最初に、本市における農作物の
野生鳥獣による被害への対応について伺っていきます。
皆様も御承知のとおり、近年、
イノシシ、鹿、猿などの
野生鳥獣による農作物等への被害が全国的に広がりを見せ、大きな社会問題になっています。全国での被害額は、平成28年度は172億円、平成29年度は164億円、昨年度は158億円と徐々に減少はしているものの、依然大きな額に上っています。
昨年の
被害面積は5万2,000ヘクタール、被害量は約50万トンという数字が報告されています。この被害のうち7割が鹿と
イノシシと猿によるものであります。中
山間地域では、住民の高齢化や人口減少により、農業者の営農意欲の低下などを通じ、
耕作放棄地の増加をもたらし、これがさらなる
鳥獣被害を招くという悪循環にあり、被害金額として数字にあらわれた以上の影響を地域に及ぼすなど、その被害が深刻化しています。被害額こそ減少傾向にあるのは、営農者数の減少や
鳥獣被害により生産をあきらめてしまうケースも多いからということでもあり、実際には、
野生鳥獣の個体数は年々急増しており、この25年間に鹿は10倍、
イノシシは3倍に増加しています。
狩猟者の減少や高齢化等で十分に捕獲できない地域が増加してきたのも現状です。狩猟者数は、銃による狩猟免許が大きく減少する一方、わなによる狩猟免許が増加し、新規の
狩猟免許取得者は近年増加傾向にあります。一方で、捕獲だけに頼らない効果的な作物防護の努力も進められるとともに、被害防除の対策が各方面で開発されたりするなど、その期待も高まっています。
本市においては、静岡市
オクシズ地域おこし計画の先導、
横断的プロジェクトの中で、3つの対策を掲げているところであります。
1つ目は防護柵の設置で、
農作物被害の防止策として、電気柵、
ワイヤーメッシュ、トタンなどで侵入を防ぐ方法です。これは、広域的かつ効果的な防護柵を設置するという意味においても、個人はもとより団体や地域一体型の防護柵も見られます。
2つ目は緩衝地帯の整備で、集落への
野生動物の出没を減らす意味で、集落の周りにある耕作が放棄されて伸びたままの茶畑やカヤなどの生い茂った場所の除伐や草刈りをして、動物が目につきやすくすることでストレスを与えます。
3つ目は捕獲です。作物や人工林に害を与えるような個体の捕獲、個体数の調整を目的として猟友会を中心に計画的に捕獲が進められています。
このように3つの方法を駆使して対応に当たっているものの、一向に
野生鳥獣が減っていかない状況にあると感じます。私は最近ずっと、夜明け近くに鳴くニホンジカの声で目が覚めます。キュンキュン、ヒーンヒーンという甲高い鳴き声は、皆さん、この時期に夜の
オクシズに来れば、どこでも聞こえます。まさに、
アニマルパークのようです。これは私の子供のころには経験のなかったことで、まさに生態系の変化が起きていると思われます。冗談ではなく、住民の人口より
野生動物のほうが上回っているとしか思えません。
しかし、ただ
野生動物が悪いわけでもないのは、皆さんも同じ考えかと思います。私たちが
野生動物と共生できる自然環境というものを、もっと考えていく必要があると思われます。中
山間地域では、古くから田畑、川、森からの産物によるなりわいが地域ごとに根づいていて、バランスのとれた里山経済が成り立っていましたが、近年は、農林業の低迷などに伴い、この均衡が崩れ、山は荒れ、鹿や
イノシシなどの鳥獣害の側面が目立つようになったのです。
以前、清沢地区では全
住民アンケートを行いましたが、地域の課題として今後取り組みたいことの中でも、移動手段の支援に次いで、2番目が鳥獣害の対策でありました。子供から高齢者の皆様までが一様に、
野生鳥獣からの被害への危機感を抱いていることがわかりました。
そこで、まず伺います。
本市は
野生鳥獣被害に対し、どのように取り組んできているのか。また、今後どのように取り組むのか、お聞かせください。
次に、最近騒がれております
野生イノシシの
豚コレラ対策について伺っていきます。
豚コレラは強い伝染性と致死性を持つ
家畜伝染病で、昨年の9月に岐阜県の養豚場で26年ぶりに再発生が確認されました。これが、
野生イノシシなどを通じてウイルスが拡散し、1府8県21都市に広がりを見せ、さらに、他の県にも広がってきています。これまで14万頭もの養豚が処分され、10年前の宮崎での口蹄疫のときに処分された22万頭に迫る勢いであります。
感染イノシシの場合の拡散速度は、1日100メートルから200メートルとされていますが、中には1日で600メートルも
感染拡大したような埼玉の例もあります。この勢いが、ついに本県にも拡散し始め、10月17日に藤枝市岡部町で発見された
死亡イノシシから陽性反応があらわれました。これが1例目となるわけですが、愛知県での発生を受け、感染が危惧されていたのは
県西部地区への拡散のはずでしたが、いきなり中部地区で発症したということで、この理由は解明されていません。
しかし、一度発症すると、やはり感染は広がっていたという証拠が次から次へとあらわれてきました。10月後半で4例、さらに、11月になってからも日に日に、へい死した
イノシシの発見情報がふえ、いずれも
遺伝子検査で陽性反応が示されています。岡部町周辺が多かったのですが、先月末時点で20例まで見つかり、本市においても、駿河区丸子地区で3例、葵区南藁科、飯間地区で3例、さらに、中藁科、
富厚里地区においても確認されました。これは、あくまで発見された、
へい死個体の
イノシシであり、全てが住民により発見されるとは限りません。山の中や耕作放棄されたやぶの中で死んでいる可能性も否定できません。
ここで、一番心配されるのが養豚場への感染であります。最初の発見場所から10キロ圏内には現在のところ養豚農家はなく、すぐに警戒の対応に当たっているため、県内の養豚場では異常は確認されていません。とはいうものの、10月に県内で初確認された時点で、即座に農林水産省は静岡県を養豚への
ワクチン接種の対象地域に追加する通知を出しています。
ワクチン接種については、前回の感染終息から15年を経て、2007年に
国際獣疫事務局から清浄国と認められて肉の安全性が担保されたところですが、今回の
ワクチン投与により再び
国際ルールで非清浄国と位置づけられる懸念が生じ、賛否両論ありました。しかし、投与をためらい、感染が広がり、殺処分がふえていっては本末転倒であります。
そこで、今回は、感染源とも捉えられる
野生イノシシに対しての
ワクチン散布と生産者の養豚場での
ワクチン接種に踏み切ったということです。県内においても
ワクチン接種完了の情報が出たばかりですが、油断はできません。子豚は生後2カ月までには接種していきますが、その間に
野生イノシシの感染を受けることがないとも限りません。接種に気を緩めずに養豚場の消毒を徹底して衛生管理に努めてもらいたいと思います。
一方で、自然界の
イノシシはどうでしょうか。養豚場や動物園のように人間の管理下ではありません。ぬた場と呼ばれる
野生動物の水飲みや泥遊びの場で、仲間にどんどん感染していく姿が想像できます。そして、この伝染病を患い、へい死していくのです。
そこで、
野生イノシシの免疫向上のために
ワクチン散布を始めました。これは
イノシシに抗体を持たせ、
感染拡大を防ぐ取り組みでもあります。
ここまで、私なりに調べた範囲での現状をお伝えしましたが、まずは
豚コレラについて、この感染菌の名前が人間の伝染病であるコレラ菌と同じで印象が悪いため、CSFと呼ぶようになりました。また、このCSFという病原菌は人には感染せず、鹿など、ほかの動物にも感染しません。そして、CSFにかかった豚肉や、その内臓を食べても人体に影響のあるものではないと報告されています。また、
