札幌市議会 2024-03-04
令和 6年第二部予算特別委員会−03月04日-03号
令和 6年第二部
予算特別委員会−03月04日-03号令和 6年第二部
予算特別委員会
札幌市議会第二部
予算特別委員会記録(第3号)
令和6年(2024年)3月4日(月曜日)
――
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●議題 付託案件の審査
●
出席委員 33名
委 員 長 村 松 叶 啓 副委員長 うるしはら直子
委 員 勝 木 勇 人 委 員 高 橋 克 朋
委 員 こんどう 和雄 委 員 こじま ゆ み
委 員 伴 良 隆 委 員 川田 ただひさ
委 員 松 井 隆 文 委 員 村 山 拓 司
委 員 山 田 一 郎 委 員 小須田 大 拓
委 員 和 田 勝 也 委 員 福 士 勝
委 員 小 野 正 美 委 員 中 村 たけし
委 員 松 原 淳 二 委 員 たけのうち有美
委 員
おんむら健太郎 委 員 森 基誉則
委 員 丸 山 秀 樹 委 員 好 井 七 海
委 員 小 口 智 久 委 員 前 川 隆 史
委 員 竹 内 孝 代 委 員 太 田 秀 子
委 員 吉 岡 弘 子 委 員 長 屋 いずみ
委 員 佐 藤 綾 委 員 波 田 大 専
委 員 山 口 かずさ 委 員 成 田 祐 樹
委 員 脇 元 繁 之
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開 議 午後1時
――――――――――――――
○村松叶啓 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
三神英彦委員からは
山田一郎委員と、
熊谷委員からは
竹内委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第6款 土木費 第3項 河川費、議案第15号 令和6年度札幌市
下水道事業会計予算及び議案第23号 札幌市
普通河川管理条例及び札幌市
流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。
◆
竹内孝代 委員 私からは、
河川管理の中でも、特に三里川の改修について質問をさせていただきます。
近年、気候変動による局地的な大雨への対応が全国的にも課題となっており、札幌市においても、令和3年8月に清田区が局地的な大雨に見舞われ、
里塚地区で浸水の被害が発生いたしました。
里塚地区の中でも、三里川の周辺というのは、周りに比べて地盤が低く、雨水が集まりやすい地形であり、特に川幅が狭い区間では、これまでも道路冠水や公園内の浸水が頻繁に発生しておりました。
このような状況のため、私は、
地域住民から
治水整備を求める切実な声をお聞きするとともに、直接、
被害状況をリアルタイムで現地視察もさせていただきましたところ、早急な
ハード整備の必要性を感じたところであります。
3年前の
浸水被害発生当時、札幌市に対して、市内で整備をすべき河川はたくさんあると思いますけれども、三里川の改修というのは、特に早急に行う必要があると思いますが、今後予定はないのでしょうかということで、確認、要望をさせていただきました。
このときに、札幌市からは、今後、どのような対応が取れるか、検討を進めていきたいという回答もいただいたところであります。
このような中、このたび、令和6年度より、
里塚地区を流れる三里川の
改修事業に新たに着手するというご報告をいただきました。
そこでまず、質問ですが、令和3年8月の被災後、どのような検討を行い、三里川
改修事業の着手に至ったのか、まず初めに伺います。
◎高桑
河川担当部長 令和3年8月の被災後、どのような検討を行い、三里川
改修事業の着手に至ったのかについてお答えいたします。
三里川は、清田区
里塚地区などを流れ、1級
河川厚別川へ合流する河川でございます。このうち、
平岡公園パークゴルフ場横の第3駐車場から上流の延長約1.1キロメートル区間については、昭和40年代に、災害復旧や宅地開発に伴い、護岸が設置されている状況でございますが、委員のご指摘のとおり、令和3年8月に大きな
浸水被害が発生したところでございます。
このため、
里塚地区の
治水安全度の向上を図るべく、この区間の
河川改修に向け、
浸水被害実績の確認、雨水の流入状況の把握、
改修断面のシミュレーションなどの検討を進め、
改修計画案を作成してまいりました。
この
改修計画案を踏まえ、下流を管理する北海道や、国の
交付金事業を所管する
北海道開発局との協議を重ね、このたび、令和6年度より、国からの交付金を活用して
事業着手に至ったところでございます。
◆
竹内孝代 委員 令和3年の
浸水被害発生後に、ご答弁いただきましたような、様々な、細やかな検討を行っていただいて、また、国や北海道ともしっかり協議をしていただいて、今回、6年度
改修事業に着手するということでありました。ありがとうございます。
この
河川改修を行うためには、
護岸整備のほかにも、現地の測量、設計、さらには河川敷地の取得などに様々な費用がかかります。これを全て札幌市の費用で行うということになれば大きな負担になるかと思いますけれども、今回の事業は国の交付金も活用させていただけるといったことでありますので、大変心強く思います。
こうした交付金を活用することで、市内の河川の中でも整備が急がれるものへの対応をしっかりとすべきと考えます。
そこで、次の質問ですが、今回活用するこの
交付金事業の制度の概要、また、令和6年度におけるこの
交付金事業の
活用状況について、もう少し伺います。
◎高桑
河川担当部長 今回活用する
交付金事業の制度の概要と、この
交付金事業の
活用状況についてお答えいたします。
1点目の今回活用する
交付金事業の制度概要についてですが、一定規模以上の家屋や農地を
浸水被害から守るために自治体が行う
準用河川の
改修事業に対して、
国土交通省が事業費の3分の1を支援する制度でございます。
2点目のこの
交付金事業の札幌市での
活用状況ですが、この制度が創設された平成21年度以降、これを活用して四つの河川で整備を完了しており、令和6年度については、三里川のほか、厚別西川、北郷川、そして新川西川において活用する予定でございます。
◆
竹内孝代 委員 この市内で
交付金事業を活用して、令和6年度から、今お話がありました三里川のほかにも、厚別西川、北郷川、そして新川西川の
河川改修を予定しているということであります。
河川改修というのは、市民の安全・安心につながる本当に重要な施策だと思います。
事業実施に不可欠な財源の確保をまずしっかりしていただいて、国との協議を続けていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
次に、先ほど取り上げました三里川の
改修計画の内容について、もう少し質問をさせていただきます。
先ほどの答弁でも、三里川の
改修事業の着手に至った経緯はご説明がありましたけれども、この計画によって、地域の長年の懸念でありました
治水整備の実現に至ったということは、
地域住民にとっても大変喜ばしいことであり、評価をさせていただきたいと思います。
その上で申し上げますと、今回、改修を行う予定の区間より下流側というのは、護岸の傾斜が大変緩やかで、川幅がかなり広い状況にあります。また、
改修区間を見てみますと、
平岡公園内を流れている区間というのは
パークゴルフ場と自然豊かな傾斜地に挟まれております。その上流側を見てみますと、今度は住宅地と道路に挟まれている場所ということでもありますので、
河川改修を行うということは、当然、川幅を今よりも広げることになりますので、この地区での整備というのはなかなか難しいものになるのではないかというふうに考えます。また、この改修の効果がどの程度得られるのかといった観点でも少し不安を感じる面もあります。
そこで、質問ですが、今回の三里川の
改修計画の概要、また、その効果について、もう少し具体的にお示しいただきたく、お伺いいたします。
◎高桑
河川担当部長 三里川の
改修計画の概要とその効果についてお答えいたします。
今回改修する区間より下流側の
平岡公園内の区間については、
治水整備に併せて、親水性に配慮して左岸側の護岸傾斜を緩やかにし、川幅が約11メートルと狭くなっている状況でございますが、今回の
改修区間につきましては、公園や道路、住宅地に挟まれるといった特性を踏まえ、護岸の傾斜を急にするなど、極力、川幅が広がらないように計画しております。
具体的には、現在3メートル程度となっている川幅を最大でも6メートル程度にとどめるとともに、川底を1メートル程度、掘り下げていきます。また、流下能力は、現在の毎秒8立方メートル程度から約3倍の毎秒25立方メートルに増やしていきます。
このことによる改修の効果といたしましては、下流の
整備済み区間と同じ3年に一度の大雨に対応できる
治水安全度を確保することとしたものでございます。
◆
竹内孝代 委員 流下の能力を3倍に増やすということによって、下流部の
整備済みの区間と同じような治水の安全度が確保できるといったことであります。改修後の効果を期待したいと思っております。また、川沿いに大きな影響を与えないように、極力、川幅が広がらないような整備を計画したいということであります。
多少なりとも新たな用地の取得も必要になるかと思いますけれども、引き続き、どうか準備をお願いいたします。
この
改修事業につきましては、地元住民の安心につながるものですので、皆様から喜ばれるものであることは間違いありませんけれども、整備に当たって、地元の理解としっかりとした協力を得られるように、情報提供または丁寧な説明をしていただく必要があります。
そこで、質問ですが、この
改修事業によって、この地域にどの程度の影響があるのか、また、その影響について地元への説明をどのように行っていく予定なのか、伺います。
◎高桑
河川担当部長 改修事業による地域への影響と、地元への説明をどのように行うのかについてお答えをいたします。
改修計画を検討する際は、できるだけ地域への影響が少なくなるよう配慮したところでございますが、
平岡公園内の
パークゴルフ場の一部と上流の住宅地の一部の区間では、用地取得が必要となる見込みでございます。
このため、今後、事業の実施に当たり、
地元町内会や
関係地権者を対象とした説明会を行う予定でございます。
また、
パークゴルフ場の利用への影響については、
公園管理者と協議を行いながら、最小限にとどめるよう配慮するとともに、利用者に対して丁寧に周知してまいります。
なお、このような配慮を行いながら、来年度以降、測量や設計を行い、早ければ令和8年からの
工事着工を目指してまいりたいと思います。
◆
竹内孝代 委員
パークゴルフ場、また、住宅地の一部で用地の取得が必要だということでありますので、早速、説明会も開催される予定という答弁がありました。説明会で皆様のご意見等も出るかと思いますので、ぜひ丁寧なご対応をお願いしたいと思っております。
また、河川の改修によって
パークゴルフ場の一部も若干影響があると思いますが、今、利用者への影響を最小限に配慮する、また、丁寧に周知するという答弁もいただきました。私自身もそうなんですが、この
パークゴルフ場は本当に多くの方々が使われるところでございます。また、近くをお散歩される方も多々いらっしゃるところでもありますので、ぜひ多くの方に周知をできるような方法を検討していただきたいと思っております。
このたびの質疑で取り上げました三里川が流れる
里塚地区というのは、近年、
浸水被害が何度も発生してきておりました。特に、
平岡公園パークゴルフ場は、毎年のように浸水が発生をしております。
治水の安全度が高まるこうした
河川改修というのは、
地域住民にとって大変待ち望んでいた整備でありますので、安全第一ではありますけれども、先ほど令和8年
