中
山間地域の農業の取組についてであります。
農林業と環境の関わり、また併せて茶業の現状について触れてまいります。
静岡市は、私、一番広い面積だと思ったんです。そういうときもあったんですよね。ところが、合併が進んだ現在、高山市、浜松市、日光市、北見市に続いてですね、今5番目になっちゃったんですね。5番目にはなったといっても、
南アルプスからこの駿河湾まで、市長、あなたの手腕が問われているんですよ。ぜひ頑張っていただきたい、こんなことを思いながら、小さな部分でありますけれども、大きい質問をしてまいります。
市域面積のおよそ80%余を中
山間地域が占めております。
南アルプスから駿河湾まで広がる豊かな森林と川の流れが、そこに暮らす人々が織り成す生活と文化を育んでまいりました。本市行政は、70万市民がこのまちに生まれてよかった、との歌がありますよね、市歌がありますが、これを口ずさみながら、山村と都市が共生・共育する
まち静岡を築くために頑張っているわけでありますが、特に中
山間地域の振興に努力されている職員の皆さんには、この場を借りて心から感謝を申し上げる次第であります。
国際レベルで環境問題が重点化するとき、森林と田畑は、
地域住民たちの
農林水産物の生産の場にとどまらず、
水源涵養という
公益的機能を発揮していることを皆さんと再認識したいと思うのであります。我が国の中部地方は、大変雨の多いところであります。そのことを証明するのが、天竜川や大井川に昭和20年、30年頃に大きな発電用のダムが建設されたことが証明しているのであります。雨水を森や畑に蓄えて、大小の河川の流れを通して市民の暮らしを支えているわけであります。水道の蛇口をひねればおいしい水が飲めるという、この幸せな静岡市。しかし、私たちのこの蛇口をひねる水は、安倍川の源流から100年かけて門屋の浄水場にたどり着いているわけであります。まさしく伏流水であります。日本一おいしい水というのは、この100年間の伏流水の流れの中でミネラルをためているわけであります。
さて、林業といえば
東南アジア方面から安価な外材が輸入されて、国産材の価格は昭和55年をピークに低迷を続け、国内の林業家は苦境に立たされてまいりました。申すまでもなく、市民の水源地とも言うべき安倍奥の森林管理は、消極的になりがちであります。最近では、林地を
太陽光発電用に転換しなければならないといった、厳しい環境に林業家が置かれているわけであります。森は
水源涵養という能力を失いつつあるんだなと危惧しているわけであります。
小嶋市政のときに、
森林環境基金を創設いたしました。そのおかげで、現在、間伐事業を促進する、この森林の
公益的機能を保とうとする努力がずっと続けられているわけであります。今ここに小嶋市長のその手腕を高く評価しなければならないわけでありますが、このことによって林業家が間伐を年間300ヘクタールほどやらせていただいて、その活力の一部を保持しているわけであります。改めて、小嶋市長ありがとう。
一方で、昭和の
山間地農業を支えたのがお茶やワサビ、シイタケの生産でありました。お茶の元祖と言われる聖一国師は有名であります。ここで、このコロナ禍の中でお茶の効用というのが一番話題になったわけでございます。私の先輩である井川出身の
森竹敬浩先生は、お茶に関する書物をたくさん出しているわけでありますが、その1冊にお茶の世界の散歩道というのがございますが、その中で、鎌倉時代に栄西禅師は3代将軍、源 実朝が戦の前夜、酒宴で二日酔いになり頭を痛めているということを聞いて、お茶を一杯と書物を献上したところ、将軍家が大いに喜んだ、こう吾妻鏡に書かれているそうであります。この頃から、お茶の成分というのは効用があったことが評価されているわけであります。遡ることおよそ800年、里山から厳しい山間地に広がる茶畑やワサビ田が開墾され、今に至っているのでありますが、歴史ある茶園やワサビ田が雨水をコントロールするダムの働きをし、
水源涵養機能を発揮しているのであります。
ここでまず環境局に伺いますが、農林業が環境にもたらす恩恵にはどのようなものがあるか、教えていただきたいと思います。
以上、ここから一問一答でありますので、質問席に移らせていただきます。
〔
安竹信男君質問席へ移動〕
5
◯環境局長(藪崎 徹君) 農林業が環境にもたらす恩恵についてですが、市域の76%を占める広大な森林や身近な緑である田畑は、木材、農作物等の生産のみならず、国土の保全、水源の涵養、
土砂災害の防止、
地球温暖化の緩和など、市民生活や企業活動に様々な恩恵をもたらしております。
また、本市にあっては、美しい茶畑と山々の織り成す景観が、郷土の原風景の一つとして誇るべき環境資源となっております。さらに、自然の恵みを体感できる農作物の収穫体験は、豊かな感性を育む環境学習につながるものとして期待できるなど、農林業は様々な恩恵を私たちにもたらしてくれているものと認識しております。
6
◯安竹信男君 ありがとうございます。
実は、私、資料として配布してございますので、参考にしていただきたいと思うのですが、何回かこのような形でこの議場で紹介しておりますけれども、こちらの災害防止、
土砂災害防止ですね、あるいは
水源涵養、次は、今お話がありました保健・レクリエーション、あるいは文化関係、いろいろ換算した数字が出てございますが、大変これだけの機能が働いているんだということを思うと、私たちは、この恵まれた80%の林地・農地に大変恩恵を被っているんだなということを認識できるのであります。
さて、環境局の答弁、ありがとうございました。市民生活や企業活動を支えるために、森林や田畑に本当に適切な維持管理が必要だということ、この貴い命を我々は育んでいるわけでありますが、全国的に見ましても、年間を通して大雨による
土砂災害が頻発し、各地で貴い命と財産が失われていることは御案内のとおりであります。現実問題として、令和4年度の国土保全に資する
治水事業等関係費は1兆円を超えて1兆367億円ということが表示されております。その内訳を見ますと、河川関係で8,642億円、砂防関係で1,546億円、
海岸保全関係で178億円、こんなふうに書かれているのであります。
下水道事業関係は合わせて524億円であります。このような事業費は膨らむばかりでありますが、なるだけこの森林を管理することによってその涵養能力を高めて、この金額をできるだけ少なくする、これも大きな政策の1つではないかと思うのであります。
ここで私が申し上げたいことは、農林業者が森林を育て畑を耕すこの労力を、
治山治水事業の対価に換算してみることが必要ではないかと思うわけであります。森林の
公益的機能を金額に換算しますと、恐らく国レベルでは国家予算に匹敵する、県レベルでは県の年間予算に匹敵する、本市の場合は年間予算およそ4,000億円に匹敵する、こう私は試算したことがございます。機械化された今と違って、労力に頼った田畑の棚田の造成には、賢い知恵と経験が必要でありますが、急峻な山間地に生きる先代たち、先祖たちの苦労と開拓魂がしのばれます。持続可能な
開発目標SDGsの原点がここにあると言っても過言ではないと思うのであります。
100年以上続いた
全国お茶生産量第1位のこの静岡県の座が、昨年度、静岡県から鹿児島県に交代してしまいました。2021年の
農林水産省の発表で、鹿児島の茶産出額は252億円、静岡県が251億円となったというのであります。
茶園面積は、静岡県が1万3,700ヘクタール、鹿児島県は7,970ヘクタールでありますから、静岡県のほうが茶園は広いわけであります。しかし、なぜここで総生産量が金額にしてこれだけの251億円にとどまったのかということでありますが、これは残念ながらお茶の生産が九州のほうが早く行われる。そして、その九州の茶が出回って、静岡市の茶が低迷するという、ここで単価が低くなるということが原因であることは間違いないと、そう思っております。茶のおいしさ、質、そして摘採量では、静岡県は間違いなく第1位だと私は腹の底に信じているわけであります。
ここで伺いますが、
市内茶農家数と
茶園面積はどのような状態なのか、その推移についてお伺いしたいと思います。
7
◯農林水産統括監(稲葉 光君)
市内茶農家数についてですが、
農林業センサスによりますと、平成22年は約2,200戸、27年は約1,500戸、令和2年は約850戸へと減少傾向にあります。
次に、
茶園面積についてですが、平成22年は約1,500ヘクタール、27年は約1,100ヘクタール、令和2年は約700ヘクタールへと同じく減少傾向にあります。
こうした減少に歯止めをかけるとともに、茶農家の経営基盤の強化を図るため、本市では第2次
茶どころ日本一計画に基づく様々な施策を実施しているところでございます。
8
◯安竹信男君 茶農家の数が平成22年2,200戸、令和2年850戸、この10年間で61.4%も減少しているということになるわけであります。
茶園面積が1,500ヘクタールから700ヘクタールということでありますので、53.3%も減少しているわけであります。このように数字で表されると、山に生きる人間、茶農家を相手にしている立場から大変脅威に感じるのが実感であります。
私が茶農家さんとの接点で感じる危機的な状況をこのような形で表されたわけでありますが、私は常時、中山地域の茶畑を視野に入れながら、マイカーを走らせ活動しておりますが、放棄されていく実態を目にしている中で、この数字を、また自分がアレンジしながらどうしたらいいかということを考えなきゃいけないな、こう実感したわけであります。今後も茶農家に茶の生産を続けてもらうためには、やはり生産現場の農家の皆さんが頑張れる
環境づくりが必要であります。
私は、過去に
茶業振興策について提言してまいりましたが、ただいま
茶どころ日本一計画があるということを発表されましたけれども、これについては後ほど触れたいと思います。
まず、私は、地産地消の推進を提唱してまいりました。多くの市民、つまり消費者と生産者を身近に近づける、この仕掛けが必要だということであります。消費者である市民が茶園で働く生産者と交流できて、
茶工場等で製茶していく工程を見学するなんていったら、これは本当に感動ものです。生産者と消費者が
静岡茶どころの魅力を共有できる、こういうことが必要だと考えたからであります。茶農家の皆さんは、7年ほど前から始まったこの
お茶ツーリズム事業の効果を期待しております。
残念なことは、4月中旬から県外産の新茶が出回ってまいりますので、市内の新茶摘採が始まる4月下旬から5月連休の頃には、茶市場における取引価格は低迷し始め、内牧や美和、松野、賤機地区などの茶工場では、農家の皆さんの顔色が青くなってくるわけであります。申すまでもなく、5月中旬以降に最盛期を迎えるオクシズ中
山間地域の茶工場にとっては言わずもがな、
茶市場取引は農家の首を絞めているのであります。
10年以上も前のエピソードになりますが、
富士山静岡空港であるイベントがありました。空港周辺の茶園の美しい光景は見事でした。そこで川勝知事は、挨拶の中でこう申しました。牧之原の新茶摘採は、まだ始まっていない。静岡の山間部の新茶はもっと遅くなる。しかし、この時期に既に県外の新茶が静岡県内に出回り始めて、八十八夜の新茶の旗をなびかせている。これはおかしいじゃないか。静岡は、山間部のお茶の摘採時期に合わせて八十八夜の旗をなびかせればいいと思うと、こんなふうなことであったんですが、私はびっくりしました。感動したんです。八十八夜は5月1日か2日です。静岡県産の新茶が出回るときに、これが本物の静岡の茶だと言って出せば、この茶額低迷に迷うことはないはずであります。とても大切な助言をいただいたわけでありますが、このことについてこれからももっと本山茶だけになる静岡県のお茶の取引について、もっと研究しなきゃいけないな、そういう課題を持っていると思います。
本市は、令和4年度の国に対する提案・要望書の中に、
農林水産省に対して
農業従事者の減少や高齢化、
経営耕地面積の減少など、危機的な現状であると記載しております。あわせて、
本市農業の直近10年間の
農業産出額は25%減少、特にお茶においては65%減少したと書かれております。今後は、担い手が活躍できる優良農地の確保と、農業所得の向上を目指していくとして、
畑地帯総合整備事業及び
農地中間管理機構関連農地整備事業、この2つを着実に実施していきたい、その予算確保をお願いしたいと、こう要望しているのであります。
ここで伺いますが、
本市農業全体では、不足する労働力を確保するためにどのような施策を実施しているか、お伺いしたいと思います。
9
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 静岡市
農業振興計画では、担い手の確保を最重要施策として位置づけ、新規就農や
事業継承等による将来
本市農業を担う経営体の確保と、
繁忙期等の一時的な労働力の確保という2つの側面から、国や県の制度も活用し総合的に取り組んでおります。
まず、1つ目の
本市農業を担う経営体の確保に向けた施策としましては、国の
農業次世代人材投資事業を活用し、
新規就農者の
経営初期段階の生活を最長5年間下支えする支援を従前より継続して実施しております。また、令和元年度から開始したがんばる新
農業人支援事業では、静岡県やJAと連携し、作目ごとに生産技術の習得や農地の確保までを一体的にサポートしており、
農業次世代人材投資事業と併せ、就農に向けた研修から就農後の生活まで長期間にわたる支援を行っております。さらに、令和3年度からは国の
経営継承・
発展等支援事業を活用し、
本市農業の
中心的担い手である
