札幌市議会 2023-03-03
令和 5年第一部予算特別委員会−03月03日-03号
令和 5年第一部
予算特別委員会−03月03日-03号令和 5年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第3号)
令和5年(2023年)3月3日(金曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33名(欠は欠席者)
委 員 長 川田 ただひさ 副委員長 田 中 啓 介
委 員 武 市 憲 一 委 員 勝 木 勇 人
委 員 こんどう 和雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 こじま ゆ み
委 員 北 村 光一郎 委 員 阿部 ひであき
委 員 松 井 隆 文 委 員 村 松 叶 啓
委 員 村 山 拓 司 委 員 三 神 英 彦
委 員 小 野 正 美 委 員 大 嶋 薫
委 員 ふじわら 広昭 委 員 桑 原 透
委 員 中 村 たけし 委 員 かんの 太 一
委 員 成 田 祐 樹 委 員 うるしはら直子
委 員 あおい ひろみ 委 員 田 島 央 一
委 員 福 田 浩太郎 委 員 好 井 七 海
欠 委 員 小 口 智 久 委 員 竹 内 孝 代
委 員 くまがい 誠一 委 員 太 田 秀 子
委 員 池 田 由 美 委 員 佐々木 明 美
委 員 長 屋 いずみ 委 員 石 川 さわ子
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開 議 午後1時
――――――――――――――
○川田ただひさ 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、伴委員からは北村委員と、佐藤委員からは長屋委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第7款 消防費 第1項 消防費の質疑を行います。
◆
竹内孝代 委員 私からは、消防団の
活躍推進について質問をさせていただきます。
平成28年
決算特別委員会で、消防団を中核とした
地域防災力の充実強化に関する法律の制定を踏まえた本市の取組を質問させていただきました。このときの答弁で、今後10年間の運営指針となる札幌市
消防団ビジョンを策定することが示され、以来、このビジョンに沿った取組が進められてきたものと認識しております。
この札幌市
消防団ビジョンの今後の取組についてということで、令和2年の
決算特別委員会で質問をさせていただいた際、
消防団員に専門的な知識と技術を身につけさせて、町内会などの
自主防災組織への
防災指導に当たるという札幌市
地域防災指導員制度を導入するとの答弁がありました。
それから2年が経過し、指導員の養成については、
新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、養成手法を工夫して、2年間で
計画どおり246名の養成を行い、令和3年からはそれぞれの地域で
防災指導を開始しているというふうに承知をしております。
そこで、質問ですが、札幌市
地域防災指導員の制度ができてからの
活動実績、また、地域の反応についてお聞きします。また、これらを踏まえて、来年度の取組についての考えを示していただきたく、伺います。
◎茶谷 総務部長
地域防災指導員による
防災指導についてお答えいたします。
まず、
活動実績についてでありますが、令和3年11月から町内会や小・中学校のほか、地域の
防災リーダーなどを対象に
防災指導を開始いたしまして、本年1月末時点で40か所、約2,800名の市民に対し
防災指導を行っております。
次に、地域の反応についてでありますけれども、防災訓練の必要性を再認識した、あるいは、定期的に行ってほしいといった意見のほか、DIGなどの図上訓練も行ってほしいという
地域防災全般に関する意見もありました。
また、来年度の取組ですが、指導に当たった団員の振り返りや地域の反応を踏まえた
フォローアップ研修を行い、地域からの幅広いニーズに応えられるよう、指導内容の充実を図るとともに、より多くの市民の方に参加してもらうために、各区や
防災関係団体と連携して、
各種イベントと併せた指導も行っていきたいと考えております。
◆
竹内孝代 委員
地域防災指導員がスタートとして、地域の皆さんからも定期的に行ってほしいなどのお声もいただいてるという、そうした取組、また、来年度については理解をいたしました。
この
地域防災指導員というのは、
防災資機材の取扱い、また、
応急手当指導など技術的なノウハウの指導にとどまらず、
地域防災全般に、より専門的な指導・助言が行える防災のスペシャリストとしての役割が求められていると思います。
このような指導員の
スキルアップに向けた研修を行うことは、
指導員自身の
モチベーション向上にもつながっていくと考えております。
一方で、指導員以外の団員については、消防団に入団したときに基礎的な研修を受けているものの、その後の研修などの機会も限られており、より高いスキルを求めている団員も数多くいると聞いております。
私も、実際、区を越えた団員の方々、
女性消防団員の方々と交流をさせていただく中で、防災資格を取得したいというグループがありまして、その中で目指し、今回取得できた方の体験をみんなで喜び合ったり、自分も目指していきたい、励みになった、こうした声も聞いているところであります。そういった指導員以外の意欲のある団員に対しても
スキルアップを促すような取組が必要ではないかと考えます。
消防団に入って専門的な知識や技術が身についたという実感は、さらなる活動意欲を高め、ひいては
地域防災力の充実強化につながっていきます。
そこで、質問ですが、意欲のある団員に対する
スキルアップについてはどのように考えておられるのか、伺います。
◎茶谷 総務部長 意欲のある団員の
スキルアップについてお答えいたします。
指導員以外の団員全般にわたって
スキルアップの機会を設けることは、消防団全体の
防災対応力の向上にもつながることから、大変意義のあることと認識しております。
スキルアップを図っていくためには、まずは各分団で行っているポンプの取扱いや救出、救護などの日常的な訓練のほか、地震や水害などに対応する連携訓練などに参加することが何よりも大事なことと考えております。
このほか、意欲のある団員に対しては、防災分野など、より専門的な知識が得られる研修を設けることで、より大きな効果が期待できますことから、その実施について検討してまいりたいと思っております。
◆
竹内孝代 委員 私も
消防団員の一人ですけれども、日常の活動、また訓練に積極的に参加していくことが大変重要でありますし、また、受けた訓練の中で、しっかりとそれぞれの力を発揮していけるような場も情報共有をしておるところでありますけれども、さらに
スキルアップをしたいという観点での質問でございました。
そういった意味では、今、大変意義があるという認識、また、専門知識が得られる取組を実施してくださるということでございますので、ぜひよろしくお願いいたします。
札幌市消防団の特色としましては、女性の比率が政令市の中で最も高いということが挙げられておりまして、この特色を生かして、
女性団員による応急手当の特設隊、いわゆる
レディース隊を編成して、学校等で行う救命講習を実施するなど、応急手当の普及向上の一翼を担っている消防団もあります。私の所属する団もその一つであります。心配なことがあれば、
女性消防団の先輩に相談したり、また、互いに励まし合ったりしながら活動をしております。
平成28年
決算特別委員会で、今後の活性化や
活躍推進のために、
女性消防団員の情報交流の必要性を主張させていただきました。このときに、市内10消防団全体の
女性消防団員による研修会の実現に向けて協力をしていくとの答弁がありました。その結果、翌年、
女性消防団員活性化推進会議という形で実現され、第1回目は157名の
女性消防団員が参加、6回目となる昨年の会議では、札幌市だけでなく、
石狩振興局管内の
女性団員も参加され、大きな刺激を受け、非常に有意義な会議であったといった意見が多かったと聞いております。
一方で、市内の
女性消防団員からは、様々な声やご相談が私の元に寄せられております。
実際に市内で転居して団が変わった方から、
女性消防団員への理解の違いが大き過ぎて悩まれている、こうしたお声も聞いたところであります。会議で出た意見を日頃の団活動にフィードバックしていく仕組みが大切ではないかと考えます。
また、この
女性消防団員活性化推進会議以外でも、日々の
消防団活動の中で出された
女性団員の意見や要望などについて、消防団の運営に生かしていく仕組みも必要であると考えます。
そこで、質問ですが、
女性団員の
活動環境をよりよくしていくために、会議や日常の活動の中で出された意見などを団活動に反映するための
仕組みづくりについてどのように考えておられるのか、伺います。
◎茶谷 総務部長
女性団員の意見を
消防団活動に反映するための
仕組みづくりについてお答えいたします。
女性消防団員活性化推進会議で出された意見につきましては、消防団長などが集まる全体の会議で報告を行いまして、各消防団の活動に生かしてもらっております。
これに加えまして、来年度は、地域の
指導的立場であります分団長を対象に、
部下団員の指導や
環境づくりに関する研修を予定しておりますことから、この中でもしっかり伝えていきたいと考えております。
また、会議以外でも団員の意見や要望を
消防団活動に生かしていくために、
消防団専用のホームページを活用いたしまして、特定のテーマに関する
アンケート調査を定期的に実施したいと考えております。
以上のような取組によりまして、
女性団員の
活動環境をよりよくすることはもとより、誰もが活動しやすい
環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
◆
竹内孝代 委員 新たな取組を検討してくださるということでございますので、ぜひとも早急に実現をしていただきたく思います。
様々な質疑をさせていただきましたけれども、災害はいつどこで起こるか分かりません。
北海道胆振東部地震のときも、私の所属する分団は、里塚の被災地の夜のパトロールを志願し、経験させていただきました。また、市内でも100人を超える団員が被災地で活動したというふうに聞いております。
高い志を持つ
消防団員の確保と定着は、災害に強い
まちづくりに重要な取組であります。
地域防災の中核である消防団の一層の
活躍推進と充実強化を図っていただくよう要望して、質問を終わります。
◆こじまゆみ 委員 私からは、
救急活動のデジタルトランスフォーメーションについてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響により、また、
高齢者人口が増大しているなどの様々な要因から、全国的に
救急出動件数や
搬送困難事例が増加しており、札幌市も、昨年、出動件数が過去最多を更新し、搬送困難となる件数も非常に多いということで、対策が必要なことは容易に理解できる状況であります。
令和4年第4回
定例市議会の代表質問の場において、我が会派の村松議員より、緊急医療におけるICT化の推進を質問させていただいており、その中で、
医療機関への
ICT導入について、市長からも、令和5年度の早い段階での導入を目指し検討していくとの答弁がございました。
消防局が今年度、救急隊と
医療機関との間でタイムリーな患者情報の共有を可能とするアプリにより、傷病者の病院への受入れの時間短縮を図り、速やかに
医療機関へ搬送するための
実証実験を二つの企業の間でそれぞれ行ってきたことは承知しております。
そこで、この
救急活動のDX化に関する
実証実験の結果について、どのようなものであったのか、お伺いいたします。
◎稲童丸
救急担当部長 実証実験の結果につきましてお答えいたします。
今年度の上期、下期にそれぞれ異なるアプリと機器を使用した2社と
実証実験を行ったところでございまして、上期につきましては、5か月間で五つの
医療機関と行い、1件当たりの
受入れ確認時間が平均1分の時間短縮が認められたところでございます。また、下期につきましては、現在も
実証実験中でございますが、2か月間で八つの
医療機関との結果といたしまして、1件
当たり平均0.8分の時間短縮が認められたところでございます。
いずれの結果におきましても、現場滞在時間の短縮につながることが確認できたところでございます。
また、
アンケート調査を行ったところ、救急隊からは、保険証などの住所、氏名、生年月日の
画像データを文字変換できる
OCR機能が有効であったとの意見があり、また、
医療機関側からは、患者情報がデータ化されているので、
院内スタッフとの情報共有が容易になり、スムーズな
受入れ準備ができたなどの意見があったところでございます。
◆こじまゆみ 委員
実証実験の結果については、
搬送先医療機関への受入れ時間短縮等、一定の効果があることが明らかになりました。
私も病院で傷病手当の引継ぎの書類にサインをさせていただくのですが、そのデータが来る前に、事前に患者さんの情報が病院に届くことによって、カテーテルの検査が必要なのか、手術室の準備が必要なのか、事前に待機することができますので、患者さんの救命もすごく短縮できることにつながると思います。救急隊側の入力と
医療機関側での
システム理解などの習熟が進むと、さらなる時間短縮につながり、市民が適切な医療を早期に受けられることも期待できます。
その一方で、最近の救急出動の増加状況を見ると、
救急隊員の肉体的・
精神的負担も大きなものであり、
救急隊員の労働負荷の軽減も必要であると考えます。そこで、
救急活動の
デジタル化を図ることにより何か対策につなげられないのかなというふうに、ふだんから考えておりました。
また、現在、
救急医療体制の見直しのために、保健所が
救急医療見える
化システムの導入を予定しており、消防局と連携をしていくと伺っております。
そこで、この
救急活動DX導入によるさらなる効果について伺います。
◎稲童丸
救急担当部長 DX導入によりますさらなる効果についてお答えいたします。
現在、救急隊が
医療機関へ
受入れ確認を行う際は、傷病者の情報を口頭で電話連絡しているところでございますが、データ化した
傷病者情報を送信することで、誤認識や伝え漏れなどを防ぐことができます。また、
救急活動後においては、
デジタル化した
傷病者情報を
出動報告書の
作成システムに反映させることができ、事務作業を軽減することができます。こうした効果は、
救急隊員の労働負荷の軽減につながるものと考えているところでございます。
また、保健所が導入を検討しております
救急医療の見える
化システムとの連携に関しましては、
空きベッド数などが事前に分かることで、搬送先が決まらない、いわゆる
救急搬送困難事例の低減が期待されるところでありまして、今後とも、保健所との連携を密にして、よりよい
システムを目指してまいりたいと考えております。
◆こじまゆみ 委員
救急活動DXの導入によって、
救急隊員や
医療機関側の
労働負荷軽減にもつながることが想定され、保健所が導入する
システムとの連携により、さらに効果的になるものと大きく期待しております。
これらの連携によるDXで、プレホスピタルからインホスピタルへのいち早いつなぎが可能となり、必要な人に必要な医療が早期に提供できるようになると考えます。しかしながら、
デジタル化の導入には、
医療機関への調整を含め、通常、かなりの時間を要することが考えられます。
そこで、
救急活動DXの導入の
スケジュールについて、詳しく伺わせていただきます。
◎稲童丸
救急担当部長 導入の
スケジュールについてお答えいたします。
導入に当たりましては、年内をめどに、
スマートフォンや
タブレットなどの調達をはじめ、使用するアプリの操作画面を救急隊用にカスタマイズすることや、
出動報告書を入力している
システムとの連携などを構築していく予定でございます。
また、その後、年度内には、各
医療機関への説明、救急隊の操作習熟などを行いまして、全救急隊の運用を開始したいと考えているところでございます。
◆こじまゆみ 委員 救急隊、
医療機関共に、業務を行いながらDX化を導入していくということは、非常に多忙の中で大変なことだと思います。
今、実際に
実証実験をされているでしょうが、実際の記録と
タブレット操作と両方を同時にやっているということでしょうから、本当にそこは人員を増やさずに
実証実験をなさっているということで、このコロナ禍で非常にご苦労されていることに改めて敬意と感謝を申し上げます。
これを導入するには、スムーズに移行できるかがやはり肝心なところでありまして、
デジタル化とはいえ、人命を救助するには、何よりも人の役割が重要であります。ですから、導入に必要な協議や説明、そして、トレーニングを十分に行っていただき、相互に快適な環境が整備されてこそ、DXであると思います。実際の運用に向けては、人の命に関わることから、丁寧に、そして、きめ細やかな対応をお願いいたします。
今後とも、超高齢社会を背景に救急需要の増加が続く中で、救急隊の現場到着時間が延びているというふうに伺っております。非常に危惧しております。ですから、
出動可能救急隊がなくなることも想定されますので、そのようなことがないよう、この
