倉 茂 政 樹 宇 野 耕 哉 高 橋 聡 子 志 賀 泰 雄
高 橋 三 義 竹 内 功 吉 田 孝 志
〇
参考人
独立行政法人 国際観光振興機構(
日本政府観光局・
JNTO)
地域連携部 地域プロモーション連携室長 吉 浜 隆 雄
〇
出席説明員
国際観光課長 関 川 丈 彦
以上の
てんまつは
会議録のとおりであるので署名する。
広域観光交流促進調査特別委員長 平 松 洋 一
○
平松洋一 委員長 ただいまから
広域観光交流促進調査特別委員会を開会します。(午前9:58)
本日の欠席はありません。
本日は,先日決定したとおり
付託事項の調査,研究の参考とするため,
日本政府観光局JNTO地域連携部地域プロモーション連携室長の
吉浜隆雄氏から「
訪日外国人旅行の促進に向けた
取り組みについて」話をいただきます。
本日は御多用のところ本
委員会に出席いただき,まことにありがとうございます。本日はよろしくお願いします。
また,お話の後,委員の質問についてもお答えいただける範囲で回答をお願いします。
なお,本日使用する資料については事前に配付していますので,確認願います。
それでは,吉浜さん,よろしくお願いします。
◎
吉浜隆雄氏 ただいま紹介いただきました
日本政府観光局の吉浜と申します。
本日は,
新潟市議会の
特別委員会で話をさせていただくということで,大変ありがとうございます。説明でわかりづらい点もあるかと思いますが,誠心誠意説明したいと思います。
それでは,
訪日外国人旅行の促進に向けた
取り組みということで,まず資料の目次をごらんください。本日お話しする内容としては,御存じの方もいるかもしれませんが,そもそも
日本政府観光局はどういう組織なのかお話しした後に,
国際観光振興の意義,さらに3点目として,現在日本の政府全体として取り組んでいる
観光政策,4点目として,実際の外国の方の動向がどうなっているのかといったものを統計に基づきながら説明し,最後に
インバウンド旅行振興に向けてということで,
JNTOで実際に取り組んでいること,あるいは他の地域で取り組んでいることについて説明したいと思います。
それでは,
1つ目の
日本政府観光局とはについて説明します。3ページ,まず,
日本政府観光局ですが,
正式名称は
独立行政法人国際観光振興機構といい,
独立行政法人の法律に基づく組織です。
国土交通省の外局である
観光庁の所管になっています。ただ,一般的には
日本政府観光局,あるいは略称として
JNTOという形で呼ばれることが通常になっています。拠点としては,国内は東京の四谷に本部があり,海外に現在21
事務所があります。右下の地図を見ていただくとわかると思いますが,
東アジア,
東南アジアの主なところは大体カバーしていて,あとは
ヨーロッパ,北米,
オーストラリアのシドニーに
事務所を構えています。
事務所は今後もふえていく予定になっています。
JNTOが実際どういうことをしているかですが,今申し上げましたとおり,世界の21都市に
海外事務所を持ちまして,外国の方の日本への旅行の促進に向けて,海外の
現地目線に立った
プロモーションとかマーケティングを行っています。具体の事業については,また後ほど説明したいと思います。
続いて,4ページ,これも結構よく聞かれる話ですが,
観光庁と
JNTO日本政府観光局との関係がどうなっているかについて簡単にお示ししているものです。この絵にありますように,
観光庁は
観光立国に向けた総合的かつ計画的な
取り組みを進めるということで,政策の策定,あるいは
関係省庁との調整とか,
民間事業者や自治体との
連携体制の構築といったことを行っています。
一方で,
日本政府観光局は
訪日プロモーションの
実施主体ということで,
観光庁から
運営費交付金という形で予算をいただいて,それをもとに執行して,各海外の市場で日本に関する
プロモーション等を行っているところです。
イメージしやすいのは,よく行政の中でも,例えば市役所と
観光協会とか
観光コンベンション協会も恐らくこういった形になっているかと思います。市で予算を確保した上で,事業の一定の企画をして,
観光協会あるいは
観光コンベンション協会に予算を出して,実際の執行は
観光協会なり
コンベンション協会がするといった
イメージをしていただければと思います。したがって,
日本政府観光局は事業の
実施主体で,また
日本政府観光局として
補助金はないかという話もよく聞かれるのですが,
日本政府観光局はあくまでも
観光庁から予算をいただいて事業をする機関ですので,どちらかというと
補助金を持っているのは
観光庁になることが通常です。
続いて,5ページからが
国際観光振興の意義になります。6ページ,
国際観光振興の意義としては,大きく分けて4つあるのではないかと考えています。
1つ目は
国際観光による
草の根交流を通じて,日本に実際に来てもらったり,見てもらったり,交流してもらうことで日本の印象をしっかり持っていただいて,それがひいては外交や
安全保障の基盤につながっていくのではないか。
2つ目は,
少子高齢化時代で,これは
日本全国,新潟市も含めてそうですが,これからどこも人口が少なくなっていくことは避けられない状況だと思います。そういった中で経済を
活性化していく上での
切り札になってくるのではないかと思っています。これは,また後ほど説明します。
3点目としては,観光を通じて,例えば新潟市以外の地域の方が新潟市に来ていただくことにより,
交流人口が拡大して,地域の
活性化につながっていくのではないかと思っています。どこの市でもつくられていると思うのですが,まち・ひと・し
ごと創生総合戦略の中でも,観光を一つの大きな目玉にして取り組んでいて,どの団体にとっても非常に重要な施策の一つだと思います。
4点目として,
観光立国の推進によって国民が誇りと自信を取り戻すことで,国の価値の再認識につながるのではないかと考えています。
こういった大きな意義がありまして,7ページ,その中で
少子高齢化時代に観光がどうして
切り札になってくるのかについて説明したいと思います。恐らく市でも
人口ビジョンはつくられていると思いますので,そういった中でもさんざん聞いている話かもしれませんが,日本の人口はどんどん減ってきていて,2052年にはトータルで約1億人,さらに2065年には約8,800万人に減っていくと見込まれる。さらに,
高齢者の割合が高まる一方で,
生産年齢人口の数が減っていく,これが大きな課題になってくるであろうということです。
日本全体としては人口が
減少基調にある中,一方で
国際観光客数の動向を見てみると,8ページ,世界の
観光動向ですが,
国際観光をする方はどんどん着実にふえてきている状況になっています。特にUNWTOの
