この十分な広さの土地、土地への搬入が可能であること、
搬出箇所から近いことというこの条件は、あくまでも
搬入主体側の都合であります。
土地所有者の了承という条件がありますけれども、今回の
受入れ候補地にこの
土地所有者の方が暮らしているというわけではありません。
今回、陳情されている皆さんは、この地域、この地区で暮らしている人たち、陳情にあるように、小・中学校、病院、そして、
老人ホームがある、また、
受入れ候補地が
地域住民が住んでいる住宅街の上に位置していること、土砂災害の警戒区域に隣接していること、これらを含めて、説明を受けてもやはり納得できない、将来にわたって不安だという住民がいる中で、候補地にするなど許されないというふうに思います。
繰り返される陳情を真摯に受け止め、検討をし直すべきだというふうに思うのですが、
住民感情を踏まえた
候補地選定に関する本市の見解を伺います。
◎中村
新幹線推進室長 住民感情を踏まえた
候補地選定に関する見解についてお答えいたします。
北海道新幹線は、札幌まで延伸されてこそ
最大限効果を発揮するものでございまして、札幌、ひいては北海道の発展になくてはならないものと認識しております。
一方で、
北海道新幹線の
建設工事から発生する土は、どこかで受け入れなければならないものでございます。
北海道新幹線の対策土の
受入れ候補地につきましては、副委員長がおっしゃったように、
土地所有者の了承があること、十分な広さの土地であること、現況の土地への搬入が可能であること、
搬出箇所から近いことといった一定の条件の下で鉄道・
運輸機構が選定しております。
また、
受入れ候補地を
受入れ地とするに当たりましては、
住民説明会や
事前調査、
対策方法の検討を進めて判断していくものと認識しております。
いずれの場所を
受入れ地に決定する場合でありましても、
北海道新幹線の
事業主体でございます鉄道・
運輸機構において
事前調査を行った上で、しっかりと検討を重ね、
周辺環境に影響を及ぼさない対策を行うことが重要でございます。
札幌市といたしましては、鉄道・
運輸機構と連携し、市民の皆様のご理解が深まるよう、丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えております。
○
田中啓介 副委員長 今、丁寧な説明という言葉が出ました。また、最初のところで、新幹線が札幌に延伸されて効果が北海道の発展にという、そもそもそこの部分に関しても、これまで委員会で我が党委員がその効果の根拠というものはないということも指摘してまいりました。
そして、何よりも、丁寧に説明してということだったのですけれども、この地域でこれまで合計6回にわたって説明会を行っています。そういう説明会に参加できない人のためにということで
意見募集の
アンケートをしました。先ほど、
趣旨説明者の方の資料の中にもありました。回収率は13%だったということですけれども、町内が独自に行った
調査アンケートでも、95%から98%の方が反対している、受入れは反対だということがあり、先ほどの、国会でも
事前調査に入れていない状態だということです。
2020年の第1回
定例議会で、
秋元市長は、
地域住民をはじめ、市民の皆様のご理解なくしては進めることができないというふうに答えております。
また、2020年3月の
予算特別委員会では、当時の
新幹線推進室長が、同年6月の
調査特別委員会でも、当時の
政策企画部長が、市民の安全・安心が確保されることが大前提でございますと、
地域住民をはじめ、市民の理解なくしてはその先に進めることができないものと答弁しています。
趣旨説明の提出者の出した資料にもあります。安全の面でも安心の面でも確保されているとはとても思えない。まして、
地域住民の理解はない。
これまでの答弁で、
周辺住民の理解が得られない限り、これまでも言っているように、先に進まないということでよいのか、今後の
受入れ地選定の進め方について伺います。
◎中村
新幹線推進室長 今後の
受入れ地選定の進め方についてお答えいたします。
金山地区受入れ候補地における現状につきましては、地域にお住まいの方から
事前調査への
反対意見もございまして、
受入れ地とすることが可能かどうかといった検討を進めるための
事前調査を行うことができない段階であると考えております。
発生土の受入れに当たりましては、
周辺環境に影響を及ぼさないということが極めて重要でございまして、地域にお住まいの皆様をはじめ、市民の皆様のご理解が必要でございます。
そのためには、対策土の性質やその
対策方法につきまして、鉄道・
運輸機構と連携し、ご理解が広がるよう取り組んでいくことが重要であると認識しております。
○