救急活動DXの導入だけではこれらの課題を解決できるわけではありませんが、様々な対策を講じていただき、救急体制を整備し、本来の市民の安心・安全で本当に快適なまちになるよう、その
まちづくりにつなげていくことをご要望させていただき、私の質問を終わります。
○川田ただひさ 委員長 以上で、第1項 消防費の質疑を終了いたします。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
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休 憩 午後1時23分
再 開 午後1時24分
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○川田ただひさ 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中
危機管理局関係分の質疑を行います。
◆三神英彦 委員 私からは、防災・
危機管理機能の強化に係る取組について質問させていただきます。
先月25日、釧路沖で震度5弱の地震が発生しましたが、北海道に大きな被害を及ぼすことが想定されている日本海溝・
千島海溝周辺海溝型地震では、長時間寒冷状況にさらされることで発生する低体温症による対処が必要な方はおよそ6万6,000人と推計されています。この対処が遅れると、何とか津波等の被害を免れたとしても命を落としかねないという最悪の結果に至る可能性を示唆する数値でもあります。
この地震では、札幌市内でも震度5弱程度の揺れが続く地域もあり、住宅の半壊や液状化による被害の心配も指摘されていました。札幌市としても、決して人ごとではない事態だと考えています。
危機管理局の皆さんには、このような自然災害から市民の生命を守るための方策として、先回りして想定してほしいということを今までお願いしてきました。
さきの代表質問でも、市長からは、危機事象に対し迅速かつ的確に対応できるよう、
危機管理上、主要な役割を担う部局と平時から情報や認識を共有できる体制を構築するとともに、実災害を意識した訓練を積み重ねていると答弁いただきました。
最初の質問です。
危機管理局では、この1年、防災・
危機管理機能の強化を図るため、どのような訓練に取り組んできたのか、伺います。
◎浅山
危機管理部長 防災・
危機管理機能の強化に係る訓練についてお答えいたします。
札幌市では、厳冬期に感染症が流行している中で巨大地震が発生し、さらに大規模停電となったということを最悪の想定としております。
このため、大規模災害を経験した都市に実態調査を行うとともに、専門家、有識者による研修を積極的に受講し、加えて、厳冬期、感染症、大規模停電を想定した
避難所宿泊訓練に参加するなどして、防災、
危機管理に関する知見を蓄えてまいりました。
今年1月の
市災害対策本部運営訓練においては、これらの知見を活用しまして、厳冬期と感染症の双方に配慮した避難所の開設指示や、停電の発生と復旧に向けた作業状況の把握など、実践的な訓練を行ったところでございます。
◆三神英彦 委員 今後も引き続き、市職員の皆さんには
災害対応力の向上を目指して取り組んでいただけたらと思います。
次に、答弁いただいた市の
災害対策本部に関連することについて質問させていただきます。
市災害対策本部は、
災害対策基本法第23条の2の規定により、市の地域において災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、
地域防災計画の定めるところにより、市長が
災害対策本部を設置することができるとなっています。
災害発生時には、人命救助をはじめとして、避難所の運営や被害状況の把握、孤立地域への物資の運送、搬送など、平常時には発生しない業務が同時多発的に起こるということになります。このような特殊業務を専門とする組織を法律、あるいは
地域防災計画に基づき臨時的に設置することにより、迅速な
災害対応や重要な意思決定を行っていくことと思います。しかし、市民の命を守り、市民に寄り添った支援を実践するためには、
災害対策本部が確実に機能し、効果的なマネジメントによる関係機関との緊密な連携の下、各種対策を講じていく必要があります。
そのためには、
災害対策本部の役割というものが非常に重要な要素となってくるわけですが、札幌市は、ありがたいことに、
災害対応の経験をそれほど豊富に積んでいるわけではないと思いますけれども、それが皮肉なことに不安になるということですね。
二つ目の質問ですが、札幌市では、
災害対策本部について、今後どのような機能強化を考えているのかについて伺います。
◎浅山
危機管理部長 市
災害対策本部機能の強化についてお答えいたします。
災害対策本部が発災時に防災・
危機管理機能を有効に発揮するためには、被害状況に即した対策を的確に指示し、各局が連携してそれを実行することが重要になります。
そのためには、本部において収集した情報に基づき
災害対策の優先度を判断する必要があり、刻々と事態が変化する中、錯綜する多くの情報を速やかに整理、分析する機能を高めていかなければならないものと認識しております。
今後は、
災害対策本部訓練を通じまして、
情報分析機能の向上に努めるとともに、各局と
災害対策の共通認識を図ることで本部機能の強化に努めてまいりたい、そのように思っております。
◆三神英彦 委員 イメージしやすいのは、囲碁とか将棋とかの対局なのだと思うのですね。何手先を読むのかだったり、何通り読むのかという中で、
リスク管理というか、ちゃんとこっちの道に行ったら大丈夫そうだなとか、こっちの道は絶対に行ってはいけないということをちゃんとできるようになると、多分、物すごく強いということになるのだと思います。
しかも、何通りとか何手先というのは、先ほどこじま委員もお話ししていましたけれど、多分、AIだとかいろいろなものにやってもらえる時代がすぐそこまで来ているところで、じゃあ、どういう指揮系統か、どういう組織の在り方かということを人間が考えていくことが大事だと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
◆
竹内孝代 委員 私からは、避難場所指定における現状の課題認識と今後の取組について、被災者支援についての2項目質問をさせていただきます。
初めに、避難場所指定における現状の課題認識と今後の取組についてお聞きいたします。
近年、災害の激甚化や頻発化が顕著となっている状況の中、大規模災害が発生した場合においては、市民の命を守ることとなる避難場所の役割はこれまで以上に重要なものとなっております。
札幌市では、避難場所として、指定緊急避難場所、指定避難場所及び一時避難場所等に分類されており、特に、ある一定期間滞在する避難場所となり得る指定避難所のうち、市内の小・中学校等が指定をされている基幹となる指定避難所には避難物資が備蓄をされており、地域住民が避難するよりどころになっております。
これらの避難場所の指定等については、札幌市避難場所基本計画により、その基準が定められております。また、洪水害、土砂災害、地震災害、大規模な火事などの災害の種類によってもその指定状況が決められております。
今年度、新たに中小河川の浸水想定区域が北海道庁から公表されました。札幌市においても、市民が浸水の危険度や大雨時に取るべき行動などを確認できる札幌市浸水ハザードマップを改定、ハザードマップ内に記載されている避難所についても、浸水深の想定によっては、学校施設のより高い階に避難スペースを設定するなどの改定がなされているといったことは承知をしております。
また、少子高齢化の影響をはじめ、札幌市でも今後の人口減少が課題となっており、それらに伴って、小・中学校の統廃合も見込まれております。
そこでまず、質問ですが、新たな浸水想定区域の公表等を受けて、札幌市の指定避難所の指定状況について、現在どのような課題があると認識されておられるのか、伺います。
◎浅山
危機管理部長 避難場所指定における現状の課題認識についてお答えいたします。
今年度、北海道から発表された新たな中小河川を含めた浸水被害想定の改定によって、市内の浸水範囲が拡大する可能性があるため、施設の利用条件の変更をはじめ、避難所へ到達できない場合や避難経路を迂回しなければならない場合なども想定されます。
また、将来的な人口減少に起因する小・中学校の統廃合等の影響もあり、指定避難所の数が減少することも予想され、災害の種類に応じた避難所の確保や避難方法の検討について課題が生じていると認識しているところです。
◆
竹内孝代 委員 指定避難所における課題の認識については分かりました。地域住民の皆様から相談を受ける中で、災害の種類によっては、近所の学校が避難所として開設されないとか、日頃からよく知っている学校へ避難することができれば避難しやすいが、札幌市はどのような考えで指定基準を決めているのか分からないといった声も寄せられております。
札幌市の住宅地域では、津波の想定がないものの、豊平川の氾濫等により、洪水災害が発生した際には、緊急的に身を守るために近隣の避難所に避難をすることが重要であるというふうに考えます。
そこで、質問ですが、災害の種類に対応した避難所の確保について、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎浅山
危機管理部長 今後の取組についてお答えいたします。
市民が適切な避難所へ安全に避難するためには、浸水想定区域や学校の統廃合に加え、災害の発生状況に応じた避難経路や避難所までの距離を考慮しながら、避難所の適切な指定について検討していくことが重要と認識しております。
このため、令和5年度に避難所の指定状況調査を行った上で、令和6年度から、地域の特性も踏まえながら、基幹となる避難所の新たな指定や地域の避難所による補完体制などについて検討していく予定です。
また、マンションや高規格住宅の増加により、災害によっては在宅避難が有効である場合も多く、そのほか、親戚の家やホテルへ宿泊するなどの分散避難についても、適切な避難方法の一つであると認識しております。
市民の皆様が安心して避難できるよう、避難所の確保に取り組むとともに、様々な避難方法について積極的に発信してまいりたいというふうに考えております。
◆
竹内孝代 委員 令和5年度に調査、6年度に検討していくといったことでありますが、大きな災害が発生したときに、地域住民の方々がちゅうちょなく安心して避難できる環境がとても大事であるというふうに思います。
様々な課題や問題もあるかと思いますけれども、万が一の際に市民を守る大事な避難所ですので、ぜひとも課題解決に向けての取組を加速していただくよう求めまして、この質問を終わります。
次に、被災者支援について質問をさせていただきます。
北海道胆振東部地震の経験から、
災害対応策は、縦割りではなく、関係部局の密接な連携が効果を上げるものであるということが教訓となりました。災害時における様々な課題を痛感いたしました。
私は、令和元年3定
決算特別委員会において、迅速で円滑な被災者支援を図るために、情報共有における
システムの構築と本格整備について、当時、市が示されておりました中長期計画による実施ではなく、早期に進めるよう主張をさせていただきました。
翌、令和2年1定の我が会派の代表質問においても質問し、札幌市からは、令和2年度中に被災者台帳機能を追加した
システムを構築する旨の答弁をいただいたところであります。早期に構築をしていただいたことについて評価をしております。
この被災者支援
システムは、
北海道胆振東部地震での教訓を踏まえ、関係部署が被災者情報を随時共有し、被災者に対し適切に必要な支援を行うことを目的に構築をされたものであります。令和3年度にリリースされ、既に運用可能になったというふうに認識しております。
そこで、質問ですが、この構築されました被災者支援
システムの概要、そして、導入による効果について、まず伺います。
◎浅山
危機管理部長 被災者支援
システムの概要と効果についてお答えいたします。
北海道胆振東部地震においては、罹災証明の発行と連動した被災者台帳の作成が効率的にできなかったことや、各局が所管する各種支援制度の申請状況が共有されなかったなどの反省点がございました。
令和3年度にリリースした被災者支援
システムは、罹災証明の管理機能、住宅の被害状況を登録する機能及び被災者台帳管理機能から構成されております。
被災者台帳管理機能は、罹災証明の受付・発行情報に基づいて被災者台帳を自動的に作成しまして、各種支援制度や申請状況を登録し、一元管理する機能であり、各局が被災者ごとの台帳情報を常時共有することで、迅速で円滑な被災者支援が可能になったと考えております。
◆
竹内孝代 委員 この
システムが導入されたことによりまして、
北海道胆振東部地震のときには大変課題でありましたけれども、今回は、罹災証明発行を基にして被災者台帳が自動的に作成できる、また、支援制度への申請状況も関係部局で速やかに常に新しい情報の共有ができるといった仕組みが整ったということは理解しました。
この情報が見られるということは、この方は本当は受けられる支援をまだ受けていないなとか、そういったことも分かるということでありますので、大変重要なことであるというふうに思います。
しかし、この被災者支援
システムは、平時から利用する
システムではありません。実際に災害が発生して、被災者の罹災証明の発行、また、支援が必要となった場合に稼働するものであるというふうに理解をしております。したがって、リリースをされてからまだ一度も稼働したことはないと思います。
また、災害の発生後、実際に被災者を対象に実施される支援制度は50以上と多岐にわたっております。所管する部署も複数にわたっております。いざというときに、関係部署が
システムを十分に活用して、相互に連携し、情報共有しながら自発的に動ける体制を事前につくっておくことが必要であるというふうに思います。
そこで、質問ですが、発災時にこの被災者支援
システムが関係部署で有効に活用されるように、これまでどのような取組をされてきたのか、伺います。
◎浅山
危機管理部長 システム活用のための平時の取組についてお答えいたします。
被災者支援
システムについては、運用開始時から札幌市のイントラネット上において訓練環境やマニュアルを提供しており、関係部局の職員が訓練環境の
システムを操作することにより、習熟できる環境をそろえております。
また、支援制度の具体は多岐にわたることから、各部局において必要に応じ細分化したマニュアルの作成や新規配属者への研修などを定期的に行っているところでございます。
◆
竹内孝代 委員 関係部署に
システム操作のマニュアルをまずしっかり提供しているということ、また、操作の習熟の機会をしっかり設けられているということでありました。
北海道胆振東部地震のときも、本当に全軍を挙げた職員の皆さんで対応していただきましたので、どうか、職員の皆さんがこうした研修の機会を通じてまた防災に対する意識を向上したり、どなたが担当されても使えるような、そうした細やかな研修の機会をお願いしたいと思います。
北海道胆振東部地震のときは、建設局市街地復旧推進室が現地の事務所を開設して、被災者支援の相談窓口となって対応していたものと承知をしております。
実際に災害が起きたときに備えて、被災者支援を一元化した相談窓口の開設、また、多岐にわたる支援制度の被災者への周知、関係部署がどのような手順で対応していくのか、全体を見通して統括する役割を果たす組織横断的な体制、また訓練が必要だというふうに感じております。
そこで、質問ですけれども、今後、この
システムを活用して被災者支援をより迅速かつ円滑に行うためにどのように取り組んでいかれるのか、伺います。
◎浅山
危機管理部長 今後の取組についてお答えいたします。
被災者支援は、災害時における人命救助等の災害応急対策に引き続き、市民生活の速やかな再建を図るために、迅速に着手すべき重要な対策であると認識しております。
被災者に対しましては、様々な部局にまたがる生活再建の支援を適切に受けられるように、
システムを活用しながら、きめ細かくサポートしていくことが必要です。
今後は、実際に被災者支援を経験した自治体職員を講師として招いた講習会の開催等、被災者支援に携わる職員の
スキルアップを図るとともに、被災者に寄り添った支援の在り方の検討を行いながら、組織横断的な被災者支援体制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。
◆
竹内孝代 委員 組織横断的な被災者支援体制の構築を行ってくださるということであります。
この被災者に寄り添った支援の在り方の検討を行うということは大変重要なことだというふうに思います。これがベースであって、そこから様々な取組があるというふうに思っております。
例えば、
地域防災計画に規定されております都市復興計画推進プロジェクトチームなどを活用して、この被災者支援関係部局の連携強化を図るといったことも考えられます。ぜひ、この被災者支援体制の構築を早期にしていただきたいというふうに思っております。
また、先ほど来、繰り返しお話ししていますように、被災者支援制度というのは大変多岐にわたっております。災害時は必要としている方に速やかに必要な資源を届けることが重要でありますので、被災者への支援漏れの防止はもとより、被災者が多岐にわたる支援制度について安心して相談できる窓口体制の整備も必要であります。
