さて、早いもので、平成十四年度がスタートして二カ月を過ぎようとしております。市長は、この平成十四年度の市政を進めるに当たり、第一回定例会における施政方針において、一層混迷を深める時代状況の中、市民生活にかつてない不安と痛みが広がっているという認識のもと、この不安や痛みを我がものとして受けとめ、この試練の時代に市民と手を携えて果敢に挑むことを明確にされております。その具体的なあらわれとして、人件費に関して特別職のみならず、一般の管理職員の手当削減にまで踏み込んだわけでありますが、これは極めて異例であり、この重みを十分に受けとめた市長のリーダーシップが求められていると考えるところであります。
とりわけ
地域経済がこれほどに冷え込んでいる現在、状況に的確に対応した
財政運営の重要性は改めて指摘するまでもないところであります。その観点から、今回の
一般会計補正予算を見ますと、人件費の減額約六千万円に対し、
知的障害者やひきこもり
青少年等についての施策に七百万円、
産業経済施策に三千百万円、
補助事業を中心としたいわゆる公共事業に約十億七千万円であり、今年度の主要な事業については、当初予算で措置されているとはいえ、それでも十億円を超える補正規模になっているわけであります。
そこで、改めて数点について市長の見解をお伺いいたします。
まず、第一点は、四月からこの二カ月の
地域経済をどう認識しているかということであります。特に都心部においては、例えば映画館の閉館の予定が伝えられるなど大きな動きがあらわれてきておりますが、このような状況にどう対応されようとしているのか。今回の
産業経済に関する補正は、どちらかといえば長期的な視点に立った施策でありますが、より短期的な、いわば緊急措置的な対応も、また必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
第二点は、財源の確保についてであります。
現在の厳しい
産業経済環境の中にあって、事業に優先順位をつけ、施策にめり張りを持たせることは当然でありますが、その中で特に重要な事業については財源を確保し、一日も早い完成を目指すべきであると考えております。その意味から、長町地区の
土地区画整理事業や道路事業を初めとする
補助事業の補正につきましては、その御努力を高く評価するものであります。
しかしながら、財源の確保のため、さらに大事なのは、国と地方、県と市の的確な財源配分についてであります。この問題につきましては、これまでもさまざまな議論がなされてきたわけでありますが、先日は、国から地方への税源移譲について、総務大臣の試案が明らかにされたところであります。この試案を含め、国と地方の財源再配分についての市長の見解をお伺いいたします。
さらに、より身近でありながら、何とも理解できないのが県と市の財源をめぐる問題であります。もちろん本市が
指定都市であることから、制度的に他の市町村と異なるところがあることは理解いたしておりますが、私たちも県民税を払っているのにという率直な市民感情、これもまた極めて当然であります。私は、このような市民の方々の気持ち、あるいは疑問に対して明確な説明がなければ、結局は市政不信につながっていくのではないかと危惧するものであります。県と市の事務分担については、かつて本市が
指定都市に移行した際、明確な基準、考え方があったはずでありますが、今どうなっているのでありましょうか。県市協調という美名のもと、県の理不尽が一方的に押しつけられることを決して許してはならないと考えます。
現在、県市間の財源問題がどのようになっているのか、その現状と今後どのように対処するお考えなのか、市長の見解をお尋ねいたします。
第三点は、弾力的な
財政運営についてであります。
今回の
一般会計補正予算の財源のうち、
一般財源は約四億二千万円であり、これはすべて
財政調整基金からの繰り入れであります。貯金を取り崩してまでも事業の推進を図り、その結果、
地域経済に幾らかでもよい結果がもたらされることは大いに評価するところであります。
しかしながら、一方、平成十三年度の一般会計の繰越額は、明許繰越し、事故繰越し合わせて約二百一億円、財源の内訳では
一般財源が約五十二億円となっております。これらの繰り越しは、もちろんそれぞれの事情があることは十分承知いたしておりますが、それにいたしても、この厳しい
経済環境下において何とかならないのかというのが偽らざるところであります。
申し上げるまでもなく、この繰り越しは、本来であれば平成十三年度に支出され
地域経済に還元されていたはずであり、
マイナス成長という厳しい状況下において当初予算の五%にも当たる金額が翌年度に繰り越しされるのは、やはり改善すべきと考えます。とりわけ事故繰越しについては、事業の的確な進行管理を行うことにより圧縮が可能と考えますが、現状認識及び今後の対策について御所見をお伺いします。
今、地域の状況は、仕事をしたいのに仕事がない、働きたいのにだれも雇ってくれない、いつ職を失うかわからないという極めて憂慮すべき事態が好転の見込みのないまま続いております。
経済対策は、
経済担当部局や
財政担当部局のみではなく、市のすべての部門が我がこととして対応することによって総合的な力を発揮することができるものと考えます。今年度残り十カ月の危機感を持った対応を強く望みたいと思います。
次に、消防団に関連してお伺いします。
消防団は、
災害発生時、特に地震や風水害などの大規模災害時においては、
救助救出活動、避難誘導及び
災害防御活動など、消防団がそれぞれの地域に非常に明るいという特性を生かし、それが大きな力を発揮しています。また、
災害発生時のみならず、住民に対する
予防活動においても幅広い分野で活動しています。このように、日夜献身的に安全、安心な
地域社会を確保するために努力されている
消防団員が、誇りを持ってその職責を果たしていけるような環境を整備することが大変重要なことと考えます。
本市においては、従来から
消防団員の処遇改善や消防団の
施設整備の充実強化などに積極的な取り組みをしているところでありますが、
消防団活動の充実に向けて今後とも御努力されることを強く要望するところであります。
さて、一昨年十一月、政府の
地震調査委員会から、近い将来、宮城県沖地震が確実に再来するといった趣旨の長期評価が発表されました。これを受け、消防局においては宮城県
沖地震災害対応プロジェクトを設置し、その検討の中から消防団の分団組織に
地震防災部を新設したところでありますが、昭和五十三年宮城県沖地震の惨事を繰り返さないためには、その教訓を踏まえ、全庁的な取り組みと市民挙げての対応が、再来するであろう宮城県沖地震の被害を最小限にとどめる唯一の道であると確信するものであります。そうした意味で、地域に密着した消防団が
地震防災に関する活動を開始することは、まことに時宜を得たものであり、その活動に大いに期待しているところでもあります。
しかしながら、災害は市内一様ではないはずで、平野部と
沿岸地域とでは災害状況が違うのではないかと思われます。特に
沿岸地域では、津波による被害も懸念されます。事実、慶長十六年の大津波の際には、歴史が示すとおり、相当の被害が発生しております。このようなことから、災害に備えるための
消防団活動は、地域の特性に応じた対応が求められると思いますが、所見を伺います。
また、津波に対する対策は、津波を防ぐための
施設整備も必要ですが、最も重要なのは、迅速な情報提供による速やかな住民の避難行動であると考えます。本市では、平成十一年度から三年間にわたり
津波情報伝達システム整備調査を実施しましたが、その結果を踏まえて今後どのように取り組もうとしているのか伺います。
次に、本市では、従来から
津波予警報が発表されると、消防職員または地域の
消防団員が潮位の変化等を目視観測しているようですが、聞くところによると、過去に津波による被害を被った三陸海岸では、海岸線に
