委 員 佐 藤 綾
委 員 波 田 大 専
委 員 山 口 かずさ
委 員 成 田 祐 樹
委 員 脇 元 繁 之
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開 議 午後1時
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○村松叶啓 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
三神英彦委員からは
山田一郎委員と、熊谷委員からは竹内委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第6款 土木費 第3項 河川費、議案第15号 令和6年度札幌市
下水道事業会計予算及び議案第23号 札幌市
普通河川管理条例及び札幌市
流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。
◆竹内孝代 委員 私からは、河川管理の中でも、特に三里川の改修について質問をさせていただきます。
近年、気候変動による局地的な大雨への対応が全国的にも課題となっており、札幌市においても、令和3年8月に清田区が局地的な大雨に見舞われ、里塚地区で浸水の被害が発生いたしました。
里塚地区の中でも、三里川の周辺というのは、周りに比べて地盤が低く、雨水が集まりやすい地形であり、特に川幅が狭い区間では、これまでも道路冠水や公園内の浸水が頻繁に発生しておりました。
このような状況のため、私は、地域住民から治水整備を求める切実な声をお聞きするとともに、直接、被害状況をリアルタイムで現地視察もさせていただきましたところ、早急なハード整備の必要性を感じたところであります。
3年前の
浸水被害発生当時、札幌市に対して、市内で整備をすべき河川はたくさんあると思いますけれども、三里川の改修というのは、特に早急に行う必要があると思いますが、今後予定はないのでしょうかということで、確認、要望をさせていただきました。
このときに、札幌市からは、今後、どのような対応が取れるか、検討を進めていきたいという回答もいただいたところであります。
このような中、このたび、令和6年度より、里塚地区を流れる三里川の改修事業に新たに着手するというご報告をいただきました。
そこでまず、質問ですが、令和3年8月の被災後、どのような検討を行い、三里川改修事業の着手に至ったのか、まず初めに伺います。
◎高桑
河川担当部長 令和3年8月の被災後、どのような検討を行い、三里川改修事業の着手に至ったのかについてお答えいたします。
三里川は、清田区里塚地区などを流れ、1級河川厚別川へ合流する河川でございます。このうち、
平岡公園パークゴルフ場横の第3駐車場から上流の延長約1.1キロメートル区間については、昭和40年代に、災害復旧や宅地開発に伴い、護岸が設置されている状況でございますが、委員のご指摘のとおり、令和3年8月に大きな浸水被害が発生したところでございます。
このため、里塚地区の治水安全度の向上を図るべく、この区間の河川改修に向け、
浸水被害実績の確認、雨水の流入状況の把握、改修断面のシミュレーションなどの検討を進め、改修計画案を作成してまいりました。
この改修計画案を踏まえ、下流を管理する北海道や、国の
交付金事業を所管する
北海道開発局との協議を重ね、このたび、令和6年度より、国からの交付金を活用して事業着手に至ったところでございます。
◆竹内孝代 委員 令和3年の
浸水被害発生後に、ご答弁いただきましたような、様々な、細やかな検討を行っていただいて、また、国や北海道ともしっかり協議をしていただいて、今回、6年度改修事業に着手するということでありました。ありがとうございます。
この河川改修を行うためには、護岸整備のほかにも、現地の測量、設計、さらには河川敷地の取得などに様々な費用がかかります。これを全て札幌市の費用で行うということになれば大きな負担になるかと思いますけれども、今回の事業は国の交付金も活用させていただけるといったことでありますので、大変心強く思います。
こうした交付金を活用することで、市内の河川の中でも整備が急がれるものへの対応をしっかりとすべきと考えます。
そこで、次の質問ですが、今回活用するこの
交付金事業の制度の概要、また、令和6年度におけるこの
交付金事業の活用状況について、もう少し伺います。
◎高桑
河川担当部長 今回活用する
交付金事業の制度の概要と、この
交付金事業の活用状況についてお答えいたします。
1点目の今回活用する
交付金事業の制度概要についてですが、一定規模以上の家屋や農地を浸水被害から守るために自治体が行う準用河川の改修事業に対して、国土交通省が事業費の3分の1を支援する制度でございます。
2点目のこの
交付金事業の札幌市での活用状況ですが、この制度が創設された平成21年度以降、これを活用して四つの河川で整備を完了しており、令和6年度については、三里川のほか、厚別西川、北郷川、そして新川西川において活用する予定でございます。
◆竹内孝代 委員 この市内で
交付金事業を活用して、令和6年度から、今お話がありました三里川のほかにも、厚別西川、北郷川、そして新川西川の河川改修を予定しているということであります。
河川改修というのは、市民の安全・安心につながる本当に重要な施策だと思います。事業実施に不可欠な財源の確保をまずしっかりしていただいて、国との協議を続けていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
次に、先ほど取り上げました三里川の改修計画の内容について、もう少し質問をさせていただきます。
先ほどの答弁でも、三里川の改修事業の着手に至った経緯はご説明がありましたけれども、この計画によって、地域の長年の懸念でありました治水整備の実現に至ったということは、地域住民にとっても大変喜ばしいことであり、評価をさせていただきたいと思います。
その上で申し上げますと、今回、改修を行う予定の区間より下流側というのは、護岸の傾斜が大変緩やかで、川幅がかなり広い状況にあります。また、改修区間を見てみますと、平岡公園内を流れている区間というのは
