京都市議会 > 2017-09-29 >
09月29日-04号

  • 起草(/)
ツイート シェア
  1. 京都市議会 2017-09-29
    09月29日-04号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成29年  9月 定例会       平成29年       定例会     京都市会会議録 第4号       9月市会          平成29年9月29日(金曜日)出席議員(67名)   1番 森 かれん議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 やまずまい子議員   5番 大西ケンジ議員   6番 豊田貴志議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  11番 江村理紗議員  12番 大津裕太議員  13番 宇佐美けんいち議員  14番 森川 央議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  19番 平山たかお議員  20番 津田大三議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  25番 村山祥栄議員  28番 山本ひろふみ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  43番 天方浩之議員  44番 中野洋一議員  45番 隠塚 功議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 津田大三議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  69番 小林正明議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成29年9月29日(金)午前10時   一般質問 (1)市政一般について  曽我 修議員 (2)市政一般について  平山よしかず議員 (3)市政一般について  ひおき文章議員 (4)市政一般について  安井つとむ議員 (5)市政一般について  山本ひろふみ議員 (6)市政一般について  宇佐美けんいち議員 (7)市政一般について  森川 央議員 (8)市政一般について  こうち大輔議員 (9)市政一般について  大津裕太議員 (10)市政一般について  森 かれん議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。加藤昌洋議員ほり信子議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) この場合,議長から御報告申し上げます。今回受理いたしました請願1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 昨日に引き続き,これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,曽我修議員。 〔曽我修議員登壇(拍手)〕 ◆(曽我修議員) 皆さん,おはようございます。伏見区選出の曽我修でございます。公明党京都市会議員団を代表し,同僚の平山よしかず議員,ひおき文章議員と共に市政一般について質問いたします。市長をはじめ理事者の皆様には,何とぞ誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 さて,昨日,衆議院が解散され,10月10日公示,10月22日投開票が決定いたしました。今回の選挙,国民の皆様に信を問うポイントの一つとして,消費税率10パーセントへの引上げによる増収分の使い道を見直し,教育無償化などに充てる方針が示されております。若い世代への負担軽減につながる重要な政策であります。今再び国民の皆様の信任を得て,こうした政策を強力に実行していく,まさにそのときを迎えました。 衆院選は政権選択の選挙です。安定の自公政権を選ぶのか,それとも離合集散を繰り返し安保政策などがばらばらで市民にとって誠に分かりにくい勢力に,この日本の未来を託すのかが問われる極めて重要な選挙戦でございます。公明党は,今回の衆院選に当たり三つの政策,実績を掲げて訴えてまいります。 〔寺田議長退席,久保副議長着席〕 ◆(曽我修議員) (続)1点目は,消費税率10パーセントへの引上げと同時に軽減税率を実施し,家計を守ってまいります。2点目は,国づくりの基本は人づくりであり,人への投資が未来を開くという考えの下,幼児教育の無償化,私立高校の授業料実質無償化など教育費負担の軽減を図ってまいります。3点目は,低年金者への加算,介護保険料の軽減対象の拡大を前倒しし,高齢者支援の充実を図ってまいります。今回の選挙戦は超短期決戦となりますが,京都市民の皆様の生活に直結するこれまでの実績,そしてこれからの政策をしっかりと訴え,全力で戦ってまいります。何とぞ御支援の程よろしくお願い申し上げます。 それでは,平成28年度決算について要望させていただきます。28年度一般会計決算は,円高の影響や消費の伸び悩みなどによる全国的な税収の落ち込みや地方交付税の減少により,当初予算に比べ一般財源収入が140億円以上減少するなど21年度決算赤字以来の厳しい状況となりました。このように,大変厳しい状況の中にあっても,市民生活の安心安全を守り抜き,京都の未来を切り開いていくため,公債償還基金,財政調整基金を取り崩すことにより財源を捻出して施策の推進をされました。このことは,やむを得ないものと一定評価し理解をいたします。しかし,今後,高齢者の増加や子育て支援の充実などにより,社会福祉関連経費が増加するのは間違いなく,防災,減災の取組など公共施設のインフラ整備も多額の費用が掛かります。市民の皆様の安心安全な生活をしっかりと支え,将来にわたり必要な施策,事業を実施することができるよう,持続可能かつ機動的で特別の財源対策に依存しない足腰の強い財政の構築をお願いいたします。 この度の文化庁の京都への全面移転を契機とし,文化を基軸とした産業振興をより一層推進していただき,「京プラン」実施計画第2ステージに掲げる成長戦略,財政構造改革の施策を確実に前進させるために,市長はじめ職員の皆様に一層強力に取り組まれることを強く要望させていただきます。 それでは,質問に入らせていただきます。1点目に,自動運転技術についてであります。近年の自動運転技術の発展は目覚ましく,自動ブレーキや先行車両に自動で追随走行できる機能など着実な進展がなされております。しかし,現在,我が国でおおむね実用化の段階に到達している自動運転技術は,レベル1から5の国際標準のうち,運転支援の範疇にとどまるレベル2です。システムが運転主体となるレベル3以上の実現は,2020年以降になると言われており,自動運転技術の完成には,いまだ期間を要するものと考えられております。 京都市では,3年前に京都未来交通イノベーション研究機構を設立し,自動運転に関する研究にも支援をしていただいているところであります。私自身も研究機構の会議を傍聴して勉強させていただいておりますが,自動運転も多岐にわたる基礎研究と技術開発のうえに試行錯誤と実証実験を積み重ね,ようやく実用に耐える技術になるものと感じております。自動運転は,人と物の移動に関する革新的な技術であり,人々の暮らしを一変させるものになりますが,京都での実用化を検討するに当たっては,生活交通と観光交通の混在によって生じる京都特有の課題の解消に取り組んでいくとともに,今,一気に完全自動運転が実現するわけではないので,技術が進歩する過程で実際に装備できる技術をどのように活用していくのかが重要であると考えております。 また,単に技術的な問題だけではなく,自動運転が実用化された社会をどのように受け入れていくのか,市民ぐるみで検討や準備が必要になってくると思います。今後,自動運転の活用の在り方について議論を進めるに当たり,京都市においては,既に本年3月に学識経験者や関係機関などと意見交換する場を設けるなど検討準備に着手されておりますが,その後の検討状況と併せて,今後,交通に関する通信や人工知能AIなどの周辺技術と共に自動運転技術をどのように活用していこうとされているのか,また,自動運転社会の受入れに向けてどのように準備を進められるのかお答えください。 2点目は,成年後見制度利用促進基本計画に基づく地域連携ネットワークについてお尋ねいたします。皆様御承知のとおり,成年後見制度とは,認知症などにより判断能力が不十分な人のために,家庭裁判所が成年後見人などを選任して,その人の財産などの権利を擁護する仕組みであります。認知症高齢者は,平成37年には,全国で700万人を超えると言われており,成年後見制度の利用の必要性は今後一層高まっていくものと考えられます。こうした状況を踏まえ,国会において平成28年4月,我が公明党をはじめとする議員立法により成年後見制度の利用の促進に関する法律が成立いたしました。そして,この法律に基づき翌年3月,政府において成年後見制度利用促進基本計画が策定されたところであります。 基本計画では,1,利用者がメリットを実感できる制度の運用,2,権利擁護支援地域連携ネットワークづくり,3,不正防止の徹底と利用しやすさの調和の三つのポイントが示され,特に,市町村の講ずべき措置として,成年後見制度利用促進基本計画に基づき,市町村における利用促進に関する施策についての基本的な計画を定めること,そして利用促進に関し,基本的な事項を調査審議させるための合議制の機関を置くことなどが努力義務として規定されております。京都市においては,平成24年に京都市成年後見支援センターを設置され,成年後見制度に関する相談から利用までの一貫した支援体制を構築し,制度の普及啓発や市民後見人の養成などにも取り組まれているところであります。 これまでの実績を数字的に見てみますと,親族がおられない認知症高齢者などのために,市長が成年後見の審判申立てを行う件数は,平成24年度以降,毎年100件以上,そして生活保護受給者等,経済的困窮者のために,成年後見人等の報酬を助成する件数は平成28年度で451件と,助成対象を市長申立て以外の方にも拡充した平成24年度の約10倍となっております。今後,高齢化の進展に伴い,認知症高齢者がますます増加していくことを踏まえると,京都市においても,これまでの取組実績をいかしつつ,成年後見制度の利用促進を更に図っていくため,早急にこの法律に基づく利用促進計画の策定が必要であると考えますがいかがでしょうか。 また,成年後見制度の利用促進のためには,弁護士会,司法書士会,社会福祉士会成年後見リーガルサポートなど,とりわけ制度に関わりの深い専門職団体の知見を十分に活用することが重要であると考えますがいかがでしょうか,併せてお答えください。 3点目は,教職員の働き方改革についてお伺いいたします。文部科学省が平成30年度予算の概算要求において,教職員の多忙化解消と次期学習指導要領の円滑な実施に向け,公立小中学校の教職員3,800人増を盛り込むことを決定したことが報道されました。現在,政府の下で,国を挙げた働き方改革の取組が進められておりますが,学校現場における多忙化の解消と,教員が子供たちとしっかりと向き合うことのできる時間を確保するための施策の推進が喫緊の課題となっております。 我が公明党におきましても,教員の心身の健康維持,子供一人一人に合った質の高い教育の持続に向けて教員の働き方改革は急務であるとの認識の下,国レベルで公立小中学校教員の働き方改革に向けたプロジェクトチームを立ち上げ,教職員定数の抜本的な拡充や教職員の業務改善に向けた事務作業補助アシスタントの配置,充実,ICT環境の推進などを提言してきたところであります。こうした我が党のプロジェクトチームからの提言を踏まえ,文部科学省の30年度概算要求においては,校長,教頭など管理職の業務を受け持つ事務職員の増員や,小学校で英語の教科化などによる教員の負担増にしっかりと対応するため,専科教員の増員などが盛り込まれております。 さらに,中央教育審議会から,教員の勤務時間管理にタイムカードを導入することが緊急提言されました。京都市が把握している教職員の時間外勤務の状況と文科省が平成28年度に行った調査において大きな開きがある中で,しっかりと勤務時間を把握することが必要であると思います。 このような予算要求や緊急提言の具体化は,今後の国会審議を注視する必要がありますが,本市としても国の予算や施策も最大限に活用しながら,取組を前進していただきたいと思います。また,私は,働き方改革の観点から教員の多様な働き方を実現するために,学校に出勤しなくても自宅の個人パソコンから利用できる校務支援システムを利用したテレワークを拡充推進すべきと考えます。 そこでお尋ねいたします。本市においても,教職員の時間外勤務縮減に向けた取組について検討を行う会議を,学校現場と共に新たに設置されたとのことでありますが,教職員が健康で働きやすく,やりがいを持って子供たちと向き合える職場づくりに向けた取組をどのように進められようとしているのかお答えください。 4点目は,新・住宅セーフティネット制度についてお伺いいたします。本年4月26日に住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律,いわゆる住宅セーフティネット法が改正され,新たな住宅セーフティネット制度が10月25日からスタートします。今回の法改正は,更なる高齢者の増加,出生率の低下に伴う少子化の進行などを背景として,また全国で820万戸に上ると言われる民間空き家の活用も念頭に置き実施されたものであります。特に低所得者などへの生活支援につなげるためには,安定的かつ必要な住戸を供給する法制度化を見据えた取組が必要として,本年1月の参議院予算委員会において,我が公明党の山本香苗議員が居住支援政策の推進について質疑を行い,実現させたものであります。 今回の法改正の背景とする課題は,京都市においても全く同様であります。新たな住宅セーフティネット制度は,空き家などを高齢者や子育て世帯など住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録するとともに,入居する際には,空き家の家主に対しては改修費補助,入居者に対しては家賃補助や債務保証料に対する補助が受けられ,負担を軽減することが主な内容となっております。また,円滑な入居を促す支援策として,自治体や不動産関係団体で構成する居住支援協議会の機能の拡充も図られております。 京都市では,平成28年3月に中間見直しを行った住宅マスタープランに基づき,昨年,子育て世帯への住宅支援策として市営住宅において,子育て世帯向けリノベーション住宅の供給をスタートしていただき,大変好評と伺っております。一方で,民間住宅においては,居住支援協議会を設立し,高齢者の住まいに関する様々な支援策を講じられており,国においても度々先進的な事例として取り上げられております。 今年6月,東京で開催されましたセミナーには,我が会派の吉田孝雄議員も参加し,国交省の新たな住宅セーフティネット検討小委員会の委員長代理の中川雅之日本大学教授の事例紹介の中で,京都市が紹介されていたということを聞いております。これら,京都市がこれまでに取り組んでこられた施策を更に発展,拡充させるために,今回の新たな制度をしっかりと活用され,全ての市民が安心して暮らすことができる住まいの確保に向け取り組んでいただきたいと考えております。 そこで,お尋ねいたします。本市では,この度の住宅セーフティネット法改正後の新たな制度について,どのように活用し,更なる支援策につなげていこうとされているのか,現時点での取組方針についてお答えください。 最後に,救急車の適正利用につながる救急相談センター#7119の整備についてお伺いいたします。総務省消防庁によれば,平成28年度中の日本全体の救急車の出動件数は621万件を超え,過去最多を記録し,この10年間でも約18.6パーセントも増加しております。また,本市の救急出動件数も,平成28年は8万4,638件となり,7年連続過去最多を更新するなど救急件数は増え続ける一方となっております。内閣府が今月9日に発表した救急に関する世論調査で,急な病気やけがの際に救急車を呼んだ経験があると答えた44.9パーセントの人に,理由を複数回答で尋ねたところ,自力で動ける状況ではなかったの52.2パーセントが最高。一方で,症状が重いか軽いかが分からなかったが19.4パーセント,夜間・休日で病院の診察時間外だったが15.2パーセントと,緊急性が不明な回答も多かったと発表されておりました。 このように,救急件数の増加傾向を踏まえ,国においては救急車の利用適正化を図る観点から,救急車を呼んだらよいのか,どこの病院に行ったらよいのかなど,119番の代わりの相談窓口として,#7119番の救急安心センター事業の全国展開を推進しております。この事業は現在,東京都,大阪府をはじめ4都道府県など7地域でスタートしており,今年度末には,全国で3人に一人以上がこのサービスを享受できる環境となり,実際に利用した方の満足度も大変高い状況にあると伺っております。 私たち公明党京都市会議員団も,かねてからこのような相談窓口の設置が救急需要の抑制も含めた救急車の適正利用につながり,市民の安心安全にとって極めて有効と考えてまいりました。このため,平成27年10月,我が会派の青野仁志議員国本友利議員により,救急安心センター事業の開始について質問し,平成29年度予算要望でも,早期の事業開始が行えるよう要望してまいりました。また,今後一層進展する高齢化や在宅医療を受けられる方の増加,また独り暮らしの方の増加など,体調面の気軽な相談窓口の開設が新たな社会のセーフティネットの役割を果たすと考えており,#7119救急相談センター事業の一刻も早い開設が,市民の大きな安心安全のためにも必要不可欠であると確信いたしております。 #7119救急相談センター事業開設に対する,本市への導入効果,そして有効性についての認識,さらに,今後の取組に当たっての課題と方向性など検討状況についてお答えください。 以上をもって,質問とさせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 曽我修議員の御質問にお答えいたします。 まず,成年後見制度についてでございます。認知症高齢者の増加等に伴い判断能力が不十分であっても,人としての尊厳が損なわれることなく,その人らしく暮らし続けていくことを支援する成年後見制度の役割は,今後ますます重要になってまいります。本市では,制度の発足を受け,直ちに弁護士会,司法書士会,行政書士会,社会福祉士会をはじめとする24もの関係団体と本市職員等で構成する京都市高齢者・障害者権利擁護ネットワーク連絡会議を設置し,それぞれの団体が行っている権利擁護の取組を共有するなど総合的に推進する体制を構築し取組を進めているところであります。 さらに,平成24年度には制度を必要とする方が円滑に利用できるよう,相談や利用支援のほか,市民後見人の養成などを行う京都市成年後見支援センターを設置いたしました。この間,身寄りがない方などに対しまして,親族に代わり,京都市が自ら市長申立てを行う取組や,生活保護受給世帯等に対して申立費用や後見人報酬の助成などの支援に取り組んでおり,その結果,多くの方々に制度を利用していただくことにつながっております。 今後これらの取組を更に充実発展させるためにも,曽我議員御指摘の成年後見制度利用促進のための計画の策定が必要と考えております。新たな計画につきましては,京都市高齢者・障害者権利擁護ネットワーク連絡会議に御参画いただいております団体をはじめ,幅広い関係団体等の知見や御意見を十分にいかして作成し,計画に基づく取組を着実に実行することで,成年後見制度の利用促進に一層努めてまいります。今後とも幅広い関係団体との緊密な連携を進めまして,一人一人の尊厳が保たれ自分らしく生き続けられる社会の実現に向けて取り組んでまいります。 次に,住宅セーフティネット制度についてでございます。曽我議員御指摘のとおり,京都市では高齢者や低所得者など住宅確保に配慮が必要な方への賃貸住宅の供給を促進する観点から,これまでも住宅にお困りの方々の居住の確保のために,市営住宅において年間700戸を超える入居募集を行うとともに,住宅部門と福祉部門を緊密に融合させた住宅政策を展開するため,全国に先駆けまして,民間賃貸住宅約4,800戸を,高齢者が安心して入居することのできるすこやか賃貸住宅として登録提供するとともに,低廉な家賃の住まいと見守りサービスを一体的に提供する高齢者すまい・生活支援事業を実施してまいりました。 この度,国においても,本市のこれまでの取組も参考にしていただき,制度改正が行われたところでございます。このことを受け,本市では,すこやか賃貸住宅に御協力いただいている不動産事業者に対して,新たな制度への物件の登録や入居の対象を子育て世帯,障害者などにも拡充するよう働き掛けるとともに対象となる市民の皆様に,これらの情報をしっかりと発信してまいります。 さらに,本年11月から京都市住宅審議会を開催し,政策ニーズや既存の公営住宅との役割分担等の観点を踏まえつつ,賃貸住宅における公民の連携や改修費,家賃補助等の在り方,さらに大学生や外国人留学生など多様な人々が住み集う京都の都市特性を十分に踏まえた施策対象の範囲等について,御審議いただくこととしております。そのうえで,公民の賃貸住宅の供給量や地域バランスなどの新たな目標を定めた計画を策定し,本市の住宅政策の更なる深化,充実につなげてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(久保勝信) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは,2点お答え申し上げます。 まず,自動運転技術の活用に関する方針についてでございます。この技術でございますが,いまだ発展途上の段階にございまして,完全な自動運転の実現には,なお相当の年月を要すると考えられますが,現在の社会基盤,あるいは交通の在り方を大きく変え得る技術でございまして,都市行政を担う本市の立場からも,その進展に応じ実現可能なものを積極的に採り込んでいくことが重要であろうと考えております。曽我議員から御指摘ございました市民の生活交通と観光客の移動の錯綜によります人と車の混雑といった京都特有の課題の解消に関しましては,本市では,平成26年度に京都未来交通イノベーション研究機構をいち早く立ち上げまして,こうした課題の解消につながる基礎的な研究などに対する助成を行ってまいったところです。さらに,今年度はこの研究機構の下に新たに設置した検討会議などにおきまして,自動運転技術や人工知能などの周辺技術の活用について本格的な検討を進めますとともに,市民ぐるみで自動運転の実用化に向けた機運を高めていくよう,年度内にイベントやシンポジウムを開催してまいります。その際には,1200年を超える歴史,文化,そして最先端のものづくり産業を誇る京都の魅力もPRしつつ,市内におきまして自動運転技術の実験や活用を図る企業を募りまして,連携を進めてまいります。本市といたしましては,今後人と公共交通優先の歩くまち・京都の理念の下に,市民生活の利便の向上を図りますとともに,交通に関する意識の変革を促していく新たな公共交通の一つといたしまして,京都のまちと暮らしにふさわしい自動運転の活用を検討してまいります。 次に,#7119救急相談センター事業でございます。この#7119でございますが,急な病気やけがをしたときに,救急車を呼んだ方がよいのか,今すぐ病院に行った方がよいのかなど迷った際の相談窓口として,専門家から電話でアドバイスを受けることができる市民へのサービスでございます。本市では,先行自治体への調査を進めておりますが,導入の際の利点といたしまして,救急医療機関での相談,あるいは時間外診療抑制などの病院受診の適正化,それから救急搬送者に占める軽症者割合の低減など救急車利用の適正化,専門的なアドバイスを得ることによる住民の不安解消などがあるものと認識しております。