認定農業者等の後継者が行う規模拡大や販路開拓、作業効率の向上などに対する助成にも取り組んでおります。
2つ目の、
繁忙期等の一時的な労働力の確保につきましては、労働力不足に悩む農業者と農業をサポートしたい市民とを結びつける
援農ボランティア事業を本市独自に実施しております。
10
◯安竹信男君 いろいろな施策を展開していただいて、その効果がじりじりと今芽吹いていることは承知しております。
ここで私は、
援農ボランティア事業について触れたいと思います。どこへ行っても、高齢化した農家の皆さんは、もう跡取りはいないから諦めなきゃならないと、安竹さん、この畑もあと10年だよという話が出てくるわけでありますが、この
援農ボランティアというのは非常にうまくできていると思うわけであります。この内容を見ますと、募集内容でありますが、この
ボランティアを集めるときに、作業内容、募集人員、注意事項、保険についてなどが掲載されておりますが、私が注目したのは、注意事項の中に
ボランティア活動には労働の対価としての報酬、交通費など、いかなる金銭も支給されませんよと、こう書いてあるんです。また、農家の繁忙期での援農となりますので、お客様としての扱いもしませんよと、こう書いてあるんです。言ってみれば当然ですよね。ところが、私は、この
ボランティアというのは、ある程度特典がなければと思うわけであります。この特典を、別にお金を出せとかそういうことじゃないんですよね。できた産物を、どれだけでも時期が来たらお渡しするとか、何かやり方はあると思うんですね。その辺についての工夫をここで要望しておきたいと思います。
私は、
JA静岡市が農家にとって身近な生活相談や
農業支援といった、本来あるべき業務を希薄にして、金融だけの農協とやゆされる時期を見てまいりました。5年ほど前に多くの
農協支店が合併して、今は山間地の
農協支店は金融業務の一端である
ATM事業を残して、
地域農家の皆さんがその空き店舗を加工所や即売所に活用してはおりますが、寂しい風景であります。当時、私は、JAは金融事業をほどほどにして、お茶の生産などの
担い手不足で困っている農家を支援する
人材バンクを稼働したらどうだと、
金融バンクから
人材バンクに、このことを言った時期があったわけでありますが、なかなか聞き入れてもらえなかったわけであります。
農協支店の空き店舗は、地元要望で活用されているというものの、農協に関係した人たちは、この様子を見て大変後ろめたさを今になって感じているようであります。日本農業新聞の報道によりますと、JA全農は、
地域農業の担い手に出向く
JA担当者、
愛称TACの活躍を応援しているということであります。現在、全国に206あるJAの中に1,459人のTACが活動していると言われ、2020年度には6万2,000人の農業の担い手を訪問して、49万回の面談をしているということであります。
ここで、
労働力確保に関わる施策のこれまでの実績についてお伺いしておきたいと思います。
11
◯農林水産統括監(稲葉 光君) まず、がんばる新
農業人支援事業では、これまでに
JA静岡市管内においてはワサビと自然薯、
JAしみず管内においては枝豆を取上げ、経営管理などの研修を実施しました。令和2年度までの直近5年間で、この
研修修了者をはじめ
新規就農者13人が
農業次世代人材投資事業の支援を受けております。
次に、令和3年度から開始した
経営継承・
発展等支援事業では、茶やミカン、枝豆等の生産に係る新たな経営者7人の申請が採択され、このうち6人が
作業効率向上のための設備更新を行い、1人が販路開拓のための専門家への相談を受けております。また、
援農ボランティア事業では、本年11月末現在の
ボランティア登録者数は131人であり、令和2年度までの直近5年間では、茶やミカン、イチゴなど、本市を代表する作物の農家において
年平均延べ870人を受入れております。
なお、最新の静岡県の統計では、平成27年度から令和元年度までの5年間における本市の法人を含む
新規就農者数は合計93経営体であり、これらの事業が
新規就農者の確保に寄与しているものと考えております。
12
◯安竹信男君 いろいろな努力がここで表明されていて、私も、緑茶を通じて新しく頑張っているんだなということを評価しながら、この質問をしたわけでありますが、この
援農ボランティア事業について、令和2年度までの直近の5年間で、年平均で延べ870人を受入れたというその実績、これはすばらしいなと思うわけであります。また、令和3年、既に今答弁もありましたが、登録者が131名ということで援農の成果が期待されるわけであります。
がんばる新
農業人支援事業において、
JA静岡市管内の
ワサビ栽培と
自然薯作り、
JAしみず管内の枝豆栽培の実践研修が
地域農産物に根づくことを大変期待しております。平成27年度から令和元年度までの5年間で、合計93名の
新規就農者が誕生している、このことも大変明るい展望だと思います。
さて、静岡市
茶どころ日本一計画、お茶のまち100年構想の実現に向けてというこの事業でありますが、その
実施状況報告書を見ますと、お茶の
まち静岡市を誇りに思う市民が今94%だと、これを令和12年度には100%にしたいと、こう書かれております。また、お茶の産出額の20.2億円を令和12年度には30億円に伸ばしたい。静岡市の
お茶輸出量0.559トンを令和12年度には何と5.5トンにしたいと言っているわけであります。1
世帯当たりの年間の
緑茶購入量が今2,323グラムですが、これを令和12年度には2,600グラムぐらい皆さん飲んでくださいと、こういうことであります。
また、オクシズ元気ビジネス支援事業では、地域資源を活用した振興事業計画を実行する住民団体に対して補助金を交付したいと言っております。また、ふるさと農力チャレンジ事業では、農業の6次産業化などに取り組む農業者に対しては、やはり補助金を出してお助けしたいということであります。オクシズプロモーション事業で、中山間地をPR、農林産物の紹介など情報を発信すると、こう言っているわけであります。お茶ツーリズム推進事業では、お茶ツーリズム体験希望者を受入れ、農家を元気づけているということであります。
資料の一部を提供させていただきましたが、これはなかなかうまくできている。タクシー会社もこれに便乗して、一生懸命頑張ってくれているわけでありますが、これは本当にいいですよね。これを皆さん、議員の皆さんと共有して、ますます茶どころ日本一の静岡市を支えていただきたいなと、こう思うわけであります。
さて、これらの事業、本当に一生懸命やってくださっておりますので、市長もたまには茶工場にお見舞いには行かれるようでありますが、この中山間地を私的にでもちょっと散策すると、またいいアイデアが生まれるんじゃないかと、こう思うわけであります。
ここで伺いますが、茶園の耕作放棄地を増やさない、そのためにどのような取組をやっているか、教えてください。
13
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 本市では、茶農家の安定的かつ永続的な茶業経営の基盤づくりを目的に、茶園の改良整備や機械化、共同管理化等を支援・推進しております。一方、耕作放棄地対策としては、農地の集積を図り、担い手の農業経営の規模拡大や省力化を支援する農地中間管理機構を通じて借り受けた茶園において、茶樹改良等の取組を行う場合に、抜根や整地、土壌改良などに係る経費の一部を助成する茶園集積推進事業を実施しております。さらに、茶園の一部をより収益性の高い作物に転換し、生産者の経営を安定させることで今後も茶の生産を継続できるよう、作物転換に係る整地や苗木植栽などの経費について助成する補完作物転換支援事業を実施しております。
その他、急傾斜農用地などが多く、農業生産条件が不利な地域における耕作放棄地の防止対策として、集落等の単位でお茶をはじめとした営農活動を5年間継続することを条件に交付金を支払う、中
山間地域等直接支払制度も実施しております。
14
◯安竹信男君 農家の皆さんは、自分が作っているお茶に誇りを持っているんですよね。だから、なかなかほかと集団化、同じ団地化するということを、どちらかというと敬遠するんですよ。もうそういう時代じゃないよと、もうあなた10年以上やれないと言っているじゃないですかと言ったら、ほかの人と一緒にやるように団地化しようじゃないかと。今答弁にございましたけれども、この茶園集積推進事業、これが僕は鍵だと思っています。そうすると農家の皆さん、本当に安心して自分の畑は団地化されたけれども、俺の畑は俺がまた一生懸命やれるんだと、足りないところは応援してもらえるんだと、こういう環境ができてくるわけであります。
そして、この補完作物の転換事業なんかも、若い茶農家の皆さんは大変積極的にやってございます。そして、じまん市なんかにもどんどんいろいろな形で出てくるわけでありますが、これも大変立派です。ぜひこのようなことを後押ししていただいて、今まで経験しているわけですよね。ちっちゃな茶工場でやっていたけれども、もうこれで末が見えてきたから、大きな茶工場に合併したという、こういう皆さんでもって集団化しよう、合併しようという雰囲気はもう十分できていますので、これを上手に育てていただきたいなと、こう思うわけであります。
まず、ここでこの直接支払い制度、国のほうでは一時、もうこの直接支払い制度はいいんじゃないかという時期がありましたが、私は、まだ自民党に御厄介になっているときのことでありますが、この支払い制度は絶対に廃止すべきじゃないと、こういう陳情・要望を安竹つくれと言われて、国に出したことが記憶に残っているわけでありますが、ぜひこの直接支払い制度をもっと使っていいんだよと言って、使わせてやっていただきたい、こう思うわけであります。
最後の質問です。静岡市の美しい茶畑の景観を市内外にもっともっと情報発信していただきたい、こう思うわけであります。これですよね、こんな感じで。この取組は今どこに力点を置いて取り組んでいらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
15
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 本市では、茶畑の景観を観光資源と捉え、茶摘み体験や茶畑見学などを通してお茶の魅力を発信するお茶ツーリズムを実施しております。また、コロナ禍における取組として、SNSキャンペーンを展開し、ツイッターやインスタグラムへ茶畑の景観を投稿していただくなど、市民の皆さんにも情報発信に御協力をいただいております。
さらに、全国の日本茶インストラクターや首都圏在住者を対象としたオンラインイベントでは、新聞社や雑誌社など複数のメディアが参加する中、茶農家や茶商との交流を通じ、静岡市らしい山あいに広がる茶園の風景を届けました。そのほか、風景を眺めながらお茶を楽しむことができる茶畑テラスの設置が、観光によって地域活性化を図る法人DMOから始まり、近年では民間独自の取組として広がりを見せています。
こうした民間の動きにも呼応しつつ、今後、アフターコロナを見据え、茶畑景観とともに、静岡市のお茶を市内外に情報発信してまいります。
16
◯安竹信男君 お茶ツーリズムだとか、SNSキャンペーン、あるいはオンラインイベント、茶園風景の観光、いいですよね。静岡ならではのこのお茶の楽しみ方ということをもっともっとPRしていただきたい。清水の西河内地区の標高300メートルの高台に天空の茶の間が整備されたということで、大変これ人気があるらしいんです。まだ私は行っていないんですが、清水のことだからじゃなくて、行かせていただきたいと思っています。本当にこういう形をいろんなところに、ぽつんぽつんと造っていただく、第三セクターというか、茶業を営む人たちが、ただ売るだけじゃなくて、こういうところに投資するということも当然必要じゃないかと思うんです。この辺について、我々議会としても働かなきゃいけない課題でありますが、できるだけああいうすばらしい環境を体感する、こういう天空の茶の間的なものを広げていただきたい。
そして、以前、スタートし始めたわけでありますが、各茶工場には集荷の駐車場が広く取ってあるわけでありますが、ふだん茶を作るとき、製茶のとき以外は、空き場所になっているわけですよね。こういうところを提供して、この一画にお茶喫茶などをオープンさせる、こんなこともいいんじゃないかなと思います。農家の人も若者が、おらが村は村じゃないんだと、まちなんだという環境をつくれば、後継者なんていうのはどんどんできてくると思うんですがね。百姓は土に触れていつも泥だらけなんて思っていると、百姓をやる人はいないんですよ。6次産業化もその1つなんですよね。朝起きたら、泥だらけになって農作業をする。昼間になったら、それを加工する。そして、次の日はまちに行って、ネクタイこそしないけれども、多くの市民の前でそれを販売する、これが6次化ですよ。これをですね、やはり官民一体となって推し進めていかなきゃいけない。
ここで、最後に締めくくりますけれども、この9月に静岡市農業委員会から市長に要望書が出ているはずであります。その要望書を見ますと、今、当局が努力していることがほとんどここに書かれているわけですね。
17 ◯議長(
鈴木和彦君) あと1分です。
18
◯安竹信男君(続) そのたたずまいをこうしてほしいというのが、この要望書に書かれております。市長、読まれておりますよね。間違いないですよね。ぜひこういったことに積極的に取り組んでいただきますことを心から要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
