札幌市議会 > 2023-03-01 >
令和 5年第一部予算特別委員会−03月01日-02号
令和 5年第二部予算特別委員会−03月01日-02号

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  1. 札幌市議会 2023-03-01
    令和 5年第二部予算特別委員会−03月01日-02号


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    最終取得日: 2024-09-10
    令和 5年第二部予算特別委員会−03月01日-02号令和 5年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第2号)               令和5年(2023年)3月1日(水曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  林   清 治      副委員長   中 川 賢 一     委   員  三 上 洋 右      委   員  鈴 木 健 雄     委   員  高 橋 克 朋      委   員  長 内 直 也     委   員  よこやま 峰子      委   員  佐々木 みつこ     委   員  飯 島 弘 之      委   員  北 村 光一郎     委   員  小 竹 ともこ      委   員  小 田 昌 博     委   員  藤 田 稔 人      委   員  小須田ともひろ     委   員  峯 廻 紀 昌      委   員  しのだ 江里子     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  松 原 淳 二     委   員  岩 崎 道 郎      委   員  たけのうち有美     委   員  水 上 美 華      委   員  恩 村 健太郎     委   員  好 井 七 海      委   員  丸 山 秀 樹     委   員  前 川 隆 史      委   員  わたなべ 泰行     委   員  森 山 由美子      委   員  小 形 香 織
        委   員  村 上 ひとし      委   員  吉 岡 弘 子     委   員  長 屋 いずみ      委   員  千 葉 なおこ     委   員  山 口 かずさ       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○林清治 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、國安委員からは、好井委員と交代する旨、届出がございました。  議事に先立ち、審査方法について確認いたします。  発言は起立して行うこと、質疑及び討論は質問者席にて行うこと、答弁を行う部長及び課長は冒頭に職及び氏名を名のってから発言すること、なお、同一委員への答弁が続く場合は最初だけでよいこととします。また、質疑及び答弁は簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等も避けながら、定められた審査日程のとおり進めることのできるようご協力をお願いいたします。  それでは、議事に入ります。  議案第1号 令和5年度札幌市一般会計予算中関係分ほか、付託議案11件を一括議題といたします。  最初に、第3款 保健福祉費 第5項 健康衛生費について質疑を行います。 ◆藤田稔人 委員  私からは、札幌市の救急医療体制の見直しについてお伺いいたします。  救急医療は、市民の生命を守り、安全に安心して暮らすために不可欠なインフラでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、救急車を呼んでも搬送先がなかなか決まらない搬送困難患者の増加が社会問題として顕在化しております。  札幌市でも搬送困難患者の数は年々増加しており、コロナ禍前の令和元年には約1,800件でありましたが、令和2年には3,000件、令和3年には5,000件を超えたと聞いております。この背景には、コロナ禍で対応できる医療機関の病床数の逼迫があったことは理解できる一方で、現在の札幌市の救急医療体制が、平成16年に大規模な見直しを行って以来、長期間、体制の見直しがなかったことも影響していると考えられます。  この間、少子高齢化が進み、人口構造が変化するとともに、救急搬送患者に占める高齢者の割合も年々増加しております。若年者と比較すると、高齢者は複数の疾患を抱える患者や自立度の低い患者の割合が高いこともあり、受け入れる救急医療機関の負担感は相当大きくなっていると考えられます。  加えて、令和6年度からは、医師の働き方改革が本格的に導入される中、医療機関の負担はさらに増すことが考えられ、今までのような救急医療体制が維持できなくなるのではないかと強く懸念しております。  札幌市では、このような課題感の下、有識者や救急医療の医師などから成る札幌市救急医療体制検討委員会を立ち上げ、見直しの検討を行っていたと聞いております。新年度予算案では、ウィズコロナ下での救急医療対策として、救急医療機関に対する補助金額として約2億9,000万円の増が計上されております。  そこで、質問ですが、どのような医療体制を構築するお考えなのか、お伺いいたします。 ◎柴田 医療政策担当部長  札幌市の救急医療体制の見直しにおける医療体制構築の考え方についてお答えいたします。  今回の見直しは、複数の症状を抱える高齢者等への対応が必要なケースが増加し、現行の診療科ごとの2次救急当番においては、負担が高まっていることに加えまして、対応が難しいケースが増加してきていることから、これらに対応し、搬送困難となる患者を減らすとともに、持続可能な救急医療体制を構築するよう考えてございます。  このため、より多くの患者を受け入れるなど、体制を強化している2次救急当番医療機関への支援の拡充を行うとともに、搬送困難となった患者に対応するためのバックアップとして、24時間365日対応可能な拠点病院を救急医療体制に位置づけるなどの新しい補助制度を導入することとしたものでございます。 ◆藤田稔人 委員  搬送困難患者を減らし、持続可能な救急医療を構築することを目的に2次救急への支援を拡充し、新たに拠点病院を救急医療体制の中に導入するということでございました。札幌市の救急医療における患者の受入れ体制の強化を図るということで理解させていただきました。  一方、さっぽろ医療DX推進事業においては、救急医療の見える化システムを構築し、救急患者の受入れ可能医療機関の一覧が見えるシステムに加え、急性期を脱した患者の転院搬送支援のシステムを構築することとなっております。現状では、救急隊からの医療機関照会医療機関の間での転院搬送は電話における受入れ照会を行っておりますが、医療のICT化推進は積極的に進めなければならないと考えております。  そこで、質問ですが、救急医療の見える化システムを導入する狙いはどのようなものなのか、お伺いいたします。 ◎柴田 医療政策担当部長  救急医療の見える化システムの導入の狙いについてお答えいたします。  このシステムですが、救急医療機関のベッドの空き状況等について、救急隊と医療機関がリアルタイムに確認できるものであり、救急隊、医療機関双方の負担を軽減するとともに、市民へ迅速に必要な医療を提供することを狙いとしてございます。  先行して導入した自治体の事例ですが、受入れ医療機関の選定にかかる時間の短縮などが見られているところでありまして、札幌市でも同様の効果を期待してございます。 ◆藤田稔人 委員  救急隊、医療機関双方の負担を軽減し、市民に迅速な医療を提供するということでございました。先行して導入している他都市でも、そういった時間の短縮が見られるということでございましたし、私も報道などで、例えば、千葉市などの事例も拝見したことがありますけれども、ぜひ、迅速に、積極的に導入していただきたいと考えております。  見える化システムは、札幌市の救急医療体制を支えるために大変重要なものでありますので、ぜひ可能な限り早期の導入を求めます。  今回の予算案では、2次救急医療体制の拡充や救急医療のICT化に向け、札幌市の意気込みを示す内容であると評価いたしますが、こうした救急医療体制に係る見直しは、令和5年度に一度実施して終わりではなく、医療や社会構造の変化に合わせて最適な体制となるよう継続的に検討していくことが肝要であると考えます。  また、今回の見直しは2次救急医療に関するものが中心となっておりますが、患者が休日や夜間に受診する初期救急にも課題があるのではないかと考えております。  そこで、質問ですが、今回、体制見直しを行った内容についての検証のほか、救急医療に係るその他の課題について、今後どのように検討を進めるのか、お伺いいたします。 ◎柴田 医療政策担当部長  体制見直し後の検証や救急医療に係るその他の課題についてお答えいたします。  まず、今回の体制見直しの内容、効果の検証については、引き続き、救急医などの有識者から成る協議体において実施してまいりたいと考えております。  また、その他の課題についてですが、ご指摘のとおり、休日や夜間に患者自ら独歩で受診することができる初期救急の体制維持について課題となってきていますことから、新年度においても引き続き、この協議体において検討を進めてまいりたいと考えてございます。 ◆藤田稔人 委員  初期救急、2次救急、3次救急それぞれに求められる役割を果たせるよう、救急車の適正利用や救急医療相談の窓口である救急安心センターさっぽろの活用など、持続的な救急医療体制の確保に努めていただきたいと思います。  2040年代に向けて、さらに高齢化が進むことが予想される中、救急医療は、市民の生命を守るために重要であることは言うまでもありませんし、より一層、迅速に救急患者を搬送できるよう改善していただきたいと考えております。  また、このたびの救急医療の見直しの中で取り上げられているさっぽろ医療DX推進事業救急医療の見える化システムは、早期に導入することを求めさせていただきます。現場で実際に救急医療に携わっている方々の意見を十分に踏まえ、市民にとって真に必要な救急医療体制を維持していただきたいと考えております。 ◆水上美華 委員  私からは、妊娠に不安を抱えた方への相談支援体制について、何点かお伺いいたします。  思いがけない妊娠をして悩んでいる女性とその子どもにまつわる社会問題は、出生後間もない子どもの虐待死を防ぐための重要な課題であり、全国の都道府県や市町村においては、2011年に厚生労働省から各都道府県に発出された妊娠期からの妊娠・出産・子育て等に係る相談体制等の整備についての通知を受け、子どもの虐待死をなくすことを目標に、妊娠等について悩みを抱える方のための相談窓口の設置を開始しております。  2022年4月時点では、全国12政令市において妊娠SOS相談専用の窓口を開設しており、そのうち10か所は民間に委託をされております。また、こうした背景の中、民間機関が独自で妊娠SOS相談の運営を開始する動きもあり、2020年から始まった日本財団による妊娠SOS相談窓口立ち上げ支援と、一般社団法人全国妊娠SOSネットワークによる伴走支援によって、民間機関への委託も含めた妊娠SOS相談窓口の開設の動きは加速しております。  本市においても、行政の動きに先行して、日本財団から支援を受けて、既に民間で2021年6月より妊娠SOS相談窓口を開設しておりますが、そのニーズは非常に高く、2023年1月末までの19か月間で、延べ1,635件、相談者実数699名から相談があったと聞いております。  私ども会派では、2021年第3回定例議会の代表質問でこの妊娠に不安を抱えた方への相談支援体制について質問し、また、同年の決算特別委員会、そして、昨年の予算特別委員会でも質問を重ねてまいりました。  昨年の予算特別委員会での質問に対して、札幌市と妊娠相談事業を実施している民間の団体及び医療機関で組織する検討会を設置し、札幌市における妊娠SOS相談窓口の設置について検討するとともに、民間や行政で行っている相談窓口の周知・啓発の充実を図るとの答弁をいただいてから1年が経過いたしました。  そこで、質問ですが、この1年間、この検討会における検討状況と周知の取組についてお伺いいたします。 ◎中目 健康企画担当部長  妊娠SOS相談に関する検討会での検討状況及び周知の取組についてお答えをいたします。  札幌市妊娠SOS相談事業検討会では、昨年9月に第1回目の会議を開催し、行政や各団体、医療機関が実施する支援の実情を共有し、支援や周知における課題について検討を行ったところでございます。第2回目の検討会は、今月開催予定で、1回目の検討結果を踏まえまして、複雑な課題を持つ事案に対応できるよう、支援体制の連携強化について検討する予定でございます。  また、検討会の中で、民間団体から自分たちの取組は関係機関や市民の信用を得にくいとのご意見がありましたので、札幌市としましても、民間団体の取組の周知を行うことを通じまして、悩みを抱える方々が必要な相談窓口につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆水上美華 委員  第1回目が開催されてきた中で、昨年の予算特別委員会において、質問の中で、この民間団体が実施主体の場合は周知・啓発に限界があるということを指摘させていただいておりましたが、これが情報共有されて、今後しっかりと進められると。また、2023年にはこの周知・啓発に予算もつけられているということですので、今後の活動に期待をしたいと思います。  また、検討会も開催された中で、この関係機関との課題共有がしっかりされたということ、そして、今月開催予定の第2回目の検討会では支援体制の連携強化について検討していくということは理解をいたしました。  ただ、昨年答弁いただいておりました、本市における妊娠SOS相談窓口の設置については、いまだ検討されていないのかなと感じたところであります。  ただ、この間に北海道において、千歳市内のコインロッカーに乳児が遺棄されるといった事件を受けて、二度と痛ましい事件が起きないよう、2022年12月から委託による専門相談窓口として、にんしんSOSほっかいどうサポートセンターが開設されたところであります。  妊娠葛藤を抱える相談者は、さきに述べた事件の事例のように、居所を転々とし、大変危機的な状態に陥っている場合が少なくないため、本市においても、北海道との連携を視野に入れた取組が大変重要になってくるものと思います。  そこで、質問ですが、北海道における相談窓口の取組状況はどのようになっているのか、また、北海道と本市はどのように連携しているのか、お伺いいたします。 ◎中目 健康企画担当部長  北海道における相談窓口の取組状況及び北海道と札幌市の連携についてお答えをいたします。  札幌市としましても、本事業は非常に重要だと認識しております。北海道が開設しております相談窓口は、平日17時から23時までと休日は9時から23時までの時間帯を通年、専門スタッフが電話やSNS、来所により相談を受け付けております。また、相談実績は、12月から1月までの2か月で263件と聞いております。  北海道とは、相談状況について、随時、情報共有しておりまして、引き続き、妊娠に不安を抱えた方への相談支援体制の在り方について協議を進めてまいりたいと考えております。 ◆水上美華 委員  2021年の決算特別委員会の質問の中で、本市が行っている妊娠に関する悩みや不安に対する相談支援体制について、大変、相談件数が少なくて、その少ない理由は、平日の限られた時間に電話や面接でしか相談を受けられない仕組みが悩んでいる方にとって相談のハードルを上げていると指摘をさせていただいておりました。  今回、北海道のこの相談窓口のほうは、相談しやすい平日17時から23時、また、休日は9時から23時までの時間帯を通年ということで、また、電話や来所だけではなくて、SNSによる相談も受けているということでありますので、相談件数も2か月で263件との答弁でありましたが、上がってきているのではないかと思うところであります。  また、北海道と本市が課題や支援の在り方について、情報共有して連携していることについては理解をいたしました。  妊娠によって、精神的、経済的、そして、社会的に困難な状況に陥る女性の背景には、貧困、家庭内の複雑な事情、パートナーからのDV、性産業への従事、精神疾患、知的障がい、社会からの孤立等の問題が複雑に絡み合っていると言われております。妊娠によって住む場所がなくなり、居所を転々とし、支援が途切れないよう、妊娠SOSに特化した相談においては、居場所支援を整備することが必要不可欠であります。  ただ、北海道が委託する専門相談では、居場所支援がなく、民間で運営する居場所支援もその数は2部屋と非常に限られていることから、居場所支援を求めてやっとの思いで相談につながったものの、満床で利用できず、支援を受けられないケースも多数あると伺っております。  また、居場所支援を利用するケースの8割は札幌市民であると聞いており、居場所支援に関わる課題は、まさに本市が早急に取り組むべき課題と言えます。  加えて、妊産婦の支援の場合、入居すると長期になることが多いため、支援場所の確保が必要であることから、例えば、名古屋市では、母子生活支援施設で妊娠中からの妊婦の受入れを行っておりますが、本市では、この母子生活支援施設での受入れは、現在はできない状態となっております。  毎年公表される「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」では、死亡時の子どもの年齢で最も多いのがゼロ日目であるという結果が出ておりますが、このような十分とは言えない取組では、救えるはずの命が救えない結果になることは明白であります。  居場所支援については、北海道や民間における相談支援の切実な現状をしっかりと把握し、本市としても早急に対応することが必要だと思われます。  そこで、質問ですが、妊娠に不安を抱えた方への居場所支援の認識についてお伺いいたします。 ◎中目 健康企画担当部長  妊娠に不安を抱えた方への居場所支援の認識についてお答えいたします。  居場所支援につきましては、現状やニーズを把握し、必要な体制について早急に検討していく必要があると認識しております。  国におきましても、困難を抱える妊産婦等への支援としまして、一時的な住居や食事提供などを行う事業を創設する動きがありますので、子ども未来局とも課題を共有し、居場所支援の在り方について検討していきたいと考えております。  妊娠に不安を抱え、支援を望む女性が、妊娠、出産、育児まで切れ目なく支援につながるよう、引き続き、民間団体及び北海道と連携した取組を行ってまいりたいと考えております。 ◆水上美華 委員  要望をさせていただきたいと思います。  居場所支援については、現状やニーズを把握し、必要な体制について早急に検討していく必要があると認識しているとの答弁でありました。  国では、令和3年度補正予算で、特定妊婦等支援整備事業、また、特定妊婦等支援臨時特例事業に予算措置をしております。これは、支援の必要性の高い妊産婦に対する安定的な支援の推進を図るものであり、心理的なケアや生活相談支援等を行う居場所整備に必要な整備費と改修費への補助、さらには、支援の必要性の高い妊産婦を通所または宿泊で受け入れて、心理的ケア生活相談支援等を行うための看護師の配置や、妊産婦を受け入れた際に要する生活費等の支援を行うとともに、支援ニーズ等の実態把握や関係機関との連携に必要な経費の支援を行うものであります。  本市でも、今後、ぜひ、この国の補助金事業等を活用して妊娠に不安を抱えた方への支援体制強化を進めていただくことを要望いたしますが、ただ、妊娠に不安を抱えた方の居場所の支援については、これは、子ども未来局の事業に今後なってくるのではないかと思いますので、庁内の連携をしっかりと進めて、情報共有をしていただきたいと思います。  