札幌市議会 2024-03-06
令和 6年第二部予算特別委員会−03月06日-04号
令和 6年第二部
予算特別委員会−03月06日-04号令和 6年第二部
予算特別委員会
札幌市議会第二部
予算特別委員会記録(第4号)
令和6年(2024年)3月6日(水曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 32名(欠は欠席者)
委 員 長 村 松 叶 啓 副委員長 うるしはら直子
委 員 勝 木 勇 人 委 員 高 橋 克 朋
委 員 こんどう 和雄 委 員 こじま ゆ み
委 員 伴 良 隆 委 員 川田 ただひさ
委 員 松 井 隆 文 委 員 村 山 拓 司
委 員 三 神 英 彦 委 員 藤 田 稔 人
委 員 和 田 勝 也 委 員 福 士 勝
欠 委 員 小 野 正 美 委 員 中 村 たけし
委 員 松 原 淳 二 委 員 たけのうち有美
委 員
おんむら健太郎 委 員 森 基誉則
委 員 丸 山 秀 樹 委 員 好 井 七 海
委 員 小 口 智 久 委 員 前 川 隆 史
委 員 熊 谷 誠 一 委 員 太 田 秀 子
委 員 吉 岡 弘 子 委 員 長 屋 いずみ
委 員 佐 藤 綾 委 員 波 田 大 専
委 員 山 口 かずさ 委 員 成 田 祐 樹
委 員 脇 元 繁 之
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開 議 午後1時
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○村松叶啓 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、小野委員からは欠席する旨、また、小須田委員からは藤田委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費及び第4項 生活保護費について、一括質疑を行います。
◆波田大専 委員 私からは、
成年後見制度の利用促進と担い手確保について質問させていただきます。
札幌市では、令和4年3月に、札幌市
成年後見推進センターを新たに設置し、
成年後見制度の利用促進に取り組んでおります。
先日公表された札幌市
地域福祉社会計画2024(案)によりますと、
成年後見制度は、認知症や知的障がいなどで判断能力が低下し、財産の管理や日常生活に支障のある方を支えるための重要な手段であり、
認知症高齢者や単身世帯の高齢者の増加が見込まれる中、
成年後見制度の利用に対する需要が増えていくものと示されております。
そのような中、増加が見込まれる需要に対応するべく、成年後見人の担い手をどう確保していくかについては、大きな課題の一つであると認識をしております。
成年後見制度がスタートした平成12年には、親族が後見人となる割合が全体の9割以上を占めておりましたが、厚生労働省によると、令和4年には、親族が後見人となる割合が19.1%であるのに対し、いわゆる専門職など、親族以外の第三者が後見人となる割合が80.9%を占めております。まさに後見人の担い手が親族から専門職へと大きく替わってきている現状にあります。
後見人を担う専門職としては、弁護士、司法書士、社会福祉士が一般的です。札幌市
成年後見推進センターが毎月第2・第4木曜日に行っている無料の専門相談においても、対応する専門職は弁護士、司法書士、社会福祉士となっております。
一方で、これらの専門職に加えて、令和5年3月13日に、総務省は、行政書士が業として
財産管理業務及び
成年後見人等業務を行うことについて、各都道府県に通知を出しました。
この通知によりますと、行政書士が業として
財産管理業務及び
成年後見人等業務を行うことは、行政書士法の規定に照らして支障がないとの考えが示されており、都道府県は、各都道府県内における
行政書士制度の適切な運用と各行政書士会への支援に努めるとともに、市区町村に対してこの旨を周知することとされております。
札幌市内では、弁護士が約800名、司法書士が約500名であるのに対し、行政書士は約960名と多く、今後も需要が増え続ける成年後見人の専門職の担い手として期待がされるところです。
そこで、質問ですが、札幌市では、成年後見人を担う専門職としての行政書士とどのように連携しているのか、お伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 成年後見人を担う専門職としての行政書士との連携についてのご質問でございますが、札幌
市社会福祉協議会に委託しております市民後見人の養成や受任を行う委員会のほか、
成年後見制度の利用促進のための本市の計画策定に係る委員会や関係団体が集まり制度に関して話し合う札幌市
成年後見推進協議会といった各種会議の委員に行政書士会を通じ就任いただくなど、連携を図っているところでございます。
◆波田大専 委員 ぜひ、行政書士ともさらなる連携をいただき、札幌市
成年後見推進センターが行う専門相談に行政書士を加えていただくなど、市民の皆さんに向けた相談先としての周知にも取り組んでいただけたらと思います。
一方で、増え続ける需要に専門職の対応が追いつかないという現状も顕在化してきております。そこで、後見人の新たな担い手として、専門職の資格を持たない市民の方が市町村などが実施する養成研修を受講するなどして必要な知識を得て後見人を担う、いわゆる市民後見人の活動が全国的に広がってきております。
札幌市においても、市から委託を受けた札幌
市社会福祉協議会が平成26年度から
市民後見人養成研修を行っており、令和5年度には12名の方が養成研修を修了されたとのことです。このような意欲ある市民の方々が後見人の担い手として、今後ますます活躍することが期待されるところです。
そこで、質問ですが、札幌市において、これまでに
市民後見人養成研修を修了した方がどのくらいいらっしゃるのか、お伺いいたします。
また、養成研修を修了された方のうち、実際に後見人を受任された方がどのくらいいらっしゃるのかについても併せてお伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 これまでに
市民後見人養成研修を修了された方の人数と、そのうち、実際に後見人を受任された方の人数に関するご質問ですが、
養成研修修了者は、令和5年度までの累計で175名、うち、実際に後見人を受任された方は、令和6年2月1日までの累計で63名となってございます。
◆波田大専 委員 意欲を持った市民の方々が既に数多く養成研修を修了されている一方で、実際に後見人として活躍されている方は一部にとどまっているようにも見受けられ、非常にもったいない現状にあると受け止めました。
後見人の受任まで至らない要因は様々かと思いますが、後見人は、ご本人から預金や通帳、印鑑などを預かって、財産管理と身上保護を行うわけでありますから、やはり個人で全責任を背負うことは、親族でもなく、専門職でもない市民の方にとっては荷が重過ぎるのではと拝察しております。
そこで、例えば、福岡市や新潟市、広島市、熊本市では、市の
社会福祉協議会が、法人として後見人を受任し、その法人の下で、
市民後見人養成研修を修了した市民の方が後見事務を行う市民参加型の法人後見の取組が行われております。市民の方は、
市社会福祉協議会の臨時職員などという形で雇用契約を締結し、後見事務を行っているとのことです。
法人後見の場合、個人で受任する場合と比較して、権利擁護や福祉、法律の知識や技術を持った法人から適切な支援を受けられる安心感があることに加えて、万が一、何らかの理由によって後見事務を継続できなくなってしまったときにも、法人として後見事務の担当者を交代する、あるいは、複数名で担当するなどという形で、後見事務を安定的に継続できるという利点があります。このことは、後見人を受任する市民の方にとってだけではなく、後見人を依頼する側の方にとっても大きな安心感があるものと考えます。
札幌
市社会福祉協議会においても、平成21年2月から法人後見に取り組んでおりますが、受任件数は5件のみとなっており、後見事務を市社協の職員で対応していることから、現在の体制では10件程度の受任が限界であると伺っております。しかし、
市民後見人養成研修を修了した意欲ある市民の方々の力を借りることで、より多くの案件に対応できるのではと考えるところです。
そこで、質問ですが、札幌市でも意欲ある市民の活躍の促進と後見人の担い手確保のために、他都市で取り組んでいるような
市社会福祉協議会による市民参加型の法人後見に取り組むべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 社会福祉協議会による市民参加型の法人後見の取組についてのご質問にお答えいたします。
委員がご指摘の他都市の取組につきましては、市民の活躍の機会となるとともに、将来的に市民後見人としての活動にもつながっていく可能性のある取組だと考えてございます。
一方で、
市民後見人養成研修の修了者を
法人後見活動に受け入れる団体側におきましては、受け入れた方が後見活動に慣れるまでの間、事務処理や相手方への訪問を一緒に行う必要があるなど、一定の負担となることも他都市からは伺っております。
こうした状況ですとか、高齢者の増加に伴って
成年後見制度のニーズが今後より高まる見込みであるということなども踏まえまして、引き続き、他都市の状況も参考としながら、
養成研修修了者の活躍の場を増やすための方策につきまして検討してまいりたいと考えております。
◆波田大専 委員 確かに、慣れない後見事務を始める市民の方々をサポートすることは、市社協の職員の方々にとっては大きな負担になってしまうかと思います。
一方で、それはつまり、市民後見人の活動を広げていくためには、やはり何らかのサポートが必要であるということでもあるかと受け止めております。
最後に、要望でございますが、東京大学では、地域全体で温かく支え合う地域貢献という新しい概念が提唱されております。誰かが1人で後見人を担うのではなく、まさに意欲ある市民の方々や
市社会福祉協議会、そして、行政書士を含む専門職など、相互に連携協力しながら支え合うことのできる体制の構築も重要と考えます。
今後ますます後見人の担い手不足が懸念される中、意欲ある市民の方々に力を発揮していただけるよう、他都市での取組状況も参考にしながら、ぜひ、引き続き前向きな検討を行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
◆和田勝也 委員 私からは、
生活保護ケースワーカーの業務の効率化についてお伺いをいたします。
札幌市の被保護世帯数は、近年、緩やかに増加を続けており、直近の昨年11月時点での世帯数は5万7,341世帯となっております。
一方、これらの世帯を担当し、自立に向けた支援を行う
ケースワーカーの定数は、5年前、平成30年度は639人でありましたが、今年度は637人となっており、世帯数が伸びているにもかかわらず、逆に減少している状況にございます。
また、
ケースワーカーの担当世帯数は、社会福祉法において、1人当たり80世帯が標準数と定められておりますが、札幌市において、5年前は86世帯だったのに比べて、本年度は89世帯へと増えているとのことであり、標準数との乖離が進んでおります。担当世帯数の増加に伴って