パークゴルフ場と自然豊かな傾斜地に挟まれております。その上流側を見てみますと、今度は住宅地と道路に挟まれている場所ということでもありますので、河川改修を行うということは、当然、川幅を今よりも広げることになりますので、この地区での整備というのはなかなか難しいものになるのではないかというふうに考えます。また、この改修の効果がどの程度得られるのかといった観点でも少し不安を感じる面もあります。
そこで、質問ですが、今回の三里川の改修計画の概要、また、その効果について、もう少し具体的にお示しいただきたく、お伺いいたします。
◎高桑
河川担当部長 三里川の改修計画の概要とその効果についてお答えいたします。
今回改修する区間より下流側の平岡公園内の区間については、治水整備に併せて、親水性に配慮して左岸側の護岸傾斜を緩やかにし、川幅が約11メートルと狭くなっている状況でございますが、今回の改修区間につきましては、公園や道路、住宅地に挟まれるといった特性を踏まえ、護岸の傾斜を急にするなど、極力、川幅が広がらないように計画しております。
具体的には、現在3メートル程度となっている川幅を最大でも6メートル程度にとどめるとともに、川底を1メートル程度、掘り下げていきます。また、流下能力は、現在の毎秒8立方メートル程度から約3倍の毎秒25立方メートルに増やしていきます。
このことによる改修の効果といたしましては、下流の
整備済み区間と同じ3年に一度の大雨に対応できる治水安全度を確保することとしたものでございます。
◆竹内孝代 委員 流下の能力を3倍に増やすということによって、下流部の整備済みの区間と同じような治水の安全度が確保できるといったことであります。改修後の効果を期待したいと思っております。また、川沿いに大きな影響を与えないように、極力、川幅が広がらないような整備を計画したいということであります。
多少なりとも新たな用地の取得も必要になるかと思いますけれども、引き続き、どうか準備をお願いいたします。
この改修事業につきましては、地元住民の安心につながるものですので、皆様から喜ばれるものであることは間違いありませんけれども、整備に当たって、地元の理解としっかりとした協力を得られるように、情報提供または丁寧な説明をしていただく必要があります。
そこで、質問ですが、この改修事業によって、この地域にどの程度の影響があるのか、また、その影響について地元への説明をどのように行っていく予定なのか、伺います。
◎高桑
河川担当部長 改修事業による地域への影響と、地元への説明をどのように行うのかについてお答えをいたします。
改修計画を検討する際は、できるだけ地域への影響が少なくなるよう配慮したところでございますが、平岡公園内の
パークゴルフ場の一部と上流の住宅地の一部の区間では、用地取得が必要となる見込みでございます。
このため、今後、事業の実施に当たり、地元町内会や関係地権者を対象とした説明会を行う予定でございます。
また、
パークゴルフ場の利用への影響については、公園管理者と協議を行いながら、最小限にとどめるよう配慮するとともに、利用者に対して丁寧に周知してまいります。
なお、このような配慮を行いながら、来年度以降、測量や設計を行い、早ければ令和8年からの工事着工を目指してまいりたいと思います。
◆竹内孝代 委員
パークゴルフ場、また、住宅地の一部で用地の取得が必要だということでありますので、早速、説明会も開催される予定という答弁がありました。説明会で皆様のご意見等も出るかと思いますので、ぜひ丁寧なご対応をお願いしたいと思っております。
また、河川の改修によって
パークゴルフ場の一部も若干影響があると思いますが、今、利用者への影響を最小限に配慮する、また、丁寧に周知するという答弁もいただきました。私自身もそうなんですが、この
パークゴルフ場は本当に多くの方々が使われるところでございます。また、近くをお散歩される方も多々いらっしゃるところでもありますので、ぜひ多くの方に周知をできるような方法を検討していただきたいと思っております。
このたびの質疑で取り上げました三里川が流れる里塚地区というのは、近年、浸水被害が何度も発生してきておりました。特に、
平岡公園パークゴルフ場は、毎年のように浸水が発生をしております。
治水の安全度が高まるこうした河川改修というのは、地域住民にとって大変待ち望んでいた整備でありますので、安全第一ではありますけれども、先ほど令和8年工事着工という答弁がありましたが、少しでも早急に改修を進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆太田秀子 委員 私からは、下水道管路に起因する道路陥没について、3点伺います。
インフラの老朽化対策が全国的に大きな課題となっております。
本市では、2015年、札幌市
下水道改築基本方針を策定し、長期的な方針や中期的な改築事業量の見直しに基づいて、下水道の管路施設や処理施設の老朽化対策を進めているところです。
国土交通省が、毎年、前年度に発生した
道路陥没件数を公表しておりますが、政令市を含む市町村では
道路排水施設がとても多いですけれども、次いで下水道となっています。本市でも、
改築基本方針によりますと、取付け管の損壊などに起因する道路陥没は、2002年度から2013年度まで、年間200件から300件も発生したとなっています。
この取付け管とは、宅地にある公共ますと本管を結ぶもので、市民にとって最も身近な管路施設の一つです。道路陥没が発生しますと、たとえ規模が小さくても、車両の破損や歩行者の転倒など、予期せぬ事故を引き起こしかねないということがあります。市民の安全・安心な暮らしを守っていくためには、老朽化した取付け管を早期に発見し、適切に修繕や改築などの対策を実施していくことが重要です。
改築基本方針では、2016年度から2025年度までの10年間で約5万2,000か所の取付け管の調査を実施し、状況に応じて必要な対策を行うと、このように書かれております。
ここで、伺いますが、これまでの取付け管の調査及び老朽化対策の進捗状況について伺います。
◎佐藤
管路担当部長 これまでの取付け管の調査及びその対策の進捗状況についてお答えいたします。
取付け管は、市内に約44万か所あり、そのうち、
コンクリート製のものが約18万か所、
塩化ビニル製のものが約26万か所あります。現在は、劣化によりひび割れなどの異常が生じやすい
コンクリート製の取付け管の調査と対策を優先的に進めているところでございます。
調査については、設置から