発災してから考えるのではなく、あらかじめ体制を整えておくことが肝要であり、万が一の災害時に迅速かつ円滑に支援を実施できるよう、まずは
災害対策本部の中に被災者支援体制を早期に整備していただくことを求めまして、私の質問を終わります。
○川田ただひさ 委員長 以上で、第1項
総務管理費中
危機管理局関係分の質疑を終了いたします。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時45分
再 開 午後1時46分
――――――――――――――
○川田ただひさ 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中総務局関係分、第11款 職員費 第1項 職員費中総務局関係分、議案第16号 札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案、議案第17号 札幌市基金条例の一部を改正する条例案及び議案第19号 包括外部監査契約締結の件について、一括して質疑を行います。
◆三神英彦 委員 私からは、広報さっぽろについて質問します。
このたびの令和5年度予算の柱の一つである町内会活動への支援において、町内会に対する配布謝礼金が1部13円から15円に増額され、総額約7,600万円が計上されることとなりました。
札幌市の広報誌は、全戸配布を基本としております。一部、政令市では新聞への挟み込みなどで配布しているところもあるようですが、多くの政令市では本市と同様に全戸に広報誌を続けている状況です。
やはり、全市民にしっかりと市政情報を届けるというのは、市民から見ると、市政情報を得られる機会が均等にあるということは意義があり、市民アンケートでも、広報誌を必ず読む、時々読むという方の割合が7割ということを鑑みても、全戸配布は維持していくことが重要だと考えます。
一方、配布する側の立場に立って考えますと、現状では、各世帯に配られる広報誌のうち、約43%を町内会等が担っているとのことですが、高齢化が進み、広報誌の配布を継続することが難しくなっている町内会等もあると聞いています。
未来へつなぐ町内会ささえあい条例に基づくならば、町内会の活動を支援するのはもちろんですが、行政からのお願いなどで町内会が負担を感じているような場合には、負担を増やさない方法を検討していくことが市の責務でもあると考えます。広報さっぽろの全戸配布は市政情報の発信において重要なことであるとはいえ、今回の配布謝礼金の増額が、結果として配布の継続が難しくなっている町内会にまで継続させる負担を強いることにならないか、そういう点にも留意しておくことが必要だと思います。
質問ですが、町内会への配布謝礼金を増額するに至った理由を伺います。
◎加藤 広報部長 配布謝礼金の増額についてでございます。
広報さっぽろは、町内会等による配布とポスティング業者への委託による配布によって全戸配布を行っており、配布にご協力いただいてございます町内会等への謝礼金につきましては、平成4年に定めた1部13円で、30年間にわたりお願いをしてきたところでございます。
一方、業者による配布につきましては、入札により毎年変動がございますけれども、昨今の人手不足や最低賃金の上昇等に伴いまして、配布単価は上昇傾向にございます。1部当たり単価では、町内会配布の謝礼金は業者配布より低額となっているところでございます。
町内会の皆様におかれましては、広報誌を市民の皆様にお届けするという意義をご理解いただきまして、配布にご協力いただいているものでございます。心より感謝申し上げます。
このたびの謝礼金の増額は、そのような町内会の皆さんのご協力に報い、業者配布と遜色のない水準にするため、引き上げることとしたところでございます。
なお、委員のご指摘にございました町内会への負担を強いるのではないかという点につきましては、例年どおり、年度当初に協力を依頼するに当たりまして、業者配布への切り替えが可能であることをきちんとお知らせする、また、配布の継続につきまして、ご意向をしっかり確認し、地域の皆様の負担感がないように進めてまいります。
◆三神英彦 委員 お話からすると、町内会の側からしてみると、実際の労力の負担という部分と、その謝礼金は活動の原資のプラスになるという部分で、そこの選択をそれぞれの町内会がちゃんと検討できるよう、こちら側も配慮を進めていただけたらということです。
続いて、広報さっぽろの印刷・製本業務についてです。
現在、印刷用紙そのものが、国際情勢の変化に伴って、原材料、燃料価格の高騰や、急激な円安を背景とした製造コストの上昇により、大手製紙会社が度々価格を改定していることが報道されています。報道発表資料には、業界大手の日本製紙で令和4年度中だけで2回、計32%から44%以上、王子製紙も令和4年度中に計32%以上の値上がりとなっていました。
広報さっぽろは、月約108万部を発行し、冊子としては道内ではかなり有数の規模ですので、印刷製本業務における紙の急激な価格上昇の影響は大きいのではないかと推察します。
質問ですが、印刷用紙の価格高騰により、広報さっぽろの印刷・製本業務にどのような影響があるのか、伺います。
◎加藤 広報部長 印刷用紙の高騰に伴う業務への影響についてでございます。
広報さっぽろに使用しております印刷用紙は、配布や配送の負担を軽減するために、非常に薄く、かつ環境に配慮した古紙70%配合の再生紙を使用してきたところでございます。
一般的な印刷用紙の価格高騰だけではなく、古紙につきましても、国際情勢の変化に伴う価格上昇や国内での流通量の減少によりまして、これまで採用してきた再生紙が生産中止となるなど、印刷用紙の選択肢が限られてきているところでございます。
このような状況を踏まえまして、令和5年度予算では、予算編成時の価格上昇率を加味した予算を計上したほか、再生紙以外の紙でも対応できるように仕様を変更してきたところでございます。
印刷用紙につきましては、今後も価格上昇が続くと見込まれることから、市況を注視しながら、しっかりと予算を確保してまいります。
◆三神英彦 委員 いろいろな部局に、じゃあ、それを何でお伝えするんですかと聞いたら、かなりのところで広報さっぽろとホームページですという答えが返ってくるというのがあります。市民にとってというよりも、市のそれぞれの部局にとっても、広報さっぽろというのは情報発信ツールとしては必要なものなのだろうなというふうに思います。ただ一方で、紙媒体ですので、ほかの媒体に比べると量は減っているのかもしれないです、今後も。だけど、それが必要な人がいる限りというのは、上手に持続可能性を探りながら続けていっていただきたいと思います。
◆あおいひろみ 委員 私からは、札幌市の広報の在り方について質問いたします。
昨年の
決算特別委員会では、札幌市の考えや関係者の努力が市民の皆様へ十分に伝わっていないのではないかと強く不満を感じていたことから、我が会派から札幌市の広報の在り方について質問をしたところです。
その際、広報部から、様々なユニークな取組について実施するということで、力強い答弁をいただきましたので、今回は、その実施内容について3点ほど確認していきたいと思います。
まず、一つ目ですが、個別の施策を浸透させるためには、
まちづくりそのものの大きな観点から、より深く認識されるような取組を進めるべきではないかと指摘した点について、広報部からは、市民と
まちづくりの考え方を共有した上で対話を深めていくことが重要であると考え、札幌の未来の
まちづくりを考えるオンラインコミュニティーを開設し、議論を開始したとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、昨年実施したオンラインコミュニティーについて、どのような成果が得られたのか、伺います。
◎加藤 広報部長 オンラインコミュニティーの成果についてでございます。
札幌市の未来へ向けた
まちづくりを熱く語り合うオンラインコミュニティーは、昨年9月から12月にかけまして、公募による60名を含む道内外の有識者やキーパーソン、市民など105名に参加をいただき、開催いたしました。
具体的には、札幌市の未来像をどう考えるかという大きな視点から、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンで考える
まちづくりや、オリンピック・パラリンピックの効果など、主催者が提供しました解説記事を基に、自由に議論をしていただいたところでございます。
解説記事に対しましては、参加者の様々な視点、立場から、300件以上のコメントをいただいておりまして、まちを発展させていくためには、地域に根差したコミュニティーの存在が大事だと思う、ビジョンの中で札幌のオリパラをどう位置づけるか、ここを明確にして初めて議論が深まると思う、オリパラの開催は費用対効果に目が行きがちだが、中長期的視点で、一過性で終わらせないためにはどういう議論をすればいいのかということも議論したいといった意見が時間をかけて交わされました。
また、オンラインの議論が盛り上がっているさなか、昨年10月には、オンラインコミュニティー参加者のうち、希望者17名で、ウェブミーティングという形でございますけれども、画面越しで直接的に双方向の議論をしていただいたところでございます。
このイベントの参加者からは、札幌市が目指す都市像への手段としてオリパラを使うのはいいのではないか、市がアンケートで説明していることが怪しく感じる、オリパラが未来の
まちづくりの最適解かどうかは開かれた場でしっかりと議論していく必要があるなどとの意見が出されたところでございます。
このように、今回のオンラインコミュニティーを通じまして、居住地が札幌であるか否か、また、オリンピック・パラリンピックに賛成か反対かなどにかかわらず、様々な立場から札幌の未来についての議論が行われまして、意見等の共有、相互理解が図られたものと考えてございます。
なお、これらの議論の様子などは、分かりやすく整理した上で、札幌市の公式ホームページ上に掲載して広く発信をしているところでございます。
◆あおいひろみ 委員 オリパラに関しては、様々な整理がついてからとなりますが、札幌の未来に何が必要かについては、自由闊達に、様々な知見の方を交えて、時間にとらわれず議論するというのは貴重な機会であったと思いますので、
まちづくり関連部署でもオンラインコミュニティーの活用を検討していくべきではないかと感じました。
今後は、アバターなどで会議に参加できるなど、自分の分身に意見を言わせて参加するなどもいいかと思います。ぜひ、いろいろ考えていただきたいと思います。
次に、2点目ですが、市の施策PRが専門の事業者の手にかかっても、市民にしっかりと伝わっていないとすれば、原因はどこにあるのか、何が足りないのか、広告代理店などの当事者を交えて、個別の案件の話ではなく、大きく俯瞰して確認する必要があるのではないかと指摘をしたところです。
広報部からは、札幌で日々活動されているマスメディアや広告代理店、ウェブメディアの皆さんに集まっていただき、懇親会を開催し、札幌市の広報について、素直にどう考えているのか、問題点は何か、どうすべきと感じているのかなどについて、ざっくばらんな意見交換を行うことで広報の在り方を見直し、さらなる広報の強化につなげたいとの答弁がありました。新聞報道もありましたので、早速取り組んでいたということは確認しておりました。
そこで、質問ですが、開催した懇親会で出た意見はどのようなものであったか、そして、その意見をどう広報の強化に結びつけていくのか、伺います。
◎加藤 広報部長 札幌市の広報を考える懇談会で出された意見とその活用についてでございます。
まず、いただいたご意見についてでございます。
懇談会は、札幌市初の取組といたしまして、昨年11月15日から18日までの4日間で行いまして、北海道内の民放テレビ、ラジオ局、広告代理店、ウェブ会社の皆様14名を4グループに分けまして懇談をいたしました。
実施による直接的な成果といたしましては、4日間の懇談を通じまして、私たち札幌市とメディアの皆様、代理店の皆様と意識の大きな違いがあるということが確認されたところでございます。
具体的には、限られた予算の中で展開するには、全市民に向けた展開が難しく、ターゲットを絞る勇気が必要である、また、仕様書で広報手段、例えば、テレビを使う、ラジオを使うなどの手段を固めてしまい過ぎますと、効果的な展開にならない場合がある。札幌市の事業やPRは真面目過ぎてとがったものがない印象である、毎年継続してPRしている事柄につきましては、前年度の反省や課題、以前の路線を継続するのかどうかというところまでを教えてほしいなど、今まで顕在化していなかった、よりよい広報をするためのヒントを数多くいただいたところでございます。
次に、ご意見の活用方法につきましては、この懇談会でいただきました様々なご意見につきましては、職員が業務発注の際にすぐ使えるように、チェック形式のマニュアルといたしまして、プロモーション企画競争における提案説明書、仕様書づくりの際のポイント集という形で整理をしたところでございます。
既に庁内各部局へ通知をして周知をしているとともに、職員向けのポータルサイトでも公開いたしまして、職員が必要なときにいつでも閲覧できるようにしているところでございます。
さらなる周知を図りまして、しっかりと全庁に浸透させまして、札幌市全体の広報力の向上に努めてまいります。
◆あおいひろみ 委員 ポイント集としてまとめ、庁内に周知したということでした。
札幌市の
まちづくりを効果的に進めていくためには、受託、委託の関係であっても、様々な事業者とうまく協力し合っていくことが重要ではないかと思いますので、数々の貴重な意見の全庁的な浸透を図っていってほしいと思います。
最後に、3点目ですが、情報発信の方法が難しい時代での職員の
スキルアップにつながる具体の取組について伺ったところでしたが、若者世代への情報伝達の強化や直感性、ポジティブ思考、自分軸といった新たな発想を生み出す土壌を培い、今後の職務に生かすことを目的に、広報部職員を対象に、ギャル式ブレスト研修を実施するとの答弁がありました。
聞いたときは驚きを感じましたが、後日確認をすると、ギャル式ブレスト研修は、大企業特有の硬直的な組織や思考の在り方を変える一つの手法として、首都圏企業を中心に取り入れ始めているものということでした。先月、2月16、17日に実施され、道内のマスコミのテレビ、新聞のほぼ全てと全国ニュースでも取り上げられており、特に、ネットニュースのコメントでは大変多くの賛否が寄せられておりまして、ぜひこれについては詳細な説明を求めなければと思いました。
そこで、質問ですが、柔軟な発想や若者世代への情報発信の強化に向けて開催したギャル式ブレスト研修について、実際の感想と職員の
スキルアップにどのようにつながっていくのか、伺います。
◎加藤 広報部長 ギャル式ブレスト研修の実施結果と職員の
スキルアップの効果についてでございます。
このたびの取組は、CGОドットコムという東京のスタートアップ企業が開発したプログラムを活用しまして、職員の研修を行ったものでございます。
研修のテーマを、現在、広報部が課題として捉えております会議の意見硬直化への打開、若者への情報発信といたしまして、先月16、17日の2日間にわたりまして、講師としてのギャルと、ファシリテーターなど8名を札幌に招きまして、実地型研修として、札幌のまちに対する新たな視点を得る目的で、一緒にまち歩きを行うとともに、ワークショップであるギャル式ブレストを行ったものでございます。
なお、自治体におけるギャル式ブレストは全国初の試みであったため、委員のお話にもあったとおり、非常に多くのメディアに取り上げていただいたところでございます。
実地研修であるまち歩きは、ギャルならではの視点でまち並みや観光施設を評価してもらう貴重な機会となりまして、新しい視点でまちを捉えることで気づく札幌の魅力と斬新な伝え方を学び、札幌というまちの可能性の高さを改めて認識したところでございます。
ギャル式ブレストは、敬語禁止、あだ名で呼び合うなど、研修時間内のみに適用されます一定のルールの下、12名の職員が二つのグループに分かれて実施をいたしました。委員のご質問にもありましたとおり、ギャルの重要な要素であります自分軸、直感性、ポジティブ思考といったギャルマインドを学ぶとともに、スピーディーな意見交換を通じて、発想の広がりや柔軟な発想が生まれやすい会議を体感することができたところでございます。
私も実際にメンバーとして参加をいたしましたが、課長、係長などベテラン職員の硬直的な思考を変えるよいきっかけとなるとともに、若手職員も、無用な忖度に縛られない、自身の殻を破る、新たな発想を生み出し発言する土壌を培うなど、職員の
スキルアップに資することができたものと改めて認識しているところでございます。
通常の会議ではあまり言葉を発することがない職員が、みるみる前向きに発言するようになり、グループを代表して笑顔で発表して、最後にはマスコミのインタビューにしっかりと応えていた様は、まさに研修の狙いどおりの成果になっているものと感じたところでございます。
今回の研修の詳細は、全庁的に共有を図るとともに、研修の中で出された意見を生かしまして、次代の市政を担う若者にしっかり届けてまいりたいと考えてございます。
また、広報部におきましては、今回実施したタイプの研修のみならず、日々の研修を引き続き様々な形で実施をいたしまして、新たな視点を積極的に取り入れまして、組織としてのさらなる広報力アップに努めてまいりたいと考えてございます。
