(2)「
一般会計における使用料・手数料に係る
消費税率引上げへの対応」について
(3)
補助金等交付事業に係る
市内中小企業者への
優先発注に向けた
基本方針について
3 その他
午前10時00分開会
○
野田雅之 委員長 ただいまから
総務委員会を開会いたします。
お手元の
タブレット端末をごらんください。本日の日程は
総務委員会日程のとおりです。
まず、傍聴の申し出がございますので、許可することに御異議ありませんでしょうか。
( 異議なし )
○
野田雅之 委員長 それでは、傍聴を許可します。
初めに、
財政局関係の請願の審査として、「請願第4号
所得税法第56条廃止の意見書を国にあげることに関する請願」を議題といたします。
まず、事務局から請願文を朗読させます。
◎大原 書記 (請願第4号朗読)
追加署名238名、合計703名。
○
野田雅之 委員長 次に、理事者の方の説明をお願いいたします。
◎三富
財政局長 それでは、請願第4号につきまして御説明申し上げます。
内容につきましては、
税務部長から御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。
◎田村
税務部長 それでは、請願第4号につきまして御説明申し上げます。
請願の趣旨は、請願書にございますように、
所得税法第56条を廃止するよう国へ意見書を提出することでございます。
所得税は国税でございますが、この
所得税法第56条の
規定内容及びそれに基づく制度の概要等について、お手元にございます
タブレット端末に表示される資料で御説明申し上げます。
令和元年11月14日のファイルから、1(1)-1「請願第4号(資料)」をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、2ページの資料1「
所得税法(抜粋)」をごらんください。我が国の
所得税は、
納税者みずからが税法に従って
所得金額と税額を正しく計算して申告するという
申告納税制度をとっております。この
所得税について定めております
所得税法でございますが、第56条は、下線を引いてございますように、
居住者と生計を一にする
配偶者、その他の親族が、
居住者の経営する事業から対価の支払いを受けている場合、これを
事業所得等の金額の計算上、
必要経費に算入しないとしておりまして、言いかえれば、この対価は、支払いを行った
居住者の所得に含めることとなる旨を規定しております。この規定が置かれた理由につきましては、国会における
政府答弁によりますと、昭和24年の
シャウプ勧告におきまして、
所得税の
課税単位を
世帯単位から
個人単位とすることとあわせて、
家族従業員を雇用することによる
所得分配を抑制する措置を導入すべきという指摘があったことを受けて、この制度を昭和25年の
税制改正において導入したとされているところでございます。
今回の請願は、この第56条の廃止に関するものでございますが、次の第57条に第56条の
例外規定が定められておりますので、第57条についても御説明をさせていただきます。同条第1項は、一定の水準の記帳をした帳簿に基づいた申告をする
青色申告者について、その生計を一にする
配偶者その他の親族で、専ら
青色申告者の経営する事業に従事する
青色事業専従者が、一定の給与の支払いを受けた場合は、第56条の規定にかかわらず、その給与の金額で労務の対価として相当であると認められるものについて、その
青色申告者の所得の計算上
必要経費として算入することと規定しております。また、支払いを受けた
青色事業専従者側でも、この金額を
給与所得に係る
収入金額とすることとあわせて規定しているものでございます。すなわち、一定の帳簿等を備え、記帳を行うことによって、事業と家計との分離を明確にすることができることを条件としております
青色申告者に限り、その事業者の事業に専従する家族に支払った給与は
必要経費に算入することが認められているものでございます。
次に、同条第3項でございますが、
青色申告者でない
白色申告者の場合は、その生計を一にする
配偶者、その他の親族で、
白色申告者の経営する事業に専ら従事する者がある場合に、その
事業専従者が
配偶者の場合は86万円、
配偶者以外の場合は50万円を限度として、その
白色申告者の所得の計算上
必要経費とみなすこととする規定でございます。これは、
労働日数等一定の外形的な基準のもとに専従者を認定し、概算的に
一定金額を
必要経費とみなすこととしているものでございます。したがって、
青色申告とは異なり、
事業専従者に支払う給与の金額の実額を
必要経費として認めるものではございません。
次の同条第4項は、同条第3項の規定により
必要経費とみなされた金額を、支払いを受けた
事業専従者の
給与所得に係る
収入金額とみなすこととするものでございます。
次に、3ページに移りまして、資料2「
事業専従者がいる場合の事業主の所得の
計算方法」をごらんください。
事業収入金額が1,000万円で、事業主の
配偶者が
事業専従者である場合の計算例でございまして、
青色申告の場合と
白色申告の場合の
事業所得をそれぞれ算出したものでございます。
初めに、左の図ですが、
事業収入1,000万円のうち、事業に係る費用(イ)を400万円、
事業専従者に支払った額(ロ)を100万円、
差引収入額(ハ)を500万円の場合と仮定しております。
右に移りまして、上の図がこの事例で
青色申告の場合の所得の計算でございまして、
事業収入1,000万円から
必要経費等の400万円、
青色専従者給与額の
必要経費算入として100万円、そして、
青色申告特別控除として65万円を控除した残りの435万円が
事業所得となるものでございます。また、この支払いを受けた
事業専従者の
給与収入は100万円となるものでございます。
一方で、下の図は
白色申告の場合の所得の計算でございます。
事業収入1,000万円から
必要経費等の400万円、
白色申告者の場合に認められる
事業専従者控除を86万円控除した残りの514万円が
事業所得となるものでございまして、この場合の
事業専従者の
給与収入は86万円となるものでございます。
このように、
青色申告と
白色申告では
事業所得金額の算定に違いが出てくるものでございます。冒頭にも御説明しましたとおり、我が国では
納税者の方みずからが
所得金額と税額を正しく計算して申告する制度を採用しております。このため、
損益計算書と
貸借対照表を導き出せる組織的な簿記の方法により記帳をし、それに基づいて申告することが奨励されているところでございまして、
青色申告制度において、そのような記帳及び申告を選択する方は税制面での特典が受けられるとされているものでございます。
一方、
青色申告を選択しない
納税者にも
記帳義務は課されているところでございまして、従前は所得300万円を超える
個人事業者に
記帳義務が課されておりましたが、近年の
情報技術の進展により、それほど困難を伴わず記帳ができるようになっていることなどを踏まえ、平成26年から
不動産所得、
事業所得または
山林所得を有する全ての
個人事業者に
記帳義務が課されたところでございます。ただし、こちらは
複式簿記での記帳が必要でないなど、
青色申告に比べ簡易なものとなってございます。
また、
請願趣旨の中に、世界の主要国では
家族従業者の働き分を