一方で,このサービスを行うには,費用対効果が得やすい京都府全体で事業検討を行う体制づくり,あるいは子供に特化いたしました類似の相談サービス事業でございます小児救急電話相談事業#8000というものがございますが,こうしたものとの役割の整理など持続可能な制度構築のための様々な課題を解決する必要があるものと考えております。本事業が,市民への安全を支える新たなサービスとなるよう府内の消防本部等関係者と共に検討を開始しておりまして,引き続き全力を挙げて進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(久保勝信) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 教職員の働き方改革についてでございます。曽我修議員御指摘のとおり,教職員が健康で働きやすく,やりがいを持って子供たちと向き合える職場づくりは極めて重要な課題であります。このため本市では,会議の精選や定時退校日の設定,休暇取得促進に向けた夏季休業期間中の1週間の学校閉鎖日の導入などと共に学校現場と共に事務効率化プロジェクトを立ち上げ校務を効率的に処理するコンピューターシステムの導入による事務のIT化,また,教材や研修映像等を学校や自宅からも利用可能にする総合教材ポータルサイトの開設などに取り組んできております。本年6月には,事務効率化プロジェクトに時間外勤務縮減部会を設置いたしまして,抽出した4校で実施いたしました勤務実態調査からは,文部科学省の全国調査とほぼ同様に,時間外勤務が月80時間を超える教員が小学校で約3割,中学校で約6割と極めて多忙な状況が見られてきております。今後とも,こうした学校現場の実態を踏まえ,曽我議員御提案の勤務時間をより客観的に把握するためのシステムの導入や,自宅から校務を処理するコンピューターシステムが利用できるリモートアクセス機能の来年度からの導入など事務のより一層のICT化や,今年度から4校で試行的に導入しております教員の事務負担を軽減する教務主任補佐の配置校の拡大,また,単独での指導や引率が可能な部活動指導員制度の導入などにつきましても,来年度からの導入に向けて検討するとともに,国に対しまして,こうした取組への財政措置を要望してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(久保勝信) 次に,市政一般について,平山よしかず議員に発言を許します。平山議員。 〔平山よしかず議員登壇(拍手)〕 ◆(平山よしかず議員) 西京区選出の平山よしかずです。曽我修議員に続き,この後のひおき文章議員と共に,公明党京都市会議員団を代表し市政一般に関し質問します。市長並びに関係理事者におかれては,前向きで誠意ある御答弁をお願いします。 最初に,市民協働のごみ減量の取組に関して質問します。去る7月に,市会へ家庭ごみ有料指定袋の値下げを求める請願が提出され,文化環境委員会で審議した結果,請願は不採択となりました。本市は,審議会の答申を受けて平成18年10月に家庭ごみの有料指定袋制を導入しました。当初は,有料化によるごみ減量は期待できないとか,市民がいつか有料化に慣れてしまいリバウンドでごみ量が増えるなど否定的な主張が一部から出されましたが,制度実施前後の1年間で家庭ごみは約16パーセント,缶・びん・ペットボトルにおいても約23パーセントが減量できたなど,市民の皆様の高い環境意識に支えられて有料指定袋制導入によるごみ減量が進み,10年を経た現在では約29パーセントのごみ減量となるなど,家庭ごみ有料指定袋制は着実に効果を上げています。 このような市民及び事業者の皆様の御理解と御協力により進めてきたごみ減量によって,本市の受入れごみ量は,ピーク時の平成12年度に82万トンであったものを,直近の平成28年度には42万トンまで削減することができました。その結果,5工場あったクリーンセンターを3工場に縮小するなど年間ごみ処理コストを154億円も削減することができました。さらに本市唯一の最終処分場である東部山間埋立処分地の寿命を延ばすことも可能となりました。そして私たちの次の世代を見据え,平成32年度に39万トンまでごみ受入量を減量するという本市が掲げる目標達成へ,まさに今,正念場を迎えています。 本市の有料指定袋は,家庭ごみの減量促進と費用負担の公平化を図るため,ごみ処理の手数料として燃やすごみは1リットル当たり1円と設定されています。これはいわゆる商品価格とは考え方が異なります。また,ごみ減量によって年間154億円もの貴重な税金を福祉など他の分野に活用できていることも厳然たる事実です。冒頭申し上げた請願においては,それらの視点がないままに値下げを求める主張がなされており,残念ながら的を射ていないと言わざるを得ません。一方,私が地域でお聞きする中では,お一人お一人の家庭ごみ減量の御努力によって,各御家庭で購入,使用するごみ袋は,かつては45リットル袋や30リットル袋が中心であったものが,今では20リットル袋が中心となり,ごみ袋購入費用も軽減できています。 家庭ごみ有料袋制導入から10年が経過しました。平成32年度のごみ量を39万トンにするという高い目標に向かって新・京都市ごみ半減プランに基づいたごみ減量を進めている現在,まずは着実にこの目標達成に向けて取組を推進していただきたい。そのうえで,手数料としての有料指定袋の価格や種別の在り方については,現在のごみ半減プランの改定時期に合わせて審議会等において議論を重ね,幅広く意見を聴きながら検討すべきと考えますがいかがですか。 本市のごみ減量には,有料指定袋制のほかにも各種のごみ減量施策が必要なことは言うまでもありません。本市の家庭から出る燃やすごみ19万トンの約4割が生ごみ,約3割が紙ごみですから,約6万トンにも上る紙ごみ量を大きく減らすことは重要です。京都では,昔から新聞紙や雑誌,ダンボールなどのいわゆる古紙は,古紙回収業者による回収が生活の中に根付いています。しかし,紙ごみのおよそ4割を占める,台紙や封筒,はがき,包装紙,紙袋,紙箱そして缶ビール6本パックの紙ケースなどといったいわゆる雑がみは,いまだ分別,リサイクルが思うように進んではいません。私自身を振り返ってみても,夕飯の際にたまに飲む缶ビール6本パックの紙ケースを,リサイクル可能な雑がみとは知らずに,ためらいなく黄色いごみ袋へ捨てていました。本市では,平成26年6月から雑がみの分別,リサイクルの取組を全市でスタートしており,家庭から出る雑がみは,町内会や管理組合,古紙回収業者の方々に御協力をいただきながら,地域のコミュニティ回収及び古紙回収業者による回収を推進しています。しかし,市民の皆様にはまだまだ雑がみ回収の方法や,そもそも何が雑がみに当たるのかといったことが充分に浸透していないのが現状ではないでしょうか。 家庭でのごみ減量にとって大事なことは,何よりも,市民お一人お一人に理解を深めていただき,関心を持っていただき,実行に移していただくことです。私は,雑がみの分別,リサイクルを市民と共に進めていくことは,本市のごみ減量推進にとって大変重要なテーマと考えます。そこで,雑がみの分別,リサイクルの強化にどう取り組まれていくのか本市の姿勢についてお尋ねします。 続いて,高齢者が地域で生き生きと生活していくために重要な介護ケアの充実について質問します。本年5月に国会において地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が成立しました。今回の介護保険制度改正の柱は,地域包括ケアシステムの深化,推進と介護保険制度の持続可能性の確保です。来年度から開始する次期第7期の京都市介護事業計画も介護保険法改正の趣旨を十分に踏まえ,いよいよこの下半期に策定が本格化すると思います。 今日,団塊の世代が全て75歳以上となる2025年を見据えて,地域包括ケアシステムの構築を進めることは国も自治体も共通の全国的な課題です。国会における介護保険法の審議に当たっては,今を生きる高齢者の皆様に安心していただける社会とすること,未来を生きる現役世代の皆様に納得と希望の持てる社会とすることが大きな課題であると公明党としても強く訴えてまいりました。そして改正介護保険法では,市町村がその実情に応じて,高齢者の自立支援と介護の重度化防止に向けた具体的な取組内容と目標を設定し,評価をしていくこととされました。高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らし続けるための地域包括ケアシステムを一層推進し,大切な介護保険制度を将来にわたって持続していくために,高齢者お一人お一人の能力に応じて自立した日常生活を送るための支援や,要介護状態などになることへの予防,要介護状態などの軽減,悪化の防止に向けた取組を進めることはとても重要です。 そこで,本市として,今後はこれまで以上に,お一人お一人の高齢者の的確なアセスメントに基づいて作成されたケアプランによって,自立支援,重度化防止のための介護サービスが適切に提供されるようにしていかねばなりません。つまり,介護サービス利用者が何を求めているのか,それが生活全般の中のどんな状況から生じているかを正しく把握し,確認された評価に基づいて,どのような介護を,どういったときに,どこのサービス事業所で受けるのかを計画し,実際にサービスを利用できるまでにするケアマネジメントの質的向上を図っていく必要があると強く考えます。京都市では,介護における自立支援,重度化防止に向けてケアマネジメントの質的向上にどのように取り組んでいこうとされているのか御所見をお伺いします。 一方で,要支援,要介護認定を受けておられる高齢者が,介護保険の第1号被保険者に占める割合は約2割です。残り約8割の方々のうち多くは,まだまだお元気な高齢者と考えます。お元気な高齢の方々の中には,これまでの社会経験などをいかして,地域に貢献したいと考えていらっしゃる方も多いと聞きます。こうした方々に御活躍いただける仕組みづくりが進めば,地域活性化はもとより高齢者御自身の介護予防や健康づくりに役立っていきます。しかし,地域包括支援センターからは,高齢者のちょっとした困り事を地域で支え合う担い手が不足しているとの声を聞いています。また,私の周りの高齢の方からも,人の役に立ちたいと思っているが何ができるか分からない,どこまでできるか不安があるとのお声があります。 このような状況から,地域社会に貢献したいという高齢者の思いを実際の活動につなげていくための仕組みや支援が十分ではないため,社会貢献をしたい高齢者と,ちょっとしたお手伝いを望む高齢者が地域の中でうまく出会えていないと考えます。京都市は,地域社会に貢献したいという高齢者の思いを,具体的な活動へどのようにつなげていこうとされているのかお考えをお聞かせください。 ここまでを前半の質問とします。御答弁をお願いします。 ○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平山よしかず議員の御質問にお答えします。 まず,ごみ減量の取組についてでございます。家庭ごみの有料指定袋制度につきましては,ごみの減量促進と費用負担の公平化のため実施しているもので,御家庭からのごみ量は,導入前と比較して29パーセント削減でき,全国の大都市で最も少なくなっております。市民お一人1日当たりのごみ量は406グラム,全国の政令指定都市より3割も少ない状況であります。それに伴い,ごみの収集運搬経費だけでも年間40億円もの大幅なコスト削減が図れており,市民の皆様の御理解と御協力,また,地域ぐるみのお取組に改めて心から感謝申し上げます。 しかし,これからが大切であります。京都議定書誕生の地としても,環境負荷の低減をより一層図ることはもとより,ごみ処理には,いまだ年間213億円もの経費を要していること,また,本市唯一の最終処分地である東部山間埋立処分地を少しでも長く使用し次世代につないでいくためには,ごみ減量を更に力強く進めていく必要があり,家庭ごみの減量に大きな効果を上げてきている有料指定袋の価格の引下げは適切でないと考えております。 有料指定袋制をはじめ,ごみ減量施策の在り方につきましては,市会や審議会等における御議論を基に,常に点検,検証していく必要があると考えており,平山議員御指摘も踏まえまして,引き続き検討してまいります。 次に,包装紙などの雑がみの分別,リサイクルについてでございます。平成26年6月から雑がみの分別,リサイクルの取組を全市で強力に展開し,特に地域の御協力の下に,コミュニティ回収の拡大などに取り組むとともに,平成27年10月からは,ごみ半減を目指すしまつのこころ条例を施行し,リサイクルできる紙類の分別を義務化したことにより,御家庭からの雑がみは1万トン削減できました。しかしながら,いまだに2万3,000トンもの雑がみが燃やすごみとして捨てられており,ごみ半減に向けては,雑がみの分別,リサイクルの強化が極めて重要であります。このため徹底した周知,啓発はもとより,地域の御協力の下にコミュニティ回収の更なる拡大や古紙回収業者との連携の強化,また,学校や公園など身近な場所に出向いて雑がみ等を回収する取組の拡充など市民の皆様の主体的な分別を促進する仕組みの充実,強化を図り,ごみの量をピーク時の半分以下,39万トンにする目標を市民の皆様との協働で,必ず実現してまいります。 次に,介護ケアの充実についてでございます。平山議員御指摘のとおり,高齢者の自立支援や重度化防止を進めていくに当たりましては,お一人お一人の状況に応じたサービスが提供できるよう適切なケアマネジメントが大切になってまいります。本市におきましてもケアマネジメントの質の向上が重要であるとの認識の下,従来の取組に加えまして,今年度からは,リハビリテーション専門職を含む多職種の医療,介護関係者の参画を得まして,介護予防を主眼にしたケアプランの事例検討を試行実施しております。今後,自立支援や重度化予防の効果の高いケアマネジメントのノウハウを事例検討により蓄積することによりまして,このノウハウを全ての地域包括支援センターやケアマネジャーとしっかり共有し,その広がりと質の向上を図ってまいります。 次に,高齢者の地域貢献のための仕組みづくりについてでございます。元気な高齢者がケアを必要とされる高齢者や子供,若者支援の担い手となっていただき,地域社会に貢献していただくことは,高齢者御自身の生きがいや自立した生活につながっていくとともに,世代を超えた交流により地域全体が活性化していく大事な取組でございます。このため,京都市におきましては,昨年度,地域で高齢者を支えるための生活支援サービス等のニーズの把握や提供体制の創出,更にはボランティア希望者を実際の活動につなげる役割などを担う地域支え合い活動創出コーディネーターを各区に1名ずつ配置いたしました。今年度からは,コーディネーターの主催によりボランティアを希望される高齢者に対する入門講座を昨年度の全市1回の開催から,より身近な各区・支所単位で合計28回以上の開催を予定し,大幅に充実してまいります。 またアンケート等を通じたニーズ把握やボランティア希望者の発掘など身近な地域での取組も着実に広がってきており,更に広げてまいります。これらの取組により把握したニーズ等につきまして,区社会福祉協議会やすこやかクラブ,愛称でございますが,区老人クラブなどの関係機関の積極的な参画を得て開催する,地域支え合い活動創出調整会議において情報共有や連携を一層図り,地域貢献を希望される高齢者などの活動の場の創出や活動支援に結び付け充実を図ってまいります。 今後とも,高齢者の自立支援や重度化防止の取組はもとより,元気な高齢者が地域社会に責献いただく仕組みづくりを通じまして,京都市版地域包括ケアシステムを構築し,さらには健康長寿のまち・京都の実現につないでまいります。 私からは以上です。 ○副議長(久保勝信) 平山議員。 〔平山よしかず議員登壇〕 ◆(平山よしかず議員) 続いて,都市公園の再整備に民間活力を利用するPark-PFIに関し質問します。都市公園法や都市計画法などに規定される都市公園は,全国的に開設後30年以上となるものが4割を超え,施設の老朽化,時代の変化による魅力の低下などの課題があると指摘されています。その対応に関しては,地方自治体の財政状況が年々厳しさを増す中で,再整備や維持管理そのものが困難になっています。そこで,国土交通省は,民間事業者が都市公園内の収益施設と公共部分を一体的に整備できるようにし,また,施設の設置,管理期間を20年に延伸することで民間事業者の収益率を高めて参入しやすくするPark-PFIと言われる公募設置管理制度を創設しました。 私は,今年6月に,会派の曽我修議員,青野仁志議員と一緒に名古屋城の北側にある名城公園を訪問し,民間事業者による営業施設導入を柱とした公園再整備と活性化の模様を視察しました。名城公園北側は多くの緑に囲まれてるものの,やはり公園自体の老朽化と魅力低下によって訪れる市民が少なくなり,その活性化が課題となっていました。そこで名古屋市では,名古屋市公園経営基本方針に基づく名城公園の事業展開プランを策定し,平成28年1月に最長20年の事業期間と共に飲食を楽しめる空間,スポーツ利用サービスの充実,駐車場機能の確保,公的エントランスの拡充を条件として民間事業者を公募しました。同年4月に決定した事業者によって,カフェ,レストラン,公園内,周辺をコースとしたラン・サイクルステーションとスポーツショップ,駐車場及び公的施設としての公園エントランスといった名城公園北側の整備が行われ,1年後の今年4月から市民の憩いの場として新施設がオープンしました。私たちが視察した日は,平日昼間にもかかわらず,オープンした種々の営業施設と緑豊かな自然が調和して生まれた新たな名城公園の魅力を楽しむ市民で大いににぎわっていました。そこには,多様な施設があるからこそ,年代を問わず多くの市民が集っていました。 本市では,梅小路公園や岡崎公園の再整備を進めていますが,そのような大規模整備ではなくとも民間活力の導入で市内の都市公園の魅力を高めていけるものと考えるものです。そこで,本市における都市公園の整備,維持管理の課題とPark-PFIの導入に向けた考えをお伺いします。 私の地元,西京区の洛西ニュータウンには開園後40年を経過する小畑川中央公園,竹の里公園などの中規模の都市公園が点在しています。また,ニュータウン内の広い歩道は,地元高校生の部活ランニングや住民の方のウォーキングが行われるなど,スポーツができる素地があります。それぞれが生物多様性の息づく豊かな自然環境の公園であり,Park-PFIの手法によって,自然と調和したにぎわいの空間を生み出すことができるならば,住民の皆様にも洛西地域を訪れる方々へも魅力ある公園へ生まれ変わる可能性が大いに高まるものと考えます。 現在,洛西ニュータウンアクションプログラムにおいて,緑豊かな公園の再生と新たな魅力創生による憩い,遊びの空間づくりや,生物多様性に配慮したまちづくりのテーマでの取組が進められていますが,Park-PFIの活用も視野に入れながら,洛西ニュータウン活性化のための今後の公園再整備についての京都市の考えをお尋ねします。 最後に,新生児の難聴検査に関して質問します。忘れもしません,1年半前の平成28年3月16日,予算特別委員会総括質疑の朝です。私は目覚めると,吐き気と目まいがひどく,頭がくらくらして,自宅の階段を降りるのもようやくといった感じで,まるで風邪をひいて極度に具合いが悪いときのような状況に襲われました。意識がややもうろうとし倒れそうになりながら総括質疑を行ったことを覚えています。翌々日に病院で診察を受けると突発性難聴と診断され,それ以来右耳がほとんど聞こえません。自分自身が難聴となって実体験で分かりましたが,両方の耳が聞こえるからこそ,話し相手との距離感も十分につかめます。左耳はよく聞こえますから仕事や日常生活で不便なことはありませんが,大勢の人が一度にしゃべっているような場所では一人の声が聞き分けにくいところが困ります。 私自身のことはともかくも,一般的に難聴は相手とのコミュニケーション不足を起こしかねません。そのため認知症の一因とも言われています。また難聴によって転倒リスクが高まったり,難聴ががんや脳心血管障害など病気の遠因となるとの研究報告もあります。身体障害者手帳の交付対象とされていない,中,軽度の難聴の子供への教育支援として補聴器購入の助成も重要です。京都市では,中,軽度の難聴児の補聴器購入に対する独自の助成制度を早くからスタートさせていました。しかし,3年程前までは京都府下では助成制度のない市町村が多く,公明党は,保護者や団体のお声を受け止めて府全体としての制度創設を推進してまいりました。保護者はじめ関係者の皆様の取組が実り,2015年度から京都府は18歳未満の中,軽度の難聴児を対象に補聴器購入費用を助成する事業をスタートさせました。 私は,今,新生児の聴覚検査が大事だと考えています。新生児聴覚検査を受けた子供は,早期療育に至る確率が受けていない子供より20倍も高くなり,コミュニケーション能力は3倍以上も上昇するという研究結果が出ています。人とのコミュニケーションは孤立を防ぎ,その後の人生を大きく左右します。生まれつき聴覚に障害のある先天性難聴は,1,000人に一人から二人の割合でいるとされ,早目に補聴器を着けたり,適切な指導を受けたりすることで,言語発達の面で効果が得られるといいます。新生児聴覚検査は,専用の機器を用いて寝ている赤ちゃんの耳に音を流し,脳波や返ってくる音によって聴力を調べます。痛みはなく,検査は数分で終わるとのこと。 生後3日以内に行う初回検査と,その際に要再検査とされた赤ちゃんを対象に生後1週間以内に実施する確認検査があります。これらの聴覚検査は,2012年度から母子手帳にその結果を記載する欄が設けられるなど国も積極的に推奨しています。しかし,新生児聴覚検査結果を把握している自治体は,平成26年度調査で全国1,741市区町村のうち65.1パーセントと低調であり,うち,検査を受けられなかった新生児に対する対策を実施している割合は11.8パーセントにすぎません。本市においては,約8割の方が医療機関において新生児聴覚検査を受診されており,その後のこんにちは赤ちゃん訪問や生後4箇月検診の機会を通じて,適宜,未受診や要再検査の方へのフォローアップを行っているとお聞きしています。 そこで,更に取組を推進し,全ての子供の聴覚障害の早期発見,早期療育が図られるよう,新生児聴覚検査に係る研修会や普及啓発等を実施して情報発信を行うことにより,確実なフォローアップをお願いしたいと考えます。いかがですか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保勝信) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 新生児の難聴検査についてでございます。子供の聴覚障害を早期に発見し早期に療育につなげることは,平山よしかず議員御指摘のとおり,生活や成育への影響を最小限に抑える観点から非常に重要であると認識しております。本市におきましては,保健師や助産師などが,生後4箇月までの乳児のいる家庭へ訪問するこんにちは赤ちゃん事業や生後4箇月の乳児を対象にした健康診査の際に,御案内の新生児聴覚検査の受診の有無や,その結果を確認するとともに,音に対する反応の観察を行っております。こうした取組の結果,新生児聴覚検査の受診率は8割以上となっており,また,4箇月児健康診査の際には,小児科医による診察を実施したうえで,聴覚障害の疑いがある場合は,早期の療育につなげるため専門の医療機関を御案内する等,丁寧に対応しております。今後さらに,区役所・支所に設置いたしました子どもはぐくみ室の職員を中心に,聴覚障害に関する研修を新たに実施することにより,様々な健診の機会を通じて,新生児聴覚検査の受診確認と,療育が必要と思われる方への受診勧奨を徹底する等,聴覚障害の早期発見,早期療育に確実につなげられるよう努めてまいります。また,新生児聴覚検査の必要性や,この検査では発見できない進行性難聴を見逃さないためのポイントを盛り込んだリーフレットを新たに作成し,地域の子育て支援を実施している方々とも共有して活用することなどにより,新生児期だけにとどまらず,全ての子供の聴覚障害の早期発見,早期療育に向けた啓発のため,より丁寧に情報発信を行ってまいります。
