しており,京都府内でも毎年のように水害が発生して被害を出しております。京都府内の災害対策強化に向けた消防ヘリコプターの活用に係る京都府との取組の状況と,市長の決意をお伺いいたします。 次に,水害から地域住民の安心安全を守るための水防団についてお伺いしたいと思います。先般も,出水期が間近に迫る中,水防関係者はもとより伏見区の河川敷におきまして地元住民参加の下,どしゃ降りの雨の中で,市長をトップとする水防訓練が敢行されました。私は昨年2月市会の代表質疑において,新規入団を促す広報活動の充実と団員の士気を向上させるための取組の必要性を訴え,毎年5月に開催される水防訓練を通じたPR活動の充実強化について御答弁を頂いたところであります。その後,市民しんぶんの伏見区版に活動紹介及び団員募集の記事が掲載をされ,団員の皆様の励みにもなったと思います。しかしながら,いまだに水防団員数の増加にはつながっていないのが現状でございます。本日は改めまして,団員の増加に資する魅力ある水防団づくりに向けた水防団の活動環境についてお伺いをしたいと思います。 同じく,地域防災を支える消防団では,昨年に左京消防団員数が定数を達成し,魅力ある消防団づくりが着実に浸透をしております。しかし,水防団においては団員数増加につながっていないことを鑑みると,消防団と比べまして,その待遇や装備が見劣りするからではないかと言わざるを得ないのであります。京都市はレジリエント・シティとして,これまで以上に災害や混乱に強い強じんなまちになることが求められています。出水期が間近に迫るとともに,そうしたレジリエント・シティの理念もしっかりと踏まえ,その一翼を担う水防団の活動環境について御検討いただきますよう,今一度求めたいと思います。よろしくお願いいたします。 最後に,伏見区南部の地域観光振興による観光客の分散化対策についてお伺いいたします。本市の平成28年の観光消費額は過去最高の1兆862億円に,その波及効果も1兆1,772億円に上っておりますが,観光客の地域的集中と交通混雑や観光の経済効果の市民生活への普及などの課題が見られます。この課題を解決するとともに,市域全体に経済効果を波及し地域活性化を図るためにも観光客の分散化をしっかりと実現していく必要があります。しかしながら,エリアの分散化を進めるに当たりましては,市民生活と観光の調和が不可欠であり,観光客のマナーの徹底を図るとともに,交通インフラや住環境など地域の実情に応じたものでなければならないことは言うまでもありません。 こうした状況の中で,古くから港湾都市として,また城下町として発展してまいりました伏見区は,京都にありながら,洛中とは異なる歴史,文化,伝承が豊富に存在をいたしております。京都の観光客分散化に大いに貢献する地域であると考えます。伏見区役所におきましても,本年1月に伏見観光プロジェクトチーム会議を設置し,地域観光の充実に向けた様々な取組を進められており,今年度からは,観光客のボランティアガイドのニーズに応えるため,地元区民自らが地域を知り,その魅力を発信する文化・観光の語り部創生事業が展開をされます。今後,地域の主導的な地域観光振興を一層推し進めるためには,新たな支援メニューを構築するなど,NPO法人や地域の観光関係団体,事業者,大学等の活動に対し,京都市や京都市観光協会がこれまで以上に積極的に支援していくことが重要であると考えますが,市長,いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。 これをもちまして,私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 橋村芳和議員の御質問に続いてお答えします。 消防ヘリコプターの活用に係る京都府との取組状況についてでございます。本市の消防ヘリは,特別な訓練や設備により夜間も飛行でき,山や川で遭難した人のつり上げ救出や山林火災での空中消火,また,例年の京都府の防災訓練,先日の福知山市での由良川水防訓練などで活躍しておりますが,本市を除く府域の災害出動は,救急搬送を含め全件数の1割にも満たない状況でございます。先日,京都府消防長会に,消防ヘリコプターの活用に係る研究会を設置し,多様な災害における出動要請の基準の検討を開始したところであり,年内をめどに意見を取りまとめます。また,9月1日に右京区で実施する京都市総合防災訓練などの様々な機会を捉えまして,府内の市町村長をはじめとする防災関係者の搭乗により,消防ヘリの有効性を確認いただき,府内での一層の活用に向けて取り組んでまいります。また,府民の皆様の更なる安心安全を見据えまして,京都府に対して,今後の維持管理や機体購入に係る応分の負担を求めてまいります。今後も,西脇知事と防災分野における日本一の府市協調を目指して消防ヘリの活用に一層取り組んでまいります。 次に,水防団の活動環境についてでございます。去る5月13日に実施した水防訓練におきましては,大雨の中,多くの方に御参加いただき,本番さながらの水防活動が行われました。度重なる水害に見舞われてきた三川合流地域において,水と共に生きてこられた住民の皆様の,自分たちのまちは自分たちで守るという志と脈々と受け継がれてきた技術やチームワークに感銘を受け,敬意を表するとともに治水のソフト対策の根幹を成す水防団活動の重要性を改めて認識いたしました。一方,この間,水防活動の意義につきましての様々な発信の取組にもかかわらず団員数は減少を続けており,水防団長会議においても活動環境の改善が必要であるとの意見を頂いております。このため,新規入団の促進につながるPRに引き続き努めるとともに,団員の手当や装備について,長時間過酷な状況にさらされるという実態に即したものとなるよう,水防組合のトップを務める私が先頭に立ち,近隣の関係市町村にも強く働き掛けながら,橋村議員御提案の魅力ある水防団づくりに向けて一層取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 伏見区南部の観光振興についてでございます。伏見区南部は,歴史遺産,水辺風景や食文化など多様な魅力を有する地域であります。そのため,これまでから観光協会等と連携した京の冬の旅キャンペーンや水と酒のまち京都伏見のPRなどに取り組んでまいりました。橋村議員御指摘のとおり,地域の観光振興のためには,地域の様々な主体の取組を活性化させることが肝要であります。そこで,本市では,商店街や酒蔵などの地域の事業者の皆様によるインバウンド向け観光事業メニューを旅行会社などの観光事業者へ紹介するなど,地域の活動を積極的に支援しているところでございます。また,本年1月に設置をいたしました伏見区や地元団体,交通事業者などで構成する伏見観光プロジェクトチーム会議を中心に,民間事業者,大学等とのネットワークを更に広げ,連携を図ることにより,更なる情報発信など相乗効果が発揮できるように努めてまいります。今後一層,地域の主体的な取組との連携を強化し,新たな観光資源の開発,発掘により伏見の魅力を創造するなど,観光客と市民の皆様双方の満足度を高めるよう積極的に取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,椋田隆知議員に発言を許します。椋田議員。 〔椋田隆知議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田隆知議員) おはようございます。私は,南区選出の椋田隆知でございます。先輩である橋村芳和議員,また同僚である森田守議員と共に,自由民主党京都市会議員団を代表し,市長並びに関係理事者に質問と提言をいたします。 まず,本年は明治改元150年であります。京都市においても多種多様な事業や行事が行われます。その中で特にそれらが市民,すなわち365日ないし366日生活をしている私たち住民にとって,どのような意義があるかが大切だと考えます。琵琶湖疏水やそれに伴う日本初の水力発電による路面電車の開業,また工業の近代化など,明るい歴史はよく取り上げられますが,片や幕末動乱による環境の変化,また廃仏毀釈等による精神文化の変革などは余りスポットライトが当てられてないように思われます。また,人権問題に関する歴史も余り伝えられていないと思われます。京都市は水平社宣言が発せられ,人権文化が重要とされてきた土壌があります。今後ますますの多文化共生や新たな住民の増加による人口減少社会への挑戦のためにも,まずは京都市民が近現代の歴史を再確認し,先人の業績を学ぶ機会となる年度となるよう心から願っております。 新しい歴史として,明治以来初めて中央省庁である文化庁が間もなく移転されてきます。文化首都・京都において,京都市民にその意義を広く深く知っていただき,あくまでも市民生活を第一にした事業が求められていると存じます。その一つとして,文化庁の京都移転の意義や,新たな文化行政の推進等を分かりやすく紹介した啓発漫画「文化庁の京都移転ってなんですか?」を京都市,京都府,京都商工会議所が共同して作成されました。また本市の強みをいかしたMANGAナショナル・センターの誘致も行われておりますが,コンテンツ産業の更なる推進を行うに当たって,誘致は重要な課題であると私は考えております。コンテンツを最大限活用することにより,市民の生活文化をあらゆる世代が理解できる手掛かりになるようすべきであります。一見さんお断り等いけず文化の誤解も少なくなり,また流入人口の増加や入洛客のおもてなしにもつながるものと信じております。単純に物を作れば売れるという時代が終わり,発想やアイデアが重要視される時代に入ったことで,長時間労働がよしとされていたこれまでの価値観が変わり,それが働き方にも影響していると言われています。新たな施策を行うことによって雇用を創出し,また経済の活性化につながり,それが社会保障をはじめとする福祉の増進や教育の向上に役立つことになります。明治150年事業の実施に当たり,行政の役割の見直し,新産業の在り方,各局の施策の連携をどのように考えられておられるのか,また文化政策を行うに当たって,様々な関連分野と連携して総合的な推進を図る必要がありますが,所管する部局が総合企画局から文化市民局に移管されてどのようになるかも含めて御所見をお伺いいたします。 次に,市民生活と交通政策について質問します。京都は古くてタイトであるけれども,美しいまちであると多くの人々に認知されているが故に,お客さんがたくさん来ていただけ,そうしてこのまちは回っています。本市は全国の都市部における画一化されたまちづくりから一線を置き,厳しい条例を施行していることで成り立っています。それは,多様性を尊重し,多文化が共生できる,いわばばらばらで一緒,違いを認める都市が具現化されていることであります。この6月15日から住宅宿泊事業法が施行されますが,本市においては,3月15日から5月14日までに開業希望者から延べ1,575件の問合せがありましたが,書類の提出は8件で,受理は2件と伺っております。今秋には宿泊税も導入され,それは平成29年9月市会において,税の公平性,公正性を担保するため,急増する民泊をはじめ違法に営業している宿泊施設への宿泊を確実に捕捉し,宿泊税を徴収すること。宿泊税収入については,住んでよし,訪れてよしのまちづくりに資する事業に活用し,市民はもとより,納税者である宿泊者,さらには特別徴収義務者となる宿泊施設の運営事業者に宿泊税の効果を実感いただけるよう取り組むとともに,決算及び使途が明確になるよう透明性を確保し,議会及び市民への情報公開を行うこと等の付帯決議を付したうえで議決したものであります。そこに込められた意味は,観光事業も大切ですが,毎日を暮らす市民の生活を最重視するという当たり前のことを忘れてはならない願いを市民の代表である議員が決意を表したものであります。 また,京都観光振興計画2020~世界があこがれる観光都市へ~も+1となり,平成32年度末までの計画で実行されておるところでありますが,この計画の四つの柱は,1,人づくり,まちづくり~おもてなし・やすらぎ・しつらい~,2,魅力の向上,誘致手法~きらめき・いざない~,3,魅力の発信,コミュニケーション~ひびき・ひろがり~,4,MICE戦略~つどい~とのことであります。私はこの中でも一つ目の柱を強力に推し進め,そのためにもより多くの市民に観光振興を行うことに対して御理解をいただき,市民生活を最重視していることを実感できる施策を行っていただくよう強く求めますが,いかがですか。決意をお聞かせください。 一つの提案といたしましては,公営交通,特に市バス・地下鉄の利用バランスを取るためにも,スマートフォンをはじめとするアプリケーションの見直しをすべきです。本市では現在,交通局のハイパー市バスダイヤ,都市計画局のバス・鉄道の達人等があるのですが,幾つものアプリを各部局で配布するだけでなく,垣根を越えて連携を密にして,より使いやすいものとなるようすべきであります。特に,観光地をつなぐバス路線では,混雑のため市民の利用に支障を来しており,一日乗車券の見直しや無料乗換え等,地下鉄への誘導も行われておりますが,アプリでも地下鉄への誘導ができるようにすべきであると考えます。我が会派の小林正明議員からの度々の御指摘のように,乗換えバス停によっては,横断歩道を渡ったり80メートル近く歩かなければならないこともありますが,手前のバス停では同じ場所で乗り換えられる所もあります。乗務員をはじめとする職員の路線の徹底的な理解による乗換案内の充実を行い,より便利な公営交通を目指すべきです。 一方,新しい試みとして住民の生活を守るため,また混雑緩和のためにも山岳電車で行われている荷物料金も参考にすべきです。観光客に対してはユニバーサルツーリズムも提案され,観光地でのバリアフリー化も徐々に行われておりますが,度々申し上げますが,何よりも市民生活の福祉の向上に直結する事業であるべきです。今後10年間の交通局経営ビジョンについても,安心安全で快適,便利な公営交通の発展につながるものとなるよう願う一人として,増車による車庫不足や人材確保も大変であり,また市バス・地下鉄の車両更新も多額の費用が必要でありますので,交通施策における市民の御理解を進めるよう望みますが,どのようにお考えですか,お答えください。 次に,命と暮らしを守る京都市の水道について質問します。上下水道局のマスコットキャラクター澄都くんと元気にミストシャワー事業を実施され,またミスト事業のPRイベントに併せて,歌遊びや紙芝居などによる子供向け水道水PRプログラムわくわくすいどうひろばも行われています。省エネルギーで夏の暑さ対策やヒートアイランド対策などに効果のあるミスト簡易装置の貸出しによる設置を推進され,次代を担う子供たちが集い,そしてその保護者や地域の方々が立ち寄る保育園,幼稚園,認定こども園,児童館及び小中学校における環境教育にも資するものとなっています。この際,一歩進んで,より実効性の高いドライミスト装置の設置促進も図るべきです。京の駅・まちなかミスト事業の実績,特に京都駅バスターミナルではD・Cのりばに続き今年度からはBのりばにも設置されることになり,来年度にはAのりばにも設置される見込みです。有収水量が減少し,老朽管路の更新も待ったなしの中,通船事業の復活や疏水物語のリニューアル等,新たなその他の事業による収入の確保もより一層進めるべきでありますが,いかがですか。お答えください。 次に,京都市のはぐくみ文化,公教育の歴史について質問します。150年前,我が国は明治に改元し,近代国家への歩みを踏み出しましたが,ここ京都は明治維新で都の地位を失い,人口の3分の1が減少するなど大きな危機に直面しました。そして,この困難に京都の市民,町衆は,まちづくりは人づくりからと64の番組小学校を全国に先駆けて創設されたことは御案内のとおりです。子供を心豊かに育むことは全ての大人の使命として受け継いでいかなければならないと思います。また,就学前の乳幼児の育みにおいても,特に戦後多様化するライフスタイルの変化に伴う保育ニーズの高まりに柔軟に対応した民間の保育園,幼稚園,関係諸先輩の大きな御尽力の御功績を忘れてはなりません。先ほど橋村芳和議員からは待機児童についての御質問がありましたが,私は保育の現場を預かる者として,子供たちの健やかな育ちを願う保育内容,すなわち質についてお尋ねいたします。 都市部での待機児童解消のため,国は小規模保育事業や企業主導型保育事業所の地域開放を進めています。その中で徐々にではありますが,保育対象年齢が引き上げられていることに懸念を持っております。これについては,特に就学前教育の公平性が問われていると考えます。言うまでもなく保育とは養護と教育が一体となったものであり,そのバランスが重要です。子供の最善の利益を尊重した保育を保障するために,どこの施設に通っていても一定レベルの教育が受けられて小学校に進学できる体制については,自治体が責任を果たすべきであると考えますが,御所見をお伺いします。 国際文化観光都市・京都の公教育については,まずは小さい頃から京都の歴史や現状を学ばなければなりません。その実例として,小学3・4年生では「わたしたちの京都上・下」を副読本として授業が行われています。しかしながら,それ以降,小学5・6年生,中学,高校へとつながっているのかが課題であると考えます。就学前も含め,年齢に応じたプログラムの構築が必要であると考えますが,御所見をお伺いします。 最後に,京都駅西部,東部,東南部エリアの活性化をモデルにした隣接自治体との相互発展について質問します。当初,京都駅西部については,下京区西部エリアの活性化と言われておりました。その中心は,梅小路公園とされておりましたので,私はJRの線路を挟んですぐ南側に伽藍が息づく世界遺産教王護国寺,東寺さんがあるのになぜ下京区だけなのですかと指摘しましたところ,南区や中央卸売市場第一市場北側の中京区も含めて,京都駅西部エリアの活性化事業となりました。京都駅西部エリアでは,西大路地区バリアフリー移動等円滑化基本構想が策定され,私の住む唐橋学区では八条市営住宅の再整備に着手され,また元洛陽工業高校の跡地には新しい普通科高校もやってきます。南区は合計特殊出生率が京都市ナンバーワンで人口も増えています。少子超長寿社会においても確実な施策の実行により活性化が実現しています。以降,京都駅東部エリアは東山区を含めた事業となり,また南区東九条地域を中心とした京都駅東南部エリアに広がって,京都駅を中心とした3エリアの活性化が着々と進められております。その中核となる50年ぶりの京都駅八条口の再整備がグランドオープンし,地域にとってもすばらしい誇りとなる場となりました。しかしながら,その運用についてはお約束していただいたとおり,まだまだ見直しが必要です。鉄道で京都駅に到着されたお客様が観光バスに乗車されるケースにおいて,特に修学旅行シーズンは八条通下るの河原町通北行西側に待機バスが並び渋滞が発生する時間があります。種々の事情があるかと思いますが,これは重大な問題です。折角出来たサンクガーデンを中心としたバス乗降場の運営について,また普段利用されていない八条通室町西入南側のバス乗降専用場の活用について,いかがお考えですか。お答えください。 門川大作市長が先の選挙の折に訴えられていた,隣接自治体を含めた活性化や発展が望まれている中,施策の融合,自治体間の協調事業として,向日町上鳥羽線の国道171号線からJR向日町駅東口に至る延伸事業が今年度から着手されました。この事業における京都市の主要な役割は,約8,000平方メートルに及ぶ15メートル道路の建設です。多額の費用が見込まれる中,今年度は路線測量や中心線の決定等が行われると伺っております。今後,予備設計や平面測量,用地取得を進めて行かれるとのことでありますが,大きな事業のため,必ずしも順風満帆であるとは言えませんが,点から線へ,そして面へと広がりを見せている京都駅西部,東部,東南部エリアの活性化事業をモデルとして,向日市と本市が相互に発展していくためにも,この事業における本市の見込みをお聞かせください。 以上,国際文化観光都市,レジリエント・シティ,文化首都・京都における強みをいかした施策を行い,市民生活の向上のために福祉と教育の充実発展,更なる防犯・防災が保障される安心安全都市を目指し,元気で優しい人づくり,まちづくりに全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ,私の代表質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 椋田隆知議員の御質問にお答えいたします。 まず,明治150年事業についてでございます。明治維新後の都市衰退の危機に直面した京都で,明治期の先人たちは,日本初の小学校の創設,琵琶湖疏水の開削,市電の開業など,市民ぐるみでまちの復興に果敢に挑戦し,今日の京都の発展の礎を築かれました。本事業は,こうした先人の志,知恵,行動に学び,今と未来にいかそうとするものであります。