また、本市における妊娠SOS相談窓口の設置についての検討については、これまで、昨年、一昨年の答弁でいただいていたときよりは少しトーンダウンしているのかなと思いますけれども、ただ、行政の動きに先行して、日本財団から支援を受けて既に民間で2021年6月より妊娠SOS相談の専門窓口を開設していること、また、北海道が昨年12月からこのにんしんSOSほっかいどうサポートセンターを開設したことから、検討が少し進んでいない状況かなと推察いたします。  もちろん、北海道と同じ事業を本市でも行うべきだということをここで求めているわけではありません。しかし、この民間の妊娠SOS相談窓口も、日本財団からの財政支援は2021年度から2023年度までの3年間だけでありまして、2024年度からは財政支援はありません。また、北海道のこのにんしんSOSほっかいどうサポートセンターは、この民間の妊娠SOS相談窓口に事業を委託しております。その委託予算は、民間のこの妊娠SOS相談窓口の年間の運営費の半分にも満たなく、2024年度以降は、運営自体ができるのか、今は分からない状態であります。  北海道が、2024年度以降、どのような対応をするのかはいまだ分かりませんが、先ほども述べましたように、この妊娠SOS相談窓口の利用者は大変多く、また、2部屋用意した居場所支援も常に満床で足りていない状況であり、利用者の8割は札幌市民であります。  この民間団体に話を伺いますと、特に年末に相談が多く、その内容は、妊娠中期の貧困、未受診者や梅毒患者と多岐にわたります。緊急を要する相談も少なくなく、相談を受け、駆けつけたときには破水をしており、母子ともに命の危険があった場面や、妊娠21週、期間ぎりぎりでの中絶の手伝いなど、支援者も精神的にも厳しい内容であるという話もいろいろ伺っているところであります。  少子化に歯止めが利かない中で、また、全国的にも子どもの虐待死が相次ぐ中、妊娠に不安を抱える方への支援体制強化は待ったなしの状況であると思います。国や北海道の動向を見ているだけではなく、本市としてどのように取組をしていくのか、これが問われているのではないでしょうか。  今後も開催される予定でありますこの妊娠SOS相談に関する検討会で、医療機関等民間団体、北海道、そして、庁内での連携も進め、早急に役割分担も含めて、具体的な取組の議論を進めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。 ◆わたなべ泰行 委員  私からは、定期予防接種へのHPV9価ワクチンの追加について、2点質問させていただきます。  最初に、HPV9価ワクチンの追加に関わる国の動きと札幌市の準備状況について質問をいたします。  子宮頸がん患者の原因の90%以上とされるヒトパピローマウイルス、HPVへの感染を予防することができるHPVワクチンは、2価ワクチンと4価ワクチンと呼ばれる2種類のワクチン定期予防接種の対象となっているところですが、私が昨年の第4回定例会代表質問で取り上げたとおり、本年4月より定期予防接種の対象に9価ワクチンが追加されるとのことで、これまでの2価、4価ワクチンより効果が高いワクチンと期待をしているところでございます。  この9価ワクチンについては、昨年の11月に開催された国の審議会において定期予防接種への追加が承認され、その後、予防接種実施規則の改正を経て、定期予防接種へ追加されることが決定するとのことです。  また、札幌市におきましても、国において定期予防接種化を決定した後、令和5年度の定期予防接種の開始となる本年4月からの接種に間に合うよう迅速に準備を進めていくとのことでした。より効果が期待できる9価ワクチンが定期接種の対象に追加されることについて、接種の対象者や保護者に迅速かつ的確な時期に接種についてご検討いただくことができる十分な情報を提供することが、定期予防接種の実施主体である札幌市の責務と考えております。  そこで、質問ですが、HPV9価ワクチン定期予防接種化に向けた国の動きと札幌市の準備状況について伺います。 ◎山口 感染症担当部長  HPV9価ワクチンの追加に係る国の動きと札幌市の準備状況についてお答えいたします。  令和4年11月30日付で、国から自治体向けに事務連絡が発出され、この中で、令和5年4月からHPVワクチン定期予防接種に9価ワクチンを追加すること、1人につき3回の接種が必要であること、接種間隔は4価ワクチンと同様であること、副反応の報告基準等、具体的な方向性が示されました。  その後、国におけるパブリックコメントの実施を経て、令和5年1月30日に予防接種実施規則が改正されたことにより、HPV9価ワクチンの追加が正式に決定したところでございます。  札幌市におきましては、国の動向を把握しながら、本年4月から接種を開始できるよう準備を進めてきたところであり、4月までに改めて関係団体へ情報提供するとともに、接種実施医療機関及び接種対象者への周知等について準備を進めているところでございます。 ◆わたなべ泰行 委員  4月までに改めて関係団体へ情報提供するとのことで、本年4月から接種が開始できるよう準備を進めているとのことが確認できました。  2点目は、接種対象者への情報提供について伺います。  札幌市におきましては、本年、先ほどの答弁で4月から接種ができるよう様々準備を進めているとのことではございますが、接種対象者とその保護者の方に向けての丁寧な情報の提供も必須と考えているところでございます。  昨年の11月30日付の国の事務連絡におきまして、接種方法や接種間隔、キャッチアップ接種対象者への取扱い、副反応の報告基準等の方針が示されたとのことですけれども、2価、4価ワクチンとの相違点、キャッチアップ接種対象者への取扱い等についての情報は、接種を検討する上で大変重要な情報となってくると思います。  また、既に、2価、4価ワクチンを1回または2回接種した方が9価ワクチンにより残りの接種を行ういわゆる交互接種が認められるかについての質問の声も会派に寄せられているところでございます。  昨年4月にHPVワクチンの積極的な接種勧奨が再開されました。札幌市におきましても、接種対象者へ、2価、4価のHPVワクチン定期予防接種の対象である旨を個別に知らせているところでございますけれども、今回の9価ワクチンの追加についても接種対象者へのお知らせが肝要と考えております。  そこで、質問ですが、HPV9価ワクチンに関わる接種対象者への情報提供について、現時点で札幌市が予定している周知方法、時期、内容について伺います。
    ◎山口 感染症担当部長  HPV9価ワクチンに係る接種対象者への情報提供についてでございますが、HPVワクチンの定期接種に9価ワクチンが追加されることについては、ホームページに掲載をし、速やかにお知らせを開始したところでございます。  また、広報さっぽろ4月号におきましても、他の定期予防接種に関する情報とともにお知らせをする予定でございます。  9価ワクチンの交互接種につきましては、接種を受ける前に医師と相談した上で、医師の判断により実施して差し支えないとする方針が国より示されていることから、その旨もお伝えしていくところでございます。  加えて、令和5年度予算案に中学1年生から高校1年生までの定期予防接種の対象者とキャッチアップ接種対象者へ個別にお知らせを郵送する経費を計上しているところでございます。  個別のお知らせにつきましては、9価ワクチンの効果と副反応、交互接種を含む接種方法等を掲載した国及び市のリーフレット等を送付し、接種を検討する上で必要な情報をお伝えしてまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  広報さっぽろの4月号、そちらのほうにおいても情報提供していただける、記載していただける予定でありましたし、中学校1年生から高校1年生までの定期接種の対象者、こちらとキャッチアップ接種対象者へ個別にお知らせを郵送する経費を今回計上しているとのことでございました。  また、交互接種の情報でありますとか、副反応、こういったことも個別でしっかりと情報をお伝えしていくとのことでございましたが、このたび、HPVワクチン定期予防接種に9価ワクチン、こちらが追加されるということは、期待される効果の面でも大変望ましいことだと私は認識しております。こういったように、お知らせをしっかり行っていただいて、対象年齢の女性に接種について検討をしていただきたいと思っております。  最後に、要望です。  HPVワクチンに期待する効果は、HPV感染の予防、ひいては子宮頸がんの予防です。昨年の第4回定例市議会の代表質問でも取り上げたところでございますけれども、HPV感染症は、女性のみならず、男性から女性、女性から男性、同性の間でも感染し得ることから、男性への接種についても大変意義があることと考えております。  国においても、男性を対象とした定期予防接種についての議論もなされているところではございますが、北海道内におきましては、余市町で男性向けのHPV4価ワクチンの任意予防接種への接種経費の補助を開始しているなど、独自の取組を行っている自治体もございます。  札幌市におきましても、男性のHPVワクチン接種に関する取組を促進していくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆千葉なおこ 委員  私からは、子ども医療費助成制度について、エキノコックス症について、動物の愛護と管理に関しての3項目で質問いたします。  初めに、子ども医療費助成制度についてです。  今定例会の我が会派の代表質問で、子育ての負担軽減の施策として、子ども医療費助成制度は、窓口負担無料、所得制限の撤廃、本市の全ての18歳まで、高校3年生までの子どもたちが安心して医療にかかれるよう拡充すべきというふうに求めましたところ、現在検討を重ねているところという前向きなご答弁をいただきました。  ぜひ、高校3年生までの拡大を求めるところですが、議会においても、これまで高校3年生までの拡大については議論がされておりませんでした。しかし、全国では、自治体の約半数が、通院、入院ともに高校3年生までと助成が拡大し、子育て応援の最重要政策の一つとなっており、本市においても市民の期待が高まっております。  これまで、議会の中で、中学3年生までの拡大、所得制限をなくした場合など、財源についての議論がなされてまいりました。  そこで、質問いたしますが、高校3年生まで助成を拡大した場合の所要額についてお伺いいたします。  また、所得制限を撤廃した場合はどうかも併せてお伺いいたします。 ◎毛利 保険医療部長  子ども医療費助成制度の拡充をする場合の財源についてのお尋ねをいただきました。  助成対象を中学生の通院医療費、さらには、高校生へと拡大した場合の所要額といたしましては、およそ12億6,000万円と見込んでございまして、さらに、所得制限を撤廃したという場合には、これに6億7,000万円が加わりまして、合わせておよそ19億3,000万円になるものというふうに見込んでございます。 ◆千葉なおこ 委員  19億3,000万円ということでした。私は、この19億3,000万円というのは不可能ではない額だなというふうに思います。  本市の助成制度の拡充を振り返りますと、2019年までは小学校2年生までだったのが2020年には小学3年生、2021年に6年生までというふうに段階を踏んで拡大してまいりました。年齢拡大のたびにシステム改修が必要で、その経費や準備期間は1年ほど時間がかかっております。登録データがなければ、新規登録の処理をせざるを得ないということで、また同じような段階を踏むことになると思います。  その間にも、また制度から外れていく、そういった家庭側にしてみれば、非常に残念に思うところではないかなというふうに思います。ですので、拡大の決断というのは、早ければ早いほど、子育て世帯に歓迎されると思います。  そこで、お聞きしますが、高校3年生までの拡大について、本市の現段階のお考えについてお伺いいたします。 ◎毛利 保険医療部長  高校生へ拡大についての今段階での考え、認識というお尋ねでございました。  医療費助成制度には、お尋ねの子ども医療費助成に加えまして、重度心身障がい者医療費助成、さらには、ひとり親家庭等医療費助成の三つの制度がございまして、昨年の決算特別委員会やさきの代表質問においても、それぞれお尋ねをいただいたところでございます。  札幌市といたしましては、これら三つの医療費助成制度について、本来は国が実施すべきという認識もございますが、現在、それぞれの制度間のバランスを相対的に勘案しながら検討を重ねているというところでございます。  一方で、拡充には将来にわたって大きな財源が継続して必要となってまいりますことから、事業が将来的にもきちんと持続されますよう、引き続きしっかりと検討してまいります。 ◆千葉なおこ 委員  三つの制度があるということで、また、バランスを考えてということでした。ぜひ、三つの制度を全て上げていただきたいなというふうに思います。  本市と同じ小学校6年生までだった助成制度を、来年度から高校3年生まで一気に拡充したというふうな自治体もございました。本市においても、所得制限の撤廃や段階を踏むことなく高校3年生まで拡大すること、そして、全ての子どもと子育て家庭がお金の心配なく医療にかかれるように支援をしていただくことをお願い申し上げまして、この質問を終わります。  次に、エキノコックス症の対策についてお伺いいたします。  エキノコックスは、自然界においては、主にキツネと野ネズミに寄生しており、通常、キツネと野ネズミの間の食べると食べられるという関係の中で生きております。また、犬もキツネと同様に寄生するということです。  人の体内にエキノコックスの卵が入るのは、エキノコックスが寄生したキツネやそのふんに直接触るなどの場合が考えられます。また、キツネのふんで汚染された山菜を生で食べたり、湧き水、沢水を飲んだりした場合が考えられるということです。  人にエキノコックスが感染しても、すぐには自覚症状が現れず、数年から十数年の潜伏期を経て、肝機能障がいの症状が現れたり、また、放っておくと肺や脳に病巣が転移したりと命に関わることもあることから、早期発見・早期治療が大切とされております。  そこで、お伺いしますが、過去10年のエキノコックス症に感染し、保健所宛てに届出のあった届出数の推移についてお伺いいたします。 ◎山口 感染症担当部長  札幌市におけるエキノコックス症の届出状況についてのお尋ねでございました。  エキノコックス症は、いわゆる感染症法において、診断した医師が最寄りの保健所宛てに届け出ることが義務づけられている感染症に分類をされているところでございます。このため、札幌市内の医療機関でエキノコックス症と診断された方につきましては、札幌市内にお住まいの方でも、また、札幌市外にお住まいの方であっても、札幌市保健所宛てに届出がなされるところでございます。  札幌市保健所宛ての届出は、2013年以降の10年間におきまして延べ96件でありまして、このうち、札幌市民の方は22件、札幌市外にお住まいの方は74件でございました。  過去10年間のエキノコックス症の届出の推移の中におきましては、札幌市民の割合は高くはなく、年ごとに顕著な増加や減少の傾向は見受けられず、横ばいで推移しているものと認識してございます。 ◆千葉なおこ 委員  総数について、延べ96件で、市民の方は22件と横ばいで推移しているというご答弁でございました。  先ほども述べましたけれども、すぐには自覚症状が現れず、数年から十数年の潜伏期があるということから、患者さんに、感染者の方にしてみれば、自分がいつどこで感染したのか分からないというような場合も多いのではないかなというふうに考えます。  近年、市街地や住宅地、公園などでキツネを目撃することが増えております。市民の方から寄せられる相談件数は、平成28年度は119件、そこから令和5年度にはこの5年間で5倍に増えているというような状況があります。  キツネに関する取組として、2020年に豊平区西岡の私立の小学校、大学、町内会、都市公園が合同で駆虫薬が入った餌のベイトの散布を行いまして、敷地内に生息するキツネのエキノコックス感染率をゼロに近づけるという取組を始めております。平岡公園でも同様に、キツネ用の駆虫薬の散布を平成29年から実施しています。また、北大のキャンパスでも2014年から北海道立衛生研究所と北大が共同で駆虫薬を用いて対策研究を行い、エキノコックス症感染リスクを大幅に減少させるなど、駆虫薬散布が実施されております。  道では、北海道保健福祉部健康安全局食品衛生課が北海道エキノコックス症対策協議会などを開いております。  そこで、質問いたしますが、エキノコックス症の調査研究などについて、本市の取組状況をお伺いいたします。 ◎山口 感染症担当部長  エキノコックス症に関連した調査等の取組状況についてお答えいたします。  感染症におきまして、各保健所は、感染症患者等の症状の推移や発症するまでの行動歴等の疫学調査を行い、国においては、疫学調査結果を活用するなどして感染症に関する研究を推進するよう役割が整理をされているところでございます。  エキノコックス症におきましても、疫学調査を実施する対象となっておりまして、札幌市民に係る届出があった場合には、札幌市保健所が法に基づく疫学調査を実施し、市民啓発等に生かしているところでございます。 ◆千葉なおこ 委員  本市は、「札幌市におけるエキノコックス症の予防と患者の早期発見・早期治療のための諸対策の強化を図ることにより、市民の健康保持に努めることを目的とする。」として、札幌市エキノコックス症対策実施要領を定めており、各保健センターにおいてエキノコックス症の無料検査を実施しております。  そこで、質問いたしますが、市民からの問合せが増えている中、無料検査への案内や検診の実施状況をお伺いします。  また、検診で判明した事例などはあるのか、お伺いします。 ◎山口 感染症担当部長  エキノコックス症検診の実施状況についてお答えいたします。  札幌市におきましては、各区保健センターにおきまして、小学生以上を対象に無料のエキノコックス症検査を実施しておりまして、検査で陽性となった場合につきましては、2次検査として、市立札幌病院で精密検査を実施しているところでございます。  2012年度から2022年度で、全区で延べ1,444名の方が検査を受けておりまして、1次検査で陽性となった方が3名いらっしゃいまして、2次検査で陽性となった方はいらっしゃいませんでした。  なお、エキノコックス症対策として、このような無料検査と併せて、媒介動物であるキツネに近寄らないことや、屋外での活動後の十分な手洗いといった基本的な感染対策の周知が重要であると考えております。  広報さっぽろや市のホームページを活用するなどして、適切な情報提供を今後も継続して行ってまいりたいと考えております。 ◆千葉なおこ 委員  陽性の数は、1次検査で3名だったけれども、2次ではゼロだったと。陽性数はないとしても、やっぱり、不安を感じる方がこうして無料で検査を受けられる体制というのは、市民の安心につながるというふうに思います。  北海道立衛生研究所感染症部は、キツネの交通事故数が年々増加していることや、苦情相談の件数から見ても、都市住民のエキノコックス感染リスクは増加しているとの見解で、都市のキツネ対策、エキノコックス症対策について考え直す必要があるというようなことを報告しております。  本市としても、市民の安心・安全のために、キツネやエキノコックス症について専門家を交えた調査・検証をするなど、取組を強めていく必要があるのではないかと申し上げて、この質問を終わります。  次に、動物の愛護と管理に関してお伺いします。  ペットショップなど、動物取扱業者への適正飼養の遵守基準、マイクロチップ装着の義務化、動物虐待罪の罰則の強化などを盛り込んだ改正動物愛護法が2019年6月に可決、成立し、2021年6月から施行となりました。飼育頭数など、数値規制については2024年6月に完全実施というふうになっております。  犬猫の殺傷事件や、インターネット上に犬や猫の虐待動画を投稿するなど、悪質なケースが後を絶たないため、改正法は動物虐待罪の罰則を強化しております。私のところにも、この間、猫を何匹も飼っている隣の家から異臭がしていて夏に窓が開けられないんだけれども、ネグレクトがあるんじゃないかですとか、猫を譲ったけれども、次の日に確認したら渡した先に逃げたというふうに言われ、すぐに里親募集にまた応募してきたようなことがあるけれども、虐待の疑いがあるのではないかといったような動物虐待に関しての相談が、地域の方や、また、保護猫活動をされている方などから寄せられております。  