    ○副議長(久保勝信) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 都市公園の再整備に係る民間活力の利用についてでございます。現在,本市には912箇所の公園がございますが,円山公園などにおきまして,更なる魅力向上のために大規模な再整備に取り組みますとともに,市民の皆様に身近な公園では,遊具の改修や日常の維持管理にもしっかりと取り組んでいるところでございます。しかしながら,これらの整備には多額の経費が必要でありますことから,平山議員御指摘のとおり,民間活力の導入による再生,活性化は重要な視点でございまして,本市におきましては,京都水族館や京都鉄道博物館の梅小路公園の誘致が大きな魅力につながったという成功事例もございます。さらに今般,都市公園法の改正によりまして,公募設置管理制度,いわゆるPark-PFIが制度化されたところでございますが,この制度は,園路,広場などの公共的エリアの整備を条件に,カフェ,売店などの整備運営を民間事業者に委ねることができるものでございまして,事業者が参入しやすくなるよう,許可期間を通常の10年から最大20年まで認めることができるなど,自治体,事業者双方にメリットが生じ得る制度であると考えておりまして,今後導入の可能性についてしっかり検討を進めてまいります。なお,洛西ニュータウンにおきましては,昨年度,活性化に向けて地域と行政が一体となってアクションプログラムを策定いたしましたが,今年度からは公園関係ワーキンググループによりまして,域内の公園の再生,魅力創出につきまして議論が交わされているところでございまして,近々,竹林公園における子どもの広場の再整備に向けたワークショップ,あるいは洛西プレイパーク事業などが予定されております。このほか小畑川中央公園などにおいては,健康遊具の設置,樹木の剪定などの再整備も進めてまいります。平山議員御指摘のとおり,洛西ニュータウンの活性化には豊かな自然環境など魅力を有するこれら公園の再整備が大きく寄与するものでございます。今後とも,民間活力の導入も視野に入れつつ,地域の皆様や関係団体の御意見も十分に踏まえ,アクションプログラムに掲げた公園の魅力向上の取組を着実に進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(久保勝信) 次に,市政一般について,ひおき文章議員に発言を許します。ひおき議員。 〔ひおき文章議員登壇(拍手)〕 ◆(ひおき文章議員) 北区選出のひおき文章です。私は同僚の曽我修議員,平山よしかず議員に続き,市政一般について質問いたします。目指すべき京都の理想像等について,市民の皆様と共に考えてみたいと思います。 まず第1点目に,京都市の理想を高らかにうたった世界文化自由都市宣言40周年の取組についてお伺いします。「都市は,理想を必要とする。その理想が世界の現状の正しい認識と自己の伝統の深い省察の上に立ち,市民がその実現に努力するならば,その都市は世界史に大きな役割を果たすであろう。われわれは,ここにわが京都を世界文化自由都市と宣言する」との出だしから始まる世界文化自由都市宣言は,昭和53年梅原猛当時京都市立芸術大学学長,桑原武夫当時京都大学名誉教授の知の巨人をはじめとする12名の世界文化自由都市推進懇話会の方々によって起草されました。40年近くたった今でも,その理想の高さ,哲学性の深さ,全人類的な普遍性の広さ等において非常に画期的な内容を持っており,読む者に大きな感動を与えます。さらには,京都市並びに京都市民の理想に向かって進む決意を喚起してくれます。 国においても,経済的な豊かさも包含した真に豊かな社会を作るために,文化,芸術政策に重きを置いた取組が進められます。公明党の主導で文化芸術振興基本法が成立して15年余りになりますが,この間,国を挙げた取組を充実させ,今年6月,文化芸術基本法に改正しました。今回の法改正の内容は,文化芸術立国実現へ,文化芸術の振興にとどまらず,観光やまちづくり,国際交流,福祉,教育,産業など関連する分野の施策も法律の範囲に取り込み,施策のウイングを大きく広げることが主な狙いです。政府の体制を強化するため,文部科学省のほか,内閣府,総務,外務,厚生労働,農林水産,経済産業,国土交通の各府省などによる文化芸術推進会議を新設しました。文化芸術団体と国や地方自治体,民間事業者などは,相互に連携を図りながら協働するよう努めなければならないと規定し,推進基本計画の策定を国に義務付けるとともに,地方自治体には努力義務としました。 こうした国の動向のはるか以前から文化首都・京都は,奥深い伝統文化がもたらす創造的な精神の継承,進化により,絶えず新たな文化芸術を生み出してきました。このすばらしい京都の文化をいかすため,京都市では国の取組を先導し,昭和53年に世界文化自由都市宣言を行い,広く世界と文化的に交わることによって,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市,世界文化交流の中心都市を目指して歩み続けることを高らかに誓いました。そして平成18年4月,京都文化芸術都市創生条例を施行し,翌年3月には京都文化芸術都市創生計画を策定し様々な取組を進めました。 さらに,昨年3月に文化庁の京都への全面移転が決定され,今年4月に,一部先行移転が実施されました。7月には本格移転先が京都府警察本部本館に決定し,平成33年度中の全面移転に向け取り組んでいます。また,平成32年東京オリンピック・パラリンピックをはじめとする国際的な祭典が,我が国で相次いで開催されます。国を挙げて文化の力による地方創生が目指され,世界からも注目が集まる今,世界文化自由都市宣言に掲げた都市の理想の実現に向けて大きく飛躍する好機を迎えています。 このため京都市では,今年3月に第2期京都文化芸術都市創生計画を策定し,国に先駆けて,文化芸術を基軸として,産業,観光,教育などあらゆる政策分野を融合する新たな価値の創造に向け取り組んでいます。本市の文化行政が大きな転換期を迎えている今こそ,私は,世界文化自由都市宣言の原点に立ち返って,取組を推進すべきであると考えます。 そこで,来年10月の40周年を契機として,世界に誇れる世界文化自由都市宣言を大いに宣揚する取組を,全市挙げて推進すべきと考えますがいかがでしょうか。 第2点目に,文化首都・京都における地域主権の推進についてお伺いします。平成27年9月に策定されたまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略における人口推移では,仮に今のままの出生率1.26で推移した場合,2060年には総人口が111万人,高齢化率が40.4パーセントになると算出されています。人口減少や少子高齢化の進行に伴い,独り暮らしや認知症の高齢者の増加が見込まれ,地域での見守り,支え合いの体制をより一層充実することや,災害発生時における避難支援の体制づくり,さらには空き家の増加にも適切に対応していくことが必要です。また,子育て支援や学校教育への支援の充実など,地域で安心して子育てができる環境を整えていくことも必要です。このような地域に根差した課題に対して,地元に精通した区役所・支所がいち早く対応し,区民と共に地域ぐるみの活動を共汗で進めるとともに,本庁所管局等と連携を図りながら,全市的な取組へとリードする区役所・支所の役割が更に重要となっています。 本市では,長い歴史の中で培われた住民自治の伝統や支え合いの精神に基づく地域コミュニティが形成され,京都の発展に大きく寄与しています。明治2年5月には,全国初の学区制小学校が京都で創設され,番組小学校64校が開校されました。番組小学校は,学校の機能だけでなく,徴税,戸籍,消防,警察などの機能も設置されたほか,自治会,町内会の拠点でもありました。この番組小学校の建設,運営費には,子供のあるなしにかかわらず,地域の方々が負担したかまど金が充てられ,地域ぐるみで子供たちを育てるという精神が培われてきました。これが京都の地域力の源となっています。正に,京都には,元々文化力を基盤とした地域主権の思想と,それを実行する地域力があったのです。 しかし近年,居住形態や生活様式の変化に伴い,地域住民相互のつながりが希薄となっており,地域コミュニティの活力の低下が危惧されています。平成23年に起きた東日本大震災によって,地域コミュニティの重要性が再認識される中,本市では平成24年4月に地域コミュニティ活性化推進条例を施行し取組を進めていますが,自治会,町内会の推計加入率は,約70パーセントと横ばいで推移し,加入率の向上には至っていません。しかし,一方では,現在,本市が所管するNPOは約840法人にも上っており,複雑化,多様化する地域課題の解決に向けて,様々な分野で機動的かつ柔軟に活動するNPOの果たす役割はますます重要になっています。このような地域コミュニティや市民活動を取り巻く環境の変化を踏まえ,各区が抱える様々な課題の解決に向け,区役所・支所が区内のみならず,区外の様々な活動主体との連携,協力を積極的にできるかどうか,その力量が問われています。 本市では,地域のまちづくりの主役は区民であるとの考えの下,地域主権の拠点としての区役所・支所の機能,権限の拡充,強化に取り組み,地域の特色をいかした住民主体のまちづくりを推進しています。しかし,先ほど述べたとおり,近年,従来からの区民生活に直結した課題に加え,地域に根差した観光や商店街等の産業振興,さらには空き家対策など区役所・支所に求められる役割はますます多様化,高度化しており,市政における位置付けは従来とは比較できないほど大きくなっています。正に,地方主権において,都市が地方政府の役割を担うのと同じく,地域主権において,区役所・支所が地域市役所の役割を担う時代になっています。 以上述べた点を踏まえ本市では,平成28年3月に共汗で進める 新たな区政創生~京都市における区政の在り方~を策定し,目標とする四つの区役所像の実現に向け取り組んでいます。このためには私は,区役所・支所を中心に京都市政における地域主権を促進し,各区の特性に応じた区政を展開することが必要であり,そのことが市政全体の活性化につながるものと考えます。 そこでお伺いします。1点目は地域主権の中心者としての区長権限の強化についてです。区役所・支所が,区独自のまちづくりを一層推進していくためには,地域課題の解決に向けた機動的な体制等を確保することが必要です。このため,特に区役所・支所の独自性が発揮できる業務について,区長権限を強化しなければなりません。今後の取組についてお伺いします。 2点目は,次期の区基本計画における区政評価についてです。京都市では,平成23年度から10年間の都市経営の基本となる「はばたけ未来へ!京プラン」を推進するため,平成28年度から32年度までを期間とする実施計画第2ステージが策定され,様々な取組が進められています。これらの進捗状況については,目標像に掲げた数値目標の達成状況と共に,毎年京都市基本計画実施状況として公表されています。一方,各区に目を向けますと,区の基本計画に基づき,区民提案・共汗型まちづくり支援事業等により,各区役所がそれぞれの地域事情に応じ,区民の皆様との共汗協働,創意工夫により様々な事業を実施していることについては高く評価します。しかし今後は,これらの事業の効果をしっかりと確認,評価していく必要があります。現在も,区基本計画の推進組織として区民まちづくり会議が設置され,区基本計画の進捗状況の把握,点検が行われていますが,これを一歩進め,区民の実感把握や数値目標を設定し,計画の進捗を管理するといった枠組みにより,次期の区基本計画を検討していく必要があると考えますがいかがでしょうか。 第3点目に,文化首都・京都における,市バス・地下鉄事業の取組についてお伺いします。本市の市バス・地下鉄事業は,平成21年度に策定した経営健全化計画に基づき,本市の総力を挙げ健全化の取組を進めた結果,市バス事業では,平成24年度決算で経営健全化団体から脱却するとともに,地下鉄事業では,5万人増客という目標を2年前倒しで達成するなど平成30年度までの経営健全化団体からの脱却が見通せるまでになりました。しかし,地下鉄事業は,いまだ全国一厳しい経営状況にあり,今後も間断なく経営健全化を推進する必要があるほか,市バス事業では,今後も黒字基調を堅持しながら,一層の利便性向上等の取組を進めていかねばなりません。 このような状況を踏まえ,平成29年度及び30年度の2箇年で,市バス・地下鉄事業の中長期的な視点に立った経営計画として,10年間を期間とする新たな経営ビジョンを策定します。中長期的な視点に立ち,健全経営を確保したうえで,安全対策の強化や利便性向上の取組等について,文化首都のまちづくりの観点を踏まえた施策を推進していくための計画と伺っています。従来にない新たな視点として,文化や観光の面から意見をいただく方や,実際に市バス・地下鉄を利用される市民の方も参画される京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョン検討委員会にて議論され策定されます。経営健全化最優先の現在のビジョンに対し,経営健全化を前提に,文化首都・京都のまちづくりの視点も踏まえた市バス・地下鉄事業の在り方が求められるビジョンであり,議論の深化に期待します。 そこで大きな方向性に加え重要となります,市バス・地下鉄事業の車両,設備等の更新並びに安全対策の強化等についてお伺いします。地下鉄事業においては,今後,烏丸線に加え東西線も合わせた多額の費用が必要となる地下鉄の車両,設備の更新や,可動式ホーム柵の全駅設置など新たな設備投資を伴う安全対策への取組が重要となります。現行の経営健全化計画では車両,設備の老朽化対策等で建設改良費の事業費約420億円を見込んでおり,執行についても計画の見込みと同水準になるとのことですが,次期経営ビジョンでは建設改良費等の事業内容並びに規模等は,どのように考えていますか。特に安全対策強化としての可動式ホーム柵の全駅設置については,地下鉄北大路駅での転落事故もあり,市民の皆様の全駅設置への要望は高まっています。何としても可動式ホーム柵設置の方針等を次期経営ビジョンの期間の中で示していただきたいと考えますがいかがでしょうか。 市バス事業については,特に期間中更新時期を迎える車両500両以上の更新,輸送力増強に向けた新たな車両の購入と置き場所の確保等の課題に加え,運行に関する設備類の老朽化対策も必要ですが,事業内容並びに規模等はどのように考えていますか。 第4点目に,環境先進都市・京都として,全国をリードする食品ロス削減の取組についてお伺いします。本市では成長戦略よる社会経済活性化の推進や,従来想定の人口減少の食い止め等により,潜在的なごみ発生量は,従来の見込みを上回る可能性が高くなっており,より一層,ごみの減量を加速させなければなりません。そこで平成27年3月に,従来の条例を,リデュース,発生抑制,リユース,再使用のいわゆる2Rと分別,リサイクル,再生利用の促進の二つを柱とした条例へと改正しました。また,全国で初めてとなる,手付かず食品や食べ残しといった食品ロスを削減する目標の設定や,政令市初となる食品スーパーにおけるレジ袋有料化の市内全店舗への実施拡大,さらには,紙ごみなどの資源ごみ分別の義務化など新しいごみ減量施策を盛り込んだ,新・京都市ごみ半減プランを策定し取組を進めています。 日本では,平成26年度の推計で,年間2,775万トンの食品廃棄物が出されており,このうち食品ロスは621万トンで,世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の約2倍に相当します。この課題に対し,公明党食品ロス削減推進チームは,今年5月に首相官邸で菅官房長官に,食品ロスゼロに向け国を挙げて取り組むために,食品ロス削減推進法(仮称)の法整備を求めました。京都市では,ごみ減量施策の検討にいかすため,全国に先駆けて昭和55年に京都大学と連携してごみの細組成調査を開始し,食べ残しや手付かず食品といった食品ロスの割合等を把握しています。この調査結果を活用し,平成27年3月に策定した新・京都市ごみ半減プランにおいて,食品ロス削減を大きな柱と位置付け,ピーク時の平成12年度9.6万トンから平成32年度に5万トンに半減させるという削減目標を全国で初めて設定しました。これまでの取組の結果,平成28年度の食品ロス排出量は6.4万トンとなっています。食品ロス削減は,環境並びに食に対する文化的意識の高さが問われるものであり,何としても目標を達成すべきです。 そこでお伺いします。従来の取組に加え,今後,食品ロスの更なる削減に向けどのように取り組むのか,特に全国初となる商慣習の見直しに関する調査,社会実験について,環境先進都市・京都として,全国の先進事例となるように,どのように取り組むのか具体的にお答えください。 以上で私の質問を終了します。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) ひおき文章議員の御質問にお答えいたします。 世界文化自由都市宣言についてでございます。ひおき文章議員御指摘のとおり,昭和53年,京都市の都市の最高の理念として掲げたこの宣言は,文化による世界平和の実現を希求した高邁かつ哲学的,普遍的な内容であり,時を超えて読む人々の心を揺さぶる,誠に奥深い言葉の力もたたえており,正に我が国を代表する文化首都,学術都市・京都ならではの世界に誇る宣言でございます。本市は,この宣言以来,その理念の下に京都市基本構想,基本計画を策定し,文化を基軸とした都市経営を進めてまいりました。この間,宣言の理念は,世界歴史都市会議や連盟の創設,国際交流会館等の整備,さらには国際日本文化研究センターや京都ドイツ文化センターの誘致など市政の枠を超えて具現化してまいりました。そして,そうした宣言の理念を追求する数々の取組の積重ねがあったからこそ,今回の文化庁の京都への全面的な移転の決定につながったものと考えております。また,今年6月,文化芸術基本法が施行され,国を挙げて文化を基軸としたあらゆる政策を融合した新たな文化政策が展開されようとしており,京都が果たすべき役割はますます大きくなってきております。さらにこの8月には,17もの都市の参画による東アジア文化都市サミットが京都で開催されるなど,今まさに宣言の理念の実現に向けた更なる飛躍の好機であると言えます。 一方,今日世界各地で紛争が絶えず,我が国周辺でも国際的な緊張が高まる中,宣言の趣旨を国内外に発信し共有する必要性が高まっていると感じております。このため,来年度の宣言40周年に際し,シンポジウムや文化事業,あるいは文化による平和の実現に功績のあった方々の表彰等を通じ,今一度宣言の意義を市民ぐるみで共有し,更なる推進につなげてまいります。 また,宣言を分かりやすく解説したパンフレットの作成,配付を通じて,改めて市民に広く周知するとともに,小,中,高校でも宣言の趣旨,内容を伝え,次世代への継承に取り組んでまいります。 さらに議員御指摘のとおり,世界に誇れる宣言でありますが,国際的な発信力が不足している面もあるため,世界歴史都市会議など様々な機会を通じて,宣言のメッセージを世界に積極的に発信するなど節目の取組を全庁を挙げて企画し推進してまいります。 次に,市バス・地下鉄事業における今後の取組についてでございます。地下鉄事業は,議会の議決を得て策定いたしました経営健全化計画に基づき,設備更新を着実に進めてまいりました。今後開業から35年を経過した烏丸線では,設備更新だけではなく車両の更新時期を迎えるとともに,東西線でも開業から20年を経過し設備の更新時期を迎えるため,平成31年度からの10年間では,現行計画で見込んだ424億円を大幅に上回る更新が必要と見込まれております。 可動式ホーム柵につきましては,全国の設置率が1割にも満たないのが実情であり,国の補助率拡充や新たな技術開発等の促進について,本市のみならず他都市とも連携しながら国に対し要望しておりますが,大きな進展は現時点ではありません。こうした中,本市では,経営状況が極めて厳しい中でも,輸送の安全性を第一に,この間,烏丸線の京都,四条,烏丸御池の3駅で可動式ホーム柵を設置しました。また,将来の全駅設置に備えまして,全20編成の車両のうち更新時期を迎える9編成につきまして,自動列車運転装置搭載の新型車両導入に着手したところでございます。しかし,残る11編成の車両改造と柵の設置には,多額の費用と長期の事業期間を要することに加えまして,近鉄との相互の乗入れを伴っており,近鉄の直通運転を行う10編成の近鉄車両の改造についても近鉄の理解と協力が不可欠であります。このように本市のみで解決できない課題もありますが,経営ビジョンを策定する中でしっかり検討してまいります。 市バス事業では,バス車両の増車やバス待ち環境の向上など,これまでお客様目線で攻めの経営により積極的な投資を行い,大幅な増客を実現してまいりました。しかし,平成31年度からの10年間では,バス車両の更新だけで全車両数の7割近い530両もの車両購入が集中し100億円を超える費用を要するほか,輸送力増強のためには増車や新たな車庫用地の費用が必要となります。次期経営ビジョンの策定に当たりましては,市バス・地下鉄事業共に多額の費用を要するために,車両,設備の更新や安全対策の強化について,中長期的な視点を持ってしっかりと持ちまして,将来を見通し,可能な限り長寿命化や事業費の平準化に努め,安定的な事業運営が確保できるよう取り組んでまいります。 また,ひおき議員の御指摘も踏まえまして,女性や若者,観光,文化などの視点に立ち,市バス・地下鉄が文化首都・京都のまちづくりを支える大きな役割を果たすよう検討を進めてまいります。 次に,食べ残しや手付かず食品といった食品ロスの削減の取組についてでございます。京都市のごみ量は,市民,事業者の皆様の御理解と御協力の下に,ごみ半減を目指すしまつのこころ条例を推進してきた結果,平成27年,28年度の2年間で,4万4,000トン,1割を削減し,そしてピーク時からは49パーセント削減でき,御家庭からのごみ量も他の政令市平均の7割と全国の大都市の中で最も少なくなり,環境負荷の低減と年間154億円ものコスト削減を図ることができました。市民,事業者の皆様の御尽力に改めて感謝申し上げます。 しかしながら,今年度のごみ量は,8月末現在,対前年度比0.6パーセント減と,減量のペースが大幅にダウンしており,強い危機感を持っております。こうした中,生ごみの4割が食品ロスであり,年間6万4,000トンもの食べ物がごみとして捨てられている現状に,私も,環境面はもとより,食に対する文化的意識の面からも心を痛めております。このため,全国で初めて食品ロスをピーク時の9万6,000トンから半減の5万トンまで減量させるという高い目標を立て,596店舗に拡がった食べ残しゼロ推進店舗認定制度の展開を図るとともに,寄付を受けた食品を福祉施設や子ども食堂等に無償提供しておられる民間のフードバンク等との連携や支援などを通じて,食品ロス削減に向けた実践の輪を広げてまいります。 また,来月からは,これも全国初の取組として,食品ロスが発生しにくい販売,商習慣の見直しに向けた調査,社会実験を実施いたします。具体的には,食べ物が賞味期限前であるにもかかわらず賞味期間が残り3分の1を切ったものは,ごみとして捨てられている商習慣を踏まえまして,商品の販売期限を延長した際の市民の購入意識や廃棄される量の変化等を検証し,全国のモデルとなる食品ロス削減に向けた仕組みづくりを進めます。 今後とも,こうした食品ロスの削減をはじめ,全国をリードするごみ減量の取組を通じて,もったいない,しまつの心など,京都に息づく優れた生活文化の浸透を図り,市民,事業者の皆様と共に,ごみの量をピーク時の半分以下,39万トンとし,持続可能な循環型社会を目指してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(久保勝信) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 区政の在り方についてでございます。