◆あおいひろみ 委員 あだ名で呼び合うということは、かとちゃんとかと呼ばれたりもしたのですか。
◎加藤 広報部長 ちなみに、私はロケットおさむ号と呼ばれました。
◆あおいひろみ 委員 いろいろ楽しい様子が新聞でも伺えましたので、頑張っていただきたいと思います。
研修については、大きく取り上げられた分だけ多様な意見があったようですが、研修は受講後にその成果をどう出すかが重要ですので、今後の広報に期待いたします。
なお、副次的な効果ではありますが、今回、広報部が採用した研修は、女性起業家による東京の先鋭的なインキュベーション施設でサポートを受けながら事業展開を図るスタートアップ企業によるもので、様々な大企業といわゆるオープンイノベーションという形で連携を始めており、自治体としては札幌が初めてだったのですが、こうして全国津々浦々に知れ渡ったことは、札幌市がスタートアップシティとして女性起業家やスタートアップに寛容で前向きな姿勢であることを強く印象づけたのではないか、その広報効果は大きかったと感じているところです。
今回質問いたしましたギャル式ブレストや、昨年9月、10月に実施した札幌よしもと若手職員との研修などは、町田副市長をはじめ、市長室長、広報部長が、札幌市をよりよくしていきたいという思いで先駆的な挑戦をしたからこそ実施されたものであると、好意的に受け止めています。
聞くところによると、福井県の鯖江市では、JK課という女子高生の意見を取り入れる課が2014年からスタートしていて、総務大臣賞などを受賞しているとも聞いております。ぜひ、やるなら、中途半端ではなく、思い切り真面目に突き進んでほしいと思っております。
今後も、市民に伝わり、理解、納得し、行動が変わる、そんな広報を広報部がリードして全庁に波及させていくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆くまがい誠一 委員 私からは、広報部が実施しているSNSを介したウェブアンケートについてお伺いさせていただきます。
昨年の11月から、全国初の取組として、市民の意見、意向やニーズなどをSNSを介したウェブアンケートで把握、その結果をリアルタイムで公表し、市民の皆様と共有するという
実証実験を広報部が実施しておりました。
仕組みとしては、現在、市役所全庁的に環境整備を進めている汎用性の高い事務アプリケーションの機能を職員自らが活用することにより、アンケートの作成から、SNSを介したアンケート募集、分析、結果報告まで全てを市職員で完結できることを目指していると伺っております。
改めて考えると、アンケートの回答と同時に結果が報告されるということで、できそうでできなかった、さらに言うと、慎重に慎重を期す行政機関としては、なかなか思い切った取組の一つかもしれないと感じたところでございます。
一般的に、
アンケート調査をするとなると、まずは、調査会社との契約に始まり、アンケートの企画、募集、集計、分析、そして結果報告となると、3か月以上の日数は要するのではないかと思うところでございます。
しかし、即時に結果が分かるようになると、市民のニーズが早く把握でき、市の意思決定もより迅速にできるようになるのではないか、さらに、この件に関しては市長の記者発表においても、アンケートにお答えいただいた市民の皆様にも、結果をすぐ共有できるようにすることで、共に
まちづくりに参加していただけるような仕組みにしていきたいと言われており、まさにそのとおりで、この取組は多くの可能性を感じるところでございます。
こういった新たな取組については、なぜそれをやろうと思うに至ったかという点も非常に興味の湧くところでございます。
そこで、質問ですが、まず、このSNSを介したウェブアンケートの
実証実験に取り組んだ経緯や狙いについてお伺いいたします。
◎加藤 広報部長
実証実験に取り組んだ経緯と目的についてでございます。
札幌市では、これまで、郵送やインターネットなどによりまして
アンケート調査を実施してきておりますが、これらは委員のご指摘にあったとおり、準備、契約、集計、分析に費用と労力、時間を要しまして、調査結果がまとまるまでに長い期間を要することから、迅速に施策に反映できないということが課題となっていたところでございます。
一例を申しますと、昨年度、新型コロナウイルスのワクチン普及啓発におきまして、若者の接種が進まない中、どういうことが障壁になっているかなど、すぐに意識を把握したいというところでございましたけれども、実際に実施した
アンケート調査結果では、結果が判明するまでにタイムラグが生じ、その時点では既に状況が変化をしていたなど、もどかしい思いをしていたところでございます。
そこで、このたび、市役所全庁的に環境整備を進めておりますマイクロソフトオフィス365のアプリケーションの機能に着目しまして、また、札幌市の公式LINE、ツイッターの登録者の合計が約30万人と一定のボリュームが確保されたことから、これらを有効に活用しまして、市民意見の迅速な把握と
アンケート調査に係る業務の大幅な軽減に活用しようとしたところでございます。
なお、私どもからの一方的な意見の把握だけでは市民の皆様のご協力にも限界があると感じたところから、調査結果をリアルタイムで共有し、アンケートを通じて気軽に札幌市の
まちづくりに参加いただける
仕組みづくりを併せて行うこととしたものでございます。
◆くまがい誠一 委員
実証実験との位置づけではありますが、行政内部の課題や市民の協力についても事前にしっかりと企画を組み立てていることが分かりました。11月、12月、1月と全3回の実施があり、集計結果をリアルタイムに確認できたほか、アンケート実施時の問題点なども終了時に報告するなど、情報共有に対する配慮も見られたところでございます。
また、アンケートを通じて気軽に
まちづくり参加できる仕組みとして、2回目のアンケートでは、テレビ塔の利用アンケートとともに、ライトアップの色を投票によって決めたり、第3回目では、令和4年度重要施策のPRも兼ねて、札幌よしもと所属芸人の楽しい説明を聞きたい施策はどれですかという設問が用意されるなど、広報部らしい、ユニークで市民も着目しやすい工夫も見られたところでございます。
そこで、質問ですが、今回のウェブアンケートの実施において得られた成果はどのようなものであったのか、お伺いいたします。
◎加藤 広報部長
実証実験の成果についてでございます。
今回は、アンケート手法の
実証実験でございますので、まずは、結果よりも市民の皆様の協力を得ることが重要でございました。
その結果、第1回が約5,500人、2回目が約3,600人、3回目が約3,150人と、多くの皆様のご協力を得ることができたところでございます。
このうち、LINEを通じてご協力いただいた方が約9割を占めておりまして、ご回答いただいた方々の年齢や性別につきまして、LINE登録者の属性がそのまま反映されておりまして、年齢的なボリュームゾーンは40代から60代となっているところでございます。
また、回答の9割でございますけれども、アンケート開始の初日に寄せられまして、さらに、そのうちの半数は始めてから1時間以内に寄せられてございます。このように、迅速な意見把握が可能であるということが確認されたところでございます。
回答の傾向についてですが、過去に市民意識調査で行ったものと同様の問いを設けまして比較をいたしましたが、市公式LINEの登録者でありますことから、若干、市政に好意的な傾向が見られるものの、大きな違いがなかったところでございます。
加えて、ウェブアンケート自体に対する意見も毎回聞いておりまして、市民がどのように感じているか確認できる、市政への参加が感じられるといった回答が多いとともに、第3回目で伺った、参加したい活動につきましては、市民アンケートという回答が全体の3割を占めているなど、ウェブアンケートが
まちづくり参加へのきっかけとなる可能性があるとの印象を受けたところでございます。
なお、職員の業務についてですが、従来のアンケートよりも契約事務や集計作業などに要する手間や時間が削減されることから、アプリケーション操作が熟練すれば効率化がさらに期待できるものと考えているところでございます。
◆くまがい誠一 委員 ウェブアンケートに多くの市民が参加いただいたこと、また、狙いである迅速な意見の把握や
まちづくり参加の促進、職員の業務縮減など、多くの有用さを確認することができました。
今回は
実証実験の位置づけでございましたが、今後、正式に実施していく場合、現在広報部が実施している郵送での市民意識調査や各部局が独自に実施しているアンケートがあると思いますが、それらとどのように区別していくのか。代替可能であれば改廃を考える必要があるかと思います。
そこで、質問ですが、今回の
実証実験の結果を生かし、正式にウェブアンケートを継続していくのか、また、市民意識調査など既存のアンケート事業とのすみ分けをどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎加藤 広報部長 ウェブアンケートの今後と既存のアンケートのすみ分けでございます。
まずは、ウェブアンケートの今後についてでございます。
今回の
実証実験によりまして、ウェブアンケートは十分実用に耐え得るものであることが分かりました。現在、全庁的に環境整備を進めているマイクロソフトオフィス365の関連アプリケーションの導入状況に合わせて実施をしてまいりたいと考えてございます。
そのために、デジタル戦略推進局と連携いたしまして、アプリケーションをしっかり活用できる職員を育成してまいります。また、アンケート結果のさらなる充実を目指しまして、協力していただける市民の皆様の拡大を図るために、LINEやツイッター以外での周知も検討してまいります。
なお、今回の
実証実験におきまして、協力しやすいアンケート頻度というものを調べておりまして、1か月に一度程度であれば、8割近い方から協力を得られるということが分かっておりますので、その点も十分配慮しながら、市民の皆様に負担がないように進めてまいりたいと考えてございます。
次に、既存のアンケートのすみ分けでございます。
ウェブアンケートは、善意の協力に委ねた個人情報にひもづくことがない調査であるため、残念ながら、同じ方が複数回回答することも可能でございます。また、リアルタイムで結果を共有することを前提とした場合、回答内容がその時点での調査結果に影響される可能性もございます。
このことから、施策の賛否を問うなど、公平・公正、または厳密なプロセスを必要とするアンケートには不向きな面がございます。ウェブアンケートは、施策を知っているか否かといった認知度の確認ですとか、極めて迅速におおむねの傾向を確認するといった場合に有用なものと判断をされますので、こういった特性を生かしながら、既存のアンケートと組み合わせて、市民の意向を積極的に施策に反映するとともに、市全体の業務効率化に努めてまいりたいと考えてございます。
◆くまがい誠一 委員 市民意識調査とのすみ分け、また、賛否を問うアンケートに不向きであるなど、ウェブアンケートの特性が分かりました。
要望でございます。
ウェブアンケートは、今後の市政にとって重要なツールになると思われますので、ぜひ、
実証実験の結果を生かし、正式に実施していただきたいと思うところでございます。
ちなみに、第2回目のテレビ塔のライトアップの投票企画については、我が会派の委員が報道のあった第1回目アンケートの説明を広報課に求めた際に、市民がアンケートを自分事として感じられる企画があるとよいと提案し、様々な話の中から出た企画をすぐに実現いただいたという経緯もございました。
今後実施する際には、ライトアップや札幌よしもととの連携の企画のように、市民とつくり上げる楽しく参加しやすい企画も時折盛り込んでいただき、市民にとって気軽な
まちづくり参加のツールとして高めていただきたいと思います。
◆池田由美 委員 私からは、会計年度任用職員制度について、4点伺います。
今年1月の新聞報道で、2020年度に導入された会計年度任用職員制度により、北海道や市町村で働く非正規公務員、会計年度任用職員が今年度末で大量に雇い止めされるとの記事が掲載され、雇い止めとなる人数は相当数に上ると報じられておりました。
本市の会計年度任用職員として働いている方の中でも、働き続けられるのかと不安な思いで過ごされている方も多いのではないかと懸念しているところであります。
ここで、質問をいたしますが、本市の会計年度任用職員全体の人数と、2022年度末で任用期限が3年に達する職員の人数について伺います。
◎影山 職員部長 本市における会計年度任用職員全体の人数と、今年度末で任用限度3年に達する職員の人数についてお答えいたします。
まず、今年度末に在職予定の会計年度任用職員全体の人数ですが、現時点で約4,170人でございます。そのうち、同一部での任用期間が今年度末で3年に到達する職員は約1,620人と見込んでおります。このうち、人材確保が困難であるなどの理由により任用限度を設けていない職で任用している職員が約180人おりますので、先ほど申し上げました1,620人から180人を除きますと、今年度末に任用限度を迎える職員の人数は最大で1,440人程度と見込まれるところでございます。
◆池田由美 委員 1,440人の方が雇い止めとなって、その1,440人の方を新たに公募されるのだろうということであります。再度働きたい方は、別の部署の職員公募に応募をして受験し、面接などの試験に合格した場合は再び3年間の任用期限で働くことになります。しかし、合格しなければ、新たな仕事を探さなければなりません。
川村雅則北海学園大学教授が、会計年度任用職員制度の下で働く非正規公務員の任用実態や意識、新制度への評価などを明らかにする目的で、2022年に本市も含む道内市町村で働く会計年度任用職員への
アンケート調査を行っております。
調査結果では、雇い止めに対する不安についての項目を見ますと、非常に不安がある、不安があるを合わせると7割となっておりました。これは、任用限度を設けた働き方に不安を感じているということだと思います。
アンケートの自由記載欄を見ますと、経験による専門性が必要な職であるにもかかわらず、雇用期間が3年上限となり、公募により継続できる場合もあるが、必ず働けるというものではなく不安定さを感じる、常に雇用の心配をしなければいけないのがつらい、シングルマザーなので、せめてその不安だけでもなくしてほしい、何年一生懸命働いても、非正規職員というだけで、自分の意思とは関係なく退職させられるかもしれない不安がいつもある、このような不安の声が記載されております。
ここで、質問いたしますが、本市においても、任用限度があることで不安を抱えながら働いている職員が多いと思いますが、本市の認識を伺います。
◎影山 職員部長 会計年度任用職員の雇用不安に関する認識についてお答えいたします。
会計年度任用職員を募集する際につきましては、任用限度を含めた勤務条件を提示しておりまして、その条件をご理解いただいた上で応募していただいているものと認識をしております。また、3年を超えて同一部では任用することができないということや、その場合であっても別の部であれば応募することが可能であるということにつきましては、各任用部署から事前に説明するなど、職員ができる限り戸惑うことなく業務に集中することができるよう配慮を行っているところでございます。
◆池田由美 委員 誇りややりがいを持って働いても3年で雇用期間が切れるということは、将来への見通しがやはり持てませんから、常に不安と背中合わせだというふうに思います。前もって知っていた、または、前もって知らされていたとしても、続けて働けるのか分からない不安は解消できないと思います。違う部署の公募に応募して、仮にまた雇用されても、また3年後に採用される保証はどこにもありません。経験を積んでも生かされない働き方だというふうに考えるのです。
伺いますが、アイヌ生活指導員や視力障がい者福祉推進員、就労支援アドバイザー、児童虐待対応支援員など、32種類の職種が、人材確保が困難であるという理由で、先ほどの答弁にありました任用限度を設けておりません。
会計年度任用職員制度において、任用限度の年数は自治体独自で決めることができるのか、伺いたいと思います。
◎影山 職員部長 任用限度の決定に関してお答えいたします。
任用限度を含みます任用全般につきましては、各自治体が法令などを踏まえまして具体の取扱いを決めるものと認識しております。
あわせて、任用限度の考え方について申し上げますと、札幌市におきましては、地方公務員法第13条の平等取扱いの原則を考慮しまして、任用を希望する方々に広く門戸を開き均等な機会を与える必要があるというふうに考えております。
また、総務省からは、国の非常勤職員の再度の任用については連続2回を限度とするという例や、同一職場に長期間在籍することによるマンネリ化や士気の低下を防ぐ必要があるとの見解が示されております。
札幌市としましては、こうしたことなどを踏まえまして、同一部での公募によらない再度の任用の限度を3年としたところでございます。
◆池田由美 委員 結論を言えば、自治体で任用限度は定めることができるのだということだと思います。先ほど、公務員法第13条の話もありました。これは、人種や思想信条で差別はしてはならないという中身でありますから、広く働きたい人に働いていただくように雇用の限度を設けるということの問題とはまた違うのではないかなというふうに私は判断しているところです。