必要経費として認めているとの内容がございますが、アメリカ、イギリス、フランス、
ドイツ等におきましては、
個人事業者に対する
記帳保存の義務づけに加え、
義務違反に対する罰則等を定めた上で、このような
取り扱いが認められているようでございます。
以上が
所得税法第56条の
規定内容及びそれに基づく制度の概要でございます。
次に、4ページの資料3をごらんください。請願文の中に
国連女子差別撤廃委員会からの勧告についての記載がございましたので、その概要と
勧告内容について御説明申し上げます。
国連女子差別撤廃委員会は、
女子差別撤廃条約の実施に関する
進捗状況を検討するために設置されたものでございまして、締約国により選ばれた23人の専門家により構成されております。委員会の機能の一つとして、締約国から得た情報等に基づく勧告を行うことがございますが、
日本政府に対しましては、日本の第7回及び第8回
合同定期報告に関する
最終見解における「主要な
関心事項及び勧告」の「
農山漁村女性」の項目におきまして、
所得税法が
自営業者や農業者の
配偶者や家族に対する報酬を
事業経費として認めていないため、女性の
経済的独立を妨げる影響があることを懸念するとの見解及び
家族経営における女性の労働を評価し、女性の
経済的エンパワーメントを促すため、
所得税法の見直しを検討することを要請するとの見解が示されたものでございます。
この
国連女子差別撤廃委員会の見解に対しまして、政府においては、平成28年3月16日、第190回
国会衆議院財務金融委員会におきまして、
麻生財務大臣から、
所得税法第56条は性別を問わず適用されるものであり、女性の経済的な自立を損なうものではないとした上で、引き続き財務省において丁寧に検討していきたいと答弁がございました。
また、同規定の見直しにつきましては、本年3月28日の
参議院財政金融委員会においても、
麻生財務大臣から引き続き丁寧に検討する旨、答弁がなされていると承知しております。
なお、
参考資料といたしまして、1(1)-2として
青色申告について国税庁が作成したパンフレットの写しをおつけしてございますので、御参照いただきたいと存じます。
○
野田雅之 委員長 説明は以上のとおりです。
ただいまの説明につきまして、質問等がございましたらお願いいたします。また、意見・要望等がございましたら、あわせてお願いいたします。
◆
宗田裕之 委員 私から言うまでもないことですけれども、川崎市の経済を根底から支えるのが
中小企業であり、そういう
中小企業が市内の企業の約9割を占めています。その大部分が
小規模事業者でございまして、
小規模事業者の大半は家族だけでやっている
家族経営がかなり多い。そういうところは人を雇う余裕はなく、事業主の妻や子どもの働きによって大変な経営を乗り切ろうと努力されております。特に、ことしは10月に
消費税増税があって、さらにその後、台風の被害があって、廃業を考えている店も非常に多くなっていると伺っています。この
家族従業員の労働を労働と認めない、また、申告の形態によって差別される、それから家族の働き分さえ経費として認められない、これが
所得税法の第56条です。
この制度は、
先ほど説明があったように、他の
主要先進国では例を見ない特異な制度で、いろいろ説明があったように、国連からも見直しをするように勧告を受けておりますし、また、国会でも毎年のように取り上げられております。
まず、私のほうから伺っていきたいと思いますが、最大の問題点である
家族従業員の給与が経費として認められない。普通は人間が働いたら、その労働にふさわしい給与を受け取るのは当然のことです。仮に
家族従業員の方が、世間的な常識の範囲として、例えば年間150万円、普通に
最低賃金で働いていてもこのぐらいはもらえるはずですけれども、そうやって労働しても、56条のもとでは、妻の場合は
事業者控除が86万円のみ、これは時給にすると344円です。子どもの場合は50万円、時給にすると200円しか認められない。
まず、この
家族従業員の控除額が正当な労働の対価と言えるのか伺います。
◎小関
税制課長 白色申告に係る
専従者控除の額につきましては、給与の実額の
経費算入を認めていないところでございますが、本年3月28日の
参議院財政金融委員会における
国税庁長官の答弁におきまして、実際の給与の支払いの有無にかかわらず、概算的な定額の控除を認めて配慮を行うと説明されていると承知をしているところでございます。
◆
宗田裕之 委員 今、概算的な定額の控除という答弁ですけれども、この概算的な定額の控除とは、妻86万円、子ども50万円のことですか、確認です。
◎小関
税制課長 先ほどの
総務委員会資料に57条の規定がございますが、57条の3項において、「
事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を
必要経費とみなす。」となっておりまして、その中で
配偶者については86万円、
配偶者以外については50万円と、第2号のほうで算定した金額、いずれか低い金額とはなりますけれども、概算的な定額な控除と申しますのは、第1号でございます86万円と50万円と承知をしております。
◆
宗田裕之 委員 結局、妻は86万円、子どもなど親族は50万円。普通に働きに出れば、通常、年平均で150万円の給与が得られる労働をしているのに、
家族従業員というだけで実際に働いたという事実も、その給与も認めないということだと思います。
それでは、
家族従業員の労働の対価が認められないということで、どのような不利益があるのか伺います。
◎小関
税制課長 白色事業専従者に係る労働の対価についてでございますけれども、制度による不利益な
取り扱いや差別的な
取り扱いにつきまして、市として把握しているものは特にございません。
◆
宗田裕之 委員 実際に不利益的な
取り扱いがあるんです。例えば、
給与所得の
公的証明が得られないために、不測の
事故に遭遇した場合でも受けた被害の補償が適正に審査されない、また、病気になった場合は、国保の適用において
給与所得者に認められる
傷病手当や
休業手当などが受けられない、実際にはこういう差別的な不利益を余儀なくされています。
それでは、歴史的な経過について伺いますが、こういう戦前の税法である56条が残った理由について、まず伺いたいと思います。戦後、
シャウプ勧告によって日本の税制は大きく変わりましたが、戦後の
税制改正で
課税単位の原則はどのようになりましたか。
世帯ごとか
個人ごとか伺います。
◎小関
税制課長 所得税法についてでございますが、昭和24年の
シャウプ勧告におきまして、
所得税の
課税単位を
個人単位とするよう指摘がございまして、翌年の昭和25年の
税制改正におきまして、
世帯単位課税から
個人単位課税に移行したものと承知しております。
◆
宗田裕之 委員 戦後、
シャウプ勧告により、家父長的な
世帯合算課税の多くは民主的な
個人単位課税に改善されました。しかし、56条は、明治20年に制定された
所得税法の
世帯合算課税というもので、これは前近代的な家父長的な制度が残ったということです。まさに56条というのは家父長的な遺物だと言われています。
それでは、戦後の
税制改正時に
所得税法に56条を残した理由は何か伺います。
◎小関
税制課長 所得税法の解説によりますと、
所得税法第56条の趣旨といたしましては、