田中啓介 副委員長 今、提出者の方からも資料があります。安全とか安心が本当に確保できるのかという不安があるんです。そういう今までの答弁、対応、こういうもので、さらに札幌市に対しての信頼をなくしていって、不安とか怒りのほうがむしろ大きくなってくるんです。
有害物質を含んだ要対策土の受入れ、これを
周辺住民がまず反対しているんです。これを強引に受け入れさせる、
山口地区でやったことをまた再び行っていくんではないか、こういう不安もまた信頼の失墜にもつながっていきます。
陳情者が言っているように、
受入れ候補地から外すように私からも求めて、質問を終わります。
○
藤田稔人 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
藤田稔人 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、陳情第8号の取扱いについてお諮りいたします。
取扱いは、いかがいたしますか。
(「継続」と呼ぶ者あり)
○
藤田稔人 委員長 それでは、陳情第8号を
継続審査とすることにご異議はございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
藤田稔人 委員長 異議なしと認め、陳情第8号は、
継続審査とすることに決定いたしました。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時53分
再 開 午後1時54分
――――――――――――――
○
藤田稔人 委員長 委員会を再開いたします。
次に、
公立大学法人札幌市立大学中期目標(第四期)(案)についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎小角
まちづくり政策局長 本日は、
公立大学法人札幌市立大学の第四期
中期目標の案についてご報告をさせていただきます。
中期目標は、
札幌市長が定め、
大学法人に指示するものでございますが、本案について、
地方独立行政法人法の規定に基づき、
附属機関である
評価委員会や
大学法人から意見を聞き、
当該意見に配慮しながら作成したものでございます。
詳細につきましては、お手元にお配りしております資料に基づき、
政策企画部長の加茂からご説明をさせていただきます。
どうぞご審議のほどをよろしくお願いいたします。
◎加茂
政策企画部長 公立大学法人札幌市立大学の第四期
中期目標(案)につきまして、お手元のА4判表裏の1枚物の資料に沿ってご説明をさせていただきます。
まず、1 法人・大学の概要でございます。
平成18年4月に開学した
札幌市立大学は、開学当初から
人間重視を根幹とした人材の育成と
地域社会への積極的な貢献を理念として掲げております。
また、大学の目的については、
学術研究の
高度化等に対応した職業人の育成を行うとともに、知と創造の拠点として、札幌市の
まちづくり全体により大きな価値を生み出し、
地域社会に対する積極的な貢献を果たすことと定款で定められております。
続いて、学部等の構成でございますが、4年制の
デザイン学部と
看護学部、1年制の
助産学専攻科、さらに、
デザイン、看護学の博士の前期課程と後期課程がそれぞれございまして、定員は合計800名となっております。
次に、2
中期目標と
中期計画についてご説明いたします。
まず、
中期目標は、設立団体の長が定める法人が6年間で達成すべき
業務運営に関する目標でございます。法人は、この
中期目標に基づき
中期計画を定めて業務を実施することとなります。
次に、3 これまでの成果でございます。
第一期は、
共通教育、
専門教育の双方に熱心に取り組み、広い視野を持つ人材を育成してきたほか、
助産学専攻科や大学院の設置など、
大学基盤の構築に取り組んでまいりました。第二期は、学生が地域に出て学ぶ
地域志向の教育を充実させたほか、まこまる内のキャンパスを拠点として、地域を志向した教育、研究、
地域貢献を進める
COC事業を展開するなど、
地域志向の
大学づくりに取り組んでまいりました。第三期は、
情報通信分野等の
技術革新に対応した
実践能力を備える
専門職業人の育成や、
市政課題の解決に向けた研究力、
シンクタンク機能向上を目的に
AITセンターを開設いたしました。
AITセンターが
札幌市立大学の特色である
デザインと看護の連携を意味するD×N(
ディー・バイ・エヌ)の取組をAI、ITで下支えすることにより、先進的な研究や教育の質のさらなる向上を推進してまいりました。
このほか、道内の医療施設で編成される
看護コンソーシアムを基盤とし研修等を実施することにより、地域で活躍する看護職の育成を行うなど、市民が実感できる成果の追求に取り組んでまいりました。