予測値ですと2020年には14億人に達するであろうというところだったのが,実際のところ,2018年に既に14億人に達している,
世界機関の
見込みよりも早いペースで伸びてきているということで,今後を考えたときに,有望な市場であろうと考えています。
また,
国際観光をする人の
構成比についても,右側にありますが,1995年段階では
アジアの比率が低く,
アメリカとか欧州の比率が高かったのですが,今後の
見込みとして,
アジアの
中間層が拡大してきているということで,今後
アジアの比率が高まってくる
見込みになっています。そういった観点からも,
アジアにある日本としては,近場の
アジアの方を呼び込む上でも,今後有望になってくると思っています。
続いて,9ページが世界と日本の
観光効果を示したものですが,世界と日本とで比較して,例えば今世界全体の
GDP総額の中で観光の占める率は10%となっています。一方で,日本について見ると6.8%で,この数字を見ても日本の場合はまだ
伸び代があるのではないか。また,
雇用面においても,世界で見ると今10人に1人が雇用されているということですが,日本の場合ですと,まだ15.1人に1人の雇用で,
雇用面でも今後観光には
伸び代があるのではないか。こういったことで今後世界から人を取り込んでいくことによって
観光産業の発展がまだ見込めることが数字上もある程度考えられると思っているところです。
続いて,10ページ,日本の
観光施策について説明します。
11ページ,まず,
我が国が目指す
数値目標,今政府全体で取り組んでいる目標について示しています。政府では
訪日外国人旅行者数,旅行の消費,
宿泊者数を目標に置いていますが,特に最近よく新聞で報道されて皆さんが見る機会が多いのは,
旅行者数かと思います。2020年に4,000万人,さらに2030年には6,000万人という目標を掲げ,今,
日本政府全体として省庁の垣根を越えてさまざまな施策に取り組んでいるところです。
具体的にどういった視点で取り組んでいるかですが,大きく3つありまして,
1つ目が地域の
観光資源の魅力をきわめて
地方創生に活用していこう,
2つ目が
観光産業を
我が国の
基幹産業にしていこう,
3つ目は
旅行者がストレスなく回れるような環境をきちんとつくっていこう,大きく3つに分けて対策を打っています。
では,具体的にどういう施策をしているかが次の12ページ,明日の日本を支える
観光ビジョンは政府が平成28年3月30日に策定したもので,こういった
ビジョンに基づいて今各省が施策を進めています。
その1つとして,
先ほど申し上げた視点1,
地方創生の礎にについては,例えば魅力ある
公的施設を広く国民,そして世界に開放ということで,今まで開放していなかった迎賓館を大胆に公開,開放していこうということで,これは宮内庁が主管として行われています。また,
2つ目が
文化財の観点で,
文化財については今までどうしても保存の優先ということがありましたが,それをある程度
観光客目線での活用に向けていこうということで,
観光拠点としての整備,さらには
多言語解説の整備などを進めているところです。ここについては,文化庁で
取り組みを進めています。3点目の
国立公園の関係ですが,
国立公園も今まで保存,維持のほうが優先でしたが,これについても積極的に活用したり,さまざまな体験の場にしていこうと環境省が中心となって
取り組みを進めているところです。今まで観光といいますと,どうしても
国土交通省あるいは
観光庁という
イメージが先行していましたが,
国土交通省,
観光庁が中心となりつつも,
関係省庁も一体となって,それぞれの持っている資源について
観光資源として活用していこうという動きをしているところです。
また,視点2の
基幹産業にについては,規制を見直して,
生産性を上げた
観光産業にということで,規制の
抜本見直しとか,
経営人材の育成,
生産性の向上の
取り組みなどを進めています。また,
2つ目の新しい市場を開拓して,
長期滞在と
消費拡大を同時に実現ということで,欧州,米国,豪州,
あと富裕層などをターゲットにした
プロモーションについては私どもの組織の
日本政府観光局で行っています。また,戦略的な
ビザ緩和については,法務省あるいは外務省が一緒になって行っています。
あとMICEの誘致,開催の
支援体制は,例えば
新潟観光コンベンション協会でも取り組まれていますが,そういった面の支援を
JNTOでも行って,
観光産業の強化の
取り組みを進めているところです。
視点3は,観光を満喫できる環境にということで,インフラを整えていこう,
出入国審査の風景を一変させるということで,時間短縮のための
世界最高水準の技術を活用したり,通信とか
交通利用の環境を整えたり,あるいは
キャッシュレス観光の実現に向けた
取り組みを進めていこうとしていますし,
2つ目にあるように,ジャパン・レール・パスは
交通事業者になりますが,訪日後の
購入可能化といった各種の
取り組みも進めているところです。
こういったことで政府全体と,さらに民間の
事業者の方も一体になり,日本全体を
観光先進国に進めていく
取り組みを進めているところです。
続いて,13ページ,ここからは今実際にインバウンドで来られている方の統計と動向がどうなっているのかについて説明します。
まず,14ページ,どれぐらいの方が来ているかです。一目瞭然ですが,2012年以降,
右肩上がりで伸びてきていて,2018年は3,119万人で,過去最高の
訪日者数を記録しています。この間さまざまな対策をとってこういったこところに来ていて,その対策については後ほど説明します。
続いて,15ページは,日本に来る方と,逆に
日本人で海外に行く方の数を比較したものですが,2015年より前は出国する
日本人のほうが多かったのですが,2015年に逆転して,今では日本に来る
外国人のほうが日本から海外に行く
日本人を圧倒的に上回っている状況になっています。
続いて,16ページ,今の3,119万人という数字が世界全体で見たときにどうかを
国際比較で見たものですが,日本は世界で11位,
アジアでは4位という数字になっています。これが2020年に4,000万人なると,大体メキシコとドイツの間ぐらい,さらに2030年の6,000万人になると,大体中国と
イタリアぐらいの数字まで上がっていくであろうと思っています。ただ,いずれにしても,トップの
フランスが8,700万人ぐらいで,日本はまだ3,100万人なので,まだ日本もいろいろな
取り組みを頑張ることにより,世界から来ていただく
伸び代は大分持っているのだろうと考えているところです。
続いて,17ページは,
先ほどから申し上げているとおり,ここ最近どんどんふえてきている要因について,理由を示しているものです。
1つ目が
ビザ要件の免除,緩和で,18ページをごらんいただくとわかりやすいのですが,
