札幌市議会 2023-06-19
令和 5年第 2回定例会−06月19日-02号
日程第2 議案第1号 令和5年度札幌市
一般会計補正予算(第2号)
議案第2号 令和5年度札幌市
土地区画整理会計補正予算(第1号)
議案第3号 令和5年度札幌市
公債会計補正予算(第1号)
議案第4号 公の施設の指定管理者の指定の件(東山児童会館)
議案第5号 札幌市税条例等の一部を改正する条例案
議案第6号 札幌市
証明等手数料条例の一部を改正する条例案
議案第7号 札幌市
健康づくりセンター条例の一部を改正する条例案
議案第8号 札幌市児童会館条例の一部を改正する条例案
議案第9号 札幌市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正
する条例案
議案第10号 札幌市火災予防条例の一部を改正する条例案
議案第15号 損害賠償及び和解に関する件
議案第16号 町の区域を変更する件
議案第17号 市道の認定、変更及び廃止の件
―
――――――――――――――――――
〇出席議員(68人)
議 長 飯 島 弘 之
副 議 長 しのだ 江里子
議 員 和 田 勝 也
議 員 山 田 一 郎
議 員 山 田 洋 聡
議 員 定 森 光
議 員 篠 原 すみれ
議 員 森 基誉則
議 員
おんむら健太郎
議 員 水 上 美 華
議 員 波 田 大 専
議 員 荒 井 勇 雄
議 員 脇 元 繁 之
議 員 丸 岡 守 幸
議 員 坂元 みちたか
議 員 米 倉 みな子
議 員 小須田 大 拓
議 員 藤 田 稔 人
議 員 三 神 英 彦
議 員 村 山 拓 司
議 員 村 松 叶 啓
議 員 あおい ひろみ
議 員 たけのうち有美
議 員 うるしはら直子
議 員 熊 谷 誠 一
議 員 森 山 由美子
議 員 佐 藤 綾
議 員 長 屋 いずみ
議 員 吉 岡 弘 子
議 員 成 田 祐 樹
議 員 松 井 隆 文
議 員 中 川 賢 一
議 員 川田 ただひさ
議 員 伴 良 隆
議 員 かんの 太 一
議 員 松 原 淳 二
議 員 竹 内 孝 代
議 員 わたなべ 泰行
議 員 前 川 隆 史
議 員 小 口 智 久
議 員 好 井 七 海
議 員 田 中 啓 介
議 員 池 田 由 美
議 員 太 田 秀 子
議 員 小 竹 ともこ
議 員 北 村 光一郎
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 よこやま 峰子
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 山 口 かずさ
議 員 細 川 正 人
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 三 上 洋 右
議 員 ふじわら 広昭
議 員 小 野 正 美
議 員 福 士 勝
―
――――――――――――――――――
〇欠席議員(0人)
―
――――――――――――――――――
〇説明員
市 長 秋 元 克 広
副 市 長 町 田 隆 敏
副 市 長 石 川 敏 也
副 市 長 天 野 周 治
交通事業管理者
交 通 局 長 中 田 雅 幸
水道事業管理者
水 道 局 長 佐々木 康 之
病院事業管理者
病 院 局 長 西 川 秀 司
危機管理監
危機管理局長 櫻 井 英 文
総 務 局 長 山 根 直 樹
デジタル戦略推進局長 浅 村 晋 彦
まちづくり政策局長 小 角 武 嗣
財 政 局 長 福 西 竜 也
市民文化局長 前 田 真 子
スポーツ局長 梅 田 岳
保健福祉局長 粟 崎 寿 也
子ども未来局長 山 本 健 晴
経済観光局長 一 橋 基
環 境 局 長 菅 原 祐 雄
建 設 局 長 荻 田 葉 一
下水道河川局長 小 泉 正 樹
都 市 局 長 中 村 範 仁
会 計 室 長 野 島 聡
消 防 局 長 村 井 広 樹
教育委員会教育長 檜 田 英 樹
教育委員会委員 阿 部 夕 子
選挙管理委員会委員長 畑 瀬 幸 二
選挙管理委員会委員 佐々木 肇
選挙管理委員会委員 宮 村 素 子
選挙管理委員会委員 猪 熊 輝 夫
人事委員会委員長 常 本 照 樹
人事委員会事務局長 槙 智 洋
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 佐 藤 伸 二
―
――――――――――――――――――
〇
事務局出席職員
事 務 局 長 鈴 木 和 弥
事 務 局 次 長 酒 井 欣 洋
総 務 課 長 森 譲
政策調査課長 安 澤 哲
議 事 課 長 岩 岡 吾 一
議 事 係 長 木 村 公 彦
委員会担当係長 村 上 雅 俊
委員会担当係長 中 村 久 弥
書 記 伊 藤 友 介
書 記 上 田 真 士
書 記 酒 井 彰 悠
―
――――――――――――――――――
開 議 午後1時
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) ただいまから、本日の会議を開きます。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) 出席議員数は、67人です。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) 本日の
会議録署名議員として小須田大拓議員、
村上ゆうこ議員を指名します。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鈴木和弥) 報告いたします。
村山拓司議員は、所用のため、本日の会議を遅参する旨、届出がございました。
本日の議事日程、議案審査結果報告書、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第11号から第14号までの4件を一括議題とします。
委員長報告を求めます。
財政市民委員長 かんの太一議員。
(かんの太一議員登壇)
◆かんの太一議員
財政市民委員会に付託されました工事請負契約の締結に関する議案第11号から第14号までの4件について、その審査結果をご報告いたします。
質疑・討論はなく、採決を行いましたところ、いずれも全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(飯島弘之) ただいまの委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 質疑がなければ、討論の通告がありませんので、採決に入ります。
議案4件を可決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、議案4件は、可決されました。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) 次に、日程第2、議案第1号から第10号まで、第15号から第17号までの13件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
中川賢一議員。
(
中川賢一議員登壇・拍手)
◆中川賢一議員 私は、ただいまから、
自由民主党議員会を代表し、今定例会に上程されております諸議案並びに市政の諸課題につきまして、順次、元気に質問させていただきます。
最初に、市長の政治姿勢についてお伺いいたします。
まずは、選挙結果の受け止めと、今後の市政運営の考え方についてです。
4月の選挙におきまして、秋元市長は、市民からの負託を受けられてご当選されました。我々議会も、一つ一つの政策や施策について、しっかりと議論を重ね、互いに緊張感を保ちながら、よりよい札幌のまちを築いていきたいと考えております。
さて、このたびの選挙に目を向けますと、単純に比較すべきものではありませんけれども、秋元市長は、約46万票を獲得されましたものの、前回選挙より得票数で約18万票減、得票率も71%から56%へと落ち込みました。今回の選挙期間を通じて、我々議員にも、市民の皆様から、市政に対する期待や要望が数多く寄せられ、時に厳しい意見も頂戴いたしましたが、そういった中で感じたことは、札幌市の政策や秋元市長の思いや取組といったものが必ずしも市民に伝わっていないのではないかということであります。
今後の市政運営においては、人口減少局面を迎えながらも、経済成長を目指し、老朽化したインフラを再整備し、脱炭素社会や共生社会の実現に向けた将来への投資を進めるなど、今後ますます難しい対応が求められます。
国内外から人、物、情報を引きつける稼げるまちを目指し、若い世代が地元で就職、結婚し、安心して子どもを産み育てることのできる希望を持てるまちにしていかなくてはなりません。こういった取組を加速していくためには、これまでの常識にとらわれることなく、新たな取組にチャレンジする姿勢を持つことや、今の時代に合った取組を進めることが重要であり、起爆剤となる仕掛けや、子ども・子育て分野など、将来に向けた投資を重点的に進めていくことが必要であります。
一方で、持続可能なまちであるため、将来世代に過度な負担を残すことのないよう、真に必要な行政サービスについて、市民、企業、関係団体等の声を聞き、理解を得ながら取組を進めていかなくてはなりません。
そのためには、市長がリーダーシップを発揮し、札幌の将来像や、それを実現していくビジョンを強いメッセージを込めて市民に発信することにより、誰もが将来に希望を持つことのできるまちを共に築いていくことが求められます。
そこで、質問ですが、秋元市長は、このたびの選挙結果をどのように受け止めておられるのか、お伺いいたします。
また、その結果を踏まえた上で、今後の市政運営をどのように進めていくお考えか、併せてお伺いいたします。
次に、
都心アクセス道路について、2点お伺いいたします。
1点目は、
都心アクセス道路の進捗状況と今後の予定についてです。
創成川通において整備が予定されている
都心アクセス道路は、北海道新幹線の札幌開業の整備効果を全道に波及させるとともに、物流、交通の安定性が向上することで、企業・経済活動を下支えし、また、周辺市町村から札幌の高次医療施設への患者の搬送を迅速に行うことを可能にするなど、様々な役割が期待されており、市長の公約でも整備等を着実に進めるとの内容が掲げられております。
この道路事業は、我が会派でも大いに期待を寄せており、これまで、度々、議会で取り上げてきておりますが、令和3年度に国の直轄事業として新規事業化され、今般、市長の公約でも整備等を着実に進めるとの内容が掲げられておりますことは心強く受け取っております。
そこで、最初に、
都心アクセス道路の進捗状況と今後の予定について伺います。
2点目は、創成川通と豊水通の交差点における交通課題の対策についてです。
都心アクセス道路との接続が予定されている既設の創成トンネルに関連して、
都心アクセス道路の整備により、創成川通や周辺道路の交通混雑が改善することが大いに期待される一方で、終点となる
創成トンネル南口付近は、現状、道路づけが非常に悪く、創成トンネルから中島公園方面へ向かう際に通過する創成川通と豊水通の交差点は、中島公園方面のレーンの長さが短いため、現在も信号待ちの車両がレーン内に収まり切らない状況も起きております。
加えて、現在、都心部では様々な再開発が行われており、例えば、創成トンネルの先にある中島公園周辺では、
インターコンチネンタル札幌のホテル建設が計画され、また、新たなMICE施設の計画もある中、交通量が今以上に増えることが想定されますことから、この地域の交通課題が深刻化しないか、懸念をしております。
そのような問題意識から、私も、令和3年
決算特別委員会において、
都心アクセス道路の整備に合わせて
創成トンネル出口以南の道路改善について、市として自発的に構想をして、必要があれば国にも考え方を訴えていくべきであるというふうに提言をしたところであります。
そこで、改めて質問いたしますが、
都心アクセス道路の開業、中島公園付近の再開発など、将来の交通量の変化を踏まえて、創成川通と豊水通の交差点における交通課題の対策を行っていくべきだと考えますがいかがか、お伺いいたします。
次に、企業誘致について、2点お伺いします。
1点目は、企業誘致の進め方についてです。
我が国では、少子高齢化により人口減少が急速に進行していることに加え、若年層を中心とする地方からの人口流出によって地域経済が縮小するなど、様々な社会的、経済的な課題が生じております。
札幌市においても、1人当たりの市民所得が政令指定都市の中で低位であることや、若年層の道外への転出超過、生産年齢人口の減少による経済規模の縮小といった課題が深刻であり、市民所得を増加させ、さらなる経済成長を遂げていくために、地域の稼ぐ力を高めていかなくてはなりません。
そのためには、地域の強みを生かした産業の振興と企業の競争力の強化を図ること、また、イノベーションを生み出す
スタートアップの創出を図ることはもとより、魅力ある雇用の場を創出し、新たな付加価値を生み出す企業の誘致にも力を入れていくことが必要と考えます。
札幌市では、かねてより、住みよい環境や低い災害リスクといった強みを生かし、
コールセンターや本社機能、あるいは、IT、コンテンツ、バイオ分野といった企業の誘致に取り組んできており、近年、都心部の
オフィスビル建て替えの動きが活発化する中、2014年にはアクサ生命が事業継続のための
バックアップ拠点として札幌本社を設立したほか、先ほども触れましたが、
中島公園エリアにおいて、高い環境性能を備えた高機能オフィスや外資系のラグジュアリーホテルブランド、インターコンチネンタルホテルズ&リゾーツで構成される複合施設が開発予定であるなど、企業誘致が都市開発にまで波及する好循環も生まれてきております。
札幌市では、これを絶好のチャンスと捉え、「札幌が、大きく、新しく、変わる。」を合い言葉に大札新というスローガンを掲げ、官民一体となって企業誘致に取り組み、市長も、都心部の再開発と連動した戦略的な企業誘致活動を公約に掲げておられます。
そこで、質問ですが、市長は、今後4年間で企業誘致をどのように進めていくのか、お伺いいたします。
2点目は、
ラピダス社進出に係る札幌市の関わりについてです。
次世代半導体の国産化を目指して、ラピダス社が千歳市において工場建設を表明し、加えて、世界的な
半導体研究機関であるベルギーのアイメック社も千歳市周辺で研究拠点の開設を検討していることなどが大きなニュースとなっております。
先般、千歳市内で開催されましたラピダス社による
プロジェクト説明会には、予定を大幅に超える1,400人の市民や企業関係者が参加されるなど、注目度の高さがうかがえるものであり、私も、報道などで計画の内容を知るにつれまして、これは底知れぬ可能性にあふれたプロジェクトだなというふうに大いに期待をしているところであります。
説明会の中では、ラピダス社の小池社長から、千歳を中心として、苫小牧から札幌、石狩までの周辺一帯を、デジタルや
再生可能エネルギーを軸に、半導体や
データセンターなどの先端企業が集積する
北海道バレー構想に発展させる考えも表明されたとのことであります。
そこで、質問ですが、
ラピダス社進出の効果は、工場が立地する千歳市にとどまらず、北海道全体に波及するものであり、札幌市としても、この効果をしっかりと取り込んでいく必要があると思いますが、今後どのように関わっていくお考えか、お伺いいたします。
次に、丘珠空港の将来像について、2点お伺いします。
1点目は、丘珠空港の機能強化についてです。
今後、人口減少を迎える中で、交流人口の維持・拡大を図り、札幌、北海道の活力向上を目指していく上で、丘珠空港の機能強化は不可欠であり、我が会派が従来から申し上げているとおり、これを早期に実現し、得られる効果を最大化していくことが肝要であります。
札幌市は、去る3月22日、国や地元の関係機関で構成する