ケースワーカーの業務負担が重くなり、生活保護の目的の一つである自立に向けた支援が十分に行えない状況もあるのではないかと危惧をしております。
こうした中、令和6年度予算案では、新規事業として、
生活保護業務デジタル化推進費2,100万円が計上されており、
ケースワーカーが外勤等で使用する
タブレット端末を新たに導入する予定とのことでございます。
保健福祉の分野、特に
生活保護分野に関しては、デジタル化の動きが遅れていると言われておりますが、
ケースワーカーの業務負担の軽減につながるような
生活保護業務のデジタル化については積極的に取り組むべきと考えております。
そこで、質問でございますが、
タブレット端末を導入する狙いと今後の導入計画についてお伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 ケースワーカー業務への
タブレット端末導入の狙いと導入計画についてのご質問にお答えいたします。
本市では、
ケースワーカー1人当たりが担当する世帯数の増加や保護の適正実施のために必要な事務作業量の増加に伴いまして、被保護世帯の多様化するニーズに対し、きめ細やかに対応することが困難になりつつある状況にございます。
そこで、
生活保護業務のデジタル化の第一歩としまして、他の政令市に先駆けて
タブレット端末を導入し、
ケースワーカーの
事務処理負担の軽減を図り、被保護世帯への
相談支援業務に充てられる時間を増やすことを狙いとしているものでございます。
タブレット端末は、まずは、令和6年度半ばに中央区と南区の2区に先行導入しまして、その効果や課題等を検証しながら、令和7年度以降、残る8区へ順次拡大を目指してまいりたいと考えてございます。
◆和田勝也 委員
ケースワーカーの
事務処理負担の軽減、また、
相談支援業務に充てられる時間を増やすということでした。また、導入に当たっては、中央区と南区で先行的にスタートするとのお話でございました。
次に、
タブレット端末の導入による効果についてお伺いをいたします。
ケースワーカーの業務は、被保護世帯数の増加等を背景として、
ケースワーク業務自体が増大していることに加え、毎年の提出が義務化された資産申告書への対応など、周辺業務も増大していることが全国的な課題となっております。
このため、札幌市では、
ケースワーカーの
業務効率化の一環として、昨年10月には、毎月定例の
保護変更決定通知書の印刷・
封入封緘作業について
行政事務センターへの委託化を実施したところでございますが、今回の
タブレット端末の導入によって、
業務効率化へのさらなる効果が期待されるところでございます。
また、札幌市では、新採用職員の多くが
ケースワーカーとして配置され、市民対応の最前線で苦労を積み重ねておりますが、事務処理が旧態依然とした紙媒体中心のままでは、デジタルに慣れ親しんだ若い世代の職員にとっては業務に対するモチベーションにも影響を生じかねないのではないかと考えております。
そこで、質問でございますが、
タブレット端末はどのような場面での活用を想定し、
ケースワーカーや受給者の方にとって具体的にどのような効果が期待されているのか、お伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 タブレット端末の活用する場面と期待される効果についてのご質問にお答えいたします。
タブレット端末は、
ケースワーカーが家庭訪問に持参して活用することを想定しております。端末には生活保護の
業務システムとの連携機能がありまして、訪問先での相談、助言に際して必要となる被保護世帯の情報を事前に端末内に取り込んでおけるほか、面談内容をその場で端末にメモすることで、帰庁後に行う
訪問記録作成の手間が少なくなるものと考えております。
さらに、訪問先で、端末の画面を用いて制度や手続を分かりやすく説明したり、保護の決定に必要な書類を端末のカメラ機能で撮影することで、被保護世帯が書類提出のために区役所までわざわざ足を運ばずに済むようになるといった
サービス向上の面での効果も期待されるところと考えてございます。
◆和田勝也 委員 家庭訪問時に使用し、また、訪問記録の作成の手間が省け、また、受給者にとっても区役所に足を運ばなくなるように済むということでございました。
最後に、今後の
業務効率化に向けた取組についてお伺いいたします。
先ほども触れましたが、札幌市では、今回の
タブレット端末の導入に先駆けて、定型業務の一部を
行政事務センターに委託化する取組も進めているところです。しかし、高齢化の進展により、被保護世帯数は今後も増加していくことが明らかであり、それに見合った職員数を増やし続けていくのは一層困難になっていくと思われることから、区保護課の持続可能な実施体制を維持するためにも、業務の効率化を一層推進する必要があると思います。
そこで、質問ですが、
ケースワーカー業務の効率化に向けて、今後どのような姿勢で取り組んでいくのかをお伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 ケースワーカー業務の今後の
業務効率化に向けた取組についてのご質問にお答えいたします。
今年度、
総務局改革推進室が主体となって、私
ども本庁保護課と区の保護課も協力し、
生活保護業務の効率化のための検討、分析が
民間コンサルタントへの委託によって進められており、今年度末までには、業務フローの見直しや
ペーパーレス化に向けた改善提案などがまとめられる予定となってございます。
これを今後の
業務効率化の取組に生かしていきますとともに、令和9年度に予定する
業務システムの標準化に向けて、例えば、
電子決裁システムの導入など、
生活保護業務のデジタル化の検討についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◆和田勝也 委員
生活保護業務の効率化に向けた取組が進められているとのことでしたが、札幌市は大阪市に次いで保護率が高い政令市であり、より大胆な視点で
業務効率化を進めていくべきだと考えます。
現在、生活保護を受けている世帯の約半数が65歳以上の高齢者世帯とのことであり、今後も高齢者世帯は増加を続けていくと見込まれますが、高齢者世帯の中には安定した生活を営んでいる世帯も多く、
生活保護制度においては、経済的な給付が中心のベーシックインカム的な支援で足りる世帯も多いと思われます。
現在の札幌市の
ケースワーカーは、割り当てられた地区内に住む
生活保護世帯については、高齢者世帯や母子世帯等の世帯類型にかかわらず、全て1人の
ケースワーカーが担当する仕組みとなっておりますが、私が調べたところ、大阪市では、経済的な給付のみで足りるような高齢者世帯については、
会計年度任用職員が家庭訪問などを担うことで、
ケースワーカーの業務負担を軽減しているとのことでした。
こうした役割分担を行うことで、
就職氷河期世代など、手厚い支援が必要な世帯に対し、
ケースワーカーが力を注ぎやすくなることが期待されますが、
会計年度任用職員の活用のほかにも、民間事業者に外部委託するという手法も考えられます。
現在、国の見解では、保護の決定など、公権力の行使を伴う業務については、
会計年度任用職員の活用も外部委託も認められていませんが、将来的な検討は避けて通れないものと考えております。
今後も、札幌市においては、国や他都市の動向等の情報収集に努めながら、
ケースワークの質の向上の観点からも、大胆かつ抜本的な
業務効率化の取組を積極的に検討していくことを要望し、質問を終わります。
◆たけのうち有美 委員 私からは、
電話リレーサービスと
医療的ケア児とその家族への支援の2項目について伺います。
まず、
電話リレーサービスについて、2点伺います。
1点目は、
電話リレーサービスの自治体への導入についてです。
電話リレーサービスは、聴覚障がいのある方や発話が難しい方と健聴者が通話をする際に、
通訳オペレーターが手話や文字等で通訳することにより、電話で即時双方向につながることができるもので、2021年に全国展開されました。
電話は、日常生活に不可欠な
公共インフラでありながら、音声を使用するため、聴覚障がいのある方々等にとっては利用が難しく、社会的障壁となっています。しかし、
電話リレーサービスは、その社会的障壁を除去し、
情報アクセシビリティーを高める手段として有効なツールであると認識しています。
2017年に制定した札幌市
コミュニケーション条例では、障がい者がそれぞれの障がい特性に応じた手段により情報を取得したり、コミュニケーションしやすいように環境整備することが掲げられており、
電話リレーサービスは、この条例の目的と一致するものであります。このことから、本市では、各区の
聾唖者相談員向けに
電話リレーサービスをいち早く導入し、国も、この取組を先行事例として全国に紹介したと聞いています。
電話リレーサービスを広げていくためには、民間と行政が連携して取り組んでいく必要があると考えますが、そのためには、まず、自治体が先行して導入していくべきであり、本市の取組は自治体導入の参考例になるものと考えます。
そこで、質問ですが、本市は、
電話リレーサービスの導入をしたことにより、
聾唖者相談員の業務などにおいてどのような効果があったのか、また、本市と同様に
電話リレーサービスを導入している自治体があるのか、伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 電話リレーサービスの導入の効果と自治体の導入状況についてお答えいたします。
札幌市では、昨年2月に、各区に配置いたします障がい当事者である
聾唖者相談員向けに
電話リレーサービスを導入しております。
これまでは、
聾唖者相談員が外部へ電話連絡が必要となった場合に、他の健聴者の職員に電話かけを依頼していましたが、職員不在の場合が多く、速やかに対応できないことがありましたが、
電話リレーサービスを導入したことで、
聾唖者相談員自らが電話をかけることができ、円滑な相談対応と
市民サービス向上につながる効果があったところでございます。
他の自治体の導入状況につきましては、昨年11月時点で15の自治体が導入しておりまして、政令市につきましては、札幌市のほか、熊本市で導入しております。
◆たけのうち有美 委員 本市が各区の
聾唖者相談員向けに
電話リレーサービスを導入したことで、より円滑な相談対応が可能となり、
市民サービスも向上したことが分かりました。他都市の導入率はまだ低いようですが、本市の取組を参考に徐々に進んでいくことを願っています。
2点目は、
電話リレーサービスの周知についてです。
昨年11月の北海道新聞に、
電話リレーサービスについて記事が掲載されていました。
その内容は、
電話リレーサービスの認知度が低く、
聾唖者相談員が
電話リレーサービスを使って不動産会社に電話したところ、一方的に電話を切られ、再度連絡をしたところ、詐欺の電話と疑われてしまったというものでした。
これは、北区役所の
聾唖者相談員の話ですが、この事例は、日常生活のどの場面でもどこでも起こり得る話だと考えます。
電話リレーサービスは、聴覚障がいのある方や発話が難しい方々が利用するものですが、先ほどの記事のように、通話の相手は健聴者となるため、健聴者に十分に認知してもらう必要があります。
総務省では、CM等を用いて