個人事業は家族全体の協力のもとで成り立つものが多く、それについて個々の対価を支払う慣行があると言えないため、家計と事業から生じる所得を切り離して考えること自体に無理があり、
個人財産の使用に対する対価を一般に
必要経費と認めることとすると、家族間の取り決めによる恣意的な
所得分割を許すこととなり、税負担の不公平をもたらすことになること、また、その対価の金額も恣意的に決められることが多く、客観的な合理的な対価の額を算出することが実務上困難であることなどを根拠として設けられた規定であると説明されているところでございます。
◆
宗田裕之 委員 政府の
課税庁側の56条を残した理由が3つあるんです。今言った理由をまとめたものですけれども、第1の理由は、所得は世帯主が支配しているのが通常だという理由です。しかし、これは前近代的な制度で、前近代的な制度というのは、戸主のみを
納税者として
取り扱い、戸主の名義で納税させる制度のことですけれども、これは
家父長制度を前提とするもので、この理由は、私は論外だと思います。
第2の理由としては、支払いを確認することが困難である。しかし、現在は
白色申告も記帳は義務化されておりますし、記帳していれば給与等の支払いの確認はできます。
第3の理由は、恣意的な
所得分配の危険性がある。これは公正で妥当な
価格認定の問題であって、家族の給与を認めないという理由にはなりません。
それでは、もうちょっと伺いますが、青色だったら恣意的な
所得分配がなく、白色だったら恣意的な
所得分配の危険性が高いとどうして言えるのか伺います。
◎小関
税制課長 所得税法第57条における
経費算入の特例に係る規定につきましては、本年3月28日の
参議院財政金融委員会における
国税庁長官の答弁におきまして、
青色申告者については、帳簿等により家計と事業の分離や
給与支払いの実態を確認することができることから、
家族従業員の給与への実額による
経費算入を認めている。これに対し、
白色申告者については、資産、ストックの状況まで記帳が求められておらず、同様の確認を行うことが困難であることを踏まえて、実額による
経費算入を認めていないかわりに、概算的な定額の控除を認めることで配慮しており、両者の記帳の状況に違いがあることを踏まえて、このような制度となっている旨と説明されているものと承知をしております。
◆
宗田裕之 委員 実際は青色でも恣意的な分配かどうか、これは帳簿だけではわかりません。恣意的かどうかは調査しなければ実際にはわからないです。現に青色でも白色でも不正の疑いがあれば調査に入っています。また、経費の金額にしても、
青色申告で実施しているように、必要な経費に算入できる金額を規定しているんです。あのとおり白色でもやれば恣意的な
所得分配はある程度防ぐことはできると思います。このように、どの理由も家族の給与を認めないという理由は成り立たないと私は思います。
それでは、国連の勧告と政府の
税制改正の方向について伺います。資料にあるように、国連の
女子差別撤廃委員会から
日本政府に対して、
所得税法が
自営業者や農業者の
配偶者や家族に対する報酬を
事業経費として認めないため、女性の
経済的独立を妨げる影響があるとして、
所得税法の見直しを勧告しています。政府も2011年の先ほど言われました
税制改正大綱、それから2014年度の
記帳義務化の中での検討、あと第4次
男女共同参画基本計画での検討が行われています。
それでは、まず政府の2014年度の
記帳義務化の中で、個人の
白色申告者への
記帳義務化に伴う
検討内容を伺います。
◎小関
税制課長 平成23年度の
税制改正におきまして、それまで所得300万円を超える
白色申告者のみに課されていました
記帳義務、
記録保存義務について、所得が300万円以下の
白色申告者につきましても新たに
記帳義務を課すとする改正が行われまして、平成26年1月から施行されているものでございます。なお、この平成23年度の
政府税制改正大綱におきましては、
白色申告者に記帳が義務化されることに伴い、
検討事項として3つほど記載がされておりまして、1つは、
必要経費を概算で控除する
租税特別措置をどのように考えるか、2つ目として、正しい記帳を行わない者の
必要経費についてどのように考えるか、3つ目といたしまして、
白色申告者の
記帳水準が向上した場合における現行の
専従者控除について、その専従の実態等を勘案し、どのような見直しが可能か、これらについて検討を行うとされたものと承知をしております。
◆
宗田裕之 委員 政府も
必要経費の概算、その額を控除する措置、
専従者控除の額の見直しの検討に入っているということです。
それでは、もう1つの第4次
男女共同参画基本計画での
検討内容を伺います。
◎小関
税制課長 国の第4次
男女共同参画基本計画についてでございますが、平成27年12月に
閣議決定をされておりまして、その中で、「施策の
基本的方向と
具体的取組」という項目の中におきまして、「
自営業等における
就業環境の整備」の中で税制等についての記載がございまして、「
商工業等の自営業における
家族従業者の実態を踏まえ、女性が
家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の
各種制度の在り方を検討する」との見解が示されていると承知をしてございます。
◆
宗田裕之 委員 国の
男女共同参画基本計画の中でも、女性が
家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるようにということで検討するとなっています。このように、56条の問題は国連からも勧告されて、政府もやっと税制の見直しの検討が始まった段階だと思いますが、これはずっと検討が続いているんです。
では、税制上の人格権や
女性差別の問題について伺いたいと思いますが、特に国連の勧告でも政府の
男女共同参画基本計画でも言われているように、この問題は女性への差別の問題でもあって、働いている女性の労働が認められない、税制上の人格が認められないという
基本的人権の問題として取り上げられています。
業者夫人の方々の長年にわたる切実な要望も実はそこにあるんです。その人が働いているという事実、その人格を税制上認めるかどうかを行政側が勝手に、
青色申告なら認めますが、
白色申告なら認めませんという申告の仕方によって決めるということは、実際はやってはならないことではないでしょうか伺います。
◎小関
税制課長 税制上の
取り扱いにつきましては、行政は法令の規定に基づきまして適切に処理すべきものでございますが、御指摘の
事業所得等の申告につきましては、
所得税法その他関連する法令の規定に基づいて税の申告をしていただくこととなっておりますので、
申告方法として
青色申告と
白色申告のどちらを選択するのかは
納税者の方の御判断になりますし、
青色申告が認められるかどうかにつきましても、
所得税法等の規定に基づきまして適法に帳簿や書類の作成及び保存がされているかどうかによって、行政側において判断されているものと承知をしております。
◆
宗田裕之 委員 実際に
家族従業員の給与を経費として認めてほしいというなら
青色申告をすればと、いつも政府側は言うんですね。それで、青色と
白色申告では、どちらが原則で、どちらが
例外規定なのか伺います。
◎小関