日本政府として,初めに,2013年からタイ,マレーシアといった順番で,例えば
IC旅券のビザを免除したり,
数次ビザを導入したり,ビザの
申請手続の
簡素化に取り組んできていることがあります。こういった
取り組みにより,右の絵にありますとおり,例えばフィリピンでいきますと,
ビザ緩和後で54%
旅行者がふえた実績もあります。また,ロシアについても緩和前と後で比べると41%伸びたということで,伸びているのは
ビザ緩和だけの効果ではないのですが,
ビザ緩和の効果は非常に大きいと考えているところで,こういったものを順次進めてきているところです。
戻って17ページ,もう一つが制度的な緩和としては
訪日客向けの
免税制度の拡充で,
訪日客の免税の対象になる品目について,食品とか
飲料類,たばこ,
薬品類等は当初対象ではなかったのですが,そういったものも含めて,特定の条件のもとで,全ての品目を
免税対象品目にすることで消費に貢献していただく
取り組みも進めているところです。
2点目としては
格安航空と
クルーズ航路の拡大という点があります。
3点目は,
アジア諸国で
中間層の方がふえてきているということで,日本に来る余力も出てきていることが挙げられるのではないか。
4点目が,手前みそですが,私どもも継続的に
訪日プロモーションをしている点があります。
最後の5点目としては,
先ほど説明したとおり,日本全体として,各省の垣根を越え,さらに
民間事業者の方も
取り組みを積極的にしていただいている効果があるのではないかと思われます。
こういったもろもろの要因でふえてきている中で,
LCCの数がどうなっているかを示しているのが19ページで,
LCCの推移について,
国内線と
国際線で分けて
グラフ化しています。
国内線も
国際線も両方伸びている現状にはあるのですが,
国内線はある程度伸びはとまって,高どまりしてきている感があると思いますが,
国際線は引き続き伸びている状況になっています。
20ページは,
東アジアからの
定期直行便の
就航状況を示したものです。
新潟空港も含めて,
全国各地で
東アジア各地からの
定期便が運航されてきている,こういったことも
訪日客の増加の要因につながってきているのだろうと思っています。
続いて,21ページ,
先ほどの
増加要因のところで説明しましたが,日本への注目の高まりということで,
世界各国で日本がいろいろと選出されたり,受賞している現状がありまして,例えば
アメリカでいきますと,
アメリカの最も
発行部数が多くて,世界の
旅行市場に
影響力を持つ
旅行雑誌の「トラベル+レジャー」のデスティネーション・オブ・ザ・イヤーに日本が初選出された。そこでは日本のダイナミックな都市,あるいは豊かな
食文化,
自然景観,そういった
多様性が評価されて日本が選出されたところです。また,米国の別の
富裕層向けの雑誌では,東京が1位で入って,京都が2位,さらに大阪も初めてランクインするということで,まさに日本への注目が高まってきている。そのほか,
オーストラリア,
イタリア,
インド,欧州,そういったところでもいろいろと受賞とか評価をいただいているところです。
続いて,22ページ,3,119万人がどこの市場から来ているのかを示したもので,
円グラフを見ていただくと一目瞭然ですが,
アジアが多くなっていて,全体の84.6%を占めています。そして,
東南アジアプラスインドということで,
東南アジアはその中でも今特にタイが多い状況になっています。
あと残りが米国とか欧州,豪州という状況になっていて,
日本政府観光局としては全世界,全市場に対して積極的に
プロモーションをかけていますが,ここ最近では特に
欧米豪向けの数をふやしていかなければいけないだろうということで,そちらへのアプローチの
取り組みも強化しているところです。
続いて, 23ページは,旅行の
消費額を見たもので,
訪日外国人旅行消費額は全体として4兆5,000億円ぐらいになっていて,1位が中国,2位が韓国,3位が台湾,4位が香港で,これは22ページにあった,来ている人数に応じて消費が多い現状になっています。
右側の
円グラフは,
消費額を費目で見たものです。実際どういうところにお金を使っているかですが,
買い物代が一番多く,次に
宿泊費,その次に
飲食費という順番になっています。これがマクロでの数字ですが,24ページに
国ごとに見たものも載せています。
実は
国ごとに見ると少し傾向が違ってきます。中国を見ると,
買い物代が圧倒的に多い状況になっています。ベトナムですと,
買い物代と
宿泊費がある程度近い。一方で,
欧米豪と言われる
オーストラリア,
フランスですと,
宿泊費,
飲食費が多くなっていて,特に
宿泊費が大きい。これは,
オーストラリアとか
ヨーロッパから来る方は,遠くから来る分,滞在の日数が多いことが特徴で挙げられます。そうすると泊まっていただく数もふえて,また食事の数もふえてきますので,こういった
宿泊費,
飲食費が伸びてくる傾向があります。
続いて,25ページは,
消費額4兆5,000億円という数字が日本の製品の
輸出額の中でどれぐらいの順位を占めているか。実は自動車,
化学製品に次いで3番目の数字になるということで,観光は主要な,まさに
基幹産業になってきていることを示している
グラフです。
続いて,26ページは,
リピーター,今各国から来ていただいていますが,
市場別に見たときに,初めて来た人の割合がどれぐらいか,2回目の人がどれぐらいかを示した
グラフです。
東アジアの4カ国,韓国,台湾,香港,中国について,中国はまだ1回目の人が多いのですが,韓国,台湾,香港とかは1回目の人は少なくて,むしろ
リピーター,特に数が多いほうがふえてきています。香港について見ますと,10回目以上の方が27.6%もいるということで,
東アジアは
リピーターの数が非常にふえてきている状況になっています。
東南アジアは,1回の方と
リピーターの方がちょうどいいぐらいかと思います。一方で
欧米豪について目を向けると,日本に来るのが1回目の方の比率が非常に高くなっていて,どれくらいの回数来ているかによって,それぞれの
市場ごとに行っていく対策も違うと考えています。
続いて,27ページ,
リピーターの数と
地方分散の動向について示しています。
リピーターがふえることによって何が大きいかといいますと,どうしても1回目に見に来る方は,いわゆる
ゴールデンルートと呼ばれる東京,京都といったところに行ってしまいます。そこはやむを得ないかと思います。日本といった場合に,そこは
キラーコンテンツの一番のところだと思います。ただ,回数を重ねることによって,それ以外の地域に行ってみようということで,それ以外の地域にいく方がふえていきます。