海面監視カメラや潮位・
津波観測装置を設置して自動的に津波発生の有無を観測しているようです。気象庁から
津波予警報が発表され、これから津波が来襲するおそれがあるにもかかわらず、職・団員を海岸線に出動させるというのは、今日の
情報通信技術の進展を踏まえていれば、いかにも時代おくれの感がします。そこで、いち早く津波を覚知するこのような観測機器の新たな設置について、御当局のお考えを伺います。
次に、今回の補正予算、ひきこもり
青少年等社会参加支援事業についてお尋ねいたします。
青少年の社会的ひきこもりが昨今問題となっております。その
青少年等を
社会活動に参加させ自立させることは、快適な
社会生活を保持、向上させるために重要なことであります。それには、過去にひきこもりの経験のある者が
自立支援ボランティアを行うということは、いろいろな意味において良好な結果を得ることができると考えます。
この事業では、ひきこもり経験者が運営に携わる
社会参加リハビリテーション事業やひきこもり経験者を
家庭訪問ヘルパーとして育成する
メンタルフレンド養成事業、社会に参加するための事業として
家庭訪問や猫の
手ヘルパーなどの事業が計画されており、循環型とでもいうようなシステムになっています。これらが軌道に乗ることにより、効率的な運営がなされていくものと推察いたします。
しかしながら、ひきこもりの青少年を段階的に
社会参加を促すにしても、散歩に連れ出し、あるいは
家庭訪問を行うなど、一般市民との簡易な交流を図ることが最も困難を伴う作業ではないのかと思うのであります。
国際的で非営利的な組織で有名な
デルタ協会という団体があります。主に人の健康、独立心、生活の質の向上の手助けをする動物の育成団体です。この団体から、
動物介在活動が
精神的疾患を持っている人や自尊心の低い人が自分の殻に閉じこもっているときに有効であり、動物と接することによって殻の外に飛び出すことができるとの報告がありました。国内でも、
各種精神的疾患等の症状軽減や不登校児の
社会参加支援のため
動物介在活動が行われている例もあります。ひきこもり
青少年等社会参加支援事業に対して
動物介在活動を有効利用すべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。
さて、この
動物介在活動、アニマル・アシステッド・アクティビティ、AAAについて数点伺います。
人と動物が触れ合うことによって現代の人間の奥深くにしまい込まれている心の豊かさを呼び起こすように、癒し、優しさ、安らぎ、そして命を慈しむ気持ちが自然にあらわれてくるということを、
デルタ協会や精神科医、教育者等いろいろな専門分野の方々と同様に、多くの市民も感じとっているところであります。
医療的に動物が人にもたらす効果は三つあると言われています。その一つに、社会性の改善があります。例えば、動物の話題をきっかけに会話を楽しむことができます。二つ目に、
精神的作用があります。
動物たちは、人間に自立心、安堵感などをもたらし、ストレスや孤独感を癒してくれます。
波及効果として、介護者、保護者の負担を軽減するという報告もあります。三つ目に、生理的、
身体機能的作用があります。ペットを飼っている人は、飼っていない人よりも
収縮期血圧や
血清中性脂肪が低いと研究結果もありますし、動物を世話している高齢者は、世話をしていない高齢者より言葉を話すことが多くなっていると言われています。特に
老人ホームにおいての動物との触れ合いによる効果と申しますと、痴呆の進行を食いとめる、ホームに笑い声や笑顔を取り戻せる、寝たきりを少なくできる、少しでも身体の老化を防げるなどがあります。これら
精神的作用や社会性の維持改善、生理・
身体的機能の
低下防止効果を得ようと、施設への
ボランティア活動を受け入れ、
動物介在活動を実際に行っていたり、導入を考えているところがふえていると聞いています。
既に本市でも、
特別養護老人ホームで大型犬を屋内で飼っていたり、動物を連れての訪問を受け入れている施設もあります。導入により、痴呆や寝たきりの減少の効果があらわれれば、
老人医療費の削減や介護者の労働軽減につながるのではないでしょうか。
私が、昨年度第一回定例会で質問いたしてから、仙台市と
社団法人仙台市獣医師会が共催した
ボランティア研修の一環で行われた
特別養護老人ホームでの
動物介在活動がありました。視察いたしましたところ、お年寄りの表情が変わったり、犬や猫に触ろうと喜んでみずからが手や足を動かす自発的な運動を行っているところを目の当たりにし、効果は確実なものと実感いたしたところであります。この視察の際に、
動物介在活動でも
動物介在療法でも、ともに人と動物との
共同作業であり、そこに
動物愛護の精神がなくては、今回のようなよい結果が生まれないと痛感いたしました。
そこで、まず、市民の健康と
動物愛護の双方を所管する
健康福祉局として、
動物介在活動は市民の
ボランティア活動として取り組まれるものであるとの見解を以前から伺っておりましたが、
動物介在活動や
動物介在療法について基本的にどのように考えているかお伺いいたします。
また、
動物介在活動という市民の
ボランティア活動を全市的に取り組むためには、
ボランティアを積極的に養成し、大幅にふやす必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
また、
動物介在活動で主に使用されている犬は、
陽性反応強化法でしつけされていなければならないのですが、同じ方法でしつけされているものに盲導犬があります。仙台には、
日本盲導犬協会の
訓練施設があるのは御存じのとおりでありますが、
盲導犬協会には、盲導犬にはなれなかったが、しつけの行き届いた家庭犬として市民に譲渡する犬もいると聞いております。これらの犬は、優良な家庭犬として飼われ続けるのもよいでしょうが、
動物介在活動には実に適した犬のはずです。
動物介在活動に活用できないものでしょうか。せっかくのしつけに費やした労力、資源を余すことなく社会に還元するためにも、また、市民が
ボランティア活動へ参加する意欲をはぐくむためにも、さらには、仙台市が助成している
訓練施設の有効活用のためにも有用であると考えますが、当局の所見を伺います。
さらに、
盲導犬協会に対し、協力、協調の働きかけを行っていく考えがあるのかどうかをお尋ねいたします。
また、
子供たちへの
教育関係でも、健常児への活動として、動物とのかかわりが
子供たちや若者に道徳的、精神的、人格的な成長を促すことが認められることから、アニマル・アシステッド・エデュケーション、AAE、
動物介在教育として、
教育関係でも取り入れられ始めております。
教育関係での活用の一例として、ポニーを使用し、不登校児の
社会復帰に役立てている
文部省認可の
財団法人ハーモニーセンターがあります。東北でも八戸市が動物との学校における
触れ合い活動として一部導入を始めております。この
動物介在教育も、基本的な考え方や
実施方法等は
動物介在活動と同様と考えます。人と動物との相互作用を研究する世界的な学会でも
動物介在教育の重要性を認めており、二〇〇一年九月に
実施マニュアルが宣言されております。
マニュアルの中で実施方法の一つとして、ペットが
飼い主同伴で訪問するものも認められており、この方法は
動物介在活動そのものではないでしょうか。
現在、健康福祉の立場から、
動物介在活動を育成している
健康福祉局と連携をとることにより実践可能なところから始めることができると思うのであります。教育長の所見をお伺いいたします。
多くの市民がペットに安らぎや潤いを求めており、高齢者の福祉や
子供たちの教育や社会化に役立つものと市民は認めていると考えられます。しかし、動物とのかかわりから何かよい結果を得ようとする動きは、医療や