ワクチン接種後は10日から20日で抗体ができるため、感染のおそれもなくなり、食肉処理されて出荷されることになります。ただ、生まれてくる子豚への接種や
野生イノシシへの散布による警戒は気を緩めるわけにはいきません。撲滅には時間もかかりそうな気もします。
そこで、伺います。
本市では
野生イノシシについての対策はどのようにしているのか、お聞かせください。そして、死亡個体や捕獲個体の処分は、どのように実施しているのかもお聞かせください。
私は先月、
東京ビッグサイトで開催されました第6回
日本ジビエサミットに出席してまいりました。ここでも、CSFの話題が大きく取り上げられていましたが、原則、鹿や
イノシシなどの
野生動物を食べる場合、生食は絶対に避け、肉は中心部まで熱が通るように十分な加熱を施しているため、特段の注意もなく、展示会場では、
ジビエ料理の試食があちらこちらで盛んに振る舞われていました。
国産ジビエの最前線、広がる
ジビエ流通というテーマのもと、サミットでの挨拶や講演の中では、
小池東京都知事の大島でのキョン対策問題の話や
ジビエ活用推進議員連盟の石破 茂会長の山が荒れたから食物を求め里におりてきた獣たちを、山を整備して森に返してやるべきだという話、それから、佐々木大
日本猟友会会長の鳥獣害のため捕獲するのではなく、自然界からの贈り物として利用したい。高たんぱく質、低脂肪の鹿は女性に大人気であるという話もありました。実際に、飲食店でもジビエを取り扱うところもふえてきているし、ドラマでもジビエが取り上げられたりして注目が集まっています。
そこで、伺いますが、本市において
捕獲イノシシやそれ以外の鹿などの
野生動物を食肉として利用できないのか、お聞かせください。
次に、狩猟されている皆様の話に移ります。
野生イノシシの
CSF感染確認を受けて、猟友会は通常の捕獲だけはでなく
イノシシの監視や血液採取も行い、さらに、処分といった作業も担うようになったと聞いています。また、感染を拡大させないよう、養豚農家の協力をしたいという考えで
イノシシ用の
経口ワクチンの散布にも取り組み、病原菌の蔓延防止に努力されています。しかし、猟友会の会員数の減少や高齢化、さらには、
後継者不足も重なり、作業の困難さに拍車をかけている状態であります。
そこで、伺いますが、今回の
CSF感染騒動に当たり、
猟友会等の
捕獲従事者の負担が大きいと思いますが、本市としては、どのように考えているのか、お聞かせください。
以上で、1回目の質問とさせていただきます。
5 ◯市長(田辺信宏君) 私からは、大項目、
野生鳥獣被害対策についてのうち、農作物の
野生鳥獣による被害への対応について、
野生鳥獣被害に対して、どのように取り組んでいるのか。そして、今後、どのように取り組んでいくのかとの2つの質問にお答えいたします。
確かに、平成の時代になって、ここ20年余り前から
野生鳥獣による農作物の被害が本市で顕在化してきました。中
山間地域の清沢地区にお住まいの尾崎議員はもう御承知のことと存じますが、なぜ清沢が
アニマルパークになってしまったのか。その原因としては、大きくは
地球温暖化などの気候変動、そして、森林の荒廃、あるいはハンターの減少等、さまざまな理由が挙げられますが、1つの理由からではなく複合した要因により、
野生動物が増加し、奥山から里山に、人間の生活域に近づいてきてしまったことにより、人間との共存が難しくなって、人間とのあつれきが生まれてきたものだと私は理解しています。
農家の皆様の中には、1年かけて丹精込めて育ててきた作物が、収穫の直前に
野生動物に荒らされてしまった。台なしになってしまった。その
野生動物憎しとの感情から、もっと減らしていけばいいんだ、
イノシシや鹿を撃ってしまえばいいんだという、個体数を減らしたいという御意見をお持ちの方が多いことも十分承知しています。しかし一方、大局的には、
野生鳥獣被害を防止、抑制していくためには、ただ単に、
イノシシなどの動物を減らすだけでは十分な効果は望めません。被害を防止するためには、総合的、大局的に対策を投じることが不可欠であると考えています。
そのため、本市では、これまで議員御指摘の防除、すみ分け、捕獲の3本柱で対策を講じてきました。農地を柵で囲う防除、動物が出没しにくい環境をつくるすみ分け、そして、加害鳥獣を減らす捕獲であります。これらの地道な取り組みの成果は、着実にあらわれております。農作物の被害額は、10年前の平成21年度には2億3,000万円弱に達していたものが、平成30年度には7,500万円弱、
被害面積も721ヘクタールから204ヘクタールへと減少しております。つまり、この10年間で、被害額、
被害面積それぞれが3分の1以下になっております。ただし、いまだに3分の1は残っている、いまだに大きな被害があると理解しております。
今後、
被害防止効果をさらに上げていくためには、まずもって、農家の皆さんが、自分の畑は自分で守る、地域の畑は地域全体で守るという意識を持つことが最も大切であると考えます。これまでも、このような意識が広く共有されるよう、本市では、専門職員による集落診断や地域での勉強会、また、全国的にも有名な外部講師を招聘した勉強会を開催してまいりました。我が国でも
野生鳥獣対策の第一人者と言われる専門家の言葉が、とても印象的でありました。何も防除をせず作物をつくり、
イノシシに食べられたということは、見方を変えれば、あなたが自分で動物を自分の田畑に餌づけしただけという言葉であります。例えば、家の中に貴重なものがあったとすると、私たちは泥棒に入られないようにしっかり鍵をかけます。同じように、農地もおいしい作物をこれから人間に食べてもらいたいならば、
イノシシが入らないように柵で囲うこと。つまり、防除が特に重要だと私は理解しております。
そこで、
鳥獣被害をさらに減らしていくため、来年度からは、とりわけ防除に力を入れていきます。そして、防除も個別型、団体型、そして、県との共同事業である地域一体型と3つのカテゴリーがありますが、特に効率的で費用対効果の高い団体型、団体での防護柵の設置に対する補助制度の一層の拡充をしていきたいと考えております。そのことによって、
鳥獣被害に対する体制の強化を図ってまいります。
そのためには、近隣の農家の皆さんの御協力も期待したいと存じます。近隣の農家同士が、
鳥獣被害に一緒に立ち向かっていく、つまり
ワンチームになっていくことによって、みんなで大同団結するような体制をつくっていただけるなら、私たちは官民連携のもと、その体制強化に、なお一層取り組んでいくつもりであります。これから、防除を中心に据えながら、すみ分け、捕獲をバランスよく実施していく静岡型の
鳥獣被害対策に取り組むことによって、持続可能な農業のため、
鳥獣被害の防止・抑制に努めてまいりたいと考えておりますので、議員の御理解と御支援を切にお願い申し上げます。
以下は統括監から答弁させます。
6
◯農林水産統括監(草分與志君)
野生イノシシのCSF、いわゆる
豚コレラ対策についての4点の御質問にお答えします。
まず、
野生イノシシに対する
CSF感染対策についてですが、主に4つの対策を実施しています。
1つ目は、ウイルスの拡散を抑えるための消毒の徹底。2つ目は、生息密度を下げるための
イノシシの捕獲の強化。3つ目は、ウイルスの封じ込めのため、
陽性個体回収地点から半径10から20キロメートル圏内における
経口ワクチン散布の実施。4つ目は、ウイルスの
感染拡大状況を確認するため、
捕獲イノシシからの血液採取などを県、市、猟友会、JAが協力して実施しています。
次に、
死亡個体等の処分についてですが、新たな感染源とならないように、消毒の上、焼却するか地中深く埋却しています。
次に、
イノシシの食肉としての利用についてですが、現在、