このため,京都の最大の強みである文化を,教育,産業,観光はもとより,人づくり,都市づくりなど,あらゆる政策分野と融合させる文化を基軸とした市政運営の視点と,明治期の復興の取組と同様,市民の主体的な行動につながる地域力をいかした参加と協働によるまちづくりの推進が重要であると考え,文化市民局を本事業の統括担当としたところであります。こうした事業理念を全局,全区で共有し,市民の皆様と共に明治150年事業を実施し,これからの京都のまちづくりにしっかりといかしてまいります。 次に,市民生活と観光振興についてでございます。本市では,市民生活と観光との調和,観光を通じた地域経済の発展を目指し,平成26年10月に京都観光振興計画2020を策定しました。この計画では191の事業を掲げましたが,既に99パーセント,189事業に着手し,また計画目標を達成しているものも多い状況を踏まえ,さらに近年の京都観光を取り巻く課題に的確に対応するために,新たな取組の追加と充実をこの度行いました。今後,椋田議員御指摘のとおり,より一層市民生活を最優先する観点に立ち,観光を通じた伝統産業や中小企業の活性化への支援,違法民泊の根絶対策の強化,観光客のマナー啓発の強化,観光の分散化による一部地域での混雑の緩和,市民や学生さんによる旅行者を温かく迎える取組の推進などに全力を挙げて取り組むことで,持続可能で市民も観光客も満足度が高く,市民や中小企業の豊かさにもつながる国際文化観光都市となることを目指して全力で取り組んでまいります。 次に,交通事業における市民サービスについてでございます。かつて危機的な経営状況にあった市バス,地下鉄事業は,この間,市民の皆様に御理解,御協力を頂きながら,大幅なお客様数の増加を実現し,経営の改善が大きく進みました。これは,安心安全はもとより,地下鉄の増便や市バスの系統数を74から84にと大幅に増やすなど,利便性の向上に徹底して取り組んできた結果であると考えております。今年度は,市バスのフルカラーLED式行先表示器の導入に着手するなど,引き続き幅広くサービスの向上に努めております。しかし,椋田議員御指摘のとおり,今後は多数の車両更新や市バスの車庫用地,運転士の確保など,財政面でも事業面でも様々な課題がございます。今後も市バス・地下鉄が京都のまちの発展,人と公共交通優先のまちづくりを支えていけるよう,市民の皆様により一層御理解をいただきながら,市民ぐるみで市バス・地下鉄の利用促進,歩くまち・京都の推進に取り組んでまいります。 次に,水道事業についてでございます。京都の水道水は,おいしく,安全安心で,環境にも家計にも優しい,正に世界最高水準でございます。水道事業を持続可能なものとするために,こうした水道水のすばらしさを市民の皆様に御理解いただき,水需要の喚起につなげることが重要であると認識いたしております。こうした認識の下,本市では,これまでから水道水のおいしさのPRやお風呂の利用促進に向けた参加型,体験型の事業の実施,さらには,バス乗り場や保育所をはじめとする公共施設などへのミスト装置の設置等を進めてまいりました。今後は引き続き,老朽化が進む管路や施設の改築更新に必要な財源の確保のためにも,保有資産の有効活用を徹底して進めるほか,椋田議員御提案のドライミスト装置の設置促進など,水需要喚起の施策を,環境政策,産業政策などあらゆる政策と融合させて展開してまいります。 次に,向日町上鳥羽線の整備でございます。この路線は,南区上鳥羽地域から国道1号,国道171号を経てJR向日町駅へのアクセス道路となるものであります。国道171号までの区間は既に地域の皆様の協力を得て整備を進め完成いたしております。今般,向日市がJR向日町駅東改札口の新設に着手されたため,これを連携して,厳しい財政状況の下でございますが,京都市民の皆様にとっても利便性が大きく向上する国道171号から西の未整備区間の事業実施を再開することといたしました。この路線の整備は,京都市,とりわけ京都南部地域の発展につながるものであることを踏まえつつ,隣接する向日市とも十分に連携して力強く進めてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 就学前教育についてでございます。保育所保育指針では,10項目の幼児期の終わりまでに育ってほしい姿などが具体的に示されており,小規模保育事業におきましても同指針に準じ,小学校就学を見据えた保育を行っています。また,保育対象年齢の引上げにつきましては,本市では山間部の一部を除き,小規模保育事業での3歳児以上の受入れは認めておりません。企業主導型保育事業等の認可外保育施設におきましても保育所保育指針に準じまして保育を行うこととされており,今後とも,椋田議員御指摘のとおり,利用施設を問わず同一水準の保育を提供できるよう,研修や監査の実施等を通じまして,大変重要な保育の質の向上に真摯に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕
    ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 京都駅八条口の貸切バス乗降場の運用についてでございます。貸切バス乗降場につきましては,事前予約制や離れたバスの待機場から効率的に順次バスを呼び入れる取組など,バス事業者等と連携をし円滑な運用を図ってまいりました。さらに,今年度からは新たに,予約時期の前倒しに加えまして,議員から御提案いただいてございました臨時の降車場を一時的に乗り場としても活用することによりまして,一層円滑なバスの乗降を図っておりますとともに,事業者に対する啓発も併せて行うことで,バスの路上待機の防止に取り組んでまいります。今後とも工夫を重ねまして,京都の玄関口として,安全で快適に御利用いただけるよう京都駅八条口全体の運用に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 京都の歴史等に関する教育についてでございます。本市では,伝統と文化を受け継ぎ,次代と自らの未来を切り開く子供の育成を学校教育の最高目標として掲げ,幼児期では地域や季節の伝統行事の体験活動,小学校では1・2年生でそうした幼児期の体験や学びを,地域を知る学習へと展開し,3年生から6年生では,椋田隆知議員御指摘の本市作成の副読本やジュニア京都検定テキスト等により,京都の歴史,文化,産業,観光等へと対象を広げて学習を進めております。今後,こうした小学校までの学習を基に中学校,高等学校におきまして,より発展的な学習につながるよう教科等での学習と共に,茶道等の京都ならではの伝統文化体験活動の全校での実施に向け,その一層の充実を図るとともに,本市独自の学習指導計画等に京都の歴史等に関する各段階での学習内容を関連付けて示すなど,系統的な指導の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,森田守議員に発言を許します。森田議員。 〔森田守議員登壇(拍手)〕 ◆(森田守議員) 右京区選出の森田守です。自由民主党京都市会議員団を代表し,先輩の橋村芳和議員椋田隆知議員に続き質問いたします。 まず初めに,子ども医療費についてお伺いいたします。京都市における合計特殊出生率は,平成17年の1.11を底として,平成27年には21年ぶりに1.30台にまで回復するなど,保育所等の待機児童ゼロをはじめとする京都市の子育て施策は着実に効果が表れています。一方で,京都市の出生率は人口維持に必要とされる2.07はもとより,平成28年の全国平均1.44にも及ばず,また京都府全体の出生率も東京都,北海道に次いで低く,これは府市が抱える共通の課題となっています。また,3月4日の京都新聞によれば,昨年の本市人口は,7年ぶりに転出者が転入者を上回り,とりわけ20代半ばから30代の子育て世代の流出が著しいと報道されたところです。私自身も中学2年生から0歳児までの5人の子育てをしている者として,子育て世代の流出を防ぐためにも,思い切った施策が求められているのではないかと思います。4月には,子育て環境は確実に日本一を目指すと明言する西脇新知事が誕生し,正に府市協調によって子育て環境を充実する土台が出来たのではないかと考えています。知事選挙に際し,自民党京都府連と西脇知事候補との間で政策協定を結び,その中で我々自民党京都市会議員団からは,子供に対する医療費助成制度について,平成30年度に設置される予定の(仮称)子ども医療費助成の拡充に向けた検討会などを通じ,京都市と協調しながら平成31年度までには制度充実を図ることを要望しました。これに対し西脇知事は,拡充の余地があるとして,子供の医療費助成の拡充を行う方向で検討するとの報道もされているところです。子ども医療費の助成は国制度がない中,府市協調の下,これまでから門川市長自らが山田前知事と協調し,思いを一つにして取り組んできた経過があります。さらに市長は3期目の任期中での制度拡充を約束されており,その実現のために門川市長と西脇知事の強力なリーダーシップの下,拡充に向けて進めていただきたいと考えていますが,いかがですか。 また,府下の市町村では,子ども医療費助成に独自財源を投入することで,一層の負担軽減を図る自治体も増えていますが,京都市においては平成24年2月の市会決議において,現実的かつ計画的な制度拡充に努めること等に積極的に取り組むよう求めているところです。一部には,いたずらに巨額の財政支出を伴う事業拡大を追い求めるような声もあるかと思いますが,現実的にこのようなことは可能であるのか,今後の子ども医療の拡充に向けた市長の考えについてお伺いいたします。 次に,再生可能エネルギーの取組についてお伺いいたします。京都市会では,平成24年度,28年度の2度にわたり,再生可能エネルギーに関する海外先進事例を調査し,昨年,自民党京都市会議員団としても,再生可能エネルギーの普及拡大において大きな役割を占める水力発電で,全国最大級規模の黒部ダム発電所を視察しました。黒部ダムは,戦後の復興期から高度経済成長時代における電力の安定供給のために,多くの殉職者を出しながらも,難工事を乗り越え建設されましたが,京都市においても,明治期に黒部ダム建設に勝るとも劣らない大事業が行われました。言うまでもない琵琶湖疏水の建設であり,それを利用した蹴上発電所の開設です。蹴上発電所は,日本初の事業用水力発電所であり,そこで発電された電気が明治の京都のまちに灯をともし,工業を興し,そして日本で初めて営業を開始した路面電車を走らせました。今年は丁度明治150年の節目の年。琵琶湖疏水通船事業が67年ぶりに本格運航を開始し,蹴上発電所においても施設見学会が開催されるなど,これらの事業を通じ,偉大な先人たちの大事業に思いをはせるとともに,クリーンな再生可能エネルギーの大切さについて再認識することは大変有意義だと考えます。京都市におけるエネルギー政策については,平成32年度までに年間のエネルギー消費量を15パーセント以上削減,再生可能エネルギーの導入量を3倍以上と大きな目標を掲げ,達成に向けて様々な取組が行われています。改めて,太陽光はもとより,太陽熱,水力,風力,バイオマスなど再生可能エネルギーを市民に身近なものとして実感していただくことで,より理解を深め,率先して使用する機運を高めていくことや,関西電力をはじめとする電力供給事業者に,再生可能エネルギーの割合を高めていくよう積極的に働き掛けるなど,更に使用を広げていく取組が重要と考えますが,いかがお考えでしょうか。 次に,紙ごみ削減についてお伺いいたします。京都市のごみ量は,市民,事業者皆様の御理解,御協力により,ピーク時の平成12年度の82万トンから平成29年度の41万トンへと半減することができました。特に平成27年10月のしまつのこころ条例施行後は,2年間で約1割のごみ減量に成功し,市民一人,1日当たりの家庭からのごみ量は,平成29年度実績で政令市最少の402グラムと,全国をリードするごみ減量施策を展開してきました。しかしながら,昨年度は減量ペースが大幅にダウンし,平成32年度の最終目標39万トン達成が大変厳しい状況となっており,今一度気を引き締めて取組を進める必要があります。2月市会で,我が会派の吉井議員からの質問に対し,ごみ量をピーク時の半分以下,39万トンを必ず達成するという心強い答弁があり,今年度は紙ごみと食品ロスの削減に重点を置いた取組を推進することとされています。特に紙ごみは,京都市の家庭ごみの3割,6万トン,事業ごみの3割,5万トン,合計11万トンで,そのうちリサイクル可能な紙ごみが,家庭ごみ,事業ごみ共に4割,合計で4.6万トンもあり,その対策を着実に進めていかなければなりません。近年,宅配便の現場では,増加する荷物に配達員の人数が追い付かないことが社会問題になるほどネット通販が爆発的に普及し,その影響で,梱包・包装用段ボールが多くの紙ごみとして発生しています。ネット通販事業者においても,過剰包装を減らし,中身を保護する取組を進めてはいるものの,荷物の増加スピードはそれを上回っており,平成28年度の宅配便取扱個数は40億個を超え,数年後には60億個を超えるとの予測もあり,消費者である市民一人一人の分別,リサイクル意識の更なる向上が必要です。あわせて,ごみ収集に当たっても,ごみ袋の中に異なる収集品目が混入している際の不適正シールの貼付,残置処置対応について再度徹底していただきたいと思います。また,京都市は人口147万人の約1割に当たる14万人が学ぶ大学の街,学生の街ですが,全国各地から集まる学生に分別のルールが十分に浸透しておらず,また毎年学生が,入学,卒業を機に入れ替わることも考えると,若者世代への継続した広報,啓発も必要になってきます。分別が進んでいないと見られる賃貸マンション等での対策を含め,具体的にどのような展開を図っていかれるのか,また,平成32年度の最終目標39万トンへ向けての御決意をお伺いいたします。 次に,今後の京都市の林業振興についてお伺いいたします。近年の林業情勢は,木材需要や価格の低迷などにより,非常に厳しい状況となっており,林業が盛んな右京区においても同様の状況にある中,今国会で森林経営管理法案が審議されています。成立すると,これまでの森林所有者に任されてきた林業から,平成31年度より,放置された森林を中心に市町村が所有者から委託を受ける大規模な林業を目指すことになります。京都市においても,大規模集約型林業の在り方について,専門家も交えて検討した成果を踏まえ,新規事業としてモデル事業の実施予算が1,900万円計上されており,大変期待しているところですが,今後どのように進められるのか,お伺いいたします。 先の2月市会においては,市町村が主体となった新たな森林管理システムの早期実施を求める意見書が採択されました。京都市においても,もうける林業の確立が急がれる中,スピード感を持って大規模化を図り,伐採,造林,育成,保全を実施していかなければならず,京都市の役割はますます重要になり,体制の整備も必要かと思います。そこで大きな問題となってくるのが境界の明確化ですが,国の森林整備地域活動支援交付金制度によれば,経営計画作成や施業の集約化に対する支援は大変充実しており,森林境界の明確化に対しては,森林所有者の負担を最小限にとどめて事業を実施することができます。一方,森林境界の明確化の問題点として,急しゅんな地形での土地所有者等の立会いや測量作業が困難であること,土地所有者の高齢化や,京都市に居住されていない場合があることなどから,立会人の探索や地域の土地境界精通者の記憶に頼った調査が困難となってきていることが挙げられます。こういった課題に対して,国においては,現地での立会いや現地測量が省略可能な空中写真等を活用した新手法を積極的に導入することにより,広域的かつ効率的な境界明確化事業を実施することを促進しており,秋田県の雄勝広域森林組合や京都府宇治田原町では,実際に先行的な取組が行われようとしていますが,大規模集約型林業の取組を進める中で,是非ともこのような手法も検討されていくべきであると考えています。そこで改めて,現在,京都市が取組を進めようとしている大規模集約型林業モデル事業に新たな森林経営管理法を関連させ,どのように京都市として林業振興を図り,体制強化されていかれるのか,市長のお考えをお伺いいたします。 次に,自衛官募集事務についてお伺いいたします。自衛官募集事務の内容については,自衛隊法施行令において定められており,特に第119条においては,都道府県知事及び市町村長は,自衛官又は自衛官候補生の募集に関する広報宣伝を行うものとすると定められています。自衛隊は,我が国の平和と独立を守り,国の安全を保つため,我が国を防衛するだけではなく,京都市においても,平成25年の台風18号による大雨の際には,災害派遣要請に応じて水防活動を実施するなど,大規模災害時における捜索,救助活動の活躍は周知のとおりと思います。しかしながら,充足率は約9割と,人手不足の波が自衛隊にも押し寄せ,自衛官募集は大きな課題となっており,私も昨年9月市会において質疑させていただきました。京都府下で唯一,自衛官募集の広報費がゼロという状態であった京都市が,以降積極的な取組を進めていただき,市役所本庁舎への自衛官募集ポスターの掲示,防災訓練への自衛隊の参加及び募集活動,また他都市の募集事務の調査など,スピード感を持った対応に感謝いたします。一方で,市役所本庁舎への自衛官募集ポスターの掲示に対しては,京都市職員労働組合から,戦争に協力する事務を行うなという全くもって的外れな抗議があったそうですが,関係法令に従って,これからもしっかりと事務を進めていただきたいと思います。全国の多くの自衛隊地方協力本部では,自衛官募集に際し,ダイレクトメール送付を行っており,その際には住民基本台帳からの情報を基にしていますが,京都市においては,住民基本台帳の閲覧のみが許可されているため,適齢者情報を何時間も掛けて書写しなければなりません。しかしながら,紙媒体で住民基本台帳の写しを自衛隊地方協力本部に提出されている市町村もあり,国会答弁においても,「住民基本台帳の一部の写しの閲覧を通じて入手した自衛官,自衛官候補生等の募集に係る資料及びこれを用いた募集活動は,優秀な人材の確保のために重要なものであると認識している。また,自衛官及び自衛官候補生の募集に係る資料については引き続き,その提出につき協力を求めてまいりたい」と答弁がされています。今後,自衛隊との連携を更に強化していくに当たり,住民基本台帳からの適齢者情報の抽出も含め,自衛官募集事務について,どのような姿勢で取り組んでいかれるのか,お考えをお伺いいたします。 最後に,西院小学校の児童増加に伴う再整備事業に関連して要望させていただきます。西院学区では,近年,マンション建設等による宅地開発が進み,将来的にも児童数の増加が見込まれることから,必要な教育環境の確保に向け,今年度から校舎等の増改築を検討するための基本計画策定に着手することとなりました。児童増加による教室不足,地域の避難所としての役割を果たす体育館の老朽化,校舎・運動場敷地から離れたプールなどの課題解決に向けて動き出したことは大変喜ばしいことです。新設校整備の際には地域の拠点となる魅力ある学校づくりのためにワークショップを複数回にわたって開催し,地元の声を反映できる機会が多くありますが,今回のような再整備に当たっては,そのような機会が少なく,教育委員会においては自治連合会をはじめ,地元の方々の声に十分耳を傾けていただきたいと思います。 その中でも,今回の再整備で撤去せざるを得ない可能性のある西院第一学区自治会館,消防団器具庫については耐震改修が必要とされているところであり,今回の西院小学校再整備と併せて,改築や合築などの工夫をして,地域活動や災害時の拠点をしっかりと確保するとともに,現在,西院小学校南校舎4階にある避難所備蓄倉庫についても大規模災害などの緊急時にスムーズな対応ができる場所へ移設し,学校施設の地域の防災拠点としての機能を高めていただくよう要望いたします。 以上で代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森田守議員の御質問にお答えいたします。 まず,子ども医療費についてでございます。体調を崩しやすい小さなお子様を育てておられる御家庭の負担を少しでも軽減し,子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを進めていく,子ども医療費制度はこのように徹底して子育て家庭の目線に立った施策として,国による補助制度がない中,平成5年に府市協調で創設し,以来7回にわたって拡充を図ってまいりました。特に,平成24年2月市会におきまして,市会決議を頂いて以降は,その決議をしっかりと受け止め,中学卒業までの対象者拡大をはじめ,加速度的に制度拡充を図り,今年度も約19億円もの予算を確保しております。近年の急速な少子化の進行によりまして,社会情勢が大きく変化し,子ども医療費制度の更なる拡充をはじめ,子育て支援施策の一層の充実がオール京都の喫緊の課題となっている中,先月,子育て環境日本一の実現に向け,私と志を同じくする西脇知事が誕生し,心強く感じております。