学校の勉強だけではわからない、塾通いをしないとわからないのが当たり前と言われるような異常な事態は、
学習指導要領の押しつけによって、学習内容が系統性を欠いた断片的な知識を棒暗記させるというゆがみを持っていることとともに、基礎的な科目に必要な授業時間を保障していないことも大きな原因の一つと言われています。
この学力の危機とも言うべき事態が、
子供たちに苦しみを押しつけ、さまざまな発達のゆがみや社会的な逸脱をもたらす根源になっていると思います。これらの問題を解決していくことに二学期制が役立つというのであれば、その根拠をはっきりと示して、全市民的な議論を起こしていくべきと思います。
子供と教育をめぐる深刻な現状は全国各地で漏れなく起きているわけですが、全
小中学校の二
学期制実施がそれを解決するのにすぐれた方法だとすれば、ほかの自治体でも導入が検討されて当然ですが、どこでもそうした議論が起きていないのはどうしてなのでしょうか。仙台
市教育委員会は、なぜ全国で初めて行うのが仙台市なのかと、どこでも未経験で実証されていないその効果を、明確に市民に示していく義務と責任があるのではないでしょうか、どのようにお考えなのか、伺います。
現在でも、
市内小中学校の現場で、二学期制について学校を挙げての議論を継続して行っているところは大変少ないと聞いています。今年度の試行実施に手を挙げることについても、
子供たちや父母、保護者の意見を聞きながら、教職員全体の論議で決めたというより、校長などの強いイニシアチブで行われた例がほとんどではなかったでしょうか。
学校では通常、次年度の
学校運営について、前年の十二月から一月に反省会を何度も開催し、二月には次年度の計画のほとんどを決め、そして担当者を設けて
学校運営スケジュールを作成しているそうです。
学校現場では今、どうせ導入されることが決まっているなら少しでもスムーズな導入を図りたいという半ばあきらめの気持ちと、急激な変化がどのような影響を及ぼすのかわからないという不安と、少しでもその否定的な影響を避けたいという思いが複雑にまじり合いながら、いや応なくこうした作業を進めているのが実態なのではないでしょうか。
一人一人の子供の成長と発達を中心に置きながら、すべての子供に基礎、基本の学力を保障する教育の改革が求められていますが、このような二学期制の押しつけとも言える導入では、求められている本当の
教育改革につながるとは思えません。
私が特に心配しているのは、受験や就職など進路の選択を迫られている中学生の
学校生活にどのような変化を及ぼすのかといったことが、全くわかっていないことです。中学校の
学校運営は、中総体や受験など、ほとんどの学校を巻き込む大きな行事、取り組みも多いので、一部の学校による試行だけではそのよしあしがわかりません。しかも、十六の中学校での二
学期制試行は今年度四月からであり、いまだ途中であって、その結果は出ておりません。
中学校では、九月を中心に、文化祭を初め、二年生の野外活動、体育祭や
バレーボール大会などが行われ、新人戦や市中総体の駅伝大会など、
学校内外の行事が集中しています。その時期に教員が評価の整理や通信表をつけたりと、
子供たちの成績に関する
事務処理が重なっていれば、オーバーワークになってしまいます。
また、長年の経験から、この時期に定着していたこれらの
学校行事をほかに移せば、その時期の学習が寸断されることになります。そうして、結果的にそのしわ寄せとして、生徒の楽しみやゆとりを奪ってしまう
学校行事の厳選に結びつくのではないかと心配です。
実際に、ことしは文化祭が二日から一日だけになったところや、
ステージ発表がなくなった中学校があります。子供や保護者からは、つまらなくなったという話を聞きます。中学校だけでなく小学校も、二学期制の導入によって、このように
学校行事が大幅に縮小、そして廃止、時期の移動など、変更を余儀なくされている状況があります。
この間、試行的に二学期制を取り入れた学校からは、夏休み、冬休みの考え方を根本からとらえ直す必要がある、課題を与えず自主的に取り組ませたが、特に成果はない、夏休み、冬休み中に集中的に
事務処理をしなければいけなくなったという声や、一学期と二学期の区切りがはっきりしないので新鮮な気持ちがしない、終業式や始業式に授業や給食を取り入れたが、日常とかわりばえせず生徒から不評、一学期に長期休業が入るので、学習の連続性を持たせるのに苦労した、少なくても一年たってみないとわからない、との声がたくさん出ています。また、二学期制を導入しても、教職員のゆとりは生まれていないことがはっきりと報告されています。
ところが、通信表を出すのが三回から二回になったことで、先生方は楽していると表面的に受けとめられて、そうではないことを理解し納得してもらうのは難しいという話や、教職員からも保護者からも、結局何がどう変わったのか、変わらなかったのか、二学期制にして何がよかったのか疑問だと言われる、なぜ二学期制なのか保護者に説明してくれと言われてもよく説明できないという、悲鳴に近い声も聞きます。
二学期制についての不安、心配は後を絶たず、このようにこれだけ出されていますが、このような
学校現場の生の声、様子は、
教育委員の方々の間での議論に本当に反映されているのでしょうか。本当の開かれた
学校づくりや、子どもの権利条約の精神を生かしたよりよい
学校づくりのために、子供や保護者、
学区域住民、教職員の意見を取り入れる場を保障しようという試みが全国的に進められています。その中で、このように出されている声や心配、不安を押しつぶして強引に進めるやり方は逆行しており、厳に慎むべきです。
学校運営の根本である学期の変更は、大方の子供や教職員、保護者を初め、市民の合意と納得を得て進めていくべきではないでしょうか。私は、そのために現実に見合う次のような提案を行い、その実現を求めます。
仙台市立学校管理規則は、仙台
市教育委員会が所管する学校の
管理運営の
基本的事項について定めてあるもので、条文の中で、学期についても現在は三学期と記されています。
まず、既に改訂案も準備され、来春早々にもこの
学校管理規則で二
学期制実施に縛りをかけようとする計画を見送り、そのことを
学校現場へ徹底すべきです。その上で、必要であれば現在の二学期制の試行を継続することがあってもいいと思います。市民にもことしの結果を明らかにしつつ、二学期制の導入について論議を進めます。
学校管理規則を改訂しなくても試行はできますので、十分に可能で道理に合う進め方ではないでしょうか、所見を伺います。
そうしたことも行わず、大方の市民の合意と納得がないまま
学校管理規則を変えることは、不当な支配に屈することなく、国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきものとした、戦後教育の原則を踏みにじる横暴な行為と言わざるを得ません。仙台
市教育委員会の識見が問われています。
すべての