そして、事業の中でのマンネリ化ということもありましたけれども、マンネリ化という働き方の中で起きてくるものに対しては、それは個人の問題ではなくて、雇用されている職場でどう働き方をつくっていくのか、そういう責任もあるのではないのかというふうに私は考えているところです。
やはり、私は、本市の判断で任用限度を設けないこともできるのだと、このことが今は重要だなというふうに思っているところです。
子育て支援部や児童相談所、市税事務所にも多くの会計年度任用職員が配置されておりますが、ここだけではないですけれども、どの職種でも経験の蓄積が本当に必要だというふうに私は思います。
先ほどの
アンケート調査の自由記載欄には、経験が必要という認識がありながら雇用を継続させる意思が感じられない、ここ数年、離職率も高く、職場の雰囲気をつくることもできない、コロナ禍もありますけれども、職場内のコミュニケーションがばらばらで心を痛めている、非正規という制度をなくしてほしい、今年3月に3年間勤務していた人の雇用期間が終了し、新しく雇用された人の教育、未熟な人の分をカバーする負担が大きくなった、3年だと人が育たず、経験不足や説明不足からの市民とのトラブルが発生する、こういった職場の中での大変さも記載されているところです。
任用限度を設ける会計年度任用職員制度の中で、職場内で仕事がうまく回らない、または、コミュニケーションもうまく取れないなどの課題が見えているのではないかと考えます。
会計年度任用職員制度は、会計年度任用職員として働く人も、職場としても矛盾が起きており、見直しをしていくことが必要となっているのではないかと考えるところです。
ここで、伺いますが、本市としても実態調査を行い、任用限度を設けた働き方を見直すべきだと考えますがいかがか、伺います。
◎影山 職員部長 実態の把握と任用限度を設けた働き方の見直しについてお答えいたします。
繰り返しになりますが、私どもとしましては、平等取扱いの原則や、同一職場に長期間在籍することの懸念を考慮する必要があるというふうに考えておりまして、同一部での公募によらない再度の任用に限度を設けることは適当というふうに考えております。
一方で、円滑な業務の遂行というのも重要だというふうに考えておりますので、この点につきましては、現在もそうですけれども、各任用部において研修を実施したり、業務手順のマニュアル化などを行うことで、経験の少ない職員でも職務に対応しやすいよう努めているところでございます。
また、これまでも人材確保が困難である等の職の特性に応じまして任用限度を設けない職を設置してきているところでございます。今後も、現場の実態ですとか、国や他都市の動向などを踏まえながら、引き続き適正な制度となるよう努めてまいります。
◆池田由美 委員 会計年度任用職員制度では、雇用がやはり不安定であり、いつまで働けるのか常に不安を抱えながら仕事をしている、そして、頑張って働いて経験を積んでも生かされない働き方になっている、こうした働き方の見直しが急がれているのだと最後に再度申し上げまして、私の質問を終わります。
◆うるしはら直子 委員 私からは、広聴部門におけるカスタマーハラスメントへの対応について伺います。
一般的に、行政機関などの広聴は、市民の皆様からの行政に対する意見や要望を広くお聞きし、収集するためのものであると理解をしております。昨今、市民の価値観や生活様式などが多様化している中で、満足度の高い市政を運営していくためには、市民のご意見や要望に耳を傾け、そのニーズを的確に把握することが欠かせません。市民の声を聞く課が作成しております事業概要、市民の声によりますと、市役所に寄せられるこうした市民の声は、以前は年間7,000から8,000件程度で推移していたところが、近年では、インターネットの普及によるメールを用いた意見というものが増えたことにより、増加の傾向にあるとのことです。
こうしたご意見は、問題意識を持った市民が能動的に自らの声を行政に届けようとするものであり、様々な課題発見に結びつく可能性もある貴重な情報であると私は認識しております。また、意見が増えているということは、それだけ市政に関心のある市民が増えたということでもあるのではないかと思います。
一方で、こうした市民の声の中には行政に対する苦情も含まれ、その中には、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントに相当するものもあると伺いました。
このカスタマーハラスメントという言葉は、嫌がらせを意味するハラスメントの一種として10年ほど前から使われ始めていたと認識しておりますけれども、その中でも、これに当たる行為、2013年の札幌市の東区衣料品店における土下座の強要ですとか、また、2014年の大阪府茨木市のコンビニエンスストアにおける土下座強要及び恐喝の事案など、こうしたことがSNSを通じて拡散したものがあり、広く国民にも認知をされてきているところです。
最近におきましては、2022年10月に、大手ゲームメーカーの任天堂が、カスタマーハラスメントと認められる行為があった場合、商品の交換や修理をお断りする場合があること、これを規定に明記し話題となったところでもあります。
こうした労働者を取り巻く雇用環境に関しましては、2019年6月に女性の職場生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律が公布されまして、労働施策総合推進法等が改定されたことにより、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講ずることが事業主の義務となりました。
これを受けまして、2020年1月には、厚労省が事業主が講ずべき措置等についての指針を定めまして、その中で、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントに関しても必要な取組を行うことが望ましいことが記載されました。
また、その後、2022年2月には、カスタマーハラスメント対策に取り組む事業者のために、厚生労働省がカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成したところです。
一方で、公共サービスを担う公務員等の状況ですが、2022年6月に施行されたパワーハラスメント防止に関する人事院規則及び、それを受け総務省が各地方公共団体宛てに発出した通知の中で、カスタマーハラスメントへの対応が初めて示されました。
全日本自治団体労働組合、いわゆる自治労が2020年末に行った職場における迷惑行為、悪質クレームに関する調査では、46%の職員が迷惑行為や悪質クレームといったカスタマーハラスメントを受けて、出勤が憂鬱になった、あるいは眠れなくなったなど、生活に支障が生じているとの結果が示されており、公務員等も民間と同様にカスタマーハラスメントに悩まされている実態が明らかになったところです。
当然ながら、苦情に分類されるものであっても大切な市民のお声であり、その趣旨は真摯に受け止めなければならないものと思います。ですが、一方で、カスタマーハラスメントへの対応により生じる職員や組織への過度な負担は、市民への行政サービスの提供にも悪影響を及ぼすことも想定されるため、決して看過できないものと考えております。
そこで、まず最初に伺いますが、市役所に寄せられる市民の声は、統計的に提言、要望、苦情、問合せ、その他に分類されると伺っております。そうした日々寄せられる市民の声のうち、苦情に分類しているものはどのようなもので、どの程度の件数があるのか、また、その中にはカスタマーハラスメントに該当する行為があるのか、また、ある場合はどの程度含まれるのか、伺います。
◎加藤 広報部長 いわゆるカスタマーハラスメントの現状についてでございます。
市民の皆様からいただいている様々な声のうち、市の事務事業の遂行に伴って生じた個人や団体が被った不利益や不愉快な思いなどの申出を、統計上、苦情として集計しているところでございます。
令和3年度におきまして市民の皆様からいただいた声は2万2,072件でございまして、そのうちの約6%、1,393件がこの苦情に分類されるものでございました。
当然ながら、こうした苦情も市民の皆様の貴重な声でございまして、その趣旨に真摯に対応するのは当然であると認識してございます。しかしながら、残念ではございますが、これらの中にはいわゆるカスタマーハラスメントに該当するものが少なからず含まれているのが実情でございます。
正確な件数の数字として把握することは困難でございますけれども、本年1月に市役所本庁及び区役所で広聴部門を担当している職員56名に対して行った実態調査では、42名から回答があり、それらの職員のほぼ全てがカスタマーハラスメントを受けた経験があると回答しているところでございます。
その内訳は、1時間を超える長時間の拘束や、居座りといった時間拘束が最も多く、次いで、頻繁に来庁し、その都度クレームを言ったり、何度も説明や回答を行っているにもかかわらずクレームを繰り返すリピート型、大声で恫喝や罵声を浴びせる、対応者に責任を責める暴言が多い傾向にございます。
◆うるしはら直子 委員 広聴部門におけるカスタマーハラスメントがどのような状況にあるのかが分かりました。
本市においても、民間企業や他の自治体と同様の状況にあるということは、私もとても残念に思うとともに、また、そういった状況に置かれている職員の皆さんのことを考えると、様々な背景を抱える市民に寄り添った細やかな対応を第一に置きながらも、場合によっては、度を越した行動を取られる市民に対し毅然とした対応を取ることも必要なのではないかと考えます。
先ほども触れましたけれども、国が作成しましたカスタマーハラスメント対策企業マニュアルでは、カスタマーハラスメントに該当する行為とはどのようなものなのか、実態の確認ですとか分析をはじめ、また、該当するかどうかの判断基準ですとか、必要な対策、具体的な対応例など、きめ細かく言及されております。
民間企業の第一線で活躍されている方々ですとか、法律や労働問題の専門家の皆さんなどで構成された検討委員会が、民間企業へのヒアリングを重ねて取りまとめられたこのマニュアルは、これまで現場担当者が苦慮してきたカスタマーハラスメントに対する対応策を体系的に分かりやすく解説されていると思います。
このマニュアルは、民間企業向けにつくられたものではありますけれども、市役所のような自治体においても、この対応に当たって参考にできる部分も多くあるのではないかと思いました。
そこで、質問ですが、現在、広聴部門でカスタマーハラスメントに該当する行為を受けた場合、どのような対応をしているのか、また、対応する際に参考にしているマニュアル等などはあるのか、伺います。
◎加藤 広報部長 いわゆるカスタマーハラスメント事例に対する対応についてでございます。対応に当たりましては、現在は専用のマニュアルが整備されていないことから、札幌市不当要求行為等に関する対策要綱ですとか、対応要領をまとめられた札幌市不当要求行為対応マニュアルを参考に対応しているところでございます。
具体的に申しますと、カスタマーハラスメントに該当する行為が発生した場合には複数人で対応するなど組織的に対応するとともに、さらに、法的な対応が必要となるおそれが生じた場合につきましては、相手方に告げた上で、正確な記録を目的としたやり取りの録音を行っているところでございます。
そのほか、極めてまれなケースではございますけれども、行われた行為が脅迫など犯罪行為に当たる場合には行為をやめるよう警告し、それに従わない場合には、最寄りの警察署に連絡し、同席をお願いすることもございます。
なお、このような対応の履歴につきましては、寄せられた声を一元管理している市民の声集約
システムで、他の意見、要望等と同様に記録の上、指定相談処理票として文書で送付をし、市民の声を聞く課や各区の広聴係、ご意見に関係する部局で情報共有をしているところでございます。
◆うるしはら直子 委員 広聴部門においては、市の内部で定めています不当要求行為等のマニュアルを参考にして対応しているということ、また、市民の声集約
システムで情報を共有していることが分かりました。
また、答弁の中にありましたカスタマーハラスメントがあった場合には、組織的に複数人での対応を行っているということでしたけれども、この対応に多くの労力が費やされたり、カスタマーハラスメントを受けた職員に過大な負荷がかかって疲弊することなどにより職場全体のパフォーマンスが落ちることが懸念されます。
そして、何よりも、先ほども申しました自治労の調査にもあるように、出勤が憂鬱、眠れなくなるなど、このカスタマーハラスメントを受けた職員の心理的、肉体的なダメージは非常に大きなものがあり、防止のための対応が必要と考えます。
また、カスタマーハラスメントの対応を考える際には、どうしてもカスタマーハラスメントが起きた場合の対応に目が向きがちですけれども、これに加えまして、カスタマーハラスメントが起こらないようにするためにどうするのかといった対応策とともに検討して、両者を合わせて対応を図ることが重要であるのではないかと考えます。
そこで、質問ですけれども、広聴部門においてカスタマーハラスメントが起こらないようにする対策としてどのようなことを考えておられるのか、伺います。
◎加藤 広報部長 カスタマーハラスメント事例を発生させない取組についてでございます。
委員のご指摘のとおり、カスタマーハラスメントを防ぐためには、起きた場合の対応だけではなく、先手を打った予防の取組も重要であると認識してございます。
そのために効果的な取組の一つとしては、民間では一般的となっている通話の録音というものを考えてございます。この方法には、会話の記録が正確に残るというメリットがございまして、意見に対して的確な対応につながるとともに、振り返りによる職員の電話応対の
スキルアップにつながります。また、お互いに録音を意識することから、威圧的な言動等に対する予防効果は高いのではないかと思ってございます。
また、ポスターの掲示などにより、カスタマーハラスメントとはどのような行為であるか、こういったことを周知・啓発することで、社会的な認識の広がりということが期待できるため、重要であると思ってございます。
このような取組により、カスタマーハラスメントに当たる行為を行っている方ご自身の気づきを促し、そうした行為の減少が期待できるものと考えてございます。
なお、これは一例でございますけれども、コロナ禍で市民の声を聞く課1階の窓口にアクリルパーティションを設けたところ、来庁者との距離を保つことができまして、対応する職員の心理的負担が減ったということがございました。
また、電話によるご意見の聴取が極めて長時間になった場合、現在では職員側から打ち切ることはございませんけれども、長時間の電話拘束により、職員の業務に支障が出るほか、他の市民を待たせてしまう、またそのことで新たな苦情に発展する場合もございますので、こうした事態を避けるためにも、一定のルールの下で職員の側から聴取を打ち切ることも検討していい時期に来ているのではないかと考えているところでございます。
このように、日頃の対応の在り方を広聴部門として改めて検証いたしまして組織的に共有することで、市民サービスの向上や職員の勤務環境の改善につながるものと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、今申し上げました様々な取組を組み合わせて行うことによりまして、カスタマーハラスメント行為の防止に努めるとともに、苦情を含めまして、市民の皆様が札幌市に対し様々な声を寄せやすい環境整備に努めてまいります。
◆うるしはら直子 委員 今、いろいろご答弁いただきまして、市民対応の最前線に立つ部署の一つでもあります広聴部門のカスタマーハラスメントに対するお考えが分かりました。
先ほどもお話がありましたとおり、ポスターの掲示ですとか、そういった周知・啓発を進めることというものが一つあったと思うのですけれども、今、SNSなどを見ていますと、例えば、このクレーマーのこんなクレームがあったよというように漫画になって入ってくることがあって、そういうポスターとか漫画などが役所にあると、そうしたことを思っていなくても出してしまうような市民の方がいたときに、振り返られるのかなということも思いました。そうしたことも取り入れていただけたらなと思います。
また、行政は、様々な背景から困難を抱える市民の皆さんの最後のとりででもあります。そして、民間事業者のカスタマーハラスメントと全く同じ考えで対応するというのは本当に難しいことと思います。価値観が多様化し、様々な考え方、あるいは、様々な生き方が存在する現代社会にあっては、市民生活を維持する上で、市民それぞれがお持ちになる意見の相違というものはどうしても生じてくるものと思います。
行政は、そうした市民の皆さんの調整役としての役割が求められており、常に傾聴、耳を傾ける姿勢を持つことは大切なことだと思います。一方で同時に職員の勤務環境を整えていくことも大切です。時には、行き過ぎた言動が繰り返された場合などには、毅然とした対応を取ることも求められます。冷静な意見の交換が私たちの暮らす社会をよりよいものへと導いていくものと思います。
そうした意味では、日々、市民の様々な意見に接している広聴部門の職員が率先して、日ごろ培ってきたこうしたスキルを生かして、よりよい市民対応を模索していくことは大変有意義なことだと思います。
最後になりますが、カスタマーハラスメントという言葉だけが独り歩きしてしまうと、逆に行政側が行き過ぎた対応に傾いてしまう危険性もはらんでいると思います。職員の皆さんにも、そうした危険性を常に意識するという真摯な姿勢、これも大切になってくると思います。
