委 員 佐 藤 綾 委 員 波 田 大 専
欠 委 員 山 口 かずさ 委 員 成 田 祐 樹
委 員 脇 元 繁 之
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開 議 午前10時
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○村松叶啓 委員長 ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、山口委員からは欠席する旨、また、三神英彦委員からは遅参する旨、また、こじま委員からは北村委員と、村山委員からは小竹委員と、小須田委員からは山田一郎委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第5款 経済費 第2項 農政費のうち、農業委員会関係分の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
農業委員会の説明員の方は、退席されて結構です。
次に、第1項 商工労働費の質疑を行います。
◆吉岡弘子 委員 私は、中小・小規模事業者支援について質問いたします。
新型コロナウイルス感染症による経営悪化に陥る事業者支援として始まったゼロゼロ融資は、中小企業、小規模事業者を対象とした実質的無利子・無担保の融資で2020年3月から2022年9月までの期間で行われました。全国の利用件数は245万件、実行額は約43兆円に上りました。
地域経済を支える中小・小規模事業者は、今なお、コロナ禍に続く原材料・燃料価格の高騰、人材不足などに苦しんでいます。
新型コロナウイルス感染症の5類移行後、回復に向かってはいるものの、円安による物価高や光熱費の高騰、人手不足と賃金上昇など、コストが増加し、経営を直撃しています。企業実績が回復し切れない下で、コロナ禍で実施されたゼロゼロ融資などの債務の返済開始が昨年夏にピークとなりました。
国は、2023年1月、ゼロゼロ融資の返済が本格化する現状を踏まえ、ゼロゼロ融資の借換え保証として
伴走支援型特別保証制度を創設しました。本市の
伴走型経営改善資金の融資に乗り換えるためには、
セーフティネット保証4号などの4項目のいずれかに該当しなければなりません。該当すると認定されれば、
伴走型経営改善資金を申し込むことができます。
国は、ゼロゼロ融資の返済開始の最後のピークと言われる今年の4月を前に、3月31日までの
セーフティネット保証4号の認定期間を3か月間延長すると発表したところです。
そこで、質問ですが、本市における
セーフティネット認定件数と
伴走型経営改善資金の実績、融資額及び事業者規模について伺います。
◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長 セーフティネットの認定件数と
伴走型経営改善資金の件数、融資額、その事業者規模についてお答えいたします。
セーフティネット保証は、売上げや粗利益の減少により経営の安定に支障が生じている事業者などの資金繰りを支援するものであり、令和5年度の認定件数は、令和6年1月末時点で1,362件となっております。
セーフティネット保証の認定を受けた事業者も対象となる
伴走型経営改善資金については、民間ゼロゼロ融資等からの借換え需要などに対応しており、札幌市で運用を開始した令和5年2月以降、令和6年1月末までに524件で、約130億円の融資が実行されているところです。
この資金を利用している事業者規模については、従業員が20名以下の事業者で、件数では全体の約83%、融資金額では全体の約74%となっております。また、従業員が5名以下の事業者に絞ってみても、件数では全体の約47%、融資金額では全体の約30%となっており、小規模事業者にも広くご利用いただいていると認識しております。
◆吉岡弘子 委員 130億円の融資ですから、
伴走型経営改善資金が地域経済に果たす役割は大変大きいことが分かります。
一方で、本市における
セーフティネット認定件数は、今お答えになった令和5年度で見ると1,362件ですが、
伴走型経営改善資金の実績は、ほぼ同時期で524件ですから、差があることも分かりました。
セーフティネットの認定件数の割に