続いて、裏面をご覧いただきたいと思います。
4
中期目標(第四期)(案)の概要をご説明いたします。
まず、基本的な考え方でございます。
札幌市立大学は、D×N(
ディー・バイ・エヌ)により特色のある教育、研究、
地域貢献に取り組んできたところでございますが、令和4年に
AITセンターを開設し、さらなる質の向上を推進してまいりました。
昨今は、
デジタル化、脱炭素化の
世界的潮流や、
人口減少、
少子高齢化の進行など、多種多様な課題が取り巻いてございますが、
高等教育を担う大学には未来を支える人材の育成が求められております。
こうした背景を踏まえまして、第四期においては、
リベラルアーツ、すなわち、幅広い分野を学ぶことで養われる実社会で活躍するための総合的な知識、教養や、
デジタル分野の素養を備えた
人材育成の強化と
産学官連携の中心として
地域貢献に取り組むことを掲げております。
特に、
デザインと看護にAI、ITを掛け合わせた
DNA連携の推進により、教育、研究、
地域貢献の取組をさらなる高みへと押し上げること、これが第四期
中期目標における柱となる考えとなっております。
次に、目標の各章についてご説明いたします。
第1
目標期間については、令和6年4月1日から令和12年3月31日までの6年間でございます。次の第2以降では、教育、研究、
地域貢献、
大学運営の項目に分けて目標を記載しております。
なお、これ以降、下線を付している部分は、第四期において新たに明記した内容でございます。
まず、第2 教育に関する目標でございます。
DNA連携により、幅広い教養力やAI、ITの活用力などを備えた人材を育成することとしております。
次に、第3 研究に関する目標でございます。
第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンを踏まえた
社会課題解決に資する研究や、
DNA連携による質の高い研究を推進することとしております。
次に、第4
地域貢献に関する目標でございます。
健康寿命の延伸、防災・減災の推進に取り組むとともに、
社会人等を対象とした学び直しの機会の提供などにより地域へ貢献することとしております。
最後に、第5
大学運営に関する目標でございます。
戦略的な広報による大学の
プレゼンス、
存在価値向上と
デジタル化による業務改善及び効率化に取り組むこととしております。
この
中期目標(案)につきましては、今後、
パブリックコメントを経まして、第4回
定例市議会に議案として提出する予定でございます。
○
藤田稔人 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
水上美華 委員 私からは、大きく4点、お伺いをしたいと思います。
初めに、
札幌市立大学のこれまでの取組の成果についてでございます。
札幌市立大学は、2006年4月の開学以降、
人間重視を根幹とした
人材育成と
地域社会への積極的な貢献を理念として掲げ、
デザイン学部と
看護学部の両者を連携させた特徴ある教育、研究、
地域貢献に取り組んできたところでございます。
2022年4月には、
情報通信分野の著しい
技術革新など
社会経済情勢の変化を捉え、
AITセンターを開設し、教育、研究、
地域貢献の取組をさらに磨き上げてきたものと理解をしております。
このたび、2024年度から6年間にわたる第四期
中期目標(案)が示されたところでありますが、この機会に第三期までの成果をしっかりと振り返ることが必要であると考えます。
そこで、質問ですが、
札幌市立大学のこれまでの教育、研究、
地域貢献の取組の成果について、本市としてどのように受け止めているのか、お伺いいたします。
◎加茂
政策企画部長 札幌市立大学のこれまでの取組の成果についてでございますが、
札幌市立大学では、第一期
中期目標期間において
大学基盤の構築を行い、第二期には
地域志向の
大学づくりを進め、そして、第三期には市民が実感できる成果の追求に取り組んできたところでございます。
その結果、
外部有識者で構成されます札幌市
独立行政法人評価委員会において、教育、研究、
地域貢献それぞれの取組について良好な評価をいただいているところでございます。
具体的には、看護、
デザイン両学部の
合同事業による学生の
地域課題への対応力の向上のほか、福祉の充実や
都市インフラの維持に寄与する実践的な研究、健康をテーマとした
市民向け公開講座などの取組が評価をされており、札幌市としても有益な取組と考えているところでございます。
開学以来、各学部において定員は充足しておりまして、就職率も近年は95%を超える高い水準にあることも踏まえまして、引き続き、これまでの成果を生かしながら、