標準耐用年数の50年を経過した設置年度の古いものや、異常の発生しやすい地域などを優先して行っており、平成28年度から令和5年11月末時点までに既に50年を経過した約4万か所の調査を実施しました。
この調査により、異常を発見し、対策が必要と判断した約1万2,000か所に対して、修繕や改築などの対策を実施しました。
◆太田秀子 委員 陥没の危険性が高いところを優先して調査し、対策してきたということです。全体としては44万か所あり、
コンクリートのところを先にやったというお話でありました。
それでは、続けて伺いますけれども、近年のこの取付け管に起因する道路陥没の発生件数についてはどのようなものか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 近年の取付け管に起因する道路陥没の発生件数についてお答えします。
道路陥没の発生件数は、令和元年度から令和4年度の期間で平均約130件となっております。これは、
改築基本方針策定時の年間200件から300件と比較すると、大きく減少しています。
◆太田秀子 委員 これまで、約9年間をかけて1万2,000か所ほど直してきたというお話でしたけれども、平均130件の陥没が起こっているというお話でした。
改築基本方針を策定した当時と比べると確かに減少はしておりますけれども、この10年間で、5万2,000か所のうち4万か所を調査し、1万2,000か所の修繕などを実施したということなのですけれども、調査をしたうちの約30%は修繕とか改修が必要だったということになるんですよね。
10年間で調査すると言っている来年、2025年が最終年になるわけですけれども、今、調査しようと言っていた中で残っている数は1万2,000か所ですから、これまでの9年間を5年平均してみても、残る数はやはりとても多いなと思うわけです。相当厳しいのではないかと思っています。
しかも、
コンクリート製の取付け管は、先ほどもお話がありました約18万か所のうちの4万か所の調査が終わったということですから、まだ14万か所は残っているんだということなので、とても膨大だと思うのです。単純に30%修繕が必要だと計算してみた場合、4万2,000か所もこれから直さなければいけないのではないかと思うわけです。
そして、一度調査をしたのだけれども、大丈夫だったというところも、順次、老朽化は進むのだろうと思いますし、今後、このように老朽化した取付け管が急激に増加していくということが考えられます。
そこで、伺いますが、今後の取付け管の老朽化対策についてはどのように取り組んでいくのか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 今後の取付け管の老朽化対策についてお答えします。
これまで、
コンクリート製取付け管の対策を進めてきましたが、残る14万か所の
コンクリート製取付け管についても、
改築基本方針に基づき、設置から50年前後経過したものについて、計画的に調査し、必要に応じた修繕や改築を行うことで、道路陥没の発生を抑え、将来にわたって安全・安心な市民生活を守っていけるように努めてまいります。
◆太田秀子 委員 道路の陥没が随分話題になってきたあたりから、国のほうも、道路の陥没が起こってから修繕するということでは、やはり、市民にとってもとても危険だし、そして、直すのにもお金がかかるので、ちゃんと調査しましょうというふうになっているはずなのですね。
ですから、言うまでもなく、下水道施設の中でも道路陥没の主な要因となっています取付け管について適切な維持管理を行っていくということはとても大事であって、それはもう当たり前ですけれども、このまま調査、改修が老朽化に追いつかないということがあるのではないかと思うところです。
現在、
下水道河川局では
改築基本方針の改定を進めていると伺っています。新たな
改築基本方針では、やはり、年間130か所の陥没が起こっているということでありますので、起こらないうちの対策ということでスピード感を持って取り組んでいただきたい、着実に調査、改修を実施していけるような方針としていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
◆波田大専 委員 私からは、
下水道事業における官民連携について質問させていただきます。
令和5年6月に
国土交通省水管理・
国土保全局下水道部が公表した「
ウォーターPPPについて」という資料によりますと、水道、工業用水道、下水道について、PPP/
PFI推進アクションプランの期間の10年間において、
公共施設等運営事業、いわゆる
コンセッションに段階的に移行するための
官民連携方式として、管理・
更新一体マネジメント方式を新設し、
コンセッションと併せて、
ウォーターPPPとして導入拡大を図ることとされております。
コンセッションは、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する官民連携の方式であり、
下水道事業においては、既に一部の自治体で導入され、他の自治体でも導入が検討されているものと認識しております。
ここで注目いたしましたのが、先ほどの資料によりますと、
社会資本整備総合交付金交付要綱、
交付対象事業の要件として、
地方公共団体が汚水管の改築を実施する場合、令和9年度以降については、
コンセッション及び同方式に準ずる効果が期待できる
官民連携方式、これらを総称して
ウォーターPPPと言っているわけでございますが、この導入を決定済みである場合のみを交付金の対象とするとされております。
つまり、令和9年度以降については、
ウォーターPPPの導入を決定していない
地方公共団体に対しては、汚水管の改築に係る交付金が交付されなくなってしまうものと認識しており、この要件変更によって、今後、札幌市にどのような影響があるのか、心配をするところです。
そこで、質問ですが、現段階において、札幌市では、国土交通省が提示している
ウォーターPPPを導入しているのかどうか、お伺いいたします。
また、令和9年度以降も
ウォーターPPPの導入を決定しない場合、交付金が交付されなくなってしまうなど、管路の更新事業にどのような影響が生じるのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 まず、