伴走型経営改善資金が少ないのは、北海道による同様の借換え融資制度の活用が大きいとのことです。しかし、認定されて融資を申し込んでも、融資されずに諦める例がなかったのか、借りられない企業や個人事業者の方が多数いらっしゃるのではないかと心配するところです。
借換え融資の申込みの際には、5年先までの経営行動計画書の作成と、金融機関から継続的な伴走支援を受けなければなりません。具体的な計画が求められており、財政分析など、専門的なことも含まれるため、小規模事業者にとってはハードルが高いという声を聞いています。
そこで、質問ですが、
札幌中小企業支援センターにおける今年度の相談件数と相談内容について伺います。
◎庄中 経営支援・雇用労働担当部長
札幌中小企業支援センターにおける相談件数と相談内容についてお答えいたします。
令和5年度の相談件数については、令和6年2月末時点で約7,000件となっており、主な内容としては、
セーフティネット保証の認定に係る申請等が約2,700件、創業に係る相談が約2,650件、経営相談が約500件となっております。
経営相談の内容としては、資金繰りや融資、補助金、雇用関係、事業展開など、様々な相談が寄せられております。
◆吉岡弘子 委員 今年度、最も多いのがセーフティネットについての相談で、これはゼロゼロ融資の借換えの申請に関わる相談が2,700件ということになります。
本市の令和5年度上期札幌市企業経営動向調査結果では、令和5年度下期の見通しは、売上高、経常利益ともに下降しています。物価高騰が経営に影響していると回答した1,035社中、危機的な影響があるが6.3%、かなり影響があるが50.8%で、合計すると60%に上っており、資金繰りについては2割が苦しいと回答しています。
政府が借換え保証などの支援策を6月末まで延長することにしました。本市としても、経営行動計画書の作成がネックとなっていると、実情と相談件数から推察されますので、事業者の皆さんへの援助として、経営の専門家である
札幌中小企業支援センターの体制を強化するなどし、寄り添った対応を取られるよう求めまして、質問を終わります。
◆山田一郎 委員 私からは、半導体関連の産業振興について、順次、質問いたします。
まず、半導体関連産業の集積に向けた取組について伺います。
昨年2月28日に次世代半導体の国産化を目指すラピダス社が千歳市への工場進出を表明してから、1年余りが過ぎました。新千歳空港に隣接する工業団地、千歳美々ワールドには大型クレーンが立ち並び、2025年4月の
パイロットライン稼働、そして、2027年の量産開始に向けて、工場建設が着々と進んでいる状況でございます。
ラピダス社の進出により、道内では、かつてない巨額の投資に加え、数千人規模の雇用の創出や半導体関連企業の集積、交流人口の拡大といった様々な効果が期待されており、我が会派でも、これまでの代表質問において、札幌市としてもこれを絶好の契機と捉え、地域経済の活性化、さらには、まちづくりの発展につなげる取組を進めるよう求めてまいりました。
半導体産業は、原材料から製造装置あるいはソフトウエアまで裾野が広く、昨年11月に北海道新産業創造機構、いわゆるANICが公表したラピダス社の立地に伴う道内経済への
波及効果シミュレーションは、2023年度から2036年度までの14年間で、IIM−1と2の両方が量産を行った場合の経済波及効果の総額は18.8兆円と試算されております。
このシミュレーション結果は、ラピダス社による道内調達の割合や関連産業の立地件数、従業員数など、前提条件、想定値の内容や組合せ次第で大きく変動するそうですが、この夢のような経済波及効果を現実のものとするためには、関連産業の集積を進めることが重要になると考えます。
また、この1年の間に、
半導体製造装置内配管を製造する
株式会社テクノウェルや半導体製造素材や資材などの倉庫を手がける株式会社日新をはじめとする半導体関連企業が千歳市や苫小牧市への立地を表明したほか、オランダの
半導体製造装置メーカーのASMLやアメリカのアプライドマテリアルズ、さらには、ベルギーの半導体研究機関、アイメックなどの海外の
半導体製造装置メーカーや海外の研究機関なども北海道での拠点設立を検討していることが発表されています。