19 ◯議長(
鈴木和彦君) 次に、市川 正君。
〔市川 正君登壇〕
20 ◯市川 正君 通告に従いまして質問いたします。私は、福祉行政について2点伺いたいと思います。
大項目1、高齢者の虐待防止の取組について。
高齢者虐待の実態については、本年3月、厚労省が令和元年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況に関する調査の結果及び高齢者の虐待の状況等を踏まえた対応の強化についてという通知を発出しました。これによりますと、高齢者の虐待については、養介護施設従事者による相談・通報件数が2,267件、虐待判断件数は644件ありまして、いずれも過去最高となっています。養護者による相談・通報件数は3万4,057件、これも過去最高です。また、虐待判断件数は1万6,928件ということで、前年の1万7,200件余に比べて僅かに減少したものの、高止まり傾向が続いているとしております。養護者による虐待判断は49.7%ということで、養介護施設従事者によるものの28.4%に比べて非常に多くなっております。このことから、今回は養護者による虐待防止について考えたいと思います。養介護施設従事者によるものについては、要望・意見の中で触れることといたします。
養護者によるものでは、養護される側の性格や人格によるもの、養護する側の介護疲れやストレスによるものが多くなっております。これらは認知症に起因するところも多いのではないかと推察されるところであります。家庭において高齢者が安心して生活できるためにも、高齢者の虐待をなくすことが求められます。
そこで、静岡市の対応をお聞きいたします。
1つは、静岡市の健康福祉報告書によりますと、令和2年度の虐待通報件数、在宅分でありますけれども、186件となっております。虐待の種別や要因など、高齢者の虐待の現状はどのようになっているのか、伺います。
次に、虐待通報を受けた場合、虐待の当事者や養護者への支援や指導、これらは市としてどのように対応しておられるのか、伺いたいと思います。
次に、高齢者虐待防止のための市の取組について伺います。
コロナ禍で生活に困窮する市民が増えている中、認知症や要介護の家族を抱える養護者は、養護に関して常に緊張を強いられているのではないでしょうか。厚労省通知で、新型コロナ感染症の拡大防止のため、外出自粛や通所介護、短期入所生活介護の利用回数の変更などにより、多くの高齢者が外出を控え、居宅で長い時間を過ごすことが想定されています。そして、養護者の生活不安やストレスの増加が予想され、高齢者を取り巻く家庭内での人間関係、養護者の介護疲れなどの要因が影響して、高齢者の虐待の発生、深刻化が懸念されるとの警鐘も見逃せません。虐待が起こってしまったとき、あるいはその傾向があるときなど、深刻化する前に発見し、高齢者や家族に対する支援を開始することが求められます。同時に、虐待を未然に防止するためには認知症に対する正しい理解や介護保険の適切な利用など、養護者の負担軽減を図ることが大切と考えております。福祉事務所や地域包括支援センターなどと連携し、セミナーや当事者同士の体験交流の場や学習会を開くなど、市民への啓発活動を進めていくことが大切ではないでしょうか。
そこで、高齢者虐待防止のため市民に対してどのような啓発活動を行っておられるのか、あるいは行っていこうとしているのか、伺いたいと思います。
次に、大項目2です。生活保護行政について伺います。
生活保護については、厚労省のホームページが改善され、生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに御相談ください。このように大きく明示されました。その上で、生活保護の申請についてよくある誤解として幾つかを例示し、保護申請をためらっている人も、まずは思い切って相談しようと納得できる呼びかけになっております。
今年の6月議会において、
寺尾議員の質問に対して、本市としましても従来より生活保護の申請は国民の権利であると認識していますとの保健福祉長寿局長の答弁がありました。昨日の本会議でも、創生静岡の長沼議員が触れておりましたけれども、コロナ禍の下、生活に困窮する市民が増える中で、改めて今こそ国民の権利である生活保護制度が市民にしっかり周知され、必要な市民への制度活用が図られなければならないと考えます。そのためにも市民に対して明確なメッセージを発信することが求められるのではないでしょうか。市民がためらわず生活保護を申請するための方策について伺いたいと思います。
まず、市民への制度周知についてですが、厚生労働省のホームページの改善に伴い、各政令市のホームページも改善されてきました。全20政令市のホームページを確認しましたが、今年10月時点では、14の政令市が憲法で保障された国民の権利であることを明示しています。札幌市では、ホームページの表記も厚労省と同様に国民の権利であるとことを大きくはっきり明示しています。また、生活保護の申請は国民の権利です、こういったポスターを10の区民センター、5か所の税務事務所あるいは水道局へ掲出し、また、生活保護のしおりにも明示しているところであります。静岡市のホームページにはそうした記載がなく、保護を受ける前に自分でこのことに努力してくださいと、生活保護を受けるためのいろいろな条件が列記され、これらを様々努力してもなお生活できないときに、初めて生活保護を受けることができますというような表記から始まっております。生活保護をためらわせるこうした記載は、厚労省のホームページと比べてみますと、その印象が大きく異なっているというのが現実であります。
そこで、伺います。本市として生活保護をためらう人のために、生活保護の申請は国民の権利であることを広く市民に周知することが必要であると考えますがいかがか、伺いたいと思います。
以上1回目の質問です。
21 ◯保健福祉長寿局長(杉山友章君) 高齢者の虐待防止の取組についての3点の御質問と、生活保護行政についての御質問にお答えします。
まず、高齢者虐待の現状についてですが、令和2年度に福祉事務所等で受理した高齢者虐待の通報件数は186件で、元年度に比べ28件増加しております。増加の理由は、元年度に市の高齢者虐待防止マニュアルを改訂し、軽微な虐待疑いでも、通報を求めるようにしたためです。この通報件数のうち、福祉事務所で虐待と判断した件数は、令和2年度が59件、前年度が57件で、ここ数年横ばい傾向となっています。
次に、通報者の割合は、ケアマネジャーが最も多く、全体の4割を占め、警察、介護保険事業所、家族・親族、近隣住民等の順になっています。虐待の種別としては、身体的虐待が最も多く、全体の7割を占め、心理的虐待、介護放棄、経済的虐待の順になっております。また、虐待の発生要因は、介護疲れ・介護ストレスが9割弱となっております。
次に、虐待通報を受けた場合の対応についてですが、通報があった場合、福祉事務所の保健師や社会福祉士等の専門職が地域包括支援センター等の職員と連携して、家庭訪問や関係機関への聞き取り等により、事実確認を行います。そして、高齢者の安全確保のため、介護者との緊急の分離が必要となる場合には、特別養護老人ホーム等での一時保護を実施します。また、高齢者の介護について家族間の調整を行い、個々の状況に応じて介護サービスにつなげるなど必要な支援を行います。さらに、介護者に対しても、介護者同士の情報交換の場である家族会等への参加を勧めたり、介護技術に関する情報提供や適切な相談窓口への紹介等を行い、その後も継続的に見守りを行うなど、丁寧な相談支援を行っております。
次に、高齢者虐待防止のため市民に対してどのような啓発活動を行っているかについてですが、高齢者虐待の発生要因の9割弱が介護疲れや介護ストレスとなっているため、介護の負担を軽減するための介護サービスや相談窓口につなげたり、高齢者の特性や認知症等の病気の特性を介護者に理解してもらうことで、高齢者虐待の防止につながるものと考えます。そのため、高齢者の特性や認知症等の病気の特性と、それぞれの特性に応じた対応方法を紹介する市民向けの講演会や講座を開催するほか、介護サービスや相談窓口の情報も盛り込んだ啓発用パンフレットを作成し、福祉事務所や地域包括支援センター、講演会や講座等で配布するなど、市民に対する啓発に努めています。また、広報紙静岡気分12月号において、高齢者虐待の特集記事により高齢者虐待の防止について周知したところです。
今後も市民への周知、啓発活動を積極的に行い、虐待防止の意識を高めるよう努めてまいります。
最後に、生活保護の申請は国民の権利であることの市民への周知についてですが、生活保護を申請する方の心理的負担の軽減を図るため、ホームページや生活保護制度のパンフレットに、生活保護の申請は国民の権利であることを表示するなど、広く周知してまいります。
〔市川 正君登壇〕
22 ◯市川 正君 ありがとうございました。2回目の質問になります。
生活保護の申請は国民の権利であるということを市のホームページあるいは生活保護のしおりにはっきり明示するという御答弁をいただきました。できるだけ早く市のホームページを厚労省並みに変更する、あるいは広報でお知らせするとともに、できれば窓口をはじめ公共施設に、保護は権利ですというポスターも作成して貼り出していただければと思います。よろしくお願いしたいと思います。
生活保護行政については、市民がためらわず生活保護を申請するための方策について、生活保護の利用をためらう大きな理由が、親族に扶養照会の問合せが行くことではないでしょうか。日本共産党の小池 晃参議院議員の国会質問への答弁の中でも、厚労大臣が扶養照会は義務ではないことを何度も何度も明言しました。2月26日付で厚労省から発出された扶養照会に関する通知で、DV該当者には照会してはならないこと、あるいは扶養義務者であっても10年以上交流がない場合には照会しなくていいこと、このような重要な変更がなされております。
そこで、生活保護の申請において心理的負担となるのが扶養照会であると考えます。政府答弁や国の通知を受け、どのような点に留意して事務を実施していくのか伺って2回目の質問といたします。
23 ◯保健福祉長寿局長(杉山友章君) 生活保護の扶養照会に係る留意点と実施についてですが、本年2月の厚生労働省事務連絡において、生活保護の扶養照会について、扶養義務の履行が期待できないと判断される者には、直接の照会を行わないとする取扱いが改めて示されました。具体的には、例えば70歳以上の高齢者や施設入所者などで、金銭面で扶養が期待できない者や10年以上音信不通であることなど、要保護者の生活歴から明らかに扶養ができない者、さらには虐待の経緯があり、要保護者の自立を阻害することになると認められる者等には、直接の照会は行わないとするものです。
このため、こうした取扱いに留意し、要保護者の相談に当たっては、一人一人に寄り添い丁寧に生活歴を聞き取ることで、適正な扶養照会の事務を実施するとともに、市民に広く周知し、生活保護を必要とされる方がためらうことなく申請できるように努めてまいります。
〔市川 正君登壇〕
24 ◯市川 正君 ありがとうございました。3回目は要望・意見です。
養介護施設での虐待を防止するには、ここで働く人の待遇を改善し、ゆとりある介護ができるようにすることも欠かせないことではあります。厚労省通知でも、養介護施設での虐待の発生要因は、仕事に対する教育、知識、介護技術等に関する問題や、職員のストレスによるもの、人員不足や配置によるものなどが多いとされています。セミナーを充実させていくとのお答えもありましたが、当事者同士の経験交流や地域づくりを進める、こういったことから必要な学習会についても充実されるよう取り組んでいただくことを要望いたします。
また、政府の介護報酬抑制路線、こういったことで多くの事業所は経営難に苦しみ、介護分野は低賃金の非正規労働が主流となっているというのが現実です。介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理や法令遵守を図り、正規化、常勤化の流れをつくっていくこと、サービス残業の根絶、長時間労働の是正を進めること……
25 ◯議長(
鈴木和彦君) あと1分です。
なお、この削減目標の設定に当たりましては、国の目標や国際的潮流も見据えながら、本市の地理的、社会的特性等も踏まえて検討してまいります。
次に、脱炭素社会に向けた官民連携会議での議論についてですが、市内企業や市民団体等の皆さんの御参画の下、本市が設置いたしました官民連携会議には、エネルギー供給業や製造業、物流業、建設業などにおける具体的な取組についてより幅広い議論をするため、各業界の団体代表者で構成される作業部会も設けております。この官民連携会議や作業部会では、本市の2050年の目指す姿や2030年度までのロードマップの案をお示ししながら、具体的な取組とその取組を進めるに当たって必要となるコストをどの主体がどう負担していくのかといったことや、さらには国や市などに求める支援策等について議論を行っております。
今後、官民連携会議や作業部会での議論をさらに深め、令和4年度に策定する実行計画の中に、2050年の静岡市の目指す姿や2030年度までのロードマップを盛り込んでまいります。
最後に、地域経済循環分析ツールの使用目的についてですが、地域経済循環分析ツールは、環境省が自治体の環境施策の立案や地方創生関連業務への活用等を目的に構築したものでございます。また、このツールには市内生産額や域外への資金流出額などを見える化できる機能が盛り込まれております。こうしたことから、同ツールを活用し、エネルギー調達に伴い域外流出している資金額を可視化し、再生可能エネルギーを地産地消していくことの必要性を訴えるための資料として会議にお示ししたところでございます。