人間重視を根幹とした人材の育成と
地域社会への積極的な貢献という理念の実現に向け、大学とともに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆
水上美華 委員
札幌市立大学のこれまでの取組が一定の成果を上げてきたことは理解をいたしました。
また、各学部の定員のほうも充足されているということと、就職率が高水準を維持していることも理解をいたしました。
特に、
デザイン学部の就職率は、開学当初、第5期生までは76%から87%ぐらいでありましたので、その後、現在に至るまで高水準を維持していることは、これまでの努力の成果であるのではないかと思うところであります。
次に、
札幌市立大学の認知度について伺います。
成果は上げている一方で、今年度に行われた第1回
市民意識調査における
札幌市立大学の認知度に関する設問の結果を見ますと、市民による認知度が50%に満たないという結果であり、この状況は少し物足りなさを感じるところであります。
残念ながら、私自身も道内で生まれ育っているのですけれども、札幌市に移り住むまで、本校のことを知りませんでした。
現在は学生を確保できておりますけれども、今後、
人口減少、そして、少子化の進行により、大学間の競争がますます激化していくことが予想される中においては、本市はもとより、市外の方への大学の認知度をもっと上げていく必要があるのではないかと考えます。
広報について、第四期
中期目標(案)には、国際化、効率的な広報の推進による大学の
プレゼンスの向上が掲げられているところであります。
そこで、質問ですが、本市として、大学の認知度をどのように受け止めているのか、また、第四期
中期目標の期間中にどのような状態にしていきたいと考えているのか、お伺いをいたします。
◎加茂
政策企画部長 札幌市立大学の認知度についてでございますが、地域に根差した
公立大学として、これまで、3期にわたり、
地域社会への積極的な貢献を目指し、様々な取組を進めてきたところでございますが、市民からの認知度が50%に満たない低い水準であるということは大変残念な結果というふうに受け止めております。
地域社会における知的、そして、
文化的拠点として中心的な役割を担っていくためには、市民が価値を実感し、誇れる大学として認知度を向上させる必要があると考えておりまして、第四期
中期目標(案)では、
プレゼンス、すなわち、
存在価値の向上を掲げたところでございます。
認知度の向上に向けては、この
中期目標を踏まえた
中期計画の中で、大学側がその達成指標を設定していくことになりますが、具体的な取組として、例えば、
SNS等を活用した戦略的な
情報発信の推進や、
リカレント教育、
産学官交流を生かした市民、企業との関係性の構築など、認知度を高める方策が様々考えられるところでありますので、札幌市としても後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
◆
水上美華 委員
認知度向上に向けては、本市としてもしっかりと後押しをしていただきたいと思います。
次に、大学の
財源確保についてお伺いいたします。
大学運営には多額の経費がかかるため、どこの大学も
財源確保が大きな課題であると伺っております。
札幌市立大学も、限りある市からの交付金だけで成果を上げ続けていくのは厳しいのではないかと推察いたします。今後は、一層、
外部競争資金や寄附金を積極的に獲得することで質の高い研究を推進し、成果を上げることが重要であり、それが
研究環境の整備や認知度の向上、優秀な教員の確保など、さらなる発展の好循環につながるものと考えます。
そこで、質問ですが、
外部競争資金や寄附金による
財源確保の現状と本市として期待する今後の展望についてお伺いいたします。
◎加茂
政策企画部長 財源の確保についてでございますけれども、
AITセンターの開設によりまして、
民間企業や札幌市との受託・
共同研究の件数を第三期
中期目標期間中にほぼ倍増させてきたところでございます。また、さらなる
外部資金の獲得を目指し、
科学研究費助成事業への積極的な新規申請にも取り組んでいるところでございます。
今後は、
DNA連携、すなわち、
デザインと看護にAI、ITを掛け合わせた取組により、さらなる研究の質の向上を推進するとともに、今年度、新たに配置をいたしましたURAと呼ばれる
研究活動の企画、
マネジメント等を担う
専門人材、これらを生かしまして、札幌市との連携による
行政課題の解消のみならず、
民間企業が抱える課題の解消にも貢献するなど、
研究活動の幅を広げていきたいというふうに考えております。
こうした動きを踏まえまして、第四期