税制課長 所得税法第56条は、事業から対価を受ける親族がある場合の
必要経費については、
居住者の所得の金額の計算上、算入しないとすることを定めたものでございまして、こちらを原則としつつ、これに対し、第57条第1項では、
青色事業専従者については、給与の支払いを受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務の対価として相当であると認められるものは、その所得の金額の計算上
必要経費として算入すると規定され、また、同条第3項におきまして、いわゆる
白色事業専従者について、所得の金額の計算上、各
事業専従者について、次に掲げる金額、具体的には、
配偶者については86万円、
配偶者以外は50万円と、事業等の所得の金額を
事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額を比べまして、いずれか低い金額を
必要経費とみなすと規定されてございまして、この両規定において56条の特例規定として定められているものと承知しております。
◆
宗田裕之 委員 いろいろと長く言ってもらいましたけれども、結局、
青色申告はあくまで
例外規定であり、
白色申告が原則だということです。
例外規定を勧めるということ自体が私はそもそもおかしいと思うんです。
それでは、市内で
青色申告、
白色申告の方がどれだけいるのか伺います。
◎小関
税制課長 令和元年度(平成31年度)の市民税、県民税の当初課税におきましては、
青色申告者が約7万3,000人、
白色申告者が約2万6,000人、合計で約9万9,000人でございまして、
事業所得等申告者の7割を超える方が
青色申告を選択しているところでございます。
◆
宗田裕之 委員 3万人近い中小業者の方が
青色申告ではなく
白色申告をしている。そういう方々が
白色申告を選択している理由は何でしょうか伺います。
◎小関
税制課長 青色申告につきましては、正規の
複式簿記による記載で
貸借対照表と
損益計算書の作成を前提としたものでございまして、帳簿として仕訳帳、固定資産税台帳などの帳簿を備え、現金出納、預金、手形、売掛金、買掛金等の記載事項を記載するものでございます。一方、
白色申告につきましては、簡易な記帳の仕方の制度になっており、
収入金額や
必要経費を記載した帳簿を作成しなければなりませんが、ここでは売り上げなどの
収入金額、仕入れ先、日々の売り上げ等を記載することにはなっておりますけれども、記載に当たっては日々の合計金額をまとめて記載するなどの簡易な方法も認められているものでございまして、
青色申告に必要とされる
貸借対照表等の帳簿は特に必要とされていないこととなっております。
申告方法として
青色申告と
白色申告のどちらを選択するのかにつきましては、個々の
納税者の方の御事情によるものとなりますので、市のほうでその理由について判断するのは難しいものと考えております。
◆
宗田裕之 委員
所得税法第143条以下に定める
青色申告ですけれども、
納税者側に一定の特典を付与するかわりに帳簿書類や記録保存を義務化して、税務署長の裁量を認めた制度ということです。もともとは
課税庁側の税務執行上の便宜の観点、要するに、できるだけスピーディに施行するということから考案されたものだと聞いています。
納税者を誘導する特典というのを私が見たところ、
納税者の立場から見ればどれも当然のものであって、特典の名に値しないとよく言っているんですけれども、特に問題なのは、課税庁の承認のもとに
青色申告を選択することは、
課税庁側の監視と支配を受けることになりかねない。要するに、その記帳内容についても
課税庁側の指示や干渉にさらされて、
課税庁側の事実認定と判断によっては
青色申告の承認を取り消されかねないという不安もあると聞いています。
納税者側と課税庁との対等な関係というのは
納税者の権利ですよね。実務の運用次第では、これが侵害される危険性もある。このように、税法上、
白色申告が原則規定であり、
青色申告はあくまでも
例外規定である、しかも、これは行政の便宜上の理由からそうなっている、しかも、
青色申告は
納税者権利の侵害の危険性があると専門家はいろいろと指摘しているんです。だから、
青色申告を勧めるのではなくて、本来は56条を廃止するなどして原則である
白色申告について
税制改正するのが私は本筋だと思います。
最後に、川崎市の
中小企業活性化条例について伺います。川崎市でも
中小企業活性化条例ができまして、その中で、
中小企業の経営基盤を強化するために、「経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事情を考慮する」と規定しています。私の地域でも、商店や
家族経営をしている
小規模事業者は地域の方々と強く結びついておりまして、お祭りや防災・防犯の点でも、また地域の雇用を支える点でも非常に重要な役割をしています。そういう
家族経営をしている商店や
自営業者は、大変厳しい経営状況の中で頑張っている。特に、ことしは、先ほど言いましたが、10月から
消費税増税がありまして、台風被害もあってダブルパンチで、廃業を考えている業者も急増することが予想されます。本来こういう業者を応援するのが
中小企業活性化条例ではないかと思うんですけれども、国や自治体のどちらがやるかは別としても、
小規模事業者の税負担を少しでも減らすことも条例で言う考慮のうちに入るのではないでしょうか伺います。
◎三富
財政局長 ただいま御質問いただきました本市の
中小企業活性化条例についてでございますが、この条例におきましては、本市の役割といたしまして、国、関係地方公共団体、
中小企業者及び関係団体等との緊密な連携を図り、
中小企業の活性化に関する施策を効果的に実施するとされているところでございまして、
中小企業の活性化に向けての市の取り組みというものは大変重要なものと考えております。
また、税制面でございますが、
中小企業に対しましては、法人税率の軽減、また先端設備等導入計画を策定すれば、これに基づき一定の設備を取得した場合の地方税である固定資産税の軽減など、制度上さまざまな優遇政策が講じられているところでもございます。そういう意味では、税制上の一定の考慮がなされているところでございます。いずれにいたしましても、税制度におきましては、税法の定めるところにより公平性が確保されることが大変重要なことと認識してございます。
◆
宗田裕之 委員 最後に、私は、以上述べたように、この56条は明治時代の
家父長制度の残した遺物だと思います。
業者夫人や子どもたちの労働を認めない、また、差別や偏見に基づく制度であると思います。地域経済を支える商店や
家族経営を危機にさらしているのも現実ですし、地域経済の振興を妨げるものともなりかねないと思います。とりわけ、ことしは
消費税増税と台風被害で多くの
小規模事業者は廃業の危機に陥っている。請願にあるように、
所得税法56条は廃止すべきという意見書は全国の516自治体で上がっておりまして、国でもことし3月に、
先ほど説明されていた参議院の財政金融委員会では、
国税庁長官も財務大臣もそろって見直しを検討していくという答弁でした。以上の点から、我が党は、
所得税法第56条は廃止するべきだと考えます。以上です。
◆
嶋崎嘉夫 委員 1点お伺いしたいんですけれども、