ウォーターPPPの導入状況についてお答えいたします。
下水道施設の維持管理につきましては、一部の
水再生プラザと
汚泥処理施設の運転管理を民間事業者へ委託するとともに、管路施設の点検調査や清掃、修繕といった維持管理も民間へ委託しております。
一方、改築などの更新事業につきましては、市が工事として別途発注しておりまして、施設の維持管理と更新事業の一体的な
マネジメントを要件とする
ウォーターPPPは導入してございません。
次に、令和9年度以降の管路の更新事業への影響についてでございますが、
ウォーターPPPの導入が交付要件となっている事業、これは下水道の汚水管の改築でございます。札幌市では、約4割の区域が
分流式下水道の処理区となってございますが、その区域は、郊外部など、比較的新しく整備を進めてきた地域でございまして、管路の不具合も少ないため、当面は交付金の対象となる改築事業の予定はございません。
このため、
ウォーターPPP導入の要件変更が令和9年度以降の管路の更新事業に直ちに影響することはないと考えてございます。
◆波田大専 委員 全体の約4割を占める分流式処理区の汚水管はまだ比較的新しいことから、直ちに影響が生じるわけではないということを理解いたしました。
一方で、今はまだ比較的新しい分流式処理区の汚水管についても、数十年先を見通した場合には、必ず改築や更新が必要になってくるわけでございます。そのときに今のままでは交付金の対象から除外されてしまうわけでありますから、何か今からでも検討できることは検討を進めるべきと考えるところでございます。
下水道分野における
ウォーターPPPについては、平成30年4月に静岡県浜松市で国内初となる
下水道コンセッション事業を開始したほか、令和2年4月には高知県須崎市でも2例目となる事業が開始されました。また、令和4年4月から宮城県で、水道、工業用水との一体的な事業が開始されております。
札幌市
下水道ビジョン2030では、職員の年齢構成の変化に伴う組織の技術力の低下や、今後の新たな処理施設の土木・建築構造物の改築によって、より多くの人手が必要となるため、現行の運営体制では増加する事業を確実に実施することが困難になるおそれがあるとの懸念が示されており、このようなことから、組織の技術力の維持に努めるとともに、
下水道事業に携わる団体や企業との連携をさらに強めることで、運営体制を強化する必要があると明記されております。
また、札幌市では、令和5年3月から、
社会資本総合整備計画に掲載された札幌市
下水道事業に関して、PPP/PFI方式による民間からの事業提案を広く募集しております。
そこで、質問ですが、札幌市で提案を募集している
下水道事業に関するPPP/PFI提案について、現時点での応募状況についてお伺いいたします。
また、他都市での取組状況も踏まえて、札幌市では、今後、
ウォーターPPPの
下水道事業への導入をどのように検討していくのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 まず、PPP/PFIの提案への応募状況についてでございますが、
下水道事業に民間企業の資金や創意工夫を一層活用していくため、市のホームページで今後の事業計画を公表しまして、企業提案の受付を行っておりますが、残念ながら、現時点で応募はございません。
また、他都市の取組状況も踏まえた導入の検討についてでございますが、現在、
ウォーターPPPを導入している政令指定都市は、委員からご紹介のありました浜松市のみとなってございまして、そこでは、組織体制の効率化のほか、民間企業の創意工夫によるICT機器の導入などにより、一定の業務改善効果が報告されているところでございます。
一方、その他の都市につきましては、導入について検討中あるいは未定となってございまして、導入に向けた課題といたしまして、地元企業の受注機会が減少するといった不安ですとか、長期にわたる契約への懸念、企業への依存による自治体職員の技術力の低下、こういった課題が挙げられてございます。
札幌市としましては、こういった他都市の状況も踏まえながら、民間企業と連携した運営体制の強化のため、導入の可否も含め、検討を行っていきたいと考えてございます。
◆波田大専 委員 市民生活に直結する
下水道事業の運営権を民間事業者に委ねるわけでありますから、様々な課題については、もちろん慎重な検討が必要かとは思います。
一方で、今のままでは、将来的に交付金が受けられなくなってしまうことは明らかなわけであります。また、現行の運営体制では、技術力の低下や人手の不足により、増加する事業を確実に実施することが困難になることも札幌市として認識されているわけです。
先行する浜松市では一定の導入効果が得られているとのことでございますが、平成23年に導入の検討を始めてから、平成30年の事業開始まで、実に7年かかっております。
ぜひ、札幌市においても、長期的な視点の中で、早い段階から前向きな検討を行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
◆和田勝也 委員 まず、能登半島地震において、
下水道河川局の職員、延べ400名以上が下水道被害調査等の災害復興に従事していただきましたことに、会派を代表して敬意を払い、感謝を申し上げます。
私からは、札幌市
下水道改築基本方針の改定について、3点質問させていただきます。
札幌市の
下水道事業について、管路の整備延長は約8,300キロメートルに達し、普及率も99.8%となり、いよいよ施設整備の時代から改築の時代へと大きく転換していきます。
そのような状況を踏まえて、
下水道河川局では、今後の改築事業を効率的に執行していくため、平成26年度に施設の改築に関する基本的な考えを示した札幌市
下水道改築基本方針を策定し、今年度、その方針の改定作業を進めていると承知をしております。
近年、施設の老朽化の進行に伴い、下水道の建設事業全体に占める改築事業の割合が大きく増加をしているため、このような方針を策定し、計画的に施設の改築を進めていくことは非常に重要であると考えてございます。
そのため、昨年の決算特別委員会において、私から新たな方針で想定される改築事業量について質問したところ、近年実施した管路の調査データや、設備の点検調査データなど、新たに蓄積した維持管理データを分析して精査するとの答弁がありました。
