札幌市議会 2023-02-21
令和 5年第 1回定例会−02月21日-03号
議案第7号 令和5年度札幌市
介護保険会計予算
議案第8号 令和5年度札幌市
基金会計予算
議案第9号 令和5年度札幌市
公債会計予算
議案第10号 令和5年度札幌市
病院事業会計予算
議案第11号 令和5年度札幌市
中央卸売市場事業会計予算
議案第12号 令和5年度札幌市
軌道整備事業会計予算
議案第13号 令和5年度札幌市
高速電車事業会計予算
議案第14号 令和5年度札幌市
水道事業会計予算
議案第15号 令和5年度札幌市
下水道事業会計予算
議案第16号 札幌市
職員定数条例の一部を改正する条例案
議案第17号 札幌市基金条例の一部を改正する条例案
議案第18号 札幌市
国民健康保険条例の一部を改正する条例案
議案第19号
包括外部監査契約締結の件
議案第20号 札幌市子ども・
子育て会議条例の一部を改正する条例案
議案第21号 札幌市
証明等手数料条例の一部を改正する条例案
議案第22号 札幌市特定非
営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例案
議案第23号 札幌市
アイヌ文化交流センター条例の一部を改正する条例案
議案第24号 札幌市子ども・子育て
支援法施行条例等の一部を改正する条例案
議案第25号 札幌市
児童福祉法施行条例等の一部を改正する条例案
議案第26号 札幌市
旅館業法施行条例の一部を改正する条例案
議案第27号 札幌市
建築基準法施行条例の一部を改正する条例案
議案第28号 札幌市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正
する条例案
議案第29号
札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案
議案第35号 市道の認定、変更及び廃止の件
議案第36号 令和4年度札幌市
一般会計補正予算(第7号)
議案第37号 令和4年度札幌市
国民健康保険会計補正予算(第3号)
議案第38号 令和4年度札幌市
介護保険会計補正予算(第3号)
議案第39号 令和4年度札幌市
公債会計補正予算(第3号)
議案第40号 令和4年度札幌市
病院事業会計補正予算(第3号)
議案第41号 令和4年度札幌市
軌道整備事業会計補正予算(第3号)
議案第42号 令和4年度札幌市
高速電車事業会計補正予算(第3号)
議案第43号 令和4年度札幌市
下水道事業会計補正予算(第3号)
議案第44号 財産の交換の件
議案第45号 公の施設の
指定管理者の指定の件(ユース・ホステル)
議案第46号 公の施設の
指定管理者の指定の件(都市公園)
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〇出席議員(66人)
議 長 細 川 正 人
副 議 長 峯 廻 紀 昌
議 員 小須田ともひろ
議 員 藤 田 稔 人
議 員 小 田 昌 博
議 員 三 神 英 彦
議 員 恩 村 健太郎
議 員 水 上 美 華
議 員 田 島 央 一
議 員 あおい ひろみ
議 員 たけのうち有美
議 員 うるしはら直子
議 員 くまがい 誠一
議 員 森 山 由美子
議 員 千 葉 なおこ
議 員 佐 藤 綾
議 員 村 山 拓 司
議 員 村 松 叶 啓
議 員 松 井 隆 文
議 員 中 川 賢 一
議 員 成 田 祐 樹
議 員 かんの 太 一
議 員 岩 崎 道 郎
議 員 松 原 淳 二
議 員 竹 内 孝 代
議 員 わたなべ 泰行
議 員 長 屋 いずみ
議 員 佐々木 明 美
議 員 吉 岡 弘 子
議 員 田 中 啓 介
議 員 川田 ただひさ
議 員 阿部 ひであき
議 員 伴 良 隆
議 員 小 竹 ともこ
議 員 北 村 光一郎
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 前 川 隆 史
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 池 田 由 美
議 員 太 田 秀 子
議 員 村 上 ひとし
議 員 飯 島 弘 之
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 よこやま 峰子
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 しのだ 江里子
議 員 桑 原 透
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 山 口 かずさ
議 員 石 川 さわ子
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 三 上 洋 右
議 員 武 市 憲 一
議 員 ふじわら 広昭
議 員 大 嶋 薫
議 員 小 野 正 美
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〇欠席議員(2人)
議 員 小 口 智 久
議 員 好 井 七 海
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〇説明員
市 長 秋 元 克 広
副 市 長 町 田 隆 敏
副 市 長 吉 岡 亨
副 市 長 石 川 敏 也
交通事業管理者
交 通 局 長 中 田 雅 幸
水道事業管理者
水 道 局 長 佐々木 康 之
病院事業管理者
病 院 局 長 西 川 秀 司
総 務 局 長 山 根 直 樹
危機管理監
危機管理局長 櫻 井 英 文
デジタル戦略推進局長 一 橋 基
まちづくり政策局長 小 角 武 嗣
財 政 局 長 福 西 竜 也
市民文化局長 本 間 芳 明
スポーツ局長 梅 田 岳
保健福祉局長 粟 崎 寿 也
子ども未来局長 山 本 健 晴
経済観光局長 田 中 俊 成
環 境 局 長 米 田 智 広
建 設 局 長 天 野 周 治
下水道河川局長 荻 田 葉 一
都 市 局 長 中 村 範 仁
会 計 室 長 野 島 聡
消 防 局 長 岡 本 征 仁
教育委員会教育長 檜 田 英 樹
教育委員会委員 道 尻 豊
選挙管理委員会委員 佐々木 肇
選挙管理委員会委員 宮 村 素 子
選挙管理委員会委員 猪 熊 輝 夫
人事委員会委員 長 岡 豊 彦
人事委員会事務局長 槙 智 洋
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 佐 藤 伸 二
―
――――――――――――――――――
〇
事務局出席職員
事 務 局 長 鈴 木 和 弥
事 務 局 次 長 酒 井 欣 洋
総 務 課 長 沼 田 征 延
政策調査課長 安 澤 哲
議 事 課 長 岩 岡 吾 一
議 事 係 長 木 村 公 彦
書 記 伊 藤 友 介
書 記 上 田 真 士
書 記 酒 井 彰 悠
―
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開 議 午後1時
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○議長(
細川正人) ただいまから、本日の会議を開きます。
――
――――――――――――――――――
○議長(
細川正人)
出席議員数は、65人です。
――
――――――――――――――――――
○議長(
細川正人) 本日の
会議録署名議員として
藤田稔人議員、
森山由美子議員を指名します。
――
――――――――――――――――――
○議長(
細川正人) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鈴木和弥) 報告いたします。
市長から、
太田秀子議員の文書質問に対する答弁書が提出されましたので、昨日、その写しを各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程、
質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
――
――――――――――――――――――
○議長(
細川正人) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第1号から第29号まで、第35号から第46号までの41件を一括議題とします。
昨日に引き続き、代表質問を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
國安政典議員。
(
國安政典議員登壇・拍手)
◆
國安政典議員 私は、ただいまから、
公明党議員会を代表して、本
定例市議会に上程されました令和5年度予算、令和4年度補正予算、その他諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問いたします。
初めに、市長の政治姿勢について、3点伺います。
1点目は、市政2期目の成果とその発信についてであります。
市長は、就任後の
定例市議会の施政方針において、札幌のまちが次の100年も魅力と活力を創造し続けるまちであることを目指して、引き続き、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街と、世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街という二つの心豊かで明るい未来の札幌の姿を描いていくことを表明されました。そして、それを実現していく計画である
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019におきまして、市民の多様な暮らしを支える取組に力点を置くとともに、我が会派が様々な機会で訴えてきた国連の持続可能な開発目標であるSDGsの視点を反映させ、誰一人取り残さない社会の実現を目指す取組を進めてこられました。
特に、我が党が政策の柱に掲げる子育て、教育、福祉に関しては、保育定員の拡大や
保育人材確保などの
待機児童対策、
子ども医療費の助成対象の拡大をはじめとする子育てにおける
経済的負担の軽減、少人数学級の対象拡大や英語教育の推進に係る体制強化、
タブレット端末の導入による教育活動の充実のほか、
地域包括ケア体制の拡充や
バリアフリー化の推進、
医療的ケアを必要とする児童等への支援など、福祉の充実を推進してこられました。市政2期目は、
新型コロナウイルス感染症から市民の命と生活を守ることを最優先に対応するとともに、計画に掲げた事業を状況に応じて再構築しながら着実に進めてこられたことにつきましては、一定の評価をするところであります。
一方で、事業の再構築に当たっては、迅速な対応が求められていたとはいえ、市民も交えて、より丁寧な議論を行う余地があったのではないかとも考えるところであります。
今後、人口減少、
少子高齢化に加え、
社会経済情勢が大きく変動する不安定な時代にあっても持続可能なまちを目指すためには、これまでの取組結果をしっかりと検証するとともに、その検証結果や、札幌市が目指すビジョンを市民に対して示し、
各種計画策定や予算編成において強いメッセージを込めることにより、方向性や目標を分かりやすく伝え、市民とともに
まちづくりを進めていくことが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、市政2期目の実績についてどのように認識しているのか、また、どのように市民に対して共有、発信していこうとしているのか、お伺いします。
次に、
共生社会の実現に向けた取組の組織横断的な推進について伺います。
2030年を目標とする国連のSDGsには、包摂的かつ持続的な経済成長がうたわれており、札幌市においても、2018年に
SDGs未来都市に選定されるなど、SDGsの推進に向けた取組を進めてきておりますが、2040年代には高齢者が4割を占めるなど人口構造の変化が予想される中で、今後は、このような変化を積極的に生かしながら持続的にまちを成長させていくことが必要であります。
私
たち公明党は、少子化が加速し、
高齢者人口がピークを迎える2040年問題の課題解決に向け、新たな構想として、(仮称)安心と希望の「絆社会」2040ビジョンを2023年度中に策定すべく、昨年12月に
ビジョン検討委員会を立ち上げました。絆社会とは、皆が互いの個性を尊重し合い、支え合うことで人々の結びつきを強める社会のことであり、その構築により、性別や年齢、障がいの有無などにかかわらず、誰もがそれぞれの能力や特性に応じて力を発揮しながら働くことができる包摂的な社会を目指すものであります。
このような中、さきの第3回定例会で、今後10年の
まちづくりの基本的な指針である第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの
ビジョン編を議決したところであり、SDGsの理念や包摂の視点を踏まえ、今後の
まちづくりにおける重要概念の一つとして
ユニバーサル(共生)を位置づけ、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会を実現していくことを掲げたことは一定の評価をするところであります。
また、現在は、北海道・札幌2030オリンピック・
パラリンピック冬季競技大会の招致に係る積極的な機運醸成は休止しているところでありますが、大会の招致、開催は、第2次
戦略ビジョンが目指す
共生社会の実現を加速させる絶好の機会であり、招致に向けて議論をする、そのプロセスに大きな意義があると考えております。
我が会派は、かねてより
共生社会の実現に向けて、ハード・
ソフト両面から市民の実感につながるような
バリアフリーの取組を進めていくべきと強く要望してまいりました。例えば、地下鉄駅へのエレベーターの設置や、出入口からタクシーや
バス乗り場につながる歩道の
バリアフリー化、ノン
ステップバスの導入拡大、障がいのある方などへの心の
バリアフリーの取組など、それぞれ縦割りに実施するのではなく、一体的かつ面的に推進していくことが重要であり、
モデル地区を設定するなど、市が目指すべき
バリアフリーが進んだまちの姿を市民に示しながら進めていくことが重要であると考えます。
このような中、ハード・
ソフト両面における様々な
バリアフリー施策を部局横断的に推進するため、総合調整を担う組織として、来年度、
まちづくり政策局に
ユニバーサル推進室を新設すると報告を受け、大いに期待をするところであります。
そこで、質問ですが、
共生社会の実現に向け、市民が肌で感じることができる取組を組織横断的に進めていくべきと考えますが、市長の見解を伺います。
次に、令和5年度予算における
物価高騰対策について伺います。
令和5年度の一般会計当初予算は、骨格予算ではありながら、第2次