工事着工という答弁がありましたが、少しでも早急に改修を進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆
太田秀子 委員 私からは、
下水道管路に起因する
道路陥没について、3点伺います。
インフラの
老朽化対策が全国的に大きな課題となっております。
本市では、2015年、札幌市
下水道改築基本方針を策定し、長期的な方針や中期的な
改築事業量の見直しに基づいて、下水道の
管路施設や
処理施設の
老朽化対策を進めているところです。
国土交通省が、毎年、前年度に発生した
道路陥没件数を公表しておりますが、政令市を含む市町村では
道路排水施設がとても多いですけれども、次いで下水道となっています。本市でも、
改築基本方針によりますと、
取付け管の損壊などに起因する
道路陥没は、2002年度から2013年度まで、年間200件から300件も発生したとなっています。
この
取付け管とは、宅地にある公共ますと本管を結ぶもので、市民にとって最も身近な
管路施設の一つです。
道路陥没が発生しますと、たとえ規模が小さくても、車両の破損や歩行者の転倒など、予期せぬ事故を引き起こしかねないということがあります。市民の安全・安心な暮らしを守っていくためには、老朽化した
取付け管を早期に発見し、適切に修繕や改築などの対策を実施していくことが重要です。
改築基本方針では、2016年度から2025年度までの10年間で約5万2,000か所の
取付け管の調査を実施し、状況に応じて必要な対策を行うと、このように書かれております。
ここで、伺いますが、これまでの
取付け管の調査及び
老朽化対策の
進捗状況について伺います。
◎佐藤
管路担当部長 これまでの
取付け管の調査及びその対策の
進捗状況についてお答えいたします。
取付け管は、市内に約44万か所あり、そのうち、
コンクリート製のものが約18万か所、
塩化ビニル製のものが約26万か所あります。現在は、劣化によりひび割れなどの異常が生じやすい
コンクリート製の
取付け管の調査と対策を優先的に進めているところでございます。
調査については、設置から
標準耐用年数の50年を経過した設置年度の古いものや、異常の発生しやすい地域などを優先して行っており、平成28年度から令和5年11月末時点までに既に50年を経過した約4万か所の調査を実施しました。
この調査により、異常を発見し、対策が必要と判断した約1万2,000か所に対して、修繕や改築などの対策を実施しました。
◆
太田秀子 委員 陥没の危険性が高いところを優先して調査し、対策してきたということです。全体としては44万か所あり、
コンクリートのところを先にやったというお話でありました。
それでは、続けて伺いますけれども、近年のこの
取付け管に起因する
道路陥没の
発生件数についてはどのようなものか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 近年の
取付け管に起因する
道路陥没の
発生件数についてお答えします。
道路陥没の
発生件数は、令和元年度から令和4年度の期間で平均約130件となっております。これは、
改築基本方針策定時の年間200件から300件と比較すると、大きく減少しています。
◆
太田秀子 委員 これまで、約9年間をかけて1万2,000か所ほど直してきたというお話でしたけれども、平均130件の陥没が起こっているというお話でした。
改築基本方針を策定した当時と比べると確かに減少はしておりますけれども、この10年間で、5万2,000か所のうち4万か所を調査し、1万2,000か所の修繕などを実施したということなのですけれども、調査をしたうちの約30%は修繕とか改修が必要だったということになるんですよね。
10年間で調査すると言っている来年、2025年が最終年になるわけですけれども、今、調査しようと言っていた中で残っている数は1万2,000か所ですから、これまでの9年間を5年平均してみても、残る数はやはりとても多いなと思うわけです。相当厳しいのではないかと思っています。
しかも、
コンクリート製の
取付け管は、先ほどもお話がありました約18万か所のうちの4万か所の調査が終わったということですから、まだ14万か所は残っているんだということなので、とても膨大だと思うのです。単純に30%修繕が必要だと計算してみた場合、4万2,000か所もこれから直さなければいけないのではないかと思うわけです。
そして、一度調査をしたのだけれども、大丈夫だったというところも、順次、老朽化は進むのだろうと思いますし、今後、このように老朽化した
取付け管が急激に増加していくということが考えられます。
そこで、伺いますが、今後の
取付け管の
老朽化対策についてはどのように取り組んでいくのか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 今後の
取付け管の
老朽化対策についてお答えします。
これまで、
コンクリート製取付け管の対策を進めてきましたが、残る14万か所の
コンクリート製取付け管についても、
改築基本方針に基づき、設置から50年前後経過したものについて、計画的に調査し、必要に応じた修繕や改築を行うことで、
道路陥没の発生を抑え、将来にわたって安全・安心な市民生活を守っていけるように努めてまいります。
◆
太田秀子 委員 道路の陥没が随分話題になってきたあたりから、国のほうも、道路の陥没が起こってから修繕するということでは、やはり、市民にとってもとても危険だし、そして、直すのにもお金がかかるので、ちゃんと調査しましょうというふうになっているはずなのですね。
ですから、言うまでもなく、
下水道施設の中でも
道路陥没の主な要因となっています
取付け管について適切な
維持管理を行っていくということはとても大事であって、それはもう当たり前ですけれども、このまま調査、改修が老朽化に追いつかないということがあるのではないかと思うところです。
現在、
下水道河川局では
改築基本方針の改定を進めていると伺っています。新たな
改築基本方針では、やはり、年間130か所の陥没が起こっているということでありますので、起こらないうちの対策ということで
スピード感を持って取り組んでいただきたい、着実に調査、改修を実施していけるような方針としていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
◆波田大専 委員 私からは、
下水道事業における
官民連携について質問させていただきます。
令和5年6月に
国土交通省水管理・
国土保全局下水道部が公表した「
ウォーターPPPについて」という資料によりますと、水道、
工業用水道、下水道について、PPP/
PFI推進アクションプランの期間の10年間において、
公共施設等運営事業、いわゆる
コンセッションに段階的に移行するための
官民連携方式として、管理・
更新一体マネジメント方式を新設し、
コンセッションと併せて、
ウォーターPPPとして導入拡大を図ることとされております。
コンセッションは、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を
民間事業者に設定する
官民連携の方式であり、
下水道事業においては、既に一部の自治体で導入され、他の自治体でも導入が検討されているものと認識しております。
ここで注目いたしましたのが、先ほどの資料によりますと、
社会資本整備総合交付金交付要綱、
交付対象事業の要件として、
地方公共団体が汚水管の改築を実施する場合、令和9年度以降については、
コンセッション及び同方式に準ずる効果が期待できる
官民連携方式、これらを総称して
ウォーターPPPと言っているわけでございますが、この導入を決定済みである場合のみを交付金の対象とするとされております。
つまり、令和9年度以降については、
ウォーターPPPの導入を決定していない
地方公共団体に対しては、汚水管の改築に係る交付金が交付されなくなってしまうものと認識しており、この
要件変更によって、今後、札幌市にどのような影響があるのか、心配をするところです。
そこで、質問ですが、現段階において、札幌市では、
国土交通省が提示している
ウォーターPPPを導入しているのかどうか、お伺いいたします。
また、令和9年度以降も
ウォーターPPPの導入を決定しない場合、交付金が交付されなくなってしまうなど、管路の
更新事業にどのような影響が生じるのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 まず、
ウォーターPPPの導入状況についてお答えいたします。
下水道施設の
維持管理につきましては、一部の
水再生プラザと
汚泥処理施設の運転管理を
民間事業者へ委託するとともに、
管路施設の点検調査や清掃、修繕といった
維持管理も民間へ委託しております。
一方、改築などの
更新事業につきましては、市が工事として別途発注しておりまして、施設の
維持管理と
更新事業の一体的な
マネジメントを要件とする
ウォーターPPPは導入してございません。
次に、令和9年度以降の管路の
更新事業への影響についてでございますが、
ウォーターPPPの導入が
交付要件となっている事業、これは下水道の汚水管の改築でございます。札幌市では、約4割の区域が
分流式下水道の処理区となってございますが、その区域は、郊外部など、比較的新しく整備を進めてきた地域でございまして、管路の不具合も少ないため、当面は交付金の対象となる
改築事業の予定はございません。
このため、
ウォーターPPP導入の
要件変更が令和9年度以降の管路の
更新事業に直ちに影響することはないと考えてございます。
◆波田大専 委員 全体の約4割を占める
分流式処理区の汚水管はまだ比較的新しいことから、直ちに影響が生じるわけではないということを理解いたしました。
一方で、今はまだ比較的新しい
分流式処理区の汚水管についても、数十年先を見通した場合には、必ず改築や更新が必要になってくるわけでございます。そのときに今のままでは交付金の対象から除外されてしまうわけでありますから、何か今からでも検討できることは検討を進めるべきと考えるところでございます。
下水道分野における
ウォーターPPPについては、平成30年4月に静岡県浜松市で国内初となる
下水道コンセッション事業を開始したほか、令和2年4月には高知県須崎市でも2例目となる事業が開始されました。また、令和4年4月から宮城県で、水道、工業用水との一体的な事業が開始されております。
札幌市
下水道ビジョン2030では、職員の年齢構成の変化に伴う組織の技術力の低下や、今後の新たな
処理施設の土木・
建築構造物の改築によって、より多くの人手が必要となるため、現行の
運営体制では増加する事業を確実に実施することが困難になるおそれがあるとの懸念が示されており、このようなことから、組織の技術力の維持に努めるとともに、
下水道事業に携わる団体や企業との連携をさらに強めることで、
運営体制を強化する必要があると明記されております。
また、札幌市では、令和5年3月から、
社会資本総合整備計画に掲載された札幌市
下水道事業に関して、PPP/
PFI方式による民間からの
事業提案を広く募集しております。
そこで、質問ですが、札幌市で提案を募集している
下水道事業に関するPPP/
PFI提案について、現時点での
応募状況についてお伺いいたします。
また、他都市での取組状況も踏まえて、札幌市では、今後、
ウォーターPPPの
下水道事業への導入をどのように検討していくのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 まず、PPP/PFIの提案への
応募状況についてでございますが、
下水道事業に民間企業の資金や創意工夫を一層活用していくため、市のホームページで今後の事業計画を公表しまして、企業提案の受付を行っておりますが、残念ながら、現時点で応募はございません。