いずれにしましても、厚生労働省が作成したマニュアルも参考にされながら、検討の結果によっては、札幌市独自のマニュアルをマニュアル化されること、そうしたことも視野に入れまして、この課題に取り組んでいただき、さらなる研さんを積まれることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、行政運営の将来像について3点質問させていただきます。
最初に、行政事務センターによるリソースシフトについてお伺いいたします。
これまで、我が会派は、行政運営へのデジタル技術の活用と業務の効率的な見直しを主張してまいりました。
これらを踏まえ、令和3年6月に受付事務や入力事務などの単純作業を中心とした業務を業者に委託させるという行政事務センターを設置したものと理解をしております。これまで、合計16の業務をセンターに移行し、開設から令和4年度に至るまで、取扱い業務の相当時間が約5万9,000時間に上がっているとのことであり、この数字自体を見ると、職員の負担減に一定の効果があると評価をしているところでございます。
一方、私どもは、このセンター設置の真の目的というものは、単に職員の業務の負担減だけではなく、それによって生まれる職員のリソースというものを、本来、市職員でなければできない業務に振り向けていくことであると認識をしております。まだ設置して2年でありますので、抜本的な転換とまではいかないと思いますが、新しい戦略ビジョンもでき、福祉サービスもますます充実強化していかなければならない昨今、職員のリソースシフトというものをしっかり促していくことが必要と考えるところでございます。
そこで、まず1点目の質問ですが、行政事務センターにおける業務委託を通して、削減された時間によってどのような効果が上がっているのか、お尋ねをいたします。
◎北川 改革推進室長 行政事務センターのリソースシフトについてお答えいたします。
センターを利用した所管部局へのアンケートでは、他の業務に注力できるようになったという意見は2件ありまして、例えば、特別児童扶養手当の業務におきましては、同時期に繁忙期を迎える認定業務に注力できるようになったといった意見をいただいているところでございます。
また、業務負担の軽減や時間外勤務の削減ができたという意見は15件ありまして、ここでも生み出された時間は
新型コロナウイルス感染症対応への応援業務や窓口相談業務などに充てられていると考えているところでございます。
このほか、事務スペースの確保や郵送料の節減といった意見も頂戴しており、副次的な効果も含めまして、行政事務センターが職員の負担軽減、業務効率化、市民サービスの向上に一定の効果があるものと認識をしているところでございます。
今後とも、本来職員が担うべき業務を見極めながら、センターの活用をさらに促しまして、業務の効率化とリソースシフトによります市民サービスの向上の両立に取り組んでまいりたいと考えております。
◆福田浩太郎 委員 ただいまのご答弁をお伺いして、徐々にではありますが、例えば、相談対応に注力できるようになってきたですとか、新たな行政需要への対応ができるようになったということでありまして、本来目的を実現しつつあるなというふうに評価をいたします。
一方、例えば、区でばらばらに行っている仕事を1か所にまとめる際に、いかに標準化、
デジタル化できるかがセンター業務の効率を上げるポイントだとも伺っております。こういったことも踏まえて、センターの活用をさらに促進していただきたいと思います。
次に、職員の皆さんがやりがいを持って仕事をできる組織風土づくり、職場改革について質問いたします。
行政事務センターは、必ずしも市の職員が担わなくてもよいと考えられるノンコア業務を委託化するものでありますけれども、そうは言いましても、コア、ノンコアと簡単に切り分けられるものではなく、地道な市民対応、内部事務といったものは職員の仕事として残っていくと想定されます。
そうした仕事も含め、全ての仕事に職員一人一人がやりがいや成長意欲を持って打ち込んでいただくことが重要でございます。ワーク・ライフ・バランスが叫ばれる昨今とはいえ、1日の3分の1もの時間を費やすのであれば、その仕事自体が楽しく、クリエーティブでやりがいのあるものへ質的な転換をしていくことが得策ではないかと思います。
このように、仕事を自体への向き合い方を高めることが組織の活性化にもつながっていくものと考えております。
そのような中、改革推進室では、令和5年度予算に組織活性化推進費という新しい予算項目が立てられ、1,400万円の予算額が計上されております。これらは、組織、人材、マネジメント向上を目的に診断を行うものということだと聞いております。
そこで、お尋ねをいたしますが、どういった問題背景からこのようなことに取り組むのか、組織診断の進め方と併せてお尋ねをいたします。
◎北川 改革推進室長 組織の活性化と風土改革についてお答えいたします。
労働市場の流動化とともに、職員の採用倍率の低下や内定辞退者の増加、また、若手職員の離職増加といった行政経営課題に直面している中、職員一人一人が組織への自発的な貢献意欲を持ち主体的に業務に取り組むいわゆる職員エンゲージメントの向上が今後の行政運営に欠かせないものという認識をしております。
そのためには、まず、各職場の状態を可視化することが必要と考えておりまして、組織目標への理解、やりがい、成長意欲といった職員の状況を職場ごとに数値化し、組織の強み、弱みを分析し、組織風土の改善につなげてまいりたいと考えているところでございます。
具体的な進め方といたしましては、新年度から全職員へのアンケートを行い、その結果を基に職場ごとの課題を明らかにするとともに、特定の部署につきましてはコンサルティングなども取り入れていくことを想定してございます。
◆福田浩太郎 委員 札幌市役所は巨大組織であります。一定程度細分化していくことはやむを得ません。しかし一方、仕事を縦割りに感じたり、職員の意欲といったものが感じられないということもしばしば感じられるところでございます。それぞれの組織の強み、弱みを可視化、分析をし、それを着実に改善に生かすということは、役所仕事において先進的な取組だというふうに思います。ぜひ、継続的に実行し、目標を持って組織改善していただくとともに、意欲的にチャレンジできる組織づくりに向け、しっかりと土台をつくっていただきたいというふうに思います。
その上で、最後に、具体的な組織風土活性化に向けて議論をさせていただきたいと思います。
これからの時代、既存の仕事をこなしているだけでは、若い世代に仕事先として市役所が選ばれなくなる可能性がございます。
そのため、大きく2点、提案をしたいと思います。
まず1点目は、徹底的な
デジタル化を進めていただくことでございます。例えば、既存の紙を前提とした業務だと、紙の申請書、紙で決裁に回して、紙で決定通知書を交付して、紙の台帳につづる、これでは職員の意欲もなかなか湧いてこないと思います。
2点目は、職員は常日頃から外部との情報交換をしていただきたいということです。今は、国際交流などもオンラインでできるものであり、例えば、姉妹都市ポートランドの自治の在り方について意見交換をすることも可能だと思います。また、民間の方々と今抱える福祉の課題について議論を交わす、こういったことも必要かと思います。
こうした触発が、仕事の再認識、意欲の向上、ひいては組織の活性化にもつながってくると考えるところでございます。組織風土活性化への
仕組みづくりについては、人事制度での改善も重要と思いますが、先ほど来申し上げました既存の業務にとらわれない取組が不可欠と考えます。
最後に、行政経営を担う改革推進室に、特にDXの面と外部との関係性の構築という点で今後の取組方針を伺って、私の質問を終わります。
◎北川 改革推進室長 組織風土活性化に向けた具体策についてお答えいたします。
特に、庁内DXの推進と外部との関係性の構築という点での取組についてでございます。
まず、庁内DXの方向性でありますが、市民サービスの向上と職員のワークスタイルの変革を進める上で、DXの推進により実現可能となる将来像を示し、それに向けて着実に取り組むことが肝要と考えています。
具体的な将来像といたしましては、申請や相談業務の大半をオンラインでも実現可能とし、市民が区役所などの窓口に来ずともサービスを受けられる環境を実現したり、テレワークやペーパーレスの取組を推進し、職員にとって柔軟かつ効率的な働き方を実現することが重要だと考えてございます。
また、外部との関係性の構築という点では、外部講師によります勉強会など民間の知見を学ぶ機会は大変有益でございますし、様々な分野で外部人材を積極的に活用することで、質の高い行政運営を目指していくことが必要と考えてございます。
こういった問題意識を関係部局とも共有いたしまして、次期
まちづくり戦略ビジョンの行政運営編や次期中期実施計画の中で具体的な取組を盛り込むなど、ご提案の観点も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
○川田ただひさ 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時4分
再 開 午後3時25分
――――――――――――――
○田中啓介 副委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆長屋いずみ 委員 私からは、仕組み債に関連して、本市の出資団体の資金運用に関して4点質問いたします。
本市には30の出資団体があり、市民サービスなどの向上に向け、出資団体の役割や特性を鑑みて、市が効果的に指導や調整を行うなどの役割があると考えます。
そこで、出資団体の基本的な位置づけはどのようなものか、あわせて、本市の指導監督責任についてお伺いいたします。
◎北川 改革推進室長 出資団体の基本的な位置づけと札幌市の指導・監督責任についてお答えいたします。
出資団体は、市の施策を補完、代行する目的で札幌市が出資した団体でありまして、社会情勢の変化等に的確に対応するため、
まちづくりのパートナーとして各団体の得意分野を本市が積極的に活用し、連携をしているところでございます。
出資団体のうち、本市の出資割合が4分の1以上の団体、また、市の委託料などが団体収入に占める割合が2分の1以上の団体、事業内容が市の業務と密接に関連している団体などの計30団体を指定団体として本市による重点的な指導・監督や積極的な関与を行っているところでございます。
具体的には、札幌市出資団体の在り方に関する基本方針におきまして、団体に対しては、適正な財務管理を徹底するほか、法令等を遵守したより透明度の高い団体運営を求めることと定めているところでございます。
この基本方針を踏まえまして、改革推進室及び財政部から、毎年度、資金運用に関する留意事項を示しまして、所管局から出資団体に対して適切な指導・助言を行うよう通知しているところでございます。
各所管部局におきましては、当該留意事項に基づきまして、各団体の資金運用について適切な指導・助言を行っていく立場にあるものと認識をしてございます。
◆長屋いずみ 委員 札幌市の施策を補完、代行する目的で、札幌市が主体的に設立した団体、いわゆる市民サービスを提供するわけですから市の責任は重要だと考えます。
昨年末の新聞報道で、仕組み債、販売停止続々という報道がありました。銀行や証券会社などから勧誘を受けて購入した高齢者が多額の損失を抱えるケースが続出し、トラブルになっているというものです。
そこで、本市の出資団体における資金運用についても確認したいと考えたところです。
質問ですが、そもそも仕組み債とはどのようなものなのか、また、出資団体で仕組み債を購入している団体のあるなし、あわせて、ある場合はどういった内容のものなのか、お伺いいたします。
◎北川 改革推進室長 仕組み債の概要と保有状況についてお答えいたします。
仕組み債とは、一般的な債券には見られない特別な仕組みを持つ債権でございまして、スワップやオプションなどの金融派生商品を組み込んだ債券を指すものでございます。
なお、仕組み債には、満期における元本保証の有無やリスクの程度などによって様々な商品がありまして、一概に仕組み債というだけでリスクが大きいとは必ずしも言い切れないものと認識してございます。
本市出資団体における仕組み債の保有状況は、札幌国際プラザ及び札幌市スポーツ協会の2団体でそれぞれ1銘柄でございまして、運用額は合わせて1億4,000万円となってございます。
◆長屋いずみ 委員 特別な債券でスワップやオプション取引を組み込んだものだということでした。本市の出資団体は2団体、運用額1億4,000万円ということでしたけれども、今のご答弁で、どれだけの方が仕組み債を理解できたのか、疑問です。
仕組み債は、国債や社債のように債権ではありますが、一般的な国債とは全く異質なものです。国債などは資金調達目的で発行されておりますが、仕組み債は、投資対象とするためだけに、プロの機関投資家向けに開発されたと言われ、商品設計が非常に複雑です。ですから、いわゆるプロでなければ安定的な資金形成はできない商品になっております。
しかし、銀行や証券会社では、その複雑な仕組みやリスクを十分説明せずに高齢者に販売をして、大きな損害を被ったというトラブルが多発し、銀行や証券会社では販売を中止したというのが先ほどの報道内容です。
金融庁は、昨年6月に資産運用業高度化プログレスレポート2022を公表し、その中で仕組み債についての問題点を指摘し、その一つに、顧客の利益よりも会社のもうけを優先して、金融機関等が短期的に利益を上げやすい商品性と指摘しております。その仕組み債ですが、ご答弁では、本市の出資団体において2団体が購入していたとのことでした。
そこで、購入理由が分かればその理由と、現時点での評価損益、あわせて、原本割れなどの有無をお伺いいたします。
◎北川 改革推進室長 仕組み債の購入理由と、現時点での評価損益、また、元本割れの可能性についてお答えいたします。
各団体においては、安全性の高い預貯金や国債、地方債の運用を中心としながらも、各団体の資金運用規定の範囲内で、運用資金の一部をより高い収益を期待できる商品に振り向けることで、資金の効率的な運用を実現させることが可能と判断し、過去に仕組み債を購入したものと伺っています。
令和3年度決算時点では、国際プラザ保有分は約190万円の評価益、スポーツ協会保有分につきましては約380万円の評価損があることを認識しておりますが、これらは、満期まで保有する目的で購入したものでございまして、満期償還時にはいずれも元本返還が確実になされるものと伺っております。
◆長屋いずみ 委員 先ほどのプログレスレポート2022の中で、元本保証商品ではないのに、あたかも元本保証商品であるかのように説明したということも指摘しております。満期まで持っていれば元本割れしないというご答弁がありましたけれども、根拠はどこにあるのでしょうか。
また、仕組み債については、約10年ほど前に日本全国で大きな問題になり、本市議会でも、固定利率の国債と異なり、利息ゼロである可能性が高いこと、30年後の貨幣価値の予測は困難であること、途中解約は大きな損失となることなどを指摘され、中止を求める声が上がっておりました。
さらに、平成22年3月26日、商品自体の賭博性を初めて認める判決も出されております。しかし、本市の出資団体においては、今なお仕組み債の運用があるということです。
札幌市の出資団体とは、市民の税金から市に代わって行政サービスを提供するために設立された団体です。その資金は、市民サービスの向上のために使われるべきであるはずです。被害を出すような仕組み債を安易に購入されるようなことに市民は理解できませんから、改めて、今後については中止するよう指導すべきだと思いますがいかがか、伺います。
◎北川 改革推進室長 リスクのある仕組み債の新たな購入を中止するように指導すべきではないかといったご質問でございました。
本市では、これまでも毎年度通知をしております資金運用に関する留意事項を通じまして、各団体が資金運用を行うに当たりまして、金融商品の性格やリスクに対する十分な理解、また、商品選択時の組織的な検討、運用中の適切な
リスク管理を行っていくことを求めているところでございます。
出資団体における資金運用は、事業資金の確保などを目的に、各団体が団体運営の一環として主体的に判断を行うものであり、様々な金融商品がある中で一律に商品種別を指定して禁止すべきものではないというふうに考えますが、一方で、リスクの高い商品につきましては、各団体において将来の事業継続に支障を来すことのないよう、商品の性格やリスク内容を十分に検討の上、慎重に判断を行うべきものと考えているところでございます。
◆長屋いずみ 委員 各団体の事業資金の確保などを目的として、各団体が自主的に行っている各団体自らの運用方針等を策定し、これに基づき運用している、だから各団体においてということでした。
仕組み債において多々のトラブルもあったことから、金融庁は、取扱いを続けるべきか否かについて、経営レベルにおいて議論すべきだと求めておりました。そういうこともあり、道内では既に北洋銀行は昨年8月に販売停止し、北海道銀行は銀行本体での販売はしておりません。市民サービスを提供する団体ですから、そのような商品を購入することはふさわしくありませんし、それに対して本市も中止を求めるべきだと再度申し述べて、質疑を終わります。