そこで、最初にお伺いいたします。  本市に寄せられる動物虐待などに関しての相談件数と、市民から相談があった場合の対応についてお伺いいたします。 ◎金綱 生活衛生担当部長  動物虐待についての通報の件数と対応についてお答えいたします。  動物管理センターでは、毎年600件を超える様々な苦情や相談をいただいておりますが、その中で虐待が疑われるものとして寄せられる通報は、令和2年度以降、30件程度で推移してございます。  通報をいただいた場合の対応としましては、虐待の内容や状況について詳細に聞き取りを行った後、原則として現地調査を行い、飼育環境などを確認した上で、不適切な取扱いが認められた場合は改善指導を行っております。 ◆千葉なおこ 委員  動物虐待については、環境省も動物虐待等に関する対応ガイドラインを作成して対応について細かく取りまとめております。法改正で、虐待を把握した獣医師による通報の義務化、これも盛り込まれております。  そこで、お伺いしますが、本市では、動物虐待に対して動物病院や警察とはどのような連携や取組を行っているのか、お伺いいたします。 ◎金綱 生活衛生担当部長  動物病院や警察との連携についてでございますが、動物愛護管理法の改正によりまして獣医師に通報義務が課せられるようになりましたため、虐待の疑いがある動物を診察した獣医師からの通報は一定数ございます。  獣医師から通報をいただいた場合は、警察への通報と併せまして、写真やレントゲンといった証拠の保全などの協力をお願いしているところでございます。また、通報内容を確認する中で事件性や悪質性が高いと判断される場合は、警察とも連携して対応しており、具体的には、通報に係る情報の提供や合同での現地立入り、センター獣医師からの獣医学的所見や法律の解釈についての助言といった協力を行っているところでございます。 ◆千葉なおこ 委員  私の受けた相談者からのお話では、通報した先の警察署員の対応が動物愛護法の改正について正しく把握しているのか、疑問であるというような声もございました。いま一度、動物虐待は絶対に許されない犯罪であると、周知・啓発とともに、関係機関と動物愛護法についてもきちんと学習するというんですかね、確認していただきたいなというふうに思っております。  次に、マイクロチップに関してお伺いします。  昨年6月からのマイクロチップ装着の義務化は繁殖業者などが対象で、犬猫の生年月日や業者の情報が分かる識別番号が記録されたチップが犬猫に装着されます。犬猫を買った人は、飼い主情報を登録する義務が生じます。  そこで、お伺いしますが、本市での犬猫に関わる動物取扱業の数とマイクロチップが適切に装着されているかの把握、これがどのようにされているのか、お伺いいたします。 ◎金綱 生活衛生担当部長  本市の動物取扱業者の数とマイクロチップ装着状況をどのように把握しているかというご質問です。  札幌市に登録のある動物取扱業は全体で689施設ございますが、そのうち、マイクロチップを装着する義務の対象となります犬猫等販売業は258施設となっております。  動物管理センターでは、定期的にこれらの施設に対して立入検査を行っておりますが、販売を行う事業者につきましては、取り扱っている動物の台帳を整備する義務がありますことから、立入検査の際に当該台帳などによりマイクロチップの装着・登録状況を確認しているところでございます。 ◆千葉なおこ 委員  一方、既に飼っている場合のマイクロチップ装着は努力義務というふうになっています。日本獣医師会の調べによりますと、2022年9月時点で、チップの登録数は飼われている犬猫全体の2割程度で、全国でもまだ進んでいないというふうなことでした。  チップ装着をめぐっては、1995年の阪神大震災で多くの犬猫が迷子になった教訓から導入の議論が進みまして、チップを手がかりに行方不明になった場合に身元確認がしやすくなるほか、無責任な飼育放棄というのを防いで、年間2万匹以上の殺処分を減らす効果、これも期待されているところです。  SBIいきいき少額短期保険株式会社というところが、昨年6月に、犬猫の飼育者600人にチップについてアンケートを実施いたしました。チップの認知率は95.2%と認知度は高かったものの、装着率は30%であったと。また、チップ自体に賛成か反対かというような設問では、73%が賛成でしたが、反対の方もいらっしゃいまして、反対の理由では、かわいそう、また、装着後のペットの状態が心配であったり、あと、費用がかかるということが上位となっておりました。  そこで、質問いたしますが、本市の犬猫のマイクロチップ登録状況についてお伺いします。  また、他都市では、既に家庭で飼育されている犬猫に対し、マイクロチップの補助・助成事業、こうしたものをして装着を促しておりますが、本市では助成事業の創設などのお考えはないのか、お伺いします。 ◎金綱 生活衛生担当部長  本市のマイクロチップの登録状況と補助金制度を創設する考えはないかとのご質問でした。  まず、札幌市のマイクロチップの登録状況ですが、2月末時点で、犬猫を合わせて約7,000匹となっております。  マイクロチップの装着及び登録には合わせて数千円から1万円程度かかるとされておりますので、費用面がネックになっている可能性もあろうかと思いますが、一方で、マイクロチップの装着につきましては、本来、飼い主の責任において行うべきものでもありますことから、補助の是非につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。 ◆千葉なおこ 委員  令和3年度の本市の犬だけの登録頭数というのが約8万2,500頭ということですので、これにまた猫も合わせましたら、本市においても登録数というのはまだまだ少ないということが、今7,000頭でしたので分かったかなというふうに思います。  今ご答弁にあったように、マイクロチップの費用というのは数千円から1万円程度ということでございますけれども、横浜市や名古屋市、京都市、福岡市など、やはり、政令市や、ペット頭数、こうしたことが多いところでは補助制度を実施しておりますので、ぜひ、本市でも、こうしたマイクロチップの周知も併せながら、補助制度なども今後ぜひ検討していただくことを求めまして、私の質問の全てを終わらせていただきたいと思います。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、札幌市の子宮頸がん対策について、中身は、積極的接種勧奨再開後のHPVワクチン定期接種について、それから、HPVワクチンに係る医療機関と教育機関との連携について、それから、HPV自己採取検査についての三つを聞きます。そして、もう一つ、保育所、幼稚園における集団フッ素洗口についての質問もさせていただきます。  まず、積極的接種勧奨再開後のHPVワクチン定期接種についてです。  子宮頸がん予防ワクチンと呼ばれますHPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を予防する効果があると言われ、小学校6年生から高校1年生の学年に相当する女子が接種対象となっています。  HPVワクチンについては、2009年にサーバリックスの2価ワクチンが承認され、2011年にワクチン接種緊急促進事業となり、中学校1年生から高校1年生の学年に相当する女子の接種が事実上無料化され、2013年4月にHPVワクチンが定期接種化されてから、接種部位以外の体の広い範囲で持続する疼痛など、重篤な副反応が報告されたことを受け、8年の間、積極的な勧奨を差し控えてまいりました。  昨年の4月より、国及び自治体は積極的な接種勧奨を再開したところですが、当時から今もなお健康被害を受けている方たちとそのご家族の中には、再開の判断に自分たちが苦しんだ事柄が生かされず、なかったことにされていると憤りを感じる声が上がっており、いまだ解決されることのないこの問題で苦しんでいる方が全国にたくさん存在しており、札幌にも複数いらっしゃいます。  一方、積極的な勧奨を一時的に差し控えていた期間に定期予防接種の対象年齢であった方で未接種の方についても、キャッチアップ接種として2024年度末まで無料で接種可能な救済措置が取られております。しかし、このHPVワクチンについては、ヒトパピローマウイルスへの感染リスクが高まる性交渉を行う前に接種を受けることで効果が期待されると言われていることから、キャッチアップ接種の対象となる方々が副反応のリスクを負ってまで接種を必要とするのか、慎重に考えるべき事柄であると考えます。  接種を希望される方がこのHPVワクチンの効果と副反応のリスクのそれぞれについてしっかりと理解をし、十分に検討した上で接種されることが必要であるということは、HPVワクチン接種後の健康被害が明らかになりました2014年当初より、私は指摘したところでありまして、積極的接種勧奨が再開された今こそ大変重要なことであり、こうした課題を抱えている中で、今年度から再開されていると認識をいたします。  そこでまず、質問ですが、札幌市内におけるHPVワクチンの定期接種とキャッチアップ接種の対象者数とそれぞれの接種実績について、また、副反応の報告状況について伺います。 ◎山口 感染症担当部長  積極的接種勧奨再開後のHPVワクチンの定期接種についてでございますが、定期接種の対象であります小学校6年生から高校1年生約4万人に加えまして、キャッチアップ接種につきましては、令和4年度においては、平成9年度から平成17年度生まれの方約8万人が接種対象となっているところでございます。  HPVワクチンは、間隔を空けて3回の接種を行うワクチンであることから、延べ接種件数について集計いたしますと、令和4年12月までの接種件数は、定期接種約3,100件、キャッチアップ接種は約5,200件でございます。  副反応に関する報告につきましては、接種を受けた後の症状について、予防接種後、副反応疑い報告制度に基づきまして札幌市内の医療機関から報告され、国から情報の還元を受けた1件を把握しているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  今HPVワクチンの接種の実績と副反応の状況について伺いました。定期接種が3,100件でキャッチアップが5,200件ということで、8,300件ということは、3で大体割るんですけれども、そうしますと、約2,700人の方が接種をされたのかなと思います。合わせて12万人、この対象者がいらしたことを考えますと、HPVワクチン接種に不安を持たれており、接種に慎重になっていただいていると私は推察をいたします。
     また、札幌市では21人目のこの副反応当事者が明らかになったわけですけれども、約1,750人のキャッチアップ接種者から明らかになったということは、厚生労働省が今まで発表しております副反応疑い報告ですけれども、約1,000人に1人、入院相当以上の重篤な症状は約1,800人に1人と報告をしていることから見ますと、やはり、合致しているのだなということで、とても残念に思っているところです。  国においては、HPVワクチンの接種勧奨の再開に当たり、接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の体制を強化することとしています。協力医療機関体制では、接種を行った医療機関において最初の相談を受け、総合的な診療などが必要と判断される場合に協力医療機関へ紹介をするという仕組みになっておりまして、接種を行った医療機関から協力医療機関へのつなぎの部分が大変重要なポイントであると考えています。しかし、副反応を生じた方が接種を実施した医療機関で協力医療機関への紹介状を書いていただけなかったり、診断書を書くことも拒否されたなどの話を当事者の方たちから複数聞いていることもありまして、HPVワクチンの接種を担う医療機関には、協力医療機関体制についてしっかりと札幌市はお知らせを進めるべきと考えます。  また、HPVワクチン定期予防接種の対象者が健康被害を生じた場合には、学校などの教育機関における支援が大変重要でありまして、副反応に係る相談体制を充実させるために保健所と教育委員会で設置をしたHPVワクチンに係る連絡会議における相互の情報共有などについて、私どもの会派では、昨年の決算特別委員会でも要望をさせていただいたところです。  積極的接種勧奨が再開された今、接種を希望する方に納得の上で接種していただくためには、接種後の症状が生じた場合の相談・診療・支援体制がしっかりと機能していくための取組も併せて行われていくべきと考えます。  そこで、質問ですが、HPVワクチン接種に伴い、副反応が生じた場合の対応に関して、医療機関への周知、そして、教育機関との連携についてどのように行っているのか、伺います。 ◎山口 感染症担当部長  HPVワクチンに係る医療機関及び教育機関との連携についてのお尋ねをいただいたところでございます。  HPVワクチンの接種後に生じた症状の診療につきまして、地域の中核的な役割を担う協力医療機関は、北海道では北海道大学病院と札幌医科大学附属病院が指定されているところでございます。札幌市内の接種実施医療機関へ令和4年度における積極的接種勧奨の再開に関して通知した際に、協力医療機関についての情報も併せてお知らせを行いました。  教育機関との連携につきましては、ワクチン接種後の体調不良により、学校生活に関してお困りの場合など、保健所と教育委員会が相互に情報を共有し、対応を行ってまいりました。また、本年2月7日に保健所と教育委員会におけるHPVワクチン連絡会議を対面の会議形式で開催し、積極的接種勧奨の再開後の現状についての情報交換や今後の対応についての確認等を行ったところでございます。  今後も、ワクチン接種後に生じた症状に係る相談、診療につきまして、関係機関に周知するとともに、各機関との連携を図ってまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  この札幌においては、北大と札医大が協力医療機関ということであります。そしてまた、この間、2月7日に連絡会議をしていただいているということで、多くの医療機関の方たち、そしてまた教育機関の方たちにもしっかりとした認識を持っていただければ何よりと考えています。  HPVワクチンの積極的勧奨が再開をされました2022年4月から9月までの接種実施状況が本年1月20日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で発表されております。従来接種1回目が16万2,898人、キャッチアップ1回目が19万9,012人、これは全国の数字です。  この間、ワクチンによる副反応当事者は、45人が新たに協力医療機関を受診しているとのことでした。2020年度は7人、そして、2021年度は14人だったので、2022年度になって僅か半年で45人というのは、非常に急増していると言っていいと思います。  そして次に、HPV自己採取検査について伺います。  引き続き、今年度、札幌市が子宮頸がん検診の未受診者対策として実施しておりますHPV自己採取検査について伺います。  子宮頸がんは、ワクチン接種により、幾つかのHPVの感染を予防すると言われる1次予防に加えて、罹患した場合には、早期に発見し、早期治療に結びつけることで死亡率の減少が図られることから、定期的ながん検診の受診が対策として重要な位置づけにあると考えております。  そして、HPVワクチンは、既に感染したHPVを排除する効果はなく、また、全てのHPVを防ぐものではないことから、子宮がん検診の必要性は明らかになっております。しかし、厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、札幌市の子宮頸がん検診の受診率は2019年度で41.9%でありまして、国が目標としております50%は達成しておりません。  また、2020年度に実施した札幌市の調査では、未受診の理由として、忙しくて受診する時間が取れないとか、受診そのものに抵抗があるといった回答がありました。  2020年予算委員会で、私は、江別市、小樽市などでは自宅で簡単に検査ができる検査キットを使った検診が行われ、そして、検診をした女性たちからは検診に対する満足度が非常に高いことから、札幌市でも積極的勧奨を控えた2013年6月以降に接種年齢を迎えた女性たちを中心に、子宮頸がんリスク検査キットを利用した検査体制を導入すべきと求めました。  質問ですが、今年度より、札幌市もHPV自己採取検査を実施しておりますが、検査の実施の実績をお伺いいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  HPV自己採取検査についてお答えをいたします。  札幌市におきましては、今年度、子宮頸がん検診の未受診者対策といたしまして、過去3年間、札幌市の子宮頸がん検診の受診歴のない25歳の女性を対象といたしまして、HPV自己採取検査を実施しております。  昨年秋、条件に該当する対象者7,750名に検査の案内を発送し、うち約2割の方から申込みがあったところであります。結果は、1月末時点での速報値となりますが、実際に検体を提出された方は969名、うちHPV陽性となった方は170名となっております。陽性となった方におきましては、札幌市の子宮頸がん検診の速やかな受診を勧奨しているところであります。また、陰性となった方につきましても、今後の定期的ながん検診の受診につながりますよう、がん検診の重要性を伝えるなどの取組を現在進めているところであります。  今後も、本事業を通じまして、子宮頸がん検診の未受診者対策に努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  札幌市では、25歳の子宮頸がん検診の未受診者が7,750人であったということです。そして、その中の2割の方が申込みをされ、そして、実際に969人が自己採取検査をしていただきました。そして、その中で170人の方たちが陽性だったということで、その方たちには子宮頸がん検診をお勧めいただいたということです。  その中には、実際に治療を必要とする方もいらしたと思いますけれども、多くは定期的な受診による経過観察となった方なども様々だったと思うんですけれども、一旦陽性になったということで、検診の大切さを本当に身をもって知っていただけたと思います。  また、陰性であったとしても、性交渉で感染するHPVは、およそ5年から10年という長い期間を経て子宮頸がんに進行いたします。再感染することもありますので、早期に発見し、有効な治療を行うためにも、定期検診の重要性はしっかりと伝えていただきたいと思います。そして、何よりこのHPV自己採取検査ですけれども、今後も継続していただけるということで、何より未受診者対策として有効であると考えます。  とはいいましても、子宮頸がん検診は、若い女性にとりまして、羞恥心からハードルは高いというのは本当に重々理解をいたします。2016年、国は、欧米のような専門看護師や助産師による子宮頸がん検診を閣議決定し、研究が進んでいると聞いています。一日も早い検診体制の改善を国には求めていただきたいと思います。  私は、2014年から8回、子宮頸がんワクチンについて、予・決算委員会ですとか、厚生委員会で質問を行ってまいりました。ワクチンは、社会防衛のためにリスクを伴うものだと言われておりますが、副反応当事者となった当人ですとか家族にとっては、100%自分事です。健康だったのに、治療方法も見つからず、あると言われていた補償もない女性たち125人が、今、全国4か所の裁判所で国と製薬会社を相手取り、集団訴訟をしており、ようやく今年2月から公開法廷での口頭弁論が再開されてまいりました。  症状が出てから、長い方でもう12年も夢も希望も諦めて症状と闘っている方たちがいます。ほかの定期接種のワクチンと比べて8倍ぐらい、この副反応報告の数が多いということも明らかになっており、まさに基礎自治体であります札幌市に対しては、積極的勧奨を進める以上、接種を考える方たちにリスクを含めた丁寧な情報発信を行い、副反応が生じた場合の医療機関や学校など教育機関での協力体制へのより的確なアドバイスを求めておきます。そして、今後も起きるであろう副反応当事者に様々な環境で寄り添うことができるよう切望いたします。  