それを示しているのが(2)で,中国も台湾も1回目はある程度日本の真ん中に寄っています。2から9回目になってくると,特に台湾は大分散ってきて,10回以上になるとある程度日本全体にちりばめられてくるので,私どもとしては,日本全体の
観光客をふやすと同時に,地方への誘客も進めていかなければいけないので,
リピーターの数をふやしていくことも一つの重要な
政策課題になっているものと思っています。
リピーターの数は(1)の
グラフを見ていただければわかるとおり,年々ふえていて,今後も引き続きふやしていかなければいけないと思っているところです。
続いて,28ページからが
宿泊状況です。
宿泊状況についても東京,大阪,京都といったところに集中してしまっています。日本全体としては今18.3%の伸びで,
地方部も同じように17.8%と伸びています。新潟
県は28.4%で,他都市以上に伸びていますので,
取り組みを頑張っているかと思っています。私どもとしても,
リピーターをふやせばそれだけ
地方部に来て,宿泊もふえることにつながってくるのではないかと思いますので,繰り返しになりますが,地方の伸びを高めていくためには
リピーターに来てもらうことが重要と思っているところです。
続いて,29,30ページは,それぞれの
県ごとにどういった国の方が
宿泊者数として来ているのかという
構成比を載せているもので,新潟
県を見ますと,台湾,中国,韓国,香港で,特に台湾,中国,韓国については
先ほども飛行機の路線で見ていただいたように,
直行便があるところの方の数が多くなっていると思います。これをある程度
エリア単位で見ていくと特徴があり,東北は台湾の方が結構来ている。一方で,新潟
県と富山,石川,福井のあたりも台湾が多い。一方で,
東海地方の静岡,
愛知,三重とかになると中国が多い。福岡,九州のほうを見てみると,韓国の方が多いとか,それぞれの
エリアごとに特色があると思います。そういった中で若干例外なのが広島
県で,欧州が20%,
アメリカが13%,
オーストラリアが9%と,ほかの地域と全然特色が違って,
欧米豪の方が今非常に多いという特徴が少し他の都市と違っているところです。
続いて,31ページ,統計の最後になりますが,外国の方が日本への旅行に際して期待していることで,左側が国別,右側が全体で見たものですが,全体で見ると,
日本食を食べることとか,自然・
景勝地観光とか,ショッピングがありますが,実は国別で見るとばらけてきます。ただ,どこの国も期待していたこととして
日本食が多い。あとは,
アジアですとショッピングが次に来るのですが,シンガポール,マレーシアとかだと,自然,景勝地の観光があります。特に
東南アジアとか,暑い地域ではなかなか四季がないので,四季が見られることが特徴になっています。一方で,
欧米豪とかになりますと,歴史,伝統文化体験が上位に上がってくるということで,実はインバウンド,訪日
外国人と一くくりにしますが,実は
市場ごとに期待していることが全然違うので,それぞれの市場を狙っていくに当たって,どういうものを売り込んでいくか,しっかりと考えていく必要があるという示唆になる資料ではないかと思っています。
続いて,5,
インバウンド旅行振興に向けてということで,少し具体の
取り組みについて話をしたいと思います。
まず,33ページ,
インバウンド旅行振興のためにということで,私どもの
取り組みについて少し具体的に説明したいと思います。
1つ目が訪日
旅行市場に関する市場の分析,マーケティングで,今も申し上げましたが,
市場ごとにそれぞれの特徴があります。そういった特徴を分析して,その市場にはどういったコンテンツ,
観光資源であれば受けるか分析などをしていることがあります。
2つ目は海外現地旅行会社の訪日ツアーの企画,販売促進で,私どもで日本のすばらしい
観光資源を外国の旅行会社の方に伝えたり,実際に外国の旅行会社あるいはメディアの方に日本に来ていただいて,実際の観光地に連れていくことによって,日本のよさを知っていただくといった
取り組みもしているところです。
それと,一般消費者向けの
プロモーション,情報発信で,
日本政府観光局でホームページ,あるいはフェイスブック,インスタグラム等のSNSを持っていますので,そういったもので日本の魅力を発信しているところです。
4つ目が国内事業パートナーとの連携で,
日本政府観光局では自治体や公的機関は賛助団体,
民間事業者は会員ということでパートナーになっていただいています。そういった団体の方々が実際に海外に行ったりするときの支援とか,情報発信の手伝いといったことを行っています。
それと,MICEの誘致・開催支援で,実際国際会議に来ていただくには各国との競争的な面もありますので,そういった競争でしっかりと日本に来てもらえるようにさまざまな
取り組みをしています。
最後に,受け入れ環境の整備・向上支援で,観光案内所の直接の運営をしているわけではないですが,
日本政府観光局で認定をしていて,カテゴリーを3段階で認定しているのですが,いろいろな向上支援をしています。ちなみに,新潟市内にも結構あるのですが,一番わかりやすいところでいきますと,新潟駅万代口の観光案内センターが認定の観光案内所になっています。
続いて,34ページ,
日本政府観光局の
取り組みについてさっと説明しましたが,その中で最近特に力を入れている幾つかについて説明したいと思います。
1つがデジタルマーケティングの強化です。下の4つのポンチ絵をごらんいただけるとわかりやすいと思うのですが,まず情報発信基盤の整備で,ウエブサイト,SNSと,あとスマホアプリの高度化をしています。特に
JNTOのグローバルサイト,これはウエブサイトで,全世界向けの英語のサイトですが,抜本的なリニューアルをしたところです。特にどういった点を意識したかというと,外国の方の目線に立った内容にしていこうという
取り組みをしていて,特に写真の撮り方でも,
日本人が見てわかる部分と世界の方が見てわかる部分とは違うところがあるので,
外国人目線に立って,外国の方がその風景が一体何を物語っているのかわかるような撮り方にしようといった工夫とか,文章も,例えば
日本人が書いたものを直訳してしまうと,外国の方から見るとどうしても何か変な言語になってしまうので,ネーティブのライターに書き起こしてもらって,しっかりと現地の方々に通じるような言語にしようとか,あとはページの
イメージも,海外
旅行者はスマホを使うことが多く,スマホは縦なので,縦になっても画像に違和感がないように,スマホで見ても普通にストレスなく見られるようなページにしようという
取り組みなどをしたところです。
こういったことで高度化を図っていますが,ただ高度化を図るだけではなく,実際に
JNTOのウエブサイトを見に来たり,スマホアプリを使った方のデータの収集,蓄積を図っています。あわせて,民間の外部