森田議員御指摘のとおり,本市は府下市町村と比べ人口規模も大きいため,本制度の拡充にあっても,巨額の財源捻出が必要であり,未来の子供たちのために持続可能な制度となるよう対象年齢や自己負担額等,あらゆる観点から検討を深める必要がございます。このため,今後京都府での検討会をはじめ,現場レベルでしっかりと調整,協議を進めるとともに,私自身も先頭に立ちまして,西脇知事と綿密に協議を行い,市民の皆様にお約束した平成31年度中の更なる拡充を目指してまいります。引き続き,子育て・教育環境日本一の実現に向けまして,府市協調の下,全力を尽くしてまいります。 次に,再生可能エネルギーについてでございます。京都は,日本の水力発電事業発祥の地であります。私は,明治150年の節目の今,京都発展の礎を築かれた先人の志を胸に刻むとともに,市会の決議や海外行政調査に基づきます御提案をしっかりと受け止めまして,持続可能なエネルギー社会の実現を目指す決意を新たにいたしております。これまで市民,事業者の皆様と一体となって徹底した省エネと再エネの普及拡大,イノベーションの創出に取り組んできた結果,本市のエネルギー消費量はピーク時からは26パーセント,新たな計画を立てた平成22年度比で12パーセント減少し,再エネ導入量は平成22年度比で1.7倍まで増加しました。再エネの更なる普及拡大に向けましては,森田議員御指摘のとおり,市民に身近なものとして感じていただくことが重要であるため,再エネ設備の設置促進や環境学習,イベントなど,あらゆる機会を通じて理解を深め,率先して使用していただく環境づくりに努めております。また,関西電力に対しましては,株主としても飛躍的な再エネの導入を引き続き強く働き掛け,さらには,本市との契約を希望する全ての小売電気事業者に対し,今年度から新たに再エネの導入率の開示を求め,国基準以上に重視するなど,市役所が率先して再エネを使用していく姿勢を明確にしたところでございます。今後とも,市民や事業者の皆様と共に太陽光や小水力をはじめ,あらゆる可能性を追求すると同時に,効率性や採算性の向上に資する技術革新を産学公連携により促進し,再エネの使用が一層広がるよう全力で取り組んでまいります。 次に,林業振興についてでございます。市域面積の74パーセントを占める本市の森林は,京都らしい景観を創出し,豊かな水や清らかな空気を生み出すなど,市民にとっても掛け替えのない貴重な財産であります。しかしながら,近年の木材需要や価格の低迷等により放置されるケースが増えており,豪雨時の土砂災害が懸念されるなど極めて危機的な状況にございます。このため,本市では意欲のある林業家を支援することはもとより,放置され荒廃しつつある森林につきまして,経営能力の高い林業家に集約し,効率的で収益性の高い持続可能な大規模集約型林業を実現するため,全国に先駆けた検討を進めてまいりました。 昨年度,先行的な取組を試行するモデル地区として,左京区久多地域と右京区京北山国地域を選定し,今年度は具体的な取組を進めるため,森林組合等と共に協議会を立ち上げます。しかし,長年放置され,所有者の所在等が不明であったり,境界が分からなくなっているケースも多数見受けられ,200名を超える森林所有者に事業の同意を得ることは大変困難を伴うものでございます。こうした所有者不明森林への対応につきましては,これまでの我が国の制度では限界がありましたが,市会の御理解の下,国への要望を続けてきた結果,今般,森林経営管理法案に市町村による管理が盛り込まれており,その枠組みも活用しながら取り組んでまいります。さらに,航空レーザーなど最先端の機器を用いた森林資源調査や境界の明確化の手法についても研究してまいります。我が国の森林行政が今転換期にございます。そんな中,この実施に必要な体制を確保し,地元の主体的な取組,協力を得ながら,京都のすばらしい森林を後世にしっかりと残す決意で全力を傾注してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 紙ごみの削減についてでございます。京都市のごみ量は市民,事業者の皆様の御理解,御尽力によりまして,ピーク時の年間82万トンから半減の41万トンまで減量が進みました。改めて,皆様に心から感謝を申し上げます。しかしながら,森田議員御指摘のとおり,対前年度比で申し上げますと1パーセントの減量にとどまっており,強い危機感を持っております。そのため,食品ロスの削減と共に,いまだ年間4.6万トンも排出されておりますリサイクル可能な紙ごみの分別徹底に向けた取組を強力に推進をしているところでございます。具体的には,分別が進んでいない賃貸マンション等に対しましては,お住まいの方に加えまして管理会社にも主体的に紙ごみの分別,減量に取り組んでいただけるよう,コミュニティ回収の助成対象を拡充するとともに,直接訪問し,指導,啓発する体制の強化を図ったところでございます。さらに,ごみ収集の際に分別が不適切なごみにつきましては,警告シールを貼付し残置する取組を強化しますとともに,まち美化事務所が地域に出向き,より一層周知啓発を徹底してまいります。また,若者世代への啓発につきましては,大学生等をごみ減量サポーターに任命し,SNSを活用してごみ減量につながる情報発信を行うことで,減量行動の実践,定着化につなげてまいります。今後とも,市民,事業者の皆様と共に,ごみの減量を推進し,ごみ量を平成32年度までにピーク時の半分以下の年間39万トンにする目標を必ず実現してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 自衛官募集事務についてでございます。自衛隊は,我が国の防衛のみならず,災害発生時にも迅速に対応されており,その任務の重要性はますます高まっています。御案内の平成25年9月の台風18号の水害に係る本市への自衛隊派遣はもとより,東日本大震災,熊本地震等の震災や,昨年7月の九州北部豪雨に係る災害対応など,自衛隊の皆様方の献身的な活動は,安全な国民生活の確保にとって不可欠なものでございます。一方で,自衛官の採用状況につきましては,少子化や好調な景気,雇用状況により,近年厳しい状況にあると伺っております。 本市では,昨年9月の京都市総合防災訓練におきまして,初めて開設したブースによる活動紹介や募集啓発に加えまして,本年からは募集時期に合わせて市役所本庁舎にポスターを掲示しております。自衛官募集事務につきましては,今後とも,自衛隊法に基づく本市の事務として,御指摘の適齢者情報の提供方法の改善など,自衛隊京都地方協力本部長の要請も踏まえ,しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。(発言する者あり) ○議長(寺田一博) 御静粛に願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,河合ようこ議員に発言を許します。河合議員。 〔河合ようこ議員登壇(拍手)〕 ◆(河合ようこ議員) 西京区選出の河合ようこです。日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。 4月8日投開票で行われた京都府知事選挙において,原発ゼロに,安保法制反対などで運動されている幅広い市民の皆さんと日本共産党も推薦した福山和人さんは31万を超える得票でした。当選には至らなかったものの,蜷川府政以降の40年で最高の44.1パーセントの得票率で,左京区では相手候補を上回りました。知事選挙は,国民と国会にうそをつき,国政を私物化する安倍政権への怒りや,9条改憲は許さない,安倍政治を変えるため野党は共闘という世論が広がる中,国政では対立している与野党5党が相乗りしたことへの批判も大きく,マスコミの出口調査では立憲民主党支持層の6割,無党派層の5割が福山さんを支持したという結果でした。子供の医療費無料化や全員制の中学校給食実施,返済不要の奨学金制度の創設など府民の切実な声に基づく福山さんの政策は,広い府民の共感を得ました。本市においても市民の願いだと受け止め,市政に当たる必要があります。 最初に,子供の医療費無料化について質問します。京都市の通院医療費助成は,3歳まで200円,3歳を過ぎたら3,000円までの自己負担が10年以上変わっていません。昨年度,子ども医療費無料制度を国と自治体に求める京都ネットワークが実施しまとめられた1,218通のアンケートでは,3,000円の自己負担の無料化を希望する人は94パーセント,子供の医療費や薬代の負担感があると回答された方は約半数,そのうち受診しなかった方や治療を中断された方は2割近くもありました。自由記述欄には「週一,二回耳鼻科に掛かっています。3歳になるのが怖いです」,「3歳過ぎると急に高くなった感じ。医療費が幾ら掛かるのかを考え,このくらいなら受診しなくてもいいかなと様子を見ることが増えた」,「アレルギーで定期的に継続しての負担が大きい」,「京都に引っ越してきて,余りの高さにびっくりした」など思いがぎっしり書かれていました。また,保育所年長組で虫歯になっても,虫歯治療が無料で受けられる小学生になるまで待つという方もあります。必要な受診を控えなければならないこのような実態があることを,市長はどう思われますか。(発言する者あり) ○議長(寺田一博) お静かに。 ◆(河合ようこ議員) (続)お金の心配なくどの子も医療が受けられることが大事なのではありませんか。子供の医療費助成制度の拡充は,市長の3期目の公約です。ところがこの間,「通院を中学生まで無料にすることは現実的ではない」,「効果的な方策を検討する」と副市長が答弁されており,お金が掛かると財政上の問題にして拡充を先送りされています。府と協力してやれば9億円でできます。子供の医療費無料化を中学卒業まで実施している群馬県では,医療に掛かる県の費用は減ったと報告されています。先ほどのアンケートでは,医療費無料化の対象について,中学生までと求める方が41パーセントで最も多いことも注目すべきです。「子供の医療費助成の充実の余地はある」との新知事の発言もあります。まず,京都市が通院についても中学卒業まで窓口負担なしに踏み出し,京都府にも求めるべきです。市長の決意を求めます。いかがですか。 次に,全員制の中学校給食について質問します。私は保護者から,中学校も小学校のような給食にしてほしいという強い要望を伺っています。新日本婦人の会や小学校のような中学校給食をめざすALLネットワークの方が実施されたアンケートでも,小学校と同じような給食を求める声が9割を超えています。既に府と市を合わせて1万225筆の署名が集められています。(パネルを示す)パネルを御覧ください。全国では84パーセントの中学生が給食を食べており,全員制の中学校給食は当たり前です。全国的には遅れている近畿の府県でも,ここ数年で増えています。ところが京都府は35.7パーセントと低迷し,中でも京都市の喫食率は30パーセントです。京都府内でも昨年は六つの自治体が実施,検討を始めています。京都市のように選択制の所はほとんどありません。さらに,給食費無償化に踏み出す自治体が増えています。京都市は取り残されていると言わなければなりません。 2014年11月の参議院文部科学委員会で我が党の田村智子議員が,横浜の中学校の昼食のときの様子を紹介し「栄養バランスの取れた温かくておいしい給食を家庭の実態にかかわらず子供たちに差別なく提供する,これは子供の貧困対策として非常に重要な意味を持つのではないか」と質問したところ,当時の文部科学大臣も「弁当の方が保護者と子供の関係を深める等の教育的効果が期待できるとかあるが,なかなかそうは言えない家庭状況が特に貧困家庭等であることは事実」と答弁しています。どの子にも栄養バランスの取れた給食を保障し,子供の貧困対策の重要な施策として全員制の中学校給食が求められているのです。本市では就学援助で給食費は保障されていますが,選択制の下では,給食を注文しなれば昼食への支援は何もありません。給食を注文している生徒が少ないので注文しにくいなど,思春期の子供たちが昼食にまで気を使う実態もあります。昨年度,全員制給食を始めた八幡市では,選択制では給食を食べてほしい生徒が選択しない状況があるから全員制にしたと言われています。また,中学校給食の在り方についての生徒,保護者,教職員へのアンケートでは,中学校給食実施の要望は保護者が圧倒的に多く,生徒や中学校の教職員の要望は少なかったが,実施後の調査では,生徒も教職員も,給食になって良かったという声が増えたという結果が出ています。現在,本市で全員制の給食は,小中一貫校となった中学校だけでの実施にとどまっていますが,全員制の温かい給食を全ての中学校で実施すべきではありませんか。いかがですか。 市として中学生の食について調査をされてから20年近くたっています。給食試食会などで保護者の声は聴いていると言われますが,学校任せにせず,保護者や児童,生徒,教職員全員に中学校給食の在り方について意見を聴くべきです。いかがですか。 次に,福祉施設の運営支援について質問します。京都府がこれまで実施してきた,民間社会福祉施設サービス向上補助金の予算を今年度から削減しました。この補助金は,厳しい福祉施設の運営を府として支援するために作られた制度です。保育園には園児一人当たり年間1万7,000円,障害児者施設やケアハウスなどには一人当たり3万円の補助がされ,施設の修繕や送迎車両の購入などに使える自由度の高い補助金として運営を下支えしてきたものです。府の予算削減の提案の際,現場では,「この補助金がなくなれば,人件費にしわ寄せするしかない」,「新しい園舎を造る利子補給にしようと考えていた。なくなると困る」などの声が上がりました。京都市内では22の高齢者施設,42の障害者施設,13の児童養護施設,247の保育所が補助を受けており,多くの施設が影響を受けます。しかも京都府は今年度から,地域共生社会実現サポート事業補助金に名前を変え,適用する補助事業も変えられ,これまでは可能だった施設改修や臨時職員の人件費などへの活用ができなくなりました。また,対象事業には事業所の新たな負担額が生じるうえ,補助対象となる事業を実施するためには新たな取組をしなければならず,現状の職員体制では実施は困難,利用しにくいという声が出ています。これでは施設の運営に支障を来すことは明らかではないでしょうか。京都市として該当する施設の影響を把握すること,実態に合った補助制度となるよう府に要望すること,施設運営に支障がないよう本市として対策を講じることを求めます。いかがですか。ここまでの答弁を求めます。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 河合ようこ議員の御質問にお答えいたします。 子ども医療費についてでございます。子ども医療費につきましては,国による補助制度がない中,府市協調の下,平成5年の制度開始以来,今日まで7度にわたり制度拡充を行っており,今年度も約19億円もの予算を確保いたしております。子育て家庭を切れ目なくしっかりと支援する施策を推進していくためには,限られた財源の中で,幅広い取組をきめ細かく継続的に実施することが必要でございます。このため,効果的かつ持続可能な制度として構築できるよう,あらゆる観点から検討していかなければなりません。財源も含めまして,しっかりとした検討がないままに子ども医療費を中学校卒業まで無料化することは,本市の厳しい財政状況を踏まえると,現実的かつ計画的ではないと認識いたしております。また,いわゆる受診控えにつきましては,各区役所・支所の保健福祉センターにおいて丁寧な相談,対応を行う中で,医療費に困っておられる場合には必要な支援制度を案内していることから,今後も個々の家庭の状況に基づきまして,ニーズに気付き,必要とする施策につなぐ取組を徹底してまいります。子ども医療費制度は今と未来の子供や子育て世帯の皆さんにとって喜んでいただけるものとなるように,引き続き,府市協調の下,しっかりと取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高城順一) 京都府が実施する地域共生社会実現サポート事業補助金についてでございます。本事業については,地域共生社会の実現に向け,社会福祉法人が一定の役割を果たしていただけるよう,これまで施設定員に応じて一律に補助金を交付していた民間社会福祉施設サービス向上補助金を,法人等自らが,例えば高齢者の見守りや子供の居場所づくり等の地域貢献活動等を実施する場合に補助する内容へと見直されたものです。この見直しは,法人等の地域貢献の取組を積極的に評価して促進していこうとするものであり,本市といたしましても,望ましい内容であると考えております。また関係団体から施設建設等に係る借入金の償還に充てていた分については,これまでどおり補助を継続してほしいという声があったことを受け,当面の間,続けられることとなっております。本市といたしましては,今後とも,対象となる法人等の声をお聴きしながら,利用しやすい制度となるよう,京都府に対して必要な要望を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 中学校給食についてでございます。本市では,学識経験者やPTA,学校関係者等が議論を尽くし,検討を重ね,平成12年度から家庭からの手作り弁当か,弁当形式の給食かを全員が自由に選べる選択制給食を導入しております。また,これまでから各学校での毎日の昼食指導等で,生徒の反応や意見の把握に努めるとともに,中学校給食の試食会を毎年約40校で合計1,000人以上の保護者の皆様の御参加の下に開催し,さらには,校長会や食教育主任研修会等の場でも意見を聴くなど,生徒や保護者,教職員の声を反映しながら中学校給食の充実,改善に努めてきております。小中一貫教育校での全員制給食につきましては,同一施設内に給食施設が整備できる場合に限り,保護者や地域の方々との協議に基づき実施をしております。全ての中学校での全員制給食の実施には,少なくとも180億円もの予算が必要であり,他に優先すべき課題も多く,実施は困難と考えております。今後とも,現在の選択制の中学校給食の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 河合ようこ議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。 〔午前11時50分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続し,河合ようこ議員に発言の継続を許します。河合議員。 〔河合ようこ議員登壇(拍手)〕 ◆(河合ようこ議員) 午前に引き続き,市長に質問します。 住民の命と福祉を守るべき本市職員の働き方は大変な事態になっています。市長は,「京プラン」に掲げる職員削減を前倒しで達成したといつも自慢されていますが,職員削減が職員に過重な仕事を負わせ,職員の健康,命を脅かしています。2013年に交通局職員が長時間勤務が原因で命を落とすという痛ましい事件が起こりました。このような事態は二度と起こしてはなりません。人事院の超過勤務の縮減に関する指針では,時間外勤務は年間360時間以内とされ,例外として720時間を超えないようにと言われています。本市では,720時間を超えて時間外に働いている職員が2016年度は20人もいます。2月市会で我が党議員がこの実態を示し,超過勤務を一掃すべきと質問すると,副市長は「大変深刻に受け止めている」,「総力挙げて取り組む」と言われました。しかし,2017年度は38人と更に増えています。しかも,カローシラインと言われる月80時間を超えて100時間以上も時間外勤務をした職員は2017年度,175人にも上っており,過労死がいつ起こってもおかしくない事態です。この実態を市長はどう認識されていますか。市長は「必要な所では必要な人員配置を行っている」と答弁を繰り返されていますが,京都市人事委員会の時間外勤務に関する職員アンケート調査では,時間外勤務を減らすために実施してほしいことは何かの問いに,業務量に応じた適正な人員配置をと回答した職員は,77.4パーセントで一番多くなっています。市長の認識は,勤務実態とも職員の実感とも全く違っています。職員は足りていないことを認識すべきです。 この間,本市は職員削減を図るためとして,行政業務の民間委託を進めてきており,区役所の窓口業務の民間委託まで検討されています。しかし,区役所の窓口業務は公権力の行使を含む業務であり,これまでは民間委託は難しいとされてきたものです。しかも市が行った調査でも窓口業務は民間委託すべきでないと答えた市民が多数となっています。市民が望まない民間委託を行い,強引に職員削減するのはやめるべきです。職員を過労死させないためにも市民の願いに応え,福祉を守るためにも職員削減の方針は撤回し,職員を増やすべきです。いかがですか。 次に,介護保険について質問します。介護保険制度が始まって18年。保険料も利用料も上がり,利用を控えざるを得なくなった方や,国民年金でも入れる特養が欲しいわと嘆かれる方の多いこと。