国には、早急に、既に被害を受けた彼女たちの治療方法を見つけ、そして、補償を行い、彼女たちが社会に参加できる方法を創設するように求めていただきたいと思います。  今回たまたま、3月3日と4日ですけれども、札幌でも副反応被害者の女性たちが創作をしましたこのポスター展がすぐお隣の市民交流プラザで開催をされます。ここでは、映像で彼女たちが生の声を語ってくれています。私は、こういう声を市民のお一人お一人に聞いていただきたいと思います。決して人ごとではない、自分事として捉えていただけるような、そんな思いを切に願うところであります。  これで、この質問は終わります。  続いて、保育所、幼稚園における集団フッ素洗口について伺います。  昨年6月、札幌市歯科口腔保健推進条例が可決された際に、短期間で8,000筆を超える署名が上がり、学校などでのフッ化物洗口を行わないことを求める3団体からの陳情が上がったということは、非常に記憶に新しいところです。そこから半年足らずで、今回、私立幼稚園・保育園のフッ化物洗口支援について新たに事業化されることには、驚きを持っている保護者の方たちも多くいらっしゃいます。  先日、フッ化物洗口の実施に懸念を示すお母様たちと意見交換を行う機会がありましたが、子どもの歯の虫歯予防については、フッ化物に頼らなくても、食生活の見直しや歯磨きの励行でも可能であり、代替できる方法があるのであれば、安全性が完全に確立していない化学物質や薬品の使用は控えるべきとの予防原則の考え方に立つことが重要なのではとの話で、大いに耳を傾けるべき内容が含まれておりました。学習会なども行われておりまして、学ぶほどにフッ化物洗口を公的な事業で推進することへの疑問が深まるとの声もございます。  今回、幼稚園・保育園在籍の4歳以上を対象としておりますが、WHOは1994年に6歳未満の洗口を強く禁じています。しかし、日本では、誤訳により6歳未満でも行われております。そして、CDC、米国疾病予防管理センターでは、2001年に、洗口の効果は小さく、虫歯のリスクの高い者以外に使用するのは疑問であるとの声明を出しており、米国歯科医師会は、虫歯のリスクが低い場合はフッ素の効果がないと2006年に発表をしております。昔のようなフッ素推進一辺倒から様相は変化してきているというのが世界の趨勢だと私は思います。  そこで、質問ですが、このようにフッ化物の利用については安全性が十分に証明されていないと考える市民が多い状況の中、札幌市が私立幼稚園・保育園に支援を行うことにより、フッ化物洗口が義務であると受け取られないよう、十分な説明と、実施を希望しない子どもへの配慮を行う必要があると考えますが、札幌市としてどのように対応していくおつもりか、伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  保育所、幼稚園における集団フッ化物洗口についてお答えをいたします。  まず、6歳未満へのフッ化物洗口の実施とその実施が義務と受け取られないための配慮等についてでございますが、学術的な事実関係につきましては、日本口腔衛生学会が就学前からのフッ化物洗口法に関する見解を示しております。この見解によりますと、世界保健機関、WHOは、最も齲蝕予防効果の高い水道水にフッ化物を添加するフッ化物応用法を強く推奨しており、このような水道水にフッ化物を添加している国や地域におきましては、さらに加えて6歳未満のフッ化物洗口を実施した場合はフッ素の適正摂取量を上回るリスクがあることから、6歳未満には用いるべきではないとしております。  日本におきましては、水道水にフッ化物を添加する方法は実施されておらず、飲料水によるフッ化物の摂取は微量であり、6歳未満のフッ化物洗口によってフッ化物の適正摂取量を上回る危険性は全くないことから、就学前のフッ化物洗口の安全性は問題なく、推奨されるとの見解が日本口腔衛生学会から示されているところであります。  次に、アメリカ国立疾病管理予防センター、CDCが2001年に出した見解についてでありますが、こちらも先ほどの世界保健機関と同様、最も効果的な虫歯予防対策として、水道水にフッ化物を添加するフッ化物応用法を強く推奨しており、その上で、さらに虫歯のリスクが高い者に対しては、フッ化物洗口などの追加的なフッ化物応用を行うべきとしているものであり、全てのアメリカ国民にフッ化物による虫歯予防を推奨する内容となっております。  なお、厚生労働省におきましても、フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方とする見解を示しており、フッ化物洗口は、効果的かつ安全な虫歯予防対策であり、4歳からの実施を推奨しております。  最後に、フッ化物洗口に関する説明内容や実施しない子どもへの配慮につきましては、フッ化物洗口を実施する保育所、幼稚園におきまして、効果や安全性に加えまして、保護者の希望申込みに基づいて行うことなど、丁寧な説明を行いますとともに、実施を希望しない子どもにも十分な配慮を行っていただきますよう、実施施設に周知を行ってまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  るるご説明をいただきました。子どもたちへの配慮については、ぜひ、きめ細やかな対応を求めていきたいと感じます。このことによって、いじめが起きるなどというようなことが起きないように、ぜひお願いをしたいと思います。  札幌市が公的な事業として集団フッ化物洗口事業に関わることにより、保護者がこのような健康への影響を指摘する意見があることを知る機会もなく、実施に当たっての十分な判断材料を持たないまま、容易に申し込んでしまう可能性を危惧しております。  安全性についても、急性中毒量の誤り、洗口液の濃度違い、それから、薬剤の取り違い、そして、洗口しないと言っていた子どもたちと間違えての洗口とか、誤飲など、幼児であればあるほど、飲み込みなど、ヒヤリ・ハット事例は多々発生しております。  フッ素塗布、フッ素配合の歯磨き剤など、2種類以上のフッ化物応用を組み合わせて使用しますと、一般的には相乗効果をもたらすとありますが、相乗効果があるというエビデンスは存在しておりません。また、安全性にも問題はないとおっしゃいますが、フッ化物洗口ですとか、フッ化物配合歯磨き剤による多重摂取によって、容易かつ大幅に食品安全委員会が設定した耐容量を超過すると言われております。  洗口後の口腔内の残留量ですが、3歳で15%、5歳で10%、8歳で11%であると報告されていますが、同種の研究は、多くの研究がありまして、15%から35%の報告が多く、最も多いものは38.5%との報告があり、これは個人差も大きく、10%から15%を大幅に超えるケースも多くあると明らかになっております。  今回は、幼稚園、保育園が対象であり、保育園の4・5歳児クラスでは、園児30人に保育士1人が国基準です。学校の先生とはまた違う保育士の多忙化は苛酷となっている中で、週に2回、もしくは、5回、毎日の洗口です。事故が起きたらどこが責任を取るのでしょうか。洗口に使用されると思われるミラノールの添付文書にも、誤飲の場合の副作用には、過敏性症状、嘔吐、腹痛、下痢などと記載されておりまして、このような情報こそ提供されるべきと考えます。  そこで、質問ですが、保護者への説明などについても、メリットばかりを強調することなく、全身の健康への影響を含めた適切な情報提供が不可欠であると考えますが、札幌市としてどのように保護者への情報提供に取り組んでいくおつもりか、伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  事故発生時の責任と保護者への適切な情報提供についてのお尋ねでございますが、フッ化物を過剰に摂取することにより、腹痛や嘔吐などの急性中毒を引き起こすことは事実でございますが、フッ化物洗口については、仮に誤って全量、全ての量を飲み込んでも問題のない量に調整されており、先ほどの厚生労働省の見解におきましても、安全性は確保されていると示されているところであります。  実際、国内でフッ化物洗口が開始をされてから50年以上が経過をする中で、フッ化物洗口による急性中毒などの健康被害が学術的に認められた事故につきましては把握をしておりませんけれども、仮にフッ化物洗口を原因とする健康被害が認められた場合は、ほかの一般的な公衆衛生事業と同様、推奨する国や北海道、事業を実施する市がそれぞれの立場と責任に応じて対応することになると考えております。  保護者への情報提供につきましては、フッ化物の過剰摂取による急性中毒などの科学的な事実とともに、フッ化物洗口による高い虫歯予防効果と十分な安全性が確保されていることにつきまして、保護者への説明会やパンフレットなどにより、丁寧な情報提供を行ってまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  要望です。  現在、店頭で販売されております大手メーカーの歯磨き剤には、ほとんどフッ化ナトリウムが入っておりまして、子どもたちもせっせと歯磨きの際に使用しております。幼児であればあるほど、うがいで洗い流すより飲み込んでしまうことが多いのは、子育て経験者にはあるあるのまさに実感です。  あわせて、フッ化物洗口のときには、30秒クチュクチュをして吐き出し、その後30分は水を飲むこともできないということになります。よく1回ぐらい飲み込んでも安全性に問題はないと言われますが、既に北海道内で洗口をしている子どもたちからは、吐き気や嘔吐、気持ちが悪いなどが報告をされております。  また、健康格差が仮にあるとしても、それは口腔衛生教育を通じて対応することが可能であり、集団フッ化物洗口の好事例と言われております新潟県、秋田県では、しっかりとした口腔衛生教育も盛んであります。総合的な効果によるものであって、フッ化物洗口のみの効果とは言えないと歯科医師も報告をしております。  歯科医師の下でのフッ化物塗布は、歯科医師の管理下にあり、フッ化物を使用したい家庭の利用はやぶさかではありませんが、幼稚園、保育園や教育機関での集団フッ化物洗口には歯科医師の立会いもありません。洗口液の希釈などは、幼稚園、保育園では行わせないこと、また、フッ化物洗口には多くの課題もあることを市民へ情報提供していただくことを求めます。今後、対象の幼稚園、保育園の保護者へリーフレットなどを配付される際には、リスクを含めた声も多くあることから、両論併記にされることを求めます。  札幌市は、新たな条例第12条第1項で、札幌市歯科口腔保健推進会議の設置を挙げ、さっぽろ8020推進プランの評価や、次期プランの制定に向けた検討、この中には、オーラルフレイルや子どものフッ化物利用も新たに検討すると聞いております。  このメンバーに一方的ではない関係機関も参加していただき、忌憚のない意見の交換ができることが札幌市民に寄り添った歯科口腔政策になると考えますので、ぜひ検討していただくことを求め、私の質問を終わります。 ◆森山由美子 委員  私からは、伴走型相談支援及び出産・子育て応援給付金の一体的実施事業についてとがん対策についての2項目について、順次、質問をいたします。  まず、伴走型相談支援及び出産・子育て応援給付金の一体的実施事業についての札幌市妊娠・出産寄り添い給付金についてです。  国の出産・子育て応援交付金を活用した妊婦や母親への経済的支援については、我が党の長年の要望を受け、令和4年10月28日に閣議決定されました。この事業は、各自治体が主体となり、実施をしていくものですが、さきの令和4年4定の厚生委員会で、我が会派は、流産や死産など、様々な事情のある方にも配慮した名称を工夫していただきたいことを要望させていただいたところ、その後、札幌市妊娠・出産寄り添い給付金という名称として事業化いただいたことは、様々な市民に寄り添った対応として評価をしているところです。  この給付金は、令和5年1月1日以降に市町村ごとに事業開始日を定めることとされており、令和4年4月1日以降に出産した方や、妊娠届出を提出した方については、遡っての給付を行う対象としており、妊娠中の状況や出産後の育児状況などアンケートへの回答が給付の要件となっていると聞いております。また、事業開始日以降に妊娠届出や出生届出を提出した方については、保健師等との面談が給付の要件となっているとのことです。  事業主体が各自治体であり、全国一律の制度ではないため、市町村によってこの事業開始日が異なり、自分が対象となるかどうか、対象だった場合に何が申請に必要になるのかなど、不安になっている市民も多いのではないかと思います。  そこで、質問ですが、札幌市では、札幌市妊娠・出産寄り添い給付金の事業開始日をいつに定めたのか、また、対象となる市民へ周知をどのように行っているのか、伺います。 ◎中目 健康企画担当部長  札幌市妊娠・出産寄り添い給付金の事業開始日及び市民への周知についてお答えをいたします。  事業開始日につきましては、対象市民へできる限り早く給付金を支給するため、国の実施要綱に示されました最速の期日であります令和5年1月1日としたところでございます。  また、市民への周知につきましては、札幌市のホームページ、「さっぽろ子育て情報サイト」での専用のページの開設、子ども未来局の公式ツイッターの活用のほか、広報さっぽろでのお知らせや各区窓口でのリーフレットの配布などを行っております。  なお、「さっぽろ子育て情報サイト」の中で妊娠・出産寄り添い給付金専用ページの1月の閲覧数は約2万件と保育所情報に次いで2番目に多く、また、子ども未来局公式ツイッターにおきましても、2月末現在の表示回数が約4万4,000件と他の事業に関するツイートが数千から1万件であるのに比較し、多くなっております。 ◆森山由美子 委員  ホームページの閲覧数が2万件、ツイッターの表示回数4万4,000件など、札幌市妊娠・出産寄り添い給付金は、市民にとって関心が非常に高いものだということが分かりました。  出産、育児に関しては、育児用品の購入や出産準備にかかる費用など、費用負担は大きいものと推測をいたします。経済的負担軽減のため、速やかな給付金の支給が求められていると考えます。  そこで、質問ですが、札幌市妊娠・出産寄り添い給付金の支給について、現在の状況、今後の予定がどのようになっているのか、伺います。 ◎中目 健康企画担当部長  給付金支給の現在の状況、そして、今後の予定についてお答えをいたします。  この給付金は、委員のご質問の中にございましたとおり、事業開始日前でも、令和4年4月1日以降に出産した方や妊娠届を提出した方につきましては、遡及的な給付を行う対象となっております。  札幌市では、まずは、事業開始日前に妊娠や出産の届出をした方を対象に、2月上旬から、順次、申請書を送付したところでございます。2月末時点で約1万5,000件の全ての方へ送付を完了しておりまして、既に約9,400件が提出されております。審査が完了したものから、順次、口座振込を行っていくこととしておりまして、3月中に約5,000件の振込を終える見込みでございます。  なお、事業開始日の1月1日以降に妊娠、出産の届出をした方に対しましては、3月下旬以降に申請書を、順次、送付する予定でございます。 ◆森山由美子 委員  国の実施要綱が示されてから3か月もたたずに支給開始につながっているということが、大変ご苦労されたかなというふうに思いますが、そういうことが分かりました。本当に迅速に事業を実施いただいたことに感謝をいたします。  さて、出産・子育て応援交付金を活用した取組としては、妊娠期から出産、子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型相談支援事業を行うこととされております。特に、支援が手薄な状況にあるゼロ歳から2歳の低年齢期を抱える子育て世帯に焦点を当てた体制の整備は急務であり、4定の厚生委員会の我が会派の質問では、妊娠期から産後の育児期まで、出産、育児等の見通しを立てるための面談や訪問等の充実が必要であるとお答えいただいたところです。  また、従来の妊娠届出時の面談や出産後の乳児家庭全戸訪問事業に加え、妊娠期にアンケートや面談等を想定した準備を進めていると答弁をいただきました。  そこで、質問ですが、伴走型相談支援について、今後どのように充実をさせていくのか、伺います。 ◎中目 健康企画担当部長  伴走型相談支援の充実についてお答えをいたします。  妊娠届出の面談におきましては、出産、育児に向けた見通しが早期に持てるよう、これまで、主に妊娠期を対象としておりました個別の支援プランの作成を見直しまして、出産後2歳までに利用可能なサービスや利用スケジュールを説明することとしております。  また、妊娠期の新たな支援としましては、安心して、出産、子育ての準備ができるよう、妊娠5か月頃の全ての妊婦の方にアンケートを送付し、一人一人の不安や困り事を聞き取り、必要な支援につなげていくとともに、妊娠5か月以降に面談を実施する予定でございます。  さらに、これまで初妊婦を対象に実施をしておりました妊娠期の訪問に加えまして、希望する全ての妊婦の方に実施できるよう、事業の拡充を予定しているところでございます。  このような取組を通じまして、妊娠期から出産、子育て期まで、一人一人の不安や困り事を聞き取り、様々なニーズに即した必要な支援を一貫して提供できるよう、取組を充実してまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  このような体制が重要という背景には、子育て、妊娠期から出産、産後、育児期といった各段階に応じて、きめ細かくニーズに即した人的な支援も届けることで、困っている妊婦、子育て中の親の孤立化を防ぐ目的もあるというふうに思っております。  今後も、継続的に伴走型支援を充実強化させる取組を推進することを求めまして、次の質問に移ります。  次に、がん対策についてお伺いいたします。  がんは、日本人が生涯のうち2人に1人が診断されると言われている一方で、医療の進歩により、命が救える病ともなっております。国立がん研究センターのがん情報サービスの統計によると、部位による違いはあるものの、2008年にがんと診断された成人のがん全体の5年生存率は約7割、10年生存率も約6割とのことです。  また、厚生労働省によると、がん患者のうち3人に1人は20代から60代で罹患すると言われており、働き盛りの世代で罹患する人も多く、治療後に職場復帰したり、外来で治療を続けながら仕事を続けることも可能となってきました。  これまで、我が会派では、がんの治療をしている方が治療によって起こる脱毛など、外見の変化による苦痛を減らし、その人らしく、社会生活の中でこれまでどおりに過ごすことを支えることが重要と考え、医療用ウイッグの助成制度等、アピアランスケアについて質問を行ってきたところです。  令和3年の決算特別委員会において、ウイッグ等の支援用具の購入助成について質問した際には、7か所の政令指定都市で既に助成を実施しているとのことと、今後も、国やほかの自治体の動向を注視し、支援の在り方を検討していくとの答弁でございました。  そこで、質問ですが、医療用ウイッグの助成について、現在は何か所の政令市が行っているのか、その助成額など、実施状況について伺います。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  他の政令市における医療用ウイッグ助成の動向についてお答えをいたします。  政令指定都市で医療用ウイッグの購入費用の助成を行っている自治体につきましては、令和3年決算特別委員会での回答時以降、さらに3市が加わりまして、現在、合計10市におきまして実施をされているところでございます。  助成内容につきましては、ほとんどの政令指定都市が、購入費用の2分の1までとした上でさらに助成上限額を設定しており、その上限金額は1万円から5万円の間となっている状況でございます。 ◆森山由美子 委員  私自身、ウイッグの購入助成を実施している他都市の視察に行かせていただきましたけれども、自宅での療養を希望する10代の女性患者の方とご両親が助成制度を利用してウイッグを購入し、つらい治療の中でも前向きな気持ちで過ごせたとの話を伺いました。やはり、がん対策においては、予防や治療の充実はもちろんのこと、がんに罹患したとしても、患者に寄り添った支援が重要であると再認識したところです。  また、厚生労働省は、令和5年度から令和10年度の取組を定める第4期がん対策推進基本計画(案)をまとめ、今月中に閣議決定の方針です。その案においては、全体目標として「誰もががんとともに自分らしく生きられるよう、全ての国民でがんの克服を目指す。」とのことが掲げられ、がん予防、がん医療、がんとの共生の3本の柱、及び、これらを支える基盤について示される予定となっております。  そこで、質問ですが、国の次期基本計画の概要が固まってきた中、札幌市の次期がん対策推進プラン策定の進捗状況と、医療用ウイッグの助成等、患者支援を次期プランの中でどう位置づけていくのか、伺います。
    ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  次期の札幌市がん対策推進プランにおける患者支援等の位置づけについてでございますが、札幌市がん対策推進プランは、健康さっぽろ21のがん対策分野の実施計画として位置づけられておりまして、現行プランの最終年度となる令和5年度には、次期プラン策定のための検討部会を新たに立ち上げる予定でございます。現在、現行プランの評価の取りまとめを行っておりまして、その結果や国の基本計画、北海道の推進計画の方向性を踏まえて、策定作業を進めてまいりたいと考えております。  がん患者への支援につきましては、現行プランにおきましても、全体目標の一つとして「すべてのがん患者とその家族等の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」を定めているところでございます。  国の次期基本計画案では、がんとの共生が柱の一つとされておりますことから、本市の次期プランにおきましても、医療用ウイッグの助成などの患者支援につきまして、重要な要素として検討してまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  ぜひとも、力強くそのことを求めてまいります。  高額な治療費がかかり、周囲からの目線も気になる患者にとっては、本当にウイッグは心の支えになると思っております。私の周りからも、実際、そういう声が本当にたくさん届いております。  一日も早く患者に寄り添った支援が実現することを、この札幌市でも実現することを強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆好井七海 委員  私からは、大きく2点お伺いいたします。  初めに、救急医療見える化システムの導入についてお伺いいたします。  札幌市では、救急医療体制を確保するため、休日救急当番制度などの各種補助事業の実施、運営を行ってきたところですが、全道的な医師の高齢化や、令和6年度から始まる医師の働き方改革、超高齢社会、多様化する患者像といった諸課題により、救急搬送事案が年々増加する傾向となっており、コロナ禍において救急搬送に長時間を要した事案も発生するなど、全国的に大きな問題として報道などで取り上げられているのも事実であります。  こうした課題などを解決するため、令和4年5月、現行の救急医療体制を見直し、札幌市の救急医療体制を一層強化・充実させることを目的に、札幌市医師会や市内の救急医療機関等から構成される救急医療体制検討委員会及び救急医療体制検討小委員会を設置し、課題解決に向けた協議を進めていると伺っております。  これらの委員会での議論を踏まえ、このたびの令和5年度予算案においては、補助制度の新規創設など、救急医療体制の強化に係る施策が盛り込まれるとともに、限られた医療資源をより有効に活用するための仕組みづくりとして、救急医療の見える化システムの導入を予定しているところであります。  このたびの取組は、これまで我が会派が応援してきたICTを活用した救急活動の迅速化、DXの推進につながるとともに、患者ができるだけ早く適切な処置を受け、一命を取り留め、後遺症を軽減することにつながるものと大きく期待しているところであります。  そして、他の分野に比べ、デジタル化がまだ進んでいないこの分野において、救急搬送を効率化できるシステムを導入することは、大変意義深いものであり、今後の動向を注視しているところでもあります。  そこで、質問ですが、まず、救急医療見える化システムでは、具体的にどのような情報が共有され、救急医療に資するものなのかをお伺いいたします。 ◎柴田 医療政策担当部長  救急医療見える化システムにつきまして、導入による情報共有についてお答えいたします。  本システムは、救急隊員が患者の様態、また、医療機関が空床状況をそれぞれ入力いたしまして、これらの情報を両者でリアルタイムに共有することで、患者情報に応じた医療機関の選定時間の短縮につなげるものでございます。  さらに、消防局では、患者の様態に加え、画像データを医療機関に送付することができるシステムの実証実験を実施しており、このたびの見える化システムと連結させることを考えてございまして、市民が、より迅速、適切な医療を受けることに資するものでございます。  令和5年度中の導入を目指しまして、既に救急医療の見える化システムを導入している他自治体の視察を行うなどしまして、検討を進めているところでございます。 ◆好井七海 委員  先行自治体における視察など、システム開発に向けて着実に準備を進めているようですので、そこで得られた知見は、本市がこれから導入するシステムにしっかり生かしていくべきであると思っております。  そこで、次の質問ですが、十分に活用していただけるシステムとするためには何が重要と捉えているのか、そのお考えをお伺いいたします。 ◎柴田 医療政策担当部長  システム活用における重要な点についてお答えいたします。  システム活用におきましては、救急搬送の際に必要となる患者情報や空床情報等が十分に網羅されていることと、一方で、一刻を争う状況での操作性がよいこととのバランスが重要であると考えてございます。  このため、システムの試験運用期間を十分に確保いたしまして、実際にシステムを活用する救急隊、医療機関の意見を反映しながら、システムの開発を進めてまいりたいと考えてございます。 ◆好井七海 委員  よりよいシステムを開発して、十二分に活用してもらうことを心から期待しております。  また、このようなシステム導入の効果として、救急搬送に関する様々なデータがシステムを介して集積されるのではないかと考えます。こうしたデータを分析することで、救急現場における課題や改善点などをまさに見える化した上で、システム自体も、より使いやすく、よりよい情報を集められるようにPDCAサイクルを回していくことが重要なのではないかと考えます。  そこで、質問ですが、システムの導入後、集積されたデータをどのように活用していくのか、お伺いいたします。 ◎柴田 医療政策担当部長  システム導入後のデータの活用についてお答えいたします。  システムには、救急搬送時に入力されるデータのほか、各当番医療機関の受入れ実績、受入れ後の患者経過の入力も検討してございまして、これらの集積したデータを各医療機関診療科ごとの救急患者を受け入れた割合、搬送困難事案等の分析に用いまして、救急医療提供体制の評価を行うために活用してまいりたいと考えております。  この分析、評価を行うに当たりましては、専門的な知見も必要となることから、救急医、札幌市医師会とともに協議体を設置しまして、救急医療体制について継続的な見直しを実施していきたいと考えてございます。 ◆好井七海 委員  冒頭でも述べましたが、一分一秒を争う救急搬送、救急医療の現場において、可能な限り、迅速にかつ適切に対処し、治療につなげることが患者の命を守り、よりよい予後に大きく影響を与えるため、ぜひ、このシステムが効果的なものとなり、救急医療に大きく貢献することを切に期待いたします。  次の質問に移ります。  次に、子どもを対象にした歯科口腔の健康対策について伺います。  我が会派では、昨年の第2回定例市議会におきまして、自由民主党、民主市民連合とともに札幌市歯科口腔保健推進条例案を提出、可決、成立し、今年の1月1日より施行されたところであります。  条例が正式に施行されたことを踏まえ、この歯科口腔保健推進条例に盛り込まれた様々な歯科口腔保健対策の充実及び推進は、議会の意思であり、また、市の責務となったわけですから、今後しっかりと進めていかなければなりません。  条例では、大きな目的の一つとして、市民の健康格差の縮小を掲げております。特に、子どもたちの口腔の健康状態は、その置かれている家庭環境に大きな影響を受けることが明らかとなっており、札幌市の3歳児の虫歯の罹患状況を見ますと、全く虫歯がない子どもが8割に上る一方で、4本以上の虫歯がある子どもが503人となっており、そのうち10本以上の極度に虫歯が多い子どもが58人もいるなど、著しい健康格差が生じていることは、決して看過するべきことではありません。  このような家庭環境などにより口腔崩壊とも言うべき多数の虫歯をつくってしまう子どもたちが一定数いる現状があり、そして、このような子どもたちの口腔の健康を守る方法が既に存在するのであれば、これに取り組まないということは、子どもたちを守る大人の責任を果たしていないと言えるのではないでしょうか。  このため、我が会派では、このような子どもたちの健康格差は決して許されるものではなく、その縮小を図るため、条例案の提出に当たり、フッ化物の応用の推進を市長の責務として第11条に盛り込んだところであります。  来年度の札幌市予算案において、保育所、幼稚園等が実施するフッ化物洗口の支援制度が新たに盛り込まれたことに対して、我が会派は全面的な賛意を示すものであり、かつ、市長の決断を極めて高く評価するものであります。しかし、その一方で、インターネット等を見ますと、フッ化物洗口について、その効果や安全性を否定する不正確な情報も散見される状況であり、保育所、幼稚園等におけるフッ化物洗口の普及を図るためには、科学的に正しい情報の発信、普及啓発の強化が必要と考えます。  そこで、一つ目の質問ですが、フッ化物洗口事業の効果や安全性に対する国の認識はどのようになっているのか、また、国の認識を踏まえた札幌市の認識と市民理解の推進に向けて、今後どのように取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  保育所、幼稚園等におけるフッ化物洗口事業についてお答えをいたします。  効果と安全性に対する市民理解の推進についてでございますが、厚生労働省が昨年12月に全国の自治体に通知をいたしましたフッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方におきまして、保育所や幼稚園等において実施する集団フッ化物洗口事業は、健康格差の縮小及び生涯を通じた効果的な齲蝕予防の取組であり、その安全性についても十分に確保されているとの見解が厚生労働省から示されております。  札幌市におきましても厚生労働省と同様の認識であり、市民理解の推進に向けては、保護者向けのパンフレットの作成や市のホームページを通じた情報提供など、学術的な検証を踏まえたフッ化物応用の意義や効果について、普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  学術的な正しい情報発信の強化は大変重要だと思っておりますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  続いて、保育所、幼稚園等に対するフッ化物洗口実施支援制度についてお伺いいたします。  1月30日の市長の臨時記者会見において、フッ化物洗口事業を希望する保育所や幼稚園等への支援制度の創設が述べられ、来年度予算案に盛り込まれているところであります。  今後の札幌市内の保育所、幼稚園等においてもその普及が期待されるところでありますが、現在の札幌市内の保育所、幼稚園等におけるフッ化物洗口の実施状況はどのようになっているのか、またあわせて、北海道内の市町村の実施状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  札幌市内及び北海道内の実施状況についてでございますが、札幌市内のフッ化物洗口の実施状況につきましては、保育所5施設、幼稚園4施設、認定こども園7施設の計16施設におきまして実施されていることを札幌歯科医師会の調査を通じて把握しているところでございます。  北海道内の実施状況についてでございますが、北海道保健福祉部が行った平成30年度の調査によりますと、179市町村の約9割に当たる161市町村が自治体事業として実施をしており、保育所368施設、幼稚園125施設、認定こども園128施設の合計621施設において、約2万人の子どもたちがフッ化物洗口を行っている状況となっております。 ◆好井七海 委員  札幌市内の実施状況は、これまで、行政の支援がないということで施設の独自事業で実施してきたと聞いておりますので、現在16園と少ない状況であることはやむを得ないと考えますが、また、北海道内の市町村においては自治体の行政事業として実施されておりまして、本当に161市町村ということで、かなり広まっていることは、子どもにとって非常によいことだと思っております。  札幌市保健所におきましては、道内の他の市町村にかなり後れを取っておりますので、子ども未来局や教育委員会とも早急に連携しながら、フッ化物洗口事業の普及に努力していただく必要があると考えます。  そこで、次の質問ですが、保育所や幼稚園等におけるフッ化物洗口の普及を図るため、来年度以降、具体的にどのような支援を行っていくおつもりなのか、お伺いいたします。 ◎秋野 成人保健・歯科保健担当部長  具体的なフッ化物洗口事業の保育所や幼稚園に対する支援内容についてでございますが、フッ化物洗口の実施を希望いたします保育所、幼稚園等を対象といたしまして、札幌歯科医師会を通じて、フッ化物洗口の実施に必要な薬剤や物品の提供を行うことを想定しております。  また、施設から職員や保護者への説明会のご希望があった場合には、歯科医師会や大学歯学部の専門家を講師として派遣いたしまして、フッ化物洗口の効果と安全性や、その実施方法についての説明会を実施するなど、専門技術的な支援につきましても行ってまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  最後に、要望ですが、保育所や幼稚園も現状はとても多忙を極めております。そのような大変な状況であっても、子どもたちの健康のために頑張ろうとする保育所や幼稚園に対しては、技術的にも財政的にも十分な支援を行っていただくことが当然と考えますので、今後も、継続的な支援を、条例に基づきます市の責務としてしっかりと行っていただくよう強く要望いたします。  また、今後の取組として、小学校における継続的な実施も極めて重要であります。12歳児の虫歯が政令市の中で最も多かった北九州市は、来年度、令和5年度、来月よりワーストワン返上を目標に、約130校全ての小学校でフッ化物洗口を導入することを決定したとのことであります。  我が札幌市は、政令市の中で、残念ながら、北九州市に次いで2番目に子どもたちの虫歯が多い状況ですから、このままでは札幌市が最下位になる、ワーストワンになる大変不名誉な状況に陥る可能性が非常に高いことを申し上げねばなりません。  北九州市も、もちろん学校の先生方の働き方改革を進めているでしょう。しかし、子どもたちの歯と口腔の健康を守ることは極めて重要であると判断した結果、学校現場の時間や業務をやりくりして、全ての小学校での導入を決断したわけであります。  このように、働き方改革を進めている中でもフッ化物洗口事業を導入した参考にすべき先進事例が、全国、道内にたくさんあるわけですから、札幌市におきましても、小学校での継続実施に向けて具体的な検討を進めていただく必要があることを強く指摘いたしまして、質問を終わります。 ○林清治 委員長  以上で、第5項 健康衛生費の質疑を終了いたします。  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時9分       再 開 午後3時30分     ―――――――――――――― ○中川賢一 副委員長  委員会を再開いたします。  次に、第1項 社会福祉費及び第4項 生活保護費について、一括して質疑を行います。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、民間公共的施設バリアフリー補助事業について、2点伺います。  札幌市では、市民誰もが相互に人格と個性を尊重し合う共生社会を目指していますが、その実現には、市有建築物、民間建築物を問わず、まちのバリアフリー化を進めていかなければならないと考えます。  我が会派では、2020年の予算特別委員会において、民間建築物に係る新たなバリアフリー化の支援制度の必要性について指摘しました。さらに、2021年の予算特別委員会では、新たに開始する補助制度について、障がい当事者の目線や事業者ニーズを踏まえた実効性の高いものとするよう要望しました。  そして、札幌市では、2021年度から、物販・飲食店、診療所といった民間施設を障がいのある方や高齢の方などが安全で快適に利用できるよう、バリアフリー改修費用の一部を補助する事業を開始したところです。  本事業は、2,000平方メートル未満の身近な民間施設を対象に、150万円を上限にバリアフリー改修費用の4分の3を補助するものであり、全ての市民が、安心して快適に暮らし、自らの意思で自由に行動し、あらゆる社会活動に参加できる福祉のまちづくりに資するものと評価します。しかし、事業初年度である2020年度の実績は、申請件数が6件、交付決定件数が5件だったと伺っています。  この理由としては、コロナ禍における経済活動の停滞によって、飲食店などが、軒並み、積極的な投資に踏み切れない状況であったほか、事業の浸透が進まなかったことが一因ではないかと考えられます。また、障がいのある方を含めた人流の抑制も事業者がバリアフリー改修をちゅうちょする要因ではなかったかと推察するところであり、この事業の活用を促進していかなければならないと考えます。  そこで、質問ですが、今年度はどう取り組まれたのか、また、どのような実績であったのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  バリアフリー補助事業について、今年度の取組と実績についてお答えいたします。  今年度については、より多くの事業者に周知をするため、広報さっぽろへの掲載のほかに、医療や商店街など、様々な事業者の団体にパンフレットを送付し、会報誌等で会員に情報提供していただいたり、地下街の大型ビジョンを活用するなどしてPRに努めてまいりました。  また、事業者が時間をかけて検討できるよう、相談、申請の期間を長く取るとともに、相談段階で、札幌市の委託により、建築士が現地を確認してバリアフリー改修に係る助言をするなどの改善に取り組んだところでございます。  その結果、今年度の実績は、申請件数が10件、交付決定件数が9件となり、目標にしていた20件には届かなかったものの、前年度からは増加しております。 ◆たけのうち有美 委員  交付決定件数の増加については、一定の評価をしたいと思います。  施設の改修に当たっては、社会情勢のほか、事業者における中長期的な資金計画や改修のタイミング等も関係するため、こうした事業を継続していくことが必要と考えます。  また、事業を活用して、バリアフリー改修を実施した店舗等に関して、市のホームページで発信されていますけれども、広報は、ホームページも含めてもっと幅広く取り組む必要があるのではないかと考えます。補助金を交付して終わりではなく、事業の成果として、バリアフリー化で全ての人にとって使いやすい施設になったことを市民に知っていただくことは重要ですし、事業者にとってもバリアフリー化に取り組むきっかけになると思います。事業者がバリアフリー化への意識を持てるような取組は、大変重要と考えます。  そこで、2点目の質問ですが、市民に身近な小規模の施設のバリアフリー化を進めるに当たって、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  小規模施設のバリアフリー化における今後の取組についてお答えいたします。  バリアフリー化を進めるに当たっては、事業者に対して、バリアフリー改修のメリットや改修方法等について具体的なイメージを持っていただく必要があると考えるところでございます。  