事業者からのデータもかけ合わせることによって,まずデータをためて,それを分析につなげていこうという動きをしています。
それが右下,データの分析で,個別の分析と全体の分析があり,実際にウエブページなどに来た方のデータ分析を行って,ユーザーの属性,どこの国か,男女比,あと年齢がわかる場合があるのですが,そういった方がどういう分野に興味があるのかを分析しています。そういった分析を通じて,市場間,例えば韓国市場はどうか,中国市場はどうかという傾向の比較を
JNTOの中で共有しています。
そういったデータをもとに,一番右上,データの活用,発信ということで,
JNTOが行う
プロモーションに活用したり,ウエブサイトのコンテンツの開発に使ったり,情報発信で,どういった方にターゲティングして配信すればいいかというところに役立てる
取り組みを進めています。
続いて,35ページ,
先ほど欧米豪はまだ数が少ないとありましたが,その
欧米豪市場の取り込みに向けた
取り組みです。日本はまだ全体に占める
欧米豪の方も少ないですし,また
アジアの中で
欧米豪をどれぐらい取り込めているかを見た表ですが,他の
アジアの各国に比べて日本は
欧米豪市場ではまだ弱い状況になっています。特に英国,
オーストラリアはまだまだという状況です。こういった対策として,36ページですが,1つは2020年を目標に掲げて,Enjoy my Japanグローバル・キャンペーンを展開しています。
欧米豪市場向けに,海外旅行にはよく行くが,日本をまだ旅行先として認知していない人向けに,日本がしっかりと楽しむことができるところだとアピールしていこうという
取り組みを進めているところです。具体的には
旅行者の興味,関心をアンケート調査によって7つに分類しています。それが37ページ,
欧米豪の方がどういった分野に関心があるかということで,トラディション,いわゆる伝統文化とか,キュイジーヌということで食,シティー,ネーチャー,アート,リラクゼーション,アウトドア,この7分野に特に関心があるということで,この分野に関する魅力的な日本の
観光資源をピックアップして,外国の方が実際に楽しんでいる風景なども入れた動画などをつくって,日本のよさを
欧米豪向けに配信することによって,日本が旅行先になり得るのだという
取り組みを始めているところです。このキャンペーンのウエブサイトは,右下に小さく書いてありますが,ここをごらんいただくと出てきます。これを見ていただくと,ここは日本なのかと思うようなところもありますので,ぜひ一度ごらんいただければと思います。
続いて,38ページからが地域のインバウンド拡大に向けてということで,私どもは地方誘客を進めていくために
リピーターをふやしていかなければいけないということがあり,一方で地方の方もそれぞれ今インバウンド拡大に向けてさまざまな
取り組みをしていただいているところですが,実際そういう
取り組みを進めるに当たって,こういったことに気をつけていくことが重要ではないかと考えているところを整理しています。
1つ目がまず
外国人目線で行う必要があるだろう,その際には,
先ほども申し上げましたが,
国ごとに嗜好も全然違います。また,その国の中でも年代,性別によって嗜好も違うところがあります。それは
日本人で考えても,高齢の方とミドルの方と若い人では全然感覚が違うと思います。ある程度どこら辺にターゲットを置いて行っていくかをしっかりと考えていく必要があるだろう。そういったターゲットに合う観光要素は何かを分析した上で,ターゲットに合った発信方法,例えば紙がいいのか,あるいはデジタルがいいのかとかをしっかりと整理して取り組んでいくことが重要なのではないかというのが
1つ目の柱です。
2つ目が,観光コンテンツの磨き上げということで,仮に外国の方に来ていただいたとしても,受け入れの環境がまずいと結局がっかりして帰ってしまう,それは余りよろしくないのではないか。特に今の時代はSNSで,いい評価もそうですが,悪い評価もすぐ拡散してしまうので,そういった面でも,外国の方が来たときにしっかりいい印象を持って帰っていただくことが重要ではないかと思っていて,受け入れ環境の整備をきちんとしていかなければいけないということがあります。そのほか,体験型観光の拡充ということで,特に今
東アジアとかも,物消費から事消費とよく言われますが,体験のコンテンツが非常に重要になってきていますし,そのほうがお金を落としてもらえることもありますので,充実させていくことが重要です。それと,
3つ目が地元の
観光資源,産業を生かした誘致,コンテンツづくりとか,広域でルートをつくって,一定のテーマ,ストーリーである程度の観光コンテンツをつなげていくことが重要ではないか。皆さんもそうだと思うのですが,観光に行ったときには,ある程度幾つかのところを回っていくと思うので,そこはストーリーで組み立てていったほうが,
旅行者にとってもいいだろうと思います。また地元にとっても,自分のエリア以外の地域もあるかもしれませんが,幾つかのエリアで組むことによって,みんながウイン・ウインの関係になれるのではないかと思います。そういった意味でも広域で行っていくことが重要かと思っています。
続いて, 39ページは,私どもが昨年度事業実施して,今年度も継続中ですが,地域の
観光資源を私どもで集めて,それを世界の各市場で発信して誘客につなげ,
全国各地に行っていただこうという
取り組みで行ったものです。簡単に言いますと,
欧米豪市場を念頭に体験型の観光コンテンツを集めて,昨年度,全国のDMO,都道府県,政令市から募集して,大体2,100件が
JNTOに集まったところです。その集まったコンテンツについて,受け入れ体制がどうなっているか等を確認した上で,
外国人のインバウンドの旅行業務にかかわっている有識者とか,
JNTOの
海外事務所の評価を踏まえて,2,100のうち300のコンテンツについては,直ちに
JNTOの
プロモーションで活用しようと進めているところです。具体的には
プロモーション用のパンフレットを作成したり,さまざまな国内外の商談会等で商品の素材として提案したり,
先ほど申し上げたウエブサイトの素材として使っていこうといった
取り組みを進めているところです。
一方で,残った1,800については,悪いわけではなくて,磨き上げればいい点が多々ありますので,そういったところについて,今年度の6月から来週の月曜日まで,うちの室の職員が応募いただいた団体を回り,それぞれの
観光資源のよかったところとあわせて,さらにこういった
取り組みを強化するとよりよくなるということについて,少しアドバイス的なことを行っていて,各地域の観光の資源のさらなる向上につなげる
取り組みをしています。
続いて,40ページ,これが