電話リレーサービスの周知を国民に対して広く行っていますが、企業への認知はまだまだ進んでいないと考えられることから、本市も積極的に周知を行うべきと考えます。
そこで、質問ですが、本市として、企業への
電話リレーサービスの周知についてどのように考えているのか、伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 電話リレーサービスの企業への周知についてお答えいたします。
聴覚障がいや発話が難しい方などが自立した日常生活や社会生活を送っていく上で、様々な企業が関わっておりまして、また、
電話リレーサービスは必要な
公共インフラでありますことから、札幌市としても、広く企業に対して周知をしっかりと行っていきたいと考えております。
既にホームページやSNSで周知を行ってはおりますが、今後、札幌商工会議所や中小企業家同友会など経済団体をはじめ、さっぽろまちづくりパートナー企業等に対しまして周知を行い、聴覚障がいのある方などへの理解を深めていきたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員
電話リレーサービスは必要な
公共インフラであると認識されているとのことでした。また、広く周知を行っていくとのことで、SNSは私も確認をさせていただきました。
生活する上での様々な手続は、電話でなければできないものもまだまだ多いと思います。
電話リレーサービスは、耳の聞こえない人だけのサービスという認識を改め、電話を受けるあらゆる側がこのサービスを知り、当たり前になることが必要です。そのためには、本市が主導してPRをしっかりと進めていただくことを求めてこの質問は終わり、次の質問に移ります。
次に、
医療的ケア児とその家族への支援について伺います。
日常的に、たんの吸引や経管栄養、人工呼吸器などの医療的ケアが必要な児童、
医療的ケア児は全国に約2万人、札幌市においては350人ほどいると推計されています。
2019年に厚生労働省が実施した
医療的ケア児者とその家族の実態調査では、医療的ケアを必要とする子どもを家族以外に預けられるところがないという設問に対し、「当てはまる」「まあ、当てはまる」と回答した家族が半数を超えており、急病や急な用事だけではなく、日常的に預けられる場所が不足していることが明らかになりました。
また、日々の生活上の課題や困り事として、6割以上の家族が慢性的な睡眠不足である、自らの体調が悪化したときに医療機関を受診できない、医療的ケアを必要とする子どもを連れての外出は困難を極めると答えているほか、きょうだい児の授業参観や学校行事に参加できないといった一般的な家庭では当たり前にできることができていない現状も明らかとなっています。
このほか、全国各地の医療的ケアが必要な当事者や家族、支援者を一つにつなぐネットワークである全国医療的ケアラインの調査チームが作成したアンケート調査結果においても、アンケートに答えた家族の6割以上が短期入所を希望どおりに利用できていませんでした。
その理由として、施設の受入れ人数が少ないことや入退所できる曜日に制限があることを挙げた割合が高くなっていました。我が会派にも
医療的ケア児の家族から同様の声が届いている一方で、受け入れる側の施設の状況も厳しいと聞いており、早急に改善すべきと求めてきたところです。
そこで、質問ですが、
医療的ケア児とその家族への支援について、本市においては現状をどのように認識しているかについて伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 医療的ケア児とその家族への支援に対する現状認識につきましてお答えいたします。
令和4年度に実施をいたしました障がい児・者とその家族を対象としました実態等調査では、
医療的ケア児等を受け入れる短期入所施設が少なく、また、利用を断られることがある現状とともに、介助による身体的負担が大きい、一年中睡眠不足、一分一秒たりとも気が抜けないなどの切実な声を受けており、レスパイトニーズが極めて高いことを把握しております。
また、事業所への調査では、人手や設備が不足しているため、短期入所の利用を断ることがある現状や、特に宿泊時に必要となる看護師の配置が現在のサービス報酬のみでは難しいとの意見があったところであります。
このため、これまでの調査等で把握しました現状やニーズを踏まえまして、
医療的ケア児を介助する家族の負担を軽減していくことが重要な課題であると認識をしているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 本市が
医療的ケア児を介助する家族の負担軽減を重要な課題と認識していることが分かりました。
医療的ケア児の介助は、長時間にわたるものであったり、命の危険と隣り合わせであったりなど、家族の負担が非常に大きく、家族以外に預けられる選択肢が増えていくことは大変重要であると考えます。また、入院の付き添い交代や学校の登下校の付き添い、旅行などの余暇の介助などを支援してほしいという声も多く届いています。
そこで、質問ですが、新たに実施する
医療的ケア児レスパイト事業と
医療的ケア児等短期入所補助金について、それぞれの事業の目的と具体的な事業内容について伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 新たに実施する二つの事業の目的と内容についてお答えいたします。
いずれの事業も
医療的ケア児の家族の負担軽減を目的としておりまして、在宅での支援の充実と預け先の受入れ体制の拡充を図るものでございます。
まず、
医療的ケア児レスパイト事業につきましては、
医療的ケア児の訪問看護の利用時間数を年24時間上乗せすることに加えまして、現状の訪問看護制度では対応できない長時間のケアや自宅以外での外出先での支援を受けられるようにするものであり、また、
医療的ケア児等短期入所補助金につきましては、医療型短期入所事業所における人員体制の拡充等のために、
医療的ケア児等を宿泊で受け入れたときに、受入れに対しまして補助を行うものでございます。
これらの事業の実施によりまして、医療的ケアを必要とする障がい児が健やかに成長でき、その家族が安心して子育てを行える環境づくりを進めていきたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員 政令指定都市の中でも、
医療的ケア児レスパイト事業を実施している都市は、福岡市や広島市などまだ限られており、本市が積極的に事業化して、
医療的ケア児の支援を充実させていることは評価します。また、外出時にも訪問看護が利用できる仕組みとするなど、当事者のニーズに応えられるような制度にしようとしている点も評価できるものであると思います。
その一方で、年間48時間としている他の政令市と比較すると、年間24時間という時間数については、1か月に換算すると僅か2時間です。この時間数だと、保護者の病気などの突発的な状況に備えるために、できるだけ訪問看護を使わずに取っておいてしまって、レスパイトの充実につながらないご家族が多いのではないかと危惧するところです。また、短期入所事業所への補助金についても、実際に
医療的ケア児の受入れ体制が拡充されて、これまでよりも多く利用できるようにならなければ、当事者の支援にはつながりません。
そこで、質問ですが、これらの事業の利用促進のためにどのように取り組むのか、伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 両事業の利用促進に向けた取組についてお答えいたします。
訪問看護や短期入所はこれまで以上に利用されまして、
医療的ケア児とその家族のレスパイトのための時間が確保されることが重要と考えております。このため、レスパイト事業につきましては、来所せずに、いつでもウェブ上で利用申込みができるように、簡便な手続方法を検討しているほか、当該制度の充実を求めていました当事者団体への周知とともに、訪問看護事業所に協力を得まして事業の活用を呼びかけていくことを考えております。また、短期入所事業につきましては、対象となる事業所に、現状よりも多くの
医療的ケア児の受入れが行われるよう働きかけていく予定であります。
事業開始後におきましても、利用状況や当事者の声を把握しながら、
医療的ケア児とその家族の支援の充実に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員 当事者にとって簡便な手続や情報提供、開始後の状況の把握は大変重要と考えます。これらの取組が
医療的ケア児とその家族への支援として実効あるものとなるよう、丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
昨年11月、秋元市長も発起人に名を連ねている
医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワークが発足しました。このネットワークができた理由は、
医療的ケア児支援法の目的を実現し、
医療的ケア児・者とその家族の支援を充実させていくためには、
医療的ケア児・者の生活現場に密着した市区町村が主体的、積極的に動く必要があるためと聞いています。
医療的ケア児・者支援に思いを持つ全国の市区町村と取組を共有し、国へも現場の声を伝えるなどの行動を進めながら、本市が率先して
医療的ケア児・者やその家族が安心して暮らせるまちになることを期待して、私の質問の全てを終わります。
◆前川隆史 委員 私からは、生活保護における就労支援について、そして、ひきこもり支援の強化について、2点お伺いしたいと思います。
まず、生活保護における就労支援についてお伺いいたします。
札幌市における生活保護の受給世帯数については、近年は緩やかな伸びで推移をしておりまして、コロナ禍でも大きく増えることはありませんでしたが、現在は、物価高騰等を背景として新規申請数が増加しておりまして、特に若い世代からの申請が増えている状況となっております。
この結果、65歳未満の現役世代で働くことが可能な方が世帯内にいる、いわゆるその他世帯は、リーマンショック後は減少傾向にありましたが、令和2年度からは再び増加に転じまして、直近の令和5年11月時点で8,904世帯と、受給世帯全体の15.6%となっておりまして、こうした世帯が生活保護から速やかに自立できるよう、就労に向けた手厚い支援が重要となっております。
そうした意味でも、生活保護を受給中の求職者と人手不足業界の求人をうまくマッチングさせることでウィン・ウィンの結果につながればと期待をしているところでもございます。
そこでまず、1点目の質問でございますけれども、受給世帯のうち、就労している世帯の割合はどの程度あるのか、また、全国との比較ではどうなのか、まずもってお伺いしたいと思います。
◎東館
地域生活支援担当部長 本市の被保護世帯の就労割合についてのご質問でございますが、世帯主または世帯員が働いている世帯の割合は、令和3年度で19.6%と国が調査した全国平均である14.5%を5.1ポイント上回り、政令市の中では最も高い数値となっております。その後も、令和4年度が20%、直近の令和5年11月時点では21%と、緩やかではありますが、さらに上昇しているところでございます。