まちづくり戦略ビジョンの実現に資する事業に取り組むとともに、
物価高騰対策や
感染症対策などの喫緊の課題にも対応するため、総額1兆1,922億円を計上し、過去最大の予算規模となっております。
令和4年度を振り返りますと、
新型コロナウイルス感染症への対応はもとより、長引く
物価高騰に対応するため、国の施策に速やかに連動した対策に加え、札幌市の実情を踏まえた本市独自の取組として、
子育て世帯に対する
臨時特別給付の対象拡大や国の
住民税非課税世帯に対する給付への
上乗せ給付をはじめ、
水道基本料金の減額、学校、保育施設、高齢・障がい者施設等への
食材費支援、
中小企業等に対する新たな融資制度の創設、拡充など、市民生活や事業者への支援に切れ目なく対応してこられました。このことについては、
コロナ禍等における
物価高騰から市民生活を守る緊急要望を市長に対して行ってきた我が会派として、一定の評価をしているところであります。
一方で、令和4年12月の札幌市における
消費者物価指数の総合は105.3と
右肩上がりの状況が続き、また、日銀が1月16日に発表した令和4年12月の
国内企業物価指数でも前年同月比で10.2%上昇し、22か月連続で前年を上回る状況にあるなど、
物価高騰は長期化の様相を呈しており、この状況が長引けば、札幌市の経済や市民生活への影響はより一層悪化するものと危惧するところであります。
そのため、我が会派では、昨年12月に、
新型コロナウイルス感染拡大の防止と
物価高騰への対応、さらには、こうした状況下における
社会経済活動の両立施策について、令和5年度予算に反映するよう強く要望したところであり、過去最大規模の予算となったのは、こうした施策を積極的に取り入れたものと受け止めております。
そこで、質問ですが、令和5年度予算において、市長は、
物価高騰対策にどのように取り組もうと考えているのか、伺います。
次に、防災・減災対策について伺います。
我が会派では、令和4年第3回
定例市議会の代表質問において、国の
国土強靱化基本法を受けた札幌市
強靱化計画の見直しについて、近年の大
規模災害等も踏まえて、適時、見直すことの必要性を訴え、計画を効果的にするには
リスクシナリオを設定することが重要であるなどの答弁をいただいたところであります。
その札幌市
強靱化計画の
リスクシナリオにもある、ソフト面として冬季も含めた
帰宅困難者の発生を想定した一時
滞在施設の確保及びハード面としての大
規模盛土造成地の対策について質問をいたします。
昨年は、3月に福島県沖で震度6強、6月に石川県能登地方で震度6弱の地震が発生し、北海道内においても8月に
宗谷地方北部を震源とした震度5弱、5強の地震が続けざまに起きるなど、大規模な地震が相次いで発生しました。また、日本海溝・
千島海溝周辺海溝型地震や
南海トラフ地震、
首都直下型地震などは今後30年の間に発生の可能性が高いとされており、いつ、どこで災害が起きてもおかしくない状況となっております。大規模な災害に備え、市民や観光客に安全・安心を提供する
環境づくりを行うためには、札幌市
強靱化計画にあるとおり、
避難場所機能の強化に取り組むことが重要であると考えます。
一方、令和3年8月公表の第4次
地震被害想定では、
直下型地震として最大震度7が想定されており、特に
大型商業施設や都市機能が集中している
札幌都心部においては、
公共交通機関の運休等により
帰宅困難者が多数発生することが想定されております。
昨年10月には外国人の入国制限が大幅に緩和され、中華圏の春節などを契機として
外国人観光客の受入れが進んでおります。多くの
外国人観光客が訪れるさっぽ
ろ雪まつりといった大規模なイベントが開催されているタイミングで地震が起きた場合には、
公共交通機関の運休やライフラインの停止、交通渋滞などによる混乱が想定されます。
札幌市では、大規模な地震が発生した場合における観光客などの滞在者の安全確保のため、平成26年3月に札幌駅・大通駅
周辺地区都市再生安全確保計画を策定されました。この
安全確保計画では、発災時の
帰宅困難者のうち、観光客などの災害時に滞在場所を確保できず屋外への滞留を余儀なくされた方、いわゆる行き場のない
屋外滞留者のための一時
滞在施設の確保や、発災時の
情報提供等について定めております。特に、冬季は、札幌の厳しい寒さの中、屋外での長時間の滞留は困難であることから、観光客に安心して札幌に来てもらうためにも一時
滞在施設の確保は重要であると考えます。
そこで、質問ですが、札幌市では、災害時の
帰宅困難者の発生を想定して、一時
滞在施設の確保について現在どのように取り組んでいるのか、また、冬季の対策等、今後はどのようにしていくのか、併せて伺います。
続いて、大
規模盛土造成地の防災対策について質問します。
札幌市において、公共施設や宅地に大規模な被害が発生した平成30年の
北海道胆振東部地震から4年以上が経過しました。被災した道路、公園や宅地もすっかり復旧されておりますが、全道が一斉に停電となった
ブラックアウトや地震による大きな被害があったことが、市民の記憶から薄れていってしまうのではないかと懸念するところであります。いつ発生するか分からない災害に備え、都市としての
災害対応力を高めていくためには、ふだんから防災・減災対策及び周知・啓発に関する取組を継続的に着実に実行していくことが重要であると認識しております。
国は、激甚化、頻発化する気象災害、切迫する大規模地震に対応すべく、防災・減災、
国土強靱化のための5か年
加速化対策の中で、令和7年度までに重点的、集中的に取り組む対策を定めております。札幌市においては、大
規模盛土造成地における地震の被害が顕著であったことから、現在進めている地震時における盛土の安定性に関する調査の計画的な推進及び必要な対策の実施について、我が会派としては注目しているところであります。
札幌市では、令和2年度から、市内183か所の大
規模盛土造成地について、地震時の安定性を確認する予備調査を実施してきておりますが、本年度でその調査が終了し、どの盛土から優先的に調査を行うかが評価され、詳細に調査すべき盛土が一定数抽出されると認識しております。
盛土された造成地は、漏れなく大地震で崩れてしまうのではないかといった過度な不安や誤解を解消するためにも、各盛土の調査の優先度が整理され、公表されることは市民にとって有益と考えますが、一方で、優先度が低い盛土が地震時に災害のおそれがないと言い切れないことも事実であり、単に調査結果が整理されたということで防災対策が完結するわけではありません。各盛土に対して、優先度に応じて、引き続き、行政として防災・減災の面でフォローアップを続けていくことが、ひいては市民の防災意識の向上につながっていくものと考えております。
詳細調査については、一部既に先行して実施している地区があると承知しておりますが、対象となった盛土の区域の住民に対しては、調査実施前に、対象となった理由や調査の目的、内容について丁寧に説明した上で実施していると聞いております。
一方、この先行事例の内容を見ると、対象盛土の件数によっては、全ての調査完了まで数年を要することも予想され、その前に大きな地震が来たらどうしたらいいのかと不安に思う住民も少なくないのではないかと思います。
そこで、質問ですが、これまでの調査で整理された各盛土の優先度評価を踏まえ、今後、これをどのように活用して大
規模盛土造成地の継続的な防災対策を進めていくのか、また、市民の防災意識の向上に生かしていくのか、併せて伺います。
次に、総合的な子ども政策の推進について伺います。
1点目は、ヤングケアラー支援に向けた取組についてであります。
これまで、我が党は、2006年に少子化社会トータルプランを策定し、そこに掲げた福祉・子育て施策を着実に進めてまいりました。しかしながら、コロナ禍の影響もあって、想定以上に急速に
少子高齢化が進む中、核家族化や地域のつながりの希薄化など、子どもやその家族を取り巻く環境はますます深刻化してきております。
これらの課題を克服していくためには、希望する誰もが安心して子どもを産み育てられる社会を構築していく必要があります。こうした社会の実現に向けて、我が党は、昨年11月に、新たに子育て応援トータルプランを策定しました。このプランは、子どもの幸せを最優先とする社会を実現するとともに、少子化、人口減少という大きな社会構造の変化に立ち向かい、乗り越えるため、結婚、妊娠、出産から子どもが若者となるまでのライフステージや年齢等に応じた具体的な支援策を幅広くトータルに示したものであります。
子どもが若者となり、その若者が結婚し、母親が妊娠、出産し、その子どもがまた若者となって新たな家庭を築き、次の世代にバトンをつなぐという命のリレーに寄り添いながら、子ども・
子育て世帯の各ライフステージにおいて、当事者を主体とした伴走型支援を切れ目なく行政が提供することが、
少子高齢化という未曽有の事態に立ち向かうために大変重要なことであると考えます。このプランにおいては、多様な子ども・子育て家庭への支援として、ヤングケアラーへの支援施策を総合的に推進することも示しております。
ヤングケアラーは、家族のお世話にやりがいを感じていることもある一方で、年齢や成熟度に合わない重過ぎる責任や作業、精神的な苦しさなどの過度な負担が続いた場合には、心身の不健康や学習面の遅れ、就労への影響など、子ども自身の未来や健全な成長に影響を及ぼす可能性があると言われております。ケア対象者の状況やケア内容、要する時間やきつさなど、ヤングケアラーが置かれている状況は様々ですが、本人や家族に支援が必要であることの自覚がない場合や、自分からサポートを求めずに悩みを抱え込む場合には、問題が発覚せず、潜在化する特徴があります。また、ヤングケアラーに係る問題は、家族が抱える様々な課題が関係し合い、複合化しやすいという特徴もあります。
そこで、質問ですが、このようなヤングケアラーの特徴を踏まえ、どのように支援に取り組んでいくのか、伺います。
次に、子育てに関する相談対応や情報提供の強化について伺います。
子どもに関する取組と政策を日本社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会の実現に向けた新たな司令塔として、令和5年4月に、こども家庭庁が創設されます。こども家庭庁では、子どもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れながら、子どもと子育て家庭の福祉の増進のほか、子育て家庭に対する支援や子どもの権利保障等の後押しを行うことになります。
こども家庭庁の創設に向けたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針では、産前産後から子育て期を通じ、支援の切れ目やはざまが生じない継続的な支援を提供できる体制の構築を進めることが示されております。また、支援を望む子どもや家庭が相談支援に関する必要な情報を得られるよう、SNSを活用したプッシュ型の情報発信や、子どもや子育て当事者にとって分かりやすい広報の充実強化等を進めることとされております。
札幌市では、育児に関する不安や負担感の軽減を図り、安心して子育てができるよう、平成18年から各区に保育・子育て支援センターちあふるが整備されてきており、親子が集まり交流できる子育てサロンを常設しているほか、子育てや子どもの成長・発達等の相談対応や各種支援につながる情報提供が行われております。
しかしながら、札幌市が令和3年12月から令和4年1月にかけて市内在住のゼロ歳から5歳のお子さんがいる世帯1万5,000世帯を対象に実施した子育てに関する市民アンケート調査では、ちあふるを知っているかという問いに対し、知っていると答えたのは約6割という結果が出ております。地域において相談に応じることのできる施設や支援の体制が充実しても、子育て家庭に認知されていなければ必要な支援を届けることはできません。今後、こども家庭庁の創設を踏まえ、札幌市でもさらなる子育て支援に取り組む必要がありますが、子育ての孤立化を防ぎ、家事、育児に不安や負担を抱える未就園児も含めた子育て家庭を支援にしっかりとつなげるために、適切な相談対応と情報提供がますます重要になってくると考えます。
そこで、質問ですが、これまで子育て相談や情報提供についてどのように取り組んできたのか、また、今後どのように強化するのか、伺います。
次に、児童相談体制の強化について伺います。
本年1月19日に厚生労働省が公表した令和3年度福祉行政報告例によりますと、全国の児童相談所における児童虐待相談の対応件数は20万7,660件に上り、過去最多となった令和2年度の件数をさらに更新したところであります。
国においては、令和4年12月に新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランの概要を公表し、令和6年度末までに全国で児童福祉司を1,060人程度増員することとしております。あわせて、虐待等により心に傷を負った子どもへのカウンセリング等の充実を図るため、児童心理司についても、令和8年度までに全国で950人程度増員することとしており、札幌市としても、国の動きを踏まえながら、令和7年度中の第二児童相談所の開設も見据えて、より一層の体制強化を図っていくことが重要であると考えます。
札幌市では、令和2年度に策定した第3次児童相談体制強化プランに基づき、児童福祉司を計画的に増員してきており、現在、全庁を挙げて育成にも力を入れていることは高く評価しているところです。
そうした体制強化の一環として、我が会派では、児童相談所を中心に、各区の家庭児童相談室及び母子保健担当がタイムリーに児童の相談状況を共有できる子育てデータ管理プラットフォームの構築を強く求めてきたところであり、令和3年7月にはシステムの運用が始まり、庁内に虐待防止のための情報ネットワーク基盤を確立できたものと認識しております。このシステムを効果的に活用するには、組織体制をしっかりと整え、情報を的確に捉える職員の育成が重要であると考えます。
そこで、質問ですが、国の虐待防止に向けた新たな動きも見据えて、児童相談体制の強化に向けた人材の確保と育成について、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、困難な問題を抱える女性への支援について、2点伺います。
初めに、第5次男女共同参画さっぽろプランにおける位置づけと今後の方向性について伺います。
近年、女性をめぐる課題は、DV被害、性暴力、性犯罪被害、家庭関係破綻や生活困窮など複雑化・多様化・複合化してきた中で、
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機としてこうした課題がより浮き彫りとなりました。一方、我が国における婦人保護事業は、売春を行うおそれのある女性の補導処分や保護更生を目的とした昭和31年制定の売春防止法を法的根拠としておりましたが、66年間、一度も抜本的な見直しがされておらず、制度と実態の乖離が指摘されておりました。