高齢者福祉の分野のみならず、心身障害、教育、そして今回御提案のような社会的な機能の改善等多くの分野で取り上げられておりますが、それぞれに単独で行われる現状と推察いたしております。相互の連携をとりながら
ボランティア活動を行うことは、効率的で大きな
波及効果が生じてくるものと考えます。
例えば
老人ホームで活動している犬と飼い主が地元の学校で
動物介在教育の
ボランティアを行うことにより、住民、高齢者、教職員、
子供たちと地域のコミュニティーが犬や猫などを介して自然に形成されるのではないでしょうか。ひきこもりの青少年に対しても、ひきこもり経験者の
ボランティアが中心となった活動に、そこに自然な形で動物を連れた
地域住民が参画することにより、
共同作業や地域の
コミュニケーションが生まれ、大きな効果が得られるのではないでしょうか。地域の
コミュニケーションが希薄になったと言われる現在、
地域コミュニケーションの再構築のためにも、市民の安らぎと健康を守るためにも、
動物介在活動を仙台市として積極的に活用することを考える時期ではないでしょうか。
今回提案されているひきこもり
青少年等社会参加支援事業に対しては、その効果をより高めるために、ひきこもり経験者の
事業参加をもとに、その活動に対するサポーターとして、
地域住民の
動物介在活動ボランティア等に対し、可能な範囲において協力を求め、交流を図り、しいては地域全体の支援を求めていくような方向性で事業を推進する必要があるのではないでしょうか。市長の見解をお伺いいたします。
次に、繰越事業、ため池、河川改修に関連して、広瀬川の
生態系保全についてお伺いいたします。
広瀬川は、杜の都仙台の中心部を貫流し、本市の象徴として親しまれ、その清流は市民共有の財産であるとの認識から、本市は広瀬川の清流を守る条例を制定し、河岸の自然環境はもとより、流水の水質、そして清流の象徴であるアユやカジカガエルが住む清流を守っていこうと、市民、行政が一丸となって取り組み、現在もなお良好な環境を維持してきたことは、市民の一人として誇りに思うのであります。しかし、広瀬川の表面上の美しさばかりに目を奪われて、川の中の変化、特に生き物については我々は余り気がついていないのではないでしょうか。
先日も、
郡山堰付近でのアユ等の魚類の大量死が報道されておりましたが、関係機関が水利権を調整して生態系へ配慮した水量を確保しようとする姿勢が全くないということが浮き彫りになったのではないかと感じております。
さらに、以前から広瀬川の生態系については、古くから親しんでいる市民、特に
釣り愛好家からは、生態系が変わってきているのではないか、特に最近は、
ブラックバスによって広瀬川の生態系が乱されてしまうのではないかという危機感が伝わってくるのであります。
そのようなことから、本市のシンボルである広瀬川の生態系を守るという観点からお伺いします。
まず、広瀬川の生態系を考える上で重要なポイントとして、河川の流量の問題があります。河川には生態系が維持できる適正な流量が確保されなければなりませんが、先般の
郡山堰付近の魚類の大量死においても、さまざまな用途に広瀬川の水が利用され、一部の区間で渇水状態になってしまったということが原因と伝えられております。このようなことが二度と起こらないように水量を確保するために、本市としてどのように対応していくのか、お伺いいたします。
また、生態系を守る上でのもう一つのポイントとして、
ブラックバスの脅威が挙げられております。これまでの調査結果や専門家の話では、
名取川合流点や霊屋橋など限定された場所において
ブラックバスが捕獲されており、また下流の一部では生息しているという話もあります。今後、このような現象が増加していくことが危惧されますが、
ブラックバスを含めて広瀬川の生態系がどのようになっているのか、継続的に把握する必要があると考えます。継続的な調査によって生態系の異変に早く気づき、生態系が乱されないよう事前に対策を講ずることができ、ひいては広瀬川の良好な生態系を維持することにつながるのではないかと考えます。
さらに、このような取り組みには、広瀬川を愛し親しんでいる市民、
地域住民やNPOの力を活用することを提案いたしたいと存じます。行政の行った調査と市民の実感とが異なることがよくあります。そのようなことから、調査においてはもちろん専門的な知見をベースにしながら、広瀬川にさまざまな形でかかわっている
環境保全グループや釣りの愛好団体などにも参加してもらうことが、広瀬川を守る
市民活動を促すよい機会ともなるのではないかと考えます。広瀬川の生態系の継続的な調査と、その際のNPO等の参加について、当局はどのように考えているのか、御所見を伺います。
また現在、検討が進められている広瀬川創生プランの中でも、広瀬川の生態系に着目した検討がなされるべきと考えますが、当局の御見解を伺います。
魚類の専門家は、広瀬川の
ブラックバスについて、広瀬川につながっているため池や小河川が問題であると指摘しております。
ブラックバスの特性から、どちらかというと、流れのないため池等が最大の
生息地域となっていますが、ここでの生息数の増加が広瀬川に影響してくるということです。そのような意味から、流域のため池における
ブラックバス対策が必要と考えられます。
ため池は、農業用水の確保ということを基本として管理されていますが、地域のさまざまな生物をはぐくむ、まさにビオトープともなっております。そのようなことから、ため池の管理に当たっては、その多面的な機能にも配慮することが必要であろうと思います。
また、このため池から広瀬川に通ずる小河川における対策も重要であります。
国土交通省では、河川法の改正により、法の従来の目的に河川環境の保全と整備を位置づけ、河川の整備においては、生物の多様性に配慮し、多自然型の川づくりを進めるとともに、
外来種対策として、河川における
外来種対策に向けて(案)というガイドラインを取りまとめ、河川管理の面からも
ブラックバス対策を進めようとしています。このようなことからも、本市の河川行政においても、このような視点が必要となると思います。
このように、広瀬川の
ブラックバス問題は、実にため池から小河川、そして
広瀬川本流と連続した流れの中で行われなければなりません。広瀬川の生態系を保全し、将来の世代に清流を引き継いでいただくためには、この
ブラックバス一つとってもさまざまな部局がかかわっており、その連携は重要であります。広瀬川の清流を守る条例においては、第二条で、市長は、あらゆる施策を講じ、広瀬川の清流を守らなければならないとうたっています。市長は、この
ブラックバスの脅威から広瀬川を守るため、さまざまな部局がそれぞれの所管する事業の中で
ブラックバス対策を検討し、また、連携していくような指導力を発揮すべきと思いますが、市長の御所見をお伺いします。
以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
7: ◯市長(藤井黎)岡部議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、四月からこの二カ月間の
地域経済をどう認識いたしているかと、こういうお尋ねでございますけれども、依然として厳しい状況にはございますものの、一部の業種におきましては好転の兆しもわずかではございますけれどもあらわれてきております。
また、市内の事業所への私どものヒアリング調査におきましては、景気回復への期待感も徐々にではございますけれども高まりつつあると、こう受けとめておるところでございます。
次に、短期的な経済支援策についてでございますが、本市独自の経済活性化、雇用対策を確立することが市民の安心、安全の確保につながると、こういう認識に立ちまして予算編成を行ったわけでございますけれども、経済の支援策といたしましては、中小企業の切実な資金ニーズに積極的にこたえるために、制度融資枠の大幅な拡大、あるいは小規模事業者向けの融資の貸付限度額の引き上げだとか、また、創業を目指す起業家への融資制度の創設を行ったほかに、中小企業に携わる方々の多様な、そして多種なニーズに細かく対応していくと、こういう目的でもって中小企業支援センターにおきまして、中小企業の経営を支援するためのさまざまな施策を講じてまいっております。