◆前川隆史 委員 札幌市の生活保護の受給世帯は、経済的な自立に至らないまでも、就労している世帯が全国的に見ても多いといったお話でございました。しかし、その割合は2割程度でございまして、受給世帯の約半数が65歳以上の高齢者世帯を占めているということを考えましても、さらに伸びる余地はあるのではないか、このように考えるところでもございます。
次に、生活保護受給者の方を対象とした就労支援事業の効果についてお伺いしたいと思います。
札幌市における生活保護受給者の方を対象とした就労支援については、担当
ケースワーカーによる支援に加えまして、個々の状況に見合った支援プログラムを用意し対応していると承知しているところでございます。就労に向けた準備が整っている場合は、ハローワークとのチーム支援により、より重点的に支援を行うほか、全区に30人を配置しています
会計年度任用職員の就労支援相談員が個別相談を行っております。
また、就労に対する意欲が低かったり、不安感が強いという理由で就労に向けた準備が必要な場合は、認定就労訓練事業ですとか、就労ボランティア体験事業を通しながら、意欲の喚起ですとか不安の払拭を図っているということでございます。
そこで、伺いますが、生活保護受給者の方を対象とした就労支援事業の各プログラムの実施によりまして、令和4年度はどのくらいの効果が上がっているのか、また、市としてはそれをどのように評価しているのか、伺いたいと思います。
◎東館
地域生活支援担当部長 令和4年度の就労支援事業の効果とその評価についてのご質問にお答えいたします。
まず、早期の就労自立が見込める方を対象としたハローワークとのチーム支援では、対象者159人のうち100人が就職し、就職率は63%となっております。また、最も多くの方を対象としたプログラムである区保護課の就労支援相談員による個別支援では、対象者1,052人のうち593人が就職し、就職率は56%となっております。
このほか、就労に向けて、まずは準備が必要で、直ちに就労に結びつくには課題の多い方を主に対象とした認定就労訓練事業や就労ボランティア体験事業、これらの事業におきましても、対象93人のうち17人が就職に至っているところでございます。
事業の評価につきましては、コロナ禍前に比べて対象者数は多くはなかったものの、就労支援事業全体で見て就職率は5割を超えており、被保護世帯の自立の助長には一定の効果があったものと考えているところでございます。
◆前川隆史 委員 就労支援事業全体で就職率5割を超えているということで、一定の効果があったという認識だということでございました。
次に、就労支援事業への民間活力の導入について伺いたいと思います。
今、答弁がありましたとおり、現在の就労支援事業で一定の効果が上がっているということでございましたが、この求職者の多様化するニーズに的確に対応して、より効果的な支援を行っていくためには、民間活力の積極的な導入も含めて、実施体制の在り方を見直すことも必要ではないかと私は考えております。
私がほかの自治体の取組状況を調べてみたところ、一部の政令市では、生活保護受給者の就労支援事業を既に民間に委託をしておりまして、こうした自治体では、民間事業者が得意とする専門性に加えて、精神保健福祉士や臨床心理士などもサポートに加わるなど、総合的な就労支援の実施で高い効果を上げているようでございます。
そこで、伺いますが、就労支援をより効果的に行う観点から、民間活力の導入も含めて、今後、実施体制を検討していくべきだと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 生活保護の就労支援に民間活力の導入を検討してはどうかとのご質問にお答えいたします。
本市の就労支援事業全体のコーディネート役となる就労支援相談員には、キャリアコンサルタント等の資格を持ち、民間等で就労支援の実務経験を積んだ人材を幅広く登用し、対象者に寄り添った息の長い支援を実施しております。また、就労支援プログラムの一つである就労ボランティア体験事業については、民間事業者へ委託して実施しているところでございます。
一方で、委員がご指摘のように、対象者の就労ニーズの多様化が進んでおりますことを踏まえて、直営と委託のメリット、デメリットの検証も含めまして、就労支援事業全体のより効果的な実施体制の在り方については検討してまいりたいと考えてございます。
◆前川隆史 委員 現在の体制の中で、キャリアコンサルタントの資格を持っている方ですとか、それなりの社会での経験ノウハウを積んだ方々が当たっておられまして、先ほど来、答弁にありましたとおり、一定の効果が出ているということでございますので、それ全てを否定するということではございませんけれども、まだまだ就労に結びつく可能性のある方々がたくさんいらっしゃいますし、そうした方々の可能性を広げていくという意味でも、民間のそうしたノウハウ、活力の積極的な導入を検討していただくことをお願いしまして、この質問を終わりたいと思います。
次に、ひきこもり支援の強化についてお伺いしたいと思います。
孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を目指して、昨年6月に公布をされました孤独・孤立対策推進法が本年4月1日の施行を目前に控えておりまして、ひきこもりの当事者や家族の方々を支援するための取組の重要性が、来年度以降、より一層高まってくると思われます。
さきの第4回定例会におきまして、我が会派から、ひきこもり当事者による支援の輪を広げていくとともに、ひきこもり支援の関係機関が重層的なネットワークを構築していくことの必要性について指摘をさせていただき、札幌市が今後どのような方向性でひきこもりの支援を行おうと考えているのか、質問をさせていただいたところでもございます。
ひきこもりの背景は様々でございますので、ひきこもりの当事者や家族に対して必要な支援を展開していくためには、労働、雇用、経済、教育、高齢者福祉、障がい福祉、生活保護、精神科医療など様々な分野において関係施策を充実させながら、各分野間の連携が重要になると思います。
特に、高齢の親が中年になったひきこもりの子を支える8050問題については、深刻化する前に、いかに社会とのつながりをつくるか、親が亡くなった後の経済的な基盤をどのように整えるかが重要でありますし、その上で、対人関係が苦手なひきこもり当事者のペースに寄り添った支援が求められます。
札幌市においては、ひきこもり地域支援センターでの相談支援とひきこもりの当事者団体が家庭以外での当事者家族同士が懇談等をする居場所、よりどころを中核として支援を展開しておりまして、一定の成果を上げてきているものと考えておりますけれども、昨今の状況を踏まえますと、これまで以上に機能を強化していく必要があるのではないかと思います。
そこで、伺いますが、来年度、札幌市として、どのようにひきこもり対策を推進して、ひきこもりの当事者や家族の方々を支える体制を強化していくお考えか、お伺いいたします。
◎鎌田 精神保健担当部長 来年度におけるひきこもり支援体制の強化についてお答えいたします。
ひきこもり支援につきましては、行政はもとより、ひきこもり経験者などの当事者団体や幅広い関係機関とのつながりや支え合いの関係を強めていく重要であると認識しております。
高齢、障がい、就労といった様々な分野の支援者とこれまで以上に密な連携を図るためには、ひきこもり地域支援センターにおけるマンパワーの充実が必要であることから、現状4名である相談員を、令和6年度は、1名増員し、5名の体制といたします。
また、対人関係を苦手としているひきこもり当事者の方がこれまで以上に支援を受けやすい環境を整えるため、よりどころにおきまして、ピアサポーターの増員と、メタバース環境を活用した交流や相談、さらには、就労支援につながる仕組みづくりを行ってまいりたいと考えております。
以上のように、ひきこもり地域支援センターやよりどころの機能を強化することにより、ひきこもり対策の取組を充実させてまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 来年度、ひきこもり対策の取組を職員の増員ですとかメタバースの導入等で強化していきたいというお話でございました。潜在的なひきこもり状態にある方は札幌市内に約2万人いると推計されておりますので、この機能強化で十分とは言えないでしょうけれども、悩みを抱えている当事者のご家族の方々がこれまで以上に相談につながりやすいように、体制強化を進めていただきたいと思います。
次に、ただいまご答弁にございましたメタバースの活用について、より詳しくお伺いしたいと思います。
先般、私どもは、東京都の江戸川区に行ってきたのですけども、東京都江戸川区ではメタバースの活用について積極的に取り組んでおりまして、区民が直接来庁することなく、自宅や遠隔地などから相談や問合せができるメタバース区役所の実証実験を行っておりました。近々、この区役所の庁舎も新築、建て替えをするそうで、その際には、新しい区役所を完璧に再現をしたメタバース空間をつくって、様々な行政サービスがメタバース上で受けられる、そんなことをやるというふうにもおっしゃっておられました。
江戸川区では、ひきこもりによる社会的なこの孤立を防いで、段階的な社会支援をするために、インターネット上のこのメタバース空間でのひきこもりオンライン居場所というものを年に数回開催しているということでございました。顔ですとか名前を出すことに抵抗があったり、外出することが難しいひきこもり当事者にとって、このメタバースを活用した居場所づくりというのは、より気軽に参加できる手法として大変に効果的ではないのかという印象を強く持ったところでございます。
そこで、質問でございますが、来年度、よりどころにおいて実施予定のメタバース環境を活用した交流や相談、就労支援について、具体的にはどのように実施するお考えか、お伺いしたいと思います。
◎鎌田 精神保健担当部長 よりどころにおいて行う予定のメタバースを活用した支援についてお答えいたします。
よりどころでは、現在、当事者の会及び家族の会をそれぞれ月4回程度実施しておりますが、来所しづらい方が参加しやすいよう、当事者の会のうち、月1回程度、Zoomを用いたオンラインでの開催を行っております。
しかしながら、オンライン開催であっても、顔や名前を出すことに抵抗のある方がいらっしゃいまして、メタバースを活用することによって、ただいまの委員のご指摘のとおり、より参加しやすい環境を整えるよう検討しているところでございます。
具体的には、これまで月1回程度、Zoomを用いておりましたオンラインによる当事者の会をメタバースを活用した開催に変更するとともに、そのほかの当事者の会についても、来所とメタバース活用のハイブリッドで開催することも検討しているところでございます。
また、メタバースの活用を始めるに当たりましては、居場所としての機能、評価だけではなく、ネットワーク環境を生かした在宅でできる作業の紹介など、当事者の方の個々の実情に応じた就労支援を行ってまいりたいと考えております。
そのために、ソフトバンク株式会社や北海道大学大学院保健科学研究院、札幌市生活就労支援センターステップなどと連携いたしまして、民間企業の協力も得られるような仕組みづくりを行っているところであります。