こうしたことから、我が党は、様々な困難を抱える女性への支援について、女性の人権や福祉に重点を置いた法整備を平成10年から提唱し、平成28年には、婦人保護事業の抜本的見直しを盛り込んだ提言書を政府に提出してまいりました。その実現に向けて、粘り強く民間団体や各党とも連携し、協議を重ね、令和4年5月に、超党派での議員立法により、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、いわゆる困難女性支援法が成立したところであります。この法律では、女性の福祉の増進や人権の尊重、擁護といった視点を明確に規定し、現在は令和6年4月施行に向けて、国において困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針を策定しているところであります。
札幌市は、全人口のうち53%が女性であり、政令指定都市の中で最も女性の割合が高い市となっております。市内には、DV被害から逃れるため札幌市に転入した方、居場所のない若年女性の方、子育ての悩みを一人で抱えるひとり親の方々をはじめ、困難や不安を抱える女性が多くいると考えられます。特に、コロナ禍による収入減や外出自粛などで社会的不安が増大し、孤独・孤立を抱える女性の問題の深刻化が懸念される中、札幌市の女性の自殺者数も、令和元年以降、増加傾向にあります。
こうした中、札幌市では、現在、令和5年度からの5年計画として第5次男女共同参画さっぽろプランを策定中ですが、この中で、困難や不安を抱える女性への支援を基本的方向性として新たに掲げていることは、我が会派としても高く評価するものであります。
そこで、質問ですが、困難女性支援法への対応を第5次男女共同参画さっぽろプランに位置づけたことについて、札幌市の認識と今後の方向性を伺います。
次に、困難を抱える若年女性支援について伺います。
令和3年度に各相談機関に寄せられた配偶者等からの暴力被害や性暴力被害に関する相談は、令和2年度と比べ、増加していると聞いております。これは、コロナ禍での生活不安やストレス、外出自粛により在宅時間が増えたことなども理由の一つと推察され、被害を受けている方たちが早期に適切な支援につながり、女性に対するあらゆる暴力が根絶されることを願ってやみません。
しかし、女性たちの困難は、コロナ禍以前より続いており、夫や交際相手からのDV被害や性暴力のほかにも、成人してからも続く親や兄弟からの身体的・心理的虐待、ストーカー被害、失業に伴う経済的困窮や住居の喪失、予期しない妊娠、中絶など多岐にわたります。これらの困難は、日常生活に深刻な影響を及ぼすにもかかわらず、プライベートなことは他人に相談しづらいことや、公的な相談窓口の認知度の低さ等により制度の網の目からこぼれ落ち、地域や社会から孤立している女性たちは少なくないと思われます。
実際、令和元年6月に2歳女児が暴行により衰弱死した事案を受けて、札幌市が実施した高校生から20代前半の若年期の女性を対象とした調査でも、例えば、親にお金を搾取される生活から逃げたいとか、モラハラやDVを受けても誰にも相談できずつらかったといったものや、ずっとお金で苦労していて死んでしまいたくなるといった切実な声が寄せられました。一方、公的な相談窓口の認知度は軒並み低かったことから、重大な人権侵害や人間関係の悩みを抱えながらも誰にも相談できずにいる若年女性が一定数おり、支援の手が届いていないという実態が明らかとなりました。
さらに、近年、都市部では、JKビジネスやパパ活と呼ばれる援助交際のほかにも、交縁女子といった売春の新しい名称で自らの性を商品として金銭的対価を受ける若年女性たちが話題となっております。彼女たちには、遊ぶ金が欲しいのだろうとか自己責任だといった世間からの厳しい声がありますが、なぜ彼女たちが暴力や性搾取等の危険を冒しながらもそのような選択をしてしまうのかを深掘りし、その背景にある困難を福祉や人権の問題と捉え、支えていこうという視点は、全国的にまだまだ薄いと言わざるを得ません。
困難を抱え、性を搾取される環境に置かれた女性に非があるような印象を与える旧来の売春防止法を改め、新たに様々な困難な問題を抱える女性への支援が法制化されたことを受けて、今まで制度の隙間に落ちながらも、自ら助けを求めることなく、誰にも相談できずにいた若年期の女性たちが安全な場所で安心できる人間関係の中で希望を取り戻し、力強く生きていけるよう、必要な支援につながる手助けをしていくことは、重要な行政課題であります。
そこで、質問ですが、札幌市では、困難を抱えた女性を対象とした支援事業を実施しているところですが、困難女性支援法の成立を踏まえての札幌市における今後の若年期の女性支援に対する考え方について伺います。
次に、札幌観光の推進体制について、2点伺います。
1点目は、ポストコロナにおける観光マーケティングの重要性についてであります。
昨年10月から水際対策が大幅に緩和され、全国的にインバウンドが戻りつつあり、今後、日本国内におけるインバウンドの誘客競争の激化が予想されるところであります。
ポストコロナ期において、こうした都市間競争に勝ち抜き、長引く
新型コロナウイルス感染症の影響により大きく落ち込んだ観光需要をV字回復させていくためには、様々な観光データの分析に基づいた戦略を構築し、その戦略に基づいたプロモーションや観光コンテンツの造成などの施策を実施していく観光マーケティングがますます重要になると考えます。
他都市の例を見ますと、神戸市のDMOである一般財団法人神戸観光局では、データ収集・分析に係る専門人材を登用し、効果的なマーケティングを行っております。具体的には、マーケティングに係る専門人材が、国や県、競合他都市などの各種観光統計情報や、海外市場の動向、OTAサイトからの予約情報、神戸観光局の管理施設の来館者情報や公式ホームページのアクセス数などの膨大なデータを分析し、その分析結果を分かりやすく可視化したマンスリーレポートを配信し、神戸の観光市場の動向をタイムリーに伝えることで観光事業者のマーケティング支援を行っております。こうした各種データに基づくマーケティングを実施の上で、観光市場における具体的なターゲットを定めた戦略を策定し、それに基づく各種プロモーションを行っていると聞いております。今後は、こうした事例も参考にしながら、観光マーケティングを強化していくべきと考えます。
そこで、質問ですが、ポストコロナにおける観光マーケティングの重要性について認識を伺います。
次に、今後の推進体制の強化に向けた考え方について伺います。
札幌市においても、人口減少局面を迎え、市内消費の減少が懸念される中にあっては、外貨が獲得できる観光の重要性はさらに高まっております。
こうした中、来年度には、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合や、アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットの開催があるほか、今後、北海道新幹線の札幌延伸といった動きと連動した都市部の再開発も加速し、札幌が国内外から注目されております。これらの機会を最大限に生かすためには、先ほど指摘した観光マーケティングに基づきながら、地域一体となった観光振興を進めていくべきでありますが、現在の体制は、短期間で異動する札幌市の職員が中心となり、各種戦略の構築や事業の企画運営等を担っているため、マネジメント人材、マーケティング等の専門人材の確保や関係団体とのネットワークの構築に課題があるなど、十分な推進体制を築くことができていないのではないかと考えております。
こうした課題に対応していくため、札幌市では、現在、次期札幌市観光
まちづくりプランの策定に向けて設置した有識者や観光関連団体の代表者から成る検討委員会の中で、観光地域づくり法人、いわゆるDMOの設立も含めた推進体制の強化についての検討を行っていると伺っております。札幌観光の推進体制を強化し、より一体的、戦略的な観光施策を実施することで、観光により観光関連事業者をはじめとした多くの事業者が稼ぐことができる環境を提供していくことが必要であると考えます。
そこで、質問ですが、今後の推進体制の強化に向けた考え方について伺います。
次に、脱炭素社会の実現に向けた木質バイオマスの積極的な活用について伺います。
昨今の気候危機とも言われる気候変動問題に対応するため、国際社会においては、パリ協定に基づき、温室効果ガスの排出量を最大限減らすべく、加速的に取組を進めているところであります。我が国においても、2050年までにカーボンニュートラル、すなわち脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、国内における脱炭素のモデル地域である脱炭素先行地域の創出や国と地域で取り組む対策をまとめた地域脱炭素ロードマップの策定、地球温暖化対策計画の改定を行い、あらゆる分野でできる限りの取組を進めております。
一方、札幌市においても、環境首都・札幌を掲げ、2050年までに市域から排出される温室効果ガスを実質ゼロにするゼロカーボンシティーを目指すことを宣言し、2030年に温室効果ガス排出量を2016年比で半減するという極めて高い目標を掲げた札幌市気候変動対策行動計画を令和3年に策定するなど、危機感を持って取組を進めており、昨年11月にはさきに述べた脱炭素先行地域にも選定されたところであります。
脱炭素を進めるには、官民が一体となって、徹底した省エネや再生可能エネルギーの導入を拡大していくことが必要であります。再生可能エネルギーについては太陽光や風力などが先行して進んでおりますが、いずれも気象条件に左右されるなど、安定したエネルギー供給に課題があります。太陽光や風力以外の再生可能エネルギーとしては木質バイオマスがあり、現在、札幌市では、建設廃材や道路、公園などから発生する剪定枝を市の再資源化施設でチップやRDFに加工し、市内の熱供給の燃料として利用しております。
私は、この木質バイオマスに可能性を感じ、千葉市の民間事業者が行っている再資源化施設を視察してまいりました。この施設は、家庭系の枝・葉・草や造園業の剪定枝をチップ燃料に再資源化するもので、チップ化するだけにとどまらず、選別や乾燥を行うことで高品質の燃料に生まれ変わっておりました。札幌市でも再資源化の取組が行われているものの、輸送コストの問題から剪定枝などの一部が焼却されており、また、札幌市の再資源化施設も老朽化が進んでいるとのことなので、このような民間事業者の取組は参考になるのではないかと思います。
そのほかの民間の取組として、石狩市や苫小牧市において木質バイオマス発電施設の設置が進んでおりますが、電力は本市の温室効果ガス排出量の5割と最も多くの割合を占めることから、発電に木質バイオマスが活用されれば温室効果ガスの削減にも大きく寄与するものと考えております。
木質バイオマスは、原料があれば安定したエネルギー供給が可能となります。北海道は豊富な森林資源があり、森林内では製材などに使えない細い間伐材や枝葉、木の根元などが残置されたままとなっており、それらを活用することで森林資源の価値が増大され、林業経営の安定化にも資するなど波及的な効果も期待できます。森林資源の確保に向けて、植林も含めて取り組んでいくことで、資源の循環という観点からも極めて有効な再生可能資源と言えます。
私は、これらの利点から、木質バイオマスの活用が、札幌市、ひいては北海道における脱炭素社会実現の鍵になると確信しております。ゼロカーボンシティーを目指す札幌市としては、木質バイオマスに係る高い目標を掲げるなど、長期的な目標を持って計画的に取り組んでいくべきと考えます。
そこで、質問ですが、脱炭素社会の実現に向けて、より積極的に木質バイオマスの活用を図っていくべきものと考えますが、札幌市の見解を伺います。
最後に、今後の教育施策、次期札幌市教育振興基本計画について伺います。
2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標、SDGsでは、誰一人取り残さない社会の実現を目指し、経済、社会、環境をめぐる課題に総合的に取り組むこととして、貧困や飢餓をゼロにすることや、ジェンダー平等の実現、気候変動への対策など、全世界で2030年までに目指すことが示されております。
この中で、教育は、世界の発展や持続可能な社会を形成していくために必要なものとして、教育分野に係る目標についても明記されており、全ての人を対象として、子どもへの無償で質の高い初等・中等教育や職業訓練などの職業的スキルを身につけるための機会の提供など、誰もが公平に教育を受けられることを目指しております。
我が会派では、これまで、子育てと教育を政策の柱に掲げ、様々な教育施策について議会で繰り返し取り上げ、札幌の子どもたちの学びや成長のさらなる推進を図ってまいりました。その結果、みなみの杜高等支援学校が開校されたほか、市内の多くの学校に特別支援学級が開設されたり、子どもが安心して学校生活を送ることができるよう学びのサポーターが各学校に配置されるなど、一人一人の学びに応じた教育が充実されてまいりました。また、GIGAスクール構想の実現により、1人1台端末が整備され、それぞれの子どもの理解状況や能力に合った学びを進めることや、特別な支援を必要とする子どもの学びの充実につながっているほか、コロナ禍で学校に登校できない状況でも、自宅と学校をつなぎ、子どもたちへの学びの保障が図れたものと認識しております。
オリンピック・パラリンピック教育では、スポーツを通じ、障がいのある人にとってよりよい社会を実現することを理念としたパラリンピックへの理解が若い世代へ浸透していることからも、教育が子どもたちに
共生社会の実現に向けての気づきや行動の変容を促す影響の大きさを再認識したところであります。
現代は、
新型コロナウイルス感染症の流行や地球温暖化による異常気象、ロシアによるウクライナ侵攻といった不安定な国際情勢など、先行きが不透明な時代の中、こうした時代だからこそ、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた教育の役割はより一層大切であります。
そのような状況の中、教育の目標や方向性を明確にし、教育施策を総合的かつ体系的に進めていく札幌市教育振興基本計画は、令和6年度からの次期計画のスタートに向け、現在、検討会議の委員を募集するなど、策定準備が進められていると聞いております。
共生社会の実現のためにも、行政や市民が一丸となってこれからの社会をつくっていく人を育てていくことは大変重要であると考えます。