44 ◯経済局長(加納弘敏君) グリーンニューディールの地域経済への好影響についてですが、脱炭素社会の実現が世界的な課題となる中、環境・エネルギー分野への投資を進めることで経済成長と環境問題を同時に解決しようとするグリーンニューディールは、地域経済活性化の観点からも極めて重要なテーマの1つであると捉えております。先日行われました市内大規模工場長との意見交換会や静岡商工会議所からの行政要望において、脱炭素への取組が大きな論点となっており、市内企業の皆様も高い関心を寄せていることがうかがわれます。企業にとって脱炭素への対応は、設備投資など新たなコストの発生や事業の見直しなどが課題となる一方で、関連分野での事業機会の拡大のほか、自社の脱炭素化への取組を通じた効率性・生産性向上のチャンスともなり得るものと考えております。
公共や民間において環境関連事業への様々な投資が進むことは、地域経済にとって新たな雇用創出や企業誘致、そして地域産業全体の競争力向上につながることが期待され、脱炭素社会の実現やそのための課題解決に向けては、官民が連携し、地域一体となって取り組んでいくことが必要であると考えております。
45 ◯農業委員会事務局長(増田雅之君) 営農型太陽光発電の設置要件についてですが、営農型太陽光発電は、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光パネル等の発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電で共有する取組です。この場合、支柱の基礎部分について農地法に基づく一時転用許可が必要となります。許可要件としましては、通常の一時転用許可基準のほか、農作物の品質や生育に適した日射量が確保されていること、下部の農地における農作物の単位面積当たりの収穫量が、同じ年の地域の平均的な収穫量と比較しておおむね2割以上減少しないことなどの基準を満たす必要があります。ただし、荒廃農地を活用する場合には、収穫量の基準は設けられておりません。
また、一時転用の許可期間は通常3年以内ですが、認定農業者などの担い手が営農を行う場合や、荒廃農地を再生利用する場合などにおいては、特例的に10年以内となっています。
次に、市内の営農型太陽光発電の設置状況についてですが、平成28年度から令和2年度までの5年間で2か所新設され、過去設置されたものとの合計は10か所となりますが、荒廃農地を再生利用した事例はありません。
46 ◯子ども未来局長(青野志能生君) ひとり親家庭支援に関する2つの御質問についてお答えいたします。
まず、令和2年度の母子家庭等就業・自立支援センター運営事業と、ひとり親家庭等総合サポート事業の相談件数と主な相談内容についてですが、本市では、ひとり親家庭の自立促進と生活の安定のために幅広い支援を行うことができるよう、母子家庭等就業・自立支援センター運営事業とひとり親家庭等総合サポート事業の2つの事業の運営を委託しており、それぞれが役割分担をしながら総合的な支援を行っております。
まず、静岡県母子寡婦福祉連合会に静岡県、浜松市と共同で委託する母子家庭等就業・自立支援センター運営事業では、就業セミナーや職業紹介のほか、離婚後の養育費や子供との面会交流の相談などを行っています。令和2年度の本市に係る相談件数は、相談内容ごとの延べ件数が3,140件で、主なものは、求職・転職に係る相談、資格取得や職業訓練に係る相談、面会交流に係る相談になります。
次に、静岡市母子寡婦福祉会に委託するひとり親家庭等総合サポート事業では、就業や生活に関する相談全般のほか、自立に向けた支援計画の策定やひとり親家庭へのヘルパー派遣などを行っています。令和2年度の相談件数は、相談した人数になりますが202人で、主なものは、離婚に悩む方の離婚後の支援や手続に関する相談、求職や転職に係る相談、生活困窮に係る相談になります。
次に、母子家庭等就業・自立支援センター運営事業とひとり親家庭等総合サポート事業の相談窓口の情報共有と連携についてですが、2つの窓口は、それぞれが役割分担をしながら支援を実施していますが、中でも就業に関する相談については、相談者の状況に最も適した支援を行うため、それぞれの窓口だけで対応するのではなく、必要に応じて情報共有を図り連携した支援を行っております。
例えば、ひとり親家庭等総合サポート事業の窓口に就業の相談があった場合は、無料職業紹介を実施している母子家庭等就業・自立支援センター運営事業につなぎ、2つの窓口が情報共有しながら、より相談者に適した就職先をあっせんしています。
また、母子家庭等就業・自立支援センター運営事業の相談者について、資格の取得など就職まで一定期間の支援が必要な場合には、ひとり親家庭等総合サポート事業につなぎ、そこで相談者の自立支援計画を策定し、2つの窓口が連携して計画に沿って中長期的な支援を行っております。
〔松谷 清君登壇〕
47 ◯松谷 清君 それでは、2回目の質問をさせていただきます。
今、温暖化対策実施計画についての御答弁、計画策定について伺ったんですけれども、目標値を言わないんですね。せめて国の46%は超えるという答弁が来るかなと思ったんだけれども、全くまだ来年だと言っている。大変残念であります。
静岡市の二酸化炭素発生量は、年間500万トン超であります。計画は、二酸化炭素発生分野の削減目標、削減するほうですね、それから再エネ拡大の目標、再エネを増やすほう、その2つの組合せで目標は設定されます。2050年実質ゼロに向け、2030年度までに産業、運輸、民生業務、民生家庭、この4部門においてそれぞれ削減目標を出すわけですけれども、どの程度、削減目標を想定しているのか伺いたいと思います。
次に、この計画策定は、運輸については都市計画に絡みます。家庭などについては市民参加が重要になります。ヨーロッパで非常に、今、イギリス、スペイン、フランスでも進んでおりますけれども、国内では札幌市や川崎市で、大学の研究者を軸に、無作為抽出、くじ引によって選ばれた数十人から150人程度の市民が、数週間から数か月かけて気候対策について話し合う気候市民会議が注目されております。札幌市や川崎市で行われている気候市民会議を静岡市で取り入れていく考えはないのか、伺います。
次に、地域経済とグリーンニューディール、グリーンリカバリーについてお伺いしますが、御答弁いただいたように、お手元の資料を見ていただければ分かりますが、3兆1,862億円、これは静岡市の総生産でありますけれども、エネルギー代金としては1,190億円、全体の3.7%を海外に支出しているということになります。この支出を抑えるということと、地産地消、再生可能エネルギーですね、その組合せで循環経済というものを大きくつくり出していこうということになるわけであります。
市域外へのエネルギー代金流出を抑制するため、再生可能エネルギーを活用した新たなビジネスの創出など、先導的モデルづくりを進めていく必要があるのではないか、伺いたいと思います。
そして、農業と結びついた営農型太陽光発電について、静岡県は千葉県と並んで全国のトップを走っております。しかし、静岡は非常に低いんですね。地域の平均的単収と比較しておおむね2割以上減収しないことという条件が営農型太陽光発電の設置基準となっているわけでありますけれども、そうしたことが広がらない理由になっているのかどうかなんですけれども、設置後の農作物の生産状況をどのように確認しているのか、伺いたいと思います。
次に、ひとり親家庭の支援についてお伺いいたします。
今、御答弁いただいて、県と市はそれぞれ情報共有をして、特に就職の分野で様々な形で役割分担しているということでありました。
それで、今度、昨年度の状況を伺ったわけでありますけれども、今年に入り、静岡市母子寡婦福祉会内部でパワハラと推測される運営をきっかけに、熟練された職員が4月、6月と相次いで退職され、様々な委託事業の滞りが心配されてきました。お手元の資料、委託事業の1つである母子自立支援プログラム策定事業の4月、5月、6月の報告であります。新規の相談者が、4月、5月にそれぞれたった1件なんです。そして、4月のアフターフォローは5件あるわけでありますけれども、5月はゼロ、6月も5件あるんですけれども、これ4月のコピペした内容がそのまま貼り付けられて、4月30日の1日だけアフターフォローしている。6月30日の1日だけやっている。そういうような報告書になっているわけであります。この報告書では、委託事業をきちんと実施したことになっているのかどうか、甚だ疑問であるわけであります。
そこで、昨年の報告書と比較してみました。昨年の4月から6月のプログラム策定数は19件、今年はたったの2件、アフターフォロー及び継続相談で、昨年は33件、今年はさきに紹介したコピペした5件の2倍の10件であります。担当者の入れ替わりでまともに実施されていなかったのではないかということが推測されるわけであります。
そこで、ひとり親家庭等総合サポート事業における相談窓口は2021年4月からどのような体制で行い、どのような職員配置となっているのか、また、職員に対して個人情報保護の研修等をどのように実施しているのか、伺います。
2つ目に、そもそもひとり親家庭等総合サポート事業を、葵区役所子育て支援課フロアに共通スペースの提供を受けている静岡市母子寡婦福祉会に随意契約している理由は何であるのか。
3つ目に、2021年度の委託事業のうち、ひとり親家庭相談窓口設置事業と母子自立支援プログラム策定事業の4月からの月例報告について、調査されたとのことでありますけれども、どのように評価しているのか伺って、2回目の質問を終わります。
48
◯環境局長(藪崎 徹君) 計画策定についての2点の御質問と地域経済とグリーンニューディールについての1点の御質問にお答えいたします。
まず、2030年度までの各部門における削減目標についてですが、国が本年10月に策定いたしました
地球温暖化対策計画では、各部門における二酸化炭素の排出量を2030年度までに2013年度比で農林水産業や製造業などの産業部門が38%、オフィスなどの民生業務部門が51%、一般住宅などの民生家庭部門が66%、個人所有の車両や物流業などの運輸部門が35%削減していくことを目標としております。
本市では、これらを参考に各部門における具体的な削減目標についても令和4年度に策定する第3次静岡市
地球温暖化対策実行計画の中で設定できるよう検討してまいります。
次に、気候市民会議の取り入れについてですが、令和4年度に策定する実行計画では、2050年の目指す姿や具体的な2030年度までのロードマップを盛り込んでいくため、より多くの皆さんの御意見を聴取したいと考えております。このため本年9月から、企業へのアンケート調査やヒアリングを行っていることに加え、令和4年度には静岡市環境審議会での御議論やパブリックコメントを通して多様な御意見を募ってまいります。
加えて、気候市民会議とは異なりますが、例えば学生を対象としたワークショップの開催など、多様な世代から御意見を聴取していくことも検討しております。
最後に、先導的なモデルづくりについてですが、本市は、域内の再生可能エネルギーの導入を拡大し域内で消費する、いわゆる再生可能エネルギーを地産地消していくことが脱炭素社会の形成のみならず、域外へのエネルギー代金流出の抑制につながる、経済と環境が両立する取組の1つであると認識しております。このため本年7月に、静岡市清水区袖師地区を中心とした次世代型エネルギーの推進と地域づくりに係る基本合意書を締結したエネオス株式会社を含め、現在、複数の企業と再生可能エネルギーを地産地消する先導的なモデルづくりに向けた検討を進めております。また、このような取組は、国が本年6月に策定した地域脱炭素ロードマップで定める脱炭素先行地域の要件にも合致するものと考えられるため、その選定も目指し、国とも積極的に意見交換を行っているところでございます。
49 ◯農業委員会事務局長(増田雅之君) 営農型太陽光発電設置後の農作物の生産状況の確認についてですが、設置者は、
農林水産省の取扱通知に基づき、年に1回、下部の農地で生産された農作物に係る状況について、農業委員会への報告が義務づけられております。状況報告では、農作物の作付面積、収穫量、地域の平均的な収穫量等が記載されており、試験研究機関など知見を有する者の所見が付されています。農業委員会では、提出された報告書により農作物が適切に生産され、営農に支障が生じていないことを確認しております。
50 ◯子ども未来局長(青野志能生君) ひとり親家庭支援に関する3つの御質問にお答えいたします。
最初に、本年4月からのひとり親家庭等総合サポート事業の相談窓口の体制、配置する職員と個人情報保護の研修等についてですが、まず、相談窓口の体制としては、委託契約の仕様で、ひとり親の就業相談や生活に関する助言指導を行う就労支援専門員1名と、就労支援専門員から引き継いだ方に対し自立・就業のための支援計画を策定し支援を行うプログラム策定員1名の計2名を配置することになっています。配置する職員は、委託契約の仕様において、就労支援専門員は、公共職業安定所等での勤務経験を有するとともに、ひとり親家庭の福祉の増進に理解があることを要件とし、プログラム策定員は、就労支援専門員の要件に加え、産業カウンセラーの有資格者であることが必要です。