さらに、本市発注工事の地元企業への一層の受注拡大を図るために、格付け方法の見直しなど、制度的に踏み込んだ改正を実施いたしたところでもございます。今後とも、経済状況の推移に留意しながら、適時適切な対応に努めてまいりたいと考えます。
次は、国と地方の財源配分についての御質問でございますけれども、地方分権の推進に応じて、住民サービスの主体でございます地方自治体が、より自主的、自立的な行
財政運営を推進していくためには、国から地方への税財源の移譲によりまして財政基盤を充実強化すると、このことがやはり大前提にならなければならないというふうに考えます。
しかし、現実には、地方分権法が施行された後の今日におきましてさえも、国と地方の租税配分が依然として国三対して地方が二と、こういう割合を崩しておらないという状況にございます。今回の片山総務大臣の試案は、そういう意味において、地方における歳入体系を地方税中心のものとするために、その配分割合を当面一対一にしようと、こういう試案でございまして、これは、私どもが毎年政令
指定都市共通の、いわゆる青本要望という形で求めてきた内容と全く同じことでございまして、速やかな実現が望まれるところでございます。
次は、最後の方にございました、広瀬川創生プランについてでございますが、現在策定中の広瀬川創生プランの目的とするところは、市民の誇りでございます、広瀬川の後世へ引き継ぐべき貴重な財産であるという再認識、そしてまた、広瀬川を将来にわたって保全していくとともに新たな魅力を想像しようと、こういう目的を持つものでございます。この創生プランの作成に当たりましては、御指摘にもありましたように、
生態系保全に鋭意留意しながら、その観点を十分に取り込んで、NPOを初めとする広範な市民参加のもとに取り組んでまいる所存でございます。
そのほかにつきましては、関係の局長から答弁させたいと思います。
以上でございます。
8: ◯財政局長(佐々木謙)まず、宮城県との財源配分の問題でございますけれども、宮城県が県民を対象に独自に実施する事業の一部において、私ども県税納税者として不可解で、かつ納得のできない取り扱いが、福祉、環境、教育分野などに存在しております。
本市の政令市への移行の際、県から市への事務移譲の問題がございまして、その際、新しい県と市の役割分担について合意されておりますけれども、現在問題になっております措置が、いわば仙台市民が対象から外されると、この理由が単に政令
指定都市の住民であることであるとするならば、それは政令
指定都市制度の趣旨を誤解する極めて不合理な対応であるというふうに考えておりまして、今後とも、その是正について十分な理解を求めてまいりたいと考えております。
次に、繰り越しについてでございますが、平成十三年度予算の繰り越しにつきましては、国の補正予算に対応した事業費の追加を年度末に行いましたけれども、総額では前年度より約一割減少と改善いたしております。いろいろ努力しているわけでございますが、事業の年度内完了が基本でございまして、繰越額の圧縮に向けて一層の努力が必要であることも事実でございます。そのため、工事の早期発注など執行管理の適正化について改めて庁内に周知をしたところでございまして、引き続き、繰越額の縮減に向けて関係局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
9: ◯
健康福祉局長(櫻井正孝)ひきこもり
青少年等社会参加支援事業に関連する幾つかの御質問にお答え申し上げます。
まず、この事業における
動物介在活動の活用についてでございますけれども、お尋ねのように、ひきこもりの原因や本人のそのときの状態によりましては、
動物介在活動が極めて有効な場面もあるものと私どもも考えております。この事業におきましては、柔らかな人間関係に触れる機会として、野外活動でございますとか、施設
ボランティア活動も予定しておりまして、こうした活動の中での
動物介在活動の活用につきまして、実施法人あるいは関係団体とも連携を図りながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、
動物介在活動や
動物介在療法への基本的な考えについてでございますけれども、人と動物が触れ合うことによりまして、人の精神あるいは肉体に有用な作用を引き出すものとして近年各地で実践されるなど、着実に広がりを見せておるものと認識いたしております。
こうした活動は、基本的には、市民や獣医師会等関係団体が中心となった
ボランティア活動として行われておりまして、私どもといたしましては、今後ともこれらの活動を支えていくという立場から、市民の理解を深める啓発活動でございますとか、何よりも
ボランティアの育成等に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、
動物介在活動ボランティアの養成に関するお尋ねでございますけれども、これまでもセミナーでございますとか、あるいはしつけ教室などを通しまして、その養成に努めてまいったわけですが、その中で、既に二十名程度からなる
ボランティアの会が立ち上がっておるところでございますし、こうした活動に興味をお持ちになっておられる方も、私どもが把握しているだけでも二百名程度いらっしゃいます。
動物介在活動が全市的にさまざまな場面で実施されるためには数多くの
ボランティアが必要となることから、今後とも獣医師会等の関係機関の協力をいただきながら、計画的な
ボランティア養成のための研修あるいは講座の拡充に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、盲導犬にならなかった訓練犬の活用についてでございます。
御案内のように、盲導犬訓練を受けた犬のうち、実際に盲導犬となれるのは少数でございまして、これ以外の訓練犬は協会が募集いたしました里親に引きとられているということになります。里親となりますためには、室内で飼育できること、あるいはその御家庭が留守がちでないことなど、そういった条件を満たす必要がございますけれども、
動物介在活動ボランティアの方々はこういう条件は満たしてございますので、引きとっていただくことにつきましては
訓練施設側も積極的でございます。
動物介在活動の拡充の観点からも、今後、
日本盲導犬協会と協議をいたしてまいりたいというふうに考えてございます。
ひきこもり
青少年等社会参加支援事業における地域の支援に関するお尋ねでございます。
ひきこもりの青少年などが
社会参加を果たしていくには、ほとんどの場合、
地域社会における一つの出会いなどを通じまして、柔らかな人間関係の中で、多くの感動でありますとか共感でありますとか、そういうものを得ながら、御自身の存在自体を肯定的にしていく体験を積み重ねていくということが必要であろうというふうに考えております。そういう意味で、
地域住民との交流を基本とした事業推進の方向性を大事にいたしながら、事業展開を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
10: ◯環境局長(佐藤孝一)広瀬川の
生態系保全についての御質問にお答えいたします。
広瀬川の水量の確保についての御質問でございますが、広瀬川の水は、上水、工業用水、農業用水など、さまざまに利用されているところでございます。しかし、近年、年によりましては、河川の流量が利用する水量を下回り、郡山堰下流が渇水状態となるため、魚類等の生息が脅かされる状況となることがございます。