そこで、質問ですが、次期札幌市教育振興基本計画では、将来の札幌を支える子どもたちにどのような力を育もうとしているのか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(
細川正人) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で7項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢について、2項目めの防災・減災対策についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきましては、担当の町田副市長、吉岡副市長、石川副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
1項目めの私の政治姿勢についてのうち、まず、1点目の市政2期目の成果とその発信についてお答えをいたします。
この4年間においては、
新型コロナウイルス感染症など新たな課題に対応しながら、計画に掲げた取組を着実に進めることによって、まちの経済力を高めて生み出した財源等を福祉や暮らしの充実に還元し、さらなるまちの活性化につなげる好循環の基礎を形成することができたと認識をしております。
今後は、
物価高騰対策や
感染症対策など目下の課題への対応を切れ目なく実施していくとともに、これまで実施してまいりました取組の成果が継続して発揮されるよう実績の検証も並行して進め、次期中期実施計画の策定に生かしてまいりたいと考えております。また、市民や事業者に札幌市の取組を理解、共感していただくため、取組の成果に加え、目標や政策など、今後の
まちづくりの考え方についてこれまで以上に分かりやすい情報発信に努め、魅力的な札幌のまちを築き上げてまいりたいと考えております。
次に、2点目の
共生社会の実現に向けた取組の組織横断的な推進についてでありますが、現在検討中の第2次
戦略ビジョンの戦略編において、横断的に取り組む施策として
ユニバーサル(共生)プロジェクトを位置づけ、
共生社会の実現に向けた道筋や目指すべきまちの姿を示していく考えであります。
加えまして、来年度、多岐にわたる
ユニバーサル関連施策の全体を俯瞰して、総合的な調整を担う新たな組織を設置し、ハードのみならず、ソフト面の施策も一体的に推進していく基本的な指針として、仮称でありますが、
ユニバーサルビジョンの策定を検討しているところであります。これらに基づきまして、利用頻度の高い市有施設などのさらなる
バリアフリー化や、都心地下ネットワークのエレベーターなどの案内サインの充実のほか、企業と連携し、車椅子で移動できる経路情報を発信するアプリや、様々な交通機関において必要となる介助を一括して手配できる仕組みを検討するなど、市民に実感いただける取組を組織横断的に推進してまいりたいと考えております。
次に、3点目の令和5年度予算における
物価高騰対策についてであります。
令和5年度予算は、いわゆる骨格予算としながらも、国の経済対策と呼応した16か月予算とし、喫緊の課題であります
物価高騰対策については特に意を用いて編成をしたところであります。
まず、市民生活への支援として、妊娠・出産寄り添い給付金の支給のほか、パートナーシップ排雪の地域負担額の据置きや、国民健康保険料の増額の抑制など、家計の負担軽減を図ってまいります。また、札幌プレミアム商品券を発行することで、
物価高騰の影響を受けている市民生活を支援するとともに、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。事業者への支援といたしましては、売上げの減少等に対する融資制度や新分野進出、業態・業種転換といった事業再構築に対する支援を継続してまいります。
引き続き、
物価高騰等の動向を見据え、国による電気・ガス料金や燃料油価格等の負担軽減策の継続や拡充、地方自治体の独自施策に対する財源確保について、国への要望を行いつつ、
物価高騰対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
次に、2項目めの防災・減災対策についてお答えをいたします。
まず、1点目の一時
滞在施設の確保についてであります。
札幌市におきましては、雪まつり開催中の休日に大規模な地震が発生した場合、行き場のない
屋外滞留者が最大4万6,000人発生すると想定をしておりまして、一時
滞在施設の確保を進めているところであります。これまで、札幌駅前通地下歩行空間や札幌市民交流プラザ等、17か所を指定しているところでありまして、さらに、これから建設される民間施設10か所を追加で確保したところであります。このうちの13か所は停電時でも暖房等が使用できる機能を備えており、今後もこのような施設を指定するなど、さらなる一時
滞在施設の増強に努めてまいります。
次に、2点目の大
規模盛土造成地の防災対策についてであります。
札幌市における大
規模盛土造成地183か所のうち、災害のおそれがない11か所を除く172か所の盛土については、盛土の安定性に影響を及ぼす地下水位の観測や盛土の変化について、継続的に経過観察を実施する考えであります。
このうち、現時点で詳細調査が必要と判断をした35か所の盛土について、令和5年度より、優先度の高いものから本格的に着手し、早期の全件完了に努めてまいりたいと考えております。
あわせて、現状における各盛土の評価結果について、その概要を大
規模盛土造成地マップにより公表するとともに、詳細調査の新たな情報も加えながら、説明会などを通じて市民との情報共有を図っていく考えであります。
このような取組を続けていくことで、市民が盛土造成地への理解を深め、日頃から自らの宅地の安全に目を配るなど、宅地防災への意識向上につながるよう働きかけてまいりたい、このように考えております。
私からは、以上です。
○議長(細川正人) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな3項目めの総合的な子ども政策の推進についてお答え申し上げます。
このうち、1点目のヤングケアラー支援に向けた取組についてでございますが、潜在化、複合化するヤングケアラーへの支援に当たっては、周囲の気づきと関係部局や機関の連携が重要であることから、組織横断的な取組指針となるガイドラインを今年1月に作成したところでございます。
今後、このガイドラインを活用し、グループワークにより関係者間の相互連携などを学ぶ実践的な研修を継続実施するとともに、社会全体の気づきを促すため、ヤングケアラーの認知度向上にも取り組んでいく考えでございます。
誰一人取り残されることなく豊かに子どもが成長していけるよう、学校、介護、福祉、医療機関、地域を含め、社会全体でヤングケアラーの支援を進めてまいりたいと考えるところでございます。
次に、2点目の子育てに関する相談対応や情報提供の強化についてお答え申し上げます。
札幌市では、各区のこそだてインフォメーションや、令和5年4月に10区目の開設となるちあふるのほか、NPO等と連携した家庭訪問型支援の導入などにより重層的な相談対応を行ってきているところでございます。また、多岐にわたる子育て情報を一元化するため、子育て情報サイトとアプリを導入し、子育て家庭がいつでも情報にアクセスできる環境を整備し、情報提供の充実に取り組んできているところでございます。
今後も、不安や孤立感を抱える子育て家庭に寄り添い、訪問型の相談対応を強化するとともに、AIなど新たな技術を活用し、より伝わりやすい仕組みを構築して効果的な情報提供を行ってまいりたいと考えております。
次に、総合的な子ども政策の推進についての3点目の児童相談体制の強化についてお答え申し上げます。
札幌市内で年間2,000件を超える児童虐待に対応するため、この3年間で29名の児童福祉司を増員し、専任の医師や弁護士なども配置して効果的な連携ができる体制整備に努めてきているところでございます。令和5年度は、児童心理司をさらに10名増員し、子どもの心理的なケアをより充実させるとともに、一時保護中の子どもの意見や思いを弁護士が丁寧に聞き取り、伝える仕組みを導入する考えでございます。
今後も、子どもの権利を擁護し、家庭全体を支援しながら、虐待を未然防止できるよう、より高度な専門性を持つ職員の育成を図りながら、さらなる相談体制の強化に取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(
細川正人) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡 亨) 私からは、6項目めの脱炭素社会の実現に向けた木質バイオマスの積極的な活用についてお答えをいたします。
2050年のゼロカーボンシティーの実現に向け、風や日照などの気象条件に左右されず、安定したエネルギー供給が可能な木質バイオマスを活用していくことは、有効な手法の一つであると認識するところであります。
現在、札幌市では、剪定枝などを地域熱供給事業の熱源として利用しているところでありますが、これらの一部については、異物の混入や運搬距離の問題などから清掃工場で焼却発電されており、これらをより効率の高いバイオマス発電の熱源として売却することも検討しているところでございます。また、北海道は森林資源に恵まれておりますことから、森林内で発生する間伐材を活用することなどによりまして、豊富で安定的なサプライチェーンの構築と拡充を図っていくことも効果的であると考えるところでございます。
このため、今後は、木質バイオマスの積極的な活用につきまして、広域的な視点や長期的な展望を持ちつつ、他自治体や民間事業者とも一層の情報共有や連携を図り、脱炭素社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(
細川正人) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな4項目めの困難な問題を抱える女性への支援について、そして、5項目めの札幌観光の推進体制についてご答弁を申し上げます。
まず、大きな4項目めの困難な問題を抱える女性への支援についてのうち、1点目、第5次男女共同参画さっぽろプランにおける位置づけと今後の方向性についてであります。
男女共同参画社会を実現する上で様々な困難に直面することが多い女性が、安心し、自立して暮らせるよう支援していくことは、非常に重要な課題の一つと認識をいたしております。
そのため、困難な問題を抱える女性への支援に取り組むことを明確に打ち出すべきと考え、第5次プランの基本的な方向性の一つに位置づけたところであります。今後は、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重され、心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるよう、現在、国が策定中の基本方針を踏まえ、民間団体や関係部局と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
次に、2点目の困難を抱える若年女性支援についてであります。
札幌市では、令和元年に起きた2歳女児死亡事案を教訓とし、法の制定前から、若年女性が抱える困難を福祉や人権の問題と捉え、関係機関やNPOと協働で相談支援に取り組んできたところであります。
今後は、困難を抱える若年女性の早期発見、相談、心身の健康回復や自立に向けた援助等を切れ目なく提供できる体制づくりに取り組み、より支援の実効性を高めていかなければならないものと考えております。これからも、困難女性支援法の基本理念である女性の福祉の増進、人権の擁護、男女平等の実現を旨として、一人一人に寄り添った支援に取り組んでまいります。
続いて、大きな5項目めの札幌観光の推進体制についてであります。
まず、1点目のポストコロナにおける観光マーケティングの重要性についてでありますが、コロナ禍を契機に観光客のニーズや旅行スタイルが多様化する中、観光市場の動向を的確に捉え、適切な施策を実施するマーケティングの重要性がさらに高まるものと認識をいたしております。
札幌市におきましては、これまで、観光客の入り込み数や満足度などの基礎的な統計データの分析に基づき、国内外の各市場のニーズに合わせたプロモーションを適宜実施してきたところであります。今後は、即時性のある多様なデータの取得や専門的知見に基づく分析から導かれた観光戦略の立案、戦略に基づく地域一体での効果的な観光施策の実施など、観光マーケティングをさらに高度化する仕組みについて検討を進めてまいります。
次に、2点目の今後の推進体制の強化に向けた考え方についてであります。
観光は、地域経済全体に高い経済効果をもたらす札幌の経済成長を牽引する重要な産業であり、人口減少局面においても持続的に観光を発展させるためには、多様な関係者と連携しながら、観光地域づくりを実践していく体制が必要であると認識をいたしております。
札幌観光の推進体制の強化につきましては、今後10年の観光振興の方向性を定める次期観光
まちづくりプラン検討委員会の中でも、現在、ご議論をいただいているところであります。今後は、検討委員会での議論の結果も踏まえ、例えば、北海道新幹線の札幌延伸やハイグレードホテルの建設など、これから本市に訪れる様々な機会の最大限の活用や、今後、激化が予想される都市間競争への対応ができるよう、DMOの設立も含めた推進体制の強化に向け、速やかに本格的な検討に着手してまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○議長(
細川正人) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、7項目めの今後の教育施策の次期札幌市教育振興基本計画についてお答えをいたします。
現行計画では、自ら疑問や課題を持ち、主体的に解決する課題探究的な学習や、豊かな人間性や社会性を育む道徳教育の充実など、自ら学び、共に生きる力を培う学びを推進してまいりました。また、国際バカロレアを活用いたしました国際的な視野を身につける学びの場である開成中等教育学校や、学び直しの機会を提供する星友館中学校の開校など、一人一人の多様なニーズに応じた教育環境の充実にも取り組んでまいりました。
一方、将来を予測することが困難な時代の中では、子どもたちに、互いの個性や多様性を認め合い、様々な人々と協働しながら豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となる教育を推進していくことが重要であると認識をしております。
次期計画では、小・中学校を地域コミュニティーの核とし、学校と地域、保護者が目指す子ども像や理念を共有し、9年間の連続性のある学びを大切にしながら将来の
まちづくりにもつながる新たな価値を創出する力を育んでまいります。