陽性個体回収地点から半径10キロメートル圏内で捕獲されたものは、肉からの2次汚染による豚や
イノシシへの
感染拡大を防ぐため、流通も譲渡も行わないよう国から求められておりますが、
CSFウイルスは人体には影響がないため、
感染拡大に十分な注意をした上で自家消費することに問題はありません。もちろん10キロメートル圏外で捕獲されたものは問題なく、制限もありません。また、鹿等、ほかの動物はCSFに感染しないため、食肉としての利用に特に制限はありません。
最後に、
猟友会等の
捕獲従事者の負担についてですが、地域の状況に詳しく、
イノシシを捕獲することができるのは猟友会員しかいないため、現在、捕獲に従事する方々に多くの負担を強いる状況となっています。本市としても、捕獲に従事する方々の御尽力に報いるため、消毒機材、消耗品等の必要経費に加え、捕獲にかかる新たな報酬の支払いに向けて、現在、
CSF対策の実施主体である県と調整を進めております。
以上でございます。
〔17番
尾崎行雄君登壇〕
7 ◯17番(
尾崎行雄君) 市長から中
山間地域に対する熱いお考えをいただきました。
この
鳥獣害対応におきましても、まさに、地域防災と同様に、自助、共助、公助で成り立つものだと感じました。また、
野生イノシシの
CSF対策についても、丁寧に御答弁いただきました。
意見・要望は最後にまとめて述べさせていただきますので、2回目の質問に移ります。
次は、
森林環境譲与税について、その使途について伺っていきます。
私は、昨年の6月定例会の総括質問において、この
森林環境譲与税について伺いました。そのときは、この譲与税が配分される前であり、予想される配分収入の使途について伺いました。そして、ことしからいよいよ譲与税の配分が始まりましたが、段階的に配分額が上がるために、ことしは、まだ将来的に配分される全額の3分の1にとどまっています。それでも、皆さんのお手元の資料の一番最後のページのように、静岡市は全国で第5位の配分であります。そして、今年度は約1億円となっています。約1億円の譲与税が、9月に半分、今年度末にもう半分と、2回に分けて配分されると聞いています。
資料の配分表をごらんいただくと、何か矛盾を感じることはないでしょうか。森林のない横浜市が1位であり、大阪市、名古屋市、川崎市なども入っています。これは配分を算出するのに各自治体の人口率が30%、
林業就業者数が20%、そして、私有林、
人工林面積が50%の案分が適用されるため、森林がなくても人口の多い都市は配分が多くなってしまうという現状であります。逆に、静岡市は浜松市と同様、
私有林面積が上位で
譲与基準率を高めているのです。本市は、10万ヘクタールを超える森林が存在して、これは市域の4分の3に当たり、そのうちの44%が人工林ということなのです。だから、「静岡市はいいねぇ。」という
キャッチコピーがありますが、私は、「静岡市は広いねぇ」という言葉も合うと思います。
話を戻しますと、このように全国的に見ても、より多くの
森林環境譲与税が国から配分される本市は、これを有効に活用して
オクシズの森林を整備したり、
オクシズ材を多方面で利用したりしていかねばなりません。この譲与税は先行して配分されたものですが、本来は、令和6年度から住民税に上乗せして徴収される
森林環境税が財源になるもので、税の意図するところは、我が国の
温室効果ガス排出削減目標達成に向けての
森林吸収財源対策のための基幹財源となるためです。
昨年6月の私の質問に対し、経済局長が次のように述べています。
森林環境譲与税の使途については、
森林環境税創設の目的に沿って林業家の皆さんの御意見なども伺いながら、本市独自の事業展開を検討している。木材生産の場においては、国や県の既存の補助事業や市の基金事業との関係を調整し、間伐や林道等の整備、林業家の人材育成、担い手の確保に効果的な事業などが考えられる。また、木材利用の場においては、まちなかに暮らす市民の皆さんが木の持つぬくもりに触れ、そのよさを身近に感じられるよう、多くの人々が行き来する
公共的空間の木質化の拡大を考えるという答弁でした。
確かに、追加の収入を特別なことに利用するのではなく、本市のこれまでの森林に関与する事業を継続しながら、さらに、厚みを持たせるよう活用するのが木材業界に携わる方々にとっても、ぶれずに取り組めるのだろうと思います。
ここで、大切だと思われるのは、林業家の意見を聞いていくということと木材業界とともに検討するということであります。まずは、山に目を向けると、森林の整備をもっとスピードを上げて行う必要があります。山林の整備に充てる財源を確保して雇用をふやし、美しい
オクシズの森をつくっていきたいものです。本来、森林は水源涵養や土砂の流出防止、
CO2吸収による
温暖化抑止や
生物多様性の維持など、
公益的機能を有しており、都市住民を含む市民全体がこの恩恵を享受しています。その山の恵みを今後も継続的に得られるようにするためには、行政による強力なバックアップが必要だと考えます。
そこで、伺います。
森林環境譲与税を活用した川上、いわゆる山林である木材生産の現場での事業はどのようなものか、お聞かせください。
また、昨年の質問の答弁で触れられた中に、林業家による小学校出前授業の推進というものがありました。
そこで、伺いますが、森林環境教育の内容はどのようなものか、お聞かせください。
次に、静岡市産材である
オクシズ材の利用促進について伺っていきます。
まずは、皆様に伺いたいのですが、最近、木材という言葉で想像する場所はどこでしょう。この議場にいる方の多くが、3階の食堂を想像されたのではないでしょうか。お茶と木と魚で「茶木魚(ちゃきっと)」です。入り口をあけると、
オクシズ材であるヒノキの香りが漂い、中は、ぬくもりのある木材でデザインされた空間が私たちを迎えてくれます。子供さんにも大人にも優しいすてきな食堂です。このように、昨年答弁されたように、人々が行き来する公共空間の木質化を拡大化するということを、まさに身近に感じられるところになりました。
来年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、先週、メーン会場の新国立競技場が完成しました。日本平夢テラスと同様に、隈 研吾氏の設計ですが、コンセプトが杜のスタジアムだそうです。ここでも、木材が大活躍であります。特徴的なひさしには47都道府県の木材が集められ、杉と琉球松が使われています。北側には北海道の木材が、南側には沖縄の木材が、方角に合わせて配置されているようです。このように、これからの建築物については、全国的に木材の利用が促進されて、業界にとっては追い風になっていきます。ここにも、
森林環境譲与税の活用を付加していかなければなりません。
そこで、伺いますが、静岡市産材である
オクシズ材の利用促進について、いわゆる川下での取り組み状況はどのようなものか、お聞かせください。さらに、山と都市を結ぶかけ橋になる
オクシズ材をブランド化させていくことも重要な戦略であります。
そこで、伺いますが、今後は
オクシズ材をどのように普及させていくのか、お聞かせください。
以上をもちまして、2回目の質問とさせていただきます。
8
◯農林水産統括監(草分與志君)
森林環境譲与税の使途と
オクシズ材の利用促進についての御質問にお答えします。
初めに、
森林環境譲与税の使途についての2点の御質問にお答えします。
まず、
森林環境譲与税を活用した川上での事業についてですが、適切な森林整備や人材育成、林業の普及啓発のために、次の5つの取り組みを行っております。