4月以降の配置状況を確認したところ、6月に就労支援専門員が長期間休んだため、仕様に定める資格を持たない事務局職員が代わりに従事していたこと、7月に就労支援専門員が単独で配置すべきプログラム策定員を兼務していたことが判明いたしました。6月と7月の業務実施につきましては、代わりに従事した事務局職員がひとり親支援に関する知識を有していたこと、兼務した就労支援専門員は、以前に本業務のプログラム策定員としての勤務があることから、相談に見えた方への対応はできていたものと考えますが、委託契約に定める仕様を正しく履行していないことにつきましては、関係部局に確認し対応していきたいと考えております。なお、8月以降は適正に配置していることを確認しています。
次に、個人情報保護の研修等については、窓口に配置する職員に契約時に添付する個人情報の保護の取扱いに関する仕様書を渡しているのみで、その内容の説明や研修等は行われていませんでした。ひとり親家庭等総合サポート事業の相談窓口に相談される方は、様々な事情をお持ちの方もあり、業務の性質上、個人情報の取扱いには特段の配慮が必要であることから、現在の取組では十分とは言えないと考えます。そのため、受託者に対し、個人情報を適切に取り扱う必要性について改めて認識することを求めてまいります。
次に、随意契約の理由についてですが、本事業を実施するに当たっては、関係機関と連携しながら、ひとり親家庭の状況を把握し、相談者の気持ちに寄り添って子育て支援や生活支援などの幅広い支援を行う必要があります。こうしたことから、業者の選定に当たっては、継続的にひとり親家庭に対し支援を行ってきた実績があり、事業を実施するために必要な知識やノウハウを有し、的確に事業が実施できることが必要であるため、当事者団体である市内の母子・父子福祉団体で委託が可能と思われる2つの団体に意向を確認いたしました。その結果、静岡市母子寡婦福祉会から事業の実施が可能との回答を得たため、業者として選定し随意契約を締結しております。
次に、ひとり親家庭相談窓口設置事業と母子自立支援プログラム策定等事業の月別報告に関する評価についてですが、まず、ひとり親家庭相談窓口設置事業の報告は、相談窓口における相談件数と、そのうち就労につながった件数が報告されています。本年4月以降、特に7月までの相談件数は毎月5件程度で、就労件数は実績がありません。これらについては、原因は分かりませんが、前年に比べ減少しています。なお、相談に見えた方全てに対応していることを確認しています。
次に、母子自立支援プログラム策定等事業の報告は、就労を希望する方のうち、就労に向けての支援計画を策定した人数と、対象者ごとの支援メニュー、相談等の支援の状況が報告されています。異なる月の報告において、同一人物の支援メニューについて同じ内容の記載となっていることを確認していますが、これは支援計画に基づく支援メニューは、当初決めた内容に基づき支援を行うためであり、本年4月以降の報告内容をそれぞれの個票と突合し、記載内容に誤りがないことを確認しております。
〔松谷 清君登壇〕
51 ◯松谷 清君 じゃ、3回目質問します。
計画策定に、そういう各分野の数値、国の数値を出してくれたんですけれども、何で目標値のところに46%の数値を出さないのか、世界に輝く静岡市とか市長は言っていますけれども、全く頭が分離しているのか、大丈夫かなとちょっと心配になりますね。(「大丈夫じゃないね」)大丈夫じゃないね、そうですね。それで、その点、非常に残念ですね。もっと野心的な数字が出るのかなと思ったんですけれども、環境を非常に重視される市長であるにもかかわらず、この点は苦言を呈しておきたいと思います。
3回目の質問でありますけれども、静岡市全体の計画策定ですね、今言った目標をやっていくためには、まず静岡市が事業体としてRE100、再エネ100%を実現しなければなりません。庁舎においてバーチャルパワープラント──VPPを活用したRE100を実現していくことでありますけれども、静岡市が事業所としてRE100の実現に向け、全体的にどのように進めていくのか、お伺いします。
2つ目に、計画策定に大学を軸にした気候市民会議に極めて消極的な姿勢で大変残念であります。大学生から意見を聞くなんていうのは、気候市民会議と程々離れている状況でありまして、国・地方脱炭素国民会議では、地域脱炭素ロードマップにおいて大学キャンパス等の特設サイトとしての類型イメージを示しております。千葉商科大学は、大学の再エネ100%を実現しております。静岡市内の大学も、RE100を100%、ぜひとも実現してほしいわけであります。静岡市も深くそこを要請すべきなんですね。温室効果ガス排出実質ゼロに向けた課題を大学と連携していく可能性はどうなのか、伺いたいと思います。
次に、営農型太陽光発電ですね、これについては、もう本当に静岡市少ないんですね。それで、今後、農地情報の公表と農地集約が大きな課題であります。農家土地所有者と発電事業者、資金調達などをコーディネートする役割も行政に求められてきます。既に御存じの方いらっしゃると思いますけれども、元市議の千代公夫さんは、2018年に営農型ではないんですけれども、ソーラー発電とブルーベリーを組み合わせてソーラーシェアリング、農業と福祉の連携、第6次産業化も非常に積極的に取り入れておりまして、30日に現地を私も見学させていただきましたけれども、大変元気でとにかく静岡で広めてほしいと強く要望されておりました。静岡市は、今後、脱炭素社会の実現に向けて農業分野においてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
次に、コロナ禍のひとり親家庭についてお伺いいたします。
答弁いただいたんですけれども、委託事業に支障があったということは一応認めた、個人情報保護に関しても不十分だということも認めたわけであります。さっきも言った相談窓口の事業は、昨年4月から7月に60件あって、今年は5分の1なんですよね。それで、なおかつプログラム策定事業については問題ないかのような発言をしているんですけれども、本当なのかなと思いますし、仕様書に沿わない事業については、委託費の返還が必要になります。昨年のプログラム策定の一つ一つの案件を読んでいくと、ひとり親家庭の厳しい現状が伝わってきます。コピペされた5件のうち、2番目の離婚のケース、4番目のダブルワークをコロナ禍で1つ失ったケース、この方々は昨年それぞれ6回にわたって、2か月に1回程度ですね、この窓口に来て相談あるいはアフターフォローを受けているわけであります。先ほど答弁ありましたけれども、相談窓口事業の202件の、元の個人別相談記録、これは本来市が持っているものなんですけれども、今はもう全て任せっきりなんですね。その保有する個人情報で、母子寡婦福祉会に保存されているわけであります。
52 ◯議長(
鈴木和彦君) あと1分です。
53 ◯松谷 清君(続) 弱い立場にある方々に寄り添わなければならない母子寡婦福祉会の内部でパワハラ的な運営が行われ、不正常な状態が発生しました。この際、部分的な調査だけでなく、委託事業の目的であるひとり親家庭の実情と新たな需要を把握するために、全面的な調査が必要だということを強く要望しておきたいと思います。
当事者団体、様々あるんですけれども、母子寡婦福祉会との随意契約は、法の枠であることは理解できますけれども、ひとり親家庭等総合サービス事業について、今後、プロポーザル方式など、そうした委託の在り方を検討する考えがないのか伺って、質問は終わります。
54
◯環境局長(藪崎 徹君) RE100の実現に向けた取組についてですが、議員から御紹介のありましたとおり、本年4月から本市は、静岡市エネルギーの地産地消事業の中で静岡庁舎、清水庁舎及び駿河区役所の3庁舎の電力を市内の太陽光や小水力などの再生可能エネルギー電力で賄うRE100を実現しております。
一方で、今後、RE100の施設を広げていくためには、市域内の再生可能エネルギーの導入を拡大していきながら、同時に再生可能エネルギー電力の調達コストを抑制していくための手法も研究していかなくてはなりません。その手法の1つとして、国は、複数の施設で再生可能エネルギー電力を共同調達することにより価格を低減させた取組事例なども紹介しております。
本市は、静岡市エネルギーの地産地消事業が令和5年度末に契約期間の満了を迎えることから、4年度中に次期事業の在り方や内容等を定めていくことと併せ、国の取組事例や3庁舎の導入効果等の検証結果も踏まえ、RE100の拡大に向けた検討を深めてまいります。
55 ◯企画局長(松浦高之君) 2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた課題を大学と連携して解決していくことは可能かについてですが、大学と連携し課題解決を図る取組としては、ふじのくに地域・大学コンソーシアムを介したゼミ学生等地域貢献推進事業や、5市2町しずおか中部連携中枢都市圏で取り組む地域課題解決事業があります。そのうち5市2町の地域課題解決事業は、県内大学等の研究成果を圏域へ還元し、発展に寄与することを目的としており、各市町が提案する地域課題とその解決に向けた大学等の意向をマッチングし、大学の力を借りて課題解決を図ろうとするものです。
これまで脱炭素に関係する取組はございませんが、今後、各市町のニーズに対し大学等の知見を活用できるよう意見交換しながら進めてまいります。
56
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 脱炭素社会の実現に向けた今後の農業分野の取組についてですが、本年5月に
農林水産省が策定したみどりの食料システム戦略では、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すため、生産性の向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるとしており、脱炭素社会の実現に向け、農業においても経済と環境の両立は重要であると認識しております。
本市では、農業振興に当たっての指針となる静岡市
農業振興計画が令和4年度で計画期間を終えることから、現在、次期計画策定に向けた検討を行っており、農業者やJAとの意見交換の中では、農業における環境負荷低減の実現のためには、まずは生産現場の理解を深める必要があるとの意見がありました。これらを踏まえ、次期
農業振興計画策定の中で、生産現場の理解を得ながら機械や設備の電化による化石燃料の使用削減、営農型太陽光発電の普及を含めた持続可能なエネルギーの調達など、脱炭素社会の実現に向けて
本市農業がどうあるべきかを検討してまいります。
57 ◯子ども未来局長(青野志能生君) ひとり親家庭等総合サポート事業の今後の委託方法についてですが、本事業の委託に当たっては、先ほど答弁したとおり、ひとり親世帯に寄り添って支援を行うことができる当事者団体である市内の母子・父子福祉団体から業者を選定する必要があるとともに、国において、子育てと就業との両立が困難であるひとり親の就業を支援するため、ひとり親が在籍する当事者団体である母子・父子福祉団体に優先的に委託業務等を発注することを自治体に求めているとおり、当事者団体である母子・父子福祉団体を支援していくことにも配慮して行うことが必要です。
そのため、本事業の委託方法については、当事者団体である母子・父子福祉団体の中から業者を選定する随意契約を継続していきたいと考えており、プロポーザル方式による委託は考えておりません。
58 ◯議長(
鈴木和彦君) この際、暫時休憩いたします。
午後0時19分休憩
───────────────────
午後1時20分再開
59 ◯議長(
鈴木和彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
次に、尾崎行雄君。
〔尾崎行雄君登壇〕(拍手)
60 ◯尾崎行雄君 自民党市議団の尾崎行雄です。通告に従い質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
今回、私からは、大項目、学校統合と旧施設の活用についてと山の保全と豊かな森づくりについての2つについて質問させていただきます。
本市では、今年度、80校の小学校と38校の中学校と5校の小中一貫校において教育活動が行われています。そして、いよいよ来年度からは静岡型小中一貫教育の全校完全実施となります。それぞれのグループ校で特色ある教育を取り入れながら、現在着々とスタートの準備が進められているところです。ですから、来年度は全ての学校が43の中学校のグループに属して、小中一貫校としての教育元年になります。そこでは、縦の接続による9年間を見通した教育課程の編成で、学力向上への期待、また横の連携により地域社会からシチズンシップを軸とした学びによる社会参画意識の向上などの期待が高まり、静岡型と称する小中一貫教育で学校活動もより活性化するものと思われます。
そのような教育の変革が行われようとする矢先ではありますが、これからも大きく変わらないのは少子化であります。子育てしやすいまちであったり、移住してみたい場所であったり評価は高いのですが、実際の子供の数にはなかなか反映されてきていません。30年前に8万7,600人の児童生徒数が、現在は4万5,700人、10年後にはさらに1万人も減少するような推計であります。その状況下で児童生徒数の減少により、一番悩んでいるのは子供を育てている保護者の皆さんであります。親である皆さんが小学校に通われていた頃には、多くの友達とにぎやかく和やかに学校生活を送っていましたが、特に中