◆前川隆史 委員 デジタルを活用して行政サービスの高度化をしていくということが、今、全庁的にテーマとなっておりますけれども、非常にすばらしい取組かと思います。ひきこもりにある側に立って、そういった心を察しながら、どうやってその人たちの心を開いていくのかというところに取り組む事業として、今回、メタバースをしっかり活用していきたいということでございますので、単なる居場所ですとか、人間関係づくりだけじゃなくて、就労支援も行うということでもございました。
初めての取組で大変なところもあるかもしれませんが、民間企業や北海道大学などとの連携というお話もございましたけれども、どうか、全国の先進事例にもなるような、また、札幌市の市民のこういったひきこもりのある方々がまた活躍できることを夢見ながら、みんなが本当に幸せになってもらうんだという強い決意で、この新しい取組に挑戦していただくことを最後にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
◆佐藤綾 委員 私からは、
生活保護ケースワーカーの配置に関わり、4点質問いたします。
今議会で可決された一般会計補正予算議案第45号の中には、生活保護扶助費の増額補正が含まれております。申請件数の増加等が想定を上回ったためとのことでした。また、厚生委員会での質問の中で、今年度の申請件数は過去10年間で最も多いことが答弁で言及されております。
そこで、最初に、
ケースワーカーの担当世帯数についてお聞きいたします。
被保護世帯数の増加に伴い、来年度の定数・機構編成の概要では、
生活保護業務執行体制の強化として、保護課職員の9人の増員が示されました。我が党は、
ケースワーカー1人当たり担当世帯数が2015年度には82世帯でしたが、2020年度には87世帯と増加していたことから、
ケースワーカーの業務改善のため、標準数である80世帯を満たす職員の配置の検討を求めてまいりました。
標準数とは、先ほど和田委員からも言及がありましたけれども、社会福祉法第16条により、市の設置する事務所について、被保護者世帯数80ごとに所員の配置をすると定めているものです。
そこで、お聞きいたします。
来年度、9人の増員によって、
ケースワーカー1人当たりが担当する平均世帯数は何世帯程度になるのか、伺います。また、担当平均世帯数が多い区と少ない区の状況について、併せて伺います。
◎東館
地域生活支援担当部長 ケースワーカーの担当世帯数についてのご質問にお答えいたします。
令和6年度は、委員からもお話がございました全市で9名の
ケースワーカーを増員することになっておりまして、それによって定数は646名となり、これを直近の令和5年11月末時点の被保護世帯総数から算出しますと、
ケースワーカー1名当たりの担当世帯数は88.8世帯となる見込みでございます。
また、区別で見ますと、担当世帯数が最小になるのは、豊平区87.2世帯、最大が清田区で95.6世帯となる見込みでございます。
なお、区によって
ケースワーカーの担当世帯数にばらつきが生じますのは、世帯類型ごとの業務負担の差異を考えた配置を行っていることによるものでございまして、高齢者世帯のように、生活状況の見守りが中心となる世帯の割合が高い区では、その分、担当世帯数が多くなるといった状況になっております。
◆佐藤綾 委員 来年度、保護課職員を9人増加しても、平均で88.8世帯と社会福祉法が示す標準数を大きく上回っていることが分かりました。
ご答弁では、担当世帯数が多い区は、見守りなどが中心ということで差異があると。その分、担当数が多くなるということでしたけれども、見守りの中でも、本来、生活状況に変化はないか、元気だろうかと、顔を見に行く訪問も支援には重要です。平均で95.6世帯、これはあまりに多いのではないでしょうか。また、担当世帯数が少ない区でも87.2と標準数より7世帯以上多く、
ケースワーカーの業務としては大変厳しいのではないかと感じております。
本市の被保護世帯数から標準数で割り出しますと、来年度は9人増員でも76人が不足し、また、
ケースワーカーを指導する査察指導員、スーパーバイザーは、7対1の配置ということですので、11人不足ということになります。
そこで、
ケースワーカーの業務に関連して伺います。
27日の厚生委員会で、申請数の増加について、高齢者の増加とともに若い年代が増加した旨の答弁がありました。
そこで、お聞きいたしますが、申請件数が大きく増え、若い世代からの申請も増えているとのことですが、
ケースワーカーの業務にはどのような変化があるのか、伺います。
◎東館
地域生活支援担当部長 申請数が増えていること、中でも若い世代が増えていることに伴いまして、
ケースワーカーの業務にどのような変化があるのかとのご質問にお答えいたします。
保護の新規申請がありますと、原則14日以内にその要否を決定する必要がありまして、担当の
ケースワーカーは、この間に生活状況等の実地調査のほか、資産の保有や扶養義務の履行に関する調査などを集中的に実施しますので、業務量が一時的に増えることが考えられます。
また、コロナ禍以降増えている若い世代のいる世帯は、就労などに課題を抱えている場合が多いことから、これらの世帯の自立に向けて
ケースワーカーが手厚い支援を実施する必要があるかと考えてございます。
◆佐藤綾 委員 私も、相談者と区役所に行って新規の申請をお手伝いすることがあるんですけれども、
ケースワーカーさんを見ていますと、新規申請に伴う業務は、本当に審査から決定まで厳格に行わなければならないということもあって、事務的な作業も増えますし、大変だろうなというふうに想像しております。
また、若い世代には就労のための手厚い支援が必要ということでした。一人一人状況が違いますので、経済的自立支援、そして、日常生活の自立、社会生活の自立への支援と、それぞれ個々人に応じた支援が必要です。そのためには、当人の話をよく聞き、支援に反映させることが大事ですが、信頼関係が構築されるまでには時間もかかり、なかなか困り事などを話すことができない場合もあります。
コロナ禍が続いたこの間に面談ができなくなり、電話での対応が多くなったとお聞きしております。その結果、生活保護利用者との信頼関係が希薄になってしまったのではないかと懸念をしているところです。
生活保護利用者との信頼関係が大切だと思いますけれども、現状どのように対応されているのか、伺います。
◎東館
地域生活支援担当部長 被保護世帯との信頼関係の構築についてのご質問にお答えいたします。
保護の適正実施に向けましては、各世帯の生活状況や困り事に応じまして援助方針を定め、被保護者と共通認識を持ちながら支援を行っていくことが重要だと考えております。
そのためには、家庭訪問等の訪問調査活動による生活実態の把握やコミュニケーションが欠かせませんが、コロナ禍では感染拡大防止の観点から訪問調査活動を最小限にとどめておりましたため、今、委員からもご指摘がありましたとおり、被保護者との面談機会が限られまして、相談支援が十分に行えてはいなかった状況にあると考えております。
このため、本年度は、訪問調査活動を全市の重点事業に位置づけまして、訪問計画に沿って着実に行うことにより、被保護者との信頼関係の構築に全市を挙げて取り組んでいるところでございます。
◆佐藤綾 委員 直接顔を見て対話を重ねるということが利用者と
ケースワーカーとの信頼を築くことにもつながるのではないかというふうに思っております。状況に応じて調査訪問と家庭訪問があると承知しておりますけれども、利用者の生活状況を確認し、必要な支援につなげるためでもあります。訪問し、話をすることは時間もかかることですけれども、必要な時間として確保して信頼関係を大事にしていただきたいと思っております。
次に、困難な事例を抱えたときの対応について伺います。
担当世帯数が多いため、同じ持ち件数でも
ケースワーカー個人の力量や経験によって負担に差が出てくるのではないでしょうか。
27日の厚生委員会では、家がなく、生活保護の申請に至るケースが増えているとご答弁で触れられていましたが、ホームレスとなってしまった理由など、内容は複雑なことが多いですし、子どもの虐待、DVなどの事案に直面することもあります。高齢者は、元気そうでも、急に体調が悪化するということなどいろいろと起こります。
そこで、質問いたします。
業務が複雑化、多様化している中で、対応が困難な事例と新規申請が重なることも少なくないと思いますが、その場合、組織的にどのような対応を行っているのか、伺います。
◎東館
地域生活支援担当部長 困難事例を抱えた場合等の対応についてのご質問にお答えいたします。
被保護世帯の抱える課題が複雑化、多様化する中、
ケースワーカーがそれに対し的確に対応できるよう各機関との連携を進めており、児童虐待をはじめとする様々な福祉的課題について、担当部局の職員を講師とした研修も実施しているところでございます。
また、困難事例や新規申請などが特定の
ケースワーカーに集中した場合には、必要に応じて査察指導員等による家庭訪問への同行や来所面接時の同席といった支援や、
ケースワーカーの業務負担が過度にならないように、課内や係内でのフォロー体制も取っているところでございます。
加えまして、今年度は、
ケースワーカーの業務上のつまずきが一因となった区保護課での不祥事もありましたことから、各区の課長職や査察指導員に対しまして、個々の
ケースワーカーの業務状況を細かく把握し、少しの変化にも気づいて的確にアドバイスを行うなど、いわゆる組織としてのしっかりと支える体制づくりの強化に向けた研修も実施したところでございます。
◆佐藤綾 委員 研修のほかに、課や係の中でフォロー体制を取って、個々の
ケースワーカーの状況を見ながらアドバイスなどもされているということで、これは大変しっかりとやっていただきたいというふうに思うんですけれども、課や係内でサポートする側にも人的な余裕がないと十分なサポートが難しくなるのではないかと懸念をしております。
生活保護の
ケースワーカーは、福祉だけではなく、あらゆる制度に精通することが必要であり、一通りのことが分かるまでに3年、一人前になるには5年はかかると言われております。しかし、現在の本市の
ケースワーカーの業務経験年数別で見ますと、3年未満が69%で、5年以上の経験があるのは10%しかおりません。また、年齢別では、20代が全体の64%であり、経験が3年未満で20代の職員が六、七割という状況の下で、1人当たりの担当件数が最も少ない区でも87.2と標準数を超えております。これが大きな課題であると同時に、仕事を援助し、サポートする査察指導員や経験豊かな先輩職員が少ないという課題もあると思います。
利用者への支援をしっかり行うためにも、
ケースワーカーの業務改善のためにも、必要な増員をしていくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆藤田稔人 委員 私からは、複合的な福祉課題等を抱えた市民に対する支援について質問させていただきます。
この取組は、各会派が注目しており、私自身も令和4年の
予算特別委員会と決算特別委員会で取り上げさせていただき、これで3回目となりますが、それほど重要な課題であると感じております。よろしくお願いいたします。
札幌市では、複合的な福祉課題等を抱え、何らかの福祉的な支援が必要と考えられる相談の後、将来的に重大な問題に発展する可能性が高い案件などについて、複合支援推進会議を通じて、区役所内の関係各課の役割分担や支援の方向性など、組織的な支援の調整を行うため、4区に支援調整課を設置し、モデル実施を開始してから2年が経過いたしました。