先ほどのパンフレットの話で,今実際に持ってきていて,順次回覧していただければと思います。ことし6月末に完成したパンフレットで,
先ほど申し上げた2,100集まったコンテンツのうち,100のコンテンツをパンフレットとして編さんしたものです。選定に当たっては,テーマと,地域を
日本全国各地域満遍なく選んでいます。それは,地方誘客を進めていく上で,
日本全国に行ってもらいたいこともあります。さらには,日本のバラエティーさが伝わるような魅力にしています。全部英文で写真もあるのですが,
外国人目線で選定を行ったところです。既に海外のメディア,旅行会社の方とかにも配ったりしているのですが,今までこういった日本全体を網羅するものがなかったので,体験型でいいものをつくってもらったと高い評価をいただいているところです。私どもとしてはこういったものを使い,日本の魅力を伝えていきたいと思っています。
具体的にどういうコンテンツがあったかが41ページですが,100のうち事例として6つ載せています。
1つ目がキュイジーヌ,食で宮城県内から出てきていたものですが,横町,路地裏をめぐるバーホッピングツアーで,どこの地域でもありそうなものですが,それにきちんと英語のガイドがつく,ガイドと外国の方が一緒に回ることで,まさに地域の横町での飲みを体験できるプログラムです。
その隣のシティー,兵庫
県は,明石海峡大橋ですが,橋自体非常に立派ですが,通常は立入禁止の区域も観光的に開放しているのですが,ツアーで実際に建設に携わった方が案内して説明するという貴重な経験を提供しているものです。
それと,左下,トラディションですが,山伏道,これは隣の山形
県の話になりますが,神秘的な精神鍛錬とか瞑想体験ができるということで,海外の
富裕層向けに響くもので,さらに完全英語対応もできるものを載せています。
それと,真ん中の沖縄
県のアウトドア,マリンですが,スキューバで,
外国人のインストラクターが案内するのですが,ここがすぐれているのは,情報の更新を毎日きちんと英語でしていることが特徴として挙げられます。しっかり更新をしていることは,来る外国の方に安心感を与えているといった特徴がある事例です。
42,43ページが新潟県内で今回載せているコンテンツです。1つが小千谷市のニシキゴイで,ニシキゴイは海外でも大人気ということで載せています。
それと,アートは越後妻有の光の館で,世界的に活躍しているアーティストの美術作品に泊まることができる唯一の施設です。
43ページがフジロックフェスティバルと十日町市のフィッシングで,4つほど載せています。
続いて,44ページ,この事業から見えてきたことを各地域の研修会等で話をしているのですが,今後各地域の皆様が観光コンテンツの造成等をしていくに当たって気をつけたほうがいい点ですが,1つは,今回いろいろコンテンツを収集していく中で,日本の魅力は,四季もありますし,
自然景観もありますし,食もあって非常に豊富だと
外国人の有識者からコメントをいただいています。ただ,実際そこを外国の方がめぐるとなると,どうしても障壁がある。それは何かというと,言葉の問題,あとどうやって行ったらいいのか,どうやって予約したらいいかわからないといった受け入れの面がネックになっています。今後そういったことをある程度整えていくことが,さらに外国の方から地域に来てもらうポイントになってくるのではないか。それで,コンテンツの中身の問題と,受け入れ体制を整えていく,その2つを両輪として進めていくことが重要だと思います。
そういった観点でどういったことを行っていけばいいか,まず観光コンテンツの中身の問題について示したのが44ページで,魅力に感じるポイントを4点挙げていますが,1つがストーリー性やテーマ性をきちんと持っているか。
2つ目が地元の人々との触れ合いとか地域資源を活用していることが重要ではないか。特に外国の方は地元の人々との触れ合いを求めることがありますので,
先ほどの宮城のバーホッピングツアーもそうですが,そういった点が特徴としてある。3点目が日本らしいユニークさ,非日常体験を提供していることで,
先ほどの小千谷市のニシキゴイとかはまさにそういったものだろうと思います。あと,4点目が通常では利用できない希少性,限定感,あとエクスクルーシブな体験ということで,
先ほどの出羽三山とか,明石海峡大橋といったことをある程度ポイントに考えていく必要があるだろうと思います。
さらに,その上で,
日本人向けのコンテンツをそのまま流用するのではなく,
外国人向けにアレンジすることが必要ではないか。わかりやすい例が
文化財だと思うのですが,
文化財の解説は,
日本人なら日本史を習っているのでわかると思うのですが,例えば外国の方がいきなり明治維新と直訳されていてもわからないので,そういったところを一つ一つ丁寧に,
外国人目線に立って対応していくことが必要ではないかと考えています。
そういった上で,あとは観光の魅力を
外国人目線で伝えていくことが重要で,写真の撮り方にしても,
日本人は風景がきれいな形で写っているのが好きですが,外国,特に
欧米豪の方ですと,実際に人が楽しんでいる風景とかのほうがいいということがあって,そういったところも意識して写真を載せていくことも重要ではないかと思っています。
それと,45ページ,受け入れ体制等のポイントは,両輪のもう一つのほうですが,旅行する前と旅行している中について分けています。旅前については英語のウエブサイトの充実を図っていくこと,英語ライターによる書き起こしをしてもらうことが重要だろうと思っています。ちぐはぐな言語だと読んでいる方がわからずストレスを感じてしまう,それだけで見られなくなってしまいますので,そこが一番重要かと思っています。あと,訴求力のある画像が使用されているかとか,情報がきちんと更新されているかも重要で,つくるときには労力をかけるのですが,どうしてもつくった後の管理が難しくなっていくことがあると思うので,そういったところもしっかり行っていくことが重要ではないかと思います。あとは,英語問い合わせ対応,オンラインの申し込みとあって,アクセス情報もどうやって来たらいいかきちんと書いていないと,幾らいいものを載せていても来られませんので,しっかりと丁寧に載せておくことが必要ではないかと思っています。
それと,旅中についていろいろ書いていますが,現地での英語対応ということで,本来英語でガイドができることが一番望ましいのでしょうが,そのほかでもオーディオガイドとか,パンフレット等が適切に整備されているといった点にも目配りしてもらうことがいいのではないかと思っています。
以上が昨年度から今年度にかけて実施している我々の事業で見えてきたことで,今各地域で話をしているところです。
46ページからが地域のインバウンド拡大,各地域での
取り組み事例で2つほど紹介したいと思います。1つが北陸・飛騨・信州3つ星街道で,広域連携している事例ですが,もともとここに書かれている都市は歴史上も深いつながりで,さらに