1つ目は、森林経営管理法に基づく間伐などの森林整備。2つ目は、植林、間伐等を対象とした造林補助事業。3つ目は、林道開設や改良などの林道整備に係る事業。4つ目は、労働災害防止を目的とした安全対策につながる伐採作業などの資格の取得補助。5つ目は、担い手育成を目的とした森林環境教育などの啓発事業です。
次に、森林環境教育の内容についてですが、2つの取り組みを行っています。
1つ目は、高山・市民の森において年間20回程度実施する、専門家との森林散策を通じて森林の重要性を学ぶ森林教室等で、今年度は11月末現在、延べ300人が参加しております。教室への参加をきっかけに、高山・市民の森へ再び訪れる方も多く、市民が森林に触れるきっかけとしての役割を果たしております。
2つ目は、市内小学校においてICTを活用し、まちと森をリアルタイムでつないで行う出張林業教室です。当教室では、インターネットを利用したビデオ通話で林業の現場と教室が双方向につながり、現場の迫力を教室にいながら体感することができます。令和元年度は、これまでに7校、延べ600人が参加しており、林業を知らない児童に森林整備の重要性を伝えるとともに、静岡市林業研究会など、市内で活躍する若手林業家との直接的な対話により、森林の持つ役割への理解を深めてもらうことで、将来の担い手確保につなげるものです。
今後も、
森林環境譲与税を活用し、森林環境教育を継続して実施することで、本市森林環境の維持に努めてまいります。
次に、
オクシズ材の利用促進についての2点の御質問にお答えします。
まず、いわゆる川下での取り組み状況についてですが、木材の利用促進を図るため、住宅以外の施設に対して、柱や床材等の建築用の木材を補助する静岡ぬくもり空間推進事業を実施しております。これまで、保育園等を対象としてきましたが、令和元年度からは
森林環境譲与税を活用し、商業施設を新たに加え、制度の拡充を図りました。本年7月には、この制度を利用した第1号店となる、しずおか魚市場直営店がJR静岡駅にオープンし、店舗内装やテーブル、カウンター等に
オクシズ材を使用することで、多くの人の目に触れる機会が創出され、大変好評をいただいております。
また、
森林環境譲与税を活用した事業ではありませんが、静岡庁舎3階に8月にオープンした食堂「茶木魚(ちゃきっと)」において、椅子やテーブル、床、壁等に杉やヒノキの
オクシズ材をふんだんに使用した木のぬくもりあふれる空間づくりを行い、
オクシズ材の普及促進を図っております。
次に、今後の
オクシズ材の普及に関する取り組みについてですが、まちなかに暮らす人々が木の持つぬくもりに触れ、そのよさを身近に感じられるよう、
公共的空間の木質化をさらに拡充することが不可欠で、市内はもとより大消費地である首都圏等においても利用拡大を図っていく必要があると考えております。
そこで、本年9月には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使用される選手村ビレッジプラザへ
オクシズ材を提供するなど、利用拡大に向けたPRに努めております。また、11月には、東京都港区の協力を得て、港区内の建築物等に国産木材の使用を促す、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度に登録している全国約320社の木材利用関係業者へ、商業施設で
オクシズ材を利用した場合に補助制度があることも周知いたしました。
今後も、林業、木材業界と連携しながら、市内はもとより首都圏などへ
オクシズ材の需要拡大を図るとともに、森林を市民共有の財産として次世代に引き継ぐため、川上と川下の両面から
森林環境譲与税を活用してまいります。
以上でございます。
〔17番
尾崎行雄君登壇〕
9 ◯17番(
尾崎行雄君) 次に、意見・要望を述べさせていただきます。
まずは、
野生鳥獣の農作物への被害対策でありますが、市長の御答弁の中で防除とすみ分けと捕獲の3本柱のバランスをとりつつ、防除を中心に捉えた静岡型の被害対策を強く推し進めていき、持続可能な農業のために
鳥獣被害の防止と抑制を図り、里山を保全していく話がありました。やはり一人一人が鳥獣に向き合うよりも団体でチームを組んで防除を行うことのほうが効果的で、さらには、そこに助け合う、結いの心が生まれ、持続可能なコミュニティが醸成されるものであると思います。おいしい作物に近づけさせないことで自然界の動物たちとの共生も図られます。ぜひ、市長の熱いお考えを行政に反映させていただき、団体での防除に対する補助制度の拡充をお願いしたいと要望いたします。
次に、CSF、いわゆる
豚コレラ対策でありますが、私の祖父が猟友会に所属していて、子供のころには銃でしとめた
イノシシを長くて丈夫な棒に逆さにつるして、何人かで担いで山からおりてきたことを覚えております。これは20貫以上あるなとか、寒いで脂がのっているなとか、大勢で猟っていました。これこそ山の恵みであり、当時の貴重なたんぱく源でもありました。
今そのような野生の
イノシシがCSFによる危機にさらされています。私は、この
豚コレラの話を聞いて、宮崎 駿の「もののけ姫」の映画を思い出しました。森と人がテーマでもありましたが、そこには森の生物と人間との対立を超えた共存、共生、共栄の道は何か、生きていくためにはというメッセージが込められていたように思います。野山で苦しみ、孤独にへい死していく
イノシシの感染が、これ以上拡散しないよう、大変ではありますが、静岡県との連携のもとでワクチンの散布をお願いして、CSFの終息を目指していただきたいと思います。
ジビエとしての鹿や
イノシシについても、風評被害により、道の駅の
イノシシコロッケや
イノシシカレーなどの売り上げが心配になります。「しずまえ鮮魚」というブランドがあるように、
オクシズジビエという商標も今後できますように、安心・安全を確保していってほしいと思います。
さらに、
森林環境譲与税については、今後も配分されてくる収入を基金としてストックするのではなく、しっかりと林業のために充当し、森林経営管理法に基づく間伐などの森林整備や植林などの造林事業、また、林道整備などに生かし、さらに、森林の所有者の不明や境界の不明などを地籍調査により明確化していくことも大切なことであると思います。そして、山を守る林業家などの担い手育成や雇用の拡大につなげていただきたいと思います。
また、
オクシズ材の消費の部分については、公共空間の木質化の促進を図り、学校の壁の裾の部分に木材を利用したり、憩いの場所や駅の北口広場や通路などに
オクシズ材のベンチを並べたらいかがでしょうか。さらに、
オクシズ材のぬくもりを感じられる商業施設もふやしていってほしいと願います。
また、答弁にありましたように、みなとモデルのような東京や都市部との連携をさらに強めて利用拡大を図り、資料で述べたように、森林がなくても譲与税が配分される都市などに積極的に……
10 ◯議長(
遠藤裕孝君) あと1分です。
11 ◯17番(
尾崎行雄君)(続)
オクシズ材を売り込んでいくこともチャンスかと思われます。
アイデアとチャレンジでいきましょうと要望し、私の全ての発言を終わります。ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
12 ◯議長(
遠藤裕孝君) 次に、佐藤成子さん。
〔27番佐藤成子君登壇〕
13 ◯27番(佐藤成子君) 通告に従い、質問します。
前回の9月定例会で、私は、2025年に静岡市の総人口70万人維持を目指すために、静岡市は、ここに住む市民の満足感を充足しつつ、外に向かって静岡市をどうPRしていくのか、その最大の売りは何なのか、あれも、これもではなく、ターゲットを絞ったシティプロモーションをすることが大事なのではないかと質問させていただきました。