丘珠空港機能強化検討会を設置し、想定される課題の洗い出しや方向性の整理などに取り組んでおりますが、これまでの検討会では、今後の増便への対応として、管制や除雪を担い、訓練で空港を使用している陸上自衛隊との継続的な協議が必要であることや、限られた敷地の中で
ターミナルビルをどのように拡張していくか、必要規模を踏まえて再配置の検討が必要であること、さらには、駐車場運用の在り方や、バスアクセスの充実といった2次交通についても課題が示されたと伺っており、地下鉄の延伸等も検討していくべきではないかと考えます。
このほかにも、運用時間の拡大や除雪体制の課題等、様々な議論がなされており、現在中間取りまとめを進めていると聞いておりますが、これら検討の成果を踏まえ、昨年11月に市が策定した丘珠空港の将来像を早期に実現することが肝要です。
そこで、質問ですが、このたびの
丘珠空港機能強化検討会において、多岐にわたる課題や、これに対する方向性などが議論をされておりますが、市長は、これをどう受け止め、今後どう取り組んでいくお考えか、お伺いいたします。
2点目は、丘珠空港における
ビジネスジェットの利用拡大についてです。
丘珠空港の将来像の中では、丘珠空港が担う役割の一つとして、
ビジネスジェット機の利用に対応する空港というものが挙げられております。
ビジネスジェットは、企業や個人が仕事や観光に使うもので、定期便が就航していない空港間を運航時間に縛られずに移動できることがメリットであり、欧米諸国のほか、最近では中国やインドなどでも利用が増えております。国土交通省の報告によりますと、国内においても、
ビジネスジェットの発着回数は年々増加しており、国内線、国際線を合わせた2022年の発着回数は約1万7,700回と過去10年間で最大となっております。
新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んでいたインバウンドも回復基調にあり、5月には、観光目的で日本を訪れる
外国籍ビジネスジェット機の空港利用手続を緩和する取組が始められるなど、その需要は今後ますます増えてくるものと考えられます。
このような中、国内の他の空港では
ビジネスジェット専用施設の整備が進められていると聞いており、例えば、道内では、新千歳空港において、税関、出入国管理及び検疫を行う
ビジネスジェット専用カウンターの設置や、
ビジネスジェット専用動線の整備などが進められているほか、富山空港や鹿児島空港など道外の地方空港においても同様の整備が行われているようであります。一方、丘珠空港には、これらの空港のような
ビジネスジェット専用施設がなく、発着回数が年間数十回程度にとどまっておりますことから、早期に改善していく必要があると考えます。
ビジネスジェットの利用拡大は、インバウンドを含めた観光需要の取り込みにとどまらず、企業経営層などの来訪を促し、札幌市でのビジネスや投資の拡大が期待されるほか、将来的には、機体の整備や部品の製造といった関連産業の集積など、本市にとって極めて幅広い波及効果が期待されますことから、丘珠空港においても、専用施設の整備など
ビジネスジェットの利用拡大に向けた取組を積極的に進めていくべきと考えます。
そこで、質問ですが、
ビジネスジェットの利用拡大に関する市長のお考えと、丘珠空港における今後の取組の方向性についてお伺いします。
次に、物価高騰対策についてです。
物価高騰はいまだ収束の見通しが立たず、5月に総務省が公表した
消費者物価指数の総合指数は前年同月比から3.5%の上昇、前月比でも0.6%の上昇となっております。特に、食料品の指数は前年同月比で8.4%の増と上昇率が大きく、市民生活に多大な影響を及ぼしております。
我が会派としては、物価高騰の負担感が大きい低所得世帯や、エネルギー・
食料品価格高騰の影響が大きい医療機関、介護施設等に対する支援のほか、価格高騰の影響を受ける中小企業、
市内交通事業者、観光事業者等に対する事業継続、収益確保に向けた支援策を講じるよう5月10日に緊急要望を提出し、市民生活や事業者に対し、必要な支援を迅速に実施していくことを求めたところであります。
これに対しまして、さきの5月の臨時議会で、
住民税非課税世帯や低所得の子育て世帯に対する給付金のほか、高齢・障がい者施設、医療機関等への食材費支援のための予算などを議決し、本定例会でも
タクシー事業者への事業継続の支援等について補正予算案が提案されているところです。
しかし、電力大手7社が6月から電気料金の値上げを実施するなど、引き続き物価高騰の市民生活への影響は予断を許さない状況であり、さきの定例会でも指摘したとおり、長引く物価高騰に対しては、短期的には各種の給付や補助による市民や市内事業者に対する喫緊の支援が必要でありますが、あわせて、今後、賃金が適正に伸びていく構造をつくり、物価の高騰を吸収していけるよう取り組むことが重要であります。そのためには、本市としても、関係各所と連携をしながら、企業が賃上げしやすい環境をつくり、取組を促す支援が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、物価高騰に打ちかつために、中長期的な視点に立ち、市としてどのような取組を講じていくのか、市長のお考えを伺います。
次に、都心部における新たな公共交通システムの検討についてです。
札幌駅周辺では、北海道新幹線札幌開業に向けた工事や様々な民間開発が進められており、また、新幹線札幌駅には創成川通を越えた場所に東改札口を整備するほか、札幌総合卸センターの更新に合わせた開発など、いわゆる創成イーストにおいても様々な開発が進んでおり、今後の人口増加や訪れる方の増加が期待をされます。
札幌市では、都心及び都心周辺部の交通施策として、これまで路面電車のさらなる延伸を検討してきましたが、令和4年第3回定例会総務委員会において、レールを敷くこと等に関する様々な課題がありますことから、総合的に判断して延伸は困難であるとの結論が報告されました。
その報告の中では、路面電車の延伸検討に代わり、都心や創成イーストのまちづくりを支える公共交通の必要性や脱炭素社会への取組の必要性、さらには、運転手不足等の公共交通が抱える課題への対応が必要との考えから、レールや架線のない新たな公共交通システムの検討を進めることが示されたところであります。
我が会派では、かねてより、富山市の事例で、北陸新幹線を降りてすぐに路面電車、LRT、ライト・レール・トランジットというものに乗れる事例を基に、北海道新幹線の2次交通の重要性を主張してきており、こういった点をしっかりと受け止めての検討だというふうに認識をしております。
このたび、札幌市では、去る5月11日に、国等の行政機関から構成される新たな公共交通システムの検討会を立ち上げ、会議が開催されたところであり、前富山市長の森 雅志氏に当該検討会の座長にご就任いただき、新たな公共交通システムの検討を具体的に進めることとなりました。今後、森氏の持論であります、交通政策とは都市政策であるとの考えの下で公共交通の在り方が議論されるものと期待をするところであり、都心部の利便性向上のため、レールや架線のない新たな公共交通システムを検討するという市長のご公約を積極的に前へ進め、北海道新幹線の開業効果を最大化していくべきと考えます。
そこで、質問ですが、市長は、新たな公共交通システムの検討について、どのような考えで、どのように取組を行われるのか、伺います。
次に、宿泊税の導入についてです。
観光庁では、今年3月に、新たな観光立国推進基本計画を閣議決定し、観光はコロナ禍を経ても成長戦略の柱であるとし、持続可能な観光地域づくりやインバウンドの回復などに戦略的に取り組むこととしております。
札幌市においても、現在、次期札幌市観光まちづくりプランを策定中であり、5月には、学識経験者や観光関連団体などから成る有識者会議がプランの素案の答申と推進体制の強化についての提言がされ、現在、素案を基にプラン策定の検討が進められております。
今後、観光施策を推進していくためには、当然、必要な財源の確保が重要であり、その意味では、我が会派がかねてから導入を提言している観光目的税が改めて注目されます。
札幌市では、コロナ禍前の令和元年12月に、観光振興に係る新たな財源に関する調査検討会議の検討結果として、新たな財源確保の手法として宿泊税が妥当であると答申され、令和2年第1回定例会の代表質問において、我が会派からの質疑に対し、導入に向けた検討を進める旨の答弁が市長からありました。
その後に発生したパンデミックの影響が長期化したことにより、本市は宿泊税導入に係る検討を一時中断したところでありますが、感染の落ち着きによりコロナ禍前のにぎわいを取り戻しつつある今、宿泊税導入の検討を早期に再開し、観光振興を目的とした財源を確保することが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、市長は、宿泊税の導入を検討する旨の公約を掲げておりますが、どのように検討を進めていこうとされているのか、お伺いいたします。
次に、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の成果についてです。
4月15日、16日、本市において、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されたのは記憶に新しいところです。当会合は、G7サミットにおける議論の基礎となる重要な会合であり、経済成長とエネルギー安全保障を確保しながら、ネットゼロ、循環経済、ネーチャーポジティブ経済の統合的な実現に向けたグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXの重要性が共有され、それをこの札幌市から発信できたことは大変意義深いことと考えます。
今回の会合には、G7の各国のほか、招待国3か国、国際機関7か国が参加し、閣僚を含めた政府関係者は、国外からは約240名、日本の政府機関やプレス等を含めますと約800名が来札されたと聞いております。地元実行委員会では、各国大臣や政府関係者を対象に、会合の前日の14日には地元の歓迎レセプションを、16日の会合終了後と翌日17日にはエクスカーションと呼ばれる体験旅行を実施し、これらの地元からのおもてなしも含めて、札幌での会合が大変好評であったと聞き及んでおります。
また、企業や市民向けに会合前の2月に道内2か所で機運醸成シンポジウムを行ったところ、合計約650名の参加があったほか、会合期間中には、札幌ドームを会場に環境広場ほっかいどう2023を開催し、5万6,000人を超える入場があったとの報告をいただいております。
そこで、質問ですが、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されたことでどのような成果があったのか、また、今後、札幌市のまちづくりにどのように生かしていくのか、お伺いいたします。
次に、環境問題の解消と経済成長の両立に向けた取組についてです。
国においては、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律、いわゆるGX推進法が5月12日に成立し、世界規模でGXの実現に向けた投資競争が加速する中で、我が国でも、2050年のカーボンニュートラル等の国際公約と産業競争力強化や経済成長等を同時に実現していくためには、今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資が必要とされております。
産業革命以来の化石燃料中心の産業構造、社会構造をクリーンエネルギー中心の構造に変革していくためには、風力、太陽光、地熱などの
再生可能エネルギーが重要でありますが、我が国全体の
再生可能エネルギーの潜在量のうち、約3割から4割が北海道にあると試算されており、国内最大の
再生可能エネルギーのポテンシャルを有する地域として、我が国のGXを加速していく上で非常に重要なエリアがここ北海道であります。
さきに述べたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合においても、北海道全体が環境と経済社会が好循環する持続可能で活力ある地域となるべく、鈴木知事と秋元市長とが脱炭素社会の未来を拓く北海道・札幌宣言を行い、国内の地域脱炭素のフロントランナーとして、官民一体による省エネの促進はもとより、
再生可能エネルギーの最大限の導入と地産地消のほか、国内外の企業の参画も得て、世界的な環境金融の資金も呼び込みながらGX関連事業を推進していくことなどが表明されたところであり、昨日6月18日の日本経済新聞では、政府とメガバンクなどが札幌市を国際環境金融都市に位置づけ、最大40兆円程度の資金調達を目指すという報道もありました。
そこで、質問ですが、こうした脱炭素を契機とした世界的なエネルギー投資拡大の機会や、同会合に合わせた北海道・札幌宣言を踏まえ、札幌市として環境問題解消と経済成長の両立に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
次に、犯罪被害者支援条例についてです。
平成17年4月に施行された犯罪被害者等基本法では、地域の状況に応じた犯罪被害者等のための施策を策定し、実施する責務が地方公共団体にあることが明記され、札幌市においても、札幌市犯罪のない安全で安心なまちづくり等に関する条例の中で、犯罪被害者に対する支援が盛り込まれたところであります。
札幌市では、条例に基づき、平成22年以降、3次にわたって札幌市犯罪のない安全で安心なまちづくり等基本計画が策定されておりますが、犯罪被害者支援に関しては、第2次計画までは犯罪被害者の実情を知ってもらうための啓発事業が主体となるにとどまっておりました。
現行の第3次計画の策定に当たり、我が会派からは、他都市の先進事例も取り入れ、さらなる施策の充実を図っていく必要性を指摘し、その結果、犯罪被害者支援が大きな基本方針の一つに位置づけられ、犯罪被害に遭われた方々が置かれる経済的困窮や精神的被害に対する支援金の支給などが制度化されたところです。この制度は、犯罪被害に遭われた方が一日も早く再び平穏な生活を営むことができるよう具体的な支援を行うものとして一定の評価をするものの、犯罪被害者やそのご家族一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援を実施し、社会全体として支えていく環境をつくっていくためには、我が会派がかねてから指摘をしてきたとおり、犯罪被害者支援に特化した新たな条例を制定する必要があると考えます。
平成31年1月に設立された札幌市に犯罪被害者条例を作る市民会議には、我が会派の議員も参加し、これまで、札幌弁護士会主催のシンポジウムにおいて、市民会議が作成した条例案の提案を行うなどしてきたほか、令和5年第1回定例会の我が会派の代表質問でも条例制定の必要性について取り上げたところです。ここ数年で犯罪被害者支援に特化した条例を制定した地方自治体の数は大きく増え、今年4月1日時点で45の都道府県、13の政令市が制定済みとなっていることからも、札幌市でも一日も早い条例制定が望まれるところであり、今般、犯罪被害者等支援条例の制定が市長公約の一つに掲げられたことは、我が会派が訴えてきた条例制定の意義や必要性などが理解されたものと大いに評価をするところであります。
そこで、質問ですが、市長は、犯罪被害者支援条例制定の意義及び今後の取組についてどのように考えておられるのか、条例制定に向けた意気込みと併せてお伺いいたします。
次に、札幌市における危機管理局の兼務体制に関する1年間の成果と今後の取組についてです。
先月5日、石川県能登半島で震度6強の地震が発生しましたが、ここ北海道でも今月11日、最大震度5弱、ここ札幌でも最大震度4の地震が発生するなど、昨今、地震への不安は増すばかりであります。一方、北朝鮮から我が国に向けたミサイル発射が立て続けに行われており、4月13日の朝には、北海道を対象にJアラートが発出されたことは記憶に新しいところです。