観光資源についても世界遺産とか国宝とか,貴重な
観光資源が豊富で,さらにはミシュランのグリーンガイド・ジャポンの3つ星で紹介されているものが載っているところです。そういった地域が,平成25年に北陸新幹線の金沢延伸を契機に協議会を立ち上げて,一緒になって行っていこうとした事例です。その後,平成28年に松本市も加わり,今この体制で
欧米豪向けにインバウンド事業を行っているところで,具体的にはこの5つの都市でモデルルートをつくるのと同時に,実際に来てもらって,エリア内での移動をどうするかということがあるので,地元の運輸業者と連携して,交通商品ということで2次交通のアクセス面にも対応して
観光客を呼び込んでいる事例です。また,広域で
プロモーションをかけることによって,外国の方にこの4
県を周遊してもらう
取り組みを進めているところです。
続いて,47ページは福島
県を中心として栃木
県と茨城
県と広域で行っている例です。下の絵にありますとおり,ダイヤモンドルートという形で行っているのですが,形を見ると何となくダイヤモンドっぽいことと,これはベトナムをターゲットにしたとあるのですが,ダイヤモンドに価値があるということで,ダイヤモンドルートと命名して,3
県で
取り組みを進めています。
取り組みを進めるに当たって,事業としてはBtoB向けには現地商談と旅行エージェントの招請などをしていますし,BtoC向けにはブロガー招請とデジタル
プロモーションで,
先ほどのデジタルマーケティングを使って
取り組みを進めています。
具体的にどういうプロセスで行っているかが48ページですが,デジタルマーケティングの活用で,もともと福島
県は震災の風評被害があって海外からの方が落ち込んでいた。どうすればいいかを考えるに当たって,デジタルを活用して
取り組みを始めたものです。福島
県でウエブアンケートを実施して,風評の比較的少ない対象国ということで,台湾とタイとベトナムと
オーストラリアを選定した上で,
プロモーションの動画を一定配信して,対象国の嗜好を分析する
取り組みをしています。その国の嗜好を分析していく中で,福島
県のコンテンツもあるのですが,それだけでは十分ではなかったこともあって,栃木
県と茨城
県を巻き込んで,広域で売っていこうということでつなげたものです。具体的には特にヒストリー,アウトドア,ヘルス,ネーチャーの4つのカテゴリーが強みということで,3
県で協力してコンテンツをしっかり磨いて
プロモーションをかけていっています。
具体的にどうしたかが次の49ページで,今言った4つの区分,ヒストリー,アウトドア,ヘルス,ネーチャーということで動画を作成しました。3
県のコンテンツを集めて,ターゲット国である台湾,タイ,ベトナム,
オーストラリアに配信する
取り組みをしています。さらに,これがSNSで拡散して,当初想定していなかった
アメリカとかスペインとかロシアでも再生するという,さらに広がりを持った効果が出ています。こういった
取り組みをすると同時に,実際のルートづくりにおいても,福島
県はサムライ・スピリットツーリズムを行う,同時に浅草から日光,福島を旅するサムライトレインで行く会津・日光モニターツアーとか,武道をテーマに会津若松,日光,鹿島神宮と3
県つなぐルートも検討して広域で取り組んでいます。以上が地域の事例です。
最後,50ページは,地域
プロモーション連携室について,何をしているかを整理しているものですが,
JNTOと地域の皆様をつなぐ橋渡し的なものが私がいる室です。
JNTOでは
先ほど申し上げたようにデジタルマーケティングを行うところ,市場の分析をするところ,
市場別に
プロモーションする海外
プロモーション部があり,韓国の担当,
オーストラリアの担当,タイの担当とかがいます。市場横断
プロモーション部は市場をまたぐもの,例えば富裕層とか,スキーといった横串を刺していく,
プロモーションをかける部隊がいます。一方で地域の皆さん,DMOとか,都道府県,政令市,市町村といった方々との橋渡しをして,具体的には例えば私どもから
JNTOの
取り組みをお知らせしたり,地域の皆様の
取り組みをお知らせいただいて,それを我々の組織内でつないで海外に向けて発信したりという
取り組みをしているところです。
いろいろな
取り組みをしていますが,私どもとしては,地方誘客は大きな
政策課題になっていますので,今後とも地域の皆様としっかり連携して,インバウンド促進に向けた
取り組みを進めていきたいと考えていますので,引き続きよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
○
平松洋一 委員長 吉浜さん,本当にありがとうございました。
1時間の中で盛りだくさんで,解釈するのにもう少し時間,もしくは日にちが必要かという思いがあります。
ただいまのお話について,お聞きすることはありませんか。
◆土田真清 委員 8月にせとうちDMOへ視察をしてきました。今の話とせとうちDMOの
取り組みがリンクして,両方の理解がとても進みました。ターゲットを絞るのが一番大事ということと広域の連携がとても重要だというのも非常によくわかりました。
先ほどの広島
県のインバウンドの状況を見ると,せとうちDMOのターゲットそのままの結果が出ていて,非常にわかりやすかったです。これからいろいろな
取り組みは,個々の都市あるいは地域での磨きを進めるのは当然ですが,そういった広域の連携をどのように進めていったら一番いいのか。新潟
県観光協会がDMOにはなっていますが,県内の都市間の連携もなかなか進んでいない状況なので,どのようにすればいいのか,少し具体がありましたら教えてください。
◎
吉浜隆雄氏 なかなか難しい質問ですが,冒頭に話がありましたせとうちDMOは,特に広域DMOの中でも恐らく一番先進的な
取り組みをしているかと思います。あそこは,
JNTOとも連携して
取り組みしていて,データ連携のようなことを,少しずつモデルで行ってきています。
広域の
取り組みを進めていくことの重要性は
先ほども申し上げましたとおりで,北陸の事例もありますし,福島の事例もあります。そういった中で,市から見ると,まず
県単位でまとまっていくことも重要ですし,さらには隣の
県とも一緒に行っていくことが重要ではないかと思います。そこら辺をどうやっていくかはまさに行政の腕の見せどころというか,どうしても自分たちの地域に来てほしいということが先行してしまうのですが,そこは一定垣根を取り払って,一緒になって組んで,ある程度ストーリーがどう組めるかといったことを考えていくことが重要ではないかと思います。ですので,一時的にある都市に寄ったとしても,そこはすぐ反応しないで,それが結果的に自分たちの都市にもいい効果が出てくると,ある程度中期的に見ていくことも必要かと思っています。