以上でございます。
○議長(
細川正人) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――――
休 憩 午後2時8分
再 開 午後2時40分
――
――――――――――――――――――
○副議長(峯廻紀昌) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
太田秀子議員。
(
太田秀子議員登壇・拍手)
◆
太田秀子議員 私は、日本共産党を代表し、市政の重要問題について、順次、質問をいたします。
初めに、市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、秋元市政2期8年の市政運営と今後の予算編成についてです。
1点目は、大型再開発事業の認識と市民合意についてです。
秋元市長は、2015年の選挙で、1972年の札幌冬季五輪を機に整備された都市インフラの更新と、再開発事業への助成による民間投資の活性化を公約しました。1期目の
アクションプラン2015では、一般会計の建設事業費について、学校などの市有建築物や道路、公園などの都市基盤などを計画的に維持・更新していくため、極力、平準化を行い、年1,000億円規模を確保するとともに、2016年度、2017年度に都市再開発などの大型事業を積極的に展開するとして、4年間で4,633億円、2期目の
アクションプラン2019では、それら事業を引き続き展開するため、4年間で4,493億円を想定し、進めてきました。
そのうち、学校整備関連は、学校の新築はなく、おおむね統廃合による改築であり、市営住宅関連は
アクションプランの想定を予算で下回る一方、再開発関連は
アクションプランの想定を年度予算で上回ってきました。企業会計を含む中長期的な計画では、2019年からの建設事業費の膨張が見られます。事業費財源のうち市債を見ますと、2015年度517億円、2016年度以降、2018年度、2019年度は630億円前後、その他は700億円を超え、膨らんでおり、2023年度は907億円という参考値を上げています。2030年の新幹線札幌延伸と冬季オリンピック招致を当て込んだ再開発事業が市債を発行しながら進められてきたと言えます。
ここで、質問いたします。
市債は、返済期間を30年とし、当然、利子もつきますので、将来にわたり大きなツケを回すことになるため、特に大型再開発事業は市民の納得が得られる事業であるべきと思いますがいかがか、伺います。
また、事業について、市民への説明と合意が必要ですが、それらは極めて不十分だと思います。市長の認識を伺います。
2点目は、再開発事業による市民への影響についてです。
昨年、第1回定例議会の代表質問で、現在進めている再開発事業で市民の多くがその恩恵を享受できるのか、認識を質問しました。市長は、都心の再開発など魅力ある
まちづくりは将来を見据えた投資である、投資は多くの市民の暮らしの充実につながるものであり、持続可能な
まちづくりに資すると答弁されています。
投資を呼び込む方針の下、例えば、再開発事業で建設される高額物件のマンションは首都圏の富裕層に人気があると言われ、既に契約や申込み済みの物件購入は多くが道外や国外在住者であり、投資目的で2〜3軒の購入を検討する人もいると報道され、投資は市民の暮らしとかけ離れたところで進んできました。
なぜなら、高額物件の販売が始まったことで住宅の平均価格が大幅に上がり、一般市民は住宅価格が札幌よりも安い近郊の市に移り住む人が増えていると報道されているのです。再開発事業費への税金の増額が繰り返されていますが、公共事業としての公共的な位置づけはないことが明らかです。この間、これら再開発事業によって多くの市民の暮らしの何が充実したとお考えか、伺います。
また、札幌市民の雇用と経済にどのような効果をもたらしているのか、伺います。
3点目は、政令指定都市の中で最低レベルの基本指標と改善についてです。
本市の予算額は10年連続最高額を更新し、1兆円を超えて6年になります。その間、本市の経済や市民の暮らしはどうなっているでしょうか。2015年度決算から最新のデータである2022年度予算の本市の指定都市基本施策比較検討調べを見ますと、市民の収入である所得や報酬、また、求人や失業率が政令指定都市20市の中で常に低いことが特徴として表れています。市民所得、雇用者報酬は、2015年から、ほぼ毎年、最下位です。有効求人倍率は15位から19位と、求職者に対し、求人が不足しており、完全失業率は常に2番目か3番目に高いという状況が続いてきました。
本市は、就業サポートセンター等事業やひとり親家庭自立支援給付金など就労支援事業を行ってきましたが、これでは効果が不十分だと思います。どのようにお考えか、伺います。
また、所得が低い市民にとって基本指標の改善は急がれる課題だと思いますが、改善のお考えを伺います。
4点目は、経済効果をもたらす予算編成についてです。
本市は、福祉・暮らし分野でも、特養ホームの整備率、市営住宅の応募倍率、世帯収入に占める国保料の高さなど、政令市最低レベルになっています。我が党が毎年提出する予算要望に対する本市の回答では、
子ども医療費助成の拡大の要望に、将来にわたり多額の財源を要するため、事業の持続可能性などから検討するとし、また、国保、介護の負担軽減のため、本市の独自予算を求めると、市独自の軽減策を講じることは制度の趣旨から適切でないとしてきました。これらは、市民の暮らしに独自財源を投入せず、国の社会保障の後退に追随するものです。
子ども医療費助成の拡大は、重症化を防ぎ、将来にわたって医療費の抑制効果が見込めることや、応募倍率が高い市営住宅の建設は、地元業者への公共事業の発注で、将来にわたって、修繕などを含め、仕事をつくります。
福祉、暮らしの予算が、市民の安心はもとより、地元に仕事をつくり、本市の経済に効果をもたらすことを評価し、積極的に予算に反映すべきと考えますがいかがか、伺います。
5点目は、医療・福祉分野の発展についてです。
2015年以降、政令市比、最低レベルの社会保障と所得の中、多くの市民が非正規雇用や低年金で暮らしてきました。我が会派は、2020年、2021年と市長提出の予算を組み替え、再提出を求める動議を提出してきました。我が会派以外の反対で否決されましたが、改めて税金の使い方を見直すべきであると考えます。
市長が2期8年間で積極的に進めてきた再開発事業をはじめとする大型事業の予算規模は、市民の暮らし向上には結びついておらず、経済的な波及効果も一時的にとどまります。経済センサスによると、本市の事業所数は、卸・小売業、宿泊・飲食サービスに続き、医療、福祉が多く、従業者数は、卸・小売業に次いで医療、福祉が多くなっています。
昨年、第1回定例議会で、経済効果についての質問に対し、市長は、医療・福祉分野は、雇用者所得の増加による影響が大きいことから他産業と同程度の経済波及効果があると答弁されており、医療、福祉は本市の持続可能な経済を支え得る分野と言えます。
しかし、この分野は、やりがいはあるけれども、低賃金、苛酷な労働環境、慢性的な人手不足に苦しんできました。本市は、2040年には高齢人口が4割を占めると試算しており、本市が医療・福祉分野に思い切った予算を配分し、本市を支える産業として発展させることが必要だと思いますがいかがか、伺います。
これにより、安定した雇用をつくり、高齢になっても安心して暮らせる札幌をつくることは、市長が今定例議会で掲げる働く場の確保や税収増による人々の暮らしの充実につながる好循環の実現に資するものだと思いますがいかがか、伺います。
質問の第2は、安全保障政策についてです。
1点目は、安保3文書改定と国民の反応です。
岸田内閣は、12月16日、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の安保3文書を改定し、反撃能力、いわゆる敵基地攻撃能力を備えるためとして、5年間で43兆円に上る大軍拡・大増税計画を打ち出しました。政府見解としてきた専守防衛を投げ捨てる暴挙であり、強く撤回を求めるものです。
今年1月1日付の東京新聞のインタビューでは、女優の吉永小百合さんが、怖いのは、昨年末、サッカーのワールドカップで日本中が沸き返っていた時期に、敵基地攻撃能力や防衛費増額という大変な問題を、みんなで考えるんじゃなく、どんどん決めていこうとした動きですと話され、タレントのタモリさんは、黒柳徹子さんとの対談番組で、2023年を新しい戦前と表現されました。NHKの世論調査では、軍事費増額のための増税に61%が反対と答え、国民の合意はありません。相次いでいる著名人の発言や国民世論はどのような理由からのものだとお考えかを伺います。
2点目は、安保3文書改定の決定過程についてです。
市長は、2015年の安保法制、いわゆる戦争法成立の際、必ずしも国民の理解が深まり不安が解消されたとは言えない状況の中で可決されたと答弁され、国会審議の在り方に疑問を投げかけました。憲法についても、国民的議論が必要だと答弁されています。
国民の命や安全、憲法や安全保障に関わる重大問題を、国会審議や国民的議論も行わず、閣議決定で改定した安保3文書に正当性があると認められるのか、市長の判断をお伺いします。
3点目は、改定内容と丘珠空港についてです。
自民党の元幹事長も、敵基地攻撃能力の保有は、少なくとも国民にきちんと説明しなければならない、完全に専守防衛を逸脱してしまうと述べています。防衛力整備計画では、北海道をはじめとする国内の演習場等を整備し、その活用を拡大する、米軍施設・区域の自衛隊による共同使用や、民間の空港・
港湾施設等の利用拡大を図るとされ、昨年、米海兵隊との実動訓練、レゾリュート・ドラゴン22で米軍機オスプレイの拠点とされた札幌飛行場、丘珠空港の利用拡大が想定されます。
日本弁護士連合会は、12月、敵基地等への攻撃は当然に相手国の反撃を招いて武力の応酬に直結するとの意見書を政府に提出しましたが、市長は、丘珠空港が攻撃目標とされる可能性についてどのように認識しているのか、伺います。
あわせて、滑走路延長を内容とした丘珠空港の将来像に基づいた政府への要請は一旦中断し、自衛隊や米軍の空港使用がどのようになるのか、市民に説明すべきと考えますが、その意思がおありかどうか、伺います。
4点目は、憲法9条を生かした外交努力についてです。
日本は、かつて、絶対主義的天皇制の下で侵略戦争に突き進んだ痛苦の経験を持っています。札幌市平和都市宣言は、再び戦争の惨禍を繰り返さないという決意から生まれた憲法9条を生かし、日本国憲法が掲げる平和の理念に基づき、非核三原則を守ることを誓い、信義と公正を重んずる全世界の市民と相携えて世界平和の実現を望むとうたっています。
国際紛争や軍事衝突は、貴い人命を奪うばかりか、ロシアによる原子力発電所への攻撃など、人間が生きていく環境まで破壊すると国際社会から厳しく批判されています。4月に開催されるG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合は、直接、札幌市が国際社会に向けて発信できる絶好の機会です。戦争や紛争の解決に向けて先進国が外交努力を尽くすよう、平和都市宣言を持つ札幌市としてアピールする考えはないのかを伺います。
質問の第3は、エネルギー政策とG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合です。
原発の新設、再稼働にかじを切る政府方針とG7札幌大臣会合についてお聞きします。
1点目は、原発回帰の政府方針についてです。
札幌地裁は、昨年5月、泊原発は津波に対する安全性の基準を満たしていないと、運転差止めの判決を言い渡しました。提訴から10年、政府の原子力規制委員会の審査開始から9年の間、安全性が証明できない泊原発を含め、岸田政権は官民で原発再稼働を加速させると表明していますが、市民の命と安全を守る立場にある市長として、泊原発を含めて再稼働を進めることをこのまま静観されるのか、政府に見直しを求めることはされないのか、伺います。
2点目は、G7札幌大臣会合とエネルギー政策についてです。
政府は、原発を安定的なベースロード電源と位置づけ、2030年の発電量の20%から22%を賄う方針です。現在、泊原発は稼働していませんが、北電管内では、火力発電の出力制御等を行っても供給が需要を上回る場合、太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電力を送電網への接続から外す出力調整がされました。今後、原発や火力に頼ることを続けるなら、再生可能エネルギー導入の足かせとなり、市長が目指す原発に依存しない地域社会の実現は遅れることになります。
年頭挨拶で、G7札幌大臣会合に合わせて気候変動対策の取組をアピールすると発言されています。再生可能エネルギー普及や温室効果ガス削減を本気で進める上でも、本市として原発再稼働、原発回帰は認められないことを明確にアピールすべきではないでしょうか、市長の見解を伺います。
次に、2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてです。
質問の第1は、広がり続ける不信感、不快感についてです。
東京2020大会は、招致活動中の賄賂疑惑や、猛暑の夏を温暖な気候と説明するなど、当初から不公正でした。新国立競技場の巨額の建設費用、大会組織委員会元会長の女性蔑視発言、ワクチンもない
新型コロナウイルス感染拡大中の大会開催強行など、国民が開催を支持できない事件、事態が数多く発生しました。
さらに、起きているのが、東京地検特捜部が明らかにしている汚職事件や談合という事態です。JOCや大会組織委員会という日本を代表するスポーツ組織のその時々の対応や判断の甘さが国民の不信感を再燃させ、このたびの汚職・談合事件でさらに深まっております。
市長は、在り方検討の指針に基づく新たな大会概要案を作成して市民理解を促進しようとしていますが、市民の中に招致活動そのものに対する不快感が生まれているとお感じにならないのか、伺います。
質問の第2は、招致活動を中断し、福祉を優先することについてです。
北海道新聞社が昨年12月に行った世論調査では、札幌冬季五輪招致について、賛成、どちらかといえば賛成が33%、反対、どちらかといえば反対が67%と、前回の調査より、10ポイント、反対が増えた結果となりました。
反対の理由で最も多かったのが、除雪やコロナ対策、福祉など、ほかにもっと大事な施策があるで、48%となりました。本市が昨年3月に行った意向調査でも、反対の主な理由として、ほかの施策に注力してほしいが最も多く、市民の中に、オリパラ招致等にお金を使うより暮らしや福祉を優先してほしい、こういう声が強くあることは明らかです。新型コロナウイルス感染の拡大や、ロシアの軍事侵攻が引き起こした