さらに、ラピダス社の小池社長からは、千歳市への半導体製造工場の道内進出をトリガーとして、苫小牧から札幌、石狩までの一帯で、デジタルや再生可能エネルギーを軸に半導体やデータセンターなどの先端企業が集積する北海道バレー構想も提唱されており、既に石狩市や苫小牧市では、データセンターや洋上風力など、方向性を定めて誘致活動を行っております。
札幌市においては、
通信ネットワーク拠点やデータ関連企業の集積が期待されているところですが、今年度実施している
半導体関連産業集積に向けた予備調査検討業務の中で、今後取り組むべき政策の方向性が示されていると聞いております。
そこで、質問ですが、札幌市では、これまで、高等教育機関の集積や人材の供給力といった強みを生かし、企業の本社機能やIT・クリエーティブ企業などの誘致に取り組んできたと思いますが、昨今の道内の動きを捉え、半導体関連産業の集積に向けて、今後どのような取組を行っていくのか、伺います。
◎早瀬 経済戦略推進部長 半導体関連産業の集積に向けた取組についてのご質問でございます。
ラピダス社の千歳進出に伴いまして、道央圏での半導体関連企業の進出が期待されるところであり、札幌市といたしましても、企業誘致に積極的に取り組み、地域経済の成長につなげていくことが重要と認識をしております。
このため、今年度は、半導体をテーマにした企業誘致セミナーを東京で開催し、市長がトップセールスを行ったほか、北海道や近隣自治体、さらにはラピダス社とも連携をし、半導体の展示会に参加をして立地環境をPRしたところであり、来年度もこうしたプロモーションを継続的に行ってまいります。
また、大学の集積やオフィス環境の充実といった札幌市の強みが評価をされ、既に先端半導体の設計企業や
大手製造装置メーカーのAI部門が立地をしている状況を踏まえまして、今後は、半導体の設計や研究開発を行う企業の誘致に積極的に取り組みたいと考えております。
さらに、半導体関連産業の発展に資するスタートアップやAI関連企業、大学などによるイノベーションへの取組を進めることで、立地先としての地域の魅力を高めますとともに、近隣自治体や関係機関とも連携をしながら、半導体関連産業の集積を進めてまいりたいと考えております。
◆山田一郎 委員 ただいま答弁いただきましたとおり、いろいろとPRして、来年度も続けていくということでありますが、今後も、半導体関連企業を札幌に呼び込んでいただけるように、ぜひとも積極的な取組をお願いします。
さて、このように半導体関連企業を呼び込み、関連産業を集積させていくためには、これらの産業を支えて、その将来を担う人材が継続的に供給をされていくことがますます重要になります。
また、道内では、特に理系分野の若者が就職のタイミングで道外に転出してしまうことが依然として課題であることから、半導体関連産業の集積により、魅力のある雇用を創出しつつ、そこで活躍できる人材を育成し、地元定着を促進していくことも重要と考えます。
半導体関連の人材の育成、確保に向けては、道内の大学や高専におけるカリキュラムの強化のほか、国や道内自治体においても、小・中・高校生を対象とした半導体企業の工場見学や出前授業といった動きも見られるようになったところであります。
札幌市としても、人材の需要拡大を見据え、関連機関と連携しながら取組を進めていく必要があると考えます。
そこで、2点目の質問ですが、半導体関連人材の育成や確保に向けて、札幌市として今後どのように取組を行っていくのか、伺います。
◎早瀬 経済戦略推進部長 半導体関連人材の育成や確保についてのご質問でございます。
半導体人材の育成や確保に向けましては、昨年、道内の半導体企業、大学や高等専門学校等の教育機関、国や北海道などで構成をされる
北海道半導体人材育成等推進協議会が設立され、札幌市も参画をしたところでございます。
この協議会では、半導体関連の産業界が求める人材ニーズを明らかにし、これを踏まえた教育カリキュラムの作成などを促進しておりまして、札幌市といたしましては、こうした取組に資するよう、新年度、道内の教育機関や企業と連携をした人材育成の取組を計画しております。
具体的には、小・中学生を対象に半導体に関連する仕事や技術に対する興味や理解を深めるための展示・体験イベントを開催するとともに、高校生や大学生を対象に、将来の進路選択に役立ててもらうための職場見学・体験ワークショップなどを実施いたします。