このような状況下において、我が国における危機対応力の強化は喫緊の課題であり、札幌市においても、これらの事態への対処を中心的に担う危機管理局の体制を整備し、危機対応力の向上を図ることが必要不可欠な状況となっており、我が会派も、従前より繰り返し取り上げてまいりました。
これにより、札幌市では、昨年4月の組織改正で、発災時において、各局長よりも上位に位置づけられる危機管理監を配置したほか、災害対応に特に密接な関わりを持つ局・区の兼務職発令により、危機管理局の機能強化を図ることといたしましたが、我が会派では、令和4年第2回定例会において、危機管理局の職員の増がないまま、適切に新体制が機能していくのか、危機感を覚えると指摘をさせていただくなど、昨年4月に行われた危機管理局の機能強化に実効性があるのか、当初から懸念を示してまいりました。市の危機対応力の強化に向けては、災害対応を行う関係局・区が実際にしっかりと機能していくことが肝要でありますが、兼務体制だけでは、各局、各区に本来の業務もある中であり、日頃からの検討や準備というものも十分には進まないのではというふうに懸念をいたします。
そのような中、このたび、今後の札幌市の地震における被害想定の見直しなどを受けて、札幌市の業務継続計画と応援者受入計画の改定が行われ、これらの計画の中でも兼務発令による対応が示されており、兼務体制に関する実績や効果などの検証がまだ行われていない中では、その実効性に一抹の不安が残ります。
そこで、質問ですが、札幌市における危機管理局の兼務体制に関する1年間の成果と、それを踏まえて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
次に、子どもを産み育てたくなるまちづくりについてです。
札幌市では、2022年の出生数が前年から約800人減の1万1,200人余り、合計特殊出生率は1.08と政令市の中でも最も低い水準で、回復の兆しはいまだ見られません。こうした状況に歯止めをかけるためには、若い世代の人たちが安心して札幌で子どもを産み育てられる環境を整えること、そして、子どもたちが将来の担い手となってまちを支えていくという好循環を形づくっていくことが大変重要であります。
例えば、全国的にも好事例とされている兵庫県明石市においては、子どもを核としたまちづくりとして、子育て世代の経済的な負担の軽減、いざというときでも子どもを預かってもらえるような不安の軽減、さらには、教育環境の整備というこの三つの支援をポイントとして掲げ、子ども医療費や第2子以降の保育料の無料化、給食費の無料化などを推し進めた結果、子育て世帯の大幅な人口増加につながり、直近の合計特殊出生率は1.65と大変高い水準を維持しております。
もちろん、阪神都市圏のいわゆるベッドタウンである明石市と札幌市とでは状況がいろいろと異なるでしょうから、明石市の取組がそのまま札幌にとって有効なものとは限りませんが、本市においても北海道、札幌市の状況を適切に捉えた対策が必要であることは言うまでもありません。
そこで、質問ですが、札幌市においても子どもを産み育てたくなるまちづくりを進めていく必要があると考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、市長の考えをお伺いいたします。
次に、子ども医療費助成の対象拡大についてです。
4年前、市長は、選挙直後の令和元年第2回定例会において、子ども医療費助成の対象を小学6年生にまで拡大する条例案を提出されておりますが、このたびの選挙公約でも子ども医療費の無料化の対象のさらなる拡大というものが掲げられ、高校生までの拡大についても、財政状況を見極め、段階的に進めていくというような報道もございました。これらのことから、今定例会にでも、早速、対象拡大の提案があるものと期待をしていたところでありますが、今回は見送られたようでございます。
政令指定都市20市の状況を見てみますと、札幌市と同様に小学6年生までとしている市は4市にとどまっている一方で、中学3年生までとしている市が9市、高校3年生までとしている市が7市となっております。また、現在小学校6年生までとしている4市も、そのうち2市は今年度中に対象を拡大するというふうに聞いており、来年4月には小学校6年生までとしている市は、札幌市ともう1市のみとなる状況であります。さらに、所得制限のない政令指定都市は現在14市であり、今年度中に3市が所得制限を撤廃しますので、来年4月には、17市において、所得に関係なく、全ての子どもが医療費助成を受けられることとなります。
子ども医療費助成については、本来、国において制度化するよう我が会派からも要望しているところでありますが、その見通しは立っておりません。そのため、各自治体がそれぞれ財源を見いだして段階的に拡大を進めてきているところであり、札幌市も少しずつ広げていることはある程度評価をいたしますが、他都市の拡大状況を踏まえますと、さらなる拡大を急ぎ実施すべきときに来ているのではないかと考えます。
さきの第1回定例会の代表質問における我が会派の質問に対し、市長は、子ども医療費助成は、子育て支援施策の中でもとりわけ重要なものだという認識を示され、他の医療費助成制度とのバランスや、将来世代の負担なども考慮しながら判断をしていくというご答弁でありましたので、他都市に後れを取ることなく対象を高校生までとし、さらに所得制限も撤廃していくよう期待したいところであります。
そこで、質問ですが、市長は、子ども医療費助成について、いつまでに、どのような拡大をなさるお考えか、お伺いをいたします。
次に、北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致についてです。
昨年12月にIOCが2030年の開催都市決定時期の先送りを表明して以降、IOCから具体的なスケジュールが示されておらず、不透明な状況が続いており、市長は、東京2020大会の一連の事案により高まっている市民の不信感や懸念の声を払拭すべく、大会運営の見直しを進めた上で招致に向けて改めて民意の確認を行うと表明しておられます。
このような状況の中、今月15日にスウェーデンが2030年オリンピック・パラリンピックの招致を正式に表明をいたしました。当国では、民主的で、費用対効果が高く、持続可能ならという条件つきではございますが、市民の支持率が約7割に達成したとのことです。
また、JOCの山下泰裕会長からは、まずは札幌市民に支持いただく環境をつくることが大事であり、支持率向上のためには不安を払拭することが何よりも重要という認識が示されております。
こういった中で、市民の後押しを得ていくためには、大会の運営面の見直しのみならず、そもそもオリンピック・パラリンピックを開催することの意義や市民が享受し得るであろう効果などについても、改めてしっかりご理解いただくことが不可欠であると考えます。
札幌市では、1972年のオリンピック開催によって、地下鉄や道路網、上下水道などのインフラが整備されるなど、大きな発展を遂げてきました。その前回オリンピックを招致した原田與作元市長の回顧録などを拝読いたしますと、オリンピック関連予算の9割以上が市民生活を支える基盤インフラとして将来に残る投資であったことを挙げ、大会運営経費に対する批判に対しましても毅然とした姿勢を貫いたことがうかがわれます。
それから半世紀がたち、都市として成熟をした今、前回オリンピック当時とは当然状況は異なっており、今さらまちづくりへの効果は大して期待できないのではというような声を聞くこともあります。ただ、東京2020大会の事例を見ましても、関連する都市基盤の整備事業や民間投資などが活性化し、インフラの整備、再生や経済波及効果などをもたらしたということは事実であります。
札幌市においても、同様に、市民生活に必要なインフラ等の再整備や公共交通の利便性が向上するなどし、除雪や福祉などの市民サービスの充実につながっていくことが期待をされ、さらには、開催に伴う経済効果と税収増なども期待ができます。時代の変化により、オリンピック・パラリンピックを取り巻く環境も変わってはきているものの、世界中から注目をされ、まちづくりを加速させる絶好の機会であるということには変わりはなく、札幌市が再度の開催を目指す意義もそこにあるものと考えます。
そこで、質問ですが、オリンピック・パラリンピックの開催によって、札幌市のまちづくりにどのようなインパクトがあり、市民が豊かさやメリットを享受していけるのか、大会開催の具体的な効果と招致にかける市長の決意をお伺いいたします。
次に、
新型コロナウイルス感染症について、2点お伺いします。
1点目は、5類移行後の対応についてです。
新型コロナウイルス感染症は、5月8日より感染症法の位置づけが変更され、2類相当の対応から5類感染症に移行したところです。これに伴い、季節性インフルエンザ等と同じような自主的な判断、対応が必要な感染症へと変わりました。本市でも、電話相談窓口の設置や抗原検査キットの配付、健康観察、入院調整、生活支援物資の配送などといったこれまでの対応は一旦終了し、あわせて、保健所体制の縮小、見直しが図られていくものと認識をしております。
一方で、5類感染症への移行による社会経済活動の再開に伴い、一部専門家などから、第8波を超える第9波の懸念についても指摘をされており、実際に定点の報告等も上昇傾向にあると伺っています。
こうした中、市民からは、発熱等の
新型コロナウイルス感染が疑われる症状が出た場合に検査や診療をどのようにしたらよいのか、また、医療機関を見つけられないのではないかといったような不安の声も寄せられております。このため、5類感染症への移行後も、一定期間は、感染の疑いがある方や陽性と診断されて療養されている方に寄り添った対応というものも必要であると考えます。
そこで、質問ですが、
新型コロナウイルス感染症が2類相当の感染症から5類感染症になったことを受け、行政の対応も変化があるところですが、市民のため、現状において札幌市ではどのような対応が必要と考えておられるのか、伺います。
2点目は、今後の感染症危機に向けての備えについてです。
感染症による危機発生の備えに関して、国において、平成25年に新型インフルエンザ等対策特別措置法、いわゆる特措法を施行して以来、国、都道府県、市町村がそれぞれ新型インフルエンザ等対策行動計画を策定するとともに、役割に応じた備えを行ってきました。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの状況下で発せられた緊急事態宣言と、この宣言に基づく措置についても、この特措法の規定に基づき実施されたもので、外出自粛や、直接対面する会合等を控えるなど、自身の行動様式を変化せざるを得ない状況が続き、市民生活に重大な影響を与えました。
一方で、
新型コロナウイルス感染症のパンデミックについては、この行動計画で想定した事態をはるかに上回る規模と期間で流行が継続したという側面があったことから、当初の特措法においては想定していなかった事案が発生し、この対応のため、逐次、国が法律や制度を変更し、各自治体と協力しながら対応しなくてはなりませんでした。
このような
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、今後の感染症危機に備えるため、感染症法が昨年12月に改正され、病床、外来医療及び医療人材並びに感染症対策物資の確保の強化、保健所や検査等の体制の強化の措置を講じ、平時からの備えを推進する法整備が行われました。今後、同様の感染症危機が発生した場合には、今回の経験を踏まえて、可能な限り流行の拡大や市民生活への影響を小さくできるよう、平時からの備えが大変重要と考えます。
そこで、質問ですが、
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて、札幌市では、今後の感染症危機に向けた備えをどのように進めていく考えであるのか、伺います。
次に、市内中心部に近い公園でのスケートボード場の整備についてです。
スケートボードについては、東京2020大会などで日本人選手が活躍をして、そのクールで自由なスタイルも相まって若者を中心に人気が高まり、新たに始められた方も多いと伺っております。流行に敏感な若者のみならず、最近では親子2世代で楽しむ姿などもよく見られ、より身近な存在になっているように感じます。
札幌市中心部の大通公園でも以前からスケートボードをする若者はおりましたが、最近はその数も増えているようで、こういったスケートボードを楽しむ利用者からは、まち中への専用施設の設置を望む声も聞かれております。これからの市民生活や文化、流行などのニーズを先取りして、市内中心部のにぎわいづくりを戦略的に進めていくということは大変有効な視点であり、そうした意味で、スケートボードパークを市内の中心部にも整備し、それが波及をして若者が求めるような施設や店舗などを周辺に呼び込むことなどができていけば、若者にとってのまちの魅力も高まり、経済波及効果も期待できるのではないかということを、これまでも提案をしてまいりました。
これに対して、令和4年第2回定例会における私からの代表質問では、市長から、まちづくりを進めていく上で、スケートボードができるなど、若者が楽しめる場所の提供は重要なことだと認識しているというご答弁がございました。
ただ、利用者が多く、大型イベントが頻繁に開催されている大通公園は、現状、専用のスケートボードパークを整備するような場所はなく、他の公園利用者と同じ場所で滑走することの安全上の懸念もありますことから、スケートボード施設の設置は難しいかもしれませんが、まちづくりにおいて、若者の文化や流行などを取り入れ、生かしていくためにも、市内の中心部に近い場所で、なるべく早い時期に安全に楽しめる環境を提供することが望ましいと考えます。
その上で、周辺への騒音や他の公園利用者の安全の確保などといった課題も踏まえて適地を検討しますと、市内中心部に近い場所であって、まとまった広さがあって、住宅とも距離がある豊平川緑地に整備をするのが現実的なのではないかというふうに考えます。豊平川の河川敷は、国の所管であり、川の流れを阻害するものは設置ができないなど、いろいろと施設整備の制約があることは承知をしておりますが、まずは、国や地域の理解を積み上げながら若者が楽しめる場所をつくっていくことが重要であり、公園利用者やスケーターの意見などを聞きながら、一つの文化としても根づくよう育てていくことも重要だと思います。
そこで、質問ですが、市内中心部に近い豊平川緑地において、スケートボード場の施設整備を進めるべきと考えますがいかがか、伺います。
次に、マンション管理実態調査を踏まえた今後の対策についてです。
近年、マンションの高経年化が進み、管理不全が懸念されているマンションが散見されており、かねてより、我が会派は、マンションの適正管理の必要性を指摘してまいりました。
令和4年、マンション管理適正化法が改正されたことを受け、今年4月、札幌市は、マンション管理適正化推進計画を策定し、マンション管理に関する目標や指針を明確にし、マンション管理の適正化を推進することで、管理不全化を抑制し、管理水準の向上を図るとしました。
市内のマンションの状況を見ますと、令和2年度の管理実態調査では、築40年以上のマンションは全体の13%で515棟ですが、調査から10年後の令和12年には、築40年以上のマンションが全体の30%近くの1,420棟になると見込まれており、マンションの高齢化が加速することが明確になりました。
また、この調査に未回答の管理組合の中には管理不全マンションが存在する可能性が高いことも懸念されますことから、我が会派が訪問調査の実施を求めたこともあって、令和4年度に築40年を超えるマンションを対象とした訪問調査が実施をされております。この調査によりますと、管理組合が総会を開催していない、修繕積立金が積み立てられていないなど、管理不全が懸念されるマンションの事例が少なくとも7件確認をされております。このようなマンションでは適切な大規模修繕が行われないなどの懸念があり、そのまま放置されれば、外壁の剥落など周辺地域に悪影響を及ぼすことなどが懸念されるため、早期に改善していく必要があります。