小中学校での試行やその結果について、当事者である子供や教職員の意見を踏まえて、全市民的な活発な論議を行ってから結論を出しても決して遅くはありません。拙速が招く混乱や不幸な事態を起こさないためにも、まず二学期制ありきの姿勢を根本から改めることを求めますが、いかがでしょうか。
次に、
学校図書館の充実について伺います。
すべての
子供たちに基礎的な学力を保障していくことは、十分な授業時間をとって、すべての子供がわかるまで教える教育への改革が必要ですが、あわせて
子供たちの活字離れを解消し、読む力、書く力、考える力をはぐくみ、豊かな学びを保障する
学習環境、教育基盤としての
学校図書館を充実させていくこともとても重要なことです。
いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊など、さまざまな問題が山積している学校の中で、読書は子供や教師を変え、学校を変えたという実践が全国に広がっています。
また、マス
メディアの急速な発達により、テレビ、
電子ゲーム、携帯電話、
パソコンとさまざまな
情報メディアが
子供たちを取り囲んでいますが、さまざまな
メディアが普及しようとも、魅力と感動に満ちた世界を与えてくれる読書の体験を
子供たちに伝えていく大切さは変わりません。そして、あふれる情報の渦の中で
子供たちが
メディアを読み解く能力をどうつけていくのかという、
メディアリテラシーの教育も提起されております。
今、豊富な情報や豊かな資料提供によって、
子供たちにみずから学ぶ力を育てる
学校図書館の機能と役割が一層求められています。そして、それは専門性を持った専任の職員がいてこそ保障されるものであることも、全国の先進的な自治体の取り組みから明らかになっています。
私は、今回質問するに当たり、改めて市内の幾つかの
小中学校の
学校図書館を訪れてみました。ある小学校では、ちょうど読書祭りが行われていた昼休みでしたが、雨の日ということもあり、狭い図書館は押すな押すなの超満員の状態でした。事務員さんは、こんな本が読みたい、どこにあるの、この新しい本は借りられるのといった、
子供たちの矢継ぎ早の質問にこたえるのに大わらわでした。
また、別のある小学校では、授業中、
子供たちが数人で
学校図書館に調べ学習に来ていました。授業の中で出てきた子供の疑問を、その
子供たち自身で調べて身につける、そんな授業の進め方が今行われています。これも、図書館が開いていて対応する人がいるからこそできることです。
また、ある中学校では、
パソコンを導入して蔵書を
データベース化し、貸出業務や蔵書管理を省力化、簡略化していました。そこでは、
パソコンの導入以来、
子供たちの読書量、貸出量が増えたそうです。これは、
貸出カードがなくなり
カード記入の手間が省けて借りやすくなったことや、業務が省力化されたことで若干なりとも事務員さんの手がほかのことに回るようになり、図書館の魅力が増したことなどが理由として挙げられるのではないかと思いました。
現在、市内では、
パソコンを導入し
データベース化が済んでいる学校が、小学校二校、中学校が三校あるそうです。
学校図書事務員の皆さんは、図書主任の先生や
図書委員会の
子供たちの応援、協力も得て、不安定な雇用形態、週十二時間という短い時間であるにもかかわらず、少しでも居心地のよい空間をと努力していました。
業間休みや昼休み、授業中、放課後など、訪れた時間はまちまちでしたが、どの時間帯でも図書館が開いている限り、どの学校でも
子供たちの姿を見ることができました。昔よく言われた、本の倉庫、かぎのかかっている物置といった状態から、どの学校にも人が配置されたことで、
仙台市立小中学校の
学校図書館は
学校図書館らしくなってきているのではないでしょうか。
仙台市立の
小中学校では、九六年度から九九年度まで、児童生徒数五百人未満では一日四時間で週一日、五百人以上の学校では週二日、二〇〇〇年度からは学校の規模にかかわらず一日四時間、週三日の勤務時間の
非常勤嘱託職員を、
学校図書事務員として全
小中学校に配置しました。訪れた学校では異口同音に、どの校長も、先生も、職員の配置で
学校図書館がよみがえったこと、
子供たちの
読書活動が進んでいることを喜んでおりました。
教育委員会では、このような
図書事務員の
全校配置、そして配置時間数をふやしてきたこの間の取り組みが、
子供たちや教職員、学校にどんな変化をもたらしているのか、どのように評価しているのか、伺います。
学校図書館法が一九五三年につくられて以来、全国各地で
学校図書館の充実を求める広範な人々の粘り強い運動が続いています。そのような中で、国においても九三年に全国の
学校図書館の悉皆調査を行い、
学校図書館のあるべき蔵書冊数の目安を
学校図書館図書標準として三十四年ぶりに改定し、五年間で総額五百億円の
地方交付税を充て、全国の
学校図書館の蔵書を一・五倍にふやそうとする図書整備五カ年計画を進めました。以降もほぼ同額の交付税を措置しています。
さらに九七年六月には、
学校図書館法が不十分ながら一部改正され、九九年八月国会では、二十世紀最後の二〇〇〇年を
子ども読書年と定め、国を挙げて
子供たちの
読書活動を支援する施策を集中的かつ総合的に講ずるべきであると決議しています。
私自身も九四年第三回定例会の本会議において、思い切った
図書購入費の増額による蔵書の充実と、市の責任による専任で専門の正規職員の配置を求める
一般質問を初めとして、たびたび議会でも
学校図書館の充実について取り上げてきました。
各学校の
図書購入費については、九四年度は予算額で小学校で児童一人当たり七百四十円、総額四千八百四十三万余円、中学校は生徒一人当たり千百五円、総額で三千八百十五万余円だったのが、二〇〇一年度は、小学校一人当たり千百六十四円、総額六千四百七十五万余円、中学校一人当たり千九百四十一円、総額五千七百六万余円と増額されてきました。職員の配置については、先ほど触れたような勤務形態での
全校配置がされました。当局のこの間の努力には一定の評価をするところです。
しかし、今日、
学校図書館の果たす役割は、述べてきたようにこれまで以上に大きくなり、さらに質の高いサービスの提供が求められています。現状にとどまることなく、さらに仙台市内の
学校図書館を充実させていくことを求める立場から、以下、順次伺います。
第一に、あらゆる子供の読みたい、知りたい要求や、近年の
学校教育の中で生まれる授業での活用にこたえるためには、
小中学校全校に配置した
学校図書事務員の専門性と資質の向上が欠かせません。図書の整理や貸出業務にとどまらず、レファレンスサービスが大きく求められてきています。また、子供のプライバシーを守って一人一人を大切にした
図書館サービスを提供してこそ、
子供たちから支持され、利用される
学校図書館になります。
残念ながら、現在は
司書資格を募集要件に上げていないため、資格を持っている方は極めて少ない状況です。
専門的知識、経験を持たないことに不安や悩みを抱え、研修や