物価高騰などによる雇用不安や経済的な負担増など、厳しい生活を長期間強いられている多くの市民にとって切実な願いではないでしょうか。介護や子育てへの支援など、もっと大事な施策を優先して進めてほしいと願うのは当然のことだと思います。
オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すためにスポーツを役立てることであり、医療や介護、子育て支援など福祉の充実は人間の尊厳を保持する保障です。充実させる施策を最優先に進め、市民がそれを実感して初めて招致に同意できる基盤がつくられるのではないでしょうか。今は、招致活動を中断し、まず福祉や暮らしを優先するときだと思いますが、市長はどうお考えか、伺います。
質問の第3は、客観的な市民の意思確認についてです。
我が党は、議会で、繰り返し、住民投票などで市民の賛否を確認してから招致に進むよう求めてきました。2019年7月のオリパラ調査特別委員会では、大会招致に多くの市民から支持を得ることが何よりも大変重要との認識も示されておりました。
しかし、1万人の意向調査実施を記者発表した昨年2月、マスコミから、意向調査の結果によって招致を進めるか、進めないかの判断は変わらないのか、仮に反対が非常に多かった場合でも判断は変わらないのかと問われ、市長は、調査の結果を受けて、それらを参考にしながら議論をしていきたいと答えました。
意向調査の結果、多くの市民からの支持が得られなかったにもかかわらず、市長が調査結果を参考程度にとどめ、総合的な判断によって招致活動をいまだに続けているというゆがんだ事態を招いています。昨年12月、JOCとも相談して、再度、意向調査を実施すると表明しましたが、意向調査を再び行っても、結果を参考程度にするのであれば、結論ありきの調査でしかありません。市民から多くの反対の意思が示されても、市長の総合的な判断によって招致活動を続ける可能性は否定できないのです。
また、昨年3月に実施した意向調査は、1万人を対象にしただけで、回答者に何度も理解を押しつけるなど不公正な設計の調査だった問題を指摘しましたが、こうしたことが繰り返される懸念も払拭できません。
行政側の意図はなく、客観的であることを証明するためにも、大会招致を進めるかどうかは、市長の総合的な判断ではなく、市民の意思を明確に確認し、その結果を尊重するべきだと考えますが、いかがですか。
また、市長は、全国を対象に意向調査を行う方針を述べておられますが、大会招致を初めに表明したのは本市であり、地元札幌市民の意思を明確に確認するべきです。そのためには、住民投票が最もふさわしいと考えますが、市長のお考えを伺います。
次は、
新型コロナウイルス感染症についてです。
質問の第1は、本市での高齢者の感染の対応についてです。
国は、医療や保健所の逼迫を理由に、9月26日から全数把握を停止し、65歳以上や基礎疾患のある方、妊婦や幼児は発熱外来受診を、そのほかは自己検査と自宅療養を推奨しました。本市では、10月から、全国に先駆け、第8波となり、感染者数、死亡者数ともに過去最悪を更新し、10月から1月末までの死亡者数は596人、特に11月は220人、12月253人と、最多であった8月の101人を大きく超えました。
70代後半のあるご夫婦は、2人とも発熱し、自己検査で陽性となりましたが、デジタルに不慣れなため、登録ができず、ようやく電話でつながった保健所に紹介された発熱外来はどこも受診できる枠がありませんでした。再び電話で保健所にパルスオキシメーターの送付を頼むと、送れない、登録してくださいと言われ、送付の手続すらできなかったとのことです。
デジタル登録できない方の場合、これまでは電話による登録援助をしていましたが、陽性の自己登録が始まってから行われなくなりました。また、高齢や基礎疾患等でリスクが高くても、かかりつけ医が発熱外来を行っていない場合、医療機関にかかれない事態も頻発しましたが、発熱外来を紹介するだけでした。デジタル弱者でもある高齢者についての対応と支援が十分であったか、検証する必要があると思いますがいかがか、伺います。
また、本市は、高齢者専用のコロナ病床を増やしてきたものの、入院を必要とする患者数に追いつかない状況が続き、介護施設からは入院を要望しても断られたとお聞きしています。入院できないまま、介護施設や自宅等で亡くなる事例もあったのではないかと推察します。
介護老人保健施設や介護療養型医療施設以外の多くの高齢者施設等では医療機関と連携していますが、クラスターが発生した場合は医師や看護体制も不十分なのが現実であり、施設職員の心身の負担も深刻です。施設に入所している高齢者が感染した場合に、施設内の留め置きを極力減少させるべきと思いますがいかがか、入所者が病院を受診できないことがあってはならないと思いますがいかがか、伺います。
質問の第2は、第8波と地域医療構想についてです。
本市は、医師会などの協力も得て、新型コロナウイルス感染者受入れのための病床確保に努力されてきましたが、それでも第8波に至るまで感染拡大で病床が逼迫する事態は変わりませんでした。これは、国が、長年、病床削減政策として、長期入院に対する診療報酬を減らし、稼働していない病床を抱えていたり、医療スタッフを抑制しなければ病院経営が成り立たない医療制度、診療報酬体系にしたからです。全国的に病床削減を迫る地域医療構想も、こうした流れの一環です。
厚生労働省は、
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、公立、公的、民間の医療機関における今後の対応方針の策定や検証、見直しを行うよう助言し、昨年11月には3年ぶりとなる札幌圏域地域医療構想調整会議が開催され、本市の担当者も出席されています。新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同じ5類に移行させようという政府の方針では、入院調整が保健所ではなくなり、医療機関が行うことが想定されますが、受診や入院の要請に対応できるのかという不安の声が医療機関、介護施設関係者などからも聞かれています。
本市は、地域医療構想調整会議の中で、感染症対応に限らず、恒常的に余裕のある病床確保の必要性を主張する考えはないのか、また、そのための財政措置を国に求めるべきだと考えますが、見解を伺います。
次は、介護保険要支援認定者への地域包括支援センターの関わりについてです。
本市には、高齢者の介護予防支援の拠点として、総合相談支援、虐待の早期発見・防止等の権利擁護、介護予防、包括的・継続的ケアマネジメント等を行う地域包括支援センターが27か所あります。介護予防センター53か所がブランチとして一部機能を補完しているとしても、1センター当たりの高齢者への対応人数は2万479人で、政令市平均の約2倍です。そのため、地域の高齢者へ十分関われない状況があると考えます。
さらに、2019年に本市が介護サービス提供事業者に行った介護保険サービス提供事業者調査の自由記載では、困難ケースの対応も増加している、介護予防ケアマネジメント業務の占める割合がかなり大きく包括の業務を圧迫している、給与と業務量がマッチせず人材が定着しないなど、切実な声が出されています。本市は、条例の基準に基づき保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などを配置していますが、この基準では地域の高齢者のニーズに事業所が十分に応え切れていないことを示しています。
本市は、2023年度予算で、2040年を見据えた地域包括支援センター機能強化事業として、専門職員1名当たり50万円の処遇改善費が組まれたことは、現場で働く介護労働者に歓迎されるものです。一方、人的体制の強化については、高齢者増による自然増2人と、単年度のモデル事業としてフレイル予防マネジメントを行うフレイル改善マネジャー3人の職員増にとどまっています。
2022年3月31日時点で、要支援1、2の認定者4万88人のうち、サービスを受けていない人が約1万7,000人います。そのうち、地域包括支援センターがアプローチできている高齢者は約3割の5,000人にすぎません。要支援の認定を受けながら、サービスを利用したくても利用できない高齢者がいるのではないでしょうか。サービスを受けていない高齢者の約7割にアプローチできていない実態についてどのようにお考えか、その対処方針についても併せて伺います。
次は、子ども施策の課題についてです。
質問の第1は、保育士配置基準についてです。
保育現場で、あってはならないバスの置き去りや虐待などの不適切な保育が起きていることが報道されています。本市は、今定例会の予算で保育施設等の送迎バスの安全対策装置という対応を示しています。こうした対応は第一義的に必要とされる対応でありますが、同時に、保育士の働き方の改善や保育士の専門性をどう育てるのかなどが課題になっていると考えます。
保育現場での保育士同士の日常的なコミュニケーションがあれば、登園していない子どもへの気づき、発達に即した子どもへの接し方など情報共有ができ、安全な保育の保障につながると考えます。
しかし、国の基準では、ゼロ歳児3人に保育士1人、1・2歳児6人に1人、3歳児20人に1人、4・5歳児30人に1人の保育士配置となっており、保育士同士のコミュニケーションや打合せの時間の確保は困難です。
本市は保育士の加配を行っていますが、他都市では、独自に配置基準を見直し、保育士の配置を厚くしています。本市でも、基準を見直し、保育士の配置数をさらに引き上げるべきと考えますがいかがか、伺います。
質問の第2は、子育ての負担軽減についてです。
1点目は、学校給食についてです。
一つ目は、給食の質についてです。
昨今の
物価高騰は、学校給食にも大きな影響を与えています。国内の学校給食用食品製造に関わる企業33社が加盟する学校給食用食品メーカー協会会長は、原材料価格の高騰はかつてないレベル、おいしくて栄養価が高く、地産地消で食育も加味した給食を、保護者負担で、未来永劫、継続するのは難しいと思うと見解を示しています。
本市の給食運営委員会においても、物価値上がりによる献立への影響について議論が続けられてきましたが、来年度の給食費について据え置き、今後も引き続き安心で安全な給食を提供していくことと答申が示されました。
給食は、成長期にある子どもの健全な食環境の基礎を培う目的や、地元農家から野菜を取り入れるなど、地産地消の観点からも極めて重要な食育の一環です。経済状況が急変する中でも、札幌市の子どもたちが、安心して、毎日、質の高い給食をおいしく食べられるようさらなる食育の推進に努めていくことや、質の維持・向上は必要と考えますが、見解を伺います。
二つ目は、学校給食費の無償化についてです。
学校給食費の無償化は、誰もが分かりやすい子育て支援であり、無償化を通して子どもや家庭を積極的に支えていきたいと、小・中学校とも給食費を無償化している自治体は、2017年度の76市町村から5年で3倍化し、2022年12月時点で254団体に広がっています。来年度においては、東京23区など、人口規模の比較的大きな自治体でも無償化方針を示す自治体が相次いでおり、
子育て世帯に大変喜ばれております。
本市の学校給食費は、現時点の月額だと小学校6年間で約32万2,000円、中学校3年間で約18万4,000円です。義務教育9年間で1人当たり50万6,000円かかることになり、きょうだいで同時に小・中学校に通っていれば、毎月、給食費の支払いだけでも大きな負担です。本市でも、
子育て世帯の支援として独自で学校給食費無償化を進め、せめて多子世帯への減額などは急いで実施をすべきと思いますがいかがか、伺います。
2点目は、
子ども医療費助成についてです。
子育て支援を重視し、子どもたちの命と健康を守り、健やかな成長を保障するためにも、お金の心配なく医療にかかることができる
子ども医療費助成は、もはや全国の自治体において最重要政策の一つであり、市区町村の約半数が通院、入院共に高卒までの助成を実施しています。中学校卒業までと合わせると通院は94.7%、入院は97.8%で、また、子どもの健康に保護者の収入で格差をつけるべきではないとの考えから、所得制限を撤廃する市区町村も増えています。
本市が行った令和3年度札幌市子どもの生活実態調査において、子どもに必要な病院受診をさせなかったの回答の中で、その理由が、お金がなかったと回答した割合が
子ども医療費助成のない中学2年生と高校2年生で高い傾向にあり、また、中間所得層にも一定数いることが分かりました。
本市の
子ども医療費助成制度は、2021年4月診療分より、小学4年生から6年生までの通院医療費が新たに助成対象となりました。子育て支援のニーズが高まる中で、本市の小学6年生までは、あまりにも遅れていると市長は認識すべきです。
子どもは、大きくなればなるほど体も丈夫になり、病院にかかる頻度も減り、公的財源の負担が減少します。
子ども医療費助成制度は、窓口負担無料、所得制限の撤廃、本市の全ての18歳までの子どもたちが安心して医療にかかれるよう拡充すべきと考えますがいかがか、伺います。
次は、生活道路の排雪強化についてです。
我が党は、町内会など地域も費用を負担するパートナーシップ排雪制度について、第3回定例会の代表質問で、本市の全額負担で全ての生活道路をパートナーシップ排雪と同程度に排雪を行うよう求めてきました。
近年、地球温暖化の影響で発生頻度が増えている日本海寒帯気団収束帯が本市にも昨年のどか雪や今年の強烈な寒波という形で影響していると言われ、今後も発生を想定した対応が必要です。今年度は、昨年度を踏まえ、総額257億円の除雪予算とし、大雪が見込まれる場合には前倒しで排雪作業が行われており、市の姿勢として重要だと考えます。
しかし、生活道路については、除雪作業後に路面に残る雪の厚さを30センチまで許容する基準となっているため、降雨や気温の上昇で路面の雪が緩んだ場合、ひどいわだちで歩行や交通に障害を起こします。生活道路は、幹線道路と違い、幅員が狭く、雪をためておくスペースが少ないので、今後の地球温暖化の影響を考えると、札幌市が定期的にたまった雪は排雪することこそが市民に求められていると思いますがいかがか、伺います。
最後に、今後の観光振興の考え方についてです。
質問の第1は、次期札幌市観光
まちづくりプランについてです。
北海道の各地と札幌には、大勢の訪日外国人旅行者、いわゆるインバウンドの方が訪れます。地域住民と観光客が文化的な交流を図り、信頼関係を深める貴重な機会です。観光をよりよい機会とするためには、住んでいる人も幸せ、その地を訪れる人も幸せ、そして、住民が誇りを持って暮らしている、まさに住んでよし、訪れてよしの地域づくりが欠かせません。酪農や農業で培われてきた大地の喪失、ローカル線の廃止など、かつての魅力を失い続ける北海道にとって極めて重要な考え方ではないでしょうか。この考え方は、単に観光客が増え、もうかればいいという観光地づくりではなく、みんなで観光による地域づくりを目指そうというものだと考えます。