そこで、最初の質問ですが、2年間のモデル実施における取組をどのように総括しているのか、お伺いさせていただきます。
◎加藤 総務部長 支援調整課のモデル実施の総括についてのご質問にお答え申し上げます。
この2年間、支援調整課設置区におきましては、支援の対象となる方の情報の共有や支援のための方針、役割分担等を検討するために、複合支援推進会議等を活用いたしまして、支援体制の構築を進めてきており、このことは次第に浸透してきたものと認識しております。
一方、課題も浮かび上がっております。
支援調整課が行います業務だけではなく、区保健福祉部全体として、複合的な福祉課題等を抱えた市民に対し、孤立を防ぎ、つながり続けることを目指す、いわゆる伴走型支援を実践すること、また、生活課題全体に対して早期に支援を行うために包括的支援体制を構築すること、これらが課題であると改めて考えているところです。
◆藤田稔人 委員 2年間のモデル実施を通して、複合支援推進会議等を活用した支援体制の構築が浸透してきたことや、支援調整課の役割や取組だけではなく、区保健福祉部全体として、複合的な福祉課題等を抱えた市民に対して伴走型支援を実践することや包括的支援体制を構築していくことが課題であるとのことでございました。
今後も、複合的な福祉課題等を抱えた市民は増加していくことが見込まれており、組織横断的な支援体制を構築していくことは大変重要であることから、支援調整課については、速やかに全区展開を図っていただきたく考えております。
そこで、質問ですが、支援調整課の全区展開に向けて、次年度にどのような取組を実施していくのか、お伺いさせていただきます。
◎加藤 総務部長 支援調整課の全市展開に向けた取組についてのご質問にお答え申し上げます。
今後、包括的支援体制の構築に向けまして、複合的な福祉課題等を抱えた市民に対して、区保健福祉部の関係各課がチームとして支援を行う際、支援調整課は支援に当たる担当者を孤立させないよう、バックアップすることをより一層意識する必要があるというふうに認識しております。
具体的には、国が進めております重層的な支援体制の整備における多機関協働事業の枠組みに基づきまして、複合支援推進会議の運営などのマネジメントを行いながら、アセスメントを担い、時には支援者、助言者となるなど、様々な役割を果たしてまいります。
支援調整課が様々な役割を担い、区保健福祉部関係各課と協働した支援を行うことは、関係各課職員の心理的負担の軽減や
ケースワーク実践の積み重ねともなることから、区保健福祉部全体の相談支援機能の向上にもつながるものと考えております。
◆藤田稔人 委員 支援調整課が支援に当たる担当者をバックアップする機能を持ち、その取組に意識的に取り組んでいくことは承知いたしました。しかし、包括的な支援体制の構築は、支援調整課の動きだけで実施していくものはなく、区保健福祉部全体の強化が必要であり、そのためには福祉職場を支える専門職員の育成が重要だと考えております。
そこで、質問ですが、区保健福祉部における包括的な支援体制を構築するため、職員の人材育成にどのように取り組んでいくのか、お伺いさせていただきます。
◎加藤 総務部長 包括的な支援体制を構築するための人材育成の取組に関してのご質問にお答え申し上げます。
区保健福祉部全体で複合支援を推進していくためには、保健師や福祉コースの職員のみならず、行政コースの職員を含めて、多職種が協働して支援を行うことが重要であると考えております。
福祉コースの職員につきましては、令和5年3月に策定した育成方針に基づき取組を進めているところでございます。引き続き、福祉分野の中核を担う職員として育成してまいります。
加えまして、職種にかかわらず、広く福祉職場で働く職員の育成に向けて、対人援助業務における専門性の向上や協働支援の意識醸成につながる研修の充実などに取り組みまして、相談支援体制を強化してまいります。
◆藤田稔人 委員 福祉コースへの育成方針に基づく取組や広く福祉分野を支える職員の育成に向けた研修の充実などに取り組むということでございました。
最後に、いわゆるごみ屋敷への対応について伺います。
支援調整課が取り扱う複合的な福祉課題を抱えた相談の中には、ごみ屋敷に係る相談も含まれている例があると思われます。ごみ屋敷に係る相談について、対象者の生活環境を整えるための支援は十分であるとは言えず、今後も対象者が増加することを懸念すると、札幌市としても何らかの対策は必要であると考えております。
例えば、親が精神障がいでひきこもりになって、部屋の片づけなどに手が回らず、ごみ屋敷のようになり、その家庭に子どもがいて、やはり、ひきこもりがちで不登校になっているような場合もあると思いますが、そのような場合、生活環境を変える機会が福祉的な課題の解決に向けての糸口につながっていくこともあると思います。
そこで、最後の質問ですが、今後、いわゆるごみ屋敷について何らかの対策を講じていく必要があると考えておりますが、理事者のお考えをお伺いいたします。
◎加藤 総務部長 いわゆるごみ屋敷への対応についてのご質問にお答え申し上げます。
複合的な福祉的課題を抱えている世帯の中には、委員がご指摘のような福祉的な課題と併せて住環境などの生活環境を整える必要があって、相談を受けたり、実際に支援に当たっている行政を含めた関係機関、あるいは地域の方々がその対応に苦慮している案件があるということは認識しているところです。
今後は、複合支援が必要な個別事例の対応の中で、必要な支援などの実態把握を進めますとともに、不良な生活環境の解消や発生の防止を図るための福祉的側面からの支援、そのような取組を独自に行っている自治体も増えてきておりますことから、それらの調査を行うなど、必要な対策について検討してまいります。
◆藤田稔人 委員 最後に、3点要望をまとめさせていただきます。
まず、複合的な福祉課題等を抱えた市民に対する支援については、総括にあったとおり、成果と課題の両面があります。支援に当たる担当者からは、支援調整課には、単に役割分担を調整するだけではなく、支援者や助言者のように直接的な関わりを持ってほしいとの声もあります。市内全区展開を目指して、来年度、この多機関協働事業を汎用性の高いモデルに磨き上げていただきたいと考えております。
次に、この事業をさらに推進するに当たっては、複合的な課題を抱え、解決の困難な事例を担当することが多いことから、人材育成が大変重要であり、福祉コースの職員を効果的に活用するとともに、研修体制の充実を図っていただきたいと考えております。
最後に、いわゆるごみ屋敷対策については、福祉的な側面から住環境を改善するという視点で取り組み、複合的な福祉課題の解決につなげていただきたいと考えております。この件については、全国で30以上の自治体で既に条例を制定しており、条例化も含めてご検討いただきたいと考えております。
◆好井七海 委員 私からは、障がい者冬期移動円滑化推進事業について、3点質問をさせていただきます。
1点目は、実態調査の内容と今後のスケジュールについてです。
令和4年6月に策定された札幌市バリアフリー基本構想2022において、歩道のバリアフリー化を推進することとしている道路のうち、札幌市管理分の75%以上で整備が完了するなど、車椅子を利用する方々にとっては活動可能範囲が徐々に広がってきている一方で、冬期間は、雪が降るため、雪道における移動が大きな課題になっております。
我が会派は、共生社会の実現に向けて、ユニバーサル関係施策の推進を要望しており、先日の総務委員会においても、ユニバーサル展開プログラムにおける施策間の連携の促進等について質問しましたが、車椅子を利用する方々の冬期移動に関わる課題解決も共生社会実現に向けた大切な取組と考えております。
札幌市でも、次年度から障がい者冬期移動円滑化推進事業を新たに開始し、車椅子を利用する方々などに対して、冬期移動に関わる実態調査を実施することとお聞きしました。
そこで、質問ですが、実態調査の内容と今後のスケジュールについて、併せてお伺いいたします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 障がい者冬期移動円滑化推進事業におきます実態調査の内容と今後のスケジュールについてお答えいたします。
車椅子利用者や視覚障がいのある方は、特に雪道の移動に困難を抱えていることから、冬期移動に関わる生活実態やニーズを把握するために、来年度に実態調査を実施する予定でございます。
現在は、調査に向けまして、障がい者団体や車椅子を利用している市職員に対しまして、冬期移動における実情や意見などをヒアリングしているところでありまして、その中で、障がい程度や生活状況によって困難さの内容が異なることや車椅子用のスタッドレスタイヤといった冬期用の移動支援ツールを活用して対応している事例等もあったところであります。
今後は、ヒアリング内容を踏まえながら、実態調査内容の骨子を固めまして、次年度、速やかに調査・分析を行う民間事業者の選定を進め、夏頃までには実態調査ができるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。
◆好井七海 委員 実態調査の内容と今後のスケジュールについては分かりました。
新規の事業ということもあり、具体的な事業内容を決めるためにも、車椅子を利用している方々などへの実態調査は必要であると考えます。これらの方々が冬期移動についてどのような困難を抱えているのか、実態をしっかりと把握していただきたいと思います。
2点目は、冬期移動に係る現在の取組についてです。
我が会派では、以前から車椅子を利用する方々などの冬期移動については課題があると認識しており、平成22年には、冬期外出時の足の防寒、保温、転倒時などにおける衝撃吸収の観点などから、車椅子を利用する児童に対して、保護ブーツが必要と考え、同年の
予算特別委員会及び決算特別委員会におきまして、日常生活用具の給付対象とするよう強く求め、同年12月に日常生活用具の給付種目への追加が実現した経緯があります。
このように、車椅子を利用する方々などの冬期移動については様々な課題がありますが、札幌市でも以前からこの課題を認識し、保護ブーツの給付以外にも既に取り組んでいることがあるのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、車椅子を利用する方々などが冬期間の移動を円滑に行うために、現在、どのような取組を行っているのかをお聞きいたします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 冬期移動に係る現在の支援の取組についてお答えいたします。
補装具と日常生活用具におきまして、積雪寒冷地という札幌の特性を踏まえて、他の政令市と異なる独自の認定を行っております。
まず、補装具につきましては、車椅子の前輪にスキーを履かせるキャスタースキーというものとスタッドレスタイヤの給付を認めておりまして、併せて、補装具は原則一つ給付ですが、靴型の装具につきましては、夏と冬で靴底が異なることから、二つまでの給付を認めているところであります。
次に、日常生活用具につきましては、委員がご指摘の保護ブーツに加えまして、下肢・体幹機能等に障がいがある方に給付している歩行を補助する杖、これに冬期間用として附属品のアイスピックを併せて給付することを認めているところでございます。