中期目標(案)では、
外部競争資金や
寄附金等の自己収入のさらなる獲得を目指すことを明記したところであり、大学における自立性の高い健全な
財政運営の確保に取り組んでまいります。
◆
水上美華 委員 第三期
中期目標期間中にも民間や札幌市からの受託・
共同研究の件数を倍増させてきたということで、これまでも成果を残されてきているということでございますので、今後の活動に期待をするところであります。
最後に、
札幌市立大学における今後の
人材育成の考え方について伺います。
自動運転や
生成AIの進展など、世界的にAI、ITの技術が急速な進化を遂げ、
社会経済活動の様相は大きな転換期を迎えております。
同時に、これらの素養を備えた人材を育成することの重要性が増しており、本市においても
デジタル人材の需要が高まっているところであります。もちろん、
デザインと看護という
市立大学の学部は
デジタルの
専門人材の輩出に直結する
学部構成にはなってはおりませんが、
AITセンターの開設後、
研究機関としての
機能強化が着実に進んでいる一方、その分野の
人材育成の観点や
教育機関の機能として不十分な点もあるのではないかと感じております。
そこで、質問ですが、
札幌市立大学が行う今後の
人材育成について、本市としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎加茂
政策企画部長 今後の
人材育成の考え方についてでございますが、
技術革新に伴う
社会情勢の急速な変化により社会の求める人材も変化をしていることから、第四期
中期目標(案)では、
リベラルアーツや
デジタル分野における教育の強化を掲げているところでございます。
各分野の専門性、
実践能力に加えまして、幅広い教養や知識、AI、ITを道具として活用できる能力を養うことで、多種多様な課題を解決に導くことができる有為な
人材育成につながるものと期待をしております。
産学官連携や企業、
医療機関等との交流の機会を捉えまして、地域や
産業界等の
人材ニーズを積極的に把握し、適宜、カリキュラムに反映させるなど、
社会経済状況に合わせながら、常に必要とされる人材を輩出し続ける大学でありたいというふうに考えております。
◆わたなべ泰行 委員 私からは、第三期
中期目標期間におけるD×N(
ディー・バイ・エヌ)の成果について、第四期
中期目標(案)における
DNA連携について、2点伺います。
初めに、D×N(
ディー・バイ・エヌ)の成果について伺います。
札幌市立大学においては、
デザインと看護のそれぞれの分野で専門的な
研究活動に取り組むことにとどまらず、D×N(
ディー・バイ・エヌ)と呼ぶ二つの分野の掛け合わせによる教育、研究、
地域貢献に取り組んできたことが大きな特色であると認識をしております。
デザインと看護という異
分野連携により、他の大学では見られない特色ある教育、研究を行い、
人材育成や新たな価値の創造につなげることで、地域に根差した
公立大学として
社会貢献に寄与してきたものと評価をいたします。
そこで、質問ですが、第三期
中期目標期間におけるD×N(
ディー・バイ・エヌ)の取組について、札幌市としてどのような成果があったと認識しているか、伺います。
◎加茂
政策企画部長 D×N(
ディー・バイ・エヌ)の成果についてでございますが、大学の特色を生かしたD×N(
ディー・バイ・エヌ)
連携科目の授業におきましては、
デザイン学部と
看護学部の学生が協働して、南区の10地区を対象に多
世代交流機会の創出や
地域ブランディングなど各地区が抱える
地域課題に応じて、解決の提案からプロジェクトの企画、実践に至るまで幅広く取り組んでおるところでございます。
また、研究分野では、
デザインと看護の教員が連携し、看護学生向けの立体模型学習教材や口腔ケア技術の基礎トレーニング用シミュレーターの開発を行うなど、D×N(
ディー・バイ・エヌ)を生かした取組を進めております。
このような
札幌市立大学ならではの取組により、幅広い
デザイン能力を持った職業人や異分野との連携能力の高い看護分野の職業人を輩出するなど、
地域社会の課題解決や地域医療を担う人材の育成、輩出に相応の成果を上げてきたものというふうに認識をしております。
◆わたなべ泰行 委員 ただいまの答弁で、看護学生向けの立体模型の学習教材、また、口腔ケア技術の基礎トレーニング用シミュレーターの開発を行うなど、具体的な結果を出している、こういった一定の成果を出されているということは理解をいたしました。
次に、
DNA連携について伺います。
第四期
中期目標(案)では、D×N(
ディー・バイ・エヌ)にAI、ITのAを加えた
DNA連携というユニークな造語を掲げており、これからは、看護、