現在、本市では、2023年度から計画期間10年間の次期札幌市観光
まちづくりプランの策定に向けた検討を進めています。次期プランは、地域の産業や文化を支えるとともに、関連事業者と市民が、これなら頑張れると、そういう希望の持てるプランにするとともに、住んでよし、訪れてよしの札幌を本市の目指すべき姿として位置づけることが重要だと考えますが、どのように認識されているのかを伺います。
質問の第2は、国の観光政策についてです。
国は、2030年の訪日外国人旅行者、いわゆるインバウンドを6,000万人呼び込み、15兆円の消費額を目標に掲げています。その達成に向け、消費額の大きい富裕層をターゲットとして、上質な宿泊施設とサービスが提供可能な環境整備を官民挙げて迅速かつ強力に推進するとしています。これは、労働者の賃金が上がらない下、個人消費の落ち込みによる地域経済の低迷と中小零細業者の衰退を、富裕層とインバウンドによる国内消費額の増額で補おうとする観光政策だと言わざるを得ません。
2021年6月に観光庁の設置した、上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会がまとめた報告書では、日本はインバウンドの中でも富裕旅行者の受入れにかじを切るべきと提言しました。その内容は、伝統工芸品、ブランドの高級衣服や宝飾品などを購入するのは富裕層なので、高級宿泊施設、高級食材等を提供する富裕層向けサービスを中心とした施策を推進するというものです。中でも、地方には、自然や食材などの魅力があっても、富裕層向けの宿泊施設がなく、今後は上質な宿泊施設の開発を課題に掲げており、北海道が一部の富裕層旅行者の誘致に特化した観光地づくりになる懸念があると考えますが、本市の認識を伺います。
また、国の観光政策は、インバウンドの受入れ目標数と消費額に固執し過ぎるべきではないと考えますが、本市の見解を伺います。
質問の第3は、サステーナブルツーリズムの推進とDMOの設置についての考え方についてです。
サステーナブルツーリズムは、直訳すると持続可能な観光という意味で、国連世界観光機関では、訪問客、業界、環境及び観光客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在及び将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光として定義しています。エコツーリズムやグリーンツーリズムなどほかのツーリズムと比べ、サステーナブルツーリズムは、自然を楽しむ、あるいは、環境や文化の保全にとどまらず、経済・社会面も加味しながら、どのような地域においても住民コミュニティーに配慮し、持続可能な状態で保つことが強調されているのが特徴とされています。
このような観光の在り方への転換が注目される背景には、観光地に許容範囲を超える大勢の観光客が集まることで環境汚染や自然破壊、住民の生活環境が悪化するオーバーツーリズムの課題があります。自然と文化、歴史遺産をはじめ、各地の魅力を広げ、発信する取組は大いに歓迎すべきですが、オーバーツーリズムは住民生活の犠牲と観光地そのものの価値の低下にもつながるため、観光客を集客するだけではなく、地域の文化や自然に配慮しながら、観光地の住民と観光客の相互が潤う持続可能な観光地づくり、サステーナブルツーリズムが重要視されています。
本市にとっても、観光を通じて、地域の活性化が図られることで雇用を生み出し、地域住民の生活と自然、文化を守ることが、観光客の満足度にもつながり、リピーターを増やすというサイクル、サステーナブルツーリズムは、今後の観光振興にとって大変重要であると考えますが、どのように認識されているのか、伺います。
また、その実現に向け、市民と観光関連業者との協働の取組とする上で、本市はどのような役割を果たそうと考えているのか、伺います。
さらに、次期札幌市観光
まちづくりプラン検討委員会では、DMO、観光地域づくり法人の設立を来月にも本市に提言すると報じられていますが、サステーナブルツーリズムとDMOとの関係性の構築をどのように進めようとお考えなのか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で7項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢についての3点と、2項目めの2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきましては、担当の町田副市長、吉岡副市長、石川副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
私の政治姿勢についてのうち、まず、1項目めの秋元市政2期8年の市政運営と今後の予算編成についてのご質問についてお答えをいたします。
1点目の大型再開発事業の認識と市民合意と、2点目の再開発事業による市民への影響について、併せてお答えをさせていただきます。
再開発事業は、民間投資により、まちの魅力や活力を高め、税収効果を含む経済波及効果が見込まれるものであり、都市計画に係る審議会や議会での予算審議などの手続の中で市民の意見を確認する機会を経て実施をされている事業であると認識をしております。
また、再開発事業により、にぎわいの創出や訪れる人々の利便性の向上が図られ、国内外の人や企業を呼び込み、経済を活性化させ、雇用の場の確保や固定資産税などの税収増により、子育て支援や様々な形で暮らしの充実につながるものと考えております。
3点目の政令指定都市の中で最低レベルの基本指標と改善についてということでありますが、これらの指標は地域の経済力とも大きく関連をしておりまして、第3次産業が大きな割合を占める札幌の産業構造において、雇用や市民所得などを向上させるためには域外の需要を取り込むということが重要であり、さきに触れた再開発事業でまちの魅力を高めることに加え、観光や食分野など札幌市に強みのある産業の振興に力を入れてきたところであります。
また、就労支援といたしましては、これまでも、女性や高齢者など幅広い方を対象に、マッチング機会の提供や人材育成のほか、職場体験を通じた定着支援などに努めてきたところでありますが、今後も、雇用環境の変化や景気動向を注視し、国の経済対策等も踏まえながら、基本指標の改善にも資する取組ということを着実に進めてまいりたいと考えております。
4点目の経済効果をもたらす予算編成、そして、5点目の医療・福祉分野の発展についてでありますけれども、医療・福祉分野においては、医療や介護報酬など国の制度による定めがあり、取組の効果が雇用者所得の増加に直接的に作用することが難しいことなど、他の産業との構造的な違いはありますものの、これまでも、そして令和5年度当初予算においても
一般会計予算総額の約4割を保健福祉費として計上し、福祉や暮らしの充実に積極的に取り組んできたところであります。
加えて、医療、福祉をはじめとする多様な分野において、人材の育成や確保等に向けた課題に対応することで雇用の促進、改善につなげていくなど、様々な面から市民の暮らしの充実に注力をしてまいりたいと考えております。
次に、政治姿勢についての2項目め、安全保障政策についてであります。
1点目の安保3文書改定と国民の反応についてと、2点目の安保3文書改定の決定過程について、併せてお答えをさせていただきます。
国の安全保障政策やその財源の在り方については、何より国民の理解が得られることが重要であると考えております。この3文書に関しまして、今後、国会において関連法案等を審議する過程で、その内容や財源について十分な説明と議論がなされるべきものと考えております。
3点目の改定内容と丘珠空港についてであります。
自衛隊の訓練を含めた丘珠空港の運用につきましては、これまでも、国に対し、情報の提供や市民生活への配慮を要請してきたところであり、市民が不安を抱くことのないよう、今後も引き続き国に求めてまいります。
丘珠空港につきましては、北海道、札幌にとって重要な役割を担う空港として、医療や防災など市民・道民の安全・安心な暮らしに寄与するとともに、多様な交流を支える広域交通拠点となる空港を目指し、国への要望など必要な対応を行っていく考えであります。
4点目の憲法9条を生かした外交努力についてでありますが、札幌で開催をされるG7閣僚会合では、国際社会の重要課題である気候変動、エネルギー、環境について議論をされ、平和への思いの共有については広島で開催されるG7サミットの意義として期待をされているところであります。
G7各国に対しましては、札幌市も加盟する平和首長会議が、ウクライナ侵攻から1年が経過するに当たって、対話を通じて一刻も早い戦争の終えんを求めてアピールをしたところであり、今後も世界平和に向けた取組を行ってまいります。
次に、政治姿勢についての3項目め、エネルギー政策とG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合についてお答えをいたします。
原発回帰の政府方針及びG7札幌大臣会合とエネルギー政策についてでありますけれども、政府の新たな基本方針においても原子力発電所の再稼働は安全最優先で進められるものと認識をしており、原子力発電所の再稼働につきましては、原子力規制委員会による厳格な安全審査の実施が前提と理解をしておりますことから、引き続き政府等の動向を注視してまいりたいと考えております。
また、原子力発電については、脱炭素社会の実現に向け、省エネの推進や太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大を図っていく中で、可能な限り依存度を低減していくことが重要であると認識をしております。
次に、大きな2項目めの2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをいたします。
まず、1点目の広がり続ける不信感、不快感についてでありますが、東京2020大会の疑惑は、アスリートをはじめ、大会の開催に心血を注いだボランティアなど、関係者の努力を踏みにじり、オリンピック・パラリンピックそのものだけではなく、招致活動に対する市民の信頼も大きく損なう結果となり、強い憤りを感じているところであります。
その上で、招致活動については、市民の信頼を前提に進めていくものであることから、まずはその不信感の払拭に努めていきたいと考えております。
次に、2点目の招致活動を中断し、福祉を優先することについてでありますが、
新型コロナウイルス感染症対策に加え、
物価高騰など、市民生活に直結する喫緊の課題については、時期を逸することなく取り組んでいるところであります。一方、人口減少など社会構造の変化に直面する中、地域の経済活性化を図りながら福祉を含めた行政サービスを持続的に充実させていくことが必要であり、オリンピック・パラリンピック招致はこうした
まちづくりを加速させていく効果があるものと考えているところであります。
次に、3点目の客観的な市民の意思確認についてでありますが、大会招致に当たっては、住民の理解や支持が重要であり、今後、しかるべき時期に民意の確認を改めて行い、その結果を尊重していく考えであります。
また、開催都市として地元市民の意向が重要なのはもちろんのことでありますが、加えて、招致実現のためには国の支援が不可欠でありますことから、国民の意向を把握していくということも必要と考えているところであります。
具体的な民意の確認手法については、市議会とも十分に協議をいたしながら、今後判断をしてまいります。
私からは、以上です。
○副議長(峯廻紀昌) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな3項目めの
新型コロナウイルス感染症について、そして、大きな4項目めの介護保険要支援認定者への地域包括支援センターの関わりについて、5項目めの子ども施策の課題についてのうちの1点目、保育士配置基準について、そして、2点目の子育て負担軽減についてのうちの
子ども医療費助成についてのご質問についてお答え申し上げます。
まず、大きな3項目めの
新型コロナウイルス感染症についての1点目、本市での高齢者の感染の対応についてのうち、まず、高齢者の対応と支援についてのご質問でございますが、陽性者登録センターは、スマートフォンを活用して申請する仕組みであるため、特にデジタル弱者への対応を意識しながら検証を重ね、電話による登録の補助やシステムの改修を行うことで改善してきたところでございます。今後とも、より適切な患者への支援に向けて検証と改善に努めてまいります。
次に、施設入所者への対応についてでございますが、高齢者施設の入所者については、保健所の医師が、それぞれの症状や基礎疾患、主治医や施設の協力医療機関の状況、生活環境の変化による影響などを総合的に判断し、往診、外来診療、入院の調整などを行うことで、陽性者一人一人に必要な医療が提供できるよう配慮しているところでございます。
高齢者など重症化リスクの高い方を医療につなげることは大変重要なことと認識しており、引き続き、入院を必要とする方が速やかに、また適切に入院できる体制整備に努めてまいります。
次に、
新型コロナウイルス感染症についての2点目の第8波と地域医療構想についてでございますが、地域医療構想に基づく必要病床数は、長期的な人口減少や疾病構造の変化を見据え、各地域において質の高い効率的な医療提供体制を維持するため、将来的な医療需要を推計し、医療機能の分化や連携を推進するためのものでございます。
一方、今般の
新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた医療法改正等により、感染症拡大時における病床確保等は、有事における機動的な対応として令和6年度開始の次期医療計画において都道府県単位で定めることとされたところでございます。
また、札幌市では、北海道が定める医療計画の基本方針に沿った上で札幌市の現状や特性を踏まえたさっぽろ医療計画を策定しており、本計画においても感染拡大時の医療提供体制について定め、北海道とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大きな4項目めの介護保険要支援認定者への地域包括支援センターの関わりについてのご質問でございますが、札幌市におきましては、要介護支援認定者意向調査により、要支援認定を受けたものの、サービスを利用していない方の中に、いざというときのために取りあえず認定申請した方や、サービス利用をしなくても生活できる方が相当数含まれていることを認識するところでございます。
一方、サービスを利用していない方の中には重症化リスクの高い方も含まれていることから、地域包括支援センターにおいては、そうした方に優先的にアプローチをしているところでございます。