そこで、質問でございますが、新たに蓄積した維持管理データを用いて精査した結果、今後の管路と設備の改築事業量はどのような見込みか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 今後の改築事業量の見込みについてお答えいたします。
まず、管路につきましては、調査データの分析の結果、整備後初期段階の劣化の進行が僅かに早くなるといった傾向が見られましたが、改築が必要となるまで劣化する期間につきましてはほぼ変化がございませんで、将来的に必要となる改築事業量については、現方針と同じく、年間約60キロメートルと見込んでございます。
一方、機械・電気設備につきましては、設備ごとに、一般的な耐用年数よりも長い、札幌市独自の目標耐用年数を定めて、既に本格的に改築事業を進めてございますが、新たな維持管理データを加えて精査した結果につきましても、現状と同程度の改築事業量が続くものと見込んでございます。
◆和田勝也 委員 管路の劣化の進行状況に若干の見直しがあったものの、将来的な改築事業量については、現方針から大きな変更はないとのことでした。
このうち、管路については、将来的には毎年約60キロメートルの改築が必要となるとのことですが、札幌市の下水道管路の総延長は約8,300キロメートルですので、単純に改築延長の60キロメートルで割り返しますと、改築サイクルは130年を超えてしまいます。日々の点検、調査、修繕で可能な限り延命化を図り、改築事業量を抑制する姿勢は評価するところでございますが、一般的に
コンクリート構造物の耐用年数は50年とされておりますので、この年間60キロメートルの改築で管路施設を確実に維持できるのか、不安を感じるところでございます。
そこで、質問ですが、年間60キロメートルと設定したその考えについてお聞かせ願います。
◎清水
事業推進部長 改築延長を約60キロメートルと設定した考え方についてお答えいたします。
改築延長の設定に際しましては、近年の改築延長でございます年間30キロメートルをベースといたしまして、その2倍となる60キロメートル、それと3倍となる90キロメートル、この三つのケースを想定し、それぞれの延長で改築を実施した場合に、経年的に改築が必要となる管路の割合がどのように変化していくかをシミュレーションしております。
その結果、年間30キロメートルの改築を実施するケースでは、事業費は現状レベルに維持できる一方で、経年的に改築が必要となる管路の割合が増え続け、管路の破損に伴う道路陥没等の発生リスクの増加が懸念されました。また、年間90キロメートルのケースでは、改築が必要となる管路の発生を完全に抑えることができますが、毎年、多額の事業費が必要となるため、財源が不足する懸念がございます。
方針で定めた年間60キロメートルの改築のケースにつきましては、シミュレーションの結果、経年的に改築が必要となる管路の増加を一定程度抑えることができまして、かつ、事業費も抑制できるということで、費用対効果を勘案して60キロメートルと定めたところでございます。
◆和田勝也 委員 管路の改築延長については、費用対効果を踏まえて設定したとの答弁でした。事業費の抑制も必要ですが、何よりも大切なことは、安全で安心な市民生活を確保することです。今後も引き続き、管路の調査データの分析を行い、適宜、事業量の精査を行って、適切に改築を進めていってください。
次に、
水再生プラザやポンプ場などの土木・建築構造物の改築についてお伺いいたします。
札幌市では、令和3年度に
水再生プラザなどの土木・建築構造物の改築に関する基本的な考えを示した札幌市下水道処理施設再構築方針を策定しており、今回、その再構築方針は
改築基本方針に統合することになってございます。
再構築方針によると、
水再生プラザなどの土木・建築構造物の最長の供用年数を130年と定めるとともに、事業期間を2041年から2120年の80年間としております。再構築事業が始まる2041年といいますと、札幌市で一番古い創成川
水再生プラザでも供用開始から80年程度しか経過をしておりません。
そこで、質問ですが、
水再生プラザなどの土木・建築構造物の再構築の事業期間について、どのような考え方に基づいて設定されたのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 水再生プラザなどの土木・建築構造物の事業期間の考え方についてお答えいたします。
全ての施設を延命化により130年間使用しますと、昭和40年代から50年代に集中的に整備した施設を同じく集中的に改築しなければなりません。
水再生プラザの改築は、基本的に現在地で行いますので、複数の施設を同時に改築した場合、下水を処理する能力が大幅に不足することになります。
また、改築事業が一定の期間に集中しますと、その期間の担い手が不足し、事業の円滑な実施が難しくなるほか、財源が不足する懸念がございます。
こういったことから、一般的な耐用年数である50年を超えた施設について、適切な維持管理や修繕によりまして延命化を図った後、順次、改築を進めることで、年間の事業量を平準化する考えとしております。
◆和田勝也 委員 施設の老朽化が進む中、改築に要する期間と事業量を見据えて、維持管理や修繕による延命化で事業の平準化に取り組んでいることは承知をいたしました。
下水道は、日々の暮らしに欠かすことのできない重要な社会基盤であり、刻々と社会情勢が変化する中においても、しっかりとその機能を持続させていかなければなりません。将来を見据えた長期的な視点で施設の改築に関する方針を定めるのは非常に大切なことですが、方針で定めた事業を確実に実行していくためには、事業を担う方々の技術もしっかりと引き継いでいくことが極めて重要となります。また、円滑に
下水道事業を運営するためには、行政と民間の強力な連携が欠かせません。
今後も、
下水道事業に携わる職員や民間技術者がそれぞれの職場における研修会等で技術力の維持・向上を図ることはもちろんですが、下水道の専門機関が主催する講習会や研修へ官民ともに参加するなど、双方の技術力の維持・向上とその継承に努めることを求めて、私からの質問を終わります。
◆森基誉則 委員 私からは、今後の下水道の機能を維持するための担い手の確保についてという部分で幾つか質問をさせていただきます。
先ほどから話題に出ているこの