図書事務員同士の経験交流の機会を設けてほしいとの事務員さんの声を聞きます。
専門性を身につけるための研修は不可欠です。昨年初めて、
市教育委員会の主催で一度研修がありましたが、ことしは予定されていないとのことです。年一度にとどまらない、定期的な研修と交流の機会を持つことを強く求めますが、いかがでしょうか。
さらに、希望する人には
司書資格が取れるような支援策を講ずる必要があると思いますが、所見を伺います。
第二に、
学校図書事務員の現在週十二時間の勤務時間をもっと延長すべきではないでしょうか。
子供たちがいつ行っても温かく迎えてくれ、毎日利用できてこそ
学校図書館の存在は大きくなります。週三十時間に
図書事務員の勤務時間を延長すれば、毎日六時間図書館をあけることができますし、研修の機会を持つことも可能です。
成績を評価することのない大人が学校にいることは、競争に疲れている
子供たちには救いの存在のようです。本来の役割からは外れていますが、不登校の
子供たちにとっては、保健室同様の場所として全国的にも注目されています。毎日いつもあいている
学校図書館にするために、思い切った勤務時間の拡大と、それに見合う処遇の改善を求めますが、所見を伺います。
また、五十歳までの年齢制限を引き上げてほしいという声もありますが、いかがでしょうか。
第三に、
司書教諭の配置に関してです。
学校図書館法の改正により、四十四年間、当面の間置かなくてもよかった
司書教諭が、十二学級以上の学校には二〇〇三年三月まで発令されることになりましたが、仙台市においては
市教育委員会名での発令が間に合う状況でしょうか。そして、市内には十二学級未満の学校が小学校で二十四校、中学校で十二校ありますが、これらの学校にも
司書教諭を配置すべきではないでしょうか。小規模校でも、
学校図書館が負う役割に違いはありません。
全校配置を求めますが、いかがでしょうか。
また、こうした際に、
司書教諭の
養成講習参加への強制、校務分掌を無視した
機械的発令、
司書教諭の配置や財政危機などを理由に
学校司書や
学校図書事務員の削減など、
学校現場へ混乱を持ち込んだり、積み上げてきた成果の後退があってはならないことです。
司書教諭と
学校司書の果たす役割はそれぞれ異なります。授業や担任も持ちながらの
司書教諭の存在だけでは、
学校図書館の充実につながりません。それぞれいかがお考えでしょうか。
第四に、国の基準に満たない蔵書の学校が、小学校でまだ七十四校、全体の約六割、中学校では四十七校、七割以上もあります。九七年からは、充足していない学校に多く傾斜配分をし、九九年からはさらに別枠での特別配当もしているようですが、今後何年ですべての学校で基準を超えることができるのでしょうか、見通しをお示しください。計画的な図書費の増額を求めます。
第五に、
学校図書館のハード面の整備についてです。
パソコンの導入による蔵書の
データベース化も、計画的に順次進めていくべきではないでしょうか。また、国の補助制度も活用して、余裕教室を利用して
学校図書館の増床や第二
学校図書館づくりも進めるべきではないでしょうか。畳敷きやカーペット敷き、ソファーや低い書架の配置など、
子供たちの心の扉を開く場所である
学校図書館の居心地のよさが追求できるような備品と予算の配当も求めます。
また、
学校図書館の場所は、子供や教職員の生活の動線上にあることが望ましく、わざわざ行かなくてはならない最上階などに置くのではなく、一階など利用しやすい場所にすべきではないでしょうか。
第六に、
市立図書館との
ネットワーク計画についてです。
いつからどのように進めていくのでしょうか。全国の約四割の
学校図書館では、
図書館資料の貸し借りや定期的な連絡会の開催、
公共図書館の司書等に巡回訪問してもらっているなど、何らかの形で
公共図書館との連携が図られています。これらの連携についてはどのようなお考えでしょうか。また、最終的な
ネットワーク化をいつごろまでにやり遂げるのか、その見通しをもお示しください。
第七に、市立高校の
学校図書館の問題です。
定時制にもこの間、
司書資格を持った
非常勤嘱託職員を配置したので、六校すべてに専門性を持つ人が配置されました。しかし、職員の身分保障や雇用形態が著しく異なっており、この点での改善が急務です。県立高校と同様に専任の正規職員への処遇の改善を求めますが、所見を伺います。
第八は、市内にある
私立学校の図書館への支援です。
この五年間、
私立学校振興補助金の算定額が据え置かれたままです。市民の
子供たちが多く通っているこれら私学の果たしている役割をとらえ、市としてもさらなる努力を行い、増額すべきではないでしょうか。
最後に、これらの施策を進めるためにはそれなりの財政措置が必要ですが、次代を担う
子供たちの豊かな学びを保障することは、市長の重要な責務です。出し惜しみすることなく、必要な財源を確保することを強く求めますが、市長のこの点での所見を求めて、私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
6: ◯市長(藤井黎)福島議員の御質問にお答えを申し上げます。
教育に関する多岐にわたる御質問でございますけれども、私からは、最後にございました
学校図書館の財政処置に関してお答えを申し上げます。
よく言われることは、疑問を持つ感覚というのが教育にとっての大事な課題であるというふうに言われております。
学校図書館は、そういう意味におきましても、
子供たちが疑問を持ち、その疑問を解決するために調べたり、あるいは新しい知識を身につけたりという、その喜びを享受することができる大事な
学習環境であろうというふうに思っております。
厳しい財政状況にはございますけれども、来年度の予算におきましても、次代を担う
子供たちに対する教育の充実という項目は、これは市政の重点分野の一つといたしておりますので、おっしゃるような内容の
学校図書館につきましても、図書の増書、あるいはそれにまつわるような
情報メディア等の整備だとか、あるいは専門に従事なさる方々の人材の問題、さらにはまた
データベース化やリファレンスの機能の充実だとか、そしてまた
公立図書館との
ネットワークの推進だとか、こういうあたりの多様な問題がございますので、それらにつきまして整理をした上で、計画的にこれを整備、充実できるように図ってまいりたいと、このように考えます。
そのほかにつきましては、教育長から答弁させたいと思います。
以上でございます。
7: ◯教育長(阿部芳吉)私の方からは、二学期制と
学校図書館にかかわります御質問にお答えを申し上げます。
初めに、二
学期制導入の趣旨等に係る周知説明に関する御質問でございます。
平成十四年度からの新
学習指導要領の実施を踏まえまして、滋賀県の栗東市のように二学期制の試行を始めている自治体もございます。本市にも他都市から二学期制に関する視察や問い合わせが多数来ておりまして、全国的に学期の見直しに関連するさまざまな動きが出てきておりまして、本市の動向も注目されているところでございます。