デザインそれぞれの分野にAI、ITを一層生かした取組を推進していくことがうかがえます。
令和4年に設置されました
AITセンターが、
デザイン、看護の両学部を下支えし、言わば
DNA連携のエンジン、推進役として、教育、研究、
地域貢献のさらなる発展に寄与していくものと考えます。
中でも、
人口減少に伴う担い手不足など、様々な社会課題の拡大が危惧される中、こうした課題の解決や持続可能な
まちづくりのためには、
デジタルの力がますます重要となっていき、
札幌市立大学の
DNA連携による
地域貢献の取組には期待を寄せているところでございます。
そこで、質問ですが、
札幌市立大学の
地域貢献の取組において、第四期
中期目標(案)に掲げた
DNA連携がどのような効果をもたらすと期待をしているのか、市の考えを伺います。
◎加茂
政策企画部長 DNA連携を生かした
地域貢献についてでございますが、
札幌市立大学において、
デザイン、看護それぞれの分野にAI、ITを掛け合わせることによって、複雑化する
地域課題を解決する新たな取組が創出されつつあるところでございます。
例えば、市内で最も高齢化が進展するもみじ台地区においてAI、ITを活用した介護・医療サービスの円滑な提供を行う実証や、
民間企業と連携し冬の路面状態を評価する実証など、
DNA連携により課題解決を図る研究が進んでおります。
第四期
中期目標期間においては、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンに掲げた重要概念でありますユニバーサル、ウェルネス、スマートの各分野における課題解決への貢献や、
民間企業との協働による市民の生活の向上に資する取組について、
札幌市立大学を起点に一層の展開を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆わたなべ泰行 委員 ただいまの答弁で、もみじ台地区においてもAIとITを活用した介護・医療サービスの円滑な提供を行う実証、また、冬の路面状態を評価する実証など、こういった
デジタルの力を活用して本市の課題解決に貢献していることがよく分かりました。
最後に、要望ですけれども、これからも、
市立大学の卒業生が時代に合った力をしっかりとつけて、社会の第一線で活躍していただき、かつ、
社会貢献をしていく、こういった人材の育成に引き続き尽力をしていただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆丸岡守幸 委員 第四期
中期目標(案)における看護師
人材育成の考え方について伺います。
札幌市立大学は、前身の札幌市立高等看護学院時代まで遡りますと、半世紀以上にわたり札幌市における看護師養成の前線を担い、これまで数多くの人材を育成、輩出してきた歴史のある学校でございます。
札幌市立大学の学部として新たなスタートを切ってからは、
デザイン学部と連携したD×N(
ディー・バイ・エヌ)による特色のある教育により、医療の高度化に対応する専門性に加え、幅広い教養や豊かな人間性を有する職業人を育成してきました。
卒業生の就職率を伺いますと、100%に近い数値で推移しており、市立札幌病院をはじめ、6割以上が市内の医療機関に就職している実績があることから、札幌市における看護師養成の重要な拠点として地域医療に貢献しているものと認識しております。
このような状況の中、第四期
中期目標(案)では、看護師
人材育成について、
少子高齢化対策や虐待防止、感染症対応など、それらの課題と向き合える看護師職を育成することが明記されたところでございます。
こうした課題に付随する疾病構造の変化や、療養の場の多様化などを踏まえ、保健師、助産師、看護師それぞれの
実践能力を高める教育が重要であります。
そこで、質問でありますが、第四期
中期目標(案)における看護師
人材育成について、札幌市としてどのような思いを込めているのかを伺います。
◎加茂
政策企画部長 看護人材の育成の考え方についてでございますが、現在の第三期
中期目標期間におきましては、医療の高度化に対応する知識、技術の専門性に加えまして、問題解決能力を有し、幅広い職種と連携できる総合力を併せ持つ職業人の育成を掲げて取り組んできたところでございます。
一方、これまでの間、札幌市では
人口減少への転換や高齢化率の一層の上昇、重大な児童虐待事案の発生、感染症の流行など、様々な課題が顕在化してきたところであり、保健師、助産師、看護師それぞれが向き合う対象の多様性、そして複雑化に的確に対応する能力が求められているというふうに認識をしております。
こうした背景を踏まえまして、第四期
中期目標においては、札幌市として求める人材像を明確にすることで、