市長の公約にも、老朽化したマンションの適正な維持管理を支援すると盛り込まれているところです。
そこで、質問ですが、このように管理不全が懸念されるマンションの増加が見込まれる中、今後、具体的にどのような手法で対策を講じていくのか、お伺いをいたします。
次に、札幌市のヒグマ出没対応についてです。
先日、幌加内町の朱鞠内湖岸において、釣りをしていた男性がヒグマに襲われて亡くなるという悲惨な事故が発生いたしました。
ヒグマが人を襲うケースは、大きく三つに分類されると言われ、一つ目は、人と遭遇して驚き、自らや子熊を防衛するために襲うケース、二つ目は、過去にごみを食べるなどした経験があり、食べ物を手に入れるために積極的な攻撃をするケース、三つ目は、若い熊が好奇心から人に接近し、攻撃をするケース、この三つであります。
このたびの朱鞠内湖岸の事故は、三つ目の若いヒグマが好奇心から人に接近して攻撃したケースと考えられており、平成元年から令和元年までの31年間に発生したハンターを除くヒグマによる人身事故39件のうち、今回と同じケースの人身事故は2件確認されているということでありました。
この事件を受けて、北海道大学大学院獣医学研究院の坪田教授は、目撃された熊の行動範囲を把握して危険かどうかを判断できる体制を一刻も早くつくる必要があると述べているなど、ヒグマの行動に関する詳細な情報を行政機関が速やかに入手し、関係機関において共有することが重大な事故の防止につながることを改めて認識したところです。
札幌市では、2年前に東区の住宅街においてヒグマによる人身事故が発生したことなどを踏まえ、さっぽろヒグマ基本計画をリニューアルしたさっぽろヒグマ基本計画2023を今年3月に策定したばかりでありますが、市内でもヒグマの目撃情報が相次ぎ、中には、人の生活圏のすぐそばで人目を気にせず行動する、いわゆる人なれした個体も確認をされており、出没したヒグマの危険性の判断や、その後の対策など迅速な対応がいよいよ求められてきております。
そこで、質問ですが、朱鞠内湖岸のような重大な事故を今後札幌市内で発生させないために、出没が頻発するヒグマに対してどのような対応を取っていくのか、お伺いいたします。
最後に、行政改革の取組の一層の推進についてです。
市長が公約に掲げる多数の事業を推進し、困り事を抱える市民へのきめ細やかな対応をしていくためには、市職員の人的資源や、限りある予算を有効に活用していくことが不可欠であります。そのためには、職員の仕事の進め方の変革と既存事業の抜本的見直しによる実効性のある行政改革が必要であります。
行革については、これまでも議論を重ね、でき得る取組を進めてこられたものと思いますが、最近、大いに注目をされているチャットGPTをはじめとしたAI技術の急激な進展などに鑑みますと、これまでの取組に加えまして、さらなる内部効率化の取組を急ぎ、一歩も二歩も前進をさせ、生産性や市民サービスとともに職員の業務意欲を高めていく必要がございます。
また、限りある予算の活用という点で、昨今は、EBPM、エビデンスに基づく政策立案などが重視をされておりますが、政策目的を明確化させ、その目的達成のため、本当に効果が上がる政策手段は何なのかなどを論理的に明確にしていき、その裏づけとなるデータ等のエビデンス、根拠などをしっかり示していくことで、ぶれない政策立案と市民への説明責任を果たしていくことが重要であります。
そこで、質問ですが、限られた経営資源の中でより質の高い行政サービスを提供するため、職員の仕事の進め方の変革や事業の評価、見直しを大胆かつ積極的に進めていくことが必要と考えますが、市長は、どのように行政改革の取組を推進していくお考えなのか、お伺いをいたします。
以上で、私の質問の全てを終了いたします。長時間にわたり、ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で大きく6項目のご質問をいただきました。私からは、大きな1項目め、私の政治姿勢についての14点にお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長、天野副市長からお答えをさせていただきます。
最初に、私の政治姿勢についての1項目め、選挙結果の受け止めと今後の市政運営の考え方についてお答えをさせていただきます。
市民の皆様から多くのご支援をいただき、3期目の市政運営のかじ取りを任されたことについて、改めて感謝申し上げますとともに、その重責に身の引き締まる思いであります。
一方、得票が前回選挙を下回ったことにつきましては、冬季オリンピック・パラリンピック招致に対するご懸念や、一昨年冬の大雪への対応に対するご批判など、これまでの市政運営に対する厳しいご意見も含まれているものと認識をしており、このことは真摯に受け止めてまいりたいと考えております。
次の100年に向けた礎を築く重要なこの4年間は、札幌が将来にわたって持続可能で輝き続けるまちであるために、経済活性化と市民生活の充実によるまちづくりの好循環を確かなものとしていかなければならないと考えており、そのためにも、私自身が将来のまちの姿をしっかりと発信するとともに、市民や企業、団体など、多くの方々との対話を重ねてビジョンを共有し、オール札幌で協働してまちづくりを進めていきたいと考えております。
次に、2項目め、
都心アクセス道路についてお答えをいたします。
1点目の
都心アクセス道路の進捗状況と今後の予定についてであります。
都心アクセス道路の整備につきましては、令和3年度に国により事業化され、事業主体であります北海道開発局が、現在、地質調査、構造物の設計、関係機関協議等を進めているところであります。
北海道開発局からは、早期の工事着手に向けて、今後も引き続き取り組んでいくと聞いているところであり、札幌市としては、引き続き、国に対して整備促進を要望していくとともに、関係者との調整や市民への情報提供等について、北海道開発局と連携をして取り組んでいく考えであります。
2点目の創成川通と豊水通の交差点における交通課題の対策についてでありますが、札幌市では、
都心アクセス道路と市道との交差部などにおいて
都心アクセス道路の開通により生ずる影響について検討してきたところであります。この検討の中では、創成トンネルから中島公園周辺に向かう経路上において交通渋滞が発生するほどではないものの、創成川通と豊水通の交差点では一部で交通のふくそうが懸念をされるところであります。
このため、当該交差点における課題の解決に向けて、交差点付近の部分的な拡幅について検討してまいりたいと考えております。
次に、3項目め、企業誘致についてであります。
1点目の企業誘致の進め方についてでありますが、昨年度は、大札新というスローガンを掲げて都心部の再開発と連動した企業誘致を進め、人材の豊富さなども評価をされ、進出件数が過去最高となったところであります。今年度は、不動産事業者などの民間事業者と一体となって誘致を推進するため、本社機能やIT開発拠点などの立地促進補助金について、これまでの開設費補助から賃料補助に変更する制度改正を行う予定であります。
また、今後は、誘致PRや企業紹介などにご協力いただける大札新パートナーズや、企業誘致アドバイザーをはじめとする企業や人との連携を強化しながら、戦略的に誘致活動を行ってまいります。さらには、私自身のトップセールスの頻度を増すほか、BCP対策やESG経営をテーマにした企業誘致セミナーを実施し、ビジネス環境の優位性をアピールするなど、情報発信力を高めて企業誘致をさらに進めてまいります。
2点目の
ラピダス社進出に係る札幌市の関わりについてでありますが、札幌市では、これまで、冷涼な気候や
再生可能エネルギーの潜在性などの強みを生かし、近隣自治体と連携をして、
データセンターやAI関連企業などの誘致に力を入れてきたところであります。
ラピダス社が提唱する
北海道バレー構想では、通信ネットワーク拠点やデータ関連企業の集積などが札幌市に期待されているものと認識をしております。
札幌市としても、このことを契機として大学や研究機関とさらに連携をし、生成AIをはじめ、次世代半導体を活用する製品やサービスの開発を進める人材の育成や拠点の整備などを検討してまいりたいと考えております。
次に、4項目め、丘珠空港の将来像についてお答えをいたします。
1点目の丘珠空港の機能強化についてでありますが、
丘珠空港機能強化検討会において、国や地元関係機関と札幌市が緊密に連携をし、空港の機能強化に向けた課題等を集中的に議論できたことは、丘珠空港の将来像の実現に向け、大きな意義があったものと認識をしております。
今後は、これらの検討内容を踏まえ、札幌市としても、様々な課題に対して、地域とも意見交換を行いながら協議を加速させることで、将来像の早期実現を目指していく考えであります。
2点目の丘珠空港における
ビジネスジェットの利用拡大についてでありますが、
ビジネスジェットは、地元経済の活性化や物流面での活用、観光都市としての魅力の向上、医療・防災機能の強化など、様々な効果が期待されるものと認識をしております。
このことから、丘珠空港が持つポテンシャルを最大限発揮していくためにも、国や関係機関と連携をしながら、ビジネス、観光、医療など各分野の利用ニーズを調査するとともに、専用施設や運航支援体制などについても、先行事例を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
次に、5項目め、物価高騰対策についてであります。
急激な物価高騰に当たり、市民生活を支えるためには、機動的な対応が不可欠であり、国の財源も活用しながら、給付金の支給等によりスピード感を持って必要な支援を講じてきたところであります。これに加え、中長期的に物価高騰に対応していくには、企業の経営基盤強化による事業収益の安定化が、賃金の上昇、さらには市民所得の向上につながっていくということが重要だと認識をしております。
このような観点から、当初予算における各種事業者への支援のほか、補正予算において、新たな需要の開拓や生産性向上に寄与する国際ビジネス人材やIT人材の確保、定着等に向けた取組を計上したところであります。
引き続き、要望活動等を通じ、物価高騰や適正な価格転嫁への支援を関係省庁等に求めつつ、成長と分配の好循環の実現に向けては賃上げが重要であるとの認識の下、必要な支援を講じてまいります。
次に、6項目め、都心部における新たな公共交通システムの検討についてであります。
今後の北海道新幹線の札幌延伸や札幌駅周辺の開発などを見据え、市内外からの来訪者の移動ニーズを踏まえた利便性向上の視点に加え、次世代に向けた脱炭素社会の実現に資する視点が重要であると認識をしております。
現在検討しております新たな公共交通システムでは、デマンド交通や水素燃料車両などを活用しながら、都心のまちづくりを支え、まちの魅力向上にも資する交通として検討を進める考えであります。2030年度の運行開始を目指し、今年度に実験計画を定め、2024年度、2025年度に社会実験を実施する予定であり、国等の行政機関や有識者の意見を伺いながら、着実に検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、7項目め、宿泊税の導入についてであります。
令和2年第1回定例会において、札幌の地域経済の持続的な発展を目指し、観光分野への集中的かつ継続的な投資を行うために宿泊税導入の決意を表明したところであります。
新型コロナウイルス感染症の行動制限がなくなり、社会経済活動が着実に回復基調であるため、一時中断をしておりました宿泊税の導入に向けた検討を再開することといたしたいと考えております。
検討に当たりましては、先行して宿泊税を導入した他都市の事例や、札幌におけるハイグレードホテルの立地など量から質へという観光の流れを踏まえつつ、宿泊業界の皆様のご意見を伺いながら、制度の内容、導入時期、導入後の活用方法などについて検討してまいります。
次に、8項目め、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の成果についてであります。
G7札幌大臣会合では、各国大臣や政府関係者、報道関係者から札幌、北海道の食文化や観光資源などが高い評価をいただいたほか、札幌市のMICE運営能力、このことを国内外にアピールすることができたものと考えております。
また、会合に合わせて環境やSDGsの取組などを紹介するイベントを開催し、多くの方にお越しいただいた結果、市民や企業の環境問題に対する関心を高めることができたものと感じているところであります。
今後は、今回の開催実績を踏まえ、政府系国際会議をはじめとするMICE誘致をより積極的に進めるとともに、市民や企業の行動変容を促すことなどで、環境に配慮した観光というものを推進し、世界から選ばれる持続可能な観光都市を目指してまいりたいと考えております。
次に、9項目め、環境問題解消と経済成長の両立に向けた取組についてであります。
人口197万人を有するエネルギーの一大消費地であります札幌市といたしましては、北海道全体のポテンシャルを最大限に生かしながら、
再生可能エネルギーへの転換を先行的に進め、需要と供給の好循環を創出していくということが重要であると認識をしております。
このため、庁内や関係機関との総合調整を担うプロジェクト担当部をまちづくり政策局に新設したところであり、今後は、庁内の連携体制はもとより、北海道や国の関係機関、金融機関等とコンソーシアムを立ち上げ、札幌が環境金融の先進地となれるよう需要と供給の好循環を具現化するモデルプロジェクトの検討や、世界の投資を呼び込む効果的な取組などについて検討を進めていきたいと考えております。
次に、10項目め、犯罪被害者支援条例についてでありますが、札幌市では、これまでも、犯罪被害に遭われた方に対し、総合的な対応窓口の設置や協定に基づく北海道警察との情報連携による支援金の支給などに取り組んできたところであります。
犯罪被害者支援に特化した条例は、2次被害などの困難を抱えている方を社会全体で支える大きな意義があり、市民や事業者の理解を深める取組を丁寧に進めていく必要があると認識をしているところであります。
今後は、関係機関や民間支援団体などの皆様からご意見をいただきながら、犯罪被害者の権利利益の保護が図られる社会の実現のため、条例制定に向けてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
次に、11項目め、札幌市における危機管理局の兼務体制に関する1年間の成果と今後の取組についてお答えをいたします。
危機管理局の兼務体制は、平時から各局・区の災害に対する意識の向上を図るとともに、主要な部局との連携を緊密化することで、有事の際には全庁が一丸となって対応に当たることを目的としているものであります。
昨年度は、兼務となった各局・区が、それぞれの危機管理上の課題について、これまで以上に危機管理局と連携をし、検討を行い、災害時の情報発信や職員の応援体制などについて整理を進めてきたところであります。今後は、災害時の行動手順を改めて整理し、実運用を想定した訓練を実施するなど、有事に迅速かつ適切に対応、対処できるよう災害対応力を強化してまいります。
次に、12項目め、子どもを産み育てたくなるまちづくりについてであります。
人口減少の緩和に向けた第2期さっぽろ未来創生プランでは、安定した雇用を生み出すことで経済的な不安を解消し、安心して子どもを産み育てられる環境をつくり、そのことがさらに経済の活性化につながるという好循環の実現を目指して取り組んでいるところであります。
今後は、依然として低位な合計特殊出生率の改善に向けて、公約に掲げたとおり、子ども医療費助成や保育料無償化の対象範囲の拡大など、経済状況によらず、市民が安心して子育てができるための支援策について広く検討していく考えであります。