総合事業が始まり,要支援の方のデイサービスやホームヘルプサービスが介護保険から外されるなど当初うたわれた介護の社会化の言葉は消え,強調されるのは介護保険からの自立です。正に,保険あって介護なしが市民の実感です。政府は,1割だった利用料を2015年8月から所得160万円以上,単身で年金収入280万円以上の人は2割負担に引き上げたうえ,今年8月からは年金収入340万円以上の人については3割負担を導入しようとしています。2割負担による影響も明らかにしないまま,3倍もの負担増は余りにも過酷です。利用できなくなる方が増えることは明らかではありませんか。今年8月からの利用料負担引上げを中止せよと政府に求めるべきです。いかがですか。 本市の第1号介護保険料基準額は今年度520円も引き上げられ6,600円になりました。介護保険開始当初の2,958円から2.2倍以上,これが2025年には8,000円を超えると言われています。今でも「介護保険料が高い」,「年金から天引きされて残ったお金で暮らせと言われるけど,もう節約するところがない」と言われており,「年金はまた減るのに,無茶苦茶や」という悲鳴が聞こえてきます。高齢者の不安は計り知れません。介護保険制度は,介護給付が増えた分が保険料に跳ね返る制度設計になっていることが根本的な問題です。政府が年金削減など社会保障自然増分も削減する方針をやめ,介護保険への国庫負担を増やすなど介護保険制度を抜本的に改善せよと本市は求めるべきです。そして,保険者として一般会計からの繰入れなどを行い,介護保険料を引き下げるべきです。いかがですか。 次に,敬老乗車証について質問します。敬老乗車証は高齢者が元気に暮らしていくうえでなくてはならないものになっています。しかし,洛西地域には市バスと3社の民間バスが走っていますが,市バスが走っている所では,民間バスには敬老乗車証が使えません。民間バスの方が便利でも乗れないのです。私はこれまで,この問題を早急に解決すべきと繰返し求めてきました。市当局は敬老乗車証制度を応益負担に見直すときに市バスか民間バスかを選択できるようにするという方針ですが,市民は選択制ではなく,市バスにも民間バスにも使いたいのです。西京区大原野上里学区の方からの議会陳情や請願を受け,民間バスへの適用拡大について庁内プロジェクトで検討されてからもう六,七年になります。年々移動が困難な方が増え,車の運転免許を返上された方もあり,改善を心待ちにされています。地下鉄が通っていない西京区にお住まいの高齢者にとってバスが暮らしの足です。敬老乗車証の交付率は市全体でも50パーセントを割っていますが,大原野学区は20パーセント台です。交付率が低いのは交付を受けても使いにくいからです。市内のどこでも敬老乗車証を使いやすくすべきです。応益負担方針は撤回し,市バスと民間バスの両方に敬老乗車証が使えるように一刻も早く改善すべきです。いかがですか。 最後に,西京区のまちづくりに関わって幾つか質問します。洛西地域では高齢化が急速に進む中,賃貸住宅にお住まいの方からは,家賃が高い悩みやバリアフリー化の要望をよくお聞きします。高齢者の入居を快く受けてもらえない民間賃貸住宅もあります。ある独り暮らしの高齢者は「夫婦そろっていれば何とか暮らせるけど,少ない国民年金では家賃を払うのがやっとだ」と言われます。低廉な家賃の公営住宅の役割が大きくなっています。しかし,空き家になった住戸の改修がなかなか進まず,入居希望してもなかなか入居できずに困っておられる方がたくさんおられます。また,階段の上がり下がりが困難な方はエレベーターがない住棟では暮らすのは大変です。地元の樫原市営住宅は廊下型住棟でようやく耐震化とエレベーター設置が進み,喜ばれています。しかし,洛西ニュータウン内の市営住宅は,北福西の高層棟にエレベーターがあるだけで,ほかは5階建ての階段室型の住棟で,エレベーターはなく,設置が難しいとも言われています。しかし,階段室型住棟にお住まいの高齢者が多くおられます。府営住宅についてもエレベーターが設置されていない住棟が残っています。介護が必要でデイサービス等を利用されている方を送迎している職員さんもエレベーターがないと重労働になっています。住宅のバリアフリー化を急ぐ必要があるのではないでしょうか。市営住宅の空き家改修を迅速に進め,高齢者など入居したい人が入居しやすくすること,階段室型の住棟にエレベーターを設置する計画を早急に作り,高齢世帯が安心して住める市営住宅に改善するよう求めます。いかがですか。 次に,市バス路線の拡充についてです。嵐山東学区は高齢化率が高い学区です。一昨年,学区内唯一のスーパーマーケットが閉店し,社会福祉協議会の方の御尽力で移動購買車が運行されていますが,日常の買物に困る方が増えました。この嵐山東学区を走っているバスは京都バスと市バス28号だけで,区役所にも子どもはぐくみ室がある保健福祉センター別館にも1本で行くバス路線がありません。区役所に行くには松尾大社前で29号に乗継ぎが必要であり,交通量の多い横断歩道を渡らなければならず,高齢者には大変です。区役所に行きにくいため,手続や期日前投票ができないと困っておられます。区役所に行くバス路線があれば,買物も便利になります。区役所への足の確保は採算が取れないから運行できないと済ましてはならない課題ではありませんか。せめて午前と午後に1回ずつでもいい,バスを走らせてほしいと切実な声が上がっています。市長はこの声に応え,嵐山東学区から区役所へのバスを運行すべきです。いかがですか。 最後に,洛西の交通問題についてです。洛西地域はJR桂川駅からのバスの運行数が増えて便利になったと言われますが,バス路線が走っている所は限られています。洛西地域を高齢者が安心して住み続けられ,若い世代も住みやすいまちにするためには,市内中心部よりも高い交通費の解消,公共交通の利便性向上が求められています。住民からは「ニュータウン内を走る循環バスや大原野や大枝,桂坂とニュータウンを結ぶバスが必要」,「バス停からバス停の距離を短くしてほしい」,「市内中心部や周辺自治体と結ぶ鉄軌道を」など要望をお聞きします。この間,京都市立芸術大学の崇仁への移転発表をきっかけに,西京区洛西地域の活性化懇談会や洛西ニュータウンアクションプログラム検討会議などで西京区洛西をどう活性化するか議論されてきました。西京区の活性化には交通問題の解決が重要であることは議論を通じても明らかです。洛西にはニュータウンが開発されるとき,地下鉄が来ると聞いてここに住んだと言う方が多くおられますが,いまだその話は実現しないままです。地下鉄が来ていたら市立芸術大学の移転もなかっただろうにという声が上がるのも無理はありません。前市長は洛西への地下鉄延伸は悲願であるとも言われていましたが,太秦天神川より西への延伸については地下鉄の赤字や多額に費用が掛かる等,財政上の理由で困難と言われて久しく,最近ではリニア新幹線や北陸新幹線の誘致に市長は熱心ですが,ニュータウンが出来たときの市民との約束は後回しにされています。市民との約束を市長がどう果たされるのかが問われています。西京洛西地域と市内中心部とのアクセスを良くするために,鉄軌道の整備などについて京都市の都市計画としての検討を進めるべきではありませんか。いかがですか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 職員の働き方改革についてでございます。長時間勤務は,職員の安全,健康面はもとより,働き方改革や真のワーク・ライフ・バランスの実現の観点からも解決すべき重要な課題であります。今年度からはこれまでの取組に加えまして,パソコンによる勤務時間管理の仕組みの導入や,育児,介護を行う職員の時差勤務の実施など,職員の勤務環境整備を進めております。さらに,時間を意識した生産性の高い働き方へ転換するよう,市長自らが全職員に対してメッセージを発信しますとともに,職員向けの働き方改革実践マニュアルを作成,周知するなど様々な取組を進めており,引き続き,使用者としての安全配慮義務を果たしてまいります。また,本市では「京プラン」に基づき,職員数の適正化に取り組んでおりますが,これは全国トップ水準の福祉や教育,子育て支援等を推進しながら持続可能な行財政の確立を図るため,民間にできることは民間にを基本方針に委託化・民営化などで業務量の減少が確実に見込める部分について,職員を削減しているものであります。同時に市民の命と暮らしを守り,質の高い行政サービスを提供するため,防災対策や民泊対策,子育て支援等の体制強化を図るとともに,各職場の繁忙状況等も考慮いたしまして,必要な部署には必要な人員を増員しております。 引き続き,働き方改革を強力に推進するとともに,適正な人員配置,計画的な職員数の適正化に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 洛西地域における公共交通についてでございます。本市の地下鉄事業が今なお巨額の債務を抱えている中,多額の建設費用を要する東西線の延伸につきましては,現行の地下鉄建設に係る国の補助制度の下では困難な状況にございますことから,既存公共交通の利便性の向上による地域の公共交通の充実に努めております。具体的には,洛西地域を運行する全てのバス,鉄道事業者と連携をいたしまして,停留所の改善,鉄道乗継を考慮したバスダイヤの調整,共通案内板の整備などを進めております。こうした取組と各社の増便などによりまして,洛西ニュータウンと阪急桂駅,JR桂川駅を結ぶバスの運行本数は1日400本を超えている状況でございます。さらには,昨年5月の本会議でも市長の方から答弁いたしましたとおりでございますが,市民が主体となりましたモビリティ・マネジメントの取組によりまして,市内中心部と洛西地域を結ぶバス路線が増便されるなど洛西地域のアクセス向上が進んでおります。引き続き,交通事業者と連携し,既存公共交通の更なる利便性の向上を目指してまいりたいと,このように考えております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高城順一) 2点お答えいたします。最初に,介護保険制度についてでございます。まず利用料を3割とする見直しにつきましては,例えば,二人以上世帯で年金収入が463万円以上であるなど,現役並みの負担能力のある方を対象としております。これは,介護サービスを必要とする高齢者の増加に伴い給付費も増大する中,保険料の上昇を可能な限り抑制し,介護保険制度の持続可能性を高めていくため実施されるものであり,中止を求める考えはありません。また,本市においては本年度からの3年間の介護保険料の設定に当たり,介護給付費準備基金を26億円取り崩すこと等により,保険料の上昇幅の抑制を図るとともに,低所得者に配慮した保険料軽減策も引き続き講じたところです。さらに,議員御指摘の一般会計からの繰入れにつきましては,介護保険制度が全国一律の社会保険制度であり,法令で財源構成が決められていることから,負担と給付の明確な関係を崩し,制度運営の根幹を揺るがしかねないため,実施する考えはありません。制度全体に対する財政支援等については,国に対し,かねてから被保険者の負担が過重とならないよう要望を行っているところであります。 次に,敬老乗車証制度についてでございます。本市では,現在本制度を維持するために48億円もの巨額の市税を投入しております。また,団塊の世代全て70歳以上となる3年後には更に10億円増加し,58億円になることが見込まれるなど,現行制度のまま継続すれば制度自体が破綻しかねない状況にあります。このような状況の下,民営バスの適用地域を拡大することは,更なる市税投入を必要とし,困難であります。 一方,本市では,この間本制度の見直しの検討を進めてきており,その一環として昨年度は,制度を取り巻く状況を市民の皆様に知っていただくための市民アンケート等を実施し,様々な御意見を頂戴し,その結果もお知らせをしたところです。このアンケート結果や社会福祉審議会の答申等も踏まえ,持続可能で,かつ幅広い世代の市民の皆様の理解が得られる制度となるよう,更に慎重な検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 市営住宅の改修についてでございます。市営住宅の空き家につきましては,過去の応募倍率や市内の地域間のバランスなども考慮しながら計画的に整備をし,年間平均で700戸を超えます住戸の供給を行っております。また,市営住宅を長期間有効に活用するために,京都市市営住宅ストック総合活用計画を策定し,適切な改善,改修を実施しております。エレベーター設置によるバリアフリー化の重要性は認識をしておりますが,隣り合う住戸で共用の階段を持ちますいわゆる階段室型の住棟へのエレベーター設置は,廊下型に比べまして大幅に経費が必要となりますうえに,大半のケースでは,エレベーターが階段の踊り場に接続するために完全なバリアフリーにならないなど課題が多いと考えてございますが,入居者の方が病気や障害などにより階段の昇降が困難な場合は,1階の住戸等への住替えにより,引き続き丁寧に対応してまいります。今後とも入居者の方が安心して暮らすことができる市営住宅の供給に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 西京区における市バス路線の拡充についてでございます。嵐山東学区から西京区役所へのアクセスとしては,現状,28号系統と29号系統とを乗り継いで御利用いただいております。人と公共交通優先の歩くまち・京都の中核を担う交通局では,地域の皆様が自らの交通環境を改善するため主体的に取り組むモビリティ・マネジメントと一体となって路線・ダイヤの充実を図り,地域の皆様の御要望にお応えしてまいりました。西京区内においてもこうした地域の皆様の取組により69号系統の増便や特西4号系統の新設等が実現をいたしております。市バス路線の新設に当たっては,安全に運行できる走行環境があり,採算の2分の1程度の御利用が見込めることに加え,継続的に利用促進の取組を推進していただくことが何よりも重要であります。御要望の路線の新設は現状では困難ですが,地域の皆様の暮らしやまちの活力を支える公共交通の役割をしっかりと認識し,交通局と都市計画局,区役所が連携し,地域の実情の把握に努め,公共交通利用の機運が高まるよう,今後とも取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,やまね智史議員に発言を許します。やまね議員。 〔やまね智史議員登壇(拍手)〕 ◆(やまね智史議員) 伏見区選出のやまね智史です。私は日本共産党京都市会議員団を代表し,質問いたします。 まず,戦争と平和の問題です。今年も5月3日に円山公園音楽堂で憲法集会が開かれました。超満員となった会場の舞台からは,日本共産党,立憲民主党,国民民主党の国会議員,社会民主党,新社会党,緑の党の代表が挨拶し,民進党,自由党からもメッセージが寄せられました。この京都でも,安倍政権による改憲を許さない世論が大きく広がっています。共同通信の調査では,日本が戦後73年間,海外で武力行使をしなかったのは9条があったからこそと答えた人が69パーセント,朝日新聞の調査では,安全保障を考えるうえで軍事面より外交や経済など非軍事面がより重要との回答が82パーセントに上り,安倍政権の下での憲法改正に58パーセントが反対と答えました。京都市で1983年に市会決議として採択された非核・平和都市宣言では,あらゆる国の核兵器の廃絶と軍縮を求めることや,戦争に協力する事務は行わないことなど,その立場が明確に宣言されております。これらを踏まえ,2点お聞きします。 一つ目は,改めて市長の歴史認識と憲法9条についての立場です。今年は明治元年から150年目に当たるとして政府が音頭を取り,京都市でも関連事業が予定されています。しかし一方では,明治憲法の下,日本が主権在君,アジアへの侵略戦争,韓国併合,男尊女卑,治安維持法による国民弾圧への道を進みました。2015年10月1日の本会議質問において市長も,「かつて日本は進むべき針路を誤り,先の大戦への道を進んだ」と答弁されています。明治憲法の下,戦時下の京都ではどんなことが起こったでしょうか。1940年,絹織物,染め物,刺しゅう品などはぜいたく品として製造販売を禁止され,西陣,室町では多くの業者が廃業に追い込まれました。清水焼の産地でも多くの業者が廃業に追い込まれ,清水焼の窯では陶器製の手りゅう弾が焼かれました。ほかにも京友禅,餅菓子,豆腐など,当時京都の産業は壊滅的被害を受けたのであります。中央卸売市場では仲買業者が制度として廃止されました。観光業も自粛となり,市の観光課も廃止されました。御池通,五条通,堀川通,京阪三条,四条大宮交差点付近などでは建物疎開,防空対策として数万件の建物が取り壊されました。学徒出陣では多くの若者が戦場に送られました。戦争に巻き込まれるのは市民であり,この痛苦の経験のうえに作られたのが日本国憲法であって,平和主義を掲げる第9条であります。その憲法を壊す動き,すなわちアメリカと一緒に海外で武力行使を行う安保法制,市民の基本的人権を侵す共謀罪法などについて,国会で結論を出されたものと京都市が人ごとのような答弁を繰り返していることは,極めて無責任と言わなければなりません。市長は,明治憲法下で日本が戦争へ突き進み,京都市にも重大な被害が及んだことについてどう認識されているのですか。自治体の長として,現行憲法を遵守する立場にありながら,なぜ平和憲法を壊す動きについてはっきり反対と言えないのですか。お答えください。 二つ目は,若者を戦場に送り出すような行政であってはならないという問題です。2016年3月1日の本会議で我が党の山中渡議員が,市営地下鉄車両に自衛官候補生の募集チラシ1,800枚がつり下げられた問題を取り上げ,安保法制の下で南スーダンなどへの派兵が行われるなら,チラシを通じて入隊した京都の若者が危険な事態に巻き込まれかねないと指摘しました。また,同じ年11月30日の本会議では我が党の加藤あい議員が,国連の報告書で南スーダンの和平合意は崩壊したと断定していることを紹介し,このような中で自衛隊が駆け付け警護を行えば,命の危険にさらされることは明らかだと市長の認識をただしましたが,答弁はありませんでした。その後明らかになったのは,防衛省による自衛隊日報の隠ぺいという重大事態ではありませんか。防衛省が4月16日に公表した陸上自衛隊イラク派兵部隊の日報には,戦闘や銃撃戦という言葉が何度も出てきます。京都新聞4月23日付けには,PKOに参加した自衛官の証言が載りました。「宿営地付近で激しい銃撃戦となり,普段銃を持たない部隊にも武器携行命令が発令された」,「正に戦争のど真ん中。反政府勢力が入ってくれば全滅すると思った」とあります。5月11日の衆議院外務委員会では我が党の穀田恵二議員が,安保法制が強行採決された直後の陸上自衛隊幕僚監部の会議資料に,「米軍,他国軍との共同作戦,武力行使を伴う任務遂行」,「他国と連携した戦闘」などの文言があることを告発しました。このような中で京都市が自衛隊員の募集業務を行えば,若者を戦闘地域に送るその役割の一端を担うことは明らかではありませんか。日本を守りたい,災害救助で役に立ちたいとの思いで入隊,活動されている自衛官の皆さんの命を海外での戦争で危険にさらすなど,あってはなりません。京都市会の決議,非核・平和都市宣言にあるように,京都市は戦争に協力する事務は行わないとの立場を貫くべきであり,自衛隊員の募集業務は行うべきではないと考えますが,いかがですか。まずこの2点について,市長御自身の答弁を求めます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 自衛官募集事務についてでございます。自衛官募集事務につきましては,法令に定められた自治体の事務であり,本市がその役割を果たすことは当然であります。また,その事務を行うことは戦争に協力するものではないと考えており,非核・平和都市宣言に反するものではございません。自衛隊は我が国の防衛のみならず,地震,台風の大雨などによる自然災害発生時における自治体からの派遣要請にも迅速に対応され,国民の生命や財産の保護に寄与されております。 本市におきましても,平成25年9月の台風18号の大雨により桂川がいっ水するというひっ迫した状況下において,桂,福知山,大久保の各駐屯地から派遣された250名の自衛隊員の方に(発言する者あり) ○議長(寺田一博) 答弁が聞こえませんので御静粛に願います。 ◎副市長(村上圭子) (続)地域の水防団,消防団と共に水防活動に取り組んでいただくなど,近年,水災害が続発する中,常に本市との緊密な連携の下,災害対応に当たっていただいており,大変心強く感じているところでございます。 一方で,自衛官の採用状況につきましては,少子化や好調な景気,雇用状況により,近年厳しい状況にあると伺っております。こうした中で,本市では市民の皆様に自衛隊活動への理解をより一層深めていただけるよう,昨年9月に実施した京都市総合防災訓練において初めて自衛隊ブースを開設し,災害活動の紹介や募集啓発を行っていただくとともに,本年からは自衛官の募集時期に合わせて市役所内にポスターを掲示するなど,広報活動を展開しております。