さらに、大学と企業との連携によりまして新たな価値を生み出す
オープンイノベーションの促進などを通じまして、若手研究者が参画をする場を広げ、将来、半導体分野での活躍を志す人材の育成や確保につなげたいと考えております。
今後も、関係機関と連携を強化しながら、人材育成の取組を進めることで、若年層の成長機会を拡大し、その定着とさらなる企業集積につなげてまいりたいと考えております。
◆山田一郎 委員 人材育成については、さっき出たように、出ていく者に対して、そしてまた、新たな人材をつくっていくという取組が大切だと思います。これについては、本当に、他部局との連携であったり、地域との連携というのが必要になってくると思いますので、この活動をお願いできればと思います。
最後に、1点要望して質問を終わりたいと思うのですが、要望としては、まず、やはり、このラピダス進出に伴っていろいろと出てきている中で、札幌市としての方向性であったり、ビジョンをやはり明確に打ち出してほしいというふうには思っております。
さきの質問でも言いましたが、予備調査検討業務の方向性が示されるというようなこともありましたけれども、石狩では、やはり洋上風力であったり、苫小牧であったらデータセンター、千歳の議員の方と話すと、やはり千歳はラピダス周辺の地域開発、そして、千歳の中でも議論されているのは、やっぱり、千歳は千歳の役割があって、札幌は札幌の役割があるというような状況であります。
確かに、連携中枢都市圏の札幌市というのは、多岐にわたる業務、いろいろとあると思うのですが、まず、やっぱり大きなビジョンを見つけて、それに向かって進んでいってほしいと要望いたしまして、私からの質問を終わります。
◆たけのうち有美 委員 私からは、
ヘルスケア産業支援と
宿泊施設バリアフリー化推進事業の2項目伺います。
まず、1項目め、
ヘルスケア産業支援について伺います。
高齢化社会の進展に伴い、社会保障費の増加や医療・介護現場での人手不足など、医療、介護に関する課題は山積しています。人々の健康維持や増進につながるサービスや製品を提供するヘルスケア産業の活性化は、経済成長につながるだけではなく、これらの課題の解決にも重要な役割を果たすと考えます。
このため、国においても、
ヘルスケア産業成長支援の取組が進められていますが、ヘルスケア分野の課題やニーズは地域によっても違いがあることから、各地域における支援の取組も必要と考えます。
こうした中、札幌市では、
サッポロ・ヘルスケアビジネス・サポートプログラムを推進し、
ヘルスケア産業分野の事業者の支援に取り組んでいます。採択事業者には、補助金額は上限50万円、補助率も2分の1と、それほど支援規模は大きくはありませんが、支援対象は幅広く、健康を切り口としたヘルスケアビジネスであれば、業種、業態に制限を設けていません。
また、補助金支援だけではなく、採択事業者の事業推進に向け、その課題に応じた専門家によるアドバイス等の相談支援のほか、事業拡大につながるよう、関係機関や企業等とのネットワークづくりに対する支援も実施しているとのことです。支援内容も充実しており、個人事業主のような小さなところでも、成長性のある事業計画を有する事業者を支援できる仕組みとなっていることは評価をしたいと思います。経済成長はもちろんのこと、医療・介護分野の課題解決にもつながるヘルスケア産業がさらに活性化するよう、効果的な支援を実施していただきたいと考えます。
そこで、質問ですが、本事業における支援が効果的なものとなるよう、どのような点に力を入れているのか、伺います。
◎早瀬 経済戦略推進部長 支援が効果的なものとなるよう、どのような点に力を入れているかというご質問でございます。
本事業は、採択事業者の業種、業態はもちろん、その事業段階も、検討段階のものから熟度の高いものまで幅広く対象としていることが特徴であります。したがいまして、それぞれの事業が採算に乗り、さらには成長できるよう、事業の段階に応じまして、事業計画の見直しから実証先の検討、販路の開拓など、多岐にわたる支援を行っているところでございます。
また、支援の方法は、事業者自らが事業課題に気づき、その解決に向け、一歩を踏み出せるような面談の機会を月1回程度、定期的に設けるなど、きめ細やかなものとしております。