本市では,市民参加と協働によるまちづくりの第一線に位置し,区民の皆様のニーズ,思いを一番よく知る区役所が本庁各局と緊密に連携することはもとより,必要があれば京都府や国をも動かし,各区の個性をいかして取り組めるよう,これまでから区長の権限を強化してまいりました。具体的には,平成24年度には,区役所が地域のまちづくりを柔軟かつスピーディに支える区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算を導入し,中でも区民提案型支援事業につきましては,制度創設時の2倍となる額まで予算の拡充を行い,区長の指揮の下,区民の皆様と共に更なるまちづくりの推進を図っております。また,区が総合調整機能を発揮し,区民主体のまちづくりを戦略的に推進するため,順次,企画課長,企画係長を配置するとともに,本年5月には,福祉と保健の垣根を取り払った新たな組織として保健福祉センターを全区役所・支所に設置したことを契機として,地域の実情に応じ,健康長寿や子育て支援をはじめとする取組など積極的に地域ぐるみで各々の工夫の下に取り組んでいるところでございます。ひおき文章議員御指摘のとおり,今後も地域のまちづくりの拠点である区役所が地域の特色をいかした取組を総合的に展開できるよう,区長権限を一層強化してまいります。 次に,区の基本計画につきましては,京都市基本構想を具体化するため,全市的な観点から取り組む京都市基本計画と同列の地域別計画との位置付けの下,各区の個性をいかした魅力ある地域づくりの指針として,全国に先駆けて平成13年に全ての区において策定しており,平成23年にはこれを引き継ぐ第2期の計画をスタートさせております。この区基本計画の実現に向けまして,毎年度,各区において運営方針を定め,様々な取組を進めており,自治会,学識経験者やNPO法人等に参画いただいている区民まちづくり会議におきまして,進捗管理を行っております。今後,次期の区基本計画につきましては,現在進めております各区のそれぞれの取組の効果や区の実情を十分に踏まえまして,区民主体のまちづくりに向けて,より明確な将来像を共有する計画となるようしっかりと検討を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(久保勝信) 暫時休憩いたします。 〔午前11時45分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,安井つとむ議員に発言を許します。安井議員。 〔安井つとむ議員登壇(拍手)〕 ◆(安井つとむ議員) 伏見区選出の安井つとむです。民進党京都市会議員団を代表し,同僚の山本ひろふみ議員と共に市政一般について質問いたします。 平成28年2月,門川市長におかれましては,3期目の市長選挙を勝利されました。直後に開会されました市会に対し本格予算を計上され,今市会では,その決算審議を迎えたわけであります。平成28年度予算におきましては,市民の皆様との安心・豊かさ実感133のお約束に対する諸施策実現への意気込みを示されました。今市会に上程された平成28年度決算の中で,その一端をかいま見ることができます。2期8年の実績をベースに新たな挑戦とし,一つには,京都の文化,地域力,知恵をいかし,経済の活性化と安定した雇用の創出で市民生活の豊かさに結び付ける,二つには,市民の命と暮らしを守り,子育て環境の充実,三つには,日本の心の創出を牽引し,世界文化首都・京都を実現する,四つ目には,府市協調による更なる二重行政の打破と地方分権改革をリードする自治の構築と財政構造の抜本改革の推進,この4項目を柱に据え,133項目の具体化を進めるとされました。 平成28年度一般会計決算を見ますと,一般財源収入の大幅な減は,円高や消費の伸び悩み等,全国的なものとはいえ,市税収入,府税交付金,地方交付税などの減額により,当初見込みから140億円を超えるマイナスとなり,財源確保に向けて創意工夫が更に必要とされました。京都の未来に必要な施策の展開により,市民生活の安心安全を守るため,右肩上がりに増加する社会福祉関連経費の確保と「京プラン実施計画」第2ステージでの施策を強力に推進するためにも,予算の執行抑制の徹底,特別会計繰入金の執行計画の見直しを図る一方,歳入確保に向けては,市税徴収率の向上,事業推進のための基金の活用,減収補填債の発行などと共に,公債償還基金の取崩し,財政調整基金の取崩し等により,平成28年度歳入決算額は7,033億円,歳出決算につきましては7,015億円となり,18億円の黒字を計上するとともに,平成29年度へ13億円繰越し,実質収支約5億円の黒字とするものの,平成21年度の21億円の赤字以来の厳しい財政状況であります。今後も予断を許さないものとなっています。そして行財政改革に対し,より具体的な策を示されるとともに,本市の成長につながる施策への重点投資への意欲をお示しください。答弁を求めます。 宿泊税導入については議論をより深めていくことになると承知しています。一人当たり200円,500円,1,000円の3段階区分で修学旅行生と引率者を除き民泊を含む全ての宿泊者を対象とされております。訪日外国人を含む国内外入洛客の急増に対する施策の財源確保を必要としていた本市にとっては大切な財源になるのは間違いありません。しかし,宿泊者の負担感,または徴収者となる宿泊業界の義務への負担軽減への施策と共に,有効かつ効果的な使い方等が示されなければなりません。条例案ではその使途について明確にはされていませんけれども,導入に当たりその答申内容では入洛客の増加に伴う施策の必要性,そして使途についても述べられております。 一つは,道路渋滞,また公共交通機関の混雑解消,二つには,受入環境整備のための言語対応と観光の担い手の人材確保,三つ目には,宿泊施設の確保により市民生活に影響を及ぼし,市民が負担を感じているものへの解消,そしてより双方の満足感を高めていくことが重要とされております。平成28年度決算と共に,平成29年予算の中でも入洛客と市民双方に実感できる取組として,一つは,文化の振興,そして歴史的景観の保全,再生,三つ目には,歩くまち・京都の推進によって歩行空間の充実と公共交通の利便性の向上など,四つ目には,伝統産業等の活性化,五つ目には,観光施策の充実,また京都の魅力の国内外への情報発信の強化,そして入洛客増加など観光を取り巻く情勢の変化への対応,安心安全の確保等が挙げられております。また,その取組が進められています。 そこで市長にお尋ねいたします。市長公約133のお約束,歩くまち・京都の推進で公共交通全般の利便性向上をうたっておられます。LRT,またBRTなど,新しい交通網実現に向け取り組むとされております。平成26年度におきましては,京都のまちの活力を高める公共交通検討会議を立ち上げました。平成28年度内まで8回の開催に及び,その報告書が提出されております。 また,第3回の当会議では需要に対しバスサービスの検討として,連節バスの導入の可能性について議論されております。導入へのハードルはありますけれども,輸送力は一般的な車両の1.9倍,観光又は大学へのアクセスなど目的に応じたバスサービスの提供,そして乗りきれないお客様,そして混雑緩和等のバス待ち環境の改善,直行便とすることによって移動時間の短縮,道路の混雑緩和など効果が期待されております。今,全国的にも導入が促進されまして,千葉,神奈川,新潟,岐阜,福岡に及び,関西でも近江鉄道バスが南草津駅から立命館大学間,また,木津川市では奈良交通,神姫バスにおいては新三田駅と関西学院大学キャンパス,そのほかにも導入して利便性向上に向け,今,力を発揮しているところであります。 一方,本市においては,観光客の増加で市バス等の混雑が市民生活に影響を及ぼし,その対策が急務とされております。現在,市バス一日乗車券の料金の見直しや前乗り後降り乗車の検討が進められております。しかしながら,今後の対応策としての連節バス導入については,高額な車両,そして整備場などへの新たな投資も必要であります。輸送力の増強対策として,宿泊税導入に伴う具体的適用例の一端として連節バス導入を決断してはどうかと思います。いかがですか。本市における交通政策の視点から答弁を求めます。 次に,地域のまちづくりのため,公有地の更なる有効活用についてお伺いいたします。学校跡地利用など施設の統廃合等に伴い,役割を終えた土地等の有効活用の促進,これも本市の財政基盤を支える一つの事業であります。現在進められております。そしてこれも133のお約束の一つとして,市内小学校統廃合で生まれた土地を活用し,財政との関連もさることながら,周辺地域の活性化に役立てるため宿泊施設を中心にその計画が推進中であります。地域コミュニティ継続が課題とされておりますけれども,従来から使用されておりました運動場,体育館,自治会等が今後も当地域の活動の場として確保されるなど所期の目的がいかされていると思います 本市中心部活性化と共に周辺エリアにおいても同様の活性化が期待されております。特に本市と宇治市が隣接するエリアにおきましては,特に宇治市域では,商業施設撤退跡の高層マンション建設が進んでいると聞いております。当エリアでは平成25年3月で休止された東部クリーンセンター跡地があります。総面積が4万3,500平方メートル,約1万3,200坪に及ぶ広大な跡地の活用は,本市の伏見,山科地域におけます最大の活性化の創出拠点として期待されております。解体を含め諸課題があるものの民間活力の導入により,既存の本市老人保養センター,醍醐図書館再整備をも視野に入れた東部クリーンセンター跡地活用が急務とされています。本市の目指す当エリア活性化等と跡地活用についての具体化策をお示しいただきたいと思います。答弁を求めます。 次に,消防行政について質問いたします。日頃,京都市消防局が果たされております役割に対し,市民生活の中では信頼高く評価されています。未曾有の被害をもたらしました阪神・淡路大震災に続き東日本大震災から6年半,あの甚大な被害を受けた被災地では,復興が進んだとはいえ,いまだにその傷跡を残す光景が残り,市民生活に影響を与えていることがマスコミを通じて私たちにも伝わっております。その後,熊本地震,そして地球温暖化による気象,気候変動により,毎年続く集中豪雨による被害等は全国にわたり,日々の安心安全が揺らいでいく様子が日常茶飯事のごとく続いており,何が起こるか分からないことを実感しております。 一つ,非常用電源を備える施設といえど,その例外ではなく影響を受けております。特に,災害時の停電時に消火設備やエレベーター等を動かすために整備されている非常用発電機。本市におきましては,国内外から訪れる観光客の災害時の対策と共に帰宅困難者への訓練も重要課題として実施されております。しかし,ホテルラッシュによる建物の日々の増加も目を見張るものはあります。災害時に既存の建物に設置されているその多くの非常用発電機が正常に作動するのかどうか,そのための日々の点検は規定どおり実施され,万が一の時に安全が確保できるかどうかが今問われております。 本市ではありませんけれども,事例として,今年2月ある商業施設で非常用発電機を点検した際の出来事でありますが,稼働試験を実施したとき,スイッチを入れると同時にエンジンをスタート,そしてごう音と共に周り一帯に煙が立ち込めたということで,点検作業員が避難したことも報告されております。 御存じのように,非常用発電機とは,地震や停電など災害時に,スプリンクラー,消火栓ポンプ,エレベーターを作動させるための設備で,特に病院や公共施設,劇場,商業施設など人が多く集まる施設で延べ床面積が1,000平方メートル以上の建物には設置が義務付けられています。しかし,設置されても適正な点検をしていないと,排気管や排煙機器にたまった燃料やカーボン等が初動時に燃え煙が出たり,時には火が付くといったことも想定され,必要なときに作動しない発電機が存在しているのが現実と言われております。当該施設業界の関係者は,全国においても多くの非常用発電機の正常な点検を疑問視しております。万が一の非常時に稼働しない可能性を示唆しております。今後,大きな地震が発生することを心掛ければ,日常から正確な点検をすることの必要性がうたわれています。 非常用発電機の点検については,年に1回施設全体を停電させ,非常用に切り替え,そしてスプリンクラー等が正常に作動するかを確認することを義務付けています。とはいえ,テナント入居者や病院などで全館停電は非常に難しいため30パーセント以上の負荷を掛け,非常用発電機が正常に稼働するかどうか負荷運転による点検において確認するとともに,その点検をしたうえで,各施設のオーナーは,負荷運転の実施の有無や内容を記入いたしまして,非常用電源点検票を管轄の消防署に提出することになっております。これも義務付けられております。 大阪市のホテル,商業ビル,病院,介護施設及び公共施設を対象として情報公開請求をされた情報によると,460施設の非常用電源点検票を入手し,そして適切な点検の実施が行われているかチェックし,その結果として負荷運転が実施されている施設は211で,割合にし45.87パーセント。半数以上は電源を入れただけの無意味な無負荷運転を含み,負荷運転が行われていないことが分かったわけであります。防災関係者が出向いて確認しても実際には実施していない施設もあり,問合せによると「面倒なので実施したことにして提出する」,また,「今後は適正な点検を報告する」と返答されたものもあったとされております。なぜならばこの点検には多くの経費が掛かることもあるからです。 消防法では,虚偽報告は30万円以下の罰金が科せられる中,消防庁も点検を施していない施設はそのように多くないと言いつつも,各地の消防局は点検票を受け取るだけで精査せず直接点検に立ち会うことがないとも言われております。本市におきましてはどういった状況なのかお尋ねしたいと思います。 本市での状況については,市民の方の情報公開制度に基づき得た資料によりますと,本市上京区内の特定消火対象物で延べ床面積1,000平方メートル以上の建物における非常用発電機設置に伴う点検実態を見ると,情報公開された9施設の事業者から提出された点検票の写しを見ますと,機械装置の内容が記載されていないもの,また負荷運転をせず無負荷運転で済ませたり,稼働試験の有無も記載されていないことが判明いたしました。非常用発電機の電源はいつも正常に作動する,消防法令により年1回負荷を掛けた運転試験による点検試験が義務付けられています。災害時に被害を最小限にとどめるための重要な役割を担う非常電源に関する本市全域における該当施設の状況と共に,消防法上の法定点検実施状況についても答弁を求めます。また,法定点検がなされていない場合はどのような指導をされてきたのか,併せて答弁を求めます。 本市内における図書館の果たす役割は非常に重要であります。学校教育のみならず地域におけます生涯教育の場として利用が促進され活気を呈しております。現在,20館が設置され,更に増館の要望は日頃からそれぞれ寄せられております。しかし,その実現について困難な要素も多く,利用しにくい地域の方々への図書館サービスの提供として移動図書館として巡回されています。その歴史は古く,全国の市町村に先駆け昭和25年(1950年)に青い鳥号としてスタートし,その後,昭和39年に名称がこじか号と改称され,車両も平成28年度に更新され現在に至っております。積載されています冊数は約2,200冊,車での貸出しも可能であります。車両の施しも市立銅駝美術工芸高校の生徒作品をプリントし,巡回箇所では市民の皆様に親しんでいただけるものとなっております。 巡回場所は41箇所に及び,火曜日と日曜日を除き,各月1回の巡回。北区では今5箇所,山科区では5箇所,左京区では13箇所,下京区では1箇所,右京区では8箇所,西京区では5箇所,そして伏見区では桃山南小学校,納所小学校,明親小学校,そして美豆小学校区はローソン淀際目町店の駐車場で小学校を中心としつつ,長時間こじか号の駐車可能な場所として,そうしたコンビニの駐車場をも拝借をしている状況であります。一人10点まで,そして障害をお持ちの皆さんには20点,返却は次回の巡回日とされ,平成28年度にも利用者数は1万3,628名,そして個人貸出冊数も約5万冊,そして団体の貸出しは1,600冊に達しております。利用の声は,1回でも多くの巡回を待ち望む声が多くあります。現在1車両での巡回で限界はあろうかと思いますけれども,工夫され,利用者の理解が得られるような手法も講じる中で,巡回数の増加につなげていただきたいものであります。最近は,本を読まないとの状況がありますが,巡回地にとって待ち遠しい移動図書館の果たす役割は大きいことを再認識していただき,検討課題として強く要望しておきます。 平成20年4月には,(仮称)水垂運動公園整備計画が策定されました。それから9年を経過したこの間,平成20年には測量,そして厳しい財政状況と共に,周辺道路の交通課題等により,平成22年度以降,整備方針が,また関係局でも協議,検討が進められております。しかし事業は中断して,工事着手には至らず今日を迎えておるわけであります。しかし,一昨年,基本計画を見直すとともに市民ニーズや財源を精査し,そして当初事業費見込額の減少も含めて再検討して,そして事業再開準備を経て,平成27年度,見直しに向けた検討を行うための業務契約を締結し,事業化に向け,再度動き出しました。平成28年には,公園アクセス道路を見直すとともに,現在の新しい堤防道路からの建設も進み,新設堤防道路から公園予定地へ出入りするルートに変更することにより,交通混雑とアクセス問題や区域の拡大も見直しをされ,あわせて事業手法も都市計画事業として進めておるわけであります。 これまでDBO方式の導入も検討されましたけれども,昨年8月にはPFI方式を視野に入れたものとなり,事業進捗が少しかいま見ることができる状況になりました。そして平成30年度以降,事業実施に向けた事務手続を進めると表明されたことは,地元のみならずスポーツ団体をはじめとして関係諸団体からの期待も大きいものがあります。早期着工に向けた条件整備の具体化を強く要望しておきます。 次に,西日本旅客鉄道株式会社JR西日本の奈良線複線化に伴う第一御陵踏切廃止案が問題となっております。過日,地域周辺を含む関係諸団体から議会に対して陳情が提出されているほかにも,市長やJR西日本への要望書も提出されております。地元においては,複線化による利便性向上については理解されるものの当該踏切が日常の市民生活にとり大変重要な役目を果たしていることを主張されております。伊達街道と交差する当踏切は,上板橋通にも大きな影響を与えており,廃止せずに地元住民の生活を守ることを視点に置いた施策の推進を強く要望しておきます。 私の質問はこれで終わりますけれども,総選挙はもう間もなくであります。私どもも力を一つにして国民の皆さん方の付託に応えるよう頑張るつもりでございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 安井つとむ議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革についてでございます。平成28年度決算は,円高の影響や消費の伸び悩みなどによる全国的な税収の減や地方交付税の減が大きく影響し,一般財源収入が当初予算の見込みから140億円落込み,公債償還基金の取崩しに加えまして,財政調整基金も全額取り崩すという対応でいかざるを得ない,正にリーマンショック以来の厳しい財政運営を強いられることになりました。こうした状況にあっても,京都の今と未来に必要な施策は,着実に推進していかねばならないとの決意の下に,社会福祉関連経費をしっかりと確保し,私が市民の皆様にお約束した133の公約についても,初年度となる平成28年度に,全体の97パーセントに当たる129項目に着手いたしました。今後も,厳しい財政状況が続くと見込まれますが,これを乗り越え,未来を見据えた施策を推進していくためには,決して縮小一辺倒になることなく,国の施策とも一体となった成長戦略と,公債償還基金の取崩しなどの特別の財源対策に頼らない持続可能な財政運営を確立するための徹底した行財政改革を同時に断行することが不可欠だと考えております。 まず,成長戦略については,市民所得の向上と中小企業の活性化による担税力向上という視点が,これまで以上に重要であります。文化芸術や伝統産業といった京都の強みをいかした産業振興の推進や,中小企業の下支えと成長を支援する担い手確保や事業継承の支援,また,京都の潜在的な成長力を最大限に発揮し,学術研究,先端産業等の更なる進展を図るための産業用地の創出にも全力で取り組んでまいります。さらに,全国トップ水準の子育て,教育環境の充実や,市民ぐるみ,まちぐるみの本市への移住,定住支援の取組など,住みたい,住み続けたい,働きたいと実感していただけるまちづくりを推進してまいります。行財政改革につきましては,「京プラン」実施計画第2ステージに掲げる取組を,更に深掘りして進めていかなければなりません。新たな財源である宿泊税の導入や遊休地の売却など資産の有効活用,また,休廃止を含めた事業の抜本的な見直しや人件費の削減など歳入,歳出両面において聖域を設けることなく取り組むとともに,国に対しては,地方交付税制度の抜本改革などをこれまで以上に強く要望してまいります。今後とも,市民の皆様に確かな豊かさを実感していただくとともに,未来に責任を持つ財政運営の確立を目指し,成長戦略と行財政改革を一体的に更に加速してまいります。 次に,交通政策の視点からの,連節バスの導入に向けた検討についてでございます。車両が2両つながり,通常の大型バスと比べ大量輸送可能な連節バスは,他都市においては,主に鉄道駅と大学,大規模施設などといった2点間を結ぶ基幹路線において,ラッシュ時等における混雑緩和対策として導入事例があり,本市の「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージにおきましても,BRTなどの新たな公共交通への取組を掲げているところであります。この間も,安井議員御指摘のとおり,広範な分野の学識者等による京都のまちの活力を高める公共交通検討会議におきまして,10年後の京都の公共交通の在るべき姿の実現に向け,まちの活性化,環境負荷の低減,自動車交通から公共交通への転換促進などの視点から,重点を置くべき施策の洗い出しや具体化の検討を行ったところであり,連節バスの導入についても課題やメリットを含めて御議論いただいたところであります。 導入に際しての具体的な課題としては,通常の大型バスの約1.6倍という全長に関連しまして,本市の狭隘な道路における安全な走行環境や停留所の確保及び大量の乗客のスムーズな乗降を実現するための工夫,海外からの調達に依存する現在の車両購入や専用整備場,留置場の確保,走行に適した路線やエリアの絞り込みや事業者間の運行調整など克服すべき数多くの点が挙げられております。その一方,連節バスは,駅などの交通結節点における大量の乗客に対応することが可能であり,公共交通サービスとしての質の向上,環境負荷の軽減等の効果が見込まれるほか地域活性化や都市のイメージ向上のシンボルに活用できるなどのメリットがあるものと考えております。 引き続き,連節バス導入に係る様々な課題に対しまして,公共交通優先の歩くまち・京都推進会議等における議論を深めるとともに,地域のまちづくりと一体となった議論の中で,地域の実情も踏まえながら必要に応じて,効果的な運行エリアや時間帯を踏まえた実証実験を実施することも視野に入れ,検討を重ねてまいります。なお,公共交通の運営は独立採算が前提でありますが,こうした実証実験を実施する場合については,本市における予算上の対応の可能性についても,併せて検討してまいります。 次に,東部クリーンセンターの跡地活用についてでございます。