今後も、一人一人の高齢者の状況に応じた支援が重要と考えるため、地域包括支援センターにおけるサービス未利用者の実態把握に一層努めてまいります。
次に、大きな5項目めの子ども施策の課題についての1点目、保育士配置基準についてでございますが、札幌市では、一人一人の子どもに対し、より細やかな目配りが可能となるよう、基準を超えて保育士を配置した場合などに必要な補助を行い、保育環境の充実に努めてきているところでございます。
配置基準につきましては、全国共通の課題であり、子どもたちが健やかに安全な保育を受けられるよう、引き続き国に対して改善を要望してまいります。
次に、子ども施策の課題についての2点目の子育て負担軽減についての
子ども医療費助成についてのご質問でございますが、
子ども医療費助成は、あくまでも国が全国一律で実施すべきものと認識しているところでございますが、札幌市としても現在検討を重ねているところであり、将来世代に過度な負担となることのないよう留意しつつ、必要とする家庭に支援がしっかり届くよう判断してまいりたいと考えるところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡 亨) 私からは、6項目めの生活道路の排雪強化についてお答えをいたします。
市内の全ての生活道路を札幌市が定期的に排雪することは、新たに多くの機材や人材の確保が必要になるとともに、多くの費用を要しますことから、極めて困難であると考えます。
一方で、持続可能な生活道路排雪の在り方については検討していく必要があると考えておりますことから、体制面や財政面などの課題を踏まえながら議論を進めてまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな7項目めの今後の観光振興の考え方についてお答えを申し上げます。
まず、1点目の次期札幌市観光
まちづくりプランについてでありますが、観光施策を推進するに当たりましては、市民や地元事業者が観光による恩恵を十分に感じることが前提であり、国が観光庁ビジョンに掲げる住んでよし、訪れてよしの理念は重要であると認識をいたしております。
次期プランに掲げる本市の目指すべき姿につきましては、有識者会議である次期札幌市観光
まちづくりプラン検討委員会での議論を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
次に、2点目の国の観光政策についてであります。
国が現在検討しております新たな観光立国推進基本計画の素案では、今後の観光政策の方向性として、持続可能な観光地域づくり、インバウンドの回復、さらには国内交流の拡大を戦略的に推進することとされておりまして、国の政策は富裕層やインバウンドの数値目標に偏ったものではないものと認識をいたしております。
本市といたしましても、富裕層やインバウンドを含め、国内外の多様な観光ニーズに応えられる魅力的な観光地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
続いて、3点目のサステーナブルツーリズムの推進とDMOの設置についての考え方についてであります。
持続可能な観光は、観光施策全般の土台となる重要な理念であり、サステーナブルな旅行へのニーズが高まっていることも踏まえますと、着実に実現すべきものであると認識をいたしております。
このため、市民や多様な観光関連事業者が一丸となって取り組めるよう、次期札幌市観光
まちづくりプランの根幹となる概念として持続可能な観光の考え方を位置づけてまいりたいと考えております。
また、DMOの設立につきましては、検討委員会の議論の結果も踏まえまして今後検討していくこととはなりますが、持続可能な観光の実現に向けて、その推進体制の強化を進めてまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○副議長(峯廻紀昌) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、5項目めの子ども施策の課題についての2点目めの子育ての負担軽減、学校給食についてお答えをいたします。
まず、1点目の給食の質についてでございますけれども、給食は、成長期にある子どもの健康の保持・増進に寄与するとともに、学校生活を豊かにするなど、子どもたちの健やかな体や豊かな心の育成に重要なものであるというふうに認識をしております。
教育委員会といたしましては、給食費の公会計化によりまして計画的に食材を購入することで、安全で栄養バランスの取れたおいしい給食を提供するとともに、地産地消や食事マナーなどを通して引き続き食育の推進にも努めてまいりたいと考えております。
次に、学校給食のうちの2点目、学校給食費の無償化についてでございますが、これまでも就学援助制度等で
子育て世帯への負担軽減を実施しており、これ以上の支援は現時点では難しいものと考えております。
以上でございます。
(
太田秀子議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(峯廻紀昌)
太田秀子議員。
◆
太田秀子議員 オリンピック招致と丘珠空港について再質問を行います。
最初に、オリンピック招致について伺います。
今日行いました代表質問で、私は、市長の政治姿勢のところで、秋元市政2期8年を振り返って、その後の各質問項目の中で、市民の暮らしや経済の問題、そして、解決のための提言などを行ったところです。
新型コロナウイルス感染症で高齢者の死亡率が高いですとか医療が逼迫している、介護サービスにつながれていないとか、子どもを受診させられなかったとか、保育士が足りないんだとか、除雪を充実してほしいなど、市民の声や実態を質問に入れてきました。
これは、マスコミと本市が行ったオリンピック招致に関する調査で、オリンピックよりほかの施策に注力してほしいという反対意見が多いことと根本は同じなんです。このように日々暮らしている中で、生活が苦しいからオリンピックよりも暮らしを充実してもらいたいんだと、これが市民の実感なんだということを言ってきました。
ただいまいただいた答弁では、コロナ対策や
物価高騰などは市民生活の喫緊の課題として取り組んできたんだ、持続的に充実させていくことで
まちづくりを発展させていく効果がある、こういうご答弁だったかと思います。あまりにも市民の思いとかけ離れていると思いました。暮らしを充実させる施策を最優先にして、しかも、それを市民が実感できることが大事なんです。市民が実感できていないから、先ほど言ったマスコミの調査結果などが出ていると私は思っているところです。こういうところで不快感が増えていくんじゃないのかと、また改めて思ったところでありました。
招致に反対なのは、そういう効果を実感できていないんだ、オリンピックよりほかの施策なんだということをまず念頭に置いていただいて、オリンピックで
まちづくりを発展させていく効果があると、このような答弁もされました。これで、その実感していない市民が、どのように市民の暮らしの充実を実感できるものになるのか、その具体的なところを伺いたいと思いました。
次に、丘珠空港です。
安保3文書の改定と丘珠空港についてのご答弁は、本市にとっても重要な役割を持つ空港なんだ、そして、これまでも情報提供や市民の環境への配慮などを要望してきた、必要な対応を取っていくということでありました。もちろん、本市としては国にしっかりと求めていくし、国が札幌市民に説明しなければならないものであることは私も承知しているところです。
しかし、昨年10月、日米共同訓練が行われて、丘珠空港を拠点に、米軍機オスプレイが矢臼別など道内4か所の自衛隊基地に飛来する訓練などを行いました。北海道防衛局より本市に連絡が入ったのは、その訓練開始予定の6日前、そして、オスプレイが飛来する前日、9月26日でした。私も防衛局に申入れをしましたけれども、米軍の機密事項だからどの飛行ルートを飛んでくるのかさえ知らされないということで、これは札幌市に対しても同じような対応でした。
これは、日米地位協定で、米軍機は日本の空港への事前通告なしでの使用が事実上認められている、そして、日本には訓練や演習に関して規制をかける権限がない、こうなっているからなんです。協定は極めて特権的ですから、本札幌市議会でも、2018年に自民、公明以外の賛成で日米地位協定の改定を求める意見書が採択されています。
このような事実が起こっている中、丘珠空港は、自衛隊と民間の共用空港だけれども、3文書で言っている利用拡大には該当しないなど、誰も言えない状況だと思います。3文書改定によって、今後、丘珠空港による自衛隊や米軍の利用が変わっていく可能性がありますから、その可能性について、市長として改めて国に確認するべきだと思いますがいかがか、伺います。
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 再質問をいただきました。
まず、1点目のオリンピック・パラリンピックに関してでございます。
ご質問にありましたように、様々な市民生活、あるいは福祉の充実というようなこと、これはしっかりやっていかなければいけない、市民の声を受け止めてやっていかなければいけないということ、これは事実であります。
加えて、札幌の場合は、除排雪に多額の経費がかかります。ほかの都市、全国のどの都市に比べても、200億円、300億円という自主財源を必要とする、そういう構造にある都市であります。したがって、様々な福祉の充実をしていく、これを持続可能にしていくためにも、歳入でありますとか、やはり、税収を含めて歳入面の強化ということもしっかり考えていかなければいけないわけであります。
オリンピック・パラリンピックが全てではありませんけれども、先日の3年ぶりの雪まつりの開催、このときに多くの方が北海道、札幌にいらっしゃいました。こういった形で様々なイベントを行っていくというようなこと、そのことも、経済効果ということで地域の経済力を高めていく、そのことに重要なことでありまして、この両方をしっかり取り組んでいかなければいけないというふうにお話をさせていただいております。
加えて、パラリンピックを開催することで
バリアフリーの施設改修、こういったようなことにも、これは、公共的な施設のみならず、民間の施設などについても、こういった
共生社会の実現ということがつながっていく、また、そういうふうにつなげていかなければいけない、このように考えているところであります。
そういう意味では、福祉かオリンピックかということではなくて、福祉の充実、こういったものを図っていくためにも、地域の活性化、経済の活性化ということにも両方に取り組んでいかなければいけないのだと、このことをお話しさせていただいているところであります。
2点目の丘珠空港のことにつきましてでありますが、今回の3文書の内容について、丘珠空港についての直接的な記載はございません。
しかしながら、今後こういった防衛施設においてどのような状況になるのかということについては、市民の安全・安心という観点、こういったことからも引き続き国の情報提供ということを求めていかなければいけない、このように考えているところであります。
以上であります。
(
太田秀子議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(峯廻紀昌) 再々質問ですので、これを最後の質問とし、簡潔に願います。
太田秀子議員。
◆
太田秀子議員 再々質問をします。
オリンピックについて伺います。
札幌は雪が降るから大変なんだというお話ですけれども、そんなのは理由にならないと私は思います。両方を取り組んでいくというのは当たり前のことです。私たちも、もちろん経済を発展させたいし、それから、福祉も充実させたいと思っています。市長は、議会が始まったときの本会議での発言の中で、観光などでも皆さんに来ていただいて1位になったと言っていますけれども、やはり、そうやって観光で来ていただく人が増えていくということの経済なんかは、私もとても大事だと思っているんですけれども、片方で、市長は触れませんでしたけれども、市民の幸福度などというのは、ここに暮らしていて幸福かどうかと、そういうものを、すごい、40項目もある中で調査しますけれども、それは17位なんですよね。だから、それをどっちも大事にしてもらいたいというのは、私も同じ思いなんです。
バリアフリーの施設なども、これから、オリンピックでなくてもやっていただきたいと。そういうふうに思うんだったら、やはり、市民の信を問わなければいけないと私は思います。
そこで、伺いますけれども、市民はこういう答弁にとても驚いているかと思うんですけど、自治基本条例では、市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するために条例で定めるところにより住民投票を実施することができる、こうなっております。オリンピック招致が市政の重要課題であることは市長も認めておられるところでありますし、何よりもオリンピックというのは圧倒的な市民の賛成ですとか協力がないと成功できません。市民一人一人に賛否を問うことが大事です。
そこで、伺いますけれども、先ほどの答弁の中で、これからの民意の確認手法についてですが、それは今後の取組なんだというお話でした。手法の選択肢に住民投票は含まれるのか、含まれないのか、端的にお答えください。
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 多くの方々に意向を伺う、そして、意見を表明したい方からその意見を受け取る、そういった手法についてしっかり考えていかなければいけない、こういうふうに思っております。
そういう意味で、住民投票というのも一つの手法であるというふうに考えておりますが、どういう場合に行うのか、あるいは、間接民主主義との関係をどうするのか、こういったことなどについても議会の皆さんともしっかり議論をして進めていきたい、このように考えております。
○副議長(峯廻紀昌) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日2月22日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(峯廻紀昌) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(峯廻紀昌) 本日は、これで散会します。
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散 会 午後3時58分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 細 川 正 人
副 議 長 峯 廻 紀 昌
署名議員 藤 田 稔 人
署名議員 森 山 由 美 子...