そこで、来年度は、建築士が事業者団体の会合等に出向いて、バリアフリー改修や補助制度について出前研修を行い、事業者に働きかけることを検討しております。  また、医療機関や店舗など、多くの市民の方が利用する施設について、例えば、通路の幅ですとか、トイレの広さといったバリアフリーのための基準は、札幌市福祉のまちづくり条例に基づく整備基準により定めておりますが、現在は、建物の面積にかかわらず、同一の基準になっており、小規模な建物では対応しにくい部分もございます。  そこで、小規模の施設に関するバリアフリー化を促していくため、障がい当事者や建築士、事業者等の意見を聞きながら、事業者がより対応しやすいよう、500平方メートル未満の施設について、整備基準の見直しを進めてまいります。 ◆たけのうち有美 委員  事業者への働きかけのみならず、現状に合わせて基準を見直すことで、小規模施設の事業者がバリアフリー化に取り組みやすくなると考えます。それは、利用者にとっても非常に喜ばしいことと考えますので、早急に進めていただきたいと思います。  障がいのある方が暮らしやすいまちは、全ての人が暮らしやすいまちであり、札幌市が目指す共生社会の実現に寄与するものとなります。この制度を実効あるものにするためには、当事者の目線、事業者のニーズ、専門家の声、様々な角度からの視点が必要であると思います。  バリアフリー化がさらに広がるよう、常に工夫と見直しをしながら取組を強化していただくことを求めて、私からの質問を終わります。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、障がい福祉施設へのスプリンクラー設置について、簡潔に質問をさせていただきます。  障がい福祉施設において火災が発生した場合、施設の利用者においては迅速に避難することが難しい方が多いことから、火災における被害を予防し、利用者の安全を守るため、スプリンクラーなどの消防設備をしっかり整備しておくことが極めて重要となります。  札幌市においては、過去にスプリンクラーのない共同住宅で火災が発生したことにより、多くの人が亡くなるという痛ましい事案も発生しております。  平成27年4月に施行された消防法施行令等の一部改正によって、避難が困難な重い障がいのある方が定員の8割を超えている障がい者入所施設やグループホームについては、面積にかかわらず、スプリンクラーを設置する義務が生じました。その際には、国の制度を活用し、札幌市がスプリンクラー設置に補助を行っております。  そこで、質問ですが、障がい福祉施設におけるスプリンクラー設置に対する補助の実態について伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  スプリンクラー設置に対する補助の実態についてお答えを申し上げます。  補助については、消防法施行令等の一部改正が施行された平成27年度から、経過措置が終了する平成29年度までの3年間で行っております。  実績としては、入所施設1件、短期入所施設3件、グループホーム25件の計29件の申請がございまして、その全てに対して補助を行ったところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、障がい者施設へのスプリンクラーの設置補助についての実績については理解をしたところです。しかし、先日、市内の障がい者入所施設の運営法人から、重い障がいのある入居者が増えてきたということでスプリンクラーを設置したいが、現在は札幌市では補助を行っていないという相談を受けました。消防法施行令が改正された段階では設置義務がなくても、その後、入居者が高齢化し、それに伴い、障がいの重度化も進み、新たにスプリンクラーを設置しなければならない状況が施設に生じているものと解されます。  そこで、質問ですが、こうした施設に対し、スプリンクラーの設置補助を行うべきだと考えますがいかがか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  スプリンクラー設置の補助についての考えについてお答え申し上げます。
     法令改正の際には、それまで設置義務がなかった施設について、3年間の経過措置の期間中にスプリンクラーを設置する必要が生じ、事業者の資金面での負担が大きいことから補助を行ったものでございます。  法令改正により必要となった施設への設置が完了したため、補助を終了したところでございますが、その後の状況の変化といったことも考えられるため、実態を把握した上で、今後の補助について検討してまいります。 ◆丸山秀樹 委員  実態の把握も行っていただいて、状況の変化について確認をしていただけるということでございました。  最後に、要望をしたいと思います。  障がい者施設の運営については、現在、コロナ禍での対応に加え、物価高騰に伴う影響を受け、施設運営費用も膨らんでおり、制度改正から期間があったとはいっても、スプリンクラー設置のための高額な費用を捻出することは大変難しい状況になっているものと考えます。しかし、このスプリンクラーがつけられないからといって、障がいの重い方を入居させることができないといったことがあれば、それこそ、施設設置の意義や目的が損なわれ、本末転倒となってしまいます。  ついては、何よりも障がいのある方が住み慣れた場所で安全・安心に生活できるよう、改めてスプリンクラー設置に対する補助を可能とするよう要望し、質問を終わります。 ◆長屋いずみ 委員  私からは、無料低額診療制度について、4点質問いたします。  コロナ禍での持続化給付金や家賃支援給付金、緊急小口資金、総合支援資金などの生活への金銭的な支援が終了しました。その上、物価高騰です。今後も、食料品や住宅ローン、電気代などの値上げも見込まれます。本市の市民所得は政令市で最低レベルですから、ますます生活が苦しくなり、具合が悪くても医療機関に行けないという事態が広がるのではないかと危惧するところです。  そこでまず、お聞きしたいのは、経済的な理由で医療にかかれない人がいる状況はあってはならないと思いますが、本市の認識をお伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  経済的な理由により医療にかかれないことに関しましての認識についてお答えいたします。  医療機関への受診につきましては、それぞれの方が必要と考えるときに受診できることが大変望ましいというふうに考えているところでございます。  札幌市では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大ですとか、その後の物価高騰などの影響により、生活にお困りの方に対しましては、委員からお話がありましたとおり、各種給付金や支援金の支給、それから、生活サポート総合相談会の開催などの支援策に取り組んできたところです。  今後とも、物価高騰などが市民生活に与える影響を見極めました上で、関係機関とも連携をしながら支援に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆長屋いずみ 委員  今後も支援に取り組みたいということです。経済的な理由で医療が受けられない、そういう方を出さない取組が必要です。  経済的な理由で十分な医療を享受できない方が出ることのないよう、対処する手段の一つが無料低額診療事業です。社会福祉法第2条第3項に定められ、本市においても、多くの方がこの制度を利用し、医療機関で診療を受けております。  そこで、質問です。  本市において医療費の自己負担分の減免を受けた患者数について、10年前の2012年度と直近の2021年度の利用実態をお伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  無料低額診療制度に関しての利用実績についてのご質問にお答え申し上げます。  無料低額診療制度を市内で実施しております医療機関の合計の件数ということで申し上げますと、減免を受けた入院患者さんは、延べ件数で申し上げますと、10年前の2012年におきましては3万2,844件、直近の令和3年度の実績で申し上げますと、2万6,710件ということです。  通院患者につきましては、同じく延べ件数で申し上げますと、2012年、平成24年度につきましては9,761件、2021年、令和3年度で申し上げますと、1万3,206件というのが実績でございます。 ◆長屋いずみ 委員  延べ件数で報告いただきました。この10年で、入院患者は増えておりませんでしたが、外来の利用患者数、延べ数が10年前は9,761件、2021年は1万3,206件、約3,500件増えておりました。  制度を実施しております施設では、外国人や若い方が増えたとも話されておりました。幅広い利用になってきているということでもあると思います。しかし、まだ制度を知らないという方も多いのではないでしょうか。  また、事業を実施している医療機関数の変化を調べましたところ、10年前は12施設、直近でも18施設、医療機関数全体では、10年前は2,777施設、直近で2,899施設ですから、施設は100以上増えているにもかかわらず、制度実施は18施設にとどまっております。  事業を実施している医療機関では、事業で免除される固定資産税よりかかる費用が多く、持ち出し分があっても、市民に平等の医療をと、ホームページやSNS発信、学校訪問などを行い、周知をしておりました。民間任せではなく、本市が、当事者に確実に届くよう、もっと幅広く事業をお知らせしていくことと併せて、無料低額診療事業を実施する医療機関を広げる努力もすべきだと思うところです。  次に、無料低額診療事業の薬代についてです。  この制度は、病院の医療行為は無料または低額の自己負担ですが、薬が処方された場合、調剤薬局では制度が適用されません。つまり、薬代は自己負担です。制度の欠陥でありますが、薬代がかかると知って、医療機関で薬は遠慮したいと話される方、医師から処方箋が出されても薬局の窓口でちゅうちょしたり、薬は半分でいい、こういう患者さんもおられるとお聞きしました。それでは治療にはなりませんし、治療を開始できなければ、時に治癒を長引かせ、命に関わることにもなっていきます。  一方で、早期治療・完治ができれば、医療費全体の軽減につながります。若い方だとなおさらだと思うところです。  そこで、仮に本市において薬代を助成すると試算した場合、どの程度の費用が見込まれるのか、お伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  札幌市で、無料低額診療制度を例えば調剤処方費用にまで拡大した場合の見積りについてのご質問でございます。  無料低額診療制度をご利用の方々が、実際、どれくらいの一部負担、調剤処方にかかる負担をお支払いになっているのかということについては、データを持ち合わせておりませんけれども、道内で当該調剤処方費用の助成を実施しております旭川市の令和3年度決算額が約300万円というふうに聞いてございますので、人口比を考慮いたしますと、札幌市で実施した場合は年間で数千万円となる可能性があるものと考えております。 ◆長屋いずみ 委員  旭川市でということでした。そういった試算でした。  糖尿病やがん、あるいは、リューマチなどの薬価は特に高いですが、服薬すれば明らかに苦痛が緩和できる薬を、薬代が払えない、こういう理由で減らしてしまう、あるいは、諦めることも多いんです。しかし、本市が助成すれば、安心して治療でき、安心して服薬できるんです。ですから、本市が薬代も含めて助成すべきだと思います。  そこで、無料低額診療事業を行っている医療機関から院外処方箋を受けている保険調剤薬局でも無料低額診療事業の対象とすべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎加藤 総務部長  無料低額診療制度を調剤薬局での薬剤処方にも適用すべきではないかというご質問でございます。  現状、薬につきましては、院内処方と院外処方で取扱いに違いがあるというようなことになってございます。この制度における調剤の在り方につきましては、国が進めてまいりました医薬分業に起因するものというふうに私も考えてございまして、国の責任において対応すべきものと考えているところです。  札幌市といたしましては、無料低額診療により受診された方の保険調剤薬局での自己負担につきまして、制度の対象として位置づけられるよう、平成28年度から大都市民生主管局長会議を通じて国に要望してきているところでございます。引き続き、国の動向を注視してまいりたいというふうに考えております。 ◆長屋いずみ 委員  国に要望しているということでした。  道内では、無料低額診療事業を利用する患者の薬代を助成する自治体は、現在8自治体あります。国の制度ですが、利用できないという市民を出さないために、自治体が独自で助成しております。  現実の問題として、困窮している市民が2021年度で延べ1万3,206件おられました。薬代の助成、先ほど旭川の試算でということで出していただきましたけれども、旭川ではなく本市で実施したら金額的にはこうなる、こういった正確な状況を把握すべきだと申し述べて、質問を終わります。 ◆山口かずさ 委員  私からは、障害児通所支援事業所のサービスの質の向上についてお伺いします。  障害児通所支援事業所の数は、全国的に増加傾向にあります。中でも、札幌市は事業所の数が全国で一番多く、2023年2月1日時点では、児童発達支援と放課後等デイサービスを合わせて669もの事業所があり、この春に向けて、新規事業所の開設に伴う申請も多数あることから、さらに増えていくと聞いています。  背景には、発達障がいに対する認知が広がり、早い時期から個の育ちに応じた必要な手厚い療育によって、社会生活における困難さを軽減したり、できることを、可能性をさらに広げたりすることを目的として利用ニーズが高まり、それに伴い、受皿となる事業所が増えていることがあると考えられます。  特に、札幌市では、この早期療育が他都市に比べて定着しており、1人当たりのサービスの利用期間が長くなることから、利用定員も決まっているので、受け入れる事業所数が多くなっていると考えています。事業所数の増加により、療育が必要な子どもたちが障害児通所支援を受けやすくなった一方で、事業所に対する苦情や虐待通報の件数、また、事故が増加するなど、事業所の適切な運営やサービスの質の確保が課題となっているところです。  事業所や利用者が増加しても、事業所に指導に当たる市職員はなかなか増員せず、限られた職員体制の中で対応しているのが現状です。しかし、発達の遅れや障がいのある子どもたちが一人一人の権利を尊重され、伸び伸びと成長・発達していくために、障害児通所支援事業所の指定を行っている札幌市は、しっかりと事業所を指導していかなければなりません。  そこで、質問です。  障害児通所支援事業所に対する指導をどのように実施しているのか、現状をまずお伺いします。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  事業所に対してどのように指導しているかというご質問でございました。  事業所に対する指導については、特に注意が必要な事項を周知するため、毎年度、全事業所を対象に実施する集団指導と、各事業所を数年置きに計画的に訪問する実地指導により行っております。  実地指導では、主として、個別支援計画や支援の記録、出勤簿、賃金台帳などにより、支援の実施内容や人員配置の状況を確認し、必要な指導を行っているところでございます。また、利用者への虐待といった不適切な処遇や給付費の不正請求などが疑われる情報があったときには臨時の実地指導も行っており、事業所の職員からのヒアリングや関係書類の調査により、必要な対応をしております。  コロナ禍でもあり、感染拡大防止のため、計画的な実地指導を控えていた時期もございますけれども、特に利用者に対する虐待などが疑われる場合には、速やかに事実関係を把握し、是正措置を講じるなど、限られた職員体制の中でも、優先順位をつけながら指導に当たっているところでございます。 ◆山口かずさ 委員  現状については分かりました。  障害児通所支援の利用者の増加に伴い、様々な支援ニーズが発生している中で、事業所の質を高めて子どもたちが適切なサービスを受けられるようにするためには、札幌市から事業所に対するより一層の働きかけが必要になります。  そこで、質問です。  札幌市において、障害児通所支援事業所の質の向上のためにどのように取り組んでいくのかをお伺いします。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  事業所の質の向上のための取組についてお答え申し上げます。  質の向上のための取組としては、地域の療育の中核機関である児童発達支援センター5か所に障がい児地域支援マネジャーを配置し、各事業所への訪問等により、療育に関する技術的な支援や助言、学校や保育所なども含め、児童の支援に関わっている機関の調整等を行っているところでございます。  マネジャーは、今年度に1名増員し、8名としまして、全所をカバーする体制にしたところであり、引き続き、事業所の質の向上や支援に関わる機関の連携強化など、地域における療育の底上げに取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、事業所の指導に当たる市職員の体制につきましても、今年の4月には1名を増員する予定であり、各事業所への実地指導を着実に行っていくことで、サービスの質の確保、向上につなげてまいります。  このほか、国においては、令和6年4月の改正児童福祉法の施行に向けて、障がい児通所支援の質の向上を図るための方策が検討されておりまして、有識者による検討会では、支援に係るガイドラインの内容等について議論をされているところでございまして、その動向も注視していきたいと考えております。 ◆山口かずさ 委員  指導職員の増員による体制強化などを行うということですが、冒頭でも申し上げたとおり、事業所の数は今後も増えていくことが見込まれます。  実地指導については、厚生労働省から3年に1度行うこととされています。しかし、ある法人から、複数の事業所を運営しているけれども、相当な期間がたっているのに、あえてここで期間は申し上げませんが、たっているのに、どの事業所でも実地指導を受けていないという話を聞いています。  現在669事業所あるので、単純に3で割ったら年間223事業所と、実地指導をしなければならなく、追いついていないという現状がある中で、少なくとも、法人として1か所でも実地指導を受ければ、その指導内容を同一法人のほかの事業所で共有することで効果が波及すると考えられます。  限られた職員体制で増加する事業所へ対応していくのであれば、効果的・効率的な方法として、法人に着目して実地指導を行うことも検討すべきと考えますがいかがか、お伺いします。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  ただいま委員のほうからご指摘があったことなども踏まえて、どのように限られた資源の中で実地指導を行っていくかということは、しっかり考えながら進めていきたいというふうに考えております。 ◆山口かずさ 委員  いずれにしても、体制強化の効果も検証しながら、指導体制の整備や実施方法の工夫を行うなど、今後も、子どもたちの未来のために、障がい児通所支援事業所のサービスの質の向上に取り組んでいただくことを求めて、私からの質問を終わります。 ○中川賢一 副委員長  以上で、第1項 社会福祉費等の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後4時5分       再 開 午後4時6分     ―――――――――――――― ○林清治 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3項 老人福祉費、第10款 諸支出金 第2項 他会計繰出金のうち関係分及び議案第7号 令和5年度札幌市介護保険会計予算について、一括して質疑を行います。 ◆森山由美子 委員  私からは、フレイル予防対策の強化と高齢者あんしんコールの2項目について質問をいたします。  