本市といたしましては、広瀬川の生態系を良好な状況に保つため、名取川水系渇水情報連絡会を通しまして、河川管理者や利水者に取水量の調整や他河川からの導水等の対策により、一定流量を確保するよう要請していく所存でございます。
次に、広瀬川の生態系の調査についての御質問でございますが、現在、市内の自然環境に関する調査を平成十三年度から三カ年計画で進めているところでございます。この調査の中で、
ブラックバスの生息実態を含めました広瀬川の生態系を把握してまいりたいと考えております。
また、豊富な御経験と貴重な知見をお持ちのNPOの方々の調査への参加についてでございますが、議員御指摘のとおり、
市民活動を促進するよい機会でもございますので、幅広い御参加と御協力をいただきながら、今後の調査を進めてまいりたいと考えております。
最後は、
ブラックバス対策と庁内部局の連携についての御質問でございますが、杜の都仙台のシンボルであります広瀬川は、豊かな耕土を支えるとともに、幾多の文化と歴史をはぐくんできた仙台市民共有の財産でございます。この広瀬川の清流を良好なまま将来の世代に引き継いでいくことが我々の使命であると強く認識しているところでございます。
したがいまして、今後とも、庁内はもとより、外部の関係機関とも連携を密にしながら、
ブラックバスの問題を初めとする広瀬川の生態系にかかる課題の解決に向け努力してまいる所存でございます。
以上でございます。
11: ◯消防局長(山内伸一)消防防災に関する三点の御質問にお答え申し上げます。
まず、地域の特殊性に応じた
消防団活動についてでありますが、御指摘のとおり、地震は、その規模、それから震源領域等により、例えば人口密度の高い市街地では救助救急事案等の多発、沿岸部では津波災害の発生など、地域によって災害の形が大きく変わってくることもあります。そのため、それぞれの地域の環境に応じた防災対策が重要であると考えております。
このようなことから、これまでも地域性を考慮した資機材の整備などに努めてまいりましたが、今後とも、地域特性を十分に組み込んだ災害想定のもとでの訓練を積み重ねるなど、十分な備えをしてまいりたいと考えております。
次に、これまでの
津波情報伝達システム整備調査を踏まえた今後の取り組みについてでございますが、この調査研究の結果を踏まえまして、防災行政用無線を用いた屋外拡声装置による津波情報伝達システムを導入することといたし、平成十四年度は、そのシステム設計に必要な伝搬調査を行った後、実施設計業務を行う予定でございます。その後、このシステムの早期実現に向け努力してまいります。
次に、津波観測機器の新設についての御提案でございますけれども、海面監視を自動化することにより迅速な情報が得られ、防災関係機関や
地域住民への速やかな津波情報の伝達が可能となります。
しかしながら、有効に対応できるシステムの選択や、国、県、他の自治体との役割分担など検討の必要な課題が多いことから、今後、多面的な視点で研究をしてまいりたいと、そのように考えてございます。
以上でございます。
12: ◯教育長(阿部芳吉)
動物介在教育についての御質問にお答え申し上げます。
市内の各校におきましては、これまでも
子供たちに豊かな人間性あるいは生きる力をはぐくんでいくという観点から、生活科や総合的な学習の時間等で、動物等との触れ合いを題材といたしました体験学習を進めているところでございます。教育委員会といたしましても、今年度から獣医師会と連携いたしまして、小学校二校をモデル校として、動物ふれあい教室等のあり方について調査研究を進めることといたしておりまして、これらを通して動物介在教室の有効性や課題等について検証作業を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
13: ◯議長(
村上隆志)これにて代表質疑を終結いたします。
────────○────────
日程第三 一般質問
14: ◯議長(
村上隆志)日程第三 一般質問を行います。
そこで、質問のその一は、附置義務条例に基づいて設置されている民間の駐輪場の利用率が低いのではないかと思われますが、お示し願います。
あわせて、自転車等誘導啓発事業についてですが、ことし三月末より仙台駅に地下駐輪場も供用開始していることもありまして、今年度も継続して誘導事業を行っていると伺っておりますが、広報業務をつけ加えることや女性の雇用により、優しく誘導するなどの工夫があってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。それでも放置がなくならない地域に限って、一定期間毎日撤去作業を行うなども有効かと思いますが、お伺いいたします。
その二は、JR駅周辺の駐輪場整備の際に、JRに対し応分の負担を求めてはいかがなものかという提言でございます。
去ることし一月に、東京都豊島区が地方税法第七百三十一条に基づく新たな法定外目的税仮称放置自転車等対策税の導入検討を発表し、全国的に注目を集めたことは記憶に新しいところであります。昭和五十五年に制定された自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、通称自転車法が平成五年に一部改正され、改正自転車法として現在に至っているわけですが、改正の概要は、鉄道利用者が駅までの交通手段として乗ってくる自転車であるならば、鉄道事業者が駐輪対策の責任を負うべきというものであり、地方公共団体が鉄道の駅周辺に自転車等駐輪場を設置する際に協力を求められたときは、積極的に協力しなければならないというものであります。自治体と鉄道事業者が協力して放置自転車対策をやっていくという趣旨であり、経費の一部を負担していただくというように理解すべきと思われます。本市でも、今後、JR南仙台駅東口等に駐輪場の建設を進めることとしておりますが、このことに関して、これまでJRとの協議はどう行われ、どういう形で協力をいただいてこられたのか、また、今後整備していく上での考え方をお伺いいたします。
その三は、自転車の高度利用と利用環境整備についてであります。
冒頭申し上げましたが、自転車を公共交通を補う近距離都市交通として位置づけられる重要な交通手段として考えるならば、放置自転車問題を環境美化問題ではなく、都市交通問題としてとらえて対応していくという発想が必要になってくるのではないでしょうか。
国土交通省で都市における自転車の利用促進を広範に推進していくため、利用環境整備に関するガイドラインを策定中と聞いておりますが、国のガイドラインができるのを待つという姿勢ではなく、地球温暖化防止にもつながるわけですから、本市の実情にあった自転車利用環境整備計画といったものの策定に向けた事前の準備を早急に行う時期ではないのかと考えるわけですが、前向きな取り組みを要望し、御所見をお伺いいたします。
第三点目は、泉サッカー場の有効活用についてであります。
いよいよサッカーの世界大会二〇〇二FIFAワールドカップが始まりますが、藤井市長を初めとする当局の皆さんの御努力、当局と議会の連係プレー、そして、市民
ボランティアの皆さんの御努力が実を結び、既に青の軍団イタリア代表チームが大会に備えて泉区に滞在し、仙台スタジアム、シェルコム仙台、泉サッカー場で練習を行っているところですが、いずれの施設についても、イタリア代表チームの感触はベストに近いものとなっており、仙台市民として喜ばしい限りであります。日本チームはもちろんですが、イタリアチームが決勝トーナメントにぜひ勝ち進むことを祈りたいと思っております。
さて、シェルコム仙台の北側に整備しました泉サッカー場について、六月二十九日オープンと聞いております。一般市民の利用については、あす六月一日の市政だよりに掲載されると伺っておりますが、以降の活用についてお伺いいたします。
市政だよりには掲載されていないようですが、聞くところによれば、平日はベガルタ仙台に専用の練習場として使用させ、土曜、日曜、祝日に限って一般使用としたいとのお考えのようですが、これは事実なのでしょうか。