山間地域の学校では、近年の児童数の減少傾向が著しく、複式学級であったり児童のいない学年があったりと、教育の環境としてこれで大丈夫なのかと多くの不安を抱いてしまいます。
そこで、考えられるのが、学校統合という選択肢であります。少子化による学校の小規模化に伴い、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり社会性を高めたりすることが難しくなる等の問題を、教育的な視点から解消していくことが喫緊の課題であると言えます。文科省では、学校統合を行うか、学校を残しつつ小規模校のよさを生かした学校づくりを行うかは、地域の実情に応じたきめ細やかな分析に基づく設置者の主体的判断とすると位置づけています。コミュニティの核としての学校の性格や地理的要因も考えれば、閉校を推進するのがふさわしいこととは一概に言えず、大変慎重に扱うべき問題でもあります。だからこそ悩んでいる保護者の方が多いのです。地域の拠点としてイベントや防災活動も行われる、また長い歴史があり、卒業生も多く輩出した学校を自分たちがPTAのときになくしてしまっていいものだろうか。しかし、子供たちのことも心配だ。このような葛藤の下で学校統合について、地域住民の意向を聞こうとアンケート調査を始めた保護者の皆さんもいます。学校は、第一に子供たちの教育のためにあるもので、子供の1年の著しい成長を考えれば、行政も地域自治会もよい方向性を考え、速やかに支援の手を差し伸べる必要があるのではないでしょうか。
子供の教育環境の整備をうたった静岡市立小中学校の適正規模・適正配置方針は、直近のもので5年前に遡ります。そこでは、国の手引により分類されて、学校統合等により適正規模に近づけることの適否を速やかに検討すべきとされる学校が来年度の予測規模で、小学校が30校、中学校が8校に上ります。これは単に児童生徒数から算出されたもので、地理的条件に合致しているか分かりません。
そこで、伺いますが、学校の適正規模・適正配置の必要性をどのように考えているか、お聞かせください。
また、学校統合については、伝統ある学校が閉校されることや学区割が自治会の管轄地域とずれたり、複数の連合自治会の地域を含んだりするような難しい選択になる可能性もあります。速やかな上に慎重さも要します。
そこで、伺いますが、学校統合の進め方についてどのような認識でいるか、お聞かせください。
さらに、統合を進めることで学区は広くなります。従来の通学距離の基準である小学校4キロメートル以内、中学校6キロメートル以内に加えて、通学時間の基準を設定するなど通学条件を考慮し、スクールバスの利用等、通学方法の多様化を柔軟に進めていくことも必要です。また、地域の学校がなくなることで通学路に子供たちの姿を見かけなくなります。遠く離れた学校に行ってどのように過ごしているんだろうかと、それまで支えてくれた見守り隊や放課後子供教室のスタッフをされた方などは、心配されるのではないでしょうか。
そこで、伺いますが、学区が広くなることに対する通学支援をどのように考えているのか、お聞かせください。
続いて、大項目、山の保全と豊かな森づくりについて、まずは、安全な山の維持管理について伺っていきます。
私は、昨年の11月議会質問においてもオクシズの環境保全をテーマに上げて、建設発生土を山間部に運び、無造作に山を切り開いた土地に盛土をして、土地の形状変更を伴う開発行為をしていることや、法の適用外すれすれで森林を伐採して、危険な傾斜地にソーラーパネルを設置している開発行為などを取り上げ、市長のオクシズに対する思いを伺いながら、危険行為に対して警鐘を鳴らしてきました。それから7か月後に、現在、訴訟問題になり、いまだ1名の方の行方が分からないという惨事となった熱海の土石流災害が発生しています。その後、県内一斉に、もちろん本市においても全ての箇所の盛土において緊急点検が行われました。危険性を有し、即刻災害が発生するおそれのある箇所の報告はありませんでしたが、排水等の面で改修するように指導を受けた盛土の現場も幾つかあるように伺っています。特に山間部では、谷の形状が複雑で下流にある集落からは、川の源流の部分まで目が行き届かず、山の上で盛られた土が豪雨で流れ出てくるのではないかという不安もあります。県では、土採取等規制条例に基づいて盛土の点検や監視をしていますが、今回新たに土壌汚染の基準を盛り込み、より厳しい規制内容にした条例案を提出するなど、環境に配慮しています。どこからどんな土を持ってきて埋立てをしているのか分からないなどの住民の心配は尽きません。盛土の問題については、多種多様な法令が関連し、担当する部署も多岐にわたることから、住民から、問合せ先が分からないという声も聞いています。また、県と市の責任所管の範囲も不明瞭であります。現在は県が中心となって連絡体制について調整していると聞いています。
そこで、伺いますが、盛土に関する市民からの問合せの対応や庁内外の情報共有はどのようか、お聞かせください。
また、山の安心・安全を脅かすということは、自然豊かな森林を伐採して開発することから始まります。森林法の許可行為の適用をぎりぎりの広さで免れて、さらに砂防指定地の規制に応じた設計変更をしてまでも、危険な傾斜地の開発を繰り返そうとするソーラー発電事業者と交渉してきた地元自治会、本市、県の努力も歯がゆい思いで見てきました。
そこで、伺いますが、林地開発許可の面積要件を引き下げることで、小規模な開発の監視をもっと強化できないか、お聞かせください。
太陽光発電設備について、この発電事業そのものは再生可能エネルギーによる電気事業であり、推進していくべきものですが、そのパワープラントはどこに設置してもよいというわけでは決してありません。幾らよい事業でも、周囲の環境破壊につながったり周辺の安全を脅かしたりするような施設になってしまうことは本末転倒も甚だしいです。このような背景により、他の自治体では、既設のガイドラインに加えて規制を盛り込んだ条例を独自につくり始めた県や市町も見られるようになりました。これは、行き過ぎた開発が災害をもたらす事象が各地で起こっているからであります。
そこで、伺いますが、山間部への太陽光発電設備の設置について、市はどのような考えでいるか、お聞かせください。
以上1回目の質問とします。
61 ◯教育長(赤堀文宣君) 私からは、学校の適正規模・適正配置の必要性をどのように考えているか、学校統合の進め方についてどのような認識でいるかの2点についてお答えいたします。
小中学校は、子供たち一人一人の能力を伸ばしつつ、子供たちの社会的な自立の基礎、社会の一員としての基本的資質を育成することを目的としております。このことから、小中学校における教育では、ただ単に知識や技術を習得させるだけでなく、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することで、思考力や表現力、判断力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身につけさせることが大切となってきます。これらの教育を実践するには、少な過ぎず、多過ぎない、一定の児童生徒の集団規模が各小中学校で確保されていることが望ましいと考えています。
ここで本市の市立小中学校の状況に目を向けますと、直近10年間で児童生徒が約7,000人、割合にいたしますと約13%減少するなど学校規模は縮小傾向にあり、令和3年5月現在、全ての学年で1学級以下、言葉を変えますと入学から卒業までクラスメイトが変わらない小中学校は33校、約26%となっています。このうち16の小学校では、2つの学年の児童で1学級とする、いわゆる複式学級を編成するなど、本市の一部の学校規模に課題がある状況です。そうした課題に対応するため、本市では、平成28年9月、静岡市立小・中学校の適正規模・適正配置方針を策定し、適正な学校規模の確保に向けて取り組んでまいりました。
一方、本方針の策定以降、ICTの進展によるGIGAスクール構想の実現、静岡型小中一貫教育の一斉スタートなど、子供たちの学びが大きく変わるとともに、社会情勢や生活環境も急激に変化しています。このように、子供たちを取り巻く環境が変化する状況でも、よりよい教育環境を保障するため、改めて子供の学びや成長の視点から本方針の見直しも検討してまいります。
次に、学校統合の進め方についてですが、学校は、子供たちの学びの場所であるとともに、それぞれの地域にとって重要なコミュニティの核としての役割を果たしてきた場所でもあります。そのため、これまで地域の御意見を丁寧に伺いながら、学校統合を進めてまいりました。
山間地域では、児童生徒数の減少が著しいため、1中学校区に1小学校があるところについて、施設一体型の小中一貫校化を図りました。また、両河内地区の施設一体型小中一貫校化、足久保小の美和中への移転、蒲原地区の施設一体型小中一貫校化につきましては、それぞれの地域の方々が子供たちの将来を思い、学校の在り方を検討され、その結果として自治会連合会から要望をいただいたため、市としてもその思いを受け止め、必要性を検討した上で事業を進めているところです。
今後も、願う子供の姿、そして未来を担う子供たちを育成するにふさわしい学校環境はどのようなものかを地域と共有し、たくましくしなやかな子供たちの実現を目指してまいります。
62 ◯教育局長(青嶋浩義君) 学区が広くなることに伴う通学支援についてですが、複数の学校が1つに統合された場合には遠距離通学になり、統合前よりも通学の距離や時間が長くなる児童生徒が出てくることから、安全に通学できるように支援していくことは不可欠だと考えております。
例えば、令和4年4月開校の清水両河内小学校では、3つの小学校を統合することにより学区が広くなるため、新たにスクールバスを運行し、遠距離通学する児童生徒に対する通学支援を行う予定です。
今後、学校を統合するに当たり、統合された新しい学校の通学区域に路線バスや自主運行バスなどが運行している場合については、遠距離通学に係る経費の負担軽減として、現行の制度に基づき登下校で利用するバスの通学定期券購入に対して助成を行います。
一方、統合する新しい学校の通学区域に路線バスや自主運行バスなどが運行されていない場合については、児童生徒の遠距離通学の負担を軽減できるように、スクールバスの運行などを検討いたします。これらの支援に当たっては、安全性に十分配慮するとともに、学校の登下校時刻の調整など、児童生徒を取り巻く様々な事情や利便性などについても十分配慮しながら、児童生徒の通学支援を確実に行ってまいります。
63 ◯都市局長(宮原晃樹君) 盛土に関する市民からの問合せの対応や庁内外の情報共有についてですが、盛土の造成行為に関しては、議員御指摘のとおり、河川法や森林法並びに静岡県土採取等規制条例など、適用される法令が多岐にわたることや、担当部署が県や市に分かれてしまうことから、市民の問合せ窓口が不明瞭であり、また、庁内外の情報の共有が十分に図られていないことが課題となっています。
本年7月の熱海市の
土砂災害を契機に、県と県内土木事務所及び各市町のそれぞれに名称を盛り土110番とする窓口を設け、問合せ窓口の一本化と庁内外の連携強化を図る体制を整え、10月末より運用を開始しました。これにより、市民からの盛土に関する通報や相談などの問合せ先が明確となりました。また、庁内担当部署並びに県などへ速やかな情報伝達と情報共有を図ることで、早急な対応が可能となり、盛土に関する災害の未然防止につながると考えております。
64
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 林地開発許可の面積要件を引き下げることで、小規模な開発の監視を強化できないかについてですが、林地開発許可を受けなければならない規模は1ヘクタールを超えるものと政令で規定されています。この基準は過去の事例から土地の形質を変更する面積が1ヘクタールを超えると災害の発生する頻度が急激に増加することから定められたもので、市独自で面積要件を変更することはできません。
しかし、1ヘクタール以下の届出のみで許可を要しない小規模な開発についても、環境の保全、安全確保ために防災上の配慮は必要不可欠なものと考えています。したがいまして、1ヘクタール以下の開発であっても、防災的視点に基づいて林地開発許可の基準に準じた指導に加え、自然環境を脅かす乱暴な開発が行われないよう、定期的に現地調査を実施するなど監視を強化していきます。
65
◯環境局長(藪崎 徹君) 山間部への太陽光発電設備設置に関する市の考えについてですが、令和2年3月に環境省が策定いたしました太陽光発電の環境配慮ガイドラインには、土砂流出等の環境影響の顕在化やのり面の崩落事例等が掲載されており、広大な中
山間地域を有する本市にあっても同様の懸念があるものと考えております。そのため、本市が令和2年4月から運用しております静岡市太陽光発電設備適正導入ガイドラインでは、防災、環境等に特に配慮が必要な区域を慎重な検討が必要なエリアに設定し、事業者に対して注意を喚起するとともに、設計段階での入念な事前調査、地域住民の理解に向けた対応、安全や周辺環境等に配慮した適切な施工、施設の適切な維持管理等を求めているところでございます。
中
山間地域の皆様が御懸念を示された太陽光発電事業につきましては、現地に何度も赴き、地域の皆さんと対話を重ね、その御懸念に寄り添いつつ関係部署と連携し、事業者に繰り返し指導等を行ってまいりました。
今後も、引き続き本市ガイドラインを運用しながら、これまでの山間部での事例等を踏まえ、よりよい対応方法の在り方につきましても併せて検討してまいります。
〔尾崎行雄君登壇〕