また、他都市の取組状況も踏まえた導入の検討についてでございますが、現在、
ウォーターPPPを導入している政令指定都市は、委員からご紹介のありました浜松市のみとなってございまして、そこでは、組織体制の効率化のほか、民間企業の創意工夫によるICT機器の導入などにより、一定の業務改善効果が報告されているところでございます。
一方、その他の都市につきましては、導入について検討中あるいは未定となってございまして、導入に向けた課題といたしまして、地元企業の受注機会が減少するといった不安ですとか、長期にわたる契約への懸念、企業への依存による自治体職員の技術力の低下、こういった課題が挙げられてございます。
札幌市としましては、こういった他都市の状況も踏まえながら、民間企業と連携した
運営体制の強化のため、導入の可否も含め、検討を行っていきたいと考えてございます。
◆波田大専 委員 市民生活に直結する
下水道事業の運営権を
民間事業者に委ねるわけでありますから、様々な課題については、もちろん慎重な検討が必要かとは思います。
一方で、今のままでは、将来的に交付金が受けられなくなってしまうことは明らかなわけであります。また、現行の
運営体制では、技術力の低下や人手の不足により、増加する事業を確実に実施することが困難になることも札幌市として認識されているわけです。
先行する浜松市では一定の導入効果が得られているとのことでございますが、平成23年に導入の検討を始めてから、平成30年の事業開始まで、実に7年かかっております。
ぜひ、札幌市においても、長期的な視点の中で、早い段階から前向きな検討を行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
◆和田勝也 委員 まず、能登半島地震において、
下水道河川局の職員、延べ400名以上が下水道被害調査等の災害復興に従事していただきましたことに、会派を代表して敬意を払い、感謝を申し上げます。
私からは、札幌市
下水道改築基本方針の改定について、3点質問させていただきます。
札幌市の
下水道事業について、管路の整備延長は約8,300キロメートルに達し、普及率も99.8%となり、いよいよ施設整備の時代から改築の時代へと大きく転換していきます。
そのような状況を踏まえて、
下水道河川局では、今後の
改築事業を効率的に執行していくため、平成26年度に施設の改築に関する基本的な考えを示した札幌市
下水道改築基本方針を策定し、今年度、その方針の改定作業を進めていると承知をしております。
近年、施設の老朽化の進行に伴い、下水道の建設事業全体に占める
改築事業の割合が大きく増加をしているため、このような方針を策定し、計画的に施設の改築を進めていくことは非常に重要であると考えてございます。
そのため、昨年の決算特別委員会において、私から新たな方針で想定される
改築事業量について質問したところ、近年実施した管路の調査データや、設備の点検調査データなど、新たに蓄積した
維持管理データを分析して精査するとの答弁がありました。
そこで、質問でございますが、新たに蓄積した
維持管理データを用いて精査した結果、今後の管路と設備の
改築事業量はどのような見込みか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 今後の
改築事業量の見込みについてお答えいたします。
まず、管路につきましては、調査データの分析の結果、整備後初期段階の劣化の進行が僅かに早くなるといった傾向が見られましたが、改築が必要となるまで劣化する期間につきましてはほぼ変化がございませんで、将来的に必要となる
改築事業量については、現方針と同じく、年間約60キロメートルと見込んでございます。
一方、機械・電気設備につきましては、設備ごとに、一般的な耐用年数よりも長い、札幌市独自の目標耐用年数を定めて、既に本格的に
改築事業を進めてございますが、新たな
維持管理データを加えて精査した結果につきましても、現状と同程度の
改築事業量が続くものと見込んでございます。
◆和田勝也 委員 管路の劣化の進行状況に若干の見直しがあったものの、将来的な
改築事業量については、現方針から大きな変更はないとのことでした。
このうち、管路については、将来的には毎年約60キロメートルの改築が必要となるとのことですが、札幌市の
下水道管路の総延長は約8,300キロメートルですので、単純に改築延長の60キロメートルで割り返しますと、改築サイクルは130年を超えてしまいます。日々の点検、調査、修繕で可能な限り延命化を図り、
改築事業量を抑制する姿勢は評価するところでございますが、一般的に
コンクリート構造物の耐用年数は50年とされておりますので、この年間60キロメートルの改築で
管路施設を確実に維持できるのか、不安を感じるところでございます。
そこで、質問ですが、年間60キロメートルと設定したその考えについてお聞かせ願います。
◎清水
事業推進部長 改築延長を約60キロメートルと設定した考え方についてお答えいたします。
改築延長の設定に際しましては、近年の改築延長でございます年間30キロメートルをベースといたしまして、その2倍となる60キロメートル、それと3倍となる90キロメートル、この三つのケースを想定し、それぞれの延長で改築を実施した場合に、経年的に改築が必要となる管路の割合がどのように変化していくかをシミュレーションしております。
その結果、年間30キロメートルの改築を実施するケースでは、事業費は現状レベルに維持できる一方で、経年的に改築が必要となる管路の割合が増え続け、管路の破損に伴う
道路陥没等の発生リスクの増加が懸念されました。また、年間90キロメートルのケースでは、改築が必要となる管路の発生を完全に抑えることができますが、毎年、多額の事業費が必要となるため、財源が不足する懸念がございます。
方針で定めた年間60キロメートルの改築のケースにつきましては、シミュレーションの結果、経年的に改築が必要となる管路の増加を一定程度抑えることができまして、かつ、事業費も抑制できるということで、費用対効果を勘案して60キロメートルと定めたところでございます。
◆和田勝也 委員 管路の改築延長については、費用対効果を踏まえて設定したとの答弁でした。事業費の抑制も必要ですが、何よりも大切なことは、安全で安心な市民生活を確保することです。今後も引き続き、管路の調査データの分析を行い、適宜、事業量の精査を行って、適切に改築を進めていってください。
次に、
水再生プラザやポンプ場などの土木・
建築構造物の改築についてお伺いいたします。
札幌市では、令和3年度に
水再生プラザなどの土木・
建築構造物の改築に関する基本的な考えを示した札幌市下水道
処理施設再構築方針を策定しており、今回、その再構築方針は
改築基本方針に統合することになってございます。
再構築方針によると、
水再生プラザなどの土木・
建築構造物の最長の供用年数を130年と定めるとともに、事業期間を2041年から2120年の80年間としております。再構築事業が始まる2041年といいますと、札幌市で一番古い創成川
水再生プラザでも供用開始から80年程度しか経過をしておりません。
そこで、質問ですが、
水再生プラザなどの土木・
建築構造物の再構築の事業期間について、どのような考え方に基づいて設定されたのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 水再生プラザなどの土木・
建築構造物の事業期間の考え方についてお答えいたします。
全ての施設を延命化により130年間使用しますと、昭和40年代から50年代に集中的に整備した施設を同じく集中的に改築しなければなりません。
水再生プラザの改築は、基本的に現在地で行いますので、複数の施設を同時に改築した場合、下水を処理する能力が大幅に不足することになります。
また、
改築事業が一定の期間に集中しますと、その期間の担い手が不足し、事業の円滑な実施が難しくなるほか、財源が不足する懸念がございます。
こういったことから、一般的な耐用年数である50年を超えた施設について、適切な
維持管理や修繕によりまして延命化を図った後、順次、改築を進めることで、年間の事業量を平準化する考えとしております。
◆和田勝也 委員 施設の老朽化が進む中、改築に要する期間と事業量を見据えて、
維持管理や修繕による延命化で事業の平準化に取り組んでいることは承知をいたしました。
下水道は、日々の暮らしに欠かすことのできない重要な社会基盤であり、刻々と社会情勢が変化する中においても、しっかりとその機能を持続させていかなければなりません。将来を見据えた長期的な視点で施設の改築に関する方針を定めるのは非常に大切なことですが、方針で定めた事業を確実に実行していくためには、事業を担う方々の技術もしっかりと引き継いでいくことが極めて重要となります。また、円滑に
下水道事業を運営するためには、行政と民間の強力な連携が欠かせません。
今後も、
下水道事業に携わる職員や民間技術者がそれぞれの職場における研修会等で技術力の維持・向上を図ることはもちろんですが、下水道の専門機関が主催する講習会や研修へ官民ともに参加するなど、双方の技術力の維持・向上とその継承に努めることを求めて、私からの質問を終わります。
◆森基誉則 委員 私からは、今後の下水道の機能を維持するための担い手の確保についてという部分で幾つか質問をさせていただきます。
先ほどから話題に出ているこの
下水道改築基本方針の改定というお話ですが、
下水道河川局では、この
改築基本方針のように、計画的に施設を延命化し、トータルのライフサイクルコストを削減しているほか、強い危機感を持ち、局一丸となって、管路の点検と修繕の一体発注などでコスト縮減に取り組んでいるということでした。
こうした努力もあって、札幌市の下水道使用料は、道内で最も安く、政令市の中でも2番目に安いものとなっており、これは評価に値するものであると同時に、札幌市民にもっと広く知ってほしいと思うポイントでもあります。
この使用料の安さは、局の皆さんの内部努力だけではなく、背景には、実際に施設の改築や修繕を行う企業、施工業者の皆様の力によるところも大きいと感じています。
このたび改定する
改築基本方針では、管路の改築延長を段階的に増加させ、将来的には年間60キロメートルに及ぶ計画を予定されています。これは、2024年度予算に計上している約25キロメートルの2倍以上に相当する延長であり、これまで以上に改築を担う施工業者の方とともに事業を効率的に進めることが重要になってきます。
そこでまず、最初の質問です。
このように増加する管路の改築をどのように進めていく考えか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 増加する管路の
改築事業の進め方についてお答えします。
管路の改築方法は、大きく分けて二つの工法があり、一つは、道路を掘削して老朽化した管路を入れ替える開削工法と、もう一つは、既存の管路の内面に新たに樹脂製の管を形成し、リニューアルしていく更生工法があります。
この更生工法は、開削工法と比較し、約3割のコスト縮減が可能な工法であり、道路掘削を伴わないことから、安全性が高いことや、工期短縮が可能で、交通や市民生活への影響が比較的少なく、冬期間の施工も可能であるなど、多くのメリットのある工法となります。
加えて、今年度初めて、これまで更生工法では施工が困難であった流量の多い管路についても、下水を止めることなく、流しながら施工できる新たな技術を用いた更生工法を実施したところでございます。
こうしたことから、今後においても、管路の劣化や現場状況を判断し、優位性が高い更生工法を主体とし、事業を進めるとともに、新技術や冬期間の施工を積極的に活用し、
改築事業の増加に対応してまいりたいと考えております。
◆森基誉則 委員 管路の
改築事業の増加に際しては、市民生活への影響がごくごく小さく、経済性及び施工性にも優位な更生工法という工法を活用して事業を進めていくという答弁、ありがとうございます。