今後とも,自衛隊京都地方協力本部と連携し,自衛隊法に基づく本市の事務として自衛官募集事務にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 平和への認識と憲法についてでございます。先の大戦では,多くの尊い命が失われました。このような戦争の悲惨さを決して風化させることなく,その尊い犠牲の上にある現在の平和を未来へつなぐことが今を生きる私たちの使命であると考えております。平和は変わらざる人類普遍の願いであり,日本国憲法における平和の理念は,主権在民,基本的人権の尊重と共に遵守されるべき基本的な理念,原則であると認識をしております。同時に,何度も御答弁を申し上げておりますとおり,現行憲法が制定されてから70年以上が経過をしており,国内の社会情勢や,我が国を取り巻く国際環境が大きく変化してきた状況において,こうした理念,原則を大切にしつつ,憲法について国民が関心を高め,議論がなされることは大変意義のあることと考えており,その在り方につきましては,国家,国民の基本に関わる事項として,国会を中心に国民全体で引き続きしっかりと議論がされるべきものと考えております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) やまね議員。 〔やまね智史議員登壇〕 ◆(やまね智史議員) 憲法の全条項と市民の命を守る立場にある市長御自身が平和憲法を壊す動きに反対と言えず,戦争に協力する事務は行わないと明言できないことは極めて無責任であり,残念と言わざるを得ません。自治体が戦争や武力の行使に反対し,平和を実現するための行動を取ることは憲法の平和主義に基づく自治体の責務であることを改めて強調し,次の質問に移ります。 京都で学ぶ若者を全力で応援し,安心して働き続けられるようにすることこそ京都市行政の責任です。まず,奨学金問題についてお聞きします。(パネルを示す)パネルを御覧ください。これは大学の初年度に掛かる学費と,京都府内の労働者の月額現金給与,全産業平均の推移を表したものです。国立大学の学費は1975年に8万6,000円だったものが2015年には約9.5倍の81万7,800円,私立大学は1975年に27万8,261円だったものが2015年に約4倍の約112万円となっています。同じ時期,月額現金給与は17万1,670円だったものが29万93円,約1.7倍になりましたが,1990年代後半からは月額現金給与は減り続けております。にもかかわらず学費は上昇し続け,今も高止まりしております。大学のまち,学生のまち京都における大学政策とは,どうあるべきでしょうか。私は学生の活動支援と言うとき,イベントやプロモーション活動などへの助成を否定するものではありません。しかし,今最も求められているのは,経済的理由で学業を諦めざるを得ない若者,そして経済的困難を抱えながら大学に通う若者に学生生活のスタートラインをしっかりと保障することではないでしょうか。 そこで市長にお聞きします。これまで京都市は,奨学金返還の負担感の大きさや制度改善の必要性は認めるものの,京都市自身の行動は国に要望するのみで,市独自の奨学金創設は否定し続けています。しかし,京都で学ぶ多くの若者,その御家族が困難に直面しているときに,国にお願いするだけでいいのでしょうか。教育基本法第4条3項には国及び地方公共団体は,能力があるにもかかわらず経済的理由によって就学が困難な者に対して奨学の措置を講じなければならないとあります。教育基本法は地方公共団体にも奨学の措置を求めているではありませんか。市長は,教育の機会均等のため,法律にも明記されている地方公共団体の責任をどう考えておられるのですか,お答えください。少なくとも,京都市が2015年3月に行った大学生に対する奨学金の受給実態についての調査を毎年継続して行い,その実態を客観的な数字としてつかみ,明らかにすべきではありませんか。御答弁を求めます。 「母子家庭で家計が苦しいので何度も泣きながら大学は諦めてほしいと言ったが,本人の意思も強く,必死で勉強し合格したので認めざるを得なかった」40代の女性,「薬剤師を目指す娘が4月から大学へ通っているが,月14万円の奨学金を6年間借りると総額で1,000万円を超える。それに利子が付くので将来の返済が心配。アルバイトをしても足りない部分は親の負担になる」40代の女性,などのお話を私も地元伏見区で聞いてきました。多くの若者が数百万円から1,000万円を超える借金を背負って社会に出なければいけない,その若者の二人に一人が非正規,不安定な雇用で働かざるを得ない,このことは若者本人だけでなく,社会にとって,自治体にとって,重大な問題です。ところが,安倍政権が予算化した給付制奨学金は全国で約2万人規模であり,これは全国に289万人いる学生の僅か0.69パーセントにすぎません。京都市が検討中の基金による奨学金も10数名分という規模であり,京都市人口の1割,約15万人に上る学生の大多数へ経済的支援はありません。京都私立大学教職員組合公費助成推進会議が,毎年,京都の私立大学に通う学生の保護者を対象に行っている家計負担実態調査,昨年度は6,784名の方が回答されています。そこでは奨学金を利用していない御家庭の31パーセントが返済義務があるのでと,22.5パーセントが申請基準に合わなかったと,その理由を回答しています。つまり,奨学金を利用したくても利用できない方が多数おられるのです。今こそ京都で学んだ若者が京都で就職し働き続けられるよう,一人一人に直接届く政策が求められます。政令市を見ても,札幌市,静岡市,神戸市,北九州市など,額の大小はあっても,一般の学生を対象に独自に給付制奨学金や奨学金返済の肩代わりを実施している自治体があります。京都市でも検討すべきではありませんか。地下鉄や市バスの通学定期券割引率のアップや家賃補助など,これらの施策を学生のまち京都でこそ真っ先に実施すべきと考えますが,いかがですか。答弁を求めます。 また,昨年度,京都府が就労・奨学金返済一体型支援事業,奨学金を返済する従業員への支援制度を設けている中小企業への補助を予算化しました。京都市独自の財政的上乗せについては,昨年秋の決算特別委員会で我が党の平井良人議員の質問に,「府の事業の推移を見極め検討したい」と産業観光局の答弁がありました。昨年度実績は,京都市内では7社14人にとどまりました。企業にも負担が求められるため,資金力の弱い中小企業にとっては使いにくいのが実情ではないでしょうか。今こそ府の制度に京都市も財政負担をし,中小企業の負担を軽くするよう改善を図るべきではありませんか。答弁を求めます。 次に,ブラックバイト対策についてお聞きします。この数年,生きやすい京都をつくる全世代行動,LDA-KYOTOの皆さんが,大学門前,駅前,繁華街などでアンケート調査に取り組まれ,1,200人を超える声を集め,京都市会,府議会に提出された署名も累計で9,000筆近くとなりました。その中で,労働局,京都府,京都市が連携しブラックバイト対策協議会が設置され,キャンパスプラザ京都への相談窓口設置,大学とも連携したブラックバイトの実態調査や労働者の権利を学ぶ出張セミナーなどが取り組まれてきたことは,大変重要だと考えます。ブラックバイトの実態調査では,一昨年も昨年も,アルバイト経験者の約3人に一人が学業に支障が出た,4人から6人に一人がアルバイト先で何らかのトラブルを経験したと答えています。にもかかわらず,公的機関や大学への相談は極僅かという結果です。京都市の学生人口が約15万人近くであることを考えれば,数万人規模の学生が,学業に支障が出たり,アルバイト先でのトラブルを経験していることになります。トラブルの中身は法令違反の事例も多く,本来ならそれだけの数の対応を行政が迫られていてもおかしくありません。しかし,京都市はそれだけの構え,体制になっているでしょうか。昨年,ブラックバイトの相談窓口などを学生へ周知するために作られた名刺大カードは3,000枚,今年は新入生向けに約1万2,000枚作成したとのことです。大変重要な取組ですが,約15万人という京都の学生全体にはまだ届きません。大学とも連携を強め,全ての学生へ京都市からの呼掛けを届け切る取組をすべきではありませんか。とりわけ,新入生に当たる18歳から19歳の労働法制の知識が低いという調査結果が出ており,我が党がこれまでから求めてきた新入生向けのガイダンスを行うべきではありませんか。また,家族や知人からも相談しやすいよう,24時間ホットラインの開設や区役所・支所への窓口設置も考えられますが,いかがでしょうか。答弁を求めます。さらに,京都の学生数万人が法令違反の下で働かされながら公的機関に相談できずにいる,この事態を打開するためには,ブラックバイト対策を産業戦略の一部や企業への要請にとどまらせず,労働法を守らせる立場から独立した担当部署を作り対応する,そのための体制強化と予算拡充が必要と考えますが,いかがでしょうか。 次に,市民の住環境に関わる民泊問題についてお聞きします。私の地元伏見区でも様々な相談,特に管理者が常駐しない簡易宿所への声が相次いで寄せられています。伏見稲荷に近い砂川地域では,隣に簡易宿所が出来たという方から,「鍵の開け方が分からない旅行者に夜遅くインターホンを鳴らされ,鍵を開けてほしい,オーナーに連絡を取ってほしいと強く迫られた」との声が寄せられました。藤森地域では,家の裏に簡易宿所が出来たという方から,「5人しか泊まらないはずなのに10人以上泊まっていた。夜中に大声で騒がれ,眠れなかった」との声が寄せられました。深草地域では,医療機関で働いているという周辺住民の方が,「旅行先で体調を崩すことも当然考えられる。人が常駐していなければ感染症発生時にも対応できない」と語られました。そもそも,緊急時には事業者が自ら現場で対応するのが当然の責任だというのが,市民の皆さんの共通する思いではないでしょうか。東京で起こった覚醒剤密輸,大阪市で起こった殺人事件,京都市で起こった火災などの事例は,管理者が常駐しない宿泊施設の危険性を示しています。そうした中で国が,ホテル,旅館,簡易宿所の玄関帳場や宿泊客との対面面接などについて更なる規制緩和を強めていること,また京都市が,小規模な簡易宿所に施設外の玄関帳場を認めようとしていることは重大であります。昨年度,京都市内の旅館業施設,新規許可件数は909件ですが,そのうち871件,実に95.8パーセントが簡易宿所であり,その多くが常駐者不在の施設です。そのような施設が住宅密集地や細街路,路地奥に乱立することが住環境悪化につながっているのであり,ここへの対応が強化されなければ住民の苦しみは解決しません。簡易宿所の帳場についての規制緩和は,国が通知によって,地方自治体に特段の配慮をお願いしているだけであり,法的拘束力はありません。伏見区では小さな一軒家タイプの簡易宿所でもスタッフが常駐する施設が生まれており,管理者常駐は事業者の努力で可能です。市長が市民生活との調和と言われるなら,今こそ京町家を含む全ての簡易宿所,また住宅宿泊事業にも管理者常駐を義務付け,対策を強化すべきではありませんか。答弁を求めます。 最後に,交通不便地域の問題です。伏見区の藤城学区は坂道の大変な地域ですが,学区の端にあるJR藤森駅以外は公共交通機関が一つもなく,バスも走っておりません。最も遠い地域は駅まで30分近く歩かねばなりません。住民の皆さんは,役所に行くのも,毎日の買物や病院通いも,通勤通学も大変苦労をされています。市バスは14年連続で黒字,中心部の路線は充実が図られているのに,7,300人以上の方がお住まいの地域に,なぜ小さなバス1台走らせることができないのでしょうか。交通機関が未整備のため,深草支所管内の敬老乗車証交付率も市内最低レベルにとどまっています。私が2015年度の決算・予算特別委員会で藤城地域に循環バスをと求めた際,市当局は「地域の皆様方が公共交通を何としてもと,そこまでは至っていないのではないか」と答弁されました。しかし,そこまで至っていないどころか,藤城地域に公共交通が必要だというのは地域の実情を知る人なら誰もが感じていることであります。2012年3月にはエコ学区の取組として9人乗りジャンボタクシーの試験運行も実施され,多くの方がアンケートに,もしバスが走るなら有料でも乗りたいと書かれています。2016年12月には,藤城地域にお住まいの方から,京都市による循環バス運行を求める陳情も出されました。周辺地域ではこれまでも,京都医療センターをはじめ福祉施設,霊園施設の皆さんが送迎バスを独自に運行されています。お隣の藤ノ森学区,上下水道局の伏見営業所跡地活用に関わっては,地元の社会福祉法人がコミュニティバス運行の提案をしていることも事業者の選定理由として触れられております。自治連をはじめとする皆さんの大奮闘で,昨年度には藤城地域の公共交通についても触れた藤城学区まちづくりビジョンも策定されました。これらの声の具体化を図り,今こそ京都市が率先してバス路線設置のために動き,住民の皆さんの期待に応えるべきではありませんか。お答えください。 以上,市民生活最優先の京都市を実現するために,私自身も住民の皆さんと一緒に奮闘する決意を述べまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) やまね智史議員の御質問にお答えいたします。 民泊についてでございます。本市では,違法民泊は断じて許さないという強い決意の下,全国初となる民泊通報・相談窓口をいち早く開設し,この間,5,000回を超える現地調査,指導を徹底して行い,498施設の違法営業を中止させるなど,寄せられた市民の皆様の不安や悲鳴に近い苦情に全庁挙げて全力でお応えしてきております。また,市民の皆様の幅広い御意見や全国有数の法律の専門家等の御助言を得た,全国でも最も厳しいと言われる民泊関連条例を,市会において徹底した議論を経て制定していただきました。本年4月からはこの条例等に基づいた本市独自のルールを徹底するために,保健福祉局及び消防局の専任の職員だけでも計41名の体制を確保し,取り組んでいるところであります。さらに,今後,衛生管理や防火に係る研修会の開催,地域へのアドバイザーの派遣など,引き続き,違法民泊を根絶するとともに,安心安全で地域と調和の取れた質の高い宿泊環境の整備に向け,一層強力な取組を進めてまいります。 次に,旅館業法等の改正についての対応についてでございます。この度の改正では,無許可営業の厳罰化と共に,玄関帳場等の構造設備の基準の見直しなどが行われております。これを受け,本市では先の民泊関連条例における市民の皆様の安心安全の確保など基本的な考え方を踏まえまして,これまで法令上明確に示されていなかったルール,すなわち玄関帳場で宿泊客の面接や鍵渡しを行うこと,人を宿泊させる間,管理者は施設内に常駐することなどの原則をしっかりと条例に明記いたしました。一方,一定の場合に簡易宿所に玄関帳場等の設置を要しないとする改正旅館業法の国の解釈や基準に反して施設外玄関帳場を一切認めないとすれば,過剰な規制と見なされるおそれがあります。このため,施設外玄関帳場については,1室9名以下の小規模施設への限定や,京町家を含めまして,10分以内の厳格な駆け付け要件の設定など本市独自の厳しい条件を設け,市民生活の安全安心をしっかりと確保する内容といたしております。こうした条例の規定により,改正旅館業法の施行後も引き続き安心安全で地域と調和の取れた民泊も含めた宿泊施設の対策を進めていくため,適正な運営の確保を図ってまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 奨学金制度についてでございます。意欲のある学生が経済的理由により進学を断念することがないよう,教育の機会均等などを図ることは重要であると認識をいたしております。奨学金につきましては,全国の学生の二人に一人が活用しており,また京都で学ぶ学生は全国から来ておられます。そして,京都の高校生は全国に進学をされております。こうした状況を踏まえますと,やはり公平性の観点から,国において統一的に充実が図られるべきであると考えております。このため,本市ではこれまでから国に対し,給付型奨学金の創設,着実な運用や無利子奨学金事業の充実等を強く要望してきており,また平成28年9月市会におきましては,給付型奨学金の創設等を求める意見書が議決されております。こうした結果,平成30年度政府予算では,給付型奨学金の本格実施を含む奨学金事業の予算が大幅に増額をされております。 また,地下鉄や市バスの通学定期券割引率のアップや家賃補助につきましては,昨年12月に閣議決定されました低所得世帯に係る高等教育の無償化において,通学費,住居費等の生活費を賄う給付型奨学金の支給額の更なる増額が示されており,その詳細につきましては,平成30年夏までに一定の結論を得るとされております。なお,奨学金受給状況につきまして,日本学生支援機構から京都府下のデータを御提供頂いており,今後も継続的に把握をしてまいります。今後とも学生が中心として学べる環境の更なる充実に向け,国に対して引き続きしっかりと要望してまいります。 就労・奨学金返済一体型支援制度につきましては,市,府,労働者団体,経済団体により構成される京都労働経済活力会議の議論の中から中小企業に補助金を交付することで,入社間もない従業員の奨学金の返済負担を軽減する制度として,府により平成29年度に創設されたものであります。本市におきましては,府と連携しながら本制度の活用促進に向けた経営者向けのセミナーや経営支援による周知を担っており,4月末現在で14社が導入するなど,利用実績も上がってきております。 今後とも,多くの中小企業に利用していただけるよう引き続き府と連携をいたしまして,周知啓発に努め,本制度の活用促進を図ってまいります。私からは以上でございます。 ○議長(寺田一博) 上田産業観光局長。 〔上田産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(上田誠) ブラックバイト対策についてでございます。京都は徹底して人を大切にするまちであり,賃金の不払いや過重労働などにより働く人を使い捨てにする,いわゆるブラック企業,ブラックバイトは断じて許されるものではございません。こうした強い認識の下,平成28年に本市及び京都府,京都労働局で京都ブラックバイト対策協議会を設置いたしました。平成28年度と29年度には学生アルバイトの現状を幅広く把握するための実態調査を行うとともに,市内10箇所に設置している相談窓口において,アルバイトや従業員を対象とした相談業務等に取り組んでおります。相談窓口の学生への周知につきましては,今年度からの新たな取組として,春の新入生ガイダンス向けに各大学と必要枚数を調整したうえで周知カードを配布しているほか,周知ポスターの地下鉄各駅,各大学への掲示,さらにはホームページによる情報発信を行うなど,より一層の周知に努めております。また,学生が相談しやすい環境づくりとして,相談員が直接大学に出向くセミナーや出張相談も開催しているほか,各相談窓口において電話やメールによる相談にも対応するなど,あらゆる手法で取り組んでいるところでございます。さらに相談の中で悪質な事案が発覚した場合には,京都労働局が調査,監督指導,企業名の公表を行っております。今後とも,それぞれの機関が役割分担を行い,未来を担う若者が大学のまち・京都において学業と両立しながら安心して働けるよう,オール京都で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 伏見区藤城地域における公共交通についてでございます。JR藤森駅の東側に位置する藤城地域につきましては,ジャンボタクシーの実験運行や新たな公共交通の導入に向けたアンケート調査が実施されております。また,藤城学区まちづくりビジョンにおいては,公共交通の在り方について検討することが掲げられています。 一方で,同地域内の道路は幅員が狭く,また丘陵傾斜地で坂道が多いため,離合時の安全面等を考えますと,バス車両を運行することは困難であると認識をいたしております。 京都市域における生活交通の確保につきましては,それぞれの地域に置かれた実情を踏まえまして,地域住民の皆様の取組に応じ,民間事業者との協議及び支援等に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,吉田孝雄議員に発言を許します。吉田議員。 〔吉田孝雄議員登壇(拍手)〕 ◆(吉田孝雄議員) 伏見区選出の吉田孝雄でございます。この後に登壇する青野仁志議員と共に,公明党京都市会議員団を代表し,市政一般について質問いたします。市長並びに理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 まず,京都府知事選挙の総括と今後の子育て支援について申し上げます。4月8日の知事選挙で,公明党は西脇隆俊氏を自民党,当時の民進党などと連携して支援しました。