加えて、直近の国の調査結果などによりますと、少子化の要因としては、住宅環境、個人の価値観、地域コミュニティーとの関わりなど、多面的な要素が複雑に関係しているものと考えられますことから、来年度策定予定の次期未来創生プランに向けて、結婚の希望がかなっていない方や、希望する数の子を持てていない方など、多様な市民の声を聞くなどして実効性ある施策につなげてまいりたいと考えております。
次に、13項目め、子ども医療費助成の対象拡大についてであります。
子ども医療費助成につきましては、転居により助成内容に差が生じることのないよう、基本的には国の責任において全国一律で実施すべきものと認識をしており、このため、他の政令指定都市と連携をし、国に対し、繰り返し要望を行ってきたところではありますが、現在のところ、国の制度化に向けた動きは見られていないところであります。
今後、長期的な財政収支を見通した上で、他の医療費助成制度と併せて、その拡大の方向性を速やかに定めてまいりたいと考えております。
次に、14項目め、北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致についてお答えをいたします。
オリンピック・パラリンピックは、子どもたちに夢や希望を与え、人々に勇気と感動をもたらす世界最大級のイベントであり、いま一度、札幌の魅力を世界に発信することができる絶好の機会であります。
また、施設整備等による直接的効果に加え、大会開催をきっかけとした観光客の増加等による効果と合わせて全国で3兆2,500億円、札幌市で7,500億円もの大きな経済効果が見込まれるなど、より多くの投資効果が中長期的に継続し、税収や雇用の増加が期待できるものであります。
さらには、国家プロジェクトとして位置づけられることで、ゼロカーボンやデジタル技術などへの新たな投資も期待ができ、まちのリニューアルを加速化させるとともに、行政サービスの向上にもつながり、市民の暮らしをよりよくすることに資するものと考えているところであります。
このような大会によってもたらされる効果について、市民により実感を持ってご理解いただけるよう、私自ら先頭に立ち、全庁一丸となって、市民対話を重ねながら、多くの賛同を得て、ぜひとも大会招致を実現したいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(飯島弘之) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな2項目め、
新型コロナウイルス感染症について、そして、6項目めの行政改革の取組の一層の推進についての二つのご質問についてお答え申し上げます。
まず、大きな2項目め、
新型コロナウイルス感染症についての1点目でございます5類移行後の対応についてのご質問でございますが、現状は、
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことを社会が受け止めるまでの過渡期にあると思います。
札幌市といたしましては、市民が安心できるよう、当面は行政による一定の支援が必要と認識するところでございます。
このため、電話相談窓口の継続に加えまして、ホームページやSNSを活用した情報発信等により、市民の不安解消に努めるとともに、患者が適切な医療につながるよう、医療機関とも連携してまいりたいと考えるところでございます。
2点目、今後の感染症危機に向けての備えについてのご質問でございますが、今後の感染症危機に向けた備えにおきましては、社会に大きな影響を与える可能性のある感染症の発生や蔓延時に迅速かつ的確に対策や措置を講じることができるよう、体制を整備することが重要と認識するところでございます。
このため、札幌市におきましても、北海道や関係団体等と連携しながら、新たに感染症予防計画を令和5年度中、本年度中に策定することとしており、順次、関連計画についても策定や見直しをする予定でございます。これらの計画に基づき、平時から関係事業者等と今後の感染症危機に備えた連携体制を構築し、人材育成を進める等、感染症に強いまちづくりを推進してまいりたいと考えるところでございます。
このパンデミックという未曽有の体験をしっかりと記憶と記録に残し、今後に備えてまいりたいと考えております。
次に、大きな6項目め、行政改革の取組の一層の推進についてのご質問でございますが、ペーパーレス化をはじめ、デジタル化や委託化など、職員の人手をかけない業務プロセスを構築することにより、業務の生産性を高めるとともに、職員の意欲を最大限引き出し、市民の皆様への相談対応など、本来、職員が担うべき業務に注力できる体制を進めてまいります。
あわせて、事業の評価、見直しにおきましては、成果指標の達成度に着目の上、論理的かつ客観的な事業の再構築を図るほか、多様な主体との連携・協働による行政課題の解決に向けた取組を進めてまいります。
これらの取組を迅速かつ的確に実施し、全庁一丸となって市民に信頼される市役所の実現に向けた実効性のある行政改革に取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな5項目め、札幌市のヒグマ出没対応についてご答弁を申し上げます。
さっぽろヒグマ基本計画2023では、令和3年6月の東区の事故などを踏まえまして計画の対象地域を市全域に拡大し、対応を強化しているところでございます。
さらに、出没したヒグマにつきましては、市民の安全・安心を確保するため、市街地では捕獲を第1選択肢としており、市街地に隣接した森林におきましても、人を認識しても逃げないなど有害性が認められる場合には、捕獲を含めた対応を取ることとしているところでございます。
また、市町村をまたいだ出没に備え、具体的な対策の連携強化を目的に、近隣自治体との連絡体制を構築し、平時から情報共有しているところであります。
今後も、当該計画に基づきまして、自然との共生に配慮しつつ、近隣自治体や警察等の関係機関と連携しながら市民の安全・安心の確保に努めてまいりたい、このように考えております。
私からは、以上であります。
○議長(飯島弘之) 天野副市長。
◎副市長(天野周治) 私からは、大きな3項目め、市内中心部に近い公園でのスケートボード場の整備について、4項目め、マンション管理実態調査を踏まえた今後の対策についての二つの項目についてお答えをいたします。
まず、3項目めの市内中心部に近い公園でのスケートボード場の整備についてであります。
スケートボード場については、これまでは郊外の公園等に設置してきておりますが、スケーターの声やまち中での利用状況を踏まえると、市内中心部に近い場所にも設置したいと考えております。
ご指摘の豊平川緑地につきましては、スケートボード場を整備できる十分な広さがあり、また、騒音が近隣に届きづらい場所もあるため、整備が可能であると考えております。
施設整備に向けた検討に当たりましては、幌平橋の上流左岸側において、試行的に仮設のスケートボード場を設置し、その利用状況を見ながら、スケーターや豊平川緑地の利用者、近隣住民の意見を聞くなどして丁寧に進めてまいります。
次に、4項目め、マンション管理実態調査を踏まえた今後の対応についてでございます。
札幌市には、現在3,800棟を超えるマンションが立地しており、万が一、管理不全により外壁の剥落などが発生しますと地域の生活環境に大きな影響を与えるため、管理組合が主体となってマンションを適正に管理していくことは重要と認識しております。
そのため、管理の適正化を推進する具体的な取組として、マンション管理に関する管理組合の意識の向上を図るためのセミナーの開催や、マンション管理士等の専門家を現地へ派遣し、管理組合に対してアドバイスを行う取組を実施してまいります。
一方、このアドバイザー派遣は、札幌市マンション管理適正化推進計画において管理組合からの要請に基づき派遣することとしておりますが、既に管理不全が懸念されるマンションでは、管理組合が機能していないなど派遣要請に至ることすら困難な場合があると考えられます。このため、管理組合から要請がない場合でも、札幌市が必要と判断した場合にアドバイザーを派遣する、いわゆるアウトリーチ型での派遣についても実施をしてまいります。
これらの支援により管理組合による適正な管理がなされるよう、しっかりと取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) ここで、およそ30分間休憩いたします。
――
――――――――――――――――――
休 憩 午後2時30分
再 開 午後3時
――
――――――――――――――――――
○副議長(しのだ江里子) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
林 清治議員。
(林 清治議員登壇・拍手)
◆林清治議員 私は、民主市民連合を代表して、秋元克広市長が本定例会に提出されました諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問いたします。
国内外の情勢に目を向けますと、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、第二次世界大戦後、国際連合を中心に形成されてきた世界平和の秩序、民主主義が危機にさらされ、国際情勢は非常に複雑化、困難化しています。
1992年、札幌市平和都市宣言を行った本市は、今こそ、不断の努力で世界平和を実現する自治体としての役割を果たしていかなければなりません。
また、国内では、
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から5類へと変更になり、コロナ禍前の社会経済活動へ近づきつつあります。一方、物価高騰が長期化し、生活者と事業者に大きな影響をもたらしています。
こうした状況に加え、長引く経済の低迷、脆弱なセーフティネット、少子化、人口減少など、深刻な構造的課題が山積しています。この困難を乗り切るには、秋元市長が市民と約束した公約を着実に実現していくロードマップが必要です。
本年度は、札幌市まちづくり戦略ビジョン(戦略編)及び中期実施計画であるアクションプランの策定年度となっております。本市の方向性を決める重要な年となります。秋元市長におかれましては、1期目から掲げる、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街、世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街の実現に向けて、市民とともに市政運営に努めていただくことを求めます。
それでは、まず、市長の政治姿勢について、5点伺います。
1点目は、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023について伺います。
市制100年を迎えた札幌市が今後も市民にとって安心して暮らし続けることのできるまちであるためには、人口減少など直面する課題を乗り越えていくことが不可欠であります。
1922年当時、約12万7,000人であった本市の人口は、この100年間の間に197万人となり、社会経済的に大きな発展を遂げ、世界に誇る大都市へと成長してきました。
しかし、直近に目を向けますと、住民基本台帳に基づく2022年1月1日時点の本市の人口は、政令指定都市への移行後、初めて減少に転じ、長期的にはさらなる人口減少が見込まれています。加えて、転職や転勤を主な理由とした20歳代の若年層の道外への転出超過傾向が続いており、市内経済規模の縮小や税収の減少、それに伴う行政サービスの低下などが懸念されます。
このような状況下にあっても、本市が魅力的で持続可能なまちであり続けるためには、次の100年を見据えて施策の展開が必要であります。札幌で生まれ育った若者が不安なく暮らせる収入を得て、次の世代を産み育て、その子どもたちが将来の担い手となって札幌のまちを支えていくという好循環の確立が大変重要です。そのためには、経済的な安心感と将来への見通しを持って子育てできる環境を形成するための経済活性化に向けた取組がこれまで以上に大きな意味を持つと考えます。
経済の活性化は、個人所得の上昇や税収の増加につながり、若年人口の道外流出の抑制や、出産、子育てに対する経済的なハードルを下げるほか、先日、秋元市長が施政方針で言及したように、増加した税収を少子化対策や福祉施策の行政サービスの充実に充てることで、幅広い市民生活の向上や、さらなるまちの魅力アップをもたらすことも期待されます。
我が会派としては、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンで掲げる、強みを生かした産業が北海道の経済をけん引しているまち、多様な主体と高い生産性、チャレンジできる文化が経済成長を支えるまち、雇用が安定的に確保され、多様な働き方ができるまち、この実現に向け、本市の強みである食・観光分野や、今後さらなる成長が期待できる産業分野への支援を強化すべきと考えます。
また、誰もがチャレンジできる文化の醸成による
スタートアップの創出、多様な人材が自身の持つ能力をいかんなく発揮し、やりがいや充実感を得ながら働くことのできる環境の整備などを、今年度、市が策定を予定している第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023において積極的に取り入れていくべきと考えます。
そこで、最初の質問ですが、ビジョンの実行計画であるアクションプランの策定作業を今後どのように進めていくのか、また、策定の方針について札幌市の考えをお伺いします。
次に、物価高騰対策についてです。
物価高騰は、長く市民生活や事業者の経営に大きな影響を及ぼしています。
我が会派では、5月8日に秋元市長に対して物価高騰対策に関する緊急要望書を提出し、時期を逸せず、さらなる支援策を講じるよう求めました。
これを受けて、5月の第1回臨時議会では、
住民税非課税世帯や低所得の子育て世帯に対する給付金のほか、学校、保育所、高齢者・障がい者施設、医療機関や子ども食堂などへの食材費支援のための経費として約178億円の補正予算が計上され、可決しました。
本定例会においても、市民の省エネ家電購入の補助金助成や製造業の省エネ設備導入支援、
タクシー事業者への事業継続の支援など、物価高騰対策を含む補正予算案が提案されています。
また、今年の第1回定例市議会で補正予算として計上したプレミアム付商品券の利用も7月から始まるなど、こうした対策の効果が速やかに市民や市内事業者に行き渡ることを期待しています。
一方で、大手電力7社では、火力発電に使う燃料の液化天然ガス価格の上昇を理由に、6月の使用分から電気料金の値上げが行われます。北海道の電気料金は、大手電力10社中3番目に高い状況にある中、このたびの値上げで標準的な家庭の電気料金は21%の値上げとなっていますが、これに加え、食品の値上げも市民生活に大きな影響を与えています。
帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査では、値上げされた食品は、昨年の1月から7月で累計1万686品目でしたが、本年の同月比では、累計2万1,205品目となり、さらに、今年の秋までに累計で3万品目の値上げが発生する可能性が指摘されています。
今年に入り、原材料価格の落ち着きや低下により一部商品では価格の引下げの動きが見られるなど、原材料の高騰が主な理由となった値上げは減少の傾向にありましたが、食品メーカー各社の値上げ理由を分析したところ、全体の7.1%の品目で電気・ガス代の上昇が値上げの主な要因であることが明らかとなっています。