京都の更なる経済の活性化,人口減少社会の克服など京都の発展に向けてまちづくりを進めていくためには,本市の貴重な財産である市有地等の有効活用を図ることが極めて重要であります。とりわけ,東部クリーンセンター跡地は,市民や事業者の皆様の御理解と御協力により,ごみの減量,リサイクルが進捗している状況を踏まえまして,ごみ処理コストの大幅な削減を図るため,老朽化した東部クリーンセンターを廃止し,3工場体制への移行により生み出すことができた京都市民全体の大きな財産でございます。 この跡地は,隣接する老人保養センターや醍醐図書館の敷地約7,000平方メートルを含めると,約4万4,000平方メートルと広大で,地下鉄東西線石田駅から約300メートルの距離に位置する利便性の高い,非常に大きなポテンシャルを有する土地でございます。その一方で,安井議員御指摘のとおり,不整形な土地形状などの活用を進めるに当たっての課題があり,とりわけ既存施設の解体撤去だけでも約20億円もの高額な費用が見込まれることは,本市の厳しい財政状況においては大きな課題となっております。 こうした状況の下,跡地の有効活用に向けて,これまでから,課題の洗い出しや活用方法のアイデア等について全庁挙げて検討するとともに,跡地に関する基礎調査や活用可能性の調査,分析等を行い,民間活力による跡地活用に向けた検討を進めております。 また,京都市資産有効活用市民等提案制度の対象資産に位置付け,市民や事業者の皆様からの活用案を常時募集しており,こうした取組によって,複数の事業者から活用に向けたお問合せなどをいただける状況にはなっておりますが,まだ具体的な提案をいただける段階には至っておりません。このため,民間の幅広い事業者の皆様から,地下鉄の増客はもとより地域や経済の活性化に貢献する現在の都市計画制限等に捉われない創造性に富んだ幅広い御提案を積極的にいただき,地域の方々の御理解も得る中で,醍醐地域ひいては京都が未来に向けて大きく飛躍できるような英知を結集し,全力で取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 荒木消防局長。 〔荒木消防局長登壇〕 ◎消防局長(荒木俊晴) 非常用発電機の点検についてでございます。消防法において,一定規模以上の建物所有者等は,自家発電設備を設置し,専門的資格を有する消防設備士等による点検を受け,各消防署に報告することが義務付けられています。この点検のうち,動力源に当たるエンジンと発電装置を一体的に稼働させ,発電能力を確認する負荷運転については,国の告示により実施しなければならないこととされております。熊本地震において自家発電設備が正常に作動しなかった事例を踏まえ,本市では,提出された報告書により負荷運転が実施されていないことを把握した場合には,建物所有者等に対し国が定めた点検方法により実施するよう粘り強く丁寧に指導を行ってきた結果,再度点検し,報告書が提出された事例も認められています。しかし,本市における負荷運転の必要がある対象物は約800棟あり,実施状況は約4割と決して高いとは言えない状況です。これは,自家発電設備の負荷運転を実施する場合には,全館停電を行うか,又は多額の費用を要する停電させない点検方法となることから,施設にとっては,いずれの場合も負担が大きく,結果として,動力源にあたるエンジンの起動確認のみを実施し,負荷運転は行われないことによるものであります。負荷運転の実施は,全国的にも同様に低調な状況であり,総務省消防庁においても,平成27年に立ち上げた消防用設備等点検報告制度のあり方に関する検討部会において,特に低調である自家発電設備の負荷運転について,負担の少ない点検方法などが検討されているところです。本市では,引き続き建物所有者等に対し,建物の実態に応じた点検方法等について丁寧に指導するとともに,国の検討内容も踏まえ,設備の点検に係る業界団体とも連携しながら,点検が適正に実施されるよう努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,山本ひろふみ議員に発言を許します。山本議員。 〔山本ひろふみ議員登壇(拍手)〕 ◆(山本ひろふみ議員) 伏見区選出の山本ひろふみです。安井つとむ議員に引き続き,民進党京都市会議員団を代表し市政一般について質問いたします。市長並びに関係理事者におかれましては分かりやすく,丁寧な答弁をお願いいたします。 まず初めに青少年の健全育成について質問と要望をいたします。10年前の平成19年2月,子供の存在を尊重し掛け替えのない命を守ります,子供から信頼され模範となる行動に努めますなど六つの行動理念と前文からなる子どもを共に育む京都市民憲章が多くの市民の議論の下に制定されました。同年3月には市会本会議でその憲章を推進する決議が採択されるとともに,平成23年4月には子どもを共に育む市民憲章の実践の推進に関する条例が施行されました。 この京都はぐくみ憲章の理念の下,子供,若者はもとより,地域全体が元気になっていくまちづくりを推進するため,本年4月子ども若者はぐくみ局が新設されました。さらに区役所には,保健と福祉の垣根を取り払い従来の福祉事務所と保健センターの機能を統合した保健福祉センターが5月に設置されました。この保健福祉センターでは,子ども若者はぐくみ局の子育て支援に関する業務,保健福祉局の障害,高齢者福祉,生活保護,国民健康保険,国民年金,医療衛生などの業務を担う,正に地域における一大福祉拠点となります。その機能を十分にいかして,地域の福祉課題に迅速に総合的かつ専門的に当たっていただきたいと期待するものであります。 この局横断的な組織が力を発揮するのは,ひきこもりなどの複合的な課題を抱える方への支援ではないでしょうか。ひきこもりは,その特性上,生活支援や就労支援,積極的な訪問支援,地域の支援者へのつなぎ,個人だけではなく家庭への支援等,幅広いサポートが必要です。内閣府が毎年公表している子ども・若者白書,本年6月13日に発表された2017年版からの推計によると,日本における15歳から39歳までの狭義でのひきこもり認定者率は0.51パーセント,数にして約17万6,000人。広い意味での認定率は1.57パーセント,数にして54万1,000人と推計されています。ひきこもりになった原因では,職場になじめない,病気,就職活動や受験の失敗などが多くなっています。特に青少年期に社会との関わりを絶ち長時間過ごすことは,2次的,3次的困難を生み出し,社会復帰をより難しくします。 京都市では,これまでひきこもりの支援は中京青少年活動センター内にある子ども・若者総合相談窓口とこころの健康増進センターがひきこもり地域支援センターとしての役割を担ってきました。平成28年度は20代の239人をはじめ合計548人に対し,電話,メール,来所,訪問等の様々な支援が行われています。特に,本人ではなく親からの相談が圧倒的に多いとのことです。また,京都市では,平成26年度以降,ひきこもりをはじめ総合的な課題を抱える世帯への支援については地域あんしん支援員がその役割を担っています。ひきこもりの課題を抱える世帯への支援に当たっては,福祉施設やNPO団体等が実施するボランティア活動への参加など,本人の居場所づくりやチャレンジ就労体験事業への参加等による成功体験の積重ねを通じて,本人が生きがい,やりがいを見出せるような支援が必要です。ひきこもりは,すぐに解決する課題ではありません。また,当事者とて,ひきこもりたくてひきこもっているわけではありません。小さなつまずきから社会との関わりを絶たざるを得ない若者の社会復帰には,長期的な寄り添い支援と家族との協力,更には地域やNPO等の関連団体との連携が必要です。 今回の部局の再編により全ての保健福祉センターに統括保健師と,全ての区に地域あんしん支援員が配置されていることを踏まえ,これまでの取組に加え,より地域に身近な区役所・支所内の保健福祉センターでもひきこもりの相談に応じ支援することで,よりひきこもりになりにくい,長期化を防ぐ環境が整うと考えますがいかがですか,お答えください。 次に,青少年の健全育成について一つ要望いたします。街のあちこちにあるコンビニエンスストア。私もよく利用しますが,大変気になるのが,コンビニの中でも往来の多い本棚に陳列されている成人用雑誌です。気になるからこそ意識していると,全てのコンビニで陳列,販売されているわけではないようです。住宅街のコンビニや,需要に応じて,販売をしていないコンビニもあるようです。この成人用雑誌の前を毎日多くの子供が往来することが子供たちの健全な育成にいい影響を与えるでしょうか。京都府の迷惑行為防止条例で一定の規制もされていますが,まだまだ不十分だと感じます。 また,京都には多くの海外からの観光客もお越しになります。私も何度か海外に行ったことがありますが,これほど身近に成人用雑誌が販売されている国は記憶にありません。海外からの観光客が,コンビニに成人用雑誌が売られていることに驚いたという話も聞いたことがあります。 さて,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関という組織があります。公的空間における女性と女児に対する性暴力,セクシュアルハラスメントを防止,減少させること等を目的に活動されている国連機関です。堺市では,2013年にその機関が取り組むプログラムに参加することを表明し,2014年,公的空間における性表現について調査が行われ,街頭の広告物と同様に,コンビニエンスストアに陳列されている成人用雑誌についても,子供でも容易に目にすることができるとの認識の下,某大手コンビニチェーンと協定を締結され,市内一部の店舗で表紙を覆う取組が行われています。その取組は千葉市にも広がりを見せていますが,表現の自由等からなかなか難航しているとの報道も目にします。さりとて今の状況を放置するわけにはいきません。カバーをする,表表紙が見えないように縦に陳列する等何かしらの配慮,協力をコンビニに求め対策を実施していただけるよう京都市としてできることを検討していただきますよう要望いたします。 次に,LGBT対策について質問いたします。LGBT,御存じのとおり,レズビアン,ゲイ,バイセクシャル,トランスジェンダー,いわゆる性的マイノリティの方々の総称です。私の個人的な感覚では,ここ数年で徐々にではありますが社会的認知が進んできたような感じはしています。市会の議事録を見ると,初めてLGBTという言葉が登場するのは平成27年の1月です。より一般的な性的マイノリティという言葉でも議事録で初めて登場するのは平成26年9月。まだまだ新しい課題であり,今後もしっかり取り組んでいかなければなりません。 その割合,数については潜在的なものもあり正確な数値は不明ですが,ある調査では日本人の約8パーセントとも言われています。約13人に一人,35人学級であればクラスに二,三人。当たり前でありながら,社会的に認知されず,学校,会社,さらに社会の中でいじめや差別の対象となりやすく,自殺リスクが高いことも指摘されています。先日,教育福祉委員会の教育委員会との質疑では,近年,教職員に対してLGBTについての研修が行われているとのことです。また,児童に対して総合的な学習の中でLGBTについての授業が行われている学校もあるとのことでした。文化市民局では人権啓発イベントの中でこのLGBTを取り上げたり,人権総合情報誌で特集をするなどされていますが,もう一歩進んだ取組が,特に啓発という外向きの姿勢ではなく,当事者や関係者からの声に直接応える取組が必要ではないでしょうか。 本年6月15日,民進党京都市会議員団として札幌市での行政調査を行いました。札幌市では,今年6月から性的マイノリティに係るパートナーシップ宣誓制度が運用されています。お互いが人生のパートナーとして日常生活において相互に協力し合う関係であることなどを札幌市長に対して宣誓する制度で,宣誓書の写しと市長名の宣誓書の受領書が交付されます。現時点において法的拘束力はなく,夫婦と同様の行政支援が受けられるものではありませんが,制度開始から4箇月で30組の申込みがあったということです。また,札幌市では毎週木曜日の16時から20時,LGBTホットラインという専用の電話相談窓口を設置しています。千葉市では,今年から市の職員の結婚休暇ならぬパートナー休暇や介護休暇も取得できるようになったそうです。 民間での取組は更に進んでいます。第一生命保険,ライフネット生命保険では,死亡保険の受取人に同性のパートナーを指定できます。大手携帯電話会社では,家族割引の対象範囲に同性パートナーを加えています。日本マイクロソフト,日本IBMでは,結婚祝い金や休暇制度を同性婚にも認めています。全体的には外資系企業での取組が先行している印象です。 先日,ある当事者の方の講演を聴く機会がありました。自分の人生を振り返り感じてきた生きづらさ,自問自答の繰返し,勇気を持ったカミングアウト,現在はLGBTの総合的な支援や講演活動を行われていますが,知ること,受け入れることの大切さなど大変勉強になりました。必要なのは性的マイノリティについて行政が認め,受け入れ,そして行動する姿勢です。 少し,話を変えます。記憶にある議員の方もおられると思いますが,2013年9月24日,この京都市会本会議場で行われた議員研修では,当時の大阪市立大学都市研究プラザ所長で,現在は大阪市立大学名誉教授であり,文化庁地域文化創生本部主任研究官である佐々木雅幸氏を講師に,文化芸術創造都市について御講演をいただきました。そこで紹介されたのがアメリカの都市経済学の専門家のリチャード・フロリダ氏の著書「クリエイティブ資本論」。その中にある都市の経済成長に必要な三つのT。つまり技術(テクノロジー),才能(タレント),寛容性(トレランス)。その寛容性を表す指標としてゲイ・ボヘミアン指数というのを紹介されました。ゲイ・ボヘミアン指数とは,著者が行った研究で,アメリカのシリコンバレーなどハイテク産業で大きく成長している都市の国勢調査を分析したところ,同性愛者と俳優や芸術家,デザイナーなどクリエイティブな仕事に従事する人が多いということが分かり,都市の創造性を図る指標として用いられる指数だとのことです。つまり,全ての人の人権,価値を社会全体が認め,その人の持つ才能を発揮する,違うものとの出会いが新たな価値を生み出す,それが目指すべき文化芸術創造都市であるとの内容だったと記憶しております。 京都市と京都市民全体が性的マイノリティをしっかりと受け入れることも,京都が目指すべき都市像にも親和性があると考えます。今後,京都市としてLGBTの支援に広報,啓発以上に必要な支援をするべきだと考えますがいかがですか,お答えください。 次に,地球温暖化対策について質問いたします。20年前の1997年,ここ京都の地で開催された第3回気候変動枠組条約締結国会議,いわゆるCOP3において,地球温暖化対策に関する人類史上初めての国際的な約束である京都議定書が誕生いたしました。京都議定書は,先進国の温室効果ガス排出量に削減義務を課すなど,初めて法的拘束力を持った画期的な国際協定であり,世界規模での対策を加速させる礎としての役割を果たしており,この京都の名前を冠した国際協定は,私たち京都市民にとっても誇りであり,京都市こそが日本のみならず,世界の都市,国の温室効果ガスの排出削減を牽引する責務があると考えます。 さらに,2015年にパリで開催されたCOP21において,新たな地球温暖化対策の枠組みとなるパリ協定が誕生し,翌年2016年11月に発効されています。パリ協定では世界的な平均気温の上昇を産業革命前から2度以内に保つこと,同時に1.5度以内に抑える努力を追求することなどが定められ,今世紀後半の温室効果ガスの実質排出ゼロに向けて,先進国のみならず途上国を含め世界各国が温室効果ガス削減目標を設定し取り組むという京都議定書の後継,発展版とも言える協定です。ちなみに,日本の目標は,2030年の温室効果ガスの排出量を2013年度の水準から26パーセント削減するという厳しい目標です。 このパリ協定の誕生を受けて,世界各国が地球温暖化対策を強化しつつある中,今年6月,アメリカのトランプ大統領がアメリカとして協定からの離脱を表明しました。アメリカは中国に次ぐ温室効果ガスの大排出国であり,アメリカの離脱によって地球規模の温暖化対策に大きなブレーキが掛かるのではないかと世界中で懸念が広がっています。しかし一方で,アメリカ国内では別の動きもあります。アメリカの離脱表明を受けて,ニューヨーク州のクオモ知事,カリフォルニア州のブラウン知事,ワシントン州のインズリー知事が共同議長となる州政府の連合体,米国気候同盟を結成し,州,自治体レベルで再生可能エネルギーへの投資拡大や電気自動車の導入促進など,パリ協定が設定したアメリカの温室効果ガス排出基準目標を達成することを宣言。その後,188の首長が参加するにまで広がりを見せています。 こうした中,本年12月10日,京都議定書誕生20周年を記念して,京都国際会館において,パリ協定の目標の実現に向けて,更なる地球温暖化対策の重要性と,その実行に向けた決意を世界の都市と共有することを目的とし,地球環境京都会議2017が開催される予定になっており,先日その詳細が発表されました。テーマは「気候変動への更なる挑戦~京都議定書からパリ協定へ~」,「環境と調和した持続可能な都市文明の構築へ」。門川市長の基調講演に始まり,オーストリアにある,地球環境問題をはじめ21世紀に人類が直面する課題を研究している国際機関の副所長であるネボイシャ・ナキチェノビッチ氏と京都大学名誉教授であります加藤尚武氏による基調講演,分科会では「都市間連携により促進する地球温暖化対策」,「低炭素型都市のデザイン」,「環境と調和した持続可能な都市文明の構築へ」などが議論される予定です。海外からはパリ市はもちろん,アメリカやヨーロッパの自治体が,国内では横浜市などが参加し,最後には京都宣言の採択が予定されています。私も大変楽しみにしておりますし,もちろん先着順ではありますが,市民の方の参加申込みも現在行われています。 そこで市長にお伺いいたします。門川市長は,トランプ大統領の離脱表明を受けて,京都議定書誕生市の市長として残念でならないと声明を出されましたが,地球温暖化対策は,国はもちろん自治体レベルで取り組むべきことも多くあります。この地球環境京都会議2017を契機に,改めて京都から世界中へ地球温暖化対策に取り組む必要性について強力に発信する必要があると考えます。パリ協定の目標実現に向けて京都市がどのような姿勢で挑まれるのか,お答えください。 さて,去る9月3日から10日まで,「子ども若者はぐくみ局創設を契機とする福祉と教育の融合策と平成32年度実施の新学習指導要領を見据えた,生きる力を育成する教育制度,教育実践の具体化」をテーマに実施された京都市会海外行政調査にその一員として参加をし,フィンランド,エストニアの両国で学んでまいりました。いずれの国においても,子供は国の宝と明確に捉えられ,グローバルで変化の速い世界の中で30年後,40年後も自立して生活することを目的に教育が行われていました。地域において教員という職業が尊敬され,信頼されています。保護者からの信頼もあり,親は安心して働くことができます。子供も教員を信頼しているからこそ,教員を信じ,安心して学ぶことができます。先生同士が信頼をし合っているからこそ,国は現場に多くの財源と権限を与えることができます。 また,国民一人一人に生涯にわたって学び続ける環境が整備されています。その中核施設としての図書館が機能しています。図書館といってもただ本を借りるだけのものではなく,会議室などは地域コミュニティの形成に役立てたり,音楽スタジオのようなものもあり音楽活動の推進にも役立っています。移民を対象としたフィンランド語の教室なども行われていました。国の成り立ちや,働き方,税の在り方など,国として日本とフィンランド,エストニアは大きな違いがありますが,少人数学級の推進,障害の有無にかかわらないインクルーシブ教育,図書館と地域の行政が連携し,図書館が中心となったコミュニティづくりと生涯学習の推進などは京都市でも参考にできる事例であったと感じました。 詳しい報告と京都市への政策提案は,今後,調査団として行いたいと思いますが,この場をお借りして報告の一端とさせていただき,私の代表質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山本ひろふみ議員の御質問にお答えいたします。 ひきこもり支援についてでございます。人と人とのふれあいや社会とのつながりが希薄になり,孤立した状態におかれるひきこもり。これを是非,市民ぐるみ,地域ぐるみのつながりの中で,子供,若者を見守り支える京都ならではのはぐくみ文化によって社会とのきずなが深まるよう全力で支援したい,私はそのように考えております。 ひきこもりについては,その要因が一人一人様々であり,支援に当たっては,山本議員御指摘のとおり,生活支援や就労支援,積極的な訪問支援,さらには,福祉,教育,医療といったあらゆる分野の支援策を融合し,地域との協働の下,当事者及び御家族を幅広く支援していく必要があります。これまで,本市では,ニート,ひきこもりなどの子供,若者に幅広く対応する子ども・若者総合相談窓口の開設,相談窓口の一つである中京青少年活動センターにおける寄り添い型,見守り型支援を行う支援コーディネーターの配置,ひきこもり支援に特化したひきこもり地域支援センターの設置など,関係機関との連携を図る中で,当事者や御家族に寄り添った支援に取り組んでまいりました。さらに,本年5月には,全庁的な議論と関係者の御意見を踏まえ,各区役所・支所に保健と福祉の垣根を取り払った子どもはぐくみ室をはじめ,市民に分かりやすい六つの分野別の窓口に再編した保健福祉センターを設置するとともに,ひきこもりをはじめ複合課題を抱える世帯への分野を超えた総合的な支援を展開するため,各分野をつなぎ統括する統括保健師を新たに配置しております。また,ひきこもり状態にある方を含め,制度のはざまや支援の拒否といった福祉的な支援が必要であるにもかかわらず支援につながっていない方などに対し,地域や関係機関と連携,協働し,適切な支援に結び付ける地域あんしん支援員を平成26年度から段階的に配置し,今年度全区への配置が完了したところであります。 このような体制の下,保健福祉センターにおいては,ひきこもり等の複合課題を抱える世帯への支援のために,統括保健師と地域あんしん支援員を軸に,子どもはぐくみ室や障害福祉,生活保護等の各分野の連携強化を図るとともに,本市独自の若者支援の取組と一体となって進めることで,地域と本市,さらにはあらゆる関係機関が協働する支援の輪を完成させていきたいと考えております。この支援の輪により,従来の取組では対応できなかった課題についても,解決の糸口を見出すことができるものと確信しております。このため,まずは保健福祉センターの支援の要となる統括保健師,地域あんしん支援員と支援コーディネーターとの連携を,相互交流の実施やひきこもり世帯への同行訪問等を通じて一層強化してまいります。これにより,ひきこもり世帯のニーズに早期に気付き,その家庭が必要とする支援策につなぎ,地域や関係機関と一緒に支える,気付き,つなぎ,支える,切れ目のない支援を行ってまいります。 このひきこもり支援の取組が,貧困から生じる困難や虐待といった,複合化,複雑化する課題を抱える方への支援モデルとなるよう進めてまいりたいと考えております。今後とも,人と人とのつながりの下,支え合い,共に成長するはぐくみ文化の一層の醸成に取り組み,子供,若者はもとより,地域全体が元気になっていくまちづくりを進めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 地球温暖化対策についてでございます。地球温暖化対策に関する人類史上初めての国際的な約束である京都議定書が誕生し,今年で20周年を迎えます。本市では,この間,京都議定書誕生の地の誇りと責任を持って,健全で恵み豊かな地球環境を将来の世代にしっかりと継承していくため,全国で初めて地球温暖化対策に特化した条例を制定するなど市民事業者の皆様と共に先進的な取組を推進してまいりました。