これは,活力みなぎる京都の未来のため,一党一派に偏らない幅広い政治勢力を包括する首長が議会と切磋琢磨する在り方がベストであると判断したからにほかなりません。 〔寺田議長退席,湯浅副議長着席〕 ◆(吉田孝雄議員) (続)西脇新知事の誕生を機に,府市協調が今まで以上に進む進化,そして一層深まる深化,この二つのしんかを求めるものです。そして,それが京都活性化の真価を発揮して地方創生の最先端を切っていくと確信し,府市協調を支えていく決意でございます。西脇知事のマニフェストでは,防災減災,生活の安心安全,共生社会の実現,経済成長,文化振興など,重要な課題を提起されています。その中でも社会保障,とりわけ子育て支援は切実であり,少子化対策の喫緊の課題であります。公明党は全国3,000人の議員が100万人訪問調査活動を実施していますが,アンケートに協力していただいた伏見区の子育てママから,子ども医療費の拡充を求める声が多く寄せられました。この点について,我が党は市会と府会が連携して毎年の予算要望で取り上げていますが,特に近年は力を入れています。今年の2月議会でも,府会で小鍛治議員が質問し,山田前知事が京都市との協議の場を設けると正式に表明されました。市会でも湯浅議員の質問に対し,門川市長が「子ども医療費の負担軽減を平成31年度末までの実現を目指す」と,具体的に答弁された経緯があります。西脇新知事は,就任直後の京都新聞のインタビュー記事で子ども医療費助成の充実に意欲を示し,「対象年齢や補助額を手厚くする政策パッケージを打ち出す」と述べられました。大いに期待しています。 先に紹介した訪問調査活動の折にも,現行の通院費は一つの医療機関当たり0歳から3歳まで200円が3歳から中3まで一律3,000円になるのは学齢期前の子育て世代に負担であるとの声が寄せられました。平成24年2月市会において全会一致で採択された子ども医療費支給制度に関する決議でも,受診機会の多い低年齢層から支援の拡充を図る必要があると明記されています。6歳までの未就学児を対象とした拡充を検討していただくことはできないのでしょうか。 そこで,お伺いします。市長と知事によるトップ会談を早急に開催して,そこで子ども医療費拡充を第一のテーマとし,市会決議を踏まえた具体的な協議を進めていただきたい。いかがですか,御決意を伺います。 次に,共生社会の実現への施策を提案します。私ども公明党議員団は,本年2月,SDGsの推進に向けた政策提言を取りまとめ,門川市長に提出しました。誰一人置き去りにしないとの基本理念の下,国連が持続可能な開発目標SDGsを明確にしたことを受け,京都市が本格的な推進に着手するよう提案したものです。 この誰一人置き去りにしないとの理想と相通ずるスタンスで,現在,ヘルプマークが浸透しつつあります。ヘルプマークは,義足や人工関節を使用している方,内部障害や難病の方,妊娠初期の方のほか,発達障害,精神障害や知的障害のある方など,外見からは障害の有無が分からない方々が周囲に援助や配慮を必要としていることを知らせることで適切なサポートを受けやすくなるよう意思表示の形として,平成24年に東京都が導入したことを皮切りに,各地に拡大したものです。京都府でも平成28年度に導入されるなど,全国20都道府県で推進され,今なお広がりを見せています。ただし,利用者からは認知度が低いとか自治体を超えて移動する際にも使えないかといった声が上がっていることも事実であり,今後の大きな課題であることは間違いありません。 昨年,長年公明党に期待を寄せてくださっている伏見区の女性から御相談いただきました。この方は障害のある子を持つ母親で,災害や犯罪被害などの緊急事態に遭遇した際や発作を起こしたときなどに,自らの障害の状況や連絡先などを周囲の人が速やかに理解できる工夫が大事であり,他都市でも導入されている(パネルを示す)このヘルプカードを京都市でも発行してほしいとのこと。この切実な声を昨年の教育福祉委員会で紹介し,関係機関とも協議をしていましたが,様々調査を重ねますと,宇治市,堺市,神戸市,西宮市,池田市,川口市,宇都宮市,北九州市,熊本市などの自治体で,ここ数年大きく普及が進んでいることが分かりました。本年4月5日付けの公明新聞にも,茨城県稲敷市の記事が紹介され,障害児に対し周囲の人が手を差し伸べやすい環境のためヘルプカードが導入されたとのことで,小さな思いやりが増えるといいねとお母さんが喜んでおられたというのです。各自治体では駅のポスターに掲示したり,動画でPRしたり,ホームページからダウンロードできるよう工夫が凝らされ,着実に前進していると実感します。 京都市では,災害時に自ら避難することが困難な,いわゆる災害弱者と言われる方々への避難誘導などを視野に入れた安心カードを消防局が配布してきました。先進的な取組ではありますが,保健福祉行政との連動を図ることで,国のヘルプマーク制度とのスムーズな融合が実現すると期待されます。障害のある方や難病患者さん,妊娠初期の方への支援策として,ヘルプカードにグレードアップすることを視野に入れ,局を超えた本格的な検討をすることが共生社会への本格的な第一歩となるのではないでしょうか。 そこでお聞きします。障害のある方など援助を必要とする人が安心して外出できる社会の構築を加速するため,周囲の理解を促進するヘルプカードを京都市においても導入するべきであると考えます。いかがですか。 次に,観光振興,とりわけインバウンド施策についてお聞きします。昨年12月,キャンパスプラザ京都で開催された,京都から発信する政策研究交流大会を見学しました。これは京都の28大学56グループの学生が観光や福祉などの政策テーマを研究した成果を発表するもので,毎年楽しみに参加させていただいています。(パネルを示す)今年度は京都産業大学のゼミが,観光で京都がパリに勝つためにとのテーマで研さんした事例がありました。私は,パリに京都が勝つというユニークかつ野心的な問題意識に驚き,その心意気に拍手を送りました。そして,そこで大事なポイントと提起されたWi-Fiと外国語対応という二つについて色々調べたところ,有意義な着眼点だと気付きました。そこで,私なりにアレンジして提案させていただきたいと存じます。 1点目のWi-Fiについてですが,パリでは空港やホテル,ファストフード店,公園や図書館などの公共施設だけでなく,主要観光地でも無料Wi-Fiが利用できるなど,普及し定着しています。これに対し日本では,7年前の観光庁の調査で,インバウンドの声として,Wi-Fiがつながりにくいとの苦情が多いと紹介されていました。こうした状況を重視し,京都ではKYOTO Wi-Fiが平成24年から実用化され,着実に拡大しています。現在,商業施設約1,500箇所のほか,地下鉄駅やバス停約400箇所,提携コンビニ119箇所,公共施設95箇所に設置されていますが,宿泊施設では,旅館で31件,簡易宿所17件という実態にとどまっています。インバウンド受入環境の充実を支援するため,今年度予算で外国人観光客受入環境整備補助金制度がスタートしました。京町家の風情をいかす旅館をはじめとする宿泊施設がKYOTO Wi-Fiを導入する際に助成するなどの支援を行ってはいかがでしょうか。内外の観光客からの要望の多いWi-Fiの普及が今以上に加速すると期待します。 2点目は,外国語対応です。パリでは,Do you speak Touriste?という事業を展開し,16箇国語の外国人観光客への接客マニュアルを整備するとともに,9箇国語対応のアプリがダウンロードできるサービスが功を奏しているとのことで,満足度が94パーセントという高い数字を誇っています。京都市では,宿泊事業者対象の支援策として,外国語研修や5箇国語コールセンターが整備されていますが,より一層の充実が望まれるところです。具体的に提案しますと,旅館や民泊などの宿泊施設やレストランなどの飲食店,お土産屋さんなどの小売店が,タブレット機器などを用いてメニューや商品のポイントを解説するパンフレットを多言語に対応する際,分かりやすく翻訳する作業に対して助成したり,運用面のサポートを手厚くするなどの制度を検討してはいかがでしょうか。 以上,何点か申し上げました。インバウンドの受入れを充実強化するうえで,Wi-Fiの整備や外国語翻訳作業への支援など,柔軟かつ具体的な制度設計を構築していただきたいと考えます。いかがですか。 最後に,京都の強みをいかした観光振興策としても注目されるコンテンツ産業を取り上げます。ものづくりと物語づくりの視点を市長が提唱され,文化庁移転を機に,経済活性化や地域文化の進化を志向する中,漫画やアニメなどのコンテンツ産業は多角的なメディアミックス戦略として相乗効果を生むため,極めて有力であると考えます。日本アニメの父と言われる政岡憲三が,今から85年前の昭和8年,下賀茂の地に日本初の動画スタジオを設立したことから,京都は日本アニメ発祥の地とも呼ばれています。その歴史的意義は計り知れません。平成18年に開設した京都国際マンガミュージアムは連日多くの観光客が訪れていますし,京都を舞台にした作品にゆかりある場所をファンが訪れる聖地巡礼も定着しつつあります。毎年開催される西日本最大規模のアニメイベント京都国際マンガ・アニメフェア,通称京まふも,クリエイターと業界のマッチングに寄与しており,大いに評価されるところであります。 これからがいよいよ本格的な前進のときと捉え,(パネルを示す)昨年3月,京都市コンテンツ産業振興に向けた指針が策定されました。私はこの指針の中で,次の3点に注目しています。一つは,MANGAナショナル・センターについてです。これは,国において漫画を文化資源として蓄積し,人材育成や産業振興の基盤として機能を果たす拠点として構想されています。マンガミュージアムを有する京都が有望な候補であり,誘致の成功に期待を寄せているのですが,平成27年の有識者会議報告書では,施設の立地は東京都心が望ましいと提言されており,心配しています。私は,東京と京都が競合してどちらかが落選するという二者択一ではなく,第三の道を模索する方が価値的ではないかと思います。MANGA二都物語とネーミングするなど,幅広い世代に受け入れられるよう様々に工夫し,共存共栄する道筋を作るよう働き掛けるべきではないでしょうか。 二つ目は,人づくりとして,クリエイターの誘致や育成に力を入れる方針についてです。有識者会議の報告書でも,人材の材を財宝の財と表記するなど,この点を重視しています。京都は精華大学や造形芸術大学をはじめ,芸術系の大学が独自の工夫を重ねてクリエイターを養成する土壌があります。現在も各大学と連携を重ねて,京都国際漫画賞に京都在住や在学の方対象の京都賞を新設したり,また商品にも雑誌掲載権以外に賞金や京まふ無料券を設定するなど,インセンティブを工夫しています。今後も京都で漫画を学び,プロに挑戦したいと願う学生を積極的に支援し,長期的視野でコンテンツ産業を盛り立てていただきたい。 三つ目は,シティプロモーションについてです。指針に,体験型の企画に言及しています。マンガミュージアムにコスプレイヤーが集うCOSJOYというイベントが定着していますし,京まふでもコスプレ姿のファンがかっ歩しています。外国人観光客が晴れ着や浴衣をレンタルで身に着けておられる姿が増えているように,アニメに憧れて来日した方が自分もコスプレを体験したいと思っておられるのではないでしょうか。アニメのキャラクターだけでなく,忍者や侍,百鬼夜行の妖怪など,京都ならではの魅力を題材にしたコスプレを体験できるプランを検討してはいかがでしょう。 以上,何点か提案させていただきました。コンテンツ産業の充実は,産業の振興,人財育成など,総合的な視点の施策が大事です。指針で示された構想から一歩も二歩も踏み込んだ具体策を積み重ね,グレードアップを進めていただきたいと考えます。市長の御決意を伺います。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉田孝雄議員の御質問にお答えいたします。 まず,子ども医療費についてでございます。子ども医療費につきましては,国における補助制度がない中,子育て環境の向上に向け平成5年の制度創設時から,京都府とのパートナーシップにより,これまで7回にわたって制度を拡充してまいりました。乳児から始まり,小学校就学まで,また小学校卒業まで,さらに平成27年9月からは入院,通院とも中学校卒業まで充実し,子育て世帯の医療費負担軽減を図り,多くの方に喜んでいただいているところであります。制度創設後,今年で25年を迎えますが,平成24年2月市会で御議決いただいたように,子ども医療費制度の重要性はますます増していると認識いたしております。こうした状況を踏まえ,私は未来の子供たちのため,厳しい財政状況の中においても,平成31年度中に拡充することをお約束しております。今後,拡充に向けた取組を更に加速化していくためにも,子ども医療費制度が持続可能な制度となるよう,対象年齢や自己負担額等につきまして京都府としっかりと協議を重ねていく必要があると考えております。 このため,現場レベルでしっかりと調整,協議することはもちろんのこと,子ども医療費制度の拡充は府市喫緊の課題との認識の下,私自身が先頭に立って,そして私と同じ思いを持っておられる西脇知事と膝を突き合わせ,実現に向け,あらゆる観点から検討を重ねてまいります。子供たちが健やかに生まれ育ち,京都で育ってよかった,京都で子育てしてよかったと思っていただけるまちづくりに向けまして,今後とも府市協調を更に進め,深め,真価を発揮できるようにしっかりと西脇知事と共に取り組んでまいります。 次に,コンテンツ産業についてでございます。京都は歴史や伝統に加えまして,豊かな感性を持つ多くの人々に育まれた文化芸術の宝庫であります。これらは漫画,アニメ,映画,ゲームなどを生み出す源泉となっており,京都ならではの強みと言えると考えております。本市ではこれまでから,京都国際マンガミュージアムの開館,京都国際マンガ・アニメフェアの開催に加えまして,経済界,国,府等と共に,幅広いコンテンツの魅力発信や相互交流を目的とするKYOTO CMEXを開催してまいりました。同時に,文化庁が京都に全面的に移転することも視野に入れまして,文化首都・京都としての認知度の向上と,日本全体のコンテンツ産業の発展に京都が貢献できることを願い,国において構想されているMANGAナショナル・センターに,京都国際マンガミュージアムをしっかりと位置付けていただく,ナショナル・センターとしての役割が果たせるように,国等に要望しているところでございます。 今後,京都におけるコンテンツ産業の更なる発展のためには,新たなコンテンツを生み出す担い手育成や環境づくり,コンテンツの活用による市内産業の振興を加速していかなければなりません。そこで,芸術系大学との連携の下,漫画家育成,ゲーム企業等への就職の支援,伝統産業をはじめとしたものづくり産業に加えまして,林業などこれまでにない分野とのマッチングなどの機会の創出,京都を舞台にした作品制作の積極的な誘致など,新たな取組に挑戦してまいります。これらを通じまして,文化,観光,まちづくり,何よりも人づくり,あらゆる分野と融合させまして,創造的なコンテンツ産業のより一層の発展にしっかりと取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 観光振興,とりわけインバウンド施策についてでございます。日本の人口が減少傾向にある中,観光による交流人口の拡大は地域の活性化のためには必要不可欠でございます。特に外国人観光客の誘致は京都での消費額が大きく,地域経済の活性化に貢献することや市民の皆様の国際文化交流を推進する観点からも重要であると考えております。そのため,これまでから毎年大規模なアンケート調査を実施し,結果の分析に基づきましてきめ細かなニーズの把握を行い,商業施設,地下鉄駅やバス停などへのKYOTO Wi-Fiの整備や免税店の拡大,売上支援,13言語対応のホームページでの情報発信など,受入環境整備から誘致活動まで戦略的に取り組んでまいりました。さらに今年度は,この好調な観光の効果を市内全域に行き渡らせるため, 吉田議員御提案の宿泊施設へのWi-Fiの整備でありますとかパンフレットの多言語対応をはじめ,外国人観光客のニーズが高いカード決済環境やムスリム観光客に優しい環境整備など,外国人観光客の受入環境整備に必要な経費の一部を補助する制度を創設いたします。この制度を通じまして,外国人観光客の皆様に快適に食事や買物をしていただくとともに,市内の宿泊施設や中小企業等の皆様に,これまで以上に経済効果をもたらす取組を推進いたします。今後とも幅広い産業の発展につながるインバウンド施策を展開し,力強く京都経済をけん引してまいります。私からは以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) ヘルプカードの導入についてでございます。ヘルプカードは,障害のある方などが発作を起こしたときなどの緊急時の対処方法や連絡先等をカードに記載し,普段から身に付けておくことで周囲の人から適切な支援を受けやすくするものであり,人々の支え合いを生み出すための大変有意義なものであると認識しております。一方,本市におきましても平成28年度から導入しているヘルプマークは,内部障害や難病など見た目では障害があることが分からない方を対象に,公共交通機関で席を譲っていただくなど,日常生活の中で配慮してほしいことを周囲の方々に知らせるため,かばんなど見えやすいところに付けてもらうものであり,このヘルプマークとヘルプカードを共通のデザインを用いて併せて配布する自治体も,吉田議員御紹介のとおり増えつつございます。また,本市では災害時や緊急時に自ら避難することが困難な高齢者や障害のある方に対しまして,迅速かつ適切な救急処置等を行えるよう,病状等の情報が記載できる安心カードをこれまでから配布してきております。このようなことから,御提案のように,この安心カードとヘルプカードを統合した京都市版のヘルプカードを作成し,ヘルプマークと併せて配布できるよう検討してまいります。カードの統合に当たりましては,どのような内容が必要かといった点につきまして,障害のある方々の御意見等を十分にお聴きいたしまして,利用価値の高いものとなるよう努めてまいります。今後とも,お互いの違いを認め合い,支え合う共生社会の実現に向けまして,取組をしっかりと進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 次に,市政一般について,青野仁志議員に発言を許します。青野議員。 〔青野仁志議員登壇(拍手)〕 ◆議員(青野仁志) 中京区選出の青野仁志でございます。吉田孝雄議員に続き,公明党京都市会議員団を代表し質問いたします。市長並びに理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 最初に,京都の文化芸術振興策についてお尋ねいたします。日本は人口減少,世界に類を見ないスピードでの高齢化が進み,国力の低下が懸念される中,観光と共に文化立国として世界に貢献していく道を進んでいます。折しも東京オリンピック・パラリンピックなど世界レベルのイベント開催に向け,世界から日本を訪れる多くの観光客の皆様においては,日本の奥深い文化の魅力に対する関心も日々高まりを見せています。文化は一国の華である,文化運動は平和運動に通じ人生の幸福を開花させ行く運動となる,文化交流は国と国,都市と都市,人と人を結び,平和の礎となります。同時に,文化の花咲く所には人が集まり,繁栄し,元気な地域が創出されます。今や文化芸術は,障害者アートなど教育,福祉,まちおこし,地域活性,観光振興など,様々な分野でその力を発揮しています。また,国際社会の中で文化的価値を活用し,広く世界に働き掛けていくことは我が国に対する理解を深めるとともに,外交や企業の対外経済活動にとって,より良い環境づくりにつながります。 昨年,青年実業家の皆さんとの懇談の折,今世界では現代アートが多くの分野とつながり,経済を力強くけん引していると伺い,私なりに文化の力で京都が更に発展し行く方策を探るべく,現代アート市場に着目,美術分野に絞って政務調査を開始し,第一線で活躍されるプロデューサー,ギャラリスト,コレクターの方からの御意見も伺い,提言にまとめ,過日,市長にお示しいたしました。世界におけるアート市場の規模は7.3兆円と言われ,世界の主要な拠点都市では恒常的にアートフェアが開催され,世界中から芸術家やコレクターたちが集まり,市民も交え大変なにぎわいを呈し,その経済波及効果も大なるものがあります。日本でも東京をはじめ各地でアートフェアが開催されますが,言葉の壁もあるのか,規模は世界レベルに遠く及ばない状況です。 一方,京都国際マンガミュージアムは京都を訪れる多くの外国の方でにぎわっておりますが,彼らが日本のサブカルチャーとしてのアニメや漫画に関心を寄せるのは,日本の伝統的な絵画やものづくりに見られる超絶技巧や日本人の持つ独特の感性,デザイン性に引かれてのことだと思います。