ただ、その一方で、施工業者の方からは、昨今の建設産業全体が抱える人材不足に加え、今年4月からの時間外労働の上限規制などの影響についても心配する声が聞こえてきています。2024年問題ですね。
今後、管路の改築延長を増加させるには、施工業者の力が不可欠であり、企業が抱える課題やニーズを把握することも肝要と考えます。
そこで、次の質問です。
下水道河川局では、業界のそうした悩みなどをしっかりと聞いているのでしょうか。もし聞いているのであれば、実際に更生工法を行う施工業者から、課題やニーズなど、具体的にどのような声が上がってきているのか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 更生工法を行う施工業者からの課題やニーズについてお答えします。
本市においては、更生工法の施工業者は比較的限定されている状況であり、
下水道河川局としても、管路の改築を担う施工業者の課題などを把握することが重要と認識しているところでございます。
こうしたことから、業界団体との意見交換や、昨年3月には施工業者へのアンケート及び個別のヒアリングを実施し、改築延長の増加への課題やニーズについて聞き取りを行ったところです。
その内容といたしましては、経験と専門知識を持つ技術者の確保と特殊な機械が必要であることから、すぐに体制強化を図るのは難しいこと、この体制強化には経営判断を行う上で必要となる将来の
改築事業量の見通しを示してほしいということ、さらには、年間を通した施工ができるように工事期間を平準化してほしいなど、様々なご意見やご要望が寄せられているところでございます。
◆森基誉則 委員 そうですね。やはり、年間を通した安定した事業というのは、企業としても求めるところだと思います。施工業者からは、今後の事業量の見通しなど様々な意見もあったということでしたけれども、事業を円滑に行う上でも、このような生の声をしっかりと聞いて意見交換を図る場というものは、とても大切だと私も思います。
今後は、ラピダスなど、道内の経済活動が活発になる中、担い手の確保が年々難しくなってきているという話も耳にしています。施工業者が抱える担い手不足については、依然、不安が残るところであり、本市として何らかの支援をするべきではないかと考えています。
そこで、最後の質問になりますが、増加する管路の
改築事業を着実に進めるためには、施工業者の存在がなくてはならないと考えますが、担い手の確保に向け、どのような取組を行っていくのか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 担い手の確保に向けた取組についてお答えします。
担い手確保のためには、受注しやすい環境整備や施工業者側での体制強化も重要と考えていることから、まずは、債務負担行為を十分に活用しながら、施工時期の平準化をさらに進めてまいります。
また、フレックス方式による余裕期間を活用した適正な工期設定などに努めてまいります。
さらに、関連業界や団体の研修会などを通じて、中長期的な改築の見通しを発信し、人材育成や設備投資を促してまいりたいと考えております。
今後とも、事業者の意見や要望を聞く機会を活用し、
官民連携して
下水道改築基本方針に基づく
改築事業を着実に進めてまいる所存でございます。
◆森基誉則 委員 そうですね。やはり、ここでも出てきますよね。事業の平準化、フレックス化というのは、やはり大切だなと思います。先ほどの答弁の中でもありましたが、アンケートとか、そういったもので交流を図るのもいいんですけれども、今のお話にあった研修会などでも、教える、教えられるだけの立場ではなくて、もっともっと交流を深めていっていただきたいというふうに思います。
管路の老朽化がますます進行する中、市民生活に不可欠な下水道サービスを提供していただくためにも、管路の
改築事業は重要であるということは、多くの市民がうなずくところだと思います。
今後、就労者不足等の建設産業全体での課題は残されていますが、持続的に
改築事業を進めていただくため、適時、施工業者等の声を聞きまして、協力しながら事業を進めていただくことを要望して、質問を終わります。
◆小口智久 委員 私からは、下水汚泥の肥料利用についてと流域貯留施設整備の促進と中沼西地区の水路の整備について質問をさせていただきます。
まず、札幌市の下水汚泥の肥料利用について伺います。
我が党は、かねてより、食料安全保障に向けた肥料の国産化と安定供給を図るため、肥料として下水汚泥の利用拡大を訴えております。
現在、我が国では、リンや窒素などの肥料原料の多くを海外に依存しているため、国際紛争や原料産出国の輸出規制、さらに、資源枯渇の影響を強く受け、肥料原料の価格が高騰しております。こうした状況は、農業の生産性の低下による食品価格の高騰につながり、国民生活を脅かす事態になりかねないと非常に危機感を募らせております。
このような中、政府は、
下水道分野と農業分野が連携し、安全性や品質を確保しつつ、リンや窒素などを含んだ下水汚泥を肥料として利用拡大に取り組むことを掲げました。
具体的には、令和4年12月に決定された食料安全保障強化政策大綱において、2030年までに下水汚泥などの国内資源の肥料利用割合を40%まで拡大するという目標を示しております。しかしながら、現状では、全国で発生する下水汚泥量に対する肥料利用割合は約1割にとどまり、令和5年3月には、
国土交通省から下水道管理者に対して、下水汚泥の処理は、肥料としての利用を最優先とし、最大限の利用を行うようにと通知がなされております。
このような事態を打開するには、特に汚泥量の発生が多い大都市が率先して肥料利用に取り組むことが大事だと考えます。
過去を振り返りますと、循環型社会の構築に向け、札幌市では、時代を先取りした取組として、下水汚泥からコンポストを製造する厚別コンポスト工場を建設いたしました。製造や流通、販売などの事業は、札幌下水道公社がホクレンなどと連携して行っておりましたが、残念ながら、平成25年5月に事業は廃止されております。
コンポスト事業の廃止は、当時の社会情勢を踏まえた結果であると理解しますが、それから10年の時を経て、社会情勢が大きく変わり、今般、食料安全保障に向けた肥料の国産化と安定供給は、国民の安心・安全の確保に欠かせない課題へと変わっております。
そのような状況の下、札幌市は、改めて下水汚泥の肥料利用に向けた検討を進めるべきだと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市が、今後、肥料利用を進めるためにも、まずはコンポスト事業を廃止した際の課題について伺います。
◎清水
事業推進部長 コンポスト事業を廃止した際の課題についてお答えいたします。
本市では、昭和59年度からコンポスト事業を始めましたが、その後、時間の経過とともにコンポスト工場の老朽化が進んだことから、施設の存続を含めた施設の更新に係る検討を経て、平成25年5月に事業を廃止することといたしました。
その際に整理した課題の中で、事業の廃止に至った特に大きな課題は三つございます。
まず、一つ目は、コンポストの主な利用先でございましたゴルフ場建設の減少、これに伴いまして需要が落ち、生産量がピーク時の半分程度にまで落ち込んだことで、製造コストが増加し、採算性が悪化したこと、また、二つ目は、工場周辺の宅地化が進み、臭気対策のためにさらなる設備投資が必要となったこと、三つ目は、老朽化した施設の更新に多額の費用が見込まれたこと、以上が事業を廃止した際の主な課題でございます。
◆小口智久 委員 コンポスト事業を廃止した理由というのは、需要、また、臭気対策、施設の更新のコストなど、複合的なものであったということでございます。
これらの課題は、一朝一夕には解決せず、決して容易ではないと思いますが、他都市の事例を参考に、関係団体と連携し、課題の解決に向け、地道な努力を重ねていくことが今後の下水汚泥の肥料利用につながっていくものと考えます。
他都市の例ですが、広島市や新潟市などでは、自ら肥料製造施設を設置するのではなく、民間の肥料製造業者へ下水汚泥の一部を提供する形での肥料利用を行っているとのことでございます。札幌市も、コンポスト事業のノウハウがある札幌下水道公社と連携しながら、他自治体や農業団体、民間などに下水汚泥の一部を提供するという方法も、一つの選択肢と考えます。
北海道には広大な農地が広がり、さらに、札幌市で発生する下水汚泥の量は北海道全体の約4割を占めており、社会情勢が変わり、下水汚泥の肥料利用が強く求められていることに鑑みると、札幌市が下水汚泥の肥料利用を進めていくことは大変重要だと思われます。
そこで、次の質問ですが、様々な課題を抱えていることは理解しますが、昨今の社会情勢の変化を踏まえ、過去のコンポスト事業で得た知識や経験を生かしながら、下水汚泥の肥料利用を進めるべきと考えますが、今後の下水汚泥の肥料利用に関する認識について伺います。
◎清水
事業推進部長 今後の下水汚泥の肥料利用に関する認識についてお答えいたします。
今般の社会情勢を踏まえますと、肥料の国産化と安定供給を目指して下水汚泥の肥料利用を進めることは大変重要なことと認識してございます。
そのため、現在、肥料利用に向け、最も重要となる汚泥成分の安全性の確認としまして、ヒ素や水銀などの重金属の含有濃度が季節によってどのように変化するか、そういった分析を行っているところでございます。
また、この分析作業と並行しまして、他都市の先進事例や民間企業の技術開発の動向も調査してございます。
さらには、コンポスト事業の知識やノウハウを持つ札幌下水道公社と連携し、他の自治体や農業団体、民間企業などへ札幌市で発生する汚泥の一部を提供することなどの検討を進めているところでございます。
◆小口智久 委員 下水汚泥の肥料利用に向け、安全性の確認や他都市の先進事例、技術開発動向の調査を行っていくとの前向きな答弁でございました。よろしくお願いいたします。
私は、過去にコンポストの高速発酵の研究や脱臭装置の開発、さらに、農業分野では、肥料分析、土壌分析や、施肥、肥料を入れる設計の経験があり、また、農家さんとの土づくりについての業務も行ったことがあるため、生産者のニーズにお応えできる肥料がつくれるか否かは、ハードルが相当高いと承知はしております。しかしながら、昨年、札幌市で行われた下水道展では、下水汚泥の堆肥化について多くの企業が出展しておられました。例えば、汚泥からコンポスト製造、肥料・土壌分析、施肥設計、販売と一連のプロセス全般を一手に引き受け、全国に実績のある企業、また、製造方法も多彩で、高温発酵することで肥料が完熟し、それにより臭いが最小限になるなど、技術の進展は目覚ましいものがありました。
札幌市においては、資源のない我が国が、持続可能な循環社会を目指し、食料の安価な供給、安定供給のための食料システムの確立に向け、下水汚泥資源を肥料として活用できるよう、これまでのシステムにとらわれず、化学工学的なプロセスの見直しにも挑戦していただき、市民の生活の一助となっていただけるよう要望して、次の質問に移ります。
次は、河川に関連して、流域貯留施設整備の推進と中沼西地区の水路の整備についての2点質問いたします。
まずは、流域貯留施設の整備の促進について伺いますが、近年、治水対策は、
河川改修のみに頼るのではなく、流域全体として、国や自治体、企業等、あらゆる関係者が連携して水害に備える流域治水の考えの下に進められております。
我が会派では、これまで、流域治水の推進を強く訴えており、私も令和3年の
予算特別委員会において、流域治水プロジェクトに関する取組状況について質問をいたしました。
これに関し、札幌市は、ハード対策として、
河川改修のほか、学校や公園を活用した流域貯留施設の整備などを進めているとの答弁でございました。