二学期制の趣旨や効果につきましては、各学校を通じ保護者へ周知を図りますとともに、本年一月には各保護者へお知らせを配布いたし、また、四月には市政だよりに掲載するなど、広く周知に努めてまいりました。
さらに、六月には教育改革フォーラムを開催いたしまして、市民の皆様の多数の参加のもと、二学期制を含めた
教育改革についてディスカッションを行ったところでございます。
また、
小中学校のPTAを取りまとめていらっしゃる仙台市PTA協議会に対しましても、二学期制に関する説明をいたしているところでございます。
なお、今後とも二
学期制導入の趣旨等の周知に努めてまいりたいと考えております。
次に、導入までの進め方に関する御質問でございます。
二学期制の導入時期につきましては、ゆとりの中での生きる力の育成を目指した新しい
学習指導要領に基づく
教育課程の実施に合わせまして、平成十四年度から導入することが適当と考えておりまして、今後とも学校や保護者に必要な情報を提供いたしながら、円滑な実施が図られますよう努力してまいる所存でございます。
次に、導入に係る姿勢に関する御質問でございますが、御指摘のように、二学期制に係ります課題などもあろうかと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、新しい
学習指導要領に基づく
教育課程の実施に合わせて導入することが、何よりも
子供たちの教育にとって有効であると考えてございますので、
教育委員会といたしましては、予定どおり平成十四年度からの導入に向けまして、引き続き準備を進めてまいりたいと考えております。
次は、
学校図書館についてでございます。
初めに、
学校図書事務員全校配置の評価についてのお尋ねでございます。
現在、
学校図書事務員の配置によりまして、図書の貸し出しと返却、あるいは蔵書管理などの業務のほかに、読書コーナーの工夫、図書館まつりを初めとしたイベントの充実などが図られますとともに、調べ学習における教師の補助的な役割が果たされているなどといった報告を受けているところでございます。
その結果、
学校図書館がより利用しやすく、温かみと親しみのある場所となりまして、利用者数も増加するなど、
子供たちに落ちつきと心の潤いをもたらしているものと評価しているところでございます。
次に、
学校図書事務員の研修と、また、その資格取得支援についてでございます。
学校図書事務員の研修につきましては、昨年実施いたしました全体研修を踏まえ、実施回数や研修内容について検討を行っているところであり、今後は市民図書館との連携も図りながら実務研修等を行ってまいりたいと考えております。
また、
司書資格取得への支援につきましては、配置予定の
司書教諭との業務分担などの観点から、現時点では行う計画はございませんので、御理解をいただきたいと思います。
次に、
学校図書事務員の勤務時間の延長等についてでございます。
現在の子供を取り巻く環境の中で、
学校図書館の利用時間拡大の必要性は高まっていると感じております。そのための人員配置につきましては、
学校図書事務員のみでなく、学校支援ボランティアの協力を得ることなども視野に入れながら、今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
また、
学校図書事務員の年齢制限の引き上げにつきましては、学校側の要望なども聞きながらあわせて検討してまいりたいと、このように考えます。
次に、
司書教諭の配置についてのお尋ねでございますが、本市におきましては、法令に基づく人員確保に向けまして、現在、宮城教育大学などでの
学校図書館司書教諭講習を受講させることによりまして、計画的な養成に努めているところでございます。
また、十二学級未満の学校への配置につきましては、資格取得の状況を見ながら、今後検討してまいりたいと考えております。
次に、
司書教諭配置に係ります課題についてのお尋ねでございますが、養成講習への参加は、教員個々の主体的な申し出によるものでございまして、強制等は行っておらないところでございます。
また、
司書教諭並びに
学校図書事務員は、それぞれ重要な役割を担っておりまして、お互いの連携を密にすることが
学校図書館の充実、向上につながるものと認識いたしておりますので、
学校図書事務員の削減につきましては考えておらないところでございます。
次に、国の基準達成の見通しについての御質問でございますが、図書につきましては、古くなったもの、あるいは汚損等により廃棄されるものもございますことから、正確な見通しをお示しすることは困難でございますけれども、今後とも各学校の達成状況を十分勘案しながら、その充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、
学校図書館のハード面の整備についてでございます。
まず、
パソコン導入による蔵書の
データベース化につきましては、今後の
学校図書館のあり方を検討する中であわせて考えてまいる所存でございます。
次に、余裕教室を利用しての図書館の増床等についてでございますけれども、既に余裕教室等を図書館として活用している学校もございまして、今後とも学校の実情や必要性を勘案しながら対応を図ってまいりたいと考えております。
また、備品の整理につきましても、その充実に努めますとともに、
子供たちの利用しやすい図書館の場所につきましても、学校と協議をしながら配置してまいりたいと考えております。
次に、
市立図書館との
ネットワーク化についてでございます。
学校図書館と
市立図書館との連携につきましては、子供に調べる楽しさや知る喜びを身につけさせる観点からも、非常に大切なことと考えておりまして、調べもの学習の際の資料の提供や、学校への図書の貸し出し、移動図書館の巡回、さらには
子供たちに読ませたい本の紹介等の取り組みを鋭意実施してまいったところでございます。
今後は、平成二十二年を目標に進めておりますせんだいライブラリー
ネットワーク整備計画に沿いまして、さらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、市立高校図書館職員の処遇改善についてでございます。
市立高校の図書館につきましては、現在、
司書資格を持つ専任の職員を六校すべてに配置しております。全校への正職員の配置につきましては、職員定数との関係もございますので、現時点では難しいものと考えております。
最後になりますが、
私立学校振興補助金に関する御質問でございますが、私学の果たしている役割につきましては、十分その重要性を認識いたしておりまして、厳しい財政状況の中にありましても現状の補助額を確保しているところでございます。
以上でございます。
8: ◯二十六番(
福島一恵)財政上の問題は非常に大事です。いろいろ