現在は、政府の支援策により電気代の上昇幅は一部抑制されていますが、今年の夏以降の電気料金の引上げにより、食品分野でも電気代を要因とした価格転嫁が広く浸透し、再度の値上げラッシュの引き金となる可能性があります。今後も電気代の高止まりが続くことで、市民の経済的負担が増えるだけではなく、物価のさらなる高騰など、間接的な影響も計り知れない状況です。本市は、地域の特性も加味しながら、物価高騰の影響を抑制するさらなる支援策について、独自財源を積極的に活用し、市民、事業者の生活を守るための対応を検討すべきと考えます。
そこで、質問ですが、長引く物価高騰への今後の対応について、市長のお考えを伺います。
次に、財政問題についてです。
1点目は、肉づけ予算編成について伺います。
新型コロナウイルス感染症の出現により、我が国の経済は、誰もが想像していなかった状況に陥りました。本市においても、
新型コロナウイルス感染症対策を最優先としたため、秋元市政2期目の幾つかの事業を中断あるいは断念せざるを得なかったのが実情です。
今年の5月、
新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが2類相当から5類に移行し、経済や社会生活がコロナ前に戻りつつある中、次期のアクションプランを策定する本年は、秋元市政にとって大変重要な時期となります。本格的な予算編成となる今回の補正予算は、市長が掲げる、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街と、世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街の実現へ向けた市長の思い描くまちづくりの第一歩となります。
秋元市長は、市民の要望や思いを受け止めながら、選挙戦で掲げた市民との約束である公約の早期実現に向けて事業を展開することが求められています。そのためには、限られた財源の中、最大限の効果を生み出すため、事業の優先順位を明確にし、予算配分を重点化する必要があります。
そこで、質問ですが、今回の肉づけ予算編成の具体的な考え方について、市長のお考えを伺います。
2点目は、今後の財政運営についてです。
今回の補正予算の財源として地方交付税を30億円留保し、一般財源の所要額は31億円と、おおむね想定していた範囲の所要額となっています。一方、中長期的な本市のまちづくり計画を策定するためには、今後、数年間の計画期間を含め、将来的な財政運営の見直しが必要となります。
これまでも指摘をしているところですが、本市の財政基盤は、市税収入が歳入全体の約3割であり、地方交付税や補助金に頼る脆弱な財政構造となっています。
地方自治体の財政指数の一つである財政力指数は、2021年度決算で0.724となっています。これは、政令指定都市20市中17位と平均を大きく下回っており、財政力指数を上げるための方策、すなわち税収増となる取組が必要です。市内経済の底上げによる税収増としては、企業誘致により固定資産税や法人市民税等の税収を増やす対策の取組はもとより、例えば、新たな財源として全国で取組が始まっている宿泊税など、新たな手法の検討を始めることも必要と考えます。
そこで、質問ですが、次期アクションプランを見据え、今後の財政運営についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致についてです。
昨年更新された大会概要案において、観光消費の増加やバリアフリーの加速など、まちの課題に対してどのように大会が資するのかが示されたところであります。本市は、こうした開催意義について、ワークショップや出前講座等を通じ市民理解の促進に取り組んできましたが、今回の統一自治体選挙を通じても、大会経費への懸念の声が聞かれるなど、その効果や意義は十分に浸透していません。加えて、東京大会の贈収賄事件や談合疑惑は、市民、ひいては国民の大会に対する信頼を大きく損ね、招致は極めて厳しい状況にあると言わざるを得ません。
こうした中、大会運営見直し案を策定するに当たり、有識者の意見を聞くための第1回検討委員会が5月22日に開催され、公平性確保に向けた組織運営の在り方、マーケティング事業の公正性・透明性確保などについて幅広く議論されることが確認されました。第2回の検討委員会は今月下旬に開かれる予定と伺っており、東京大会とは異なるクリーンで新しい形の見直し案が求められています。
我が会派は、札幌のまちを次のステージへ発展させる契機となるオリンピック・パラリンピック大会の実現は、何よりも市民理解が必要であり、市民理解なしには成し得ないことを一貫して訴えてまいりました。そのためにも、市民が納得性を得られる国際競技大会の姿を示す大会運営の見直し案と、これを基とした全庁挙げての市民との対話、理解の促進が不可欠です。その上で、改めて市民アンケートを実施するなど、市民の意向を確認する作業を進めるべきと考えます。
そこで、質問ですが、市民の信頼を取り戻し、大会招致を実現するため、今後どのように市民理解を深めていくのか、伺います。
次に、冬季の災害対策の強化について伺います。
近年、世界的に大規模な自然災害が頻発化、激甚化し、国内においても大雨による洪水や土砂災害、地震災害などが発生しております。こうした状況下、特に積雪寒冷地である北海道、札幌市に暮らす市民にとって、冬季の災害対策は極めて重要であり、冬季災害に備えた体制を強化することは喫緊の課題です。
国は、2022年9月、災害対策の根幹となる防災対策推進基本計画を見直しました。この見直しでは、日本海溝・千島海溝地震について被害想定と基本的な方針を改めるとともに、地震防災対策を進める施策を拡充し、積雪寒冷地特有の課題への対応を新たに盛り込みました。これを受けて、北海道は、本年1月、地域防災計画を修正し、防寒機能を持つ避難所等の確保、緊急輸送道路や避難所へのアクセス道路の除雪体制を優先的に確保すること、また、高齢者や障がい者など要配慮者の安否確認などの項目を加えました。
市長は、統一地方選挙の公約に、安全で快適に暮らせるまちをつくるとして、近年の災害を教訓とし、既存の対策を見直し、冬季における災害対策の強化や耐震化推進に取り組むことを掲げています。
厳冬期には、停電等で暖房が停止した場合、低体温症のリスクや、避難行動の遅れや避難所運営などが困難になる状況が想定されます。内閣府防災担当は、積雪や凍結路面による救護・救援活動や消火活動、職員の参集などの初期対応に大幅な遅れが生じることを指摘しているところであります。
今後、積雪寒冷地特有の課題を様々な角度から検討し、ハード・ソフトの両面から総合的に冬季の防災・減災力を向上する必要があると考えます。
そこで、質問ですが、本市の積雪寒冷地の地域特性を踏まえた防災・減災を進めるため、どのようなことに重点を置いて進めていくのか、伺います。
次に、健康寿命の延伸に向けた取組について伺います。
人生100年時代に向かい、高齢化が急速に進む中、全ての人が元気に活躍できる場や安心して暮らせる社会をつくることが必要です。日本は長寿大国と言われ、平均寿命と併せて、健康上の問題で日常生活が制限されない期間、いわゆる健康寿命も高い水準となっている一方で、平均寿命と健康寿命の差が大きいことが課題とされています。
特に、本市においては、平均寿命と健康寿命の差が約10年から13年と、全国政令市の中でも男女ともに15位と大変低い位置にあり、健康寿命の延伸は本市の重大な課題となっています。市民一人一人が老後も元気に過ごすことを意識することは、生活の質を維持し、医療費、介護費等の社会保障制度を持続可能とすることにもつながるため、健康寿命延伸の取組を進めていくことは重要と考えます。
本市は、健康寿命を延ばすための取組として、札幌市健康寿命延伸推進本部を中心に生活習慣の改善に取り組んでいます。健康寿命の延伸には、日々の生活での運動を習慣づけることが重要な視点ですが、市民が積極的に取り組んでいる例もあります。例えば、愛好者が多いパークゴルフは、仲間とコミュニケーションを取りながらプレーしているうちに自然と歩数が増えて、無理なく続けられる運動習慣の一つとなっています。また、今週末に開催される北の都札幌ツーデーウオークは、今年で27回を迎え、多くの市民が参加していますが、こうした取組を支援していくことも必要と考えます。
運動習慣を多くの市民に広げていくためには、日課のように続けられる気軽さが重要です。金銭的な負担はもとより、自家用車などの移動手段を持っていないなど様々な状況にあっても、誰もが継続して取り組むことができる視点が大切です。
本市は、誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できる社会の実現を目指し、まちづくり戦略ビジョンの柱の一つにウェルネスを掲げています。市長公約にも、誰もが長い間、健康で充実した生活を送れるよう支援することが掲げられています。今年度からは、保健所内に新たにウェルネス担当部が設置され、今後の施策に期待をしているところであります。
そこで、質問ですが、運動習慣をはじめとした健康寿命の延伸に向け、今後どのように取り組み、市民に浸透させていくのか、伺います。
次に、慢性疾患を抱える子どもたちへの支援についてです。
小児がんや心臓の病気などの慢性疾患を抱え、常に治療と向き合っている子どもたちが安心して学び、進学や就職などに希望を持ち、将来において社会的に自立できる環境を整えることは、子どもの権利の観点からも大変重要と考えます。
国は、慢性的な疾患を抱え、長期にわたり療養を必要とする児童等の健全育成及び自立促進を図るため、児童福祉法を2014年に改正し、これまでの小児慢性特定疾病の医療費助成に加えて、自立に向けた相談支援事業を自治体の必須事業とするほか、学習支援等を任意事業として位置づける自立支援事業を制度化しました。
本市においては、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている子どもが約2,000人いますが、そのうち7割は、障害福祉サービスや医療的ケアは受けていないものの、自立に向けた支援を必要としている状況にあります。本市における自立支援事業の実施状況は、2015年から各区保健センターでの相談支援や保健所での自立支援員による支援を開始したところですが、2022年度は700件を超える相談実績があるものの、ほとんどが療養生活の相談対応にとどまっており、自立や就労に関する相談対応は僅か数件という状況です。
こうした中、本市では、2021年度に札幌市難病対策地域協議会に小児科の専門医や教育、就労等の有識者による専門部会を設置しました。また、昨年には、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている子どもの保護者及び12歳以上の子ども本人に対して、生活実態や支援ニーズ等を詳細に把握するためのアンケート調査を実施し、効果的な自立支援事業の在り方について検討に着手しました。
慢性疾患を抱え、様々な不安を抱えている子どもたちが安心して学び、将来に希望を持ちながら社会的に自立していける環境を早急に整える必要があると考えます。
そこで、質問ですが、慢性疾患を抱える子どもたちが安心して学び、社会的に自立するための支援について、現状の認識と今後どのように進めていくのか、伺います。
次に、脱炭素社会の実現について、2点伺います。
1点目は、
再生可能エネルギー電力の利用拡大についてです。
本市は、2008年に世界に誇れる環境都市を目指す環境首都・札幌宣言を行っています。
昨年11月には、脱炭素先行地域として国内における脱炭素のモデル地域に選定されています。脱炭素先行地域の選定に当たっては、その地域が、2030年度または2030年度を待たずして、民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを達成するために確実に実施する体制を構築する必要があるほか、地域の経済の循環や地域課題の解決、住民の暮らしの質向上につながる先進的な取組を実現することが求められています。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻等に起因する電力卸売市場価格の急騰により、小売電気事業者の多くが電力の新規契約の受入れを停止するといった事態となり、札幌市が
再生可能エネルギー電力の導入を予定していた施設への対応が遅れるなど、本市の取組にも影響が及んでいます。
このような中、本市では、本年4月にG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催され、秋元市長は、北海道知事とともに脱炭素社会の未来を拓く「北海道・札幌宣言」を行いました。宣言では、北海道と札幌市が連携し、国内随一である道内の
再生可能エネルギーの潜在力等を生かすことが掲げられています。また、日本や世界の脱炭素化と産業競争力向上の両立によるグリーントランスフォーメーションに貢献することを通じ、北海道全体の価値と魅力を高めることを目指すことも重要としています。
本市は、道内におけるエネルギーの大消費地として、また、環境首都を目指す都市として果たすべき役割は大変大きいと考えます。今後策定される第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンの戦略編や次期アクションプランの中でも、2030年までに市有施設への
再生可能エネルギー100%導入を実現する積極的な取組姿勢を示すことが必要です。
そこで、質問ですが、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の開催を受けて、脱炭素社会の実現に向けた機運が高まっている今、道内で生み出される
再生可能エネルギー電力の利用拡大を着実に進めていくことが重要ですが、今後どのように進めていくのか、伺います。
2点目は、マンションの脱炭素化に向けた支援についてです。
全国的にマンションの高経年化が進んでいますが、大規模改修工事に関わる資金不足や、長期的な視点に立った修繕計画が策定されていないなど、建物の維持管理に課題を抱える物件が増えることが予想されています。こうした中、今後、マンションの適正管理をどのように進めていくのかが大きな課題となっています。
本市は、国のマンション管理適正化法に基づき、マンションの管理不全化を抑制し、管理水準の向上を図ることを目的に、2023年4月、札幌市マンション管理適正化推進計画を策定しました。この計画に基づき、着実に建物の管理不全を抑制し、住民に快適な居住環境が保たれるよう施策を講じていく必要があると考えます。
本計画は、新たな施策としてマンション管理士等の専門家を現地へ派遣するアドバイザー派遣が盛り込まれていますが、アドバイザーが管理組合に対して助言を行う際には、管理不全の解消に限らず、住環境や管理水準の向上にもつながるような助言を促す取組も必要です。
マンションにおける大規模修繕の検討に当たっては、屋上の防水や外壁塗装など一般的に行われている修繕に加え、家庭で使用するエネルギーと太陽光発電などでつくるエネルギーのバランスを取り、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にするZEH化等により省エネ改修を検討するなど、最適なタイミングで改修を促進する事業を展開していくことも重要です。
我が会派は、以前より、積雪寒冷地という地域特性や管理水準の向上に合わせて、マンションの省エネ性能の向上を図ることの重要性を指摘してまいりました。
本市が2018年に行った集合住宅の高断熱化モデル改修の効果を検証した際には、エネルギー使用量の減少や室内温度の改善による快適性の向上などに顕著な効果が見られ、環境負荷の低減だけではなく、入居者の健康増進にも寄与する可能性があるという結果が得られました。
環境首都・札幌を掲げる本市として、市営住宅の高断熱化改修を通じた脱炭素化の取組をマンションなどの民生部門へ広げていくことは、大きな社会的意義があります。推進計画の対象である管理組合がスムーズに脱炭素化を進められるよう支援策を構築すべきと考えます。
そこで、質問ですが、マンションの脱炭素化に向けてどのような支援を行っていくのか、伺います。