まず、フレイル予防対策の強化について質問いたします。  令和5年度予算において、フレイル改善マネジャーがモデル事業で開始されることとなり、これまで、フレイル予防に関して機を捉えて質疑を繰り返し、リハビリテーション関連団体等とも連携し、取組を進めてきた我が会派として、今後の取組に期待をしているところです。  さて、今回のフレイル改善マネジャーは、要支援認定者に対象を絞り込んでフレイル状態の改善に取り組むもので、フレイルの疑いのある方へのハイリスクアプローチとしては効率的・効果的であると考えます。  昨年12月に、医療経済及び医療・介護制度に関する調査研究を行う医療経済研究・社会保険福祉協会のフレイル予防啓発に関する有識者委員会から、「フレイル予防のポピュレーションアプローチに関する声明と提言」が公表されたところです。  この提言では、2040年には85歳以上の高齢者が1,000万人を超えると予想される今、なすべきことは、国を挙げたポピュレーションアプローチであると掲げられております。このポピュレーションアプローチとは、対象者を限定せず、集団全体に働きかけ、リスクの低減ができるようにするものであり、超高齢化社会において、フレイル対策は喫緊の課題であり、予防的に幅広く取り組むことが重要です。  まさに、札幌市においても、85歳以上の高齢者が令和4年10月現在で9万5,337人となっており、2040年を見据え、今からでも予防対策を強化していくことが必要と考えます。これまでも、介護予防センターにおいて、運動機能の向上や栄養改善、口腔機能の向上など、フレイル予防に取り組んできたことは評価しますが、さらに、ポピュレーションアプローチとしてのフレイル予防の普及啓発、フレイル状態にある高齢者の早期発見、早期介入に取り組むべきと考えます。  そこで、質問ですが、フレイル予防のポピュレーションアプローチについて、市としてどのように認識をしているのか、伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  フレイル予防に対するポピュレーションアプローチの認識についてお答えさせていただきます。  札幌市では、地域ケア会議を個別、地区、区それぞれの階層で実施し、抽出された健康課題を最終的に市地域ケア推進会議で検討しているところでございます。  令和4年度は、コロナ禍でもありましたことから、フレイル予防の必要性が各地区から課題として挙がり、市地域ケア推進会議でも、多くの方々を対象にフレイルについて普及し、早期に発見、支援していくことが必要であるとの意見がまとまり、全市的な課題として認識しているところでございます。  そのため、フレイル予防の具体的な方法や早期発見について広く普及啓発するポピュレーションアプローチは、今後の高齢者支援にとって非常に重要なことと考えているところでございます。 ◆森山由美子 委員  フレイル予防のポピュレーションアプローチが全市的な課題として市地域ケア推進会議で取り上げられたことは、重要であるというふうに思っております。これまでも、各区の工夫でフレイル予防のリーフレットを作成し、普及啓発に取り組んできていると聞いておりますが、さらに全市的な普及啓発に展開していくべきと考えます。  そこで、質問ですが、今後のフレイル予防に対する普及啓発をどのように強化していくのか、伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  今後のフレイル予防に対する普及啓発の強化についてお答えさせていただきます。  現在、市地域ケア推進会議において、各委員からご意見を頂戴し、フレイルの早期発見のためのリーフレットを作成しているところでございます。このリーフレットには、基本チェックリストをはじめ、運動機能、栄養状態、口腔状態、社会参加、認知機能、心の健康など、テーマ別にフレイルの疑いを確認する内容を掲載し、相談先も明記しております。  リーフレットは、医療機関や薬局などの関係機関で配布するとともに、地域包括支援センターや介護予防センターの健康教室等の活動の場で活用するなど、これまで以上にフレイル予防対策への取組を強化してまいります。 ◆森山由美子 委員  フレイル予防のポピュレーションアプローチの実施に当たりましては、リハビリ関連団体等をはじめとした専門職団体の関与が非常に大事であり、現在行われているような単体での支援だけにとどまらず、複数の職種がそれぞれの分野の知見を生かし、協働して実施するなど、専門職間が連携した支援も行うことが望ましいと考えますので、ぜひ、ここのところも実施をしていただきますよう求めまして、次の質問に移ります。  次に、高齢者あんしんコール事業について質問をいたします。  今後とも、増加が見込まれる高齢単身世帯や高齢夫婦世帯が地域で安全・安心に暮らしていくためには、見守りの取組がますます重要になると考えており、その取組の一つに高齢者あんしんコール事業があります。  我が会派では、高齢者の在宅生活の不安軽減に極めて有効な事業と認識をし、会派では、地域の会合等でパンフレットを配付などもしていますが、その利用者はまだまだ少ないと感じ、令和元年3定の決算特別委員会においても質問をさせていただき、拡充を求めてきたところです。  そうした中、令和元年10月からは、固定電話を有していない方の利用を可能とするため、モバイル型の通報機器を導入する仕様となり、さらなる充実を図ってきていただいており、評価をさせていただいているところです。  そこで、質問ですが、高齢者あんしんコールの近年の利用状況について伺います。 ◎西村 高齢保健福祉部長  高齢者あんしんコールの近年の利用状況についてでございます。  利用人数につきましては、令和5年1月末時点で2,783名でございまして、うちモバイル型の利用件数といたしましては、270件となってございます。  また、直近で申しますと、おおむね4件に1件がモバイル型を設置していることから、モバイル型の通報機器導入の効果は大きいと、そのように認識しているところでございます。 ◆森山由美子 委員  モバイル型を導入したことにより、利用人数が増えているとのことでしたが、独り暮らしの高齢者が12万1,789人、令和2年の国勢調査なんですけれども、それに鑑みますと、まだまだ利用人数が少ないなとも感じております。
     高齢者あんしんコール事業は、65歳以上で独り暮らしの高齢者、または、世帯全員が65歳以上の世帯に属する高齢者のいずれかで、慢性疾患により、日常生活上、注意を要する方や、介護保険の要支援または要介護認定を受けている方などを対象としております。  そうした中、先日、介護保険の第2号被保険者として要支援認定を受けているものの、65歳未満であることから、高齢者あんしんコールの利用ができなかったとの相談をお受けいたしました。  いわゆる高齢者を対象にする事業について、65歳以上を対象とすること自体は不合理ではないものの、ほかの高齢者に係る事業を見ますと、配食サービスは、60歳以上65歳未満の方で介護保険法に規定する要介護者または要支援者を、理美容サービスについては、要介護者に認定され、一定の身体状況にある方なども対象としております。  そこで、質問ですが、高齢者あんしんコールについても、一定の身体状況にある場合は65歳未満でも利用できるようにするべきではないかと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎西村 高齢保健福祉部長  65歳未満の利用についてでございます。  高齢者の見守りということに関しましては、あんしんコールの前身でございます緊急通報システムを開始いたしました昭和63年以降、デジタル技術等も進歩し、民間事業者においても、ニーズに合わせて、カメラ、センサー、家電の利用状況により生活状況を把握するものでございますとか、スマートフォンを生かしたサービスなども展開されているほか、高齢者というものに対する認識も大きく変化しているのかなというふうに考えています。  一方、委員のご指摘がございましたとおり、日常生活に支障のある身体状況の方で、こうしたサービスの対象とすることによって安心して地域で暮らしていくことが可能となる方、そういう方もいらっしゃると、そのように認識しております。  このあんしんコールの65歳未満への適用につきましては、こういったデジタル技術の進化、普及の程度を見定めながら、高齢者に関する意識調査など、機会を捉えてニーズを把握させていただきまして、行政が担うべきサービス水準の在り方と併せて検討してまいりたい、そのように考えてございます。 ◆森山由美子 委員  最後に、要望ですが、民間事業者において各種サービスが展開されていることは既に知っておりますけれども、利用料金が高くて利用できないという方も数多くおります。大手キャリアが安価な価格でスタートしたものもありましたが、採算が取れなかったのか、サービスの提供を取りやめたりもし、安価で安定したサービスの提供は本当に簡単ではないなと感じたところです。  所得水準に配慮した高齢者あんしんコールは、利用料金が高く、利用できない、そのような方にも大変有効であると考えます。年齢が65歳未満であっても、介護保険第2号被保険者で要介護や要支援認定を受けている方は、身体の状況から現在のサービスの対象者と同じ不安をお持ちであると考えられますので、このような方々などをほかの高齢者サービスと同様に高齢者あんしんコールの対象とすることで、住み慣れた地域で安心した暮らしを送ることができますよう、さらなる取組の充実を強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆藤田稔人 委員  私からは、2040年を見据えた地域包括支援センターの機能強化について、大きく2点お伺いいたします。  我が会派は、令和4年第3回定例会の代表質問で、地域包括支援センター職員の資質向上に向けて、処遇改善を含めた対策が重要であることを指摘し、人材確保はもちろんのこと、職員の離職防止のため、処遇改善を含めた職員の定着に向けた検討を進めたいとの答弁をいただいたところであります。  令和5年度の2040年を見据えた地域包括支援センター機能強化に係る予算案においては、事務費等の運営委託費が一定程度減額となったものの、それを上回る専門職員の人件費増がなされていること、また、段階的な増額ではなく、単年度で増額できるようにしたことは、専門職員の処遇改善につながり、離職低減や新規人材の確保に役立つものと高く評価させていただきます。  この処遇改善については、単に職員のためだけではなく、職員の資質が向上することでセンター全体の対応力強化が図られ、結果的には市民へのサービスが向上していくことにもなり、また、職員の給与のアップは経済的効果にも影響すると考えております。  地域包括支援センターは、幾つになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、一人一人の高齢者に寄り添い、支援する地域包括ケアの推進を担う中核組織であることから、その役割は今後ますます重要になるものと考えております。  この地域包括ケアの推進のためには、自立支援や重度化防止の取組が重要であることから、これらを担う地域包括支援センター職員の資質向上は不可欠であり、このたびの専門職員の人件費増額という処遇改善を最大限に生かしていく必要があると考えております。  そこで、質問ですが、今回の予算を具体的にどのように生かしていくのか、また、今後も継続した処遇改善が必要と考えるが、どのように取り組んでいくのか、お伺いさせていただきます。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  地域包括支援センター職員の処遇改善ということについてお答えさせていただきます。  地域包括支援センターの専門職員の処遇改善につきましては、受託法人負担分の法定福利費込みで専門職員1人当たり50万円程度の人件費増額が可能となる予算を確保いたしました。このたびの増額につきましては、受託法人がその趣旨や目的をしっかりと理解し、確実に人件費に反映してもらう必要がありますことから、専門職員の人件費増を取らなかった場合につきましては、契約上、減算の規定を設けるほか、受託法人への説明会を実施したところでございます。  札幌市といたしましては、このたびの処遇改善により、離職の低減や、新規の人材確保に一定の効果が得られるものと考えておりますが、今後は、その効果を確認しながら、国の介護従事者処遇状況等調査結果、また、他都市の給与実態などを踏まえ、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆藤田稔人 委員  処遇改善が実現できるよう、受託法人の理解を得ながら進めていくということと、また、さらなる処遇の改善について今後も検討していただけるということでございました。このことは、受託法人の負担軽減にもつながることから、引き続き積極的に検討を進めていただきたいと考えております。  また、昨年第3回定例会の代表質問においては、大規模化するセンターのマネジメント面などの対応力強化の課題についても指摘したところであり、その改善を図るための取組もぜひ検討を進めていただきたいと考えております。  続きまして、フレイル改善マネジャーについてお伺いさせていただきます。  地域包括支援センターは、高齢者の複雑化・多様化するニーズに対応するため、日々、個別の支援に追われており、地域包括ケアの推進において不可欠な地域づくりに時間をかけることがなかなかできない現状にあります。  また、地域包括支援センターの専門職員は、様々なニーズに応えるため、柔軟な対応をしており、非常に多忙な状況となっております。  さらに、本市の健康寿命は全国平均を下回っておりますが、2040年を見据え、健康寿命の延伸は喫緊の課題であり、今後は、個別アプローチのさらなる充実化とともに、自立支援や重症化予防を進めていくことが重要であります。  そのため、地域包括支援センター専門職員の人件費増による職員の資質向上のみならず、職員不足の解消も根本的な課題として捉え、何らかの策を講じていく必要があると考えております。その意味では、このたびのフレイル改善マネジャーの配置は、専門職員の増員となり、地域包括支援センターの多忙化対策としても非常に有効であり、すばらしいアイデアであると評価させていただきます。  このフレイル改善マネジャーは、要支援認定を受けているにもかかわらず、サービスを利用していない方を中心にアプローチしていくと聞いております。  令和元年12月に実施した要介護(支援)認定者意向調査によると、サービスを利用していない理由として、サービスを利用しなくても自分で生活できるからが40.3%、いざという時のために、とりあえず要介護(支援)認定申請したからというのが23.1%となっております。このように、本人は大丈夫だと思っていても、周りから客観的に見ると、安心・安全な生活のためには何らかの支援が必要な場合も少なくないと思います。  フレイル予防の重要性は誰もが理解していると思いますが、フレイル改善マネジャーは、このような方々にアプローチし、実態把握することで、必要なサービスにつなげ、重症化予防を図る役割を持っていると考えております。  また、自立支援の観点では、今まで以上にアセスメントできる体制が整うことから、対象となる方の能力や意欲にあったセルフケアや介護予防活動が行えるため、その方の心身状態の維持または向上につながり、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようになります。コロナ禍で高齢者が家に閉じ籠もりがちになり、フレイルの増加が懸念されている今だからこそ、このような取組は非常に有効であると考えております。  こうした状況を踏まえると、サービス未利用者の実態把握ができるようになるだけでもとても価値があると思いますし、ターゲットを絞った効果的な取組であるにもかかわらず、このようなすばらしい事業がなぜモデル事業にとどまっているのか、初めから全市展開してもよいのではないかと考えております。  そこで、質問ですが、このモデル事業について、今後どのように進めていくのか、お伺いさせていただきます。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  フレイル改善マネジャーについてお答えさせていただきます。  このたびのモデル事業につきましては、北区の3か所の地域包括支援センターにそれぞれフレイル改善マネジャーを配置し、実施させていただきます。  事業の具体的な内容につきましては、要支援認定を受けている方のうち、サービスが未利用となっている方にどのようなリスクがあるのか、チェックリストを活用することなどにより状態を把握するとともに、その状態やニーズに合わせ、必要なサービスや支援を検討いたします。例えば、運動機能に課題がある場合については、介護予防センターの実施する介護予防教室につなげたり、訪問でのリハビリ指導を活用するなど、適切な支援を行うことで、自立支援や重症化予防に努めてまいります。  今後のフレイル改善マネジャーの配置につきましては、全市展開を見据え、こうした取組の前後のデータを積み重ねていくことにより、効果を検証してまいりたい、そのように考えております。 ◆藤田稔人 委員  北区3か所のセンターでの配置ということでございましたが、ぜひ、全市展開を見据えて、このモデル事業の効果を検証していただきたいと思います。  このようなフレイル改善の取組は大変よいことであると思っておりますので、ぜひ、モデル区を増やし、実績を積みながら、早期に全市展開をしていただきたいと強く求めさせていただきます。後方には財政局の菊地財政課長もいらっしゃいますけれども、ぜひ、このような事業は、全市展開に向けて、今後、予算のほうも増額をご検討いただきたいとお願いさせていただきます。  また、地域包括支援センターの専門職員の人員増について、必要な業務を積み上げて専門職員の増員を図っておりますが、このような手法には限界があるとも考えられます。本市においては、今後も、一層の高齢化が進むことが見込まれておりますので、また、コロナ禍の影響もあり、高齢者が抱える課題はますます多岐にわたるものとなると想定されております。  こうした状況を踏まえると、地域包括支援センターの役割はますます重要になりますから、職員配置の根本的な考え方を見直し、専門職員を増員していただくことを強く求めさせていただきます。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、認知症疾患医療センターについて質問させていただきます。  札幌市に「札幌認知症の人と家族の会」という団体があります。この団体は、全国組織でありまして、認知症の当事者の方と、そして、介護をなさっている家族の方たちが共に支え合う団体です。介護に関わる勉強会であったり、それぞれの思いを意見交換したり、そしてまた、相談会をしたり、そして、この札幌市における認知症に関わる審議会の一員にもなっていらっしゃる、まさに市民の団体であります。  先日、この「札幌認知症の人と家族の会」の皆さんと意見交換をさせていただきました。札幌には、認知症の診断や治療を受けることができる医療機関は多くあります。そして、多様な認知症施策を整備しており、ほかの政令市にも自慢できるほど、医療資源は充実していると言われています。しかし、課題も見えてまいりました。  近年、老老介護による認知症の家族に絡む夫婦間の殺傷事件なども、この札幌で起きております。なぜ相談ができなかったのか、情報はたくさんあるのに、早期相談、早期診断、早期治療につながらなかったのはなぜなのか、高齢になれば、認知症だけではなくて、様々な身体合併症が起きるが、どこで診てもらえるのかなど、課題解決ができていないということが見えてまいります。  そこで、質問ですが、札幌市は、これらの認知症の早期相談、早期診断・治療などに係る課題をどのように解決しており、今後もしていこうとされているのか、まず伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  認知症の早期相談、早期診断・治療等に係る課題の解決についてお答えさせていただきます。  認知症は、誰もがかかる可能性のある病気ですが、記憶力、判断力の低下や、時間や場所が分からなくなるなど、ご本人、ご家族にとって不安や負担が大きく、認知症であることを否定したい、認知症であることを隠したいという思いから、医療機関を受診したがらない方も少なくありません。