所得税法56条については、以前から毎年のように当委員会にも請願審査という形で上がってきていますが、それ以外に、例えば56条を取り巻く訴訟等々も今まで法廷の場でもかなり議論されてきたと思います。これについて判例等、確定しているようなものがあれば教えていただきたいんです。
◎小関
税制課長 申しわけございませんが、確定した判例等については承知をしてございません。
◆
嶋崎嘉夫 委員 平成16年、17年にいわゆる宮岡事件というのがありました。弁護士の先生が同一の生計を営んでいる税理士の方に対してという内容です。これは非常に有名な内容ですから、いろんな機会に語られてはいると思いますが、租税回避の意思が見られないとしても、法的には56条が適用されるべきだというのが最高裁判例で確定していると私は記憶しております。再度お伺いしますが、これについては、局のほうは把握していないということでよろしいですね。
◎小関
税制課長 申しわけございませんが、把握をしてございません。
◆
嶋崎嘉夫 委員 わかりました。結構です。
◆堀添健 委員 各委員から本格的な質問がされましたので、幾つか確認を含めてお伺いをさせていただきます。まず、先ほど青色が7万3,000人、白色が2万6,000人ということですが、これは合わせると約10万ということですけれども、10万の
個人事業主が市内にいるという理解でいいのか教えてください。
◎小関
税制課長 先ほどの数字につきましては、本年度の課税状況に基づくものでございまして、申告者数といたしまして平成31年度におきましては約9万9,000人であったということでございます。
◆堀添健 委員 本市内で、法人の中で
個人事業主の方が占める割合はどの程度か教えていただけますか。
◎小関
税制課長 平成30年度の法人市民税の
納税者数になりますけれども、均等割を納税している法人の数が約3万5,700社になってございます。
◆堀添健 委員 そうしますと、川崎市内で事業を営んでいる法人、
個人事業主を含めて、約13万強のうちの約10万弱が
個人事業主というような概算の理解でいいのか、改めて確認させていただきます。
◎小関
税制課長 あくまで課税ベースでございますけれども、こちらで把握している数字としては、そのような形になろうかと思います。
◆堀添健 委員 ありがとうございました。
あと、この請願については、近年は毎年出されていまして、過去の議事録を拝見しますと、日本弁護士連合会とか税理士会連合会もこの問題に関して一定の見解を出されていると仄聞しますけれども、そのあたりはどのような内容か把握していたら教えてください。
◎小関
税制課長 大変申しわけございませんが、弁護士連合会等のコメント等についても私どものほうで把握はしてございません。
◆堀添健 委員 わかりました。今回あくまで
所得税法に関する請願ですので、市の業務とは直接は関係がないわけですけれども、ただ、そうはいっても地方税の算出には
所得税は大きな役割を果たしているわけです。そうした意味でいえば、請願ですので当然議会を構成する議員の紹介で審議をしているわけですから、想定される質問については、なるべく事前にしっかり準備をしていただくようお願いいたします。結構です。
○
野田雅之 委員長 ほかに質疑、意見・要望等がなければ
取り扱いに入りたいと思いますが、本件は国に対して意見書の提出を願うものでございますので、この点も含めて御発言をお願いしたいと思います。
それでは、自民党さんからお願いします。
◆
嶋崎嘉夫 委員 先ほども述べましたとおり、過去の
所得税法第56条にかかわる最高裁判例では、親族への対価の支払いを
必要経費にそのまま算入することを認めると税負担の不均衡をもたらすおそれがあるということが判例として確定しております。最高裁判例という形で明記されている以上、本請願については同意できないもので、不採択でお願いします。
○
野田雅之 委員長 提出しない、不採択ということでよろしいですね。
次に、共産党さんからお願いします。
◆
宗田裕之 委員 採択でお願いします。
○
野田雅之 委員長 意見書の提出については出すで、採択ということでよろしいですか。
◆
宗田裕之 委員 はい。
○
野田雅之 委員長 公明党さん、お願いします。
◆
田村伸一郎 委員 私たちは、この請願の内容については、国のほうで議論、検討されていくものと考えますので、意見書は上げないということで、態度については不採択でお願いします。
○
野田雅之 委員長 みらいさん、お願いします。
◆堀添健 委員 これは毎年当委員会で議論されていまして、そうした意味で言うと、非常に市民の方も関心がある課題なのだということは理解をいたします。その上で、今、質疑の中でもございましたが、56条について言うと、
個人事業主については、基本的には
配偶者等の経費は認めない。ただ、例外として
青色申告者については特典として一部認める。また、それについても、
給与所得だけが認められて、例えば家賃収入等ほかのものについては、法人であれば認められるものが
個人事業主には認められない、
青色申告だということで言うと、先ほど御答弁がございましたが、本市においては、かなりの割合の方が
個人事業主を営まれているということで言うと、やはりこれについては、法人並みの
取り扱いの方向性が必要なのかなと私たちは考えるところでございます。そういう意味で言うと、
所得税法56条、加えて57条については、見直しが必要な時期に来ていると考えますが、ただ、それがそこの部分だけの議論なのか、あるいはそれが直接廃止なのか、全体としての
所得税法のあり方を含めて議論すべきかというところで言うと、たちどころに56条の廃止ということで言うと、今の段階では賛同することはできないということを申し上げます。ですから、今回、意見書については提出をしない。
取り扱いについては、もし継続ができるのであれば継続、それができないのであれば採択しないということでお願いいたします。
○
野田雅之 委員長 それでは、チーム無所属さん、お願いします。
◆
月本琢也 委員 私どものほうも、これは国で議論をしていくべき話というところもありまして、今ここでやっていくかというところで言うと、やっぱり難しいのかなと思いますので、不採択とさせていただいて、意見書も提出しないということでお願いします。
○
野田雅之 委員長 それでは、まず意見書を提出することにつきましては、全会一致となることが条件となります。今回の場合は全会一致とならないようですので、意見書の提出には至らないということで御了承願います。
改めて確認をさせていただきます。請願の
取り扱いについての部分でありますが、まず自民党のほうは不採択、共産党さんは採択、公明党さんは不採択という形でよろしいでしょうか。みらいさんのほうは継続というお話もありましたし、それがかなわなければ採択しないということでありましたが、改めて御意見をお願いします。
◆堀添健 委員 今回は意見書を求める請願ですので、そういう意味で言うと、それが不採択で継続というのもどうなのかなという思いがありますけれども、もし皆さんで御了解できるのであれば継続の扱いでもいいという趣旨でございますので、基本は不採択で結構です。
○
野田雅之 委員長 チーム無所属さんは不採択ということでよろしいですね。
そうしますと、みらいさんのほうは不採択という形になりますので、採決をさせていただきます。
「請願第4号