次に、指定管理施設における労働環境の改善に向けた取組についてです。
指定管理者制度は、市民サービスの向上と効率的な施設運営の両立を目指すものとして、本市においては、2006年度から本格運用が始まり、現在では423の公の施設において指定管理者による管理運営が行われています。本年4月に全指定管理施設の約9割に及ぶ366施設について指定管理期間が更新され、新たに管理運営を担うこととなった事業者を含め、今後5年間、しっかりと施設管理を担っていただけるものと期待しているところであります。
しかし、指定管理者の更新以降の状況は、昨今の物価、光熱費等の高騰により、各施設の管理運営に大きな影響を及ぼしているものと認識します。
そのような中、最低賃金改定の動向や今次春闘の結果などを見ると、物価高騰や人材不足などの影響も相まって労働者の賃金は上昇傾向にあります。既に指定管理費が確定している施設管理者は、直面する物価高騰等への対応を優先せざるを得ず、雇用労働条件への適切な配慮などが十分にできないのではと考えます。
このことは、市民サービスの最前線で働く人々や非正規労働者などの不安定な雇用形態の人々にしわ寄せが来る可能性があり、配置人員の抑制による出勤数の減少や業務量の増加、賃金上昇の抑制など、意欲を持って働いている方であってもモチベーションの維持は難しく、人手不足に拍車がかかる悪循環になるのではないかと危惧しているところです。
我が会派は、一貫して、公共サービスを支える事業者や非正規労働者の雇用環境を守る対策を講じるよう求めてまいりました。昨年の第4回定例会の我が会派の代表質問に対し、市長からは、賃金水準の上昇を担保する新たな制度の構築など、指定管理施設における労働環境の向上を後押しできる取組をしっかりと検討してまいりたいと力強い答弁がありました。昨今の社会経済情勢等を考慮すると、この賃金水準の上昇を担保する制度の創設は、待ったなしの喫緊の政策課題であると考えます。
そこで、質問ですが、指定管理施設における労働環境改善に向け、労働者の賃金上昇を担保する制度を速やかに導入することが必要と考えますがいかがか、お伺いします。
次に、札幌市観光まちづくりプランについて伺います。
本市では、地域の魅力あふれるまちづくりと観光振興を一体的に進めるという考えの下、2013年度に10年間の観光施策の方向性をまとめた札幌市観光まちづくりプランを策定し、様々な取組を進めてきました。この間の観光消費額の推移を見ると、プラン策定前の2012年度は3,743億円でしたが、インバウンドの好調な伸びなどにより、コロナ禍前の2018年度は5,780億円に増加しており、観光産業は市内経済の成長を牽引してきたと言えます。
2020年度以降はコロナ禍により観光産業は大きな打撃を受けましたが、今年5月に
新型コロナウイルスの感染症法における分類が5類になり、水際対策が終了するなど、観光客が戻ってきている状況になってきています。国内外における需要の回復を捉え、本市の観光を再び成長軌道に乗せることが喫緊の課題ですが、その過程においては、単にコロナ禍前の状態に戻すのではなく、観光産業の持続的な発展につなげていく視点で取り組むことが重要です。
また、札幌の発展のためには、道内各地と連携した観光地としての魅力向上や広域周遊の促進により、道内全体の経済循環を高める役割も果たしていかなければなりません。
このような状況の中、本市では、次期プランの策定を進めており、5月16日に市長が諮問した有識者会議から答申が提出されるとともに、本市観光の推進体制について提言を受けました。この答申では、北海道新幹線の延伸や再開発加速などの環境変化や、本年9月にアジア初のリアル開催が予定されている世界最大級のアドベンチャートラベルの商談会であるアドベンチャートラベル・ワールドサミットなどに触れ、こうした機会を最大限に生かし、世界から選ばれる持続可能な観光地として発展していくために本市が次期プランを策定するべきとしています。また、提言では、観光地経営の視点に立った観光まちづくりを推進する体制強化が急務であるとし、観光地域づくりを持続的、戦略的に推進し、牽引する専門性の高い組織であるDMOの設立や、財源確保の必要性を指摘しています。
そこで、質問ですが、今回の有識者会議からの答申と提言などを踏まえ、どのような考え方で次期札幌市観光まちづくりプランを策定するのか、伺います。
次に、経済対策について、2点伺います。
1点目は、札幌・北海道スタートアップ・エコシステム構築に向けた取組についてです。
近年、社会的課題を成長のエンジンに転換し、持続可能な経済社会の実現を目指すスタートアップ企業を次々と創出し、地域全体のイノベーションを加速する仕組み、いわゆるスタートアップ・エコシステムを構築していく機運が高まっています。
我が会派は、2019年7月の第二部議案審査特別委員会で、スタートアップ創出支援を産学官連携の上、推進することを求めて以降、スタートアップ支援の充実に向けた提言を行ってきました。
本市は、2019年9月のスタートアップシティ宣言以降、産学官が連携してスタートアップ・エコシステムの構築に取り組み、2020年には内閣府より推進拠点都市に選定されています。その後も、本市は、札幌、北海道から世界を変えるスタートアップを創出するというミッションを掲げ、専門スキルを有する外部人材を登用するなど、スタートアップ支援に力を入れてきました。
国では、2022年をスタートアップ創出元年とし、スタートアップ育成5か年計画を策定しました。国の計画策定に伴い、全国的にスタートアップ・エコシステム構築の機運の高まりは、短期的なものではなく、中長期的なものとなっています。さらに、全国の各自治体のスタートアップ・エコシステム構築に向けた取組は加速し、現在、道内各自治体においても、スタートアップ担当部署の創設や増員などスタートアップ支援に力を入れ始めています。
このように各地で支援が増えることはよいことでありますが、一方で、それぞれが行う施策が連動せず、また、関連する取組の情報発信も集約されず、結果として施策が有効に活用されないといった課題もあります。また、スタートアップへの支援は、早期に株式の上場や合併、買収を目指すという成長戦略や、今までの日本企業とは異なる特徴、資金調達方法の理解など専門性が求められる分野となっています。
同時に、中長期的な取組が必要なことから、行政職員のみならず、産学官連携の上で今まで以上に専門性の高い体制づくりが必要です。さらに、スタートアップ・エコシステムを構築していくには、投資家、起業家、支援者、学生ほか関係者が集う拠点となる場所が極めて重要であり、札幌の
スタートアップのシンボルとなる拠点整備も大きな課題です。
そこで、質問ですが、札幌・北海道
スタートアップ・エコシステムの構築に向け、多くの関係者が一丸となって取組を進めていくために、今後どのように施策を展開していくお考えか、伺います。
2点目は、企業の国際ビジネス支援についてであります。
近年、円安などの影響もあり、海外での販売開拓やビジネスパートナーを求める動きなど、海外展開に目を向ける企業が増加しています。今後、少子高齢化、人口減少に伴う国内市場の縮小が見込まれる中、市内企業の海外ビジネス展開はますます重要になると考えます。
しかし、市内企業の中には、海外ビジネス展開への意欲はあっても、ノウハウを持ち合わせていないなどの課題を抱えている企業が少なくありません。海外展開を経営改善策として進める市内企業を一層増やしていくためには、海外展開時の相談機能や販路拡大に向けた事業計画策定支援などの各種支援をより充実させる必要があります。本市は、2022年度に海外展開支援事業を行いましたが、応募多数のため、募集を終了するほど需要があり、海外展開への興味・関心を持っている企業に向けた支援の充実強化は一層力を入れるべきです。
また、海外ビジネス展開においては、市内企業における海外人材の確保も重要です。特に、ITやコンテンツ産業などは、優れた知識や高度な技術を持つ人材が求められます。外国人材の雇用となると、企業側の受入れ体制が十分に整っていないことや、外国人材が日本の商慣習や生活文化を学ぶ機会が少ないことから、雇用や就労継続に関する課題もあります。
また、ラピダスの進出やG7環境大臣会合での北海道・札幌宣言を踏まえ、世界に視野を広げ、半導体関連産業やグリーントランスフォーメーション関連産業など、高度な人材や技術を持つ外資企業などの投資を本市に呼び込むことも重要な観点ではないでしょうか。
こうした国際ビジネスにおける支援の充実強化は、市内企業の海外への販路拡大、高度人材の確保、イノベーションの創出など、地域経済成長力の強化、活性化に寄与するものであり、本市としても注力すべきと考えます。
そこで、質問ですが、市内企業の海外展開や外国人材の活用など、市内における国際ビジネスの支援のためにどのように取り組んでいくのか、伺います。
最後に、札幌の農業振興について伺います。
近年、都市農業の重要性が再認識され、国では、2015年に都市農業振興基本法を施行し、地方公共団体においても、この法律に基づいた実行計画を策定し、都市農業の安定的な継続を図ることとされました。また、国内農業を振興して国内生産を維持することの重要性が高まり、国は、2021年3月、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するみどりの食料システム戦略を策定しました。
さらに、国は、食料自給率の向上と食料安全保障の確立のため、5年ごとに策定する食料・農業・農村に関する中長期的な取組方針を定めた食料・農業・農村基本計画について、2025年の見直しに向けて内容の検討を進めているところであります。
本市は、人口197万人を超える大都市かつ食料の大消費地です。このため、本市の農業は、市民に特色のある栄養価の高い農作物を新鮮な状態で供給することができるという高い優位性を持っています。大規模農業を営むほかの農業地帯と競合するのではなく、小規模なスペースでも高付加価値な都市農業に適した作物の営農指導を農業団体と連携して取り組むなど、北海道の最大マーケットを有する本市の強みを生かしていくことが必要です。
また、本市で農作物が生産されることは、市民への供給はもとより、景観形成や生物多様性の維持、農業への理解促進、食育、環境教育と多くの役割があります。それゆえに、本市の農業振興は持続可能な循環型社会の構築に不可欠なものです。
一方、国の農林業センサスによると、本市の2020年の農家戸数は627戸で、2010年の993戸と比べると大きく減少し、経営耕地面積も2,022ヘクタールから1,480ヘクタールに縮小しています。また、農業従事者の高齢化が進み、担い手の確保が急務であり、本市の農業の現状把握や今後の振興策の検討が必要です。
そこで、質問ですが、このような状況の中、今後の本市の農業振興施策についてどのように考えているのか、伺います。
これで、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(しのだ江里子) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で8項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢について、4項目めの脱炭素社会の実現について、5項目めの指定管理施設における労働環境の改善に向けた取組についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
最初に、私の政治姿勢についての1項目め、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023についてお答えをいたします。
今年度予定をしております中期実施計画の策定に当たり、第2次まちづくり戦略ビジョンの具体化や公約としてお約束した事柄の実現に向け、全庁に事業構築の検討を指示したところであります。
戦略ビジョンでは、分野横断的な重要課題をプロジェクトとしており、アクションプランでもその具体化に取り組んでまいります。その中でも、喫緊の課題の一つであります人口減少緩和につきましては、若年層の経済基盤の安定ということが重要であり、良質な雇用の創出につながる経済活性化の取組について計画に盛り込んでまいりたいと考えております。
また、ワークショップやパブリックコメント等を通じて、若者をはじめ、市民と意見を交換する機会を設けながら、年内の計画策定に向けてしっかりと取り組んでまいります。
次に、2項目めの物価高騰対策についてであります。
長引く物価高騰は、市民生活や企業活動に多大な影響を及ぼしておりますことから、市政の喫緊の課題として、国の地方創生臨時交付金などの財源を活用しながら、国や北海道と役割分担しつつ重層的な支援を展開してきたところであります。
今後に向け、まずは、さきの臨時会で議決いただいた物価高騰対策や、本定例会において提案をしております追加の取組についても議決をいただいた後、市民や事業者の皆様にその効果を速やかにお届けできるよう、スピード感を持って事業を実施してまいりたいと考えております。
また、現状におきましては、物価高騰の早期の収束がなかなか見通せないことから、引き続き、国に対し財政措置の拡充など財源確保を求めつつ、市として、柔軟かつ機動的な支援を講じられるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、財政問題についてであります。
1点目の肉づけ予算編成についてでありますが、予算編成に当たりましては、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街と、世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街さっぽろを実現するために、六つのまちづくりを重点政策に設定し、特にコロナ禍で落ち込んだ経済の活性化や脱炭素社会の実現など、早期に実施する必要がある事業を中心に計上したところであります。また、次期中期実施計画の策定に向けて、各重点政策を着実に推進するために必要な準備や体制整備に係る経費も計上いたしました。
市民の皆さんとお約束した公約の中には、検討に時間を要するものや財源の見通しを踏まえて検討すべきものもありますことから、次期中期実施計画において公約の実現に向けた取組を具体化する考えであります。
2点目の今後の財政運営についてでありますが、今後も進む人口減少や高齢社会を踏まえ、持続可能な財政運営を行うためには、市税をはじめとする自主財源の維持、拡充に向けた取組を充実させ、財政基盤を強化することが重要と考えており、そのためには、引き続き、積極的な企業誘致や民間投資の誘発による経済活性化など、税源涵養に資するまちづくりの推進や宿泊税の導入など新たな財源確保の手法を継続して検討していく必要があると考えております。
次期中期実施計画の策定に当たりましては、財政状況を中長期に見通した上で、将来世代に過度の負担を残さないよう市債残高の水準に配慮しながら、また、突発的な市政課題にも機動的に対応できるよう適切な基金残高を維持するなど、バランスの取れた財政運営を堅持してまいります。
次に、4項目めの冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致についてであります。
招致実現に向けては、まずは、東京大会の事案により生じた市民の不安や不信感を払拭することが最優先であると考え、クリーンな大会運営を目指した見直し案の策定を進めているところであります。
見直し案の策定に当たりましては、有識者による検討委員会での議論を経て、できるだけ早期に中間報告をお示ししたいと考えております。その上で、見直し案の提示と併せて、大会の開催意義や開催経費等への懸念に関して、広報誌やメディアを通じた発信に加え、討論会や市民説明会などの対話の機会を通じて市民に丁寧に説明をしながら理解を深めてまいりたいと考えております。