このようなことから、認知症の早期相談のためには、身近な場所で気軽に相談できる窓口として、地域包括支援センターや認知症コールセンターなどの周知に引き続き取り組んでまいります。  さらに、自ら相談したがらない方もいらっしゃる中では、地域の見守りネットワークの中での気づきから相談につながる仕組みづくりも重要であり、認知症サポーター養成など、地域理解の促進にも努めてまいります。  また、早期診断、早期治療のためには、かかりつけ医と専門医療機関との連携体制が重要でありますことから、札幌市医師会に委託しております在宅医療・介護・認知症サポートセンターが有しております医療機関情報を有効に活用し、その機能の周知を図るとともに、研修などの機会を通じ、認知症医療に関わる医師同士のネットワークの構築を進めてきているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  この間、札幌市においても様々な窓口があるということも分かります。そして、それには医師会の先生たちが在宅医療・介護・認知症サポートセンターなどという形で支援をしていただいているということも見えてくるわけです。しかし、やはり、自分が認知症であるということを否定されたり、そしてまた、本当に隠してしまうというようなことも、本当によくあることだと思います。  国の認知症施策推進大綱では、2020年度末までに、認知症疾患医療センターを全国で500か所、2次医療圏ごとに1か所以上設置するという目標が設定されています。2020年度9月までに、都道府県、政令市が実施主体であるセンターは、全国に499か所設置されておりまして、目標はおおむね達成されたとなっておりますが、20あります政令指定都市の中で、札幌市においては未設置となっています。  そこで、質問ですが、そもそもこの認知症疾患医療センターとはどのような機能を有しているのか、伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  認知症疾患医療センターの機能についてお答えさせていただきます。  認知症疾患医療センターは、国の要綱に基づき、設置基準を満たす医療機関を地域の実情に応じて都道府県や政令指定都市が指定できるものでございます。  その機能は、専門的医療機能として、認知症の鑑別診断や行動・心理症状等の急性期治療に関する対応、専門的な医療相談などを実施すること、地域連携拠点機能として、医療、介護の関係者へ研修などを行うこと、さらに、診断後等支援機能として、認知症の方とご家族に対する相談支援や交流会などを実施すること、そのようにされております。 ◆しのだ江里子 委員  この認知症疾患医療センターの役割でありますけれども、そして、機能でありますけれども、今伺ったところによりますと、地域の実情に合わせて、急性期であったり、専門的なものであったり、そしてまた、研修であったり、相談というような多岐にわたるものであると思います。  国では、2021年度の「認知症疾患医療センター運営事業の事業評価のあり方に関する調査研究事業」の結果を踏まえ、2022年度には、「認知症疾患医療センターの整備方針に関する調査研究事業」が実施されております。  全国的には、認知症疾患医療センターを設置するかしないかという話は、もう既に終わった話、過去の話題でありまして、実際には、これからは、認知症疾患医療センターの役割の見直しであったり、そしてまた、整理の段階に入っていると聞いております。認知症疾患医療センターには、都市の大きさですとか、機能に合わせ、基幹型であったり、また、地域型など、様々な形態があると聞いております。  質問ですが、政令市で唯一、設置されていないという状況にありますが、認知症疾患医療センターについて、札幌市ではどのように認識をされているのか、また、今後どのように検討されていくのか、また、その中では認知症疾患医療センター設置の可否についての検討も実施されるのか、併せて伺います。 ◎阿部 地域包括ケア推進担当部長  認知症疾患医療センターについて、札幌市の認識と今後の検討についてお答えさせていただきます。  札幌市では、市内に、身体合併症を含め、認知症の診療が可能な医療機関が多数存在しますことから、一部の医療機関を認知症疾患医療センターに指定することにより、その機能を集中させるのではなく、認知症サポート医や札幌市医師会などと協力の上、関係機関の連携や人材育成の研修などの事業を推進し、市内の医療機関全体で役割分担をしながら、認知症医療体制の充実を図っているところでございます。  このように、札幌市におきましては、現行の医療体制と認知症施策の取組で、認知症疾患医療センターに求められている機能は網羅されているというふうに認識しているところでございます。しかしながら、今後、認知症高齢者が増加することを踏まえ、認知症施策全体のさらなる充実が重要となりますことから、適切な周知や医療機関同士の連携促進、かかりつけ医の認知症対応力向上など、認知症医療全体の在り方について、医療機関をはじめとした関係機関と検討をしてまいりたい、そのように考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  要望でございます。  2025年には、団塊の世代が全て75歳になりまして、札幌市では75歳以上の高齢者の人口が全人口のかなりの部分を占めることになります。心身ともに健康であれば、何よりのことでありますけれども、認知症は、誰にでも起きる症状であり、若年でも起きております。  先日たまたまテレビで、ブルース・ウィリスが認知症になり、俳優業を辞めることになったと報道しておりました。映像で見るブルース・ウィリスは、何だか肩の荷を下ろしたような、とってもすっきりとした表情でありました。  認知症患者も高齢化し、そして、長生きすることで治療期間も長期化していきます。どのように生活していくのかが、まさに質が大切だと思うわけです。長生きすれば、身体合併症の頻度は増加の一途となるでしょうし、そうなると、精神・心理的問題行動の悪化などが増えていくと思います。  地域でも認知症を抱えた高齢者世帯や独居老人世帯も増えてきておりまして、認知症の進んだ妻は施設入所、軽度の認知症、80代後半の夫は、週数回のヘルパーさん、そしてまたデイサービスに支えられている、また、その逆のパターンもよくある姿であります。  大都市であればあるほど、認知症介護には外部が関わることが中心となっていくと思います。札幌市では、今まで、地域包括支援センターはじめ、認知症コールセンター、そして、かかりつけ医や多くの医療機関が関わってきました。それぞれの連携について、少し課題も見えてきたのではないかと思います。  昨年の決算特別委員会で、私は、札幌市の認知症サポーターについて質問させていただき、本当に、13万人にもなったけれども、あくまでも人ごとで、自分の周りの人が認知症かもしれないとなった際の市民理解が進んでいるとは言えないと思いました。しかし、2023年度予算査定では、チームオレンジの取組を推進する認知症支援専門職員の配置が、必須業務の範疇であり、法定配置基準の人員で賄うべきと、全く予算が認められなかったことに関しては、大変驚いております。  先ほど処遇改善についての質疑もありましたが、ぜひ、財政局、そしてまた理事者には、札幌市は認知症になっても地域で安心して暮らしていけるまちであってほしいと思いますので、ぜひ再考を求めます。  答弁では、センター設置のみならず、認知症医療全体の在り方について検討されるというご答弁でありました。認知症疾患医療センターについては、満を持して他都市の事例も十分検証されると思いますので、今まで支えていただいた、そしてまた、これからも支えていただく医師会をはじめ、関係機関とともに、札幌市ならではの独自の認知症疾患医療センターに向けた検討がされることを期待し、私の質問を終わらせていただきます。 ○林清治 委員長  以上で、第3項 老人福祉費及び介護保険会計等の質疑を終了いたします。  次に、議案第5号 令和5年度札幌市国民健康保険会計予算、第10款 諸支出金 第2項 他会計繰出金のうち関係分及び議案第18号 札幌市国民健康保険条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆森山由美子 委員  私からは、国民健康保険支払準備基金の活用と保健事業プランの2項目について質問をいたします。  まずは、国民健康保険支払準備基金についてですが、国民健康保険料の上昇を抑制するために、当基金から10億円を投入するとお聞きいたしました。昨今の物価高騰によって市民の暮らしは圧迫されており、特に所得が低い世帯への影響は大きく、札幌市では、札幌市電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金などによる支援を行っているところです。また、国民健康保険の加入者は、所得の低い方の割合が高いことから、国民健康保険料の負担が重くのしかかってくるのではと考えております。  この保険料の算定は、北海道が全道の医療費を確保するために、国からの交付金等を差し引き、その残額を納付金として各市町村に割り当て、各市町村は、この納付金を確保するために保険料を決定する仕組みであると聞いております。  令和5年度の札幌市の保険料を見ますと、1世帯当たり平均保険料が上昇しており、これは北海道から割り当てられた納付金が増加したことなどが原因とのことです。物価が高騰している中、保険料が上昇することは、国保の加入者の暮らしにも影響が及ぶものと危惧をしております。  そのような中、札幌市では独自に国民健康保険支払準備基金から10億円を活用し、保険料の上昇を抑制することとしておりますが、我々としても、この10億円という規模をどう捉えるべきか、迷うところです。  そこでまず、お聞きいたしますが、令和4年度末で、いわゆる国保基金の残高はどれぐらいの規模になる見通しか、伺います。  また、この国保基金には、最低でもどのくらいの金額を保有しておく必要があると考えているのか、伺います。 ◎毛利 保険医療部長  国民健康保険支払準備基金について、2点のお尋ねをいただきました。  まず、令和4年度末の基金の残高でございますが、およそ63億円となる見込みでございます。  次に、最低どのくらいの金額を基金に保有しておく必要があるのかというお尋ねでございますが、国民健康保険の重要事項をご審議いただきます札幌市国民健康保険運営協議会におきまして議論をいただきまして、財源不足に対応するため、会計規模のおよそ1%に当たります20億円をストックすることとしてございます。 ◆森山由美子 委員  今年度末の基金残高がおよそ63億円であること、また、財源不足に備えて20億円はストックをするとの方針であるということが分かりました。  一方で、63億円の基金残高があり、財源不足の対応のためのストックが20億円ということであれば、40億円程度は活用できるのではないかとも考えられます。今回の物価高騰は、第2次オイルショック以来のものであり、大胆な負担軽減策が必要と考えるところです。  そこで、質問ですが、今回の物価高騰対策として、基金活用額を10億円とした理由について伺います。 ◎毛利 保険医療部長  基金活用額を10億円とした理由についてでございますが、北海道におきましては、令和12年度に、所得や世帯構成が同じであれば、道内どこの市町村でも保険料が同額となる統一保険料率の導入という非常に大きな制度改正を予定してございます。したがいまして、今回は、その直前の令和11年度末までの基金の見通しを踏まえまして、活用額を決定することといたしました。  北海道全体の給付費に係る財源に不足が生じた場合、制度上、市町村がこれを補填することになってございますが、札幌市は、その補填にこれまで基金を充ててきておりまして、これまでの実績を踏まえますと、今後、令和11年度末までの間におよそ33億円が必要になるというふうに見込んでございます。  さらに、令和11年度末の時点におきまして、基金残高が20億円を下回らないようにしておくことも必要となります。令和11年度末までのスパンで考えますと、現時点で取り崩すことのできる最大額といいますのは、今年度末の基金残高63億円から、さきの33億円、そして、ストック分の20億円を差し引いた10億円と見込まれますことから、この最大額であります10億円を今回活用することとしたものでございます。 ◆森山由美子 委員  今後の基金の活用見込みなどを本当に勘案いたしまして、現時点で取り崩すことのできる最大額を活用することとしたとのご答弁でございました。国保会計を責任を持って運営していくためには、今回の物価高騰対策はこの10億円が上限ということなんだということが分かりました。  我が会派では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止と物価高騰への対応、さらには、こうした状況下における社会経済活動の両立施策について、令和5年度予算に反映するよう強く要望したところであり、物価高騰対策として基金を活用し、保険料の負担軽減を図ること自体については、一定の評価をしているところです。  一方で、この10億円の投入によって、個々の加入者の保険料負担が具体的にどの程度抑制されるのかが重要と考えております。  そこで、質問ですが、この基金活用によって、保険料はどれぐらい抑制されることになるのか、伺います。 ◎毛利 保険医療部長  基金活用によります保険料の抑制効果についてでございます。  令和5年度の1世帯当たりの平均保険料は、令和4年度に比べますと、本来およそ8,600円増加するところ、今回のこの基金の活用によりまして、4,900円の増加となりまして、およそ3,700円軽減されることとなります。  この3,700円につきましては、1世帯当たりの平均額でございまして、具体のケースとして、給与所得のある2人世帯について保険料がどのくらい軽減されるか、お示しをいたしますと、例えば、給与収入が200万円の2人世帯で年間およそ5,000円、400万円の世帯ですと、およそ1万円となりまして、負担感の重い中間所得層がより軽減される、そういったこととなってございます。 ◆森山由美子 委員  1世帯当たりの平均では、3,700円ほど、保険料の上昇が抑えられ、中間の所得層については、より負担が軽減されるとのご答弁でありました。  物価高騰下での保険料負担の増加は、加入者の生活に大きな影響を与えるものであり、東京都の区長会では、国や都に臨時的な支援策を求めていると聞いております。札幌市におきましても、国に対し、負担軽減の対応を求めるよう要望をいたします。  次に、国民健康保険の保健事業プランについてですが、これは、昨年の決算特別委員会でお尋ねをいたしました。その際は、データを丁寧に分析し、事業の優先度を考慮に入れて進めていくことや、取組の方向性についてご答弁をいただきました。
     市のホームページには、札幌市国民健康保険運営協議会の資料や議事録が掲載されており、昨年の12月15日にこの協議会での審議が始まったことが分かります。  次期保健事業プランの狙いについては、被保険者のQOLの維持・向上を図るとされており、現行プランのQOLの維持・向上を図り、ひいては医療費の適正化に資するというものを改めることとしているようです。保健事業の目指すところをQOLに絞るとともに、医療費適正化については、例えば、ジェネリック医薬品への切替えなど、医療費に直接効果のある取組をしっかり進めていくとのことであり、この点は理解ができるところです。  昨年の決算特別委員会では、感覚的な政策決定ではなく、データによる裏づけをもって、より確実性の高い政策決定を行うべきということを指摘させていただきました。  そこで、お聞きしますが、現時点でのデータ分析から、どのような健康課題が判明しているのか、伺います。 ◎毛利 保険医療部長  データ分析から判明しております健康課題についてでございますが、現在データを分析中のところでございますが、現時点で把握をしております、主立った大きな課題3点についてお答えをいたします。  まず1点目でありますが、医療機関にかかっておらず、健診も受けていないために、自らの健康状態を把握できていない方々がいらっしゃいます。その割合が36%と全国よりも高い状況となっている、これが1点目であります。  2点目は、がん、生活習慣病、精神疾患のそれぞれ一部につきまして、1人当たり医療費が全国よりも一定以上高くなっているという点でございます。  3点目は、健診の結果、医療の受診が必要である加入者の方々に医療機関への受診を現在お勧めする、こういった事業を実施してございますが、実際に医療につながった割合が20%台前半にとどまっている、こういった点でございます。  これらが主立った課題というふうに捉えてございまして、さらにデータを深く分析いたしまして、国民健康保険運営協議会にてご審議をいただきながら、次期保健事業プランにおける取組内容について検討してまいりたいと考えてございます。 ◆森山由美子 委員  今後、今ご答弁いただいた健康課題について運営協議会でのご審議をいただきながら、取組内容について検討をしていくとのことでございました。  札幌市独自の健康課題があるということは、札幌市独自の取組があるというふうに思います。  一方、保健事業には、国が推奨する取組メニューというものがあるとお聞きをしております。各市町村が全国的な健康課題に積極的に対応していくよう、国がインセンティブを設けて推奨しているものであり、各市町村とも、その取組メニューを実施することで交付金が獲得できる仕組みになっております。  国は、今後もこの制度を活用して全国的な健康課題に対する取組を推奨しようとしていくものと思いますが、一方で、札幌市は、次期保健事業プランにおいて、札幌市自体の健康課題をデータ分析により把握して、優先度をつけて取組内容を決定し、これを実施に移していこうとされており、国が推奨する取組メニューと必ずしも優先度が一致しない場合もあるのではないかと考えます。  そこで、質問ですが、今後も、全国的な健康課題への対応として、国が推奨するメニューが示されることと思いますが、札幌市独自の取組との関係で、この国のメニューについてどう考えていくのか、伺います。 ◎毛利 保険医療部長  国が推奨いたします取組メニューについてのお尋ねでございます。  この国が推奨する取組メニューというものの中には、例えば、若年層の健診受診勧奨というものがございますが、札幌市といたしましては、そもそも未受診者数も多く、かつ、疾患への罹患リスクも高い高齢層、その中でも、とりわけ、先ほどお答えをいたしました健康状態を把握できていない方々への受診勧奨が大変重要というふうに考えてございます。  このように、札幌市の健康課題を踏まえますと、国が推奨するメニューに優先して、札幌市として取り組むべきものも現実的にはあるというふうに認識をしております。  一方で、札幌市の健康課題への対応策として活用すべきと考えられる国の取組メニューにつきましては、引き続き積極的に取り入れてまいります。 ◆森山由美子 委員  国が推奨する取組メニューについては、札幌市の健康課題に照らし、活用すべきものは取り入れていくとのご答弁でございました。  国が推奨する取組であっても、札幌市の健康課題に照らすと、必ずしも優先度が高くないものもあり、この点は、国保加入者のQOLの視点に立って、今、札幌市としてどういう取組が必要なのかという観点が重要であります。  人生100年時代も見据え、皆が元気で長生きしていただけるように、後期高齢期も見据えた保健事業プランを策定されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○林清治 委員長  以上で、国民健康保険会計等の質疑を終了いたします。  次に、議案第6号 令和5年度札幌市後期高齢者医療会計予算及び第10款 諸支出金 第2項 他会計繰出金のうち関係分について、一括して質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、3月3日金曜日午後1時から、建設局、下水道河川局及び都市局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後5時2分...