今回は、総人口70万人維持につながるであろう交流人口増加という土台をもとに進められている施策について伺っていきたいと思います。
総務省は、地方自治法を改正し、地方公共団体間の柔軟な連携を可能とする連携協約の制度を平成26年11月に施行し、連携中枢都市圏の形成等を推進すべく、翌年、地方交付税措置を講じ、全国展開を進めました。皆さん、承知されているとは思いますが、連携中枢都市圏構想とは、人口減少、少子高齢社会にあっても、地域を活性化し、経済を持続可能なものとし、安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするため、地域において相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が、近隣の市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化により、経済成長の牽引、高次都市機能の集積・強化、生活関連機能サービスの向上を行うことにより、人口減少、少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し、活力ある社会経済を維持するための拠点をつくるという政策です。これは、第30次地方制度調査会の大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申を踏まえて制度化されたと伺いました。
国の制度設計に基づき、静岡市は、平成28年に中部5市2町の連携中枢都市宣言をし、しずおか中部連携中枢都市圏を形成しました。ビジョンを策定し、公表も行っております。
資料をごらんください。表が上下のグラフです。5市2町の現在の人口と将来推計人口です。
裏をごらんください。交流人口増加を意識し、圏域内の経済を活性化させ、定住人口増加につなげていく多極政策連携の構図です。
それでは、大項目1、連携の推進による市政運営についてお伺いいたします。
静岡市は、各種連携の推進による市政運営を行っております。5市2町広域連携について改めてお伺いいたします。
5市2町、お互いにウイン・ウインの関係になっているのか気になるところです。静岡市が4市2町と広域連携する必要性というか連携する目的、これまでの成果、そして、今後、どのように取り組んでいくのかについてお聞かせください。
次の質問です。
連携その2、官民連携についてお伺いいたします。
昨日も出ておりましたが、現在、静岡市では、かなり大規模な公共投資が進められています。公共投資することが、民間投資の呼び水になることを期待し、民間活力導入による整備を目指して、海洋文化拠点施設や旧青葉小学校跡地の歴史文化施設の整備計画が進められておりますが、これまでも何度か伺いましたが、民間投資が必要な分だけ本当に引き出せるのかと懸念しておりました。民間は、メリットが確信できない限り、ゴーサインは出さないと思っています。
そんな折、「民間提案整備は白紙」の地元紙の報道です。静岡県が進めていた東静岡の文化力の拠点整備について、民間提案のホテルや立体駐車場などの整備の想定は白紙にし、県立図書館などの機能に限って県主体で先行整備するとのこと。民間活力によらずに公金を投入する判断の是非も問われる可能性があるとの内容でした。詳しい経緯は知り得ておりませんが、静岡市所有の東静岡の土地利用、整備にも影響しかねないかと心配しているところですが、このことについては、またの機会にお伺いしたいと思います。
さて、官民連携についてですが、どのような経緯を経て進められていくのか、詳しく知りたいと思っておりましたが、平成30年度静岡市域におけるPPP/PFI地域プラットフォーム形成・運営に関する調査検討支援業務報告書を手にすることができました。
9月議会でPFI・PPPを少しは理解できたつもりでしたが、日本PFI・PPP協会の説明で改めて確認できたところです。釈迦に説法ですが、PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアティブとは、公共施設の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行い、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る考え方です。
一方、PPP、パブリック・プライベート・パートナーシップは、公民連携して公共サービスの提供を行うスキームのことで、PFIはPPPの代表的手法の1つで、指定管理者制度や市場テスト、公設民営方式、包括民間委託、自治体業務のアウトソーシングなどが含まれるという説明でした。ヒアリングの段階でも、PPPはPFIを包含しているとの説明をいただきました。
さて、静岡市では、総合計画やアセットマネジメント基本方針に基づき、事業発案がなされています。発案された事業の実施に当たっては、民間活力の導入による財政負担の軽減とサービス水準の向上を目指しています。また、第3次静岡市行財政改革推進大綱で基本方針の1つとして、官民連携の推進と民間活力の活用を改革の方向としています。今後、PPP・PFIがふえていくと、さきの報告書にも記載されています。
静岡市が、官民連携手法の1つのツールとしてのPPP・PFIを進めていること、その仕組みなど、一定程度わかりました。それでは、質問させていただきます。
この地域プラットフォームの取り組みはどのようなものなのか。これまでの経緯を含めてお聞かせください。
次に、大項目2、第3次総合計画における、観光・交流分野の政策についてお伺いいたします。
先ほども申し上げましたが、今回は交流人口増加をベースに質問しています。これに大きく影響するのが、観光というツールだと思っています。
本年、私は観光文化経済委員会の委員長を仰せつかり、本当に多くのイベント、行事に参加させていただいております。ことしは、いつになく多くの人の動きを目の当たりにさせていただいており、インバウンドも含め、交流人口の定義もあるかとは思いますが、静岡市を訪れている人はふえているのではないかと実感しているところです。これまでも、新幹線で下車する際に、こんなに多くの人がおりるんだということを感じているのは、私だけではないと思いますが、いかがでしょうか。
さて、本題、3次総の10分野の1つ、観光・交流分野の施策評価の総括についてお伺いいたします。
4つの政策、14の施策は、単独の所管で推進しているものもありますが、各所管連携によるものもあります。事務事業総点検表には、それぞれAとかBの成果評価をしています。言うまでもなく、交流人口の増加と地域経済の活性化を目指して施策が進められていると思います。「国内外から多くの人々が訪れ、活発な交流が行われるまちを実現します」が、大目標です。観光・交流分野として、どのように施策評価を総括されているのか、お伺いいたします。
また、今後、第3次総合計画の後期実施計画が推進されていくと思いますが、その方針についても、あわせてお伺いいたします。
以上、1回目の質問です。
14 ◯政策官(赤堀文宣君) 私からは、5市2町の広域連携について、その目的と、これまでの成果、そして、今後の取り組みについて答弁させていただきます。
まず、目的についてですが、我が国全体で人口減少が急速に進む中でも、東京一極集中が是正されない状況下において、地方が地域活力を維持し、持続可能なまちづくりをすることが求められています。このような考えのもと、地方創生の1つの柱として広域連携が位置づけられ、連携中枢都市圏構想が打ち出されました。
我々中部5市2町は、地域特有の歴史や文化を受け継ぎ、異なった個性とともに、全国的にも高いブランド価値を誇る魅力ある地域資源を有する自治体であり、こうした自治体同士が互いに補完し合い、高め合うことによる相乗効果に期待し、国の動きにいち早く呼応し、連携中枢都市圏を形成いたしました。