次に、5項目めの冬季の災害対策の強化についてであります。
積雪寒冷地であります札幌市において冬季に地震災害が発生した場合には、特に避難生活での低体温症等の健康被害を防ぐことが重要であると認識をしております。
このため、冬の寒さ対策に重点を置き、避難所では、床からの冷えを防ぐベッドの増強や、停電時に暖房が使用可能となる非常用電源の整備を検討するなど、避難生活環境のさらなる改善を図ってまいります。また、職員による冬の避難所訓練を行うとともに、各家庭においても冬の寒さに備えていただくよう周知に取り組むなど、冬季の災害対策の強化に努めてまいります。
次に、大きな4項目めの脱炭素社会の実現についてお答えをいたします。
まず、
再生可能エネルギー電力の利用拡大についてであります。
脱炭素社会の実現には、徹底した省エネルギー対策の下、
再生可能エネルギーの導入拡大を進めることが重要であり、北海道におけるエネルギーの一大消費地である札幌市が道内の豊富な
再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでいく必要があるものと認識をしております。
そこで、道内で発電された
再生可能エネルギー電力のうち、地元自治体内で活用されない余剰分を札幌市内の企業や市有施設で活用する仕組みをつくるための連携事業者として、本年2月に北海道電力株式会社を選定したところであります。
G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合で高まった脱炭素社会の実現に向けた機運を逃さぬよう、連携事業者や関係自治体と一体となって早期の電力供給開始を目指してまいりたいと考えております。
次に、マンションの脱炭素化に向けた支援についてであります。
札幌市では、戸建て住宅や市営住宅の高断熱化など、脱炭素社会の構築に向けて取り組んでいるところでありますが、今後、住宅分野における脱炭素化をさらに進めていくためには、多くの市民が暮らすマンションに対する取組も重要と認識をしているところであります。
そのため、札幌市マンション管理適正化推進計画では、札幌市の地域特性を踏まえ、大規模修繕工事等に合わせた外壁や窓の断熱改修を推奨しているところであります。
積雪寒冷地である札幌市において、断熱改修は、居住環境の向上を図るだけでなく、暖房エネルギーの使用量を減らすことができ、脱炭素社会に向けた取組としても有効でありますことから、管理組合からの要請に応じて建築の専門家を派遣し、現状のマンションの断熱性能の調査や効果的な改修方法の提案を行うことで、管理組合が省エネ改修を円滑に進めることができるよう支援をしてまいります。
次に、5項目めの指定管理施設における労働環境の改善に向けた取組についてであります。
指定管理施設においても、人手不足や労務単価の上昇といった社会経済情勢にしっかりと対応し、よりよい雇用・労働状況条件の下で働く労働者が活躍できる環境を整備することが重要であります。
このため、
最低賃金等の上昇に応じて指定管理施設で働く労働者の賃上げを後押しする制度、いわゆる賃金スライド制度を新たに導入してまいりたいと考えております。早ければ、本年の賃金改定の動向を踏まえ、翌年度には労働者の賃金に反映するべく制度の内容を詰めてまいります。
私からは、以上です。
○副議長(しのだ江里子) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな2項目め、健康寿命の延伸に向けた取組について、大きな3項目め、慢性疾患を抱える子どもたちへの支援についての二つのご質問にお答え申し上げます。
大きな2項目めの健康寿命の延伸に向けた取組についてでございますが、健康寿命の延伸には運動習慣の継続や適切な食事等が重要であり、健康意識の醸成や行動変容の促進につながるよう、幅広い世代の市民に働きかけていく必要がございます。
このため、年齢を問わず気軽に取り組むことができるウオーキングの普及や食生活の改善等に向けて、地域特性を生かした各区での取組を進めてまいります。また、企業、団体、大学が参画する推進会議を新たに立ち上げ、それぞれの知見等を生かした企画や情報発信等に取り組むことで、健康につながる生活習慣を広く浸透させてまいりたいと考えるところでございます。
次に、大きな3項目め、慢性疾患を抱える子どもたちへの支援についてのご質問でございますが、昨年実施しましたアンケート調査では、長期の入院等に伴う学習の遅れや就労に対する不安、心身の状態に合った支援が必要との声が寄せられているところでございます。
慢性疾患を抱える子どもの自立にとっては、不安に寄り添い、支援を充実させることが重要であると認識するところでございますことから、総合的な相談窓口を設置し、学校等の関係機関と連携した支援を行うなど、専門家の意見を聞きながら鋭意検討を進めてまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(しのだ江里子) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな6項目め、次期札幌市観光まちづくりプランについて、7項目め、経済対策について、8項目め、札幌の農業振興についてご答弁を申し上げます。
まず最初に、大きな6項目め、次期札幌市観光まちづくりプランについてであります。
有識者会議からいただきました答申では、重視すべき事柄といたしまして、観光客数だけではなく、付加価値の向上を重視する、いわゆる量から質への転換や、周遊の促進や滞在日数の長期化を図る道内各地との連携などが挙げられておりまして、いずれも欠かすことのできない重要な視点であると認識をいたしております。
とりわけ、世界的なSDGsへの関心の高まりから、観光客の増加による市民生活への影響や環境保全などに十分配慮する持続可能な観光の実現が重要とされておりますことから、次期プランの根底的な理念として各施策に反映させていきたい、このように考えているところでございます。
また、プランに掲げる施策を確実に進めていくためには、産学官民が連携し、地域一体となって取り組むことが重要であり、DMOを含めた体制の強化や財源の確保につきましても、プランの策定と併せてしっかりと検討を進めてまいります。
次に、大きな7項目め、経済対策についてであります。
まず、1点目の札幌・北海道スタートアップ・エコシステム構築に向けた取組についてでありますけれども、これまでも産学官連携によりスタートアップ支援を進めてまいりましたが、今後は、さらに、各機関がそれぞれに取り組む施策を有機的に結びつけ、北海道全体を見据えた戦略を立案し、共に施策を展開することが必要であると認識をいたしております。
このためには、専門的な知見と継続した取組が必要でありますことから、行政、民間、大学及びスタートアップ当事者を含めた施策を機動的に推進できる組織の設置を検討しているところであります。また、戦略的に施策を展開し、エコシステムを構築するためには、人が集うための場が極めて重要であり、札幌の
スタートアップのシンボルとなるような拠点を継続的に確保していくことも必要であると考えております。
そこで、今後は、この推進組織と中核となる拠点を中心として中長期的な視野で
スタートアップ支援が行われるよう、札幌市が牽引役として取り組んでまいりたいと考えているところであります。
次に、2点目の企業の国際ビジネス支援についてであります。
経済のグローバル化が一層進む中で本市経済がこれまで以上に発展していくためには、多くの市内企業が国際ビジネスに目を向け、実践する中で成功事例を数多く積み重ねていくことが必要であると認識をいたしております。
これまでも、食やIT企業を中心に海外販路の拡大やビジネス人材の採用を進めており、札幌市といたしましては、企業と国際ビジネスの専門家とのマッチング機会の提供や、留学生等への合同企業説明会開催などの支援に取り組んできたところでございます。
今後は、技術革新や低炭素社会の動きなどの国際社会情勢の変化が一層顕著になりますことから、支援を継続、強化しつつ、新たに海外展開を志す企業を増加させることにも取り組む必要があるものと考えております。このため、さっぽろ産業振興財団、札幌商工会議所など各支援団体との連携を強化し、企業の海外展開の需要喚起を進めるとともに、きめ細やかなサポートを一層充実させてまいります。
続きまして、大きな8項目め、札幌の農業振興についてであります。
札幌市では、地域・市民とともに育む「さっぽろ農業」を基本理念に掲げましたさっぽろ都市農業ビジョンに基づき、例えば、新鮮な野菜の市民への供給や市民農園整備など、都市農業の強みを生かした農業政策を展開しているところでございます。
今後は、さらに、農業に関心を持つリタイア層など新規就農者の確保や、市街化区域も含めた農業の振興など、都市農業の多様な機能の発揮が必要と考えているところでございます。そのため、今年度から、市内の農地分布と各農業者の作付状況、販路などの現況把握や農業継続意向の把握などの各種調査を進めているところでございます。これらの調査を基に、市街化区域の農業者への支援拡大や新規就農者確保に向けた環境整備の検討など、都市農業を支える裾野を広げ、札幌農業の振興を図ってまいりたい、このように考えているところであります。
私からは、以上であります。
(林 清治議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(しのだ江里子) 林議員。
◆林清治議員 それぞれ各項目、丁寧に、考え方、そして今後の取組方針を示されたなというふうに思っているんですが、2項目だけ、随分、札幌市の秋元市長は消極的だなという部分がございまして、再度質問したいなというふうに思います。
まず最初は、市長の政治姿勢の2項目め、物価高騰対策について。
この中で、答弁では、国、北海道と連携を図る、引き続き、国に対して財政措置を求めつつ、柔軟に機動的に支援に取り組んでいきたいというような答弁がございました。
この答弁を聞く限り、やはり札幌市としては受身でいるのかなと。本当に、確かに国の財政支援という部分がないと、なかなかその施策を組むことも難しいし、大変な状況だというのは分かっております。
ただ、先ほど質問の中でも言ったとおり、今後の食品などの値上げ予想というのは、品目数がどんどん増加している状況、燃料価格の推移によっては、本当に食料品以外の価格にも大きな影響が出るであろうということが今言われております。
昨年、本市は、全国の市町村に先立って家事用の水道料金の減額というものを実施しました。8月の臨時議会で約29億円の補正予算を計上し、その後、10月、11月の基本料金を減額した。これは、その後、全国的に、札幌市の先行事例に従って実質的にやっている自治体も出てきているという状況であります。
今、一番問題になるのは、国の物価高騰対策で主なターゲットになっているのは、生活困窮者であり、ひとり親家庭であります。この長引く物価高騰の中で、年金生活者や非正規労働者の中からも、やはり生活が厳しい、何とかしてほしい、そうした声が多数上がってきております。
そうした中で、やはり、確かに財政的に厳しい状況ではございますが、何とかそのやりくり、または基金などの活用の中で札幌市独自の経済対策を検討していく気持ちがあるかないかだけ、まず、市長にお伺いしたいなというふうに思っております。
それと、もう一つが、大きな4項目めの2項目め、マンションの脱炭素化に向けた支援について。
これも、やはり消極的な姿勢が出ております。答弁において、断熱改修が、暖房エネルギーの使用量を減らし、脱炭素社会に向けて有効だ、そうしたことは市としても認めていただきました。その上で、管理組合からの要請に応じて、建築の専門家などの派遣をして断熱性能の調査、効果的な改修方法の提案を行うということであります。これは、本当に、要請に応じて専門家の派遣をする、これがすごい残念な答弁でなりません。
これまで、札幌市は、市有建築物の省エネ化を進めてまいりました。そして、市営住宅の断熱改修などの知見も得てきております。そうしたノウハウを、これから、やはり民間の部門にもどんどん、どんどんアピールし、周知していくことが大事だと思います。
札幌の温暖化対策の中でも示されておりましたが、やはり、民生住宅部門でのCO2排出が札幌市全体の35%を占めている、ちょっと古いデータではありますが、そういうデータもございました。そうした中で、民間の建築物もZEB、ZEH化は随分と増えてまいりました。だけど、やはり、これから、古い住宅、マンションの修繕などのときに省エネ改修をするということが、このCO2削減、温室効果ガスの削減に直結する大きな施策になります。
そうした中で、確かに、予算が絡む、入居者、所有者がお金を負担しなければいけないという大きな側面はありますけれども、省エネ改修をやることがどれだけ効果があるのかというのを、積極的に、マンション管理組合など、またはマンションのオーナーの皆さんに周知することを札幌市として取り組んでいただきたい、そのことも札幌市として今後どのように考えていくのか、お伺いしたいと思います。
○副議長(しのだ江里子) 秋元市長。
◎市長(秋元克広) 再質問をいただきましたが、物価高騰対策については、全国的に物価高騰というのはこれからも続いていくというふうに思っています。そういう意味では、国を含めて、少し中長期的な視点で取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
そういう意味では、いろいろな財源が重複しないように、国あるいは北海道がやられる事柄、それと重複しないようにこれまでも取り組んでまいりましたけれども、これからも、基本的には、そういう重複しない形で有効に財源を使っていく必要があるというふうに基本的に思っています。そういう意味では、引き続き、国あるいは北海道の動き、こういったようなもの、物価の動きといったものを見ながら適宜に対応していきたいというふうに思っております。
今ご質問にありましたように、とは言っても、やはり財源が必要になってまいります。昨年の水道料金についても多額の財源が必要ということになりますので、これから様々な事業をやっていく中で、何を優先していくのかということについて、改めて議会の皆様とも議論をしていきたい、このように思います。
2点目のマンションの脱炭素化に向けての取組ということであります。
基本的には、各管理組合の皆さんが将来に向けての修繕のときに効率的な対応をしていただくということ、これが重要だというふうに思っておりますので、ご質問にありましたように、これまでの取組の効果、あるいは、具体的にどういう形でエネルギー消費の削減、これは、逆に言うと、今、エネルギー高騰をしているという状況でありますから、市民の皆さんの負担も、その部分、イニシャルとしてはかかりますけれども、ランニングとしては落ちてくるというような効果、こういったことなどについてはしっかりと周知をしながら、そして、大規模修繕のときに併せてやっていただけるように、この辺については積極的に取り組んで周知をしていきたい、このように思います。
○副議長(しのだ江里子) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日6月20日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(しのだ江里子) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定いたしました。
――
――――――――――――――――――
○副議長(しのだ江里子) 本日は、これで散会いたします。
――
――――――――――――――――――
散 会 午後4時14分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 飯 島 弘 之
副 議 長 し の だ 江 里 子
署名議員 小 須 田 大 拓
署名議員 村 上 ゆ う こ...