所得税法第56条廃止の意見書を国にあげることに関する請願」につきまして、採択することに賛成の委員の挙手を願います。
( 賛成少数 )
○
野田雅之 委員長 挙手少数であります。よって本件は賛成少数により不採択すべきものと決しました。
それでは、本件のみの傍聴者の方、審査は以上のとおりでございます。どうぞ御退席ください。お疲れさまでございました。
ここで理事者の一部交代をお願いいたします。
( 理事者一部交代 )
─────────────────────────
○
野田雅之 委員長 次に、
財政局関係の
所管事務の調査として、「「
企業会計的手法による川崎市の
財政状況(平成30年度決算版)」について」の報告を受けます。
理事者の方、よろしくお願いいたします。
◎三富
財政局長 それでは、
企業会計的手法による川崎市の
財政状況につきまして御報告させていただきます。
本市では、9月議会に提出いたしました決算書類とは別に、資産や負債の状況、また行政サービスに要した全体コストなどを明らかにするため、平成10年度の決算から
企業会計的手法による財務書類を作成してございます。配付してございます資料のとおり、昨年度に引き続きまして、統一的な基準による平成30年度決算版の財務書類を作成いたしましたので、本日、御説明させていただくものでございます。
それでは、内容につきまして、財政課担当課長から御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。
◎吉永 財政課担当課長 それでは、お手元の
タブレット端末の2(1)-1「「
企業会計的手法による川崎市の
財政状況(平成30年度決算版)」について」をお開きください。表紙をおめくりいただきまして、資料1「「
企業会計的手法による川崎市の
財政状況」(平成30年度決算版)のポイント」に従って御説明をさせていただきます。
先ほど局長からも御説明いたしましたが、この財務書類につきましては、現金主義会計、いわゆる官庁会計では把握しづらい資産や負債などのストック情報や、行政サービスに要した全体コスト等を明らかにするために、
複式簿記・発生主義会計、すなわち企業会計的な手法により作成しているものでございます。
平成30年度決算におけるポイントといたしましては、下段の囲みの部分にあるとおりでございますが、その詳細について御説明させていただきますので、1枚めくっていただいて、2ページをお開きください。
まず、「1
一般会計等の
貸借対照表」でございます。ポイントといたしましては、上段の囲みのとおりでございますが、表で御説明させていただきます。まず、資産合計、平成30年度の状況は3兆2,491億円で、負債合計は1兆1,846億円、差し引きの純資産合計は2兆645億円となっておりまして、これは平成29年度と比較いたしますと、右側の丸囲みのとおり、195億円の増となってございます。
増減の主な内訳でございますが、ページ下段の囲みをごらんください。まず、資産合計は前年度比で202億円の増となっておりまして、これは有形固定資産の増として産学交流・研究開発施設(AIRBIC)や小杉小学校の取得、学校施設の増築等によるものでございます。次に、負債合計は7億円の増となっておりまして、これは固定負債の退職手当引当金が減少したこと、固定負債、流動負債あわせて地方債が減少し、リース債務等が増加したことなどによるものでございます。こうしたことから、純資産合計は195億円の増となったところでございます。
続いて、3ページをお開きください。こちらは
貸借対照表の他都市比較でございます。他都市と比較することで本市の特徴が見えてまいりますが、比較するに当たりましては、面積や人口規模等により各都市の資産合計が大きく異なりますことから、
貸借対照表の金額を市民1人当たりに換算しております。なお、大阪市は財務書類の一部を独自の基準で作成しているため、比較対象外としております。現時点では平成30年度決算版の財務書類を公表していない団体が多いことから、平成29年度決算版での比較としておりまして、表の一番上の段の網かけ部分をごらんください。こちらが本市の平成29年度の数値でございまして、これを他の18市と比較いたしますと、本市は、資産は多いほうから9番目、負債は多いほうから10番目、1つ飛ばしまして純資産の資産に対する割合は高いほうから7番目の63.3%となっており、これは他の18市の平均を上回ってございます。
4ページをお開きください。こちらは「2
一般会計等の行政コスト計算書」でございまして、企業における
損益計算書に相当するものでございます。ポイントといたしましては、上段の囲みのとおりでございますが、こちらも表で御説明させていただきます。まず、業務費用は人件費や物件費等でございまして、平成30年度は2,972億円となっており、前年度に比べ362億円の減、移転費用は補助金等や社会保障給付などでございまして、2,777億円となっており、前年度に比べ82億円の増、これらを合わせた経常費用合計は5,749億円で、前年度に比べ280億円の減となってございます。
次に、経常費用合計の下にございます使用料及び手数料とその他でございますが、こちらは費用に対する直接的な歳入という位置づけの経常収益でございまして、その合計は396億円で、前年度に比べ3億円の減となってございます。
その下の行、純経常行政コストは経常費用合計から経常収益合計を差し引いたものでございますが、5,353億円で、前年度に比べ277億円の減となってございます。この純経常行政コストに臨時損失と臨時利益を合わせました表の一番下の純行政コストは5,352億円で、前年度に比べ285億円の減となってございます。
5ページをお開きください。行政コスト計算書の他都市比較でございます。こちらも市民1人当たりに換算し、大阪市を除く18市の平成29年度で比較してございます。表の一番上の段の網かけ部分をごらんください。こちらが本市の平成29年度の数値でございまして、これを他の18市と比較いたしますと、本市は、人件費は多いほうから9番目、物件費等は多いほうから17番目、移転支出は多いほうから11番目となっており、これらの合計は多いほうから15番目となっておりまして、他都市平均を下回っているところでございます。
以上が
企業会計的手法による本市の
財政状況でございます。
今後の予定でございますが、本日の資料一式と同じ資料を、この後、全ての議員の皆様にお配りさせていただきまして、また、報道機関へも本日情報提供するとともに、市民の皆様にもごらんいただけるよう市ホームページへ掲載してまいります。
説明は以上でございます。
○
野田雅之 委員長 説明は以上のとおりです。
ただいまの説明について、質問等がございましたらお願いいたします。
( なし )
○
野田雅之 委員長 ないようでしたら、以上で「「
企業会計的手法による川崎市の
財政状況(平成30年度決算版)」について」の報告を終わります。
ここで理事者の一部交代をお願いいたします。
( 理事者一部交代 )
─────────────────────────
○
野田雅之 委員長 次に、
財政局関係の
所管事務の調査として、「「
一般会計における使用料・手数料に係る
消費税率引上げへの対応」について」の報告を受けます。
理事者の方、よろしくお願いいたします。
◎三富
財政局長 それでは、「
一般会計における使用料・手数料に係る