教育委員会でやりたいと思っても、財源がなければできないということでありますので、この点については、市長からも、
子供たちの教育の問題は非常に大事だと、
学校図書館の重要性についても大事だという御認識をいただきましたので、それは受けとめてありがたいなと思いますが、具体的にどのような充実を図っていくのかという細かい何点かの問題について、教育長からは計画的にとか、検討してということで、はっきりとした御答弁をいただけなかった点がいろいろありました。これもやはり、財源、財政だと思います。
それから、最後から二番目にお話しのあった、市立高校の
学校図書館における職員の身分問題などは、定数の問題もあるかと思います。お金の問題もあるかと思います。
今、
学校図書館では、環境、ハード面や蔵書の問題も非常に大事ですけれども、これからはやはり専門性ということが非常に重要になってきている時期だと思います。問われているときだと思います。
そしてまた、
司書教諭と
学校司書、専門的な司書との役割も違う、どっちも大事だという認識も教育長からいただきましたが、その役割を、一方の
司書教諭は今度、法が変わって配置されるということですが、一方の司書については、まだまだこれから専門性ということが仙台市でも問われていくというふうに思います。
専門性を問うていくために、図書ボランティアの活用というお話も出ましたが、問題は、やはり責任を持った形で専門性を持っている人たちを育成したり、採用していくということだというふうに思いますので、特に専門性を高めるといった点で、以前にも質問したときに、市長は量的な問題と質的な問題、両方大事だとおっしゃっておりました。九四年の御答弁ですけれども。
やはり、専門性を高めるという意味での財政上の措置も、ぜひ御答弁、さらにいただきたいなというふうに思います。市長には、その点、一点だけです。
それから、教育長につきましては、
学校図書館については細かい点はありますけれども、いずれいつかの機会にと思います。
二学期制に絞って再質問させていただきたいというふうに思います。
まず、滋賀県でそうした例があるというお話でしたが、残念ながら、その滋賀県で二学期制を導入して、
子供たちにどういう影響があって、どういう効果が子供のそうした基礎的な、基本的な学力をつけるのに役立ったかという報告が、残念ながら、どこかでしているのかもしれませんが、全市民的にはありません。
しかも、残念ながら、滋賀県のある町の学校数と、それから仙台市の、
小中学校を合わせて約二百校近いこういう大都市での教育の置かれている状況、
子供たちの置かれている環境、違うと思います。
そういった意味で、政令都市いずれもまだ行われていません。学校ごとに行っているところがあるということは聞いておりますが、このように全市一斉にやるということは初めてです。
そういった点で、何度も聞くようで申しわけありませんが、二
学期制導入がどのように
子供たちのそうした基礎的な学力を引き上げていく、今求められている
教育改革にとって重要なのかという点について、残念ながら、いいんだ、いいんだという教育局御当局の御説明はたびたび行われているのはわかっているのですけれども、このように効果があるんだという、そうした実証された根拠ある説明になっていないと思います。
その点について、試行、試行と私どもは言いますが、教育を受ける
子供たちにとっては、試みではなくて、そのときそのときが一生で、その時間は大事な本番なんですね。ですから、やはり、どうなるかわからないというようなことでの導入ではなく、確かなものを求めているわけです。その点についていかがなのかという点と、そう言いながらも、結局、教育長は十四年の導入が適当だと考えているというふうにおっしゃいましたが、それは
教育委員会で既に決定されていることなのか、それとも一
教育委員である教育長のお考えなのか、その点について明確にしていただきたいと思います。
私、今回の質問をするに当たり、議長のお手を煩わせながらも、
教育委員長に答弁願いたいということをお願いしました。残念ながら、本日は別の仕事でいないということで、委員長にもお話を聞くことができませんでした。
ただ、そのやりとりの中で、
教育委員長として答弁するためには、
教育委員会として一回、合議をしなくてはいけないということも言われました。そうした時間的な余裕もあるかないかというようなお話もありましたので、あえて今お伺いした点については、
教育委員会で既に決定されていることなのかどうか、それともそれを先取った教育長の御発言なのか、まずその点についてお伺いしたいというふうに思います。
二点についてです。
9: ◯市長(藤井黎)
学校図書館に関して再度の御質問でございますが、御承知のとおり、
学校教育の中における
学習環境には、
学校図書館だけではなくてさまざまな環境要因がございます。それらの全体の中で、
学校図書館についてもその充実を図っていく必要があろうと思います。
とりわけ、
学校図書館法の附則の規定が先般なくなりましたので、そういう意味からして、人材の育成ということも大きな問題であろうと思います。
教育委員会とも相談をしながら、この
学校図書館の充実を活用の面から考えたときに、どういう問題から迫っていくべきか、こういうことも含めて充実を図ってまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
10: ◯教育長(阿部芳吉)二点の御質問にお答えを申し上げます。
初めは、教育効果というふうなことでございます。
現在、十二月でございまして、例えば中学校の三年生の生徒にとりましては、一生を左右いたします進路選択の時期を迎えております。今までどおり、三学期制をいたしておりますと、現在、
子供たちは二学期末の試験の評価を待っているという、そういう状況になります。そのために、本来三年生の子供が、先生方とお話をしたり、あるいは保護者と話をしたりする時間がとられません。二学期制を導入いたしますと、そういう意味では、
子供たちの将来を決定するであろう進路指導の時間が十分にとられるわけです。
そういったことで、今までは進路指導といいますと、どこの学校を受けるのか、私立の方の受験願書は一月上旬に締め切られます、それらの作業のみに追われてしまいますけれども、そういったことで、進路指導の充実がまず図られます。
続いて、生徒指導面を申し上げますと、夏休みに入ったときに
子供たちの事故は多く起こります。それから、夏休みの過ごし方の指導が不十分ですと、かつて仙台も昭和五十五、六年に校内暴力で荒れましたけれども、そのような夏休み以降の
子供たちの動向が大変心配になるわけです。夏休みの前に評価の時期をずらしますと、
子供たちと保護者と話し合いをする場が多くできまして、生徒指導面でも多くの時間がとれますし、
子供たちと話し合いをする場面が多くなります。
ですから、
事務処理ではなくて、肉声で子供、保護者と話し合いをする場が出てきますものですから、