私は、泉サッカー場であれば、地下鉄泉中央駅からも比較的近く、ベガルタファンがいつでも練習を間近で見られ、
子供たちのサッカー指導などもやりやすいことから、市民との交流も従来以上に盛んにできるものと思いますので、さらに地域と密着した地元のプロチームとして成長が期待されます。したがいまして、宮城県民、仙台市民の期待を担って活躍を続けているベガルタ仙台に対して、本市が練習環境を提供していくことに反対はいたしませんが、活用の仕方について工夫が必要なのではないでしょうか。あくまでも、その考え方に賛同するものであります。
例えば、芝のグラウンドが二・五面あるわけですので、そのうち一・五面は一般使用にするとか、夜間照明をつけて平日の夜も開放するとか有効活用の方法があると思いますし、何よりもベガルタ仙台の使用についてPRを行って、市民の皆さんに理解を得ることが必要と考えておりますので、どのようにPRを行うこととしているのか、お伺いいたします。
第四点目は、仙台スタジアムの環境整備についてであります。
ことしからJ1に昇格したベガルタ仙台は、現在リーグ戦の成績が六勝一敗で第三位と高位置にいることもあって、仙台スタジアムのホームゲームではほぼ満員に近い状態が続いております。去る四月十八日には、ベガルタ仙台の支援、試合運営等にかかわる市民
ボランティア活動への支援などを行うことを目的に、ベガルタ仙台ホームタウン協議会が発足するなど、熱狂的な市民サポーターとともにチームを支える環境も整ってまいりました。
しかしながら、私は、以前からスタジアムの環境で不安を持っておりました。それといいますのは、泉中央駅から仙台スタジアムの間の市道がホームゲームの際に非常に混雑することから、交通事故等でけが人が出るのではないかということであります。泉中央駅からのペデストリアンデッキの延長について、私はスタジアムがオープンして間もなく、当時構想としてありましたので、整備すべきではないかという提言をさせていただき、その後も関連の質問を行ってまいっております。
残念ながら、費用対効果の問題等から、いまだ整備には至っておりませんが、これならば実現可能ではないかという提言をさせていただきたいと思います。それは、泉中央駅前のペデストリアンデッキ南の泉ケ岳通りからスタジアム正面入り口に通じる市道の車道部分をベガルタのチームカラー色に舗装がえをしてベガルタロードと命名してはいかがなのか提案させていただきたいと思います。他県から応援に来られた方も、この通りをまっすぐ行けばベガルタ仙台のホームスタジアムなんだというふうに思われるのではないでしょうか。
なおかつ、可能であるならば、交通規制を行い、時間帯で一部の車両を除いて通行禁止とするなどすれば、観客の交通安全確保にも結びつくものと思うわけです。時期とすれば、やはりワールドカップ終了後の早い時期に整備することで、さらに市民の機運が盛り上がり、ファンの数もふえ、一つでもチームの勝利がふえることが期待されるのではないでしょうか。さらには、そのことが
地域経済の活性化に貢献することにもなるものと確信するわけですが、当局での所見をお伺いし、私の質問を終わりにします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
23: ◯市長(藤井黎)日下議員の御質問にお答えいたします。
私からは、低公害車の普及啓発に関してお答え申し上げたいと存じます。
今日、地球環境の問題、これは人類の存亡にかかる大きな問題でございまして、グローバルな規模において大きな課題になっております。本市といたしましても、早くからこの問題に取り組んでおりまして、具体的には、地球温暖化の対策推進計画、これを既に策定いたしておりますし、また、その後の状況の変化に応じまして、先般、この改定を行ったところでございます。御指摘の低公害車の導入、これもその対策の具体的な事業の一つではございますけれども、これに関しては、何よりもまずユーザーの理解ということが一番入り口での問題になろうかと思います。
そうしたことから、この啓発という問題は、確かに、おっしゃるように対策推進の第一のステップになろうかと思います。さまざまな機会をとらえまして、ユーザーに当たります市民、事業者、こうした方々に対しまして説得力のあるPRをほかの対策と一緒に続けて、その理解の定着を図ってまいりたい。そのことがいずれ低公害車の導入と、その普及につながるものであろうというふうに考えるからでございます。
そのほかの御質問に関しましては、交通事業管理者並びに関係の局長から答弁させたいと思います。
以上でございます。
24: ◯総務局長(加藤建次)低公害車の普及に関係いたしまして、三役用の車の低公害車への切りかえについてのお尋ねでございますけれども、今年度は、助役車一台を低公害車に更新する予定でございます。また、市長車につきましても、できるだけ早い時期に切りかえてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
25: ◯環境局長(佐藤孝一)低公害車の普及について御答弁申し上げます。
低公害車の保有状況についてでございますが、平成十三年度末の本市の公用車の保有台数は二千三百九十六台となっており、そのうち低公害車の台数は、天然ガス自動車が三十八台、ハイブリット自動車が十七台、電気自動車が三台と合計で五十八台となっております。また、アイドリングストップバスや低排出ガス認定自動車等の低公害型車両は六百二十一台であり、合計で六百七十九台となりまして、割合で申しますと二八・三%となっております。
平成十四年度の低公害車の導入予定についてでございますが、路線バス四台を初めといたしまして、二十六台の天然ガス自動車とハイブリット自動車一台の計二十七台を導入する予定でございます。
運送用大型車等のCNG化推進についてでございますが、御指摘のとおり、今年度卸町の仙台トラック事業協同組合の敷地内にCNGの充てん設備が整備されることになっております。トラック事業者等を中心としてCNG化が一層進むものと期待いたしております。
本市といたしましては、今後とも県自動車交通対策推進協議会等の場など、さまざまな機会をとらえて、トラック協会を初めとする関係団体等にCNG化の推進を図るよう働きかけを行ってまいりたいと考えております。
最後に、エコドライブ運動推進部会の活動概要についてでございますが、同部会は、環境に優しい車社会の形成を目的に、関係機関との連携のもと、低公害車の普及やアイドリングストップの推進、公共交通機関や自転車の利用等についてパンフレット等の配布やイベントの開催、ラジオ、テレビ等の情報媒体を通した普及啓発に取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
26: ◯都市整備局長(谷澤晋)自転車利用の促進に向けた取り組みについての御質問にお答え申し上げます。
このことにつきましては、現況の道路状況等から難しい課題もございまして、庁内でも論議が重ねられてきたところでございますけれども、本年度は、仙台都市総合研究機構に依頼いたしまして、アンケート調査による市民意向の把握などを行うこととしております。
この調査結果や現在国において策定が進められておりますガイドラインを踏まえまして、今後、計画の検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
27: ◯建設局長(加藤秀兵)私からは、自転車等利用環境の整備についての数点についてお答え申し上げます。
初めに、民間駐輪場の利用率についての御質問でございますけれども、平成十四年三月末現在の附置義務によりまして設定されました民間自転車等駐車場については二百二十四カ所ございまして、収容台数は一万八千五百四十台となっております。