一昨年,京都議定書はパリ協定へと大きく飛躍し,世界の気温上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑えるため,今世紀後半における温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すこととなりました。本市ではこうした動きを重く受け止め,温室効果ガスの削減につきましては,大変厳しい状況ではありますけれども,条例に掲げます国を上回る高い目標を堅持したうえで,本年3月に地球温暖化対策計画を改正し,エネルギー消費量が増加している,特に家庭部門及び業務部門の対策などを強化いたしました。それとともに地球温暖化による被害の防止や軽減のための,いわゆる適応策を新たに追加いたしました。さらに,温室効果ガスの排出実質ゼロという全人類共通の目標を見据え,全国に先駆けて2050年以降の未来をも視野に入れた戦略プロジェクトゼロへの道を掲げるなど,一層の取組の深化を図っているところでございます。山本ひろふみ議員御紹介のとおり,世界中がパリ協定を踏まえた歩みを進める中で,アメリカのトランプ大統領からは協定離脱表明がなされたところでございます。これに関しましては,直ちに,京都議定書誕生の地である京都を代表いたしまして,門川市長から強い遺憾の意を示したところであります。米国内においても,大統領の離脱表明にもかかわらず,多くの州や都市,さらには,企業や投資家までもが離脱に反対の声を上げ,協定の実現に向けた努力を続けるということとされております。一方,都市には,現在世界人口の約半分が住んでおり,2050年には,その割合が3分の2になるとも言われております。また,全世界の炭素排出量の75パーセントを都市が占めております。こうした状況から,パリ協定の実現に向けては,国家の役割はもとより,市民生活に直接関わる都市の政策や都市間での成功事例の共有が一層重要となり,議定書採択の舞台となった京都市こそが世界の都市間連携をリードする姿勢を持たなければならないと考えております。そのため本市では,来る12月10日,京都議定書が誕生した国立京都国際会館におきまして,地球環境京都会議2017を開催し,多くの市民の皆様や,パリ市をはじめ国内外の先進都市などと共に,議定書の意義を改めて確認し,環境と調和した都市文明の構築に向けた理念や更なる地球温暖化対策の必要性とその実行への責任と決意を共有してまいりたいと考えています。また,こうした思いを京都宣言として取りまとめ,市民や事業者の皆様との連携による率先した取組の推進に併せて,国連の公式協議機関でありますイクレイ--持続可能性を目指す自治体協議会の世界大会など様々な機会を活用して広く世界に発信することにより,持続可能な社会の構築に向けた地球温暖化対策の促進につなげてまいります。私からは以上でございます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,LGBT等の性的少数者に対する取組についてお答えいたします。LGBT等の性的少数者の方々につきましては,次第に認知されつつあるものの,まだまだ社会の理解が低いという現状にあるため,社会生活の様々な場面において偏見や差別により当事者の方は精神的な苦痛を受けていることに加え,社会的参加も困難な状況に置かれております。このような状況を踏まえますと,取組を進めていくに当たっては,多様性を尊重する意識が社会全体に広がり共有されることが大変重要であり,そのことにより偏見や差別が解消され性的少数者の方々を受け入れ,共に生きる社会の構築を目指すべきものと考えております。このため本市では,これまでから人権総合情報誌におきまして,当事者の体験談や企業の取組等を紹介するとともに,性的少数者の人権をテーマとした啓発講座を開催するなど様々な取組を実施することで,市民や企業の皆様の理解を深め,社会的認識の形成を図ってまいりました。近年,世界においては,平成26年にオリンピック憲章に,性的指向による差別の禁止が規定され,平成28年には国連人権理事会で,性的指向及びジェンダー・アイデンティティに基づく暴力と差別に対する保護に関する決議がなされるなど,性的少数者の方々の人権を守るための環境整備が急速に進められております。また,山本ひろふみ議員御紹介のように,幾つかの自治体や民間企業においては,性的少数者を擁護するための具体的な取組が始まっており,今後平成32年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向け,様々な取組が更に加速していくものと考えております。本市といたしましても,今後これまでから実施している教育,啓発の取組を一層充実させていくとともに,国の動向や他都市における取組状況,支援団体等の御意見なども踏まえまして,どのような課題があり何が必要とされているのか十分に調査研究したうえで,検討を進めてまいります。都市像との親和性につきましては,京都市基本構想におきましても,全ての人が自分の居場所を確認し,自己の資質を十分に発揮しつつ,生き生きと活動できる場所と機会に恵まれたまちを目指すことを明記しております。それはすなわち,互いの多様性を尊重するまちづくりを目指すことであり,そういった精神に基づき,今後とも,LGBT等の性的少数者の方々を含めた全ての人々の人権が尊重され,誰もが安心して生活し,活躍できる人権文化の息づくまち・京都の実現に向けて取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,宇佐美けんいち議員に発言を許します。宇佐美議員。 〔宇佐美けんいち議員登壇(拍手)〕 ◆(宇佐美けんいち議員) 左京区選出,日本維新の会の宇佐美けんいちです。会派を代表して質問いたします。 冒頭に,私自身も15年余り所属する左京消防団は,この10月には定員充足率100パーセントを達成する見込みと伺っています。団員のなり手がいないと全国的に課題になっている中で,こういった充足率はかつてないことです。ここに至るまで大変な御努力があったことと思います。この場をお借りして,左京消防団本団はじめ各分団,関係各位に対し敬意を表したいと思います。 では,質問に入ります。決算についてですが,黒字という表現は今後慎重に使っていただきたいと思います。財政再建に向けた取組を行っていただいていることは承知しています。しかし,今回黒字となった要因は,一つは将来借金をまとめて返すために積み立てている公債償還基金を50億円取り崩す,つまり子供たちにツケを回し,さらに財政調整基金という万が一の災害や社会変動,それには原発事故や北朝鮮有事なども含まれると思いますが,そういった際に市民生活を滞らせないための積立8億円の全額を取り崩す,結果的に残ったお金が5億円。これは黒字でも何でもありません。災害時などの緊急支出などの原資にもなる財政調整基金は,京都市と同規模の政令市では平均200億円程度,京都府下にある人口規模が京都市の10分の1以下の市でも平均18億円も蓄えています。これが京都市では1桁億円レベル。ないに等しいレベルです。でも黒字という言葉が躍ると市民は大丈夫と誤解してしまいます。市長,こういった特別の財源対策を行っている間は黒字という言葉は使わず,色々取り崩して何とか収支均衡になりました。せめて,そう言っていただきたいと考えますがいかがでしょうか。 今回,京都で宿泊いただく皆様に一定の御負担をいただく宿泊税が始まろうとしています。おおむね年間46億円規模の増税となる見込みです。こういった京都市の財政を見れば,市民感情としては宿泊税課税やむなしと思いますし,我々維新は方向性には賛成です。しかし,この額が日本一高いものであり,かつ宿泊客つまり大多数が他府県の皆様に課税するものですから,十分に御理解をいただけるようにしなければなりません。そうでないと,他府県に人に自らのツケを回していると思われかねないからです。では何が必要か。それは受益者負担をベースにした明朗な使途の説明,そして京都市の財政健全化に向けた姿勢です。 明朗な使途の説明については,ごみ袋有料化財源と同様に収入と支出の明細を明確にし公表する工夫をお願いします。また,その使い方については,今まで観光に実は寄与している,けれども予算が回ってこなかった分野にも手当をするように幅広い意見を聴いて検討していただきたいと思います。例えば京都の景観の大事な要素である三山の山並みは,古都保存法で長年凍結保存が義務付けられていますが,民有地部分の管理保全には財政措置もなく山が荒れ,鹿の食害も深刻です。使途とその説明に関して市長のお考えはいかがでしょうかお答えください。 そしてもう一つ必要な財政健全化への姿勢についてお伺いします。(パネルを示す)この5年を見ても京都市の財政健全化は明らかに遅れています。国の財政健全化指数である将来負担比率の推移を見ますと,全国都道府県の平均,全国政令市の平均,全国の市区町村の平均,いずれを取ってみても明らかに改善しています。一方で,京都市はほとんど改善できていません。それが京都市の実態です。では,なぜ京都市の財政は厳しいのか。これは地下鉄への毎年の税金の投入が大きな要因だと考えます。平成28年度も市民の暮らしや教育を支える一般会計から85億円が地下鉄に流れています。毎年100億円規模がずっと流れ続けている。地下鉄建設時の計画の甘さ,見積りの甘さをずっと引きずっているのです。観光客が増えても税収が増えないと言いますが,税の構造は日本全国一緒ですし,京都市だけが特別不利なわけではありません。逆に,観光消費で本当はもっと悪いものが下支えされているとも考えられませんか。地下鉄やバスでは観光客が増えて増収増益になっているのではないですか。平成28年度,観光消費1兆円を計画より4年前倒しで達成されました。それだけ経済効果が出ているのではないですか。この状況で日本一の税金を課すわけですから,京都市はちゃんと財政健全化に努める姿勢を市民に,また全国に向けて示すべきであり,その具体的な担保として市長は財政健全化条例の制定を表明すべきです。増税するなら姿勢を示す。条例の制定を行うか否か,市長お答えください。 二つ目に説明責任の在り方について質問します。議会はよくチェック機能だと言われますが,その前提として簡潔かつ明瞭に京都市から状況説明がなされることが肝要です。それがないと判断に困る,場合によっては判断を誤ることもあります。一つは,計画内容,特に全体的な収支計画などの説明が足りているのか,もう一つはリスク説明が十分かという点です。 例えば,市営住宅を整理統合する場合など,一つ一つの段階的な予算の説明はあるものの,土地の売却見込みはどうか,その後の運営はどうなるのか,全体を通した総額予算や収支見込みが示されない。公的施設の建替え計画では建設費用は示されるものの,完成後の必要な経費,収支見込みが示されることがほとんどなく,例えばロームシアター京都も完成し運営委託先を契約する段になり初めて運営経費が分かるといった具合いです。民間感覚ではとても理解できない,そのような断片的な情報ではいいか悪いかなどの判断は難しいと考えます。市長は今の説明姿勢で十分とお考えでしょうか,お答えください。 次に,リスク説明についてです。京都市が行った契約解除の有効性につき裁判で争っている焼却灰溶融施設を例に挙げます。実に100億円を超える施設が完成せずにいまだ放置されている件ですが,一審で京都市は敗訴して代金が返ってこずに上告しています。昨年の9月定例会の総括質疑で,私は,この契約解除について事前に弁護士と相談されていたかと問いました。それに対する答弁は,「契約解除に至るまでに相談していた」と,でも「手元に資料がないので何月何日か分からない」と,そういうお答えでした。(パネルを示す)そこで情報公開請求をしましたら,2枚の弁護士との面談記録が出てきました。これを見ると,弁護士に相談したのは平成25年7月17日,つまり契約解除を通告したわずか2週間前,そして7月29日,契約解除の直前です。 今回の事案では,メーカーが契約解除に応じた証拠だと京都市が主張する念書の存在があり,これをもって京都市は契約解除に踏み切ったわけですが,それは契約解除の1年前の平成24年7月31日に作られたものです。当時の常任委員会で,この念書が一字一句読み上げられ,メーカーが契約解除に応じるということかとの問いに,「そう理解して結構です」と答弁されていますが,この情報公開資料によれば,その際はまだ弁護士とは相談していなかった,そういうことですね。この案件は,単なる技術論争だけではなく契約の履行に関する法律の分野の問題でもあるのですが,そういった答弁の根拠は何であったのかお答えください。 法務部門も念書の内容に太鼓判を押していたのですか。そのうえで,今また,汎用コンピューターの10億円を超える契約を解除するかどうかといった問題を抱えている京都市のリスク説明の在り方について,市長のお考えをお答えください。 三つ目に,幼児教育無償化についてお伺いします。いよいよ私たちの国の将来を占う衆議院解散総選挙が行われることになりました。我が党は,対案を示す姿勢を堅持し,この間,国政において,また地方において提案型の活動を行ってまいりました。その大きな成果が教育無償化についての国民的な議論を喚起したことです。我が党は憲法改正案として,地方分権の推進,憲法裁判所の設置と併せ,幼児教育から高等教育までの教育無償化を掲げ国政選挙を戦ってまいりました。そして,それが今大きなうねりとなり今回の総選挙でも主要なテーマの一つとなりそうです。新しいことを言うことは大変なエネルギーを要します。しかしながら社会を変えていくためには誰かが先鞭を切らねばなりません。そして単に教育無償化が必要と言うだけではなく,維新の会は,大阪市において4歳児,5歳児の幼児教育無償化を実行しています。誰もがその能力に応じ教育を受ける権利を持つ,そんな国に日本をしていきたい。我々は,行政改革を通じて財源を生み出し教育に回す,それを実現していきたい。そのように考えております。 さて,市長は御自身の経験と信念から様々な教育施策を推進されてきました。また乳幼児を抱える子育て世代へのサポートなども順次拡大されていらっしゃいますが,一律の幼児教育無償化までは至っておりません。今までの熱心な施策を見れば,市長は恐らく幼児教育無償化をお考えではないかと推察いたします。そこで是非市長には,この機会に実際の現場を預かる自治体の長として,幼児教育無償化議論について加わっていただき地方から国を変える動きを起こしていただきたいと考えます。幼児教育無償化の是非についてどのようにお考えかお聞かせください。 四つ目に,空き家問題について質問します。昨今,全国的に空き家問題がクローズアップされております。京都市においても,空き家に樹木が生い茂り不衛生だ,屋根が壊れそうだなどの相談がこれまでに1,700件を超え,京都市から所有者へ対応を求めていただいています。しかし,所有者が対応をしてくれない場合にはどうしようもなく,また,他府県など遠隔地に所有者がいる場合には文書を郵送しても無視されてしまうといった現状もあります。近隣ならば直接訪問ができるものの遠隔地では難しく,職員の方が出張の際についでに寄るケースもあるそうですが,そもそも今の指導のやり方自体を見直すことが必要ではないでしょうか。また,他都市でも同様に対象者が遠隔地で指導に困っている可能性もありますし,お互いに都市間連携し対応することも含め検討をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。数字上たとえ1件でも,されど1件,その周囲の方には大問題なんです。実効性のある指導をどうしていくのか市長お答えください。 次に,市長へ2点要望いたします。1点目は,左京区役所へのバス路線についてです。現在,左京区役所へのアクセス向上につながる北泉通の橋の新設が行われています。様々な御意見がある中,私も地元松ケ崎の住環境に直結する話であることから,住民との対話を大事にした慎重な工事の進捗を求め,京都市としても地域住民の皆さんと交通安全対策のワークショップなどを行っていただいています。さて,それでは,橋が完成した後のバス路線はどうなるのでしょうか。様々な課題があると思いますが,左京区役所への公共交通のアクセスが悪い,特にお年寄りには不便だということは左京区の皆さんのお声でもあります。橋が架かった際には是非とも住民の皆さんの意見をしっかり聴いていただいてバス路線の検討をお願いいたします。 2点目は,地下鉄国際会館駅前広場についてです。御家庭からの送り迎えの車の乗降場所がないため周辺道路が混雑することから,改良を求めるお声が上がっています。それに加え,駅周辺にたばこを吸う場所や灰皿がないためバス待ちの間など隣接する公園などでの喫煙や吸い殻のポイ捨てが多いこと,また,京都産業大学の学生さんなどのバス待ちの列が屋根のない場所で100メートル近くの長さにもなり,雨や暑い日に大変であることなど,岩倉の発展と共に課題も増えてきています。隣接する国際会館に5,000人規模のホールが出来,国際会議の開催や左京区北部への観光客の誘致が一層期待される中ですから,しっかりと状況を見ていただき必要な改良を適宜御検討いただけますようお願いします。 最後に,先日,私の地元の左京区の住宅地における観光バスの迷惑防止と外国人観光客のマナー向上を求める市長への要望書が537筆もの署名と共に提出されました。違法民泊の問題もそうですが,この課題も,住居地域での観光関連産業の在り方の問題だと思います。私は,以前からホテル誘致でも住居専用地域では十分な配慮が必要だと訴えておりますが,今回の問題も住宅地における観光による一種の公害問題と言えるのではないでしょうか。ルールが追い付いていないならば,ルールを考えるのが政治行政の仕事です。観光と住民生活の両立を目指すべくしっかりと私も活動してまいりますことを表明し,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 宇佐美けんいち議員の御質問にお答えいたします。 平成28年度決算についてでございます。28年度決算は,市税や地方交付税等の一般財源収入が大きく減少した中にあっても,「京プラン」実施計画に掲げる京都の今と未来に必要な施策を推進する財源を確保するため,市税等の徴収率向上の取組の推進やあらゆる財源の確保,そして基金の活用など最大限の努力をしたうえで,それでもなお不足する財源については,公債償還基金の取崩しに加えまして,財政調整基金の全額取崩しにより補填いたしました。このような厳しい状況については,全戸配布の市民しんぶんにおいて,市民の皆様に明確にお示ししたところでございます。 なお,黒字の用語につきましては,法令等に定められた自治体決算の収支がプラスになることを表現する際に一般的に用いられるものでありますが,本市の厳しい財政状況につきましては,しっかりと説明しており,今後ともより分かりやすく的確な発信に努め,市民の皆さんと本市財政の課題や危機感を共有し未来を展望してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 法的リスクの説明についてでございます。まず焼却灰溶融施設に係る事案につきましては,現在,訴訟が係属中であり詳細は差し控えさせていただきますが,契約解除に至るまでには様々な法的検討を重ねたところでございまして,当時の判断や手続は適正であったと考えております。控訴審において本市の主張が認められるよう,引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。また,将来の訴訟等の法的リスクが予想される事案につきましては,予防法務の観点から,内部の法制部門はもとより,早期にその分野に詳しい外部の弁護士にも相談するなど,この間,組織的なリスク管理を徹底するよう図ってきているところでございます。今後ともより一層のリスク管理の徹底と,適正な時期での市会報告,また,市民の皆様への丁寧な説明に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは2点お答え申し上げます。 まず,宿泊税の使途でございます。宿泊税については,法定外目的税とするということからも,その使途についてしっかりとお示しする必要があると認識しており,宿泊税による新たな財源は,住む人にも訪れる人にも京都の品格や魅力を実感できる取組の推進,入洛客の増加など観光を取り巻く情勢の変化に対応する受入環境の整備,京都の魅力の国内外への情報発信の強化,この大きく三つの点に用いてまいります。また,こうした京都の魅力や都市格の向上につながる施策に加えて,近年,新たな課題となっております道路の渋滞,公共交通機関の混雑対策,違法民泊の適正化,京町家の保存,継承などの施策についても充当してまいります。宿泊税の具体的な充当事業につきましては,予算編成において検討を行い,市会にも十分に御説明したうえで,市民や入洛客,さらには観光事業者の皆様にしっかりとお示ししてまいりたいと考えております。 次に,財政健全化条例の制定でございます。本市では,「京プラン」実施計画第2ステージにおいて,従前の実施計画に引き続きまして,給与費や投資的経費など具体的な数値目標を定めまして,財政構造改革を進めておるところでございます。さらに,その取組状況につきましては,毎年度公表しております。このように,既に財政規律を守るための明確な目標を定め,徹底した情報公開の下に財政運営を行ってきているところでございまして,御提案のような条例の制定は考えていないところでございます。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 岩崎財政担当局長。 〔岩崎財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(岩崎清) 事業実施に当たっての経費,収支の見込みについてでございます。施策の企画立案に当たりましては,徹底したコスト意識の下に想定される財政負担を可能な限り明らかにしたうえで,目指すべき成果や費用対効果について説明責任を果たすよう,これまでから全庁的に取り組んでいるところでございます。今後とも,公共施設マネジメント基本計画に基づくライフサイクルコストの明確化をはじめとして,「京プラン」実施計画第2ステージに掲げる,より分かりやすくきめ細かな財政状況の公開,行政コストの見える化を一層推進してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 幼児教育無償化についてでございます。幼児期は,人格形成の基礎を培う大切な時期であり,家庭の経済状況にかかわらず,質の高い幼児教育,保育を受けられる環境を整備する必要がございます。このため本市では,幼児教育,保育の質の向上を図ると同時に,独自で約37億円を投入し幼稚園及び保育園等の保育料を大幅に軽減しております。しかし,これ以上の更なる拡充を本市独自に図ることは,現在の厳しい財政状況下では極めて困難でございます。今後とも幼児教育無償化を含めて幼児教育,保育を利用しやすい環境の充実に向け国の動きを注視するとともに,必要な要望を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 空き家対策に係る都市間連携についてでございます。管理不全空き家の調査につきましては,限られた職員体制の中で効果を上げるため,所有者が市外の場合も含め,空き家の相続状況調査を司法書士にお願いするなど,可能な限り外部の専門家の力も有効に活用し効率化を図っております。一方で,所有者に対する指導につきましては,空き家の状態や経過,本市の支援策などを熟知したうえで法的な対応も含めまして総合的に判断する必要があるため,所有者め居住地にかかわらず本市の職員が担うことが適切であると考えております。今後とも,管理不全空き家の解決につきまして,行政代執行も辞さず強い覚悟で取り組んでまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,森川央議員に発言を許します。森川議員。 〔森川央議員登壇(拍手)〕 ◆(森川央議員) 西京区選出の森川央です。