私は、これまで、河川整備など、従来より行っている取組に加え、河川への負荷を軽減するために市街地内の雨水の貯留機能を高める、いわゆるスポンジ都市、スポンジシティーの重要性を主張しておりますが、学校のグラウンドや公園の一部を掘り下げることにより雨水を一時的にためる流域貯留施設の整備は、市内の公共施設の土地を有効活用した取組であり、早期に装備できるメリットがあると考えます。
そこで、質問ですが、気候変動による大雨の増加が懸念され、全国的に治水対策の加速化が求められていることを踏まえますと、今後、流域貯留施設の整備を促進すべきと考えておりますが、これについてどのように考えているのか、伺います。
◎高桑
河川担当部長 札幌市における流域貯留施設整備の促進についてお答えいたします。
流域治水において、札幌市は、
河川改修以外の役割も担っており、流域の自治体として、河川への負荷軽減や、市民への水害リスクや避難情報の提供なども求められているところでございます。このため、公共施設の土地を活用して大雨時の河川への負荷の軽減が図れる流域貯留施設整備については、促進する必要があるものと認識しているところでございます。
現在、札幌市では、伏籠川流域において整備を進めているところであり、既に整備が完了した望月寒川流域と合わせますと、これまで143か所の学校や公園などで整備を行ってきたところでございます。
今後は、これまでの実績を踏まえながら、他の流域においても、学校や公園などで流域貯留施設を整備することについて、国や北海道などと協議の上、検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
◆小口智久 委員 流域貯留施設のさらなる整備を検討するということでございます。よろしくお願いいたします。
次に、中沼西地区の水路の整備について伺います。
東区中沼西地区は、西側に篠路新川、東側には道道札幌当別線、南側にはモエレ沼があり、札幌市内で市街化区域が決定された昭和45年以前からある市街地です。
この地区は、勾配が緩い低平地であるため、水害発生リスクが高く、昭和56年8月の大水害のほか、平成9年8月の浸水、平成11年には融雪水による水害、平成29年7月にも大雨で浸水が発生しております。
私は、この地域の会社で働いていたので存じ上げておりますが、大雨警報が出るたびに、会社の玄関、シャッター前等に土のうを積み上げ、さらに、篠路新川の水位の確認に走ったことを覚えているほど、水害に関して敏感な地域でございます。
この地域の治水対策として、篠路新川の東側に降った雨水をモエレ沼に導水するために、道道札幌当別線の東側にモエレ中野川を整備することとし、平成12年、2000年から整備に着手し、23年間かかり、約20億円以上かかりましたけれども、ようやく今年度、この本川の工事が完了いたしました。
このモエレ中野川の整備に着手する際には、札幌市からモエレ中野川本川の工事完了後には、中沼西地区内の水路、支川とも呼んでいるんですけれども、その整備を引き続き行う予定であるとの説明がございました。
そこで、質問ですが、モエレ中野川本川は今年度で工事が完了しましたが、今後、中沼西地区内の水路、支川の整備についてはどのように考えているのか、伺います。
◎高桑
河川担当部長 中沼西地区内の水路、支川の整備についてお答えいたします。
モエレ中野川の整備計画では、流域内の市街化率が約24%となることを想定しておりましたが、現在は、民間による宅地開発が行われず、市街化率は約11%にとどまっており、雨水流出量は当初の想定よりも少ない状況となってございます。さらには、モエレ中野川の整備が完了したことで、これまで、中沼西地区の水路に流入していた道道の東側の雨水がモエレ沼へ導水されます。これにより、整備前と比較いたしますと、この地区の水路に流入する雨水は約40%減少しております。
このため、現在の中沼西地区では、市内のほかの市街地と同程度の
治水安全度が確保されていることから、中沼西地区内の水路の整備については、現時点では見合わせることとしてございます。
なお、今後も、降雨時の水路の状況を把握するなど、引き続き中沼西地区の安全確保に努めてまいりたいと考えてございます。
◆小口智久 委員 中沼西地区の水路、支川の整備は見合わせるということですが、モエレ中野川の本川の整備によって、現時点で他の市街地と同程度の
治水安全度が確保され、また、今後は降雨時の水路の状況の把握などを行うということでございます。しかしながら、札幌市は、
地域住民に対し、この支川の整備を実施する予定であると説明を行っている経緯があります。
この支川、水路の整備を見合わせる以上、今後の調査については、雨量、水路流量、河川流量を把握し、想定どおりの水バランス、水の物質収支で雨水がしっかり流れていくのか、計画どおり流れていくのか、調査・検証をしていただきたいと思います。
また、この支川整備の見合わせに関しては、
地域住民に懇切丁寧な説明を行い、不安を解消できるよう尽力していただきたいと思います。
最後になりますが、治水対策の取組は、ハード面整備だけではなく、ソフト対策も大変重要と考えます。これまでも、札幌市では、浸水ハザードマップの全戸配布、パネル展の開催、広報さっぽろへの特集記事の掲載等により、市民への水害に対する意識醸成に取り組んでいただいておりますが、今後も、水害リスクの情報提供や適切な避難行動の普及啓発等も積極的に行い、有事に役立つ取組を続けていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 以上で、第3項 河川費等の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時7分
再 開 午後2時8分
――――――――――――――
○村松叶啓 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第14号 令和6年度札幌市水道事業会計予算について質疑を行います。
◆佐藤綾 委員 私からは、配水管の耐震化と災害復旧支援、職員の技術継承などについて質問をいたします。
最初に、配水管の耐震化について質問いたします。
能登半島地震では、被害が大きく、断水が続きました。今なお、少なくない世帯が断水しているということで、被災者の方が一番困るのは水、トイレも炊事もお風呂も使えず、復旧のめどが見えないと2か月たった現在も話されていた報道を目にしました。
水が出ないということは、衛生面でも身体・精神的な負担にも大きな影響があると改めて感じております。本市でも、災害時に断水での被害が極力ないように、老朽化した配水管の更新や耐震化を急がなければと思うところです。
本市の第4次地震被害想定では、月寒断層で最大の地震が起こった場合、約37万3,000世帯が断水、1週間後も14万から16万世帯が断水という想定です。
そこで、本市では、平準化して配水管の更新を図る中で、災害時における重要施設である医療機関や指定避難所などに向かう配水管の耐震化を優先して進めてきました。
水道ビジョンの2015年から2024年度までに、基幹病院、2次救急医療機関など、対象医療機関の150か所のうち89か所が完了ということでお聞きをしております。
そこで、質問ですけれども、基幹病院等の指定医療機関と、また、一定の病床を持つ医療機関へ向かう配水管の耐震化について、今後も急がれると考えますが、どうお考えなのか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 水道局では、災害時重要管路耐震化事業によりまして、災害時における救命活動の拠点となります災害時基幹病院及び2次救急医療機関などの医療機関や、被災者保護の拠点となります小・中学校などの指定避難所へ向かう配水管の耐震化を優先的に進めているところでございます。
委員のお話にもありましたけれども、対象としております医療機関150か所のうち、札幌水道ビジョン期間の10年間では51か所を耐震化することを目標として取り組んでおりまして、令和6年度末で累計89か所の耐震化を完了する見込みとなっております。
その他の医療機関や特別養護老人ホームなどの介護施設への耐震化ということでございますが、まずは、残り61か所の災害時基幹病院などへの耐震化を優先的に進めていくことが重要であると考えております。
◆佐藤綾 委員 特別養護老人ホームなど、介護度の高い方が入所しているということで、同様に配水管の耐震化を急ぐ必要があると思います。配水管の耐用年数は40年ですが、更新時期が重なるために、60年、80年の更新基準年数を設定して、土壌や地盤などの状況などを勘案して、平準化して進めるという方針なのですけれども、新たな水道ビジョンでは、更新の進め方を検討し直すことも必要ではないかと思っております。
昨今の災害での
被害状況を見ると、現水道ビジョンよりもレベルアップして耐震化を進めていく、急ぐ必要があるのではないでしょうか。
病院や避難所へ行く管路なども含め、更新、耐震化についての今後の計画で策定されると思いますけれども、特養や介護施設なども考慮し、全体の進捗も早めて強化していただきたいと思っております。
次に、災害時の応急復旧活動における民間との連携について伺います。
本市では、能登半島地震が起こった5日後、1月6日より、給水の支援に職員と給水車などを派遣して支援に当たってきました。また、2月3日からは、水道管の修繕のため、応急復旧隊として、漏水の調査や復旧工事を行う職員を七尾市に派遣し、一緒に、さっぽろ水道サービス協会、札幌市管工事業協同組合が派遣されて、市の職員とともに復旧に当たられているとお聞きをしております。
給水の支援にもご苦労があったところだと思いますけれども、水道管の修繕、復旧工事の支援では、また違う大変さがあったのではないかと思っております。
そこで、お聞きいたしますが、この水道配水管の復旧、修繕の支援に行かれたときの状況について伺います。
また、その中で課題と感じられたことがありましたら、お聞かせください。
◎村上 給水部長 応急復旧の状況及びそのときの課題についてお答えいたします。
初めに、応急給水の活動状況につきましては、現地では、さっぽろ水道サービス協会及び札幌市管工事業協同組合とともに、七尾市にて漏水調査及び管路修繕を行ってまいりました。
具体的な活動内容についてですが、まず、水道局職員は、各現場で管理監督、そして、七尾市や他の応援事業隊との連絡調整などを行いました。
さっぽろ水道サービス協会は、専門の機械を用いて漏水調査を実施し、札幌市管工事業協同組合は、管路修繕を担当し、建設機械を用いて漏水箇所の掘削と破損した管路の修繕を行いました。
次に、課題と感じた点でございますけれども、まずは、
民間事業者との連携、ここが課題かと感じているところでございます。
応急復旧活動は、水道局の職員のみでは行えず、関係者との良好な関係が必要でございまして、こういった団体との関係構築が必要不可欠でございます。今回は、被災地の状況が日々変化し、臨機応変な対応が求められたことに加えまして、限られた人員の中での活動となりましたが、3者がお互いの役割を補完し合うような連携が取れたことによりまして、スムーズに作業することができたと実感してございます。
一方、災害時の応援活動はいつ起こるか分からないため、日頃から水道局と関係する団体や企業とで強固な関係性を構築することが極めて重要な課題であると再認識したところでございます。
今後、能登半島地震における応援活動の振り返りを行うことになりますが、その際には、現地で活動した職員を中心に、水道局、さっぽろ水道サービス協会、そして札幌市管工事業協同組合の3者でしっかりと意見交換を行い、今後の災害時のさらなる連携強化に努めてまいりたいと考えてございます。
◆佐藤綾 委員 日常的な業務などでも関わりが深くて、日頃から連携しながら事業を進めてきているところですけれども、やはり、現地に行きますと、現地の自治体との連絡、その状況などの報告、また、その工事がうまくいかなかったり、いろんな困難なども道路の状況を見ますとあったと思います。現地では断水が続いていましたので、一日でも早く復旧したいと必死の作業であったのではないかというふうに思っております。