◆好井七海 委員 冬期移動に係る現在の取組状況については分かりましたが、引き続き、それらの給付を継続していただき、今後行う実態調査の結果から、さらなる給付品目などが必要と判断した場合には、速やかに対応していただくようお願いいたします。
3点目は、冬期用の移動支援ツールを体験する機会の提供についてです。
先月1日に、札幌市とANAグループの共催で、車いす冬期移動支援ツール体験会が開催されたとお聞きいたしました。
この体験会は、実際に車椅子に乗車して雪道を移動し、その不便さを体感するとともに、スタッドレスタイヤなどの冬期用の車いす移動支援ツールを装着し、実用性の検証を行うものでありました。
これらの支援ツールは、障がい程度、種別及び生活状況によって有効なものもあると考えられますが、この体験会のように、実際に使用してみる機会がなければ、車椅子を利用する方々などがその有効性を認識することができないのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、冬期間に車椅子を利用する方々などが、冬期用の移動支援ツールを体験できる機会を設けるなどの取組が必要と考えますが、いかがか、お伺いいたします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 冬期用の移動支援ツールを体験する機会の提供についてお答えをいたします。
冬期用の移動支援ツールにつきましては、車椅子用のスタッドレスタイヤやキャスタースキーなどを気軽に体験できる機会を設けることは有意義であると考えております。
このため、調査を行っていく中でこうした機会を設けまして、実態調査の結果や移動支援ツールを体験した方の意見等を参考にしながら、今後の具体的な対策等を検討してまいりたいと考えております。
◆好井七海 委員 ぜひ、冬期用の移動支援ツールを体験できる機会を設けていただくようお願いいたします。
最後に、要望ですが、先ほどの答弁で、調査結果を踏まえた上で具体的な対策を検討していくとのことでありましたが、車椅子を利用する方々などは、今、この時点でも雪道の移動に苦労している状況にありますので、その点を意識して、できるだけ速やかに対策の内容を決定し、それらの方々への支援を一日でも早く開始していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
◆三神英彦 委員 私からは、精神保健福祉の分野に対して質問させていただきます。
精神障がいと言うと、当然、先天的な病気でそうなられる方もいらっしゃれば、実際に社会生活の中でちょっとずつ病んでいってという形もあるのかもしれませんし、ひょっとしたら、その両方が影響してということもあるのかもしれません。
それは患者さんによって本当にいろんな症状があるのだと思うのですが、今日の質問に関しては、どちらかというと、社会生活の中でいろいろと精神的に具合が悪くなっていくという話を意識しながら質問させていただこうと思います。
やはり、バブルのダメージがあってから、本当に多くの方が、世の中で自分たちなりにいろいろ頑張っているけれども、なかなか改善されていかないということで、閉塞感はあったと思っていて、それに加えて新型コロナウイルス感染症です。新型コロナウイルス感染症が起こって、いろんな人とのコミュニケーションが制約されている中で、自分とほかの人たちとうまくいかないということが増えてきたんじゃないかなと私は想像します。
また、一方で、目を変えると、他都市の報道だったんですけれども、福祉の施設、介護の施設、それから、病院といったところで、障がいのある方に対しての暴力行為、また、場合によっては性暴力の行為があってということで、気になっているという形です。
そんな中で、精神科病院の入院患者への権利擁護を推進する観点から、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部が改正されて、この令和6年4月から施行されるということになります。
このように、地域における精神障がい者だけではなくて、入院患者に対する支援もまた一層考えていかなければならないという状況になっているということです。
それから、精神障がいのある方が社会復帰や自立した生活を継続していく上で、その方の症状に合わせて、安定的に精神科医療の提供を受けられる体制が必要である。その中でも、入院による精神科医療を提供できる精神科病院は、その中核的な役割を担う重要な機関であるということを認識しているということです。
一つ目は、現状確認の質問になりますが、札幌市内における入院治療が可能な精神科病院の数及び病床数について、ほかの政令市と比較してどの程度の水準なのかをまずお伺いします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 札幌市内の精神科医療の提供体制の状況につきましてお答えいたします。
市内には、入院治療が可能な精神科病院が37か所ございまして、病床数としましては約7,000床ございまして、いずれも政令市で最多となっております。また、人口10万人当たりの数値で見ましても、高水準に位置しております。
◆三神英彦 委員 かなり多いですね。患者さんも多いですし、病院の数も多いですし、病床数も多いということですね。
その病院の入院患者の中には、先ほども言ったように、そのままひきこもっていたいという方も多分いらっしゃるとは思うのですけれども、一方で、退院して地域に戻りたいのに、何らかの不安があって戻れないということもあるだろうということが容易に想像できます。そのような方に対し、市では、精神障がいを抱えている方が自らの体験を生かして入院患者を支援するというピアサポーター活用業務というもので外出に同行するなど、退院促進に取り組んでいるということもお伺いしました。
しかし、入院患者の中には、退院のめどが立たなくて、さらには、ご家族がいないなどということで外との交流が途絶えてしまって、孤独感にさいなまれている方もいらっしゃるということです。入院患者の権利擁護を推進していくということでは、退院に向けた支援だけではなく、孤独感や自尊心の低下の解消を図るなどの取組も今後ますます重要になっていくと考えます。
質問ですが、このたびの法改正の趣旨や内容を踏まえて、精神科病院に入院している方の孤立・孤独感の解消をはじめ、権利擁護の推進について本市ではどのような取組を考えていくのか、お伺いします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 精神科病院に入院している方の権利擁護の推進についてお答えいたします。
今回の法改正で、精神科病院の入院患者に対しまして、支援員が面会交流を行う入院者訪問支援事業が新たに設けられたところでありまして、札幌市での実施に当たりましては、同じく入院患者を支援するピアサポーター活用業務と連動させまして、孤独感の解消を図りながら、退院支援にもつなげていきたいと考えているところでございます。
また、精神科病院内の虐待に関する通報対応窓口の整備が義務化されましたことから、これまで平日の日中に本市職員が対応していたものを、夜間・休日も通報を受けられるように拡充をした上で、外部への委託化を図り、両事業により入院患者の権利擁護を推進していきたいと考えております。
◆三神英彦 委員 今回、質問の作成に当たりましていろんなことを学んだのですけれども、やっぱり、健常な方以上に健常じゃない方の権利を守ってあげるということは本当に大変なことだと思うんですよね。そんな中で、本市としては、多分、社会的要因による精神疾患者というのは今後増えていくのだろうなという中で準備をしていかなければいけないのかなというふうに思います。さらに言えば、そのために外部の専門家と結びつく、それから、医療関係、介護などという領域と結びつくということ、それから、本庁の中で、実際に今までの委員の話の中でも、保健福祉の中でもいろんな部局がつながっていって情報交換をするだとかということもより一層活性化させていかなければいけないんだと思います。
最終的には、そういった方々の権利を守ってあげるために、効果的な事業の推進というものを今以上に構築していただきたいということを求めて、私の質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、個別避難計画の推進について質問をさせていただきます。
今年1月1日に発生いたしました能登半島地震をはじめとして、近年、自然災害が頻発する中、高齢者や障がいのある方、妊婦や子どもといった災害発生時等の有事に際し配慮が必要となります、いわゆる要配慮者の避難支援について、実効性を確保していくことは喫緊の課題と言えます。
2011年に東日本大震災が起こって以降、災害時要援護者と言われたときから、自治会などでも実態を把握したり、モデル事業の事例集なども作成していただいたり、札幌市の福祉避難所の実効性なども含めまして、私たち会派としても要配慮者の避難支援に関しての質問もさせていただいてきたところであります。
さきに取り上げました取組が全市的にも大きく展開されている中、現在、札幌市では、介護を必要とする方や重い障がいのある方等の特に避難時に支援が必要となる避難行動要支援者名簿を作成しているところでございますけれども、名簿掲載者数は令和5年1月1日時点で11万8,242名と、年々、少しずつ増えている状況にあると伺っております。
このように、避難行動要支援者の安全を確保するため、災害が起きた際の避難先や避難時の配慮事項について平時から準備して記録しておくこと、また、予見される状況において、そうした取組は有効な取組であり、令和3年5月に改正されました災害対策基本法でも、市町村において作成に努めるようにとされているところでもございます。
また、国が避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針において、個別避難計画の作成に当たっては、福祉専門職の関係者の参画や連携が大変重要であるとされております。
こうした状況を踏まえて、我が会派では、昨年の第3回定例市議会の代表質問で、個別避難計画の策定に向けた今後の取組について伺わせていただいたところ、令和5年度において、災害発生時のリスクが特に高い方について、福祉専門職等との連携を図りながら、計画の策定の試行実施に取り組んでいくという旨の答弁があったところでもあります。
そこで、質問ですが、令和5年度の個別避難計画の試行実施の内容についてお伺いをいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 個別避難計画の試行実施内容についてのご質問にお答えいたします。
試行実施は、避難行動要支援者名簿に掲載されております高齢者や障がいのある方、在宅人工呼吸器使用患者等の中から14名を対象に、ふだんから対象者へ福祉サービスを提供していただいている居宅介護支援事業所や相談支援事業所など、10の事業所の協力を得まして、昨年の7月から11月にかけて行いました。
具体的には、各事業所の福祉専門職が対象者の計画を作成し、札幌市からは、必要に応じてハザードマップの提供や計画作成に向けた関係者の打合せに参加して助言を行うといったサポートを行ったところでございます。