子供たちも褒められたり、夏休み中にこういうところを注意しようとか、自分の目標を持って過ごさせられますし、
子供たち自身も目標を持って過ごせるということでございまして、そういう効果の結果、二学期制を導入するというふうなことにしたわけでございます。
続きまして、手続論だと思いますけれども、これから市立学校の
管理運営に関する規則を二月の
教育委員会にかけます。その
教育委員会にかけた規則がそこで承認をされれば、その管理規則に従って、また円滑な進め方をするというふうなことになりまして、現在、管理規則の案を作成しているという、そういうふうな段階でございます。
以上でございます。
11: ◯二十六番(
福島一恵)事は仙台市内全部の
小中学校の
子供たち、それから、これからの
子供たちにかかわる大事な議論ですので、再々質問させていただきます。
まず、こういう効果なのだというお話はありましたが、その効果について云々ということは私は差し控えたいというふうに思いますが、問題は、そうした効果はまだ、あらわれるだろうであるとか、こうであるということだけで、一年間終わっていないのですよ。
教育の効果というのは、あるいは一年終わってみてもすぐにどうだと言えるものではなくて、その子の先々の中で教育の効果というのは見ていかなくていけないと思います。
そういった意味で、非常に、こうした形で一年間、特に中学校の進路指導のことをお話ししましたけれども、中学校での試行はまだ半ばであって、一年間終わってこうだったという結論は出されておりませんので、それを今、教育長がいいのだというふうに言い切ること自体が、私は、先走っている、結論先にありきの典型だというふうに思います。
そうしたことが、今、
教育現場には、先ほど言ったような混乱と、どうしたらいいんだろう、でも来年春からやるのだったら今のうちから変えなくていけないからというようなことで、いろいろな動揺もきっとあります。そうしたことが
子供たちにとって本当にどのような形であらわれるのかということを、やはり見ていかなくていけないというふうに思います。
手続論というふうに教育長はおっしゃいましたが、手続論だけを問うているわけではなくて、そうした実際に教育の現場で
子供たちはどう受けとめているのか、あるいは
子供たちの受けとめだけではなくて、そのことがどういうふうに学力を向上させる、今の教育問題を解決させるためになっているのかどうなのか。(発言する者あり)
議長、静粛にお願いします。言ってください。
12: ◯議長(
村上隆志)質問を続けてください。
13: ◯二十六番(
福島一恵)(続)大事な問題ですから、聞きます。
教育委員会という委員会があって、一般行政と切り離されて戦後置かれることになったということの意味は、非常に大事だと私は思います。
ですから、二学期制がいいとか悪いとか、単純にそういったことを私も言っているつもりはありません。ただ、どういう効果があって、どういうふうに
子供たちの学力向上に寄与しているのかの結果がまだ出ていない段階で、そうした事務方で決めたことのように、
教育現場に押しつけること自体が大問題だと思います。
そうしたことで、先ほど聞いたのは、十四年度導入が適当と考えている、円滑な実施を進めたいということについて、だれの意見なのか、
教育委員会で合議した
教育委員会総意としての意見で、
教育委員長も責任を持った答弁なのか、その点についても伺いたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
いろいろうるさかったのですけれども、ぜひ私の質問の趣旨をとらえて、丁寧な御答弁をお願いしたいと思います。
14: ◯教育長(阿部芳吉)再度の御質問にお答えを申し上げます。
私は教職経験まだわずか三十年でございますけれども、中学校の二年生を最初、担任させていただきました。そして、その次の年が中学校三年生の担任をいたしました。そのときにわかりました。いわゆる現場の教職員は
子供たちと一緒に生活しておりまして、
子供たちに今何が必要なのか、
子供たちのために我々教員は何ができるのかということを常に考えております。
ですから、現場の子供の幸せを考えて二学期制を導入する。初任者であれば、ちょっと難しいかもしれません。あるいは、生徒指導、進路指導の研究が若干不十分である教員にとっては、理解するのはちょっと難しいかもしれません。でも、普通に教員をしている者であれば、これはすぐにわかることでございますので、御理解をいただきたいと思います。
それから、この意見は
教育委員会全体の意見でございまして、その点に関しましてはどうぞ御理解を賜りたいと、このように思います。
以上でございます。
15: ◯議長(
村上隆志)次に、石川建治君に発言を許します。
〔十一番 石川建治登壇〕(拍手)
16: ◯十一番(石川建治)社会民主党の石川建治でございます。議長のお許しをいただきましたので、
一般質問をさせていただきます。
一点目は、仙台市地域防災計画、地震災害対策編の見直しに関連してお伺いをいたします。
地域防災計画は災害対策基本法の第四十二条に基づいて作成され、一九九五年の阪神・淡路大震災での教訓と、九五年度から九六年度にかけて行った仙台市防災都市づくり基本計画策定調査の結果をもとに九七年度に修正をし、今日に至っております。
現在、本市は、昨年十一月に政府の地震調査委員会が発表した宮城県沖地震の長期評価と、本市が進めてきた防災対策の検証などを踏まえて、改めて地域防災計画の修正に着手すると伺っております。新たな地域防災計画の修正について、どのような視点に立って、どのような修正を行おうとしているのか、御所見をお伺いします。
また、修正に向けた進捗状況についてもお示しください。
災害の予防は、行政だけではできないことは周知のとおりであり、市民や企業などの協力が不可欠であります。したがって、修正に当たっては、行政と市民や企業などとの積極的な連携の方策を明らかにすることと、地域の災害危険性を科学的、総合的に明らかにする防災アセスメントを積極的に取り入れること、防災アセスメントで得られた危険箇所などについて地域の保全や災害防止事業、災害予防対策などハード的事業と、防災知識の普及、防災訓練などのソフト的事業の対策を確立することを求めておきたいと思います。
さて、災害を未然に防ぐためには、市民がその地域の災害環境を踏まえた現実的な取り組みが求められます。安全・安心のまちづくりに欠かせない行政と、市民や企業との信頼関係の醸成、市民の防災力などを高めるための有効な手法としてワークショップ方式を取り入れてはどうでしょうか。
ワークショップで、防災の専門知識を持つ消防と、地域を熟知している住民と、その地域で商いを営む企業などの共同作業で地域防災マップの作成などに発展させ、その取り組みを通じてお互いの信頼関係を築いていくことは、地域の防災力にとどまらず、本市全体の防災力の向上につながるものと確信するものですが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