しかし,世界のアート市場が西洋美術史を基準に評価される現状にあって,日本の美術,陶芸等は必ずしも正当な評価を得ているとは言い難く,まずは日本の美術,陶芸や作家のストーリー,魅力を英語による論文として問う力が必要であり,そのための官民連携の下での体制整備や人材の誘致,育成が課題であること,またその発信拠点として京都がふさわしい旨の主張を市長に対する提言の中でさせていただきました。実際,京都は世界的な観光都市であり,美術系大学が集積し,毎年2,000人を超える卒業生を輩出するなどアート市場としてのポテンシャルは大変に高いものがあります。他方,美術系大学を出て世界に羽ばたこうとするとき,頼りは東京のギャラリーであることや,大きなアートフェアが安定的に開催されていないなど,アート市場都市とは名乗れない現状もありますが,明るい要素も多く出てきています。明年には初の日本開催となる世界博物館大会が京都の地で行われますが,将来に向けての更なる文化芸術振興の布石となる取組を期待いたします。さらに,京都市の市立芸術大学の京都駅東部エリアへの移転,京都駅東南部エリアの活性化方針として,若者,アートを掲げ,そして世界水準を目指す京都市美術館再整備など,現代アートを含んでの文化芸術拠点づくりを着実に進めておられるものと意を強くしております。 そこでお尋ねいたします。世界の文化首都・京都の実現に向け,これまでから文化を基軸にあらゆる施策の展開を主張され,今年度も更に進化させていかれる方針を示された市長として,どのような都市像を目指され,今後,具体的にどのように文化芸術振興に取り組まれますか,お答えください。また,調査を通して,画廊の経営者や芸術系の学生,あるいは若手作家の皆さんからも御意見を伺いました。京都で学んだ芸術家の多くが京都を離れ東京へ向かわざるを得ない状況がある。そもそも芸大生や活動を始めたばかりの若手作家などには,作品を見てもらう場の確保すら難しいとのことです。文化芸術の都として今後もあり続けるためには,文化芸術を志す国内外の若者が京都を目指す流れが必要です。京都はやる気のある若者を大事にするまちであるべきと考えますが,どのような施策に取り組まれるのか,お答えください。 次に,京都市美術館についてお尋ねします。日本には公立,私立を合わせると1,000館を超える数の美術館があり,そこに所蔵されている作品のジャンル,量はアジアの他の国の比ではありません。江戸時代までは中国や韓国の美術に影響を受けつつ文化を生み出し,育て,収集してきました。明治以降にはヨーロッパ,第二次世界大戦後にはアメリカの文化を新たな価値観として受け入れ,集めてきた膨大な所蔵品があるものの,そういう歴史や文化が見えてこないのが今の日本の現状とも言われています。それぞれの美術館が持つ強み,個性がいかされていないとも言えます。そのような中で,京都市美術館が今回の再整備を機として近代京都の美術,工芸の発展を示す常設展示を実現し,主催展,自主企画展を強化,現代アートのコレクション形成,展示を行うという画期的な変革に挑戦をされますことを高く評価し,今後の展開に大いに期待するところであります。 そこで,新美術館では,日本の美術館に見られるこうした状況を打開し,所蔵品を通して日本文化,京都の文化芸術を求めてやまない海外の方をはじめ来館者のニーズにより効果的に応えるとともに,京都市美術館ならではの個性,存在感を示していただきたいのであります。また,子供から高齢者まで,各年齢層を楽しませながら芸術にいざなうプログラムなどを立案,実行するなど,市民にこれまで以上に目を向けた取組を期待するものです。今後,どのような姿勢で取り組んでいかれるのか,お答え願います。 次に,健康に関して質問いたします。私は市民の健康を守りたいとの思いで,これまでの代表質問では乳幼児歯科検診,あるいはがん教育,さらには地域包括ケアシステム構築に向けた介護予防や認知症対策などを取り上げてまいりました。昨年11月市会で訴えました認知症の初期集中支援チームの全市展開やフレイル,オーラルフレイル対策については今年度より本格的に推進されます。特にフレイル対策は,市民お一人お一人の日常生活での取組に関わるものですから,フレイルという言葉の意味の周知から丁寧に進めていただきたいと,強く要望しておきます。 さて,我が国においては高齢化が進む中で,生活習慣と社会環境の変化に伴う糖尿病患者数の増加が課題となっています。厚生労働省の2016年国民健康・栄養調査では,糖尿病が強く疑われる者の割合は12.1パーセント,人数では約1,000万人,糖尿病の可能性を否定できない者の割合も12.1パーセント,人数も同じく1,000万人となっており,合わせて約2,000万人の方が糖尿病のリスクを有していると推計されています。糖尿病は血糖値が高い状態が続くことでより重い病気につながります。血糖値が高い状態が続くと体の至るところで血管が詰まったり破れたりすることで,網膜症,神経障害,腎症などの合併症を引き起こします。網膜症は失明原因の第1位で,神経障害は神経細胞に血液が届かなくなり全身の神経に障害が起き,ほんの少しの傷などでも足の切断に至ることもあります。また,腎症になると腎臓が機能せず人工透析が必要となり,腎臓を移植しない限り一生透析を続けなければなりません。糖尿病が重症化し,透析療法が必要となった場合,日常生活において様々な制限が生じることとなり,生活の質が低下するとともに,透析には年間一人当たり500万円の医療費が掛かると言われています。 今年度から厚生労働省では,国民健康保険の財政基盤強化のため,生活習慣病予防や健康指導などの推進に取り組む自治体を支援する制度の本格実施がスタートしました。中でも糖尿病重症化予防は重点項目に位置付けられ,本市においても糖尿病予防対策を更に進めていくことは市民の健康増進と医療費負担の軽減につながり,市民の生活の質の向上に大きく寄与するものと考えます。2015年度の本市の国民健康保険における特定健康診査の結果では,糖尿病で医療が必要と診断された5,471名のうち,44パーセントに当たる2,413名の方が健診の時点では治療を受けておられませんでした。こうした未治療者への受診勧奨等の対策が重要とのことから,国民健康保険では取組を始めていますが,国民健康保険の取組だけではなく,更に広がりを持たせていくことが必要ではないかと考えます。そのためには,診療,健診結果データの分析を行い,医療機関をはじめとした関係機関等としっかりと連携し,治療が必要な状況にもかかわらずこれを受けていない方に対し,治療を受けていただく取組を更に行っていくことが必要です。そこで,健康長寿・笑顔のまち・京都推進プランの下,糖尿病重症化予防のこれからの取組について,お聞かせください。 最後に,再犯防止推進計画について,共生社会創出の観点から質問いたします。刑法犯の検挙人員は近年大幅に減少したものの,そのうち再犯者が占める割合は一貫して上昇,2016年には犯罪者の48.7パーセント,また刑務所に入所している受刑者の実に約6割が再入所であります。安全安心の社会実現のためには再犯防止の推進が重要と,再犯防止推進法が2016年12月,国会で議員立法として成立,施行されました。昨年12月には同法に基づき再犯防止推進計画が閣議決定されました。同計画を受け,本市では既に本年4月に関係局で構成するプロジェクトチームを設置され,法務省のモデル事業の活用を視野に入れるなど,既に再犯防止推進計画策定に向けての取組を始めておられます。 一般的に犯罪や非行をした人たちの多くは,その成育歴の中で親子関係に代表されるような,自分にとっての重要な他者との関係に人生の早い段階でつまずき,その修復に何らかの事情で失敗している。その過程で彼らの中に形成されたネガティブな人間関係のイメージは,その後出会う他者との関係にしばしば無意識に投影され,どうせ自分は嫌われているといった認知や,それを背景とした不合理で不適切な態度を引き起こしやすく,犯罪や非行をした人たちの多くが人間関係で失敗し孤立を深めていくのだそうです。人は人によって回復する,立ち直りのためには自分を変えたいという強い意思が必要ですが,そのためには自分と出会うこと,つまり犯罪に至った原因と向き合うことが不可欠です。そのためには,そばに話を聴いてくれる人がいるかどうか,共にいる人がいるかどうかが重要となるとは,更生支援に長く関わってこられた方の声であります。月刊更生保護4月号では孤立をテーマに特集が組まれ,読ませていただきましたが,当事者と関わる方々の並々ならぬ思いが伝わってきます。刑務所や保護観察所,更生保護施設,地域生活定着支援センター等へのフィールドワークや,路上生活者支援に関わってこられた吉間慎一郎氏が著書の中で,再犯防止対策において重要なのは,犯罪の加害者でもなく被害者でもない第三者が当事者に対してどのように接するかということであり,これは更生支援に関わる人間だけの問題ではなく,いずれは当事者が戻っていくコミュニティ,社会の問題と指摘するように,再犯防止の取組は地域における障害者支援,高齢者支援等に通じるコミュニティの問題であり,決して他人ごとではないと痛感いたしました。今後,社会を明るくする運動などを通して,更に理解の輪を広げることも大事であると感じたところです。したがって,再犯防止推進計画策定に向けては,形式的な策定とならないように関係者等の声を丁寧にお聴きいただき,司法と医療,福祉,地域との緊密な連携で当事者を孤立させない共生社会創出に資する実効性ある取組となるよう求めますが,目指すべき方向性と今後の具体的な取組をどのように考えておられるのか,御所見を伺います。 以上で私の質問を終わります。最後までの御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 青野仁志議員の御質問にお答えいたします。 まず,文化芸術振興についてでございます。文化芸術は人々の創造性を育み,人々の幸せ,心豊かな社会を形成する本質的な価値に加えまして,産業や観光振興等の経済的な価値,人と人との相互理解を促し,社会的包摂,御指摘の現代アートなど,共生社会の実現や国際平和にもつながる極めて価値の高いものでございます。このような文化芸術の多様な価値が相乗効果を生み出し,文化芸術が経済や社会の発展をけん引する都市を目指し,文化を基軸にあらゆる政策分野を融合した市政運営を進めていきたいと決意を新たにいたしております。本年3月に青野議員から頂いた提言書は,こうした本市の方針と軌を一にするものであり,青野議員御指摘のとおり,とりわけ若者を大事にするまちであることが重要であります。多くの芸術系大学を有する京都には,可能性を秘めた多彩な若い芸術家が多くおられ,彼らの活動を支える方策の一つとして京都学生アートオークションを実施しております。これにより,作品の評価,購入を通じて学生を経済的にも支援するとともに,経済やアート市場に関する学びの場も提供し,アート市場の発展にも積極的につなげていきたいと考えております。 また,国内外の若手芸術家が京都を目指すように,京都芸術センターや居住,制作,発表の場づくりを推進するために創設いたしましたHAPSにおける文化芸術活動支援をはじめ,芸術家が現地で交流し,滞在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスなどの取組も積極的に進めております。さらに,京都市立芸術大学の崇仁地域への移転に合わせまして,東九条をはじめ京都駅に隣接する幅広いエリアでも文化芸術をテーマにした新たな文化ゾーンの創出に取り組んでいるところでございます。これらの取組を着実に推進することで,京都のまち全体に芸術家が集い,市民や世界からのお客様と交流し,想像力あふれる世界に開かれた文化首都・京都の実現に全力を傾注してまいります。 次に,糖尿病の重症化予防についてでございます。生活習慣病である糖尿病は,症状が進行すると様々な合併症を引き起こし,市民の健やかな生活に深刻な影響をもたらすこととなります。このため,青野議員御指摘のとおり,治療が必要な方を早期に発見し,治療につなげていく重症化予防の取組が極めて重要でございます。こうした取組は各医療保険者それぞれにおいて実施しているのが現状であり,例えば本市国民健康保険では,特定健康診査のデータと診療の記録を突き合わせ,保健師等が必要な方に受診を勧めております。今後は医療機関の協力も得まして,健診等のデータの活用をはじめとしたよりきめ細やかな受診勧奨等の取組を全ての医療保険者に広めていくことが重要でございます。このため,京都府医師会や各地区の医師会,糖尿病の専門医と国民健康保険の業務を行う本市職員等で構成する京都市糖尿病重症化予防地域戦略会議を本年3月に設置したところであります。今後,さらに他の医療保険者や歯科医師会,薬剤師会,栄養士会等にも広く参加を呼び掛け,官民一体,オール京都で重症化予防の取組を進めてまいります。 今後とも,食生活や運動など,生活習慣の改善に向けまして健康づくりに取り組むとともに,糖尿病の重症化予防にも一層留意しまして,世界一健康長寿のまち・京都の実現を目指してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 再犯防止推進計画についてでございます。罪を償った方が社会に復帰し,二度と犯罪を起こさないようにする取組は,社会の安全安心はもとより,国連が定めた全世界の目標であるSDGsの理念として掲げられました誰一人取り残さない社会の実現に資するものでございます。再犯防止のためには,一人一人の方に社会全体が寄り添い,地域の中で自立して生きていけるよう支援する取組が重要と考えております。青野議員御紹介のとおり,本市におきましては,京都市版再犯防止推進計画の策定に向けまして本年4月にプロジェクトチームを立ち上げたところであり,まずは再犯者を取り巻く現状等を把握する基礎的な調査を行ってまいります。そのうえで国の補助を活用いたしまして,女性や若者に対する支援を行っている若草プロジェクトに実態把握を行っていただき,具体的な支援計画を策定して,就労や住居の確保,保健福祉サービス,修学支援など,必要な既存の施策につなげていくモデル事業を実施したいと考えております。 また,取組に当たりましては,様々な関係機関,民間団体等の連携が不可欠でございます。このため,関係行政機関や保護司会,更生保護施設,協力雇用主といった民間団体等で構成する地域再犯防止推進会議を設置いたしまして,具体的な支援内容や計画に盛り込んでいく項目等につきまして議論を行ってまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 平竹文化芸術政策監。 〔平竹文化芸術政策監〕 文化芸術政策監(平竹耕三)京都市美術館についてでございます。今回の再整備に当たりましては,美術品の収集保存や海外展などの展覧会,市民の皆様の創作活動を支える貸館などのこれまでからの取組に加え,新たにカフェなどのアメニティ施設を積極的に展開し,市民の皆様や観光客など,幅広い利用者に満足していただける世界の文化都市・京都にふさわしい美術館を目指してまいります。 まず,展覧会についてでございますが,重要文化財に指定された竹内栖鳳作の「絵になる最初」をはじめとする代表的な所蔵作品を中心に,体系的に京都の美を表す常設展を開催するほか,国内はもとより世界の美術館と連携しつつ,現代アート展をはじめ新京都市美術館ならではの企画展に取り組んでまいります。その際には,青野議員御指摘のとおり常に斬新な切り口の展覧会を目指すとともに,海外からの観光客向けの情報発信や展示解説を強化するなど,様々な工夫を重ねてまいります。 また,学生の街という特性をいかし,小中高等学校や芸術系大学との連携による美術の奥深さを体感できるワークショップや展示解説,リニューアルを機に新たに設ける新館やスロープ広場などを用いた新人・若手育成事業,文化イベントの実施等により美術館を身近に感じていただける多彩な事業を展開します。 今後,平成31年度中の開館に向けて,準備段階から民間のノウハウやマンパワーも取り入れ,学芸分野をはじめ美術館の体制の充実を図りながら,市民の皆様の御期待に添える京都市美術館となるよう全力を傾注してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 暫時休憩いたします。 〔午後2時55分休憩〕 〔午後3時16分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,隠塚功議員に発言を許します。隠塚議員。 〔隠塚功議員登壇(拍手)〕 ◆(隠塚功議員) 皆さん,こんにちは。左京区から選出をいただいております隠塚功でございます。この度,民進党が新たに国民民主党として出発することになったのを受け,私たち京都市会の会派については,会派名称を民進党京都市会議員団から国民・みらい京都市会議員団と変更して再出発をすることといたしました。私たちが京都市民の皆様と向き合ってきた立場には何ら変わりはありません。引き続き皆様の思いを受け止め,将来に対してしっかりと責任ある行動を取っていきたいと思っております。これまで同様,新たな国民・みらい京都市会議員団に対しても,叱咤激励,そして御支援賜りますようよろしくお願いをいたします。 それでは,質問に入らせていただきます。 まずは,京都市の経済ビジョンについてお聞きいたします。21世紀は20世紀の大量生産,大量消費経済からクリエイティブ経済に変化しているとされています。このクリエイティブ経済について,トロント大学教授で都市経済学者のリチャード・フロリダ氏によると,「現代のクリエイティブ経済における経済成長の真の原動力とは,才能と生産性に満ちた人々の集積と集中化である。彼らが特定の地域に寄り集まって住むことで新しいアイデアが生まれ,その地域特性は増加する」とされています。このことは,才能と生産性の高い人々を集積できる自治体は新たな発想を生み出す環境となり,企業のみならず個人においても生活し働く環境としての評価が高まり,それに伴い,企業や個人が一層集まってくる好循環につながるということになります。これこそ,私は港湾や飛行場を持たない京都市が目指すべき経済ビジョンではないかと考えています。 折しも先日,京都経済同友会によって発表されたグローバル都市・京都にも,クリエイティブ経済を支える多様な人材が国内外から京都に流入し,定着するかどうかが京都経済の将来を左右すると言っても過言ではないだろうとされており,京都市の都市特性からすると大量生産型の産業ではなく,研究開発やデザイン,コンテンツ制作等のクリエイティブな産業が中心となることは間違いないとされているのです。ところで,昨年6月,福岡県に本社がある株式会社テムザックが最先端のロボット研究所を上京区の西陣に開設されました。また,本年4月にはパナソニックが家電デザインの新拠点,Panasonic Design Kyotoを中京区に開設されました。さらに来月には,LINE株式会社が社員全員エンジニアのオフィスを下京区に開設いたします。このLINE株式会社では,開設前ではありますが3回のイベントを開催されており,アプリ開発に興味がある人など延べ120人が参加するなど,専門性のある方の人脈交流を進めています。開設後には学びの機会となる施設も併設されるなど,多くのエンジニアが京都に集う機会を作ろうとされています。こうした企業の動きは,正にクリエイティブ経済型の都市と想定される企業の動きであると考えます。市長はこうしたクリエイティブ経済型都市に関し,京都市の経済ビジョンにおいてはどのように受け止めておられるでしょうか。お聞かせください。 ところで,今御紹介した3社においては開発スタッフや研究者が勤務しますが,これまでの工場や研究所とは違い,オフィスに近い施設となっています。つまり,今後クリエイティブ経済型都市を目指すとするならば,これまでの大規模工場や研究施設開設に伴う雇用増を想定した企業誘致方針のみならず,情報集約的な企業や企業のデザインやコンテンツ,情報,通信などの部門の誘致につながる方針を検討することが必要ではないかと考えます。そのため,企業規模や常時雇用者数によって固定資産税や都市計画税相当額を交付するといったこれまでの企業立地促進制度における補助金から,産業競争力強化法による創業支援事業のように,他の事業者,業界への波及効果や事業内容の拡張性など,先導プロジェクトであるかどうかを金融機関等と連携して評価をし,金融機関の融資と共に税相当額の補助制度を考えていくなど,目先の雇用に捕らわれない企業誘致支援戦略策を検討すべきと考えますが,いかがでしょうか。 また,株式会社テムザックは機織工場をそのまま研究所として活用し,最先端と伝統の融合を感じられる研究所としてスタートさせ,国内外からの研究者などから注目を集めています。パナソニックは,伝統工芸職人や京都大学の識者とも連携協力できることに魅力を感じておられ,いずれの方々とも連携の取りやすい京都市中心部での開設を選択されました。LINE株式会社も京都のグローバル性,大学の密集性を評価して中心部で開設されます。