また、平成十三年度の調査での利用率でございますけれども、都心では七三・九%、全体では六四・三%となっておりまして、市営駐輪場と比較いたしますと、利用率はちょっと低くなっております。
次に、自転車等誘導啓発事業についての御質問でございますけれども、本事業は昨年度から実施しておりまして、既に自転車等駐輪場への誘導と合わせまして、放置防止呼びかけのチラシの配布を行っており、また、今年度からは広報車による広報活動も新たに実施しております。その中で、今年度は作業員十名のうち女性は三名従事しておりまして、議員御指摘のとおり、その女性による効果というものも見極めながら、女性の採用の拡大について検討させてもらえればと、こういうふうに思っております。
また、放置がなくならない地域に限って一定期間毎日撤去を行ってはという御提案でございますけれども、これまでも放置自転車等の撤去を行う時間帯や回数などについて工夫を凝らしまして、違法駐輪の防止に努めてきたところでございます。さらに、効果的な方法等についても、議員の御提案を受けながら検討してまいりたいと思っております。
鉄道事業者との連携による駐輪場整備についての御質問でございますが、改正自転車法では、鉄道事業者は地方公共団体との協力体制整備への努力義務と、それから、自転車等駐車場の設置に対する鉄道用地の譲渡や貸し付け等について積極的に協力しなければならないと、このようにうたわれているところでございます。
この趣旨を受けまして、これまでも自転車等駐輪場の設置に当たりましては、その都度協力について協議を進めてきたところでございますけれども、今回、南仙台駅自転車駐輪場の改築に当たりましても、協議の中で工事期間中の代替施設用地や作業用地の貸し付けなどの協力をいただいたところでございます。
なお、ただいま申し上げましたように、現行法のもとでは、JRからの協力というものが限界があるものでございまして、今後、鉄道駅に自転車等駐輪場を整備することにより受益を受けます鉄道社に対して、何らかの負担を求めるべきだと私どもは考えております。
この件については、各自治体と足並みをそろえまして、全国自転車問題自治体連絡協議会等を通じまして関係機関への働きかけを続けてまいりたいと、このように思っております。
以上でございます。
28: ◯泉区長(高橋哲彌)仙台スタジアム周辺の環境整備についての御提案でございますけれども、車道のカラー舗装化と道路の愛称につきましては、地元の関係する団体や関係機関の御意見をいただきながら検討してまいりたいと考えております。
また、交通規制につきましては、既に泉警察署におきまして、特に混雑する試合終了後の一定時間におきまして車両の進入禁止等の措置を行いまして、観客の交通安全に努めておるところでございます。
以上でございます。
29: ◯教育長(阿部芳吉)泉サッカー場の有効活用についての御質問にお答え申し上げます。
泉サッカー場は、あくまでも市民利用施設でございますが、施設の性格上、平日の利用率が比較的低いものと見込まれてございまして、ベガルタ仙台には安定した練習環境を提供するという意味から、週の平日のうち三日程度、二・五面あるコートのうち一面を有料で通年使用させることといたしたところでございます。
また、ベガルタ仙台の練習等に関する広報についてでございますが、ベガルダ仙台を多くの市民で支えていくためには必要なことと存じますので、株式会社東北ハンドレッドと連携しながらスポーツ振興事業団の広報紙等を通じた情報提供を行うなどによりまして対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
30: ◯交通事業管理者(中尾忠昭)オムニバスタウンの指定によりまして、CNGバスの導入にどのようなメリットがあるのかという御質問でございますが、オムニバスタウン計画の施策項目としまして、CNGバスの導入が盛り込まれましたことによりまして、一つは、国庫補助金の算定方式が変更されまして、補助金が今までと比べまして増額となること。それからもう一点は、補助額が拡大されるということで量がふえると、そういうメリットでございます。
31: ◯議長(
村上隆志)この際、暫時休憩いたします。
午後二時五十九分休憩
────────○────────
午後三時二十三分開議
32: ◯議長(
村上隆志)休憩前に引き続き、会議を開きます。
副議長と交代いたします。
〔議長
村上隆志退席、副議長 郷湖健一議長席に着く。〕
33: ◯副議長(郷湖健一)議長と交代いたします。
次に、山口津世子君に発言を許します。
〔十番 山口津世子登壇〕(拍手)
34: ◯十番(山口津世子)公明党の山口津世子でございます。
一般質問をさせていただきます。
山の木々も一斉に芽吹き、新緑に包まれた杜の都仙台にも初夏の訪れが感じられるころとなりました。毎年同じ季節はめぐり来るのですが、私も三年前、市民の負託を受け市政に送っていただきました。私のモットーである家庭と市政のホットラインを忘れることのないよう、我が身を戒めながら今日まで来たつもりでおります。市民一人一人の幸せが、家庭の中に、地域に花開くまで、市政の取り組みについて何度でも提案し、所見を伺ってまいります。
市長を初め、当局におかれましては、新緑を渡るそよ風のような希望あふれる答弁を期待いたしまして、順次質問をさせていただきます。
初めに、子供議会の開催についてです。
ニューヨークの国連本部で五月八日から開催された国連子ども特別総会は、六十カ国以上の首脳や約八十カ国の政府高官、二百五十人以上の国会議員、三百人もの世界の
子供たちやNGOなど総勢六千人もの参加者が集い、十八歳未満の子供をめぐる諸問題についての討議がされ、子供の人権を守るための議論が交わされました。
子供たちの演説を聞き、世界の
子供たちの幸せのための行動計画が採択されました。
本市においては、これまでも子供を取り巻く学校や地域での環境整備に取り組んでいるところでありますが、
子供たちの意見発表の場として子供議会を開催してはいかがでしょうか。本市議会では、
子供たちの議会の仕組みをわかりやすく説明する小学生向けガイドブック、知りたい仙台市議会を作成しているところです。
子供たちに議会を身近に感じてもらい、理解の一助となるものと思います。
ガイドブックの完成記念に、各学校の代表にさまざまな角度からの意見発表や子供の目の高さで仙台のまちのよいところや環境問題、学校生活、友達についてなど語ってもらい、私たち大人も、今
子供たちがどのような考えを持っているのか大いに学ぶものがあるものと思います。二十一世紀の仙台のすべてを担いゆく
子供たちに大いに語ってもらう機会として、子供議会を開催してはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、不妊治療の助成についてです。
総務省がこどもの日にちなんで五月四日に発表した人口推計によりますと、ことし四月一日現在の十五歳未満の子供の数は二十一年連続で減少していると、少子化に歯どめがかからない状態であります。総人口に占める子供の割合も一四・三%と過去最低を更新し、東京都を除く四十六都道府県で前年より低下しています。
一方、六十五歳以上の割合は一八・三%と上昇し、少子・高齢化が一段と進んでいるとの現実に、国としても少子化対策に万全を期し、安心して生み育てられる社会へと制度をつくり進めていくとの新聞報道もありました。
さまざまな環境整備に、自治体や企業、職場の努力も待たれるところであります。本市においても、市長の施政方針に述べられた、
子供たちを安心して産み育て、
子供たちが健やかに成長できる環境づくりを前進させるとの決意のとおり、子育て支援の制度ができ、事業が展開されるものと確信いたします。
一年前の一般質問でも提案いたしました、不妊治療への助成についての取り組みを望むものです。子供を産む、産まないは個人の自由でありますが、子供が欲しくても医学的な力を必要とする夫婦に対して助成を行うことを再度訴えるものです。この一年の間にも、助成に取り組んだ自治体がふえています。学都の杜に