北朝鮮情勢が緊迫しているさなか,衆議院議員が解散されました。この選挙に意味はあるのか,京都市民の安心安全のため危機管理に空白があってはならない,そんな思いで仲間の議員から時間を頂きました。まず,市長には,これまでの北朝鮮の暴挙に対する所感をお伺いしたいと思います。そのうえで,国の責任,京都市の責務,あるいは広域連合との関わりなどを明らかにし,京都市として今すぐに対応できることは何か,しかしできることに限界があり,だからこそ国に求めていくことは何か,この選挙で自治体として訴えることはないのかお示しをいただきたいと思います。私は,対話や要望だけでは解決しないと思います。この選挙では,安保法制反対といったこれまでの姿勢を取り下げ,新党に参加される動きが見られますが,それが選挙目当てでなければ,私は,京都市の危機管理にとっても意味ある前進だと思います。 現在,この市役所は,建替えのさなかですが,Jアラートからの京都市への情報伝達,例えば人工衛星から庁舎への伝達に不備はないでしょうか。消防庁によれば,先月末,ミサイルが通過したとみられる北海道をはじめとする市町村で情報伝達に支障が出たとされます。早急に点検に点検を重ねるようお願いします。また,これから防災訓練のシーズンです。訓練で,被害を減らすため,また,着弾後の行動など市民と共有するためにも,速やかに有事を想定した意味のある防災訓練を行っていただきたいと思います。 さらに世界中から観光客であふれる京都市です。外にいる方への対策も課題です。今,原発事故を想定した屋外のスピーカー設置を検討されているようですが,ミサイルなどの有事も大混乱をもたらします。速やかにこの対応に加え,国を頼りにしたシェルター設置を待たずに,避難先として地下鉄駅構内の活用など検討していただくようお願いします。 最後に,危機管理は,国との連携は一層不可欠ですが,この選挙は京都市の危機管理の課題はおろか,我々が目指す憲法改正や教育の機会の均等,国と地方の在り方を根本的に見直す地方分権など,自治体である京都市の課題を解決するには,この選挙を絶好のタイミングとして捉えていただかなくてはなりません。この選挙を市長として十分に見極め,この選挙に参加していただきたいと思います。私としても,これまで綱渡りの無所属議員として活動してまいりましたが,流れに飲み込まれないよう,しっかりと希望を持って京都市のため運動していく決意を申し述べ質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森川央議員の御質問にお答えします。 ミサイル発射に対する危機管理についてでございます。本市のJアラートシステムは毎月1回,定期的に点検を行っており,8月に国が実施した情報伝達訓練においても正常な作動を確認するなど万全を期しております。Jアラート作動時の市民の皆様への情報伝達につきましては,携帯電話への緊急速報メールやテレビ,ラジオ等により広く実施されることとなっており,本市においては,頑丈な建物や地下への避難等,直ちに取るべき行動について,普段から市民の皆様に周知を図っているところであります。地震,水災害対策で実施している防災訓練で対応できるものと考えておりますが,引き続き,避難先の拡充のほか,関係機関等との連携強化を図るなど,本市の危機管理にしっかりと取り組んでまいります。 以下,関係理事者が答弁します。 ○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 北朝鮮によりますミサイル発射等についてでございます。北朝鮮による度重なるミサイルの発射や核実験につきましては,国際社会の平和と安定を著しく損なうものであり,我が国の国民,市民の生活の安心と安全を脅かす行為として断じて許すことができないものでございます。本市では,平和都市宣言を行った自治体といたしまして,市長と市会議長との連名により,繰り返し,かつ厳重に抗議声明を発出しているところでございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,こうち大輔議員に発言を許します。こうち議員。 〔こうち大輔議員登壇(拍手)〕 ◆(こうち大輔議員) 傍聴にお越しの皆様,議会中継を御覧の皆様,お忙しい中,市政に関心をお持ちいただきましてありがとうございます。 日本維新の会市議団,右京区選出のこうち大輔です。引き続き会派を代表して質問いたします。よろしくお願いいたします。 まずは今回の決算状況を受けて,私からも改めてお伺いします。京都市は,この平成28年度決算においても,全20政令指定都市の中で最も将来的な財政負担が大きい状態です。貯金もありません。収入も少ないです。その中で,新たな財源の確保や将来の収入につながる投資など,これまで市長なりにやりくりをされ京都市財政を進めてこられました。しかしながら,やはりこの厳しい状況です。平成28年度京都市決算実績報告書の中の一文には,「京都の未来を切り拓いていくためには,今後も決して縮小一辺倒になることなく,将来に対するしっかりとした備えと,「特別の財源対策」に頼らない持続可能な財政運営の確立を目指して,都市の成長戦略と行財政改革を一層強力に進めていくことが不可欠である」と書かれています。それはそのとおりです。そうできればいい。しかし,冒頭申しましたとおりの状態ですから,やはり私にはきれいごとに聞こえます。 収入に関しては,仮にこれまでの投資などの成果が出てくるとしても時間が掛かりますし,今後,市税収入が大きく増える見込みも難しいと言わざるを得ません。また,今回の決算で法人市民税収入の落ち込みなどによって4年ぶりの減収になったように不確定要素が多いものです。そうなると,やはり支出に関して今まで以上にどうにかするしかないと私は考えます。明らかに財政健全化が遅れている京都市において,人件費はもちろんのこと,その中でも職員数だけではなく,給与月額や更なる各種手当の見直しはできないのか。これから建設が予定されている京都市美術館や中央卸売市場などの運営や建設費に係る費用を圧縮できないのか。ロームシアター京都などの文化施設の管理運営に係る経費や補助事業はこのままでいいのか。環境政策についての補助もそうです。ありとあらゆる全事業を本当にくまなくゼロから見直し,徹底した行財政改革は行われているのか。改めて市長に問いたいと思います。 事業の見直しについては,痛みを伴いますし,勇気と決断が必要です。新たに事業を行うよりも難しいかもしれません。しかし今まさにこの決算を機に改めて覚悟もするべきですし,これは市長にしかできません。更なる行財政改革による事業の見直しについて市長のお考えをお聞かせください。 次に,地域自治組織と今後の行政の関わり方についてお伺いします。昨年度より京都市では,地域力アップ学区活動連携支援事業の取組をスタートし,現在4学区において地域課題への対応をはじめ自治会加入率向上などより多くの地域住民の参画に向けた組織運営や活動に取り組んでいただき,その後事業の効果検証を基に施策や取組の検討につなげていくことを目的とされているところです。また,まちづくりアドバイザーについてもその取組を進めていただいているところです。私は,今年度,地元町内会の役員を務めさせていただいておりますが,やはり務めさせていただいて初めて気付かされることも多く,改めて各地域の町内会や自治会の活動,または各種団体の取組をされている方々に対して敬意を表したいと思うところです。 そこで,自らの経験も踏まえ質問をいたします。おおよそ全体的に各町内の高齢化や世帯数の減少などで,町内会役員などの役割がすぐに回ってきてしまうような課題を抱えている地域も多いであろうと認識しています。私の町内におきましても,組によっては2年に一度や,他の町内におきましては連続で務めておられる地域もあります。役職に就くことによって相応の負担と責任もありますので,お仕事などをされながらの活動は大変です。身近に少子高齢化の影響が出ている一つの分かりやすい事例だと思います。やはりこれには具体的な解決策が必要だと実感します。 私の所属する文化環境委員会においても質疑等がありましたが,各町内会においての再編や町内会同士の合併などの再編によって,組や町内会の分母を大きくし,役職の回る頻度や活動の分担によって町内会員の負担を軽減することも一案だと思います。ある町内では昨年度末,町会長さんにより組再編に関するアンケートが行われました。世帯数は105件。様々な意見はあったものの,この課題を認識されている方が多かったですし,無回答を除けば実に96.8パーセントの方が組の再編に賛成という結果でした。今後そういった認識が人口減少,少子高齢化によって,将来的に更に広まっていくことが考えられます。しかしこの再編案には課題があります。それは,問題意識を持ちながらも解決に導いていくプロセスや実行力,また,それに伴う負担です。実際行っていくには,相当な時間や労力が必要になることは容易に想像できます。また,意見等が割れることも考えられます。それらを考えると,やはり行政がしっかりと間に入り具体的なアドバイスなどをしていく必要があるのではないかと思います。 そこで,まずは今後の自治会,町内会アンケートなどにおいて同様の課題についての現状把握を改めてしていただけないでしょうか。単なる負担軽減のためだけではなく,再度具体的課題を浮き彫りにすることにより,今後の自治組織の発展のためにも必要だと考えます。御所見をお伺いします。 最後に,まごころ収集について要望いたします。まごころ収集とは,京都市が定期的に収集する家庭ごみを,所定のごみ集積場所まで持ち出すことが困難な高齢者の方や,障害のある方などの生活支援の一つとして,御自宅の玄関先までごみの回収に伺うごみ収集福祉サービスです。いわゆるごみ出し困難世帯は全国でもこの10年で急増していると言われ,支援自治体は1.6倍,利用世帯数は4倍以上に増加し,5万世帯以上が同様のサービスを利用していると言われています。もちろん周知が広がっていることもあろうかと思いますが,高齢化の影響などにより京都市においても利用世帯数は平成19年度末に515世帯だったものが,平成28年度末には3,876世帯と実に7倍以上になっているのが現状です。 ある全国的なアンケートによると,人員や支援体制が不足していると回答した自治体は約32パーセントとなっており,今後更に高齢化が進み,利用者が増加することが予測されます。これまで京都市においても,議会において質疑等もありましたが,今後需要が高くなることを前提に収集体制などを検討していただいているところだと認識しております。また,現在その収集体制については,ごみの減量に伴って生まれた職務時間にて御対応いただいているところです。 今後,ますます高まるであろう需要に対してどのような体制で対応していくのか,今の体制が現段階においても市民ニーズを満たすことができているのか。課題も含めその判断材料として,利用者の方やその関係者の方,またケアマネジャーやホームヘルパーさんの所属する事業所,地域の各自治会等に対して実態調査を行い,いかしていただけるように要望いたします。 以上,私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) こうち大輔議員の御質問にお答えいたします。 行財政改革の取組についてでございます。私は,これまでから,厳しい財政状況にあっても未来への責任を果たしていくために,徹底した行財政改革を断行し施策を推進してまいりました。議員御指摘の歳出面での見直しでございますが,市長就任以降,3,000人以上の職員削減により毎年250億円もの人件費を削減するとともに,あらゆる事業について聖域を設けることなく見直しを徹底してまいりました。投資的経費についても,必要な事業は着実に進めつつ,財政負担の圧縮に努め,本市が返済に責任を負う実質市債残高を着実に縮減しております。「京プラン」実施計画第2ステージにおきましても,800人以上の職員の削減,徹底した効率化,委託化,民営化の更なる推進など行財政改革を加速させることとしております。一般財源収入の落ち込みにより28年度決算は厳しい状況となった中で,引き続きこうした見直しに取り組んでいかねばならないことは改めて申し上げるまでもございません。 同時に,京都の未来を切り開いていくためには,歳出面での見直しのみならず,新たな財源の導入や保有資産の有効活用など歳入面における改革,そして市民所得の向上と中小企業の活性化による将来の税収増を見据えた都市の成長戦略を一体的に推進していくことが何よりも重要でございます。こうした考えの下,今後につきましても,見直しの徹底はもとより京都の強みをいかした産業振興の推進や,中小企業の成長支援,新たな産業用地の創出,京都市への移住,定住支援といった施策に果敢に取り組み,将来の担税力の向上につなげてまいります。 市民の皆さんの安心安全を守り,京都の未来を切り開くために,今後とも決して縮小一辺倒になることなく,都市の成長戦略と行財政改革を一体のものとして力強く推進してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 吉田文化市民局長。 〔吉田文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(吉田良比呂) 自治会,町内会についてでございます。本市においては,近年の居住形態や生活様式の変化,少子高齢化の進行に伴い地域活動に参加する住民の減少による地域住民相互のつながりの希薄化が懸念される中,京都が誇る地域力を未来に引き継ぎ,地域住民が支え合い,安心して快適に暮らすことができる地域コミュニティを実現するため,平成24年4月に施行した地域コミュニティ活性化推進条例及び同年5月に策定した地域コミュニティ活性化推進計画に基づき,自治会,町内会への加入促進など地域活動を支援しています。また,昨年3月には推進計画を見直し,これまでの取組に加えて加入促進の強化を図るため,住宅関連事業者との協定による取組や引越しの多い3月から4月を地域力アップキャンペーン月間と位置付け,地域と区役所・支所が連携した取組を進めるとともに,小学校の入学式において地域活動への参加を呼び掛けるなど学校,PTAと連携した子育て世代への働き掛け,さらに地域活動に参加しやすい職場環境づくりを企業の皆様に働き掛けるなど担い手の創出につながる取組も強化しているところでございます。本市においては,平成24年度からおおむね2年ごとに自治会,町内会アンケートを実施しており,加入状況や地域活動の現状分析を行っているところです。さらに,24年6月に開設した地域コミュニティサポートセンターにおいて,世帯数の減少や高齢化による担い手不足といった自治会,町内会の運営についての困り事や,地域活動活性化に向けた相談などを受けており,課題に応じた情報の提供や助言等を行っているところです。今後とも,自治会・町内会アンケートやサポートセンターでの相談業務,さらには区長懇談会などあらゆる機会を通じて地域の現状や課題の把握,事例の収集に努め,自治会,町内会の課題解決につながるよう,地域に寄り添った支援を粘り強く行ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 暫時休憩いたします。 〔午後3時2分休憩〕 〔午後3時27分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,大津裕太議員に発言を許します。大津議員。 〔大津裕太議員登壇(拍手)〕 ◆(大津裕太議員) 中京区選出の大津裕太です。地域政党京都党市会議員団を代表して,市政一般について質問いたします。 最初に平成28年度一般会計決算についてでございます。今回の決算は,近年の決算の中で最も財政状況が厳しい決算となりました。強い危機感を感じます。例年では,当初予算時より決算時は数字が好転し,特別の財源対策も大幅に削減して決算を迎えるところでございますが,28年度は特別の財源対策だけでは足りず,財政調整基金を全額取り崩し,何とか実質収支は黒字を確保するに至りました。また,単年度収支は2年連続の赤字となり,昨年より赤字幅が拡大しマイナス14億円となりました。市税や地方交付税などの歳入が当初予算時に比べ147億円減少したことが主要因です。円高や消費の伸び悩みをその原因としておりますが,28年度はリーマンショックのような大きな経済変動はなく,一般に在り得るレベルでの景気変動でございました。また,地方交付税の82億円の減収に関しては,予算編成時における見積りと実際の交付が大きく乖離したわけでございますが,総務省とのコミュニケーション不足も含め算定の甘さを指摘せざるを得ません。現在執行中の29年度予算及びその後の中期財政見通しにおいても,同様の事態が起こることが懸念されますが,見解と対策をお聞かせください。 また,147億円の歳入減への対応のうち,事務費の執行抑制は39億円にとどまり,残りの108億円は,基金の取崩しと支払の先送り,そして借金であり,全て後年度にツケを回すやり方でございます。特別の財源対策こそ予算の範囲内での執行ですが,後年度への負担という意味では許容できない水準です。市長は,実質市債残高は減少していると言ってまいりましたが,29年予算では実質市債残高が増加に転じております。今後も地方交付税は削減され続ける可能性は高く,市税収入の増加も不確定要因です。また,監査委員の決算審査においても,後年度の負担に言及し,本市の財政状況に強い危機感を抱いている旨が記載されており,歳出面では,既存の事業の見直しはもちろんのこと,特に新規事業については後年度の負担を見据えた経費見積りの精査を行うことを求めております。 我が会派としては,度々同じことを申し上げておりますが,収入の範囲内で予算を組むという大原則をもう一度真剣に考えるべきではないでしょうか。補助金一つとっても,本当に全ての補助金を執行しないと市民生活に多大な影響を与えるのでしょうか。様々な啓蒙啓発活動も,全てが全て必要な事業でしょうか。冊子やパンフレット,チラシも多すぎませんか。資金があるならば,是非ともやるべき支出であったとしても,将来世代に負担を回してまではすべきでない支出はまだまだあるのではないでしょうか。財源のないまま計画が進む市立芸大の移転は本当にこのまま進めるべきでしょうか。北陸新幹線は本市の財政負担を考慮したうえでも誘致すべきでしょうか。人事院勧告による職員や議員の期末手当の増額も見送りすべきだったのではないでしょうか。限りあるお金です。我慢しなければいけないこともございます。市民にも負担の掛かることです。市民に理解してもらい協力をしてもらうことが市長の責任であり,議会の責任です。 これから福祉に掛かるお金はますます増えます。そこに借金の負担までのせてしまってはいけません。今がよければよい,自分がよければよいではなく,30年後,50年後の子供たちの世代,その次の世代のことも真剣に考えなければいけません。市長,改めて将来世代の負担についての答弁をお願いしたいと思います。まずは,ここまでの答弁をお願いします。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 大津裕太議員の御質問にお答えいたします。 平成28年度決算についてでございます。まず,地方交付税が減収となった主な要因は,交付税の算定に本市の実態が十分に反映されていないことにあります。交付税は,税収が増えれば減る仕組みになっておりますが,28年度の交付税の算定においては,国が見積もった地方全体の税収の伸びが京都市の実態に比して過大であり,主にこれが要因で本市に配分される交付税が減少いたしました。 このような状況を踏まえ,国に対して地方の税収等を的確に見込んだうえで交付税の総額を十分確保すること,また,税収等が急激に落ち込む局面での補填措置の拡充等について強く要望を行ったところであり,今後も引き続き交付税の必要額の確保に努めてまいります。なお,29年度の地方交付税の交付額については,現時点では,当初予算で見込んだ額を確保できる見込みとなっております。 続いて,将来世代の負担を見据えた収入の範囲内での予算編成についてでございます。本市では,これまでから徹底した行財政改革を断行すると同時に,将来の税収増を見据え,都市の成長,都市格の向上につながる施策を強力に推進してまいりました。これにより,観光客の市内での消費額は,この2年で7,626億円から1兆862億円にまで大きく増加し,企業立地促進制度では,これまでに141件の投資案件を呼び込むなど,その成果は着実に現れております。これは,財政状況が厳しくとも,縮み思考になることなく,中長期的な視点から京都の成長を見据えた先行投資を行ってきたからこそでございます。現在の財政運営は,福祉,教育,子育て支援の維持,充実や,市民生活の安心安全をしっかりと守るため,確かに公債償還基金の取崩しなどに頼らざるを得ない状況ではありますが,こうした状況を脱却し,将来世代に過度な負担を掛けないためにも,担税力の向上,将来の税収増のための未来への投資を一層強力に推進していく必要があると考えております。 今回,条例提案を行っております宿泊税の導入や,あらゆる事業の徹底的な効率化など,歳入,歳出両面での行財政改革を更に推進していくことと併せて,今後とも都市の成長戦略を強力に推進し,暮らしに安心,豊かさ実感,未来に責任のまちづくりを実現してまいります。 ○議長(寺田一博) 大津議員。 〔大津裕太議員登壇〕 ◆(大津裕太議員) 続いて,防災,防火,危機対応に関してでございます。自治体には様々な役割がございますが,市民の命と財産を守ることは最も大切な役割です。本市も,ロックフェラー財団が創設した100のレジリエント・シティに選定され,災害や混乱に強い都市を目指し,世界最高水準の危機事象への対応を加速させております。先日,藤田統括監からレジリエント・シティについての話を聞く機会を得ました。防災にとどまらず,いかに復旧するか,いかに以前より強靭なまちにするかという取組には大いに期待するところであります。 そこで本市の防火,防災,危機対応において足下で不安を感じる点を2点指摘いたします。1点目は,先ほど民進党の安井議員からも指摘がありました非常用発電機の点検についてでございます。非常用発電機とは,災害時に停電した際に,スプリンクラーや非常用消火栓,非常用電源,非常灯など人命に関わる設備に電気を供給する予備電源であり,二次災害を防ぐ防災の要でございます。また,医療機関等では,停電中も医療を継続するために欠かせません。そのため,1,000平方メートル以上の多くの施設では非常用発電機の設置が義務付けられております。しかし,阪神・淡路大震災では約4分の1の非常用発電機が始動しなかったことが確認されております。そして火災被害が拡大いたしました。東日本大震災や熊本地震でも同程度の発電機が始動しませんでした。また,始動しないだけでなく,発電機自体が発火し火災の原因となったケースもございます。これらの要因の約3分の2が点検不備と言われております。 非常用発電機の点検は消防法により,年1回定格出力の30パーセント以上の負荷を掛けて点検することが義務付けられています。この30パーセント以上の負荷というのは,自動車でいうところのエンジンの始動と停止だけの空ぶかしだけではなく,アクセルを踏み実際に走らせることを意味します。エンジンの空ぶかしや低い負荷での点検は,未燃焼燃料やカーボンがたまり,故障や発火の原因となります。 しかし,残念ながら法定ルールでの点検が全国的に官民問わず多くの施設で行われておりません。本市の施設でも,区役所や文化施設,教育施設など複数の施設で確認をいたしましたが,ほぼ全ての施設で点検不備がございました。点検報告書は消防局に提出されますが,適切な記載がされないまま,消防局としてもチェックがしっかりできていません。点検不備が起こる理由は,正しい点検方法の認識がなかったという知識の問題もありますが,非常用電源の発電のためには停電が必要で,長時間の停電が困難であることや,実際の設備では負荷が大きく掛からず,30パーセント以上の負荷を掛けることが困難という技術的な原因もあります。しかしこの場合,模擬負荷試験装置を使って点検をすることができます。