先ほどお話がありましたように、スムーズな連携が鍵にもなってくるかと思います。今、報告などもしっかりして、今後に生かしていきたいというお話がありましたけれども、ぜひ、ほかの災害復旧などに行かれる職員の方は、ほかの部署でも参考になることもたくさんあるんじゃないかと思いますので、ぜひ報告を広く伝えていただきたいと思いますし、支援に行かれた皆さんに感謝をお伝えしたいと思います。
次に、技術の継承と人材の確保についてお聞きをいたします。
災害復旧に当たる場面を報道などで見ると、職員が耳で漏水の音を判断するということで、配管の種類によって音が違うということもありまして、経験に伴うアナログな技術も重要だと素人ながら感じたところです。
日常や災害時にも、水質の保持や施設管理と様々な技術が必要で、機器を使えばいいというものでもなく、特に、自治体職員の経験と技術の継承、人材育成が大事だと思っております。
水道ビジョンでも技術の継承について取り組んでいるところですが、職員の構成を見ますと、以前よりもベテランの50代、40代が少なくなり、一方で、新規採用を含む20代、30代の職員が増えているということです。
そこで、質問いたします。
技術継承の取組について、特にベテラン職員から若い職員への継承が急がれますが、どのような取組をされているのか、伺います。
◎福澤 総務部長 水道局における技術継承の取組についてお答えいたします。
水道局では、主に研修を通じて技術継承を行っております。職員は、局独自の研修に加えて、日本水道協会や専門機関などが主催する外部研修を受講することで、技術力を高めております。
局独自の研修としましては、局や部単位で行う全体研修のほか、より実務に即した職場単位のOJT研修にも力を入れております。各課には、OJT研修をより効果的に実施するため、係長職のOJT推進委員を配置し、研修の企画や検証を行っております。
また、各配水管理課では、ベテラン職員から技術継承支援専任スタッフを選任しまして、研修講師や動画教材作成の指導などを行っております。さらに、実物の配水管や給水装置を備えた給配水技術研修所を整備し、漏水修繕等の実践的な研修に役立てております。
今後も、このような取組を着実に進めることにより、水道事業を支える技術を確実に継承してまいります。
◆佐藤綾 委員 やはり、若い方たちへの蓄積されてきた技術の継承というのはとても大事だと思っておりますので、今後さらに強めていっていただきたいと思っております。
2006年に717人だった水道局の職員は、現在617人ほどと大変少なくなってきました。効率化で業務委託等を見直し、削減を進めてきました。しかし、災害では、市の職員が、一つ一つ漏水箇所を確認するなどを目の当たりにしまして、人が財産だと感じております。
また、被災地では、自治体職員が少なくて困難となっているということが顕著に出ておりました。
そこで、質問いたしますけれども、これまで人員削減をしてきましたけれども、災害も増加し、職員の技術などの向上とともに人員数は維持していかなければならないと思いますが、どうお考えか、伺います。
また、今後、人材確保も大変になってくる可能性が高いと考えますが、人材確保の見通しはどうお考えなのか、伺います。
◎福澤 総務部長 水道局における人員数の考え方と人材確保の見通しの2点につきましてお答えいたします。
まず、人員数の考え方につきまして、これまで、水道局では、業務の見直しや委託化などを行い、職員数の適正化を図ってまいりました。
今後も、安全・安定給水を堅持しながら災害時におけるライフラインの確保に取り組んでいくためには、必要な人材の確保に努め、組織体制を維持していくことが重要であるというふうに考えております。
次に、人材確保の見通しについてですが、水道局の技術職員につきましては、局独自の採用を行っておらず、札幌市が採用した職員を人事異動により配置しておりますが、建設産業の担い手不足などの状況から、採用や人員配置を取り巻く状況も厳しくなることが懸念されます。
水道局としましては、学生等に対して水道分野を含む建設産業の魅力をPRするとともに、水道記念館やイベントなどを活用して、水道事業の意義やこれに携わるやりがいなどを感じていただけるよう、人材の確保に努めてまいります。
◆佐藤綾 委員 札幌市の水道はとてもおいしくて、皆さんに守っていただいているというふうに感じております。
今、安全のため、しっかりとライフラインを守っていくというためにも、人材確保と維持に努めていきたいという内容だったかと思います。
技術継承とともにこの人員配置はしっかりと維持していただくよう申し上げまして、私の質問を終わります。
◆和田勝也 委員 私からも、能登半島地震を踏まえた、災害に強い水道システムの構築について、3点ご質問させていただきます。
まずは、水道局職員、能登半島において、応急給水等、災害復旧に努めていただき、敬意を払い、感謝を申し上げます。
1月1日午後4時に発生した能登半島地震は、石川県の志賀町と輪島市で最大震度7を記録いたしました。この地震により、死者200名以上、負傷者1,200名以上の人的被害に加え、確認できているだけで7万件を超える住宅が、全壊、半壊、一部破損など、甚大な被害が発生しております。
生活に必要不可欠なライフラインにおいても、道路や上
下水道施設などが大きく被害を受け、石川県の能登半島を中心に、今もなお復旧活動が行われています。水道においても、能登半島の北部の都市で、いまだ断水が続いている状態です。
災害発生から既に2か月が経過し、被災地ではトイレやお風呂も十分に使えず、被災された方々が苦労しているとの報道もあり、一刻も早い水道の復旧が望まれております。
札幌市からも、被災された市町村に対し、様々な分野において多くの職員を派遣し、復旧活動に貢献していると伺っており、水道局についても、災害当初から長期間、応援派遣を行ったことと承知をしております。
そこで、質問でございますが、能登半島地震における水道局としての応援派遣の規模や期間、活動状況についてお伺いをいたします。
◎村上 給水部長 能登半島地震における水道局の応援派遣についてお答えいたします。
水道局では、全国の水道事業者が会員となり、組織されている日本水道協会から要請を受け、道内他都市と連携し、応急給水隊と応急復旧隊を派遣してございます。
応急給水隊は、1月6日に出発し、2月8日までの34日間で計70名の職員を珠洲市と七尾市へ派遣して、断水となった病院や避難所などに給水タンク車で水を配りました。
また、応急復旧隊は、1月30日に出発し、3月1日までの32日間で計33名の職員を七尾市へ派遣してございます。水道管の漏水調査と修繕を行いました。応急復旧に当たっては、災害協定に基づきまして、漏水調査を担当するさっぽろ水道サービス協会から15名、修繕工事を担当する札幌市管工事業協同組合から31名、3者で復旧チームを結成し、合計79名で活動してまいりました。
具体的な復旧作業ですが、断水しているエリアの管路に水を通し、水が漏れている箇所を把握することにより破損箇所を特定し、管路を修繕しました。この作業を管路の上流から下流にかけて順次進めていくことで、断水した管路の復旧を行ってまいりました。
この32日間の復旧活動によりまして、それぞれ、さっぽろ水道サービス協会では38件の漏水箇所を特定し、そのうち、札幌市管工事業協同組合では15件の水道管を修繕いたしまして、断水している地区の通水を再開させることができました。
水道局の応援派遣の状況につきましては、以上でございます。
◆和田勝也 委員 水道局職員をはじめ、さっぽろ水道サービス協会、札幌市管工事業協同組合と連携の上、一日も早い復興のために、多くの方が現地で活躍されたとのことでございました。
報道によれば、水道施設においても、浄水場や配水池、送配水管などの多くの施設で広範囲に被害が発生したと伺っております。
また、能登半島は、主要な道路が土砂崩れなどで通行できず、迂回路も少ないため、復旧作業の支障となっており、復旧に時間がかかっているとの報道も目にいたします。さらに、冬場に起きた災害ということで、降雪なども復旧が長引いている要因であったとも聞いております。
このような中で、現地での活動には様々な困難があったのではないかと推察いたします。過去を振り返りますと、熊本地震や東日本大震災などの災害時においても、札幌水道から被災地へ応援派遣し、そのたびに現地で得られた貴重な経験や知見を教訓とし、災害対応力の強化に取り組んできたものと認識をしております。
今回の地震に関する評価や検証はまだ先の話かもしれませんが、現時点においても、現地で水道局職員が実際に体験したことや得られた知見は非常に多くのものがあり、中には、今後の札幌市の災害対策にも参考となる点があったのではないかと考えています。
そこで、質問ですが、今回の派遣活動を通して、直接感じた点や得られた知見についてお伺いをいたします。
◎村上 給水部長 能登半島地震における応援派遣にて得られた知見などについてお答えいたします。
今回の地震は、厳冬期に発生したという、この点が特徴の一つでございます。
札幌水道では、冬期間、日常的な
維持管理や事故対応を実施しているため、今回の派遣でも通常どおり作業できましたが、応援に来ていた他都市の中には、積雪時や氷点下における活動や車両の運転に苦慮している場面も見られ、改めて冬期間における応援活動の難しさを実感したところでございます。
そこから得られた知見は、札幌市が冬期間被災し、他の水道事業者に応援いただく際の受入れ、いわゆる受援に係る体制の整備に活用していきたいというふうに考えてございます。
また、断水が長期化している点も特徴の一つかと考えてございます。
一般的に、水道施設の復旧は、上流側から順番に通水して復旧していく必要がありますが、その上流側に当たる取水施設、浄水場、浄水場と配水池をつなぐ送水管の被害が多かったことから、断水が長期化したものと考えられます。
さらに、管路については、多くの箇所で二重化やループ化などによるバックアップが構築されていなかったことも、長期間の断水となった要因の一つと感じたところでございます。
◆和田勝也 委員 積雪寒冷地の札幌水道において長年養ってきた経験や技術が、今回の応援において十分発揮されたのではないかと感じているところでございます。また、現地で得られた知見は、今後の札幌水道の災害対策においても非常に重要なものになると思います。
一方、今回、能登半島で発生した規模の地震は、今後、札幌市内でも起こり得る可能性があると認識しております。
平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震では、震源こそ札幌市ではなかったものの、市内で最大震度6弱を観測し、水道においても配水管を中心に被害が出ております。
さらに、令和3年度に公表された札幌市の第4次地震被害想定では、月寒断層などを震源とする地震による最大震度7の強い揺れにより、最大で37万世帯が断水となることが想定されております。
札幌水道においては、浄水施設の耐震化率が約20%、基幹管路の耐震管率も約45%と、災害に強い水道システム構築においては、現時点ではまだ十分ではないと認識をしております。したがって、今後も、災害対応力の強化に向け、耐震化をはじめとした取組を進めていく必要があると考えております。
そこで、質問でございますが、水道局では、災害に強い水道システムを目指す上で、どのような点が課題であり、それに対して今後どのような取組を行っていくのか、お伺いをいたします。
◎村上 給水部長 災害に強い水道システムを目指す上での課題と取組について、浄水場と管路の二つの観点からお答えいたします。
まず、浄水場ですが、本市にある五つの浄水場のうち、これまでに、藻岩浄水場、西野浄水場、宮町浄水場の耐震化が完了したところでございますが、本市給水の約8割を担う白川浄水場の耐震性の確保が課題でございます。