さらには、ヘルスケアビジネスに関わる専門家の高度な知見やノウハウ、
北海道ヘルスケア産業振興協議会など、関係機関とのネットワークを活用し、支援の効果が高まるよう努めているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 支援対象を幅広く設定しながらも、採択事業者に合わせたきめ細やかな支援が可能となるよう工夫されていることが分かりました。
身近で困っている人の声に柔軟に対応し、新しいサービスを生み出す可能性を持つ事業者は、たとえ小さな個人事業主であっても、とても重要な存在です。過去の採択事例を見ましたけれども、医療や福祉の分野で活躍する有資格者とサポートを必要とする人たちがつながり合い、助け合える
会員制コミュニティサイトの開設をはじめ、市民にとって身近であるという点で、興味深いものが多くありました。
こうした市民にとって身近なサービス事業者を増やすことは、地域の活性化や市民の健康増進にもつながる取組であると考えます。本事業は、2018年度からスタートしていると聞いています。支援規模はさほど大きくはありませんが、小さな事業者でも、その事業に成長の可能性があれば支援の手を差し伸べる、このような取組を継続することは大変重要と考えており、今後も期待したいと思います。
そこで、質問ですが、本事業のこれまでの成果と今後の方向性について伺います。
◎早瀬 経済戦略推進部長 本事業のこれまでの成果と今後の方向性についてのご質問でございます。
これまでの成果といたしましては、事業計画の磨き上げが順調な受注につながった事例や、販路拡大を通じまして売上げが支援終了後も継続的に伸びた事例など、きめ細やかな支援が各事業の成長に着実に寄与してきたところであります。
また、過去には、本事業におきまして一定の支援を行ったものの、結果として十分な売上げを上げられなかったという事例もあり、支援におきまして事業の実現可能性を高めるという重要性も見いだされております。
このため、採択事業者の取組の状況と必要な支援内容を都度検証し、適宜、軌道修正をするなど、ビジネスが成長していくために効率的な支援を行うことも必要となっているところでございます。
今後につきましては、こうした点に取り組みつつ、成長するビジネスを数多く生み出すことで、国内のヘルスケア産業をリードする企業を創出し、市内の健康・福祉・医療産業分野の活性化を図ってまいりたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員 昨今の
スタートアップ創出支援などをはじめ、華々しい、規模も大きな支援が見られますが、こうした市民にとって身近な事業者にも目を向ける支援の取組は大変重要と考えます。ぜひ今後とも継続をしていただきたいと思います。
3月27日には、
北海道経済産業局主催の
北海道ヘルスケア産業創出セミナーが札幌市で開催されます。異業種連携、官民連携による新たな
ヘルスケア産業創出を目指すとのことで、本市の
サッポロ・ヘルスケアビジネス・サポートプログラム2023採択事業者の事例報告もあると聞いており、大変楽しみにしております。札幌の取組がこのように注目されていると思うので、期待をしたいと思います。
また、繰り返しになりますけれども、個人事業主のような小さな事業者は、事業推進に困難を抱えるケースが多いと聞いています。ネットワーク構築や経営ノウハウの面の不足といったものもありますが、資金繰りの難しさも往々にしてあるのではないでしょうか。本事業の補助金支援について、補助率は2分の1とのことですが、ぜひ、今後も、本事業を継続していただくとともに、補助率アップなど、資金的支援の拡充について前向きに検討していただきたいということを要望して、この質問は終わり、次の質問に移ります。
次に、
宿泊施設バリアフリー化推進事業について、4点伺います。
これまで、札幌市では、バリアフリー法に基づき、駅を中心とした地区や公共施設等が集まる地区を対象に、重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するため、定められた一定の地区のバリアフリー化の推進に関する計画である札幌市