下水道改築基本方針の改定というお話ですが、
下水道河川局では、この
改築基本方針のように、計画的に施設を延命化し、トータルのライフサイクルコストを削減しているほか、強い危機感を持ち、局一丸となって、管路の点検と修繕の一体発注などでコスト縮減に取り組んでいるということでした。
こうした努力もあって、札幌市の下水道使用料は、道内で最も安く、政令市の中でも2番目に安いものとなっており、これは評価に値するものであると同時に、札幌市民にもっと広く知ってほしいと思うポイントでもあります。
この使用料の安さは、局の皆さんの内部努力だけではなく、背景には、実際に施設の改築や修繕を行う企業、施工業者の皆様の力によるところも大きいと感じています。
このたび改定する
改築基本方針では、管路の改築延長を段階的に増加させ、将来的には年間60キロメートルに及ぶ計画を予定されています。これは、2024年度予算に計上している約25キロメートルの2倍以上に相当する延長であり、これまで以上に改築を担う施工業者の方とともに事業を効率的に進めることが重要になってきます。
そこでまず、最初の質問です。
このように増加する管路の改築をどのように進めていく考えか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 増加する管路の改築事業の進め方についてお答えします。
管路の改築方法は、大きく分けて二つの工法があり、一つは、道路を掘削して老朽化した管路を入れ替える開削工法と、もう一つは、既存の管路の内面に新たに樹脂製の管を形成し、リニューアルしていく更生工法があります。
この更生工法は、開削工法と比較し、約3割のコスト縮減が可能な工法であり、道路掘削を伴わないことから、安全性が高いことや、工期短縮が可能で、交通や市民生活への影響が比較的少なく、冬期間の施工も可能であるなど、多くのメリットのある工法となります。
加えて、今年度初めて、これまで更生工法では施工が困難であった流量の多い管路についても、下水を止めることなく、流しながら施工できる新たな技術を用いた更生工法を実施したところでございます。
こうしたことから、今後においても、管路の劣化や現場状況を判断し、優位性が高い更生工法を主体とし、事業を進めるとともに、新技術や冬期間の施工を積極的に活用し、改築事業の増加に対応してまいりたいと考えております。
◆森基誉則 委員 管路の改築事業の増加に際しては、市民生活への影響がごくごく小さく、経済性及び施工性にも優位な更生工法という工法を活用して事業を進めていくという答弁、ありがとうございます。
ただ、その一方で、施工業者の方からは、昨今の建設産業全体が抱える人材不足に加え、今年4月からの時間外労働の上限規制などの影響についても心配する声が聞こえてきています。2024年問題ですね。
今後、管路の改築延長を増加させるには、施工業者の力が不可欠であり、企業が抱える課題やニーズを把握することも肝要と考えます。
そこで、次の質問です。
下水道河川局では、業界のそうした悩みなどをしっかりと聞いているのでしょうか。もし聞いているのであれば、実際に更生工法を行う施工業者から、課題やニーズなど、具体的にどのような声が上がってきているのか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 更生工法を行う施工業者からの課題やニーズについてお答えします。
本市においては、更生工法の施工業者は比較的限定されている状況であり、
下水道河川局としても、管路の改築を担う施工業者の課題などを把握することが重要と認識しているところでございます。
こうしたことから、業界団体との意見交換や、昨年3月には施工業者へのアンケート及び個別のヒアリングを実施し、改築延長の増加への課題やニーズについて聞き取りを行ったところです。
その内容といたしましては、経験と専門知識を持つ技術者の確保と特殊な機械が必要であることから、すぐに体制強化を図るのは難しいこと、この体制強化には経営判断を行う上で必要となる将来の改築事業量の見通しを示してほしいということ、さらには、年間を通した施工ができるように工事期間を平準化してほしいなど、様々なご意見やご要望が寄せられているところでございます。
◆森基誉則 委員 そうですね。やはり、年間を通した安定した事業というのは、企業としても求めるところだと思います。施工業者からは、今後の事業量の見通しなど様々な意見もあったということでしたけれども、事業を円滑に行う上でも、このような生の声をしっかりと聞いて意見交換を図る場というものは、とても大切だと私も思います。
今後は、ラピダスなど、道内の経済活動が活発になる中、担い手の確保が年々難しくなってきているという話も耳にしています。施工業者が抱える担い手不足については、依然、不安が残るところであり、本市として何らかの支援をするべきではないかと考えています。
そこで、最後の質問になりますが、増加する管路の改築事業を着実に進めるためには、施工業者の存在がなくてはならないと考えますが、担い手の確保に向け、どのような取組を行っていくのか、伺います。
◎佐藤
管路担当部長 担い手の確保に向けた取組についてお答えします。
担い手確保のためには、受注しやすい環境整備や施工業者側での体制強化も重要と考えていることから、まずは、債務負担行為を十分に活用しながら、施工時期の平準化をさらに進めてまいります。
また、フレックス方式による余裕期間を活用した適正な工期設定などに努めてまいります。
さらに、関連業界や団体の研修会などを通じて、中長期的な改築の見通しを発信し、人材育成や設備投資を促してまいりたいと考えております。
今後とも、事業者の意見や要望を聞く機会を活用し、官民連携して
下水道改築基本方針に基づく改築事業を着実に進めてまいる所存でございます。
◆森基誉則 委員 そうですね。やはり、ここでも出てきますよね。事業の平準化、フレックス化というのは、やはり大切だなと思います。先ほどの答弁の中でもありましたが、アンケートとか、そういったもので交流を図るのもいいんですけれども、今のお話にあった研修会などでも、教える、教えられるだけの立場ではなくて、もっともっと交流を深めていっていただきたいというふうに思います。
管路の老朽化がますます進行する中、市民生活に不可欠な下水道サービスを提供していただくためにも、管路の改築事業は重要であるということは、多くの市民がうなずくところだと思います。