66 ◯尾崎行雄君 教育長はじめ担当の局長から前向きな答弁をいただきました。それでは、2回目の質問に移ります。
まずは、学校統合により残る旧学校施設の活用についてであります。
学校の場合、残る施設は校舎、体育館、グラウンド、プールなどであります。現在、施設一体型の小中一貫校になっている学校においては、旧小学校や旧中学校が施設として残されています。また、次年度に施設一体型小中一貫校としてスタートする両河内地区や一体型を目指す蒲原地区等においても、旧学校施設が生じてきます。
廃校という言葉は好きではありませんが、文科省の調査では、少子化の影響により毎年約470校程度の廃校が発生しています。そして、その施設のうち約75%は、社会教育施設や福祉・医療施設、企業や法人の施設等、何らかに活用されています。一方で、活用の用途が決まらずに、その維持管理費が負担となっている自治体もありますが、地域からの要望がない、施設が老朽化している、財源が確保できない等の理由を上げています。また、自治体の約8割が公募を行っておらず、約半分が意向聴取も行っていないのが現状であります。
そこで、伺いますが、旧学校施設の活用をどのように考えているのか、お聞かせください。
先日、今年3月で閉校した山の学校を訪ねました。教育施設課やアセットマネジメント推進課や保健所の方にも同行していただき、地域住民も呼んで意見交換させていただきました。地域からは、学校で使用した水を分けてほしいとか、有事の際の避難施設であってほしいとか、訪れてくれる人との交流施設にどうかなど様々な願いを聞きました。また、同施設で民俗芸能の神楽を練習している団体からも、伝統文化の殿堂として利用価値を高められないかなどの話も聞きました。
そこで、伺いますが、施設の活用について地域住民の意向確認はどのようにするのか、お聞かせください。
次に、整備が施されてきた学校が閉校になる場合、その施設に投資してきた設備がそのまま残ります。普通教室や特別教室のエアコン設備やトイレリフレッシュ事業による洋式トイレ、無線LANの設備など、まだ新しいものも多くあります。これらを地元の団体や企業等が活用してくれると、眠っていた施設もよみがえって地域の拠点にもなり得る可能性さえあります。以前、特別委員会で視察した秋田県のとある旧学校施設では、広告制作やイベント運営、学びのクリエーター、アーティスト、ドローンスクールなど、多世代の企業家たちが幾つもの教室に入居して、活気あふれる地域活性化支援センターを形成していました。このように利活用に対しては、一歩前に出て仕掛けていかなければ、施設再生の風穴を開けることはできません。
そこで、伺いますが、民間企業等の利活用に向けた情報発信をどのように考えているか、お聞かせください。
次に、大項目2の豊かな森づくりについて、まずは森林環境譲与税の利用について伺っていきます。
森林環境税は、今後、令和6年度から国税として納付することになりますが、それに先立ち森林環境譲与税が令和元年度から全国の自治体に算出割合に応じて既に譲与されているところです。これは、担い手育成や森林整備及び木材利用促進に関する費用に充てることとされています。一昨年から始まった譲与税の配布ですが、その使途を調べると森林環境整備基金という財源に積み立てる自治体が多く、もっと具体的に森づくりや木材活用促進のために充てて行かなければ、持続可能な森林経営につながっていかないと思います。
そこで、伺いますが、森林環境譲与税の交付実績額の推移と譲与税を活用した取組はどうであるか、お聞かせください。
次に、森林の管理について伺います。
本市の中山間地においても、森林の所有者が高齢化していることや、相続の手続がなされていなくて管理の行き届いていない森林が多くあると聞いています。例えば、昨年から山間部に目立つようになった枯れたコナラやシイやカシの木なども伐採されずに残されています。これらが場所によっては住居の裏山や道路の脇にあったりすると、倒木により災害や交通障害を引き起こす可能性も非常に高いと言えます。また、山林の地籍調査も全国の進捗率は50%に満たなく、土地の境界も分かりにくくなっているのが現状です。
そこで、伺いますが、所有者が高齢化や所在不明のため管理ができなくなった森林について、どのような取組を行っているか、お聞かせください。
それでは、続いて、森林環境譲与税に関連して川下の現場、そして川上の現場における林業振興について伺います。
日本の木材自給率は約40%であり、残りの60%はカナダなどからの輸入に頼っておりますが、昨年よりコロナ感染症の影響で海外産の木材が入荷してこない状況が続いています。国産材の流通にとっては追い風と思うわけですが、それに伴い国内製材の価格は9月現在で昨年比60%高となっています。世界的なコンテナ不足も続いているため、輸入木材の価格はしばらく高値を推移すると言われ、国産材にとってはチャンスと言えます。
そこで、伺いますが、ウッドショックで木材価格が高騰する中、木材生産を進めるためにどのような取組が必要と考えるか、お聞かせください。
次に、川上の現場ですが、現在、本市の森林面積は約10万7,000ヘクタールですが、そのうち50年以上育った木の面積が8万6,000ヘクタール以上もあり、約80%に上ります。木材価格の低迷や
担い手不足により搬出量が減り、間伐の整備は行うものの、なかなか追いつきません。育林の状況はといいますと、皆伐後にはやはり杉やヒノキの苗を植林することが多く、また50年、100年の歳月をかけて育てていくわけです。前回の9月議会において観光文化経済委員会に付託された議案に、早生広葉樹導入可能性調査事業があり議決されましたが、今後の林業に新しい風が吹き込まれるか注目です。
そこで、伺いますが、早生広葉樹やエリートツリーを植えて期待できる効果はどのようであるか、お聞かせください。
以上、2回目の質問とさせていただきます。
67 ◯企画局長(松浦高之君) 旧学校施設の活用について3つの御質問にお答えいたします。
まず、旧施設の活用に対する考え方と地域住民の意向確認についてですが、公共施設の統廃合により生じる跡地については、静岡市アセットマネジメント基本方針において、総資産量の適正化を図る観点から、原則売却することとしております。学校施設などの公共施設は、地域コミュニティの場として機能している施設もあることから、統廃合の計画段階から関係者の理解と協力を求めながら検討を進めていく必要があり、本年度、跡地の処分や活用の検討ルールを定めました。
このルールでは、庁内での活用の有無を確認し、利用が見込まれない場合には、借地については返却、市有地については跡地の活用策について自治会を主体とした検討を行い、地域住民の意向などを確認することとしております。
今後は、このルールに沿って企画局と所管局が連携をしながら検討を重ね、処分や活用に向けて合意形成を図ってまいります。
次に、民間企業等の利活用に向けた情報発信についてですが、全国的にも民間活力の導入による廃校活用が進み、雇用創出等地域の活性化につながる事例があることは認識しております。文部科学省では、「~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト」を立ち上げ、全国の廃校情報をホームページに掲載するとともに、マッチングイベントを通じて活用方法を募っており、観光施設や民間企業の研究施設として活用されている事例が紹介されております。
本市におきましても、令和3年度末に美和中学校敷地内に移転する足久保小学校について、当該ホームページに登録し情報を発信しております。さらに、跡地活用の検討を進める中で、旧学校施設に民間活力を導入する方向性が出た場合、様々な業種の民間企業と行政が対話を行う場である静岡市PPP/PFI地域プラットフォーム等を活用し、民間企業等へ広く情報発信を図ってまいります。
68
◯農林水産統括監(稲葉 光君) 初めに、森林環境譲与税の交付実績額の推移についてですが、交付が開始された令和元年度は1億97万円余、2年度は2億1,456万円余と、約1億円の増額となっています。なお、令和3年度については2年度と同額程度になる見込みです。
次に、森林環境譲与税を活用した取組についてですが、本市では3つの柱を掲げて取り組んでいます。1つ目は、森林の持つ
公益的機能の維持と木材生産を両立した森づくりとして、間伐や作業道開設支援などの森林整備、2つ目は、森林が果たす役割についての普及啓発や林業の担い手を育てる人づくりとして、市内小学校への出張林業教室や林業事業者の資格取得支援などの担い手育成、3つ目は、都市部への木材利用を進めるまちづくりとして、商業施設への木材利用支援や首都圏の自治体に向けたオクシズ材PR活動などを実施しています。これらの取組により、森林の持つ多面的機能が高度に発揮されることで、市民が豊かな生活を享受できるまちを実現してまいります。
次に、所有者が管理できなくなった森林に対する取組についてですが、平成31年に施行された森林経営管理法では、所有者が他者に管理を委ねたいとの意向がある森林については、市町村が森林を管理する権利を取得した上で、市町村や森林組合などの事業者が管理を行うことができるとされています。また、所有者の所在不明が明らかになった森林については、一定の手続を経た上で市に対し同意したものとみなし、市が管理を行うことができるとされています。
これを踏まえ、本市では令和元年度から森林管理の可否等について所有者への意識調査を実施し、2年度には約16ヘクタールの森林管理権を取得し、このうち9ヘクタールの間伐を実施しました。これらにより森林が有する
水源涵養や
土砂災害防止などの
公益的機能が発揮されることで、安全・安心な市民生活の維持に寄与するものと考えているため、今後も順次移行調査を進め、森林の適正な管理に取り組んでいきます。
続きまして、ウッドショックの中で木材生産を進めるための取組についてですが、コロナ禍により北米や中国での木材需要が高まり、世界的に木材が不足したことで木材価格が高騰する、いわゆるウッドショックは、我が国では本年3月頃から顕著となっています。この影響により、木材輸入量が減少し、国産材の需要が増加している一方で、全国的に木材生産の対応が追いつかず、供給量が不足しています。
こうした状況に対し、需要に応じた木材生産を進めるためには、木材を山から切り出しやすい環境を整備する必要があります。このため、従来の大規模な林業事業者に対する支援に加えて、中小規模の林業事業者に対し林業機械の導入、作業道の開設や木材の搬出などに係る経費を一体的に支援していくことが必要であると認識しています。このような取組を行うことにより、木材生産量の増加と同時に、林業事業者の生産性向上が図られると考えており、今後、具体的な事業について検討していくとともに、ウッドショックの動向についても引き続き注視していきます。
最後に、早生広葉樹やエリートツリーに期待できる効果についてですが、早生広葉樹は、センダンやユリノキなど一般的な広葉樹に比べ成長が早い樹種の総称です。また、エリートツリーは、杉、ヒノキなどのうち成長が優れたもの同士を交配させたもので、従来の樹種と比べて約1.5倍の速さで成長します。成長の早いこれら樹木を育成することによって期待できる効果としては3点あります。1点目は、生産サイクルが早いことから、木材の生産量を増加できる点、2点目は、植栽後の育成期間に行う下刈り作業の回数が抑えられることからコスト軽減につながる点、3点目は、短期間でより多くの二酸化炭素が吸収される点です。このほかエリートツリーについては、従来の杉、ヒノキに比べ花粉の量が少ないこと、早生広葉樹については、家具や突板などの木工製品の新たな素材として活用されることにより、木材需要の拡大も期待されるところです。
本市としましては、今後の林業の振興に向け、早生広葉樹やエリートツリーの普及促進について検討してまいります。
〔尾崎行雄君登壇〕
69 ◯尾崎行雄君 3回目は、意見・要望を述べさせていただきます。
まず、学校の統合についてです。
子供の1年の成長は、本当に目を見張るものがあります。だからこそ、子供たちの成長の時間はとても貴重なのです。この貴重な時間に子供たちにどのような環境で過ごしてもらうかは、私たち大人の未来への責任でもあります。子供を育てる親の気持ちに寄り添い、地域づくりを考える自治会にも寄り添い、現場で働く先生方にも、そして何より思いを伝えられない子供たちに気持ちを寄せて、教育の環境をさらによくしていきましょう。
行政は待つのではなく、それぞれの学区にアプローチして地域の保護者の思いを酌み上げ、時を意識しながら教育環境の改善を支援していただきたいと要望します。また、魅力ある学校づくりのためにも、小規模特認校制度により通学区に弾力性を持たせたりし、さらに、今後は義務教育学校の創設についても可能性を探っていってほしいと要望します。
次に、閉校された施設の活用については、耐久性も考慮に入れ、まずは施設の管理方法を考えていただきたいと思います。借用してくれる団体や自治会など、管理面の予算も計上して維持し、次の施設運営者を公募するなど、早めの手段を講じていってほしいと考えます。特に現存する旧施設については、自治会はじめ団体とワークショップを開くなど行政側からも支援して、まずは早いうちに再利用の実績をつくっていきましょう。そして、これから増えると思われる使われなくなった学校施設を利用価値の高いものに生まれ変わらせる廃校プロジェクトなどを利用して、企業誘致も含めてスピード感を持って進めていただきたいと要望します。
次に、山の安全についてです。