バリアフリー基本構想2022を策定し、地下鉄駅のエレベーターや路面電車など公共交通機関のバリアフリー化や、小規模店舗等のバリアフリー改修を後押しする札幌市
民間公共的施設バリアフリー補助事業などに取り組んできたところです。
このたび、経済観光局でも
宿泊施設バリアフリー化推進事業を予算化したところですが、この事業について伺います。
そこで、質問ですが、
宿泊施設バリアフリー化推進事業を実施するに至った経緯について伺います。
◎葛西
観光地域づくり担当部長 宿泊施設のバリアフリー化推進事業を実施するに至った経緯についてお答えをいたします。
高齢社会の進展を踏まえますと、今後ますます年齢や障がいによって移動に制約のある方の増加が想定をされますことから、多様な観光客を受け入れるためには、宿泊施設のバリアフリー化を一層進めていく必要があると考えております。
本事業の検討を始めた当初の時点におきましては、今後の観光需要を予測した結果、市内に必要なバリアフリー客室数は142室と推計をしておりましたところ、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法に基づく整備基準を満たす客室数は、この必要数を大幅に下回っておりました。
また、令和3年度に実施をしました調査によると、市内宿泊施設の77%がバリアフリー化に意欲的である一方で、90%以上が改修費用について課題であると回答をしてございました。
これらの状況を踏まえますと、市内の宿泊施設のバリアフリー化に向けては、行政として一定の支援が必要であると判断をし、本事業の開始に至ったものであります。
◆たけのうち有美 委員 77%の市内宿泊施設がバリアフリー化に意欲的だという結果でありましたが、予想より高いなというふうに思いました。非常にうれしいことだと思います。本市の宿泊施設への支援によって、バリアフリー化が進むことを期待したいと思います。
一方、バリアフリーと言うと、車椅子やベビーカーなどを使用されている方やご高齢で歩行に不安を感じている方々に対する段差解消、トイレのバリアフリー化は、誰もが想像できるところだと思います。しかし、バリアフリーは、段差解消やトイレの改修だけを指すものではないと考えます。
本市は、このたびの
宿泊施設バリアフリー化推進事業の施設整備の例として、廊下の幅の拡幅や傾斜路の設置、オストメイト用設備の設置、視覚障がい者用の誘導ブロックの設置、点字、音声、ピクトグラムによる案内などを挙げています。しかし、これ以外にも、表示などにおいて、色覚の個人差を問わず、誰もが見やすい色遣いであるカラーユニバーサルデザインも示す必要があると考えます。
色弱の方は、本市では4.8万人、北海道では12.8万人、世界では2億人を超えていると言われています。ぜひとも施設整備の例に盛り込んでいただき、宿泊施設が積極的に取り入れられるようにしていただきたいと思います。
三つの取組の中の一つ、里山会議ですが、これまで、私も何度か参加させていただき、地域の方の思いに触れてきました。今年度も第1回目の里山会議に参加させていただきましたが、その会議は、中間支援団体を中心とした、分野やジャンルを超えた情報の場であり、終了予定時刻を大幅に超えて、今後の活動内容についていろいろな意見が交わされていました。
地域の方からは、地域にいると、みんなが言う魅力を感じていなかった、これまでは地域だけで将来を考えてもアイデアがなかなか出なかったけれども、少しでもこの事業で地域が明るくなればよいと思っているという声がある一方で、地域の考える活性化と外から来る人の思う活性化に少しずれがあるのではないか、イベント等で外から人が来ると、ごみの問題も発生する、中間支援団体には、外から来る人に森と付き合うマナーを伝える団体になってほしいという声もありました。
中間支援団体が、今後、円滑に活動を進めていくためには、本市が中心となって取り組んできたとき以上に、地域と一緒に取り組んでいく姿勢を示し、理解を得ていくことが大変重要と考えます。
そこで、質問ですが、中間支援団体は、地域と協力して活動を進めていくためにどのような取組を行ったのか、課題も含めて伺います。
◎石橋 農政部長 中間支援団体による地域協力の取組と課題についてお答えいたします。
中間支援団体は、地域と良好な関係性を築くため、令和5年度から、イベントや里山会議のお知らせを地域住民や関係者全員に配付するなど、情報発信、連絡調整等を積極的に行っています。