今後、就労者不足等の建設産業全体での課題は残されていますが、持続的に改築事業を進めていただくため、適時、施工業者等の声を聞きまして、協力しながら事業を進めていただくことを要望して、質問を終わります。
◆小口智久 委員 私からは、下水汚泥の肥料利用についてと流域貯留施設整備の促進と中沼西地区の水路の整備について質問をさせていただきます。
まず、札幌市の下水汚泥の肥料利用について伺います。
我が党は、かねてより、食料安全保障に向けた肥料の国産化と安定供給を図るため、肥料として下水汚泥の利用拡大を訴えております。
現在、我が国では、リンや窒素などの肥料原料の多くを海外に依存しているため、国際紛争や原料産出国の輸出規制、さらに、資源枯渇の影響を強く受け、肥料原料の価格が高騰しております。こうした状況は、農業の生産性の低下による食品価格の高騰につながり、国民生活を脅かす事態になりかねないと非常に危機感を募らせております。
このような中、政府は、下水道分野と農業分野が連携し、安全性や品質を確保しつつ、リンや窒素などを含んだ下水汚泥を肥料として利用拡大に取り組むことを掲げました。
具体的には、令和4年12月に決定された食料安全保障強化政策大綱において、2030年までに下水汚泥などの国内資源の肥料利用割合を40%まで拡大するという目標を示しております。しかしながら、現状では、全国で発生する下水汚泥量に対する肥料利用割合は約1割にとどまり、令和5年3月には、国土交通省から下水道管理者に対して、下水汚泥の処理は、肥料としての利用を最優先とし、最大限の利用を行うようにと通知がなされております。
このような事態を打開するには、特に汚泥量の発生が多い大都市が率先して肥料利用に取り組むことが大事だと考えます。
過去を振り返りますと、循環型社会の構築に向け、札幌市では、時代を先取りした取組として、下水汚泥からコンポストを製造する厚別コンポスト工場を建設いたしました。製造や流通、販売などの事業は、札幌下水道公社がホクレンなどと連携して行っておりましたが、残念ながら、平成25年5月に事業は廃止されております。
コンポスト事業の廃止は、当時の社会情勢を踏まえた結果であると理解しますが、それから10年の時を経て、社会情勢が大きく変わり、今般、食料安全保障に向けた肥料の国産化と安定供給は、国民の安心・安全の確保に欠かせない課題へと変わっております。
そのような状況の下、札幌市は、改めて下水汚泥の肥料利用に向けた検討を進めるべきだと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市が、今後、肥料利用を進めるためにも、まずはコンポスト事業を廃止した際の課題について伺います。
◎清水
事業推進部長 コンポスト事業を廃止した際の課題についてお答えいたします。
本市では、昭和59年度からコンポスト事業を始めましたが、その後、時間の経過とともにコンポスト工場の老朽化が進んだことから、施設の存続を含めた施設の更新に係る検討を経て、平成25年5月に事業を廃止することといたしました。
その際に整理した課題の中で、事業の廃止に至った特に大きな課題は三つございます。
まず、一つ目は、コンポストの主な利用先でございましたゴルフ場建設の減少、これに伴いまして需要が落ち、生産量がピーク時の半分程度にまで落ち込んだことで、製造コストが増加し、採算性が悪化したこと、また、二つ目は、工場周辺の宅地化が進み、臭気対策のためにさらなる設備投資が必要となったこと、三つ目は、老朽化した施設の更新に多額の費用が見込まれたこと、以上が事業を廃止した際の主な課題でございます。
◆小口智久 委員 コンポスト事業を廃止した理由というのは、需要、また、臭気対策、施設の更新のコストなど、複合的なものであったということでございます。
これらの課題は、一朝一夕には解決せず、決して容易ではないと思いますが、他都市の事例を参考に、関係団体と連携し、課題の解決に向け、地道な努力を重ねていくことが今後の下水汚泥の肥料利用につながっていくものと考えます。
他都市の例ですが、広島市や新潟市などでは、自ら肥料製造施設を設置するのではなく、民間の肥料製造業者へ下水汚泥の一部を提供する形での肥料利用を行っているとのことでございます。札幌市も、コンポスト事業のノウハウがある札幌下水道公社と連携しながら、他自治体や農業団体、民間などに下水汚泥の一部を提供するという方法も、一つの選択肢と考えます。
北海道には広大な農地が広がり、さらに、札幌市で発生する下水汚泥の量は北海道全体の約4割を占めており、社会情勢が変わり、下水汚泥の肥料利用が強く求められていることに鑑みると、札幌市が下水汚泥の肥料利用を進めていくことは大変重要だと思われます。
そこで、次の質問ですが、様々な課題を抱えていることは理解しますが、昨今の社会情勢の変化を踏まえ、過去のコンポスト事業で得た知識や経験を生かしながら、下水汚泥の肥料利用を進めるべきと考えますが、今後の下水汚泥の肥料利用に関する認識について伺います。
◎清水
事業推進部長 今後の下水汚泥の肥料利用に関する認識についてお答えいたします。
今般の社会情勢を踏まえますと、肥料の国産化と安定供給を目指して下水汚泥の肥料利用を進めることは大変重要なことと認識してございます。
そのため、現在、肥料利用に向け、最も重要となる汚泥成分の安全性の確認としまして、ヒ素や水銀などの重金属の含有濃度が季節によってどのように変化するか、そういった分析を行っているところでございます。
また、この分析作業と並行しまして、他都市の先進事例や民間企業の技術開発の動向も調査してございます。
さらには、コンポスト事業の知識やノウハウを持つ札幌下水道公社と連携し、他の自治体や農業団体、民間企業などへ札幌市で発生する汚泥の一部を提供することなどの検討を進めているところでございます。
◆小口智久 委員 下水汚泥の肥料利用に向け、安全性の確認や他都市の先進事例、技術開発動向の調査を行っていくとの前向きな答弁でございました。よろしくお願いいたします。