また、地域防災計画の修正に当たっては、市民や企業も含めた広範な議論が必要であると思います。防災計画に関する情報を開示し、検討経過に対する市民や企業などからの意見を受け入れるなどの作業を通じて、市民に理解と協力を得られるようにすべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、消防職員の現状と増員についてお伺いいたします。
消防職員の増員については、市議会においても議論されてきているところですが、思うように進んでいない現状にあります。週休二日制に関連して、九三年から三カ年で百十名の増員を図る計画もとんざし、その後は具体的な増員計画もないまま今日を迎えております。
しかし、消防庁の消防力の基準をもとに、ことし四月一日現在での本市の消防職員数は、基準の千百六十三名に対し千四名と百五十九名も少なく、充足率は八六・三%となっており、政令指定都市平均の九四%に比べ約八%も下回っている現状にあります。当局として、三カ年計画が達成できなかった原因、その後の増員計画を立てなかった理由を含めて、この人員体制の現状をどのように認識しておられるでしょうか、お伺いをいたします。
本市の職員の勤務はさまざまな形態がありますが、消防職員は二交代制、あるいは三交代制勤務の中で、緊張状態を保ちながら激務をこなしています。都市の高度化が進み、都市火災も複雑化と危険性が潜在していますし、新型の災害が発生している今日、職員には一層の
専門的知識と技能、高度な訓練が求められていることは周知のとおりです。消防職員は、常に心身ともに万全な体勢を維持することが求められる職務であるにもかかわらず、十分な休養やリフレッシュの時間が確保されているのか疑問を持つものです。
年次有給休暇の取得状況を例にとれば、昨年度の消防職員一人当たりの平均取得日数は十二・六日にとどまっており、これだけで判断はできませんが、人員不足の現状が数字としてあらわされているのではないかと思います。
昔から、消防という仕事は人で成り立つと言われています。今議会に災害対応型の消防車両の購入が提案をされ、今後、泉区の西部地区に(仮称)泉消防署西部出張所の建設が予定されておりますが、施設や車両が整備されても、それらを操作するのは消防職員であります。
したがって、私は、先ほど触れました泉区西部地区に建設予定の出張所に配置する人員の確保を初め、人員配置について、少なくとも国で定める消防力の基準をクリアすることを目標として、早急に具体的な年次計画を設定し、人員確保に努めることを強く求めるものですが、御所見をお伺いいたします。
次に、秋保、作並地区へのはしご付消防自動車の配備についてお伺いいたします。
秋保、作並地区は、全国的にも有名な温泉街として知られ、たくさんの観光客が訪れる、本市の観光資源としても重要な地域の一つであります。多くの旅館やホテルが建ち並ぶ地域であり、高層ホテルもふえた現在、観光客の安全を確保し、安心して観光を楽しみ、滞在できるように整備することは、本市としても重要な課題であると思います。そうした整備を進めることが、ひいてはこの地区に居住する市民の安全につながることを考えれば、なおさらのことと思います。
しかし、秋保温泉街を担当する秋保出張所と、作並温泉街を担当する熊ケ根出張所には、開設以来求め続けられている高層ホテル火災に迅速に対応できるはしご付消防自動車が配備されておりません。
九五年の第一回定例市議会予算等審査特別委員会において、阪神・淡路大震災を受けて防災に関する集中審議を行っておりますが、その中で小山勇朗議員から、地元の声も含めて早期の配備を求めた質疑に対し、市長は、地域の特性を加味しながらできるだけ計画的に配置を急いでいきたいと答弁しておりますし、当時の財政局長も、市長の施政方針の中で述べられているように、安心と安全の上に築くまちづくりを踏まえて予算編成を行ってまいりますとの答弁をしておりますが、当局として、これまで計画的な配置に向けて、予算措置も含めてどのように取り組まれてきたのでしょうか、お伺いをいたします。
また、九七年四月に修正された仙台市地域防災計画、地震災害対策編の消防車両等の整備項目では、九七年度から二〇〇〇年度までの計画において、はしご付消防自動車一台を配置するとしておりましたが、年度を過ぎた現在も配置されておりません。なぜこれまで配置されてこなかったのか、どこに配置しようと考えていたのかについて、具体にお示しください。
その上に立って、改めてはしご付消防自動車の配備を求めるものですが、御所見をお伺いいたします。
次に、先ほど福島議員も取り上げておりましたが、本市が来年度に目指している二学期制の全校一斉導入について、視点を変えてお伺いをいたします。
二学期制問題については、ことしの第二回定例会でも取り上げましたが、その際、二学期制の導入について教育長から、指導と評価の工夫や
学校行事の精選など教育活動全体の見直しと改善を図ることによって、
子供たちがゆとりの中で主体的な学習活動を行えるようにすることを目指したものとの御答弁をいただきました。
しかし、新
学習指導要領の導入は、基礎、基本の習得、生きる力をはぐくむ教育、ゆとりある教育の実現を目的としており、これまでの知識偏重の教育を、みずから学び、考える教育に転換しようというものであり、二学期制を導入しなくても指導や評価のあり方は当然変わるものであると言えます。
したがいまして、このことが二学期制の積極的な導入理由となり得ないと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
また、
学校行事の精選についても、実際はそうなっていないように思われます。年三回の通信表が総合評価という名に変わり年二回に減りますが、保護者の理解が得られないとして、新たに三カ月ごとに到達度評価が追加され、通信表が実質六回にふえたり、新たに学校開放日と称する授業参観が追加されるなど、新たな行事がつくり出されていることは既に指摘しているとおりでございます。
さらには、九月から十月は、小学校では運動会や学芸会、遠足や授業参観、陸上記録会、中学校では弁論大会や駅伝大会、文化祭や体育祭などの行事が集中する時期であるにもかかわらず、二学期制によって秋休みが新設され、非常に窮屈な日程の中でさまざまな行事を消化しながら、期末テストや通信簿の記入などもこなし、日常の授業を行わなければならず、
子供たちも教師も日程の消化に追い回され、ゆとりなどどこかに吹っ飛んでしまう現実をどう改善しようとしているのか、お伺いいたします。
さらに、二学期制の試行校についての評価については、十月に行われました本市の
教育委員会では、今後の課題として先送りされたようでありますし、
教育委員会の方が、ある学校の教職員との懇談の席上で、全市的に二学期制のよさを自覚して準備をしようという雰囲気はないと発言したとの情報や、十二月に市教委として教務主任を対象に二学期制の説明会を行う予定と伺っておりますが、既に