次に、これまでの取り組み内容と成果についてですが、平成29年に策定した、しずおか中部連携中枢都市圏ビジョンに基づき、まずは圏域の一体感を醸成させるため、圏域内の住民の皆さんの交流を促進させる取り組みに注力してまいりました。具体的には、東海道を中心とした街道文化の発信や圏域内のにぎわいの創出を図るイルミネーションの合同PR、市町間の行き来を活発にするためのバスロケーションシステムの設置など、多岐にわたる事業に取り組んでまいりました。中でも、他の市町のイベントをもっと知るために、本市が提案した5市2町イベントニュース「GO TO」は、この圏域の代表的な事業として、連携市町からも高い評価を得ているところです。こうした取り組みを着実に推進してきたことにより、圏域全体の観光・交流客数も増加してきており、これが取り組みの大きな成果であると考えております。
最後に、今後の取り組みについてですが、連携中枢都市である本市としましては、これまでの圏域内の交流の促進を図る取り組みは継続しつつ、さらに、2つの方向性により、この圏域の一体的発展を目指していきたいと考えております。
短期的には、首都圏などの大きなマーケットに向けて、この圏域が持つ魅力ある地域資源を積極的に発信していくことにより、圏域外からの交流人口の増加を図ることです。具体的には、お茶に代表される圏域の特産品などを首都圏におけるプロモーション活動やイベントの開催などを通じて広くPRしていきたいと考えております。また、将来的には、圏域に住む皆さんが日々の生活の中で圏域を形成したことによるメリットを実感できるよう、子育て支援や健康福祉など、生活に密着した住民サービスの向上を図っていきたいと考えております。
今後も、圏域内外の交流を促進させるとともに、生活関連サービスの向上を図ることで、圏域全体で人口減少社会に立ち向かい、この圏域の目指す将来像である海・山・街道を活かした多極連携・交流都市圏の実現を目指してまいります。
以上でございます。
15 ◯公共資産統括監(吉井博昭君) PPP/PFI地域プラットフォームの取り組みについてですが、PPP/PFI地域プラットフォームとは、地域の企業、金融機関、地方公共団体等が集まり、行政から民間活力の導入を想定している事業を提示し、参画を検討している民間事業者との対話を通じて本市事業への民間活力の導入を促すための場です。
本市では、平成29年度より、プラットフォーム開催に向けた試行的な取り組みを開始し、30年度は内閣府の支援や参加者の声を参考に本格実施を視野に入れた運営方法の整理や工程表の作成等の準備を行ってまいりました。この準備期間を経て、本年7月に本市が代表者となり、静岡県及び4つの地元金融機関が中心となり、静岡市PPP/PFI地域プラットフォームを初めて開催したところであります。
本年10月に開催しました第2回プラットフォームでは、本市を含む近隣5市2町を初め、県内自治体職員が37人、民間事業者は42社から73人の計110人の参加をいただき、PPPやPFIに関する勉強会とともに、市から民間活力の導入を検討する3件の事業を提示し、その後官民での個別対話を行いました。本プラットフォームでは、このような取り組みを試行期間も含め、これまで9回開催し、県内自治体職員が延べ約350人、民間事業者は延べ300社から約500人が参加しております。
この取り組みは、内閣府、国土交通省が認定する協定プラットフォームとして、県内で唯一位置づけられ、PPP・PFIの先導的な役割を担っております。
以上でございます。
16 ◯観光交流文化局長(大石貴生君) 3次総観光・交流分野に関する2点の御質問にお答えします。
まず、施策評価の総括についてですが、観光・交流分野では4つの政策、14の施策に基づき、体系的に事業を進め、交流人口の増加と地域経済の活性化を目指して取り組んでおります。これらを評価する指標のうち、特に観光地やイベントに訪れた人数をあらわす観光レクリエーション客数と宿泊客数を重視しております。
この2つの指標について、2次総と3次総前期との1年間の平均で比較しますと、観光レクリエーション客数は約2,440万人から約2,475万人となり35万人、1.4%の増加、また、宿泊客数は約153万人から約177万人となり、1年間で24万人、15.6%の増加となりました。この主な要因としましては、観光レクリエーション客数については、徳川と豊臣の天守台が発見され注目を集めた駿府城公園や、刀剣ブームなどでにぎわう久能山東照宮への来訪者が増加したほか、大道芸ワールドカップなどの大型イベントも堅調に推移したところであります。一方、三保松原では、世界文化遺産に登録された平成25年度をピークに集客の落ち込みが見られ、全体としては2次総から微増にとどまりました。
また、宿泊客数については、富士山静岡空港の中国路線の充実等により、外国人宿泊者数が3次総と2次総前期との年平均で比較して2.4倍となったほか、国内宿泊者数においてもMICE誘致による全国大会の開催やデスティネーションキャンペーンにより増加し、取り組みの成果があったものと評価しております。
次に、今後の方針についてですが、3次総後期においても、これらの成果指標は重要であることから、観光レクリエーション客数は約2,570万人、宿泊客数は約203万人と高い目標を掲げております。この目標を達成するために、観光拠点への誘客と回遊の促進、そして、夜の観光資源の充実、この2点に重点を置いて取り組んでまいります。
1点目の観光拠点への誘客と回遊の促進については、中部横断自動車道の開通や富士山静岡空港の路線拡大など、社会インフラの充実を好機と捉え、昨年度に開館しました日本平夢テラスや「みほしるべ」、今後、整備されます歴史文化施設や海洋・地球総合ミュージアムなどを国内外に積極的にPRしてまいります。また、これらと既存観光資源の回遊性の向上を目指し、ファムトリップや商談会などの場でモデルルートを提案するほか、SNSやユーチューブ等を活用した情報発信も強化してまいります。
2点目の夜の観光資源の充実については、日本夜景遺産に認定された日本平、梶原山公園などに加え、新たな夜景スポットを掘り起こすとともに、官民で実施しておりますライトアップやイルミネーションなども推進しています。さらに、日本平動物園や紅葉山庭園など、一部の施設で実施しております夜間開館やユニークベニューの取り組みについて、今後、歴史文化施設などの文化施設においても検討を進めているほか、静岡グルメを楽しめるまち歩きの推進など、観光資源を充実させ、本市の夜の楽しみ方を観光客にも提案してまいります。
これらの取り組みにより、観光客の滞在時間を延ばし、宿泊へとつなげ、観光による地域経済の活性化を図ってまいります。
以上です。
〔27番佐藤成子君登壇〕
17 ◯27番(佐藤成子君) 具体的な数字を示しての御答弁、また、具体的な内容をお伺いし、人が動いているということがわかりました。
それでは、2回目の質問です。
広域連携についてお伺いします。
静岡県中部5市2町で取り組む地域連携DMOについてお伺いいたします。
観光庁は、地域の稼ぐ力を引き出し、地方創生を推進するため、観光分野でのマーケティングに基づいた観光戦略の策定や推進、地域住民との連携強化を図り、推し進める組織、日本版DMOの確立を推進しています。静岡市の取り組みについてお伺いいたします。
5市2町で取り組む地域連携DMOの進捗状況についてお聞かせください。
静岡市観光コンベンション協会改め、するが企画観光局が、2017年に中部5市2町を対象にマーケティング調査の分析を行い、科学的根拠に基づいた戦略による観光地経営を担う地域連携DMOの機能強化と地域経済活性化を目指し、そのマーケティングの責任者を雇用し、新たな観光客流入を進めていると伺っていますし、また、マスコミ等でも種々の企画、事業が紹介されていると認識しております。中部5市2町で取り組んでいる地域連携DMOの進捗状況についてお聞かせください。