こうした活動によりまして、地域の皆様から、農地の維持、活用だけではなく、畑に日陰をつくっている樹木の伐採などの困り事の相談を受けるなど、少しずつですが、地域理解も得られ始めています。
一方で、地域外から様々な人々が活動することに対し、快く思わない住民も一部見受けられることから、来訪者のマナーや地域への配慮が課題となっております。
◆たけのうち有美 委員 中間支援団体の活動に当たって、地域との課題が確認できました。今後、スムーズな活動を実施していくに当たり、地域との連携を含め、本市の支援体制が大変重要となっていくと考えます。
そこで、質問ですが、2024年度の中間支援団体の活動に当たり、本市はどのような支援をしていくのか、伺います。
◎石橋 農政部長 令和6年度における札幌市の活動支援についてお答えいたします。
中間支援団体への補助は、団体が自立するため、補助対象期間を3年間としており、年度ごとの活動内容、計画について審査し、補助継続を判断する審査委員会を設けております。この場では、団体の活動について助言や提案も行い、効果的な活動につながるよう支援してまいります。
また、中間支援団体と地域が連携して活動しやすいように、継続して情報共有や意見交換を密に行うことや、活動内容を市のホームページで紹介するなど、情報発信に関する支援を行ってまいります。
西区小別沢は、里山活性化事業のモデル地区であり、今後は、これまでの実績を生かし、新たな里山地域への事業展開につなげてまいりたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員 今年度は1年目なので、初めて審査委員会が開かれますけれども、助言や提案などにより効果的な活動につながるよう、支援を期待したいと思います。
今年度の取組については、先ほどの答弁でも触れられていましたけれども、これまで里山の魅力が詰まったイベントが何度か開催されてきました。
円山動物園と連携した森とどうぶつえんでは、子どもたちが小別沢の木や枝葉を象に届け、象のふんでできた堆肥を小別沢に戻すという循環を生み出す取組、マルシェでは、小別沢の無農薬の小麦粉で作られたお菓子や里山みそなどが売られたり、地元のレストランや農家、木工作家の方々も出店しており、小別沢の魅力や財産を改めて認識したイベントでした。
今年度、伐倒や間伐をするヤマをひらく日というイベントが行われましたけれども、ここでは、生態系を考えながらの作業を見学しました。しらかば広場のおひろめ会では、シラカバの木の間から差し込む太陽の光を浴びながら、里山の野菜を食べ、シジュウカラの研究をしているバイオリニストの演奏を聴くという大変ぜいたくな時間を過ごしました。しらかば広場をつくるために刈ったササが円山動物園へ届けられるなど、常に小さな循環を生み出していることも分かりました。
一方で、先ほどもありましたが、イベント参加者はごみを拾って帰ってくるぐらいの気持ちで参加をすることも必要だと思いました。
この里山活性化推進事業は、自然との共生、景観保全、まちと里山の広がり、この三つがキーワードです。
これまで積み重ねてきた取組が生きるよう、この三つを実現できる事業に発展させていただくことを要望して、私からの質問を終わります。
◆脇元繁之 委員 私からは、鳥獣被害防止対策、エゾシカの処理について、先ほど三神英彦委員も質問されましたけれども、こちらを少し深掘りして、2点お伺いしたいと思います。
令和6年度において、鳥獣被害防止対策推進費として5,200万円の事業費が計上されており、農業被害低減に向けた電気柵などの設置に対する補助や、捕獲したエゾシカの新たな処分ルートとしての集積施設の設置などが盛り込まれています。
令和5年度における鳥獣被害防止対策に係る予算額が1,000万円であるところからすると、新年度はかなり予算額を増やして取り組もうとされている点は評価させていただきたいと思います。
先ほどの質疑にもありましたが、捕獲したエゾシカの集積施設、冷凍コンテナを設置する取組は、大きな前進と捉えているし、期待もしているところであります。
先ほどの質疑で、この集積施設、冷凍コンテナの設置場所については南区に決めたということでありましたが、その規模とか、具体的な設置場所については、猟友会の方々も大いに関心を抱いておられることと思います。