学校現場では来年度の準備に入っており、今さら遅いという声も出ていると伺っております。
二学期制は、来年度の新
学習指導要領の全面実施に合わせた本市の追加的制度と言えるものであり、これまで述べたとおり、多くの課題が山積している現状を踏まえれば、いま一度立ちどまり、二学期制の導入ありきというかたくなな姿勢を振り返ることも大切ではないでしょうか。そして、時間をかけて試行校の十分な検証を行うとともに、問題点の解決を図ることを最優先すべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
そうした積み上げを行いながら、一般教職員や保護者、そして学校の主体である
子供たちの十分な理解と協力を得られる努力を積み重ね、導入については弾力的に対応すべきだと思いますが、お考えをお伺いいたします。
次に、今年度から始まった教員の少人数加配についてお伺いいたします。
少人数加配は、児童生徒の基礎学力の向上ときめ細かな指導を目的として、本年度から二〇〇五年度までの五年計画で進められている第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画に基づいているもので、本市では小学校十九校に二十五人、中学校十七校に二十人、合わせて三十六校に四十五人が配置されております。導入されてから七カ月が過ぎましたが、現在までの取り組みを通じて明らかになった効果や問題点を具体にお示しください。
私は、現場の先生方と話す機会がありました。少人数加配についてお話をお伺いいたしましたが、加配の先生への負担が大変大きくなっているとのことでした。中学校は教科担任制をとっており、比較的スムーズに進められているようですが、小学校はクラス担任制で、全教科を担任が受け持ち、特定の教科だけに加配の先生が入ることになります。
例えば、一クラス四十人で三クラスある場合は、人数を単純に二つの班に分けた場合、加配の先生は基本的に六十人の児童を覚えなければなりません。二つの学年を受け持つとなると百二十人の児童を覚えなければなりません。しかし、場合によっては別の班も担当することもあり、実際はその倍の児童を把握しなければなりません。クラス担任の先生は基本的には四十人覚えればよいわけですので、クラス担任の先生の何倍もの児童生徒の顔や名前を覚え、それぞれの個性を把握しながら授業を進めることになります。
さらには、教科の進度が
学校行事などの事情によってクラスで異なる場合が出てくると、進度を合わせて教えるということが大変困難になるなど、加配の先生にとって重い負担となっているということを伺いました。
したがいまして、少人数加配の先生の負担を軽減し、その効果をより高めるためには、例えば、新任や転任一年目の先生はクラス担任として学校の空気に触れ、児童生徒の顔などを覚えるという段階を経て、二年目以降に少人数加配に入るというような、一定のルールの確立と勤務条件などの環境整備を進めることが大切だと思いますが、当局の御所見をお伺いいたします。
また、本年度から五年間で、教職員の定数改善によって、本市では二百五十名ぐらいが配置される見通しだと伺っておりますが、私は、教育局がこうした制度を積極的に活用し、現場の先生方がゆとりを持って一人一人の児童生徒に向き合えるような条件整備に取り組むことを強く求めるものでありますが、御所見をお伺いいたします。
次に、小中
学校教育での社会教育施設の有効活用についてお伺いいたします。
現在、本市の
小中学校では、
学校教育の一環として、
学校教育のカリキュラムに組み込まれている天文台や科学館のほか、発掘調査中の仙台城などの社会教育施設を利用した学習を行っていますが、一方、博物館の小中学生の利用が少ないように見受けられます。仙台市立の学校における社会教育施設の利用状況はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
博物館は、特別展や自主企画展の開催などに努力されていることもあり、入館者が増加傾向にあることは喜ばしいことであります。しかし、小中学生の入館者数はその年によって波があり、決して多い数字ではありません。各学校や学年単位など団体での利用から、先生が引率をしない少人数による自主研修がふえていることも要因の一つと思われます。
福岡市では、九十一年から博物館を福岡市立中学校などの学習に利用してもらうために、博物館が借り上げた送迎バスを利用する博物館学習事業を実施しており、毎年、中学二年生の九七%、約一万二千人が利用しており、これらを含め年間約六万人の小中学生が入館しているとのことです。これは本市のおよそ三倍に当たります。
来年度から、学校では新たに総合的な学習が導入されますが、博物館の利用を高め、本市の歴史などを学ぶ機会を拡大するための一つの取り組みとして有効な施策であると考えるものですが、他の教育施設との連携や予算措置も含めて御当局の御所見をお伺いし、私の第一回目の質問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
17: ◯市長(藤井黎)石川議員の御質問にお答え申し上げます。
最初は、仙台市地域防災計画の修正の問題でございます。あわせて、その際におきます市民や企業の理解、協力につきましてもお答え申し上げたいと思います。
本市は、平成七年に発生いたしました阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、従来までの地域防災計画の見直しを行いました。消防体制の充実、非常用の物資の備蓄、あるいはライフラインの施設の防災対策や自主防災活動の強化など、地震防災対策に特段の力を注いでまいったところでございます。
今回の計画修正でございますけれども、現行の計画の理念、方針を変えることなく、これを基本としながら、前回の見直し以降の、例えば人口の伸びだとか、都市化の進展状況だとか、こうした状況変化に対応をした修正、さらにはまた、先般公表をされました、政府の地震調査会の宮城県沖地震の長期評価に示された内容などを盛り込むことによりまして、より現実的な内容とすることにいたすものでございます。
修正に当たりましては、特に防災アセスメントに基づく地域情報などにつきましては、市民並びに企業の皆さんの御理解、御協力がどうしても不可欠であるというふうに考えておりますので、計画の概要や骨子がまとまった段階におきまして、市民の皆さんに広く情報を公開をいたし御意見をいただき、その結果を計画に反映させてまいりたいと、このように考えます。
なお、進捗状況についてでございますが、現在、消防局を中心としまして、関係部局において現行計画の検証の作業を進めておるところでございます。
そのほかの御質問に関しては、関係の局長の方から答弁させたいと思います。
以上でございます。
18: ◯消防局長(山内伸一)消防防災に関する御質問のうち、市長から御答弁申し上げました以外の御質問にお答えを申し上げます。