札幌市立大学における看護人材の育成強化を期待するものでございます。
◆丸岡守幸 委員
少子高齢化対策や虐待防止、感染症対応など、市が直面する重大な課題があることから、これらへの
実践能力を有する
人材育成の目標を明確に打ち出し、共通認識を持って進めていくことは、双方にとって有益であると考えます。
私としましても、答弁にあったとおり、看護人材の育成強化が重要であると考えますし、喫緊の課題に向き合うためには、悠長に構える時間はなく、育成強化への対応を急がなければならないと考えております。
そこで、質問でございますが、第四期
中期目標(案)に基づく看護師
人材育成強化に関して、
札幌市立大学との間で既に具体的な検討が進められていることがあるかどうか、そちらを伺います。
◎加茂
政策企画部長 看護人材の育成強化の具体的な検討についてでございますが、看護業界を取り巻く状況の変化や教育実態を踏まえ、将来を担う保健師、助産師、看護師を養成するための教育が見直されておりまして、
実践能力を養うということに重点が置かれ始めております。
こうした状況を踏まえまして、
札幌市立大学では、今年度の入学者から、4年間で看護師と同時に保健師資格の取得を目指す保健師コースを廃止いたしまして、看護師養成課程のカリキュラムの充実化を図ったところでございます。
これに伴い、4年制の看護師養成課程を修了した者を対象とする1年制の保健師専攻科について、令和8年度からの設置に向け、大学との間で具体的な検討を進めているところでございます。
今後は、札幌市や北海道の健康課題を踏まえた臨床能力向上の教育を導入するなど、
実践能力を備えた看護職の育成、輩出に取り組んでいく予定であります。
◆丸岡守幸 委員 私は医薬品業界に34年間勤務しておりましたが、多くの医療従事者様と接してまいりました。ある意味、ドクターや薬剤師よりも患者様の支えになり、患者様の心のよりどころになる存在が看護師ではないかと考えております。
臨床
実践能力を備えた患者様志向の強い看護師の育成、輩出に向けて、
札幌市立大学へ大いなる期待を込めて、私の質問を終了させていただきます。
○
田中啓介 副委員長 私からは、いただいた資料の
中期目標(第三期/第四期対照表)の中から何点か質問をさせていただきます。
中期目標の基本的な考え方の第2 教育に関する目標についてですが、第三期では、
人間重視の考え方を基本にというような文言が第四期ではなくなっております。基本的な考え方、
札幌市立大学の教育研究理念として、
人間重視を根幹とした人材の育成というものは引き続き残っておりますけれども、この間、今のやり取りの中でも、
デジタル社会が進展していく中において、そちらはもちろん取り組んでいく、これからもっとそこへ進んでいくということはもちろん必要だというふうには思うのですけれども、
人間重視の考え方、これをやはり基本にしていくということは、今後も教育に関する目標として、これは大事なことではないかというふうに思っております。その第三期の目標に引き続き、
人間重視の考え方を基本にということを引き継いでいくことが重要ではないかということが1点目です。
もう一つは、第5 教育・研究・
地域貢献の取組を推進する
大学運営に関する目標の2
大学運営の改善・効率化の(3)に、第三期では教員の資質向上というものがありますけれども、こちらも第四期ではなくなってきております。
先ほど、質疑の中でも看護分野の話がありました。まさに、看護は、知識だけではなくて、現場で培った経験などを持ったその先生の質、これはすごく重要になってくるというふうに思いますし、看護そのものというのはまさに人間が相手ということにもなります。
その
教育機関である大学として、やはり、学生に教える立場の教員の資質の向上、これは引き続き、やはり第四期においても目標として掲げておくことが必要ではないかという2点について、まず伺いたいと思います。
◎加茂
政策企画部長 第三期の
中期目標にございました
人間重視、それから、教員の資質向上の部分についてでございますが、委員がご指摘の
人間重視の考え方につきましては、冒頭にもご説明申し上げましたとおり、
札幌市立大学が開学当初から掲げる恒久的な理念に含まれるものでありますことから、
中期目標の記載内容にかかわらず、こちらについては当然に踏襲されるものであるというふうに考えております。
また、教員の資質向上に関しましては、それ自体が目標というよりは、大学の
プレゼンス向上などの目標を達成するために必要な要素の一つでありますことから、第四期
中期目標(案)では、記載内容を精査いたしまして、教員の資質向上を前提とした様々な目標を掲げているところでございます。