あと1点お伺いいたします。
官民連携についてです。
お伺いした中では、プラットフォームという官民の意見交換の場があり、ニーズの把握が十分できるため、静岡県で官民連携が白紙になったというようなことは静岡市では起こらないと確信しております。事業化に向けた段階的な仕組みの中で、プラットフォームの機能が十分発揮されていると理解できましたが、今後、PPP/PFI地域プラットフォームを生かして、どのように事業展開していくのか、お伺いいたします。
以上、2回目の質問です。
18 ◯観光交流文化局長(大石貴生君) 済みません。先ほどの1回目の答弁で、外国人の宿泊者数について、比較が「2次総と3次総前期」と言うところを「3次総と2次総前期」と言い間違えました。正確には、2次総と3次総前期を比較しまして2.4倍となったというのが正しいです。失礼しました。
2回目の答弁です。
5市2町で取り組む地域連携DMOの進捗状況についてですが、平成29年度に、するが企画観光局が実施しましたマーケティング調査において、当地域の観光地としての最大の課題は認知度の低さであることがわかりました。そこで、平成30年3月に観光庁から地域連携DMO法人の認定を受け、各地域の特色を生かした魅力的な観光商品の開発と、それらの魅力を全国に発信するプロモーションを実施しております。
1つ目の商品開発の主なものとしては、当地域で最も訴求力のある資源、お茶に着目し、夏の風物詩、かき氷と絡めた茶氷や絶景の茶畑に設置したウッドデッキ、茶の間、静岡産の茶葉を用いたカクテル、宵茶が開発されました。具体的な成果としましては、茶氷では、提供店舗が昨年の3市12店舗から5市2町30店舗に拡大し、売り上げも昨年の3万杯から5万2,000杯に増加しました。また、茶の間は、3市5カ所に設置され、本年10月からの約1カ月半で87組、212名が利用し、うち半数が県外からの利用者と、当地域への誘客につながっております。
2つ目のプロモーションでは、ウェブや雑誌など、さまざまな広告媒体を効果的に活用し、これら新商品の魅力を広く発信することにより、今年度、上半期のみで8億円余の広告換算額を生み出しております。さらに、茶の間が「ポツンと一軒家」などの人気番組や旅行ガイドブック「まっぷる静岡版」の表紙にも取り上げられ、注目度が高まってきております。
今後も、するが企画観光局が進めるDMO事業に、5市2町で連携・協力し、認知度の向上、交流人口の拡大へとつなげてまいります。
以上です。
19 ◯公共資産統括監(吉井博昭君) プラットフォームを活用した事業展開についてですが、本プラットフォームでは民間活力の導入を検討している事業について、試行期間を含め、これまで21件の事業を民間事業者に提示し、その進捗にあわせた対話を実施しております。これまで、本プラットフォームで対話を行った、生涯活躍のまち静岡(CCRC)推進事業、駿河共生地区の南八幡町地区地域・多世代交流型住宅整備運営事業は、公募により最優秀提案者が決定し、現在、協定締結に向けた協議を行っているところであります。
また、清水庁舎整備等事業や(仮称)海洋・地球総合ミュージアム整備運営事業については、事業者の公募に向けた作業を進めております。さらに、城北公園パークPFI事業や大浜公園のリニューアル事業等については、対話により参画意欲を示す事業者が複数確認できたなど、それぞれの事業が着実に進んできております。
今後も、行政から継続して魅力ある事業を提示するとともに、参加者のニーズを捉えた運営方法等を取り入れることで、より多くの民間事業者の参加を促し、行政、民間事業者の双方にとって有益な場となるよう進めてまいります。
以上でございます。
〔27番佐藤成子君登壇〕
20 ◯27番(佐藤成子君) 3回目は、意見・要望です。
広域連携についてです。
国の政策をいち早く取り入れたと、政策官はおっしゃいました。シフトしたわけではないので、2025年、総人口70万人維持は堅持されていますが、115万人経済圏における交流人口増加は、キーマン静岡市が、どうリードしていくかにかかっていると思います。短期的には、首都圏等の大きなマーケットに向けて圏域が持つ魅力ある地域資源を積極的に発信し、圏域外からの交流人口の増加を図ることが大事だとおっしゃっています。好評なイベントニュース「GO TO」などは広範囲に利用できるものではないでしょうか。これこそ首都圏のアンテナショップに必要なツールではないでしょうか。その前に5市2町の連携の象徴として、いつ、アンテンショップが開店できるのかが大きな課題です。2020年は、もう時間の問題です。各県、市の既存のアンテナショップも課題を抱えているようです。じっくり検討も大事ですが、連携をいち早く決定するようなスピード感が必要なのではないかと感じております。
民間との連携についてですが、これから進められるCCRC推進事業や海洋文化拠点づくり、庁舎建設、歴史博物館建設など、地域プラットフォームをしっかりと生かし、十分なコミュニケーションを図って、民間活力の導入を図っていただきたいと思います。
今回は、交流人口の拡大をベースにして、その拡大につながる施策を中心に伺ってきました。少子化で自然増は容易に望めない中、社会増を期待するところですが、こちらも厳しい現状ですが。しかし、政策の打ち出し方1つでも変えられるという例を御紹介させていただきます。
市長、高島宗一郎福岡市長を御存じでしょうか。起業を支援して、市として全国一の人口増だということです。1972年の政令指定都市発足時の1.7倍の人口とのことで、令和元年10月1日現在、159万2,657人です。桁が違う、条件が違うと言われそうですが、高島市長は人口72万4,000人余りのワシントン州シアトル市を視察し、大きな刺激を受け、福岡市をシアトルにしたいと理想を抱いてスタートアップ都市ふくおかを12年前に宣言したそうです。創業支援都市を掲げ、ベンチャー企業の立ち上げを支援し、地域経済を活性化させ、雇用を生み出し、人口流入を促しているのです。これは、「中部未来」に掲載されていた記事の内容の一部ですけれども、九州を代表する都市だからというだけでしょうか。もちろん、必要条件はあるとは思いますが、こうしたいというトップの熱い思いだと思うのです。
田辺市長は、いち早くSDGs導入を決め、また、国政に連動して、いち早く広域連携も進めました。今度は、MaaSです。ヘルシンキで、必ず静岡で実現させると、決意を新たにされたでしょうか。国内では、先ほどの福岡市が先進地です。インフラを整備し、雇用を創出し、働く場があれば人は集まってくる。人口増加につながります。きのうの地元紙によれば、伊豆半島で観光MaaSが推進されようとしています。まさに、頑張ろう、静岡だと思います。これまで掲げている政策に加えて、新たな政策を構築していくことは、かなり大変なことだと思いますが、必要と思うからこそだと思います。もちろん、その政策の遂行には市民に理解してもらわなければならないというのは言うまでもありませんが、SDGsの際も申し上げましたが、全庁的に各部署に関係するにもかかわらず、職員への情報伝達がいささか遅いと感じました。ぜひ、新たな雇用も生み出すであろう、交流人口増も望めるであろうMaaSの推進には、市民の意見収集と同時に、職員の理解度を高めていただきたいと思います。
海洋文化施設の展示物の監修には、JAMSTECと東海大学海洋学部とそれぞれ連携する覚書を締結されたとの報道です。「静岡で働こう。2020」も編集されたとのことです。着々と、確実に官民連携が進んでいます。