◆石川さわ子 委員 私からは、行政評価制度への市民参加について伺います。
さきの代表質問におきまして、私は、行政評価制度を初めとする政策の評価の段階における市民参加の重要性について指摘をさせていただきまして、この委員会でもさらに伺いたいと思います。
まずは、現在、行政評価制度において取り組まれております市民参加ワークショップについて伺います。
行政評価制度は、自治基本条例に基づき、市民への説明責任を果たすツールとして大変重要なものです。事業のPDCAのC、つまりチェックという大変大切な、重要な部分でありまして、条例で規定されておりますように、政策への評価として、市民がチェック、評価に参加する機会をつくることは大変重要だと私も思います。
本市では、毎年、外部評価制度の一環として、評価対象事業の中からテーマを決めて、市民に事業の実施状況などについて説明をし、意見を伺うという市民参加ワークショップを実施しております。しかし、2020年度、また2021年度は、
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、このワークショップが中止となりまして、私は大変残念であるというふうに思っておりました。そして、今年度は、初めての取組といたしまして、オンラインでのワークショップを開催したと伺いました。
外部評価報告書におきましては、その概要が既に示されているところではあり、17名の参加者の下、行政の
デジタル化をテーマとして実施をしたというふうに示されておりました。
そこで、まず1点目に、今年度、オンライン形式で実施をした市民参加ワークショップにおいて、どのような意義があり、どのような課題があるのか、また、次年度以降の方向性について併せて伺います。
◎北川 改革推進室長 市民参加ワークショップの成果と課題についてお答えいたします。
まず、今年度、初めてオンライン形式により開催したワークショップの意義といたしましては、感染症のリスクや会場に移動したり紙の資料をお持ちいただくといった手間もなく、市民の皆さんのご負担が少ない形で開催できたものと考えてございます。
一方、課題といたしましては、参加者の温度感がつかみにくいため、これまで以上にグループディスカッションの場でファシリテーターの役割が重要になるなど挙げられておりますが、総じて、対面でのワークショップと同等以上の効果があると考えるところでございます。
このことから、次年度以降も、より多くの方にご参加いただけるよう工夫の上、オンラインも活用しながら、市民参加ワークショップを充実させてまいりたいと考えております。
◆石川さわ子 委員 市民の手間や負担が軽減されたということでありますが、17名の参加ということでありまして、オンラインというのは、広く参加を募るということもその利点としてあると思いますので、今後は、そうした人をたくさん募集するとか、テーマを増やすなどの工夫をして、いろんな話合いを深く進めていただきたいと思います。
続いて、代表質問でもお伺いをしたことでありますが、もう少し詳しくお尋ねしたいと思います。
代表質問におきまして、私は、政策に関する評価への市民参加を進めるため、政策に関する情報の作成と公開を市民に分かりやすく行うべきと指摘をいたしました。答弁といたしましては、評価調書自体を分かりやすいものへと改定するとともに、知りたい情報に気軽にアクセスできるよう、情報公開の手法についても検討したいということでありました。
この答弁を受けまして、まず、市民が気軽にアクセスできる情報公開の手法について、さらに伺いたいと思います。
今回、私が質問でご指摘させていただいたことを受けまして、早速、本市では、公式ホームページのトップページの
まちづくりに参加するという項目の一つに行政評価制度を付け加えていただきました。大変迅速な対応をしていただいたものと承知をしております。
そこで、次の質問でありますが、今後、より多くの市民の皆さんが気軽に評価調書にアクセスできて、意見を言えるような仕組みについて、例えば、原局のホームページに評価調書を置くとか、市民からのコメントがいただけるような体裁にするとか、そうしたさらなる工夫はできないのかということについて伺います。
◎北川 改革推進室長 市民が気軽に評価調書にアクセスするための工夫についてお答えいたします。
事業評価調書の公表に当たりましては、市役所ホームページのトップページにリンクを掲載したり、評価調書の検索機能を搭載するなどの工夫をしてきたところでございますが、市民への貴重な情報共有ツールとして、より関心を持ってもらいやすい公表方法を検討していく必要があるものと認識しております。
今後、例えば、評価調書の公表時に、外部評価の対象事業など特徴的な事業の長所を特集してまとめて掲載し、市民からも意見をいただくようにするなど、ご指摘の観点も含めて、さらなる工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
◆石川さわ子 委員 市民の関心が高いような事業を特集して評価を公表していくというのはとてもいいアイデアだと思いますし、例えば、ほかの自治体のホームページなどを見てみますと、それぞれの原局のホームページ上で様々な事業を説明した後に必ず、この情報は役に立ちましたか、はいとかいいえとかで評価を確認できるようなつくり込みもしておりますので、そうしたことも参考にしていただきながら、さらに分かりやすい情報公開に努めていただきたいというふうに思います。
ただいまの答弁で、さらに工夫をしていかれるということでありましたので、対応をお願いいたします。
最後の質問になりますが、今後の行政評価制度の見直しについて伺います。
制度の見直しにつきましては、昨年の
予算特別委員会でも私は質問をさせていただきましたが、さきの代表質問で、評価調書自体を分かりやすいものへと改良するという答弁がありましたので、これは、市民への説明責任のツールとして市民の皆さんに大変分かりやすくするというふうに私は受けとめておりまして、期待をするところであります。評価調書の見直しにつきましては、昨年の11月に市長に手交をされました外部評価委員会からの報告書においても、現在の評価調書は定性的な記載が多く、また、自己評価の形骸化を招く可能性があることから、極力シンプルな評価調書にすべきというふうに提言をされております。
確かに、このご提言のとおり、調書の中では前年度と同じような記載内容がそのまま記載されておりましたり、また、長くて分かりづらい文章も目につくところでありまして、委員会からの指摘は私も理解をするところであります。
一方、事業評価調書では市民参加の実施状況なども大事な取組としてチェックができるようになっておりますことは私も評価をするところでありまして、ご提言のように、極力シンプルにするとはいいましても、市民への説明責任として必要な項目は確保すべきでありまして、バランス感覚が求められると思います。
また、そもそも行政評価制度自体の在り方についても見直しをしていくとのことでありますから、事業評価調書の改定自体は、その見直しの目的に沿った形で進めていくことも必要であるというふうに思っております。
そこで、最後の質問でありますけれども、評価制度の見直しは今後どのように進めていくのか、また、評価調書の改定内容と併せて質問をいたします。
◎北川 改革推進室長 今後の評価制度の見直しについてお答えいたします。
評価制度が創設されてから20年以上が経過する中、現在、よりよい制度の運営に向けた見直しの検討を進めているところでございます。
今年度、行政評価委員会からも、行政運営のマネジメントツールとして機能させるため、各事業において、しっかりと根拠のある指標を設定し進行管理をすること、また、市民への説明責任をしっかり果たせるような評価調書にするべきといった、制度の見直しに向けてのご指摘をいただいたところでございます。
これを受けまして、今後、財政部や政策企画部とも連携いたしまして、各部局の効果的な事業推進や見直しを後押しできるよう、管理部門による2次評価の実施なども含め、評価結果を行政運営に生かしていく取組を進めてまいりたいと考えております。
加えて、評価調書につきましては、市民参加の実施状況など必要な項目は残しつつ、その事業が意味するところを端的に伝えられるシンプルかつ分かりやすい調書へと改定してまいりたいと考えております。
◆石川さわ子 委員 これまでの質問で確認させていただいた中で、そもそも行政評価制度の課題としましては、適切な評価指標の設定が困難である、それから、評価事務の効率化などが言われていたと思います。
また、行政評価事務の事務量が多いということで、総務省の調査でも、多くの自治体、約8割がその効率化を課題として挙げておりました。
しかし、今、評価委員会の結論をおっしゃったように、根拠のある評価指標をしっかりと設定することで、事務を効率化するためのマネジメントツールとしてこの行政評価制度を使いこなす、これは目指すべきものでありまして、しっかりと行政運営に生かしていくというお話がありましたとおり、取組を積極的に進めていただきたいと思います。
一方、職員目線での効率化を高めようといたしますと、先ほども申し上げましたように、市民にとっては分かりづらくなる懸念があるというふうに私は思います。市民への説明責任を果たすことが、自治基本条例にのっとり、行政評価制度の大きな最も意義のあることだというふうに確認をさせてきていただいておりますから、その基本はしっかりと押さえて、市民にとって市政への評価への参加が気軽にできて、参加がさらに進むよう、こうした視点での行政評価制度の見直し、事業評価調書の改定をさらに積極的に進めていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○田中啓介 副委員長 以上で、第1項
総務管理費中総務局関係分等の質疑を終了いたします。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時51分
再 開 午後3時52分
――――――――――――――
○田中啓介 副委員長 委員会を再開いたします。
最後に、第2款 総務費 第1項
総務管理費中デジタル戦略推進局関係分の質疑を行います。
◆あおいひろみ 委員 私は、行政サービスの高度化に向けたデジタル環境整備事業について、2点質問いたします。
我が会派は、これまでも、一般社会では今や当たり前になっているインターネットをはじめとするデジタル技術を行政事務にも取り入れていかなければならない旨を指摘してきました。
このたび、令和5年度予算案に計上されている行政サービスの高度化に向けたデジタル環境整備事業は、インターネット上の利便性の高いサービスを活用できるよう、新たにインターネット接続系のネットワーク、いわゆるニュースネットを構築し、より質の高い市民サービスの提供を可能とするための環境整備を行う事業と聞いています。
令和4年第3回
定例市議会の
決算特別委員会で、我が会派からこの取組について質疑を行ったところ、早期にこの環境整備を完了させるべく、令和5年度には、移行計画を策定し、確実にインターネット接続系への移行を完了させる所存である旨の答弁がありました。
このような環境整備は、オンラインで済ませられる手続はオンラインで完結できるようにすることで、支援が必要な方に対しても訪問して手続を完了することが可能となるなど、デジタル技術を活用しながら、より質の高い市民サービスを提供するために不可欠な取組であると考えており、ぜひ確実に進めていただきたいと思います。
一方、こうした環境整備だけでは市民サービスの向上はすぐには実現せず、市民サービスを提供している各部署での取組が必要になるのではないかと考えるところです。
そこで、質問ですが、より質の高い市民サービスの提供が可能となるためには、今後どのような取組が必要なのか、また、情報
システム部はそれに対してどのような姿勢で臨んでいくおつもりなのか、併せてお伺いいたします。
◎長沼 情報
システム部長 より質の高い市民サービスの提供に向けた取組についてお答えをいたします。
委員がご指摘のように、本事業は、インターネットを介しましてより質の高い市民サービスが行えるようにするために、土台となる環境を整えていく事業となっております。
今後、この環境の上で市民サービスを提供している各部署がインターネット上のサービスなどを活用しまして、市民が行政の手続などに直接アクセスできるようなサービスですとか
システムを構築していくという必要があります。また、その際には、現行の仕事の仕方にとらわれることなく、サービスを利用する市民の利便性向上を前提に、デジタル技術を活用して仕事の流れや進め方を大胆に見直すこと、いわゆるデジタルトランスフォーメーションを取り入れたサービスや
システムを構築することが必要であると考えております。
情報
システム部としましては、各部署のデジタルトランスフォーメーションを促していくとともに、最新の技術動向や他都市の事例なども踏まえながら、サービスや
システムの設計、構築に取り組んでいくことで、質の高い市民サービスの提供を進めてまいりたいと考えております。
◆あおいひろみ 委員 この事業は、より質の高い市民サービスの提供を実現するための土台となる環境を整備するものであり、あわせて、各市民サービスを提供している部署での取組が必要となること、また、情報
システム部としては、それらが全庁的な取組となるよう、各部署と緊密に連携を取っていく考えであることが分かりました。
ぜひ、一日も早く市民サービスが便利になったと実感できるよう取り組んでいただきたいと思います。
さて、このような取組が進み便利になった市民サービスは、高齢者をはじめとした誰もがその恩恵を享受できなければなりません。
札幌市は、令和3年12月に策定した札幌DX推進方針の中で、行政手続のオンライン化や自治体
システムの標準化、行政サービスの高度化に向けたデジタル環境整備などを進め、誰もが持続可能で利便性の高い官民のサービスを受けられるまちの実現を目指すとしています。
そこで、質問ですが、全ての市民にとって使いやすい優しい
システム、市民サービスとしていくためには、どのような点に留意して進めていかなくてはならないと考えているのか、お伺いいたします。
◎長沼 情報
システム部長 使いやすい
システム、サービスとするための留意点についてお答えいたします。
全ての市民にとって使いやすく、そして、優しいサービスとするためには、サービスの受け手であります市民ニーズを起点とした行政サービスを市民目線で構築していくということが大切だと考えております。
そこで、目指すサービスを見つけやすく、また、迷うことなく手続を進められるように、シンプルで使いやすい構成とすることですとか、本格的にサービスを提供する前に
実証実験を行ったり、より使いやすいサービスにするような改善を加えるなど、誰もが安心して利便性を実感し、真に市民生活の質の向上につながる市民目線によるデジタル改革となるように取り組んでまいりたいと考えております。
加えて、ビデオ通話ですとかチャットサービスといったものを活用した遠隔サポートなど、デジタルに不慣れな方でも手続が滞ることのないように支援できる仕組みについても併せて検討していきたいと考えております。
◆あおいひろみ 委員 利用者の使いやすさを第一に考えることや、使い方が分からない方向けのサポートも併せて行っていくことが大切であることが分かりました。
近いところで例えますと、
新型コロナウイルス感染症のこくちまるが挙げられると思うのですが、私の父が85歳で、スマホは持っていますが、こくちまるでの申請ができなかったという経験があります。アップロードが分からなかった。母が代わりにやってあげようかというと、この携帯で新型コロナウイルスをうつすわけにはいかないので、後悔するから、今回の告知は諦めると言ってやらなかったという経験があります。自分はこういうものすら社会から取り残されてしまうのだというふうに経験したという父の話もありまして、このような寂しい思いをするお年寄りがいないよう、しっかりとサポートしていただければと思います。
今後、社会の
デジタル化は一層進んでいくものと考えますので、デジタル技術に不慣れな方々にとっても、その利便性を実感でき、活用していただけるような市民サービスになるよう、今後も市民目線でのサービスの提供を心がけてもらうことを要望して、私の質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、デジタル活用に対する支援について、2点お伺いをいたします。
先週の報道では、2月21日時点でのマイナンバーカードの申請件数が8,832万件ということで、人口の70%を超えたとのことでありました。
マイナンバーカードは、オンラインによる手続などを進める上で必要不可欠なものであります。多くの方がカードを保有することは大変喜ばしいことだと思っております。
札幌市では、マイナンバーカードを持つことで、コンビニでの住民票などに加え、4月からは戸籍証明の取得もできるようになるなど、身近な場所で手軽に行政サービスを受けられるようになりますが、これらを活用する市民が増えるということは、区役所を利用する方にとっても混雑の緩和が図られるなどの利便、利点があると考えておりますので、カードの利活用については、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