また,きょう新潟市に来るに当たって,今JRでDCをしていて,まさに新潟
県と山形
県の庄内地方を組み合わせてガストロノミーで売り出そうとしている,そういった民間の動きもうまく活用,一つのてこにして,DCを行う場合は事務局があって,いろいろな自治体,
観光協会とかも入ったりするので,そういう形をうまく生かしていくことが重要かと思います。
ただ,まず組んでいくに当たって何よりも重要なのは,意識かと思います。それは,恐らく観光に限った話ではなくて,いろいろ広域行政を行っていく中で,それぞれの自治体ごとで見ればメリット,デメリットとかいろいろな議論があると思うのですが,そこをある程度超えて,もう少し広いエリアで見て,どうしたらいいかを考えていく視点が重要になってくると思います。
◆宇野耕哉 委員 今広域連携の話がありましたが,日本的な感覚でいうと,例えば新潟プラス北陸とか,新潟プラス東北という
イメージになりがちですが,インバウンドという感覚で見ると,時間的にどのぐらいのところまで,例えば東京プラス新潟もありだと思いますし,ストーリーをつくることによって,むしろ大阪プラス新潟とか,福岡プラス新潟ぐらいまでできるのかとも思うのですが,時間的なものとか期間的なものでどのぐらいまで許容される
イメージでしょうか。
◎
吉浜隆雄氏 そこは
市場ごとにもあるのですが,例えば
欧米豪の方ですと2週間ぐらい来ています。動態を見ていると,実際広島に行っている方も東京から行っているのです。大阪に泊まって広島に行ったり,結構
日本全国を回っています。JRのレール・パスとか,いろいろあるので,ある程度日本全体を広く見ていっていいかと思います。なので,今広域DMOも,ある程度の行政区分,例えば中部エリアとか,関東,東北とかの単位であると思うので,余り小さいエリアで考えるよりは,もっと広く考えていいのではないかと思います。結局宿泊日数がふえると,それだけ行けるところもふえてきます。31ページにも載せているのですが,例えば
フランス人だと15.7泊したり,ドイツの方ですと15.5泊したりという現状があります。そうなってくると,ある程度の広さで考えていいのではないのかと思います。実際に我々が海外旅行をするときもそうですが,長期で行った場合には,ぐるぐる回りたいということがあると思いますので,そこはそういうことでいいかと思います。
◆荒井宏幸 委員 きょうは,数字的なデータから今後の
取り組みに対しても,すごくたくさんのヒントをいただいたと思っています。特に見せていただいたパンフレットの100の事例が集まっている中で4つも新潟
県が入っていることは,すごく可能性があると思ったのですが,その100を選ぶ前の300の事例,あるいは2,100のコンテンツの中に新潟市はどれぐらい取り込まれていたのか非常に気になるのですが,おわかりでしたらそのあたりを。
◎
吉浜隆雄氏 大変申し上げづらいのですが,新潟市からは応募いただけなかったのです。大分入力項目が多かったのと,期間も1カ月ぐらいだった事情も影響したかと思います。
県から応募いただいた中にひょっとしたら新潟市のコンテンツがあるかもしれないのですが,そういった状況になっています。ただ,この事業自体について,私どもで昨年度の事業の反省も生かして,今データベースの構築をもう一度し直していて,入力項目の軽減とか,期間の問題とかを解決しようとしています。それを解決したら,早ければ来年1月,あるいは来年度から,また何らかの形で,地域の皆さんからコンテンツを集めたいと思っています。またそういった機会もありますので,活用いただければと思っています。
◆荒井宏幸 委員 新潟市にも
日本食を楽しみに来ている。非常にたくさん
日本食の店もありますし,伝統的な建築や自然などもあり,芸妓もいたり,祭りで交流している楽しそうな写真も含めて,ぜひこれを御縁に支援をお願いしたいと思います。
○
平松洋一 委員長 今の質問の関係で,
国際観光課長から補足説明があるそうです。
◎関川丈彦
国際観光課長 今ほど新潟市から応募がないという話でしたが,本県では新潟
県が取りまとめるので,私どもで
県に題材を出しています。例えば酒蔵見学,北方博物館等々,ふだん宣伝しているものは全て出しています。
◎
吉浜隆雄氏 自治体単位で見ていたものですから,私どもの誤解で済みませんでした。確かに
県によっては県内の市町村のものを集めて出している例がありました。新潟市においては,直接我々にではなく,
県を通じてだったということで,大変失礼しました。
○
平松洋一 委員長 たくさんの資料で一遍には解釈できないと思いますので,また勉強していく中で,足りないところを市と話し合いながらやっていければと思います。
ほかにありませんか。
(な し)
○
平松洋一 委員長 それでは,以上で
日本政府観光局JNTO地域連携部地域プロモーション連携室長,
吉浜隆雄氏による
訪日外国人旅行の促進に向けた
取り組みについてを終わります。
吉浜さん,大変ありがとうございました。
ただいま吉浜さんからお聞きしました話を踏まえまして,今後,他都市との連携を含めたインバウンドの対応を初めとする本市の観光の
取り組みの課題解決に向けて調査,研究を深めていきたいと思います。
次に,
委員間討議を行います。ただいま説明いただいた
訪日外国人旅行の促進に向けた
取り組みについて,また今後の
委員会の進め方,次回以降の調査項目などについて意見がありましたらお願いします。
(な し)
○
平松洋一 委員長 以上で
委員間討議を終わります。
次に,行政視察についてお諮りしたいと思います。
行政視察については,1班で行うこととし,行政視察は11月12日,火曜日から14日,木曜日まで,視察先,調査事項については,本市とともに広域観光周遊ルートのモデルコースとして認定されるなど,今後さらに本市と連携を深めていく必要がある都市に,観光の広域連携について視察してはどうかと考えたところです。
ついては,鶴岡市が,鶴岡市の
観光政策について及び一般社団法人DEGAM鶴岡ツーリズムビューローについて,秋田市が,秋田市における観光の広域連携の
取り組みについて,さいたま市が東日本連携と
観光政策について,以上のように行いたいと思いますが,これに御異議ありませんか。
(異 議 な し)
○
平松洋一 委員長 そのように決定しました。
なお,行程などの詳細については正副
委員長に一任願い,後日,各委員宛てに送付したいと思いますが,いかがでしょうか。
(異 議 な し)
○
平松洋一 委員長 そのように決定しました。
ただいまお決めいただいた視察については,議長に対して委員の皆さんの派遣承認を要求したいと思います。
以上で本日の日程を終了し,
委員会を閉会します。(午前11:12)...