私は、過去にコンポストの高速発酵の研究や脱臭装置の開発、さらに、農業分野では、肥料分析、土壌分析や、施肥、肥料を入れる設計の経験があり、また、農家さんとの土づくりについての業務も行ったことがあるため、生産者のニーズにお応えできる肥料がつくれるか否かは、ハードルが相当高いと承知はしております。しかしながら、昨年、札幌市で行われた下水道展では、下水汚泥の堆肥化について多くの企業が出展しておられました。例えば、汚泥からコンポスト製造、肥料・土壌分析、施肥設計、販売と一連のプロセス全般を一手に引き受け、全国に実績のある企業、また、製造方法も多彩で、高温発酵することで肥料が完熟し、それにより臭いが最小限になるなど、技術の進展は目覚ましいものがありました。
札幌市においては、資源のない我が国が、持続可能な循環社会を目指し、食料の安価な供給、安定供給のための食料システムの確立に向け、下水汚泥資源を肥料として活用できるよう、これまでのシステムにとらわれず、化学工学的なプロセスの見直しにも挑戦していただき、市民の生活の一助となっていただけるよう要望して、次の質問に移ります。
次は、河川に関連して、流域貯留施設整備の推進と中沼西地区の水路の整備についての2点質問いたします。
まずは、流域貯留施設の整備の促進について伺いますが、近年、治水対策は、河川改修のみに頼るのではなく、流域全体として、国や自治体、企業等、あらゆる関係者が連携して水害に備える流域治水の考えの下に進められております。
我が会派では、これまで、流域治水の推進を強く訴えており、私も令和3年の
予算特別委員会において、流域治水プロジェクトに関する取組状況について質問をいたしました。
これに関し、札幌市は、ハード対策として、河川改修のほか、学校や公園を活用した流域貯留施設の整備などを進めているとの答弁でございました。
私は、これまで、河川整備など、従来より行っている取組に加え、河川への負荷を軽減するために市街地内の雨水の貯留機能を高める、いわゆるスポンジ都市、スポンジシティーの重要性を主張しておりますが、学校のグラウンドや公園の一部を掘り下げることにより雨水を一時的にためる流域貯留施設の整備は、市内の公共施設の土地を有効活用した取組であり、早期に装備できるメリットがあると考えます。
そこで、質問ですが、気候変動による大雨の増加が懸念され、全国的に治水対策の加速化が求められていることを踏まえますと、今後、流域貯留施設の整備を促進すべきと考えておりますが、これについてどのように考えているのか、伺います。
試行中とのことではございますが、令和4年度から2年間、調査を行っておられますので、そこで得られた結果が一定数あるのではないかと思われます。
そこで、次の質問ですが、この2年間の試行により得られた結果はどのようなものであるか、また、新技術の活用により、水道局がどのように漏水調査の効率性向上につなげていくお考えなのか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 新技術を活用した4種類の漏水調査のこれまでの試行結果、及び、今後の効率性向上に向けての考え方についてお答えいたします。
まず、画像解析による漏水探知につきましては、令和4年度分の結果が取りまとまっており、配水管約700キロメートルを対象に行い、280か所の漏水可能性の高いエリアが示され、その後、音聴作業により確認したところ、56か所の漏水を見つけることができました。
また、データによる漏水リスク評価につきましては、今年度試行を開始しておりまして、現在、AIによる解析中でございます。
次に、振動及び音圧の二つのセンサーにつきましては、腐食性土壌などのエリアに布設された漏水リスクの高い管路に約230台設置いたしまして監視を行いましたところ、これまでに38回の異常を検知し、その後、音聴作業により6か所の漏水を発見することができました。
次に、漏水調査の効率性向上に向けての考え方についてですが、これまでの札幌市の漏水調査は、流量計による配水量の監視や、音聴作業による現場調査を組み合わせて行ってきておりますが、これらの新技術は、AI解析などにより調査範囲を絞り込み、より効率的に音聴作業を行うことができる可能性があり、先ほどご紹介した合計62か所の漏水発見のように、地表に水が出てくる前に早期発見につながる有効な手段となり得るものと考えております。
これら新技術を適切に活用いたしまして、より効率的な漏水調査等による維持管理体制のさらなる充実を目指してまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員 効率的な調査をこれからもっとやっていただきたいと思います。
テレビでも調査時間が10分の1に減るというような紹介もありました。前回の委員会でもありましたけれども、札幌市の調査が5年間かかるのが半年でできるというようなお話もちょっと聞いていたところでございます。今後もしっかりと検証していただきたいと思います。
我が国では、水道の蛇口をひねるときれいな水が出ることが当たり前と思われておりますが、これを維持するために、水道局が、常日頃から漏水調査など、地道な努力を日々続けていただいていることを私たちは知らなければならないと思います。
配水管などの水道インフラに事故があると、インフラの更新が遅れているとの報道がなされておりますが、しかしながら、水道事業は、施設の老朽化だけでなく、配管工をはじめとする建設業界の人手不足や給水収益の減少など、人口減少に伴う多くの課題に直面しております。新技術の活用は、より効果的・効率的な漏水調査につながることが期待できますが、漏水調査以外にも、ICTなどの新技術の活用は、様々な課題を抱える水道事業にとって、将来にわたって安全、安定な給水を継続していく上での重要な鍵になると考えます。
札幌市を代表とする道内の水道事業体には、能登半島地震での応援派遣においても力を発揮していただいたように、先人から引き継いだ確かな技術力をお持ちですが、さらに、新たな技術の導入にも積極的に取り組んでいただき、今後も協力しながら水道事業の信頼性を守り続けていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 以上で、水道事業会計の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月6日水曜日午後1時から、保健福祉局関係のうち、総務部、障がい保健福祉部及び保険医療部国民年金関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後3時5分...