マイナンバーカードの申請が伸びている要因としては、今般、申請期限が延長されたマイナポイントの効果があると考えておりますけれども、高齢者の方からは、マイナポイントの申請に苦慮しているという声も聞こえているところでございます。
そこでまず、質問ですが、令和4年度の札幌市ICT活用戦略推進費では、マイナポイントの申請に当たってのお手伝いを行ったというふうに聞いておりますが、どのような支援を行ってきたのか、まだどのような利用状況であったのか、お尋ねをいたします。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 マイナポイントのお手伝い窓口で、どのような支援を行い、また、どのような利用状況であったのかについてお答えをいたします。
令和2年6月に各区役所に設置をいたしましたマイナポイントお手伝い窓口では、開設以来、パソコンや
スマートフォンなどをお持ちでない方や、デジタルに不慣れな方などを対象に、マイナポイントの仕組みやパソコンなどの操作方法をご説明しながらオンライン申請のお手伝いをする伴走型の支援を行ってまいりました。
また、昨年6月のマイナポイント第2弾の申込み手続の開始にあたっては、窓口の混雑などを避けるため、予約制を導入したところでありますが、支援窓口の拡充を求める市民の声に対応して、予約が不要な窓口の設置を含め、順次、支援体制の強化に努めてまいったところでございます。
お手伝い窓口の利用状況といたしましては、昨年4月から今年2月までの間に約20万2,000人に対して支援を行ってきたところでありまして、その内訳としては、70歳以上が約5割、60歳代が約2割となっており、利用者の約7割が60歳以上の方でありました。
◆福田浩太郎 委員 令和4年度は、4月から2月までの間に、高齢者を中心として約20万人以上の方への支援を行ったということでございました。
これだけ多くの市民に対する支援を行ってきたことはすばらしいことだなというふうに思う一方、これほど多くの方がデジタルサービスに対する戸惑いをお持ちだということに驚きを感じるところでもございます。
札幌市では、令和3年度から、総務省のデジタル活用支援推進事業の補助金を活用する民間企業と連携して、区民センターや
まちづくりセンターで
スマートフォン教室を開催し、これまで約1,000名に対して支援を行ってきたと伺っております。
令和5年度予算においては、デジタル活用支援推進費を計上しておりますが、デジタル社会が急速に進むことが予想されることや、先ほどのマイナポイント支援窓口の利用状況も踏まえますと、さらに拡充してもよいのではないかと思うところでもございます。
また、今後は、生産年齢人口が減少し、これまでのように職員を十分に確保することが難しいと見込まれることから、オンラインによる手続や面談等も活用しながら行政サービスを提供していく必要があると考えますが、高齢化が進む中、より多くの方が安心して利用できるような社会をつくっていくためにも、デジタル活用の支援について根気強く取り組んでいくことが肝要と考えます。
そこで、質問ですが、デジタルに不慣れな方に対して、令和5年度は具体的にどのような支援を行っていくのか、お伺いいたします。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 デジタルに不慣れな方に対してどのような支援を行っていくかについてでございますが、今年度実施をしたスマホ教室の受講者アンケートでは、7割以上の方から満足と回答をいただいております。一方で、低い評価となった主な理由といたしましては、複数回参加したかった、講座の時間が短いとの意見が多いことから、支援を拡充していく必要があると考えているところでございます。
このため、令和5年度の事業においては、民間企業との連携をさらに強化することにより、スマホ教室の実施期間や回数を拡充するとともに、この教室に参加をいただいた後も希望者に対してフォローアップすることを検討してまいりたいと思います。
また、これまでは実施会場や申込み手続期間の確保などの制約から実施期間や回数が限られておりましたが、総務省の研修を受けたデジタル活用支援員とスマホ教室に必要な設備を搭載した車両を手配することなど、市民が希望する時間と場所でスマホ教室を開催できる新たな手法についても検討してまいりたいと考えております。
◆福田浩太郎 委員 実際に利用した方々のご意見の分析はそのとおりだなというふうに思いますし、また、次年度の支援について拡充して、工夫をしていくということは承知をいたします。
しかし、さらなる取組が不可欠であろうというふうに考えるところでございます。生活の質や満足度の向上、そして、持続可能性に配慮をした新しい成長モデルの構築には最新のデジタル技術の活用が欠かせませんが、高齢者などデジタルに不慣れな方々も相当数いらっしゃいます。
我が党は、デジタルインクルージョンを目指して支援を必要としている情報弱者のため、デジタル活用支援員の拡充や申請サポートの制度化、多言語化など、総合的なデジタルディバイド対策を講じるべきと主張をしております。
例えば、認知症サポーターを参考に、スマホ教室などの講習を受講した高齢者などを新たなデジタル推進委員として、仮称でありますけれども、地域デジタルサポーターというようなものに認定をし、地域や同世代のつながりの中で、小さなつまずきを解消できる取組を市民的な運動として進めることをご提案したいというふうに思います。
人が主役のデジタル共助の
まちづくりへ、誰一人取り残されないデジタル社会の実現のためになお一層取り組んでいただくことを強く求めまして、質問を終わります。
◆三神英彦 委員 私からは、さっぽろ圏データ取引市場について質問させていただきます。
本市が昨年10月に策定した第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンでは、誰もが先端技術などにより快適に暮らし、新たな価値の創出に挑戦できる社会を実現するための施策の一つとして、スマートシティの推進を掲げております。
このビジョンで言うスマートシティ、ICTなどの新技術を活用し、マネジメントを高度化することにより都市や地域の課題を解決し、新たな価値を創出し続ける持続可能なまちと定義されております。そして、その施策においては、官民の複数分野にわたるデータの利活用を促進する仕組みであるデータ連携基盤が中核を担うものでありますが、前提が無償公開であるこれまでの取組としては、利用ニーズのある価値の高い民間事業者のデータが流通しにくいということが課題となっていると聞いておりました。
そこで、本市においては、この課題を解決するため、有償でも無償でもデータを流通させるデータ取引市場というものを昨年12月に開設するとともに、データ提供者及びデータ利用者を支援するコーディネーターを設置するなど、スマートシティの推進に向けた具体的な取組の第一歩が始まったものと期待しているところです。
質問ですが、データ取引市場におけるコーディネーターの活動状況とその中で寄せられたデータ取引市場に対する民間事業者の反応について伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 コーディネーターの活動状況についてお答えいたします。
現在、昨年度に実施をいたしました600社を超える企業への官民データ利活用に関する
アンケート調査の結果を分析し、取引市場の利活用に関して、可能性の高い事業者を抽出の上、優先順位を決めて、順次、ヒアリング調査を実施しているところでございます。
これまで、小売や商社、IT関連などの事業者11社に対して、データの購入や販売に関する具体的なニーズなどをお聞きしてまいりましたが、データの購入に前向きな事業者の方からは、例えば、航空機や宿泊施設の予約状況のほか、人流データやレンタカーの利用状況などのデータについて、購入ニーズがあることが確認できました。
一方、データの販売に前向きな事業者からは、気象情報やインバウンドの購買データ、SNSの統計分析データなどについて、購入ニーズがあれば販売する意思があることも確認できました。
また、ヒアリングした事業者全体としては、本市のデータ取引市場の取組について、今後、データビジネスを検討する上で、コーディネーターの体制を含め、データ売買の可能性が広がることを歓迎するとの声をいただいておるところでございます。
◆三神英彦 委員 新しい取組ということで、いろんなところが興味を持ってくださっているということが分かりましたということですね。
一方、現時点で、市場に掲載されているデータというのがまだ僅かで、具体的な取引事例の創出にも至っていないということ、目指すべきスマートシティの実現に向けては乗り越えなければならない課題というのがいろいろあるのではないかというふうに思います。
行政主導によるデータ取引市場は全国的に類を見ない取組であり、チャレンジすることはすばらしいと思いますが、今後、取引事例を創出し、それから、さらに増やしていくということに関しては、本当にこの現状の課題というものを的確に分析、把握しながら解決に向けて取組を進めていく必要があると思います。
質問ですが、データ取引市場における具体の取引事例の創出に向け、現時点で把握している課題とそれに対して今後どのような方針で取り組んでいくのかを伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 取引事例創出に向けた課題と今後の取組方針についてでございますが、データ取引市場の取組については、まだ多くの方に知られていないことから、データ利活用によるスマートシティを推進している団体や地域の経済団体などとの連携の下、セミナーなどを通じて幅広く普及啓発に取り組んでいく必要があると認識しております。
また、コーディネート活動で得られた課題といたしましては、データを購入して事業に活用したいという事業者はあるものの、具体的な投資効果が見通せないため、実際の購入まで至っていないこと、一方、データ販売においては、そもそも自らの事業で生成されるデータに購入ニーズがあることを意識していない事業者が多いことが挙げられます。
これらの課題に対応するため、コーディネーターが具体的な利活用事例やその効果をお示しするとともに、まずはデータ購入のニーズを探すことを先行させ、それを踏まえて、データの所有者を探していくという方針で取組を進めてまいりたいと考えております。
◆三神英彦 委員 新しい取組にチャレンジしていくのは本当にすばらしいと思うのです。ただ、今、AIという名前がついた状態で、絵をつくりますだったり、音楽をつくりますだったり、いろんなもの、ただ、まだ実はあれはバックヤードでは自分で考えるということはしていないのですけれど、要は、今まで人間が出してきた膨大なデータというのをうまくアレンジすることによって的確な答えを返していくということに関しては、もう時代が来てしまっているということを考えると、じゃあ、そこを上回って札幌圏でどうやってそういういろんなビジネスを生み出していくのかというのは、すごく有意義だけれども、難しいことだと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
◆うるしはら直子 委員 先ほどは、あおい委員のほうから、行政サービスの高度化に向けたデジタル環境整備事業についての質疑がございましたけれども、引き続きまして、私からは、デジタル技術を活用できる職員の育成について、端的に2点伺いたいと思います。
本市ではまず、先月から、職員間や、また市民とのコミュニケーションに加えて、業務の生産性の向上を可能とするマイクロソフト社のグループウエア、マイクロソフト365を導入して運用を開始したと聞いております。こうしたグループウエアは、民間企業では以前より導入されていたところであり、特に、
新型コロナウイルス感染症の影響で人との接触が制限される中にあって、テレワークをはじめとする場所に縛られない機動性の高い働き方を進める重要なツールであると考えております。
つい先週の2月24日、札幌市の行政サービスの効率化、高度化等を進めるに当たり、このマイクロソフト365のソリューションを効果的に活用し、既存のアナログな業務フローを見直すとともに、市民目線に立った行政サービスの創出、提供などを産官相互の連携と協力の下に実現することを目的に、マイクロソフト社との包括連携協定を締結したことが発表されました。
こうした一連の動きを通じまして、市職員の業務環境がよりよく改善されていくとともに、本市の行政サービスが民間サービスの生産性に近づいていくことに期待を寄せております。
そこで、質問ですが、今後、この協定に基づいてどのような取組を進めていくのか、伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 マイクロソフトとの連携協定に基づき、どのような取組を進めていくのかについてお答えいたします。
この連携協定において、昨年8月に導入したマイクロソフト365の様々なアプリを活用して、業務の効率化を進める意欲のある職員を募り、外部専門人材であるDXアドバイザーをはじめ、マイクロソフト及びパートナー企業の協力を得ながら、デジタルトランスフォーメーションを推進するコミュニティーを構築してまいります。
また、マイクロソフトとの協働により、デジタル人材に必要な能力や人物像を定義した上で育成計画をつくるとともに、それに沿った教育コンテンツなどを整えてまいります。
さらに、
まちづくりのパートナーとして、スタートアップ企業や公益的な活動を行う非営利団体などに対して、例えば、マイクロソフトがデジタルツールを一定期間無償で提供するなどの支援を通じて、行政のみならず、地域におけるデジタル活用も推進してまいりたいと考えております。
◆うるしはら直子 委員 デジタル社会の進展に対応していくための取組であること、また、地域への支援を行っていく、本市の職員の育成も中心としていくということで理解いたしました。
グループウエアなどのツールを導入することも大切ではありますけれども、一方で、職員の生産性を向上させて、より便利で早い行政サービスを提供するなど、住民の利便性向上につなげていくためには、多くの職員が新たなデジタル環境やツールを有効に使いこなすことが求められます。しかしながら、すぐには環境の変化についていくことが難しい職員がいることも考えられます。また、通常の業務をこなしながら、新たなツールなどの使い方を覚える、そうした時間を取ることが難しい部署ですとか職場もあることかと思います。
こういった環境もそうですけれども、職員全体が足並みをそろえてデジタル環境を使いこなしていけるように、職員の育成に早急に取り組んでいくことが重要であると考えます。
そこで、伺いますけれども、この協定の中で職員が新たな環境を活用していけるようにするには、どのようなことに取り組んでいくのか、伺います。
◎渋谷 スマートシティ推進部長 職員が新たな環境を活用していくための取組についてでございますが、職員がデジタルツールの活用方法などをいつでも学べるように、マイクロソフトから動画の研修教材などを提供してもらい、庁内に配信していくことを検討しております。
また、座学だけではなく、実際の業務における具体的な活用方法を実践的に学ぶことが重要であると考えておりますことから、例えば、実際の職場における課題をアプリなどの活用により解決するワークショップ形式の研修も併せて実施をしてまいります。
さらに、マイクロソフト365の活用に関する疑問や課題を抱えている職員の誰もが、新たに構築するコミュニティーにいつでも相談ができて、速やかにアドバイスが受けられるような体制を構築していく考えでございます。
◆うるしはら直子 委員 様々な研修などに加えまして、また、デジタル戦略推進局全体で職員がデジタル環境を使いこなすためのサポート体制を構築していくということが分かりました。
今後、生産年齢人口の減少が見込まれていく中で、同時に市民のニーズも複雑化・多様化していくということが考えられますし、また、行政需要はさらに増えていくということも考えられます。
これまで以上に業務の生産性を高めて、よりよいサービスを考えることや、市民と接する時間を確保していくこと、これが重要だと考えるところです。
先日、区役所で勤務をする職員の方からお話を実際に聞く機会があったのですけども、その中でいただいた声としては、紙でもらった申請書類などを
システムに一度入力して、それをまた印刷する、そうした作業に追われて、なかなか新しいことを考える余裕もないといったことをおっしゃっておりました。
この行政サービスを高度化していくといったことには、当然、育成の前に職員数の確保ということが必要だということは、デジタル戦略推進局の皆様も同じことを考えていらっしゃると思いますけれども、それと併せて、ぜひとも職員がデジタル技術を有効に活用して、デジタルでできるところはデジタルに任せるといった効率化をすることで、職員が本来しなければならない市民サービスを考える、市民と接するといったことに注力できるよう、デジタル技術を活用できる職員の育成、確保にしっかりと取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○川田ただひさ 委員長 以上で、第1項
総務管理費中デジタル戦略推進局関係分の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月6日月曜日午後1時から、
まちづくり政策局及び環境局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後4時25分...