静岡市は、かつてSOHOしずおかから全国的に活躍する女性起業家を生み出しました。潜在能力をいかに引き出していけるかが大事なことだと思います。この地に働く場を創出していくことが、人口流入の必要条件だと思います。観光でも文化でも、歴史でも何であっても人を呼べる中枢都市静岡の牽引力に期待しているところです。
以上で、全ての質問を終わります。
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21 ◯議長(遠藤裕孝君) 次に、内田隆典君。
〔37番内田隆典君登壇〕
22 ◯37番(内田隆典君) 通告に従いまして、質問します。
清水庁舎の移転計画についてであります。
市長のこの問題についての説明責任について伺いたいと思いますけれども、9月議会で庁舎建設に関する債務負担行為の予算と庁舎の位置を変更する議案が可決されました。市長は、議会の決定は重いものがあるとコメントしています。しかし、9月議会を見ても、市長は、議会でも議論を深めると言いながら、市民が心配する指摘に対し、真正面から向き合って議論してきたとは思えません。むしろ、議論から逃げ回っているように市民には映っています。市長は、丁寧に説明を繰り返し、理解は広がっていると発言していますが、3月の市長選挙での出口調査、その後の静岡朝日テレビの調査結果を見ると、この問題を市民が知れば知るほど、不安と反対の声が広がっているというのが現状であります。市長の現状認識と、今後、どのように説明責任を果たしていこうとしているのか、まず、伺っておきたいと思います。
2点目は、庁舎整備に関連する財源について伺いたいと思います。
計画では、清水駅東口に新たな庁舎を建設すると、約94億円の財源が必要とされています。この財源の内訳は、国庫負担金、補助金がありませんから、全額静岡市の負担ということのようであります。こうした大規模な事業を計画する場合、当然、国庫補助が受けられるのかどうか、該当するメニューがないか、当局は常に検討していると思います。
国においては、東日本大震災及び平成28年の熊本地震を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災・減災のための事業として、緊急防災・減災事業債というのをつくりました。事業内容を見ていきますと、津波浸水想定区域移転事業というのがありまして、津波浸水想定区域にあり、地域防災上、津波対策の観点から移転が必要と位置づけられた公共施設及び公用施設の移転を対象としております。大規模地震が発生した場合に、甚大な被害を受けると想定され、災害応急対策上、不可欠となる防災対策の拠点施設及び災害時に特に配慮が必要となるものとなっています。この事業に該当しますと、地方交付税が70%措置され、断然有利であります。当局は、この緊急防災・減災事業債について、どのような議論をしてきたのか。また、建設検討委員会においても、この事業債について、市当局から提案し、建設検討委員会等で議論すべきではなかったかと思いますけれども、当局の認識について伺いたいと思います。
3点目は、清水庁舎解体に関して2点伺いたいと思います。
最初に、庁舎解体費用についてでありますけれども、当初は解体費用は7億2,000万円と言われておりましたが、11月8日付の中日新聞の報道によりますと、これまでの額の4倍規模、最大32億円と試算したと報道されました。大きな開きがあるわけでありますが、最初の見積もり、そして、4倍に膨れ上がった根拠、誰が、どのような試算をしたのか、伺いたいと思います。
次に、解体費用が4倍にも膨れ上がったということでありますが、普通はこんな大事な問題が起こった場合、公表するのが当たり前だと考えます。9月議会では、建設関連予算の債務負担行為の予算と区役所移転の条例が提案されていますが、3月の費用増加分がはっきりしたわけですから、当然、9月前に議会に報告する案件だと考えますけれども、公表しなかった理由について伺いたいと思います。
23 ◯公共資産統括監(吉井博昭君) 市長の説明責任についてですが、本年9月定例会において、新清水庁舎整備に係る事業予算及び静岡市区の設置等に関する条例等の一部改正について、議決という市議会の重い判断をいただいた以降も、市長ミーティング室を活用し、市長みずからが、清水区の自治会連合会や経済団体などと清水のまちづくりについて対話を重ねております。また、担当職員も清水区の自治会に順次出向いて事業説明をするほか、当該事業に関心を持たれている市民の皆さんと面談を重ねるなど、事業の内容に対して理解を求める説明を続けてきております。
引き続き、より多くの市民の皆さんに御理解いただけるよう、丁寧できめ細かな説明に努めてまいります。
次に、緊急防災・減災事業債の活用についてですが、緊急防災・減災事業債については、財源確保の観点から活用の可否について検討いたしました。しかし、当該事業債が令和2年度までの時限立法であり、事業スケジュール上、新清水庁舎整備事業は対象となりません。そのため、新清水庁舎建設検討委員会へは提案しておりません。
次に、現清水庁舎解体の見積もりについてですが、現庁舎解体後の土地の利活用に際し、参考とするため、仮に基礎ぐいの全てを撤去する場合の工法で見積もりを徴取しました。見積もり結果につきましては、平成31年3月に委託業者から報告を受け、見積額は税抜き29億円でした。
最後に、解体費用の説明についてですが、基礎ぐいを全て撤去する工法は、現清水庁舎解体後の土地の利活用方法が具体的に決定していない中、基礎ぐいの扱いなどについて不確定要素が多いため、市のホームページ等では公表しておりません。現在のところ、現清水庁舎の解体費用につきましては、建物基礎から地上部分の躯体までの解体を基本とする税抜き約7億2,000万円のみをもって説明してきております。
〔37番内田隆典君登壇〕
24 ◯37番(内田隆典君) 移転計画ですけれども、市長は、説明責任を果たすために自治会や経済団体等々に出かけているという答弁でした。確かに、そういう形でとられていますけれども、私に言わせれば、市長は理解を得られそうなところにだけ出かけていくんじゃないかという感じがしてならないんです。住民投票も拒否するし、自信がないんじゃないかということを感じております。そういう点では、私はもっといろんなところに出かける必要があると思いますが、時間の関係でこれくらいにしておきます。
緊急防災・減災事業債ですけれども、確かに、来年度、2020年度までの時限立法であることは承知しております。しかし、この事業は南海トラフ巨大地震も含めて、大変なことになるんじゃないかと思っています。そういう点で、愛知県や三重県など、11府県と名古屋市など、5政令市が、経済団体も含めて11月14日に緊急の防災対策促進大会をやっているんですね。3カ年の国土強靭化事業を含めて、地方への財政支援強化を求める決議文を採択しました。そして、難波静岡県副知事が、大会に出席していた国土交通大臣政務官に手渡したとなっています。神戸市は緊防債事業について、独自の要求をしているということも報道されております。
この事業債は、確かに、来年度までの時限立法ではありますけれども、オリンピックが開かれて、いろんな事業に支障を来している。静岡市だって、こども園の建設事業にもいろいろと事業債を期待している。そういう点では、東北地方もまだまだ東日本大震災からの復興という点では、おくれていると言われておりますから、こういう関係市、県が国に対して、この事業債を要望しているということであれば、これは、もう時限立法でぱたっと切れるということはないと思いますし、私は、財政上の問題を含めて、これは静岡市が慎重に検討する必要があったんじゃないかと思っています。