また、管路につきましては、継続的に耐震化を進めており、基幹管路の耐震管率は、大都市平均と比較しますと同程度の値となってはおりますが、札幌市内の管路の総延長は6,000キロに及ぶため、全ての管路の耐震化が完了するまでには、長期間を要する点が課題だと認識してございます。
これらの課題の解決に向けまして、白川浄水場では、耐震性を有する白川第4浄水棟の新設工事に今年度着手しており、工事が完了した後に、既存浄水棟の耐震改修を順次行っていく考えでございます。
また、管路につきましては、札幌水道では、耐震化と並行しながら、事故・災害時の断水の影響を最小化するため、水道利用者への水の供給ルートを複数確保する方策として、送水管の二重化や配水管のループ化に取り組んでおります。
今後も、浄水場や管路などの耐震化を進めるとともに、災害時においても給水が可能となる強靱な水道システムの構築を目指してまいりたいと考えてございます。
◆和田勝也 委員 災害に強い水道を目指す上で、浄水場や管路の耐震化を引き続き進めていくことは不可欠でございます。これに加え、二重化やループ化といった災害対応力強化の対策があるとのことでございました。
耐震化については、水道施設や管路を一度で全て取り替えるわけにはいかないため、計画的かつ着実に進めていくしかないという点は承知をしております。このため、様々な方策により、事故や災害時にも被害を最小化し、水道システム全体として災害対応力を強化していくことが重要だと考えます。
今後、能登半島地震の被害記録が取りまとめられた際には、今回の現地での経験と併せて、災害対策の教訓としてしっかり活用していただくとともに、引き続き、必要な取組を着実に進め、安全で安心な札幌水道を目指していくことを要望し、質問を終わります。
◆
おんむら健太郎 委員 今、ほかの委員の皆様からも、給水について様々なお話がございました。私からは、応急給水活動に必要な人材の確保について、幾つか質問させていただきます。
今までもお話があったとおり、昨今、地震が頻発している状況を考えますと、やはり、災害発生直後から、1人1日3リットルの飲料水を確保することは非常に重要でございます。そのための応急給水活動というのは、とても大事なものだと認識しているところです。
応急給水活動に当たっては、給水タンク車を効果的に使用されることが重要となってまいります。給水タンク車というのは、医療防疫車などと同じように、水道ならではの特殊な車両であると伺っておりまして、運転に必要な条件についても様々な課題があるのではないかと感じるところでございます。
こうしたことを踏まえて、今回、私からは、応急給水活動の要となる給水タンク車などを中心に伺ってまいります。
令和6年能登半島地震では、震度7が観測された石川県能登半島地方を中心にライフラインに大きな被害が発生しました。
水道におきましても、各地の浄水場や配水管などに甚大な被害が生じたため、最大13万7,000戸以上の断水が発生し、全国各地の自治体ですとか、
国土交通省、自衛隊などによる応急給水活動が現地で展開されてまいりました。
先ほど来の話にもありましたが、札幌市も、1月6日には応急給水隊を現地に派遣し、給水タンク車による応急給水活動を約1か月間にわたって実施してきたと聞いております。
水道局では、発災直後から、発災が1月1日でございましたので、皆様、休暇などもありました中、情報収集ですとか、派遣準備を進めていただきまして、応援要請があった日の翌日にはもう応急給水隊が出発されたということですから、その対応に改めて敬意を表させていただきます。
応急給水活動では、応急給水する施設や対象者に応じて様々な対応が必要になると思われます。また、現地の状況によっては、給水タンク車での活動に苦労されたこともあったのではないかと推察するところでございます。
そこで、質問ですが、給水タンク車を使用した応急給水活動の実施状況や、被災地がどのような状況であったかについて伺わせていただきます。
◎村上 給水部長 給水タンク車を使用した応急給水活動の実施状況や被災地の状況についてお答えいたします。
応急給水隊は、金沢市に拠点を置き、先行して現地入りしていた名古屋市と協力して、珠洲市と七尾市にて、1月8日から現地での応急給水活動を実施しました。
応急給水活動は、容量3立方メートルの給水タンク車3台により、病院や学校などの受水槽への給水や応急給水所に参集した市民への直接給水を実施し、応急給水した水量は給水タンク車で293台分に相当する約880立方メートルとなりました。
能登地方にある受水槽の注水口は、地上から数メートル高い位置にありましたが、給水タンク車の加圧ポンプとホースを使用することでスムーズに給水することができました。
また、病院の受水槽は容量が大きいことから、給水タンク車への補水と受水槽への給水を幾度も繰り返す必要がございました。
次に、被災地の状況でございますが、拠点がある金沢市から珠洲市までは約140キロメートルありまして、また、道路には、段差や亀裂、崩れた路肩もあったことから、平時の移動時間は3時間程度のところ、給水タンク車での移動には5時間程度を要しました。
加えて、天候不良や災害応援に向かう人が増える休日が重なると、片道約7時間程度かかる場合もございました。
派遣した職員からは、被災地の方々から、遠く離れた札幌市から来てくれたことや、応急給水所にて水を入れたポリタンクの運搬を手伝ったことについて、感謝の声をいただきました。
また、他の事業体からは、率先して積雪時に応急給水活動を実施したことに対して感謝を受けたところでございます。
給水タンク車を使用した応急給水活動などについて、以上でございます。
◆
おんむら健太郎 委員 今、様々、応急給水隊の活動状況ですとか被災地の状況について答弁をいただいたところです。
活動に対する一般の方からの感謝の声もあったというお話もありました。やはり、現地で被災された方々に非常に寄り添った対応をされていただいたのかなということが伝わりましたし、本当に、派遣された職員の皆様、大変お疲れさまでございました。
さて、先ほど来お話があるように、応急給水活動を実施するためには給水タンク車が必要不可欠なのですが、給水タンク車といっても、タンクの大きさや装備に
違いがございます。今回使用した給水タンク車は、平成30年度に導入したと伺っておりますが、その際、特殊な車両であることから、車両の規格やタンクの容量、装備など、様々な検討がなされたものと思われます。
そこで、質問いたしますが、給水タンク車の導入に当たり、どのような検討を実施し、車両の仕様を定めたかについて伺います。
◎村上 給水部長 給水タンク車の導入に当たっての検討内容と車両の仕様についてお答えいたします。
給水タンク車につきましては、局内に検討プロジェクトを設置し、操作性や効率的な応急給水の実現という観点から、車両の仕様やタンク容量などを決定してございます。
操作性に関しましては、誰もが運転できるよう、オートマチック変速や、坂道、冬道の走行を考え、四輪駆動を採用するとともに、狭い道での運転のしやすさを考慮し、車両サイズをできる限りコンパクトにすることを検討してございます。
効率的な応急給水に関しましては、主にタンク容量の検討となりますが、水を補給する地点までの往復回数の軽減と操作性を両立できることを踏まえ、容量を3立方メートルに設定いたしました。
装備に関しましては、高所への給水や冬季の凍結防止策を考慮して、加圧ポンプとヒーターを装備してございます。
加圧ポンプとしましては、車のエンジン動力ポンプに加えまして、夜間作業を考慮し、騒音の少ない電動ポンプも装備してございます。
また、ヒーターにつきましては、これは本州と異なる寒冷地特有の装備でございまして、現地では複数の事業体から仕様について問合せを受けたところでございます。
これらの装備を全て合わせますと、給水タンク車の車両総重量は6.7トンとなります。
◆
おんむら健太郎 委員 今の応急給水活動を効率的に実施することを考えて給水タンク車のタンク容量や加圧ポンプなどの仕様を定めたというお話もありましたし、ほかの事業体から寒冷地特有の装備という部分での問合せもあったというお話もありました。
私も少し調べたところ、給水タンク車そのものは1,000万円以上するような非常に高価なものだと聞いておりましたので、ほかの事業体からすれば、やはり、寒冷地特有というのは、ちょっと違った部分でもいろいろ注目があったのかなと思いました。
この答弁の中でもありましたとおり、車両総重量が6.7トンの給水タンク車を運転するためには、もちろん免許の制約がございます。現状では平成29年の改正道路交通法の施行によって新設された準中型免許以上の運転免許、もしくは、平成19年の法改正前の普通免許が必要というものでありまして、法改正後に普通免許を取得された方は、こちらを運転することができません。
また、給水タンク車の運転や使用に当たっては、一般的な車両と異なりまして、先ほどの長時間の運転のことも踏まえますと、もちろん分かると思うのですが、タンクに水を積んだ不安定な状態での運転技術ですとか、加圧ポンプなどの装置に関する知識も必要となってまいります。
今回の災害応援による応急給水隊の派遣は1か月程度で終了いたしましたが、今なお被災地では応急給水活動が続いております。このことを踏まえますと、今後は、さらに長期間の派遣が必要となる災害応援ということも十分に想定されるのではないでしょうか。
給水タンク車を運転できる職員の確保というのが私どもは非常に重要になってくるのではないかと考えるところです。しかしながら、運転免許制度の改正に加えまして、退職される職員の方、また、人事異動というのもございます。こういった影響によりまして、給水タンク車を運転することができる水道局の職員の皆様が徐々に減少しているのではないかと危惧するところでもあります。
そこで、質問ですが、水道局所有の給水タンク車を運転できる職員の現状と今後の考え方について伺います。
◎村上 給水部長 初めに、局が所有する6.7トンの給水タンク車を運転できる職員の現状についてお答えいたします。
現在、給水タンク車を運転できる局職員は、平成19年の法改正前と比較しまして、4割ほど減少している状況でございます。水道局では、このことを受けまして、令和3年度から毎年5名の職員に公費で準中型免許を取得してもらう取組を行ってございます。免許取得に当たりましては、通常業務において、給水タンク車を運転することが想定される職員を対象としてございます。
次に、今後の考え方についてお答えいたします。
委員のご指摘のとおり、応援期間が長期にわたる場合は、給水タンク車を運転できる職員の派遣人数が増加すると考えられます。したがいまして、長期間の応援派遣をイメージしつつ、今回の能登半島地震への対応や課題について検証した上で、準中型免許取得者の増加の必要性や、給水タンク車の運転や操作に関する研修の実施などについて検討を進め、応急給水活動に必要な人材の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
◆
おんむら健太郎 委員 水道局が所有する給水タンク車を運転できる職員の確保に向けた取組についてご答弁いただいたところですが、やはり、今の答弁の中にもありましたとおり、平成19年の法改正前と比較して運転できる職員が4割減少されているということでございますので、今後、給水タンク車を運転できる免許を持っている方は、特に年代としては上の方々かと思いますが、そういう方たちが退職されていくにつれて、より一層減少していくと思います。ぜひ、準中型免許取得者の増加に向けての取組はしっかりと続けていただきたいと思います。
私も、以前、清田区で断水がございまして、私が住んでいる地域も断水になりました。その際、給水タンク車から水をいただいて、大変助かった経験がございます。断水された地域の方々に少しでも早く飲料水を届けるためには、応急給水活動の要である給水タンク車の活躍は大変重要となってまいります。