子供たちの元気な声がいつも聞かれるような活力あるまちづくりの一歩前進を願うものです。
不妊治療の助成のあり方について、どのような検討がなされ、今日に至っているのかをお聞かせいただきたいと思います。
次に、新生児聴覚検査の実施についてです。
近年、聴覚検査方法の開発が進み、新生児期に聴覚能力を判定できる検査機器が普及するなど、地域医療機関においても聴覚能力をスクリーニングできる体制が整備されつつある状況となっています。
このたび、国においては、聴覚障害の早期発見、早期治療を図るため、新生児聴覚検査事業実施要綱を定め、平成十二年十月一日から、試行的に新生児に対する聴覚検査を医療機関に委託して実施することとし、国庫
補助事業の対象として各都道府県と
指定都市へ通達が届けられています。国内で新生児に聴覚能力の判定ができる検査機器を開発したのは、聴覚研究の第一人者である、地元東北大学の和田教授と聞いております。先生は、OAEsスクリーナーを使えば、生後間もない寝ている赤ちゃんの耳にイヤホンのようなものを数分間当てているだけで簡単に検査ができ、異常があれば精密検査を行い、生後間もない段階で治療、療育ができると言われています。また、異常が見つかった場合は、専門医の紹介体制や保護者へのケアを円滑に進める必要があると述べております。
本市においては、障害の早期発見、早期療育体制の充実と生涯ケアを目指し、発達相談支援センターアーチルも事業開始をし、保護者にとっては大変に心強いものと思います。検査機器も含め、運用のための予算はどれくらいかかるのか、お伺いいたします。
ちなみに、国内で一年間に誕生する新生児は約百二十万人、うち一千人に五人から六人は両方の耳あるいは片方の耳に難聴などの聴覚障害を背負って生まれているとの調査結果があります。放置しておくと、当然言葉の発達がおくれるわけであります。アメリカの専門機関の研究データでは、正常児が三歳まで約七百単語を習得するのに、難聴児は生後間もなく難聴が発見された場合で四百語、生後六カ月目の発見で約二百八十語、二歳児での発見になるとわずか五十語という厳しい現実が報告されています。
聴覚検査については、主として市町村が実施する三歳児健康診査において実施しているところです。また、保護者が日常生活の中で気がつくのも二、三歳ごろと言われております。未来を担う
子供たちの健やかな成長を願い、新生児聴覚検査について、一日も早い取り組みを願うものです。市長の御所見をお伺いいたします。
次に、父子家庭の支援策についてです。
さまざまな理由で母子家庭、父子家庭という一人親家庭がふえている状況にあると言われています。本市において、一人親家庭の推移、割合はどのようになっているのでしょうか。
今まで国において、自治体においても母子家庭に対しての対応は十分とは言えずとも行われてきているところです。近年の社会状況や経済状況の厳しい中で、父子家庭における現実の厳しさを耳にすることがあります。リストラや賃金カットなど、子供の養育に悩んでいる父子家庭に対し、母子家庭と同じような助成のあり方を検討してはいかがでしょうか。母親のいない
子供たちが安心して学び、生活をしていけるようにするためにも、本市の積極的な取り組みがあってもしかるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
最後に、文化芸術振興について、何点か提案も含めお伺いいたします。
第一点は、仙台市民会館についてです。
トンネルを抜けると、そこは雪国だった、有名な川端康成の雪国の書き出しの一部です。今まさに定禅寺通の青葉のケヤキ並木を抜けると、そこは市民会館であった。過日、私たちは、市民会館の小ホールで、文化芸術振興を考えるシンポジウムを開催いたしました。仙台市民会館は、今さら申すまでもなく、以前は仙台市の公会堂であったわけで、市民の文化芸術を初め、諸行事の中心拠点として大変な役割を果たしてきたのであります。
昭和四十八年十一月、市民会館として装いも新たにデビューして、約三十年の年月を経て今日に至っているわけです。大ホールは一千三百十席、小ホールは五百席となっていますが、いかに三十年前に建築されたとはいえ、大ホールで音楽会などがあると地下に響くので、講演などには使用できないし、小ホールで音楽会などがあると、大ホールに音が通り抜けになるために、行事が重なった場合は小ホールは使用貸し出しをしないということでした。私は大変驚きました。市民による文化活動や地域活動の活性化を図ることを目的として、伝統を誇る市民会館がこのような状態で長年放置されてきたとなれば問題ではないかと思います。年間約三十三万人が利用していると聞いています。利用目的によって制限されるような施設の構造のままでよいのでしょうか。利用する市民からの苦情はないのでしょうか。
昭和四十八年、総工費十八億四千余万円の巨額な費用を投入したことを思えば、今の利用制限は残念としか言いようがありません。文化、芸術、教育に思い切り活用のできる市民会館にと願うのですが、市長の御所見をお伺いいたします。
第二点は、文化芸術振興法の施行に伴う本市の取り組み方についてであります。
昨年十二月七日に、この文化芸術振興基本法が施行されました。とかく二十世紀を振り返ってみても、国や地方自治体にあっては、一般的に文化芸術振興に向けた施策においては、ややもすればおろそかにされてきたといっても過言ではないと言えましょう。この基本法の制定は、二十一世紀にふさわしい新しい時代に向けた文化芸術の振興がなされるための第一歩を記したことになるものとして大いに期待されるところであります。文化芸術の振興によって活力ある社会の実現がなされ、人間と人間の心のきずなが固く結ばれることによって平和な社会がつくり出され、ひいては日本の平和、そして世界の恒久平和の実現に大きく寄与するものとしてとらえることができると私は思います。
幸い、本市にあっては、この基本法を先取りする形で、文化芸術振興の諸施策が推進されてきていることは喜ばしいことであります。しかし、本格的な取り組みは、国の法制化の整備と予算措置の裏づけがなされることによって初めて動き出す面も多いと言わなければなりません。その取り組みは急務といえども、これからといったところでもあると言えましょう。
フランス文学研究家の辻昶先生は、識者との対談の中で、文化で人間を元気にとのエピソードを語っておられました。辻先生の知人に、事業に失敗して自殺しようとした人がいた。いよいよ薬を飲もうというとき、この世のお別れにベートーベンを聞いた。聞いているうちに何か揺さぶられるような気がしてきた。音楽に込められた気迫、情熱、美しさ。感動した。自分ももう一踏ん張りやってみようか。その人は自殺を思いとどまったと言います。辻先生は、この知人の話を聞いて、芸術とはもともとこういうものなのですと言う。人間を励ましてもっと強く、賢く、美しい自分になろうと決意させるのも芸術なのだと語っています。文化、芸術に特に御造詣が深いと評価の高い藤井市長の文化芸術振興に取り組む御決意とあわせて、御所見をお伺いいたします。
第三点は、文化芸術振興基本法の施行に伴う行政推進をさらに明確に位置づける立場から、文化芸術振興を図るための新たな条例の制定と所管部局の見直しについてであります。
このことについては、本年第一回定例会の予算等審査特別委員会において我が会派の質問に答え、条例制定については前向きに検討すると答弁されているわけでありますが、進行状況はいかがになっているのかをお伺いいたします。
また、所管部局の検討について、市長は、教育委員会は文化財を中心に、文化芸術は市民局が所管することにしたい旨の答弁であったわけですが、その後、どのような検討がなされ、今日に至っているのか。また、いつの時点で所管事務分業の変更と組織の整備をなされるのか、あわせてお伺いいたします。
第四点は、芸術の森構想についてであります。