また、計画作成に携わった福祉専門職へのアンケートや意見交換会を実施しまして、作成に当たって苦労された点、あるいは行政に求められる支援、こういったものを聞き取るなど、今後の事業推進に向けて課題把握を行ったところでございます。
◆丸山秀樹 委員 10の福祉事業所の協力を得て実施されたというお話でございました。
今回は、福祉事業者等の協力を得て、実際に避難行動要支援者名簿に掲載された対象者への個別避難計画の作成を行ったということで、今後、本格実施に向けた一歩を踏み出したものと思われます。
また、個別避難計画の作成を行った福祉専門職への意見の聞き取り等を行ったということでもあり、その中で把握された課題を解消していくことは、令和6年度に行うことになっておりますモデル実施を進めていく上でも重要な観点であると考えます。
そこで、質問ですが、試行実施において、具体的にどのような課題が把握されたのか、また、その課題を踏まえて、次年度以降の個別避難計画の作成の推進に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
◎東館
地域生活支援担当部長 試行実施で把握された課題と今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
試行実施に携わった福祉専門職の意見等から、個別避難計画そのものの認知度がまだ低いことや、計画を作成するに当たっての防災知識の不足、作業時間の確保への不安といったことが主な課題として把握できました。
これらの課題を踏まえまして、計画作成の対象となる本人や家族、福祉事業所等の関係機関への周知・広報など、個別避難計画の認知度向上に向けた取組や計画作成のためのマニュアルづくり、研修の実施、計画へ記載する内容の絞り込みといった防災知識の補完ですとか作成負担の軽減につながるような取組が必要と考えてございます。
また、試行実施で得られた意見に加えて、現在、市内の福祉事業所を対象に、個別避難計画に関する理解や計画作成への協力意向等についてのアンケート調査も実施しているところでございます。
この調査結果も踏まえながら、試行実施では検証し切れなかった、例えば、家族や福祉事業所以外の方に、避難時の支援者になってもらわなければならないようなケースにどう対応するかなどといった課題もありますことから、令和6年度は、今後の事業の推進に向けて、より多くの方を対象としたモデル実施に取り組んでまいりたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 答弁では、広報、周知による認知度向上やマニュアル作成など、個別避難計画作成の負担軽減に努めるということ、さらには、現在実施しているアンケート調査を踏まえて、多くの方を対象としたモデル実施を行うということでございました。
最後に、要望を何点か述べたいと思います。
一つは、試行実施や意見交換会でも出ましたように、個別避難計画の認知度の低さ、福祉専門職の防災知識の不足、大変忙しい業務に携わっている方ですので、作業時間の確保ということにも当然不安が挙げられるというように思います。
しかしながら、こうした取組をしっかり担っていただくのはこうした専門職の方ということにもなり得ますので、コロナ禍などでも有効活用されたと思われますオンラインなんかの活用も含めて、説明会や意見交換会など、やはり定期的に継続して実施していただく必要があるものと考えます。
二つ目は、モデル実施は、家族以外の方が支援者となる場合も想定するなど、様々な配慮が想定されるということでございましたが、要配慮者の移動は、エリアにとらわれるものではないということを念頭にしていただく必要があるものと思います。なるべく距離が近く、近い施設への移動を優先する必要があることも確かでございます。特に、重い障がいのある方には特段の配慮をお願いしたいというふうに思います。
最後に三つ目ですが、いざ災害が発生した場合、日頃関わっている施設であったとしても、避難所として想定されている場所が、河川を挟んでいたり、崖や山を背にして立地されている施設であれば、避難先として適さない場所となってしまいます。ついては、事前の避難環境の適、不適を確認していくということが大変重要でありまして、そうしたこともモデル実施で確認できるようにし、具体的な避難計画、マニュアル作成でも生かせるようにしていただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆脇元繁之 委員 私からは、障がい福祉に係る扶助費に関しまして、端的にお伺いしたいと思います。
令和6年度予算を拝見していて気づいたことなのですが、障がい保健福祉部関係の予算額が前年度の1,161億円から1,292億円へと130億円ほど増えております。かなり大きな額でございます。
その増えている要因を分析してみますと、特に、児童障害福祉事業費と訓練等給付費の伸びが大きいことが分かりました。令和5年度と比べると、児童障害福祉事業費は約40億円増え、訓練等給付費についても64億円の増加であります。そして、令和5年、本年度においては、さきの補正予算で、児童障害福祉事業費、訓練等給付費とも16億円ずつ、合計32億円追加しているわけであります。
確かに、これらの事業費には、国庫支出金と道からの支出金が手厚く措置されていますので、札幌市としての一般財源の持ち出しはそんなに多くないとはいえ、財政局が令和6年度予算編成を経て示した中期財政フレームでは、基金の活用額、取崩し額が昨年12月時点より98億円も増えた要因の一つとして扶助費の増加を挙げているわけであります。
あわせて、財政局で作成した令和6年度予算の概要という資料の中には、令和2年度以降における扶助費の推移を示す棒グラフが掲載されておりまして、その中では、生活保護費がこの4年間で12億円の増、児童福祉関係の扶助費が70億円の増であるのに対し、障がい福祉関係の扶助費が869億円から1,212億円と4年間で何と343億円も増え、突出した形となっております。
そこで、お伺いします。
児童障害福祉事業費や訓練等給付費が近年大きく増えている要因はどこにあるのでしょうか。これらのサービスを受ける対象者がかなり増えつつあるのか、それとも、国の制度改正によるものなのか、その辺りの事情も含めて教えていただきたいと思います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 障がい福祉の扶助費が大きく増えている要因につきましてお答えいたします。
共生社会の実現を基本理念といたします障害者総合支援法が制定をされて10年余りがたちまして、その間、障がいに対する理解促進をはじめ、全ての障がい児・者が可能な限り身近な場所で必要なサービスを受けられるようにする、そのために障害福祉サービスの充実が国全体で進められてきたところでございます。
こうした状況を受けまして、児童障害福祉事業費につきましては、早期療育に対する認識が進み、療育手帳等を取得しなくても障がいの疑いがある段階からサービスを利用できることから、令和2年から令和5年にかけまして、支給決定者数が放課後等デイサービスなど障がい児通所支援で、約4,600名増加をしているところであります。
また、訓練等給付費におきましては、地域生活への移行や社会参加が促進されだしたことで、令和2年から令和5年にかけて、支給決定者数が就労継続支援で約3,000人、共同生活援助、いわゆる
グループホームで約1,500人増加したことを要因として給付費が増えているところであります。
これらの障害福祉サービスの報酬額は国が定めておりますが、3年に一度の改定以外にも臨時で数度、増額がされてきておりまして、こうしたことを受けて、国全体の扶助費としては過去5年で1.5倍、札幌市も同様の傾向を示しているところでございます。
◆脇元繁之 委員 障がいに対する理解促進の背景を理解させていただきました。
私は、障がい福祉関係の費用が増えていることを問題視しているわけではありません。必要なところには必要な額をつける、それが予算編成の基本であると思うからであります。秋元市長も、障がいのある方を支え、自立を促進する取組を進めると公約に掲げておりまして、アクションプラン2023の中でも障がい保健福祉に係る新規事業の立ち上げや事業のレベルアップに果敢に取り組んでおられると思っております。
そこで、お伺いします。
保健福祉局として、今後における障がい福祉に係る扶助費の伸びをどのように見ておられるのか、大まかな推計で結構ですので、お示しいただければと思います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 障害福祉サービスの利用者につきましては、近年は、特に精神障がいのある方が増加をしておりまして、今後もこの傾向は続くと見込んでおります。
また、次年度からスタートするさっぽろ障がい者プラン2024において、今後3年間の障害福祉サービス量を推計しておりまして、その増加率は、1年当たりで、就労継続支援で9%、共同生活援助で8%、障がい児通所支援で2%と見込んでおります。
国の報酬単価につきましても、昨今の人件費の上昇を受け、介護職員の処遇改善などにより、今後も増加するものと考えておりまして、こうしたことを踏まえつつ、障がい福祉に関する扶助費につきましては、これまで以上に共生社会の実現に向けて、地域移行や早期療育が進んでいくことから、今後も引き続き、増加するものと考えております。
◆脇元繁之 委員 精神障がい者が増加している傾向だということを理解させていただきました。
最後に、要望をさせていただきます。
障がい者の増加を巡っては、少子高齢化や現代の環境も要因とされておりまして、課題もある一方で、軽症例でも診断を受けられるようになり、そうした意味では障がいに対する理解が広まっているという点ではよい変化だと言えると思います。
ただ、札幌市も、この先、少子高齢化が急速に進展していく見込みでありますし、生産年齢層の縮小もあって、税収の伸びもあまり期待できず、財政運営は厳しさを増していくことが予想されます。
扶助費というのは、市民一人一人の生活に密着したものであるだけに、公共工事などと違って財政運営が厳しさを増すから、あるいは厳しさを増したからといって、簡単に縮減できるものではありませんし、また、安易に削減できるものではないと思っています。
先ほど、今後を見通しても、障がい福祉に係る扶助費の伸びが見込まれるとの答弁でしたが、障がいのある方を支え、自立を促進する取組を進めるというのは市長の公約でもありますし、障がい者福祉の充実は、札幌市が目指すユニバーサルの推進による共生社会の実現に向けて不可欠な取組でもありますので、今後もしっかり取り組んでいただきたい、そのように思います。
このことは、本日ご出席されている財政当局の方にも切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 以上で、第1項 社会福祉費等の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月8日金曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保健医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後2時53分...