今後、広域的な被害が予想される南海トラフ地震ですとか首都直下型地震の発生も想定されていたり、北海道内においても、日本海溝・千島海溝沿いで超巨大地震が発生するのではないか、高い確率でそれが起きるんじゃないかという話もございます。
こういった大規模な地震や災害の発生に備えて、ぜひ応急給水活動に関する職員一人一人の力を高められまして、組織としての対応力をさらに強化していただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆小口智久 委員 私からは、ICTなどの新技術を活用した漏水調査の取組について質問をいたします。
本年1月1日に発生した能登半島地震では、道路や上下水道、電気などのインフラが大きな被害を受け、特に断水は一部の地域で長期化しており、厳しい環境下での避難生活が現在も続いております。
報道によりますと、今回、水道の被害が大きくなった原因の一つとして、管路の更新が進んでおらず、耐震管があまり布設されていない、されていても初期型の耐震管であったことも指摘されております。
強靱な水道管路の実現には、老朽化などにより漏水リスクが高くなった水道管の布設替えが必要ですが、同時に、漏水をいち早く発見し、すぐに修繕できる
維持管理体制の構築も重要であると考えます。
また、先ほどの会派からの質問に対する回答にもありましたが、被災地の水道復旧に対し、札幌市水道局をはじめ、道内の水道事業体からも職員が派遣され、余震が続く中、主に石川県七尾市において応急復旧隊として活動されました。現場では、漏水調査により、配水管の損傷箇所を速やかに発見し、配水管の修繕を進められたと伺っております。
これもひとえに、札幌市や道内の他事業体が、日頃よりしっかりとした漏水調査技術を保有していたからこそなせる業であり、被災地の応援要請に応え、重要な任務を全うすることができたものと考えます。
漏水調査は、災害時において重要な作業ですが、通常時にこそ、しっかりと実施することが肝要であり、それにより、配水管の漏水事故の防止、さらには、漏水率の改善に寄与するものと考えます。
水道局においては、従前より、配水管更新や漏水調査などの
維持管理を適切に実施され、漏水事故件数の減少や漏水率の改善に努めていることは承知しております。
そこで、1点目の質問です。
これまでの水道局の漏水調査の取組により、配水管の漏水事故件数及び漏水率がどのように推移したのか伺うとともに、全国における札幌市の漏水率の状況について伺います。
◎齋藤 配水担当部長 札幌市における漏水事故件数及び漏水率の推移、併せて全国における札幌市の漏水率の状況についてお答えいたします。
札幌市におきましては、口径75ミリメートルから350ミリメートル以下の配水管約4,800キロメートルを対象といたしまして、配水管
更新事業を平成25年度から実施しており、令和4年度までに約610キロメートルの配水管を更新しております。
更新に当たりましては、外面の腐食防止のため、ポリエチレン製のシートにて配水管を包み、外面を覆うとともに、接合部が抜け出しにくい耐震管を採用するなど、機能の充実も図っております。
また、漏水防止対策につきましては、地下漏水を対象に昭和44年度から実施しており、人間の耳により漏水音を聞き分ける音聴作業を年間約1,000キロメートル実施するとともに、配水ブロック単位で配水量や水圧を確認するブロック計量調査などによりまして、漏水の有無を速やかに調査してきております。
腐食による漏水事故件数は、配水管
更新事業の開始当時には年間15件ほどでございましたが、その後、配水管更新と漏水調査を進めたことによりまして、最近5年間では年間6件ほどまでに減少しております。
漏水率につきましては、平成24年度の2.9%から令和4年度には2.1%と、0.8%改善しておりまして、東京都を加えました19大都市の令和3年度の平均漏水率4.4%と比較いたしますと、札幌市は全国的に見ても漏水率が低い状況でございます。
◆小口智久 委員 計画的な配水管
更新事業や漏水調査の実施により、腐食を原因とした配水管の漏水事故件数は着実に減少し、漏水率も、他の大都市と比べ、低いことが分かりました。
水道局の地道な日々の努力により、漏水事故件数は減少しているとのことですが、ゼロになったわけではありません。札幌市が抱える水道配管のインフラについては、布設深度が深いこと、都市部特有の複雑な配管設置、また、自然環境としては寒暖差、予測が難しい土壌腐食等があり、維持の難しさは重々承知しておりますが、たとえ1件であっても漏水事故が発生すると市民生活に支障は生じますので、漏水事故件数ゼロを目標とした取組を進める必要があると思います。
昨年の決算特別委員会において、私が今後の漏水調査の強化策について質問をしたところ、水道局では、従来の音聴調査に加え、人工衛星を活用した画像解析による漏水調査や、漏水による微弱な振動などを検知できるセンサーを配水管のバルブに設置する監視型漏水調査を実施し、積雪寒冷地である本市における有効性を検証するため、試行しているとの回答がございました。
人工衛星を活用した漏水調査については、様々な方式があります。最近、テレビ番組で、地表温度、土壌図、配管図等からAI解析を行うという新たな技術が紹介され、既に複数の水道事業体に採用され、漏水調査の効率化が図られているということでした。また、監視型漏水調査については、振動以外で検知するセンサーも開発されていると伺っております。
そこで、次の質問ですが、現在、札幌市が試行している漏水調査の新技術にはどのようなものがあるのか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 水道局が取り組んでおりますICTなどの新技術を用いた漏水調査についてお答えいたします。
現在、水道局では、人工衛星を用いた漏水調査である画像解析による漏水探知、データによる漏水リスク評価、それとセンサーを用いた監視型漏水調査であります振動センサーと音圧センサーの四つの調査を試行しております。
このうち、画像解析による漏水探知は、人工衛星から電磁波を地表に向けて照射し、撮影した画像をAI解析することにより、地中の水道水の有無を判別するもので、解析結果は漏水の可能性のあるエリアとして半径100メートルから130メートルの円で表示されます。
また、データによる漏水リスク評価は、人工衛星により取得した地盤変動や地表面温度などのデータと漏水履歴などの水道局保有データを併せてAI解析し、漏水リスクを5段階で評価するものでありまして、リスクが最も高い5と評価された場合には、そのエリアでは既に漏水が発生しているか、あるいは、1〜2年のうちに漏水する可能性が高いと判定されます。
一方、監視型漏水調査につきましては、振動センサーを用いて漏水による特有な振動を検知したり、音圧センサーを用いて音の大小や周波数により決まる音圧の変化を検知することで漏水を判定するものであります。
これらの新技術を用いまして、漏水の可能性のある範囲を絞り込み、最終的には音聴作業を行って漏水を確認する考えであります。
令和4年度から試行しておりますが、来年度についても検証を続けたいと考えております。
◆小口智久 委員 札幌市水道局においては、新技術を用いた漏水調査として人工衛星を活用した調査2種類及び監視型漏水調査2種類について試行して、検証しているとのことでございました。
現在、札幌市で使用されている配管の口径は、先ほどもございました75ミリメートルから350ミリメートルまで、距離は約4,800キロメートルにわたり、それ以外の口径の管路も加え、合計で6,000キロメートルを超える水道管があると伺っております。これから人口減少社会を迎え、技術者や水道収益の減少が見込まれる本市において、このように膨大な水道管を適切に
維持管理するには、いかに効率的に漏水調査を実施するかが重要と考えます。
試行中とのことではございますが、令和4年度から2年間、調査を行っておられますので、そこで得られた結果が一定数あるのではないかと思われます。
そこで、次の質問ですが、この2年間の試行により得られた結果はどのようなものであるか、また、新技術の活用により、水道局がどのように漏水調査の効率性向上につなげていくお考えなのか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 新技術を活用した4種類の漏水調査のこれまでの試行結果、及び、今後の効率性向上に向けての考え方についてお答えいたします。
まず、画像解析による漏水探知につきましては、令和4年度分の結果が取りまとまっており、配水管約700キロメートルを対象に行い、280か所の漏水可能性の高いエリアが示され、その後、音聴作業により確認したところ、56か所の漏水を見つけることができました。
また、データによる漏水リスク評価につきましては、今年度試行を開始しておりまして、現在、AIによる解析中でございます。
次に、振動及び音圧の二つのセンサーにつきましては、腐食性土壌などのエリアに布設された漏水リスクの高い管路に約230台設置いたしまして監視を行いましたところ、これまでに38回の異常を検知し、その後、音聴作業により6か所の漏水を発見することができました。
次に、漏水調査の効率性向上に向けての考え方についてですが、これまでの札幌市の漏水調査は、流量計による配水量の監視や、音聴作業による現場調査を組み合わせて行ってきておりますが、これらの新技術は、AI解析などにより調査範囲を絞り込み、より効率的に音聴作業を行うことができる可能性があり、先ほどご紹介した合計62か所の漏水発見のように、地表に水が出てくる前に早期発見につながる有効な手段となり得るものと考えております。
これら新技術を適切に活用いたしまして、より効率的な漏水調査等による
維持管理体制のさらなる充実を目指してまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員 効率的な調査をこれからもっとやっていただきたいと思います。
テレビでも調査時間が10分の1に減るというような紹介もありました。前回の委員会でもありましたけれども、札幌市の調査が5年間かかるのが半年でできるというようなお話もちょっと聞いていたところでございます。今後もしっかりと検証していただきたいと思います。
我が国では、水道の蛇口をひねるときれいな水が出ることが当たり前と思われておりますが、これを維持するために、水道局が、常日頃から漏水調査など、地道な努力を日々続けていただいていることを私たちは知らなければならないと思います。
配水管などの水道インフラに事故があると、インフラの更新が遅れているとの報道がなされておりますが、しかしながら、水道事業は、施設の老朽化だけでなく、配管工をはじめとする建設業界の人手不足や給水収益の減少など、人口減少に伴う多くの課題に直面しております。新技術の活用は、より効果的・効率的な漏水調査につながることが期待できますが、漏水調査以外にも、ICTなどの新技術の活用は、様々な課題を抱える水道事業にとって、将来にわたって安全、安定な給水を継続していく上での重要な鍵になると考えます。
札幌市を代表とする道内の水道事業体には、能登半島地震での応援派遣においても力を発揮していただいたように、先人から引き継いだ確かな技術力をお持ちですが、さらに、新たな技術の導入にも積極的に取り組んでいただき、今後も協力しながら水道事業の信頼性を守り続けていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 以上で、水道事業会計の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月6日水曜日午後1時から、保健福祉局関係のうち、総務部、障がい保健福祉部及び保険医療部国民年金関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後3時5分...