いずれにいたしましても、第四期は第三期の実績を礎に発展させるものでありまして、連綿と続く重要な取組が軽んじられることのないよう、今後、
中期目標に基づく
中期計画を策定していく過程においても、大学側としっかり認識を共有してまいりたいと考えております。
○
田中啓介 副委員長 今の答弁でも、第三期をしっかりと第四期にも引き継いでいくということでありました。ただ、
人間重視ということを恒久的な理念として掲げているのだということは今の答弁でもありましたが、それでも、第三期では、やはり、教育の関する目標としては、この
人間重視の考え方を基本にあえて入れているといういう部分で、こちらは本当に大事な根幹となっていくということを決して軽んじないようにしていただきたいということと、やはり、看護分野においては特にですけれども、やはり人間を相手にしていくということであります。その学生を教育する側の先生の資質、こちらもやはり重要だということを申し上げておきたいと思います。
それから、もう1点は、第3の研究に関する目標なのですけれども、こちらは、知と創造の拠点として、
人間重視の視点を通じ、社会や暮らしをよりよくする新たな価値の創造を探求すると第三期では書かれております。それが第四期になっていくと、同じく知と創造の拠点として、
まちづくりや経済発展に資する研究を推進するとあります。
また、第3の2の部分で、
研究機関としての地位の向上、第三期では科学研究費補助金等の競争的研究資金の獲得に積極的に取り組む、そういう
研究機関としての地位を向上させると。第四期においても、途中からですけれども、受託・
共同研究等の
外部資金獲得につなげていくとともに、
研究機関としての地位の向上を図ると。先ほどのやり取りの中で、確かに資金を獲得してということはもちろん必要なことだというふうに思います。ただ、一方で、こういう目標を掲げてしまうと、利益を生み出すこと、あるいは、すぐに効果、結果が出る、そういう研究が重視されてしまって、基礎的な、または、すぐにはなかなか役に立つかどうか分からない、そういう研究を軽視してしまうのではないかなという懸念を感じました。
実際に、「基礎研究による知の蓄積と展開〜我が国の研究力向上を目指して〜」と題した文部科学省が発行している科学技術白書がありますけれども、その中で、基礎研究については、過去にノーベル賞を受賞した研究者からも、しばしばその重要性が指摘されていると。ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、この研究というのは基礎研究ですけれども、何かすぐに役立つものではないが、人類の知の地平線を拡大するようなものだと、基礎研究は今すぐ私たちの生活に役立つ性格のものではない、やがて人々の生活に役立つという側面と、人類全体の共通の知的財産を構築する側面があると言っています。
また、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典さんは、国の研究開発の方向性が実用化を想定した出口戦略重視となっていることをとても危惧していると指摘をしており、技術のためだけではなく、知的好奇心で研究が進められる大事な芽を大学に残してほしいとも訴えております。
そこで、すぐに利益や効果につながらなくても、基礎的な研究など、しっかりとそういうものにも光が当たる、認められるような教育
研究機関としての役割が
公立大学として今後も引き続きあるべきだというふうに思うのですけれども、その点についていかがか、伺います。
◎加茂
政策企画部長 いわゆる基礎研究と呼ばれるような、即座に経済的な価値を生み出すことを意図していない探究心等に基づく研究は、例えば、エネルギー効率に優れたLEDを生み出した研究のように、人々の暮らしに全く新しい価値をもたらし得る、社会発展の基盤となる重要な研究であるというふうに認識をしております。
一方で、大学において自立性の高い健全な
財政運営を確保する上では、
外部資金の獲得ということも重要な要素でありまして、基礎研究等との良好なバランスを図っていくのが肝要であるというというふうに考えております。
このため、第四期の
中期目標(案)では、
DNA連携による先進的で質の高い研究の推進というものを大前提に掲げた上で
外部資金獲得につなげていくというふうにしたところでありまして、まさにこれらのバランスを図りながら
研究機関としての地位向上につなげていきたいというふうに考えております。
○
藤田稔人 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
藤田稔人 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後2時36分...