盛土に関しては、盛り土110番の体制を整え、県と連携し、土砂による災害の未然防止に今後も努めるとのことですが、県の条例案は権限移譲を行わないという予定なので、特に山間部などは中山間地振興課や廃棄物対策課などと庁内連携を持って、住民からの通報や問合せに素早く対応していただきたいと要望します。
また、ソーラーパネル設置をはじめ林地の開発にあっては、昨年施行のガイドラインに上乗せできるよう、もう少し踏み込んで、他の自治体の事例も参考にしながら、本市も独自に条例をつくる方向に進めていただきたいと要望します。
次に、森づくりと林業の振興であります。
本市は、譲与税をそれぞれ実用的に振り分けて活用していますが、国からの譲与額は段階的に上がり、現在の1.5倍までになります。大きな財源ですから計画性を持って川上、川下の現場に充てるようにしていただきたい。それには現場の意見をしっかりくみ上げて、例えば所有者ができない山の整備をするアドプト事業促進や主要道路脇の危険木の撤去などへ、また施設の木質化を加速させて、まちに木のぬくもりを与え、首都圏へのオクシズ材の利用発信もしていただきたいと要望します。
さらに、早生広葉樹やエリートツリーなど新しい事業の可能性を探り、取りかかりを早めて、本市の誇るオクシズの林業としてください。そして、私も提唱してきた森林文化都市構想の第一歩を力強く踏み出していただきたいと願います。
最後に、心のふるさとである山の保全、振興なくして静岡市の安心・安全、そして豊かな心はつくれませんと述べさせていただき、以上で全ての質問、意見・要望を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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70 ◯議長(
鈴木和彦君) 次に、内田隆典君。
〔内田隆典君登壇〕
71 ◯内田隆典君 通告しています3項目について質問します。
最初に、職員の体制と健康管理について伺いたいと思います。
昨年より新型コロナウイルス感染が猛威を振るい、この間、第5波まで広がりました。昨日までの国内での感染者数は約172万人、死亡者数は1万8,000人となってきています。ここのところ少し収束ぎみでありますが、欧州などでは新変異株オミクロン株の感染が確認され、懸念されています。国内においても、11月30日、日本で初めて感染者が確認されたと政府が発表しました。専門家の間では、第6波に備える必要もあると指摘されています。この間のコロナ禍において、検査や療養体制を担う保健所、感染拡大防止対策を担う対策室、ワクチン接種を担うワクチン本部の職員は、激務が続いたのではないかと思います。
そこで、最初に2点について伺いたいと思います。
1点目は、国からの接種事業の継続、3回目の接種が示され、ワクチン本部は引き続き多忙が見込まれます。職員の健康面での不安に加え、接種体制がどのように構築されているかは市民の安心にもつながります。ワクチン推進本部はどのような体制、指揮系統の下で業務を遂行しているのか。
2点目は、ワクチン接種推進本部における時間外勤務の状況について伺いたいと思います。
次に、職員の時間外勤務と健康管理について伺いたいと思います。
平成31年4月の労働基準法の改正以降、年間360時間を超える本市職員の長時間労働者数の推移はどのようになっているのか、伺います。
次に、長時間労働となっている職員への健康管理はどうなっているのか、伺いたいと思います。
次に、清水庁舎の問題について伺います。
庁舎問題は、市長選の大きな争点にもなりましたし、住民投票にまで発展しました。田辺市長は、住民の理解が得られないまま、強引に庁舎移転計画を推進してきました。令和元年9月議会では、庁舎の位置を変更する条例案を提案、併せて庁舎の設計、建設、15年間の維持管理費等に関わる債務負担行為の補正予算案を提案いたしました。津波浸水想定区域に庁舎を移転することに問題意識を持っている人たちに対し、予算も条例も決まっていると、諦めなさいと言わんばかりの対応だと、私はこのとき、位置条例の変更はこんなに早い段階でなくてもいいと指摘しました。このとき当局は、庁舎の移転は市民生活や企業等の活動に大きな影響を与えるものであり、その位置はできるだけ早い時期に決定し、十分な周知期間を確保する必要があると議案を上程しました。しかし、結果はコロナ禍ということがありましたが、今議会には位置条例の廃止議案を提案してきています。
そこで、伺いますが、前回の条例改正は拙速だと考えますが、当局の認識について伺いたいと思います。
2点目は、位置条例廃止についてであります。議案では清水庁舎整備等事業の見直しに伴い、本条例を廃止するとあります。位置条例廃止は、移転計画そのものを白紙にするという認識でいいのかどうか、確認したいと思います。
次に、桜ヶ丘病院の問題についてであります。
今議会には、桜ヶ丘病院を市有地の清水駅東口公園に移転するため、JCHOが所有する大内新田の土地と交換する条例と、土地交換による差額を基金に積み立てる関連予算1億9,500万円が計上されています。市民合意のないまま強引に事業を進めていると感じます。
そこで、2点について伺いたいと思います。
1点目は、市民説明会についてであります。市長は、この件について一貫して開こうとしません。9月議会以降も、10月にJCHOが市民説明会を開催するから、市民の皆さんは理解してくれるといった発言、全く無責任な対応でありました。確かにJCHOは3回にわたって説明会を開催しましたが、市民が一番知りたかった、なぜ建設場所が津波浸水想定区域なのかについては、質問を受け付けないという対応でした。当然市民の皆さんの理解を得られた説明会ではなく、より一層不信感を広げる結果となりました。一昨日の市長答弁、説明会は開催しないと言い切りました。この間の市長発言は、私が説明して理解してくれるのであれば説明するがと、こういう発言です。自分の物差しで行政運営をしてはならないと私は思います。法律、条例に基づく行政運営が求められます。そのために、静岡市自治基本条例があります。
改めて伺います。市独自に移転の経緯を含め、住民説明会を開催すべきだと思いますけれども、考えを伺います。
2点目は、昨年12月、JCHOと清水駅東口公園への移転を決めた基本協定書を締結いたしました。この移転は、市がこれまで示してきたまちづくり計画を大幅に変更する内容であります。一部の幹部で決めてはいけないという基本条例、いつ、誰が検討して決定したのか、伺いたいと思います。
1回目です。
72 ◯保健所統括監(松田仁之君) ワクチン接種推進本部についての2点の御質問にお答えします。
最初に、ワクチン接種推進本部は、どのような体制、指揮系統の下で業務を遂行しているのかについてですが、まず、体制についてですが、本年2月に保健衛生医療統括監を本部長に、ワクチン接種推進本部を職員8人体制で立ち上げ、令和3年度当初からは保健福祉長寿局長を本部長とし、接種会場の運営を担う接種班と、従事者調整や事務処理を担う調整班の2班体制、職員15名で事業に着手しました。そして、集団接種会場の開設・運営の本格化による業務増に加え、高齢者の前倒し接種に対応するため、8月までに計20名を増員し35名体制とするなど、体制強化を図ってまいりました。その後も12歳以上の方の11月末までの接種完了に向け、接種計画の管理などを担う企画・広報班を加えるなど本部体制を再編し、現在は3班体制、職員37名で事業を進めています。
次に、本部の指揮系統についてですが、本年4月からは本部長の保健福祉長寿局長の下、そして保健所を指揮する保健所統括監が本部次長としてこれを補佐するとともに、現場を統括し各班長との情報共有、連携強化を図り、事業の円滑な推進に努めております。
次に、ワクチン接種推進本部における時間外の状況についてですが、ワクチン接種推進本部の時間外勤務時間数は、本年4月から10月までの累計で1万6,840時間、職員1人当たりの平均では211時間で、最も多い月では3,355時間でした。また、職員個人では、4月から10月までの累計で最も多い職員では857時間で、1か月当たりでは最大235時間でした。この時間外勤務の多くは、土日、祝日や夜間の集団接種会場の運営業務のほか、接種体制を確保するための従事者の確保、関係機関との調整などに伴う事務量の増加によるものです。
73 ◯総務局長(渡辺裕一君) 職員の時間外勤務、健康管理についてと、静岡市区の設置等に関する条例等の一部を改正する条例についての、合わせて3点の御質問にお答えいたします。
まず、本市職員の長時間労働者数の推移についてですが、平成31年4月に労働基準法が改正されたことに伴い、国や地方自治体に時間外勤務命令の上限規制が導入され、時間外勤務時間数が年間360時間を超えることが長時間勤務の判断の1つとなりました。その中で、労働基準法の改正前の平成30年度は、年間360時間を超えた職員が301人でしたが、改正後の令和元年度は205人、2年度は222人となっております。
次に、長時間労働となる職員への健康管理についてですが、本市においては、労働安全衛生法などに基づき一定の時間を超えて時間外勤務を行った職員に対する健康管理を実施しております。具体的には、一月に100時間以上の時間外勤務を行った職員に対して、産業医面談を実施しております。また、一月の時間外勤務が100時間未満であっても80時間を超えた職員に対しては、問診票等を基に産業医が必要と判断した場合に、産業医面談を実施しております。産業医面談においては、就業制限の有無の判定や指導を行っており、その際、脳・心臓疾患の発症リスクを確認するための詳細な検査が必要と判断された職員には、特別健康診断を実施しています。職員に対する産業医面談の結果、所属において配慮が必要な場合は、所属長に対しても産業医面談を実施し、その上で職員への就業制限等が必要と産業医が判断した場合は、各所属において必要な措置を講じています。
令和2年度の実施状況につきましては、産業医面談は職員に対して160件、所属長に対して27件実施いたしました。また、22時以降の深夜勤務を禁止する就業制限の措置を取った職員が1人おりました。今後も、職員一人一人に寄り添った丁寧な対応を行うなど、職員への健康管理に取り組んでまいります。
最後に、令和元年9月定例会に静岡市区の設置等に関する条例等の一部を改正する条例案を上程したことについてですが、令和元年9月定例会に議案を上程したのは、清水区役所等の移転が、市民、企業活動等に大きな影響を及ぼすものであることから、その位置については早期に決定したほうがよいとの考えの下、他の自治体の庁舎移転の事例等を踏まえた総合的な判断によるものです。当該条例の制定後、新型コロナウイルス感染拡大の影響による清水庁舎整備等事業の一時停止などがあったため、条例の施行期日である令和5年10月までの新庁舎供用開始が難しくなっていることから、今定例会に当該条例を廃止する議案を上程いたしました。このことは、清水庁舎整備等事業などの状況に対応したものであり、令和元年度に条例案を上程したことは適切であったと考えております。
74 ◯企画局長(松浦高之君) 清水庁舎に係る位置条例の廃止は、移転計画を白紙にすることかについてですが、ポストコロナ時代に求められる新しい清水庁舎の在り方について調査研究を進めた結果、庁舎の在り方は大きな転換期を迎えていることが明らかになった一方、コロナ禍前に策定した現計画であっても、ポストコロナ時代にそのまま対応できる項目や考え方は少なくないことが分かりました。そのため、現計画を白紙にせず検討を進め、令和4年度には清水区の庁舎に求められる役割や機能、規模を整理し、新たな方針を取りまとめていきたいと考えております。その際には、必要に応じ現計画を改定するものと想定しております。
75 ◯保健衛生医療統括監(長谷川 誠君) 桜ヶ丘病院に関する2点の質問にお答えします。
まず、住民説明会の開催についてですが、市からの桜ヶ丘病院移転に関する説明については、これまで市議会での答弁や定例記者会見での説明、広報紙への記事掲載など、様々な方法により市民の皆さんに丁寧に説明してまいりました。本市としては、説明会を開催する予定はありませんが、今後も引き続き市民の皆さんへ情報発信に努めるとともに、JCHOの新病院開院に向けた取組を支援し、清水地域ひいては本市全体の医療体制の維持向上につなげてまいります。
次に、基本協定書の締結についてですが、この基本協定書の締結については、令和2年12月16日の経営会議において本市としての意思決定を行いました。また、この協定書は、本市とJCHOとの間で桜ヶ丘病院の移転地や新病院の病床規模など移転に関する基本的事項を定め、あくまで今後の交渉の基本的方向性を示したものであり、議決が必要なものについては、市議会にお諮りをするものです。
〔内田隆典君登壇〕
76 ◯内田隆典君 職員の体制と健康管理についてですけれども、先ほど答弁を聞きましたら、接種を待つ市民のために多くの職員の皆さんが時間外勤務を行っているという実態が明らかになりました。中には1か月で200時間を超える時間外勤務を行っている職員もいると聞きますから、健康面が心配になります。また、時間外勤務の常態化は、接種体制の安全性を損ねるおそれもあります。
そこで、伺いますが、3回目の接種に向け、組織体制は整っているのかどうか、伺いたいと思います。
次に、職員の時間外勤務と健康管理について伺います。
1点目は、長時間労働の是正に向け、どのような体制を取っているのか、伺いたいと思います。
2点目は、平成30年度と令和2年度を比較して、職員数と長期休暇者数の推移について、うちメンタルヘルスの休暇者数がどうなっているのか、推移について伺いたいと思います。