消費税率引上げへの対応」につきまして御報告させていただきます。この対応(案)につきましては、市民の皆様への周知の観点から、ことし9月2日から10月1日まで、パブリックコメント手続に準じた市民意見の募集を実施したところでございまして、その内容につきまして、財政課担当課長のほうから御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。
◎林 財政課担当課長 それでは、お手元の
タブレット端末、2(2)「「
一般会計における使用料・手数料に係る
消費税率引上げへの対応」について」をお開きください。表紙をおめくりいただきまして、2ページの資料1に沿って御説明いたします。
初めに、1の「概要」でございます。これまで
一般会計におきましては、消費税の負担の転嫁を行っておりませんでしたが、平成29年度の包括外部監査の意見などを踏まえ、今後は消費税の負担を転嫁してまいりたいと考え、「
一般会計における使用料・手数料に係る
消費税率引上げへの対応(案)」を取りまとめました。
その上で、中ほどの2にお示ししております方法で、対応(案)に対する御意見の募集を行いました。
その結果、下段にございます3に記載しておりますとおり、3通・5件の御意見をいただいたところでございます。
1枚おめくりいただき、3ページ、4の「意見の内容と対応」をごらんください。御意見といたしましては、A区分の「御意見を踏まえ、反映したもの」が1件、B区分の「御意見の趣旨が案に沿ったものであり、御意見を踏まえ取組を推進するもの」が3件、C区分の「今後の取組を進めていく中で、参考とするもの」が1件でございました。
5の「具体的な御意見の内容と市の考え方」をごらんください。下段にございます「消費税の負担の転嫁に関すること」についての1番目の御意見をごらんください。夏にお示しいたしました対応(案)におきましては、個別対応が必要な使用料等として放置
自転車等返還手数料を例示し、その理由として「受益者負担を求めることが適当でない」という記載をしておりました。この表現がわかりにくいという趣旨の御意見がございましたことから、仮に、放置
自転車数が増加し、1台当たりの原価が減少したとしても、手数料を引き下げるという対応は行わないという趣旨であることを踏まえまして、「受益者負担の考え方になじまない」という表現に改めておりますので、御報告いたします。
その他の御意見に対する本市の考え方につきましては、後ほどごらんいただければと存じます。
お手数でございますが、5ページをお開きいただきまして、資料2でございます。こちらにつきましては、8月29日の
総務委員会での御意見を踏まえ、イメージ図を簡潔なものに改めて市民意見を伺っておりますので、その旨を御報告いたします。
資料3と資料4につきましては後ほどごらんください。
なお、資料一式につきましては、本日、11月14日付で全ての議員の皆様にお配りするほか、報道機関へも情報提供させていただきます。
御説明は以上となります。
○
野田雅之 委員長 説明は以上のとおりです。
ただいまの説明について、質問等がございましたらお願いいたします。
◆堀添健 委員 ありがとうございました。これは以前も本委員会に報告がありましたし、代表質問でも質疑はさせていただきましたので、確認ですけれども、今後、消費税率が改定された場合には、直ちにそれがそのまま本体価格に転嫁されるのではなく、原則として4年に1度行われます改定の見直し、本体価格の見直しとあわせて今後実行していくという理解でいいのか、お答えをお願いいたします。
◎林 財政課担当課長 今、委員から御指摘がございましたとおり、4年に1度見直すという方向で進めてまいりたいと存じます。税率引き上げの都度上げるとなりますと、短い期間で都度都度上がるということが想定されますので、そういったことでは市民の皆様に混乱を来すということがございますので、4年に1度を基本に進めてまいります。
◆堀添健 委員 ありがとうございました。
◆
宗田裕之 委員 今回の値上げというのは市民にとってどれだけの負担増になるのか、概算はわかりますか。
◎林 財政課担当課長 一定の条件のもとの試算ですけれども、今回、8%を10%にということでございますので、2%程度の御負担ということでございますが、
一般会計全体で2,000万円程度ということで想定しております。
◆
宗田裕之 委員 今までは消費税が増税されても値上げはしてこなかった、その理由があると思うんですけれども、その理由はどういうことですか。
◎林 財政課担当課長 各種施設の利用者への配慮ということで、ずっと据え置いてきたわけですけれども、資料の5ページをごらんいただきまして、これまでの対応、中ほどのイメージ図になるんですが、料金据え置きということでいきますと、2,000円に占める消費税の割合がその分上がります。本体価格の値下げで吸収するということでございますので、引き下がった分が施設を利用しない一般の市民の方々の御負担によっての値下げが実現されるというところでございますので、包括外部監査人からの御意見で、やはりここは施設の利用者に御負担いただくのがより公平ではないかというところでございまして、今回、考え方を改めたところでございます。
◆
宗田裕之 委員 利用者への配慮ということですけれども、どういう配慮ですか。
◎林 財政課担当課長 素朴な話でございまして、単純になるべく値上げをしないという配慮でございます。
◆
宗田裕之 委員 要するに、こういう公的な施設は誰もができるだけ自由に使えるように、そういう意味では料金をできるだけ低く抑えるというのが本来の目的だと思っているんですが、これが値上げすることによって、本来の公的施設は誰もが使えるようにするということが阻害されるようなことはないですかね。
◎林 財政課担当課長 消費税引き上げ分をどちらに転嫁するかというところのせめぎ合いかと思います。利用者の方に御負担いただくのか、あるいは施設を使っていないその他の市民の方に御負担いただくのか、そこは政策的な判断がございましたが、今回からは、やはりそこは利用者の方に御負担いただくのがより公平ではないかと考えるに至った次第でございます。
◆
宗田裕之 委員 2%値上げという話で、例えば、市民館などの会議室を借りる料金が午前中幾らで、それがどれだけになるというのは、何か試算はないですか。
◎林 財政課担当課長 端数の調整も行う予定でございます。例えば、利用料金が500円の場合は、今回、2%の御負担をお願いいただくことで9円ほど上がるような試算になります。509円取るのではなくて、10円に達しない場合は500円据え置きというのを考えております。片や600円になると、これが610円を超えるわけです。なので、元値が600円の場合は10円を御負担いただく、今、そういった方向で考えているところでございます。ボリュームとしては、そのようなイメージをお持ちいただければと存じます。
◆
宗田裕之 委員 要するに、端数は切り捨てということですか。
◎林 財政課担当課長 委員御指摘のとおりでございます。
◆
宗田裕之 委員 結構です。
◆