つまり,これまでの京都の蓄積が評価されていることであり,この部分をより充実させていくことが京都市への研究開発部門の移転に弾みを付けることにつながることは明らかであります。 そのために,一つには,新たな企業が京都の地場企業と交流する機会をどのように作っていくかが問われます。どうしても敷居が高いと感じられるのが京都の地場企業でもあり,積極的な交流の機会を創出することが必要です。幾つもの研究者の集えるプラットフォームを商工会議所などと連携して作成し,広く告知がされて,誰もが自由に参加できる環境を作ることが必要と考えます。 二つには,日本で不足しているとされるAI,情報,通信分野の人材を京都が供給できるための環境づくりへの対応です。特にこの分野の専門家は,これまで限られた分野での仕事でしたが,自動車産業や建設業に至るまでどの分野においても必要な人材となっており,そうした人材を大学や専門学校など,京都市内にあるあらゆる資源を総動員してでも生み出す取組が必要です。大学や専門学校が自ら考えることとするのではなく,京都市としても関連した学部,学科の定員が増えるような支援策を連携して考えていくべきと考えます。 三つには,外国人の勤務先としての受入環境の整備が必要と考えます。国内外問わず,ありがたいことに京都ブランドが認められており,訪れたい,住みたいと思っていただける方が多いのも事実です。このイメージが崩れないように受入環境,特に外国人労働者の受入環境を整えることで研究者が集い続けることのできる環境にしなくてはならないと考えます。京都市に研究開発やデザイン,コンテンツ制作等のクリエイティブな産業が一層集積しやすい環境づくりに取り組み,しっかりと内外に発信すべきと考えますが,いかがでしょうか。 次に,外国人の方々が住みやすい環境づくりについてお伺いします。外国人労働者については,先ほど申し上げたような研究職の方のみならず,京都市には他の目的で留学されている方も多くおられます。もちろん,中には卒業後は帰国して自国の発展や日本との交流に寄与したいと考えている方もおられます。しかし最近は,日本で働き生活することを考えて留学される学生も見受けられるようになってきました。その一つが介護の仕事です。先日,ある専門学校の介護福祉学科の入学式に伺いました。小規模の学校ではありますが,何と20人の入学者のうち13人がベトナム人でありました。日本語は片言ながらも,礼儀正しく,周りに気遣いができる学生たちで,日本にとっては大変ありがたい留学生だと感じました。一方で,介護の現場に勤務する人が日本人だけでは賄えないことがはっきりと実感できた瞬間でもありました。今後はその留学生が京都市内で結婚をし,生活し続ける選択をしてもらわなければ介護の現場は回らないのです。そう考えたときに,日本は,そして京都市は,本当に選択されるような住環境にあるのでしょうか。京都市国際交流会館を中心に多文化共生社会を目指す取組が進められているのは確かです。また,先日も向島にインターナショナルスクールが設立されるなど,一時的に京都で勤務することになった家庭の子供への支援体制が整いつつあることも事実です。しかし,日本に永住する外国人家庭や生まれた子供を支えていく体制は,まだまだ十分であるとは言えないと考えています。 ここで,昨年9月に京都市会海外行政視察団で訪れたヘルシンキ市の例を御紹介します。ヘルシンキ市では,フィンランドが2030年までにヨーロッパで最も高齢化が進んだ国になることから,国外からの労働力を必要とすることは明らかであり,移民問題や国外からの移住者,そういった人たちを社会や市場にどううまく融合させるかが課題であると認識しています。フィンランドも日本同様に独自の言語を持っており,外国人にとってはフィンランド語を話すことも読むことも難しい状況にあります。しかし,全ての人に平等な機会を与えるという考えに基づいて,図書館ではフィンランド語の学びの機会を作り,移民等の多い学校では,特別に財源を講じて少人数教育を実施するなど,外国人の家庭がヘルシンキ市で働き学び生活できる環境づくりに積極的に取り組んでいます。残念ながら,日本ではそこまでの取組が進められているとは思えません。しかし,フィンランドが直面している問題も,私たち日本が直面している問題も変わりはなく,京都市のように外国人からの期待も高く,また多文化共生社会を目指してきた自治体が率先して体制整備に努めることが求められていると考えています。是非,外国人の方々が住みやすい環境づくりの更なる推進に向けて検討いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 まずは,ここまでを第1質問とさせていただきます。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 隠塚功議員の御質問にお答えいたします。 クリエイティブ経済型都市についてでございます。京都は千数百年を超える悠久の歴史を誇り,豊かな自然,茶道,華道,能などの伝統文化が幾重にも重なった精神文化の拠点であり,様々な知恵や技術が生まれ,担い手が育ち,今日まで世界と交流を深めつつ,独自の発展を遂げてまいりました。さらに,その魅力に引かれ,創造的な人が集い,育ち,交流し,イノベーションを起こすことで新たな価値を創造し続けて進化を続けてきております。本市の産業戦略ビジョンにおきましても,未来の京都を見据え,産業の力を都市の課題解決や新たな魅力創造にいかすことを目的として,匠の技,芸術,大学など,京都の多様な特性をいかして都市の魅力を発信し,人を引き付け,創造的な都市を目指すこととしております。隠塚議員御指摘のクリエイティブ経済型都市の実現につきましても,正に本市の産業振興の方向性と軌を一にしたものであり,私も全く同感でございます。 例えば,この度パナソニックさんが家電のデザイン部門を京都市内に集約され,センターを開設されましたことは,創造的な都市としての京都の魅力を評価いただき,ものづくりと京都の精神文化の融合を目指されたものであります。早速,京都なら働きたいという海外の優秀なデザイナーも来られ,京都に進出してきたことの効果を実感されております。こうした流れを更に加速するため,昨年度の東京での企業誘致セミナーでは,京都進出を決定されたLINE株式会社の責任者に,京都で事業を展開することの意義について若いクリエイティブな企業の視点で講演いただきました。私もお聞きしましたけど,改めて感激いたしました。このように,先進的で高付加価値な産業を目指す京都の強みを発信してまいります。こうした中,企業立地助成につきましては,市内中心部のオフィス等に拠点を置く企業等にも助成の対象としてきております。今後とも,企業ニーズや時代に即応したより良い制度になるよう,検討を重ねてまいります。 あわせまして,京都に進出する企業と伝統産業から先端産業まで幅広い市内企業や大学,専門学校,文化団体等との連携,さらには京都に魅力を感じておられる多様な人々との交流を深めることで,新たなサービスや創造的な商品の開発を加速する好循環を生み出してまいります。そのためには,海外から創造的な人々を受け入れる環境の整備も必要であります。その一つといたしまして,先月,まちづくり・お宝バンクでの御提案を基にいたしまして,向島地域にインドのインターナショナルスクールを開校したところであります。フランス学院につきましても,昨年度,京都駅の近くに移転し,生徒数が増加いたしております。 今後とも,文化や芸術分野との連携,大学との連携など,本市ならではの強みを十分にいかすと同時に,新しい産業を受け入れるための必要なスペースや産業用地の確保などにも強力に取り組み,多様な人々や企業が集まり,新しい価値を創造し続ける,このようなまちづくりを目指してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 外国人の方々が住みやすい環境づくりについてでございます。本市の外国人人口でございますが,この10年の間で特別永住者が大きく減少する一方,留学生が1万人を超え,また技術者,研究者等が2,000人を超え,それぞれ倍以上の増加となっておりますほか,永住者の数も大きく増えております。こうした方々に京都に住み続け活躍していただくためには,言語や住宅などの課題のほか,子供の教育への対応なども一層重要になってきております。本市では,従来から外国人向けに生活情報の発信や相談,日本語学習支援などに取り組んでおるところでございますけれども,市立学校での日本語指導や母語による学習支援,さらには優しい日本語による情報提供など,取組の更なる深化を図ってまいります。また,大学や専修学校,日本語学校などとも連携を図りつつ,留学生に対する住宅情報の提供や市内企業への就職マッチングの充実などの総合的支援によりまして,未来の担い手となる優秀な若い外国人を集めてまいります。京都に来られた外国人の皆様が地域社会に参加し,社会,経済の活力として活躍をしていただける,多文化が息づく創造的なまち・京都の実現を目指してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 隠塚議員。 〔隠塚功議員登壇〕 ◆(隠塚功議員) ただ今御答弁をいただきました。是非,京都市がクリエイティブ経済型都市であると広く認識されるよう取組を進めていただきたいと思います。 次に,山科区にあります京都大学大学院理学研究科附属天文台,通称花山天文台についてお聞きします。この天文台は日本で2番目,昭和4年,1929年に設立されており,来年,設立90年を迎えることになります。今,私たちが使っているこの本会議場の完成は昭和2年であり,ほぼ同時期に建設された貴重な施設でもあると共に,2013年には京都市より,京都の財産として残したいと思う京都の歴史や文化を象徴する建物や庭園として,京都を彩る建物や庭園に選定され,2014年には認定を受けています。残念ながら都会化された現在の地においては,宇宙に関する最先端研究を行うことが難しく,今では,研究拠点は飛騨や岡山に移されています。しかし,昼間に観測できる太陽観測は現在も行われており,現役研究施設としての役割も担いつつ,学校教育施設としての役割も担っています。先日,京都新聞にも掲載されましたが,花山天文台に見学に訪れた子供たちの協力によって太陽の黒点の位置をグラフ化した結果,黒点の数が11年周期で増減を繰り返し,黒点の位置が高緯度から低緯度へ移るとされているバタフライダイヤグラムを完成させることができました。その特徴がスケッチでもしっかりと得ることができたことから,3月28日に開催された世界天文コミュニケーション会議でこうした事実が報告されています。 このように,実物の太陽をはじめとして火星などの観察ができるこの天文台は,京都市にとっても貴重な学習施設であることは間違いありません。この度,青少年科学センターのプラネタリウムがリニューアルされることになっています。実際の天候にかかわらず宇宙や地球を学べる機会でもあり,宇宙に関心を抱くきっかけとなるプラネタリウムは広く市民のためになることから,リニューアルを評価しています。一方で,花山天文台については,実際の太陽や火星を観察でき,知識のみならず探求心を深めるための貴重な施設であるにもかかわらず,最先端研究施設でなくなったことから財政的に施設の維持が大変難しくなってきています。京都大学によれば,この施設については譲渡すら検討できる状況にあるとされています。京都市も同様に財政的に厳しい状況にあることから,施設をそのまま譲り受けて運営管理することは難しいと思います。しかし,京都市として維持,継承を図っていくという趣旨の下,京都を彩る建物や庭園として認定し,また教育委員会においても子供たちが天文台を訪問し学習する取組を天文台と連携して進めてきた経緯からも,この天文台を存続させ,文化,観光,教育等といった多面的施設としての活用に協力することは重要な視点ではないかと考えます。 国際的な本初子午線として使用されてきたグリニッジ子午線のあるグリニッジ天文台は今は閉鎖されて,グリニッジ王立天文台として観測機能を持たない史跡として維持されています。この花山天文台も新たな機能を兼ね備えた施設に転換を図るべく,バタフライダイヤグラム作成への参画や観望会などへの協力を行いつつ,維持そして更なる活用に民間活力を借りながらも京都市が大きく貢献することはできないでしょうか。花山天文台で行われた第42回京の夏の旅のオープニングセレモニーには門川市長と寺田議長も出席されたこともお聞きをしております。京都市としての施設に対する認識と考え方について,前向きな御答弁をいただきますよう,よろしくお願いいたします。 次に,生活困窮などの学習環境や学習面で高校進学に課題を抱え,モデルケースがないために学習習慣がない中学生等への学習支援事業についてお聞きいたします。京都市では2010年から実施をいたしており,2017年11月からは17箇所で学習会が開催されています。受託者は京都市ユースサービス協会であり,大学生ボランティアを中心に地域の社会福祉協議会などが協力して取り組んでいただいています。この間,着実に実施会場を増やし,参加者が増えていることは市の取組事業として評価できますし,お支えいただいている皆さんに感謝するところであります。しかし一方で,経済的困窮世帯を考えたときに,対象者が今のままでいいのか,また今のままで運営が継続できるのかといった点で,課題があるように感じます。 2016年の総務省家計調査によりますと,世帯収入が300万円未満の世帯が33パーセント,400万円未満では47パーセントにも上るとのことです。現に,京都市立中学校に通う中学3年生で就学援助を受けている子供は2,363人いて,全体の24.3パーセントとなっています。そのうち生活保護法により援助を受けている子供は438人で,4.5パーセントにしかすぎません。日本の国民性から,あえて生活保護を受けずに必死に努力をされている家庭が多くあることがこの数字でもうかがえます。そうした家庭を本当に支え切れているのでしょうか。せめて就学援助の対象となっている家庭にはこの制度を告知して,あらゆる家庭で育つ子供たちに勉強する機会を提供すべきではないでしょうか。しかしながら,今の学習支援事業は,実施の担い手である大学生ボランティアなくしては事業運営が成り立たないシステムとなっています。単に勉強を教えるだけでなく,マンツーマンにより中学生たちと関わることで子供の孤立化を防ぐとともに,子供自身が将来の目標を立てることのできる絶好の機会となっています。しかし裏返せば,安定的にボランティアを確保する方策を見出さない限りは,限られた範囲での子供たちにしか手が差し伸べられないとも言えるのではないでしょうか。とりわけ,今の社会的貧困の改善が見込めない状況で,現在規模のままの制度を維持することは貧困の連鎖を定着させていくことにつながると考えます。財政的な課題はあろうとも,ここは抜本的に制度の見直しを考え,少なくとも就学援助を受けている子供にも学習支援を受ける機会を提供できる制度にすべきと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,昨年2月の代表質疑で要望させていただきました京都市が所有している急傾斜地が引き起こしかねない土砂災害危険箇所解消への対策についてお聞きいたします。京都市が所有している急傾斜地約1,400筆428箇所が,民間住宅約300棟に被害を起こしかねない状況にあることが判明しています。また,学校施設に影響する可能性がある場所も含まれています。しかし,この1年間で減災に向けた協議や取組が進んでいるとは認識していません。京都市の所有地が土砂災害を引き起こして人命に影響を与えることは許されません。橋りょうの耐震化を急いだのと同様に,京都市所有地による土砂災害危険箇所解消への取組を促進させるべきと考えますが,現状と方針についてお聞かせください。 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,隠塚功議員の御質問にお答えいたします。 学習支援事業についてでございます。社会全体で子供を支える本市ならではのはぐくみ文化により,貧困をはじめ,様々な課題を抱える家庭の子供たちの育ちと学びをしっかりと支援していく,このような思いの下,本市では志の高い学生ボランティアの方々をはじめとする人の御協力によりまして,他者との良好な関係の中で安心して過ごせる居場所として,家庭環境等で課題を抱える子供たちへの学習会を開催し,1対1の対話を通じ,自己肯定感や学習意欲を高める取組を進めてまいりました。参加した子供からは,ボランティアの学生さんのような大人になりたい,勉強して高校に行きたいなどの声があるほか,学習面においても一人一人が努力され,参加者の約98パーセントが高校進学を果たすなど着実に成果を挙げております。隠塚議員御指摘のとおり,更なる対象拡大につきましては,本事業の目的を踏まえましてどのような子供や家庭に声を掛けていくべきなのか,学校現場ともしっかりと協議を重ね,検討を深めてまいります。また,この取組を継続的に実施するためにはボランティアの方々の確保と活躍が不可欠であるため,パンフレットの配布等を大学に協力をお願いするなど,積極的な周知を進めているところであります。今後とも,全ての子供たちが自らの将来について夢や希望を見出して,たくましく未来を切り開いていけるよう,一層の施策の推進を図ってまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 京都大学の花山天文台についてでございます。花山天文台は,設立以来,天文学の世界的な拠点として多くの研究者を輩出されるとともに,市民向けの観望会の積極的な開催など,アマチュア天文学の聖地として多くの市民に親しまれ,また建築史的にも貴重なものとして,平成26年度には京都を彩る建物や庭園制度におきまして,特に価値の高いものとして本市も認定をしております。隠塚議員御紹介のとおり,観測や研究の新たな拠点である岡山天文台の開設に伴いまして,既存の施設である花山天文台の存続が危惧されましたが,多くの関係者や市民の皆様からの御要望の下,尾池和夫元京都大学総長を代表とする将来を考える会の発足,さらには募金活動や野外コンサートの開催など,存続に向けた懸命の取組が進められました結果,今後も引き続き施設維持費等が京都大学から支出される予定であると伺っており,京都市にとりましても喜ばしいことと受け止めております。 本市におきましても,年間700名を超える子供たちが参加する体験学習のほか,昨年には京の夏の旅キャンペーンでの特別公開を行い,この夏におきましても,子供さんや一般の方々向けの天体観望会を企画するなど,花山天文台の持つ文化,観光,教育など,多面的な魅力を広く伝える取組を推進してきたところでございます。今後とも,市民の皆様はもとより,全国の方々に支援の輪が一層広がるよう,その魅力を発信するなど,応援をしてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 吉田危機管理監。 〔吉田危機管理監登壇〕 ◎危機管理監(吉田不二男) 本市所有地に係る土砂災害危険箇所対策についてでございます。本市では,京都府と連携した取組を進めた結果,平成29年3月末をもちまして,市内2,543箇所の土砂災害警戒区域等の指定が完了し,本年1月までに全ての対象地域において,土砂災害ハザードマップの全戸配布を行うとともに,水害や土砂災害に係る避難訓練を実施するなど,警戒避難体制の整備を進めております。また,各区におきましては,消防,警察,土木事務所など,防災関係機関との連携により,毎年,災害危険箇所の調査や防災パトロールを実施し,著しく崩壊のおそれのある急傾斜地等については,府や本市関係部署と連携し,対策工事を進めているところでございます。 隠塚議員御指摘の本市所有地の対策につきましては,実際の危険度や住民の皆様の生活への影響度等の把握が必要であり,関係各局とも協議のうえ,その調査範囲や実施手法等の検討を進めてまいります。あわせて,本年3月に策定しました京都市国土強靱化地域計画にも掲げる土砂災害対策について,引き続き京都府とも連携し,その取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) これをもって一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後3時52分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    寺田一博          副議長   湯浅光彦          署名議員  山本陽子          同     西山信昌 △(イメージ)陳情文書表「受理番号129及び130」「美術館代替施設の利用改善」・陳情文書表「受理番号131」「児童福祉センター等3施設一体化整備の再検討」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号132」「京都こども文化会館の存続と機能充実」...