停電を必要とせず,強い負荷を掛けることができます。しかし,従前の模擬負荷試験装置は装置が非常に大きく,スペースの問題がありました。また,運搬や操作に多くの作業員を要し費用が高額という問題もございます。しかし,近年は技術も進み,2メートル四方の小型模擬負荷試験装置が開発され,スペースや高コストの問題もクリアされております。さらに,発電機のメーカーは,法定の30パーセント以上の負荷では不十分であり,できれば100パーセントの負荷を掛けることが望ましいとしております。また,100パーセントの負荷を掛けることで発電機の寿命が延びることも分かっております。模擬負荷試験装置では,30パーセントの負荷でも100パーセントの負荷でも労力もコストも変わりません。 そこで市長に提案いたします。行政は,民間の手本となるべく率先垂範すべき立場です。災害時の二次被害を防ぎ,市民の命と財産を守るためにも,本市の施設においては,法定の点検はもとより100パーセントの負荷を掛けた非常用発電機の点検の徹底をしていただきたいと思います。9月1日は防災の日ですが,例えば防災の日に一斉に点検されるのはいかがでしょうか。また,消防局においては,官民問わず指導を徹底し,早期に京都市内の全ての非常用発電機が適正な点検が実施されることを求めます。 2点目は,民泊新法への対応についてでございます。違法民泊をめぐるトラブルも多く,今,市民からの相談が最も多いのが民泊問題です。そんな中,先日,民泊新法が国会で成立し,来年6月より施行される見通しとなりました。今までの特区として民泊を許可してもよいという状況から,合法化された民泊を条例でどのように規制するかという状況に変わったわけでございます。門川市長は,家主不在型と集合住宅は認めない方針とコメントされており,京都党としても市長の方針を支持してまいりたいと考えております。 しかし,新法の第18条には,地方自治体が条例によって民泊を制限できるのは騒音など生活環境の悪化防止が必要だと認められる区域だけで,なおかつ,観光客の需要への対応に支障がない場合に限定する趣旨が定められております。つまり,条例で自由に民泊を制限できるわけではございません。既に,有識者会議が開催され,条例案策定に向けた議論が始まっておりますが,第18条の条例での上乗せ規制に対する制限に関して,当局はどのような見解をお持ちでしょうか。対応を含めて現状をお聞かせください。 いずれにしても,営業権や財産権の問題もあり,民泊を完全に規制することは難しいと思われます。ところで,民泊とは,住宅を宿泊施設として活用するわけですが,本来,宿泊施設は不特定多数が出入りすることから特殊建築物とされ,建築基準法上,一般住宅とは防火対策等の基準が大きく異なります。つまり,民泊を住宅とするのか宿泊施設とするのかにより必要な工事が変わってまいります。営業日数の上限を180日以下とすることで,年の半分以上は住宅として使われているという理屈ではありますが,建築基準法の精神からいけば,不特定多数が出入りする実態を考えると,特殊建築物もしくはそれに準ずる基準で防火対策等をしていくべきだと考えます。 特に,本市の密集市街地は木造建築が多く,大きな火災につながるおそれが十二分にあります。また,先日,中京区では壬生寺の隣接住宅で火災がございましたが,同様に歴史的建造物や文化財への類焼の危険性もございます。防火,防災の観点から,一定の規制が必要だと考えます。建築基準法の第40条では,地方公共団体は条例により建築物の安全,防火又は衛生の目的達成のために必要な制限を付加できる旨がうたわれております。本条文を根拠に必要な防火,防災対応をしていくのはいかがでしょうか。民泊の防火,防災対策について,当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは,民泊対策についてお答え申し上げます。本市では,民泊について,市民と観光客の安心安全を確保いたしますとともに,地域との調和を図ることが大前提であると考えております。そのため,平成27年に民泊対策プロジェクトチームを立ち上げ違法民泊対策にいち早く取り組みますとともに,住宅宿泊事業法の制定に当たりましては,地域の実情を反映した独自のルールが認められるよう,かねてから国に対して強く訴えてきたところであります。そして法の制定を受け,今月20日には,観光,法律,住環境など様々な分野の専門家等による有識者会議を開催いたしまして,生活環境との調和が特に課題となっております住居専用地域や共同住宅における民泊の在り方をはじめ京町家の保存,活用など本市が目指す民泊の実現に向け,どのような独自ルールを定めることができるかを御議論いただいているところでございます。住宅宿泊事業法第18条において,生活環境の悪化防止のため合理的に必要と認められる限度において,自治体が条例により区域を定めて住宅宿泊事業の実施期間を制限することができるとされている中で,本市の条例において,住宅宿泊事業を制限する区域や期間について,法令に反しない範囲でどこまで規定できるのかにつきましては,市内部の検討はもとよりですが,この有識者会議においても専門的な議論を深めていただき,こうした検討,議論を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。また,住宅宿泊事業法に関する防火,防災対策といたしましては,国において,宿泊者の安全確保を図るために必要な措置として,建築基準法における宿泊施設と同等の対策を義務付ける告示案が示されております。さらに,消防法令上の取扱いにつきましても,不特定多数の者の宿泊が継続することから,旅館業施設において求められている対策と同等の基準を義務付けるべきであると考えており,引き続き国の検討状況を注視してまいります。今後とも,持続可能な観光振興を目指す国際文化観光都市にふさわしい宿泊環境を整備してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 荒木消防局長。 〔荒木消防局長登壇〕 ◎消防局長(荒木俊晴) 非常用発電機の点検についてでございます。消防法において,一定規模以上の建物所有者等は,自家発電設備を設置すること及び定期的に点検報告を行うことが義務付けられています。この点検のうち発電能力を確認する負荷運転については,国の告示により実施しなければならないこととされております。本市では,提出された報告書により,負荷運転が実施されていないことを把握した場合は,建物所有者等に対し国が定めた点検方法により実施するよう粘り強く丁寧に指導を行ってきた結果,再度点検し,報告書が提出された事例も認められています。しかし,自家発電設備の負荷運転を実施する場合には,全館停電を行うか,又は多額の費用を要する停電させない検査方法となることから,施設にとってはいずれの場合も負担が大きく,全国的にも低調な状況となっています。こうした中,現在,総務省消防庁の消防用設備等点検報告制度のあり方に関する検討部会において,負担の少ない点検方法についての検討が進められているところです。国の検討結果を見極めながら,引き続き,本市の施設はもとより官民を間わず建物の所有者等に対し施設の実態に応じた負荷の強さなど負荷運転の方法について丁寧に指導してまいります。なお,負荷運転の実施時期については,その促進の観点からも,施設の業務の実情に応じ,対応しやすい日に行っていただくよう周知を図ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,森かれん議員に発言を許します。森議員。 〔森かれん議員登壇(拍手)〕 ◆(森かれん議員) 皆さん,こんにちは。上京区選出の森かれんです。地域政党京都党市会議員団を代表し,同僚の大津議員に引き続き質問いたします。 私ごとではありますが,2017年7月に第一子を出産しました。(拍手)ありがとうございます。おなかに命を宿すということは,大きな喜びに包まれながらも,赤ちゃんを無事世に送り出さなければならないという使命を抱えることでもあります。日本の周産期医療は日進月歩で進んでいる一方で,リスクの大きい出産の割合は年々増加傾向です。厚労省が発表している2,500グラム以下で生まれてくる低出生体重児の割合だけを見ても,平成2年時点では100人に6人だったのに対し,平成26年では100人に9人と増加しています。良いお産をするためには,禁酒,禁煙,体重管理など産む本人にも努力が欠かせません。けれども安心して出産を迎えるためには,現状に応じた周産期医療体制を整える必要があります。 1回の妊娠につき,母子手帳をもらってから出産まで母子健康診断は14回実施されます。多くの妊婦がその期間,同じ場所に通いますが,里帰り出産以外にも妊婦あるいは胎児,新生児が高度医療を必要とする場合においては別の病院へ搬送されることがあります。妊産婦の情報は個々で管理されているため,例えば通っていた病院から別の病院へ母体が緊急搬送される事例であっても,即時に前の病院からこれまでの受診結果等を引き継ぐことができません。より安心安全な妊娠,出産,育児を行うためには,妊産婦の,あるいは胎児,新生児の情報共有は非常に重要であり,医療機関同士,さらに保健指導をつかさどる行政との連携強化を図らなければなりません。そのためには,妊娠結果情報や診断情報などを専用のサーバーに蓄積し,医療機関同士,医療機関と行政との間をインターネット回線で結んで,現場の関係者と綿密な連携を実現する医療情報ネットワークシステムを導入すべきと考えます。 このシステムは,実際平成21年に岩手県が約3,700万円掛けて導入しました。導入によって得られるメリットは4点です。一つは,搬送時に受入病院が妊婦の状態について詳細に把握しやすいという点です。事前に持病の有無や過去の健診結果が分かっていれば,緊急医療が必要になってもすぐに適切な処置が施せるようになります。二つ目は,検査の重複を避けられるということです。検査結果を共有できることによって,それらが省略できれば,母子への負担軽減につながるだけではなく,医療費の削減が期待できます。三つ目は,母子健康手帳のバックアップが可能であるという点です。(実物を示す)自治体から渡されるこの母子手帳には妊娠中から就学までの子供とお母さんの記録が手書きで記され,周産期医療には欠かせないものでありますが,2011年の東日本大震災では,残念ながら母子健康手帳が津波によってそのほとんどが流され,現場では混乱を来したと言われています。けれども,岩手県ではこの周産期サーバーがあったおかげで情報喪失を免れ,その後,厚生労働省から渡された白紙の母子健康手帳にデータを書き写すことができたことから,周産期医療情報の電子化は注目を集め,母子手帳の電子化を独自に開始している自治体も増えてきています。4点目は各種帳票の作成,台帳管理などの事務の効率化が図れるという点です。行政事務もペーパーレスになる部分も増え,その分コストが抑えることができます。導入に予算を費やしても,長い目で見れば,以上のメリットがあるため,周産期医療情報ネットワークシステムを導入すべきと考えますがいかがでしょうか。 次に,病児保育の充実についてお尋ねいたします。子供を預けて仕事に行く,この行為は現状綱渡り状態で成り立っています。仕事を持つ保護者は,特に,保育園でインフルエンザが流行する時期になると,朝,無事に仕事に出られるのかという心配に始まり,園から呼出しの電話が掛ってこないだろうかと冷や冷やしながら仕事をし,夜も,子供が体調を崩さないだろうかと不安に思いながら生活しています。育児と仕事を両立させるためには,単に保育園などの預け先があるだけでは十分ではありません。子供が体調を崩しても,その預け先の確保や保育の継続ができることが非常に重要です。 病児保育はひとり親世帯,共働き世帯にとって,仕事を継続するための頼みの綱であり,今後より一層ニーズが高まると言われていますが,そのニーズに対応するためには,二つの問題を解決しなければなりません。一つ目は,施設数の不足です。他の政令市では,ほぼ行政区の数と同じ数だけ病児保育,病後児保育施設があるにもかかわらず,京都市内には7箇所しかありません。さらに丸太町通より北には市の病児保育施設が一つもありません。近隣政令市の病児保育に掛ける予算を見ても,大阪市では約3億2,000万円,神戸市でも約2億5,000万円の運営補助費を出している一方で,京都市は約8,500万円しか掛けていません。病児保育自体需要は大きいものの,採算の合わない事業であるため,一定の助成がないと厳しいと言われています。補助を出してでも,まずは空白になっている地区への増設が必要です。二つ目は,ニーズがあるにもかかわらず利用に結び付いていないという点です。まず,子供が夜に具合いが悪くなり,次の日の朝に病児保育を利用したくても,多くの施設では,病院に行って診断書をもらわないと預かってもらえません。病院での手続を終え,診断書をもらうまでに結局半日近く掛かるため,そのまま仕事を休まざるを得ない保護者は少なくありません。そのため,医師の診断書が要らない施設では常にキャンセル待ちが続いているにもかかわらず,そうでない施設でははやり病のない時期には全く利用がなく,京都市全体で見ると稼働率が低いという結果になるのです。現に医師の診断書がなくても預かり可能な施設もあるため,この項目は取り払うべきです。 さらに,仕事場から自宅が遠い,あるいは近隣に子供を見てもらえる人がいない方々は,保育園からの具合いが悪くなったので迎えに来てほしいという連絡をもらっても仕事場からすぐに駆け付けることができません。利用者目線から見ると,保育園から直接病児保育施設へ安全に子供が送り届けられるシステムがあるのならば活用したいと願う人もいます。既に,東京都板橋区や千葉県船橋市では,送迎サービスという,すぐに迎えに行けない保護者に代わって病児保育所の医療スタッフが代わりに保育園に行き,そのまま病児保育を行うサービスを開始しています。他都市の先進事例も取り入れることによって,より病児保育サービスを向上させるべきではないでしょうか。多くの保護者が,子供の体調が悪く,保育園に預けることができないときには,身内に助けを求めるか,近くに頼れる人がいない場合は,その都度仕事を休んで保育をしています。生活者起点に立った病児保育の充実を図るべきと考えますが,市長の見解をお聞かせください。 最後に,第3子の保育料についてお尋ねいたします。京都市の平成27年に生まれた子供の数は1万1,070人です。第一子での出産が51パーセントと過半数を占めており,第二子での出産が35パーセント,第3子に至ってはたったの11パーセントです。出生順位の割合は平成13年から今に至ってほぼ変動しません。厚生労働省の発表によると,持ちたい理想の子供の合計人数はという問いに対して,二人以上持ちたいと答えた割合は70パーセントを超えます。しかし,全国的に3人目の壁が依然として立ちはだかり,本当は二人目,3人目と産みたいと願いつつも経済的理由などによって実際にはその壁が乗り越えられません。 そんな中,京都市は,平成27年度から第3子の保育料無償化を開始しました。養育費の軽減と出産の促進が期待されるため,京都党会派でも多子世帯の保育料無償化を求めてきており,喜ばしい政策であると考えております。しかし,京都市の第3子保育料無償には重大な落とし穴があります。それは,京都市が定める保育料表において,17階層以上,つまり夫婦合算の年収所得が約640万円を超える世帯には,子供が3人同じ保育園等に準ずる所に通う間しか,3人目の子供の保育料が無料にならないということです。以下,パネルを使って説明いたします。(パネルを示す)このモデルで説明させていただきますと,長女5歳,次女3歳,3人目の子供がゼロ歳のこの家庭の場合,一人目が基準額,二人目がはぐくみ額,これは基準額の半額相当に当たる金額です。そして3番目の子供が無料,これはおおむねどの世帯でも適用されます。しかし(パネルを示す)第2階層から第16階層までのひとり親世帯以外の世帯については,上の子供が小学校へ入学しても基準額,そして3番目の子供も無料になりますが,(パネルを示す)17階層以上になりますと,長女が小学校へ入学した途端,二人目は基準額,そして3人目の子供は無料にはならず,はぐくみ額が適用されます。年子や双子を持つ家庭なら無料になる期間がありますが,年齢の間隔が空いている世帯では,全く保育料が無償になりません。保育料は応能負担の下で運用されているため,同じ年齢の子供かつ同じサービスを受けるにもかかわらず,保護者の収入によって保育料の額が全く違います。そのため,保育園に子供を預ける保護者間での会話では,保育料については口に出せないという声を多く聞きます。 現在,保育料表の17階層以上の世帯は,保育所を利用する人々の32.4パーセントおられます。この32.4パーセントに当たる方々は,一般平均よりも所得が高いため,なかなか保育料が高いとは言い出しにくく,目に見えた不満にはなりません。しかし,全体の約7割の人たちは,一番上の子供が小学校へ入学しても3番目の子供の保育料が無料であるにもかかわらず,残りの世帯には一時的,または無料の期間が全くないというのは非常に不公平です。 そもそも,なぜ第3子保育料無償について一部所得制限が設けられているのでしょうか。国税庁の民間給与実態統計調査によると,平成27年度の20代後半の男性の平均年収が383万円,女性の平均年収は306万円です。必然的に,子供を持ち始める年代の共働き世帯では,ほとんど負担軽減になりませんし,女性の就労率や所得を上げようとする国の動きに対しても逆行しています。これでは,母親の稼ぎは保育料でほとんど消えてしまうという理由から,働き控えなどが起こり得るのではないでしょうか。第3子を出産したら,3番目の子供の保育料については全員無償にすべきと考えますが,その点についての市長の見解をお聞かせください。 以上をもちまして代表質問を終えます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森かれん議員の御質問にお答えします。 御出産おめでとうございます。健やかな御成長をお祈りしています。 病児保育の充実についてでございます。安心して子育てができる環境を整えるためには,地域はもとより民間企業も含めて,社会全体が一丸となって,子育てを支え合う取組を進めていく必要が極めて大事であります。こうした中,仕事等により,病気中または病気回復中の乳幼児の面倒を見ることができない保護者の方々から乳幼児をお預りし保育を行う病児・病後児保育事業については,京都市子ども・子育て支援事業計画において年度ごとの目標を設定し取組を進めております。平成27年度以降は,特にニーズの高い病児・病後児併設型で実施施設の新設や既存施設の定員増を図り,平成28年度の利用におきましては,事業計画開始前の平成26年度と比較いたしますと,1.4倍の約4,000人の方々に御利用いただき,目標に対しまして90パーセントの達成率となっております。 一方で,インフルエンザの流行期などに利用希望が急増する場合があることに加えまして,今後も病児保育のニーズが増加していくことが見込まれることから,事業計画の最終年度である平成31年度に向けては,実施施設の新設等による更なる提供体制の拡充に取り組むことといたしております。なお,診断書の取扱いにつきましては,国の通知においては,病児の受入れに際して事前の診察を要することとされておりますが,京都市においては,一部の施設で,併設病院からの医師の回診により,事前の診察を必要としない取組を進めていただいております。引き続き他の施設におきましても,そうした取組ができるよう,児童の安全を確保したうえで同様の取組を要請するなど,病児保育の利便性の向上に努め,子育て世帯をしっかりと支えてまいります。 あわせまして,社会全体で働き方改革の視点を持ち,子育て世帯をはじめ誰もが安心して働き続けることのできる環境,また,休まなければならないときには休める環境ということの整理も,地域,子育て支援施設,民間企業等と共に進めてまいりたいと考えております。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは,周産期医療情報ネットワークシステムについてお答えいたします。出産前後の母体,胎児,新生児にとりまして,極めて大事な時期である周産期においては,医療法に規定される医療計画に基づき,医療機関同士での情報共有を図り緊急時には円滑に搬送を行う体制を,都道府県単位で構築することとされております。京都府下では,京都府保健医療計画に基づきまして,京都第一赤十字病院を総合周産期母子医療センターとして位置付けました周産期医療体制を構築されるとともに,周産期の妊産婦さんや新生児の円滑な受入れを行うことを可能とする周産期医療情報システムについても既に導入しております。これにより,当該センターと一般の産科医療機関との間でベッドの空き情報を共有できるほか,周産期の妊産婦さんや新生児を,より高度な医療が提供できる医療機関に搬送する必要が生じました際には,妊娠中の経過や合併症の有無の情報などを共有できるようになっております。さらに,自らの意志で転院される場合にも,重複して検査を受けることがないよう診療情報提供書により,診療記録や検査の有無等を,転院先の医療機関において確認することとなっております。御案内の岩手県では,こうした取組に加えて,情報共有する病院を指定し,妊婦御本人の御同意を得たうえで,周産期の医療に係る情報の電子化が行われております。このような電子化システムの構築に当たりましては,導入時にも,その後の運営管理にも多大なコストが見込まれることから,今後.事業効果等を踏まえて,必要な時期に,京都府において議論されるものと考えておりますが,本市といたしましても,市民のために役立つ仕組みになるよう意見を述べてまいります。あわせて,現在構築されている周産期医療情報システムをしっかりと周知することにより,妊婦の皆様が安心して出産できる体制の維持,向上を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 第3子保育料についてでございます。保育所等の保育料につきましては,子ども・子育て支援法において,保護者の所得や世帯状況などに応じて設定することとされており,一定以上の収入がある方には応分の負担をお願いしております。こうした中で,本市においては,国基準では8階層となっている階層区分を22階層に多段階化するとともに,利用時間の区分につきましても,8時間未満の区分と,8時間以上を30分単位で区切った6区分の合計7区分に細分化するなど,世帯の所得や利用時間に応じたきめ細かい保育料設定とすることで,保護者の保育料負担を大幅に軽減してまいりました。また,保育所等の同時入所を要件としない第3子以降の保育料無償化については,国の制度としては平成28年度から年収約360万円未満の世帯に対して実施されておりますが,本市においては,国に先んじて,平成27年4月から府市協調により実施するとともに,国制度よりも幅広く年収640万円未満の世帯を対象として第3子以降の保育料を無償化しております。このような保護者の保育料負担の軽減を図るために,本市独自に約36億円もの公費を投入しており,保護者の保育料負担は,全体として国基準の67パーセントまで軽減しております。これ以上の保育料の軽減拡充を本市独自で実施することは,本市の財政状況を考慮しますと非常に困難であります。現在,国において,幼児期の教育,保育の無償化が議論されていることから,今後も引き続き国の動向を注視してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) これをもって一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時13分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    寺田一博          副議長   久保勝信          署名議員  加藤昌洋          同     ほり信子 △(イメージ)請願文書表「受理番号45」「宿泊税制度の見直し」...