嶋崎嘉夫 委員 根幹の部分の説明はよくわかりました。今の御説明の今後の対応の中で、「使用料・手数料の設定基準」に基づき、おおむね4年ごとの原価計算による本体価格の見直しとあわせて実施しますと。それに基づくと、令和3年4月に10%の部分に対応ということもわかりました。基本的には受益と負担の適正化を図るというのが目的ですよと。例えば、施設開放に伴って小中学校等の体育館を利用している諸団体があるわけですね。こういったところには、電気を使用するわけですから、これの負担は当然です。ところが、御存じのように、古い電球をずっと使っているところとLED電球で、今、教育委員会ではLED化に切りかえるんですが、最後までやるのは12年後だと。そうすると、LED化にするだけで電気料金がすごく安くなってしまうわけです。かなりの額が変わる。でも、それは局が定めた更新のスケジュールに基づいていくわけだから、そうすると、早い段階でLED化になったところは受益を受けられて、一番最後の12年近くまでかかってLED化になったところは、その間、負担がかかってしまう。これをどうするのですか。
◎林 財政課担当課長 委員御指摘のとおり、12年間の長期にわたっての切りかえということですので、施設によって正しく電気料の御負担をいただけないところがあったり、片や取り過ぎのところがあるではないかという御指摘かと思われますけれども、そこは4年に1度の見直しで不公平なことにならないように、その都度判断していくべきものと考えております。
◆
嶋崎嘉夫 委員 それを最初に示して、要は原局と財政が市民サービスの中で重点化する、予算の中でどう生かすかというのは連動してこなければいけないでしょう。だから、受益と負担の公平という原則は当たり前のことだけれども、より公平化につながるようにスピード化するものと、後年度にまたずらすものと、これからどう選別するんですかということです。
◎谷村 財政課長 前回の使用料の改定の際に基準を定めさせていただいておりますけれども、その中でも、例えば、1つの市民館でホール、会議室、いろいろな利用形態があるかと思うんですが、その際、ホールとか会議室それぞれに原価計算をして使用料を算定するのはかなり煩雑になるので、それはしない。ただ、市民館1つで、トータルで見させていただく。中でも市民館は今各区にございますけれども、それにつきましても同種のものということで、総体で原価計算をさせていただいた上で使用料を算出させていただくということで、そういった基準を定めさせていただいておりますので、先ほど嶋崎委員から御指摘がございました例えば照明施設などにつきましても、類似のもの、全体のものでまとめて使用料を計算させていただくということになるかと思います。
◆
嶋崎嘉夫 委員 いずれにしても、本来から言えば、利用者にとってプラスであるべきにはどうすべきかという前提の中で、施設更新等も進めていくべき性格のものですよね。一概にそれをもって遅いとか早いという議論を行うつもりはありませんけれども、ただ、今申し上げたような視点のところを絶えず大事にしていただきながら、これから予算編成の中で結果を生かしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
◆
鈴木朋子 委員 1点だけ、確認にはなるのですけれども、9ページの表を見ますと、本体価格の算定が非常に重要ではないかと思います。こういうふうに図で示すと、本体価格が適正であることを前提として消費税相当額が今までは市の負担だったというふうに見えるので、本体価格の今おっしゃった原価計算は、施設の形態ごとに決まっているということでしょうか。
◎谷村 財政課長 先ほど申し上げたとおり、市民館は市民館でということでやらせていただいておりますので、御指摘のとおり、形態ごとにやっているということでございまして、先ほど宗田委員の御質問にもお答え損ねたところがあるかと思いますけれども、今後、原価計算をやってまいりまして、来年、条例の改正になるかと思うんですが、それまでにはまたこうした委員会の中で原価計算の報告についてもさせていただくつもりでございますので、よろしくお願いしたいと思っております。
◆
鈴木朋子 委員 そこの計算がぶれていると、結局、本体価格自体が適正でなければ、消費税相当額を市が負担していなかったところ、税が上がってきたのでそういうことになってしまったように見えなくもないので、そこのところはしっかりと客観的な基準をお示しいただきたいと思います。これは要望でございます。
○
野田雅之 委員長 ほかになければ、以上で「「
一般会計における使用料・手数料に係る
消費税率引上げへの対応」について」の報告を終わります。
ここで理事者の一部交代をお願いいたします。
( 理事者一部交代 )
─────────────────────────
○
野田雅之 委員長 次に、
財政局関係の
所管事務の調査として、「
補助金等交付事業に係る
市内中小企業者への
優先発注に向けた
基本方針について」の報告を受けます。
理事者の方、よろしくお願いいたします。
◎三富
財政局長 それでは、「
補助金等交付事業に係る
市内中小企業者への
優先発注に向けた
基本方針について」でございますが、この方針(案)につきましては、8月の本委員会で御報告させていただきましたが、9月にパブリックコメントを実施いたしまして、その実施結果がまとまりましたので、本日、御説明させていただくものでございます。
それでは、内容につきまして、契約課長のほうから御説明申し上げますので、よろしくお願いいたします。
◎小澤 契約課長 それでは、お手元の
タブレット端末の「2(3)
補助金等交付事業に係る
市内中小企業者への
優先発注に向けた
基本方針について」をお開きください。表紙をおめくりいただきまして、2ページ、資料1、市民意見募集、パブリックコメントの結果でございます。
初めに、「1 概要」でございますが、本市で行っている
市内中小企業者への
優先発注について、
補助金等交付事業におきましても取り組んでいくこととし、
優先発注に向けた
基本方針(案)を取りまとめました。
その上で、2にお示しした方法で案に対する御意見の募集を行いました。
その結果、3に記載してありますとおり、6通・12件の御意見をいただいたところでございます。
1枚おめくりいただき、「4 御意見の内容と対応」でございますが、御意見といたしましては、A区分の「御意見を踏まえ、案に反映させたもの」が5件、B区分の「案に沿った意見で、既に案に反映されているもの」が6件、E区分の「その他」として、質問が1件ございました。
下段の「5 具体的な意見の内容と市の考え方」をごらんいただきますと、次のページまでを含め、全部で4つの意見がございました。その中で、質問の№2について説明させていただきます。こちらはWTO(政府調達協定)対象に相当する案件については、民間事業者はWTO適用外のため、例外とはならないのではないかとの御意見でした。この御意見への本市の考え方につきましては、WTO対象に相当する案件は、本市発注においては地域区分を設定しないことから、本市に準じた措置を講ずる本制度においても
優先発注の例外として
取り扱いますが、補助事業者が民間事業者であることを考慮いたしますと、WTO対象に相当する案件であっても、補助事業者が発注する場合においては、
優先発注の規定を設けることを妨げるものではないというものでございます。こうしたWTOの考え方につきましては、
基本方針における説明が不足しており、わかりづらい部分があったことから、こうした市の考え方について
基本方針に明記させていただくことといたしましたので、御報告いたします。
その他の御意見に対する本市の考え方につきましては後ほどごらんください。