そこで、質問であります。
集積施設、この冷凍コンテナの具体的な設置場所はどこでしょうか、お知らせください。
◎石橋 農政部長 エゾシカ集積施設の具体的な設置場所についてお答えいたします。
冷凍保管庫の設置場所につきましては、猟友会のご意見を伺いながら、現在、札幌市有地を中心とした中から候補地の選定作業を行っているところでございます。
設置の条件として、ハンターの捕獲活動に利便性のよい場所で、かつ、市街地からはある程度離れている場所が望ましく、加えて、個体搬出入時の駐車スペースや必要な電力が確保されることなどがございます。これらを考慮し、早期に決定したいと考えております。
◆脇元繁之 委員 猟友会の意見を聞きながら、早期に決定したいということでありました。
南区といっても、ご存じのとおり、非常に広い地域であります。札幌市の6割の面積を占めているのが南区でございますので、そういった意味では、本当にその置く場所ですね。条件等々というのはあるとは思いますし、また、猟友会のメンバーの方からちょっとお聞きしたんですけれども、今後、札幌市内も三つのエリア、グループに分けた形で鹿の捕獲をしていくということもちょっと耳に入ってきております。
そういった意味では、やはり、南区といえども適地というものがあるかと思いますので、ぜひ、そこの部分をしっかりと熟慮に熟慮を重ねて決定していただきたいと思います。
市有地を中心とした中から選定しているとのことでありましたけれども、札幌市の市有地ですから、ランニングコストなどの費用の面からすれば、札幌市が持つ市有地が第1候補になるのは当然のことと思います。しかし、集積施設の設置には様々な条件があるようであり、設置場所は、市有地に限らず、もっと候補地を広げて検討されてはいかがでしょうか。
そこで、質問であります。
猟友会の方々にとっての集積の利便性ということも考えて、市有地のみならず、土地を提供してくれる方がいれば、民有地も候補として検討すべきと思いますがいかがか、お伺いします。
◎石橋 農政部長 エゾシカ集積施設の民有地への設置についてお答えいたします。
冷凍保管庫の民有地への設置につきましては、土地の利用に係る調整に時間を要することや、賃借料が発生すること、地権者の都合による移設等の可能性もございます。
こうしたことから、ハンターの皆様に速やかに安心してご利用いただくため、まずは、市有地での設置が適当と考えているところでございます。
◆脇元繁之 委員 ぜひ、これから先も、この集積場というか、このコンテナの場所は、様々な、数か所出てくると思いますので、ぜひともそういった点も含めてご検討いただければと思います。
冷凍コンテナの設置場所には、様々な課題があることは承知しています。市有地にこだわることなく、猟友会の方々のご意見を踏まえた上で、ぜひ判断をしていただきたい、そんなふうに思います。
なお、この冷凍コンテナについては、電源確保の問題もありますけれども、臭いなど、あと、カラスなどが集まるということで、環境被害を防ぐべく、移動の容易なトレーラー方式というのも考えられないわけではないと思います。その辺りも含めた検討もお願いします。
また、冷凍コンテナに運び込めば、そこから先は処分という形になります。10月16日の決算特別委員会でも私は発言させていただきましたが、可能な限り、その命は有効活用を図るべきと考えております。先ほども答弁でありましたけれども、その取組として、コンテナに運ぶ前に、民間の加工場など、中間処理施設への搬入を促す取組の検討もお願いします。
それが実現できれば、焼却する量も少なくて済むわけですから、ぜひ命を無駄にしない取組の検討もお願いして、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 以上で、第2項 農政費のうち関係分の質疑を終了いたします。
最後に、議案第11号 令和6年度札幌市中央卸売市場事業会計予算の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月14日木曜日午後1時から、交通局及びスポーツ局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後2時53分...